JP2023527326A - エアロゾル隔離エンクロージャ - Google Patents

Abstract

エアロゾル隔離エンクロージャは、空気を通じて感染する可能性のある疾病に罹患している、又はその疑いがある患者の周囲の空気塊を隔離するために使用されるものである。エンクロージャは、患者支持装置と協働する。実施形態では、フレキシブルロッドが略エアロゾル不透過性のカバーを支持し、患者支持装置に接続されている。エンクロージャは、所定の折りたたみ形状に折りたたみ可能であり、所定の起立した形状に拡げることが可能である。実施形態において、カバーの入口は、看護者又は機器のためのアクセスを提供する。エアロゾル隔離エンクロージャは、軽量、コンパクトであり、部分的又は完全に使い捨てである。エンクロージャは、救急車又は他の治療環境において、患者の周りに迅速に起立させることができる。

Description

関連出願

本出願は非仮出願であり、２０２０年１１月１６日に出願された米国特許出願第１７／０９８，５８６号、２０２０年５月２１日に出願された米国仮出願第６２／７０４，６７４号、及び２０２０年１０月２７日に出願された米国仮出願第６３／１９８，５５９号の優先権を主張し、これらの優先権を主張した出願の各々は、本明細書に完全に記載されているかのように、参照により本明細書に組み込まれる。

本開示は、保護医療器具の分野であり、特にエアロゾル隔離エンクロージャの分野である。

ＳＡＲＳ－ＣｏＶ－２（コロナウイルスの原因となるウイルスであり、ＣＯＶＩＤ－１９とも称される）やその他の病原体は、空気感染によって広まるおそれがある。緊急時に最初に対応する者や医療従事者を、既知及び未知の脅威の両方から保護する必要がある。救急室、老人ホーム、介護施設、救急車等の設備において、医療従事者の保護強化を進めることが望まれている。迅速に設置でき、低コストであり、使い捨て可能な保護器具や容易に洗浄及び保管できるような保護器具が切望されている。

概要

エアロゾル隔離エンクロージャは、空気感染の可能性のある疾病に罹患している、あるいは、罹患している疑いがある患者の周囲の空気塊を隔離するために使用されるものである。このエンクロージャは、担架やベッドのような患者支持装置と協働する。例示的な構成では、エンクロージャは、透明であり、実質的にエアロゾル不透過性のカバーを支持するフレキシブルロッドを含む。エンクロージャは、所定の折りたたみ形状に折りたたむことができ、所定の起立形状に拡げることができる。この起立形状において、エンクロージャは、半剛性であり、フットエンドと、患者支持装置に被さるための柔軟部を有する２つの対向面と、を備える。

実施形態において、フレキシブルロッドは、患者支持装置に取り付けられるように構造化されたコネクタを備える。コネクタは、患者支持装置に接続されたカプラと協働してもよい。コネクタは、カプラの凹部に挿入するための大きさ及び寸法を有する自由端であってもよい。自由端は、凹部と実質的に相補的な形状であってもよい。凹部は、ボアと、ボアから延びる２つのウィングと、を備えてもよい。凹部は、幅広なボア上部から幅狭なボア下部に向かって幅が先細り状になっているボアを備えてもよい。

実施形態において、エンクロージャは、エンクロージャの内部へのアクセスを提供するとともに内部からのエアロゾルの移動を制限する入口をカバーに備える。入口は、開口と、開口を完全に覆う蓋と、を含んでもよい。蓋は、開口の一部の周りが密封されてもよい。蓋は、カバーに重なる非密封部を備えてもよい。入口は、蓋の非密封部を通じてエンクロージャの内部へのアクセスを提供してもよい。

実施形態において、エンクロージャは、所定の起立形状に自立する。

実施形態のこれらの態様や他の態様は、以下の説明及び添付図面と組み合わせて考慮すると、よりよく評価及び理解される。以下の説明において、種々の実施形態及びその詳細を示すが、あくまで例示であり、限定を意味するものではない。実施形態の範囲内において、多くの置換、変更、追加、又は並べ替えを行うことができ、実施形態はこのような置換、変更、追加、又は並べ替えたものを全て含むことができる。

