JP2023524224A - 大腸癌の早期検出、治療応答性および予後の予測のための方法 - Google Patents

大腸癌の早期検出、治療応答性および予後の予測のための方法 Download PDF

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Abstract

本開示は、大腸癌の早期検出、治療応答性および予後の予測のための新規なエピジェネティックバイオマーカーセットを開示する。エピジェネティックバイオマーカーの異常なメチル化は、大腸癌患者由来の腫瘍組織および血漿サンプルで検出することができるが、正常個体では検出できない。本開示はまた、本明細書で使用されるプライマーおよびプローブも開示する。【選択図】なし

Description

特許法第30条第2項適用申請有り (1)Clinical Epigenetics.12 May 2020,Vol.12,Article Numbers:67,pages 1-17,″Hypermethylation and decreased expression of TMEM240 are potential early-onset biomarkers for colorectal cancer detection, poor prognosis,and early recurrence prediction″ 発表日:2020年5月12日
本願は、2020年4月29日に出願された米国仮特許出願第63/017、309号の優先権および利益を主張するものである。上記出願の全内容は本明細書の一部として援用される。
本願は、ASCII形式で電子提出された配列表を含み、その全内容は本明細書の一部として援用される。2021年4月29日に作成された前記ASCIIコピーは、G4590-08300PCT_SeqListing.txtの名称で、4キロバイトのサイズである。
発明の分野
本開示は、大腸癌のリスクまたは感受性の予測のためのエピジェネティックバイオマーカーに関する。特に、本開示は、遺伝子バイオマーカーのメチル化状態に基づく大腸癌の早期検出、治療応答性の予測および予後予測のための方法を提供する。
発明の背景
癌は、身体の他の部位に侵入または拡散する可能性のある異常な細胞増殖を含む疾患群であり、世界の主要な死因である。
メチル化DNAは、ほとんどの腫瘍種の組織でバイオマーカーの潜在的なクラスとして研究されてきた。多くの場合、DNAメチルトランスフェラーゼは、遺伝子発現のエピジェネティック制御として、シトシン-リン酸-グアニン(CpG)アイランド部位でDNAにメチル基を付加する。
US20210003575は、結腸癌のバイオマーカーとしてのBMW Rep-タンパク質の使用に関する。US20200291479は、癌組織においてmiR-133aレベルを決定することによる大腸癌患者におけるオキサリプラチン治療などの化学療法の有効性の可能性ならびにそれらの生存見込みを評価するための方法を提供する。US20200377959は、大腸癌を検出する(例えば、スクリーニングする)方法を開示し、その方法は、ヒト被験者のデオキシリボ核酸(DNA)において以下:(a)遺伝子ZNF132内のメチル化遺伝子座;(b)遺伝子ADAMTS2内の最初のメチル化遺伝子座;および(c)遺伝子ADAMTS2内の2番目のメチル化遺伝子座のそれぞれのメチル化状態を決定すること;および決定された前記メチル化状態に基づいてヒト被験者において大腸癌を診断することを含む。
しかしながら、大腸癌の検出における現技術は満足のいくものではない。
発明の概要
本開示は、大腸癌の早期検出、治療応答性の予測および予後予測のための1以上の新規なエピジェネティックバイオマーカーを開示する。エピジェネティックバイオマーカーの異常なメチル化は、癌患者由来の腫瘍組織および血漿サンプルで検出されるが、正常個体では検出されない。本開示はまた、本明細書で使用されるプライマーおよびプローブも開示する。
一実施形態では、本開示は、大腸癌の素因を検出する、または大腸癌の可能性、治療応答性、予後もしくは再発を予測することを必要とする被験者においてメチル化状態を検出するための方法であって、(a)前記被験者から生物学的サンプルを準備すること、および(b)前記生物学的サンプルにおいてTMEM240もしくはそのフラグメントまたはMROH6もしくはそのフラグメントを含む標的DNA配列のメチル化状態を決定することを含み、前記被験者の標的DNA配列における高メチル化または低メチル化の存在が大腸癌を示し、かつ/または大腸癌の素因、可能性、治療応答性の不良、予後不良もしくは再発を示す方法を提供する。
一実施形態では、本開示は、被験者において大腸癌の素因を検出する、または大腸癌の可能性、治療応答性、予後もしくは再発を予測するための方法であって、(a)前記被験者からの生物学的サンプルを準備すること、および(b)前記生物学的サンプルにおいてTMEM240もしくはそのフラグメントまたはMROH6もしくはそのフラグメントを含む標的DNA配列のメチル化状態を決定することを含み、前記被験者の標的DNA配列における高メチル化または低メチル化の存在が大腸癌の素因、可能性、治療応答性の不良、予後不良または再発を示す方法を提供する。
いくつかの実施形態では、生物学的サンプルにおいて標的DNA配列のメチル化状態および対照DNA配列をアッセイするために、標的DNA配列メチル化特異的プローブまたは標的DNA配列メチル化特異的プライマーが使用される。
一実施形態では、被験者の標的DNA配列における高メチル化または低メチル化の存在は、標的DNA配列のメチル化状態と対照DNA配列のメチル化状態を比較することにより決定される。いくつかの実施形態では、本開示は、被験者における大腸癌の素因を検出する、または大腸癌の可能性、治療応答性、予後もしくは再発を予測するための方法であって、(a)TMEM240もしくはそのフラグメントまたはMROH6もしくはそのフラグメントを含む標的DNA配列を含む被験者由来の生物学的サンプルを準備すること、および(b)標的DNA配列メチル化特異的プローブまたは標的DNA配列メチル化特異的プライマーを用いて前記生物学的サンプルにおいて標的DNA配列および対照DNA配列のメチル化状態を決定すること、(c)対照DNA配列と比べた場合の標的DNA配列の相対的なメチル化状態を測定すること、(d)相対的メチル化状態に高メチル化または低メチル化が存在する場合に、前記被験者を大腸癌の素因、可能性、治療応答性の不良、予後不良または再発を有すると特定することを含む方法を提供する。いくつかの実施形態では、TMEM240もしくはそのフラグメントのメチル化状態が対照DNA配列のメチル化状態の約30倍、約32倍、約34倍、約35倍、約36倍、約37倍、約38倍、約39倍または約40倍高い場合に、本明細書に記載される高メチル化が示される。さらなる実施形態では、対照DNA配列のメチル化状態の約37.5倍高い、または低いTMEM240もしくはそのフラグメントのメチル化状態が大腸癌を示す。いくつかの実施形態では、MROH6もしくはそのフラグメントのメチル化状態が対照DNA配列のメチル化状態の約35倍、約37倍、約39倍、約40倍、約41倍、約42倍、約43倍、約44倍、約45倍、約46倍、約47倍、または約48倍高い場合に、本明細書に記載される高メチル化が示される。さらなる実施形態では、対照DNA配列のメチル化状態の約44倍高い、または低いMROH6もしくはそのフラグメントのメチル化状態が大腸癌を示す。さらなる実施形態では、対照DNA配列は、正常組織のものである。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される生物学的サンプルは、組織、細胞、血液、尿、血清、血漿、便、腹水、痰、唾液、胃液、胆汁、または口腔粘膜である。
いくつかの実施形態では、メチル化状態は、ポリメラーゼ連鎖反応、核酸シークエンシング(例えば、バイサルファイトシークエンシングまたはパイロシークエンシング)、バイサルファイト変換、質量分析、メチル化特異的ヌクレアーゼ、質量に基づく分離、標的捕捉またはマイクロアレイにより検出される。特定の実施形態では、メチル化状態は、ポリメラーゼ連鎖反応により検出される。
いくつかの実施形態では、ヒト被験者におけるTMEM240またはそのフラグメントのメチル化状態を決定するためのポリメラーゼ連鎖反応のC値が40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、または50未満である場合に、高メチル化が示される。いくつかの実施形態では、ヒト被験者におけるMROH6またはそのフラグメントのメチル化状態を決定するためのポリメラーゼ連鎖反応のC値が35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、または45未満である場合に、高メチル化が示される。本開示の好ましい実施形態では、ヒト被験者におけるTMEM240またはそのフラグメントのメチル化状態を決定するためのポリメラーゼ連鎖反応のC値が45未満である場合に高メチル化が示され;ヒト被験者におけるMROH6またはそのフラグメントのメチル化状態を決定するためのポリメラーゼ連鎖反応のC値が40未満である場合に高メチル化が示される。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される方法は、大腸癌の検出の必要があるヒト被験者においてメチル化状態を検出するためのものである。
