JP2023520224A - Atp依存性dnaリガーゼ - Google Patents

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Abstract

本発明は、リガーゼの分野に関する。より具体的には、本発明は、様々な分子生物学技術においてリガーゼを特に有用にする独自のリガーゼ活性を有する、新規で高効率なATP依存性DNAリガーゼに関する。さらに、本発明は、上記DNAリガーゼを含む組成物およびキット、その製造および使用の方法に関する。

Description

本発明は、リガーゼの分野に関する。より具体的には、本発明は、ATP依存性DNAリガーゼ、上記DNAリガーゼを含むキットおよび組成物、製造方法および使用に関する。
DNAリガーゼは、適切に整列したDNA配列中の5’-ホスホリル末端基と3’-ヒドロキシル末端基の間のDNAの糖-リン酸骨格におけるホスホジエステル結合の形成を触媒する。in vivoのリガーゼは、DNAの複製と修復にとって重要な一本鎖および二本鎖切断だけでなくニックの修復においても重要な役割を担う。
DNAの複製および修復に重要であることに加え、T4 DNAリガーゼなどのバクテリオファージから単離されたDNAリガーゼは、数十年にわたって分子生物学において組換えプラスミド構築のためのベクターへのDNA断片の挿入、次世代DNAシーケンシングライブラリ構築の際のアダプターライゲーションおよびdsDNAの環状化において、広範に使用されてきた。非特許文献1を参照されたい。
DNAリガーゼ酵素は、補助因子ATPまたはNADのピロリン酸加水分解と連動し、あるDNA鎖の3’-ヒドロキシル末端基と隣接する別のDNA鎖の5’-ホスホリル末端基との共有結合を触媒する(非特許文献2)。
基質の好みに基づいて、リガーゼはDNAリガーゼまたはRNAリガーゼとして分類される場合があり、つまりそれぞれはDNAまたはRNAいずれかのホスホジエステル結合を形成する酵素である(非特許文献3)。
非対称制限酵素消化によって生成されたdsDNA分子内のプレハイブリダイズした粘着末端をライゲーションさせるなど、二本鎖核酸分子中の一本鎖切断を塞ぐことは、ライゲーションさせるべき2つの末端が溶液中で遊離している平滑末端ライゲーションよりもはるかに効率的である。テンプレート依存性リガーゼによって触媒されるライゲーション反応は、ライゲーション接合部にまたがる相補的な核酸分子の存在下で2つの一本鎖核酸分子のライゲーションを触媒し、したがって2つの末端を近接させてつなげることとなり、平滑末端ライゲーションよりはるかに速くかつより効率的となる。
バクテリオファージT3、T4、およびT7から単離された複数のDNAリガーゼおよびRNAリガーゼは、過去数十年以内に単離され特徴付けられた(非特許文献4;非特許文献5;および非特許文献6)。プラスミドまたはオリゴヌクレオチドを使用したin vitro実験では、T4核酸リガーゼがさまざまな効率および基質特異性を有しながら二本鎖核酸中のニックを結合させることが明らかとなった。非特許文献7を参照されたい。本研究では、T4 RNA(T4RnL)リガーゼおよびT4 DNA(T4DnL)リガーゼがさまざまなDNA-RNAハイブリッドをライゲーションできることを示した。ワクシニアウイルスまたは真核生物のL細胞から単離されたDNAリガーゼは、DNA-RNAハイブリッド内のニックを塞ぐことが報告されている(非特許文献8および非特許文献9)。
しかし、ライゲーション接合部にまたがる相補的DNA分子の存在下でDNA分子をRNA分子の5’末端に高効率でライゲーションさせることは、これまで文献に記載されていない。例えば、非特許文献7、非特許文献8、および非特許文献9を参照されたい。
組換えDNA技術での使用に適したいくつかの核酸リガーゼが存在するにもかかわらず、独自の基質特異的ライゲーション特性を備えたさらなる高効率なリガーゼが常に必要とされている。
本発明者らは、ライゲーション接合部にまたがる相補的な一本鎖DNAテンプレートの存在下でRNA分子の5’末端に一本鎖DNA分子を高効率でライゲーションさせることが可能であることが生化学的特性評価により示された、バクテリオファージから単離されたATP依存性DNAリガーゼの新しいファミリーのクローニングおよび組換え発現および単離により、上記の必要性を解決した。
本発明によるリガーゼは、上記の独自の基質特異性に加え、ライゲーション接合部にまたがる相補的な一本鎖DNAテンプレートの存在下で、RNA分子の3’末端に一本鎖DNA分子を高効率でライゲーションさせる能力も有する。
"Ligases",Enzyme Resources Guide.Promega Corporation.pp.8-14 Gumport,R.I.,et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA(1971),vol.68:2559-63 Tomkinson,A.E.et al,Location of the active site for enzyme-adenylate formation in DNA ligase,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,1991,vol.88,p.400-404 Dunn,J.J.,et al.,J.Mal.Biol.,148:303-30(1981) Armstrong,J.,et al.,Nucleic Acids Res.,11:7145-56(1983) Schmitt,M.P.,et al.,J.Mal.Biol.,vol.193:479-95(1987) Bullard,D.R.,& Bowater,R.P,.Direct comparison of nick-joining activity of the nucleic acid ligases from bacteriophage T4,The Biochemical Journal,2006,398(1),135-144 Sekiguchi,J.and Shuman,S.,Ligation of RNA-containing duplexes by Vaccinia DNA ligase,Biochemistry,1997,vol.36,9073-9079 Bedows,E.et al.,L cell DNA ligase joins RNA to DNA on a DNA template,Biochemistry,1997,vol.16,no.10,2231-2235
第1の態様によれば、本発明は、単離されたATP依存性DNAリガーゼまたはその酵素活性フラグメントを提供し、前記DNAリガーゼは、配列番号1のアミノ酸配列を含むか、または配列番号1に対して少なくとも70%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、前記DNAリガーゼは、ライゲーション接合部にまたがる相補的デオキシリボ核酸分子の存在下で、3’-ヒドロキシル-デオキシリボ核酸分子を5’ホスホリル-リボ核酸分子の5’末端にライゲーションさせることが可能である。
第1の態様の一実施形態では、単離されたATP依存性DNAリガーゼまたはその酵素活性フラグメントは、配列番号1に対して少なくとも75%同一であるアミノ酸配列を含む。
第1の態様の一実施形態では、単離されたATP依存性DNAリガーゼまたはその酵素活性フラグメントは、配列番号1に対して少なくとも80%、85%、90%、93%または95%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。第1の態様のさらなる一実施形態では、単離されたATP依存性DNAリガーゼは、配列番号1のアミノ酸配列からなる。その酵素活性フラグメントであって、DNAリガーゼ断片が、ライゲーション接合部にまたがる相補的デオキシリボ核酸分子の存在下で、3’-ヒドロキシル-デオキシリボ核酸分子を5’ホスホリル-リボ核酸分子の5’末端にライゲーションさせることを可能にする酵素活性フラグメントもまた提供される。
第1の態様のさらなる一実施形態において、配列番号1に対して少なくとも70%同一であるアミノ酸配列を有する単離されたATP依存性DNAリガーゼは、ファージから単離されたDNAリガーゼである。好ましくは、クロノバクターファージ、ペクトバクテリウムファージまたはアシネトバクターファージ由来のものである。
本発明による別の実施形態では、配列番号1(L13)に対して少なくとも70%同一であるアミノ酸配列を含むATP依存性DNAリガーゼは、配列番号7、配列番号10および配列番号16を有するDNAリガーゼのいずれかから選択される。
さらなる一態様では、ATP依存性DNAリガーゼまたはその酵素活性フラグメントが提供され、前記DNAリガーゼは以下から選択されるアミノ酸配列:
(a)配列番号1またはそれに対して少なくとも80%同一であるアミノ酸配列、
(b)配列番号7またはそれに対して少なくとも80%同一であるアミノ酸配列、
(c)配列番号10またはそれに対して少なくとも80%同一であるアミノ酸配列、または
(d)配列番号16またはそれに対して少なくとも80%同一であるアミノ酸配列
を有し、前記DNAリガーゼは、ライゲーション接合部にまたがる相補的デオキシリボ核酸分子の存在下で、3’-ヒドロキシル-デオキシリボ核酸分子を5’ホスホリル-リボ核酸分子の5’末端にライゲーションさせることができる。
本発明の本態様の好ましい実施形態では、ATP依存性DNAリガーゼは、配列番号1、7、10または16に対して少なくとも85%、90%、または95%、例えば、少なくとも98%または99%または99.5%同一である、アミノ酸配列を有する。
第1の態様の一実施形態では、単離されたATP依存性DNAリガーゼまたはその酵素活性フラグメントであって、前記DNAリガーゼは、配列番号1、配列番号7、配列番号10および配列番号16のいずれか1つから選択されるアミノ酸配列を有する。
第1の態様の一実施形態では、Hisタグを含む単離されたATP依存性DNAリガーゼまたはその酵素活性フラグメントであって、前記DNAリガーゼは、配列番号2、配列番号8、配列番号11および配列番号17のいずれか1つから選択されるアミノ酸配列を有する。
第1の態様の一実施形態では、単離されたATP依存性DNAリガーゼは、配列番号1または配列番号2のアミノ酸配列を有する。
第1の態様の一実施形態では、単離されたATP依存性DNAリガーゼは、配列番号7または配列番号8のアミノ酸配列を有する。
第1の態様の一実施形態では、単離されたATP依存性DNAリガーゼは、配列番号10または配列番号11のアミノ酸配列を有する。
第1の態様の一実施形態では、単離されたATP依存性DNAリガーゼは、配列番号16または配列番号17のアミノ酸配列を有する。
第1の態様の一実施形態によれば、ATP依存性DNAリガーゼは、二本鎖核酸分子における一本鎖切断を含む基質に接触してライゲーション産物を提供する変換率を与えるリガーゼであり、ここで二本鎖核酸分子は、3’-ヒドロキシル-デオキシリボ核酸分子および5’-ホスホリルリボ核酸を、ライゲーション接合部にまたがる相補的デオキシリボ核酸分子とともに複合体を成して含み、変換率は少なくとも0.02、少なくとも0.03、少なくとも0.04、少なくとも0.05または少なくとも0.1であり、変換率は、ATP、Mg2+および0.2pmol~15pmolの本発明によるDNAリガーゼを含むライゲーション緩衝液中で、25℃~30℃で1分間あたり1pmolの酵素あたりのpmolの基質として決定される。
第1の態様の一実施形態によれば、ATP依存性DNAリガーゼは、二本鎖核酸分子における一本鎖切断を含む基質に接触してライゲーション産物を提供する変換率を与えるリガーゼであり、ここで二本鎖核酸分子は、3’-ヒドロキシル-デオキシリボ核酸分子および5’-ホスホリルリボ核酸を、ライゲーション接合部にまたがる相補的デオキシリボ核酸分子とともに複合体を成して含み、変換が少なくとも0.15、少なくとも0.2、少なくとも0.3、少なくとも0.4、少なくとも0.5、少なくとも0.8、少なくとも1.0、少なくとも1.5であり、変換率は、ATP、Mn2+および0.2pmol~15pmolの本発明によるDNAリガーゼを含むライゲーション緩衝液中で、25℃~30℃で1分間あたり1pmolの酵素あたりのpmolの基質として決定される。
第1の態様の一実施形態では、ATP依存性DNAリガーゼはテトラペプチドモチーフKXaaDGを含み、ここでXaaは脂肪族および非極性アミノ酸であり、テトラペプチドモチーフはアミノ酸159位~162位に対応し、この番号付けは配列番号1におけるアミノ酸の番号付けに一致している。
さらなる一実施形態では、脂肪族および非極性アミノ酸残基は、メチオニン、イソロイシン、ロイシン、バリン、ロイシン、アラニンおよびグリシンから成る群より選択される。
さらに別の実施形態では、脂肪族および非極性アミノ酸残基はメチオニンである。
第1の態様の別の実施形態では、単離されたATP依存性DNAリガーゼまたはその酵素活性フラグメントは、バクテリオファージに由来する。
本発明の第2の態様では、第1の態様による単離されたATP依存性DNAリガーゼまたはその酵素フラグメントをコードする組換え核酸分子、もしくは前記単離されたATP依存性DNAリガーゼまたはその酵素フラグメントを含むタンパク質をコードする組換え核酸分子が提供される。
第2の態様の一実施形態では、組換え核酸分子は、配列番号3の核酸分子または配列番号3のコドン最適化核酸配列を含むか、またはそれからなる。
第2の態様の一実施形態では、組換え核酸分子は、配列番号9の核酸分子または配列番号9のコドン最適化核酸配列を含むか、またはそれからなる。
第2の態様の一実施形態では、組換え核酸分子は、配列番号18の核酸分子または配列番号18のコドン最適化核酸配列を含むか、またはそれからなる。
