JP2023514423A - Krasエピトープおよび抗体 - Google Patents

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Abstract

本発明は、KRASの特定の発癌性変異型に結合する抗体に関する。本発明は、KRASの発癌性変異型の特定のエピトープにも関する。本発明は、こうした抗体を含むイムノコンジュゲートおよび組成物にも関する。本発明は、こうした抗体を産生する方法も提供する。本発明は、たとえば癌の処置などの治療目的でのこうした抗体の使用をさらに提供する。

Description

本発明は一般的にエピトープおよび抗体の技術分野に関し、特に、発癌性KRAS変異タンパク質のエピトープと、発癌性KRAS変異タンパク質に結合する抗体とに関する。加えて本発明は、たとえば癌の処置などにおけるこうした抗体の治療的使用に関する。本発明の抗体ベースの組成物および方法および使用は、コンジュゲートおよびその他の治療的組み合わせの使用、キット、ならびに方法にも拡張される。
KRAS(K-Rasまたはカーステンラット肉腫ウイルス癌遺伝子相同体(Kirsten rat sarcoma viral oncogene homolog)としても公知である)は、オン/オフスイッチとして作用する小さいGTPアーゼ(グアノシントリホスファターゼ(guanosine triphosphatase))であり、細胞の分化、増殖、および生存の調節における主要な構成要素である。KRASは最も頻繁に変異する癌遺伝子である。すべての癌の22%に変異型が見出されており、たとえば多くの結腸直腸癌、膵臓癌、および肺癌などに変異発癌遺伝子型が見出されている。残基G12、G13、およびQ61におけるKRAS変異は、ヒトの癌における顕性(優性)発癌性変異である。KRASの残基G12およびG13における一般的な発癌性変異は、G12D、G12V、G12C、G12A、G12S、G12R、G13D、およびG13Cを含む。これらの残基における置換の結果として、内因性のGTP加水分解の減少によるKRAS-GTP結合の構成的なレベル上昇がもたらされる。KRASは癌研究における聖杯とみなされているが、これまでに直接の阻害剤が臨床に到達したことはなく、KRASはしばしば「アンドラッガブル」な標的と記述される。この不成功の裏にある主要な理由の1つは、小さい分子に対する好適な結合ポケットがないことであった。
KRASの発癌性変異型のターゲティングおよび機能阻害に成功することによって、癌治療の技術分野において長く探し求められている解決策が提供され得る。
本発明者らは、位置G12またはG13における変異を有するKRASの発癌性変異型の特定のエピトープ(または領域)を同定することによってこの要求に取り組んでおり、前記エピトープは抗体にアクセス可能であるとともに、たとえば抗体などによってKRASのこうした発癌性変異型に結合してKRASのこうした発癌性変異型の活性を阻害するためのターゲティングを行うために特に有用である。本発明者らは、こうしたエピトープに対応する(または本質的に対応する)単離ペプチドを同定および生成した。加えて本発明者らは、こうした単離ペプチドを用いて、KRASのこうした発癌性変異型に結合してそれを阻害する抗体を生成した。
よって、1つの態様において、本発明は、SEQ ID NO:17またはそれと実質的に相同の配列、およびSEQ ID NO:18またはそれと実質的に相同の配列からなる(またはそれを含む)群より選択されるアミノ酸配列を含む単離ペプチドを提供する。
本明細書の他の場所に考察されるとおり、こうした単離ペプチドを抗原ペプチドとして用いて、位置G12またはG13における変異を有するKRASの発癌性変異型に結合してその活性を阻害する抗体を生成してもよい。
文脈から別様が明らかでない限り、本発明の「単離ペプチド」または「ペプチド」に対する言及は、代替的に「単離エピトープ」または「単離抗原エピトープ」に対する言及とみなされてもよい。
いくつかの実施形態において、本発明は、SEQ ID NO:17およびSEQ ID NO:18からなる(またはそれを含む)群より選択されるアミノ酸配列を含む単離ペプチドを提供する。
SEQ ID NO:17またはSEQ ID NO:18の「X」残基がD(アスパラギン酸)残基である実施形態は、特に好ましい。
よっていくつかの実施形態において、本発明は、SEQ ID NO:1またはそれと実質的に相同の配列、およびSEQ ID NO:2またはそれと実質的に相同の配列からなる(またはそれを含む)群より選択されるアミノ酸配列を含む単離ペプチドを提供する。
いくつかの実施形態において、本発明は、SEQ ID NO:1およびSEQ ID NO:2からなる(またはそれを含む)群より選択されるアミノ酸配列を含む単離ペプチドを提供する。
いくつかの実施形態において、本発明は、SEQ ID NO:1のアミノ酸配列を含む単離ペプチドを提供する。
いくつかの実施形態において、本発明は、SEQ ID NO:2のアミノ酸配列を含む単離ペプチドを提供する。
いくつかの実施形態において、本発明は、SEQ ID NO:17またはそれと実質的に相同の配列、およびSEQ ID NO:18またはそれと実質的に相同の配列からなる(またはそれを含む)群より選択されるアミノ酸配列からなる単離ペプチドを提供する。
いくつかの実施形態において、本発明は、SEQ ID NO:17およびSEQ ID NO:18からなる(またはそれを含む)群より選択されるアミノ酸配列からなる単離ペプチドを提供する。
単離ペプチドがSEQ ID NO:17のアミノ酸配列(またはそれと実質的に相同の配列)を含む(またはそれからなる)いくつかの実施形態において、好ましくは「X」残基はD、V、C、A、またはRからなる群より選択される。よって、SEQ ID NO:17のアミノ酸配列(またはそれと実質的に相同の配列)に関連するものとして本明細書に記載される実施形態は、いくつかの好ましい実施形態において、SEQ ID:19のアミノ酸配列(またはそれと実質的に相同の配列)に準用されて関連してもよい。
単離ペプチドがSEQ ID NO:17のアミノ酸配列(またはそれと実質的に相同の配列)を含むいくつかの実施形態において、好ましくは「X」残基はD、C、A、S、またはRからなる群より選択される。よって、SEQ ID NO:17のアミノ酸配列(またはそれと実質的に相同の配列)に関連するものとして本明細書に記載される実施形態は、いくつかの好ましい実施形態において、SEQ ID:20のアミノ酸配列(またはそれと実質的に相同の配列)に準用されて関連してもよい。
単離ペプチドがSEQ ID NO:17のアミノ酸配列(またはそれと実質的に相同の配列)を含むいくつかの実施形態において、好ましくは「X」残基はD、C、A、またはRからなる群より選択される。よって、SEQ ID NO:17のアミノ酸配列(またはそれと実質的に相同の配列)に関連するものとして本明細書に記載される実施形態は、いくつかの好ましい実施形態において、SEQ ID:21のアミノ酸配列(またはそれと実質的に相同の配列)に準用されて関連してもよい。
いくつかの実施形態において、本発明は、SEQ ID NO:1またはそれと実質的に相同の配列、およびSEQ ID NO:2またはそれと実質的に相同の配列からなる(またはそれを含む)群より選択されるアミノ酸配列からなる単離ペプチドを提供する。
いくつかの実施形態において、本発明は、SEQ ID NO:1およびSEQ ID NO:2からなる(またはそれを含む)群より選択されるアミノ酸配列からなる単離ペプチドを提供する。
いくつかの実施形態において、本発明は、SEQ ID NO:1のアミノ酸配列からなる単離ペプチドを提供する。
いくつかの実施形態において、本発明は、SEQ ID NO:2のアミノ酸配列からなる単離ペプチドを提供する。
いくつかの実施形態において、単離ペプチドは、N末端および/またはC末端に1つ以上の追加のアミノ酸を(すなわち、記述されたSEQ ID NOのアミノ酸配列に加えて)含んでもよい。いくつかの好ましい実施形態において、単離ペプチドは、N末端に1つ以上の追加のアミノ酸を含んでもよい。いくつかの好ましい実施形態において、単離ペプチドは、C末端に1つ以上の追加のアミノ酸を含んでもよい。いくつかの好ましい実施形態において、単離ペプチドは、N末端およびC末端に1つ以上の追加のアミノ酸を含んでもよい。いくつかの好ましい実施形態において、単離ペプチドは、N末端および/またはC末端におけるシステイン(C)残基(または、N末端および/もしくはC末端における追加のシステイン(C)残基)を含んでもよい。いくつかの実施形態において、単離ペプチドは、N末端にシステイン(C)残基を含んでもよい。いくつかの実施形態において、単離ペプチドは、C末端にシステイン(C)残基を含んでもよい。単離ペプチドの末端にシステイン残基を提供することによって、たとえば本明細書の他の場所に考察されるとおりに、ペプチド担体への簡便な付着を可能にできる。
いくつかの実施形態において、単離ペプチドは、N末端および/またはC末端における1つ以上の追加の修飾を含んでもよい。たとえば、いくつかの実施形態において単離ペプチドはC末端がアミド化されてもよい。いくつかの実施形態において、単離ペプチドはN末端がアセチル化されてもよい。ペプチドをアミド化およびアセチル化する方法は、当該技術分野において周知である。いくつかの実施形態において、単離ペプチドは、ペプチドをペプチド担体に付着させる(またはつなぐまたは接続する)ために用いられ得る修飾(化学基またはリンカー)を有してもよい。ペプチドをペプチド担体に付着させる(またはつなぐまたは接続する)ために用いられ得る修飾(化学基またはリンカー)は、N末端および/またはC末端にあってもよい。
いくつかの実施形態において、本発明は、SEQ ID NO:3またはそれと実質的に相同の配列、SEQ ID NO:4またはそれと実質的に相同の配列、SEQ ID NO:5またはそれと実質的に相同の配列、およびSEQ ID NO:6またはそれと実質的に相同の配列からなる(またはそれを含む)群より選択されるアミノ酸配列を含む単離ペプチドを提供する。
いくつかの実施形態において、本発明は、SEQ ID NO:3またはそれと実質的に相同の配列、およびSEQ ID NO:4またはそれと実質的に相同の配列からなる(またはそれを含む)群より選択されるアミノ酸配列を含む単離ペプチドを提供する。
いくつかの実施形態において、本発明は、SEQ ID NO:5またはそれと実質的に相同の配列、およびSEQ ID NO:6またはそれと実質的に相同の配列からなる(またはそれを含む)群より選択されるアミノ酸配列を含む単離ペプチドを提供する。
いくつかの実施形態において、本発明は、SEQ ID NO:3またはそれと実質的に相同の配列、およびSEQ ID NO:5またはそれと実質的に相同の配列からなる(またはそれを含む)群より選択されるアミノ酸配列を含む単離ペプチドを提供する。
いくつかの実施形態において、本発明は、SEQ ID NO:3、SEQ ID NO:4、SEQ ID NO:5、およびSEQ ID NO:6からなる(またはそれを含む)群より選択されるアミノ酸配列を含む単離ペプチドを提供する。
SEQ ID NO:3の単離ペプチドは、本明細書の他の場所に記載されるG12D Ab1と名付けられた抗体を生成するために使用された。SEQ ID NO:4の単離ペプチドは、本明細書の他の場所に記載されるG12D Ab2と名付けられた抗体を生成するために使用された。SEQ ID NO:5の単離ペプチドは、本明細書の他の場所に記載されるG13D Ab1と名付けられた抗体を生成するために使用された。SEQ ID NO:6の単離ペプチドは、本明細書の他の場所に記載されるG13D Ab2と名付けられた抗体を生成するために使用された。
いくつかの実施形態において、本発明は、SEQ ID NO:3およびSEQ ID NO:4からなる(またはそれを含む)群より選択されるアミノ酸配列を含む単離ペプチドを提供する。
いくつかの実施形態において、本発明は、SEQ ID NO:5およびSEQ ID NO:6からなる(またはそれを含む)群より選択されるアミノ酸配列を含む単離ペプチドを提供する。
いくつかの実施形態において、本発明は、SEQ ID NO:3およびSEQ ID NO:5からなる(またはそれを含む)群より選択されるアミノ酸配列を含む単離ペプチドを提供する。
いくつかの実施形態において、本発明は、SEQ ID NO:3のアミノ酸配列を含む単離ペプチドを提供する。
いくつかの実施形態において、本発明は、SEQ ID NO:4のアミノ酸配列を含む単離ペプチドを提供する。
いくつかの実施形態において、本発明は、SEQ ID NO:5のアミノ酸配列を含む単離ペプチドを提供する。
いくつかの実施形態において、本発明は、SEQ ID NO:6のアミノ酸配列を含む単離ペプチドを提供する。
いくつかの実施形態において、本発明は、SEQ ID NO:3またはそれと実質的に相同の配列、SEQ ID NO:4またはそれと実質的に相同の配列、SEQ ID NO:5またはそれと実質的に相同の配列、およびSEQ ID NO:6またはそれと実質的に相同の配列からなる(またはそれを含む)群より選択されるアミノ酸配列からなる単離ペプチドを提供する。
いくつかの実施形態において、本発明は、SEQ ID NO:3またはそれと実質的に相同の配列、およびSEQ ID NO:4またはそれと実質的に相同の配列からなる(またはそれを含む)群より選択されるアミノ酸配列からなる単離ペプチドを提供する。
いくつかの実施形態において、本発明は、SEQ ID NO:5またはそれと実質的に相同の配列、およびSEQ ID NO:6またはそれと実質的に相同の配列からなる(またはそれを含む)群より選択されるアミノ酸配列からなる単離ペプチドを提供する。
いくつかの実施形態において、本発明は、SEQ ID NO:3またはそれと実質的に相同の配列、およびSEQ ID NO:5またはそれと実質的に相同の配列からなる(またはそれを含む)群より選択されるアミノ酸配列からなる単離ペプチドを提供する。
いくつかの実施形態において、本発明は、SEQ ID NO:3、SEQ ID NO:4、SEQ ID NO:5、およびSEQ ID NO:6からなる(またはそれを含む)群より選択されるアミノ酸配列からなる単離ペプチドを提供する。
いくつかの実施形態において、本発明は、SEQ ID NO:3およびSEQ ID NO:4からなる(またはそれを含む)群より選択されるアミノ酸配列からなる単離ペプチドを提供する。
いくつかの実施形態において、本発明は、SEQ ID NO:5およびSEQ ID NO:6からなる(またはそれを含む)群より選択されるアミノ酸配列からなる単離ペプチドを提供する。
いくつかの実施形態において、本発明は、SEQ ID NO:3およびSEQ ID NO:5からなる(またはそれを含む)群より選択されるアミノ酸配列からなる単離ペプチドを提供する。
いくつかの実施形態において、本発明は、SEQ ID NO:3のアミノ酸配列からなる単離ペプチドを提供する。
いくつかの実施形態において、本発明は、SEQ ID NO:4のアミノ酸配列からなる単離ペプチドを提供する。
いくつかの実施形態において、本発明は、SEQ ID NO:5のアミノ酸配列からなる単離ペプチドを提供する。
いくつかの実施形態において、本発明は、SEQ ID NO:6のアミノ酸配列からなる単離ペプチドを提供する。
本発明の単離ペプチド配列の状況において、所与のアミノ酸配列と「実質的に相同の」配列とは、所与のアミノ酸配列と比較して1、2、または3(例、1または2)のアミノ酸の置換または欠失または付加を含む配列か、または所与のアミノ酸配列に対する少なくとも70%の配列同一性を有する配列か、または所与のアミノ酸配列の少なくとも6つの連続するアミノ酸を有する配列であってもよい。「実質的に相同の」配列の他の例は、単離ペプチドと「実質的に相同の」アミノ酸配列に関連して本明細書の他の場所に記載されており、「実質的に相同の」配列のこれらの例は、上述の特定のペプチド配列にも適用可能である。
本発明による「実質的に相同の」単離ペプチド配列において、発癌性変異(置換)アミノ酸残基は変更されていない。よって、SEQ ID NO:1と「実質的に相同の」アミノ酸配列を含む(またはそれからなる)単離ペプチドにおいて、SEQ ID NO:1の位置3における(または対応する)D残基は変更されていない(すなわち、D残基は維持されるかまたは存在する)。SEQ ID NO:2と「実質的に相同の」アミノ酸配列を含む(またはそれからなる)単離ペプチドにおいて、SEQ ID NO:2の位置4における(または対応する)D残基は変更されていない(すなわち、D残基は維持されるかまたは存在する)。SEQ ID NO:3と「実質的に相同の」アミノ酸配列を含む(またはそれからなる)単離ペプチドにおいて、SEQ ID NO:3の位置3における(または対応する)D残基は変更されていない(すなわち、D残基は維持されるかまたは存在する)。SEQ ID NO:4と「実質的に相同の」アミノ酸配列を含む(またはそれからなる)単離ペプチドにおいて、SEQ ID NO:4の位置4における(または対応する)D残基は変更されていない(すなわち、D残基は維持されるかまたは存在する)。SEQ ID NO:5と「実質的に相同の」アミノ酸配列を含む(またはそれからなる)単離ペプチドにおいて、SEQ ID NO:5の位置5における(または対応する)D残基は変更されていない(すなわち、D残基は維持されるかまたは存在する)。SEQ ID NO:6と「実質的に相同の」アミノ酸配列を含む(またはそれからなる)単離ペプチドにおいて、SEQ ID NO:6の位置4における(または対応する)D残基は変更されていない(すなわち、D残基は維持されるかまたは存在する)。SEQ ID NO:17と「実質的に相同の」アミノ酸配列を含む(またはそれからなる)単離ペプチドにおいて、SEQ ID NO:17の位置3における(または対応する)X残基は変更されていない(すなわち、X残基は維持されるかまたは存在する)。SEQ ID NO:18と「実質的に相同の」アミノ酸配列を含む(またはそれからなる)単離ペプチドにおいて、SEQ ID NO:18の位置4における(または対応する)X残基は変更されていない(すなわち、X残基は維持されるかまたは存在する)。SEQ ID NO:19またはSEQ ID NO:20またはSEQ ID NO:21と「実質的に相同の」アミノ酸配列を含む(またはそれからなる)単離ペプチドにおいて、SEQ ID NO:19またはSEQ ID NO:20またはSEQ ID NO:21の位置3における(または対応する)X残基は変更されていない(すなわち、X残基は維持されるかまたは存在する)。
いくつかの好ましい実施形態において、単離ペプチドと「実質的に相同の」アミノ酸配列とは、所与の単離ペプチドのアミノ酸配列と比較して、1、2、または3アミノ酸の置換または付加または欠失(好ましくは1または2、より好ましくは1)を有する配列を有する配列か、またはその配列を含む配列である。
単離ペプチドと「実質的に相同の」アミノ酸配列は、単離ペプチドの少なくとも5または少なくとも6の連続するアミノ酸を含む(またはそれからなる)(または単離ペプチドの少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、または少なくとも11の連続するアミノ酸を含むかまたはそれからなる)配列を含む。6アミノ酸は、抗体が認識または結合するペプチド/タンパク質配列の典型的な長さである。
単離ペプチドと「実質的に相同の」アミノ酸配列は、所与の単離ペプチド配列に対する少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、または少なくとも95%の配列同一性を有する配列を有する配列か、またはその配列を含む(もしくはそれからなる)配列を含む。少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、または少なくとも95%の配列同一性が好ましい。
アミノ酸配列の変更は、保存的アミノ酸または非保存的アミノ酸によるものであり得る。好ましくは、前記変更は保存的アミノ酸置換である。
本明細書において用いられる「保存的アミノ酸置換」とは、アミノ酸残基が類似の側鎖を有する別のアミノ酸残基で置換されるものである。当該技術分野において、類似の側鎖を有するアミノ酸残基のファミリーが定義されており、それは塩基性側鎖(例、リジン、アルギニン、ヒスチジン)、酸性側鎖(例、アスパラギン酸、グルタミン酸)、無電荷極性側鎖(例、アスパラギン、グルタミン、セリン、スレオニン、チロシン、システイン)、非極性側鎖(例、グリシン、システイン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、メチオニン、トリプトファン)、ベータ分岐側鎖(例、スレオニン、バリン、イソロイシン)、および芳香族側鎖(例、チロシン、フェニルアラニン、トリプトファン、ヒスチジン)を含む。
「実質的に相同の」という用語は、本発明のタンパク質と実質的に同じ機能を実質的に同じやり方で行う、本発明のアミノ酸配列の改変物または化学的等価物も含む。たとえば、任意の実質的に相同の単離ペプチドは典型的に、本発明によるKRASの発癌性変異型に結合する抗抗体を自身に対して(または対抗して)生成(または産生)させ得るペプチドまたはエピトープとして作用する能力を保持するべきである。
(例、「実質的に相同の」配列を生成するための)上述のアミノ酸の操作を行う方法は、当業者にとって周知である。
いくつかの実施形態において、単離ペプチドは任意の内部システイン残基を含有しない。「内部」残基とは、N末端および/またはC末端残基以外の位置の残基を意味する。よっていくつかの実施形態において、所与のアミノ酸配列と「実質的に相同の」配列は、置換または追加のアミノ酸としてシステイン(C:cysteine)残基を有さない。
相同性(例、配列同一性)は、任意の簡便な方法で評価されてもよい。しかし、配列間の相同性(例、同一性)の程度を決定するためには、配列の複数のアライメントを行うコンピュータプログラム、たとえばClustal W(トンプソン(Thompson)、ヒギンス(Higgins)、ギブソン(Gibson)、ヌクレイック・アシッズ・リサーチ(Nucleic Acids Res.)、22:4673-4680、1994)などが有用である。所望であれば、Clustal Wのアルゴリズムを、BLOSUM62スコアリングマトリックス(ヘニコフ(Henikoff)およびヘニコフ(Henikoff)、米国科学アカデミー紀要(Proc.Natl.Acad.Sci.USA)、89:10915-10919、1992)と、ギャップ開始ペナルティ10およびギャップ伸長ペナルティ0.1と一緒に使用することによって、2つの配列間の最高オーダの一致を得ることができ、ここでは一方の配列の合計の長さの少なくとも50%がアライメントに含まれる。配列を整列させるために用いられ得る他の方法は、ニードルマン(Needleman)およびブンシュ(Wunsch)のアライメント法(ニードルマンおよびブンシュ、ジャーナル・オブ・モレキュラー・バイオロジー(J.Mol.Biol.)、48:443、1970)をスミス(Smith)およびウォーターマン(Waterman)(スミスおよびウォーターマン、アドバンシズ・イン・アプライド・マセマティックス(Adv.Appl.Math.)、2:482、1981)が修正して、2つの配列間の最高オーダの一致が得られ、および2つの配列間の同一アミノ酸の数が決定されるようにしたものである。2つのアミノ酸配列間の同一性パーセンテージを計算するための他の方法は、一般的に認識される技術であり、たとえばカリーリョ(Carillo)およびリプトン(Lipton)によって記載されるもの(カリーリョおよびリプトン、SIAMジャーナル・オブ・アプライド・マセマティックス(J.Applied Math.)、48:1073、1988)、ならびに「計算分子生物学(Computational Molecular Biology)」、レスク(Lesk)編、オックスフォード大学出版局(Oxford University Press)、ニューヨーク(New York)、1988、「バイオコンピューティング:情報科学およびゲノミクスプロジェクト(Biocomputing:Informatics and Genomics Projects)」に記載されるものなどを含む。
一般的に、こうした計算のためにコンピュータプログラムが使用されるだろう。配列対の比較および整列を行うプログラム、たとえばALIGN(マイヤーズ(Myers)およびミラー(Miller)、CABIOS、4:11-17、1988)、FASTA(ピアソン(Pearson)およびリップマン(Lipman)、米国科学アカデミー紀要(Proc.Natl.Acad.Sci.USA)、85:2444-2448、1988;ピアソン、メソッズ・イン・エンザイモロジー(Methods in Enzymology)、183:63-98、1990)、およびギャップBLAST(アルチュル(Altschul)ら、ヌクレイック・アシッズ・リサーチ(Nucleic Acids Res.)、25:3389-3402、1997)、BLASTP、BLASTN、またはGCG(デブリュー(Devereux)、ヘベルリ(Haeberli)、スミティーズ(Smithies)、ヌクレイック・アシッズ・リサーチ(Nucleic Acids Res.)、12:387、1984)などもこの目的のために有用である。さらに、欧州バイオインフォマティクス研究所(European Bioinformatics institute)のDaliサーバは、タンパク質配列の構造ベースのアライメントを提供する(ホルム(Holm)、トレンズ・イン・バイオケミカル・サイエンシズ(Trends in Biochemical Sciences)、20:478-480、1995;ホルム、ジャーナル・オブ・モレキュラー・バイオロジー(J.Mol.Biol.)、233:123-38、1993;ホルム、ヌクレイック・アシッズ・リサーチ(Nucleic Acids Res.)、26:316-9、1998)。
基準点を提供するために、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、または99%の相同性、配列同一性などを有する本発明による配列は、(たとえばインターネット上のGENESTREAMネットワークサーバ、IGH、モンペリエ(Montpellier)、フランス(France)などにおいて入手可能な)デフォルトのパラメータを伴うALIGNプログラムを用いて決定されてもよい。
いくつかの実施形態において、本発明は、本明細書に開示される単離ペプチド配列(またはそれと実質的に相同の配列)の伸長版またはトランケート版または環状版を含む(またはそれからなる)単離ペプチドを提供する。ペプチドの伸長版、トランケート版、および環状版については本明細書の他の場所に考察している。
本発明の単離ペプチドは、本明細書に開示される単離ペプチド配列の伸長版か、または本明細書に開示される単離ペプチド配列と実質的に相同のアミノ酸配列の伸長版を含んで(またはそれからなって)もよい。たとえば、1つ以上の追加のアミノ酸(例、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8または9、少なくとも10、少なくとも15、または少なくとも20のアミノ酸、または1~5または1~10または1~20のアミノ酸)が、単離ペプチド配列(またはそれと実質的に相同の配列)の一方の端部または両方の端部に存在してもよい。
本発明の単離ペプチドは、本明細書に開示される単離ペプチド配列のトランケート版か、または本明細書に開示される単離ペプチド配列のトランケート版を含んで(またはそれからなって)もよい。たとえば、1つ以上のアミノ酸(例、少なくとも2または少なくとも3、例、1~3または1~2または1)が、単離ペプチド配列(またはそれと実質的に相同の配列)の一方の端部または両方の端部に存在しなくてもよい。
いくつかの実施形態において、単離ペプチドは、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10アミノ酸、少なくとも11アミノ酸、または少なくとも12アミノ酸の長さであってもよく、たとえば6~10、6~12、6~15、6~20、6~25、6~30、6~40、6~50、6~60、または6~75アミノ酸の長さであってもよい。単離ペプチドは、たとえば5~7、5~8、5~9、5~10、5~11、5~12、5~13、5~14、5~15、5~20、5~25、5~30、5~40、5~50、5~60、5~70、5~75アミノ酸の長さであってもよい。単離ペプチドは、たとえば12~15、12~20、12~25、12~30、12~40、12~50、12~60、12~70、12~75アミノ酸の長さであってもよい。
いくつかの実施形態において、単離ペプチドは≦50アミノ酸の長さであってもよく、たとえば≦45、≦40、≦35、≦30、≦25、≦20、≦15、または≦10アミノ酸の長さなど(例、5~10、5~15、5~20、5~25、5~30、5~35、5~40、5~45、5~50、6~10、6~15、6~20、6~25、6~30、6~35、6~40、6~45、6~50、8~10、8~15、8~20、8~25、8~30、8~35、8~40、8~45、8~50、10~15、10~20、10~25、10~30、10~35、10~40、10~45、10~50、15~20、15~25、15~30、15~35、15~40、15~45、15~50、20~25、20~30、20~35、25~30、25~35または25~40、25~45、25~50、30~35、30~40、30~45、30~50、35~40、35~45、35~50、40~45、40~50、または45~50アミノ酸の長さ)であってもよい。
いくつかの実施形態において、単離ペプチドは≦20アミノ酸の長さであってもよく、たとえば≦15、≦14、≦13、≦12、≦11、≦10アミノ酸の長さなど(例、5~10、5~15、5~20、6~10、6~15、6~20、8~10、8~15、8~20、10~15、10~20、または15~20アミノ酸の長さ)であってもよい。いくつかの実施形態において、単離ペプチドは5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、または20アミノ酸の長さであってもよい。)いくつかの実施形態において、単離ペプチドは5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、または20アミノ酸の長さであってもよい。
いくつかの実施形態において、単離ペプチドは12アミノ酸の長さであってもよい。いくつかの実施形態において、単離ペプチドは13アミノ酸の長さであってもよい。
典型的に、および好ましくは、単離ペプチドは直鎖ペプチド(または直鎖エピトープ)である。
ペプチドを合成するための方法は、当該技術分野において周知である。(例、免疫化および抗体生成に用いるための)直鎖ペプチドを調製するために用いられる一般的な技術は、Fmoc SPPS(固相ペプチド合成(Solid Phase Peptide Synthesis))である。SPPSにおいて、小さい多孔性ビーズを機能性リンカーで処理し、洗浄-カップリング-洗浄のサイクルの繰り返しを用いて、この機能性リンカーの上にペプチド鎖を構築できる。次いで、化学的切断を用いて、合成されたペプチドをビーズから解放する。環状ペプチドの合成のための一般的な方法は、ジスルフィド架橋の形成(この架橋はペプチドの、たとえば1つがN末端、1つがC末端にある2つのシステインによって形成された架橋である)か、または典型的なペプチド結合からなる架橋である「ヘッドトゥーテール」架橋の形成による環化を使用する。環状ペプチドは、固体支持体の上に形成され得る。
ペプチドを合成するためのその他の方法は、他の化学合成手順の使用、インビトロ翻訳、または細胞に好適な発現ベクターを導入することによるものを含む。
本発明による単離ペプチドはもちろん、本発明によるKRASの全長発癌性変異型も、KRASファミリーの任意のその他の全長(例、野生型または天然)タンパク質も、任意のその他の全長(野生型)タンパク質も含まない。よって本発明による単離ペプチドは、全長のSEQ ID NO:7、8、9、10、11、12、13、14、15、または16を含まない。
本発明の単離ペプチドは、(例、本明細書の他の場所に記載されるとおり)本発明によるKRASの全長発癌性変異型の領域(またはエピトープ)に対応する(または本質的に対応する)ものであるが、それら自体は自然発生しない(すなわち、本発明の単離ペプチドは自然発生する対応物を有さず、自然に単独で発生することもない)。よって、本発明の単離ペプチドは人工ペプチド、または合成ペプチド、または人為的ペプチド、または非天然ペプチドであるとみなされ得る。
本発明のさらなる態様は、コンジュゲートを提供する。典型的に、このコンジュゲートは抗体の産生に用いられるように構成される。コンジュゲートは、ペプチド担体と結合した(すなわちつながれた、または接続した、または接合した)か、またはそれと混合された、少なくとも1つの上記で定義された単離ペプチドを含んでもよい。
よって1つの態様において、本発明は、本発明の単離ペプチドを含むコンジュゲートを提供する。コンジュゲートは典型的に、本発明の単離ペプチドと、ペプチド担体とを含み、前記単離ペプチドは前記ペプチド担体と結合または混合される。ペプチド担体は典型的に免疫原性を高める。いくつかの場合には、抗原エピトープを提供する(または提示する、またはそれに対応する)短いペプチドは、それ自体は小さすぎて免疫応答を誘導できないことがあるため、免疫原性を高めることは有用であってもよい。
ペプチド担体は典型的に、たとえばタンパク質、多糖、またはポリマーアミノ酸などの大きな高分子である。いくつかの実施形態において、ペプチド担体は、キーホールリンペットヘモシアニン(KLH:keyhole limpet hemocyanin)、卵白アルブミン(OVA:ovalbumin)、血清アルブミン、およびポリリジンなどからなる群より選択される。通常はKLHが好ましい。
本発明の単離ペプチドとペプチド担体との結合は、たとえば共有結合またはジスルフィド架橋などであり得る。いくつかの実施形態において、(例、本明細書の他の場所に記載されるとおり)本発明の単離ペプチドには自身のN末端またはC末端に(追加の)システイン残基が提供されてもよい。こうしたシステイン残基は典型的に、ペプチド担体(例、KLH)に対する単離ペプチドの結合を促進する。いくつかの実施形態において、単離ペプチドは、ペプチド担体に対する単離ペプチドの結合を可能にする修飾(例、プロパルギル基などの化学基)を有してもよい。いくつかの実施形態において、単離ペプチドは、標準的な架橋剤(例、グルタルアルデヒド)を介してペプチド担体に結合される。単離ペプチドをペプチド担体とつなぐ方法は、当該技術分野において周知である。
いくつかの実施形態において、本発明による単離ペプチド(またはコンジュゲート)は、溶液中または懸濁物中に存在してもよい。よって1つの態様において、本発明は、本発明の単離ペプチドと、任意選択の許容される(例、薬学的に許容される)希釈剤、緩衝液、保存剤、および/または賦形剤とを含む組成物を提供する。
いくつかの実施形態において、単離ペプチド(またはコンジュゲート)は、固体支持体(例、ビーズまたはミクロビーズまたはプレートまたはマイクロタイタープレート)の上に存在して(すなわち、それに付着または結合して)もよい。よって1つの態様において、本発明は、本発明の単離ペプチドまたはコンジュゲートが付着された(直接的または間接的に付着された)固体支持体を提供する。
本発明の単離ペプチド(およびコンジュゲート)は典型的に、本発明によるKRASの発癌性変異型に結合する抗体の同定(または生成または産生)に使用するのに好適である。たとえば、本発明の単離ペプチドは典型的に、抗体の同定(または生成または産生)のための抗原エピトープとして使用するのに好適である。本発明の単離ペプチドを用いた抗体の同定(または生成または産生)は、任意の好適な手段によって行われてもよく、当業者は(例、本明細書の他の場所に考察される)好適な技術を熟知している。たとえば、本発明の単離ペプチド(およびコンジュゲート)は典型的に、本発明によるKRASの発癌性変異型に結合するポリクローナル抗体(例、本発明の単離ペプチド(またはコンジュゲート)によって免疫化されたたとえばウサギなどの動物において産生されたポリクローナル抗体)の同定(または生成または産生)か、または標準的なハイブリドーマ技術またはファージディスプレイを用いたモノクローナル抗体の同定(または生成または産生)に使用するのに好適である。言い換えると、本発明の単離ペプチド(およびコンジュゲート)は典型的に、本発明による抗KRAS抗体によってターゲティングするための本発明によるKRASの発癌性変異型の有用なエピトープを提示する(またはそれに対応する、またはそれに本質的に対応する)。
典型的に、本発明の単離ペプチド(およびコンジュゲート)は、本発明によるKRASの発癌性変異型に結合してその活性を阻害する抗体の同定(または生成または産生)に使用するのに好適である。
本発明の単離ペプチド(およびコンジュゲート)は、本発明によるKRASの発癌性変異型のエピトープ(または領域または部分)に対応し(または本質的に対応し)、それはKRASのこうした発癌性変異型(例、SEQ ID NO:8、9、11、12、13、14、15、または16)のアミノ酸残基10からアミノ酸残基21の領域に配置される(または位置する)。
本明細書において定義される本発明の単離ペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む(またはそれからなる)核酸分子、またはそれと実質的に相同の核酸分子は、本発明のなおもさらなる態様を形成する。
核酸配列に関連して本明細書において用いられる「実質的に相同の」という用語は、出発核酸配列に対して少なくとも65%、70%、または75%、好ましくは少なくとも80%、さらにより好ましくは少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%、または99%の配列同一性を有する配列を含む。
本明細書において用いられる「核酸配列」または「核酸分子」という用語は、自然発生する塩基、糖、および糖間(骨格)結合で構成されるヌクレオシドまたはヌクレオチドモノマーの配列を示す。この用語は、自然発生しないモノマーまたはその一部分を含む改変または置換された配列も含む。本発明の核酸配列は、デオキシリボ核酸配列(DNA:deoxyribonucleic acid sequences)またはリボ核酸配列(RNA:ribonucleic acid sequences)であってもよく、アデニン、グアニン、シトシン、チミジン、およびウラシルを含む自然発生する塩基を含んでもよい。これらの配列は、修飾塩基も含んでもよい。こうした修飾塩基の例は、アザおよびデアザアデニン、グアニン、シトシン、チミジン、およびウラシル;ならびにキサンチンおよびヒポキサンチンを含む。核酸分子は、二本鎖または一本鎖であってもよい。核酸分子は、全体的または部分的に合成または組み換え体であってもよい。
別の態様において、本発明は、本発明の単離ペプチド(またはコンジュゲート)を含む組成物を提供する。こうした組成物は、好適な希釈剤、担体、賦形剤、および/または保存剤(例、薬学的に許容される希釈剤、担体、賦形剤、および/または保存剤)をさらに含んで(例、それとの混合物であって)もよい。
上記に示したとおり、本発明の単離ペプチド(およびコンジュゲート)は典型的に、本発明によるKRASの発癌性変異型に結合し結合してその活性を阻害する抗体の同定(または生成または産生)に使用するのに好適である。
よって1つの態様において、本発明は、KRASの発癌性変異型に結合する(またはそれを特異的に認識する、またはそれに特異的に結合する)、たとえば単離抗体などの抗体を提供し、前記KRASの発癌性変異型は、野生型KRASの位置G12またはG13に対応する位置にアミノ酸置換を含み、前記抗体は、野生型KRASのアミノ酸残基10~21に対応するアミノ酸残基によって定義される前記KRASの発癌性変異型の領域内にあるエピトープに結合し、前記抗体は前記KRASの発癌性変異型の活性を阻害する。
好ましい実施形態において、KRAS(またはK-Ras)の発癌性変異型は、ヒトのKRAS(またはK-Ras)の発癌性変異型である(すなわち、ヒトタンパク質である)。
ヒトKRASには2つのアイソフォームが存在する。それらはKRASアイソフォーム2AおよびKRASアイソフォーム2Bである。本発明に関連して言及される野生型KRASは、KRASアイソフォーム2AまたはKRASアイソフォーム2Bであってもよい。野生型KRASアイソフォーム2Aのアミノ酸配列は、本明細書においてSEQ ID NO:7として示される。野生型KRASアイソフォーム2Bのアミノ酸配列は、本明細書においてSEQ ID NO:10として示される。よっていくつかの実施形態において、本発明に関連して言及される野生型KRASは、SEQ ID NO:7のアミノ酸配列を有する。いくつかの実施形態において、本発明に関連して言及される野生型KRASは、SEQ ID NO:10のアミノ酸配列を有する。野生型KRASアイソフォーム2Aおよび野生型KRASアイソフォーム2Bは、アミノ残基10~21に同一の配列を有する(実際には、SEQ ID NO:7およびSEQ ID NO:10は残基1~150にわたって同一である)。
本発明によるKRASの発癌性変異型は、本発明によるKRASアイソフォーム2Aの発癌性変異型またはKRASアイソフォーム2Bの発癌性変異型であってもよい。
よっていくつかの実施形態において、KRASの発癌性変異型は、SEQ ID NO:13、14、15、または16のアミノ酸配列を有する。
いくつかの実施形態において、KRASの発癌性変異型は、SEQ ID NO:13またはSEQ ID NO:14のアミノ酸配列を有する。
いくつかの実施形態において、KRASの発癌性変異型は、SEQ ID NO:15またはSEQ ID NO:16のアミノ酸配列を有する。
いくつかの実施形態において、KRASの発癌性変異型は、SEQ ID NO:13またはSEQ ID NO:15のアミノ酸配列を有する。
いくつかの実施形態において、KRASの発癌性変異型は、SEQ ID NO:14またはSEQ ID NO:16のアミノ酸配列を有する。
KRASの発癌性変異型がSEQ ID NO:13またはSEQ ID NO:15のアミノ酸配列を有するいくつかの実施形態において、好ましくは「X」残基はD、V、C、A、またはRからなる群より選択される。よって、SEQ ID NO:13のアミノ酸配列に関連するものとして本明細書に記載される実施形態は、いくつかの好ましい実施形態において、SEQ ID:22のアミノ酸配列に準用されて関連してもよい。SEQ ID NO:15のアミノ酸配列に関連するものとして本明細書に記載される実施形態は、いくつかの好ましい実施形態において、SEQ ID:23のアミノ酸配列に準用されて関連してもよい。
KRASの発癌性変異型がSEQ ID NO:13またはSEQ ID NO:15のアミノ酸配列を有するいくつかの実施形態において、好ましくは「X」残基はD、C、A、S、またはRからなる群より選択される。よって、SEQ ID NO:13のアミノ酸配列に関連するものとして本明細書に記載される実施形態は、いくつかの好ましい実施形態において、SEQ ID:24のアミノ酸配列に準用されて関連してもよい。SEQ ID NO:15のアミノ酸配列に関連するものとして本明細書に記載される実施形態は、いくつかの好ましい実施形態において、SEQ ID:25のアミノ酸配列に準用されて関連してもよい。
KRASの発癌性変異型がSEQ ID NO:13またはSEQ ID NO:15のアミノ酸配列を有するいくつかの実施形態において、好ましくは「X」残基はD、C、A、またはRからなる群より選択される。よって、SEQ ID NO:13のアミノ酸配列に関連するものとして本明細書に記載される実施形態は、いくつかの好ましい実施形態において、SEQ ID:26のアミノ酸配列に準用されて関連してもよい。SEQ ID NO:15のアミノ酸配列に関連するものとして本明細書に記載される実施形態は、いくつかの好ましい実施形態において、SEQ ID:27のアミノ酸配列に準用されて関連してもよい。
好ましい実施形態において、SEQ ID NO:13、SEQ ID NO:14、SEQ ID NO:15、またはSEQ ID NO:16におけるX残基はD残基である。
よって好ましい実施形態において、野生型KRASの位置G12に対応する位置におけるKRASの発癌性変異型のアミノ酸置換(または変異残基)は、G12D置換である(すなわち、Dは好ましくは変異残基である)。好ましい実施形態において、野生型KRASの位置G13に対応する位置におけるKRASの発癌性変異型のアミノ酸置換(または変異残基)は、G13D変異である(すなわち、Dは好ましくは変異残基である)。
いくつかの好ましい実施形態において、KRASの発癌性変異型は、SEQ ID NO:8、9、11、または12のアミノ酸配列を有する。
いくつかの実施形態において、KRASの発癌性変異型は、SEQ ID NO:8またはSEQ ID NO:9のアミノ酸配列を有する。
いくつかの実施形態において、KRASの発癌性変異型は、SEQ ID NO:11またはSEQ ID NO:12のアミノ酸配列を有する。
いくつかの実施形態において、KRASの発癌性変異型は、SEQ ID NO:8またはSEQ ID NO:11のアミノ酸配列を有する。
いくつかの実施形態において、KRASの発癌性変異型は、SEQ ID NO:9またはSEQ ID NO:12のアミノ酸配列を有する。
いくつかの実施形態において、KRASの発癌性変異型は、SEQ ID NO:8(アイソフォーム2A、G12D変異)のアミノ酸配列を有する。
いくつかの実施形態において、KRASの発癌性変異型は、SEQ ID NO:9(アイソフォーム2A、G13D変異)のアミノ酸配列を有する。
いくつかの実施形態において、KRASの発癌性変異型は、SEQ ID NO:11(アイソフォーム2B、G12D変異)のアミノ酸配列を有する。
いくつかの実施形態において、KRASの発癌性変異型は、SEQ ID NO:12(アイソフォーム2B、G13D変異)のアミノ酸配列を有する。
KRASアイソフォーム2A(SEQ ID NO:8)およびKRASアイソフォーム2B(SEQ ID NO:11)のG12D発癌性変異型は、アミノ残基10~21に同一の配列を有する。KRASアイソフォーム2A(SEQ ID NO:9)およびKRASアイソフォーム2B(SEQ ID NO:12)のG13D発癌性変異型は、アミノ残基10~21に同一の配列を有する。
いくつかの実施形態において、本発明の抗体は、野生型KRASの位置G12に対応する位置にアミノ酸置換を含むKRASの発癌性変異型(例、SEQ ID NO:8、11、13、または15)に結合してもよい。
いくつかの実施形態において、本発明の抗体は、野生型KRASの位置G13に対応する位置にアミノ酸置換を含むKRASの発癌性変異型(例、SEQ ID NO:9、12、14、または16)に結合してもよい。
いくつかの実施形態において、本発明の抗体は、野生型KRASの位置G12に対応する位置にアミノ酸置換を含むKRASの発癌性変異型(例、SEQ ID NO:8、11、13、または15)に結合し、および野生型KRASの位置G13に対応する位置にアミノ酸置換を含むKRASの発癌性変異型(例、SEQ ID NO:9、12、14、または16)に結合してもよい。
