JP2023534044A - 神経変性疾患の治療のためのロチゴチン及びアセチルコリンエステラーゼ阻害剤を含む組合せ薬物製剤 - Google Patents

神経変性疾患の治療のためのロチゴチン及びアセチルコリンエステラーゼ阻害剤を含む組合せ薬物製剤 Download PDF

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Abstract

本開示は、ロチゴチン及びアセチルコリンエステラーゼ阻害剤を含む組合せ薬物製剤の投与による神経変性疾患の治療において感情鈍麻及び実行機能の喪失の薬理学的治療に関する。

Description

本出願は、全体の開示があらゆる目的で参照により本明細書に組み込まれている、2020年7月14日に出願した米国仮特許出願第63/051,556号の利益を主張するものである。
本開示は、神経変性障害の治療に関する。より具体的には、本開示は、このような障害において感情鈍麻及び実行機能の喪失の薬理学的治療に関する。さらに、本開示は、ロチゴチン及びアセチルコリンエステラーゼ阻害剤を含む組合せ薬物製剤の投与による神経変性疾患の薬理学的治療に関する。
過去数十年間で、エビデンスは、ドーパミン作動性伝達の障害がアルツハイマー病の認知機能不全に寄与し得るという概念を裏付けた。ドーパミンは、シナプス伝達のいくつかの異なる段階に影響を与える重要な神経調節物質であり、記憶、学習及び意思決定などの高次認知機能の制御において重要な役割を果たす。死後研究は、アルツハイマー病の脳の側頭葉及び前頭葉においてドーパミン受容体の著しい喪失を明らかにし、D2様受容体レベルの低下とアルツハイマー病の病態生理の関係を示した。
これらの神経病理所見は、陽電子放射断層撮影によるインビボ調査によって確認された。異なる段階のアルツハイマー病患者においてL-ドパ又はセリギリンなどのドーパミン作動薬の使用は、いくつかの議論の余地がある結果をもたらした。さらに最近では、アルツハイマー病の動物モデルにおいて実験的研究は、ドーパミン作動性アゴニストがアミロイド沈着を低減し、記憶を改善することができ、腹側被蓋野においてドーパミン作動性ニューロンの変性が記憶欠損に寄与することを示した。最近の研究は、アルツハイマー病の初期段階で、患者のドーパミン作動性アゴニストが、おそらく前頭皮質にわたるドーパミン作動性投射に作用することによりコリン作動性伝達及び皮質可塑性を改善することを示唆した。これらの研究に基づき、軽度から中等度のアルツハイマー病患者においてドーパミン作動性刺激に基づく治療法は、アルツハイマー病患者の認知障害に対する関連する臨床的影響を有し得る。
軽度から中等度のアルツハイマー病患者において、アセチルコリンエステラーゼ阻害剤による標準治療に対する補助療法として、ロチゴチンなどのドーパミン作動性アゴニストを用いて、神経変性障害によってもたらされる感情鈍麻及び実行機能の喪失を治療する方法を提供することが有利である。
(要旨)
以下は、特許請求される主題のいくつかの態様の基本的理解を提供するために、特許請求された主題の簡略化された概要を提示する。この概要は、特許請求される主題の広範囲の概説ではない。特許請求される主題の重要な又は重大な要素を特定することも、特許請求される主題の範囲を定めることも意図されない。その唯一の目的は、後に提示されるより詳細な説明の前置きとして簡略化された形態で特許請求される主題のいくつかの概念を提示することである。
一態様において、本開示は、神経変性疾患に伴う認知症を治療する方法において使用のための医薬組成物であって、医薬組成物が、第1の治療有効量のロチゴチンなどのドーパミン作動性アゴニスト及び第2の補完量のアセチルコリンエステラーゼ阻害剤を有する経皮組合せ薬物製剤を含む、医薬組成物に関する。
実施形態において、神経変性疾患に伴う認知症を治療する方法において使用のための医薬組成物は、アルツハイマー病、前頭側頭型認知症若しくはレビー小体病、血管性認知症又はこのような所見の組合せを含む神経変性疾患を治療するために用いられる。
実施形態において、神経変性疾患に伴う認知症を治療する方法において使用のための医薬組成物は、ドネペジル、ガランタミン、フペルジン又はリバスチグミンであるアセチルコリンエステラーゼ阻害剤を含む。
実施形態において、神経変性疾患に伴う認知症を治療する方法において使用のための医薬組成物は、経口、経鼻、非経口、局所又は経皮投与され得る。
実施形態において、神経変性疾患に伴う認知症を治療する方法において使用のための第2の補完量の医薬組成物は、コリンエステラーゼ阻害剤薬である。
他の実施形態において、神経変性疾患に伴う認知症を治療する方法において使用のための第2の補完量の医薬組成物は、メマンチンである。
