JP2023521403A - コロナウイルス病2019(covid-19)の治療のためのマシチニブの使用 - Google Patents

コロナウイルス病2019(covid-19)の治療のためのマシチニブの使用 Download PDF

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Abstract

本発明は、それを必要とする対象において、コロナウイルス病2019(COVID-19)を引き起こすSARS-CoV-2感染症などのコロナウイルス感染症の治療における使用のためのマシチニブ、またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物に関する。【選択図】図なし

Description

本発明は、それを必要とする対象におけるコロナウイルス感染症の治療に関する。特に、本発明は、それを必要とする対象におけるSARS-CoV-2感染症の治療、すなわち、それを必要とする対象における、COVID-19、COVID-19関連肺炎および/またはCOVID-19関連急性呼吸窮迫症候群(ARDS)の治療に関する。
コロナウイルス(CoV)は、コロナウイルス科のポジティブセンスの一本鎖リボ核酸(RNA)ウイルス(+ssRNAウイルス)であり、異常に大きなRNAゲノム、独自の複製戦略、および電子顕微鏡で見られる独特の形態(エンベロープの表面から突出している棍棒状のスパイクから生じる王冠様外観)を特徴とする(Fehr&Perlman,MethodsMolBiol.2015;1282:1-23)。ニドウイルスであるコロナウイルス(すなわち、ニドウイルス目に属する)は、哺乳動物および鳥類に感染し、広範囲の呼吸器、胃腸、神経および全身疾患を引き起こす。
ヒトコロナウイルスは、1960年半ばに初めて確認され、当初はほとんどの場合、一般的な風邪など、軽症の呼吸器感染症のみを引き起こすと考えられていた。したがって、4つの固有のヒトCoV(HCoV-229E、HCoV-NL63、HCoV-OC43、HCoV-HKU1)は、成人の上気道感染症の10%~30%を占めると推定されている(Paules et al.,JAMA.2020 Feb 25;323(8):707-708)。しかし、近年、重症呼吸器疾患を引き起こす2つの高病原性コロナウイルス:2003年に最初に特定された重症急性呼吸器症候群コロナウイルス(SARS-CoV)および2012年に最初に特定された中東呼吸器症候群コロナウイルス(MERS-CoV)が動物の保有宿主から出現した。世界中で774名の死亡を含む8096症例の重症急性呼吸器症候群(SARS)が報告され、624名の死亡を含む1728症例の中東呼吸器症候群(MERS)が報告された(de Wit et al.,Nat Rev Microbiol.2016;14(8):523-534)。
2019年12月、Wuhan Municipal Health Committee(Wuhan,China)は、原因不明の新型感染性呼吸器疾患を特定した(Huang et al.,Lancet.2020;395(10223):497-506;Wang et al.,Lancet.2020;395(10223):470-473;Zhu et al.,N Engl J Med.2020;382(8):727-733)。コロナウイルスRNAは、一部の患者ですぐに特定され、2020年1月に、Shanghai Public Health Clinical Center&School of Public Healthの研究者らが、新たに同定されたヒトコロナウイルスSARS-CoV-2の完全なゲノム配列を発表した(以前は、2019-nCoVとして知られていた)。SARS-COV-2のゲノム配列は、コウモリコロナウイルスSARS様-CoVZXC21のゲノム配列と89%のヌクレオチド同一性を有し、ヒトSARS-CoVのゲノム配列と82%のヌクレオチド同一性を有する(Chan et al.,Lancet.2020;395(10223):514-523)。SARS-CoVについて以前に示されたとおり、SARS-CoV2は、ウイルス細胞侵入の受容体としてACE2(アンギオテンシン変換酵素2)を利用していると考えられる(Hoffmann et al.,Cell.2020年4月16日;181(2):271-280)。
SARS-CoV2感染は、感染した対象の30~60%において、無症候性であるか、または臨床徴候をほとんどまたはまったく引き起こさないと考えられている。症状を有する感染した対象において、SARS-COV-2によって引き起こされる疾患は現在、「コロナウイルス病2019」(COVID-19)と称されている。COVID-19は、呼吸器疾患であり、通常、最初に頭痛、筋肉痛、および/または疲労/倦怠感などの症状が現れ、その後発熱および呼吸器症状(乾いた咳、息切れ、および/または胸部圧迫感など)が続く。大多数の対象では、これらの症状は軽症のままであるが、他の対象では、肺炎(本明細書ではCOVID-19関連肺炎またはCOVID-19肺炎と称する)および/または多臓器不全に進行し得る。COVID-19の合併症にとしては、急性呼吸窮迫症候群(ARDS)(本明細書ではCOVID-19関連ARDSまたはCOVID-19ARDSと称する)、RNAaemia、急性心臓損傷、および二次感染症が挙げられる(Huanget al.,Lancet.2020;395(10223):497-506)。COVID-19に罹患している対象の約5%が入院を必要とし、そのうち約25%が集中治療室(ICU)への入室を必要とすると推定されている。COVID-19は、かなりの罹患率および死亡率を引き起こし、多くの医療システムに前例のない負担をかけ得る。
したがって、COVID-19を治療するための新しい抗ウイルスおよび治療戦略を評価するための世界的な取り組みが強化されている。特に、薬物、例えば、レムデシビル(開発中のヌクレオチドアナログ抗ウイルス薬)、ロピナビル/リトナビル(特にヒト免疫不全ウイルス1(HIV-1)の治療に使用される抗レトロウイルス療法)、およびクロロキンまたはヒドロキシクロロキン(両方とも特にマラリアの予防および治療、ならびに関節リウマチおよびエリテマトーデスの治療に使用される)の有効性を評価するために、複数の臨床試験が登録されている。しかし、COVID-19、COVID-19関連肺炎、またはCOVID-19関連急性呼吸窮迫症候群(ARDS)を予防および/または治療する有効性が証明されている治療剤は依然として不足している。
したがって、コロナウイルスを含むニドウイルスによる感染症、ならびにニドウイルスと同じ綱(すなわち、ピソニウイルス綱)に属する+ssRNAウイルスであるピコルナウイルスによる感染症に対する効果的な治療が依然として必要とされる。特に、コロナウイルス感染症、特にベータ(β)コロナウイルス感染症の効果的な治療法が依然として必要とされている。現在、COVID-19を引き起こすSARS-CoV-2感染症の有効かつ安全な治療、特にCOVID-19関連肺炎およびCOVID-19関連急性呼吸窮迫症候群(ARDS)の予防的治療および/または治療的治療が緊急に必要とされている。
本発明は、それらを必要とする対象において、ニドウイルスまたはピコルナウイルス感染症の治療に使用するために、特にCOVID-19を引き起こすSARS-CoV-2感染症などのコロナウイルス感染症の治療に使用するために、任意にイソケルセチンと組み合わせて、2-アミノアリールチアゾール誘導体、好ましくはマシチニブ、またはそれらの薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物に関する。
本発明は、それを必要とする対象において、コロナウイルス感染症の治療において使用するための、2-アミノアリールチアゾール誘導体、またはそれらの薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物に関する。
一実施形態では、コロナウイルス感染症は、コロナウイルス病2019(COVID-19)を引き起こす重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)感染症である。
一実施形態では、2-アミノアリールチアゾール誘導体、またはそれらの薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物は、イソケルセチンと組み合わせて投与するためのものであり、好ましくは、約0.4g/日~約2g/日の範囲のイソケルセチンの用量と組み合わせて投与するため、より好ましくは、約1g/日の用量のイソケルセチンと組み合わせて投与するためのものである。
一実施形態では、2-アミノアリールチアゾール誘導体は、式(II)を有する:
Figure 2023521403000001
(式中、
・Rは、水素、ハロゲン、(C~C10)アルキル、(C~C10)シクロアルキル基、トリフルオロメチル、アルコキシ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、可溶化基、および可溶化基によって置換された(C~C10)アルキルから独立して選択され;
・mは、0~5である)。
一実施形態では、2-アミノアリールチアゾール誘導体、またはそれらの薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物は、マシチニブまたはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物である。一実施形態では、マシチニブの薬学的に許容される塩は、メシル酸マシチニブである。
一実施形態では、2-アミノアリールチアゾール誘導体、またはそれらの薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物は、経口投与用である。一実施形態では、2-アミノアリールチアゾール誘導体、またはそれらの薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物は、約1mg/kg/日~約12mg/kg/日(1日あたり体重1kgあたりのmg)の範囲の用量で、好ましくは、約3mg/kg/日~約6mg/kg/日の範囲の用量で投与するためのものである。一実施形態では、2-アミノアリールチアゾール誘導体、またはそれらの薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物は、少なくとも1週間の間、初回用量約3mg/kg/日で、およびその後用量約4.5mg/kg/日で投与するためのものであり、各用量漸増は、毒性制御を受ける。
一実施形態では、対象は、COVID-19を発症するリスクの増大につながり得る少なくとも1つのリスク因子を示す。
一実施形態では、対象は軽症から中等症のCOVID-19、好ましくは中等症のCOVID-19に罹患している。一実施形態では、対象は、重症のCOVID-19に罹患している。一実施形態では、対象は、重篤なCOVID-19に罹患している。
一実施形態では、対象は、COVID-19に罹患しており、COVID-19の世界保健機関(WHO)10ポイント進行尺度(10-point progression scale)(本明細書の表1に記載)で2~9の範囲のスコアを有する。一実施形態では、対象は、COVID-19に罹患しており、COVID-19のWHO10ポイント進行尺度(本明細書の表1に記載)で2または3のスコアを有する。一実施形態では、対象は、COVID-19に罹患しており、COVID-19のWHO10ポイント進行尺度(本明細書の表1に記載)で4~6、好ましくは4~5のスコアを有する。一実施形態では、対象は、COVID-19に罹患しており、COVID-19の改訂WHO7ポイント進行尺度(modified WHO 7-pointprogression scale of COVID-19)(本明細書の表2に記載)で2~6の範囲のスコア、好ましくは2~5、より好ましくは4~5の範囲のスコアを有する。
一実施形態では、2-アミノアリールチアゾール誘導体、またはそれらの薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物は、少なくとも1つのさらなる薬学的活性剤と共に投与するためのものである。一実施形態では、少なくとも1つのさらなる薬学的活性剤は、抗ウイルス剤、抗インターロイキン6(抗IL6)剤、プロテアーゼ阻害剤、ヤヌス関連キナーゼ(JAK)阻害剤、BXT-25、ブリラシジン、コハク酸デヒドロアンドログラホリド、APN01、フィンゴリモド、メチルプレドニゾロン、サリドマイド、ベバシズマブ、クエン酸シルデナフィル、インターフェロン、カリマイシン、およびそれらの任意の混合物からなる群から選択される。
定義
本発明において、以下の用語は、以下の意味を有する:
数字の前にある「約」は、その数字の値のプラスマイナス10%以下を含む。「約」という用語が指す値は、それ自体も具体的にかつ好ましくは開示されることを理解されたい。
本明細書で使用される「ベースライン」は、本明細書に記載の2-アミノアリールチアゾール誘導体、好ましくはマシチニブ、またはそれらの薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物による治療の開始前の時間を指す。例えば、所与の対象について、ベースラインでのインターロイキン6(IL6)血漿レベルは、本明細書に記載のとおり、2-アミノアリールチアゾール誘導体、好ましくはマシチニブ、またはそれらの薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物の対象への投与前のインターロイキン6(IL6)血漿レベルである。
「ベストサポーティブケア」とは、入院し、呼吸器疾患、特に肺炎またはARDSなど、下部呼吸器疾患に罹患している対象に日常的に提供される支持療法を指す。ベストサポーティブケアとしては、例えば、酸素療法とも呼ばれる酸素補給(O2)(マスクまたは鼻プロングによる)、非侵襲的換気(NIV)、侵襲的機械的換気、体外式膜型人工肺(ECMO)、昇圧剤療法(例えば、フェニレフリン、ノルエピネフリン、エピネフリン、バソプレシン、および/またはドーパミンなど)、輸液療法、抗菌療法、腎補助、鎮静のうちの少なくとも1つが挙げられ得る。
組成物、医薬組成物、または医薬品に関して本明細書で使用される「から本質的になる」は、本明細書に記載の2-アミノアリールチアゾール誘導体、好ましくはマシチニブ、またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物が、唯一の活性剤(活性成分または活性化合物とも呼ばれる)であること、すなわち、組成物、医薬組成物または医薬品内で生物学的または薬理学的活性を示す唯一の剤であることを意味することを意図するものである。
本明細書で使用される「高流量」または「高流量酸素」は、呼吸補助の一形態である高流量酸素療法(HFOT)を指す。
本明細書で使用される「検査で確定したSARS-CoV-2感染症」とは、対象からのサンプル(鼻スワブからのサンプル、口腔咽頭スワブからのサンプル、喀痰サンプル、下気道吸引液、気管支肺胞洗浄液、鼻咽頭洗浄/吸引液または鼻吸引液など)中のSARS-CoV-2の存在を検出できるrRT-PCR(リアルタイム逆転写ポリメラーゼ連鎖反応)検査、または対象からのサンプル(血液サンプルなど)中のSARS-CoV-2に対する抗体の存在を検出することができる抗体検査(酵素結合免疫吸着測定法(ELISA)など)などの臨床検査によって確定されたSARS-CoV-2感染を指す。
「薬学的に許容される賦形剤」または「薬学的に許容される担体」という用語は、哺乳動物、好ましくはヒトに投与されたときに、有害反応、アレルギー反応または他の有害な反応を生じない賦形剤または担体を指す。賦形剤または担体としては、任意のあらゆる溶媒、例えば、分散媒、コーティング、抗菌剤および抗真菌剤、等張剤および吸収遅延剤などが挙げられる。薬学的に許容される賦形剤または担体は、非毒性の固体、半固体または液体の充填剤、希釈剤、封入材料、または任意のタイプの製剤補助剤を指す。ヒトへの投与の場合、製剤は、FDA(米国食品医薬品局)またはEMA(欧州医薬品庁)などの規制当局が要求する滅菌性、発熱性、一般的な安全性、および純度の基準を満たすものとする。
「対象」は、哺乳動物、好ましくはヒトを指す。哺乳動物としては、これらに限定されないが、マウスなどの齧歯目、ウサギなどの兎形目、ネコおよびイヌなどの食肉目、ウシおよびブタなどの偶蹄目、ウマなどの奇蹄目、サル、類人猿およびヒトなどの霊長目が挙げられる。一実施形態では、哺乳動物は、齧歯目、兎形目、食肉目、偶蹄目、奇蹄目、および霊長目から選択される。一実施形態では、哺乳動物は、マウス、ウサギ、ネコ、イヌ、ウシ、ブタ、ウマ、サル、類人猿、およびヒトから選択される。一実施形態では、対象は、霊長類、好ましくはヒトである。一実施形態によれば、対象は、ニドウイルスまたはピコルナウイルス、特にSARS-CoV-2などのコロナウイルスと接触したか、接触した疑いがあるか、または接触したことが予想される哺乳動物、好ましくはヒトである。一実施形態によれば、対象は、ニドウイルス感染症またはピコルナウイルス感染症、好ましくはコロナウイルス感染症、特にCOVID-19を引き起こすSARS-CoV-2感染症に罹患している哺乳動物、好ましくはヒトである。一実施形態では、対象は、「患者」、すなわち、哺乳動物、特に温血哺乳動物、好ましくはヒトであってもよく、これらは、医療を受けるのを待っているか、または医療を受けているか、または医療処置の対象であった/対象である/対象となる、またはニドウイルス感染症またはピコルナウイルス感染症、好ましくは、コロナウイルス感染症、特にCOVID-19を引き起こすSARS-CoV-2感染症の発症について監視されている。
「治療有効量」または「治療有効用量」は、任意により、イソケルセチンまたはケルセチンと組み合わせて、対象、細胞、または治療される組織において、有意義な利益を誘導するのに十分な、本明細書に記載の2-アミノアリールチアゾール誘導体、好ましくはマシチニブ、またはそれらの薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物の量、用量、または濃度を指す。有意義な利点には、例えば、ニドウイルスまたはピコルナウイルス、特にコロナウイルスによって引き起こされる疾患の1つ以上の症状(例えば、炎症、体液蓄積)を検出可能に治療する、緩和する、または軽減させること;ニドウイルスまたはピコルナウイルス、特にコロナウイルスによって引き起こされるウイルス感染症または疾患のさらなる発症を阻害する、抑止する、予防する、または停止させること;ニドウイルスまたはピコルナウイルス、特にコロナウイルスによって引き起こされる疾患の発生率を減少させること;ニドウイルスまたはピコルナウイルス、特にコロナウイルスによって引き起こされる疾患が、そのリスクがあるがまだ診断されていない対象、細胞、または組織で発生するのを予防すること;および/または対象、細胞、または組織において、ウイルスタンパク質の1つ以上の活性部位を検出可能に阻害すること;が含まれる。治療される対象、細胞、または組織において観察される有意義な利益は、任意の好適な程度(10、20、30、40、50、60、70、80、90%またはそれ以上)であり得る。一実施形態では、治療有効用量は、任意によりイソケルセチンまたはケルセチンと組み合わせた、本明細書に記載の2アミノアリールチアゾール誘導体、好ましくはマシチニブ、またはそれらの薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物の量または用量または濃度であり、これは、治療を必要とする対象に、重大な負のまたは有害な副作用を引き起こさずに、対象におけるニドウイルス感染症またはピコルナウイルス感染症、好ましくはコロナウイルス感染症、特にCOVID-19を引き起こすSARS-CoV-2感染症の症状または徴候のうちの1つ以上を予防する、低下させる、減少させる、または遅延させる(軽減させる)ことを目的とする。
「治療すること」または「治療」は、治療的処置、予防的(または防止的)処置、または治療的処置および予防的(または防止的)処置の両方を指し、その目的は、それを必要とする対象おいて、ニドウイルス感染症またはピコルナウイルス感染症、好ましくはコロナウイルス感染症、特にCOVID-19を引き起こすSARS-CoV-2感染の症状または徴候のうちの1つ以上を、予防する、減少する、緩和する、および/または遅延(軽減)させることである。コロナウイルス感染症、特にCOVID-19を引き起こすSARS-CoV-2感染症の症状としては、これらに限定されないが、発熱、乾いた咳などの呼吸器症状、および/または呼吸補助を必要とし得る呼吸困難(例えば、酸素補給、非侵襲的換気、侵襲的機械的換気、体外式膜型人工肺(ECMO))が挙げられる。コロナウイルス感染症、特にSARS-CoV-2感染症の徴候としては、これに限定されないが、対象からのサンプル中で検出されたウイルス量(ウイルス負荷またはウイルス力価としても知られる)が挙げられる。一実施形態では、「治療すること」または「治療」は、治療的処置を指す。別の実施形態では、「治療すること」または「治療」は、予防的または防止的処置を指す。さらに別の実施形態では、「治療すること」または「治療」は、予防的(または防止的)処置および治療的処置の両方を指す。一実施形態では、本出願による治療の目的は、以下のうちの少なくとも1つをもたらすことである:
・対象からのサンプル中で検出されたウイルス量の減少;
・呼吸補助の必要性の減少、例えば、ECMO、侵襲的機械的換気、非侵襲的換気、または高流量酸素療法などの酸素補給の使用の減少、および/または昇圧剤療法の必要性の減少;
・集中治療室から退室すること;
・退院すること。
本発明は、それを必要とする対象において、ニドウイルス感染症の治療に使用するための本明細書に記載の2-アミノアリールチアゾール誘導体、特にマシチニブ、またはそれらの薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物に関する。ニドウイルス(すなわち、ニドウイルス目に属するウイルス)の例としては、コロナウイルス、トロウイルス、アルテリウイルス、およびオカウイルスが挙げられる。ニドウイルスによって引き起こされる疾患としては、これらに限定されないが、コロナウイルス病2019(COVID-19)、重症急性呼吸器症候群(SARS)、中東呼吸器症候群(MERS)、呼吸器疾患(肺炎、気管支炎、胸水など)、炎症性疾患(例えば、炎症、COVID-19誘発性炎症、小児多系統炎症症候群(PMIS))、豚繁殖・呼吸障害症候群、馬ウイルス性動脈炎、および胃腸炎)が挙げられる。
一実施形態では、ニドウイルスは、コロナウイルス、アルテリウイルス、またはトロウイルスである。一実施形態では、ニドウイルスは、コロナウイルスである。
したがって、一実施形態によれば、本発明は、それを必要とする対象において、本明細書に記載の2-アミノアリールチアゾール誘導体、特にマシチニブ、またはそれらの薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物を、コロナウイルス感染症の治療で使用することに関する。
一実施形態では、コロナウイルスは、アルファ(α)コロナウイルスまたはベータ(β)コロナウイルス、好ましくはベータコロナウイルス、例えば、βAコロナウイルス、βBコロナウイルス、βCコロナウイルス、およびβDコロナウイルスなどである。したがって、一実施形態では、コロナウイルスは、ベータ(β)コロナウイルスである。一実施形態では、ベータ(β)コロナウイルスは、βA、βB、βC、またはβDコロナウイルスである。
アルファコロナウイルスの例としては、これらに限定されないが、ヒトコロナウイルス229E(HCoV-229E)およびヒトコロナウイルスNL63(HCoV-NL63)(HCoV-NHまたはNew Havenヒトコロナウイルスとしても知られている場合もある)が挙げられる。ベータコロナウイルスの例としては、これらに限定されないが、ヒトコロナウイルスOC43(HCoV-OC43)、ヒトコロナウイルスHKU1(HCoV-HKU1)、新型コロナウイルス2012またはHCoV-EMCとして既知の中東呼吸器症候群関連コロナウイルス(MERS-CoV)、SARS-CoV-1またはSARS-classicとしても知られる重症急性呼吸器症候群コロナウイルス(SARS-CoV)、および2019-nCoVまたは新型コロナウイルス2019としても知られる重症急性呼吸器症候群コロナウイルス(SARS-CoV-2)が挙げられる。一実施形態では、ベータ(β)コロナウイルスは、HCoV-OC43、MERS-CoV、SARS-CoV(SARS-CoV-1としても知られる)、またはSARS-CoV-2である。一実施形態では、ベータ(β)コロナウイルスは、HCoV-sOC43またはSARS-CoV-2である。