第2の態様の一実施形態では、組換え核酸分子は、配列番号3、配列番号9、配列番号12および配列番号18のいずれか1つから選択される核酸分子または配列番号3、配列番号9、配列番号12および配列番号18のコドン最適化核酸配列を含むか、またはそれからなる。
第2の態様の一実施形態では、組換え核酸分子は、配列番号3、配列番号9、配列番号12および配列番号18のいずれか1つから選択される核酸分子または配列番号3、配列番号9、配列番号12および配列番号18の縮重バージョンを含むか、またはそれらから構成される。
本発明の第3の態様では、第1の態様による単離されたATP依存性DNAリガーゼまたはその酵素活性フラグメントをコードする核酸分子を含むベクター、または第2の態様による組換え核酸分子を含むベクターが提供され、ここでベクターは、組換え発現ベクター、クローニングベクター、プラスミド、ウイルスベクター、コスミド、ラムダファージまたは細菌人工染色体である。
第3の態様の一実施形態では、核酸分子を含む、または核酸分子からなるベクターが提供され、前記核酸分子は、
a)ATP依存性DNAリガーゼまたはその酵素活性フラグメントをコードし、ここでATP依存性DNAリガーゼは、配列番号1のアミノ酸配列、または配列番号1に対して少なくとも70%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を有する、または、
b)a)におけるATP依存性DNAリガーゼをコードする配列番号3の核酸分子または配列番号3のコドン最適化核酸配列を含み、かつ、
c)a)またはb)におけるATP依存性DNAリガーゼは、ライゲーション接合部にまたがる相補的デオキシリボ核酸分子の存在下で、3’-ヒドロキシル-デオキシリボ核酸分子を5’ホスホリル-リボ核酸分子の5’末端にライゲーションさせることができる。
第3の態様の一実施形態では、核酸分子を含む、または核酸分子からなるベクターが提供され、前記核酸分子は、
a)ATP依存性DNAリガーゼまたはその酵素活性フラグメントをコードし、ここでATP依存性DNAリガーゼは、配列番号1のアミノ酸配列、または配列番号1に対して少なくとも75%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を有する、または
b)a)におけるATP依存性DNAリガーゼをコードする配列番号3の核酸分子または配列番号3のコドン最適化核酸配列を含み、かつ、
c)a)またはb)におけるATP依存性DNAリガーゼは、ライゲーション接合部にまたがる相補的デオキシリボ核酸分子の存在下で、3’-ヒドロキシル-デオキシリボ核酸分子を5’ホスホリル-リボ核酸分子の5’末端にライゲーションさせることができる。
第3の態様の一実施形態では、核酸分子を含む、または核酸分子からなるベクターが提供され、前記核酸分子は、
a)ATP依存性DNAリガーゼまたはその酵素活性フラグメントをコードし、ここでATP依存性DNAリガーゼは、配列番号1、配列番号7、配列番号10および配列番号16のいずれか1つから選択されるアミノ酸配列を有する、または、
b)ATP依存性DNAリガーゼまたはその酵素活性フラグメントをコードし、ここでATP依存性DNAリガーゼは、配列番号1またはそれに対して少なくとも80%同一であるアミノ酸配列、配列番号7またはそれに対して少なくとも80%同一であるアミノ酸配列、配列番号10またはそれに対して少なくとも80%同一であるアミノ酸配列、もしくは配列番号16またはそれに対して少なくとも80%同一であるアミノ酸配列から選択されるアミノ酸配列を有する、または、
c)a)におけるATP依存性DNAリガーゼをコードする、配列番号3、配列番号9、配列番号12および配列番号18のいずれか1つから選択される核酸分子、または配列番号3、配列番号9、配列番号12および配列番号18のコドン最適化核酸配列を含み、かつ、
d)a)またはb)におけるATP依存性DNAリガーゼは、ライゲーション接合部にまたがる相補的デオキシリボ核酸分子の存在下で、3’-ヒドロキシル-デオキシリボ核酸分子を5’ホスホリル-リボ核酸分子の5’末端にライゲーションさせることができる。
第3の態様の一実施形態では、ベクターは、組換え発現ベクター、クローニングベクター、プラスミド、ウイルスベクター、コスミド、ラムダファージまたは細菌人工染色体である。
第3の態様の一実施形態では、ベクターは組換え発現ベクターである。
第3の態様の一実施形態では、ベクターは好ましくはプラスミドである。
本発明の第4の態様では、第3の態様によるベクターを含む宿主細胞が提供され、ここで宿主細胞は、酵母細胞、昆虫細胞、ヒト細胞株または細菌細胞である。
第4の態様の一実施形態では、細菌細胞は、好ましくは大腸菌である。
本発明の第5の態様では、第1の態様およびその実施形態によるATP依存性DNAリガーゼまたはその酵素活性フラグメントを単離および精製する方法が提供され、前記方法は:
a)第4の態様による宿主細胞を、第1の態様およびその実施形態によるATP依存性DNAリガーゼまたはその酵素活性フラグメントの発現に適した条件下で培養する工程、および、
b)DNAリガーゼまたはその酵素活性フラグメントを宿主細胞から、あるいは培養培地または上清から単離する工程
を含む。
本発明の第6の態様では、第1の態様によるATP依存性DNAリガーゼまたはその酵素フラグメントを含む組成物が提供される。
第6の態様の一実施形態では、組成物は緩衝液をさらに含む。
緩衝液は、一実施形態では、ATPおよびMg2+またはMn2+を含む緩衝液であり得る。
緩衝液は、一実施形態では、ATPおよびMgClまたはMnClを含む緩衝液であり得る。
一実施形態では、緩衝液は、本発明によるATP依存性DNAリガーゼを保存するために適した緩衝液であり得、ここで緩衝液は、Tris-HCl、KCl、Mg2+、BSAおよびグリセロールを含む。
第6の態様の一実施形態では、組成物は、少なくとも1つの第1の3’-ヒドロキシル-デオキシリボ核酸分子、少なくとも1つの5’ホスホリル-リボ核酸分子、および少なくとも1つの第2の相補的デオキシリボ核酸分子をさらに含み、ここでDNAリガーゼは、ライゲーション接合部にまたがる相補的デオキシリボ核酸分子の存在下で、少なくとも1つの第1の3’-ヒドロキシル-デオキシリボ核酸分子を、少なくとも1つの5’ホスホリル-リボ核酸分子の5’末端にライゲーションさせることができる。
第6の態様の一実施形態では、少なくとも1つの第1の3’-ヒドロキシル-デオキシリボ核酸分子は、ビーズ上に固定化されるか、または捕捉標識、好ましくはビオチン、または色素、好ましくは蛍光色素などの誘導体化ヌクレオチドをさらに含み、ここでビーズ、捕捉標識または誘導体化ヌクレオチドは、前記第1のデオキシリボ核酸分子の5’末端に付着する。
第6の態様の一実施形態では、組成物は、ATPを含むライゲーション緩衝液をさらに含む。
さらなる一実施形態では、ライゲーション緩衝液のATP濃度は、約0.01mM~約10mMのATPであり、好ましくは約0.05mM~約2.5mMのATPである。
さらなる一実施形態では、ライゲーション緩衝液は二価の陽イオンを含む。
さらなる一実施形態では、ライゲーション緩衝液の二価の陽イオンは、例えばMgClまたはMnClの形態のMg2+またはMn2+であり、Mg2+またはMn2+の濃度は、約1mM~約20mM、好ましくは約5mM~約10mMである。
さらなる一実施形態では、ライゲーション緩衝液の二価の陽イオンは、例えばMgClの形態のMg2+であり、ここでMg2+の濃度は、約1mM~約20mM、好ましくは約5mM~約10mMである。
さらなる一実施形態では、ライゲーション緩衝液の二価の陽イオンは、例えばMnClの形態のMn2+であり、ここでMn2+の濃度は、約1mM~約20mM、好ましくは約5mM~約10mMである。
さらなる一実施形態では、ライゲーション緩衝液は、約0.01mM~約10mMのATP、好ましくは約0.05mM~約2.5mMのATPの濃度のATP、および例えばMgClの形態のMg2+を含み、ここでMg2+の濃度は約1mM~約20mM、好ましくは約5mM~約10mMである。
さらなる一実施形態では、ライゲーション緩衝液は、約0.01mM~約10mMのATP、好ましくは約0.05mM~約2.5mMのATPの濃度のATP、および例えばMnClの形態のMn2+を含み、ここでMn2+の濃度は約1mM~約20mM、好ましくは約5mM~約10mMである。
本発明の第7の態様では、デオキシリボ核酸分子をリボ核酸分子の末端にライゲーションさせるためのキットが提供され、前記キットは、
a.第1の態様による単離されたATP依存性DNAリガーゼまたはその酵素フラグメント、もしくは第6の態様によるATP依存性DNAリガーゼを含む組成物を含む第1の容器;
b.ATPおよび二価の陽イオンを含むライゲーション緩衝液を含む第2の容器;
c.任意選択で、5’ホスホリル-リボ核酸分子の5’末端にライゲーションされる少なくとも1つの第1の3’-ヒドロキシル-デオキシリボ核酸分子、および少なくとも1つの第2のデオキシリボ核酸分子を含む第3の容器であって、少なくとも1つの第2のデオキシリボ核酸分子は3’領域および5’領域を含み、前記3’領域は第1のデオキシリボ核酸分子に相補的であり、前記5’領域は既知の配列を含むリボ核酸分子に相補的な配列であるか、または前記5’領域は未知の配列を有するもしくは様々な配列を含むリボ核酸分子に結合するため縮重した配列であり、第1のデオキシリボ核酸分子および第2のデオキシリボ核酸分子はプレハイブリダイズした複合体の形態である、第3の容器;および
d.任意選択で、キットの使用説明書
を含む。
第7の態様の一実施形態では、キットは、3’-ヒドロキシル-リボ核酸分子の3’末端にライゲーションされる少なくとも1つの第1の5’-ホスホリル-デオキシリボ核酸分子、および少なくとも1つの第2のデオキシリボ核酸分子を含む第4の容器を含み、前記少なくとも1つの第2のデオキシリボ核酸分子は3’領域および5’領域を含み、前記5’領域は第1のデオキシリボ核酸分子に相補的であり、前記3’領域は既知の配列を含むリボ核酸分子に相補的な配列であるか、または前記3’領域は未知の配列を有するもしくは様々な配列を含むリボ核酸分子に結合するため縮重した配列であり、第1の5’-ホスホリル-デオキシリボ核酸および第2のデオキシリボ核酸分子は、プレハイブリダイズした複合体の形態であってもよい。
一実施形態では、ライゲーション緩衝液のATPおよび二価の陽イオンの濃度は、約0.01mM~約10mMのATP、好ましくは約0.05mM~約2.5mMのATPであり、二価の陽イオンは、例えばMgClまたはMnClの形態のMg2+またはMn2+であり、ここでMg2+またはMn2+の濃度は、約1mM~約20mM、好ましくは約5mM~約10mMである。好ましくは、二価の陽イオンは、MnClの形態のMn2+である。
本発明のさらなる態様では、二本鎖核酸分子中の一本鎖切断をライゲーションさせる方法が提供され、前記方法は、一本鎖切断を含む二本鎖核酸分子を、第1の態様による単離されたATP依存性DNAリガーゼまたは酵素活性フラグメント、もしくは第6の態様による組成物と接触させることを含む。
本発明の第8の態様では、二本鎖核酸分子における一本鎖切断をライゲーションさせる方法が提供され、前記方法は、一本鎖切断を含む二本鎖核酸分子を、第1の態様およびその実施形態による単離されたATP依存性DNAリガーゼまたはその酵素活性フラグメントと、二本鎖核酸分子中の5’-ホスホリルリボ核酸分子の5’末端への3’-ヒドロキシル-デオキシリボ核酸分子のライゲーションを可能にする条件下で接触させることを含む。ここで、3’-ヒドロキシル-デオキシリボ核酸分子および5’-ホスホリルリボ核酸は、ライゲーション接合部にまたがる相補的デオキシリボ核酸分子とともに複合体を成している。
上記の方法による一実施形態では、3’-ヒドロキシル-デオキシリボ核酸分子は、ビーズ上に固定化されるか、または捕捉標識、好ましくはビオチン、または色素、好ましくは蛍光色素などの誘導体化ヌクレオチドをさらに含み、ここでビーズ、捕捉標識または誘導体化されたヌクレオチドは、前記3’-ヒドロキシル-デオキシリボ核酸分子の5’末端に連結される。
上記の方法による一実施形態では、リボ核酸(RNA)分子は、メッセンジャーRNA(mRNA)、リボソームRNA(rRNA)、マイクロRNA(miRNA)、低分子干渉RNA(siRNA)、リピート関連siRNA(repeat associated siRNA)(rasiRNA)を含む群より選択されるRNA分子である。
上記の方法による一実施形態では、ATPおよび二価の陽イオンを含むライゲーション緩衝液を添加することをさらに含む。
上記の方法によるさらなる一実施形態では、ATPの濃度は、約0.01mM~約10mM、好ましくは約0.05mM~約2.5mMであり、二価の陽イオンは、例えばMgClまたはMnClの形態のMg2+またはMn2+であり、Mg2+またはMn2+の濃度は、約1mM~約20mM、好ましくは約5mM~約10mMである。好ましくは、二価の陽イオンは、MnClの形態のMn2+である。
上記の方法による一実施形態では、ATP依存性DNAリガーゼを、一本鎖切断を含む二本鎖核酸分子とともに、6時間以内、例えば1時間以内、例えば45分以内または好ましくは30分以内、より好ましくは15分以内でインキュベートすることで、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも100%の核酸フラグメントのライゲーションを達成することをさらに含む。
上記方法による一実施形態では、方法は、RNAの5’末端アダプターライゲーションに、既知または未知の配列のRNA分子の捕捉に、プロモーターエレメントおよび/または翻訳エンハンサーエレメントを含むcDNA分子合成におけるテンプレートとして機能するDNAエレメントをin vitro転写の目的でRNA分子の5’末端にライゲーションすることに、使用される。