TMEM240またはそのフラグメントのメチル化決定において使用される標的DNA配列メチル化特異的プライマーの特定の実施形態は、配列番号1、2、または3からなる群から選択される配列と約85%、約86%、約87%、約88%、約89%、約90%、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%、約99%、またはそれより高いパーセントの同一性を有する。TMEM240またはそのフラグメントのメチル化決定において使用される標的DNA配列メチル化特異的プローブの特定の実施形態は、配列番号4からなる群から選択される配列と約85%、約86%、約87%、約88%、約89%、約90%、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%、約99%、またはそれより高いパーセントの同一性を有する。いくつかの実施形態では、MROH6またはそのフラグメントのメチル化決定において使用される標的DNA配列メチル化特異的プライマーは、配列番号5または6と少なくとも85%、約86%、約87%、約88%、約89%、約90%、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%、約99%の同一性を有する配列を有する。いくつかの実施形態では、MROH6またはそのフラグメントのメチル化決定において使用するための標的DNA配列メチル化特異的プローブは、配列番号7と少なくとも85%、約86%、約87%、約88%、約89%、約90%、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%、約99%の同一性を有する配列を有する。いくつかの実施形態では、TMEM240またはそのフラグメントのメチル化決定において使用するための標的DNA配列メチル化特異的プローブは、配列番号1、2、および3からなる群から選択される配列と少なくとも85%の同一性を有する配列を有する。いくつかの実施形態では、TMEM240またはそのフラグメントの標的DNA配列メチル化特異的プローブは、配列番号4の配列と約85%の同一性を有する。いくつかの実施形態では、MROH6またはそのフラグメントの標的DNA配列メチル化特異的プライマーは、配列番号5および6からなる群から選択される配列と約85%の同一性を有する。いくつかの実施形態では、MROH6またはそのフラグメントの標的DNA配列メチル化特異的プローブは、配列番号7の配列と約85%の同一性を有する。
さらなる実施形態では、標的DNA配列は、BEND5もしくはそのフラグメントおよびSMAD3もしくはそのフラグメントからなる群から選択される1以上のDNA配列、またはその組合せのいずれかをさらに含む。
本明細書に記載される標的DNA配列の特定の実施形態には、以下のDNA配列の組合せ:TMEM240またはそのフラグメントおよびMROH6またはそのフラグメント;TMEM240またはそのフラグメント、MROH6またはそのフラグメントおよびBEND5またはそのフラグメント;TMEM240またはそのフラグメント、MROH6またはそのフラグメント、BEND5またはそのフラグメントおよびSMAD3またはそのフラグメント;TMEM240またはそのフラグメント、BEND5またはそのフラグメントおよびSMAD3またはそのフラグメント;TMEM240またはそのフラグメント、MROH6またはそのフラグメント、およびSMAD3またはそのフラグメント;MROH6またはそのフラグメントおよびBEND5またはそのフラグメント;およびMROH6またはそのフラグメント、BEND5またはそのフラグメントおよびSMAD3またはそのフラグメントのいずれかが含まれる。さらなる実施形態では、標的DNA配列は、TMEM240またはそのフラグメントおよびMROH6またはそのフラグメントを含む。
いくつかの実施形態では、メチル化状態はポリメラーゼ連鎖反応により決定され、ヒト被験者におけるBEND5またはそのフラグメントのメチル化状態を決定するためのポリメラーゼ連鎖反応のC値が41、42、43、44、45、46、47、48、49、または50未満である場合に、高メチル化が示される。いくつかの実施形態では、メチル化状態はポリメラーゼ連鎖反応により決定され、ヒト被験者におけるSMAD3またはそのフラグメントのメチル化状態を決定するためのポリメラーゼ連鎖反応のC値が30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、または40より高い場合に、低メチル化が示される。本開示のいくつかの実施形態では、ヒト被験者におけるBEND5またはそのフラグメントのメチル化状態を決定するためのポリメラーゼ連鎖反応のC値が45未満である場合に、高メチル化が示される。いくつかの実施形態では、ヒト被験者におけるSMAD3またはそのフラグメントのメチル化状態を決定するためのポリメラーゼ連鎖反応のC値が45より高い場合に、低メチル化が示される。
本開示のいくつかの実施形態では、本方法は、各遺伝子またはそのフラグメントの高メチル化または低メチル化が存在すればスコアを1と定義し、各遺伝子またはそのフラグメントの高メチル化または低メチル化が不在であればスコアを0と定義し、そのスコアを合計する工程をさらに含む。
本開示のいくつかの実施形態では、本方法は、
TMEM240もしくはそのフラグメントのC値が45未満であればTMEM240のスコア1と定義し;TMEM240もしくはそのフラグメントのC値が45以上であればTMEM240のスコアを0と定義すること;
MROH6もしくはそのフラグメントのC値が40未満であればMROH6のスコアを1と定義し;MROH6もしくはそのフラグメントのC値が45以上であればMROH6のスコアを0と定義すること;
BEND5もしくはそのフラグメントのC値が45未満であればBEND5のスコアを1と定義し、スコアを合計し;BEND5もしくはそのフラグメントのC値が45以上であればBEND5のスコアを0定義すること;または
SMAD3もしくはそのフラグメントのC値が45より高ければSMAD3のスコアを1と定義し;SMAD3もしくはそのフラグメントのC値が45以下であればSMAD3のスコアを0と定義すること;および
TMEM240、MROH6、BEND5およびSMAD3のスコアを合計すること
をさらに含む。
本開示のいくつかの実施形態では、TMEM240、MROH6、およびBEND5のスコアの合計が0.15、0.16、0.17、0.18、0.19、0.20、0.21、0.22、0.23、0.24、または0.25より高ければ、その被験者は大腸癌の素因、可能性、治療応答性の不良、予後不良または再発を示す。本開示のいくつかの実施形態では、TMEM240、MROH6、およびBEND5のスコアの合計が0.20より高ければ、その被験者は大腸癌の素因、可能性、治療応答性の不良、予後不良、または再発を示す。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるような標的DNA配列メチル化特異的プローブまたは標的DNA配列メチル化特異的プライマーまたはその組合せのいずれかは、以下の1以上のDNA配列またはその組合せのいずれか:BEND5またはそのフラグメントおよびSMAD3またはそのフラグメントのメチル化状態を決定するためにさらに使用される。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるBEND5またはそのフラグメントの標的DNA配列メチル化特異的プライマーは、配列番号8、9、10または11と少なくとも85%、88%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%の同一性を有する配列を有する。いくつかのさらなる実施形態では、BEND5またはそのフラグメントの標的DNA配列メチル化特異的プライマーは、配列番号8、9、10または11の配列である。BEND5またはそのフラグメントの標的DNA配列メチル化特異的プローブは、配列番号12または13と少なくとも85%、88%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%の同一性を有する配列を有する。さらなる実施形態では、BEND5またはそのフラグメントの標的DNA配列メチル化特異的プローブは、配列番号12または13の配列を有する。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるSMAD3またはそのフラグメントの標的DNA配列メチル化特異的プライマーは、配列番号14または15と少なくとも85%、88%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%の同一性を有する配列を有する。いくつかのさらなる実施形態では、SMAD3またはそのフラグメントの標的DNA配列メチル化特異的プライマーは、配列番号14または15の配列を有する。SMAD3またはそのフラグメントの標的DNA配列メチル化特異的プローブは、配列番号16と少なくとも85%、88%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%の同一性を有する配列を有する。さらなる実施形態では、SMAD6またはそのフラグメントの標的DNA配列メチル化特異的プローブは、配列番号16の配列を有する。
さらなる実施形態では、メチル化状態を決定することは、加重和スコア解析により特異度および感度を測定する工程をさらに含む。いくつかのさらなる実施形態では、標的TMEM240、MROH6、BEND5およびSMAD3もしくはそのフラグメントの組み合わせ、または標的TMEM240、MROH6、BEND5およびSMAD3もしくはそのフラグメントのメチル化状態の決定は、約100%の感度および約100%の特異度および約100%の精度を有する。
さらなる実施形態では、本明細書に記載される方法は、抗大腸癌薬を被験者に投与する工程をさらに含む。
本開示は、被験者において大腸癌の素因を検出する、または大腸癌の可能性、治療応答性、予後もしくは再発を予測するための方法であって、(a)前記被験者からの生物学的サンプルを準備すること、および(b)前記生物学的サンプルにおいてTMEM240またはそのフラグメントおよびMROH6またはそのフラグメントを含む標的DNA配列のメチル化状態を決定することを含み、前記被験者の標的DNA配列における高メチル化または低メチル化の存在が大腸癌の素因、可能性、治療応答性の不良、予後不良または再発を示す方法を提供する。
