JP2023528416A - 抗abcg2抗体及びそれらの使用 - Google Patents
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Abstract
細胞排出ポンプABCG2を標的とする抗体が提供される。また、かかる抗体を含むか又はコードする医薬組成物、核酸、組換え発現ベクター、細胞、及びキットが提供される。細胞、例えば、腫瘍細胞におけるABCG2発現の有無、ABCG2発現のレベルを検出するため、及び/又はABCG2機能を阻害するために抗体を使用する方法も開示される。加えて、がん細胞の表面に発現されたABCG2及びポリペプチドに結合する多重特異性抗体が提供される。ポリペプチドは、排出ポンプMDR1又はがん関連抗原であり得る。また、本明細書に開示される抗ABCG2抗体、又はABCG2及びがん関連抗原若しくはMDR1の両方を標的とする多重特異性抗体を対象に投与することを含む、対象をがんについて治療するための方法も提供される。
Description
関連出願の相互参照
本出願は、2020年6月4日に出願された米国仮特許出願第63/034,806号の優先権の利益を主張し、その出願は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
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テキストファイルとして提供される配列表の参照による組み込み
配列表は、2021年5月24日に作成され、266KBのサイズを有するテキストファイル「KNJY-004WO SEQ LIST_ST25.txt」として本明細書に提供される。テキストファイルの内容は、参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる。
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薬剤耐性は、疾患が医薬品治療に耐性になるときに生じるよく知られた現象であり、腫瘍学を含む様々な医学の分野における大きなますます増大している課題である。多くのタイプのがんは、当初、化学療法に感受性であるが、時間の経過とともに、それらは、これら並びにDNA変異及び薬物の阻害、分解、及び増強された排出を促進する代謝的変化を含む他のメカニズムを通じて、耐性を発達させることができる。
排出ポンプ(EP)は、生細胞によって発現されるタンパク質であり、様々な化合物を細胞から自然に排出するように進化してきている。ATP結合カセット(ABC)トランスポーターファミリータンパク質のメンバーは、薬物排出を可能にするEPの例である。トランスポーターの構造はタンパク質毎に異なるが(例えば、ヒトには49種の既知のABCファミリーメンバーがある)、それらは全て2つの異なるドメイン-高度に保存されたヌクレオチド結合ドメイン及びより可変的な膜貫通ドメインの存在によって分類される。ATP結合カセットサブファミリーBメンバー1(ABCB1)遺伝子によってコードされる多剤耐性タンパク質1(MDR1)は、これらのうち最初に特定されたものであり、広範囲にわたって研究されてきている。ABCG2発現は、特定の化学療法剤による治療に応答して増加する。
EPは、腫瘍が化学療法剤に対する耐性を発達させることを可能にする。かかる耐性は、薬剤耐性細胞からの化学療法剤の増強された排出としばしば関連する。この化学療法耐性は、2つ以上の化学療法剤に適用される場合、多剤耐性(MDR)と呼ばれる。
したがって、EPの発現についてアッセイするため、及び/又はEPを阻害するために使用され得る試薬を開発する必要性がある。
細胞排出ポンプABCG2を標的とする抗体が提供される。また、かかる抗体を含むか又はコードする医薬組成物、核酸、組換え発現ベクター、細胞、及びキットが提供される。細胞、例えば、腫瘍細胞におけるABCG2発現の有無、ABCG2発現のレベルを検出するため、及び/又はABCG2機能を阻害するために抗体を使用する方法も開示される。加えて、ABCG2を過剰発現するがん細胞及び細胞表面の腫瘍関連抗原(TAA:tumor-associated antigen)に結合する多重特異性抗体が提供される。加えて、ABCG2及び排出ポンプABCB1を過剰発現するがん細胞に結合する多重特異性抗体が提供される。また、本明細書に開示される抗ABCG2抗体又は多重特異性抗体を対象に投与することを含む、がんについて対象を治療するための方法が提供される。
定義
「抗体」及び「免疫グロブリン」という用語は、任意のアイソタイプの抗体又は免疫グロブリン、抗原との特異的結合を保持する抗体の断片で、Fab、Fv、scFv、Fd、Fab’、Fv、F(ab’)2を含むがこれらに限定されない断片、キメラ抗体、ヒト化抗体、モノクローナル抗体、重鎖のみを含む抗体(例えば、VHHラクダ科抗体)を含む単鎖抗体、二重特異性抗体、及び抗体の抗原結合部分と非抗体タンパク質とを含む融合タンパク質を含む。抗体は、例えば、放射性同位体、検出可能な生成物を生じる酵素、蛍光タンパク質などで検出可能なように標識され得る。抗体は、特定の結合対のメンバー、例えば、ビオチン(ビオチン-アビジン特異的結合対のメンバー)などの他の部分に更にコンジュゲートされ得る。抗体はまた、ポリスチレンプレート又はビーズなどを含むが、これらに限定されない固体支持体に結合され得る。抗体は、一価又は二価であり得る。抗体は、化学療法剤などの毒性部分にコンジュゲートされ得る。
「抗体」及び「免疫グロブリン」という用語は、任意のアイソタイプの抗体又は免疫グロブリン、抗原との特異的結合を保持する抗体の断片で、Fab、Fv、scFv、Fd、Fab’、Fv、F(ab’)2を含むがこれらに限定されない断片、キメラ抗体、ヒト化抗体、モノクローナル抗体、重鎖のみを含む抗体(例えば、VHHラクダ科抗体)を含む単鎖抗体、二重特異性抗体、及び抗体の抗原結合部分と非抗体タンパク質とを含む融合タンパク質を含む。抗体は、例えば、放射性同位体、検出可能な生成物を生じる酵素、蛍光タンパク質などで検出可能なように標識され得る。抗体は、特定の結合対のメンバー、例えば、ビオチン(ビオチン-アビジン特異的結合対のメンバー)などの他の部分に更にコンジュゲートされ得る。抗体はまた、ポリスチレンプレート又はビーズなどを含むが、これらに限定されない固体支持体に結合され得る。抗体は、一価又は二価であり得る。抗体は、化学療法剤などの毒性部分にコンジュゲートされ得る。
「抗体断片」は、インタクト抗体の一部、例えば、インタクト抗体の抗原結合領域又は可変領域を含む。抗体断片の例には、Fab、Fab’、F(ab’)2、及びFv断片;ダイアボディ;線状抗体(Zapata et al.,Protein Eng.8(10): 1057-1062(1995))、重鎖のみを含む抗体(例えば、VHHラクダ抗体)を含む単鎖抗体分子、及び抗体断片から形成された多重特異性抗体が含まれる。抗体のパパイン消化は、各々が単一の抗原結合部位を有する「Fab」断片と呼ばれる2つの同一の抗原結合断片、及び容易に結晶化する(crystallize)能力を反映する命名である残りの「Fc」断片を生じる。ペプシン処置は、2つの抗原結合部位を有し、依然として抗原を架橋することができるF(ab’)2断片をもたらす。
「Fv」は、完全な抗原-認識及び抗原-結合部位を含む最小抗体断片である。この領域は、緊密な非共有結合性会合で1つの重鎖可変ドメイン及び1つの軽鎖可変ドメインの二量体からなる。この立体構造では、各可変ドメインの3つのCDRが相互作用して、VH-VL二量体の表面に抗原結合部位を定義する。まとめると、6つのCDRは、抗体に抗原結合特異性を付与する。しかしながら、単一の可変ドメイン(又は抗原に対して特異的な3つのCDRのみを含むFvの半分)でさえ抗原を認識して結合する能力を有するが、各可変ドメインの3つのCDRを含む全結合部位よりも低い親和性である。
「Fab」断片はまた、軽鎖の定常ドメイン及び重鎖の第1の定常ドメイン(CH1)を含む。Fab断片は、抗体ヒンジ領域からの1つ以上のシステインを含む、重鎖CH1ドメインのカルボキシル末端におけるいくつかの残基の付加によって、Fab’断片とは異なる。Fab’-SHは、定常ドメインのシステイン残基が遊離チオール基を有するFab’に関する、本明細書における命名である。F(ab’)2抗体断片はもともと、間にヒンジシステインを有して対をなすFab’断片として生成された。抗体断片の他の化学的カップリングも知られている。
任意の脊椎動物種からの抗体(免疫グロブリン)の「軽鎖」は、それらの定常ドメインのアミノ酸配列に基づいて、カッパ及びラムダと呼ばれる2つの明確に異なるタイプのうちの1つに割り当てることができる。それらの重鎖の定常ドメインのアミノ酸配列に応じて、免疫グロブリンを異なるクラスに割り当てることができる。免疫グロブリンの5つの主要なクラス:IgA、IgD、IgE、IgG、及びIgMがあり、これらのうちのいくつかは、更にサブクラス(アイソタイプ)、例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA、及びIgA2に分けられ得る。
「単鎖Fv」、「sFv」、又は「scFv」抗体断片は、抗体のVH及びVLドメインを含み、これらのドメインは、単一のポリペプチド鎖に存在する。いくつかの実施形態において、Fvポリペプチドは、VHドメインとVLドメインとの間にポリペプチドリンカーを更に含み、sFvが抗原結合のための所望の構造を形成することを可能にする。sFvの概説について、The Pharmacology of Monoclonal Antibodies,vol.113,Rosenburg and Moore eds.,Springer-Verlag,New York,pp.269-315(1994)におけるPluckthunを参照されたい。
「ダイアボディ」という用語は、2つの抗原結合部位を有する小さい抗体断片を指し、この断片は、軽鎖可変ドメイン(VL)に接続された重鎖可変ドメイン(VH)を同じポリペプチド鎖(VH-VL)に含む。同じ鎖上の2つのドメイン間の対形成を可能にするには短すぎるリンカーを使用することによって、該ドメインは、別の鎖の相補的ドメインと対形成され、2つの抗原結合部位を形成する。ダイアボディは、例えば、EP404,097、WO93/11161、及びHollinger et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,90:6444-6448(1993)に、より完全に記載されている。
本明細書で使用される場合、「親和性」という用語は、2つの薬剤の可逆的結合における平衡定数を指し、解離定数(Kd)として表される。親和性は、関連のないアミノ酸配列に対する抗体の親和性よりも、少なくとも1倍大きい、少なくとも2倍大きい、少なくとも3倍大きい、少なくとも4倍大きい、少なくとも5倍大きい、少なくとも6倍大きい、少なくとも7倍大きい、少なくとも8倍大きい、少なくとも9倍大きい、少なくとも10倍大きい、少なくとも20倍大きい、少なくとも30倍大きい、少なくとも40倍大きい、少なくとも50倍大きい、少なくとも60倍大きい、少なくとも70倍大きい、少なくとも80倍大きい、少なくとも90倍大きい、少なくとも100倍大きい、又は少なくとも1000倍大きい、又はそれ以上であることができる。標的タンパク質に対する抗体の親和性は、例えば、約100ナノモル(nM)~約0.1nM、約100nM~約1ピコモル(pM)、又は約100nM~約1フェムトモル(fM)以上であることができる。本明細書に使用される場合、「アビディティ」という用語は、希釈後の解離に対する2つ以上の薬剤の複合体の耐性を指す。「免疫反応性の」及び「優先的に結合する」という用語は、抗体及び/又は抗原結合断片に関して本明細書において互換的に使用される。
「結合」という用語は、共有結合相互作用、静電相互作用、疎水性相互作用、並びに例えば、塩架橋及び水架橋などの相互作用を含むイオン及び/又は水素結合相互作用による、2つの分子間の直接的会合を指す。ABCG2特異的抗体は、ABCG2ポリペプチド内のエピトープに特異的に結合する。エピトープは、アミノ酸の連続した伸長によって形成された直鎖エピトープ、又はアミノ酸の非連続的な伸長によって形成された非直鎖エピトープ若しくは立体構造エピトープであり得る。非特異的結合は、約10-7M未満の親和性による結合、例えば、10-6M、10-5M、10-4Mなどの親和性による結合を指す。
本明細書に使用される場合、「CDR」又は「相補性決定領域」という用語は、重鎖及び軽鎖ポリペプチドの両方の可変領域内に認められる非連続的な抗原結合部位を意味することが意図される。CDRは超可変領域であり、「フレームワーク領域(FR)」と呼ばれる、より保存された領域とともに散在される。CDRは、Kabat et al.,J.Biol.Chem.252:6609-6616(1977)、Kabat et al.,U.S.Dept.of Health and Human Services,“Sequences of proteins of immunological interest”(1991)、Chothia et al.,J.Mol.Biol.196:901-917(1987)、及びMacCallum et al.,J.Mol.Biol.262:732-745(1996)によって記載されており、それらの定義には、互いに対して比較されたときに、重複するアミノ酸残基又はそれらのサブセットが含まれる。それにもかかわらず、抗体のCDR又はそれらのグラフト抗体若しくはバリアントを指すいずれかの定義の適用は、本明細書に定義及び使用される用語の範囲内であることが意図される。上記に引用した文献の各々によって定義されるCDRを包含するアミノ酸残基が、比較として以下の表1に示される。
本明細書に使用される場合、「フレームワーク」という用語は、抗体可変領域に関して使用されるとき、抗体の可変領域におけるCDR領域外の全てのアミノ酸残基を意味することが意図される。可変領域フレームワークは、概して、長さが約100~120個のアミノ酸の不連続なアミノ酸配列であるが、CDRの外側のこれらのアミノ酸のみを言及することが意図される。本明細書に使用される場合、「フレームワーク領域」という用語は、CDRによって分離されているフレームワークの各ドメインを意味することが意図される。VH鎖は、以下の順序:FR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3、FR4、でN末端からC末端に配列された3つのCDR及び4つのFRを含むことができる。同様に、VL鎖は、以下の順序:FR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3、FR4、でN末端からC末端に配列された3つのCDR及び4つのFRを含むことができる。
本明細書で使用される場合、抗体という用語は、2つの重鎖及び2つの軽鎖の四量体を包含し、重鎖及び軽鎖は、例えば、ジスルフィド結合によって相互接続される。重鎖定常領域は、3つのドメインであるCH1、CH2、及びCH3からなる。軽鎖定常領域は、1つのドメインであるCLからなる。重鎖及び軽鎖の可変領域は、抗原と相互作用する結合領域を含む。抗体の定常領域は、典型的には、免疫系の様々な細胞及び補体系の第1の成分を含む、ホストの組織及び因子との抗体の結合を媒介する。「抗体」という用語は、免疫グロブリンのタイプであるIgA、IgG、IgE、IgD、IgM、及びそれらのサブタイプを含む。いくつかの実施形態において、対象抗体は、IgGアイソタイプ、例えば、IgG1である。
本明細書で使用される場合、「免疫グロブリン」という用語は、免疫グロブリン遺伝子によって実質的にコードされる1つ以上のポリペプチドを含むタンパク質を指す。認められたヒト免疫グロブリン遺伝子には、カッパ、ラムダ、アルファ(IgA1及びIgA2)、ガンマ(IgG1、IgG2、IgG3、IgG4)、デルタ、イプシロン、及びミュー定常領域遺伝子、並びに多数の免疫グロブリン可変領域遺伝子が含まれる。全長免疫グロブリン軽鎖(約25kD又は214個のアミノ酸)は、N末端の可変領域遺伝子(約110個のアミノ酸)及びC末端のカッパ又はラムダ定常領域によってコードされる。全長免疫グロブリン重鎖(約50kD又は446個のアミノ酸)は、N末端の可変領域遺伝子(約116個のアミノ酸)及びC末端の他の上述の定常領域遺伝子のうちの1つ、例えば、ガンマ(約330個のアミノ酸をコードする)によってコードされる。いくつかの実施形態において、対象抗体は、全長免疫グロブリン重鎖及び全長免疫グロブリン軽鎖を含む。
「抗原結合断片」という用語は、抗原に特異的に結合することができる全長抗体の1つ以上の断片を指す。結合断片の例には、(i)Fab断片(VL、VH、CL、及びCH1ドメインを含む、例えば、それらからなる、一価の断片)、(ii)F(ab’)2断片(ヒンジ領域でジスルフィド架橋によって連結された2つのFab断片を含む二価の断片)、(iii)Fd断片(VH及びCH1ドメインを含む、例えば、それらからなる)、(iv)Fv断片(例えば、抗体の単一アームのVH及びVLドメインを含む、例えば、それらからなる)、(v)dAb断片(VHドメインを含む、例えば、それからなる)、(vi)単離されたCDR、(vii)単鎖Fv(scFv)(例えば、VH及びVLドメイン対が一価分子を形成するように組換え手段を使用して合成リンカーによって結合された抗体の単一アームのVH及びVLドメインを含む、例えば、それらからなる)、(viii)ダイアボディ(VH及びVLドメインが、それらが一価分子を形成しないように対形成しない2つのscFvを含む、例えば、それらからなり、scFvのうちの各1つのVHが、他のscFvのVLドメインと対形成して二価分子を形成する)。
「キメラ」抗体という用語は、重鎖及び/又は軽鎖の一部が、特定の供給源若しくは種に由来し、一方、重鎖及び/又は軽鎖の残分が、異なる供給源若しくは種に由来する抗体を指す。
「ヒト抗体」は、ヒト若しくはヒト細胞によって産生されるか、又はヒト抗体レパートリー若しくは他のヒト抗体コード配列を利用する非ヒト供給源に由来する抗体に対応するアミノ酸配列を有するものである。ヒト抗体のこの定義は、非ヒト抗原結合残基を含むヒト化抗体を明確に除外する。
「ヒトコンセンサスフレームワーク」は、ヒト免疫グロブリン可変軽鎖(VL)又は可変重鎖(VH)フレームワーク配列の選択において最も一般的に存在するアミノ酸残基を表すフレームワーク(FR)である。一般に、ヒト免疫グロブリンVL又はVH配列の選択は、可変ドメイン配列のサブグループからである。一般に、配列のサブグループは、Kabat et al.,Sequences of Proteins of Immunological Interest,Fifth Edition,NIH Publication 91-3242,Bethesda Md.(1991),vols.1-3におけるようなサブグループである。一実施形態において、VLについて、サブグループは、Kabat et al.,上記におけるようなカッパIである。一実施形態において、VHについて、サブグループは、Kabat et al.,上記におけるようなサブグループIIIである。
「ヒト化」抗体は、非ヒトCDRからのアミノ酸残基及びヒトフレームワーク(FR)からのアミノ酸残基を含むキメラ抗体を指す。ヒト化抗体定常領域の少なくとも一部は、ヒト抗体、例えば、ヒトIgG1抗体に由来する。好ましい実施形態において、本明細書に開示される抗体分子は、本明細書に提供される可変重鎖領域、及びUniProt:P01857-1、version 1に示されるアミノ酸配列を有するヒトIgG1定常領域を含む重鎖を含む。好ましい実施形態において、本明細書に開示される抗体分子は、本明細書に提供される可変軽鎖領域、及びヒト軽鎖定常領域を含む軽鎖を含む。好ましい実施形態において、ヒト軽鎖定常領域は、UniProtKB/Swiss-Prot:P01834.2に示されるアミノ酸を有するヒトカッパ軽鎖定常領域である。特定の態様において、対象抗体に存在するヒトIgG1重鎖定常領域は、変異、例えば、Fc機能を調節する置換を含み得る。例えば、LALAPGエフェクター機能変異(L234A、L235A、及びP329G)又はN297A変異を導入して、抗体依存性細胞傷害性(ADCC)を低下し得る。置換の番号付けは、EU番号付けシステムに基づく。「EU番号付けシステム」又は「EUインデックス」は、免疫グロブリン重鎖定常領域内の残基を言及するときに一般的に使用される(例えば、Kabat et al.,Sequences of Proteins of Immunological Interest,5th Ed.Public Health Service,National Institutes of Health,Bethesda,MD.(1991)に報告されているEUインデックス)。「KabatにおけるようなEUインデックス」は、ヒトIgG 1 EU抗体の残基番号付けを指す。
抗体、例えば、非ヒト抗体の「ヒト化形態」は、ヒト化を受けている抗体を指す。
「エピトープ」という用語は、免疫系によって、例えば、抗体、B細胞、又はT細胞によって認識される抗原の領域を指す。例えば、エピトープは、抗体が結合する抗原の特異的領域である。
「単離された」抗体は、その天然環境の成分から同定、分離、及び/又は回収されている抗体である。その天然環境のコンタミネーション成分は、抗体における診断的又は治療的使用を妨げ得る物質であり、酵素、ホルモン、及び他のタンパク質性又は非タンパク質性溶質を含み得る。いくつかの実施形態において、抗体は、(1)ローリー法によって決定されるときに抗体の重量で90%超、95%超、若しくは98%超、例えば、重量で99%超まで、(2)スピニングカップシーケネータの使用によって、N末端若しくは内部アミノ酸配列の少なくとも15残基を得るのに十分な程度まで、又は(3)クマシーブルー若しくは銀染色を使用して、還元若しくは非還元条件下で、ドデシル硫酸ナトリウム-ポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS-PAGE)による均質性まで、精製される。単離された抗体には、組換え細胞内のインサイツでの抗体が含まれ、これは、該抗体の天然環境の少なくとも1つの成分が存在しないためである。いくつかの事例において、単離された抗体は、少なくとも1つの精製ステップによって調製される。
本明細書で使用される場合、「細胞傷害性剤」という用語は、細胞機能を阻害若しくは防止し、かつ/又は細胞死若しくは細胞破壊を引き起こす物質を指す。「抗腫瘍剤」とも称される「化学療法剤」は、がん又は他の疾患若しくは障害を治療するために使用される細胞傷害性剤であることができる。
本明細書で使用される場合、「治療」、「治療すること」などという用語は、所望の薬理学的及び/又は生理学的効果を得ることを指す。効果は、疾患又はその症状を完全若しくは部分的に防止するという点で予防的であり得、かつ/又は疾患及び/若しくは疾患に起因する副作用における部分的若しくは完全な治癒という点で治療的であり得る。本明細書で使用される場合、「治療」は、ヒトを含む哺乳動物における疾患の任意の治療を網羅し、(a)疾患にかかりやすいが、それを有すると診断されていない対象において、疾患が発生することを防止すること、(b)疾患を阻害すること、すなわち、その発症を阻止すること、及び(c)疾患を緩和すること、すなわち、疾患の退縮を引き起こすこと、を含む。
本明細書で互換的に使用される「個体」、「対象」、「ホスト」、及び「患者」という用語は、ネズミ(ラット、マウス)、非ヒト霊長類、ヒト、イヌ、ネコ、有蹄類(例えば、ウマ、ウシ、ヒツジ、ブタ、ヤギ)などを含むがこれらに限定されない哺乳動物を指す。
「治療有効量」又は「有効量」は、疾患を治療するために哺乳類又は他の対象に投与されたとき、疾患におけるかかる治療に影響を及ぼすのに十分である、標的特異的抗体の量を指す。「治療有効量」は、抗体、疾患及びその重症度、並び治療される対象の年齢、体重などに応じて変化する。
本明細書で使用される「難治性」という用語は、治療に応答しない疾患又は状態を指す。がんに関して、「難治性がん」は、本明細書で使用される場合、治療に応答しないがんを指す。難治性がんは、治療の開始時に耐性であり得るか、又は治療中に耐性になり得る。難治性がんは、耐性がんとも呼ばれ得る。
「生体試料」は、個体から得られる様々な試料タイプを包含し、診断又はモニタリングアッセイに使用することができる。定義は、生体由来の血液及び他の液体試料、生検標本などの固体組織試料、又は組織培養物若しくはそれに由来する細胞及びそれらの子孫を包含する。定義はまた、それらの取得後に任意の方法、例えば、試薬による処置、可溶化、又はポリヌクレオチドなどの特定の成分の豊富化によって、操作されている試料を含む。「生体試料」という用語は、臨床試料を包含し、培養中の細胞、細胞上清、細胞溶解物、血清、血漿、生物学的液体、及び組織試料も含む。
配列の対の間の同一性パーセントは、対における一致数に100を乗じ、ギャップを含む整列した領域の長さで除することによって計算され得る。同一性スコアリングは、完全な一致のみを計数し、アミノ酸の互いの類似性の程度は考慮しない。内部のギャップのみが長さに含まれ、配列端のギャップは含まれない。同一性パーセント=(一致数×100)/整列した領域の長さ(ギャップを伴う)
「保存的アミノ酸置換」という語句は、以下の基内のアミノ酸残基の置換を指す。1)L、I、M、V、F、2)R、K、3)F、Y、H、W、R、4)G、A、T、S、5)Q、N、及び6)D、E。保存的アミノ酸置換は、タンパク質中のアミノ酸を、側鎖の類似の酸性度、塩基性度、電荷、極性、又はサイズの側鎖を有するアミノ酸で置き換えることによって、タンパク質の活性を保存し得る。
置換、挿入、又は欠失のための手引きは、異なる種からのタンパク質のアミノ酸配列の整列に基づき得るか、又は同じか若しくは類似の機能を有する複数のタンパク質に基づいたコンセンサス配列からのものであり得る。
「ベクター」という用語は、タンパク質コード情報を宿主細胞に移すために使用される任意の分子又は実体(例えば、核酸、プラスミド、バクテリオファージ、又はウイルス)を意味する。
「発現ベクター」又は「発現構築物」という用語は、宿主細胞の形質転換に好適であり、それに操作可能に連結された1つ以上の異種コード領域の発現を(宿主細胞と併せて)指示及び/又は制御する核酸配列を含むベクターを指す。発現構築物は、限定されないが、転写、翻訳に影響を及ぼすか、又はそれを制御し、イントロンが存在する場合、それに操作可能に連結されたコード領域のRNAスプライシングに影響を及ぼす配列を含み得る。
「刺激」という用語は、刺激分子(例えば、TCR/CD3複合体又はCAR)とその同族リガンド(又はCARの場合に腫瘍抗原)との結合によって誘導される一次応答を指し、それによって、限定されないが、TCR/CD3複合体を介したシグナル伝達、又は適切なNK受容体若しくはCARのシグナル伝達ドメインを介したシグナル伝達などのシグナル伝達事象を媒介する。刺激は、特定の分子の変化した発現を媒介することができる。
「刺激分子」という用語は、免疫細胞シグナル伝達経路の少なくともいくつかの態様について刺激的な方法で免疫細胞の活性化を調節する細胞質シグナル配列を提供する免疫細胞(例えば、T細胞、NK細胞、B細胞)によって発現される分子を指す。一態様において、シグナルは、例えば、TCR/CD3複合体とペプチドがロードされたMHC分子との結合によって開始される一次シグナルであり、増殖、活性化、分化などを含むがこれらに限定されないT細胞応答の媒介をもたらす。刺激的な手段で作用する一次細胞質シグナル伝達配列(「一次シグナル伝達ドメイン」とも呼ばれる)は、免疫受容活性化チロシンモチーフ又はITAMとして知られるシグナル伝達モチーフを含有し得る。本発明において特に有用なITAM含有細胞質シグナル伝達配列の例には、CD3ゼータ、コモンFcRガンマ(FCER1G)、FcガンマRIIa、FcRベータ(FcイプシロンR1b)、CD3ガンマ、CD3デルタ、CD3イプシロン、CD79a、CD79b、DAP10、及びDAP12に由来するものが含まれるが、これらに限定されない。
「共刺激分子」という用語は、共刺激リガンドと特異的に結合し、それによって、T細胞による共刺激応答、例えば、限定されないが、増殖を媒介する、T細胞上の同族結合パートナーを指す。共刺激分子は、効率的な免疫応答に寄与する抗原受容体又はそれらのリガンド以外の細胞表面分子である。共刺激分子には、MHCクラスI分子、BTLA及びTollリガンド受容体、並びにOX40、CD27、CD28、CDS、ICAM-1、LFA-1(CD11a/CD18)、ICOS(CD278)、及び4-1BB(CD137)が含まれるが、これらに限定されない。
「自己」という用語は、後に再導入される個体と同じ個体に由来する任意の材料を指す。
「細胞内シグナル伝達ドメイン」は、本明細書で使用される場合、分子の細胞内部分を指す。細胞内シグナル伝達ドメインは、CAR含有細胞、例えばCAR-T細胞の免疫エフェクター機能を促進するシグナルを生じる。例えばCAR-T細胞における、免疫エフェクター機能の例には、細胞溶解活性及びサイトカインの分泌を含むヘルパー活性が含まれる。
本明細書に使用される場合、「免疫エフェクター細胞」は、免疫応答、例えば、免疫エフェクター応答の促進に関与する細胞を指す。免疫エフェクター細胞の例には、T細胞、例えば、アルファ/ベータT細胞及びガンマ/デルタT細胞、B細胞、ナチュラルキラー(NK)細胞、ナチュラルキラーT(NKT)細胞、肥満細胞、並びに骨髄由来食細胞が含まれる。
細胞排出ポンプABCG2に結合する抗体が提供される。また、かかる抗体を含むか又はコードする医薬組成物、核酸、組換え発現ベクター、細胞、及びキットが提供される。細胞、例えば、腫瘍細胞におけるABCG2発現の有無、ABCG2発現のレベルを検出するため、及び/又はABCG2機能を阻害するために抗体を使用する方法も開示される。加えて、ABCG2及び腫瘍関連抗原(TAA)の両方を細胞表面に発現するがん細胞に結合する二重特異性抗体などの多重特異性抗体が提供される。加えて、ABCG2及び排出ポンプABCB1の両方を発現するがん細胞に結合する二重特異性抗体が提供される。特定の態様において、本明細書に開示される二重特異性抗体は、両方の抗原を発現する細胞に結合し、抗原のうちの1つのみを発現する細胞には、検出可能なように結合しない。また、本明細書に開示される抗ABCG2抗体又は多重特異性抗体を対象に投与することを含む、がんについて対象を治療するための方法が提供される。
本発明をより詳細に説明する前に、本発明は、記載される特定の実施形態に限定されず、そのため、もちろん変化し得ることを理解されたい。本明細書に使用される用語は、単に特定の実施形態を記載する目的のためであり、限定することが意図されておらず、本発明の範囲は添付の特許請求の範囲によってのみ限定されることも理解されたい。
値の範囲が提供される場合、文脈が別途明確に指示しない限り、その範囲の上限と下限との間の下限の単位の10分の1までの各介在値と、記載された範囲内の任意の他の記載された値又は介在値は、本発明内に包含されることが理解される。これらのより狭い範囲の上限及び下限は、独立して、より狭い範囲に含まれ得、また、記載された範囲内の任意の特定の除外された制限に従うことを条件として、本発明内に包含される。記載された範囲が制限の一方又は両方を含む場合、それらの制限のいずれか又は両方を除外する範囲も本発明に含まれる。
特定の範囲は、本明細書において、「約」という用語によって先行される数値で示される。「約」という用語は、本明細書において、それが先行する正確な数字、並びにその用語が先行する数字に近いか又はおおよそ付近である数字について文言的サポートを提供するために使用される。ある数が具体的に列挙された数字に近いか又はおおよそ付近であるかを決定する際、近いか又はおおよそ付近であるが列挙されていない数字とは、それが提示される文脈において、具体的に列挙された数字の実質的な等価値を提供する数字であり得る。
別途定義されない限り、本明細書で使用される全ての技術用語及び科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者に一般に理解される意味と同じ意味を有する。本明細書に記載されるものと類似又は同等の任意の方法及び材料も、本発明の実施又は試験において使用することができるが、代表的な例示的な方法及び材料がここに記述される。
本明細書に引用される全ての刊行物及び特許は、各個別の刊行物又は特許が、参照により組み込まれることが具体的かつ個別に示されるかのように、参照により本明細書に組み込まれ、刊行物が関連して引用されるところの方法及び/又は材料を開示して説明するために、参照により本明細書に組み込まれる。刊行物の引用は、本出願日の前のその開示についてのものであり、本発明がかかる刊行物に先行する権利がないことを認めるものと解釈されるべきではない。更に、提供される刊行物の日付は、実際の公開日とは異なり得、独立して確認する必要があり得る。
本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用される場合、単数形「a」、「an」、及び「the」は、文脈が明確に他を示さない限り、複数の指示物を含むことに留意されたい。更に、特許請求の範囲は、任意選択的な要素を除外するように起草され得ることに留意されたい。したがって、この記述は、特許請求の範囲の要素の列挙に関連した「単に」、「のみ」等の排他的な用語の使用、又は「除く」による限定の使用のための記載根拠としての役割を果たすことが意図される。
本開示を読むと当業者に明らかになるように、本明細書に記載及び例示される個々の実施形態の各々は、本発明の範囲又は趣旨から逸脱することなく、他のいくつかの実施形態のいずれかの特徴から容易に分離され得る、又はそれらと組み合わされ得る個別の構成要素及び特性を有する。任意の列挙された方法は、列挙された事象の順序、又は論理的に可能な任意の他の順序で実行され得る。
方法及び組成物は、文法的流動性のために機能的説明を伴って説明されてきたか又はこれから説明されるが、特許請求の範囲は、明示的に35 U.S.C.§112(f)の下で定式化されていない限り、「手段」又は「ステップ」の限定の構築によって必ずしも限定されると解釈されるべきではなく、均等論の下で特許請求の範囲によって提供される定義の意味及び等価物の完全な範囲を与えられ、特許請求の範囲が明示的に35 U.S.C.§112(f)の下で定式化されている場合には、35 U.S.C.§112(f)の下での完全な法定等価物を与えられることを明確に理解されたい。
抗体
上述に要約されるように、本開示は、細胞排出ポンプABCG2に結合する抗体を提供する。
上述に要約されるように、本開示は、細胞排出ポンプABCG2に結合する抗体を提供する。
CD388及びBCRPとしても知られるABCG2は、ATP結合カセットサブファミリーGメンバー2(ABCG2)遺伝子から発現される、多剤耐性細胞における減少した薬物蓄積を担うエネルギー依存性排出ポンプである。
いくつかの態様において、本明細書に開示される抗体は、ABCG2の細胞外ドメインで1つ以上の部位に結合する。特定の態様において、本開示の抗ABCG2抗体は、ヒトABCG2に結合する。特定の態様において、本開示の抗ABCG2抗体は、ヒト細胞、例えば、がん細胞の細胞表面に発現されるヒトABCG2に結合する。特定の態様において、本明細書に開示される抗体は、ヒトABCG2の細胞外ドメイン(ECD)で1つ以上の部位に結合し、ECDは、配列:KNDSTGIQNRAG(配列番号1)を含み得、この配列は、登録番号NP_004818を有するヒトABCG2配列のアミノ酸残基417~428に対応する。特定の態様において、本明細書に開示される抗体は、ヒトABCG2の細胞外ドメイン(ECD)で1つ以上の部位に結合し、ECDは、配列:LKPKADAF(配列番号2)を含み得、この配列は、登録番号NP_004818を有するヒトABCG2配列のアミノ酸残基499~506に対応する。特定の態様において、本明細書に開示される抗体は、ヒトABCG2の細胞外ドメイン(ECD)で1つ以上の部位に結合し、ECDは、配列:NLTTIASWLSWLQYFSIPRYGFTALQHNEFLGQNFCPGLNATGNNPCNYATCTGEEYLVKQGIDLSPWGLWKNH(配列番号3)を含み得、この配列は、登録番号NP_004818を有するヒトABCG2配列のアミノ酸残基557~630に対応する。
本開示の抗体は、
i)ABCG2からの排出を阻害する特性、
ii)化学療法剤による治療に対するがん細胞の感受性を増加させ、それによって、化学療法剤のIC50を少なくとも2倍低下させる特性、
iii)ヒト及びカニクイザルABCG2に結合する特性、
iv)インビボ細胞殺傷アッセイにおいて有効である特性、
v)化学療法の非存在下でさえ腫瘍増殖を阻害するのに有効である特性、
vi)開いた立体構造で拘束されたABCG2変異体に優先的に結合する特性、
vii)非がん細胞と比較してABCG2をより高いレベルで発現するがん細胞に結合し、非がん細胞には有意に低く結合するように、ABCG2に対してより低レンジでの親和性を有する特性、及び
viii)閉じた立体構造で拘束されたABCG2変異体に優先的に結合する特性、
のうちの1つ以上を有し得る。
i)ABCG2からの排出を阻害する特性、
ii)化学療法剤による治療に対するがん細胞の感受性を増加させ、それによって、化学療法剤のIC50を少なくとも2倍低下させる特性、
iii)ヒト及びカニクイザルABCG2に結合する特性、
iv)インビボ細胞殺傷アッセイにおいて有効である特性、
v)化学療法の非存在下でさえ腫瘍増殖を阻害するのに有効である特性、
vi)開いた立体構造で拘束されたABCG2変異体に優先的に結合する特性、
vii)非がん細胞と比較してABCG2をより高いレベルで発現するがん細胞に結合し、非がん細胞には有意に低く結合するように、ABCG2に対してより低レンジでの親和性を有する特性、及び