本発明の第9の態様は、RNAの5’末端アダプターライゲーションのため、既知または未知の配列のRNA分子を捕捉するため、プロモーターエレメントおよび/または翻訳エンハンサーエレメントを含むcDNA分子合成におけるテンプレートとして機能するDNAエレメントをin vitro転写の目的でRNA分子の5’末端にライゲーションさせるための、第1の態様によるATP依存性DNAリガーゼまたはその酵素活性フラグメント、もしくは第6の態様によるATP依存性DNAリガーゼを含む組成物の使用を提供する。
本発明の第10の態様では、デオキシリボ核酸分子をリボ核酸分子の5’末端および3’末端にライゲーションさせる方法が提供され、この方法は:
a.リボ核酸分子のうちの1つ以上が、5’ホスホリル末端基および3’ヒドロキシル末端基を含む、リボ核酸分子の集合を含む試料を提供すること;
b.少なくとも1つの第1の3’-ヒドロキシル-デオキシリボ核酸分子を、少なくとも1つの第2のデオキシリボ核酸の存在下で前記リボ核酸分子の5’末端にライゲーションさせることであって、前記少なくとも1つの第2のデオキシリボ核酸分子が3’領域および5’領域を含み、前記3’領域が第1のデオキシリボ核酸分子に相補的であり、前記5’領域が既知の配列を含むリボ核酸分子に相補的な配列であるか、または前記5’領域が未知の配列を有するか様々な配列を含むリボ核酸分子に結合するために縮重した配列であり、第1のデオキシリボ核酸分子および第2のデオキシリボ核酸分子がプレハイブリダイズした複合体の形態であり得ること;および、
c.3’領域および5’領域を含む少なくとも1つのさらなる第2のデオキシリボ核酸の存在下で、少なくとも1つのほかの5’ホスホリル-デオキシリボ核酸分子を、ステップbにおけるリボ核酸分子の3’末端にライゲーションさせることであって、前記5’領域は前記5’ホスホリル-デオキシリボ核酸分子に相補的であり、前記3’領域はステップbにおける既知の配列を含むリボ核酸分子に相補的な配列であるか、前記3’領域は未知の配列を有するか様々な配列を含むリボ核酸分子に結合するために縮重した配列であり、前記5’ホスホリル-デオキシリボ核酸および前記さらなる第2のデオキシリボ核酸分子は、プレハイブリダイズした複合体の形態であり得ること;を含み、
ステップbおよびcにおけるライゲーション反応は、第1の態様によるATP依存性リガーゼによって触媒され、ステップbおよびcにおけるライゲーション反応は、同時にまたは逐次的におこなわれる。
第10の態様の一実施形態では、試料は、ATPおよび二価の陽イオン、好ましくはMn2+またはMg2+をさらに含む。
本発明のさらなる態様は、RNAライブラリ構築における第10の態様の方法の使用を提供する。
本発明のT4 DNAリガーゼおよびL13リガーゼのアミノ酸配列を比較した配列アラインメント。 異なるバクテリオファージに由来する本発明によるDNAリガーゼの多重配列アラインメント。すべての配列は、これまでに同定されたすべてのリガーゼに共通のモチーフであるKXDGアデニル化部位を含む。 同上。 同上。 非特許文献7に記載されている実験の仕組に基づくリガーゼ活性を測定するための一般的な実験の仕組を示す。 ほかの既知のリガーゼと比較したAZ L13の基質特異性。リガーゼAZ L13および市販の参照酵素(AZ T4 DNAリガーゼ(ArcticZymes)、T4 Rnl1(NEB)、T4 Rnl2(NEB)、T3 DNAリガーゼ(NEB)、T7 DNAリガーゼ(NEB))の酵素活性を検証するために、8種類の異なるニックの入った基質のセットを使用した。使用した基質は、デオキシリボ核酸(DNA)オリゴのみ(基質S1)リボ核酸(RNA)オリゴのみ(基質S2)またはデオキシリボ核酸(DNA)オリゴおよびリボ核酸(RNA)オリゴの混合物(基質S3~S8)のいずれかで構成され得るそれぞれ3つのオリゴの集合体である。正のリガーゼ活性は、図1bに示すように、蛍光標識した核酸オリゴの長さの増加をもたらす。ライゲーションされていない一本鎖8-merオリゴヌクレオチド産物である下のバンドと、ライゲーションされた一本鎖20-merオリゴヌクレオチド産物である上のバンドによって、バンドが表される。 DNAオリゴが、DNAライゲーションテンプレートの存在下で、本発明のATP依存性DNA L13リガーゼ酵素を使用してRNAの5’末端にライゲーションされ、ここでDNAテンプレートの配列は半縮重されており、したがって配列の混合を含む、本発明の一態様を図で示す。半縮重DNAテンプレートの1つの領域は、第1のDNAオリゴに相補的であり、残りの領域は、未知の配列であるRNA分子を捕捉するために、または異なるアレルからのRNA分子を捕捉するために、異なる5’-モノホスホリル化RNAオリゴへ非特異的ハイブリダイゼーションをする1つ以上の縮重ヌクレオチドを含み、RNAオリゴ中のいくつかのヌクレオチド位置は、異なるアレルにおいて異なる。アレルは、同じ遺伝子を意味する遺伝子変異型である。NはA、C、GまたはTのいずれかを表す。 RNA分子のプールが、モノホスホリル化RNA分子および5’修飾、例えば5’キャップまたは三リン酸基などを含むRNA分子の混合物を含む、図4に記載の態様の一実施形態を示す図である。5’修飾を含むRNA分子はライゲーションから除外される。 モノホスホリル化RNA分子にライゲーションされることになるDNA分子が、この図ではビオチンタグとして示される5’タグを含む、図4に記載される本発明の態様の一つの代替的な実施形態を示す。捕捉は、例えば、カラムまたは磁気ビーズに結合するビオチンタグおよびストレプトアビジンを使用することによって実施され得る。 特定のmRNA種を捕捉する方法を、図4に記載される本発明の態様の一つの代替的な実施形態として示す。上記のように、mRNAの5’-モノホスホリル化末端のみへのDNAオリゴの選択的ライゲーションが存在する。mRNAは通常キャップされておりホスホリル化されておらず、これは上記のL13リガーゼを使用するライゲーションを妨げる。脱リン酸化酵素による、すべての5’-リン酸含有RNA種の脱リン酸化およびその後のmRNAの脱キャップは、mRNAの5’末端をDNAの3’末端にライゲーションするための準備となる。捕捉は、ビオチンタグおよびストレプトアビジンを使用することによって実施され得る。 直接的セルフリーivTT(in vitro転写-翻訳)における使用のため、脱キャップ化されたmRNAにプロモーターがタグ付けされている、本発明の態様の一つの代替的な実施形態を示す。図4に記載されるような非特異的ハイブリダイゼーションのための縮重領域を有するDNAテンプレートを用いた、mRNAの5’-モノホスホリル化末端でのDNAオリゴの選択的ライゲーション。非mRNA RNA種の脱リン酸化およびmRNAの脱キャップ化。5’-ホスホリル化mRNAは、縮重領域およびプロモーター配列を含む5’-DNAアダプターでタグ付けされる。第1鎖のcDNA合成によって、RNAポリメラーゼ結合部位を含むmRNAのRNAポリメラーゼの読み取り可能なコピーがもたらされ、それによりcDNAはin vitro転写/翻訳技術において直接使用可能である。 本発明によるATP依存性DNAリガーゼ(AZ L13)の野生型アミノ酸配列である配列番号1。 本発明によるATP依存性DNAリガーゼ(AZ L13)のHisタグ付きアミノ酸配列である配列番号2。 図9aのアミノ酸配列をコードする野生型ヌクレオチド配列(配列番号3)。 本発明によるATP依存性DNAリガーゼ(L13rel1)のアミノ酸配列である配列番号7。 本発明によるATP依存性DNAリガーゼ(L13rel1)のHisタグ付きアミノ酸配列である配列番号8。 図10aのアミノ酸配列をコードする野生型ヌクレオチド配列(配列番号9)。 本発明によるATP依存性DNAリガーゼ(L13rel2)のアミノ酸配列である配列番号10。 本発明によるATP依存性DNAリガーゼ(L13rel2)のHisタグ付きアミノ酸配列である配列番号11。 図11aのアミノ酸配列をコードする野生型ヌクレオチド配列(配列番号12)。 ATP依存性DNAリガーゼ(L13rel3)のアミノ酸配列である配列番号13。 図12aのATP依存性DNAリガーゼ(L13rel3)のHisタグ付きアミノ酸配列である配列番号14。 図12aのアミノ酸配列をコードする野生型ヌクレオチド配列(配列番号15)。 本発明によるATP依存性DNAリガーゼ(L13rel4)のアミノ酸配列である配列番号16。 本発明によるATP依存性DNAリガーゼ(L13rel4)のHisタグ付きアミノ酸配列である配列番号17。図13aのアミノ酸配列をコードする野生型ヌクレオチド配列(配列番号18)。 ワクシニアDNAリガーゼおよび本発明のL13リガーゼのアミノ酸配列を比較する配列アラインメント。
以下の説明において、本発明のより深い理解を当業者に提供するために、本発明の様々な実施例および実施形態を記載する。様々な実施形態の文脈において、そして添付の図面を参照して説明される特定の詳細は、限定として解釈されることを意図していない。
別途具体的に定義されない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語および科学用語は、遺伝学、生化学、および分子生物学の分野の当業者によって一般的に理解されるものと同じ意味を有する。
上記のように、本発明者らは、第1の3’-ヒドロキシル-デオキシリボ核酸分子を含む二本鎖核酸複合体中の一本鎖切断を、ライゲーション接合部にまたがる相補的な第2のデオキシリボ核酸分子の存在下で、5’ホスホリル-リボ核酸分子の5’末端にライゲーションさせる性能を有する新規のATP依存性DNAリガーゼ(L13)を同定した。図解は図3aを参照されたい。
本発明者らはまた、バクテリオファージから最初に単離されたさらなるDNAリガーゼであって、配列番号1を有するL13リガーゼのアミノ酸配列に対して少なくとも70%、例えば少なくとも75%同一であるアミノ酸配列を有し、L13と同様の酵素活性および基質特異性を有するさらなるDNAリガーゼを同定した。
上記さらなるDNAリガーゼは、配列番号7のアミノ酸配列および配列番号9のcDNA配列を有するL13rel1である。
上記さらなるDNAリガーゼは、配列番号10配列番号12のアミノ酸配列を有するL13rel2である。
上記さらなるDNAリガーゼは、配列番号16配列番号18のアミノ酸配列を有するL13rel4である。
本発明によるリガーゼは、上記の独自の基質特異性に加え、ライゲーション接合部にまたがる相補的な第2のデオキシリボ核酸分子の存在下で、3’-ヒドロキシル末端基を含むRNA分子の3’末端にライゲーションされる5’ホスホリル末端基を含む第1のDNA分子を含む二本鎖核酸複合体中の一本鎖切断を高効率でライゲーションさせる性能も有する。
第2のデオキシリボ核酸とともにライゲーション反応において使用される第1の3’-ヒドロキシル-デオキシリボ核酸分子、5’ホスホリル-リボ核酸分子またはそれらの一部は、好ましくは一本鎖であり、3’-ヒドロキシル-デオキシリボ核酸分子および5’ホスホリル-リボ核酸分子は、ライゲーション接合部にまたがる第2のデオキシリボ核酸分子の少なくとも一部に対し、部分的にまたは全体として相補的であり得る。
「相補的な核酸配列が互いに結合する」というのは、DNAおよびRNAの性質である。相補性は、核酸塩基:アデニン(A)、チミン(T)または(RNA中ではウラシル)、グアニン(G)およびシトシン(C)の間の特有の相互作用によって達成される。
「3’-ヒドロキシル-デオキシリボ核酸分子」という用語は、その3’末端に遊離ヒドロキシル基(OH基)を有する。デオキシリボ核酸分子のヌクレオチドは、標準ならびに非標準ヌクレオチドであり得る。非標準ヌクレオチドの非限定的な例には、イノシン、キサントシン、イソグアノシン、イソシチジン、ジアミノピリミジン、およびデオキシウリジンが含まれる。デオキシリボ核酸分子は、修飾または誘導体化されたヌクレオチドを含み得る。デオキシリボースまたは塩基部分の修飾の非限定的な例には、アセチル基、アミノ基、カルボキシル基、カルボキシメチル基、ヒドロキシル基、メチル基、ホスホリル基、およびチオール基の付加(または除去)が含まれる。誘導体化ヌクレオチドの適切な例には、共有結合した色素、例えば、蛍光色素もしくは消光色素など、または他の分子、例えば、ビオチン、ジゴキシゲニン、または磁性粒子を有するものが含まれる。図解は図6および図7を参照されたい。
3’-ヒドロキシル-デオキシリボ核酸分子は、磁気ビーズ、ガラスまたはシリカ基材、あるいはマイクロ流体デバイスまたはほかの反応チャンバーの表面に、その5’末端で連結され得る。3’-ヒドロキシル-デオキシリボ核酸分子が直接的または間接的に結合され得るさらなる固体状態の基材としては、アクリルアミド、セルロース、ニトロセルロース、ガラス、または当業者に知られたほかの公知の基材が含まれる。
3’-ヒドロキシル-デオキシリボ核酸分子の長さは、ライゲーション産物の長さおよびその所望の特徴に応じて変化し得、そして変化するであろう。通常、3’-ヒドロキシル-デオキシリボ核酸分子は、実施例2に示されるように、少なくとも約8ヌクレオチド長であるが、15ヌクレオチド長から100ヌクレオチド長までの範囲であり得る。
RNAの5’アダプターライゲーション
「相補的な第2のデオキシリボ核酸分子」または「相補的なライゲーションテンプレート」という用語は、ライゲーション反応の効率を改善するために使用されるデオキシリボ核酸(DNA)分子として理解されるものとする。第1の3’-ヒドロキシル-デオキシリボ核酸分子の5’ホスホリル-リボ核酸分子の5’末端でのライゲーションは、上記のように、ライゲーションテンプレートとも呼ばれるこの第2のデオキシリボ核酸分子の存在下で実施される。この第2のデオキシリボ核酸分子は、2つの異なる領域:リボ核酸分子に相補的でありそれとハイブリダイズする5’領域、および第1のデオキシリボ核酸分子に相補的でありそれとハイブリダイズする3’領域を含む。図3aを参照されたい。