SEQ ID NO:8、9、11、12、13、14、15、および16に示されるKRASの発癌性変異型の各々のアミノ酸10~21は、もちろん位置12または位置13における関連発癌性変異アミノ酸残基(アミノ酸置換)を除いて、対応する野生型配列(SEQ ID NO:7またはSEQ ID NO:10)のアミノ酸領域10~21に対応する。
よって、KRASの発癌性変異型がSEQ ID NO:8、9、11、12、13、14、15、または16のアミノ酸配列を有する実施形態において、本発明の抗体は、前記配列のうち1つ以上のアミノ酸残基10~21によって定義される領域において、前記KRASの発癌性変異型のうち1つ以上のエピトープに結合する。
好ましいKRASの発癌性変異型も本明細書の他の場所に考察されている。
本明細書の他の場所に考察されるとおり、本発明の抗体は典型的に、野生型KRASのアミノ酸残基10~21に対応するアミノ酸残基によって定義される前記KRASの発癌性変異型の領域内にある、本発明によるKRASの発癌性変異型のエピトープに結合する。いくつかの実施形態において、結合されるエピトープ全体が本発明によるKRASの発癌性変異型のこの領域内に存在する。いくつかの実施形態において、結合されるエピトープの少なくとも1つのアミノ酸が本発明によるKRASの発癌性変異型のこの領域内に存在する。
好ましい実施形態において、本発明の抗体は、本発明の単離ペプチドまたはコンジュゲートに結合する(または結合できる)。好ましい単離ペプチドおよびコンジュゲート、ならびに単離ペプチドおよびコンジュゲートの好ましいグループは、本明細書の他の場所に定義されている。好ましい実施形態において、本発明の抗体は、本明細書の他の場所に記載される好ましい単離ペプチドまたはコンジュゲートに結合する。抗体が単離ペプチドに結合する能力は、任意の適切な手段によって評価でき、当業者は好適な方法を熟知している(例、ELISAアッセイ、たとえば所与の単離ペプチドの抗体結合が本発明によるKRASの全長発癌性変異型と競合し得るか否かを評価するためのELISAアッセイなど)。
抗体が単離ペプチド(またはコンジュゲート)に結合する能力を評価するための好適なELISAアッセイは、本明細書の実施例のセクションに記載されている。
いくつかの実施形態において、本発明の抗体は、SEQ ID NO:17、SEQ ID NO:18、SEQ ID NO:1、およびSEQ ID NO:2からなる(またはそれを含む)群より選択されるアミノ酸配列を含む(またはそれからなる)単離ペプチドに結合する(または結合できる)か、またはこうした単離ペプチドを含むコンジュゲートに結合する(または結合できる)。
いくつかの実施形態において、本発明の抗体は、SEQ ID NO:1およびSEQ ID NO:2からなる(またはそれを含む)群より選択されるアミノ酸配列を含む(またはそれからなる)単離ペプチドに結合する(または結合できる)か、またはこうした単離ペプチドを含むコンジュゲートに結合する(または結合できる)。
いくつかの実施形態において、本発明の抗体は、SEQ ID NO:3、SEQ ID NO:4、SEQ ID NO:5、およびSEQ ID NO:6からなる(またはそれを含む)群より選択されるアミノ酸配列を含む(またはそれからなる)単離ペプチドに結合する(または結合できる)か、またはこうした単離ペプチドを含むコンジュゲートに結合する(または結合できる)。
いくつかの実施形態において、本発明の抗体は、SEQ ID NO:17のアミノ酸配列を含む少なくとも1つの本発明の単離ペプチドと、SEQ ID NO:18のアミノ酸配列を含む少なくとも1つの本発明の単離ペプチドとに結合してもよい。
いくつかの実施形態において、本発明の抗体は、SEQ ID NO:1のアミノ酸配列を含む少なくとも1つの本発明の単離ペプチドと、SEQ ID NO:2のアミノ酸配列を含む少なくとも1つの本発明の単離ペプチドとに結合してもよい。
いくつかの実施形態において、本発明の抗体は、SEQ ID NO:3またはSEQ ID NO:4(好ましくはSEQ ID NO:3)のアミノ酸配列からなる少なくとも1つの本発明の単離ペプチドと、SEQ ID NO:5またはSEQ ID NO:6(好ましくはSEQ ID NO:5)のアミノ酸配列を含む少なくとも1つの本発明の単離ペプチドとに結合してもよい。
本発明の好ましい抗体は、本発明の単離ペプチドまたはコンジュゲートに結合する(または結合できる)が、それらの抗体はもちろん典型的に、本発明によるKRASの全長(または天然)の発癌性変異型(好ましくは本発明によるKRASのヒト発癌性変異型、たとえばSEQ ID NO8、9、11、12、13、14、15、または16、好ましくは8、9、11、または12に示されるものなど)にも結合する。
いくつかの実施形態において、本発明によるKRASの全長(または天然)の発癌性変異型(好ましくは本発明によるKRASのヒト発癌性変異型)は、細胞、好ましくは哺乳動物細胞、より好ましくはヒト細胞にて発現されるKRASの発癌性変異型である。よって好ましい実施形態において、本発明によるKRASの発癌性変異型は、細胞内の(または細胞で発現された)KRASの発癌性変異型である。好ましい実施形態において、前記細胞は癌細胞または癌細胞株である。こうした癌細胞または細胞株は、乳癌細胞もしくは乳癌細胞株(例、細胞株MDA-MB-231)、肺癌細胞もしくは肺癌細胞株(例、細胞株SK-LU1)、結腸癌細胞もしくは結腸癌細胞株(例、細胞株HCT116または細胞株LS174T)、または膵臓癌細胞もしくは膵臓癌細胞株(例、MIA-PA-CA-2)を含んでもよいが、それに限定されない。乳癌細胞株MDA-MB-231は、KRASにおけるG13D変異を有するヒト細胞株である。肺癌細胞株SK-LU1は、KRASにおけるG12D変異を有するヒト細胞株である。結腸癌細胞株HCT116は、KRASにおけるG13D変異を有するヒト細胞株である。結腸癌細胞株LS174Tは、KRASにおけるG12D変異を有するヒト細胞株である。結腸癌細胞株SW620は、KRASにおけるG13V変異を有するヒト結腸直腸腺癌細胞株である。膵臓癌細胞株MIA-PA-CA-2は、KRASにおけるG12C変異を有するヒト細胞株である。本発明によるKRASの発癌性変異型に対する本発明の抗体の結合は、任意の好適な手段によって評価されてもよく、当業者は好適な方法を熟知するだろう(例、ELISAアッセイ、または免疫組織染色、またはたとえば本明細書の他の場所に記載されるものなどの機能アッセイの使用)。
本発明の単離ペプチドは、本発明によるKRASの全長発癌性変異型(好ましくは、たとえばSEQ ID NO8、9、11、12、13、14、15、または16に示されるものなどの、本発明によるKRASのヒト発癌性変異型)の特定の領域またはエピトープに対応するか、または本質的に対応する。
SEQ ID NO:17の単離ペプチドは、SEQ ID NO:13またはSEQ ID NO:15に示される本発明によるKRASのヒト発癌性変異型の残基10~21に対応する。
SEQ ID NO:18の単離ペプチドは、SEQ ID NO:14またはSEQ ID NO:16に示される本発明によるKRASのヒト発癌性変異型の残基10~21に対応する。
SEQ ID NO:1の単離ペプチドは、SEQ ID NO:8またはSEQ ID NO:11に示される本発明によるKRASのヒト発癌性変異型の残基10~21に対応する。
SEQ ID NO:2の単離ペプチドは、SEQ ID NO:9またはSEQ ID NO:12に示される本発明によるKRASのヒト発癌性変異型の残基10~21に対応する。
SEQ ID NO:3およびSEQ ID NO:4の単離ペプチドは、SEQ ID NO:8またはSEQ ID NO:11に示される本発明によるKRASのヒト発癌性変異型の残基10~21に本質的に対応する。
SEQ ID NO:5およびSEQ ID NO:6の単離ペプチドは、SEQ ID NO:9またはSEQ ID NO:12に示される本発明によるKRASのヒト発癌性変異型の残基10~21に本質的に対応する。
単離ペプチド配列の文脈での「対応する」とは、単離ペプチドのアミノ配列(SEQ ID NO:)が、本発明によるKRASのヒト発癌性変異型の記述される領域またはエピトープのアミノ酸配列と一致することを意味する。「本質的に対応する」とは、単離ペプチドのアミノ配列(SEQ ID NO:)が、本発明によるKRASのヒト発癌性変異型の記述される領域またはエピトープの配列に基づく(またはそれに由来する、またはその改変形である)ものとして識別可能であることを意味する。たとえば、本発明によるKRASのヒト発癌性変異型の記述される領域またはエピトープに「本質的に対応する」配列を有する単離ペプチドは典型的に、本発明によるKRASのヒト発癌性変異型の記述される領域またはエピトープの配列に対応する(すなわち正確に対応する)単離ペプチドと比較して、1つ以上(例、1、2、または3)のアミノ酸の置換、付加、または欠失を有する。よって、本発明によるKRASのヒト発癌性変異型の記述される領域またはエピトープに「本質的に対応する」配列を有する単離ペプチドは、本明細書の他の場所に定義される「実質的に相同の」単離ペプチド配列とみなされてもよい。
上記に示したとおり、本発明の抗体は、本発明によるKRASの少なくとも1つの発癌性変異型に結合する。
いくつかの実施形態において、本発明の抗体は、SEQ ID NO:13、14、15、または16のアミノ酸配列を有するKRASの発癌性変異型に結合する。いくつかの実施形態において、本発明の抗体は、SEQ ID NO:13または15のアミノ酸配列を有するKRASの少なくとも1つの発癌性変異型と、SEQ ID NO:14または16のアミノ酸配列を有するKRASの少なくとも1つの発癌性変異型とに結合する。
いくつかの実施形態において、本発明の抗体は、SEQ ID NO:8、9、11、または12のアミノ酸配列を有するKRASの発癌性変異型に結合する。いくつかの実施形態において、本発明の抗体は、SEQ ID NO:8または11のアミノ酸配列を有するKRASの少なくとも1つの発癌性変異型と、SEQ ID NO:9または12のアミノ酸配列を有するKRASの少なくとも1つの発癌性変異型とに結合する。
いくつかの実施形態において、本発明の抗体は、位置12における所与の発癌性変異残基(例、SEQ ID NO:13またはSEQ ID NO:15に示される可能な位置12残基のうちの1つ、すなわちDまたはVまたはCまたはAまたはSまたはR)を有するKRASの発癌性変異型に結合し(および好ましくはその活性を阻害し)、加えて位置12の代わりに位置13における前記所与の(すなわち同じ)発癌性変異残基を有するKRASの発癌性変異型にも結合する(すなわち、付加的に結合する、または付加的に結合し得る)。
たとえばいくつかの実施形態において、本発明の抗体は、位置12にD(アスパラギン酸)残基を有するKRASの発癌性変異型に結合し(および好ましくはその活性を阻害し)、加えて位置12の代わりに位置13にD(アスパラギン酸)残基を有するKRASの発癌性変異型にも結合する(すなわち、付加的に結合する、または付加的に結合し得る)。
いくつかの実施形態において、本発明の抗体は、位置13における所与の発癌性変異残基(例、SEQ ID NO:14またはSEQ ID NO:16に示される可能な位置13残基のうちの1つ、すなわちDまたはC)を有するKRASの発癌性変異型に結合し(および好ましくはその活性を阻害し)、加えて位置13の代わりに位置12における前記所与の(すなわち同じ)発癌性変異残基を有するKRASの発癌性変異型にも結合する(すなわち、付加的に結合する、または付加的に結合し得る)。
理論に結び付けられることは望まないが、少なくともいくつかの場合には、位置12および13の間の距離の小さな差が与えられるときに、発癌性変異残基の性質(すなわち同一性)は、その正確な位置(すなわち、位置12対13)と同様に(またはそれよりも)重要であり得ると考えられる。よっていくつかの実施形態において、位置12に所与の変異残基を有するKRASの発癌性変異型に結合する(および好ましくはそれを阻害する)抗体は、位置12の代わりに位置13に同じ所与の変異残基を有するKRASの1つ以上の他の発癌性変異型にも結合してもよい。同様にいくつかの実施形態において、位置13に所与の変異残基を有するKRASの発癌性変異型に結合する(および好ましくはそれを阻害する)抗体は、位置13の代わりに位置12に同じ所与の変異残基を有するKRASの1つ以上の他の発癌性変異型にも結合してもよい。G12DおよびG13D変異KRASの場合、本発明の特定の抗体は負に帯電したアスパラギン酸(D)残基に結合するが、特定の抗体は、距離の差が小さいために位置12または13のいずれのD残基にも適合できると考えられる。
いくつかの実施形態において、本発明は、KRASの発癌性変異型に結合し、および3つのCDRを含む少なくとも1つの重鎖可変領域と、3つのCDRを含む少なくとも1つの軽鎖可変領域とを含む、たとえば単離抗体などの抗体を提供し、前記重鎖可変領域は、
(a)SEQ ID NO:148もしくは好ましくはSEQ ID NO:149のアミノ酸配列、またはそれと実質的に相同の配列を有する可変重鎖(VH:variable heavy)CDR1と、
(b)SEQ ID NO:150もしくは好ましくはSEQ ID NO:151のアミノ酸配列、またはそれと実質的に相同の配列を有するVH CDR2と、
(c)SEQ ID NO:34もしくは54もしくは74のアミノ酸配列、またはそれと実質的に相同の配列を有するVH CDR3とを含み;および/または(好ましくは「および」)
前記軽鎖可変領域は、
(d)SEQ ID NO:152もしくは好ましくはSEQ ID NO:153のアミノ酸配列、またはそれと実質的に相同の配列を有する可変軽鎖(VL:variable light)CDR1と、
(e)SEQ ID NO:154もしくは好ましくは155のアミノ酸配列、またはそれと実質的に相同の配列を有するVL CDR2と、
(f)SEQ ID NO:37、SEQ ID NO:57、もしくはSEQ ID NO:77のアミノ酸配列、またはそれと実質的に相同の配列を有するVL CDR3とを含む。実質的に相同の配列については、本明細書の他の場所に記載されている。好ましくは、前記実質的に相同の配列は、所与のCDR配列と比較して1、2、または3のアミノ酸置換を含有する配列であるか、または前記実質的に相同の配列は、所与のCDR配列の保存的アミノ酸置換を含有する配列である。
本発明のいくつかの実施形態において、VH CDR1は、SEQ ID NO:148(X1YX3MH)のアミノ酸配列を有するかまたは含む。これらの実施形態において、X1またはX3は任意のアミノ酸であり得る。好ましくはX1残基はDまたはRである。よって、好ましいVH CDR1はSEQ ID NO:149のアミノ酸配列を有するかまたは含む。たとえば、この実施形態の好ましいVH CDR1配列は、SEQ ID NO:32、52、または72を有するかまたは含む。
本発明のいくつかの実施形態において、VH CDR2は、SEQ ID NO:150(X1IX3PNX6GGX91011NX1314FKX17)のアミノ酸配列を有するかまたは含む。これらの実施形態において、X1、X3、X6、X9、X10、X11、X13、X14、およびX17は任意のアミノ酸であり得る。これらのX残基のうちの好ましくは1つ以上、最も好ましくはすべてが以下の群より選択される。X1はYまたはR(好ましくはY);X3はNまたはD(好ましくはN);X6はNまたはS(好ましくはN);X9はAまたはT;X10はSまたはYまたはT;X11はYまたはF(好ましくはY);X13はQまたはE(好ましくはQ);X14はKまたはR;X17はGまたはS(好ましくはG)。よって、好ましいVH CDR2はSEQ ID NO:151のアミノ酸配列を有するかまたは含む。たとえば、この実施形態の好ましいVH CDR2配列は、SEQ ID NO:33、53、または73を有するかまたは含む。
本発明のいくつかの実施形態において、VL CDR1は、SEQ ID NO:152(SAX3SSVX7YMH)のアミノ酸配列を有するかまたは含む。これらの実施形態において、X3およびX7は任意のアミノ酸であり得る。好ましくは、これらのX残基の一方または両方が以下の群より選択される。X3はSまたはG;X7はSまたはD。よって、好ましいVL CDR1はSEQ ID NO:153のアミノ酸配列を有するかまたは含む。たとえば、この実施形態の好ましいVL CDR1配列は、SEQ ID NO:35、55、または75を有するかまたは含む。
本発明のいくつかの実施形態において、VL CDR2は、SEQ ID NO:154(DTSKX5AS)のアミノ酸配列を有するかまたは含む。これらの実施形態において、X5は任意のアミノ酸であり得る。好ましくは、X5はVまたはLである。よって、好ましいVL CDR1はSEQ ID NO:155のアミノ酸配列を有するかまたは含む。たとえば、この実施形態の好ましいVL CDR1配列は、SEQ ID NO:36、56、または76を有するかまたは含む。
VH CDR配列とVL CDR配列との特定の好ましい組み合わせを、以下の表Hの1~15の番号の付いた行の各々に示している。
Figure 2023514423000001
表Hに示される本発明の実施形態において、好ましくはSEQ ID NO:148として示される共通配列は、SEQ ID NO:149として示される配列である。表Hに示される本発明の実施形態において、好ましくはSEQ ID NO:150として示される共通配列は、SEQ ID NO:151として示される配列である。表Hに示される本発明の実施形態において、好ましくはSEQ ID NO:152として示される共通配列は、SEQ ID NO:153として示される配列である。表Hに示される本発明の実施形態において、好ましくはSEQ ID NO:154として示される共通配列は、SEQ ID NO:155として示される配列である。いくつかの実施形態において、表Hに述べられている特定の配列と実質的に相同の配列が、その特定の配列自身の代わりに使用されてもよい。
いくつかの実施形態において、本発明の抗体は、3つのCDRを含む少なくとも1つの重鎖可変領域と、3つのCDRを含む少なくとも1つの軽鎖可変領域とを含み、前記重鎖可変領域は、SEQ ID NO:148または好ましくはSEQ ID NO:149のアミノ酸配列を有するVH CDR1と、SEQ ID NO:150または好ましくはSEQ ID NO:151のアミノ酸配列を有するVH CDR2とを含み、および/または(好ましくは「および」)前記軽鎖可変領域は、SEQ ID NO:152または好ましくはSEQ ID NO:153のアミノ酸配列を有するVL CDR1と、SEQ ID NO:154または好ましくはSEQ ID NO:155のアミノ酸配列を有するVL CDR2とを含む。
いくつかのこうした実施形態において、好ましくは軽鎖可変領域はSEQ ID NO:34のアミノ酸配列を有するVH CDR3と、SEQ ID NO:37のアミノ酸配列を有するVL CDR3とを含むか、または軽鎖可変領域はSEQ ID NO:54のアミノ酸配列を有するVH CDR3と、SEQ ID NO:57のアミノ酸配列を有するVL CDR3とを含むか、または軽鎖可変領域はSEQ ID NO:74のアミノ酸配列を有するVH CDR3と、SEQ ID NO:77のアミノ酸配列を有するVL CDR3とを含む。いくつかの実施形態において、この段落に述べられている特定の配列と実質的に相同の配列が、その特定の配列自身の代わりに使用されてもよい。
いくつかの実施形態において、本発明は、KRASの発癌性変異型に結合し、および3つのCDRを含む少なくとも1つの重鎖可変領域と、3つのCDRを含む少なくとも1つの軽鎖可変領域とを含む、たとえば単離抗体などの抗体を提供し、前記重鎖可変領域は、
(a)SEQ ID NO:32もしくはSEQ ID NO:52のアミノ酸配列、またはそれと実質的に相同の配列を有する可変重鎖(VH)CDR1と、
(b)SEQ ID NO:33もしくはSEQ ID NO:53のアミノ酸配列、またはそれと実質的に相同の配列を有するVH CDR2と、
(c)SEQ ID NO:34のアミノ酸配列、またはそれと実質的に相同の配列を有するVH CDR3とを含み;および/または(好ましくは「および」)
前記軽鎖可変領域は、
(d)SEQ ID NO:35もしくはSEQ ID NO:55のアミノ酸配列、またはそれと実質的に相同の配列を有するVL CDR1と、
(e)SEQ ID NO:36もしくはSEQ ID NO:56のアミノ酸配列、またはそれと実質的に相同の配列を有するVL CDR2と、
(f)SEQ ID NO:37もしくはSEQ ID NO:57のアミノ酸配列、またはそれと実質的に相同の配列を有するVL CDR3とを含む。実質的に相同の配列については、本明細書の他の場所に記載されている。好ましくは、前記実質的に相同の配列は、所与のCDR配列と比較して1、2、または3のアミノ酸置換を含有する配列であるか、または前記実質的に相同の配列は、所与のCDR配列の保存的アミノ酸置換を含有する配列である。
VH CDR配列とVL CDR配列との特定の好ましい組み合わせを、以下の表Iの1~2の番号の付いた行の各々に示している。
Figure 2023514423000002
いくつかの実施形態において、表Iに述べられている特定の配列と実質的に相同の配列が、その特定の配列自身の代わりに使用されてもよい。
いくつかの実施形態において、本発明の抗体は、3つのCDRを含む少なくとも1つの重鎖可変領域と、3つのCDRを含む少なくとも1つの軽鎖可変領域とを含み、前記軽鎖可変領域は、SEQ ID NO:34のアミノ酸配列(またはそれと実質的に相同の配列)を有するVH CDR3を含む。
いくつかの実施形態において、本発明は、KRASの発癌性変異型に結合し、および3つのCDRを含む少なくとも1つの重鎖可変領域と、3つのCDRを含む少なくとも1つの軽鎖可変領域とを含む、たとえば単離抗体などの抗体を提供し、前記重鎖可変領域は、
(a)SEQ ID NO:32もしくはSEQ ID NO:72のアミノ酸配列、またはそれと実質的に相同の配列を有する可変重鎖(VH)CDR1と、
(b)SEQ ID NO:33もしくはSEQ ID NO:73のアミノ酸配列、またはそれと実質的に相同の配列を有するVH CDR2と、
(c)SEQ ID NO:34もしくはSEQ ID NO:74のアミノ酸配列、またはそれと実質的に相同の配列を有するVH CDR3とを含み;および/または(好ましくは「および」)
前記軽鎖可変領域は、
(d)SEQ ID NO:35もしくはSEQ ID NO:75のアミノ酸配列、またはそれと実質的に相同の配列を有するVL CDR1と、
(e)SEQ ID NO:36のアミノ酸配列、またはそれと実質的に相同の配列を有するVL CDR2と、
(f)SEQ ID NO:37もしくはSEQ ID NO:77のアミノ酸配列、またはそれと実質的に相同の配列を有するVL CDR3とを含む。実質的に相同の配列については、本明細書の他の場所に記載されている。好ましくは、前記実質的に相同の配列は、所与のCDR配列と比較して1、2、または3のアミノ酸置換を含有する配列であるか、または前記実質的に相同の配列は、所与のCDR配列の保存的アミノ酸置換を含有する配列である。
VH CDR配列とVL CDR配列との特定の好ましい組み合わせを、以下の表Jの1~2の番号の付いた行の各々に示している。
Figure 2023514423000003
いくつかの実施形態において、表Jに述べられている特定の配列と実質的に相同の配列が、その特定の配列自身の代わりに使用されてもよい。
いくつかの実施形態において、本発明の抗体は、3つのCDRを含む少なくとも1つの重鎖可変領域と、3つのCDRを含む少なくとも1つの軽鎖可変領域とを含み、前記軽鎖可変領域は、SEQ ID NO:36のアミノ酸配列(またはそれと実質的に相同の配列)を有するVL CDR2を含む。
いくつかの実施形態において、本発明は、KRASの発癌性変異型に結合し、および3つのCDRを含む少なくとも1つの重鎖可変領域と、3つのCDRを含む少なくとも1つの軽鎖可変領域とを含む、たとえば単離抗体などの抗体を提供し、前記重鎖可変領域は、
(a)SEQ ID NO:32、SEQ ID NO:52、もしくはSEQ ID NO:72のアミノ酸配列、またはそれと実質的に相同の配列を有する可変重鎖(VH)CDR1と、
(b)SEQ ID NO:33、SEQ ID NO:53、もしくはSEQ ID NO:73のアミノ酸配列、またはそれと実質的に相同の配列を有するVH CDR2と、
(c)SEQ ID NO:34、SEQ ID NO:54、もしくはSEQ ID NO:74のアミノ酸配列、またはそれと実質的に相同の配列を有するVH CDR3とを含み;および/または(好ましくは「および」)
前記軽鎖可変領域は、
(d)SEQ ID NO:35、SEQ ID NO:55、もしくはSEQ ID NO:75のアミノ酸配列、またはそれと実質的に相同の配列を有するVL CDR1と、
(e)SEQ ID NO:36、SEQ ID NO:56、もしくはSEQ ID NO:76のアミノ酸配列、またはそれと実質的に相同の配列を有するVL CDR2と、
(f)SEQ ID NO:37のアミノ酸配列、またはそれと実質的に相同の配列を有するVL CDR3とを含む。実質的に相同の配列については、本明細書の他の場所に記載されている。好ましくは、前記実質的に相同の配列は、所与のCDR配列と比較して1、2、または3のアミノ酸置換を含有する配列であるか、または前記実質的に相同の配列は、所与のCDR配列の保存的アミノ酸置換を含有する配列である。
VH CDR配列とVL CDR配列との特定の好ましい組み合わせを、以下の表Kの1~3の番号の付いた行の各々に示している。
Figure 2023514423000004
いくつかの実施形態において、表Kに述べられている特定の配列と実質的に相同の配列が、その特定の配列自身の代わりに使用されてもよい。
いくつかの実施形態において、本発明の抗体は、3つのCDRを含む少なくとも1つの重鎖可変領域と、3つのCDRを含む少なくとも1つの軽鎖可変領域とを含み、前記軽鎖可変領域は、SEQ ID NO:37のアミノ酸配列(またはそれと実質的に相同の配列)を有するVL CDR3を含む。
いくつかの実施形態において、本発明の抗体は、3つのCDRを含む少なくとも1つの重鎖可変領域と、3つのCDRを含む少なくとも1つの軽鎖可変領域とを含み、前記重鎖可変領域は、SEQ ID NO:148(または好ましくはSEQ ID NO:149)のアミノ酸配列を有するVH CDR1を含む。いくつかのこうした実施形態において、好ましくはVL CDR1、VL CDR2、VL CDR3、VH CDR2、およびVH CDR3(例、それらの組み合わせ)は、本明細書の他の場所に定義されるアミノ酸配列を有する。
いくつかの実施形態において、本発明の抗体は、3つのCDRを含む少なくとも1つの重鎖可変領域と、3つのCDRを含む少なくとも1つの軽鎖可変領域とを含み、前記重鎖可変領域は、SEQ ID NO:150(または好ましくはSEQ ID NO:151)のアミノ酸配列を有するVH CDR2を含む。いくつかのこうした実施形態において、好ましくはVL CDR1、VL CDR2、VL CDR3、VH CDR1、およびVH CDR3(例、それらの組み合わせ)は、本明細書の他の場所に定義されるアミノ酸配列を有する。
いくつかの実施形態において、本発明の抗体は、3つのCDRを含む少なくとも1つの重鎖可変領域と、3つのCDRを含む少なくとも1つの軽鎖可変領域とを含み、前記軽鎖可変領域は、SEQ ID NO:152(または好ましくはSEQ ID NO:153)のアミノ酸配列を有するVL CDR1を含む。いくつかのこうした実施形態において、好ましくはVL CDR2、VL CDR3、VH CDR1、VH CDR2、およびVH CDR3(例、それらの組み合わせ)は、本明細書の他の場所に定義されるアミノ酸配列を有する。
いくつかの実施形態において、本発明の抗体は、3つのCDRを含む少なくとも1つの重鎖可変領域と、3つのCDRを含む少なくとも1つの軽鎖可変領域とを含み、前記軽鎖可変領域は、SEQ ID NO:154(または好ましくはSEQ ID NO:155)のアミノ酸配列を有するVL CDR2を含む。いくつかのこうした実施形態において、好ましくはVL CDR1、VL CDR3、VH CDR1、VH CDR2、およびVH CDR3(例、それらの組み合わせ)は、本明細書の他の場所に定義されるアミノ酸配列を有する。
いくつかの実施形態において、本発明の抗体は、3つのCDRを含む少なくとも1つの重鎖可変領域と、3つのCDRを含む少なくとも1つの軽鎖可変領域とを含み、前記軽鎖可変領域は、SEQ ID NO:37(またはSEQ ID NO:57またはSEQ ID NO:77)のアミノ酸配列(またはそれと実質的に相同の配列)を有するVL CDR3を含む。いくつかのこうした実施形態において、好ましくはVL CDR1、VL CDR2、VH CDR1、VH CDR2、およびVH CDR3(例、それらの組み合わせ)は、本明細書の他の場所に定義されるアミノ酸配列を有する。
いくつかの実施形態において、抗体は、3つのCDRを含む少なくとも1つの重鎖可変領域と、3つのCDRを含む少なくとも1つの軽鎖可変領域とを含み、前記重鎖可変領域は、SEQ ID NO:148、好ましくはSEQ ID NO:149のアミノ酸配列を有する可変重鎖(VH)CDR1、および/またはSEQ ID NO:150、好ましくはSEQ ID NO:151のアミノ酸配列を有するVH CDR2を含み、および/または前記軽鎖可変領域は、SEQ ID NO:152、好ましくはSEQ ID NO:153のアミノ酸配列を有するVL CDR1、および/またはSEQ ID NO:154、好ましくはSEQ ID NO:155のアミノ酸配列を有するVL CDR2を含む。いくつかのこうした実施形態において、抗体は、SEQ ID NO:37のアミノ酸配列(またはそれと実質的に相同の配列)を有するVL CDR3をさらに含み、および/またはSEQ ID NO:34もしくは74のアミノ酸配列(またはそれと実質的に相同の配列)を有するVH CDR3をさらに含む。
いくつかの実施形態において、本発明は、KRASの発癌性変異型に結合し、および3つのCDRを含む少なくとも1つの重鎖可変領域と、3つのCDRを含む少なくとも1つの軽鎖可変領域とを含む、たとえば単離抗体などの抗体を提供し、前記重鎖可変領域は、
(a)SEQ ID NO:156もしくは好ましくはSEQ ID NO:157のアミノ酸配列、またはそれと実質的に相同の配列を有する可変重鎖(VH)CDR1と、
(b)SEQ ID NO:158もしくは好ましくはSEQ ID NO:159のアミノ酸配列、またはそれと実質的に相同の配列を有するVH CDR2と、
(c)SEQ ID NO:94もしくはSEQ ID NO:114もしくはSEQ ID NO:134のアミノ酸配列、またはそれと実質的に相同の配列を有するVH CDR3とを含み;および/または(好ましくは「および」)
前記軽鎖可変領域は、
(d)SEQ ID NO:95もしくはSEQ ID NO:115もしくはSEQ ID NO:135のアミノ酸配列、またはそれと実質的に相同の配列を有する可変軽鎖(VL)CDR1と、
(e)SEQ ID NO:96もしくはSEQ ID NO:116もしくはSEQ ID NO:136のアミノ酸配列、またはそれと実質的に相同の配列を有するVL CDR2と、
(f)SEQ ID NO:97、SEQ ID NO:117、もしくはSEQ ID NO:137のアミノ酸配列、またはそれと実質的に相同の配列を有するVL CDR3とを含む。実質的に相同の配列については、本明細書の他の場所に記載されている。好ましくは、前記実質的に相同の配列は、所与のCDR配列と比較して1、2、または3のアミノ酸置換を含有する配列であるか、または前記実質的に相同の配列は、所与のCDR配列の保存的アミノ酸置換を含有する配列である。
本発明のいくつかの実施形態において、VH CDR1は、SEQ ID NO:156(TFGX4GVX7)のアミノ酸配列を有するかまたは含む。これらの実施形態において、X4またはX7は任意のアミノ酸であり得る。好ましくはX4残基はVまたはMである。好ましくはX7残基はAまたはGである。よって、好ましいVH CDR1はSEQ ID NO:157のアミノ酸配列を有するかまたは含む。たとえば、この実施形態の好ましいVH CDR1配列は、SEQ ID NO:92、112、または132を有するかまたは含む。
本発明のいくつかの実施形態において、VH CDR2は、SEQ ID NO:158(HIWWDDDKNYX11PALKS)のアミノ酸配列を有するかまたは含む。これらの実施形態において、X11は任意のアミノ酸であり得る。好ましくは、X11はDまたはFである。よって、好ましいVH CDR2はSEQ ID NO:159のアミノ酸配列を有するかまたは含む。たとえば、この実施形態の好ましいVH CDR2配列は、SEQ ID NO:93、113、または133を有するかまたは含む。
VH CDR配列とVL CDR配列との特定の好ましい組み合わせを、以下の表Mの1~9の番号の付いた行の各々に示している。
Figure 2023514423000005
表Mに示される本発明の実施形態において、好ましくはSEQ ID NO:156として示される共通配列は、SEQ ID NO:157として示される配列である。表Mに示される本発明の実施形態において、好ましくはSEQ ID NO:158として示される共通配列は、SEQ ID NO:159として示される配列である。いくつかの実施形態において、表Mに述べられている特定の配列と実質的に相同の配列が、その特定の配列自身の代わりに使用されてもよい。
いくつかの実施形態において、本発明の抗体は、3つのCDRを含む少なくとも1つの重鎖可変領域と、3つのCDRを含む少なくとも1つの軽鎖可変領域とを含み、前記重鎖可変領域は、SEQ ID NO:156または好ましくはSEQ ID NO:157のアミノ酸配列を有するVH CDR1と、SEQ ID NO:158または好ましくはSEQ ID NO:159のアミノ酸配列を有するVH CDR2とを含む。いくつかのこうした実施形態において、好ましくは重鎖可変領域はSEQ ID NO:94のアミノ酸配列を有するVH CDR3を含み、および/または(好ましくは「および」)軽鎖可変領域はSEQ ID NO:95のアミノ酸配列を有するVL CDR1と、SEQ ID NO:96のアミノ酸配列を有するVL CDR2と、SEQ ID NO:96のアミノ酸配列を有するVL CDR3とを含むか;または重鎖可変領域はSEQ ID NO:114のアミノ酸配列を有するVH CDR3を含み、および/または(好ましくは「および」)軽鎖可変領域はSEQ ID NO:115のアミノ酸配列を有するVL CDR1と、SEQ ID NO:116のアミノ酸配列を有するVL CDR2と、SEQ ID NO:117のアミノ酸配列を有するVL CDR3とを含むか;または重鎖可変領域はSEQ ID NO:134のアミノ酸配列を有するVH CDR3を含み、および/または(好ましくは「および」)軽鎖可変領域はSEQ ID NO:135のアミノ酸配列を有するVL CDR1と、SEQ ID NO:136のアミノ酸配列を有するVL CDR2と、SEQ ID NO:137のアミノ酸配列を有するVL CDR3とを含む。いくつかの実施形態において、この段落に述べられている特定の配列と実質的に相同の配列が、その特定の配列自身の代わりに使用されてもよい。
いくつかの実施形態において、本発明は、KRASの発癌性変異型に結合し、および3つのCDRを含む少なくとも1つの重鎖可変領域と、3つのCDRを含む少なくとも1つの軽鎖可変領域とを含む、たとえば単離抗体などの抗体を提供し、前記重鎖可変領域は、
(a)SEQ ID NO:112のアミノ酸配列、またはそれと実質的に相同の配列を有する可変重鎖(VH)CDR1と、
(b)SEQ ID NO:113のアミノ酸配列、またはそれと実質的に相同の配列を有するVH CDR2と、
(c)SEQ ID NO:114のアミノ酸配列、またはそれと実質的に相同の配列を有するVH CDR3とを含み;および/または(好ましくは「および」)
前記軽鎖可変領域は、
(d)SEQ ID NO:115もしくはSEQ ID NO:135のアミノ酸配列、またはそれと実質的に相同の配列を有するVL CDR1と、
(e)SEQ ID NO:116もしくはSEQ ID NO:136のアミノ酸配列、またはそれと実質的に相同の配列を有するVL CDR2と、
(f)SEQ ID NO:117もしくはSEQ ID NO:137のアミノ酸配列、またはそれと実質的に相同の配列を有するVL CDR3とを含む。実質的に相同の配列については、本明細書の他の場所に記載されている。好ましくは、前記実質的に相同の配列は、所与のCDR配列と比較して1、2、または3のアミノ酸置換を含有する配列であるか、または前記実質的に相同の配列は、所与のCDR配列の保存的アミノ酸置換を含有する配列である。
VH CDR配列とVL CDR配列との特定の好ましい組み合わせを、以下の表Nの1~2の番号の付いた行の各々に示している。
Figure 2023514423000006
いくつかの実施形態において、表Nに述べられている特定の配列と実質的に相同の配列が、その特定の配列自身の代わりに使用されてもよい。
いくつかの実施形態において、本発明の抗体は、3つのCDRを含む少なくとも1つの重鎖可変領域と、3つのCDRを含む少なくとも1つの軽鎖可変領域とを含み、前記重鎖可変領域は、SEQ ID NO:112のアミノ酸配列(またはそれと実質的に相同の配列)を有するVH CDR1と、SEQ ID NO:113のアミノ酸配列(またはそれと実質的に相同の配列)を有するVH CDR2と、SEQ ID NO:114のアミノ酸配列(またはそれと実質的に相同の配列)を有するVH CDR3とを含む。
いくつかの実施形態において、本発明は、KRASの発癌性変異型に結合し、および3つのCDRを含む少なくとも1つの重鎖可変領域と、3つのCDRを含む少なくとも1つの軽鎖可変領域とを含む、たとえば単離抗体などの抗体を提供し、前記重鎖可変領域は、
(a)SEQ ID NO:92もしくはSEQ ID NO:112のアミノ酸配列、またはそれと実質的に相同の配列を有する可変重鎖(VH)CDR1と、
(b)SEQ ID NO:93もしくはSEQ ID NO:113のアミノ酸配列、またはそれと実質的に相同の配列を有するVH CDR2と、
(c)SEQ ID NO:94もしくはSEQ ID NO:114のアミノ酸配列、またはそれと実質的に相同の配列を有するVH CDR3とを含み;および/または(好ましくは「および」)
前記軽鎖可変領域は、
(d)SEQ ID NO:95もしくはSEQ ID NO:115のアミノ酸配列、またはそれと実質的に相同の配列を有するVL CDR1と、
(e)SEQ ID NO:96のアミノ酸配列、またはそれと実質的に相同の配列を有するVL CDR2と、
(f)SEQ ID NO:97もしくはSEQ ID NO:117のアミノ酸配列、またはそれと実質的に相同の配列を有するVL CDR3とを含む。実質的に相同の配列については、本明細書の他の場所に記載されている。好ましくは、前記実質的に相同の配列は、所与のCDR配列と比較して1、2、または3のアミノ酸置換を含有する配列であるか、または前記実質的に相同の配列は、所与のCDR配列の保存的アミノ酸置換を含有する配列である。
VH CDR配列とVL CDR配列との特定の好ましい組み合わせを、以下の表Oの1~2の番号の付いた行の各々に示している。
Figure 2023514423000007
いくつかの実施形態において、表Oに述べられている特定の配列と実質的に相同の配列が、その特定の配列自身の代わりに使用されてもよい。
いくつかの実施形態において、本発明の抗体は、3つのCDRを含む少なくとも1つの重鎖可変領域と、3つのCDRを含む少なくとも1つの軽鎖可変領域とを含み、前記軽鎖可変領域は、SEQ ID NO:96のアミノ酸配列(またはそれと実質的に相同の配列)を有するVL CDR2を含む。
いくつかの実施形態において、本発明の抗体は、3つのCDRを含む少なくとも1つの重鎖可変領域と、3つのCDRを含む少なくとも1つの軽鎖可変領域とを含み、前記重鎖可変領域は、SEQ ID NO:156(または好ましくはSEQ ID NO:157)のアミノ酸配列を有するVH CDR1を含む。いくつかのこうした実施形態において、好ましくはVL CDR1、VL CDR2、VL CDR3、VH CDR2、およびVH CDR3(例、それらの組み合わせ)は、本明細書の他の場所に定義されるアミノ酸配列を有する。
いくつかの実施形態において、本発明の抗体は、3つのCDRを含む少なくとも1つの重鎖可変領域と、3つのCDRを含む少なくとも1つの軽鎖可変領域とを含み、前記重鎖可変領域は、SEQ ID NO:158(または好ましくはSEQ ID NO:159)のアミノ酸配列を有するVH CDR2を含む。いくつかのこうした実施形態において、好ましくはVL CDR1、VL CDR2、VL CDR3、VH CDR1、およびVH CDR3(例、それらの組み合わせ)は、本明細書の他の場所に定義されるアミノ酸配列を有する。
いくつかの実施形態において、本発明の抗体は、3つのCDRを含む少なくとも1つの重鎖可変領域と、3つのCDRを含む少なくとも1つの軽鎖可変領域とを含み、重鎖可変領域は、SEQ ID NO:156(好ましくはSEQ ID NO:157)のアミノ酸配列を有する可変重鎖(VH)CDR1、および/またはSEQ ID NO:158(好ましくはSEQ ID NO:159)のアミノ酸配列を有するVH CDR2を含む。いくつかのこうした実施形態において、好ましくはVL CDR1、VL CDR2、VL CDR3、およびVH CDR3(例、それらの組み合わせ)は、本明細書の他の場所に定義されるアミノ酸配列を有する。たとえば、いくつかのこうした実施形態において、VL CDR2はSEQ ID NO:96のアミノ酸配列(またはそれと実質的に相同の配列)を有してもよい。
いくつかの実施形態において、本発明は、KRASの発癌性変異型に結合し、および3つのCDRを含む少なくとも1つの重鎖可変領域と、3つのCDRを含む少なくとも1つの軽鎖可変領域とを含む、たとえば単離抗体などの抗体を提供し、前記重鎖可変領域は、
(a)SEQ ID NO:32のアミノ酸配列、またはそれと実質的に相同の配列を有する可変重鎖(VH)CDR1と、
(b)SEQ ID NO:33のアミノ酸配列、またはそれと実質的に相同の配列を有するVH CDR2と、
(c)SEQ ID NO:34のアミノ酸配列、またはそれと実質的に相同の配列を有するVH CDR3とを含み;および/または(好ましくは「および」)
前記軽鎖可変領域は、
(d)SEQ ID NO:35のアミノ酸配列、またはそれと実質的に相同の配列を有する可変軽鎖(VL)CDR1と、
(e)SEQ ID NO:36のアミノ酸配列、またはそれと実質的に相同の配列を有するVL CDR2と、
(f)SEQ ID NO:37のアミノ酸配列、またはそれと実質的に相同の配列を有するVL CDR3とを含む。実質的に相同の配列については、本明細書の他の場所に記載されている。好ましくは、前記実質的に相同の配列は、所与のCDR配列と比較して1、2、または3のアミノ酸置換を含有する配列であるか、または前記実質的に相同の配列は、所与のCDR配列の保存的アミノ酸置換を含有する配列である。
いくつかの実施形態において、抗体は、SEQ ID NO:32のVH CDR1と、SEQ ID NO:33のVH CDR2と、SEQ ID NO:34のVH CDR3とを含む少なくとも1つの重鎖可変領域、および/または(好ましくは「および」)SEQ ID NO:35のVL CDR1と、SEQ ID NO:36のVL CDR2と、SEQ ID NO:37のVL CDR3とを含む少なくとも1つの軽鎖可変領域を含む。
いくつかの実施形態において、本発明は、KRASの発癌性変異型に結合し、および3つのCDRを含む少なくとも1つの重鎖可変領域と、3つのCDRを含む少なくとも1つの軽鎖可変領域とを含む、たとえば単離抗体などの抗体を提供し、前記重鎖可変領域は、
(a)SEQ ID NO:52のアミノ酸配列、またはそれと実質的に相同の配列を有する可変重鎖(VH)CDR1と、
(b)SEQ ID NO:53のアミノ酸配列、またはそれと実質的に相同の配列を有するVH CDR2と、
(c)SEQ ID NO:54のアミノ酸配列、またはそれと実質的に相同の配列を有するVH CDR3とを含み;および/または(好ましくは「および」)
前記軽鎖可変領域は、
(d)SEQ ID NO:55のアミノ酸配列、またはそれと実質的に相同の配列を有する可変軽鎖(VL)CDR1と、
(e)SEQ ID NO:56のアミノ酸配列、またはそれと実質的に相同の配列を有するVL CDR2と、
(f)SEQ ID NO:57のアミノ酸配列、またはそれと実質的に相同の配列を有するVL CDR3とを含む。実質的に相同の配列については、本明細書の他の場所に記載されている。好ましくは、前記実質的に相同の配列は、所与のCDR配列と比較して1、2、または3のアミノ酸置換を含有する配列であるか、または前記実質的に相同の配列は、所与のCDR配列の保存的アミノ酸置換を含有する配列である。
いくつかの実施形態において、抗体は、SEQ ID NO:52のVH CDR1と、SEQ ID NO:53のVH CDR2と、SEQ ID NO:54のVH CDR3とを含む少なくとも1つの重鎖可変領域、および/または(好ましくは「および」)SEQ ID NO:55のVL CDR1と、SEQ ID NO:56のVL CDR2と、SEQ ID NO:57のVL CDR3とを含む少なくとも1つの軽鎖可変領域を含む。
いくつかの実施形態において、本発明は、KRASの発癌性変異型に結合し、および3つのCDRを含む少なくとも1つの重鎖可変領域と、3つのCDRを含む少なくとも1つの軽鎖可変領域とを含む、たとえば単離抗体などの抗体を提供し、前記重鎖可変領域は、
(a)SEQ ID NO:72のアミノ酸配列、またはそれと実質的に相同の配列を有する可変重鎖(VH)CDR1と、
(b)SEQ ID NO:73のアミノ酸配列、またはそれと実質的に相同の配列を有するVH CDR2と、
(c)SEQ ID NO:74のアミノ酸配列、またはそれと実質的に相同の配列を有するVH CDR3とを含み;および/または(好ましくは「および」)
前記軽鎖可変領域は、
(d)SEQ ID NO:75のアミノ酸配列、またはそれと実質的に相同の配列を有する可変軽鎖(VL)CDR1と、
(e)SEQ ID NO:76のアミノ酸配列、またはそれと実質的に相同の配列を有するVL CDR2と、
(f)SEQ ID NO:77のアミノ酸配列、またはそれと実質的に相同の配列を有するVL CDR3とを含む。実質的に相同の配列については、本明細書の他の場所に記載されている。好ましくは、前記実質的に相同の配列は、所与のCDR配列と比較して1、2、または3のアミノ酸置換を含有する配列であるか、または前記実質的に相同の配列は、所与のCDR配列の保存的アミノ酸置換を含有する配列である。
いくつかの実施形態において、抗体は、SEQ ID NO:72のVH CDR1と、SEQ ID NO:73のVH CDR2と、SEQ ID NO:74のVH CDR3とを含む少なくとも1つの重鎖可変領域、および/または(好ましくは「および」)SEQ ID NO:75のVL CDR1と、SEQ ID NO:76のVL CDR2と、SEQ ID NO:77のVL CDR3とを含む少なくとも1つの軽鎖可変領域を含む。
いくつかの実施形態において、本発明は、KRASの発癌性変異型に結合し、および3つのCDRを含む少なくとも1つの重鎖可変領域と、3つのCDRを含む少なくとも1つの軽鎖可変領域とを含む、たとえば単離抗体などの抗体を提供し、前記重鎖可変領域は、