一実施形態では、コロナウイルスは、HCoV-229E、HCoV-NL63、HCoV-OC43、HCoV-HKU1、MERS-CoV、SARS-CoV-1およびSARS-CoV-2を含むかまたはそれらからなる群から選択される。
一実施形態では、コロナウイルスは、MERS-CoV、SARS-CoV-1、およびSARS-CoV-2を含むかまたはそれらからなる群から選択される。したがって、一実施形態では、本発明は、それを必要とする対象において、MERSを引き起こすMERS-CoVコロナウイルス感染症、SARSを引き起こすSARS-CoV-1感染症、またはCOVID-19を引き起こすSARS-CoV-2感染症の治療に使用するための本明細書に記載の2-アミノアリールチアゾール誘導体、またはそれらの薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物に関する。
一実施形態では、コロナウイルスは、MERSコロナウイルスである。一実施形態では、コロナウイルスは、中東呼吸器症候群(MERS)を引き起こすMERS-CoVである。
一実施形態では、コロナウイルスは、SARSコロナウイルスである。
一実施形態では、コロナウイルスは、SARS-CoV-1またはSARS-CoV-2である。したがって、一実施形態では、本発明は、それを必要とする対象において、SARSを引き起こすSARS-CoV-1感染症またはCOVID-19を引き起こすSARS-CoV-2感染症の治療に使用するための、本明細書に記載の2-アミノアリールチアゾール誘導体、またはそれらの薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物に関する。
一実施形態では、コロナウイルスは、重症急性呼吸器症候群(SARS)を引き起こすSARS-CoV(SARS-CoV-1とも称される)である。
一実施形態によれば、コロナウイルスは、COVID-19を引き起こすSARS-CoV-2である。したがって、一実施形態によれば、本発明は、それを必要とする対象において、COVID-19を引き起こすSARS-CoV-2感染症の治療に使用するための、本明細書に記載の2-アミノアリールチアゾール誘導体、特にマシチニブ、またはそれらの薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物に関する。一実施形態では、本発明は、それを必要とする対象において、COVID-19の治療に使用するための本明細書に記載の2-アミノアリールチアゾール誘導体、特にマシチニブ、またはそれらの薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物に関する。
本発明はまた、それを必要とする対象において、ピコルナウイルス感染症の治療において使用するための、本明細書に記載の2-アミノアリールチアゾール誘導体、特にマシチニブ、またはそれらの薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物に関する。ピコルナウイルスの例としては、ポリオウイルス、ライノウイルス、エンテロウイルス、およびコクサッキーウイルスが挙げられる。ピコルナウイルスによって引き起こされる疾患としては、これらに限定されないが、急性弛緩性脊髄炎(AFM)、呼吸器疾患、および胃腸疾患が挙げられる。
一実施形態では、ピコルナウイルスは、ポリオウイルス、ライノウイルス、エンテロウイルス、またはコクサッキーウイルスである。一実施形態では、ピコルナウイルスは、ライノウイルスまたはコクサッキーウイルスである。
したがって、本発明は、それを必要とする対象において、ニドウイルス感染症またはピコルナウイルス感染症の治療において使用するための、本明細書に記載の2-アミノアリールチアゾール誘導体、特にマシチニブ、またはそれらの薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物に関する。したがって、換言すれば、本発明は、ピソニウイルス綱のウイルスがニドウイルスまたはピコルナウイルスである、ピソニウイルス綱のウイルスによる感染症の治療において使用するための本明細書に記載の2-アミノアリールチアゾール誘導体、特にマシチニブ、またはそれらの薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物に関する。
一実施形態では、COVID-19の重症度は、Chinese National Health Committeeによって発行されたSARS-CoV-2の診断および治療ガイドラインに従って評価される(Chen et al.,Detectable serum SARS-CoV-2 viral load(RNAaemia)is closely associated with drastically elevated interleukin 6(IL-6)level in critically ill COVID-19 patients.medRxiv 2020.02.29.20029520;Liu et al.,The potential role of IL-6 in monitoring severe case of coronavirus disease 2019.medRxiv 2020.03.01.20029769;Zhang et al.,Allergy.2020年7月;75(7):1730-1741)。
一実施形態では、COVID-19の重症度は、ベルギー国立公衆衛生研究所(Sciensano)に従って評価される(Interim clinical guidance for patients suspected of/confirmed with COVID-19 in Belgium(2020年3月19日;第4版)、https://epidemio.wiv-isp.be/ID/Documents/Covid19/COVID-19_InterimGuidelines_Treatment_ENG.pdfにて取得)。
一実施形態では、COVID-19の重症度は、世界保健機関(WHO)の重症度基準に従って評価される。COVID-19の重症度のWHO基準は、以下のとおりである:
-軽症:画像上で肺炎の兆候がなく、軽症の臨床症状を示す症例。
-中等症:肺炎の放射線学的所見を有する発熱および呼吸器症状を示し、酸素(O)を必要とする症例:3L/分<酸素<5L/分;
-重症:次の基準のいずれかを満たす症例:
・呼吸窮迫(呼吸数(RR)≧30呼吸/分);
・酸素飽和度(SpO)≦93%(周囲空気中の安静時);またはSpO≦97%、O>5L/分;
・動脈血酸素分圧/吸入中酸素濃度の比率(PaO/FiO)≦300mmHg(1mmHg=0.133kPa)、高地(海抜1,000メートル以上の高度)ではPaO/FiOレベル)は、次式で補正する必要がある:PaO/FiO×[大気圧(mmHg)/760];および/または
・24~48時間以内に50%を超える明らかな病変進行を示した胸部画像;
-重篤:次の基準のいずれかを満たす症例:
・呼吸不全および機械的人工呼吸が必要;
・ショック;および/または
・ICUケアを必要とする他の臓器不全。
一実施形態では、COVID-19の重症度および/または進行は、以下の表1に示すとおりWHO10ポイント進行尺度で評価する(WHO Working Group on the Clinical Characterisation and Management of COVID-19 infection.A minimal common outcome measure set for COVID-19 clinical research.Lancet Infect Dis.2020年8月;20(8):e192-e197.doi:10.1016/S1473-3099(20)30483-7))。
Figure 2023521403000002
一実施形態では、本発明に従って治療される対象は、COVID-19に罹患しており、COVID-19のWHO10ポイント進行尺度(表1に記載)で2~9の範囲のスコアを有する。一実施形態では、本発明に従って治療される対象は、COVID-19に罹患しており、COVID-19のWHO10ポイント進行尺度(表1に記載)で、2~5の範囲のスコアを有する。一実施形態では、本発明に従って治療される対象は、COVID-19に罹患しており、COVID-19のWHO10ポイント進行尺度(表1に記載)で、2、3、4、または5のスコアを有する。一実施形態では、本発明に従って治療される対象は、COVID-19に罹患しており、COVID-19のWHO10ポイント進行尺度(表1に記載)で、2または3のスコアを有する。一実施形態では、本発明に従って治療される対象は、COVID-19に罹患しており、COVID-19のWHO10ポイント進行尺度(表1に記載)で、4~9のスコア、好ましくは4~6の範囲、より好ましくは4または5の範囲のスコアを有する。一実施形態では、本発明に従って治療される対象は、COVID-19に罹患しており、COVID-19のWHO10ポイント進行尺度(表1に記載)で、4、5、または6のスコアを有する。
一実施形態では、本発明に従って治療される対象は、COVID-19に罹患しており、入院しているが、入院時にICUを必要とせず、および:
-COVID-19のWHO10ポイント進行尺度(表1に記載)で、5のスコアを有し;
-酸素3L/分以上を必要とするが、非侵襲的換気(NIV)または高流量酸素を必要としない。
一実施形態では、COVID-19の重症度および/または進行は、以下の表2に示す改訂WHO7ポイント進行尺度で評価する。
Figure 2023521403000003
一実施形態では、本発明に従って治療される対象は、COVID-19に罹患しており、COVID-19の改訂WHO7ポイント進行尺度(表2に記載)で2~6の範囲のスコア、好ましくは、2~5の範囲のスコアを有する。一実施形態では、本発明に従って治療される対象は、COVID-19に罹患しており、COVID-19の改訂WHO7ポイント進行尺度(表2に記載)で、3~6の範囲のスコアを有し、好ましくは、3~5の範囲のスコアを有する。一実施形態では、本発明に従って治療される対象は、COVID-19に罹患しており、COVID-19の改訂WHO7ポイント進行尺度(表2に記載)で3、4または5のスコア、好ましくは4または5を有する。
一実施形態では、COVID-19は、軽症から中等症のCOVID-19である。したがって、一実施形態では、本発明は、それを必要とする対象において、軽症から中等症のCOVID-19の予防および/または治療において使用するための、本明細書に記載の2-アミノアリールチアゾール誘導体、特にマシチニブ、またはそれらの薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物に関する。
一実施形態では、軽症から中等症のCOVID-19は、COVID-19のWHO10ポイント進行尺度(表1に記載)の1~5の範囲のスコアとして定義される。一実施形態では、軽症から中等症のCOVID-19は、COVID-19のWHO10ポイント進行尺度(表1に記載の)で、1、2、3、4、または5のスコアとして定義される。
一実施形態では、軽症から中等症のCOVID-19は、次の臨床症状のうちの少なくとも1つを伴う、検査により確定されたSARS-CoV-2感染症として定義される:発熱、呼吸器症状(咳、息切れ、および/または胸部圧迫感など)、および肺炎の画像所見。
一実施形態では、軽症から中等症のCOVID-19に罹患している対象は、入院していない。一実施形態では、軽症から中等症のCOVID-19に罹患している対象は、入院している。一実施形態では、軽症から中等症のCOVID-19に罹患している対象は、入院しているが、集中治療室(ICU)への入室は必要としない。
一実施形態では、上記の軽症から中等症のCOVID-19に罹患している対象は、酸素療法を必要とする。一実施形態では、上記の軽症から中等症のCOVID-19に罹患している対象は、非侵襲的換気(NIV)を必要とする。
一実施形態では、軽症のCOVID-19は、酸素(O)を必要としないまたは肺炎のエビデンスのない、検査により確定されたSARS-CoV-2感染症として定義される。
一実施形態では、軽症のCOVID-19に罹患している対象は、入院していない。一実施形態では、軽症のCOVID-19に罹患している対象は、入院している。一実施形態では、軽症のCOVID-19に罹患している対象は、入院しているが、ICUへの入室を必要としない。
一実施形態では、軽症のCOVID-19は、COVID-19のWHO10ポイント進行尺度(表1に記載)の1~3の範囲のスコアとして定義される。一実施形態では、軽症のCOVID-19は、COVID-19のWHO10ポイント進行尺度(表1に記載)の1、2、または3のスコアとして定義される。一実施形態では、軽症のCOVID-19は、COVID-19のWHO10ポイント進行尺度(表1に記載)の4または5のスコアとして定義される。
一実施形態では、軽症のCOVID-19は、入院を必要とするが酸素療法を必要としないCOVID-19として定義される。一実施形態では、軽症のCOVID-19は、入院およびマスクまたは鼻プロングによる酸素療法を必要とするCOVID-19として定義される。
一実施形態では、中等症のCOVID-19は、COVID-19のWHO10-ポイント進行尺度(表1に記載)の4または5のスコアとして定義される。一実施形態では、中等症のCOVID-19は、COVID-19のWHO10ポイント進行尺度(表1に記載)の5のスコアとして定義され、3L/分を超える酸素が必要であるが、酸素-非侵襲的換気(NIV)または高流量酸素を必要としない。
一実施形態では、中等症のCOVID-19は、次の臨床症状を伴う、検査により確定されたSARS-CoV-2感染症として定義される:発熱、呼吸器症状(乾いた咳、息切れ、および/または胸部圧迫感など)、および肺炎の画像所見。
一実施形態では、中等症のCOVID-19に罹患している対象は、入院していない。一実施形態では、中等症のCOVID-19に罹患している対象は、入院している。一実施形態では、中等症のCOVID-19に罹患している対象は、入院しているが、ICUへの入室を必要としない。
一実施形態では、中等症のCOVID-19に罹患している対象は、COVID-19のWHO10ポイント進行尺度(表1に記載)で5のスコアとして定義され、3L/分を超える酸素が必要であるが、非侵襲的換気(NIV)または高流量酸素を必要とせず、入院しているが、ICUへの入室は必要としない。
一実施形態では、上記の中等症のCOVID-19に罹患している対象は、酸素療法を必要とする。一実施形態では、上記の中等症のCOVID-19に罹患している対象は、NIVを必要とする。
一実施形態では、COVID-19は、重症のCOVID-19である。したがって、一実施形態では、本発明は、それを必要とする対象において、重症のCOVID-19の予防および/または治療に使用するための、本明細書に記載の2-アミノアリールチアゾール誘導体、特にマシチニブ、またはそれらの薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物に関する。
一実施形態では、重症のCOVID-19は、以下の少なくとも1つを伴う、検査により確定されたSARS-CoV-2感染症として定義される:
-呼吸頻度(または呼吸数(RR))が30/分以上の呼吸窮迫;
-安静時のパルスオキシメータ酸素飽和度≦93%;および/または
-酸素化指数(動脈血酸素分圧/吸入中酸素濃度(PaO/FiO)の比)≦300mmHg。
一実施形態では、重症のCOVID-19は、以下の少なくとも1つを伴う、検査により確定されたSARS-CoV-2感染症として定義される:
-息切れ、呼吸数(RR)≧30回/分;
-安静時の酸素飽和度93%未満;
-PaO/FiO≦300mmHg;および/または
-放射線学的評価によって証明された、24~48時間以内に50%を超えて進行した肺病変。
一実施形態では、重症のCOVID-19は、以下の少なくとも1つを伴う、検査により確定されたSARS-CoV-2感染症として定義される:
-呼吸数≧30/分(成人);≧40/分(小児<5);
-血中酸素飽和度≦93%:
-PaO/FiO≦300mmHg;および/または
-24~48時間以内に肺野の50%超の肺浸潤。
一実施形態では、重症のCOVID-19は、COVID-19のWHO10-ポイント進行尺度(表1に記載)で、6~9の範囲のスコアとして定義される。一実施形態では、重症のCOVID-19は、COVID-19のWHO10ポイント進行尺度(表1に記載)で、6、7、8、または9のスコアとして定義される。一実施形態では、重症のCOVID-19は、COVID-19のWHO10ポイント進行尺度(表1に記載)の6のスコアとして定義される。
一実施形態では、重症のCOVID-19は、入院およびNIVまたは高流量酸素療法のいずれかを必要とするCOVID-19として定義される。
一実施形態では、重症のCOVID-19に罹患している対象は、入院している。
一実施形態では、重症のCOVID-19に罹患している対象は、入院しているが、ICUへの入室を必要としない。一実施形態では、重症のCOVID-19に罹患している対象は、ICUへの入室が必要である。
一実施形態では、上記の重症のCOVID-19に罹患している対象は、酸素療法を必要とする。一実施形態では、上記の重症のCOVID-19に罹患している対象は、NIVを必要とする。
一実施形態では、COVID-19は、重篤なCOVID-19である。したがって、一実施形態では、本発明は、それを必要とする対象において、重篤なCOVID-19の予防および/または治療において使用するための、本明細書に記載の2-アミノアリールチアゾール誘導体、特にマシチニブ、またはそれらの薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物に関する。
一実施形態では、重篤のCOVID-19は、重症のCOVID-19を示す基準に加えて、以下の少なくとも1つを伴う、検査により確定されたSARS-CoV-2感染症として定義される:
-機械的人工呼吸を必要とする呼吸不全;
-ショック(敗血症性ショック);および/または
-集中治療室(ICU)への入室を必要とする多臓器不全(肺外臓器不全)。
一実施形態では、重篤なCOVID-19は、COVID-19のWHO10-ポイント進行尺度(表1に記載)で、7~9の範囲のスコアとして定義される。一実施形態では、重篤なCOVID-19は、COVID-19のWHO10ポイント進行尺度(表1に記載)で、7、8、または9のスコアとして定義される。
一実施形態では、重篤なCOVID-19は、入院、挿管および機械的人工呼吸を必要とし、PaO/FIO≧150mmHgまたはSpO/FIO≧200mmHgを有するCOVID-19として定義される。
一実施形態では、重篤なCOVID-19は、入院および以下のいずれかを必要とするCOVID-19として定義される:
-機械的人工呼吸(PaO/FIO<150mmHgまたはSpO/FIO<200mmHg);または
-昇圧剤(ノルエピネフリン>0.3μg/kg/分)。
一実施形態では、重篤なCOVID-19は、入院および以下のいずれかを必要とするCOVID-19として定義される:
-機械的人工呼吸(PaO/FIO<150mmHg)および昇圧剤(ノルエピネフリン>0.3μg/kg/分);
-透析;または
-ECMO。
一実施形態では、重篤なCOVID-19に罹患している対象は、入院している。一実施形態では、重篤なCOVID-19に罹患している対象は、ICUへの入室を必要とする。
一実施形態では、上記の重篤なCOVID-19に罹患している対象は、酸素療法を必要とする。一実施形態では、上記の重篤なCOVID-19に罹患している対象は、NIVを必要とする。一実施形態では、上記の重篤なCOVID-19に罹患している対象は、挿管および機械的人工呼吸などの侵襲的換気を必要とする。一実施形態では、上記の重篤なCOVID-19に罹患している対象は、昇圧剤療法(例えば、フェニレフリン、ノルエピネフリン、エピネフリン、バソプレシン、および/またはドーパミンなど)を必要とする。
一実施形態では、COVID-19は、COVID-19関連肺炎(COVID-19肺炎とも呼ばれる)をもたらし得る。したがって、一実施形態では、本発明は、それを必要とする対象において、COVID-19関連肺炎の予防および/または治療に使用するための、本明細書に記載の2-アミノアリールチアゾール誘導体、特にマシチニブ、またはそれらの薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物に関する。
一実施形態では、COVID-19関連肺炎は、両方の肺に影響を与える。一実施形態では、COVID-19関連肺炎は、肺スキャン(コンピュータ断層撮影(CT)スキャンなど)で曇った斑点、特に肺の外縁に集合した曇った斑点として現れる。一実施形態では、COVID-19関連肺炎は、すりガラス状陰影異常の放射線学的所見または混合パターンの放射線所見(構造上の歪みの存在下での、硬化、すりガラス状陰影および網状陰影の組み合わせ)として肺スキャン上に現れる。
一実施形態では、COVID-19は、COVID-19関連急性呼吸窮迫症候群(ARDS)(COVID-19 ARDSとも呼ばれる)をもたらし得る。したがって、一実施形態では、本発明は、それを必要とする対象において、COVID-19関連ARDSの予防および/または治療に使用するための、本明細書に記載の2-アミノアリールチアゾール誘導体、特にマシチニブ、またはそれらの薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物に関する。
一実施形態では、ARDSは、急性肺損傷(ALI)の一形態として定義され、肺全体に不均一に肺胞損傷を引き起こす重症肺損傷の結果として生じる。
一実施形態では、対象は、雄である。一実施形態では、対象は、雌である。
一実施形態では、対象は、80、75、70、65または60歳未満である。一実施形態では、対象は、80歳以下である。一実施形態では、対象は、60歳以下である。一実施形態では、対象は、40歳より上である。一実施形態では、対象は、60、65、70または75歳より上である。一実施形態では、対象は、60、65、70、または75歳より上であり、80歳未満である。一実施形態では、対象は、60歳以上である。一実施形態では、対象は、60歳以上80歳未満である。一実施形態では、対象は、80歳以上である。一実施形態では、対象は、80歳より上である。一実施形態では、対象は、養護施設または長期介護施設に居住している。
一実施形態では、対象は、入院していない。一実施形態では、対象は、入院している。一実施形態では、対象は、入院しているが、集中治療室(ICU)への入室を必要としない。一実施形態では、対象は、入院しており、集中治療室(ICU)への入室が必要である。一実施形態では、対象は、酸素療法を必要としない。一実施形態では、対象は、酸素療法を必要とする。一実施形態では、対象は、NIVを必要とする。一実施形態では、対象は、挿管および機械的人工呼吸などの侵襲的換気を必要とする。
一実施形態では、本発明に従って治療される対象は、他の活性剤を受けなかったか、または受けていない。一実施形態では、本発明に従って治療される対象は、他の抗ウイルス剤を投与されなかったか、または投与されていない。したがって、一実施形態では、上記の2-アミノアリールチアゾール誘導体、好ましくはマシチニブ、またはそれらの薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物は、第一選択治療として投与するためのものである。一実施形態では、上記の2-アミノアリールチアゾール誘導体、好ましくはマシチニブ、またはそれらの薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物は、唯一の活性剤として投与するためのものである。
