JP2023504826A - 効率的かつ特異的なゲノム編集のための部位特異的リコンビナーゼの融合 - Google Patents

効率的かつ特異的なゲノム編集のための部位特異的リコンビナーゼの融合 Download PDF

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Abstract

本発明は、一般にゲノム編集の分野に関し、リコンビナーゼ単量体の融合を介してゲノム標的配列を効率的かつ特異的に組換えるDNAリコンビナーゼを提供する。より具体的には、本発明は、少なくとも第1のリコンビナーゼ酵素、第2のリコンビナーゼ酵素及び少なくとも1つのリンカーを含むリコンビナーゼの複合体を含む、効率的かつ特異的なゲノム編集のための融合タンパク質を作製する方法であって、前記第1のリコンビナーゼ酵素及び前記第2のリコンビナーゼ酵素が、リコンビナーゼの上流標的部位及び/又は下流標的部位の第1の半部位並びに第2の半部位を特異的に認識し;前記第1のリコンビナーゼ酵素と前記第2のリコンビナーゼ酵素がリンカーを介して相互に結合され;前記リンカーが、オリゴペプチドを含むか、又はそれからなる方法を提供する。本発明はさらに、この方法で作製された融合タンパク質に関する。本発明はまた、ヒトX染色体上のint1h領域に存在するDNA配列の反転を触媒するデザイナーリコンビナーゼを開示する。本発明はさらに、前記DNAリコンビナーゼ及び融合タンパク質をコードする核酸分子、並びに医薬組成物における前記融合タンパク質、DNAリコンビナーゼ及び核酸分子の使用に関する。【選択図】なし

Description

(発明の分野)
本発明は、概してゲノム編集の分野に関し、リコンビナーゼ単量体の融合を介してゲノム標的配列を効率的かつ特異的に組換えるDNAリコンビナーゼを提供する。より具体的には、本発明は、少なくとも第1のリコンビナーゼ酵素、第2のリコンビナーゼ酵素及び少なくとも1つのリンカーを含むリコンビナーゼの複合体を含む、効率的かつ特異的なゲノム編集のための融合タンパク質を作製する方法を提供し、前記第1のリコンビナーゼ酵素及び前記第2のリコンビナーゼ酵素は、リコンビナーゼの上流標的部位及び/若しくは下流標的部位の第1の半部位並びに第2の半部位を特異的に認識し;前記第1のリコンビナーゼ酵素及び前記第2のリコンビナーゼ酵素は、リンカーを介して相互に結合されており;前記リンカーはオリゴペプチドを含むか、又はそれからなる。本発明はさらに、この方法で作製された融合タンパク質に関する。本発明はまた、ヒトX染色体上のint1h領域に存在するDNA配列の反転を触媒するデザイナーリコンビナーゼを開示する。本発明はさらに、前記DNAリコンビナーゼ及び融合タンパク質をコードする核酸分子、並びに医薬組成物における前記融合タンパク質、DNAリコンビナーゼ及び核酸分子の使用に関する。
(発明の背景)
ゲノム操作は、生物医学研究においてますます重要な技術になりつつある。今日の遺伝子編集の分野における主な手法は、後に細胞修復経路によって補正される、関心のある遺伝子座でのヌクレアーゼ媒介性二本鎖切断(DSB)の導入である。プログラム可能なヌクレアーゼには4種類あり、標的DNA配列認識の様式に基づいて2つのグループに分けることができる。メガヌクレアーゼ、ジンクフィンガーヌクレアーゼ(ZFN)及び転写活性化因子様ヌクレアーゼ(TALEN)は、タンパク質-DNA相互作用を用いてヌクレアーゼを特異的遺伝子座に導くが、クラスターを形成し、規則正しい間隔を持つ短いパリンドロームリピート結合(clustered, regularly interspaced, short-palindromic repeat-associated (CRISPR))エンドヌクレアーゼは、RNA-DNA相互作用を用いてそれを指示する(Carollの文献, 2014; Wangらの文献, 2017)。プログラム可能なヌクレアーゼは、治療適用の候補であり、それらのうちのいくつかは既に臨床試験中である(Tebasらの文献, 2014; Qasimらの文献, 2015; Cyranoskiの文献, 2016)。
しかし、プログラム可能なヌクレアーゼの主な課題の1つは、予測不可能な配列の再配列のリスクである。導入されたDSBは、主に非相同末端結合(NHEJ)又は相同性指向性修復(HDR)を用いて細胞によって修復される。配列は標的と一致する第2の対立遺伝子又はドナー配列からコピーされるので、HDRによる修復は正確であり、ゲノム安定性を維持する。しかし、HDRは主にDNA複製中に活発であり、ほとんどの細胞においてNHEJ事象はHDRを上回る。NHEJはエラーが発生しやすい修復機構であり、修復されたDNA断片における挿入及び欠失(インデル(indel))につながる。これは、遺伝子配列の変更による有害事象をもたらし得る(Carollの文献, 2014; Coxらの文献, 2015; Kosickiらの文献, 2018)。
ゲノム操作に広く使用されている代替ツールには、チロシンリコンビナーゼファミリーの部位特異的リコンビナーゼ(SSR)が含まれる。チロシンSSRは、補助因子なしで完全な組換え反応を行うため、細胞DNA修復経路に依存しないので、プログラム可能なヌクレアーゼを上回るかなりの利点を有する(Meinkeらの文献, 2016)。これは、治療適用に魅力的にさせる高度に特異的で、予測可能で正確なゲノム編集事象につながる。
最も一般的に使用されるSSRの1つは、8 bpスペーサーに隣接する2つの13 bpのパリンドローム配列からなる34 bpの対称loxP部位を認識する大腸菌バクテリオファージP1由来のチロシンリコンビナーゼCreである(図1)。
SSRによって行われる組換え反応は、多段階プロセスである。まず、4つの単一リコンビナーゼ分子がloxPの各パリンドロームの半部位に結合し、活性組換えシナプスを形成する(図2A)。この段階で、各二量体のリコンビナーゼの1つを活性化し、DNAの切断を行う。切断は、Creの324位におけるチロシンが、loxP部位のスペーサー中の切断しやすいリン酸を求核攻撃することにより起こる。これは、3'-リン酸化チロシン中間体の形成及び5'-ヒドロキシル基の放出につながる。この工程に後に、放出された5'-ヒドロキシル基による他の3'-リン酸化チロシン結合の攻撃によって引き起こされる鎖交換、及びホリデイジャンクション中間体の形成が続く。次に、ホリデイジャンクションが異性化され、分子の構造が変化し、活性のある一対のCre分子が不活性になり、以前は不活性であったCre分子が活性化される。次いで、切断及び交換の同じプロセスが、第2の鎖のセットを用いて繰り返される(Meinkeらの文献, 2016)。
組換えの結果は、スペーサーの向きに依存する。2つのloxP部位のスペーサー配列が同じ方向を向いている場合には、組換えはDNA断片の切り出し又は組込みにつながる(図2B)。スペーサーが逆向きの場合には、組換えは隣接DNA配列の反転をもたらす(Meinkeらの文献, 2016)。
Creリコンビナーゼシステムを使用するために、loxP部位は、典型的には、所望のゲノム遺伝子座においてゲノム操作を介して導入される。この手法は、遺伝子機能の調査及びヒト疾患の根底にある遺伝的事象のモデリングのための動物モデルにおける条件付き変異誘発にうまく使用されているが(Albaneseらの文献, 2002; Justiceらの文献, 2011)、ヒトではその適用を大いに限定する。この制限を克服するために、リコンビナーゼ酵素を改変して人工DNA配列を組換えさせる技術が開発されており、例えば、感染細胞からHIVプロウイルスを切除する(Buchholz及びStewartらの文献, 2001; Santoro及びSchultzらの文献, 2002; Sarkarらの文献,2007; Karpinskiらの文献, 2016)。標的部位のパリンドローム性は、組換え可能なゲノム中の可能な標的部位の数をかなり制限する。それにもかかわらず、以前の研究は、非対称標的部位を特異的に組換える単一SSRが作製され得ることを示した(Sarkarらの文献,2007; Karpinskiらの文献, 2016)。非対称標的部位を組換える別の可能性は、2つの異なるリコンビナーゼ単量体がそれぞれの半部位に結合し、両方の酵素が協同して最終非対称標的部位を組換えるヘテロ特異的リコンビナーゼシステムを構築することである(図3)(Saraf-Levyらの文献, 2006)。そのようなシステムが実際にヒト細胞における高度なゲノム編集用に開発できることが最近実証された(Lansingらの文献, 2020)。したがって、これらのシステムはSSRシステムの有用性を大幅に拡大することができた。
しかし、ヘテロ二量体の単一リコンビナーゼはまた、対称部位上で活性を有するホモ二量体を形成することもできた。したがって、ヘテロ二量体の各リコンビナーゼが、推定される非対称ヘテロ二量体オフターゲットに加えて、独自の対称オフターゲット部位を有するため、1つではなく2つのリコンビナーゼを用いると、より多くのオフターゲット事象を有する潜在的なリスクを負う。治療適用にヘテロ二量体を使用するためには、システムの高い効率及び特異性が確保されるべきである。選択肢の1つは、個々のリコンビナーゼがホモ二量体として組換えを行うことを妨げるヘテロ二量体の改変である。このシナリオでは、対称部位上での活性が除去又は制限される可能性がある。したがって、リコンビナーゼヘテロ二量体を強制させるシステムを作製することは高い関心事である。
その結果、Cre特異性を高めるために、「疎水性サイズスイッチ」(Gelatoらの文献, 2008)による強制的なヘテロ二量体の作製、選択的不安定化を伴う強制的ヘテロ四量体複合体(Zhangらの文献, 2015)、又は結合協調性の不安定化(Eroshenko及びChurchらの文献, 2013)を含む、いくつかの手法が開発されている。しかし、これらの改変は全て、組換え活性の著しい低下につながり、治療適用に効率的なゲノム改変に適合しない可能性が高い。
SSRによって修正できる可能性のあるヒト疾患の1つは、血友病A(HA)である。HAは、血液凝固第VIII因子(FVIII)をコードするF8遺伝子の欠損によって引き起こされるX連鎖一遺伝子性疾患である。F8遺伝子は、X染色体の長腕(Xq28)に位置する。この遺伝子は186 kbにおよび、27個のエクソンからなる。
FVIIIは、主に肝臓類洞内皮細胞(LSEC)及び他のヒト内皮細胞において合成される(Shahaniらの文献, 2014; Turner及びMoakeらの文献, 2015)。FVIIIは、血液凝固カスケードの重要な因子である。FVIIIは、フォンビルブランド因子に結合して血液中を循環し、トロンビンによる活性化後にそれから解離する。活性化されたFVIII(FVIIIa)は、FIXaに結合し、その後この複合体はFXを活性化し、血栓を形成する一連の反応へとつながる(Dahlbackの文献, 2000)。
HAは、約5,000人に1人の男性に影響を及ぼす(Grawらの文献, 2005)。HAの臨床的重症度は、血液中の残存活性レベルの第VIII因子に依存し、軽度(正常レベルの5~40%)、中等度(1~5%)、重症(<1%)の3つのグループに分類される(Whiteらの文献, 2001)。軽度のHAを有する患者は、重大な外傷又は手術の場合にのみ出血エピソードを経験する。中等度の影響を受けた個人は、わずかな外傷の後に特発性出血を有する。重度のHAは、内臓、筋肉及び関節への頻繁な特発性出血によって特徴付けられる。繰り返される関節出血は、血友病性関節症と呼ばれる不自由な状態につながる場合が多い。この合併症は、慢性疼痛、関節障害及び患者の生活の質の劇的な低下によって特徴付けられる(Pandey及びMittalらの文献, 2001; Fischerらの文献, 2005; Melchiorreらの文献, 2017)。HA患者の半数以上がこの疾患の重篤型を有し、ほとんどの場合、F8遺伝子の外側の相同領域との染色体内組換えによるゲノム反転によって引き起こされる(Grawらの文献, 2005)。
重度のHA(約1~5%)の患者における2番目に最も一般的な遺伝子変化は、エクソン1の反転である。これは、イントロン1とF8遺伝子に対してテロメア側に位置する領域における2つの1 kb配列(int1h)間の相同組換えにより起こる(図4)。該配列は、反対向きで、約140 kbの距離に位置する。相同組換えは、エクソン1の反転及び転座につながるため、F8遺伝子は破壊され、機能不全になる(Castaldoらの文献, 2007; Tizzanoらの文献, 2003)。
重篤なHAに対する標準治療は、置換療法 - 血漿由来の血液凝固第VIII因子又は血液凝固第VIII因子の組換え体濃縮物の投与である。しかし、半減期が短いため(8~12時間)、非常に頻繁な投与(週に2~3回又はさらには1日おき)が必要である。この処置は、患者の生活の質に大きな影響を与える(Peyvandiらの文献, 2016)。PEG化及びIgGの断片との融合などのタンパク質におけるいくつかの修飾が、組換えFVIIIの半減期を増加させるために開発され、効率は同等だが、半減期が標準的なFVIII注入のそれよりも1.5倍長い治療法の獲得を可能にした(Mahlanguらの文献, 2014; Konkleらの文献, 2015; Peyvandiらの文献, 2016)。半減期の延長は、週に2回の注射から5日ごとに1回の注射の投与頻度のわずかな低下につながる(Carcaoの文献, 2014)。
頻繁な静脈内注射に加えて、現在の治療の大きな課題は、一部の患者(約30%)が投与されたFVIIIに対して阻害抗体を産生し、それによって治療を損なうことである(Gouwらの文献, 2013)。さらに、HAの経済的負担も考慮されるべきである。標準治療の平均年間直接費は、患者1人あたりヨーロッパでは約200,000ユーロであるが、ドイツでは300,000ユーロを超えている(O’Haraらの文献, 2017)。そのため、合併症のないHA患者の予防だけで非常に費用がかかる。したがって、他の治療選択肢、又はさらには治癒療法を開発することが重要である。
止血を達成するために抗凝固経路を阻害する代替療法が開発され、siRNA分解アンチトロンビンIII mRNA及び組織因子経路阻害剤又はプロテインCを阻害するモノクローナル抗体などのそれらの一部は、現在臨床試験のステージΙ-IIIにある。これらの手法の利点は、FVIII阻害剤の有無にかかわらず、全ての患者によって使用される可能性、並びにより低い治療頻度(週1回)及び皮下投与様式である。しかし、臨床研究では、過剰摂取は血栓作用のリスクを高めるため、治療の用量を慎重に調整する必要があることが示されている。(Peters及びHarrisらの文献, 2018)。
別の手法は、FVIIIa模倣二重特異性抗体エミシズマブを使用することである。この抗体はFIXaをFXに架橋する。したがって、基本的にFVIIIの機能を模倣する。しかし、この手法はトロンビン切断による調節を欠いている。そのため、それは不活性化されることができず、凝固カスケードの他の工程に依存し、血栓作用のリスクも高い(Lentingらの文献, 2017)。