(a)SEQ ID NO:92のアミノ酸配列、またはそれと実質的に相同の配列を有する可変重鎖(VH)CDR1と、
(b)SEQ ID NO:93のアミノ酸配列、またはそれと実質的に相同の配列を有するVH CDR2と、
(c)SEQ ID NO:94のアミノ酸配列、またはそれと実質的に相同の配列を有するVH CDR3とを含み;および/または(好ましくは「および」)
前記軽鎖可変領域は、
(d)SEQ ID NO:95のアミノ酸配列、またはそれと実質的に相同の配列を有する可変軽鎖(VL)CDR1と、
(e)SEQ ID NO:96のアミノ酸配列、またはそれと実質的に相同の配列を有するVL CDR2と、
(f)SEQ ID NO:97のアミノ酸配列、またはそれと実質的に相同の配列を有するVL CDR3とを含む。実質的に相同の配列については、本明細書の他の場所に記載されている。好ましくは、前記実質的に相同の配列は、所与のCDR配列と比較して1、2、または3のアミノ酸置換を含有する配列であるか、または前記実質的に相同の配列は、所与のCDR配列の保存的アミノ酸置換を含有する配列である。
いくつかの実施形態において、抗体は、SEQ ID NO:92のVH CDR1と、SEQ ID NO:93のVH CDR2と、SEQ ID NO:94のVH CDR3とを含む少なくとも1つの重鎖可変領域、および/または(好ましくは「および」)SEQ ID NO:95のVL CDR1と、SEQ ID NO:96のVL CDR2と、SEQ ID NO:97のVL CDR3とを含む少なくとも1つの軽鎖可変領域を含む。
いくつかの実施形態において、本発明は、KRASの発癌性変異型に結合し、および3つのCDRを含む少なくとも1つの重鎖可変領域と、3つのCDRを含む少なくとも1つの軽鎖可変領域とを含む、たとえば単離抗体などの抗体を提供し、前記重鎖可変領域は、
(a)SEQ ID NO:112のアミノ酸配列、またはそれと実質的に相同の配列を有する可変重鎖(VH)CDR1と、
(b)SEQ ID NO:113のアミノ酸配列、またはそれと実質的に相同の配列を有するVH CDR2と、
(c)SEQ ID NO:114のアミノ酸配列、またはそれと実質的に相同の配列を有するVH CDR3とを含み;および/または(好ましくは「および」)
前記軽鎖可変領域は、
(d)SEQ ID NO:115のアミノ酸配列、またはそれと実質的に相同の配列を有する可変軽鎖(VL)CDR1と、
(e)SEQ ID NO:116のアミノ酸配列、またはそれと実質的に相同の配列を有するVL CDR2と、
(f)SEQ ID NO:117のアミノ酸配列、またはそれと実質的に相同の配列を有するVL CDR3とを含む。実質的に相同の配列については、本明細書の他の場所に記載されている。好ましくは、前記実質的に相同の配列は、所与のCDR配列と比較して1、2、または3のアミノ酸置換を含有する配列であるか、または前記実質的に相同の配列は、所与のCDR配列の保存的アミノ酸置換を含有する配列である。
いくつかの実施形態において、抗体は、SEQ ID NO:112のVH CDR1と、SEQ ID NO:113のVH CDR2と、SEQ ID NO:114のVH CDR3とを含む少なくとも1つの重鎖可変領域、および/または(好ましくは「および」)SEQ ID NO:115のVL CDR1と、SEQ ID NO:116のVL CDR2と、SEQ ID NO:117のVL CDR3とを含む少なくとも1つの軽鎖可変領域を含む。
いくつかの実施形態において、本発明は、KRASの発癌性変異型に結合し、および3つのCDRを含む少なくとも1つの重鎖可変領域と、3つのCDRを含む少なくとも1つの軽鎖可変領域とを含む、たとえば単離抗体などの抗体を提供し、前記重鎖可変領域は、
(a)SEQ ID NO:132のアミノ酸配列、またはそれと実質的に相同の配列を有する可変重鎖(VH)CDR1と、
(b)SEQ ID NO:133のアミノ酸配列、またはそれと実質的に相同の配列を有するVH CDR2と、
(c)SEQ ID NO:134のアミノ酸配列、またはそれと実質的に相同の配列を有するVH CDR3とを含み;および/または(好ましくは「および」)
前記軽鎖可変領域は、
(d)SEQ ID NO:135のアミノ酸配列、またはそれと実質的に相同の配列を有する可変軽鎖(VL)CDR1と、
(e)SEQ ID NO:136のアミノ酸配列、またはそれと実質的に相同の配列を有するVL CDR2と、
(f)SEQ ID NO:137のアミノ酸配列、またはそれと実質的に相同の配列を有するVL CDR3とを含む。実質的に相同の配列については、本明細書の他の場所に記載されている。好ましくは、前記実質的に相同の配列は、所与のCDR配列と比較して1、2、または3のアミノ酸置換を含有する配列であるか、または前記実質的に相同の配列は、所与のCDR配列の保存的アミノ酸置換を含有する配列である。
いくつかの実施形態において、抗体は、SEQ ID NO:132のVH CDR1と、SEQ ID NO:133のVH CDR2と、SEQ ID NO:134のVH CDR3とを含む少なくとも1つの重鎖可変領域、および/または(好ましくは「および」)SEQ ID NO:135のVL CDR1と、SEQ ID NO:136のVL CDR2と、SEQ ID NO:137のVL CDR3とを含む少なくとも1つの軽鎖可変領域を含む。
一実施形態において、本発明は、SEQ ID NO:30のアミノ酸配列またはそれと実質的に相同の配列(例、それに対する少なくとも80%の配列同一性、たとえばそれに対する少なくとも85%、90%、95%、または98%の配列同一性を有する配列)を有するVHドメイン、および/または(好ましくは「および」)SEQ ID NO:31のアミノ酸配列またはそれと実質的に相同の配列(例、それに対する少なくとも80%の配列同一性、たとえばそれに対する少なくとも85%、90%、95%、または98%の配列同一性を有する配列)を有するVLドメインを含む抗体を提供する。好ましい実施形態において、本発明は抗体を提供し、ここで軽鎖可変領域はSEQ ID NO:31のアミノ酸配列を有し、および/または(好ましくは「および」)重鎖可変領域はSEQ ID NO:30のアミノ酸配列を有する。
一実施形態において、本発明は、SEQ ID NO:50のアミノ酸配列またはそれと実質的に相同の配列(例、それに対する少なくとも80%の配列同一性、たとえばそれに対する少なくとも85%、90%、95%、または98%の配列同一性を有する配列)を有するVHドメイン、および/または(好ましくは「および」)SEQ ID NO:51のアミノ酸配列またはそれと実質的に相同の配列(例、それに対する少なくとも80%の配列同一性、たとえばそれに対する少なくとも85%、90%、95%、または98%の配列同一性を有する配列)を有するVLドメインを含む抗体を提供する。好ましい実施形態において、本発明は抗体を提供し、ここで軽鎖可変領域はSEQ ID NO:51のアミノ酸配列を有し、および/または(好ましくは「および」)重鎖可変領域はSEQ ID NO:50のアミノ酸配列を有する。
一実施形態において、本発明は、SEQ ID NO:70のアミノ酸配列またはそれと実質的に相同の配列(例、それに対する少なくとも80%の配列同一性、たとえばそれに対する少なくとも85%、90%、95%、または98%の配列同一性を有する配列)を有するVHドメイン、および/または(好ましくは「および」)SEQ ID NO:71のアミノ酸配列またはそれと実質的に相同の配列(例、それに対する少なくとも80%の配列同一性、たとえばそれに対する少なくとも85%、90%、95%、または98%の配列同一性を有する配列)を有するVLドメインを含む抗体を提供する。好ましい実施形態において、本発明は抗体を提供し、ここで軽鎖可変領域はSEQ ID NO:71のアミノ酸配列を有し、および/または(好ましくは「および」)重鎖可変領域はSEQ ID NO:70のアミノ酸配列を有する。
一実施形態において、本発明は、SEQ ID NO:90のアミノ酸配列またはそれと実質的に相同の配列(例、それに対する少なくとも80%の配列同一性、たとえばそれに対する少なくとも85%、90%、95%、または98%の配列同一性を有する配列)を有するVHドメイン、および/または(好ましくは「および」)SEQ ID NO:91のアミノ酸配列またはそれと実質的に相同の配列(例、それに対する少なくとも80%の配列同一性、たとえばそれに対する少なくとも85%、90%、95%、または98%の配列同一性を有する配列)を有するVLドメインを含む抗体を提供する。好ましい実施形態において、本発明は抗体を提供し、ここで軽鎖可変領域はSEQ ID NO:91のアミノ酸配列を有し、および/または(好ましくは「および」)重鎖可変領域はSEQ ID NO:90のアミノ酸配列を有する。
一実施形態において、本発明は、SEQ ID NO:110のアミノ酸配列またはそれと実質的に相同の配列(例、それに対する少なくとも80%の配列同一性、たとえばそれに対する少なくとも85%、90%、95%、または98%の配列同一性を有する配列)を有するVHドメイン、および/または(好ましくは「および」)SEQ ID NO:111のアミノ酸配列またはそれと実質的に相同の配列(例、それに対する少なくとも80%の配列同一性、たとえばそれに対する少なくとも85%、90%、95%、または98%の配列同一性を有する配列)を有するVLドメインを含む抗体を提供する。好ましい実施形態において、本発明は抗体を提供し、ここで軽鎖可変領域はSEQ ID NO:111のアミノ酸配列を有し、および/または(好ましくは「および」)重鎖可変領域はSEQ ID NO:110のアミノ酸配列を有する。
一実施形態において、本発明は、SEQ ID NO:130のアミノ酸配列またはそれと実質的に相同の配列(例、それに対する少なくとも80%の配列同一性、たとえばそれに対する少なくとも85%、90%、95%、または98%の配列同一性を有する配列)を有するVHドメイン、および/または(好ましくは「および」)SEQ ID NO:131のアミノ酸配列またはそれと実質的に相同の配列(例、それに対する少なくとも80%の配列同一性、たとえばそれに対する少なくとも85%、90%、95%、または98%の配列同一性を有する配列)を有するVLドメインを含む抗体を提供する。好ましい実施形態において、本発明は抗体を提供し、ここで軽鎖可変領域はSEQ ID NO:131のアミノ酸配列を有し、および/または(好ましくは「および」)重鎖可変領域はSEQ ID NO:130のアミノ酸配列を有する。
他の好ましい実施形態は、本明細書に記載される抗体のIg(例、IgG)形態、たとえば11D6-1、4B8-1、7D11-1、7G2-1、6B2-1-1または6B2-1-2抗体(またはそれに基づく抗体、たとえば実質的に相同の抗体など)のIgG形態など、好ましくは全長IgG形態である。いくつかの実施形態において、IgGはIgG1またはIgG2である。よっていくつかの実施形態において、抗体は、本明細書に記載されるCDR配列および/または重鎖可変領域および/または軽鎖可変領域を含むIg抗体である。全IgG抗体は典型的に、2つの実質的に同一の重鎖および2つの実質的に同一の軽鎖を含むこととなる。しかし、本明細書の他の場所に記載されるとおり、場合によっては抗体(例、全IgG抗体)が2つの実質的に同一の重鎖と、2つの非同一の(すなわち、2つの異なる軽鎖とを含むことがある。
いくつかの実施形態において、本明細書の表A、B、C、D、E、およびFに示される11D6-1、4B8-1、7D11-1、7G2-1、6B2-1-1、または6B2-1-2抗体配列に基づく抗体が好ましい。
本発明の抗体のいくつかの例は、モノクローナル抗体11D6-1、4B8-1、7D11-1、7G2-1、6B2-1-1、または6B2-1-2であり、その配列は本明細書の表A、B、C、D、E、およびFに示されている。モノクローナル抗体11D6-1、4B8-1、7D11-1、7G2-1、6B2-1-1、または6B2-1-2は、SEQ ID NO:5のペプチドを免疫原ペプチドとして、ハイブリドーマ技術を用いて同定された。CDRドメイン、VHおよびVLドメインは、本明細書の表A~Fに示されている。これらのCDRドメインまたはVHおよびVLドメイン(またはそれと実質的に相同の配列)を含む抗体は、本発明の好ましい態様である。
好ましい実施形態において、11D6-1、4B8-1、7D11-1、7G2-1、6B2-1-1、または6B2-1-2抗体に基づく抗体(例、本明細書の表A~Fに示されるこれらの抗体のCDRドメインもしくはVHおよびVLドメイン、またはそれらと実質的に相同のCDRドメインもしくはVHおよびVLドメインを含む抗体)は、SEQ ID NO:5のアミノ酸配列を含む(またはそれからなる)ペプチド(例、単離ペプチド)(またはこうしたペプチドを含むコンジュゲート)に結合する(または結合できる)。
好ましい実施形態において、11D6-1、4B8-1、7D11-1、7G2-1、6B2-1-1、または6B2-1-2抗体に基づく抗体(例、本明細書の表A~Fに示されるこれらの抗体のCDRドメインもしくはVHおよびVLドメイン、またはそれらと実質的に相同のCDRドメインもしくはVHおよびVLドメインを含む抗体)は、G13D変異を含むKRASの発癌性変異型、たとえばSEQ ID NO:9またはSEQ ID NO:12のアミノ酸配列を有するKRASの発癌性変異型などに結合し(または結合でき)、それを好ましくは阻害する(または好ましくは阻害できる)。
実質的に相同の配列の特定の例は、開示されるアミノ酸配列に対する少なくとも65%の同一性を有する配列である。特定の実施形態において、本発明の抗体は、SEQ ID NO:31、51、71、91、111、もしくは131のアミノ酸配列に対する少なくとも約65%、70%、もしくは75%、より好ましくは少なくとも約80%、より好ましくは少なくとも約85%、より好ましくは少なくとも約90%もしくは95%、および最も好ましくは少なくとも約97%、98%、もしくは99%のアミノ酸配列同一性のアミノ酸配列領域を含む少なくとも1つの軽鎖可変領域;ならびに/またはSEQ ID NO:30、50、70、90、110、もしくは130のアミノ酸配列に対する少なくとも約65%、70%、もしくは75%、より好ましくは少なくとも約80%、より好ましくは少なくとも約85%、より好ましくは少なくとも約90%もしくは95%、および最も好ましくは少なくとも約97%、98%、もしくは99%のアミノ酸配列同一性のアミノ酸配列領域を含む少なくとも1つの重鎖可変領域を含む。
実質的に相同の配列の他の好ましい例は、開示されるアミノ酸配列の保存的アミノ酸置換を含有する配列である。
実質的に相同の配列の他の好ましい例は、開示されるCDR領域の1つ以上に1、2、または3、好ましくは1または2(より好ましくは1)の変更されたアミノ酸を含有する配列である。こうした変更は、保存的もしくは非保存的アミノ酸置換、またはその混合であってもよい。
いくつかのこうした実施形態において、好ましい変更は保存的アミノ酸置換である。
すべての実施形態において、実質的に相同の配列を含む抗体は、本発明によるKRASの発癌性変異型に結合する能力を保持する。好ましくは、実質的に相同の配列を含む抗体は、11D6-1、4B8-1、7D11-1、7G2-1、6B2-1-1、または6B2-1-2抗体の(例、それに関連して記載される)特性の1つ以上(好ましくはすべて)を保持する。
好ましくは、抗体11D6-1、4B8-1、7D11-1、7G2-1、6B2-1-1、もしくは6B2-1-2、またはそれに基づく抗体は、KRASのG13Dおよび/またはG12D発癌性変異型(例、SEQ ID NO:8、9、11、または12に示されるKRASの発癌性変異型の1つ以上)に結合する(および好ましくはその活性を阻害する)。結合および/または阻害は、本明細書の他の場所に記載されるとおりであってもよい(例、好ましい阻害活性および/または好ましい阻害のレベル(もしくは量もしくは程度)など)。
典型的に、および好ましくは、11D6-1、4B8-1、7D11-1、7G2-1、6B2-1-1、もしくは6B2-1-2抗体(またはそれに基づく抗体)は、SEQ ID NO:5および/またはSEQ ID NO:2の単離ペプチドに結合する。こうした結合は、任意の好適な方法(例、ELISA)によって評価されてもよい。
本発明による実質的に相同のアミノ酸配列のさらなる例は、本発明の他の場所に記載されている。
本発明の抗体のCDRは、好ましくは、たとえば自然発生する抗体および/または有効な組み換え抗体に見出されるものなどの適切なフレームワーク領域によって分離される。よって、本発明のVH、VLおよび個々のCDR配列は、好ましくは抗原結合を可能にするための適切なフレームワークもしくはスキャフォールド内に提供されるか、またはそれに組み込まれる。こうしたフレームワーク配列または領域は、適切なスキャフォールドを形成するために、自然発生するフレームワーク領域FR1、FR2、FR3、および/またはFR4に適切に対応してもよいし、たとえばさまざまな自然発生するフレームワーク領域を比較することによって同定された共通フレームワーク領域に対応してもよい。代替的に、たとえばT細胞受容体フレームワークなどの非抗体スキャフォールドまたはフレームワークが用いられ得る。
フレームワーク領域に用いられ得る適切な配列は、当該技術分野において周知であり、および十分に文書で立証されており、これらのうちのいずれが使用されてもよい。フレームワーク領域に対する好ましい配列は、本発明のVHおよび/またはVLドメインを構成するフレームワーク領域のうちの1つ以上、すなわち本明細書の表A~Fに開示される11D6-1、4B8-1、7D11-1、7G2-1、6B2-1-1、または6B2-1-2抗体のフレームワーク領域、またはそれと実質的に相同のフレームワーク領域、特に抗原特異性の維持を可能にするフレームワーク領域、たとえば実質的に同じ抗体もしくは同じ3D構造の抗体をもたらすフレームワーク領域などのうちの1つ以上である。
特定の好ましい実施形態において、可変軽鎖(SEQ ID NO:42、43、44、および45)ならびに/もしくは可変重鎖(SEQ ID NO:38、39、40、および41)のフレームワーク領域(FR)の4つすべてが適切に、またはそれと実質的に相同のFR領域が本発明の抗体に見出される。
他の好ましい実施形態において、可変軽鎖(SEQ ID NO:62、63、64、および65)ならびに/もしくは可変重鎖(SEQ ID NO:58、59、60、および61)のフレームワーク領域(FR)の4つすべてが適切に、またはそれと実質的に相同のFR領域が本発明の抗体に見出される。
他の好ましい実施形態において、可変軽鎖(SEQ ID NO:82、83、84、および85)ならびに/もしくは可変重鎖(SEQ ID NO:78、79、80、および81)のフレームワーク領域(FR)の4つすべてが適切に、またはそれと実質的に相同のFR領域が本発明の抗体に見出される。
他の好ましい実施形態において、可変軽鎖(SEQ ID NO:102、103、104、および105)ならびに/もしくは可変重鎖(SEQ ID NO:98、99、100、および101)のフレームワーク領域(FR)の4つすべてが適切に、またはそれと実質的に相同のFR領域が本発明の抗体に見出される。
他の好ましい実施形態において、可変軽鎖(SEQ ID NO:122、123、124、および125)ならびに/もしくは可変重鎖(SEQ ID NO:118、119、120、および121)のフレームワーク領域(FR)の4つすべてが適切に、またはそれと実質的に相同のFR領域が本発明の抗体に見出される。
他の好ましい実施形態において、可変軽鎖(SEQ ID NO:142、143、144、および145)ならびに/もしくは可変重鎖(SEQ ID NO:138、139、140、および141)のフレームワーク領域(FR)の4つすべてが適切に、またはそれと実質的に相同のFR領域が本発明の抗体に見出される。
いくつかの実施形態において、本発明のVHドメインおよび/またはVLドメインは、付加的に自身のN末端部に(例、そのVHまたはVLドメインに関してすぐN末端に位置する)シグナルペプチドを含んでもよい。しかし、こうしたシグナルペプチドは典型的に切断除去されるため、典型的に抗体自体には存在しない(例、成熟した抗体または単離抗体産物には存在しない)。
いくつかの実施形態において、SEQ ID NO:30(またはそれと実質的に相同の配列)を含むVHドメインは、自身のN末端部にSEQ ID NO:46のシグナルペプチドをさらに含む。いくつかの実施形態において、SEQ ID NO:31(またはそれと実質的に相同の配列)を含むVLドメインは、自身のN末端部にSEQ ID NO:47のシグナルペプチドをさらに含む。
いくつかの実施形態において、SEQ ID NO:50(またはそれと実質的に相同の配列)を含むVHドメインは、自身のN末端部にSEQ ID NO:66のシグナルペプチドをさらに含む。いくつかの実施形態において、SEQ ID NO:51(またはそれと実質的に相同の配列)を含むVLドメインは、自身のN末端部にSEQ ID NO:67のシグナルペプチドをさらに含む。
いくつかの実施形態において、SEQ ID NO:70(またはそれと実質的に相同の配列)を含むVHドメインは、自身のN末端部にSEQ ID NO:86のシグナルペプチドをさらに含む。いくつかの実施形態において、SEQ ID NO:71(またはそれと実質的に相同の配列)を含むVLドメインは、自身のN末端部にSEQ ID NO:87のシグナルペプチドをさらに含む。
いくつかの実施形態において、SEQ ID NO:90(またはそれと実質的に相同の配列)を含むVHドメインは、自身のN末端部にSEQ ID NO:106のシグナルペプチドをさらに含む。いくつかの実施形態において、SEQ ID NO:91(またはそれと実質的に相同の配列)を含むVLドメインは、自身のN末端部にSEQ ID NO:107のシグナルペプチドをさらに含む。
いくつかの実施形態において、SEQ ID NO:110(またはそれと実質的に相同の配列)を含むVHドメインは、自身のN末端部にSEQ ID NO:126のシグナルペプチドをさらに含む。いくつかの実施形態において、SEQ ID NO:111(またはそれと実質的に相同の配列)を含むVLドメインは、自身のN末端部にSEQ ID NO:127のシグナルペプチドをさらに含む。
いくつかの実施形態において、SEQ ID NO:130(またはそれと実質的に相同の配列)を含むVHドメインは、自身のN末端部にSEQ ID NO:146のシグナルペプチドをさらに含む。いくつかの実施形態において、SEQ ID NO:131(またはそれと実質的に相同の配列)を含むVLドメインは、自身のN末端部にSEQ ID NO:147のシグナルペプチドをさらに含む。
本発明によるKRASの発癌性変異型に対する本発明の抗体の結合は、任意の好適な手段によって評価されてもよく、当業者は好適な方法を熟知するだろう(例、ELISAアッセイ、またはたとえば本明細書の他の場所に記載されるとおりの、たとえばGTPアーゼアッセイもしくはホスホ-ERK阻害アッセイもしくはアポトーシスアッセイもしくはネクローシスアッセイなどの機能アッセイの使用)。
上記に示したとおり、本発明の抗体は典型的に、本発明によるKRASの少なくとも1つの発癌性変異型の活性を阻害する。
上記の抗体結合の文脈で考察される、本発明によるKRASの好ましい発癌性変異型(およびその好ましいグループ)は、本発明によるKRAS阻害の文脈における、本発明によるKRASの好ましい発癌性変異型(およびその好ましいグループ)も表してもよい。
本発明によるKRASの発癌性変異型の活性の阻害(機能活性の阻害)は、任意の好適な手段によって決定されたものであってもよく、当業者は好適なアッセイおよび方法を熟知している。たとえば、活性の阻害は、たとえば本明細書の他の場所に記載されるとおりの、GTPアーゼアッセイまたはホスホ-ERK阻害アッセイまたはアポトーシスアッセイまたはネクローシスアッセイにおいて決定されたものであってもよい。
いくつかの実施形態において、活性の阻害は、任意の測定可能な阻害または顕著な阻害であり、より好ましくは(例、たとえば抗体なしの対照などの対照と比較して(例、「溶媒」対照と比較して、またはKRASと結合しない抗体を有する対照と比較して、または「抗体なし」対照と比較して、またはアイソタイプ対照と比較して))統計的に有意な阻害である。
いくつかの実施形態において、対照(例、「溶媒」対照またはKRASと結合しない対照抗体または「抗体なし」対照またはアイソタイプ対照)によって観察された(またはもたらされた、または誘発された)活性の阻害レベル(または阻害量)は、0阻害レベル(または0阻害値または0%阻害レベルまたは0%阻害値)を表す(またはそれとして設定される)。よっていくつかの実施形態において、本明細書の他の場所に考察される活性の%阻害は、「溶媒」対照(または「溶媒のみ」対照)または対照抗体(例、KRASに結合しない対照抗体)または「抗体なし」対照またはアイソタイプ対照によって観察された(またはもたらされた、または誘発された)阻害との比較によるもの(またはそれに対するもの)である。
いくつかの実施形態において、活性の阻害は、少なくとも2%、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、好ましくは少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または100%の阻害である。
いくつかの実施形態において、活性の阻害は、最大5%、最大10%、最大15%、最大20%、最大25%、最大30%、最大35%、最大40%、最大45%、最大50%、最大55%、最大60%、最大65%、最大70%、最大75%、最大80%、最大85%、最大90%、最大95%、または最大100%の阻害である。
よっていくつかの実施形態において、活性の阻害は、2%~100%、5%~100%、10%~100%、15%~100%、20%~100%、25%~100%、30%~100%、35%~100%、40%~100%、45%~100%、50%~100%、55%~100%、60%~100%、65%~100%、70%~100%、75%~100%、80%~100%、85%~100%、90%~100%、または95%~100%の阻害である。
いくつかの実施形態において、活性の阻害は、2%~75%、5%~75%、10%~75%、15%~75%、20%~75%、25%~75%、30%~75%、35%~75%、40%~75%、45%~75%、50%~75%、55%~75%、60%~75%、65%~75%、または70%~75%の阻害である。
いくつかの実施形態において、活性の阻害は、2%~75%、5%~50%、10%~50%、15%~50%、20%~50%、25%~50%、30%~50%、35%~50%、40%~50%、または45%~50%の阻害である。
いくつかの実施形態において、活性の阻害は、2%~75%、5%~25%、10%~25%、15%~25%、または20%~25%の阻害である。
いくつかの好ましい実施形態において、活性の阻害は、少なくとも20%、または少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または100%の阻害である。
上記に示したとおり、本発明の抗体は典型的に、本発明によるKRASの少なくとも1つ(once)の発癌性変異型(例、SEQ ID NO:8、9、11、12、13、14、15、または16、好ましくは8、9、11、または12のアミノ酸配列を有するKRASの少なくとも1つ(once)の発癌性変異型)の活性を阻害する(または活性を阻害できる)。
いくつかの実施形態において、本発明の抗体は、SEQ ID NO:13または15のアミノ酸配列を有するKRASの少なくとも1つの発癌性変異型と、SEQ ID NO:14または16のアミノ酸配列を有するKRASの少なくとも1つの発癌性変異型との活性を阻害する(または活性を阻害できる)。
いくつかの実施形態において、本発明の抗体は、SEQ ID NO:8または11のアミノ酸配列を有するKRASの少なくとも1つの発癌性変異型と、SEQ ID NO:9または12のアミノ酸配列を有するKRASの少なくとも1つの発癌性変異型との活性を阻害する(または活性を阻害できる)。
いくつかの実施形態において、本明細書で考察される阻害(例、%阻害)は、抗体をマイクロモル濃度(μM)またはナノモル濃度(nM)の範囲、好ましくはナノモル濃度(nM)の範囲の濃度で使用したときに決定されたものである。よっていくつかの実施形態において、上記の阻害は、抗体を≦10μM、≦5μM、≦1μM、≦900nM、≦800nM、≦700nM、≦600nM、≦500nM、≦400nM、≦300nM、≦200nM、≦100nM、≦75nM、≦50nM、≦25nM、≦10nM、または≦5nMの濃度で使用したときに決定されたものである。よっていくつかの実施形態において、阻害(例、%阻害)は、抗体を1nM~≦10μM、たとえば1nM~1μM、1nM~500nM、1nM~200nM、1nM~100nM、1nM~50nMなどの濃度で使用したときに決定されたものである。いくつかの実施形態において、阻害(例、%阻害)は、抗体を20nM~≦10μM、たとえば20nM~1μM、20nM~500nM、20nM~200nM、20nM~100nM、20nM~50nMなどの濃度で使用したときに決定されたものである。いくつかの実施形態において、阻害(例、%阻害)は、抗体を100nM~≦10μM、たとえば100nM~1μM、100nM~500nM、100nM~200nM、または100nM~250nMなどの濃度で使用したときに決定されたものである。
いくつかの実施形態において、本明細書で考察される阻害(例、%阻害)は、抗体を≦100μg/ml、≦50μg/ml、≦25μg/ml、≦20μg/ml、≦15μg/ml、≦10μg/ml、≦5μg/ml、≦4μg/ml、≦3μg/ml、≦2μg/ml、または≦1μg/mlの濃度で使用したときに決定されたものである。いくつかの実施形態において、阻害(例、%阻害)は、抗体を1μg/ml~100μg/ml、5μg/ml~100μg/ml、10μg/ml~100μg/ml、20μg/ml~100μg/ml、25μg/ml~100μg/ml、50μg/ml~100μg/mlの濃度で使用したときに決定されたものである。いくつかの実施形態において、阻害(例、%阻害)は、抗体を1μg/ml~25μg/ml、5μg/ml~25μg/ml、10μg/ml~25μg/ml、または15μg/ml~25μg/mlの濃度で使用したときに決定されたものである。いくつかの実施形態において、阻害(例、%阻害)は、抗体を4μg/ml~25μg/ml(例、4μg/mlまたは10μg/mlまたは25μg/ml)の濃度で使用したときに決定されたものである。
いくつかの実施形態において、この阻害(例、%阻害)および濃度は、抗体がポリクローナル抗体(例、ウサギポリクローナル抗体)であるときに適用される。いくつかの実施形態において、この阻害(例、%阻害)および濃度は、抗体がモノクローナル抗体であるときに適用される。
いくつかの実施形態において、本発明によるKRASの発癌性変異型の活性の阻害は、GTPアーゼ活性の阻害(すなわち、本発明によるKRASの発癌性変異型がGTPをGDPに転換する(または加水分解する)能力の阻害)である。よっていくつかの実施形態において、本発明の抗体は、本発明によるKRASの発癌性変異型のGTPアーゼ活性を阻害する(または阻害できる)。よって、本発明の抗体による活性の阻害は、たとえば本明細書の他の場所に記載されるものなどのGTPアーゼアッセイにおいて決定された(または評価された)ものであってもよい。
KRASは小さなGTPアーゼである。野生型KRASは典型的に、活性(GTP結合)形および不活性(GDP結合)形に交互になる分子スイッチとして作用する。野生型KRASはGTPに結合し、それをGDPに加水分解して、活性形および不活性形に切り換わる。本発明によるKRASの発癌性変異型(KRASのG12またはG13変異型)は典型的に、不活性形に循環する能力が損なわれているため、構成的な「活性」または「オン」状態に固定される。理論に結び付けられることは望まないが、このことによって、腫瘍発生、癌細胞の生存および増殖を促進するKRAS-エフェクターシグナル伝達経路(例、MAPK経路)におけるエフェクタータンパク質との持続的なタンパク質-タンパク質相互作用がもたらされる。
本発明の抗体によって、本発明によるKRASの発癌性変異型のGTPアーゼ活性を阻害することによって、下流のエフェクターシグナル伝達経路(例、MAPK経路)が典型的に阻害される(例、シグナル伝達が低減する)。上記の考察から明らかになるとおり、KRASの発癌性変異型のGTPアーゼ活性の低減(または阻害)は、癌処置の状況において利益(例、治療的利益)となるだろう。
上記で考察したとおり、本発明の抗体は、本発明によるKRASの発癌性変異型のGTPアーゼ活性を(例、たとえば「溶媒のみ」対照、またはたとえば「抗体なし」対照、またはたとえばKRASと結合しない対照抗体などの対照と比較して)阻害して(または阻害できて)もよい。よって、本発明によって阻害される前記KRASの発癌性変異型の活性は、GTPアーゼ活性であってもよい。
いくつかの実施形態において、GTPアーゼ活性は(例、たとえば「溶媒のみ」対照、またはたとえば「抗体なし」対照、またはたとえばKRASと結合しない対照抗体、またはたとえばアイソタイプ対照などの対照と比較して)少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、または少なくとも95%、または100%阻害されてもよい。
GTPアーゼ活性(およびGTPアーゼ活性の阻害)は、任意の適切な方法またはアッセイによって評価されても(または評価されたものであっても)よく、当業者は好適な方法およびアッセイを熟知するだろう。GTPアーゼアッセイは当該技術分野において周知であり、本明細書にも記載される。
たとえば、関連KRASタンパク質のGTPアーゼ活性(およびGTPアーゼ活性の阻害)はアッセイによって評価されても(または評価されたものであっても)よく、このアッセイでは関連KRASタンパク質(例、本発明によるKRASの発癌性変異型)が、リン酸センサ(リン酸センサは当該技術分野において周知である)、GTP、および調査中の抗体と接触され(またはともにインキュベートされ)、GTPからGDPへの転換が評価される(またはモニタされる)。
いくつかの実施形態において、GTPアーゼアッセイにおけるKRASタンパク質は組み換えタンパク質(例、細菌で発現されて精製された組み換えKRASタンパク質)である。典型的に、リン酸センサは、フルオロフォアによって修飾された(またはそれを含む、または有する)リン酸結合分子(例、リン酸結合タンパク質)である。典型的に、リン酸センサが遊離無機リン酸(例、GTP(グアノシン三リン酸(guanosine triphosphate))からGDP(グアノシン二リン酸(guanosine diphosphate))への転換によって放出されるもの)に結合するときに、その蛍光(または蛍光強度)が増加する。よって、リン酸センサの蛍光はGTPアーゼ活性(またはその阻害)の報告を提供できる。例示的なリン酸センサは、サーモ・フィッシャー・サイエンティフィック(Thermo Fisher Scientific)のリン酸センサ、Cat No.#PV4407である。
典型的に、KRASタンパク質、GTP、リン酸センサ、および調査中の抗体(または関連の対照)は、マイクロタイタープレート(例、384ウェルプレート)のウェルの中でともにインキュベートされてもよく、所与の期間(例、4時間)の後、またはその期間にわたって(もしくはその間)マイクロタイタープレートリーダー(例、励起:430nm;発光:450nm)において蛍光が測定されてもよい。
好ましいGTPアーゼアッセイにおいて、調査中の抗体は、マイクロタイタープレートのウェルの中で、適切な緩衝液(例、50mMトリス(Tris)、100mM NaCl、10mM MgCl2、1mM EDTA、0.01%トリトン(Triton)X-100、および1mM DTTの組成を有する緩衝液)中で、1g/lの細菌で発現され精製されたKRASタンパク質と、1μMのリン酸センサ(好ましくはサーモ・フィッシャー・サイエンティフィックのリン酸センサ、Cat No.#PV4407)と、6μM GTPとともにインキュベートされ(またはそれらと接触され、または混合され)、4時間後、または4時間にわたって(もしくはその間)マイクロタイタープレートリーダー(例、励起:430nm;発光:450nm)において蛍光(およびすなわちKRAS活性)が測定される。
本明細書の実施例のセクションに、特に好ましいGTPアーゼアッセイが記載されている。
たとえば対照(たとえば「溶媒のみ」対照、またはたとえば「抗体なし」対照、またはたとえばKRASに結合しない対照抗体、またはたとえばアイソタイプ対照など)と比較したときの、本発明の抗体によるKRAS GTPアーゼ活性の低減(または阻害または低下)は典型的に、その抗体が関連KRASタンパク質のGTPアーゼ活性を阻害することを示す。
いくつかの実施形態において、活性の阻害は、本発明によるKRASの発癌性変異型を発現する細胞(または細胞株)におけるERK(細胞外シグナル制御キナーゼ(xtracellular signal-egulated inase))リン酸化の阻害によって特徴付けられる(またはそれをもたらす、またはそれを引き起こす、またはそれを証拠とする、またはそれによって報告される、またはそれによって決定されたものである)。代替的に見ると、本発明の抗体によってもたらされる、本発明によるKRASの発癌性変異型を発現する細胞(または細胞株)におけるERKリン酸化の低減は、典型的に前記抗体が本発明によるKRASの発癌性変異型を阻害する(その活性を阻害する)ことを示す。よっていくつかの実施形態において、本発明の抗体は、本発明によるKRASの発癌性変異型を発現する細胞におけるERKリン酸化を阻害または低減する(または阻害または低減できる)。よって、本発明の抗体による活性の阻害は、たとえば本明細書の他の場所に記載されるものなどのホスホ-ERKアッセイにおいて決定された(または評価された)ものであってもよい。
MAPK(MAPキナーゼ(kinase))経路は、細胞増殖を制御する主要なシグナル伝達カスケードである。MAPK経路の活性は、しばしば癌においてアップレギュレートされる。正常な生理機能の下では、MAPK経路の活性化は、増殖因子が自身の同族受容体に結合することと、たとえばKRASなどの小さいRas GTPアーゼの補充とに続いて起こり、それによって、次いでセリンスレオニンキナーゼRAFが補充される。これによって、次にMEKが活性化され、MEKは経路の主要なエフェクターキナーゼであるERKをリン酸化する。次いでERKは、複数の細胞質基質および転写因子をリン酸化および活性化する。癌において活性化されるとき、MAPK経路を通じたシグナル伝達は腫瘍増殖に寄与する。たとえば、癌において活性化されるとき、MAPK経路は、(細胞増殖を増加させる)活性化サイクリンD1/CDK4複合体の維持、(細胞生存を増加させる)たとえばBIMなどのアポトーシス促進性分子の抑制、ならびに(浸潤および転移に寄与する)細胞骨格の直接制御によって腫瘍増殖に寄与する。
本発明の抗体によって、本発明によるKRASの発癌性変異型の活性を阻害することによって、下流のERKのリン酸化が典型的に阻害される(すなわち、ERKリン酸化すなわちホスホ-ERKのレベルまたは量が低減されてもよい)。上記の考察から明らかになるとおり、ERKリン酸化の低減(ホスホ-ERK(phosphor-ERK)の低減)は、癌処置の状況において利益(例、治療的利益)となるだろう。
よっていくつかの実施形態において、本発明の抗体は、本発明によるG12変異を有するKRASの発癌性変異型(例、SEQ ID NO:13またはSEQ ID NO:15のアミノ酸配列を有するKRASの発癌性変異型)を発現する癌細胞または癌細胞株におけるERKリン酸化を阻害または低減し(または阻害または低減でき)てもよく、または本発明によるG13変異を有するKRASの発癌性変異型(例、SEQ ID NO:14またはSEQ ID NO:16のアミノ酸配列を有するKRASの発癌性変異型)を発現する癌細胞または癌細胞株におけるERKリン酸化を阻害または低減し(または阻害または低減でき)てもよい。いくつかの好ましい実施形態において、本発明の抗体は、本発明によるG13変異を有するKRASの発癌性変異型(例、SEQ ID NO:14またはSEQ ID NO:16のアミノ酸配列を有するKRASの発癌性変異型)を発現する癌細胞または癌細胞株におけるERKリン酸化を阻害または低減し(または阻害または低減でき)てもよい。
いくつかの実施形態において、本発明の抗体は、本発明によるG13変異を有するKRASの発癌性変異型(例、SEQ ID NO:14またはSEQ ID NO:16のアミノ酸配列を有するKRASの発癌性変異型)を発現する癌細胞または癌細胞株と、本発明によるG12変異を有するKRASの発癌性変異型(例、SEQ ID NO:13またはSEQ ID NO:15のアミノ酸配列を有するKRASの発癌性変異型)を発現する癌細胞または癌細胞株とにおけるERKリン酸化を阻害または低減し(または阻害または低減でき)てもよい。
いくつかの実施形態において、本発明の抗体は、本発明によるG12D変異を有するKRASの発癌性変異型(例、SEQ ID NO:8またはSEQ ID NO:11のアミノ酸配列を有するKRASの発癌性変異型)を発現する癌細胞または癌細胞株におけるERKリン酸化を阻害または低減し(または阻害または低減でき)てもよく、または本発明によるG13D変異を有するKRASの発癌性変異型(例、SEQ ID NO:9またはSEQ ID NO:12のアミノ酸配列を有するKRASの発癌性変異型)を発現する癌細胞または癌細胞株におけるERKリン酸化を阻害または低減し(または阻害または低減でき)てもよい。
いくつかの好ましい実施形態において、本発明の抗体は、本発明によるG13D変異を有するKRASの発癌性変異型(例、SEQ ID NO:9またはSEQ ID NO:12のアミノ酸配列を有するKRASの発癌性変異型)を発現する癌細胞または癌細胞株におけるERKリン酸化を阻害または低減し(または阻害または低減でき)てもよい。
いくつかの実施形態において、本発明の抗体は、本発明によるG12D変異を有するKRASの発癌性変異型(例、SEQ ID NO:8またはSEQ ID NO:11のアミノ酸配列を有するKRASの発癌性変異型)を発現する癌細胞または癌細胞株におけるERKリン酸化を阻害または低減し(または阻害または低減でき)、および本発明によるG13D変異を有するKRASの発癌性変異型(例、SEQ ID NO:9またはSEQ ID NO:12のアミノ酸配列を有するKRASの発癌性変異型)を発現する癌細胞または癌細胞株におけるERKリン酸化を阻害または低減し(または阻害または低減でき)てもよい。
いくつかの実施形態において、本発明によるKRASの発癌性変異型を発現する細胞(例、癌細胞または癌細胞株)におけるERKリン酸化の阻害(または低減)は、任意の測定可能な阻害(または低減または減少)であってもよく、好ましくは(例、たとえば「溶媒のみ」対照、またはたとえば「抗体なし」対照、またはたとえばKRASと結合しない対照抗体もしくはアイソタイプ対照などの対照と比較して(例、陰性対照によってもたらされるか、または陰性対照が存在するときのERKリン酸化のレベルと比較して))顕著な阻害または統計的に有意な阻害であってもよい。いくつかの実施形態において、好ましい対照はアイソタイプ対照である(例、本発明の抗体がウサギポリクローナル抗体である実施形態において、アイソタイプ対照はウサギIgGであり得る)。当業者は適切な対照(例、アイソタイプ対照)を熟知していると考えられ、任意の適切な対照が使用され得る。
いくつかの実施形態において、本発明によるKRASの発癌性変異型を発現する細胞(例、癌細胞または癌細胞株)におけるERKリン酸化の阻害(または低減または減少)は、(例、たとえば「溶媒のみ」対照、またはたとえば「抗体なし」対照、またはたとえばKRASと結合しない対照抗体もしくはアイソタイプ対照などの対照と比較して(例、対照によってもたらされるか、または対照が存在するときのERKリン酸化の阻害のレベルまたは量と比較して))少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、好ましくは少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、または少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、または100%の阻害(または低減または減少)であってもよい。典型的にはアイソタイプ対照が好ましい。
いくつかの実施形態において、ERKリン酸化の%阻害は、最大20%、または最大25%、または最大30%、または最大40%、または最大50%、または最大60%、または最大70%、または最大80%、または最大90%、または最大100%の阻害であってもよい。いくつかの実施形態において、ERKリン酸化の%阻害は、5%~100%、5%~90%、5%~80%、5%~70%、5%~60%、5%~50%、5%~40%、5%~30%、5%~20%、10%~100%、10%~90%、10%~80%、10%~70%、10%~60%、10%~50%、10%~40%、10%~30%、10%~20%、30%~100%、30%~90%、30%~80%、30%~70%、30%~60%、30%~50%、30%~40%、40%~100%、40%~90%、40%~80%、40%~70%、40%~60%、40%~50%、50%~100%、50%~90%、50%~80%、50%~70%、または50%~60%の阻害であってもよい。
いくつかの実施形態において、ERKリン酸化の上述の%阻害は、前記抗体(例、たとえばウサギポリクローナル抗体などのポリクローナル抗体)を10nM~500nM、たとえば10nM~200nMまたは20nM~175nM、たとえば167nMまたは67nMまたは27nMの濃度で使用したときに決定されたものである。
いくつかの実施形態において、ERKリン酸化の上述の%阻害は、アイソタイプ対照によってもたらされた(または誘発された、または観察された)ERKリン酸化の阻害と比較したときのものである。
よっていくつかの実施形態において、陰性対照(例、アイソタイプ対照)によって観察された(またはそれに対して測定された、もしくは決定された)ERKリン酸化の量(またはレベル)は、ERKリン酸化のレベル(または量または値)の0%阻害を表して(または0%阻害とみなされて、もしくは設定されて)もよい。よって、本明細書で考察される本発明の抗体によってもたらされるERKリン酸化の%阻害は、こうした0%阻害(またはERKリン酸化の対照レベル)に対する%阻害と考えられてもよい。
上記に示したとおり、KRASの発癌性変異型を発現する癌細胞または癌細胞株におけるERKリン酸化の阻害は、本発明によるG13変異(例、G13D変異)を有するKRASの発癌性変異型を発現する癌細胞または癌細胞株におけるERKリン酸化の阻害、および/または本発明によるG12変異(例、G12D変異)を有するKRASの発癌性変異型を発現する癌細胞または癌細胞株におけるERKリン酸化の阻害である。当業者はこうした細胞株を熟知している。いくつかの実施形態において、ERKリン酸化の阻害は、癌細胞株MDA-MB-231(KRASのG13D発癌性変異型を発現する乳癌細胞株)におけるERKリン酸化の阻害、癌細胞株SK-LU-1(KRASのG12D発癌性変異型を発現するもの)におけるERKリン酸化の阻害、細胞株HCT116(KRASのG13D発癌性変異型を発現するもの)におけるERKリン酸化の阻害、および/または癌細胞株LS174T(KRASのG12D発癌性変異型を発現するもの)におけるERKリン酸化の阻害である。いくつかの好ましい実施形態において、ERKリン酸化の阻害は、癌細胞株MDA-MB-231におけるERKリン酸化の阻害である。
