JP2023519045A - 反射防止フィルム - Google Patents

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Abstract

本発明は、ハードコート層、および低屈折層を含み、中空状無機ナノ粒子およびソリッド状無機ナノ粒子を含み、1.5nm~22nmの厚さを有する粒子混在層が前記低屈折層内に存在し、CIE Lab色空間でb*値の絶対値が4以下である反射防止フィルム、前記反射防止フィルムを含む偏光板、ディスプレイ装置および有機発光ダイオードディスプレイ装置に関する。

Description

[関連出願の相互参照]
本出願は、2020年3月16日付の韓国特許出願第10-2020-0032251号、2020年3月16日付の韓国特許出願第10-2020-0032253号、2021年3月16日付の韓国特許出願第10-2021-0033696号、および2021年3月16日付の韓国特許出願第10-2021-0033702号に基づく優先権の利益を主張し、当該韓国特許出願の文献に開示された全ての内容は本明細書の一部として含まれる。
本発明は、反射防止フィルム、偏光板、ディスプレイ装置、および有機発光ダイオードディスプレイ装置に関する。
一般に、PDP、LCDなどの平板ディスプレイ装置には、外部から入射する光の反射を最小化するための反射防止フィルムが装着される。
光の反射を最小化するための方法としては、樹脂に無機微粒子などのフィラーを分散させて基材フィルム上にコーティングし凹凸を付与する方法(anti-glare:AGコーティング);基材フィルム上に屈折率が異なる複数の層を形成させて光の干渉を利用する方法(anti-reflection:ARコーティング)またはこれらを混用する方法などがある。
そのうち、前記AGコーティングの場合、反射する光の絶対量は一般的なハードコーティングと同等の水準であるが、凹凸を通した光の散乱を利用して目に入る光の量を減らすことによって低反射効果を得ることができる。しかし、前記AGコーティングは、表面の凹凸によって画面の鮮明度が低下するため、最近はARコーティングに関する多くの研究が行われている。
前記ARコーティングを利用したフィルムとしては、基材フィルム上にハードコート層(高屈折率層)、低反射コーティング層などが積層された多層構造のものが商用化されている。しかし、このような複数の層を形成させる方法は、各層を形成する工程を別途に行うことによって、層間密着力(界面接着力)が弱く耐スクラッチ性が低下するという欠点がある。
また、従来は反射防止フィルムに含まれる低屈折層の耐スクラッチ性を向上させるためにナノメートルサイズの多様な粒子(例えば、シリカ、アルミナ、ゼオライトなどの粒子)を添加する方法が主に試みられた。しかし、前記のようにナノメートルサイズの粒子を用いる場合、低屈折層の反射率を下げ、かつ耐スクラッチ性を同時に高めることには限界があり、ナノメートルサイズの粒子によって低屈折層の表面が有する防汚性が大きく低下した。
これにより、外部から入射する光の絶対反射量を低減しながら表面の耐スクラッチ性と共に防汚性を向上させるための多くの研究が行われているが、これによる物性改善の程度が不十分であるのが現状である。
本発明は、高い透光率を有し、かつ高い耐スクラッチ性および防汚性を同時に実現することができ、低い反射率を実現しながらも無色透明な特性を有する反射防止フィルムを提供するものである。
また、本発明は、前記反射防止フィルムを含む偏光板を提供するものである。
また、本発明は、前記反射防止フィルムを含むディスプレイ装置を提供するものである。
また、本発明は、前記反射防止フィルムを含む有機発光ダイオードディスプレイ装置を提供するものである。
本発明は、ハードコート層、および低屈折層を含み、中空状無機ナノ粒子およびソリッド状無機ナノ粒子を含み、1.5nm~22nmの厚さを有する粒子混在層が前記低屈折層内に存在し、CIE Lab色空間でb*値の絶対値が4以下である、反射防止フィルムが提供される。
また、本発明は、前記反射防止フィルムおよび偏光子を含む偏光板が提供される。
また、本発明は、前記反射防止フィルムを含むディスプレイ装置が提供される。
また、本発明は、前記反射防止フィルムを含む有機発光ダイオードディスプレイ装置が提供される。
以下、発明の具体的な実施形態による反射防止フィルム、偏光板およびディスプレイ装置、有機発光ダイオードディスプレイ装置についてより詳しく説明する。
本明細書において、光重合性化合物は、光が照射されると、例えば、可視光線または紫外線が照射されると、重合反応を起こす化合物を通称する。
また、含フッ素化合物は、化合物中に少なくとも1個以上のフッ素元素が含まれている化合物を意味する。
また、(メタ)クリル[(Meth)acryl]は、アクリル(acryl)およびメタクリル(Methacryl)の両方ともを含む意味である。
また、(共)重合体は、共重合体(co-polymer)および単独重合体(homo-polymer)の両方ともを含む意味である。
また、中空シリカ粒子(silica hollow particles)とは、ケイ素化合物または有機ケイ素化合物から導出されるシリカ粒子であって、前記シリカ粒子の表面および/または内部に空き空間が存在する形態の粒子を意味する。
また、低屈折層は、反射防止フィルム内の他の層、例えば、ハードコート層に比べて低い屈折率を有する層を意味する。
例えば、前記低屈折層は、波長550nmで1.65以下、または1.60以下、または1.57以下、または1.55以下、または1.53以下の屈折率を有し得る。
発明の一実施形態によれば、ハードコート層、および低屈折層を含み、中空状無機ナノ粒子およびソリッド状無機ナノ粒子を含み、1.5nm~22nmの厚さを有する粒子混在層が前記低屈折層内に存在し、CIE Lab色空間でb*値の絶対値が4以下である、反射防止フィルムが提供される。
低屈折層およびハードコート層を含む反射防止フィルムが低い屈折率、例えば、波長550nmでの1.5%以下の反射率を有する場合、緑色領域での反射率に対して青色領域での反射率が高くなる。これにより、反射防止層が青色を帯びることになり、偏光板またはディスプレイ装置に適用するのに適さない程度の不透明性または有色性を有する場合がある。
そこで、本発明者らは反射防止フィルムに関する研究を進行して、反射防止フィルムに含まれる低屈折層内に中空状無機ナノ粒子およびソリッド状無機ナノ粒子を含み、所定の厚さを有する粒子の混在層を形成させると、低い反射率を実現しながらも青色を帯びた程度を顕著に減らして無色透明な特性を有し得ることを実験を通して確認して、発明を完成した。また、前記反射防止フィルムは、上述した特徴と共に高い透光率を有し、かつ、高い耐スクラッチ性および防汚性を同時に実現できる特徴を有する。
上述のように前記粒子混在層の存在によって、前記反射防止フィルムが低い反射率を実現しながらも無色透明な特性を有することができ、したがって、前記低屈折層が中空状無機ナノ粒子およびソリッド状無機ナノ粒子を含むことによって高い透光率を有し、かつ高い耐スクラッチ性および防汚性を同時に実現することができる。
具体的には、前記反射防止フィルムは、前記低屈折層内に前記所定の厚さを有する粒子混在層を含み、CIE Lab色空間でb*の絶対値が4以下、または3以下、または2以下、または1.5以下である特性を有し得る。
前記CIE Lab色空間での各数値は、前記色空間の各座標を測定する一般的な方式を適用して測定することができ、例えば、測定位置に積分球形態の検出器(detector)を有する装置(spectrophotometer)(例えば.CM-2600d、コニカミノルタ社製)を位置させた後に製造会社のマニュアルによって測定することができる。一例として、前記CIE Lab色空間の各座標は、前記偏光子または偏光板を液晶パネル、例えば、前記高反射液晶パネルに付着した状態で測定することができ、前記偏光子または偏光板自体に対して測定することもできる。
前記CIE Lab色空間は、人間視覚の拮抗理論に基づいてCIE XYZ色空間を非線形変換した色空間である。このような色空間でL*値は明るさを示し、L*値が0であると、黒色、L*値が100であると、白色を示す。また、a*値が負数であると、緑色に偏った色になり、正数であると、赤色に偏った色になる。また、b*値が負数であると、青色に偏った色になり、b*値が正数であると、黄色に偏った色になる。
つまり、前記反射防止フィルムは、CIE Lab色空間でb*値の絶対値が4以下、または3以下、または2以下、または1.5以下である特性を有することによって、低い反射率を実現しながらも赤色や緑色を帯びる程度を顕著に減らして無色透明な特性を有し得る。
より具体的には、前記反射防止フィルムの波長550nmでの反射率が0.5%超1.5%以下、または0.55%~1.35%、または0.59~1.32%であり、このような低い反射率を実現しながらもCIE Lab色空間でb*値の絶対値が4以下、または3以下、または2以下、または1.5以下である特性を有し得る。
このように、低い反射率を実現しながらCIE Lab色空間でb*値の絶対値を低い水準に維持することによって、前記反射防止フィルムは高いコントラスト比および輝度を有するディスプレイに容易に適用され、色再現率が高い性能を実現することができる。
