JP2023525530A - 耐かじり性および塩化物誘起隙間腐食に対する耐性が改善された展伸用クロム含有コバルト基合金 - Google Patents

耐かじり性および塩化物誘起隙間腐食に対する耐性が改善された展伸用クロム含有コバルト基合金 Download PDF

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Abstract

展伸加工に適したクロム含有コバルト基合金は、塩化物誘起隙間腐食とかじりの両方に対する耐性が改善されている。この合金は、最大3.545重量%のニッケルと、0.242~0.298重量%の窒素とを含み、22.0~30.0重量%のクロムと、3.0~10.0重量%のモリブデンと、最大5.0重量%のタングステンと、最大7重量%の鉄と、0.5~2.0重量%のマンガンと、0.5~2.0重量%のケイ素と、0.02~0.11重量%の炭素と、0.005~0.205重量%のアルミニウムとを含むことができ、残部はコバルトおよび不純物である。

Description

本発明は、耐食性および耐摩耗性のコバルト基合金に関するものである。
クロムを含有するコバルト基合金は、1世紀以上にわたって業界で使用され、過酷な条件下(すなわち、腐食性の液体および気体中)での摩耗の問題が解決されてきた。
この間に、2つの主要な(耐摩耗性)タイプ(1つはタングステンとかなりの含有量の炭素(約1~3重量%)を含むもの、もう1つはモリブデンを含み、炭素含有量ははるかに低いもの)が進化した。前者の合金は、ミクロ組織内にかなりの量の炭化物を有し、バルク硬度が高く、低応力(引っかき)摩耗に対する優れた耐性を示すが、延性は低い。後者の合金は、あったとしても少量の炭化物しかない。その結果、それほど硬くはないが、より延性があり、耐食性がある。
主に高温での高強度と飛行ガスタービンエンジンでの用途向けに設計されたクロム含有コバルト基合金の関連グループは、前述の材料から進化したものでもあるため、言及する必要がある。
一般的に信じられているにもかかわらず、バルク硬度は必ずしも一般的な耐摩耗性の良い尺度ではない。実際、(ミクロ組織の炭化物の存在によるよりも)コバルトに富んだマトリックスの性質によってより制御される摩耗の形態があり、これらの形態には、かじり(高負荷/低速の金属間滑り)、(乱流液体の表面近くの気泡崩壊によって引き起こされる)キャビテーション浸食、および液滴浸食が含まれる。
クロムを含有コバルト基合金の特許履歴に関しては、最初のそのような合金は、Elwood Haynesによる特許文献1(1907年12月17日)に記載されている。同じ発明者による特許文献2(1913年4月1日)は、コバルト、クロム、およびタングステンの合金を主張し、(STELLITE商標に関連付けられている)第1の主要なタイプの進化への道を開いた。クロム含有コバルト基合金の第2の主要なタイプを開示している最も初期の米国特許は、Charles H.Prangeが鋳造義歯として使用するためのそのような合金を記載している特許文献3(1934年5月15日)であった。
これらの初期の合金は通常、鋳造または肉盛溶接の形態で使用されていた。いくつかの合金の展伸用および粉末冶金(P/M)製品は、20世紀半ばに入手可能になった。
コバルト基合金における様々な合金元素の役割を理解するには、純コバルトとその多くの合金の原子構造で発生する可能性のある変化についての知識をもつことが重要である。約420℃/788°F未満の温度では、純コバルトの安定した原子構造は、六方最密充填(HCP)である。より高い温度(融点まで)では、面心立方(FCC)である。ニッケル、鉄、炭素などの元素(限られた溶解範囲内)により、転移(または変態)温度が低下することが知られている。すなわち、FCC構造の温度範囲を拡張する。逆に、クロム、モリブデン、タングステンなどの元素は、転移温度(TT)を上昇させる、すなわち、HCP構造の温度範囲を拡張する。