ERKリン酸化およびERKリン酸化の阻害は、任意の適切な方法またはアッセイによって評価されても(または評価されたものであっても)よく、当業者は好適な方法およびアッセイを熟知するだろう。ERKリン酸化(ホスホ-ERK)のアッセイおよび方法は当該技術分野において周知であり、本明細書にも記載される。
いくつかの実施形態において、ERKリン酸化の阻害を決定する(または測定する)ためのアッセイは、ERK1/2の残基Thr202および/またはTyr204におけるリン酸化(またはリン酸化状態)を決定することを伴う。
いくつかの実施形態において、ERKリン酸化またはERKリン酸化の阻害を決定する(または測定する)ためのアッセイは、培地中で本発明によるKRASの発癌性変異型を発現する癌細胞または癌細胞株を培養することと、培養した細胞を、調査中の抗体(例、本発明の抗体)または関連の対照(例、アイソタイプ対照)で処理する(またはそれに接触させる)ことと、抗体(または対照)で処理した細胞を血清添加培地中で(例、14~16時間)インキュベートすることと、調査中の抗体(例、本発明の抗体)または関連の対照(例、アイソタイプ対照)を含有する無血清培地で培地を置換して細胞を(例、4時間)培養することと、EGF(上皮増殖因子(epidermal growth factor)、例、10.9ng/ml、例、10分間)で細胞を処理する(または細胞をそれに接触させる)ことと、(例、溶解緩衝液をたとえば10分間適用することによって)細胞を溶解することと、リン酸化ERKに結合する試薬(例、抗体または抗体ベースの試薬)を用いて、細胞可溶化物中のリン酸化ERK(ホスホ-ERK1/2;Thr202/Tyr204においてリン酸化される)の量(またはレベル)を検出する(典型的に定量的に検出または測定する)こととを含む。EGFはERKリン酸化を刺激する。こうしたアッセイにおいて、総ERKレベルも決定されてもよい。たとえば陰性対照(例、アイソタイプ対照)による処理による(またはそれを伴う、またはその後の)ものと比較したときの、本発明の抗体による処理による(またはそれを伴う、またはその後の)リン酸化ERKの量(またはレベル)が減少する(または低減する)ことは、典型的に本発明の抗体がERKリン酸化を阻害することを示し、よって典型的にその抗体が本発明によるKRASの発癌性変異型を阻害することを示す。
いくつかの実施形態において、ERKリン酸化またはERKリン酸化の阻害を決定する(または測定する)ためのアッセイは、以下を含む。
(i)本発明によるKRASの発癌性変異型を発現する癌細胞または癌細胞株の細胞(例、MDA-MB-231細胞または本明細書に記載される他の細胞株の細胞)を384ウェルプレートに10,000細胞/ウェルの密度で蒔き、37℃/5%CO2にて一晩インキュベートすること;
(ii)(i)のインキュベート細胞を調査中の抗体(例、本発明の抗体)(例、27nM、67nM、または167nMの抗体)または関連の対照(例、アイソタイプ対照、例、167nM)で処理し(またはそれに接触させ)、その抗体(または対照)処理細胞を血清添加培地中で37℃/5%CO2にて14~16時間インキュベートすること;
(iii)(ii)の培地を、調査中の抗体(例、本発明の抗体)(例、27nM、67nM、または167nMの抗体)または関連の対照(例、アイソタイプ対照、例、167nM)を含有する無血清培地で置換し、細胞を4時間培養すること;
(iv)10.9ng/mlのEGFで10分間(iii)の細胞を処理する(またはそれに細胞を接触させる)こと;
(v)(iv)細胞の処理細胞を、溶解緩衝液(例、パーキン・エルマー(Perkin Elmer)のAlphaScreen(登録商標)SureFire(登録商標))p-ERK1/2(Thr202/Tyr204)アッセイキット、Cat No.TGRESB500によって提供される溶解緩衝液)で10分間溶解すること;
(vi)リン酸化ERKに結合する試薬(例、抗体または抗体ベースの試薬)を用いてリン酸化ERK(ホスホ-ERK1/2;Thr202/Tyr204においてリン酸化される)の量(またはレベル)を定量的に検出する(または測定する)こと。こうしたアッセイにおいて、総ERKレベルも決定されてもよい(および、リン酸化ERKが総ERKレベルの割合として定量化されてもよい)。いくつかの好ましい実施形態において、リン酸化ERKは、パーキン・エルマーのAlphaScreen(登録商標)SureFire(登録商標))p-ERK1/2(Thr202/Tyr204)アッセイキット、Cat No.TGRESB500を使用して、製造者の指示に従って定量的に検出される。プレートリーダーを使用してリン酸化ERKを定量的に検出してもよい。
陰性対照(例、アイソタイプ対照)による処理による(またはそれを伴う、またはその後の)ものと比較したときの、本発明の抗体による処理による(またはそれを伴う、またはその後の)リン酸化ERKの量(またはレベル)が減少する(または低減する)ことは、典型的に本発明の抗体がERKリン酸化を阻害することを示し、よって典型的にその抗体が本発明によるKRASの発癌性変異型を阻害することを示す。
ERKリン酸化を決定する(または測定する)ためのキットおよび試薬は当該技術分野において周知であり、および商業的に入手可能である。上記に示したとおり、例示的な好ましいキットは、パーキン・エルマーの「AlphaScreen(登録商標)SureFire(登録商標))p-ERK1/2(Thr202/Tyr204)アッセイキット」、Cat No.TGRESB500である。好ましくは、このキットは製造者の指示に従って使用される。
ERKリン酸化(およびその阻害)を決定するために特に好ましいアッセイは、本明細書の実施例のセクションに記載されている。
いくつかの実施形態において、本発明の抗体によるERKリン酸化、またはERKリン酸化の阻害を決定する(または測定する)ためのアッセイは、陽性対照(KRAS活性を阻害することが公知である陽性対照化合物)も含んでもよい。いくつかの実施形態において、陽性対照化合物はSAH-SOS1(サンオブセブンレス1の安定化アルファヘリックス(stabilized alpha helices of son of sevenless 1)、たとえば5μMの濃度)である。SAH-SOS1は、公知のKRAS阻害剤であるポリペプチドである。いくつかの実施形態において、本発明の抗体によるERKリン酸化の阻害のレベル(または量)は、SAH-SOS1によってもたらされる(または与えられる)ERKリン酸化の阻害のレベル(または量)の少なくとも20%、好ましくは少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、または少なくとも100%以上、たとえば少なくとも125%または少なくとも150%などであってもよい。
いくつかの実施形態において、本発明によるKRASの発癌性変異型の活性の阻害は、本発明によるKRASの発癌性変異型を発現する細胞(または細胞株)におけるアポトーシスの増加または誘導によって特徴付けられる(またはそれをもたらす、またはそれを引き起こす、またはそれを証拠とする、またはそれによって報告される、またはそれによって決定されたものである)。代替的に見ると、本発明の抗体によってもたらされる、本発明によるKRASの発癌性変異型を発現する細胞(または細胞株)におけるアポトーシスの増加または誘導は、典型的に前記抗体が本発明によるKRASの発癌性変異型を阻害する(その活性を阻害する)ことを示す。よっていくつかの実施形態において、本発明の抗体は、本発明によるKRASの発癌性変異型を発現する細胞(または細胞株)におけるアポトーシスを(こうした細胞が本発明の抗体と接触するときに)誘導または増加(または促進または上昇)させる。よって、本発明の抗体によるKRAS活性の阻害は、たとえば本明細書の他の場所に記載されるものなどのアポトーシスアッセイにおいて決定された(または評価された)ものであってもよい。
上記に示したとおり、癌において、KRASの発癌性変異型(例、本発明によるKRASのG12またはG13変異型)によるMAPK経路の活性化は、たとえば(細胞生存を増加させる)BIMなどのアポトーシス促進性分子の抑制に寄与する。よって、本発明によるKRASの発癌性変異型を阻害することによって、MAPK経路の活性化を低減または阻害でき、それはアポトーシス促進性分子の抑制の軽減(または低減)をもたらすことができ、これはアポトーシスが上昇する(または増加する)ことを意味する。上記の考察から明らかになるとおり、KRASの発癌性変異型を発現する癌細胞のアポトーシスを増加させることは、癌処置の状況において利益(例、治療的利益)となるだろう。
いくつかの実施形態において、本発明の抗体は、本発明によるKRASの発癌性変異型を発現する細胞(例、癌細胞または癌細胞株)におけるアポトーシスを誘導または増加させる(または誘導または増加させ得る)。典型的に、こうしたアポトーシスの誘導または増加は、たとえば「溶媒のみ」対照、またはたとえば「抗体なし」対照、またはたとえばKRASと結合しない対照抗体もしくはアイソタイプ対照などの対照と比較したものとなる。
よっていくつかの実施形態において、本発明の抗体は、本発明によるG12変異を有するKRASの発癌性変異型(例、SEQ ID NO:13またはSEQ ID NO:15のアミノ酸配列を有するKRASの発癌性変異型)を発現する癌細胞または癌細胞株におけるアポトーシスを増加または誘導し(または増加または誘導でき)てもよく、または本発明によるG13変異を有するKRASの発癌性変異型(例、SEQ ID NO:14またはSEQ ID NO:16のアミノ酸配列を有するKRASの発癌性変異型)を発現する癌細胞または癌細胞株におけるアポトーシスを増加または誘導し(または増加または誘導でき)てもよい。
いくつかの好ましい実施形態において、本発明の抗体は、本発明によるG12変異を有するKRASの発癌性変異型(例、SEQ ID NO:13またはSEQ ID NO:15のアミノ酸配列を有するKRASの発癌性変異型)を発現する癌細胞または癌細胞株におけるアポトーシスを増加または誘導し(または増加または誘導でき)、および本発明によるG13変異を有するKRASの発癌性変異型(例、SEQ ID NO:14またはSEQ ID NO:16のアミノ酸配列を有するKRASの発癌性変異型)を発現する癌細胞または癌細胞株におけるアポトーシスを増加または誘導する(または増加または誘導できる)。
よっていくつかの実施形態において、本発明の抗体は、本発明によるG12D変異を有するKRASの発癌性変異型(例、SEQ ID NO:8またはSEQ ID NO:11のアミノ酸配列を有するKRASの発癌性変異型)を発現する癌細胞または癌細胞株におけるアポトーシスを増加または誘導し(または増加または誘導でき)てもよく、または本発明によるG13D変異を有するKRASの発癌性変異型(例、SEQ ID NO:9またはSEQ ID NO:12のアミノ酸配列を有するKRASの発癌性変異型)を発現する癌細胞または癌細胞株におけるアポトーシスを増加または誘導し(または増加または誘導でき)てもよい。
いくつかの好ましい実施形態において、本発明の抗体は、本発明によるG12D変異を有するKRASの発癌性変異型(例、SEQ ID NO:8またはSEQ ID NO:11のアミノ酸配列を有するKRASの発癌性変異型)を発現する癌細胞または癌細胞株におけるアポトーシスを増加または誘導し(または増加または誘導でき)、および本発明によるG13D変異を有するKRASの発癌性変異型(例、SEQ ID NO:9またはSEQ ID NO:12のアミノ酸配列を有するKRASの発癌性変異型)を発現する癌細胞または癌細胞株におけるアポトーシスを増加または誘導する(または増加または誘導できる)。
いくつかの実施形態において、本発明によるKRASの発癌性変異型を発現する細胞(例、癌細胞または癌細胞株)におけるアポトーシスの増加は、任意の測定可能な増加であってもよく、好ましくは(例、たとえば「溶媒のみ」対照、またはたとえば「抗体なし」対照、またはたとえばKRASと結合しない対照抗体もしくはアイソタイプ対照などの対照と比較して(例、対照によってもたらされるか、または対照が存在するときのアポトーシスのレベルまたは量と比較して))顕著な増加または統計的に有意な増加であってもよい。当業者は適切な対照を熟知していると考えられ、任意の適切な対照が使用され得る。
いくつかの実施形態において、本発明によるKRASの発癌性変異型を発現する細胞(例、癌細胞または癌細胞株)におけるアポトーシスの増加は、(例、たとえば「溶媒のみ」対照、またはたとえば「抗体なし」対照、またはたとえばKRASと結合しない対照抗体もしくはアイソタイプ対照などの対照と比較して(例、対照によってもたらされるか、または対照が存在するときのアポトーシスのレベルまたは量と比較して))少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、好ましくは少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも100%、少なくとも125%、少なくとも150%、少なくとも175%、または少なくとも200%の増加であってもよい。いくつかの実施形態において、アポトーシスの%増加は、最大20%、または最大50%、または最大100%、または最大200%、または最大500%の増加であってもよい。いくつかの実施形態において、アポトーシスの%増加は、5%~500%、5%~250%、5%~200%、5%~100%、5%~50%、5%~30%、5%~20%、10%~500%、10%~250%、10%~200%、10%~100%、10%~50%、10%~30%、10%~20%、20%~500%、20%~250%、20%~200%、20%~100%、20%~50%、20%~30%、30%~500%、30%~250%、30%~200%、30%~100%、30%~50%、50%~500%、50%~250%、50%~200%、または50%~100%の増加であってもよい。
いくつかの実施形態において、アポトーシスの上述の%増加は、前記抗体(例、たとえばウサギポリクローナル抗体などのポリクローナル抗体)を50nM~500nM、たとえば100nM~300nM、または約200nM(例、220nM)の濃度で使用したときに決定されたものである。
いくつかの実施形態において、アポトーシスの上述の%増加は、アイソタイプ対照によってもたらされた(または観察された)アポトーシスと比較したときのものである。いくつかの実施形態において、アポトーシスの上述の%増加は、「溶媒のみ」対照によってもたらされた(または観察された)アポトーシスと比較したときのものである。
上記に示したとおり、アポトーシスは、本発明によるG12変異(例、G12D変異)を有するKRASの発癌性変異型を発現する癌細胞または癌細胞株のアポトーシス、および/または本発明によるG13変異(例、G13D変異)を有するKRASの発癌性変異型を発現する癌細胞または癌細胞株のアポトーシスである。当業者はこうした細胞株を熟知している。いくつかの実施形態において、アポトーシスは、癌細胞株SK-LU-1(KRASのG12D発癌性変異型を発現するもの)のアポトーシス、細胞株HCT116(KRASのG13D発癌性変異型を発現するもの)のアポトーシス、および/または細胞株LS174T(KRASのG12D発癌性変異型を発現するもの)のアポトーシスである。いくつかの実施形態において、アポトーシスは、癌細胞株SK-LU-1のアポトーシス、または細胞株HCT116のアポトーシスである。いくつかの実施形態において、アポトーシスは、癌細胞株SK-LU-1のアポトーシス、および細胞株HCT116のアポトーシスである。
アポトーシス(およびアポトーシスの増加または誘導)は、任意の適切な方法またはアッセイによって評価されても(または評価されたものであっても)よく、当業者は好適な方法およびアッセイを熟知するだろう。アポトーシスアッセイは当該技術分野において周知であり、本明細書にも記載される。
たとえばいくつかの実施形態において、アポトーシスアッセイは、細胞を調査中の抗体(例、本発明の抗体)と接触させた(またはそれで処理した)後、または細胞と調査中の抗体(例、本発明の抗体)との接触(またはそれによる処理)中に、細胞膜の外葉へのホスファチジルセリン(PS:phosphatidylserine)の露出を決定することを含む。PSは細胞膜に不可欠な成分であり、正常な細胞においては能動的に膜内葉に制限されているが、アポトーシスの際にPSは細胞膜の外葉に移行し、そこで測定され得る。移行したPSは、アネキシン(Annexin)Vベースの分子(例、蛍光標識されたアネキシンVコンジュゲート)によって測定されてもよい。アネキシンVベースの分子は、高いカルシウム依存性の親和性および脂質に対する選択性を有するため、典型的に外葉へのPSの露出を検出する(または決定または測定する)ための好ましいプローブである。
よっていくつかの実施形態において、抗体によってもたらされるアポトーシスは、細胞膜の外葉へのホスファチジルセリン(PS)の露出(または移行)を決定する(または測定する)方法によって決定されてもよく(または決定されたものであり)、この方法は典型的に、アネキシンVベースの試薬(例、蛍光標識されたアネキシンVコンジュゲート)を使用して、露出または移行されたPSを検出する(または測定する)ことによって行われる。
いくつかの実施形態において、アポトーシス(またはアポトーシスのレベルもしくは量)は、調査中の抗体との接触(またはそれによる処理またはそれへの曝露)において設定された期間(例、10時間、24時間、48時間、52時間、72時間)にわたって(またはその間に)起こるアポトーシスである。いくつかの実施形態において、アポトーシス(またはアポトーシスのレベルもしくは量)は、52時間の期間にわたって(またはその間に)起こるアポトーシスである。いくつかの実施形態において、アポトーシス(またはアポトーシスのレベルもしくは量)は、調査中の抗体との接触(またはそれによる処理またはそれへの曝露)において24時間または48時間にわたって(またはその間に)起こるアポトーシスである。
(例、アネキシンV試薬を用いて決定または測定された)本発明の抗体によってもたらされる露出(または移行)PSの量(またはレベル)の増加は、典型的にその抗体がアポトーシスをもたらす(または誘導する、または増加させる)ことを示し、よって典型的にその抗体が本発明によるKRASの発癌性変異型を阻害することを示す。
いくつかの実施形態において、アポトーシスアッセイはマイクロタイタープレート中で行われ、アポトーシスはマイクロプレートリーダーにおいて(例、露出PSに対する蛍光標識アネキシンVコンジュゲートの結合に基づいて)決定される。こうしたアッセイはリアルタイムアッセイであってもよい。
いくつかの他の実施形態において、アポトーシスアッセイはフローサイトメトリー(例、FACS)ベースのアッセイであり、ここで培地中の細胞は調査中の抗体(例、3ng/ml)で(例、24時間、48時間、または72時間)処理され(またはそれと接触され、またはそれに曝露され)、洗浄され、蛍光標識アネキシンV分子(例、アネックスVパシフィックブルー(Annex V Pacific Blue)、サーモ・フィッシャー(ThermoFisher)Cat.No.A35122)で染色され、フローサイトメトリー(例、FACS)を用いて細胞関連の蛍光が定量化される。(例、たとえば「溶媒のみ」対照、またはたとえば「抗体なし」対照、またはたとえばKRASと結合しない対照抗体もしくはアイソタイプ対照などの対照と比較して(例、対照によってもたらされる、または対照の存在下の細胞関連蛍光と比較して))本発明の抗体によってもたらされる(またはそれによる処理後の)細胞関連蛍光の量が増加することは、典型的にその抗体がアポトーシスをもたらす(または誘導する、または増加させる)ことを示し、よって典型的にその抗体が本発明によるKRASの発癌性変異型を阻害することを示す。
いくつかの実施形態において、アポトーシスアッセイはリアルタイムアッセイであってもよい。
アポトーシスを決定する(または測定する)ためのキットおよび試薬は当該技術分野において周知であり、および商業的に入手可能である。例示的な好ましいキットは、「RealTime-Glo(商標)アネキシンVアポトーシスおよびネクローシスキット(Annexin V Apoptosis and Necrosis Kit)」(プロメガ(Promega)、Cat.No.JA1011)である。好ましくは、このキットは製造者の指示に従って使用される。
本明細書の実施例のセクションに、特に好ましいアポトーシスアッセイが記載されている。
いくつかの実施形態において、本発明によるKRASの発癌性変異型の活性の阻害は、本発明によるKRASの発癌性変異型を発現する細胞(または細胞株)におけるネクローシスの増加または誘導によって特徴付けられる(またはそれをもたらす、またはそれを引き起こす、またはそれを証拠とする、またはそれによって報告される、またはそれによって決定されたものである)。代替的に見ると、本発明の抗体によってもたらされる、本発明によるKRASの発癌性変異型を発現する細胞(または細胞株)におけるネクローシスの増加または誘導は、典型的に前記抗体が本発明によるKRASの発癌性変異型を阻害する(その活性を阻害する)ことを示す。よっていくつかの実施形態において、本発明の抗体は、本発明によるKRASの発癌性変異型を発現する細胞(または細胞株)におけるネクローシスを(こうした細胞が本発明の抗体と接触するときに)誘導または増加(または促進または上昇)させる。よって、本発明の抗体によるKRAS活性の阻害は、たとえば本明細書の他の場所に記載されるものなどのネクローシスアッセイにおいて決定された(または評価された)ものであってもよい。
KRASの発癌性変異型を発現する癌細胞のネクローシスを増加させることは、癌処置の状況において利益(例、治療的利益)となり得ることが明らかである。
いくつかの実施形態において、本発明の抗体は、本発明によるKRASの発癌性変異型を発現する細胞(例、癌細胞または癌細胞株)におけるネクローシスを増加または誘導する(または増加または誘導できる)。典型的に、こうしたネクローシスの増加または誘導は、たとえば「溶媒のみ」対照、またはたとえば「抗体なし」対照、またはたとえばKRASと結合しない対照抗体もしくはアイソタイプ対照などの対照と比較したものとなる。
よっていくつかの実施形態において、本発明の抗体は、本発明によるG12変異を有するKRASの発癌性変異型(例、SEQ ID NO:13またはSEQ ID NO:15のアミノ酸配列を有するKRASの発癌性変異型)を発現する癌細胞または癌細胞株におけるネクローシスを増加または誘導し(または増加または誘導でき)てもよく、または本発明によるG13変異を有するKRASの発癌性変異型(例、SEQ ID NO:14またはSEQ ID NO:16のアミノ酸配列を有するKRASの発癌性変異型)を発現する癌細胞または癌細胞株におけるネクローシスを増加または誘導し(または増加または誘導でき)てもよい。
いくつかの好ましい実施形態において、本発明の抗体は、本発明によるG12変異を有するKRASの発癌性変異型(例、SEQ ID NO:13またはSEQ ID NO:15のアミノ酸配列を有するKRASの発癌性変異型)を発現する癌細胞または癌細胞株におけるネクローシスを増加または誘導し(または増加または誘導でき)、および本発明によるG13変異を有するKRASの発癌性変異型(例、SEQ ID NO:14またはSEQ ID NO:16のアミノ酸配列を有するKRASの発癌性変異型)を発現する癌細胞または癌細胞株におけるネクローシスを増加または誘導する(または増加または誘導できる)。
よっていくつかの実施形態において、本発明の抗体は、本発明によるG12D変異を有するKRASの発癌性変異型(例、SEQ ID NO:8またはSEQ ID NO:11のアミノ酸配列を有するKRASの発癌性変異型)を発現する癌細胞または癌細胞株におけるネクローシスを増加または誘導し(または増加または誘導でき)てもよく、または本発明によるG13D変異を有するKRASの発癌性変異型(例、SEQ ID NO:9またはSEQ ID NO:12のアミノ酸配列を有するKRASの発癌性変異型)を発現する癌細胞または癌細胞株におけるネクローシスを増加または誘導し(または増加または誘導でき)てもよい。
いくつかの好ましい実施形態において、本発明の抗体は、本発明によるG12D変異を有するKRASの発癌性変異型(例、SEQ ID NO:8またはSEQ ID NO:11のアミノ酸配列を有するKRASの発癌性変異型)を発現する癌細胞または癌細胞株におけるネクローシスを増加または誘導し(または増加または誘導でき)、および本発明によるG13D変異を有するKRASの発癌性変異型(例、SEQ ID NO:9またはSEQ ID NO:12のアミノ酸配列を有するKRASの発癌性変異型)を発現する癌細胞または癌細胞株におけるネクローシスを増加または誘導する(または増加または誘導できる)。
いくつかの実施形態において、本発明によるKRASの発癌性変異型を発現する細胞(例、癌細胞または癌細胞株)におけるネクローシスの増加は、任意の測定可能な増加であってもよく、好ましくは(例、たとえば「溶媒のみ」対照、またはたとえば「抗体なし」対照、またはたとえばKRASと結合しない対照抗体もしくはアイソタイプ対照などの対照と比較して(例、対照によってもたらされるか、または対照が存在するときのネクローシスのレベルもしくは量と比較して))顕著な増加または統計的に有意な増加であってもよい。当業者は適切な対照を熟知していると考えられ、任意の適切な対照が使用され得る。
いくつかの実施形態において、本発明によるKRASの発癌性変異型を発現する細胞(例、癌細胞または癌細胞株)におけるネクローシスの増加は、(例、たとえば「溶媒のみ」対照、またはたとえば「抗体なし」対照、またはたとえばKRASと結合しない対照抗体もしくはアイソタイプ対照などの対照と比較して(例、対照によってもたらされるか、または対照が存在するときのネクローシスのレベルもしくは量と比較して))少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、好ましくは少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも100%、少なくとも125%、少なくとも150%、少なくとも175%、または少なくとも200%の増加であってもよい。いくつかの実施形態において、ネクローシスの%増加は、最大20%、または最大50%、または最大100%、または最大200%、または最大500%の増加であってもよい。いくつかの実施形態において、ネクローシスの%増加は、5%~500%、5%~250%、5%~200%、5%~100%、5%~50%、5%~30%、5%~20%、10%~500%、10%~250%、10%~200%、10%~100%、10%~50%、10%~30%、10%~20%、20%~500%、20%~250%、20%~200%、20%~100%、20%~50%、20%~30%、30%~500%、30%~250%、30%~200%、30%~100%、30%~50%、50%~500%、50%~250%、50%~200%、または50%~100%の増加であってもよい。
いくつかの実施形態において、ネクローシスの上述の%増加は、前記抗体(例、たとえばウサギポリクローナル抗体などのポリクローナル抗体)を50nM~500nM、たとえば100nM~300nM、または約200nM(例、220nM)の濃度で使用したときに決定されたものである。
いくつかの実施形態において、ネクローシスの上述の%増加は、「溶媒のみ」対照によってもたらされた(または観察された)ネクローシスと比較したときのものである。
上記に示したとおり、ネクローシスは、本発明によるG12変異(例、G12D変異)を有するKRASの発癌性変異型を発現する癌細胞または癌細胞株のネクローシス、および/または本発明によるG13変異(例、G13D変異)を有するKRASの発癌性変異型を発現する癌細胞または癌細胞株のネクローシスである。当業者はこうした細胞株を熟知している。いくつかの実施形態において、ネクローシスは、癌細胞株SK-LU-1(KRASのG12D発癌性変異型を発現するもの)のネクローシス、または細胞株HCT116(KRASのG13D発癌性変異型を発現するもの)のネクローシスである。いくつかの実施形態において、ネクローシスは、癌細胞株SK-LU-1のネクローシス、および細胞株HCT116のネクローシスである。
ネクローシス(およびネクローシスの増加)は、任意の適切な方法またはアッセイによって評価されても(または評価されたものであっても)よく、当業者は好適な方法およびアッセイを熟知するだろう。ネクローシスアッセイは当該技術分野において周知であり、本明細書にも記載される。
たとえばいくつかの実施形態において、抗体によってもたらされるネクローシスは、細胞不透過のプロ蛍光染料が細胞に入る能力を決定する(または測定する)方法によって決定されて(または決定されたものであって)もよい。ネクローシスの際には細胞膜が崩壊するため、こうした細胞不透過のプロ蛍光染料が細胞に入ることができる。
いくつかの実施形態において、ネクローシス(またはネクローシスのレベルもしくは量)は、調査中の抗体との接触(またはそれによる処理またはそれへの曝露)において設定された期間(例、24時間、48時間、52時間、72時間)にわたって(またはその間に)起こるネクローシスである。いくつかの実施形態において、ネクローシス(またはアポトーシスのレベルもしくは量)は、52時間の期間にわたって(またはその間に)起こるネクローシスである。
本発明の抗体によってもたらされる、細胞に入る細胞不透過のプロ蛍光染料の量の増加は、典型的にその抗体がネクローシスをもたらす(または誘導する、または増加させる)ことを示し、よって典型的にその抗体が本発明によるKRASの発癌性変異型を阻害することを示す。
いくつかの実施形態において、ネクローシスアッセイはマイクロタイタープレート中で行われ、ネクローシスはマイクロプレートリーダーにおいて(例、細胞内への細胞不透過のプロ蛍光染料の進入に基づいて)決定される。こうしたアッセイはリアルタイムアッセイであってもよい。
いくつかの実施形態において、ネクローシスアッセイはリアルタイムアッセイであってもよい。
ネクローシスを決定する(または測定する)ためのキットおよび試薬は当該技術分野において周知であり、および商業的に入手可能である。例示的な好ましいキットは、「RealTime-Glo(商標)アネキシンVアポトーシスおよびネクローシスキット」(プロメガ、Cat.No.JA1011)である。好ましくは、このキットは製造者の指示に従って使用される。
本明細書の実施例のセクションに、特に好ましいネクローシスアッセイが記載されている。
いくつかの実施形態において、本発明の抗体は、野生型KRAS(例、SEQ ID NO:7またはSEQ ID NO:10のアミノ酸配列を有するKRAS)に付加的に結合してもよい。他の実施形態において、本発明の抗体は、野生型KRASに付加的に結合しない(または野生型KRASに顕著に結合しない)。
いくつかの実施形態において、抗体は、野生型KRASと比較して本発明によるKRASの発癌性変異型に優先的に結合する。言い換えると、いくつかの実施形態において、抗体は、野生型KRASと比較して本発明によるKRASの発癌性変異型に選択的に結合する。たとえばいくつかの実施形態において、抗体は、野生型KRAS(例、SEQ ID NO:7またはSEQ ID NO:10に示されるアミノ酸配列を有する野生型KRAS)と比較して(またはそれと対照的に)、G13D変異を含むKRASの発癌性変異型(例、SEQ ID NO:9またはSEQ ID NO:12に示されるアミノ酸配列を有するKRASの発癌性変異型)に優先的に結合して(または選択的に結合して)もよい。たとえばいくつかの実施形態において、11D6-1、4B8-1、または7D11-1抗体に基づく抗体(例、これらの抗体のCDR配列、VHドメイン配列、またはVLドメイン配列を含むか、または実質的に相同の配列を有する抗体)は、野生型KRAS(例、SEQ ID NO:7またはSEQ ID NO:10に示されるアミノ酸配列を有する野生型KRAS)と比較して(またはそれと対照的に)、G13D変異を含むKRASの発癌性変異型(例、SEQ ID NO:9またはSEQ ID NO:12に示されるアミノ酸配列を有するKRASの発癌性変異型)に優先的に結合して(または選択的に結合して)もよい。
いくつかの好ましい実施形態において、本発明の抗体は、野生型KRASと比較して、本発明によるKRASの少なくとも1つの発癌性変異型の活性を優先的に阻害する。いくつかの好ましい実施形態において、本発明の抗体は、野生型KRASと比較して、本発明によるKRASの少なくとも1つの発癌性変異型の活性を選択的に阻害する。たとえばいくつかの実施形態において、抗体は、野生型KRAS(例、SEQ ID NO:7またはSEQ ID NO:10に示されるアミノ酸配列を有する野生型KRAS)と比較して(またはそれと対照的に)、G13D変異を含むKRASの発癌性変異型(例、SEQ ID NO:9またはSEQ ID NO:12に示されるアミノ酸配列を有するKRASの発癌性変異型)を優先的に阻害して(または選択的に阻害して)もよい。いくつかの実施形態において、11D6-1、4B8-1、7D11-1、6B2-1-1、6B2-1-2、または7G2-1(好ましくは11D6-1、4B8-1、または7D11-1)抗体に基づく抗体(例、これらの抗体のCDR配列、VHドメイン配列、またはVLドメイン配列を含むか、または実質的に相同の配列を有する抗体)は、野生型KRAS(例、SEQ ID NO:7またはSEQ ID NO:10に示されるアミノ酸配列を有する野生型KRAS)と比較して(またはそれと対照的に)、G13D変異を含むKRASの発癌性変異型(例、SEQ ID NO:9またはSEQ ID NO:12に示されるアミノ酸配列を有するKRASの発癌性変異型)を優先的に阻害して(または選択的に阻害して)もよい。
いくつかの実施形態において、本発明の抗体は、野生型KRASの活性を阻害しない(または顕著に阻害しない)。
活性は、本明細書の他の場所に記載される活性(例、GTPアーゼ活性、アポトーシス誘導活性、ネクローシス誘導活性、またはERKリン酸化(phosphorlyation)阻害活性)であってもよい。よってこうした活性は、本明細書の他の場所に記載されるとおりに(例、GTPアーゼアッセイ、アポトーシスアッセイ、ネクローシスアッセイ、および/またはホスホ-ERK阻害アッセイにおいて)決定されて(または決定されたものであって)もよい。
よって好ましい実施形態において、本発明の抗体は、野生型KRASの活性よりも、本発明によるKRASの1つ以上の発癌性変異型の活性を優先的に阻害する。言い換えると、いくつかの好ましい実施形態において、本発明の抗体は、野生型KRAS活性を阻害する程度よりも高い程度まで、本発明によるKRASの1つ以上の発癌性変異型の活性を阻害する(または阻害できる)。よってたとえば、いくつかの実施形態において、所与の抗体が本発明によるKRASの1つ以上の発癌性変異型の活性をX%阻害するとき、その抗体は野生型KRAS活性を<X%阻害するだろう。
いくつかの実施形態において、KRASの1つ以上の発癌性変異型の%阻害は、野生型KRASの%阻害よりも少なくとも5%高く、しかし典型的には少なくとも10%高く、好ましくは少なくとも20%高く、少なくとも30%高く、少なくとも40%高く、少なくとも50%高く、少なくとも60%高く、少なくとも70%高く、少なくとも80%高く、少なくとも90%、少なくとも100%、少なくとも150%、または少なくとも200%高い。
例として、いくつかの実施形態において、本発明の抗体がもたらす(または誘発する)、本発明によるG12変異を有するKRASの発癌性変異型(例、SEQ ID NO:13またはSEQ ID NO:15のアミノ酸配列を有するKRASの発癌性変異型)を発現する細胞(例、癌細胞または癌細胞株)または本発明によるG13変異を有するKRASの発癌性変異型(例、SEQ ID NO:14またはSEQ ID NO:16のアミノ酸配列を有するKRASの発癌性変異型)を発現する細胞(例、癌細胞または癌細胞株)のアポトーシスおよび/または(好ましくは「および」)ネクローシス(本明細書の他の場所に考察されるとおり、これはKRAS阻害を示す)のレベル(または量)は、野生型KRAS(SEQ ID NO:7またはSEQ ID NO:10)を発現する細胞において前記抗体がもたらす(または誘発する)アポトーシスおよび/または(好ましくは「および」)ネクローシスのレベル(または量)よりも高い(好ましくは有意に高い)。
いくつかの実施形態において、本発明の抗体がもたらす(または誘発する)、本発明によるG12変異を有するKRASの発癌性変異型(例、SEQ ID NO:13またはSEQ ID NO:15のアミノ酸配列を有するKRASの発癌性変異型)を発現する細胞(例、癌細胞または癌細胞株)および本発明によるG13変異を有するKRASの発癌性変異型(例、SEQ ID NO:14またはSEQ ID NO:16のアミノ酸配列を有するKRASの発癌性変異型)を発現する細胞(例、癌細胞または癌細胞株)のアポトーシスおよび/または(好ましくは「および」)ネクローシスのレベル(または量)は、野生型KRAS(SEQ ID NO:7またはSEQ ID NO:10)を発現する細胞において前記抗体がもたらす(または誘発する)アポトーシスおよび/または(好ましくは「および」)ネクローシスのレベル(または量)よりも高い(好ましくは有意に高い)。
いくつかの実施形態において、本発明の抗体がもたらす(または誘発する)、本発明によるG12D変異を有するKRASの発癌性変異型(例、SEQ ID NO:8またはSEQ ID NO:11のアミノ酸配列を有するKRASの発癌性変異型)を発現する細胞(例、癌細胞または癌細胞株)または本発明によるG13D変異を有するKRASの発癌性変異型(例、SEQ ID NO:9またはSEQ ID NO:12のアミノ酸配列を有するKRASの発癌性変異型)を発現する細胞(例、癌細胞または癌細胞株)のアポトーシスおよび/または(好ましくは「および」)ネクローシスのレベル(または量)は、野生型KRAS(SEQ ID NO:7またはSEQ ID NO:10)を発現する細胞において前記抗体がもたらす(または誘発する)アポトーシスおよび/または(好ましくは「および」)ネクローシスのレベル(または量)よりも高い(好ましくは有意に高い)。
いくつかの実施形態において、本発明の抗体がもたらす(または誘発する)、本発明によるG13D変異を有するKRASの発癌性変異型(例、SEQ ID NO:9またはSEQ ID NO:12のアミノ酸配列を有するKRASの発癌性変異型)を発現する細胞(例、癌細胞または癌細胞株)のアポトーシスおよび/または(好ましくは「および」)ネクローシスのレベル(または量)は、野生型KRAS(SEQ ID NO:7またはSEQ ID NO:10)を発現する細胞において前記抗体がもたらす(または誘発する)アポトーシスおよび/または(好ましくは「および」)ネクローシスのレベル(または量)よりも高い(好ましくは有意に高い)。
いくつかの実施形態において、本発明の抗体がもたらす(または誘発する)、本発明によるG12D変異を有するKRASの発癌性変異型(例、SEQ ID NO:8またはSEQ ID NO:11のアミノ酸配列を有するKRASの発癌性変異型)を発現する細胞(例、癌細胞または癌細胞株)および本発明によるG13D変異を有するKRASの発癌性変異型(例、SEQ ID NO:9またはSEQ ID NO:12のアミノ酸配列を有するKRASの発癌性変異型)を発現する細胞(例、癌細胞または癌細胞株)のアポトーシスおよび/または(好ましくは「および」)ネクローシスのレベル(または量)は、野生型KRAS(SEQ ID NO:7またはSEQ ID NO:10)を発現する細胞において前記抗体がもたらす(または誘発する)アポトーシスおよび/または(好ましくは「および」)ネクローシスのレベル(または量)よりも高い(好ましくは有意に高い)。
いくつかの実施形態において、KRASの発癌性変異型を発現する細胞においてもたらされるアポトーシスおよび/またはネクローシスのより高いレベルとは、野生型KRASを発現する細胞においてもたらされるアポトーシスおよび/またはネクローシスのレベルよりも少なくとも5%高い、しかし典型的には少なくとも10%高い、好ましくは少なくとも20%高い、少なくとも30%高い、少なくとも40%高い、少なくとも50%高い、少なくとも60%高い、少なくとも70%高い、少なくとも80%高い、少なくとも90%、少なくとも100%、少なくとも150%、または少なくとも200%高いレベルである。いくつかの実施形態において、KRASの発癌性変異型を発現する細胞におけるアポトーシスおよび/またはネクローシスのより高いレベルとは、野生型KRASを発現する細胞におけるアポトーシスおよび/またはネクローシスのレベルよりも最大500%高い、最大400%高い、最大300%高い、最大200%高い、最大100%高い、または最大50%高いレベルである。いくつかの実施形態において、KRASの発癌性変異型を発現する細胞におけるアポトーシスおよび/またはネクローシスのより高いレベルとは、野生型KRASを発現する細胞におけるアポトーシスおよび/またはネクローシスのレベルよりも最大5~500%高い、5~400%高い、5~300%高い、5~200%高い、5~100%高い、5~50%高い、5~20%高い、10~500%高い、10~400%高い、10~300%高い、10~200%高い、10~100%高い、10~50%高い、10~20%高い、20~500%高い、20~400%高い、20~300%高い、20~200%高い、20~100%高い、20~50%高い、50~500%高い、50~400%高い、50~300%高い、50~200%高い、または50~100%高いレベルである。
本明細書の他の場所に考察されるとおり、いくつかの実施形態において、KRASの発癌性G12変異型を発現する癌細胞株は、(KRASのG12D発癌性変異型を発現する)癌細胞株SK-LU-1であってもよい。いくつかの実施形態において、KRASの発癌性G13変異型を発現する癌細胞株は、(KRASのG13D発癌性変異型を発現する)癌細胞株HCT116であってもよい。いくつかの実施形態において、野生型KRASを発現する細胞は、たとえば細胞株CRL-1831(非悪性結腸上皮細胞)などの非悪性細胞である。いくつかの実施形態において、野生型KRASを発現する細胞は、たとえば細胞株NCI-H1975(肺腺癌細胞)などの、野生型KRASを発現する癌細胞(または癌細胞株)である。
いくつかの実施形態において、本発明によるKRASの発癌性変異型を発現する細胞(または細胞株)においてもたらされるアポトーシスおよび/またはネクローシスのより高いレベルは、野生型KRASを発現する同じ組織または器官(または組織型または器官型)の(またはそれに由来する)細胞(または細胞株)においてもたらされるアポトーシスおよび/またはネクローシスのレベルよりも高い(またはそれに比べて高い)。
いくつかの実施形態において、抗体は、KRASの所与の位置(位置12または13)に所与の発癌性変異残基(例、本明細書の他の場所に記載される所与の変異残基)を有する、本発明によるKRASの所与の発癌性変異型に対して、KRASの対応位置(位置12または13)に異なる発癌性変異残基(例、本明細書の他の場所に記載される異なる変異アミノ酸残基)を有する、KRASの異なる(すなわち別の)発癌性変異型よりも優先的に(または選択的に)結合する。
いくつかの実施形態において、本発明の抗体は、12または13にD(アスパラギン酸)残基を有するKRASの発癌性変異型に対して、KRASの対応位置(位置12または13)に異なる発癌性変異残基を有するKRASの発癌性変異型よりも優先的に(または選択的に)結合してもよい。たとえばいくつかの実施形態において、本発明の抗体は、12にD(アスパラギン酸)残基を有するKRASの発癌性変異型に対して、KRASの対応位置(位置12)にV(バリン)残基またはC(システイン)残基を有するKRASの発癌性変異型よりも優先的に結合してもよい。
いくつかの実施形態において、本発明の抗体は、本発明による所与のG12変異(位置12における変異)を有するKRASの発癌性変異型(例、SEQ ID NO:13またはSEQ ID NO:15のアミノ酸配列に示される可能な変異残基のうちの1つを有するKRASの発癌性変異型)を発現する細胞(例、癌細胞または癌細胞株)の上(または中)のKRASに対して、G12に異なる発癌性変異残基(位置12における変異)を有する(例、SEQ ID NO:13またはSEQ ID NO:15のアミノ酸配列に示される可能な変異残基のうちの異なる1つを有する)KRASの発癌性変異型を発現する細胞よりも優先的に(または選択的に)結合してもよい。たとえば、本発明の抗体は、G12D変異(例、SEQ ID NO:8またはSEQ ID NO:11)を有するKRASの発癌性変異型を発現する細胞(例、癌細胞または癌細胞株)の上(または中)のKRASに対して、G12における異なる発癌性変異残基を有する(位置12における異なる、すなわち非Dの変異(例、SEQ ID NO:13またはSEQ ID NO:15のアミノ酸配列に示される可能な変異残基のうちの異なる、すなわち非Dの1つを有する)KRASの発癌性変異型を発現する細胞よりも優先的に(または選択的に)結合してもよい。たとえば、本発明の抗体は、G12D変異(例、SEQ ID NO:8またはSEQ ID NO:11)を有するKRASの発癌性変異型を発現する細胞(例、癌細胞または癌細胞株)の上(または中)のKRASに対して、G12VまたはG12C変異を有するKRASの発癌性変異型を発現する細胞の上(または中)のKRASとは対照的に結合してもよい。
いくつかの実施形態において、本発明の抗体は、本発明による所与のG13変異(位置13における変異)を有するKRASの発癌性変異型(例、SEQ ID NO:14またはSEQ ID NO:16のアミノ酸配列に示される可能な変異残基のうちの1つを有するKRASの発癌性変異型)を発現する細胞(例、癌細胞または癌細胞株)の上(または中)のKRASに対して、G13に異なる発癌性変異残基(位置13における変異)を有するKRASの発癌性変異型を発現する細胞よりも優先的に(または選択的に)結合してもよい。たとえば、本発明の抗体は、G13D変異(例、SEQ ID NO:9またはSEQ ID NO:12)を有するKRASの発癌性変異型を発現する細胞(例、癌細胞または癌細胞株)の上(または中)のKRASに対して、G13における異なる発癌性変異残基(位置13における異なる、すなわち非Dの変異)を有するKRASの発癌性変異型を発現する細胞よりも優先的に(または選択的に)結合してもよい。たとえば、本発明の抗体は、G13D変異(例、SEQ ID NO:9またはSEQ ID NO:12)を有するKRASの発癌性変異型を発現する細胞(例、癌細胞または癌細胞株)の上(または中)のKRASに対して、G13C変異を有するKRASの発癌性変異型を発現する細胞の上のKRASとは対照的に結合してもよい。
