JP2023530282A - シタグリプチンの調製のための改善されたプロセス - Google Patents

シタグリプチンの調製のための改善されたプロセス Download PDF

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ジャガンナート サルヴィ、ナレンドラ
スレンドラ パトラヴァール、バラトゥクマール
リラダール サルンケ、チェタン
バーバーサヒブ ヤーダヴ、ラジェンドラ
ゴラークシャナート サルピュア、ナヴナス
バブラオ カジャレ、ニティン
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Abstract

改善されたバイオ触媒を用いた、及びアミノ基供与体の存在下で鏡像異性的に純粋なシタグリプチンを得るための、ケトアミドの効率的な転化を媒介する酵素を操作することによる、良好な化学純度及びより高い収率を有する特定の鏡像異性体シタグリプチンの調製のためのプロセスが本明細書において提供される。【選択図】なし

Description

発明の背景
本発明は、ジペプチジルペプチダーゼ4(DPP-4)阻害剤の調製、特にシタグリプチンの所望の立体異性体の調製、のための改善されたプロセスに関する。
背景及び従来技術
Figure 2023530282000001
式(I)のシタグリプチンは、Merck and Co.により商品名ジャヌビアの下でリン酸塩として開発及び市販されている。式(I)のシタグリプチンは、(R)-4-オキソ-4-[3-(トリフルオロメチル)-5,6-ジヒドロ[1,2,4]トリアゾロ[4,3-a]ピラジン-7(8H)-イル]-1-(2,4,5-トリフルオロフェニル)ブタン-2-アミンとして化学的に公知の、ジペプチジルペプチダーゼ4(DPP-4)阻害剤クラスの経口抗糖尿病薬である。シタグリプチンは、2型糖尿病によって生じる高血糖濃度を処置するために、及び喫煙を回避するためにも使用される。インクレチンホルモンは、インスリンの産生及び放出を調節する。シタグリプチンは、インクレチンホルモンを保護することによって作用するので、このホルモンは、あまりにも迅速に分解されるということはない。このことは、身体がインスリンをより良好な方法で使用するのを助け、血糖を低下させる。シタグリプチンは、改善された食事及び運動など、生活様式の変容と併用される。
シタグリプチンは、米国特許第6,699,871号において初めて特許請求されており、シタグリプチンリン酸二水素塩又はその水和物は、米国特許第7,326,708号において具体的に特許請求されている。シタグリプチンの調製のための、米国特許第6,699,871号において開示されるプロセスは、MDC中のHOBt及びEDCの存在下での、(3R)-3-[1,1-ジメチルエトキシカルボニルアミノ]-4-(2,4,5)-トリフルオロフェニル)-ブタン酸と3-(トリフルオロメチル)-5,6,7,8-テトラヒドロ-1,2,4-トリアゾロ[4,3-a]-ピラジンとのカップリングを包含する。
(3R)-3-[1,1-ジメチルエトキシカルボニルアミノ]-4-(2,4,5)-トリフルオロフェニル)-ブタン酸は、ブチルリチウムの存在下で(2S)-2,5-ジヒドロ-3,6-ジメトキシ-2-イソプロピル-ピラジンを2,4,5-トリフルオロメチルベンジルブロミドと反応させることに続いて、Di-BOCとの反応によって調製される。シタグリプチン及びその薬学的に許容される塩の合成のための様々なプロセスは公知である。
国際公開第2019158285号及び国際公開第2006081151号は、酢酸アンモニウムを用いてエナミンを形成するための、ケトアミドのアミノ化を開示している。さらにエナミンは、ビス((1,5-シクロオクタジエン)(クロロ)ロジウム)などの触媒、及びJosiphos SL-J 002-1などのリガンドを用いて、シタグリプチンへ転化される。化学的手順を用いた分割工程の間に、理論的に物質全体の50~60%は、純粋な鏡像異性体として分離することができる。望ましくない物質の廃棄により、このプロセスはコストが掛かり、この逆の異性体の再利用は、余分な単位操作及びコストを必要とする。