別の態様において、本開示は、神経変性疾患に伴う認知症を治療する方法において使用のための医薬組成物であって、医薬組成物が、少なくともロチゴチンを2mg~8mg/24時間の用量で及びアセチルコリンエステラーゼ阻害剤を5mg~23mg/24時間の用量で送達する、経皮組合せ薬物製剤で患者に投与され得る、医薬組成物に関する。
実施形態において、神経変性疾患に伴う認知症を治療する方法において使用のための医薬組成物は、アルツハイマー病、前頭側頭型認知症若しくはレビー小体病、血管性認知症又はこのような所見の組合せを含む神経変性疾患を治療するために用いられる。
実施形態において、神経変性疾患に伴う認知症を治療する方法において使用のための医薬組成物は、ドネペジル、ガランタミン、フペルジン又はリバスチグミンであるアセチルコリンエステラーゼ阻害剤を含む。
実施形態において、神経変性疾患に伴う認知症を治療する方法において使用のための医薬組成物は、経口、経鼻、非経口、局所又は経皮投与され得る。
現在開示される概念及び例示的な実施形態のより完全な理解は、添付の図面の図と共に考慮される、以下の説明を参照することによって得られ得る。
本開示の例示的な実施形態による組合せ薬物製剤の科学的研究の参加者のランダム化、試験群の割り当て及び経過観察を示すフローチャートである。 本開示の例示的な実施形態による組合せ薬物製剤の科学的研究において24週間にわたるADAS-Cog(パネルA)、FAB(パネルB)、ADCS-ADL(パネルC)及びNPI(パネルD)スコアのベースラインからの推定平均変化を示す図である。 本開示の例示的な実施形態による組合せ薬物製剤の科学的研究の終了前後のロチゴチン及びプラセボ群において左背外側前頭前皮質から誘起されたグローバル平均場電力(GMFP)(上部パネルA~B)及び振戦活動(中間及び下部パネルC~F)の変化を示す図である。 リバスチグミンと組み合わせたロチゴチンによる24週間の治療後のアルツハイマー病患者群において振戦を示す図である。 プラセボと組み合わせたリバスチグミンによる24週間の治療後のアルツハイマー病患者群において振戦活動を示す図である。 ロチゴチン及びリバスチグミンの組合せで治療したアルツハイマー病患者とプラセボで治療したアルツハイマー病患者の振戦活動データの差異を示すグラフである。
軽度から中等度のアルツハイマー病患者において、アセチルコリンエステラーゼ阻害剤による標準治療に対する補助療法として、ロチゴチンなどのドーパミン作動性アゴニストを用いて、神経変性障害によってもたらされる感情鈍麻及び実行機能の喪失を治療する方法が、本明細書に記載される。
アルツハイマー病によってもたらされる神経変性障害の標準治療は、アセチルコリンエステラーゼ阻害剤を含む薬物の使用を含む場合が多い。これらの薬物は、アルツハイマー病(AD)に伴うβアミロイドプラーク及び神経原線維変化を標的としないが、アセチルコリンエステラーゼ酵素を阻害し、したがってアセチルコリンが神経シナプス間隙で分解される割合を減少させることによって機能する。遊離アセチルコリンのこの正味の増加は、記憶及び認知機能の増加を伴う。
本開示に従って組合せ薬物製剤に好適なアセチルコリンエステラーゼ及びコリンエステラーゼ阻害剤としては、フィゾスチグミン、タクリン及びタクリン類似体、ファシクリン、メトリホネート、ヘプチルフィゾスチグミン、ノルピリドスチグミン、ノルネオスチグミン、フペルジン、リバスチグミン、ガランタミン、ドネペジル並びにこれらのいずれかのプロドラッグを挙げることができるが、これらに限定されず、阻害剤は、当技術分野で公知のプロドラッグ構築の原理に従って修飾される。このような修飾の例は、各々可溶性又は細胞膜浸透を高めるための親水性又は親油性基の導入を含む。一部の実施形態において、コリンエステラーゼ阻害剤は、アセチルコリンエステラーゼ阻害剤、特に血液脳関門を横断することができるものである。
本開示による組合せ薬物製剤に好適であり得るさらなるアセチルコリンエステラーゼ阻害剤は、例えば米国特許出願第2018015109A1号明細書に記載され、その開示はその全体において参照により本明細書に組み込まれている。
代替的な実施形態において、アルツハイマー病及び他の同様の神経変性疾患を治療するための他の好適な薬物は、本開示による組合せ薬物製剤を形成するためにロチゴチンと組み合わせて用いられ得る。
例えば、実施形態において、ロチゴチンは、アルツハイマー病薬メマンチン(l-アミノ-3,5-ジメチルアダマンタン)と組み合わされ得、メマンチンは、例えば米国特許第4,122,193号明細書、第4,273,774号明細書及び第5,061,703号明細書に開示されており、受容体に対する低から中程度の親和性及び強い電圧依存性及び速い遮断/非遮断動態を有する全身的に活性な非競合的NMDA受容体アンタゴニストである。メマンチン塩酸塩は、米国においてアルツハイマー型の中等度から重度の認知症の治療に承認されており、Namenda(登録商標)(5及び10mg BIDの即時放出錠剤)及びNamenda XR(登録商標)(28mg 1日1回の徐放性カプセル)として入手可能である。
