JP2023527441A - レナラーゼアゴニスト活性を有する安定なペプチド - Google Patents

レナラーゼアゴニスト活性を有する安定なペプチド Download PDF

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Abstract

レナラーゼアゴニスト活性を有し、SARS-CoV-2に関係するものを含むAKI及びAPなどの疾患を処置するのに有用な安定なペプチドが開示される。

Description

EFS-Webを介して提出された配列リストの相互参照
2021年5月21日に作成され、EFS-Webを介して出願と同時に電子的に提出されたサイズが70kbの名称「8712-0001WO SEQUENCE LISTING_seq_ST25」の配列リストのASCIIテキストファイルの内容が、その全体において参照によりここに取り込まれる。
関連出願の相互参照
本出願は、2020年5月29日に出願された米国仮特許出願第63/032055号の優先権を主張し、その全体において参照によりここに取り込まれる。
本開示は、組織保護活性を示し、急性腎臓損傷又は急性膵損傷などの腎臓又は膵臓の疾患、特にSARS-CoV-2に関連し又はSARS-CoV-2により悪化した腎疾患又は膵損傷を処置するのに有用な安定なペプチドに関する。
以下の検討は、単に読者の本開示の理解を補助するように提供され、その先行技術を説明又は構成するようには認められない。
レナラーゼ(RNLS)は、腎臓によって分泌され、複数の生物学的機能を有する。例えば、特許文献1、特許文献2、特許文献3、特許文献4及び特許文献5(国際特許出願第US18/67608号)を参照し、それらはここに完全に再現されるようにそれらの全体においてここに取り込まれる。組換え又は生物学的に単離されたレナラーゼの投与は、上述の特許文献4及び非特許文献1に記載されるように、特定の疾患及び状態を処置することが示されている。RNLSは、細胞シグナル伝達機構によるそのオキシダーゼ機能と関係なく急性腎臓損傷を予防することが示されている(非特許文献1)。
急性腎臓損傷(AKI)及び急性膵炎(AP)は、それぞれ、入院したCOVID-19患者の少なくとも1/3及び1/5に見られ、重症疾患ではより多く発生する。レナラーゼ(RNLS)は、細胞生存を強力に増加させ、炎症を減少させて、AKIなどの腎疾患及び/又はAPを処置する固有の循環型タンパク質である。
しかし、レナラーゼ鎖A全体の合成及び投与は煩雑及び高価であり、オキシダーゼ機能及び細胞シグナル伝達機能の双方による複雑な薬理特性をもたらし得る(非特許文献1)。特に細胞シグナル伝達組織修復機能を有するレナラーゼアゴニスト活性を示す安定な合成ペプチドが、強く望まれる。本開示は、そのようなペプチドを提供する。
米国特許第7700095号明細書 米国特許第7858084号明細書 米国特許第7932067号明細書 米国特許第10066025号明細書 国際公開第2019/133665号
Wang他、J.Am.Soc.Nephrol.、2014年6月、25(6):1226-1235
本発明は、図1に示すレナラーゼ鎖A(1~342)(配列番号1)に由来する新規のペプチドに関する。ペプチドは、
<化学式1>
Figure 2023527441000002
と、
<化学式2>
Figure 2023527441000003
と、から選択されるアミノ酸の残基によってCys220が置換されるレナラーゼA(1~342)の残基220~229を少なくとも含み、
化学式1においては、R及びRは、独立して、H、任意選択的にヒドロキシル基によって置換されるC~Cのn-アルキル、任意選択的にヒドロキシル基によって置換されるC~Cの分岐アルキル、任意選択的にヒドロキシル基によって置換されるC~Cの二分岐アルキル、任意選択的にヒドロキシル基若しくはメチル基又はその両方によって1以上の任意の位置で置換され、構造的に実現可能なすべての立体異性的なものを含むC~Cシクロアルキル、任意選択的にヒドロキシル基若しくはメチル基又はその両方によって1以上の任意の位置で置換されるCH-C~Cシクロアルキルであり、R及びRは、任意選択的にメチル基若しくはヒドロキシル基又はその両方によって任意の位置で置換される(CHとして相互に連結されていてもよく、nは2、3、4又は5であり、
化学式2においては、Yは、アミノ基に結合している炭素がメチル基によってのみ置換され得るという条件で任意選択的にメチル若しくはヒドロキシル基又はその両方によって1以上の任意の位置で置換され、nは2、3、4又は5である(CH、アミノ基に結合している炭素はメチル基によってのみ置換され得るという条件で任意選択的にメチル基若しくはヒドロキシル基又はその両方によって1以上の任意の位置で置換され、構造的に実現可能なすべてのジアステレオ異性的なものを含むシス-若しくはトランス-1,2-シクロプロパンジイル、シス-若しくはトランス-1,2-シクロブタンジイル、シス-若しくはトランス-1,3-シクロブタンジイル、シス-若しくはトランス-1,2-シクロペンタンジイル、シス-若しくはトランス-1,3-シクロペンタンジイル、シス-若しくはトランス-1,2-シクロヘキサンジイル、シス-若しくはトランス-1,3-シクロヘキサンジイル又はシス-若しくはトランス-1,4-シクロヘキサンジイルである。
この修飾は、ペプチドの生物学的効力を改善し、それらを潜在的なin situの二量体化及び/又はオリゴマー化により安定化させる。好ましくは、X220は、Ser、Ala、Leu、Val、Ile、Nle、β-Ala、Aib、シクロプロピル-グリシン及び(シクロプロピルメチル)-グリシンから選択される。
追加のアミノ酸残基は、図1の対応する位置に示したレナラーゼAの205~219位の配列中のアミノ酸残基の一部若しくは全部に対応してX220のNH-末端に、又は図1の対応する位置に示したレナラーゼAの230~253位の配列中のアミノ酸残基の一部若しくは全部に対応してLys229のCOOH-末端に、付加され得る。さらに、変化する平均分子量(例えば5000~20000amu)のポリ(エチレン)グリコール[PEG]若しくはビス-ポリ(エチレン)グリコール(ビス-PEG)の長鎖、又は(以下に説明するように)当技術分野では公知の同様のポリマーは、X220のNH-末端若しくは長片側断片のNH-末端に、又はLys229のCOOH-末端若しくは長片側断片のCOOH-末端に付着され得る。
表現「レナラーゼAの205~219位の配列中のアミノ酸残基の一部若しくは全部に対応して」は、付加されるアミノ酸残基が、配列中の219位から、218位及び219位から、217位から219位まで、216位から219位までなど、205位から219位までに含まれ得ることを意味する。同様に、表現「レナラーゼAの230~253位の配列中のアミノ酸残基の一部若しくは全部に対応して」は、付加されるアミノ酸残基が、配列中の230位から、230~231位から、230位から232位までなど、230位から253位までに含まれ得ることを意味する。
本開示は、AKIを含む腎疾患及びAP並びにSARS-CoV-2によりもたらされる腎疾患を処置する方法も提供する。
レナラーゼ鎖A(1~342)を示す図である。 レナラーゼアゴニストペプチド10(BP-1002)が急性膵炎のマウスモデルにおける損傷を軽減することを示す図である。 シスプラチン致死性に対するレナラーゼアゴニストの活性を示す図である。 レナラーゼアゴニストペプチド81がシスプラチン誘発性腎臓損傷を軽減したことを示す図である。 レナラーゼアゴニストBP-1002がSARS-CoV-2ペプチドに対する炎症反応を低下させることを示す図である。 ペプチド10(BP-1002)の抗炎症効果を示す図である。 ペプチド10の抗炎症効果の他の提示を示す図である。 ペプチド81の抗炎症効果を示す図である。 ペプチド10(BP-1002)の比較抗炎症効果を示す。 COVID-19患者において低下したレナラーゼレベルと死亡率との間の相関関係を示す図である。 レナラーゼアゴニストペプチド10(BP-1002)がCOVID-19モデルマウスの生存を向上させることを示す図である。 レナラーゼアゴニストペプチド10(BP-1002)による処置が、重症ウイルス感染症のモデルにおいてレナラーゼ欠損マウスを保護することを示す図である。 ペプチド10(BP-1002)がセルレイン誘発性重症膵炎のモデルにおいてネクローシスを軽減するのに有効であったことを示す図である。 ペプチド10(BP-1002)が炎症性細胞についてのマーカーであるcronin1のレベルを低下させることを示す図である。