国際公開第2004085661号は、Z-エナミンを形成するためのキラル助剤として(S)-フェニルグリシンアミド(S-PGA)を用いた、ケトアミドのシタグリプチンへの転化を開示している。得られたフェニルグリシン保護されたエナミンは、酸化白金の存在下で水素化される。フェニルグリシン保護されたシタグリプチンは、シタグリプチンを生じるために、酸化白金を用いて脱保護される。しかしながら、金属触媒の使用は、最終生成物の中に微量の金属を残し、これは、医薬品の製造にとって問題である。このことは、追加の精製を必要とすることがあり、究極的には収率の低下をもたらす。したがって、化学的なプロセスは比較的、シタグリプチンを低コストで調製するためには効率的ではなく、その理由は、このプロセスがより多くの溶媒及び化学物質を消費するからであり、このプロセスは、大規模で取り扱うのが困難であり、環境に優しくない。
酵素は、所望のキラル純度の特定の鏡像異性体を産生する独特な立体選択的特性を有することが公知である。さらに、酵素は、プロセスの完了後に回収及び再利用することができ、この故に、生成物を産生するコストを低下させる。鏡像異性的に純粋なシタグリプチンを調製する酵素プロセスは、公知である。2805/MUM/2010は、適切な補助因子の存在下でケトをヒドロキシへ選択的に還元する酸化還元酵素又はケトレダクターゼを用いた、ケト化合物からの式(I)のヒドロキシル化合物の調製のためのかかるプロセスを開示している。この引用特許において使用される酵素/ポリペプチドは、「ケトレダクターゼ」型であり、ケトンをヒドロキシ化合物へ立体選択的に還元することができる。この得られたヒドロキシ化合物は、a)ヒドロキシ化合物のメシル化、b)アジド中間体を得るためのメシル中間体の求核置換、及びc)アジド中間体からアミン(シタグリプチン)への転化を含む3つの工程で、シタグリプチンへ転化することができる。しかしながら、この3工程転化はまた、中間体転化の間に収率の低下を引き起こす。
したがって、良好なキラル純度及びより高い収率で特定の鏡像異性体シタグリプチンを産生する、独特な立体選択的特性を有する酵素を用いて、並びにアミノ基供与体の存在下で鏡像異性的に純粋なシタグリプチンを得るための、ケトアミドの効率的な転化を媒介する酵素を操作することによって、穏和な条件下で転化率及び立体選択性を改善するためのプロセスについての必要性がある。
一般的な態様では、本発明は、式(I)
Figure 2023530282000002
のシタグリプチンを調製するプロセスを提供する
このプロセスは、式(II)
Figure 2023530282000003
のケトアミドを、式(III)
Figure 2023530282000004
のアミノ化合物であって、式中R1及びR2が、アルキル、アルキルアリール又はアリールから選択される、式(III)のアミノ化合物と、緩衝液中で、バイオ触媒ピリドキサール-5-ホスパウテ(phospahte)(PLP)及びトランスアミナーゼ酵素CDX-036の存在下でpH8から9で35℃から60℃の温度で反応させることを含む。
1つの実施形態では、このプロセスは、この混合物の温度を35℃から60℃に維持する、ジメチルスルホキシド(DMSO)、ジメチルホルムアミド、メチルtert-ブチルエーテル(MTBE)、イソプロピルアセタート、メタノール、エタノール、イソプロパノール、又は水から選択される共溶媒を添加することを含む。
1つの実施形態では、このプロセスは、ジメチルスルホキシド(DMSO)、酢酸エチル、クロロホルム、メチレンジクロリド(MDC)、アセトン、メタノール、エタノール、イソプロパノールから選択される共溶媒中で、式(II)のケトアミドの溶液を調製することを含む。
このプロセスは、緩衝液中の、アミノ化合物溶液と水から選択される溶媒との混合物を調製することと、pH8から9でバイオ触媒を添加することと、を含む。
アミノ化合物は、イソプロピルアミン、アラニン、オルト-キシリレンジアミン、1-フェニルエチルアミン、3-アミノシクロヘキサ-1,5-ジエンカルボン酸、1,2-ジアミノエタン、1,4-ジアミノブタン及び1,5-ジアミノペンタンから選択される。緩衝液はトリエタノールアミンであり、バイオ触媒はピリドキサール-5-ホスパウテ(PLP)である。
1つの態様では、ケトアミドをこのアミノ化合物と反応させるプロセスは、場合により、表面張力低下剤又は相間移動触媒を添加することを含む。