熱的手段によるコバルトおよびその合金のHCPからFCCへの転移、およびその逆の転移は緩慢であり、したがって、これらの材料は、溶融状態からの冷却時、またはTTを超える期間後の冷却時に、室温およびその付近で準安定なFCC形態を示す傾向がある。しかしながら、TT未満の温度で機械的応力を加えると、準安定FCC構造内にHCP領域が急速に形成される可能性がある。このような領域は、(金属組織検査中に)プレートレット(板状組織)の外観を有し、準安定FCC構造内の積層欠陥の合体によって発生すると考えられている。所与の温度でのこの応力誘起準安定のFCCからHCPへの変態の原動力は、TTによって支配される(すなわち、TTが高いほど、傾向が大きくなる)。
コバルトおよびその合金の摩耗挙動に対するTTの影響が大きいことは公知である。これは、機械的応力の作用下でHCPプレートレットが発生すると、急速な加工硬化が生じるためである。これは、塑性変形に対する耐性の重要な属性である。したがって、クロム、モリブデン、およびタングステンは、耐摩耗性(特に、かじり、キャビテーション浸食、および液滴浸食に対する耐性)に有益であることが知られている。逆に、ニッケル、鉄、および、(溶解範囲内で低レベルの)炭素は、表向きは耐摩耗性に有害であるはずである。
クロム、モリブデン、およびタングステンも、そのような材料の水性腐食に対する耐性に有益である。ステンレス鋼およびニッケル基合金と同様に、クロムは、酸性溶液を酸化する際に不動態被膜(保護表面膜)が形成されるが、モリブデンおよぶタングステンは、カソード反応が水素発生である還元溶液中でコバルトおよびその合金を貴(ノビリティ)にする。
本発明に最も関連する先行技術は、特許文献4(1991年3月26日)であり、発明者は、Paul Crook、Aziz I. Asphahani、Steven J. Matthewsである。この特許の商業的実施形態は、ULTIMET合金として知られている。特許文献4は、かなりの量のクロム、ニッケル、鉄、モリブデン、タングステン、ケイ素、マンガン、炭素、および窒素を含有するコバルト基合金を開示している。耐キャビテーション浸食性と耐食性の両方に関して、(同様の含有量の窒素の存在によって増強される)炭素の予想外の利点が明らかになった。さらに、キャビテーション浸食に対するニッケルの影響は、少なくとも、5.3~9.8重量%の含有量範囲では強力ではないことが明らかになった。Crookらの発見に使用された実験的な展伸用材料は、真空誘導溶解、エレクトロスラグ再溶解、(シートおよびプレートへの)熱間鍛造および熱間圧延、およびその後の溶体化処理によって製造された。興味深いことに、0.12重量%の最大窒素含有量が特許請求されたのは、0.19重量%のより高い含有量が展伸加工中に亀裂の問題を引き起こしたという事実のためである。
関連する先行技術の研究により、粉末冶金処理および生物医学分野での使用のために特別に設計されたクロム含有コバルト基合金が明らかになった。特許文献5に記載されている一例は、ULTIMET合金(特許文献4の商業的実施形態)および本発明の合金のものと同様のクロムおよびモリブデン含有量を有する。しかしながら、タングステンは含まれておらず、炭素と窒素の間に特別な関係が必要である。さらに重要なことに、特許文献5では、アルミニウムを(マグネシウム、カルシウム、イットリウム、ランタン、チタン、ジルコニウムなどの他の酸化物形成金属と共に)非常に低い含有量に維持する必要がある(つまり、これらの元素を組み合わせて約0.01重量%を超えてはならない)。
米国特許第873,745号明細書 米国特許第1,057,423号明細書 米国特許第1,958,446号明細書 米国特許第5,002,731号明細書 米国特許第5,462,575号明細書