この疾患が一遺伝子性であるため、HAは遺伝子治療の魅力的な標的になる。肝細胞を形質導入するアデノ随伴ウイルス(AAV)血清型に基づく4種のベクターが現在臨床試験中である。この治療は、一部の患者では改善を示している。しかし、主な副作用の1つが肝臓酵素の上昇であるため、この手法の安全性はまだ調査されなければならない(Pasiらの文献, 2017; Georgeらの文献, 2017; Peters及びHarrisらの文献, 2018)。さらに、AAVの組込まれない性質が、臓器成長中の細胞増殖の結果としてのベクター発現の希釈及び喪失により、小児での治療法の適用を限定する(Vandammeらの文献, 2017)。
上記の治療法は、欠陥のあるFVIII遺伝子機能を補うが、原因となる変異を修正するものではない。遺伝子を反転させて正常な向きに戻すと、生理学的条件下でFVIIIの安定した発現が可能になる。重要なことに、FVIIIレベルを正常の1~5%に増加させると、内部自然出血のリスクを大幅に低下させ、FVIIIの投与は外傷及び手術の場合にのみ必要となるため、重度のHA患者の生活を顕著に改善する。
Jin-Soo Kimのグループは、プログラム可能なヌクレアーゼを使用して、重度のHAを引き起こす2つの反転を修正した。彼らは、HEK 293細胞でZFNを用いて0.2~0.4%(Leeらの文献, 2012)、ヒトiPSCでTALENを用いて1.4%(Parkらの文献, 2014)のエクソン1の反転に成功した。CRISPR-Cas9技術を用いて、HA患者由来のiPSC中のF8遺伝子内のエクソン1の6.7%及び1~22のエクソンの3.7%の最も効率的な修正(復帰)が達成された(Parkらの文献, 2015)。印象的ではあるが、ヌクレアーゼを用いて得られた結果は、治療上の有用性が限られている。プログラム可能なヌクレアーゼが、相同領域における2つの二本鎖切断の導入によって修正を行うと、細胞修復経路によってなされる隣接DNA断片の反転又は欠失のいずれかが生じる。加えて、切断部位でのindelも生じる可能性が高い。したがって、ZFN、TALEN又はCRISPR-Cas9によって実行される反転は、制御された事象よりも確率的である。
この欠点を解決するために、SSRを用いて、病気を引き起こす遺伝子反転を修正することができる。SSRは非常に特異的であり、リコンビナーゼの標的部位が適切な向きで存在する場合、補助因子に依存することなく、ゲノムコンテキストでDNA配列の反転を行うことができる(Yu及びBradleyらの文献, 2002)。したがって、目的は、ヒト細胞におけるint1h反転を高い効率及び特異性で修正することができるSSRシステムを開発することであった。
(発明の概要)
したがって、本発明の課題は、ゲノム標的配列を効率的かつ特異的に組換えるDNAリコンビナーゼを提供することである。特に、個々のリコンビナーゼ単量体が、その結合部位を効率的かつ特異的に見つけて認識しなければならないという課題は解決されなければならない。
本発明の課題は、少なくとも第1のリコンビナーゼ酵素、第2のリコンビナーゼ酵素及び少なくとも1つのリンカーを含むリコンビナーゼの複合体を含む細胞内での効率的かつ特異的なゲノム編集のための、特に組換えのための、最も好ましくはゲノムレベルでのDNA配列の反転のための融合タンパク質又はDNAリコンビナーゼを作製する方法を提供することによって解決され、前記第1のリコンビナーゼ酵素及び前記第2のリコンビナーゼ酵素は、リコンビナーゼの上流標的部位及び/又は下流標的部位の第1の半部位並びに第2の半部位を特異的に認識し、前記第1のリコンビナーゼ酵素及び前記第2のリコンビナーゼ酵素は、リンカーを介して相互に結合されており、前記リンカーはオリゴペプチドを含むか、又はそれからなる。
本発明はさらに、細胞内での特に組換え、最も好ましくは、ゲノムレベルでのDNA配列の反転に使用するための、リンカーペプチドを含まない非融合ヘテロ二量体DNAリコンビナーゼに関する。
本発明により、リコンビナーゼ単量体が、それぞれの標的部位を組換える能力を失うことなく、1つのポリペプチドに共に結合できることが、例えば、図19、20及び23に示されている。これは、組換え反応(段階的切断、ホリデイ構造形成及び異性化)の既知の分子の詳細を考えると予想外である。現在のドグマは、組換え反応を行うのに必要な4つのリコンビナーゼ分子が酵素複合体として機能することができるように柔軟な単量体でなければならないということであった。特異的リンカーを介したSSRの融合を、ヒトにおいてHAを引き起こすFVIII遺伝子の遺伝子改変に因果的に関与する逆方向反復に存在する配列を組換えるように進化させたデザイナーリコンビナーゼに適用することができることを本明細書に示す。予期せぬことに、2つのヘテロ特異的リコンビナーゼと特異的リンカーが融合することで、分子が対称標的部位を組換えるのを防ぎ、該システムを強制させる。さらに、融合タンパク質は活性が高く、非結合酵素と比較して大幅に改善された特異性を示す。指向性分子進化は、望ましい特徴を有する改良されたリンカー配列につながる。
本発明はまた、デザイナーリコンビナーゼの作製に必要なFVIII反転に関与するint1h配列中の標的配列(loxF8)を開示する。
本発明の課題は、特に、少なくとも第1のリコンビナーゼ酵素、第2のリコンビナーゼ酵素及び少なくとも1つのリンカーを含むリコンビナーゼの複合体を含む、効率的かつ特異的なゲノム編集のための融合タンパク質を提供することによって解決され、前記第1のリコンビナーゼ酵素及び前記第2のリコンビナーゼ酵素は、リコンビナーゼの上流標的部位及び/又は下流標的部位の第1の半部位並びに第2の半部位を特異的に認識し、前記第1のリコンビナーゼ酵素及び前記第2のリコンビナーゼ酵素が、リンカーを介して相互に結合され、前記リンカーは、4~50個のアミノ酸を含むオリゴペプチドを含むか、又はそれからなる。
本発明はさらに、loxF8リコンビナーゼ標的部位の上流及び下流標的配列を特異的に認識し、loxF8リコンビナーゼ標的部位の上流と下流の標的配列間の遺伝子配列の反転を触媒するDNAリコンビナーゼに関する。
本発明はさらに、本発明による融合タンパク質又はDNAリコンビナーゼをコードする核酸分子に関する。
さらなる実施態様では、本発明は、本発明による融合タンパク質又はDNAリコンビナーゼをコードする前記核酸分子を含む哺乳動物細胞、昆虫細胞、植物細胞又は細菌宿主細胞を提供する。
本発明による融合タンパク質又はDNAリコンビナーゼ又は核酸分子は、医薬として使用することができ、したがって、任意に1以上の治療上許容し得る希釈剤又は担体と組み合わせて、医薬組成物中に含めることができる。
本発明による融合タンパク質又はDNAリコンビナーゼ又は医薬組成物は、ゲノム編集によって治癒され得る疾患の治療、特に血友病Aの治療に適している。
さらなる実施態様では、本発明による効率的かつ特異的なゲノム編集のための融合タンパク質又はDNAリコンビナーゼを含む宿主細胞培養物又は患者においてゲノムレベルで組換えを決定する方法が提供される。
(図面の簡単な説明)
図1は、Cre分子がその標的loxP部位に結合する模式図である。loxP部位は、非パリンドロームスペーサー(8 bp)に隣接する2つの逆方向反復(13 bp)からなる。2つのCre分子がloxP部位に結合し、各々が半部位の1つに結合する。 図2は、チロシンSSR組換え反応の模式図を表す。(A)段階的組換え機構の模式図。4つのリコンビナーゼ分子が2つのDNA基質と結合し、四量体複合体を形成する(1)。「切断能のある」立体構造のリコンビナーゼは明るい灰色で示され、「非切断」立体構造のリコンビナーゼは濃い灰色で示されている。求核性チロシンは、薄い灰色の円でYとして示され、活性単量体についてのみ示されている。活性化された求核性チロシンは、解離しやすいリン酸(Pとして示される)を攻撃し、3'-リン酸化チロシン結合を形成し、遊離5'OHを放出する(2)。放出された5'OHは、隣接するリン酸化チロシンを攻撃し、ホリデイジャンクション中間体を形成し、鎖を交換する(3)。該複合体は異性化され、活性単量体は立体構造を不活性に変え、またその逆も起こる(4)。切断及び鎖交換工程が繰り返される(5,6)。(B)可能性のある組換え反応の結果。組換え反応は、標的部位(スペーサー配列)の向きに応じて、DNA断片の切り出し/組込み又は反転につながり得る。標的部位は黒い三角形で示され、それらの方向性は標的部位の向きを示す(Meinkeらの文献, 2016)。 図3は、ヘテロ四量体Cre複合体による組換えの模式的モデルを示す。黒色の楕円は野生型のCre単量体を表し、灰色の楕円は変異したCre単量体を表し、各々はloxP部位の異なる半部位に結合している(黒色の鎖は元のloxP部位を表し、灰色の鎖は変異したCreによって認識される半部位を表す)(Saraf-Levyらの文献, 2006)。 図4は、重篤型のHAを引き起こすF8遺伝子反転の模式図を示す。F8遺伝子又はその一部が描かれ、エクソンは矢印で示され、イントロンは白いボックスで示され、線はF8遺伝子の外側のDNAを表す。A. エクソン1の反転は、イントロ1の相同領域(int1h1)とF8遺伝子の外側のテロメア側(int1h2)との組換えによって生じる。クロスオーバーは、int1h1ボックスとint1h2ボックスを分割することによって表される。反転した状況は、デザイナーリコンビナーゼ(S1特異的、黒及びS2特異的、白)が結合した2つの選択された標的配列(loxF8、配列番号17)と共に下部に示されている。スペーサー配列の反転した向きに留意されたい。 図5は、loxF8標的部位を認識するF8ヘテロ二量体(A)及び単一単量体(B)の模式図を示す。単一単量体リコンビナーゼ(H7、配列番号66、灰色)は両方の半部位を認識するが、S1特異的リコンビナーゼは左半部位1(配列番号32、黒)を認識し、S2特異的リコンビナーゼは右半部位2(配列番号33、白)を認識する。 図6は、大腸菌内の単一F8-リコンビナーゼ(H7、配列番号66)と二重F8リコンビナーゼ(D7、配列番号32及び33)の組換え活性比較を示す。示された濃度のアラビノース(Ara)で、示されたリコンビナーゼを発現するpEVO-loxF8プラスミドを保有する細胞から単離された消化プラスミドDNAが示されている。2つの矢印の付いた線は、組換えられていないバンドを示す。矢印が1つの線は、組換えられたバンドを示す。全ての試験条件におけるD7ヘテロ二量体リコンビナーゼの好ましい組換え活性に留意されたい。M、マーカー。 図7は、哺乳動物細胞内の一過性トランスフェクションについての単一F8-リコンビナーゼ(H7、配列番号66)と二重F8リコンビナーゼ(D7、配列番号32及び33)の組換え活性比較を示す。(A)採用したプラスミドの説明図。(B)FACS分析によって決定された結果。全体的な組換え効率は%でバーの下に示されており、左列がD7ヘテロ二量体を示し、右列がH7単量体を示す。 図8は、F8リコンビナーゼがヒト組織培養細胞におけるゲノムF8遺伝子座を反転させることを示す。示されたリコンビナーゼ発現コンストラクトでトランスフェクトしたHEK293細胞から単離されたゲノムDNA中のゲノム反転を検出するPCRアッセイが示されている。矢印は特異的反転バンドを示す。D7ヘテロ二量体コンストラクトでトランスフェクトした細胞について得られた顕著なバンドは効率的な反転を示すことに留意されたい。対照的に、H7単量体トランスフェクト細胞は弱いバンドしか示さず、反転の効率が悪かったことを意味する。C、対照(非トランスフェクト細胞);M、マーカー。 図9は、F8リコンビナーゼのオフターゲット分析を示す。示されたリコンビナーゼ(H7単量体、D7ヘテロ二量体)を発現するpEVO-loxHS1-9プラスミドを保有する細胞から単離された消化プラスミドDNA。2つの矢印の付いた線は、組換えられていないバンドを示す。矢印が1つの線は、組換えられたバンドを示す。なお、H7単量体は、いくつかのレーンで組換え特異的なバンドを示すことに留意されたい。M、マーカー。 図10は、2つのloxF8半部位から推定される対称標的部位を示す。(A)対称Sym1部位の配列はS1特異的リコンビナーゼの2つの単量体が結合して示される(黒色)。(B)対称Sym2部位の配列は、S2特異的リコンビナーゼの2つの単量体が結合して示されている(白色)。 図11は、対称及び非対称loxF8標的部位への融合ヘテロ特異的リコンビナーゼの可能性のある結合シナリオを示す。 図12は、loxF8、Sym1及びSym2標的部位上でのリコンビナーゼ単量体、非結合ヘテロ二量体及びS2-(G2S)8-S1の組換え効率を示す。(A)S1特異的(S1)及びS2特異的(S2)リコンビナーゼ単量体の組換え活性。非対称loxF8部位上での個々の酵素の組換えが存在しないことに留意されたい。対照的に、S1単量体は対称Sym1標的部位でのみ活性を示すが、S2は対称Sym2標的部位でのみ活性を示す。(B)非融合リコンビナーゼヘテロ二量体の組換え活性。両方のリコンビナーゼが同じ細胞内で一緒に発現している場合、全ての標的部位が組換えられることに留意されたい。(C)融合リコンビナーゼヘテロ二量体S2-(G2S)8-S1の組換え活性。融合リコンビナーゼによって非対称loxF8部位のみが組換えられるが、Sym1とSym2の両方は組換えられないことに留意されたい。200μg/mlのL-アラビノースを全ての実験の誘導に使用した。プラスミドDNAの組換えを、制限酵素消化(SacI-HF + SbfI-HF)によってアッセイし、その結果、組換えられたプラスミドのより小さな断片(1つの三角形)と、組換えられていないプラスミドのより大きな断片(2つの三角形)が得られた。 図13は、リンカーライブラリー設計の模式図を示す。PCRに使用される3つのオリゴヌクレオチド。それらの各々は、プライマーアニーリング用の各側から2つのアダプター、XhoI及びBsrGI-HF制限部位、並びにリンカー配列を含んでいた。(G2S)8配列の一部又は全部のアミノ酸配列を、縮重コドンRVMに変更した。ヌクレオチド及びアミノ酸配列が必要に応じて示される。 図14は、非対称loxF8部位上でのリンカー選択を示す。(A)loxF8部位上での3つの異なるリンカーライブラリー(lib1-3)と融合したヘテロ二量体の最初の組換え活性。200μg/mlのL-アラビノースを誘導に用いた。プラスミドDNAの組換えを、制限酵素消化(SacI-HF + SbfI-HF)によってアッセイし、その結果、組換えられたプラスミドのより小さい断片(1つの三角形)と、組換えられていないプラスミドのより大きな断片(2つの三角形)が得られた。(B)loxF8部位上でのリンカー選択の模式図。NdeI及びAvrII制限酵素による消化は、非組換えプラスミドでのみ起こるので、示されたプライマー(F及びR)でのPCR産物をこれらのプラスミドから得ることはできない。loxF8部位を組換えた結合ヘテロ二量体のみがPCRによって増幅され、活性融合タンパク質のみを選択することができる。 図15は、対称標的部位上でのリンカーカウンターセレクションを示す。(A)示されたリンカーライブラリー(lib1-3)と融合したヘテロ二量体のSym1及びSym2部位上での組換え活性。200μg/mlのL-アラビノースを誘導に用いた。