また、前記反射防止フィルムが有する波長550nmでの反射率に対して波長400nmでの反射率の比率が1.3~2.7、または1.5~2.5であり得る。
前記反射防止フィルムは、波長550nmでの反射率に対して波長400nmでの反射率の比率が1.3~2.7、または1.5~2.5、または1.40~2.30である特性を満たすことによって、前記反射防止フィルムは、緑色領域での反射率に対して青色領域での反射率が低い光学特性を有することができ、したがって、低い反射率を実現しながらも無色透明な特性を有し得る。
前記反射防止フィルムが有する波長550nmでの反射率に対して波長400nmでの反射率の比率が2.7を超える場合、前記反射防止フィルムは青色を帯びることになり、偏光板またはディスプレイ装置に適用するには適さない程度の不透明性または有色性を有し得る。特に、波長550nmでの反射率に対して波長400nmでの反射率の比率が2.7を超える反射防止フィルムの場合、有機発光ダイオードディスプレイ装置の色再現力を低下させることがある。
前記反射防止フィルムの波長550nmでの反射率に対して波長400nmでの反射率の比率が1.3~2.7を満たす範囲で、前記反射防止フィルムの波長550nmでの反射率は0.5%超1.5%以下、または0.55%~1.35%、または0.59~1.32%であり、また、前記反射防止フィルムの波長400nmでの反射率は1.0%~3.50%、または1.20%~2.60%であり得る。
また、前記反射防止フィルムの上述した特徴を有するために、前記低屈折層内に中空状無機ナノ粒子およびソリッド状無機ナノ粒子を含み、1.5nm~22nm、または2.0nm~20nm、2.2nm~18.5nmの厚さを有する粒子混在層が存在することがある。
前記粒子混在層の厚さが薄すぎると、反射防止層内での相殺干渉が十分に起こらず、b*値の絶対値が4を超えることがある。
また、前記粒子混在層の厚さが厚すぎる場合でも、前記反射防止フィルムが有するCIE Lab色空間でb*値の絶対値が4を超えることがあり、したがって、前記反射防止フィルムの透明度などの光学特性が低下することがある。
一方、上述のように、前記粒子混在層は、中空状無機ナノ粒子およびソリッド状無機ナノ粒子を含み、これらの体積比や分布の様相が大きく限定されるものではない。
前記粒子混在層の屈折率や厚さは多様な光学測定方法によって確認することができ、例えば、偏光解析法(ellipsometry)で測定した偏極の楕円率を拡散層モデル(Diffuse layer model)で最適化(fitting)する方法などにより確認することもできる。
前記偏光解析法(ellipsometry)で測定した偏極の楕円率および関連データ(Ellipsometry data(Ψ、Δ))は、公知の方法および装置を用いて測定することができる。例えば、前記低屈折層に含まれている粒子混在層または他の領域に対して、J.A.Woollam Co.M-2000の装置を用いて、70°の入射角を適用して380nm~1000nmの波長範囲で線偏光を測定することができる。
前記測定された線偏光測定データ(Ellipsometry data(Ψ、Δ))はComplete EASEソフトウェアを用いて、混在層に対しては拡散層モデル(Diffuse layer model)を混在層の下層、上層に対しては下記一般式1のコーシーモデル(Cauchy model)で前記2つの層に区分して適用してMSEが5以下となるように最適化(fitting)することができる。
前記中空状無機ナノ粒子およびソリッド状無機ナノ粒子を含む粒子混在層に対しては、前記測定された線偏光測定データを下記一般式1のコーシーモデル(Cauchy model)で最適化することでは、その厚さなどが定義できない。
前記低屈折層に含まれている粒子混在層の厚さおよび屈折率の範囲が上記の範囲を満たす場合、各層間の屈折率の急激な差を緩和させ、これにより、前記反射防止フィルムが低い反射率を実現しながらもCIE Lab色空間でb*値の絶対値を低い水準に維持することができる。
一方、前記低屈折層に含まれるバインダー樹脂の組成や粒子の種類や含有量、低屈折層の形成時、具体的な工程(例えば、コーティング速度やコーティング方法または乾燥条件など)、ハードコート層の特性などを調節して、前記低屈折層内に粒子混在層を形成することができる。
このような例は、前記粒子混在層の形成のための方法や手段の例示に過ぎず、上記の方法や手段を同時に使用しても前記低屈折層内に粒子混在層が形成されるものではなく、低屈折層を形成する細部材料およびこれらの含有量、低屈折層の厚さ、ハードコート層の細部材料およびこれらの含有量、ハードコート層の表面特性および厚さなどによって調整可能である。つまり、前記低屈折層内に粒子混在層の存在およびこれに伴う効果は、明細書の記載内容や実施形態に基づいて実現可能である。
例えば、前記反射防止フィルムに含まれるハードコート層は、光硬化性樹脂を含むバインダー樹脂および前記バインダー樹脂に分散した有機または無機微粒子を含むことができ、このようなハードコート層上にバインダー樹脂、および中空状無機ナノ粒子およびソリッド状無機ナノ粒子を含む低屈折層を所定の条件によって形成する場合前記粒子混在層が存在することがある。
また、前記反射防止フィルムに含まれるハードコート層は34mN/m超、または34mN/m超60mN/m以下、34.2mN/m以上59mN/m以下、または34.5mN/m以上58mN/m以下、または35mN/m~55mN/mの表面エネルギーを有し得るが、このような数値の範囲の表面エネルギーを有するハードコート層上にバインダー樹脂、および中空状無機ナノ粒子およびソリッド状無機ナノ粒子を含む低屈折層が形成される場合、界面の高い表面エネルギーによる低屈折層内での表面エネルギーの最適化過程で上述した粒子混在層が形成される。
前記ハードコート層が有する表面エネルギーは、前記ハードコート層の表面特性を調節することによって得られる。例えば、前記ハードコート層の表面硬化度、乾燥条件などを調節することによって、前記ハードコート層が有する表面エネルギーを調節することができる。
具体的には、前記ハードコート層の形成過程で硬化条件、例えば、光照射量または光照射の強さや注入される窒素流量などを調節することによって、前記ハードコート層の硬化度を調節することができる。例えば、前記ハードコート層は、窒素の大気条件を適用するために窒素置換(purging)した状態で、前記ハードコート層を形成する樹脂組成物を5~100mJ/cm、または10~25mJ/cmの露光量で紫外線を照射して得られる。
前記表面エネルギーは、公知の測定装置、例えば、Kruss社製のDSA-100接触角測定装置を用いてdi-water(Gebhardt)とdi-iodomethane(Owens)の接触角を10ポイント(point)と測定して平均値を得た後、平均接触角を表面エネルギーに換算して測定することができる。具体的には、前記表面エネルギーの測定において、Drop shape Analysisソフトウェアを使用し、OWRK(Owen,Wendt,Rable,Kaelble)法の下記一般式2をプログラム上に適用して接触角を表面エネルギーに換算することができる。
Figure 2023519045000001
また、後述のように低屈折層の形成時、乾燥温度、風量調節などを適用することによって前記粒子混在層が形成される。
具体的には、前記低屈折層の形成過程で乾燥条件、例えば、吸気または排気量を調節することによって、乾燥過程で風量を調節することができる。例えば、前記低屈折層のコーティング後乾燥過程で風量を0.5m/s以上、または0.5m/s~10m/s、または0.5m/s~8m/s、または0.5m/s~5m/sで行うこともできる。
より具体的には、前記ハードコート層の一面上に前記低屈折層が形成され、前記粒子混在層は、前記ハードコート層の一面から12nm以上、または15nm~60nm、または16nm~50nmの距離に位置し得る。
前記粒子混在層と前記ハードコート層の一面の間の距離が特に限定されるものではないが、前記粒子混在層は、前記ハードコート層の一面から12nm以上の距離をもって位置することによって、低屈折層内で層間の屈折率の急激な差を緩和させる役割を果たすので、短波長での反射率パターンの傾きの絶対値が低くなる。
前記粒子混在層が、前記ハードコート層の一面から12nm未満の領域に位置する場合、低屈折層内で層間の屈折率の差を緩和させる効果は制限的であるので、反射率パターンの傾きの絶対値が十分に見つからない。
前記粒子混在層と前記ハードコート層との間の距離は、前記ハードコート層の面方向を基準にして前記ハードコート層の一面と前記粒子混在層との間の距離のうち、最短距離とすることができる。または、前記粒子混在層と前記ハードコート層との間の距離は、前記ハードコート層の一面から前記粒子混在層の間の領域の厚さで定義することができる。