一実施形態では、対象は、インターロイキン6(IL6)血漿レベル、特にベースラインで20pg/mLより高いインターロイキン6(IL6)血漿レベルを有する。一実施形態では、対象は、インターロイキン6(IL6)血漿レベル、特にベースラインで20pg/mL以下のインターロイキン6(IL6)血漿レベルを有する。
一実施形態では、対象は、ニドウイルス感染症またはピコルナウイルス感染症、好ましくはSARS-CoV-2感染症によって引き起こされるCOVID-19などのコロナウイルス感染症によって引き起こされる疾患を発症するリスクがある。一実施形態では、対象は、SARS-CoV-2感染症によって引き起こされるCOVID-19など、コロナウイルス感染症によって引き起こされる重症または重篤な形態の疾患を発症するリスクがある。一実施形態では、対象は、上記のように重症または重篤なCOVID-19を発症するリスクがある。一実施形態では、対象は、COVID-19に罹患しており、肺炎、急性呼吸窮迫症候群(ARDS)、敗血症、敗血症性ショック、意識変容、および/または多臓器不全のうちの少なくとも1つを発症するリスクがある。
一実施形態では、対象は、ニドウイルス感染症またはピコルナウイルス感染症、好ましくはSARS-CoV-2感染症によって引き起こされるCOVID-19などのコロナウイルス感染症によって引き起こされる疾患を発症するリスクの増大につながり得る少なくとも1つのリスク因子を示す。一実施形態では、対象は、SARS-CoV-2感染症によって引き起こされるCOVID-19など、コロナウイルス感染症によって引き起こされる重症または重篤な病態の疾患を発症するリスクの増大につながり得る少なくとも1つのリスク因子を提示する。一実施形態では、対象は、上記のように重症または重篤なCOVID-19を発症するリスクの増大につながり得る少なくとも1つのリスク因子を示す。
本明細書で使用される場合、「リスク因子」とは、ニドウイルス感染またはピコルナウイルス感染、好ましくはコロナウイルス感染によって引き起こされる疾患(例えばSARS-CoV-2感染によって引き起こされるCOVID-19など)を発症するリスクの増大につながり得る既存の疾患、状態、習慣または行動を指す。一実施形態では、「リスク因子」とは、SARS-CoV-2感染によって引き起こされるCOVID-19など、コロナウイルス感染によって引き起こされる重症または重篤な形態の疾患を発症するリスクの増大につながり得る既存の疾患、状態、習慣または行動を指す。
一実施形態では、対象は、肺がんの積極的な化学療法または根治的放射線療法、能動喫煙、急性腎障害、喘息、アトピー、自己免疫疾患または状態、自己炎症性疾患または状態、過去6ヶ月間の骨髄または幹細胞移植、気管支過敏性、治療段階にある血液または骨髄のがん(白血病、リンパ腫、または骨髄腫など)、心血管疾患または状態、慢性気管支炎、慢性腎臓疾患、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、慢性受動喫煙(環境暴露喫煙とも呼ばれる)、嚢胞性線維症、糖尿病、肺気腫、血液疾患、高血圧、免疫不全、免疫抑制療法、特に感染のリスクを大幅に高めるのに十分な免疫抑制療法、がんの免疫療法または抗体治療、HIV(ヒト免疫不全ウイルス)感染、肺がん、肥満、妊婦、特に重度の心臓病(先天性または後天性)を有する妊婦、肺高血圧症、感染のリスクを大幅に高める希少疾患および先天性代謝異常(重症複合免疫不全症またはホモ接合性鎌状赤血球症など)、反応性気道疾患、固形臓器移植のレシピエント、重症呼吸器疾患、鎌状赤血球症、固形がん、および免疫系に影響を与える可能性のある標的がん治療(プロテインキナーゼ阻害剤またはPARP阻害剤など)から選択される少なくとも1つのリスク因子を呈する。
一実施形態では、対象は、少なくとも1つの併存疾患に罹患している。
本明細書で使用される場合、「併存疾患」とは、本発明に従って治療される対象において、ニドウイルス感染症またはピコルナウイルス感染症、好ましくはCOVID-19を引き起こすSARS-CoV-2感染症などのコロナウイルス感染症と共存する疾患または状態を指す。本発明に従って治療される対象において、ニドウイルス感染症またはピコルナウイルス感染症、好ましくはCOVID-19を引き起こすSARS-CoV-2感染症などのコロナウイルス感染症と共存し得る併存疾患の例としては、これらに限定されないが、以下が挙げられる:急性腎障害、喘息、アトピー、自己免疫疾患または状態、自己炎症性疾患または状態、過去6ヶ月間の骨髄または幹細胞移植、気管支過敏性、治療段階にある血液または骨髄のがん(白血病、リンパ腫、または骨髄腫など)、心血管疾患または状態、慢性気管支炎、慢性腎臓病、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、嚢胞性線維症、糖尿病、肺気腫、血液疾患、高血圧、免疫不全、HIV感染、肺がん、肥満、肺高血圧症、感染症のリスクを大幅に高める希少疾患および先天性代謝異常(重症度複合免疫不全症またはホモ接合型鎌状赤血球症など)、反応性気道疾患、固形臓器移植のレシピエント、重症呼吸器状態、鎌状赤血球症、および固形がん。
一実施形態では、対象は、急性腎障害、喘息、アトピー、自己免疫疾患または状態、自己炎症性疾患または状態、過去6ヶ月間の骨髄または幹細胞移植、気管支過敏性、治療段階にある血液または骨髄のがん(白血病、リンパ腫、または骨髄腫など)、心血管疾患または状態、慢性気管支炎、慢性腎臓病、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、嚢胞性線維症、糖尿病、肺気腫、血液疾患、高血圧、免疫不全、HIV感染、肺がん、肥満、肺高血圧症、感染症のリスクを大幅に高める希少疾患および先天性代謝異常(重症複合免疫不全症またはホモ接合型鎌状赤血球症など)、反応性気道疾患、固形臓器移植のレシピエント、重症呼吸器疾患、鎌状赤血球症、および固形がんを含むかまたはそれらからなる群から選択される少なくとも1つの併存疾患を呈する。
一実施形態では、対象は、鎌状赤血球症に罹患している。
一実施形態では、対象は、以下の少なくとも1つである:能動喫煙者または慢性受動喫煙者(すなわち、対象は環境喫煙にさらされている)、易感染性、妊婦、特に重大な心臓病(先天性または後天性)を有する妊婦、肺がんの積極的な化学療法または根治的放射線療法を受けている、免疫抑制療法、特に感染のリスクを大幅に高めるのに十分な免疫抑制療法を受けている、がんの免疫療法または抗体治療を受けている、免疫系に影響を与える可能性のある標的がん治療を受けている(タンパク質キナーゼ阻害剤またはPARP阻害剤など)。
本発明では、2-アミノアリールチアゾール誘導体は、2位(すなわち、複素環の窒素原子と硫黄原子との間)で、2級または3級アミンによって置換されたチアゾリル基が存在することを特徴とする化合物を指し、ここで、アミンの窒素原子は、少なくとも1つのアリール基で置換されている。
一実施形態によれば、アリール基は、アリールアミド基(すなわち、-NH-CO-アリール)で置換される。
一実施形態では、本発明の2-アミノアリールチアゾール誘導体は、以下の式(I)を有する:
Figure 2023521403000004
(I)
(式中、
・RおよびRは、水素、ハロゲン、(C~C10)アルキル、(C~C10)シクロアルキル基、トリフルオロメチル、アルコキシ、シアノ、ジアルキルアミノ、可溶化基、および可溶化基により置換された(C~C10)アルキルから独立して選択され;
・mは、0~5であり;
・nは、0~4であり;
・Rは、次のうちのいずれかである:
(i)アリール基(フェニルなど)、ここで、アリール基は、ハロゲン、(C~C10)アルキル基、トリフルオロメチル、シアノおよびアルコキシなど、1つ以上の置換基によって任意に置換されていてもよい;
(ii)ヘテロアリール基(2、3、または4-ピリジル基など)、ここで、ヘテロアリール基は、ハロゲン、(C~C10)アルキル基、トリフルオロメチルおよびアルコキシなどの1つ以上の置換基によって任意に置換されていてもよい;
(iii)5員環の芳香族複素環基(例えば、2-チエニル、3-チエニル、2-チアゾリル、4-チアゾリル、5-チアゾリルなど)、ここで、芳香族複素環基は、ハロゲン、(C~C10)アルキル基、トリフルオロメチル、およびアルコキシなどの1つ以上の置換基によって任意に置換されていてもよい)。
一実施形態では、式(I)のRおよびRは、水素、ハロゲン、(C~C10)アルキル、(C~C10)シクロアルキル基、トリフルオロメチル、アルコキシ、シアノ、ジアルキルアミノ、および可溶化基から独立して選択される。
したがって、一実施形態では、本発明の2-アミノアリールチアゾール誘導体またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物は、上記の式(I)の2-アミノアリールチアゾール誘導体またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物である。
一実施形態では、本発明の2-アミノアリールチアゾール誘導体は、以下の式(II)を有する:
Figure 2023521403000005

(式中、
・Rは、水素、ハロゲン、(C~C10)アルキル、(C~C10)シクロアルキル基、トリフルオロメチル、アルコキシ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、可溶化基、および可溶化基によって置換された(C~C10)アルキルから独立して選択され;
・mは、0~5である)。
一実施形態では、式(II)のRは、水素、ハロゲン、(C~C10)アルキル、(C~C10)シクロアルキル基、トリフルオロメチル、アルコキシ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、および可溶化基から独立して選択される。
一実施形態では、式(II)のRは、可溶化基である。一実施形態では、式(II)のRは、可溶化基によって置換された(C~C10)アルキルである。
一実施形態では、式(II)のRは、(C~C10)アルキル-(C~C11)ヘテロシクロアルキル-(C~C10)アルキル-である。一実施形態では、式(II)のRは、(C~C)アルキル-(C~C11)ヘテロシクロアルキル-(C~C10)アルキル-、好ましくは(C~C)アルキル-(C~C11)ヘテロシクロアルキル-(C~C10)アルキル-である。一実施形態では、式(II)のRは、(C~C10)アルキル-(C~C11)ヘテロシクロアルキル-(C~C)アルキル-、好ましくは(C~C10)アルキル-(C~C11)ヘテロシクロアルキル-(C~C)アルキル-である。一実施形態では、式(II)のRは、(C~C10)アルキル-(C~C)ヘテロシクロアルキル-(C~C10)アルキル-、好ましくは(C~C10)アルキル-(C)ヘテロシクロアルキル-(C~C10)アルキル-である。一実施形態では、式(II)のRは、(C-C)アルキル-(C-C)ヘテロシクロアルキル-(C-C)アルキル-であり、好ましくは、(C-C)アルキル-(C)ヘテロシクロアルキル-(C-C)アルキル-である。一実施形態では、式(II)のRは、(C-C)アルキル-ピペラジニル-(C-C)アルキル-であり、好ましくは、(C-C)アルキル-ピペラジニル-(C-C)アルキル-である。一実施形態では、式(II)のRは、メチルピペラジニル-(C-C)アルキル-、好ましくはメチルピペラジニル-メチル-、より好ましくは4-メチルピペラジニル-メチル-である。
したがって、一実施形態では、本発明の2-アミノアリールチアゾール誘導体またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物は、上記の式(II)の2-アミノアリールチアゾール誘導体またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物である。
本明細書で使用される「アリール基」という用語は、単一の芳香環(すなわち、フェニル)または縮合した(例えば、ナフチル)または共有結合により連結した複数の芳香環を有する多価不飽和芳香族ヒドロカルビル基を指し、典型的には、5~12の原子;好ましくは6~10を含み、ここで少なくとも1つの環は、芳香族である。芳香環は、任意に、それに縮合した1~2の追加の環(シクロアルキル、ヘテロシクリルまたはヘテロアリールのいずれか)を含んでもよい。アリールはまた、本明細書に列挙された炭素環系の部分的に水素化された誘導体を含むことを意図している。好適なアリール基の例としては、フェニル、トリル、アントラセニル、フルオレニル、インデニル、アズレニル、およびナフチル、ならびに5,6,7,8-テトラヒドロナフチルなどのベンゾ縮合炭素環部分が挙げられるが、これらに限定されない。アリール基は、置換されていないか、または1つ以上の置換基で置換され得る。一実施形態では、アリール基は、単環式環であり、環は、6個の炭素原子を含み、本明細書では「(C)アリール」と称される。
本明細書で使用する「アルキル基」という用語は、1~10個の炭素原子、好ましくは1~6個の炭素原子を有する飽和直鎖または分岐非環式炭化水素を指す。代表的な飽和直鎖アルキルには、メチル、エチル、n-プロピル、n-ブチル、n-ペンチル、n-ヘキシル、n-ヘプチル、n-オクチル、n-ノニルおよびn-デシルが挙げられるが、これらに限定されない。飽和分岐アルキルとしては、これらに限定されないが、イソプロピル、sec-ブチル、イソブチル、tert-ブチル、イソペンチル、2-メチルブチル、3-メチルブチル、2-メチルペンチル、3-メチルペンチル、4-メチルペンチル、2-メチルヘキシル、3-メチルヘキシル、4-メチルヘキシル、5-メチルヘキシル、2,3-ジメチルブチル、2,3-ジメチルペンチル、2,4-ジメチルペンチル、2,3-ジメチルヘキシル、2,4-ジメチルヘキシル、2,5-ジメチルヘキシル、2,2-ジメチルペンチル、2,2-ジメチルヘキシル、3,3-ジメチルペンチル、3,3-ジメチルヘキシル、4,4-ジメチルヘキシル、2-エチルペンチル、3-エチルペンチル、2-エチルヘキシル、3-エチルヘキシル、4-エチルヘキシル、2-メチル-2-エチルペンチル、2-メチル-3-エチルペンチル、2-メチル-4-エチルペンチル、2-メチル-2-エチルヘキシル、2-メチル-3-エチルヘキシル、2-メチル-4-エチルヘキシル、2,2-ジエチルペンチル、3,3-ジエチルヘキシル、2,2-ジエチルヘキシル、3,3-ジエチルヘキシルが挙げられる。本発明の化合物に含まれるアルキル基は、1つ以上の置換基で任意に置換されていてもよい。
本明細書で使用する「アルコキシ」という用語は、酸素原子によって別の部分に付着しているアルキル基を指す。アルコキシ基の例としては、メトキシ、イソプロポキシ、エトキシ、tert-ブトキシが挙げられるが、これらに限定されない。アルコキシ基は、1つ以上の置換基で任意に置換されていてもよい。
本明細書で使用される場合、「シクロアルキル」という用語は、3~10個の炭素原子を有する飽和環状アルキルラジカルを指す。代表的なシクロアルキルとしては、シクロプロピル、1-メチルシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、シクロノニル、およびシクロデシルが挙げられる。シクロアルキル基は、1つ以上の置換基で任意に置換することができる。
本明細書で使用される「ハロゲン」という用語は、-F、-Cl、-Br、または-Iを指す。
本明細書で使用される場合、用語「ヘテロアリール」は、炭素原子環員および1つ以上のヘテロ原子環員(例えば、酸素、硫黄または窒素など)を含む単環式または多環式ヘテロ芳香族環を指す。典型的には、ヘテロアリール基は、1~約5個のヘテロ原子環員および1~約14個の炭素原子環員を有する。代表的なヘテロアリール基としては、これらに限定されないが、ピリジル、1-オキソ-ピリジル、フラニル、ベンゾ[1,3]ジオキソリル、ベンゾ[1,4]ジオキシニル、チエニル、ピロリル、オキサゾリル、イミダゾリル、チアゾリル、イソキサゾリル、キノリニル、ピラゾリル、イソチアゾリル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、トリアジニル、トリアゾリル、チアジアゾリル、イソキノリニル、インダゾリル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾフリル、インドリジニル、イミダゾピリジル、テトラゾリル、ベンズイミダゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾチアジアゾリル、ベンゾオキサジアゾリル、インドリル、テトラヒドロインドリル、アザインドリル、イミダゾピリジル、キナゾリニル、プリニル、ピロロ[2,3]ピリミジニル、ピラゾロ[3,4]ピリミジニル、イミダゾ[1,2-a]ピリジル、およびベンゾ(b)チエニルが挙げられる。ヘテロ原子は、当業者に知られている保護基で置換されていてもよく、例えば、窒素上の水素はtert-ブトキシカルボニル基で置換されていてもよい。ヘテロアリール基は、1つ以上の置換基で任意に置換されていてもよい。さらに、窒素または硫黄ヘテロ原子環員は、酸化されてもよい。一実施形態では、ヘテロ芳香族環は、5員~8員の単環式ヘテロアリール環から選択される。ヘテロ芳香環またはヘテロアリール環の別の基への付着点は、ヘテロ芳香環またはヘテロアリール環の炭素原子またはヘテロ原子のいずれかであり得る。
本明細書で使用される用語「ヘテロ環」は、ヘテロシクロアルキル基およびヘテロアリール基を集合的に指す。
本明細書で使用される「ヘテロシクロアルキル」という用語は、O、N、またはSから選択される少なくとも1つのヘテロ原子を有し、2~11個の炭素原子を有する単環式または多環式の基を指し、これらは、飽和または不飽和であってもよいが、芳香族ではない。ヘテロシクロアルキル基の例としては、これらに限定されないが、ピペリジニル、ピペラジニル、2-オキソピペラジニル、2-オキソピペリジニル、2-オキソピロリジニル、4-ピペリドニル、ピロリジニル、ヒダントイニル、バレロラクタミル、オキシラニル、オキセタニル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロチオピラニル、テトラヒドロピリンジニル、テトラヒドロピリミジニル、テトラヒドロチオピラニルスルホン,テトラヒドロチオピラニルスルホキシド、モルホリニル、チオモルホリニル、チオモルホリンスルホキシド、チオモルホリニルスルホン、1,3-ジオキソラン、テトラヒドロフラニル、ジヒドロフラニル-2-オン、テトラヒドロチエニル、およびテトラヒドロ-1,1-ジオキソチエニルが挙げられる。典型的には、単環式ヘテロシクロアルキル基は、3~7員を有する。好ましい3~7員の単環式ヘテロシクロアルキル基は、5または6個の環原子を有するものである。ヘテロ原子は、当業者に知られている保護基で置換されていてもよく、例えば、窒素上の水素はtert-ブトキシカルボニル基で置換されていてもよい。さらに、ヘテロシクロアルキル基は、1つ以上の置換基で任意に置換されていてもよい。さらに、ヘテロサイクリック環の別の基への付着点は、ヘテロサイクリック環の炭素原子またはヘテロ原子のいずれかであり得る。この定義では、このような置換ヘテロサイクリック基の安定な異性体のみが企図される。
本明細書で使用される場合、「置換基」または「置換された」という用語は、化合物または基上の水素ラジカルが、保護されていない形態で、または保護基を使用して保護されている場合に、反応条件に対して実質的に安定である任意の所望の基で置換されていることを意味する。好ましい置換基の例としては、これらに限定されないが、ハロゲン(クロロ、ヨード、ブロモ、またはフルオロ);アルキル;アルケニル;アルキニル;ヒドロキシ;アルコキシ;ニトロ;チオール;チオエーテル;イミネ;シアノ;アミド;ホスホナート;ホスフィン;カルボキシル;チオカルボニル;スルホニル;スルホンアミド;ケトン;アルデヒド;エステル;酸素(-O);ハロアルキル(例えば、トリフルオロメチル);シクロアルキル(単環式または縮合もしくは非縮合多環式であってもよい(例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、またはシクロヘキシル))またはヘテロシクロアルキル(単環式または縮合もしくは非縮合多環式であってもよい(例えば、ピロリジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、モルホリニル、またはチアジニル))、単環式または縮合または非縮合多環式アリールまたはヘテロアリール(例えば、フェニル、ナフチル、ピロリル、インドリル、フラニル、チオフェニル、イミダゾリル、オキサゾリル、イソキサゾリル、チアゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、ピラゾリル、ピリジル、キノリニル、イソキノリニル、アクリジニル、ピラジニル、ピリダジニル、ピリミジニル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾチオフェニル、またはベンゾフラニル);アミノ(一級、二級、または三級);COCH;CONH;OCHCONH;NH;SONH;OCHF;CF;OCFが挙げられ;また、そのような部分は、縮合環構造または架橋、例えば-OCHO-によって任意に置換されていてもよい。これらの置換基は、任意により、これらの基から選択される置換基でさらに置換されていてもよい。特定の実施形態では、用語「置換基」または形容詞「置換された」は、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、およびアリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、ハロアルキル、-C(O)NR1112、-NR13C(O)R14、ハロ、-OR13、シアノ、ニトロ、ハロアルコキシ、-C(O)R13、-NR1112、-SR13、-C(O)OR13、-OC(O)R13、-NR13C(O)NR1112、-OC(O)NR1112、-NR13C(O)OR14、-S(O)rR13、-NR13S(O)rR14、-OS(O)rR14、S(O)rNR1112、-O、-S、および-N-R13であり、rは1または2であり;
11およびR12は、出現ごとに独立して、H、任意に置換されたアルキル、任意に置換されたアルケニル、任意に置換されたアルキニル、任意に置換されたシクロアルキル、任意に置換されたシクロアルケニル、任意に置換されたヘテロシクロアルキル、任意に置換されたアリール、任意に置換されたヘテロアリール、任意に置換されたアリールアルキル、または任意に置換されたヘテロアリールアルキルである;またはR11およびR12は、それらが結合している窒素と一緒になって、任意に置換されたヘテロシクロアルキルまたは任意に置換されたヘテロアリールであり;R13およびR14は、出現ごとに独立して、H、任意に置換されたアルキル、任意に置換されたアルケニル、任意に置換されたアルキニル、任意に置換されたシクロアルキル、任意に置換されたシクロアルケニル、任意に置換されたヘテロシクロアルキル、任意に置換されたアリールであり、任意に置換されたヘテロアリール、任意に置換されたアリールアルキル、または任意に置換されたヘテロアリールアルキルである。特定の実施形態では、用語「置換基」または形容詞「置換された」は、可溶化基を指す。
本明細書で使用するとき、「可溶化基」という用語は、実質的にイオン化することができ、例えば、水または水含有溶媒など、所望の溶媒に化合物を溶解できるようにする任意の基(「水可溶化基」)を指す。さらに、可溶化基は、化合物または錯体の親油性を高める基であり得る。一実施形態では、可溶化基は、N、O、Sなどの1つ以上のヘテロ原子で置換されたアルキル基から選択され、それぞれ任意に、アルコキシ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、カルボキシル、シアノで独立して置換されたアルキル基で置換されているか、またはシクロヘテロアルキルもしくはヘテロアリール、またはホスフェート、またはスルフェート、またはカルボン酸で置換されている。一実施形態では、可溶化基は、以下のうちの1つである:
-少なくとも1つの窒素または酸素ヘテロ原子のいずれかを含むアルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール基、および/または少なくとも1つのアミノ基またはオキソ基によって置換されている基(これらに限定されないが、2-オキソピペラジニル、2-オキソピペリジニル、2-オキソピロリジニル、4-ピペリドニル、ヒダントイニル、バレロラクタミル、オキシラニル、オキセタニル、テトラヒドロピラニル、モルホリニル、1,3-ジオキソラン、テトラヒドロフラニルおよびジヒドロフラニル-2-オンなど);
