JP2023536834A - 天然外膜小胞中のsars-cov-2受容体結合ドメイン - Google Patents

天然外膜小胞中のsars-cov-2受容体結合ドメイン Download PDF

Info

Publication number
JP2023536834A
JP2023536834A JP2023505894A JP2023505894A JP2023536834A JP 2023536834 A JP2023536834 A JP 2023536834A JP 2023505894 A JP2023505894 A JP 2023505894A JP 2023505894 A JP2023505894 A JP 2023505894A JP 2023536834 A JP2023536834 A JP 2023536834A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
rbd
plasmid
composition
promoter
cov
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Ceased
Application number
JP2023505894A
Other languages
English (en)
Inventor
ムー グレゴリー
ジュンティーニ セレーナ
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Omvax Inc
Original Assignee
Omvax Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Omvax Inc filed Critical Omvax Inc
Publication of JP2023536834A publication Critical patent/JP2023536834A/ja
Ceased legal-status Critical Current

Links

Images

Classifications

    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61KPREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
    • A61K39/00Medicinal preparations containing antigens or antibodies
    • A61K39/12Viral antigens
    • A61K39/215Coronaviridae, e.g. avian infectious bronchitis virus
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61KPREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
    • A61K39/00Medicinal preparations containing antigens or antibodies
    • A61K39/12Viral antigens
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P31/00Antiinfectives, i.e. antibiotics, antiseptics, chemotherapeutics
    • A61P31/12Antivirals
    • A61P31/14Antivirals for RNA viruses
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61KPREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
    • A61K39/00Medicinal preparations containing antigens or antibodies
    • A61K2039/51Medicinal preparations containing antigens or antibodies comprising whole cells, viruses or DNA/RNA
    • A61K2039/52Bacterial cells; Fungal cells; Protozoal cells
    • A61K2039/521Bacterial cells; Fungal cells; Protozoal cells inactivated (killed)
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61KPREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
    • A61K39/00Medicinal preparations containing antigens or antibodies
    • A61K2039/51Medicinal preparations containing antigens or antibodies comprising whole cells, viruses or DNA/RNA
    • A61K2039/52Bacterial cells; Fungal cells; Protozoal cells
    • A61K2039/523Bacterial cells; Fungal cells; Protozoal cells expressing foreign proteins
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61KPREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
    • A61K39/00Medicinal preparations containing antigens or antibodies
    • A61K2039/51Medicinal preparations containing antigens or antibodies comprising whole cells, viruses or DNA/RNA
    • A61K2039/53DNA (RNA) vaccination
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61KPREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
    • A61K39/00Medicinal preparations containing antigens or antibodies
    • A61K2039/555Medicinal preparations containing antigens or antibodies characterised by a specific combination antigen/adjuvant
    • A61K2039/55505Inorganic adjuvants
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61KPREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
    • A61K39/00Medicinal preparations containing antigens or antibodies
    • A61K2039/57Medicinal preparations containing antigens or antibodies characterised by the type of response, e.g. Th1, Th2
    • A61K2039/575Medicinal preparations containing antigens or antibodies characterised by the type of response, e.g. Th1, Th2 humoral response
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61KPREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
    • A61K39/00Medicinal preparations containing antigens or antibodies
    • A61K2039/60Medicinal preparations containing antigens or antibodies characteristics by the carrier linked to the antigen
    • A61K2039/6031Proteins
    • A61K2039/6068Other bacterial proteins, e.g. OMP
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12NMICROORGANISMS OR ENZYMES; COMPOSITIONS THEREOF; PROPAGATING, PRESERVING, OR MAINTAINING MICROORGANISMS; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING; CULTURE MEDIA
    • C12N2770/00MICROORGANISMS OR ENZYMES; COMPOSITIONS THEREOF; PROPAGATING, PRESERVING, OR MAINTAINING MICROORGANISMS; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING; CULTURE MEDIA ssRNA viruses positive-sense
    • C12N2770/00011Details
    • C12N2770/20011Coronaviridae
    • C12N2770/20034Use of virus or viral component as vaccine, e.g. live-attenuated or inactivated virus, VLP, viral protein

Abstract

本開示は、リポタンパク質であるように修飾されたコロナウイルス受容体結合ドメイン(RBD)を含有する天然外膜小胞(NOMV)ワクチンを提供する。リポタンパク質であるように修飾されたSARS-CoV-2 RBDをコードするプラスミド由来遺伝子を有する髄膜炎菌株を含む組成物も提供される。哺乳動物細胞内のRBDの発現を提供するプロモーター/エンハンサー及びポリA配列を有するSARS-CoV-2 RBDをコードするプラスミドを含有する髄膜炎菌株及びNOMVワクチンも提供される。