いくつかの実施形態において、本発明の抗体は、本発明による所与のG12変異(位置12における変異)を有するKRASの発癌性変異型(例、SEQ ID NO:13またはSEQ ID NO:15のアミノ酸配列に示される可能な変異残基のうちの1つを有するKRASの発癌性変異型)を発現する細胞(例、癌細胞または癌細胞株)の上(または中)のKRASに対して、G13に異なる発癌性変異残基(位置13における変異)を有するKRASの発癌性変異型を発現する細胞よりも優先的に(または選択的に)結合してもよい。たとえば、本発明の抗体は、G12D変異(例、SEQ ID NO:8またはSEQ ID NO:11)を有するKRASの発癌性変異型を発現する細胞(例、癌細胞または癌細胞株)の上(または中)のKRASに対して、G13における異なる(すなわち非Dの)発癌性変異残基(位置13における異なる、すなわち非Dの変異)を有するKRASの発癌性変異型を発現する細胞よりも優先的に(または選択的に)結合してもよい。たとえば、本発明の抗体は、G12D変異(例、SEQ ID NO:8またはSEQ ID NO:11)を有するKRASの発癌性変異型を発現する細胞(例、癌細胞または癌細胞株)の上(または中)のKRASに対して、G13X変異(ここでXはD以外の発癌性変異残基であり、たとえばXはCである)を有するKRASの発癌性変異型を発現する細胞の上(または中)のKRASよりも優先的に結合してもよい。
いくつかの実施形態において、本発明の抗体は、本発明による所与のG13変異(位置13における変異)を有するKRASの発癌性変異型(例、SEQ ID NO:14またはSEQ ID NO:16のアミノ酸配列に示される可能な変異残基のうちの1つを有するKRASの発癌性変異型)を発現する細胞(例、癌細胞または癌細胞株)の上(または中)のKRASに対して、G12に異なる発癌性変異残基(位置12における変異)を有するKRASの発癌性変異型を発現する細胞よりも優先的に(または選択的に)結合してもよい。たとえば、本発明の抗体は、G13D変異(例、SEQ ID NO:9またはSEQ ID NO:12)を有するKRASの発癌性変異型を発現する細胞(例、癌細胞または癌細胞株)の上(または中)のKRASに対して、G12における異なる(すなわち非Dの)発癌性変異残基(位置12における異なる、すなわち非Dの変異)を有するKRASの発癌性変異型を発現する細胞よりも優先的に(または選択的に)結合してもよい。たとえば、本発明の抗体は、G13D変異(例、SEQ ID NO:9またはSEQ ID NO:12)を有するKRASの発癌性変異型を発現する細胞(例、癌細胞または癌細胞株)の上(または中)のKRASに対して、G12X変異(ここでXはD以外の発癌性変異残基であり、たとえばXはVまたはCまたはAまたはSまたはRである)を有するKRASの発癌性変異型を発現する細胞の上(または中)のKRASよりも優先的に結合してもよい。
結合は、(例、本明細書の他の場所に記載される)任意の適切な手段によって定められたものであってもよい。
いくつかの実施形態において、本発明の抗体は、KRASの所与の位置(位置12または13)に所与の発癌性変異残基(例、本明細書の他の場所に記載される変異残基)を有する、本発明によるKRASの所与の発癌性変異型の活性を、KRASの対応位置(位置12または13)に異なる発癌性変異残基(例、本明細書の他の場所に記載される異なる変異アミノ酸残基)を有する、KRASの異なる(すなわち別の)発癌性変異型の活性よりも優先的に阻害する。例として、いくつかの実施形態において、本発明の抗体は、12または13にD(アスパラギン酸)残基を有するKRASの発癌性変異型の活性を、KRASの対応位置(位置12または13)に異なる発癌性変異残基を有するKRASの発癌性変異型の活性よりも優先的に阻害する。たとえばいくつかの実施形態において、本発明の抗体は、12にD(アスパラギン酸)残基を有するKRASの発癌性変異型の活性を、KRASの対応位置(位置12)にV(バリン)残基またはC(システイン)残基を有するKRASの発癌性変異型の活性よりも優先的に阻害する。
言い換えると、いくつかの好ましい実施形態において、本発明の抗体は、KRASの所与の位置(位置12または13)に所与の発癌性変異残基(例、本明細書の他の場所に記載される変異残基)を有する発癌性変異型の活性を、KRASの対応位置(位置12または13)に異なる発癌性変異残基(例、本明細書の他の場所に記載される異なる変異アミノ酸残基)を有する、KRASの異なる(すなわち別の)発癌性変異型を阻害する程度よりも高い程度まで阻害する(または阻害できる)。よって、たとえばいくつかの実施形態において、所与の抗体が、KRASの所与の位置(位置12または13)に所与の発癌性変異残基(例、本明細書の他の場所に記載される変異残基)を有する本発明によるKRASの発癌性変異型の活性をX%阻害するとき、その抗体は、対応位置(位置12または13)に異なる発癌性変異残基(例、本明細書の他の場所に記載される異なる変異アミノ酸残基)を有する、KRASの異なる(すなわち別の)発癌性変異型の活性を<X%阻害してもよい。
いくつかの実施形態において、%阻害は、対応位置(位置12または13)に異なる発癌性変異残基(例、本明細書の他の場所に記載される異なる変異アミノ酸残基)を有する、KRASの異なる(すなわち別の)発癌性変異型の%阻害よりも少なくとも5%高く、しかし典型的には少なくとも10%高く、好ましくは少なくとも20%高く、少なくとも30%高く、少なくとも40%高く、少なくとも50%高く、少なくとも60%高く、少なくとも70%高く、少なくとも80%高く、少なくとも90%、少なくとも100%、少なくとも150%、または少なくとも200%高くてもよい。
活性の阻害は、本明細書の他の場所に記載されるとおりであってもよい(例、アポトーシスをもたらすこと、または誘導すること、または増加させることを特徴としてもよく、これは本明細書の他の場所に記載されるとおりに決定されてもよい)。
いくつかの実施形態において、本発明の抗体は、KRASの位置12に所与の発癌性変異残基(例、本明細書の他の場所に記載される変異残基)を有する、本発明によるKRASの所与の発癌性変異型の活性を、KRASの位置13に異なる発癌性変異残基(例、本明細書の他の場所に記載される異なる変異アミノ酸残基)を有する、KRASの異なる(すなわち別の)発癌性変異型の活性よりも優先的に阻害してもよい。例として、いくつかの実施形態において、本発明の抗体は、12にD(アスパラギン酸)残基を有するKRASの発癌性変異型の活性を、KRASの位置13に異なる(すなわち、非Dの)発癌性変異残基(例、C)を有するKRASの発癌性変異型の活性よりも優先的に阻害してもよい。優先的な阻害は、少なくとも5%高い、しかし典型的には少なくとも10%高い、好ましくは少なくとも20%高い、少なくとも30%高い、少なくとも40%高い、少なくとも50%高い、少なくとも60%高い、少なくとも70%高い、少なくとも80%高い、少なくとも90%、少なくとも100%、少なくとも150%、または少なくとも200%高いレベル(または量)の阻害であってもよい。
いくつかの実施形態において、本発明の抗体は、KRASの位置13に所与の発癌性変異残基(例、本明細書の他の場所に記載される変異残基)を有する、本発明によるKRASの所与の発癌性変異型の活性を、KRASの位置12に異なる発癌性変異残基(例、本明細書の他の場所に記載される異なる変異アミノ酸残基)を有する、KRASの異なる(すなわち別の)発癌性変異型の活性よりも優先的に阻害してもよい。例として、いくつかの実施形態において、本発明の抗体は、13にD(アスパラギン酸)残基を有するKRASの発癌性変異型の活性を、KRASの位置12に異なる(すなわち、非Dの)発癌性変異残基(例、VまたはCまたはAまたはSまたはR、好ましくはVまたはC)を有するKRASの発癌性変異型の活性よりも優先的に阻害してもよい。優先的な阻害は、少なくとも5%高い、しかし典型的には少なくとも10%高い、好ましくは少なくとも20%高い、少なくとも30%高い、少なくとも40%高い、少なくとも50%高い、少なくとも60%高い、少なくとも70%高い、少なくとも80%高い、少なくとも90%、少なくとも100%、少なくとも150%、または少なくとも200%高いレベル(または量)の阻害であってもよい。
活性の阻害は、本明細書の他の場所に記載されるとおりであってもよい(例、アポトーシスをもたらすこと、または誘導すること、または増加させることを特徴としてもよく、これは本明細書の他の場所に記載されるとおりに決定されてもよい)。
いくつかの実施形態において、本発明の抗体がもたらす(または誘発する)、本発明による所与のG12変異(位置12における変異)を有するKRASの発癌性変異型(例、SEQ ID NO:13またはSEQ ID NO:15のアミノ酸配列に示される可能な変異残基のうちの1つを有するKRASの発癌性変異型)を発現する細胞(例、癌細胞または癌細胞株)のアポトーシス(本明細書の他の場所に考察されるとおり、これはKRAS阻害を示す)のレベル(または量)は、G12変異に異なる発癌性変異残基(位置12における変異)を有する(例、SEQ ID NO:13またはSEQ ID NO:15のアミノ酸配列に示される可能な変異残基のうちの異なる1つを有する)KRASの発癌性変異型を発現する細胞において前記抗体がもたらす(または誘発する)アポトーシスのレベル(または量)よりも高い(例、有意に高い)。たとえば、本発明の抗体がもたらす(または誘発する)G12D変異(例、SEQ ID NO:8またはSEQ ID NO:11)を有するKRASの発癌性変異型を発現する細胞(例、癌細胞または癌細胞株)のアポトーシスのレベル(または量)は、G12における異なる発癌性変異残基を有する(位置12における異なる、すなわち非Dの変異(例、SEQ ID NO:13またはSEQ ID NO:15のアミノ酸配列に示される可能な変異残基のうちの異なる、すなわち非Dの1つを有する)KRASの発癌性変異型を発現する細胞において前記抗体がもたらす(または誘発する)アポトーシスのレベル(または量)よりも高く(例、有意に高く)てもよい。たとえば、本発明の抗体がもたらす(または誘発する)G12D変異(例、SEQ ID NO:8またはSEQ ID NO:11)を有するKRASの発癌性変異型を発現する細胞(例、癌細胞または癌細胞株)のアポトーシスのレベル(または量)は、G12VまたはG12C変異を有するKRASの発癌性変異型を発現する細胞において前記抗体がもたらす(または誘発する)アポトーシスのレベル(または量)よりも高く(例、有意に高く)てもよい。
別の例として、いくつかの実施形態において、本発明の抗体がもたらす(または誘発する)、本発明による所与のG13変異(位置13における変異)を有するKRASの発癌性変異型(例、SEQ ID NO:14またはSEQ ID NO:16のアミノ酸配列に示される可能な変異残基のうちの1つを有するKRASの発癌性変異型)を発現する細胞(例、癌細胞または癌細胞株)のアポトーシス(本明細書の他の場所に考察されるとおり、これはKRAS阻害を示す)のレベル(または量)は、G13に異なる発癌性変異残基(位置13における変異)を有する(例、SEQ ID NO:14またはSEQ ID NO:16のアミノ酸配列に示される可能な変異残基のうちの異なる1つを有する)KRASの発癌性変異型を発現する細胞において前記抗体がもたらす(または誘発する)アポトーシスのレベル(または量)よりも高い(例、有意に高い)。たとえば、本発明の抗体がもたらす(または誘発する)G13D変異(例、SEQ ID NO:9またはSEQ ID NO:12)を有するKRASの発癌性変異型を発現する細胞(例、癌細胞または癌細胞株)のアポトーシスのレベル(または量)は、G13変異に異なる発癌性変異残基(位置13における異なる、すなわち非Dの変異)を有するKRASの発癌性変異型を発現する細胞において前記抗体がもたらす(または誘発する)アポトーシスのレベル(または量)よりも高く(例、有意に高く)てもよい。たとえば、本発明の抗体がもたらす(または誘発する)G13D変異(例、SEQ ID NO:9またはSEQ ID NO:12)を有するKRASの発癌性変異型を発現する細胞(例、癌細胞または癌細胞株)のアポトーシスのレベル(または量)は、G13C変異を有するKRASの発癌性変異型を発現する細胞において前記抗体がもたらす(または誘発する)アポトーシスのレベル(または量)よりも高く(例、有意に高く)てもよい。
いくつかのこうした実施形態において、細胞にもたらされるアポトーシスのより高いレベルとは、少なくとも5%高い、しかし典型的には少なくとも10%高い、好ましくは少なくとも20%高い、少なくとも30%高い、少なくとも40%高い、少なくとも50%高い、少なくとも60%高い、少なくとも70%高い、少なくとも80%高い、少なくとも90%、少なくとも100%、少なくとも150%、または少なくとも200%高いレベルである。いくつかの実施形態において、アポトーシスのより高いレベルとは、最大500%高い、最大400%高い、最大300%高い、最大200%高い、最大100%高い、または最大50%高いレベルである。いくつかの実施形態において、細胞にもたらされるアポトーシスのより高いレベルとは、最大5~500%高い、5~400%高い、5~300%高い、5~200%高い、5~100%高い、5~50%高い、5~20%高い、10~500%高い、10~400%高い、10~300%高い、10~200%高い、10~100%高い、10~50%高い、10~20%高い、20~500%高い、20~400%高い、20~300%高い、20~200%高い、20~100%高い、20~50%高い、50~500%高い、50~400%高い、50~300%高い、50~200%高い、または50~100%高いレベルである。
本明細書の他の場所に考察されるとおり、いくつかの実施形態において、KRASの発癌性G12変異型を発現する癌細胞株は、(KRASのG12D発癌性変異型を発現する)癌細胞株SK-LU-1であってもよい。いくつかの実施形態において、KRASの発癌性G13変異型を発現する癌細胞株は、(KRASのG13D発癌性変異型を発現する)癌細胞株HCT116であってもよい。いくつかの実施形態において、KRASの発癌性G12変異型を発現する癌細胞株は、(KRASのG12V発癌性変異型を発現する)癌細胞株SW620であってもよい。いくつかの実施形態において、KRASの発癌性G12変異型を発現する癌細胞株は、(KRASのG12C発癌性変異型を発現する)癌細胞株MIA-PA-CA-2であってもよい。
理論に結び付けられることは望まないが、本発明の抗体は、マクロピノサイトーシスのプロセスによって細胞に内部移行された後に、細胞内で本発明によるKRASの1つ以上の発癌性変異型の活性を阻害できると考えられる。代替的に見ると、理論に結び付けられることは望まないが、本発明の抗体は、マクロピノサイトーシスのプロセスによって、本発明によるKRASの発癌性変異型を発現する細胞に内部移行され得ると考えられる。
別の態様において、本発明は、SEQ ID NO:13、14、15、16、8、9、11、および12からなる群より選択されるアミノ酸配列を有するKRASの発癌性変異型に結合する、たとえば単離抗体などの抗体を提供し、前記抗体は、13、14、15、16、8、9、11、または12のアミノ酸残基10~21によって定義される前記KRASの発癌性変異型の領域におけるエピトープに結合し、前記抗体は前記KRASの発癌性変異型の活性を阻害する。本発明の他の態様の抗体のさまざまな特徴および好ましい実施形態の考察は、本発明のこの態様に準用されて適用される。
別の態様において、本発明は、SEQ ID NO:8、9、11、および12からなる群より選択されるアミノ酸配列を有するKRASの発癌性変異型に結合する、たとえば単離抗体などの抗体を提供し、前記抗体は、SEQ ID NO:8、9、11、または12のアミノ酸残基10~21によって定義される前記KRASの発癌性変異型の領域におけるエピトープに結合し、前記抗体は前記KRASの発癌性変異型の活性を阻害する。本発明の他の態様の抗体のさまざまな特徴および好ましい実施形態の考察は、本発明のこの態様に準用されて適用される。
別の態様において、本発明は、SEQ ID NO:8およびSEQ ID NO:11からなる群より選択されるアミノ酸配列を有するKRASの発癌性変異型に結合する、たとえば単離抗体などの抗体を提供し、前記抗体は、SEQ ID NO:8またはSEQ ID NO:11のアミノ酸残基10~21によって定義される前記KRASの発癌性変異型の領域におけるエピトープに結合し、前記抗体は前記KRASの発癌性変異型の活性を阻害する。本発明の他の態様の抗体のさまざまな特徴および好ましい実施形態の考察は、本発明のこの態様に準用されて適用される。
別の態様において、本発明は、SEQ ID NO:9およびSEQ ID NO:12からなる群より選択されるアミノ酸配列を有するKRASの発癌性変異型に結合する、たとえば単離抗体などの抗体を提供し、前記抗体は、SEQ ID NO:9またはSEQ ID NO:12のアミノ酸残基10~21によって定義される前記KRASの発癌性変異型の領域におけるエピトープに結合し、前記抗体は前記KRASの発癌性変異型の活性を阻害する。本発明の他の態様の抗体のさまざまな特徴および好ましい実施形態の考察は、本発明のこの態様に準用されて適用される。
別の態様において、本発明はKRASの発癌性変異型に結合する抗体を提供し、前記KRASの発癌性変異型は、野生型KRAS(例、SEQ ID NO:7またはSEQ ID NO:10)の位置G12またはG13に対応する位置にアミノ酸置換を含み、前記抗体は、野生型KRAS(例、SEQ ID NO:7またはSEQ ID NO:10)のアミノ酸残基10~21に対応するアミノ酸残基によって定義される前記KRASの発癌性変異型の領域内にあるエピトープに結合する。本発明の他の態様の抗体のさまざまな特徴および好ましい実施形態の考察は、本発明のこの態様に準用されて適用される。
別の態様において、本発明は、SEQ ID NO:17、18、1、および2からなる群より選択されるアミノ酸配列を含むKRASの発癌性変異型に結合する抗体を提供し、前記抗体は、SEQ ID NO:17、18、1、または2のアミノ酸配列によって定義される領域において前記KRASの発癌性変異型のエピトープに結合し、前記抗体は前記KRASの発癌性変異型の活性を阻害する。本発明の他の態様の抗体のさまざまな特徴および好ましい実施形態の考察は、本発明のこの態様に準用されて適用される。
別の態様において、本発明は、SEQ ID NO:1および2からなる群より選択されるアミノ酸配列を含むKRASの発癌性変異型に結合する抗体を提供し、前記抗体は、SEQ ID NO:1または2のアミノ酸配列によって定義される領域において前記KRASの発癌性変異型のエピトープに結合し、前記抗体は前記KRASの発癌性変異型の活性を阻害する。本発明の他の態様の抗体のさまざまな特徴および好ましい実施形態の考察は、本発明のこの態様に準用されて適用される。
別の態様において、本発明は、SEQ ID NO:13、14、15、16、8、9、11、および12からなる群より選択されるアミノ酸配列を有するKRASの発癌性変異型に結合する、たとえば単離抗体などの抗体を提供し、前記抗体は、13、14、15、16、8、9、11、または12のアミノ酸残基10~21によって定義される前記KRASの発癌性変異型の領域において結合し、前記抗体は前記KRASの発癌性変異型の活性を阻害する。本発明の他の態様の抗体のさまざまな特徴および好ましい実施形態の考察は、本発明のこの態様に準用されて適用される。
別の態様において、本発明は、野生型KRASの位置G12またはG13に対応する位置にアミノ酸置換(好ましくはG12DまたはG13D置換)を含むエピトープにおいてKRASの発癌性変異型(例、SEQ ID NO:13、14、15、16、8、9、11、および12)に結合する、たとえば単離抗体などの抗体を提供する。好ましくは、前記抗体は前記KRASの発癌性変異型の活性を阻害する。本発明の他の態様の抗体のさまざまな特徴および好ましい実施形態の考察は、本発明のこの態様に準用されて適用される。
別の態様において、本発明は、KRASの発癌性変異型に結合する抗体を提供し、前記KRASの発癌性変異型は、野生型KRAS(SEQ ID NO:7)の位置G12またはG13に対応する位置にアミノ酸置換を含み、前記抗体は、野生型KRAS(SEQ ID NO:7)のアミノ酸残基10~21に対応するアミノ酸残基によって定義される前記KRASの発癌性変異型の領域内にあるエピトープに結合し、前記抗体は前記KRASの発癌性変異型のGTPアーゼ活性を阻害する(または阻害できる)。本発明の他の態様の抗体のさまざまな特徴および好ましい実施形態の考察は、本発明のこの態様に準用されて適用される。
別の態様において、本発明は、KRASの発癌性変異型に結合する抗体を提供し、前記KRASの発癌性変異型は、野生型KRAS(SEQ ID NO:7)の位置G12またはG13に対応する位置にアミノ酸置換を含み、前記抗体は、野生型KRAS(SEQ ID NO:7)のアミノ酸残基10~21に対応するアミノ酸残基によって定義される前記KRASの発癌性変異型の領域内にあるエピトープに結合し、前記抗体は前記KRASの発癌性変異型を発現する細胞におけるERKリン酸化を阻害する(または阻害できる)。本発明の他の態様の抗体のさまざまな特徴および好ましい実施形態の考察は、本発明のこの態様に準用されて適用される。
別の態様において、本発明は、KRASの発癌性変異型に結合する抗体を提供し、前記KRASの発癌性変異型は、野生型KRAS(SEQ ID NO:7)の位置G12またはG13に対応する位置にアミノ酸置換を含み、前記抗体は、野生型KRAS(SEQ ID NO:7)のアミノ酸残基10~21に対応するアミノ酸残基によって定義される前記KRASの発癌性変異型の領域内にあるエピトープに結合し、前記抗体は前記KRASの発癌性変異型を発現する細胞におけるアポトーシスを誘導または増加させる(または誘導または増加させ得る)。本発明の他の態様の抗体のさまざまな特徴および好ましい実施形態の考察は、本発明のこの態様に準用されて適用される。
別の態様において、本発明は、KRASの発癌性変異型に結合する抗体を提供し、前記KRASの発癌性変異型は、野生型KRAS(SEQ ID NO:7)の位置G12またはG13に対応する位置にアミノ酸置換を含み、前記抗体は、野生型KRAS(SEQ ID NO:7)のアミノ酸残基10~21に対応するアミノ酸残基によって定義される前記KRASの発癌性変異型の領域内にあるエピトープに結合し、前記抗体は前記KRASの発癌性変異型を発現する細胞におけるネクローシスを誘導または増加させる(または誘導または増加させ得る)。本発明の他の態様の抗体のさまざまな特徴および好ましい実施形態の考察は、本発明のこの態様に準用されて適用される。
別の態様において、本発明は、野生型KRASと比較してKRASの発癌性変異型に優先的に(または選択的に)結合する抗体を提供し、前記KRASの発癌性変異型は、野生型KRAS(SEQ ID NO:7)の位置G12またはG13に対応する位置にアミノ酸置換を含み、前記抗体は、野生型KRAS(SEQ ID NO:7)のアミノ酸残基10~21に対応するアミノ酸残基によって定義される前記KRASの発癌性変異型の領域内にあるエピトープに結合し、前記抗体は前記KRASの発癌性変異型の活性を阻害する。本発明の他の態様の抗体のさまざまな特徴および好ましい実施形態の考察は、本発明のこの態様に準用されて適用される。
別の態様において、本発明は、野生型KRASと比較してKRASの発癌性変異型に優先的に(または選択的に)結合する抗体を提供し、前記KRASの発癌性変異型は、SEQ ID NO:9またはSEQ ID NO:12のアミノ酸配列を有し、前記抗体は、SEQ ID NO:9またはSEQ ID NO:12のアミノ酸残基10~21によって定義される前記KRASの発癌性変異型の領域内にあるエピトープに結合し、前記抗体は前記KRASの発癌性変異型の活性を阻害する。本発明の他の態様の抗体のさまざまな特徴および好ましい実施形態の考察は、本発明のこの態様に準用されて適用される。
別の態様において、本発明は、KRASの発癌性変異型に結合する抗体を提供し、前記KRASの発癌性変異型は、野生型KRAS(SEQ ID NO:7)の位置G12またはG13に対応する位置にアミノ酸置換を含み、前記抗体は、野生型KRAS(SEQ ID NO:7)のアミノ酸残基10~21に対応するアミノ酸残基によって定義される前記KRASの発癌性変異型の領域内にあるエピトープに結合し、前記抗体は野生型KRASと比較して前記KRASの発癌性変異型の活性を優先的に(または選択的に)阻害する。本発明の他の態様の抗体のさまざまな特徴および好ましい実施形態の考察は、本発明のこの態様に準用されて適用される。
別の態様において、本発明は、SEQ ID NO:9またはSEQ ID NO:12のアミノ酸配列を有するKRASの発癌性変異型に結合する抗体を提供し、前記抗体は、SEQ ID NO:9またはSEQ ID NO:12のアミノ酸残基10~21によって定義される前記KRASの発癌性変異型の領域内にあるエピトープに結合し、前記抗体は野生型KRASと比較して前記KRASの発癌性変異型の活性を優先的に(または選択的に)阻害する。本発明の他の態様の抗体のさまざまな特徴および好ましい実施形態の考察は、本発明のこの態様に準用されて適用される。
別の態様において、本発明は、SEQ ID NO:9およびSEQ ID NO:12からなる群より選択されるアミノ酸配列を有するKRASの発癌性変異型に結合する(または結合できる)たとえば単離抗体などの抗体(例、モノクローナル抗体)を提供し、前記抗体は、SEQ ID NO:9またはSEQ ID NO:12のアミノ酸残基10~21によって定義される前記KRASの発癌性変異型の領域内のエピトープに結合し、前記抗体は、本発明の他の態様に関連して本明細書の他の場所に記載されるとおりのCDRドメインアミノ酸配列(またはその組み合わせ)、および/または少なくとも1つのVHドメインアミノ酸配列、および/または少なくとも1つのVLドメインアミノ酸配列(またはVHおよびVLドメイン配列の組み合わせ)を有する。たとえば、いくつかのこうした実施形態において、抗体は、11D6-1、4B8-1、7D11-1、7G2-1、6B2-1-1、または6B2-1-2抗体(またはそれと実質的に相同の配列、または11D6-1、4B8-1、7D11-1、7G2-1、6B2-1-1、または6B2-1-2抗体の配列に基づく配列)に関連して本明細書の他の場所に記載されるとおりのCDRドメインアミノ酸配列(またはその組み合わせ)、および/または少なくとも1つのVHドメインアミノ酸配列、および/または少なくとも1つのVLドメインアミノ酸配列(またはVHおよびVLドメイン配列の組み合わせ)を有してもよい。いくつかの実施形態において、抗体は好ましくは前記KRASの発癌性変異型の活性(例、本明細書の他の場所に記載の1つ以上の活性)を阻害する。いくつかの実施形態において、抗体は(例、本明細書の他の場所に記載されるとおり)前記KRASの発癌性変異型に優先的に(または選択的に)結合し、および/または(例、本明細書の他の場所に記載されるとおり)前記KRASの発癌性変異型を優先的に(または選択的に)阻害する。いくつかの実施形態において、抗体は野生型KRASと比較して前記KRASの発癌性変異型に優先的に(または選択的に)結合し、および/または野生型KRASと比較して前記KRASの発癌性変異型を優先的に(または選択的に)阻害する。本発明の他の態様の抗体のさまざまな特徴および好ましい実施形態の考察は、本発明のこの態様に準用されて適用される。
別の態様において、本発明は、SEQ ID NO:5のアミノ酸配列を有する単離ペプチドに結合する(または結合できる)たとえば単離抗体などの抗体(例、モノクローナル抗体)を提供し、前記抗体は、本発明の他の態様に関連して本明細書の他の場所に記載されるとおりのCDRドメインアミノ酸配列(またはその組み合わせ)、および/または少なくとも1つのVHドメインアミノ酸配列、および/または少なくとも1つのVLドメインアミノ酸配列(またはVHおよびVLドメイン配列の組み合わせ)を有する。たとえば、いくつかのこうした実施形態において、抗体は、11D6-1、4B8-1、7D11-1、7G2-1、6B2-1-1、または6B2-1-2抗体(またはそれと実質的に相同の配列、または11D6-1、4B8-1、7D11-1、7G2-1、6B2-1-1、または6B2-1-2抗体の配列に基づく配列)に関連して本明細書の他の場所に記載されるとおりのCDRドメインアミノ酸配列(またはその組み合わせ)、および/または少なくとも1つのVHドメインアミノ酸配列、および/または少なくとも1つのVLドメインアミノ酸配列(またはVHおよびVLドメイン配列の組み合わせ)を有してもよい。いくつかの実施形態において、抗体は、SEQ ID NO:160の単離ペプチドと比較して、SEQ ID NO:5の単離ペプチドに優先的に(または選択的に)結合する。本発明のこの態様の好ましい実施形態において、抗体は、SEQ ID NO:9およびSEQ ID NO:12からなる群より選択されるアミノ酸配列を有するKRASの発癌性変異型に結合し(または結合でき)、前記抗体は、SEQ ID NO:9またはSEQ ID NO:12のアミノ酸残基10~21によって定義される前記KRASの発癌性変異型の領域におけるエピトープに結合する。いくつかの実施形態において、抗体は好ましくは前記KRASの発癌性変異型の活性(例、本明細書の他の場所に記載の1つ以上の活性)を阻害する。いくつかの実施形態において、抗体は(例、本明細書の他の場所に記載されるとおり)前記KRASの発癌性変異型に優先的に(または選択的に)結合し、および/または(例、本明細書の他の場所に記載されるとおり)前記KRASの発癌性変異型を優先的に(または選択的に)阻害する。いくつかの実施形態において、抗体は野生型KRASと比較して前記KRASの発癌性変異型に優先的に(または選択的に)結合し、および/または野生型KRASと比較して前記KRASの発癌性変異型を優先的に(または選択的に)阻害する。本発明の他の態様の抗体のさまざまな特徴および好ましい実施形態の考察は、本発明のこの態様に準用されて適用される。
本出願書全体にわたって使用される「a」および「an」という用語は、その後に上限が具体的に述べられる場合を除いて、それらが「少なくとも1つの」、「少なくとも第1の」、「1つ以上の」、または「複数の」言及される構成要素またはステップを意味することを意図して使用されている。したがって、本明細書において用いられる「抗体(an antibody)」は、「少なくとも第1の抗体」を意味する。任意の単一の薬剤の量と同様に、組み合わせの動作可能な限度およびパラメータは、当業者が本開示に照らして知ることとなるだろう。
加えて、本明細書において「含む(comprise)」、「含む(comprises)」、「有する(has)」、もしくは「有する(having)」という用語、またはその他の同等の用語が用いられるとき、いくつかのより具体的な実施形態において、これらの用語は「からなる」もしくは「から本質的になる」という用語、またはその他の同等の用語を含む。
本明細書において定義される本発明の抗体をコードするヌクレオチド配列を含む核酸分子、またはその一部もしくはフラグメント、またはそれと実質的に相同の核酸分子は、本発明のなおもさらなる態様を形成する。
好ましい核酸分子は、本発明の抗体のVH領域をコードするもの(例、SEQ ID NO:30または50または70または90または110または130をコードするもの、たとえばそれぞれSEQ ID NO:28または48または68または88または108または128など)である。他の好ましい核酸分子は、本発明の抗体のVL領域をコードするもの(例、SEQ ID NO:31または51または71または91または111または131をコードするもの、たとえばそれぞれSEQ ID NO:29または49または69または89または109または129など)である。
よって、好ましい核酸分子は、(好ましくはそれぞれ28または48または68または88または108または128によってコードされる)SEQ ID NO:30または50または70または90または110または130のアミノ酸配列を有する重鎖可変領域(VH)をコードする配列を含み、および/または(好ましくはそれぞれSEQ ID NO:29または49または69または89または109または129によってコードされる)SEQ ID NO:31または51または71または91または111または131のアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域(VL)をコードする配列を含む。
以下の組み合わせをコードする核酸も好ましい。SEQ ID NO:30および31;またはSEQ ID NO:50および51;またはSEQ ID NO70および71;またはSEQ ID NO:90および91;またはSEQ ID NO:110および111;またはSEQ ID NO:130および131。以下の組み合わせを含む核酸分子も好ましい。SEQ ID NO:28および29;またはSEQ ID NO:48および49;またはSEQ ID NO:68および69;またはSEQ ID NO:88および89;またはSEQ ID NO:108および109;またはSEQ ID NO:128および129。
他の好ましい核酸分子は、本発明の抗体のIgG形態をコードする配列を含む。
別の態様において、本発明は、各々がヌクレオチド配列を含む核酸分子のセット(または複数物)を提供し、前記核酸分子のセットは一緒に(または集合的に)本発明による抗体をコードする。こうした核酸分子のセットは、(例、宿主細胞内で)このセットが発現される(すなわち、一緒に発現される)ときに、本発明の抗体全体が発現されて、好ましくはアセンブルされることを特徴としてもよい。
上述の配列と実質的に相同の核酸配列も使用されてもよい。
アミノ酸または核酸配列に関連して本明細書において用いられる「実質的に相同の」という用語は、開示されるアミノ酸または核酸配列に対して少なくとも65%、70%、または75%、好ましくは少なくとも80%、さらにより好ましくは少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%、または99%の配列同一性を有する配列を含む。よって、本発明の実質的に相同の配列は、本発明の配列に対する単一または複数の塩基またはアミノ酸の変更(付加、置換、挿入、または欠失)を含む。アミノ酸レベルでは、好ましい実質的に相同の配列は、本発明の配列を構成するフレームワーク領域の1つ以上および/またはCDRの1つ以上の中に、最大で5、たとえば1、2、3、4、または5のみ、好ましくは1、2、または3、より好ましくは1または2の変更されたアミノ酸を含有する。前記変更は、保存的アミノ酸または非保存的アミノ酸によるものであり得る。好ましくは、前記変更は保存的アミノ酸置換である。
特定の実施形態において、所与の出発配列が比較的短いとき(例、5アミノ酸の長さ)、それと実質的に相同の配列中には、もっと長い出発配列と実質的に相同の配列において任意選択で行われ得るアミノ酸置換の数と比較して、より少ないアミノ酸置換が存在してもよい。たとえば、特定の実施形態において、たとえばいくつかの実施形態において5アミノ酸残基の長さであり得る出発VH CDR1配列などの、本発明による出発VH CDR1配列に対する実質的に相同の配列は、好ましくは出発配列と比較して1または2(より好ましくは1)の変更アミノ酸を有する。したがって、いくつかの実施形態において、実質的に相同の配列(例、実質的に相同のCDR配列)中の変更アミノ酸の数は、所与の出発CDR配列の長さに対して調整され得る。たとえば、CDRにおいてたとえば少なくとも75%、80%、85%、90%、または95%の配列同一性などの特定の%配列同一性を達成することなどのために、所与の出発CDR配列の長さに依存して、異なる数の変更アミノ酸が存在し得る。
CDRのどのアミノ酸残基が抗原結合に寄与しないか、または顕著に寄与しないか、すなわち実質的に相同の配列を伴う本発明の実施形態における変更または置換の良い候補であるかを決定するために、たとえばアラニンスキャニング変異誘発および/または抗原-抗体複合体の結晶構造の解析などの当該技術分野におけるルーチンの方法を使用できる。
「実質的に相同の」という用語は、本発明のタンパク質または核酸分子と実質的に同じ機能を実質的に同じやり方で行う、本発明のアミノ酸およびヌクレオチド配列の改変物または化学的等価物も含む。たとえば、任意の実質的に相同の抗体は、(例、本明細書の他の場所に記載される)本発明によるKRASの所与の発癌性変異型に結合する能力を保持するべきである。好ましくは、任意の実質的に相同の抗体は、出発抗体の機能的能力の1つ以上(またはすべて)を保持するべきである。
本発明の抗体の実質的に相同の配列は、限定なしに、たとえば抗体のVH、VL、またはCDRドメインに影響を与えない変更など、たとえば抗原の結合に寄与しないタグ配列もしくはその他の構成要素が付加された抗体、または1つのタイプもしくは形式の抗体分子もしくはフラグメントを別のタイプもしくは形式の抗体分子もしくはフラグメントに転換するための変更(例、FabからscFvまたは全抗体またはその逆の転換)、または抗体分子を特定のクラスもしくはサブクラスの抗体分子に転換すること(例、抗体分子をIgGまたはそのサブクラスのたとえばIgG2もしくはIgG4などに転換すること)なども含む。
好ましくは、任意の実質的に相同の抗体は、KRASの所与の発癌性変異型の、問題の抗体が認識するのと同じ(または実質的に同じ)エピトープ、たとえば本明細書に記載される本発明のCDRドメインまたは本発明のVHおよびVLドメインが認識するのと同じエピトープなどに結合する(または特異的に結合する)能力を保持するべきである。よって好ましくは、任意の実質的に相同の抗体は、KRASの所与の発癌性変異型への結合について、本発明のさまざまな抗体のうちの1つ以上(例、記載されるポリクローナル抗体の1つ以上、または記載されるモノクローナル抗体11D6-1、4B8-1、7D11-1、7G2-1、6B2-1-1、もしくは6B2-1-2の1つ以上)と競合する能力を保持するべきである。同じエピトープ/抗原への結合は、たとえば競合アッセイなどの結合アッセイなどを用いて、当該技術分野において周知であり十分に説明されている方法によって容易に試験できる。他の機能的特性の保持についても、当該技術分野において周知であり十分に説明されているか、または本明細書に記載される方法によって容易に試験できる。
よって、「実質的に相同の」抗体が本発明の抗体および抗体フラグメントと同じ結合特異性を有するかどうかを試験するために結合アッセイを使用でき、それはたとえば本明細書の他の場所に記載される競合アッセイまたはELISAアッセイなどの結合アッセイなどであることを当業者は認識するだろう。「実質的に相同の」抗体がKRASの所与の発癌性変異型に結合できるかどうかを確証するために、ビアコア(BIAcore)アッセイも容易に使用され得る。当業者はその他の好適な方法および変形を認識するだろう。
以下に概説するとおり、競合結合アッセイを用いて、「実質的に相同の」抗体が、本発明の抗体(例、抗体11D6-1、4B8-1、7D11-1、7G2-1、6B2-1-1、もしくは6B2-1-2、またはこれらの抗体に基づく抗体)に認識されるKRASの発癌性変異型の実質的に同じエピトープ(または同じエピトープ)に結合する(または特異的に結合する)能力を保持するかどうか、または本発明のさまざまな抗体(例、抗体11D6-1、4B8-1、7D11-1、7G2-1、6B2-1-1、もしくは6B2-1-2、またはこれらの抗体に基づく抗体)のうちの1つ以上と競合する能力を有するかどうかを試験できる。以下に記載される方法は、好適な競合アッセイの単なる一例である。当業者はその他の好適な方法および変形を認識するだろう。
例示的な競合アッセイは、変動する濃度の試験抗体(例、実質的に相同の抗体)の存在下で、KRASの所与の発癌性変異型に対するさまざまな有効濃度の本発明の抗体の結合を評価することを伴う。次いで、試験抗体によって誘導された結合阻害の量を評価できる。試験抗体が濃度の増加によって本発明の抗体との競合の増加を示す(すなわち、試験抗体の濃度を増加させることによって、KRASの発癌性変異型に対する本発明の抗体の結合量が相応に低減する)ことは、実質的に同じエピトープに結合する証拠である。好ましくは、試験抗体は、KRASの発癌性変異型に結合する本発明の抗体の量を有意に低減させる。好ましくは、試験抗体は、KRASの発癌性変異型に結合する本発明の抗体の量を少なくとも約60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、または95%低減させる。こうした競合アッセイにおける結合阻害を評価するためにELISAアッセイが用いられてもよいが、その他の好適な技術も当業者に周知であろう。
いくつかの実施形態において、本発明の抗体(例、抗体11D6-1、4B8-1、7D11-1、7G2-1、6B2-1-1、もしくは6B2-1-2、またはこれらの抗体に基づく抗体)に認識されるKRASの所与の発癌遺伝子型の実質的に同じ(または同じ)エピトープに結合する(または特異的に結合する)能力を保持するか、または本発明のさまざまな抗体(例、抗体11D6-1、4B8-1、7D11-1、7G2-1、6B2-1-1、もしくは6B2-1-2、またはこれらの抗体に基づく抗体)のうちの1つ以上と競合する能力を有する、「実質的に相同の」抗体が好ましい。
本明細書において用いられる「競合する抗体」という用語は、「参照抗体」とほぼ同じ、実質的に同じ、または本質的に同じ、またはまさに同じエピトープに結合する抗体を示す。「競合する抗体」は、重複するエピトープ特異性を有する抗体を含む。よって競合する抗体は、本発明によるKRASの発癌性変異型への結合について、参照抗体と効果的に競合できる。好ましくは、競合する抗体は、参照抗体と同じエピトープに結合できる。代替的に見ると、競合する抗体は、好ましくは参照抗体と同じエピトープ特異性を有する。
本明細書において用いられる「参照抗体」は、本発明の単離ペプチドか、または本発明によるKRASの発癌性変異型のエピトープに結合する抗体(例、本明細書に記載されるポリクローナルウサギ抗体またはモノクローナル抗体)を含む。加えて「参照抗体」は、好ましくは本明細書において定義されるVHおよびVLドメインを有する抗体を含み、より好ましくはSEQ ID NO:30のVHドメインおよびSEQ ID NO:31のVLドメイン、またはSEQ ID NO:50のVHドメインおよびSEQ ID NO:51のVLドメイン、SEQ ID NO:70のVHドメインおよびSEQ ID NO:71のVLドメイン、SEQ ID NO:90のVHドメインおよびSEQ ID NO:91のVLドメイン、SEQ ID NO:110のVHドメインおよびSEQ ID NO:111のVLドメイン、またはSEQ ID NO:130のVHドメインおよびSEQ ID NO:131のVLドメインを有する抗体を含む。特定の好ましい参照抗体は、抗体11D6-1、4B8-1、7D11-1、7G2-1、6B2-1-1、もしくは6B2-1-2、またはこれらの抗体に基づく抗体から選択される。
競合する抗体の識別は参照抗体と比較して決定されるため、競合する抗体を識別するために、いずれかまたは両方の抗体が結合するエピトープを実際に決定することは決して必要とされないことが理解されるだろう。しかし、もし所望であれば、標準的な技術を用いてエピトープマッピングが行われ得る。
本発明による組成物、イムノコンジュゲート、医薬品、組み合わせ、カクテル、キット、第1および第2の医学的使用、ならびにすべての方法の以下の説明において、「抗体」および「イムノコンジュゲート」という用語、またはその抗原結合領域もしくはフラグメントは、別様に特定的に記述されるか、または科学用語によって明らかにされない限り、本発明によるKRASの発癌性変異型に結合するさまざまな抗体および本明細書の実施例のセクションに記載される特定の抗体を示す。
本明細書において用いられる「抗体」および「免疫グロブリン」という用語は、ポリクローナル抗体およびモノクローナル抗体を含む、抗原結合ドメインを含む任意の免疫学的結合剤を広く示す。
よって「抗体」という用語は、抗体から得られるか、または抗体に由来する(または抗体の抗原結合ドメインに基づく)抗原結合ドメイン、たとえばIg(例、IgG)抗体から得られるか、またはそれに由来する(またはIg(例、IgG)抗体の抗原結合ドメインに基づく)抗原結合ドメインなどを含む免疫学的結合剤を含む。
いくつかの実施形態において、本発明の単離ペプチドまたはコンジュゲート(好ましくはコンジュゲート)で免疫化されたポリクローナル抗体が好ましい(例、動物(例、たとえば特定病原体除去(SPF:specific pathogen free)ウサギなどのウサギ)において生成された(またはそこで産生された、またはそこから単離された)ポリクローナル抗体)。好ましい単離ペプチドおよびコンジュゲートは、本明細書の他の場所に記載される。
いくつかの実施形態において、モノクローナル抗体が好ましい(例、マウスモノクローナル抗体またはヒトモノクローナル抗体またはヒト化モノクローナル抗体またはウサギモノクローナル抗体)。
重鎖における定常ドメインのタイプに依存して、全抗体は5つの主要なクラスIgA、IgD、IgE、IgG、およびIgMのうちの1つに割り当てられ、本発明の抗体はこれらのクラスの任意の1つであってもよい。これらのクラスのいくつかは、サブクラスまたはアイソタイプ、たとえばIgG1、IgG2、IgG3、およびIgG4などにさらに分けられる。異なるクラスの免疫グロブリンに対応する重鎖定常ドメインは、それぞれα、δ、ε、γ、およびμと呼ばれる。異なるクラスの免疫グロブリンのサブユニット構造および三次元構成は周知である。
一般的に、本発明において抗原結合領域ではなく全抗体が使用されるときは、IgG(例、IgG2またはIgG4)および/またはIgMが好ましい。なぜなら、それらは生理学的状況において最も一般的な抗体であり、およびそれらは実験室の設定で最も容易に作製されるからである。
哺乳動物の抗体の「軽鎖」は、その定常ドメインのアミノ酸配列と、可変ドメインのフレームワーク領域内のいくつかのアミノ酸とに基づいて、カッパ(κ)およびラムダ(λ)の2つの明確に異なるタイプのうちの一方に割り当てられる。
当業者に理解されることとなるとおり、「抗体」という用語に包含される免疫学的結合試薬は、すべての抗体およびその抗原結合フラグメントを含むかまたはそれに拡張され、そこには全抗体、二量体、三量体、および多量体の抗体;二重特異性抗体;キメラ抗体;リコンビナントおよび組み換え抗体、ならびにそのフラグメントが含まれる。
よって「抗体」という用語は、抗原結合領域を有する任意の抗体様分子を示すために使用され、この用語は抗原結合ドメインを含む抗体フラグメントを含み、それはたとえばFab’、Fab、F(ab’)2、単一ドメイン抗体(DAB:domain antibodies)、TandAb二量体、Fv、scFv(単鎖(single chain)Fv)、dsFv、ds-scFv、Fd、直鎖状抗体、ミニボディ、二特異性抗体(diabodies)、二重特異性(bispecific)抗体フラグメント、バイボディ、トリボディ(scFv-Fab融合物、それぞれ二重特異性または三重特異性);sc-二特異性抗体;カッパ(ラムダ(lamda))ボディ(scFv-CL融合物);BiTE(二重特異性T細胞誘導抗体(Bispecific T-cell Engager)、T細胞を誘引するためのscFv-scFvタンデム);DVD-Ig(二重可変ドメイン抗体(dual variable domain antibody)、二重特異性形式);SIP(小免疫タンパク質(small immunoprotein)、ミニボディの一種);SMIP(「小モジュラー免疫医薬品(small modular immunopharmaceutical)」scFv-Fc二量体;DART(ds安定化二特異性抗体「二重親和性再ターゲティング(Dual Affinity ReTargeting)」);および1つ以上のCDRを含む小さい抗体模倣物などである。