-飽和環状アミノ基であり得るアミノ基(これらに限定されないが、ピペリジニル、ペラジニルおよびピロリジニル)であり、これらは、アルキル、アルコキシカルボニル、ハロゲン、ハロアルキル、ヒドロキシアルキル、アミノ、モノアルキルアミノ、ジアルキルアミノ、カルバモイル、モノアルキルカルバモイルおよびジアルキルカルバモイル(これらに限定されないが、メチル-ピペリジニル、メチル-ピペラジニルおよびメチル-ピロリジニルなど)基からなる基によって置換され得る;
-以下a)~i)に示される構造のうちの1つであり、ここで、波線および矢印線は、本発明の2-アミノアリールチアゾール誘導体、例えば式(I)または(II)のコア構造への付着点に対応する:
Figure 2023521403000006
一実施形態では、可溶化基は、飽和環状アミノ基であり得る(これらに限定されないが、ピペリジニル、ペラジニルおよびピロリジニル)であり、これらは、アルキル、アルコキシカルボニル、ハロゲン、ハロアルキル、ヒドロキシアルキル、アミノ、モノアルキルアミノ、ジアルキルアミノ、カルバモイル、モノアルキルカルバモイルおよびジアルキルカルバモイル(これらに限定されないが、メチル-ピペリジニル、メチル-ピペラジニルおよびメチル-ピロリジニルなど)基からなる基によって置換され得る。
一実施形態では、可溶化基は、上記の構造c)であり、ここで波線は、本発明の2-アミノアリールチアゾール誘導体、例えば式(I)または(II)のコア構造への付着点に対応する。
本明細書で使用される場合、「薬学的に許容される塩」は、生物学的に望ましくないものではなく、一般に、遊離塩基を好適な有機酸もしくは無機酸と反応させることによって、または遊離酸を好適な有機もしくは無機塩基と反応させることによって調製される、遊離酸または遊離塩基の塩を指す。好適な酸付加塩は、無毒の塩を形成する酸から形成される。例としては、酢酸塩、アジピン酸塩、アスパラギン酸塩、安息香酸塩、ベシル酸塩、重炭酸塩/炭酸塩、重硫酸塩/硫酸塩、ホウ酸塩、カムシル酸塩、クエン酸塩、シクラミン酸塩、エジシル酸塩、エシル酸塩、ギ酸塩、フマル酸塩、グルセプト酸塩、グルコン酸塩、グルクロン酸塩、ヘキサフルオロリン酸塩、ヒベンズ酸塩、塩酸塩/塩化物、臭化水素酸塩/臭化物、ヨウ化水素酸塩/ヨウ化物、イセチオン酸塩、乳酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マロン酸塩、メシル酸塩、メチル硫酸塩、ナフチル酸塩、ナプシル酸塩、ニコチン酸塩、硝酸塩、オロチン酸塩、シュウ酸塩、パルミチン酸塩、パモ酸塩、リン酸水素塩、リン酸二水素塩、リン酸塩、ピログルタミン酸塩、サッカリン酸塩、ステアリン酸塩、コハク酸塩、タンニン酸塩、酒石酸塩、トシル酸塩、トリフルオロ酢酸塩、およびキシナホ酸塩が挙げられる。好適な塩基塩としては、無毒の塩を形成する塩基から形成される。例としては、アルミニウム、アルギニン、ベンザチン、カルシウム、コリン、ジエチルアミン、ジオラミン、グリシン、リジン、マグネシウム、メグルミン、オラミン、カリウム、ナトリウム、トロメタミン、2(ジエチルアミノ)エタノール、エタノールアミン、モルホリン、4(2ヒドロキシエチル)モルホリンおよび亜鉛塩が挙げられる。酸および塩基のヘミ塩、例えば、ヘミ硫酸塩およびヘミカルシウム塩も形成され得る。
一実施形態では、薬学的に許容される塩は、例えば、無機酸(例えば、塩酸、硫酸、もしくはリン酸)、または好適な有機カルボン酸もしくは有機スルホン酸(例えば、脂肪族モノもしくはジカルボン酸(例えば、トリフルオロ酢酸、酢酸、プロピオン酸、グリコール酸、コハク酸、マレイン酸、フマル酸、ヒドロキシマレイン酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、もしくはシュウ酸)、もしくはアミノ酸(例えば、アルギニン、リジン)、芳香族安息香酸(例えば、安息香酸、2-フェノキシ安息香酸、2-アセトキシ安息香酸、サリチル酸、4-アミノサリチル酸)、芳香族脂肪族カルボン酸(例えば、マンデル酸もしくはケイ皮酸)、ヘテロ芳香族カルボン酸(例えば、ニコチン酸もしくはイソニコチン酸)、脂肪族スルホン酸(例えば、メタン-、エタン-もしくは2-ヒドロキシエタン-スルホン酸、特にメタンスルホン酸)、もしくは芳香族スルホン酸(例えばベンゼン-、p-トルエン-もしくはナフタレン-2-スルホン酸))を有する薬学的に許容される酸付加塩である。
一実施形態では、本発明の2-アミノアリールチアゾール誘導体の薬学的に許容される塩は、メシル酸塩である。
特に明記しない限り、用語「メシル酸塩」は、本明細書では、メタンスルホン酸と名付けられた医薬物質(式(I)または(II)の化合物など)の塩を指すために使用される。mesylateではなくmesilateを使用することは、WHOによって発行されたINNM(修正国際一般名(International nonproprietary names modified))(例えば、世界保健機関(2006年2月)International Nonproprietary Names Modified.INN Working Document 05.167/3.WHO)に準拠している。
本明細書で使用される場合、「薬学的に許容される溶媒和物」は、本発明の2-アミノアリールチアゾール誘導体と、エタノールなどの1つ以上の薬学的に許容される溶媒分子の化学量論量または準化学量論量とを含む分子複合体を指す。「水和物」という用語は、溶媒が水であるときを指す。
一実施形態によれば、本発明の2-アミノアリールチアゾール誘導体またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物は、マシチニブまたはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物である。
マシチニブの化学名は、4-(4-メチルピペラジン-1-イルメチル)-N-[4-メチル-3-(4-ピリジン-3イルチアゾール-2-イルアミノ)フェニル]ベンズアミド-CAS番号790299-79-5:である。
Figure 2023521403000007
マシチニブは、米国特許第7,423,055号および欧州特許第1525200B1号に最初に記述された。
一実施形態によれば、本発明の2-アミノアリールチアゾール誘導体、またはそれらの薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物は、メシル酸マシチニブである。したがって、一実施形態では、上記のマシチニブの薬学的に許容される塩は、メシル酸マシチニブである。上記のとおり、換言すれば、マシチニブの薬学的に許容される塩は、マシチニブのメタンスルホン酸塩である。
メシル酸マシチニブの合成の詳細な手順は、国際公開第2008/098949号に記載されている。
一実施形態では、「メシル酸マシチニブ」とは、マシチニブの経口的に生物学的に利用可能なメシル酸塩を指す-CAS1048007-93-7(MsOH);C28H30N6OS.CH3SO3H;分子量594.76:
Figure 2023521403000008
一実施形態によれば、上記の2-アミノアリールチアゾール誘導体、好ましくはマシチニブ、またはそれらの薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物は、唯一の活性剤、すなわち、生物学的活性または薬理学的活性を示す唯一の剤として投与するためのものである。したがって、一実施形態によれば、上記の2-アミノアリールチアゾール誘導体、好ましくはマシチニブ、またはそれらの薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物は、別の抗ウイルス剤などの別の活性剤と一緒に投与するためのものではない。一実施形態では、上記の2-アミノアリールチアゾール誘導体、好ましくはマシチニブ、またはそれらの薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物は、別の抗ウイルス剤と一緒に投与するためのものではない。
一実施形態によれば、上記の2-アミノアリールチアゾール誘導体、好ましくはマシチニブ、またはそれらの薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物は、治療有効用量で投与するためのものである。
一実施形態では、上記の2-アミノアリールチアゾール誘導体、好ましくはマシチニブ、またはそれらの薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物は、少なくとも約0.01mg/kg/日(mg/キロ体重/日)の用量、好ましくは少なくとも約0.1mg/kg/日、より好ましくは少なくとも約1mg/kg/日で投与するためのものである。一実施形態では、上記の2-アミノアリールチアゾール誘導体、好ましくはマシチニブ、またはそれらの薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物は、約1mg/kg/日~約500mg/kg/日の範囲の用量、好ましくは、約1mg/kg/日~約200mg/kg/日の範囲の用量で投与するためのものである。
一実施形態では、上記の2-アミノアリールチアゾール誘導体、好ましくはマシチニブ、またはそれらの薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物は、約1~約12mg/kg/日(mg/kg体重/日)の範囲の用量で投与するためのものである。一実施形態では、上記の2-アミノアリールチアゾール誘導体、好ましくはマシチニブ、またはそれらの薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物は、約1.5~約7.5mg/kg/日の範囲の用量で投与するためのものである。一実施形態では、上記の2-アミノアリールチアゾール誘導体、好ましくはマシチニブ、またはそれらの薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物は、約3~約12mg/kg/日、好ましくは約3~約6mg/kg/日、より好ましくは約3~約4.5mg/kg/日の範囲の用量で投与するためのものである。
一実施形態では、上記の2-アミノアリールチアゾール誘導体、好ましくはマシチニブ、またはそれらの薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物は、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11または12mg/kg/日の用量で投与するためのものである。一実施形態では、上記の2-アミノアリールチアゾール誘導体、好ましくはマシチニブ、またはそれらの薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物は、約1.5、3、4.5、6、7.5、9、10.5または12mg/kg/日の用量で投与するためのものである。
一実施形態では、上記の2-アミノアリールチアゾール誘導体、好ましくはマシチニブ、またはそれらの薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物は、約3、4.5、または6mg/kg/日、好ましくは約3mg/kg/日または約4.5mg/kg/日の用量で投与するためのものである。
一実施形態では、上記の2-アミノアリールチアゾール誘導体、好ましくはマシチニブ、またはそれらの薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物は、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9または10日間、上記の用量で投与するためのものである。
一実施形態では、上記の2-アミノアリールチアゾール誘導体、好ましくはマシチニブ、またはそれらの薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物は、約1.5mg/kg/日の増分で、用量を増加させて、最大約12mg/kg/日に達することができる。各用量漸増は、用量漸増の発生を可能にするいかなる毒性事象も存在しない毒性制御を受ける。
一実施形態では、2-アミノアリールチアゾール誘導体、またはそれらの薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物の用量漸増は、初回用量の投与後、少なくとも1日後の任意の時点;例えば、1、2、3、4、5、6、または7日後、好ましくは4日後、より好ましくは2日後に起こる。一実施形態では、2-アミノアリールチアゾール誘導体、またはそれらの薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物の用量漸増は、初回用量の投与後、少なくとも1週間後の任意の時点;例えば、初回投与量の投与から1週間後、2週間後、3週間後、または4週間後、好ましくは1週間後に生じる。各用量漸増は、毒性制御を受ける。毒性制御の例としては、試験治療の一定用量での前の2日間、4日間、または1週間の治療期間中に、重症の疑いのある有害事象が報告されなかったこと、治療の中断につながった疑いのある有害事象がなかったこと、および/またはその重症度に関係なく、増量時に疑わしい有害事象が進行していないことを評価することが含まれる。
一実施形態では、上記の2-アミノアリールチアゾール誘導体、好ましくはマシチニブ、またはそれらの薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物は、初回用量約3mg/kg/日で、少なくとも1、2、3、4、5、6、または7日間、好ましくは少なくとも4日間、より好ましくは少なくとも2日間、その後約4.5mg/kg/日の用量で、好ましくは少なくとも1、2、3日間、4、5、または6日投与するためのものである。一実施形態では、上記の2-アミノアリールチアゾール誘導体、好ましくはマシチニブ、またはそれらの薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物は、初回用量約3mg/kg/日で、少なくとも1週間、少なくとも2週間、または少なくとも3週間、その後、用量約4.5mg/kg/日で、好ましくは少なくとも1、2、3、4、5、または6日間投与するためのものである。一実施形態では、上記の2-アミノアリールチアゾール誘導体、好ましくはマシチニブ、またはそれらの薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物は、初回用量約3mg/kg/日で少なくとも1、2、3、4、5、6、または7日間、好ましくは少なくとも4日間、より好ましくは少なくとも2日間、その後、用量約4.5mg/kg/日で、少なくとも1、2、3、4、5、6、または7日間、好ましくは少なくとも4日間、より好ましくは少なくとも2日間、その後用量約6mg/kg/日で、好ましくは少なくとも1、2、3、4、5、または6日間投与するためのものである。一実施形態では、上記の2-アミノアリールチアゾール誘導体、好ましくはマシチニブ、またはそれらの薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物は、初回用量約3mg/kg/日で、少なくとも1週間、少なくとも2週間、または少なくとも3週間、次に用量約4.5mg/kg/日で、少なくとも1週間、少なくとも2週間、または少なくとも3週間、その後、用量約6mg/kg/日で、好ましくは少なくとも1、2、3、4、5、または6日投与するためのものである。
一実施形態によれば、本明細書に示される任意の用量は、その薬学的に許容される塩または溶媒和物の形態ではなく、活性成分(活性剤とも呼ばれる)の量自体を指す。したがって、本発明の2-アミノアリールチアゾール誘導体、特にマシチニブの薬学的に許容される塩または溶媒和物の組成的変形は、投与される用量に影響を与えないだろう。
一実施形態によれば、上記の2-アミノアリールチアゾール誘導体、好ましくはマシチニブ、またはそれらの薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物は、経口、静脈内、非経口、局所、吸入スプレー、直腸、経鼻、または口腔内に投与することができる。一実施形態では、上記の2-アミノアリールチアゾール誘導体、好ましくはマシチニブ、またはそれらの薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物は、経口、舌下、経皮、皮下、局所、上皮または粘膜皮膚層を介した吸収、静脈内、鼻腔内、動脈内、筋肉内、腹腔内、髄腔内、直腸、膣、またはエアロゾル製剤により投与することができる。
経口投与に好適である製剤は、(a)液体溶液、例えば、水、生理食塩水、またはオレンジジュースなどの希釈剤に溶解した添加剤、例えば、シクロデキストリン(例えば、α-、β-またはγ-シクロデキストリン、ヒドロキシプロピルシクロデキストリン)またはポリエチレングリコール(例えば、PEG400)を含む有効量の化合物;(b)カプセル剤、サシェ剤、錠剤、トローチ剤(lozengeおよびtroche)(それぞれ所定量の活性成分を固形または顆粒として含む);(c)散剤;(d)適切な液体での懸濁剤;(e)適切なエマルジョンおよびゲルからなり得る。液体製剤は、薬学的に許容される界面活性剤、懸濁剤、または乳化剤を添加してまたは添加せずに、水およびアルコール、例えばエタノール、ベンジルアルコール、およびポリエチレンアルコールなどの希釈剤を含んでもよい。カプセル形態は、例えば、界面活性剤、滑剤、および不活性充填剤(例えば、ラクトース、スクロース、リン酸カルシウム、およびコーンスターチなど)を含む、通常のハードシェルまたはソフトシェルゼラチンタイプのものであり得る。錠剤の形態としては、ラクトース、スクロース、マンニトール、コーンスターチ、ポテトスターチ、アルギン酸、微結晶性セルロース、アカシア、ゼラチン、グアーガム、コロイド状二酸化ケイ素、クロスカルメロースナトリウム、タルク、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸、および他の賦形剤、着色剤、希釈剤、緩衝剤、崩壊剤、湿潤剤、保存剤、香味剤、および薬理学的に適合する担体のうちの1つ以上が挙げられ得る。トローチ形態は、活性成分を含むフレーバー、通常はスクロースおよびアカシアまたはトラガカント、ならびに活性成分をゼラチンおよびグリセリン、またはスクロースおよびアカシア、エマルション、ゲルなどの不活性基剤中に含む香錠、活性成分に加えて、当技術分野において公知である担体などを含むことができる。
非経口投与に好適である製剤としては、抗酸化剤、緩衝剤、静菌剤、および製剤を意図するレシピエントの血液と等張にする溶質を含むことができる、水性および非水性の等張滅菌注射溶液、ならびに懸濁剤、可溶化剤、増粘剤、安定剤、および防腐剤を含むことができる水性および非水性滅菌懸濁液が挙げられる。活性剤は、例えば、滅菌液体または液体の混合物(例えば、水、生理食塩水、デキストロース水溶液および関連糖溶液、アルコール(例えば、エタノール、イソプロパノール、またはヘキサデシルアルコール)、グリコール(例えば、プロピレングリコールまたはポリエチレングリコール)、グリセロールケタール(例えば、2,2-ジメチル-1,3-ジオキソラン-4-メタノール)、エーテル(例えば、ポリエチレングリコール(例えば、PEG400))、油、脂肪酸、脂肪酸エステルもしくはグリセリド、またはアセチル化脂肪酸グリセリド)などの医薬担体中の生理的に許容される希釈液で、医薬的に許容される界面活性剤(例えば、石鹸または洗剤)、懸濁剤(例えば、ペクチン、カーボマー、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、もしくはカルボキシメチルセルロース)、または乳化剤及び他の医薬品補助剤を添加してまたは添加することなく、投与することができる。非経口製剤中で使用され得る油としては、石油、動物油、植物油、または合成油が挙げられる。油の具体例としては、落花生、大豆、ごま、綿実、とうもろこし、オリーブ、ワセリン、ミネラルなどが挙げられる。非経口製剤中での使用に好適な脂肪酸としては、オレイン酸、ステアリン酸、およびイソステアリン酸が挙げられる。オレイン酸エチルおよびミリスチン酸イソプロピルは、好適な脂肪酸エステルの例である。非経口製剤中での使用に好適である石鹸としては、脂肪族アルカリ金属塩、アンモニウム塩、およびトリエタノールアミン塩が挙げられ、好適な洗浄剤としては、(a)カチオン洗浄剤(例えばジメチルジアルキルアンモニウムハライドおよびアルキルピリジニウムハライド)、(b)アニオン洗浄剤(例えば、アルキル、アリール、およびオレフィンスルホネート、アルキル、オレフィン、エーテル、およびモノグリセリドサルフェート、およびスルホスクシネート)、(c)非イオン性界面活性剤(例えば、脂肪族アミンオキシド、脂肪酸アルカノールアミド、およびポリオキシエチレン-ポリプロピレンコポリマー)、(d)両性界面活性剤(例えば、アルキル-β-アミノプロピオネート、および2-アルキル-イミダゾリン四級アンモニウム塩)、および(e)それらの混合物が挙げられる。非経口製剤は、典型的には、約0.5~約25重量%の活性剤、すなわち上記の2-アミノアリールチアゾール誘導体、好ましくはマシチニブ、またはそれら薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物を溶液中に含む。好適な保存剤および緩衝剤をそのような製剤中に使用することができる。注射部位での刺激を最小限に抑えるか、またはなくすために、そのような組成物は、約12~約17の親水性-親油性バランス(HLB)を有する1つ以上の非イオン性界面活性剤を含み得る。そのような製剤中の界面活性剤の量は、約5~約15重量%の範囲である。好適な界面活性剤としては、ソルビタンモノオレエートなどのポリエチレンソルビタン脂肪酸エステル、およびプロピレンオキシドとプロピレングリコールとの縮合によって形成される、疎水性塩基とのエチレンオキシドの高分子量付加物が挙げられる。非経口製剤は、アンプルおよびバイアルなどの単回用量または複数回用量の密閉容器で提供されてもよく、滅菌液体担体、例えば注射用、使用直前用の水の添加のみ必要とするフリーズドライ(凍結乾燥)状態で保存されてもよい。即時注射溶液および懸濁液は、前述の種類の滅菌粉末、顆粒、および錠剤から調製することができる。
活性剤、すなわち、上記の2-アミノアリールチアゾール誘導体、好ましくはマシチニブ、またはそれらの薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物は、注射用製剤にすることができる。注射可能な組成物のための有効な薬学的担体の要件は、当業者に周知である。Pharmaceutics and Pharmacy Practice,J.B.Lippincott Co.,Philadelphia,Pa.,Banker and Chalmers編、238-250頁(1982)、およびASHP Handbook on Injectable Drugs,Toissel,第4版、622~630頁(1986)を参照されたい。
局所的に適用される組成物は、一般に液体(例えば洗口剤)、クリーム、ペースト、ローションおよびゲルの形態である。局所投与として、口腔、口腔上皮、口蓋、歯肉、および鼻粘膜を含む口腔粘膜への適用が挙げられる。いくつかの実施形態では、組成物は、少なくとも1つの活性成分および好適なビヒクルまたは担体を含有する。また、抗刺激剤などの他の成分が含まれてもよい。担体は、液体、固体または半固体であり得る。実施形態では、組成物は、洗口剤などの水溶液である。あるいは、組成物は、様々な成分の分散液、エマルジョン、ゲル、ローション、またはクリームビヒクルであってもよい。一実施形態では、一次ビヒクルは、水または実質的に中性であるか、または実質的に中性にされている生体適合性溶媒である。液体ビヒクルは、緩衝剤、アルコール、グリセリン、鉱油などの他の材料を、当技術分野で知られているように、所望のpH、コンシステンシー、および粘度を得るために、様々な乳化剤または分散剤と共に含むことができる。組成物は、粉末または顆粒などの固体として産生され得る。固体は、直接適用するか、使用前に水または生体適合性溶媒に溶解して、実質的に中性であるか、または実質的に中性にされ、かつ標的部位に適用することができる溶液を形成してもよい。本発明の実施形態では、皮膚への局所適用のためのビヒクルは、水、緩衝溶液、様々なアルコール、グリセリンなどのグリコール、脂肪酸などの脂質材料、鉱物油、ホスホグリセリド、コラーゲン、ゼラチン、およびシリコーンベースの材料を含むことができる。