本開示による組合せ薬物製剤は、当技術分野で公知の薬剤の許容される投与様式のいずれかによって投与され得る。薬物は、例えば経口、経鼻、非経口(静脈内、筋肉内又は皮下)、局所又は経皮投与され得る。剤形は、例えば正確な投与量の簡単な投与に好適な単位剤形で、例えば固体、半固体、凍結乾燥粉末又は液体剤形、例えば錠剤、丸剤、軟弾性又は硬ゼラチンカプセル、粉末、溶液、懸濁液、坐剤、エアロゾルなどであり得る。特定の投与経路は、経口、特に簡便な1日投与量レジメンが所望の通りに調整され得るものである。
特定の実施形態において、本開示による組合せ薬物製剤は、ロチゴチンと1種以上のアセチルコリンエステラーゼ阻害剤を組み合わせる。
ロチゴチンは、以下に示す構造を有する化合物(-)-5,6,7,8-テトラヒドロ-6-[プロピル-[2-(2-チエニル)エチル]アミノ]-1-ナフタレノールの国際一般名称(EN)である。
Figure 2023534044000001
ロチゴチンは、ドーパミンと構造的に類似しており、同様の受容体プロファイルを有するが、受容体親和性がより高い、非エルゴリンD1/D2/D3ドーパミンアゴニストである。
他の非エルゴリンドーパミンアゴニストと対照的に、ロチゴチンは、顕著なD1活性を有し、より優れた生理作用に寄与し得る。
エルゴリン化合物と対照的に、ロチゴチンは、5-HT2B受容体に対する親和性が極めて低く、したがって線維症を誘発するリスクが低い。
非ドーパミン作動性受容体(例えば、5-HT1Aアゴニズム及びA2Bアンタゴニズム)に対する作用は、抗運動障害活性、神経保護活性及び抗鬱作用などの他の有益な作用に寄与し得る。
現在、ロチゴチンを含有する最も一般に用いられる医薬製品は、経皮治療システム(TTS)である。Neupro(登録商標)(UCB Pharma GmbHによって販売されている。)は、1日1回のTTSとして製剤化され、1~8mg/24時間のロチゴチンの皮膚への一定の送達を提供する。本開示による組合せ薬物製剤において使用に好適な医薬製品は、例えば米国特許第6,669,498号明細書、第6,884,434号明細書、第7,413,747号明細書、第8,246,979号明細書、第8,246,980号明細書及び第8,617,591号明細書に記載され、その全体が参照により本明細書に組み込まれている。
科学的研究は、軽度から中等度のアルツハイマー病患者において、アセチルコリンエステラーゼ阻害剤による標準治療に対する補助療法として、ロチゴチンなどのドーパミン作動性アゴニストを用いて、神経変性障害によってもたらされる感情鈍麻及び実行機能の喪失を治療する方法を評価するために行われた。科学的研究の詳細は、本開示による実施形態に関連して以下に記載される。
方法
患者が、米国立神経疾患・コミュニケーション障害・脳卒中研究所、及びアルツハイマー病・関連障害協会の基準に従って推定アルツハイマー病と確定診断され;50歳超、85歳未満であり;軽度から中等度のアルツハイマー病を示す、スクリーニング時の臨床的認知症尺度スコアが0.5~1であり、ミニメンタルステート検査(MMSE)スコアが18~26であり;1人の介護者がおり;アセチルコリンエステラーゼ阻害剤で少なくとも6カ月間治療されており;診断目的で脳脊髄液バイオマーカーの分析のために腰椎穿刺を実施していた場合、患者を適格とする研究が設計された。患者は、磁気共鳴画像法又はコンピュータ断層撮影を含む医学的及び神経学的評価を受けた。患者が錐体外路徴候、脳卒中の病歴、他の神経変性障害、精神障害を有する場合、並びに患者が登録の6カ月前に抗精神病薬、抗パーキンソン病薬、抗コリン薬及び抗てんかん薬で治療されていた場合、除外された。試験は、サンタルチア財団の審査委員会及び倫理委員会に承認され、ヘルシンキ宣言及び医薬品規制調和国際会議の医薬品の臨床試験の実施基準のガイドラインの原理に従って行われた。すべての患者又はその両親又は法定代理人は、書面によるインフォームドコンセントを提供した。患者は、不利益なしにいつでも撤退できた。この報告は、ランダム化研究のCONSORT報告ガイドラインに従った。試験は、ClinicalTrials.govにNCT03250741の番号で登録された。
ランダム化及びマスキング
研究は、アセチルコリンエステラーゼ阻害剤による治療のアドオンとして、軽度から中等度のアルツハイマー病患者においてロチゴチン対プラセボのモノセントリック、ランダム化、二重盲検試験であった。試験は、2mg/1日のロチゴチン経皮パッチの1週間の用量漸増及び4mg/1日のロチゴチン経皮パッチの23週間の用量維持による24週間の治療期間を含んでいた。試験で使用したロチゴチンの用量は、独立データ安全性モニタリング委員会により推奨され、このメンバーは、安全評価からのデータを見直し、許容されない副作用を伴わない安全な最大用量を特定した。4mgの投与量は、関連する副作用を経験しないことを確実にしながら、アルツハイマー病患者のコリン作動性活動及び皮質可塑性を変調するのに効果的であるために選択された。