合成ペプチド、ペプチドを含む薬学的組成物並びに合成ペプチド及び薬学的組成物を用いたヒト疾患の処置の方法が、本開示により提供される。
発明者らは、レナラーゼ鎖Aの配列内の特定のペプチド断片がレナラーゼアゴニスト活性を示すことを発見した。しかしながら彼らは、これらのペプチドが不安定であり、したがって治療薬としての使用には適していないことも発見した。発明者らは、ペプチド断片の不安定性は、適切に選択された異なるアミノ酸によってレナラーゼ鎖A(1~342)の220位のシステイン残基を置換することによって排除され得ることを発見した。さらに、修飾されたペプチド断片は、未修飾の断片と比較して効力を増加させた。
220位のアミノ酸は、
<化学式3>
Figure 2023527441000004
と、
<化学式4>
Figure 2023527441000005
と、から選択されるアミノ酸の残基から選択され得るものであり、
化学式3においては、R及びRは、独立して、H、任意選択的にヒドロキシル基によって置換されるC~Cのn-アルキル、任意選択的にヒドロキシル基によって置換されるC~Cの分岐アルキル、任意選択的にヒドロキシル基によって置換されるC~Cの二分岐アルキル、任意選択的にヒドロキシル基若しくはメチル基又はその両方によって1以上の任意の位置で置換され、構造的に実現可能なすべての立体異性的なものを含むC~Cシクロアルキル、任意選択的にヒドロキシル基若しくはメチル基又はその両方によって1以上の任意の位置で置換されるCH-C~Cシクロアルキルであり、R及びRは、任意選択的にメチル基若しくはヒドロキシル基又はその両方によって任意の位置で置換される(CHとして相互に連結されていてもよく、nは2、3、4又は5であり、
化学式4においては、Yは、アミノ基に結合している炭素がメチル基によってのみ置換され得るという条件で任意選択的にメチル基若しくはヒドロキシル基又はその両方によって1以上の任意の位置で置換され、nは2、3、4又は5である(CH、アミノ基に結合している炭素はメチルによってのみ置換され得るという条件で任意選択的にメチル基若しくはヒドロキシル基又はその両方によって1以上の任意の位置で置換され、構造的に実現可能なすべてのジアステレオ異性的なものを含むシス-若しくはトランス-1,2-シクロプロパンジイル、シス-若しくはトランス-1,2-シクロブタンジイル、シス-若しくはトランス-1,3-シクロブタンジイル、シス-若しくはトランス-1,2-シクロペンタンジイル、シス-若しくはトランス-1,3-シクロペンタンジイル、シス-若しくはトランス-1,2-シクロヘキサンジイル、シス-若しくはトランス-1,3-シクロヘキサンジイル又はシス-若しくはトランス-1,4-シクロヘキサンジイルである。
本発明のペプチドは、上記のようなX220を有する220~229位を有し、220~229位の片側又は両側におけるレナラーゼAの適切な位置に追加のアミノ酸を含むレナラーゼA断片を含み、該ペプチドは、一般に約49アミノ酸~約20アミノ酸残基の長さにおいて変化し、必要に応じて長くなってもよい。
さらに、薬学的分野において公知のように、種々の平均分子量(例えば、500~20000amu)のポリ(エチレン)グリコール(PEG)又はビス-ポリ(エチレン)グリコール(ビス-PEG)は、ペプチドのいずれかの末端に付着されて、ペプチドの長期活性を促進し得る。ポリ(エチレン)グリコールは、直鎖又は分岐鎖の構造体に会合して異なる構成及び分子量を有する様々なPEGを与え得るエチレンオキシドの繰返し単位からなる両親媒性ポリマーである。PEGは、(ペプチド及びタンパク質を含む)生物薬学的化合物の適切な部位に共有結合的に結合され、それによりそれらの薬理学的及び薬学的特性を向上するために、活性化される必要がある。溶解性を向上することに加えて、PEGとの結合は、生物薬学的化合物を宿主の免疫系から保護し、それにより免疫原性及び抗原性を低減し、生物学的半減期を延長し得る。もたらされるPEG化医薬品は、有効性を損なうことなく、低減された投与量及び頻度で使用され得る。PEGは、様々な平均分子量で利用可能であり、一端で官能化され得る(他端は通常メトキシとして保護される)。あるいは、ポリマーの両端は、官能化されて、2つのものを連結するのに使用され得るホモ二官能性又はヘテロ二官能性誘導体をもたらし得る。ペプチド及びタンパク質への結合のための、より多様かつ効率的な官能基を有する第1世代及び第2世代のPEG誘導体のレビューは、Roberts、Adv.Drug Deliv.Rev.54、459(2002年)に記載されている。ポリマーが分岐された第3世代のPEG化剤が開発され、タンパク質をタンパク質分解から保護し、免疫原性及び抗原性をさらに低減させる、追加の利点を提示し得る。[PEG]はペプチド及びタンパク質への結合に一般的に用いられるが、炭水化物部分を含むがこれらに限定されない適切な柔軟性を有する適切に官能化された他のポリマーも、用いられることができ、Sola及びGriebenow、J.Pharm.Sci.98,1223(2009年)並びにWitteloostuijn、Pedersen及びJensen、ChemMedChem、11、4(2016年)によってレビューされており、その双方は参照によりここに組み込まれる。
本発明のペプチドの220位での置換のために選択されたアミノ酸は、グリシン、セリン、アラニン、ロイシン、バリン、イソロイシン、ノルロイシン、ベータ-アラニン、シクロプロピル-グリシン、(シクロプロピルメチル)-グリシン及び他の疎水性アミノ酸並びに記載されたアミノ酸のD-アミノ酸鏡像異性体を含む。さらに、Lys229は、そのD-異性体で置換されて追加の安定性を提供し得る。Lys205、Arg222、Lys230及び/又はArg231を含む他のアミノ酸も、酵素分解に対する安定性の同様の強化のために対応するD-アミノ酸で置換され得る。
一実施形態では、R-X220-Ile221-Arg222-Phe223-Val234-Ser225-Ile226-Asp227-Asn228-Lys229-R’を含むペプチドであって、上付き文字はレナラーゼA鎖(1~342)内の位置を表し、RはAc-Ala-Gly-Thr-、Ac-Gly-Thr-、Ac-Thr-、Ac-、Ac-Z、H-、H-Z、B-Z-及びBから選択され、ZはレナラーゼA鎖の205~219位のアミノ酸残基の1以上から選択され、R’は-NH、Z’-NH、-B及びZ’-Bから選択され、Z’はレナラーゼA鎖の230~253位のアミノ酸残基の1以上から選択され、BはPEG又はビス-PEGであり、Xは、
<化学式5>
Figure 2023527441000006
と、
<化学式6>
Figure 2023527441000007
と、から選択されるアミノ酸の残基であり、
化学式5においては、R及びRは、独立して、H、任意選択的にヒドロキシル基によって置換されるC~Cのn-アルキル、任意選択的にヒドロキシル基によって置換されるC~Cの分岐アルキル、任意選択的にヒドロキシル基によって置換されるC~Cの二分岐アルキル、任意選択的にヒドロキシル基若しくはメチル基又はその両方によって1以上の任意の位置で置換され、C~Cシクロアルキル、任意選択的にヒドロキシル基若しくはメチル基又はその両方によって1以上の任意の位置で置換されるCH-C~Cシクロアルキルであり、R及びRは、任意選択的にメチル基若しくはヒドロキシル基又はその両方によって任意の位置で置換される(CHとして相互に連結されていてもよく、nは2、3、4又は5であり、