以下の開示における発明の態様は、同一の部品が同一の参照番号で特定される添付の図面及びその詳細な説明を参照すると、最もよく理解される。

エアロゾル隔離エンクロージャの一実施形態の斜視図である。 図１の実施形態の上から見た図である。 図１の実施形態の正面図である。 折りたたまれた状態のエンクロージャの一実施形態の斜視図である。 カプラを上から見た拡大図である。 カプラと協働するエンクロージャの一実施形態を上から見た部分拡大図である。 エンクロージャの他の実施形態の側面図である。 パッドのいくつかの実施形態を示す図である。 エンクロージャの他の実施形態の斜視図である。 折りたたまれた状態のエンクロージャの他の実施形態を上から見た図である。 エンクロージャの他の実施形態の斜視図である。 エンクロージャの他の実施形態の斜視図である。 部分的に折りたたまれた状態のエンクロージャの他の実施形態を上から見た図である。 完全に折りたたまれた状態の実施形態を上から見た図である。 エンクロージャの他の実施形態の斜視図である。 部分的に拡げられた状態のエンクロージャの他の実施形態の斜視図である。 部分的に折りたたまれた状態にある他の実施形態の図である。 完全に折りたたまれた状態にある他の実施形態の図である。 部分的に折りたたまれた状態にある実施形態の斜視図である。 部分的に折りたたまれた状態にあるエンクロージャの他の実施形態の斜視図である。 完全に折りたたまれた状態にある他の実施形態の斜視図である。 エンクロージャの他の実施形態の斜視図である。 カプラの他の実施形態と協働するエンクロージャの実施形態を上から見た部分拡大図である。 カプラの部分拡大斜視図である。 カプラの部分拡大断面図である。

当業者は、図中の構成が単純化及び明確化のために図示されており、必ずしも縮尺通りに描かれていないことを理解するであろう。例えば、図中のいくつかの構成の寸法は、種々の実施形態の理解を向上させるために、他の構成に対して誇張されている場合がある。また、商業的に実現可能な実施形態において、一般的であるだけでなく有用又は不可欠なものとしてよく知られる構成については、これらの種々の実施形態があまり見えなくならないようにするために、しばしば描写されないことがある。

詳細な説明

図１～３は、エアロゾル隔離エンクロージャ全体が２０に指定される一実施形態の斜視図、上から見た面図、及び正面図のそれぞれである。エンクロージャ２０は、ストレッチャー、ガーニー又はベッドのような患者支持装置５１０に支持される患者５００とともに使用されているのが示されている。エンクロージャ２０は、患者の上方でカバー４０を支持する１以上のフレキシブルロッド３２を含む。カバー４０は、エアロゾルを略透過させない、換言すれば、カバー４０は、エンクロージャの内部の空気塊８００とエンクロージャの外側を囲む隣接空気塊８１０との間のエアロゾルの移動を実質的に妨げる。このようにして、エンクロージャは、患者によって排出された潜在的な危険性を有するエアロゾルに曝される医療従事者及び他の付添人のリスクを大幅に低減する。

本明細書で用いられる「エアロゾル」という用語は、液滴の大きさ、組成、又は潜在的危険性に関わらず、空中に浮遊するあらゆる液体又は固体の粒子を示すものとする。エアロゾルは、呼吸、会話、咳、又はくしゃみ等の一般的な人間の活動中に患者によって生成されることがある。また、エアロゾルは、気管挿管や手術等の医療行為中に発生することもある。

本開示において、動詞「してもよい」は、選択的／任意性を示すために使用される。換言すれば、「してもよい」は、することができるが、しなくてもよいものである。本開示において、動詞「備える」は、含むという意味で理解してもよい。したがって、動詞「備える」は、他の構成／動作の存在を排除するものではない。本開示において、「第１」、「第２」、「上」、「下」等の関係用語は、必ずしも、ある物や作用の間の実際の関係又は順序を定めたり意味したりするものではなく、単に、ある物や動作を別の物や作用から区別するために使用されてもよい。

本開示において、用語「任意の」は、それぞれの構成の任意の数を示すもの、すなわち、それぞれの構成の中の１つ、少なくとも１つ、少なくとも２つ、各構成又はすべてを意味するものとして理解してもよい。同様に、用語「任意の」は、それぞれの構成の任意の集まり（複数可）を示すもの、すなわち、それぞれの構成の１以上の集まり、それぞれの構成の中の１つ、少なくとも１つ、少なくとも２つ、各構成又はすべてを含む集まりを示すものとして理解してもよい。それぞれの集まりが、同じ数の構成を備える必要はない。

本開示において、括弧内の表現は、選択的なものであると理解してもよい。本開示で用いられるように、引用符は、引用符内の表現が比喩的な表現であるものとして理解できることを強調してもよい。本開示で用いられるように、引用符は、論考の中の特定の表現を定めるものであってもよい。

エンクロージャ２０は、例えば、図１～図３に示すように、起立状態にある状態で半固定である。本明細書で用いられる用語「半剛性」は、完全に柔軟でもなく、完全に固まっているわけでもないことを意味し、半剛性の要素は、柔軟性のある部分や固まっている部分を含んでもよい。起立状態においてエンクロージャ２０は、フレキシブルロッド３２の範囲において剛性部を有する。剛性部は、患者の頭の背後に位置するように構成されたヘッドエンド４２と、ヘッドエンドの反対側に位置するフットエンド４４と、ヘッドエンド４２からフットエンド４４に向かって延び、少なくとも部分的に患者の胴体を覆う２つの対向面４８と、を含む。

起立形状において、フットエンド４４及び２つの対向面４８は、それぞれ、患者５００又は患者支持装置５１０の上方に被さる大きさの柔軟部を有する。実施形態において、フットエンド４４の柔軟部５４は、概してヘッドエンド４２から離れる方向にフレキシブルロッド３２を超えて延びている。