試験手順
採用及びベースライン評価後、患者は1:1の比でランダムに割り当てられ、アセチルコリンエステラーゼ阻害剤療法による安定した薬物レジメンに加えてロチゴチン又はマッチングプラセボを受けた。すべての治療は、24週間中断せずに施された。ロチゴチンは、4mgの経皮パッチによって投与された(UCB pharmaによって販売される、Neupro(登録商標)として市販されている。)。1週間2mgのパッチから開始すると、ロチゴチン経皮パッチは、10又は20cmの放出表面積を有し、4.5又は9mgのロチゴチンを含有しており、無傷の皮膚に貼付された場合24時間で各々2又は4mgを放出した。ボール紙包装材に含有されたプラセボ経皮パッチは、ロチゴチンを欠くことを除いてロチゴチンと同一であった。有効性の評価は、登録対象及び介護者に対してベースラインで評定され、割り当て群に関して盲検である評価者/評定者によって24週目(又は早期終了時)に反復された。
アウトカム尺度
主要エンドポイントは、アルツハイマー病の認知機能障害を評価する認知機能下位尺度(ADAS-Cog)に対する24週間でのベースラインからの変化であった。ADAS-Cogは、様々な認知領域(記憶、言語、見当識、行為機能及び実行機能)において障害の重篤度を測定する。スケールは、0~70ポイントのスコア範囲を有し、スコアが高いほど成績が不良であることを示す。スケールは、連続尺度として分析される。治療の意図による分析のセットには、ベースライン後有効性データを有するすべての患者が含まれた。副次的に重要なエンドポイント尺度は、日常生活活動(ADCS-ADL)、前頭葉機能検査(FAB)及び神経心理検査(NPI)に対する24週間でのベースラインからの変化であった。脳波検査法と組み合わせた経頭蓋磁気刺激(TMS-EEG)は、前頭葉皮質活動に対する治療の効果をモニタリングするために用いられた。このTMS-EEGアプローチは、皮質興奮性と振戦動態の両方に関して、皮質活動の客観的測定によるニューラル処理の評価のための選択的方法として、特定の皮質領域の神経生理学的状態の評価を可能にすることから、TMS-EEGアプローチが選択された。したがって、バイオマーカーとして、EEG記録と組み合わせたシングルパルスTMSによって誘起された皮質興奮性及び振戦活動を評価することで、左背外側前頭前皮質(DLPFC)及び左後頭頂皮質(PPC)にわたってドーパミンアゴニストによって誘発された神経生理学的変化が測定された。
患者ごとに、安静時運動閾値の90%の強度で、目を開けたままでのEEG記録中、80回の単一TMSパルスが各刺激部位(左DLPFC及び左PPC)にわたって印加された。TMS対応EEG装置(BrainProducts GmbH、Munich、Germanyから市販されているBrainAmp 32MRpluls)は、国際10-20法に従って配置された29箇所の頭皮部位からのEEG活動を記録するために用いられた。TMS対応Ag/AgClペレット電極は弾性キャップに取り付けられ、さらなる電極はアース及び基準電位として用いられた。眼球運動は、眼電図(EOG)を記録することによって検出された。EEG及びEOG信号は、0.1~1000Hzでバンドパスフィルタされ、5kHzのサンプリングレートでデジタル化された。皮膚/電極インピーダンスは、5kΩ未満で維持された。
TMS-EEGデータは、皮質興奮性変化を評価するための時/空間領域と皮質振戦変化を評価するための時間/周波数領域の両方において様々なアプローチでオフライン分析された(Brain Vision Analyzer、Brain Products GmbH、Munich、Germany)。
2セットのアウトカム尺度が、皮質興奮性(グローバル平均場電力、GMFP)及び皮質振戦活動を評価して得られた。来診ごと(又は早期終了時)に、有害事象(AE)が記録され、バイタルサインが測定され、理学的及び神経学的検査が実施された。独立データモニタリング委員会は、データモニタリング委員会の憲章に従って患者の安全性をモニタリングした。
統計分析
