JP2023509949A - 洗浄剤組成物、硬質表面用洗浄シート及び硬質表面洗浄方法 - Google Patents

Abstract

本発明は、以下の成分（Ａ）～（Ｄ）：成分（Ａ）：ポリエチレングリコール脂肪酸グリセリド；成分（Ｂ）：水；成分（Ｃ）：（Ａ）以外の炭素数が８～１８のアルキル基またはアルケニル基を有する界面活性剤；及び成分（Ｄ）：（Ｄ１）有機酸またはその塩と（Ｄ２）無機塩中から選ばれる１種または２種以上、を含む洗浄剤組成物に関するものであり、前記洗浄剤組成物において、成分（Ａ）の含有量が０．３５質量％以上且５質量％以下であり、成分（Ｄ１）の含有量を酸として計算し、成分（Ｄ２）の含有量を塩として計算して、成分（Ｄ）の含有量が０．００５質量％以上且つ０．４質量％以下であり、成分（Ａ）と成分（Ｃ）の合計含有量（Ａ）＋（Ｃ）が１０質量％以下であり、本発明の洗浄剤組成物は、油汚れに対して高い洗浄力を有し、硬質表面を清掃した後の白い残留が少ないという効果を有する。
【選択図】なし

Description

本発明は、洗浄剤組成物、硬質表面用洗浄シート及び硬質表面洗浄方法に関するものである。

我々を取り巻く住環境設備には、タイル、プラスチック、金属等を材料とした各種硬質表面が存在し、これら硬質表面は生活場面に於いて様々な汚れが付着する環境に晒されている。なかでも、浴室、台所等として用いられる硬質表面は、日常的に人が接する表面でもあるために、多くの汚れが残留して蓄積し易く、更には洗浄除去し難い性質を有するものとなっている。

特許文献１には、洗浄と消毒作用を有する液体を不織布の表面に均一に含浸させてなる台所の洗浄や消毒専用のウェットティッシュが開示されており、洗浄・消毒作用を有する該液体は、α－アルケニルスルホン酸ナトリウム、脂肪酸ポリオキシエチレンナトリウムエーテル、Ｃ_１２脂肪アルコールポリオキシエチレン（９）エーテル、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム、クエン酸、クエン酸ナトリウム、１，２－プロピレングリコールなどを含有し、頑固な変質汚れに対する優れた洗浄力を有することが記載されている。

（特許文献１）ＣＮ１０３３４０５８４

本発明は、例えば硬質表面の洗浄に適する、油汚れに対する洗浄力が高く、且つ洗浄後の白い残留が少ない洗浄剤組成物を提供する。

本発明者は、洗浄有効成分として、特定のポリオキシエチレン脂肪酸グリセリドと、特定の界面活性剤と、特定の酸及び/又は塩とを併用することにより、洗浄剤組成物の疎水性を高め、使う時に洗浄剤組成物中の洗浄有効成分が汚れに吸着しやすくなり、油汚れに対する洗浄力を向上させ、洗浄有効成分或いは洗浄補助成分が少ない量で高い洗浄率が達成できる同時に、洗浄剤組成物で硬質表面を清掃して拭いた後に、拭き跡としての白い残留を著しく減らすことができることを見出した。

ここで、本明細書において、「白い残留」とは、洗浄剤組成物を硬質表面に用いて清掃した後、特に硬質表面を拭いた後、硬質表面上の水、エタノールなどの揮発物が揮発した後に硬質表面に残された白い物質を指すものである。

本発明は、以下の成分（Ａ）～（Ｄ）：
成分（Ａ）：オキシエチレン基の平均付加モル数が１０モル以下であり、炭素数１２以下の直鎖又は分岐鎖の飽和若しくは不飽和の脂肪アシル基を有するポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、
成分（Ｂ）：水、
成分（Ｃ）：（Ａ）以外の炭素数８～１８のアルキル基またはアルケニル基を有する界面活性剤、及び
成分（Ｄ）：下記成分（Ｄ１）と成分（Ｄ２）から選ばれる１種または２種以上、
成分（Ｄ１）：有機酸またはその塩、
成分（Ｄ２）：無機塩、
を含有し、
洗浄剤組成物において、成分（Ａ）の含有量が０．３５質量％以上且つ５質量％以下であり、
成分（Ｄ１）の含有量が酸として計算され、成分（Ｄ２）の含有量が塩として計算される場合、成分（Ｄ）の含有量が０．００５質量％以上且つ０．４質量％以下であり、
成分（Ａ）と成分（Ｃ）の合計含有量（Ａ）＋（Ｃ）が１０質量％以下である、洗浄剤組成物に関する。

また、本発明は、本発明の洗浄剤組成物を含む、硬質表面用洗浄シートに関する。

さらに、本発明は、本発明の洗浄剤組成物を硬質表面に応用して洗浄を行う硬質表面洗浄方法に関する。

本発明によれば、本発明の洗浄剤組成物は、油汚れに対して高い洗浄力を有し、硬質表面に使用した後に白い残留が少ない効果を有する。本発明の洗浄剤組成物は、様々な硬質表面に適用できる。

なお、本明細書において、「白い残留」とは、洗浄剤組成物を硬質表面に用いて洗浄した後、特に硬質表面を拭いた後、硬質表面上の水、エタノールなどの揮発分が揮発した後に残留硬質表面に残された白い物質を指すものである。

発明の詳細な説明

[洗浄剤組成物]
本発明の洗浄剤組成物は、成分（Ａ）、成分（Ｂ）、成分（Ｃ）及び成分（Ｄ）を含有する洗浄剤組成物である。

＜成分（Ａ）＞
本発明の成分（Ａ）は、オキシエチレン基の平均付加モル数が１０モル以下、及び炭素数１２以下の直鎖又は分岐鎖の飽和若しくは不飽和の脂肪アシル基を有するポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステルである。成分（Ａ）は、洗浄有効成分である。

成分（Ａ）は脂肪アシル基を、１個以上３個以下含むことができる。成分（Ａ）の脂肪酸エステルの由来となる脂肪酸の炭素数は、洗浄力を高める観点から、好ましくは８以上１２以下であり、より好ましくは８以上１０以下である。脂肪酸の具体例として、各種のオクタン酸（例えば、２－エチルヘキサン酸も含む）、各種のノナン酸、各種のデカン酸、各種のウンデカン酸及び各種のドデカン酸から選ばれる１種以上の脂肪酸が挙げられる。

本発明において、「各種」とは、オルト、第２級、第３級、イソを含む様々な異性体を意味する。例えば、「各種のオクタン酸」とは、直鎖のｎ－オクタン酸だけでなく、様々な異性体の炭素数８の脂肪酸をも含む。

