JP2023509732A - ランダムにエステル交換された脂肪生成物を調製する方法 - Google Patents

ランダムにエステル交換された脂肪生成物を調製する方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2023509732A
JP2023509732A JP2022541859A JP2022541859A JP2023509732A JP 2023509732 A JP2023509732 A JP 2023509732A JP 2022541859 A JP2022541859 A JP 2022541859A JP 2022541859 A JP2022541859 A JP 2022541859A JP 2023509732 A JP2023509732 A JP 2023509732A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
weight
fat
fatty acids
free fatty
composition
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2022541859A
Other languages
English (en)
Inventor
ジュン・マ
Original Assignee
ブンゲ・ローデルス・クロックラーン・ベー・フェー
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by ブンゲ・ローデルス・クロックラーン・ベー・フェー filed Critical ブンゲ・ローデルス・クロックラーン・ベー・フェー
Publication of JP2023509732A publication Critical patent/JP2023509732A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Classifications

    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C11ANIMAL OR VEGETABLE OILS, FATS, FATTY SUBSTANCES OR WAXES; FATTY ACIDS THEREFROM; DETERGENTS; CANDLES
    • C11CFATTY ACIDS FROM FATS, OILS OR WAXES; CANDLES; FATS, OILS OR FATTY ACIDS BY CHEMICAL MODIFICATION OF FATS, OILS, OR FATTY ACIDS OBTAINED THEREFROM
    • C11C3/00Fats, oils, or fatty acids by chemical modification of fats, oils, or fatty acids obtained therefrom
    • C11C3/02Fats, oils, or fatty acids by chemical modification of fats, oils, or fatty acids obtained therefrom by esterification of fatty acids with glycerol
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C11ANIMAL OR VEGETABLE OILS, FATS, FATTY SUBSTANCES OR WAXES; FATTY ACIDS THEREFROM; DETERGENTS; CANDLES
    • C11CFATTY ACIDS FROM FATS, OILS OR WAXES; CANDLES; FATS, OILS OR FATTY ACIDS BY CHEMICAL MODIFICATION OF FATS, OILS, OR FATTY ACIDS OBTAINED THEREFROM
    • C11C3/00Fats, oils, or fatty acids by chemical modification of fats, oils, or fatty acids obtained therefrom
    • C11C3/04Fats, oils, or fatty acids by chemical modification of fats, oils, or fatty acids obtained therefrom by esterification of fats or fatty oils
    • C11C3/10Ester interchange
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A23FOODS OR FOODSTUFFS; TREATMENT THEREOF, NOT COVERED BY OTHER CLASSES
    • A23DEDIBLE OILS OR FATS, e.g. MARGARINES, SHORTENINGS, COOKING OILS
    • A23D9/00Other edible oils or fats, e.g. shortenings, cooking oils
    • A23D9/007Other edible oils or fats, e.g. shortenings, cooking oils characterised by ingredients other than fatty acid triglycerides
    • A23D9/013Other fatty acid esters, e.g. phosphatides
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A23FOODS OR FOODSTUFFS; TREATMENT THEREOF, NOT COVERED BY OTHER CLASSES
    • A23DEDIBLE OILS OR FATS, e.g. MARGARINES, SHORTENINGS, COOKING OILS
    • A23D9/00Other edible oils or fats, e.g. shortenings, cooking oils
    • A23D9/02Other edible oils or fats, e.g. shortenings, cooking oils characterised by the production or working-up
    • A23D9/04Working-up
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C11ANIMAL OR VEGETABLE OILS, FATS, FATTY SUBSTANCES OR WAXES; FATTY ACIDS THEREFROM; DETERGENTS; CANDLES
    • C11CFATTY ACIDS FROM FATS, OILS OR WAXES; CANDLES; FATS, OILS OR FATTY ACIDS BY CHEMICAL MODIFICATION OF FATS, OILS, OR FATTY ACIDS OBTAINED THEREFROM
    • C11C3/00Fats, oils, or fatty acids by chemical modification of fats, oils, or fatty acids obtained therefrom
    • C11C3/04Fats, oils, or fatty acids by chemical modification of fats, oils, or fatty acids obtained therefrom by esterification of fats or fatty oils
    • C11C3/06Fats, oils, or fatty acids by chemical modification of fats, oils, or fatty acids obtained therefrom by esterification of fats or fatty oils with glycerol
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A23FOODS OR FOODSTUFFS; TREATMENT THEREOF, NOT COVERED BY OTHER CLASSES
    • A23DEDIBLE OILS OR FATS, e.g. MARGARINES, SHORTENINGS, COOKING OILS
    • A23D7/00Edible oil or fat compositions containing an aqueous phase, e.g. margarines
    • A23D7/001Spread compositions
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A23FOODS OR FOODSTUFFS; TREATMENT THEREOF, NOT COVERED BY OTHER CLASSES
    • A23DEDIBLE OILS OR FATS, e.g. MARGARINES, SHORTENINGS, COOKING OILS
    • A23D7/00Edible oil or fat compositions containing an aqueous phase, e.g. margarines
    • A23D7/003Compositions other than spreads

Landscapes

  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Oil, Petroleum & Natural Gas (AREA)
  • General Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Chemical Kinetics & Catalysis (AREA)
  • Wood Science & Technology (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Food Science & Technology (AREA)
  • Polymers & Plastics (AREA)
  • Preparation Of Compounds By Using Micro-Organisms (AREA)
  • Edible Oils And Fats (AREA)

Abstract

Figure 2023509732000001
食用のランダムにエステル交換された脂肪生成物を調製する方法は、a)0.5重量%から25重量%の遊離脂肪酸を含む脂肪組成物を提供する工程と、b)工程a)で提供された脂肪組成物を、脂肪組成物に基づいて0.5重量%から10重量%のポリオール化合物と酵素的に反応させる工程とを含み、ここで、脂肪組成物中の遊離脂肪酸のポリオール組成物に対する重量比は、0.1から20.0であり、得られたランダムエステル交換脂肪生成物は、1.0重量%未満の遊離脂肪酸を有する。

