JP2023519164A - 試料分析のための装置及び方法 - Google Patents

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Abstract

本開示は、一般に、エピタコフォレシスを行うための装置及び方法に関する。エピタコフォレシスは、例えば、DNA、RNA及び/又は他の生体分子等の標的分析物の選択的分離、検出、抽出及び/又は予備濃縮等による試料分析を行うために使用されることができる。前記標的分析物は、エピタコフォレシス後に収集され、所望の下流用途及び更なる分析に使用されることができる。

Description

本開示は、一般に、電気泳動の分野に関し、より詳細には、例えば、エピタコフォレシスのための装置及び方法による、核酸を含む試料等の試料の選択的分離、検出、抽出、単離、精製及び/又は(予備)濃縮による試料分析に関する。
例えば、DNAシーケンシング、RNAシーケンシング、及び遺伝子発現プロファイリング等の核酸ベースの分析技術の使用は、様々な研究用途で一般的であるだけでなく、急速に多くの治療レジメンの一部となりつつある。例えば、組織における遺伝子発現レベルの決定は、ヒト疾患を正確に診断するために非常に重要であり、患者の処置経過を決定するためにますます使用されている。場合によっては、薬理ゲノム学的方法は、特定の薬物に応答する可能性が高い患者を同定することができ、新しい治療アプローチへの道を導くことができる。
この種の情報の1つの重要な情報源は、例えば、固定プロセスを経た組織等の保存された生物学的標本の形態である。いくつかの例では、そのような固定プロセスは、架橋固定剤、例えばアルデヒド系固定剤を使用することによる化学的固定を含む。例えば、多くの場合、ホルマリンベースの溶液を使用して、ホルマリン固定パラフィン包埋組織(「FFPET」)試料を作製することができる。FFPET試料は、様々な異なる疾患の診断及び/又は治療レジメンを受けている患者から採取された生検標本から日常的に作製される。これらの試料は、通常、対応する臨床記録と関連付けられ、処置様式の診断及び決定において重要な役割を果たすことが多い。例えば、腫瘍生検FFPET試料は、癌病期分類、患者の生存、及び処置レジメンと関連付けられることが多く、それによって、相互参照され、例えば遺伝子発現パターンと相関され得る潜在的な豊富な情報を提供する。しかしながら、現在の方法論を使用してFFPET試料から単離された核酸の品質及び量が不十分であることは、それらが一般的に十分利用されていないことにつながった。例えば、FFPET試料から単離されたRNAは、しばしば中程度から高度に分解及び断片化され、診断及び/又は治療用途におけるその使用に対する重大な欠点である。分解及び断片化されることに加えて、ホルマリンによるRNAの化学修飾は、オリゴdTプライマーのRNAのポリアデニル酸尾部への結合を制限する可能性があり、逆転写の使用を含むプロセスの効率を妨げる可能性がある。
さらに、架橋固定剤、例えばアルデヒド系固定剤に供された化学固定された試料等の保存された試料からの核酸の抽出、単離及び/又は精製のための従来の技術は、多くの場合、時間がかかり、低品質の生成物をもたらし、及び/又は有機溶媒、例えばキシレン等の過酷な化学物質の使用を含む。さらに、従来の技術は、一般に、費用がかかり、大きな労働力を要し、自動化にあまり適していないカラム及び/又はビーズベースの工程を使用する。したがって、保存された試料、例えばFFPET試料等の試料を分析するための装置及び方法の更なる開発が必要とされている。
本開示は、一般に、1つ以上の核酸を含む試料から1つ以上の核酸を単離及び/又は精製する方法に関し、任意に、当該試料は化学固定された試料を含み、更に任意に、ホルマリン固定パラフィン包埋組織(「FFPET」)試料を含み、当該方法は、a.エピタコフォレシス(「ETP」)を実施するための装置を提供すること;b.当該1つ以上の核酸を含む試料を提供すること;c.当該装置を使用してETPを実施することにより1つ以上のエピタコフォレシス実行を行って、当該1つ以上の核酸を1つ以上の集束ゾーンに集束させること;d.当該1つ以上核酸を含む当該1つ以上の集束ゾーンを収集することによって当該1つ以上の核酸を収集すること;それによって、1つ以上の単離及び/又は精製された核酸を得ることを含み、当該核酸はDNA及び/又はRNAを含んでいてもよい。いくつかの実施形態では、工程cの前に、試料溶液は、1つ以上の核酸を含む当該試料から調製され得る。いくつかの実施形態では、当該試料は、FFPET試料、FFPETカール試料、及び/又は当該試料のいずれかから調製された試料溶液のいずれか1つ以上を含み得る。いくつかの実施形態では、試料はFFPET試料を含み得、FFPET試料溶液はFFPET試料から調製される。いくつかの実施形態では、核酸は、DNA及び/又はRNAを含み得る。いくつかの実施形態では、単離及び/又は精製核酸は、DNA及び/又はRNAを含み得る。いくつかの実施形態では、任意の単一のETP実行から収集された単離及び/又は精製核酸は、DNA及びRNAの両方を含み得、任意に、DNA及びRNAは同時に単離/精製され、収集される。いくつかの実施形態では、任意の単一のETP実行から実質的に又は完全に収集された単離及び/又は精製核酸は、DNA又はRNAのいずれかを含み得て、すなわち、DNA及びRNAは、実質的に又は完全に別々に(すなわち、同時にではない)単離/精製され、収集される。いくつかの実施形態では、任意の単一のETP実行から収集された単離及び/又は精製核酸は、DNAとRNAの混合物を含み得て、収集されたDNAとRNAの混合物は、1つ以上のIVDアッセイでDNA及び/又はRNAを使用する前に下流分離に供される。いくつかの実施形態では、単離及び/又は精製された核酸の量は、蛍光光度計ベースの方法によって測定された場合、カラムベース又はビーズベースのプロトコルを使用して得られた核酸の量と比較して多くなり得る。いくつかの実施形態では、単離及び/又は精製された核酸の品質は、品質管理qPCRベースの方法によって測定された場合、カラムベースのプロトコル又はビーズベースのプロトコルを使用して得られた核酸の品質と比較して高くなり得る。いくつかの実施形態では、カラムベース又はビーズベースのプロトコルを使用して得られた核酸の量と比較して、1.25倍以上、1.5倍以上、1.75倍以上、2.0倍以上、2.25倍以上、2.5倍以上、2.75倍以上、3倍以上、4倍以上、5倍以上、10倍以上、100倍以上、又は1000倍以上の核酸を収集することができる。いくつかの実施形態では、当該方法は、単離及び/又は精製され、収集される元の試料に含まれる1つ以上の核酸の1%以下、1%以上、5%以上、10%以上、15%以上、20%以上、25%以上、30%以上、35%以上、40%以上、45%以上、50%以上、55%以上、60%以上、65%以上、70%以上、85%以上、90%以上、95%以上、又は99%以上をもたらすことができる。いくつかの実施形態では、当該方法は、1つ以上の核酸を含む単離/精製試料の組成を決定するための分析技術等によって測定される、単離及び/又は精製された1つ以上の核酸の1%以下、1%以上、5%以上、10%以上、15%以上、25%以上、20%以上、30%以上、35%以上、40%以上、45%以上、50%以上、55%以上、60%以上、65%以上、70%以上、85%以上、90%以上、95%以上、又は99%以上の純度をもたらすことができる。いくつかの実施形態では、当該単離及び/又は精製された核酸の品質は、品質管理qPCRによって決定され得る。いくつかの実施形態では、単離及び/又は精製された核酸は、任意の所望のサイズであり得る。いくつかの実施形態では、単離及び/又は精製された核酸は、5nt以下、10nt以下、20nt以下、30nt以下、50nt以下、100nt以下、1000nt以下、10,000nt以下、100,000nt以下、1,000,000nt以下、又は1,000,000nt以上のサイズであり得る。いくつかの実施形態では、本方法は、1つ以上の前処置工程を含み得る。いくつかの実施形態では、当該前処置工程は、当該化学固定された試料を溶解すること及び/又は試料溶液を調製することを含み得る。いくつかの実施形態では、当該化学固定された試料はFFPETカールを含み得、当該試料溶液は、当該FFPETカールを溶解することによって調製されるFFPET試料溶液を含む。いくつかの実施形態では、当該FFPETカールの溶解後に、後行電解質(「TE」)緩衝液を添加することができる。
さらに、本開示は、一般に、ホルマリン固定パラフィン包埋組織(「FFPET」)試料から1つ以上の核酸を単離及び/又は精製する方法に関し、当該方法は、エピタコフォレシス(ETP)を実施するための装置を提供すること;b.核酸を含むFFPET試料を提供すること;c.当該FFPET試料からFFPET試料溶液を調製すること;d.当該装置を使用してETPを実施することにより1つ以上のエピタコフォレシス実行を実施して、当該1つ以上の核酸を1つ以上の集束ゾーンに集束させこと;及びe.当該1つ以上の核酸を含む当該1つ以上の集束ゾーンを収集することによって当該1つ以上の核酸を収集すること;それによって、1つ以上の単離された核酸及び/又は精製された核酸を得ること、を含む。
さらに、本開示は、一般に、ホルマリン固定パラフィン包埋組織(「FFPET」)試料から1つ以上の核酸を単離及び/又は精製する方法に関し、当該核酸はDNA及びRNAを含み、当該方法は、エピタコフォレシス(ETP)を実施するための装置を提供すること;b.核酸を含むFFPET試料であって、任意に1つ以上のFFPETカールを含む当該FFPET試料を提供すること;c.当該FFPET試料からFFPET試料溶液を調製ことであって、任意に、1つ以上のFFPETカールを溶解し、後行電解質(「TE」)緩衝液を添加することによって調製される当該FFPET試料溶液を調製すること;d.当該装置を使用してETPを実施することによって1つ以上のエピタコフォレシス実行を行い、当該1つ以上の核酸を1つ以上の集束ゾーンに集束させること;及びe.当該1つ以上の核酸を含む当該1つ以上の集束ゾーンを収集することによって当該1つ以上の核酸を収集すること;それにより1つ以上の単離及び/又は精製された核酸を得ること、を含む。
さらに、本開示は、一般に、ホルマリン固定パラフィン包埋組織(「FFPET」)試料から1つ以上の核酸を単離及び/又は精製する方法に関し、当該核酸はDNA及びRNAを含み、当該方法は、エピタコフォレシス(ETP)を実施するための装置を提供すること;b.核酸を含むFFPET試料であって、任意に1つ以上のFFPETカールを含む当該FFPET試料を提供すること;c.当該FFPET試料からFFPET試料溶液を調製ことであって、任意に、1つ以上のFFPETカールを溶解し、後行電解質(「TE」)緩衝液を添加することによって調製される当該FFPET試料溶液を調製すること;d.当該装置を使用してETPを実施することによって1つ以上のエピタコフォレシス実行を行い、当該1つ以上の核酸を1つ以上の集束ゾーンに集束させること;及びe.当該1つ以上の核酸を含む当該1つ以上の集束ゾーンを収集することによって当該1つ以上の核酸を収集すること;それにより1つ以上の単離及び/又は精製された核酸を得ること、を含み、さらに、任意の単一のETP実行から収集された単離及び/又は精製された核酸はDNAとRNAの両方を含む。
さらに、本開示は、一般に、ホルマリン固定パラフィン包埋組織(「FFPET」)試料から1つ以上の核酸を単離及び/又は精製する方法に関し、当該核酸はDNA及びRNAを含み、当該方法は、エピタコフォレシス(ETP)を実施するための装置を提供すること;b.核酸を含むFFPET試料であって、任意に1つ以上のFFPETカールを含む当該FFPET試料を提供すること;c.当該FFPET試料からFFPET試料溶液を調製ことであって、任意に、1つ以上のFFPETカールを溶解し、後行電解質(「TE」)緩衝液を添加することによって調製される当該FFPET試料溶液を調製すること;d.当該装置を使用してETPを実施することによって1つ以上のエピタコフォレシス実行を行い、当該1つ以上の核酸を1つ以上の集束ゾーンに集束させること;及びe.当該1つ以上の核酸を含む当該1つ以上の集束ゾーンを収集することによって当該1つ以上の核酸を収集すること、を含み;さらに、任意の単一のETP実行から収集された単離及び/又は精製された核酸は、DNA又はRNAのいずれかを実質的に又は完全に含み、すなわち、DNA及びRNAは、実質的に又は完全に別々に(すなわち、同時にではない)単離/精製され、収集される。
さらに、本開示は、一般に、ホルマリン固定パラフィン包埋組織(「FFPET」)試料から1つ以上の核酸を単離及び/又は精製する方法に関し、当該核酸はDNA及びRNAを含み、当該方法は、エピタコフォレシス(ETP)を実施するための装置を提供すること;b.核酸を含むFFPET試料であって、任意に1つ以上のFFPETカールを含む当該FFPET試料を提供すること;c.当該FFPET試料からFFPET試料溶液を調製ことであって、任意に、1つ以上のFFPETカールを溶解し、後行電解質(「TE」)緩衝液を添加することによって調製される当該FFPET試料溶液を調製すること;d.当該装置を使用してETPを実施することによって1つ以上のエピタコフォレシス実行を行い、当該1つ以上の核酸を1つ以上の集束ゾーンに集束させること;及びe.当該1つ以上の核酸を含む当該1つ以上の集束ゾーンを収集することによって当該1つ以上の核酸を収集すること、を含み;任意の単一のETP実行から収集された単離及び/又は精製された核酸が、DNAとRNAとの混合物を含み、収集されたDNAとRNAとの混合物が、1つ以上IVDアッセイでDNA及び/又はRNAを使用する前に下流分離に供される。いくつかの実施形態では、当該単離及び/又は精製核酸を1つ以上のin vitro診断(「IVD」)アッセイに供する。