オキシエチレン基の平均付加モル数は、洗浄力を高める観点から、０を越えることが好ましく、４以上がより好ましく、６以上が更に好ましく、そして安定性の観点から９以下が好ましく、８以下がより好ましい。

成分（Ａ）の好ましい具体的な例としては、ポリオキシエチレングリセリン（オクタン酸／カプリン酸）エステル（オキシエチレン基の平均付加モル数は６モル）、及びポリオキシエチレングリセリンラウリン酸エステル（オキシエチレン基の平均付加モル数は８モル）が挙げられる。

本発明の洗浄剤組成物において、成分（Ａ）は、上記ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステルから１種を選択して使用するか、２種を選択して組み合わせて使用することができる。本発明の洗浄剤組成物において、洗浄力を高める観点から、成分（Ａ）の含有量は０．３５質量％以上、好ましくは０．４質量％以上、より好ましくは０．５質量％以上、さらに好ましくは０．７質量％以上、さらにより好ましくは０．８質量％以上、特に好ましくは１質量％以上であり、そして、５質量％以下、好ましくは２．６質量％以下、より好ましくは１．３質量％以下、更により好ましくは１．１質量％以下である。また、白い残留を低減する観点から、成分（Ａ）の含有量は５質量％以下、好ましくは２．６質量％以下、より好ましくは１．６質量％以下である。

＜成分（Ｂ）＞
本発明の洗浄剤組成物の成分（Ｂ）は水である。即ち、上記成分（Ａ）、及び下記成分（Ｃ）、成分（Ｄ）及び他の成分以外の残り部分は成分（Ｂ）の水である。

本発明の洗浄剤組成物において、成分（Ｂ）の含有量は、８５質量％以上、好ましくは９０質量％以上、より好ましくは９５質量％以上、さらに好ましくは９６質量％以上であり、そして、９９質量％以下、好ましくは９８質量％以下である。

水としては、好ましくはイオン交換水、滅菌したイオン交換水等を使用する。

＜成分（Ｃ）＞
本発明の成分（Ｃ）は成分（Ａ）以外の炭素数が８～１８のアルキル基またはアルケニル基を有する界面活性剤である。成分（Ｃ）を成分（Ａ）と組み合わせて使用した後、組成物中の成分（Ａ）の溶解度を高め、沈殿を防ぐことができるため、成分（Ａ）の洗浄性能の発現が促進される。成分（Ｃ）の界面活性剤としては、特に限定されず、洗浄剤の分野で広く用いられている界面活性剤を用いることができ、具体的には、（Ｃ１）非イオン界面活性剤、（Ｃ２）両性界面活性剤、及び（Ｃ３）カチオン性界面活性剤から選ばれる１種または２種以上が挙げられる。

＜（Ｃ１）非イオン界面活性剤＞
（Ｃ１）非イオン界面活性剤は、好ましくは、アルキルグリコシド、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、またはポリオキシエチレンアルケニルエーテルからなる群から選択される１つ以上の非イオン性界面活性剤である。これらのうち、好ましくはアルキルグリコシドである。

アルキルグリコシドの好ましい具体的な例としては、下記一般式（１）で表される非イオン界面活性剤が挙げられる。
Ｒ^１ａ（ＯＲ^２ａ）_ｓＧ_ｔ （１）
（式中、Ｒ^１ａは、直鎖または分岐鎖の炭素数８以上且つ１８以下、好ましくは１２以上且つ１４以下のアルキル基またはアルケニル基、Ｒ^２ａは，炭素数２以上且つ４以下のアルキレン基、Ｇは、炭素数５または６の、還元糖からの残基であり、ｓは平均付加モル数を表し、０以上且つ５以下の数であり、ｔは、その平均値が１以上且つ５以下の数を表す。）

一般式（１）において、その入手容易性及びコストの観点から、Ｇは、ブドウ糖と果糖から選ばれる１種以上の単糖類の残基が挙げられる。また、Ｇは、マルトースとスクロースから選ばれる１種以上の多糖類の残基が挙げられる。Ｇは、好ましくはブドウ糖からの単糖類の残基である。

また、ポリオキシエチレンアルキルエーテルまたはポリオキシエチレンアルケニルエーテルとしては、油汚れに対する洗浄力の観点から、アルキル基またはアルケニル基の炭素数は８～１８が好ましく、エチレンオキサイドの付加モル数は、好ましくは１～３０モルであり、その好ましい具体例としては、ポリオキシエチレンヘキシルデシルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテルなどが挙げられる。

＜（Ｃ２）両性界面活性剤＞
（Ｃ２）両性界面活性剤は、アミンオキシド及びベタインからなる群より選択される１種以上の両性界面活性剤であることが好ましく、中でもアミンオキシドが好ましい。

アミンオキシドの好ましい具体的な例としては、
（１）オクチルジメチルアミンオキシド、デシルジメチルアミンオキシド、ラウリルジメチルアミンオキシド、ミリスチルジメチルアミンオキシド、パルミチルジメチルアミンオキシド、ステアリルジメチルアミンオキシドなどのアルキル（炭素数８以上且つ１８以下）ジアルキル（炭素数１以上且つ３以下）アミンオキシド、
（２）ラウリン酸アミドプロピルジメチルアミンオキシド、ミリスチン酸アミドプロピルジメチルアミンオキシド、パーム油由来脂肪酸アミドプロピルジメチルアミンオキシド、ステアラミドプロピルジメチルアミンオキシド等の脂肪酸（炭素数８以上且つ１８以下）アミドプロピルジアルキル（炭素数１以上且つ３以下）アミンオキシドが挙げられる。

そのうち、配合安定性の観点から、より好ましくは（１）アルキル（炭素数８以上且１８以下）ジアルキル（炭素数１以上且３以下）アミンオキシドである。

また、ベタインとしては、炭素数８以上、１８以下のアルキル基又はアルケニル基を有するカルボベタイン、アミドベタイン、スルホベタイン、アミドスルホベタイン、イミダゾリニウムベタイン、又はホスホベタインが挙げられる。

＜（Ｃ３）カチオン性界面活性剤＞
（Ｃ３）カチオン性界面活性剤は、好ましくはモノ又はジ長鎖アルキル型第４級アンモニウム塩である。（Ｃ）成分としては、下記一般式（２）で表される化合物及び一般式（３）で表される化合物から選ばれるカチオン性界面活性剤が好ましい。