Description

本発明は、ランダムにエステル交換された脂肪生成物を調製する方法及びその使用に関する。
油脂は、菓子製品、ベーカリー製品、料理製品などの食品の重要な材料である。
エステル交換は、脂肪酸アシル基の完全なランダム化をもたらして、脂肪又は油の物理的特性が変化して様々な用途における要求を満たすことができるようにするために行われる。化学的エステル交換には、ナトリウムメタノレートなどのアルカリ触媒が必要になることが多い。しかし、大量の遊離脂肪酸の存在下では、エステル交換を行うことができないか、それを完全に行うことができない。したがって、エステル交換の前に、蒸留や中和などの追加の脱酸工程が必要である。
エステル交換反応は、酵素によっても触媒され得る。大量の遊離脂肪酸の存在は、酵素によって触媒される反応に影響を与えないかもしれない。ただし、エステル交換した後、精製前に、蒸留や中和などの追加の脱酸工程によってこれらを除去する必要がある。
国際公開第2005/010136 A2号は、脱臭のみによって、又は初期基質を脱臭及び精製して酵素の耐用年数を延長することによって、酵素的エステル交換又はエステル化の生産性を大幅に改善することができる方法に関する。
国際公開第2006/124818 A2号は、基質油を精製して酵素の耐用年数を延ばすことにより、酵素的エステル化、エステル交換(transesterification)又はエステル交換(interesterification)の生産性を大幅に改善することができる方法を開示する。
国際公開第2013/131862 A1号は、組成物の総重量に基づいて、少なくとも75重量%のトリグリセリドと、5から25重量%のジグリセリドとを含み、グリセリドに存在するC12からC20脂肪酸の合計に基づいて、オレイン酸含有量が少なくとも65重量%であり、ステアリン酸とパルミチン酸との合計含有量が10から20重量%であり、オレイン酸、ステアリン酸、及びパルミチン酸が、モノグリセリド、ジグリセリド又はトリグリセリドのアシル基として存在する、シア油から得られるグリセリド組成物に関する。
国際公開第2019/020714 A1号は、総C8~C24脂肪酸残基に基づいて、28重量%を超えるステアリン酸(C18:0)脂肪酸残基と、44重量%を超えるオレイン酸(C18:1)脂肪酸残基と、10重量%未満のパルミチン酸(C16)脂肪酸残基とを含み、組成物中に存在する総グリセリドに基づいて、合計量が30重量%を超え、(StOSt+StStO)/(StOO+OStO)の重量比が0.6~1.5である、StOSt、StSto、StOO及びOStOトリグリセリドを含む、非水素化脂肪組成物を開示する。
国際公開第2017/133895 A1号は、自己乳化脂肪組成物を調製する方法に関する。
欧州特許出願公開第0516542 A1号は、分画、精製及びエステル交換の組み合わせプロセスであって、重要な工程が-5~-30℃の温度での遊離脂肪酸を含む脂肪画分の分画である、プロセスに関する。
欧州特許出願公開第0257388 A2号は、反応性基質を溶融するのに十分な高温において熱安定性を有するリパーゼを含む酵素調製物を用い、溶媒を使用せず、反応中に水を反応系から除去してエステル交換された脂肪を開示する。
特に原料中の遊離脂肪酸の含有量が高い場合に、脂肪のランダムエステル交換のプロセスの効率を改善することが依然として求められている。また、望ましい結晶化特性や外観などの様々な観点で、ランダムにエステル交換された脂肪生成物の品質を改善することも求められている。
本発明によれば、食用のランダムにエステル交換された脂肪生成物を調製する方法であって、a)AOCS Ca 5a-40に従って測定し、オレイン酸のパーセンテージとして計算して0.5重量%から25重量%の遊離脂肪酸を含む脂肪組成物を提供する工程と、b)この脂肪組成物を、この脂肪組成物の重量に基づいて、0.5重量%から10重量%のポリオール化合物と酵素的に反応させる工程とを含み、脂肪組成物中の遊離脂肪酸のポリオール化合物に対する重量比が0.1から20.0であり、得られたランダムエステル交換脂肪生成物が、AOCS Ca 5a-40に従って測定し、オレイン酸のパーセンテージとして計算して1.0重量%未満の遊離脂肪酸を有する、方法が提供される。
本発明の方法は、大量の遊離脂肪酸、例えば、0.5重量%以上の遊離脂肪酸を含む脂肪組成物をランダムにエステル交換するのに特に有用であることが見出された。本発明によるエステル交換法には遊離脂肪酸の除去は必要ないが、対照的に、従来のランダム化方法は、例えばエステル交換の前に遊離脂肪酸の除去を必要とする。したがって、エステル交換プロセス中に遊離脂肪酸を除去する必要がないため、本方法は、効率を大幅に改善することができ、エステル交換全体における損失を大幅に制限することができる。さらに、遊離脂肪酸の除去が必要とされないので、本発明による方法を適用する場合には生じる遊離脂肪酸の無駄が少なくなる。
さらに、驚くべきことに、本発明の方法に従って生成されたランダムにエステル交換された脂肪生成物は、特に良好な結晶化挙動及び望ましい外観、特に明るい色を有することが見出された。これらの改善された特性は、本方法に従って生成されたランダムエステル交換脂肪生成物を、従来の方法によって製造された同様の脂肪生成物と比較して、菓子、ベーカリー又は料理などの様々な用途に特に適したものにする。
ISO8292-1に準拠したパルスNMRを使用して測定した、脂肪生成物1及びリファレンス1(Creamelt(登録商標)Stand)の20℃での初期結晶化曲線を示す。
用語「脂肪」は、脂肪酸アシル基を含有するグリセリド油脂を指し、特定の融点を何ら示唆するものではない。「油」という用語は、「脂肪」と同義的に使用される。
「遊離脂肪酸」という用語は、エステル分子の一部としていかなるアルコール(例えばグリセロール)にも結合していない脂肪酸を指す。遊離脂肪酸含有量は、AOCS公式メソッドCa 5a-40に従って標準アルカリで滴定することにより求めることができる。遊離脂肪酸濃度は、計算され、例えば、オレイン酸のパーセンテージとして表される。したがって、オレイン酸のモル質量(282g/mol)が、遊離脂肪酸のパーセンテージを計算するために、AOCS公式メソッドCa 5a-40に示されている式で使用される。AOCS Ca 5a-40メソッドでは、以下の計算において、滴定された酸基のモル数がオレイン酸に対応することを前提としている。
オレイン酸としてのFFA%=(滴定モル塩基x282g/mol)/サンプル重量(g)x100%
結果として得られるFFAの重量値は概算値であり、天然に存在する油脂の場合、実際の遊離脂肪酸は、分子量の異なる様々な脂肪酸の混合物である。
「ランダムエステル交換」という用語は、トリグリセリド油においてそのグリセロール部分上に存在する脂肪酸部分のランダムな非特異的再分布を指す。
「ポリオール組成物」という用語は、2つ以上のヒドロキシル基を含む1つ以上の有機化合物、例えば、グリセロール、プロピレングリコール、ポリグリセロール、糖アルコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールなどからなる組成物を指す。
「脂肪酸」という用語は、8から24個の炭素原子を有する直鎖状の飽和又は不飽和(一価及び多価不飽和を含む)カルボン酸を指す。x個の炭素原子及びy個の二重結合を有する脂肪酸は、Cx:yと表すことができる。例えば、パルミチン酸はC16:0と表すことができ、オレイン酸はC18:1と表すことができる。脂肪酸プロファイルは、ISO12966-2及びISO12966-4に従ってガスクロマトグラフィーを使用する脂肪酸メチルエステル分析(FAME)によって決定することができる。したがって、本明細書で言及される組成物中の脂肪酸のパーセンテージ(例えば、パルミチン酸(C16:0)、ステアリン酸(C18:0)、オレイン酸(C18:1)など)は、トリグリセリド、ジグリセリド及びモノグリセリドなどのアシル基及び遊離脂肪酸(ただし、不けん化物は除く)の両方を含み、C8からC24の脂肪酸残基の総重量に基づいている。
本発明によれば、工程a)で提供される脂肪組成物中の遊離脂肪酸の、工程b)におけるポリオール組成物に対する重量比は、好ましくは0.2から18.0、より好ましくは0.3から15.0、さらにより好ましくは0.5から15.0、そして最も好ましくは0.5から10.0である。本発明による方法は、好ましい重量比が使用される場合において、特に効率的であり、さらに改善された収率を伴う。
本発明による方法の工程a)において、提供される脂肪組成物は、好ましくは、AOCS Ca 5a-40に従って測定し、オレイン酸のパーセンテージとして計算して0.5重量%から20重量%の遊離脂肪酸を含み、より好ましくは、0.5重量%から18重量%、さらにより好ましくは0.8重量%から17重量%、最も好ましくは1.0重量%から15重量%の遊離脂肪酸を含む。
本発明による方法の工程a)において、提供される脂肪組成物は、好ましくは、シアバター、カカオバター、サルバター、マンゴーカーネルオイル、イリペバター、コクムバター、モウラバター、高ステアリン酸高オレイン酸ヒマワリ油、それらの画分、及びそれらの混合物から選択される。より好ましくは、提供される脂肪組成物は、シアバター、シアオレイン、シアステアリン、カカオバター、及びそれらの混合物から選択される。さらにより好ましくは、提供される脂肪組成物は、シアバター、シアオレイン、又はカカオバターなどの単一の脂肪組成物である。あるいは、提供される脂肪組成物は、より好ましくは、シアバターとシアオレインの重量比が20:80から80:20であるシアバターとシアオレインの混合物、又はシアバターとシアステアリンの重量比が20:80から80:20であるシアバターとシアステアリンの混合物である。
本発明による方法の工程a)において、提供される脂肪組成物は、好ましくは、少なくとも15重量%のステアリン酸(C18:0)を含み、当該酸のパーセンテージは、グリセリドにおいてアシル基として結合した酸及び脂肪組成物中に存在する任意の遊離脂肪酸に関し、かつ、C8からC24脂肪酸の総重量に基づくものである。提供される脂肪組成物は、より好ましくは20重量%から80重量%のステアリン酸(C18:0)を含み、さらにより好ましくは25重量%から75重量%、最も好ましくは25重量%から70重量%のステアリン酸を含む。
したがって、好ましい実施形態では、本発明による方法の工程a)において、提供される脂肪組成物は、AOCS Ca 5a-40に従って測定し、オレイン酸のパーセンテージとして計算して0.5重量%から20重量%の遊離脂肪酸と、少なくとも15重量%のステアリン酸(C18:0)(当該酸のパーセンテージは、グリセリドにおいてアシル基として結合した酸及び脂肪組成物中に存在する任意の遊離脂肪酸に関し、かつ、C8からC24脂肪酸の総重量に基づくものである)とを含む。
より好ましい実施形態では、本発明による方法の工程a)において、提供される脂肪組成物は、AOCS Ca 5a-40に従って測定し、オレイン酸のパーセンテージとして計算して0.5重量%から18重量%の遊離脂肪酸と、20重量%から80重量%ステアリン酸(C18:0)(当該酸のパーセンテージは、グリセリドにおいてアシル基として結合した酸及び脂肪組成物中に存在する任意の遊離脂肪酸に関し、かつ、C8からC24脂肪酸の総重量に基づくものである)とを含む。
さらにより好ましい実施形態では、本発明による方法の工程a)において、提供される脂肪組成物は、AOCS Ca 5a-40に従って測定し、オレイン酸のパーセンテージとして計算して0.8重量%から17重量%の遊離脂肪酸と、25重量%から75重量%のステアリン酸(C18:0)(当該酸のパーセンテージは、グリセリドにおいてアシル基として結合した酸及び脂肪組成物中に存在する任意の遊離脂肪酸に関し、かつ、C8からC24脂肪酸の総重量に基づくものである)とを含む。
最も好ましい実施形態では、本発明による方法の工程a)において、提供される脂肪組成物は、AOCS Ca 5a-40に従って測定し、オレイン酸のパーセンテージとして計算して1.0重量%から16重量%の遊離脂肪酸と、25重量%から70重量%のステアリン酸(C18:0)(当該酸のパーセンテージは、グリセリドにおいてアシル基として結合した酸及び脂肪組成物中に存在する任意の遊離脂肪酸に関し、かつ、C8からC24脂肪酸の総重量に基づくものである)とを含む。
「不けん化物」という用語は、水酸化アルカリによって鹸化されず、エーテルへと抽出可能な、油脂類に存在する物質を指す。不けん化物含有量は、AOCS Ca 6a-40に従って測定することができる。
本発明による方法の工程a)において、提供される脂肪組成物は、好ましくは、少なくとも1重量%の不けん化物を含み、より好ましくは少なくとも2重量%、さらにより好ましくは3重量%から15重量%、さらにより好ましくは4重量%から12重量%、最も好ましくは5重量%から10重量%の不けん化物を含む。本発明による方法は、示した量の不けん化物を含む脂肪組成物に特に適していると考えられている。
したがって、好ましい実施形態では、本発明による方法の工程a)において、提供される脂肪組成物は、AOCS Ca 5a-40に従って測定し、オレイン酸のパーセンテージとして計算して、0.5重量%から20重量%の遊離脂肪酸と、少なくとも15重量%のステアリン酸(C18:0)(当該酸のパーセンテージは、グリセリドにおいてアシル基として結合した酸及び脂肪組成物中に存在する任意の遊離脂肪酸に関し、かつ、C8からC24脂肪酸の総重量に基づくものである)とを含み、さらに、少なくとも2重量%の不けん化物を含む。
より好ましい実施形態では、本発明による方法の工程a)において、提供される脂肪組成物は、AOCS Ca 5a-40に従って測定し、オレイン酸のパーセンテージとして計算して0.5重量%から18重量%の遊離脂肪酸と、20重量%から80重量%のステアリン酸(C18:0)(当該酸のパーセンテージは、グリセリドにおいてアシル基として結合した酸及び脂肪組成物中に存在する任意の遊離脂肪酸に関し、かつ、C8からC24脂肪酸の総重量に基づくものである)とを含み、さらに、3重量%から15重量%の不けん化物を含む。
さらにより好ましい実施形態では、本発明による方法の工程a)において、提供される脂肪組成物は、AOCS Ca 5a-40に従って測定し、オレイン酸のパーセンテージとして計算して、0.8重量%から17重量%の遊離脂肪酸と、25重量%から75重量%のステアリン酸(C18:0)(当該酸のパーセンテージは、グリセリドにおいてアシル基として結合した酸及び脂肪組成物中に存在する任意の遊離脂肪酸に関し、かつ、C8からC24脂肪酸の総重量に基づくものであるとを含み、さらに、4重量%から12重量%の不けん化物を含む。