viii)閉じた立体構造で拘束されたABCG2変異体に優先的に結合する特性、
のうちの1つ以上を有し得る。
特定の態様において、本開示の抗体は、抗ABCG2抗体5D3よりも低いEC50を有し得る。本明細書に使用される場合、EC50は、最大応答の半分(例えば、最大蛍光強度の半分)を提供する抗体の濃度を指す。本開示の抗体は、100nM以下、例えば、100nM~4nM、80nM~4nM、60nM~4nM、40nM~4nM、30nM~4nM、20nM~4nM、15nM~4nM、又は10nM~4nMのEC50を有し得る。試験抗体のEC50は、フローサイトメトリー又はELISAによって決定され得る。例えば、フローサイトメトリーは、ABCG2(例えば、ヒト野生型ABCG2又は変異体ABCG2)を発現する細胞をフローサイトメトリー緩衝液中の抗体(抗体は連続的に希釈されている)と接触させることと、室温又は4℃で抗体が細胞に結合するのに十分な時間(例えば、10分~1時間)インキュベートすることと、を伴い得る。インキュベートした後、任意で細胞を洗浄して、非特異的に結合した抗体を除去し得、かつ/又は細胞を、試験抗体に特異的に結合する蛍光標識二次抗体と接触させ得る。インキュベーション後、蛍光標識二次抗体を除去し、細胞を洗浄し得る。洗浄した細胞は、フローサイトメトリーによって選別され、蛍光標識二次抗体に結合した細胞数がカウントされ得る。最大応答の半分(例えば、最大蛍光強度の半分)を提供する濃度は、EC50として測定される。フローサイトメトリーアッセイのバリエーションでは、細胞は、ABCG2を過剰発現する293T細胞であり得る。特定の態様において、本開示の抗体は、抗ABCG2抗体5D3のEC50よりも高いEC50を有し得る。
特定の態様において、上に列挙される1つ以上の特性i)~viii)を有することに加えて、本開示の抗ABCG2抗体のうちの1つ以上は、抗ABCG2抗体5D3のEC50の少なくとも半分であるEC50を有し得る。特定の態様において、上に列挙される1つ以上の特性i)~viii)を有することに加えて、本開示の抗ABCG2抗体のうちの1つ以上は、抗ABCG2抗体5D3のEC50の少なくとも2倍であるEC50を有し得る。
試験抗体のIC50は、細胞増殖の阻害を測定することによって決定され得る。IC50は、試験抗体を単独で使用することによって測定して、最大応答の半分を生じた抗体の濃度を決定し得る。化学療法剤のIC50は、試験抗体の不存在及び存在下で測定して、IC50化学療法剤における抗体の効果を決定し得る。化学療法剤は、トポテカンであり得る。細胞は、がん細胞株であり得る。がん細胞株は、ヒト急性リンパ芽球性白血病(ALL)細胞株であるNALM6のドキソルビシン選択型B1陽性バリアントであるN6/ADRであり得る。N6/ADR細胞は、NALM6/ADR細胞とも呼ばれる。抗体のIC50を決定する場合、細胞は抗体と単独で接触され得、抗体は連続希釈で試験される。細胞を抗体及び化学療法剤と接触させて、薬剤のIC50における抗体の効果を決定し得、薬剤は連続希釈で試験される。細胞を37℃で一定時間(例えば、24時間~84時間)インキュベートして、標準的な試薬及び方法を使用して細胞生存率を評価し得る。本明細書に開示される抗体は、化学療法剤による治療に対するがん細胞の感受性を増加させ得、それによって化学療法剤のIC50を少なくとも5倍低下させる。がん細胞は、N6/ADRであり得る。化学療法剤は、トポテカンであり得る。特定の態様において、本開示の抗体は、化学療法剤のIC50を5倍以上、例えば、6倍以上、7倍以上、8倍以上、9倍以上、又は10倍以上、例えば5倍~10倍低下させ得る。
特定の態様において、本明細書に開示の抗ABCG2抗体のうちの1つ以上は、ヒト及びカニクイザルABCG2の両方に結合する。この特質は、動物モデルにおいて抗体の安全性を決定するために利用され得る。
特定の態様において、本明細書に開示の抗ABCG2抗体は、ABCG2に対して特異的であり、他の抗原との有意な結合を示さない。
特定の態様において、本開示の抗体のインビトロ細胞殺傷活性は、5D3抗体で観察されるよりも優れ得る。例えば、本開示の抗体は、5D3抗体よりも2倍以上高いインビトロ細胞殺傷活性を有し得る。
特定の態様において、本明細書に提供される抗体のうちの1つ以上は、開いた立体構造で拘束されたABCG2変異体に優先的に結合する。ABCG2変異体は、置換E211Qを含むヒト又はカニクイザルABCG2であり得、ここでアミノ酸位置の番号付けはヒトABCG2を参照している。かかる抗体は、閉じた立体構造で拘束された野生型ABCG2又はABCG2変異体と比較して、開いた立体構造で拘束されたABCG2変異体に少なくとも2倍(例えば、2倍、3倍、4倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍、10倍以上)の親和性で結合し得る。
特定の態様において、本明細書に提供される抗体のうちの1つ以上は、閉じた立体構造で拘束されたABCG2変異体に優先的に結合する。ABCG2変異体は、置換:(i)K86M及びS87A、(ii)K86M、S87A、及びQ126A、又は(iii)K86M、S87A、Q126A、R246E(アミノ酸位置の番号付けは、ヒトABCG2を参照している)を含む、ヒト又はカニクイザルABCG2であり得る。かかる抗体は、開いた立体構造で拘束された野生型ABCG2又はABCG2変異体と比較して、閉じた立体構造で拘束されたABCG2変異体に少なくとも2倍(例えば、2倍、3倍、4倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍、10倍以上)の親和性で結合し得る。
特定の態様において、本明細書に提供される抗体は、単一特異性二価抗ABCG2抗体である。特定の態様において、本開示の単一特異性二価抗ABCG2抗体は、抗ABCG2抗体である5D3に存在する少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11個、又は12個全てのHCDR1~3及びLCDR1~3を含まない。
5D3抗体は、配列:QVQLQESGPGLVKPSQSLSLTCTVTGFSITSDYAWNWIRQFPGKKLEWMGYINFDGGTTYNPSLRGRISITRDTSKNQFFLQLRSVTPEDTATYYCATFYGAKGTLDYWGQGTSVTVSS(配列番号4)を有する可変重鎖、
及び配列:DIVLTQSPSSFSVSLGDRVTISCKASGYILNRLAWYQQKPGNAPRLLISGATSLETGFPSRFSGTGSGKDYTLSISSLQTEDVGTYYCQQYWSTPWTFGGGTKLEIK(配列番号5)を有する可変軽鎖を含む。
及び配列:DIVLTQSPSSFSVSLGDRVTISCKASGYILNRLAWYQQKPGNAPRLLISGATSLETGFPSRFSGTGSGKDYTLSISSLQTEDVGTYYCQQYWSTPWTFGGGTKLEIK(配列番号5)を有する可変軽鎖を含む。
Kabat命名法に従って定義される5D3抗体のHCDR1~3及びLCDR1~3は、以下の通りである。
HCDR 1: GFSITSDYAW(配列番号6);HCDR 2: GYINFDGGTTYNPSLRG(配列番号7);HCDR 3: ATFYGAKGTLDY(配列番号8);
LCDR 1: KASGYILNRLA(配列番号9);LCDR 2: GATSLET(配列番号10);LCDR 3: QQYWSTPWT(配列番号11)。
HCDR 1: GFSITSDYAW(配列番号6);HCDR 2: GYINFDGGTTYNPSLRG(配列番号7);HCDR 3: ATFYGAKGTLDY(配列番号8);
LCDR 1: KASGYILNRLA(配列番号9);LCDR 2: GATSLET(配列番号10);LCDR 3: QQYWSTPWT(配列番号11)。
いくつかの実施形態において、対象抗体のうちの1つ以上は、ABCG2を発現する細胞に結合したとき、細胞ABCG2タンパク質の機能を妨げ得る。したがって、本開示の1つ以上の抗体は、ABCG2タンパク質による排出を阻害し得、例えば、対象抗体の非存在下におけるABCG2による排出と比較して、排出は、5%以上、例えば、10%以上、15%以上、20%以上、25%以上、30%以上、40%以上、50%以上、60%以上、70%以上、80%以上、又は90%以上低下される。いくつかの実施形態において、対象抗体は、ABCG2を発現する細胞に結合したときに、他のメカニズム、例えば、ABCG2を漏出的(leaky)にさせ、そのことがひいては化学療法剤の取り込みを増強させ、かつ/又は細胞の生存率を低下させることによって、ABCG2の作用を妨げ得る。
特定の態様において、ABCG2に結合する抗体が提供され、抗体は、ABCG2との結合について、表2に列挙される抗体の可変重鎖(VH)領域と可変軽鎖(VL)領域との対のそれぞれ重鎖相補性決定領域(HCDR)及び軽鎖CDR(LCDR)を含む抗体と競合する。例えば、一態様において、本開示の抗ABCG2抗体は、ABCG2との結合について、表2に列挙されるG2.302抗体と競合する。特定の態様において、HCDR1~3及びLCDR1~3は、Kabat命名法に従って定義される。
特定の態様において、抗体は、表2に列挙される抗体のVH領域のHCDR1、HCDR2、及びHCDR3を含む。特定の態様において、HCDR1、HCDR2、及びHCDR3は、Kabat命名法に従って定義される。例えば、一態様において、ABCG2との結合について表2に列挙されるG2.302抗体と競合する本開示の抗ABCG2抗体は、G2.302抗体のVH領域のHCDR1、HCDR2、及びHCDR3を含む。
第1の抗体が、ABCG2との結合について第2の抗体と競合するか決定するための任意の好適なアプローチが、用いられ得る。第1の抗体が化合物との結合について第2の抗体と「競合する」かは、当該技術分野で既知の競合結合アッセイを使用して容易に決定され得る。競合抗体は、例えば、抗体競合アッセイを介して特定され得る。例えば、第1の抗体の試料は、固体支持体に結合させることができる。次いで、かかる第1の抗体と競合することができると思われる第2の抗体の試料が添加される。2つの抗体のうちの1つは標識されている。標識抗体及び非標識抗体が、化合物上の離れた別個の部位に結合する場合、標識抗体は、競合すると思われる抗体が存在するか否かにかかわらず、同じレベルで結合する。しかしながら、相互作用部位が同一か又は重複する場合、非標識抗体が競合し、抗原に結合する標識抗体の量が低下する。非標識抗体が過剰に存在する場合、結合したとしても非常にわずかな標識抗体が結合する。
本開示の目的において、競合抗体は、化合物との抗体の結合を、約30%以上、約40%以上、約50%以上、約60%以上、約70%以上、約80%以上、約85%以上、約90%以上、約95%以上、又は約99%以上減少させるものである。かかる競合アッセイを実行するための手順の詳細は、当該技術分野において周知であり、例えば、Harlow and Lane,Antibodies,A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,New York,1988,567-569,1988,ISBN 0-87969-314-2に見出すことができる。かかるアッセイは、精製された抗体を使用することによって定量化することができる。標準曲線は、1つの抗体をそれ自体に対して力価測定することによって確立され得、すなわち、同じ抗体が、標識及び競合体の両方に使用される。標識抗体の標的エピトープとの結合を阻害する非標識競合抗体の能力が、力価測定される。結果をプロットし、所望の結合阻害の程度を達成するために必要な濃度が比較され得る。
特定の態様において、ABCG2に特異的に結合する抗体は、(i)表2に列挙される抗体の可変重鎖(VH)領域と可変軽鎖(VL)領域との対のHCDR1~3及び軽鎖CDR(LCDR1~3)、(ii)表2に列挙される抗体のVH領域のHCDR1~3、又は(iii)表2に列挙される抗体のVH領域のLCDR1~3を含む。HCDR及びLCDRは、Kabat命名法に基づいて定義され得る。
特定の態様において、ヒトABCG2に特異的に結合する本開示の抗体は、表2に列挙される抗体のHCDR1、HCDR2、及びHCDR3配列、並びにLCDR1、LCDR2、及びLCDR3配列を含む。ヒトABCG2に結合することに加えて、本明細書に提供される抗体のうちの1つ以上は、他の哺乳類種、例えば、マウス、サル、チンパンジーなどからのABCG2に結合し得る。抗体は、マウス又はラットで作製され得る。表2において、抗体が産生された動物が示される。抗体のうちのいくつかは、ヒト化された。
表2: 左から右へ、1列目:抗ABCG2抗体名、2列目:VH領域、3列目:HCDR1、4列目:HCDR2、5列目:HCDR3、6列目:VL領域、7列目:LCDR1、8列目:LCDR2、9列目:LCDR3。
表2: 左から右へ、1列目:抗ABCG2抗体名、2列目:VH領域、3列目:HCDR1、4列目:HCDR2、5列目:HCDR3、6列目:VL領域、7列目:LCDR1、8列目:LCDR2、9列目:LCDR3。
表2に列挙される抗ABCG2抗体は、抗KPG2抗体とも呼ばれ、表2に列挙される抗体番号によって言及することができる。
「抗体分子」という用語は、本明細書に定義される抗体を包含し、その抗原結合断片を含む。特定の態様において、抗体分子は、2つの可変軽鎖(VL)及び2つの可変重鎖(VH)を含む。特定の態様において、抗体分子はその上、重鎖及び軽鎖定常領域を含む。重鎖及び軽鎖定常領域は、ヒト抗体、例えば、ヒトIgG1抗体からであり得る。ヒトIgG1重鎖(HC)定常領域は、抗体依存性細胞傷害性(ADCC)を低下させる変異を含むように改変され得る。加えて、又は代替的に、2つのVH鎖は各々、異なるヒトIgG1 HC定常領域にコンジュゲートされ得、個々のヒトIgG1 HC定常領域は、異なるヒトIgG1 HC定常領域間の二量体の形成に都合がよい置換を有する。かかるHC領域は、本明細書で更に詳細に記載される。特定の態様において、抗体分子が二重特異性抗体分子である場合、ヒトIgG1 HC定常領域のうちの1つは、正荷電側鎖を有する1つ以上のアミノ酸を導入する置換を含み得、他のヒトIgG1 HC定常領域は、2つの異なるHC間の二量体の形成に都合がよい負荷電側鎖を有する1つ以上のアミノ酸を導入する置換を含み得る。
特定の態様において、抗体分子は、表2に列挙される抗体のVH領域とVL領域との対のHCDR1~3及び/又はLCDR1~3を含む。一態様において、抗体分子は、表2に列挙されるG2.248抗体のHCDR1~3及び/又はLCDR1~3を含む。一態様において、抗体分子は、表2に列挙されるG2.255抗体のHCDR1~3及び/又はLCDR1~3を含む。一態様において、抗体分子は、表2に列挙されるG2.256抗体のHCDR1~3及び/又はLCDR1~3を含む。一態様において、抗体分子は、表2に列挙されるG2.65抗体のHCDR1~3及び/又はLCDR1~3を含む。一態様において、抗体分子は、表2に列挙されるG2.30抗体のHCDR1~3及び/又はLCDR1~3を含む。一態様において、抗体分子は、表2に列挙されるG2.173抗体のHCDR1~3及び/又はLCDR1~3を含む。一態様において、抗体分子は、表2に列挙されるG2.333抗体、G2.343抗体、G2.636抗体、G2.629抗体、G2.643抗体、G2.420抗体、又はG2.631抗体のHCDR1~3及び/又はLCDR1~3を含む。一態様において、抗体分子は、表2に列挙されるG2.636抗体のHCDR1~3及び/又はLCDR1~3を含む。一態様において、抗体分子は、表2に列挙されるG2.318抗体のHCDR1~3及び/又はLCDR1~3を含む。
特定の態様において、抗体は、表2に列挙される抗体のVH領域とVL領域との対のHCDR1~3及び/又はLCDR1~3を含み、化学療法剤のIC50を5倍以上、6倍以上、7倍以上、8倍以上、9倍以上、又は10倍以上、例えば、5倍~10倍低下させる。
EC50は、50%最大応答を生じる抗体濃度であり得る(例えば、応答は、抗体とその抗原との結合である)。一態様において、抗体は、100nM以下のEC50及び/又は5D3などの抗ABCG2抗体のEC50の少なくとも半分であるEC50を有し、表2に列挙されるG2.248抗体のHCDR1~3及び/又はLCDR1~3を含む。一態様において、抗体は、100nM以下のEC50及び/又は5D3などの抗ABCG2抗体のEC50の少なくとも半分であるEC50を有し、表2に列挙されるG2.255抗体のHCDR1~3及び/又はLCDR1~3を含む。一態様において、抗体は、100nM以下のEC50及び/又は5D3などの抗ABCG2抗体のEC50の少なくとも半分であるEC50を有し、表2に列挙されるG2.256抗体のHCDR1~3及び/又はLCDR1~3を含む。一態様において、抗体は、100nM以下のEC50及び/又は5D3などの抗ABCG2抗体のEC50の少なくとも半分であるEC50を有し、表2に列挙されるG2.65抗体のHCDR1~3及び/又はLCDR1~3を含む。一態様において、抗体は、100nM以下のEC50及び/又は5D3などの抗ABCG2抗体のEC50の少なくとも半分であるEC50を有し、表2に列挙されるG2.30抗体のHCDR1~3及び/又はLCDR1~3を含む。一態様において、抗体は、100nM以下のEC50及び/又は5D3などの抗ABCG2抗体のEC50の少なくとも半分であるEC50を有し、表2に列挙されるG2.173抗体のHCDR1~3及び/又はLCDR1~3を含む。
いくつかの実施形態において、抗体は、別個のポリペプチドに存在するVL領域及びVH領域を含み、他の実施形態において、VL領域及びVH領域は、単一のポリペプチド内に含まれる。
本開示の抗体は、ヒト化軽鎖、ヒト化重鎖、又は両方を含み得る。特定の態様において、抗体は、表2にG2.173ヒト化1、G2.173ヒト化1、又はG2.173ヒト化1抗体について示されるようなVH領域を含むヒト化抗体であり得る。特定の態様において、抗体は、表2にG2.173ヒト化1、G2.173ヒト化1、又はG2.173ヒト化1抗体について示されるようなVL領域を含むヒト化抗体であり得る。特定の態様において、抗体は、表2にG2.173ヒト化1、G2.173ヒト化1、又はG2.173ヒト化1抗体について示されるようなVH及びVL領域を含むヒト化抗体であり得る。
本開示の抗体は、Igモノマー、Fab断片、F(ab’)2断片、Fd断片、scFv、scAb、dAb、及びFvからなる群から選択され得る。
多重特異性抗体
特定の態様において、本開示の抗体は、2つの異なる標的タンパク質に存在するエピトープを結合することができる多重特異性である。多重特異性抗体によって結合される異なる標的タンパク質の数、したがって異なるエピトープの数は、変化し得、2つ(すなわち、二重特異性)、3つ(三重特異性)、4つ、又はそれ以上であり得る。
特定の態様において、本開示の抗体は、2つの異なる標的タンパク質に存在するエピトープを結合することができる多重特異性である。多重特異性抗体によって結合される異なる標的タンパク質の数、したがって異なるエピトープの数は、変化し得、2つ(すなわち、二重特異性)、3つ(三重特異性)、4つ、又はそれ以上であり得る。
特定の態様において、本開示の抗体は、少なくとも2つの異なるエピトープに結合することができる多重特異性(例えば、二重特異性)抗体であり、エピトープのうちの1つは、ABCG2(例えば、ヒトABCG2)にあり、他のエピトープは、がん細胞の細胞表面に発現される腫瘍関連抗原(TAA)にある。別の態様において、本開示の多重特異性抗体は、ヒトABCG2及び排出ポンプMDR-1に結合する。特定の態様において、本開示の二重特異性抗体のVH鎖及びVL鎖は、抗体が、両方の抗原を発現する細胞、例えば、がん細胞に結合するが、抗原のうちの1つのみを発現する細胞には実質的に低下した結合を示すように選択される。
特定の態様において、本開示の二重特異性抗体のVH鎖及びVL鎖は、抗体が、両方の抗原を過剰発現する細胞に結合し、両方の抗原を正常レベルで発現するか又は抗原のうちの1つのみを発現若しくは過剰発現する細胞には実質的により低い結合を示すように選択される。かかる抗体は、両方の抗原を過剰発現するがん細胞に特異的に結合し、したがって、正常細胞との減少した結合によって最小限のオフターゲット作用を有する。本明細書で使用される場合、過剰発現されたという用語は、正常細胞に検出されるよりも高い発現レベルを包含することを意味する。例えば、TAAを過剰発現するがん細胞は、そのがん細胞と同じタイプの正常細胞、例えば上皮細胞におけるTAAのレベルよりも高いレベルのTAAを発現する。正常細胞は、TAAを発現しないか、又はあるレベルのTAAを発現し得る。がん細胞は、同じタイプの正常細胞における発現レベルと比較して、TAAを過剰発現し得る。
腫瘍関連抗原(本明細書では、がん関連抗原とも呼ばれる)は、がん細胞において、同じタイプの非がん細胞における発現レベルと比較して過剰発現される抗原を意味する。例えば、TAAは、正常細胞では検出可能なレベルで発現されず、がん細胞内で発現される抗原であり、ここで正常細胞及びがん細胞は、同じ細胞タイプ、例えば、上皮細胞である。他の態様において、TAAは、正常細胞で発現されるが、がん細胞でより高いレベルで発現される抗原である。TAAは、哺乳動物がん細胞の細胞表面で発現され得る。特定の態様において、TAAは、CD47、PDL1、erbB-1、erbB-2、又はEGFRであり得る。腫瘍関連抗原は、ネオ抗原であり得る。ネオ抗原は、コードされたタンパク質のアミノ酸配列を、未変異タンパク質のアミノ酸配列と比較して変化させる腫瘍特異的変異から生じる腫瘍抗原のクラスである。
特定の態様において、二重特異性抗体は、ABCG2と排出ポンプMDR-1又はがん関連抗原との両方を過剰発現するがん細胞に特異的に結合する。特定の態様において、二重特異性抗体は、ABCG2及びMDR-1の両方を過剰発現するがん細胞に結合し、ABCG2及びMDR-1の両方を過剰発現しない細胞に対しては実質的により低い結合を示す。
特定の態様において、二重特異性抗体は、ABCG2及びTAAの両方を過剰発現するがん細胞に特異的に結合する。特定の態様において、二重特異性抗体は、ABCG2及びTAAの両方を過剰発現するがん細胞に結合し、ABCG2及びTAAの両方を過剰発現しない細胞に対して実質的により低い結合を示す。
特定の態様において、本開示の二重特異性抗体は、ABCG2とTAA又はMDR-1との両方を、正常細胞によって発現されるよりも2倍以上(例えば、少なくとも3倍、4倍、5倍、10倍以上)のレベルで発現する細胞との結合に基づいて選択することができ、正常細胞、又はABCG2及びTAA若しくはMDR-1のうちの1つのみを過剰発現する細胞に対しては、実質的により低い結合を示す。
特定の態様において、二重特異性抗体は、化学療法剤による治療に対するがん細胞の感受性を増加させ、それによって、多重特異性抗体とともに投与される場合に化学療法剤のIC50を、抗ABCG2単一特異性二価抗体とともに投与される場合の化学療法剤のIC50と比較して少なくとも2倍低下させる。IC50は、本明細書に提供されるような方法によって測定され得る。化学療法剤は、トポテカンであり得る。がん細胞は、薬剤耐性がん細胞であり得る。特定の態様において、本開示の多重特異性抗体は、化学療法剤のIC50を5倍以上、例えば、6倍以上、7倍以上、8倍以上、9倍以上、又は10倍以上、例えば5~10倍低下させ得る。
特定の態様において、二重特異性抗体は、トポテカンなどの化学療法剤の投与の不存在下でさえ、インビボ細胞殺傷活性、例えば、腫瘍体積の低下を有し得る。
いくつかの実施形態において、本開示の多重特異性抗体、例えば、二重特異性抗体は、共通の軽鎖を含み得る。本明細書で使用される場合、「共通の軽鎖」という用語は、一般に、同一の軽鎖の2つのコピーの多重特異性抗体への使用及び組み込みを指す。言い換えれば、組み立てられた多重特異性抗体における軽鎖は、ABCG2特異的重鎖と会合し、同じ軽鎖の第2のコピーは、TAA特異的重鎖又はMDR-1抗原特異的重鎖と会合する。共通の軽鎖は、例えば、表2に列挙される抗体のLCDR1~3を含むVL鎖を有する抗体、例えば、G2.248、G2.255、G2.256、G2.65、G2.302、G2.173、G2.173.ヒト化1、G2.173.ヒト化2、又はG2.173.ヒト化3抗体などの抗ABCG2抗体からのものであり得る。他の態様において、共通の軽鎖は、MRK16又は15D3などの抗MDR-1抗体からのものであり得る。他の態様において、共通の軽鎖は、無関連の抗体、抗体ライブラリー、又は合成的に設計されたか若しくはインビトロで生成された抗体の供給源からのものであり得る。別の例において、二重特異性抗体は、共通の軽鎖を含まず、代わりに、G2に結合する第1の重鎖及び第1の軽鎖、並びに別の抗原に結合する第2の重鎖及び第2の軽鎖を含み得る。
ABCG2及びMDR1に対する二重特異性抗体
特定の態様において、ABCG2及びMDR1に結合する二重特異性抗体分子は、2つの同一の可変軽(VL)鎖、第1の可変重(VH)鎖、及び第2のVH鎖を含み得、VL鎖は各々、MDR1に対する抗原結合部位を含み、第1のVH鎖は、MDR1に対する抗原結合部位を含み、第2のVH鎖は、ABCG2に対する抗原結合部位を含み、第2のVH鎖は、軽鎖のうちの1つと対形成したときに、ABCG2に結合する。特定の態様において、第2のVH鎖は、表2に列挙される抗G2抗体のVH鎖のHCDR1~3を含み、第2のVH鎖は、15D3などの抗MDR1抗体のVH鎖のHCDR1~3を含み、共通の軽鎖は、抗MDR1抗体15D3又はMRK16などの別の抗MDR1抗体のVL領域のLCDR1~3を含む。
特定の態様において、ABCG2及びMDR1に結合する二重特異性抗体分子は、2つの同一の可変軽(VL)鎖、第1の可変重(VH)鎖、及び第2のVH鎖を含み得、VL鎖は各々、MDR1に対する抗原結合部位を含み、第1のVH鎖は、MDR1に対する抗原結合部位を含み、第2のVH鎖は、ABCG2に対する抗原結合部位を含み、第2のVH鎖は、軽鎖のうちの1つと対形成したときに、ABCG2に結合する。特定の態様において、第2のVH鎖は、表2に列挙される抗G2抗体のVH鎖のHCDR1~3を含み、第2のVH鎖は、15D3などの抗MDR1抗体のVH鎖のHCDR1~3を含み、共通の軽鎖は、抗MDR1抗体15D3又はMRK16などの別の抗MDR1抗体のVL領域のLCDR1~3を含む。
特定の態様において、二重特異性抗体の第1のVH鎖は、15D3などの抗MDR1抗体からのVH鎖のHCDR1~3を含み、HCDR1は、配列:GFTFSRYTMS(配列番号419)を含み、HCDR2は、配列:VATISSGGGNTYYPDSVKG(配列番号362)、VATISSGGGQTYYPDSVKG(配列番号363)、又はVATISSGGGSTYYPDSVKG(配列番号364)を含み、HCDR3は、配列:ARYGAGDAWFAY(配列番号365)を含む。特定の態様において、二重特異性抗体の第2のVH鎖は、表2に示される配列を有する抗ABCG2抗体のVH鎖のHCDR1~3を含む。特定の態様において、二重特異性抗体の共通のVL鎖は、抗MDR1抗体15D3のVL鎖のLCDR1~3を含む。
特定の態様において、二重特異性抗体の第2のVH鎖は、表2に列挙される抗ABCG2抗体であるG2.255のVH鎖のHCDR1~3を含む。特定の態様において、第2のVH鎖は、アミノ酸配列:
EVMLVESGGALVKPGGSLKLSCAASGFTFSNNAMSWVRQTPETRLEWVATITGGGSYTYYPDSVKGRFTISRDNARNTLYLQMSSLRSEDTATYYCASPDGNYEGVLAYWGQGTLVTVS(配列番号366)に対して少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも99%、又は100%の同一性であるアミノ酸配列を含む。
EVMLVESGGALVKPGGSLKLSCAASGFTFSNNAMSWVRQTPETRLEWVATITGGGSYTYYPDSVKGRFTISRDNARNTLYLQMSSLRSEDTATYYCASPDGNYEGVLAYWGQGTLVTVS(配列番号366)に対して少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも99%、又は100%の同一性であるアミノ酸配列を含む。
特定の態様において、2つの同一のVL鎖は、アミノ酸配列:DVLMTQTPLSLPVSLGDQASISCRSSQSIVHSTGNTYLEWYLQKPGQSPKLLIYKVSNRFSGVPDRFSGSGSGTDFTLKISRLEAEDLGVYYCFQGSHFPRTFGGGTRLEIK(配列番号367)を有する抗MDR1抗体15D3のVL鎖のLCDR1~3を含む。
特定の態様において、2つの同一のVL鎖は、抗MDR1抗体のLCDR1~3を含み、
(i)LCDR1は、配列:RSSQSIVHSTGNTYLE(配列番号368)を含み、
(ii)LCDR2は、配列:KVSNRFS(配列番号305)を含み、
(iii)LCDR3は、配列:QGSHFPRT(配列番号369)を含む。
(i)LCDR1は、配列:RSSQSIVHSTGNTYLE(配列番号368)を含み、
(ii)LCDR2は、配列:KVSNRFS(配列番号305)を含み、
(iii)LCDR3は、配列:QGSHFPRT(配列番号369)を含む。
特定の態様において、2つの同一のVL鎖は、アミノ酸配列:DVLMTQTPVSLSVSLGDQASISCRSSQSIVHSTGX2TYLEWYLQKPGQSPKLLIYKISNRFSGVPDRFSGSGSGTDFTLKISRVEAEDLGVYYCFQASHFPRTFGGGTKLEIK(配列番号370)(ここでX2は、N、Q、又はSである)を有する抗MDR1抗体のVL鎖のLCDR1~3を含む。
特定の態様において、2つの同一のVL鎖は、抗MDR1抗体のLCDR1~3を含み、
(i)LCDR1は、配列:RSSQSIVHSTGX2TYLE(配列番号371)を含み、
(ii)LCDR2は、配列:KISNRFS(配列番号372)を含み、
(iii)LCDR3は、配列:FQASHFPRT(配列番号373)を含み、
ここでX2は、N、Q、又はSである。
(i)LCDR1は、配列:RSSQSIVHSTGX2TYLE(配列番号371)を含み、
(ii)LCDR2は、配列:KISNRFS(配列番号372)を含み、
(iii)LCDR3は、配列:FQASHFPRT(配列番号373)を含み、
ここでX2は、N、Q、又はSである。
特定の態様において、対象抗体は、表2に列挙されるVH鎖のHCDRを含むVH鎖(例えば、G2.255抗体)、及びMRK16抗体若しくは15D3抗体のLCDR、又はそのヒト化型を含むVL鎖を含み得る。HCDR及びLCDRは、Kabat命名法に従って定義され得る。
MRK16抗体のVL鎖のアミノ酸配列は、以下の通りである。
DVLMTQTPVSLSVSLGDQASISCRSSQSIVHSTGNTYLEWYLQKPGQSPKLLIYKISNRFSGVPDRFSGSGSGTDFTLKISRVEAEDLGVYYCFQASHFPRTFGGGTKLEIK(配列番号374)
DVLMTQTPVSLSVSLGDQASISCRSSQSIVHSTGNTYLEWYLQKPGQSPKLLIYKISNRFSGVPDRFSGSGSGTDFTLKISRVEAEDLGVYYCFQASHFPRTFGGGTKLEIK(配列番号374)
MRK16抗体のVL鎖のヒト化型のアミノ酸配列は以下の通りである。
DIVMTQTPLSSPVTLGQPASISCRSSQSIVHSTGX2TYLEWYQQRPGQPPRLLIYKISNRFSGVPDRFSGSGAGTDFTLKISRVEAEDVGVYYCFQASHFPRTFGGGTKLEIKR(配列番号375)(ここでX2は、N、Q、又はSである)
DIVMTQTPLSSPVTLGQPASISCRSSQSIVHSTGX2TYLEWYQQRPGQPPRLLIYKISNRFSGVPDRFSGSGAGTDFTLKISRVEAEDVGVYYCFQASHFPRTFGGGTKLEIKR(配列番号375)(ここでX2は、N、Q、又はSである)
VL鎖LCDR1~3は、以下の配列:CDR1(RSSQSIVHSTGX2TYLEW、配列番号376)(ここでX2は、N、Q、又はSである)、CDR2(KISNRFSG、配列番号377)、及びCDR3(FQASHFPRTF、配列番号378)を有し得る。
特定の態様において、VL鎖は、MRK16 VL鎖配列: DVLMTQTPVSLSVSLGDQASISCRSSQSIVHSTGNTYLEWYLQKPGQSPKLLIYKISNRFSGVPDRFSGSGSGTDFTLKISRVEAEDLGVYYCFQASHFPRTFGGGTKLEIK(配列番号374)、又は配列:DIVMTQTPLSSPVTLGQPASISCRSSQSIVHSTGX2TYLEWYQQRPGQPPRLLIYKISNRFSGVPDRFSGSGAGTDFTLKISRVEAEDVGVYYCFQASHFPRTFGGGTKLEIKR(配列番号375)(ここでX2は、N、Q、又はSである)を有する、この配列のヒト化型に対して少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、若しくはそれ以上(100%を含む)の同一性である配列を有し得る。
特定の態様において、LCDRは、15D3 VL鎖:
DVLMTQTPLSLPVSLGDQASISCRSSQSIVHSTGNTYLEWYLQKPGQSPKLLIYKVSNRFSGVPDRFSGSGSGTDFTLKISRLEAEDLGVYYCFQGSHFPRTFGGGTRLEIK(配列番号367)からのものである。
DVLMTQTPLSLPVSLGDQASISCRSSQSIVHSTGNTYLEWYLQKPGQSPKLLIYKVSNRFSGVPDRFSGSGSGTDFTLKISRLEAEDLGVYYCFQGSHFPRTFGGGTRLEIK(配列番号367)からのものである。
Kabat命名法に従って定義される15D3 LCDR1~3配列は、以下の通りである。
15D3 LCDR1: RSSQSIVHSTGNTYLE(配列番号368)
15D3 LCDR2: KVSNRFS(配列番号305)
15D3 LCDR3: QGSHFPRT(配列番号369)
15D3 LCDR1: RSSQSIVHSTGNTYLE(配列番号368)
15D3 LCDR2: KVSNRFS(配列番号305)
15D3 LCDR3: QGSHFPRT(配列番号369)
特定の態様において、VL鎖は、15D3 VL鎖配列: DVLMTQTPLSLPVSLGDQASISCRSSQSIVHSTGNTYLEWYLQKPGQSPKLLIYKVSNRFSGVPDRFSGSGSGTDFTLKISRLEAEDLGVYYCFQGSHFPRTFGGGTRLEIK(配列番号367)に対して少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又はそれ以上(100%を含む)の同一性である配列を有し得る。
特定の態様において、対象抗体は、表2に列挙されるVL鎖のLCDRを含むVL鎖、及びMRK16抗体若しくは15D3抗体のHCDR又はそのヒト化型を含むVH鎖を含み得る。HCDR及びLCDRは、Kabat命名法に従って定義され得る。
MRK16抗体のVH鎖のアミノ酸配列は、以下の通りである。
EVILVESGGGLVKPGGSLKLSCAASGFTFSSYTMSWVRQTPEKRLEWVATISSGGGNTYYPDSVKGRFTISRDNAKNNLYLQMSSLRSEDTALYYCARYYRYEAWFASWGQGTLVTVSA(配列番号379)
EVILVESGGGLVKPGGSLKLSCAASGFTFSSYTMSWVRQTPEKRLEWVATISSGGGNTYYPDSVKGRFTISRDNAKNNLYLQMSSLRSEDTALYYCARYYRYEAWFASWGQGTLVTVSA(配列番号379)
15D3抗体のVH鎖のアミノ酸配列は、以下の通りである。
EVKVVESGGVLVRPGGSLKLSCAASGFTFSRYTMSWVRQTPEKRLEWVATISSGGGNTYYPDSVKGRFTVSRDNAMSSLYLQMSSLRSEDTALYYCARYGAGDAWFAYWGQGTLVTVSS(配列番号380)
EVKVVESGGVLVRPGGSLKLSCAASGFTFSRYTMSWVRQTPEKRLEWVATISSGGGNTYYPDSVKGRFTVSRDNAMSSLYLQMSSLRSEDTALYYCARYGAGDAWFAYWGQGTLVTVSS(配列番号380)
15D3抗体のVH鎖のヒト化型のアミノ酸配列は、以下の通りである。
EVQLVESGGVVVQPGGSLRLSCAASGFTFSRYTMSWVRQAPGKGLEWVATISSGGGX2TYYPDSVKGRFTVSRDNSKNSLYLQMNSLRTEDTALYYCARYGAGDAWFAYWGQGTLVTVSSA(配列番号381)(ここでX2は、N、Q、又はSである)
EVQLVESGGVVVQPGGSLRLSCAASGFTFSRYTMSWVRQAPGKGLEWVATISSGGGX2TYYPDSVKGRFTVSRDNSKNSLYLQMNSLRTEDTALYYCARYGAGDAWFAYWGQGTLVTVSSA(配列番号381)(ここでX2は、N、Q、又はSである)
Kabat命名法に従って定義される15D3 HCDR1~3配列は、以下の通りである。
15D3 HCDR1: RYTMS(配列番号382)、
15D3 HCDR2: TISSGGGX2TYYPDSVKG(配列番号383)(ここでX2は、N、Q、又はSである)、
15D3 HCDR3: YGAGDAWFAY(配列番号384)
15D3 HCDR1: RYTMS(配列番号382)、