エピタコフォレシスを行うための例示的な装置の概略図を提供している。 エピタコフォレシスを行うための例示的な装置の平面図の概略図を提供している。図2Aにおいて、番号1~7は以下を指す。1.外側円形電極;2.終端電解質リザーバ;3.任意にゲル内に含まれるか、又は終端電解質から流体力学的に分離された先行電解質;4.先行電解質電極/収集リザーバ;5.中央電極;6.電源;及び7.間に集束された試料イオンを有する電解質の先行電解質と終端電解質との間の境界;記号r及びdは、それぞれLE/TE境界によって移動される先行電解質リザーバ半径及び距離を表すために使用される。 エピタコフォレシスを行うための例示的な装置の側面図の概略図を提供している。図2Bにおいて、符号1~8は以下を指す:1.外側円形電極;2.終端電解質リザーバ;3.任意にゲル内に含まれるか、又は終端電解質から流体力学的に分離された先行電解質;4.先行電解質電極/収集リザーバ;5.中心電極;6.電源;及び7.間に集束された試料イオンを有する先行電解質と終端電解質との間の境界;及び8.底部支持体;記号r及びdは、それぞれ、LE/TE境界によって移動される先行電解質リザーバの半径及び距離を表すために使用される。 エピタコフォレシスを行うための例示的な装置の概略図を提供している。 エピタコフォレシスを行うための例示的な装置の概略図を提供している。図4において、符号1~10は以下を指す:1.外側円形電極;2.終端電解質リザーバ;3.任意にゲル内に含まれるか、又は終端電解質から流体力学的に分離された先行電解質;4.先行電解質/収集リザーバへの開口部;5.中心電極;6.電源;及び7.間に集束された試料イオンを有する先行電解質と終端電解質との間の境界;8.底部支持体;9.先行電解質リザーバへの管接続装置;10.先行電解質リザーバ。 先行電解質の装填と終端電解質の装填との間に試料が装填される、エピタコフォレシスを行うための例示的な装置の概略図を提供している。 エピタコフォレシスを行うための装置の概略図を提供しており、実施例2に記載された方程式について言及される。 定電流を使用してエピタコフォレシスのための例示的な装置(図6A)が動作されるときのcmの移動距離d対距離dにおける相対速度を表すグラフを提供している。図6Bに示す例では、半径値5及び開始速度値1が使用された。 定電圧を使用してエピタコフォレシスのための例示的な装置(図6A)が動作されるときのcmの移動距離d対距離dにおける相対速度を表すグラフを提供している。図6Cに示す例では、半径値5及び開始速度値1が使用された。 定電力を使用してエピタコフォレシスのための例示的な装置(図6A)が動作されるときのcmの移動距離d対距離dにおける相対速度を表すグラフを提供している。図6Dに示す例では、半径値5及び開始速度値1が使用された。 実施例3に従って試料を濃縮するために使用されたエピタコフォレシス装置の画像を提供している。 実施例4に従って使用されたエピタコフォレシスのための例示的な装置の画像を提供している。 実施例4に従って試料を集束ゾーンに集束させるために使用されたエピタコフォレシスのための例示的な装置の画像を提供している。 実施例4に従って試料を集束ゾーンに集束させるために使用されたエピタコフォレシスのための例示的な装置の画像を提供している。 実施例5に従って使用されたエピタコフォレシスのための例示的な装置の画像を提供している。 実施例5に従って使用されたエピタコフォレシスのための例示的な装置の概略図を提供している。図9Bにおいて、符号は、ミリメートル単位の寸法を指す。 実施例5に従って試料を集束ゾーンに集束させるために使用されたエピタコフォレシスのための例示的な装置の画像を提供している。 実施例5に従って試料を集束ゾーンに集束させるために使用されたエピタコフォレシスのための例示的な装置の画像を提供している。 実施例5に従って試料を集束ゾーンに集束させるために使用されたエピタコフォレシスのための例示的な装置の画像を提供している。 実施例5に従って2つの異なる試料を分離して集束ゾーンに集束させるために使用されたエピタコフォレシスのための例示的な装置の画像を提供している。 実施例6によるエピタコフォレシスのための例示的な装置の画像を提供している。 実施例7による例示的なエピタコフォレシス装置の画像を提供している。 実施例7による例示的なエピタコフォレシス装置の概略図を提供している。「a」は中央収集ウェルに対応し、「b」は先行電解質リザーバに対応する。 実施例7に従ってエピタコフォレシス装置において使用するための例示的な導電率測定プローブの画像を提供している。 図14Aに示す導電率測定プローブの拡大図を示す画像を提供している。 実施例7による導電率プローブを有する例示的なエピタコフォレシス装置の画像を提供している。 実施例7による例示的なエピタコフォレシス装置の実行のための導電率トレースを提供している。 実施例7による半透膜の下方に配置された導電率検出プローブを有する例示的なエピタコフォレシス装置の画像を提供している。 中心柱内の専用チャネルを介して接続された2つの導電率検出プローブを組み込んだ例示的な底部基材の画像を提供している。 実施例7によるフルオレセイン標識DNAラダー試料の集束を示す、例示的なエピタコフォレシス装置の画像を提供している。 実施例7による例示的なエピタコフォレシス装置の実行のために表面導電性セルによって監視されたLE/TE転移の抵抗率変化を示すトレースを提供している。 実施例7によるエピタコフォレシスを実行する前後の元の試料及びDNAラダー試料の収集された画分の吸光度スペクトルを提供している。 実施例7によるバイオアナライザ(Bioanalyzer)分離を介して測定した、エピタコフォレシス実行前後のDNAラダー試料の電気泳動図を提供している。 実施例8による3回の独立したETP実行の電圧プロファイルを提供している。 実施例9によるETP実行中のETP装置の画像を提供している。 実施例9によるETP実行中に撮影されたETP装置の蛍光ベースの画像を提供している。 実施例9によるETP実行中に撮影されたETP装置の画像を提供している。 実施例9による分析された集束及び収集されたETP試料の電気泳動図を提供している。 実施例10によるETP実行中に赤外線ベースの熱画像カメラを使用してキャプチャされた画像を提供している。 実施例10によるETP実行中にキャプチャされた蛍光ベースの画像を提供している。 実施例10によるETP実行中の経時的な電圧変化及び温度変化に関するデータを提示している。 実施例11によるETP実験設定の画像を提供している。 実施例11によるETP実験設定の画像を提供している。 実施例11によるブリリアントブルー染料を試料マーカーとして使用したETP実行の画像を提供している。 実施例11によるブリリアントブルー染料を試料マーカーとして使用したETP実行の画像を提供している。 実施例12によるFFPET試料からのdsDNAのETPベースの単離/精製からのデータを提供している。ETPベースの単離/精製によって得られたdsDNAの量を、実施例12に記載されるPromegaカラムベースの方法を使用して得られた量と比較した。 実施例12によるFFPET試料からのRNAのETPベースの単離/精製からのデータを提供している。ETPベースの単離及び精製によって得られたRNAの量を、実施例12に記載されるPromegaカラムベースの方法を使用して得られた量と比較した。 実施例13による4つの異なる対照試料と比較した、ETPベースの単離/精製によって単離/精製されたdsDNAのサイズベースの分析からのデータを提示している。 実施例13によるPromegaカラムベースの方法によって得られたdsDNAの品質と比較した、ETPベースの単離/精製によって単離/精製されたdsDNAの品質のqPCRベースの分析からのデータを提示している。 実施例14によるFFPET試料からのdsDNAのETPベースの単離/精製からのデータを提供している。ETPベースの単離/精製によって得られたdsDNAの量を、KAPAビーズベースの方法を使用して得られた量と比較した。 実施例14によるFFPET試料からのRNAのETPベースの単離/精製からのデータを提供している。ETPベースの単離及び精製によって得られたRNAの量を、実施例14に記載されるKAPAビーズベースの方法を使用して得られた量と比較した。 実施例15によるFFPET試料のETPベースの単離/精製によって得られた核酸のDNase Iベースの分析に関するデータを提供している。 実施例15によるDNase I処置の前後のFFPET試料のETPベースの単離/精製によって得られた核酸のサイズベースの分析に関するデータを提供している。 実施例16に記載の技術水準のFFPET抽出キットとETP法との比較に関するデータを提供している。 実施例16で抽出された核酸のシーケンシングデータを提供している。
定義
本明細書で使用される場合、単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」、及び「その(the)」は、文脈が別途明確に指示しない限り、複数の指示対象を含む。本明細書において使用される全ての技術用語及び科学用語は、特に明記しない限り、本発明が属する技術分野の当業者に一般的に理解されているのと同じ意味を有する。
本明細書で使用される場合、「等速電気泳動」という用語は、一般に、電界を使用して材料間(例えば、荷電粒子と溶液中の他の材料との間)の境界又は界面を形成することによる荷電粒子の分離を指す。ITPは、一般に、複数の電解質を使用し、試料イオンの電気泳動移動度は、ITPのための装置に配置された先行電解質(LE)の電気泳動移動度よりも小さく、後行電解質(TE)の電気泳動移動度よりも大きい。先行電解質(LE)は、一般に、比較的高い移動度のイオンを含有し、後行電解質(TE)は、一般に、比較的低い移動度のイオンを含有する。TE及びLEイオンは、目的の標的分析物イオンよりもそれぞれ低い及び高い有効移動度を有するように選択される。すなわち、分析物イオンの実効移動度は、TEよりも高く、LEよりも低い。これらの標的分析物は、LE及びTEイオン(すなわち、共イオン)と同じ電荷の符号を有する。印加された電界は、LEイオンをTEイオンから遠ざけ、TEイオンを後方に引き寄せる。移動界面は、隣接及び連続するTEゾーンとLEゾーンとの間に形成される。これは、(典型的にはLEの低電界からTEの高電界までの)電界勾配の領域を形成する。TE中の分析物イオンは、TEイオンを追い越すが、LEイオンを追い越すことができず、TEとLEとの間の界面に蓄積することができる(「集束」又は「集束ゾーン」を形成する)。あるいは、LE中の標的イオンは、LEイオンによって追い越され、界面にも蓄積する。LE及びTE化学の賢明な選択により、ITPは、かなり一般的に適用可能であり、TE及びLE電解質のいずれか又は双方に最初に溶解した試料によって達成されることができ、非常に低い電気伝導率のバックグラウンド電解質を必要としなくてもよい。
本明細書で使用される場合、「エピタコフォレシス」という用語は、一般に、本明細書に記載の円形/同心及び/又は多角形装置の使用等によって、円形又は回転楕円形及び/又は同心装置及び/又は円形及び/又は同心電極構成を使用して実行される電気泳動分離の方法を指す。エピタコフォレシス中に使用される円形/同心又は別の多角形の配置に起因して、従来の等速電気泳動装置とは異なり、断面積は、イオン及びゾーンの移動中に変化し、ゾーン移動の速度は、断面積の変化に起因して時間的に一定ではない。したがって、エピタコフォレシス構成は、ゾーンが一定の速度で移動する従来の等速泳動の原理に厳密にしたがわない。本明細書に示されるこれらの有意差にもかかわらず、エピタコフォレシスは、異なる電気泳動移動度を有することができる材料間(例えば、荷電粒子と溶液中の他の材料との間)の境界又は界面を形成するために電界を使用することによって荷電粒子を効率的に分離及び集束するために使用されることができる。LE及びTEは、ITPを用いた使用について記載されているように、エピタコフォレシスにも使用されることができる。いくつかの実施形態では、エピタコフォレシスは、定電流、定電圧、及び/又は定電力を使用して行うことができる。いくつかの実施形態では、変化する電流、変化する電圧、及び/又は変化する電力を使用して、エピタコフォレシスを行うことができる。いくつかの実施形態では、エピタコフォレシスは、本明細書に記載されるようにエピタコフォレシスの基本原理が達成されることができるように、その形状が一般に円形又は球状として説明されることができる装置及び/又は電極の配置の文脈内で達成されることができる。いくつかの実施形態では、エピタコフォレシスは、本明細書に記載されるようにエピタコフォレシスの基本原理が達成されることができるように、その形状が一般に多角形として説明されることができる装置及び/又は電極の配置の文脈内で達成されることができる。いくつかの実施形態では、エピタコフォレシスは、円形の形状に配置された電極及び/又は多角形の形状に配置された電極等の電極の任意の非線形の連続的な配置によって達成されることができる。
本明細書で使用される場合、「in vitro診断用途(IVD用途)」、「in vitro診断方法(IVD方法)」、「in vitro診断アッセイ」等の用語は、一般に、対象、任意にヒト対象の疾患の同定等の診断及び/又は監視目的で試料を評価することができる任意の用途及び/又は方法及び/又は装置を指す。いくつかの実施形態では、当該試料は、対象及び/又は試料からの核酸及び/又は標的核酸を含んでもよく、任意に更に、当該核酸は、保存された試料、例えば保存された組織試料、例えばFFPET試料に由来する。いくつかの実施形態では、エピタコフォレシス装置をin vitro診断装置として使用することができる。いくつかの実施形態では、エピタコフォレシスによって濃縮/富化/単離/精製された標的分析物を下流のin vitro診断アッセイで使用することができる。いくつかの実施形態では、in vitro診断アッセイは、核酸シーケンシング、例えばDNAシーケンシング、例えばRNAシーケンシングを含み得る。いくつかの実施形態では、及びIVDアッセイは、遺伝子発現プロファイリングを含み得る。いくつかの実施形態では、in vitro診断方法は、これらに限定されないが、以下のうちのいずれか1つ以上とすることができる:染色、免疫組織化学的染色、フローサイトメトリ、FACS、蛍光活性化液滴ソーティング、画像分析、ハイブリダイゼーション、DASH、分子ビーコン、プライマー伸長、マイクロアレイ、CISH、FISH、ファイバFISH、定量的FISH、フローFISH、比較ゲノムハイブリダイゼーション、ブロッティング、ウエスタンブロッティング、サザンブロッティング、イースタンブロッティング、ファーウエスタンブロッティング、サウスウエスタンブロッティング、ノースウエスタンブロッティング、及びノーザンブロッティング、酵素アッセイ、ELISA、リガンド結合アッセイ、免疫沈降、ChIP、ChIP-seq、ChIP-ChiP、ラジオイムノアッセイ、蛍光偏光、FRET、表面プラズモン共鳴、フィルタ結合アッセイ、アフィニティクロマトグラフィ、免疫細胞化学、遺伝子発現プロファイリング、DNAプロファイリングPCR、DNAマイクロアレイ、遺伝子発現の連続分析、リアルタイムポリメラーゼ連鎖反応、ディファレンシャルディスプレイPCR、RNA-seq、質量分光分析、DNAメチル化検出、音響エネルギー、リピドミックベースの分析、免疫細胞の定量化、癌関連マーカーの検出、特定の細胞型のアフィニティ精製、DNAシーケンシング、次世代シーケンシング、癌関連融合タンパク質の検出、及び化学療法抵抗性関連マーカーの検出。
本明細書で使用される場合、「先行電解質」及び「先行イオン」という用語は、一般に、ITP及び/又はエピタコフォレシス中に使用される目的の試料イオン及び/又は後行電解質のものと比較して、より高い有効電気泳動移動度を有するイオンを指す。いくつかの実施形態では、カチオン性エピタコフォレシスで使用するための先行電解質は、これらに限定されないが、例えば、ヒスチジン、TRIS、クレアチニン等の適切な塩基によって所望のpHに緩衝された塩化物、硫酸塩及び/又はギ酸塩を含むことができる。いくつかの実施形態では、アニオン性エピタコフォレシスで使用するための先行電解質は、これらに限定されないが、酢酸塩又はギ酸塩とともにカリウム、アンモニウム及び/又はナトリウムを含むことができる。いくつかの実施形態では、先行電解質の濃度の増加は、試料ゾーンの比例的な増加及び所与の印加電圧に対する電流(電力)の対応する増加をもたらすことができる。典型的な濃度は、一般に、10~20mMの範囲とすることができる。しかしながら、より高い濃度が使用されてもよい。