この発見が関係している材料特性は、耐かじり性と耐隙間腐食性である。かじりは、非常に大きい負荷がかかり、かつ潤滑剤が使用されていない状態で、金属同士の滑りによって引き起こされる損傷に対して使用される用語である。それは、片面または両面の全体的な塑性変形、表面間の結合、および(ほとんどの場合)一方の表面から他方の表面への材料の移動によって特徴付けられる。ほとんどのステンレス鋼は、特にこの形態の摩耗を起こしやすく、かじり試験条件下で完全に焼き付く傾向がある。
塩化物誘起隙間腐食は、構造部品間の隙間または狭い間隙で、または表面の堆積物の下で、塩化物含有溶液の存在下で発生する。攻撃は、正電荷の局所的な蓄積と、負電荷を帯びた塩化物イオンの隙間への引き付け、それに続く塩酸の形成に関連している。この酸は攻撃を加速し、プロセスは自己触媒的になる。隙間腐食試験は、塩化物誘起孔食耐性の優れた指標でもある。
比較的低いニッケル含有量と比較的高い窒素含有量の組み合わせが、ニッケル、鉄、モリブデン、タングステン、ケイ素、マンガン、アルミニウム、炭素、および窒素を含有するクロム含有コバルト基合金展伸用材の耐かじり性および塩化物誘起隙間腐食耐性を大幅に高めることを発見した。ニッケル含有量を3.17重量%に減らし、さらに1.07重量%に減らすことによる隙間腐食耐性へのプラスの効果は、最大0.278重量%の窒素含有量の合金を、これらのより低いニッケル含有量で、容易に熱間鍛造および熱間圧延して鍛造製品にできるという事実と同様に、まったく予想外であった。
表2で報告されている隙間腐食およびかじり試験結果のグラフ。
この発見に関係する実験的合金は、真空誘導溶解(VIM)とそれに続くエレクトロスラグ再溶解(ESR)によって作製され、熱間加工に適した材料のインゴットを作製した。熱間加工(すなわち、熱間鍛造および熱間圧延)の前に、インゴットは、1204℃/2200°Fで均質化された。このクラスの合金での以前の経験に基づいて、1204℃/2200°Fの熱間加工開始温度がすべての実験用合金に使用された。アニーリング試験では、1121℃/2050°Fの溶体化アニーリング温度がこのクラスの材料に適しており、その後、(室温で準安定なFCC固溶体構造を生成するために)急速冷却/急冷が続くことが示された。隙間腐食試験サンプルの製造を可能にするために、厚さ3.2mm/0.125インチのアニーリングされたシートが製造された。かじり試験ピンおよびブロックの製造を可能にするために、厚さ25.4mm/1インチのアニーリングされたプレートが製造された。合金1の2つのバッチと合金3の2つのバッチが製造され、これは、両方のタイプの試験で1つのバッチでは材料が不十分だったためである。
実験用合金の実際の(分析された)組成を表1に示す。
Figure 2023525530000002
この研究中に行われた実験手順は次の通りである。
1.特許文献4の商業的実施形態の実験バージョン(合金1)を、他のすべての実験用合金に対して意図したのと同じ溶解、熱間加工、および試験手順を使用して、溶解して試験する。必要なサンプルをすべて作製するには、2つのバッチが必要であった。
2.合金1レベルの他のすべての元素を使用して、ニッケルを減らした(約3重量%)バージョン(合金2)を溶解して試験する。
3.窒素を増やして(約0.25重量%)、ニッケルは約3重量%で、他のすべての元素は合金1レベルのバージョン(合金3)を溶解して試験する。必要なサンプルをすべて作製するには、2つのバッチが必要であった。
4.さらにニッケルを減らして(約1重量%)、窒素は約0.25重量%で、他のすべての元素は合金1レベルのバージョン(合金4)を溶融して試験する。
5.ニッケルが中間(約5重量%)で、窒素が約0.25重量%で、他のすべての元素は合金1レベルのバージョン(合金5)を溶融して試験する。
6.さらに窒素を増やして(約0.35重量%)、ニッケルは約3重量%で、他のすべての元素は合金1レベルのバージョン(合金6)を溶解して試験する。
7.またさらに窒素を増やして(約0.40重量%)、ニッケルは約3重量%で、他のすべての元素は合金1レベルのバージョン(合金7)を溶解して試験する。