Yは、アミノ基に結合している炭素がメチル基によってのみ置換され得るという条件で任意選択的にメチル基若しくはヒドロキシル基又はその両方によって1以上の任意の位置で置換され、nは2、3、4又は5である(CH、アミノ基に結合している炭素はメチル基によってのみ置換され得るという条件及びペプチドが少なくとも20アミノ酸残基を含むという条件で、任意選択的にメチル基若しくはヒドロキシル基又はその両方によって1以上の任意の位置で置換される1,2-シクロプロパンジイル、1,2-シクロブタンジイル、1,3-シクロブタンジイル、1,2-シクロペンタンジイル、1,3-シクロペンタンジイル、1,2-シクロヘキサンジイル、1,3-シクロヘキサンジイル又は1,4-シクロヘキサンジイルである、ペプチドが提供される。
他の実施形態では、配列R-Lys205-Ile206-Asp207-Val208-Pro209-Trp210-Ala211-Gly212-Gln213-Tyr214-Ile215-Thr216-Ser217-Asn218-Pro219-X220-Ile221-Arg222-Phe223-Val234-Ser225-Ile226-Asp227-Asn228-Lys229-Lys230-Arg231-Asn232-Ile233-Glu234-Ser235-Ser236-Glu237-Ile238-Gly239-Pro240-Ser241-Leu242-Val243-Ile244-His245-Thr246-Thr247-Val248-Pro249-Phe250-Gly251-Val252-Thr253-R’を有するペプチドが提供され、Rは、Ac-Ala-Gly-Thr-、Ac-Gly-Thr-、Ac-Thr-、Ac-、H-及びPEGから選択され、R’は、-Tyr-Leu-Glu-NH、Tyr-Leu-NH、-Tyr-NH、-NH、-OH及びPEGから選択され、X220は、Gly、Ser、Ala、Leu、Val、Ile、Nle、β-Ala、シクロプロピル-Gyl、(シクロプロピルメチル)-Gly及びAibから選択される。
したがって、本発明のペプチドは、[X220]-Ac-レナラーゼA(205~240)-NH(配列番号2)、[X220]-Ac-レナラーゼA(214~253)-NH(配列番号3)、[X220]-Ac-レナラーゼA(214~240)-NH(配列番号4)及び[X220]-Ac-レナラーゼA(205~253)-NH(配列番号5)を含み、Xは、グリシン、セリン、アラニン、ロイシン、バリン、イソロイシン、ノルロイシン、シクロプロピル-グリシン、(シクロプロピルメチル)-グリシン及びベータ-アラニンから選択される。
本発明の代表的な化合物は、限定されることなく、
[Ala220]-Ac-レナラーゼA(205~240)-NH(配列番号6)、
[Ala220]-Ac-レナラーゼA(214~253)-NH(配列番号7)、
[Ala220]-Ac-レナラーゼA(214~240)-NH(配列番号8)、
[Ala220]-Ac-レナラーゼA(205~253)-NH(配列番号9)、
[Val220]-Ac-レナラーゼA(214~240)-NH(配列番号10)、
[Ser220]-Ac-レナラーゼA(214~253)-NH(配列番号11)、
[Ala220,D-Lys229]-Ac-レナラーゼA(205~240)-NH(配列番号12)、
[Ser220]-Ac-レナラーゼA(205~240)-NH(配列番号13)、
[Ala220]-Ac-レナラーゼA(214~234)-NH(配列番号14)、
[Ala220]-Ac-レナラーゼA(220~239)-NH(配列番号15)、
[Gly220]-Ac-レナラーゼA(205~240)-NH(配列番号16)、
[Gly220]-Ac-レナラーゼA(214~253)-NH(配列番号17)、
[シクロプロピル-Gly220]-Ac-レナラーゼA(205~253)-NH(配列番号18)、
[(シクロプロピルメチル)-Gly220]-Ac-レナラーゼA(214~240)-NH(配列番号19)
を含む。
本発明のPEG化ペプチドの代表的な一例は、[ビス-PEG5000]-Lys205-Ile206-Asp207-Val208-Pro209-Trp210-Ala211-Gly212-Gln213-Tyr214-Ile215-Thr216-Ser217-Asn218-Pro219-Ala220-Ile221-Arg222-Phe223-Val234-Ser225-Ile226-Asp227-Asn228-Lys229-Lys230-Arg231-Asn232-Ile233-Glu234-Ser235-Ser236-Glu237-Ile238-Gly239-Pro240-NH(配列番号20)である。
ペプチドは、一般に、Merrifield、J.Am.Chem.Soc.85、2149(1963年)によって説明されるような固相合成を用いて調製されるが、当業者には周知の、液相合成又は組換え技術を用いた生物学的な生成を含む他の同等の化学合成が用いられ得る。固相合成は、NH-保護されたアミノ酸を適切な樹脂にカップリングすることによってペプチドのC末端から開始される。出発材料は、Nアルファ-9-フルオレニルメトキシカルボニル(Fmoc)アミノ酸のCOOH末端を、固相樹脂に連結された、市販の4,4’-ジメトキシベンズヒドリル-アミン、(Mbh)-ハンドルに結合させることによって調製される。固相合成及び(3官能性アミノ酸について適切に保護された側鎖を含む)Fmoc-アミノ酸とのカップリングは、カルボジイミド/HOBtが介在する反応を用いて、所望のペプチド鎖の段階的な伸長で進行した。側鎖保護基の最後の切り出し及びC末端アミド部分の遊離は、スカベンジャーの存在下でのトリフルオロ酢酸による処理によって達成された。ペプチドは、分取高速液体クロマトグラフィによって精製され(純度95%以上)、アミノ酸分析及び質量分析によって特徴付けられた。本ペプチドの合成に関する具体的な詳細を以下に提供する。
ここで用いられるように、用語「備える/含む」は、組成物及び方法が言及された要素を含むが、他の要素を除外しないことを意味することを意図する。「本質的に~からなる」は、組成物及び方法を定義するように用いられる場合、組成物又は方法に対するいずれの本質的に重要な他の要素も除外することを意味するものとする。「~からなる」は、特許請求される組成物及び実質的な方法のステップについて、他の原料の微量要素以上のものを除外することを意味するものとする。これらの遷移語の各々によって定義される実施形態は、本開示の範囲内となる。したがって、方法及び組成物は、追加のステップ及び成分を含んでいてもよく(備えている/含んでいる)、あるいは代替的に、重要ではないステップ及び成分を含んでいてもよく(本質的に~からなり)、あるいは代替的に、記述された方法のステップ又は組成物のみを意図していてもよい(~からなる)ことが意図される。
ここで用いられるように、「約」は、±10%を意味する。
ここで用いられるように、「任意選択的な」又は「任意選択的に」は、引き続いて記載される事象又は状況が発生しても又は発生しなくてもよく、説明は上述の事象又は状況が発生する例及び発生しない例を含むことを意味する。
ここで用いられるように、用語「個体」、「患者」又は「被検体」は、個体生物、脊椎動物、哺乳動物(例えば、ウシ、イヌ、ネコ又はウマ)又はヒトであり得る。好適な実施形態では、個体、患者又は被検体は、ヒトである。
ここで用いられるように、成句「治療的有効量」及び「治療的レベル」は、そのような処置、すなわち、腎疾患の影響又は症状を低減、軽減又は排除する処置を必要とする被検体にペプチドが投与される場合に特定の薬理学的効果を提供する、被検体におけるペプチド用量又は血漿濃度をそれぞれ意味する。薬物の治療的有効量又は治療的レベルは、当業者によってそのような投与量が治療的有効量として見なされたとしても、ここに記載の状態/疾患の処置に常に有効とはならないことが強調される。治療的有効量は、他の要因の中でも、投与経路及び投与形態、被検体の年齢及び体重並びに/又は処置が開始された時点のアミロイド症の種類及び段階を含む被検体の状態に基づいて変化し得る。