最も好ましい実施形態では、本発明による方法の工程a)において、提供される脂肪組成物は、AOCS Ca 5a-40に従って測定し、オレイン酸のパーセンテージとして計算して1.0重量%から16重量%の遊離脂肪酸と、25重量%から70重量%のステアリン酸(C18:0)(当該酸のパーセンテージは、グリセリドにおいてアシル基として結合した酸及び脂肪組成物中に存在する任意の遊離脂肪酸に関し、かつ、C8からC24脂肪酸の総重量に基づくものである)とを含み、さらに、5重量%から10重量%の不けん化物を含む。
本発明によれば、方法の工程b)において、提供される脂肪組成物は、好ましくは、提供される脂肪組成物の重量に基づいて、0.5重量%から8重量%のポリオール組成物と反応し、より好ましくは、0.5重量%から6重量%、さらにより好ましくは1重量%から5重量%、最も好ましくは1重量%から3重量%のポリオール組成物と反応する。
好ましい実施形態では、本発明による食用のランダムエステル交換脂肪生成物を調製する方法は、a)AOCS Ca 5a-40に従って測定し、オレイン酸のパーセンテージとして計算して0.5重量%から20重量%の遊離脂肪酸を含む脂肪組成物を提供する工程と、b)提供された脂肪組成物を、提供された脂肪組成物の重量に基づいて0.5重量%から8重量%のポリオール組成物と酵素的に反応させる工程とを含み、提供された脂肪組成物中の遊離脂肪酸のポリオール化合物に対する重量比が0.2から18.0であり、得られたランダムエステル交換脂肪生成物が、AOCS Ca 5a-40に従って測定し、オレイン酸のパーセンテージとして計算して1.0重量%未満の遊離脂肪酸を有する。
より好ましい実施形態では、本発明による食用のランダムエステル交換脂肪生成物を調製する方法は、a)AOCS Ca 5a-40に従って測定し、オレイン酸のパーセンテージとして計算して0.5重量%から18重量%の遊離脂肪酸を含む脂肪組成物を提供する工程と、b)提供された脂肪組成物を、提供された脂肪組成物の重量に基づいて0.5重量%から6重量%のポリオール組成物と酵素的に反応させる工程とを含み、提供された脂肪組成物中の遊離脂肪酸のポリオール化合物に対する重量比が0.3から15.0であり、得られたランダムエステル交換脂肪生成物が、AOCS Ca 5a-40に従って測定し、オレイン酸のパーセンテージとして計算して1.0重量%未満の遊離脂肪酸を有する。
さらにより好ましい実施形態では、本発明による食用のランダムエステル交換脂肪生成物を調製する方法は、a)AOCS Ca 5a-40に従って測定し、オレイン酸のパーセンテージとして計算して0.8重量%から17重量%の遊離脂肪酸を含む脂肪組成物を提供する工程と、b)提供された脂肪組成物を、提供された脂肪組成物の重量に基づいて1重量%から5重量%のポリオール組成物と酵素的に反応させる工程とを含み、提供された脂肪組成物中の遊離脂肪酸のポリオール化合物に対する重量比が0.5から15.0であり、得られたランダムエステル交換脂肪生成物が、AOCS Ca 5a-40に従って測定し、オレイン酸のパーセンテージとして計算して1.0重量%未満の遊離脂肪酸を有する。
最も好ましい実施形態では、本発明による食用のランダムエステル交換脂肪生成物を調製する方法は、a)AOCS Ca 5a-40に従って測定し、オレイン酸のパーセンテージとして計算して1.0重量%から16重量%の遊離脂肪酸を含む脂肪組成物を提供する工程と、b)提供された脂肪組成物を、提供された脂肪組成物の重量に基づいて1重量%から3重量%のポリオール組成物と酵素的に反応させる工程とを含み、提供された脂肪組成物中の遊離脂肪酸のポリオール化合物に対する重量比が0.5から10.0であり、得られたランダムエステル交換脂肪生成物が、AOCS Ca 5a-40に従って測定し、オレイン酸のパーセンテージとして計算して1.0重量%未満の遊離脂肪酸を有する。
本発明による方法の工程b)において、ポリオール組成物は、好ましくは、グリセロール、プロピレングリコール、ポリグリセロール、糖アルコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール及びそれらの混合物から選択され、より好ましくは、グリセロール、プロピレングリコール、ポリグリセロール及びそれらの混合物から選択され、さらにより好ましくは、グリセロール、プロピレングリコール及びそれらの混合物から選択される。最も好ましくは、本発明による方法の工程b)において、ポリオール組成物は、グリセロールからなる。あるいは、本発明による方法の工程b)において、ポリオール組成物は、好ましくは、グリセロールとプロピレングリコールの混合物であり、ここで、グリセロールとプロピレングリコールの重量比は、1:3から3:1である。
本発明による方法の工程b)において、反応は、好ましくはリパーゼによって触媒され、より好ましくは固定化リパーゼ、さらにより好ましくは、リゾムコール・ミーヘイ(Rhizomucor miehei)、カンジダ・アンタークティカ(Candida antarctica)、サーモミセス・ラヌギノサス(Thermomyces lanuginosus)、又はリゾプス・オリゼ(Rhizopus oryzae)に由来する固定化リパーゼによって触媒される。。たとえば、Novozym(登録商標)40086は、ミクロポーラスアニオン樹脂に固定化されたリゾムコール・ミーヘイ由来の市販の固定化リパーゼである。Novozym(登録商標)435は、ミクロポーラスアクリル樹脂に固定化されたカンジダ・アンタークティカ由来の市販の固定化リパーゼである。Lipozyme(登録商標)TL IMは、非圧縮性シリカゲル担体に固定化されたサーモミセス・ラヌギノサス由来の市販の固定化リパーゼである。これらの酵素は、本発明による方法のためのそれらの再利用において特に安定であることが見出された。
本発明による方法の工程b)において、反応は、好ましくは、20℃から85℃、より好ましくは30℃から80℃、さらにより好ましくは40℃から80℃、最も好ましくは50℃から75℃の温度範囲で実施される。さらに、反応は、好ましくは、窒素ガスによるバブリング(混合)又は真空下などの乾燥環境で実施される。反応時間は、好ましくは1時間から48時間、より好ましくは3時間から36時間、さらにより好ましくは7時間から30時間である。
本発明による方法の工程b)の後、得られたランダムエステル交換脂肪生成物は、好ましくは精製に供され、より好ましくは漂白及び脱臭などの物理的精製に供される。物理的精製は当技術分野で周知であり、主に脱臭工程で遊離脂肪酸を還元し、アルカリ中和を伴わない。物理的精製と本発明による方法との組み合わせによって、ランダムエステル交換脂肪生成物を生成するプロセス全体の収率及び効率がさらに改善されると考えられる。
したがって、好ましい実施形態では、本発明による食用のランダムエステル交換脂肪生成物を調製する方法は、a)AOCS Ca 5a-40に従って測定し、オレイン酸のパーセンテージとして計算して0.5重量%から20重量%の遊離脂肪酸を含む脂肪組成物を提供する工程と、b)リゾムコール・ミーヘイ、カンジダ・アンタークティカ、サーモミセス・ラヌギノサス、又はリゾプス・オリゼに由来する固定化リパーゼを使用して、提供された脂肪組成物を、提供された脂肪組成物の重量に基づいて0.5重量%から8重量%のポリオール組成物と酵素的に反応させる工程とを含み、ポリオール組成物が、グリセロール、プロピレングリコール、ポリグリセロール及びそれらの混合物から選択され、提供される脂肪組成物中の遊離脂肪酸のポリオール組成物に対する重量比が0.2から18.0であり、得られたランダムエステル交換脂肪生成物が、AOCS Ca 5a-40に従って測定し、オレイン酸のパーセンテージとして計算して1.0重量%未満の遊離脂肪酸を有する。
より好ましい実施形態では、本発明による食用のランダムエステル交換脂肪生成物を調製する方法は、a)AOCS Ca 5a-40に従って測定し、オレイン酸のパーセンテージとして計算して0.5重量%から18重量%の遊離脂肪酸を含む脂肪組成物を提供する工程と、b)リゾムコール・ミーヘイ、カンジダ・アンタークティカ、サーモミセス・ラヌギノサス、又はリゾプス・オリゼに由来する固定化リパーゼを使用して、提供された脂肪組成物を、提供された脂肪組成物の重量に基づいて0.5重量%から6重量%のポリオール組成物と酵素的に反応させる工程とを含み、ポリオール組成物は、グリセロール、プロピレングリコール、ポリグリセロール及びそれらの混合物から選択され、提供される脂肪組成物中の遊離脂肪酸のポリオール組成物に対する重量比が0.3から15.0であり、得られたランダムエステル交換脂肪生成物が、AOCS Ca 5a-40に従って測定し、オレイン酸のパーセンテージとして計算して1.0重量%未満の遊離脂肪酸を有する。
さらにより好ましい実施形態では、本発明による食用のランダムエステル交換脂肪生成物を調製する方法は、a)AOCS Ca 5a-40に従って測定し、オレイン酸のパーセンテージとして計算して0.8重量%から17重量%の遊離脂肪酸を含む脂肪組成物を提供する工程と、b)リゾムコール・ミーヘイ、カンジダ・アンタークティカ、サーモミセス・ラヌギノサス、又はリゾプス・オリゼに由来する固定化リパーゼを使用して、提供された脂肪組成物を、提供された脂肪組成物の重量に基づいて1重量%から5重量%のポリオール組成物と酵素的に反応させる工程とを含み、ポリオール組成物が、グリセロール、プロピレングリコール、ポリグリセロール及びそれらの混合物から選択され、提供される脂肪組成物中の遊離脂肪酸のポリオール組成物に対する重量比が0.5から15.0であり、得られたランダムエステル交換脂肪生成物が、AOCS Ca 5a-40に従って測定し、オレイン酸のパーセンテージとして計算して1.0重量%未満の遊離脂肪酸を有する。
最も好ましい実施形態では、本発明による食用のランダムエステル交換脂肪生成物を調製する方法は、a)AOCS Ca 5a-40に従って測定し、オレイン酸のパーセンテージとして計算して1.0重量%から16重量%の遊離脂肪酸を含む脂肪組成物を提供する工程と、b)リゾムコール・ミーヘイ、カンジダ・アンタークティカ、サーモミセス・ラヌギノサス、又はリゾプス・オリゼに由来する固定化リパーゼを使用して、提供された脂肪組成物を、提供された脂肪組成物の重量に基づいて1重量%から3重量%のポリオール組成物と酵素的に反応させる工程とを含み、ポリオール組成物がグリセロールからなり、提供された脂肪組成物中の遊離脂肪酸のグリセロールに対する重量比が0.5から10.0であり、得られたランダムエステル交換脂肪生成物が、AOCS Ca 5a-40に従って測定し、オレイン酸のパーセンテージとして計算して1.0重量%未満の遊離脂肪酸を有する。
追加の好ましい実施形態では、本発明による食用のランダムエステル交換脂肪生成物を調製する方法は、a)AOCS Ca 5a-40に従って測定し、オレイン酸のパーセンテージとして計算して1.0重量%から16重量%の遊離脂肪酸を含む脂肪組成物を提供する工程と、b)リゾムコール・ミーヘイ、カンジダ・アンタークティカ、サーモミセス・ラヌギノサス、又はリゾプス・オリゼに由来する固定化リパーゼを使用して、提供された脂肪組成物を、提供された脂肪組成物の重量に基づいて1重量%から3重量%のポリオール組成物と酵素的に反応させる工程であって、ポリオール組成物がグリセロールからなり、提供される脂肪組成物中の遊離脂肪酸のグリセロールに対する重量比が0.5から10.0であり、得られたランダムエステル交換脂肪生成物が、AOCS Ca 5a-40に従って測定し、オレイン酸のパーセンテージとして計算して1.0重量%未満の遊離脂肪酸を有する、工程と、c)得られたランダムエステル交換脂肪生成物を、好ましくは物理的精製によって精製する工程とを含む。
別の好ましい実施形態では、本発明による食用のランダムエステル交換脂肪生成物を調製する方法は、a)AOCS Ca 5a-40に従って測定し、オレイン酸のパーセンテージとして計算して1.0重量%から16重量%の遊離脂肪酸と、3重量%から15重量%の不けん化物とを含む脂肪組成物を提供する工程と、b)リゾムコール・ミーヘイ、カンジダ・アンタークティカ、サーモミセス・ラヌギノサス、又はリゾプス・オリゼに由来する固定化リパーゼを使用して、提供された脂肪組成物を、提供された脂肪組成物の重量に基づいて1重量%から3重量%のポリオール組成物と酵素的に反応させる工程を含み、ポリオール組成物がグリセロールからなり、提供された脂肪組成物中の遊離脂肪酸のグリセロールに対する重量比が0.5から10.0であり、得られたランダムエステル交換脂肪生成物が、AOCS Ca 5a-40に従って測定し、オレイン酸のパーセンテージとして計算して1.0重量%未満の遊離脂肪酸を有する。
代替の好ましい実施形態では、本発明による食用のランダムエステル交換脂肪生成物を調製する方法は、a)AOCS Ca 5a-40に従って測定し、オレイン酸のパーセンテージとして計算して1.0重量%から16重量%の遊離脂肪酸を含む脂肪組成物を提供する工程と、b)リゾムコール・ミーヘイ、カンジダ・アンタークティカ、サーモミセス・ラヌギノサス、又はリゾプス・オリゼに由来する固定化リパーゼを使用して、提供された脂肪組成物を、提供された脂肪組成物の重量に基づいて1重量%から3重量%のポリオール組成物と酵素的に反応させる工程とを含み、ポリオール組成物がグリセロールとプロピレングリコールの混合物であり、提供された脂肪組成物中の遊離脂肪酸のポリオール組成物に対する重量比が0.5から10.0であり、得られたランダムエステル交換脂肪生成物が、AOCS Ca 5a-40に従って測定し、オレイン酸のパーセンテージとして計算して1.0重量%未満の遊離脂肪酸を有する。
本発明によれば、この方法で得られたランダムエステル交換脂肪生成物は、好ましくは、AOCS Ca 5a-40に従って測定し、オレイン酸のパーセンテージとして計算して、0.80重量%未満、好ましくは0.01重量%から0.50重量%、より好ましくは、0.01重量%から0.40重量%、さらにより好ましくは、0.01重量%から0.30重量%の遊離脂肪酸を有する。
ランダムエステル交換脂肪のランダム化の程度は、反応中に最も減少したトリグリセリドに基づいて計算することができる。「TAGd」は、反応後の、このトリグリセリド(反応中に最も減少したトリグリセリド)の含有量を指す。「TAGi」は、反応前のそのトリグリセリドの含有量を指す。同じ脂肪を化学的にエステル交換した場合には、完全にランダム化されると見なされる。「TAGe」は、化学的エステル交換を経たそのトリグリセリドの含有量を指す。したがって、ランダム化の程度は、次の式に基づいて計算することができる。
ランダム化の程度%=(TAGi-TAGd)/(TAGi-TAGe)x100%
ランダム化の程度が100%を超えると計算された場合、ランダム化が完了したところで、ランダム化の程度が100%であると見なすことができる。これは、分析メソッドの許容誤差が原因である可能性がある。
本発明によれば、この方法で得られたランダムエステル交換脂肪生成物は、好ましくは少なくとも70%、より好ましくは少なくとも75%、さらにより好ましくは80%から100%、さらにより好ましくは84%から100%、最も好ましくは90%から98%のランダム化の程度を有する。