本開示のいくつかの実施形態では、本方法は、配列番号1、2、もしくは3と少なくとも85%の同一性を有する配列を有する標的DNA配列メチル化特異的プライマーまたは配列番号4と少なくとも85%の同一性を有する配列を有する標的DNA配列メチル化特異的プローブを用いてTMEM240またはそのフラグメントのメチル化状態を決定すること、および配列番号5もしくは6と少なくとも85%の相同性を有する配列を有するMROH6メチル化特異的プライマーまたは配列番号7と少なくとも85%の相同性を有する配列を有するMROH6配列メチル化特異的プローブを用いてMROH6またはそのフラグメントのメチル化状態を決定することを含む。
本開示のいくつかの実施形態では、標的DNA配列は、BEND5もしくはそのフラグメントおよびSMAD3もしくはそのフラグメントからなる群から選択される1以上のDNA配列、またはその組合せのいずれかをさらに含む。
本開示は、配列番号1~16からなる群から選択される配列を有する単離された核酸分子を提供する。
本開示はまた、被験者において大腸癌の素因を検出する、または大腸癌の可能性、治療応答性、予後もしくは再発を予測するためのキットであって、本明細書に記載されるような標的DNA配列のメチル化状態をアッセイするための単離された核酸分子を含むキットも提供する。キットは、重硫酸ナトリウムおよび全標的遺伝子増幅のためのアダプター、および本明細書に記載されるような標的DNA配列の標的DNA配列におけるメチル化および/または非メチル化シトシン残基の存在を定量するためのポリヌクレオチド(例えば、検出可能なように標識されたポリヌクレオチド)をさらに含み得る。さらに、キットは、全標的配列または遺伝子増幅のためのメチル化感知制限酵素をさらに含み得る。
本開示は、配列番号1および2もしくはそれと少なくとも85%の同一性を有する配列;または配列番号1および3もしくはそれと少なくとも85%の同一性を有する配列を含むTMEM240もしくはそのフラグメントのメチル化状態を検出するための標的DNA配列メチル化特異的プライマー対を提供する。本開示は、配列番号4またはそれと少なくとも85%の同一性を有する配列を含むTMEM240またはそのフラグメントのメチル化状態を検出するための標的DNA配列メチル化特異的プローブを提供する。
本開示は、配列番号5および6またはそれと少なくとも85%の同一性を有する配列を含むMROH6またはそのフラグメントのメチル化状態を検出するための標的DNA配列メチル化特異的プライマー対を提供する。本開示は、配列番号7またはそれと少なくとも85%の同一性を有する配列を含むMROH6またはそのフラグメントのメチル化状態を検出するための標的DNA配列メチル化特異的プローブを提供する。
本開示は、配列番号8および9もしくはそれと少なくとも85%の同一性を有する配列;または配列番号10および11もしくはそれと少なくとも85%の同一性を有する配列を含むBEND5またはそのフラグメントのメチル化状態を検出するための標的DNA配列メチル化特異的プライマー対を提供する。本開示は、配列番号12もしくは13またはそれと少なくとも85%の同一性を有する配列を含むBEND5またはそのフラグメントのメチル化状態を検出するための標的DNA配列メチル化特異的プローブを提供する。
本開示は、配列番号14および15またはそれと少なくとも85%の同一性を有する配列を含むSMAD3またはそのフラグメントのメチル化状態を検出するための標的DNA配列メチル化特異的プライマー対を提供する。本開示は、配列番号16またはそれと少なくとも85%の同一性を有する配列を含むSMAD3またはそのフラグメントのメチル化状態を検出するための標的DNA配列メチル化特異的プローブを提供する。
本開示はまた、被験者において大腸癌の素因を検出する、または大腸癌の可能性、治療応答性、予後もしくは再発を予測するためのキットであって、TMEM240またはそのフラグメントおよびMROH6またはそのフラグメントを含む標的DNA配列のメチル化状態を検出するための標的DNA配列メチル化特異的プライマー対を含むキットを開示する。本開示の一実施形態では、キットは、TMEM240またはそのフラグメントおよびMROH6またはそのフラグメントを含む標的DNA配列のメチル化状態を検出するための標的DNA配列メチル化特異的プローブをさらに含む。
いくつかの実施形態では、キットは、BEND5もしくはそのフラグメントまたはSMAD3もしくはそのフラグメント、またはそのいずれかの組合せのメチル化状態を検出するための1以上の標的DNA配列メチル化特異的プライマー対をさらに含む。いくつかの実施形態では、キットは、BEND5もしくはそのフラグメントまたはSMAD3もしくはそのフラグメント、またはそのいずれかの組合せのメチル化状態を検出するための1以上の標的DNA配列メチル化特異的プローブをさらに含む。
図1A~1Hは、腫瘍組織と隣接正常組織の間の、遺伝子の標的核酸およびプロモーター、エキソンおよび遺伝子本体領域それぞれのメチル化状態の違いに関するヒートマップを示す(図1A:TaiwanサンプルのTMEM240;図1B:TaiwanサンプルのMROH6;図1C:TaiwanサンプルのBEND5;図1D:TaiwanサンプルのSMAD3;図1E:TCGAサンプルのTMEM240;図1F:TCGAサンプルのMRTH6;図1G:TCGAサンプルのBEND5;図1H:TCGAサンプルのSMAD3)。 図1-1の続きである。 図1-2の続きである。 図1-3の続きである。 図2A~2Eは、健常被験者および大腸癌患者の血漿サンプルにおける標的遺伝子のエピジェネティックバイオマーカーのメチル化状態の早期検出における違いを示す(図2A:TMEM240;図2B:MROH6;図2C:BEND5;図2D:SMAD3;図2E:TMEM240、MROH6およびBEND5のDNAメチル化レベル)。 図2-1の続きである。 図2-2の続きである。 図2-3の続きである。 図2-4の続きである。 図2-5の続きである。 図3は、健常被験者および大腸癌患者の血漿サンプルにおける標的遺伝子のエピジェネティックバイオマーカーのDNAメチル化レベル(スコア)の合計を示す。 図4は、大腸癌患者および健常被験者における標的遺伝子のエピジェネティックバイオマーカーのメチル化状態の早期検出を示す受信者動作特性(ROC)曲線解析を示す。
発明の詳細な説明
本発明は本明細書に記載される特定の材料および方法に限定されるものではないと理解される。本明細書で使用される技術用語は、特定の実施形態を記載するためのものであり、本発明の範囲を限定することを意図せず、本発明の範囲は添付の特許請求の範囲によってのみ限定されることも理解されるべきできる。
本明細書および添付の特許請求の範囲で使用される場合、単数形「1つの(a)」、「1つ(an)」および「その(the)」は、その内容が別段の明示をしない限り、複数形も含むことに留意されたい。よって、例えば、「バイオマーカー」という場合、2以上のバイオマーカーの混合物を含むなどである。
用語「AUC」は、本明細書で使用される場合、曲線下面積の略語である。特に、AUCは受信者動作特性(ROC)曲線下面積を指す。ROC曲線は、診断検査の複数の設定可能なカットポイントに関して偽陽性率に対して真の陽性率をプロットしたものである。ROC曲線は、選択されたカットポイントに応じて感度と特異度の間でトレードオフを示す(感度の増加は特異度の低下を伴う)。ROC曲線下面積(AUC)は、診断検査の精度の指標である(大きいほど良好となり、最適は1であり、無作為検査ではROC曲線は対角線上にあり、面積は0.5である;J. P. Egan. Signal Detection Theory and ROC Analysis, Academic Press, New York, 1975を参照のこと)。
「生物学的サンプル」という用語は、被験者から単離された組織、細胞、または体液のサンプルを指し、限定されるものではないが、例えば、血液、バフィーコート、血漿、血清、血液細胞(例えば、末梢血単核細胞(PBMCS)、バンド細胞、好中球、後骨髄球、単球、またはT細胞)、糞便、尿、骨髄、胆汁、便、腹水、痰、脊髄液、リンパ液、皮膚サンプル、外分泌物(皮膚、呼吸器系、腸管、および尿生殖器)、涙、唾液、乳汁、臓器、生検および、培養培地中の細胞および組織の増殖から得られる細胞馴化培地を含むin vitro細胞培養成分(限定されるものではないが、例えば、組換え細胞、および細胞成分)のサンプルが挙げられる。
「バイオマーカー」という用語は、対照被験者(例えば、陰性診断または検出不能の癌を有する者、正常または健常被験者)から採取された同等のサンプルと比較した場合に、ヒト癌を有する患者から採取されたサンプルに存在する核酸分子を指す。バイオマーカーは、検出および/または定量可能な核酸、核酸のフラグメント、ポリヌクレオチド、またはオリゴヌクレオチドであり得る。バイオマーカーとしては、遺伝子由来のヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチドが挙げられる。
「CpGアイランド」という用語は、本明細書で使用する場合、ゲノムの他の部分に比べてGCリッチなゲノム中のDNAストレッチを指す。一般に、これらの領域のGC含量は50%以上であり、数百塩基対、場合によっては数千塩基対に及ぶ。しばしばこれらの領域は、遺伝子の5’末端を示す。
本明細書で使用する場合、癌の「早期検出」という用語は、転移前に癌の可能性を発見することを指す。好ましくは、サンプル組織または細胞における形態学的変化前に癌の可能性を発見することを指す。
本明細書で使用する場合、「検出する」、「検出すること」または「検出」という用語は、検出可能なように標識された組成物の発見もしくは識別の一般的行為または特異的観測のいずれかを表し得る。