腎疾患に関連してここで用いられるように、用語「処置」又は「処置している」は、疾患又は状態の1以上の症状又は影響を低減、軽減又は排除することをいう。
「治療的反応」は、腎疾患の少なくとも1つの測度における改善を意味する。
ここで用いられるように、用語「薬学的に許容可能な担体」は、例えば「Ansel’s Pharmaceutical Dosage Forms and Delivery Systems」第10版(2014年)に記載されるように、患者への投与のための薬学的化合物(例えば、キメラペプチド)との混和のための材料を意味する。
略称
以下の略称がここで用いられ、「Ac」はアセチルであり、-NHはアミド(-CO-NH )であり、AKIは急性腎臓損傷であり、APは急性膵炎であり、PMCA4bは細胞膜ATPase4bであり、RNLSはレナラーゼである。
アミノ酸は、IUPACの略称によって以下のように表され、アラニン(Ala;A)、アルギニン(Arg;R)、アスパラギン(Asn;N)、アスパラギン酸(Asp;D)、システイン(Cys;C)、グルタミン(Gln;Q)、グルタミン酸(Glu;E)、グリシン(Gly;G)、ヒスチジン(His;H)、イソロイシン(Ile;I)、ロイシン(Leu;L)、リジン(Lys;K)、メチオニン(Met;M)、フェニルアラニン(Phe;F)、プロリン(Pro;P)、セリン(Ser;S)、スレオニン(Thr;T)、トリプトファン(Trp;W)、チロシン(Tyr;Y)、バリン(Val;V)、ノルロイシン(Nle)及び2-アミノ酪酸(Aib)である。
表現「[X220]-Ac-レナラーゼA(205~240)-NH」は、レナラーゼAの205~240位のアミノ酸と、220位のアミノ酸「X」、ペプチドのNH末端のアシル基及びCOOH末端のアミド基を含むペプチドを意味する。したがって、このペプチドは、Ac-Lys205-Ile206-Asp207-Val208-Pro209-Trp210-Ala211-Gly212-Gln213-Tyr214-Ile215-Thr216-Ser217-Asn218-Pro219-X220-Ile221-Arg222-Phe223-Val234-Ser225-Ile226-Asp227-Asn228-Lys229-Lys230-Arg231-Asn232-Ile233-Glu234-Ser235-Ser236-Glu237-Ile238-Gly239-Pro240-NH(配列番号6)を表している。XがAlaの場合、この化合物は、ここでは「ペプチド10」又は「BP-1002」といわれることもある。
本発明の他のペプチドについての同様の表現は、対応する意味を有する。
薬学的製剤
ここに記載される方法における使用に適した薬学的組成物は、開示されたペプチドの1以上及び薬学的に許容可能な担体又希釈剤を含み得る。
組成物は、静脈内、皮下、腹腔内、筋肉内、局所、経口、口腔、経鼻、経肺若しくは吸入、眼内、膣内又は直腸投与のために処方され得る。ある実施形態では、ペプチドは、静脈内、皮下、腹腔内、筋肉内投与、又は溶液、懸濁体、乳化体、リポソーム製剤等などでの標的組織送達のために処方される。薬学的組成物は、当技術分野で公知の技術を用いて、即時放出型組成物、持続放出型組成物、遅延放出型組成物等となるように処方され得る。
種々の投与形態のための薬理学的に許容可能な担体が、当技術分野で知られている。例えば、固体調製物のための賦形剤、潤滑剤、結合剤及び崩壊剤が知られており、液体調製物のための溶媒、可溶化剤、懸濁化剤、等張化剤、緩衝剤及び緩和剤が知られている。ある実施形態では、薬学的組成物は、1以上の保存料、酸化防止剤、安定化剤等などの1以上の追加成分を含む。
さらに、開示される薬学的組成物は、溶液、マイクロ乳化体、リポソーム又は高薬物濃度に適した他の秩序構造として処方され得る。担体は、溶媒、又は、例えば、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール及び液体ポリエチレングリコール等)及びそれらの適切な混合物を含む分散媒体となり得る。適切な流動性は、例えば、レシチンなどのコーティングの使用によって、分散体の場合では必要な粒子サイズの維持によって、及び界面活性剤の使用によって維持され得る。ある実施形態では、組成物に、等張剤、例えば、糖類、マンニトール、ソルビトールなどの多価アルコール又は塩化ナトリウムを含むことが好ましい。注入可能な組成物の長期的吸収は、吸収を遅延する薬剤、例えば、モノステアリン酸塩又はゼラチンを組成物に含めることによってもたらされ得る。
注入可能な滅菌溶液は、上記に列挙された原料の1つ又は組合せによる適切な溶媒に必要量の活性化合物を取り込み、必要に応じて、続けて滅菌精密濾過を行うことによって調製され得る。一般に、分散体は、基本的な分散媒体及び上記に列挙したものから必要な他の原料を含む滅菌ビヒクルに活性化合物を取り込むことによって調製される。注入可能な滅菌溶液の調製のための滅菌粉末の場合、好適な調製方法は、活性原料及び任意の追加の所望の原料の粉末を事前に滅菌濾過されたその溶液から得る、真空乾燥及びフリーズドライ(凍結乾燥)である。
本開示の薬学的組成物は、腎臓疾患、膵臓疾患又は組織損傷についての現行の標準治療の一部である他の治療薬、特に過剰な免疫炎症の調節により利益を得ることができるものと組み合わせて投与され得る。例えば、選択的ドーパミン1受容体アゴニストとして発見されたフェノルドパムは、急性腎臓損傷に関して利用され、処置において対象ペプチドとともに用いられ得る。
処置方法
本発明では、少なくとも1つのペプチドが、AKIを含む腎臓疾患及びAPに罹患した患者(例えば、ヒト患者)に投与される。ある実施形態では、ペプチドの治療的有効量は、薬学的に許容可能な担体とともに投与される。適切な薬学的に許容可能な担体は、以下に記述するように、当技術分野において公知である。一般的な投与経路は、医療分野の当業者にはよく理解されているように、非経口的(例えば、静脈内、皮下又は筋肉内)である。他の投与経路も、当然ながら可能である。投与は、単回又は複数回投与によって行われ得る。投与されるペプチドの量及び投薬する頻度は、特定の患者について医師によって最適化され得る。
SARS-CoV-2ウイルス感染症は、病的状態及び死亡率を生じさせ、組織損傷の選択的パターンを示す。特定の組織で発生した急性炎症性損傷は、全身に広まって播種され、多臓器不全及び死亡をもたらし得る。例えば、重症急性膵炎の重要な特徴は、2次的に影響を受ける組織の筆頭である肺及び腎臓で多臓器損傷を発症することである。腎損傷はそれほど重症でない急性膵炎の発作においても発生するが、この状況では急速に回復する。ある臓器における損傷が他の機能障害につながることは、多数の種類の急性損傷及びこの提案に関連する。一部の重要なCOVID-19患者、特に重症疾患を有する患者は、組織損傷の明確なパターンを示すと予想される。SARS-CoV-2感染症は腎臓を傷つけることもあり、その最も顕著な影響は、レナラーゼ(RNLS)合成部位である近位尿細管に対するものである。腎臓のSARS-CoV-2感染症は、循環RNLSレベルを低下させると予想され、それは標的組織をウイルス及び他の要因による損傷に対して感作させる。我々は、腎臓及び膵臓は重要な病理学的標的となり、血漿RNLSレベルの低下は、腎損傷を増加させ、膵臓をAPに対しても感作させると予期する。これらの臓器の損傷は、さらに血漿RNLSレベルを低減し、負のフィードバックループを駆動させる。