プラスミドDNAの組換えを制限酵素消化(SacI-HF + SbfI-HF)によってアッセイし、その結果、組換えられたプラスミドのより小さい断片(1つの三角形)と、組換えられていないプラスミドのより大きな断片(2つの三角形)が得られた。(B)Sym1の例に示す対称標的部位上でのリンカーカウンターセレクションの模式図。リバースプライマー(R)は2つの対称部位の間にアニールし、したがって、このDNA断片は組換え中に切り出されるため、組換えプラスミドからPCR産物を得ることはできない。対称部位を組換えていない結合ヘテロ二量体のみがPCRによって増幅され、対称部位上で活性でない融合タンパク質のみを選択することが可能になる。 図16は、loxF8、Sym1及びSym2部位上での進化したライブラリーの最終的な組換え活性を示す。1μg/ml及び200μg/mlのL-アラビノースを、それぞれ非対称loxF8並びに対称Sym1及びSym2部位上での誘導に使用した。プラスミドDNAの組換えを制限酵素消化(SacI-HF + SbfI-HF)によってアッセイし、その結果、組換えられたプラスミドのより小さい断片(1つの三角形)と、組換えられていないプラスミドのより大きな断片(2つの三角形)が得られた。 図17は、loxF8、Sym1、及びSym2部位での融合D7ヘテロ二量体のクローン解析を示す。各ライブラリーからの4つのクローン(S2-リンカーライブラリー1-S1からのL1、L2、L3、L4、S2-リンカーライブラリー2-S1からのL5、L6、L7、L8、S2-リンカーライブラリー3-S1からのL9、L10、L11、L12)の組換え活性をloxF8(A)、Sym1(B)、及びSym2(C)標的部位上で解析した。10μg/ml及び200μg/mlのL-アラビノースを、それぞれ非対称loxF8並びに対称Sym1及びSym2部位上での誘導に使用した。プラスミドDNAの組換えを制限酵素消化(SacI-HF + SbfI-HF)によってアッセイし、その結果、組換えられたプラスミドのより小さい断片(1つの三角形)と、組換えられていないプラスミドのより大きな断片(2つの三角形)が得られた。クローンL8を、loxF8上での高い組換え活性とSym1及びSym2上での組換えの欠如に基づいて、さらなる分析のために選択した。 図18は、(G2S)8及びL8リンカーと融合したD7ヘテロ二量体のloxF8標的部位上での組換え効率の比較を示す。(G2S)8又はL8リンカーと融合したリコンビナーゼヘテロ二量体のloxF8部位上での組換え活性。0~250μg/mlのL-アラビノース濃度を、示されたようにリコンビナーゼ誘導に使用した。プラスミドDNAの組換えを制限酵素消化(SacI-HF + SbfI-HF)によってアッセイし、その結果、組換えられたプラスミドのより小さい断片(1つの三角形)と、組換えられていないプラスミドのより大きな断片(2つの三角形)が得られた。L8結合リコンビナーゼの活性の増加に留意されたい。 図19は、非対称loxF8標的部位上での非結合D7ヘテロ二量体及びS2-リンカーL8-S1リコンビナーゼの組換え活性を示す。リコンビナーゼをpEVO-SDOベクターでアッセイした。0~50μg/mlのL-アラビノース濃度を、示されるようにリコンビナーゼ誘導に使用した。プラスミドDNAの組換えを制限酵素消化(SacI-HF + SbfI-HF)によってアッセイし、その結果、組換えられたプラスミドのより小さい断片(1つの三角形)と、組換えられていないプラスミドのより大きな断片(2つの三角形)が得られた。L8結合リコンビナーゼの活性の増加に留意されたい。SDO;シャインダルガノ最適化。 図20は、予測されるヒトゲノムオフターゲット部位における非融合及び融合バージョンとしての2つのリコンビナーゼヘテロ二量体(D7及びA4)の組換え活性を示す。リコンビナーゼの融合をS2-リンカーL8-S1様式で行った(図20A)。L8リンカー(配列番号32及び33のリコンビナーゼ単量体を含む)と融合した非結合D7ヘテロ二量体及びD7ヘテロ二量体の非対称(1LR、2LR、3LR、4LR、5LR)及び対称(1L、2L、1R、2R)オフターゲット部位上での組換え活性が示されている。50μg/ml及び250μg/mlのL-アラビノースを、それぞれ非結合ヘテロ二量体及びS2-リンカーL8-S1の誘導に使用した。プラスミドDNAの組換えを制限酵素消化(SacI-HF + SbfI-HF)によってアッセイし、その結果、組換えられたプラスミドのより小さい断片(1つの三角形)と、組換えられていないプラスミドのより大きな断片(2つの三角形)が得られた。L8融合D7ヘテロ二量体は顕著なオフターゲット組換えを示さないが、オフターゲット組換えは標的部位2LR及び2L上で非融合バージョンについて観察することができることに留意されたい。図20Bは、予測されるヒトゲノムオフターゲット部位上での非結合A4ヘテロ二量体及びS2-リンカーL8-S1(融合されたA4)リコンビナーゼの組換え活性を示す。非対称(1LR、2LR、3LR、4LR、5LR)及び対称(1L、2L、1R、2R)オフターゲット部位上での非結合A4ヘテロ二量体及びL8リンカー(配列番号93及び94のリコンビナーゼ単量体を含む)と融合したA4ヘテロ二量体の組換え活性が示されている。100μg/mlを、それぞれ非結合ヘテロ二量体及びS2-リンカーL8-S1の誘導に使用した。プラスミドDNAの組換えを制限酵素消化(SacI-HF + SbfI-HF)によってアッセイし、その結果、組換えられたプラスミドのより小さい断片(1つの三角形)と、組換えられていないプラスミドのより大きな断片(2つの三角形)が得られた。D7クローン(非融合)とは対照的に、L8融合A4ヘテロ二量体及び非融合バージョンは、試験したいずれの標的部位においても顕著なオフターゲット組換えを示さない。 図21は、ヒト細胞において用いられるリコンビナーゼ発現プラスミドの模式図を示す。(A)単一リコンビナーゼ(S1特異的又はS2特異的)の発現のためのプラスミドの説明図。(B)融合したD7ヘテロ二量体(S2-リンカーL8-S1)に対する発現プラスミドの説明図。全ての発現プラスミドについて、EGFP発現は、ブタテスコウイルス-1ポリタンパク質(P2A)由来の自己切断2Aペプチドを介するリコンビナーゼ発現と結び付いている。矢印はEF-1aプロモーターからの転写開始部位を示す。 図22は、mCherry遺伝子ベースのレポーターアッセイの模式図を示す。レポータープラスミドは、mCherryの発現を妨げる2つのloxF8標的部位の間に終止コドンを含有する。組換えに際し、終止コドンが除去されると、細胞に赤色を付与するmCherryの構成的発現がもたらされる。矢印は、ニワトリベータアクチン(CAG)プロモーターからの転写開始部位を示す。 図23は、ヒト細胞におけるレポーターアッセイのフローサイトメトリー分析を示す。非融合及び融合D7ヘテロ二量体(L8)(配列番号32及び33のリコンビナーゼ単量体を含む)発現プラスミド並びにmCherryレポータープラスミドでトランスフェクトしたHEK 293T細胞のフローサイトメトリー分析のプロットを示す。D7ヘテロ二量体を発現する細胞は、緑色蛍光タンパク質(GFP+)の発現によって特定される。レポータープラスミドを組換えた細胞は、赤色蛍光タンパク質の発現によって特定される(mCh+)。 図24は、哺乳動物細胞におけるヘテロ二量体によって行われる反転効力を示す。折れ線グラフは、D7リコンビナーゼヘテロ二量体発現ベクターでのトランスフェクションの48時間後に抽出したゲノムDNAに対して行ったqPCRの結果を表す。この線は、R2=0,9918による標準曲線の線形回帰モデルを表す。非融合及び融合(L8)リコンビナーゼヘテロ二量体の相対反転が示されている。融合L8ヘテロ二量体の反転頻度の増加に留意されたい。 図25は、哺乳動物細胞における組込みloxF8ゲノムレポーターに対するリコンビナーゼの活性を示す。A) HEK293T細胞のゲノムに安定に組み込まれたゲノムレポーターコンストラクトの図。工程1:構成的活性プロモーターは、loxF8標的部位(小さな黒い三角形)が隣接するピューロマイシン(PURO)遺伝子の発現を促進する。その後の蛍光mCherry遺伝子は発現しない。工程2:loxF8標的部位の組換えが成功した後に、ピューロマイシン遺伝子が切り出され、蛍光mCherry遺伝子が発現する。B)リコンビナーゼ単量体、リコンビナーゼ融合タンパク質又はトランスフェクションレポーター(tagBFP)をコードする合成mRNAの概要。mRNAを用いて、loxF8レポーター細胞株をトランスフェクトする。C)リコンビナーゼmRNA(非融合D7、融合D7、非融合A4及び融合A4)及びトランスフェクション対照mRNA (tagBFP)の送達後48時間の時点でのloxF8ゲノムレポーター細胞株のフローサイトメトリー分析。トランスフェクト細胞は、青色蛍光タンパク質(tagBFP+)の発現によって特定される。loxF8ゲノムレポーターを組換えた細胞は、赤色蛍光タンパク質の発現によって特定される(mCherry+)。 図26は、哺乳動物細胞におけるリコンビナーゼ発現後の天然loxF8遺伝子座の組換え事象(反転)の分析を示す。A)第VIII因子遺伝子及び周囲の反転相同領域(int1h-1及びint1h-2)の正常な向き及び逆向き(血友病Aを引き起こす)におけるグラフィック描写。loxF8標的部位は、int1h-1及びint1h-2領域に垂直矢印で示されている。第VIII因子遺伝子のプロモーターは、エクソン1の前に描かれている。loxF8標的部位の間の140 kb断片の向きを検出するためのプライマー結合部位を水平矢印で示す(P1、P2及びP3)。B)mRNAをコードするリコンビナーゼ(非融合D7、融合D7、非融合A4、融合A4及びD11非融合)でのトランスフェクション後48時間の時点でのヒト細胞のゲノムDNAでのPCR。プライマー対P2及びP3で作製されたPCR産物は、loxF8遺伝子反転遺伝子座の正常な向きを検出する(正常な向き)。プライマー対のP1とP3で作製されたPCR産物は、loxF8遺伝子反転遺伝子座の逆向きを検出する(逆向き)。非融合D7、融合D7、非融合A4、融合A4及びD11非融合でトランスフェクトした細胞のみが、逆向きのPCR産物を示す。反転対照として、第VIII因子遺伝子の反転を保有する血友病ドナーからのゲノムDNAを用いた。野生型(WT)対照として、健常ドナーからのゲノムDNAを用いた。鋳型対照は示していない(水対照)。 図27は、説明するリコンビナーゼの配列アライメントを示す:F8_D7-Lは、配列番号32のポリペプチドであり;F8_D11-Lは、配列番号99のポリペプチドであり;F8_A4-Lは、配列番号93のポリペプチドであり;F8_28-Lは、配列番号30のポリペプチドであり;Brec1は、配列番号70のポリペプチドであり;Hex D12-Rは、配列番号106のポリペプチドであり;Hex D12-Lは、配列番号105のポリペプチドであり;Treは、配列番号69のポリペプチドであり;Creは、配列番号68のポリペプチドであり;F8_H7は、配列番号66のポリペプチドであり;F8_28-Rは、配列番号31のポリペプチドであり;F8_D7-Rは、配列番号33のポリペプチドであり;F8_D11-Rは、配列番号100のポリペプチドであり;かつF8_A4-Rは、配列番号94のポリペプチドである。黒の背景/白の太字:公表されたCre由来のリコンビナーゼには報告されていないアミノ酸変化。灰色:公表されたCre由来のリコンビナーゼで報告されているアミノ酸変化。#: ディープシーケンシングに基づく標的部位認識のための予測される重要な残基。関連するPMID: 17600219、26900663、31745551。
一般的な定義
本明細書で使用される表現「細胞」、「細胞株」、及び「細胞培養物」は互換的に使用され、そのような名称は全て子孫を含む。そのため、「形質転換体」及び「形質転換細胞」という言葉は、導入の回数に関係なく初代対象細胞及びそれに由来する培養物を含む。意図的又は偶発的な変異のために、全ての子孫がDNA含有量において正確に同一ではない可能性も理解される。最初に形質転換された細胞においてスクリーニングされたのと同じ機能又は生物学的活性を有する変異子孫が含まれる。違う名称が意図される場合には、これは文脈から明らかになるだろう。
本明細書で使用される用語「ポリペプチド」、「ペプチド」、及び「タンパク質」は、交換可能であり、ペプチド結合によって結合されたアミノ酸で構成された生体分子を意味すると定義される。
ペプチド又はアミノ酸配列が本明細書で言及される場合、各アミノ酸残基は、以下の従来のリストに従って、アミノ酸の慣用名に対応する1文字又は3文字の名称で表される:
Figure 2023504826000001
本明細書で使用される用語「1つ(a)」、「1つ(an)」及び「その」は、「1以上」を意味すると定義され、文脈が不適切でない限り複数形を含む。
本明細書で使用される用語「対象」は、治療、観察又は実験の対象となっている動物、好ましくは哺乳動物、最も好ましくはヒトを指す。
本明細書で使用される用語「治療有効量」は、治療されている疾患又は障害の症状の緩和を含む、研究者、獣医師、医師若しくは他の臨床医によって求められる、組織系、動物若しくはヒトにおいて生物学的応答又は医薬応答を惹起する活性化合物又は医薬剤の量を意味する。
本明細書で使用される用語「医薬として許容し得る」は、ヒトと獣医学の両方における使用を包含する:例えば、用語「医薬として許容し得る」は、獣医薬として許容し得る化合物又はヒトの医学及びヘルスケアにおいて許容し得る化合物を包含する。
天然に存在するDNA組換え酵素、特に部位特異的リコンビナーゼ(SSR)系(チロシン型SSRなど)は、一般に4つの同一の単量体からなる。一般に、それらは2つの同一で対称なパリンドローム標的部位を認識し、各々、非対称の高頻度で8ヌクレオチド長のスペーサーによって分離された2つの約13ヌクレオチド長の半部位からなる(図1)。標的部位及びそれらのスペーサーの数並びに相対的な向きに応じて、DNA組換え酵素は、遺伝子内容物の切り出し、組込み、反転又は置換のいずれかを行う(図2; Meinkeらの文献, 2016で概説されている)。
本明細書で使用される「上流」とは、DNA中のリコンビナーゼの5'標的部位を意味し、左半部位などの第1の半部位と、右半分部位などの第2の半部位とを含み、前記第1の半部位及び前記第2の半部位は、スペーサー配列によって分離されている。
本明細書で使用される「下流」とは、DNA中のリコンビナーゼの3'標的部位、左半部位などの第1の半部位、及び右半部位などの第2の半部位を意味し、前記第1の半部位及び前記第2の半部位はスペーサー配列によって分離されている。
(発明の詳細な説明)
本発明は、細胞内での効率的かつ特異的なゲノム編集のための、特に組換えのための、最も好ましくはゲノムレベルでのDNA配列の反転のためのDNAリコンビナーゼを作製する方法であって、
i. ゲノム中の関心のある配列の部位特異的DNA組換えを誘導することができるDNA組換え酵素の潜在的な標的部位である核酸配列を同定する工程、ここで、前記潜在的な標的部位は2つの非対称リコンビナーゼ標的部位を含む;