15D3 HCDR2: TISSGGGX2TYYPDSVKG(配列番号383)(ここでX2は、N、Q、又はSである)、
15D3 HCDR3: YGAGDAWFAY(配列番号384)
特定の態様において、VH鎖は、15D3 VH鎖配列:
EVKVVESGGVLVRPGGSLKLSCAASGFTFSRYTMSWVRQTPEKRLEWVATISSGGGNTYYPDSVKGRFTVSRDNAMSSLYLQMSSLRSEDTALYYCARYGAGDAWFAYWGQGTLVTVSS(配列番号380)、又は配列:
EVQLVESGGVVVQPGGSLRLSCAASGFTFSRYTMSWVRQAPGKGLEWVATISSGGGX2TYYPDSVKGRFTVSRDNSKNSLYLQMNSLRTEDTALYYCARYGAGDAWFAYWGQGTLVTVSSA(配列番号381)(ここでX2は、N、Q、又はSである)を有する、この配列のヒト化型と、少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、若しくはそれ以上(100%を含む)の同一性である配列を有し得る。
EVKVVESGGVLVRPGGSLKLSCAASGFTFSRYTMSWVRQTPEKRLEWVATISSGGGNTYYPDSVKGRFTVSRDNAMSSLYLQMSSLRSEDTALYYCARYGAGDAWFAYWGQGTLVTVSS(配列番号380)、又は配列:
EVQLVESGGVVVQPGGSLRLSCAASGFTFSRYTMSWVRQAPGKGLEWVATISSGGGX2TYYPDSVKGRFTVSRDNSKNSLYLQMNSLRTEDTALYYCARYGAGDAWFAYWGQGTLVTVSSA(配列番号381)(ここでX2は、N、Q、又はSである)を有する、この配列のヒト化型と、少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、若しくはそれ以上(100%を含む)の同一性である配列を有し得る。
特定の態様において、第2のVH鎖は、表2に列挙される抗体のVH鎖のヒト化型を含み、第2のVH鎖は、抗MDR1抗体15D3のVH鎖のヒト化型を含み、ヒト化15D3 VH鎖は、配列:
EVQLVESGGVVVQPGGSLRLSCAASGFTFSRYTMSWVRQAPGKGLEWVATISSGGGNTYYPDSVKGRFTVSRDNSKNSLYLQMNSLRTEDTALYYCARYGAGDAWFAYWGQGTLVTVSS(配列番号385)、
EVQLVESGGVVVQPGGSLRLSCAASGFTFSRYTMSWVRQAPGKGLEWVATISSGGGQTYYPDSVKGRFTVSRDNSKNSLYLQMNSLRTEDTALYYCARYGAGDAWFAYWGQGTLVTVSS(配列番号386)、又は
EVQLVESGGVVVQPGGSLRLSCAASGFTFSRYTMSWVRQAPGKGLEWVATISSGGGSTYYPDSVKGRFTVSRDNSKNSLYLQMNSLRTEDTALYYCARYGAGDAWFAYWGQGTLVTVSS(配列番号387)を有し、共通の軽鎖は、抗MDR1抗体15D3のVL領域のLCDR1~3を含む。
EVQLVESGGVVVQPGGSLRLSCAASGFTFSRYTMSWVRQAPGKGLEWVATISSGGGNTYYPDSVKGRFTVSRDNSKNSLYLQMNSLRTEDTALYYCARYGAGDAWFAYWGQGTLVTVSS(配列番号385)、
EVQLVESGGVVVQPGGSLRLSCAASGFTFSRYTMSWVRQAPGKGLEWVATISSGGGQTYYPDSVKGRFTVSRDNSKNSLYLQMNSLRTEDTALYYCARYGAGDAWFAYWGQGTLVTVSS(配列番号386)、又は
EVQLVESGGVVVQPGGSLRLSCAASGFTFSRYTMSWVRQAPGKGLEWVATISSGGGSTYYPDSVKGRFTVSRDNSKNSLYLQMNSLRTEDTALYYCARYGAGDAWFAYWGQGTLVTVSS(配列番号387)を有し、共通の軽鎖は、抗MDR1抗体15D3のVL領域のLCDR1~3を含む。
特定の態様において、二重特異性抗体は、MDR1及びABCG2に結合し、化学療法剤のIC50を2倍以上(例えば、3、4、5、6、7、8、9、10倍、又はそれ以上)低下させ、共通の軽鎖、表2に列挙されるVH鎖からのHCDRを含むVH鎖、及び15D3などの抗MDR1抗体からのHCDRを含むVH鎖を含む。共通の軽鎖は、表2に列挙されるVL鎖(例えば、VH HCDRが由来する表2における抗体のVL)から、又はMRK16若しくは15D3などの抗MDR1抗体からのLCDRを含み得る。特定の態様において、化学療法剤は、トポテカンである。
ABCG2及びTAAに対する二重特異性抗体
また、上記のような少なくとも1つ以上の特質を有する二重特異性抗体が本明細書に提供される。特定の態様において、本開示の二重特異性抗体分子は、ATP結合カセットサブファミリーGメンバー2(ABCG2)及び腫瘍関連抗原(TAA)に結合し、抗体分子は、2つの同一の可変軽(VL)鎖、第1の可変重(VH)鎖、及び第2のVH鎖を含み、VL鎖は各々、ABCG2に対する抗原結合部位を含み、第1のVH鎖は、ABCG2に対する抗原結合部位を含み、第2のVH鎖は、TAAに対する抗原結合部位を含み、第2のVH鎖は、軽鎖のうちの1つと対形成したときにTAAに結合するか、又はVL鎖は各々、TAAに対する抗原結合部位を含み、第1のVH鎖は、ABCG2に対する抗原結合部位を含み、第2のVH鎖は、TAAに対する抗原結合部位を含み、第1のVH鎖は、軽鎖のうちの1つと対形成したときにABCG2に結合する。TAAは、CD47、PDL1、EGFR、erbB-1、又はerbB-2であり得る。
また、上記のような少なくとも1つ以上の特質を有する二重特異性抗体が本明細書に提供される。特定の態様において、本開示の二重特異性抗体分子は、ATP結合カセットサブファミリーGメンバー2(ABCG2)及び腫瘍関連抗原(TAA)に結合し、抗体分子は、2つの同一の可変軽(VL)鎖、第1の可変重(VH)鎖、及び第2のVH鎖を含み、VL鎖は各々、ABCG2に対する抗原結合部位を含み、第1のVH鎖は、ABCG2に対する抗原結合部位を含み、第2のVH鎖は、TAAに対する抗原結合部位を含み、第2のVH鎖は、軽鎖のうちの1つと対形成したときにTAAに結合するか、又はVL鎖は各々、TAAに対する抗原結合部位を含み、第1のVH鎖は、ABCG2に対する抗原結合部位を含み、第2のVH鎖は、TAAに対する抗原結合部位を含み、第1のVH鎖は、軽鎖のうちの1つと対形成したときにABCG2に結合する。TAAは、CD47、PDL1、EGFR、erbB-1、又はerbB-2であり得る。
特定の態様において、VL鎖は各々、ABCG2に対する抗原結合部位を含み、第1のVH鎖は、ABCG2に対する抗原結合部位を含み、第2のVH鎖は、TAAに対する抗原結合部位を含み、第2のVH鎖は、軽鎖のうちの1つと対形成したときにTAAに結合する。
特定の態様において、第1のVH鎖は、表2に列挙される抗ABCG2抗体の重鎖相補性決定領域1~3(HCDR1~3)を含む。
特定の態様において、第1のVH鎖は、重鎖相補性決定領域1~3(HCDR1~3)を含み、HCDR1が、配列:DDYVH(配列番号85)を含み、HCDR2が、配列:RIDPANGNTRYAPKFRG(配列番号115)を含み、HCDR3が、配列:PLWVGGFAY(配列番号157)を含むか、あるいは第1のVH鎖は、アミノ酸配列:
QVQLQQSGADLVRPGASVKLSCTASGFNIKDDYVHWVKQRPEQGLEWIGRIDPANGNTRYAPKFRGKATMTADTSSNTAYLQLSSLTSADTAVYYCSPPLWVGGFAYWGQGTLVTVSS(配列番号16)、又は
EVQLVQSGAEVKKPGASVKVSCKASGFNIKDDYVHWVRQAPGQGLEWIGRIDPANGNTRYAPKFRGRATMTADTSISTAYMELSRLRSDDTAVYYCSPPLWVGGFAYWGQGTLVTVSS(配列番号17)、又は
EVQLVQSGAEVKKPGASVKVSCKASGFNIKDDYVHWVRQAPGQGLEWIGRIDPAQGNTRYAPKFRGRATMTADTSISTAYMELSRLRSDDTAVYYCSPPLWVGGFAYWGQGTLVTVSS(配列番号18)、又は
EVQLVQSGAEVKKPGASVKVSCKASGFNIKDDYVHWVRQAPGQGLEWIGRIDPASGNTRYAPKFRGRATMTADTSISTAYMELSRLRSDDTAVYYCSPPLWVGGFAYWGQGTLVTVSS(配列番号19)に対して少なくとも90%、少なくとも95%、若しくは100%の同一性であるアミノ酸配列を含む。
QVQLQQSGADLVRPGASVKLSCTASGFNIKDDYVHWVKQRPEQGLEWIGRIDPANGNTRYAPKFRGKATMTADTSSNTAYLQLSSLTSADTAVYYCSPPLWVGGFAYWGQGTLVTVSS(配列番号16)、又は
EVQLVQSGAEVKKPGASVKVSCKASGFNIKDDYVHWVRQAPGQGLEWIGRIDPANGNTRYAPKFRGRATMTADTSISTAYMELSRLRSDDTAVYYCSPPLWVGGFAYWGQGTLVTVSS(配列番号17)、又は
EVQLVQSGAEVKKPGASVKVSCKASGFNIKDDYVHWVRQAPGQGLEWIGRIDPAQGNTRYAPKFRGRATMTADTSISTAYMELSRLRSDDTAVYYCSPPLWVGGFAYWGQGTLVTVSS(配列番号18)、又は
EVQLVQSGAEVKKPGASVKVSCKASGFNIKDDYVHWVRQAPGQGLEWIGRIDPASGNTRYAPKFRGRATMTADTSISTAYMELSRLRSDDTAVYYCSPPLWVGGFAYWGQGTLVTVSS(配列番号19)に対して少なくとも90%、少なくとも95%、若しくは100%の同一性であるアミノ酸配列を含む。
いくつかの態様において、2つのVL鎖の抗原結合部位は、表2に列挙される抗体の軽鎖CDR1~3(LCDR1~3)を含む。
いくつかの態様において、2つのVL鎖の抗原結合部位は、配列:RSSQSLVHSDVNTYLH(配列番号270)を含むLCDR1、配列:KVSNRFS(配列番号305)を含むLCDR2、及び配列:SQTTHVPYT(配列番号334)を含むLCDR3を含むか、あるいはVL鎖は、アミノ酸配列:
DVVMTQTPLSLPVSLGDQASISCRSSQSLVHSDVNTYLHWYLQRPGQSPKLLIYKVSNRFSGVPDRFSGSGSGTDFTLKISRVESEDLGIYFCSQTTHVPYTFGGGTKLEIK(配列番号199)、又は
DVVMTQSPLSLPVTLGQPASISCRSSQSLVHSDVNTYLHWYQQRPGQSPRLLIYKVSNRFSGVPDRFSGSGSGTDFTLKISRVEAEDVGVYFCSQTTHVPYTFGGGTKLEIK(配列番号200)に対して少なくとも90%、少なくとも95%、若しくは100%の同一性であるアミノ酸配列を含む。
DVVMTQTPLSLPVSLGDQASISCRSSQSLVHSDVNTYLHWYLQRPGQSPKLLIYKVSNRFSGVPDRFSGSGSGTDFTLKISRVESEDLGIYFCSQTTHVPYTFGGGTKLEIK(配列番号199)、又は
DVVMTQSPLSLPVTLGQPASISCRSSQSLVHSDVNTYLHWYQQRPGQSPRLLIYKVSNRFSGVPDRFSGSGSGTDFTLKISRVEAEDVGVYFCSQTTHVPYTFGGGTKLEIK(配列番号200)に対して少なくとも90%、少なくとも95%、若しくは100%の同一性であるアミノ酸配列を含む。
特定の態様において、第1のVH鎖は、重鎖相補性決定領域1~3(HCDR1~3)を含み、HCDR1が、配列:SGYISを含み、HCDR2が、配列:WIYAGTGISNFNQKFTGを含み、HCDR3が、配列:GARKTLDFを含むか、又は第1のVH鎖は、アミノ酸配列:
QGQMHQSGAELVKPGASVKLSCKTSGFTFNSGYISWLKQKPRQSLEWIAWIYAGTGISNFNQKFTGKAQLTVDTSSSTAYMQLSSLTSADSAIYFCASGARKTLDFWGQGTSVTVSS(配列番号15)に対して少なくとも90%、少なくとも95%、若しくは100%の同一性であるアミノ酸配列を含む。
QGQMHQSGAELVKPGASVKLSCKTSGFTFNSGYISWLKQKPRQSLEWIAWIYAGTGISNFNQKFTGKAQLTVDTSSSTAYMQLSSLTSADSAIYFCASGARKTLDFWGQGTSVTVSS(配列番号15)に対して少なくとも90%、少なくとも95%、若しくは100%の同一性であるアミノ酸配列を含む。
特定の態様において、2つのVL鎖の抗原結合部位は、表2に列挙される抗体の軽鎖CDR1~3(LCDR1~3)を含む。
特定の態様において、2つのVL鎖の抗原結合部位は、配列:G2.65 KASDQINYWLA(配列番号269)を含むLCDR1、配列:GATSLET(配列番号10)を含むLCDR2、及び配列:QQYWTTPYT(配列番号333)を含むLCDR3を含むか、又はVL鎖は、アミノ酸配列:
DIQMTQSSSYLSVSVGGRVTITCKASDQINYWLAWYQQKPGNAPRLLISGATSLETGVPSRFSGSGSGKDYTLSITSFQTEDVATYYCQQYWTTPYTFGGGTKVEIK(配列番号198)に対して少なくとも90%、少なくとも95%、若しくは100%の同一性であるアミノ酸配列を含む。
DIQMTQSSSYLSVSVGGRVTITCKASDQINYWLAWYQQKPGNAPRLLISGATSLETGVPSRFSGSGSGKDYTLSITSFQTEDVATYYCQQYWTTPYTFGGGTKVEIK(配列番号198)に対して少なくとも90%、少なくとも95%、若しくは100%の同一性であるアミノ酸配列を含む。
いくつかの態様において、TAAは、EGFRであり、第2のVH鎖は、アミノ酸配列:QVQLQESGPGLVKPSQTLSLTCTVSGGSISSGDYYWSWIRQPPGKGLEWIGYIYYSGSTDYNPSLKSRVTMSVDTSKNQFSLKVNSVTAADTAVYYCARVSIFGVGTFDYWGQGTLVTVSS(配列番号388)を含む、6B3S抗体のVH鎖の重鎖相補性決定領域1~3(HCDR1~3)を含む。
ABCG2との結合に加えて、二重特異性抗体は、表に列挙されるTAAに結合する。抗G2抗体におけるHCDRは、表2に示される通りであり得る。二重特異性抗体の第2のVH領域における配列が以下に示される。
トラスツズマブ重鎖:
VH領域は下線が引かれている。CDRはKabat命名法に従っており、太字で示されている。
トラスツズマブ重鎖:
VH領域は下線が引かれている。CDRはKabat命名法に従っており、太字で示されている。
いくつかの態様において、G2及びTAAの両方に結合する二重特異性抗体は、表2に列挙される抗G2抗体(例えば、G2.255)からのHCDR1~3を含む第1のVH鎖、抗TAA抗体(例えば、抗CD47抗体5F9)からのHCDR1~3を含む第2のVH鎖、及び共通のVL鎖を含み得、VL鎖は、抗MDR1抗体(例えば、MRK16)からのLCDR1~3を含む。
いくつかの態様において、G2及びTAAの両方に結合する二重特異性抗体は、表2に列挙される抗G2抗体からのHCDR1~3、表2に列挙される抗G2抗体からのLCDR1~3を含み、HCDR1~3及びLCDR1~3が、それぞれ表2に列挙される同じ抗体か又は2つの異なる抗体のVH鎖及びVL鎖からであり得る、第1のVL鎖と、本明細書に記載される抗TAA抗体などの抗TAA抗体からのHCDR1~3及び本明細書に記載される抗TAA抗体などの抗TAA抗体からのLCDR1~3を含み、HCDR1~3及びLCDR1~3が、それぞれ同じ抗TAA抗体か又は2つの異なる抗体からであり得る、第2のVH鎖と、を含み、第1のVH鎖及び第1のVL鎖は、G2に結合し、第2のVH鎖及び第2のVL鎖は、TAAに結合する。
いくつかの態様において、対象抗体は、組換え又は改変された抗体、例えば、キメラ、ヒト化、脱免疫化、又はインビトロ生成された抗体である。本明細書で使用される場合、「組換え」又は「改変された」抗体という用語は、(i)宿主細胞にトランスフェクトされた組換え発現ベクターを使用して発現された抗体、(ii)組換えのコンビナトリアル抗体ライブラリーから単離された抗体、(iii)ヒト免疫グロブリン遺伝子で遺伝子導入された動物(例えば、マウス)から単離された抗体、又は(iv)ヒト免疫グロブリン遺伝子配列の他のDNA配列へのスプライシングを伴う任意の他の手段によって調製、発現、生成、若しくは単離された抗体などの、組換え手段によって調製、発現、生成、又は単離される全ての抗体を含むことが意図される。かかる組換え抗体には、ヒト化、CDRグラフト化、キメラ、脱免疫化、及びインビボ生成された抗体が含まれ、任意選択的に、ヒト生殖細胞系免疫グロブリン配列に由来する定常領域を含むことができる。
改変された抗体は、任意の抗体ドメインが天然に存在する形態から改変され得る場合を含む、改変されたドメインを含み得る。いくつかの実施形態において、改変された抗体は、改変されたCH2及び/又は改変されたCH3ドメインを含む、改変されたFcドメインを含む、改変された重鎖を含み得る。いくつかの事例において、改変されたFcドメインは、例えば、限定されないが、開示が本明細書に参照によりその全体で組み込まれているGunasekeran et al,(2010)Journal of Biological Chemistry 285,19637-19646に記載されている手順の使用を通して、静電的ステアリング効果を用い得る。いくつかの事例において、二重特異性抗体は、CH3ドメインでの電荷対置換によって組み立てられ、例えば、一方の重鎖が、K392D及びK409D置換(「DD」と称される)を含むように改変され、他方の重鎖が、E356K及びD399K置換(「KK」と称される)を含むように改変される場合を含むが、これらに限定されない。電荷対置換された鎖は、互いとのヘテロ二量体を優先的に形成し得る。アミノ酸置換の番号付けは、Ig HCのEU番号付けシステムに従う。
いくつかの事例において、本開示の抗体は、電荷対置換を含む。いくつかの事例において、本開示の抗体は、電荷対置換を含まない。いくつかの事例において、所望の鎖の優先的なヘテロ二量体形成を促進する代替手段が用いられ得る。
いくつかの事例において、改変された重鎖は、ノブイントゥーホール(Knob-into-hole)改変を含み得る。「ノブイントゥーホール」アミノ酸改変は、抗体工学における合理的な設計戦略であり、二重特異性IgG抗体を含む、多重特異性抗体の産生において、重鎖のヘテロ二量体化のために使用される。例えば、ノブイントゥーホール戦略を異なる特異性の2つのモノクローナル抗体から作製される二重特異性抗体に組み込む際、アミノ酸変化を操作して、モノクローナル抗体1(mAb1)の重鎖のCH3に「ノブ」、及びモノクローナル抗体2(mAb2)の重鎖のCH3に「ホール」を作製する。ノブは、例えば、チロシン(Y)などの大きなアミノ酸によって代表され得るが、一方、ホールは、スレオニン(T)などの小さなアミノ酸によって代表され得る。例えば、ノブイントゥーホール改変は、第1のCH3ドメインにT22Y置換及びパートナーであるCH3ドメインにY86T置換を作製し得る。ノブイントゥーホール改変の例は、Carter,J.Immunol.Methods,248(1-2):7-15(2001)、Ridgway,J.B.et al.Protein Eng.9(7):617-2(1996)、及びMerchant,A.M.et al.Nat.Biotechnol.16(7):677-81(1998)に記載されており、それらの開示は、本明細書にそれらの全体が組み込まれる。対形成したノブイントゥーホール改変ドメインから生成された抗体では、二重特異性ヘテロ二量体が、一般に、主な割合を示す。アミノ酸置換の番号付けは、Ig HCにおけるEU番号付けシステムに従う。
上述したように、対象抗ABCG2抗体は、ABCG2の1つ以上のエピトープに特異的に結合する。したがって、エピトープは、ABCG2エピトープである。抗ABCG2抗体によって結合されるABCG2エピトープのサイズは変化し得、ABCG2エピトープが、例えば、4aa、5aa、6aa、7aa、8aa、9aa、10aa、11aa、12aa、4aa~10aa、5aa~10aa、6aa~10aa、4aa~8aa、5aa~8aa、6aa~8aaなどを含むがこれらに限定されない、3aa以下~12aa以上の範囲にあり得るABCG2配列の連続伸長を有するポリペプチドによって形成される場合を含む。
いくつかの実施形態において、ABCG2エピトープは、例えば、ヒトABCG2配列: MSSSNVEVFIPVSQGNTNGFPATASNDLKAFTEGAVLSFHNICYRVKLKSGFLPCRKPVE
KEILSNINGIMKPGLNAILGPTGGGKSSLLDVLAARKDPSGLSGDVLINGAPRPANFKCN
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MTICFVFMMIFSGLLVNLTTIASWLSWLQYFSIPRYGFTALQHNEFLGQNFCPGLNATGN
NPCNYATCTGEEYLVKQGIDLSPWGLWKNHVALACMIVIFLTIAYLKLLFLKKYS(配列番号393)、若しくはそのECD1(417~428):KNDSTGIQNRAG(配列番号1)、そのECD2(499~506):LKPKADAF(配列番号2)、そのECD3(557~630): NLTTIASWLSWLQYFSIPRYGFTALQHNEFLGQNFCPGLNATGNNPCNYATCTGEEYLVKQGIDLSPWGLWKNH(配列番号3)、又はMus musculus ABCG2配列: MSSSNDHVLVPMSQRNNNGLPRTNSRAVRTLAEGDVLSFHHITYRVKVKSGFLVRKTVEK
EILSDINGIMKPGLNAILGPTGGGKSSLLDVLAARKDPKGLSGDVLINGAPQPAHFKCCS
GYVVQDDVVMGTLTVRENLQFSAALRLPTTMKNHEKNERINTIIKELGLEKVADSKVGTQ
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MTIAFVFMMLFSGLLVNLRTIGPWLSWLQYFSIPRYGFTALQYNEFLGQEFCPGFNVTDN
STCVNSYAICTGNEYLINQGIELSPWGLWKNHVALACMIIIFLTIAYLKLLFLKKYS(配列番号394)、若しくはそのECD1(415~428): DLKYDAAGMQNRAG(配列番号395)、そのECD2(499~506):LKKTVDAF(配列番号396)、そのECD3(557~632):NLRTIGPWLSWLQYFSIPRYGFTALQYNEFLGQEFCPGFNVTDNSTCVNSYAICTGNEYLINQGIELSPWGLWKNH(配列番号397)、非ヒト霊長類配列、例えば、Macaca fascicularis(カニクイザル)配列: MSSSNVEVFIPMSQENTNGFPTTTSNDRKAFTEGAVLSFHNICYRVKVKSGFLPGRKPVE
KEILSNINGIMKPGLNAILGPTGGGKSSLLDVLAARKDPSGLSGDVLINGALRPTNFKCN
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NTCNYATCTGEEYLTKQGIDLSPWGLWKNHVALACMIVIFLTIAYLKLLFLKKYS(配列番号398)、若しくはそのECD1(417~428):NNDSTGIQNRAG(配列番号399)、そのECD2(499~506): LKPTADAF(配列番号400)、そのECD3(557~630):NLTTIASWLSWLQYFSIPRYGFTALQHNEFLGQNFCPGLNATVNNTCNYATCTGEEYLTKQGIDLSPWGLWKNH(配列番号401)、又はPan troglodytes ABCG2配列:MSSSNVEVFIPMSQGNTNGFPATTSNDLKAFTEGAVLSFHNICYRVKLKSGFLPCRKPVEKEILSNINGIMKPGLNAILGPTGGGKSSLLDVLAARKDPSGLSGDVLINGAPRPANFKCNSGYVVQDDVVMGTLTVRENLQFSAALRLPTTMTNHEKNERINRVIQELGLDKVADSKVGTQFIRGVSGGERKRTSIGMELITDPSILFLDEPTTGLDSSTANAVLLLLKRMSKQGRTIIFSIHQPRYSIFKLFDSLTLLASGRLMFHGPAQEALGYFESAGYHCEAYNNPADFFLDIINGDSTAVALNREEDFKATEIIEPSKQDKPLIEKLAEIYVNSSFYKETKAELHQLSGGEKKKKITVFKEISYTTSFCHQLRWVSKRSFKNLLGNPQASIAQIIVTVILGLVIGAIYFGLKNDSTGIQNRAGVLFFLTTNQCFSSVSAVELFVVEKKLFIHEYISGYYRVSSYFLGKLLSDLLPMRMLPSIIFTCIVYFMLGLKPKADAFFVMMFTLMMVAYSASSMALAIAAGQSVVSVATLLMTICFVFMMIFSGLLVNLTTIASWLSWLQYFSIPRYGFTALQHNEFLGQNFCPGLNATGNNPCNYATCTGEEYLVKQGIDLSPWGLWKNHVALACMIVIFLTIAYLKLLFLKKYS(SEQIDNO:402)などが含まれるが、これらに限定されないABCG2の連続伸長と、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、又は100%のアミノ酸配列同一性を有するポリペプチドによって形成することができる。
KEILSNINGIMKPGLNAILGPTGGGKSSLLDVLAARKDPSGLSGDVLINGAPRPANFKCN
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NPCNYATCTGEEYLVKQGIDLSPWGLWKNHVALACMIVIFLTIAYLKLLFLKKYS(配列番号393)、若しくはそのECD1(417~428):KNDSTGIQNRAG(配列番号1)、そのECD2(499~506):LKPKADAF(配列番号2)、そのECD3(557~630): NLTTIASWLSWLQYFSIPRYGFTALQHNEFLGQNFCPGLNATGNNPCNYATCTGEEYLVKQGIDLSPWGLWKNH(配列番号3)、又はMus musculus ABCG2配列: MSSSNDHVLVPMSQRNNNGLPRTNSRAVRTLAEGDVLSFHHITYRVKVKSGFLVRKTVEK
EILSDINGIMKPGLNAILGPTGGGKSSLLDVLAARKDPKGLSGDVLINGAPQPAHFKCCS
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STCVNSYAICTGNEYLINQGIELSPWGLWKNHVALACMIIIFLTIAYLKLLFLKKYS(配列番号394)、若しくはそのECD1(415~428): DLKYDAAGMQNRAG(配列番号395)、そのECD2(499~506):LKKTVDAF(配列番号396)、そのECD3(557~632):NLRTIGPWLSWLQYFSIPRYGFTALQYNEFLGQEFCPGFNVTDNSTCVNSYAICTGNEYLINQGIELSPWGLWKNH(配列番号397)、非ヒト霊長類配列、例えば、Macaca fascicularis(カニクイザル)配列: MSSSNVEVFIPMSQENTNGFPTTTSNDRKAFTEGAVLSFHNICYRVKVKSGFLPGRKPVE
KEILSNINGIMKPGLNAILGPTGGGKSSLLDVLAARKDPSGLSGDVLINGALRPTNFKCN
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ITVFKEISYTTSFCHQLRWVSKRSFKNLLGNPQASIAQIIVTVILGLVIGAIYFGLNNDS
TGIQNRAGVLFFLTTNQCFSSVSAVELFVVEKKLFIHEYISGYYRVSSYFFGKLLSDLLP
MRMLPSIIFTCIVYFMLGLKPTADAFFIMMFTLMMVAYSASSMALAIAAGQSVVSVATLL
MTICFVFMMIFSGLLVNLTTIASWLSWLQYFSIPRYGFTALQHNEFLGQNFCPGLNATVN
NTCNYATCTGEEYLTKQGIDLSPWGLWKNHVALACMIVIFLTIAYLKLLFLKKYS(配列番号398)、若しくはそのECD1(417~428):NNDSTGIQNRAG(配列番号399)、そのECD2(499~506): LKPTADAF(配列番号400)、そのECD3(557~630):NLTTIASWLSWLQYFSIPRYGFTALQHNEFLGQNFCPGLNATVNNTCNYATCTGEEYLTKQGIDLSPWGLWKNH(配列番号401)、又はPan troglodytes ABCG2配列:MSSSNVEVFIPMSQGNTNGFPATTSNDLKAFTEGAVLSFHNICYRVKLKSGFLPCRKPVEKEILSNINGIMKPGLNAILGPTGGGKSSLLDVLAARKDPSGLSGDVLINGAPRPANFKCNSGYVVQDDVVMGTLTVRENLQFSAALRLPTTMTNHEKNERINRVIQELGLDKVADSKVGTQFIRGVSGGERKRTSIGMELITDPSILFLDEPTTGLDSSTANAVLLLLKRMSKQGRTIIFSIHQPRYSIFKLFDSLTLLASGRLMFHGPAQEALGYFESAGYHCEAYNNPADFFLDIINGDSTAVALNREEDFKATEIIEPSKQDKPLIEKLAEIYVNSSFYKETKAELHQLSGGEKKKKITVFKEISYTTSFCHQLRWVSKRSFKNLLGNPQASIAQIIVTVILGLVIGAIYFGLKNDSTGIQNRAGVLFFLTTNQCFSSVSAVELFVVEKKLFIHEYISGYYRVSSYFLGKLLSDLLPMRMLPSIIFTCIVYFMLGLKPKADAFFVMMFTLMMVAYSASSMALAIAAGQSVVSVATLLMTICFVFMMIFSGLLVNLTTIASWLSWLQYFSIPRYGFTALQHNEFLGQNFCPGLNATGNNPCNYATCTGEEYLVKQGIDLSPWGLWKNHVALACMIVIFLTIAYLKLLFLKKYS(SEQIDNO:402)などが含まれるが、これらに限定されないABCG2の連続伸長と、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、又は100%のアミノ酸配列同一性を有するポリペプチドによって形成することができる。
いくつかの実施形態において、ABCG2エピトープは、変異したABCG2ポリペプチドによって形成することができる。変異したABCG2ポリペプチドは、ヒトABCG2ポリペプチドに由来し得る。ヒトABCG2ポリペプチドは、開いた立体構造を有するABCG2ポリペプチドをもたらす変異を含み得る。開いた立体構造を有する変異体ヒトABCG2ポリペプチドは、本明細書に提供されるヒトABCG2ポリペプチドの配列を参照して番号付けされた、置換:E211Qを含み得る。特定の態様において、開いた立体構造を有する変異体ヒトABCG2ポリペプチドは、アミノ酸配列:MSSSNVEVFIPVSQGNTNGFPATASNDLKAFTEGAVLSFHNICYRVKLKSGFLPCRKPVEKEILSNINGIMKPGLNAILGPTGGGKSSLLDVLAARKDPSGLSGDVLINGAPRPANFKCNSGYVVQDDVVMGTLTVRENLQFSAALRLATTMTNHEKNERINRVIQELGLDKVADSKVGTQFIRGVSGGERKRTSIGMELITDPSILFLDQPTTGLDSSTANAVLLLLKRMSKQGRTIIFSIHQPRYSIFKLFDSLTLLASGRLMFHGPAQEALGYFESAGYHCEAYNNPADFFLDIINGDSTAVALNREEDFKATEIIEPSKQDKPLIEKLAEIYVNSSFYKETKAELHQLSGGEKKKKITVFKEISYTTSFCHQLRWVSKRSFKNLLGNPQASIAQIIVTVVLGLVIGAIYFGLKNDSTGIQNRAGVLFFLTTNQCFSSVSAVELFVVEKKLFIHEYISGYYRVSSYFLGKLLSDLLPMRMLPSIIFTCIVYFMLGLKPKADAFFVMMFTLMMVAYSASSMALAIAAGQSVVSVATLLMTICFVFMMIFSGLLVNLTTIASWLSWLQYFSIPRYGFTALQHNEFLGQNFCPGLNATGNNPCNYATCTGEEYLVKQGIDLSPWGLWKNHVALACMIVIFLTIAYLKLLFLKKYS(配列番号403)に対して少なくとも80%(例えば、少なくとも85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、又は100%)の同一性であるアミノ酸配列を含み得る。
いくつかの実施形態において、変異したABCG2ポリペプチドは、閉じた立体構造を有するABCG2ポリペプチドをもたらす変異を含むヒトABCG2ポリペプチドに由来し得る。閉じた立体構造を有する変異体ヒトABCG2ポリペプチドは、本明細書に提供されるヒトABCG2ポリペプチドの配列を参照して番号付けされた、置換:K86M、S87A;K86M、S87A、Q126A;又はK86M、S87A、Q126A、R246Eを含み得る。特定の態様において、閉じた立体構造を有する変異体ヒトABCG2ポリペプチドは、アミノ酸配列:
MSSSNVEVFIPVSQGNTNGFPATASNDLKAFTEGAVLSFHNICYRVKLKSGFLPCRKPVEKEILSNINGIMKPGLNAILGPTGGGMASLLDVLAARKDPSGLSGDVLINGAPRPANFKCNSGYVVQDDVVMGTLTVRENLQFSAALRLATTMTNHEKNERINRVIQELGLDKVADSKVGTQFIRGVSGGERKRTSIGMELITDPSILFLDEPTTGLDSSTANAVLLLLKRMSKQGRTIIFSIHQPRYSIFKLFDSLTLLASGRLMFHGPAQEALGYFESAGYHCEAYNNPADFFLDIINGDSTAVALNREEDFKATEIIEPSKQDKPLIEKLAEIYVNSSFYKETKAELHQLSGGEKKKKITVFKEISYTTSFCHQLRWVSKRSFKNLLGNPQASIAQIIVTVVLGLVIGAIYFGLKNDSTGIQNRAGVLFFLTTNQCFSSVSAVELFVVEKKLFIHEYISGYYRVSSYFLGKLLSDLLPMRMLPSIIFTCIVYFMLGLKPKADAFFVMMFTLMMVAYSASSMALAIAAGQSVVSVATLLMTICFVFMMIFSGLLVNLTTIASWLSWLQYFSIPRYGFTALQHNEFLGQNFCPGLNATGNNPCNYATCTGEEYLVKQGIDLSPWGLWKNHVALACMIVIFLTIAYLKLLFLKKYS(配列番号404)、
MSSSNVEVFIPVSQGNTNGFPATASNDLKAFTEGAVLSFHNICYRVKLKSGFLPCRKPVEKEILSNINGIMKPGLNAILGPTGGGMASLLDVLAARKDPSGLSGDVLINGAPRPANFKCNSGYVVADDVVMGTLTVRENLQFSAALRLATTMTNHEKNERINRVIQELGLDKVADSKVGTQFIRGVSGGERKRTSIGMELITDPSILFLDEPTTGLDSSTANAVLLLLKRMSKQGRTIIFSIHQPRYSIFKLFDSLTLLASGRLMFHGPAQEALGYFESAGYHCEAYNNPADFFLDIINGDSTAVALNREEDFKATEIIEPSKQDKPLIEKLAEIYVNSSFYKETKAELHQLSGGEKKKKITVFKEISYTTSFCHQLRWVSKRSFKNLLGNPQASIAQIIVTVVLGLVIGAIYFGLKNDSTGIQNRAGVLFFLTTNQCFSSVSAVELFVVEKKLFIHEYISGYYRVSSYFLGKLLSDLLPMRMLPSIIFTCIVYFMLGLKPKADAFFVMMFTLMMVAYSASSMALAIAAGQSVVSVATLLMTICFVFMMIFSGLLVNLTTIASWLSWLQYFSIPRYGFTALQHNEFLGQNFCPGLNATGNNPCNYATCTGEEYLVKQGIDLSPWGLWKNHVALACMIVIFLTIAYLKLLFLKKYS(配列番号405)、又は