臨床研究は、SARS-CoV-2感染症において腎臓損傷及び急性膵炎の双方が頻繁に発生することを示す。SARS-CoV-2感染症の自然な経過の臨床研究はまさに開始されたところであるが、損傷の明確なパターンが浮上している。患者55名のある限定された研究では、17%に急性膵炎の証拠が観察され、腎機能障害の8%の発生率が存在した。この入院患者コホートは、大部分が中等症であり重症ではない疾患を有するように見えた。他の研究は、COVID-19患者における血中クレアチニンレベルは重症度に対応することを報告し、COVID-19患者における腎損傷の発生率は入院患者の1/3までとなることが報告されている。重症SARS-CoV-2感染症を有する52名の患者において、17%は透析を必要とした。低下した血漿RNLSレベルに関連する状態である基礎的な腎臓疾患の存在は、SARS-CoV-2による死亡リスクを大幅に増加させる。RNLS生成部位である近位尿細管細胞に対するSARS-COV-2による損傷が、病理学研究において報告された。
SARS-CoV-2感染症に対する炎症反応
臨床所見に基づいて、SARS-CoV-2の病態は、以下の(I)初期ウイルス反応、(II)肺疾患相、(III)過炎症のステージに分割される。軽症対重症のSARS-CoV-2の病態を有する患者におけるこれらの反応の時間経過を記録した1つの研究は、重症疾患を有する患者においてのみ、2週間の全体を通じて血清IL6レベルの顕著な上昇を見出した。上昇した血漿IL6が、AP重症度のマーカーとなり、かつ腎臓に損傷を与え得ることには関連性がある。IL6及びその前駆体IL1は、SARS-COV-2感染症についての治療試験において検討されている。他の観察は、ウイルス感染症の抑制に重要であると考えられるインターフェロン-ガンマ(IFN-ガンマ)レベルが軽症及び重症の疾患の双方において抑制されたことである。
レナラーゼは、AKI及びAPモデルにおける生存促進性因子として機能する。RNLSは、主に腎臓近位尿細管細胞によって作られるが、他の組織でも生成される37kDの分泌タンパク質である。その主な細胞内標的は、広く分布する細胞膜カルシウム排出輸送体、細胞膜カルシウムATPase 4b(PMCA4b)である。PMCA4bの活性化は、細胞APモデル及び他の組織におけるRNLSの保護機能に必要となる。選択的PMCA4b阻害物質及び遺伝子欠損モデルの使用を通じて、我々は、RNLSが保護的な細胞効果を有するのにPMCA4bが必要とされることを見出した。
開示されたペプチドの1以上を、疾患を処置するのに有効な量において薬学的に許容可能な担体とともに患者に投与するステップを備える、SARS-CoV-2に関連する腎臓疾患を含む腎臓病、AKI及びAPを、そのような処置を必要とする患者(例えば、ヒト患者)において処置する方法が、ここに提供される。
治療的有効用量及び投薬レジメン
ある実施形態では、ペプチドの治療的有効用量は、3ヶ月の期間内に1回、2回、3回又は4回以下で投与され得る。
前述の方法の治療的有効用量及び投薬レジメンは、当業者であれば容易に理解できるように変化し得る。投与量レジメンは、最適な所望の反応を提供するように調整され得る。例えば、ある実施形態では、ペプチドの単回用量が投与されてもよいが、ある実施形態では、数回に分割された用量が経時的に投与されてもよいし、状況によって示されるように、後続の投薬において用量が比例的に低減又は増加されてもよい。例えば、ある実施形態では、開示されたペプチドは、皮下、静脈内又は筋肉内注射によって1週間に1回又は2回で投与され得る。ある実施形態では、開示されたペプチドは、皮下、静脈内又は筋肉内注入によって1カ月に1回又は2回で投与され得る。ある実施形態では、開示されたそのペプチドは、皮下、静脈内又は筋肉内注入によって、1年に1回又は2回で投与され得る。ある実施形態では、開示されたペプチドは、患者の状況又は状態が示し得るように、1週間に1回、2週間に1回、3週間に1回、4週間に1回、1カ月に1回、2カ月に1回、3カ月に1回、4カ月に1回、5カ月に1回、6カ月に1回、7カ月に1回、8カ月に1回、9カ月に1回、10カ月に1回、11カ月に1回、1年に2回又は1年に1回で投与され得る。
患者に投与されたペプチドの治療的有効用量は(単回用量又は複数回用量のいずれで投与されても)、腎疾患又はAPを処置するのに十分であるべきである。そのような治療的有効量は、患者における症状変化を評価することによって決定され得る。
例示的な用量は、処置される個体のサイズ及び健康状態並びに処置される状態により変化し得る。ある実施形態では、開示されたペプチドの有効量は、約2200mgとなり、しかしある状況では、用量はより高く又は低くなり得る。ある実施形態では、治療的有効量は、50~5000mg、60~4500mg、70~4000mg、80~3500mg、90~3000mg、100~2500mg、150~2000mg、200~1500mg、250~1000mg又はそれらの間の任意の用量となり得る。例えば、ある実施形態では、治療的有効量は、約50、約60、約70、約80、約90、約100、約150、約200、約250、約300、約350、約400、約450、約500、約550、約600、約650、約700、約750、約800、約850、約900、約950、約1000、約1100、約1200、約1300、約1400、約1500、約1600、約1700、約1800、約1900、約2000、約2100、約2200、約2300、約2400、約2500、約2600、約2700、約2800、約2900、約3000、約3100、約3200、約3300、約3400、約3500、約3600、約3700、約3800、約3900、約4000、約4100、約4200、約4300、約4400、約4500、約4600、約4700、約4800、約4900、約5000mg又はそれ以上となり得る。
同様に、ある実施形態では、ペプチドの有効量は約25mg/kgとなり、しかし、ある実施形態では、濃度はより高く又はより低くなり得る。ある実施形態では、有効量は、約1~50mg/kg、約5~40mg/kg、約10~30mg/kg若しくは約15~25mg/kg又はそれらの間の任意の値となり得る。例えば、ある実施形態では、有効量は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49又は50mg/kg以上となり得る。
開示された処置の方法はまた、状況が必要とし得るように、他の公知の処置の方法と組み合わせられ得る。例えば、レナラーゼアゴニストは、SARS-CoV-2及び潜在的に他の呼吸器系ウイルス疾患における過剰な組織の損傷及び死亡につながる潜在的な「サイトカインストーム」を相殺し得る。例えば、H1N1パンデミックは、広範な腎臓の損傷をもたらした。以下の例は、現在の文献によるSARS-CoV-2を反映する。
潜在的な薬物の組合せ
Figure 2023527441000008
Figure 2023527441000009
前述の方法の治療的有効用量及び投薬レジメンは、当業者によって容易に理解されるように変化し得る。投与量レジメンは、最適な所望の反応を提供するように調整され得る。例えば、ある実施形態では、ペプチドの単回ボーラス用量が投与されてもよいが、ある実施形態では、数回に分割された用量が経時的に投与されてもよいし、状況によって示されるように、後続の投薬において用量が比例的に減少又は増加されてもよい。例えば、ある実施形態では、開示されたペプチドは、皮下、静脈内又は筋肉内注入によって、1週間に1回又は2回で投与され得る。ある実施形態では、開示されたペプチドは、皮下、静脈内又は筋肉内注入によって1カ月に1回又は2回で投与され得る。ある実施形態では、開示されたペプチドは、皮下、静脈内又は筋肉内注入によって、1年に1回又は2回で投与され得る。ある実施形態では、開示されたペプチドは、患者の状況又は状態が示し得るように、1週間に1回、2週間に1回、3週間に1回、4週間に1回、1カ月に1回、2カ月に1回、3カ月に1回、4カ月に1回、5カ月に1回、6カ月に1回、7カ月に1回、8カ月に1回、9カ月に1回、10カ月に1回、11カ月に1回、1年に2回又は1年に1回で投与され得る。