8.ニッケル(約3重量%)および窒素(約0.10重量%)以外のすべての元素が、特許文献4の商業的実施形態の範囲の下限にあるバージョン(合金8)を溶解して試験する。
ニッケル(約3重量%)および窒素(約0.40重量%)以外のすべての元素が、特許文献4の商業的実施形態の範囲の上限にあるバージョン(合金9)を溶解して試験する。
実験用合金の窒素含有量が高いほど、それらのクロム含有量が高くなることに留意されたい。これは意図的なものではないが、材料の溶解中のクロムの回収率が(以前よりも)高くなったことが原因であると考えられる。これは、窒素を添加する手段としての「窒化クロム」装填材料の使用に関連している可能性がある。
また、この研究中、実際の窒素含有量が目標窒素含有量よりも一般的に高かったのも事実であった。例えば、合金1および合金2の目標窒素含有量は0.08重量%であったが、実際の含有量は0.114(合金1、バッチA)、0.127(合金1、バッチB)、および0.109重量%(合金2)であった。これらの変動は、合金のVIM/ESR溶融および再溶融中の予想外のより高い窒素回収率に起因する。
(実験室のVIM炉内での)一次溶融中に酸素と反応して酸素を除去するために、実験用合金にアルミニウムが添加された。アルミニウムは、脱酸素剤としての機能に加えて、アルゴン酸素脱炭(AOD)中に必要な非常に高い温度を維持するために使用される生産規模の空気溶解において非常に重要である。マンガンは、特許文献4で提案されているレベルで、溶融中の硫黄の除去を助けるために添加された。本発明の合金に使用されるケイ素および炭素の含有量は、特許文献4で特許請求されているものと同様である。このような含有量は、その間の数年間で優れた溶接能力を提供してきた。これらの含有量での炭素の添加の利点、すなわち優れた耐キャビテーション浸食性および耐食性は、特許文献4に記載されている。クロム、モリブデン、およびタングステンの、特定の形態の摩耗および腐食に対する耐性に関する2つの利点については、本明細書の背景技術のセクションで説明され、これらの元素の3つすべては、特許文献4で特許請求されているものと同じおおよその範囲内に(この研究中は)保持された。特許文献4で特許請求されている範囲内で鉄も本発明の合金に添加され、その主な利点は、炉装填中の鉄汚染スクラップ材料の許容範囲であり、著しい経済的利益を伴う。
本明細書に記載されている展伸用コバルト基合金への重要な添加物は、ニッケルと窒素である。すでに述べたように、この研究の最も重要で驚くべき発見は、特許文献4の商業的実施形態におけるニッケル含有量を3.17重量%以下に減らすことの、塩化物誘起隙間腐食耐性に対する強力でプラスの影響であった。さらに、先行技術(特に特許文献4)を考慮すると、約0.12重量%を超える窒素含有量を有する合金を難なく加工して展伸製品にすることができることは予想外であった。このことは、ニッケル含有量が低いと、これらの高窒素合金の展伸性に良い影響を与える可能性があることを示唆している。
窒素含有量が最も高い(それぞれ0.367、0.415、および0.413重量%)3つの合金(6、7、および9)が鍛造中に割れたという事実は、窒素の溶解度を超えて、高温のインゴットのミクロ組織内に1つまたは複数の追加の相の存在をもたらすことを意味する可能性がある。これらの合金の窒素含有量が、合金3(A)、3(B)、および4の0.262~0.278重量%(プラスまたはマイナス0.02重量%の窒素の通常の製造許容差)の範囲内の含有量に減少した場合、これらの変更された合金6、7、および9は、おそらく割れない。
耐かじり性に対するニッケル含有量の減少の影響に関しては、これらは非線形(現在の摩耗理論では予測できないもの)であるように見える。実際、3.17重量%以下のニッケル含有量でのみ、耐かじり性が合金1(特許文献4の商業的実施形態であるが、前述の溶融変動のために窒素含有量がわずかに増加した)を超えた。