前記ハードコート層の一面から前記粒子混在層の間の領域が存在することは、偏光解析法(ellipsometry)で確認することができる。前記粒子混在層や前記ハードコート層の一面から前記粒子混在層の間の領域のそれぞれに対して、偏光解析法(ellipsometry)で測定した偏極の楕円率を下記一般式1のコーシーモデル(Cauchy model)で最適化したとき、特定のコーシーパラメータA、BおよびCを有することになり、したがって、前記粒子混在層や前記ハードコート層の一面から前記粒子混在層の間の領域のそれぞれは互いに区分される。
具体的には、前記低屈折層に対して、J.A.Woollam社製のM-2000の装置を用いて、70°の入射角を適用して380nm~1000nmの波長範囲で線偏光を測定することができる。前記測定された線偏光測定データ(Ellipsometry data(Ψ、Δ))を、Complete EASEソフトウェアを用いて、前記低屈折率層または低屈折層内の細部層に対して下記一般式1のコーシーモデル(Cauchy model)で最適化(fitting)することができる。
Figure 2023519045000002
前記一般式1中、n(λ)はλ波長での屈折率(refractive index)であり、λは300nm~1800nmの範囲であり、A、BおよびCはコーシーパラメータである。
また、前記偏光解析法(ellipsometry)で測定した偏極の楕円率を前記一般式1のコーシーモデル(Cauchy model)および拡散層モデル(Diffuse Layer Model)で最適化(fitting)して前記粒子混在層や前記ハードコート層の一面から前記粒子混在層の間の領域のそれぞれの厚さも導出されるので、前記低屈折層内で前記粒子混在層や前記ハードコート層の一面から前記粒子混在層の間の領域のそれぞれを定義することができる。
より具体的には、前記ハードコート層の一面上に前記低屈折層が形成され、前記低屈折層は、バインダー樹脂に分散した中空状無機ナノ粒子およびソリッド状無機ナノ粒子を含むことができ、このとき、前記低屈折層で前記ソリッド状無機ナノ粒子全体中の50体積%以上、または60体積%以上、または70体積%以上、または上記の数値以上または95体積%以下が、前記ハードコート層の一面から前記粒子混在層の間に存在することがある。
このように、前記ソリッド状無機ナノ粒子が前記ハードコート層の一面から前記粒子混在層の間の領域に主に分布することによって、前記ハードコート層の一面から前記粒子混在層の間の領域は、波長550nmで1.46~1.65の屈折率を有することができる。
「前記ソリッド状無機ナノ粒子全体中の50体積%以上が特定領域に存在する」とは、前記低屈折層の断面において前記ソリッド状無機ナノ粒子が前記特定領域にほとんど存在するという意味で定義され、具体的には、前記ソリッド状無機ナノ粒子全体中の70体積%以上は、前記ソリッド状無機ナノ粒子全体の体積を測定して確認することができる。
例えば、前記ソリッド状無機ナノ粒子および中空状無機ナノ粒子それぞれの主に分布する領域それぞれが低屈折層内に存在することを可視的に確認できる。例えば、透過電子顕微鏡(Transmission Electron Microscope)または走査電子顕微鏡(Scanning Electron Microscope)などを用いて個別層または個別領域のそれぞれが低屈折層内に存在することを可視的に確認することができ、また、低屈折層内で当該層または当該領域のそれぞれに分布するソリッド状無機ナノ粒子および中空状無機ナノ粒子の比率を確認することもできる。
また、前記低屈折層において、前記中空状無機ナノ粒子全体中の50体積%以上、または60体積%以上、または70体積%以上、または上記の数値以上または95体積%以下が、前記粒子混在層から前記ハードコート層と対向する低屈折層の一面までの領域に存在することがある。前記ハードコート層と対向する低屈折層の一面は、前記ハードコート層と接する面と反対方向に位置する他面を意味する。
このように、前記中空状無機ナノ粒子が前記粒子混在層から前記ハードコート層と対向する低屈折層の一面までの領域に主に分布することによって、前記粒子混在層から前記ハードコート層と対向する低屈折層の一面までの領域は波長550nmで1.0~1.40の屈折率を有する。
前記反射防止フィルムの低屈折層では上述した粒子混在層が存在し、かつ、前記ハードコート層と前記低屈折層の間の界面近くにソリッド状無機ナノ粒子が主に分布し、前記界面の反対面側には中空状無機ナノ粒子が主に分布するが、前記ソリッド状無機ナノ粒子および中空状無機ナノ粒子それぞれが主に分布する領域が低屈折層内で可視的に確認される独立した層を形成することができる。
具体的には、前記反射防止フィルムの低屈折層のうちの前記ハードコート層と前記低屈折層の間の界面近くにソリッド状無機ナノ粒子を主に分布させ、前記界面の反対面側には中空状無機ナノ粒子を主に分布させる場合、以前に無機粒子を使用して得られていた実際の反射率に比べてより低い反射率を達成することができ、大きく向上した耐スクラッチ性および防汚性を共に実現することができる。
そして、前記実施形態の反射防止フィルムにおいては、低屈折層内でソリッド状無機ナノ粒子および中空状無機ナノ粒子が偏在する領域を前記粒子混在層を基準にして区分し、これにより、前記反射防止フィルムは、波長550nmでの反射率が0.5%超1.5%以下で、かつ、CIE Lab色空間でb*値の絶対値が4以下、または3以下、または2以下、または1.5以下であり、したがって、低い反射率を実現しながらも青色を帯びる程度を顕著に減らして無色透明な特性を有し得る。
また、前記ハードコート層の一面から前記粒子混在層の間の領域および前記粒子混在層から前記ハードコート層と対向する低屈折層の一面までの領域それぞれは個別層に区分され、上述のように、これらの個別層に分布するソリッド状無機ナノ粒子および中空状無機ナノ粒子の比率を区分することもできる。
より具体的には、前記ハードコート層の一面から前記粒子混在層の間の領域に対して偏光解析法(ellipsometry)で測定した偏極の楕円率を下記一般式1のコーシーモデル(Cauchy model)で最適化(fitting)したとき、下記Aは1.00~1.65であり、Bは0.0010~0.0350であり、Cは0~1*10-3の条件を満たす。
また、前記ハードコート層の一面から前記粒子混在層の間の領域に対して、下記Aは1.25~1.55、1.30~1.53、または1.40~1.52であり、かつ、下記Bは0.0010~0.0150、0.0010~0.0080、または0.0010~0.0050であり、かつ、下記Cは0~8.0*10-4、0~5.0*10-4、または0~4.1352*10-4の条件を満たす。
Figure 2023519045000003
前記一般式1中、n(λ)はλ波長での屈折率(refractive index)であり、λは300nm~1800nmの範囲であり、A、BおよびCはコーシーパラメータである。
また、前記粒子混在層から前記ハードコート層と対向する低屈折層の一面までの領域に対して偏光解析法(ellipsometry)で測定した偏極の楕円率を前記一般式1のコーシーモデル(Cauchy model)で最適化(fitting)したとき、前記Aは1.00~1.50であり、Bは0~0.007であり、Cは0~1*10-3の条件を満たす。
また、前記粒子混在層から前記高分子樹脂層と対向する光学機能層の一面までの領域に対して、前記Aは1.00~1.40、1.00~1.39、1.00~1.38、または1.00~1.37であり、かつ、前記Bは0~0.0060、0~0.0055、または0~0.00513であり、かつ、前記Cは0~8*10-4、0~5.0*10-4、または0~4.8685*10-4の条件を満たす。
一方、前記粒子混在層、前記ハードコート層の一面から前記粒子混在層の間の領域および前記粒子混在層から前記ハードコート層と対向する低屈折層の一面までの領域のそれぞれは、一つの層内で共通した光学特性を共有することができ、したがって、一つの層と定義することができる。
より具体的には、前記粒子混在層、前記ハードコート層の一面から前記粒子混在層の間の領域および前記粒子混在層から前記ハードコート層と対向する低屈折層の一面までの領域のそれぞれは、偏光解析法(ellipsometry)で測定した偏極の楕円率を前記一般式1のコーシーモデル(Cauchy model)で最適化(fitting)したとき、特定のコーシーパラメータA、BおよびCを有し、これによって第1層および第2層は互いに区分される。また、前記偏光解析法(ellipsometry)で測定した偏極の楕円率を前記一般式1のコーシーモデル(Cauchy model)で最適化(fitting)してそれぞれの層の厚さも導出されるので、前記低屈折層内でそれぞれの層を定義することができる。
一方、前記偏光解析法(ellipsometry)で測定した偏極の楕円率を前記一般式1のコーシーモデル(Cauchy model)で最適化(fitting)したとき、導出されるコーシーパラメータA、BおよびCは一つの層内での平均値であり得る。したがって、前記それぞれの層の間に界面が存在する場合、前記それぞれの層が有するコーシーパラメータA、BおよびCと重なる領域が存在することがある。ただし、このような場合でも、前記それぞれの層のそれぞれが有するコーシーパラメータA、BおよびCの平均値を満たす領域に応じて、前記それぞれの層の厚さおよび位置を特定することができる。