ii. 第1のリコンビナーゼ酵素をコードする核酸分子を提供する工程、ここで、前記第1のリコンビナーゼ酵素は、リコンビナーゼ標的部位の第1の半部位を特異的に認識するように指向性進化又は合理的な設計によって進化している;
iii. 第2のリコンビナーゼ酵素をコードする核酸分子を提供する工程、ここで、前記第2のリコンビナーゼ酵素は、リコンビナーゼ標的部位の第2の半部位を特異的に認識するように指向性進化又は合理的設計によって進化している;
iv. 第1のリコンビナーゼ酵素をコードする核酸分子及び第2のリコンビナーゼ酵素をコードする核酸分子を発現ベクターにクローニングすることにより発現ベクターを作製する工程;
v. 反転させるDNA配列を含む細胞を、工程iv)の発現ベクターでトランスフェクトする工程;
vi. 第1のリコンビナーゼ酵素及び第2のリコンビナーゼ酵素を含むDNAリコンビナーゼを発現させる工程;
vii. 工程vi.で発現させたDNAリコンビナーゼが、前記細胞内のヒト染色体上のDNA配列を反転させることができるかを分析する工程;及び
viii. 工程viiに従って、前記細胞内のヒト染色体上のDNA配列を反転させることができるDNAリコンビナーゼを選択する工程
を含む方法を提供する。
驚くべきことに、この方法で得られたDNAリコンビナーゼの特異性は、該リコンビナーゼ単量体をオリゴペプチドと結合させ、それによって融合タンパク質を生成することによって劇的に増加し得ることが見出された。
したがって、好ましい実施態様では、本発明は、細胞内での効率的かつ特異的なゲノム編集のための、特に組換えのための、最も好ましくはゲノムレベルでのDNA配列の反転のための融合タンパク質を作製する方法であって、
i.ゲノム中の関心のある配列の部位特異的DNA組換えを誘導することができるDNA組換え酵素の潜在的な標的部位である核酸配列を同定する工程、ここで、前記潜在的な標的部位は2つの非対称リコンビナーゼ標的部位を含む;
ii. 第1のリコンビナーゼ酵素をコードする核酸分子を提供する工程、ここで、前記第1のリコンビナーゼ酵素は、リコンビナーゼ標的部位の第1の半部位を特異的に認識するように指向性進化又は合理的な設計によって進化している;
iii. 第2のリコンビナーゼ酵素をコードする核酸分子を提供する工程、ここで、前記第2のリコンビナーゼ酵素は、リコンビナーゼ標的部位の第2の半部位を特異的に認識するように指向性進化又は合理的設計によって進化している;
iv.リンカーペプチドをコードする核酸分子を提供する工程、ここで、前記核酸は、6~30個のアミノ酸を含むリンカーオリゴペプチドをコードする;
v. 第1のリコンビナーゼ酵素をコードする核酸分子、第2のリコンビナーゼ酵素をコードする核酸分子、及びリンカーペプチドをコードする核酸分子を発現ベクターにクローニングすることにより発現ベクターを作製する工程;
vi. 組換える、好ましくは反転させるDNA配列を含む細胞を、工程v)の発現ベクターでトランスフェクトする工程;
vii. 第1のリコンビナーゼ酵素、第2のリコンビナーゼ酵素及びリンカーペプチドを含む融合タンパク質を発現させる工程;
viii. 工程vii.で発現させた融合タンパク質が、前記細胞内のヒト染色体上のDNA配列を反転させることができるかを分析する工程;及び
ix. 工程viiiに従って、前記細胞内のヒト染色体上のDNA配列を反転させることができる融合タンパク質を選択する工程
を含む方法を提供する。
ゲノム中の関心のある配列の部位特異的DNA組換えを誘導することができるDNA組換え酵素の潜在的な標的部位である工程i.による核酸配列は、例えば、
a) 少なくとも5で最大12 bpの長さを有する潜在的なスペーサー配列である2つの配列について、関心のある配列を含むゲノム又はその一部をスクリーニングするサブ工程、ここで、潜在的スペーサー配列の一方は、関心のある配列の上流にあり、他方の潜在的スペーサー配列は、関心のある配列の下流にあり、該2つの配列は、2メガベース以下、好ましくは1.5メガベース以下又は1メガベース以下、より好ましくは900 kb、800 kb、700 kb、600 kb又は500 kb、最も好ましくは400 kb又は300 kbの最大距離を有し、150 bpの最小距離を有する、
b) 潜在的な半部位とその間のスペーサー配列の両方が潜在的な標的部位を形成するが、各潜在的スペーサー配列について、潜在的な第1の半部位を形成する一方の側の近傍ヌクレオチド、好ましくは10~20ヌクレオチド、より好ましくは12~15ヌクレオチド、最も好ましくは13ヌクレオチド、並びに潜在的な第2の半部位を形成する他方の側の近傍ヌクレオチド、好ましくは10~20ヌクレオチド、より好ましくは12~15ヌクレオチド、最も好ましくは13ヌクレオチドを決定することにより潜在的な標的部位を同定するサブ工程、
c)工程b)で同定された潜在的標的部位をさらにスクリーニングして、配列特異的組換え、好ましくは反転を確実にするための宿主のゲノム中(どこか)に生じない潜在的標的配列を選択するサブ工程、
を含むWO 2018/229226 A1に記載の方法に従って同定することができる。
好ましくは、DNA組換え酵素について同定された潜在的標的部位の配列は、ゲノム中に天然に存在する。
工程ii.及びiii.による第1のリコンビナーゼ酵素並びに第2のリコンビナーゼ酵素は、指向性進化又は合理的設計によって、好ましくは、例えば、WO 2018/229226 A1に記載の基質結合指向性進化(SLiDE)によって進化させることができ、前記指向性進化は、a)で選択される第1の標的部位上で活性のある少なくとも1つの第1のデザイナーDNA組換え酵素が得られ、第2の標的部位上で活性のある少なくとも1つの第2のデザイナーDNA組換え酵素が得られるまで、
a)改変すべきヌクレオチド配列の上流のヌクレオチド配列を第1の標的部位として選択し、改変すべきヌクレオチド配列の下流のヌクレオチド配列を第2の標的部位として選択する工程、該標的部位の配列は同一でないことが好ましいが、各標的部位は、5~12ヌクレオチドのスペーサー配列によって区切られた各10~20ヌクレオチドを有する第1の半部位及び第2の半部位を含み、
b) 基質としてa)で選択される第1の標的部位及び第2の標的部位を含むベクターを用いてDNA組換え酵素の少なくとも1つのライブラリーに分子指向性進化を適用する工程
を含む。
非対称標的部位の選択は、2つの異なる進化戦略を比較する機会を提供する。単一リコンビナーゼは、両方の10~20 bp、より好ましくは12~15bp、最も好ましくは13 bpの半部位を認識するように進化させることができるか、又は2つのリコンビナーゼを各半部位について並列に進化させることができる。2つのリコンビナーゼを組み合わせることにより、非対称部位を組換えることができる機能的なヘテロ二量体を形成することができる。
本発明の一実施態様では、単一リコンビナーゼを両方の10~20 bp、より好ましくは12~15bp、最も好ましくは13 bpの半部位を認識するように進化させることが好ましい。
本発明のさらなる実施態様では、ヘテロ二量体を生じる各半部位について2つのリコンビナーゼを並列に進化させることが好ましい。ヘテロ二量体は、ヘテロ二量体又は2つの異なるホモ二量体のいずれかを形成することができる2つのリコンビナーゼからなるので、潜在的な認識配列の量が増加する。この手法は、オフターゲット部位で意図しない組換えの機会が増加するので不都合である可能性がある。オフターゲット部位での組換えの機会を減らすために、単量体がホモ二量体化するのを制限することが本発明のさらなる目標であった。この目標を達成するために、リコンビナーゼ単量体を物理的に融合させて、リンカーペプチドを用いて所望のヘテロ二量体アセンブリを強制した。該リンカーペプチドは、リンカーペプチドをコードする核酸分子を提供することによって作製され、前記核酸は、本発明の方法の工程iv.による6~30個のアミノ酸を含むリンカーオリゴペプチドをコードする。融合リコンビナーゼ単量体の活性を高めるためには、リンカーライブラリーを設計することが好ましい。前記リンカーライブラリーは、数サイクル、例えば、10サイクルのSLiDEが最も活性のあるリンカーバリアントを見出すように適切に進化されている。その結果、本発明の方法の工程viii.及びix.に従って、改善された活性を有するバリアントが作製されたことを示す所望のリコンビナーゼ標的部位に対してロバストな活性を示す最終ライブラリーが作製され、融合タンパク質が選択される。
所望のリコンビナーゼ標的部位に高度に特異的である融合タンパク質、すなわち低下したオフターゲット組換えを示す融合タンパク質を選択するために、本発明の方法は、さらなる実施態様では、
x. 所望の融合タンパク質の潜在的オフターゲット部位を同定する工程;
xi. 工程x.で同定されたオフターゲット部位における所望の融合タンパク質のリコンビナーゼ活性を分析する工程;及び
xii. 少なくとも1つのオフターゲット部位でリコンビナーゼ活性を示さない融合タンパク質を選択する工程
を含み得る。
本発明の好ましい実施態様では、前記第2のリコンビナーゼ酵素のC末端は、リンカーペプチドを介して前記第1のリコンビナーゼ酵素のN末端に結合されている。
本発明の最も好ましい実施態様では、工程vii.で発現する融合タンパク質は、前記第1のリコンビナーゼ酵素のC末端が、リンカーペプチドを介して前記第2のリコンビナーゼ酵素のN末端に結合されている。
リコンビナーゼのオフターゲット部位は、例えば、当業者に公知のバイオインフォマティクス手法を用いて同定することができる。他の手法には、ヒトにおける推定オフターゲットを同定するためのChIP-Seqベースアッセイ、続くqPCRによる検証及びDNA濃縮が含まれる。これらの方法も当業者に公知である。
これらの潜在的なオフターゲット部位上での融合タンパク質のリコンビナーゼ活性は、例えば、本明細書に以下に記載するような細菌レポーターベクターに切り出し基質としてゲノム配列をクローニングすることによって実験的に試験することができる。次いで、オフターゲット部位での組換えは、例えばPCRベースのアッセイを用いて、レポーター遺伝子の発現を監視することによって検出することができる。そのようなアッセイは、オフターゲット部位がインビボで融合タンパク質によって変更するかを調べるために、ヒト組織培養物でも行うこともできる。
本発明の方法は、任意のリコンビナーゼ標的部位を用いて、このリコンビナーゼ標的部位に対して比活性を示すリコンビナーゼ融合タンパク質を進化させることができるという特定の利点を有する。本発明の方法は、標的部位特異的リコンビナーゼ複合体の提供を含み、リコンビナーゼヘテロ二量体の単量体を相互結合するためのリンカーも進化したリコンビナーゼに特異的に適合されるので、本発明の方法は、さらに、リコンビナーゼ複合体、すなわちリコンビナーゼ融合タンパク質の望ましくないオフターゲット活性を劇的に低減する、好ましくは完全に排除することができるという利点を有する。これにより、リコンビナーゼ複合体、すなわちリコンビナーゼ融合タンパク質は、遺伝子治療における使用に特に適している。
別の態様では、本発明は、リコンビナーゼの複合体を含む効率的かつ特異的なゲノム編集のための融合タンパク質を提供し、前記リコンビナーゼの複合体は、少なくとも第1のリコンビナーゼ酵素、第2のリコンビナーゼ酵素及び少なくとも1つのリンカーを含み、前記第1のリコンビナーゼ酵素及び前記第2のリコンビナーゼ酵素は、リコンビナーゼ標的部位の第1の半部位及び第2の半部位を特異的に認識し;前記第1のリコンビナーゼ酵素と前記第2のリコンビナーゼ酵素とがリンカーを介して相互に結合され;前記リンカーは、4~50個のアミノ酸を含むオリゴペプチドを含むか、又はそれからなる。
複合体に含まれるリコンビナーゼは、好ましくはDNAリコンビナーゼであり、天然に存在するリコンビナーゼ(すなわち、任意の種類の生体試料から単離されたリコンビナーゼ)又は指向性分子進化若しくは合理的設計によって進化したリコンビナーゼなどのデザイナーリコンビナーゼ、又はそれらの任意の組み合わせであり得る。デザイナーリコンビナーゼを作製する方法は、当技術分野において公知である。例えば、WO 2018/229226 Alは、指向性分子進化によってデザイナーDNA組換え酵素を作製するためのベクター及び方法を教示している。W02008083931A1は、HIVの末端反復配列(LTR)中の配列を認識部位(loxLTR Tre 1.0)として使用する目的に合ったリコンビナーゼ(Tre 1.0)の指向性分子進化を開示している。非対称標的部位を用いるこの手法のさらなる開発は、W02011147590 A2(Tre 3.0)及びW02016034553 A1(Tre 3.1及びTre/Brec1)並びに出版物Karpinski Jらの文献2016 (Brec1)に記載された。合理的設計によって天然に存在するリコンビナーゼ又はデザイナーリコンビナーゼを操作する方法も当技術分野で公知である(例えば、Abi-Ghanemらの文献, 2013; Karimovaらの文献, 2016)。
最も好ましい実施態様では、複合体に含まれるリコンビナーゼは、本発明の上記の方法で作製された。したがって、リコンビナーゼ標的部位、融合タンパク質、リコンビナーゼ及びリンカーペプチドに関する特徴及び実施態様は、後述するが、本発明の上記の方法にも適用される。
本発明の範囲内に該リコンビナーゼ複合体の組成物が入り、例えば、
・4つのリコンビナーゼ単量体が全て異なる;
・3つのリコンビナーゼ単量体が同一であり、1つの単量体が異なる;
・2つのリコンビナーゼ単量体が同一であり、他の2つの単量体が異なる;
・該複合体は2つの異なるホモ二量体を含む;
・該複合体は2つの異なるヘテロ二量体を含む;
・該複合体は2つの同一のヘテロ二量体を含む;
・4つのリコンビナーゼ単量体は全て同一である;
・該複合体は2つの異なる単量体を含む;又は
・該複合体は2つの同一の単量体を含む。
この文脈における「異なる」とは、単量体がそれらの一次構造において同一ではない、すなわちそれらのアミノ酸配列において相違を示し;かつ/又はリコンビナーゼの上流標的部位及び下流標的部位の4つの半部位のうちの1つに対して高い特異性を示し、本発明の融合タンパク質の驚くほど増加した特異性を都合よくもたらすことを意味する。
好ましい実施態様では、リコンビナーゼ複合体は、DNA中の上流又は下流のリコンビナーゼ標的部位の第1の標的配列及び第2の標的配列の認識のための二量体、より好ましくはヘテロ二量体であり、前記ヘテロ二量体の単量体はリンカーを介して融合されている。
さらに好ましい実施態様では、本発明のリコンビナーゼ複合体は、DNA中のリコンビナーゼの上流標的部位及び下流標的部位を認識するための四量体、より好ましくはヘテロ四量体であり、前記ヘテロ四量体の少なくとも2つの単量体はリンカーを介して融合されている。
より好ましい実施態様では、該複合体は、2つのヘテロ二量体、最も好ましくは2つの同一のヘテロ二量体からなり、各ヘテロ二量体の単量体は、リンカーを介して相互に結合されている。
