JP2023538613A - Epr装置用プローブヘッドインサート - Google Patents

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Abstract

EPRプローブヘッド用インサートが開示される。インサートは、方向性結合器と増幅器を備える。方向性結合器は、第1のポートにおいて源からマイクロ波電力を受信し、受信したマイクロ波電力の一部を、サンプル空間への伝送のため、第2のポートへ転送する。方向性結合器は、また、第2のポートにおいてサンプル空間からマイクロ波信号を受信し、受信したマイクロ波信号の大部分を、第3のポートへ渡すよう配置されている。増幅器は、入力と出力を有する。入力は、マイクロ波信号を、方向性結合器の第3のポートから受信して、検出器への伝送のため、出力において、受信したマイクロ波信号の増幅バージョンを生成するように配置されている。【選択図】図1

Description

発明の詳細な説明
[発明の分野]
本発明は、電子常磁性共鳴(EPR)装置用のプローブヘッド用インサート、プローブヘッド自体、及びプローブヘッドを使用する方法に関するものである。
[背景]
電子常磁性共鳴(EPR)分光法は、電子スピン共鳴(ESR)分光法としても知られている。これら用語は、本明細書では同義語と考えられ、簡潔さのため、単に「EPR」と呼ばれる。EPRは、数多くの科学分野で使用される強力なツールである。
しかし、実際には、EPR信号は比較的小さく、熱雑音などの、雑音にさらされる可能性があり、したがって、信号対雑音比(SNR)は低い。このことは、EPR信号の検出上の問題があること、又は、使用可能なデータを取得するために長い積分時間を必要とする問題があること、を意味している。
EPRにより研究されているサンプルにマイクロ波電力を供給するために用いられる装置は、プローブヘッドとして知られている。プローブヘッドは、EPRの一部として印加磁場にさらされるため、プローブヘッドになされるいかなる改変も、磁場による悪影響を受けてはならないという問題もある。さらに、プローブヘッドは、通常、サンプルの温度制御のため、クライオスタットに挿入されるので、プローブヘッドで利用できるスペースが限られること、プローブヘッドは潜在的に極低温で動作する必要があること、といった問題がある。
本発明は、上記問題のいくつか又はいずれかを、少なくとも部分的に、軽減することを目的とする。
[概要]
本発明の第1態様は、EPRプローブヘッド用インサートを提供し、前記インサートは、
方向性結合器であって、前記方向性結合器は、第1のポートにおいて源からマイクロ波電力を受信し、前記受信したマイクロ波電力の一部を、サンプル空間への伝送のため、第2のポートへ転送するように構成されており、前記方向性結合器は、前記第2のポートにおいて前記サンプル空間からマイクロ波信号を受信し、前記受信したマイクロ波信号の大部分を、第3のポートへ渡すよう構成されている、前記方向性結合器と、
入力と出力を有する増幅器であって、前記入力は、前記マイクロ波信号を、前記方向性結合器の前記第3のポートから受信して、検出器への伝送のため、前記出力において、前記受信したマイクロ波信号の増幅バージョンを生成するように配置されている、前記増幅器と、
を備える、インサートである。
本発明の別の態様は、プローブヘッドを提供し、前記プローブヘッドは、
本発明の第1態様に記載のインサートと、
マイクロ波経路によって、前記方向性結合器の前記第2のポートに結合されたマイクロ波共振器と、
を備える、プローブヘッドである。
本発明のさらなる態様は、方法を提供し、前記方法は、
本発明の前述の態様に記載のプローブヘッドを提供することと、
マイクロ波電力を、源から前記結合器の前記第1のポートへ送ることと、
前記共振器への伝送のため、前記マイクロ波電力の一部を第2のポートに結合することと、
前記共振器からのマイクロ波信号を、前記結合器の前記第2のポートで受信することと、
前記受信したマイクロ波信号の大部分を、前記結合器の第3のポートへ伝送することと、
前記結合器の前記第3のポートからの前記マイクロ波信号を、前記プローブヘッドの前記インサート内に備えられる前記増幅器において受信することと、
前記増幅器を用いて前記マイクロ波信号を増幅することと、
前記受信したマイクロ波信号の増幅バージョンを出力することと、