また、前記中空状無機ナノ粒子およびソリッド状無機ナノ粒子が特定領域に存在するか否かを、それぞれの中空状無機ナノ粒子またはソリッド状無機ナノ粒子が前記特定領域内に粒子が存在するか否かにより決定し、前記特定領域の境界面にわたって存在する粒子を除いて決定する。
前記低屈折層で前記ソリッド状無機ナノ粒子および中空状無機ナノ粒子の特異的分布は後述する特定の製造方法で、前記ソリッド状無機ナノ粒子と中空状無機ナノ粒子の間の密度の差を調節し、前記2種のナノ粒子を含む低屈折層形成用光硬化性樹脂組成物の乾燥温度を調節するなどの方法および上述した粒子混在層の形成方法などにより得られる。
具体的には、前記ソリッド状無機ナノ粒子は、前記中空状無機ナノ粒子に比べて0.50g/cm以上高い密度を有し、また、前記ソリッド状無機ナノ粒子と前記中空状無機ナノ粒子の間の密度の差は、0.50g/cm~3.00g/cm、または0.50g/cm~2.50g/cm、または0.50g/cm~2.00g/cm、または0.60g/cm~2.00g/cmであり得る。
このような密度の差によって前記ハードコート層上に形成される低屈折層で前記ソリッド状無機ナノ粒子がハードコート層側にさらに近くに位置し得る。
ただし、前記ソリッド状無機ナノ粒子が、前記中空状無機ナノ粒子との密度の差が大きすぎる場合、前記ソリッド状無機粒子が低屈折層とハードコート層の界面に集中して偏在しているか、または前記低屈折層の形成過程で粒子の移動および偏在が円滑に進行しないことがあり、低屈折層の表面に染みが発生するか、または低屈折層のヘイズ(Haze)が大きく上昇して透明度が低下することがある。
前記ソリッド状無機ナノ粒子の具体的な種類としては、ジルコニア、チタニア、五酸化アンチモン、シリカまたは酸化スズなどが挙げられる。
また、前記中空状無機ナノ粒子の具体的な種類としては、中空シリカなどが挙げられる。
一方、前記低屈折層は、バインダー樹脂、および前記バインダー樹脂に分散した中空状無機ナノ粒子およびソリッド状無機ナノ粒子を含むことができる。
前記実施形態の光硬化性コーティング組成物に含まれる光重合性化合物は、製造される低屈折層のバインダー樹脂の基材を形成することができる。
具体的には、前記光重合性化合物は、(メタ)アクリレートまたはビニル基を含む単量体またはオリゴマーを含むことができる。より具体的には、前記光重合性化合物は、(メタ)アクリレートまたはビニル基を1以上、または2以上、または3以上含む単量体またはオリゴマーを含むことができる。
前記(メタ)アクリレートを含む単量体またはオリゴマーの具体例としては、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールヘプタ(メタ)アクリレート、トリレンジイソシアネート、キシレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンポリエトキシトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ブタンジオールジメタクリレート、ヘキサエチルメタクリレート、ブチルメタクリレートまたはこれらの2種以上の混合物、またはウレタン変性アクリレートオリゴマー、エポキシドアクリレートオリゴマー、エーテルアクリレートオリゴマー、テンドリティックアクリレートオリゴマー、またはこれらの2種以上の混合物が挙げられる。この時、前記オリゴマーの重量平均分子量は1,000~10,000であることが好ましい。
前記ビニル基を含む単量体またはオリゴマーの具体例としては、ジビニルベンゼン、スチレンまたはパラメチルスチレンが挙げられる。
前記光硬化性コーティング組成物中の前記光重合性化合物の含有量が特に限定されるものではないが、最終的に製造される低屈折層や反射防止フィルムの機械的物性などを考慮して、前記光硬化性コーティング組成物の固形分中の前記光重合性化合物の含有量は、5重量%~80重量%であり得る。前記光硬化性コーティング組成物の固形分は、前記光硬化性コーティング組成物中の液状成分、例えば、後述のように選択的に含まれる有機溶媒などの成分を除いた固体の成分のみを意味する。
前記ソリッド状無機ナノ粒子は100nm以下の最大直径を有し、その内部に空き空間が存在しない形態の粒子を意味する。
また、前記中空状無機ナノ粒子は200nm以下の最大直径を有し、その表面および/または内部に空き空間が存在する形態の粒子を意味する。
前記ソリッド状無機ナノ粒子は0.5~100nm、または1~50nm、または5~30nm、または10~20nmの直径を有する。
前記中空状無機ナノ粒子は1~200nm、または10~100nm、または50~120nm、または30~90nm、または40~80nmの直径を有する。
前記中空状無機ナノ粒子の直径は、前記ソリッド状無機ナノ粒子の直径と異なってもよい。
また、前記中空状無機ナノ粒子の直径は、前記ソリッド状無機ナノ粒子の直径より大きくてもよい。
前記ソリッド状無機ナノ粒子および前記中空状無機ナノ粒子それぞれの直径は、断面で確認される前記ナノ粒子の最長直径を意味する。
一方、前記ソリッド状無機ナノ粒子および前記中空状無機ナノ粒子それぞれは、表面に(メタ)アクリレート基、エポキシド基、ビニル(Vinyl)基、およびチオール(Thiol)基からなる群より選択される1種以上の反応性官能基を含有し得る。前記ソリッド状無機ナノ粒子および前記中空状無機ナノ粒子それぞれが表面に上述した反応性官能基を含有することによって、前記低屈折層は、より高い架橋度を有することができ、これにより、さらに向上した耐スクラッチ性および防汚性を確保することができる。
前記低屈折層は、前記光硬化性コーティング組成物を所定の基材上に塗布し、塗布された結果物を光硬化することによって得られる。前記基材の具体的な種類や厚さは特に限定されるものではなく、低屈折層または反射防止フィルムの製造に通常使用される基材を特に制限なく使用することができる。
前記光硬化性コーティング組成物を塗布するのに通常用いられる方法および装置を格別の制限なく使用可能であり、例えば、Meyer barなどのバーコーティング法、グラビアコーティング法、2ロールリバース(2roll reverse)コーティング法、バキュームスロットダイ(vacuum slot die)コーティング法、2ロール(2roll)コーティング法などを使用することができる。
前記低屈折層は、20nm~240nm、または50nm~200nm、または80nm~180nmの厚さを有する。
前記光硬化性コーティング組成物を光硬化させる段階では、200~400nmの波長の紫外線または可視光線を照射することができ、照射時の露光量は100~4,000mJ/cmであることが好ましい。露光時間も特に限定されるものではなく、用いられる露光装置、照射光線の波長または露光量に応じて適切に変更可能である。
また、前記光硬化性コーティング組成物を光硬化させる段階では、窒素雰囲気条件を適用するために窒素置換(purging)などを行うことができる。
一方、前記低屈折層に含まれるバインダー樹脂は、光重合性化合物の(共)重合体および光反応性官能基を含む含フッ素化合物の間の架橋(共)重合体を含むことができる。
上述した低屈折層は、光重合性化合物、光反応性官能基を含む含フッ素化合物、中空状無機ナノ粒子、ソリッド状無機ナノ粒子および光開始剤を含む光硬化性コーティング組成物から製造される。これにより、前記低屈折層に含まれるバインダー樹脂は、光重合性化合物の(共)重合体および光反応性官能基を含む含フッ素化合物の間の架橋(共)重合体を含むことができる。
前記含フッ素化合物を含むバインダー樹脂の疎水性とハードコート層の高い表面エネルギーによる親水性によって、反射防止フィルムの乾燥過程中に前記含フッ素化合物がコーティング層表面に働く速度に影響を与えられる。これによって溶媒中の対流が形成され、溶媒に均一に分散していた微細粒子は、その粒子の特性により異なる動きを示すことができる。特に、この過程で各粒子は互いに異なる複数の層を形成することができ、それぞれの層の形成途中で溶媒の蒸発が終了すると、上述した粒子混在層が形成される。
前記含フッ素化合物の表面の上昇が中空状無機ナノ粒子の表面の上昇を誘導することができ、相対的に小さいサイズを有するソリッド状無機ナノ粒子は、その影響をあまり受けず、各粒子の相分離が起こることができるが、その過程中の溶媒の蒸発が終了して粒子の流動性がなくなり、これにより、前記低屈折層内に上述した混在層が所定の厚さをもって形成される。
前記光重合性化合物は、上述した単量体またはオリゴマー以外にフッ素系(メタ)アクリレート系単量体またはオリゴマーをさらに含むことができる。前記フッ素系(メタ)アクリレート系単量体またはオリゴマーをさらに含む場合、前記(メタ)アクリレートまたはビニル基を含む単量体またはオリゴマーに対する前記フッ素系(メタ)アクリレート系単量体またはオリゴマーの重量比は0.1%~10%であり得る。
前記フッ素系(メタ)アクリレート系単量体またはオリゴマーの具体的な例としては、下記化学式11~化学式15からなる群より選択される1種以上の化合物が挙げられる。
Figure 2023519045000004