Description

関連出願の相互参照
本出願は、2020年7月30日に出願された米国仮特許出願第63/059,031号明細書の利益を主張するものであり、この仮特許出願の開示内容は、その全体が参照により本明細書に援用される。
連邦政府による資金提供を受けた研究に関する記載
本発明は、米国国立衛生研究所(National Institutes of Health)によって与えられた助成金番号R01AI046464及びR44AI124759の下で政府支援を受けて作製された。米国政府は、本発明に一定の権利を有する。
配列表の援用
Microsoft Windowsオペレーティングシステムで測定した際に111キロバイトであり、2021年7月30日に作成された「OMV0001-401-PC_ST25」という名称のファイルに含まれる配列表は、本明細書と共に電子的に提出され、参照により本明細書に援用される。
SARS-CoV-2は、ヒトにおけるCOVID-19疾患の原因であるコロナウイルスである。ウイルスは、線毛細胞上のグリカンに結合することによって気道上皮細胞に侵入する。結合を媒介するタンパク質は、S(スパイク)タンパク質である。S-タンパク質内のドメイン(受容体結合ドメイン又はRBD)は、ACE2受容体及びグリカンに結合する。単独での及びACE2受容体と複合したS-タンパク質の構造が決定されている。さらに、中和モノクローナル抗体と複合したRBDの構造が決定されている。
天然外膜小胞(NOMV)は、髄膜炎菌(Neisseria meningitidis)(Nm)細菌に天然に由来するブレブである。以前に、ワクチン株は、(a)通常、少量で存在するH因子結合タンパク質(FHbp)を過剰発現し、(b)FH結合を引き起こす相互作用をブロックする抗体応答を増加させるために、宿主H因子との低い結合で突然変異体FHbpを発現し、及び(c)弱毒化したエンドトキシンを有し、通常、反応原性を低下させるために使用される界面活性剤処理なしでのNOMVの使用を可能にするが、潜在的に防御的な抗原の除去又は変化ももたらすように遺伝子組み換えされている。LpxL1をノックアウトすることから得られるペンタアシル化リポオリゴ糖(LOS)を有するNOMV-FHbpは、ヒト末梢血単核細胞(PBMC)におけるサイトカイン応答を低減し、これは、何万人ものヒト対象に安全に投与されている界面活性剤抽出OMVワクチンによって引き起こされるものと同様であるか又はそれより低かった。NOMV-FHbpワクチンの安全性をさらに強化するために、ワクチンを調製するために使用される株は、B群莢膜多糖及びLOSの誘導体(これらは、類似の構造を有するヒトグリカンと交差反応することが知られている)を含む、他の望ましくない抗原の発現をなくすさらなる遺伝子欠失を組み込む。
NOMV中に存在する抗原の免疫原性は、同等の量の単独の組み換えタンパク質と比べて大幅に増加される。しかしながら、最も有効な抗体反応は、高い転写率を生じるように操作されたプロモーターを使用すること、細菌ゲノムに多重コピーを挿入すること及びマルチコピープラスミドによる形質転換によって達成された閾値レベルの発現を必要とする。
ヘキサアシル化リポオリゴ糖を含有する髄膜炎菌外膜小胞は、炎症反応を生じる。反応原性は、界面活性剤抽出によって低下され得るが、界面活性剤処理は、リポタンパク質抗原の損失及びタンパク質構造の変化をもたらし得る。本明細書に記載されるNOMVを生成するために使用されるNm株は、lpxL1遺伝子座が破壊されており、ヘキサアシル化LOSと比べてペンタアシル化LOSの産生をもたらし、これは、弱毒化されたエンドトキシン活性をもたらす。
NOMVプラットフォームは、抗体反応を促進する補助特性も有する。概して、NOMVベースのワクチンは、有効な防御抗体反応を得るために少ないタンパク質が必要とされ得るため、対応する組み換えタンパク質より広く反応性であり、抗体のより高い力価を引き起こし、忍容性がより良好であり得る。
したがって、一態様において、本開示は、リポタンパク質であるように修飾されたコロナウイルス受容体結合ドメイン(RBD)を含有するNOMVワクチンを提供する。一実施形態において、コロナウイルス受容体結合ドメイン(RBD)は、SARS-CoV-2 RBDである。
別の態様において、本開示は、リポタンパク質であるように修飾されたSARS-CoV-2 RBDをコードする遺伝子を含有する髄膜炎菌株を含む組成物を提供し、ここで、遺伝子は、プラスミド上にある。
別の態様において、本開示は、さらなる30アミノ酸セグメントを有するリポタンパク質であるように修飾されたSARS-CoV-2 RBDをコードするプラスミド由来遺伝子を有する髄膜炎菌株を含む組成物を提供する。一実施形態において、プラスミドは、pFP12-RBDプラスミド(例えば、配列番号8、図13)を含む。別の実施形態において、プラスミドは、pFP12 SV-40 RBD-2完全プラスミド(例えば、配列番号16、図20)を含む。別の実施形態において、プラスミドは、pFP12 SV40 RBD-2プラスミド(例えば、配列番号15、図7)を含む。別の実施形態において、プラスミドは、pFP12 SV-40 RBD-2 mobCプラスミド(例えば、配列番号17、図21)を含む。別の実施形態において、プラスミドは、pUC18-Lpxl1KO-FHbp25RBD-KANプラスミド(例えば、配列番号9、図14)を含む。別の実施形態において、プラスミドは、pGEM-SiaD-GalE-FHbp25RBD-SPCプラスミド(例えば、配列番号10、図15)を含む。別の実施形態において、プラスミドは、pBS-FHbpKO-FHbp25RBD-ERMプラスミド(例えば、配列番号11、図16)を含む。
他の実施形態において、本明細書に記載される1つ以上のプラスミドは、同じ細菌株中に導入される。他の実施形態において、髄膜炎菌株は、H44/76又はNZ98/254である。別の実施形態において、髄膜炎菌株H44/76又はNZ98/254は、ポリンPorAを発現しない。
別の態様において、本開示は、リポタンパク質であるように修飾されたSARS-CoV-2 RBDをコードする遺伝子を含有する髄膜炎菌株を提供し、ここで、遺伝子の発現は、髄膜炎菌(Neisseria meningitidis)における高い遺伝子転写率を生じる強力なプロモーター配列によって駆動される。一実施形態において、プロモーターは、例えば、限定はされないが、図6~8、10~21又は配列番号1~17に示される任意の配列を含む、本明細書に記載される配列を含む。別の実施形態において、プロモーターは、ポリンPorAプロモーター若しくはその誘導体又はフマル酸及び硝酸レダクターゼ遺伝子(fnr)のプロモーターを含む。別の実施形態において、プロモーターは、EH-NTプロモーターを含む。
別の態様において、本開示は、リポタンパク質であるように修飾されたSARS-CoV-2 RBDをコードする遺伝子を含有する髄膜炎菌株を提供し、ここで、遺伝子及びプロモーターは、細菌ゲノムの遺伝子座中に挿入される。一実施形態において、遺伝子及びプロモーターは、生成されるリポオリゴ糖がヘキサアシル化の代わりにペンタアシル化されるように、アシルトランスフェラーゼ遺伝子の発現を妨げるためにlpxL1遺伝子座中に挿入される。別の実施形態において、遺伝子及びプロモーターは、莢膜多糖の発現及びリポオリゴ糖宿主抗原のシアリル化を妨げるためにsiaD-galE遺伝子座(siaAとも呼ばれる)中に挿入される。別の実施形態において、遺伝子及びプロモーターは、fhbp遺伝子座(H因子結合タンパク質)中に挿入される。別の実施形態において、遺伝子及びプロモーターは、porA遺伝子座中に挿入される。一実施形態において、相同的組み換えによるこれらの遺伝子の不活性化は、pUC18-Lpxl1KO-FHbp25RBD-KANプラスミド(例えば、配列番号9、図14)、pGEM-SiaD-GalE-FHbp25RBD-SPCプラスミド(例えば、配列番号10、図15)又はpBS-FHbpKO-FHbp25RBD-ERMプラスミド(例えば、配列番号11、図16)を含むプラスミドにより達成される。他の実施形態において、本明細書に記載される1つ以上のプラスミドは、同じ細菌株中に導入される。別の実施形態において、細菌の外面へのRBDの輸送を促進し、RBDの適切なフォールディングを確実にし、且つ細菌プロテアーゼによるタンパク質分解を低減するために、SARS-CoV-2 RBDリポタンパク質は、Nm H因子結合タンパク質(FHbp)に由来する30アミノ酸配列をリポタンパク質シグナル配列に付加することによってさらに修飾される。ある実施形態において、30アミノセグメント又は配列は、FHbpのN末端に由来し、ここで、配列は、成熟した(すなわちプロセシングされた)タンパク質上の脂質修飾システイン(Cys)残基から開始して番号付けられる。ある実施形態において、30アミノ酸セグメント又は配列は、例えば、限定はされないが、ID9を含むFHbp変異体に由来する。伸長形態RBDリポタンパク質は、細菌表面とRBDとの間の距離も増加させ、それによりヒト免疫系の抗原提示細胞によってアクセスしやすくなる。リポタンパク質シグナル配列の伸長を用いる他の実施形態において、相同的組み換えによる遺伝子の不活性化は、pUC18-Lpxl1KO-FHbp55RBD-KANプラスミド(例えば、配列番号12、図17)、pGEM-SiaD-GalE-FHbp55RBD-SPCプラスミド(例えば、配列番号13、図18)又はpBS-FHbpKO-FHbp55RBD-ERMプラスミド(例えば、配列番号14、図19)を含むプラスミドにより達成される。
別の実施形態において、本開示は、リポタンパク質であるように修飾されたコロナウイルス受容体結合ドメイン(RBD)を含有するNOMVワクチンを提供する。
別の実施形態において、本開示は、リポタンパク質であるように修飾されたSARS-CoV-2 RBDを含有するNOMVワクチンを提供する。
別の実施形態において、本開示は、プラスミド(特に図13、配列番号8に示されるpFP12-RBD)上にあるリポタンパク質であるように修飾されたSARS-CoV-2 RBDをコードする遺伝子を含有する髄膜炎菌株を提供する。
別の態様において、Nm中で維持されるプラスミドは、NOMVの内部に組み込まれ得る。したがって、NOMVは、タンパク質抗原及び同時にNOMVワクチンを取り込む細胞によるタンパク質の発現のためのDNAを送達して、中和抗体を誘発することができる。
本開示は、哺乳動物細胞内のRBDの発現を提供するプロモーター/エンハンサー及びポリA配列を有するSARS-CoV-2 RBDをコードするプラスミドを含有する髄膜炎菌株を提供する。
別の態様において、本開示は、哺乳動物細胞内のRBDの発現を提供するプロモーター/エンハンサー及びポリA配列を有するSARS-CoV-2 RBDをコードするプラスミドを含有するNOMVワクチンを提供する。