MSSSNVEVFIPVSQGNTNGFPATASNDLKAFTEGAVLSFHNICYRVKLKSGFLPCRKPVEKEILSNINGIMKPGLNAILGPTGGGMASLLDVLAARKDPSGLSGDVLINGAPRPANFKCNSGYVVADDVVMGTLTVRENLQFSAALRLATTMTNHEKNERINRVIQELGLDKVADSKVGTQFIRGVSGGERKRTSIGMELITDPSILFLDEPTTGLDSSTANAVLLLLKRMSKQGRTIIFSIHQPEYSIFKLFDSLTLLASGRLMFHGPAQEALGYFESAGYHCEAYNNPADFFLDIINGDSTAVALNREEDFKATEIIEPSKQDKPLIEKLAEIYVNSSFYKETKAELHQLSGGEKKKKITVFKEISYTTSFCHQLRWVSKRSFKNLLGNPQASIAQIIVTVVLGLVIGAIYFGLKNDSTGIQNRAGVLFFLTTNQCFSSVSAVELFVVEKKLFIHEYISGYYRVSSYFLGKLLSDLLPMRMLPSIIFTCIVYFMLGLKPKADAFFVMMFTLMMVAYSASSMALAIAAGQSVVSVATLLMTICFVFMMIFSGLLVNLTTIASWLSWLQYFSIPRYGFTALQHNEFLGQNFCPGLNATGNNPCNYATCTGEEYLVKQGIDLSPWGLWKNHVALACMIVIFLTIAYLKLLFLKKYS(配列番号406)に対して少なくとも80%(例えば、少なくとも85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、又は100%)の同一性であるアミノ酸配列を含み得る。
MSSSNVEVFIPVSQGNTNGFPATASNDLKAFTEGAVLSFHNICYRVKLKSGFLPCRKPVEKEILSNINGIMKPGLNAILGPTGGGMASLLDVLAARKDPSGLSGDVLINGAPRPANFKCNSGYVVQDDVVMGTLTVRENLQFSAALRLATTMTNHEKNERINRVIQELGLDKVADSKVGTQFIRGVSGGERKRTSIGMELITDPSILFLDEPTTGLDSSTANAVLLLLKRMSKQGRTIIFSIHQPRYSIFKLFDSLTLLASGRLMFHGPAQEALGYFESAGYHCEAYNNPADFFLDIINGDSTAVALNREEDFKATEIIEPSKQDKPLIEKLAEIYVNSSFYKETKAELHQLSGGEKKKKITVFKEISYTTSFCHQLRWVSKRSFKNLLGNPQASIAQIIVTVVLGLVIGAIYFGLKNDSTGIQNRAGVLFFLTTNQCFSSVSAVELFVVEKKLFIHEYISGYYRVSSYFLGKLLSDLLPMRMLPSIIFTCIVYFMLGLKPKADAFFVMMFTLMMVAYSASSMALAIAAGQSVVSVATLLMTICFVFMMIFSGLLVNLTTIASWLSWLQYFSIPRYGFTALQHNEFLGQNFCPGLNATGNNPCNYATCTGEEYLVKQGIDLSPWGLWKNHVALACMIVIFLTIAYLKLLFLKKYS(配列番号404)、
MSSSNVEVFIPVSQGNTNGFPATASNDLKAFTEGAVLSFHNICYRVKLKSGFLPCRKPVEKEILSNINGIMKPGLNAILGPTGGGMASLLDVLAARKDPSGLSGDVLINGAPRPANFKCNSGYVVADDVVMGTLTVRENLQFSAALRLATTMTNHEKNERINRVIQELGLDKVADSKVGTQFIRGVSGGERKRTSIGMELITDPSILFLDEPTTGLDSSTANAVLLLLKRMSKQGRTIIFSIHQPRYSIFKLFDSLTLLASGRLMFHGPAQEALGYFESAGYHCEAYNNPADFFLDIINGDSTAVALNREEDFKATEIIEPSKQDKPLIEKLAEIYVNSSFYKETKAELHQLSGGEKKKKITVFKEISYTTSFCHQLRWVSKRSFKNLLGNPQASIAQIIVTVVLGLVIGAIYFGLKNDSTGIQNRAGVLFFLTTNQCFSSVSAVELFVVEKKLFIHEYISGYYRVSSYFLGKLLSDLLPMRMLPSIIFTCIVYFMLGLKPKADAFFVMMFTLMMVAYSASSMALAIAAGQSVVSVATLLMTICFVFMMIFSGLLVNLTTIASWLSWLQYFSIPRYGFTALQHNEFLGQNFCPGLNATGNNPCNYATCTGEEYLVKQGIDLSPWGLWKNHVALACMIVIFLTIAYLKLLFLKKYS(配列番号405)、又は
MSSSNVEVFIPVSQGNTNGFPATASNDLKAFTEGAVLSFHNICYRVKLKSGFLPCRKPVEKEILSNINGIMKPGLNAILGPTGGGMASLLDVLAARKDPSGLSGDVLINGAPRPANFKCNSGYVVADDVVMGTLTVRENLQFSAALRLATTMTNHEKNERINRVIQELGLDKVADSKVGTQFIRGVSGGERKRTSIGMELITDPSILFLDEPTTGLDSSTANAVLLLLKRMSKQGRTIIFSIHQPEYSIFKLFDSLTLLASGRLMFHGPAQEALGYFESAGYHCEAYNNPADFFLDIINGDSTAVALNREEDFKATEIIEPSKQDKPLIEKLAEIYVNSSFYKETKAELHQLSGGEKKKKITVFKEISYTTSFCHQLRWVSKRSFKNLLGNPQASIAQIIVTVVLGLVIGAIYFGLKNDSTGIQNRAGVLFFLTTNQCFSSVSAVELFVVEKKLFIHEYISGYYRVSSYFLGKLLSDLLPMRMLPSIIFTCIVYFMLGLKPKADAFFVMMFTLMMVAYSASSMALAIAAGQSVVSVATLLMTICFVFMMIFSGLLVNLTTIASWLSWLQYFSIPRYGFTALQHNEFLGQNFCPGLNATGNNPCNYATCTGEEYLVKQGIDLSPWGLWKNHVALACMIVIFLTIAYLKLLFLKKYS(配列番号406)に対して少なくとも80%(例えば、少なくとも85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、又は100%)の同一性であるアミノ酸配列を含み得る。
対象抗ABCG2抗体は、ABCG2に対する高親和性結合を示す。例えば、対象抗ABCG2抗体は、ヒトABCG2に、少なくとも約10-7M、少なくとも約10-8M、少なくとも約10-9M、少なくとも約10-10M、少なくとも約10-11M、若しくは少なくとも約10-12M、又は10-12M超の親和性で結合する。対象抗ABCG2抗体は、ABCG2に存在するエピトープに、約10-7M~約10-8M、約10-8M~約10-9M、約10-9M~約10-10M、約10-10M~約10-11M、若しくは約10-11M~約10-12M、又は10-12M超の親和性で結合する。
対象抗ABCG2抗体は、関連するが配列が異なる他のタンパク質(例えば関連するが配列が異なるEPなど)内のアミノ酸によって形成されるエピトープには実質的に結合を示さない。関連するが配列が異なるタンパク質内のアミノ酸によって形成されるエピトープに対する対象抗ABCG2抗体の結合は、一般に、ABCG2におけるエピトープに対する抗ABCG2抗体の特異的結合よりも実質的に低い親和性の非特異的結合である。実質的に低い親和性は、一般に、少なくとも2倍、3倍、5倍、10倍、50倍、100倍、500倍、又は1000倍低い親和性である。
対象抗ABCG2抗体は、ABCG2トランスポーター、例えば、ヒトABCG2を介した分子の輸送を低下することができる。例えば、対象抗ABCG2抗体は、輸送を、抗ABCG2抗体の非存在下での輸送の程度と比較して、少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、又はそれ以上低下することができる。
いくつかの実施形態において、対象抗体は、哺乳類配列であるFR領域を含み、それは例えば、げっ歯類、非ヒト霊長類、及びヒト配列(例えば、それぞれの重鎖FRコード配列によってコードされる)を含む。
対象抗体は、表2に示される抗体のVH-VL対のVH領域における配列に対して85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又はそれ以上(100%を含む)の同一性であるアミノ酸配列を含む重鎖可変(VH)領域を含むことができる。対象抗体は、表2に示される抗体のVH-VL対のVL領域における配列に対して85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又はそれ以上(100%を含む)の同一性であるアミノ酸配列を含む軽鎖可変(VL)領域を含むことができる。
対象抗体の領域及び/又は鎖は、1つ以上のリンカー領域によって連結されてもよいし、そうでなくてもよい。存在する場合、リンカー領域は、長さが約5個のアミノ酸~約50個のアミノ酸、例えば、長さが約5aa~約10aa、約10aa~約15aa、約15aa~約20aa、約20aa~約25aa、約25aa~約30aa、約30aa~約35aa、約35aa~約40aa、約40aa~約45aa、又は約45aa~約50aaであることができる。
対象抗体の使用に好適なリンカーには、「フレキシブルリンカー」が含まれる。存在する場合、リンカー分子は、一般に、連結した領域間のある程度のフレキシブルな動きを可能にするのに十分な長さである。リンカー分子は一般に、約6~50個の原子長である。リンカー分子は、例えば、アリールアセチレン、2~10個のモノマー単位を含むエチレングリコールオリゴマー、ジアミン、二酸(diacid)、アミノ酸、又はそれらの組み合わせであり得る。ポリペプチドに結合することができる他のリンカー分子が、本開示の観点から使用され得る。
好適なリンカーは、容易に選択することができ、1個のアミノ酸(例えば、Gly)~20個のアミノ酸、2個のアミノ酸~15個のアミノ酸、3個のアミノ酸~12個のアミノ酸、例えば、4個のアミノ酸~10個のアミノ酸、5個のアミノ酸~9個のアミノ酸、6個のアミノ酸~8個のアミノ酸、又は7個のアミノ酸~8個のアミノ酸などの異なる長さの好適ないずれかのものであることができ、1、2、3、4、5、6、又は7個のアミノ酸であり得る。
例示的なフレキシブルリンカーには、グリシンポリマー(G)n、グリシン-セリンポリマー(例えば、(GS)n、GSGGSn(配列番号407)、及びGGGSn(配列番号408)を含み、nは少なくとも1の整数である)、グリシン-アラニンポリマー、アラニン-セリンポリマー、及び当該技術分野において既知の他のフレキシブルリンカーが含まれる。グリシン及びグリシン-セリンポリマーは、これらのアミノ酸の両方が比較的非構造的であり、したがって、成分間のニュートラルなテザーとして機能し得るため、関心対象のものである。グリシンポリマーは、グリシンがパイ-プサイ空間にアラニンさえよりも著しく多くアクセスし、より長い側鎖を有する残基よりもはるかに制限されないため、特に関心対象のものである(Scheraga,Rev.Computational Chem.11173-142(1992)を参照されたい)。例示的なフレキシブルリンカーには、GGSG(配列番号409)、GGSGG(配列番号410)、GSGSG(配列番号411)、GSGGG(配列番号412)、GGGSG(配列番号413)、GSSSG(配列番号414)などが含まれるが、これらに限定されない。当業者は、上記の任意の要素にコンジュゲートされるペプチドの設計が、全て又は部分的にフレキシブルであるリンカーを含むことができ、それによって、リンカーがフレキシブルリンカー並びにより低いフレキシブル構造を付与する1つ以上の部分を含むことができることを認識するであろう。
他の事例において、本開示の抗体のヒンジ領域のフレキシビリティは、アミノ酸C220をセリン又は任意の他の天然アミノ酸に変異させるか、C220を取り除くか、全ヒンジを取り除くか、又はIgG1ヒンジをIgG3ヒンジに置き換えるかのいずれかによって低下され得る。軽鎖がそれらのC末端システインを介して接続されて抗体を形成し得、それはヒトアイソタイプIgA2mに認められる状況に類似している。これは、Fcと比べて低下したFabのフレキシビリティ、及び結果として低下した架橋能力をもたらす。IgG1分子のフレキシビリティを低下させる別の戦略は、IgG1ヒンジをIgG2ヒンジ又はIgG2様ヒンジに置き換えることである。代替的に、IgG2ヒンジに類似するIgG1ヒンジのバリアントを導入することができる。この変異体(TH7Δ6~9)は、変異T223C及び2つの欠失(K222及びT225)を含み、追加のシステインを有する短いヒンジを生じる。
マウスCDRのヒト可変ドメインフレームワークへの置換は、それらの正しい空間配向の保持をもたらすことができ、例えば、ヒト可変ドメインフレームワークは、CDRが由来するところのマウス可変ドメインフレームワークと同じか又は類似の立体構造を取り入れる。これは、そのフレームワーク配列が、CDRの由来したところのマウス可変フレームワークドメインと高い配列同一性を示すヒト抗体から、ヒト可変ドメインを得ることによって達成することができる。重鎖及び軽鎖可変フレームワーク領域は、同じか又は異なるヒト抗体配列に由来することができる。ヒト抗体配列は、天然に存在するヒト抗体の配列であることができるか、又はいくつかのヒト抗体のコンセンサス配列であることができる。Kettleborough et al.,Protein Engineering 4:773(1991)、Kolbinger et al.,Protein Engineering 6:971(1993)を参照されたい。
マウスドナー免疫グロブリン及び適切なヒトアクセプター免疫グロブリンの相補性決定領域が特定されたら、次のステップは、得られるヒト化抗体の特質を最適化するためにこれらの成分からの残基を置換するとすればどの残基を置換すべきかを決定することである。一般に、ネズミ残基の導入は、ヒトにおけるヒト-抗ネズミ-抗体(HAMA)応答を誘発する抗体のリスクを増加させるため、マウスアミノ酸残基によるヒトアミノ酸残基の置換は最小限にされるべきである。免疫応答を決定するための当該技術分野で認められた方法を行って、特定の患者における、又は臨床試験中のHAMA応答を監視することができる。ヒト化抗体を投与された患者には、当該療法の投与の開始時及び全体を通じて免疫原性評価を行うことができる。HAMA応答は、例えば、表面プラズモン共鳴技術(BIACORE)及び/又は固相ELISA分析を含む、当業者に既知の方法を使用して、患者からの血清試料中で、ヒト化治療試薬に対する抗体を検出することによって測定される。多くの実施形態において、対象ヒト化抗体は、ヒト対象におけるHAMA応答を実質的に誘発しない。
CDR立体構造及び/又は抗原との結合に対するそれらの影響の可能性に基づいて、ヒト可変領域フレームワーク残基からの特定のアミノ酸が置換のために選択される。マウスCDR領域とヒト可変フレームワーク領域との非天然並置は、立体構造抑制をもたらし得、これは特定のアミノ酸残基の置換によって補正されない限り、結合親和性の減少をもたらす。
置換のためのアミノ酸残基の選択は、部分的に、コンピュータモデリングによって決定することができる。免疫グロブリン分子の三次元画像を生成するためのコンピュータハードウェア及びソフトウェアは、当該技術分野において既知である。一般に、分子モデルは、免疫グロブリン鎖又はそのドメインについて解明された構造から開始して生成される。モデル化される鎖は、解明された三次元構造の鎖又はドメインとのアミノ酸配列類似性について比較され、最大の配列類似性を示す鎖又はドメインが、分子モデルの構築の出発点として選択される。少なくとも50%の配列同一性を共有する鎖又はドメインが、モデリングのために選択され、好ましくは、少なくとも60%、70%、80%、90%の配列同一性又はそれ以上を共有するものが、モデリングのために選択される。解明された出発構造は、モデル化される免疫グロブリン鎖又はドメイン内の実際のアミノ酸と、出発構造内のアミノ酸との間の違いを許容するように改変される。次いで、改変された構造は、複合免疫グロブリンに組み立てられる。最後に、モデルは、エネルギー最小限化によって、並びに全ての原子が互いに適切な距離内にあり、結合の長さ及び角度が化学的に許容可能な限界内にあることを検証することによって、洗練される。
いくつかの実施形態において、対象抗体は、scFv多量体を含む。例えば、いくつかの実施形態において、対象抗体は、scFv二量体(例えば、2つのタンデムscFv(scFv2)を含む)、scFv三量体(例えば、3つのタンデムscFv(scFv3)を含む)、scFv四量体(例えば、4つのタンデムscFv(scFv4)を含む)であるか、又は4つを超えるscFvの多量体である(例えば、タンデムで)。scFvモノマーは、長さが約2個のアミノ酸~約15個のアミノ酸のリンカー、例えば、長さが2aa、3aa、4aa、5aa、6aa、7aa、8aa、9aa、10aa、11aa、12aa、13aa、14aa、又は15aaのリンカーを介して連結することができる。好適なリンカーには、例えば、(Gly)x、(配列番号420)が含まれ、xは2~15の整数である。他の好適なリンカーは、上で考察されたものである。いくつかの実施形態において、対象scFV多量体におけるscFvモノマーの各々は、上述のように、ヒト化される。特定の態様において、二重特異性抗体は、文献に既知の任意の分子形式であり得る。例えば、本開示の二重特異性抗体は、Spiess C.et al.,Mol Immunol.2015 Oct;67(2 Pt A):95-106に記載されている分子形式を有し得る。
いくつかの実施形態において、対象抗体は、免疫グロブリンの定常領域(例えば、Fc領域)を含む。Fc領域は、存在する場合、ヒトFc領域であることができる。定常領域が存在する場合、抗体は、軽鎖及び重鎖定常領域の両方を含むことができる。好適な重鎖定常領域には、CH1、ヒンジ、CH2、CH3、及びCH4領域が含まれる。本明細書に記載の抗体は、IgM、IgG、IgD、IgA、及びIgEを含む全てのタイプの定常領域、並びにIgG1、IgG2、IgG3、及びIgG4を含む任意のアイソタイプを有する抗体を含む。好適な重鎖Fc領域の例は、ヒトアイソタイプIgG1 Fcである。軽鎖定常領域は、ラムダ又はカッパであることができる。本発明の抗体(例えば、本発明のヒト化抗体)は、2つ以上のクラス又はアイソタイプからの配列を含むことができる。抗体は、2つの軽鎖及び2つの重鎖を含む四量体として、別個の重鎖、軽鎖として、Fab、Fab’F(ab’)2、及びFvとして、又は重鎖及び軽鎖可変ドメインがスペーサーを介して連結されている単鎖抗体として、発現させることができる。
いくつかの実施形態において、対象抗体は、カルボキシル末端に遊離チオール(-SH)基を含み、遊離チオール基を使用して、抗体を第2のポリペプチド(例えば、対象抗体を含む、別の抗体)、足場、担体などに結合させることができる。
対象抗体は、例えば、グルタルアルデヒド、ホモ二官能性架橋剤、又はヘテロ二官能性架橋剤を使用して、第2の部分(例えば、脂質、対象抗体以外のポリペプチド、合成ポリマー、炭水化物、毒素など)に共有結合させることができる。グルタルアルデヒドは、ポリペプチドをそれらのアミノ部分を介して架橋結合する。ホモ二官能性架橋剤(例えば、ホモ二官能性イミドエステル、ホモ二官能性N-ヒドロキシスクシンイミジル(NHS)エステル、又はホモ二官能性スルフヒドリル反応性架橋剤)は、2つ以上の同一の反応性部分を含み、連結されるべきポリペプチドの混合物を含有する溶液に架橋剤が添加されるワンステップ反応手順で使用することができる。ホモ二官能性NHSエステル及びイミドエステルは、アミン含有ポリペプチドを架橋結合する。穏やかなアルカリ性pHでは、イミドエステルは一級アミンとのみ反応してイミドアミドを形成し、架橋結合したポリペプチドの全電荷は影響を受けない。ホモ二官能性スルフヒドリル反応性架橋剤には、ビスマレイミドヘキサン(BMH)、1,5-ジフルオロ-2,4-ジニトロベンゼン(DFDNB)、及び1,4-ビス[3-(2-ピリジルジチオ)プロピオンアミド]ブタン(DPDPB)が含まれる。
組成物及び製剤
本開示は、対象抗体を含む組成物を提供する。対象抗体組成物は、対象抗体に加えて、塩、例えば、NaCl、MgCl2、KCl、MgSO4など;緩衝剤、例えば、Tris緩衝剤、ヒスチジン緩衝剤、N-(2-ヒドロキシエチル)ピペラジン-N’-(2-エタンスルホン酸)(HEPES)、2-(N-モルホリノ)エタンスルホン酸(MES)、2-(N-モルホリノ)エタンスルホン酸ナトリウム塩(MES)、3-(N-モルホリノ)プロパンスルホン酸(MOPS)、N-トリス[ヒドロキシメチル]メチル-3-アミノプロパンスルホン酸(TAPS)など;可溶化剤;界面活性剤、例えば、Tween-20などの非イオン性界面活性剤;プロテアーゼ阻害剤;グリセロールなどのうちの1つ以上を含むことができる。
本開示は、対象抗体を含む組成物を提供する。対象抗体組成物は、対象抗体に加えて、塩、例えば、NaCl、MgCl2、KCl、MgSO4など;緩衝剤、例えば、Tris緩衝剤、ヒスチジン緩衝剤、N-(2-ヒドロキシエチル)ピペラジン-N’-(2-エタンスルホン酸)(HEPES)、2-(N-モルホリノ)エタンスルホン酸(MES)、2-(N-モルホリノ)エタンスルホン酸ナトリウム塩(MES)、3-(N-モルホリノ)プロパンスルホン酸(MOPS)、N-トリス[ヒドロキシメチル]メチル-3-アミノプロパンスルホン酸(TAPS)など;可溶化剤;界面活性剤、例えば、Tween-20などの非イオン性界面活性剤;プロテアーゼ阻害剤;グリセロールなどのうちの1つ以上を含むことができる。
本開示の組成物にはまた、本明細書に記載の抗体を含む医薬組成物が含まれる。一般に、製剤は、有効量の対象抗体を含む。「有効量」は、所望の結果、例えば、対象におけるがんの低下、対象におけるがんの成長率の低下、がんの症状の改善などを生じるのに十分な投与量を意味する。一般に、所望の結果は、対照と比較して、少なくとも、がんの症状における低下、がんの成長における低下、がんのサイズにおける低下である。対象抗体は、血液脳関門を回避するような手段で送達するか、又は製剤化することができる。
いくつかの事例において、抗体は、送達増強剤を含み得、それには、かかる増強剤が血液脳関門の横断を促進し得る場合、透過性の増加を促進し得る場合(例えば、効率的な経皮送達を可能にする)などを含む。
いくつかの事例において、本開示の抗体は、送達増強剤を有する製剤で投与さなくてもよい。いくつかの事例において、本開示の抗体は、それら自体が、血液脳関門を横断する透過性を増強させ得る。いくつかの事例において、本開示の抗体は、抗腫瘍剤、例えば、免疫療法剤又は化学療法剤による血液脳関門の横断を促進する、送達促進剤として使用され得る。いくつかの事例において、本開示の抗体は、別の抗体若しくは化学療法剤などの活性剤による、血液脳関門、血液脳脊髄液(CSF)関門、血液-精巣関門、又は血液-胎盤関門の横断を促進する送達促進剤として使用され得る。
対象方法では、対象抗体は、所望の治療効果又は診断効果をもたらすことができる任意の好都合な手段を使用して、ホストに投与することができる。したがって、薬剤は、治療的投与のための様々な製剤に組み込むことができる。より具体的には、対象抗体は、適切な薬学的に許容される担体又は希釈剤との組み合わせによって医薬組成物に製剤化することができ、錠剤、カプセル、粉末、顆粒、軟膏、溶液、坐剤、注射剤、吸入剤、及びエアロゾルなどの固体、半固体、液体、又は気体形態で調製物に製剤化され得る。
製剤投与形態では、対象抗体は、薬学的に許容される賦形剤と併せて投与することができ、又はそれらは、単独で、若しくは他の薬学的に活性な化合物との適切な関連、並びに組み合わせで使用され得る。以下の方法及び賦形剤は、単なる例示であり、決して限定されない。
対象抗体は、植物若しくは他の同様の油、合成脂肪族酸グリセリド、高脂肪族酸若しくはプロピレングリコールのエステルなどの水性又は非水性溶媒中に、必要に応じて、可溶化剤、等張剤、懸濁剤、乳化剤、安定剤、及び保存剤などの従来の添加剤とともに、それらを溶解、懸濁化、又は乳化することによって注射用の調製物に製剤化することができる。
対象抗体を含む医薬組成物は、所望の純度を有する抗体を、任意選択的に、生理学的に許容される担体、賦形剤、安定剤、界面活性剤、緩衝剤、及び/又は等張化剤と混合することによって調製される。許容される担体、賦形剤、及び/又は安定剤は、用いられる投与量及び濃度において受容者に無毒性であり、リン酸、クエン酸、及び他の有機酸などの緩衝剤;アスコルビン酸、グルタチオン、システイン、メチオニン、及びクエン酸を含む酸化防止剤;保存剤(例えば、エタノール、ベンジルアルコール、フェノール、m-クレゾール、p-クロル-m-クレゾール、メチル若しくはプロピルパラベン、塩化ベンザルコニウム、又はそれらの組み合わせ);アルギニン、グリシン、オルニチン、リジン、ヒスチジン、グルタミン酸、アスパラギン酸、イソロイシン、ロイシン、アラニン、フェニルアラニン、チロシン、トリプトファン、メチオニン、セリン、プロリン、及びそれらの組み合わせなどのアミノ酸;単糖類、二糖類、及び他の炭水化物;低分子量(約10残基未満)のポリペプチド;ゼラチン若しくは血清アルブミンなどのタンパク質;EDTAなどのキレート剤;トレハロース、スクロース、ラクトース、グルコース、マンノース、マルトース、ガラクトース、フルクトース、ソルボース、ラフィノース、グルコサミン、N-メチルグルコサミン、ガラクトサミン、及びノイラミン酸などの糖類;並びに/又はTween、Brij Pluronics、Triton-X、若しくはポリエチレングリコール(PEG)などの非イオン性界面活性剤が含まれる。
医薬組成物は、液体形態、凍結乾燥形態、又は凍結乾燥形態から再構成された液体形態であり得、凍結乾燥調製物は、投与前に滅菌溶液で再構成される。
対象医薬組成物中の例示的な抗体濃度は、約1mg/mL~約200mg/ml、又は約50mg/mL~約200mg/mL、又は約150mg/mL~約200mg/mLの範囲であり得る。
抗体の水性製剤は、pH緩衝溶液中に、例えば、約4.0~約7.5、又は約5.0~約6.0、又は代替的に約5.5の範囲にあるpHで調製され得る。この範囲内のpHに好適な緩衝剤の例には、リン酸-、ヒスチジン-、クエン酸-、コハク酸-、酢酸-緩衝剤、及び他の有機酸緩衝剤が含まれる。緩衝剤濃度は、例えば、緩衝剤及び製剤の所望の張度に応じて、約1mM~約100mM、又は約5mM~約50mMであることができる。
いくつかの実施形態において、水性製剤は、等張性であるが、高張性又は低張性溶液も好適となり得る。「等張性」という用語は、それが比較されるところの生理学的塩溶液又は血清などの他の何らかの溶液と同じ張度を有する溶液を示す。等張剤は、約5mM~約350mMの量、例えば、100mM~350nMの量で使用され得る。
また、界面活性剤を抗体製剤に添加して、製剤化した抗体の凝集を低下、及び/又は製剤中の微粒子の形成を最小限化、及び/又は吸着を低下し得る。例示的な界面活性剤には、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル(Tween)、ポリオキシエチレンアルキルエーテル(Brij)、アルキルフェニルポリオキシエチレンエーテル(Triton-X)、ポリオキシエチレン-ポリオキシプロピレンコポリマー(Poloxamer,Pluronic)、及びドデシル硫酸ナトリウム(SDS)が含まれる。界面活性剤の例示的な濃度は、約0.001%~約1%w/vの範囲であり得る。
また、凍結保護剤を添加して、不安定な活性成分(例えば、タンパク質)を、凍結乾燥プロセス中の不安定化条件から保護し得る。例えば、既知の凍結保護剤には、糖(グルコース及びスクロースを含む)、ポリオール(マンニトール、ソルビトール、及びグリセロールを含む)、及びアミノ酸(アラニン、グリシン、及びグルタミン酸を含む)が含まれる。凍結保護剤は、約10mM~500nMの量で含むことができる。
いくつかの実施形態において、対象製剤は、対象抗体、及び上記で特定された薬剤のうちの1つ以上(例えば、界面活性剤、緩衝剤、安定剤、等張剤)を含み、エタノール、ベンジルアルコール、フェノール、m-クレゾール、p-クロロ-m-クレゾール、メチル又はプロピルパラベン、塩化ベンザルコニウム、及びそれらの組み合わせなどの1つ以上の保存剤を本質的に含まない。他の実施形態において、保存剤は、例えば、約0.001~約2%(w/v)の範囲の濃度で製剤に含まれる。
例えば、対象製剤は、非経口投与に好適な液体又は凍結乾燥製剤であることができ、約1mg/mL~約200mg/mLの対象抗体、約0.001%~約1%の少なくとも1つの界面活性剤、約1mM~約100mMの緩衝剤、任意選択的に、約10mM~約500mMの安定剤、及び約5mM~約305mMの等張剤を含むことができ、約4.0~約7.0のpHを有する。
対象抗体は、吸入を介して投与されるエアロゾル製剤に利用することができる。対象抗体は、ジクロロジフルオロメタン、プロパン、窒素などの加圧された許容される推進剤中に製剤化することができる。
本明細書で使用される場合、「単位投与形態」という用語は、ヒト及び動物の対象のための単位投与量として好適な物理的に別個の単位を指し、各単位は、薬学的に許容される希釈剤、担体、又はビヒクルと関連して、所望の効果を生じるのに十分な量で計算された所定量の本発明の化合物を含有する。対象抗体の仕様は、用いられる特定の抗体及び達成されるべき効果、並びにホストにおける各抗体に関連する薬力学に依存し得る。
対象抗体は、注射可能な製剤として投与することができる。典型的には、注射可能な組成物は、液状の溶液又は懸濁液として調製され、注射前の液体ビヒクル中への溶解又は懸濁に好適な固体形態も調製され得る。調製物はまた、乳化され得、又は抗体がリポソームビヒクルに封入され得る。
好適な賦形剤ビヒクルは、例えば、水、生理食塩水、デキストロース、グリセロール、エタノールなど、及びそれらの組み合わせである。加えて、必要に応じて、ビヒクルは、湿潤剤若しくは乳化剤又はpH緩衝剤などの少量の補助物質を含有し得る。かかる投与形態を調製する実際の方法は、当業者に既知であるか、又は明らかであろう。
ビヒクル、アジュバント、担体、又は希釈剤などの薬学的に許容される賦形剤は、一般に容易に入手可能である。更に、pH調整剤及び緩衝剤、張度調整剤、安定剤、湿潤剤などの薬学的に許容される補助物質は、一般に容易に入手可能である。
いくつかの実施形態において、対象抗体は、制御放出製剤に製剤化される。徐放性調製物は、当技術分野で周知の方法を使用して調製され得る。
投与量
好適な投薬量は、様々な臨床的要因に基づいて、主治医又は他の有資格医療従事者によって決定することができる。医学分野において周知であるように、任意の一患者のための投薬量は、患者のサイズ、体表面積、年齢、投与される特定の化合物、患者の性別、期間、及び投与経路、全般的な健康状態、並びに同時に投与される他の薬物を含む、多くの要因に依存する。対象抗体は、用量当たり1ng/kg体重~20mg/kg体重、例えば0.1mg/kg体重~10mg/kg体重、例えば0.5mg/kg体重~5mg/kg体重の量で投与され得るが、特に前述の要因を考慮して、この例示的な範囲を下回るか又は上回る用量が想定される。レジメンが連続注入である場合、1分当たり体重1キログラム当たり1μg~10mgの範囲であることもできる。
好適な投薬量は、様々な臨床的要因に基づいて、主治医又は他の有資格医療従事者によって決定することができる。医学分野において周知であるように、任意の一患者のための投薬量は、患者のサイズ、体表面積、年齢、投与される特定の化合物、患者の性別、期間、及び投与経路、全般的な健康状態、並びに同時に投与される他の薬物を含む、多くの要因に依存する。対象抗体は、用量当たり1ng/kg体重~20mg/kg体重、例えば0.1mg/kg体重~10mg/kg体重、例えば0.5mg/kg体重~5mg/kg体重の量で投与され得るが、特に前述の要因を考慮して、この例示的な範囲を下回るか又は上回る用量が想定される。レジメンが連続注入である場合、1分当たり体重1キログラム当たり1μg~10mgの範囲であることもできる。
当業者は、用量レベルが、特定の抗体、症状の重症度、及び副作用に対する対象の感受性の関数として変化し得ることを容易に理解するであろう。所与の化合物における好ましい投与量は、様々な手段によって当業者は容易に決定可能である。
投与の経路
対象抗体は、インビボ及びエクスビボ法、並びに全身的及び局所的投与経路を含む、薬物送達に好適な任意の利用可能な方法及び経路を使用して個体に投与される。
対象抗体は、インビボ及びエクスビボ法、並びに全身的及び局所的投与経路を含む、薬物送達に好適な任意の利用可能な方法及び経路を使用して個体に投与される。
従来の薬学的に許容される投与経路には、鼻腔内、筋肉内、気管内、皮下、皮内、局所適用、静脈内、動脈内、直腸、鼻腔、経口、並びに他の経腸及び非経口の投与経路が含まれる。投与経路は、抗体及び/又は所望の効果に応じて組み合わされ得るか、又は必要に応じて調整され得る。対象抗体組成物は、単回用量又は複数回用量で投与することができる。いくつかの実施形態において、対象抗体組成物は、経口投与される。いくつかの実施形態において、対象抗体組成物は、吸入経路を介して投与される。いくつかの実施形態において、対象抗体組成物は、鼻腔内投与される。いくつかの実施形態において、対象抗体組成物は、局所的に投与される。いくつかの実施形態において、対象抗体組成物は、頭蓋内投与される。いくつかの実施形態において、対象抗体組成物は、静脈内に投与される。
薬剤は、全身的又は局所的な経路を含む、従来の薬物の送達に好適な任意の利用可能な従来の方法及び経路を使用して、ホストに投与することができる。一般に、本発明によって企図される投与経路には、経腸、非経口、又は吸入経路が含まれるが、必ずしもこれらに限定されない。
吸入投与以外の非経口投与経路には、局所、経皮、皮下、筋肉内、眼窩内、嚢内、脊髄内、胸骨内、及び静脈内経路、すなわち、消化管を通る以外の任意の投与経路が含まれるが、必ずしもこれらに限定されない。非経口投与は、対象抗体の全身又は局所送達をもたらすために行うことができる。全身送達が所望される場合、投与は、典型的には、医薬調製物の侵襲的又は全身的に吸収される局所若しくは粘膜投与を伴う。
対象抗体はまた、経腸投与によって対象に送達することができる。経腸投与経路には、経口及び直腸(例えば、坐剤を使用する)送達が含まれるが、必ずしもこれらに限定されない。
治療とは、少なくともホストに罹患する病理学的状態に関連する症状の改善を意味し、改善は、広い意味で使用されて、がん及び/又はがんの成長、並びにそれに関連する疼痛などの治療される病理学的状態に関連するパラメータ、例えば、症状、の大きさの少なくとも低下を指す。したがって、治療はまた、病理学的状態、又は少なくともそれに関連する症状が完全に阻害され、例えば、生じることが防止されるか、停止され、例えば、終結され、それによってホストはもはや病理学的状態、又は少なくとも病理学的状態を特徴とする症状に苦しまない状況を含む。
様々な対象(「対象」という用語は、本明細書において「個体」及び「患者」という用語と互換的に使用される)が、本開示の方法に従って治療可能である。一般に、かかる対象は、「哺乳動物」又は「哺乳類」であり、これらの用語は、食肉目(例えば、イヌ及びネコ)、げっ歯類(例えば、マウス、モルモット、及びラット)、及び霊長類(例えば、ヒト、チンパンジー、及びサル)を含む、哺乳綱内である生物を説明するために広く使用される。いくつかの実施形態において、ホストは、ヒトである。
対象抗体の単位用量を有するキットが、例えば、経口用量又は注射可能用量で、提供される。いくつかの実施形態において、単位用量を含有する容器に加えて、目的の病理学的状態の治療における抗体の使用及びそれに伴う利点を説明する情報添付文書がある。
核酸
本開示は、対象抗体をコードするヌクレオチド配列を含む核酸を提供する。対象抗体をコードするヌクレオチド配列は、意図された標的細胞(例えば、コードされた抗体を合成及び/又は分泌するように遺伝子改変されている細胞)におけるヌクレオチド配列の発現を可能にするプロモーター及びエンハンサーなどの1つ以上の調節エレメントに操作可能に連結することができる。
本開示は、対象抗体をコードするヌクレオチド配列を含む核酸を提供する。対象抗体をコードするヌクレオチド配列は、意図された標的細胞(例えば、コードされた抗体を合成及び/又は分泌するように遺伝子改変されている細胞)におけるヌクレオチド配列の発現を可能にするプロモーター及びエンハンサーなどの1つ以上の調節エレメントに操作可能に連結することができる。
好適なプロモーター及びエンハンサーエレメントは、当該技術分野において既知である。細菌細胞における発現のため、好適なプロモーターには、lacI、lacZ、T3、T7、gpt、lambda P及びtrcが含まれるが、これらに限定されない。真核生物細胞における発現のため、好適なプロモーターには、軽鎖及び/又は重鎖免疫グロブリン遺伝子プロモーター及びエンハンサーエレメント、サイトメガロウイルス即時初期プロモーター、単純ヘルペスウイルスチミジンキナーゼプロモーター、初期及び後期SV40プロモーター、レトロウイルスからの長期末端反復に存在するプロモーター、マウスメタロチオネイン-Iプロモーター、並びに様々な技術的に知られている組織特異的プロモーターが含まれるが、これらに限定されない。
対象抗体をコードするヌクレオチド配列は、発現ベクター及び/又はクローニングベクターに存在することができる。対象抗体が2つ以上の別個のポリペプチドを含む場合、2つのポリペプチドをコードするヌクレオチド配列は、同じか又は別個のベクターにクローニングすることができる。別個のポリペプチドは、別個のプロモーター、1つ以上の内部リボソーム進入部位(IRES)、1つ以上の自己切断配列(例えば、P2A、T2A、E2A、及びF2Aなどの2A切断配列)、それらの組み合わせなどの様々な戦略を使用して、単一核酸又は単一ベクターから発現され得る。発現ベクターは、選択可能なマーカー、複製起点、並びにベクターの複製及び/又は維持を提供する他の特性を含むことができる。