実施例 ペプチド合成
ペプチドを、ChemMatrix Rink Amide樹脂上で、標準的なFmoc-合成プロトコルを用いてAPEX396自動合成装置において合成した。Fmoc保護基の除去のため、樹脂をN,N-ジメチルホルムアミド(DMF)で30分間膨潤させ、20%のピペリジン-DMFで50℃で8分間処置し、DMFで3回洗浄した。カップリング反応のため、Fmocで保護されたアミノ酸、6-クロロ-1-ヒドロキシベンゾトリアゾール(Cl-HOBt)、ジイソドプロピル-カルボジイミド(DCI)及びN-メチル-2-ピロリジン(NMP)を樹脂に添加した。混合物を50℃で20分間ボルテックスした。その後、樹脂をDMFで1回洗浄した。Fmoc脱保護及びカップリングのステップのサイクルを、最後のアミノ酸残基が結合されるまで繰り返した。最後のFmoc保護基の除去後、樹脂を20%の無水酢酸-NMPで20分間処理し、そしてDMF、塩化メチレン(DCM)で洗浄し、風乾した。トリフルオロ酢酸(TFA)カクテル[95%のTFA、2.5%の水及び2.5%のトリイソプロピルシラン(TIS)]を用いて3時間処理し、ペプチドを樹脂から切り出した。粗ペプチドを、氷冷した無水エチルエーテルを添加することによって沈殿させ、無水エチルエーテルで3回洗浄し、真空下で乾燥した。いくつかの具体的な代表的な合成の例を以下に与える。
[Ala220]-Ac-レナラーゼA(205~240)-CONH(ペプチド10):上記で概説した固相合成によって合成された。高速液体クロマトグラフィー(HPLC)によって95%以上の純度であることを確認し、質量分析及びアミノ酸分析によって確認した。
[Ser220]-Ac-レナラーゼA(205~240)-CONH:上記で概説した固相合成によって合成された。高速液体クロマトグラフィー(HPLC)によって95%以上の純度であることを確認し、質量分析及びアミノ酸分析によって確認した。
[Ala220]-Ac-レナラーゼA(214~240)-CONH:上記で概説した固相合成によって合成された。高速液体クロマトグラフィー(HPLC)によって95%以上の純度であることを確認し、質量分析及びアミノ酸分析によって確認した。
Ac-レナラーゼA(205~240)-CONH:上記で概説した固相合成によって合成された。高速液体クロマトグラフィー(HPLC)によって95%以上の純度であることを確認し、質量分析及びアミノ酸分析によって確認した。
[Ala220]-Ac-レナラーゼA(205~253)-CONH:上記で概説した固相合成によって合成された。高速液体クロマトグラフィー(HPLC)によって95%以上の純度であることを確認し、質量分析及びアミノ酸分析によって確認した。
Ac-レナラーゼA(205~240)-OH(ペプチド81):Rink-Amide樹脂の代わりに2-クロロトリチル-樹脂を用いて、上記で概説した固相合成によって合成された。高速液体クロマトグラフィー(HPLC)によって95%以上の純度であることを確認し、質量分析及びアミノ酸分析によって確認した。
実施例 試験
レナラーゼアゴニストによる実験的APにおける損傷の軽減:
RNLSアゴニスト[Ala220]-Ac-レナラーゼA(205~240)-NH(ペプチド10)を用いたin vivo研究は、AP反応に対する有望及び劇的な影響を示す(図2)。我々は腺房細胞が関連する最も初期の反応に対して影響を見出さなかったが(不図示)、大部分が炎症性細胞によって介在される後期の反応(6時間)は、ペプチド10が活性トリプシンレベルを低減(図2中のA)及び組織好中球を劇的に低下させやすく(図2中のB)、OPA-1及びParkinレベルによって決定されるように、ミトコンドリアの損傷を軽減することを示した(図2中のC、D)。このことから、ペプチド10は、APの最初の1~2時間後の事象について、膵炎損傷の軽減に非常に大きな影響を与えることが示唆される。これはおそらく、AP病因の中心的な炎症経路の阻害を表しており、可能性のある標的は炎症活性化である(図5)。AP患者の大部分は疾患の発症後に長期に存在し、その後の発症の反応がAPの重症度を特定するのに最も重要となるので、ペプチド10の有益な効果は疾患の後期であっても治療的に価値があるはずである。この背景において、我々は、RNLSアゴニストが、セルレインAPの発症2時間後及びアルギニンAPの誘発12時間後に投与された場合に損傷を軽減することを示した。
RNLSペプチドアゴニストによる腎モデルにおける損傷の軽減:
我々は、RNLSペプチドアゴニストが、腎損傷のモデルにおいても保護的となることを見出した。我々は、本発明のペプチド[Ala220]-Ac-レナラーゼA(205~240)-NHが培養腎臓細胞のシスプラチン誘発性損傷を排除することを示した。図3では、我々は、このペプチドが培養近位尿細管細胞株における損傷を軽減することを示す。我々は、このRNLSアゴニストペプチドが前臨床マウスモデルにおける腎虚血再灌流損傷を軽減することも示した(図3)。そのようなRNLSアゴニストについて、データを以下に示す。
図4は、RNLSアゴニスト、レナラーゼA(205~240)-OH(ペプチド81)が、シスプラチン誘発性処置後の腎臓損傷を軽減することを示す。この毒性の重要な尺度は、腎臓質量の減少であり、これは、レナラーゼA(205~240)-OHが与えられた場合に限定される。シスプラチン誘発性腎損傷で見られる、腎機能の低下に対するペプチドの効果は、より劇的である。図4の右のパネルに見られるように、血漿クレアチニンレベルはシスプラチン処置の17日後に4倍に増加し、RNLSアゴニストは、これを正常範囲に向かって減少させた。この予備的データは、RNLSアゴニストは、腎細胞への損傷を軽減することができ、in vivo AKIモデルにおいても有効となることを示唆している。
RNLSアゴニスト、[Ala220]-Ac-レナラーゼA(205~240)-NHによるCOVID19誘発性先天性免疫反応の軽減(図5):
我々は、RNLSアゴニストが抗炎症効果を有し得ることを見出した。炎症反応の増幅は、重症の膵炎、腎損傷及びSARS-CoV-2感染症を媒介する。SARS-CoV-2の場合、これらはウイルス抗原に対する反応によって誘発され得る。この問題を解決するために、我々は、健常ドナーからの血液を、Miltenyi Biotec社の3つの主要なSARS-CoV-2カプシドタンパク質(SARS-CoV-2タンパク質S、M又はN)に含まれるペプチドの混合物を0.19nMの濃度で血液サンプルに曝露した。これに、緩衝液偽コントロール又はRNLSペプチドを50μg/mlで添加した。3時間のインキュベーション後、サンプルをサイトカイン生成についてELISAによってアッセイし、2元配置分散分析/テューキーの比較(2way ANOVA/Turkey’s comparison)によって比較した。図5に示すように、SARS-CoV-2ペプチドは、異なる程度にサイトカイン反応を刺激し、ペプチドS及びMは各反応について強固な反応を与えたが(P<0.01)、ペプチドNによる反応はほとんどなかった(不図示)。SARS-CoV-2ペプチドS及びMの双方はインターフェロン-ガンマのレベルを増加させ、この反応はRNLSアゴニスト[Ala220]-Ac-レナラーゼA(205~240)-NHによって劇的に減少した。インターフェロン-ガンマは、ウイルス成長の抑制に重要であると考えられるため、このRNLSアゴニストの影響は回避される必要があり、以下に記述する。しかしながら、他の潜在的に有益な効果が観察された。したがって、[Ala220]-Ac-レナラーゼA(205~240)-NH、ペプチド10は,SARS-CoV-2-ペプチド誘導性のTNF-アルファ並びにIL1-ベータ及びIL6の増加を阻害した(p<0.01)。これらの先天性免疫反応は、腎及び膵臓の双方の損傷を発生させるのに関与している。それらはまた、重症病態となるSARS-CoV-2感染症を特徴づけ、多くの死者を発生させる過炎症状態の中心であると判断される。