他の実施形態において、哺乳動物細胞内のRBDの発現のためのNOMV中への組み込みに好適なプラスミドは、pFP12 SV40 RBD-2プラスミド(例えば、配列番号15、図7)、pFP12 SV-40 RBD-2完全プラスミド(例えば、配列番号16、図20)又はpFP12 SV-40 RBD-2 mobCプラスミド(例えば、配列番号17、図21)を含む。
別の実施形態において、本開示は、SARS-CoV-2 RBDをコードする遺伝子を含有する髄膜炎菌株を提供し、ここで、髄膜炎菌株は、H44/76又はである。
別の実施形態において、本開示は、プラスミド上にあるリポタンパク質であるように修飾されたSARS-CoV-2 RBDをコードする遺伝子を含有する髄膜炎菌株を提供し、ここで、髄膜炎菌株は、ポリンPorAを発現しないH44/76である。
別の実施形態において、本開示は、リポタンパク質であるように修飾されたSARS-CoV-2 RBDをコードする遺伝子を含有する髄膜炎菌株を提供し、ここで、遺伝子の発現は、髄膜炎菌(Neisseria meningitidis)における高い遺伝子転写率を生じる強力なプロモーター配列によって駆動される。ある実施形態において、本明細書に記載される強力なプロモーターのための特定の配列は、本明細書において、例えば図6~8、10~21又は配列番号1~17に示される。ある実施形態において、強力なプロモーターの代替例は、限定はされないが、PorA(例えば、米国特許第9,387,239号明細書を参照)を含み得る。ある実施形態において、PorA誘導体は、限定はされないが、米国特許第9,260,489号明細書及びカナダ特許第2,861,946号明細書に記載されるものを含み得る。他の実施形態において、本明細書に記載される有用なプロモーターは、フマル酸及び硝酸レダクターゼ遺伝子(fnr)のプロモーターを含み得る(Oriente et al.,J Bacteriol 192:691-701,2010)。ある実施形態において、本明細書に記載される有用なプロモーターは、例えば、図12~19に示されるようなEH-NTプロモーターを含み得る。
ある実施形態において、本明細書に記載される有用なプロモーターは、例えば、図7及び20~21に示されるような、ヒトEF1プロモーター(hEF1)又はハイブリッドプロモーター、例えばヒト延長因子-1α(hEF-1α)コアプロモーター及びヒトT細胞白血病ウイルス(HTLV)の5’非翻訳領域を含むhEF1-HTLVプロモーターを含み得る。当技術分野において公知であるか又は入手可能である他の強力なプロモーターは、それらがSARS-CoV-2 RBDをコードする遺伝子の高い転写率を生じる限り、本明細書に記載されるように使用され得る。
ある実施形態において、本開示は、リポタンパク質であるように修飾されたSARS-CoV-2 RBDをコードする遺伝子を含有する髄膜炎菌株を提供し、ここで、遺伝子及びプロモーターは、生成されるリポオリゴ糖がヘキサアシル化の代わりにペンタアシル化されるように、アシルトランスフェラーゼ遺伝子の発現を妨げるためにlpxL1遺伝子座中に挿入される。
ある実施形態において、本開示は、リポタンパク質であるように修飾されたSARS-CoV-2 RBDをコードする遺伝子を含有する髄膜炎菌株を提供し、ここで、遺伝子及びプロモーターは、莢膜多糖の発現及びリポオリゴ糖宿主抗原のシアリル化を妨げるためにsiaD-galE遺伝子座(siaAとも呼ばれる)中に挿入される。
ある実施形態において、本開示は、リポタンパク質であるように修飾されたSARS-CoV-2 RBDをコードする遺伝子を含有する髄膜炎菌株を提供し、ここで、遺伝子及びプロモーターは、fhbp遺伝子座(H因子結合タンパク質)中に挿入される。
ある実施形態において、本開示は、リポタンパク質であるように修飾されたSARS-CoV-2 RBDをコードする遺伝子を含有する髄膜炎菌株を提供し、ここで、遺伝子及びプロモーターは、porA遺伝子座中に挿入される。
別の態様において、本開示は、哺乳動物細胞内のRBDの発現を提供するプロモーター/エンハンサー及びポリA配列を有するSARS-CoV-2 RBDをコードするプラスミドを含有するリポタンパク質であるように修飾されたコロナウイルス受容体結合ドメイン(RBD)を含む髄膜炎菌(meningo)NOMVワクチン組成物を提供する。
別の態様において、本開示は、哺乳動物細胞内のRBDの発現を提供するプロモーター/エンハンサー及びポリA配列を有するSARS-CoV-2 RBDをコードするプラスミドを含有するNOMVワクチンを提供する。
別の態様において、本開示は、対象にワクチン接種する方法であって、リポタンパク質であるように修飾されたコロナウイルス受容体結合ドメイン(RBD)を含むNOMVワクチン組成物を投与することを含む方法を提供する。
本開示のこれらの及び他の実施形態は、以下に詳細に説明される。
配列の簡単な説明
配列番号1 - C鎖C、スパイク糖タンパク質受容体結合ドメインの配列(図10に示される)。
配列番号2 - スパイク糖タンパク質、SARS-CoV-2の鎖Aのためのシグナル配列の配列(図11に示される)。
配列番号3 - 成熟スパイク糖タンパク質、SARS-CoV-2の鎖Aの配列(図11に示される)。
配列番号4 - プロモーター+RBDのDNA配列(図12に示される)。
配列番号5 - NOMVにおいて生成されるFHbp25-RBDのタンパク質配列。
配列番号6 - NOMVにおいて生成されるFHbp55-RBDのタンパク質配列。
配列番号7 - 哺乳動物細胞内で発現されるRBD。
配列番号8 - pFP12 RBDプラスミドのDNA配列(図13)。
配列番号9 - pUC18-Lpxl1KO-FHbp25RBD-KANプラスミドの配列(図14)。
配列番号10 - pGEM-SiaD-GalE-FHbp25RBD-SPCプラスミドの配列(図15)。
配列番号11 - pBS-FHbpKO-FHbp25RBD-ERMプラスミドの配列(図16)。
配列番号12 - pUC18-Lpxl1KO-FHbp55RBD-KANプラスミドの配列(図17)。
配列番号13 - pGEM-SiaD-GalE-FHbp55RBD-SPCプラスミドの配列(図18)。
配列番号14 - pBS-FHbpKO-FHbp55RBD-ERMプラスミドの配列(図19)。
配列番号15 - pFP12 SV40 RBD-2プラスミドの配列(図7)。
配列番号16 - pFP12 SV-40 RBD-2完全プラスミドの配列(図20)。
配列番号17 - pFP12 SV-40 RBD-2 mobCプラスミドの配列(図21)。
配列番号18 - FHbp変異体ID9の配列(図22)。
fhbp、siaD-galE又はlpxL1遺伝子、RBD遺伝子の隣接領域及び抗生物質耐性カセットを保有する髄膜炎菌(Neisseria meningitidis)株H44/76に挿入された構築物の上流及び下流を増幅するように設計されたPCRプライマーを示す。 生きた髄膜炎菌(N.meningitidis)細菌の表面に結合する抗RBDポリクローナル抗体(1:1000)の1つのコピー(左側のグラフ)、2つのコピー(中央のグラフ)及び3つのコピー(右側のグラフ)のフローサイトメトリー結果を示す。 RBDがNOMV調製物中の最も豊富なタンパク質の1つであり、ペプチドが、タンパク質のN末端及びC末端の両方にペプチドを含むタンパク質の65%を占めることを実証するペプチドマップを示す。 NOMVワクチン中のRBDの存在を実証するウエスタンブロットを示す。 水酸化アルミニウムアジュバント単独により免疫化されたマウス(白色の記号)と比べた、RBD及び完全なスパイクタンパク質の両方と反応性のNOMV-RBD産生抗RBD特異的抗体により免疫化されたマウス(黒色の記号)を示す。 SV40エンハンサー、遍在性のヒトEF1α-HTLV複合プロモーター及びSV40ポリアデニル化(pAn)シグナルを含有する哺乳動物SARS-CoV-2スパイクRBD発現カセットを示す。 髄膜炎菌(N.meningitidis)を形質転換するために使用された哺乳動物SARS-CoV-2スパイクRBD発現カセット(図6に示される)を含有するpFP12 SV40 RBD-2プラスミド(配列番号15)を示す。 siaD-galE、lpxL1遺伝子及びSV40-RBD遺伝子の隣接領域並びに抗生物質耐性カセットを保有する髄膜炎菌(N.meningitidis)株H44/76に挿入された構築物の上流及び下流領域のPCR増幅を示す。 異なるクロラムフェニコール耐性細菌クローンからの熱殺菌された細胞(上側のパネル)及び精製されたNOMVクローン(下側のパネル)のPCR増幅を示す。中央のパネルは、形質転換されたクロラムフェニコール耐性細菌クローンからのプラスミドの単離を示す。 C鎖C、スパイク糖タンパク質受容体結合ドメインの配列(配列番号1)を示す。 C鎖C、スパイク糖タンパク質受容体結合ドメインの配列(配列番号1)を示す。矢印によって示される、枠で囲まれて強調された塩基は、グリカン結合に関与し得る。枠で囲まれて強調されていない塩基は、ACE2受容体に接触する。 プロモーター+RBDのDNA配列(配列番号4)を示す。褐色でハイライトされたヌクレオチドの陰影は、5つの重複するプロモーター配列の位置を示す。シアン、マゼンタ及び黄色でハイライトされたヌクレオチドは、制限部位を示す。緑色でハイライトされたヌクレオチドは、翻訳開始を示す。 pFP12-RBDプラスミドマップ(配列番号8)を示す。 pUC18-Lpxl1KO-FHbp25RBD-KANプラスミド(配列番号9)を示す。 pGEM-SiaD-GalE-FHbp25RBD-SPCプラスミド(配列番号10)を示す。 pBS-FHbpKO-FHbp25RBD-ERMプラスミド(配列番号11)を示す。 pUC18-Lpxl1KO-FHbp55RBD-KANプラスミド(配列番号12)を示す。 pGEM-SiaD-GalE-FHbp55RBD-SPCプラスミド(配列番号13)を示す。 pBS-FHbpKO-FHbp55RBD-ERMプラスミド(配列番号14)を示す。 pFP12 SV-40 RBD-2完全プラスミド(配列番号16)を示す。 pFP12 SV-40 RBD-2 mobCプラスミド(配列番号17)を示す。 FHbp変異体ID9の配列(配列番号18)を示す。「FHbp55-RBD」配列には下線が引かれている。「FHbp25-RBD」配列は、最初の25のアミノ酸に相当する。
概説