多数の好適なベクター及びプロモーターは当業者に既知であり、多くは、対象組換え構築物を生成するために市販されている。以下のベクターが、例として提供される。細菌:pBs、ファージスクリプト、PsiX174、pBluescript SK、pBs KS、pNH8a、pNH16a、pNH18a、pNH46a(Stratagene、La Jolla,Calif.,USA);pTrc99A、pKK223-3、pKK233-3、pDR540、及びpRIT5(Pharmacia、Uppsala,Sweden)。真核生物:pWLneo、pSV2cat、pOG44、PXR1、pSG(Stratagene)pSVK3、pBPV、pMSG、及びpSVL(Pharmacia)。
発現ベクターは、一般に、プロモーター配列の近くに位置する都合のよい制限部位を有して、異種タンパク質をコードする核酸配列の挿入を提供する。発現宿主で作動する選択可能なマーカーが存在し得る。好適な発現ベクターには、ウイルスベクター(例えば、ワクシニアウイルスに基づくウイルスベクター、ポリオウイルス、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス、SV40、単純ヘルペスウイルス、ヒト免疫不全ウイルス、レトロウイルスベクター(例えば、マウス白血病ウイルス、脾臓壊死ウイルス、及びラウス肉腫ウイルス、ハーベイ肉腫ウイルス、トリ白血病ウイルス、ヒト免疫不全ウイルス、骨髄増殖性肉腫ウイルス、及び乳がん腫瘍ウイルスなどのレトロウイルスに由来するベクター)が含まれるが、これらに限定されない。
例えば本明細書に記載のような核酸は、いくつかの事例において、例えば、細胞を核酸と接触させることによって、細胞内に導入され得る。導入された核酸を有する細胞は、一般に、本明細書において遺伝子改変細胞と呼ばれる。様々な核酸送達方法が用いられ得、例えば、ネイキッド核酸送達、ウイルス送達、化学的トランスフェクション、遺伝子銃などを含むが、これらに限定されない。
細胞
本開示は、対象核酸で遺伝子改変されている単離された遺伝子改変細胞(例えば、インビトロ細胞、エクスビボ細胞、培養細胞など)を提供する。いくつかの実施形態において、単離された対象遺伝子改変細胞は、対象抗体を産生することができる。いくつかの事例において、遺伝子改変細胞は、抗体を、例えば、それを必要とする対象に送達することができる。いくつかの事例において、遺伝子改変細胞は、多重特異性抗体の産生、スクリーニング、及び/又は発見に使用され得る。
本開示は、対象核酸で遺伝子改変されている単離された遺伝子改変細胞(例えば、インビトロ細胞、エクスビボ細胞、培養細胞など)を提供する。いくつかの実施形態において、単離された対象遺伝子改変細胞は、対象抗体を産生することができる。いくつかの事例において、遺伝子改変細胞は、抗体を、例えば、それを必要とする対象に送達することができる。いくつかの事例において、遺伝子改変細胞は、多重特異性抗体の産生、スクリーニング、及び/又は発見に使用され得る。
好適な細胞には、哺乳類細胞、昆虫細胞、酵母細胞などの真核生物細胞、及び細菌細胞などの原核生物細胞が含まれる。対象核酸の宿主細胞への導入は、例えば、リン酸カルシウム沈殿、DEAEデキストラン媒介性トランスフェクション、リポソーム媒介性トランスフェクション、エレクトロポレーション、又は他の既知の方法によってもたらされ得る。
好適な哺乳類細胞には、初代細胞及び不死化細胞株が含まれる。好適な哺乳類細胞株には、ヒト細胞株、非ヒト霊長類細胞株、げっ歯類(例えば、マウス、ラット)細胞株などが含まれる。好適な哺乳類細胞株には、HeLa細胞、CHO細胞、293細胞、3T3細胞、Vero細胞、Huh-7細胞、BHK細胞、PC12細胞、COS細胞、COS-7細胞、RAT1細胞、マウスL細胞、ヒト胚性腎臓(HEK)細胞、HLHepG2細胞などが含まれるが、これらに限定されない。
いくつかの事例において、有用な哺乳類細胞は、哺乳類組織又は器官に由来する細胞を含み得る。いくつかの事例において、用いられる細胞は、腎細胞であり、例えば、HEK293T細胞などの確立された腎細胞株の腎細胞を含む。
いくつかの事例において、本開示の細胞は、免疫細胞であり得る。本明細書に使用される場合、「免疫細胞」という用語は、一般に、骨髄で産生される造血幹細胞(HSC)に由来する白血球細胞(白血球)を含む。「免疫細胞」には、例えば、リンパ球(T細胞、B細胞、ナチュラルキラー(NK)細胞)及び骨髄由来細胞(好中球、好酸球、好塩基球、単球、マクロファージ、樹状細胞)が含まれる。「T細胞」には、Tヘルパー細胞(CD4+細胞)、細胞傷害性T細胞(CD8+細胞)、T調節細胞(Treg)、及びガンマ-デルタT細胞を含むCD3を発現する全てのタイプの免疫細胞が含まれる。「細胞傷害性細胞」には、CD8+T細胞、ナチュラルキラー(NK)細胞、及び好中球が含まれ、これらの細胞は、細胞傷害性応答を媒介することができる。
いくつかの事例において、本開示の多重特異性抗体などの抗体を発現する有用な細胞には、プロデューサーT細胞が含まれ得る。本開示の抗体をコードする核酸配列を含むように操作されたプロデューサーT細胞は、いくつかの事例において、抗体を、それを必要とする対象に送達するために用いられ得る。
いくつかの事例において、本開示の免疫細胞は、ABCG2結合ドメイン、膜貫通ドメイン、及び細胞内シグナル伝達ドメインを含むキメラ抗原受容体(CAR)を含む免疫エフェクター細胞を含み、ABCG2結合ドメインは、表2に列挙される抗体の可変重鎖(VH)領域と可変軽鎖(VL)領域との対の重鎖相補性決定領域(HCDR)及び軽鎖CDR(LCDR)を含む。一態様において、細胞内シグナル伝達ドメインは、少なくとも1つの共刺激分子、例えば、4-1BB(すなわち、CD137)、CD27、及び/又はCD28に由来する1つ以上の機能的シグナル伝達ドメインを含み得る。細胞内シグナル伝達ドメインは、共刺激分子に由来する機能的シグナル伝達ドメイン及び刺激分子に由来する機能的シグナル伝達ドメインを含み得る。
免疫エフェクター細胞は、T細胞であり得る。免疫エフェクター細胞は、自己細胞であり得る。
方法
上に要約されるように、本開示の方法は、細胞を本開示の抗体と接触させる方法、本開示の抗体を対象に投与することを伴う方法に従って対象を治療する方法、本出願に記載の要素、例えば、抗体、多重特異性抗体、組成物及び製剤、核酸、発現ベクター、細胞などを作製する方法を含む。
上に要約されるように、本開示の方法は、細胞を本開示の抗体と接触させる方法、本開示の抗体を対象に投与することを伴う方法に従って対象を治療する方法、本出願に記載の要素、例えば、抗体、多重特異性抗体、組成物及び製剤、核酸、発現ベクター、細胞などを作製する方法を含む。
上述したように、本開示の方法は、がん細胞を本開示の抗体と接触させて、例えば、がん細胞でのABCG2の発現の存在を検出するか、がん細胞でのABCG2の発現レベルを測定するか、又はがん細胞の殺傷を促進及び/若しくは増強することを含む。いくつかの事例において、がん細胞の殺傷は、抗体によって結合されたがん細胞に作用する免疫応答又は免疫細胞によって媒介される。いくつかの事例において、がん細胞の殺傷は、例えば、抗体によるABCG2阻害の結果として、がん細胞の細胞排出の阻害によって媒介される。いくつかの事例において、がん細胞の殺傷は、がん細胞の細胞排出の阻害と、免疫媒介性応答(例えば、抗体のFc領域を介した)との組み合わせによって媒介される。いくつかの事例において、多重特異性抗体と接触させる細胞は、多剤耐性がん細胞であり得る。がん細胞を本開示の抗体と接触させることを伴う方法は、がん細胞を、例えば、化学療法剤、免疫療法剤、放射線療法剤などを含む追加の療法又は活性剤と接触させることを含み得、又は含まなくてもよい。
がん細胞を本開示の多重特異性抗体と接触させることは、概して、例えば、多重特異性抗体の非存在下でのがん細胞の殺傷レベルと比較して、がん細胞の殺傷を増強する。いくつかの事例において、追加の活性剤が用いられる場合、がん細胞の増強された殺傷は、追加の活性剤を単独で使用して観察される殺傷レベルと比較して示され得る。多重特異性抗体に起因するがん細胞殺傷の増強量は変化し、がん細胞殺傷の少なくとも5%の増加から少なくとも90%以上の範囲であり得、例えば、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%などを含むが、これらに限定されない。かかる増加は、1つ以上の追加の活性剤を単独で接触させることと比較され得る。
がん細胞の増強された殺傷は、様々な手段によって評価され得、例えば、観察試験、インビトロでの細胞に基づいた細胞傷害性アッセイ、フローサイトメトリー、細胞生存率標識(例えば、1つ以上の細胞生存染色を使用する)などを含むが、これらに限定されない。
治療方法
本開示は、がんを治療する方法を提供し、該方法は、一般に、それを必要とする個体(例えば、がんを有する個体)に、有効量の本明細書に提供される抗体を、単独で(例えば、単独療法で)、又は1つ以上の追加の治療剤と組み合わせて(例えば、併用療法で)投与することを伴う。本開示の抗体の投与は、任意の都合のよい適切な送達経路によって行われ得る。
本開示は、がんを治療する方法を提供し、該方法は、一般に、それを必要とする個体(例えば、がんを有する個体)に、有効量の本明細書に提供される抗体を、単独で(例えば、単独療法で)、又は1つ以上の追加の治療剤と組み合わせて(例えば、併用療法で)投与することを伴う。本開示の抗体の投与は、任意の都合のよい適切な送達経路によって行われ得る。
したがって、投与には、例えば、注射による抗体の送達、注入による抗体の送達、抗体をコードする核酸又は発現ベクターの送達、抗体を発現及び分泌する細胞を対象に投与することによる抗体の送達、ABCG2結合ドメイン、膜貫通ドメイン、及び細胞内シグナル伝達ドメインを含むキメラ抗原受容体(CAR)を細胞表面で発現する免疫エフェクター細胞(例えば、CAR-T細胞)の送達が含まれ、ABCG2結合ドメインは、表2に列挙される抗体などのVH領域とVL領域との対のHCDR及びLCDRを含む。薬剤、薬剤をコードする核酸、薬剤を発現する細胞などの投与は、薬剤と接触させること、核酸と接触させること、細胞と接触させることなどを含み得る。
いくつかの実施形態において、有効量の対象抗体は、単独(例えば、単独療法で)又は1つ以上の追加の治療剤と組み合わせて(例えば、併用療法で)、1回以上の用量で投与される場合、がんの有害症状を、抗体による治療の不存在下での有害症状の重症度と比較して、少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、又はそれ以上低下させるのに有効な量である。
いくつかの実施形態において、有効量の対象抗体は、単独(例えば、単独療法で)又は1つ以上の追加の治療剤と組み合わせて(例えば、併用療法で)、1回以上の用量で投与される場合、治療されている個体におけるがんを改善する(すなわち、がんの成長を遅延させ、がんの成長を停止させ、がんの成長を逆転させ、がん細胞(腫瘍細胞などを含む)を殺傷する)のに有効な量である。例えば、有効量の対象抗体は、抗体による治療の不存在と比較して、少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、又はそれ以上、個体におけるがん成長率を低下させるか、又は個体におけるがんサイズを低下させることができる。
いくつかの事例において、対象は、全身的に治療され得、対象抗体を、1つ以上の追加の試薬とともに、又は伴わずに用いることを含む。「全身治療」とは、本明細書で使用される場合、特定の腫瘍(例えば、原発腫瘍又は定義された二次腫瘍)又は特定のがんを含有する組織(例えば、肝臓がんの症例では肝臓、血液がんの症例では血液など)を標的とするだけではない治療を意味する。全身治療は、一般に、対象の体に全体として向けられ、例えば、全身放射線療法、全身化学療法、全身免疫療法、それらの組み合わせなどを含み得るが、これらに限定されない。
いくつかの事例において、対象は、局所的に治療され得、対象抗体を、1つ以上の追加の試薬とともに、又は伴わずに用いることを含む。「局所治療」とは、本明細書で使用される場合、腫瘍の位置(例えば、原発腫瘍又は定義された二次腫瘍)に特異的に向けられているか、又はがんを含有する組織(例えば、肝臓がんの症例では肝臓、血液がんの症例では血液など)に特異的に向けられている治療を意味する。いくつかの事例において、局所治療はまた、腫瘍に直接隣接する組織など、腫瘍を取り囲む組織などの腫瘍を取り囲む環境に影響を及ぼすような方法で投与され得る。局所治療は、一般に、原発腫瘍などの腫瘍部位を含むがん部位から遠い組織に影響を及ぼさないか、又は標的化されない。対象抗体に加えて、又は対象抗体と組み合わせて、投与され得る有用な局所治療には、例えば、手術、局所放射線療法、局所凍結療法、局所レーザー療法、局所外用療法、それらの組み合わせなどが含まれるが、これらに限定されない。
いくつかの実施形態において、対象治療方法は、対象抗体及び1つ以上の追加の治療剤を投与することを伴う。好適な追加の治療剤には、化学療法剤、放射線治療試薬、免疫療法試薬、他の抗体又は多重特異性抗体剤などが含まれるが、これらに限定されない。本開示の多重特異性抗体の対象投与の前、間、又は後に対象に投与され得る追加の療法は、例えば、がんのタイプ、対象の治療歴、全般的な健康状態、及び/又は任意の併存疾患などを含む、多くの要因に応じて変化するであろう。有用ながん療法には、例えば、放射線療法、化学療法、免疫療法などが含まれるが、これらに限定されない。
放射線療法には、ビームなどの外部から加えられる線源からの、又は小さな放射線源の植え込みによって送達される、X線又はガンマ線が含まれるが、これらに限定されない。
がん治療における使用に好適な抗体には、ネイキッド抗体、例えば、トラスツズマブ(Herceptin)、ベバシズマブ(Avastin(商標))、セツキシマブ(Erbitux(商標))、パニツムマブ(Vectibix(商標))、イピリムマブ(Yervoy(商標))、リツキシマブ(Rituxan)、アレムツズマブ(Lemtrada(商標))、オファツムマブ(Arzerra(商標))、オレゴボマブ(OvaRex(商標))、ランブロリズマブ(MK-3475)、ペルツズマブ(Perjeta(商標))、ラニビズマブ(Lucentis(商標)など、及びコンジュゲート化抗体、例えば、ゲムツズマブオゾガマイシン(Mylortarg(商標)、ブレンツキシマブベドチン(Adcetris(商標))、90Y標識イブリツモマブチウキセタン(Zevalin(商標))、131I-標識トシツモマ(Bexxar(商標))などが含まれるが、これらに限定されない。
がん治療における使用に好適な抗体には、腫瘍関連抗原に対して作製された抗体も含まれるが、これらに限定されない。かかる抗原には、CD20、CD30、CD33、CD52、EpCAM、CEA、gpA33、ムチン、TAG-72、CAIX、PSMA、葉酸結合タンパク質、ガングリオシド(例えば、GD2、GD3、GM2など)、Ley、VEGF、VEGFR、インテグリンアルファ-V-ベータ-3、インテグリンアルファ-5-ベータ-1、EGFR、ERBB2、ERBB3、MET、IGF1R、EPHA3、TRAILR1、TRAILR2、RANKL、FAP、テネイシン、プログラム死リガンド1(PD-L1)、アンドロゲン受容体(AR)、ブルトン型チロシンキナーゼ(BTK)、BCR-Abl、c-kit、PIK3CA、EML4-ALK、KRAS、ALK、ROS1、AKT1、BRAF、MEKJ、MEK2、NRAS、RAC1、ESR1、CTLA-4、LAG-3、及びTIM-3などが含まれるが、これらに限定されない。これらの抗体は、本明細書に提供される抗ABCG2抗体との併用療法として、又はこれらの抗体のうちの1つの少なくとも抗原結合部分と、本明細書に提供される抗ABCG2抗体の抗原結合部分とを含む多重特異性抗体として投与され得る。
従来のがん療法にはまた、がんに対する標的化療法が含まれ、例えば、HER2(ERBB2/neu)を標的とするAdo-トラスツズマブエムタンシン(Kadcyla)(乳がんでの使用が承認されている)、EGFR(HER1/ERBB1)、HER2(ERBB2/neu)を標的とするアファチニブ(Gilotrif)(非小細胞肺がんでの使用が承認されている)、標的とするアルデスロイキン(Proleukin)(腎細胞がん、黒色腫での使用が承認されている)、ALKを標的とするアレクチニブ(Alecensa)(非小細胞肺がんでの使用が承認されている)、CD52を標的とするアレムツズマブ(Campath)(B細胞慢性リンパ性白血病での使用が承認されている)、PD-L1を標的とするアテゾリズマブ(Tecentriq)(尿路上皮がん、非小細胞肺がんでの使用が承認されている)、PD-L1を標的とするアベルマブ(Bavencio)(メルケル細胞がんでの使用が承認されている)、KIT、PDGFRβ、VEGFR1/2/3を標的とするアキシチニブ(Inlyta)(腎細胞がんでの使用が承認されている)、BAFFを標的とするベリムマブ(Benlysta)(エリテマトーデスでの使用が承認されている)、HDACを標的とするベリノスタット(Beleodaq)(末梢T細胞リンパ腫での使用が承認されている)、VEGFリガンドを標的とするベバシズマブ(Avastin)(子宮頸がん、結腸直腸がん、卵管がん、膠芽腫、非小細胞肺がん、卵巣がん、腹膜がん、腎細胞がんでの使用が承認されている)、CD19/CD3を標的とするブリナツモマブ(Blincyto)(急性リンパ芽球性白血病(前駆体B細胞)での使用が承認されている)、プロテアソームを標的とするボルテゾミブ(Velcade)(多発性骨髄腫、マントル細胞リンパ腫での使用が承認されている)、ABLを標的とするボスチニブ(Bosulif)(慢性骨髄性白血病での使用が承認されている)、CD30を標的とするブレンツキシマブベドチン(Adcetris)(ホジキンリンパ腫、未分化大細胞リンパ腫での使用が承認されている)、ALKを標的とするブリガチニブ(Alunbrig)(非小細胞肺がん(ALK+)での使用が承認されている)、FLT3、KIT、MET、RET、VEGFR2を標的とするカボザンチニブ(Cabometyx、Cometriq)(髄性甲状腺がん、腎細胞がんでの使用が承認されている)、プロテアソームを標的とするカルフィルゾミブ(Kyprolis)(多発性骨髄腫での使用が承認されている)、ALKを標的とするセリチニブ(Zykadia)(非小細胞肺がんでの使用が承認されている)、EGFR(HER1/ERBB1)を標的とするセツキシマブ(Erbitux)(結腸直腸がん、頭頸部の扁平上皮がんでの使用が承認されている)、MEKを標的とするコビメチニブ(Cotellic)(黒色腫での使用が承認されている)、ALK、MET、ROS1を標的とするクリゾチニブ(Xalkori)(非小細胞肺がんでの使用が承認されている)、BRAFを標的とするダブラフェニブ(Tafinlar)(黒色腫、非小細胞肺がんでの使用が承認されている)、CD38を標的とするダラツムマブ(Darzalex)(多発性骨髄腫での使用が承認されている)、ABLを標的とするダサチニブ(Sprycel)(慢性骨髄性白血病、急性リンパ芽球性白血病での使用が承認されている)、RANKLを標的とするデノスマブ(Xgeva)(骨の巨細胞腫瘍での使用が承認されている)、B4GALNT1(GD2)を標的とするジヌツキシマブ(Unituxin)(小児神経芽細胞腫での使用が承認されている)、PD-L1を標的とするデュルバルマブ(Imfinzi)(尿路上皮がんでの使用が承認されている)、SLAMF7(CS1/CD319/CRACC)を標的とするエロツズマブ(Empliciti)(多発性骨髄腫での使用が承認されている)、IDH2を標的とするエナシデニブ(Idhifa)(急性骨髄性白血病での使用が承認されている)、EGFR(HER1/ERBB1)を標的とするエルロチニブ(Tarceva)(非小細胞肺がん、膵臓がんでの使用が承認されている)、mTORを標的とするエベロリムス(Afinitor)(膵臓、胃腸、又は肺起源の神経内分泌腫瘍、腎細胞がん、切除不能な上衣下巨細胞性星状細胞腫、乳がんでの使用が承認されている)、EGFR(HER1/ERBB1)を標的とするゲフィチニブ(Iressa)(非小細胞肺がんでの使用が承認されている)、CD20を標的とするイブリツモマブチウキセタン(Zevalin)(非ホジキンリンパ腫での使用が承認されている)、BTKを標的とするイブルチニブ(Imbruvica)(マントル細胞リンパ腫、慢性リンパ性白血病、ワルデンストレーム高ガンマグロブリン血症での使用が承認されている)、PI3Kδを標的とするイデラリシブ(Zydelig)(慢性リンパ性白血病、濾胞性B細胞非ホジキンリンパ腫、小リンパ球性リンパ腫での使用が承認されている)、KIT、PDGFR、ABLを標的とするイマチニブ(Gleevec)(GI間質腫瘍(Kit+)、隆起性皮膚線維肉腫、多発性悪性血液疾患での使用が承認されている)、CTLA-4を標的とするイピリムマブ(Yervoy)(黒色腫での使用が承認されている)、プロテアソームを標的とするイキサゾミブ(Ninlaro)(多発性骨髄腫での使用が承認されている)、HER2(ERBB2/neu)、EGFR(HER1/ERBB1)を標的とするラパチニブ(Tykerb)(乳がん(HER2+))での使用が承認されている)、VEGFR2を標的とするレンバチニブ(Lenvima)(腎細胞がん、甲状腺がんでの使用が承認されている)、FLT3を標的とするミドスタウリン(Rydapt)(急性骨髄性白血症(FLT3+)での使用が承認されている)、EGFR(HER1/ERBB1)を標的とするネシツムマブ(Portrazza)(扁平上皮非小細胞肺がんでの使用が承認されている)、HER2(ERBB2/neu)を標的とするネラチニブ(Nerlynx)(乳がんでの使用が承認されている)、ABLを標的とするニロチニブ(Tasigna)(慢性骨髄性白血病での使用が承認されている)、PARPを標的とするニラパリブ(Zejula)(卵巣がん、卵管がん、腹膜がんでの使用が承認されている)、PD-1を標的とするニボルマブ(Opdivo)(結腸直腸がん、頭頸部扁平上皮がん、ホジキンリンパ腫、黒色腫、非小細胞肺がん、腎細胞がん、尿路上皮がんでの使用が承認されている)、CD20を標的とするオビヌツズマブ(Gazyva)(慢性リンパ性白血病、濾胞性リンパ腫での使用が承認されている)、CD20を標的とするオファツムマブ((Arzerra、HuMax-CD20)(慢性リンパ性白血病での使用が承認されている)、PARPを標的とするオラパリブ(Lynparza)(卵巣がんでの使用が承認されている)、PDGFRαを標的とするオララツマブ(Lartruvo)(軟部組織肉腫での使用が承認されている)、EGFRを標的とするオシメルチニブ(Tagrisso)(非小細胞肺がんでの使用が承認されている)、CDK4、CDK6を標的とするパルボシクリブ(Ibrance)(乳がんでの使用が承認されている)、EGFR(HER1/ERBB1)を標的とするパニツムマブ(Vectibix)(結腸直腸がんでの使用が承認されている)、HDACを標的とするパノビノスタット(Farydak)(多発性骨髄腫での使用が承認されている)、VEGFR、PDGFR、KITを標的とするパゾパニブ(Votrient)(腎細胞がん腫での使用が承認されている)、PD-1を標的とするペンブロリズマブ(Keytruda)(古典的ホジキンリンパ腫、黒色腫、非小細胞肺がん(PD-L1+)、頭頸部扁平上皮がん、固形腫瘍(MSI-H)での使用が承認されている)、HER2(ERBB2/neu)を標的とするペルツズマブ(Perjeta)(乳がん(HER2+)での使用が承認されている)、ABL、FGFR1-3、FLT3、VEGFR2を標的とするポナチニブ(Iclusig)(慢性骨髄性白血病、急性リンパ芽球性白血病での使用が承認されている)、VEGFR2を標的とするラムシルマブ(Cyramza)(結腸直腸がん、胃がん又は食道胃接合部(GEJ)腺がん、非小細胞肺がんでの使用が承認されている)、KIT、PDGFRβ、RAF、RET、VEGFR1/2/3を標的とするレゴラフェニブ(Stivarga)(結腸直腸がん、胃腸間質腫瘍、肝細胞がんでの使用が承認されている)、CDK4、CDK6を標的とするリボシクリブ(Kisqali)(乳がん(HR+、HER2-)での使用が承認されている)、CD20を標的とするリツキシマブ(Rituxan、Mabthera)(非ホジキンリンパ腫、慢性リンパ性白血病、関節リウマチ、多発性血管炎性肉芽腫症での使用が承認されている)、CD20を標的とするリツキシマブ/ヒアルロニダーゼヒト(Rituxan Hycela)(慢性リンパ性白血病、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、濾胞性リンパ腫での使用が承認されている)、HDACを標的とするロミデプシン(Istodax)(皮膚T細胞リンパ腫、末梢T細胞リンパ腫での使用が承認されている)、PARPを標的とするルカパリブ(Rubraca)(卵巣がんでの使用が承認されている)、JAK1/2を標的とするルキソリチニブ(Jakafi)(骨髄線維症での使用が承認されている)、IL-6を標的とするシルツキシマブ(Sylvant)(多中心性キャッスルマン病での使用が承認されている)、標的とするシプリューセル-T(Provenge)(前立腺がんでの使用が承認されている)、平滑化を標的とするソニデギブ(Odomzo)(基底細胞がんでの使用が承認されている)、VEGFR、PDGFR、KIT、RAFを標的とするソラフェニブ(Nexavar)(肝細胞がん、腎細胞がん、甲状腺がんでの使用が承認されている)、mTORを標的とするテムシロリムス(Torisel)(腎細胞がんでの使用が承認されている)、CD20を標的とするトシツモマブ(Bexxar)(非ホジキンリンパ腫での使用が承認されている)、MEKを標的とするトラメチニブ(Mekinist)(黒色腫、非小細胞肺がんでの使用が承認されている)、HER2(ERBB2/neu)を標的とするトラスツズマブ(Herceptin)(乳がん(HER2+)、胃がん(HER2+)での使用が承認されている)、EGFR(HER1/ERBB1)、RET、VEGFR2を標的とするバンデタニブ(Caprelsa)(髄性甲状腺がんでの使用が承認されている)、BRAFを標的とするベムラフェニブ(Zelboraf)(黒色腫での使用が承認されている)、BCL2を標的とするベネトクラクス(Venclexta)(慢性リンパ性白血病での使用が承認されている)、PTCH、平滑化を標的とするビスモデギブ(Erivedge)(基底細胞がんでの使用が承認されている)、HDACを標的とするボリノスタット(Zolinza)(皮膚T細胞リンパ腫での使用が承認されている)、PIGF、VEGFA/Bを標的とするZiv-アフリベルセプト(Zaltrap)(結腸直腸がんでの使用が承認されている)などが挙げられるが、これらに限定されない。これらの抗体は、本明細書に提供される抗ABCG2抗体との併用療法として投与され得る。
本開示の方法に関連した使用に好適な生物学的応答改変剤には、(1)チロシンキナーゼ(RTK)活性の阻害剤、(2)セリン/スレオニンキナーゼ活性の阻害剤、(3)腫瘍抗原に特異的に結合する抗体などの腫瘍関連抗原アンタゴニスト、(4)アポトーシス受容体アゴニスト、(5)インターロイキン-2、(6)インターフェロン-α、(7)インターフェロン-γ、(8)コロニー刺激因子、(9)血管新生の阻害剤、及び(10)腫瘍壊死因子のアンタゴニストが含まれるが、これらに限定されない。
化学療法剤又は抗腫瘍剤は、がん細胞の増殖を低下させる非ペプチド性(すなわち、非タンパク質性)化合物であり、細胞傷害性剤及び細胞増殖抑制剤を包含する。化学療法剤の非限定的な例には、アルキル化剤(例えば、ニトロソウレア)、抗代謝剤(例えば、メトトレキサート)、抗腫瘍抗生物質(例えば、アントラサイクリン)、植物アルカロイド(例えば、ビンカアルカロイド、タキサンなど)、トポシオメラーゼ阻害剤、及びステロイドホルモンが含まれる。
細胞増殖を低下させるように作用する薬剤は、当該技術分野で既知であり、広く使用されている。かかる薬剤には、窒素マスタード、ニトロソウレア、エチレンイミン誘導体、アルキルスルホネート、及びトリアゼンなどのアルキル化剤が含まれ、限定されないが、メクロレタミン、シクロホスファミド(Cytoxan(商標))、メルファラン(L-サルコリシン)、カルムスチン(BCNU)、ロムスチン(CCNU)、セムスチン(メチル-CCNU)、ストレプトゾシン、クロロゾトシン、ウラシルマスタード、クロルメチン、イホスファミド、クロラムブシル、ピポブロマン、トリエチレンメラミン、トリエチレンチオホスホラミン、ブスルファン、ダカルバジン、及びテモゾロミドが挙げられる。
抗代謝剤には、葉酸類似体、ピリミジン類似体、プリン類似体、及びアデノシンデアミナーゼ阻害剤が含まれ、限定されないが、シタラビン(CYTOSAR-U)、シトシンアラビノシド、フルオロウラシル(5-FU)、フロクスウリジン(FudR)、6-チオグアニン、6-メルカプトプリン(6-MP)、ペントスタチン、5-フルオロウラシル(5-FU)、メトトレキサート、10-プロパギル-5,8-ジデアザ葉酸(PDDF、CB3717)、5,8-ジデアザテトラヒドロ葉酸(DDATHF)、ロイコボリン、リン酸フルダラビン、ペントスタチン、及びゲムシタビンが挙げられる。
好適な天然生成物及びそれらの誘導体(例えば、ビンカアルカロイド、抗腫瘍抗生物質、酵素、リンホカイン、及びエピポドフィロトキシン)には、限定されないが、Ara-C、パクリタキセル(Taxol(登録商標))、ドセタキセル(Taxotere(登録商標))、デオキシコホルマイシン、マイトマイシン-C、L-アスパラギナーゼ、アザチオプリン;ブレキナール;アルカロイド、例えば、ビンクリスチン、ビンブラスチン、ビノレルビン、ビンデシンなど;ポドフィロトキシン、例えば、エトポシド、テニポシドなど;抗生物質、例えば、アントラサイクリン、ダウノルビシン塩酸塩(ダウノマイシン、ルビドマイシン、セルビジン)、イダルビシン、ドキソルビシン、エピルビシン、及びモルホリノ誘導体など;フェノキシゾンビスシクロペプチド、例えば、ダクチノマイシン;塩基性糖ペプチド、例えば、ブレオマイシン;アントラキノングリコシド、例えば、プリカマイシン(ミトラマイシン);アントラセンジオン、例えば、ミトキサントロン;アジリノピロロインドレジオン、例えば、マイトマイシン;大環状免疫抑制剤、例えば、シクロスポリン、FK-506(タクロリムス、プログラフ)、ラパマイシンなどが含まれる。
他の抗増殖性細胞傷害性剤は、ナベルベン、CPT-11、アナストラゾール、レトラゾール、カペシタビン、レロキサフィン、シクロホスファミド、イホサミド、及びドロロキサフィンである。
抗増殖活性を有する微小管影響剤もまた、使用に好適であり、限定されないが、アロコルヒチン(NSC 406042)、ハリコンドリンB(NSC 609395)、コルヒチン(NSC 757)、コルヒチン誘導体(例えば、NSC 33410)、ドルスタチン10(NSC 376128)、メイタンシン(NSC 153858)、リゾキシン(NSC 332598)、パクリタキセル(Taxol(登録商標))、Taxol(登録商標)誘導体、ドセタキセル(Taxotere(登録商標))、チオコルヒチン(NSC 361792)、トリチルシステリン、ビンブラスチン硫酸塩、ビンクリスチン硫酸塩、天然及び合成のエポチロン(エトピロンA、エポチロンB、ディスコデルモリドを含むが、これらに限定されない)、エストラムスチン、ノコダゾールが含まれる。
使用に好適なホルモン調節剤及びステロイド(合成アナログを含む)には、アドレノコルチコステロイド、例えば、プレドニゾン、デキサメタゾンなど、エストロゲン及びプレゲスチン、例えば、カプロン酸ヒドロキシプロゲステロン、酢酸メドロキシプロゲステロン、酢酸メゲストロール、エストラジオール、クロミフェン、タモキシフェンなど、副腎皮質抑制剤、例えば、アミノグルテチミド、17α-エチニルエストラジオール、ジエチルスチルベストロール、テストステロン、フルオキシメステロン、プロピオン酸ドロモスタノロン、テストラクトロン、メチルプレドニゾロン、メチル-テストロン、プレドニゾロン、トリアムシノロン、クロロトリアニセン、ヒドロキシプロゲステロン、アミノグルテチミド、エストラムスチン、酢酸メドロキシプロゲステロン、ロイプロリド、フルタミド(ドロゲニル)、トレミフェン(フェアストン)、及びゾラデックスが含まれるが、これらに限定されない。エストロゲンは増殖及び分化を刺激し、したがって、エストロゲン受容体に結合する化合物が、この活性を遮断するために使用される。コルチコステロイドは、T細胞増殖を阻害し得る。
他の化学療法剤には、金属錯体、例えば、シスプラチン(cis-DDP)、カルボプラチンなど;尿素、例えば、ヒドロキシウレア;及びヒドラジン、例えば、N-メチルヒドラジン;エピドフィロトキシン;トポイソメラーゼ阻害剤;プロカルバジン;ミトキサントロン;ロイコボリン;テガフールなどが含まれる。関心対象の他の抗増殖剤には、免疫抑制剤、例えば、ミコフェノール酸、サリドマイド、デソキシスペルグアリン、アザスポリン、レフルノマイド、ミゾリビン、アザスピラン(SKF105685);Iressa(登録商標)(ZD1839、4-(3-クロロ-4-フルオロフェニルアミノ)-7-メトキシ-6-(3-(4-モルホリニル)プロポキシ)キナゾリンなどが含まれる。
「タキサン」には、パクリタキセル、並びに任意の活性タキサン誘導体又はプロドラッグが含まれる。「パクリタキセル」(例えば、ドセタキセル、TAXOL(商標)、TAXOTERE(商標)(ドセタキセルの製剤)、パクリタキセルの10-デスアセチル類似体、及びパクリタキセルの3’N-デスベンゾイル-3’N-t-ブトキシカルボニル類似体などの類似体、製剤、及び誘導体を含むように本明細書で理解されるべきである)は、当業者に既知の技術(WO94/07882、WO94/07881、WO94/07880、WO94/07876、WO93/23555、WO93/10076、米国特許第5,294,637号、同第5,283,253号、同第5,279,949号、同第5,274,137号、同第5,202,448号、同第5,200,534号、同第5,229,529、及びEP590,267を参照されたい)を利用して容易に調製され得るか、又は例えば、Sigma Chemical Co.、St.Louis,Mo.(Taxus brevifoliaからのT7402、又はTaxus yannanensisからのT-1912)を含む様々な市販の供給源から入手され得る。
パクリタキセルは、一般的な化学的に利用可能な形態のパクリタキセルだけでなく、類似体及び誘導体(例えば、上述のTaxotere(商標)ドセタキセル)及びパクリタキセルコンジュゲート(例えば、パクリタキセル-PEG、パクリタキセル-デキストラン、パクリタキセル-キシロース、又はAbraxane(登録商標)などのタンパク質結合パクリタキセル)を指すと理解されるべきである。
「タキサン」という用語には、親水性誘導体及び疎水性誘導体の両方を含む、様々な既知の誘導体も含まれる。タキサンの誘導体には、国際特許出願第WO99/18113号に記載のガラクトース及びマンノースの誘導体、同第WO99/14209号に記載のピペラジノ及び他の誘導体、同第WO99/09021号、同第WO98/22451号、及び米国特許第5,869,680号に記載のタキサンの誘導体、WO98/28288に記載の6-チオ誘導体、米国特許第5,821,263号に記載のスルフェンアミドの誘導体、並びに米国特許第5,415,869号に記載のタキソール誘導体が含まれるが、これらに限定されない。パクリタキセルのプロドラッが更に含まれ、WO98/58927、WO98/13059、及び米国特許第5,824,701号に記載されるものを含むがこれらに限定されない。
有用な免疫療法には、抗PD-1/PD-L1免疫療法、及び/又は治療方法において標的化され得る、例えば、CTLA-4、LAG-3、及びTIM-3などの免疫チェックポイントマーカーなどを標的とする他の免疫療法が含まれる。抗PD-1/PD-L1免疫療法は、例えば、対象に、有効量の1つ以上の抗PD-1/PD-L1治療アンタゴニストを投与することを含むが、これらに限定されず、かかるアンタゴニストとしては、例えば、OPDIVO(登録商標)(ニボルマブ)、KEYTRUDA(登録商標)(ペンブロリズマブ)、Tecentriq(商標)(アテゾリズマブ)、デュルバルマブ(MEDI4736)、アベルマブ(MSB0010718C)、BMS-936559(MDX-1105)、CA-170、BMS-202、BMS-8、BMS-37、BMS-242などが挙げられるが、これらに限定されない。これらの抗体は、本明細書に提供される抗ABCG2抗体との併用療法として投与され得る。
CD152としても知られるCTLA-4は、CD80及びCD86に結合する。CTLA-4に対する抗体が、いくつかのがんタイプを治療するために承認されてきている。CTLA-4と他の免疫療法との共阻害効果は、CTLA-4を、特定のがんを治療する他の免疫療法と組み合わせて使用するための優れた候補にする。TIM-3はまた、いくつかのがんタイプにおける免疫療法のために標的化され得る。
LAG-3は、がんを治療するための臨床試験中である。抗LAG-3免疫療法には、Tエフェクター細胞を活性化し(LAG-3阻害シグナルを前活性化LAG-3+細胞に下方調節することによって)、誘導された(すなわち、抗原特異的な)Treg抑制活性を阻害する両方ができるアンタゴニストLAG-3抗体を用いるものが含まれる。有用なLAG-3アンタゴニスト抗体には、レラトリマブ(BMS-986016、Bristol-Myers Squibbによって開発された)、IMP701(Immutepによって開発された)、TSR-033(抗LAG-3mAb、TESARO,Inc.によって開発された)などが含まれる。