（一般式（２）中、Ｒ^１ｂ及びＲ^２ｂから選ばれる少なくとも一つは、炭素数８以上１８以下のアルキル基、炭素数８以上１８以下のアルケニル基又は炭素数８以上１８以下のヒドロキシアルキル基を示し、残余は、炭素数１以上３以下のアルキル基、炭素数１以上３以下のヒドロキシアルキル基又は平均付加モル数１０以下のポリオキシエチレン基を示し、Ｒ^３ｂ及びＲ^４ｂは、同一又は異なって、それぞれ、炭素数１以上３以下のアルキル基、炭素数１以上３以下のヒドロキシアルキル基又は平均付加モル数１０以下のポリオキシエチレン基を示し、Ｙ^－はハロゲンイオン、又は炭素数１以上５以下のスルホン酸イオンもしくは炭素数１以上５以下の硫酸イオンのアニオン残基を示す。）

（式（３）中、Ｒ^５ｂは、炭素数８以上１８以下のアルキル基、炭素数８以上１８以下のアルケニル基又は炭素数８以上１８以下のヒドロキシアルキル基を示し、Ｒ^６ｂ、Ｒ^７ｂは、同一又は異なって、それぞれ、炭素数１以上３以下のアルキル基、炭素数１以上３以下のヒドロキシアルキル基又は平均付加モル数１０以下のポリオキシエチレン基を示し、Ｒ^８ｂは、炭素数１以上、３以下のアルキレン基を示す。Ｚ^－はハロゲンイオン、又は炭素数１以上、５以下のアルキルスルホン酸イオンもしくは炭素数１以上５以下の硫酸イオンのアニオン残基を示す。）

モノ長鎖アルキル型第４級アンモニウム塩である場合、一般式（２）において、好ましくは、Ｒ^１ｂは、炭素数８以上１６以下のアルキル基、アルケニル基又はヒドロキシアルキル基であり、Ｒ^２ｂ、Ｒ^３ｂ及びＲ^４ｂは、同一又は異なって、それぞれ、炭素数１以上３以下のアルキル基、ヒドロキシアルキル基又は平均付加モル数１０以下のポリオキシエチレン基である。

ジ長鎖アルキル型第４級アンモニウム塩である場合、一般式（２）において、好ましくは、Ｒ^１ｂ及びＲ^２ｂは、同一又は異なって、それぞれ、炭素数８以上１６以下のアルキル基、アルケニル基又はヒドロキシアルキル基であり、Ｒ^３ｂ及びＲ^４ｂは、同一又は異なって、それぞれ、炭素数１以上３以下のアルキル基、ヒドロキシアルキル基又は平均付加モル数１０以下のポリオキシエチレン基である。

一般式（３）において、Ｒ^５ｂは、炭素数１２以上１６以下の直鎖アルキル基が好ましく、Ｒ^６ｂ、Ｒ^７ｂは、それぞれ、メチル基が好ましく、Ｒ^８ｂはメチレン基が好ましく、Ｚ^－はハロゲンイオン、更に塩化物イオン（Ｃｌ^－）が好ましい。

カチオン性界面活性剤としては、好ましくは上記一般式（３）で表される化合物中のカチオン性界面活性剤である。

本発明の洗浄剤組成物において、成分（Ｃ）としては、上記（Ｃ１）非イオン界面活性剤、（Ｃ２）両性界面活性剤、及（Ｃ３）カチオン性界面活性剤から１種を選択して使用するか、２種以上を選択して組み合わせて使用することができる。本発明の洗浄剤組成物において、洗浄力を向上する観点から、成分（Ｃ）の含有量は、０．０２質量％以上、好ましくは０．０３質量％以上であり、そして、白い残留を低減する観点から、５質量％以下、好ましくは３質量％以下、より好ましくは１質量％以下、さらに好ましくは０．２質量％以下、特に好ましくは０．１質量％以下である。

さらに、洗浄力の向上と白い残留の低減を兼ねる観点から、成分（Ａ）と成分（Ｃ）の合計含有量（（Ａ）＋（Ｃ））は、１０質量％以下、好ましくは３質量％以下、より好ましくは２質量％以下、より好ましくは１．８質量％以下、更に好ましくは１．５質量％以下、且つ、好ましくは０．５質量％以上、より好ましくは０．８質量％以上、さらにより好ましくは１質量％以上である。

また、十分な洗浄力を得るためには、成分（Ａ）ポリオキシエチレングリセロール脂肪酸エステルと成分（Ｃ）である成分（Ａ）以外の炭素数８～１８のアルキル基又はアルケニル基を有する界面活性剤との質量比（Ａ）／（Ｃ）は、７０以下、好ましくは６０以下、より好ましくは２０以下、より好ましくは１０以下、さらに好ましくは８以下、特に好ましくは７以下であり、そして、２以上、好ましくは３以上、より好ましくは４以上、更に好ましくは５以上である。

＜成分（Ｄ）＞
本発明の成分（Ｄ）は、下記成分（Ｄ１）及び成分（Ｄ２）から選ばれる１種または２種以上であり、そのうち、成分（Ｄ１）は有機酸またはその塩、成分（Ｄ２）は無機塩である。

成分（Ｄ１）の有機酸としては、具体的には酢酸、乳酸、リンゴ酸、クエン酸、コハク酸、アジピン酸、エチレンジアミン四酢酸、エチレングリコールビス（２－アミノエチルエーテル）四酢酸、安息香酸などが挙げられる。

成分（Ｄ１）の有機塩としては、上記有機酸とアルカリ金属、アルカリ土類金属、またはアルミニウムとからなる塩などが挙げられ、具体的に言えば、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、乳酸ナトリウム、乳酸カリウム、乳酸アルミニウム、リンゴ酸ナトリウム、リンゴ酸カリウム、クエン酸ナトリウム、クエン酸カリウム、コハク酸ナトリウム、コハク酸カリウム、エチレンジアミン四酢酸ナトリウム、エチレンジアミン四酢酸カリウム、エチレングリコールビス（２－アミノエチルエーテル）四酢酸ナトリウム、エチレングリコールビス（２－アミノエチルエーテル）四酢酸カリウム、安息香酸ナトリウム、安息香酸カリウムなどが挙げられる。

有機酸及びその塩は、１種を使用するか、２種以上を組み合わせて使用することができる。安定性、洗浄力を向上する観点から、クエン酸、クエン酸一ナトリウム、クエン酸二ナトリウム、クエン酸三ナトリウム、クエン酸一カリウム、クエン酸二カリウム、クエン酸三カリウム、エチレンジアミン四酢酸、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム、エチレンジアミン四酢酸三ナトリウム、エチレンジアミン四酢酸二カリウム、エチレンジアミン四酢酸三カリウム、エチレングリコールビス（２－アミノエチルエーテル）四酢酸、エチレングリコールビス（２－アミノエチルエーテル）四酢酸二ナトリウム、エチレングリコールビス（２－アミノエチルエーテル）四酢酸三ナトリウム、エチレングリコールビス（２－アミノエチルエーテル）四酢酸二カリウム、エチレングリコールビス（２－アミノエチルエーテル）四酢酸三カリウム、安息香酸ナトリウム、安息香酸カリウムなどが好ましく、なかでも、クエン酸、クエン酸一ナトリウム、クエン酸二ナトリウム、クエン酸三ナトリウム、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム、エチレンジアミン四酢酸三ナトリウムが好ましく、クエン酸、クエン酸二ナトリウム、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウムがより好ましい。