さまざまな抗体ベースのコンストラクトおよびフラグメントを調製および使用するための技術は、当該技術分野において周知である。二特異性抗体は特に欧州特許第404 097号および国際公開第93/11161号にさらに記載されており、一方で直鎖状抗体は当該技術分野においてさらに説明されている。
いくつかの実施形態において、本発明の抗体は非ヒト抗体(例、ウサギまたはラットまたはマウス抗体)である。いくつかの実施形態において、本発明の抗体はウサギ抗体である。いくつかの実施形態において、抗体はマウス抗体である。
いくつかの実施形態において、本発明の抗体はヒト抗体であり、より好ましくは完全にヒトの抗体である。これに関して、一般的にヒト抗体は、ヒトの治療に用いることに対して少なくとも2つの利点を有し得る。第1に、ヒトの免疫系はこの抗体を異物と認識しないはずである。第2に、ヒトの循環における半減期は自然発生するヒト抗体と同様となり、より小さく頻度の低い用量を与えることが可能になる。
本明細書において抗体分子および結合タンパク質に関連して用いられる「ヒト」という用語は、第1に、ヒトレパートリーから単離されるか、もしくはそれに由来するか、またはたとえばヒト生殖系列もしくは体細胞などのヒトもしくはヒトレパートリーにおいて見出される配列に由来もしくは対応する、可変領域(例、VH、VL、CDR、またはFR領域)と、任意選択での定常抗体領域とを有する抗体および結合タンパク質を示す。
「ヒト」抗体および結合タンパク質は、ヒトの配列によってコードされていないアミノ酸残基、たとえばインビトロでランダムまたは部位特異的変異誘発によって導入された変異など、たとえばインビトロクローニングまたはPCRによって導入された変異などをさらに含む。こうした変異の特定の例は、保存的置換を伴う変異、または抗体もしくは結合タンパク質の少数の残基におけるその他の変異、たとえば抗体もしくは結合タンパク質の最大で5、4、3、2、もしくは1の残基における変異、好ましくはたとえば抗体もしくは結合タンパク質の1つ以上のCDRを構成する残基のうちの最大で5、4、3、2、もしくは1における変異などである。こうした「ヒト」抗体の特定の例は、免疫原性の可能性のある部位の量を減らすための標準的な改変技術を受けた抗体および可変領域を含む。
よって「ヒト」抗体は、ヒトに見出される配列に由来する配列およびそれに関連する配列を含むが、その配列はインビボでヒト抗体生殖系列レパートリー内に天然に存在しなくてもよい。加えて、ヒト抗体および結合タンパク質は、ヒト配列から同定されたヒト共通配列またはヒト配列と実質的に相同の配列を含むタンパク質を含む。
加えて、ヒト抗体および結合タンパク質は、ヒト抗体分子内でそれら自体が見出される組み合わせのVH、VL、CDR、またはFR領域の組み合わせに限定されない。よってヒト抗体および結合タンパク質は、必ずしもヒトに天然に存在しないこうした領域の組み合わせを含むか、またはそれに対応し(例、自然発生しない抗体であり)得る。
いくつかの実施形態において、ヒト抗体は完全にヒトの抗体である。本明細書において用いられる「完全にヒトの」抗体とは、実質的な非ヒト抗体配列または任意の非ヒト抗体配列を有さない、「ヒト」可変領域ドメインおよび/またはCDRを含む抗体である。たとえば、「実質的な非ヒト抗体配列を有さない」ヒト可変領域ドメインおよび/またはCDRを含む抗体は、ヒト抗体配列によってコードされていないアミノ酸を最大で5、4、3、2、または1アミノ酸しか含まない抗体、ドメイン、および/またはCDRである。よって、「完全にヒトの」抗体は「ヒト化」抗体とは区別され、「ヒト化」抗体は実質的に非ヒト可変領域ドメイン、たとえばマウス可変領域ドメインなどに基づくものであり、ここではヒト抗体に典型的に存在するアミノ酸により良好に対応するように特定のアミノ酸が変更されている。
本発明の「完全にヒトの」抗体は、たとえば単鎖抗体など、任意のその他の実質的な抗体配列を有さないヒト可変領域ドメインおよび/またはCDRであってもよい。代替的に、本発明の「完全にヒトの」抗体は、1つ以上のヒト抗体定常領域と一体化するか、またはそれに動作的に付着したヒト可変領域ドメインおよび/もしくはCDRであってもよい。特定の好ましい完全にヒトの抗体は、IgG定常領域の完全な補体を有するIgG抗体である。
他の実施形態において、本発明の「ヒト」抗体は、部分的にヒトのキメラ抗体である。本明細書において用いられる「部分的にヒトのキメラ」抗体とは、たとえばラットまたはマウスなどの非ヒト種の定常領域に動作的に付着またはグラフトされた「ヒト」可変領域ドメインおよび/またはCDRを含む抗体である。こうした部分的にヒトのキメラ抗体は、たとえば前臨床研究などにおいて使用されてもよく、ここでの定常領域は、好ましくは前臨床試験で用いられるのと同種の動物のものとなる。これらの部分的にヒトのキメラ抗体は、たとえばエクスビボ診断などにおいても用いられてもよく、ここで非ヒト種の定常領域は、抗体検出のための付加的な選択肢を提供してもよい。
いくつかの実施形態において、本発明の抗体はヒト化抗体である。実質的に非ヒト可変領域ドメインに基づく「ヒト化」抗体とは、ヒト抗体に典型的に存在するアミノ酸により良好に対応するように特定のアミノ酸が変更された抗体である。ヒト化抗体を生成するための方法は、当該技術分野において周知である。たとえば、ヒト抗体「スキャフォールド」に適切なCDR(例、マウスCDR)を挿入することによって、ヒト化抗体を達成できる。場合によっては、ヒト抗体に典型的に存在するアミノ酸により良好に対応するように1つ以上のCDR残基が変更されてもよい。
本明細書において用いられる「重鎖相補性決定領域(complementarity determining region)」(「重鎖CDR」)という用語は、抗体分子の重鎖可変領域(VHドメイン)内の高頻度可変性の領域を示す。重鎖可変領域は、アミノ末端からカルボキシ末端に向かって重鎖CDR1、重鎖CDR2、および重鎖CDR3と名付けられた3つのCDRを有する。加えて、重鎖可変領域は4つのフレームワーク領域(アミノ末端からカルボキシ末端に向かってFR1、FR2、FR3、およびFR4)を有する。これらのフレームワーク領域はCDRを分離している。
本明細書において用いられる「重鎖可変領域」(VHドメイン)という用語は、抗体分子の重鎖の可変領域を示す。
本明細書において用いられる「軽鎖相補性決定領域」(「軽鎖CDR」)という用語は、抗体分子の軽鎖可変領域(VLドメイン)内の高頻度可変性の領域を示す。軽鎖可変領域は、アミノ末端からカルボキシ末端に向かって軽鎖CDR1、軽鎖CDR2、および軽鎖CDR3と名付けられた3つのCDRを有する。加えて、軽鎖可変領域は4つのフレームワーク領域(アミノ末端からカルボキシ末端に向かってFR1、FR2、FR3、およびFR4)を有する。これらのフレームワーク領域はCDRを分離している。
本明細書において用いられる「軽鎖可変領域」(VLドメイン)という用語は、抗体分子の軽鎖の可変領域を示す。
本発明の抗体のCDRは、好ましくは、たとえば自然発生する抗体および/または有効な組み換え抗体に見出されるものなどの適切なフレームワーク領域によって分離される。よって、VH、VLおよび個々のCDR配列は、好ましくは抗原結合を可能にするための適切なフレームワークもしくはスキャフォールド内に提供されるか、またはそれに組み込まれる。こうしたフレームワーク配列または領域は、適切なスキャフォールドを形成するために、自然発生するフレームワーク領域FR1、FR2、FR3、および/またはFR4に適切に対応してもよいし、たとえばさまざまな自然発生するフレームワーク領域を比較することによって同定された共通フレームワーク領域に対応してもよい。代替的に、たとえばT細胞受容体フレームワークなどの非抗体スキャフォールドまたはフレームワークが用いられ得る。フレームワーク領域に用いられ得る適切な配列は、当該技術分野において周知であり、および十分に文書で立証されており、これらのうちのいずれが使用されてもよい。特に、抗原特異性の維持を可能にするフレームワーク領域、たとえば抗体と実質的に同じ3D構造または同じ3D構造をもたらすフレームワーク領域などである。
本発明の特定の抗体のCDR配列を本明細書における表A~Fに示している。いくつかの他の実施形態において、本発明の抗体のCDR配列は、任意の好適な方法(またはツール)を用いて同定された本発明の抗体のVHドメインおよびVLドメインにおけるCDR配列であってもよく、たとえばカバット(Kabat)(例、カバットら、「免疫学的関心のあるタンパク質の配列(Sequences of Proteins of Immunological Interest)」、第5版、米国公衆衛生局(Public Health Service)、国立衛生研究所(National Institutes of Health)、ベセスダ(Bethesda)、MD、647-669、1991)、またはチョーシア(Chothia)(例、チョーシアCら(1989)、ネイチャー(Nature)、342:877-883、またはアル-ラジカニ(Al-Lazikani)ら、(1997)ジャーナル・オブ・モレキュラー・バイオロジー(JMB)273、927-948)の周知の方法などに従って同定されたものであってもよい。
抗体は、従来の技術を用いてフラグメント化され得る。たとえば、抗体をペプシンで処理することによって、F(ab’)2フラグメントを生成できる。得られたF(ab’)2フラグメントを処理して、ジスルフィド架橋を低減させてFab’フラグメントを生成できる。パパイン消化によって、Fabフラグメントの形成をもたらすことができる。Fab、Fab’、およびF(ab’)2、scFv、Fv、dsFv、Fd、dAb、TandAb、ds-scFv、二量体、ミニボディ、二特異性抗体、二重特異性抗体フラグメント、およびその他のフラグメントも、組み換え技術によって合成できるか、または化学的に合成できる。抗体フラグメントを生成するための技術は、当該技術分野において周知であり十分に説明されている。
特定の実施形態において、本発明の抗体または抗体フラグメントは、たとえばIgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1、IgA2、IgE、IgM、またはIgD定常領域などの重鎖定常領域のすべてまたは一部分を含む。好ましくは、重鎖定常領域はIgG重鎖定常領域であり、たとえばIgG2もしくはIgG4重鎖定常領域、またはその一部分などである。さらに、抗体または抗体フラグメントは、カッパ軽鎖定常領域もしくはラムダ軽鎖定常領域のすべてもしくはその一部分、またはその一部分を含み得る。こうした定常領域のすべてまたは一部は天然に生成されてもよいし、全体的または部分的に合成されてもよい。こうした定常領域に対する適切な配列は、当該技術分野において周知であり、および十分に文書で立証されている。本発明の抗体に重鎖および軽鎖からの定常領域の全補体が含まれるとき、こうした抗体は本明細書において典型的に「全長(full length)」抗体または「全(whole)」抗体と呼ばれる。よっていくつかの実施形態において、本発明の抗体はIg(例、IgG)抗体である。
好ましくは、いくつかの実施形態において、本発明の抗体(例、Ig抗体)は、2つの同一のVHドメインおよび2つの同一のVLドメインを含む。よって、たとえばIg(例、IgG)抗体の場合、Ig抗体は典型的に2つの同一の重鎖および2つの同一の軽鎖を含み(またはそれらからなり)、それらが一緒にIg抗体を形成する。しかし、いくつかの実施形態において、本発明の抗体(例、IgG抗体)は、2つの同一のVHドメインおよび2つの非同一のVLドメイン(すなわち、2つの異なるVLドメイン)を含んでもよい。よっていくつかの実施形態において、各抗体(例、IgG)分子は、2つの同一のVHドメインおよび2つの非同一のVLドメイン(すなわち、各々が異なる異なるアミノ酸配列を有する2つの異なるVLドメイン)を含んでもよい。たとえば、Ig(例、IgG)抗体は、2つの同一の重鎖および2つの軽鎖を含んでも(またはそれらからなっても)よく、ここで2つの軽鎖は互いに配列が同一でない(すなわち、それらは異なる)。
例として、いくつかの実施形態において、抗体は、6B2-1-1(または6B2-1-2)抗体の3つのVH CDRのアミノ酸配列(またはそれと実質的に相同のCDR配列)を含む少なくとも1つ(好ましくは2つ)の重鎖可変領域(VHドメイン)と、6B2-1-1抗体の3つのVL CDRのアミノ酸配列(またはそれと実質的に相同のCDR配列)を含む少なくとも1つ(好ましくは1つ)の軽鎖可変領域(VLドメイン)と、6B2-1-2抗体の3つのVL CDRのアミノ酸配列、それと実質的に相同のCDR配列を含む少なくとも1つ(好ましくは1つ)の軽鎖可変領域(VLドメイン)とを含んでもよい。よっていくつかの実施形態において、抗体は、SEQ ID NO:110のアミノ酸配列(またはそれと実質的に相同の配列)を含む少なくとも1つ(好ましくは2つ)の重鎖可変領域(VHドメイン)と、SEQ ID NO:111のアミノ酸配列(またはそれと実質的に相同の配列)を含む少なくとも1つ(好ましくは1つ)の軽鎖可変領域(VLドメイン)と、SEQ ID NO:131のアミノ酸配列(またはそれと実質的に相同の配列)を含む少なくとも1つ(好ましくは1つ)の軽鎖可変領域(VLドメイン)とを含んでもよい。いくつかの実施形態において、こうした抗体はIg(例、IgG)抗体であってもよい。
抗体または抗体フラグメントは天然に産生でき、または全体的もしくは部分的に合成して産生できる。よって抗体は、たとえば組み換えソースなどの任意の適切なソースに由来してもよく、および/またはトランスジェニック動物もしくはトランスジェニック植物において産生されても、IgY技術を用いて卵において産生されてもよい。よって、抗体分子はインビトロまたはインビボで産生され得る。
好ましくは、抗体または抗体フラグメントは、3つのCDRドメインを含む抗体軽鎖可変領域(VL)と、3つのCDRドメインを含む抗体重鎖可変領域(VH)とを含む。前記VLおよびVHは、一般的に抗原結合部位を形成する。
「Fv」フラグメントは、完全な抗原認識および結合部位を含む最小限の抗体フラグメントである。この領域は、堅固な非共有性会合をした1つの重鎖可変ドメインおよび1つの軽鎖可変ドメインの二量体を有する。この構成において、各可変ドメインの3つの高頻度可変領域(CDR)が相互作用して、VH-VL二量体の表面上の抗原結合部位を定める。集合的に、6つの高頻度可変領域(CDR)が抗体に抗原結合特異性を与える。
しかし、抗体の軽鎖可変ドメインからの3つのCDRおよび重鎖可変ドメインからの3つのCDRの存在が抗原結合に常に必要ではないことが、当該技術分野において十分に文書で立証されている。よって、上記の従来の抗体フラグメントよりも小さなコンストラクトが有効であることが公知である。
たとえば、ラクダ抗体は広範な抗原結合レパートリーを有するが、軽鎖を欠いている。加えて、VHドメイン単独またはVLドメイン単独を含む単一ドメイン抗体による結果は、これらのドメインが許容できる高親和性を伴って抗原に結合できることを示す。よって、3つのCDRは効果的に抗原に結合できる。
よって、本発明の好ましい抗体は6つのCDR領域(軽鎖からの3つおよび重鎖からの3つ)を含むかもしれないが、6より少ないCDR領域(例、3CDR領域)を有する抗体が本発明に包含される。重鎖または軽鎖のみに由来するCDRを有する抗体も予期される。
本発明のなおもさらなる態様は抗体、好ましくは単離抗体を提供し、この抗体は本発明によるKRASの発癌性変異型に結合し、および前記KRASの発癌性変異型への結合について本発明の抗体と競合する(すなわち、同じまたは実質的に同じエピトープに結合する)能力を有する。たとえば、本発明によるKRASの発癌性変異型への結合について、本発明の単離ペプチド(またはコンジュゲート)に対して生成された抗体(例、たとえば本明細書の実施例のセクションに記載されるものなどのポリクローナル抗体)と競合できる抗体は、本発明のさらなる態様を表す。本発明の他の態様のその他の特徴および特性が、本発明のこの態様に準用されて適用される。
同じエピトープ/抗原への結合は、たとえば競合アッセイなどの結合アッセイなどを用いて、当該技術分野において周知であり十分に説明されている方法によって容易に試験できる。
例示的な競合アッセイは、変動する濃度の試験抗体(例、実質的に相同の抗体)の存在下で、本発明によるKRASの発癌性変異型に対するさまざまな有効濃度の本発明の抗体(例、本発明の本発明によるKRASの発癌性変異型の単離ペプチドまたはエピトープに結合するウサギポリクローナル抗体)の結合を評価することを伴う。次いで、試験抗体によって誘導された結合阻害の量を評価できる。試験抗体が濃度の増加によって本発明の抗体との競合の増加を示す(すなわち、試験抗体の濃度を増加させることによって、本発明によるKRASの発癌性変異型に対する本発明の抗体の結合量が相応に低減する)ことは、実質的に同じエピトープに結合する証拠である。好ましくは、試験抗体は、本発明によるKRASの発癌性変異型に結合する本発明の抗体の量を有意に低減させる。好ましくは、試験抗体は、本発明によるKRASの発癌性変異型に結合する本発明の抗体の量を少なくとも約60%、65%、70%、75%、80%、85%、または95%低減させる。こうした競合アッセイにおける結合阻害を評価するために、たとえばELISAなどが用いられてもよいが、その他の好適な技術も当業者に周知であろう。
本明細書において用いられる「競合する抗体」という用語は、「参照抗体」とほぼ同じ、実質的に同じ、または本質的に同じ、またはまさに同じエピトープに結合する抗体を示す。「競合する抗体」は、重複するエピトープ特異性を有する抗体を含む。よって競合する抗体は、本発明によるKRASの発癌性変異型への結合について、参照抗体と効果的に競合できる。好ましくは、競合する抗体は、参照抗体と同じエピトープに結合できる。代替的に見ると、競合する抗体は、好ましくは参照抗体と同じエピトープ特異性を有する。
本明細書において用いられる「参照抗体」は、本発明による単離ペプチドまたはKRASの発癌性変異型のエピトープに結合する抗体(例、本明細書に記載されるポリクローナルウサギ抗体)である。
競合する抗体の識別は参照抗体と比較して決定されるため、競合する抗体を識別するために、いずれかまたは両方の抗体が結合するエピトープを実際に決定することは決して必要とされないことが理解されるだろう。しかし、もし所望であれば、標準的な技術を用いてエピトープマッピングが行われ得る。
本発明による組成物、イムノコンジュゲート、医薬品、組み合わせ、カクテル、キット、第1および第2の医学的使用、ならびにすべての方法の以下の説明において、「抗体」および「イムノコンジュゲート」という用語、またはその抗原結合領域もしくはフラグメントは、別様に特定的に記述されるか、または科学用語によって明らかにされない限り、本発明によるKRASの発癌性変異型に結合するさまざまな抗体および本明細書の実施例のセクションに記載される特定の抗体を示す。
好ましくは、上述の能力および特性は測定可能なレベルまたは顕著なレベルで観察され、より好ましくは適切な対照レベルと比較したときに統計的に有意なレベルで観察される。適切な有意水準は、本明細書の他の場所で考察される。より好ましくは、上述の能力および特性の1つ以上は、先行技術の抗体について観察された能力と比較したときに、明らかにより良好なレベルで、またはより好ましくは有意により良好なレベルで観察される。
本明細書で言及される任意の統計的分析において、好ましくは関連の対照またはその他の比較物もしくは測定に対する統計的に有意な差は、<0.1、好ましくは<0.05または<0.01または<0.001または<0.0001の確率値を有する。統計的有意性を決定する適切な方法は、当該技術分野において周知であり、および十分に文書で立証されており、これらのうちのいずれが使用されてもよい。
別の態様において、本発明は、KRASの発癌性変異型に結合し、および3つのCDRを含む少なくとも1つの重鎖可変領域と、3つのCDRを含む少なくとも1つの軽鎖可変領域とを含む、たとえば単離抗体などの抗体を提供し、前記重鎖可変領域は、
(a)SEQ ID NO:32のアミノ酸配列、またはそれと実質的に相同の配列を有する可変重鎖(VH)CDR1と、
(b)SEQ ID NO:33のアミノ酸配列、またはそれと実質的に相同の配列を有するVH CDR2と、
(c)SEQ ID NO:34のアミノ酸配列、またはそれと実質的に相同の配列を有するVH CDR3とを含み;および/または(好ましくは「および」)
前記軽鎖可変領域は、
(d)SEQ ID NO:35のアミノ酸配列、またはそれと実質的に相同の配列を有する可変軽鎖(VL)CDR1と、
(e)SEQ ID NO:36のアミノ酸配列、またはそれと実質的に相同の配列を有するVL CDR2と、
(f)SEQ ID NO:37のアミノ酸配列、またはそれと実質的に相同の配列を有するVL CDR3とを含み、
前記実質的に相同の配列は、所与のCDR配列と比較して1、2、または3のアミノ酸置換を含有する配列であるか、または前記実質的に相同の配列は、所与のCDR配列の保存的アミノ酸置換を含有する配列である。
本発明のこの態様の好ましい実施形態は、本発明の他の態様に関連して本明細書の他の場所に記載される抗体配列(例、CDR配列および/またはVHドメイン配列および/またはVLドメイン配列)の1つ以上を含む抗体を含む。よって、本発明の他の態様の抗体のさまざまな特徴および好ましい実施形態の考察は、本発明のこの態様に準用されて適用される。本発明のこの態様のいくつかの好ましい実施形態において、本発明は、SEQ ID NO:30のアミノ酸配列もしくはそれと実質的に相同の配列を有するVHドメイン、および/または(好ましくは「および」)SEQ ID NO:31のアミノ酸配列もしくはそれと実質的に相同の配列を有するVLドメインを含む抗体を提供する。
別の態様において、本発明は、KRASの発癌性変異型に結合し、および3つのCDRを含む少なくとも1つの重鎖可変領域と、3つのCDRを含む少なくとも1つの軽鎖可変領域とを含む、たとえば単離抗体などの抗体を提供し、前記重鎖可変領域は、
(a)SEQ ID NO:52のアミノ酸配列、またはそれと実質的に相同の配列を有する可変重鎖(VH)CDR1と、
(b)SEQ ID NO:53のアミノ酸配列、またはそれと実質的に相同の配列を有するVH CDR2と、
(c)SEQ ID NO:54のアミノ酸配列、またはそれと実質的に相同の配列を有するVH CDR3とを含み;および/または(好ましくは「および」)
前記軽鎖可変領域は、
(d)SEQ ID NO:55のアミノ酸配列、またはそれと実質的に相同の配列を有する可変軽鎖(VL)CDR1と、
(e)SEQ ID NO:56のアミノ酸配列、またはそれと実質的に相同の配列を有するVL CDR2と、
(f)SEQ ID NO:57のアミノ酸配列、またはそれと実質的に相同の配列を有するVL CDR3とを含み、
前記実質的に相同の配列は、所与のCDR配列と比較して1、2、または3のアミノ酸置換を含有する配列であるか、または前記実質的に相同の配列は、所与のCDR配列の保存的アミノ酸置換を含有する配列である。
本発明のこの態様の好ましい実施形態は、本発明の他の態様に関連して本明細書の他の場所に記載される抗体配列(例、CDR配列および/またはVHドメイン配列および/またはVLドメイン配列)の1つ以上を含む抗体を含む。よって、本発明の他の態様の抗体のさまざまな特徴および好ましい実施形態の考察は、本発明のこの態様に準用されて適用される。本発明のこの態様のいくつかの好ましい実施形態において、本発明は、SEQ ID NO:50のアミノ酸配列もしくはそれと実質的に相同の配列を有するVHドメイン、および/または(好ましくは「および」)SEQ ID NO:51のアミノ酸配列もしくはそれと実質的に相同の配列を有するVLドメインを含む抗体を提供する。
別の態様において、本発明は、KRASの発癌性変異型に結合し、および3つのCDRを含む少なくとも1つの重鎖可変領域と、3つのCDRを含む少なくとも1つの軽鎖可変領域とを含む、たとえば単離抗体などの抗体を提供し、前記重鎖可変領域は、
(a)SEQ ID NO:72のアミノ酸配列、またはそれと実質的に相同の配列を有する可変重鎖(VH)CDR1と、
(b)SEQ ID NO:73のアミノ酸配列、またはそれと実質的に相同の配列を有するVH CDR2と、
(c)SEQ ID NO:74のアミノ酸配列、またはそれと実質的に相同の配列を有するVH CDR3とを含み;および/または(好ましくは「および」)
前記軽鎖可変領域は、
(d)SEQ ID NO:75のアミノ酸配列、またはそれと実質的に相同の配列を有する可変軽鎖(VL)CDR1と、
(e)SEQ ID NO:76のアミノ酸配列、またはそれと実質的に相同の配列を有するVL CDR2と、
(f)SEQ ID NO:77のアミノ酸配列、またはそれと実質的に相同の配列を有するVL CDR3とを含み、
前記実質的に相同の配列は、所与のCDR配列と比較して1、2、または3のアミノ酸置換を含有する配列であるか、または前記実質的に相同の配列は、所与のCDR配列の保存的アミノ酸置換を含有する配列である。
本発明のこの態様の好ましい実施形態は、本発明の他の態様に関連して本明細書の他の場所に記載される抗体配列(例、CDR配列および/またはVHドメイン配列および/またはVLドメイン配列)の1つ以上を含む抗体を含む。よって、本発明の他の態様の抗体のさまざまな特徴および好ましい実施形態の考察は、本発明のこの態様に準用されて適用される。本発明のこの態様のいくつかの好ましい実施形態において、本発明は、SEQ ID NO:70のアミノ酸配列もしくはそれと実質的に相同の配列を有するVHドメイン、および/または(好ましくは「および」)SEQ ID NO:71のアミノ酸配列もしくはそれと実質的に相同の配列を有するVLドメインを含む抗体を提供する。
別の態様において、本発明は、KRASの発癌性変異型に結合し、および3つのCDRを含む少なくとも1つの重鎖可変領域と、3つのCDRを含む少なくとも1つの軽鎖可変領域とを含む、たとえば単離抗体などの抗体を提供し、前記重鎖可変領域は、
(a)SEQ ID NO:92のアミノ酸配列、またはそれと実質的に相同の配列を有する可変重鎖(VH)CDR1と、
(b)SEQ ID NO:93のアミノ酸配列、またはそれと実質的に相同の配列を有するVH CDR2と、
(c)SEQ ID NO:94のアミノ酸配列、またはそれと実質的に相同の配列を有するVH CDR3とを含み;および/または(好ましくは「および」)
前記軽鎖可変領域は、
(d)SEQ ID NO:95のアミノ酸配列、またはそれと実質的に相同の配列を有する可変軽鎖(VL)CDR1と、
(e)SEQ ID NO:96のアミノ酸配列、またはそれと実質的に相同の配列を有するVL CDR2と、
(f)SEQ ID NO:97のアミノ酸配列、またはそれと実質的に相同の配列を有するVL CDR3とを含み、
前記実質的に相同の配列は、所与のCDR配列と比較して1、2、または3のアミノ酸置換を含有する配列であるか、または前記実質的に相同の配列は、所与のCDR配列の保存的アミノ酸置換を含有する配列である。
本発明のこの態様の好ましい実施形態は、本発明の他の態様に関連して本明細書の他の場所に記載される抗体配列(例、CDR配列および/またはVHドメイン配列および/またはVLドメイン配列)の1つ以上を含む抗体を含む。よって、本発明の他の態様の抗体のさまざまな特徴および好ましい実施形態の考察は、本発明のこの態様に準用されて適用される。本発明のこの態様のいくつかの好ましい実施形態において、本発明は、SEQ ID NO:90のアミノ酸配列もしくはそれと実質的に相同の配列を有するVHドメイン、および/または(好ましくは「および」)SEQ ID NO:91のアミノ酸配列もしくはそれと実質的に相同の配列を有するVLドメインを含む抗体を提供する。
別の態様において、本発明は、KRASの発癌性変異型に結合し、および3つのCDRを含む少なくとも1つの重鎖可変領域と、3つのCDRを含む少なくとも1つの軽鎖可変領域とを含む、たとえば単離抗体などの抗体を提供し、前記重鎖可変領域は、
(a)SEQ ID NO:112のアミノ酸配列、またはそれと実質的に相同の配列を有する可変重鎖(VH)CDR1と、
(b)SEQ ID NO:113のアミノ酸配列、またはそれと実質的に相同の配列を有するVH CDR2と、
(c)SEQ ID NO:114のアミノ酸配列、またはそれと実質的に相同の配列を有するVH CDR3とを含み;および/または(好ましくは「および」)
前記軽鎖可変領域は、
(d)SEQ ID NO:115のアミノ酸配列、またはそれと実質的に相同の配列を有する可変軽鎖(VL)CDR1と、
(e)SEQ ID NO:116のアミノ酸配列、またはそれと実質的に相同の配列を有するVL CDR2と、
(f)SEQ ID NO:117のアミノ酸配列、またはそれと実質的に相同の配列を有するVL CDR3とを含み、
前記実質的に相同の配列は、所与のCDR配列と比較して1、2、または3のアミノ酸置換を含有する配列であるか、または前記実質的に相同の配列は、所与のCDR配列の保存的アミノ酸置換を含有する配列である。
本発明のこの態様の好ましい実施形態は、本発明の他の態様に関連して本明細書の他の場所に記載される抗体配列(例、CDR配列および/またはVHドメイン配列および/またはVLドメイン配列)の1つ以上を含む抗体を含む。よって、本発明の他の態様の抗体のさまざまな特徴および好ましい実施形態の考察は、本発明のこの態様に準用されて適用される。本発明のこの態様のいくつかの好ましい実施形態において、本発明は、SEQ ID NO:110のアミノ酸配列もしくはそれと実質的に相同の配列を有するVHドメイン、および/または(好ましくは「および」)SEQ ID NO:111のアミノ酸配列もしくはそれと実質的に相同の配列を有するVLドメインを含む抗体を提供する。
別の態様において、本発明は、KRASの発癌性変異型に結合し、および3つのCDRを含む少なくとも1つの重鎖可変領域と、3つのCDRを含む少なくとも1つの軽鎖可変領域とを含む、たとえば単離抗体などの抗体を提供し、前記重鎖可変領域は、
(a)SEQ ID NO:132のアミノ酸配列、またはそれと実質的に相同の配列を有する可変重鎖(VH)CDR1と、
(b)SEQ ID NO:133のアミノ酸配列、またはそれと実質的に相同の配列を有するVH CDR2と、
(c)SEQ ID NO:134のアミノ酸配列、またはそれと実質的に相同の配列を有するVH CDR3とを含み;および/または(好ましくは「および」)
前記軽鎖可変領域は、
(d)SEQ ID NO:135のアミノ酸配列、またはそれと実質的に相同の配列を有する可変軽鎖(VL)CDR1と、
(e)SEQ ID NO:136のアミノ酸配列、またはそれと実質的に相同の配列を有するVL CDR2と、
(f)SEQ ID NO:137のアミノ酸配列、またはそれと実質的に相同の配列を有するVL CDR3とを含み、
前記実質的に相同の配列は、所与のCDR配列と比較して1、2、または3のアミノ酸置換を含有する配列であるか、または前記実質的に相同の配列は、所与のCDR配列の保存的アミノ酸置換を含有する配列である。
本発明のこの態様の好ましい実施形態は、本発明の他の態様に関連して本明細書の他の場所に記載される抗体配列(例、CDR配列および/またはVHドメイン配列および/またはVLドメイン配列)の1つ以上を含む抗体を含む。よって、本発明の他の態様の抗体のさまざまな特徴および好ましい実施形態の考察は、本発明のこの態様に準用されて適用される。本発明のこの態様のいくつかの好ましい実施形態において、本発明は、SEQ ID NO:130のアミノ酸配列もしくはそれと実質的に相同の配列を有するVHドメイン、および/または(好ましくは「および」)SEQ ID NO:131のアミノ酸配列もしくはそれと実質的に相同の配列を有するVLドメインを含む抗体を提供する。
本発明の抗体、ペプチド、結合タンパク質、および核酸分子は一般的に、それらがヒトもしくは動物の体内か、またはヒトもしくは動物の身体に由来する組織サンプル内にインサイツで存在し得る任意のこうした構成要素と区別される限りにおいて、「単離された」または「精製された」分子である。しかしそれらの配列は、ヒトまたは動物の体内で見出される配列に対応するか、またはそれと実質的に相同である。よって、本明細書において核酸分子または配列およびタンパク質、ペプチド、またはポリペプチド、たとえば抗体などを参照して用いられる「単離された」または「精製された」という用語は、自身の天然の環境から単離されたか、精製されたか、またはそれを実質的に含まないとき、たとえば(それらが実際に自然発生するときは)ヒトまたは動物の身体から単離または精製されたときのこうした分子を示すか、または技術的プロセスによって生成されたとき、すなわち組み換えおよび合成的に生成された分子を含むときのこうした分子を示す。
よって、たとえば単離ペプチド、軽鎖CDR1、2、および3、重鎖CDR1、2、および3、軽鎖可変領域、重鎖可変領域、ならびに全長抗体を含む本発明の抗体または結合タンパク質などのタンパク質またはポリペプチド分子に関連して使用されるとき、「単離された」または「精製された」という用語は典型的に、自身の由来するソースからの細胞物質またはその他のタンパク質を実質的に含まないタンパク質を示す。いくつかの実施形態において、特にそのタンパク質をヒトまたは動物に投与しようとする場合、こうした単離または精製タンパク質は、組み換え技術によって生成されるときには培地を実質的に含まず、化学的に合成されるときには化学的前駆物質またはその他の化学物質を実質的に含まない。
本明細書において用いられる「フラグメント」という用語は、生物学的関連性のあるフラグメント、たとえば抗原結合部位の一部を形成するなどして抗原結合に寄与するフラグメント、および/または本発明によるKRAS抗体の機能的特性に寄与するフラグメントなどを示す。特定の好ましいフラグメントは、本発明の抗体の重鎖可変領域(VHドメイン)および/または軽鎖可変領域(VLドメイン)を含む。
本発明の抗体、抗体フラグメント、およびイムノコンジュゲートは、当該技術分野において周知であり十分に説明されているいくつかのやり方のいずれによって調製されてもよいことを当業者は認識するだろう。たとえばポリクローナル抗体は、本発明の単離ペプチドまたはコンジュゲートによって動物(非ヒト動物、たとえばウサギなど)を免疫化することと、その動物によって生成された単離ペプチドまたはコンジュゲートに対する抗体を単離すること(および任意選択で精製すること)とによって調製されてもよい。他の実施形態において、本発明の抗体、抗体フラグメント、およびイムノコンジュゲートは、組み換え法によって調製されてもよい。
本発明の抗体の軽鎖および重鎖可変領域をコードする核酸フラグメントは、たとえばクローニングまたは合成などの任意の適切な方法によって得られるか、または生成され得る。
本発明の抗体の軽鎖および重鎖可変領域をコードする核酸フラグメントが得られたとき、標準的な組み換えDNA技術によってこれらのフラグメントをさらに操作して、たとえば可変領域フラグメントを適切な定常領域ドメインとともに全長抗体分子にすること、または本明細書の他の場所で考察されるたとえばFabフラグメント、scFvフラグメントなどの特定の形式の抗体フラグメントにすることなどができる。典型的に、またはこのさらなる操作手順の一部として、本発明の抗体分子をコードする核酸フラグメントは一般的に、本発明の抗体の産生を促進するために1つ以上の適切な発現ベクターに組み込まれる。
可能な発現ベクターはコスミド、プラスミド、または改変されたウイルス(例、複製欠損のレトロウイルス、アデノウイルス、およびアデノ随伴ウイルス)を含むが、ベクターが使用される宿主細胞に適合する限り、これらに限定されない。発現ベクターは「宿主細胞の形質転換に好適」であり、これは発現ベクターが本発明の核酸分子と、その核酸分子に動作的につながれた、発現に使用される宿主細胞に基づいて選択された制御配列とを含むことを意味する。動作的につながれるとは、核酸がその核酸の発現を可能にする方式で制御配列につながれていることを意味することが意図される。
したがって本発明は、本発明の核酸分子またはそのフラグメントと、本発明の核酸分子がコードするタンパク質配列の転写および翻訳のために必要な制御配列とを含む組み換え発現ベクターを予期する。
好適な制御配列は、細菌、真菌、ウイルス、哺乳動物、または昆虫の遺伝子を含むさまざまなソースに由来してもよく、それらは当該技術分野において周知である。適切な制御配列の選択は、以下に考察されるとおりに選択される宿主細胞によって決まり、当業者はそれを容易に達成してもよい。こうした制御配列の例は、転写プロモーターおよびエンハンサー、またはRNAポリメラーゼ結合配列、リボソーム結合配列を含み、翻訳開始シグナルも含まれる。加えて、選択された宿主細胞および使用されるベクターに依存して、たとえば複製開始点、追加のDNA制限部位、エンハンサー、および転写誘導能を与える配列などのその他の配列が発現ベクターに組み込まれてもよい。
本発明の組み換え発現ベクターは、本発明の組み換え分子で形質転換またはトランスフェクトされた宿主細胞の選択を容易にする選択可能マーカー遺伝子も含んでもよい。
組み換え発現ベクターは、組み換えタンパク質の発現の増加と、組み換えタンパク質の溶解性の増加と、アフィニティ精製におけるリガンドとして作用することによって標的の組み換えタンパク質の精製を助けることとを提供する融合部分をコードする遺伝子も含んでもよい(たとえば、精製および/または同定を可能にする適切な「タグ」、たとえばHisタグまたはmycタグなどが存在してもよい)。
組み換え発現ベクターが宿主細胞に導入されて、形質転換宿主細胞が生成され得る。「で形質転換される」、「でトランスフェクトされる」、「形質転換」、および「トランスフェクション」という用語は、当該技術分野において公知である多くの可能な技術の1つによって、細胞に核酸(例、ベクター)を導入することを包含することが意図される。宿主細胞を形質転換およびトランスフェクトするための好適な方法は、サンブルック(Sambrook)ら、1989(サンブルック、フリッチュ(Fritsch)、およびマニアティス(Maniatis)、「分子クローニング:実験マニュアル(Molecular Cloning:A Laboratory Manual)」、第2版、コールド・スプリング・ハーバー・プレス(Cold Spring Harbor Press)、コールド・スプリング・ハーバー(Cold Spring Harbor)、NY、1989)およびその他の実験教科書に見出され得る。
好適な宿主細胞は、多様な真核宿主細胞および原核細胞を含む。たとえば、本発明のタンパク質(例、抗体)は、酵母細胞または哺乳動物細胞において発現されてもよい。加えて、本発明のタンパク質は、たとえば大腸菌(Escherichia coli)などの原核細胞において発現されてもよい。
本明細書において提供される教示が与えられたとき、適切なタイプの発現ベクターを植物、トリ、および昆虫の細胞に導入するためのプロモーター、ターミネーター、および方法も容易に達成されてもよい。
代替的に、本発明のタンパク質(例、抗体)は、たとえばラット、ウサギ、ヒツジ、およびブタなどの非ヒトトランスジェニック動物においても発現されてもよい。
加えて、本発明のタンパク質は、たとえば固相合成などのタンパク質化学において周知の技術を用いた化学合成によって調製されてもよい。
たとえばタンパク質などの他の分子にコンジュゲートされた本発明の抗体およびタンパク質(例、単離ペプチド)を含むN末端またはC末端融合タンパク質は、組み換え技術による融合によって調製されてもよい。結果として得られる融合タンパク質は、選択されたタンパク質もしくはマーカータンパク質、または本明細書に記載されるタグタンパク質に融合された本発明の抗体またはタンパク質を含む。加えて本発明の抗体およびタンパク質は、公知の技術によって他のタンパク質にコンジュゲートされてもよい。たとえば、国際公開第90/10457号に記載されるヘテロ二官能性チオール含有リンカー、N-スクシンイミジル-3-(2-ピリジルジチオ-プロピオン酸(proprionate))またはN-スクシンイミジル-5チオアセテートを用いてタンパク質が結合されてもよい。
なおもさらなる態様は、本発明の核酸フラグメントまたはセグメントまたは分子の1つ以上を含む、発現コンストラクトまたは発現ベクターを提供する。好ましくは、この発現コンストラクトまたはベクターは組み換え体である。加えて、一緒に(集合的に)本発明の抗体をコードする発現ベクターのセット(または発現コンストラクトのセット)が提供される。こうした発現ベクターのセットは、(例、宿主細胞内で)このセットが発現される(すなわち、一緒に発現される)ときに、本発明の抗体(抗体全体)が発現されて、好ましくはアセンブルされることを特徴としてもよい。
好ましくは、前記コンストラクトまたはベクターは、本発明の核酸分子がコードするタンパク質配列の転写および翻訳のために必要な制御配列をさらに含む。
なおもさらなる態様は、1つ以上の本発明の発現コンストラクトまたは発現ベクターを含む宿主細胞またはウイルスを提供する。加えて、本発明の核酸分子の1つ以上を含む宿主細胞またはウイルスが提供される。本発明の抗体を発現する宿主細胞(例、哺乳動物宿主細胞)またはウイルスは、なおもさらなる態様を形成する。
本発明のなおもさらなる態様は、本発明の抗体を産生する(または製造または単離または同定または生成する)方法を提供し、前記方法は本発明の単離ペプチドまたはコンジュゲートを使用する。代替的に見ると、本発明は、本発明の抗体の同定(または単離または生成または産生)のための、本発明の単離ペプチドまたはコンジュゲートの使用を提供する。
本発明のなおもさらなる態様は、本発明の単離ペプチド(またはコンジュゲート)によって動物(非ヒト動物、たとえばウサギなど)を免疫化するステップを含む、本発明の抗体を産生する(または製造または単離または同定または生成する)方法を提供する。好ましい方法は、本発明の単離ペプチド(またはコンジュゲート)に対して生成された(または産生された)抗体を前記動物から得るステップを含み、および任意選択で、抗体産物を精製するステップ、および/または抗体もしくは産物を調合してたとえば薬学的に許容される担体もしくは賦形剤などの少なくとも1つの追加の構成要素を含む組成物にするステップを含む。
本発明のなおもさらなる態様は、ハイブリドーマ技術(例、従来のハイブリドーマ技術)において本発明の単離ペプチドまたはコンジュゲートを使用することによって、本発明の抗体を産生する(または製造または単離または同定または生成する)方法を提供する。代替的に見ると、本発明は、ハイブリドーマ技術を用いた本発明の抗体の同定(または単離または生成または産生)のための、本発明の単離ペプチドまたはコンジュゲートの使用を提供する。いくつかの実施形態において、本発明の単離ペプチドまたはコンジュゲートによって非ヒト動物(例、マウス)が免疫化され、前記免疫化された動物(例、マウス)から脾臓細胞が単離されて、HGPRT発現を欠く骨髄腫細胞(例、マウス骨髄腫細胞)(こうした骨髄腫細胞はHAT含有培地において生育できない)と融合され、ヒポキサンチン、アミノプテリン、およびチミン(HAT:hypoxanthine,aminopterin and thymine)含有培地を用いてハイブリッド(すなわち、融合またはハイブリドーマ)細胞が選択される。融合細胞のみがHAT含有培地において生育する。
本発明のなおもさらなる態様は、(ファージディスプレイ抗体ライブラリによる)ファージディスプレイ技術を使用した、本発明の抗体を同定する(または単離または生成する)方法を提供する。代替的に見ると、本発明は、(ファージディスプレイ抗体ライブラリによる)ファージディスプレイ技術を用いた本発明の抗体の同定(または単離または生成または産生)のための、本発明の単離ペプチドまたはコンジュゲートの使用を提供する。いくつかの実施形態において、本発明の単離ペプチドまたはコンジュゲート(典型的に、たとえばビーズまたはミクロビーズまたはプレートまたはマイクロタイタープレートなどの固体支持体上に固定される)を、ファージ表面上にたとえばscFvまたはFabフラグメントなどの抗体または抗体フラグメントのライブラリを表示する(または提示または発現する)ファージライブラリ(バクテリオファージライブラリ、典型的には糸状バクテリオファージライブラリ、たとえばfdファージライブラリのM13など)と接触させる。任意の好適なファージディスプレイ抗体ライブラリが使用されてもよく、当業者はこれらのファージディスプレイ抗体ライブラリを熟知している(および、たとえば商業的に入手可能なファージディスプレイ抗体ライブラリが存在する)。結合されたファージは次いで溶出され、そのファージの核酸(または少なくとも提示された抗体をコードする核酸の部分)を単離および配列決定することによって、提示された抗体の同一性が容易に決定されてもよい。いくつかの実施形態において、結合されたファージの溶出後に、結合されたファージの提示抗体を同定する前に、接触および溶出の1つ以上(例、1、2、3、4、または5以上)の追加ラウンドが行われる。こうした追加ラウンドは、典型的にライブラリをさらに強化する。いくつかの典型的な実施形態において、本発明のペプチドまたはコンジュゲートが固体支持体上に固定されているとき、その固体支持体は典型的に接触ステップの後(および溶出ステップの前)に洗浄され、固定された単離ペプチドまたはコンジュゲートに結合した抗体または抗体フラグメントを提示するファージは結合したままとなる(その他のものは洗い流される)。
本発明のなおもさらなる態様は、本発明の宿主細胞を培養するステップを含む、本発明の抗体を産生する(または製造する)方法を提供する。好ましい方法は、(i)本発明の組み換え発現ベクター(または発現ベクターのセット)の1つ以上か、または核酸配列もしくは分子(または核酸分子のセット)の1つ以上を含む宿主細胞を、コードされた抗体の発現に好適な条件下で培養するステップと、任意選択で(ii)宿主細胞または増殖培地/上清から抗体を単離または取得するステップとを含む。
実施形態において、本発明の抗体またはタンパク質が2つ以上のポリペプチド鎖(例、たとえばFabフラグメントなどの特定のフラグメントまたは全抗体)で構成されているとき、好ましくは宿主細胞中ですべてのポリペプチドが同じ発現ベクターまたは異なる発現ベクターから発現されることによって、たとえば本発明の抗体タンパク質などの完全なタンパク質が宿主細胞内でアセンブルされて、そこから単離または精製され得る。
いくつかの実施形態において、本発明による抗体を産生する(または製造または単離または同定または生成する)方法は、抗体もしくはタンパク質産物を精製するステップ、および/または抗体もしくは産物を調合してたとえば薬学的に許容される担体もしくは賦形剤などの少なくとも1つの追加の構成要素を含む組成物にするステップも含んでもよい。
別の態様において、本発明は、本発明によるKRASの発癌性変異型を含む組成物を、本発明の抗体またはそのイムノコンジュゲートに接触させることを含む、本発明によるKRASの発癌性変異型を結合する方法を提供する。
なおも別の態様において、本発明は、本発明によるKRASの発癌性変異型を含むと考えられる組成物を、KRAS/抗体複合体の形成を可能にするために有効な条件下で本発明の抗体またはそのイムノコンジュゲートに接触させることと、こうして形成された複合体を検出することとを含む、本発明によるKRASの発癌性変異型を検出する方法を提供する。
1つ以上の抗体がKRASの発癌性変異型に結合する能力の試験は、当該技術分野において周知であり十分に説明されている任意の適切な方法によって行われ得る。好適な方法は、実施例のセクションにも記載されている。