合計94人のランダムに割り当てられた患者(1群あたり47人)は、アルツハイマー病患者の小サンプルにおいて皮質可塑性及び認知機能に対するロチゴチンの効果を評価した先行研究に基づき計画された。(Koch G、Di Lorenzo F、Bonni S、ら、Dopaminergic modulation of cortical plasticity in Alzheimer’s disease patients、Neuropsychopharmacology2014;39:2654~2661を参照のこと)。このパイロット研究では、ADAS-Cogデータは回収されなかったが、有意差が、MMSEとFABの両方において患者のロチゴチンによる治療の前後(12週間)に観察された。タイプIエラーα=0.05及び測定前後の変数間の有力な相関0.7による両側対T検定に基づくパワー計算を採用すると、パイロット研究で観察されたFABエフェクトサイズは0.42と等しく(プールされた標準偏差を超える前後のFAB平均として得られた、詳細については補足資料の研究プロトコルを参照のこと)、パワー0.8に到達するにはn=46の最小サンプルを必要とする。MMSE(このエフェクトサイズは0.48であった)については、このサンプルサイズは、パワー0.9への到達を可能にする。次いで、最小合計サンプルサイズは、マッチングプラセボ群を考慮してN=92まで増大させた。ランダム化は、独立機関に勤める統計学者によって実施され、割り当てられた。年齢、性別及びAPOE保有者に関して均一でバランスの取れた研究群を得るために、適応的ランダム化が採用された。エンドポイント変数の正規性の仮定は、分布プロットの調査によって評価され、コルモゴロフスミルノフ及びシャピロウィルク検定によっても評価された。グループ全体のエンドポイントの長期的評価は、ランダム切片及びランダムスロープによる反復測定のための一般化線形混合モデル(GLMM)によって実施されて、ベースラインでの個体差及び経過観察中の個体の変化を考慮した。GLMMは、ADAS-Cog-11に適用され、他の有効性アウトカム尺度、従属変数としてADCS-ADL、FAB及びNPI並びに独立因子として「群」、「時間」及び「群×時間」交互作用にも適用された。詳細には、恒等リンク関数によるガウスデータのためのGLMMは、ADAS-Cog-11、ADCS-ADL及びFABに適用され、対数リンク関数によるポアソンデータのためのGLMMは、NPIに用いられた。MMSE、ADAS-Cog-11及びFABに対するGLMMは、年齢及び教育で調整された。TMS-EEGデータの治療効果を評価するために、対象間因子「群」及び対象内因子「時間」による反復測定ANOVAが用いられた。すべての統計分析は、Windows、バージョン25のIBM SPSS Statistics(IBM Corp.、Armonk、N.Y.、USA)を用いて実施された。統計的検定は、両側であり、P<.05が、統計的に有意とみなされた。
結果
156人の患者がスクリーニングされ、94人がランダム化を受けた(図1)。全患者サンプルの平均年齢は73.9歳(SD=5.6、55~83の範囲)であり、61%が女性であった。患者は、ベースラインでの平均MMSE素スコアが23.2(SD=2.4)であった。少なくとも1種のAPOEε4アレル保有者として陽性とスクリーニングされた患者のパーセンテージは62%であった。ベースライン患者の人口統計及び臨床的特徴は、年齢、教育、アルツハイマー病の診断以降の時間、現在のコリンエステラーゼ阻害剤治療開始以降の時間、APOEε4保有者、MMSE、ADAS-Cog-11、FAB、ADCS-ADL及びNPIスコア(表1)に関してロチゴチンとプラセボ群の間に差がなかった。合計16人の患者は、終了前に試験から撤退した(ロチゴチン群で11人及びプラセボ群で5人)。合計78人の患者(83%)が、治療期間を終了した(図1)。先行パイロット研究に基づき、MMSEとFAB測定両方について0.48と等しいエフェクトサイズを考慮すると、78人の患者は、パワー0.8に到達するのに十分であった。平均ベースラインADAS-Cog-11合計スコアは、ロチゴチン群については19.8(SO=6.4)であり、プラセボ群については18.7(SO=6.5)であった。プラセボと比較してロチゴチン群においてADAS-Cog-11合計スコアによって測定された認知能力に有意差(ベースライン対24週)はなかった(表2)。ADAS-Cog-11スコアに対する反復測定のためのGLMM(年齢及び教育で調整)は、群効果(p=0.54)、時間(p=0.71)及び時間×群(p=0.82)交互作用に関して何らかの有意な結果を示さなかったが、推定値は、経時的な患者の認知能力の全般的な悪化を示した。ADAS-Cog-11スコアにおいてGLMM推定平均変化は、ロチゴチンについては2.92(95%信頼区間(CI)[2.51、3.33J])であり、プラセボ群については2.66(95%CI[2.31、3.01])であった(図2A)。
Figure 2023534044000002
Figure 2023534044000003