このプロセスは、バイオ触媒を添加する前に、表面張力低下剤又は相間移動触媒をアミノ化合物の溶液へ添加することを含む。ケトアミドをアミノ化合物と反応させるプロセスは、35~60℃の温度においてである。
表面張力低下剤は、ジデシルジメチルアンモニウムクロリド(DDAC)、セチルトリメチルアンモニウムクロリド(CTAC)、又はセチルトリメチルアンモニウムブロミド(CTAB)から選択され、相間移動触媒は、テトラブチルアンモニウムブロミド(TBAB)、テトラブチルアンモニウムフルオリド(TBAF)、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド(TBAH)、又はトリエチルベンジルアンモニウムクロリド(TEBA)から選択される。
実施形態では、シタグリプチンのキラル純度は、99.90%から99.99%である。
別の態様では、本発明は、シタグリプチンの塩を調製するためのプロセスに関する。このプロセスは、溶媒の存在下でシタグリプチンを酸と反応させることと、還流温度まで加熱することと、を含む。この酸は、濃HCl、オルトリン酸、マエリン酸(maelic acid)、フマル酸から選択される。
1つの実施形態では、シタグリプチンの塩は、酸塩又は水和物又は溶媒和物である。
発明の詳細な説明
1つの実施形態では、本発明は、式(I)のシタグリプチンの調製のための改善されたプロセスに関する。
Figure 2023530282000005
このプロセスは、式(II)
Figure 2023530282000006
のケトアミドを、式(III)
Figure 2023530282000007
のアミノ化合物であって、式中R1及びR2が、アルキル、アルキルアリール又はアリールから選択される、式(III)のアミノ化合物と、緩衝液中で、バイオ触媒ピリドキサール-5-ホスパウテ(phospahte)(PLP)及びトランスアミナーゼ酵素CDX-036の存在下でpH8から9で反応させることを含む。
トランスアミナーゼ反応では、式(III)の化合物は、アミノ基をアミノ基受容体、すなわち、式(I)の化合物を形成する式(II)のケトアミドへ供与する。
1つの実施形態では、式(II)のケトアミドの溶液は、共溶媒中で調製することができる。この共溶媒は、ジメチルスルホキシド(DMSO)、酢酸エチル、クロロホルム、メチレンジクロリド(MDC)、アセトン、メタノール、エタノール、又はイソプロパノールから選択することができ、好ましくはDMSO中で実施することができる。さらに、アミノ化合物(III)溶液と、水から選択される溶媒と、トリエタノールアミンから選択される緩衝液との混合物が調製され、pHが8から9へ調整される。
1つの実施形態では、アミノ化合物は、アミノ基をアミノ基受容体、すなわち、式(II)のケトアミドへ供与することができる化合物であり得る。このアミノ化合物は、イソプロピルアミン、アラニン、オルト-キシレンジアミン、1-フェニルエチルアミン、3-アミノシクロヘキサ-1,5-ジエンカルボン酸、1,2-ジアミノエタン、1,4-ジアミノブタン及び1,5-ジアミノペンタンから選択することができる。好ましくは、このアミノ化合物は、イソプロピルアミンであり得る。このアミノ化合物及び水は緩衝液とともに、緩衝液系を形成する。当該緩衝液系へ、バイオ触媒を添加することができる。このバイオ触媒は、ピリドキサール-5-ホスパウテ(phospahte)(PLP)から選択することができる。好ましくは、このバイオ触媒は、従来の公知の化学的なプロセスによって得られるピリドキサール-5-ホスパウテ(phospahte)(PLP)であり得、補酵素として作用する。このケトアミド(式II)溶液へ、バイオ触媒を含有する緩衝液系中のアミノ化合物を添加して、反応混合物を形成する。この反応混合物のpHは、pH8から9で維持することができる。この反応混合物へ、トランスアミナーゼ酵素CDX-036を添加することができる。アミノトランスフェラーゼとも呼ばれるトランスアミナーゼは、アミノ化合物とカルボニル化合物との間でアミノ基の可逆的転移を触媒する酵素の1種である。このトランスアミナーゼ酵素は好ましくは、組換えトランスアミナーゼ酵素又は遺伝子操作されたトランスアミナーゼ酵素であり得、「CDX-036」として米国(企業名:Codexis,Inc.)から入手することができる。このトランスアミナーゼ酵素は、ケトアミドを直接、アミノ化合物、すなわちシタグリプチンへ立体特異的に転化することを支援し、これにより、公知の方法にあるような転化における多重の工程を削減する。この酵素によって支援されるアミノ基転移反応によるケトアミドのシタグリプチンへの転化はまた、高いシタグリプチン収率にも寄与する。
