JP2023506103A - キット及びフローセル - Google Patents

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Abstract

キットの例は、フローセル及び切断混合物を備える。例示的なフローセルは、基材と、基材上の触媒ポリマーヒドロゲルであって、脱ブロッキング触媒を含む、触媒ポリマーヒドロゲルと、触媒ポリマーヒドロゲルに付着した増幅プライマーと、を含む。脱ブロッキング触媒は、フローセルに導入され、かつ増幅プライマーに付着した鋳型鎖に組み込まれた3’OHブロックヌクレオチドのブロッキング基の切断を加速させる。切断混合物の例は、ブロッキング基の切断を開始させる成分を含む。

Description

(関連出願の相互参照)
本出願は、2019年12月16日に出願された米国仮特許出願第62/948,605号の利益を主張するものであり、その内容は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
生物学的研究又は化学的研究における様々な手順は、局所支持表面の上で、又は所定の反応チャンバの内部で、非常に多くの制御された反応を実施することを伴う。次いで、指定された反応を観察又は検出することができ、その後の分析は、反応に関与する化学物質の特性を明らかにするのに役立ち得る。いくつかの例では、制御された反応は蛍光を発生させ、したがって、光学システムを検出に使用することができる。他の例では、制御された反応は、電荷、導電性、又は何らかの他の電気的特性を変化させ、したがって、電子システムを検出に使用することができる。
序論
本明細書に開示される第1の態様は、キットであって、フローセルであって、基材と、基材上の触媒ポリマーヒドロゲルであって、脱ブロッキング触媒を含む、触媒ポリマーヒドロゲルと、触媒ポリマーヒドロゲルに付着した増幅プライマーと、を含み、触媒は、フローセルに導入され、かつ増幅プライマーに付着した鋳型鎖に組み込まれた3’OHブロックヌクレオチドのブロッキング基の切断を加速させる、フローセルと、ブロッキング基の切断を開始させる成分を含む切断混合物と、を備える、キットである。
第1の態様の一例では、脱ブロッキング触媒は、酸触媒、塩基触媒、酵素、ペプチド、DNAザイム、有機触媒、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される。
第1の態様の一例では、脱ブロッキング触媒は、ポリマーヒドロゲルに付着した金属配位子錯体の金属である。
第1の態様の一例では、脱ブロッキング触媒は、カルボン酸、ホスホン酸、スルホン酸、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される酸触媒である。
第1の態様の一例では、脱ブロッキング触媒は、アミン、複素環式アミン、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される塩基触媒である。
第1の態様の一例では、脱ブロッキング触媒は酵素である。
第1の態様の一例では、脱ブロッキング触媒はペプチドである。
第1の態様の一例では、脱ブロッキング触媒はDNAザイムである。
本明細書に開示されるキットの任意の特徴は、任意の望ましい様式及び/又は構成で組み合わせて、例えば、脱ブロッキング反応速度を促進することを含む本開示に記載の利点を達成し得ることを理解すべきである。
本明細書に開示される第2の態様では、方法は、組み込み混合物を、基材と、基材上の触媒ポリマーヒドロゲルであって、脱ブロッキング触媒を含む、触媒ポリマーヒドロゲルと、触媒ポリマーヒドロゲルに付着した鋳型鎖と、を含むフローセルに導入することによって、個々のヌクレオチドを鋳型鎖に沿ったそれぞれの新生鎖に組み込むことであって、個々のヌクレオチドは、塩基に付着した色素標識と、糖に付着した3’OHブロッキング基と、を含む、ことと、組み込み混合物を除去することと、個々のヌクレオチドの組み込みを光学的に画像化することと、3’OHブロッキング基の切断を開始させる成分を含む切断混合物をフローセルに導入することによって、脱ブロッキング触媒が3’OHブロッキング基の切断を加速させる、ことと、を含む。
第2の態様の一例では、触媒は、3’OHブロッキング基の外側保護基の除去を加速させ、切断混合物中の試薬が、3’OHブロッキング基の内側保護基を除去する。
この方法の任意の特徴は、任意の望ましい様式で組み合わせ得ることを理解すべきである。更に、この方法の特徴及び/若しくはキットの特徴の任意の組み合わせを、一緒に使用して、かつ/又は本明細書に開示される例のいずれかと組み合わせて、例えば、脱ブロッキング反応速度を促進することを含む本開示に記載の利点を達成し得ることを理解すべきである。
本明細書に開示される第3の態様は、フローセルであって、基材と、基材上の触媒ポリマーヒドロゲルであって、ホスホン酸;複素環式アミン;酵素;ペプチド;DNAザイム;金属配位子錯体の金属;尿素、チオ尿素、イミダゾール、グアニジン、1,8-ジアザビシクロ(5.4.0)-ウンデカ-7-エン、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される有機触媒;並びに光酸発生剤からなる群から選択される脱ブロッキング触媒を含む、触媒ポリマーヒドロゲルと、触媒ポリマーヒドロゲルに付着した増幅プライマーと、を備える、フローセルである。
第3の態様の一例では、触媒は、触媒ポリマーヒドロゲルのモノマー単位に組み込まれている。
第3の態様の一例では、触媒は、初期ポリマーヒドロゲルにグラフトされる。
第3の態様の一例では、触媒ポリマーヒドロゲルは初期ポリマーヒドロゲルを含み、フローセルは、初期ポリマーヒドロゲルに付着したオリゴヌクレオチドを更に含み、脱ブロッキング触媒は、オリゴヌクレオチドにハイブリダイズされた相補的オリゴヌクレオチドテザーに付着している。
フローセルの任意の特徴は、任意の望ましい様式で組み合わせ得ることを理解すべきである。更に、フローセルの特徴並びに/又はキット及び/若しくは方法の特徴の任意の組み合わせを、一緒に使用して、かつ/又は本明細書に開示される例のいずれかと組み合わせて、例えば、脱ブロッキング反応速度の促進に寄与するポリマーヒドロゲルを生成することを含む本開示に記載の利点を達成し得ることを理解すべきである。
本明細書に開示される第4の態様は、フローセルであって、基材と、基材上のポリマーヒドロゲルであって、水素結合対の第1員を含む、ポリマーヒドロゲルと、水素結合対の第2員を介してポリマーヒドロゲルに付着した脱ブロッキング触媒と、触媒ポリマーヒドロゲルに付着した増幅プライマーと、を備える、フローセルである。
このフローセルの任意の特徴は、任意の望ましい様式で組み合わせ得ることを理解すべきである。更に、このフローセル及び/若しくは他のフローセルの特徴並びに/又はキット及び/若しくは方法の特徴の任意の組み合わせを、一緒に使用して、かつ/又は本明細書に開示される例のいずれかと組み合わせて、例えば、脱ブロッキング反応速度を促進することを含む本開示に記載の利点を達成し得ることを理解すべきである。
本明細書に開示される第5の態様は、方法であって、触媒ポリマーヒドロゲルをフローセル基材の表面に塗布することであって、触媒ポリマーヒドロゲルは、ホスホン酸;複素環式アミン;酵素;ペプチド;DNAザイム;金属配位子錯体の金属;尿素、チオ尿素、イミダゾール、グアニジン、1,8-ジアザビシクロ(5.4.0)-ウンデカ-7-エン、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される有機触媒;並びに光酸発生剤からなる群から選択される脱ブロッキング触媒を含む、ことと、増幅プライマーを触媒ポリマーヒドロゲルに付着させることと、を含む、方法である。
第5の態様の一例は、脱ブロッキング触媒を含む触媒ポリマーヒドロゲルを形成することを更に含む。
第5の態様の一例では、触媒ポリマーヒドロゲルを形成することは、プライマー-グラフト化官能基を含む第1のモノマーを、脱ブロッキング触媒を含む第2のモノマーと共重合させることを含む。
第5の態様の一例では、触媒ポリマーヒドロゲルを形成することは、初期ポリマーヒドロゲルを合成することと、触媒を初期ポリマーヒドロゲルにグラフト化することと、を含む。
第5の態様の一例では、触媒ポリマーヒドロゲルを形成することは、初期ポリマーヒドロゲルを合成することと、オリゴヌクレオチドを初期ポリマーヒドロゲルにグラフト化することと、相補的オリゴヌクレオチドテザーをオリゴヌクレオチドにハイブリダイズすることであって、触媒が相補的オリゴヌクレオチドテザーに付着している、ことと、を含む。
第5の態様の一例では、触媒ポリマーヒドロゲルを形成することは、初期ポリマーヒドロゲルを合成することと、金属配位子錯体を初期ポリマーヒドロゲルに付着させることであって、金属配位子錯体の金属は触媒である、ことと、を含む。
この方法の任意の特徴は、任意の望ましい様式で組み合わせ得ることを理解すべきである。更に、この方法の特徴及び/若しくは他の方法の特徴並びに/又はキット及び/若しくはフローセルの特徴の任意の組み合わせを、一緒に使用して、かつ/又は本明細書に開示される例のいずれかと組み合わせて、例えば、脱ブロッキング反応速度を促進することを含む本開示に記載の利点を達成し得ることを理解すべきである。
本開示の例の特徴は、以下の詳細な説明及び図面を参照することにより明らかになろう。図面において、同様の参照番号は、類似なものではあるが、おそらく同一ではない成分に対応している。簡潔にするために、前述の機能を有する参照番号又は特徴は、それらが現れる他の図面と関連させて記載してもよく、記載しなくてもよい。
3’OHブロックヌクレオチドの一例を脱ブロッキングするための多工程プロセスを示す概略フロー図である。
非共有結合の一例を介してポリマーヒドロゲルの一例に付着した触媒の一例の概略図である。
フローセルの一例の上面図である。
流路内に配置されたポリマーヒドロゲルの一例を含むフローセルの流路の一例の拡大部分断面図である。
流路内に形成された窪みの中に配置されたポリマーヒドロゲルの一例を含むフローセルの流路の一例の拡大部分断面図である。
いくつかの核酸配列決定技術は、ヌクレオチド中の糖分子の酸素原子に連結された3’OHブロッキング基を利用する。3’OHブロッキング基は、各配列決定サイクルにおいて単一塩基の組み込みのみが起こることを可能にする可逆的ターミネータとして機能し得る。より具体的には、いくつかの例において、3’OHブロッキング基は、次の配列決定サイクルを開始するために除去される。ヌクレオチド組み込みを一時的に終結させることで、いくつかの作用を挙げると、組み込まれていないヌクレオチドを洗い流し、組み込まれたヌクレオチドに付着した検出可能な標識(例えば、蛍光色素)を励起し、励起された検出可能な標識を画像化するための時間的余裕が生じる。
触媒ポリマーヒドロゲルが本明細書に開示される。触媒ポリマーヒドロゲルの触媒は、組み込まれたヌクレオチドからの3’OHブロッキング基の切断を加速させる反応性分子又はその一部である。触媒は、組み込み事象中は活性でないように選択されてもよい。触媒は、脱ブロッキング中(組み込み及び画像化後)に起こる反応に合わせて選択することができ、したがって、任意の3’OHブロッキング基の切断を加速させ得る。特定の実施形態では、触媒は、水溶液中でより安定であるが、より遅い脱ブロッキング反応速度を示す傾向がある3’OHブロッキング基に有用であり得る。これらの例では、触媒は、いくつかの利点を挙げると、各配列決定サイクル時間を短縮するのに役立ち、全配列決定折り返し時間を短縮するのに役立ち、脱ブロッキングが遅い場合に生じ得る位相調整問題を軽減するのに役立ち得る。