一実施形態において、本開示は、リポタンパク質であるように修飾されたコロナウイルス受容体結合ドメイン(RBD)を含む天然外膜小胞(NOMV)ワクチンを提供する。一実施形態において、コロナウイルス受容体結合ドメイン(RBD)は、SARS-CoV-2 RBDである。他の実施形態は、リポタンパク質であるように修飾されたSARS-CoV-2 RBDをコードする遺伝子を含有する髄膜炎菌株を提供し、ここで、遺伝子は、pFP12-RBDプラスミド又はpFP12 SV-40 RBD-2完全プラスミド又はpFP12プラスミドなどのプラスミド上にある。ある実施形態は、髄膜炎菌株H44/76又は株NZ98/254を提供する。ある実施形態において、髄膜炎菌株H44/76又はNZ98/254は、ポリンPorAを発現しない。他の実施形態は、リポタンパク質であるように修飾されたSARS-CoV-2 RBDをコードする遺伝子を含有する髄膜炎菌株を提供し、ここで、遺伝子の発現は、本明細書に記載される配列を有するプロモーターなどの、髄膜炎菌(Neisseria meningitidis)における高い遺伝子転写率を生じる強力なプロモーター配列によって駆動される。ある実施形態において、本開示に有用なプロモーターは、ポリンPorAプロモーター又はその誘導体であり得る。他の実施形態は、リポタンパク質であるように修飾されたSARS-CoV-2 RBDをコードする遺伝子を含有する髄膜炎菌株を提供し、ここで、遺伝子及びプロモーターは、細菌ゲノムの遺伝子座、例えば生成されるリポオリゴ糖がヘキサアシル化の代わりにペンタアシル化されるように、アシルトランスフェラーゼ遺伝子の発現を妨げるためにlpxL1遺伝子座又は莢膜多糖の発現及びリポオリゴ糖宿主抗原のシアリル化を妨げるためにsiaD-galE遺伝子座(siaAとも呼ばれる)、又はfhbp遺伝子座(H因子結合タンパク質)、又はporA遺伝子座中に挿入される。
本開示は、(a)マルチコピープラスミドにおける新規なプロモーターを有する遺伝子を過剰発現すること及びFHbpをノックアウトするための染色体におけるさらなる遺伝子の挿入、莢膜多糖及びLOSのシアリル化、(b)Nm NOMV中のリポタンパク質として表面上にそれを提示すること、(c)細菌表面への輸送を促進し、RBDの適切なフォールディング、タンパク質分解安定性及び抗原提示細胞との相互作用を強化するために細菌の表面からRBDを伸長するために、さらなるアミノ酸セグメントを有するNm NOMV中のリポタンパク質として表面上にそれを提示すること、(d)莢膜多糖と共に、免疫系へのRBDのアクセス性を低下させ得る免疫優勢抗原である、ポリンPorAを欠く株においてNOMVを産生すること、(e)哺乳動物細胞内のRBDの発現を提供するプロモーター/エンハンサー及びポリA配列を含有するNm株中にプラスミドを挿入すること、(f)哺乳動物細胞内のRBDの発現を提供するプロモーター/エンハンサー及びポリA配列を有するプラスミドを含有するNOMVワクチンによる、RBDに対する抗体の強化された防御効果を記載する。
髄膜炎菌ポリンタンパク質PorAは、Nm中で最も高度に発現されるタンパク質の1つであり、抗PorA抗体の高い力価を生じさせる。しかしながら、遺伝子の発現を駆動するPorAプロモーターは、複製中のポリGトラクトにおける塩基の挿入又は欠失が発現の増加又は低下をもたらし得るように位相可変である。ここで、本発明者らは、Nm中のPorA遺伝子の上流の領域が6つの潜在的なプロモーターを含有し、そのうちの1つのみがポリGトラクトを含有することを発見した。この分析に基づいて、ポリGトラクトを含有する配列を除去し、それにより高いレベルの転写を駆動する能力を保持しながら位相変化の可能性をなくすことにより、PorAプロモーターを操作した。操作されたプロモーター構築物を用いて、染色体及びマルチコピープラスミドに挿入された遺伝子のそれぞれにおいてRBD遺伝子の発現を駆動した。プロモーター-RBD遺伝子構築物を、莢膜多糖の生成及びLOSのシアリル化をなくすためにsiaD及びgalE、fhbp及びlpxL1を包含する領域並びに染色体外プラスミドに挿入した。PorA発現を欠くNm株H44/76の変異体は、RBDのアクセス性を高め、SARS-CoV-2に対する防御にとって無価値である免疫優勢抗原との潜在的な免疫学的競合をなくすように選択された。ある実施形態において、Nm株H44/76は、本開示と共に使用するのに有用な株である。別の実施形態において、Nm株NZ98/254は、本開示と共に使用するのに有用な株である。
NOMVの表面に提示されるタンパク質は、1つ以上の膜貫通セグメントを有する内在性膜タンパク質であるか、又はタンパク質のアミノ末端への脂肪酸の結合によってリポタンパク質であるように修飾されて、結合された脂肪酸が膜へのアンカーとして作用するリポタンパク質を生成する。リポタンパク質は、プレプロリポタンパク質として最初に翻訳され、これは、分泌タンパク質のシグナルペプチドの典型的な特有の特徴を有する約20アミノ酸のアミノ末端シグナルペプチドを有する。コンセンサスアミノ酸配列[LVI][ASTVI][GAS]Cを有する、リポボックスと呼ばれるシグナルペプチドの保存配列は、不可欠なシステイン残基の側鎖におけるチオール基へのジアシルグリセロール部分の共有結合によって修飾される。この修飾は、酵素リポタンパク質ジアシルグリセリルトランスフェラーゼ(Lgt)によって触媒され、タンパク質へのチオエステル結合によって連結されたジアシルグリセロール部分からなるプロリポタンパク質をもたらす。脂質化後、リポタンパク質シグナルペプチダーゼ(Lsp又はSPase II)は、脂質化プロリポタンパク質のシグナル配列を切断することに関与し、リポボックスのシステインを新たなアミノ末端残基として残す。髄膜炎菌(Neisseria meningitidis)などのグラム陰性菌において、切断されたプロリポタンパク質は、リポタンパク質N-アシルトランスフェラーゼ(Lnt)によるN末端システイン残基へのアミド連結されたアシル基の結合によるさらなる修飾を生じる。ジアシルグリセリル基及びアミノ末端アシル基は、膜リン脂質に由来し、膜へのリポタンパク質のしっかりとした係留を提供する。NOMVにおける表面露出したリポタンパク質としてRBDを生成するために、本発明者らは、Nmリポタンパク質シグナル配列をコードする配列を5’末端に有するRBDコード遺伝子を構築した。
リポタンパク質シグナル配列に加えて、さらなるアミノ酸配列が例えばH因子結合タンパク質から付加され、適切なフォールディング及び細菌表面へのRBDの輸送を可能にし得る。適切なフォールディング及び輸送により、RBDは、細菌プロテアーゼによるタンパク質分解に対してより抵抗性でもあり得る。アミノ酸のさらなるセグメントは、それが抗原提示細胞によりアクセスしやすい細菌表面からRBDを伸長させる役割も果たし、それによりRBDに対する改善された抗体反応を促進することができる。
S-タンパク質内に位置するRBD及びコロナウイルスにおけるRBDの機能的役割は保存される。本発明者らは、SARS-CoV-2 RBDがNOMVにおけるリポタンパク質として提示され得、NOMV-RBDワクチンがSARS-CoV-2に対する防御抗体を誘発し得ることを証明した。公知のヒト病原体SARS-CoV(72%同一のRBDアミノ酸配列)及びMERS-CoV(17%同一のRBDアミノ酸配列)を含む他のコロナウイルスのRBDドメインは、ヒトにおける中和抗体を誘発するワクチンとして使用するためのリポタンパク質としてNOMVにおいて同様に提示され得ることが予測される。
本発明者らは、Nm中で維持されるプラスミドがNOMV中に組み込まれ得ることを証明した。結果として、哺乳動物プロモーター/エンハンサー及びポリA配列を含有するプラスミドを用いて、NOMVを取り込む哺乳動物細胞内でタンパク質を発現することができる。したがって、NOMVワクチンは、タンパク質抗原及びヒトにおいて中和抗体を誘発するために哺乳動物細胞によって発現されるタンパク質抗原の両方を提供し得る。
定義
値の範囲が提供される場合、その範囲の上限と下限との間において、文脈上特に明記されない限り、下限の単位の10分の1までの各介在値並びにその記載された範囲内の任意の他の記載された又は介在値が本開示の範囲内に包含されることが理解される。これらのより小さい範囲の上限及び下限は、独立して、より小さい範囲に含まれ得、また記載された範囲内の任意の具体的に除外された限界を条件として本開示の範囲内に包含される。記載された範囲が限界の一方又は両方を含む場合、それらの含まれる限界のいずれか又は両方を除外した範囲も本開示に含まれる。
特に定義されない限り、本明細書において使用される全ての専門用語及び科学用語は、本開示が属する技術分野の当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。本明細書に記載されるものと同様又は同等の任意の方法及び材料も、本開示の実施又は試験に使用され得るが、好ましい方法及び材料がここで記載される。本明細書において言及される全ての刊行物は、関連して刊行物が引用される方法及び/又は材料を開示及び説明するために参照により本明細書に援用される。本明細書に記載される刊行物は、本出願の出願日前のそれらの開示のためにのみ提供される。本明細書中のいずれも、本開示が先行する開示によってこのような刊行物に先行する権利がないことを認めるものとして解釈されるべきではない。さらに、提供された公開日は、独立して確認される必要があり得る実際の公開日と異なる場合がある。
本明細書及び添付の特許請求の範囲において使用される際、単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」及び「その」は、文脈上特に明記されない限り、複数の指示対象を含む。したがって、例えば、「活性薬剤」は、単一の活性薬剤だけでなく、2つ以上の異なる活性薬剤の組合せも指し、「剤形」は、単一の剤形だけでなく、剤形の組合せを指すなどである。
特に定義されない限り、本明細書において使用される全ての専門用語及び科学用語は、本開示が関連する技術分野の当業者によって一般的に理解される意味を有する。本開示の説明にとって特に重要な特定の用語が以下に定義される。
本明細書において使用される際、「有害事象」は、薬物に関連すると見なされるか否かにかかわらず、ヒトにおける本明細書に記載される薬物又はワクチンの使用に関連する何らかの好ましくない医療上の出来事を指す。AE又は疑わしい有害反応は、以下の転帰のいずれかをもたらす場合、「深刻な有害事象」と見なされ得る:死亡又は死亡の差し迫ったリスク、入院患者の入院又は既存の入院期間の延長、通常の生活機能を遂行する能力の持続的若しくは重大な機能不全又は実質的な障害、先天性異常/先天性欠損。有害事象は、死亡をもたらさないか、生命を脅かさないか又は入院を必要としない場合もあるが、患者又は対象を危険に曝すことがあり、上記の転帰の1つを防ぐために医療的又は外科的介入を必要とし得る重大な医療事象であり得る。ある実施形態において、有害事象は、本明細書に記載される薬物又はワクチンの投与の結果としてのインフュージョンリアクションを指す。
本明細書において使用される際、「アナフィラキシー」は、数分間から数時間にわたって起こり得る重篤な急性のアレルギー反応を指す。アナフィラキシーは、皮膚、粘膜組織又は両方に関与し得、限定はされないが、全身性じんましん、掻痒(かゆみ)、顔面潮紅、口唇、舌、咽喉又は口蓋垂の腫脹、息切れ、嘔吐、立ちくらみ、喘鳴、血行動態不安定及び発疹又はじんましんを含む1つ以上の症状を有し得る。さらに、アナフィラキシーは、以下の少なくとも1つを伴い得る:呼吸機能障害(例えば、呼吸困難、喘鳴-気管支けいれん、喘鳴、最大呼気流量の低下、低酸素症)及び血圧の低下(すなわち<90mm Hgの収縮期血圧若しくはその人のベースラインから30%超の低下)又は末端臓器不全の関連する症状(例えば、低血圧[虚脱]、失神、失禁)。本開示に係るアナフィラキシーは、アナフィラキシーを診断するためのアメリカ国立アレルギー・感染症研究所/食物アレルギー・アナフィラキシーネットワーク(National Institute of Allergy and Infectious Disease/Food Allergy and Anaphylaxis Network)(NIAID/FAAN)臨床基準によって定義される。