トランスアミナーゼ酵素の添加は、ジメチルスルホキシド(DMSO)、ジメチルホルムアミド、MTBEのようなエーテル、及び酢酸イソプロピルのようなエステル、メタノール、エタノール、イソプロパノール、水並びにこれらの混合物から選択される共溶媒の存在下で実施することができ、好ましくは、DMSOの存在下で実施することができる。この反応混合物は、35℃から60℃の温度まで加熱することができ、この混合物のpHを8と9との間に維持することができる。この工程で、酵素は、この混合物の温度を35℃から60℃に、好ましくは40℃~55℃で、より好ましくは51~52℃で、反応の完了まで維持しながら、経時的に共溶媒へ徐々に添加することができる。式(III)の化合物のアミノ基は、補酵素へ転移して、カルボニル副産物を産生し得、その間にピリドキサール-5-ホスファートのようなバイオ触媒は、ピリドキサミンリン酸へ転化し得る。ピリドキサミンリン酸から式(II)の化合物へのアミノ基の転移は、キラルアミンを産生し、補酵素を再生させる。この反応は、監視することができ、反応の完了後に、濃塩酸、硫酸、硝酸、酢酸及びオルトリン酸から選択される酸を用いて、pHを2から3へ調整した。この反応物質は、2時間撹拌することができ、濾過してシタグリプチン塩基を抽出することができる。
1つの実施形態では、このプロセスは、場合により、表面張力低下剤(界面活性剤)又は相間移動触媒を添加することを含む。表面張力低下剤又は界面活性剤は、ジデシルジメチルアンモニウムクロリド(DDAC)、セチルトリメチルアンモニウムクロリド(CTAC)(セチルトリメチルアンモニウムブロミド(CTAB)、セトリミド)から選択することができる。相間移動触媒は、テトラブチルアンモニウムブロミド(TBAB)、テトラブチルアンモニウムフルオリド(TBAF)、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド(TBAH)、トリエチルベンジルアンモニウムクロリド(TEBA)から選択することができる。界面活性剤又は相間移動触媒は好ましくは、バイオ触媒ピリドキサール-5-ホスファートを添加する前に、式(III)のアミノ化合物を含む緩衝液系へ添加することができる。このプロセスにおける相間移動触媒又は界面活性剤の使用は、転化を改善し、その結果、良好な収率となることが発見されている。
式(II)のケトアミドが、作業中に酸処理により、イミン化合物へと転化することが観察された。イミンの形成が増加するにつれ、転化及び収率は減少する。このことはまた、反応速度も低下させ、これは、以下の表1から明確に理解することができる。
Figure 2023530282000008
式(I)の化合物を調製するプロセスはさらに、水層のpHを11から12へ調整する酢酸エチルで濾液を洗浄することによって式(I)の化合物を抽出することと、反応物質を酢酸エチル又は酢酸イソプロピルの溶媒で抽出することと、有機層をブラインで洗浄することと、硫酸ナトリウム上で乾燥させることと、溶媒を蒸留して、シタグリプチン塩基を得ることと、を含む。反応物質のpHは、酸を用いてpH2.0からpH3.0へ調整することができる。この反応物質は次いで、35℃から60℃で撹拌して、式(I)のシタグリプチンを形成し得る。
1つの実施形態では、本発明のプロセスによって調製されるシタグリプチン塩基のキラル純度は、99.90%以上(99.90%から99.99%)である。
別の実施形態では、本発明は、シタグリプチンの塩を調製するプロセスを提供する。このプロセスは、イソプロピルアルコール(IPA)、メチルエチルケトン、エタノール、又はメタノールから選択される溶媒の存在下で、シタグリプチンを塩酸、オルトリン酸、リンゴ酸、フマル酸から選択される濃酸と反応させることと、75℃から70℃の温度まで加熱することと、を含む。この塩は、シタグリプチンの酸塩、水和物又は溶媒和物の塩から選択することができる。本発明のプロセスによって調製されるシタグリプチン塩は、99.90%以上(99.90%から99.99%)のキラル純度を有し得る。