したがって、好ましい実施形態では、本発明による食用のランダムエステル交換脂肪生成物を調製する方法は、a)AOCS Ca 5a-40に従って測定し、オレイン酸のパーセンテージとして計算して0.5重量%から20重量%の遊離脂肪酸を含む脂肪組成物を提供する工程と、b)リゾムコール・ミーヘイ、カンジダ・アンタークティカ、サーモミセス・ラヌギノサス、又はリゾプス・オリゼに由来する固定化リパーゼを使用して、提供された脂肪組成物を、提供された脂肪組成物の重量に基づいて0.5重量%から8重量%のポリオール組成物と酵素的に反応させる工程とを含み、ポリオール組成物が、グリセロール、プロピレングリコール、ポリグリセロール及びそれらの混合物から選択され、提供される脂肪組成物中の遊離脂肪酸のポリオール組成物に対する重量比が、0.2から18.0であり、得られたランダムエステル交換脂肪生成物が、AOCS Ca 5a-40に従って測定し、オレイン酸のパーセンテージとして計算して0.80重量%未満の遊離脂肪酸を有し、少なくとも75%のランダム化の程度を有する。
より好ましい実施形態では、本発明による食用のランダムエステル交換脂肪生成物を調製する方法は、a)AOCS Ca 5a-40に従って測定し、オレイン酸のパーセンテージとして計算して0.5重量%から18重量%の遊離脂肪酸を含む脂肪組成物を提供する工程と、b)リゾムコール・ミーヘイ、カンジダ・アンタークティカ、サーモミセス・ラヌギノサス、又はリゾプス・オリゼに由来する固定化リパーゼを使用して、提供された脂肪組成物を、提供された脂肪組成物の重量に基づいて0.5重量%から6重量%のポリオール組成物と酵素的に反応させる工程とを含み、ポリオール組成物が、グリセロール、プロピレングリコール、ポリグリセロール及びそれらの混合物から選択され、提供される脂肪組成物中の遊離脂肪酸のポリオール化合物に対する重量比が0.3から15.0であり、得られたランダムエステル交換脂肪生成物が、AOCS Ca 5a-40に従って測定し、オレイン酸のパーセンテージとして計算して0.01重量%から0.50重量%の遊離脂肪酸を有し、80%から100%のランダム化の程度を有する。
さらにより好ましい実施形態では、本発明による食用のランダムエステル交換脂肪生成物を調製する方法は、a)AOCS Ca 5a-40に従って測定し、オレイン酸のパーセンテージとして計算して0.8重量%から17重量%の遊離脂肪酸を含む脂肪組成物を提供する工程と、b)リゾムコール・ミーヘイ、カンジダ・アンタークティカ、サーモミセス・ラヌギノサス、又はリゾプス・オリゼに由来する固定化リパーゼを使用して、提供された脂肪組成物を、提供された脂肪組成物の重量に基づいて1重量%から5重量%のポリオール組成物と酵素的に反応させる工程とを含み、ポリオール組成物が、グリセロール、プロピレングリコール、ポリグリセロール及びそれらの混合物から選択され、提供される脂肪組成物中の遊離脂肪酸のポリオール化合物に対する重量比が0.5から15.0であり、得られたランダムエステル交換脂肪生成物が、AOCS Ca 5a-40に従って測定し、オレイン酸のパーセンテージとして計算して0.01重量%から0.40重量%の遊離脂肪酸を有し、84%から100%のランダム化の程度を有する。
最も好ましい実施形態では、本発明による食用のランダムエステル交換脂肪生成物を調製する方法は、a)AOCS Ca 5a-40に従って測定し、オレイン酸のパーセンテージとして計算して1.0重量%から16重量%の遊離脂肪酸を含む脂肪組成物を提供する工程と、b)リゾムコール・ミーヘイ、カンジダ・アンタークティカ、サーモミセス・ラヌギノサス、又はリゾプス・オリゼに由来する固定化リパーゼを使用して、提供された脂肪組成物を、提供された脂肪組成物の重量に基づいて1重量%から3重量%のポリオール組成物と酵素的に反応させる工程とを含み、ポリオール組成物がグリセロールからなり、提供された脂肪組成物中の遊離脂肪酸のグリセロールに対する重量比が0.5から10.0であり、得られたランダムエステル交換脂肪生成物が、AOCS Ca 5a-40に従って測定し、オレイン酸のパーセンテージとして計算して0.01重量%から0.30重量%の遊離脂肪酸を有し、90%から98%のランダム化の程度を有する。
追加の好ましい実施形態では、本発明による食用のランダムエステル交換脂肪生成物を調製する方法は、a)AOCS Ca 5a-40に従って測定し、オレイン酸のパーセンテージとして計算して1.0重量%から16重量%の遊離脂肪酸を含む脂肪組成物を提供する工程と、b)リゾムコール・ミーヘイ、カンジダ・アンタークティカ、サーモミセス・ラヌギノサス、又はリゾプス・オリゼに由来する固定化リパーゼを使用して、提供された脂肪組成物を、提供された脂肪組成物の重量に基づいて1重量%から3重量%のポリオール組成物と酵素的に反応させる工程であって、ポリオール組成物がグリセロールからなり、提供された脂肪組成物中の遊離脂肪酸のグリセロールに対する重量比が0.5から10.0であり、得られたランダムエステル交換脂肪生成物が、AOCS Ca 5a-40に従って測定し、オレイン酸のパーセンテージとして計算して0.01重量%から0.30重量%の遊離脂肪酸を有し、80%から100%のランダム化の程度を有する、工程と、c)得られたランダムエステル交換脂肪生成物を、好ましくは物理的精製によって精製する工程とを含む。
別の好ましい実施形態では、本発明による食用のランダムエステル交換脂肪生成物を調製する方法は、a)AOCS Ca 5a-40に従って測定し、オレイン酸のパーセンテージとして計算して1.0重量%から16重量%の遊離脂肪酸を含む脂肪組成物と、3重量%から15重量%の不けん化物とを提供する工程と、b)リゾムコール・ミーヘイ、カンジダ・アンタークティカ、サーモミセス・ラヌギノサス、又はリゾプス・オリゼに由来する固定化リパーゼを使用して、提供された脂肪組成物を、提供された脂肪組成物の重量に基づいて1重量%から3重量%のポリオール組成物と酵素的に反応させる工程とを含み、ポリオール組成物がグリセロールからなり、提供された脂肪組成物中の遊離脂肪酸のグリセロールに対する重量比が0.5から10.0であり、得られたランダムエステル交換脂肪生成物が、AOCS Ca 5a-40に従って測定し、オレイン酸のパーセンテージとして計算して0.01重量%から0.30重量%の遊離脂肪酸を有し、80%から100%のランダム化の程度を有する。
代替の好ましい実施形態では、本発明による食用のランダムエステル交換脂肪生成物を調製する方法は、a)AOCS Ca 5a-40に従って測定し、オレイン酸のパーセンテージとして計算して1.0重量%から16重量%の遊離脂肪酸を含む脂肪組成物を提供する工程と、b)リゾムコール・ミーヘイ、カンジダ・アンタークティカ、サーモミセス・ラヌギノサス、又はリゾプス・オリゼに由来する固定化リパーゼを使用して、提供された脂肪組成物を、提供された脂肪組成物の重量に基づいて1重量%から3重量%のポリオール組成物と酵素的に反応させる工程とを含み、ポリオール組成物がグリセロールとプロピレングリコールの混合物であり、提供された脂肪組成物中の遊離脂肪酸のグリセロールに対する重量比が0.5から10.0であり、得られたランダムエステル交換脂肪生成物が、AOCS Ca 5a-40に従って測定し、オレイン酸のパーセンテージとして計算して0.01重量%から0.30重量%の遊離脂肪酸を有し、80%から100%のランダム化の程度を有する。
本発明によれば、この方法で得られたランダムエステル交換脂肪生成物は、ステアリン酸(C18:0)とオレイン酸(C18:1)との重量比が好ましくは0.3:1から3:1、より好ましくは0.4:1から2.5:1、さらにより好ましくは0.4:1から2:1、そして最も好ましくは0.5:1から1.5:1である。
本明細書で規定されるトリグリセリドの量は、脂肪組成物中に存在する総トリグリセリドに基づく重量パーセントである。トリグリセリドXYZという表記は、グリセリドの1、2、及び3位のいずれかに脂肪酸アシル基X、Y及びZを有するトリグリセリドを表す。A2Bという表記は、AABとABAの両方を含み、AB2は、ABBとBABの両方を含む。トリグリセリド含有量は、例えばGC(ISO23275)によって求めることができる。
本発明による方法で得られたランダムエステル交換脂肪生成物は、好ましくは少なくとも1重量%のStStSt(トリステアリントリグリセリド)を含み、より好ましくは少なくとも1.5重量%、さらにより好ましくは2.0重量%から50重量%、そして好ましくは、2.1重量%から20重量%のStStStを含む。
したがって、好ましい実施形態では、本発明による食用のランダムエステル交換脂肪生成物を調製する方法は、a)AOCS Ca 5a-40に従って測定し、オレイン酸のパーセンテージとして計算して0.5重量%から20重量%の遊離脂肪酸を含む脂肪組成物を提供する工程と、b)リゾムコール・ミーヘイ、カンジダ・アンタークティカ、サーモミセス・ラヌギノサス、又はリゾプス・オリゼに由来する固定化リパーゼを使用して、提供された脂肪組成物を、提供された脂肪組成物の重量に基づいて0.5重量%から8重量%のポリオール組成物と酵素的に反応させる工程とを含み、ポリオール組成物が、グリセロール、プロピレングリコール、ポリグリセロール及びそれらの混合物から選択され、提供された脂肪組成物中の遊離脂肪酸のグリセロールに対する重量比が0.2から18.0であり、得られたランダムエステル交換脂肪生成物が、AOCS Ca 5a-40に従って測定し、オレイン酸のパーセンテージとして計算して0.80重量%未満の遊離脂肪酸を有し、ステアリン酸(C18:0)とオレイン酸(C18:1)との重量比が、0.3:1から3:1であり、少なくとも1重量%のStStSt(トリステアリントリグリセリド)を有する。
より好ましい実施形態では、本発明による食用のランダムエステル交換脂肪生成物を調製する方法は、a)AOCS Ca 5a-40に従って測定し、オレイン酸のパーセンテージとして計算して0.5重量%から18重量%の遊離脂肪酸を含む脂肪組成物を提供する工程と、b)リゾムコール・ミーヘイ、カンジダ・アンタークティカ、サーモミセス・ラヌギノサス、又はリゾプス・オリゼに由来する固定化リパーゼを使用して、提供された脂肪組成物を、提供された脂肪組成物の重量に基づいて0.5重量%から6重量%のポリオール組成物と酵素的に反応させる工程とを含み、ポリオール組成物がグリセロール、プロピレングリコール、ポリグリセロール及びそれらの混合物から選択され、提供された脂肪組成物中の遊離脂肪酸のグリセロールに対する重量比が0.3から15.0であり、得られたランダムエステル交換脂肪生成物が、AOCS Ca 5a-40に従って測定し、オレイン酸のパーセンテージとして計算して0.01重量%から0.50重量%の遊離脂肪酸を有し、ステアリン酸(C18:0)とオレイン酸(C18:1)との重量比が、0.4:1から2.5:1であり、少なくとも1.5重量%のStStSt(トリステアリントリグリセリド)を有する。
さらにより好ましい実施形態では、本発明による食用のランダムエステル交換脂肪生成物を調製する方法は、a)AOCS Ca 5a-40に従って測定し、オレイン酸のパーセンテージとして計算して0.8重量%から17重量%の遊離脂肪酸を含む脂肪組成物を提供する工程と、b)リゾムコール・ミーヘイ、カンジダ・アンタークティカ、サーモミセス・ラヌギノサス、又はリゾプス・オリゼに由来する固定化リパーゼを使用して、提供された脂肪組成物を、提供された脂肪組成物の重量に基づいて1重量%から5重量%のポリオール組成物と酵素的に反応させる工程とを含み、ポリオール組成物が、グリセロール、プロピレングリコール、ポリグリセロール及びそれらの混合物から選択され、提供された脂肪組成物中の遊離脂肪酸のグリセロールに対する重量比が0.5から15.0であり、得られたランダムエステル交換脂肪生成物が、AOCS Ca 5a-40に従って測定し、オレイン酸のパーセンテージとして計算して0.01重量%から0.40重量%の遊離脂肪酸を有し、ステアリン酸(C18:0)とオレイン酸(C18:1)との重量比が、0.4:1から2:1であり、2.0重量%から50重量%のStStSt(トリステアリントリグリセリド)を有する。
最も好ましい実施形態では、本発明による食用のランダムエステル交換脂肪生成物を調製する方法は、a)AOCS Ca 5a-40に従って測定し、オレイン酸のパーセンテージとして計算して1.0重量%から16重量%の遊離脂肪酸を含む脂肪組成物を提供する工程と、b)リゾムコール・ミーヘイ、カンジダ・アンタークティカ、サーモミセス・ラヌギノサス、又はリゾプス・オリゼに由来する固定化リパーゼを使用して、提供された脂肪組成物を、提供された脂肪組成物の重量に基づいて1重量%から3重量%のポリオール組成物と酵素的に反応させる工程とを含み、ポリオール組成物がグリセロールであり、提供された脂肪組成物中の遊離脂肪酸のグリセロールに対する重量比が0.5から10.0であり、得られたランダムエステル交換脂肪生成物が、AOCS Ca 5a-40に従って測定し、オレイン酸のパーセンテージとして計算して0.01重量%から0.30重量%の遊離脂肪酸を有し、ステアリン酸(C18:0)とオレイン酸(C18:1)との重量比が0.5:1から1.5:1であり、2.1重量%から20重量%のStStSt(トリステアリントリグリセリド)を有する。
追加の好ましい実施形態では、本発明による食用のランダムエステル交換脂肪生成物を調製する方法は、a)AOCS Ca 5a-40に従って測定し、オレイン酸のパーセンテージとして計算して1.0重量%から16重量%の遊離脂肪酸を含む脂肪組成物を提供する工程と、b)リゾムコール・ミーヘイ、カンジダ・アンタークティカ、サーモミセス・ラヌギノサス、又はリゾプス・オリゼに由来する固定化リパーゼを使用して、提供された脂肪組成物を、提供された脂肪組成物の重量に基づいて1重量%から3重量%のポリオール組成物と酵素的に反応させる工程であって、ポリオール組成物がグリセロールであり、提供された脂肪組成物中の遊離脂肪酸のグリセロールに対する重量比が0.5から10.0であり、得られたランダムエステル交換脂肪生成物が、AOCS Ca 5a-40に従って測定し、オレイン酸のパーセンテージとして計算して0.01重量%から0.30重量%の遊離脂肪酸を有し、ステアリン酸(C18:0)とオレイン酸(C18:1)との重量比が0.5:1から1.5:1であり、2.1重量%から20重量%のStStSt(トリステアリントリグリセリド)を有する、工程と、c)得られたランダムエステル交換脂肪生成物を精製する工程であって、物理的精製がより好ましい、工程と、を含む。