3’OHブロッキング基の切断中に、一連の反応が起こり得る。図1は、3’OHブロックヌクレオチド10の例でのこの一連の反応の一例を示す。3’OHブロックヌクレオチド10は、複素環式塩基Bと、糖(図1にデオキシリボースとして示されている)と、1つ以上のリン酸基Pと、糖に付着した3’OHブロッキング基12と、を含む。この例では、3’OHブロッキング基12は、アジドメチルである。図1の工程1において、ホスフィン(RがH又は(CHOH(n=1~3)であるPR)を添加してアジドと反応させる。この反応により、窒素の損失及びイミノホスホランの形成がもたらされる。工程2では、イミノホスホランを加水分解してヘミアミナルエーテルを形成し、工程3では、ヘミアミナルエーテルを加水分解して3’OHを露出させる。図1に示す脱ブロッキングのために、図1の工程2及び/又は工程3の加水分解を加速させる任意の触媒をポリマーヒドロゲルの中又は上に組み込むことができ、あるいは図1の工程1の反応を加速させる任意の触媒をポリマーヒドロゲルの中又は上に組み込むことができる。触媒が図1の工程1を触媒するように特に選択される場合、触媒は、3’OHブロッキング基12(例えば、図1に示すアジド基)の外側保護基の除去を加速させ、また、切断混合物中の試薬を使用して、3’OHブロッキング基12の内側保護基(例えば、図1に示す-CH-)を除去することができる。
図1は脱ブロッキングの一例を示しているが、使用される触媒は、3’OHブロッキング基、及びその3’OHブロッキング基の切断に使用される反応に依存し得ることを理解されたい。
定義
本明細書で使用される用語は、別段の指定がない限り、関連技術の通常の意味をとるものと理解されたい。本明細書で使用されるいくつかの用語及びそれらの意味は、以下に記載される。
単数形「a」、「an」、及び「the」は、文脈から別途明確に規定されない限り、複数の指示対象を含む。
備える(comprising)、含む(including)、含有する(containing)という用語及びこれらの用語の様々な語形は、互いに同義であり、等しく広義であることを意味する。
頂部、底部、下部、上部、上などの用語は、本明細書では、フローセル及び/又はフローセルの様々な構成要素を説明するために使用される。これらの方向を示す用語は、特定の向きを示唆するものではなく、構成要素間の相対的な向きを指定するために使用されることを理解されたい。方向を示す用語の使用は、本明細書に開示される例を任意の特定の向きに限定すると解釈されるべきではない。
「アクリルアミドモノマー」は、構造
Figure 2023506103000002
を有するモノマー、又はその構造を有するアクリルアミド基を含むモノマーである。アクリルアミド基を含むモノマーの例としては、アジドアセトアミドペンチルアクリルアミド:
Figure 2023506103000003
及びN-イソプロピルアクリルアミド:
Figure 2023506103000004
が挙げられる。他のアクリルアミドモノマーを使用してもよく、そのいくつかの例を本明細書に記載する。
本明細書で使用するとき、「アルキル」は、完全に飽和している(すなわち、二重結合も三重結合も含有しない)直鎖又は分枝鎖炭化水素鎖を指す。アルキル基は、1~20個の炭素原子を有し得る。アルキル基の例としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、三級ブチル、ペンチル、ヘキシルなどが挙げられる。例として、表記「C1~C6アルキル」は、アルキル鎖中に1~6個の炭素原子が存在すること、すなわち、アルキル鎖が、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、及びt-ブチルからなる群から選択されることを示す。
本明細書で使用するとき、「アルケニル」は、1つ以上の二重結合を含有する直鎖又は分枝鎖炭化水素鎖を指す。アルケニル基は、2~20個の炭素原子を有し得る。アルケニル基の例としては、エテニル、プロペニル、ブテニル、ペンテニル、ヘキセニルなどが挙げられる。
本明細書で使用するとき、「アルキン」又は「アルキニル」は、1つ以上の三重結合を含有する直鎖又は分枝鎖炭化水素鎖を指す。アルキニル基は、2~20個の炭素原子を有し得る。
本明細書で使用するとき、「アラルキル」及び「アリール(アルキル)」は、低級アルキレン基を介して置換基として結合されたアリール基を指す。アラルキルの低級アルキレン基及びアリール基は、置換されていても、又は置換されていなくてもよい。例としては、ベンジル、2-フェニルアルキル、3-フェニルアルキル、及びナフチルアルキルが挙げられるが、これらに限定されない。
本明細書で使用するとき、「アリール」は、環骨格中に炭素のみを含有する芳香環又は環系(すなわち、2つの隣接する炭素原子を共有する2つ以上の縮合環)を指す。アリールが環系である場合、系内の全ての環は芳香環である。アリール基は、6~18個の炭素原子を有し得る。アリール基の例としては、フェニル、ナフチル、アズレニル、及びアントラセニルが挙げられる。
「アミン」又は「アミノ」官能基は、-NR基を指し、式中、R及びRはそれぞれ独立して、水素(例えば、
Figure 2023506103000005
)、本明細書で定義するような、C1~C6アルキル、C2~C6アルケニル、C2~C6アルキニル、C3~C7カルボシクリル、C6~C10アリール、5~10員のヘテロアリール、及び5~10員のヘテロシクリルから選択される。
本明細書で使用するとき、用語「付着した」は、2つのものが直接的又は間接的に、互いに接合、固定、接着、接続、又は結合されている状態を指す。例えば、核酸は、共有結合又は非共有結合によってポリマーヒドロゲルに付着し得る。共有結合は、原子間の電子対の共有によって特徴付けられる。非共有結合は、電子対の共有を伴わない物理的結合であり、例えば、水素結合、イオン結合、ファンデルワールス力、親水性相互作用、及び疎水性相互作用を含み得る。
「アジド」又は「アジド」官能基は、-Nを指す。
用語「ブロックコポリマー」及び「ブロック状に」形成されたモノマー単位は、2つ以上のモノマーが一体にクラスター化し、繰り返し単位のブロックを形成した場合に形成されるコポリマーを指す。各ブロックは、隣接するブロック中に存在しない少なくとも1つの特徴及び/又は少なくとも1つのブロック特異的官能基(例えば、プライマーを付着させるためのアジド、触媒など)を有するべきである。
本明細書で使用するとき、用語「触媒ポリマーヒドロゲル」は、モノマー単位のうちの1つに触媒が組み込まれたコポリマーを指すか、又は触媒が付着した初期ポリマーヒドロゲルを指す。本明細書で使用するとき、用語「初期ポリマーヒドロゲル」は、触媒を導入するための任意の反応/相互作用の前の重合ヒドロゲルを指す。
本明細書で使用するとき、「カルボシクリル」は、環系骨格中に炭素原子のみを含有する非芳香族環又は環系を意味する。カルボシクリルが環系である場合、2つ以上の環が、縮合、架橋、又はスピロ結合方式で一体に接合され得る。カルボシクリルは、環系中の少なくとも1つの環が芳香族ではないことを条件として、任意の飽和度を有してもよい。したがって、カルボシクリルとしては、シクロアルキル、シクロアルケニル、及びシクロアルキニルが挙げられる。カルボシクリル基は、3~20個の炭素原子を有し得る。カルボシクリル環の例としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘキセニル、2,3-ジヒドロ-インデン、ビシクロ[2.2.2]オクタニル、アダマンチル、及びスピロ[4.4]ノナニルが挙げられる。
本明細書で使用するとき、用語「カルボン酸」又は「カルボキシル」は、本明細書で使用するとき、-COOHを指す。
本明細書で使用するとき、「シクロアルキル」は、完全に飽和した(二重結合も三重結合も含有しない)単環式又は多環式の炭化水素環系を指す。2つ以上の環で構成される場合、環は、縮合方式で一体に接合され得る。シクロアルキル基は、環中に3~10個の原子を有し得る。いくつかの実施形態では、シクロアルキル基は、環中に3~8個の原子を有し得る。シクロアルキル基は、置換されていなくても、又は置換されていてもよい。シクロアルキル基の例としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、及びシクロオクチルが挙げられる。
本明細書で使用するとき、「シクロアルケニル」又は「シクロアルケン」は、少なくとも1つの二重結合を有するカルボシクリル環又は環系を意味し、環系中の環は芳香族ではない。例としては、シクロヘキセニル又はシクロヘキセン及びノルボルネニル又はノルボルネンが挙げられる。
本明細書で使用するとき、「シクロアルキニル」又は「シクロアルキン」は、少なくとも1つの三重結合を有するカルボシクリル環又は環系を意味し、環系中の環は芳香族ではない。一例はシクロオクチンである。別の例はビシクロノニンである。
本明細書で使用するとき、用語「堆積」は、手動でも自動でもよく、場合によっては表面特性の改質をもたらす任意の好適な塗布技術を指す。一般的に、堆積は、蒸着技術、コーティング技術、グラフト技術などを使用して実行することができる。いくつかの具体的な例としては、化学気相堆積(CVD)、スプレーコーティング(例えば、超音波スプレーコーティング)、スピンコーティング、ダンク又はディップコーティング、ドクターブレードコーティング、パドルディスペンス、フロースルーコーティング、エアロゾル印刷、スクリーン印刷、マイクロコンタクト印刷、インクジェット印刷などが挙げられる。
本明細書で使用するとき、用語「窪み」は、基材又はパターン化樹脂の介在領域によって少なくとも部分的に囲まれている表面開口部を有する、基材又はパターン化樹脂における不連続凹形状特徴を指す。窪みは、これらの表面開口部において、例えば円形、楕円形、正方形、多角形、星形(任意の数の頂点を有する)などを含む様々な形状のいずれかを有することができる。表面と直交する窪みの断面は、曲線、正方形、多角形、双曲線、円錐、角形などであり得る。例として、窪みは、穴又は2つの相互接続された穴であり得る。窪みはまた、隆起、段差特徴などのより複雑な構造を有してもよい。
用語「それぞれ」は、項目の集合に関して使用される場合、その集合内の個々の項目を識別することを意図しているが、必ずしも集合内の全ての項目を指すとは限らない。明示的な開示又は文脈がそうでないことを明確に指示する場合、例外が生じ得る。
本明細書で使用するとき、用語「フローセル」は、反応を実行することができるチャンバ(例えば、流路)と、試薬をチャンバに送達するための入口と、チャンバから試薬を除去するための出口とを有する容器を意味することを意図している。いくつかの例では、チャンバは、チャンバ内で生じる反応の検出を可能にする。例えば、チャンバは、アレイ、光学的に標識された分子などの光学的検出を可能にする1つ以上の透明な表面を含むことができる。
本明細書で使用するとき、「流路」又は「チャネル」は、液体試料を選択的に受容可能な、2つの結合された、又は他の方法で取り付けられた構成要素間に画定された領域であり得る。いくつかの例では、流路は、パターン化された又はパターン化されていない基材と蓋との間に画定されてもよく、したがって、パターン化樹脂内に画定された1つ以上の窪みと流体連通してもよい。流路はまた、互いに結合された2つのパターン化された又はパターン化されていない基材表面間に画定されてもよい。
本明細書で使用するとき、「複素環式アミン」は、環骨格中に1つ又は唯一のヘテロ原子としてアミン窒素を含有する芳香環又は環系(すなわち、2つの隣接する原子を共有する2つ以上の縮合環)を指す。
本明細書で使用するとき、「ヘテロアリール」は、環骨格中に窒素、酸素、及び硫黄を含むがこれらに限定されない、1個以上のヘテロ原子、すなわち炭素以外の元素を含有する芳香環又は環系(すなわち、2つの隣接する原子を共有する2つ以上の縮合環)を指す。ヘテロアリールが環系である場合、系内の全ての環は芳香環である。ヘテロアリール基は、5~18の環員(すなわち、環骨格を構成する原子の数)を有し得る。