を備える、方法である。
本発明のさらなる任意の態様は、従属クレームで定義される。
ここで、本発明の実施形態が、非限定的な例として、添付の図面を参照して、説明される。
図1は本発明の実施形態のインサートを含むEPRプローブヘッドの概略図である。 図2は本発明の別の実施形態のEPRプローブヘッド用インサートの概略図である。 図3のa~cは異なる状況下で、本発明の異なる実施形態を用いて得られたEPRハーンエコーのプロットを、従来のEPR装置を用いた場合と比較して示したものである。 図4は本発明の実施形態を用いて得られた連続波(CW)EPRスペクトルと、従来の装置を用いて得られたスペクトルとの比較を示したものである。 図5のa~dは本発明の実施形態を用いて得られたEPR超微細サブレベル相関分光法(HYSCORE)の結果と、従来の装置を用いて得られた結果との比較を示したものである。 図6のa~dは本発明の実施形態を用いて得られたEPR電子-電子二重共鳴法(DEER)の結果と、従来の装置を用いて得られた結果との比較を示したものである。
[詳細な説明]
従来のEPR装置は、通常、マイクロ波源とマイクロ波検出器を含むマイクロ波ブリッジを備える。マイクロ波電力は、ブリッジ(源と検出器)とプローブヘッド間の1つ以上の導波管を介して伝達される。場合によって、ブリッジ(源)からプローブヘッドに向かうマイクロ波電力と、ブリッジ(検出器)に戻る反射されたマイクロ波電力の双方に、単一の導波管が使用されることがあり、その場合、ブリッジ内のサーキュレーターが、戻ってくるマイクロ波を、源ではなく検出器に向かわせる。さらに、ブリッジは、マイクロ波導波管用に、(例えば、伝送測定のために)個別の出力ポートと入力ポートを有し得る。
プローブヘッドは、例として金属性又は誘電性の、マイクロ波共振器(共鳴空洞)を備えており、マイクロ波共振器には、サンプル空間とそこへのアクセスが含まれる。別の電磁石は、サンプル空間全体に磁場を印加する。測定値によって、必要に応じて、磁場の固定、一掃、調節が可能である。ブリッジは、電子機器に結合されて、マイクロ波の源と磁石を駆動し、検出器からデータを収集し、分光法の実行等のため、データを処理する。
図1は、本発明の第一実施形態によるインサート10と、共振器12とを備えるEPRプローブヘッドを、概略的に例示する。インサート10は、共振器12とブリッジ(図示せず)の間のマイクロ波経路に位置する(又は、挿入される)。好ましい実施形態において、プローブヘッドは、クライオスタット14に取り外し可能に挿入することが可能であり、それにより、(サンプル空間とその中のいかなるサンプルも併せて)共振器12の温度を制御したり、例えば150Kより低い極低温まで、例として液体窒素及び/又は液体ヘリウムを使用して、任意に冷却したりすることが可能になる。マイクロ波ブリッジ(図示せず)と他の電子機器は、クライオスタット14の外側で室温にすることが可能である。プローブヘッドもまた、室温で、クライオスタットの内外で、動作可能であり、クライオスタットは任意の機能である。
インサート10は、マイクロ波電力をブリッジ(図示せず)から方向性結合器18へ伝達する、半剛性入力ライン16を有する。入力ライン16は、マイクロ波電力を結合器18の第1のポート20に供給する。入力マイクロ波電力の大部分は、結合器18の「伝送ポート」22に転送される。伝送ポート22は、例えば、50Ω負荷24で終端する。マイクロ波電力の残り部分は第2のポート26(結合ポートとしても知られる)に結合され、そこからマイクロ波経路28(導波管等)を介して、共振器12に伝達される。第2のポート26に結合される電力の割合は、次のように定義される結合係数Cによって与えられる。
C=-10log(P/P)dB
ここで、Pは第1のポート20(入力ポート)における電力であり、Pは第2のポート26(結合ポート)における電力である。結合係数の定義におけるマイナス記号の形式がここで用いられており、そのため、例えば、C=6dBの方向性結合器(「6dB結合器」と称する)は、電力の約25%が結合ポートに転送されることを意味する(マイナス記号が定義にない形式では、「-6dB結合器」と呼ばれる可能性がある)。