「相補的な第2のデオキシリボ核酸分子」は、その2つの標的配列の正確な相補体であっても、ほぼ正確な相補体であってもよい。ライゲーションテンプレートは、第1の3’-ヒドロキシル-デオキシリボ核酸分子およびリボ核酸分子の両方にハイブリダイズするので、3’-ヒドロキシル-デオキシリボ核酸分子を5’ホスホリル-リボ核酸分子の5’末端に近接させるように、ライゲーション接合部にまたがる。第2のデオキシリボ核酸分子はまた、3’-ヒドロキシル-デオキシリボ核酸分子について記載したのと同様の標準、非標準、修飾または誘導体化ヌクレオチドを含んでもよい。
通常、相補的な第2のデオキシリボ核酸分子は、少なくとも約10ヌクレオチド長、好ましくは少なくとも約20ヌクレオチド長であり、ライゲーションテンプレートの約半分はリボ核酸分子に対する相補性を有し、残りの半分は第1の3’-ヒドロキシル-デオキシリボ核酸分子に対する相補性を有する。当業者は、相補的な第2のデオキシリボ核酸分子がより長く、例えば少なくとも約25または30または35または40または45または最大約100ヌクレオチドであってもよいことを理解できるであろう。
さらなる実施形態において、第2のデオキシリボ核酸分子は、各テンプレートが、異なるアレル由来のRNAの集合中の個別のRNAとハイブリダイズし得るように、第1の3’-ヒドロキシル-デオキシリボ核酸分子とハイブリダイズする3’領域、およびヌクレオチドのランダム混合物を含む縮重5’領域を含む、RNAの5’末端アダプターライゲーションにおける使用のための半縮重ライゲーションテンプレートであり得る。当業者は、縮重領域を含むヌクレオチドの数が、可能なテンプレートの組み合わせの数を決定し、したがってハイブリダイズされ得るRNAの数を決定することを理解するであろう。5’RNAアダプターライゲーションの例示目的のために、テンプレートが半縮重している図4~図8を参照されたい。
RNAの3’アダプターライゲーション
一つの代替的な実施形態では、「相補的な第2のデオキシリボ核酸分子」または「相補的なライゲーションテンプレート」は、ライゲーション反応の効率を改善するために使用されるデオキシリボ核酸(DNA)分子として理解されるものとする。3’ヒドロキシル-リボ核酸分子の3’末端での第1の5’-ホスホリル-デオキシリボ核酸分子のライゲーションは、上記のように、ライゲーションテンプレートとも呼ばれるこの第2のデオキシリボ核酸分子の存在下で実施される。この第2のデオキシリボ核酸分子は、2つの異なる領域:リボ核酸分子に相補的でありそれとハイブリダイズする3’領域、および第1のデオキシリボ核酸分子に相補的でありそれとハイブリダイズする5’領域を含む。
さらなる実施形態において、第2のデオキシリボ核酸分子は、各テンプレートが、異なるアレル由来のRNAの集合中の個別のRNAとハイブリダイズし得るように、第1の5’-ホスホリル-デオキシリボ核酸分子とハイブリダイズする5’領域、およびヌクレオチドのランダム混合物を含む縮重3’領域を含む、RNAの3’末端アダプターライゲーションにおける使用のための半縮重ライゲーションテンプレートであり得る。当業者は、縮重領域を含むヌクレオチドの数が、可能なテンプレートの組み合わせの数を決定し、したがってハイブリダイズされ得るRNAの数を決定することを理解するであろう。5’RNAアダプターライゲーションの例示目的のために、テンプレートが半縮重している図4~図8を参照されたい。
ある特定の実施形態において、第1の3’-ヒドロキシル-デオキシリボ核酸分子または5’ホスホリル-デオキシリボ核酸分子および第2のデオキシリボ核酸分子は、リボ核酸分子を含む試料を添加する前に、アダプター分子として本明細書に記載される二本鎖を形成するためプレハイブリダイズされる。5’RNAアダプターライゲーションの例示については、図4~図8を参照されたい。
「ハイブリダイズする」という用語は、この文脈において、結合されるべき5’第1デオキシリボ核酸および3’リボ核酸の2つの一本鎖領域に選択的に結合し並置するための、第2のデオキシリボ核酸の相補的またはほぼ相補的な塩基の特異的アニーリングに十分である、当技術分野で公知のハイブリダイズ条件の選択と理解されるものとする。
ATP依存性DNAリガーゼは、候補リガーゼの検索においてメタゲノムヌクレオチド配列データを含む公的に利用可能なUniProtKBデータベース(UniProtKB/Swiss-Prot UniProtリリース2015_06)をマイニングすることによって、本発明者らによって同定された。驚くべきことに、本発明者らは、クロノバクターサカザキバクテリオファージCR9(NCBIアクセッション番号およびLocus identity番号YP_009015226.1)から最初に単離された本発明によるATP依存性DNAリガーゼをコードする配列が、上記の独自のリガーゼ活性を有することを発見した。クロノバクターファージCR9の完全ゲノム配列は、NCBIアクセッション番号JQ691611を有する。YP_009015226.1のアミノ酸配列は、ゲノム配列の概念的な翻訳によって推定的なリガーゼとして認識される。YP_009015226.1についてのNCBIヌクレオチドおよびタンパク質データベースにおける配列についての情報を参照されたい。データベースによれば、配列は検証されていない。したがって、本発明者らはまず、本発明によるATP依存性リガーゼのための最適化された発現系をクローニングし開発した。
上記クロノバクターファージCR9の起源の国は不明である。NCBIデータベースのエントリーJQ691611の情報によると、クロノバクターサカザキバクテリオファージCR9のゲノム配列は、ソウル国立大学食品・動物バイオテクノロジー学科、大韓民国、ソウル市151-921、冠岳区、冠岳路1によって提出された。
核酸分子をRNA分子の5’末端にライゲーションさせる性能は、古典的クローニングおよびギブソンアプローチを用いたクローニング(Gibson,D.G.et al.,Enzymatic assembly of DNA molecules up to several millibases,Nature Methods,2009,vol.6,page 343-345)、ライブラリ調製中のアダプターライゲーション(例えば、illumine,Head,S.R.et al.,Library construction for next-generation sequencing:overviews and challenges,Biotechniques,2014,vol.56,no.2,p.1-31)、DNA合成、ライゲーションによる配列決定(例えば、SOLiD)(Voelkerding,K.V.et al.Next-Generation Sequencing:from basic research to diagnostics,Clinical Chemistry,2009,vol.55,no.4,p.641-658)、リガーゼ連鎖反応(J;Czajka,J;Luo,J;Barany,F;Batt,CA(Feb 1994)、“Ligase chain reaction(LCR)-overview and applications”PCR Methods and Applications.3(4):S51-64)、SNP検出(Etter,P.D.et al.,SNP discovery and genotyping for evolutionary genetics using RAD sequencing,Methods Mol.Biol.,2011,vol.772,p.157-178)およびRNAの5’末端標識など、多くの分子生物学技術において望ましい。
通常、RNAの5’-アダプターライゲーションは、5’-RNA分子をライゲーションさせることによって、または例えばT4 RNAリガーゼを使用してハイブリッドDNA-RNA分子をRNA分子の5’末端にライゲーションさせることによって実施される。しかしながら、RNAはより分解しやすいので、DNAと比較してRNAを用いて作業することはあまり好ましくない。したがって、いくつかの状況において、DNA分子をRNA分子の5’末端にライゲーションさせることが所望され得る。
さらに、本発明によるリガーゼは、上記の独自の基質特異性に加えて、ライゲーション接合部にまたがる相補的DNAテンプレートの存在下でRNA分子の3’末端にDNA分子を高効率でライゲーションさせる性能も有する。したがって、1つの酵素がRNA分子の5’末端および3’末端の両方でDNAアダプター分子をライゲーションさせることを可能にする。
RNA分子の3’末端および5’末端でのアダプターライゲーションは、単一の工程または別々の工程で実施され得る。
したがって、本発明によるリガーゼは、「二重ライゲーションされた」RNAフラグメント(すなわち、5’末端および3’末端の両方でライゲーションされたアダプターを含有するRNA断片)を必要とするアダプターライゲーションプロセスにおいて使用され得る。次世代シーケンシング(NGS)のためのライブラリ構築において通常使用されるプロセスは、例えば、広く使用されているIlluminaシーケンシングプラットフォームのために必要とされる。例えば、Steven R.HeadらのLibrary construction for next-generation sequencing:Overviews and challenges,Biotechniques,Published online 2014 Feb 1,2014;56(2):61,doi:10.2144/000114133を参照されたい。
3’末端および5’末端でのアダプターライゲーションが可能なRNAフラグメントは、好ましくは、効率的なライゲーションが起こるように5’ホスホリル末端基および3’ヒドロキシル末端基を含むべきであり、本発明によるRNA分子の3’末端および5’末端におけるアダプターライゲーションの例示については、図...を参照されたい。
長いRNA分子、例えば、mRNAおよびロングノンコーディングRNAは、断片化される必要があり得る。RNAの断片化のためのプロセスは当業者に公知であり、例えば、NEBNext(登録商標)RNaseIII RNA断片化モジュールおよびNEBNext(登録商標)マグネシウムRNA断片化モジュールを参照されたい。NEBNext(登録商標)RNaseIII RNA断片化モジュールは、長い二本鎖RNAを5’リン酸および3’ヒドロキシル末端を有するRNA断片に切断するリボエンドヌクレアーゼを使用し、これは5’および3’末端ライゲーション反応に直接使用してもよい。しかしながら、NEBNext(登録商標)マグネシウムRNA断片化モジュールは、RNAを断片化するために二価の金属イオン(Mg)および熱を使用し、これは5’ヒドロキシル末端および3’リン酸末端を有するRNA断片を作製する。この後者の場合、5’リン酸および3’ヒドロキシル末端を含むフラグメントを得るために、RNAフラグメントの末端は改変されなければならない。
驚くべきことに、バクテリオファージ、より具体的にはクロノバクターファージから得られ本明細書に記載されるATP依存性DNAリガーゼは、ATPおよび二価の陽イオンの存在下かつライゲーション接合部にまたがる相補的DNA分子の存在下で、一本鎖領域を有するDNA分子をRNAの5’末端に高効率でライゲーションさせることが明らかとなった。
本発明によるATP依存性DNAリガーゼは、ほかの既知のリガーゼと低い配列同一性を有し、周知のT4 DNAリガーゼ酵素とは30%未満の配列同一性を有する。図1を参照されたい。
上記のように、囲まれた(enclosed)DNAリガーゼの1つ特性として、ライゲーション接合部にまたがる相補的デオキシリボ核酸分子の存在下で、3’-ヒドロキシル-デオキシリボ核酸分子を5’ホスホリル-リボ核酸分子の5’末端に高効率でライゲーションさせる性能がある。
リガーゼが異なる基質のサブセットをライゲーションさせることが可能であることは文献に十分に記載されている。例えば、Bullard,D.R.とBowater,R.P.によるDirect comparison of nick-joining activity of the nucleic acid ligases from bacteriophage T4.The Biochemical Journal,2006,398(1),135-144)を参照されたい。本発明によるDNAリガーゼはまた、基質のサブセットを高効率でライゲーションさせることが可能である。図3b(AZ L13)を参照されたい。この図から、AZ L13は高効率で基質1、6、7および8を、ならびにより低効率で基質3および5をライゲーションさせることが可能であることは明らかである。
高効率という用語は、当業者に公知の標準温度および緩衝液条件下で、二本鎖核酸分子中の一本鎖切断をライゲーションさせ、6時間未満以内、例えば1時間未満以内、例えば45分未満以内、または好ましくは30分以内または15分以内にポリヌクレオチドの少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%または少なくとも100%のライゲーションを達成する酵素の性能に関する。標準緩衝液および温度条件の例は、表2aおよび表2bならびに実施例2に記載されている。
本発明によるライゲーション効率またはライゲーション速度または変換率は、当業者に公知の様々な方法を使用して計算することができる。例えば、ライゲーション効率は、図3bに示されるようにライゲーション産物を検出することによって計算することができ、ここで、70%効率は、((ライゲーション産物)/(ライゲーション産物+非ライゲーション産物))*100=70を意味する。ライゲーション産物+非ライゲーション産物の70%がライゲーション産物として存在する。これは、図3bに示すようにゲル上の異なるバンドの強度を測定し、記載のように効率を計算することによって実験的に検出し得る。ライゲーション産物および非ライゲーション産物を表すゲル上のバンドの強度は、イメージング技術、例えばAlpha Imager(商標)(AlphaImager HP system)を用いて測定することができる。