さらに好ましくは、前記ヘテロ二量体の単量体は、リコンビナーゼ標的部位の第1の半部位又は第2の半部位を特異的に認識するように指向性進化又は合理的設計によって進化している。したがって、前記2つのヘテロ二量体の複合体における第1のヘテロ二量体は、DNA中の上流リコンビナーゼ標的部位の第1の半部位及び第2の半部位を特異的に認識し、第2のヘテロ二量体は、下流のリコンビナーゼ標的部位の第1の半部位及び第2の半部位を特異的に認識する。
より好ましくは、前記ヘテロ二量体の単量体は、チロシン部位特異的リコンビナーゼである。
最も好ましくは、前記ヘテロ二量体の第1のリコンビナーゼ単量体は、以下の特異的アミノ酸:
5位のQ、40位のA、44位のT、80位のV、90位のR、94位のL、及び219位のR;又は
5位のQ、40位のA、44位のT、80位のV、90位のR、94位のL、219位のR、232位のG、323位のS及び325位のL;又は
5位のQ、40位のA、44位のT、80位のV、90位のR、94位のL、132位のR、150位のG、219位のR、272位のV、323位のS及び325位のL
によって特徴付けられるアミノ酸配列を有する。
さらに最も好ましくは、前記ヘテロ二量体の第2のリコンビナーゼ単量体は、以下の特異的アミノ酸:
90位のH、94位のS、249位のK、266位のG、272位のV及び282位のK;又は
5位のQ、80位のT、90位のH、94位のS、249位のK、266位のG、272位のV及び282位のK
によって特徴付けられるアミノ酸配列を有する。
これらのアミノ酸位置は、配列番号68の野生型リコンビナーゼCreの配列の番号付けを指す。
疑義を避けるために、リコンビナーゼ複合体が二量体、特にホモ二量体又は好ましくはヘテロ二量体によって表される場合、二量体の2つの単量体の相互結合用の1つのリンカーが本発明の融合タンパク質中に存在する。リコンビナーゼ複合体が四量体で表される場合、四量体の4つの単量体の相互結合用の1、2、3又は4つのリンカーが本発明の融合タンパク質中に存在する。
本発明の融合タンパク質に含まれるリンカーの各々は、適切にはペプチドであり、好ましくはオリゴペプチドである。好ましい実施態様では、リンカーは、4~50個のアミノ酸、より好ましくは5~40個のアミノ酸、最も好ましくは6~30個のアミノ酸からなる。
リコンビナーゼの作用機序及びリコンビナーゼの作用機序の立体条件に関する一般的な知識に基づくと、リコンビナーゼの融合が組換えを阻害しないことは、当業者にとって驚くべきことであった。驚くべきことに、ヘテロ二量体とリンカーからなる融合タンパク質の結合によって誘導された組換え事象がリコンビナーゼ標的部位で観察され得ることが本明細書で実験的に示され、これは組換え事象の強制様式を示す。
したがって、本発明の融合タンパク質に含まれる各リンカーは、一実施態様では、
Figure 2023504826000002
からなる群から選択される(G2S)リピートを含むオリゴペプチドである。
しかし、リコンビナーゼと(G2S)リピートを含むリンカーとの融合は、場合によって、非結合リコンビナーゼと比較して組換え活性の低下をもたらした。さらなる実験により、リンカーの長さがリコンビナーゼの活性に顕著な役割を果たすことが示されている。8個の(G2S)リピートを含むリンカーを用いると、良好な結果が得られた。リンカー長のさらなる増加は組換え効率を改善しなかったが、得られた融合タンパク質がリコンビナーゼ標的部位の対称部位上で活性を示すにつれて特異性が低下することは望ましくない。したがって、好ましい実施態様では、本発明の融合タンパク質に含まれるリンカーは、最も好ましくは、24個のアミノ酸からなるオリゴペプチドである。
リンカーのアミノ酸組成が最終標的部位の組換え活性に影響を与えるかをさらに調べた。3つのリンカーライブラリーを設計した。ライブラリーの目的は、対称部位上で同じ高い特異性(組換えなし)及び最終loxF8リコンビナーゼ標的部位上での改善された活性を有するリンカーを見出すことであった。8個の(G2S)リピートを含むリンカー配列の一部又は全部を、天然リンカーで一般的に使用されるアミノ酸のうちの9個(Chenらの文献, 2013)、すなわちAla、Arg、Asn、Asp、Glu、Gly、Lys、Ser、Thrアミノ酸をコードする縮重コドンRVMに変更した。これにより、多数のリンカーバリアントが作製された。
さらに好ましい実施態様では、本発明の融合タンパク質は、したがって、上述のツリー(tree)リンカーライブラリーを表す以下に記載の式1、式2及び式3:
X1- X2- X3- X4- X5- X6- (G2S)4 - X7- X8- X9- X10- X11- X12 (式1);
(G2S)2 - X1- X2- X3- X4- X5-X6- X7- X8- X9- X10- X11-X12 - (G2S)2 (式2);及び
X1- X2- X3- X4- X5-X6- X7- X8- X9- X10- X11-X12- X13- X14- X15- X16- X17-X18- X19- X20- X21- X22- X23-X24 (式3);
(式中、
Gはグリシンであり;
Sはセリンであり;かつ
X1~X24の各々は、独立して、アラニン、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、グルタミン、グリシン、リジン、セリン及びスレオニンからなる群から選択される)
から選択されるアミノ酸配列を有するオリゴペプチドを含むか又はそれからなるリンカーを含む。
好ましい実施態様では、式1、式2又は式3の前記オリゴペプチドは、グリシン及びセリン残基のみからはならない。
リコンビナーゼ複合体において使用されるリコンビナーゼに関して、本発明による融合タンパク質は、好ましくは、ヘテロ二量体の複合体を含み、前記ヘテロ二量体の各リコンビナーゼ酵素は、チロシン部位特異的リコンビナーゼの上流標的部位の半部位及び下流標的部位の半部位を独立して認識するように指向性進化によって進化されるか、又は他の手段によって作製されたチロシン部位特異的リコンビナーゼである。
適切には、前記チロシン部位特異的リコンビナーゼは、Cre、Dre-、VCre-、SCre-、Vika-、lambda-Int-、Flp-、R-、Kw-、Kd-、B2-、B3-、Nigri-及びPanto-リコンビナーゼからなる群から選択される。これらの細菌及び酵母T-SSRシステムの認識標的部位はMeinkeらの文献, 2016及びKarimovaらの文献, 2016で論じられており、以下の表1に示されている:
表1. 細菌及び酵母T-SSRシステムの認識標的部位
Figure 2023504826000003
Figure 2023504826000004
下線付き実線: 左半部位
破線の下線: 右半部位
太字:スペーサー配列
上記のように、患者における血友病Aの重篤症例の大部分は、イントロン1及びF8遺伝子に対してテロメア側に位置する領域における2つの1 kb配列間の相同組換えによるエクソン1の反転などの、F8遺伝子の外側の相同領域(Grawらの文献、2005)との染色体内組換えによる反転によって引き起こされる(図4)。
重篤なHA、好ましくはエクソン1の反転を引き起こしているDNA反転を特異的に修正する融合タンパク質を提供することは本発明のさらなる課題であった。この問題を解決するために、イントロン1及び遺伝子F8に対してテロメア側に位置する相同領域に2つのloxF8標的部位を同定した。その後、loxF8の異なる半部位を認識する2つのSSRを、指向性分子進化によって進化させた(図5A)。そのように進化させたリコンビナーゼの各々は、最終標的部位の1つの半部位を認識し、協調的に組換えを行う。
天然に存在するSSRのDNA結合特性を変えることによって、これらのシステムは、治療的価値を有するDNA配列を組換えるために別の目的で使用することができる。デザイナーリコンビナーゼを作製する方法は、当技術分野において公知である。例えば、WO 2018/229226 Alは、指向性分子進化によってデザイナーDNA組換え酵素を作製するためのベクター及び方法を教示している。W02008083931A1は、HIVの末端反復配列(LTR)中の配列を認識部位(loxLTR Tre 1.0)として使用する目的に合ったリコンビナーゼ(Tre 1.0)の指向性分子進化を開示している。非対称標的部位を用いるこの手法のさらなる開発は、W02011147590 A2(Tre 3.0)及びW02016034553 A1(Tre 3.1及びTre/Brec1)並びに出版物Karpinski Jらの文献 2016(Brec1)に記載された。合理的設計によって天然に存在するリコンビナーゼ又はデザイナーリコンビナーゼを操作する方法も当技術分野で公知である(例えば、Abi-Ghanemらの文献, 2013; Karimovaらの文献, 2016)。
非対称標的部位を標的とする1つのデザイナーリコンビナーゼを作製する代わりに、標的部位をヘテロ二量体として一緒に組換える二重デザイナーリコンビナーゼも作製することができる(Lansingらの文献, 2020)。しかし、同じDNA標的を標的とする単一デザイナーリコンビナーゼシステムと二重デザイナーリコンビナーゼシステム(ヘテロ二量体)の比較研究は、未だに行われていない。そのような比較研究を行うために、int1h1配列及びint1h2配列中の保存された配列を組換えることを目的とした、SLiDE技術を利用する2つのクラスのリコンビナーゼ(Buchholz及びStewartらの文献, 2001; Lansingらの文献, 2020)を作製した(loxF8、図4、図5)。
標的配列を単量体として認識する単一リコンビナーゼを得るために、それぞれ非対称loxLTR及びloxBRT配列上のTre並びにBrec1の指向性進化に相当する非対称loxF8部位にてSLiDEを行った(Sarkarらの文献, 2007; Hauberらの文献, 2013)。168ラウンドの指向性進化後に、異なるL-アラビノース濃度を用いて、pEVOベクターにおける個々のリコンビナーゼを大腸菌内で試験した。同定された最良のクローン(H7)は、低濃度のL-アラビノースでリコンビナーゼ発現が誘導されたときにloxF8配列を組換えた(図6)。
ヘテロ二量体として同じ標的配列を認識するリコンビナーゼシステムを作製するために、最初に、Hexリコンビナーゼの指向性進化に相当する対称loxF8半部位上でSLiDEを行い、ヒト7番染色体上の配列を組換えた(Lansingらの文献, 2020)。次いで、(それぞれ88ラウンド及び89ラウンドの指向性進化後に)対称loxF8半部位上で活性を有するリコンビナーゼライブラリーを、2つの完全な非対称loxF8標的部位を保有するpEVOプラスミドから大腸菌内で共発現させた。さらに3ラウンドの指向性進化後に、異なるL-アラビノース濃度を用いて、pEVOベクターにおける二重リコンビナーゼヘテロ二量体を大腸菌内で試験した。同定された最良のヘテロ二量体クローン(D7)は、単一H7クローンよりも効率的にloxF8配列を組換え(図6)、二重リコンビナーゼヘテロ二量体の作製が、非対称部位を標的とする単一リコンビナーゼの作製よりも効果的であることを示す。
哺乳動物細胞における単量体(H7)及びヘテロ二量体(D7)F8リコンビナーゼの組換え活性を調べるために、HeLa細胞を組換えレポーターとリコンビナーゼ発現プラスミドで共トランスフェクトした(図7A)。大腸菌アッセイと同様に、H7リコンビナーゼはヘテロ二量体D7リコンビナーゼよりも効率が悪かった(図7B;組換え効率28%対組換え効率46%)。
ヒト細胞においてF8反転を誘導する単一F8リコンビナーゼ(H7)及びヘテロ二量体F8リコンビナーゼ(D7)の能力を比較するために、リコンビナーゼ発現プラスミドをHeLa細胞にトランスフェクトした。トランスフェクションの48時間後にゲノムDNAを単離した。ゲノム反転を検出するためにPCR反応を行った。再び、単量体H7リコンビナーゼは、このアッセイにおいてもヘテロ二量体D7リコンビナーゼと同様には機能しなかった(図8)。
H7単量体とD7ヘテロ二量体の特異性を比較するために、リコンビナーゼを、loxF8配列と最も高い類似性を示す9つのヒト配列上で試験した(配列番号21~23及び87~92、表2)。9つのオフターゲット部位及びloxF8オンターゲット部位を、それぞれのリコンビナーゼを保有するpEVOベクターに切り出し基質としてクローニングし、プラスミドを大腸菌内で、10μg/mlのL-アラビノースの存在下で24時間増殖させた。これらの培養物から抽出されたDNAは、H7単量体が配列番号21、22、87及び91を有するオフターゲット部位に加えてloxF8部位(配列番号17)を組換えたことを明らかにした。対照的に、D7ヘテロ二量体はloxF8配列の組換えにおいてより効率的であり、はるかに特異的でもあり、配列番号22とオフターゲット部位をわずかに組換えただけであった(図9)。これらの累積結果に基づいて、ヘテロ二量体D7をさらなる実験のために選択した。
D7ヘテロ二量体は、H7単量体よりも優れた特性を示したが、それでもいくらかのオフターゲット組換えを示した。治療適用では、高度に特異的であり、意図した部位以外の部位でゲノムを編集しないゲノム編集ツールを採用することが望ましい。これまでの試みでは、ヘテロ特異的リコンビナーゼの適用特性の改善に限られた成功しか報告されていないため、二重リコンビナーゼの挙動を改善する可能性のある方法を検討した。1つの可能性は、2つのD7ヘテロ二量体をペプチドリンカーと融合させることによって物理的に結合することであった。最新の文献によって、個々の酵素が組換え反応中にかなり動く必要があるため、これはおそらく機能しないことが示唆された。しかし、うまくいけば、この手法は、非常に効率的で特異的な強制組換えシステムを作製するための簡単な方法を提供する可能性がある。
本発明のさらなる実施態様では、リコンビナーゼヘテロ二量体D11を、D7ヘテロ二量体と同様に進化させた。
本発明のさらに好ましい実施態様では、リコンビナーゼヘテロ二量体A4-Lは、D7ヘテロ二量体と同様に進化させた。最良のリンカー特性を有する融合ヘテロ二量体を得るために、loxF8部位上での活性について選択し、両方の対称部位上での活性についてカウンターセレクションした(図10)。結合されたリコンビナーゼは、理論的には、対称又は非対称の標的部位上で活性を有する異なるタンパク質複合体を形成することができる(図11)。3つの最初のライブラリーの全てが対称部位上で活性を示し、リンカー組成物が特異性に重要な影響を及ぼすことを示した。配列番号8~16から選択されるアミノ酸配列を有するリンカーを用いた融合タンパク質は、loxF8部位上で満足のいく活性を示した。
したがって、本発明は、さらなる実施態様では、融合タンパク質を提供し、前記リンカーは、
Figure 2023504826000005
からなる群から選択されるオリゴペプチドを含むか、又はそれからなる。
リンカー選択のためのさらに重要な基準は、低誘導レベルでloxF8部位上で活性があり、高誘導レベルでloxF8の対称部位上で活性がないことであった(図16、図17)。この点に関して最良の結果は、アミノ酸配列
Figure 2023504826000006
を有するリンカーを含む融合タンパク質を用いて達成された。
したがって、好ましい実施態様では、本発明は融合タンパク質を提供し、前記リンカーは、配列番号14のアミノ酸配列を有するオリゴペプチドを含むか、又はそれからなる。