活性剤、すなわち上記の2-アミノアリールチアゾール誘導体、好ましくはマシチニブ、またはそれの薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物は、吸入により投与されるエアロゾル製剤にされ得る。これらのエアロゾル製剤は、加圧された許容可能な噴射剤に入れることができる。好適な噴射剤としては、例えば、フッ素化炭化水素(例えば、トリクロロモノフルオロメタン、ジクロロジフルオロメタン、クロロジフルオロメタン、クロロジフルオロエタン、ジクロロテトラフルオロエタン、ヘプタフルオロプロパン、テトラフルオロエタン、ジフルオロエタン)、炭化水素(例えば、プロパン、ブタン、イソブタン)、または圧縮ガス(例えば、窒素、亜酸化窒素、二酸化炭素)が挙げられる。これらは、ネブライザーまたはアトマイザーなどの非加圧調製物用の医薬品として製剤化されてもよい。
一実施形態では、上記の2-アミノアリールチアゾール誘導体、好ましくはマシチニブ、またはそれらの薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物は、経口投与用である。
一実施形態では、上記の2-アミノアリールチアゾール誘導体、好ましくはマシチニブ、またはそれらの薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物は、少なくとも1日1回、好ましくは1日2回投与するためのものである。
一実施形態では、上記の2-アミノアリールチアゾール誘導体、好ましくはマシチニブ、またはそれらの薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物は、少なくとも1、2、3、4、5、または6週間、好ましくは少なくとも2週間投与するためのものである。一実施形態では、上記の2-アミノアリールチアゾール誘導体、好ましくはマシチニブ、またはそれらの薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物は、少なくとも1日、2日、3日、4日、5日、6日、7日、8日、9日、10日、11日、12日、13日、14日、15日、16日、17日、18日、19日、20日、21日、22日、23日、24日、25日、26日、27日、28日、29日、または30日、好ましくは少なくとも15日の期間、投与するためのものである。
一実施形態では、上記の2-アミノアリールチアゾール誘導体、好ましくはマシチニブ、またはそれらの薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物は、経口投与に適した形態である。経口投与に適した形態の例としては、これらに限定されないが、液体、ペーストまたは固体組成物、特に錠剤、カプセル剤、丸剤、液体、ゲル、シロップ、スラリー、および懸濁液が挙げられる。
一実施形態では、上記の2-アミノアリールチアゾール誘導体、好ましくはマシチニブ、またはそれらの薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物は、錠剤、好ましくは100mgまたは200mg錠剤として投与するためのものである。
一実施形態によれば、上記の2-アミノアリールチアゾール誘導体、好ましくはマシチニブ、またはそれらの薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物は、イソケルセチン、ケルセチン、またはケルセチン-3-O-β-D-グルクロニドなどのケルセチンフラボノールと組み合わせて投与するためのものである。
一実施形態では、上記の2-アミノアリールチアゾール誘導体、好ましくはマシチニブ、またはそれらの薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物は、イソケルセチンまたはケルセチン、好ましくはイソケルセチンと組み合わせて投与するためのものである。
イソケルセチン(CAS番号482-35-9)は、ケルセチン3-O-3グルコピラノシド、ケルセチン-3-O-グルコシド、イソクエルシトロシド、イソトリフォリン、トリフォリン、トリフォリンAまたはイソクエルシトリンとしても知られている。その分子式は、C21H20O12であり、IUPAC(国際純正・応用化学連合)名は、2-(3,4-ジヒドロキシフェニル)-5,7-ジヒドロキシ-3-[(2S,3R,4S,5S,6R)-3,4,5-トリヒドロキシ-6-(ヒドロキシメチル)オキサン-2-イル]オキシクロメン-4-オンである。
イソケルセチンは、次式を有する:
Figure 2023521403000009
本明細書で使用される「イソケルセチン」という用語は、結晶性固体形態、任意のプロドラッグ、薬学的に許容される塩、水和物、およびその溶媒和物を包含する。
イソケルセチンは、フラボノイドとして知られる植物由来の色素物質の広いグループに属するフラボノールである。フラボノイドは、多様な生物学的活性を有する天然ポリフェノール化合物の最大のグループである。イソケルセチンは、経口で生物学的に利用可能なイソケルセチンの誘導体である。
ケルセチン(CAS番号117-39-5)は、ソフォレチン、メレチン、キサンタウリン、クエルセトール、クエルシチン、クエルチン、2-(3,4-ジヒドロキシフェニル)-3,5,7-トリヒドロキシ-4H-1-ベンゾピラン-4-オン、3,3’,4’,5,7-ペンタヒドロキシフラボンまたは3,5,7,3’,4’-ペンタヒドロキシフラボンとしても知られている。その分子式は、C15H10O7であり、そのIUPAC名は、2-(3,4-ジヒドロキシフェニル)-3,5,7-トリヒドロキシクロメン-4-オンである。
ケルセチンは、次式を有する:
Figure 2023521403000010
本明細書で使用される「ケルセチン」という用語は、結晶性固体形態、任意のプロドラッグ、それらの薬学的に許容される塩、水和物および溶媒和物を包含する。
ケルセチンは、様々な果物および野菜から単離された豊富なポリフェノールフラボノイドであり、多様な生物活性を有する。
したがって、本発明の目的は、上記のそれを必要とする対象において、上記のニドウイルス感染症またはピコルナウイルス感染症、好ましくはコロナウイルス感染症、特にCOVID-19を引き起こすSARS-CoV-2感染症の治療において使用するための、イソケルセチンまたはケルセチンと、好ましくはイソケルセチンと組み合わせて、上記の2-アミノアリールチアゾール誘導体、好ましくはマシチニブ、またはそれらの薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物である。
一実施形態では、本発明は、上記のそれを必要とする対象において、コロナウイルス感染症、特にCOVID-19を引き起こすSARS-CoV-2感染症の治療において使用するためのイソケルセチンと組み合わせた、上記の2-アミノアリールチアゾール誘導体、好ましくはマシチニブ、またはそれらの薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物に関する。
一実施形態では、上記のそれを必要とする対象において、本発明は、COVID-19の予防および/または治療において使用するための、イソケルセチンと組み合わせた、上記の2-アミノアリールチアゾール誘導体、好ましくはマシチニブ、またはそれらの薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物に関する。
したがって、一実施形態では、上記の2-アミノアリールチアゾール誘導体、好ましくはマシチニブ、またはそれらの薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物は、イソケルセチンまたはケルセチンとの同時、個別、または連続投与するためのものである。
一実施形態では、上記の2-アミノアリールチアゾール誘導体、好ましくはマシチニブ、またはそれらの薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物は、イソケルセチンまたはケルセチンと併用投与するためのものであり、例えば、併用調製物、医薬組成物または医薬品である。
したがって、本発明の別の目的は、上記のそれを必要とする対象において、上記のニドウイルス感染症またはピコルナウイルス感染症、好ましくはコロナウイルス感染症、特にCOVID-19を引き起こすSARS-CoV-2感染症の治療において使用するための、上記の2-アミノアリールチアゾール誘導体、好ましくはマシチニブ、またはそれらの薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物と、イソケルセチンまたはケルセチンと、好ましくはイソケルセチンとの組み合わせである。
一実施形態では、本発明は、上記のそれを必要とする対象において、コロナウイルス感染症、特にCOVID-19を引き起こすSARS-CoV-2感染症の治療において使用するための、マシチニブ、またはそれらの薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物とイソケルセチンとの組み合わせに関する。
一実施形態では、本発明は、上記のそれを必要とする対象において、COVID-19の予防および/または治療において使用するための、マシチニブまたはそれらの薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物とイソケルセチンとの組み合わせに関する。
一実施形態では、本発明の組合せは、同時、別個または順次の組合せである。一実施形態では、本発明の組合せは、組合せ調製物、医薬組成物または医薬品である。
一実施形態では、上記のイソケルセチンは、約0.25g/日~約5g/日の範囲、好ましくは約0.5g/日~約2.5g/日の範囲、より好ましくは約1g/日~約2g/日の範囲の用量で投与するためのものである。一実施形態では、上記のイソケルセチンは、約0.4g/日~約2g/日の範囲の用量で投与するためのものである。
一実施形態では、上記のイソケルセチンは、約0.5、1、1.5、2、2.5、3、3.5、4、4.5、または5g/日の用量で投与するためのものである。一実施形態では、上記のイソケルセチンは、約1g/日の用量で投与するためのものである。
一実施形態では、上記のイソケルセチンは、約0.5g/日分ずつ規則的に減量させた用量で投与することができる。
一実施形態では、上記のイソケルセチンの減量は、初回用量の投与後少なくとも7日後、および初回用量の投与後28日より前の任意の時点、例えば、初回用量の投与後7日、14日、または21日で行われる。
一実施形態では、上記のイソケルセチンは、少なくとも7日、14日または21日間、初回用量約2g/日、その後、約1.5g/日の用量で投与するためのものである。
一実施形態では、上記のイソケルセチンは、初回用量約2g/日で少なくとも7日間、その後用量約1.5g/日で少なくとも7日間、その後用量約1g/日で投与するためのものである。
一実施形態によれば、上記のイソケルセチンは、経口、静脈内、非経口、局所、吸入スプレー、直腸、経鼻、または口腔内に投与することができる。
一実施形態では、上記のイソケルセチンは、経口投与用である。
一実施形態では、上記のイソケルセチンは、少なくとも1日1回、好ましくは1日2回投与するためのものである。
一実施形態では、上記のイソケルセチンは、少なくとも1、2、3、4、5、または6週間、好ましくは少なくとも2週間投与するためのものである。一実施形態では、上記のイソケルセチンは、少なくとも1日、2日、3日、4日、5日、6日、7日、8日、9日、10日、11日、12日、13日、14日、15日、16日、17日、18日、19日、20日、21日、22日、23日、24日、25日、26日、27日、28日、29日、または30日、好ましくは少なくとも15日の期間、投与するためのものである。
一実施形態では、上記のイソケルセチンは、経口投与に適した形態である。経口投与に適した形態の例は、上記に示されている。
一実施形態では、上記のイソケルセチンは、カプセル、好ましくは250mgカプセルとして投与するためのものである。
本発明の別の目的は、上記のとおり、上記の2-アミノアリールチアゾール誘導体、好ましくはマシチニブ、またはそれらの薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物を含む第1の部分と、イソケルセチンまたはケルセチン、好ましくはイソケルセチンを含む第2の部分とを含むキット・オブ・パーツである。
一実施形態では、本発明のキット・オブ・パーツは、マシチニブ、またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物を含む第1の部分と、イソケルセチンを含む第2の部分とを含む。
一実施形態によれば、本発明の2-アミノアリールチアゾール誘導体、好ましくはマシチニブ、またはそれらの薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物は、任意にイソケルセチンまたはケルセチンと共に、少なくとも1つのさらなる薬学的活性剤と共に投与するためのものである。
一実施形態では、イソケルセチンまたはケルセチン、好ましくはイソケルセチンと組み合わせた、上記の2-アミノアリールチアゾール誘導体、好ましくはマシチニブ、またはそれらの薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物は、少なくとも1つのさらなる薬学的活性剤と共に投与するためのものである。
一実施形態では、上記のとおり、2-アミノアリールチアゾール誘導体、またはそれらの薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物と、イソケルセチンまたはケルセチン、好ましくはイソケルセチンとの組み合わせは、少なくとも1つのさらなる薬学的活性剤と共に投与するためのものである。
本発明によれば、2-アミノアリールチアゾール誘導体、好ましくはマシチニブ、またはそれらの薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物は、任意にイソケルセチンまたはケルセチンと共に、少なくとも1つのさらなる薬学的活性剤と同時に、別々に、または連続的に投与され得る。
一実施形態では、上記のような2-アミノアリールチアゾール誘導体、好ましくはマシチニブ、またはそれらの薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物は、任意にイソケルセチンまたはケルセチンと共に、好ましくは、混合調製物、医薬組成物または医薬品において、少なくとも1つ以上の薬学的活性剤と組み合わせて投与するためのものである。
上記のニドウイルス感染症またはピコルナウイルス感染症、好ましくはコロナウイルス感染症、特にCOVID-19を引き起こすSARS-CoV-2感染症を有する対象に投与され得るさらなる薬学的活性剤の例としては、これらに限定されないが、抗ウイルス剤、抗インターロイキン6(抗ーIL6)剤、プロテアーゼ阻害剤、ヤヌス関連キナーゼ(JAK)阻害剤、および他の剤(例えば、BXT-25、ブリラシジン、コハク酸デヒドロアンドログラホリド、APN01、フィンゴリモド、メチルプレドニゾロン、サリドマイド、ベバシズマブ、クエン酸シルデナフィル、インターフェロン、またはカリマイシン)が挙げられる。
一実施形態では、少なくとも1つのさらなる薬学的活性剤は、抗ウイルス剤、抗インターロイキン6(抗IL6)剤、プロテアーゼ阻害剤、JAK阻害剤、他の剤(例えば、BXT-25、ブリラシジン、コハク酸デヒドロアンドログラホリド、APN01、フィンゴリモド、メチルプレドニゾロン、サリドマイド、ベバシズマブ、クエン酸シルデナフィル、インターフェロン、カリマイシン、アンギオテンシン、受容体遮断薬(ARB)、アンギオテンシン変換酵素阻害剤(ACE-I)、ロサルタン、またはCD24Fc);およびそれらの任意の混合物を含むかまたはそれらからなる群から選択される。
一実施形態では、少なくとも1つのさらなる薬学的活性剤は、抗ウイルス剤、抗インターロイキン6(抗IL6)剤、プロテアーゼ阻害剤、JAK阻害剤、他の剤(例えば、BXT-25、ブリラシジン、コハク酸デヒドロアンドログラホリド、APN01、フィンゴリモド、メチルプレドニゾロン、サリドマイド、ベバシズマブ、クエン酸シルデナフィル、インターフェロン、カリマイシン)、およびそれらの任意の混合物を含むかまたはそれらからなる群から選択される。
一実施形態では、少なくとも1つのさらなる薬学的活性剤は、レムデシビル、インターフェロン(例えば、インターフェロンβ-1a(IFN-β-1a)、インターフェロンβ-1b(IFN-β-1b)およびペグインターフェロンβ-1a)を含むまたは含まないロピナビルとリトナビルとの組み合わせ(ロピナビル/リトナビル)、ダルナビルとコビシスタットとの組み合わせ(ダルナビル/コビシスタット)、オセルタミビル、ファビピラビルヒドロキシクロロキン、クロロキン、トシリズマブ、サリルマブ、バリシチニブ、フィンゴリモド、メチルプレドニゾロン、サリドマイド、ベバシズマブ、クエン酸シルデナフィル、インターフェロン(例えば、インターフェロンベータ-1a(IFNβ-1a)、インターフェロンβ-1b(IFN-β-1b)およびペグインターフェロンβ-1a)、カリマイシン、アンギオテンシン受容体遮断薬(ARB)、アンギオテンシン変換酵素阻害剤(ACE-I)、ロサルタン、CD24Fc、およびそれらの任意の混合物を含むかまたはそれらからなる群から選択される。
一実施形態では、少なくとも1つのさらなる薬学的活性剤は、レムデシビル、インターフェロン(例えば、インターフェロンβ-1a(IFN-β-1a)、インターフェロンβ-1b(IFN-β-1b)およびペグインターフェロンβ-1a)を含むまたは含まないロピナビルとリトナビルとの組み合わせ(ロピナビル/リトナビル)、ヒドロキシクロロキン、抗IL6剤(例えば、トシリズマブ、シルツキシマブ、サリルマブ、シルクマブ、クラザキズマブ、またはオロキズマブ)、およびそれらの任意の混合物を含むかまたはそれらからなる群から選択される。
一実施形態では、少なくとも1つのさらなる薬学的活性剤は、レムデシビル、インターフェロン(例えば、インターフェロンβ-1a(IFN-β-1a)、インターフェロンベータ-1b(IFN-β-1b)およびペグインターフェロンベータ-1a)を含むまたは含まないロピナビルとリトナビルとの組み合わせ(ロピナビル/リトナビル)、ヒドロキシクロロキンおよびそれらの任意の混合物を含むかまたはそれらからなる群から選択される。
一実施形態では、少なくとも1つのさらなる薬学的活性剤は、抗ウイルス剤である。上記のニドウイルス感染症またはピコルナウイルス感染症、好ましくはコロナウイルス感染症、特にCOVID-19を引き起こすSARS-CoV-2感染症を有する対象に投与され得る抗ウイルス剤の例としては、これらに限定されないが、エムデシビル、ロピナビルとリトナビルとの組み合わせ(ロピナビル/リトナビル)、クロロキン、ヒドロキシクロロキン、リバビリン、オセルタミビル、ベクラブビル、サキナビル、ウミフェノビル、ファビピラビル、レロンリマブ、ダルナビルとコビシスタットとの組み合わせ(ダルナビル/コビシスタット)、ガリデシビルおよびファビラビルが挙げられる。
一実施形態では、少なくとも1つのさらなる薬学的活性剤は、レムデシビル、ロピナビルとリトナビルの組み合わせ(ロピナビル/リトナビル)、クロロキン、ヒドロキシクロロキン、リバビリン、オセルタミビル、ベクラブビル、サキナビル、ウミフェノビル、ファビピラビル、レロンリマブ、ダルナビルとコビシスタットとの組み合わせ(ダルナビル/コビシスタット)、ガリデシビル、ファビラビル、およびそれらの任意の混合物を含むかまたはそれらからなる群から選択される抗ウイルス剤である。
一実施形態では、少なくとも1つのさらなる薬学的活性剤は、レムデシビル、ロピナビルとリトナビルとの組み合わせ(ロピナビル/リトナビル)、クロロキン、ヒドロキシクロロキン、オセルタミビル、ファビピラビル、ダルナビルとコビシスタットとの組み合わせ(ダルナビル/コビシスタット)、ガリデシビル、ファビラビル、およびそれらの任意の混合物を含むかまたはそれらからなる群から選択される抗ウイルス剤である。
一実施形態では、少なくとも1つのさらなる薬学的活性剤は、レムデシビル、ロピナビルとリトナビルとの組み合わせ(ロピナビル/リトナビル)、クロロキン、ヒドロキシクロロキン、およびそれらの任意の混合物を含むかまたはそれらからなる群から選択される抗ウイルス剤である。
一実施形態では、少なくとも1つのさらなる薬学的活性剤は、レムデシビル、ロピナビルとリトナビルとの組み合わせ(ロピナビル/リトナビル)、ヒドロキシクロロキン、およびそれらの任意の混合物を含むかまたはそれらからなる群から選択される抗ウイルス剤である。
一実施形態では、少なくとも1つのさらなる薬学的活性剤は、レムデシビル、ヒドロキシクロロキン、およびそれらの任意の混合物を含むかまたはそれらからなる群から選択される抗ウイルス剤である。
一実施形態では、少なくとも1つのさらなる薬学的活性剤は、抗IL6剤である。上記のニドウイルス感染症またはピコルナウイルス感染症、好ましくはコロナウイルス感染症、特にCOVID-19を引き起こすSARS-CoV-2感染症を有する対象に投与され得る抗IL6剤の例としては、これらに限定されないが、トシリズマブ、シルツキシマブ、サリルマブ、シルクマブ、クラザキズマブ、およびオロキズマブが挙げられる。
一実施形態では、少なくとも1つのさらなる薬学的活性剤は、トシリズマブ、シルツキシマブ、サリルマブ、シルクマブ、クラザキズマブ、オロキズマブ、およびそれらの任意の混合物を含むかまたはそれらからなる群から選択される抗IL6剤である。
一実施形態では、少なくとも1つのさらなる薬学的活性剤は、トシリズマブである。
一実施形態では、少なくとも1つのさらなる薬学的活性剤は、プロテアーゼ阻害剤である。上記のニドウイルス感染症またはピコルナウイルス感染症、好ましくはコロナウイルス感染症、特にCOVID-19を引き起こすSARS-CoV-2感染症を有する対象に投与され得るプロテアーゼ阻害剤の例としては、これらに限定されないが、シメプレビルおよびカモスタットメシル酸塩が挙げられる。
一実施形態では、少なくとも1つのさらなる薬学的活性剤は、シメプレビル、カモスタットメシル酸塩、およびそれらの任意の混合物を含むかまたはそれらからなる群から選択されるプロテアーゼ阻害剤である。
一実施形態では、少なくとも1つのさらなる薬学的活性剤は、JAK阻害剤である。上記のニドウイルス感染症またはピコルナウイルス感染症、好ましくはコロナウイルス感染症、特にCOVID-19を引き起こすSARS-CoV-2感染症の対象に投与され得るJAK阻害剤の例としては、これらに限定されないが、バリシチニブ、フェドラチニブ、およびルキソリチニブが挙げられる。
一実施形態では、少なくとも1つのさらなる薬学的活性剤は、バリシチニブ、フェドラチニブ、ルキソリチニブ、およびそれらの任意の混合物を含むかまたはそれらからなる群から選択されるJAK阻害剤である。
上記のニドウイルス感染症またはピコルナウイルス感染症、好ましくはコロナウイルス感染症、特にCOVID-19を引き起こすSARS-CoV-2感染症を有する対象に投与され得る他の剤としては、これらに限定されないが、BXT-25、ブリラシジン、コハク酸デヒドロアンドログラホリド、APN01、フィンゴリモド、メチルプレドニゾロン、サリドマイド、ベバシズマブ、クエン酸シルデナフィル、インターフェロン(例えば、インターフェロンβ-1a(IFN-β-1a)、インターフェロンβ-1b(IFN-β-1b)およびペグインターフェロンβ-1a)、カリマイシン、アンギオテンシン受容体遮断薬(ARB)、アンギオテンシン変換酵素阻害剤(ACE-I)、ロサルタン、ベバシズマブ、CD24Fcが挙げられる。