本発明のDNAリガーゼは、T4 DNAリガーゼ、T3DnL、SplintRまたはワクシニアウイルス由来のDNAリガーゼと比較して、ライゲーション接合部にまたがる相補的DNAテンプレートの存在下で、DNA分子をRNA分子の5’末端にライゲーションさせる性能において、改善されたライゲーション効率を有する。ここで改善されたライゲーション効率とは、T4 DNAリガーゼ、T3DnL、SplintRまたはワクシニアウイルス由来のDNAリガーゼのライゲーション効率と比較して、少なくとも2~100倍である。T4 DNAリガーゼ、T3DnL、SplintRまたはワクシニアウイルス由来のDNAリガーゼと比較して、本発明のDNAリガーゼの向上したライゲーション効率は、少なくとも2倍より高く、少なくとも5倍より高く、少なくとも10倍より高く、少なくとも12倍より高く、少なくとも15倍より高く、少なくとも20倍より高く、または少なくとも100倍より高い。
本発明による酵素活性の尺度としての変換率は、1分間あたり1pmolの酵素あたりのpmolのライゲーションされた基質として表され得る。
基質の変換率およびライゲーション%は、二本鎖核酸分子中の一本鎖切断を含む基質を使用して測定され、二本鎖核酸分子は、3’-ヒドロキシル-デオキシリボ核酸分子および5’-ホスホリルリボ核酸を、ライゲーション接合部にまたがる相補的デオキシリボ核酸分子とともに複合体を成して含む(図3bによるS8基質)。
本発明によれば、上記の基質(S8)の変換率は、少なくとも0.02、少なくとも0.03、少なくとも0.04、少なくとも0.05または少なくとも0.1であり、ここで、変換率は、ATP、Mg2+および0.2pmol~15pmolの本発明によるDNAリガーゼを含むライゲーション緩衝液中で、25℃~30℃で、1分間あたり1pmolの酵素あたりのpmolの基質として決定される。
本発明によれば、上記基質(S8)の変換率は少なくとも0.02であり、ここで、変換率は、ATP、Mg2+および0.2pmol~10pmolの本発明によるDNAリガーゼを含むライゲーション緩衝液中で、25℃~30℃で、1分間あたり1pmolの酵素あたりのpmolの基質として決定される。
本発明によれば、上記基質(S8)の変換率は0.02~0.1であり、ここで変換率は、ATP、Mg2+および0.2pmol~15pmolの本発明によるDNAリガーゼを含むライゲーション緩衝液中で、25℃~30℃で、1分間あたり1pmolの酵素あたりのpmolの基質として決定される。
本発明によれば、上記の基質(S8)の変換率は0.02~0.1であり、ここで変換率は、ATP、Mg2+および0.2pmol~10pmolの本発明によるDNAリガーゼを含むライゲーション緩衝液中で、25℃~30℃で1分間あたり1pmolの酵素あたりのpmolの基質として決定される。
本発明によれば、上記基質(S8)の変換率は、少なくとも0.15、少なくとも0.2、少なくとも0.3、少なくとも0.4、少なくとも0.5、少なくとも0.8、少なくとも1.0、少なくとも1.5であり、ここで、変換率は、ATP、Mn2+および0.2pmol~15pmolの本発明によるDNAリガーゼを含むライゲーション緩衝液中で、25℃~30℃で、1分間あたり1pmolの酵素あたりのpmolの基質として決定される。
本発明によれば、上記基質(S8)の変換率は少なくとも0.15であり、ここで、変換率は、ATP、Mn2+および0.2pmol~10pmolの本発明によるDNAリガーゼを含むライゲーション緩衝液中で、25℃~30℃で、1分間あたり1pmolの酵素あたりのpmolの基質として決定される。
本発明によれば、上記の基質(S8)の変換率は、0.15~2.0であり、ここで、変換率は、ATP、Mn2+および0.2pmol~15pmolの本発明によるDNAリガーゼを含むライゲーション緩衝液中で、25℃~30℃で、1分間あたり1pmolの酵素あたりのpmolの基質として決定される。
本発明によれば、上記基質(S8)の変換率は、0.15~2.0であり、ここで、変換率は、ATP、Mn2+および0.2pmol~10pmolの本発明によるDNAリガーゼを含むライゲーション緩衝液中で、25℃~30℃で、1分間あたり1pmolの酵素あたりのpmolの基質として決定される。
本発明によるATP依存性DNAリガーゼは、ATP、Mg2+および0.2pmol~15pmolの本発明によるDNAリガーゼを含むライゲーション緩衝液中で、25℃で15分以内に、上記基質(S8)の少なくとも25%をライゲーションさせることができる。
本発明によるATP依存性DNAリガーゼは、ATP、Mg2+および0.2pmol~10pmolの本発明によるDNAリガーゼを含むライゲーション緩衝液中で、25℃で15分以内に、上記基質(S8)の少なくとも25%をライゲーションさせることができる。
本発明によるATP依存性DNAリガーゼは、ATP、Mn2+および0.2pmol~15pmolの本発明によるDNAリガーゼを含むライゲーション緩衝液中で、25℃で15分以内に、上記基質(S8)の少なくとも50%、好ましくは少なくとも60%をライゲーションさせることができる。
本発明によるATP依存性DNAリガーゼは、ATP、Mn2+および0.2pmol~10pmolの本発明によるDNAリガーゼを含むライゲーション緩衝液中で、25℃で15分以内に、上記基質(S8)の少なくとも50%、好ましくは少なくとも60%をライゲーションさせることができる。
したがって、本発明の一態様によれば、単離されたATP依存性DNAリガーゼまたはその酵素活性フラグメントが提供され、前記ATP依存性DNAリガーゼは配列番号1のアミノ酸配列を含むかまたは配列番号1に対して少なくとも70%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、前記DNAリガーゼは、ライゲーション接合部にまたがる相補的デオキシリボ核酸分子の存在下で、3’-ヒドロキシル-デオキシリボ核酸分子を5’ホスホリル-リボ核酸分子の5’末端にライゲーションさせることができる。
DNAリガーゼの「その酵素フラグメント」という表現は、配列番号1に示されるアミノ酸配列を有するリガーゼの触媒活性が、その切断された形態で維持されているDNAリガーゼを意味すると理解されるべきである。実施例2では、リガーゼ活性を測定するための適切なアッセイを提供する。
一実施形態では、本発明によるDNAリガーゼまたはその酵素フラグメントは、配列番号1に対して少なくとも75%、80%、85%、90%、92%、94%、95%、98%または99%または好ましくは少なくとも85%または94%同一であるアミノ酸配列を含む。
いくつかの実施形態では、配列番号1に対して少なくとも70%同一であるアミノ酸配列を含むATP依存性DNAリガーゼは、以下を有する配列から選択され得る:
NCBIアクセッション番号ARB11687.1
NCBIアクセッション番号YP_007392649.1
NCBIアクセッション番号KAB3178420.1
NCBIアクセッション番号YP_006383262.1
NCBIアクセッション番号YP_009042486.1
NCBIアクセッション番号ATS93644.1
NCBIアクセッション番号QEG12338.1
NCBIアクセッション番号AXN57775.1または
NCBIアクセッション番号WP_133670648.1。
一実施形態では、本発明によるDNAリガーゼまたはその酵素フラグメントは、配列番号1に対して少なくとも75%同一であるアミノ酸配列を含む。
本発明による別の実施形態では、配列番号1(L13)に対して少なくとも70%同一であるアミノ酸配列を含むATP依存性DNAリガーゼは、表1のDNAリガーゼのいずれかから選択される。
Figure 2023520224000001
表1の上記配列のいずれかのその酵素フラグメントも包含される。
NCBIアクセッション番号YP_009846950.1を有するL13rel3は、配列番号1(L13)に対して39%のみ同一であるアミノ酸配列を含む、エロモナスファージ4(Aeromonas phage 4)由来の推定的なDNAリガーゼである。図12a~図12cおよび配列番号13~配列番号15に、アミノ酸配列およびcDNA配列を示す。L13rel3は、本発明によるDNA依存性リガーゼのL13クラスターに属しておらず、本発明によるL13 ATP依存性DNAリガーゼと比較して、二本鎖核酸分子中の一本鎖切断を含む基質における酵素活性が低下しているリガーゼである。ここで前記二本鎖核酸分子は、3’-ヒドロキシル-デオキシリボ核酸分子および5’-ホスホリルリボ核酸を、ライゲーション接合部にまたがる相補的デオキシリボ核酸分子とともに複合体を成して含む基質(図3bによるS8基質)である。
図2に、上記配列と比較した配列番号1の多重配列アラインメントを示す。図2から、これらの配列は、これまでに研究されたすべてのリガーゼに共通のKXaaDGモチーフを含むいくつかの保存されたドメインを共有することが明らかであり、ここでリジン残基は、後に核酸に結合するアデニル化酵素中間体の形成に関与する(Tomkinson et al.,Bioessays,19(10):893-901(1997)、Shumanra,Virology,211(1):73-83(1995),oyobiLuora,Nucleic Acids Res,24(15):3079-3085(1996))。
配列番号1の変異型は、配列番号1の前記アミノ酸の1つ以上のアミノ酸が保存的置換を受けたアミノ酸配列を含む。好ましくは、そのような置換は、本発明のDNAリガーゼの改変された形態が非改変の形態と同じ酵素活性を有するという点でサイレント置換である。
本発明のDNAリガーゼは、改変された形態、例えば、DNAリガーゼの単離、可溶化および/または精製または同定のためのプロセスにおいて有用なアミノ酸タグを有する融合タンパク質などで提供され得る。このようなアミノ酸タグとして、ポリヒスチジン(His)タグが挙げられるが、これに限定されない。本発明のポリヒスチジンタグ付きDNAリガーゼの例は、配列番号2に記載される。本発明のほかのポリヒスチジンタグ付きDNAリガーゼは、配列番号8、配列番号11および配列番号17に記載される。
さらに、本発明はまた、本発明のDNAリガーゼおよびその酵素フラグメントをコードする核酸分子を提供する。配列番号1のアミノ酸配列に対応する核酸配列は、配列番号3に開示される。
配列番号7、配列番号10、および配列番号16のアミノ酸配列に対応するさらなる核酸分子は、配列番号9、配列番号12、および配列番号18に開示される。
本発明の核酸は、上記核酸分子または変異型核酸分子を含み得る。変異型核酸分子は、遺伝暗号が縮重しているために、構造的に異なるヌクレオチドが同じ機能または収率を発揮し得る分子を含む。遺伝暗号の縮重とは、核酸分子である配列番号3、配列番号9、配列番号12および配列番号18が、産生されるリガーゼの酵素活性に影響を及ぼすことのない、配列番号1、配列番号7、配列番号10および配列番号16によって提供されるアミノ酸分子をコードする多くの核酸分子のうちの1つにすぎないことを意味する。次いで、配列番号3、配列番号9、配列番号12および配列番号18に開示される核酸分子は、大腸菌宿主細胞における発現を最適化するためにコドン最適化をされ得る。
配列番号3、配列番号9、配列番号12および配列番号18の核酸を含むまたはそれらからなる核酸分子もまた開示される。これらの核酸分子は、核酸ベクター、例えばプラスミド、組換え発現ベクター、ウイルスベクター、コスミド、ラムダファージベクターまたは細菌人工染色体ベクターであってもよい。好ましいベクターは、細菌細胞におけるリガーゼのクローニングおよび/または発現に使用するためのプラスミドなどのベクターである。
さらに、本発明のほかの実施形態において、DNAリガーゼおよびHisタグを含むポリペプチドをコードする核酸分子が提供される。Hisタグをコードする核酸分子は、得られるDNAリガーゼの活性に影響を与えることなく、本発明の核酸配列に付加され得る。
また、宿主細胞からのDNAリガーゼ酵素の分泌をもたらすシグナルペプチドをコードする核酸分子もまた、本発明の核酸配列に連結され得る。
本明細書中で使用される場合、タンパク質および核酸分子またはそれらの断片の両方に関して、「配列同一性」に言及する際は、第2の配列に対して少なくともx%の同一性を有する配列とは、第2のアミノ酸配列またはヌクレオチド配列の全長に対して両方の配列がグローバルアラインメントを介して最適にアライメントされる場合に、第2の配列のそれらのマッチしたアミノ酸またはヌクレオチドと同一である第1の配列中のアミノ酸またはヌクレオチドの数を、x%と表すことを意味する。両方の配列は、xが最大である場合に最適にアライメントされる。アラインメントおよび同一性の割合の決定は、手動または自動で実施され得る。
当業者は、パーセント配列同一性を決定する目的のためのアラインメントが、様々な方法で、例えば、公的に利用可能なコンピュータソフトウェアであるClustal W(Thomson et al.,1994,Nucleic Acid Res.,22,pp 4673-4680)https://www.ebi.ac.uk/Tools/msa/clustalw2/またはNCBI BLAST(National Center for Biotechnology Information(NCBI),アメリカ、より提供される)をデフォルトパラメータで使用するなどして、達成され得ることを認識するであろう。