前記化学式11中、Rは水素または炭素数1~6のアルキル基であり、aは0~7の整数であり、bは1~3の整数である。
Figure 2023519045000005
前記化学式12中、cは1~10の整数である。
Figure 2023519045000006
前記化学式13中、dは1~11の整数である。
Figure 2023519045000007
前記化学式14中、eは1~5の整数である。
Figure 2023519045000008
前記化学式15中、fは4~10の整数である。
一方、前記低屈折層には、前記光反応性官能基を含む含フッ素化合物に由来する部分が含まれる。
前記光反応性官能基を含む含フッ素化合物には1以上の光反応性官能基が含まれているかまたは置換され、前記光反応性官能基は、光の照射によって、例えば、可視光線または紫外線の照射によって重合反応に参加できる官能基を意味する。前記光反応性官能基は、光の照射によって重合反応に参加できると知られた多様な官能基を含むことができ、その具体的な例としては、(メタ)アクリレート基、エポキシド基、ビニル(Vinyl)基、またはチオール(Thiol)基が挙げられる。
前記光反応性官能基を含む含フッ素化合物それぞれは、2,000~200,000、好ましくは5,000~100,000の重量平均分子量(GPC法によって測定したポリスチレン換算の重量平均分子量)を有し得る。
前記光反応性官能基を含む含フッ素化合物の重量平均分子量が小さすぎると、前記光硬化性コーティング組成物において、含フッ素化合物が表面に均一で効果的に配列できずに最終的に製造される低屈折層の内部に位置するが、これにより、前記低屈折層の表面が有する防汚性が低下し、前記低屈折層の架橋密度が低くなって、全体的な強度や耐スクラッチ性などの機械的物性が低下することがある。
また、前記光反応性官能基を含む含フッ素化合物の重量平均分子量が高すぎると、前記光硬化性コーティング組成物で他の成分との相溶性が低くなり、これにより、最終的に製造される低屈折層のヘイズが高くなるか、または光透過度が低下することがあり、前記低屈折層の強度も低下することがある。
具体的には、前記光反応性官能基を含む含フッ素化合物は、i)1個以上の光反応性官能基が置換され、少なくとも1個の炭素に1以上のフッ素が置換された脂肪族化合物または脂環式化合物;ii)1以上の光反応性官能基で置換され、少なくとも1個の水素がフッ素で置換され、1個以上の炭素がケイ素で置換されたヘテロ(hetero)脂肪族化合物またはヘテロ(hetero)脂環式化合物;iii)1個以上の光反応性官能基が置換され、少なくとも1個のシリコンに1以上のフッ素が置換されたポリジアルキルシロキサン系高分子(例えば、ポリジメチルシロキサン系高分子);iv)1以上の光反応性官能基で置換され、少なくとも1個の水素がフッ素で置換されたポリエーテル化合物、または前記i)~iv)のうちの2以上の混合物、またはこれらの共重合体が挙げられる。
前記光硬化性コーティング組成物は、前記光重合性化合物100重量部に対して、前記光反応性官能基を含む含フッ素化合物20~300重量部を含むことができる。
前記光重合性化合物に対して、前記光反応性官能基を含む含フッ素化合物が過剰に添加される場合、前記実施形態の光硬化性コーティング組成物のコーティング性が低下するか、または前記光硬化性コーティング組成物から得られた低屈折層が十分な耐久性や耐スクラッチ性を有さないことがある。また、前記光重合性化合物に対して、前記光反応性官能基を含む含フッ素化合物の量が少なすぎると、前記光硬化性コーティング組成物から得られた低屈折層が十分な防汚性や耐スクラッチ性などの機械的物性を有さないことがある。
前記光反応性官能基を含む含フッ素化合物は、ケイ素またはケイ素化合物をさらに含むことができる。つまり、前記光反応性官能基を含む含フッ素化合物は、選択的に内部にケイ素またはケイ素化合物を含有することができ、具体的には、前記光反応性官能基を含む含フッ素化合物中のケイ素の含有量は0.1重量%~20重量%であり得る。
前記光反応性官能基を含む含フッ素化合物に含まれるケイ素は、前記実施形態の光硬化性コーティング組成物に含まれる他の成分との相溶性を高めることができ、これにより、最終的に製造される屈折層にヘイズ(haze)が発生することを防止して透明度を高める役割を果たすことができる。一方、前記光反応性官能基を含む含フッ素化合物中のケイ素の含有量が大きすぎると、前記光硬化性コーティング組成物に含まれている他の成分と前記含フッ素化合物との相溶性がむしろ低下し、これにより、最終的に製造される低屈折層や反射防止フィルムが十分な透光度や反射防止性能を有することができず、表面の防汚性も低下することがある。
前記低屈折層は、前記光重合性化合物の(共)重合体100重量部に対して前記中空状無機ナノ粒子10~500重量部、または50~480重量部、または200~400重量部を含むことができる。
前記低屈折層は、前記光重合性化合物の(共)重合体100重量部に対して前記ソリッド状無機ナノ粒子10~400重量部、または50~380重量部、または80~300重量部、100~250重量部を含むことができる。
前記低屈折層は、公知の光学フィルムに含まれる低屈折層に対して前記中空状無機ナノ粒子および前記ソリッド状無機ナノ粒子をそれぞれ、相対的に高い含有量で含むことができる。
前記低屈折層中の前記中空状無機ナノ粒子およびソリッド状無機ナノ粒子の含有量が多すぎる場合、前記低屈折層の製造過程で前記中空状無機ナノ粒子とソリッド状無機ナノ粒子の間の相分離が十分に起こらず、混在して反射率が高くなり、表面凹凸が過多に発生して防汚性が低下することがある。また、前記低屈折層中の前記中空状無機ナノ粒子およびソリッド状無機ナノ粒子の含有量が少なすぎる場合、前記ハードコート層と前記低屈折層の間の界面から近い領域に前記ソリッド状無機ナノ粒子中の多数が位置しにくいことがあり、前記低屈折層の反射率は非常に高くなる。
前記中空状無機ナノ粒子およびソリッド状無機ナノ粒子それぞれは、所定の分散媒に分散したコロイド状に組成物に含まれる。前記中空状無機ナノ粒子およびソリッド状無機ナノ粒子を含むそれぞれのコロイド状は分散媒として有機溶媒を含むことができる。
前記光硬化性コーティング組成物中の前記中空状無機ナノ粒子およびソリッド状無機ナノ粒子それぞれの含有量の範囲や前記光硬化性コーティング組成物の粘度などを考慮して、前記中空状無機ナノ粒子およびソリッド状無機ナノ粒子それぞれのコロイド中の含有量が決定され、例えば、前記コロイド中の前記中空状無機ナノ粒子およびソリッド状無機ナノ粒子それぞれの固形分含有量は5重量%~60重量%であり得る。
ここで、前記分散媒中の有機溶媒としては、メタノール、イソプロピルアルコール、エチレングリコール、ブタノールなどのアルコール類;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン類;トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドンなどのアミド類;酢酸エチル、酢酸ブチル、γ-ブチロラクトンなどのエステル類;テトラヒドロフラン、1,4-ジオキサンなどのエーテル類;またはこれらの混合物が含まれる。
前記光重合開始剤としては、光硬化性樹脂組成物に使用されている公知の化合物であれば特に制限なく使用可能であり、具体的には、ベンゾフェノン系化合物、アセトフェノン系化合物、ビイミダゾール系化合物、トリアジン系化合物、オキシム系化合物、またはこれらの2種以上の混合物を使用することができる。
前記光重合性化合物100重量部に対して、前記光重合開始剤は1~100重量部の含有量で使用可能である。前記光重合開始剤の量が少なすぎると、前記光硬化性コーティング組成物の光硬化段階で硬化されず、残留する物質が発生することがある。前記光重合開始剤の量が多すぎると、未反応開始剤が不純物として残留するか、または架橋密度が低くなり、製造されるフィルムの機械的物性が低下するか、または反射率が非常に高くなることがある。
また、前記光硬化性コーティング組成物は、有機溶媒をさらに含むことができる。
前記有機溶媒の非制限的な例としては、ケトン類、アルコール類、アセテート類およびエーテル類、またはこれらの2種以上の混合物が挙げられる。
このような有機溶媒の具体的な例としては、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、アセチルアセトンまたはイソブチルケトンなどのケトン類;メタノール、エタノール、ジアセトンアルコール、n-プロパノール、i-プロパノール、n-ブタノール、i-ブタノールまたはt-ブタノールなどのアルコール類;エチルアセテート、i-プロピルアセテートまたはポリエチレングリコールモノメチルエーテルアセテートなどのアセテート類;テトラヒドロフランまたはプロピレングリコールモノメチルエーテルなどのエーテル類;またはこれらの2種以上の混合物が挙げられる。