副次アウトカムの分析は、FAB及びADCS-ADLについてはロチゴチン群とプラセボ群の間で有意差があったが、NPIスコアについては有意差がなかったことを示した(表2)。FABスコアにおいてGLMM推定平均変化は、ロチゴチンについては0.48(95%CI[0.31、0.65])であり、プラセボ群については-0.66(95%CI[-0.80、-0.52])であり、前頭葉機能がプラセボと比較してロチゴチン群で改善されたことを示した(交互作用効果p=0.01)(図2B)。ADCS-ADL合計スコアのベースライン平均は、ロチゴチン群については61.0(SD=12.6)であり、プラセボ群については62.8(SD=10.1)であった。ADCS-ADLスコアの推定平均変化は、ロチゴチン群については-3.32(95%CI[-4.02、2.62])であり、プラセボ群については-7.24(95%CI[-7.84、-6.64])であり、プラセボに対するロチゴチンの優位性を示した(交互作用効果:p=0.04)(図2C)。NPI合計スコアのベースライン平均は、ロチゴチン群については12.4(SD=9.9)であり、プラセボ群については12.8(SD=1.6)であった。NPIスコアの推定平均変化は、ロチゴチン群については1.64(95%CI[1.06、2.22])であり、プラセボ群については1.26(95%CI[0.77、1.75])であり、経過観察中の群間で有意な効果がないことを明らかにした(図2D)。
24週間の治療後、プラセボ群(N=20)と比較してロチゴチン群(n=20)において、DLPFC活動の有意な増加がGMFPによって測定された(p=0.002)。また、プラセボ群と比較してロチゴチン群においてDLPFC振戦活動の顕著な増加があった(p=0.01)。TMSパルスがPPCにわたって印加されたとき、皮質活動の変化が観察されなかったため、この効果は部位特異的であった(図S2の補足を参照のこと)。
有害事象は、プラセボよりロチゴチンに多く見られた。合計で16人の患者が脱落し、そのうち11人の患者がロチゴチン治療に割り当てられ、5人の患者がプラセボに割り当てられた(p=0.17)。ロチゴチン群において、2人の患者が、パッチに対するアレルギーを報告し、1人が幻視を有し、1人が肺炎を有し、3人が悪心及び眩暈、1人が睡眠障害、1人が不安、1人がPMK埋め込み、1人が継続を拒否した。プラセボ群において、1人が肺炎を有し、1人が頸部痛、1人が腎腫瘍と診断され、1人が不整脈、1人が継続を拒絶した。
考察
軽度から中等度のアルツハイマー病患者においてロチゴチンによるドーパミン作動性治療の結果が以下で考察される。この試験では、ロチゴチンの1日用量は、プラセボと比較して、ベースラインから24週目までのADAS-Cog-11スコアの変化によって測定された主要臨床アウトカムに関して利点がないことを示す。実際に、比較的低い投与量のロチゴチンは、軽度から中等度のアルツハイマー病患者において安全であり、忍容性が良好である。有害事象は、プラセボよりロチゴチンに多く見られるが、同程度の持続期間の軽度パーキンソン病患者においてロチゴチンを試験するランダム化対照試験において見られたものと類似していた。さらに、ロチゴチンは、NPIスコア分析によって明らかになった何らかの関連する行動的副作用を誘発しなかった。とりわけ、現在の研究に登録されたアルツハイマー病患者は、疾患の初期相にあり、振戦又は硬直などの何らかの錐体外路徴候を示さなかった。錐体外路症状がADの後期に出現する可能性が高いことを示す先行研究と一致して、本研究に登録された患者は、UPDRSスケール評価によって確認されたように、ADの初期段階で有意な割合の軽度パーキンソニズムを示さなかった(表1)。
主要アウトカム分析は、ADAS-Cog-11によって測定されたように、ロチゴチン投与が記憶及び他の認知課題に対して効果がなかったことを示した。しかし、副次アウトカム分析は、前頭葉に関連の高い認知機能に対して明確で顕著な効果を示した。ドーパミンが主として前頭皮質活動を変調するため、前頭葉機能に対するロチゴチンの効果が評価され、ロチゴチンによる治療が、軽度アルツハイマー病患者の前頭皮質において皮質可塑性の改善を誘発することが示された。
現在の試験において、ロチゴチンは、24週間でアルツハイマー病患者の前頭葉に関連の高い認知機能を改善したが、これらの認知機能は、プラセボで治療した患者において低下した。さらに、ロチゴチンは、機能障害の低下の低減に有効であった。研究は、プラセボを前提とする患者群と比較して、日常生活の自律性に対する効果を示し、ロチゴチンの使用は、疾患の初期段階以降、機能障害を治療する潜在的役割を有し得ることを示唆している。