成分（Ｄ２）の無機塩としては、塩酸、硫酸、ケイ酸、炭酸から選ばれる無機酸とアルカリ金属、アルカリ土類金属、またはアルミニウムとからなる塩などが挙げられ、具体的に言えば、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化マグネシウム、塩化カルシウム、塩化アルミニウム、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、硫酸マグネシウム、硫酸アルミニウム、ケイ酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、重炭酸ナトリウム、重炭酸カリウム等が挙げられる。これらの無機酸及びその塩は、１種を使用するか、２種以上を組み合わせて使用することができる。安定性、洗浄力を向上する観点から、塩化カルシウム、硫酸マグネシウム、または塩化アルミニウムが好ましい。

本発明の洗浄剤組成物において、成分（Ｄ）は、上記成分（Ｄ１）有機酸またはその塩、上記成分（Ｄ２）無機塩から１種を選択して使用するか、２種以上を選択して組み合わせて使用することができ、そのうち、（Ｄ１）有機酸またはその塩から選ばれる１種または２種以上が好ましい。

本発明の洗浄剤組成物において、成分（Ｄ）が成分（Ｄ１）である場合、洗浄力を向上する観点から、成分（Ｄ１）の含有量は、酸として計算して０．００５質量％以上、より好ましくは０．００７質量％以上、好ましくは０．０１質量％以上、より好ましくは０．０３質量％以上であり、そして、洗浄力の向上と白い残留の低減を兼ねる観点から、０．４質量％以下、好ましくは０．３質量％以下、より好ましくは０．２質量％以下である。

本発明の洗浄剤組成物において、成分（Ｄ）が成分（Ｄ２）である場合、洗浄力を向上する観点から、成分（Ｄ２）の含有量は、塩として計算して０．００５質量％以上、そして、白い残留を低減する観点から、０．４質量％以下、好ましくは０．３質量％以下、より好ましくは０．２質量％以下である。

本発明の洗浄剤組成物において、成分（Ｄ）が成分（Ｄ１）と成分（Ｄ２）の組合せである場合、洗浄力を向上する観点から、成分（Ｄ１）の含有量を酸として計算し、成分（Ｄ２）の含有量を塩として計算する場合、成分（Ｄ）の含有量は０．００５質量％以上、より好ましくは０．００７質量％以上、好ましくは０．０１質量％以上、より好ましくは０．０３質量％以上であり、そして、洗浄力の向上と白い残留の低減を兼ねる観点から、０．４質量％以下、好ましくは０．３質量％以下、より好ましくは０．２質量％以下である。

＜他の成分＞
本発明の洗浄剤組成物には、上記成分以外にも、本発明の目的又は効果を損なわない範囲の他の成分,例えば、イソプロパノールなどの低級アルコール、ジエチレングリコールモノブチルエーテルなどの溶媒、粘土鉱物や水溶性高分子化合物などの粘度調整剤、グリセリンやソルビトールなどの保湿剤、カチオン化セルロースなどの触感改善剤、酵素、顔料、香料、防腐剤、防カビ剤などを配合することができる。

本発明の洗浄剤組成物は、各成分を適宜混合することによって製造することができる。

［硬質表面用洗浄シート］
本発明は、本発明の洗浄剤組成物を含有する硬質表面用洗浄シートを提供する。本発明の硬質表面用洗浄シートは、本発明の洗浄剤組成物と基体とから構成される

本発明に用いられる基体としては、可撓性を有し、洗浄剤組成物が含浸可能なものであり、十分な強度を有し、くず等の発生の無いものが用いられる。

このような基体としては、繊維状材料から構成される繊維構造体、例えば、各種ペーパータオル、不織布、織布若しくは編布が挙げられる。これらの繊維構造体を構成する繊維状材料としては、例えば、セルロース系繊維、変性セルロース系繊維、合成繊維及びこれらの二種以上の混合物等が挙げられる。また、樹脂中に気泡を分散させて得られる多孔質構造体（例えば、スポンジ状構造体）も上記基体として使用できる。

また、洗浄剤組成物の保持性の観点から、上記基体の坪量は、好ましくは３０ｇ／ｍ^２以上、より好ましくは４０ｇ／ｍ^２以上、更に好ましくは５０ｇ／ｍ^２以上であり、そして、好ましくは２００ｇ／ｍ^２以下、より好ましくは１５０ｇ／ｍ^２以下である。

また、本発明の硬質表面用洗浄シートとしては、基体に予め本発明の洗浄剤組成物を含浸させてなるもの、あるいは乾燥した基体に本発明の洗浄剤組成物を使用直前に含浸させてなるもの、の何れでもよい。また、含浸は、噴霧や押し出し、滴下により本発明の洗浄剤組成物を基体に添加する方法や、基体を本発明の洗浄剤組成物に浸す方法により実現できる。

基体に予め本発明の洗浄剤組成物を含浸させてなる硬質表面用洗浄シートの場合、白い残留を低減し、洗浄力を向上する観点から、基体の質量に対する洗浄シート中の洗浄剤組成物の質量割合（即ち、（洗浄剤組成物の質量／未含浸状態（乾燥状態）の基体の質量）×１００）は、好ましくは１００質量％以上、より好ましくは１５０質量％以上であり、そして、好ましくは９００質量％以下、より好ましくは４００質量％以下、さらに好ましくは３５０質量％以下である。含浸率が１００質量％以上であれば、洗浄力を十分に向上することができ、９００質量％以下であれば、白い残留を効果的に低減することができる。

また、洗浄剤組成物の保持性の観点から、硬質表面用洗浄剤組成物の含浸前の坪量は、好ましくは３０ｇ／ｍ^２以上、より好ましくは４０ｇ／ｍ^２以上、更に好ましくは５０ｇ／ｍ^２以上であり、そして、好ましくは２００ｇ／ｍ^２以下、より好ましくは１５０ｇ／ｍ^２以下である。

乾燥した基体に本発明の洗浄剤組成物を使用直前に含浸させてなる洗浄シートの場合、白い残留を低減し、洗浄力を向上する観点から、含浸率は、必要に応じて調整することができ、即ち、必要に応じて洗浄剤組成物の量を調節して洗浄剤組成物を基体に含浸させることにより、本発明の硬質表面用洗浄シートが構成される。