入射マイクロ波電力と、共振器12に関連するサンプル空間(図示せず)内のサンプルとの相互作用に続いて、EPRマイクロ波信号(スピンエコー等)は、マイクロ波経路28を介して、結合器18の第2のポート26に戻される。結合器18は方向性結合器であるため、第2のポート26はそのとき入力ポートとして機能し、マイクロ波信号の大部分は、結合器18の第3のポート30に導かれる(伝送される)(結合係数Cによって決定されるように、第1のポート20に結合して戻るマイクロ波電力の一部によって減少する)。第3のポート30からのマイクロ波信号は、プローブヘッド内の増幅器34の入力32に伝達される。増幅器34は、マイクロ波信号の増幅バージョンを生成し、これは出力36に出力され、インサート10から、プローブヘッドを離れ、クライオスタット14を出て、マイクロ波ブリッジ(図示せず)に伝達される。増幅されたマイクロ波信号は、ブリッジ内のサーキュレーターを回避することにより、ブリッジの入力ポートに直接、又は、マイクロ波検出器に直接、運搬されることが好ましい。
方向性結合器18の機能は、クライオスタット14の外側の室温環境から、入力ライン16を下ってくる熱雑音を抑制することである。なぜなら、雑音電力の大部分は、終端負荷24に導かれて、共振器12に到達しないためである。これにより、SNRは改善される。この代償は、共振器12に到達する印加されたマイクロ波パルスの最大電力(及び、したがって帯域幅)も減少することだが、SNRの改善は、のちに結果欄で示すように、これを補って余りある。電力損失を補うために、より高電力のマイクロ波増幅を使用することも可能である。本発明の実施形態では、3dB結合器(50:50)を使用してもよいが、結合係数Cの好ましい範囲は、6dBから30dBである。Cが6dBよりも小さい場合には、雑音減少効果は比較的小さく、当然ながら、共振器から戻ってくるエコー信号の大部分は入力ライン16に結合されて戻るため、増幅器34に到達せず、よって有用な信号電力が失われる。Cが30dBよりも大きい場合では、共振器12に到達する印加されたマイクロ波励起電力は過小になり始める。結合器18の結合係数Cの好ましい範囲は、6dBから15dBである。例となる結合器には、PasternackのPE2CPシリーズが含まれる。
増幅器34は、マイクロ波信号がインサート10を離れる前にそれを増幅し、ワイヤ(図示せず)を介して、外部環境の電源から電力を供給される。文脈によっては、増幅器は「前置増幅器」と称されることがある。なぜなら、さらなる増幅が、通常、ブリッジやスペクトロメーター内に備えられるためであり、よって、本明細書で使用される「増幅器」及び「前置増幅器」という用語は同義語とみなされるべきである。増幅器は、大変低い騒音温度を有し、飽和せずに所要のマイクロ波電力を処理することが好ましく、また、約10GHzにおいて広く用いられているマイクロ波のX帯を組み込みつつ、例えば1GHz又は2GHz、望ましくは300GHzに至るまでの、所望の信号周波数範囲にわたり、動作することが好ましい。増幅器は、マイクロ波帯全体の中で関心のある所望の周波数範囲にわたり、動作するよう選択することが可能であり、異なる周波数範囲を対象としたインサートには、異なる増幅器を使用することが可能である。適切な増幅器は、電界効果トランジスタ(FET)を含み得る。特に適切なFETは、半導体ヘテロ構造を備える、高電子移動度トランジスタ(HEMT)である。構造中の電子の移動度が高いことは、デバイスの騒音が低いことを意味する。本発明の実施形態において使用する例となる増幅器は、Low Noise FactoryのLNF-LNC6_20C極低温HEMT前置増幅器である(34dBゲイン、4Kにおいて2.5K、室温において70Kの騒音温度)。好ましい配置では、増幅器34は、共振器12の下部に延在する銅アームを介して、熱平衡化する。
プローブヘッド用のインサート10の一部として増幅器34を有することには、多くの利点がある。共振器におけるサンプルが冷却されると、増幅器も冷却され、結果として増幅器の騒音温度が下がる(それは、増幅器が例えばブリッジに位置している場合は、起こらないだろう)。すでに説明したように、方向性結合器は、検出回路を室温騒音から分離するが、もし増幅器がブリッジに位置していたら、たとえサンプルが冷却されても、室温騒音は増大するであろう。増幅器34を共振器12に近接させることは、信号増幅前の、マイクロ波経路に沿った信号の損失と騒音の導入を回避する。この理由から、収集されたEPRデータにおけるSNRの改善は、プローブヘッドとサンプルが室温にある場合であっても達成される(結果を参照)。本発明の好ましい実施形態では、共振器12と増幅器34との間のマイクロ波経路は100mm未満であり、50mm未満、例えば約20mmまで短くすることも可能である。