実施例及び実施は、本明細書で以下に本発明の説明のために提供される。説明されている実施例及び実施並びに他の実施に対する変化、変形、及び改善は、開示されているものに基づいて行うことができる。
実施例1
シタグリプチンの調製
水(140ml)及びトリエタノールアミン(8.45ml)を室温で4Mイソプロピルアミン溶液(133ml)へ入れた。この混合物のpHを、濃HCl(約55ml)を用いて8.5へ調整した。この緩衝液系に、ピリドキサール-5-ホスファート(335mg)を添加し、反応混合物を15~20分間撹拌した。操作されたトランスアミナーゼ酵素「CDX-036」(2グラム)を添加し、この反応混合物を30分間撹拌した。この反応物質へ、DMSO(111ml)を徐々に添加した。この反応物質を45℃まで加熱し、温度を反応の終了まで維持した。別個に調製したDMSO(55ml)中の式(II)の1-[3-(トリフルオロメチル)-6,8-ジヒドロ-5H-[1,2,4]トリアゾロ[4,3-a]ピラジン-7-イル]-4-(2,3,5-トリフルオロフェニル)ブタン-1,3-ジオン(ケトアミド)(50グラム)の溶液を、上記反応混合物へ不活性雰囲気下で入れた。この混合物のpHを、4Mイソプロピルアミン溶液の徐々の添加により、この反応の間中8.4から8.7に維持した。反応の完了後(36時間後)、反応物質のpHを、濃HClを用いて2,0~3.0へ調整した。この反応物質を、45℃で2時間撹拌し、濾過した。この濾液を酢酸エチルで洗浄し(250ml×3回)、水層のpHを、50%水酸化ナトリウム溶液を用いて11.0~11.5へ調整した。この反応物質を、酢酸エチルで抽出した(250ml×3回)。次いで、有機層を、ブライン(250ml)で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、蒸留して、シタグリプチン塩基(34.2グラム)を得た(68%収率)。HPLC純度:99.57%、キラル純度:99.92%。
実施例2
シタグリプチンの調製(表面張力低下剤を使用)
式(II)の1-[3-(トリフルオロメチル)-6,8-ジヒドロ-5H-[1,2,4]トリアゾロ[4,3-a]ピラジン-7-イル]-4-(2,3,5-トリフルオロフェニル)ブタン-1,3-ジオン(ケトアミド)の溶液を、DMSO(55ml)中に溶解すること(50グラム)によって調製した。水(100ml)及びトリエタノールアミン(8.5ml)を4Mイソプロピルアミン溶液(130ml)へ入れ、この混合物を撹拌した。セチルトリメチルアンモニウムクロリド(CTAC)(30%水溶液)(50ml)を上記混合物へ室温で添加した。この混合物のpHを、濃HClを用いて8.5へ調整した。ピリドキサール-5-ホスファート(335mg)をこの混合物へ添加し、反応物質を15~20分間撹拌した。この混合物へ、上記ケトアミド溶液を入れた。操作されたトランスアミナーゼ酵素「CDX-036」(2グラム)を添加し、反応混合物を30分間撹拌した。この反応混合物へ、DMSO(95ml)を徐々に添加した。この反応混合物を、45℃まで加熱し、反応の終了までこの温度で維持した。この反応集合体にpH監視用装置を供給し、窒素パージし、4Mイソプロピルアミン溶液(pH維持用)を添加した。この混合物のpHを8.4から8.7へ調整し、次いで、ケトアミド溶液を、不活性雰囲気中で、反応物質へ3時間にわたって添加した。この混合物のpHを、連続的に監視し、8.4と8.7との間に維持した。反応の完了後(38時間)、反応物質のpHを、濃HClを用いて2.0~3.0へ調整した。この反応物質を、45℃で2時間撹拌し、濾過した。この濾液を酢酸エチルで洗浄し(250ml×3回)、水層のpHを、50%水酸化ナトリウム溶液を用いて11.0~11.5へ調整した。次いで、この反応物質を、酢酸イソプロピルで抽出した(250ml×3回)。次いで、有機層を、ブライン(250ml)で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、蒸留して、42グラム(84%収率)のシタグリプチン塩基を得た。HPLC純度:97.11%、キラル純度:99.96%。