本発明のDNAリガーゼの調製
本発明のDNAリガーゼおよびその酵素フラグメント、または上記リガーゼをコードする核酸分子は、バクテリオファージ、例えばクロノバクターファージ、ペクトバクテリウムファージ、またはアシネトバクターファージなどの天然資源から単離することができる。
あるいは、この酵素は、宿主細胞において組換え的に産生され得、そこから単離および精製され得る。ここで、宿主細胞は、本発明のDNAリガーゼをコードする遺伝子を天然に発現しないか、または天然に発現する生物由来ではない。すなわち、宿主細胞は、酵母細胞、昆虫細胞、ヒト細胞株または細菌細胞、好ましくは大腸菌などの異種宿主細胞である。
本発明によるDNAリガーゼまたはその酵素フラグメントをコードする核酸配列は、ゲノムDNAからPCRを使用して増幅してもよく、cDNAとして単離してもよく、またはGENEWIZ、GeneArt、Thermo Fisher ScientificもしくはGenscriptなどの商業的供給業者に注文してもよい。
上記のように、DNAリガーゼまたはその酵素フラグメントをコードする核酸配列は、異種宿主細胞におけるタンパク質産生の増加のためにコドン最適化をされ得る。コドン最適化を支援するための様々なソフトウェアプログラムが当該技術分野で公知である。CodonWは、使用され得るオープンソースソフトウェアプログラムの一例である。好ましくは、Raab,D.,Graf,M.,Notka,F.,Schodel,T.,&Wagner,R.(2010)によって記載されたGeneOptimizerアルゴリズムである。GeneOptimizerアルゴリズム:スライディングウィンドーアプローチを用いることでマルチパラメータのDNA配列最適化において、広大な配列空間に対処する。Systems and Synthetic Biology,4(3),215-225は、大腸菌宿主細胞における本発明のDNAリガーゼの発現のためのコドン最適化DNA配列を生成するために使用される。
周知の組換え遺伝子発現系を使用する様々な宿主細胞系における異種発現によるDNA配列からタンパク質を発現させるための種々の利用可能な分子技術が存在する。例えば、本発明によるATP依存性DNAリガーゼをコードする、またはその酵素フラグメントをコードする核酸分子は、選択された宿主細胞に適した発現のために必要な転写および翻訳エレメントを含む、適切な発現ベクター中に挿入され得る。通常使用される発現ベクターの例としては、プラスミドまたはウイルスである。
目的の遺伝子の信頼できる転写を確実にする。発現ベクターは強力なプロモーターを含んでもよく、バクテリオファージT5およびT7は、大腸菌内の発現のための強力なプロモーターの例である。プロモーターは、化学スイッチを含むことによって調節され得る。大腸菌における使用のための誘導性プロモーターの例としては、一般的に使用されるイソプロピル-β-D-チオガラクトシド(IPTG)によって誘導されるlacプロモーター(Hansen LH,Knudsen S,Sorensen SJ,“The effect of the lacY gene on the induction of IPTG inducible promoters,studied in Escherichia coli and Pseudomonas fluorescens”,Curr.Microbiol.1998,36(6):341-7)、またはトルイル酸で誘導可能なプロモーターを含むXylS/Pm発現カセットである(Gawin,A.et al.,The XylS/Pm regulator/promoter system and its use in fundamental studies of bacterial gene expression,recombinant protein production and metabolic engineering,Microb.Biotechnol.,2017,Vol.10,No.4,p702-718)。このシュードモナス・プチダ(Pseudomonas putida)に由来するXylS/Pm調節因子/プロモーター系は、大腸菌(E.coli)およびほかの細菌における遺伝子および遺伝子クラスターの低レベルおよび高レベルに調節された組換え発現のために、広範に使用されている。
本発明のさらなる態様は、適切な異種細胞における、上記の本発明によるATP依存性DNAリガーゼまたはその酵素フラグメントの発現の方法である。宿主細胞は、細菌または酵母細胞であり得る。好ましくは、酵素の発現は細菌宿主細胞、より好ましくは大腸菌(E.coli)BL21(DE3)細胞においてである。
本発明のDNAリガーゼを含む上記の発現ベクターの形質転換は、当業者に公知の方法によって、例えば化学的コンピテント細胞を使用することによって、実施され得る。
上記のように、本発明のDNAリガーゼは、組換えDNA技術を用いて合成され得る。あるいは、DNAリガーゼは、セルフリー発現系またはDNAリガーゼの化学合成を用いて産生され得る。
細胞培養培地への分泌のためのシグナルペプチドを含むリガーゼ酵素は、当技術分野において公知の、文献に十分に記載されている任意の技術を使用して、宿主細胞培養培地から単離および精製され得る。そのような技術または任意の組み合わせの例には、沈殿、限外濾過、異なるクロマトグラフィー技術、例えばサイズ排除クロマトグラフィー、固定化金属アフィニティーカラムクロマトグラフィーおよび/または免疫吸着クロマトグラフィーが含まれ得る。
細胞内で産生された本発明のDNAリガーゼ酵素は、当業者に公知の技術を用いて単離および精製されてもよい。大腸菌細胞から細胞溶解物を調製するための方法の例は、ホモジナイゼーション、超音波処理またはリゾチームを使用する酵素的溶解である。DNAリガーゼが溶解細胞から放出された後、酵素は、任意の精製方法、例えばサイズ排除クロマトグラフィー、固定化金属アフィニティーカラムクロマトグラフィーおよび/または免疫吸着クロマトグラフィーの対象となる。
上述したように、本発明のDNAリガーゼは、酵素の単離、精製および/または同定を容易にするためにc末端のHisタグを含んでもよい。本発明のポリヒスチジンタグ付きDNAリガーゼは、配列番号2、配列番号8、配列番号11および配列番号17に示される。
したがって、本発明の別の態様によれば、本発明によるDNAリガーゼまたはその酵素活性フラグメントの単離および精製のための方法が提供され、この方法は:
a)本発明によるATP依存性DNAリガーゼを発現させるのに適した条件下で宿主細胞を培養する工程、
b)宿主細胞から、または培養培地もしくは上清からDNAリガーゼを単離する工程
を含む。
本発明による精製されたATP依存性DNAリガーゼ酵素またはその酵素フラグメントは、最終的に、例えば10mM Tris-HCl pH7.5(25℃)、0.3M KCl、5mM MgCl、0.2mg/ml BSAおよび50%グリセロールを含む緩衝液中で保存することができる。リガーゼを保存するのに適した代替緩衝液は、当業者に公知である。
本発明のDNAリガーゼを含む組成物およびキット
第1の態様によるATP依存性DNAリガーゼおよび、ライゲーション工程を実施するための1つ以上の追加の必要な試薬、例えばライゲーション緩衝液を含む、組成物およびキットもまた開示される。ライゲーションをおこなうための適切なライゲーション緩衝液および反応条件は、以下の表2aまたは表2bに記載されている。
典型的には、本発明の単離されたATP依存性DNAリガーゼは、本発明の単離されたATP依存性DNAリガーゼを含む組成物が水性緩衝液も含むのと同様に、水性緩衝液中に置かれる。本発明による水性緩衝液は、約7~約8.5のpH、好ましくは約7.5のpHを有するTris、MES Bis-Tris、リン酸またはHEPES緩衝液などの標準緩衝液を含む。水性緩衝液は、好ましくは、酵素を安定化させるためにBSAおよびグリセロールをさらに含み得る。
本発明のDNAリガーゼは、ライゲーション工程をおこなうために補因子としてATPを利用するATP依存性DNAリガーゼであり、酵素反応の概要については「背景技術」の段落を参照されたい。さらに、反応のATP依存性は、反応が触媒作用のためにMg2+またはMn2+イオンなどの複数の二価の陽イオンを必要とすること、および必須の二価の陽イオン、好ましくはMg2+、より好ましくはMn2+が必要とされることを示す。
したがって、一実施形態では、ライゲーション緩衝液はATPを含む。ここで、ATPの濃度は、約0.01mM~約10mM、好ましくは約0.05mM~約2.5mM、より好ましくは約1mMであるようなものである。
さらなる実施形態において、ライゲーション緩衝液は二価の陽イオンを含む。二価の陽イオンは、例えば、MgClまたはMnClの形態のMg2+またはMn2+であるようなものである。
さらなる実施形態において、ライゲーション緩衝液中の二価の陽イオンの濃度は、1mM~20mMの間、好ましくは5mM~15mMの間、より好ましくは約10mMである。
ライゲーション緩衝液は、還元剤をさらに含み得る。適切な還元剤の非限定的な例には、ジチオスレイトールおよびβ-メルカプトエタノールが含まれる。
さらなる実施形態では、ライゲーションは、20℃~35℃の間、好ましくは25℃~30℃の間の温度で実施される。
さらなる態様において、本発明による単離されたATP依存性DNAリガーゼのいずれかを含むキットも開示される。キットは、最適なライゲーションのためのライゲーション緩衝液をさらに含んでもよい。キットはまた、本発明による開示されたATP依存性DNAリガーゼを使用してライゲーション工程をどのように実施するかについての書面による説明を含み得る。適切な条件は実施例2に記載されており、それはキット中で、またはリガーゼ酵素とともに提供されてもよい。表2aおよび表2bでは、本発明のDNAリガーゼを使用する最適なライゲーションのための反応混合物の例を提供する。
Figure 2023520224000002
Figure 2023520224000003
表2aまたは表2bの反応混合物を30℃で30分間インキュベートする。あるいは、表2aまたは表2bの反応混合物を25℃で15分間インキュベートする。表2aまたは表2bの反応混合物は、MnClまたはMgClのいずれかを含んでもよい。
本発明のDNAリガーゼの使用
本発明の別の態様では、二本鎖核酸中の一本鎖切断をライゲーションさせる方法が提供され、ここで前記方法は、第1のaspectunder条件に従って一本鎖切断を含む二本鎖核酸分子を単離したATP依存性リガーゼまたはその酵素活性フラグメントと接触させることを含み、これは3’-ヒドロキシル-デオキシリボ核酸分子の、二本鎖核酸中の5’-ホスホリルリボ核酸分子の5’末端へのライゲーションを可能にし、ここで3’-ヒドロキシル-デオキシリボ核酸分子および5’-ホスホリルリボ核酸は、ライゲーション接合部にまたがる相補的デオキシリボ核酸分子と複合体をなしている。
一実施形態では、本発明によるATP依存性DNAリガーゼまたはその酵素活性フラグメントは、L13リガーゼである。
一実施形態では、本発明によるATP依存性DNAリガーゼまたはその酵素活性フラグメントは、L13rel1リガーゼである。
一実施形態では、本発明によるATP依存性DNAリガーゼまたはその酵素活性フラグメントは、L13rel2リガーゼである。
一実施形態では、本発明によるATP依存性DNAリガーゼまたはその酵素活性フラグメントは、L13rel4リガーゼである。
本発明による一本鎖切断は、ニックおよびギャップの両方を含む。
5’-ホスホリル-リボ核酸分子は、5’末端にリン酸基を含むRNA分子である。一実施形態では、リボ核酸分子は、メッセンジャーRNA(mRNA)、マイクロRNA(miRNA)、低分子干渉RNA(siRNA)、リピート関連siRNA(rasiRNA)を含む群より選択されるリボ核酸(RNA)分子であり得る。
本発明における使用に適切な低分子RNA含有試料の供給資源は、用途に応じて変化し得、そして変化するであろう。成熟低分子RNAを含む試料は、動物、植物、真菌、原生生物、ウイルス、細菌、または古細菌に由来し得る。
前述の供給資源のいずれかに由来する試料は、本質的に純粋なRNA分子の調製物から細胞の粗抽出物までの範囲であり得る。一実施形態において、試料は、低分子RNA分子の単離した調製物であってもよい。別の実施形態では、試料は、細胞から抽出されたトータルRNAの単離した調製物であり得る。さらに別の実施形態において、試料は、核酸、タンパク質、脂質、および炭水化物を含む細胞基質細胞抽出物であってもよい。さらに別の実施形態では、試料は無処置の細胞であってもよい。さらに別の実施形態において、低分子RNAを含む試料は、in vitro転写反応物または化学合成反応物であってもよい。トータルRNAまたは低分子RNAは、市販のキットまたは当該分野で公知の技術を使用して、細胞、細胞抽出物、またはin vitro反応物から単離および精製され得る。参考までに、Ausubelら(2003)Current Protocols in Molecular Biology,John Wiley & Sons,New York,NY,or Sambrook et al.(1989)Molecular Cloning:A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Press,Cold Spring Harbor,NY)を参照されたい。
ライゲーション反応に添加される試料中の低分子RNAの量は、RNA含有試料の供給資源に応じて変化し得、そして変化するであろう。通常、任意の量のRNAが使用され得る。