２つの対向面４８の各々の柔軟部５８は、フレキシブルロッド３２の下方に延びており、患者支持装置の支持面又は手すりを越えて延びてもよい。柔軟部５８は、ベッドリネン、毛布、紙又はプラスチックシート、又は患者支持装置の他のカバー等のシート状のものに折りたたまれてよく、このようにすることにより、空気の移動をさらに減少させることができる。以下でより詳細に説明するように、柔軟部５８をシート状のもので折りたたむことは、エンクロージャを有する患者を第１の患者支持装置と第２の患者支持装置の間で移送する際に有用である場合がある。

エンクロージャ２０の底部は、エンクロージャが拡げられ、患者支持装置に取り付けられていないときでは開放されている。この開放された底部は、エンクロージャ２０を患者の上に置くことや、患者支持装置に接続することを可能にする。開放された底部は、エンクロージャの外への空気の流れを減少させる柔軟部５４及び５８によって境界が定められる。柔軟部は、ヘッドエンド４２にも存在してよい。

エンクロージャ２０の半剛性の性質における特質すべき利点は、所定の起立形状に拡げることが可能であることであり、所定の折りたたみ形状に折りたたみ可能にしていることである。所定の起立形状は、エンクロージャが、略その最大サイズまで拡げられたときに、略一定となるエンクロージャの任意の形状である。拡げられたときに略一定の形状となることを前提とすることにより、エンクロージャは、特定の空間内に適合するように、また、特定の構造体に協働するように、寸法設定及び構成されることができる。所定の折りたたまれた形状は、エンクロージャが略その最小容積に折りたたまれたときに、一定となるエンクロージャの任意の形状である。折りたたまれたときに略一定の形状となることを前提とすることにより、エンクロージャはより容易に保管及び輸送されることができる。

いくつかの実施形態において、エンクロージャ２０は、所定の起立形状に自己起立する。自己起立式のエンクロージャ２０は、例えば、紐、留め具、又は収納ケースや他の梱包材により、折りたたまれた形状に保持されてもよい。エンクロージャが折りたたみ形状から解放されると、エンクロージャは、起立形状に自身で起立する。換言すれば、自己起立式のエンクロージャは、半剛性を前提して、フレキシブルロッドを略操作することなく、起立形状をとる。自己起立機能は、例えば、患者がエンクロージャの下にいる状態で、第１の患者支持装置と第２の患者支持装置との間で移送されているときのように、エンクロージャが患者支持装置と協働していないとき、エンクロージャが剛性部を維持することを可能にする。

図４は、エンクロージャ２０が所定の折りたたみ形状である折りたたみ状態にあるエンクロージャの一実施形態を示す斜視図である。折りたたまれた形状において、エンクロージャ２０は、略平坦であり、起立形状のときよりも著しく小さい。エンクロージャ２０は、任意に、１以上の把手３４を含んでもよい。例として、図示の実施形態は、約１０インチの折径と、約０．５～１インチの厚みを有していてもよい。起立形状の同じ実施形態では、約２０×２０×２４インチの寸法（Ｗ×Ｌ×Ｈ）を有する剛性部を有してもよい。

他の例示的なサイズ（Ｗ×Ｌ）としては、１６×３６インチ、２０×４０インチ、２２×４４インチ、２４×４８インチ、又は２６×４８インチが含まれる。高さとしては、例えば、１８インチ、２０インチ、又は２４インチであってもよい。

カバー４０は、略透明な材料のシートである。高い透明度は、看護者と患者の双方の視認性の向上をもたらし、患者の監視を容易にし、エンクロージャを設置した状態での医療処置の実施を容易にし、患者の不安を軽減する可能性がある。カバー４０に適した材料には、ポリ塩化ビニル、熱可塑性ポリウレタン、又は直鎖状低密度ポリエチレンが含まれる。剛性部分内において、カバーは、まとめられたり、折りたたまれたりする領域を略有さないので、エンクロージャの半剛性の性質は、透明性を向上させることもできる。実施形態では、カバーは、約０．００２インチと約０．００８インチの間の厚みを有する材料で形成される。

フレキシブルロッド３２は、可撓性のあるプラスチック又は金属性のロッドであってよく、分割されてもよい。複数のフレキシブルロッド３２は、ジョイント又はクリップによって互いに接続されてもよい。フレキシブルロッド３２は、例えば、１／１６インチ、１／８インチ、又は１／４インチの直径を有してもよい。フレキシブルロッドは、以下の材料、すなわち、ポリカーボネート、アクリル、ポリ塩化ビニル（ＰＶＣ）、グリコール変性ポリエチレンテレフタレート（ＰＥＴＧ）、ポリテトラフルオロエチレン（ＰＴＦＥ）、ポリプロピレン、アクリロニトリルブタジエンスチレン（ＡＢＳ）、ナイロン、アセタル、ポリクロロトリフルオロエチレン（ＰＣＴＦＥ）、ハードファイバ、ガラスファイバ、ガラス-エポキシ積層、又はステンレスを含んでも良い。