実施例3
シタグリプチンの調製
4Mイソプロピルアミン溶液(164ml)を25~30℃で水(192ml)とトリエタノールアミン(10.86ml)との混合物へ入れた。この混合物を、十分に撹拌し、20~25℃まで冷却した。この混合物のpHを、濃HClを用いて8.5へ調整した。緩衝液系670mgを、20~25℃でこの反応混合物へ入れた。pHを、4Mイソプロピルアミンを用いて8.5へ調整した。操作されたトランスアミナーゼ酵素「CDX-036」(5グラム)及びDMSO(110ml)を連続的に撹拌しながら添加した。pHを、4Mイソプロピルアミンを用いて8.5へ調整する。この反応混合物を、50から52℃まで加熱した。DMSO(110ml)中の式(II)の1-[3-(トリフルオロメチル)-6,8-ジヒドロ-5H-[1,2,4]トリアゾロ[4,3-a]ピラジン-7-イル]-4-(2,3,5-トリフルオロフェニル)ブタン-1,3-ジオン(ケトアミド)(100グラム)の溶液を、別個にかつロットごとに、この反応混合物に対して調製した。ケトアミド溶液の第1のロット(105グラム)を、不活性雰囲気下、50~52℃で、連続的な撹拌の下で、この反応混合物へ、1.5~2時間徐々に入れた。この混合物のpHを、4Mイソプロピルアミン溶液の徐々の添加により、この反応の間中8.5に維持した。水(192ml)とトリエタノールアミン(6ml)の第2のロットを、50~52℃でこの反応物質へ入れた。イソプロピルアミン(24グラム)を、この反応混合物へ入れた。ケトアミド溶液(105グラム)の第2のロットを、50~52℃で70~90分間徐々に添加した。この反応混合物のpHを、45℃で50%HCl溶液を用いて8.4から8.6へ調整した。この反応物を、50~55℃で2~3時間維持した。この反応物質を30~35℃まで冷却し、MDC(500ml)を添加した。この反応物質を、十分に撹拌し、濾過した。この濾液を、MDC(500ml)で抽出した。層を分離し、水層をMDC(500ml)で洗浄した。MDC層をすべて混合し、希HCl(200ml)を入れ、0.5時間撹拌した。層を安定させ、分離した。MDC層へ、希HCl(200ml)を入れ、0.5時間撹拌した。層を分離し、MDC層をケトアミドの再利用のために取っておいた。水層へ、MDC(300ml)を入れ、pHを、40%水酸化ナトリウム溶液を用いて11.5へ調整した。層を分離し、水層をMDCで洗浄した(500ml×2)。MDC層を真空下で蒸留して、シタグリプチン(59.4グラム)を得た。収量:59.4グラム(収率:60%)、HPLC純度:99.9%、キラル純度:99.97%。
実施例4
1-[3-(トリフルオロメチル)-6,8-ジヒドロ-5H-[1,2,4]トリアゾロ[4,3-a]ピラジン-7-イル]-4-(2,3,5-トリフルオロフェニル)ブタン-1,3-ジオンの回収
実施例3からの回収のために取っておいたMDC層を蒸留して、油状残渣を得る。アセトニトリル(40ml)を上記油へ入れ、45~50℃で加熱した。水(150ml)を、この透明な溶液へ45~50℃で徐々に添加した。この反応物質を、室温まで、次いで10~15℃まで、徐々に冷却した。得られたスラリーを、濾別し、水で洗浄した(40ml×2)。得られた1-[3-(トリフルオロメチル)-6,8-ジヒドロ-5H-[1,2,4]トリアゾロ[4,3-a]ピラジン-7-イル]-4-(2,3,5-トリフルオロフェニル)ブタン-1,3-ジオンを、50℃で9~10時間乾燥させた。乾燥重量:28グラム(収率:70%)。HPLC純度:99.69%。
回収したケトアミドである1-[3-(トリフルオロメチル)-6,8-ジヒドロ-5H-[1,2,4]トリアゾロ[4,3-a]ピラジン-7-イル]-4-(2,3,5-トリフルオロフェニル)ブタン-1,3-ジオンを、シタグリプチンの調製のために再利用した。
実施例5
実施例4からの回収した1-[3-(トリフルオロメチル)-6,8-ジヒドロ-5H-[1,2,4]トリアゾロ[4,3-a]ピラジン-7-イル]-4-(2,3,5-トリフルオロフェニル)ブタン-1,3-ジオンからのシタグリプチンの調製