本明細書で使用するとき、「ヘテロシクリル」は、環骨格中に少なくとも1つのヘテロ原子を含有する非芳香族環又は環系を意味する。ヘテロシクリルは、縮合、架橋、又はスピロ結合式に、一体に接合されてもよい。ヘテロシクリルは、環系中の少なくとも1つの環が芳香族ではないことを条件として、任意の飽和度を有してもよい。環系において、ヘテロ原子は、非芳香環又は芳香環のいずれかに存在し得る。ヘテロシクリル基は、3~20の環員(すなわち、炭素原子及びヘテロ原子を含む、環骨格を構成する原子の数)を有し得る。いくつかの例では、ヘテロ原子は、O、N、又はSである。
本明細書で使用するとき、用語「ヒドラジン」又は「ヒドラジニル」は、-NHNH基を指す。
本明細書で使用するとき、用語「ヒドラゾン」又は「ヒドラゾニル」は、本明細書で使用するとき、R及びRがそれぞれ独立して、水素、本明細書で定義するような、C1~C6アルキル、C2~C6アルケニル、C2~C6アルキニル、C3~C7カルボシクリル、C6~C10アリール、5~10員のヘテロアリール、及び5~10員のヘテロシクリルから選択される
Figure 2023506103000006
基を指す。
本明細書で使用するとき、「ヒドロキシ」又は「ヒドロキシル」は、-OH基を指す。
本明細書で使用するとき、用語「介在領域」は、例えば、基材、パターン化樹脂、又は窪みを隔てる他の支持体の領域を指す。例えば、介在領域は、アレイの1つの窪みをアレイの別の窪みから隔てることができる。互いに隔てられている2つの窪みは、不連続であってもよく、すなわち、互いに物理的に接触していなくてもよい。多くの例では、例えば、他の連続的な表面に複数の窪みが画定されている場合のように、介在領域は連続的である一方で、窪みは不連続である。他の例では、例えば、複数の溝がそれぞれの介在領域によって隔てられている場合のように、介在領域及び特徴は不連続である。介在領域によって提供される離間は、部分的な離間であっても、完全な離間であってもよい。介在領域は、表面に画定された窪みの表面材料とは異なる表面材料を有してもよい。例えば、窪みは、その中にポリマー及びプライマーセットが存在してもよく、介在領域は、その上にポリマーもプライマーセットも存在しなくてもよい。
本明細書で使用するとき、「ニトリルオキシド」は、「RC≡N」基を意味し、ここでRは、本明細書で既に定義したとおりである。ニトリルオキシドを調製する例としては、クロラミド-Tでの処理による、又は塩化イミドイル[RC(Cl)=NOH]に対する塩基の作用による、又はヒドロキシルアミンとアルデヒドとの反応からの、アルドキシムからのin situ生成が挙げられる。
本明細書で使用するとき、「ニトロン」は、R、R、及びRが本明細書で定義されるR基及びR基のいずれかであり得る
Figure 2023506103000007
基を意味する。
本明細書で使用するとき、「ヌクレオチド」は、窒素含有複素環式塩基、糖、及び1つ以上のリン酸基を含む。ヌクレオチドは、核酸配列のモノマー単位である。RNAでは、糖はリボースであるが、DNAでは、糖はデオキシリボース、すなわち、リボースの2’位に存在するヒドロキシル基を欠く糖である。窒素含有複素環式塩基(すなわち核酸塩基)は、プリン塩基又はピリミジン塩基であり得る。プリン塩基としては、アデニン(A)及びグアニン(G)、並びにそれらの修飾誘導体又は類似体が挙げられる。ピリミジン塩基としては、シトシン(C)、チミン(T)、及びウラシル(U)、並びにそれらの修飾誘導体又は類似体が挙げられる。デオキシリボースのC-1原子は、ピリミジンのN-1又はプリンのN-9に結合される。核酸類似体は、リン酸骨格、糖、又は核塩基のいずれかが変化していてもよい。核酸類似体の例としては、例えば、ペプチド核酸(PNA)などのユニバーサル塩基又はリン酸-糖骨格類似体が挙げられる。
「パターン化樹脂」は、その中に窪みが画定されていてもよい任意のポリマーを指す。樹脂及び樹脂をパターン化させるための技術の具体例を以下に更に説明する。
本明細書で使用するとき、用語「ホスホン酸」は、本明細書で使用するとき、R-POを指す。
本明細書で使用するとき、「プライマー」は、一本鎖核酸配列(例えば、一本鎖DNA又は一本鎖RNA)として定義される。本明細書で増幅プライマーと称されるいくつかのプライマーは、鋳型増幅及びクラスター生成の出発点として機能する。本明細書で配列決定プライマーと称される他のプライマーは、DNA又はRNA合成の出発点として機能する。プライマーの5’末端は、ポリマーの官能基とのカップリング反応を可能にするように修飾されてもよい。プライマー長は、任意の数の塩基長であり得、種々の非天然ヌクレオチドを含み得る。一例では、配列決定プライマーは、10~60塩基、又は20~40塩基の範囲の短鎖である。
本明細書で使用するとき、「スペーサ層」は、2つの構成要素を一体に結合する材料を指す。いくつかの例では、スペーサ層は、結合を補助する放射線吸収材料とすることができ、又は結合を補助する放射線吸収材料と接触させることができる。
用語「基材」は、その上にフローセルの様々な構成要素(例えば、触媒ポリマーヒドロゲル、プライマーなど)を追加することができる構造を指す。基材は、ウェハ、パネル、長方形シート、ダイ、又は任意の他の好適な構成であり得る。基材は、一般に硬質であり、水性液体に不溶性である。基材は、窪みを変性させるために使用される、又は窪みの中に存在する化学作用に対して不活性であってもよい。例えば、基材は、触媒ポリマーヒドロゲルを形成するため、プライマーを付着させるためなどに使用される化学作用に対して不活性であり得る。基材は、単層構造又は多層構造(例えば、支持体と、支持体上のパターン化樹脂とを含む)であり得る。好適な基材の例を以下に更に説明する。
本明細書で使用するとき、用語「スルホン酸」は、本明細書で使用するとき、-S(=O)-OHを指す。
「チオール」官能基は、-SHを指す。
本明細書で使用するとき、用語「テトラジン」及び「テトラジニル」は、4個の窒素原子を含む6員ヘテロアリール基を指す。テトラジンは、任意に置換され得る。
本明細書で使用するとき、「テトラゾール」は、4個の窒素原子を含む5員複素環基を指す。テトラゾールは、任意に置換され得る。
触媒ポリマーヒドロゲル
触媒ポリマーヒドロゲルの任意の例におけるポリマー骨格は、液体及び気体に対して透過性である半硬質ポリマー材料であり得る。いくつかの例では、触媒ポリマーヒドロゲルは、触媒が付着した初期ポリマーヒドロゲルを含む。これらの例では、触媒は、重合後処理を使用して初期ポリマーヒドロゲルに添加される。他の例では、触媒ポリマーヒドロゲルは、そのモノマー成分のうちの1つに触媒を含むコポリマーであってもよい。
初期ポリマーヒドロゲルの例としては、例えば、ポリ(N-(5-アジドアセトアミジルペンチル)アクリルアミド-コ-アクリルアミド、PAZAMなどのアクリルアミドコポリマーが挙げられる。PAZAM及びアクリルアミドコポリマーのいくつかの他の形態は、以下の構造(I)で表される:
Figure 2023506103000008
式中、
は、アジド、任意に置換されたアミノ、任意に置換されたアルケニル、任意に置換されたアルキン、ハロゲン、任意に置換されたヒドラゾン、任意に置換されたヒドラジン、カルボキシル、ヒドロキシ、任意に置換されたテトラゾール、任意に置換されたテトラジン、ニトリル酸化物、ニトロン、サルフェート、及びチオールからなる群から選択され、
は、H又は任意に置換されたアルキルであり、
、R、及びRは、それぞれ独立して、H及び任意に置換されたアルキルからなる群から選択され、
-(CH-はそれぞれ、任意に置換されていてもよく、
pは、1~50の範囲の整数であり、
nは、1~50,000の範囲の整数であり、
mは、1~100,000の範囲の整数である。
当業者であれば、構造(I)中の繰り返し「n」及び「m」特徴の配置が代表的であり、モノマーサブユニットは、ポリマー構造中に任意の順序(例えば、ランダム、ブロック、パターン化、又はこれらの組み合わせ)で存在し得ることを認識するであろう。
PAZAM及びアクリルアミドコポリマーの他の形態の分子量は、約5kDa~約1500kDa、又は約10kDa~約1000kDaの範囲であってもよく、あるいは特定の例では、約312kDaであってもよい。
いくつかの例では、PAZAM及びアクリルアミドコポリマーの他の形態は、直鎖ポリマーである。いくつかの他の例では、PAZAM及びアクリルアミドコポリマーの他の形態は、軽度に架橋されたポリマーである。
他の例では、初期ポリマーヒドロゲルは、構造(I)の変形であってもよい。一例では、アクリルアミド単位は、N,N-ジメチルアクリルアミド(
Figure 2023506103000009
)で置き換えられてもよい。この例では、構造(I)中のアクリルアミド単位は、
Figure 2023506103000010
で置き換えられてもよく、式中、R、R、及びRはそれぞれH又はC1~C6アルキルであり、R及びRはそれぞれ(アクリルアミドの場合のようにHの代わりに)C1~C6アルキルである。この例では、qは1~100,000の範囲の整数であってもよい。別の例では、アクリルアミド単位に加えてN,N-ジメチルアクリルアミドを使用してもよい。この例では、構造(I)は、繰り返し「n」及び「m」特徴に加えて、
Figure 2023506103000011
を含んでもよく、式中、R、R、及びRはそれぞれH又はC1~C6アルキルであり、R及びRはそれぞれC1~C6アルキルである。この例では、qは1~100,000の範囲の整数であってもよい。
初期ポリマーヒドロゲルの別の例として、構造(I)中の繰り返し「n」特徴は、構造(II)を有する複素環式アジド基を含むモノマーで置換されてもよい。
Figure 2023506103000012
式中、Rは、H又はC1~C6アルキルであり、Rは、H又はC1~C6アルキルであり、Lは、炭素、酸素、及び窒素からなる群から選択される2~20個の原子を有する線状鎖と、その線状鎖中の炭素原子及び任意の窒素原子上に10個の任意の置換基と、を含むリンカーであり、Eは、炭素、酸素、及び窒素からなる群から選択される1~4個の原子を含む線状鎖であり、その線状鎖中の炭素原子及び任意の窒素原子上に任意の置換基を含み、Aは、Nに付着したH又はC1~C4アルキルを有するN置換アミドであり、Zは窒素含有複素環である。Zの例は、単環構造又は縮合構造として存在する5~10の環員を含む。Zのいくつかの具体例としては、ピロリジニル、ピリジニル、又はピリミジニルが挙げられる。
更に別の例として、初期ポリマーヒドロゲルは、構造(III)及び(IV)のそれぞれの繰り返し単位を含んでもよい:
Figure 2023506103000013
式中、R1a、R2a、R1b及びR2bはそれぞれ、独立して、水素、任意に置換されたアルキル又は任意に置換されたフェニルから選択され、R3a及びR3bはそれぞれ、独立して、水素、任意に置換されたアルキル、任意に置換されたフェニル、又は任意に置換されたC7~C14アラルキルから選択され、L及びLはそれぞれ、独立して、任意に置換されたアルキレンリンカー又は任意に置換されたヘテロアルキレンリンカーから選択される。