前記有機溶媒は、前記光硬化性コーティング組成物に含まれる各成分を混合する時に添加するか、各成分を有機溶媒に分散させるかまたは混合した状態で添加することで前記光硬化性コーティング組成物に含まれる。前記光硬化性コーティング組成物中の有機溶媒の含有量が少なすぎると、前記光硬化性コーティング組成物の流れ性が低下して、最終的に製造されるフィルムに縞模様が生じるなどの不良が発生することがある。また、前記有機溶媒を過剰に添加する時、固形分含有量が低くなり、コーティングおよび成膜が十分に行われず、フィルムの物性や表面特性が低下し、乾燥および硬化過程で不良が発生することがある。これにより、前記光硬化性コーティング組成物は、含まれる成分の全固形分の濃度が1重量%~50重量%、または2~20重量%となるように有機溶媒を含むことができる。
前記ハードコート層は0.1μm~100μmの厚さを有し得る。
前記ハードコート層の他面に結合した基材をさらに含むことができる。前記基材の具体的な種類や厚さは特に限定されず、低屈折層または反射防止フィルムの製造に使用されている公知の基材であれば特に制限なく使用可能である。
一方、前記実施形態の反射防止フィルムは、光硬化型化合物またはその(共)重合体、光反応性官能基を含む含フッ素化合物、光開始剤、中空状無機ナノ粒子およびソリッド状無機ナノ粒子を含む低屈折層形成用樹脂組成物をハードコート層上に塗布し、35℃~100℃の温度で乾燥する段階と、前記樹脂組成物の乾燥物を光硬化する段階と、を含む反射防止フィルムの製造方法によって提供される。
前記低屈折層は、光硬化型化合物またはその(共)重合体、光反応性官能基を含む含フッ素化合物、光開始剤、中空状無機ナノ粒子およびソリッド状無機ナノ粒子を含む低屈折層形成用樹脂組成物をハードコート層上に塗布し、35℃~100℃、または40℃~80℃の温度で乾燥することによって形成することができる。
前記ハードコート層上に塗布された低屈折層形成用樹脂組成物を乾燥する温度が35℃未満であれば、前記形成される低屈折層が有する防汚性が大きく低下することがある。また、前記ハードコート層上に塗布された低屈折層形成用樹脂組成物を乾燥する温度が100℃超であれば、前記低屈折層の製造過程で前記中空状無機ナノ粒子とソリッド状無機ナノ粒子の間の相分離が十分に起こらず、混在して前記低屈折層の耐スクラッチ性および防汚性が低下するだけでなく、反射率も非常に高くなる。
前記ハードコート層上に塗布された低屈折層形成用樹脂組成物を乾燥する過程で前記乾燥温度とともに前記ソリッド状無機ナノ粒子と中空状無機ナノ粒子の間の密度の差を調節することによって上述した特性を有する低屈折層を形成することができる。前記ソリッド状無機ナノ粒子が、前記中空状無機ナノ粒子に比べて0.50g/cm以上の高い密度を有することができ、このような密度の差によって前記ハードコート層上に形成される低屈折層で前記ソリッド状無機ナノ粒子がハードコート層にさらに近い側に位置し得る。
一方、前記ハードコート層上に塗布された低屈折層形成用樹脂組成物を35℃~100℃の温度で乾燥する段階は10秒~5分間、または30秒~4分間行うことができる。
前記乾燥時間が短すぎる場合、上述した前記ソリッド状無機ナノ粒子と中空状無機ナノ粒子の間の相分離現象が十分に起こらないことがある。これに対し、前記乾燥時間が長すぎる場合、前記形成される低屈折層がハードコート層を侵食することができる。
一方、前記ハードコート層は、通常知られているハードコート層を特に制限なく使用することができる。
前記ハードコート層の一例として、光硬化性樹脂を含むバインダー樹脂、および前記バインダー樹脂に分散した有機または無機微粒子を含むハードコート層が挙げられる。
前記ハードコート層に含まれる光硬化性樹脂は、紫外線などの光が照射されると、重合反応を起こし得る光硬化性化合物の重合体であって、当業界における通常のものであってもよい。具体的には、前記光硬化性樹脂は、ウレタンアクリレートオリゴマー、エポキシドアクリレートオリゴマー、ポリエステルアクリレート、およびポリエーテルアクリレートからなる反応性アクリレートオリゴマー群;およびジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールヒドロキシペンタアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、トリメチレンプロピルトリアクリレート、プロポキシル化グリセロールトリアクリレート、トリメチルプロパンエトキシトリアクリレート、1,6-ヘキサンジオールジアクリレート、プロポキシル化グリセロトリアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、およびエチレングリコールジアクリレートからなる多官能性アクリレート単量体群より選択される1種以上を含むことができる。
前記有機または無機微粒子の粒径は具体的に限定されるものではないが、例えば、有機微粒子は1~10μmの粒径を有し、前記無機粒子は1nm~500nm、または1nm~300nmの粒径を有し得る。前記有機または無機微粒子の粒径は、体積平均径で定義される。
また、前記ハードコート層に含まれる有機または無機微粒子の具体的な例は限定されるものではないが、例えば、前記有機または無機微粒子は、アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、エポキシド樹脂およびナイロン樹脂からなる有機微粒子であるか、酸化ケイ素、二酸化チタン、酸化インジウム、酸化スズ、酸化ジルコニウム、および酸化亜鉛からなる無機微粒子であってもよい。
前記ハードコート層のバインダー樹脂は、重量平均分子量10,000以上の高分子量(共)重合体をさらに含むことができる。
前記高分子量(共)重合体は、セルロース系ポリマー、アクリル系ポリマー、スチレン系ポリマー、エポキシド系ポリマー、ナイロン系ポリマー、ウレタン系ポリマー、およびポリオレフィン系ポリマーからなる群より選択される1種以上であってもよい。
一方、前記ハードコート層のさらに他の例としては、光硬化性樹脂のバインダー樹脂、および前記バインダー樹脂に分散した帯電防止剤を含むハードコート層が挙げられる。
前記ハードコート層に含まれる光硬化性樹脂は、紫外線などの光が照射されると、重合反応を起こし得る光硬化性化合物の重合体であって、当業界における通常のものであってもよい。好ましくは、前記光硬化性化合物は、多官能性(メタ)アクリレート系単量体またはオリゴマーであり、この時、(メタ)アクリレート系官能基の数は2~10、好ましくは2~8、より好ましくは2~7であることが、ハードコート層の物性確保の側面で有利である。より好ましくは、前記光硬化性化合物としては、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘプタ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールヘプタ(メタ)アクリレート、トリレンジイソシアネート、キシレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、およびトリメチロールプロパンポリエトキシトリ(メタ)アクリレートからなる群より選択される1種以上であり得る。
前記帯電防止剤は、4級アンモニウム塩化合物;ピリジニウム塩;1~3個のアミノ基を有する陽イオン性化合物;スルホン酸塩基、硫酸エステル塩基、リン酸エステル塩基、ホスホン酸塩基などの陰イオン性化合物;アミノ酸系またはアミノ硫酸エステル系化合物などの両性化合物;イミノアルコール系化合物、グリセリン系化合物、ポリエチレングリコール系化合物などの非イオン性化合物;スズまたはチタニウムなどを含む金属アルコキシド化合物などの有機金属化合物;前記有機金属化合物のアセチルアセトネート塩などの金属キレート化合物;これら化合物の2種以上の反応物または高分子化物;これら化合物の2種以上の混合物であってもよい。ここで、前記4級アンモニウム塩化合物は、分子内に1個以上の4級アンモニウム塩基を有する化合物であってもよく、低分子型または高分子型を制限なく使用可能である。
また、前記帯電防止剤としては、導電性高分子と金属酸化物微粒子も使用可能である。前記導電性高分子としては、芳香族共役系ポリ(パラフェニレン)、ヘテロ環式共役系のポリピロール、ポリチオフェン、脂肪族共役系のポリアセチレン、ヘテロ原子を含む共役系のポリアニリン、混合型共役系のポリ(フェニレンビニレン)、分子中に複数の共役鎖を有する共役系である複鎖型共役系化合物、共役高分子鎖を飽和高分子にグラフトまたはブロック共重合させた導電性複合体などがある。さらに、前記金属酸化物微粒子としては、酸化亜鉛、酸化アンチモン、酸化スズ、酸化セリウム、インジウムスズ酸化物、酸化インジウム、酸化アルミニウム、アンチモンドーピングされた酸化スズ、アルミニウムドーピングされた酸化亜鉛などが挙げられる。
前記光硬化性樹脂のバインダー樹脂、および前記バインダー樹脂に分散した帯電防止剤を含むハードコート層は、アルコキシシラン系オリゴマーおよび金属アルコキシド系オリゴマーからなる群より選択される1種以上の化合物をさらに含むことができる。
前記アルコキシシラン系化合物は、当業界における通常のものであってもよいが、好ましくは、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトライソプロポキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、およびグリシドキシプロピルトリエトキシシランからなる群より選択される1種以上の化合物であってもよい。