4Mイソプロピルアミン溶液(41ml)を、水(48ml)とトリエタノールアミン(2.71ml)との混合物へ25~30℃で入れた。この混合物を、十分に撹拌し、20~25℃まで冷却した。この混合物のpHを、濃HClを用いて8.5へ調整した。PLP(670mg)をこの反応混合物へ20~25℃で入れた。pHを、8.5へ調整した。操作されたトランスアミナーゼ酵素「CDX-036」(1.25グラム)及びDMSO(27.5ml)を、連続撹拌しながら添加した。pHを、4Mイソプロピルアミンを用いて8.5へ調整する。この反応混合物を、50~52℃まで加熱した。DMSO(27.5ml)中の実施例4で得られた1-[3-(トリフルオロメチル)-6,8-ジヒドロ-5H-[1,2,4]トリアゾロ[4,3-a]ピラジン-7-イル]-4-(2,3,5-トリフルオロフェニル)ブタン-1,3-ジオン(ケトアミド)(25グラム)の溶液を、別個にかつロットごとに、この反応混合物に対して調製した。ケトアミド溶液の第1のロット(25グラム)を、不活性雰囲気下、50~52℃で、連続的な撹拌の下で、この反応混合物へ1.5~2時間徐々に入れた。この混合物のpHを、4Mイソプロピルアミン溶液の徐々の添加により、反応の間中8.5に維持した。水(48ml)とトリエタノールアミン(1.5ml)の第2のロットを、50~52℃でこの反応物質へ入れた。イソプロピルアミン(6グラム)を、この反応混合物へ入れた。ケトアミド溶液(25グラム)の第2のロットを、50~52℃で70~90分間で徐々に添加した。この反応混合物のpHを、45℃で50%HCl溶液を用いて8.4から8.6へ調整した。この反応物を、50~52℃で2~3時間維持した。この反応物質を30~35℃まで冷却し、MDC(125ml)を添加した。この反応物質、を十分に撹拌し、濾過した。層を、分離した。水層を、MDCで抽出した(2×100ml)。合わせたMDC層のpHを、希HClを用いて2未満へ調整した。層を、分離した。MDC(125ml)を合わせた水層へ入れ、pHを、40%水酸化ナトリウム溶液を用いて11.5へ調整した。層を分離し、水層をMDCで洗浄した(2×125ml)。有機層を硫酸ナトリウム上で乾燥させ、MDC層を真空下で蒸留して、シタグリプチン(16グラム)を得た(収率:64%)。HPLC純度:99.9%、キラル純度:99.95%。
実施例6
シタグリプチン塩酸塩の調製
IPA(10ml)を、実施例1又は2で得られたシタグリプチン塩基(1.2グラム)へ添加した。この混合物を75~70℃まで加熱し、濃HCl(0.4ml)をこの混合物へ緩徐に添加した。次いで、この反応物質を、室温まで冷却し、この温度で1時間撹拌した。沈殿した固体を、濾別し、乾燥させて、1.2グラムのシタグリプチン塩酸塩を得た。HPLC純度:99.8%、キラル純度:99.99%。
実施例7
シタグリプチンリン酸塩の合成
IPA(20ml)をシタグリプチン塩基(10グラム)へ入れ、この混合物を70~75℃まで加熱した。オルトリン酸(2.6ml)及び水(9ml)を、この混合物へ緩徐に入れた。この反応物質を、70~75℃で1時間撹拌し、50~55℃まで冷却した。IPA(37.5ml)を50~55℃でこの反応物質へ添加し、この温度で3時間撹拌した。この混合物を、25~30℃まで冷却し、1時間撹拌した。この反応物質を、さらに5~10℃まで冷却し、1時間撹拌した。この反応物質を、濾別し、乾燥させて、シタグリプチンリン酸塩(10.2グラム)を得た。純度:99.8%、キラル純度:99.9%。
実施例8
シタグリプチンリン酸塩一水和物の調製
上記実施例のいずれかで得られたシタグリプチン(16.0g)をIPA(34mL)及びHO(14.4mL)中に溶解し、85%リン酸HPO(4.54g)を滴下して添加した。この混合物を75℃まで加熱して、固体を溶解させた。次いで、このバッチを、60~65℃まで冷却した。この反応物質を、1時間維持し、周囲温度まで冷却した。IPA(56mL)を添加し、このバッチを1時間撹拌した。このバッチを濾過し、湿潤ケークをIPA(5mL)で洗浄した。この湿潤ケークを60℃で乾燥させて、9.83gのシタグリプチンリン酸塩一水和物(95.0%)を99.93%の純度で得た。