他の分子を、これらがオリゴヌクレオチドプライマーをグラフトするように官能化される限り、初期ポリマーヒドロゲルを形成するために使用してもよいことを理解すべきである。好適なポリマー層の他の例としては、アガロースなどのコロイド構造、又はゼラチンなどのポリマーメッシュ構造、又は、ポリアクリルアミドポリマー及びコポリマー、シランフリーアクリルアミド(SFA)、又はSFAのアジド分解された(azidolyzed)バージョンなどの架橋ポリマー構造を有するものが挙げられる。好適なポリアクリルアミドポリマーの例は、アクリルアミド及びアクリル酸、又はビニル基を含有するアクリル酸から、又は[2+2]光環化付加反応を形成するモノマーから合成することができる。好適な初期ポリマーヒドロゲルの更に他の例としては、アクリルアミドとアクリレートとの混合コポリマーが挙げられる。本明細書に開示される例では、スターポリマー、星形ポリマー又はスターブロックポリマー、デンドリマーなどを含む分岐ポリマーなどの、アクリル系モノマー(例えば、アクリルアミド、アクリレートなど)を含有する様々なポリマー構造を利用することができる。例えば、モノマー(例えば、アクリルアミド、触媒を含有するアクリルアミドなど)は、星形ポリマーの枝状部分(アーム)にランダムに組み込まれてもよいし、ブロック状に組み込まれてもよい。
初期ポリマーヒドロゲルは、任意の好適な共重合プロセスを使用して形成され得る。次いで、触媒を初期ポリマーヒドロゲルに付着させて、触媒ポリマーヒドロゲルを形成してもよい。様々な異なる重合後技術を使用して、触媒を初期ポリマーヒドロゲルに付着させることができる。
一例では、触媒を初期ポリマーヒドロゲルにグラフトすることができる。この例示的な方法では、触媒ポリマーヒドロゲルを形成することは、初期ポリマーヒドロゲル(触媒を含まない)を合成することと、触媒を初期ポリマーヒドロゲルにグラフト化することと、を含む。一例では、グラフト化することは、例えば、銅触媒クリックケミストリ、又はビシクロ[6.1.0]ノナ-4-イン(BCN)などの歪み促進触媒フリーのクリックケミストリを使用するクリックケミストリ反応を含む。一例では、クリックケミストリ反応は、初期ポリマーヒドロゲルへの触媒の共有付着をもたらす。起こる反応は、初期ポリマーヒドロゲルと触媒との化学作用に依存することを理解されたい。
組み込まれたヌクレオチドから3’OHブロッキング基を切断する化学反応の速度を増加させる任意の反応性分子、官能基などを触媒として使用することができる。任意の酸触媒、塩基触媒、有機触媒、酵素触媒、ペプチド触媒、又はDNAザイム触媒を初期ポリマーヒドロゲルにグラフトしてもよいことを理解されたい。列挙された触媒のうちのいくつかは、列挙された触媒カテゴリーのうちの2つに分類され得る。いくつかの具体例では、脱ブロッキング触媒は、ホスホン酸;複素環式アミン;酵素;ペプチド;DNAザイム;金属配位子錯体の金属;尿素、チオ尿素、イミダゾール、グアニジン、1,8-ジアザビシクロ(5.4.0)-ウンデカ-7-エン、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される有機触媒;並びに光酸発生剤からなる群から選択される。
いくつかの例では、触媒は、カルボン酸、ホスホン酸、スルホン酸、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される酸触媒である。酸触媒は、脱ブロッキング中に起こる加水分解反応を触媒し得る。
他の例では、触媒は、アミン、複素環式アミン、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される塩基触媒である。チオエーテル、トリアゾール、イミダゾールなどのルイス塩基は、アジドホスフィン反応(図1の工程1)を触媒するのに特に好適であり得る。塩基触媒は、脱ブロッキング中に起こる加水分解反応を触媒し得る。
有機触媒は、有機化合物中に見出される炭素、水素、硫黄及び/又は他の非金属元素からなり、脱保護化学反応の速度を増加させる。有機触媒の例は、尿素、チオ尿素、イミダゾール、グアニジン、1,8-ジアザビシクロ(5.4.0)-ウンデカ-7-エン、及びこれらの組み合わせからなる群から選択され得る。
酵素触媒は、加水分解酵素であってもよい。好適な加水分解酵素の例としては、ホスファターゼ、エステラーゼ(例えば、アセチルコリンエステラーゼ、リパーゼなど)、配列特異的プロテアーゼ(例えば、TEVプロテアーゼ又はトロンビン)、及びグリコシダーゼ(リボースを分解しない、セルロース又はアミラーゼなど)が挙げられる。別の好適な加水分解酵素は、炭酸脱水酵素である。別の酵素触媒は、タンパク質中のペプチド結合を切断し、アミド及びエステルの加水分解を触媒することができるセリンプロテアーゼである。
他の触媒としては、デオキシリボザイム又はDNA酵素とも称されるDNAザイムが挙げられる。DNAザイムの例としては、例えばエステラーゼなどの酵素のDNA模倣物などの、エステル基加水分解を標的とするものが挙げられる。これらの例では、脱ブロッキング化学反応はDNAザイムによって触媒される。
いくつかの例を提供してきたが、酵素が3’OHブロッキング基の脱保護を触媒することが可能である限り、任意の利用可能な酵素又は操作された酵素を使用することができると考えられる。
ペプチド触媒の例としては、疎水性の外部及びヒスチジンリッチな細孔内部を有する超分子β-バレルエステラーゼ、自己集合性ペプチド触媒、及び他の触媒ペプチド集合体が挙げられる。これらの例では、脱保護化学反応はペプチドによって触媒される。
別の例として、触媒は、初期ポリマーヒドロゲルの表面への非共有付着を介して組み込まれてもよい。非共有付着としては、例えば、初期ポリマーヒドロゲル表面グラフトオリゴヌクレオチドに対するハイブリダイゼーション、水素結合アレイ、ビオチン-ストレプトアビジン又は他の類似の連結、金属配位子錯体形成などを挙げることができる。
図2は、触媒の非共有付着の一例を概略的に示す。具体的には、図2は、初期ポリマーヒドロゲル16に付着したオリゴヌクレオチド14を示し、触媒18は、オリゴヌクレオチド14にハイブリダイズされた相補的オリゴヌクレオチドテザー20に付着している。初期ポリマーヒドロゲル16に付着したオリゴヌクレオチド14は、増幅プライマーについて図3A~図3Cを参照して本明細書に記載するように、(例えば、末端アジドでのクリックケミストリによって)グラフトされてもよい。オリゴヌクレオチド14は、5~20個のヌクレオチド(図2にNとして示す)を有してもよく、配列は、増幅プライマーの配列(後述)と同じであっても異なっていてもよい。触媒18は、オリゴヌクレオチド14に対して相補的な配列を有するテザー20に付着している。図2に示す例に従って付着させることができる触媒18としては、酸触媒、塩基触媒、有機触媒(例えば、イミダゾール、グアニジンなど)、銅触媒、酵素触媒、ペプチド触媒、又はDNAザイム触媒のいずれかが挙げられる。
好適な銅触媒には、酢酸銅(I)、臭化銅(I)、塩化銅(I)、ヨウ化銅(I)、ビス(1,3-ビス(2,6-ジイソプロピルフェニル)イミダゾール-2-イリデン)銅(I)テトラフルオロボレート、[ビス[(テトラブチルアンモニウムヨージド)ヨウ化銅(I)]、[ビス(トリメチルシリル)アセチレン](ヘキサフルオロアセチルアセトナト)銅(I)、ブロモトリス(トリフェニルホスフィン)銅(I)、クロロ(1,5-シクロオクタジエン)銅(I)ダイマー、銅(I)3-メチルサリシレートなどの銅(I)触媒が含まれ得る。
図2に示す触媒ポリマーヒドロゲル16’を形成する方法の一例は、初期ポリマーヒドロゲル16(触媒18を含まない)を合成することと、オリゴヌクレオチド14を初期ポリマーヒドロゲル16にグラフト化することと、相補的オリゴヌクレオチドテザー20をオリゴヌクレオチド14にハイブリダイズすることであって、触媒18が相補的オリゴヌクレオチドテザー20に付着していることと、を含む。
触媒18の初期ポリマーヒドロゲル16への非共有付着の別の例は、水素結合アレイを含む。この例では、触媒18は、ポリマーヒドロゲル16に水素結合している。水素結合対の一方の成分が初期ポリマーヒドロゲルに共有付着し、水素結合対の他方の成分が触媒18に付着している任意の水素結合対を使用することができる。水素結合対の例には、少数例を挙げると、O…H、NH…N及びCH…Nなどが含まれる。
触媒18の初期ポリマーヒドロゲル16への非共有付着の更に別の例は、金属配位子錯体形成を含む。一例では、触媒18は、初期ポリマーヒドロゲル16に付着した金属配位子錯体の金属である。触媒18は、例えば、銅、パラジウム、ルテニウムなどの任意の好適な触媒金属であってもよい。触媒金属は、初期ポリマーヒドロゲル16に付着した配位子と錯体を形成する。金属配位子錯体の例としては、ビス(2-ピリジルメチル)-アミン又はピリジン官能化シクロデキストリンなどの配位子との銅(II)錯体が挙げられる。
触媒ポリマーヒドロゲル16’のこの例を形成するための方法の一例は、初期ポリマーヒドロゲル16を合成することと、金属配位子錯体を初期ポリマーヒドロゲル16に付着させることであって、金属配位子錯体の金属は触媒18であることと、を含む。
初期ポリマーヒドロゲル16に付着させることができる更に他の触媒18は、光酸発生剤を含む。光酸発生剤が触媒18として使用される場合、触媒活性は、特定の光酸発生剤と一致する波長の光子などの外部刺激に曝露されると、開始又は増強され得る。
光酸発生剤触媒は、ゲスト-ホスト化学作用によってポリマーヒドロゲル16’に付着してもよく、触媒18はゲストであり、ホストは、i)ポリマーヒドロゲル16’に付着すること、及びii)外部刺激によって刺激されるまでゲストを保持することが可能である。ホスト化合物の例としては、ククルビツリル及びシクロデキストリンが挙げられる。光酸発生剤触媒のゲスト型の例は、青色/可視光系光酸発生剤である。光開始触媒(例えば、光酸発生剤)もまた、ゲスト-ホスト例のゲストとして使用することができる。
ゲスト-ホスト分子は、本明細書に開示される重合後技術(例えば、グラフト化、非共有付着)のいずれかを使用して、初期ポリマーヒドロゲル16に付着し得る。
いくつかの例を提供してきたが、初期ポリマーヒドロゲル16に付着する触媒18は、初期ポリマーヒドロゲル16の化学的性質及び触媒ポリマーヒドロゲル16’に導入されるヌクレオチド10に含まれるブロッキング基12の化学的性質にある程度依存し得ることが理解されるべきである。
本明細書に開示される他の例では、初期ポリマーヒドロゲル16は利用されない。むしろ、共重合の生成物は、触媒ポリマーヒドロゲル16’である。これらの例では、触媒18は、共重合中に使用されるモノマー単位に組み込まれる。
これらの例では、触媒18は、初期ポリマーヒドロゲル16について本明細書に記載されるアクリルアミドモノマー単位のうちのいずれかの一部であってもよい。一例では、構造(I)中のRは、酸触媒の一例であるカルボキシル基であり得る。別の例では、構造(II)中のRはC1-C6アルキルであってもよく、触媒18は、C1~C6アルキル鎖の末端基として組み込まれてもよい。モノマー単位を含有する触媒は、単位のうちの1つがプライマー-グラフト化官能基を含む限り、本明細書に記載のアクリルアミドモノマー単位のいずれかと(ランダムに又はブロック状に)共重合されてもよい。使用され得るアクリルアミドモノマー単位を含有する触媒の一例を、構造(V)に示す:
Figure 2023506103000014
式中、RはH又はCHであり、Xは、触媒として機能する官能基である。いくつかの例では、この触媒(X)は、本明細書に開示される酸触媒、塩基触媒、又は有機触媒の任意の例であり得る。いくつかの例では、連結基(アルキル基、短鎖ポリ(エチレングリコール)鎖など)をNHと触媒(X)との間に配置することができる。
使用され得るモノマー単位を含有する触媒の他の例としては、触媒(X)が付着した(メタ)アクリルモノマー(例えば、アクリル酸、メタクリル酸)が挙げられる。
例示的な一方法では、触媒ポリマーヒドロゲル16’を形成することは、プライマー-グラフト化官能基(例えば、アジド)を含む第1のモノマーを、触媒18を含む第2のモノマーと共重合させることを含む。いくつかの例では、第3のアクリルアミドモノマー単位も共重合プロセスで使用され得る。この方法によって形成されたコポリマーの一例を構造(VI)に示す:
Figure 2023506103000015