メッセンジャーRNA(mRNA)は、通常、5プライムキャップ(5’キャップ)を有し、これは、前駆体メッセンジャーRNAなどの一部の一次転写物の5’末端の特別に改変されたヌクレオチドである。mRNAキャッピングとして知られるこのプロセスは、高度に調節されており、タンパク質合成中に翻訳を受けることができる安定で成熟したメッセンジャーRNAの生成に不可欠である。ミトコンドリアmRNAおよび葉緑体mRNAはキャップ化されていない。ライゲーションを起こすためには、mRNAは最初に脱キャップ化し、次いで5’末端でホスホリル化する必要があり得る。説明のために、図7を参照されたい。適切な脱キャップ酵素は、当業者に公知である。図6は、5’キャップを含むmRNAがライゲーションされていない状態を示す。
本方法を実施するための適切な条件の例は、上記の表2および実施例2に記載されている。
上記の方法による一実施形態では、ATP依存性DNAリガーゼを、一本鎖切断を含む二本鎖核酸分子とともにインキュベートすることを含み、6時間未満、例えば1時間未満、例えば45分未満、または好ましくは30分以内、例えば15分以内にポリヌクレオチドの少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%または少なくとも100%のライゲーションを達成する。
上記方法の一つの代替的な実施形態において、3’-ヒドロキシル-デオキシリボ核酸分子は、ビーズ上に固定化されるか、または捕捉標識、好ましくはビオチンまたは色素、好ましくは蛍光色素などの誘導体化ヌクレオチドをさらに含み、ここでビーズ、捕捉標識または誘導体化ヌクレオチドは、前記デオキシリボ核酸分子の5’末端に連結される。
ライゲーション産物を検出するためのアッセイは、当業者に公知である。ライゲーション産物を検出する古典的な方法の例には、変性ゲル電気泳動、配列増幅、および融解曲線分析が含まれる。
実施例
本発明は、ここで、上記の図および表7の生物学的配列を参照して、非限定的な例によって記載される。
本発明のATP依存性DNAリガーゼ(L13)は、配列に基づくメタゲノムアプローチによって発見され、候補リガーゼについて公的データベースをマイニングした。上述のように、本発明のDNAリガーゼは、最初にクロノバクターファージCR9から単離されたものであり、そのDNAおよびタンパク質配列は、NCBI参照配列:YP_009015226.1から取得することができる。本発明によるさらに好ましいATP依存性DNAリガーゼは、L13リガーゼに対して少なくとも70%のアミノ酸配列同一性を有するDNAリガーゼL13の相同DNAリガーゼであり、最初は以下から単離された:クロノバクターファージCR8であり、そのDNAおよびタンパク質配列は、NCBI参照配列YP_009042486.1(L13rel1)から取得することができる;ペクトバクテリウムファージphiTEから最初に単離され、そのDNAおよびタンパク質配列は、NCBI参照配列YP_007392649.1(L13rel2)から取得することができる;アシネトバクターファージABPH49から最初に単離され、そのDNAおよびタンパク質配列は、NCBI参照配列AXN57775.1(L13rel4)から取得することができる。
実施例1 クローニング、発現および精製
大腸菌における発現のために、選択された配列のコドン最適化をし、C末端Hisタグとともに発現ベクターpVB-1A0B1(Vectron Biosolutions)にクローニングし、大腸菌BL21(DE3)に形質転換した。
クローニング
L13か、L13rel1、L13rel2、L13rel3もしくはL13rel4のいずれかのコード配列を、GeneOptimizerアルゴリズムを用いて大腸菌における発現のためにコドン最適化をし(Raab,D.,Graf,M.,Notka,F.,Schodl,T.,&Wagner,R.(2010).The GeneOptimizer Algorithm:Using a sliding window approach to cope with the vast sequence space in multiparameter DNA sequence optimization. Systems and Synthetic Biology,4(3),215-225.http://doi.org/10.1007/s11693-010-9062-3)、Thermo Fisher Scientificの提供するGeneArt遺伝子合成サービスを用いて発注した。遺伝子コード配列に隣接して、C末端GSGリンカーおよびHisタグ、続いて停止コドン、N末端PciIおよびNdeI制限部位、および下流クローニングアプローチのためのC末端XhoI制限部位をコードするさらなる配列情報を付加した。NdeIおよびXhoI制限部位を、発現ベクターpVB-1A0B1(Vectron Biosolutions,Trondheim,Norway)へのクローニングのために使用した。pVBベクターファミリーは、トルイル酸で誘導可能なプロモーターを含むXylS/Pm発現カセットを有するRK2プラスミドに基づく独自の大腸菌発現ベクター骨格から成る。シュードモナス・プチダTOLプラスミドpWW0に由来するXylS/Pm調節因子/プロモーター系は、大腸菌(E.coli)およびほかの細菌における遺伝子および遺伝子クラスターの調節された低レベルおよび高レベルの組換え発現のために広く使用されており、Gawin,Aら、The XylS/Pm regulator/promoter system and its use in fundamental studies of bacterial gene expression,recombinant protein production and metabolic engineering,Microb.Biotechnol.,2017,Vol.10,No.4,p702-718に記載されている。
DNAリガーゼの発現および精製
配列番号3、配列番号9、配列番号12、配列番号15または配列番号18から選択されるコドン最適化核酸分子を、Vectron Biosolutions製の発現ベクターpVB-1A0B1にクローニングし、BL21(DE3)細胞に形質転換した。細胞を、Terrific Broth(TB)培地を含む2.5LのUltra Yield(商標)(Thomson)フラスコ中で増殖させた;1%の一晩前からの培養物を、100μg/mlのアンピシリンを含有する1LのTB培地に移し、37℃、220rpmで、OD600が5~6に達するまでインキュベートした。温度を15℃に低下させ、温度が20℃以下になった際に細胞を2mMのトルイル酸で誘導した。細胞を一晩(ON)インキュベートし、遠心分離によって回収し、-20℃で凍結した。
凍結細胞ペレットを溶解緩衝液(50mM Tris-HCl(25℃でpH8.5)、10mM イミダゾール、0.5M NaCl、5mM MgCl、0.5%Tween(登録商標)20、5%グリセロール、1mg/ml リゾチームおよび400U/ml HL-SAN)に加え、OD600を120とし、90rpmで15℃で一晩インキュベートした。溶解物を20,000gで20分間遠心分離し、精製前に濾過した。
最初の精製工程は、33.4mlのNi-セファロース6FFを充填したHiScale(登録商標)26/20カラムを用いて実施した。溶解物の適用後、カラムをIMAC洗浄緩衝液(50mM Tris-HCl(25℃でpH7.5)、20mM イミダゾール、5mM MgClおよび0.5M NaCl)で洗浄した後、漸増濃度のイミダゾールで溶出した。第2の精製の工程では、34.5mlのQ-セファロースFF樹脂を充填したHiScale(登録商標)26/20カラムを使用した。第1の精製の工程からの希釈溶出液の適用後、カラムをQ洗浄緩衝液(20mM Tris-HCl pH7.5(25℃)および50mM KCl)で洗浄し、Q溶出緩衝液(20mM Tris-HCl pH7.5(25℃)、10mM MgClおよび0.2M NaCl)を用いてカラムからHisタグ付きL13酵素を溶出した。精製したL13リガーゼ酵素を、最終的に10mM Tris-HCl pH7.5(25℃)、0.3M KCl、5mM MgCl、0.2mg/ml BSAおよび50%グリセロール中に保存した。
実施例2A 基質特異性を測定するためのリガーゼ活性アッセイ
実験のセットアップ
異なる基質に対するリガーゼ活性は、BullardおよびBowaterの手順に従ってアッセイされ得る(Bullard,D.R.,&Bowater,R.P.(2006)Direct comparison of nick-joining activity of the nucleic acid ligases from bacteriophage T4.The Biochemical Journal,398(1),135-144)。ライゲーション活性を分析するin vitroアッセイを、二本鎖基質を使用して実施し、これは、BullardとBowater(2006)の記載に変更点を加えた設定に基づいた。オリゴヌクレオチドは、Metabion(ドイツ)から購入した。30μM溶液の各オリゴを使用して、1本の8-mer核酸オリゴおよび1本の12-mer核酸オリゴを相補的な20-mer核酸テンプレートオリゴにアニーリングすることによって、二本鎖基質を生成した。アニーリングの工程を100μlのTE緩衝液(10mM Tris/HCl、pH8、および0.5mM EDTA)中で実施し、3種のオリゴを含む緩衝液を95℃で5分間加熱し、室温で16時間冷却した。8-merオリゴの5’ヌクレオチド残基は、フルオレセイン色素分子6-FAM(IUPAC名3’,6’-ジヒドロキシスピロ[イソベンゾフラン-1(3H),9’-[9H]キサンテン]-3-オン;CAS番号2321-07-5)で標識され、12-merオリゴは、5’-モノホスホリル化核酸残基を含む。各二本鎖基質は、リボ核酸オリゴヌクレオチドのみまたはデオキシリボ核酸オリゴヌクレオチドのみ、またはリボ核酸オリゴヌクレオチドとデオキシリボ核酸オリゴヌクレオチドとの混合物のいずれかに相当し、以下の表3ならびに図3aおよび図3bに示されるような合計8種の異なる二本鎖基質の組成物をもたらした。
8-mer オリゴ*)
5’-GGCCAGTG-3’(配列番号4)
12-mer オリゴ*)
5’-AATTCGAGCTCG-3’(配列番号5)
20-mer オリゴ*)
5’-CGAGCTCGAATTCACTGGCC-3’(配列番号6)
RNAオリゴではTがUに置き換えられる。
Figure 2023520224000004
ニックの入った二本鎖20塩基対(bp)基質を、図3aに示すように、各酵素のライゲーション活性を測定するエンドポイントin vitroアッセイにおいて使用した。すべてのライゲーション反応において使用される緩衝液は、55mM Tris/HCl(pH7.4)、10mM MgCl、10.5mM DTT、25mM KClおよび1mM ATPを含む。エンドポイントライゲーション反応を以下のように実施した:70pmolのリガーゼ、45pmolの上記の二本鎖オリゴ核酸基質を、5μlの総体積で含む。反応混合物を30℃で30分間インキュベートした後、5μlのホルムアミド停止溶液(95%ホルムアミド、10mM EDTA、ブロモフェノールブルー)を用いて停止させた。実験の最後に、試料を95℃で5分間熱し、変性条件下で20%ポリアクリルアミド尿素ゲル1×TBE(89mM Tris、89mMホウ酸および2mM EDTA)で分析した。反応生成物(図3bを参照)を、Bio-Rad Pharosシステムを用いてゲル上で可視化した。定量は、ImageLab(BioRad)を用いて実施した。
ほかの市販のリガーゼと比較したL13 DNAリガーゼのライゲーション活性を、図1bに示されるように分析した。驚くべきことに、L13 DNAリガーゼは、基質8(S8)中の一本鎖切断を高効率でライゲーションさせることができる唯一のリガーゼであった。基質S8は、試験した市販のリガーゼ酵素には不十分な基質であった。
実施例2B 代替S8様基質に対するリガーゼ活性のアッセイ
代替のS8基質に対するL13 DNAリガーゼのライゲーション活性を試験した。配列番号19、20および21を有する配列を含むニックの入った二本鎖43塩基対(bp)基質を、L13のライゲーション活性を測定するエンドポイントin vitroアッセイにおいて使用した。すべてのライゲーション反応において使用される緩衝液は、50mM Tris/HCl(pH7.5)、10mM MgCl、10mM DTT、<46mM KClおよび0.1mM ATPを含む。エンドポイントライゲーション反応を以下のように実施した:異なる量のL13リガーゼ、9pmolの上記の二本鎖オリゴ核酸基質を、10μlの総体積で含む。反応混合物を25℃で15分間インキュベートした後、5μlのホルムアミド停止溶液(95%ホルムアミド、10mM EDTA、ブロモフェノールブルー)を用いて停止させた。実験の最後に、試料を95℃で5分間加熱し、変性条件下で20%ポリアクリルアミド尿素ゲル1×TBE(89mM Tris、89mMホウ酸および2mM EDTA)で分析した。反応生成物を、Bio-Rad Pharosシステムを用いてゲル上で可視化した。定量は、ImageLab(BioRad)を用いて実施した。
実験の結果を以下の表3に示す。これは、L13リガーゼが、実施例2Aと比較して様々な核酸配列を含む二本鎖DNA-RNAハイブリッド中のニックを高効率でライゲーションさせることもできることを明確に実証している。
代替S8-基質
20-mer 5’-FAM標識DNAオリゴ
5’-GGCCAGTGAATTCGAGCTCG-3’(配列番号19)
23-mer RNAオリゴ5’-P
5’-P-ACUGAUAGAAGUUCCCGAAACAG-3’(配列番号20)
43-mer DNAオリゴ
5’-CTGTTTCGGGAACTTCTATCAGTCGAGCTCGAATTCACTGGCC-3’(配列番号21)
Figure 2023520224000005