EPRプローブヘッド用インサート10の第二実施形態を、これから図2を参照して説明する。同様の部品は、図1で使用したのと同様の参照番号で表示し、図1の実施形態で既に説明した共通部品の詳細な説明は、省略する。第一実施形態の特徴の全ては、単独で、又は、任意の組み合わせで、この第二実施形態に取り込むことが可能である。
状況によって、後続するマイクロ波構成要素への損傷と、増幅器そのものへの損傷を回避するため(増幅器は、通常、インサートの最も高価な部品である)、増幅器34の入力32に到達するマイクロ波電力を制限することが望ましい場合がある。このことは、X帯において例えば1kWといった非常に高い電力になり得る、パルス状のマイクロ波励起を使用した計測に特に当てはまる。励起パルス電力の一部は、共振器から反射されて増幅器へ導かれてもよく、その後、より低い電力であり得る、スピンエコー信号が続く。
増幅器に到達する電力を制限する第一の特徴は、結合器18の第3のポート30と増幅器34の間にあるパワーリミッタ40である。リミッタ40は、単一のデバイスであってもよいし、直列の2つ以上のデバイスであってもよい。例となるリミッタ40は、500Wのピーク電力、130mWのフラットリーケージ、回復時間が200ns未満、0.1%のデューティサイクルを有する、例えば、NardaのLIM-301のリミッタである。
増幅器34に到達する電力を制限する第二の特徴は、高電力マイクロ波励起パルス中、マイクロ波電力を増幅器入力32から逸らし、他の時間は、スピンエコー(EPR)マイクロ波信号を増幅器入力32へ切り替える、スイッチ42である。図2は、以下を図式的に示す:左側の入力ライン16上の入力パルス;ある状態においてスイッチ42によって逸らされ、50Ω負荷といった、終端44に向かう反射されたパルス;別の状態においてスイッチ42によって導かれ、増幅器入力32に向かうスピンエコーマイクロ波信号;増幅器出力36における増幅されたスピンエコーマイクロ波信号。本発明の好ましい実施形態において、スイッチ42は、ソリッドステートの、高速の、非反射スイッチであり、例えば、Analog DevicesのHMC547ALP3E(<20nsの切り替え時間;40dBのアイソレーション)である。スイッチ42の動作は、EPRスペクトロメーターとブリッジに関連する電子機器からの信号によって、制御可能である(マイクロ波源パルスも制御される)。
図2は好ましい実施形態を示しているが、要求に応じて、リミッタ40が省略されたり、スイッチ42が省略されたり、又はリミッタ40からスイッチ42に続く順番が入れ替えられたりする可能性がある。連続波(CW)の動作と充分に低いパルス電力の動作については、図1の実施形態にあるように、リミッタ40とスイッチ42は省略される可能性がある。
図2は、インサート10のさらなる任意の特徴、すなわち、増幅器の温度を測定するため増幅器34と熱的に接触する温度センサ46(抵抗温度計など)を示す。サンプルの温度は、クライオスタットに内蔵されているセンサから推測可能である。インサート10のマイクロ波構成要素の適切な熱平衡化を確保するためには、サンプル温度と増幅器温度が等しくなるときに、最適な測定値が得られる。温度センサ46は、図1の本発明の第一実施形態において、すなわち、リミッタ40とスイッチ42なしで、使用可能である。
前述した実施形態のいずれかのインサート10は、任意の適切なプローブヘッドと共に使用するための、一体化された、コンパクトな、3つのポートを有するパッケージとして、提供可能である。通常のインサートの寸法は、およそ40mm × 20mm × 8mmである。
[結果]
X帯EPR計測は、BrukerのX帯ER 4118X-MD5Wのマイクロ波共振器を備える、改良されたBrukerのER 4118SPTのプローブヘッドを使用して、インサートについては上に説明したような例となるマイクロ波構成要素を使用する図2の好ましい実施形態のプローブヘッド用インサートを使用して、行われた。プローブヘッドは、1kW進行波管(TWT)増幅マイクロ波源を備える、BrukerのELEXSYS E580 EPRのスペクトロメーターに接続された。