式中、R、R、R、R、及びR並びにpは、構造(I)について記載したとおりであり、Xは構造(V)について記載したとおりであり、n及びrは、独立して、5mol%~30mol%の範囲であり、mは残りのmol%である。
一例では、触媒18の表面濃度は、ポリマーヒドロゲル16’の繰り返し単位の約0.01%~約50%の範囲であり得る。これらの濃度は、実用的な触媒溶液濃度を超える可能性があり、これは、本明細書に開示される例の高効率に寄与する。
更に他の例では、求核剤反応性官能基を、触媒18のためのアンカーとして、又はin situで触媒を生成するために使用することができる。いくつかの例では、求核剤反応性官能基は、場合によってはpH9以上などの塩基性(高pH)条件下で、求核剤に曝露されると開環反応を受けることができる環状スルホン酸エステル(スルトン環など)である。スルトンの開環反応の例は以下のとおりである:
Figure 2023506103000016
一例では、この開環反応は、酸又は塩基などの触媒18がin situで生成されるように、脱ブロッキング中に行われてもよい。求核剤反応性官能基は、触媒ポリマーヒドロゲル16’に付着した触媒前駆体と見なすことができる。
別の例では、「Nu」は触媒18であり、開環反応は、以前スルトンであったものとの共有結合を形成する。この反応は、脱ブロッキング実行時に触媒18が存在するように、配列決定前に形成されてもよい。
求核剤反応性官能基の他の例は、以下の構造を有する:
Figure 2023506103000017
式中、(a)YはSOであり、Y’はCHである;又は、(b)Y及びY’は両方ともC(O)である。他の態様では、求核剤反応性官能基は、
Figure 2023506103000018
である。好適な求核剤としては、第一級アルキルアミン及びアルキルアルコールが挙げられる。
いくつかの態様では、求核剤反応性官能基を含むモノマーは以下のとおりである:
Figure 2023506103000019
特定の例では、モノマーは:
Figure 2023506103000020
である。
フローセル
ポリマーヒドロゲル16及び組み込まれた触媒18をフローセル22で使用することができ、その例を図3Aに示す。フローセル22は、基材24と、基材24上の触媒ポリマーヒドロゲル16’とを含む。
基材24は、単一の層/材料であってもよい。好適な単層基材の例としては、エポキシシロキサン、ガラス、修飾又は官能化ガラス、プラスチック(アクリル、ポリスチレン、及びスチレンと他の材料とのコポリマー、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリブチレン、ポリウレタン、ポリテトラフルオロエチレン(Chemours製のTEFLON(登録商標)など)、環状オレフィン/シクロオレフィンポリマー(COP)(Zeon製のZEONOR(登録商標)など)、ポリイミドなどを含む)、ナイロン(ポリアミド)、セラミック/セラミック酸化物、シリカ、石英ガラス、又はシリカ系材料、ケイ酸アルミニウム、ケイ素及び改質ケイ素(例えば、ホウ素ドープp+ケイ素)、窒化ケイ素(Si)、酸化ケイ素(SiO)、五酸化タンタル(Ta)、又は他のタンタル酸化物(TaO)、酸化ハフニウム(HfO)、炭素、金属、無機ガラスなどが挙げられる。基材24はまた、多層構造であってもよい。多層構造のいくつかの例としては、表面にタンタル酸化物又は他のセラミック酸化物のコーティング層を有するガラス又はシリコンが挙げられる。多層構造の他の例としては、パターン化樹脂をその上に有する支持体(例えば、ガラス又はシリコン)が挙げられる。多層基材の更に他の例としては、シリコン・オン・インシュレータ(SOI)基材を挙げることができる。
一例では、基材24は、約2mm~約300mmの範囲の直径、又は約10フィート以下(~3メートル)の最大寸法を有する長方形のシート若しくはパネルを有してもよい。一例では、基材24は、約200mm~約300mmの範囲の直径を有するウェハである。別の例では、基材24は、約0.1mm~約10mmの範囲の幅を有するダイである。例示的な寸法を示しているが、任意の好適な寸法を有する基材24を使用してもよいことを理解すべきである。別の例では、300mmの円形ウェハよりも大きな表面積を有する長方形の支持体であるパネルを使用してもよい。
図3Aに示す例では、フローセル22は、流路26を含む。いくつかの流路26が示されているが、任意の数のチャネル26(例えば、単一のチャネル26、4つのチャネル26など)がフローセル22に含まれ得ることを理解されたい。各流路26は、流体(例えば、本明細書に記載されるもの)が導入され、そこから除去され得る、2つの取り付けられた構成要素(例えば、基材24及び蓋又は2つの基材24)の間に画定された領域である。各流路26は、任意の特定の流路26に導入された流体が任意の隣接する流路26に流入しないように、互いの流路26から隔てられていてもよい。流路26に導入される流体のいくつかの例は、反応成分(例えば、ポリメラーゼ、配列決定プライマー、ヌクレオチドなど)、洗浄液、脱ブロッキング剤などを導入することができる。
流路26は、基材24の材料に部分的に依存する任意の好適な技術を使用して、基材24中に画定され得る。一例では、流路26はガラス基材24にエッチングされる。別の例では、流路26は、フォトリソグラフィ、ナノインプリントリソグラフィなどを使用して、多層基材24の樹脂にパターン化することができる。更に別の例では、分離材料(図示せず)が流路26の壁を画定し、基材24が流路26の底部を画定するように、分離材料を基材24に塗布することができる。
一例では、流路26は長方形の構成を有する。流路26の長さ及び幅は、それぞれ、基材24の長さ及び幅よりも小さくてもよく、その結果、流路26を取り囲む基材表面の部分を、蓋(図示せず)又は別の基材24への取り付けのために利用することができる。場合によっては、各流路26の幅は、少なくとも約1mm、少なくとも約2.5mm、少なくとも約5mm、少なくとも約7mm、少なくとも約10mm、又はそれ以上であることができる。場合によっては、各レーン20の長さは、少なくとも約10mm、少なくとも約25mm、少なくとも約50mm、少なくとも約100mm、又はそれ以上であることができる。各流路26の幅及び/又は長さは、上で指定した値よりも大きい値、それらの値よりも小さい値、又はそれらの値の間の値であってもよい。別の例では、流路26は正方形(例えば、10mm×10mm)である。
各流路26の深さは、流路壁を画定する分離材料を堆積させるためにマイクロコンタクト印刷、エアロゾル印刷、又はインクジェット印刷が使用される場合は、単層の厚さであってもよい。他の例では、各流路26の深さは、約1μm、約10μm、約50μm、約100μm、又はそれ以上であることができる。一例では、深さは、約10μm~約100μmの範囲であってもよい。別の例では、深さは約5μm以下である。各流路26の深さは、上で指定した値よりも大きいか、それよりも小さいか、又はそれらの値の間であることを理解されたい。
フローセル22の流路26内の構造の様々な例を、図3B及び図3Cに示す。
図3Bに示す例では、フローセル22は、単層基材24Aと、単層基材24A内に画定された流路26とを含む。この例では、触媒ポリマーヒドロゲル16’は、流路26内に配置されている。
触媒ポリマーヒドロゲル16’を流路26内に導入するために、触媒ポリマーヒドロゲル16’の混合物を生成し、次いで基材24(内部に流路26が画定されている)に塗布してもよい。一例では、触媒ポリマーヒドロゲル16’は、混合物状態で(例えば、水又はエタノールと水と一緒に)存在し得る。次いで、混合物を、スピンコーティング、又は浸漬若しくはディップコーティング、又は陽圧若しくは陰圧下での材料の流れ、又は別の好適な技術を使用して、基材表面(流路26内を含む)に塗布してもよい。これらの種類の技術は、触媒ポリマーヒドロゲル16’を基材24上に(例えば、流路26内及び介在領域28上に)万遍なく堆積させる。他の選択的堆積技術(例えば、マスク、制御された印刷技術などを含む)を使用して、触媒ポリマーヒドロゲル16’を介在領域28上ではなく流路26内に特異的に堆積させることができる。
いくつかの例では、基材表面(流路26に露出される部分を含む)を活性化してもよく、次いで、混合物(触媒ポリマーヒドロゲル16’を含む)をそれに塗布してもよい。一例では、シラン又はシラン誘導体(例えば、ノルボルネンシラン)を、蒸着、スピンコーティング、又は他の堆積方法を使用して、基材表面上に堆積させることができる。別の例では、基材表面をプラズマ灰化に曝露して、触媒ポリマーヒドロゲル16’に接着することができる表面活性化剤(例えば、-OH基)を生成させることができる。
触媒ポリマーヒドロゲル16’の化学的性質によっては、塗布された混合物を硬化プロセスに曝露してもよい。一例では、硬化は、室温(例えば、約25℃)~約95℃の範囲の温度で、約1ミリ秒~約数日の範囲の時間にわたって行うことができる。
次いで、流路26の周囲の介在領域28から触媒ポリマーヒドロゲル16’を除去するために研磨を実施することができ、一方、流路26の表面上には触媒ポリマーヒドロゲル16’を少なくとも実質的に無傷のまま残す。
いくつかの例では、堆積されたままの触媒ポリマーヒドロゲル16’には既に触媒18が付着しており、したがって、触媒18を流路26内に導入する追加の処理は行われない。この一例は、触媒18がポリマーヒドロゲル骨格のモノマー単位の一部である場合である。この別の例は、触媒18が重合後に付着している場合である。したがって、本明細書に開示される例示的な一方法は、触媒18を含む触媒ポリマーヒドロゲル16’を形成することと、触媒ポリマーヒドロゲル16’を基材24の表面に塗布することと、を含む。
他の例では、堆積されたままのポリマーヒドロゲルは、触媒18が付着していない初期ポリマーヒドロゲル16である。初期ポリマーヒドロゲル16が触媒18を含まないため、触媒18を初期ポリマーヒドロゲル16に導入し、流路26内に触媒ポリマーヒドロゲル16’を形成する追加の処理が行われる。これらの例では、初期ポリマーヒドロゲル16を流路26内に堆積させ、研磨し、次いで、本明細書に記載の重合後付着技術のいずれかを使用して、触媒18を初期ポリマーヒドロゲル16に導入することができる。初期ポリマーヒドロゲル16は、介在領域28上ではなく流路26内に存在するため、触媒18は、流路26内の初期ポリマーヒドロゲル16に優先的に付着する。
フローセル22は、触媒ポリマーヒドロゲル16’に付着した増幅プライマー30を更に含む。プライマー付着に関する以下の考察は、触媒ポリマーヒドロゲル16’を含む。初期ポリマーヒドロゲル16が流路26に導入される場合、触媒18は、増幅プライマー30の前又は後に導入され得ることを理解されたい。したがって、プライマー付着に関する考察は、初期ポリマーヒドロゲル16にも適している。
グラフトプロセスを実施して、流路26内の触媒ポリマーヒドロゲル16’に増幅プライマー30をグラフトさせることができる。一例では、増幅プライマー30は、プライマー30の5’末端又はその近傍における単一点共有付着によって、触媒ポリマーヒドロゲル16’に固定され得る。この付着により、i)プライマー30のアダプタ特異的部分は、その同族の配列決定可能な核酸断片にアニールするように自由になり、ii)3’ヒドロキシル基は、プライマー伸長のために自由になる。この目的のために、任意の好適な共有付着を使用することができる。使用され得る末端プライマーの例としては、アルキン末端プライマー(例えば、触媒ポリマーヒドロゲル16’のアジド表面部分に付着し得る)、ホスホ-チオエート末端プライマー(例えば、触媒ポリマーヒドロゲル16’の臭素表面部分に付着し得る)、又はアジド末端プライマー(例えば、触媒ポリマーヒドロゲル16’のアルキン表面部分に付着し得る)が挙げられる。