免疫療法にはまた、例えば、養子細胞療法(ACT)及びキメラ抗原受容体(CAR)T細胞療法などのT細胞に基づく免疫療法が含まれる。例えば、対象は、対象のがんによって発現される抗原を標的にするように操作されたCAR T細胞の集団が投与され得る。T細胞ベースの療法は、いくつかの事例において、対象から血液試料又は腫瘍生検などの細胞試料を得ることと、試料から免疫細胞をエクスビボで、培養される免疫細胞の遺伝子改変の有無にかかわらず培養することと、を伴い得る。例として、免疫細胞は、対象から得られ、エクスビボで培養され、がんによって発現された抗原に特異的なCARで改変されて、CAR T細胞の集団を産生し得る。次いで、CAR T細胞は、対象に再導入されてがんを標的にし得る。T細胞をベースの免疫療法は、治療される特定のがんに応じて、例えば、様々な抗原を標的にすることによって、様々な細胞タイプを収集/培養することによってなど、様々な方法で構成され得る。加えて、T細胞ベースの免疫療法は、例えば、静脈内注射によって、又は局所的に、例えば、注入(例えば、腹腔内注入、胸膜カテーテル注入など)、直接注入などによって全身的に投与され得る。
いくつかの事例において、本明細書に記載される治療方法は、対象に、多剤耐性トランスポーター、例えば、ABCG2以外の多剤耐性トランスポーターを含むが、これらに限定されない、1つ以上の阻害剤を投与することを含み得る。多剤耐性トランスポーターの有用な阻害剤には、例えば、チロシンキナーゼ阻害剤、天然生成物、マイクロRNA、及び小分子阻害剤が含まれる。多剤耐性トランスポーターの阻害剤には、ABCトランスポーター阻害剤が含まれる。
本開示の方法を使用する治療に好適な個体には、がんを有する個体、がんを有すると診断された個体、化学療法、放射線療法、抗体療法、手術などでがんを治療されている個体、がんを(例えば、化学療法、放射線療法、抗体療法、手術などのうちの1つ以上で)治療されてきているが、治療に応答していない個体、がんを(例えば、化学療法、放射線療法、抗体療法、手術などのうちの1つ以上で)治療されてきているが、治療に最初に応答したが、その後に再燃した、すなわち、がんが再発した個体、が含まれる。
本開示の方法は、例えば、原発性がん、二次性がん、再増殖性がん、再発性がん、難治性がんなどを含む様々ながんを標的にして治療するために用いられ得る。例えば、いくつかの事例において、本開示の方法は、対象において特定された原発性がんの初期治療として用いられ得る。いくつかの事例において、本開示の方法は、一次以外(例えば、二次又はそれ以降)の治療として、例えば、前治療に難治性であるがんを有する対象において、前治療後に再成長しているがんを有する対象において、前治療に対する混合応答(例えば、対象における少なくとも1つの腫瘍に対する陽性応答及び対象における少なくとも1つの第2の腫瘍に対する陰性又はニュートラルな応答)を有する対象において、などで用いられ得る。
いくつかの事例において、本開示の方法は、多剤耐性がんなどの薬剤耐性がんを有する対象を治療するために用いられ得る。多剤耐性(MDR)は、多くのがんが化学療法剤に対する耐性を発達させる機序であり、最小限の細胞死及び薬剤耐性腫瘍の拡大をもたらす。MDRがんは、1つ以上の耐性メカニズムを伴い得、それは例えば、排出ポンプの増加した発現、薬物の減少した吸収、細胞死又はアポトーシスの阻害、薬物代謝の調節などを含むが、これらに限定されない。いくつかの事例において、本開示の方法は、MDRを防止、逆転、又は回避し得る。
いくつかの事例において、本開示の方法は、第1の薬剤に対して耐性であるがんを有する対象を、第1の薬剤とは異なる第2の薬剤と組み合わせた有効量の本明細書に記載の対象抗体によって治療することを含み得る。例えば、いくつかの事例において、対象のがんは、第1の化学療法剤に対して耐性であり得、対象は、第1の化学療法剤とは異なる第2の化学療法剤と組み合わせて本明細書に記載の有効量の対象抗体を投与することによって治療され得る。第1及び第2の化学療法剤の様々な組み合わせは、例えば、治療されるがんのタイプ、耐性を発達させる可能性などに応じて用いられ得る。
多数のがんが薬剤耐性を発達させることが知られている。この理由及び他の理由によって、本開示の方法は、様々ながんにおける使用が認められ得、例えば、急性リンパ芽球性白血病(ALL)、急性骨髄性白血病(AML)、副腎皮質がん、AIDS関連がん(例えば、カポジ肉腫、リンパ腫など)、肛門がん、虫垂がん、星状細胞腫、非定型催奇形/ラブドイド腫瘍、基底細胞がん、胆管がん(肝外)、膀胱がん、骨がん(例えば、ユーイング肉腫、骨肉腫、及び悪性線維組織細胞腫など)、脳幹神経膠腫、脳腫瘍(例えば、星状細胞腫、中枢神経系胚性腫瘍、中枢神経系生殖細胞腫瘍、頭蓋咽頭腫、上皮腫など))、乳がん(例えば、女性乳がん、男性乳がん、小児乳がんなど)、気管支腫瘍、バーキットリンパ腫、カルチノイド腫瘍(例えば、小児、胃腸など)、未知の原発腫瘍、心(心臓)腫瘍、中枢神経系(例えば、非定型催奇形腫瘍/ラブドイド腫瘍、胚腫瘍、生殖細胞腫瘍、リンパ腫など)、子宮頸がん、小児がん、脊髄腫、慢性リンパ性白血病(CLL)、慢性骨髄性白血病(CML)、慢性骨髄増殖性腫瘍、結腸がん、結腸直腸がん、頭蓋咽頭腫、皮膚T細胞リンパ腫、導管(例えば、胆管、肝外など)、非浸潤性乳管(DCIS)、胚芽腫瘍、子宮内膜がん、上皮腫、食道がん、鼻腔神経芽細胞腫、ユーイング肉腫、頭蓋外生殖細胞腫瘍、性腺外胚細胞腫瘍、肝外胆管がん、眼がん(例えば、眼内黒色腫、網膜芽細胞腫など)、骨の線維性組織球腫(例えば、悪性、骨肉腫など)、胆嚢がん、胃(gastric)(胃(stomach))がん、胃腸カルチノイド腫瘍、胃腸間質腫瘍(GIST)、生殖細胞腫瘍(例えば、頭蓋外、性腺外、卵巣、精巣など)、妊娠性絨毛性疾患、神経膠腫、有毛細胞白血病、頭頸部がん、臓がん、肝細胞(肝臓)がん、組織球症(例えば、ランゲルハンス細胞など)、ホジキンリンパ腫、下咽頭がん、眼内黒色腫、島細胞腫瘍(例えば、膵神経内分泌腫瘍など)、カポジ肉腫、腎臓がん(例えば、腎細胞、ウィルムス腫瘍、小児腎臓腫瘍泌腫瘍など)、ランゲルハンス細胞組織球症、喉頭がん、白血病(例えば、急性リンパ芽球性(ALL)、急性骨髄性(AML)、慢性リンパ性(CLL)、慢性骨髄性(CML)、有毛細胞など)、口唇及び口腔がん、肝臓がん(原発性)、非浸潤性小葉がん(LCIS)、肺がん(例えば、非小細胞、小細胞など)、リンパ腫(例えば、エイズ関連、バーキット、皮膚T細胞、ホジキン、非ホジキン、原発性中枢神経系(CNS)など)、マクログロブリン血症(例えば、ワルデンストレームなど)、男性乳がん、骨及び骨肉腫の悪性線維性組織球腫、黒色腫、メルケル細胞がん、中皮腫、原発不明の転移性頸部扁平上皮がん、ナット遺伝子を伴う正中線管がん、口腔がん、多発性内分泌腫瘍症候群、多発性骨髄腫/形質細胞腫瘍、菌状息肉腫、骨髄異形成症候群、骨髄異形成/骨髄増殖性腫瘍、骨髄性白血病(例えば、慢性(CML)など)、骨髄性白血病(例えば、急性(AML)など)、骨髄増殖性腫瘍(例えば、慢性腫瘍など)、鼻腔及び副鼻腔がん、鼻咽頭がん、神経芽腫、非ホジキンリンパ腫、非小細胞肺がん、口腔がん、口腔がん(例えば、唇など)、口腔咽頭がん、骨肉腫及び骨の悪性線維性組織球腫、卵巣がん(例えば、上皮性、生殖細胞腫瘍、低悪性度腫瘍など)、膵臓がん、膵神経内分泌腫瘍(膵島細胞腫瘍)、乳頭腫瘍、副鼻腔腫瘍、副鼻腔洞及び鼻腔がん、副甲状腺がん、陰茎がん、咽頭がん、褐色細胞腫、下垂体腫瘍、胸膜肺芽腫、原発性中枢神経系(CNS)リンパ腫、前立腺がん、直腸がん、腎細胞(腎臓)がん、腎盂及び尿道移行性細胞がん、網膜芽腫、横紋筋肉腫、唾液腺がん、腫(例えば、ユーイング、カポジ、骨肉腫、横紋筋肉腫、軟組織、子宮など)、セザリー症候群、皮膚がん(例えば、小児、黒色腫、メルケル細胞がん、非黒色腫など)、小細胞肺がん、小腸がん、軟組織肉腫、扁平上皮がん、扁平頸部がん(例えば、原発不明、転移性などを伴う)、胃(stomach)(胃(gastric))がん、T細胞リンパ腫、精巣がん、咽頭がん、胸腺腫及び胸腺がん、甲状腺がん、腎盂及び尿管の移行細胞がん、尿管及び腎盂がん、尿道がん、子宮がん(例えば、子宮内膜がんなど)、子宮肉腫、膣がん、外陰部がん、ワルデンストレーム高ガンマグロブリン血症、ウィルムス腫瘍などが含まれるが、これらに限定されない。
本明細書に記載の治療方法は、いくつかの事例において、以前に1つ以上の従来の治療を受けている対象において行われ得る。例えば、腫瘍学の場合、本明細書に記載の方法は、いくつかの事例において、例えば、従来の化学療法、従来の放射線療法、従来の免疫療法、手術などを含むが、これらに限定されない従来のがん療法に続いて行われ得る。いくつかの事例において、本明細書に記載の方法は、対象が従来の療法に応答していないか、又は難治性である場合に使用され得る。いくつかの事例において、本明細書に記載の方法は、対象が従来の療法に応答している場合に使用され得る。
いくつかの事例において、本開示の方法は、前がん治療後に残っている最小残存疾患(MRD)について対象を標的にするか、処置するか、又は排除するために用いられ得る。MRDの標的化、処置、及び/又は排除は、MRDが前治療に対して難治性であるか否かにかかわらず、本方法を使用して追求され得る。いくつかの事例において、本開示の方法を用いて、MRDが、前治療、又は本明細書に記載の多重特異性抗体を用いる治療以外の1つ以上の利用可能な治療選択肢に対して難治性であるという決定後に、MRDの対象を標的化、処置、及び/又は排除し得る。
いくつかの事例において、本方法は、サーベイランスのために予防的に用いられ得る。例えば、それを必要とする対象は、対象が検出可能な疾患を有さないが、例えば、薬剤耐性がんを含む再発性がんを発症するリスクにある場合に、本明細書に記載の単一又は多重特異性抗体のうちの1つ以上を伴う治療を投与され得る。いくつかの事例において、予防的アプローチは、対象が、薬剤耐性であることが予測されるか、又は薬剤耐性になることが予想される原発性がんを発症する特に高いリスクにある場合に用いられ得る。いくつかの事例において、予防的アプローチは、対象が以前にがんのために治療されており、再発又は薬剤耐性の発達のリスクにある場合に用いられ得る。
いくつかの事例において、本開示の方法は、1つ以上のマーカー又は治療標的の発現についてがんを分析することを伴い得る。例えば、いくつかの事例において、方法は、対象からのがんの試料を分析して、がんが、所定の閾値を超えるABCG2、所定の閾値を超えるがん関連抗原若しくはMDR-1、又は所定の閾値を超えるABCG2及びTAAの両方、若しくはABCG2及びMDR1の両方を発現するか、決定することを伴い得る。
いくつかの事例において、対象が本開示の抗体で治療されるかは、ABCG2発現評価、がん関連抗原発現、又は両方の結果に依存し得る。例えば、いくつかの事例において、がんがABCG2を所定の閾値以上で発現する場合、対象は、本開示の抗ABCG2抗体又は本開示の多重特異性抗体で治療され得、がんがABCG2を所定の閾値未満で発現する場合、対象は、抗ABCG2抗体で治療されずに本開示の多重特異性抗体で治療され得る。
任意の都合のよいアッセイがABCG2及び/又はがん関連抗原レベルを分析するために用いられ得、例えば、フローサイトメトリー、核酸ベースのアッセイ(例えば、増幅、配列決定など)、細胞サイトメトリー、免疫組織化学などを含むが、これらに限定されない。任意の都合のよい生体試料が用いられ得、例えば、がん生検試料が含まれるが、これらに限定されない。1つ以上のマーカー及び/又は標的の発現を評価するための有用な所定の閾値は、任意の都合がよく適切な方法によって決定され得、測定された発現レベルと対応する対照との比較を含む。例えば、いくつかの事例において、試料でアッセイされたABCG2及び/又はがん関連抗原のレベルにおける有用な所定の閾値は、健常/正常細胞などの参照細胞で測定されたABCG2及び/又はがん関連抗原のレベルに対応し得る。
作製の方法
上記に要約したように、本開示の方法はまた、本明細書に記載の抗体を作製及び/又は同定する方法を含む。対象抗体は、任意の既知の方法、例えば、タンパク質合成のための従来の合成方法、組換えDNA方法などによって産生することができる。
上記に要約したように、本開示の方法はまた、本明細書に記載の抗体を作製及び/又は同定する方法を含む。対象抗体は、任意の既知の方法、例えば、タンパク質合成のための従来の合成方法、組換えDNA方法などによって産生することができる。
対象抗体が単鎖ポリペプチドである場合、それは、標準的な化学的ペプチド合成技術を使用して合成することができる。ポリペプチドが化学的に合成される場合、合成は、液相又は固相を介して進行され得る。配列のC末端アミノ酸が不溶性支持体に結合され、続いて配列に残りのアミノ酸が順次付加される固相ポリペプチド合成(SPPS)は、対象抗体の化学合成に好適な方法の例である。Fmoc及びBocなどの様々な形態のSPPSが、対象抗体を合成するために利用可能である。
標準的な組換え方法を、対象抗体の産生に使用することができる。例えば、任意選択的に定常領域に連結された、軽鎖及び重鎖可変領域をコードする核酸が、発現ベクターに挿入される。軽鎖及び重鎖は、同じか又は異なる発現ベクターにクローニングすることができる。免疫グロブリン鎖をコードするDNAセグメントは、免疫グロブリンポリペプチドの発現を確実にする発現ベクターにおいて制御配列に操作可能に連結される。発現制御配列には、プロモーター(例えば、天然関連又は異種のプロモーター)、シグナル配列、エンハンサー要素、及び転写終結配列が含まれるが、これらに限定されない。発現制御配列は、真核生物宿主細胞(例えば、COS又はCHO細胞)を形質転換又はトランスフェクトすることができるベクターにおける真核生物プロモーターシステムであることができる。ベクターが適切な宿主に組み込まれると、宿主は、ヌクレオチド配列の高レベル発現、並びに抗体の収集及び精製に好適な条件下で維持される。
遺伝子コードの縮重により、様々な核酸配列が、各免疫グロブリンアミノ酸配列をコードすることができる。所望の核酸配列は、デノボ固相DNA合成によって、又は所望のポリヌクレオチドよりも早く調製されたバリアントのポリメラーゼ連鎖反応(PCR)変異誘発によって生成することができる。オリゴヌクレオチド媒介性変異誘発は、標的ポリペプチドDNAの置換、欠失、及び挿入バリアントを調製するための好適な方法の例である。Adelman et al.,DNA 2:183(1983)を参照されたい。簡単に説明すると、標的ポリペプチドDNAは、所望の変異をコードするオリゴヌクレオチドを一本鎖DNA鋳型とハイブリダイズさせることによって改変される。ハイブリダイゼーション後、DNAポリメラーゼを使用して、オリゴヌクレオチドプライマーを組み込む鋳型の第2の相補鎖全体を合成し、選択された改変を標的ポリペプチドDNA内にコードさせる。
好適な発現ベクターは、典型的には、エピソームとして、又は宿主染色体DNAの不可欠な部分として、宿主生物内で複製可能である。一般に、発現ベクターは、所望のDNA配列で形質転換されたこれらの細胞の検出を可能にする選択マーカー(例えば、アンピシリン耐性、ハイグロマイシン耐性、テトラサイクリン耐性、カナマイシン耐性、又はネオマイシン耐性)を含有する。
Escherichia coliは、対象抗体をコードするポリヌクレオチドをクローニングするために使用することができる原核生物宿主細胞の例である。使用に好適な他の微生物宿主には、Bacillus subtilisなどの桿菌、及びサルモネラ、セラチア、及び種々のシュードモナス種などの他の腸内細菌科が含まれる。
酵母などの他の微生物もまた、発現に有用である。サッカロマイセス(例えば、S.cerevisiae)及びピキアは、好適な酵母宿主細胞の例であり、所望に応じて、発現制御配列(例えば、プロモーター)、複製起点、終結配列などを有する好適なベクターを伴う。典型的なプロモーターには、3-ホスホグリセリン酸キナーゼ及び他の解糖酵素が含まれる。誘導性酵母プロモーターには、とりわけ、アルコールデヒドロゲナーゼ、イソシトクロムC、並びにマルトース及びガラクトース利用に関与する酵素からのプロモーターが含まれる。
微生物に加えて、哺乳類細胞(例えば、インビトロ細胞培養で増殖される哺乳類細胞)を使用して、本発明(例えば、免疫グロブリン又はそれらの断片をコードするポリヌクレオチド)のポリペプチドを発現及び産生することもできる。Winnacker,From Genes to Clones,VCH Publishers,N.Y.,N.Y.(1987)を参照されたい。好適な哺乳類宿主細胞としては、CHO細胞株、種々のCos細胞株、HeLa細胞、HEK細胞、骨髄腫細胞株、及び形質転換B細胞又はハイブリドーマが挙げられる。これらの細胞のための発現ベクターは、発現制御配列、例えば、複製起点、プロモーター、及びエンハンサー(Queen et al.,Immunol.Rev.89:49(1986))、並びにリボソーム結合部位、RNAスプライス部位、ポリアデニル化部位、及び転写ターミネーター配列などの必要なプロセシング情報部位を含むことができる。好適な発現制御配列の例は、免疫グロブリン遺伝子、SV40、アデノウイルス、ウシパピローマウイルス、サイトメガロウイルスなどに由来するプロモーターである。Co et al.,J.Immunol.148:1149(1992)を参照されたい。
一度合成されると(化学的又は組換え的のいずれか)、全抗体、その二量体、個々の軽鎖及び重鎖、又は対象抗体の他の形態(例えば、scFvなど)は、当該技術分野の標準的な手順に従って精製することができ、それには硫酸アンモニウム沈殿、アフィニティーカラム、カラムクロマトグラフィー、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)精製、ゲル電気泳動などが含まれる(概して、Scopes,Protein Purification(Springer-Verlag,N.Y.,(1982)を参照されたい)。対象抗体は、実質的に純粋、例えば、少なくとも約80%~85%純粋、少なくとも約85%~90%純粋、少なくとも約90%~95%純粋、又は98%~99%以上純粋であることができ、例えば、細胞デブリ、対象抗体以外の巨大分子などの汚染物質を含まない。
いくつかの実施形態において、本開示の多重特異性抗体を生成する方法は、候補抗体を産生することと、活性についてスクリーニングすることと、を含み得る。かかる方法は、一連のステップの使用によって、ABCG2及びがん関連抗原又はMDR1の両方を発現する細胞に特異的に結合する多重特異性抗体を生成し得る。かかる方法のステップには、各々がABCG2結合ドメイン及びがん関連抗原結合ドメイン/MDR1結合ドメインを含むか、若しくは含むことが予期される多重特異性抗体又は複数の抗体を産生することと、ABCG2及びがん関連抗原又はMDR-1を発現する第1の試験細胞を、多重特異性抗体又は複数の抗体と接触させることと、ABCG2又はがん関連抗原/MDR1のいずれかを発現する第2の細胞を、多重特異性抗体又は複数の抗体と接触させることと、第1の細胞との多重特異性抗体の結合を、第2の細胞との多重特異性抗体の結合と比較して、結合特異性比率を決定することと、比率が所定の閾値を超えるときに、ABCG2及びがん関連抗原/MDR1の両方を発現する細胞に特異的であるとして、多重特異性抗体、又は複数の抗体のうちの1つ以上を特定することと、を含み得る。かかる比較結合のための閾値が用いられる場合、閾値は、変化し得、1.5:1以上の範囲であり得、例えば、2:1、3:1、4:1、5:1、6:1、7:1、8:1、9:1、10:1、20:1、50:1、100:1などを含むが、これらに限定されない。
様々な細胞が、かかる方法で使用され得、例えば、本明細書に記載の細胞が含まれるが、これらに限定されない。いくつかの事例において、ABCG2のみを発現する細胞及びがん関連抗原のみを発現する細胞の両方に対して抗体の結合が行われ得る。例えば、いくつかの事例において、本方法は、上記のステップに関連して、第2の細胞は、ABCG2を発現してがん関連抗原を発現しないが、方法は、がん関連抗原を発現するが、ABCG2は発現しない第3の細胞を、多重特異性抗体と接触させることを更に含み得る。
いくつかの事例において、かかる方法は、1つ以上の対照を用い得、例えば、対照細胞、対照試薬などが含まれるが、これらに限定されない。有用な対照細胞には、1つ以上の関連遺伝子又はタンパク質の既知の発現又は既知の発現の欠如を有するものが含まれる。有用な対照試薬には、例えば、既知の標的に対する単一特異性抗体などの対照抗体が含まれ得るが、これらに限定されない。例えば、いくつかの事例において、本開示のかかる方法は、第1の細胞、第2の細胞、及び/又は第3の細胞を、単一特異性抗ABCG2抗体及び単一特異性抗がん関連抗原抗体から選択される対照抗体と接触させることを更に含み得る。使用される特定の方法に応じて、必要に応じて、様々な他又は追加の対照が、適切なように、用いられ得る。
キット
本開示の態様はまた、キットを含む。キットは、例えば、本明細書に記載の抗体、多重特異性抗体、試薬、組成物、製剤、細胞、核酸、発現ベクターなどの任意の組み合わせを含み得る。対象キットは、対象抗体、それをコードする核酸、又は対象核酸を含む細胞のうちの1つ以上を含むことができる。キットは、様々な目的のために構成され得、例えば、治療キット(例えば、キットが抗ABCG2抗体又は多重特異性抗体、及び、例えば、化学療法剤などの1つ以上の追加の活性剤を含み得る)、抗体を産生するためのキット、抗体をスクリーニングするためのキットなどが含まれる。
本開示の態様はまた、キットを含む。キットは、例えば、本明細書に記載の抗体、多重特異性抗体、試薬、組成物、製剤、細胞、核酸、発現ベクターなどの任意の組み合わせを含み得る。対象キットは、対象抗体、それをコードする核酸、又は対象核酸を含む細胞のうちの1つ以上を含むことができる。キットは、様々な目的のために構成され得、例えば、治療キット(例えば、キットが抗ABCG2抗体又は多重特異性抗体、及び、例えば、化学療法剤などの1つ以上の追加の活性剤を含み得る)、抗体を産生するためのキット、抗体をスクリーニングするためのキットなどが含まれる。
キットの任意選択的な構成要素は変化し、例えば、緩衝剤、プロテアーゼ阻害剤などを含み得る。対象キットが対象核酸を含む場合、核酸はまた、制限部位、複数のクローニング部位、プライマー部位などを有し得る。キットの様々な構成要素は、別々の容器に存在し得るか、又は特定の互換性のある構成要素が、所望により、単一の容器に予め組み合わされ得る。
上記の構成要素に加えて、対象キットは、対象方法を実施するためにキットの構成要素を使用するための説明書を含むことができる。対象方法を実施するための説明書は、一般に、好適な記録媒体に記録される。例えば、説明書は、紙又はプラスチックなどの基材に印刷され得る。したがって、説明書は、パッケージインサートとして、キット又はその構成要素の容器の表示に存在し得る(すなわち、パッケージング若しくは下位パッケージングと関連付けられる)。他の実施形態において、説明書は、好適なコンピュータ可読記憶媒体、例えば、コンパクトディスク読み取り専用メモリ(CD-ROM)、デジタルバーサタイルディスク(DVD)、ディスケットなどに存在する電子記憶データファイルとして存在する。更に他の実施形態において、実際の説明書はキットには存在しないが、リモートソースから、例えば、インターネットを介して、説明書を得るための手段が提供される。この実施形態の例は、説明書が表示できるウェブアドレス及び/又は説明書がダウンロードできるウェブアドレスを含むキットである。説明書と同様に、説明書を得るためのこの手段は、好適な基材に記録される。
本開示の例示的な非限定的態様
上記の本主題の態様は、実施形態を含め、単独で、又は1つ以上の他の態様若しくは実施形態と組み合わせて有益であり得る。先の説明を限定することなく、本開示の特定の非限定的な態様が以下に提供される。本開示を読むと、当業者に明らかになるように、個々に番号が付けられた態様の各々が、使用されるか、又は先行か若しくは後続の個々に番号が付けられた態様のうちのいずれかと組み合わされ得る。これは、態様の全てのかかる組み合わせにおける支持を提供することが意図されており、以下で明示的に提供される態様の組み合わせに限定されない。当業者には、本発明の趣旨又は範囲から逸脱することなく、様々な変更及び修正を行うことができることは明らかであろう。
上記の本主題の態様は、実施形態を含め、単独で、又は1つ以上の他の態様若しくは実施形態と組み合わせて有益であり得る。先の説明を限定することなく、本開示の特定の非限定的な態様が以下に提供される。本開示を読むと、当業者に明らかになるように、個々に番号が付けられた態様の各々が、使用されるか、又は先行か若しくは後続の個々に番号が付けられた態様のうちのいずれかと組み合わされ得る。これは、態様の全てのかかる組み合わせにおける支持を提供することが意図されており、以下で明示的に提供される態様の組み合わせに限定されない。当業者には、本発明の趣旨又は範囲から逸脱することなく、様々な変更及び修正を行うことができることは明らかであろう。
以下の実施例は、例示として、限定としてではなく提供される。
以下の実施例は、本発明を作製及び使用する方法の完全な開示及び記載を当業者に提供するために提示され、発明者がそれらの発明とみなすものの範囲を限定することは意図されず、以下の実験は、行われた全ての実験又は唯一の実験であることを表すことは意図されない。使用される数字(例えば、量、温度など)に関して正確性を確保する努力がなされているが、ある程度の実験誤差及び偏差が考慮されるべきである。別段に示されない限り、割合は重量による割合であり、分子量は重量平均分子量であり、温度は摂氏度であり、圧力は大気圧又はほぼ大気圧である。
分子生化学及び細胞生化学における一般的な方法は、Molecular Cloning: A Laboratory Manual,3rd Ed.(Sambrook et al.,HaRBor Laboratory Press 2001)、Short Protocols in Molecular Biology,4th Ed.(Ausubel et al.eds.,John Wiley & Sons 1999)、Protein Methods(Bollag et al.,John Wiley & Sons 1996)、Nonviral Vectors for Gene Therapy(Wagner et al.eds.,Academic Press 1999)、Viral Vectors(Kaplift & Loewy eds.,Academic Press 1995)、Immunology Methods Manual(I.Lefkovits ed.,Academic Press 1997)、及びCell and Tissue Culture: Laboratory Procedures in Biotechnology(Doyle & Griffiths,John Wiley & Sons 1998)などの標準的なテキストブックに認められ、これらの開示は、参照により本明細書に組み込まれる。本開示に言及されるか、又は関連する方法のための試薬、クローニングベクター、細胞、及びキットは、BioRad、Agilent Technologies、Thermo Fisher Scientific、Sigma-Aldrich、New England Biolabs(NEB)、Takara Bio USA,Inc.などの商業ベンダー、並びに、例えば、Addgene,Inc.、American Type Culture Collection(ATCC)などのリポジトリから入手可能である。
実施例1:ABCG2を発現する細胞に特異的に結合する抗体の生成
材料及び方法
抗体生成
野生型(WT)ヒトABCG2及び変異体ABCG2を免疫のために使用した。開いたか又は閉じた立体構造のいずれかでポンプを拘束するABCG2の様々な変異体を生成した。開いた立体構造で拘束されるABCG2変異体を生成するためのヒト及びMacaca fascicularis ABCG2における変異は、E221Qである。閉じた立体構造で拘束されるABCG2変異体を生成するためのヒトABCG2における変異は、(i)K86M、S87A、(ii)K86M、S87A、Q126A、及び/又は(iii)K86M、S87A、Q126A、R246Eである。
3T3-ABCG2及びC6-ABCG2発現安定細胞は、3T3及びC6細胞をpMono-hygro-ABCG2プラスミドでトランスフェクションし、続いて0.2mg/ml又は0.5mg/mlハイグロマイシン選択を行って生成した。AGCG2タンパク質を提示するウイルス様粒子は、既に報告されているように(Popova et al.2008,J Virol 82(3):1389-1398)、AGCG2遺伝子及びレトロウイルスGagタンパク質を担持するプラスミドを用いた293T細胞の共トランスフェクションによって生成した。
材料及び方法
抗体生成
野生型(WT)ヒトABCG2及び変異体ABCG2を免疫のために使用した。開いたか又は閉じた立体構造のいずれかでポンプを拘束するABCG2の様々な変異体を生成した。開いた立体構造で拘束されるABCG2変異体を生成するためのヒト及びMacaca fascicularis ABCG2における変異は、E221Qである。閉じた立体構造で拘束されるABCG2変異体を生成するためのヒトABCG2における変異は、(i)K86M、S87A、(ii)K86M、S87A、Q126A、及び/又は(iii)K86M、S87A、Q126A、R246Eである。
3T3-ABCG2及びC6-ABCG2発現安定細胞は、3T3及びC6細胞をpMono-hygro-ABCG2プラスミドでトランスフェクションし、続いて0.2mg/ml又は0.5mg/mlハイグロマイシン選択を行って生成した。AGCG2タンパク質を提示するウイルス様粒子は、既に報告されているように(Popova et al.2008,J Virol 82(3):1389-1398)、AGCG2遺伝子及びレトロウイルスGagタンパク質を担持するプラスミドを用いた293T細胞の共トランスフェクションによって生成した。
雌マウス又はラットを、様々なプライムブースト戦略を使用して、ABCG2(野生型又は変異型)ヒト若しくはカニクイザルDNA及び/又はABCG2(野生型又は変異型)発現細胞若しくはウイルス様粒子によって8~12週間免疫した。いくつかの事例において、1つ以上の抗原(WT又は変異型ABCG2のうちの1つ以上)を免疫のために使用して、生成された抗体の多様性を増加させ、免疫応答を増強した。ワクチン接種した動物からの脾臓及びリンパ節細胞を、SP2/0骨髄腫細胞と融合させた(ハイブリドーマ技術)。ハイブリドーマ上清を、フローサイトメトリーによって抗ABCG2抗体の存在についてスクリーニングし、次いで細胞殺傷(化学増感)アッセイ及び排出阻害アッセイで機能的活性についてスクリーニングした。選択されたネズミIgGからのCDRを、以下に記載されるように、標準的なプロトコルを使用したトランスフェクションを介したHEK293宿主細胞における全長IgG1抗体発現及び産生のために哺乳類IgG1骨格発現ベクターにクローニングした。
発現ベクター
抗体発現ベクターの生成のために、哺乳類細胞株における発現に最適化された一般的なレシピエント発現ベクターにそれぞれ予め挿入されたヒトIgG1定常重鎖又はヒトIgG1カッパ定常軽鎖のいずれかにインフレームになるように重鎖及び軽鎖DNA配列の可変領域をサブクローニングした。発現される遺伝子を、高レベル遺伝子発現のために全長ヒトサイトメガロウイルス(CMV)即時早期プロモーターを使用するpCI-neo哺乳類発現ベクター(Promega)にクローニングした。2つの抗体鎖を、2つの異なるベクターにクローニングした。
抗体発現ベクターの生成のために、哺乳類細胞株における発現に最適化された一般的なレシピエント発現ベクターにそれぞれ予め挿入されたヒトIgG1定常重鎖又はヒトIgG1カッパ定常軽鎖のいずれかにインフレームになるように重鎖及び軽鎖DNA配列の可変領域をサブクローニングした。発現される遺伝子を、高レベル遺伝子発現のために全長ヒトサイトメガロウイルス(CMV)即時早期プロモーターを使用するpCI-neo哺乳類発現ベクター(Promega)にクローニングした。2つの抗体鎖を、2つの異なるベクターにクローニングした。
マウスIgG重鎖及びカッパ軽鎖からのN末端シグナル配列を、それぞれ重鎖及び軽鎖の分泌型発現のために使用した。シグナルペプチドは発現中に切断され、インタクトN末端を残した。Fab構築物において、CH1 IgG1定常領域のC末端を、精製のための6×Hisタグと融合させた。
mAbの産生
哺乳類発現ベクターと懸濁して増殖するExpi293細胞(A14527、ThermoFisher)細胞のポリマーベースの共トランスフェクションを、製造業者の推奨に従って使用して、抗体構築物を発現させた。
哺乳類発現ベクターと懸濁して増殖するExpi293細胞(A14527、ThermoFisher)細胞のポリマーベースの共トランスフェクションを、製造業者の推奨に従って使用して、抗体構築物を発現させた。
トランスフェクションの約6日後、細胞を遠心分離によって収集した。詳細には、トランスフェクトする培養物1ml当たり1ugの総コードDNAを、Opti-MEM(登録商標)培地(Life Technologies)に希釈し、同じ培地中のExpifectamine試薬(Life Technologies)とともに20分間インキュベートした。次いで、混合物を、Expi293(登録商標)発現培地(Life Technologies)の懸濁液中で増殖するExpi293(登録商標)細胞に、8%CO2を伴う空気中で、37℃で細胞250万個/mlで添加した。6日後、抗体構築物を含有する培地を遠心分離によって収集した。
mAbの精製
ヒト及びマウスFcを含有する抗体形式を精製するために、1mlの上清当たり10μlのMabSelect(商標)SuRe(商標)(GE Healthcare)を、収集した培地に添加し、4℃で一晩撹拌し続けた。翌日、真空マニホールドユニット(Pall Lifesciences、USA)を使用して、24ウェルフィルタープレート中でプロテインA樹脂を適用した。樹脂をPBSで洗浄し、抗体を50mMリン酸pH3で溶離し、10×PBS pH13で中和した。
ヒト及びマウスFcを含有する抗体形式を精製するために、1mlの上清当たり10μlのMabSelect(商標)SuRe(商標)(GE Healthcare)を、収集した培地に添加し、4℃で一晩撹拌し続けた。翌日、真空マニホールドユニット(Pall Lifesciences、USA)を使用して、24ウェルフィルタープレート中でプロテインA樹脂を適用した。樹脂をPBSで洗浄し、抗体を50mMリン酸pH3で溶離し、10×PBS pH13で中和した。
mAbについての分析試験(GXII還元及び非還元)
最終タンパク質調製物の純度及びモノマー含量を、Protein Express LabChip Kit(Perkin-Elmer)を製造業者による説明に従って使用して、CaliperのLabChip GXIIでハイスループット分析によって決定した。チップは、0.2%SDS及び蛍光染色色素を含有するポリマー溶液によって装置で自動的にプライミングされた。脱染色チャネルを、SDS及び色素を含まないポリマー溶液で充填した。簡単に説明すると、還元及び非還元状態におけるタンパク質は、小体積の試料(2~5μL)を、DDTの有りまたは無しで、caliper試料緩衝液と混合することによって調製した。試料を75℃で5分間変性させ、2000gで3分間遠心分離してから泳動した。電気泳動図は、LabChip GXII Touchソフトウェア(Perkin Elmer)によって生成された。
最終タンパク質調製物の純度及びモノマー含量を、Protein Express LabChip Kit(Perkin-Elmer)を製造業者による説明に従って使用して、CaliperのLabChip GXIIでハイスループット分析によって決定した。チップは、0.2%SDS及び蛍光染色色素を含有するポリマー溶液によって装置で自動的にプライミングされた。脱染色チャネルを、SDS及び色素を含まないポリマー溶液で充填した。簡単に説明すると、還元及び非還元状態におけるタンパク質は、小体積の試料(2~5μL)を、DDTの有りまたは無しで、caliper試料緩衝液と混合することによって調製した。試料を75℃で5分間変性させ、2000gで3分間遠心分離してから泳動した。電気泳動図は、LabChip GXII Touchソフトウェア(Perkin Elmer)によって生成された。
mAbについての分析試験(HPLC)
最終タンパク質調製物の純度及びモノマー含量を、HPLCでのハイスループット分析によって決定した。サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)は、Infinity 1260 Agilent HPLCシステムで、Advancebio SEC 300A 4.6×300mm、2.7um(p/n PL1580-5301)(Agilent Technologies)を使用して行った。PBS、400mM塩化ナトリウム、pH7.4の移動相を使用して、均一濃度溶離条件下で注入を行い、280nmの吸光度で検出した。定量化は、検出されたピークの相対面積に基づいている。
最終タンパク質調製物の純度及びモノマー含量を、HPLCでのハイスループット分析によって決定した。サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)は、Infinity 1260 Agilent HPLCシステムで、Advancebio SEC 300A 4.6×300mm、2.7um(p/n PL1580-5301)(Agilent Technologies)を使用して行った。PBS、400mM塩化ナトリウム、pH7.4の移動相を使用して、均一濃度溶離条件下で注入を行い、280nmの吸光度で検出した。定量化は、検出されたピークの相対面積に基づいている。