記憶障害に加えて、前頭葉活動に関連する認知機能及び日常生活活動の低下は、アルツハイマー病進行の重要な特徴を表す。実行機能は、日常生活の変化する要求に対処するのに決定的役割を果たし、前頭葉活動に関連している。日常生活活動の維持は、実行機能と密接に関連し、その障害は、自立の早期喪失をもたらし、多くの日課を介護者に移行し、介護者の負担を高める。この関連で、アルツハイマー病患者の日常生活活動障害は、全体的な病的変化及び前頭低代謝に伴う。したがって、前頭認知機能の障害の治療は、将来の薬理学的介入の主な標的のうちの1つを表す。前頭葉に関連の高い認知機能に対するプラスの効果とは別に、ロチゴチンはまた、TMS-EEG記録によって指標化された前頭前皮質活動の著しい増加を誘発した。加えて、ロチゴチンによる治療はまた、TMSに対して誘起されるEEG応答を増強し、α及びβ周波数範囲での振戦活動の増加をもたらした。
Αβへの長期曝露は、前頭前皮質及び海馬においてドーパミンの生理的放出を漸進的に損ない、注意、記憶及び実行機能の障害に寄与する。磁気共鳴画像法は、腹側被蓋野の体積及び結合性が、軽度アルツハイマー病患者の認知障害と関連づけられることを示した。とりわけ、腹側被蓋野は、中脳皮質線維を通って前頭前皮質に向けられたドーパミン作動性投射の主な源である。臨床及びTMS-EEG所見の組合せは、ロチゴチンによるドーパミン作動性神経伝達の増加が、中脳皮質ドーパミン作動性投射に作用することによって前頭葉活動を高める可能性があることを示す。
前頭葉に関連の高い認知機能の改善にも関わらず、ADAS-Cog-11サブ項目の分析によっても明らかにされたように、記憶に対する効果は観察されなかった。ドーパミンアゴニストとコリンエステラーゼ阻害剤の関連性は、記憶課題に対する測定可能な効果を遮蔽する可能性があると仮定できる。他方で、内側側頭葉は、神経変性と認知低下が出現するかなり前に始まる可能性がある神経炎症とを結び付ける複雑な病理メカニズムの部位であり、中等度アルツハイマー病患者においてドーパミン作動性神経伝達の寄与がほんのわずかである。さらに、登録患者数が比較的少ないことにより、本研究は、APOE遺伝子型及び認知予備能の潜在的影響は考慮しなかった。
アルツハイマー病に現在利用可能な治癒又は疾患修飾治療はなく、新規な疾患修飾薬による最近の試みは効果がなかった。アルツハイマー病の最も頻繁に処方される治療は、アセチルコリンエステラーゼ阻害剤である。
アセチルコリンエステラーゼ阻害剤と組み合わせたロチゴチンなどのドーパミン作動性アゴニストの使用を含む現在記載される組成物及び方法は、軽度から中等度のアルツハイマー病患者において安全である。ロチゴチンによる治療は、前頭葉認知機能不全に関連がある症状を低減し、日常生活の自律性の障害を遅延させる。
アミロイドβ沈着、タウ蓄積、ミクログリア及び星状細胞媒介性炎症、ニューロン及びシナプスの喪失並びにネットワーク振動の変化を含む複数の因子が、ADの病理発生に寄与することが周知である。AD患者は、ADマウスモデルにおいて複製され得る表現型であるガンマ周波数帯域での振戦のパワーの著しい低下を示す(例えば、Gillespieら、2016;Iaccarinoら、2016;Verretら、2012を参照のこと)。このような振戦の変化は、認知機能不全に関連があった。
本開示の実施形態において、ロチゴチンは、リバスチグミンと組み合わせて用いられる。この薬物の組合せを試験するために用いられる方法の詳細は、本開示による実施形態に関連して以下に記載される。
研究は、AD患者の前頭前皮質で測定された振戦のパワーに対するリバスチグミンと組み合わせたロチゴチンの効果を調査するために実施された。研究において、AD患者は、本開示による治療有効量のロチゴチン及びリバスチグミンの薬物の組合せで24週間治療された。治療期間の最後に、振戦活動の変化が、経頭蓋磁気刺激法(TMS)と脳波検査法(EEG)の共登録に基づく神経生理学的方法を用いて評価された。皮質振戦は、EEGを記録しながら左背外側前頭前皮質(DLPFC)にわたって印加されたTMSパルスによって誘起された。
左DLPFCの振戦活動に対するロチゴチンの効果を評価するために、時間/周波数分解が、モレットウェーブレットに基づきエポックごとに実施された。TMSによって誘発される有意なスペクトル変調を追跡するために、TRSPは、最低周波数2から最大周波数20まで直線的に増加するいくつかのサイクルを用いて信号試験レベルで抽出された。TRSPは、-800~-200msのベースライン間隔で平均パワーに対するデシベルで表された。有意なERSPは、多重比較を補正しながら、データについての推測的仮定を回避する利点を有するブートストラップアプローチを用いて検出された。片側t検定は、46周波数(4~50Hzの範囲)及び200時点(-1000~1000msの範囲)にわたって計算された。統計的有意性は、p=0.05(2000並べ替え)に設定された。
次いで、TMSがリバスチグミンと組み合わせたRTGによる24週間の治療後の刺激された皮質領域のパワースペクトル活動をどの程度変調するかの尺度が測定された。