本明細書で使用される場合、「後行電解質」、「後行イオン」、「終端電解質」、及び「終端イオン」という用語は、一般に、ITP及び/又はエピタコフォレシス中に使用される目的の試料イオン及び/又は先行電解質の電気泳動移動度と比較して、より低い有効電気泳動移動度を有するイオンを指す。いくつかの実施形態では、カチオン性エピタコフォレシスで使用するための後行電解質は、これらに限定されないが、MES、MOPS、酢酸塩、グルタミン酸塩、及び弱酸及び低移動度アニオンの他のアニオンを含むことができる。いくつかの実施形態では、アニオン性エピタコフォレシスで使用するための後行電解質は、これらに限定されないが、エピタコフォレシス中に任意の弱酸によって形成される移動する境界における反応ヒドロキソニウムイオンを含むことができる。
本明細書で使用される場合、「集束ゾーン」という用語は、一般に、エピタコフォレシスを実施した結果として濃縮された(「集束された」)成分を含む溶液の体積を指す。集束ゾーンは、装置から収集又は除去されてもよく、当該集束ゾーンは、富化及び/又は濃縮された量の所望の試料、例えば標的分析物、例えば標的核酸を含んでもよい。本明細書に記載のエピタコフォレシス方法では、標的分析物は、一般に、装置の中心、例えば、円形又は回転楕円形又は他の多角形の装置に集束される。
本明細書で使用される場合、「バンド」及び「ETPバンド」という用語は、一般に、電気泳動(例えば、等速電気泳動又はエピタコフォレシス)移動中に他のイオン、分析物、又は試料とは別個に移動するイオン、分析物、又は試料のゾーン(例えば、集束ゾーン)を指す。エピタコフォレシス装置内の集束ゾーンは、代替的に「ETPバンド」と呼ばれることがある。いくつかの実施形態では、ETPバンドは、1つ以上のタイプのイオン、分析物、及び/又は試料を含むことができる。いくつかの例では、ETPバンドは、試料中に存在する他の材料からの分離、例えば細胞残屑からの標的核酸の分離が望ましい単一の種類の分析物を含むことができる。いくつかの例では、ETPバンドは、1つを超える所望の分析物、例えば配列が非常に類似したポリペプチド又は核酸配列、例えば対立遺伝子変異体を含むことができる。いくつかの例では、ETPバンドは、同様のサイズ又は電気泳動移動度の異なる分析物を含むことができる。そのような場合、1つを超える所望の分析物は、例えば当該1つを超える分析物の分離を促進する異なる条件下で、更なるETP実行によって分離されてもよく、及び/又は当該1つを超える分析物は、本明細書に記載されるもの等の分析物の分離のための当該技術分野において公知の他の技術によって分離されてもよい。いくつかの実施形態では、ETPバンドは、収集され、任意に、1つ以上のETPベースの単離/精製及び収集後に更なる分析に供することができる。いくつかの実施形態では、ETPバンドは、例えばETP実行の一部として、ETPベースの単離/精製及び任意に収集を受けている又は受けた1つ以上の標的分析物を含むことができる。
本明細書で使用される「標的核酸」という用語は、検出、測定、増幅、単離、精製、及び/又は更なるアッセイ及び分析の対象となる任意の核酸を意味することを意図している。標的核酸は、任意の一本鎖及び/又は二本鎖核酸を含むことができる。標的核酸は、単離された核酸断片として存在することができるか、又はより大きな核酸断片の一部とすることができる。標的核酸は、培養微生物、未培養微生物、複合生物学的混合物、生物学的試料を含む試料、組織、血清、古い又は保存された組織又は試料、環境単離株等の本質的に任意の供給源から誘導又は単離されることができる。さらに、標的核酸は、cDNA、RNA、ゲノムDNA、クローニングされたゲノムDNA、ゲノムDNAライブラリ、酵素的に断片化されたDNA若しくはRNA、化学的に断片化されたDNA若しくはRNA、物理的に断片化されたDNA若しくはRNA等を含むか、又はそれらに由来する。いくつかの実施形態では、標的核酸は、全ゲノムを含み得る。いくつかの実施形態では、標的核酸は、試料及び/又は生物学的試料、例えばFFPET試料の全核酸含有量を含み得る。標的は、例えば単純若しくは複雑な混合物又は実質的に精製された形態を含む、様々な異なる形態になることができる。例えば、標的は、他の成分を含有する試料の一部であっても、又は試料の唯一の若しくは主要な成分であってもよい。また、標的核酸は、既知又は未知の配列のいずれかを有することができる。
本明細書で使用される「標的微生物」という用語は、血液、血漿、他の体液、生物学的試料等の試料、及び/又は組織、例えば感染症状又は疾患に関連するものに見られる任意の単細胞又は多細胞微生物を意味することを意図している。例えば、細菌、古細菌、真核生物、ウイルス、酵母、真菌、原生動物、アメーバ及び/又は寄生虫が挙げられる。さらに、「微生物」という用語は、一般に、疾患が言及されているか又は疾患を引き起こす微生物が言及されているかにかかわらず、疾患を引き起こすことができる微生物を指す。
本明細書で使用される場合、「バイオマーカー」又は「目的のバイオマーカー」という用語は、正常若しくは異常な過程、又は状態若しくは疾患(癌等)の徴候である組織、血液、血漿、尿、及び/又は他の体液中に見られる生物学的分子を指す。バイオマーカーが使用されて、身体が疾患又は症状の処置にどの程度よく応答するかを確認することができる。癌の文脈において、バイオマーカーは、体内の癌の存在を示す生体物質を指す。バイオマーカーは、腫瘍によって分泌される分子、又は癌の存在に対する身体の特異的応答とすることができる。遺伝子バイオマーカー、エピジェネティックバイオマーカー、プロテオミクスバイオマーカー、グリコームバイオマーカー及びイメージングバイオマーカーは、癌の診断、予後診断及び疫学のために使用されることができる。そのようなバイオマーカーは、血液、血清、及び/又は尿等の非侵襲的に収集された生体流体でアッセイすることができる。アッセイされるそのようなバイオマーカーには、任意の種類の組織試料、例えば化学固定された組織試料に由来するものが含まれ得る。いくつかの例では、組織試料はFFPET試料を含み得る。バイオマーカーは、診断薬(例えば、初期癌を同定するため)及び/又は予後診断薬(例えば、癌がどの程度侵攻性であるかを予測するため、及び/又は対象が特定の処置にどのように応答するか及び/又は癌がどの程度再発する可能性があるかを予測するため)として有用とすることができる。
本明細書で使用される「試料」という用語は、核酸及び/又は1つ以上の標的核酸を含むか又は含むと推定される検体又は培養物(例えば、微生物培養物)を含む。「試料」という用語はまた、生物学的、環境的、及び化学的試料、並びに分析が所望される任意の試料を含むことを意味する。試料は、合成起源の検体を含むことができる。試料は、1つ以上の微生物が由来することができる任意の供給源からの1つ以上の微生物を含むことができる。試料としては、これらに限定されないが、全血、皮膚、血清、血漿、臍帯血、絨毛膜絨毛、羊水、脳脊髄液、髄液、洗浄液(例えば、気管支肺胞上皮、胃、腹膜、管、耳、関節鏡視下)、組織試料、化学固定試料、FFPET試料、生検試料、尿、糞便、痰、唾液、鼻粘液、前立腺液、精液、リンパ液、胆汁、臓器、骨髄、涙液、汗、母乳、母体液、胚細胞、及び胎児細胞が挙げられる。いくつかの例では、試料は新鮮組織又は凍結組織であり得る。いくつかの例では、試料は、化学的固定剤、例えばアルデヒド系固定剤で処置された試料であり得る。いくつかの例では、試料は、ホルマリン固定パラフィン包埋組織(「FFPET」)試料であり得る。いくつかの例では、試料は、核酸を単離/精製することができる個体から採取された細胞から確立されたin vitro培養物のものであり得る。
本明細書で使用される「標的分析物」という用語は、検出、測定、分離、濃縮、単離、精製、及び/又は更なるアッセイ及び分析の対象となる任意の分析物を意味することを意図している。いくつかの実施形態では、当該分析物は、任意のイオン、分子、核酸、バイオマーカー、細胞又は細胞の集団、例えば所望の細胞等とすることができるが、これらに限定されず、更なるアッセイにおけるその検出、測定、分離、濃縮及び/又は使用が望ましい。いくつかの実施形態では、標的分析物は、本明細書に記載の試料のいずれかに由来することができる。
本開示の目的のために、層、領域、液体又は基材等の所与の構成要素が、本明細書では別の構成要素「上に」、「内に」又は「において」配置又は形成されるものとして言及される場合、その所与の構成要素は、他の構成要素上に直接存在することができ、あるいは介在する構成要素(例えば、1つ以上のバッファ層、中間層、電極又は接点)も存在することができることが理解されよう。「に配置される」及び「に形成される」という用語は、所与の構成要素が別の構成要素に対してどのように配置又は配置されるかを説明するために互換的に使用されることが更に理解されよう。したがって、「に配置される」及び「に形成される」という用語は、材料の移送、堆積、又は製造の特定の方法に関するいかなる制限も導入することを意図していない。
「通信する」という用語は、本明細書では、2つ以上の構成要素又は要素間の構造的、機能的、機械的、電気的、光学的、熱的、若しくは流体的関係、又はそれらの任意の組み合わせを示すために使用される。したがって、1つの構成要素が第2の構成要素と連通すると言われているという事実は、追加の構成要素が第1の構成要素と第2の構成要素との間に存在することができる、及び/又は第1の構成要素と第2の構成要素と動作可能に関連付けられ若しくは係合されることができる可能性を排除することを意図するものではない。
本明細書で使用される場合、「対象」は、処置される哺乳動物の対象(例えば、ヒト、げっ歯類、非ヒト霊長類、イヌ、ウシ、ヒツジ、ウマ、ネコ等。)及び/又は試料が得られる対象を指す。
エピタコフォレシス装置、システム又は機械の文脈内で試料を「検出すること」は、装置全体の1つ、いくつか、又は多くの点でその位置を検出することを含むことができる。検出は、一般に、所望の装置、システム、又は機械の機能、及び当該装置、システム、又は機械を使用して実行される方法に干渉しない任意の1つ以上の手段によって行われることができる。いくつかの実施形態では、検出は、例えば、導電率、抵抗率、電圧、電流等の検出による電気的検出の任意の手段を包含する。さらにまた、いくつかの実施形態では、検出は、電気的検出、熱的検出、光学的検出、分光学的検出、光化学的検出、生化学的検出、免疫化学的検出、及び/又は化学的検出のうちの任意の1つ以上を含むことができる。いくつかの実施形態では、1つ以上の標的分析物は、ETPベースの単離/精製及び任意に当該1つ以上の標的分析物の収集中に検出されることができる。さらに、ETP装置及びETPの方法に関連して試料の検出は、米国特許出願公開第62/585,219号及び米国特許出願公開第62/744,984号、並びにPCT番号PCT/EP2018/081049及びPCT/EP2019/077714(これらの開示は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)に更に記載されている。
試料分析装置又はシステムでは、「試料収集体積」という用語は、分析中又は分析後に、例えばロボット液体ハンドラによって収集することを意図した試料の体積を指す。エピタコフォレシスを行うための装置、又はそのような装置を含むシステムでは、試料収集体積は、エピタコフォレシス中又はエピタコフォレシス後の試料を含む収集を意図した体積である。いくつかの実施形態では、試料収集体積は、本明細書に記載の装置又はシステムの中央ウェルに配置されることができる。いくつかの実施形態では、試料収集体積は、所望の試料の収集を可能にする任意の場所に配置されることができる。いくつかの実施形態では、試料収集体積は、試料装填領域と先行電解質電極/収集リザーバとの間のどこであってもよい。試料収集体積は、装置又はシステムの任意の適切な領域、容器、ウェル、又は空間によって構成されることができる。いくつかの実施形態では、試料収集体積は、ウェル、膜、区画、バイアル、ピペット等によって構成される。いくつかの実施形態では、試料収集体積は、装置又はシステムの構成要素内又は構成要素間の空間、例えば2つのゲル間の空間又はゲルの孔によって形成されることができる。
本明細書で使用される場合、「ETP装置」、「ETPを行うための装置」、「ETP用の装置」等の用語は、ETPを実施することができる、又はETPが実施されることができる装置及び/又はETPを含む方法を指すために互換的に使用される。
本明細書で使用される場合、「ETPベースの単離/精製」という用語は、一般に、ETPを含む装置及び方法、例えばETPを行うことができる装置、例えばETPを行うことを含む方法を指し、ETPは、1つ以上の標的分析物を1つ以上の集束ゾーン(例えば、1つ以上のETPバンド)に集束させ、それによって初期試料に含まれる他の材料から1つ以上の標的分析物を単離/精製する。「単離する」及び「精製する」という用語は互換的に使用されることに留意されたい。更にまた、ETPベースの単離/精製は、一般に、当該1つ以上の標的分析物を含む1つ以上の集束ゾーン(1つ以上のETPバンド)のその後の収集を可能にする。1つ以上のETPベースの単離/精製によってもたらされる1つ以上の標的分析物の単離/精製の程度は、他の材料からの1つ以上の標的分析物の任意の程度又は量とすることができる。いくつかの実施形態では、試料からの標的分析物のETPベースの単離/精製は、例えば、1つ以上の標的分析物を含むETP単離/精製試料の組成を判定するための分析技術によって測定した場合に、当該標的分析物の1%以下、1%以上、5%以上、10%以上、60%以上、15%以上、20%以上、25%以上、30%以上、35%以上、40%以上、45%以上、50%以上、55%以上、以上、65%以上、70%以上、85%以上、90%以上、95%以上、又は99%以上の純度をもたらすことができる。いくつかの実施形態では、試料からの標的分析物のETPベースの単離/精製は、標的分析物の1%以下、1%以上、5%以上、10%以上、15%以上、20%以上、25%以上、30%以上、35%以上、40%以上、45%以上、50%以上、55%以上、60%以上、65%以上、70%以上、85%以上、90%以上、95%以上、又は99%以上が元の試料から回収されることをもたらすことができる。いくつかの実施形態では、1つ以上の標的分析物、例えば1つ以上の核酸を単離/精製するために、1つ以上のETPベースの単離/精製を行うことができる。例えば、いくつかの例では、1つ以上の標的分析物を含む試料に対してETPベースの単離/精製が行われて、1つ以上の標的分析物を1つの集束ゾーン(ETPバンド)に集束させ、1つ以上の標的分析物を元の試料に含まれる他の材料から実質的に分離することができる。試料はETP単離/精製後に収集されることができ、単離/収集された試料は、更に別のETPベースの単離/精製を受けることができる。任意に、第2のETPベースの単離精製は、1つを超える標的分析物の場合に、1つ以上の標的分析物のそれぞれを別個の集束ゾーンに単離するような条件とすることができ、そのそれぞれは、任意に個別に収集されることができ、それによって、所望であれば、標的分析物を互いに分離する。