より好ましくは、本発明の融合タンパク質は、核酸配列
Figure 2023504826000007
又はその逆相補配列を有するloxF8標的部位の上流リコンビナーゼ標的配列を特異的に認識し、
核酸配列
Figure 2023504826000008
又はその逆相補配列を有するloxF8標的部位の下流リコンビナーゼ標的配列を認識する。
loxF8リコンビナーゼ標的部位の配列番号17の上流リコンビナーゼ標的配列と配列番号18の下流リコンビナーゼ標的配列との間のDNA配列の反転を触媒する融合タンパク質の能力は、
a)第1のリコンビナーゼ酵素、第2のリコンビナーゼ酵素及びリンカーペプチドを含む融合タンパク質を発現させる工程;及び
b)工程a)で発現させた融合タンパク質が、前記細胞内のヒト染色体上のDNA配列を反転させることができるかを分析する工程
を含む方法により試験することができる。
最も好ましくは、本発明の融合タンパク質は、配列番号17及び18の標的配列を有するloxF8標的部位に対して高い特異性を示し、高誘導レベルでオフターゲット部位に対して活性を示さない(図20)。好ましくは本発明の融合タンパク質によって認識されないオフターゲット部位は、表2に示す配列番号19~29及び87~92からなる群から選択される。
表2:オフターゲット部位の核酸配列
Figure 2023504826000009
太字: 標的loxF8配列に相同でない配列(配列番号17)
下線: スペーサー配列
配列番号17の核酸配列を有するloxF8標的部位の上流(5')リコンビナーゼ標的配列;及び配列番号18の核酸配列を有するloxF8標的部位の下流(3')リコンビナーゼ標的配列は、本発明の一部として同定された。したがって、本発明は、さらに好ましい実施態様では、配列番号17の5'標的配列及び配列番号17の3'標的配列を含むloxF8リコンビナーゼ標的部位に関する。
loxF8標的部位の上流及び下流の標的配列を組換えるDNAリコンビナーゼを作製するために、基質結合指向性進化手法が採用された(Buchholz及びStewartらの文献 2001)。
本発明による前記DNAリコンビナーゼは、2つの標的部位(認識部位、すなわち、1つの上流及び1つの下流の認識部位又は配列)を認識することによって核酸配列、特にDNA配列を組換え、DNA配列の欠失、挿入、反転又は置換を引き起こす酵素である。都合の良いことに、本発明によるDNAリコンビナーゼは、配列番号17(上流)及び配列番号18(下流)に記載のloxF8配列の非対称認識部位を認識する。これらの認識部位は、ヒトゲノムの他のどこにも存在しないため、特異的DNA組換えに使用することができる。本発明によるDNAリコンビナーゼは、都合の良いことに、ゲノム中に人工的に導入される標的部位を必要としない。さらに都合がよくかつ最も好ましくは、本発明によるDNAリコンビナーゼは、DNA配列の反転を引き起こす。さらなる利点は、本発明によるDNAリコンビナーゼが、内因性DNA修復経路を始動させることなく正確なゲノム編集を可能にすることである。
進化の数サイクルを経て、配列番号17及び配列番号18の標的配列に対して活性を有する酵素を作製した。
この問題は、最初に、配列番号66に記載の配列と少なくとも70%、好ましくは80%、より好ましくは90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するリコンビナーゼ単量体(リコンビナーゼH7)によって解決された。したがって、好ましい実施態様では、本発明は、配列番号66に記載の配列と少なくとも70%、好ましくは80%、より好ましくは90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するリコンビナーゼ単量体を提供する。
好ましい実施態様では、配列番号66のDNAリコンビナーゼは、配列番号68のCreリコンビナーゼタンパク質と比較して1以上の変異を含む。例示的な変異には、L5Q、V7L、P12S、P15L、V16A、V23T、M30V、F31L、R34S、H40Q、M44S、S47F、K57E、K62E、Y77H、Q90N、Q94S、S108G、T140A、D143S、Q144R、S147A、C155P、I166V、A175S、A231V、K244R、N245G、A249K、R259C、E262Q、E266A、T268A、I272L、S305P、P307V、E308Q、N317T、N319E及びI320Sが含まれる。より好ましくは、配列番号66のリコンビナーゼは、配列番号68のCreリコンビナーゼタンパク質と比較して、L5Q、V7L、P12S、P15L、V16A、V23T、M30V、F31L、R34S、H40Q、M44S、S47F、K57E、K62E、Y77H、Q90N、Q94S、S108G、T140A、D143S、Q144R、S147A、C155P、I166V、A175S、A231V、K244R、N245G、A249K、R259C、E262Q、E266A、T268A、I272L、S305P、P307V、E308Q、N317T、N319E及びI320Sからなる群から選択される1個以上、好ましくは2個、3個、4個、5個、6個、8個、9個、10個以上の変異を有する。最も好ましい実施態様では、配列番号66のリコンビナーゼは、前述の変異の全てを有する。
疑義を避けるために、位置番号の前の1文字コードで示されるアミノ酸は、野生型配列(例えば、Creリコンビナーゼの配列番号68)中のアミノ酸を表し;かつ位置番号の後の1文字コードで示されるアミノ酸は、本発明の変異した、すなわち進化させたリコンビナーゼ中のアミノ酸を表す。
さらに最も好ましくは、配列番号66のリコンビナーゼと少なくとも70%、好ましくは80%、より好ましくは90%の配列同一性を有する配列は、以下の特異的アミノ酸:5位のQ、40位のQ、44位のS、90位のN、94位のS、143位のS、144位のR、155位のP、231位のV、249位のK、及び272位のLによって特徴付けられる。これらのアミノ酸残基は、ディープシークエンシングに基づく標的部位認識に重要な残基と予測され、配列番号68の野生型Creリコンビナーゼの配列には見出されない。
このリコンビナーゼ単量体の組換え効率及び特異性は満足のいくものではなかったため、数サイクルの進化も経てDNAリコンビナーゼヘテロ二量体を開発した。
その結果、本発明の課題は、ヘテロ二量体からなるDNAリコンビナーゼによってさらに解決され、前記ヘテロ二量体は、第1のリコンビナーゼ酵素及び第2のリコンビナーゼ酵素を含むか、又はそれからなり、前記第1のリコンビナーゼ酵素は、配列番号30(リコンビナーゼ28-L)に記載の配列と少なくとも70%、好ましくは80%、より好ましくは90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するポリペチドであり、前記第2のリコンビナーゼ酵素は、配列番号31(リコンビナーゼ28-R)に記載の配列と少なくとも70%、好ましくは80%、より好ましくは90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するポリペプチドである。
好ましくは、配列番号30のDNAリコンビナーゼは、配列番号68のCreリコンビナーゼタンパク質と比較して1以上の変異を含む。例示的な変異には、N3D、L5Q、V7L、P12S、P15L、V23A、M30V、H40A、K43N、M44T、L58S、K62E、Y77H、A80V、K86N、Q90R、G93A、Q94L、S108G、A131V、K132R、E150G、N151S、C155R、Q156N、I166V、A175S、V182I、I195V、K219R、D232G、T253S、S257T、R259D、A260V、E262R、E266V、T268A、I272V、Y273H、K276R、A285R、P307A、N317T、N319E、I320S、N323S及びI325Lが含まれる。より好ましくは、配列番号30のリコンビナーゼは、配列番号68のCreリコンビナーゼタンパク質と比較して、N3D、L5Q、V7L、P12S、P15L、V23A、M30V、H40A、K43N、M44T、L58S、K62E、Y77H、A80V、K86N、Q90R、G93A、Q94L、S108G、A131V、K132R、E150G、N151S、C155R、Q156N、I166V、A175S、V182I、I195V、K219R、D232G、T253S、S257T、R259D、A260V、E262R、E266V、T268A、I272V、Y273H、K276R、A285R、P307A、N317T、N319E、I320S、N323S及びI325Lからなる群から選択される1個以上、好ましくは2個、3個、4個、5個、6個、8個、9個、10個以上の変異を有する。最も好ましい実施態様では、配列番号30のリコンビナーゼは、前述の変異の全てを有する。
さらに最も好ましくは、配列番号30のリコンビナーゼは、以下の特異的アミノ酸:5位のQ、40位のA、44位のT、80位のV、90位のR、94位のL、155位のR、219位のR、266位のV、272位のV、323位のS及び325位のLによって特徴付けられる配列を示す。さらに好ましい実施態様では、配列番号30のリコンビナーゼは、さらに、以下の特異的アミノ酸:132位のアルギニン、150位のグリシン、232位のグリシン及び276位のアルギニンによって特徴付けられる配列を示す。これらのアミノ酸残基は、ディープシークエンシングに基づく標的部位認識に重要な残基と予測され、配列番号68の野生型Creリコンビナーゼの配列には見出されない。
好ましくは、配列番号31のDNAリコンビナーゼは、配列番号68のCreリコンビナーゼタンパク質と比較して1以上の変異を含む。例示的な変異には、L5Q、T6A、V7L、L11P、P12S、A13T、P15L、V16A、S20C、R34S、M44A、L46Q、A53V、N60S、K62R、Y77H、A80T、Q90H、Q94S、R101Q、S108G、K122R、T140A、F142L、S147A、I166V、A175G、K183R、N235D、K244R、N245Y、A249K、R259Y、E262Q、E266G、T268A、I272V、R282K、I306L、N317T、I320S及びG342Dが含まれる。より好ましくは、配列番号31のリコンビナーゼは、配列番号68のCreリコンビナーゼタンパク質と比較して、L5Q、T6A、V7L、L11P、P12S、A13T、P15L、V16A、S20C、R34S、M44A、L46Q、A53V、N60S、K62R、Y77H、A80T、Q90H、Q94S、R101Q、S108G、K122R、T140A、F142L、S147A、I166V、A175G、K183R、N235D、K244R、N245Y、A249K、R259Y、E262Q、E266G、T268A、I272V、R282K、I306L、N317T、I320S、G342Dからなる群から選択される1個以上、好ましくは2個、3個、4個、5個、6個、8個、9個、10個以上の変異を有する。最も好ましい実施態様では、配列番号31のリコンビナーゼは、前述の変異の全てを有する。
さらに最も好ましくは、配列番号31のリコンビナーゼと少なくとも70%、好ましくは80%、より好ましくは90%の配列同一性を有する配列は、以下の特異的アミノ酸:5位のQ、44位のA、80位のT、90位のH、94位のS、249位のK、266位のG、272位のV及び282位のKによって特徴付けられる。さらに好ましい実施態様では、配列番号31のリコンビナーゼは、さらに、183位のアミノ酸アルギニンによって特徴付けられる配列を示す。これらのアミノ酸残基は、ディープシークエンシングに基づく標的部位認識に重要な残基と予測され、配列番号68の野生型Creリコンビナーゼの配列には見出されない。
細菌及び他の宿主生物を用いた組換えタンパク質発現は、タンパク質生成の基盤技術である。組換えタンパク質発現における重要な工程はコドン最適化であり、関心のあるタンパク質のコード配列が、その発現レベルを増加させることを目的とした同義置換によって設計される。従来の手法では、希少コドンは、宿主生物におけるゲノムコドン使用頻度に応じて頻出コドンによって置換される。この手法の基礎は、コード配列が頻出コドンからなる内在性遺伝子が高タンパク質発現レベルを有するため、組換えタンパク質発現もコドン頻度を高めることで改善されると考えられることである。別の手法は、mRNA二次構造を不安定化させるとコンピューター予測される同義置換を導入することである。安定なmRNA二次構造は翻訳を阻害する可能性があるため、この手法は翻訳効率を高めることによって組換えタンパク質発現を改善すると考えられる。これらの配列特徴とタンパク質発現レベルとの関連は、内因性遺伝子のオミックス解析によって示されている。組換えタンパク質発現におけるそれらの影響の直接的な証拠は、比較的少数の遺伝子を用いて当技術分野で示されている。
さらなる分子指向性進化のサイクルを行った後に、改善された酵素活性を示すDNAリコンビナーゼを開発した。
したがって、本発明は、さらなる実施態様では、ヘテロ二量体であるDNAリコンビナーゼを提供し、第1の単量体が、配列番号32に記載の配列と少なくとも70%、好ましくは80%、より好ましくは90%の配列同一性を有する配列を有するリコンビナーゼ酵素(リコンビナーゼD7-L)であり、第2の単量体が、配列番号33に記載の配列と少なくとも70%、好ましくは80%、より好ましくは90%の配列同一性を有する配列を有するリコンビナーゼ酵素(リコンビナーゼD7-R)である。
好ましくは、配列番号32のDNAリコンビナーゼは、配列番号68のCreリコンビナーゼタンパク質と比較して、1以上の変異を含む。例示的な変異には、L5Q、V7L、P12S、P15L、V16A、D17N、V23A、M30V、Q35R、H40A、M44T、S51T、Y77H、A80V、K86N、Q90R、G93A、Q94L、S108G、N111S、A131V、K132R、Q144K、E150G、I166V、A175S、V182I、K219R、E222G、D232G、R259D、A260V、E262R、I264V、E266A、T268A、I272V、A275T、R282G、A285T、P307A、N317T、N319E、I320S、N323S及びI325Lが含まれる。より好ましい実施態様では、配列番号32のリコンビナーゼは、配列番号68のCreリコンビナーゼタンパク質と比較して、L5Q、V7L、P12S、P15L、V16A、D17N、V23A、M30V、Q35R、H40A、M44T、S51T、Y77H、A80V、K86N、Q90R、G93A、Q94L、S108G、N111S、A131V、K132R、Q144K、E150G、I166V、A175S、V182I、K219R、E222G、D232G、R259D、A260V、E262R、I264V、E266A、T268A、I272V、A275T、R282G、A285T、P307A、N317T、N319E、I320S、N323S及びI325Lからなる群から選択される1個以上、好ましくは2個、3個、4個、5個、6個、8個、9個、10個以上の変異を有する。最も好ましい実施態様では、配列番号32のリコンビナーゼは、前述の変異の全てを有する。