RNLSアゴニスト[Ala220]-Ac-レナラーゼA(205~240)-NHは、カラゲニン誘発性足蹠浮腫によって決定されるように抗炎症活性を示す。
この試験は、試験物質の抗炎症有効性の評価のための迅速なin vivoモデルとなる。マウスにおけるCPEモデルは、カラゲニンの足底注入によって誘発される浮腫の抑制を定量的に評価するものである。標準的な試験期間は6時間で、0、2、4及び6時間で浮腫を測定し、ここでの結果は私見時間を10時間としている。カラゲニン誘発性炎症は、循環血中から炎症部位への多形核白血球の遊走を伴う。その後、間質組織内でミエロペルオキシダーゼ及び他のサイトカイン放出され、炎症部位へ血漿が滲出する。増加した足蹠の体積を、水置換法によって測定する。抗炎症薬は、足蹠浮腫を軽減する。図6及び7に示す結果(2つの異なるフォーマットによる同一データ)は、ペプチド10、[Ala220]-Ac-レナラーゼA(205~240)-NHが、このモデルにおいて抗炎症効果を有することを示している。
手順
1.125匹のCD-1マウス(Charles River Laboratories、雄、5~6週齢)を受け取り(SOP1910、SOP1920)、検疫(SOP560)する。
2.動物を耳タグ付けし(SOP810)、体重を測定し、平均体重に基づいて10匹/群の9群及び7匹/群の5群に分類する。
3.3%のカラゲニン溶液を調製する。
1)使用の2週間以上前に調製する。
2)600mgのλ-カラゲニンをガラスビーカーに秤量する。
3)20mlの脱イオン水を添加する。
4)穏やかな加熱でカラゲニンが完全に溶解するまで撹拌する。
5)溶液を室温まで冷却する。
6)4~8℃で保存する。
4.使用当日までレナラーゼペプチドを乾燥粉末として-20℃で保存する。
5.0日目
a.試験物質を滅菌食塩水(ビヒクル)で調製する。
b.投薬当日に、レナラーゼペプチドを溶解する。
c.投与の前日に、透明性についてカラゲニン溶液を確認する(目視可能な汚染の痕跡がないこと)。
1)カラゲニンを室温まで平衡化する。
d.マウスの体重を実験ノートに記録する。
e.足蹠の初期体積を測定し記録する。
1)水の入ったビーカーを天秤の上に載置し、風袋をゼロにする。
2)踵関節の上部が水のメニスカスの中央にくるようにして、右後肢を秤上の水の入ったビーカーに載置する。秤に表示された数値を記録する。
3)足が濡れていると測定値が変化するため、足は各測定後に必ず乾燥させる。
4)水の体積の減少を考慮して、測定の間に秤の風袋をゼロにする。
f.ビヒクル及び試験物質を、表1に示すように、カラゲニンの投与30分前に皮下(SC、SOP1610)注入によって10mg/kgで投与する。
<表1>
Figure 2023527441000010
220位のアラニン置換のない対応するペプチド断片(ペプチド81)と比較したように、ペプチド10による炎症の抑制を比較する試験を実施した。結果を、図8及び9並びに以下の表2に示す。数値は、コントロールからの変化率を表し、*は、<<0.05統計的有意性を意味する。
<表2>
Figure 2023527441000011
この結果は、ペプチド10、[Ala220]-Ac-レナラーゼA(205~240)-NHが、ペプチド81、Ac-レナラーゼA(205~240)-OHよりも活性がより高く、かつ活性がより持続し、これはペプチド10がペプチド81よりも安定であることと矛盾しないことを示した。ペプチド10は、標準的なデキサメタゾン及びインドメタシンに近い活性を有したことに留意されたい。この結果は、同一プロトコルであるが薬物が異なる同一群によって行われた、比較可能であるが異なる実験によるものである。例えば、2時間ではペプチド10及びペプチド81の双方が活性となったが、ペプチド10のみがより長時間の期間にわたって活性となったことに留意されたい。
さらに、図10に示すように、レナラーゼ活性の低下はCOVID-19における死亡率の上昇と相関するが、図11~14に示すように、レナラーゼアゴニストBP-1002による処置は、COVID-19、他の感染症及び炎症に有益な効果を有する。
ここで引用されるすべての参照は、その全体において含まれるかのように、参照によってここに取り込まれる。
本明細書の説明及び特許請求の範囲において、「備える/含む(comprise)」という単語並びに「備える/含む(comprises)」及び「備えている/含んでいる(comprising)」などのその単語の変化形は、他の特徴、付加物、構成要素、完全体又はステップを除外することを意図するものではなく、むしろ、特に明記されない限り、これらの単語の範囲は、排他的な意味ではなく包括的な意味を有するように広く解釈されるべきである。
本発明の組成物及び方法は本開示において説明的な実施例として記載されるが、本発明はそれらに限定されず、当業者に周知されているように、添付の特許請求の範囲によって定義される本発明の教示から逸脱することなく、その変形がなされ得ることが理解されるべきである。

Claims (39)

  1. R-X220-Ile221-Arg222-Phe223-Val234-Ser225-Ile226-Asp227-Asn228-Lys229-R’を含むペプチドであって、
    上付き文字はレナラーゼA鎖(1~342)内の位置を表し、RはAc-Ala-Gly-Thr-、Ac-Gly-Thr-、Ac-Thr-、Ac-、Ac-Z、H-、H-Z、B-Z-及びBから選択され、Zは前記レナラーゼA鎖の205~219位のアミノ酸残基の1以上から選択され、R’は-NH、Z’-NH、-B及びZ’-Bから選択され、Z’は前記レナラーゼA鎖の230~253位のアミノ酸残基の1以上から選択され、BはPEG又はビス-PEGであり、Xは、アミノ酸残基であって、
    Figure 2023527441000012
    上記式中、R及びRは、独立して、H、任意選択的にヒドロキシル基によって置換されるC~Cのn-アルキル、任意選択的にヒドロキシル基によって置換されるC~Cの分岐アルキル、任意選択的にヒドロキシル基によって置換されるC~Cの二分岐アルキル、任意選択的にヒドロキシル基若しくはメチル基又はその両方によって1以上の任意の位置で置換され、構造的に実現可能なすべての立体異性的なものを含むC~Cシクロアルキル、任意選択的にヒドロキシル基若しくはメチル基又はその両方によって1以上の任意の位置で置換されるCH-C~Cシクロアルキルであり、R及びRは、任意選択的にメチル若しくはヒドロキシル又はその両方によって任意の位置で置換される(CHとして相互に連結されていてもよく、nは2、3、4又は5である、アミノ酸の残基と、
    Figure 2023527441000013
    上記式中、Yは、アミノ基に結合している炭素がメチルによってのみ置換され得るという条件で任意選択的にメチル基若しくはヒドロキシル基又はその両方によって1以上の任意の位置で置換され、nは2、3、4又は5である(CH、アミノ基に結合している炭素はメチル基によってのみ置換され得るという条件で任意選択的にメチル基若しくはヒドロキシル基又はその両方によって1以上の任意の位置で置換され、構造的に実現可能なすべてのジアステレオ異性的なものを含むシス-若しくはトランス-1,2-シクロプロパンジイル、シス-若しくはトランス-1,2-シクロブタンジイル、シス-若しくはトランス-1,3-シクロブタンジイル、シス-若しくはトランス-1,2-シクロペンタンジイル、シス-若しくはトランス-1,3-シクロペンタンジイル、シス-若しくはトランス-1,2-シクロヘキサンジイル、シス-若しくはトランス-1,3-シクロヘキサンジイル又はシス-若しくはトランス-1,4-シクロヘキサンジイルである、アミノ酸の残基と、
    から選択される、ペプチド。