本明細書で使用される場合、「混合試料」という用語は、一般に、1つを超える供給源からの材料を含む試料を指す。
本明細書で使用される場合、「化学固定された試料」という用語は、一般に、当技術分野で周知の化学薬剤の使用による試料、例えば組織試料の保存を指す。例えば、化学固定された試料は、アルデヒド系固定剤等の架橋固定剤で処置された試料を含むことができる。アルデヒド系固定剤としては、当技術分野で周知のもの、例えばホルムアルデヒド系固定剤及びグルタルアルデヒド系固定剤が挙げられる。いくつかの例では、化学固定された試料は、FFPET試料を含み得る。
本明細書で使用される場合、「FFPET試料溶液」という用語は、一般に、例えば、FFPET試料に含まれる1つ以上の核酸を単離/精製するためにETPを行うための装置に装填することができる、溶解されたFFPET試料を含む溶液等の溶液形態のFFPET試料を指す。
本明細書で使用される場合、「試料前処置」、「前処置された試料」等の用語は、一般に、試料をETP装置に装填する前に当該試料に対して実行される任意の手順を指す。例えば、試料前処置は、FFPETカール溶解のための適切な条件下でFFPETカールを溶解すること等によって、FFPET試料からFFPET試料溶液を調製することを含み得る。そのような方法は当技術分野で公知であり、例えば、KAPA Express Extract法の一部として使用される溶解プロトコルが挙げられる。例えば、溶解緩衝液をFFPETカールに添加し、続いて溶液を所望の溶解度が達成されるまで加熱してもよい。
方法及び装置
上記のように、保存された検体、例えば化学固定された試料、例えばFFPET試料から核酸を抽出、単離、及び/又は精製する現在のアプローチには多くの欠点がある。FFPETから核酸を単離するための一般的な手順は、以下を含み得る;パラフィンの除去(脱パラフィン化)、保存された試料の溶解(プロテアーゼ消化)、固定プロセス中に取得された架橋の反転、及び核酸の精製。これらのプロトコルは、典型的には複雑で労働集約的であり、少量の低品質核酸をもたらす。例えば、現在のアプローチを使用してFFPET試料から採取された核酸は、品質が悪く、量が少ないことが多い。例えば、FFPET試料から単離されたRNAは、しばしば中程度から高度に分解及び断片化され、診断及び/又は治療用途におけるその使用に対する重大な欠点である。さらに、化学固定、例えばアルデヒド系固定剤の使用を含む化学固定に供された試料からの核酸の抽出、単離及び/又は精製のための従来の技術は、しばしば、有機溶媒、例えばキシレン等の過酷な化学物質の使用を含む。従来の技術はまた、一般に、費用がかかり、大きな労働力を要し、自動化にあまり適していないカラム及び/又はビーズベースの工程を使用する。このような問題を解決するために、本開示は、一般に、1つ以上の核酸を含む試料分析、例えばFFPET試料の分析のための装置及び方法を記載し、当該装置及び方法は、FFPET試料から当該核酸を単離及び/又は精製するためにエピタコフォレシスを行うことを含み、単離及び/又は精製された核酸は、任意に、in vitro診断(「IVD」)アッセイ等の更なる下流アッセイに供され得る。
更にまた、本発明の装置及び方法は、試料及び/又は生物学的試料からの全ゲノム及び/又は全核酸含有量の抽出を可能にするが、そのような抽出は、従来の毛細管又はマイクロ流体ベースの装置及び方法、特にITPベースの毛細管又はマイクロ流体装置及び方法を使用する場合には困難であろう。さらに、本明細書に記載の装置及び方法の使用によって得られる標的核酸の非常に効率的な抽出は、標的核酸、例えばDNA及び/又はRNAの量が下流のin vitro診断(IVD)アッセイにおいて達成されることができる感度と直接相関する当該下流のIVD方法に有用である。時として、核酸の抽出を行うために、それらの表面上の核酸に結合するスピンカラム又は磁性ガラス粒子が従来使用されることができる。これらの従来の手法と比較して、本明細書に記載の装置及び方法は、以下の利点のいずれか1つ以上を与えることができる:カラム又はビーズベースの抽出方法と比較して、より高い抽出収率(潜在的に損失が少ない);ベンチトップ機器のより大きなフットプリントと比較してより単純な装置セットアップ;同様の用途に適用される他の装置と比較して、潜在的により高速な試料ターンアラウンド及び高い並列化可能性;抽出された核酸の下流処理のための他のマイクロ流体ベースのシステムとの容易な統合。いくつかの実施形態では、試料、例えばFFPET試料のETPベースの単離/精製によって得られた核酸は、当該試料の全核酸含有量、例えば当該試料からのDNAとRNAの両方を含み得る。いくつかの例では、ETPベースの単離/精製を含む方法は、DNA及びRNAを含む核酸の同時収集を含み得、収集された核酸は、更なる下流アッセイ、例えば当技術分野で公知の任意の手段によるDNA及びRNAの分離のためにDNA及びRNAを分離する方法に供され得る。
さらに、本開示は、一般に、試料、例えば化学固定された試料から1つ以上の核酸を単離及び/又は精製する方法に関し、当該方法は、a.エピタコフォレシス(ETP)を実行するための装置を提供すること;b.当該1つ以上の核酸を含む試料を提供すること;c.当該装置を使用してETPを実施して当該1つ以上の核酸を1つ以上の集束ゾーンに、例えば1つ以上のETPバンドとして集束させることによって、1つ以上のエピタコフォレシス実行を行うこと;及びd.当該1つ以上の核酸を含む当該1つ以上の集束ゾーンを収集することによって当該1つ以上の核酸を収集すること;それによって、1つ以上の単離及び/又は精製された核酸を得ることを含み、任意に、当該試料は、当該核酸を含むFFPET試料溶液を含む。
いくつかの実施形態では、試料、例えば化学固定された試料から1つ以上の核酸を単離及び/又は精製する方法は、a.エピタコフォレシス(ETP)を実行するための装置を提供すること;b.核酸を含むFFPET試料を提供すること;c.当該FFPET試料からFFPET試料溶液を調製すること;d.当該装置を使用してETPを実施して当該1つ以上の核酸を1つ以上の集束ゾーンに、例えば1つ以上のETPバンドとして集束させることによって、1つ以上エピタコフォレシス実行を行うこと;及びe.当該1つ以上の核酸を含む当該1つ以上の集束ゾーンを収集することによって当該1つ以上の核酸を収集すること;それによって、1つ以上の単離された核酸及び/又は精製された核酸を得ること、を含む。いくつかの例では、核酸はDNA及び/又はRNAを含み得る。
いくつかの例では、ETPベースの試料分析用の試料は、任意の種類のホルムアルデヒド架橋生体試料を含み得る。いくつかの実施形態では、当該試料は組織試料を含み得、任意に、組織試料は動物組織を含む。いくつかの実施形態では、試料は、パラフィンに埋め込まれた試料を含み得る。例えば、試料は、ホルマリン固定パラフィン包埋組織(FFPET)であり得る。いくつかの実施形態では、試料は、動物(例えば、ヒト)から得られ、次いで、分析前に試料を安定化させるためにホルムアルデヒド含有溶液中で保存されていてもよく、それによって試料中の核酸及び/又はタンパク質を架橋する。
いくつかの実施形態では、1つ以上の核酸のETPベースの単離及び/又は精製のための当該方法は、例えば自動化ETPシステムを使用することによって自動化され得る。例えば、米国特許第62/585,219号及び同第62/744,984号、並びにPCT番号、PCT/EP2018/081049及びPCT/EP2019/077714(これらの開示は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)を参照されたい。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の方法と共に使用するためのETP装置は、米国特許第62/585,219号及び米国特許第62/744,984号に記載、並びにPCT番号、PCT/EP2018/081049及びPCT/EP2019/077714(これらの開示は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)に記載されているようなETP装置を含むことができる。
いくつかの実施形態では、当該方法は、1つ以上のFFPET試料からの1つ以上の核酸のETPベースの単離及び/又は精製を含み得、当該核酸はDNA及び/又はRNAを含む。いくつかの例では、当該方法は、単一のETP実行中に1つ以上のETPバンド及び/又は集束ゾーンでDNAとRNAの両方を単離及び/又は精製することをもたらし得る。いくつかの例では、ETPベースの単離及び/又は精製の後、RNA及びDNAを互いに分離することができ、RNA及び/又はDNAを1つ以上のIVDアッセイ、シーケンシング、及び/又は遺伝子発現プロファイリング等の更なる下流アッセイに供することができる。いくつかの実施形態では、当該FFPET試料は、FFPETカールを含むことができ、FFPETカールは、その後処置されて、任意にETP装置に装填され得るFFPET試料溶液を生成する。
いくつかの実施形態では、エピタコフォレシスのための装置及び/又は方法は、所望の集束及び収集を可能にする任意の所望の時間量で標的分析物の集束及び収集を可能にすることができる。いくつかの実施形態では、当該方法は、120分以上、120分以下、100分以下、80分以下、60分以下、50分以下、又は40分以下のETPを行うことを含み得る。
いくつかの実施形態では、FFPET試料からの核酸のETPベースの単離/精製によって得られた核酸は、従来の技術、例えば上記のもの、例えばビーズベース及び/又はカラムベースの方法を使用してFFPET試料から得られた核酸と比較して、より高い収率及び/又はより高い品質であり得る。いくつかの実施形態では、1つ以上のFFPET試料からの核酸のETPベースの単離/精製によって得られた核酸は、qPCRベースの分析によって測定した場合(例えば品質管理(qc)qPCR等の当該qPCRベースの分析から得られたQスコア)に同等又はより高い品質であり得る。Qスコアは0(低品質)から1(高品質)の範囲であり、シーケンシングベースの用途等の下流のIVD用途には、より高品質の試料が一般に好ましいことに留意されたい。いくつかの実施形態では、ビーズベース及び/又はカラムベースの方法と比較して、1つ以上のFFPET試料からの核酸のETPベースの単離/精製を含む方法を使用して、1.25倍以上、1.5倍以上、1.75倍以上、2.0倍以上、2.25倍以上、2.5倍以上、2.75倍以上、3倍以上、4倍以上、5倍以上、10倍以上、100倍以上、又は1000倍以上の核酸を得ることができる。いくつかの実施形態では、本明細書中に記載される方法から得られる単離された核酸及び/又は精製された核酸の量は、どのような量であってもよく、使用される試料に対して少なくとも部分的に存在し得る。いくつかの例では、単離及び/又は精製された核酸の量は、ナノグラム以下からマクログラム以上のいずれかの範囲であり得る。
いくつかの実施形態では、本方法及び装置において荷電粒子を移動させるために、好都合な時間枠内で、電界強度は、約1mW~約100Wの範囲の電力で約10V~約10kVであり得る。いくつかの実施形態では、最も速い分析に適用される最大電力は、試料及び電解質溶液の電気抵抗率、並びに本明細書に記載の装置の構築に使用され得る材料の冷却能力に依存し得る。
いくつかの実施形態では、1つ以上の化学固定された試料からの1つ以上の核酸の当該ETPベースの単離及び/又は精製は、元の試料に含まれる1つ以上の核酸の1%以下、1%以上、5%以上、10%以上、15%以上、20%以上、25%以上、30%以上、35%以上、40%以上、45%以上、50%以上、55%以上、60%以上、65%以上、70%以上、85%以上、90%以上、95%以上、又は99%以上を単離及び収集することをもたらし得る。いくつかの実施形態では、当該方法は、例えば、1つ以上の核酸を含むETP単離/精製試料の組成を判定するための分析技術によって測定した場合に、単離/精製された当該1つ以上の核酸の1%以下、1%以上、5%以上、10%以上、15%以上、20%以上、25%以上、30%以上、35%以上、40%以上、45%以上、50%以上、55%以上、60%以上、65%以上、70%以上、85%以上、90%以上、95%以上、又は99%以上の純度をもたらすことができる。いくつかの実施形態では、1つ以上の緩衝液濃度、例えばLE及び/又はTE緩衝液濃度、当該ETP装置に含まれるゲルの割合、及び/又はETPベースの単離及び収集実行の停止時間は、試料に含まれる他の材料からの当該1つ以上の核酸の分離を促進するために変更及び/又は最適化され得る。
いくつかの実施形態では、ETPベースの単離/精製によって単離/精製される1つ以上の核酸は、任意の所望のサイズであり得る。いくつかの実施形態では、核酸は、5nt以下、10nt以下、20nt以下、30nt以下、50nt以下、100nt以下、1000nt以下、10,000nt以下、100,000nt以下、1,000,000nt以下、又は1,000,000nt以上のサイズであり得る。いくつかの実施形態では、当該方法は、当該ETPベースの単離及び/又は精製の間及び/又は後に当該1つ以上の核酸を検出することを更に含むことができ、例えば、当該検出は、いくつかの例では、光学的検出を含み、当該光学的検出は、当該1つ以上の核酸に結合する及び/又は会合されるインターカレート染料及び/又は光学的標識の検出を含む。いくつかの実施形態では、当該検出は、電気的検出、例えば電圧監視を含み得る。いくつかの実施形態では、検出は、染料、例えばブリリアントブルーの動きを監視することと、当該染料の動きに基づいて、任意の1つ以上のETPパラメータ、例えば試料収集の開始又は停止を調整することとを含み得る。
いくつかの実施形態では、任意に1つ以上のFFPET試料からの1つ以上の核酸のETPベースの単離/精製の方法は、試料が当該装置に自動的に装填される、及び/又は当該1つ以上の核酸が当該装置から自動的に収集される自動化された方法であり得る。いくつかの実施形態では、単離及び/又は精製された1つ以上の核酸は、当該1つ以上の核酸を更に単離及び/又は精製するために、1つ以上の更なるETP実行に供されることができる。