さらに最も好ましくは、配列番号32のリコンビナーゼと少なくとも70%、好ましくは80%、より好ましくは90%の配列同一性を有する配列は、以下の特異的アミノ酸:5位のQ、40位のA、44位のT、80位のV、90位のR、94位のL、144位のK、219位のR、272位のV、282位のG、323位のS及び325位のLによって特徴付けられる。さらに好ましい実施態様では、配列番号32のリコンビナーゼは、さらに、以下の特異的アミノ酸:132位のアルギニン、150位のグリシン及び232位のグリシンによって特徴付けられる配列を示す。これらのアミノ酸残基は、ディープシークエンシングに基づく標的部位認識に重要な残基と予測され、配列番号68の野生型Creリコンビナーゼの配列には見出されない。
好ましくは、配列番号33のDNAリコンビナーゼは、配列番号68のCreリコンビナーゼタンパク質と比較して、1以上の変異を含む。例示的な変異には、L4I、L5Q、V7P、N10S、P12S、P15L、V16T、E22V、V23T、M28A、R34S、K57E、F64L、A66V、Y77H、A80T、Q90H、Q94S、S102A、S108G、K122R、K132Q、M149V、I166V、A175S、K244R、N245Y、A249K、R259Y、E262Q、E266G、T268A、I272V、D277G、R282K、S305P、N317T、I320S及びG342Sが含まれる。より好ましい実施態様では、配列番号33のリコンビナーゼは、配列番号68のCreリコンビナーゼタンパク質と比較して、L4I、L5Q、V7P、N10S、P12S、P15L、V16T、E22V、V23T、M28A、R34S、K57E、F64L、A66V、Y77H、A80T、Q90H、Q94S、S102A、S108G、K122R、K132Q、M149V、I166V、A175S、K244R、N245Y、A249K、R259Y、E262Q、E266G、T268A、I272V、D277G、R282K、S305P、N317T、I320S及びG342Sからなる群から選択される1個以上、好ましくは2個、3個、4個、5個、6個、8個、9個、10個以上の変異を有する。最も好ましい実施態様では、配列番号33のリコンビナーゼは、前述の変異の全てを有する。
さらに最も好ましくは、配列番号33のリコンビナーゼと少なくとも70%、好ましくは80%、より好ましくは90%の配列同一性を有する配列は、以下の特異的アミノ酸:5位のQ、80位のT、90位のH、94位のS、249位のK、266位のG、272位のV及び282位のKによって特徴付けられる。さらに好ましい実施態様では、配列番号33のリコンビナーゼは、さらに、132位の特異的アミノ酸グルタミンによって特徴付けられる配列を示す。これらのアミノ酸残基は、ディープシークエンシングに基づく標的部位認識に重要な残基と予測され、配列番号68の野生型Creリコンビナーゼの配列には見出されない。
好ましくは、配列番号32のDNAリコンビナーゼ単量体は、5位のアミノ酸残基がグルタミンであり、17位のアミノ酸残基がアスパラギンであり、35位のアミノ酸残基がアルギニンであり、40位のアミノ酸残基がアラニンであり、44位のアミノ酸残基がスレオニンであり、80位のアミノ酸残基がバリンであり、90位のアミノ酸残基がアルギニンであり、94位のアミノ酸残基がロイシンであり、111位のアミノ酸残基がセリンであり、132位のアミノ酸残基がアルギニンであり、144位のアミノ酸残基がリジンであり、150位のアミノ酸残基がグリシンであり、219位のアミノ酸残基がアルギニンであり、222位のアミノ酸残基がグリシンであり、264位のアミノ酸残基がバリンであり、272位のアミノ酸残基がバリンであり、275位のアミノ酸残基がスレオニンであり、282位のアミノ酸残基がグリシンであり、323位のアミノ酸残基がセリンであり、かつ/又は325位のアミノ酸残基がロイシンである配列を示す。
これらのアミノ酸残基は、本発明によるDNAリコンビナーゼに特異的であり、Creリコンビナーゼ(配列番号68)には見出されていない。
好ましくは、配列番号33のDNAリコンビナーゼ単量体は、4位のアミノ酸残基がイソロイシンであり、5位のアミノ酸残基がグルタミンであり、7位のアミノ酸残基がプロリンであり、16位のアミノ酸残基がスレオニンであり、22位のアミノ酸残基がバリンであり、23位のアミノ酸残基がスレオニンであり、28位のアミノ酸残基がアラニンであり、64位のアミノ酸残基がロイシンであり、66位のアミノ酸残基がバリンであり、80位のアミノ酸残基がスレオニンであり、90位のアミノ酸残基がヒスチジンであり、94位のアミノ酸残基がセリンであり、102位のアミノ酸残基がアラニンであり、132位のアミノ酸残基がグルタミンであり、149位のアミノ酸残基がバリンであり、249位のアミノ酸残基がリジンであり、266位のアミノ酸残基がグリシンであり、272位のアミノ酸残基がバリンであり、277位のアミノ酸残基がグリシンであり、282位のアミノ酸残基がリジンであり、305位のアミノ酸残基がプロリンであり、かつ/又は342位のアミノ酸残基がセリンである配列を示す。
これらのアミノ酸残基は、本発明によるDNAリコンビナーゼに特異的であり、Creリコンビナーゼ(配列番号68)には見出されていない。
さらに好ましい実施態様では、本発明は、ヘテロ二量体であるDNAリコンビナーゼを提供し、第1の単量体が、配列番号93に記載の配列と少なくとも70%、好ましくは80%、より好ましくは90%の配列同一性を有する配列を有するリコンビナーゼ酵素(リコンビナーゼA4-L)であり、第2の単量体が、配列番号94に記載の配列と少なくとも70%、好ましくは80%、より好ましくは90%の配列同一性を有する配列を有するリコンビナーゼ酵素(リコンビナーゼA4-R)である。
好ましくは、配列番号93のDNAリコンビナーゼは、配列番号68のCreリコンビナーゼタンパク質と比較して1以上の変異を含む。例示的な変異には、N3S、L5Q、V7L、P12S、P15L、V23A、K25E、M28I、D29G、M30G、H40A、M44T、N60S、Y77H、A80V、K86N、Q90R、G93A、Q94L、S108G、A131V、Q144R、I166V、I174V、A175S、K211E、K219R、D232G、N257T、R259D、A260V、E262R、E266V、T268A、K276R、P307A、N317T、N319E、I320S、N323S及びI325Lが含まれる。より好ましい実施態様では、配列番号93のリコンビナーゼは、配列番号68のCreリコンビナーゼタンパク質と比較して、N3S、L5Q、V7L、P12S、P15L、V23A、K25E、M28I、D29G、M30G、H40A、M44T、N60S、Y77H、A80V、K86N、Q90R、G93A、Q94L、S108G、A131V、Q144R、I166V、I174V、A175S、K211E、K219R、D232G、N257T、R259D、A260V、E262R、E266V、T268A、K276R、P307A、N317T、N319E、I320S、N323S及びI325Lからなる群から選択される1個以上、好ましくは2個、3個、4個、5個、6個、8個、9個、10個以上の変異を有する。最も好ましい実施態様では、配列番号93のリコンビナーゼは、前述の変異の全てを有する。
さらに最も好ましくは、配列番号93のリコンビナーゼと少なくとも70%、好ましくは80%、より好ましくは90%の配列同一性を有する配列は、以下の特異的アミノ酸:5位のQ、40位のA、44位のT、80位のV、90位のR、94位のL、144位のR、219位のR、232位のG、266位のV、276位のR、323位のS及び325位のLによって特徴付けられる。これらのアミノ酸残基は、ディープシークエンシングに基づく標的部位認識に重要な残基と予測され、配列番号68の野生型Creリコンビナーゼの配列には見出されない。
好ましくは、配列番号94のDNAリコンビナーゼは、配列番号68のCreリコンビナーゼタンパク質と比較して1以上の変異を含む。例示的な変異には、N3S、L5P、V7L、N10S、P12S、P15L、T19A、D21G、K25T、D29V、R34S、E39V、K57E、E67D、Y77H、Q90H、Q94S、N96D、S102A、S108G、K122R、E123A、K132G、I166V、A175S、K203R、K244R、N245Y、A249K、R259Y、E262Q、E266G、T268A、I272V、A275V、R282K、V304A、I306L、N317T、I320S及びG342Sが含まれる。より好ましい実施態様では、配列番号94のリコンビナーゼは、配列番号68のCreリコンビナーゼタンパク質と比較して、N3S、L5P、V7L、N10S、P12S、P15L、T19A、D21G、K25T、D29V、R34S、E39V、K57E、E67D、Y77H、Q90H、Q94S、N96D、S102A、S108G、K122R、E123A、K132G、I166V、A175S、K203R、K244R、N245Y、A249K、R259Y、E262Q、E266G、T268A、I272V、A275V、R282K、V304A、I306L、N317T、I320S及びG342Sからなる群から選択される1個以上、好ましくは2個、3個、4個、5個、6個、8個、9個、10個以上の変異を有する。最も好ましい実施態様では、配列番号94のリコンビナーゼは、前述の変異の全てを有する。
さらに最も好ましくは、配列番号94のリコンビナーゼと少なくとも70%、好ましくは80%、より好ましくは90%の配列同一性を有する配列は、以下の特異的アミノ酸:5位のP、90位のH、94位のS、132位のG、183位のR、249位のK、266位のG、272位のV及び282位のKによって特徴付けられる。これらのアミノ酸残基は、ディープシークエンシングに基づく標的部位認識に重要な残基と予測され、配列番号68の野生型Creリコンビナーゼの配列には見出されない。
好ましくは、配列番号93のDNAリコンビナーゼ単量体は、3位のアミノ酸残基がセリンであり、5位のアミノ酸残基がグルタミンであり、25位のアミノ酸残基がグルタミン酸であり、28位のアミノ酸残基がイソロイシンであり、29位のアミノ酸残基がグリシンであり、30位のアミノ酸残基がグリシン、40位のアミノ酸残基がアラニン、44位のアミノ酸残基がスレオニン、60位のアミノ酸残基がセリン、80位のアミノ酸残基がバリンであり、90位アミノ酸残基がアルギニンであり、94位アミノ酸残基がロイシンであり、144位アミノ酸残基がアルギニンであり、211位アミノ酸残基がグルタミン酸であり、219位アミノ酸残基がアルギニンであり、232位アミノ酸残基がグリシンであり、257位のアミノ酸残基がスレオニンであり、266位のアミノ酸残基がバリンであり、276位のアミノ酸残基がアルギニンであり、323位のアミノ酸残基がセリンであり、かつ/又は325位のアミノ酸残基がロイシンである配列を示す。
これらのアミノ酸残基は、本発明によるDNAリコンビナーゼに特異的であり、Creリコンビナーゼ(配列番号68)には見出されていない。
好ましくは、配列番号94のDNAリコンビナーゼ単量体は、3位のアミノ酸残基がセリンであり、5位のアミノ酸残基がプロリンであり、21位のアミノ酸残基がグリシンであり、25位のアミノ酸残基がスレオニンであり、29位のアミノ酸残基がバリンであり、39位のアミノ酸残基がバリンであり、67位のアミノ酸残基がアスパラギン酸であり、90位のアミノ酸残基がヒスチジンであり、94位のアミノ酸残基がセリンであり、96位のアミノ酸残基がアスパラギン酸であり、102位のアミノ酸残基がアラニンであり、123位のアミノ酸残基がアラニンであり、132位のアミノ酸残基がグリシンであり、183位のアミノ酸残基がアルギニンであり、249位のアミノ酸残基がリジンであり、266位のアミノ酸残基がグリシンであり、272位のアミノ酸残基がバリンであり、275位のアミノ酸残基がバリンであり、282位のアミノ酸残基がリジンであり、304位のアミノ酸残基がアラニンであり、306位のアミノ酸残基がロイシンであり、かつ/又は342位のアミノ酸残基がセリンである配列を示す。
これらのアミノ酸残基は、本発明によるDNAリコンビナーゼに特異的であり、Creリコンビナーゼ(配列番号68)には見出されていない。
さらに好ましい実施態様では、本発明は、ヘテロ二量体であるDNAリコンビナーゼを提供し、第1の単量体が、配列番号99に記載の配列と少なくとも70%、好ましくは80%、より好ましくは90%の配列同一性を有する配列を有するリコンビナーゼ酵素(リコンビナーゼD11-L)であり、第2の単量体が、配列番号100に記載の配列と少なくとも70%、好ましくは80%、より好ましくは90%の配列同一性を有する配列を有するリコンビナーゼ酵素(リコンビナーゼD11-R)である。
好ましくは、配列番号99のDNAリコンビナーゼは、配列番号68のCreリコンビナーゼタンパク質と比較して1以上の変異を含む。例示的な変異には、L5Q、V7I、P12T、L14S、P15L、V16A、V23A、M30V、F31L、H40A、M44T、S51T、L58S、Y77H、A80V、K86N、Q90R、G93A、Q94L、S108G、A131V、K132R、F142L、E150G、N151D、Q156K、L164P、I166V、A175S、V182I、K219R、A249V、R259D、A260V、E262R、E266A、A267T、T268A、I272V、K276R、D278G、Y283F、A285T、P307A、N317T、N319G及びI320Sが含まれる。より好ましい実施態様では、配列番号99のリコンビナーゼは、配列番号68のCreリコンビナーゼタンパク質と比較して、L5Q、V7I、P12T、L14S、P15L、V16A、V23A、M30V、F31L、H40A、M44T、S51T、L58S、Y77H、A80V、K86N、Q90R、G93A、Q94L、S108G、A131V、K132R、F142L、E150G、N151D、Q156K、L164P、I166V、A175S、V182I、K219R、A249V、R259D、A260V、E262R、E266A、A267T、T268A、I272V、K276R、D278G、Y283F、A285T、P307A、N317T、N319G及びI320Sからなる群から選択される1個以上、好ましくは2個、3個、4個、5個、6個、8個、9個、10個以上の変異を有する。最も好ましい実施態様では、配列番号99のリコンビナーゼは、前述の変異の全てを有する。
さらに最も好ましくは、配列番号99のリコンビナーゼと少なくとも70%、好ましくは80%、より好ましくは90%の配列同一性を有する配列は、以下の特異的アミノ酸:5位のQ、40位のA、44位のT、80位のV、90位のR、94位のL、132位のR、150位のG、219位のR、272位のV及び276位のRによって特徴付けられる。これらのアミノ酸残基は、ディープシークエンシングに基づく標的部位認識に重要な残基と予測され、配列番号68の野生型Creリコンビナーゼの配列には見出されない。