「遺伝子」という用語は、ポリペプチド、前駆体、またはRNA(例えば、リボソームRNA、トランスファーRNA、スプリコソームRNA、マイクロRNAなどの非コードRNA)の生産に必要なコード配列を含む核酸(例えば、DNA)配列を指す。ポリペプチドまたは非コードRNAは、全長コード配列により、または全長もしくはフラグメントポリペプチドの所望の活性または機能的特性(例えば、酵素活性、リガンド結合、シグナル伝達、免疫原性など)が保持される限りコード配列の任意の部分によりコードされ得る。よって、遺伝子は、プロモーター配列、ターミネーター、リボソーム結合部位および内部リボソーム進入部位などの翻訳調節配列、エンハンサー、サイレンサー、インスレーター、バンダリーエレメント、複製開始点、マトリックス付着部位および遺伝子座制御領域を含むことができ、または排除することができる。この用語はまた、構造遺伝子のコード領域ならびに5’末端および3’末端の両方でコード領域に隣接して、いずれの末端でも遺伝子の長さが全長mRNAに相当するように約1kb以上の距離に位置する配列を包含する。「遺伝子」という用語はさらに、遺伝子のcDNAおよびゲノム形態の両方を含む。
本明細書で使用する場合、「プロモーター」という用語は、一般に遺伝子の上流(遺伝子の5’領域に向かって)に位置し、遺伝子の転写を開始および駆動するために必要とされるDNA領域を指す。プロモーターは、それが制御する遺伝子の適正な活性化または抑制を可能とし得る。プロモーターは、転写因子により認識される特異的配列を含み得る。これらの因子は、遺伝子のコード領域からRNAを合成する酵素であるRNAポリメラーゼの動員をもたらすプロモーターDNA配列に結合し得る。プロモーターは一般に、上流プロモーター、5’UTR、イントロン、およびリーダー配列を含む、遺伝子の上流に位置するあらゆる遺伝子調節要素を指す。
「エキソン」という用語は、成熟したRNA産物に表される挿入のある遺伝子のいずれのセグメントも指す。「イントロン」という用語は、転写されるが、そのいずれかの側でエキソンとともにスプライシングにより転写産物から除去されるいずれのDNAセグメントも指す。操作上、エキソン配列は遺伝子のmRNA配列内に存在する。操作上、イントロン配列は、エキソン配列に挟まれ、通常、それらの5’および3’境界部にGTおよびAGスプライスコンセンサス配列を有する、遺伝子のゲノムDNA内の介在配列である。
本明細書で使用する場合、「相同性(homology)」という用語は、第2の配列と一定の程度の配列同一性を共有するが、その配列は第2の配列と同一ではない第1の配列を指す。例えば、変異遺伝子の野生型配列を含むポリヌクレオチドは、その変異遺伝子の配列と相同であって、同一でない。いくつかの実施形態では、2配列間の相同性の程度は、適当なストリンジェント条件下でそれとの相同組換えを可能とするのに十分なものである。
核酸およびアミノ酸配列同一性を決定するための技術には、遺伝子のmRNAのヌクレオチド配列を決定することおよび/またはそれによりコードされるアミノ酸配列を決定すること、およびこれらの配列と第2のヌクレオチドまたはアミノ酸配列を比較することを含む。ゲノム配列もまた、この様式で決定および比較が可能である。一般に、同一性は、2つのポリヌクレオチド配列またはポリペプチド配列の、それぞれヌクレオチドとヌクレオチドまたはアミノ酸とアミノ酸の正確な一致を指す。2以上の配列(ポリヌクレオチドまたはアミノ酸)は、それらの同一性のパーセントを決定することによって比較することができる。2配列の同一性パーセントは、核酸であれアミノ酸配列であれ、アラインされた2つの配列間の正確な一致の数を短い方の配列で割った商に100を掛けたものである。
いくつかの実施形態では、ポリヌクレオチド間の配列類似性の程度は、相同領域間で安定な二重鎖の形成を可能とする条件下でのポリヌクレオチドのハイブリダイゼーションとその後の一本鎖特異的ヌクレアーゼによる消化、および消化されたフラグメントのサイズの決定により決定することができる。2つの核酸配列、または2つのポリペプチド配列は、それらの配列が上記の方法を用いて決定した場合に、分子の定義された長さにわたって少なくとも約70%~75%、好ましくは80%~82%、より好ましくは85%~90%、いっそうより好ましくは92%、なおより好ましくは95%、最も好ましくは98%の配列同一性を示す場合に互いに実質的に相同である。本明細書で使用する場合、実質的に相同とはまた、特定のDNA配列またはポリペプチド配列と完全な同一性を示す配列を指す。実質的に相同なDNA配列は、その特定のシステムに関して定義されるような例えば、ストリンジェント条件下でサザンハイブリダイゼーション試験にて特定することができる。例えば、Sambrook et al., 前掲; Nucleic Acid Hybridization: A Practical Approach, editors B. D. Hames and S. J. Higgins, (1985) Oxford; Washington, D.C.; IRL Pressを参照のこと。
本明細書で使用する場合、「予測」という用語は、患者が薬剤または薬剤セットに対して有利または不利に応答する可能性、またそれらの応答の程度を指す。従って、治療予測因子は、予後とは無関係に、特定の治療に対する個々の患者の応答に関連する変数である。
「メチル化」という用語は、本明細書で使用する場合、DNAメチルトランスフェラーゼ酵素の作用により、核酸、例えばゲノムDNAの一領域に1または複数のシトシン塩基に付加されたメチル基の存在を指す。
核酸分子の「メチル化状態」という用語は、核酸分子における1以上のメチル化ヌクレオチド塩基の存在または不在を指す。例えば、メチル化シトシンを含有する核酸分子は、メチル化と見なされる(すなわち、その核酸分子のメチル化状態はメチル化である)。メチル化ヌクレオチドを含まない核酸分子は、非メチル化と見なされる。
「高メチル化」という用語は、核酸分子において試験DNAサンプルのDNA配列内の1または複数のCpGジヌクレオチドのメチル化ヌクレオチド塩基の存在が、その核酸分子において正常対照DNAサンプル内の、相当するCpGジヌクレオチドに見られるメチル化ヌクレオチド塩基の量に比べて増加していることに相当する平均メチル化状態を指す。
「低メチル化」という用語は、核酸分子において試験DNAサンプルのDNA配列内の1または複数のCpGジヌクレオチドのメチル化ヌクレオチド塩基の存在が、その核酸分子において正常対照DNAサンプル内の、相当するCpGジヌクレオチドに見られるメチル化ヌクレオチド塩基の量に比べて減少していることに相当する平均メチル化状態を指す。
「C値」という用語は、閾値サイクルの略語であり、PCR産物が検出の閾値を超える計算サイクル数と定義される。
「被験者」という用語は、ヒトを指す。
「感受性」という用語は、組織を特定の外因性刺激に対して特別な様式で応答させ、その結果、その個体が特定の疾患に対して通常よりも影響を受けやすくなる、身体の構成または状態を指す。
「標的部位」または「標的配列」という用語は、結合のための十分な条件が存在する場合に、結合分子が結合する核酸の部分を定義する核酸配列を指す。
「リスク」という用語は、ある期間、例えば以降の10年以内、または被験者の生涯の間に推定される疾病に罹患する機会を意味する。
「予後」という用語は、本明細書で使用する場合、一般に、病態または疾病の起こり得る経過および転帰の予測を指す。患者の予後は、通常、疾患の好ましいまたは好ましくない経過または転帰を示す疾患の因子または症状を評価することによって行われる。
「重量和スコア」という用語は、あらゆる可能性のある選択肢が、異なる目的の重要性を強調するために個々に加重された、全ての目的を含むスコアによって評価されることを指す。
本明細書で使用する場合、「核酸分子」(または「核酸」または「ポリヌクレオチド」)という用語は、RNA、cDNA、ゲノムDNA、および合成形態ならびに上記の混合ポリマーのセンス鎖およびアンチセンス鎖の両方を含み得るヌクレオチドの重合形態を指し得る。ヌクレオチドは、リボヌクレオチド、デオキシリボヌクレオチド、またはいずれかのタイプのヌクレオチドの修飾型を指し得る。「核酸分子」は、本明細書で使用する場合、「核酸」および「ポリヌクレオチド」と同義である。核酸分子は、別段の指摘がない限り、通常、少なくとも10塩基の長さである。この用語は、長さが不確定なRNAまたはDNAの分子を指す場合もある。この用語は、一本鎖および二本鎖の形態のDNAを含む。核酸分子は、天然に存在するヌクレオチド結合および天然に存在しないヌクレオチド結合によって相互に連結された修飾ヌクレオチドのいずれかまたは両方を含み得る。
癌は、細胞増殖と細胞死の調節を欠いたバランスをもたらす遺伝子の1以上の突然変異または修飾によって引き起こされる細胞の異常増殖を特徴とする。癌のような多くの疾患過程では、遺伝子プロモーターのCpGアイランドが異常な高メチル化を獲得し、その結果、細胞分裂後の娘細胞によって受け継がれ得る転写サイレンシングが生じる。癌においてサイレンシングを引き起こすDNAメチル化は、通常、タンパク質コード遺伝子のプロモーターに存在するCpGアイランドの複数のCpG部位に生じる。DNAメチル化の変化は、癌発症の重要な要素として認識されている。DNAメチル化プロファイリングは、他の癌検出と比較して、より高い臨床感度とダイナミックレンジを提供する。従って、本開示は、大腸癌の早期予測、治療応答性および予後または再発監視のための方法およびキットを提供する。
本開示では、ヒト被験者において大腸癌を検出する、または大腸癌の素因を検出する、または大腸癌の治療応答性、予後もしくは再発を予測するために、生物学的サンプルにおける標的DNA配列またはそのフラグメントのメチル化状態が測定される。さらなる実施形態では、ヒト被験者において大腸癌を検出する、または大腸癌の素因を検出する、または大腸癌の治療応答性、予後もしくは再発を予測するために、生物学的サンプルにおいてTMEM240もしくはそのフラグメントまたはMROH6もしくはそのフラグメントを含む標的DNA配列のメチル化状態が測定される。さらなる実施形態では、BEND5もしくはそのフラグメントまたはSMAD3もしくはそのフラグメントのメチル化状態がさらに測定される。