一実施形態では、少なくとも1つのさらなる薬学的活性剤は、BXT-25、ブリラシジン、コハク酸デヒドロアンドログラホリド、APN01、フィンゴリモド、メチルプレドニゾロン、サリドマイド、ベバシズマブ、クエン酸シルデナフィル、インターフェロン(インターフェロンβ-1a(IFN-β-1a)、インターフェロンβ-1b(IFN-β-1b)およびペグインターフェロンβ-1a)、カリマイシン、アンギオテンシン受容体遮断薬(ARB)、アンギオテンシン変換酵素阻害剤(ACE-I)、ロサルタン、ベバシズマブ、CD24Fc、およびそれらの任意の混合物を含むかまたはそれらからなる群から選択される。
本発明の別の目的は、それを必要とする対象において、上記のニドウイルス感染症またはピコルナウイルス感染症、好ましくはコロナウイルス感染症を治療するための方法であって、上記の2-アミノアリールチアゾール誘導体、好ましくはマシチニブ、またはそれらの薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物を対象者に投与することを含むまたはそれからなる。
一実施形態では、本発明の方法は、本明細書に記載の医薬組成物を投与することを含むかまたはそれからなり、医薬組成物は、2-アミノアリールチアゾール誘導体、好ましくはマシチニブ、またはそれらの薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物、および少なくとも1つの薬学的に許容される賦形剤を含むか、本質的にそれらからなるか、またはそれらからなる。
一実施形態では、本発明の方法は、イソケルセチンまたはケルセチン、好ましくはイソケルセチンと組み合わせた、2ーアミノアリールチアゾール誘導体、好ましくはマシチニブ、またはそれらの薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物を投与することを含むかまたはそれからなる。
一実施形態では、本発明の方法は、上記の少なくとも1つのさらなる薬学的活性剤を投与することを含む。
一実施形態では、本発明の方法は、上記のように、COVID-19を引き起こすSARS-CoV-2感染症を治療するためのものである。一実施形態では、本発明の方法は、上記のように、それを必要とする対象において、COVID-19関連肺炎および/またはCOVID-19関連急性呼吸窮迫症候群(ARDS)を予防および/または治療するためのものである。
本発明の別の目的は、それを必要とする対象において、上記のニドウイルス感染症またはピコルナウイルス感染症を治療するための、またはその治療に使用するための医薬組成物であり、医薬組成物は、2-アミノアリールチアゾール誘導体、好ましくはマシチニブ、またはそれらの薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物、および少なくとも1つの薬学的に許容される賦形剤を含むか、本質的にそれらからなるか、またはそれらからなる。一実施形態によれば、本発明は、それを必要とする対象において、コロナウイルス感染症、特にCOVID-19を引き起こすSARS-CoV-2感染症を治療するための、またはその治療に使用するための医薬組成物に関し、組成物は、2-アミノアリールチアゾール誘導体、好ましくはマシチニブ、またはそれらの薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物、および少なくとも1つの薬学的に許容される賦形剤を含むか、またはそれらから本質的になるか、またはそれらからなる。
薬学的に許容される賦形剤、例えばビヒクル、アジュバント、担体または希釈剤は、当業者に周知であり、一般に容易に入手可能である。典型的には、薬学的に許容される賦形剤は、活性化合物(活性剤(複数可)または活性成分(複数可)とも呼ばれる)に対して化学的に不活性であるものであり、使用条件下で有害な副作用または毒性を有しないものである。
一実施形態では、医薬組成物は、マシチニブ、またはそれらの薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物、および少なくとも1つの薬学的に許容される賦形剤を含むか、それらから本質的になるか、またはそれらからなる。一実施形態では、医薬組成物は、マシチニブ、またはそれらの薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物、および少なくとも1つの薬学的に許容される賦形剤からなる。
一実施形態では、本発明の医薬組成物は、イソケルセチンまたはケルセチン、好ましくはイソケルセチンをさらに含む。したがって、一実施形態では、医薬組成物は、マシチニブ、またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物;イソケルセチンまたはケルセチン、好ましくはイソケルセチン;および少なくとも1つの薬学的に許容される賦形剤を含むか、それから本質的になるか、またはそれらからなる。一実施形態では、医薬組成物は、マシチニブ、またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物;イソケルセチンまたはケルセチン、好ましくはイソケルセチン;および少なくとも1つの薬学的に許容される賦形剤からなる。一実施形態では、医薬組成物は、マシチニブ、またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物、イソケルセチン、および少なくとも1つの薬学的に許容される賦形剤からなる。
一実施形態では、本発明の医薬組成物は、ニドウイルス感染症またはピコルナウイルス感染症、好ましくは上記のコロナウイルス感染症を、イソケルセチンまたはケルセチン、好ましくはイソケルセチンと組み合わせて治療するため、または治療に使用するためのものである。
したがって、本発明の別の目的は、それを必要とする対象において、上記のニドウイルス感染症またはピコルナウイルス感染症、好ましくはコロナウイルス感染症を、イソケルセチンまたはケルセチン、好ましくはイソケルセチンと組み合わせて治療するための、または治療に使用するための医薬組成物であって、医薬組成物は、2-アミノアリールチアゾール誘導体、好ましくはマシチニブ、またはそれらの薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物、および少なくとも1つの薬学的に許容される賦形剤を含むか、それらから本質的になるか、それらからなる。
本発明の別の目的は、それらを必要とする対象において、上記のニドウイルス感染症またはピコルナウイルス感染症、好ましくはコロナウイルス感染症を治療するため、または治療に使用するための、イソケルセチンまたはケルセチン、好ましくはイソケルセチンと組み合わせた医薬組成物であって、医薬組成物は、2-アミノアリールチアゾール誘導体、好ましくはマシチニブ、またはそれらの薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物、および少なくとも1つの薬学的に許容される賦形剤を含むか、それらから本質的になるか、それらからなる。
一実施形態では、本発明の医薬組成物は、上記のように、COVID-19を引き起こすSARS-CoV-2感染症を治療するため、または治療に使用するためのものである。一実施形態では、本発明の医薬組成物は、それを必要とする対象において、COVID-19関連肺炎および/またはCOVID-19関連急性呼吸窮迫症候群(ARDS)の予防および/または治療のため、または予防および/または治療に使用するためのものである。
本発明の別の目的は、それを必要とする対象において、上記のニドウイルス感染症またはピコルナウイルス感染症、好ましくはコロナウイルス感染症を治療するための医薬品を製造するために、2-アミノアリールチアゾール誘導体、好ましくはマシチニブ、またはそれらの薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物を使用することである。
一実施形態では、本発明の別の目的は、それを必要とする対象において、上記のニドウイルス感染症またはピコルナウイルス感染症、好ましくはコロナウイルス感染症を治療するための医薬品を製造するために、2-アミノアリールチアゾール誘導体、好ましくはマシチニブ、またはそれらの薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物をイソケルセチンまたはケルセチンと組み合わせて使用することである。
一実施形態では、本発明は、それを必要とする対象において、上記のニドウイルス感染症またはピコルナウイルス感染症、好ましくはコロナウイルス感染症を治療するための医薬品を製造するために、上記の2-アミノアリールチアゾール誘導体、またはそれらの薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物を使用することに関し、ここで、医薬品は、イソケルセチンまたはケルセチンとの併用投与のためものである。
一実施形態では、医薬品は、上記の少なくとも1つのさらなる薬学的活性剤と組み合わせて投与するためのものである。
一実施形態では、コロナウイルス感染症は、上記のCOVID-19を引き起こすSARS-CoV-2感染である。一実施形態では、医薬品は、それを必要とする対象において、COVID-19関連肺炎および/またはCOVID-19関連急性呼吸窮迫症候群(ARDS)を予防および/または治療するためのものである。
非老化細胞に対するマシチニブ、イソケルセチン、およびマシチニブとイソケルセチンとの組み合わせの効果を示すグラフの組み合わせを示す図である。図1Aは、非老化細胞の生存率に対するマシチニブ単独(0.1~2μM)の用量依存効果を示している。図1Bは、非老化細胞の生存率に対するイソケルセチン単独(1~20μM)の用量依存効果を示している。図1Cは、マシチニブ(0.1~2μM)とイソケルセチン(1~20μM)との組み合わせが非老化細胞の生存率に及ぼす用量依存的効果を示している。 老化細胞に対するマシチニブ、イソケルセチン、およびマシチニブとイソケルセチンとの組み合わせの効果を示すグラフの組み合わせを示す図である。図2Aは、老化細胞の生存率に対するマシチニブ単独(0.1~2μM)の用量依存効果を示している。図2Bは、老化細胞の生存率に対するイソケルセチン単独(1~20μM)の用量依存効果を示している。図2Cは、マシチニブ(0.1~2μM)とイソケルセチン(1~20μM)との組み合わせが老化細胞の生存率に及ぼす用量依存的効果を示している。 マシチニブの増大する濃度に対するウェル当たりのOC43感染細胞の平均パーセントを示すグラフを示す図である。個々の測定値は、半透明の円として示す(一部の円は、重なっている)。 0.58μMにおけるEC50により、初代ヒト気道上皮細胞におけるOC43複製のマシチニブ阻害を示す折れ線グラフを示す図である。 複数の濃度のマシチニブで2時間前処理し、SARS-CoV-2(MOI0.5)に感染させ、2日間インキュベートしたACE2過剰発現A549細胞のマシチニブ処理の結果を示すグラフを示す図である。スパイクタンパク質の存在について細胞を染色し、感染細胞の割合を分析した。個々の測定値は、半透明の円として示す(一部の円は、重なっている)。 SARS-CoV-2子孫産生に対するマシチニブの効果を示すグラフを示す図である。細胞を10μMのマシチニブで2時間処理し、SARS-CoV-2に感染させ(MOI=0.5)、細胞上清を力価測定のために2日後に収集した(n=3)。個々の測定値は、半透明の円として示す。マシチニブは、統計的に有意な(p値<0.001、片側t検定、FDR補正済み)ウイルス力価の低下を示した。 SARS-CoV-2のメインプロテアーゼ(3CLpro、Mpro、またはnsp5として知られる)に対するマシチニブの阻害活性を示す一連のグラフである。図7Aは、単一濃度(10μM)でのマシチニブによる3CLproの阻害を評価するために実施したFlipGFPレポーターアッセイの結果を示す棒グラフである。個々の測定値は、円で示す。バーは、平均±s.e.を表す。マシチニブの処理では、3CLpro活性を完全に阻害した。図7Bは、FlipGFPレポーターアッセイを使用した、マシチニブによる3CLpro阻害の用量反応曲線である(n=6)。個々の測定値は、円として示す。図7Cは、ルシフェラーゼレポーターアッセイを使用した、マシチニブによる3CLpro阻害の用量反応曲線である(n=3)。個々の測定値は、円として示す。図7Dは、精製3CLproおよび蛍光発生ペプチド基質を使用した、無細胞アッセイにおけるマシチニブによる3CLpro阻害の用量反応曲線である、n=3。個々の測定値は、円として示す。図7Eは、示されるように、異なる基質(S)濃度の存在下での3CLのマシチニブ阻害のin vitro特徴を示す折れ線グラフである。マシチニブは、2.58μMのKi値を有する3CL活性の競合的阻害剤である。 3CLpro、Mpro、またはnsp5として知られるSARS-CoV-2の主要プロテアーゼへのマシチニブの結合を示す図である。図8Aは、SARS-CoV-2 3CLproの二量体形成、ドメイン構造、およびマシチニブ結合部位を示している。モノマーAにおいて、阻害剤マシチニブがスティック形式で描かれ、D1とD2との間の活性部位に結合している。3つの結合ポケットS1、S2、およびS4の部位がマークされている。図8Bは、マシチニブと3CLproとの相互作用を示している。リボンダイアグラムは、活性部位でマシチニブと3CLproとの間で形成されたいくつかの相互作用の詳細を示している。3CLproのキーポケット形成または相互作用する残基も、C原子によるスティック形式で表示される。水素結合は、破線で描かれている。2つの触媒残基は、アスタリスクでマークされている。 ピコルナウイルスに対するマシチニブの阻害効果を示す一連のグラフを示す図である。図9Aは、ピコルナウイルス3C(コクサッキーウイルスB3(CVB3)由来)のタンパク質分解活性を阻害するマシチニブの能力を調査するために行ったルシフェラーゼレポーターアッセイの結果を示す棒グラフである。n=6、p値=7×10-6(片側t検定)。図9Bは、Huh7細胞を10μMのマシチニブで2時間処理し、コクサッキーウイルスB3(CVB3)またはヒトライノウイルス2、14、および16(HRV2、HRV14、HRV16)を、MOI0.01で感染させ、その後24時間後に力価測定のために上清を集めた結果を示す棒グラフを示す。n=3、p値<0.001(片側t検定、FDR補正済み)。 マシチニブ(10μM)が、インフルエンザAウイルス(IAV、オルソミクソウイルス科)、麻疹ウイルス(MeV、パラミクソウイルス科)、リンパ性脈絡膜髄膜炎ウイルス(LCMV)、およびチクングニアウイルス(CHIKV、トガウイルス科)によって感染させた細胞に対して有意な効果を示さなかったことを示す棒グラフを示す図である。LCMV(n=2)を除くすべてにおいてn=3。p値>0.07(片側t検定、FDR補正済み)。 感染後4および6日目のマウスの肺(11A)およびマウスの鼻甲介(11B)におけるSARS-CoV-2ウイルス量を示すドットプロットを示す図である。マウスは、マシチニブ(25または50mg/kg、bid、ip)またはPBSで処置した。 感染後1~6日のマウスの臨床スコアを示す折れ線グラフを示す図である。マウスは、マシチニブ(25または50mg/kg、bid、ip)またはPBSで処置した。
実施例
本発明は、以下の実施例によってさらに説明される。
実施例1:マシチニブおよびイソケルセチンのin vitro老化細胞破壊効果
材料および方法
材料
BV2細胞は、レトロウイルス不死化ミクログリア様細胞であり、細胞老化のモデルとして使用される。BV2細胞は、10%熱不活化ウシ胎児血清(hiFBS)を添加したダルベッコ改変イーグル培地で培養し、処理およびフローサイトメトリー分析のために、6ウェルマルチウェルプレートに播種した。
マシチニブ(メシル酸マシチニブ)は、ABS cience(Paris,France)から入手し、DMSOで0.1~2μMの溶液として調製した。
イソケルセチンは、DMSOで1~20μMの溶液として調製した。
方法
老化モデル
BV2細胞は、細胞の老化を誘導するために、DNA損傷を誘導するアルキル化剤であるテモゾロミド(TMZ)で処理した。老化誘導研究では、細胞を播種し、24時間ごとに5時間、用量を増加しながら(10~150μM)、TMZで2回処理した。BV2細胞をTMZにより2回連続処理後、細胞の増殖は減少し、細胞は拡大したサイズおよび平らな顆粒状の形状を有する特徴的な老化表現型を発達させた。TMZ誘導遺伝毒性後のBV2細胞の老化表現型は、広く認識された細胞老化のマーカーであるβ-gal活性を示す細胞の数を測定することによってさらに確認した。2回目のTMZ処理後、5-ドデカノイルアミノフルオレセイン ジ-β-D-ガラクトピラノシド(C12FDG)キットを使用してフローサイトメトリー分析を実施し、製造業者(Thermo Fisher Scientific,#D2893)によって記載されているとおり、リソソームのアルカリ化によるβ-ガラクトシダーゼ活性を測定した。TMZは、β-gal+細胞数の用量依存的増加を誘導した。最大60%のβ-gal+BV2細胞、すなわち、老化細胞がTMZ濃度100μMで得られた(データは示さず)。
マシチニブ、イソケルセチン、またはマシチニブとイソケルセチンとの併用による治療
非老化細胞(BV2細胞)および老化細胞(TMZで前処理したBV2細胞)の細胞生存率分析のために、細胞を96ウェルマルチウェルプレートに72時間播種した。増加用量のイソケルセチン(DMSO中1~20μM)、マシチニブ(DMSO中0.1~2μM)またはイソケルセチンおよびマシチニブの両方を組み合わせにより細胞を処理し、任意の潜在的相乗効果を調べた。処理の48時間後、細胞生存率をスルホローダミンB(SRB)アッセイによって分析した。各ウェルの光学密度(OD)を96ウェルプレートリーダーで540nmで読み取った。SRB溶液のODは、細胞数に正比例する。
結果
TMZ処理したBV2細胞(老化細胞破壊薬剤のスクリーニングに十分に適したモデル)を使用して、マシチニブ単独、イソケルセチン単独、またはマシチニブとイソケルセチンとの組み合わせの効果を老化細胞の生存率を低下において評価した。
したがって、TMZで前処理したBV2細胞を、マシチニブ単独、イソケルセチン単独、またはマシチニブとイソケルセチンとの組み合わせとインキュベートした。対照として、非老化増殖BV2細胞を、マシチニブ単独、イソケルセチン単独、またはマシチニブとイソケルセチンとの組み合わせの同じ条件でインキュベートした。
図1に示すとおり、非老化増殖BV2細胞をマシチニブ(図1A)、イソケルセチン(図1B)、またはマシチニブとイソケルセチンとの組み合わせ(図1C)に48時間曝露した場合、スルホローダミンB(SRB)で染色された生存細胞のフローサイトメトリー分析によって推定されるように、高濃度のマシチニブおよび/またはイソケルセチンであっても、細胞生存率の有意な変化はなかった。
図2に示すとおり、老化BV2細胞をマシチニブ単独(図2A)またはイソケルセチン単独(図2B)のいずれかに曝露したときに、高濃度のマシチニブ(2μM)またはイソケルセチン(20μM)を除いて、細胞生存率のわずかな低下のみ誘導した。対照的に、老化BV2細胞がマシチニブとイソケルセチンとの組み合わせに48時間曝露された場合、生存可能なTMZ誘導による老化BV2細胞の数は、有意に減少した(図2C)。老化細胞破壊効果は、マシチニブおよびイソケルセチンの両方が低濃度(0.1μMマシチニブ+1μMイソケルセチン)でも顕著であり、老化細胞生存率が約30%低下した。驚くべきことに、マシチニブとイソケルセチンとの併用による老化細胞破壊効果は、マシチニブ単独およびイソケルセチン単独による老化細胞破壊効果の合計よりも有意に大きかった。例えば、2μMマシチニブと20μMイソケルセチンとの組み合わせは、老化細胞の生存率の約70%の低下を誘導し(図2C)、一方、2μMマシチニブ単独および20μMイソケルセチン単独では、それぞれ、老化細胞の生存率の約25%の低下を誘導した(図2A~図2B)。
結論として、BV2細胞で得られたデータは、マシチニブおよびイソケルセチンがそれぞれ、より高い濃度(例えば、マシチニブ2μMおよびイソケルセチン20μM)で、老化細胞における生存能力の喪失を選択的かつ有意に誘導できることを示している。BV2細胞で得られたデータは、マシチニブとイソケルセチンとの組み合わせが、低濃度(例えば、マシチニブ0.1μMおよびイソケルセチン1μM)でも老化細胞の生存能力の喪失を選択的かつ有意に誘導することも示している。さらに、BV2細胞で得られたデータは、マシチニブとイソケルセチンとの組み合わせによる老化細胞破壊効果が相乗的であること、すなわち、マシチニブおよびイソケルセチンが、選択的かつ有意に老化細胞の生存能力の低下の誘導において、相乗的であることを示している。
実施例2:COVID-19の治療におけるマシチニブとイソケルセチンとの併用の有効性を調査する臨床試験
入院患者におけるCOVID-19の治療のために、マシチニブとイソケルセチンとの組み合わせ(ベストサポーティブケアを含む)の安全性および有効性を評価することを目的とした無作為化二重盲検プラセボ対照臨床試験がここに記載されている。
COVID-19で入院した成人患者を対象としたこの研究の全体的な目的は、マシチニブとイソケルセチンとの併用の有効性を評価することである。
この研究は、疾患の重症度(COVID-19の重症度に関する世界保健機関(WHO)の基準によって定義)に応じて定義された2つの異なる患者群を用いた無作為化二重盲検プラセボ対照臨床試験であり、また、疾患の臨床管理によってすなわち、集中治療室(ICU)に入院する必要がない(第1群)およびICUに入室する必要がない(第2群)に広く分類することができる。各患者群には、個々の対照アームがあり、合計で4つの治療アームとなる。
全体として、120名の患者が募集され、患者セットが60名/群であり、30名の患者が1:1の比率でマシチニブ/イソケルセチン(すなわち、マシチニブとイソケルセチンとの併用、ベストサポーティブケアを伴う)アームまたは対照アーム(プラセボマシチニブおよびプラセボイソケルセチン、ベストサポーティブケアを伴う)のいずれかに無作為に割り当てられる。
群1:ICUへの入室を必要としない患者(無作為化の時点)
-30名の患者が無作為に割り付けられ、マシチニブ/イソケルセチンおよびベストサポーティブケアを受ける(ヒドロキシクロロキンおよびクロロキンを除く)。マシチニブの経口用量は、3mg/kg/日(mg/kg体重/日)または4.5mg/kg/日である。Data Safety Monitoring Board(DSMB)によって評価された安全性が許容できる場合、患者は、マシチニブ3mg/kg/日を少なくとも4日間、好ましくは少なくとも2日間、その後4.5mg/kg/日を受けてもよい。
-ベースライン特性が一致する少なくとも30人の患者が対照アームに含まれ、プラセボマシチニブおよびプラセボイソケルセチンおよびベストサポーティブケアを受ける(ヒドロキシクロロキンおよびクロロキンを除く)。
ベストサポーティブケアとは、これらに限定されないが、酸素供給、鎮痛薬、抗血栓薬、抗ウイルス薬、および生物学的薬剤など、治験責任医師の選択による利用可能な最善の治療法である。
群2:ICUへの入室を必要とする患者
-30名の患者が無作為に割り付けられ、マシチニブ/イソケルセチンおよびベストサポーティブケアを受ける(ヒドロキシクロロキンおよびクロロキンを除く)。マシチニブの経口用量は、3mg/kg/日または4.5mg/kg/日である。DSMBによって評価された安全性が許容できる場合、患者は、マシチニブ3mg/kg/日を少なくとも4日間、好ましくは少なくとも2日間、その後4.5mg/kg/日を受けることができる。患者は、地域の手順に応じて、ステロイドを受けても受けなくてもよい。
-ベースライン特性が一致する少なくとも30人の患者が対照アームに含まれ、プラセボマシチニブおよびプラセボイソケルセチンおよびベストサポーティブケアを受ける(ヒドロキシクロロキンおよびクロロキンを除く)。
マシチニブとイソケルセチンとの併用の推奨経口用量は、次のとおりである:
-マシチニブ:患者は、1日用量3mg/kg/日(mg/kg体重/日)または4.5mg/kg/日のマシチニブを受ける。DSMBによって評価された安全性が許容できる場合、患者は、マシチニブを1日用量3mg/kg/日を少なくとも4日間、好ましくは少なくとも2日間、その後1日用量4.5mg/kg/日のマシチニブを受けてもよい。
-イソケルセチン:経口経路によるイソケルセチンの1日用量1g/日。
マシチニブ/イソケルセチンは、酸素療法の中止後24時間または退院まで、好ましくは、最低7日間の治療で服用するものとする。
研究期間は、90日間である。