好適なプライマー30の具体例としては、HISEQ(商標)、HISEQX(商標)、MISEQ(商標)、MISEQDX(商標)、MINISEQ(商標)、NEXTSEQ(商標)、NEXTSEQDX(商標)、NOVASEQ(商標)、GENOME ANALYZER(商標)、ISEQ(商標)、及び他の装置プラットフォームでの配列決定のために、Illumina Inc.より販売されている市販のフローセルの表面上で使用される、P5及びP7プライマーが挙げられる。
一例では、グラフト化は、フロースルー堆積(例えば、一時的に結合された又は永久的に結合された蓋を使用)、ダンクコーティング、スプレーコーティング、パドルディスペンス、又はプライマー30を流路26内の触媒ポリマーヒドロゲル16’に付着させる別の好適な方法を含み得る。これらの例示的な技術の各々は、プライマー溶液又は混合物を利用することができ、プライマー溶液又は混合物は、プライマー30、水、緩衝液、及び触媒を含み得る。プライマー30は、グラフト法のいずれかによって流路26内の触媒ポリマーヒドロゲル16’の反応性基と反応し、周囲の基材24に対して親和性を有さない。したがって、プライマー30は、流路26内の触媒ポリマーヒドロゲル16’に選択的にグラフトする。
図3Cに示す例では、フローセル22は、支持体32と、支持体32上に配置されたパターン化材料34とを含む多層基材24Bを含む。パターン化材料34は、介在領域28によって隔てられた窪み36を画定する。窪み36は、流路26の各々の中に配置されている。
図3Cに示す例では、パターン化材料34は、支持体32上に配置されている。選択的に堆積されるか、又は堆積され、パターン化されて窪み36及び介在領域28を形成することができる任意の材料を、パターン化材料34に使用してもよいことを理解されたい。
パターン化材料34の一例として、無機酸化物が、蒸着、エアロゾル印刷、又はインクジェット印刷によって支持体32に選択的に塗布されてもよい。好適な無機酸化物の例としては、酸化タンタル(例えば、Ta)、酸化アルミニウム(例えば、Al)、酸化ケイ素(例えば、SiO)、酸化ハフニウム(例えば、HfO)などが挙げられる。
パターン化材料34の別の例として、樹脂を支持体32に塗布した後にパターン化してもよい。好適な堆積技術としては、化学気相堆積、ディップコーティング、ダンクコーティング、スピンコーティング、スプレーコーティング、パドルディスペンス、超音波スプレーコーティング、ドクターブレードコーティング、エアロゾル印刷、スクリーン印刷、マイクロコンタクト印刷などが挙げられる。好適なパターン化技術としては、フォトリソグラフィ、ナノインプリントリソグラフィ(NIL)、スタンピング技術、エンボス加工技術、成形技術、マイクロエッチング技術、印刷技術などが挙げられる。好適な樹脂のいくつかの例としては、多面体オリゴマーシルセスキオキサン樹脂(POSS)系樹脂、非POSSエポキシ樹脂、ポリ(エチレングリコール)樹脂、ポリエーテル樹脂(例えば、開環エポキシ)、アクリル樹脂、アクリレート樹脂、メタクリレート樹脂、非晶質フルオロポリマー樹脂(例えば、Bellex製のCYTOP(登録商標))、及びこれらの組み合わせが挙げられる。
本明細書で使用するとき、用語「多面体オリゴマーシルセスキオキサン」(POSS)は、シリカ(SiO)とシリコーン(RSiO)との間のハイブリッド中間体(例えば、RSiO1.5)である化学組成物を指す。POSSの例は、Kehagias et al.,Microelectronic Engineering 86(2009),pp.776-778に記載されているものであることができ、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。一例では、組成物は、化学式[RSiO3/2を有する有機ケイ素化合物であり、ここで、R基は同じであっても異なっていてもよい。POSSのR基の例としては、エポキシ、アジド/アジド、チオール、ポリ(エチレングリコール)、ノルボルネン、テトラジン、アクリレート、及び/若しくはメタクリレート、又は更に、例えば、アルキル、アリール、アルコキシ、及び/若しくはハロアルキル基が挙げられる。本明細書に開示される樹脂組成物は、1つ以上の異なるケージ構造又はコア構造をモノマー単位として含んでもよい。多面体構造は、
Figure 2023506103000021
のようなT構造であってもよく、
Figure 2023506103000022
によって表される。このモノマー単位は、典型的には、官能基R~Rの8つのアームを有する。
モノマー単位は、例えば
Figure 2023506103000023
などの、10個のケイ素原子及び10個のR基を有するT10と称されるケージ構造を有してもよく、又は、例えば
Figure 2023506103000024
などの、12個のケイ素原子及び12個のR基を有するT12と称されるケージ構造を有してもよい。あるいは、POSS系材料は、T、T14、又はT16ケージ構造を含んでもよい。本明細書に開示される例では、平均ケージ含有量を合成中に調節することができ、及び/又は精製方法によって制御することができ、モノマー単位のケージサイズの分布を使用することができる。
本明細書に開示されるPOSSのいくつかの例では、R~R又はR10又はR12のうちの少なくとも1つは、エポキシを含む。R~R又はR10又はR12は、同じであっても同じでなくてもよく、また、いくつかの例では、R~R又はR10又はR12のうちの少なくとも1つはエポキシを含み、R~R又はR10又はR12のうちの他の少なくとも1つは、非エポキシ官能基である。非エポキシ官能基は、(a)樹脂を増幅プライマー、ポリマー、又は重合剤に結合させるためのハンドルとしての役割を果たす、エポキシ基に対して直交反応性の(すなわち、エポキシ基とは異なる条件下で反応する)反応基;又は(b)例えば、表面エネルギー調整など、樹脂の機械的特性又は機能的特性を調節する基であり得る。いくつかの例では、非エポキシ官能基は、アジ化物/アジド、チオール、ポリ(エチレングリコール)、ノルボルネン、テトラジン、アミノ、ヒドロキシル、アルキニル、ケトン、アルデヒド、エステル基、アルキル、アリール、アルコキシ、及びハロアルキルからなる群から選択される。
図3Cに示すように、パターン化材料34は、内部に画定された窪み36と、隣接する窪み36を隔てる介在領域28と、を含む。規則的パターン、繰り返しパターン及び非規則的パターンを含む、窪み36の多くの異なるレイアウトが考えられ得る。一例では、窪み36は、密な充填及び密度の向上のために六角形格子に配置される。他のレイアウトは、例えば、直線状(長方形)のレイアウト、三角形のレイアウトなどを含み得る。いくつかの例では、レイアウト又はパターンは、行及び列をなしている窪み36のx-yフォーマットであり得る。いくつかの他の実施形態では、レイアウト又はパターンは、窪み36及び/又は介在領域28の繰り返し配列であり得る。更に他の例では、レイアウト又はパターンは、窪み36及び/又は介在領域28のランダム配列であり得る。パターンは、スポット、パッド、穴、ポスト、ストライプ、渦、線、三角形、長方形、円、弧、チェック、格子縞、対角線、矢印、正方形、及び/又はクロスハッチを含み得る。
窪み36のレイアウト又はパターンは、画定された領域内の窪み36の密度(窪み36の数)に関して特徴付けることができる。例えば、窪み36は、約200万個/mmの密度で存在し得る。密度は、例えば、約100個/mm、約1,000個/mm、約10万個/mm、約100万個/mm、約200万個/mm、約500万個/mm、約1000万個/mm、約5000万個/mm、あるいはそれ以上又はそれ以下の密度を含む様々な密度に調整することができる。パターン化材料34の窪み36の密度は、上記範囲から選択される下限値のうちの1つと上限値のうちの1つとの間であり得ることを更に理解されたい。例として、高密度アレイは、約100nm未満隔てられた窪み36を有することを特徴してもよく、中密度アレイは、約400nm~約1μm隔てられた窪み36を有することを特徴としてもよく、低密度アレイは、約1μm超隔てられた窪み36を有することを特徴としてもよい。例示的な密度を提供してきたが、任意の好適な密度を使用してもよいことを理解されたい。窪み36の密度は、窪み36の深さに部分的に依存し得る。場合によっては、窪み36間の間隔は、本明細書に列挙される例よりも更に大きいことが望ましい場合がある。
加えて又は代替的に、窪み36のレイアウト又はパターンは、平均ピッチ、又は窪み36の中心から隣接する窪み36の中心までの間隔(中心間間隔)、又は1つの窪み36の端から隣接する窪み36の端までの間隔(端から端までの間隔)に関して特徴付けることができる。平均ピッチ付近の変動係数が小さくなるように、パターンを規則的としてもよいが、パターンを非規則的とすることもでき、その場合、変動係数は比較的大きくなり得る。いずれの場合も、平均ピッチは、例えば、約50nm、約0.1μm、約0.5μm、約1μm、約5μm、約10μm、約100μm、あるいはそれ以上又はそれ以下であり得る。窪み36の特定のパターンの平均ピッチは、上記の範囲から選択された下限値の1つと上限値の1つとの間であり得る。一例では、窪み36は、約1.5μmのピッチ(中心間間隔)を有する。例示的な平均ピッチ値を提供してきたが、他の平均ピッチ値を使用してもよいことを理解すべきである。
各窪み36のサイズは、その体積、開口面積、深さ、及び/又は直径によって特徴付けられ得る。
各窪み36は、流体を閉じ込めることができる任意の体積を有し得る。最小体積又は最大体積は、例えば、フローセル22の下流での使用に予想されるスループット(例えば、多重度)、分解能、ヌクレオチド10、又は分析物反応性に適応するように選択することができる。例えば、体積は、少なくとも約1×10-3μm、少なくとも約1×10-2μm、少なくとも約0.1μm、少なくとも約1μm、少なくとも約10μm、少なくとも約100μm、又はそれ以上であり得る。代替的に又は追加的に、体積は、最大約1×10μm、最大約1×10μm、最大約100μm、最大約10μm、最大約1μm、最大約0.1μm、又はそれ以下であり得る。
各窪み開口部によって占有される面積は、体積について上述したものと同様の基準に基づいて選択することができる。例えば、各窪み開口部の面積は、少なくとも約1×10-3μm、少なくとも約1×10-2μm、少なくとも約0.1μm、少なくとも約1μm、少なくとも約10μm、少なくとも約100μm、又はそれ以上であり得る。代替的に又は追加的に、面積は、最大約1×10μm、最大約100μm、最大約10μm、最大約1μm、最大約0.1μm、最大約1×10-2μm、又はそれ以下であり得る。各窪み開口部によって占有される面積は、上で指定した値よりも大きい値、それらの値よりも小さい値、又はそれらの値の間の値であり得る。
各窪み36の深さは、触媒ポリマーヒドロゲル16’の一部を収容するのに十分な大きさであり得る。一例では、深さは、少なくとも約0.1μm、少なくとも約0.5μm、少なくとも約1μm、少なくとも約10μm、少なくとも約100μm、又はそれ以上であり得る。代替的に又は追加的に、深さは、最大約1×10μm、最大約100μm、最大約10μm、又はそれ以下であり得る。いくつかの例では、深さは約0.4μmである。各窪み36の深さは、上で指定した値よりも大きい値、それらの値よりも小さい値、又はそれらの値の間の値であり得る。
いくつかの例では、各窪み36の直径又は長さ及び幅は、少なくとも約50nm、少なくとも約0.1μm、少なくとも約0.5μm、少なくとも約1μm、少なくとも約10μm、少なくとも約100μm、又はそれ以上であり得る。代替的に又は追加的に、直径又は長さ及び幅は、最大約1×10μm、最大約100μm、最大約10μm、最大約1μm、最大約0.5μm、最大約0.1μm、又はそれ以下(例えば、約50nm)であり得る。いくつかの例では、直径又は長さ及び幅は、約0.4μmである。各窪み36の直径又は幅及び長さは、上で指定した値よりも大きい値、それらの値よりも小さい値、又はそれらの値の間の値であり得る。