対象抗体は、実質的に純粋、例えば、少なくとも約80%~85%純粋、少なくとも約85%~90%純粋、少なくとも約90%~95%純粋、又は98%~99%以上純粋であることができ、例えば、細胞デブリ、対象抗体以外の巨大分子などの汚染物質を含まない。
293T細胞の一過性トランスフェクション
最適化されたPEIPro(商標)トランスフェクションプロトコル(Polyplus)を使用して、293T細胞をpLenti-C-Myc-DDK-P2A-Puroプラスミド中のヒトP糖タンパク質タグ化ORFクローンで一過性にトランスフェクトした。DNA及びJetPEI(登録商標)を、それぞれ培養培地で希釈してから、約10分間穏やかに混合した。この混合は、トランスフェクション複合体の形成をもたらし、該複合体が細胞培養に直接添加された。排出遮断は、多剤耐性直接色素排出アッセイ(Multidrug Resistance Direct Dye Efflux Assay)(Chemicon)を製造業者のプロトコルに従って使用して測定した。
最適化されたPEIPro(商標)トランスフェクションプロトコル(Polyplus)を使用して、293T細胞をpLenti-C-Myc-DDK-P2A-Puroプラスミド中のヒトP糖タンパク質タグ化ORFクローンで一過性にトランスフェクトした。DNA及びJetPEI(登録商標)を、それぞれ培養培地で希釈してから、約10分間穏やかに混合した。この混合は、トランスフェクション複合体の形成をもたらし、該複合体が細胞培養に直接添加された。排出遮断は、多剤耐性直接色素排出アッセイ(Multidrug Resistance Direct Dye Efflux Assay)(Chemicon)を製造業者のプロトコルに従って使用して測定した。
排出遮断実験手順
293T_ABCG2_OX細胞を数回洗浄し、フェノールレッドフリーDMEM中の1ml当たり細胞2×10e6個の細胞密度で、50μl小分け/ウェルとして96ウェルプレートに播種した。細胞を、50μlの抗体又はABCG2の小分子阻害剤-フミトレモルジンC(FTC)若しくはその四環式類似体KO143と、1μMの最終濃度で混合した。次いで、細胞を2.5μMミトキサントロンの存在下、37℃で1時間インキュベートした。続いて細胞を2回洗浄し、最後に200mlのPBS中に再懸濁させた。ミトキサントロン蛍光を、635nMの励起及び647nMの発光を使用して測定した。排出遮断を測定したプロトコルは、Szabo E,et al.,PLoS One.2018 Jan 17;13(1):e0190629、Deeken JF,et al.,Mol Pharmacol.2009 Nov;76(5):946-56)に認められる。
293T_ABCG2_OX細胞を数回洗浄し、フェノールレッドフリーDMEM中の1ml当たり細胞2×10e6個の細胞密度で、50μl小分け/ウェルとして96ウェルプレートに播種した。細胞を、50μlの抗体又はABCG2の小分子阻害剤-フミトレモルジンC(FTC)若しくはその四環式類似体KO143と、1μMの最終濃度で混合した。次いで、細胞を2.5μMミトキサントロンの存在下、37℃で1時間インキュベートした。続いて細胞を2回洗浄し、最後に200mlのPBS中に再懸濁させた。ミトキサントロン蛍光を、635nMの励起及び647nMの発光を使用して測定した。排出遮断を測定したプロトコルは、Szabo E,et al.,PLoS One.2018 Jan 17;13(1):e0190629、Deeken JF,et al.,Mol Pharmacol.2009 Nov;76(5):946-56)に認められる。
KPG2に結合するモノクローナル抗体力価測定
組換え抗体とKPG2トランスフェクタントとの結合力価測定を、抗体の約666nMからの連続希釈によって行った。フローサイトメトリー緩衝液で希釈した抗体を、氷上で細胞とともに30分間インキュベートした。フローサイトメトリー緩衝液で2回洗浄した後、結合した抗体を、フローサイトメトリー緩衝液で1:200希釈して氷上で細胞とともに20分間インキュベートしたPE標識F(ab’)2断片ヤギ抗ヒトIgG(Jackson ImmunoResearch)によって検出した。フローサイトメトリー緩衝液で2回洗浄した後、蛍光をAttune NxTフローサイトメーターで測定した。GraphPad Prism8.0ソフトウェアでデータを分析して、EC50を決定した。
組換え抗体とKPG2トランスフェクタントとの結合力価測定を、抗体の約666nMからの連続希釈によって行った。フローサイトメトリー緩衝液で希釈した抗体を、氷上で細胞とともに30分間インキュベートした。フローサイトメトリー緩衝液で2回洗浄した後、結合した抗体を、フローサイトメトリー緩衝液で1:200希釈して氷上で細胞とともに20分間インキュベートしたPE標識F(ab’)2断片ヤギ抗ヒトIgG(Jackson ImmunoResearch)によって検出した。フローサイトメトリー緩衝液で2回洗浄した後、蛍光をAttune NxTフローサイトメーターで測定した。GraphPad Prism8.0ソフトウェアでデータを分析して、EC50を決定した。
二重特異性抗体は、結合力価測定及び化学毒性アッセイによって特徴付けられた。
細胞結合アッセイ。細胞との抗体結合をフローサイトメトリーによって評価した。ヒト又はカニクイザルABCG2を発現するように安定的にトランスフェクトした293T細胞(293T_ABCG2_OX)をフローサイトメトリー緩衝液(PBS+2%FBS+0.02%アジ化ナトリウム)で1回洗浄し、フローサイトメトリー緩衝液に細胞2×10^6個/mLで再懸濁させ、96ウェルマイクロタイタープレートに0.1mL/ウェルで分注した。組換え抗体を、初期結合確認のために5ug/mLで細胞に添加するか、又はフローサイトメトリー緩衝液で100ug/mLから連続希釈した。細胞を氷上で30分間インキュベートした後、細胞をフローサイトメトリー緩衝液で2回洗浄した。結合した抗体をPE標識F(ab’)2断片ヤギ抗ヒトIgG(Jackson ImmunoResearch)によって検出し、Attune NxTフローサイトメーターで評価した。EC50は、最大応答の半分をもたらす抗体の濃度であるように計算される。
細胞傷害性アッセイ。トポテカン細胞傷害性に対する抗体の効果を、ABCG2を発現するように安定的にトランスフェクトされた293T細胞である293T_ABCG2_OX細胞で評価した。細胞を、0.05mLのアッセイ培地(DMEM+10%FBS)中に細胞5000個/ウェルで、白色の平底96ウェル組織培養プレートに播種した。トポテカンは、100ug/mL(2×最終濃度)の試験抗体若しくは対照抗体、又は20uM(2×最終濃度)の低分子ABCG2阻害剤フミトレモルジンCを含有するアッセイ培地に、200uMからの連続希釈によって2×最終アッセイ濃度で調製した。等体積(0.05mL)のトポテカン/抗体混合物を、96ウェルプレート中の293T_ABCG2_OX細胞に添加した。次いでプレートを、5%CO2中、37℃でインキュベートした。72~96時間後、プレートを室温に平衡化し、Promega(登録商標)CellTiter-Glo(登録商標)発光細胞生存率アッセイを製造業者の推奨プロトコルに従って使用して細胞生存率を評価した。発光は、Molecular Devices(登録商標)FlexStation(登録商標)3マルチモードマイクロプレートリーダーで測定し、GraphPad Prism8.0ソフトウェアを使用して分析した。半数阻害濃度(IC50)は、応答(細胞増殖)が50%低下する薬物(トポテカン又は他の化学療法細胞傷害性剤)の濃度である。
異種移植片試験
材料:
細胞: HT1376(ATCC CRL-1472)ヒト膀胱がん細胞株。
マウス:65匹の5~6週齢雌SCID-Biegeマウス(Charles River)。
試薬:上述のように産生したG2KT9抗ABCG2×抗CD4 BsAb、ヒトアイソタイプIgG1(Bioxcell)、トポテカン。
材料:
細胞: HT1376(ATCC CRL-1472)ヒト膀胱がん細胞株。
マウス:65匹の5~6週齢雌SCID-Biegeマウス(Charles River)。
試薬:上述のように産生したG2KT9抗ABCG2×抗CD4 BsAb、ヒトアイソタイプIgG1(Bioxcell)、トポテカン。
方法:
細胞培養:HT1376細胞を、10%FBS及び1%ペニシリン及び1%ストレプトマイシンを補充したRPMI培地中、37℃、5%CO2で維持した。使用した細胞株は真正であり、マイコプラズマ陰性であることが確認された。
細胞培養:HT1376細胞を、10%FBS及び1%ペニシリン及び1%ストレプトマイシンを補充したRPMI培地中、37℃、5%CO2で維持した。使用した細胞株は真正であり、マイコプラズマ陰性であることが確認された。
接種―PBS:マトリゲル(1:1)で希釈した細胞2×106個を、50匹の麻酔した5~6週齢雌SCID-Biegeマウスに、27Gインスリン注射器を用いて無菌条件下で皮下注射した。
結果
図1Aは、HEK293ナイーブ細胞、ヒトABCG2(「hG2」)を過剰発現するHEK293細胞、及びカニクイザルABCG2(「cG2」)を過剰発現するHEK293細胞との抗ABCG2抗体、G2.65、及びG.302の結合のFACS分析を示す。
図1Aは、HEK293ナイーブ細胞、ヒトABCG2(「hG2」)を過剰発現するHEK293細胞、及びカニクイザルABCG2(「cG2」)を過剰発現するHEK293細胞との抗ABCG2抗体、G2.65、及びG.302の結合のFACS分析を示す。
抗ABCG2抗体であるG2.65は、ヒトABCG2(「hG2」)を過剰発現する293細胞に結合するが、293ナイーブ細胞又はカニクイザルABCG2(「cG2」)を過剰発現する293細胞には有意に結合しない。
抗ABCG2抗体であるG2.302は、ヒトABCG2(「hG2」)を過剰発現する293細胞及びカニクイザルABCG2(「cG2」)を過剰発現する293細胞に結合するが、293ナイーブ細胞には有意に結合しない。
図1Bは、抗ヒトABCG2抗体5D3が、3T3及びC6細胞株で発現されたヒトABCG2、並びにcABCG2で安定的にトランスフェクトされた3T3細胞によって発現されたカニクイザルABCG2(cG2)、及びhABCG2で安定的にトランスフェクトされたC6細胞によって発現されたヒトABCG2(hG2)に結合することを示す。
図2A~2B。ヒトABCG2を過剰発現する293細胞との抗ABCG2抗体の結合。抗ABCG2抗体5D3と比較して、列挙される抗ABCG2抗体は、ABCG2に対して低い親和性を有する。5D3と比較してABCG2に対する低い親和性を有する抗ABCG2抗体は、(i)がん細胞によるG2のより高い発現レベルのために、非がん細胞と比較してがん細胞に優先的に結合する、細胞傷害性分子にコンジュゲートされる可能性のある抗体を作製するため、及び/又は(ii)二重特異性抗体によって標的とされるABCG2及び第2の抗原の両方を発現する細胞に優先的に結合し、一方、G2のみを発現する細胞に有意に低く結合する、二重特異性抗体分子を作製するために、より好適であり得る。
図2Cは、293T_ABCG2_OX細胞との結合について、示した抗G2抗体における解離定数を示す。これらの抗体は、表2及び3に列挙されるものから選択される抗体である。例えば、KNJY-G2-420は、G.420抗体の別名である。
図2Dは、293T_ABCG2_OX細胞との結合について、示した抗G2抗体における解離定数を示す。これらの抗体は、表2及び3に列挙されるものから選択される抗体である。
図2Eは、様々な抗ABCG2 mAbによる293T.G2細胞における排出遮断に関する結果(EC50シフト)を示す(それらそれぞれのKD値とともに列挙される)。
表3は、抗ABCG2抗体の以下の特徴を列挙する:FACSによって測定された、ヒトABCG2を発現するように安定的にトランスフェクトされた293T細胞(293T_ABCG2_OX)との結合、293T_ABCG2_OX細胞に対する結合親和性(結合=「+」、有意でない結合=「-」)、カニクイザルABCG2との結合(結合=「+」、有意でない結合=「-」)、293T_ABCG2_OX細胞によるトポテカン排出の遮断(排出遮断=「+」、有意でない排出遮断活性=「-」)、293T_ABCG2_OX細胞で評価されたトポテカンによる細胞殺傷に対する列挙された抗体の効果(殺傷=「+」、有意でない殺傷=「-」)。
ラットで作製された抗G2抗体であるG2.640及びG.643は、293T細胞株で過剰発現されたヒト又はカニクイザルG2との有意な結合を示さなかった。G2.640抗体は、以下の配列を有する。
下線はCDRを示す。
下線はCDRを示す。
図2Fは、293T_ABCG2_OX細胞が抗G2抗体に曝露されたときのトポテカン細胞傷害性のIC50の測定を示す。
実施例2:ABCG2及びMDR1に結合する二重特異性抗体
本実施例は、EPの細胞外ドメインに結合することができる抗体分子の開発を実証する。EP遮断は、化学療法剤に耐性である細胞の再感受性化及び殺傷をもたらす。この実施例では、2つのEPであるABCG2及びMDR1の細胞外ドメイン(ECD)に結合する二重特異性抗体分子が構築されている。二重特異性抗体分子の概略図を図3に示す。アームAは、抗ABCG2抗体の可変重鎖であることができ、アームBは、抗MDR1抗体(又は抗TAA抗体)の可変重鎖であることができ、アームCは、共通の軽鎖であり、これらは抗ABCG2抗体、抗MDR1抗体、異なる抗ABCG2抗体、異なる抗MDR1抗体、又は無関連の抗体に由来し得る。
本実施例は、EPの細胞外ドメインに結合することができる抗体分子の開発を実証する。EP遮断は、化学療法剤に耐性である細胞の再感受性化及び殺傷をもたらす。この実施例では、2つのEPであるABCG2及びMDR1の細胞外ドメイン(ECD)に結合する二重特異性抗体分子が構築されている。二重特異性抗体分子の概略図を図3に示す。アームAは、抗ABCG2抗体の可変重鎖であることができ、アームBは、抗MDR1抗体(又は抗TAA抗体)の可変重鎖であることができ、アームCは、共通の軽鎖であり、これらは抗ABCG2抗体、抗MDR1抗体、異なる抗ABCG2抗体、異なる抗MDR1抗体、又は無関連の抗体に由来し得る。
材料及び方法
細胞株及び細胞生存率実験
PgPを発現するHEK293T、MCF-7、N6ADR、及びSKNF7細胞株をAmerican Type Culture Collectionから得た。全ての細胞株及びそれらに由来する株を、最大10%のウシ胎児血清(Sigma)、非必須アミノ酸、及び2mmol/LのL-グルタミンを補充したRPMI1640又はDMEM中、加湿インキュベーター内において、37℃及び5%CO2で維持した(別段の表示がない限り)。細胞は、供給された状態のままで使用されたか、又は(Ox)PgPを過剰発現するように改変されたか、又はレンチウイルス媒介性短ヘアピンRNAでPgP発現をノックダウン(KD)されたか、若しく本質的に報告されているように(Cong,L.et al.(2013)Science 339,819-823)CRISPR/Cas媒介性ノックアウト技術により機能的遺伝子をノックアウト(KO)して供された。ビンクリスチン及びパクリタキセルのIC50決定のために、細胞を通常の増殖培地に播種し、一晩接着させた。パクリタキセル、ビンクリスチン、又はトポテカン(Sigma)を希釈系列で添加し、任意の調節剤を1~500μM/Lの範囲内で添加した。細胞生存率は、Celltiter-Glo発光細胞生存率アッセイ(Promega)を使用して、72時間後に測定した。細胞生存率の50%阻害をもたらす薬物の濃度(IC50)は、マルチパラメータ曲線分析(GraphPad Prismソフトウェア GraphPad Software,Inc.)から計算し、最低2回の繰り返しから決定した。実施された大部分の実験において、薬物及び/又は調節剤処置に応答して細胞生存率の50%低下を示さなかった細胞株は、定義によってIC50に達していないとされ、パクリタキセル又は試験中の薬物/調節剤の組み合わせについて、>1000nmol/LのIC50を有するとして列挙される。
細胞株及び細胞生存率実験
PgPを発現するHEK293T、MCF-7、N6ADR、及びSKNF7細胞株をAmerican Type Culture Collectionから得た。全ての細胞株及びそれらに由来する株を、最大10%のウシ胎児血清(Sigma)、非必須アミノ酸、及び2mmol/LのL-グルタミンを補充したRPMI1640又はDMEM中、加湿インキュベーター内において、37℃及び5%CO2で維持した(別段の表示がない限り)。細胞は、供給された状態のままで使用されたか、又は(Ox)PgPを過剰発現するように改変されたか、又はレンチウイルス媒介性短ヘアピンRNAでPgP発現をノックダウン(KD)されたか、若しく本質的に報告されているように(Cong,L.et al.(2013)Science 339,819-823)CRISPR/Cas媒介性ノックアウト技術により機能的遺伝子をノックアウト(KO)して供された。ビンクリスチン及びパクリタキセルのIC50決定のために、細胞を通常の増殖培地に播種し、一晩接着させた。パクリタキセル、ビンクリスチン、又はトポテカン(Sigma)を希釈系列で添加し、任意の調節剤を1~500μM/Lの範囲内で添加した。細胞生存率は、Celltiter-Glo発光細胞生存率アッセイ(Promega)を使用して、72時間後に測定した。細胞生存率の50%阻害をもたらす薬物の濃度(IC50)は、マルチパラメータ曲線分析(GraphPad Prismソフトウェア GraphPad Software,Inc.)から計算し、最低2回の繰り返しから決定した。実施された大部分の実験において、薬物及び/又は調節剤処置に応答して細胞生存率の50%低下を示さなかった細胞株は、定義によってIC50に達していないとされ、パクリタキセル又は試験中の薬物/調節剤の組み合わせについて、>1000nmol/LのIC50を有するとして列挙される。
記載のモノクローナル抗体(mAb)の安定した発現を有する組換え細胞株も作製した。
細胞培養技術及び抗体産生
標準的な細胞培養技術は、Current Protocols in Cell Biology(2000),Bonifacino,J.S.,Dasso,M.,Harford,J.B.,Lippincott-Schwartz,J.and Yamada,K.M.(eds.),John Wiley & Sons,Inc.に記載されるように使用される。
標準的な細胞培養技術は、Current Protocols in Cell Biology(2000),Bonifacino,J.S.,Dasso,M.,Harford,J.B.,Lippincott-Schwartz,J.and Yamada,K.M.(eds.),John Wiley & Sons,Inc.に記載されるように使用される。
293及びCHO細胞を、mAb、Fab’2、Fab、及び二重特異性mAbの一過性産生のために使用した。Expi293細胞(A14527、ThermoFisher)のポリマーベースの共トランスフェクションを使用して、異なる抗体構築物を発現させた。細胞を、製造業者の推奨に従って、哺乳類発現ベクターとともに懸濁液中で増殖させた。
二重特異性抗体分子の調製では、対応する発現ベクターを1:1:4(重鎖KK:重鎖DD:軽鎖)の比で用いて細胞をトランスフェクトした。標準的な抗体発現では、1:2の比(重鎖:軽鎖)を使用した。
トランスフェクションの6日後、細胞を遠心分離によって収集した。詳細には、トランスフェクトする培養物1ml当たり1μgの総コードDNAを、Opti-MEM(登録商標)培地(Life Technologies)に希釈し、同じ培地中でExpifectamine試薬(Life Technologies)とともに20分間インキュベートした。次いで、該混合物を、Expi293(登録商標)発現培地(Life Technologies)の懸濁液中で増殖するExpi293(登録商標)細胞に、8%CO2を伴う空気中37℃で細胞250万個/mlで添加した。6日後、抗体構築物を含有する培地を遠心分離によって収集した。
結合、排出遮断、化学療法剤に対する細胞感受性化を試験するために使用した試薬細胞株
ヒト胚性腎臓(HEK)細胞株HEK 293FT(Life Technologies)を、10%ウシ胎児血清(HyClone)、2mM GlutaMAX(Life Technologies)、100U/mLペニシリン、及び100g/mLストレプトマイシンを補充したダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)中、5%CO2インキュベーションを用いて37℃で維持した。
ヒト胚性腎臓(HEK)細胞株HEK 293FT(Life Technologies)を、10%ウシ胎児血清(HyClone)、2mM GlutaMAX(Life Technologies)、100U/mLペニシリン、及び100g/mLストレプトマイシンを補充したダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)中、5%CO2インキュベーションを用いて37℃で維持した。
最適化されたPEIPro(商標)トランスフェクションプロトコル(Polyplus)を使用して、293T細胞をpLenti-C-Myc-DDK-P2A-Puroプラスミド中のヒトP糖タンパク質タグ化ORFクローンで一過性にトランスフェクトした。DNA及びJetPEI(登録商標)を、それぞれ培養培地で希釈した後、約10分間穏やかに混合した。この混合は、トランスフェクション複合体の形成をもたらし、それを細胞培養に直接添加した。排出遮断は、多剤耐性直接色素排出アッセイ(Chemicon)を製造業者のプロトコルに従って使用して測定した。
標的配列、抗体配列、及び特異的抗標的抗体配列の供給源
多剤耐性タンパク質1(MDR1)としても知られるP糖タンパク質(PgP)、pLenti-C-Myc-DDK-P2A-Puroにおける(遺伝子ABCB1)(NM_000927)タグ化ORFクローン、及びpCMV6-XL5におけるABCG2 ABCG2(NM_004827)ヒトタグ化ORFクローンは、Origeneから、抗CD47抗体(CC2C6、Seiffert M,et al.(1999)Blood 94:3633)はBiolegendから、抗ABCB1 JSB-1(MAB4120)はMilliporeから、抗ヒトABCG2抗体(クローン5D3)はR&D Systemsから得た。MDR1は、本明細書ではKPB1とも呼ばれる。ABCG2は、本明細書ではKPG2とも呼ばれる。
多剤耐性タンパク質1(MDR1)としても知られるP糖タンパク質(PgP)、pLenti-C-Myc-DDK-P2A-Puroにおける(遺伝子ABCB1)(NM_000927)タグ化ORFクローン、及びpCMV6-XL5におけるABCG2 ABCG2(NM_004827)ヒトタグ化ORFクローンは、Origeneから、抗CD47抗体(CC2C6、Seiffert M,et al.(1999)Blood 94:3633)はBiolegendから、抗ABCB1 JSB-1(MAB4120)はMilliporeから、抗ヒトABCG2抗体(クローン5D3)はR&D Systemsから得た。MDR1は、本明細書ではKPB1とも呼ばれる。ABCG2は、本明細書ではKPG2とも呼ばれる。
安定したABCB1過剰発現(Ox)細胞株の生成
結合及びインビトロ有効性の両方を特徴付けるために、ABCB1を安定的に過剰発現した細胞株を開発した。American Type Culture Collection(ATCC)から得られた接着293Tナイーブ細胞を利用した。市販のABCB1抗体(Biolegend、クローン4E3.16)を使用したフローサイトメトリーによって特徴付けたとき、この細胞株は、ABCB1を内因的に細胞表面に低~中度で発現する。Polyplus PEIpro試薬を使用して、293Tナイーブ細胞をABCB1でトランスフェクトした。トランスフェクションの3日後、ハイグロマイシンB溶液(Millipore Sigma)を使用して細胞を選択下に置いた。連続したハイグロマイシンB選択の14日後、293T細胞をABCB1細胞表面発現について評価した。トランスフェクトされていない細胞がその後の培養で増殖しないことを確実にするために、蛍光活性化細胞選別(FACS)を使用したABCB1陽性293T細胞のバルク選別を、FACSAriaI(BD Biosciences)を使用して行った。バルク選別した293T ABCB1過剰発現細胞を増殖させ、続いてABCB1過剰発現を再確認した。
結合及びインビトロ有効性の両方を特徴付けるために、ABCB1を安定的に過剰発現した細胞株を開発した。American Type Culture Collection(ATCC)から得られた接着293Tナイーブ細胞を利用した。市販のABCB1抗体(Biolegend、クローン4E3.16)を使用したフローサイトメトリーによって特徴付けたとき、この細胞株は、ABCB1を内因的に細胞表面に低~中度で発現する。Polyplus PEIpro試薬を使用して、293Tナイーブ細胞をABCB1でトランスフェクトした。トランスフェクションの3日後、ハイグロマイシンB溶液(Millipore Sigma)を使用して細胞を選択下に置いた。連続したハイグロマイシンB選択の14日後、293T細胞をABCB1細胞表面発現について評価した。トランスフェクトされていない細胞がその後の培養で増殖しないことを確実にするために、蛍光活性化細胞選別(FACS)を使用したABCB1陽性293T細胞のバルク選別を、FACSAriaI(BD Biosciences)を使用して行った。バルク選別した293T ABCB1過剰発現細胞を増殖させ、続いてABCB1過剰発現を再確認した。
安定したABCG2過剰発現(Ox)細胞株の生成
結合及びインビトロ有効性の両方を特徴付けるために、ABCG2を安定的に過剰発現した細胞株を開発した。American Type Culture Collection(ATCC)から得られた接着293T、3T3、及びC6ナイーブ細胞を利用した。市販のABCG2抗体(R&D System、クローン5D3)を使用したフローサイトメトリーによって特徴付けたとき、この細胞株は、ABCG2を内因的に細胞表面に低~中度で発現する。293Tナイーブ細胞はリポフェクタミン3000試薬を使用してABCG2でトランスフェクトし、一方、3T3及びC6はネオンエレクトロポレーションを使用してトランスフェクトした。トランスフェクションの3日後、ハイグロマイシンB溶液(Millipore Sigma)を使用して細胞を選択下に置いた。連続したハイグロマイシンB選択の14日後、トランスフェクトした細胞をABCG2細胞表面発現について評価した。安定したABCG2細胞を、FACSAriaI(BD Biosciences)を使用して単一選別し、増殖させ、続いてABCG2過剰発現を再確認した。
結合及びインビトロ有効性の両方を特徴付けるために、ABCG2を安定的に過剰発現した細胞株を開発した。American Type Culture Collection(ATCC)から得られた接着293T、3T3、及びC6ナイーブ細胞を利用した。市販のABCG2抗体(R&D System、クローン5D3)を使用したフローサイトメトリーによって特徴付けたとき、この細胞株は、ABCG2を内因的に細胞表面に低~中度で発現する。293Tナイーブ細胞はリポフェクタミン3000試薬を使用してABCG2でトランスフェクトし、一方、3T3及びC6はネオンエレクトロポレーションを使用してトランスフェクトした。トランスフェクションの3日後、ハイグロマイシンB溶液(Millipore Sigma)を使用して細胞を選択下に置いた。連続したハイグロマイシンB選択の14日後、トランスフェクトした細胞をABCG2細胞表面発現について評価した。安定したABCG2細胞を、FACSAriaI(BD Biosciences)を使用して単一選別し、増殖させ、続いてABCG2過剰発現を再確認した。
安定したABCB1 KD 293T細胞株の生成
結合及びインビトロ有効性の両方を特徴付けるために、ABCB1発現の安定したノックダウンを有した細胞株を開発した。R8.74ヘルパープラスミド、VSVGエンベローププラスミド、及びABCB1に対するshRNAを含有するGE Dharmacon GIPZレンチウイルスベクターを用いてトランスフェクションすることによって、293Tナイーブ細胞でレンチウイルスを生成した。次いで、収集したレンチウイルスを使用して、接着293Tナイーブ細胞を形質導入した。形質導入の3日後、293T形質導入細胞を、フローサイトメトリー(Biolegend、クローン4E3.16)によってABCB1細胞表面発現について評価した。ABCB1を内因的に低レベルで発現する293Tナイーブ細胞と比較して、形質導入された293T細胞は、ABCB1発現を有さなかった。これに加えて、GIPZレンチウイルスベクターは、GFPを含有する。形質導入された293T細胞は全てGFP+であり、発現の減少とともに、形質導入が成功したことを示した。ABCB1発現の欠如は、その後の継代でフローサイトメトリーによって再確認された。
結合及びインビトロ有効性の両方を特徴付けるために、ABCB1発現の安定したノックダウンを有した細胞株を開発した。R8.74ヘルパープラスミド、VSVGエンベローププラスミド、及びABCB1に対するshRNAを含有するGE Dharmacon GIPZレンチウイルスベクターを用いてトランスフェクションすることによって、293Tナイーブ細胞でレンチウイルスを生成した。次いで、収集したレンチウイルスを使用して、接着293Tナイーブ細胞を形質導入した。形質導入の3日後、293T形質導入細胞を、フローサイトメトリー(Biolegend、クローン4E3.16)によってABCB1細胞表面発現について評価した。ABCB1を内因的に低レベルで発現する293Tナイーブ細胞と比較して、形質導入された293T細胞は、ABCB1発現を有さなかった。これに加えて、GIPZレンチウイルスベクターは、GFPを含有する。形質導入された293T細胞は全てGFP+であり、発現の減少とともに、形質導入が成功したことを示した。ABCB1発現の欠如は、その後の継代でフローサイトメトリーによって再確認された。
KO細胞株の生成
ABCG2遺伝子ノックアウトHEK293細胞株を構築するために、HEK293宿主細胞は最初に、10%(v/v)FBS、及びグルタミンを補充したDMEM(ダルベッコ改変イーグル培地、Gibco、Grand Island,N.Y.,USA)中で接着培養を介して培養した。細胞は、飽和湿度で5%CO2を用いて37℃で培養した。
ABCG2遺伝子ノックアウトHEK293細胞株を構築するために、HEK293宿主細胞は最初に、10%(v/v)FBS、及びグルタミンを補充したDMEM(ダルベッコ改変イーグル培地、Gibco、Grand Island,N.Y.,USA)中で接着培養を介して培養した。細胞は、飽和湿度で5%CO2を用いて37℃で培養した。
gRNAの設計は、CRISPR/Cas9、CRISPR/Cpf1、又はTALEN指向性変異誘発のための標的部位を選択するために、オンラインCHOPCHOPウェブツールを使用して行った。(Kornel Labun et al.,(2016).Nucleic Acids Research、及びTessa G.Montague et at.,(2014)Nucleic Acids Res.42:W401-W407を参照されたい)。設計された全てのgRNAを化学的に合成した(ThermoFisher)。
CRISPRMax試薬(ThermoFisher)を製造業者のプロトコルに従って使用した脂質ベースのトランスフェクションによって293T細胞のトランスフェクションを行った。簡単に説明すると、トランスフェクションの1日前に、接着細胞をウェル当たり細胞0.2×105個で96ウェルプレートに播種した。トランスフェクションの日に、GeneArt Platinum Cas9タンパク質、gRNA、及びトランスフェクション試薬の溶液を細胞に添加した。トランスフェクションの72時間後、限界希釈法による単一細胞の選択に続いて96ウェルプレート形式で細胞培養を2週間継続した。続いて、採取したクローンを24ウェルプレートに継代させ、Guide-it kit(Takara)を製造業者のプロトコルに従って使用した遺伝子型確認によって試験した。各遺伝子についてのCRISPR標的部位を取り囲むゲノム領域をPCR増幅させて、遺伝子編集が、単独で単離されたクローンにおける1つの対立遺伝子(単一対立遺伝子)又は両方の対立遺伝子(二対立遺伝子)のどちらにインデルをもたらしたかを決定した。両方の対立遺伝子に変異を有するクローン上の目的のタンパク質の発現をFACSによって試験した。
試験した分子の配列の構築(ヒトFc、マウスFv、又はヒトFc、又はヒト化Fv)
発現ベクター:抗体発現ベクターの生成のために、哺乳類細胞株における発現に最適化された一般的なレシピエント発現ベクターにそれぞれ予め挿入されたヒトIgG1定常重鎖又はヒトIgG1カッパ定常軽鎖のいずれかとインフレームに重鎖及び軽鎖DNA配列の可変領域をサブクローニングした。発現されるべき遺伝子を、高レベル遺伝子発現のために全長ヒトサイトメガロウイルス(CMV)即時早期プロモーターを使用するpCI-neo哺乳類発現ベクター(Promega)にクローニングした。2つの抗体鎖を、2つの異なるベクターにクローニングした。
発現ベクター:抗体発現ベクターの生成のために、哺乳類細胞株における発現に最適化された一般的なレシピエント発現ベクターにそれぞれ予め挿入されたヒトIgG1定常重鎖又はヒトIgG1カッパ定常軽鎖のいずれかとインフレームに重鎖及び軽鎖DNA配列の可変領域をサブクローニングした。発現されるべき遺伝子を、高レベル遺伝子発現のために全長ヒトサイトメガロウイルス(CMV)即時早期プロモーターを使用するpCI-neo哺乳類発現ベクター(Promega)にクローニングした。2つの抗体鎖を、2つの異なるベクターにクローニングした。
マウスIgG重鎖及びカッパ軽鎖からのN末端シグナル配列を、それぞれ重鎖及び軽鎖の分泌型発現に使用した。シグナルペプチドは発現中に切断され、インタクトN末端を残した。Fab構築物では、CH1 IgG1定常領域のC末端を、精製を容易にする6×Hisタグに融合させた。
二重特異性抗体ベクターの生成について、IgG1由来の二重特異性分子は、2つの異なる標的、すなわちPgP(ABCB1)及びABCG2という対に特異的に結合することができる少なくとも2つの抗原結合部分を含む。抗原結合部分は、各々可変領域及び定常領域を含む、重鎖及び軽鎖からなるFab断片である。対形成して、Fab抗PgP(aPgP)及びFab抗ABCG2(aABCG2)の両方のFabとして許容できる結合をもたらすことができる共通の軽鎖が同定され、その使用はLCの誤対形成を回避することを可能にした。二重特異性構築物を、静電的ステアリング効果に基づいて作製した(例えば、Gunasekeran et al,(2010)Journal of Biological Chemistry 285,19637-19646を参照されたい。その開示全体が参照により本明細書に組み込まれる)。簡単に説明すると、標的に対するポリペプチド鎖あるいは半抗体は、CH3ドメインにおける電荷対置換を通して二重特異性抗体としてアセンブルされ、すなわち一方の重鎖はK392D及びK409D置換(「DD」)を含有し、他方はE356K及びD399K置換(「KK」)を含んだ。
二重特異性mAb分子は、どちらもヒトIgG1Fc上に抗MDR1抗体15D3からのHCDR1~3を含む可変重鎖、抗G2抗体G2-255からのHCDR1~3を含む可変重鎖、及び抗MDR1抗体MRK16に由来する共通の軽鎖カッパ配列を含んだ。
以前にPgPに対して作製されたモノクローナル抗体15D3(例えば、米国特許第5,959,084号を参照されたく、その開示は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)及びMRK16(Iwahashi et al.,Cancer Research 53,1993、その開示は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)モノクローナル抗体を、組換え遺伝子操作した抗体としてヒトIgG1/カッパ発現ベクターにクローニングした。
マウスハイブリドーマ配列からの可変重鎖及び軽鎖断片が利用可能であり、リーダー配列及び定常領域の同じバックグラウンドにクローニングした。
抗ABCG2モノクローナル抗体配列は、表2に開示されており、抗体可変重鎖及び軽鎖断片は、2つの別個のベクターにおいてリーダー配列及び定常領域の同じバックグラウンドにクローニングした。
結果
ABCB1及びABCG2特異的結合の検出
mAb、Fab、及び二重特異性IgG1の結合特異性を、ヒトABCB1標的を過剰発現する293Tナイーブ細胞、ヒトABCG2を過剰発現する293Tナイーブ細胞を使用してFACSによって試験した。簡単に説明すると、異なる細胞株を、様々な量のmAb若しくは二重特異性mAb、又はヒトlgG1アイソタイプ対照抗体とともに氷上で1時間インキュベートした。細胞をFACS緩衝液(0.5%BSA含有PBS)で3回洗浄した。Alexa647標識ヤギ抗ヒト抗体を二次抗体として添加し、試料を氷上で更に1時間インキュベートした。試料を洗浄し、BD FACS Canto(BD Biosciences)を使用して分析した。