加えて本発明は、本発明による抗KRAS抗体が少なくとも1つの他の治療薬に動作的に付着された、さまざまなコンジュゲート抗体およびそのフラグメントを提供する。「イムノコンジュゲート」という用語は、抗体と別の有効な薬剤(例、治療薬)との動作的関連を定めるために広く用いられ、任意のタイプの動作的関連のみを示すことは意図されておらず、特に化学的な「共役(コンジュゲーション)」に限定されない。組み換え融合タンパク質は特に予期される。送達またはターゲティング剤が標的に結合でき、および送達の際に治療薬または診断薬が十分に機能的であれば、その付着様式は好適となる。
いくつかの実施形態において、本発明の抗体は「ネイキッド」のコンジュゲートされない形態で使用される(例、治療に使用される)。
本発明の少なくとも第1の抗体またはそのイムノコンジュゲートを含む組成物は、本発明のさらなる態様を構成する。好適な希釈剤、担体、または賦形剤との混合物中に1つ以上の本発明の抗体を含む調合物(組成物)は、本発明の好ましい実施形態を構成する。こうした調合物は医薬品に使用されてもよく、よって本発明の組成物は好ましくは薬学的に許容される。好適な希釈剤、賦形剤、および担体は当業者に公知である。
いくつかの実施形態において、本発明の組成物は、本発明の2つ以上の異なる抗体(例、2または3以上)を含んでもよい。たとえばいくつかの実施形態において、組成物は本明細書に記載されるモノクローナル抗体を2つ以上含んでもよい。
本発明による組成物は、たとえば経口、経鼻、非経口、腹腔内、静脈内(intravenal)、局所、または直腸投与などに好適な形態で提供されてもよい。いくつかの実施形態において、静脈内(intravenal)投与に好適な形態が好ましい。
本明細書において定義される活性化合物は、従来の薬理学的投与形態、たとえば錠剤、被覆錠剤、点鼻薬、溶液、エマルション、リポソーム、粉末、カプセル、または徐放形態などで提供されてもよい。これらの形態を調製するために、従来の医薬品賦形剤および通常の製造方法が使用されてもよい。
注入溶液は、たとえば従来の方式で生成されてもよく、たとえばp-ヒドロキシ安息香酸などの保存剤、またはたとえばEDTAなどの安定剤の添加などによって生成されてもよい。次いで、この溶液が注入バイアルまたはアンプルに充填されてもよい。
点鼻薬は水溶液として同様に調合されて噴霧容器に詰められてもよく、噴霧容器はエアロゾル噴霧剤を伴っていてもよいし、手動圧縮のための手段が設けられていてもよい。
本発明の医薬組成物(調合物)は、好ましくは非経口投与される。いくつかの実施形態においては、静脈内投与が好ましい。非経口投与は、シリンジによる皮下、筋肉内、または静脈内注射によって行われてもよい。代替的に、非経口投与は注入ポンプによって行われ得る。さらなる選択肢は、点鼻薬または肺噴霧剤の形態で抗体を投与するための粉末または液体であってもよい組成物である。なおもさらなる選択肢として、本発明の抗体は、たとえばパッチ、任意選択でイオン泳動パッチなどから経皮的に投与されるか、または経粘膜的に、たとえば口腔(bucally)などからも投与され得る。
好適な用量単位は、当業者によって決定され得る。
医薬組成物は、同時投与レジメンまたは併用レジメンの状況において、さらなる活性成分を追加で含んでもよい。
本発明のさらなる態様は、治療に使用するための本発明の抗体を提供する。
特に、本発明は、本発明によるKRASの発癌性変異型の発現に関連する(またはそれによってもたらされる、または特徴付けられる)疾患または状態の治療に使用するための本発明の抗体を提供する。
好ましい実施形態において、本発明は、特に癌治療に使用するための本発明の抗体を提供する。
典型的に、本発明に従って処置される(または予防される)べき癌は、本発明によるKRASの発癌性変異型の発現に関連する(またはそれによってもたらされる、または特徴付けられる)癌である。
いくつかの実施形態において、癌は固形腫瘍である。いくつかの実施形態において、癌は細胞腫である。
本発明に従って処置されるべき癌のタイプは、結腸直腸癌(colorectal cancer)(例、結腸直腸癌(colorectal carcinoma))、肺癌(例、非小細胞肺癌)、および膵臓癌(例、膵管腺癌)を含むが、それに限定されない。
「治療」は処置および予防を含み、すなわち処置的使用および予防的使用の両方を含む。よって「癌治療」は、癌の処置および癌の予防を含む。
よっていくつかの実施形態において、本発明は、癌の処置に使用するための本発明の抗体を提供する。いくつかの実施形態において、本発明は、癌の予防に使用するための本発明の抗KRAS抗体を提供する。
本発明のさらなる態様は、(例、対象において)本発明によるKRASの発癌性変異型の活性の阻害に使用するための本発明の抗体を提供する。活性は、本明細書の他の場所に記載されるとおりであってもよい。
別の態様において、本発明は、治療に使用するため、特に癌の処置に使用するための本発明のイムノコンジュゲートを提供する。
本明細書に記載されるインビボの方法および使用は、一般的に哺乳動物において行われる。たとえばヒトおよび任意の家畜、飼育動物、または実験動物などの任意の哺乳動物が処置されてもよい。特定の例はマウス、ラット、ブタ、ネコ、イヌ、ヒツジ、ウサギ、ウシ、およびサルを含む。しかし、好ましくは哺乳動物はヒトである。
よって、本明細書において用いられる「動物」または「患者」という用語は、たとえばヒトおよび任意の家畜、飼育動物、または実験動物などの任意の哺乳動物を含む。特定の例はマウス、ラット、ブタ、ネコ、イヌ、ヒツジ、ウサギ、ウシ、およびサルを含む。しかし、好ましくは動物または患者はヒトの対象である。よって、本発明によって処置される対象または患者は、好ましくはヒトとなる。
いくつかの実施形態において、対象または患者とは癌を有するもの、または癌を有するかもしくは発生させるリスクがあるもの、または癌を有する疑いがあるものとなる。
代替的に見ると、本発明は癌を処置する方法を提供し、この方法は、本明細書において定義される本発明の抗体の治療的に有効な量を、必要な患者に投与することを含む。本明細書に記載される本発明の治療的使用の実施形態は、本発明のこの態様に準用されて適用される。
加えて本発明は、本発明によるKRASの発癌性変異型の発現に関連する(またはそれによってもたらされる、または特徴付けられる)疾患または状態(例、癌)を処置する方法を提供し、この方法は、本明細書において定義される本発明の抗体の治療的に有効な量を、必要な患者に投与することを含む。本明細書に記載される本発明の治療的使用の実施形態は、本発明のこの態様に準用されて適用される。
治療的に有効な量は、臨床アセスメントに基づいて決定されることとなり、および容易にモニタされ得る。
さらに代替的に見ると、本発明は、治療に使用するための薬物の製造における、本明細書において定義される本発明の抗体の使用を提供する。好ましい治療は、本発明によるKRASの発癌性変異型の発現に関連する(またはそれによってもたらされる、または特徴付けられる)状態の処置である。特に好ましい治療は、癌治療(典型的に、本発明によるKRASの発癌性変異型の発現に関連する(またはそれによってもたらされる、または特徴付けられる)癌)である。本明細書に記載される本発明の治療的使用の実施形態は、本発明のこの態様に準用されて適用される。
本発明の抗体および組成物および方法および使用は、他の治療および診断と組み合わせて用いられてもよい。本発明の抗体と「組み合わせて」使用するための生物学的薬剤、好ましくは診断薬または治療薬に関して、「組み合わせて(in combination)」という用語は、さまざまな実施形態をカバーするように簡潔に使用される。「組み合わせて」という用語は、別様に特定的に記述されるか、または科学用語によって明らかにされない限り、さまざまな形式の組み合わされた組成物、医薬品、カクテル、キット、方法、ならびに第1および第2の医学的使用に適用される。
よって本発明の「組み合わされた(combined)」実施形態は、たとえば本発明の抗体がネイキッド抗体であって、それに動作的に付着されていない薬剤または治療薬と組み合わせて使用される場合などを含む。本発明の他の「組み合わされた」実施形態において、本発明の抗体はイムノコンジュゲートであり、ここでは抗体自体が薬剤または治療薬と動作的に関連付けられるか、または組み合わされている。動作的な付着は、本明細書に記載され、当該技術分野において公知のすべての形態の直接的および間接的付着を含む。
特に本発明の抗KRAS抗体と治療薬との組み合わせに関する「組み合わされた」使用は、治療薬がプロドラッグの形態であるときの、組み合わされた組成物、医薬品、カクテル、キット、方法、ならびに第1および第2の医学的使用も含む。こうした実施形態において、プロドラッグを機能的形態の薬物に転換できる活性化成分が、本発明の抗KRAS抗体に再び動作的に関連付けられてもよい。
よって、好ましくは診断薬に関して、より好ましくは治療薬に関して、組み合わされた組成物、医薬品、カクテル、キット、方法、ならびに第1および第2の医学的使用が記載されるとき、その組み合わせは、ネイキッド抗体およびイムノコンジュゲートである本発明の抗KRAS抗体を含み、本発明のインビボ実施形態の実施は、何らかのコンジュゲート形態またはコンジュゲートされない形態での、何らかの形態の抗体と、何らかの形態の生物学的薬剤、診断薬、または治療薬との全体的な提供が達成される限り、ネイキッド抗体またはイムノコンジュゲートと、生物学的薬剤、診断薬、または治療薬との事前投与、同時投与、または事後投与を伴う。
本発明の効果の前述およびその他の説明は、組み合わされた動作モードおよび付着された薬剤(単数または複数)のタイプなどを簡潔に説明するためになされるものである。この記述的アプローチは、本発明の抗KRAS抗体の有益な特性の過小評価または過度の単純化として解釈されるべきではない。したがって、こうした抗体自体が本発明による抗KRAS特性を有し、こうした抗体のイムノコンジュゲートはこれらの特性を維持して、付着された薬剤の特性とそれらの特性とを組み合わせることとなり、さらに抗体と任意の付着された薬剤との組み合わせ効果が増強および/または拡大されてもよいことが理解されるだろう。
したがって本発明は、任意選択で少なくとも第1の組成物または容器の中に、本発明の少なくとも第1の抗体、または本発明のこうした抗体の抗原結合フラグメントもしくはイムノコンジュゲートの生物学的に有効な量と、少なくとも第2の生物学的薬剤、構成要素、または系の生物学的に有効な量とを含む、組成物、医薬組成物、治療キット、および薬用カクテルを提供する。
「少なくとも第2の生物学的薬剤、構成要素、または系」は、治療または診断用の薬剤、構成要素、または系であることが多いだろうが、そうである必要はない。たとえば、少なくとも第2の生物学的薬剤、構成要素、または系は、抗体の修飾のため、および/または抗体に他の薬剤を付着させるための構成要素を含んでもよい。
少なくとも第2の生物学的薬剤、構成要素、または系として治療薬または診断薬が含まれるとき、こうした治療薬および/または診断薬は、典型的に上記で定義された障害の1つ以上の処置または診断に関連して使用するためのものとなる。
よって、特定の実施形態において、「少なくとも第2の治療薬」は治療キットまたはカクテルに含まれるだろう。この用語は、本発明の抗KRAS抗体が第1の治療薬であることを参照して選択されたものである。
本発明の特定の実施形態において、第2の治療薬は、さらなる癌治療薬または癌に関連する(もしくはそれに特徴付けられる)疾患の処置のための薬剤であってもよい。
本発明の組成物、キット、および/または薬物に関して、組み合わされた有効量の治療薬は、単一の容器または容器手段に含まれてもよいし、別個の容器または容器手段に含まれてもよい。カクテルは一般的に、組み合わせて使用するためにともに混合される。しばしば静脈内投与のために調合された薬剤が好ましいだろう。イメージング成分も含まれていてもよい。キットは、少なくとも第1の抗体と、含まれる1つ以上の他の生物学的薬剤とを使用するための指示も含んでもよい。
一般的に言って、少なくとも第2の治療薬は、たとえば単一の医薬組成物か、またはともに近接して投与される2つの医薬組成物などから、本発明の抗KRAS抗体と実質的に同時に動物または患者に投与されてもよい。
代替的に、少なくとも第2の治療薬は、本発明の抗KRAS抗体の投与と連続する時間に動物または患者に投与されてもよい。本明細書において用いられる「連続する時間」とは、本発明の抗KRAS抗体の投与とは異なる時間に少なくとも第2の治療薬が動物または患者に投与されるような「時間差」を意味する。一般的に2つの薬剤は、それらの2つの薬剤それぞれの治療効果を発揮させるために効果的に間隔を置いた時間に投与される。すなわち、それらの薬剤は「生物学的に有効な時間間隔で」投与される。少なくとも第2の治療薬は、本発明の抗KRAS抗体の前の生物学的に有効な時間か、またはその治療の後の生物学的に有効な時間に動物または患者に投与されてもよい。
なおもさらなる態様は、本明細書において定義される本発明の抗体またはその他のタンパク質の適切な量を対象またはサンプルに投与することと、対象またはサンプル中の本発明の抗体またはその他のタンパク質の存在および/または量および/または場所を検出することとを含む、対象またはサンプルのイメージングの方法である。
イメージング適用に使用するために、本発明の抗体は、たとえば放射線不透過体またはラジオアイソトープ、たとえば3H、14C、32P、35S、123I、125I、131Iなど;放射性エミッタ(例、α、β、またはγエミッタ);蛍光(フルオロフォア)または化学発光(発色団)化合物、たとえばフルオレセインイソチオシアネート、ローダミン、またはルシフェリンなど;酵素、たとえばアルカリホスファターゼ、ベータ-ガラクトシダーゼ、または西洋ワサビペルオキシダーゼなど;造影剤;または金属イオン;または化学的部分、たとえば標識されたアビジン/ストレプトアビジンなどの特異的同族検出可能部分に結合することによって検出され得るビオチンなどの検出可能なマーカーで標識されてもよい。たとえば抗体または抗体フラグメントなどの結合タンパク質に標識を付着させる方法は、当該技術分野において公知である。こうした検出可能マーカーは、試験サンプル中の結合タンパク質-抗原複合体の存在、量、または場所を調べることを可能にする。
加えて本発明は、直接的または間接的に検出可能シグナルを生成する標識に付着された本発明の抗体を含む造影剤を含む。適切な標識は、本明細書の他の場所に記載される。
本発明はさらに、本発明の単離ペプチド(単離エピトープ)、抗体、イムノコンジュゲート、もしくは組成物のうちの1つ以上、または本発明の抗体をコードする核酸分子の1つ以上、または本発明の核酸配列を含む1つ以上の組み換え発現ベクター、または本発明の組み換え発現ベクターもしくは核酸配列を含む1つ以上の宿主細胞もしくはウイルスを含むキットを含む。好ましくは、前記キットは、たとえば本明細書に記載される治療法などの本明細書に記載される方法および使用に用いるためのものであるか、または本明細書に記載されるインビトロアッセイもしくは方法に用いるためのものである。こうしたキットにおける抗体は「ネイキッド」抗体であってもよいし、本明細書の他の場所に記載される抗体コンジュゲートであってもよく、たとえばイムノコンジュゲートであってもよい。好ましくは、前記キットはキット構成要素を使用するための指示を含む。好ましくは、前記キットは本明細書の他の場所に記載される疾患を処置するためのものであり、任意選択でこうした疾患を処置するためにキット構成要素を使用するための指示を含む。
本明細書において定義される本発明の抗体は、インビトロまたはインビボ適用およびアッセイのための分子ツールとしても用いられてもよい。抗体は抗原結合部位を有するため、これらは特異的結合対のメンバーとして機能でき、特定の結合対メンバーが必要とされる任意のアッセイにおいてこれらの分子を使用できる。
よって、本発明のなおもさらなる態様は、本明細書において定義される本発明の抗体を含む試薬と、たとえばインビトロまたはインビボアッセイなどにおける分子ツールとしてこうした抗体を使用することとを提供する。
本明細書に開示されるアミノ酸(aa:AMINO ACID)およびヌクレオチド(nt:nucleotide)配列ならびにそれらの配列識別子(SEQ ID NO:SEQUENCE IDENTIFIERS)のリストおよび表
単離G12D Ab1およびG12D Ab2ペプチドのアミノ酸配列、抗体生成の目的で存在する追加の修飾を含まない(SEQ ID NO:1)
GADGVGKSALTI
単離G13D Ab1およびG13D Ab2ペプチドのアミノ酸配列、抗体生成の目的で存在する追加の修飾を含まない(SEQ ID NO:2)
GAGDVGKSALTI
単離G12D Ab1ペプチドのアミノ酸配列、抗体生成の目的で存在する追加の修飾を含む(SEQ ID NO:3)
Ac-GADGVGKSALTIC-CONH2
SEQ ID NO:1と比較すると、このペプチドはC末端に追加のシステイン残基を有し、C末端がアミド化(-CONH2)されており、N末端がアセチル化(Ac-)されている。
単離G12D Ab2ペプチドのアミノ酸配列、抗体生成の目的で存在する追加の修飾を含む(SEQ ID NO:4)
CGADGVGKSALTI-CONH2
SEQ ID NO:1と比較すると、このペプチドはN末端に追加のシステイン残基を有し、C末端がアミド化(-CONH2)されている。
単離G13D Ab1ペプチドのアミノ酸配列、抗体生成の目的で存在する追加の修飾を含む(SEQ ID NO:5)
CGAGDVGKSALTI-CONH2
SEQ ID NO:2と比較すると、このペプチドはN末端に追加のシステイン残基を有し、C末端がアミド化(-CONH2)されている。
単離G13D Ab2ペプチドのアミノ酸配列、抗体生成の目的で存在する追加の修飾を含む(SEQ ID NO:6)
Ac-GAGDVGKSALTIC-CONH2
SEQ ID NO:2と比較すると、このペプチドはC末端に追加のシステイン残基を有し、C末端がアミド化(-CONH2)されており、N末端がアセチル化(Ac-)されている。
ヒト野生型KRAS(アイソフォーム2A)のアミノ酸配列(SEQ ID NO:7)
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VKIKKCIIM
ヒトG12D変異KRAS(アイソフォーム2A)のアミノ酸配列(SEQ ID NO:8)
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VKIKKCIIM
ヒトG13D変異KRAS(アイソフォーム2A)のアミノ酸配列(SEQ ID NO:9)
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VKIKKCIIM
ヒト野生型KRAS(アイソフォーム2B)のアミノ酸配列(SEQ ID NO:10)
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SKTKCVIM
ヒトG12D変異KRAS(アイソフォーム2B)のアミノ酸配列(SEQ ID NO:11)
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SKTKCVIM
ヒトG13D変異KRAS(アイソフォーム2B)のアミノ酸配列(SEQ ID NO:12)
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SKTKCVIM
ヒトG12X変異KRAS(アイソフォーム2A)のアミノ酸配列(SEQ ID NO:13)
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VKIKKCIIM
ここで残基「X」はD、V、C、A、S、またはRである
ヒトG13X変異KRAS(アイソフォーム2A)のアミノ酸配列(SEQ ID NO:14)
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VKIKKCIIM
ここで残基「X」はDまたはCである
ヒトG12X変異KRAS(アイソフォーム2B)のアミノ酸配列(SEQ ID NO:15)
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SKTKCVIM
ここで残基「X」はD、V、C、A、S、またはRである
ヒトG13X変異KRAS(アイソフォーム2B)のアミノ酸配列(SEQ ID NO:16)
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SKTKCVIM
ここで残基「X」はDまたはCである
単離G12Xペプチドのアミノ酸配列(SEQ ID NO:17)
GAXGVGKSALTI
ここで残基「X」はD、V、C、A、S、またはRである
単離G13Xペプチドのアミノ酸配列(SEQ ID NO:18)
GAGXVGKSALTI
ここで残基「X」はDまたはCである
単離G12Xペプチドのアミノ酸配列(SEQ ID NO:19)
GAXGVGKSALTI
ここで残基「X」はD、V、C、A、またはRである
単離G12Xペプチドのアミノ酸配列(SEQ ID NO:20)
GAXGVGKSALTI
ここで残基「X」はD、C、A、S、またはRである
単離G12Xペプチドのアミノ酸配列(SEQ ID NO:21)
GAXGVGKSALTI
ここで残基「X」はD、C、A、またはRである
ヒトG12X変異KRAS(アイソフォーム2A)のアミノ酸配列(SEQ ID NO:22)
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VKIKKCIIM
ここで残基「X」はD、V、C、A、またはRである
ヒトG12X変異KRAS(アイソフォーム2B)のアミノ酸配列(SEQ ID NO:23)
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SKTKCVIM
ここで残基「X」はD、V、C、A、またはRである
ヒトG12X変異KRAS(アイソフォーム2A)のアミノ酸配列(SEQ ID NO:24)
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VKIKKCIIM
ここで残基「X」はD、C、A、S、またはRである
ヒトG12X変異KRAS(アイソフォーム2B)のアミノ酸配列(SEQ ID NO:25)
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SKTKCVIM
ここで残基「X」はD、C、A、S、またはRである
ヒトG12X変異KRAS(アイソフォーム2A)のアミノ酸配列(SEQ ID NO:26)
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PSRTVDTKQAQDLARSYGIPFIETSAKTRQRVEDAFYTLVREIRQYRLKKISKEEKTPGC
VKIKKCIIM
ここで残基「X」はD、C、A、またはRである
ヒトG12X変異KRAS(アイソフォーム2B)のアミノ酸配列(SEQ ID NO:27)
MTEYKLVVVGAXGVGKSALTIQLIQNHFVDEYDPTIEDSYRKQVVIDGETCLLDILDTAG
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SKTKCVIM
ここで残基「X」はD、C、A、またはRである
Figure 2023514423000008
Figure 2023514423000009
Figure 2023514423000010
Figure 2023514423000011
Figure 2023514423000012
Figure 2023514423000013
Figure 2023514423000014
Figure 2023514423000015
Figure 2023514423000016
Figure 2023514423000017
Figure 2023514423000018
Figure 2023514423000019
Figure 2023514423000020
Figure 2023514423000021
本発明の4B8-1、11D6-1、および7D11-1抗体のVH(すなわち、重鎖)CDR1およびCDR2アミノ酸配列ならびにVL(軽鎖)CDR1およびCDR2配列の各々は、上記表Gの共通配列の範囲内にある。
Figure 2023514423000022
本発明の7G2-1、6B2-1-1、および6B2-1-2抗体のVH(すなわち、重鎖)CDR1およびCDR2アミノ酸配列の各々は、上記表Lの共通配列の範囲内にある。
ここで以下の図面を参照して、以下の非制限的な実施例において本発明をさらに説明することとする。
4つの抗KRAS抗体G13D Ab1、G13D Ab2、G12D Ab1、およびG12D Ab2によって誘導されたMDA-MB-231(G13D)細胞におけるERKのリン酸化の阻害を示す図である。細胞培地に抗体を加え(14~16時間インキュベーション)、パーキン・エルマー(Perkin Elmer)p-ERK1/2AlphaScreen Surefireアッセイキットを用いてERKの細胞内リン酸化を定量化した。SAH-SOS1(サンオブセブンレス1の安定化アルファヘリックス)を陽性対照として使用し、ウサギIgGを陰性対照(アイソタイプ対照)として使用した。統計的有意性を以下のとおりに示す:*p<0.05、**p<0.01。データを平均±SEMとして提示する。n=2であるG12D Ab2 27nMおよび67nMを除き、処理グループ当りn=3。 4つの抗KRAS抗体G13D Ab1、G13D Ab2、G12D Ab1、およびG12D Ab2によるG12D変異SK-LU-1(肺腺癌)細胞におけるアポトーシスの決定を示す図である。細胞を抗体または対照で処理し、RealTime-Glo(商標)アネキシンVアポトーシスおよびネクローシスアッセイ(Annexin V Apoptosis and Necrosis Assay)キット(プロメガ(Promega))を用いて、リアルタイムでアポトーシスを定量化した。アイソタイプ対照はウサギIgGであった。このグラフは、細胞に抗体/対照を添加してから52時間後のアポトーシスの状態を表す。発光はアポトーシスのレベルに比例する。単一日の間に、処理当りn=4にてデータを収集した。統計的有意性を以下のとおりに示す:*p<0.05、**p<0.01、****p<0.0001。データを平均±SEMとして提示する。 G12D Ab1によって24、48、および72時間で誘導されたG12D変異LS174T(結腸腺癌)細胞におけるアポトーシスの決定を示す図である。細胞を抗体または対照で処理し、アポトーシスのマーカーとして蛍光標識アネキシンVを用いて、FACSによってアポトーシスを定量化した。データを対照の%として示しており、ここで対照は溶媒(培地)で処理した細胞からなるものであった。n=1。 4つの抗KRAS抗体G13D Ab1、G13D Ab2、G12D Ab1、およびG12D Ab2によって誘導されたG13D変異HCT116(結腸癌)細胞におけるアポトーシスの決定を示す図である。細胞を抗体または対照で処理し、RealTime-Glo(商標)アネキシンVアポトーシスおよびネクローシスアッセイキット(プロメガ)を用いて、リアルタイムでアポトーシスを定量化した。アイソタイプ対照はウサギIgGであった。このグラフは、細胞に抗体/対照を添加してから52時間後のアポトーシスの状態を表す。発光はアポトーシスのレベルに比例する。統計的有意性を以下のとおりに示す:**p<0.01。データを平均±SEMとして提示する。n=3。 (A)G13D変異HCT116(結腸癌)細胞、(B)G12D変異SK-LU-1(肺腺癌)細胞、および(C)非癌性wtKRAS CRL-1831(結腸上皮)細胞における、抗体G13D Ab1およびG12D Ab2によって誘導されたアポトーシスの決定を示す図である。細胞を抗体または対照で処理し、RealTime-Glo(商標)アネキシンVアポトーシスおよびネクローシスアッセイキット(プロメガ)を用いて、リアルタイムでアポトーシスを定量化した。溶媒はPBS/Tweenである。このグラフは、細胞に抗体/対照を添加してから52時間後のアポトーシスの状態を表す。HCT116のデータについては、1日当りn=4にて3日間データを収集した。SK-LU-1のデータについては、1日当りn=4にて2日間データを収集した。CRL-1831については、n=4にて1日の間データを収集した。統計的有意性を以下のとおりに示す:**p<0.01、****p<0.0001。データを平均±SEMとして提示する。 (A)G13D変異HCT116(結腸癌)細胞、(B)G12D変異SK-LU-1(肺腺癌)細胞、および(C)非癌性wtKRAS CRL-1831(結腸上皮)細胞における、抗体G13D Ab1およびG12D Ab2によって誘導されたネクローシスの決定を示す図である。細胞を抗体または対照で処理し、RealTime-Glo(商標)アネキシンVアポトーシスおよびネクローシスアッセイキット(プロメガ)を用いて、リアルタイムでアポトーシスを定量化した。溶媒はPBS/Tweenである。このグラフは、細胞に抗体/対照を添加してから52時間後のネクローシスの状態を表す。HCT116のデータについては、1日当りn=4にて3日間データを収集した。SK-LU-1のデータについては、1日当りn=4にて2日間データを収集した。CRL-1831については、n=4にて1日の間データを収集した。統計的有意性を以下のとおりに示す:*p<0.05、****p<0.0001。データを平均±SEMとして提示する。 蛍光標識抗体を用いたFACSによって、癌細胞による抗体の取り込みを定量化した図である。G12D変異LS174T(結腸腺癌)細胞およびG13D変異HCT116(結腸癌)細胞を標識抗体で24時間処理し、細胞関連の蛍光を定量化した。FITC-A=488nmにて測定された発光による蛍光シグナル。曲線下の面積は、細胞関連の蛍光の量に比例する。非抗体処理LS174T細胞による蛍光シグナルを対照として使用した。n=1。 4つの抗KRAS抗体G13D Ab1、G13D Ab2、G12D Ab1、およびG12D Ab2によるwtKRAS NCI-H1975(肺腺癌)細胞におけるアポトーシスの決定を示す図である。細胞を抗体または溶媒で処理した。RealTime-Glo(商標)アネキシンVアポトーシスおよびネクローシスアッセイキット(プロメガ)を用いて、リアルタイムでアポトーシス(A)およびネクローシス(B)を定量化した。(A)は、細胞に抗体/溶媒を添加してから10時間後のアポトーシスの状態を表す。(B)は、細胞に抗体/溶媒を添加してから52時間後のネクローシスの状態を表す。単一日の間に、処理当りn=4にてデータを収集した。データを平均±SEMとして提示する。 変異型および野生型KRAS細胞における抗体G13D Ab1の取り込みを示すフローサイトメトリーを示す図である。G13D変異KRAS細胞株HCT-116、G12D変異KRAS細胞株SK-LU-1、ならびに2つの野生型KRAS細胞株A431およびNCI-H1975(n=4)における220nM ALEXA488コンジュゲートG13D Ab1抗体による処理後の異なる時点での抗体の内部移行を示すフローサイトメトリーデータである。一元配置ANOVAとダネットの(Dunnett’s)多重比較検定との組み合わせを用いて、統計的有意性を決定した。統計的有意性を以下のとおりに示す:**p<0.01、***p<0.001、****p<0.0001。データを平均±SEMとして提示する。 変異型および野生型KRAS細胞における抗体G12D Ab1の取り込みを示すフローサイトメトリーを示す図である。G13D変異KRAS細胞株HCT-116、G12D変異KRAS細胞株SK-LU-1、ならびに2つの野生型KRAS細胞株A431およびNCI-H1975(n=4)における220nM ALEXA488コンジュゲートG12D Ab1抗体による処理後の異なる時点での抗体の内部移行を示すフローサイトメトリーデータである。一元配置ANOVAとダネットの多重比較検定との組み合わせを用いて、統計的有意性を決定した。統計的有意性を以下のとおりに示す:**p<0.01、***p<0.001、****p<0.0001。データを平均±SEMとして提示する。 KRAS変異、wtKRAS、および非癌性細胞株のパネルにおける24時間での変異選択的なG13D Ab1およびG12D Ab1抗体のアポトーシス誘導能力の評価を示す図である。調査された異なる細胞株は以下を含む;G13D変異HCT116(結腸癌)細胞、G12D変異SK-LU-1(肺腺癌)細胞、G12V変異SW620(結腸直腸腺癌)細胞、G12C変異MIA-PA-CA-2(膵臓癌)細胞、癌性wtKRAS A431(類表皮癌)細胞、癌性wtKRAS NCI-H1975(非小細胞肺癌)細胞、および非癌性wtKRAS CRL-1831(結腸上皮)細胞。細胞を220nMの抗体または溶媒で処理し、RealTime-Glo(商標)アネキシンVアポトーシスおよびネクローシスアッセイキット(プロメガ)を用いて、リアルタイムでアポトーシスを定量化した。これらのグラフは、細胞培養物に抗体または溶媒を添加してから24時間後の、溶媒に対して標準化したアポトーシスのレベルを表す。HCT116細胞に対してn=10(G13D Ab1)および12(溶媒およびG12D Ab1)。SK-LU-1細胞に対してn=8。SW620細胞に対してn=8。MIA-PA-CA-2細胞に対してn=4。A431細胞に対してn=8。NCI-H1975細胞に対してn=4。CRL-1831細胞に対してn=6(溶媒)および8(G13D Ab1およびG12D Ab1)。クラスカル-ウォリス(Kruskal-Wallis)検定とダンの(Dunn’s)多重比較検定との組み合わせを用いて統計的有意性を決定したSK-LU-1細胞を除いては、一元配置ANOVAとダネットの多重比較検定との組み合わせを用いて統計的有意性を決定した。**p<0.01、***p<0.001、****p<0.0001。データを平均±SEMとして提示する。 KRAS変異、wtKRAS、および非癌性細胞株のパネルにおける48時間での変異選択的なG13D Ab1およびG12D Ab1抗体のアポトーシス誘導能力の評価を示す図である。調査された異なる細胞株は以下を含む;G13D変異HCT116(結腸癌)細胞、G12D変異SK-LU-1(肺腺癌)細胞、G12V変異SW620(結腸直腸腺癌)細胞、G12C変異MIA-PA-CA-2(膵臓癌)細胞、癌性wtKRAS A431(類表皮癌)細胞、および非癌性wtKRAS CRL-1831(結腸上皮)細胞。細胞を220nMの抗体または溶媒で処理し、RealTime-Glo(商標)アネキシンVアポトーシスおよびネクローシスアッセイキット(プロメガ)を用いて、リアルタイムでアポトーシスを定量化した。癌性wtKRAS NCI-H1975細胞は、アポトーシスの発生が早かったために上記のキットを用いて48時間の評価を行えなかった。これらのグラフは、細胞培養物に抗体または溶媒を添加してから48時間後の、溶媒に対して標準化したアポトーシスのレベルを表す。HCT116細胞に対してn=10(G13D Ab1)および12(溶媒およびG12D Ab1)。SK-LU-1細胞に対してn=8。SW620細胞に対してn=8。MIA-PA-CA-2細胞に対してn=4。A431細胞に対してn=8。CRL-1831細胞に対してn=6(溶媒)および8(G13D Ab1およびG12D Ab1)。クラスカル-ウォリス検定とダンの多重比較検定との組み合わせを用いて統計的有意性を決定したCRL-183およびMIA-PA-CA-2細胞を除いては、一元配置ANOVAとダネットの多重比較検定との組み合わせを用いて統計的有意性を決定した。**p<0.01、***p<0.001、****p<0.0001。データを平均±SEMとして提示する。 (G13D KRAS変異を含む)SEQ ID NO:5のアミノ酸配列を有するペプチドへの結合について、ELISAを用いてハイブリドーマ単一細胞クローン上清中のモノクローナル抗体を試験したことを示す図である。ペプチドのさまざまな希釈物において、クローン11D6-1、4B81-1、6B2-1、7D11-1、および7G2-1を試験した。405nmにて吸光度を測定した。より高い吸光度はより強い結合を示す。 (G13D KRAS変異を含む)SEQ ID NO:5のアミノ酸配列を有するペプチドへの結合について、ELISAを用いてハイブリドーマ単一細胞クローン上清中のモノクローナル抗体を試験したことを示す図である。ペプチドのさまざまな希釈物において、クローン11D6-1、4B81-1、6B2-1、7D11-1、および7G2-1を試験した。405nmにて吸光度を測定した。より高い吸光度はより強い結合を示す。 (G13D KRAS変異を含む)SEQ ID NO:5のアミノ酸配列を有するペプチドへの結合について、ELISAを用いてハイブリドーマ単一細胞クローン上清中のモノクローナル抗体を試験したことを示す図である。ペプチドのさまざまな希釈物において、クローン11D6-1、4B81-1、6B2-1、7D11-1、および7G2-1を試験した。405nmにて吸光度を測定した。より高い吸光度はより強い結合を示す。
[実施例1]
抗体の開発
抗体生成のために使用した各エピトープ(直鎖ペプチド)について、付加システイン残基を含む合成ペプチドを合成して精製した。これらの合成ペプチド配列をSEQ ID NO3、4、5、および6として示している。
これらのペプチド(エピトープ)は、末端システイン残基によってキーホールリンペットヘモシアニン(KLH)につながれた。KLHにつながれたペプチド(エピトープ)を用いて、KLHにつながれたペプチドの注入後に特定病原体除去(SPF)ウサギを免疫化することによってポリクローナル抗体を産生した。
キャッピングステップを伴う固相ペプチド合成(SPPS)によってペプチドを生成した。システインのSH基をKLHのNH2基に結合することによって、直鎖ペプチドをKLHとコンジュゲートした。プロテインGカラムを用いた後にペプチドに対するアフィニティ精製を行うことによって、抗体を精製した。
抗体のアフィニティ精製を行い、ELISA試験に供した。ELISA試験は、これらの抗体が自身のそれぞれのペプチド(すなわち、関連抗体を産生するためにウサギを免疫化するために用いたそれぞれのペプチド)と結合できることを示した。加えてELISA試験は、これらの抗体が対応する全長発癌性KRASタンパク質(アイソフォーム2Bバージョン)と結合できることを示した。
合成ペプチドおよびポリクローナル抗体の生成はどちらも、インノバジェン(Innovagen)AB(ルンド(Lund)、スウェーデン(Sweden))によって行われた。
SEQ ID NO:3のペプチドによる免疫化によって生成されたポリクローナル抗体をG12D Ab1と名付ける。
SEQ ID NO:4のペプチドによる免疫化によって生成されたポリクローナル抗体をG12D Ab2と名付ける。
SEQ ID NO:5のペプチドによる免疫化によって生成されたポリクローナル抗体をG13D Ab1と名付ける。
SEQ ID NO:6のペプチドによる免疫化によって生成されたポリクローナル抗体をG13D Ab2と名付ける。
KRAS機能活性の阻害
KRAS GTPアーゼ活性の阻害
材料および方法
組み換え野生型、G12D、およびG13D形態のKRASを細菌発現によって生成し、精製した。精製タグを除去した。50mMトリス、100mM NaCl、10mM MgCl2、1mM EDTA、0.01%トリトンX-100、1mM DTT、pH7.5においてKRASを保存した。ゲル濾過およびSDS-PAGEによってバッチ純度を評価した。
マイクロプレートリーダー(Clariostar、BMGラボテック(Labtech)、励起/発光=430/450)を用いてKRAS活性を評価した。1g/L KRAS、1μMリン酸センサ(サーモ・フィッシャー・サイエンティフィック#PV4407)、6μM GTP、および抗体を緩衝液H(50mMトリス、100mM NaCl、10mM MgCl2、1mM EDTA、0.01%トリトンX-100、および1mM DTT)中で調製し、384ウェルプレートに加え、4時間にわたって蛍光を測定した。4時間後の蛍光値を処理間で比較した。
野生型KRAS、G12D変異KRAS、およびG13D変異KRASによるGTPからGDPへの転換(GTPアーゼ活性)をG13D Ab2、G12D Ab1、およびG12D Ab2抗体が阻害する能力を試験した。これらの抗体は、野生型KRASと比較してKRASの発癌遺伝子型(G12DまたはG13D)を優先的に阻害した。野生型KRAS GTPアーゼ活性の顕著な阻害は観察されなかった。
ERKリン酸化の阻害
材料および方法
MDA-MB-231細胞(アメリカン・タイプ・カルチャー・コレクション(American Type Culture Collection)より)を384ウェルプレートに10000細胞/ウェルの密度で蒔き、5%CO2インキュベータ内で37℃にて一晩インキュベートした。翌日、血清含有培地中で化合物(抗体)または対照(ウサギIgG)によって細胞を処理し、5%CO2インキュベータ内で37℃にて14~16時間インキュベートした。化合物(抗体)の最終作業濃度は25μg/ml(167nM)、10μg/ml(67nM)、および4μg/ml(27nM)であった。ウサギIgG(-ve対照)は最終濃度25μg/ml(167nM)にて加えた。翌日、化合物または対照を含有する無血清培地で各ウェルの培地を置換した。この4時間の血清飢餓期間の間に、K-Ras阻害剤SAH-SOS1(サンオブセブンレス1の安定化アルファヘリックス、+ve対照、5μM)をそれぞれのウェルに加えた。血清飢餓の後、細胞を10.9ng/ml EGF(上皮増殖因子)で10分間処理した。EGF処理の後、細胞可溶化物中のホスホ-ERK1/2(Thr202/Tyr204におけるリン酸化)の定量的検出のためのサンドイッチイムノアッセイのキット(AlphaScreen(登録商標)SureFire(登録商標)p-ERK1/2(Thr202/Tyr204)アッセイキット、パーキン・エルマー、cat no.TGRESB500)において提供されている溶解緩衝液によって、細胞を10分間溶解した。ERKは細胞外シグナル制御キナーゼである。可溶化物を分割して、総ERKおよびリン酸化ERKの測定に使用した。AlphaScreen(登録商標)SureFire(登録商標)キットのプロトコル(パーキン・エルマー、cat no.TGRESB500)に従って、リン酸化ERKを推定した。細胞可溶化物中のERK(リン酸化および非リン酸化の両方)の定量的検出のためのサンドイッチイムノアッセイのキットのプロトコル(AlphaScreen(登録商標)SureFire(登録商標)ERK1/2トータルアッセイキット(Total Assay Kit)、パーキン・エルマー、cat.no.TGRTESB500)に従って、総ERKを推定した。標準的なAlphaScreen設定を用いたEnvisionプレートリーダー(パーキン・エルマー)において、読取りを行った。AlphaScreenは、ビーズベースの非放射性の増幅ルミネセンス近接ホモジニアスアッセイ(Amplified Luminescent Proximity Homogeneous Assay)である。統計的有意性を以下のとおりに示す:*p<0.05、**p<0.01。データを平均±SEMとして提示する。
結果および考察
抗体がKRASを阻害するためには、細胞に入ってKRASが存在するサイトゾルに提供される必要がある。MAPK経路におけるERKのリン酸化のレベルは、多くの癌細胞においてKRAS活性に依存し、ここでERKはKRASの下流にある(MAPK/ERK経路)。抗KRAS化合物を試験するときに、ERKリン酸化はしばしばKRAS活性の尺度として用いられ、ERKリン酸化の阻害はKRAS阻害の結果である。我々は、4つの抗KRAS抗体G13D Ab1、G13D Ab2、G12D Ab1、およびG12D Ab2による、乳癌細胞株MDA-MB-231におけるERKリン酸化の阻害を(ホスホ-ERKの%阻害として)測定した。陽性対照として我々はKRASに結合する公知のポリペプチドKRAS阻害剤であるSAH-SOS1を使用し、陰性対照として我々はKRASに結合するはずのないウサギIgGを使用した。抗体は細胞の外側の培地に加えられ、理論に結び付けられることは望まないが、マクロピノサイトーシスのプロセスを介して細胞に入り得る。MDA-MB-231細胞はG13D KRAS変異を有する。27nMという低い細胞外濃度において、我々はすでにこれらの抗体によるERKリン酸化の阻害を確認した(図1)。
アポトーシス
材料および方法
HCT116細胞、SK-LU1細胞、およびCRL-1831細胞におけるアポトーシスを評価する実験(すなわち、図2、図4、および図5に示されるデータを生じた実験)に対する材料および方法は、以下のとおりである。
RealTime-Glo(商標)アネキシンVアポトーシスおよびネクローシスアッセイキット(プロメガ、cat no.JA1011)を用いて、アポトーシスおよびネクローシスをリアルタイムで測定した。これは生細胞のリアルタイム(動態)アッセイであり、細胞膜の外葉におけるホスファチジルセリン(PS)の露出によってアポトーシスを定め、ネクローシスプロセス中に細胞膜が崩壊するために細胞に入り得る細胞不透過のプロ蛍光DNA染料によってネクローシスを定める。
以下のとおりに細胞を調製した。HCT-116、SK-LU-1、およびCRL-1831細胞(アメリカン・タイプ・カルチャー・コレクションより)をTフラスコ中で培養した。HCT-116細胞は、10%ウシ胎児血清を補充したマッコイ5a改変培地(McCoy’s 5a Medium Modified)で生育させた。SK-LU-1細胞は、10%ウシ胎児血清を補充したイーグル最小必須培地(Eagle’s Minimum Essential Medium)で生育させた。CRL-1831細胞は、10%ウシ胎児血清、10ng/mlコレラトキシン、0.005mg/mlインスリン、0.005mg/mlトランスフェリン、100ng/mlヒドロコルチゾン、および20ng/mLヒト組み換えEGFを補充したDMEM:F12培地で生育させた。予熱したトリプシン溶液(37℃)を用いて細胞を収集し、15分間インキュベートした。リーボビッツのL-15培地(Leibovitz’s L-15 Medium)(サーモ・フィッシャー、cat.no.21083027)、10%ウシ胎児血清、および1%ペニシリン/ストレプトマイシンからなるL-15アッセイ培地に細胞を移した。細胞を計数し、L-15アッセイ培地で200.000細胞/mLに希釈した。96ウェルプレートのウェル当り50μLの細胞溶液を加えた(ウェル当り10.000細胞、Costar、白色および明瞭な不透明の底部、cat.no.3903)。バックグラウンドの測定のために、同じプレート上のウェルに50μLのL-15アッセイ培地を入れた。プレートを接着フィルムで密封し、37℃にて一晩インキュベートした。
以下のとおりに抗体を調製した。最初に抗体を合計300μLの0.02%Tweenを含有するリン酸緩衝食塩水(phosphate-buffered saline)(PBS/Tween)に混合した。すべての抗体について、最終抗体濃度は0.87μMであった。抗体溶液をL-15アッセイ培地およびキット検出試薬(210μLアッセイ培地+210μL抗体溶液+420μL検出試薬)と混合することによって、作業溶液を調製した。検出試薬はキットの指示に従って調製した。210μL抗体溶液を210μL PBS/Tweenに置き換えて、1つのタイプの対照を作製した(溶媒対照)。210μL抗体溶液を210μL L-15アッセイ培地に置き換えて、別のタイプの対照を作製した(培地対照)。