COVID-19の重症度に関するWHOの基準は、以下のとおりである:
-軽症:軽症の臨床症状を示し、画像上で肺炎の徴候がない症例。
-中等症:肺炎の放射線学的所見を伴い、発熱および呼吸器症状を示し、酸素(O)を必要とする症例:3L/分<O<5L/分;
-重症:次の基準のいずれかを満たす症例:
・呼吸窮迫(呼吸数(RR)≧30呼吸/分);
・酸素飽和度(SpO)≦93%(周囲空気中の安静時);またはSpO≦97%、O>5L/分;
・動脈血酸素分圧/吸入中酸素濃度の比率(PaO/FiO)≦300mmHg(lmmHg=0.133kPa)、高地(海抜1,000メートルを超える高度)でのPaO/FiOは、次式で補正するものとする:
PaO/FiO[乗算][大気圧(mmHg)/760];および/または
・24~48時間以内に50%を超える明らかな病変進行を示した胸部画像;
-重篤:次の基準のいずれかを満たす症例:
・呼吸不全および機械的人工呼吸が必要;
・ショック;および/または
・ICUケアを必要とする他の臓器不全。
包含基準:
1.-72時間以内の任意の検体において、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、または他の商用もしくは公衆衛生アッセイによって、および/または無作為化前のCTスキャン(以下の典型的な放射線学的所見(すりガラス異常、およびリンパ節腫脹、胸水、肺結節、肺空洞症がない))によって決定された、検査により確定されたSARS-CoV-2感染
2.COVID肺炎の治療のための入院患者
3.登録時に18歳以上の男性または女性の成人
4.-次の2つの群のいずれかに属する患者:
5.群1:COVID-19の重症度のWHO基準に従って、中等症および重症の肺炎を伴い、初回入院時にICUを必要としない患者:
中等症症例(上記の表2に記載のとおり、改訂WHO7ポイント進行尺度でスコア4)
次のすべての基準を満たす症例:
・肺炎の放射線学的所見を伴い、発熱および呼吸器症状を示す;
・SpO>97%の維持に、3L/分~5L/分の酸素を必要とする。
または
以下の基準のすべてによって定義される中等症の肺炎の症例:
・3L/分以上の酸素を必要とする。
・WHO10ポイント進行尺度のスコア=5;および
・非侵襲的換気(NIV)または高流量酸素は行わない。
重症例(上記の表2に記載のとおり、改訂WHO7ポイント進行尺度でスコア5)
次の基準のいずれかを満たす症例:
・呼吸窮迫(RR≧30回/分);
・周囲空気中の安静時のSpO≦93%;またはSpO≦97%、O>5L/分;および/または
・PaO/FiO≦300mmHg。
-群2:COVID肺炎の重症度の基準に基づいて、ICUを必要とする患者:
・呼吸不全および機械的人工呼吸を必要する;
・蘇生措置拒否指示(DNR指示)なし。
5.体重45kg超、BMIが18以上35kg/m以下の患者。
主要評価項目および副次的評価項目は、検査された患者の群によって異なる。
群1の患者(ICUを必要としない)の場合:
-同時主要評価項目
1.14日目に、非侵襲的換気(NIV)などの人工呼吸器の使用を必要とせずに生存している。したがって、考えられるイベントは、人工呼吸器の使用(NIVなど)を必要とするか、または死亡である。新しいDNR指示は、DNRの日付でイベントと見なされる。
2.早期評価項目:4日目のWHO10ポイント進行尺度のスコア5以下(上記の表1に記載)、または改訂WHO7ポイント進行尺度(上記の表2に記載)を使用した15日目の患者の臨床状態。
-群1の副次的評価項目は、次のとおりである:
・4日、7日、および14日での10ポイントWHO進行尺度のスコア;
・14日、28日、90日での全生存。
・ICUへ移送するまでの時間;
・人工呼吸器の使用、NIV、または高流量酸素までの時間。
・退院までの時間;
・酸素供給の自立までの時間;
・ウイルス排泄陰性までの時間;
・生物学的パラメータの改善:推算糸球体濾過量(eGFR)、C反応性タンパク質(CRP)、ミオグロビン、クレアチンホスホキナーゼ(CPK)、心筋トロポニン、フェリチン、乳酸、細胞血球数、肝酵素、乳酸脱水素酵素(LDH)、D-ダイマー、アルブミン、フィブリノーゲン、トリグリセリド、凝固検査、尿電解質、クレアチン尿、タンパク尿、尿酸血症、IL6、プロカルシトニン、免疫表現型、および探索的検査;
・上記の表2に記載のとおり、改訂WHO7ポイント進行尺度に対応する次の序数尺度を使用した臨床状態:1.入院しておらず、活動に制限がない;2.入院していない、活動が制限されている;3.入院、酸素補給を必要としない;4.入院、酸素補給を必要とする;5.入院、非侵襲的換気または高流量酸素装置;6.入院、侵襲的機械的換気またはECMO;7.死亡。
群2の患者(ICUを必要とする):
-同時主要評価項目
1.14日目における気管抜管成功の累積発生率(抜管期間>48時間と定義)。死亡またはDNR指示は競合イベントと見なす。
2.早期エンドポイント:4日目のWHO10ポイント進行尺度のスコア≦7(上記の表1に記載)。
-群2の副次的評価項目は、次のとおりである:
・4日、7日、および14日での10ポイントWHO進行尺度のスコア;
・14日、28日、90日での全生存;
・28日間人工呼吸器を使用しない;
・PaO/FiO比の進化。
・4日目の呼吸性アシドーシス(動脈血のpHが7.25未満で、動脈血二酸化炭素の分圧[Paco]が60mmHg以上で6時間超);
・酸素供給の自立までの時間;
・入院期間;
・ウイルス排泄陰性までの時間;
・ICU退院までの時間;
・退院までの時間;
・生物学的パラメータの改善(eGFR、CRP、心筋トロポニン、尿電解質およびクレアチニン、タンパク尿、尿酸血症、IL6、ミオグロビン、腎障害分子-1(KIM-1)、好中球ゼラチナーゼ関連リポカリン(NGAL)、CPK、フェリチン、乳酸、細胞血球数、肝酵素、LDH、D-ダイマー、アルブミン、フィブリノーゲン、トリグリセリド、凝固検査(活性化部分トロンボプラスチン時間など)、プロカルシトニン;
・上記の表2に記載のとおり、改訂WHO7ポイント進行尺度に対応する次の序数尺度を使用した臨床状態:1.入院しておらず、活動に制限がない;2.入院していない、活動が制限されている;3.入院、酸素補給を必要としない;4.入院、酸素補給を必要とする;5.入院、非侵襲的換気または高流量酸素装置;6.入院、侵襲的機械的換気またはECMO;7.死亡;
・腎代替療法の比率;
・人工呼吸器パラメータ。
安全性評価の基準には以下が含まれる:
・重篤な有害事象の数
・重篤な有害事象の累積発生率
・グレード3および4の有害事象の累積発生率
・治験薬の中止(理由の如何を問わず)
実施例3:COVID-19の治療のための単剤としてのマシチニブの有効性を調査する臨床試験
症候性の軽症から中等症のCOVID-19患者におけるマシチニブの抗ウイルスの有効性を評価することを目的とした、無作為化二重盲検プラセボ対照第2相臨床試験が本明細書に記載されている。
この研究の全体的な目的は、症候性軽症から中等症のCOVID-19患者における3つの異なる投与量のマシチニブの抗ウイルスの有効性を評価することである。
すべての患者は、さらにベストサポーティブケアを受け、患者は次の3つのアームのいずれかに無作為に割り付ける。
・マシチニブ3.0mg/kg/日を10日間または対応するプラセボ
・マシチニブ3.0mg/kg/日を2日間、その後4.5mg/kg/日を8日間または対応するプラセボ
・マシチニブ3.0mg/kg/日を2日間、次に4.5mg/kg/日を2日間、次に6.0mg/kg/日を6日間または対応するプラセボ。
各アームについて、ヒドロキシクロロキン、クロロキン、レムデシビルは除外される。ベストサポーティブケアとは、これらに限定されないが、解熱剤、コルチコステロイド、酸素供給、鎮痛薬、抗血栓薬、およびCOVID-19用に承認された抗ウイルス薬など、治験責任医師の選択により利用可能な最善の治療法である。治療は、10日間施される。患者は、1ヶ月間追跡される。
78名の患者を募集する。各アームについて、20名の患者がマシチニブで治療され、6名の患者がプラセボで治療される。患者の50%は、10スコアのWHO臨床進行尺度(上記の表1に記載)でスコア2または3の活性および対照アームに含まれ、患者の50%は、10スコアのWHO臨床進行尺度(上記の表1に記載)でスコア4または5の活性および対照アームに含まれる。
包含基準
1.-症候性の外来で軽症COVID-19(上記の表1に記載の10スコアWHO臨床進行尺度でスコア2および3)の男性または妊娠していない女性で、以下のいずれか
・年齢≧75歳
・または65歳<年齢<74歳、以下の併存疾患を有する:
-複雑性動脈性高血圧症
-クラスI肥満:BMI30~35kg/m以下
-糖尿病
-閉塞性肺疾患または呼吸不全
または、COVID-19に登録した時点で18歳以上の入院中の男性または妊娠していない女性の成人で、上記の表1に記載のWHO10ポイント進行尺度でスコア4であり、以下の併存疾患を有する:
-複雑性動脈性高血圧症
-クラスI肥満:BMI30~35kg/m以下
-糖尿病
-閉塞性肺疾患または呼吸不全
または、COVID-19に登録した時点で18歳以上の入院中の男性または妊娠していない女性の成人で、上記の表1に記載のWHO10ポイント臨床進行尺度でスコア5を有する。
2.-研究者によって決定されたCOVID-19と一致する症状を有し、無作為化の5日前までに発症している。
3.-無作為化の72時間前までに、COVID-19検査結果が陽性であり(検証済みのSARS-CoV-2 RT-PCR、または鼻、口咽頭、唾液などの適切なサンプルを使用した他の分子診断アッセイによる)、現在の臨床状態について別の説明がない。
4.体重が45kgを超え、BMIが18以上35kg/m以下の患者。
主な目的は、10日間の治療後の患者のウイルス量に基づいて、軽症および中等症のCOVID-19患者におけるマシチニブの有効性を評価することである。したがって、主要評価項目は次のとおりである。RT-qPCRで測定した鼻腔スワブでの4日目、7日目、10日目のウイルス量の変化。
安全性評価の基準には以下が含まれる:
-重篤な有害事象(SAE)の累積発生率
-グレード3および4の有害事象(AE)の累積発生率。
-治験薬の中止(理由の如何を問わず)
実施例4:マシチニブのin vitro抗ウイルス効果
この実施例は、マシチニブがニドウイルスおよびピコルナウイルスを阻害することを示している。
材料および方法
材料
細胞
H2B-mRubyを発現するA549は、最初にA549細胞(ATCC CCL-185)をレンチウイルス(H2B-mRubyを担持する)に感染させ、mRuby+細胞をFACSソーティングすることによって生成した。それらはポリクローナル集団として維持され、DMEM+10%BCS(仔ウシ血清)で増殖させた。これらの細胞は、すべてのOC43感染(すなわち、HCoV-OC43による感染)に使用した。Ace2-A549細胞(Blanco-Meloet al.,Cell,181:1036-1045.e9(2020)、参照により本明細書に組み込まれる)は、SARS-CoV-2感染に使用した。それらは、DMEM+10%FBS(ウシ胎児血清)中で維持した。アフリカミドリザル腎細胞(Vero E6)は、10%FBS、1%ペニシリン-ストレプトマイシン、および1%HEPESを添加したDMEM中で維持した。Huh7細胞をピコルナウイルス感染(すなわち、コクサッキーウイルスB3(CVB3)またはヒトライノウイルス2、14および16(HRV2、14、16)のうちの1つによる感染)に使用した。MDCK-SIAT1-TMPRSS2細胞は、インフルエンザAウイルス(IAV)感染に使用した。10%FBSおよび1%ペニシリン-ストレプトマイシンを添加した50:50DMEM:F12培地中で維持したA549細胞は、リンパ性脈絡膜髄膜炎ウイルス(LCMV)感染に使用した。
ウイルス
OC43(すなわち、HCoV-OC43)は、A549-mRuby細胞上で増殖させ力価測定したATCC(VR-1558)から得た。SARS-CoV-2(nCoV/Washington/1/2020)は、National Biocontainment Laboratory,Galveston,TXから提供を受けた。VeroE6細胞は、SARS-CoV-2の増殖および力価測定に使用した。コクサッキーウイルスB3またはCVB3(Nancy株)、ヒトライノウイルス(HRV)2、14、および16は、完全長感染性クローン由来であり、Vero細胞(NR-10385、BEIResources、NIAID、NIH)中で生成した。Armstrong 53b株をベースにした組換えリンパ性脈絡膜髄膜炎(rLCMV)は、以前に記載されたとおりに生成した(Flatz et al.,ProcNatl.Acad.Sci.U.S.A.103:4663ー4668(2006)およびZiegler et al.,PLoS Pathog.,12:e1005501(2016)、これらの各々は、参照により本明細書に組み込まれる)。ワーキング株は、Vero E6細胞中で生成され、同じ細胞を使用してウイルス力価を測定した。使用した麻疹ウイルス(MeV)は、Moraten/Schwartzワクチン株の分子cDNAクローン由来であった(del Valle et al.,J.Virol.,81:10597-10605(2007)に記載されており、本明細書において、参考として援用される)。組換え麻疹ウイルスは、以前に記載されたとおりホタルルシフェラーゼを発現するように設計した(Munoz-Alia et al.,Viruses,11:(2019)、本明細書において、参考として援用される)。
方法
薬物スクリーニング
A549-mRuby細胞を、Multidropコンビを使用して、9枚の384ウェルプレートに播種した(3,000細胞/ウェル)。細胞は、DMEM+10%BCSを用いて最終容量30μLで播種した。翌日、20μLのOC43を添加し(感染多重度(MOI)0.3)、33℃、5%COで1時間インキュベートした。Selleck FDA承認薬物ライブラリー(カタログ#L1300、Selleck)から、50nLを添加した(1:1,000希釈)。2つのカラム(32ウェル)は、感染させずに残し、2つのカラムをDMSOおよびウイルスで処理した(薬物なしの対照)。IncuCyte S3を使用して、細胞を画像化し、0日目の細胞数を測定した。細胞を33℃、5%COで4日間インキュベートし、OC43核タンパク質について染色した。以下のすべてのステップは、室温で実施した。細胞を50μLの4%PFA/PBSで15分間固定し、50μlの10%BSA+0.5%TritonX-100を含むPBSで30分間ブロッキングし、2%BSA+0.1%トリトンX-100を含むPBSで1:2,000希釈された50μl抗OC43(カタログ#MAB9013、Millipore)で1時間染色し、50μLPBSで3回洗浄し、2% BSA+0.1% Triton X-100を含むPBSで1:1,000希釈した抗マウス-AlexaFluor488で1時間染色し、50μLのPBSで3回洗浄し、IncuCyteS3で画像化した(4日目)。スクリーニングは、2回行った。
次のパラメータを画像から抽出した:0日目の細胞数、4日目の細胞数、4日目の総OC43染色強度。分析のために、OC43染色強度をウェル内の細胞数に対して正規化し、さらに薬物なし対照の平均に対して正規化し100に設定した。細胞増殖に有意な影響を示した化合物は、分析から除外した。各プレートについて、薬物なし対照の平均から標準偏差3を超えてOC43染色が減少したと見なされる場合、その薬物は推定上のヒットと見なした。薬物は、毒性がなく、OC43染色が両方の反復において、標準偏差3以上減少した場合にヒットと見なした。したがって、マシチニブは、OC43の平均染色率12.2%(スクリーン反復#1のOC43の染色率14.4%に対応(同じプレートの薬物なしの対照に対して正規化))、およびスクリーン反復#2のOC43の染色率10.1%(同じプレートの薬物なしの対照に対して正規化)でヒットとして同定され、これは、4日目の細胞数を0日目の細胞数4.3(反復#1)および4.7(反復#2)で割った値である。
OC43およびSARS-CoV-2感染の用量反応分析
OC43感染の用量反応分析は、細胞を濃度5,000細胞/ウェルで播種し、培地に10%BCSの代わりに2%BCSが含まれていたことを除いて、薬物スクリーニングと同様に行った。感染の2日後にOC43染色を行い、薬物スクリーニングについて説明したものと同様に分析した。Matlabを使用してEC50値を抽出するためにシグモイドフィットを使用した。
すべてのSARS-CoV-2感染は、Howard T.Ricketts Regional Biocontainment Laboratoryのバイオセーフティレベル3の条件で実施した。DMEM+2%FBS中のAce2-A549細胞を、10μMから始まる2倍希釈で2時間、各アッセイで3回、薬物で処理した。細胞は、適切な濃度の薬物を含む培地中でMOI0.5で感染させた。48時間後、細胞を3.7%ホルマリンを使用して固定し、ブロッキングし、1:1,000希釈したマウス抗スパイク抗体(GTx632604、GeneTex)で4時間プローブし、すすぎ、抗マウスHRPで1時間プローブし、洗浄し、次に、DAB(3,3’ジアミノベンジジン)基質で10分間現像した。スパイク陽性細胞(n>40)は、盲検サンプルとして光学顕微鏡によって定量化した。
SARS-CoV-2プラーク力価については、上記の感染からの細胞上清を連続希釈し(10倍ステップを使用)、VeroE6細胞に感染させるために1時間使用した。接種材料を除去し、1.25%メチルセルロースDMEM溶液を細胞に添加し、3日間インキュベートした。プレートを1:10ホルマリンで1時間固定し、クリスタルバイオレットで1時間染色し、計数してプラーク形成単位(PFU)/mlを決定した。
FlipGFP SARS-CoV-2 3CLproアッセイ
293T細胞は、トランスフェクションの24時間前にポリリジン処理プレートに播種した。翌日、SARS-CoV-23CLproプラスミド、FlipGFPコロナウイルスレポータープラスミド、Opti-MEM、およびTransIT-LT(Mirus)を組み合わせ、室温で20分間インキュベートした後、細胞に添加した。マシチニブは、トランスフェクション時に示された濃度で細胞に適用した。トランスフェクションの24時間後、細胞を2%PFAで、室温で20分間固定し、1:10,000 Hoescht 33342(Life Technologies)を含むPBSで、4℃で一晩インキュベートした。定量化は、CellInsight CX5(Thermo Scientific)装置を使用して行った。
3CLproルシフェラーゼレポーターアッセイ
トランスフェクションの約16時間前に、293T細胞を96ウェルプレートに播種し、70~80%コンフルエンシーまで一晩増殖させた。翌日、製造業者の推奨に従って、リポフェクタミン2000(Invitrogen)を使用して、細胞に37.5ngのpGlo-30F-VRLQS、37.5ngのSARS-CoV23CLpro、および2.5ngのpRL-TK(Promega)をトランスフェクトした。18時間後、マシチニブ(0~10M)を細胞に添加し、さらに6時間インキュベート後、以前に記載のとおり、Biotek Synergyプレートリーダーでルシフェラーゼを読み取った(Kilianski et al.,J.Virol.,87:11955-11962(2013)、本明細書において、参考として援用される)。簡潔に言えば、すべてのウェルから40μLの増殖培地を除去し、次に5mMDTTを含む40μLのホタルアッセイバッファ(5mM DTT、0.2mMコエンザイムA、0.15mM ATP、および1.4mg/mL D-ルシフェリンを含むTriton溶解バッファ(50mM Tris、pH7.0、75mM NaCl、3mM MgCl2、0.25%Triton X-100)を添加して、細胞を溶解し、ホタルルシフェラーゼの基質を得た。ホタルの発光を10分後に読み取り、40μLのRenillaアッセイバッファ(45mM EDTA、30mM ピロリン酸ナトリウム、1.4M NaCl、0.02mM PTC124、0.003mM セレントラジンh(CTZ-h))を添加して、ホタルルシフェラーゼ活性を停止させ、ウミシイタケルシフェラーゼの基質を得た。ウミシイタケ発光は、緩衝液の添加後2~3分で読み取った。ホタルのルシフェラーゼの発光を、対応するウミシイタケルシフェラーゼの発光に正規化して、正規化させた発光を生成した。
3CLproキネティックアッセイ
無細胞阻害アッセイは、96ウェルプレートを使用して25℃で3回行った。異なる濃度のマシチニブ(0~100M)および3CLpro酵素(125nM)を含む反応液を含むTris-HClpH7.3、1mMEDTA、2mMDTTを20分間インキュベートした。次に、5-FAM-TSATLQSGFRK(QXL520)-NH2プローブ基質(1.5μM)で反応を開始した。蛍光発光強度(励起:490nm;発光:520nm)を測定した。データは、Matlabでシグモイド曲線フィットを使用してフィッテイングさせた。
SARSCoV-2からの3CLpro(3CLプロテアーゼ)のクローニングは、SARS-CoV3CLproのオリジナルクローニングに基づく(Xueet al.,J.Mol.Biol.,366:965-975(2007)、本明細書において、参考として援用される)。SARSCoV-2の3CLproをコードする遺伝子は、上流のMBPと下流のGPHHHHHH配列との間にクローニングした。SARSCoV-2からの3CLproを担持するpCSGID-Mproの詳細なクローニングは、Knelleret al.に記載されている(Knelleret al.,Nat.Commun.,11:3202(2020)、本明細書において、参考として援用される)。
アンピシリン(150mg/L)の選択下で、pCSGID-Mproを100mL E.coli BL21(DE3)-Gold(Strategene)に形質転換し、37℃で一晩増殖させた。次に、スターターを4LのLB-Miller培養液に移し、一定の振盪(190rpm)で37℃で増殖させた。OD600が約1に到達後、シェーカーを4℃に設定した。温度が18℃に達したとき、IPTGおよびKHPOをそれぞれ0.2mMおよび40mMまで添加し、培養物を18℃で浸漬した。細胞を4000gでスピンダウンし、溶解バッファ(500mM NaCl、5%(v/v)グリセロール、50mM HEPES pH8.0、20mMイミダゾールpH8.0、1mM TCEP)に再懸濁し、-80℃で凍結保存した。
細菌細胞を超音波処理によって溶解し、破片を25,400×gで4℃で60分間遠心分離することによって除去した。清澄化した上清を、溶解バッファで平衡化した3mLのNi2+Sepharose(GE Healthcare Life Sciences)と混合した。懸濁液は、VacMan真空マニホールドに接続されたFlex-Column(420400-2510)にアプライした。非結合タンパク質は、制御された吸引溶解バッファ(160ml)を使用して洗い流した。3CLproは、500mM NaCl、5%(v/v)グリセロール、50mM HEPESpH8.0、500mM イミダゾールpH8.0、および1mM TCEPを含む15mLのバッファを使用して溶出した。3CLproを含む画分をプールし、ライノウイルス3C His6タグ付きプロテアーゼを1:25のプロテアーゼ:タンパク質比で添加し、4℃で一晩インキュベートして、C末端のHis6タグを切断し、本物のNおよびC末端を有する3CLproを得た。10kDa MWCOフィルタ(Amicon-Millipore)を使用して、タンパク質溶液を濃縮し、その後、溶解バッファで事前に平衡化したSuperdex 75カラムにアプライした。3CLproを含む画分を一緒にプールし、2mLのNi樹脂に通過させた。フロースルーを収集し、10kDa MWCOフィルターを使用して、溶解バッファを結晶化バッファ(20mM HEPES pH7.5、150mM NaCl、2mM DTT(1,4-ジチオトレイトールRoche,Basel,Switzerland))で置き換えた。3CLpro溶液を49mg/mLに濃縮し、分注して凍結し、-80℃で保存した。
SARS-CoV-2 3CLproによるマシチニブの結晶化