実施例3 L13、L13rel1、L13rel2、L13rel3およびL13rel4のリガーゼ活性
本実施例では、本発明の様々なリガーゼのリガーゼ活性を試験した。結果を表4および表5に示し、L13、L13rel1、L13rel2およびL13rel4酵素がS8基質に対して同様のライゲーション効率を有すること、すなわち、ライゲーション接合部にまたがるDNA分子の存在下でDNA分子をRNA分子の5’末端にライゲーションさせることを示す。
Figure 2023520224000006
アッセイ条件1:50mM Tris/HCl pH7.5、10mM MgCl2、10mM DTT、25mM KCl、1mM ATP、11.4pmol リガーゼ、9pmol S8基質、総体積20μl。30℃で30分間インキュベーション。
アッセイ条件2:50mM Tris/HCl pH7.5、10mM MgCl、10mM DTT、25mM KCl、1mM ATP、7pmolリガーゼ、18pmol S8基質、総体積20μl。25℃で15分間インキュベーション。
Figure 2023520224000007
アッセイ条件:50mM Tris/HCl pH7.5、10mM MnCl、10mM DTT、25mM KCl、1mM ATP、11.4pmolリガーゼ、18pmol S8基質、総体積20μl。25℃で15分間インキュベーション。
実施例4 ワクシニアDNAリガーゼと比較したL13 DNAリガーゼのリガーゼ活性
本発明のL13 DNAリガーゼの有効性を、先行技術のワクシニアウイルス由来のDNAリガーゼと比較した(ワクシニアDNAリガーゼのタンパク質配列は、アクセッション番号YP_233058.1でNCBIデータベースに示されている)。表6は、実験の結果を示す。実施例2aに従って18pmolのS8基質を用いて、酵素活性を試験した;MnClまたはMgClのいずれかを含む20μlの反応体積のライゲーション緩衝液を使用した。ライゲーションを25℃で15分間おこない、ライゲーションされた基質の%および変換率を計算した。
Figure 2023520224000008
表6に示されるデータは、L13が、ライゲーション接合部にまたがるDNA分子の存在下で、RNA分子の5’末端へのDNA分子のライゲーションにおいて、ワクシニアDNAリガーゼと比較してより効率的なリガーゼであることを明確に実証する(基質S8については、実施例2を参照されたい)。
Figure 2023520224000009

Claims (22)

  1. 単離されたATP依存性DNAリガーゼまたはその酵素活性フラグメントであって、前記DNAリガーゼが、配列番号1のアミノ酸配列を含むか、または配列番号1に対して少なくとも70%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、前記DNAリガーゼが、ライゲーション接合部にまたがる相補的デオキシリボ核酸分子の存在下で、3’-ヒドロキシル-デオキシリボ核酸分子を5’ホスホリル-リボ核酸分子の5’末端にライゲーションさせることが可能な、単離されたATP依存性DNAリガーゼまたはその酵素活性フラグメント。
  2. 前記DNAリガーゼが、配列番号1に対して少なくとも75%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、請求項1に記載の単離されたATP依存性DNAリガーゼまたはその酵素活性フラグメント。
  3. 前記DNAリガーゼが、以下から選択されるアミノ酸配列、
    (a)配列番号1またはそれに対して少なくとも80%同一であるアミノ酸配列、
    (b)配列番号7またはそれに対して少なくとも80%同一であるアミノ酸配列、
    (c)配列番号10またはそれに対して少なくとも80%同一であるアミノ酸配列、または
    (d)配列番号16またはそれに対して少なくとも80%同一であるアミノ酸配列
    を有し、前記DNAリガーゼは、ライゲーション接合部にまたがる相補的デオキシリボ核酸分子の存在下で、3’-ヒドロキシル-デオキシリボ核酸分子を5’ホスホリル-リボ核酸分子の5’末端にライゲーションさせることが可能な、請求項1に記載の単離されたATP依存性DNAリガーゼまたはその酵素活性フラグメント。
  4. 前記DNAリガーゼが、配列番号1、配列番号2、配列番号7、配列番号8、配列番号10、配列番号11、配列番号16および配列番号17のいずれか1つから選択されるアミノ酸配列を有する、請求項1~3のいずれか一項に記載の単離されたATP依存性DNAリガーゼまたはその酵素活性フラグメント。
  5. 請求項1~4のいずれか一項に記載の単離されたATP依存性DNAリガーゼまたはその酵素フラグメントをコードするか、または前記単離されたATP依存性DNAリガーゼまたはその酵素フラグメントを含むタンパク質をコードする、組換え核酸分子。
  6. 前記核酸分子が、配列番号3、配列番号9、配列番号12および配列番号18、または配列番号3、配列番号9、配列番号12および配列番号18のコドン最適化配列を含むか、またはそれからなる、請求項5に記載の組換え核酸分子。
  7. 前記核酸分子が、配列番号3、配列番号9、配列番号12および配列番号18、または配列番号3、配列番号9、配列番号12および配列番号18の縮重バージョンのいずれか1つから選択される核酸分子を含むか、またはそれからなる、請求項5に記載の組換え核酸分子。
  8. 請求項1~4のいずれか一項に記載の単離されたATP依存性DNAリガーゼまたはその酵素活性フラグメントをコードする核酸分子を含むか、もしくは請求項5~7のいずれか一項に記載の核酸分子を含むかまたはそれからなるベクターであって、組換え発現ベクター、クローニングベクター、プラスミド、ウイルスベクター、コスミド、ラムダファージまたは細菌人工染色体である、ベクター。
  9. 請求項8に記載のベクターを含む宿主細胞であって、酵母細胞、昆虫細胞、ヒト細胞株または細菌細胞である、宿主細胞。
  10. 請求項1~4のいずれか一項に記載の単離されたATP依存性DNAリガーゼまたはその酵素フラグメントを含む組成物。
  11. 前記組成物は緩衝液をさらに含み、好ましくは前記緩衝液がATPおよび二価の陽イオンを含み、前記二価の陽イオンは好ましくはMn2+またはMg2+である、請求項10に記載の組成物。
  12. 前記組成物はライゲーションされる核酸分子を含む試料に適用するための溶液である、請求項10または請求項11に記載の組成物。
  13. 前記組成物が、少なくとも1つの第1の3’-ヒドロキシル-デオキシリボ核酸分子、少なくとも1つの5’ホスホリル-リボ核酸分子、および少なくとも1つの第2の相補的デオキシリボ核酸分子をさらに含み、前記DNAリガーゼが、ライゲーション接合部にまたがる少なくとも1つの相補的デオキシリボ核酸分子の存在下で、前記の少なくとも1つの第1の3’-ヒドロキシル-デオキシリボ核酸分子を、前記の少なくとも1つの5’ホスホリル-リボ核酸分子の5’末端にライゲーションさせることが可能な、請求項10~12のいずれか一項に記載の組成物。
  14. デオキシリボ核酸分子をリボ核酸分子の末端にライゲーションさせるためのキットであって:
    a.請求項1~4のいずれか一項に記載の単離されたATP依存性DNAリガーゼまたはその酵素フラグメント、または請求項10に記載の組成物を含む第1の容器;
    b.ATPおよび二価の陽イオンを含むライゲーション緩衝液を含む第2の容器;
    c.および任意選択で、5’-ホスホリル-リボ核酸分子の5’末端にライゲーションされる少なくとも1つの第1の3’-ヒドロキシル-デオキシリボ核酸分子と、少なくとも1つの第2のデオキシリボ核酸分子とを含む第3の容器であって、前記少なくとも1つの第2のデオキシリボ核酸分子は3’領域および5’領域を含み、前記3’領域が前記第1のデオキシリボ核酸分子に相補的であり、前記5’領域が既知の配列を含むリボ核酸分子に相補的な配列であるか、または前記5’領域が未知の配列を有するかもしくは様々な配列を含むリボ核酸分子に結合するために縮重した配列であるかのいずれかであり、前記第1のデオキシリボ核酸分子および前記第2のデオキシリボ核酸分子がプレハイブリダイズした複合体の形態であってもよい、第3の容器、
    d.任意選択で、前記キットを使用するための説明書
    を含むキット。
  15. 前記キットが、3’-ヒドロキシル-リボ核酸分子の3’末端にライゲーションされる少なくとも1つの第1の5’-ホスホリル-デオキシリボ核酸分子、および少なくとも1つの第2のデオキシリボ核酸分子を含む第4の容器を含み、前記少なくとも1つの第2のデオキシリボ核酸分子が3’領域および5’領域を含み、前記5’領域が前記第1の5’-ホスホリル-デオキシリボ核酸分子に相補的であり、前記3’領域が既知の配列を含むリボ核酸分子に相補的な配列であるか、または前記3’領域が未知の配列を有するかもしくは様々な配列を含むリボ核酸分子に結合するために縮重した配列であるかのいずれかであり、前記第1の5’-ホスホリル-デオキシリボ核酸および前記第2のデオキシリボ核酸分子がプレハイブリダイズした複合体の形態であってもよい、請求項14に記載のキット。
  16. 一本鎖切断を含む二本鎖核酸分子を、請求項1~4のいずれか一項に記載の単離されたATP依存性DNAリガーゼまたはその酵素活性フラグメントもしくは請求項10または請求項11に記載の組成物と接触させることを含む、二本鎖核酸分子における一本鎖切断をライゲーションさせる方法。
  17. 二本鎖核酸分子における一本鎖切断をライゲーションさせる方法であって、前記方法は、前記二本鎖核酸分子中の5’-ホスホリルリボ核酸分子の5’末端への3’-ヒドロキシル-デオキシリボ核酸分子のライゲーションを可能にする条件下で、一本鎖切断を含む前記二本鎖核酸分子を、請求項1~4のいずれか一項に記載の単離されたATP依存性DNAリガーゼまたはその酵素活性フラグメントまたは請求項10に記載の組成物と接触させることを含み、前記3’-ヒドロキシル-デオキシリボ核酸分子および前記5’-ホスホリルリボ核酸はライゲーション接合部にまたがる相補的デオキシリボ核酸分子と複合体を成している、方法。
  18. 二本鎖核酸分子における一本鎖切断をライゲーションさせる方法であって、前記方法は、前記二本鎖核酸分子中のリボ核酸分子の3’末端への5’-ホスホリル-デオキシリボ核酸分子のライゲーションを可能にする条件下で、一本鎖切断を含む前記二本鎖核酸分子を、請求項1~4のいずれか一項に記載の単離されたATP依存性DNAリガーゼまたはその酵素活性フラグメントまたは請求項10に記載の組成物と接触させることを含み、前記5’-ホスホリル-デオキシリボ核酸分子および前記リボ核酸分子は、ライゲーション接合部にまたがる相補的デオキシリボ核酸分子と複合体を成している、方法。
  19. 一本鎖切断を含む前記二本鎖核酸分子が試料中に含まれ、前記試料がATPおよび二価の陽イオン、好ましくはMn2+またはMg2+をさらに含む、請求項17または請求項18に記載の方法。
  20. RNAの5’末端アダプターライゲーションのため、既知または未知の配列のRNA分子を捕捉するため、プロモーターエレメントおよび/または翻訳エンハンサーエレメントを含むcDNA分子合成のテンプレートとして機能するDNAエレメントをin vitro転写の目的でRNA分子の5’末端にライゲーションさせるための、請求項1~4のいずれか一項に記載の単離されたATP依存性DNAリガーゼまたはその酵素活性フラグメントまたは請求項10に記載の組成物の使用。
  21. リボ核酸分子の5’末端および3’末端にデオキシリボ核酸分子をライゲーションさせる方法であって、
    a.リボ核酸分子のうちの1つ以上が、5’ホスホリル末端基および3’-ヒドロキシル末端基を含む、リボ核酸分子の集合を含む試料を提供すること;
    b.少なくとも1つの第1の3’-ヒドロキシル-デオキシリボ核酸分子を、少なくとも1つの第2のデオキシリボ核酸の存在下で前記リボ核酸分子の5’末端にライゲーションさせることであって、前記少なくとも1つの第2のデオキシリボ核酸分子が3’領域および5’領域を含み、前記3’領域が前記第1のデオキシリボ核酸分子に相補的であり、前記5’領域が、既知の配列を含むリボ核酸分子に相補的な配列であるか、または前記5’領域が、未知の配列を有するかもしくは様々な配列を含むリボ核酸分子に結合するために縮重した配列であるかのいずれかであり、前記第1のデオキシリボ核酸分子および前記第2のデオキシリボ核酸分子がプレハイブリダイズした複合体の形態であり得ること;および、
    c.3’領域および5’領域を含む少なくとも1つのさらなる第2のデオキシリボ核酸の存在下で、ステップbにおけるリボ核酸分子の3’末端に少なくとも1つの他の5’ホスホリル-デオキシリボ核酸分子をライゲーションさせることであって、前記5’領域は前記5’ホスホリル-デオキシリボ核酸分子に相補的であり、前記3’領域は、ステップbにおける既知の配列を含むリボ核酸分子に相補的な配列であるか、または前記3’領域は、未知の配列を有するかもしくは様々な配列を含むリボ核酸分子に結合するために縮重した配列であるかのいずれかであり、前記5’ホスホリル-デオキシリボ核酸および前記さらなる第2のデオキシリボ核酸分子は、プレハイブリダイズした複合体の形態であり得ること;を含み、
    ステップbおよびcにおけるライゲーション反応は、請求項1~3のいずれか一項に記載のATP依存性リガーゼまたは請求項9もしくは請求項に記載の組成物によって触媒され、ステップbおよびcにおけるライゲーション反応は、同時にまたは逐次的に実施される方法。
  22. 前記試料が、ATPおよび二価の陽イオン、好ましくはMn2+またはMg2+をさらに含む、請求項21に記載の方法。
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