本明細書において使用される際、「共投与」は、1つ以上の薬物の互いに同時の投与を指す。他の実施形態において、両方の薬物は、同時に投与される。本明細書の他の箇所に記載されるように、共投与は、いずれかの薬物又は両方の薬物の投与の任意の特定の期間も指し得る。例えば、本明細書に記載されるように、薬物は、別の薬物の投与の数時間、数日、数週間又は数か月前に投与され得、依然として共投与されたものと見なされる。ある実施形態において、共投与は、両方の薬物が患者の身体内に同時に存在するような、いずれかの薬物の投与の任意の時点を指し得る。ある実施形態において、いずれかの薬物は、患者が意図される臨床的又は薬理学的効果を受けるのに十分な時間にわたってそれらが両方とも患者内に存在する限り、他の薬物の前又は後に投与され得る。
本明細書において使用される際、「有効量」及び「治療有効量」という用語は、非毒性であり、対象又は患者(例えば、ヒト対象又は患者)への投与時にいくらかの所望の治療効果を生じるのに有効である、薬剤、化合物、薬物、組成物又は組合せの量を指す。
本明細書において使用される際、「哺乳動物細胞」という用語は、SARS-CoV-2 RBDが本明細書に記載されるように発現される任意の哺乳動物又はその細胞、例えばヒトを指す。
「薬学的に許容される」とは、生物学的に又は他の形で有害でない材料を意味し、すなわち、材料は、何らかの望ましくない生物学的作用を生じさせるか、又はそれが含まれる組成物の他の成分のいずれかと有害な形で相互作用することなく、患者に投与される医薬組成物中に組み込まれ得る。「薬学的に許容される」という用語が医薬担体又は賦形剤を指すために使用される場合、担体又は賦形剤が毒性及び製造試験の必要な基準を満たしていること、又はそれが、米国食品医薬品局によって作製されたInactive Ingredient Guideに含まれることが示唆される。「薬理活性」(又は「活性」)誘導体又は類似体のような「薬理活性」(又は単に「活性」)は、親化合物と同じタイプの薬理学的活性及びほぼ同等の程度を有する誘導体又は類似体を指す。「薬学的に許容される塩」という用語は、例えば、塩酸又はリン酸などの無機酸又は酢酸、シュウ酸、酒石酸、マンデル酸などのような有機酸と共に形成される酸付加塩を含む。遊離カルボキシル基と共に形成される塩は、例えば、ナトリウム、カリウム、アンモニウム、カルシウム又は鉄水酸化物などの無機塩基及びイソプロピルアミン、トリメチルアミン、ヒスチジン、プロカインなどのような有機塩基からも誘導され得る。
本明細書において使用される際、「低減する」は、COVID-19疾患又はSARS-CoV-2感染の症状を低減することなどの、低下又は減少させることを指す。ある実施形態において、NOMVワクチンなどの本明細書に記載されるワクチンの投与は、このようなワクチンを投与されていない患者と比較して、患者において「低減された」又は減少された症状をもたらし得る。「低減する」は、単独で又は別の薬物と共投与される、本明細書に記載される処置の結果としての疾患の症状の低減も指し得る。
本明細書において使用される際、「対象」又は「個体」又は「患者」は、治療が所望される任意の患者を指し、一般に、治療のレシピエントを指す。
本明細書において使用される際の「処置する」及び「処置」という用語は、症状の重症度及び/若しくは頻度の低下、症状及び/若しくは根底にある原因の解消及び損傷の改善又は修復を指す。特定の態様において、本明細書において使用される際の「処置する」及び「処置」という用語は、症状の発生の防止を指す。他の態様において、本明細書において使用される際の「処置する」及び「処置」という用語は、COVID-19疾患などの疾患に関連する症状の根底にある原因の防止を指す。「患者に投与する」という語句は、当技術分野において認識されている導入手段により、組成物、ワクチン又は剤形を患者中に導入するプロセスを指す。
本開示の実施形態の実施例が以下の実施例において提供される。以下の実施例は、あくまでも例示として且つ本開示を用いる際に当業者を補助するために示される。実施例は、本開示の範囲を限定することを決して意図されない。
実施例1.髄膜炎菌リポタンパク質シグナル配列を有するRBDをコードする遺伝子の挿入による、fhbp、siaD-galE及びlpxL1遺伝子の置き換え
プロモーター(EH-NT)、FHbp ID9からのナイセリア属(Neisserial)H因子結合タンパク質(FHbp)リポタンパク質リーダー配列及びRBD配列(EH-NT-ID9 SS-RBD配列と呼ばれる)を含有するDNAセグメントを、lpxL1(pUC18-lpxL1KO-RBD-KANプラスミド)、galE-siaD(pGEM-SiaD-GalE-FHbp25RBD-SPCプラスミド、配列番号10、図15)及びFHbp遺伝子NMB1870(pBS-FHbpKO-FHbp25RBD-ERMプラスミド、配列番号11、図16)をノックアウトするためにベクターへとクローニングした。細菌を3μgのプラスミドと混合し、トリプシン大豆ブロス(TSB)寒天プレート上で平板培養し、37℃で6時間インキュベートした。細菌の連続希釈物を、カナマイシン(50μg/mL)、スペクチノマイシン(50μg/mL)及びエリスロマイシン(10μg/mL)のそれぞれを含有するTSB寒天プレート上で再度培養した。培養プレートを37℃で一晩インキュベートし、得られたコロニーを、特定の抗体を用いたフローサイトメトリーアッセイ及び熱殺菌された細胞を用いたPCRにより、RBD発現及びFHbp、莢膜多糖及びLpxL1の欠如についてスクリーニングした。陽性の個々のコロニーを10%の脱脂粉乳(wt/vol)及び15%のグリセロール中で凍結させ、-80℃で貯蔵した。
実施例2.それぞれNmリポタンパク質シグナル配列(PCR、FACS)を有する、RBDをコードする3つの染色体コピー及びRBDをコードするマルチコピープラスミドを含有する髄膜炎菌(Neisseria meningitidis)(Nm)株H44/76の突然変異体の特性評価
PCR:PCRプライマーは、fhbp、siaD-galE又はlpxL1遺伝子、RBD遺伝子の隣接領域及び抗生物質耐性カセットを保有する髄膜炎菌(Neisseria meningitidis)株H44/76に挿入された構築物の上流及び下流を増幅するために設計された(図1を参照)。PCRを、熱殺菌された細胞において行った。野生型H44/76からの熱殺菌された細胞を陰性対照として使用した。
フローサイトメトリー:生きた髄膜炎菌(N.meningitidis)細菌の表面への抗SARS-COV-2スパイクRBDウサギポリクローナル抗体(myBiosurce Cat# MBS2563840)の結合を、既に記載されるようにフローサイトメトリーによって測定した(Giuntini et al.,Clin Vaccine Immunol 23:698-706,2016)。簡潔に述べると、細菌を0.6~0.7のOD620nmまで既知組成培地(chemically defined medium)中で増殖させた。抗RBD抗体結合を測定するために、一定の濃度の抗RBD抗体又は陰性対照として10μg/mLの非関連抗体を10個の細菌/mLと共にインキュベートした。結合抗体を、AlexaFluor 488コンジュゲートヤギ抗ウサギIgG[F(ab’)2(H+L)]二次抗体(Jackson Immuno Research Laboratories)を用いて検出した。図2に示されるように、細菌中に導入された各さらなるコピーは、フローサイトメトリーによって検出される増加した蛍光をもたらした。
実施例3.RBD(ウエスタンブロット、LC/MS/MS)を含有するNOMVワクチンの調製及び特性評価
NOMV調製:
NOMVは、TSB寒天プレート上で細菌の一晩コロニーから0.15~0.2のOD620nmまで細菌を接種した培地から得られた。培養物を5%のCO中において37℃でインキュベートし、培地の体積は、培養物が静止期に達する(0.6~0.7のOD620nm、通常、1.5時間置き)前に増加された。最終体積に達したとき、培養物を、通気口付きエンクロージャを備えた振とうフラスコ中でさらに15時間増殖させた。次に、細菌を遠心分離し(10,000×g、20分間)、上清をガラス繊維フィルタに通してろ過して、残屑を除去し、次に滅菌ろ過し(0.22μmフィルタ)、限外ろ過(100kカットオフフィルタ、Amicon)によって濃縮し、ベンゾナーゼ(benzonase)(1000U/L)を加えた。ベンゾナーゼ(Benzonase)処理を周囲温度で少なくとも1時間続けた。濃縮されたろ液を遠心分離して(202,601×g、1.5時間、4℃)、NOMVを収集した。NOMVを10mMのトリス・HCl、pH7.4、3%(w/v)スクロース中で懸濁させ、前の工程に記載されるように再度遠心分離し、最後にDCタンパク質アッセイ(Bio-Rad)によって決定した際に1~3mg/mLのタンパク質の濃度までトリス/スクロース溶液中で懸濁させた。NOMV調製物を使用されるまで-70℃で貯蔵した。
液体クロマトグラフィー質量分析法(LC-MS/MS)ペプチドマッピング:
FHbp ID9リポタンパク質シグナル配列を有するRBDがNOMV-RBD中に存在することを確認するために、NOMVを溶液(ProteoExtract(登録商標)Protein Precipitation Kit、EMDMillipore)から沈殿させ、6Mの尿素/5mMのジチオスレイトール中で再構成し、システイン残基をヨードアセトアミドで修飾し、Lys-C/トリプシンの混合物(Promega)により消化した。得られたペプチドをMacroSpinカラム(Nest Group、Inc.)上で精製し、ウィスコンシン大学バイオテクノロジーセンター質量分析施設(University of Wisconsin Biotechnology Center Mass Spectrometry Facility)(Madison,WS)でペプチドマッピングに供した。得られたペプチドマップは、RBDがNOMV調製物中の最も豊富なタンパク質の1つであり、ペプチドが、タンパク質のN末端及びC末端の両方にペプチドを含むタンパク質の65%を占めることを示した(図3)。
ウエスタンブロット:
RBD(NOMV-RBD)を含有するNOMVワクチン中のRBDの存在を示すために、精製された組み換えRBD(Sino Biological)、RBDなしのNOMV及びNOMV-RBDの調製物を4%~12%のSDS-PAGEゲル(NuPAGE、Thermo Fisher Scientific)上で分解し、ウエスタンブロット法のために半乾燥転送細胞(Trans-Blot(登録商標)SD、Bio-Rad、Hercules、CA)を用いてPVDF膜(Immobilon(登録商標)-FL、Millipore)に移した。PVDF膜を、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)緩衝液中5%の全脂粉乳を用いて一晩ブロックし、次に膜を、抗SARS-COV-2スパイクRBDウサギポリクローナル抗体(myBiosource Cat# MBS2563840)を用いて周囲温度で2時間にわたってブロッキングバッファー中で染色した。PBS緩衝液で3回洗浄した後、結合抗体を、IRDye(登録商標)685CWコンジュゲートロバ抗ヤギIgG(H+L)二次抗体(LI-COR,Lincoln,NE)を用いて検出した。ゲル及びブロットの画像をOdyssey(登録商標)Fc Imaging System(LI-COR)で記録した。図4に示されるように、組み換えRBDは、三量体、二量体及びモノマーの混合物として実行される(レーン2)。NOMV中の脂質化RBDの存在がレーン4中の上側の矢印によって示され、非脂質化形態が下側の矢印で示される。レーン3は、RBDを含有しないNOMVを含有する。
免疫化:
100μg/投与のAlhydrogel(登録商標)(InvivoGen)により配合された10μg/投与のRBD-NOMVの、3週間の間隔を空けた2回の投与により、マウスを免疫化した。陽性及び陰性対照のそれぞれとして、100μg/投与のAlhydrogel(登録商標)又は100μg/投与のAlhydrogel(登録商標)のみにより配合された組み換えRBD(Sino Biological Cat.#40592-V08H)10μg/投与により、マウスを免疫化した。
血液サンプルを2回目の投与の5日後に収集し、ELISAによって抗RBD抗体について試験した。プレートを2μg/mLの組み換えRBD(Sino Biological Cat.#40592-V08H)又は組み換えスパイクS1+S2(Sino Biological Cat# 40589-V08B1)で被覆した。
実施例4.NOMV-RBDワクチンは、ELISAによって組み換えRBDに対する抗体を誘発する
7匹の非近交系CD1マウスの群を10μgの用量のNOMV-RBDにより免疫化した。血液サンプルを3週間後に得た。NOMV-RBDワクチンにより免疫化されたマウスにおいて生じたポリクローナル抗体の結合活性を、以下のように行われるELISAによって決定した。96ウェルプレート(Nunc)を2μg/mLの組み換えSARS-CoV-2受容体結合ドメイン(RBD)又は完全なスパイクタンパク質(Sino Biological)で4℃において一晩被覆した。プレートをリン酸緩衝生理食塩水(PBS)中の1%のBSA(重量/体積)+0.05%のTween 20でブロックした。免疫化されたマウスからの血清をPBS+0.1%のTween 20中で希釈し、一晩プレートに加えた。結合抗体を1時間にわたってアルカリホスファターゼコンジュゲートヤギ抗マウスIgG F(ab’)2(H+L)(Jackson Immuno Research Laboratories)(1:3,000希釈)により検出し、p-ニトロフェニルリン酸(Thermo Fisher Scientific)を用いて発色させた。OD405nmにおける吸光度をEmax精密プレートリーダー(Molecular Devices)で測定した。図5(右側のパネル)に示されるように、7匹全てのマウスは、RBD及び完全なスパイクタンパク質の両方と反応性の抗RBD特異的抗体を生じた(黒色の記号)。水酸化アルミニウムアジュバント単独により免疫化されたマウス(白色の記号)のいずれも、RBDに対する抗体を有していなかった(右側のパネル)。
実施例5.哺乳動物細胞内のRBDの発現のためにNOMVの内部に保有されるプラスミドの構築
この実施例において、シグナル配列、プロモーター/エンハンサー配列及びポリAテイルを有するRBDを含有するプラスミドがNOMVの内部に取り込まれることが実証される。RBD及びプラスミドの3つのコピーを有する株から生成されたNOMV-RBDは、抗体反応を刺激するためのタンパク質抗原及びRBD遺伝子を、遺伝子が発現され得る細胞の内部に送達して、防御抗体反応をさらに刺激する可能性を有する。
マルチコピープラスミドを、SV40エンハンサー、偏在性のヒトEF1α-HTLV複合プロモーター及びSV40ポリアデニル化(pAn)シグナルから構成される哺乳動物発現カセットを含むように操作した(図6)。Nm株を形質転換するために使用される得られたプラスミドのマップが図7に示される。
実施例6.髄膜炎菌(N.meningitidis)の形質転換
siaD-galE及びlpxL1遺伝子が不活性化されたH44/76株(H44/76ΔFHbp ΔCapsule ΔlpxL1)を、スペクチノマイシン選択を用いたプラスミドpGEM-SiaD/GalEKO-SPC(50μg/mL)及びカナマイシン選択を用いたpUC18-lpxL1KO-KAN(50μg/mL)及びクロラムフェニコールを用いたpFP12-SV40-RBD-CAT(5μg/mL)を用いた形質転換による相同的組み換えによって作製した。野生型株から開始する形質転換をこの順序で行った。
莢膜遺伝子をノックアウトした(pGEM-SiaD-GalE-FHbp25RBD-SPCプラスミド、配列番号10、図15)。
lpxL1遺伝子をノックアウトした(pUC18-Lpxl1KO-FHbp55RBD-KANプラスミド、配列番号12、図17)。
RBDのための哺乳動物発現カセット(pFP12 SV40 RBD-2プラスミド、配列番号15、図7)。
H44/76株の10~15のコロニーを、一晩増殖させたTSB(トリプシン大豆ブロス、非動物由来)寒天プレートから選択した。細菌のコロニーを3μgのプラスミドと混合し、TSB寒天プレート上で平板培養し、37℃で6時間インキュベートした。細菌の連続希釈物を、選択のために抗生物質を含有するTSB寒天プレート上で再度培養した。培養プレートを37℃で一晩インキュベートし、コロニーを、特定の抗体を用いたフローサイトメトリーアッセイ及び熱殺菌された細胞を用いたPCRにより、莢膜及びlpxL1の欠如についてスクリーニングした。陽性の個々のコロニーを10%の脱脂粉乳(wt/vol)及び15%のグリセロール中で凍結させ、-80℃で貯蔵した。熱殺菌された細胞を用いたPCRを、SV40-RBDカセットの存在を検出するために行った。クロラムフェニコール耐性コロニーをFrantz及びクロラムフェニコール中で一晩増殖させ、プラスミドDNAを翌日に単離し、SDS-PAGEゲルとして電気泳動させて、マルチコピープラスミドの存在を確認した。
実施例7.熱殺菌された細胞におけるPCR
PCRプライマーを、siaD-galE又はlpxL1遺伝子、SV40-RBD遺伝子の隣接領域及び抗生物質耐性カセットを保有する髄膜炎菌(N.meningitidis)株H44/76に挿入された構築物の上流及び下流を増幅するために設計した(図8を参照)。PCRを、熱殺菌された細胞において行った。野生型H44/76からの熱殺菌された細胞を陰性対照として使用した。
図9に示されるように、形質転換された細菌中のpFP12プラスミドの存在は、熱殺菌された細胞(上側のパネル)及び精製されたNOMV(下側のパネル)におけるPCRによって確認され得る。プラスミドは、形質転換された細菌から単離され、DNAゲルにおいて検出され得る(中央のパネル)。矢印は、伸長したバンドのサイズを示す。
実施例8.哺乳動物細胞内のプラスミドでコードされた核酸の発現
ある実施形態において、本開示は、哺乳動物細胞内のRBDの発現を提供するプロモーター/エンハンサー及びポリA配列を有するSARS-CoV-2 RBDをコードするプラスミドを含有する髄膜炎菌株又はNOMVワクチンを提供する。本明細書に記載されるように、NOMVは、小胞の外部に存在するSARS-CoV-2 RBDを有し、これは、ヒト又は他の哺乳動物細胞などの細胞におけるACE2受容体に結合するであろう。結合の際、それらの細胞は、全体としてNOMV粒子を取り込み、これは、NOMV表面上に提示されたSARS-CoV-2 RBDに加えて、SARS-CoV-2 RBDをコードする核酸も含有する。それらの細胞は、対象における他のタイプの抗原提示細胞(APC)と共に、NOMVに結合し、核酸を細胞に送達して、タンパク質の発現をもたらす、mRNA又はアデノウイルス型ワクチンと同様に、SARS-CoV-2 RBDを発現するであろう。したがって、発現されたタンパク質は、それらの細胞によって発現及び分泌され、対象における抗体反応を誘発する。したがって、ある実施形態において、抗原(例えば、SARS-CoV-2 RBD)がNOMVの表面におけるタンパク質として提供される一方、NOMVを取り込んだ細胞からの発現及び分泌をもたらす核酸としても提供される。
実施例9.NOMVワクチン組成物の投与
本開示は、対象にワクチン接種する方法であって、リポタンパク質であるように修飾されたコロナウイルス受容体結合ドメイン(RBD)を含むNOMVワクチン組成物を投与することを含む方法を提供する。ワクチン組成物の投与は、(a)表面に提示されたSARS-CoV-2 RBDを有するNOMV、又は(b)本明細書に記載されるSARS-CoV-2 RBDをコードするプラスミドを発現することに加えて、表面に提示されたSARS-CoV-2 RBDを有するNOMVを投与することを含み得る。
本明細書に記載されるNOMVワクチン製剤は、約6μg~約60μgのNOMV単独を含むか、又は10mMのトリス、pH7.5、0.9%のNaCl及び3%(重量/体積)のスクロースを含有する緩衝液中の水酸化アルミニウム(Alhydrogel(登録商標)、Brentag)としての約0.25mg~約0.6mgのAl3+などのアジュバントに吸着される。NOMV及びアジュバントの量は、臨床医又は医師によって適切であると見なされる際、投与前に変化され得る。代わりに、NOMVは、ヒトにおいて使用するのに好適な他のワクチンアジュバント、例えば他のアルミニウム塩(例えば、水酸化アルミニウム、アルミニウムヒドロキシホスフェート)、QS-21、アルミニウム塩と、QS21、CpG 1018(登録商標)(Dynavax)との混合物又は水中油型アジュバント[例えば、MF59(登録商標)(GSK)、AS03(登録商標)(GSK)]と共に製剤化され得る。対象に、少なくとも2か月の間隔において、0.5mLの体積中のNOMVワクチン3回までの筋肉内注射を与える。防御抗体反応は、実施例4に記載されるようにELISA、代理ウイルス中和アッセイ(例えば、SARS-CoV-2 Surrogate Virus Neutralization Test(sVNT)Kit(ProteoGenix);cPass(商標)SARS-CoV-2 Neutralization Antibody Detection Kit(Genescript))及び自然感染に曝された対象におけるPCR検査によるウイルス量の減少によって測定される。