  2. R-Lys205-Ile206-Asp207-Val208-Pro209-Trp210-Ala211-Gly212-Gln213-Tyr214-Ile215-Thr216-Ser217-Asn218-Pro219-X220-Ile221-Arg222-Phe223-Val234-Ser225-Ile226-Asp227-Asn228-Lys229-Lys230-Arg231-Asn232-Ile233-Glu234-Ser235-Ser236-Glu237-Ile238-Gly239-Pro240-Ser241-Leu242-Val243-Ile244-His245-Thr246-Thr247-Val248-Pro249-Phe250-Gly251-Val252-Thr253-R’であって、Rが、Ac-Ala-Gly-Thr-、Ac-Gly-Thr-、Ac-Thr-、Ac-、H-、PEG及びビス-PEGから選択され、R’が、-Tyr-Leu-Glu-NH、Tyr-Leu-NH、-Tyr-NH、-NH、-OH及びPEGから選択され、X220が、Gly、Ser、Ala、Leu、Val、Ile、Nle、β-Ala、シクロプロピル-Gyl、(シクロプロピルメチル)-Gly及びAibから選択される、請求項1に記載のペプチド。
  3. RはAc-である、請求項2に記載のペプチド。
  4. R’は-NHである、請求項3に記載のペプチド。
  5. 220はAlaである、請求項4に記載のペプチド。
  6. [Ala220]-Ac-レナラーゼA(205~253)-NHである請求項1に記載のペプチド。
  7. R-Lys205-Ile206-Asp207-Val208-Pro209-Trp210-Ala211-Gly212-Gln213-Tyr214-Ile215-Thr216-Ser217-Asn218-Pro219-X220-Ile221-Arg222-Phe223-Val234-Ser225-Ile226-Asp227-Asn228-Lys229-Lys230-Arg231-Asn232-Ile233-Glu234-Ser235-Ser236-Glu237-Ile238-Gly239-Pro240-R’である、請求項1に記載のペプチド。
  8. Rは、Ac-Ala-Gly-Thr-、Ac-Gly-Thr-、Ac-Thr-、Ac-又はH-を表す、請求項7に記載のペプチド。
  9. Rは、500~20000amuの平均分子量を有するポリ(エチレン)グリコール[PEG]又はビス-ポリ(エチレン)グリコール[ビス-PEG]の直鎖を表す、請求項7に記載のペプチド。
  10. R’は、-Ser-Leu-Val-NH、-Ser-Leu-NH、-Ser-NH、-NH又は-OHを表す、請求項7に記載のペプチド。
  11. R’は、500~20000amuの平均分子量を有するポリ(エチレン)グリコール[PEG]の直鎖を表す、請求項7に記載のペプチド。
  12. [ビス-PEG5000]-Lys205-Ile206-Asp207-Val208-Pro209-Trp210-Ala211-Gly212-Gln213-Tyr214-Ile215-Thr216-Ser217-Asn218-Pro219-Ala220-Ile221-Arg222-Phe223-Val234-Ser225-Ile226-Asp227-Asn228-Lys229-Lys230-Arg231-Asn232-Ile233-Glu234-Ser235-Ser236-Glu237-Ile238-Gly239-Pro240-NHである、請求項7に記載のペプチド。
  13. 220は、Gly、Ser、Ala、Leu、Val、Ile、Nle、β-Ala、シクロプロピル-Gyl、(シクロプロピルメチル)-Gly又はAibを表す、請求項7に記載のペプチド。
  14. RはAc-である、請求項13に記載のペプチド。
  15. R’は-NHである、請求項14に記載のペプチド。
  16. 220はAlaである、請求項15に記載のペプチド。
  17. [Ala220]-Ac-レナラーゼA(205~240)-NHである、請求項16に記載のペプチド。
  18. R-Tyr214-Ile215-Thr216-Ser217-Asn218-Pro219-X220-Ile221-Arg222-Phe223-Val234-Ser225-Ile226-Asp227-Asn228-Lys229-Lys230-Arg231-Asn232-Ile233-Glu234-Ser235-Ser236-Glu237-Ile238-Gly239-Pro240-R’である、請求項1に記載のペプチド。
  19. Rは、Ac-Ala-Gly-Thr-、Ac-Gly-Thr-、Ac-Thr-、Ac-又はH-を表す、請求項18に記載のペプチド。
  20. Rは、500~20000amuの平均分子量を有するポリ(エチレン)グリコール[PEG]の直鎖を表す、請求項18に記載のペプチド。
  21. R’は、-Ser-Leu-Val-NH、-Ser-Leu-NH、-Ser-NH、-NH又は-OHを表す、請求項18に記載のペプチド。
  22. R’は、500~20000amuの平均分子量を有するポリ(エチレン)グリコール[PEG]の直鎖を表す、請求項18に記載のペプチド。
  23. 220は、Gly、Ser、Ala、Leu、Val、Ile、Nle、β-Ala、シクロプロピル-Gyl、(シクロプロピルメチル)-Gly又はAibを表す、請求項18に記載のペプチド。
  24. RはAc-である、請求項23に記載のペプチド。
  25. R’は-NHである、請求項24に記載のペプチド。
  26. 220はAlaである、請求項25に記載のペプチド。
  27. [Ala220]-Ac-レナラーゼA(214~240)-NHである、請求項26に記載のペプチド。
  28. R-Tyr214-Ile215-Thr216-Ser217-Asn218-Pro219-X220-Ile221-Arg222-Phe223-Val234-Ser225-Ile226-Asp227-Asn228-Lys229-Lys230-Arg231-Asn232-Ile233-Glu234-Ser235-Ser236-Glu237-Ile238-Gly239-Pro240-Ser241-Leu242-Val243-Ile244-His245-Thr246-Thr247-Val248-Pro249-Phe250-Gly251-Val252-Thr253-R’である、請求項1に記載のペプチド。
  29. Rは、Ac-Ala-Gly-Thr-、Ac-Gly-Thr-、Ac-Thr-、Ac-又はH-を表す、請求項28に記載のペプチド。
  30. Rは、500~20000amuの平均分子量を有するポリ(エチレン)グリコール[PEG]の直鎖を表す、請求項28に記載のペプチド。
  31. R’は、-Ser-Leu-Val-NH、-Ser-Leu-NH、-Ser-NH、-NH又は-OHを表す、請求項28に記載のペプチド。
  32. R’は、500~20000amuの平均分子量を有するポリ(エチレン)グリコール[PEG]の直鎖を表す、請求項28に記載のペプチド。
  33. 220は、Gly、Ser、Ala、Leu、Val、Ile、Nle、β-Ala、シクロプロピル-Gyl、(シクロプロピルメチル)-Gly又はAibを表す、請求項28に記載のペプチド。
  34. RはAc-である、請求項33に記載のペプチド。
  35. R’は-NHである、請求項34に記載のペプチド。
  36. 220はAlaである、請求項35に記載のペプチド。
  37. [Ala220]-Ac-レナラーゼA(214~253)-NHである、請求項36に記載のペプチド。
  38. 請求項1に記載のペプチドの治療的有効量を患者に投与するステップを含む、そのような治療を必要とする前記患者における急性腎臓損傷又は急性膵炎を治療する方法。
  39. 薬学的に許容可能な担体と混和させた、請求項1に記載のペプチドを含む薬学的組成物。
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