大規模生産条件下でのこの種の合金の溶解には、鋳造(リアルタイム)分析試料の元素偏析による変動、二次溶解(例えばESR)による変動、化学分析による変動などを考えると、各々の元素の目標含有量だけでなく、実用範囲も必要である。これらの変動に対応するための、特許文献4の商業的実施形態への意図的な添加の各々に対する溶融中の「プラスまたはマイナス」許容差は次の通りである。クロムは±1.5重量%、ニッケルは±1.25重量%、モリブデンは±0.5重量%、タングステンは±0.5重量%、鉄は±1重量%、マンガンは±0.25重量%、ケイ素は±0.2重量%、アルミニウムは±0.075重量%、炭素は±0.02重量%、窒素は±0.02重量%である。残部としてのコバルトは、そのような許容差を必要としない。特許文献4の商業的実施形態よりもニッケル含有量が少ないコバルト基合金(例えば、HAYNES 6B合金)の場合、ニッケルのプラスまたはマイナス許容差は0.375重量%である。
試験は組成物の展伸形態で実施されたが、鋳造品、溶接品、粉末製品(粉末冶金加工、積層造形、溶射、溶接用)など、他の製品形態においても、塩化物誘起隙間腐食およびかじりに対する改善された耐性が存在する。
試験結果
この研究で使用された隙間腐食試験は、ASTM規格のG48、方法Dに記載されているものであった。寸法が50.8×25.4×3.2mm/2×1×0.125インチのシートサンプルが含まれ、TEFLON(登録商標)隙間アセンブリが取り付けられた。方法Dでは、材料の臨界隙間温度(CCT)、つまり6重量%の塩化第二鉄+1重量%の塩酸の溶液中で、(連続)72時間にわたって、隙間攻撃が観察される最低温度を決定することが可能である。ASTM規格は、より高い温度での試験に必要な機器(つまり、オートクレーブ)に対応していないため、この研究では試験温度を100℃/212°Fに制限した。
かじりを助長する条件下で実験用合金を区別するために、1980年に確立されたかじり試験ハードウェアおよび手順とともに、最新のレーザーベースの3D表面測定システムを採用して摩耗傷を研究した。これらの手順には、手回しの前後の移動を用いて、(直径15.9mm/0.625インチの)ピンを(厚さ12.7mm/0.5インチの)固定ブロックに対して121°の円弧を介して10回、回転させることが含まれる。2722kg/6000ポンドの負荷が、引張ユニット(圧縮モード)と、ピンの上部に機械加工された雌型円錐部に着座された(グリースを塗布した)ボールベアリングによって印加された。
かじり試験には、自己一致サンプル(つまり、ピンとブロックが同じ材料からできている)と、ブロックの傷の二乗平均平方根(RMS)粗さのレーザーベースの高精度測定が含まれていた。
この研究に関連するすべての試験は、同一の条件下で繰り返された。表2に示すRMS値は、2つのかじり試験の平均である。表2に示すCCT値は、一方または両方のサンプルがその温度で攻撃を示したかどうかに関係なく、隙間攻撃が観察された最低温度である。
CCTが高いほど、塩化物誘起隙間腐食に対する耐性が高いことを示す。RMSが低いほど、(自己結合)高負荷/低速の金属間摺動時のかじりに対する耐性が高いことを示す。
Figure 2023525530000003
表2の結果は、図1にグラフ形式で示されている。
表3は、特許文献4に開示された合金中のクロム、鉄、モリブデン、タングステン、ケイ素、マンガン、および炭素の広い範囲および好ましい範囲を含む。本発明の合金は、特許文献4の商業的実施形態に由来するので、特許文献4に開示されている範囲内の量のクロム、鉄、モリブデン、タングステン、ケイ素、マンガン、および炭素と共に、最大3.17重量%(プラス0.375重量%の通常の製造許容差)のニッケル、0.262~0.278重量%(プラスまたはマイナス0.02重量%の窒素の通常の製造許容差)の窒素、および0.08~0.13重量%(プラスまたはマイナス0.075重量%のアルミニウムの通常の製造許容差)を有する任意の合金は、ここに開示されている試験合金と同じように、かじりおよび塩化物誘起隙間攻撃に対して改善された耐性を有することが予想される。