別の好ましい実施形態では、本発明による食用のランダムエステル交換脂肪生成物を調製する方法は、a)AOCS Ca 5a-40に従って測定し、オレイン酸のパーセンテージとして計算して1.0重量%から16重量%の遊離脂肪酸を含む脂肪組成物と、3重量%から15重量%の不けん化物とを提供する工程と、b)リゾムコール・ミーヘイ、カンジダ・アンタークティカ、サーモミセス・ラヌギノサス、又はリゾプス・オリゼに由来する固定化リパーゼを使用して、提供された脂肪組成物を、提供された脂肪組成物の重量に基づいて1重量%から3重量%のポリオール組成物と酵素的に反応させる工程とを含み、ポリオール組成物がグリセロールであり、提供された脂肪組成物中の遊離脂肪酸のグリセロールに対する重量比が0.5から10.0であり、得られたランダムエステル交換脂肪生成物が、AOCS Ca 5a-40に従って測定し、オレイン酸のパーセンテージとして計算して0.01重量%から0.30重量%の遊離脂肪酸を有し、ステアリン酸(C18:0)とオレイン酸(C18:1)との重量比が、0.5:1から1.5:1であり、2.1重量%から20重量%のStStSt(トリステアリントリグリセリド)を有する。
代替の好ましい実施形態では、本発明による食用のランダムエステル交換脂肪生成物を調製する方法は、a)AOCS Ca 5a-40に従って測定し、オレイン酸のパーセンテージとして計算して1.0重量%から16重量%の遊離脂肪酸を含む脂肪組成物を提供する工程と、b)リゾムコール・ミーヘイ、カンジダ・アンタークティカ、サーモミセス・ラヌギノサス、又はリゾプス・オリゼに由来する固定化リパーゼを使用して、提供された脂肪組成物を、提供された脂肪組成物の重量に基づいて1重量%から3重量%のポリオール組成物と酵素的に反応させる工程とを含み、ポリオール組成物がグリセロールとプロピレングリコールの混合物であり、提供された脂肪組成物中の遊離脂肪酸のグリセロールに対する重量比が0.5から10.0であり、得られたランダムエステル交換脂肪生成物が、AOCS Ca 5a-40に従って測定し、オレイン酸のパーセンテージとして計算して1.0重量%未満の遊離脂肪酸を有し、ステアリン酸(C18:0)とオレイン酸(C18:1)との重量比が0.5:1から1.5:1であり、2.1重量%から20重量%のStStSt(トリステアリントリグリセリド)を有する。
「トリグリセリド(TAG)」という用語は、グリセロール分子に共有結合している3つの脂肪酸鎖からなるグリセリドを指す。「ジグリセリド(DAG)」という用語は、グリセロール分子に共有結合している2つの脂肪酸鎖からなるグリセリドを指し、必ずしもグリセロール骨格上の特定の位置(1位と3位又は1位と2位)に限定されない。「モノグリセリド(MAG)」という用語は、グリセロール分子に共有結合している1つの脂肪酸鎖からなるグリセリドを指し、必ずしもグリセロール骨格上の特定の位置(1位、2位又は3位)に限定されない。トリグリセリド含有量、ジグリセリド含有量及びモノグリセリド含有量は、例えば、ISO18395:2005(E)に従って高性能サイズ排除クロマトグラフィーによって求めることができる。
本発明によれば、この方法で得られたランダムエステル交換脂肪生成物は、好ましくは0.01重量%から5重量%のモノグリセリドを含み、より好ましくは0.05重量%から4重量%、さらにより好ましくは0.1重量%から3重量%、及び最も好ましくは、0.2重量%から3重量%のモノグリセリドを含む。
本発明による方法で得られたランダムエステル交換脂肪生成物は、好ましくは1重量%から35重量%のジグリセリドを含み、より好ましくは5重量%から35重量%、さらにより好ましくは10重量%から35重量%、そして最も好ましくは10重量%から32重量%のジグリセリドを含む。
本発明の方法に従って生成された得られたランダムエステル交換脂肪生成物中にインサイツで生成されるモノグリセリド及びジグリセリドの存在により、乳化剤を追加することなく、ランダムエステル交換脂肪生成物に追加の乳化機能がもたらされる。この特性は、マーガリンなどの乳化が関与する用途に特に適している。
本発明による方法の工程b)のポリオール組成物にプロピレングリコールが使用される場合、プロピレングリコールエステルも、得られたランダムエステル交換脂肪生成物中にインサイツで生成され得る。脂肪酸のポリグリセリンエステルも、ポリグリセリンが使用される場合、本発明の方法に従って生成される得られたランダムエステル交換脂肪生成物中にインサイツで生成され得る。プロピレングリコールエステルやポリグリセリンエステルなどの様々に生成された乳化剤は、追加の乳化剤を何ら加えることなく、得られたランダムエステル交換脂肪生成物に乳化特性をもたらす。
したがって、好ましい実施形態では、本発明による食用のランダムエステル交換脂肪生成物を調製する方法は、a)AOCS Ca 5a-40に従って測定し、オレイン酸のパーセンテージとして計算して0.5重量%から20重量%の遊離脂肪酸を含む脂肪組成物を提供する工程と、b)リゾムコール・ミーヘイ、カンジダ・アンタークティカ、サーモミセス・ラヌギノサス、又はリゾプス・オリゼに由来する固定化リパーゼを使用して、提供された脂肪組成物を、提供された脂肪組成物の重量に基づいて0.5重量%から8重量%のポリオール組成物と酵素的に反応させる工程とを含み、ポリオール組成物がグリセロールからなり、提供された脂肪組成物中の遊離脂肪酸のグリセロールに対する重量比が0.2から18.0であり、得られたランダムエステル交換脂肪生成物が、AOCS Ca 5a-40に従って測定し、オレイン酸のパーセンテージとして計算して0.80重量%未満の遊離脂肪酸を有し、ステアリン酸(C18:0)とオレイン酸(C18:1)との重量比が0.3:1から3:1であり、少なくとも1重量%のStStSt(トリステアリントリグリセリド)と、0.01重量%から5重量%のモノグリセリドと、1重量%から35重量%のジグリセリドとを有する。
より好ましい実施形態では、本発明による食用のランダムエステル交換脂肪生成物を調製する方法は、a)AOCS Ca 5a-40に従って測定し、オレイン酸のパーセンテージとして計算して0.5重量%から18重量%の遊離脂肪酸を含む脂肪組成物を提供する工程と、b)リゾムコール・ミーヘイ、カンジダ・アンタークティカ、サーモミセス・ラヌギノサス、又はリゾプス・オリゼに由来する固定化リパーゼを使用して、提供された脂肪組成物を、提供された脂肪組成物の重量に基づいて0.5重量%から6重量%のポリオール組成物と酵素的に反応させる工程とを含み、ポリオール組成物がグリセロールからなり、提供された脂肪組成物中の遊離脂肪酸のグリセロールに対する重量比が0.3から15.0であり、得られたランダムエステル交換脂肪生成物が、AOCS Ca 5a-40に従って測定し、オレイン酸のパーセンテージとして計算して、0.01重量%から0.50重量%の遊離脂肪酸を有し、ステアリン酸(C18:0)とオレイン酸(C18:1)との重量比が0.4:1から2.5:1であり、少なくとも1.5重量%のStStSt(トリステアリントリグリセリド)と、0.05重量%から4重量%のモノグリセリドと、5重量%から35重量%のジグリセリドとを有する。
さらにより好ましい実施形態では、本発明による食用のランダムエステル交換脂肪生成物を調製する方法は、a)AOCS Ca 5a-40に従って測定し、オレイン酸のパーセンテージとして計算して0.8重量%から17重量%の遊離脂肪酸を含む脂肪組成物を提供する工程と、b)リゾムコール・ミーヘイ、カンジダ・アンタークティカ、サーモミセス・ラヌギノサス、又はリゾプス・オリゼに由来する固定化リパーゼを使用して、提供された脂肪組成物を、提供された脂肪組成物の重量に基づいて1重量%から5重量%のポリオール組成物と酵素的に反応させる工程とを含み、ポリオール組成物がグリセロールからなり、提供された脂肪組成物中の遊離脂肪酸のグリセロールに対する重量比が0.5から15.0であり、得られたランダムエステル交換脂肪生成物が、AOCS Ca 5a-40に従って測定し、オレイン酸のパーセンテージとして計算して0.01重量%から0.40重量%の遊離脂肪酸を有し、ステアリン酸(C18:0)とオレイン酸(C18:1)との重量比が0.4:1から2:1であり、2.0重量%から50重量%のStStSt(トリステアリントリグリセリド)と、0.1重量%から3重量%のモノグリセリドと、20重量%から35重量%のジグリセリドとを有する。
最も好ましい実施形態では、本発明による食用のランダムエステル交換脂肪生成物を調製する方法は、a)AOCS Ca 5a-40に従って測定し、オレイン酸のパーセンテージとして計算して1.0重量%から16重量%の遊離脂肪酸を含む脂肪組成物を提供する工程と、b)リゾムコール・ミーヘイ、カンジダ・アンタークティカ、サーモミセス・ラヌギノサス、又はリゾプス・オリゼに由来する固定化リパーゼを使用して、提供された脂肪組成物を、提供された脂肪組成物の重量に基づいて1重量%から3重量%のポリオール組成物と酵素的に反応させる工程とを含み、ポリオール組成物がグリセロールからなり、提供された脂肪組成物中の遊離脂肪酸のグリセロールに対する重量比が0.5から10.0であり、得られたランダムエステル交換脂肪生成物が、AOCS Ca 5a-40に従って測定し、オレイン酸のパーセンテージとして計算して0.01重量%から0.30重量%の遊離脂肪酸を有し、ステアリン酸(C18:0)とオレイン酸(C18:1)との重量比が0.5:1から1.5:1であり、2.1重量%から20重量%のStStSt(トリステアリントリグリセリド)と、0.2重量%から3重量%のモノグリセリドと、10重量%から32重量%のジグリセリドとを有する。
本発明はまた、菓子、ベーカリー又は料理などの食品用途における本発明の方法に従って製造された食用のランダムエステル交換脂肪生成物の使用に関する。好ましくは、本発明の方法に従って製造された食用のランダムエステル交換脂肪生成物は、クリーム、スプレッド、フィリング、コーティング、マーガリン又はショートニングに使用される。
一態様では、本発明の方法に従って製造された食用のランダムエステル交換脂肪生成物から製造された菓子製品は、典型的にはチョコレート様製品であり、例えば、バー、フィリング、ビスケットクリーム及び菓子コーティングから選択され得る。フィリングが好ましい。菓子製品は、好ましくは、脱脂乳粉末、カカオバター、ナッツベースの材料(例えば、ヘーゼルナッツ片及び/又はヘーゼルナッツペースト)、及び乳化剤(例えば、レシチン、PGPR、ソルビタントリステアレート又はそれらの混合物)などの1つ以上の追加の成分を含む。さらなる任意選択の成分としては、香料(例えば、バニラ、バニリン、ミント、オレンジなど)、着色剤、並びに、菓子類及び果物片などの含有物が挙げられる。
別の態様では、マーガリンは、本発明の方法に従って製造された食用のランダムエステル交換脂肪生成物を水相と混合して油中水型エマルジョンを形成することによって形成することができる。好ましくは、追加の乳化剤を必要としない。脂肪及び水相の量は、通常、10~90重量%の脂肪及び90~10重量%の水相の範囲であり、例えば、20~80重量%の脂肪及び80~20重量%の水相、又は30~70重量%の脂肪及び70~30重量%の水相の範囲である。マーガリンのさらなる成分には、着色剤(ベータカロチンなど)、香味剤(例えば、塩及び/又はクエン酸)及び防腐剤(例えば、ソルビン酸カリウム)のうちの1つ以上が含まれ、通常、これらの成分は、マーガリンの重量基準で5重量%未満(例えば、0.1~3重量%)の量で存在する。植物性脂肪と水相からマーガリンを調製することは、当業者に周知である。マーガリンは通常、約80から90重量%の脂肪相を含む。マーガリンは、例えば、タブ型容器又は包装紙に包装することができる。
さらなる態様では、本発明の方法に従って製造された食用のランダムエステル交換脂肪生成物は、ホイップクリームの用途に使用することができる。ホイップクリームは、典型的には、空気などの浮遊ガスを取り込む水中油型エマルジョンである。ホイップクリームは、本発明の方法に従って製造された食用のランダムエステル交換脂肪生成物、水、並びに、任意選択で、砂糖、脱脂乳粉末及び任意選択で乳化剤のうちの1つ以上を含み得る。典型的には、ホイップクリームは、10重量%から50重量%の砂糖、20重量%から50重量%の脂肪、10重量%から40重量%の水、並びに任意選択で最大10重量%の脱脂粉乳、及び任意選択で最大5重量%の乳化剤を含む。
本明細書中の明らかに先に公開された文献のリスト又は考察は、その文献が最新技術の一部であるか、又は共通の一般知識であると認識しているものとして必ずしも解釈されるべきではない。
本発明の所与の態様、実施形態、特徴、又はパラメータについての優先度及び選択肢は、文脈上で別段に示されない限り、本発明の全ての他の態様、実施形態、特徴、及びパラメータについてのあらゆる全ての優先度及び選択肢と組み合わせて開示されているものと見なされるべきである。
以下の非限定的な実施例は本発明を説明するものであり、いかなる形であれ、その範囲を限定するものではない。実施例において、及び本明細書を通して、別段に示されない限り、全てのパーセンテージ、部、及び比は重量による。
これらの実施例を通して:
オレイン酸としてのFFAは、AOCS Ca 5a-40に従って測定し、オレイン酸のパーセンテージとして計算した遊離脂肪酸含有量を指し、
Cx:yは、x個の炭素原子及びy個の二重結合を有する脂肪酸を指し、レベルは、GC-FAME(ISO12966-2及びISO12966-4)によって測定し、
O、P、St及びLは、それぞれオレイン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、及びリノール酸を指し、
トリグリセリド組成POStなどは、GC(ISO23275)によって測定し、異なる位置に同じ脂肪酸を有するトリグリセリドを含み(例えば、POStはPStO及びStPOを含む)、
US-Nxは、x℃における非安定化脂肪のNMR(ISO8292-1)によって測定された固形脂肪含有量を指し、
不けん化物のパーセンテージは、AOCS Ca 6a-40に従って測定し、
黄色と赤色は、Lovibond Tintometer(ISO15305)を使用した1インチ(25.4mm)キュベットの色測定を示し、
TAG/DAG/MAGは、ISO18395:2005(E)に従って決定される。
実施例1
粗シアオレインは、粗シアバターの溶媒分別によって得られる。グリセロール16g(総脂肪組成に基づいて2重量%)を含む800gの粗シアオレインをガラス容器で調製し、70℃で底部から窒素ガスと混合した。よって、脂肪組成物中の遊離脂肪酸のグリセロールに対する重量比は、15/2で計算され、7.5である。反応は、マクロポーラスアニオン樹脂(Novozym(登録商標)40086)に固定化されたリゾムコール・ミーヘイに由来する固定化リパーゼによって触媒された。約24時間後に、反応が完了してから、生成物を濾過した。
オランダのBunge Loders Croklaan B Vから入手した、市販の脂肪Creamelt(登録商標)Standをリファレンスと見なした。Creamelt(登録商標)Standは化学的にエステル交換されたシアオレインであり、処理中、余分な遊離脂肪酸は化学的にエステル交換する前に蒸留によって除去されたものである。粗シアオレイン、リファレンス生成物、及び本発明の方法によって得られた生成物の分析結果を表1に示す。