フレキシブルロッド３２は、エンクロージャが起立状態にあるときにヘッドエンドの近くに位置するコネクタ３６を有する。コネクタ３６は、患者支持装置５１０に取り付けるための構造である。複数のコネクタ３６は、いくつかの実施形態で存在し、いくつかのコネクタはエンクロージャのヘッドエンドの近くになくてもよい。いくつかの実施形態において、コネクタ３６は、患者支持装置に直接取り付けてもよい。患者支持装置への直接取り付けに適したコネクタ３６の実施形態は、ストラップ、面ファスナー、及び布紐を含む。

コネクタ３６の実施形態は、患者支持装置に接続されたカプラ５２０と協働する。図５及び図６は、クランプ５２２及び調節可能なアーム５２４を含むカプラの一実施形態を示す。クランプ５２２は、患者支持装置のフレーム５１２に取り付けられる構造になっている。図示されるように、クランプ５２２は、手すりなどのフレーム５１２の一部を囲むようにしてもよい。クランプ５２２は、ねじのような固定器具でその位置に保持されてもよい。クランプ５２２は、アーム５２４を受け入れる形状及び寸法のスロット５２８を含んでもよい。

アーム５２４は、エンクロージャのヘッドエンドの方向を向く凹部５３０を有する。図示の実施形態では、コネクタ３６は、フレキシブルロッド３２の自由端である。コネクタ３６は、カプラのアームの凹部５３０に挿入するサイズ及び寸法になっている（図２も参照）。このように、エンクロージャは、患者支持装置に容易に取り付けることができ、エンクロージャ又は連結器を損傷することなく容易に取り外すこともできる。

クランプ５２２内のアーム５２４の位置は、例えば、固定ノブ５３２を解放し、スロット５２８内でアーム５２４を横方向にスライドさせ、ノブ５３２を締めることによって、調節できるようにしてもよい。アーム５２４の別の位置が、図５の破線で示されている。調整可能なアーム位置によって、凹部５３０は、患者支持装置５１０の頂部５１４に対して様々な距離（Ｄ１、Ｄ２）で位置決めすることができる。この特徴が、患者の頭頂部と支持器具の頂部５１４との間のエンクロージャ２０内のクリアランスの調整を可能にする。ヘッドスペースの調整は、機器を収容し、医療従事者のアクセスを提供し、又は患者の快適性を高めるために、望ましいといえる。フレーム５１２の側面に沿って異なる位置にクランプ５２２を配置することによって、さらに大きな調整範囲を得ることができる。

図７は、エンクロージャの外部へのエアロゾルの移動を制限しながらエンクロージャの内部へのアクセスを提供する入口７０を含むエンクロージャ２０の別の実施形態の側面図である。入口７０は、破線で示される開口７２を含む。蓋７４は、開口の上端７６等の開口７２の一部の周囲がカバー４０に対して密封される。蓋７４は、カバー４０に重なるような開口７２を完全に覆う大きさであり、開口のシールされていない縁の周りにエアロゾルバリアを形成する。

使用例としては、入口７０により、医療提供者が蓋７４を持ち上げて手をエンクロージャ内に届かせることが可能となる。蓋７４は、医療提供者の腕の上部まで延び、エンクロージャの外部の提供者の顔の方向への空気及びエアロゾルの流出を阻止する。いくつかの実施形態において、入口７２は、ヘッドエンド４２からフットエンド４４までの剛性部の全長に沿ってエンクロージャの内部へのアクセスを提供するサイズに設定される。

図８及び図９は、エンクロージャ２０の内部へのアクセスを提供することができるパッド７００のいくつかの実施形態を図示する。実施形態では、パッド７００はシール面７１０を有する。シール面７１０は壊れやすい層７２０を取り囲む。パッド７００がカバー４０に接続されると、壊れやすい層７２０は壊れて、要員又は機器にとって必要なアクセスを提供することができる。シール面７１０は壊れやすい層７２０を囲んでいる。パッド７００がカバー４０に接続されると、壊れやすい層７２０が壊れて、人又は器具にとって望ましいアクセスを提供することができる。

パッド７００は、エンクロージャとともに提供されてもよく、別途入手されてエンクロージャと協働するようにしてもよい。実施形態では、パッド７００は接着フランジであってもよい。１以上のパッド７００をカバーの様々な位置に適用してもよい。パッド７００は、切断される位置を示す標識を有してもよい。パッド７００は、最初の応答者に容易なアクセスを提供できるように、穴をあけたり、他の方法で容易に壊したりできるようにしてもよい。パッド７００は、視認性を高めるために明るい色にしてもよい。パッド７００は、セルフシール、手袋の備え付け、又は無菌アクセスを可能にする他の構成を提供してもよい。パッド７００の例示的な寸法としては、外径３～７インチ（シール面７１０）、内径１～５インチ（壊れやすい層７２０）である。