いくつかの実施形態では、当該方法は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる米国特許出願第62/847,699号に記載されているもの等のETP上部マーカーの使用を更に含み得る。いくつかの実施形態では、単離された核酸及び/又は精製された核酸は、ディープシーケンシング(CAPP-Seq)によるCAncerパーソナライズプロファイリングを更に受けることができる。いくつかの実施形態では、単離された核酸及び/又は精製された核酸は、1つ以上のバイオマーカーについてアッセイされることができる。いくつかの実施形態では、単離された核酸及び/又は精製された核酸は、CNV及び感染因子の双方を同定するための1つ以上のアッセイにおいて更に評価されることができる。いくつかの実施形態では、単離された核酸及び/又は精製された核酸、DNA鎖の完全性、突然変異の頻度、マイクロサテライトの異常、及び遺伝子のメチル化等の核酸の定量的及び定性的な腫瘍特異的変化を検出する1つ以上の方法によって更に評価されることができる。いくつかの実施形態では、単離された核酸及び/又は精製された核酸は、例えば癌患者由来の試料中の診断、予後、及びモニタリングマーカーを検出するために、1つ以上の方法によって更に評価されることができる。いくつかの実施形態では、当該方法は、CNV検出と更に組み合わせて、悪性腫瘍を有する又は有する疑いがある患者における臨床診断、処置、転帰予測及び進行モニタリングを支援する方法を提供することができる。いくつかの実施形態では、単離及び/又は精製された核酸を、コピー数多型(CNV)、挿入、欠失、転座、多型及び突然変異を含む、試料中の遺伝的特徴を検出するための方法に更に供することができる。いくつかの実施形態では、単離及び/又は精製された1つ以上の核酸のいずれか1つ以上の濃度が判定されることができる。いくつかの実施形態では、濃度は、分子バーコード化によって判定されることができる。いくつかの実施形態では、単離された核酸及び/又は精製された核酸は、腫瘍由来SNVについて更に分析されることができる。いくつかの実施形態では、核酸は、1つ以上の癌性細胞に由来する核酸を含むことができる。
更にまた、本開示は、一般に、腫瘍由来SNVを同定する方法であって、(a)癌に罹患しているか又は癌に罹患している疑いがある対象から試料(任意に、試料がFFPET試料、例えばFFPET試料溶液である)を取得することと、(b)ETPベースの単離及び/又は精製を実施して、標的核酸を単離及び/又は精製して単離及び/又は精製試料を取得することと、(c)単離された試料及び/又は精製された試料に対してシーケンシング反応を行ってシーケンシング情報を生成することと、(d)ステップ(c)からのシーケンシング情報に基づいて候補腫瘍対立遺伝子のリストを形成するためにシーケンシング情報にアルゴリズムを適用することであって、候補腫瘍対立遺伝子が生殖系列SNPではない非優性塩基を含む、適用することと、(e)候補腫瘍対立遺伝子のリストに基づいて腫瘍由来SNVを同定することと、を含む、方法に関する。いくつかの実施形態では、候補腫瘍対立遺伝子は、候補SNVを含むゲノム領域を含むことができる。
更にまた、本開示は、一般に、ウイルス由来核酸を同定する方法であって、(a)ウイルス感染症を有すると疑われる、又はウイルスに曝露されたと疑われる対象から試料、例えば化学固定された試料を取得することと、(b)ETPベースの単離及び/又は精製を実施して、標的核酸を単離及び/又は精製して単離及び/又は精製試料を取得することと、(c)単離された試料及び/又は精製された試料に対してシーケンシング反応を行ってシーケンシング情報を生成することと、(d)シーケンシング情報に基づいて、対象が1つ以上のウイルスに感染しているかどうかを判定することと、を含む、方法に関する。
さらに、更なる例示的な実施形態では、本明細書に記載の試料分析用の装置は、1μl以下、1μl以上、10μl以上、100μl以上、1mL以上、4mL以上、5mL以上、10mL以上、又は15mL以上の試料体積を収容する寸法を含むことができる。いくつかの実施形態では、単離された及び/又は精製された1つ以上の核酸の濃度が測定されることができる。いくつかの実施形態では、ETPベースの単離/精製のためにETP装置に装填される試料の試料体積は、0.25mL以下、0.25mL以上、0.5mL以上、0.75mL以上、1.0mL以上、2.5mL以上、5.0mL以上、7.5mL以上、10.0mL以上、12.5mL以上、又は15.0mL以上であり得る。
更なる例示的な実施形態では、当該装置が使用されて、例えば約2倍以上から約1000倍以上の標的分析物を濃縮することができる。いくつかの実施形態では、当該標的分析物は、1つ以上の核酸を含み得る。更なる実施形態では、当該標的分析物は、小さな無機及び有機イオン、ペプチド、タンパク質、多糖類、DNA、又は細菌及び/若しくはウイルス等の微生物を含むことができる。
いくつかの実施形態では、ETPベースの単離/精製によって収集された当該核酸は、1つ以上の下流のin vitro診断用途に使用され得る。更にまた、いくつかの実施形態では、試料分析のためのETP装置は、例えば、毛細管分析器、クロマトグラフィ、PCR装置、酵素反応器等の他の装置、及び/又は更なる試料分析を行うために使用されることができる任意の他の装置、例えば、IVD用途に関連する装置にオンラインで接続されることができる。いくつかの実施形態では、ETP装置は、核酸シーケンシングライブラリーの調製を伴うワークフローで使用され得る。さらに、いくつかの実施形態では、ETP装置は、当該装置から集束及び/又は収集された可能性がある試料の下流分析を行うために任意に使用されることができる液体処理ロボットとともに使用することができる。
いくつかの実施形態では、該方法は、DNA及び/又はRNAを含む1つ以上の核酸のETPベースの単離及び精製を含み得、当該核酸は、1つ以上の生物学的試料から単離/精製される。そのような試料としては、限定されないが、新鮮試料又は細胞/組織吸引物、凍結切片、針生検、細胞培養物、固定組織試料、細胞ボタン、組織マイクロアレイ等が挙げられる。いくつかの実施形態では、試料は、固定パラフィン包埋組織(例えば、FFPET)試料を含む。組織学的試料は、典型的には、ホルマリン(ホルムアルデヒド)及びグルタルアルデヒド等のアルデヒド固定剤で固定されるが、本明細書に記載の方法は、アルコール浸漬等の他の固定技術を使用して固定された組織で更に実施することができる。いくつかの例では、試料は、生検並びに細針吸引物及び保管試料(例えば、組織マイクロアレイ)等を含み得る。いくつかの例では、試料は、ヒト組織、実験動物組織、コンパニオンアニマル組織、又は家畜動物組織からのFFPET試料を含み得るが、これらに限定されない。したがって、例えば、試料としては、限定するものではないが、健康なヒト(例えば、健康なヒト組織試料)からの試料、疾患対象及び/又は罹患組織からの試料、診断及び/又は予後アッセイに使用される試料等を含むヒトからの組織試料が挙げられる。適切な試料としては、非ヒト動物由来の試料も挙げられる。例えば、非ヒト霊長類、例えばチンパンジー、ゴリラ、オランウータン、テナガザル、サル、マカク、ヒヒ、マンガベイ、コロブス、ラングール、マーモセット、キツネザル、マウス、ラット、ウサギ、モルモット、ハムスター、ネコ、フェレット、魚、ウシ、ブタ、ヒツジ、ヤギ、ウマ、ロバ、ニワトリ、ガチョウ、アヒル、七面鳥、両生類、又は爬虫類からのFFPET試料を、本明細書中に記載される方法において使用することができる。
さらに、いくつかの実施形態では、任意の年齢のFFPET試料を本明細書に記載の方法で使用することができ、それには、新鮮、1週間未満、2週間未満、1ヶ月間未満、2ヶ月間未満、3ヶ月間未満、6ヶ月間未満、9ヶ月間未満、1歳未満、少なくとも1歳、少なくとも2歳、少なくとも3歳、少なくとも4歳、少なくとも5歳、少なくとも6歳、少なくとも7歳、少なくとも8歳、少なくとも9歳、少なくとも10歳、少なくとも15歳、少なくとも20歳、又はそれ以上のFFPET試料が含まれるが、これらに限定されない。
いくつかの実施形態では、固定包埋組織試料(例えば、FFPET試料)は、罹患組織の領域、例えば腫瘍又は他の癌性組織を含む。そのようなFFPET試料は、本明細書に記載の方法において有用性が見出されるが、罹患組織の領域を含まないFFPET試料、例えば、正常、未処置、プラセボ処置、又は健康な組織からのFFPET試料もまた、本明細書に記載の方法において使用することができる。本明細書中に記載される方法のいくつかの実施形態では、所望の患部若しくは組織、又は特定の組織内の特定の領域、特徴若しくは構造を含む領域が、所望の領域から得られる核酸のパーセンテージを増大させるために、本明細書中に記載されるような核酸の単離の前に、FFPET試料又はその1つ以上の切片において特定される。そのような領域又は領域は、視覚的識別、染色、例えばヘマトキシリン及びエオシン染色、免疫組織化学的標識等を含むがこれらに限定されない、当業者に公知の任意の方法を使用して識別することができる。いずれにせよ、いくつかの実施形態では、本明細書に記載の方法を使用して核酸試料のETPベースの単離/精製のための出発材料を得るために、組織試料又はその切片の所望の領域を、マクロダイセクション又はマイクロダイセクションのいずれかによって解剖することができる。
特定の例示的であるが非限定的な実施形態では、試料は、癌由来の細胞を含む患部又は組織を含む。いくつかの実施形態では、癌は、急性リンパ芽球性白血病(ALL)、急性骨髄性白血病(AML)、副腎皮質癌、エイズ関連癌(例えば、カポジ肉腫、リンパ腫)、肛門癌、虫垂癌、星状細胞腫、非定型奇形腫様/横紋筋肉腫様腫瘍、胆管癌、肝外癌、膀胱癌、骨癌(例えば、ユーイング肉腫、骨肉腫、悪性線維性組織球腫)、脳幹神経膠腫、脳腫瘍(例えば、星状細胞腫、脳及び脊髄腫瘍、脳幹神経膠腫、中枢神経系非定型奇形腫様/横紋筋肉腫様腫瘍、中枢神経系胚性腫瘍、中枢神経系生殖細胞腫瘍、頭蓋咽頭腫、上衣腫、乳癌、気管支腫瘍、バーキットリンパ腫、カルチノイド腫瘍(例えば、小児期、胃腸)、心臓腫瘍、子宮頸癌、脊索腫、慢性リンパ性白血病(CLL)、慢性骨髄性白血病(CML)、慢性骨髄増殖性疾患、結腸癌、結腸直腸癌、頭蓋咽頭腫、皮膚T細胞リンパ腫、管癌、例えば(胆汁、肝外)、腺管上皮内癌(DCIS)、胚性腫瘍、子宮内膜癌、上衣腫、食道癌、感覚神経芽細胞腫、頭蓋外生殖細胞腫瘍、性腺外生殖細胞腫瘍、肝外胆管癌、眼癌(例えば、眼内黒色腫、網膜芽細胞腫)、骨の線維性組織球腫、悪性、骨肉腫、胆嚢癌、胃(gastric)(胃(stomach))癌、消化管カルチノイド腫瘍、消化管間質腫瘍(GIST)、生殖細胞腫瘍(例えば、卵巣癌、精巣癌、頭蓋外癌、性腺外癌、中枢神経系)、妊娠絨毛芽球腫瘍、脳幹癌、有毛細胞白血病、頭頸部癌、心臓癌、肝細胞(肝臓)癌、組織球症、ランゲルハンス細胞癌、ホジキンリンパ腫、下咽頭癌、眼内黒色腫、膵島細胞腫瘍、膵臓神経内分泌腫瘍、カポジ肉腫、腎臓癌(例えば、腎細胞、ウィルムス腫瘍、及び他の腎臓腫瘍)、ランゲルハンス細胞組織球症、喉頭癌、白血病、急性リンパ芽球性(ALL)、急性骨髄性(AML)、慢性リンパ球性(CLL)、慢性骨髄性(CML)、有毛細胞、口唇及び口腔癌、肝癌(原発性)、非浸潤性小葉癌(LCIS)、肺癌(例えば、小児期、非小細胞、小細胞)、リンパ腫(例えば、AIDS関連)、バーキット(例えば、非ホジキンリンパ腫)、皮膚T細胞(例えば、菌状息肉腫、セザリー症候群)、ホジキン、非ホジキン、原発性中枢神経系(CNS))、マクログロブリン血症、ワルデンストローム、男性乳癌、骨の悪性線維性組織球腫及び骨肉腫、黒色腫(例えば、小児期、眼内(眼))、マークル細胞癌、中皮腫、転移性頸部扁平上皮癌(metastatic squamous neck cancer)、正中路癌(midline tract carcinoma)、口腔癌、多発性内分泌新生物症候群、多発性骨髄腫/形質細胞腫瘍、菌状息肉腫、骨髄異形成症候群、骨髄性白血病、慢性(CML)、多発性骨髄腫、鼻腔及び副鼻腔癌、上咽頭癌、神経芽細胞腫、口腔癌、口唇及び中咽頭癌、骨肉腫、卵巣癌、膵臓癌、膵臓神経内分泌腫瘍(膵島細胞腫瘍)、乳頭腫、傍神経節腫、副鼻腔及び鼻腔癌、副甲状腺癌、陰茎癌、咽頭癌、褐色細胞腫、下垂体腫瘍、形質細胞腫瘍、胸膜肺芽腫、原発性中枢神経系(CNS)リンパ腫、前立腺癌、直腸癌、腎細胞(腎臓)癌、腎盂及び尿管、移行性細胞癌、横紋筋肉腫、唾液腺癌、肉腫(例えば、ユーイング、カポジ、骨肉腫、横紋筋肉腫、軟部組織、子宮)、セザリー症候群、皮膚癌(例えば、黒色腫、マークル細胞癌、基底細胞癌、非黒色腫)、小腸癌、扁平上皮癌、原発不明の頸部扁平上皮癌、胃(stomach)(胃(gastric))癌、精巣癌、咽喉癌、胸腺腫及び胸腺癌、甲状腺癌、絨毛性腫瘍、尿管及び腎盂癌、尿道癌、子宮癌、子宮内膜癌、子宮肉腫、膣癌、外陰部癌、ワルデンストロームマクログロブリン血症、ウィルム腫瘍等からなる群から選択される癌を含む。
本明細書に例示的に開示された装置及び方法は、本明細書に具体的に開示されていない任意の要素及び/又は本明細書に具体的に開示された任意の要素の非存在下で適切に実施され得る。
実施例1:エピタコフォレシスのための装置
エピタコフォレシスのための装置は、一般に、例えば図1~図4に示すように、同心又は多角形のディスクアーキテクチャを使用する。これらの材料は、装置動作中に有益な改善された熱伝達特性をもたらすため、ガラス又はセラミックがシステム(すなわち、同心円又は多角形のディスクの材料)の製造に使用される。例えば、エピタコフォレシス装置の平坦なチャネルは、狭いチャネルと比較して良好な熱伝達能力を有するため、集束材料の過熱(又は沸騰)は一般に防止される。電流/電圧プログラミングは、装置のジュール加熱を調整するのにも適している。プラスチック材料も装置製造に使用される。一般に、装置は、所望の試料体積、例えばミリリットルスケールの試料体積、例えば最大15mLを収容するような寸法で製造される。
図1~図3を参照すると、2つの同心ディスクがスペーサによって分離され、それにより、エピタコフォレシス試料処理のための平坦なチャネルが形成される。電流は、複数の高電圧接続部(HV接続部)及びシステムの中央の接地接続部(例えば、図1及び図3を参照されたい)を介して印加される。いくつかの例では、試料は、装置の開口部、例えば上部又は側部(例えば、図3を参照されたい)を通して装置に注入される。電気の印加は、ディスクの中心に移動する同心リングとして試料の標的分析物を集束させ(以下に更に説明する)、次いで標的分析物は、装置の底部のシリンジを通して収集される(例えば、図3を参照されたい)。図2A(上面図)及び図2Bに示すように、装置構成の一例は、外側円形電極(1)、終端電解質(2)、及び先行電解質(3)を含む。一般に、外側円形電極(1)の直径は約10~200mmであり、先行電解質の直径は、約10μm~約20mmの厚さ(高さ)の範囲である。先行電解質は、ゲル、粘性添加剤によって安定化されるか、又は例えば膜等によって終端電解質から流体力学的に分離される。ゲル又は流体力学的分離は、装置の動作中に先行電解質と終端電解質の混合を防止する。また、いくつかの装置では、実施例2で更に後述するように、電解質の非常に薄い(<100μm)層を使用することによって混合が防止される。
図2A~図2Bを参照すると、先行電解質の中心には、電極(5)を有する電極リザーバ(4)がある。電極(1、5)及び電解質(2、3)のアセンブリは、平坦な電気絶縁支持体(8)上に配置される。電解質リザーバ(4)は、例えばリザーバから試料をピペットで取り出す等の分離プロセス後に濃縮試料溶液を除去するために使用される。
代替的な構成(図4を参照)では、中心電極(5)は、管(9)によって濃縮器に接続された先行電解質リザーバ(10)に移動される。管(9)は、半透膜(図示せず)によって一端が直接又は閉鎖されている。この配置は、使用される膜の特性に従って大きな分子の移動を停止することによって収集を容易にする。この配置は、試料の収集を単純化し、例えば、毛細管分析器、クロマトグラフィ、PCR装置、酵素反応器等の他の装置にオンラインで濃縮器を接続する手段を提供する。管(9)が使用されて、先行電解質を含有するゲルを含まない構成で先行電解質の向流を供給することもできる。