図3は、外径4mmのEPR管内の標準石炭サンプルのハーンエコーの測定結果を示すものであり、パルス状のEPRを使用し、本発明の実施形態のインサートを用いて得られた信号と、インサートなしの従来の配置を用いて得られた信号を比較している(従来の配置では、入力ラインは、結合器を迂回して共振器に直接接続されるが、共振器とサンプルの位置は固定し、その他全ての実験パラメータは本質的に一定に保った。ただし、マイクロ波電力は、インサートの有無にかかわらず、πパルスの同一の持続時間をもたらすように調整した)。ハーンエコーのトレースは、いかなる背景オフセットも除去するようシフトされており、振幅は、それぞれのトレースについて計算された騒音レベルに関して正規化されている。(すなわち、トレースは、インサートの有無にかかわらず、騒音レベルが同一になるよう拡縮されている)。
見ての通り、測定の感度は、6Kにおいて6dB結合器を使用する図3のaにおいて改善しており、電圧SNRは約9.6倍増加している。これは、測定時間を90分の1に短縮できる可能性を表している。図3のbでは同じく6Kにおいて30dB結合器を使用したところ、SNRにおいて約18.8倍の増加を示しており、測定時間において素晴らしい350分の1の短縮を表している。このことは、通常ならまる一日かかるだろう実験が、5分未満で行い得るという可能性を意味している。感度の改善は、スピン濃度又はサンプル量を減らすためにも利用可能であり、従来不可能な、又はX帯において不可能な、システムの研究を可能にする。図3のcは、290Kにおいて6dB結合器を使用した場合の対応結果を示しており、室温にあっても著しい改善をみせており、SNRはおよそ3.2倍増加し、そして測定時間は10分の1に減少している。
図4は、CW EPRによって本発明を具現化したインサートを用いて得られた改善を示す。計測は、50Kにおいて、[(CHNH][Zn(HCOO)]有機金属フレームワークのパウダーサンプルを用いて行われ、Zn(II)の1mol%は、Cu(II)に置き換えられた。スペクトルはCu(II)信号に正規化されており、図において、グラフは、明確にするために垂直にオフセットされている。6dB結合器を備えるインサートを使用すると、SNRは約4.9倍向上する。
図5は、呼吸複合体Iサンプルの10K及び357.7mTにおける、HYSCORE実験の結果を示す。1時間の信号平均化で得られたH HYSCOREスペクトル(スカイライン投影による等高線図)について、インサートが有る場合と無い場合を、それぞれ図5のa及び図5のbに提示する。インサートが有る場合に得られたスペクトルは、(14.1、16.4)及び(16.4、14.1)MHzでピークとなる強いHリッジを示す(図5のa)。SNRは、標準的な配置を用いた場合、より悪化する(図5のb)。SNRの増加は、図5のc及び図5のd(それぞれ、インサートが有る場合、無い場合)に提示された対応3Dプロットにおいて、より明らかにされている。SNRは、インサートが有る場合、約9倍改善する。
ニトロキシドの分子定規とCu(II)の分子定規は、それぞれ約4.2nm、約4.5nmの長さを有しており、X帯において双極分光法を備えるDEER実験の、SNRの改善を評価するために使用された。実験は、ニトロキシドが50Kにおいて、Cu(II)が10Kにおいて実施された。DEERの一次データは、図6のa及び図6のbの形状因子プロットをもたらすように、バックグラウンド修正がなされた。チホノフ正則化法によって得た対応距離分布は、図6のc及び図6のdに示される。示された距離は、分布の最大値に相当する。ニトロキシドの結果は図6のa及び図6のcにあり、Cu(II)の結果は図6のb及び図6のdにある。全ての場合において、本発明を具現化するインサート(6dB結合器を有する)を用いて得られたグラフと、インサートが無い場合のグラフは、重複を避けて明確にするため、互いに垂直方向にずらされており、各図の上部のグラフが、プローブヘッド用インサートを用いて得られたものである。
50Kにおけるニトロキシド測定値について、SNRは、インサートが有る場合、6.7倍改善した。10KにおけるCu(II)測定値について、SNRは、インサートが有る場合、約10倍改善した。Cu(II)定規を使用してCu(II)-Cu(II)距離を測定する場合、従来の配置で得られたDEERデータは、非常に貧弱なSNRしか有さず、チホノフ正則化法による不安定な分析と、信頼性の低い距離分布につながる(図6のd)。対照的に、本発明を具現化するプローブヘッド用インサートを用いて、同じ時間で得られたDEERのトレースは、期待されたCu(II)-Cu(II)距離において、充分に分解されたピークを提供する。