ABCB1及びABCG2特異的結合の検出
mAb、Fab、及び二重特異性IgG1の結合特異性を、ヒトABCB1標的を過剰発現する293Tナイーブ細胞、ヒトABCG2を過剰発現する293Tナイーブ細胞を使用してFACSによって試験した。簡単に説明すると、異なる細胞株を、様々な量のmAb若しくは二重特異性mAb、又はヒトlgG1アイソタイプ対照抗体とともに氷上で1時間インキュベートした。細胞をFACS緩衝液(0.5%BSA含有PBS)で3回洗浄した。Alexa647標識ヤギ抗ヒト抗体を二次抗体として添加し、試料を氷上で更に1時間インキュベートした。試料を洗浄し、BD FACS Canto(BD Biosciences)を使用して分析した。
mAb、Fab、及び二重特異性IgG1の結合特異性を、293T細胞株、ヒトABCB1標的を過剰発現する293Tナイーブ細胞、及びヒトABCG2を過剰発現する293T細胞を使用してFACSによって試験した。簡単に説明すると、異なる細胞株を、様々な量のmAb若しくは二重特異性mAb、又はヒトlgG1アイソタイプ対照抗体とともに氷上で1時間インキュベートした。細胞をFACS緩衝液(0.5%BSA含有PBS)で3回洗浄した。Alexa647標識ヤギ抗ヒト抗体を二次抗体として添加し、試料を氷上で更に1時間インキュベートした。試料を洗浄し、BD FACS Canto(BD Biosciences)を使用して分析した。
この実施例は、一方のアームが排出ポンプMDR1/PgPに結合し、他方のアームが排出ポンプABCG2に結合する、二重特異性ヘテロ二価抗体分子の構築を実証する。両方の標的が細胞の表面に同時に存在する場合、二重特異性抗体は、比較的高い親和性/アビディティで細胞に結合する。比較すると、MDR1/PgP若しくはABCG2のいずれかが存在しないか、又は実質的に低下している場合、二重特異性抗体の結合は、著しく低下するか、又は検出できない。
二重特異性抗体は、トランスポータータンパク質(排出ポンプPgP)に結合してアンタゴナイズする1つのアームを含み、細胞を化学療法剤に対してより感受性にさせる。同時に、他方のアームは、別の排出ポンプABCG2に結合する。
実施例3:ABCG2及びEGFRに結合する二重特異性抗体
本実施例は、ABCG2及びEGFRの細胞外ドメインに結合することができる抗体分子の開発を実証する。EP遮断は、化学療法剤に耐性である細胞の再感受性化及び殺傷をもたらす。
本実施例は、ABCG2及びEGFRの細胞外ドメインに結合することができる抗体分子の開発を実証する。EP遮断は、化学療法剤に耐性である細胞の再感受性化及び殺傷をもたらす。
材料及び方法は、実施例2に記載されるものと同様である。最適化されたPEIPro(商標)トランスフェクションプロトコル(Polyplus)を使用して、293T細胞をpCMV6-XL5プラスミド中のABCG2(NM_004827)ヒトタグ化ORFクローンで一過性にトランスフェクトした。二重特異性抗体ベクターの生成については、IgG1由来の二重特異性抗体分子は、2つの異なる標的:ABCG2及びEGFRに特異的に結合することができる少なくとも2つの抗原結合部分を含む。抗原結合部分は、各々可変領域及び定常領域を含む、重鎖及び軽鎖からなるFab断片である。対形成して、Fab抗EGFR及びFab抗ABCG2(aABCG2)の両方として許容できる結合をもたらすことができる共通の軽鎖が同定された。
図5 ABCG2及びEGFRの両方が、A549細胞で発現されることを示すFACS分析。細胞をPEコンジュゲート化抗ヒトABCG2抗体、クローン5D3、及びPEコンジュゲート化抗ヒトEGFR抗体、クローンAY13で染色した。
抗ABCG2 KNJY-G2-65抗体可変重鎖及び軽鎖断片は、2つの別個のベクターにおいてリーダー配列及び定常領域の同じバックグラウンドにクローニングした。
抗EGFR抗体である6B3S(セツキシマブ)の配列、及び対応する構造は、https://www.ncbi.nlm.nih.gov/Structure/pdb/6B3S(Molecular Basis for Necitumumab Inhibition of EGFR Variants Associated with Acquired Cetuximab Resistance,Bagchi A,Haidar JN,Eastman SW,Vieth M,Topper M,Iacolina MD,Walker JM,Forest A,Shen Y,Novosiadly RD,Ferguson KM,Mol.Cancer Ther.(2018)17 p.521-531)で利用可能であり、配列は、参照のためここに再現される。
6B3S抗体可変重鎖配列は、以下の通りである。
6B3S抗体可変軽鎖配列は、以下の通りである。
Kabat命名法に従う、抗体におけるCDRは、太字で示され、下線が引かれている。
6B3S抗体可変重鎖配列は、以下の通りである。
6B3S抗体可変軽鎖配列は、以下の通りである。
Kabat命名法に従う、抗体におけるCDRは、太字で示され、下線が引かれている。
結果
EGFR及びABCG2特異的結合の検出
EGFRを標的とするmAb、Fab、及び二重特異性IgG1の結合特異性を、rhEGFR-hisタグ化タンパク質(Sino Biological)を使用してELISAによって試験した。簡単に説明すると、マイクロタイタープレートを、PBS中の2μg/mlの精製されたヒトHGFR-hisタンパク質50μlでコーティングし、次いで100μlのPBS中0.4%BSAでブロッキングした。異なる抗体形式の希釈液を、1/3連続希釈液で各ウェルに添加し、室温で1時間インキュベートした。抗EGFR抗体6B3Sを陽性対照として使用し、ヒトlgG1をアイソタイプ対照として使用した。続いて、プレートをPBS/Tweenで3回洗浄し、次いで、HRPコンジュゲート化ロバ抗ヒト定常領域特異的二次試薬とともに室温で1時間インキュベートした。洗浄後、プレートをHRP基質で展開させた。反応を2MのH2S04で停止させ、ODを520nMで測定した。
EGFR及びABCG2特異的結合の検出
EGFRを標的とするmAb、Fab、及び二重特異性IgG1の結合特異性を、rhEGFR-hisタグ化タンパク質(Sino Biological)を使用してELISAによって試験した。簡単に説明すると、マイクロタイタープレートを、PBS中の2μg/mlの精製されたヒトHGFR-hisタンパク質50μlでコーティングし、次いで100μlのPBS中0.4%BSAでブロッキングした。異なる抗体形式の希釈液を、1/3連続希釈液で各ウェルに添加し、室温で1時間インキュベートした。抗EGFR抗体6B3Sを陽性対照として使用し、ヒトlgG1をアイソタイプ対照として使用した。続いて、プレートをPBS/Tweenで3回洗浄し、次いで、HRPコンジュゲート化ロバ抗ヒト定常領域特異的二次試薬とともに室温で1時間インキュベートした。洗浄後、プレートをHRP基質で展開させた。反応を2MのH2S04で停止させ、ODを520nMで測定した。
mAb、Fab、及び二重特異性IgG1の結合特異性を、ヒトABCG2を過剰発現する293Tナイーブ細胞、並びにEGFR及びABCG2を自然に発現するナイーブA549を使用して、FACSによって試験した。簡単に説明すると、異なる細胞株を、様々な量のmAb若しくは二重特異性mAb、又はヒトlgG1アイソタイプ対照抗体とともに氷上で1時間インキュベートした。細胞をFACS緩衝液(0.5%BSA含有PBS)で3回洗浄した。Alexa647標識ヤギ抗ヒト抗体を二次抗体として添加し、試料を氷上で更に1時間インキュベートした。試料を洗浄し、BD FACS Canto(BD Biosciences)を使用して分析した。
図6は、EGFR及びABCG2に結合する2つの異なる二重特異性mAbに関する結合データを提供する。aEGFRは、抗EGFR抗体である6B3Sを示す。二重特異性抗体:aEGFR DD HC/G2.173KK HC/G.173 LCは、DD置換を有するヒトIgG1に融合された抗EGFR抗体6B3Sからの可変重鎖と、KK置換を有するヒトIgG1に融合された抗ABCG2抗体G2.173からの可変重鎖と、カッパ配列に融合された抗ABCG2抗体G2.173の可変軽鎖の2つのコピーと、を含む。二重特異性抗体:aEGFR DD HC/G2.65KK HC/G.65 LCは、DD置換を有するヒトIgG1に融合された6B3Sからの可変重鎖と、KK置換を有するヒトIgG1に融合された抗ABCG2抗体G2.65からの可変重鎖と、カッパ配列に融合された抗ABCG2抗体G2.65の可変軽鎖の2つのコピーと、を含む。
この実施例は、一方のアームが排出ポンプABCG2に結合し、他方のアームがEGFR標的に結合する、二重特異性ヘテロ二価抗体分子の構築を実証する。両方の標的が細胞の表面に同時に存在する場合、二重特異性抗体は、比較的高い親和性/アビディティで細胞に結合する。図6に示されるように、G2.6.5ベースの二重特異性抗体は、示される結合試験においていくつかの利点を有し、それは、EGFRに対するより強い親和性(ELISAによる)及び両方の標的が提示されているA549細胞に対するより強い結合を実証し、ABCG2排出ポンプが過剰発現されるときには、両方の二重特異性抗体は同じように結合する。
図7は、ヒトABCG2(「hG2」)及びカニクイザルABCG2(cG2)をそれぞれ過剰発現する293T細胞との示した抗ABCG2モノクローナル抗体の結合を示す。解離定数(Kd)が示すように、抗体G2.748、G2.757、G2.758、及びG2.760は、ヒト及びカニクイザルABCG2の両方に優れた結合親和性で結合する。
図8は、ヒト又はカニクイザルABCG2を過剰発現する293T細胞との抗ABCG2抗体G2.748の結合を、抗ABCG2抗体5D3と比較して、対応する解離定数(Kd)とともに示す。Kd値が示すように、G2.748は、ヒト及びカニクイザルABCG2の両方に優れた結合親和性で結合する。
図9~11は、ヒト及びカニクイザルABCG2をそれぞれ過剰発現する293T細胞との様々な組換え抗ABCG2抗体(パネルNo.1~No.3)の結合、並びに対応するKd値を示す。特に注目すべきは、ヒト及びカニクイザルABCG2の両方に対する抗体G2.636、G2.631、及びG2.643の強い結合である。
図12及び13は、先に記載された排出遮断実験手順に従って、小分子ABCG2阻害剤であるフミトレモルジンC(FTC)及びKo143を陽性対照として使用して、排出阻害活性について、列挙された組換え抗ABCG2抗体を試験した結果を示す。特に、抗体G2.636、G2.643、G2.333、G2.631、及びG2.318は、強力な排出阻害活性を示し、G2.636及びG2.643が、特に有効である。
図14は、ABCG2を発現するように安定的にトランスフェクトされた293T細胞である293T_ABCG2_OX細胞におけるトポテカン細胞傷害性に対する、抗ABCG2抗体G2.643、G2.420、及びG2.631の効果を、FTC及び5D3を陽性対照として使用して示す。試験した3つの抗体は全て、トポテカンの細胞傷害活性を有意に増加させた。
図15は、抗ABCG2抗体G2.343、G2.636、及びG2.629と、トポテカンとの組み合わせが、トポテカン耐性Panc1/T300細胞を使用した異種移植片試験において、腫瘍体積を低下させるのに有効であることを示す。PANC1(ATCC、CRL-1469)は、膵管上皮がん細胞株である。トポテクタン耐性Panc1/T300細胞は、25、50、100、200、及び300nMの増加していくトポテカン濃度を含有する培養培地でPANC1細胞を連続的にインキュベートすることによって発達させた。選抜された細胞は、上昇したABCG2の発現を示し、親PANC1細胞と比較してトポテカンに耐性だった。矢印は投与スケジュールを示す。
図16は、抗ABCG2抗体G2.343及びG2.631のトポテカンとの組み合わせが、非小細胞肺がん(NSCLC)上皮がん細胞株A549(ATCC、CCL-185)を使用した異種移植片試験において、腫瘍体積を低下させるのに有効であることを示す。矢印は投与スケジュールを示す。全ての組み合わせが腫瘍体積を低下させるが、G2.343/トポテカンの組み合わせが、特に有効であることが示されている。
図17は、非小細胞肺がん(NSCLC)上皮がん細胞株A549(ATCC、CCL-185)を使用した異種移植片試験における、単独又はカンプトテシン-11(CPT11、イリノテカン)と組み合わせて投与された抗ABCG2抗体G2.333の有効性を示す。矢印は投与スケジュールを示す。G2.33/CPT11組み合わせの有効性は、この実験における5D3/CPT11組み合わせの有効性を有意に超える。
図18は、トポテカン耐性Panc1/T300細胞を使用した異種移植片試験における、単独又はトポテカンと組み合わせて投与された、二重特異性抗ABCG2抗体G2.318/KT3/G2.318の有効性を示す。矢印は投与スケジュールを示す。KT3=抗EGFR抗体であるセツキシマブ。試験した二重特異性抗体は、単剤として、及びトポテカンとの組み合わせでの両方で、有意に腫瘍体積を減少させた。
図19は、HT1376(ATCC、CRL-1472)膀胱上皮がん細胞株を使用した異種移植片試験における、単独又はトポテカンとの組み合わせで投与される二重特異性抗ABCG2抗体G2.318/KT9/G2.318の有効性を示す。矢印は投与スケジュールを示す。KT9=抗PD-L1抗体であるアテゾリズマブ。試験した二重特異性抗体とトポテカンとの組み合わせは、腫瘍体積を低下させるのに有効であることが示されている。
図20は、種々のヒト化G2.636抗ABCG2抗体のヒト及びカニクイザルABCG2に対する排出阻害活性及び結合を示す。抗ABCG2抗体G2.636の全てのヒト化バリアントは、活性を保持し、G2.636.hu47バリアントは特に優れた発現及び活性を示す。
図21は、2つのヒト化ABCG2/CD47二重特異性抗体(5F9huscFv-G2.318.hu33及びB6H12huscFv-G2.318.hu33)の概略構造、並びにヒト及びカニクイザルABCG2に対するその結合を、それぞれG2.318.hu33及び5D3と比較して示す。両方のヒト化抗体は優れた結合を示す。
図22は、ヒト化ABCG2/HER2二重特異性抗体KT1scFv-G2.318.hu33の概略構造、及びヒトABCG2及びヒトHER2に対するその結合をそれぞれ示す。KT1=HER2。二重特異性抗体は、ABCG2及びHER2の両方に強力な結合を示す。
図23A~23Cは、二重特異性抗体G2.318KK KT9DD G2.318の概略構造、並びにABCG2+KT9-(図23A)、ABCG2-KT9+(図23B)、及びABCG2+KT9+293T(図23C)細胞に対するその結合を示す。KT9=抗PD-L-1モノクローナル抗体であるアテゾリズマブ。抗体は、ABCG2及びPD-L1の両方に優れた結合を示す。
図24A及び24Bは、G2.643抗体及びそのヒト化型-G2.643.hu46の、ヒト及びカニクイザルABCG2への結合(図24A)、並びにG2.643及びG2.643.hu46抗体の排出阻害活性(図24B)を示す。
前述の発明は、理解の明確さのために例示及び実施例としてある程度詳細に説明されてきているが、添付の特許請求の範囲の趣旨又は範囲から逸脱することなく、特定の変更及び修正が行われ得ることが、本発明の教示に照らして当業者には容易に明らかである。
したがって、上記は、本発明の原理を単に例示している。当業者は、本明細書に明示的に記載又は示されていないが、本発明の原理を具現化しその趣旨及び範囲内に含まれる様々な構成を考案することができることを理解されたい。更に、本明細書に列挙される全ての例及び条件付き言語は、主に、本発明の原理及び本技術の促進のために発明者によって寄与される概念を理解する上で読者を支援することを意図しており、かかる具体的に列挙される例及び条件に限定されないものとして解釈されるべきである。更に、本発明の原理、態様、及び実施形態を列挙する本明細書の全ての記述、並びにその具体例は、その構造的及び機能的等価物の両方を包含することが意図される。加えて、かかる等価物は、現在知られている等価物及び将来開発される等価物の両方、すなわち、構造に関係なく同じ機能を実行する任意の開発された要素を含むことが意図される。更に、本明細書に開示されるいかなるものも、かかる開示が特許請求の範囲内で明示的に列挙されているかどうかにかかわらず、公衆に捧げることを意図していない。
したがって、本発明の範囲は、本明細書に示され記載される例示的な実施形態に限定されるものではない。むしろ、本発明の範囲及び趣旨は、添付の特許請求の範囲によって具現化される。特許請求の範囲において、35 U.S.C.§112(f)又は35 U.S.C.§112(6)は、特許請求の範囲のかかる限定の最初に正確なフレーズ「のための手段」又は正確なフレーズ「のためのステップ」が記載されている場合にのみ、特許請求の範囲の限定のために援用されるものとして明示的に定義され、かかる正確なフレーズが特許請求の範囲の限定で使用されない場合には、35 U.S.C.§112(f)又は35 U.S.C.§112(6)は援用されない。
Claims (63)
- ATP結合カセットサブファミリーGメンバー2(ABCG2)に特異的に結合する抗体であって、前記抗体が、ABCG2との結合について、
表2に列挙される抗体の可変重鎖(VH)領域と可変軽鎖(VL)領域との対の重鎖相補性決定領域1~3(HCDR1~3)及び軽鎖CDR1~3(LCDR1~3)を含む抗体と競合する、抗体。 - 前記表2に列挙される抗体の前記VH領域のHCDR1~3を含む、請求項1に記載の抗体。
- 前記表2に列挙される抗体の前記VL領域のLCDR1~3を含む、請求項2に記載の抗体。
- 表2に列挙される抗体の可変重鎖(VH)領域と可変軽鎖(VL)領域との対の重鎖相補性決定領域(HCDR)及び軽鎖CDR(LCDR)を含む、請求項1に記載の抗体。
- ATP結合カセットサブファミリーGメンバー2(ABCG2)に特異的に結合する抗体分子であって、前記抗体が、表2に列挙される抗体の可変重鎖(VH)領域と可変軽鎖(VL)領域との対の重鎖相補性決定領域1~3(HCDR1~3)及び/又は軽鎖CDR1~3(LCDR1~3)を含む、抗体分子。
- 前記抗体が、表2に列挙される抗体のVH領域とVL領域との対のHCDR1~3及びLCDR1~3を含む、請求項5に記載の抗体分子。
- 前記抗体が、表2に列挙される第1の抗体のVH領域のHCDR1~3を含む、請求項5に記載の抗体。
- 前記抗体が、表2における第2の抗体のVL領域のLCDR1~3を含む、請求項7に記載の抗体分子。
- 前記抗体分子が、表2に列挙される抗体の可変軽(VL)鎖及び/又は可変重(VH)鎖を含む、請求項5に記載の抗体分子。
- 前記抗体が、ABCG2を発現する細胞に結合したとき、前記ABCG2による排出を阻害する、先行請求項のいずれか一項に記載の抗体分子。
- 前記抗体が、ヒト化軽鎖を含む、先行請求項のいずれか一項に記載の抗体分子。
- 前記抗体が、ヒト化重鎖を含む、先行請求項のいずれか一項に記載の抗体分子。
- 前記抗体が、二重特異性抗体、Igモノマー、Fab断片、F(ab’)2断片、Fd断片、scFv、scAb、dAb、及びFvからなる群から選択される、先行請求項のいずれか一項に記載の抗体分子。
- 前記抗体が、別個のポリペプチドに存在するVL領域及びVH領域を含む、請求項1~12のいずれか一項に記載の抗体分子。
- 前記抗体が、単一ポリペプチドに存在するVL領域及びVH領域を含む、請求項1~12のいずれか一項に記載の抗体分子。
- ATP結合カセットサブファミリーGメンバー2(ABCG2)と多剤耐性タンパク質1(MDR1)とに結合する二重特異性抗体分子であって、前記抗体分子が、2つの同一の可変軽(VL)鎖、第1の可変重(VH)鎖、及び第2のVH鎖を含み、前記VL鎖が各々、MDR1に対する抗原結合部位を含み、前記第1のVH鎖が、MDR1に対する抗原結合部位を含み、前記第2のVH鎖が、ABCG2に対する抗原結合部位を含み、前記第2のVH鎖が、前記軽鎖のうちの1つと対形成したときにABCG2に結合する、二重特異性抗体分子。
- 前記第1のVH鎖が、アミノ酸配列:EVKVVESGGVLVRPGGSLKLSCAASGFTFSRYTMSWVRQTPEKRLEWVATISSGGGX1TYYPDSVKGRFTVSRDNAMSSLYLQMSSLRSEDTALYYCARYGAGDAWFAYWGQGTLVTVS(配列番号418)(ここでX1は、N、Q、若しくはSである)を有する抗MDR1抗体のVH鎖の重鎖相補性決定領域1~3(HCDR1~3)を含むか、又は
前記第1のVH鎖が、配列番号418に示されるアミノ酸配列に対して少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも99%、若しくは100%の同一性を有するアミノ酸配列を含む、請求項16に記載の二重特異性抗体分子。 - 前記第1のVH鎖が、抗MDR1抗体からのVH鎖の重鎖相補性決定領域1~3(HCDR1~3)を含み、HCDR1が、配列:GFTFSRYTMS(配列番号419)を含み、HCDR2が、配列:VATISSGGGNTYYPDSVKG(配列番号362)、VATISSGGGQTYYPDSVKG(配列番号363)、又はVATISSGGGSTYYPDSVKG(配列番号364)を含み、HCDR3が、配列:ARYGAGDAWFAY(配列番号365)を含む、請求項16に記載の二重特異性抗体分子。
- 前記第2のVH鎖が、表2に示される配列を有する抗ABCG2抗体のVH鎖の重鎖相補性決定領域1~3(HCDR1~3)を含む、請求項16~18のいずれか一項に記載の二重特異性抗体分子。
- 前記第2のVH鎖が、抗ABCG2抗体のVH鎖のHCDR1~3を含み、前記HCDR1が、配列:NNAMS(配列番号82)を含み、前記HCDR2が、配列:TITGGGSYTYYPDSVKG(配列番号112)を含み、前記HCDR3が、配列:PDGNYEGVLAY(配列番号154)を含むか、又は
前記第2のVH鎖が、アミノ酸配列:
EVMLVESGGALVKPGGSLKLSCAASGFTFSNNAMSWVRQTPETRLEWVATITGGGSYTYYPDSVKGRFTISRDNARNTLYLQMSSLRSEDTATYYCASPDGNYEGVLAYWGQGTLVTVSA(配列番号13)に対して少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも99%、若しくは100%の同一性を有するアミノ酸配列を含む、請求項16~19のいずれか一項に記載の二重特異性抗体分子。 - 前記2つの同一のVL鎖が、アミノ酸配列:DVLMTQTPLSLPVSLGDQASISCRSSQSIVHSTGNTYLEWYLQKPGQSPKLLIYKVSNRFSGVPDRFSGSGSGTDFTLKISRLEAEDLGVYYCFQGSHFPRTFGGGTRLEIK(配列番号367)を有する抗MDR1抗体のVL鎖の軽鎖CDR1~3(LCDR1~3)を含む、請求項16~20のいずれか一項に記載の二重特異性抗体分子。
- 前記2つの同一のVL鎖が、抗MDR1抗体の軽鎖CDR1~3(LCDR1~3)を含み、
(i)前記LCDR1が、配列:RSSQSIVHSTGNTYLE(配列番号368)を含み、
(ii)前記LCDR2が、配列:KVSNRFS(配列番号305)を含み、
(iii)前記LCDR3が、配列:QGSHFPRT(配列番号369)を含むか、又は
前記VL鎖が、アミノ酸配列:
DVLMTQTPLSLPVSLGDQASISCRSSQSIVHSTGNTYLEWYLQKPGQSPKLLIYKVSNRFSGVPDRFSGSGSGTDFTLKISRLEAEDLGVYYCFQGSHFPRTFGGGTRLEIK(配列番号367)に対して少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも99%、若しくは100%の同一性を有するアミノ酸配列を含む、請求項16~21のいずれか一項に記載の二重特異性抗体分子。 - 前記2つの同一のVL鎖が、アミノ酸配列:DVLMTQTPVSLSVSLGDQASISCRSSQSIVHSTGX2TYLEWYLQKPGQSPKLLIYKISNRFSGVPDRFSGSGSGTDFTLKISRVEAEDLGVYYCFQASHFPRTFGGGTKLEIK(配列番号370)(ここでX2は、N、Q、若しくはSである)を有する抗MDR1抗体のVL鎖の軽鎖CDR1~3(LCDR1~3)を含むか、又は
前記VL鎖が、アミノ酸配列:
DVLMTQTPVSLSVSLGDQASISCRSSQSIVHSTGX2TYLEWYLQKPGQSPKLLIYKISNRFSGVPDRFSGSGSGTDFTLKISRVEAEDLGVYYCFQASHFPRTFGGGTKLEIK(配列番号370)(ここでX2は、N、Q、若しくはSである)に対して少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも99%、若しくは100%の同一性を有するアミノ酸配列を含む、請求項16~20のいずれか一項に記載の二重特異性抗体分子。 - 前記2つの同一のVL鎖が、抗MDR1抗体の軽鎖CDR1~3(LCDR1~3)を含み、
(i)前記LCDR1が、配列:RSSQSIVHSTGX2TYLE(配列番号371)を含み、
(ii)前記LCDR2が、配列:KISNRFS(配列番号372)を含み、
(iii)前記LCDR3が、配列:FQASHFPRT(配列番号373)を含み、
ここでX2は、N、Q、又はSである、請求項16~20のいずれか一項に記載の二重特異性抗体分子。 - ATP結合カセットサブファミリーGメンバー2(ABCG2)と多剤耐性タンパク質1(MDR1)とに結合する二重特異性抗体分子であって、前記抗体分子が、2つの同一の可変軽(VL)鎖、第1の可変重(VH)鎖、及び第2のVH鎖を含み、前記VL鎖が各々、ABCG2に対する抗原結合部位を含み、前記第1のVH鎖が、MDR1に対する抗原結合部位を含み、前記第2のVH鎖が、ABCG2に対する抗原結合部位を含み、前記第1のVH鎖が、前記軽鎖のうちの1つと対形成したときにMDR1に結合する、二重特異性抗体分子。
- 前記第1のVH鎖が、アミノ酸配列:EVKVVESGGVLVRPGGSLKLSCAASGFTFSRYTMSWVRQTPEKRLEWVATISSGGGX1TYYPDSVKGRFTVSRDNAMSSLYLQMSSLRSEDTALYYCARYGAGDAWFAYWGQGTLVTVS(配列番号418)(ここでX1は、N、Q、又はSである)を有する抗MDR1抗体のVH鎖の重鎖相補性決定領域1~3(HCDR1~3)を含む、請求項25に記載の二重特異性抗体分子。
- 前記第1のVH鎖が、抗MDR1抗体からのVH鎖の重鎖相補性決定領域1~3(HCDR1~3)を含み、HCDR1が、配列:GFTFSRYTMS(配列番号419)を含み、HCDR2が、配列:VATISSGGGNTYYPDSVKG(配列番号362)、VATISSGGGQTYYPDSVKG(配列番号363)、又はVATISSGGGSTYYPDSVKG(配列番号364)を含み、HCDR3が、配列:ARYGAGDAWFAY(配列番号365)を含む、請求項25に記載の二重特異性抗体分子。
- 前記第2のVH鎖が、表2に示される配列を有する抗ABCG2抗体のVH鎖の重鎖相補性決定領域1~3(HCDR1~3)を含む、請求項25~27のいずれか一項に記載の二重特異性抗体分子。
- 前記2つの同一のVL鎖が、表2に列挙される抗ABCG2抗体のVL鎖の軽鎖CDR1~3(LCDR1~3)を含む、請求項25~28のいずれか一項に記載の二重特異性抗体分子。
- 前記抗体が、ABCG2及びMDR1のうちの少なくとも1つの活性を阻害する、請求項16~29のいずれか一項に記載の二重特異性抗体。
- ATP結合カセットサブファミリーGメンバー2(ABCG2)と腫瘍関連抗原(TAA)とに結合する二重特異性抗体分子であって、前記抗体分子が、2つの同一の可変軽(VL)鎖、第1の可変重(VH)鎖、及び第2のVH鎖を含み、
前記VL鎖が各々、ABCG2に対する抗原結合部位を含み、前記第1のVH鎖が、ABCG2に対する抗原結合部位を含み、前記第2のVH鎖が、前記TAAに対する抗原結合部位を含み、前記第2のVH鎖が、前記軽鎖のうちの1つと対形成したときにTAAに結合するか、又は
前記VL鎖が各々、前記TAAに対する抗原結合部位を含み、前記第1のVH鎖が、ABCG2に対する抗原結合部位を含み、前記第2のVH鎖が、前記TAAに対する抗原結合部位を含み、前記第1のVH鎖が、前記軽鎖のうちの1つと対形成したときにABCG2に結合する、二重特異性抗体分子。 - 前記VL鎖の各々が、ABCG2に対する抗原結合部位を含み、前記第1のVH鎖が、ABCG2に対する抗原結合部位を含み、前記第2のVH鎖が、前記TAAに対する抗原結合部位を含み、前記第2のVH鎖が、前記軽鎖のうちの1つと対形成したときにTAAに結合する、請求項31に記載の二重特異性抗体分子。
- 前記第1のVH鎖が、表2に列挙される抗ABCG2抗体の重鎖相補性決定領域1~3(HCDR1~3)を含む、請求項32に記載の二重特異性抗体分子。
- 前記第1のVH鎖が、重鎖相補性決定領域1~3(HCDR1~3)を含み、前記HCDR1が、配列:DDYVHを含み、前記HCDR2が、配列:RIDPANGNTRYAPKFRG(配列番号115)を含み、前記HCDR3が、配列:PLWVGGFAY(配列番号157)を含むか、あるいは前記第1のVH鎖が、アミノ酸配列:
QVQLQQSGADLVRPGASVKLSCTASGFNIKDDYVHWVKQRPEQGLEWIGRIDPANGNTRYAPKFRGKATMTADTSSNTAYLQLSSLTSADTAVYYCSPPLWVGGFAYWGQGTLVTVSS(配列番号16)、又は
EVQLVQSGAEVKKPGASVKVSCKASGFNIKDDYVHWVRQAPGQGLEWIGRIDPANGNTRYAPKFRGRATMTADTSISTAYMELSRLRSDDTAVYYCSPPLWVGGFAYWGQGTLVTVSS(配列番号17)、又は
EVQLVQSGAEVKKPGASVKVSCKASGFNIKDDYVHWVRQAPGQGLEWIGRIDPAQGNTRYAPKFRGRATMTADTSISTAYMELSRLRSDDTAVYYCSPPLWVGGFAYWGQGTLVTVSS(配列番号18)、又は
EVQLVQSGAEVKKPGASVKVSCKASGFNIKDDYVHWVRQAPGQGLEWIGRIDPASGNTRYAPKFRGRATMTADTSISTAYMELSRLRSDDTAVYYCSPPLWVGGFAYWGQGTLVTVSS(配列番号19)に対して少なくとも90%、少なくとも95%、若しくは100%の同一性を有するアミノ酸配列を含む、請求項32又は33に記載の二重特異性抗体分子。 - 前記2つのVL鎖の前記抗原結合部位が、表2に列挙される抗体の軽鎖CDR1~3(LCDR1~3)を含む、請求項32~34のいずれか一項に記載の二重特異性抗体分子。
- 前記2つのVL鎖の前記抗原結合部位が、配列:RSSQSLVHSDVNTYLH(配列番号270)を含むLCDR1、配列:KVSNRFS(配列番号305)を含むLCDR2、及び配列:SQTTHVPYT(配列番号334)を含むLCDR3を含むか、あるいは前記VL鎖が、アミノ酸配列:
DVVMTQTPLSLPVSLGDQASISCRSSQSLVHSDVNTYLHWYLQRPGQSPKLLIYKVSNRFSGVPDRFSGSGSGTDFTLKISRVESEDLGIYFCSQTTHVPYTFGGGTKLEIK(配列番号199)、又は
DVVMTQSPLSLPVTLGQPASISCRSSQSLVHSDVNTYLHWYQQRPGQSPRLLIYKVSNRFSGVPDRFSGSGSGTDFTLKISRVEAEDVGVYFCSQTTHVPYTFGGGTKLEIK(配列番号200)に対して少なくとも90%、少なくとも95%、若しくは100%の同一性を有するアミノ酸配列を含む、請求項32~35のいずれか一項に記載の二重特異性抗体分子。 - 前記第1のVH鎖が、重鎖相補性決定領域1~3(HCDR1~3)を含み、前記HCDR1が、配列:SGYIS(配列番号84)を含み、前記HCDR2が、配列:WIYAGTGISNFNQKFTG(配列番号114)を含み、前記HCDR3が、配列:GARKTLDF(配列番号156)を含むか、又は前記第1のVH鎖が、アミノ酸配列:
QGQMHQSGAELVKPGASVKLSCKTSGFTFNSGYISWLKQKPRQSLEWIAWIYAGTGISNFNQKFTGKAQLTVDTSSSTAYMQLSSLTSADSAIYFCASGARKTLDFWGQGTSVTVSS(配列番号15)に対して少なくとも90%、少なくとも95%、若しくは100%の同一性を有するアミノ酸配列を含む、請求項32又は33に記載の二重特異性抗体分子。 - 前記2つのVL鎖の前記抗原結合部位が、表2に列挙される抗体の軽鎖CDR1~3(LCDR1~3)を含む、請求項37に記載の二重特異性抗体分子。
- 前記2つのVL鎖の前記抗原結合部位が、配列:KASDQINYWLA(配列番号269)を含むLCDR1、配列:GATSLET(配列番号10)を含むLCDR2、及び配列:QQYWTTPYT(配列番号333)を含むLCDR3を含むか、又は前記VL鎖が、アミノ酸配列:
DIQMTQSSSYLSVSVGGRVTITCKASDQINYWLAWYQQKPGNAPRLLISGATSLETGVPSRFSGSGSGKDYTLSITSFQTEDVATYYCQQYWTTPYTFGGGTKVEIK(配列番号198)に対して少なくとも90%、少なくとも95%、若しくは100%の同一性を有するアミノ酸配列を含む、請求項37又は38に記載の二重特異性抗体分子。 - 前記TAAが、EGFRであり、前記第2のVH鎖が、アミノ酸配列:QVQLQESGPGLVKPSQTLSLTCTVSGGSISSGDYYWSWIRQPPGKGLEWIGYIYYSGSTDYNPSLKSRVTMSVDTSKNQFSLKVNSVTAADTAVYYCARVSIFGVGTFDYWGQGTLVTVSS(配列番号388)を含む6B3S抗体のVH鎖の重鎖相補性決定領域1~3(HCDR1~3)を含む、請求項32~39のいずれか一項に記載の二重特異性抗体分子。
- 前記抗体が、ヒト化軽鎖を含む、請求項16~41のいずれか一項に記載の二重特異性抗体分子。
- 前記抗体が、ヒト化重鎖を含む、請求項16~41のいずれか一項に記載の二重特異性抗体分子。
- 対象におけるがんを治療する方法で使用するための請求項1~15のいずれか一項に記載の抗体分子、又は請求項16~43のいずれか一項に記載の二重特異性抗体分子であって、前記方法が、前記抗体を前記対象に投与することを含む、使用のための抗体分子又は二重特異性抗体分子。
- 前記方法が、前記抗体を、少なくとも1つの追加の活性剤と組み合わせて投与することを含み、前記少なくとも1つの追加の活性剤が、化学療法剤、多剤耐性トランスポーターの阻害剤、免疫療法剤、又はそれらの組み合わせを含む、請求項44に記載の使用のための抗体分子又は二重特異性抗体分子。
- 前記少なくとも1つの追加の活性剤が、化学療法剤であり、任意選択的に、前記化学療法剤が、タキソール、ビンカアルカロイド、アントラサイクリン、エトポシド、ミトキサントロン、又はメトトレキサートである、請求項45に記載の使用のための抗体分子又は二重特異性抗体分子。
- 前記治療される対象が、前記化学療法剤による治療に耐性であると決定されているがんを有する、請求項44~46のいずれか一項に記載の使用のための抗体分子又は二重特異性抗体分子。
- 医薬組成物であって、
先行請求項のいずれか一項に記載の抗体と、
薬学的に許容される賦形剤と、を含む、医薬組成物。 - 追加の活性剤を更に含む、請求項48に記載の医薬組成物。
- 前記追加の活性剤が、化学療法剤である、請求項48に記載の医薬組成物。
- 前記追加の活性薬剤が、多剤耐性トランスポーターの阻害剤を含む、請求項50に記載の医薬組成物。
- 前記追加の活性剤が、免疫療法剤を含む、請求項50に記載の医薬組成物。
- 請求項1~15のいずれか一項に記載の抗体分子、又は請求項16~43のいずれか一項に記載の二重特異性抗体分子をコードする1つ以上の配列を含む、1つ以上の核酸。
- 請求項53に記載の1つ以上の核酸を含む、1つ以上の組換え発現ベクター。
- 請求項54に記載の組換えの1つ以上の組換え発現ベクターで遺伝子改変された、宿主細胞。
- ABCG2結合ドメインと、膜貫通ドメインと、細胞内シグナル伝達ドメインとを含むキメラ抗原受容体(CAR)を含む免疫エフェクター細胞であって、前記ABCG2結合ドメインが、表2に列挙される抗体の可変重鎖(VH)領域と可変軽鎖(VL)領域との対の重鎖相補性決定領域1~3(HCDR1~3)及び/又は軽鎖CDR1~3(LCDR1~3)を含む、免疫エフェクター細胞。
- 細胞の細胞表面上のABCG2の発現をアッセイする方法であって、前記細胞を請求項1~15のいずれか一項に記載の抗体と接触させることを含む、方法。
- 前記抗体が、検出可能なように標識される、請求項57に記載の方法。
- 生細胞によって発現されたABCG2の排出活性を阻害する方法であって、前記細胞を請求項1~15のいずれか一項に記載の抗体と接触させることを含む、方法。
- 前記細胞を、MDR1媒介性排出の阻害剤と接触させることを更に含む、請求項58に記載の方法。
- 前記細胞を、化学療法剤と接触させることを更に含む、請求項59又は60に記載の方法。
- 前記細胞が、がん細胞である、請求項59~61のいずれか一項に記載の方法。
- 前記がん細胞が、多剤耐性がん細胞である、請求項62に記載の方法。
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