Figure 2023509732000002
この結果は、本発明による方法によれば、粗シアオレインから遊離脂肪酸を除去することなく、ランダムエステル交換脂肪生成物につき、従来の化学的エステル交換シアオレインと同様のトリグリセリド組成及び固形脂肪含有量プロファイルを得ることができることを示す。脂肪生成物1のランダム化の程度は、リファレンスサンプルの100%ランダム化を考慮することにより、反応中に最も減少したトリグリセリド(この例ではStOO)に基づいて計算することができる。したがって、ランダム化の程度は、(StOO(粗シアオレイン)-StOO(脂肪生成物1))/(StOO(粗シアオレイン)-StOO(リファレンス1))x100%、つまり84%である。
比較例1
6gのグリセロール(総脂肪組成に基づいて2重量%)を含む300gの粗シアオレインを調製し、110℃に加熱し、約10mbarの圧力の真空下で30分間乾燥させた。この乾燥油にナトリウムメトキシド(0.10重量%濃度)を加え、混合物を約10mbarで30分間撹拌した。この後、クエン酸を加えることにより反応を停止し、形成された石鹸をシリカゲルにより除去した。粗シアオレイン、リファレンス生成物及び比較例生成物の分析結果を表2に示す。
Figure 2023509732000003
この結果は、粗シアオレインと比較脂肪生成物1との間でトリグリセリドの組成及び/又は固形脂肪含有量のプロファイルの有意な変化が観察されないことから、遊離脂肪酸を除去しないと、粗シアオレインを化学的にエステル交換できないことを示している。比較脂肪生成物1のランダム化の程度は、リファレンスサンプルの100%ランダム化を考慮することにより、反応中に最も減少したトリグリセリド(この例ではStOO)に基づいて計算することができる。したがって、ランダム化の程度は、(StOO(粗シアオレイン)-StOO(比較脂肪生成物1))/(StOO(粗シアオレイン)-StOO(リファレンス1))x100であり、つまりわずか5.5%である。
実施例2
グリセロール16g(総脂肪組成に基づいて2重量%)を含む800gの粗シアオレインをガラス容器で調製し、70℃で底部から窒素ガスと混合した。反応は、マクロポーラスアニオン樹脂(Novozym(登録商標)40086)に固定化されたリゾムコール・ミーヘイに由来する固定化リパーゼによって触媒された。約24時間後に、反応が完了してから、生成物を濾過した。濾過された酵素は、16gのグリセロールを含む約800gの粗シアオレインを新しく調製する際に再び再利用した。濾過した酵素を12回再利用した。各バッチの生成物においては、酵素の安定性のパフォーマンスをモニタリングするために、固形脂肪含有量プロファイルを測定した。結果を以下の表3に示す。
Figure 2023509732000004
この結果は、出発物質(粗シアオレイン)における高い遊離脂肪酸含有量の存在にもかかわらず、この方法において、酵素性能がかなり良好で安定していることを示している。
実施例3
12gのグリセロール(総脂肪組成に基づいて2重量%)を含む600gの粗シアオレインをガラス容器で調製し、70℃で底部から窒素ガスと混合した。よって、脂肪組成物中の遊離脂肪酸のグリセロールに対する重量比は、14.47/2で計算され、7.2である。反応は、マクロポーラスアクリル樹脂(Novozym(登録商標)435)に固定化されたカンジダ・アンタークティカBに由来する固定化リパーゼによって触媒された。約24時間後に、反応が完了してから、生成物を濾過した。続いて、生成物を1.5%酸活性化漂白土を用いて、90℃で30分間漂白し、バッチ脱臭剤で230℃で4時間、0.05~0.2mbarの真空下で脱臭した。粗シアオレイン及び本発明の方法により得られた生成物の分析結果を表4に示す。
Figure 2023509732000005
比較例3.1
実施例3からの同じ粗シアオレインを、過剰の遊離脂肪酸を除去するために最初に蒸留した後に、約200℃の温度及び約8×10-3mbarの圧力での短経路蒸留によって化学的エステル交換を行った。約300gの蒸留シアオレインを調製し、110℃に加熱し、約10marの圧力の真空下で30分間乾燥させた。この乾燥油にナトリウムメトキシド(0.2重量%濃度)を加え、混合物を約10mbarで30分間撹拌した。この後、クエン酸を加えることにより反応を停止し、形成された石鹸をシリカゲルにより除去した。続いて、生成物を1.5%酸活性化漂白土を用いて、90℃で30分間漂白し、バッチ脱臭剤で230℃で4時間、0.05~0.2mbarの真空下で脱臭した。粗シアオレイン、蒸留シアオレイン及び比較例生成物3.1の分析結果を表5に示す。
Figure 2023509732000006
比較例3.2
実施例3からの同じ粗シアオレインを、過剰の遊離脂肪酸を除去するために最初に蒸留した後に、約200℃の温度及び約8×10-3mbarの圧力での短経路蒸留によって酵素的エステル交換を行った。合計で約400gの蒸留シアオレインを調製し、60℃に加熱した。反応は、マクロポーラスアクリル樹脂(Novozym(登録商標)435)に固定化されたカンジダ・アンタークティカBに由来する固定化リパーゼによって触媒された。約24時間後に、反応が完了してから、生成物を濾過した。続いて、生成物を1.5%酸活性化漂白土を用いて、90℃で30分間漂白し、バッチ脱臭剤で230℃で4時間、0.05~0.2mbarの真空下で脱臭した。粗シアオレイン、蒸留シアオレイン及び比較例生成物3.2の分析結果を表6に示す。
Figure 2023509732000007
この結果は、本発明の方法による酵素的エステル交換前に脱酸(遊離脂肪酸の蒸留)を行わない実施例3の生成物が、化学的エステル交換の前に脱酸(遊離脂肪酸の蒸留)を行った比較例3.1の生成物、及び酵素的エステル交換の前に脱酸を行った比較例3.2の生成物に比べて、意外にも精製後に好ましい黄色及び赤色を有することを示す。本発明による方法は、著しい量の脂肪酸を失うことなくプロセスの効率を改善するだけでなく(約15%の収率改善)、望ましい明るい色などの優れた品質の脂肪生成物の製造も可能にする。
実施例4
グリセロール12g(総脂肪組成に基づいて2重量%)を含む600gの粗シアバターをガラス容器で調製し、70℃で底から窒素ガスと混合した。よって、脂肪組成物中の遊離脂肪酸のグリセロールに対する重量比は、6.27/2で計算され、約3.1である。反応は、マクロポーラスアニオン樹脂(Novozym(登録商標)40086)に固定化されたリゾムコール・ミーヘイに由来する固定化リパーゼによって触媒された。約24時間後に、反応が完了してから、生成物を濾過した。
化学的にエステル交換されたシアバターを、トリグリセリド組成に基づいてエステル交換の程度を示すためのリファレンスと見なす。化学的エステル交換の前に、当技術分野でよく知られているように、遊離脂肪酸を蒸留/脱臭によって除去する必要がある。粗シアバター、本発明の方法による生成物、及びリファレンスの分析結果を表7に示す。
Figure 2023509732000008
この結果は、本発明による方法によれば、粗シアバターから遊離脂肪酸を除去することなく、ランダムエステル交換脂肪生成物につき、従来の化学的エステル交換シアバターと同様のトリグリセリド組成及び固形脂肪含有量プロファイルを得ることができることを示す。脂肪生成物4のランダム化の程度は、リファレンスサンプルの100%ランダム化を考慮することにより、反応中に最も減少したトリグリセリド(この例ではStOSt)に基づいて計算することができる。したがって、ランダム化の程度は、(StOSt(粗シアバター)-StOSt(脂肪生成物4))/(StOSt(粗シアバター)-StOSt(リファレンス2))x100%、つまり93.4%である。
実施例5
16gのグリセロール(総脂肪組成に基づいて2重量%)を含む560gの粗シアオレイン及び240gのシアステアリンをガラス容器で調製し、70℃で底から窒素ガスと混合した。よって、脂肪組成物中の遊離脂肪酸のグリセロールに対する重量比は、11/2で計算され、5.5である。反応は、マクロポーラスアクリル樹脂(Novozym(登録商標)435)に固定化されたカンジダ・アンタークティカBに由来する固定化リパーゼによって触媒された。約24時間後に、反応が完了してから、生成物を濾過した。粗シアオレイン/シアステアリンブレンド及び本発明の方法によって得られた生成物の分析結果を表8に示す。
Figure 2023509732000009
実施例6
12gのグリセロール(総脂肪組成に基づいて2重量%)を含む600gの粗シアオレイン(実施例1と同じ粗シアオレイン)をガラス容器内で調製し、70℃で底部から窒素ガスと混合した。よって、脂肪組成物中の遊離脂肪酸のグリセロールに対する重量比は、15/2で計算され、7.5である。反応は、ポリプロピレン(Accurel(登録商標))に固定化されたリゾプス・オリゼに由来する固定化リパーゼによって触媒された。約24時間後に、反応が完了してから、生成物を濾過した。本発明の方法によって得られた生成物の分析結果を表9に示す。
Figure 2023509732000010
実施例7
24gのグリセロール(総脂肪組成に基づいて4重量%)を含む600gの粗シアオレイン(実施例1と同じ粗シアオレイン)をガラス容器で調製し、70℃で底部から窒素ガスと混合した。よって、脂肪組成物中の遊離脂肪酸のグリセロールに対する重量比は、15/4で計算され、約3.8である。反応は、マクロポーラスアクリル樹脂(Novozym(登録商標)435)に固定化されたカンジダ・アンタークティカBに由来する固定化リパーゼによって触媒された。約24時間後に、反応が完了してから、生成物を濾過した。本発明の方法によって得られた生成物の分析結果を表10に示す。
Figure 2023509732000011
実施例8
6gのグリセロール(総脂肪組成に基づいて1重量%)を含む600gのカカオバターをガラス容器で調製し、70℃で底から窒素ガスと混合した。よって、脂肪組成物中の遊離脂肪酸のグリセロールに対する重量比は、1.01/1で計算され、約1.0である。反応は、マクロポーラスアクリル樹脂(Novozym(登録商標)435)に固定化されたカンジダ・アンタークティカBに由来する固定化リパーゼによって触媒された。約24時間後に、反応が完了してから、生成物を濾過した。
化学的にエステル交換されたカカオバターを、トリグリセリド組成に基づいてエステル交換の程度を示すためのリファレンスと見なす。化学的エステル交換の前に、当技術分野でよく知られているように、遊離脂肪酸を蒸留/脱臭又は化学的中和のいずれかによって除去する必要がある。カカオバター、本発明の方法によって得られた生成物、及びリファレンスの分析結果を表11に示す。
Figure 2023509732000012
この結果は、本発明による方法によれば、カカオバターから遊離脂肪酸を除去することなく、同様のランダムエステル交換脂肪生成物を得ることができることを示している。さらに、モノグリセリド及びジグリセリドもこのプロセスから生成され、脂肪生成物中のモノグリセリドの含有量は2.1重量%である。生成されたモノグリセリド及びジグリセリドは、ランダムエステル交換脂肪生成物に追加の乳化特性をもたらす可能性がある。脂肪生成物8のランダム化の程度は、リファレンスサンプルの100%ランダム化を考慮することにより、反応中に最も減少したトリグリセリド(この例ではPOSt)に基づいて計算することができる。したがって、ランダム化の程度は、(POSt(カカオバター)-POSt(脂肪生成物8))/(POSt(カカオバター)-POSt(リファレンス3))x100%、つまり94.1%である。
実施例9
グリセロール12g(総脂肪組成に基づいて2重量%)を含む600gのカカオバターをガラス容器で調製し、70℃で底から窒素ガスと混合した。よって、脂肪組成物中の遊離脂肪酸のグリセロールに対する重量比は、1.01/1で計算され、約0.5である。反応は、マクロポーラスアクリル樹脂(Novozym(登録商標)435)に固定化されたカンジダ・アンタークティカBに由来する固定化リパーゼによって触媒された。約24時間後に、反応が完了してから、生成物を濾過した。
化学的にエステル交換されたカカオバターを、トリグリセリド組成に基づいてエステル交換の程度を示すためのリファレンスと見なす。化学的エステル交換の前に、当技術分野でよく知られているように、遊離脂肪酸を蒸留/脱臭又は化学的中和のいずれかによって除去する必要がある。カカオバター、本発明の方法によって得られた生成物、及びリファレンスの分析結果を表12に示す。
Figure 2023509732000013
この結果は、本発明による方法によれば、カカオバターから遊離脂肪酸を除去することなく、同様のランダムエステル交換脂肪生成物を得ることができることを示している。さらに、モノグリセリド及びジグリセリドもこのプロセスから生成され、脂肪生成物中のモノグリセリドの含有量は2.6重量%である。生成されたモノグリセリド及びジグリセリドは、ランダムエステル交換脂肪生成物に追加の乳化特性をもたらす。脂肪生成物9のランダム化の程度は、リファレンスサンプルの100%ランダム化を考慮することにより、反応中に最も減少したトリグリセリド(この例ではPOSt)に基づいて計算することができる。したがって、ランダム化の程度は、(POSt(カカオバター)-POSt(脂肪生成物9))/(POSt(カカオバター)-POSt(リファレンス3))x100%、つまり92.2%である。
実施例10
12gのグリセロールと12gのプロピレングリコール(総脂肪組成に基づくポリオール化合物の3重量%)を含む480gの粗シアオレインと320gの粗シアバターをガラス容器で調製し、70℃で底部から窒素ガスと混合した。よって、脂肪組成物中の遊離脂肪酸とポリオール化合物(グリセロール及びプロピレングリコール)の重量比は、15/3で計算され、5.0である。反応は、マクロポーラスアクリル樹脂(Novozym(登録商標)435)に固定化されたカンジダ・アンタークティカBに由来する固定化リパーゼによって触媒された。約24時間後に、反応が完了してから、生成物を濾過した。粗シアオレイン/シアステアリンブレンド及び本発明の方法によって得られた生成物の分析結果を表13に示す。
Figure 2023509732000014
この結果は、本発明によれば、様々なポリオール化合物を使用することによってランダムエステル交換脂肪生成物を製造することができることを示している。
実施例11
脂肪生成物1及びリファレンス1(Creamelt(登録商標)Stand)の20℃での初期結晶化曲線は、ISO8292-1に準拠したパルスNMRを使用して40分まで測定した。両方の曲線を図1に示す。この結果は、脂肪生成物1がより速い初期結晶化速度を持ち、クリーム、スプレッド、フィリング、マーガリン、ショートニングなどの様々な用途で特に望ましい、より多くの初期固形物を形成することを示している。