以下のとおりにアッセイを行った。各プレートウェルから200μLの培地を除去して、200μLの作業溶液に置き換えた。プレートを光学フィルムで密封し、CLARIOstar(登録商標)(BMGラボテック)プレートリーダーに入れた。キットの指示に従って、アポトーシスの測定は発光シグナルを読取ることによって行い、ネクローシスの測定は蛍光シグナルを読取ることによって行った。キットの指示に従ってデータの解析および解釈を行った。
データを平均±SEMとして提示する。一元配置ANOVAとダネットの多重比較検定との組み合わせを用いて統計的有意性を決定し、ここで各Ab(抗体)をアイソタイプ対照(ウサギIgG)または溶媒対照と比較した。統計的有意性を以下のとおりに示す:*p<0.05、**p<0.01、****p<0.0001。データを平均±SEMとして提示する。
LS174T細胞におけるアポトーシスを評価する実験(すなわち、図3に示されるデータを生じた実験)に対する材料および方法は、以下のとおりである。
10%ウシ胎児血清および1%ペニシリン/ストレプトマイシンを補充したイーグル最小必須培地で、LS174T細胞を70%コンフルエンスまで培養した。細胞を対照(抗体を有さない培地)または培地中の3ng/ml抗体で24、48、または72時間処理した。次いで細胞を洗浄し、アポトーシスを起こしている細胞の外葉に露出されるホスファチジルセリン(PS)に結合する蛍光標識アネキシンVパシフィックブルー(サーモ・フィッシャー、cat no.A35122)で染色した。細胞関連の蛍光の定量化のためにFACSを使用し、抗体処理した細胞と対照細胞との間の蛍光の比率としてアポトーシスのレベル(対照の%)を算出した。
結果および考察
いくつかの実験において、プロメガのリアルタイムアポトーシス/ネクローシスキットを用いてアポトーシスを定量化し、これは細胞膜の外側におけるホスホセリン脂質(PS:phosphoserine lipid)の量を測定するものである。PS量は、アポトーシスプロセスの間に増加する。本明細書における抗KRAS抗体のG13D Ab1、G13D Ab2、G12D Ab1、およびG12D Ab2は、G12D変異SK-LU-1(肺腺癌)細胞および/またはG13D変異HCT116(結腸癌)細胞におけるアポトーシスを誘導すると我々は判定した(図2、図4、および図5)。細胞培地に抗体を添加することによって、細胞を抗体で処理した。図3のデータは、抗体G12D Ab1がLS174T(G12D)細胞においてもアポトーシスを誘導できることを示す。
G13D Ab1およびG12D Ab1は、SK-LU-1細胞(図2)およびHCT116細胞(図4)の両方において、アイソタイプ抗体対照と比較して、または溶媒PBS/Tween(図5A、B)と比較して高レベルのアポトーシスをもたらした。このデータは、これらの抗体が両方とも両方の変異(すなわち、KRASのG12DおよびG13D変異型)に対して活性であることを示す。理論に結び付けられることは望まないが、これらの抗体は負に帯電したアスパラギン酸(D)残基に結合し得るが、それらの抗体は、距離の差が小さいために位置12または13のいずれのD残基にも適合できると考えられる。野生型KRASを有するCRL-1831結腸上皮細胞においていくらかのアポトーシスが観察されたが、変異KRASを有する細胞と比較すると、そのアポトーシスは試験された両方の抗体についてかなり低かった(図5C)。
本研究のKRAS抗体によって誘導されるアポトーシスは、免疫化および抗体産生に使用した合成抗原(本明細書の他の場所に記載されるKRASの発癌性変異型のアミノ酸残基10~21に本質的に対応する)を使用して阻害性のKRAS抗体を開発できることを示す。さらにこのデータは、KRASのG12DおよびG13D変異型の両方を阻害できる抗体を生成できることを示す。
ネクローシス
材料および方法
本明細書の他の場所に記載されるRealTime-Glo(商標)アネキシンVアポトーシスおよびネクローシスアッセイキットアッセイキットを使用して、アポトーシスと並行してネクローシスを記録した。
結果および考察
本明細書においては、アポトーシスに加えて、抗KRAS抗体G13D Ab1およびG12D Ab1がSK-LU-1細胞(図6A)およびHCT116細胞(図6B)において顕著なネクローシスをもたらしたが、野生型KRAS細胞CRL-1831(図6C)にはもたらさなかったことが示された。
さらなるアポトーシスおよびネクローシス実験
肺腺癌細胞株NCI-H1975のアポトーシスおよびネクローシスに対する抗体G12D Ab1、G12D Ab2、G13D Ab1、およびG13D Ab2の影響を試験した。NCI-H1975細胞株は野生型KRASを発現する。この実験に対する材料および方法は、本質的に上述のアポトーシスおよびネクローシスアッセイのとおりである(RealTime-Glo(商標)アネキシンVアポトーシスおよびネクローシスアッセイキット(プロメガ)を使用した)。
この実験において、抗体G12D Ab1、G12D Ab2、G13D Ab1、およびG13D Ab2の各々で処理したNCI-H1975細胞のアポトーシスおよびネクローシスのレベルは、溶媒のみの対照によって観察されるアポトーシスおよびネクローシスのレベルと類似であるか、またはそれ未満であった(図8)。
抗体の内部移行
材料および方法
10%ウシ胎児血清および1%ペニシリン/ストレプトマイシンを補充したイーグル最小必須培地で、細胞(LS174T細胞またはHCT116細胞)を70%コンフルエンスまで培養した。同じ培地に溶解した16ng/mlのウサギ抗ヤギIgG(H+L)二次抗体、Alexa Fluor488(サーモ・フィッシャー、cat.no.A-11078)で細胞を24時間処理した。細胞を洗浄し、FACSを使用して細胞関連の蛍光を定量化した。
結果および考察
癌細胞が細胞外培地に提供された抗体を内部移行できるかどうかを評価するために、我々は蛍光タグ付きの抗体を使用して、FACSによって定量化された取り込みを定量化した。G12D変異LS174T(結腸腺癌)細胞およびG13D変異HCT116(結腸癌)細胞を標識抗体によってある期間処理し、細胞の蛍光を定量化した。処理された細胞中に蓄積した蛍光(florescence)シグナルの曲線下面積に基づき、未処理細胞のシグナルと比較して、これらの癌細胞型には抗体取り込み機構が存在すると我々は結論付けた。
[実施例2]
この実施例は、本発明の抗体が、KRASの発癌性変異型を発現する癌細胞を含む癌細胞によって内部移行されることを示す。加えてこの実施例は、本発明の抗体がKRASの発癌性変異型を発現する細胞においてアポトーシスをもたらすことを示すさらなるデータを含む。
材料および方法
G13D Ab1抗体およびG12D Ab1抗体取り込みのフローサイトメトリー測定
Alexa Fluor488タンパク質ラベリングキット(Cat#A10235、サーモ・フィッシャー・サイエンティフィック)を用いて、(実施例1の)抗体G13D Ab1および抗体G12D Ab1をAlexa Fluor488で標識した。HCT116、SK-LU-1、A431、およびNCI-H1975細胞を12ウェルマイクロプレート(インビトロジェン(Invitrogen))中で培養した。測定の前に、細胞を220nMの標識G13D Ab1抗体またはG12D Ab1抗体で4時間または24時間処理した。t(0)時点として未染色細胞を測定した。測定の前に、細胞を洗浄して収集した。測定はBD(商標)LSR IIフローサイトメーター(BDバイオサイエンス社(BD Biosciences inc.))において行った。解析はFlowJo v.10(BDバイオサイエンス)において行った。各細胞株および時点に対してn=4であった。nは1つの測定に等しく、それは平均でHCT116については4000細胞、SK-LU-1については8000細胞、A431については7000細胞、およびNCI-H1975については4000細胞を含む。
KRAS抗体(G13D Ab1抗体およびG12D Ab1抗体)の抗体誘導アポトーシス
RealTime-Glo(商標)アネキシンVアポトーシスおよびネクローシスアッセイキット(プロメガ、cat no.JA1011)を用いて、アポトーシスをリアルタイムで測定した。トリプシンを用いて培養細胞を収集し、リーボビッツのL-15培地(サーモ・フィッシャー、cat.no.21083027)、10%ウシ胎児血清、および1%ペニシリン/ストレプトマイシンからなるL-15アッセイ培地に移した。細胞を計数し、L-15アッセイ培地で200,000細胞/mLに希釈した。96ウェルプレートに細胞を加え(ウェル当り10,000細胞、Costar、白色および明瞭な不透明の底部、cat.no.3903)、一晩インキュベートした。
抗体をL-15アッセイ培地および検出試薬で希釈し、最終濃度220nMにてウェルに添加した。プレートを光学フィルムで密封し、CLARIOstar(登録商標)(BMGラボテック)プレートリーダーに入れた。発光シグナルを読取ることによって、アポトーシスの測定を行った。
以下の細胞株に対して、2~3回の生物学的反復を行った。HCT116、SK LU1、SW620、CRL-1831、およびA431。NCI-H1975およびMIA-PA-CA-2細胞株は1回試験した。
結果および考察
G13D Ab1およびG12D Ab1抗体のインビトロ抗癌効力を、それらの抗体が4つの異なるKRAS変異細胞株、すなわちG12D変異SK-LU-1肺腺癌細胞、G13D変異HCT116結腸癌細胞、G12V変異SW620結腸直腸腺癌細胞、G12C変異MIA-PA-CA膵臓癌細胞、ならびに野生型KRAS細胞株、すなわちA431類表皮癌細胞、およびNCI-H1975非小細胞肺癌細胞においてアポトーシスをもたらす能力を評価することによって決定した。アポトーシス実験における対照細胞株として、非癌性細胞株CRL-1831結腸上皮細胞も含まれた。KRASは細胞内の標的であるが、KRAS変異細胞を含む多くの癌細胞株はアップレギュレートされるマクロピノサイトーシスを有するという事実を我々は利用した。この取り込み系は、タンパク質を含む巨大分子を内部移行する能力を有することが十分に文書で立証されている。我々はフローサイトメトリーおよび共焦点顕微鏡実験を用いて、G12D変異を有する細胞株(SK-LU-1)およびG13D変異を有する細胞株(HCT116)ならびに2つの野生型KRAS細胞株A431およびNCI-H1975における、Alexa Fluor488で標識されたG13D Ab1およびG12D Ab1抗体の内部移行を評価した。共焦点顕微鏡画像は、調査したすべての異なる細胞株におけるG13D Ab1およびG12D Ab1抗体の取り込みを示した(データを示さず)。フローサイトメトリー実験でこれらの観察をさらに確認し、図9に示されるとおり、すべての試験されたKRAS変異細胞株およびすべての試験された野生型KRAS細胞株において、統計的に有意な抗体取り込みが観察された。アポトーシス実験において、処理の24時間後にG13D Ab1およびG12D Ab1抗体はG12DおよびG13D変異細胞株のみにおいて活性だった(図10)。これらの抗体は、G12CおよびG12V KRAS変異細胞、野生型KRAS癌細胞、ならびに非癌性結腸上皮細胞を含む、試験されたその他の細胞株のいずれにおいてもアポトーシスをもたらさなかった(図10)。処理の48時間後(図11)、G13D Ab1およびG12D Ab1抗体は、G12DおよびG13D変異細胞株において24時間の処理と比較して増加したレベルのアポトーシスを誘発することを我々は観察した。加えて我々は、48時間後にG12V変異細胞において小さいが統計的に(stastistically)有意なアポトーシスの増加を観察した(図11)。その他の細胞株はいずれも、抗体曝露の48時間後にアポトーシスの増加を何ら示さなかった(図11)。まとめると、これらのデータは、野生型KRAS細胞と比較したG12DおよびG13D変異細胞におけるアポトーシス誘導効果が、KRAS変異細胞の抗体取り込みが有利であるという量的な差の結果ではなく、G13D Ab1およびG12D Ab1抗体によるG12DおよびG13D変異KRAS細胞の選択的阻害の結果であることを示している。
抗体がG12DおよびG13D変異体に対して選択的効果を有するが、G12Cには効果を有さず、G12V変異体に対する効果はかなり低いことは、エピトープ領域のG12およびG13位置における負に帯電したアスパラギン酸残基(D)が抗体の結合に重要な役割を果たすことによって説明されるかもしれない。しかし、12または13のいずれかの位置におけるアレルの場所は、距離の差が小さいために、結合相互作用にとってあまり重要でないようである。
この研究は、他のKRAS変異(G12VおよびG12C)および野生型KRASよりも高い選択性を伴ってG12DおよびG13D変異KRASを阻害できる2つの抗KRAS抗体を実証する。
[実施例3]
材料および方法
ハイブリドーマ技術を用いたモノクローナル抗体(マウスIgG)の産生
キーホールリンペットヘモシアニンにつながれたSEQ ID NO:5の直鎖ペプチドによって、マウスを免疫化した(KLHにつながれたペプチドは実施例1において上述したとおりである)。SEQ ID NO:5の残基番号(位置)5における「D」残基は、発癌性変異G13D KRASタンパク質(例、SEQ ID NO:9またはSEQ ID NO:12の発癌性変異G13D KRASタンパク質)の発癌性G13D変異に対応する。ELISAによって免疫応答を評価した。免疫化プロセスの後、血清のELISAスクリーニングに基づいてマウスを選択し、マウスから脾臓細胞を抽出し、骨髄腫細胞と融合させてハイブリドーマ細胞を生成した。ハイブリドーマをELISAによってスクリーニングして、陽性クローン(すなわち、標的に結合する抗体を産生するもの)を得た。このスクリーニングの後、選択されたハイブリドーマのサブクローニングを行い、ELISAを用いてスクリーニングのさらなるラウンドを行った。次いで、サブクローニングされたハイブリドーマを用いてモノクローナル抗体を産生させた。ELISAを用いて、上清中の抗体の結合特性を試験した。5つのモノクローナル抗体(ハイブリドーマ)11D6-1、4B8-1、6B2-1、7D11-1、7G2-1を同定した。11D6-1、4B8-1、6B2-1、7D11-1、7G2-1抗体を生成するために使用されたペプチド(免疫原)はSEQ ID NO:5のペプチドであり、上記のとおりこのペプチドはキーホールリンペットヘモシアニンにつながれていた。抗体名の各々における添え字「-1」は、単にこれらの抗体の各々がそれぞれの親ハイブリドーマの娘クローンであることを示すものである(親ハイブリドーマは「-1」の添え字を有さない同じ名前を有し、たとえば11D6は11D6-1抗体(娘クローン)の親ハイブリドーマである)。
マウスハイブリドーマIgGのクローニングおよび配列決定
マウスハイブリドーマ(11D6-1、4B8-1、6B2-1、7D11-1、および7G2-1)からRNAを調製し、そのRNAからcDNAを合成した。cDNAの可変軽鎖(VL)および可変重鎖(VH)領域を増幅して、別々に標準的なクローニングベクターにクローニングした。コロニーPCRに続くゲル電気泳動によって、陽性クローンの識別を行った。陽性クローンからVLおよびVH DNAならびにアミノ酸の配列を得た。
6B2-1の配列決定によって1つのVH領域(ドメイン)配列が同定されたが、2つの異なるVL領域(ドメイン)配列が同定された(すなわち、2つの別個のVL領域配列が同定された)。このことについては以下の結果のセクションでさらに考察する。
その他の4つの抗体(すなわち11D6-1、4B8-1、7D11-1、および7G2-1)のVHおよびVLドメインをコードするcDNAの配列決定によって、抗体当り(すなわち、ハイブリドーマ当り)1つのVH領域(ドメイン)配列および1つのVL領域(ドメイン)配列が同定された。
結果および考察
ハイブリドーマクローン11D6-1、4B8-1、6B2-1、7D11-1、および7G2-1のハイブリドーマ上清調製物中のモノクローナル抗体をELISAによって試験して、SEQ ID NO:5のアミノ酸配列を有するペプチド(11D6-1、4B8-1、6B2-1、7D11-1、および7G2-1抗体を生成するために用いたペプチド(免疫原))のさまざまな希釈物に対する結合を調べた。ペプチドに結合した抗体の定量は、405nmにおける吸光度によって測定した。吸光度は結合強度に比例する。すべての上清は、SEQ ID NO:5のペプチドに結合する抗体を含有した(図12)。クローン11D6-1、4B8-1、および7D11-1による抗体と、(SEQ ID NO:5と比較して)位置5の「変異」D残基の代わりにG残基を有する「野生型(wild-type)」(WT)ペプチド(アミノ酸配列CGAGGVGKSALTI(SEQ ID NO:160)を有する)とを使用して行ったさらなるELISAによって、クローン11D6-1、4B8-1、および7D11-1による抗体は、WTペプチドよりも変異G13Dペプチド(SEQ ID NO:5)に対して明らかにより強力に結合することが示された(データを示さず)。抗体がWTペプチドよりも変異含有ペプチドにより強力に結合するとき、これはその抗体がKRASの変異型に対して選択的であり、変異配列に対する優先度を有することを示す。理論に結び付けられることは望まないが、こうした選択的な抗体は、KRASタンパク質の疾患をもたらす変異型に優先的に結合する。細胞または組織がKRASタンパク質の変異型だけでなく野生型の形態も発現している場合に、こうした優先度が重要であり得る。
上記のとおり、6B2-1ハイブリドーマのVHおよびVL領域(ドメイン)の配列決定によって1つのVH領域(ドメイン)配列が同定されたが、2つの異なる(すなわち別個の)VL領域(ドメイン)配列が同定された。このことは、ハイブリドーマクローン6B2-1が抗体を産生する1つの重鎖遺伝子および2つの軽鎖遺伝子を有することを意味し得る。この現象(すなわち、ハイブリドーマが2つの別個のVLドメイン配列をコードすること)が起こることは公知であり、文献において考察されている(例、ブラッドベリ(Bradbury)、A.R.M.ら、MAbs10、539-546(2018))。1つのVH領域(ドメイン)配列が存在するが、2つの異なるVL領域(ドメイン)配列が存在するという状況は、結果的に3種の異なるモノクローナル抗体((i)2つの同一の重鎖および配列Xの2つの同一の軽鎖を有する種;(ii)2つの同一の重鎖および配列Yの2つの同一の軽鎖を有する種;(iii)2つの同一の重鎖と、配列Xの1つの軽鎖と、配列Yの1つの軽鎖とを有する種)をもたらし得る可能性がある。このハイブリドーマ(6B2-1)由来の上清(または精製抗体)は、これらの種のタイプのうち1つ以上の混合物を含有してもよい。通常の状況では、1つの重鎖遺伝子および1つの軽鎖遺伝子のみが抗体を産生している。ハイブリドーマの生成および培養の際に、2つ以上の軽鎖を含有するハイブリドーマが生じ得る。いくつかの原因が存在し得る。たとえば、骨髄腫細胞はただ1つのB細胞の代わりに2つのB細胞を融合させることがある。この実施例において試験された6B2-1上清は、これら3つの可能な抗体種の1つ以上を含有し得る。
本明細書の他の場所において、6B2-1ハイブリドーマによる2つの可能なモノクローナル抗体(2つの可能なモノクローナル抗体種)の配列を別々に示している。これらのモノクローナル抗体は(a)同定されたVHドメイン配列および第1の同定されたVLドメイン配列のみを有する抗体、ならびに(b)同定されたVHドメイン配列および第2の(または他の)同定されたVLドメイン配列のみを有する抗体である。これらの別個のモノクローナル抗体(別個のモノクローナル抗体種)には6B2-1-1および6B2-1-2の名称が与えられている。
抗体11D6-1、4B8-1、7D11-1、7G2-1、6B2-1-1、および6B2-1-2の配列は、本明細書の表A~Fに示されている。

Claims (55)

  1. KRASの発癌性変異型に結合する抗体であって、前記KRASの発癌性変異型が野生型KRAS(SEQ ID NO:7)の位置G13またはG12に対応する位置にアミノ酸置換を含み、前記抗体が野生型KRAS(SEQ ID NO:7)のアミノ酸残基10~21に対応するアミノ酸残基によって定義される前記KRASの発癌性変異型の領域内にあるエピトープに結合し、前記抗体が前記KRASの発癌性変異型の活性を阻害する、抗体。
  2. 前記KRASの発癌性変異型がSEQ ID NO:14、16、13、または15のアミノ酸配列を有し、前記抗体がSEQ ID NO:14、16、13、または15のアミノ酸残基10~21によって定義される前記KRASの発癌性変異型の領域内にあるエピトープに結合する、請求項1に記載の抗体。
  3. 野生型KRASの位置G13またはG12に対応する位置における前記アミノ酸置換がG13DまたはG12D置換である、請求項1または請求項2に記載の抗体。
  4. 前記KRASの発癌性変異型が野生型KRAS(SEQ ID NO:7)の位置G13に対応する位置にアミノ酸置換を含み、前記アミノ酸置換がG13D置換である、請求項1~3のいずれか1項に記載の抗体。
  5. 前記KRASの発癌性変異型がSEQ ID NO:9、12、8、または11のアミノ酸配列を有し、前記抗体がSEQ ID NO:9、12、8、または11のアミノ酸残基10~21によって定義される前記KRASの発癌性変異型の領域内にあるエピトープに結合する、請求項1~4のいずれか1項に記載の抗体。
  6. 前記KRASの発癌性変異型がSEQ ID NO:9またはSEQ ID NO:12のアミノ酸配列を有し、前記抗体がSEQ ID NO:9またはSEQ ID NO:12のアミノ酸残基10~21によって定義される前記KRASの発癌性変異型の領域内にあるエピトープに結合する、請求項1~5のいずれか1項に記載の抗体。
  7. 前記KRASの発癌性変異型がSEQ ID NO:8またはSEQ ID NO:11のアミノ酸配列を有し、前記抗体がSEQ ID NO:8またはSEQ ID NO:11のアミノ酸残基10~21によって定義される前記KRASの発癌性変異型の領域内にあるエピトープに結合する、請求項1~6のいずれか1項に記載の抗体。
  8. 前記抗体がSEQ ID NO:8または11のアミノ酸配列を有するKRASの少なくとも1つの発癌性変異型と、SEQ ID NO:9または12のアミノ酸配列を有するKRASの少なくとも1つの発癌性変異型とに結合してそれを阻害する、請求項1~7のいずれか1項に記載の抗体。
  9. 前記抗体が単離ペプチドに結合し、前記単離ペプチドが
    (i)SEQ ID NO:18またはSEQ ID NO:17のアミノ酸配列、または
    (ii)(i)のアミノ酸配列と実質的に相同のアミノ酸配列を含み、前記実質的に相同の配列が前記アミノ酸配列と比較して1または2アミノ酸の置換または付加または欠失を有し、SEQ ID NO:17と実質的に相同の配列においてSEQ ID NO:17の位置3に対応するX残基は変更されておらず、SEQ ID NO:18と実質的に相同の配列においてSEQ ID NO:18の位置4に対応するX残基は変更されていない、請求項1~8のいずれか1項に記載の抗体。
  10. 前記抗体が単離ペプチドに結合し、前記単離ペプチドがSEQ ID NO:18またはSEQ ID NO:17のアミノ酸配列を含む、請求項1~9のいずれか1項に記載の抗体。
  11. 前記抗体が単離ペプチドに結合し、前記単離ペプチドが
    (i)SEQ ID NO:2またはSEQ ID NO:1のアミノ酸配列、または
    (ii)(i)のアミノ酸配列と実質的に相同のアミノ酸配列を含み、前記実質的に相同の配列が前記アミノ酸配列と比較して1または2アミノ酸の置換または付加または欠失を有し、SEQ ID NO:1と実質的に相同の配列においてSEQ ID NO:1の位置3に対応するD残基は変更されておらず、SEQ ID NO:2と実質的に相同の配列においてSEQ ID NO:2の位置4に対応するD残基は変更されていない、請求項1~10のいずれか1項に記載の抗体。
  12. 前記抗体が単離ペプチドに結合し、前記単離ペプチドがSEQ ID NO:2またはSEQ ID NO:1のアミノ酸配列を含む、請求項1~11のいずれか1項に記載の抗体。
  13. 前記抗体が単離ペプチドに結合し、前記単離ペプチドが
    (i)SEQ ID NO:5、SEQ ID NO:3、SEQ ID NO:4、またはSEQ ID NO:6のアミノ酸配列、または
    (ii)(i)のアミノ酸配列と実質的に相同のアミノ酸配列を含み、前記実質的に相同の配列が前記アミノ酸配列と比較して1または2アミノ酸の置換または付加または欠失を有し、SEQ ID NO:3と実質的に相同の配列においてSEQ ID NO:3の位置3に対応するD残基は変更されておらず、SEQ ID NO:4と実質的に相同の配列においてSEQ ID NO:4の位置4に対応するD残基は変更されておらず、SEQ ID NO:5と実質的に相同の配列においてSEQ ID NO:5の位置5に対応するD残基は変更されておらず、SEQ ID NO:6と実質的に相同の配列においてSEQ ID NO:6の位置4に対応するD残基は変更されていない、請求項1~12のいずれか1項に記載の抗体。
  14. 前記抗体が単離ペプチドに結合し、前記単離ペプチドがSEQ ID NO:5、SEQ ID NO:3、SEQ ID NO:4、またはSEQ ID NO:6のアミノ酸配列を含む、請求項1~13のいずれか1項に記載の抗体。
  15. 前記抗体が単離ペプチドに結合し、前記単離ペプチドがSEQ ID NO:5、SEQ ID NO:3、SEQ ID NO:4、およびSEQ ID NO:6からなる群より選択されるアミノ酸配列からなる、請求項1~14のいずれか1項に記載の抗体。
  16. 前記抗体が単離ペプチドに結合し、前記単離ペプチドがSEQ ID NO:5およびSEQ ID NO:3からなる群より選択されるアミノ酸配列からなる、請求項1~15のいずれか1項に記載の抗体。
  17. 前記抗体が単離ペプチドに結合し、前記単離ペプチドがSEQ ID NO:5のアミノ酸配列からなる、請求項1~16のいずれか1項に記載の抗体。
  18. 前記抗体がコンジュゲートに結合し、前記コンジュゲートが請求項9~17のいずれか1項において定義される単離ペプチドおよびペプチド担体を含み、好ましくは前記ペプチド担体がキーホールリンペットヘモシアニン(KLH)である、請求項1~17のいずれか1項に記載の抗体。
  19. 前記抗体が3つのCDRを含む少なくとも1つの重鎖可変領域と、3つのCDRを含む少なくとも1つの軽鎖可変領域とを含み、前記重鎖可変領域が、SEQ ID NO:148、好ましくはSEQ ID NO:149のアミノ酸配列を有する可変重鎖(VH)CDR1、および/またはSEQ ID NO:150、好ましくはSEQ ID NO:151のアミノ酸配列を有するVH CDR2を含み、および/または前記軽鎖可変領域が、SEQ ID NO:152、好ましくはSEQ ID NO:153のアミノ酸配列を有するVL CDR1、および/またはSEQ ID NO:154、好ましくはSEQ ID NO:155のアミノ酸配列を有するVL CDR2を含む、請求項1~18のいずれか1項に記載の抗体。
  20. 前記抗体が3つのCDRを含む少なくとも1つの重鎖可変領域と、3つのCDRを含む少なくとも1つの軽鎖可変領域とを含み、前記軽鎖可変領域がSEQ ID NO:37のアミノ酸配列またはそれと実質的に相同の配列を有する可変軽鎖(VL)CDR3を含み、
    前記実質的に相同の配列が、所与のCDR配列と比較して1、2、または3のアミノ酸置換を含有する配列であるか、または前記実質的に相同の配列が、所与のCDR配列の保存的アミノ酸置換を含有する配列である、請求項1~19のいずれか1項に記載の抗体。
  21. 前記抗体が3つのCDRを含む少なくとも1つの重鎖可変領域と、3つのCDRを含む少なくとも1つの軽鎖可変領域とを含み、前記重鎖可変領域がSEQ ID NO:34またはSEQ ID NO:74のアミノ酸配列またはそれと実質的に相同の配列を有する可変重鎖(VH)CDR3を含み、
    前記実質的に相同の配列が、所与のCDR配列と比較して1、2、または3のアミノ酸置換を含有する配列であるか、または前記実質的に相同の配列が、所与のCDR配列の保存的アミノ酸置換を含有する配列である、請求項1~20のいずれか1項に記載の抗体。
  22. 前記抗体が3つのCDRを含む少なくとも1つの重鎖可変領域と、3つのCDRを含む少なくとも1つの軽鎖可変領域とを含み、前記重鎖可変領域が、SEQ ID NO:32のアミノ酸配列を有する可変重鎖(VH)CDR1、SEQ ID NO:33のアミノ酸配列を有するVH CDR2、およびSEQ ID NO:34のアミノ酸配列を有するVH CDR3、またはそれらと実質的に相同の配列を含み、および/または前記軽鎖可変領域が、SEQ ID NO:35のアミノ酸配列を有する可変軽鎖(VL)CDR1、SEQ ID NO:36のアミノ酸配列を有するVL CDR2、およびSEQ ID NO:37のアミノ酸配列を有するVL CDR3、またはそれらと実質的に相同の配列を含み、
    前記実質的に相同の配列が、所与のCDR配列と比較して1、2、または3のアミノ酸置換を含有する配列であるか、または前記実質的に相同の配列が、所与のCDR配列の保存的アミノ酸置換を含有する配列である、請求項1~21のいずれか1項に記載の抗体。
  23. 前記抗体が3つのCDRを含む少なくとも1つの重鎖可変領域と、3つのCDRを含む少なくとも1つの軽鎖可変領域とを含み、前記重鎖可変領域が、SEQ ID NO:32のアミノ酸配列を有する可変重鎖(VH)CDR1、SEQ ID NO:33のアミノ酸配列を有するVH CDR2、およびSEQ ID NO:34のアミノ酸配列を有するVH CDR3を含み、および前記軽鎖可変領域が、SEQ ID NO:35のアミノ酸配列を有する可変軽鎖(VL)CDR1、SEQ ID NO:36のアミノ酸配列を有するVL CDR2、およびSEQ ID NO:37のアミノ酸配列を有するVL CDR3を含む、請求項1~22のいずれか1項に記載の抗体。
  24. 前記抗体が3つのCDRを含む少なくとも1つの重鎖可変領域と、3つのCDRを含む少なくとも1つの軽鎖可変領域とを含み、前記重鎖可変領域が、SEQ ID NO:52のアミノ酸配列を有する可変重鎖(VH)CDR1、SEQ ID NO:53のアミノ酸配列を有するVH CDR2、およびSEQ ID NO:54のアミノ酸配列を有するVH CDR3、またはそれらと実質的に相同の配列を含み、および/または前記軽鎖可変領域が、SEQ ID NO:55のアミノ酸配列を有する可変軽鎖(VL)CDR1、SEQ ID NO:56のアミノ酸配列を有するVL CDR2、およびSEQ ID NO:57のアミノ酸配列を有するVL CDR3、またはそれらと実質的に相同の配列を含み、
    前記実質的に相同の配列が、所与のCDR配列と比較して1、2、または3のアミノ酸置換を含有する配列であるか、または前記実質的に相同の配列が、所与のCDR配列の保存的アミノ酸置換を含有する配列である、請求項1~21のいずれか1項に記載の抗体。
  25. 前記抗体が3つのCDRを含む少なくとも1つの重鎖可変領域と、3つのCDRを含む少なくとも1つの軽鎖可変領域とを含み、前記重鎖可変領域が、SEQ ID NO:52のアミノ酸配列を有する可変重鎖(VH)CDR1、SEQ ID NO:53のアミノ酸配列を有するVH CDR2、およびSEQ ID NO:54のアミノ酸配列を有するVH CDR3を含み、および前記軽鎖可変領域が、SEQ ID NO:55のアミノ酸配列を有する可変軽鎖(VL)CDR1、SEQ ID NO:56のアミノ酸配列を有するVL CDR2、およびSEQ ID NO:57のアミノ酸配列を有するVL CDR3を含む、請求項1~21または請求項24のいずれか1項に記載の抗体。
  26. 前記抗体が3つのCDRを含む少なくとも1つの重鎖可変領域と、3つのCDRを含む少なくとも1つの軽鎖可変領域とを含み、前記重鎖可変領域が、SEQ ID NO:72のアミノ酸配列を有する可変重鎖(VH)CDR1、SEQ ID NO:73のアミノ酸配列を有するVH CDR2、およびSEQ ID NO:74のアミノ酸配列を有するVH CDR3、またはそれらと実質的に相同の配列を含み、および/または前記軽鎖可変領域が、SEQ ID NO:75のアミノ酸配列を有する可変軽鎖(VL)CDR1、SEQ ID NO:76のアミノ酸配列を有するVL CDR2、およびSEQ ID NO:77のアミノ酸配列を有するVL CDR3、またはそれらと実質的に相同の配列を含み、
    前記実質的に相同の配列が、所与のCDR配列と比較して1、2、または3のアミノ酸置換を含有する配列であるか、または前記実質的に相同の配列が、所与のCDR配列の保存的アミノ酸置換を含有する配列である、請求項1~21のいずれか1項に記載の抗体。
  27. 前記抗体が3つのCDRを含む少なくとも1つの重鎖可変領域と、3つのCDRを含む少なくとも1つの軽鎖可変領域とを含み、前記重鎖可変領域が、SEQ ID NO:72のアミノ酸配列を有する可変重鎖(VH)CDR1、SEQ ID NO:73のアミノ酸配列を有するVH CDR2、およびSEQ ID NO:74のアミノ酸配列を有するVH CDR3を含み、および前記軽鎖可変領域が、SEQ ID NO:75のアミノ酸配列を有する可変軽鎖(VL)CDR1、SEQ ID NO:76のアミノ酸配列を有するVL CDR2、およびSEQ ID NO:77のアミノ酸配列を有するVL CDR3を含む、請求項1~21または請求項26のいずれか1項に記載の抗体。
  28. 前記抗体が3つのCDRを含む少なくとも1つの重鎖可変領域と、3つのCDRを含む少なくとも1つの軽鎖可変領域とを含み、
    (i)前記軽鎖可変領域がSEQ ID NO:31のアミノ酸配列もしくはそれに対する少なくとも80%の配列同一性を有する配列を有し、および/または前記重鎖可変領域がSEQ ID NO:30のアミノ酸配列もしくはそれに対する少なくとも80%の配列同一性を有する配列を有し、
    (ii)前記軽鎖可変領域がSEQ ID NO:51のアミノ酸配列もしくはそれに対する少なくとも80%の配列同一性を有する配列を有し、および/または前記重鎖可変領域がSEQ ID NO:50のアミノ酸配列もしくはそれに対する少なくとも80%の配列同一性を有する配列を有し、または
    (iii)前記軽鎖可変領域がSEQ ID NO:71のアミノ酸配列もしくはそれに対する少なくとも80%の配列同一性を有する配列を有し、および/または前記重鎖可変領域がSEQ ID NO:70のアミノ酸配列もしくはそれに対する少なくとも80%の配列同一性を有する配列を有する、請求項1~27のいずれか1項に記載の抗体。
  29. 前記抗体が3つのCDRを含む少なくとも1つの重鎖可変領域と、3つのCDRを含む少なくとも1つの軽鎖可変領域とを含み、重鎖可変領域は、SEQ ID NO:156、好ましくはSEQ ID NO:157のアミノ酸配列を有する可変重鎖(VH)CDR1、および/またはSEQ ID NO:158、好ましくはSEQ ID NO:159のアミノ酸配列を有するVH CDR2を含む、請求項1~18のいずれか1項に記載の抗体。
  30. 前記抗体が3つのCDRを含む少なくとも1つの重鎖可変領域と、3つのCDRを含む少なくとも1つの軽鎖可変領域とを含み、前記重鎖可変領域が
    (a)SEQ ID NO:156もしくは好ましくはSEQ ID NO:157のアミノ酸配列、またはそれと実質的に相同の配列を有する可変重鎖(VH)CDR1と、
    (b)SEQ ID NO:158もしくは好ましくはSEQ ID NO:159のアミノ酸配列、またはそれと実質的に相同の配列を有するVH CDR2と、
    (c)SEQ ID NO:94もしくはSEQ ID NO:114もしくはSEQ ID NO:134のアミノ酸配列、またはそれと実質的に相同の配列を有するVH CDR3とを含み;および/または
    前記軽鎖可変領域は、
    (d)SEQ ID NO:95もしくはSEQ ID NO:115もしくはSEQ ID NO:135のアミノ酸配列、またはそれと実質的に相同の配列を有する可変軽鎖(VL)CDR1と、
    (e)SEQ ID NO:96もしくはSEQ ID NO:116もしくはSEQ ID NO:136のアミノ酸配列、またはそれと実質的に相同の配列を有するVL CDR2と、
    (f)SEQ ID NO:97、SEQ ID NO:117、もしくはSEQ ID NO:137のアミノ酸配列、またはそれと実質的に相同の配列を有するVL CDR3とを含み、
    前記実質的に相同の配列が、所与のCDR配列と比較して1、2、または3のアミノ酸置換を含有する配列であるか、または前記実質的に相同の配列が、所与のCDR配列の保存的アミノ酸置換を含有する配列である、請求項1~18または請求項29のいずれか1項に記載の抗体。
  31. 前記抗体が3つのCDRを含む少なくとも1つの重鎖可変領域と、3つのCDRを含む少なくとも1つの軽鎖可変領域とを含み、軽鎖可変領域がSEQ ID NO:96のアミノ酸配列またはそれと実質的に相同の配列を有する可変軽鎖(VL)CDR2を含み、
    前記実質的に相同の配列が、所与のCDR配列と比較して1、2、または3のアミノ酸置換を含有する配列であるか、または前記実質的に相同の配列が、所与のCDR配列の保存的アミノ酸置換を含有する配列である、請求項1~18、29、または30のいずれか1項に記載の抗体。
  32. 前記抗体が3つのCDRを含む少なくとも1つの重鎖可変領域と、3つのCDRを含む少なくとも1つの軽鎖可変領域とを含み、前記重鎖可変領域が、SEQ ID NO:92のアミノ酸配列を有する可変重鎖(VH)CDR1、SEQ ID NO:93のアミノ酸配列を有するVH CDR2、およびSEQ ID NO:94のアミノ酸配列を有するVH CDR3、またはそれらと実質的に相同の配列を含み、および/または前記軽鎖可変領域が、SEQ ID NO:95のアミノ酸配列を有する可変軽鎖(VL)CDR1、SEQ ID NO:96のアミノ酸配列を有するVL CDR2、およびSEQ ID NO:97のアミノ酸配列を有するVL CDR3、またはそれらと実質的に相同の配列を含み、
    前記実質的に相同の配列が、所与のCDR配列と比較して1、2、または3のアミノ酸置換を含有する配列であるか、または前記実質的に相同の配列が、所与のCDR配列の保存的アミノ酸置換を含有する配列である、請求項1~18、29、30、または31のいずれか1項に記載の抗体。
  33. 前記抗体が3つのCDRを含む少なくとも1つの重鎖可変領域と、3つのCDRを含む少なくとも1つの軽鎖可変領域とを含み、前記重鎖可変領域が、SEQ ID NO:92のアミノ酸配列を有する可変重鎖(VH)CDR1、SEQ ID NO:93のアミノ酸配列を有するVH CDR2、およびSEQ ID NO:94のアミノ酸配列を有するVH CDR3を含み、および前記軽鎖可変領域が、SEQ ID NO:95のアミノ酸配列を有する可変軽鎖(VL)CDR1、SEQ ID NO:96のアミノ酸配列を有するVL CDR2、およびSEQ ID NO:97のアミノ酸配列を有するVL CDR3を含む、請求項1~18、29、30、31、または32のいずれか1項に記載の抗体。
  34. 前記抗体が3つのCDRを含む少なくとも1つの重鎖可変領域と、3つのCDRを含む少なくとも1つの軽鎖可変領域とを含み、前記重鎖可変領域が、SEQ ID NO:112のアミノ酸配列を有する可変重鎖(VH)CDR1、SEQ ID NO:113のアミノ酸配列を有するVH CDR2、およびSEQ ID NO:114のアミノ酸配列を有するVH CDR3、またはそれらと実質的に相同の配列を含み、および/または前記軽鎖可変領域が、SEQ ID NO:115のアミノ酸配列を有する可変軽鎖(VL)CDR1、SEQ ID NO:116のアミノ酸配列を有するVL CDR2、およびSEQ ID NO:117のアミノ酸配列を有するVL CDR3、またはそれらと実質的に相同の配列を含み、
    前記実質的に相同の配列が、所与のCDR配列と比較して1、2、または3のアミノ酸置換を含有する配列であるか、または前記実質的に相同の配列が、所与のCDR配列の保存的アミノ酸置換を含有する配列である、請求項1~18、29、30、または31のいずれか1項に記載の抗体。
  35. 前記抗体が3つのCDRを含む少なくとも1つの重鎖可変領域と、3つのCDRを含む少なくとも1つの軽鎖可変領域とを含み、前記重鎖可変領域が、SEQ ID NO:112のアミノ酸配列を有する可変重鎖(VH)CDR1、SEQ ID NO:113のアミノ酸配列を有するVH CDR2、およびSEQ ID NO:114のアミノ酸配列を有するVH CDR3を含み、および前記軽鎖可変領域が、SEQ ID NO:115のアミノ酸配列を有する可変軽鎖(VL)CDR1、SEQ ID NO:116のアミノ酸配列を有するVL CDR2、およびSEQ ID NO:117のアミノ酸配列を有するVL CDR3を含む、請求項1~18、29、30、31、または34のいずれか1項に記載の抗体。
  36. 前記抗体が3つのCDRを含む少なくとも1つの重鎖可変領域と、3つのCDRを含む少なくとも1つの軽鎖可変領域とを含み、前記重鎖可変領域が、SEQ ID NO:132のアミノ酸配列を有する可変重鎖(VH)CDR1、SEQ ID NO:133のアミノ酸配列を有するVH CDR2、およびSEQ ID NO:134のアミノ酸配列を有するVH CDR3、またはそれらと実質的に相同の配列を含み、および/または前記軽鎖可変領域が、SEQ ID NO:135のアミノ酸配列を有する可変軽鎖(VL)CDR1、SEQ ID NO:136のアミノ酸配列を有するVL CDR2、およびSEQ ID NO:137のアミノ酸配列を有するVL CDR3、またはそれらと実質的に相同の配列を含み、
    前記実質的に相同の配列が、所与のCDR配列と比較して1、2、または3のアミノ酸置換を含有する配列であるか、または前記実質的に相同の配列が、所与のCDR配列の保存的アミノ酸置換を含有する配列である、請求項1~18、29、または30のいずれか1項に記載の抗体。
  37. 前記抗体が3つのCDRを含む少なくとも1つの重鎖可変領域と、3つのCDRを含む少なくとも1つの軽鎖可変領域とを含み、前記重鎖可変領域が、SEQ ID NO:132のアミノ酸配列を有する可変重鎖(VH)CDR1、SEQ ID NO:133のアミノ酸配列を有するVH CDR2、およびSEQ ID NO:134のアミノ酸配列を有するVH CDR3を含み、および前記軽鎖可変領域が、SEQ ID NO:135のアミノ酸配列を有する可変軽鎖(VL)CDR1、SEQ ID NO:136のアミノ酸配列を有するVL CDR2、およびSEQ ID NO:137のアミノ酸配列を有するVL CDR3を含む、請求項1~18、29、30、または36のいずれか1項に記載の抗体。
  38. 前記抗体が、請求項30または32~37のいずれか1項においてともに定義されるアミノ酸配列を有するVL CDR1、VL CDR2、VL CDR3、およびVH CDR3を含む、請求項29に記載の抗体。
  39. 前記抗体が3つのCDRを含む少なくとも1つの重鎖可変領域と、3つのCDRを含む少なくとも1つの軽鎖可変領域とを含み、
    (i)前記軽鎖可変領域がSEQ ID NO:91のアミノ酸配列もしくはそれに対する少なくとも80%の配列同一性を有する配列を有し、および/または前記重鎖可変領域がSEQ ID NO:90のアミノ酸配列もしくはそれに対する少なくとも80%の配列同一性を有する配列を有し、
    (ii)前記軽鎖可変領域がSEQ ID NO:111のアミノ酸配列もしくはそれに対する少なくとも80%の配列同一性を有する配列を有し、および/または前記重鎖可変領域がSEQ ID NO:110のアミノ酸配列もしくはそれに対する少なくとも80%の配列同一性を有する配列を有し、または
    (iii)前記軽鎖可変領域がSEQ ID NO:131のアミノ酸配列もしくはそれに対する少なくとも80%の配列同一性を有する配列を有し、および/または前記重鎖可変領域がSEQ ID NO:130のアミノ酸配列もしくはそれに対する少なくとも80%の配列同一性を有する配列を有する、請求項1~18または29~38のいずれか1項に記載の抗体。
  40. 前記抗体がモノクローナル抗体またはポリクローナル抗体である、請求項1~39のいずれか1項に記載の抗体。
  41. 前記抗体がモノクローナル抗体である、請求項1~40のいずれか1項に記載の抗体。
  42. 前記抗体が抗体定常領域を含む全抗体である、請求項1~41のいずれか1項に記載の抗体。
  43. 前記抗体がIgG抗体である、請求項1~42のいずれか1項に記載の抗体。
  44. 前記抗体が抗体の抗原結合フラグメントである、請求項1~41のいずれか1項に記載の抗体。
  45. 活性の前記阻害がGTPアーゼ活性の阻害であり、および/または活性の前記阻害が前記KRASの発癌性変異型を発現する細胞におけるERKリン酸化の前記阻害によって特徴付けられ、および/または活性の前記阻害が前記KRASの発癌性変異型を発現する細胞におけるアポトーシスの増加によって特徴付けられ、および/または活性の前記阻害が前記KRASの発癌性変異型を発現する細胞におけるネクローシスの増加によって特徴付けられる、請求項1~44のいずれか1項に記載の抗体。
  46. 請求項1~45のいずれか1項に記載の抗体と、希釈剤、担体、または賦形剤、好ましくは薬学的に許容される希釈剤、担体、または賦形剤とを含む、組成物。
  47. 請求項1~45のいずれか1項に記載の抗体をコードするヌクレオチド配列を含む核酸分子、または各々がヌクレオチド配列を含む核酸分子のセットであって、前記核酸分子のセットが一緒に請求項1~45のいずれか1項に記載の抗体をコードする、核酸分子または核酸分子のセット。
  48. 請求項1~45のいずれか1項に記載の抗体を産生する方法であって、
    (i)(i)請求項1~45のいずれか1項に記載の抗体をコードする1つ以上の核酸分子、または(ii)各々がヌクレオチド配列を含む核酸分子のセットであって、前記核酸分子のセットが一緒に請求項1~45のいずれか1項に記載の抗体をコードする、核酸分子のセット、または(iii)前記核酸分子のうちの1つ以上を含む1つ以上の組み換え発現ベクターを含む宿主細胞を、前記コードされた抗体の発現に好適な条件下で培養するステップと、
    (ii)前記宿主細胞または増殖培地/上清から前記抗体を単離または取得するステップとを含む、方法。
  49. 治療に使用するための、請求項1~45のいずれか1項において定義される抗体。
  50. 癌の処置に使用するための、請求項1~45のいずれか1項において定義される抗体。
  51. 癌を処置する方法であって、前記方法が、請求項1~45のいずれか1項において定義される抗体の治療的に有効な量を必要な患者に投与することを含む、方法。
  52. 治療に使用するための薬物の製造における、請求項1~45のいずれか1項において定義される抗体の使用。
  53. 前記治療が癌の処置である、請求項52に記載の使用。
  54. 単離ペプチドであって、前記単離ペプチドが請求項9~17のいずれか1項において定義されるものである、単離ペプチド。
  55. 請求項9~17のいずれか1項において定義される単離ペプチドと、ペプチド担体とを含むコンジュゲートであって、好ましくは前記ペプチド担体がキーホールリンペットヘモシアニン(KLH)である、コンジュゲート。
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