TMEM240は、脳および小脳に見られる膜貫通ドメイン含有タンパク質膜貫通タンパク質240をコードする。TMEM240の突然変異は、精神遅滞、重度認知障害、および低運動性および高運動性運動障害を伴う脊髄小脳運動失調21(SCA21)を引き起こすことが判明した。好ましい一実施形態では、標的DNA配列は、TMEM240のプロモーターおよびエキソン1領域を含む。
MROH6遺伝子は、maestro heat like repeat family member 6をコードする。MROH6に関連する疾患としては、非症候性知的障害および常染色体劣性非症候性知的障害が含まれる。
BEND5遺伝子は、転写リプレッサーとして働くBEN Domain Containing 5をコードする。好ましい一実施形態では、標的DNA配列は、BEND5のプロモーターおよびエキソン1領域を含む。
SMAD3遺伝子は、トランスフォーミング増殖因子-βに関連するSMAD Family Member 3をコードする。好ましい一実施形態では、標的DNA配列は、SMAD3のプロモーター領域を含む。
いくつかの実施形態では、メチル化は、シトシンメチル化部位を含む。いくつかの場合では、シトシンメチル化は、5-メチルシトシン(5-mCyt)および5-ヒドロキシメチルシトシンを含む。いくつかの場合では、シトシンメチル化部位は、CpGジヌクレオチドモチーフ内に存在する。他の場合には、シトシンメチル化部位は、アデニン、シトシンまたはチミンがあるCHGまたはCHHモチーフ内に存在する。いくつかの場合では、1以上のCpGジヌクレオチドモチーフまたはCpG部位は、CpGジヌクレオチドリッチな短いDNA配列であるCpGアイランドを形成する。いくつかの場合では、CpGアイランドは、常にではないが、一般に約0.2~約1kbの長さである。いくつかの場合では、メチル化は、CpGアイランドのメチル化を含む。
いくつかの実施形態では、メチル化状態は、メチル化特異的酵素消化;バイサルファイトシークエンシング;プロモーターのメチル化、CpGアイランドのメチル化、MSP、HeavyMethyl、MethyLight、およびMs-SNuPEから選択される解析;ならびに増幅されたDNAの検出に頼るその他の方法によって解析される。「MethyLight(商標)」という用語は、蛍光に基づくリアルタイムPCR技術を指す。MethyLightは、本明細書の一部として援用されるEads et al., Cancer Res. 59:2302-2306, 1999に記載されている。
「HeavyMethyl」アッセイという用語は、増幅プライマー間のCpG位置をカバーする、または増幅プライマーによってカバーされるメチル化特異的ブロッキングプローブ(本明細書ではブロッカーとも呼ぶ)が核酸サンプルのメチル化特異的選択的増幅を可能にするアッセイを指す。
「Ms-SNuPE」という用語は、Methylation-sensitive Single Nucleotide Primer Extensionを指す。MsSNuPEは、本明細書の一部として援用されるGonzalgo & Jones, Nucleic Acids Res. 25:2529-2531, 1997に記載されている。
「MSP」という用語は、Methylation-specific PCRを指す。MSPは、Herman et al. Proc. Natl.Acad. Sci. USA 93:9821-9826、1996、および米国特許第5,786,146号に記載され、これらはそれぞれ本明細書の一部として援用される。
DNAのバイサルファイト修飾は、CpGのメチル化状態を評価する方法である。5-メチルシトシンは、真核細胞のDNAにおいて最も頻度の高い共有結合性の塩基修飾である。しかしながら、5-メチルシトシンはシトシンと同じ塩基対形成挙動を示すため、シークエンシングまたはハイブリダイゼーション法では5-メチルシトシンの位置を直接特定することができない。さらに、5-メチルシトシンが持つエピジェネティック情報は、PCR増幅などの際に完全に失われてしまう。バイサルファイトシークエンシングは、5-メチルシトシンの存在についてDNAを分析するための方法であり、バイサルファイトとシトシンの特異的反応に基づき、その後のアルカリ加水分解時に、シトシンは、その塩基対形成挙動においてチミンに相当するウラシルに変換される。しかしながら、5-メチルシトシンは前述の条件下では修飾されないままである。このように、元のDNAは、そのハイブリダイゼーション挙動によって本来シトシンと区別できないメチルシトシンが、分子生物学的技術を用い、例えば増幅とハイブリダイゼーション、またはシークエンシングによって、唯一残ったシトシンとして検出できるような方式で変換される。
一実施形態では、メチル化状態は、ポリメラーゼ連鎖反応、核酸シークエンシング(例えば、バイサルファイトシークエンシングまたはパイロシークエンシング)、バイサルファイト変換、質量分析、メチル化特異的ヌクレアーゼ、質量に基づく分離、標的捕捉またはマイクロアレイによって検出される。一実施形態では、メチル化状態は、標的遺伝子のメチル化CpGを増幅するためにプライマーを使用することによって検出される。さらなる実施形態では、メチル化の検出は、PCR、メチル化特異的PCR(MSP)、リアルタイムメチル化特異的PCR、定量的メチル化特異的PCR(QMSP)、メチル化DNA特異的結合タンパク質または定量的PCRを使用するPCRによって行われる。
本開示の一実施形態では、本明細書に記載される遺伝子のメチル化CpGを増幅することができる標的DNA配列メチル化特異的プライマーが使用可能である。標的DNA配列メチル化特異的プライマーは、それらの遺伝子のメチル化CpGとハイブリダイズする領域に少なくとも1つまたは複数のCpGジヌクレオチドを含む。具体的には、それらの遺伝子のメチル化CpGを増幅するための標的DNA配列メチル化特異的プライマーは、表1に示されるような下記配列からなる群から選択される配列と約85%、約86%、約87%、約88%、約89%、約90%、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%、約99%、またはそれより高いパーセントの相同性を有する配列を含む。
本開示の一実施形態では、本明細書に記載される遺伝子のメチル化CpGとハイブリダイズし得る標的DNA配列メチル化特異的プローブが使用可能である。それらの遺伝子のメチル化CpGとハイブリダイズし得る標的DNA配列メチル化特異的プローブは、遺伝子のメチル化CpGとハイブリダイズする領域に少なくとも1つまたは複数のCpGジヌクレオチドを含む。具体的には、プローブは、表1に示されるような下記配列からなる群から選択される配列と約85%、約86%、約87%、約88%、約89%、約90%、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%、約99%、またはそれより高いパーセントの相同性を有する配列を含み得る。
Figure 2023524224000001
一実施形態では、標的DNA配列のメチル化状態の検出は、標的遺伝子の正常な状態に比べて、標的DNA配列に高メチル化の存在を含む。
いくつかの実施形態では、生物学的サンプルは、大腸癌を有する疑いのあるヒト被験者または検出対象のヒト被験者に由来する組織、細胞、血液、尿、血清、血漿、便、腹水、痰、唾液、胃液、胆汁、または口腔粘膜である。
本明細書で使用する場合、「癌の検出を必要とする」という用語は、初期診断(例えば、塊状物またはバイオマーカーレベルの増加を示すCTスキャン)を受けたが、癌のステージまたは癌を示すメチル化遺伝子の有無が知られていない個人を指す。この用語はさらに、かつて癌に罹患していた人(例えば、寛解中の個人)を含む。
いくつかの実施形態では、状態を適正に予測する検出検査は、アッセイの感度、アッセイの特異度、または受信者操作特性(ROC)曲線下面積(AUC)として測定される。例えば、ROC曲線下面積が大きいほど、その検査の予測値はより正確または強力である。
一実施形態では、核酸配列および遺伝子におけるメチル化状態を指標として決定するために、加重和スコアを測定する。加重和モデル(weighted sum model)(WSM)は、多数の選択肢を多数の決定基準の観点から評価するための最もよく知られ最も単純な多基準決定解析(multi-criteria decision analysis)(MCDA)/多基準決定方法である。本開示によれば、加重和スコア解析は、TMEM240、MROH6、BEND5およびSMAD3の組合せが、対照の約100%の感度および約96%の特異度を示すことを示す。
いくつかの実施形態では、本明細書で開示されるバイオマーカーのうち1以上が、異なるサンプルで少なくともp<0.05の統計的差異を示す。これらのバイオマーカーを使用する検出検査は、少なくとも0.9のAUCを示し得る。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるDNA配列におけるエピジェネティックバイオマーカーの高メチル化状態は、予後「不良」または被験者が薬剤または薬剤セットに好ましくない応答を示して癌の進行および/または1以上の治療薬の不応性に至り得る可能性と相関する。いくつかの場合では、予後「不良」とは、被験者が薬物または薬物セットに反応せずに癌の進行に至り得る可能性を指す。いくつかの場合では、予後「不良」は、被験者の生存期間が5年未満~1か月未満であることを指す。いくつかの場合では、予後「不良」は、治療時の被験者の生存が5年未満~1か月未満である被験者の生存期間を指す。いくつかの場合では、予後「不良」はさらに、被験者が1以上の薬剤に対して不応性の癌を発症する可能性を指す。
いくつかの実施形態では、本開示は、配列番号1~16からなる群から選択される配列を有する単離された核酸分子を提供する。
いくつかの実施形態では、本開示は、ヒト被験者において大腸癌の素因を検出する、または大腸癌の可能性、治療応答性、予後もしくは再発を予測することを必要とするヒト被験者においてメチル化状態を検出するためのキットであって、TMEM240もしくはそのフラグメントまたはMROH6もしくはそのフラグメントを含む標的DNA配列のメチル化状態をアッセイするための、配列番号1~4または5~7からなる群から選択される配列を有する単離された核酸分子を含むキットを提供する。