一般に、先行電解質安定化のためのゲルは、例えばアガロース、ポリアクリルアミド、プルラン等の任意の非荷電材料によって形成される。いくつかの装置では、実行される分離の性質に応じて、上面が開いたままにされるか、又はいくつかの装置では上面が閉じられる。閉じている場合、装置を覆うために使用される材料は、好ましくは、エピタコフォレシス装置の動作中の蒸発を防止するために、熱伝導性絶縁材料である。
一般に、リング(円形)電極は、最大の耐薬品性及び電界均一性を可能にするため、優先的には金メッキ又は白金メッキされたステンレス鋼リングである。あるいは、ステンレス鋼及びグラファイト電極は、いくつかの装置、特に使い捨て装置に使用されてもよい。また、リング(円形)電極は、同様の機能を提供する他の部分、例えばワイヤ電極のアレイによって置換されることができる。さらに、規則的に離間された電極の2次元アレイが、追加的又は代替的に、エピタコフォレシス装置に使用されてもよい。円形配向の規則的に離間された電極のアレイもまた、エピタコフォレシス装置に使用されることができる。更にまた、他の電極構成が使用されて、所望の試料分離(例えば、集束ゾーンを方向付けるために)に基づいて異なる電界形状をもたらすこともできる。そのような構成は、電極の多角形配置として説明される。電気的に分離されたセグメントに分割されると、駆動電界の時間依存形状に対して切り替えられた電界が生成される。そのような配置は、いくつかの装置における試料収集を容易にする。
実施例2:エピタコフォレシス装置の動作
図1~図4に示されている設計のもの等のエピタコフォレシス装置は、図5に示されているように、2つの電解質リザーバ配置、先行電解質とそれに続く終端電解質と混合された試料、又は先行電解質とそれに続く終端電解質と混合された試料、又は3つの電解質リザーバ配置のいずれかで動作される。そのような構成では、試料は、任意の導電性溶液と混合されることができる。あるいは、試料が適切な終端イオンを含む場合、終端電解質ゾーンは排除されることができる。図2A~図2Bを参照すると、終端電解質リザーバ(2)に試料と適切な終端電解質との混合物を充填し、電源(6)をオンにすると、イオンは中心電極(5)に向かって移動し始め、先行電解質と終端電解質(7)との間の境界にゾーンを形成する。泳動中の試料ゾーンの濃度は、一般的な等張性の原理[Foret,F.,Krivankova,L.,Bocek,P.,Capillary Zone Electrophoresis.Electrophoresis Library,(Editor Radola,B.J.)VCH,Verlagsgessellschaft,Weinheim,1993.]にしたがって調整される。これにより、低濃度の試料イオンは濃縮され、高濃度の試料イオンは希釈される。試料ゾーンが電解質リザーバ(4)に入ると、分離プロセスが停止され、集束材料が装置の中心に収集される。実際には、泳動ゾーンの最終濃度は、先行イオンの濃度に匹敵する濃度を有する。典型的には、2から1000又はそれ以上の任意の濃度因子が、エピタコフォレシスを使用して達成される。
3電解質リザーバ配置では、試料は、先行電解質と終端電解質との間に適用され(例えば、図5を参照されたい)、そのような配置は、2電解質リザーバ配置と比較して僅かに速い試料濃度及び分離をもたらす。
混合を避けるために、先行電解質及び後行電解質は、中性(非荷電)粘性媒体、例えば、アガロースゲル(例えば、任意にゲル内に含まれるか、又は終端電解質から流体力学的に分離された先行電解質を表す図2A~図2B、図3を参照されたい)によって安定化される。
等速電気泳動に使用される当業者に知られている全ての一般的な電解質は、先行イオンが目的の試料イオンの有効電気泳動移動度よりも高い有効電気泳動移動度を有する場合、本発明のエピタコフォレシス装置とともに使用されることができる。選択された終端イオンについては反対である。
装置は、ポジティブモード(カチオン種の分離/濃縮)又はネガティブモード(アニオン種の分離/濃縮)のいずれかで作動される。エピタコフォレシスを使用したアニオン分離のための最も一般的な先行電解質は、例えば、適切な塩基、例えばヒスチジン、TRIS、クレアチニン等で所望のpHに緩衝された塩化物、硫酸塩、又はギ酸塩を含む。アニオン分離のためのエピタコフォレシスのための先行電解質の濃度は、主要なイオンに対して5mM~1Mの範囲である。その場合、終端イオンは、多くの場合、MES、MOPS、HEPES、TAPS、アセテート、グルタメート及び弱酸及び低移動度アニオンの他のアニオンを含む。正モードでのエピタコフォレシスのための終端電解質の濃度は、以下の範囲である:終端イオンに対して5mM~10M。
カチオン分離のために、エピタコフォレシスのための一般的な先行イオンとしては、例えば、カリウム、アンモニウム又はナトリウムを含み、酢酸塩又はギ酸塩が最も一般的な緩衝対イオンである。そして、反応ヒドロキソニウムイオン移動境界は、任意の弱酸によって形成される万能終端電解質として機能する。
正モード及び負モードの双方において、先行イオンの濃度の増加は、所与の印加電圧に対する電流(電力)の増加を犠牲にして、試料ゾーンの比例的な増加をもたらす。典型的な濃度は、10~100mMの範囲である;しかしながら、より高い濃度も可能である。
更にまた、ゾーン電気泳動分離のみで十分である場合、装置は、ただ1つのバックグラウンド電解質によって動作されることができる。
電流及び/又は電圧プログラミングは、試料の移動速度を調整するのに適している。この同心配置では、移動中に断面積が変化し、ゾーン移動の速度は時間的に一定ではないことに留意されたい。したがって、この配置は、ゾーンが一定の速度で移動する等速電気泳動の原理に厳密にしたがわない。電源(6)の動作モードに応じて、以下の3つの基本的なケースが区別されることができる:1.定電流分離;2.定電圧分離;3.定電流分離。
以下に説明する式の変数は以下のとおりである:d=移動距離(d<0;r>);E=電界強度;H=電解質(ゲル)高さ;I=電流;J=電流密度;κ=電解質導電率;r=半径;S=断面積;u=電気泳動移動度;v=速度;X=中心電極からエピタコフォレシス境界までの長さ。
高電圧電源(HVPS)によって供給される定電流を使用する共通の動作モードでは、移動領域は、電流密度の増加に起因して中心に近付くにつれて加速される。定電流での分離に関して、円形構造を含む装置、例えば1つ以上の円形電極を含む装置を使用すると、距離dにおける相対速度は、以下のように開始半径rから距離dにおけるvでのエピタコフォレシス境界速度の導出によって実証されるように、先行電解質の移動度(導電率)にのみ依存する。
一般式:
Figure 2023519164000002
Figure 2023519164000003
Figure 2023519164000004
Figure 2023519164000005
Figure 2023519164000006
開始から半径rの距離dにおけるエピタコフォレシス境界速度v:
Figure 2023519164000007
定電流での距離dにおける移動距離(d)対相対速度の関係のプロットについては、図6Bを参照されたい。
定電圧での分離に関して、円形構造を備える装置、例えば1つ以上の円形電極を備える装置を使用すると、距離dにおける相対速度は、以下のように開始半径rからの距離dにおけるvでのエピタコフォレシス境界速度の導出によって実証されるように、LEとTEの双方の移動度(導電率)に依存する:
一般式:
Figure 2023519164000008
Figure 2023519164000009
Figure 2023519164000010
境界速度の計算:
Figure 2023519164000011
Figure 2023519164000012
Figure 2023519164000013
Figure 2023519164000014
Figure 2023519164000015
Figure 2023519164000016
Figure 2023519164000017
Figure 2023519164000018
定電圧での距離dにおける移動距離(d)対相対速度の関係のプロットについては、図6Cを参照されたい。
定電力での分離に関して、円形構造を備える装置、例えば1つ以上の円形電極を備える装置を使用すると、距離dにおける相対速度は、以下のように開始半径rからの距離dにおけるvでのエピタコフォレシス境界速度の導出によって実証されるように、LEとTEの双方の移動度(導電率)に依存する:
一般式:
Figure 2023519164000019
Figure 2023519164000020
Figure 2023519164000021
Figure 2023519164000022
境界速度の計算:
Figure 2023519164000023
Figure 2023519164000024
Figure 2023519164000025
Figure 2023519164000026
Figure 2023519164000027
Figure 2023519164000028
Figure 2023519164000029
κは小さい数であるため、以下のとおりである:
Figure 2023519164000030
定電力での距離dにおける相対速度に対する移動距離(d)の関係のプロットについては、図6Dを参照されたい。
実施例3:例示的な装置を用いたエピタコフォレシス
図7に示すように、エピタコフォレシス装置を使用して、スルファニル酸染料(SPADNS)を同心環に集束させるエピタコフォレシス分離を行った。1Wの定電力を印加して、エピタコフォレシス装置内でエピタコフォレシスを実行した。
図7を参照すると、SPADNSは、図7の赤色ゾーンとして見ることができる同心リング状の集束ゾーンに集束された。赤い円の上半分は、ゾーンの高さがおよそ5mmであることを示した。エピタコフォレシスゾーンが装置の縁部から中心に向かって移動すると、最終的にSPADNSの集束ゾーンが装置の中心に進入し、装置の中心に収集され、それにより、エピタコフォレシスを使用した所望の試料の集束及び回収が実証された。
実施例4:例示的な装置を用いたエピタコフォレシス
エピタコフォレシス装置(図8A)を使用して、スルファニル酸(SPADNS)を集束させるためにエピタコフォレシスを実施した。図8Aの装置は、円形構造及び直径10.2cmの円形金電極を有していた。HCl-ヒスチジン(pH6.25)を先行電解質として使用し、直径5.8 cmの0.3%アガロースゲル10mLに含有させた。15mLのMES Tris(pH8.00)を後行電解質として使用した。装置のシリンジリザーバは、先行電解質His(pH6.25)を含んでいた。0.137mMの濃度の300μlのSPADNSを後行電解質中で調製し、装置に充填した。エピタコフォレシスを行うために、1Wの定電力を使用した。
図8Bを参照すると、SPADNSは、図8Bの赤色ゾーンとして見ることができる同心リング状の集束ゾーンに集束された。エピタコフォレシスゾーンが装置の縁部から中心に向かって移動すると、最終的にSPADNSの集束ゾーンが装置の中心に進入し、装置の中心に収集され、それにより、エピタコフォレシスを使用した所望の試料の集束及び回収が実証された。
更にまた、図8Aのエピタコフォレシス装置を用いてエピタコフォレシスを行い、30ntのオリゴマー(ROX-オリゴ)を集束させた。図8Aの装置は、円形構造及び直径10.2cmの円形金電極を有していた。先行電解質が直径5.8cmの0.3%アガロースゲル10mLに含まれていた場合、10mM HCl-ヒスチジン(pH6.25)を使用した。15mLの10mM MES Tris(pH8.00)を後行電解質として使用した。装置のシリンジリザーバは、100mMの濃度の先行電解質His(pH6.25)を含んでいた。100μmの濃度の75μlのROX-オリゴを後行電解質中で調製し、装置に充填した。エピタコフォレシスを行うために、1Wの定電力を使用した。
図8Cを参照すると、ROXオリゴは、図8Cの青色ゾーンとして見ることができる同心円状の集束ゾーンに集束された。エピタコフォレシスゾーンが装置の縁部から中心に向かって移動すると、最終的にROX-オリゴの集束ゾーンが装置の中心に進入し、装置の中心に収集され、それにより、エピタコフォレシスを使用した所望の試料の集束及び回収が実証された。
実施例5:例示的な装置を用いたエピタコフォレシス
エピタコフォレシス装置(図9A~図9B)を使用してエピタコフォレシスを実施してスルファニル酸染料(SPADNS)を集束させ、その後、これを装置(図9C~図9D)から収集した。図9A~図9Bの装置は、円形構造及び直径11.0cmの円形ステンレス鋼ワイヤ電極を有していた。図9Bを参照すると、概略図の数字は、ミリメートル単位の寸法を表す。20mM HCl-ヒスチジン(pH6.20)を先行電解質として使用した。5mLの10mM MES Tris(pH8.00)をLE中の0.3%アガロースゲルを有する後行電解質として使用し、ゲルは8.9cm(図9C)の直径を有し、TEの導入前に形成されたか、又は15mLの10mM MES Tris(pH8.00)を、5.8cm(図9D)の直径を有し、TEの導入前に形成された0.3%ゲルに含まれる後行電解質として使用した。装置の電極リザーバは、100mMの濃度の先行電解質His(pH6.25)を含んでいた。
図9Cを参照すると、0.137mMの濃度の150μlのSPADNSを15mLの後行電解質中で調製し、装置に装填した。エピタコフォレシスを行うために、2Wの定電力を使用した。SPADNSを、図9Cの赤色ゾーンとして見ることができる同心リング状の集束ゾーンに集束させた。エピタコフォレシスゾーンが装置の縁部から中心に向かって移動すると、最終的にSPADNSの集束ゾーンが装置の中心に進入し、装置の中心に収集され、それにより、エピタコフォレシスを使用した所望の試料の集束及び回収が実証された。回収されたSPADNSは、最初の15mLのSPADNS含有試料の吸光度と比較して40倍の吸光度増加を有した。
図9Dを参照すると、0.137mMの濃度の150μlのSPADNSを15mLの後行電解質中で調製し、装置に装填した。エピタコフォレシスを行うために、2Wの定電力を使用した。SPADNSを、図9Dの赤色ゾーンとして見ることができる同心リング状の集束ゾーンに集束させた。エピタコフォレシスゾーンが装置の縁部から中心に向かって移動すると、最終的にSPADNSの集束ゾーンが装置の中心に進入し、装置の中心に収集され、それにより、エピタコフォレシスを使用した所望の試料の集束及び回収が実証された。回収されたSPADNSは、最初の15mLのSPADNS含有試料の吸光度と比較して40倍の吸光度増加を有した。
図9A~図9Bのエピタコフォレシス装置を使用して、ゲルを使用しない装置内の生理食塩水からSPADNSを集束させるためにエピタコフォレシスを実施した。20mM HCl-ヒスチジン(pH6.20)を先行電解質として使用した。13mLの10mM MES Tris(pH8.00)を後行電解質として使用し、これを3mLの0.9% NaClと更に混合した。装置の電極リザーバは、100mMの濃度の先行電解質HClヒスチジン(pH6.25)を含有していた。