図3Cに示す例では、触媒ポリマーヒドロゲル16’は、窪み36の各々内に配置される。触媒ポリマーヒドロゲル16’は、図3Bを参照して記載するように、触媒ポリマーヒドロゲル16’が窪み36内に存在し、周囲の介在領域28上には存在しないように塗布されてもよい。
図3Cに示す例では、プライマー30は、窪み36の各々内の触媒ポリマーヒドロゲル16’にグラフトされてもよい。プライマー30は、図3Bを参照して記載するように塗布することができ、したがって、触媒ポリマーヒドロゲル16’にグラフトし、周囲の介在領域28にはグラフトしない。
図3A、図3B、又は図3Cには示されていないが、フローセル22は、基材24に取り付けられた蓋も含み得ることを理解されたい。一例では、蓋は、例えば介在領域28の一部において、基材24の少なくとも一部分に結合されてもよい。蓋と基材24との間に形成される結合は、化学結合であっても、又は(例えばファスナなどを使用する)機械的結合であってもよい。
蓋は、基材24に向けられる励起光に対して透明である任意の材料であり得る。例として、蓋は、ガラス(例えば、ホウケイ酸、溶融シリカなど)、プラスチックなどであり得る。好適なホウケイ酸ガラスの市販の例は、Schott North America,Inc.から入手可能なD 263(登録商標)である。好適なプラスチック材料、すなわち、シクロオレフィンポリマーの市販の例は、Zeon Chemicals L.P.から入手可能なZEONOR(登録商標)製品である。
蓋は、レーザ接合、拡散接合、陽極接合、共晶接合、プラズマ活性化接合、ガラスフリット接合、又は当技術分野において既知の他の方法などの任意の好適な技術を使用して、基材24に接合され得る。一例では、スペーサ層は、蓋を基材24に接合するために使用され得る。スペーサ層は、基材24の少なくとも一部と蓋とを一緒に封着する任意の材料であり得る。いくつかの例では、スペーサ層は、基材24と蓋との接合を補助する放射線吸収材料であり得る。
他の例では、フローセル22は、基材24に取り付けられた追加のパターン化された又はパターン化されていない基材24を更に含んでもよい。
ヌクレオチド
フローセル22の例で使用されるヌクレオチドは、3’OHブロックヌクレオチド10である(図1参照)。本明細書に記載されるように、3’OHブロックヌクレオチド10は、ヌクレオチドと、ヌクレオチドの糖に付着した3’OHブロッキング基12とを含む。ヌクレオチドは、本明細書に記載の例のいずれかであり得る。
3’OHブロッキング基12は、ヌクレオチド中の糖分子の酸素原子に連結していてもよい。3’OHブロッキング基12は、各配列決定サイクルにおいて単一塩基の組み込みのみが起こることを可能にする可逆的ターミネータであってもよい。可逆的ターミネータは、鋳型ポリヌクレオチド鎖に相補的な新生鎖に更なる塩基が組み込まれないようにする。これにより、単一の組み込まれた塩基の検出及び同定が可能になる。その後、3’OHブロッキング基12を除去することにより、各鋳型ポリヌクレオチド鎖で更なる配列決定サイクルを行うことを可能としてもよい。3’OHブロッキング基12を除去する切断反応は、触媒18によって触媒される。
異なる3’OHブロッキング基12の例としては、3’-ONH可逆的ターミネータ、3’-O-アリル可逆的ターミネータ(-CH=CHCH)、及び3’-O-アジドメチル可逆的ターミネータ(-CH)が挙げられる。他の好適な可逆的ターミネータとしては、o-ニトロベンジルエーテル、アルキルo-ニトロベンジルカーボネート、エステル部分、他のアリル部分、アセタール(例えば、tert-ブトキシ-エトキシ)、MOM(-CHOCH)部分、2,4-ジニトロベンゼンスルフェニル、テトラヒドロフラニルエーテル、3’リン酸塩、エーテル、-F、-H、-OCH、-N、-HCOCH、及び2-ニトロベンゼンカーボネートが挙げられる。アリル可逆的ターミネータの場合、ポリマーヒドロゲル16’の表面上の配位子は、パラジウム(Pd(0))触媒、ルテニウム触媒に結合することができる。エステル及びアセタールの場合、本明細書に記載の酸及び/又は塩基触媒のいずれかを使用することができる。
3’OHブロックヌクレオチド10は、ヌクレオチドの塩基Bに付着した検出可能な標識も含み得る、完全に機能性のヌクレオチドである。検出可能な標識は、発光部分、化学発光部分、蛍光部分、蛍光発生部分、発色部分及び/又は発色性部分を含む、任意の光学的に検出可能な部分であり得る。好適な光学的に検出可能な部分のいくつかの例としては、フルオレセイン標識、ローダミン標識、シアニン標識(例えば、Cy3、Cy5など)、並びにAlexaファミリー蛍光色素及びその他の蛍光色素及び蛍光発生色素が挙げられる。
任意の好適な連結分子を使用して、検出可能な標識をヌクレオチドの塩基Bに付着させることができる。連結分子は切断可能であり、脱ブロッキング基12を除去するために起こる同様の一連の反応を受ける場合がある。一例では、連結分子は、式-((CHO)-のスペーサ基であり、式中、nは2~50の整数である。
いくつかの用途では、例えば、A、T、G、C(並びにU又はI)などの異なる塩基を含むヌクレオチド10ごとに異なる種類の検出可能な標識を利用することが望ましい場合がある。例えば、蛍光標識又は蛍光発生標識は、各標識が他の標識基とは区別可能な波長で励起放射線を吸収し、かつ/又は蛍光を発するように選択されてもよい。このような区別可能な類似体は、同じ反応混合物中の異なる標識の存在を同時に監視する能力を提供する。いくつかの例では、配列中の4つのヌクレオチドのうちの1つは標識を含まないが、他の3つのヌクレオチドは異なる標識を含んでもよい。
配列決定方法
フローセル22の例は、合成による配列決定(sequencing by synthesis:SBS)などのアンサンブル配列決定技術で使用することができる。アンサンブル配列決定では、増幅プライマー30を使用して、配列決定される鋳型ポリヌクレオチド鎖(図示せず)をフローセル22上に形成することができる。鋳型ポリヌクレオチドの鎖形成の開始時に、ライブラリ鋳型を任意の核酸試料(例えば、DNA試料又はRNA試料)から調製することができる。核酸試料を、一本鎖の同様のサイズ(例えば、1000bp未満)のDNA断片又はRNA断片に断片化してもよい。調製中に、アダプタをこれらの断片の末端に付加してもよい。サイクル増幅が短縮されることにより、窪み36内のプライマー30に相補的な配列決定結合部位、インデックス、及び領域などの様々なモチーフをアダプタに導入することができる。最終的なライブラリ鋳型は、DNA断片又はRNA断片とアダプタとを両端に含む。いくつかの例では、単一の核酸試料からの断片に同一のアダプタを付加する。
複数のライブラリ鋳型は、フローセル22に導入してもよい。多数のライブラリ鋳型を、例えば、流路26内又は流路26の窪み36内に固定化された2種類のプライマー30のうちの一方にハイブリダイズさせる。
次いで、クラスター生成を実行してもよい。クラスター生成の一例では、ライブラリ鋳型は、高性能再現性DNAポリメラーゼ(high-fidelity DNA polymerase)を使用した3’伸長によって、ハイブリダイズされたプライマーからコピーされる。元のライブラリ鋳型を変性させ、流路26内又は窪み36内に固定化されたコピーを残す。等温ブリッジ増幅又は何らかの他の形の増幅を使用して、固定化されたコピーを増幅させてもよい。例えば、コピーされた鋳型は、ループオーバーして、隣接する相補的プライマー30にハイブリダイズし、ポリメラーゼは、コピーされた鋳型をコピーして二本鎖架橋を形成し、それは変性されて、2つの一本鎖を形成する。これらの2つの鎖が、ループオーバーし、隣接する相補的プライマー30にハイブリダイズし、再度伸長して、2つの新たな二本鎖ループを形成する。このプロセスを、等温変性及び増幅のサイクルによって各鋳型コピーについて繰り返して、密集したクローンクラスターを作り出す。二本鎖架橋の各クラスターは変性される。一例では、逆方向鎖は、特定の塩基切断によって除去され、順方向鋳型ポリヌクレオチド鎖を残す。クラスタリングにより、流路26内又は各窪み36内にいくつかの鋳型ポリヌクレオチド鎖が形成される。このクラスタリングの例は、ブリッジ増幅であり、実施可能な増幅の一例である。排除増幅(Examp)ワークフロー(Illumina Inc.)などの他の増幅技術を使用してもよいことを理解されたい。
鋳型ポリヌクレオチド鎖上の相補的配列にハイブリダイズする配列決定プライマーを導入してもよい。この配列決定プライマーは、鋳型ポリヌクレオチド鎖を配列決定可能にする。
配列決定を開始するために、フローセル22に組み込み混合物を添加してもよい。一例では、組み込み混合物は、液体キャリア、ポリメラーゼ、及び3’OHブロックヌクレオチド10を含む。いくつかの例では、組み込み及び画像化の前にブロッキング基12の切断を開始することは望ましくないため、組み込み混合物は触媒18を活性化しないように選択されることを理解されたい。ゲスト-ホストの例では、組み込み混合物は、非活性化状態のゲスト触媒(例えば、金属)を含んでもよい。ゲスト触媒は、初期ポリマーヒドロゲル16’に(例えば配位子を介して)結合することができ、その後、脱ブロッキング中に直交手段(例えば、特定の波長への曝露)によって刺激されて、ゲスト触媒を活性化形態に変換することができる。
組み込み混合物がフローセル22に導入されると、流体は流路26及び/又は窪み36(鋳型ポリヌクレオチド鎖が存在する場所)に入る。
配列決定プライマーに添加したヌクレオチドの順序及び種類の検出を使用して鋳型の配列を決定できるように、3’OHブロックヌクレオチド10を鋳型依存的な方法で配列決定プライマーに添加する(それによって配列決定プライマーを伸長させる)。より具体的には、ヌクレオチドのうちの1つは、配列決定プライマーを伸長させると共に鋳型ポリヌクレオチド鎖に相補的な新生鎖に、それぞれのポリメラーゼによって組み込まれる。換言すれば、フローセル22全体にわたる鋳型ポリヌクレオチド鎖の少なくともいくつかにおいて、それぞれのポリメラーゼは、ハイブリダイズされた配列決定プライマーを、組み込み混合物中のヌクレオチドのうちの1つだけ伸長させる。
この例示的方法では、新生鎖にヌクレオチド塩基を組み込んだ後に、任意の組み込まれていない3’OHブロックヌクレオチド10を含む組み込み混合物をフローセル22から除去することができる。これは、洗浄液(例えば、緩衝液)を使用して達成され得る。
本明細書で言及されるように、3’OHブロックヌクレオチド10は、ヌクレオチドが配列決定プライマーに添加されると更なるプライマー伸長を終結させる可逆的終結特性(例えば、3’OHブロッキング基12)を含む。更なる組み込みを行わずに、直近に組み込まれたヌクレオチド10を画像化事象によって検出することができる。画像化事象の間、照明システム(図示せず)が流路26及び/又は窪み36に励起光を提供してもよい。
次いで、切断混合物をフローセル22に導入してもよい。本明細書に開示される例では、切断混合物は、i)組み込まれたヌクレオチドから3’OHブロッキング基12を除去し、ii)組み込まれたヌクレオチドから任意の検出可能な標識を切断することが可能である。ポリマーヒドロゲル16’上に存在する触媒は、3’OHブロッキング基の除去中に起こる反応を加速させることができる。3’OHブロッキング基12を除去することにより、後続の配列決定サイクルの実行を可能にし、触媒18を用いてこの反応を加速させることにより、配列決定プロセス全体をより効率的にすることができる。