データは、リバスチグミンと組み合わせたロチゴチンが、プラセボと組み合わせたリバスチグミンの条件で治療された患者群(PCB)と比較して、高周波数の範囲(22~32Hz)でDLPFCの振戦を著しく高めたことを示した(すべてps<0.05)(図1、パネルA)(図4Aを参照のこと)。
このデータは、ロチゴチン及びリバスチグミンの組合せが、振戦活動の増加をもたらし、全般的により高い周波数帯に特異的であることを示す(図4Aを参照のこと)。このような効果は、ロチゴチンがリバスチグミンと組み合わされた場合にのみ見られ、リバスチグミンがPCBと組み合わされた場合、振戦の変化は観察されなかった(図4Bを参照のこと)。
明確性のために、図4A~Bは、経頭蓋磁気刺激(TMS)及び脳波検査法(EEG)の組合せの共登録を用いて、左背側前頭前皮質(DLPFC)において測定された、プラセボ(PCB)と組み合わせたリバスチグミンと比較した、リバスチグミンと組み合わせたロチゴチンによって誘発された局所皮質振戦活動の変化を示す。図4Aは、リバスチグミンと組み合わせたRTGによる24週間の治療後のAD患者群において高周波数帯での振戦の増加がより明白であることを示す;図4Bは、プラセボと組み合わせたリバスチグミンによる24週間の治療後の振戦のパワーにおいて全体的な低下を示す。図5は、PCBと組み合わせたリバスチグミンで治療したAD患者群で観察された低下と比較して、ロチゴチン及びリバスチグミンの組合せについて22~31Hzの範囲において有意な上昇のピークを報告する。
実施形態において、AD患者に投与されるロチゴチンとリバスチグミンの薬物の組合せは、24時間あたり約2~約8mgの範囲の治療有効量のロチゴチン及び24時間あたり約5~約23mgの範囲の補完治療有効量のリバスチグミンを含む。
本技術の前述の具体的な態様は、そのある特定の実施形態に関して記載されており、多くの詳細が例示の目的のために記載されているが、概念及び原理が追加の実施形態に影響を受けやすく、本明細書に記載されてある特定の詳細が開示の基本原理から逸脱することなく大幅に変更され得ることは、当業者に明らかである。
本明細書に引用されるすべての言及は、その全体が参照によって組み込まれている。本発明は、その精神又は必要不可欠な特性から逸脱することなく、他の具体的な形態において具現化され得、本発明の範囲を示す前述の明細書よりむしろ添付の特許請求の範囲に対して言及がなされるべきである。

Claims (10)

  1. 神経変性疾患に伴う認知症を治療する方法において使用のための医薬組成物であって、医薬組成物が、第1の治療有効量のロチゴチン及び第2の補完量のアセチルコリンエステラーゼ阻害剤を含む経皮組合せ薬物製剤を含む、医薬組成物。
  2. 神経変性疾患が、アルツハイマー病、前頭側頭型認知症若しくはレビー小体病、血管性認知症又はこのような所見の組合せを含む、請求項1に記載の神経変性疾患に伴う認知症を治療する方法において使用のための医薬組成物。
  3. アセチルコリンエステラーゼ阻害剤が、ドネペジル、ガランタミン、フペルジン又はリバスチグミンを含む、請求項2に記載の神経変性疾患に伴う認知症を治療する方法において使用のための医薬組成物。
  4. 組合せ薬物製剤が、経口、経鼻、非経口、局所又は経皮投与される、請求項3に記載の神経変性疾患に伴う認知症を治療する方法において使用のための医薬組成物。
  5. 第2の補完量が、コリンエステラーゼ阻害剤薬を含む、請求項4に記載の神経変性疾患に伴う認知症を治療する方法において使用のための医薬組成物。
  6. 第2の補完量が、メマンチンを含む、請求項5に記載の神経変性疾患に伴う認知症を治療する方法において使用のための医薬組成物。
  7. 神経変性疾患に伴う認知症を治療する方法において使用のための医薬組成物であって、医薬組成物が、少なくとも
    ロチゴチンを2mg/24時間~8mg/24時間の用量で、及び
    アセチルコリンエステラーゼ阻害剤を5mg~23mg/24時間の用量で
    送達する、経皮組合せ薬物製剤で患者に投与される、医薬組成物。
  8. 神経変性疾患が、アルツハイマー病、前頭側頭型認知症若しくはレビー小体病、血管性認知症又はこのような所見の組合せを含む、請求項7に記載の神経変性疾患に伴う認知症を治療する方法において使用のための医薬組成物。
  9. アセチルコリンエステラーゼ阻害剤が、ドネペジル、ガランタミン、フペルジン又はリバスチグミンを含む、請求項8に記載の神経変性疾患に伴う認知症を治療する方法において使用のための医薬組成物。
  10. 組合せ薬物製剤が、経口、経鼻、非経口、局所又は経皮投与される、請求項9に記載の神経変性疾患に伴う認知症を治療する方法において使用のための医薬組成物。
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