本開示のいくつかの好ましい実施形態では、標的DNA配列は、BEND5またはそのフラグメントおよびSMAD3またはそのフラグメントからなる群から選択される1以上のDNA配列、またはその組合せのいずれかをさらに含み、キットは、標的DNA配列のメチル化状態をアッセイするための配列番号8~16からなる群から選択される配列を有する単離された核酸分子をさらに含む。
いくつかの場合では、キットは、1以上の標的DNA配列のメチル化状態/レベルを検出または測定するために、複数の標的DNA配列メチル化特異的プライマーまたは標的DNA配列メチル化特異的プローブを含む。このようなキットは、いくつかの場合では、本明細書に記載されるメチル化バイオマーカー配列のうち少なくとも1つとハイブリダイズ少なくとも1つのポリヌクレオチドおよび遺伝子のメチル化の検出のための少なくとも1つの試薬を含む。メチル化の検出のための試薬としては、例えば、重硫酸ナトリウム、マーカー配列がメチル化されていなければ(例えば、少なくとも1つのC-U変換を含む)マーカー配列の産物である配列とハイブリダイズするように設計されたポリヌクレオチド、および/またはメチル化感受性またはメチル化依存性制限酵素が含まれる。いくつかの場合では、キットは、アッセイにおける使用に適合されたアッセイ装置の形態の固相支持体を提供する。いくつかの場合では、キットは、キット内に、ポリヌクレオチド、例えばプローブと所望により連結された検出可能な標識をさらに含む。いくつかの実施形態では、キットは、本明細書に記載されるような加重和スコアを得るための処理装置をさらに含む。
所望により、キットにはまた、増幅産物にハイブリダイズし得る1以上の検出可能なように標識されたポリペプチドも含まれる。いくつかの実施形態では、キットは、本明細書に記載される標的DNA配列を増幅するために十分なプライマーを含み、所望により、各増幅DNA領域またはその一部とハイブリダイズし得る、検出可能なように標識されたポリヌクレオチドを含む。キットはさらに、メチル化依存性またはメチル化感受性制限酵素および/または重硫酸ナトリウムを含み得る。
いくつかの実施形態では、キットは、重硫酸ナトリウム、全標的遺伝子増幅のためのプライマーおよびアダプター、ならびに本明細書に記載されるエピジェネティックバイオマーカーのDNA領域から少なくとも1つのシトシンの保存されたメチル化配列およびまたは保存された非メチル化配列の存在を低領するためのポリヌクレオチド(例えば、検出可能なように標識されたポリヌクレオチド)を含む。
いくつかの実施形態では、キットは、メチル化感知制限酵素、全標的遺伝子増幅のためのプライマーおよびアダプター、ならびに本明細書に記載されるエピジェネティックマーカーのDNA領域の少なくとも一部のコピーの数を定量するためのポリヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態では、キットは、メチル化結合部分および本明細書に記載されるマーカーのDNA領域の少なくとも一部のコピーの数を定量するための1以上のポリヌクレオチドを含む。
本明細書で説明され請求される発明は、この詳細な説明に、限定されるものではないが、提示または記載または参照されるものを含む多くの属性および実施形態を有する。全てを網羅することを意図せず、本明細書に記載および請求される発明はこの詳細な開示で特定される特徴または実施形態に制限されず、この詳細な開示は例示を目的としているにすぎず、限定ではない。当業者であれば、本発明の範囲から逸脱することなく、構成要素およびパラメーターの多くをある程度変更もしくは改変すること、または既知の等価物に置き換えること可能であることを容易に認識するであろう。このような改変および等価物は、あたかも個々に示されるように本明細書の一部として援用されることを理解されたい。本発明はまた、本明細書で言及されるまたは示される全ての工程、特徴、組成物および化合物を個別にまたは集合的に、および前記工程または特徴の任意の2つ以上のありとあらゆる組合せも含む。
本開示を例示的実施形態で説明してきたが、当業者には様々な変更および改変が示唆されるであろう。本開示は、添付の特許請求の範囲の範囲内に入るような変更および改変を包含することが意図される。
材料および方法
サンプル調製
血液サンプルは、in vitro診断ccfDNA検査用に特殊設計されたETDA-K2チューブおよびPAXgene Blood ccfDNA(循環細胞非含有DNA)チューブ(Qiagen、ヒルデン、ドイツ、768165)を用いて採取した。ETDA-K2チューブ(BD、プリマス、UK、367525)を用いて採取したサンプルは、すぐに2000×g、4℃で10分間遠心分離した。2時間以内に、各サンプルからの上清を新しい遠沈管に移し、6000×g、4℃で30分間遠心分離した後、-80℃で保存した。PAXgene Blood ccfDNAチューブを用いて採取したサンプルは、3日以内の使用まで室温(15~25℃)で維持し、その後、2000×g、4℃で10分間、次いで血漿分離のために6000×g、4℃で30分間遠心分離した。各サンプルの血漿を1.6mLアリコートに分割し、さらなる使用まで-80℃で冷凍した。
The Cancer Genome Atlasポータル
欧米のコホートのデータは、Genomic Data Commons(GDC)データポータルのThe Cancer Genome Atlas(TCGA)研究ネットワークによって作成されたデータに基づいている。The Cancer Genome Atlas(TCGA)は、米国国立癌研究所(NCI)と米国立ヒトゲノム研究所(NHGRI)の共同研究で、33種類の癌における主要なゲノム変化の包括的な多次元マップを作成した。現在、癌の予防、診断および治療を改善するために癌研究コミュニティに2ペタバイトを超えるゲノムデータからなるTCGAデータセットが利用可能である。
ゲノムDNAの抽出
同じ患者の原発腫瘍と隣接する結腸直腸組織の一致する対からのゲノムDNAを、製造者の説明書に従い、QIAamp DNA MiniKit(Qiagen、ボン、ドイツ、カタログ番号51306)を用いて抽出した。DNA定量の後、NanoDrop ND-1000分光光度計(NanoDrop Technologies Inc、ウィルミントン、DE、USA)を用いてA260/A280比(範囲1.8~2.0)を測定することによって純度を確認した。
手作業による循環細胞非含有DNA抽出
血漿サンプルからの循環細胞非含有DNA(cfDNA)は、製造者の推奨プロトコールに従い、MagMAX Cell-free DNA単離キット(Thermo Fisher Scientific、オースティン、TX、USA)またはCatch-cfDNA血清/血漿キット(CatchGene、新北市、台湾)を用いて抽出した。ccfDNAサンプルは140~200bpの間に明瞭なフラグメントサイズのピークを持っていた。DNA単離キットから最高収量および低分子量画分が得られた。血漿は、すぐに、10mLの末梢血から2時間以内に単離した。DNA定量の後、NanoDrop ND-1000分光光度計(NanoDrop Technologies、Inc.、ウィルミントン、DE、USA)を用いてA260/A280比(範囲1.8~2.0)を測定することによって純度を確認した。
KingFisher(商標)Duo Primeによる自動循環細胞非含有DNA抽出およびバイサルファイト変換
KingFisher(商標)Duo Prime精製システム(ThermoFisher Scientific、シンガポール)でのccfDNA抽出およびバイサルファイト変換のための自動処理を製造者の説明書に従って適用した。この処理は、同時に最大6つのサンプルの磁性ビーズに基づくDNA抽出を完全に自動で行う。ワークフローは、MagMAX(商標)細胞非含有DNA単離キット(ThermoFisher Scientific、オースティン、TX、USA、A29319)とともに供給されている説明マニュアルに記載されているように適合させた。ccfDNAを1.6mLの血漿から抽出し、60μLの分子生物学グレードの水(Corning、NY、USA、46-000-CM)に溶出させた。バイサルファイト変換の洗浄も、この機器で半自動アッセイとして行った。バイサルファイト変換洗浄の自動プロトコールは、EZ-96DNA Methylation-Lightning(商標)MagPrepキット(Zymo Research、アーバイン、CA、USA、D5046)とともに供給されている説明マニュアルを用いて開発した。抽出されたccfDNAを60℃のインキュベーター内で30分間、重硫酸ナトリウム(6M)およびヒドロキノン(10mM)とともにインキュベートした後、自動処理を行った。本発明者らはバイサルファイト変換に60μLのccfDNAを使用し、バイサルファイトにより変換されたccfDNAを100μLの分子生物学グレード水に溶出させた。24ディープウェルプレート(ThermoFisher Scientific、ヴァンター、フィンランド、95040470)を用いて自動サンプル処理を行った。溶出したバイサルファイト変換ccfDNAをすぐにメチル化特異的リアルタイムPCRのために使用した。
LabTurbo 24Cを用いた自動循環細胞非含有DNA抽出
製造者の説明書に従い、LabTurbo 24 Compact System(Taigen Bioscience Co.、台北市、台湾)を用いて自動ccfDNA抽出処理を行った。ワークフローは、Labturbo循環DNAミニキット(カタログ番号AIOLCD1600、Taigen Bioscience Co.、台北市、台湾)とともに供給されている説明マニュアルに従い、同時に最大24サンプルの真空に基づく完全自動DNA抽出を用いた。1.6mLの血漿からccfDNAを抽出し、60μLの分子生物学グレード水(46-000-CM、Corning、NY、USA)に溶出させた。