Figure 2023525530000004
上記の製造許容差/許容範囲を、本発明の試験合金中のクロム、鉄、モリブデン、タングステン、ケイ素、マンガン、炭素、およびアルミニウムの量に適用して、本発明の合金中のこれらの元素の許容域を決定することができる。また、最大3.545重量%のニッケルと、0.242~0.298重量%の窒素とを有する合金は、クロム、鉄、モリブデン、タングステン、ケイ素、マンガン、および炭素の含有量が米国特許第5,002,731号で特許請求されているものと同一である場合、かじりおよび塩化物誘起隙間攻撃に対して同じように改善された耐性を有することが予想される。
本発明の合金の現在の好ましい実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されず、以下の特許請求の範囲内で様々に具体化できることを理解すべきである。

Claims (5)

  1. 塩化物誘起隙間腐食及びかじりの両方に対する耐性が改善された、展伸加工に適したクロム含有コバルト基合金であって、
    最大3.545重量%のニッケルと、
    0.242~0.298重量%の窒素と、
    22.0~30.0重量%クロムと、
    3.0~10重量%のモリブデンと、
    最大5.0重量%のタングステンと、
    最大7重量%の鉄と、
    0.05~2.0重量%のマンガンと、
    0.05~2.0重量%のケイ素と、
    0.02~0.11重量%の炭素と、
    0.005~0.205重量%のアルミニウムと、
    残部としてのコバルトおよび不純物とを含む、クロム含有コバルト基合金。
  2. 1.07~3.17重量%のニッケルと、
    27.96~28.12重量%のクロムと、
    4.90~6.84重量%のモリブデンと、
    2.04~2.26重量%のタングステンと、
    2.71~2.92重量%の鉄と、
    0.77~0.90重量%のマンガンと、
    0.24~0.29重量%のケイ素と、
    0.058~0.067重量%の炭素と、
    0.262~0.278重量%の窒素と、
    0.08~0.13重量%のアルミニウムと、
    残部としてのコバルトおよび不純物とを含む、請求項1に記載のクロム含有コバルト基合金。
  3. 0.695~3.545重量%のニッケルと、
    26.46~29.62重量%クロムと、
    4.40~7.34重量%のモリブデンと、
    1.54~2.76重量%のタングステンと、
    1.71~3.92重量%の鉄と、
    0.52~1.15重量%のマンガンと、
    0.04~0.49重量%のケイ素と、
    0.038~0.087重量%の炭素と、
    0.242~0.298重量%の窒素と、
    0.005~0.205重量%のアルミニウムと、
    残部としてのコバルトおよび不純物とを含む、請求項1に記載のクロム含有コバルト基合金。
  4. 最大3.545重量%のニッケルと、
    0.242~0.298重量%の窒素と、
    24.0~27.0重量%のクロムと、
    4.5~5.5重量%のモリブデンと、
    1.5~2.50重量%のタングステンと、
    2.0~4.0重量%の鉄と、
    0.5~1.0重量%のマンガンと、
    0.30~0.50重量%のケイ素と、
    0.04~0.08重量%の炭素と、
    0.005~0.205重量%のアルミニウムと、
    残部としてのコバルトおよび不純物とを含む、請求項1に記載のクロム含有コバルト基合金。
  5. 前記合金は、展伸製品、鋳造品、溶接物、および粉末製品からなる群から選択される形態である、請求項1に記載のクロム含有コバルト基合金。
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