触媒のいくつかの例は、脱ブロッキング反応中の中間段階を加速させる。このように、触媒は、切断混合物の組み込み時及び脱ブロッキング反応の開始時にその機能を果たす。触媒18として光酸発生剤が使用される場合、触媒活性を開始させるために追加の光曝露が使用されてもよい。
切断混合物中の3’OHブロッキング基及び好適な脱ブロッキング剤/成分の例としては、塩基加水分解により除去することができるエステル部分;アセトン/水中でNal、クロロトリメチルシラン及びNa又はHg(II)で除去することができるアリル部分;トリス(2-カルボキシエチル)ホスフィン(TCEP)又はトリ(ヒドロキシプロピル)ホスフィン(THP)などの、ホスフィンで切断することができるアジドメチル;酸性条件で切断することができるtert-ブトキシ-エトキシなどのアセタール;LiBF及びCHCN/HOで切断することができるMOM(-CHOCH)部分;チオフェノール及びチオ硫酸塩などの求核剤で切断することができる2,4-ジニトロベンゼンスルフェニル;Ag(I)又はHg(II)で切断することができるテトラヒドロフラニルエーテル;並びに、ホスファターゼ酵素(例えば、ポリヌクレオチドキナーゼ)によって切断することができる3’リン酸塩を挙げることができる。
洗浄は、様々な流体送達工程の間に行ってもよい。次いで、SBSサイクルをn回繰り返して配列決定プライマーをnヌクレオチド伸長させることにより、長さnの配列を検出することができる。いくつかの例では、順方向鎖が配列決定されて除去され、次いで逆方向鎖が構築されて配列決定されるペアエンドシーケンシングを使用することができる。
SBSについて詳細に説明してきたが、本明細書に記載されるフローセル22は、遺伝子型決定のための他の配列決定手順で、あるいは他の化学的用途及び/又は生物学的用途で利用され得ることを理解されたい。いくつかの例では、フローセルのプライマーを、順方向鎖及び逆方向鎖の両方が触媒ポリマーヒドロゲル16’上に存在する同時ペアエンドシーケンシングを可能にするように選択することで、各読み取りの同時塩基呼び出しを可能にしてもよい。順次及び同時ペアエンドシーケンシングは、ゲノム再構成及び繰り返し配列要素の検出、並びに遺伝子融合及び新規転写物の検出を容易にし得る。別の例では、本明細書に開示されるフローセル10は、フローセル上でのライブラリ生成に使用され得る。
キット
本明細書に記載のフローセル22の任意の例は、キットの一部であってもよい。したがって、本明細書に開示されるポリマーヒドロゲル16’の任意の例は、キットの一部であってもよい。キットのいくつかの例は、フローセル22であって、基材24と、基材24上の触媒ポリマーヒドロゲル16’であって、触媒18を含む、触媒ポリマーヒドロゲル16’と、触媒ポリマーヒドロゲル16’に付着した増幅プライマー30と、を含み、触媒18は、フローセル22に導入され、かつ増幅プライマー30に付着した鋳型鎖に組み込まれた3’OHブロックヌクレオチド10のブロッキング基12の切断を加速させる、フローセル22と、ブロッキング基12の切断を開始させる成分を含む切断混合物と、を備える。
追記事項
以下でより詳細に考察される、前述の概念及び更なる概念の全ての組み合わせが、(かかる概念が相互に矛盾しないことを提供する)本明細書に開示される発明の主題の一部であると企図されることを理解されたい。具体的には、本開示の最後に表示される特許請求される主題の全ての組み合わせは、本明細書に開示される発明の主題の一部であると企図される。また、本明細書で明示的に用いられ、また参照により組み込まれる任意の開示においても出現し得る用語は、本明細書に開示される特定の概念と最も一致する意味に従うべきであること認識されるべきである。
「一例」、「別の例」、「例」などへの本明細書全体を通じての言及は、例に関連して記載されている特定の要素(例えば、特徴、構造、及び/又は特性)が、本明細書に記載されている少なくとも1つの例に含まれており、他の例に存在していても、存在していなくともよいことを意味している。更に、文脈上明確に別段の指示がない限り、任意の例に関する記載の要素は、様々な例において任意の好適な様式で組み合わせ得ることを理解すべきである。
本明細書で提供される範囲は、表示範囲及び表示範囲内の任意の値又は部分範囲を、そのような値又は部分範囲が明示的に列挙されているかのように含むことを理解すべきである。例えば、約2mm~約300mmの範囲は、約2mm~約300mmの明示的に列挙された限界だけでなく、約40mm、約250.5mmなどの個々の値、及び約25mm~約175mmなどの部分範囲を含むと解釈されるべきである。更に、「約」及び/又は「実質的に」が値を説明するために利用される場合、それらは、記載された値からのわずかな変動(最大+/-10%)を包含することを意味する。
いくつかの例を詳細に説明してきたが、開示された例は修正され得ることを理解すべきである。したがって、上述の説明は非限定的なものであると考えるべきである。

Claims (21)

  1. キットであって、
    フローセルであって、
    基材と、
    前記基材上の触媒ポリマーヒドロゲルであって、脱ブロッキング触媒を含む、触媒ポリマーヒドロゲルと、
    前記触媒ポリマーヒドロゲルに付着した増幅プライマーと、
    を含み、
    前記触媒は、前記フローセルに導入され、かつ前記増幅プライマーに付着した鋳型鎖に組み込まれた3’OHブロックヌクレオチドのブロッキング基の切断を加速させる、フローセルと、
    前記ブロッキング基の切断を開始させる成分を含む切断混合物と、
    を備える、キット。
  2. 前記脱ブロッキング触媒は、酸触媒、塩基触媒、酵素、ペプチド、DNAザイム、有機触媒、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1に記載のキット。
  3. 前記脱ブロッキング触媒は、前記ポリマーヒドロゲルに付着した金属配位子錯体の金属である、請求項1に記載のキット。
  4. 前記脱ブロッキング触媒は、カルボン酸、ホスホン酸、スルホン酸、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される酸触媒である、請求項1に記載のキット。
  5. 前記脱ブロッキング触媒は、アミン、複素環式アミン、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される塩基触媒である、請求項1に記載のキット。
  6. 前記脱ブロッキング触媒は酵素である、請求項1に記載のキット。
  7. 前記脱ブロッキング触媒はペプチドである、請求項1に記載のキット。
  8. 前記脱ブロッキング触媒はDNAザイムである、請求項1に記載のキット。
  9. 方法であって、
    組み込み混合物を、
    基材と、
    前記基材上の触媒ポリマーヒドロゲルであって、脱ブロッキング触媒を含む、触媒ポリマーヒドロゲルと、
    前記触媒ポリマーヒドロゲルに付着した鋳型鎖と、
    を含むフローセルに導入することによって、個々のヌクレオチドを前記鋳型鎖に沿ったそれぞれの新生鎖に組み込むことであって、前記個々のヌクレオチドは、
    塩基に付着した色素標識と、
    糖に付着した3’OHブロッキング基と、
    を含む、ことと、
    前記組み込み混合物を除去することと、
    個々のヌクレオチドの組み込みを光学的に画像化することと、
    前記3’OHブロッキング基の切断を開始させる成分を含む切断混合物を前記フローセルに導入することによって、前記脱ブロッキング触媒が前記3’OHブロッキング基の切断を加速させる、ことと、
    を含む、方法。
  10. 前記触媒は、前記3’OHブロッキング基の外側保護基の除去を加速させ、前記切断混合物中の試薬が、前記3’OHブロッキング基の内側保護基を除去する、請求項9に記載の方法。
  11. フローセルであって、
    基材と、
    前記基材上の触媒ポリマーヒドロゲルであって、
    ホスホン酸;
    複素環式アミン;
    酵素;
    ペプチド;
    DNAザイム;
    金属配位子錯体の金属;
    尿素、チオ尿素、イミダゾール、グアニジン、1,8-ジアザビシクロ(5.4.0)-ウンデカ-7-エン、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される有機触媒;並びに
    光酸発生剤
    からなる群から選択される脱ブロッキング触媒を含む、触媒ポリマーヒドロゲルと、
    前記触媒ポリマーヒドロゲルに付着した増幅プライマーと、
    を備える、フローセル。
  12. 前記触媒は、前記触媒ポリマーヒドロゲルのモノマー単位に組み込まれている、請求項11に記載のフローセル。
  13. 前記触媒は、初期ポリマーヒドロゲルにグラフトされる、請求項11に記載のフローセル。
  14. 前記触媒ポリマーヒドロゲルは初期ポリマーヒドロゲルを含み、前記フローセルは、前記初期ポリマーヒドロゲルに付着したオリゴヌクレオチドを更に含み、前記脱ブロッキング触媒は、前記オリゴヌクレオチドにハイブリダイズされた相補的オリゴヌクレオチドテザーに付着している、請求項11に記載のフローセル。
  15. フローセルであって、
    基材と、
    前記基材上のポリマーヒドロゲルであって、水素結合対の第1員を含む、ポリマーヒドロゲルと、
    前記水素結合対の第2員を介して前記ポリマーヒドロゲルに付着した脱ブロッキング触媒と、
    前記触媒ポリマーヒドロゲルに付着した増幅プライマーと、
    を備える、フローセル。
  16. 方法であって、
    触媒ポリマーヒドロゲルをフローセル基材の表面に塗布することであって、前記触媒ポリマーヒドロゲルは、
    ホスホン酸;
    複素環式アミン;
    酵素;
    ペプチド;
    DNAザイム;
    金属配位子錯体の金属;
    尿素、チオ尿素、イミダゾール、グアニジン、1,8-ジアザビシクロ(5.4.0)-ウンデカ-7-エン、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される有機触媒;並びに
    光酸発生剤
    からなる群から選択される脱ブロッキング触媒を含む、ことと、
    増幅プライマーを前記触媒ポリマーヒドロゲルに付着させることと、
    を含む、方法。
  17. 前記脱ブロッキング触媒を含む前記触媒ポリマーヒドロゲルを形成することを更に含む、請求項16に記載の方法。
  18. 前記触媒ポリマーヒドロゲルを形成することは、プライマー-グラフト化官能基を含む第1のモノマーを、前記脱ブロッキング触媒を含む第2のモノマーと共重合させることを含む、請求項17に記載の方法。
  19. 前記触媒ポリマーヒドロゲルを形成することは、
    初期ポリマーヒドロゲルを合成することと、
    前記触媒を前記初期ポリマーヒドロゲルにグラフト化することと、
    を含む、請求項17に記載の方法。
  20. 前記触媒ポリマーヒドロゲルを形成することは、
    初期ポリマーヒドロゲルを合成することと、
    オリゴヌクレオチドを前記初期ポリマーヒドロゲルにグラフト化することと、
    相補的オリゴヌクレオチドテザーを前記オリゴヌクレオチドにハイブリダイズすることであって、前記触媒が前記相補的オリゴヌクレオチドテザーに付着している、ことと、
    を含む、請求項17に記載の方法。
  21. 前記触媒ポリマーヒドロゲルを形成することは、
    初期ポリマーヒドロゲルを合成することと、
    金属配位子錯体を前記初期ポリマーヒドロゲルに付着させることであって、前記金属配位子錯体の金属は前記触媒である、ことと、
    を含む、請求項17に記載の方法。
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