ゲノムワイドメチル化分析のためのメチル化EPIC BeadChipアレイ
メチル化EPIC BeadChip(EPIC)アレイは、850,000のCpG部位をカバーし、90%を超えるCpGおよび99%のHM450由来Refseq遺伝子およびさらに413,743のCpGを含む。EPICアレイは、血液サンプルの450Kプラットフォームと比較して評価された。ゲノムワイドメチル化解析は、Infinium(登録商標)メチル化EPIC BeadChipアレイ(Illumina、サンディエゴ、CA、USA)を用いて行った。バイサルファイト変換は、500ngのDNAに対して、製造者の説明書に従ってEpiTect Fast DNAバイサルファイトキット(QIAGEN、ボン、ドイツ、カタログ番号59826)を用いて行った。各CpG部位のメチル化スコアは、メチル化および非メチル化シグナル出力の合計に対するメチル化シグナル強度の比を決定することにより、0(非メチル化)~1(完全メチル化)の範囲の「β」値として表される。Infinium MethylationEPIC BeadChipデータを、GenomeStudio Methylation Moduleバージョン2011.1を用いて分析した。Infinium MethylationEPIC BeadChipは、Infinium IアッセイとInfinium IIアッセイの両方を用いる。Infinium Iアッセイデザインは、CpG遺伝子座当たり、メチル化状態および非メチル化状態それぞれに1つとして2つのビーズタイプを使用する。Infinium IIデザインは1つのビーズタイプを使用し、メチル化状態はハイブリダイゼーション後に単一塩基伸張工程で決定される(右のパネル)。標的遺伝子の差次的にメチル化されたCpGヒートマップは、ヒートマッパーソフトウエアを用いてヒートマップにより可視化した。低~高のDNAメチル化レベルを可視化するために勾配スケールヒートマップを使用した。
プローブに基づく定量的メチル化特異的PCR(qMSP)
製造者の推奨プロトコールに従って行ったDNAのバイサルファイト変換の後、TMEM240、MROH6、BEND5、およびSMAD3のDNAメチル化レベルを、LightCycler 96(Roche Applied Science、ペンツベルク、ドイツ)を用いたTaqMan定量的メチル化特異的PCR(qMSP)で測定した。SensiFAST(商標)プローブNo-ROXキット(Bioline、ロンドン、UK、カタログ番号BIO-86020)を候補遺伝子の特異的プライマーおよびメチル-TaqManプローブとともに用いてqMSPを行った。対照群に対して計算された正規化DNAメチル化値は、LightCycler Relative Quantificationソフトウエア(バージョン1.5、Roche Applied Science)を用いて得た。メチル化非依存性DNA対照としてβ-アクチン(ACTB)遺伝子を使用した。CpG部位のないACTB遺伝子のプライマー/プローブを設計した(投入DNAの対照として)。候補遺伝子のプライマー/プローブは、それらのメチル化プロモーター領域、特に、正常組織と腫瘍組織の間に特定された差次的領域に対して設計した。シークエンシング結果によれば、全てのCpG部位がメチル化される場合にのみ首尾良くPCR反応が起こり得る。標的遺伝子は、対とされた正常結腸直腸組織サンプルに比べて結腸直腸腫瘍でメチル化レベルがACTB遺伝子のメチル化レベルの少なくとも2倍となった場合に高メチル化と見なした。候補遺伝子メチル化最終産物の特異性は、バイサルファイトシークエンシングによって確認した。qMSPに使用したプライマーおよびプローブを表1に挙げる。
統計解析
ピアソンのカイ二乗検定、マン・ホイットニーU検定、ウィルコクソン検定およびスピアマンの順位相関分析は、SPSS(IBM、アーモンク、NY、USA)を用いて行った。大腸癌患者を候補遺伝子のメチル化、RNA発現およびその他の臨床データの観点から比較するために、ピアソンのカイ二乗検定を使用した。腫瘍とマッチした隣接する正常組織との間、異なる癌種間のメチル化の違い、ならびに大腸癌患者における手術治療間の候補ccfDNAメチル化の違いを比較するためにペアサンプルウィルコクソン検定およびt検定を使用した。腫瘍および血漿サンプルのメチル化レベルを分析するためにスピアマンの順位相関を採用した。
複数のバイオマーカーを評価するために、Kangのノンパラメトリックステップワイズ分類法を使用して提案された遺伝子バイオマーカーを用いた場合の大腸癌患者の同定精度を評価した。精度に加え、受信者操作特性曲線下面積(AUC)、感度、特異度、偽陽性率および偽陰性率など、分類の評価によく用いられる他の指標も報告した。
実施例1 大腸癌組織における標的DNA配列のメチル化状態
Illumina Methylation 450Kアレイに基づくデータのβ値は、The Cancer Genome Atlas(TCGA)研究ネットワークから作成された。正常組織からのβ値が0.15未満であり;Δβ値(腫瘍の値から正常組織の値を差し引いたもの)が0.5より高いかまたは0.25より低い場合に、それらの標的核酸および遺伝子を選択した。標的DNA配列のメチル化状態Δβ値(T)を表2に示す。
Figure 2023524224000002
腫瘍組織のメチル化状態β値(T);β値(T)≧0.5が高メチル化バイオマーカーとして計算され、β値(T)≦0.25が低メチル化バイオマーカーとして計算される。
図1は、腫瘍組織と隣接正常組織の間の標的核酸および遺伝子のメチル化状態(β値)の違いを示す(n=97)。色が濃くなるほど、Illumina Methylation 450Kアレイに基づくデータに従って高いメチル化状態の組織を示す。
実施例2 健常被験者および大腸癌患者の血漿サンプルにおける標的遺伝子のエピジェネティックバイオマーカーのメチル化状態の早期検出
循環細胞非含有DNAを血漿から抽出した。簡単に述べれば、3.5mLの血漿をすぐに10mLの末梢血から単離した。大腸癌患者および健常被験者から得た血漿から循環細胞非含有DNA(cfDNA)を抽出した後、バイサルファイト変換によってcfDNAの性能を調べた。プローブに基づくメチル化特異的リアルタイムPCR(qMSP)をcfDNAメチル化解析に使用した。
qMSPアッセイから得られたデータを以下の基準に従って処理した。qMSPのCt値が、循環メチル化TMEM240遺伝子の場合45サイクル未満;循環メチル化MROH6遺伝子の場合40サイクル未満;循環メチル化BEND5の場合45サイクル未満;循環メチル化SMAD6の場合45サイクルより高ければ、それぞれスコアを1と定義した。それ以外の場合は0点と定義した。
TMEM240、MROH6、およびBEND5におけるqMSPの合計スコアの平均は0.2より高く、このヒト被験者はCRC患者と定義された。
図2は、健常被験者および大腸癌患者の血漿サンプルにおける標的遺伝子のエピジェネティックバイオマーカーのメチル化状態の早期検出における違いを示す。図3は、健常被験者および大腸癌患者の血漿サンプルにおける標的遺伝子のエピジェネティックバイオマーカーのDNAメチル化レベル(スコア)の合計を示す。さらに、図4に示されるような受信者操作特性(ROC)曲線分析は、大腸癌患者および健常被験者における標的遺伝子のエピジェネティックバイオマーカーのメチル化状態の早期検出を示す。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるSMAD3またはそのフラグメントの標的DNA配列メチル化特異的プライマーは、配列番号14または15と少なくとも85%、88%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%の同一性を有する配列を有する。いくつかのさらなる実施形態では、SMAD3またはそのフラグメントの標的DNA配列メチル化特異的プライマーは、配列番号14または15の配列を有する。SMAD3またはそのフラグメントの標的DNA配列メチル化特異的プローブは、配列番号16と少なくとも85%、88%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%の同一性を有する配列を有する。さらなる実施形態では、SMAD3またはそのフラグメントの標的DNA配列メチル化特異的プローブは、配列番号16の配列を有する。
さらなる実施形態では、メチル化状態を決定することは、加重和スコア解析により特異度および感度を測定する工程をさらに含む。いくつかのさらなる実施形態では、標的TMEM240、MROH6、BEND5およびSMAD3もしくはそのフラグメントの組み合わせのメチル化状態の決定は、約100%の感度および約100%の特異度および約100%の精度を有する。
図1A~1Hは、腫瘍組織と隣接正常組織の間の、遺伝子の標的核酸およびプロモーター、エキソンおよび遺伝子本体領域それぞれのメチル化状態の違いに関するヒートマップを示す(図1A:TaiwanサンプルのTMEM240;図1B:TaiwanサンプルのMROH6;図1C:TaiwanサンプルのBEND5;図1D:TaiwanサンプルのSMAD3;図1E:TCGAサンプルのTMEM240;図1F:TCGAサンプルのMROH6;図1G:TCGAサンプルのBEND5;図1H:TCGAサンプルのSMAD3)。 図1-1の続きである。 図1-2の続きである。 図1-2の続きである。 図2A~2Eは、健常被験者および大腸癌患者の血漿サンプルにおける標的遺伝子のエピジェネティックバイオマーカーのメチル化状態の早期検出における違いを示す(図2A:TMEM240;図2B:MROH6;図2C:BEND5;図2D:SMAD3;図2E:TMEM240、MROH6およびBEND5のDNAメチル化レベル)。 図2-1の続きである。 図2-2の続きである。 図2-3の続きである。 図2-4の続きである。 図2-5の続きである。 図3は、健常被験者および大腸癌患者の血漿サンプルにおける標的遺伝子のエピジェネティックバイオマーカーのDNAメチル化レベル(スコア)の合計を示す。 図4は、大腸癌患者および健常被験者における標的遺伝子のエピジェネティックバイオマーカーのメチル化状態の早期検出を示す受信者動作特性(ROC)曲線解析を示す。