Claims (16)

  1. 食用のランダムにエステル交換された脂肪生成物を調製する方法であって、
    a)AOCS Ca 5a-40に従って測定し、オレイン酸のパーセンテージとして計算して0.5重量%から25重量%の遊離脂肪酸を含む脂肪組成物を提供する工程と、
    b)工程a)で提供された前記脂肪組成物を、前記脂肪組成物の重量に基づいて0.5重量%から10重量%のポリオール組成物と酵素的に反応させる工程であって、前記脂肪組成物中の遊離脂肪酸の前記ポリオール組成物に対する重量比が0.1から20.0である、工程と、
    を含み、
    得られた前記ランダムにエステル交換された脂肪生成物が、AOCS Ca 5a-40に従って測定し、オレイン酸のパーセンテージとして計算して1.0重量%未満の遊離脂肪酸を有する、方法。
  2. 工程a)の前記脂肪組成物中の遊離脂肪酸の工程b)の前記ポリオール組成物に対する重量比が、0.2から18.0、好ましくは0.3から15.0、より好ましくは0.5から15.0、最も好ましくは0.5から10.0である、請求項1に記載の方法。
  3. 工程a)において、前記脂肪組成物が、AOCS Ca 5a-40に従って測定し、オレイン酸のパーセンテージとして計算して0.5重量%から20重量%、好ましくは0.5重量%から18重量%、より好ましくは0.8重量%から17重量%、さらにより好ましくは1.0重量%から16重量%の遊離脂肪酸を含む、請求項1又は請求項2に記載の方法。
  4. 工程a)において、前記脂肪組成物が、シアバター、カカオバター、サルバター、マンゴーカーネルオイル、イリペバター、コクムバター、モウラバター、高ステアリン酸高オレイン酸ヒマワリ油、それらの画分及びそれらの混合物、特に、カカオバター、シアバター、シアオレイン、シアステアリン及びそれらの混合物から選択される、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
  5. 工程a)において、前記脂肪組成物が、少なくとも15重量%のステアリン酸(C18:0)を含み、前記酸のパーセンテージは、グリセリドにおいてアシル基として結合した酸及び前記脂肪組成物中に存在する任意の遊離脂肪酸に関し、かつ、C8からC24の脂肪酸の総重量に基づくものであり、好ましくは20重量%から80重量%、より好ましくは25重量%から75重量%、さらにより好ましくは25重量%から70重量%である、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
  6. 工程a)において、前記脂肪組成物が、少なくとも1重量%、好ましくは少なくとも2重量%、より好ましくは3重量%から15重量%、さらにより好ましくは4重量%から12重量%、最も好ましくは5重量%から10重量%の不けん化物を含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
  7. 工程b)において、前記提供された脂肪組成物が、前記提供された脂肪組成物の重量に基づいて0.5重量%から8重量%、好ましくは0.5重量%から6重量%、より好ましくは1重量%から5重量%、さらにより好ましくは1重量%から3重量%の前記ポリオール組成物と反応する、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
  8. 工程b)において、前記ポリオール組成物が、グリセロール、プロピレングリコール、ポリグリセロール及びそれらの混合物から選択され、好ましくは、前記ポリオール組成物がグリセロールからなる、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
  9. 工程b)において、前記反応が、リパーゼ、好ましくは固定化リパーゼ、より好ましくは、リゾムコール・ミーヘイ(Rhizomucor miehei)、カンジダ・アンタークティカ(Candida antarctica)、サーモミセス・ラヌギノサス(Thermomyces lanuginosus)、又はリゾプス・オリゼ(Rhizopus oryzae)に由来する固定化リパーゼによって触媒される、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
  10. 前記得られたランダムにエステル交換された脂肪生成物が、AOCS Ca 5a-40に従って測定し、オレイン酸のパーセンテージとして計算して、0.80重量%未満、好ましくは0.01重量%から0.50重量%、より好ましくは0.01重量%から0.40重量%、さらにより好ましくは0.01重量%から0.30重量%の遊離脂肪酸を有する、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
  11. 前記得られたランダムにエステル交換された脂肪生成物が、少なくとも70%、好ましくは少なくとも75%、より好ましくは80%から100%、さらにより好ましくは84%から100%、最も好ましくは90%から98%のランダム化の程度を有する、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
  12. 前記得られたランダムにエステル交換された脂肪生成物が、0.01重量%から5重量%、好ましくは0.05重量%から4重量%、より好ましくは0.1重量%から3重量%のモノグリセリドを含む、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。
  13. 前記得られたランダムにエステル交換された脂肪生成物が、1重量%から35重量%、好ましくは5重量%から35重量%、より好ましくは10重量%から35重量%、さらにより好ましくは10重量%から32重量%のジグリセリドを含む、請求項1~12のいずれか一項に記載の方法。
  14. 前記得られたランダムにエステル交換された脂肪生成物のステアリン酸(C18:0)とオレイン酸(C18:1)との重量比が、0.3:1から3:1、好ましくは0.4:1から2.5:1、より好ましくは0.4:1から2:1、さらにより好ましくは0.5:1から1.5:1である、請求項1~13のいずれか一項に記載の方法。
  15. 前記得られたランダムにエステル交換された脂肪生成物が、少なくとも1重量%、好ましくは少なくとも1.5重量%、より好ましくは2.0重量%から50重量%、さらにより好ましくは、2.1重量%から20重量%のStStSt(トリステアリントリグリセリド)を含む、請求項1~14のいずれか一項に記載の方法。
  16. 菓子、ベーカリー又は料理などの食品用途における、好ましくはクリーム、スプレッド、フィリング、コーティング、マーガリン又はショートニングにおける、請求項1~15のいずれか一項に記載の方法に従って製造された食用のランダムにエステル交換された脂肪生成物の使用。
JP2022541859A 2020-01-07 2021-01-06 ランダムにエステル交換された脂肪生成物を調製する方法 Pending JP2023509732A (ja)