Claims (27)

  1. リポタンパク質であるように修飾されたコロナウイルス受容体結合ドメイン(RBD)を含むNOMVワクチン組成物。
  2. 前記コロナウイルスRBDは、SARS-CoV-2に由来する、請求項1に記載のNOMVワクチン組成物。
  3. リポタンパク質であるように修飾された前記SARS-CoV-2 RBDをコードするプラスミド由来遺伝子を有する髄膜炎菌株を含む、請求項2に記載の組成物。
  4. リポタンパク質であるように修飾された前記SARS-CoV-2 RBDをコードする前記プラスミド由来遺伝子は、さらなる30アミノ酸セグメントを含む、請求項3に記載の組成物。
  5. 前記30アミノ酸セグメントは、髄膜炎菌(Neisseria meningitidis)H因子結合タンパク質(FHbp)のアミノ末端に由来する、請求項4に記載の組成物。
  6. 前記30アミノ酸セグメントは、前記髄膜炎菌株の外面への前記RBDの輸送を促進するためにリポタンパク質シグナル配列に結合される、請求項5に記載の組成物。
  7. 前記プラスミドは、pFP12-RBDプラスミドを含む、請求項3に記載の組成物。
  8. プラスミドは、pFP12 SV-40 RBD-2完全プラスミドを含む、請求項2に記載の組成物。
  9. プラスミドは、pFP12 SV40 RBD-2プラスミドを含む、請求項2に記載の組成物。
  10. プラスミドは、pFP12 SV-40 RBD-2 mobCプラスミドを含む、請求項2に記載の組成物。
  11. 前記プラスミドは、pUC18-Lpxl1KO-FHbp25RBD-KANプラスミドを含む、請求項3に記載の組成物。
  12. 前記プラスミドは、pGEM-SiaD-GalE-FHbp25RBD-SPCプラスミドを含む、請求項3に記載の組成物。
  13. 前記プラスミドは、pBS-FHbpKO-FHbp25RBD-ERMプラスミドを含む、請求項3に記載の組成物。
  14. 前記髄膜炎菌株は、H44/76又はNZ98/254である、請求項3~13のいずれか一項に記載の組成物。
  15. 前記髄膜炎菌株は、ポリンA(PorA)を発現しない、請求項14に記載の組成物。
  16. リポタンパク質であるように修飾されたSARS-CoV-2 RBDをコードする遺伝子を有する髄膜炎菌株を含む組成物であって、前記遺伝子の発現は、髄膜炎菌(Neisseria meningitidis)における高い遺伝子転写率を生じるプロモーター配列によって駆動される、組成物。
  17. 前記プロモーターは、図6~8、10~21又は配列番号1~17に記載される配列を含む、請求項16に記載の組成物。
  18. 前記プロモーターは、ポリンA(PorA)のプロモーター若しくはその誘導体又はフマル酸及び硝酸レダクターゼ遺伝子(fnr)のプロモーターを含む、請求項16に記載の組成物。
  19. 前記プロモーターは、EH-NTプロモーターを含む、請求項16に記載の組成物。
  20. 前記遺伝子及びプロモーターは、細菌ゲノムの遺伝子座中に挿入される、請求項16に記載の組成物。
  21. 前記遺伝子及びプロモーターは、lpxL1遺伝子座中に挿入され、アシルトランスフェラーゼ遺伝子の発現は、生成されるリポオリゴ糖がペンタアシル化され、且つヘキサアシル化されないように妨げられる、請求項20に記載の組成物。
  22. 前記遺伝子及びプロモーターは、siaD-galE遺伝子座(siaAとも呼ばれる)中に挿入され、莢膜多糖の発現及びリポオリゴ糖宿主抗原のシアリル化は、妨げられる、請求項20に記載の組成物。
  23. 前記遺伝子及びプロモーターは、fhbp遺伝子座(H因子結合タンパク質)中に挿入される、請求項20に記載の組成物。
  24. 前記遺伝子及びプロモーターは、porA遺伝子座中に挿入される、請求項20に記載の組成物。
  25. 哺乳動物細胞内のRBDの発現を提供するプロモーター/エンハンサー及びポリA配列を有するSARS-CoV-2 RBDをコードするプラスミドを含有する髄膜炎菌株。
  26. 哺乳動物細胞内のRBDの発現を提供するプロモーター/エンハンサー及びポリA配列を有するSARS-CoV-2 RBDをコードするプラスミドを含有するNOMVワクチン。
  27. 対象にワクチン接種する方法であって、請求項1に記載の組成物を投与することを含む方法。
JP2023505894A 2020-07-30 2021-07-30 天然外膜小胞中のsars-cov-2受容体結合ドメイン Ceased JP2023536834A (ja)