図10を参照すると、0.137mMの濃度の150μlのSPADNSを、3mLの0.9% NaClと混合した13mLの後行電解質中で調製し、装置に装填した。エピタコフォレシスを行うために、2Wの定電力を使用した。SPADNSを、図10の赤色ゾーンとして見ることができる同心リング状の集束ゾーンに集束させた。エピタコフォレシスゾーンが装置の縁部から中心に向かって移動すると、最終的にSPADNSの集束ゾーンが装置の中心に進入し、装置の中心に収集され、それにより、エピタコフォレシスを使用した所望の試料の集束及び回収が実証された。
図9A~図9Bのエピタコフォレシス装置を使用して、スペーサとして酢酸を用いてSPADNS及びPatent Blue染料を分離及び集束するためにエピタコフォレシスを実施した。20mM HCl-ヒスチジン(pH6.20)を先行電解質として使用した。5mLの10mM MES Tris(pH8.00)を後行電解質として使用し、これを150μlの10mm酢酸、150μlの0.1mM Patent Blue染料、及び150μlの0.137mM SPADNSと更に混合した。SPADNS、酢酸及びPatent Blue染料の有効移動度値(10-9/Vs)は、それぞれ55、42、7及び32であった。装置の電極リザーバは、100mMの濃度の先行電解質His(pH6.25)を含んでいた。この実験のためにこの装置のチャネルにゲルを使用しなかったが、ゲルは装置プラットフォームの上部に存在した。
図11を参照すると、後行電解質、SPADN、酢酸、及びPatent Blue染料の混合物を装置に充填した。エピタコフォレシスを行うために、2Wの定電力を使用した。SPADNSは、図11の赤色ゾーン/内側ゾーンとして見ることができる同心リング状集束ゾーンに集束され、Patent Blue染料は、図11の青色ゾーン/外側ゾーンとして見ることができる同心リング状集束ゾーンにも集束された。エピタコフォレシスゾーンが装置の縁部から中心に向かって移動すると、最終的にSPADNS及びPatent Blue染料の集束ゾーンが装置の中心に順次進入し、装置の中心で別々に収集されることができ、それにより、エピタコフォレシスを使用した所望の試料の分離、集束及び回収が実証された。
実施例6:エピタコフォレシスのための装置
エピタコフォレシス装置は、エピタコフォレシスを行うために設計された(図12)。図12の装置は、円形構造及び直径5.8cmの円形銅テープ電極を有していた。
実施例7:導電性ベースの試料検出を用いてエピタコフォレシスを実施するためのシステム
装置の構築
先の実施例によれば、大きな試料体積容量を有するエピタコフォレシス装置を円形分離チャネルで機械加工した。図13A及び図13Bは、装置の構造の2つの図を示している。ワイヤリング電極(直径1mmのステンレス鋼ワイヤ;半径55mm)を円形の分離区画の縁部に取り付けた。試料体積は、リング電極とアガロース安定化先行電解質ディスク(半径35mm)との間の空間によって定義された。したがって、適用可能な試料体積は、その高さのmmごとに5.7mLであった。第2の電極を、装置の側面の先行電解質リザーバに配置した。リング電極は、図13Aに示す上部バナナ型コネクタに接続した。下部バナナコネクタを、リード電極リザーバ(図13Bに示す方式における「b」)に配置された長さ3cm、直径0.4mmの白金ワイヤ電極に取り付けた。先行電解質リザーバから中央収集ウェル(図13Bに示す方式における「a」)に向かって移動する電解生成物からの起こり得る干渉を防ぐために、全長20cmの内径9mmの内部チャネルを装置の内部に穿孔した。装置の穿孔後の側面開口部は、ケイ素隔壁によって塞がれた。直径9mmの中央収集ウェルを装置に穿孔し、ゴム製Oリングで密封した可動式Ertacetal(登録商標)ロッドによって底部から閉じた。
全ての分析について、半透膜(Slide-A-Lyzer(商標)MINI透析ユニット2000 Da MWCO、Thermo Fisher Scientific、米国)を備えたプラスチックバイアルを、リード電極リザーバまで先行電解質で満たした後に中央収集ウェルに挿入した。体積を最小限に抑えるために、Slide-A-Lyserをカミソリ刃で半分に切断して、200マイクロリットル未満の体積を有する収集カップを生成した。次に、中心8mmの孔を有する0.3%アガロースゲルディスク(直径70mm、厚さ4mm)を先行電解質中に調製し、装置の中心に配置し、気泡の蓄積を避けるために同じく中心8mmの孔を有する75×1mmの円形ガラス板で覆った。様々な電気泳動分離モードを適用することができるが(例えば、ゾーン電気泳動、等電点電気泳動、又は変位電気泳動)、本発明者らは、先導(LE)及び終端(TE)電解質を含む電解質系を用いたエピタコフォレシスを使用した。ゲルディスクとリング電極との間の空間に、終端電解質中の試料溶液をシリンジによって塗布した。アニオン性試料成分がリング電極から装置中心の収集ウェルに向かって移動するように、電流接続の極性を選択した。集束された試料ゾーンが収集カップに入った後、電流をオフにし、試料を更なる使用のためにピペットで取り出した。空の回収カップを移動棒で持ち上げて廃棄した。
電気駆動分離条件
分離は、Clイオンが先行イオン(有効移動度79.1×10-9-1-1)として機能する負モードで行った。先行電解質(LE)は、pH6.2の100mM HCl-ヒスチジン緩衝液を含み、終端電解質(TE)は、TRISによってpH8.30に滴定された10mM TAPSを含んでいた。アガロース安定化先行電解質ディスクを、20mmの先行電解質(HCl-ヒスチジン;pH6.25)中で調製した。全ての緩衝液を脱イオン水中で調製した。電源は、PowerPac 3000(BioRad)によって提供され、これは2Wの定電力モードで実行された(これは分析開始時におよそ16mA及び120Vに相当する)。分析にはおよそ1時間を要した(分析終了時におよそ10mA及び200V)。
試料検出
試料を検出するために、表面抵抗率検出セルを構築し、市販のITP機器(Villa Labeco,Sp.N.Ves,スロヴァキア)の導電率検出器に接続した。検出セルを以下のように調製した:2本の白金(Pt)ワイヤ(300μm×長さ2cm)をITP機器に適合するコネクタに取り付けた。Ptワイヤの両端を1mLピペットチップに挿入し、次いで、迅速に硬化するエポキシ樹脂を充填した。最後に、内部にエポキシワイヤが埋め込まれたピペットチップの1mmを、2つの丸いPt電極を有する平坦なエポキシ表面を露出させるカミソリ刃によって切断した。図14A及び図14Bを参照されたい。検出セルを、図15Aに例示するように、収集バイアルに近いアガロースゲルディスクの表面に穏やかに接触する実験台に取り付けた。この検出システムを使用して、図15B及び図17Bの導電率トレースを生成した。
別の例示的なシステムもまた、エピタコフォレシス中の試料検出のために構築された。このシステムでは、図16A及び図16Bに示すように、直径500μmの2つの白金(Pt)ワイヤからなる表面抵抗率検出プローブを、エピタコフォレシス装置の下部基材(すなわち、下部プレート)内に組み込んだ。ワイヤの先端は、下部基材上の中心柱内の専用チャネルを介して下部から半透膜の近くにあった。ワイヤの両端を市販のITP装置(Villa Labeco,Sp.N.Ves、スロヴァキア)の導電率検出器に接続した。エピタコフォレシス装置として機能する上部プレートは、磁石を使用して下部基材と組み立てられ、一方、Oリング(図16Bを参照)は、漏れを防止するために2つの基材間の完全な封止を可能にした。
化学物質
緩衝剤成分:L-ヒスチジン一塩酸塩一水和物(99%)、L-ヒスチジン(99%)、N-トリス(ヒドロキシメチル)メチル-3-アミノプロパンスルホン酸(テープ;99.5%)及びトリス-(ヒドロキシメチル)アミノメタン(トリス;99.8%)は、Sigma-Aldrich(米国)から購入した。低電気内浸透を有するアガロース NEEO ultra-kuality Roti(登録商標)garoseをCarl Roth(ドイツ)から購入した。酢酸及びアニオン性染料Patent blue Vナトリウム塩は、Sigma-Aldrichから入手した。赤色アニオン性染料SPADNS(1,8-ジヒドロキシ-2-(4-スルホフェニルアゾ)ナフタレン-3,6-ジスルホン酸三ナトリウム塩は、Lachema,Brno、チェコ共和国から入手した。
SPADNSとPatent Blueのフォーカス
エピタコフォレシス及び電気試料検出を含む上記の例示的な装置を試験するために、装置を使用して試験分析物を集束及び検出した:SPADNS及びPatent Blue。先行電解質(LE):HCl-HISをpH6.2に緩衝した。後行電解質(TE):TAPS-TRISをpH8.3に緩衝した。ゲルは、20mmLE中の20mLのポリアクリルアミドゲル6%から形成された。100mMのLEを電極リザーバに添加した。試料溶液:15mLの10mMのTE+150μlの0.1mMのSPADNS+150μlの0.1mMのPatent Blue。ゲルディスクとリング電極との間の空間に、終端電解質中の試料溶液をシリンジによって塗布した。装置を、P=2Wで定電力モードで実行した。図15Aは、SPADNS及びPatent Blueの集束の画像を提供し、試料収集ウェル付近の導電率試料検出を示している。図15Bは、この試料集束のための導電率トレースを提供し、試料の集束ゾーン(SPADNS及びPatent Blue)を包含するLEとTEとの間の遷移による導電率/抵抗率の著しい変化を示している。
DNA分析
フルオレセインで標識された低分子量dsDNAラダー(75塩基対-bp~1622bpの10断片)は、Bio-Rad,米国製であった。収集した画分中のDNA濃度を、高感度dsDNA Qubit定量アッセイキットを使用することにより、Qubit蛍光光度計(Invitrogen(米国カリフォルニア州カールスバッド))を使用して評価した。試料中の標的分子の濃度は、DNAに結合した場合にのみ発光する蛍光染料によって報告した。回収した画分を、チップCGE-LIF機器Agilent 2100 Bioanalyzer(Agilent、米国カリフォルニア州サンタクララ)を用いて更に分析した。この分析により、高感度DNA試薬キット(Agilent、米国)を用いて、試料中の回収されたDNA断片のサイズ情報が得られた。
DNA集束
50bpを超えるDNA断片の電気泳動移動度は、遊離溶液中でおよそ37×10-9/Vsであり、短い断片(約20~50bp)は僅か約10%ずれることができる。これらの移動度に基づいて、本発明者らは、全ての試料DNA断片を単一の濃縮ゾーンに集束させるのに適した不連続電解質系を設計した。実験試験のために、本発明者らは、75から1632bpの範囲の断片サイズを有するフルオレセイン標識低分子範囲DNAラダーを選択した。DNA断片あたり1つのフルオロフォアのみを有する試料の蛍光を、半径2cmのレーザービームによって照射した(図17A)。表面抵抗率検出を使用して、収集ウェルに近いLE/TE境界の遷移を示した(図17Bに示す導電率トレース)。LEからTEへの抵抗率の全体的な変化を試料位置の指標として使用した。この変化に基づいて、電圧をオフにし、分離を停止した。収集した画分を、UV分光法(吸光度測定)(図17C)及びバイオアナライザベースの分析(図17D)の双方によって分析した。図17Dの前部及び後部マーカーのより低い信号強度(製造業者の指示にしたがって初期試料及び最終試料に同じ量で添加された)は、収集された画分中のより高いDNA濃度によるものであった。どちらの場合も、収集された画分の約30倍の濃度増加は、この例示的な実施形態では、開始時の15mLから280μlの試料収集体積までの試料体積の減少に対応した。収集カップに入る前の移動DNAゾーンの体積ははるかに小さく(約3μl)、最終画分濃度は、選択された収集バイアルの体積に主に依存する。
実施例8:電圧ベースの試料検出を伴うETP
本実施例では、ETP装置を使用して1mLの血漿からcfDNAを集束及び収集するために3回の独立したETP実行を行い、3回の独立したETP実行のそれぞれの時間経過中に電圧を測定した。3回のETP実行の各々は、75分の長さであった。各ETP実行の開始時の電力レベルは6Wであった。その後、電力レベルを30分で3Wに下げ、次いで60分で2Wに下げた。3つの独立したETP実行の各々の間に得られた結果を図18に示す。
ここで図18を参照すると、電力が一定に保たれた各段階において、電圧は徐々に増加した。最後の段階(2W出力、60分~75分)では、核酸分子を含む集束ゾーンが収集カップ内に移動したとき、電圧は65Vであった。3つの独立した実行のそれぞれを比較すると、電圧プロファイルは一貫していることが観察され、電源からの電圧フィードバックを使用して装置内の核酸分子の位置を監視できることが示された。
実施例9:光学ベースの試料検出を伴うETP
本実施例では、ETP実行中に核酸の位置を監視するために、着色染料を用いた光学検出を使用してETP実行を行った。核酸よりも低い電気泳動移動度を有する染料を使用して、核酸の位置の光学的追跡を可能にすることができる。例えば、そのような染料としては、ブリリアントブルーFCF、インジゴカルミン、サンセットイエローFCF、アルラレッド、ファーストグリーンFCF、パテントブルーV及びカルモイシンが挙げられる。本実施例では、2回の独立したETP実行を行って、光学マーカーとしてブリリアントブルー染料を使用して核酸分子を集束及び収集した(ETPの実行1:図19A~図19B;及びETPの実行2:図19C~図19Dを参照されたい)。
図19Aは、核酸分子の集束及び収集中にブリリアントブルー染料を光学マーカーとして使用し、SYBR-ゴールド染料を更に使用して核酸分子の位置を監視したETP実行中のETP装置の画像を示す。青色染料の電気泳動移動度は、核酸の電気泳動移動度よりも低く、したがって、青色染料は、核酸を含む集束ゾーンの後に移動した。汚染物質は、褐色の集束ゾーンとして現れた(図19Aを参照されたい)。図19Aの写真画像に加えて、ETP実行中に蛍光ベースの画像を撮影した(図19Bを参照されたい)。図19Bの蛍光ベースの画像は、SYBR-ゴールドで標識されたDNAを含むバンドを含む集束ゾーンがブリリアントブルー染料よりも速く移動したことを実証する。
図19Cは、核酸分子の集束及び収集中にブリリアントブルーを光学マーカーとして使用したETP実行中のETP装置の画像を示す。図19C及び図19DのETP実行のために、cfDNAを含む血漿試料を使用した。染料のバンドが収集ウェルに到達したら、ETPの実行を停止した。cfDNAを集束して収集した後、Agilent TapeStationシステム(図19Dを参照されたい)を用いて、集束して収集したcfDNA試料に対して分析を行った。電気泳動図(図19Dを参照されたい)は、ETP実行中に集束され収集された所望のcfDNA分子を表す179bpのピークを示し、それにより、核酸の位置を監視するためのブリリアントブルー染料の有用性を実証した。