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
EP20150614.4A EP3847895A1 (en) 2020-01-07 2020-01-07 Method of preparing a randomly interesterified fat product
EP20150614.4 2020-01-07
PCT/EP2021/050106 WO2021140109A1 (en) 2020-01-07 2021-01-06 Method of preparing a randomly interesterified fat product

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2023509732A true JP2023509732A (ja) 2023-03-09

Family

ID=69185307

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2022541859A Pending JP2023509732A (ja) 2020-01-07 2021-01-06 ランダムにエステル交換された脂肪生成物を調製する方法

Country Status (7)

Country Link
US (1) US20230023437A1 (ja)
EP (2) EP3847895A1 (ja)
JP (1) JP2023509732A (ja)
CN (1) CN115175568A (ja)
BR (1) BR112022012425A2 (ja)
CA (1) CA3165937A1 (ja)
WO (1) WO2021140109A1 (ja)

Family Cites Families (12)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS6344892A (ja) 1986-08-13 1988-02-25 Kao Corp 油脂類のエステル交換反応方法
FR2677163B1 (fr) 1991-05-30 1994-01-07 Framatome Grille thermohydraulique et assemblage combustible nucleaire en comportant application.
EP0739590B1 (en) * 1995-04-28 2001-06-13 Loders Croklaan B.V. Triglycerides, rich in polyunsaturated fatty acids
AU6610996A (en) * 1995-05-24 1996-12-11 Loders Croklaan B.V. Production of materials high in long chain polyunsaturated f atty acids
JP3791943B2 (ja) * 1995-06-07 2006-06-28 旭電化工業株式会社 エステル交換油脂の製造方法
WO2005010136A2 (en) 2003-07-16 2005-02-03 Archer-Daniels-Midland Company Method for producing fats or oils
TW200626075A (en) * 2004-11-30 2006-08-01 Nisshin Oillio Group Ltd Method for producing oil and fat composition with reduced trans-fatty acid content and processed oil and fat product containing the oil and fat composition
US8685680B2 (en) 2005-05-13 2014-04-01 Thomas P. Binder Method for producing fats or oils
DK2636313T3 (en) 2012-03-08 2018-12-03 Bunge Loders Croklaan B V Glyceride composition obtainable from shea oil
CN105767213A (zh) * 2014-12-26 2016-07-20 丰益(上海)生物技术研发中心有限公司 油脂组合物以及油脂组合物的制备方法
EP3410868B1 (en) 2016-02-01 2021-09-15 Bunge Loders Croklaan B.V. Method for preparing a self-emulsifying fat composition
CN110996671B (zh) 2017-07-26 2023-07-07 邦吉洛德斯克罗科兰有限公司 非氢化脂肪组合物、用途和方法

Also Published As

Publication number Publication date
US20230023437A1 (en) 2023-01-26
EP4087409A1 (en) 2022-11-16
CA3165937A1 (en) 2021-07-15
CN115175568A (zh) 2022-10-11
EP3847895A1 (en) 2021-07-14
BR112022012425A2 (pt) 2022-09-06
WO2021140109A1 (en) 2021-07-15

Similar Documents

Publication Publication Date Title
AU729424B2 (en) Composition based on fish oil
EP2848127B1 (en) Oil and fat composition suitable for non-tempering hard butter
RU2528954C2 (ru) Способ производства триглицеридной композиции
WO2012032945A1 (ja) トリ飽和脂肪酸グリセリド含有油脂組成物の製造方法
EP3622044A1 (en) Emulsifier composition obtainable from free fatty acids
EP2956010B2 (en) Fat composition
JP5544096B2 (ja) 香味組成物
EP3622043A1 (en) Emulsifiers
JP2023509732A (ja) ランダムにエステル交換された脂肪生成物を調製する方法
US20230345958A1 (en) Solid fat triglyceride composition
JP3276696B2 (ja) 油脂組成物及び乳化油脂組成物
JP6839175B2 (ja) ノーテンパー型ハードバター組成物の製造方法
KR102548983B1 (ko) 효소적 에스테르 교환반응으로 코코아 버터 유사지를 제조하는 방법 및 그에 의해 제조된 코코아 버터 유사지
JP2006230254A (ja) 油脂組成物及び油脂組成物の製造方法
WO2024099616A1 (en) Lauric - non-lauric fat compositions
JPH01148190A (ja) カカオ代用脂の製造法
KR20190025146A (ko) 효소적 에스테르 교환반응으로 코코아 버터 유사지를 제조하는 방법 및 그에 의해 제조된 코코아 버터 유사지

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20240105