また、前記金属アルコキシド系オリゴマーは、金属アルコキシド系化合物および水を含む組成物のゾル-ゲル反応により製造できる。前記ゾル-ゲル反応は、前述したアルコキシシラン系オリゴマーの製造方法に準ずる方法で行うことができる。
ただし、前記金属アルコキシド系化合物は、水と急激に反応し得るため、前記金属アルコキシド系化合物を有機溶媒に希釈した後、水をゆっくりドロッピングする方法で前記ゾル-ゲル反応を行うことができる。この時、反応効率などを勘案して、水に対する金属アルコキシド化合物のモル比(金属イオン基準)は、3~170の範囲内で調節することが好ましい。
ここで、前記金属アルコキシド系化合物は、チタンテトラ-イソプロポキシド、ジルコニウムイソプロポキシド、およびアルミニウムイソプロポキシドからなる群より選択される1種以上の化合物であってもよい。
本発明の他の実施形態によれば、前記反射防止フィルムを含む偏光板が提供される。
前記偏光板は、偏光子と前記偏光子の少なくとも一面に形成される反射防止フィルムを含むことができる。
前記偏光子の材料および製造方法は特に限定されず、当技術分野で知られている通常の材料および製造方法を使用することができる。例えば、前記偏光子は、ポリビニルアルコール系偏光子であってもよい。
前記偏光子と前記反射防止フィルムは、水系接着剤または非水系接着剤などの接着剤によって貼り合わされる。
本発明のさらに他の実施形態によれば、上述した反射防止フィルムを含むディスプレイ装置が提供される。
前記ディスプレイ装置の具体的な例が限定されるものではなく、例えば、液晶表示装置(Liquid Crystal Display)、プラズマディスプレイ装置、有機発光ダイオード(Organic Light Emitting Diodes)ディスプレイ装置、およびフレキシブルディスプレイ装置などの装置であってもよい。
前記ディスプレイ装置において、前記反射防止フィルムは、ディスプレイパネルの観測者側またはバックライト側の最外角表面に備えられる。
前記反射防止フィルムを含むディスプレイ装置は、一対の偏光板のうち、相対的にバックライトユニットからの距離が遠い偏光板の一面に反射防止フィルムが配置される。
また、前記ディスプレイ装置は、ディスプレイパネルと、前記パネルの少なくとも一面に備えられた偏光子と、前記偏光子のパネルと接する反対側面に備えられた反射防止フィルムとを含むことができる。
本発明のさらに他の実施形態によれば、前記反射防止フィルムを含む有機発光ダイオードディスプレイ装置が提供される。
通常、有機発光ダイオードディスプレイ装置は高解像度および高い色再現力を有するが、高い色の値、例えば、CIE Lab色空間でb*の絶対値が4超である特性を有する反射防止フィルムの場合、有機発光ダイオードディスプレイ装置の色再現力を低下させる。
これに対し、前記一実施形態の反射防止フィルムは、高い透光率および低い反射率を実現しながらも、CIE Lab色空間でb*の絶対値が4以下と低い色の値を有するので無色透明な特性を有することができ、これにより、有機発光ダイオードディスプレイ装置の色再現力をそのまま維持するかまたは高める効果を実現することができる。
本発明によれば、高い透光率を有し、かつ高い耐スクラッチ性および防汚性を同時に実現でき、低い反射率を実現しながらも無色透明な特性を有する反射防止フィルム、これを含む偏光板、ディスプレイ装置、および有機発光ダイオードディスプレイ装置を提供することができる。
発明を下記の実施例でより詳しく説明する。ただし、下記の実施例は本発明を例示するものに過ぎず、本発明の内容が下記の実施例によって限定されるものではない。
<製造例1および製造例2:ハードコート層の製造>
製造例1:ハードコート層(HD1)の製造
トリメチロールプロパントリアクリレート(TMPTA)75g、平均粒径が20nmのシリカ微粒子(表面処理:3-メタクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン)2g、フッ素系アクリレート(RS-537、DIC社製)0.05g、光開始剤(Irgacure 184、Ciba社製)1.13gの固形分をMEK(メチルエチルケトン:methyl ethyl ketone)溶媒に固形分濃度が40重量%となるように希釈してハードコーティング用組成物を製造した。
前記希釈したハードコーティング液をトリアセチルセルロースフィルムに#10マイヤーバー(mayer bar)でコーティングし、下記表1の条件で乾燥および光硬化した後、5μmの厚さを有するハードコーティングフィルムを製造した。下記の実施例および比較例のそれぞれでハードコート層の乾燥時の適用した風速は表2に記載した。
製造例2:ハードコート層(HD2)の製造
トリメチロールプロパントリアクリレート(TMPTA)75g、平均粒径が20nmのシリカ微粒子(表面処理:3-メタクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン)2g、フッ素系アクリレート(RS-537、DIC社製)0.5g、光開始剤(Irgacure 184、Ciba社製)1.13gの固形分をMEK(メチルエチルケトン:methyl ethyl ketone)溶媒に固形分濃度が40重量%となるように希釈してハードコーティング用組成物を製造した。
前記希釈したハードコーティング液をトリアセチルセルロースフィルムに#10マイヤーバー(mayer bar)でコーティングし、下記表1の条件で乾燥および光硬化した後、5μmの厚さを有するハードコーティングフィルムを製造した。下記の実施例および比較例のそれぞれでハードコート層の乾燥時の適用した風速は表2に記載した。
Figure 2023519045000009
<製造例3~製造例6:低屈折層コーティング組成物の製造>
製造例3.低屈折層製造用光硬化性コーティング組成物の製造
トリメチロールプロパントリアクリレート(TMPTA)100重量部に対して、中空状シリカナノ粒子(直径:約50~60nm、密度:1.96g/cm、JSC catalyst and chemicals社製)281重量部、ソリッド状シリカナノ粒子(直径:約12nm、密度:2.65g/cm、日産化学社製)63重量部、第1含フッ素化合物(X-71-1203M、信越化学工業社製)131重量部、第2含フッ素化合物(RS-537、DIC社製)19重量部、開始剤(Irgacure 127、Ciba社製)31重量部を、メチルイソブチルケトン(MIBK):ジアセトンアルコール(DAA):イソプロピルアルコールを3:3:4の重量比で混合した溶媒に固形分濃度が3重量%となるように希釈した。
製造例4.低屈折層製造用光硬化性コーティング組成物の製造
トリメチロールプロパントリアクリレート(TMPTA)100重量部に対して、中空状シリカナノ粒子(直径:約50~60nm、密度:1.96g/cm、JSC catalyst and chemicals社製)200重量部、ソリッド状シリカナノ粒子(直径:約12nm、密度:2.65g/cm、日産化学社製)48重量部、第1含フッ素化合物(X-71-1203M、信越化学工業社製)111重量部、第2含フッ素化合物(RS-537、DIC社製)15重量部、開始剤(Irgacure 127、Ciba社製)21重量部を、メチルイソブチルケトン(MIBK):ジアセトンアルコール(DAA):イソプロピルアルコールを3:3:4の重量比で混合した溶媒に固形分濃度が3重量%となるように希釈した。
製造例5.低屈折層製造用光硬化性コーティング組成物の製造
トリメチロールプロパントリアクリレート(TMPTA)100重量部に対して、中空状シリカナノ粒子(直径:約60~70nm、密度:1.79g/cm、JSC catalyst and chemicals社製)300重量部、ソリッド状シリカナノ粒子(直径:約12nm、密度:2.65g/cm、日産化学社製)85重量部、第1含フッ素化合物(X-71-1203M、信越化学工業社製)150重量部、第2含フッ素化合物(RS-537、DIC社製)33重量部、開始剤(Irgacure 127、Ciba社製)35重量部を、メチルイソブチルケトン(MIBK):ジアセトンアルコール(DAA):イソプロピルアルコールを3:3:4の重量比で混合した溶媒に固形分濃度が3重量%となるように希釈した。
製造例6.低屈折層製造用光硬化性コーティング組成物の製造
トリメチロールプロパントリアクリレート(TMPTA)100重量部に対して、中空状シリカナノ粒子(直径:約50~60nm、密度:1.96g/cm、JSC catalyst and chemicals社製)248重量部、ソリッド状シリカナノ粒子(直径:約12nm、密度:2.65g/cm、日産化学社製)68重量部、第1含フッ素化合物(X-71-1203M、信越化学工業社製)120重量部、第2含フッ素化合物(RS-537、DIC社製)33重量部、開始剤(Irgacure 127、Ciba社製)30重量部を、メチルイソブチルケトン(MIBK):ジアセトンアルコール(DAA):イソプロピルアルコールを3:3:4の重量比で混合した溶媒に固形分濃度が3重量%となるように希釈した。
Figure 2023519045000010