［硬質表面洗浄方法］
本発明は、本発明の洗浄剤組成物を硬質表面に適用した後に拭き取る、硬質表面洗浄方法を提供する。

本発明の拭き取る可能な硬質表面は、特に制限はなく、ガラス、陶器、磁器、プラスチック、ステンレスから選ばれる１種または２種以上の固体の硬質表面が挙げられる。なお、前記「硬質表面」は、二次元または三次元の表面に限定されるものではなく、一定の形状を維持できる表面のことであり、洗浄できる限り、その硬度の程度は限定されない。

本発明の対象は硬質表面であり、具体的には、硬質表面を有する物品である。硬質表面を有する物品としては、コンロ、レンジフード、壁、作業台、キャビネット、電子レンジ、冷蔵庫の内部、ドアフレーム、ドアハンドル、ダイニングテーブル、床、棚、窓、家具、鏡、ドア、リモコン、トイレ、便座、洗面台、浴槽、台所の流し、窓ガラス、蛇口、子供用製品（ハイチェア、おもちゃ、ゲームパッド）などが挙げられる。

本発明の洗浄剤組成物を硬質表面に適用して拭き取る洗浄方法としては、次の（ｉ）～（ｉｉ）の方法が挙げられる。
（ｉ）本発明の洗浄剤組成物を硬質表面に噴霧又は塗布して拭き取る洗浄方法
（ｉｉ）本発明の洗浄剤組成物を含有する硬質表面用洗浄シートを用いて硬質表面を拭き取る洗浄方法

前記（ｉ）の方法において、本発明の洗浄剤組成物を硬質表面に噴霧又は塗布する方法は、硬質表面の広さ（面積）等に応じて適宜選択できる。本発明の洗浄剤組成物を噴霧器などで硬質表面に噴霧したり、本発明の洗浄剤組成物を、硬質表面に、スプレー、スクイズボトルなどの吐出容器から排出させたり、または本発明の洗浄剤組成物をドロッパーで硬質表面に滴下したりした後にスポンジ、ペーパータオル、不織布、織布、編布などで拭いて清掃し、硬質表面に施された洗浄剤組成物を硬質表面から取り除き、清掃と除染効果を実現するのが好ましい。

さらに、上記（ｉ）の方法において、洗浄力を高める観点から、噴霧または塗布の後に本発明の洗浄剤組成物を硬質表面に保持してから拭き取ることができる。保持時間は、好ましくは０．５分以上、より好ましくは１分以上、そして、好ましくは１０分以下である。

上記（ｉｉ）の方法において、予め本発明の洗浄剤組成物が含浸されてなる硬質表面用洗浄シート、または噴霧や押し出しにより乾燥した基体に本発明の洗浄剤組成物を使用直前に含浸させてなる硬質表面用洗浄シートから選ばれる少なくとも１つを使用して硬質表面を清掃し、清掃と除染効果を実現することができる。

さらに、前記硬質表面用洗浄シートは、清掃具に取り付けて拭き掃除に用いることができ、または直接手で拭き掃除に用いることができる。

上記（ｉ）～（ｉｉ）の方法は、単独で使用されても組み合わせて使用されてもよい。組み合わせて使用される場合、例えば、硬質表面用洗浄シートを用いて拭き取りながら、本発明の洗浄剤組成物を硬質表面に噴霧したり吐出させたりして拭き取ることができる。これらの方法を組み合わせて使用すると、清掃と除染効果を向上することができる。

上記（ｉ）及び／または（ｉｉ）の方法で硬質表面を拭き取って清掃した後に、必要に応じて水で洗い流すことができる。

洗浄力を向上し、白い残留を低減する観点から、硬質表面を拭き取って清掃する時に本発明の洗浄剤組成物の温度は、好ましくは５℃以上、より好ましくは１０℃以上、更に好ましくは１５℃以上であり、そして、好ましくは５０℃以下、より好ましくは４０℃以下、更に好ましくは３０℃以下である。

＜本発明の態様＞
以下、例を挙げて本発明の態様を示す。これらの態様において、本発明の洗浄剤組成物、硬質表面用洗浄シート、及び硬質表面洗浄方法で述べた事項を適宜適用することができる。

＜１＞以下の成分（Ａ）～（Ｄ）
成分（Ａ）：オキシエチレン基の平均付加モル数が１０モル以下であり、炭素数１２以下の直鎖又は分岐鎖の飽和若しくは不飽和の脂肪アシル基を有するポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、
成分（Ｂ）：水、
成分（Ｃ）：（Ａ）以外の炭素数８～１８のアルキル基またはアルケニル基を有する界面活性剤、及び
成分（Ｄ）：下記成分（Ｄ１）と成分（Ｄ２）から選ばれる１種または２種以上、
成分（Ｄ１）：有機酸またはその塩、
成分（Ｄ２）：無機塩、
を含有し、
洗浄剤組成物において、成分（Ａ）の含有量が０．３５質量％以上且つ５質量％以下であり、
成分（Ｄ１）の含有量が酸として計算され、成分（Ｄ２）の含有量が塩として計算される場合、成分（Ｄ）の含有量が０．００５質量％以上且つ０．４質量％以下であり、
成分（Ａ）と成分（Ｃ）の合計含有量（Ａ）＋（Ｃ）が１０質量％以下である、洗浄剤組成物。

＜２＞成分（Ａ）は脂肪アシル基を、１個以上３個以下含むことができる、前記＜１＞記載の洗浄剤組成物。

＜３＞成分（Ａ）の脂肪酸エステルの由来となる脂肪酸の炭素数は、好ましくは８以上１２以下であり、より好ましくは８以上１０以下である、前記＜１＞又は＜２＞記載の洗浄剤組成物。

＜４＞脂肪酸として、各種のオクタン酸、各種のノナン酸、各種のデカン酸、各種のウンデカン酸及び各種のドデカン酸から選ばれる１種以上の脂肪酸である、前記＜１＞～＜３＞の何れか１項記載の洗浄剤組成物。

＜５＞オキシエチレン基の平均付加モル数は、０を超えることが好ましく、４以上がより好ましく、６以上が更に好ましく、９以下が好ましく、８以下がより好ましい、前記＜１＞～＜４＞の何れか１項記載の洗浄剤組成物。

＜６＞成分（Ａ）は、ポリオキシエチレングリセリン（オクタン酸／カプリン酸）エステル（オキシエチレン基の平均付加モル数は６モル）、及びポリオキシエチレングリセリンラウリン酸エステル（オキシエチレン基の平均付加モル数は８モル）の１種又は２種である、前記＜１＞～＜５＞の何れか１項記載の洗浄剤組成物。