エンクロージャ２０の種々の構成は、異なるケア設定で望まれる場合がある。例えば、スペースが限られており、移動時間が比較的短い救急車では、開いた状態で背の低いドームを提供するコンパクトな折り畳みサイズのエンクロージャが望ましい場合がある。エンクロージャが外科手術中に使用される場合は、より広いドームが必要な場合があり、折りたたんだサイズが少し大きくても許容される場合がある。同様に、フレキシブルロッド３２の異なる構成としては、より大きなアクセス可能な剛性領域を提供してもよいし、カバーの異なる領域（例えば、頭の後ろ、頭上、側方）の内部に位置する剛性領域を提供してもよい。カバーの特定の領域にアクセスできることは、特定の手順を実行するため、又は特定の種類の機器へのアクセスを提供するために望ましい場合がある。

図９及び図１０は、それぞれ起立状態及び折りたたみ状態のエンクロージャの別の実施形態を示す。エンクロージャ２０のこの実施形態は、３つのフレキシブルロッド３２を有する。４つのコネクタ３６が含まれ、そのうちの２つが、見える範囲内にあり、そのうちの２つが見える範囲外にある。２つのコネクタ３６はヘッドエンド４２に近接し、２つのコネクタはフットエンド４４に近接している。コネクタ３６はカプラと協働して患者支持装置５１０に接続してもよいし、患者支持装置に直接取り付けてもよい。

図１１は、起立状態にあるエンクロージャの別の実施形態の斜視図である。このエンクロージャ２０の実施形態は、２つのフレキシブルロッド３２を有する。３つのコネクタ３６が含まれ、１つはヘッドエンド４２に近接し、２つは患者の肩の近くにある（１つは見える範囲外）。コネクタ３６は、患者支持装置に直接取り付ける。折りたたみ状態では、この実施形態は、略図４に示されるとおりである。

図１２は、起立状態にあるエンクロージャ２０の別の実施形態を示している。図示された実施形態は、２つのフレキシブルロッド３２及び４つのコネクタ３６（１つは見える範囲外）を有する。コネクタ３６は、カプラと協働して患者支持装置５１０に接続してもよいし、患者支持装置に直接取り付けてもよい。この実施形態は、自己起立してもよいし、折りたたみ状態と起立状態との間を移行するためにフレキシブルロッドの操作を必要としてもよい。

図１３Ａ及び１３Ｂは、それぞれ部分的に折りたたまれた状態及び完全に折りたたまれた状態にあるエンクロージャ２０の別の実施形態を示す。

図１４は、起立状態にあるエンクロージャ２０の別の実施形態を示す。この実施形態は、複数のフレキシブルロッド３２を含み、図示されるようにストラップなど（この実施形態では６つのコネクタ３６が存在する）で患者支持装置に直接接続するように構成される。患者に酸素又は静脈内輸液を提供等するためのパッド７００を通過するチューブ又はケーブルを有する医療機器６００が部分的に示されている。別の実施形態では、医療機器６００は、高効率微粒子エア（ＨＥＰＡ）フィルタなどの空気濾過システムであってもよい。このような装置は、濾過された空気をエンクロージャ内部に移送するため、又はエンクロージャ内部から出る空気を濾過するために使用することができる。

図１５Ａ及び１５Ｂは、部分的に折りたたまれた異なる状態にある実施形態を示し、図１５Ｃは、完全に折りたたまれた状態を示す。患者支持装置に直接接続するためのコネクタ３６は、図１５Ａに最も良く示されている。別の実施形態では、コネクタ３６はカプラと協働することができる。

図１６は、起立状態にあるエンクロージャ２０の別の実施形態の斜視図である。エンクロージャ内部へのアクセスのために、２つのパッド７００が提供される。この実施形態は、折りたたみ状態と起立状態との間で移行するために、フレキシブルロッドの操作を必要としてもよい。図１７Ａ及び１７Ｂは、それぞれ、部分的に折りたたまれた状態及び完全に折りたたまれた状態にあるエンクロージャの斜視図である。

図１８は、エンクロージャの別の実施形態の斜視図である。この実施形態では、カバー４０は、患者を楽しませたり、気を散らしたり、落ち着かせたりするための模様又はデザインを含む。例えば、子供のエンクロージャに適したカバー４０は、水をテーマにしたデザインを有してもよい。他のデザインの例としては、城、消防車、宇宙船、ぬいぐるみ、空想の動物、漫画のキャラクター、森のシーン、農場のシーン、海のシーン、空のシーンなどがある。

図１９は、カプラの調節可能なアーム５２４の別の実施形態を示す。この実施形態では、アーム５２４は、上述のようにクランプ５２２を介して患者支持装置に接続される。図２０は、アームの凹部５３０の拡大図である。凹部５３０は、ボア５５０から延びる２つのウィング５４０をそれぞれ有する。ウィング５４０間の角度は、６０度から１２０度の間であってよい。実施形態で示されているのは、ウィング５４０間の角度は約９０度である。