実施例10:熱ベースの試料検出を伴うETP
本実施例では、DNAラダーの集束及び収集中に熱画像化を使用するETPの実行を行った。本実施例の熱画像化には、赤外線ベースの熱画像カメラ(SEEK thermal ShotPro)を使用した。さらに、蛍光イメージングを使用した。20分、40分、42分、及び44分の4つの連続した時点で、熱画像及び蛍光画像を撮影した。(図20A~図20Bを参照されたい)。さらに、電源からの電圧フィードバックをETP実行中に測定した。
図20Aは、ETP実行中の4つの時点:20分、40分、42分、及び44分で撮影された熱画像を示す。装置の中心の温度は、40分から44分の間に17℃(38℃から55℃)上昇し、その間に、図20Bで緑色蛍光環として見えるDNAラダーが中心収集カップ内に移動したことが観察された。
図20Cは、本実施例のETP実行中の経時的な電圧及び温度変化を示す。経時的な電圧変化の傾向は、経時的な温度変化の傾向と同様であることが観察された。したがって、電源からの電圧フィードバックは、装置内のDNAラダー分子の位置を監視するための追加の手段を提供した。
実施例11:ETPによる全核酸の単離/精製
エピタコフォレシス装置及び実験セットアップ(図21A~図21Bを参照されたい)を使用してETPを実行し、ホルマリン固定パラフィン包埋組織(「FFPET」)試料を含む試料からのDNA及びRNAを含む核酸の単離(精製)を行った。
FFPET試料から核酸を単離/精製するためにETPを設定及び実施する前に、ETP緩衝液、ETP装置のアガロースゲル、及び短縮透析ユニットを調製した。HCl-ヒスチジンpH6.25を含む先行電解質(「LE」)緩衝液を調製し、TAPS-Tris pH8.30を含む後行電解質(「TE」)緩衝液を調製した。ETP装置とともに使用されるアガロースゲルは、三角フラスコ中で所望のアガロース割合のゲルに適切な量のアガロースをLE緩衝液と混合することによって調製した。
また、FFPET試料から核酸を単離/精製するためにETPを設定及び実施する前に、FFPETカールの脱パラフィン化及び溶解によってFFPET試料を調製した。以下の実施例で更に論じるように、いくつかの例では、FFPETカールの脱パラフィン化及び溶解は、Promegaベースのプロトコルを使用して行われ、いくつかの例では、FFPETカールの脱パラフィン化及び溶解は、KAPA Express Extractベースのプロトコルを使用して行われた。
FFPET試料からの核酸のETPベースの単離/精製は、一般に以下のように進行した。まず、ETP装置を試料ローディング用に準備した。
一般に7mLのTE緩衝液及びおよそ110~220μlの上記のように調製した溶解したFFPET試料を含むFFPET試料溶液を調製し、ゲルと円形電極との間の間隙にピペットで入れた(図21A~図21Bを参照されたい)。ブリリアントブルー染料をマーカーとして使用した場合、30μlのブリリアントブルー溶液を添加した。
次に、ETP装置を電源に差し込むことによって電源を準備した。電源を2Wの一定電力に設定し、電源をオンにすることによっておよそ30~40分間ETPを行った。
いくつかの例では、試料を以下のように監視し、収集した。ブリリアントブルー染料を使用した例では、白色光(フィルタなし)を使用して染料の動きを監視した(図22A~図22Bを参照されたい)。染料が透析カップに完全に入ったら、ETPの実行を停止した。TE緩衝液及びゲルを除去し、ETP単離/精製試料を透析ユニットから収集した。
いくつかの例では、単離/精製試料に対してクリーンアップ工程を実施した。これらの例では、単離/精製ETP試料全体を3kDa又は10kDaカットオフフィルタのAmicon遠心フィルタ等のAmicon遠心フィルタに添加し、遠心分離に基づく浄化を行った。遠心分離に基づくクリーンアップの後、濃縮された核酸試料を収集し、この試料を、将来の使用の前に任意に-80°Cで保存した。
いくつかの例では、収集した核酸、例えばDNA及び/又はRNAの分析を、核酸の濃度を報告したQubit蛍光光度計(Invitrogen、米国カリフォルニア州カールスバッド)を使用して行った。いくつかの例では、収集した核酸、例えばDNA及び/又はRNAの分析を、Agilent TapeStationシステム(Agilent、米国カリフォルニア州サンタクララ)を使用して行った。この分析により、収集された核酸断片に関するサイズ情報が得られた。いくつかの例では、収集された核酸、例えばDNA及び/又はRNAの分析を、核酸の質を表すQスコアが得られたqPCRベースの分析を使用して行った。Qスコアは0(低品質)から1(高品質)の範囲であることに留意されたい。
実施例12:ETP、dsDNA収率分析、及びRNA収率分析によるFFPET試料からの全核酸単離/精製
本実施例では、ETPベースの単離/精製を使用して、4つの異なるCRCブロック(CRCブロック#1~CRCブロック#4)及び健康な隣接組織の2つの試料から全核酸含有量FFPET試料を単離/精製し、当該ETPベースの単離及び精製からのdsDNAの収率及びRNAの収率を、実施例8に一般的に記載されているようなPromegaカラムベースの方法のみを使用して得られたdsDNA及びRNAと比較した。dsDNA収率及びRNA収率をQubit蛍光光度計を使用して定量した。各実行の2~4回の複製を行い、統計学的に有意な結果はP<0.03のものであった。
ここで図23を参照すると、CRCブロック1~4及び健康な隣接組織からのdsDNAのETPベースの単離/精製により、各例において望ましいレベルのdsDNAが得られた。さらに、dsDNAのETPベースの単離/精製は、核酸入力が低い場合、例えば、CRCブロック3、CRCブロック4、健康な隣接組織#1及び健康な隣接組織#2において、Promegaカラムベースの方法を有意に上回ることが観察された。さらに、CRCブロック4及び健康な隣接組織2並びにCRCブロック1の結果は、P<0.03について統計学的に有意な結果を表したことに留意されたい。
ここで図24を参照すると、CRCブロック1~4及び健康な隣接組織試料からのRNAのETPベースの単離/精製により、各例で望ましいレベルのRNAが得られた。さらに、RNAのETPベースの単離/精製は、Promegaベースのカラム法と比較して同等又は増加した量のRNAを生じたことが観察された(図24を参照されたい)。
実施例13:FFPET試料のETPベースの単離/精製によって得られた核酸の分析
本実施例では、ETPベースの単離/精製によって得られた核酸をAgilent TapeStationベースの分析によって分析して、単離/精製されたdsDNAのサイズプロファイルを調べた。さらに、ETPベースの単離/精製によって得られたdsDNAを品質管理qPCRによって分析して、Qスコア(上記の核酸品質の尺度)を得た。図25Aのデータを生成するために4回のETPベースの単離/精製の実行を行い、これらのデータを4つの対照と比較した。さらに、CRCブロック1、2、3及び健康な隣接組織#2に由来する試料を用いた4回のETPベースの実行を行い、同じ4つの試料供給源、すなわちCRCブロック1、2、3及び健康な隣接組織#2を使用するPromegaカラムベースの方法を用いて得られたdsDNAのQスコアと比較した(図25B)。
ここで図25Aを参照すると、ETPベースの単離/精製によって得られたdsDNAは、主要なピークが約900bpのサイズであったため、比較的大きなdsDNAを含む一連のDNAサイズを収集し、更なるピークはおよそ7000bpであったことが観察された。図25Aに示された結果は、ETPベースの単離/精製によって得られたdsDNAのサイズプロファイルが対照のものと同様であることを実証した。
ここで図25Bを参照すると、ETPベースの単離/精製によって得られたdsDNAは、Promegaカラムベースの方法によって得られたdsDNAと比較して同様又は改善されたQスコアを有することが観察され、それにより、ETPベースの単離/精製を使用して高品質のdsDNAが得られたことが実証された。
実施例14:ETP及び核酸収率分析によるFFPET試料からの全核酸単離/精製
本実施例では、ETPベースの単離/精製を使用して、2つの異なるCRCブロックから全核酸含有量FFPET試料を単離/精製し、当該ETPベースの単離及び精製からのdsDNA及びRNAの収率を、実施例8に一般的に記載されているようなKAPAビーズベースの方法を使用して得られたdsDNA及びRNAと比較した。dsDNA収率及びRNA収率をQubit蛍光光度計を使用して定量した。各実行について2回の複製を行い、統計学的に有意な結果はP<0.05のものであった。さらに、FFPET試料調製のためのETP実行の前に、Promegaベースのプロトコルではなく、KAPA Express Extractベースのプロトコルが使用されたことに留意されたい。
ここで図26Aを参照すると、CRCブロック2及びCRCブロック4からのdsDNAのETPベースの単離/精製により、各例において望ましいレベルのdsDNAが得られた。さらに、dsDNAのETPベースの単離/精製は、KAPAビーズベースの方法と比較して、CRCブロック2からのdsDNAのより高い収率をもたらした。
ここで図26Bを参照すると、CRCブロック2及びCRCブロック4からのRNAのETPベースの単離/精製により、各例において望ましいレベルのRNAが得られた。さらに、dsDNAのETPベースの単離/精製は、KAPAビーズベースの方法と比較して、CRCブロック2からのRNAのより高い収率をもたらした。
実施例15:ETP及び核酸分析によるFFPET試料からの全核酸単離/精製
本実施例では、ETPベースの単離/精製を使用してFFPET試料から核酸を単離/精製し、収集した核酸をDNase I処置に供した。図27に示すように、別々のETP単離/精製試料に対して2つの異なるDNase I処置を行った:Sigma DNase I及びNEB DNase I+カラムクリーンアップさらに、ETPベースの単離/精製後に収集した4つの異なる核酸試料を、Agilent TapeStationベースの分析によってETPベースの試料及び対照試料のDNase処置の前後の両方で4つの対照試料と比較した(図28を参照されたい)。
ここで図27を参照すると、両方のDNase I処置は、試料のそれぞれに含まれるDNAの分解を示し、それによって上記の先の実施例のRNA結果を検証した。
ここで図28を参照すると、単離/精製核酸試料(対照及びETPベースの両方)は、DNaseI処置と一致するDNaseI処置の前後のサイズプロファイルの変化を示し、試料に含まれるDNAを効果的に分解し、それにより、上記の先の実施例のRNA結果を更に確認した。
実施例16:FFPET(結腸直腸癌)からのDNA及びRNAの同時抽出
本実施例では、本発明者らは、本明細書に記載のETP及び比較のためにPromega FFPET DNAカラムクリーンアップ(RNase工程を除外したことを除いて、製造者の指示に従う)を使用して、5つのCRC FFPETブロックからDNA及びRNAを抽出した。核酸収率を、Qubit蛍光光度計(ThermoFisher Scientific、カリフォルニア州カールスバッド)を使用して評価した。RNase処置及びDNAカラムのクリーンアップ後にDNA量を測定した。DNase処置及びRNAカラムのクリーンアップ後にRNA量を測定した。核酸の品質を、PCRのみによってETP単離材料及びDNAについて評定した。品質はQスコア(範囲0~1)で表される。結果を図29に示す。結果は、本明細書に開示される方法及び装置が、8/10試験において最先端の方法の性能を超えることを実証している。
各抽出方法について、2つの抽出レプリカをIlluminaプラットフォームでシーケンシングに供した。各レプリカに対して2回のシーケンシングの実行を行った(各抽出方法に対して4回のシーケンシング操作)。AVENIO Library Prepキット(Roche Sequencing Solutions、カリフォルニア州プレザントン)を使用して、シーケンシングライブラリーを調製し、標的濃縮を行った。シーケンシングの結果を図30に示す。本明細書に開示されるように単離された核酸を用いて得られたシーケンシングデータは、試験されたほぼ全ての測定基準において優れている。
前述の手順では、様々な工程が説明されている。しかしながら、添付の特許請求の範囲に記載された手順のより広い範囲から逸脱することなく、様々な修正及び変更を行うことができ、追加の手順を実施することができることは明らかであろう。

Claims (13)

  1. ホルマリン固定パラフィン包埋組織(「FFPET」)試料から核酸を単離する方法であって、前記方法が、
    i.先行電解質(LE)を含むゲル、中心電極、及び収集ウェルを取り囲む円形外側電極を備える、エピタコフォレシス(ETP)を行うための装置を提供すること、
    ii.FFPET試料から後行電解質(TE)中のFFPET試料溶液を調製すること、
    iii.前記装置に一定の電力を印加して、前記核酸を1つ以上の集束ゾーンに集束させることによって、エピタコフォレシスの実行を行うこと、並びに
    iv.前記1つ以上の集束ゾーンを前記収集ウェルから収集し、それによって単離された核酸の溶液を得ること、を含む、方法。
  2. 前記FFPET試料の調製が脱パラフィン及び溶解を含む、請求項1に記載の方法。
  3. 前記FFPET試料溶液が染料を更に含み、前記方法が、前記染料の移動を監視すること、及び前記染料が前記収集ウェルに到達したときに前記集束ゾーンを収集することを更に含む、請求項1に記載の方法。
  4. 前記核酸がDNAとRNAの組み合わせである、請求項1に記載の方法。
  5. 前記単離された核酸が所定のサイズである、請求項1に記載の方法。
    i.5.
  6. 前記単離された核酸の溶液をRNaseで処置することによってDNAを単離することを更に含む、請求項1に記載の方法。
  7. 前記単離された核酸の溶液をDNaseで処置することによってRNAを単離することを更に含む、請求項1に記載の方法。
  8. 前記先行電解質が、HCL-ヒスチジンを含む、請求項1に記載の方法。
  9. 前記後行電解質がMES又はTAPSを含む、請求項1に記載の方法。
  10. ホルマリン固定パラフィン包埋組織(「FFPET」)試料から核酸を単離するためのシステムであって、前記システムが、
    i.先行電解質(LE)含むゲル、試料装填領域、中心電極、及び収集ウェルを取り囲む円形外側電極を備える、エピタコフォレシス(ETP)を行うための装置と、
    ii.電源と、
    iii.前記収集ウェルから試料を収集するための手段と、を備えるシステム。
  11. 前記ゲルを通る前記核酸の移動を監視する手段を更に備える、請求項10に記載のシステム。
  12. 前記監視を前記収集に結合する手段を更に備える、請求項10に記載のシステム。
  13. 試料を前記試料装填領域に装填するための手段を更に備える、請求項10に記載のシステム。
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