＜７＞洗浄剤組成物において、成分（Ａ）の含有量は０．３５質量％以上、好ましくは０．４質量％以上、より好ましくは０．５質量％以上、さらに好ましくは０．７質量％以上、さらにより好ましくは０．８質量％以上、特に好ましくは１質量％以上であり、そして、５質量％以下、好ましくは２．６質量％以下、より好ましくは１．６質量％以下、より好ましくは１．３質量％以下、更により好ましくは１．１質量％以下である、前記＜１＞～＜６＞の何れか１項記載の洗浄剤組成物。

＜８＞洗浄剤組成物において、成分（Ｂ）の含有量は、８５質量％以上、好ましくは９０質量％以上、より好ましくは９５質量％以上、さらに好ましくは９６質量％以上であり、そして、９９質量％以下、好ましくは９８質量％以下である、前記＜１＞～＜７＞の何れか１項記載の洗浄剤組成物。

＜９＞成分（Ｃ）は、（Ｃ１）非イオン界面活性剤、（Ｃ２）両性界面活性剤、及び（Ｃ３）カチオン性界面活性剤から選ばれる１種または２種以上である、前記＜１＞～＜８＞の何れか１項記載の洗浄剤組成物。

＜１０＞（Ｃ１）非イオン界面活性剤は、アルキルグリコシド、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、またはポリオキシエチレンアルケニルエーテルからなる群から選択される１つ以上の非イオン性界面活性剤であり、好ましくはアルキルグリコシドである、前記＜９＞記載の洗浄剤組成物。

＜１１＞（Ｃ２）両性界面活性剤は、アミンオキシド及びベタインからなる群より選択される１種以上の両性界面活性剤であり、好ましくはアミンオキシドである、前記＜９＞記載の洗浄剤組成物。

＜１２＞（Ｃ３）カチオン性界面活性剤は、好ましくはモノ又はジ長鎖アルキル型第４級アンモニウム塩である、前記＜９＞記載の洗浄剤組成物。

＜１３＞洗浄剤組成物において、成分（Ｃ）の含有量は、０．０２質量％以上、好ましくは０．０３質量％以上であり、５質量％以下、好ましくは３質量％以下、より好ましくは１質量％以下、さらに好ましくは０．２質量％以下、特に好ましくは０．１質量％以下である、前記＜１＞～＜１２＞の何れか１項記載の洗浄剤組成物。

＜１４＞成分（Ａ）と成分（Ｃ）の合計含有量（（Ａ）＋（Ｃ））は、１０質量％以下、好ましくは３質量％以下、より好ましくは２質量％以下、より好ましくは１．８質量％以下、更に好ましくは１．５質量％以下、且つ、好ましくは０．５質量％以上、より好ましくは０．８質量％以上、さらにより好ましくは１質量％以上である、前記＜１＞～＜１３＞の何れか１項記載の洗浄剤組成物。

＜１５＞成分（Ａ）と成分（Ｃ）との質量比（Ａ）／（Ｃ）は、７０以下、好ましくは６０以下、より好ましくは２０以下、より好ましくは１０以下、さらに好ましくは８以下、特に好ましくは７以下であり、そして、２以上、好ましくは３以上、より好ましくは４以上、更に好ましくは５以上である、前記＜１＞～＜１４＞の何れか１項記載の洗浄剤組成物。

＜１６＞成分（Ｄ１）がクエン酸、クエン酸一ナトリウム、クエン酸二ナトリウム、クエン酸三ナトリウム、クエン酸一カリウム、クエン酸二カリウム、クエン酸三カリウム、エチレンジアミン四酢酸、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム、エチレンジアミン四酢酸三ナトリウム、エチレンジアミン四酢酸二カリウム、エチレンジアミン四酢酸三カリウム、エチレングリコールビス（２－アミノエチルエーテル）四酢酸、エチレングリコールビス（２－アミノエチルエーテル）四酢酸二ナトリウム、エチレングリコールビス（２－アミノエチルエーテル）四酢酸三ナトリウム、エチレングリコールビス（２－アミノエチルエーテル）四酢酸二カリウム、エチレングリコールビス（２－アミノエチルエーテル）四酢酸三カリウム、安息香酸ナトリウム、安息香酸カリウムから選ばれる１種または２種以上である、前記＜１＞～＜１５＞の何れか１項記載の洗浄剤組成物。

＜１７＞成分（Ｄ２）の無機塩が、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化マグネシウム、塩化カルシウム、塩化アルミニウム、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、硫酸マグネシウム、硫酸アルミニウム、ケイ酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、重炭酸ナトリウム、重炭酸カリウムから選ばれる１種または２種以上である、前記＜１＞～＜１５＞の何れか１項記載の洗浄剤組成物。

＜１８＞洗浄剤組成物において、成分（Ｄ）が成分（Ｄ１）である場合、成分（Ｄ１）の含有量は、酸として計算して０．００５質量％以上、より好ましくは０．００７質量％以上、好ましくは０．０１質量％以上、より好ましくは０．０３質量％以上であり、そして、０．４質量％以下、好ましくは０．３質量％以下、より好ましくは０．２質量％以下である、
成分（Ｄ）が成分（Ｄ２）である場合、成分（Ｄ２）の含有量は、塩として計算して０．００５質量％以上、そして、０．４質量％以下、好ましくは０．３質量％以下、より好ましくは０．２質量％以下である、
成分（Ｄ）が成分（Ｄ１）と成分（Ｄ２）の組合せである場合、成分（Ｄ１）の含有量を酸として計算し、成分（Ｄ２）の含有量を塩として計算して、成分（Ｄ）の含有量は０．００５質量％以上、より好ましくは０．００７質量％以上、好ましくは０．０１質量％以上、より好ましくは０．０３質量％以上であり、そして、０．４質量％以下、好ましくは０．３質量％以下、より好ましくは０．２質量％以下である、前記＜１＞～＜１７＞の何れか１項記載の洗浄剤組成物。

＜１９＞洗浄剤組成物において、成分（Ｄ）は（Ｄ１）有機酸またはその塩から選ばれる１種または２種以上が好ましい、前記＜１＞～＜１７＞の何れか１項記載の洗浄剤組成物。

＜２０＞前記＜１＞～＜１９＞の何れか１項記載の洗浄剤組成物を含む、硬質表面用洗浄シート。

＜２１＞硬質表面用洗浄シートは、基体に予め本発明の洗浄剤組成物を含浸させてなるもの、あるいは乾燥した基体に本発明の洗浄剤組成物を使用直前に含浸させてなるものである、前記＜２０＞記載の硬質表面用洗浄シート。