フレキシブルロッド３２のコネクタ３６は、凹部５３０に挿入するための寸法に構成される自由端である。コネクタ３６は、凹部５３０に実質的に相補的な形状であってもよい。コネクタ３６は、ウィング５４０に挿入するための形状のアームを含んでもよい。コネクタ３６のそのような構成は、ヘッドエンド４２と各面４８の間をウィング５４０間の角度に略等しい角度で支持してもよい。

図２１は、ボア５５０を示す凹部５３０の拡大断面図である。いくつかの実施形態では、ボア５５０は、ボア頂部５５２からボア底部５５４に向かうにつれて狭くなっている、あるいは、テーパ状になっている。ボア頂部５５２においてより大きくなっている開口は、ボア５５０へのコネクタ３６の最初の挿入を容易にする。より狭くなっているボア底部５５４では、コネクタ３６は密接に保持され、ボアからのコネクタの取り外しに対する抵抗が増加する。この特徴は、エンクロージャが入口を介してアクセスされるとき、又は患者支持装置が調整又は移送されるとき、脱離に抵抗する安定した取付けを提供しながら、
患者支持装置へのエンクロージャの容易かつ迅速な取り付けを可能にする。

再び図１９を参照すると、いくつかの実施形態では、ヘッドエンド４２のコネクタ３６間の幅Ｗ１は、調節可能なアームの凹部５３０間の幅Ｗ２より小さくてもよい。この特徴は、エンクロージャが調整可能なアームに接続されるとき、フレキシブルロッド３２に外向きの張力を提供する。この張力は、エンクロージャの剛性を高め、安定性を付加し、これは、患者が外部に搬送されるとき、又はエンクロージャが看護者によってアクセスされるときに特に重要である。実施形態において、調節可能なアーム５２４は、最初の取り付けを単純化するためにわずかに曲がっていてもよく、アームは、より広い間隔の初期位置に弾性力で戻ってもよい。

さらに、エンクロージャ２０が、１以上のカプラ５２０、空気濾過システム６００、又は１以上のパッド７００を伴ってパッケージ化されるシステムが提供される。

使用の観点から、患者支持装置５１０に支持された患者５００を囲むエアスペース８００を隔離する方法は、以下の内容を含む（図１～１８を参照）。
ａ）透明で略エアロゾル不透過性のカバー４０を支持するフレキシブルロッド３２と、
所定の折りたたみ形状に折りたたみ可能であり、所定の起立形状に自己起立可能であるエンクロージャと、を備え、
起立形状において、エンクロージャは半剛性であり、ヘッドエンド４２、フットエンド４４、及び２つの対向面４８を有し、ヘッドエンド及び２つの対向面の各々は、患者支持装置を覆うように構成された柔軟部（５４、５８）を有し、
フレキシブルロッドが、エンクロージャが直立形状にあるときにヘッドエンドに近接するコネクタ３６を有し、該コネクタが、患者支持装置に取り付けられるように構成される、エアロゾル隔離エンクロージャ２０を提供し、
ｂ）エンクロージャが折りたたまれた形状にあるとき、エンクロージャを折りたたまれた形状から解放し、エンクロージャを直立した形状に自己起立させ、
ｃ）エンクロージャが起立形状にあるとき、ヘッドエンドが患者の頭部に向けられ、フットエンドと２つの対向面のそれぞれの柔軟部が患者支持装置の上に被さるように、エンクロージャを患者支持装置の上に配置し、
ｄ）フレキシブルロッドのコネクタを患者支持装置に取り付けることにより、
患者を取り囲む空間がエンクロージャ内部で実質的に隔離される。

この方法は、
凹部５３０を有するカプラ５２０を用意し、
ａ）において、フレキシブルロッドのコネクタが、カプラの凹部への挿入のためのサイズ及び寸法を有する自由端であり、
患者支持装置のフレーム５１２にカプラを接続し、
ｄ）において、フレキシブルロッドの自由端をカプラの凹部に挿入することによりフレキシブルロッドの自由端が患者支持装置に接続することにより、
カプラに協働するコネクタをさらに含む。

この方法は、
ある長さ及び頂部５１４を有する患者支持装置のフレームがあり、
カプラは、フレームの長さに沿って調節可能に位置決め可能であり、
ｄ）の後、フレームの長さに沿ってカプラの位置を調整し、それによって、エンクロージャのヘッドエンドとフレームの頂部との間の距離を変化させる、
ことにより、カプラの位置を調整することをさらに含む。

この方法は、
患者と患者支持装置との間に位置するシートと、第２の患者支持装置と、協働し、
ｄ）の後、患者支持装置からフレキシブルロッドのコネクタを取り外し、
２つの対向面のそれぞれにおいて、折りたたみ部分を形成するために柔軟部をシートとともに折りたたみ、
折りたたみ部分を掴んで、患者、シート、及びエンクロージャを患者支持装置から持ち上げ、患者、シート、及びエンクロージャを第２の患者支持装置の上に降ろし、
これにより、患者が第２の患者支持装置の上で持ち上げられたり、下げられたりするとき、患者を囲む空間がエンクロージャ内部で実質的に隔離された状態を維持する、
ことにより患者を移送することをさらに含む。