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
US202063059031P 2020-07-30 2020-07-30
US63/059,031 2020-07-30
PCT/US2021/044012 WO2022026896A2 (en) 2020-07-30 2021-07-30 Sars-cov-2 receptor binding domain in native outer membrane vesicles

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2023536834A true JP2023536834A (ja) 2023-08-30

Family

ID=80036151

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2023505894A Ceased JP2023536834A (ja) 2020-07-30 2021-07-30 天然外膜小胞中のsars-cov-2受容体結合ドメイン

Country Status (6)

Country Link
US (1) US20230226174A1 (ja)
EP (1) EP4188436A2 (ja)
JP (1) JP2023536834A (ja)
CN (1) CN116113427A (ja)
CA (1) CA3170693A1 (ja)
WO (1) WO2022026896A2 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2023536834A (ja) * 2020-07-30 2023-08-30 オームヴァックス,インコーポレイテッド. 天然外膜小胞中のsars-cov-2受容体結合ドメイン

Family Cites Families (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2014529407A (ja) * 2011-08-31 2014-11-13 チルドレンズホスピタル アンド リサーチ センター オークランド ナイセリアにおいて抗原の発現を促進するための操作された配列および使用方法
EP3400960A1 (en) * 2012-09-18 2018-11-14 GlaxoSmithKline Biologicals S.A. Outer membrane vesicles
CN111217917B (zh) * 2020-02-26 2020-10-23 康希诺生物股份公司 一种新型冠状病毒SARS-CoV-2疫苗及其制备方法
JP2023536834A (ja) * 2020-07-30 2023-08-30 オームヴァックス,インコーポレイテッド. 天然外膜小胞中のsars-cov-2受容体結合ドメイン

Also Published As

Publication number Publication date
WO2022026896A2 (en) 2022-02-03
WO2022026896A3 (en) 2022-07-07
EP4188436A2 (en) 2023-06-07
CA3170693A1 (en) 2022-02-03
CN116113427A (zh) 2023-05-12
US20230226174A1 (en) 2023-07-20

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP7023248B2 (ja) 過剰ブレブ形成Shigella株
JP6130622B2 (ja) クロストリジウムディフィシル疾患に対する受動免疫感作
JP2012501959A (ja) Yersiniapestis抗原を含む組成物
JP2013502918A (ja) 髄膜炎菌fHBP配列を含むハイブリッドポリペプチド
EA034702B1 (ru) Липосомные композиции
US9260509B2 (en) Flagellin fusion proteins and use thereof to induce immune responses against Pseudomonas aeruginosa
JP2017522319A (ja) 髄膜炎菌ワクチン
US20230226174A1 (en) Sars-cov-2 receptor binding domain in native outer membrane vesicles
Klouwens et al. Vaccination with meningococcal outer membrane vesicles carrying Borrelia OspA protects against experimental Lyme borreliosis
US10864262B2 (en) Mutant bacteria for production of generalized modules for membrane antigens
US20230256072A1 (en) Compositions and methods for vaccination against neisseria gonorrhoeae
Agterberg et al. Outer membrane protein PhoE as a carrier for the exposure of foreign antigenic determinants at the bacterial cell surface
JP6401148B2 (ja) 抗原および抗原の組み合わせ
US20230137174A1 (en) Novel salmonella-based coronavirus vaccine
JP2019526261A (ja) 改変h因子結合タンパク質
WO2009040529A1 (en) Bacterial vaccine
WO2009003889A2 (en) Immunogenic analogues of rankl
US11406695B2 (en) Recombinant expression of Chlamydia MOMP antigen

Legal Events

Date Code Title Description
A045 Written measure of dismissal of application [lapsed due to lack of payment]

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A043

Effective date: 20240402