<実験例:反射防止フィルムの物性測定>
前記実施例および比較例で得られた反射防止フィルムについて以下の項目の実験を実施した。
1.ハードコーティングフィルムの表面エネルギーの測定
実施例および比較例それぞれのハードコート層の表面エネルギーは、Kruss社製のDSA-100接触角測定装置を用いてdi-water(Gebhardt)とdi-iodomethane(Owens)の接触角を10 ポイント(points)で測定して平均値を求めた後、平均接触角を表面エネルギーに換算して測定した。前記表面エネルギーの測定においてはDropshape Analysisソフトウェアを使用し、OWRK(Owen,Wendt,Rable,Kaelble)法の下記一般式2をプログラム上に適用して接触角を表面エネルギーに換算した。
Figure 2023519045000011
2.反射防止フィルムの反射率およびCIE Lab色空間でのb*の測定
実施例および比較例で得られた反射防止フィルムが可視光線領域(380~780nm)で各波長での反射率およびb*をSolidspec3700(島津製作所)装置を用いて測定した。
試験片を380nmから780nmまでスキャンして各波長での反射率を測定した後、UV-2401PC Color Analysisプログラムを用いて平均反射率およびb*を導出した。
3.防汚性の測定
実施例および比較例で得られた反射防止フィルムの表面に黒色ネームペンで5cmの長さの直線を引き、リントフリーワイプで擦って消されるまでの回数を確認して防汚性を測定した。
<測定基準>
O:消されるまでの回数が10回以下
△:消されるまでの回数が11回~20回
X:消されるまでの回数が20回超
4.耐スクラッチ性の測定
スチールウール(#0000)に荷重をかけて27rpmの速度で10回往復し、実施例および比較例で得られた反射防止フィルムの表面を擦った。肉眼で観察される1cm以下のスクラッチの個数が1個以下であるとき最大荷重を測定した。
5.偏光解析法(ellipsometry)の測定
前記実施例および比較例それぞれで得られた低屈折率層に対して偏光解析法(ellipsometry)で偏極の楕円率を測定した。
具体的には、前記実施例および比較例それぞれで得られた低屈折率層に対してJ.A.Woollam社製のM-2000の装置を用いて、70°の入射角を適用して380nm~1000nmの波長範囲で線偏光を測定した。
前記測定された線偏光測定データ(Ellipsometry data(Ψ、Δ))を、Complete EASEソフトウェアを用いて、前記低屈折率層の第1、第2層(Layer 1、Layer 2)に対して下記一般式1のコーシーモデル(Cauchy model)で最適化(fitting)した。
Figure 2023519045000012
前記一般式1中、n(λ)はλ波長での屈折率(refractive index)であり、λは300nm~1800nmの範囲であり、A、BおよびCはコーシーパラメータである。
また、前記低屈折率層の混在層に対しては拡散層モデル(Diffuse Layer Model)モードを用いて屈折率および厚さを最適化(fitting)した。前記コーシーモデル(Cauchy model)および拡散層モデル(Diffuse Layer Model)のMSEは5以下となるようにした。
6.屈折率の測定
前記実施例で得られた低屈折率層に含まれる粒子混在層に対して380nm~1,000nmの波長で測定された楕円偏光と、コーシーモデル(Cauchy model)および拡散層モデル(Diffuse Layer Model)を用いて波長550nmおよび波長400nmでの屈折率を計算した。
Figure 2023519045000013
Figure 2023519045000014
上記表3に示すように、中空状無機ナノ粒子およびソリッド状無機ナノ粒子を含み、1.5nm~22nmの厚さを有する粒子混在層が前記低屈折層内に存在する実施例での反射防止フィルムは、波長550nmでの1.5%以下の反射率を実現しながらも、CIE Lab色空間でb*の絶対値が4以下と低い色の値を有するので、無色透明な特性を有し得ることが確認された。
そして、表3の結果から、実施例での反射防止フィルムは、低屈折層に混在層を含み、かつ、中空状無機ナノ粒子およびソリッド状無機ナノ粒子が主に分布する領域が区分されるように相分離して、高い耐スクラッチ性および優れた防汚性も有することが確認された。
これに対し、表4に示すように、比較例での反射防止フィルムにおいては中空状無機ナノ粒子およびソリッド状無機ナノ粒子がそれぞれ主に分布する領域に区分されて偏在(相分離)しないものとみなされ、これによって耐スクラッチ性や防汚性が十分でないことが確認された。
また、表4の結果から、比較例での反射防止フィルムの低屈折層には22nm超の厚さを有する粒子混在層が存在するか、または前記粒子混在層がハードコート層に近すぎて位置するか、または遠すぎて位置するとみなされ、したがって、このような比較例での反射防止フィルムのCIE Lab色空間でb*の絶対値が4超で、偏光板またはディスプレイ装置に適用するのに適さない程度の不透明性または有色性を有することが確認された。

Claims (19)

  1. ハードコート層、および低屈折層を含み、
    中空状無機ナノ粒子およびソリッド状無機ナノ粒子を含み、1.5nm~22nmの厚さを有する粒子混在層が前記低屈折層内に存在し、
    CIE Lab色空間でb*値の絶対値が4以下である、反射防止フィルム。
  2. 前記粒子混在層の厚さは2.0nm~20nmである、請求項1に記載の反射防止フィルム。
  3. 前記粒子混在層の厚さは、偏光解析法(ellipsometry)で測定した偏極の楕円率を拡散層モデル(Diffuse Layer Model)で最適化(fitting)して決定される、請求項1または2に記載の反射防止フィルム。
  4. 前記ハードコート層の一面上に前記低屈折層が形成され、
    前記粒子混在層は、前記ハードコート層の一面から15nm~60nmの距離に位置する、請求項1から3のいずれか一項に記載の反射防止フィルム。
  5. 前記低屈折層は20nm~240nmの厚さを有する、請求項1から4のいずれか一項に記載の反射防止フィルム。
  6. 波長550nmでの反射率が0.5%超1.5%以下である、請求項1から5のいずれか一項に記載の反射防止フィルム。
  7. 波長400nmでの反射率が1.0%~3.50%である、請求項1から6のいずれか一項に記載の反射防止フィルム。
  8. 前記ハードコート層の表面エネルギーは34mN/m超である、請求項1から7のいずれか一項に記載の反射防止フィルム。
  9. 前記ハードコート層の一面上に前記低屈折層が形成され、
    前記低屈折層は、バインダー樹脂に分散した中空状無機ナノ粒子およびソリッド状無機ナノ粒子を含み、
    前記低屈折層で前記ソリッド状無機ナノ粒子全体中の50体積%以上が前記ハードコート層の一面から前記粒子混在層の間に存在する、請求項1から8のいずれか一項に記載の反射防止フィルム。
  10. 前記ハードコート層の一面から前記粒子混在層の間の領域は、波長550nmで1.46~1.65の屈折率を有する、請求項1から9のいずれか一項に記載の反射防止フィルム。
  11. 前記低屈折層において、前記中空状無機ナノ粒子全体中の50体積%以上が前記粒子混在層から前記ハードコート層と対向する低屈折層の一面までの領域に存在する、請求項9に記載の反射防止フィルム。
  12. 前記粒子混在層から前記ハードコート層と対向する低屈折層の一面までの領域は、波長550nmで1.0~1.40の屈折率を有する、請求項11に記載の反射防止フィルム。
  13. 前記ソリッド状無機ナノ粒子は0.5~100nmの直径を有し、
    前記中空状無機ナノ粒子は1~200nmの直径を有する、請求項1から12のいずれか一項に記載の反射防止フィルム。
  14. 前記ソリッド状無機ナノ粒子と前記中空状無機ナノ粒子の間の密度の差は0.50g/cm~3.00g/cmである、請求項1から13のいずれか一項に記載の反射防止フィルム。
  15. 前記低屈折層は、バインダー樹脂、ならびに前記バインダー樹脂に分散した中空状無機ナノ粒子およびソリッド状無機ナノ粒子を含み、
    前記低屈折層に含まれるバインダー樹脂は、光重合性化合物の(共)重合体および光反応性官能基を含む含フッ素化合物の間の架橋(共)重合体を含む、請求項1から14のいずれか一項に記載の反射防止フィルム。
  16. 前記ハードコート層は、光硬化性樹脂を含むバインダー樹脂、および前記バインダー樹脂に分散した有機または無機微粒子を含む、請求項1から15のいずれか一項に記載の反射防止フィルム。
  17. 請求項1から16のいずれか一項に記載の反射防止フィルムおよび偏光子を含む、偏光板。
  18. 請求項1から16のいずれか一項に記載の反射防止フィルムを含む、ディスプレイ装置。
  19. 請求項1から16のいずれか一項に記載の反射防止フィルムを含む、有機発光ダイオードディスプレイ装置。
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