本明細書では、本発明の様々な実施形態を開示し、詳細に説明したが、その精神と範囲から逸脱することなく、本発明の構成、動作及び形態に様々な変更を加えることができることは、当業者にとって自明である。特に、本発明のそれぞれの特徴は、本発明の他の特徴と単に組み合わせて開示されるものであっても、当業者が一見して無意味であることが分かるものを除き、任意の構成で組み合わせることができることに留意されたい。同様に、単数形及び複数形の使用は、単に例示のためのものであり、限定的に解釈されるものではない。

Claims (20)

1. 患者支持装置と協働するエアロゾル隔離エンクロージャであって、
   透明で略エアロゾル不透過性のカバーを支持するフレキシブルロッドを備え、
   前記フレキシブルロッドは、前記カバーをその上に支持しながら所定の折りたたみ形状に折りたたみ可能であり、所定の起立形状に拡げることが可能であり、
   前記起立形状において前記エンクロージャは、半剛性であり、ヘッドエンドからフットエンドまで延びる剛性部、２つの対向面を備え、
   前記フットエンド及び前記２つの対向面の各々は、前記患者支持装置に被さる大きさの柔軟部を有し、
   前記フットエンド及び前記２つの対向面の各々の前記柔軟部によって境界が形成される開放底部を有し、
   前記フレキシブルロッドは、前記エンクロージャが起立状態にあるときに前記ヘッドエンドに近接するコネクタを有し、該コネクタが、前記患者支持装置に取り付けるように構成される、
   エンクロージャ。
2. 凹部を有するカプラとさらに協働し、
   該カプラは前記患者支持装置に接続され、
   前記フレキシブルロッドの前記コネクタは、前記カプラの前記凹部に挿入するためのサイズ及び寸法を有する自由端である、
   請求項１に記載のエンクロージャ。
3. 前記エンクロージャの内部へのアクセスを提供し、かつ、前記内部から外部へのエアロゾルの移動を制限する、前記カバーに設けられた入口をさらに含む、
   請求項１又は２に記載のエンクロージャ。
4. 前記入口は、開口と前記開口を完全に覆う蓋を含み、前記蓋は、前記開口の一部の周りが密封され、かつ、前記カバーに重なる非密封部を有し、
   前記入口は、前記蓋の前記非密封部を通じて前記エンクロージャの内部へのアクセスを提供する、
   請求項３に記載のエンクロージャ。
5. 前記入口は、前記剛性部によって決まる前記内部の全長にわたって前記エンクロージャの前記内部へのアクセスを提供する大きさであり、前記アクセスは、前記カバーと前記蓋の前記非密封部との間に提供される、
   請求項４に記載のエンクロージャ。
6. 前記エンクロージャは、所定の起立形状に自立する、
   請求項１～５のいずれか一項に記載のエンクロージャ。
7. 前記起立形状において、前記２つの対向面のそれぞれの前記柔軟部は、前記フレキシブルロッドの下方に延在している、
   請求項１～６のいずれか一項に記載のエンクロージャ。
8. 前記起立形状において、前記フットエンドの柔軟部は、前記ヘッドエンドから離れるように前記フレキシブルロッドを越えて延在している、
   請求項１～７のいずれか一項に記載のエンクロージャ。
9. フレームを有する患者支持装置と協働するエアロゾル隔離エンクロージャシステムであって、
   前記フレームは、前記フレームの主要寸法にわたる長さと、前記長さの一端における頂部とを有し、
   前記システムは、
   透明で略エアロゾル不透過性のカバーを支持するフレキシブルロッドを含むエンクロージャであって、所定の折りたたみ形状に折りたたみ可能であり、所定の起立形状に自立可能であるエンクロージャと、
   凹部の中に終端する伸縮性アームを有するカプラであって、前記伸縮性アームが並進位置決めのために方向付けられた状態で前記患者支持装置の前記フレームに接続するように構成され、前記伸縮性アームの並進位置決めでは、前記フレームの前記頂部に対する前記凹部の位置を変化させるカプラと、
   を備え、
   前記起立形状において前記エンクロージャは、半剛性であり、ヘッドエンドからフットエンドまで延びる剛性部と２つの対向面を備え、
   前記フットエンド及び前記２つの対向面の各々は、前記患者支持装置に被せられる大きさの柔軟部を有し、
   前記フレキシブルロッドが、前記エンクロージャが起立形状にあるときに前記ヘッドエンドに近接する自由端を有し、前記自由端が、前記カプラの前記凹部に挿入するためのサイズ及び寸法を有する、
   システム。
10. 前記カプラの前記凹部は、ボアと、前記ボアを規定しそこから直接延びる２つのウィングと、を有し、
    前記フレキシブルロッドの自由端は、前記凹部と相補的な形状である、
    請求項９に記載のシステム。