qMSPアッセイから得られたデータを以下の基準に従って処理した。qMSPのCt値が、循環メチル化TMEM240遺伝子の場合45サイクル未満;循環メチル化MROH6遺伝子の場合40サイクル未満;循環メチル化BEND5の場合45サイクル未満;循環メチル化SMAD3の場合45サイクルより高ければ、それぞれスコアを1と定義した。それ以外の場合は0点と定義した。

Claims (24)

  1. 被験者において大腸癌の素因を検出する、または大腸癌の可能性、治療応答性、予後もしくは再発を予測するための方法であって、(a)前記被験者から生物学的サンプルを準備すること、および(b)前記生物学的サンプルにおいてTMEM240もしくはそのフラグメントまたはMROH6もしくはそのフラグメントを含む標的DNA配列のメチル化状態を決定することを含み、前記被験者の標的DNA配列における高メチル化または低メチル化の存在が大腸癌の素因、可能性、治療応答性の不良、予後不良または再発を示す、方法。
  2. 前記生物学的サンプルが組織、細胞、血液、尿、血清、血漿、便、腹水、痰、唾液、胃液、胆汁、または口腔粘膜である、請求項1に記載の方法。
  3. 各遺伝子またはそのフラグメントの高メチル化または低メチル化が存在すればスコアを1と定義し、各遺伝子またはそのフラグメントの高メチル化または低メチル化が不在であればスコア0と定義し、そのスコアを合計する工程をさらに含む、請求項1に記載の方法。
  4. 前記被験者の標的DNA配列における高メチル化または低メチル化の存在が、標的DNA配列のメチル化状態と対照DNA配列のメチル化状態を比較することによって決定される、請求項1に記載の方法。
  5. 前記メチル化状態がポリメラーゼ連鎖反応により決定される、請求項1に記載の方法。
  6. ヒト被験者におけるTMEM240またはそのフラグメントのメチル化状態を決定するためのポリメラーゼ連鎖反応のC値が50未満である場合に前記高メチル化が示される;または、ヒト被験者におけるMROH6またはそのフラグメントのメチル化状態を決定するためのポリメラーゼ連鎖反応のC値が45未満である場合に前記高メチル化が示される、請求項5に記載の方法。
  7. ヒト被験者におけるTMEM240またはそのフラグメントのメチル化状態を決定するためのポリメラーゼ連鎖反応のC値が45未満である場合に高メチル化が示される;または、ヒト被験者におけるMROH6またはそのフラグメントのメチル化状態を決定するためのポリメラーゼ連鎖反応のC値が40未満である場合に高メチル化が示される、請求項5に記載の方法。
  8. TMEM240もしくはそのフラグメントまたはMROH6もしくはそのフラグメントの標的DNA配列メチル化特異的プライマーがメチル化の決定に使用され、TMEM240もしくはそのフラグメントの標的DNA配列メチル化特異的プライマーが配列番号1、2、および3からなる群から選択される配列と約85%の同一性を有し;MROH6もしくはそのフラグメントの標的DNA配列メチル化特異的プライマーは、配列番号5および6からなる群から選択される配列と約85%の同一性を有する、請求項1に記載の方法。
  9. TMEM240もしくはそのフラグメントまたはMROH6もしくはそのフラグメントの標的DNA配列メチル化特異的プローブがメチル化の決定において使用され、TMEM240もしくはそのフラグメントの標的DNA配列メチル化特異的プローブは、配列番号4の配列と約85%の同一性を有し;MROH6もしくはそのフラグメントの標的DNA配列メチル化特異的プローブは、配列番号7の配列と約85%の同一性を有する、請求項1に記載の方法。
  10. 前記標的DNA配列は、BEND5もしくはそのフラグメントおよびSMAD3もしくはそのフラグメントからなる群から選択される1以上のDNA配列、またはその組合せのいずれかをさらに含む、請求項1に記載の方法。
  11. 前記標的DNA配列が、以下のDNA配列の組合せ:TMEM240またはそのフラグメントおよびMROH6またはそのフラグメント;TMEM240またはそのフラグメント、MROH6またはそのフラグメントおよびBEND5またはそのフラグメント;TMEM240またはそのフラグメント、MROH6またはそのフラグメント、BEND5またはそのフラグメントおよびSMAD3またはそのフラグメント;TMEM240またはそのフラグメント、BEND5またはそのフラグメントおよびSMAD3またはそのフラグメント;TMEM240またはそのフラグメント、MROH6またはそのフラグメント、およびSMAD3またはそのフラグメント;MROH6またはそのフラグメントおよびBEND5またはそのフラグメント;ならびにMROH6またはそのフラグメント、BEND5またはそのフラグメントおよびSMAD3またはそのフラグメントのいずれかを含む、請求項10に記載の方法。
  12. 前記メチル化状態がポリメラーゼ連鎖反応により決定され、ヒト被験者におけるBEND5もしくはそのフラグメントのメチル化状態を決定するためのポリメラーゼ連鎖反応のC値が50未満である場合に高メチル化が示される;または、ヒト被験者におけるSMAD3もしくはそのフラグメントのメチル化状態を決定するためのポリメラーゼ連鎖反応のC値が40より高い場合に低メチル化が示される、請求項10または11に記載の方法。
  13. 前記メチル化状態がポリメラーゼ連鎖反応により決定され、ヒト被験者におけるBEND5もしくはそのフラグメントのメチル化状態を決定するためのポリメラーゼ連鎖反応のC値が45未満である場合に高メチル化が示される;または、ヒト被験者におけるSMAD3もしくはそのフラグメントのメチル化状態を決定するためのポリメラーゼ連鎖反応のC値が45より高い場合に低メチル化が示される、請求項10または11に記載の方法。
  14. BEND5もしくはそのフラグメントまたはSMAD3もしくはそのフラグメントまたはその組合せの標的DNA配列メチル化特異的プライマーがメチル化の決定において使用され、BEND5またはそのフラグメントの標的DNA配列メチル化特異的プライマーは、配列番号8~11からなる群から選択される配列と約85%の同一性を有し;SMAD3もしくはそのフラグメントの標的DNA配列メチル化特異的プライマーは、配列番号14~15からなる群から選択される配列と約85%の同一性を有する、請求項10または11に記載の方法。
  15. BEND5もしくはそのフラグメント、またはSMAD3もしくはそのフラグメントまたはその組合せの標的DNA配列メチル化特異的プローブがメチル化の決定において使用され、BEND5またはそのフラグメントの標的DNA配列メチル化特異的プローブは、配列番号12~13からなる群から選択される配列と約85%の同一性を有し;SMAD3またはそのフラグメントの標的DNA配列メチル化特異的プローブは、配列番号16の配列と約85%の同一性を有する、請求項10または11に記載の方法。
  16. メチル化状態を決定することが、加重和スコア解析により特異度および感度を測定する工程をさらに含む、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。
  17. 配列番号1~16からなる群から選択される配列を有する単離された核酸分子。
  18. 被験者において大腸癌の素因を検出する、または大腸癌の可能性、治療応答性、予後もしくは再発を予測するためのキットであって、TMEM240もしくはそのフラグメントまたはMROH6もしくはそのフラグメントを含む標的DNA配列のメチル化状態を検出するための標的DNA配列メチル化特異的プライマー対を含む、キット。
  19. TMEM240もしくはそのフラグメントまたはMROH6もしくはそのフラグメントを含む標的DNA配列のメチル化状態を検出するための標的DNA配列メチル化特異的プローブをさらに含む、請求項18に記載のキット。
  20. TMEM240またはそのフラグメントのための標的DNA配列メチル化特異的プライマー対が配列番号1と2または1と3を含み;MROH6またはそのフラグメントの標的DNA配列メチル化特異的プライマー対が配列番号5と6を含む、請求項18に記載のキット。
  21. TMEM240またはそのフラグメントの標的DNA配列メチル化特異的プローブが配列番号4を含み;MROH6またはそのフラグメントの標的DNA配列メチル化特異的プローブが配列番号7を含む、請求項19に記載のキット。
  22. 前記標的DNA配列がBEND5もしくはそのフラグメントまたはSMAD3もしくはそのフラグメントをさらに含み、前記キットがBEND5もしくはそのフラグメントまたはSMAD3もしくはそのフラグメント、またはそのいずれかの組合せのメチル化状態を検出するための1以上の標的DNA配列メチル化特異的プライマー対をさらに含む、請求項18~21のいずれか一項に記載のキット。
  23. BEND5またはそのフラグメントの標的DNA配列メチル化特異的プライマー対が配列番号8と9または10と11を含み;SMAD3またはそのフラグメントの標的DNA配列メチル化特異的プライマー対が配列番号14と15を含む、請求項22に記載のキット。
  24. 前記キットがBEND5もしくはそのフラグメントまたはSMAD3もしくはそのフラグメント、またはそのいずれかの組合せのメチル化状態を検出するための1以上の標的DNA配列メチル化特異的プローブをさらに含み、BEND5またはそのフラグメントの標的DNA配列メチル化特異的プローブが配列番号12または13を含み;SMAD6またはそのフラグメントの標的DNA配列メチル化特異的プローブが配列番号16を含む、請求項22に記載のキット。
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