結晶化は、以前のプロトコルを使用して実施した(Kimet al.,Methods55,12-28(2011)、参照により本明細書に組み込まれる)。3CLproは、0.2Mマシチニブ溶液を含むDMSO中で混合した。最終タンパク質濃度は、6.25mg/mLであり、阻害剤濃度は、8倍高かった。この混合物を(室温で)1時間インキュベートし、12,000×gでスピンダウンして沈殿物を除去した。結晶化のために、タンパク質対マトリックス比1:1を使用して、96ウェルクリスタルクイックプレート(Greiner Bio-One,Monroe,NC,USA)のモスキート液体ディスペンサー(TTP LabTech,Royston,UK)を通じて、シッティングドロップ蒸気拡散法を利用した。ProPlex、PACT premier(Molecular dimensions,Cambridge,UK)、およびTOP96(Anatrace,Maumee, OH,USA)スクリーンを16℃での結晶化に使用した。最初の薄板結晶(いくつかの条件で1日後に得られた)は、シードとして適用した。最高の結晶は、PACT B7(0.2M塩化ナトリウム、0.1 MES pH6.0、20%PEG6000)、TOP96H8(0.1M酢酸アンモニウム、0.1M Bis-Tris pH5.5、17%PEG10000)、およびTop96 F11(0.1M Bis-Tris pH6.5;25%PEG3350)中で出現した。データ収集用に選択した結晶は、10~18%グリセロールを添加した結晶化バッファで処理し、その後、液体窒素でフラッシュ冷却した。
X線データの収集および構造決定
低温冷却結晶(100K)は、Structural Biology Center、Advanced Photon Source(Argonne National Laboratory)の19-ID ビームライン(SBCcollectプログラムを使用)で、単一波長X線回折実験を使用して測定した。各データセットの強度を統合し、スケーリングし、マージした(HKL-3000プログラムスイートを使用した(Minoret al.,Acta Crystallogr.D Biol.Crystallogr.,62:859-866(2006),参照により本明細書に組み込まれる))。マシチニブと複合体を形成している3CLproの構造は、3CLproのアポ型(PDBコード:7JFQ)を検索テンプレートとした分子置換法(Vagin et al.,Acta Crystallogr.D Biol.Crystallogr.66、22-25(2010)、参照により本明細書に組み込まれる))を使用して決定した。差分フーリエマップでは、余分な電子密度が3CLproの基質結合部位で観察され、その後、マシチニブの寄与として特定された。最大分解能限界1.60Åを有する1つのデータセットを選択して、プログラムCoot(Emsleyet al.,Acta Crystallogr.D Biol.Crystallogr.,60:2126-2132(2004)、参照により本明細書に組み込まれる)を使用したマシチニブを追加密度に構築することを含む、さらなるモデルの再構築およびプログラムphenix.refine(Terwilliger et al.,Acta Crystallogr.D Biol.Crystallogr.,68:861-870(2012)、参照により本明細書に組み込まれる)を使用した精密化を行った(以下の表3を参照)。MOLPROBITY(Chenet al.,Acta Crystallogr.D Biol.Crystallogr.,66:12-21(2010)、参照により本明細書に組み込まれる)を使用して、構造の立体化学を検証した(以下の表3を参照)。
3CLpro結合マシチニブのX線構造は、受託番号7JU7でPDFに寄託されている。
表3:SARS-CoV-2 3CLプロテアーゼ(Mproとしても知られる)とマシチニブの結晶化
Figure 2023521403000011
ピコルナウイルス感染
感染前に、Huh7細胞を2時間前処理した。無血清DMEM(SFM)を使用してウイルスを希釈し、MOI0.01を達成した。細胞上清(感染後24時間で収集)をSFMで希釈し、Vero細胞に10~15分間、37℃で接種するために使用した。細胞を、2%NBCSおよび0.8%アガロース含有DMEMで重層後、37℃で2日間インキュベートした。次に、細胞を4%ホルマリンで固定し、クリスタルバイオレット溶液(10%クリスタルバイオレット;Sigma-Aldrich)で可視化した。次いで、プラーク形成単位(PFU/ミリリットル当たり)の数を計算した。
3Cプロテアーゼ活性アッセイ
Huh7細胞を、3C基質、3Cプロテアーゼ(CVV3由来)およびRenillaトランスフェクション対照プラスミド(siCheck)と共にLipoD293(SignaGen Laboratories)でトランスフェクトした。プロテアーゼおよび標的構築物は、以前に記載されたプロトコルを使用して生成された(Dialet al.,Viruses 11,(2019)、参照により組み込まれる)。トランスフェクションの24時間後に、細胞をホタル基質(Bright-Glo;Promega)、その後Renilla(StopおよびGlo;Promega)ルシフェラーゼ基質と組み合わせた。製造業者の推奨事項(Promega)を使用してアッセイを実施し、Veritas Microplate Luminometer(Turner BioSystems)を使用して結果を定量化した。
インフルエンザA感染
MDCK-SIAT1-TMPRSS2細胞を、MOI0.01、TCID50/細胞でインフルエンザA/プエルトリコ/8/1934(PR8)に感染させた。1時間吸着後、ウイルスを除去し、細胞を洗浄した。ウイルス増殖培地に、マシチニブまたはDMSOのいずれかを最終濃度10μMで添加した。感染20時間後に上清を採取し、清澄化した。上清は、MDCK-SIAT1-TMPRSS2細胞のTCIDを使用して力価測定した。
LCMV感染
感染の1日前に、A549細胞を12ウェルディッシュに播種した(80,000細胞/ウェル)。細胞を37℃で1時間、MOI0.01でrLCMVに感染させた。接種材料を除去し、マシチニブまたはDMSOのみの対照を含む1mLの完全培地を細胞に重層した。感染48時間後に上清を採取し、以前に記載されたイムノフォーカスアッセイによって清澄化し、力価測定し(Graham et al.,medRxiv 2020.07.15.20154443(2020).doi:10.1101/2020.07.15.20154443およびZiegler et al.,Gen.Virol.97:2084 2089(2016)、それぞれ参照により本明細書に組み込まれる)、ここでは、マウス抗LCMV核タンパク質抗体(1-1.3)およびペルオキシダーゼ標識ヤギ抗マウス抗体(SeraCare)を使用した。
麻疹ウイルス阻害アッセイ
Vero細胞に、ルシフェラーゼ発現麻疹ウイルスをMOI0.01で90分間感染させた。接種材料を除去し、さらに培養するためにマシチニブまたはDMSOを含む新鮮培地を細胞に加えた。3日後、0.5mMのD-ルシフェリンを各ウェルに添加することによってホタルルシフェラーゼ活性を測定し、Infinite M200 Proマルチモードマイクロプレートリーダーで定量化した。
統計分析
記載しているすべての実験について、サンプルのサイズ(n)は、試験対象の独立した生物学的サンプルを指す。すべての分析は、Matlabで実施した。多重比較補正は、FDR法を使用して実施した。
結果
ヒトベータコロナウイルスOC43に対するドラッグリパーパシングスクリーニングにより、SARS-CoV-2に対して有効なマシチニブを特定させる。
1,900の臨床で使用される薬物のライブラリーをスクリーニングした。これらの薬物は、ヒトでの使用が承認されているか、ヒトでの広範な安全性データ(第2相または第3相臨床試験)を有しているかのいずれかであり、ヒト肺上皮細胞株A549のOC43感染(H2BmRuby核レポーターを発現している)を阻害する能力についてスクリーニングした。プレーティングの1日後、細胞をMOI0.3で感染させ、33℃で1時間インキュベートし、最終濃度10μMになるように薬物を添加した。次に、細胞を33℃で4日間インキュベートし、固定し、ウイルス核タンパク質の存在について染色した。細胞を0日目(薬物添加後)および4日目(染色後)に画像化し、細胞増殖およびOC43感染に対する薬物の効果を調べた。
スクリーニングは2回繰り返し、マシチニブを含む108の薬物を特定した。これらの薬物は、重大な細胞毒性なく、OC43感染を有意に減少させた。2つの繰り返し間の全体的な一致は高かった(R2=0.81)。上位ヒットのうち、マシチニブを含む29の薬物をさらなる検証のために再度選択した。したがって、マシチニブは用量依存的にOC43感染を阻害し、OC43感染に対するEC50値(感染を50%減少させるのに必要な薬物濃度)は2.1μMであった(図3)。
さらに、図4は、マシチニブが初代ヒト気道上皮細胞中でのOC43複製を阻害し、EC50が0.58μMであることを示す結果を提示している。
マシチニブについて、SARS-CoV-2感染に対するEC50値を求めた。高度な生物学的封じ込め(BSL3)施設で、アンギオテンシン変換酵素2(ACE2)受容体を過剰発現するA549細胞をマシチニブで2時間処理し、MOI0.5でSARS-CoV-2に感染させ、2日間インキュベートし、固定し、ウイルススパイクタンパク質を(SARS-CoV-2感染のマーカーとして)染色した。染色後、細胞を顕微鏡下で画像化して、感染細胞の割合を定量化した。マシチニブは、用量依存的にSARS-CoV-2感染を抑制し、EC50値は3.2μMであった(図5)。
生存可能な子孫ウイルスの産生に対するマシチニブの効果を評価した。細胞を10μMのマシチニブで2時間処理し、MOI0.5で感染させ、力価測定のために2日後に上清を回収した(図6)。マシチニブは、SARS-CoV-2子孫の産生を完全に排除した(>5-log減少)。
このように、スクリーニングにより、マシチニブは、in vitroでOC43およびSARS-CoV-2感染の両方を阻害できる、ヒトに安全な薬物であることを特定した。
マシチニブは、真の(bone-fide)3CLpro阻害剤である。
SARS-CoV-2メインプロテアーゼ(3CLpro、Mpro、およびnsp5としても知られる)を阻害するマシチニブの能力を調査した。3CLproは、ウイルス複製サイクルに不可欠であり、コロナウイルス間でよく保存されている。マシチニブの能力は、FlipGFPレポーター系(Anand et al.,Science,300:1763-1767(2003)、参照により本明細書に組み込まれる)でトランスフェクトされた293T細胞における3CLpro活性の阻害に関して単一濃度10μMで試験を行った。このアッセイでは、FlipGFPレポーターの3CLpro切断が、GFP蛍光を生成するために必要であるため、GFP+細胞のレベルが、3CLpro活性を示す。図7Aに示すとおり、マシチニブは、GFP発現細胞の割合の統計的に有意な減少を示した。マシチニブは、3CLpro活性を完全に阻害した。
したがって、マシチニブ阻害のIC50値(酵素活性の50%低下を引き起こす薬物濃度)は、2つの異なる細胞アッセイ:上記と同じFlipGFPレポーターアッセイ(図7B)、および、SARS-CoV-224に適応したルシフェラーゼレポーターアッセイ(図7C)において、3CLpro活性について決定した。これらのアッセイは、IC50値が2.5μMであると決定し(図7B~図7C)、これは、OC43感染(2.1μM、図3)およびSARS-CoV-2感染(3.2μM、図5)に対して決定されたEC50値と同様であり、これは、コロナウイルス感染のマシチニブ阻害が、3CLproの活性を阻害することによって達成されることを示唆するものである。
マシチニブのIC50値は、精製3CLproおよび蛍光基質を用いた無細胞アッセイを使用して評価した。このアッセイでは、蛍光シグナルは、3CLproタンパク質分解活性時にアンケージングしない(図7D、IC50=4.3μM。アッセイの完全な説明については、上記を参照されたい)。このアッセイは、マシチニブとウイルスプロテアーゼとの直接的な相互作用が、SARS-CoV-2複製に対する効果の要因であることを強く示唆するものであった。
最後に、3CLのマシチニブ阻害のin vitro特性評価を、異なる基質濃度の存在下で測定した。結果を図7Eに示す。マシチニブは、Ki値2.58μMを有する3CL活性の競合阻害剤である。
マシチニブは、その活性部位に直接結合することにより3CLproを阻害する。
マシチニブによる3CLpro阻害機序のメカニズムをさらに理解するために、X線結晶構造解析を用いて、マシチニブ結合3CLproの高解像度構造を決定した(図8A~図8B)。この構造は、マシチニブが3CLproのドメインIとIIの間の浅く細長い溝に非共有結合により結合し、3CLproの活性部位を横切っていることを示している。この酵素は、二量体であり、両方の活性部位がマシチニブによって占有されている。具体的には、マシチニブのピリジン環が、3CLproペプチド認識部位のS1基質ポケットに入る。環およびその周囲のポケット形成残基との間の疎水性およびファンデルワールス相互作用に加えて、S1ポケットの底にあるHis163と水素結合を形成する。マシチニブのアミノチアゾール環は、His164のカルボニルと水素結合を形成し、重要な触媒残基であるCys145と直接相互作用する。2番目の触媒残基であるHis41は、S2結合ポケットを占有するマシチニブの疎水性トルエン環とほぼ完全なπ-π相互作用を形成する。これらの3つの活性基(ピリジン、アミノチアゾール、およびトルエン環)は、マシチニブと3CLproとの相互作用の大部分に寄与し、重要な活性部位残基に結合し、プロテアーゼ触媒ダイアドへのペプチド基質のアクセスを効果的に遮断し、これによりポリタンパク質の切断を防ぐ。
総合すると、これらの結果は、本来チロシンキナーゼ阻害剤として設計され、複数のヒト疾患の治療に考慮されているマシチニブが、ウイルス主要プロテアーゼとの直接結合および阻害により、強力な抗コロナウイルス活性を有することを示した。
マシチニブは、ピコルナウイルスの3Cプロテアーゼを阻害することにより、ピコルナウイルスの複製を遮断する。
マシチニブは、コロナウイルスの3CLプロテアーゼに直接結合して阻害するため、ピコルナウイルス(髄膜炎、肝炎、および灰白髄炎など様々な疾患を引き起こすヒトの病原体)の3Cプロテアーゼに対する有効性に関する調査を、これらのウイルスプロテアーゼの間で共有される広範な構造相同性および基質特異性を考慮して実施した。ルシフェラーゼレポーターアッセイ(Dialet al.,Viruses,11:(2019)、参照により本明細書に組み込まれる)を用いて、マシチニブが細胞内の3Cプロテアーゼの活性を有意に阻害することが判明した(図9A)。マシチニブはまた、複数のピコルナウイルス、すなわちコクサッキーウイルスB3(CVB3)およびヒトライノウイルス2、14、および16(HRV2、HRV14、HRV16)の複製を遮断するのに有効であったが(図9B)、他のRNAウイルス、すなわちインフルエンザAウイルス(IAV、オルソミクソウイルス科)、麻疹ウイルス(MeV、パラミクソウイルス科)、リンパ性脈絡膜髄膜炎ウイルス(LCMV)、およびチクングニアウイルス(CHIKV、トガウイルス科)では有効でなかった(図10)。したがって、マシチニブは、複数のコロナウイルスおよびピコルナウイルスを阻害できるが、ライフサイクルを完了するために3CL様プロテアーゼに依存しない他のRNAウイルスは阻害できない。
マシチニブは、非共有結合により3CLproに結合するが、in vitroでのSARS-CoV-2複製に対して、共有結合の前臨床3CLpro阻害剤13bよりも優れた有効性を示す(Zhang et al.,Science,368:409-412(2020))。さらに、マシチニブのEC50値は、他の2つの前臨床の共有結合阻害剤11aおよび11bよりも高く(Daiet al.,Science,368:1331-1335(2020))、10μMで、子孫産生の優れた阻害を示した(11aおよび11bの2-logと比較して、マシチニブでは5-log以上)。
実施例5:SARS-CoV-2に対するマシチニブのin vivo阻害効果
材料および方法
7週齢のメスのTg(K18-hACE2)2Prlmn(Jackson Laboratories,Bar Harbor,ME)マウスを、2×10pfuを含む50μLUSA-WA1/2020SARS-CoV-2(2019-nCoV)で、鼻腔内送達によりチャレンジした。モック感染雌マウスは、ウイルスチャレンジの代わりに、50μLのPBSを受けた。マウスは、100μLの容量で、PBSまたは25mg/kg~50mg/kgの範囲の濃度のマシチニブのいずれかで、腹腔内注射によって接種の12時間後に開始して1日2回(すなわち、bid)処置を受けた。臨床症状および体重減少について、チャレンジ後6日間、マウスを1日2回経過観察した。臨床スコアに含まれるカテゴリは、姿勢および毛皮の外観(立毛)(0~3、低いスコアが良い姿勢および外観を示す)、呼吸窮迫の発生(0~3、低いスコアが呼吸窮迫が少ないこと示す)であった。チャレンジ後4日目および6日目に、各処置群から5匹のマウスを屠殺し、ウイルス量を評価するために肺および鼻甲介を採取した。すべてのマウスの作業は、the institutional animal care and use committeeによって承認され、すべての処置を、認定された動物のバイオセーフティレベル3の実験室で実施した。
結果
マウスにおけるSARS-CoV-2ウイルス量は、SARS-CoV-2による感染の4日後および6日後に測定した。マウスは、マシチニブ(25または50mg/kg、bid、ip)またはPBSで処理した。図11A~図11Bに示すとおり、マシチニブは、肺および鼻甲介の両方でSARS-CoV-2ウイルス量の有意な減少を誘導した。
マウスの臨床スコアは、SARS-CoV-2感染の1~6日後に測定した。マウスは、マシチニブ(25または50mg/kg、bid、ip)またはPBSで処理した。図12に示すとおり、マシチニブ(用量25mg/kg、bid、i.p.または用量50mg/kg、bid、i.p.のいずれか)は、臨床スコアの有意な減少、すなわちマウスの臨床状態の有意な改善を誘導した。
したがって、本明細書に提示される結果は、SARS-CoV-2感染症の治療におけるマシチニブの有効なin vivo治療効果を示している。

Claims (15)

  1. それを必要とする対象において、コロナウイルス病2019(COVID-19)を引き起こす重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)感染症の治療における使用のための、マシチニブ、またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物。
  2. 前記マシチニブ、またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物が、イソケルセチンと組み合わせて投与するためのものであり、好ましくは、約0.4g/日~約2g/日の範囲のイソケルセチンの用量と組み合わせて投与するためのものである、請求項1に記載の使用のためのマシチニブ、またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物。
  3. 前記マシチニブの薬学的に許容される塩が、メシル酸マシチニブである、請求項1または請求項2に記載の使用のためのマシチニブ、またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物。
  4. 前記マシチニブ、またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物が、約1mg/kg/日~約12mg/kg/日(1日あたり体重1kgあたりのmg)の範囲の用量で、好ましくは、約3mg/kg/日~約6mg/kg/日の範囲の用量で投与するためのものである、請求項1~3のいずれか一項に記載の使用のためのマシチニブ、またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物。
  5. 前記マシチニブ、またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物が、初回用量約3mg/kg/日で、少なくとも2日間、その後約4.5mg/kg/日の用量で投与するためのものであり、各用量漸増が、毒性制御を受ける、請求項1~4のいずれか一項に記載の使用のためのマシチニブ、またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物。
  6. 前記対象が、COVID-19を発症するリスクの増大につながり得る少なくとも1つのリスク因子を示す、請求項1~5のいずれか一項に記載の使用のためのマシチニブ、またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物。
  7. 前記対象が、軽症から中等症のCOVID-19、好ましくは中等症のCOVID-19に罹患している、請求項1~6のいずれか一項に記載の使用のためのマシチニブ、またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物。
  8. 前記対象が、重症のCOVID-19に罹患している、請求項1~6のいずれか一項に記載の使用のためのマシチニブ、またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物。
  9. 前記対象が、重篤なCOVID-19に罹患している、請求項1~6のいずれか一項に記載の使用のためのマシチニブ、またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物。
  10. 前記対象が、COVID-19に罹患しており、COVID-19の世界保健機関(WHO)10ポイント進行尺度で2~9までのスコアを有する、請求項1~6のいずれか一項に記載の使用のためのマシチニブ、またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物。
  11. 前記対象が、COVID-19に罹患しており、COVID-19のWHO10ポイント進行尺度で2または3のスコアを有する、請求項10に記載の使用のためのマシチニブ、またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物。
  12. 前記対象が、COVID-19に罹患しており、COVID-19のWHO10ポイント進行尺度で4~6の範囲のスコア、好ましくは4または5を有する、請求項10に記載の使用のためのマシチニブ、またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物。
  13. 前記対象がCOVID-19に罹患しており、COVID-19の改訂WHO7ポイント進行尺度で2~6の範囲のスコア、好ましくは2~5、さらに好ましくは4または5を有する、請求項1~6のいずれか一項に記載の使用のためのマシチニブ、またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物。
  14. 前記マシチニブ、またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物が、少なくとも1つのさらなる薬学的活性剤と共に投与するためのものである、請求項1~13のいずれか一項に記載の使用のためのマシチニブ、またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物。
  15. 前記少なくとも1つのさらなる薬学的活性剤が、抗ウイルス剤、抗インターロイキン6(抗IL6)剤、プロテアーゼ阻害剤、ヤヌス関連キナーゼ(JAK)阻害剤、BXT-25、ブリラシジン、コハク酸デヒドロアンドログラホリド、APN01、フィンゴリモド、メチルプレドニゾロン、サリドマイド、ベバシズマブ、クエン酸シルデナフィル、インターフェロン、カリマイシン、およびそれらの任意の混合物からなる群から選択される、請求項14に記載の使用のためのマシチニブ、またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物。

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