先の本発明の具体的な実施形態の説明は、例示及び説明の目的のために提示されている。これらの実施形態は、網羅的であるよう、又は開示された詳細な形態へ本発明を限定するよう意図しているものではなく、明らかに多くの変形及び変化が上記教示に照らして可能である。これらの実施形態は、本発明及びその実際の適用の原理を最良に説明するために選択及び説明されており、それにより当業者は、本発明及び様々な実施形態を、企図する特定の使用に適しているような様々な変形を加えて、最良に利用することができる。
状況が示唆し得る又は好都合にし得る場合、同等物の様々な省略及び置換が企図されるが、かかるものは、本発明の趣旨又は範囲から逸脱することなく、その応用又は実施をカバーするよう意図されていることが、理解される。

Claims (13)

  1. 式(I)
    Figure 2023530282000009

    のシタグリプチンを調製するプロセスであって、式(II)
    Figure 2023530282000010

    のケトアミドを、式(III)
    Figure 2023530282000011

    のアミノ化合物であって、式中、R1及びR2が、アルキル、アルキルアリール又はアリールから選択される、式(III)のアミノ化合物と、緩衝液中で、バイオ触媒ピリドキサール-5-ホスパウテ(phospahte)(PLP)及びトランスアミナーゼ酵素CDX-036の存在下でpH8から9で35℃から60℃の温度で反応させることを含む、プロセス。
  2. 混合物の温度を35℃から60℃に維持する、ジメチルスルホキシド(DMSO)、ジメチルホルムアミド、メチルtert-ブチルエーテル(MTBE)、イソプロピルアセタート、メタノール、エタノール、イソプロパノール、又は水から選択される共溶媒を添加することを含む、請求項1に記載のプロセス。
  3. ジメチルスルホキシド(DMSO)、酢酸エチル、クロロホルム、メチレンジクロリド(MDC)、アセトン、メタノール、エタノール、又はイソプロパノールから選択される共溶媒中で、式(II)のケトアミドの溶液を調製することを含む、請求項1に記載のプロセス。
  4. 緩衝液中の、アミノ化合物溶液と水から選択される溶媒との混合物を調製することと、pH8から9でバイオ触媒を添加することと、を含む、請求項1に記載のプロセス。
  5. 前記アミノ化合物が、イソプロピルアミン、アラニン、オルト-キシレンジアミン、1-フェニルエチルアミン、3-アミノシクロヘキサ-1,5-ジエンカルボン酸、1,2-ジアミノエタン、1,4-ジアミノブタン及び1,5-ジアミノペンタンから選択される、請求項1~4に記載のプロセス。
  6. 前記緩衝液が、トリエタノールアミンである、請求項1~4に記載のプロセス。
  7. ケトアミドを前記アミノ化合物と反応させることが、場合により、表面張力低下剤又は相間移動触媒を添加することを含む、請求項1に記載のプロセス。
  8. 前記バイオ触媒を添加する前に、前記表面張力低下剤又は前記相間移動触媒を前記アミノ化合物の溶液へ添加することを含む、請求項7に記載のプロセス。
  9. 前記表面張力低下剤が、ジデシルジメチルアンモニウムクロリド(DDAC)、セチルトリメチルアンモニウムクロリド(CTAC)、又はセチルトリメチルアンモニウムブロミド(CTAB)から選択され、前記相間移動触媒が、テトラブチルアンモニウムブロミド(TBAB)、テトラブチルアンモニウムフルオリド(TBAF)、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド(TBAH)、又はトリエチルベンジルアンモニウムクロリド(TEBA)から選択される、請求項8に記載のプロセス。
  10. ケトアミドを前記アミノ化合物と反応させることが、35~60℃の温度においてである、請求項1に記載のプロセス。
  11. 前記シタグリプチンのキラル純度が、99.90%から99.99%である、請求項1に記載のプロセス。
  12. シタグリプチンの塩を調製するためのプロセスは、イソプロピルアルコールから選択される溶媒の存在下で、請求項1に記載のシタグリプチンを、濃HCl、オルトリン酸、マレイン酸、フマル酸から選択される酸と反応させることと、還流温度まで加熱することと、を含む。
  13. シタグリプチンの塩が、酸塩、水和物又は溶媒和物である、請求項12に記載のプロセス。
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