＜２２＞基体の質量に対する洗浄シート中の洗浄剤組成物の質量割合（即ち、（洗浄剤組成物の質量／未含浸状態（乾燥状態）の基体の質量）×１００）は、好ましくは１００質量％以上、より好ましくは１５０質量％以上であり、そして、好ましくは９００質量％以下、より好ましくは４００質量％以下、さらに好ましくは３５０質量％以下である、前記＜２０＞或いは＜２１＞記載の硬質表面用洗浄シート。

＜２３＞硬質表面用洗浄剤組成物の含浸前の坪量は、好ましくは３０ｇ／ｍ^２以上、より好ましくは４０ｇ／ｍ^２以上、更に好ましくは５０ｇ／ｍ^２以上であり、そして、好ましくは２００ｇ／ｍ^２以下、より好ましくは１５０ｇ／ｍ^２以下である、前記＜２０＞～＜２２＞の何れか１項記載の硬質表面用洗浄シート。

＜２４＞前記＜１＞～＜１９＞の何れか１項記載の洗浄剤組成物を硬質表面に応用して清掃を行う、硬質表面洗浄方法。

＜２５＞硬質表面洗浄方法の対象は硬質表面であり、硬質表面を有する物品としては、コンロ、レンジフード、壁、作業台、キャビネット、電子レンジ、冷蔵庫の内部、ドアフレーム、ドアハンドル、ダイニングテーブル、床、棚、窓、家具、鏡、ドア、リモコン、トイレ、便座、洗面台、浴槽、台所の流し、窓ガラス、蛇口、子供用製品（ハイチェア、おもちゃ、ゲームパッド）である、前記＜２４＞記載の硬質表面洗浄方法。

＜２６＞洗浄剤組成物を硬質表面に適用して拭き取る洗浄方法は、次の（ｉ）～（ｉｉ）の何れか１項方法である、前記＜２４＞又は＜２５＞記載の硬質表面洗浄方法。
（ｉ）本発明の洗浄剤組成物を硬質表面に噴霧又は塗布して拭き取る洗浄方法
（ｉｉ）本発明の洗浄剤組成物を含有する硬質表面用洗浄シートを用いて硬質表面を拭き取る洗浄方法

以下、実施例及び比較例を示す。実施例は本発明の例示について述べるものであり、本発明を限定することがない。

また、以下、単に「％」と記載される場合、特別の説明がない限り、「質量％」を意味する。

実施例１～３３、比較例１～２
下記配合成分を用いて表１～４に示される洗浄剤組成物を調製し、以下の項目を評価して結果を表１～４に示した。

［洗浄力］
変質油汚れに対する洗浄力の評価
１／２≦（塗布面積／ステンレス鋼板の片面の面積）≦３／４となるように０．０２ｇ菜種油をステンレス鋼板の片面上（７０ｍｍ×２５ｍｍ）に均一に塗布し、これを１７０℃の保温炉に０．５ｈ放置し、その後室温まで冷却し、重量を量り、該重量をＷ１とする。
長さ×幅が１００ｍｍ×７０ｍｍの不織布（基体は合成繊維、坪量４０±４ｇ／ｍ^２、大和紡織株式会社）を数枚切り抜き、これらの不織布にそれぞれ表１～４中の洗浄剤組成物１ｍｌを滴下して硬質表面用洗浄シートを作製した（〔洗浄剤組成物の質量／未含浸状態（乾燥状態）の基体の質量〕×１００＝３２０質量％）。その後、これで、アルミホイルに包まれた消しゴム（１５ｍｍ×４０ｍｍ×１０ｍｍ）を包んだ。
実施例１の洗浄剤組成物に含浸された洗浄シートに包まれた消しゴムの１５ｍｍ×４０ｍｍの面でステンレスの表面を１回拭き、１０分間待ち、再度スランレス鋼板を量り、該重量をＷ２とする。
ステンレス鋼板上の汚れを完全に取り除き、乾燥させて重量を量り、該重量をＷ０とする。
洗浄力＝〔（Ｗ１－Ｗ２）／（Ｗ１－Ｗ０）〕＊１００ （％）
Ｗ０、Ｗ１及びＷ２は少数点以下５桁まで測定する。計算結果を表に記録する。
また、上記の操作を繰り返し、実施例１と同じ拭き方で表１～４の実施例/比較例を完成する。

［白い残留］
洗浄後の硬質表面における白い残留
１枚の洗浄処理後のガラス板（中国台湾ガラス工業株式会社、サイズ：３０ｃｍ×３０ｃｍ×０．５ｃｍ）。
不織布（基体は合成繊維、坪量４０±４ｇ／ｍ^２、大和紡織株式会社）を２０ｃｍ×１４ｃｍの大きさに数枚切り、これらの不織布にそれぞれ表１～４中の洗浄剤組成物４ｍＬを滴下して硬質表面用洗浄シートを作製した（洗浄剤組成物の質量／未含浸状態（乾燥状態）の基体の質量＝３２０％）。

この洗浄シートでガラス板の任意な一面を拭き（ガラス板の一方の縁から他方の縁まで）、液体でガラス全体が濡れたまで１０回繰り返して拭いた。その後、拭かれたガラス板の写真を撮り、（ＩｍａｇｅＪで）画像処理を行い、ガラス板における白い残留の面積を測り、ガラス板の処理面積を基準にして白い残留の残留率を算出し、以下の基準で評価した。

白い残留の評価基準
＋＋：残留率が５０％以下
＋：残留率が５０％を超え且つ７０％未満
－：残留率が７０％以上

さらに、表１～４における配合成分の含有量（質量％）はすべて有効成分に基づいた数値である。実施例及び比較例に使用された各配合成分は合わせて次のように示される。また、成分（Ｄ１）の含有量（質量％）は有効成分に基づき酸として計算した数値である。成分（Ｄ２）の含有量（質量％）は有効成分に基づき塩として計算した数値である。

＜成分（Ａ）＞
・ポリオキシエチレングリセリン（オクタン酸／カプリン酸）エステル（商品名“ＴＥＧＯＳＯＦＴ ＧＭＣ６”、Ｅｖｏｎｉｋ Ｎｕｔｒｉｔｉｏｎ ＆ Ｃａｒｅ ＧｍｂＨ社製、有効成分の含有量が１００％）