Claims (12)

  1. EPRプローブヘッド用インサートであって、前記インサートは、
    方向性結合器であって、前記方向性結合器は、第1のポートにおいて源からマイクロ波電力を受信し、前記受信したマイクロ波電力の一部を、サンプル空間への伝送のため、第2のポートへ転送するように構成されており、前記方向性結合器は、前記第2のポートにおいて前記サンプル空間からマイクロ波信号を受信し、前記受信したマイクロ波信号の大部分を、第3のポートへ渡すよう構成されている、前記方向性結合器と、
    入力と出力を有する増幅器であって、前記入力は、前記マイクロ波信号を、前記方向性結合器の前記第3のポートから受信して、検出器への伝送のため、前記出力において、前記受信したマイクロ波信号の増幅バージョンを生成するように配置されている、前記増幅器と、
    を備える、インサート。
  2. 前記方向性結合器の前記第3のポートと、前記増幅器の前記入力との間のマイクロ波経路に、マイクロ波パワーリミッタをさらに備える、請求項1に記載のインサート。
  3. 前記方向性結合器の前記第3のポートと、前記増幅器の前記入力との間のマイクロ波経路に、スイッチをさらに備え、前記スイッチは、マイクロ波電力を前記増幅器入力から逸らすことと、マイクロ波電力を前記増幅器入力に向かわせることとを、選択的に切り替えるように構成されている、請求項1又は2に記載のインサート。
  4. 前記増幅器は、高電子移動度トランジスタを備える、請求項1、2又は3に記載のインサート。
  5. 前記方向性結合器の結合係数は、6dBから30dBの範囲にある、請求項1から4のいずれかに記載のインサート。
  6. 前記増幅器の温度を検知するように構成されている温度センサをさらに備える、請求項1から5のいずれかに記載のインサート。
  7. プローブヘッドであって、
    請求項1から6のいずれかに記載のインサートと、
    マイクロ波経路によって、前記方向性結合器の前記第2のポートに結合されたマイクロ波共振器と、
    を備える、プローブヘッド。
  8. 前記増幅器が前記マイクロ波共振器に近接している、請求項7に記載のプローブヘッド。
  9. 前記マイクロ波共振器と前記増幅器との間のマイクロ波経路は、100mm未満である、請求項7又は8に記載のプローブヘッド。
  10. クライオスタット内で動作するよう構成されている、請求項7から9のいずれか一つに記載のプローブヘッド。
  11. 方法であって、
    請求項7から10のいずれか1つに記載のプローブヘッドを提供することと、
    マイクロ波電力を、源から前記結合器の前記第1のポートへ送ることと、
    前記共振器への伝送のため、前記マイクロ波電力の一部を第2のポートに結合することと、
    前記共振器からのマイクロ波信号を、前記結合器の前記第2のポートで受信することと、
    前記受信したマイクロ波信号の大部分を、前記結合器の第3のポートへ伝送することと、
    前記結合器の前記第3のポートからの前記マイクロ波信号を、前記プローブヘッドの前記インサート内に備えられる前記増幅器において受信することと、
    前記増幅器を用いて前記マイクロ波信号を増幅することと、
    前記受信したマイクロ波信号の増幅バージョンを出力することと、
    を備える、方法。
  12. 請求項11に記載の方法であって、前記プローブヘッドに設けられる前記インサートが請求項3又は請求項3に従属するいずれかの請求項に記載のものであり、前記方法は、
    マイクロ波パルスを前記マイクロ波共振器へ送ることと、
    前記スイッチを操作して、前記マイクロ波共振器から反射された、前記マイクロ波パルスのマイクロ波電力を、前記増幅器入力から逸らすことと、
    前記スイッチを操作して、前記マイクロ波共振器に関連付けられた前記サンプル空間におけるサンプルからのEPR信号のマイクロ波電力を、前記増幅器入力に向かわせることと、
    をさらに備える、方法。
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