11. 前記ボアの幅は、ボア頂部からボア底部に向かって狭くなるテーパ状である、
    請求項１０に記載のシステム。
12. 前記エンクロージャの内部へのアクセスを提供し、前記内部から外部へのエアロゾルの移動を制限する、前記カバーの入口をさらに含む、
    請求項９～１１のいずれか一項に記載のシステム。
13. 前記起立形状において、前記２つの対向面の各々の前記柔軟部は、前記フレキシブルロッドの下方に延在している、
    請求項９～１２のいずれか一項に記載のシステム。
14. 前記起立形状において、前記フットエンドの前記柔軟部は、前記ヘッドエンドから離れるように前記フレキシブルロッドを越えて延在する、
    請求項９～１３のいずれか一項に記載のシステム。
15. 前記エンクロージャの内部へ移動する空気又は前記エンクロージャの前記内部から移動する空気に対する空気濾過システムをさらに含む、
    請求項９～１４のいずれか一項に記載のシステム。
16. 前記エンクロージャの外面に接続されるように構成された封止面を有し、前記封止面が壊れやすい層を囲んでいるパッドをさらに含む、
    請求項９～１５のいずれか一項に記載のシステム。
17. 患者支持装置に支持された患者を囲むエアスペースを隔離する方法であって、
    ａ）透明で略エアロゾル不透過性のカバーを支持するフレキシブルロッドを備え、
    その上に支持される前記カバーを伴う前記フレキシブルロッドは、所定の折りたたみ形状に折りたたみ可能であり、所定の起立形状に自立可能であり、
    前記起立形状において、前記エンクロージャは半剛性であり、ヘッドエンドからフットエンドまで延びる剛性部と２つの対向面を備え、
    前記ヘッドエンド及び前記２つの対向面の各々は、患者支持装置の上に被されるように構成された柔軟部を有し、
    前記フットエンド及び前記２つの対向面の各々の前記柔軟部によって境界が形成される開放底部を有し、
    前記フレキシブルロッドが、前記エンクロージャが起立状態にあるとき前記ヘッドエンドに近接するコネクタを有し、前記コネクタが前記患者支持装置に取り付けられるように構成される、エアロゾル隔離エンクロージャを提供し、
    ｂ）前記エンクロージャが折りたたまれた形状にあるとき、前記エンクロージャを折りたたまれた形状から解放することで前記エンクロージャが前記起立形状に自己起立し、
    ｃ）前記エンクロージャが前記起立形状にあるとき、前記ヘッドエンドが患者の頭部に向けられるように前記エンクロージャを前記患者支持装置の上に置き、前記フットエンドと前記２つの対向面のそれぞれの前記柔軟部を前記患者支持装置に被せ、
    ｄ）前記フレキシブルロッドの前記コネクタを前記患者支持装置に取り付けることにより、患者を囲む空間が、前記エンクロージャ内部で実質的に隔離される方法。
18. 前記患者支持装置はフレームを有し、
    凹部を有するカプラを用意し、
    ａ）において、前記フレキシブルロッドの前記コネクタは、前記カプラの前記凹部に挿入するためのサイズ及び寸法を有する自由端であり、
    前記カプラを前記患者支持装置の前記フレームに接続し、
    ｄ）において、前記フレキシブルロッドの前記自由端を前記カプラの前記凹部に挿入することにより前記患者支持装置に前記フレキシブルロッドの前記自由端を接続する、
    請求項１７に記載の方法。
19. 前記患者支持装置の前記フレームは、前記フレームの主要寸法にわたる長さと、前記長さの一端における頂部とを有し、
    前記カプラが、前記フレームの長さに沿った並進によって調節可能に位置決め可能であり、
    ｄ）の後、前記フレームの長さに沿って前記カプラの位置を調整することによって前記エンクロージャの前記ヘッドエンドと前記フレームの前記頂部との間の距離を変化させる、
    請求項１８に記載の方法。
20. 前記患者と前記患者支持装置との間に位置するシートと、第２の患者支持装置と、さらに協働する方法であって、
    ｄ）の後、前記患者支持装置から前記フレキシブルロッドの前記コネクタを取り外し、
    前記２つの対向面のそれぞれにおいて、折りたたみ部分を形成するために前記柔軟部を前記シートとともに折りたたみ、
    折りたたみ部分を掴んで、前記患者、前記シート、及び前記エンクロージャを前記患者支持装置から持ち上げ、前記患者、前記シート、及び前記エンクロージャを前記第２の患者支持装置の上に降ろすことにより、
    前記患者が前記第２の患者支持装置の上で持ち上げられたり、下げられたりするとき、前記患者を囲む空間が前記エンクロージャ内部で実質的に隔離された状態を維持する、
    請求項１７から１９のいずれか一項に記載の方法。
    

Images