＜成分（Ｃ）＞
・（Ｃ１）：Ｃ_{１０－１６}アルキルグリコシド（商品名“ＭＡＹＤＯＬ １２”、Ｋａｏ Ｃｏｒｐｏｒａｔｉｏｎ社製、有効成分の含有量が４０％）
・（Ｃ２）：ラウリルジメチルアミンオキシド（商品名“Ａｍｐｈｉｔｏｌ ２０Ｎ”、Ｋａｏ Ｃｏｒｐｏｒａｔｉｏｎ社製、有効成分の含有量が３５％）
・（Ｃ３）：ベンジル－Ｃ_{１２－１６}－アルキルジメチルアンモニウムクロリド（商品名“ｓａｎｉｓｏｌ Ｂ５０”、Ｋａｏ Ｃｏｒｐｏｒａｔｉｏｎ社製、有効成分の含有量が５０．８％）

＜成分（Ｄ）＞
・（Ｄ１）：エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム二水和物（Ｎａｇａｓｅ Ｃｈｅｍｔｅｘ Ｃｏｒｐｏｒａｔｉｏｎ社製）、その酸として計算した含有量（ｍ）の計算式は次の通りである：
ＥＤＴＡ．２Ｎａ．２Ｈ_２Ｏの分子量：３７２．２５ｇ／ｍｏｌ、
ＥＤＴＡの分子量：２９２．２４ｇ／ｍｏｌ、
ｍ_{（ＥＤＴＡ）}＝ｍ_{（ＥＤＴＡ．２Ｎａ．２Ｈ２Ｏ）}＊ ２９２．２４／３７２．２５
・（Ｄ１）：クエン酸一水和物（Ｆｕｓｏ Ｃｈｅｍｉｃａｌ Ｃｏ．， Ｌｔｄ．社製）、その酸として計算した含有量（ｍ）の計算式は次の通りである：
クエン酸：１９２．１３ｇ／ｍｏｌ
クエン酸一水和物：２１０．１４ｇ／ｍｏｌ
ｍ_{（クエン酸）}＝ｍ_{（クエン酸一水和物）}＊ １９２．１３／２１０．１４
・（Ｄ２）：塩化アルミニウム（ＡｌＣｌ_３））

＜他の成分＞
・メチルパラベン（Ｕｅｎｏ Ｆｉｎｅ Ｃｈｅｍｉｃａｌｓ Ｉｎｄｕｓｔｒｙ， Ｌｔｄ．社製、有効成分の含有量が１００％）
・エタノール（ＧＯＤＯ ＳＨＵＳＥＩ ＣＯ．， Ｌｔｄ．社製、有効成分の含有量が９５％）

表１、２において、実施例１～７と比較例１～２の結果から分かるように、成分（Ａ）を本発明の洗浄剤組成物に配合した場合、成分（Ａ）の含有量が本発明の範囲内にあれば、洗浄力が高くなった。

表３において、実施例１６～２１の結果から分かるように、成分（Ａ）と成分（Ｃ）を本発明の洗浄剤組成物に配合した場合、成分（Ｃ）に対する成分（Ａ）の質量比（Ａ）／（Ｃ）が本発明の範囲内にあれば、洗浄力が高くなった。

表４において、実施例２２～３３の結果から分かるように、成分（Ｄ１）及び/又は成分（Ｄ２）を成分（Ｄ）として本発明の洗浄剤組成物に配合した場合、成分（Ｄ１）を酸として計算し、成分（Ｄ２）を塩として計算して、成分（Ｄ）の含有量が本発明の範囲内にあれば、白い残留が少なくなった。

Claims (14)

1. 以下の成分（Ａ）～（Ｄ）
   成分（Ａ）：オキシエチレン基の平均付加モル数が１０モル以下であり、炭素数１２以下の直鎖又は分岐鎖の飽和若しくは不飽和の脂肪アシル基を有するポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、
   成分（Ｂ）：水、
   成分（Ｃ）：（Ａ）以外の炭素数８～１８のアルキル基またはアルケニル基を有する界面活性剤、及び
   成分（Ｄ）：下記成分（Ｄ１）と成分（Ｄ２）から選ばれる１種または２種以上、
   成分（Ｄ１）：有機酸またはその塩、
   成分（Ｄ２）：無機塩、
   を含有し、
   洗浄剤組成物において、成分（Ａ）の含有量が０．３５質量％以上且つ５質量％以下であり、
   成分（Ｄ１）の含有量が酸として計算され、成分（Ｄ２）の含有量が塩として計算される場合、成分（Ｄ）の含有量が０．００５質量％以上且つ０．４質量％以下であり、
   成分（Ａ）と成分（Ｃ）の合計含有量（Ａ）＋（Ｃ）が１０質量％以下である、洗浄剤組成物。
2. 成分（Ａ）の含有量が０．３５質量％以上且つ２．６質量％以下である、請求項１に記載の洗浄剤組成物。
3. 成分（Ａ）の含有量が０．３５質量％以上且つ１．３質量％以下である、請求項１に記載の洗浄剤組成物。
4. 成分（Ｂ）の含有量が８５質量％以上である、請求項１に記載の洗浄剤組成物。
5. 成分（Ａ）と成分（Ｃ）の合計含有量（Ａ）＋（Ｃ）が３質量％以下である、請求項１～４のいずれか１項に記載の洗浄剤組成物。
6. 成分（Ｃ）に対する成分（Ａ）の質量比（Ａ）／（Ｃ）が７０以下である、請求項１～５のいずれか１項に記載の洗浄剤組成物。
7. 成分（Ｃ）に対する成分（Ａ）の質量比（Ａ）／（Ｃ）が８以下である、請求項１～５のいずれか１項に記載の洗浄剤組成物。
8. 成分（Ｃ）に対する成分（Ａ）の質量比（Ａ）／（Ｃ）が３以上である、請求項１～７のいずれか１項に記載の洗浄剤組成物。
9. 成分（Ｃ）に対する成分（Ａ）の質量比（Ａ）／（Ｃ）が４以上である、請求項１～７のいずれか１項に記載の洗浄剤組成物
10. 成分（Ａ）中脂肪酸が、オクタン酸、ノナン酸、デカン酸、ウンデカン酸及びドデカン酸から選ばれる１種以上の脂肪酸である、請求項１～９のいずれか１項に記載の洗浄剤組成物。
11. 成分（Ｃ）界面活性剤が（Ｃ１）非イオン界面活性剤、（Ｃ２）両性界面活性剤、及び（Ｃ３）カチオン性界面活性剤から選ばれる１種または２種以上である、請求項１～１０のいずれか１項に記載の洗浄剤組成物。
12. 前記成分（Ｄ）が成分（Ｄ１）有機酸またはその塩から選ばれる１種または２種以上である、請求項１～１１のいずれか１項に記載の洗浄剤組成物。
13. 請求項１～１２のいずれか１項に記載の洗浄剤組成物を含む、硬質表面用洗浄シート。
14. 請求項１～１２のいずれか１項に記載の洗浄剤組成物を硬質表面に応用して清掃を行う、硬質表面洗浄方法。