好ましくは、配列番号100のDNAリコンビナーゼは、配列番号68のCreリコンビナーゼタンパク質と比較して1以上の変異を含む。例示的な変異には、N3D、L5Q、V7L、N10K、P12S、P15L、V16A、V23A、F31L、R34W、K57E、N60S、Q90H、Q94S、S108G、S147L、A175S、K183R、K211E、N235D、K244R、N245Y、A249K、R259Y、E262Q、E266G、T268A、I272V、R282K、S305P、N317T、N319G及びI320Sが含まれる。より好ましい実施態様では、配列番号100のリコンビナーゼは、配列番号68のCreリコンビナーゼタンパク質と比較して、N3D、L5Q、V7L、N10K、P12S、P15L、V16A、V23A、F31L、R34W、K57E、N60S、Q90H、Q94S、S108G、S147L、A175S、K183R、K211E、N235D、K244R、N245Y、A249K、R259Y、E262Q、E266G、T268A、I272V、R282K、S305P、N317T、N319G及びI320Sからなる群から選択される1個以上、好ましくは2個、3個、4個、5個、6個、8個、9個、10個以上の変異を有する。最も好ましい実施態様では、配列番号100のリコンビナーゼは、前述の変異の全てを有する。
さらに最も好ましくは、配列番号100のリコンビナーゼと少なくとも70%、好ましくは80%、より好ましくは90%の配列同一性を有する配列は、以下の特異的アミノ酸:5位のQ、90位のH、94位のS、183位のR、249位のK、266位のG、272位のV及び282位のKによって特徴付けられる。これらのアミノ酸残基は、ディープシークエンシングに基づく標的部位認識に重要な残基と予測され、配列番号68の野生型Creリコンビナーゼの配列には見出されない。
好ましくは、配列番号99のDNAリコンビナーゼ単量体は、5位のアミノ酸残基がグルタミンであり、40位のアミノ酸残基がアラニンであり、44位のアミノ酸残基がスレオニンであり、58位のアミノ酸残基がセリンであり、80位のアミノ酸残基がバリンであり、90位のアミノ酸残基がアルギニンであり、94位のアミノ酸残基がロイシンであり、132位のアミノ酸残基がアルギニンであり、142位のアミノ酸残基がロイシンであり、150位のアミノ酸残基がグリシンであり、156位のアミノ酸残基がリジンであり、164位のアミノ酸残基がプロリンであり、219位のアミノ酸残基がアルギニンであり、かつ/又は319位のアミノ酸残基がグリシンである配列を示す。
これらのアミノ酸残基は、本発明によるDNAリコンビナーゼに特異的であり、Creリコンビナーゼ(配列番号68)には見出されていない。
好ましくは、配列番号100のDNAリコンビナーゼ単量体は、3位のアミノ酸残基がアスパラギン酸であり、5位のアミノ酸残基がグルタミンであり、10位のアミノ酸残基がリジンであり、34位のアミノ酸残基がトリプトファンであり、60位のアミノ酸残基がセリンであり、90位のアミノ酸残基がヒスチジンであり、94位のアミノ酸残基がセリンであり、183位のアミノ酸残基がアルギニンであり、211位のアミノ酸残基がグルタミン酸であり、249位のアミノ酸残基がリジンであり、266位のアミノ酸残基がグリシンであり、272位のアミノ酸残基がバリンであり、282位のアミノ酸残基がリジンであり、305位のアミノ酸残基がプロリンであり、かつ/又は319位のアミノ酸残基がグリシンである配列を示す。
これらのアミノ酸残基は、本発明によるDNAリコンビナーゼに特異的であり、Creリコンビナーゼ(配列番号68)には見出されていない。
本発明によるDNAリコンビナーゼは、より好ましくは、本発明によるDNAリコンビナーゼの活性によって反転される第8因子遺伝子のInt1h反復配列中に存在する配列を標的とする部位特異的リコンビナーゼである。
本発明のDNAリコンビナーゼには、配列番号30~33、93、94、99及び100のポリペプチド、並びに配列番号30~33のDNAリコンビナーゼと少なくとも75%の類似性(例えば、好ましくは少なくとも50%;より好ましくは少なくとも70%の同一性)、より好ましくは、配列番号30~33、93、94、99及び100のDNAリコンビナーゼと少なくとも85%の類似性(例えば、好ましくは少なくとも70%の同一性)、並びに最も好ましくは、配列番号30~33のDNAリコンビナーゼと少なくとも95%の類似性(例えば、少なくとも90%の同一性)を有するポリペプチドが含まれる。さらに、それらは、好ましくは少なくとも30個のアミノ酸、より好ましくは少なくとも50個のアミノ酸の配列を含むそのようなDNAリコンビナーゼの正確な部分を含むべきである。好ましい実施態様では、本明細書で使用される用語「同一性」は、総アミノ酸数に関して配列番号30、配列番号31、配列番号32、配列番号33、配列番号93、配列番号94、配列番号99又は配列番号100のアミノ酸配列の1つによるアミノ酸の量を指す。
本発明のポリペプチドの断片又は部分は、ペプチド合成によって対応する全長ポリペプチドを生成するための中間体として採用され得る。本発明のポリヌクレオチドの断片又は部分はまた、本発明の全長ポリヌクレオチドを合成するために使用され得る。
本発明によれば、DNAリコンビナーゼの活性及び特異性は、融合タンパク質にそれらを組み込むことによってさらに増加され、前記DNAリコンビナーゼの単量体は、上記のようにリンカーによって相互に結合されている。
したがって、本発明は、好ましい実施態様では、DNAリコンビナーゼのヘテロ二量体を含む融合タンパク質を提供し、前記ヘテロ二量体は、リコンビナーゼ標的部位の上流標的配列及び下流標的配列の認識のための配列番号30、32、93又は99から選択される配列と少なくとも70%、好ましくは80%、より好ましくは90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有する第1のリコンビナーゼ酵素;及び配列番号31、33、94又は100から選択される配列と少なくとも70%、好ましくは80%、より好ましくは90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有する第2のリコンビナーゼ酵素を含む。
より好ましい実施態様では、本発明は、DNAリコンビナーゼのヘテロ二量体を含む融合タンパク質を提供し、前記ヘテロ二量体は、リコンビナーゼ標的部位の上流標的配列と下流標的配列の認識のための配列番号30に記載の配列と少なくとも70%、好ましくは80%、より好ましくは90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有する第1のリコンビナーゼ酵素、及び配列番号31に記載の配列と少なくとも70%、好ましくは80%、より好ましくは90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有する第2のリコンビナーゼ酵素を含む。
さらにより好ましい実施態様では、本発明は、DNAリコンビナーゼのヘテロ二量体を含む融合タンパク質を提供し、前記ヘテロ二量体は、リコンビナーゼ標的部位の上流標的配列と下流標的配列の認識のための配列番号99に記載の配列と少なくとも70%、好ましくは80%、より好ましくは90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有する第1のリコンビナーゼ酵素、及び配列番号100に記載の配列と少なくとも70%、好ましくは80%、より好ましくは90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有する第2のリコンビナーゼ酵素を含む。
最も好ましい実施態様では、本発明は、DNAリコンビナーゼのヘテロ二量体を含む融合タンパク質を提供し、前記ヘテロ二量体は、リコンビナーゼ標的部位の上流標的配列と下流標的配列の認識のための配列番号32に記載の配列と少なくとも70%、好ましくは80%、より好ましくは90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有する第1のリコンビナーゼ酵素、及び配列番号33に記載の配列と少なくとも70%、好ましくは80%、より好ましくは90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有する第2のリコンビナーゼ酵素を含む。
さらに最も好ましい実施態様では、本発明は、DNAリコンビナーゼのヘテロ二量体を含む融合タンパク質を提供し、前記ヘテロ二量体は、リコンビナーゼ標的部位の上流標的配列と下流標的配列の認識のための配列番号93に記載の配列と少なくとも70%、好ましくは80%、より好ましくは90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有する第1のリコンビナーゼ酵素、及び配列番号94に記載の配列と少なくとも70%、好ましくは80%、より好ましくは90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有する第2のリコンビナーゼ酵素を含む。
実験で示されるように、ヘテロ二量体-融合タンパク質の活性は、リコンビナーゼ単量体とリンカーが互いに結合される向きによってさらに影響を受ける。第1のリコンビナーゼ酵素、第2のリコンビナーゼ酵素及びリンカーが、
i. リコンビナーゼ標的部位の右半部位などの第2の半部位を特異的に認識する配列番号31のアミノ酸配列を有するリコンビナーゼ酵素のC末端が、リコンビナーゼ標的部位の左半部位などの第1の半部位を特異的に認識する配列番号30のアミノ酸配列を有するリコンビナーゼ酵素のN末端とリンカーを用いて融合される;より好ましくは、
ii. リコンビナーゼ標的部位の右半部位などの第2の半部位を特異的に認識する配列番号33のアミノ酸配列を有するリコンビナーゼ酵素のC末端が、リコンビナーゼ標的部位の左半部位などの第1の半部位を特異的に認識する配列番号32のアミノ酸配列を有するリコンビナーゼ酵素のN末端とリンカーを用いて融合される、
ように相互に結合された場合に、loxF8部位上でのヘテロ二量体の最良の活性が示された。
第1のリコンビナーゼ酵素、第2のリコンビナーゼ酵素及びリンカーが、
i. リコンビナーゼ標的部位の右半部位などの第2の半部位を特異的に認識する配列番号94のアミノ酸配列を有するリコンビナーゼ酵素のC末端が、リコンビナーゼ標的部位の左半部位などの第1の半部位を特異的に認識する配列番号93のアミノ酸配列を有するリコンビナーゼ酵素のN末端とリンカーを用いて融合される;より好ましくは、
ii. リコンビナーゼ標的部位の右半部位などの第2の半部位を特異的に認識する配列番号100のアミノ酸配列を有するリコンビナーゼ酵素のC末端が、リコンビナーゼ標的部位の左半部位などの第1の半部位を特異的に認識する配列番号99のアミノ酸配列を有するリコンビナーゼ酵素のN末端とリンカーを用いて融合される、
ように相互に結合された場合に、loxF8部位上でのヘテロ二量体のさらに最良の活性が示された。
したがって、本発明の完全融合タンパク質は、好ましい実施態様では、
i. 配列番号71又は配列番号103に記載の配列;又は最も好ましくは
ii. 配列番号72又は配列番号97に記載の配列
と少なくとも70%、好ましくは80%、より好ましくは90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有する。
さらなる実施態様では、本発明は、第1のリコンビナーゼ酵素、第2のリコンビナーゼ酵素及びリンカーが、
i. リコンビナーゼ標的部位の左半部位などの第1の半部位を特異的に認識する配列番号93のアミノ酸配列を有するリコンビナーゼ酵素のC末端が、リコンビナーゼ標的部位の右半部位などの第2の半部位を特異的に認識する配列番号94のアミノ酸配列を有するリコンビナーゼ酵素のN末端とリンカーを用いて融合される;より好ましくは、
ii. リコンビナーゼ標的部位の左半部位などの第1の半部位を特異的に認識する配列番号99のアミノ酸配列を有するリコンビナーゼ酵素のC末端が、リコンビナーゼ標的部位の右半部位などの第2の半部位を特異的に認識する配列番号100のアミノ酸配列を有するリコンビナーゼ酵素のN末端とリンカーを用いて融合される、
ように相互に結合された融合タンパク質を提供する。
本発明はさらに、本発明によるDNAリコンビナーゼ若しくはその単量体又は融合タンパク質をコードするポリヌクレオチド若しくは核酸などの核酸分子に関する。
本発明の「ポリヌクレオチド」又は「核酸」は、RNAの形態であっても、又はDNAの形態であってもよく;DNAは、cDNA、ゲノムDNA、組換えDNA及び合成DNAを含むと理解されるべきである。DNAは、二本鎖であっても、又は一本鎖であってよく、一本鎖の場合、コード鎖又は非コード(アンチセンス)鎖であってよい。ポリペプチドをコードするコード配列は、配列番号30~33、好ましくは配列番号32及び33に示されるポリペプチドのコード配列と同一であってよく、又は遺伝暗号若しくは一塩基多型の冗長性又は縮重の結果として、同じポリペプチドをコードする異なるコード配列であってもよい。例えば、配列番号30~33、93、94、99及び100のいずれか1つのポリペプチドのコード配列の全長を含むRNA転写物であってもよい。好ましい実施態様では、本発明による「ポリヌクレオチド」は、配列番号34~37、67、95、96、101及び102のうちの1つであり、配列番号34のポリヌクレオチドが配列番号30のDNAリコンビナーゼ単量体をコードし;配列番号35のポリヌクレオチドが配列番号31のDNAリコンビナーゼ単量体をコードし、配列番号36のポリヌクレオチドが配列番号32のDNAリコンビナーゼ単量体をコードし、配列番号37のポリヌクレオチドが配列番号33のDNAリコンビナーゼ単量体をコードし;配列番号67のポリヌクレオチドが配列番号66のDNAリコンビナーゼ単量体をコードし、配列番号95のポリヌクレオチドが配列番号93のDNAリコンビナーゼ単量体をコードし、配列番号96のポリヌクレオチドが配列番号94のDNAリコンビナーゼ単量体をコードし、配列番号101のポリヌクレオチドが配列番号99のDNAリコンビナーゼ単量体をコードし、かつ配列番号102のポリヌクレオチドが配列番号100のDNAリコンビナーゼ単量体をコードする。
配列番号30~33、66、93、94、99及び100、好ましくは配列番号32及び33、又は配列番号93及び94のポリペプチドをコードする核酸には、ポリペプチド単独のコード配列;ポリペプチドのコード配列と、リーダー若しくは分泌配列又はプロタンパク質配列などの追加のコード配列;及びポリペプチドのコード配列(及び場合により追加のコード配列)と、ポリペプチドのコード配列のイントロン又は非コード配列の5'及び/又は3'などの非コード配列を含み得るが、これらに限定されない。配列番号30~33、66、93、94、99及び100、好ましくは配列番号32及び33、又は配列番号93及び94のポリペプチドをコードする核酸には、ヒト細胞における発現のためにコドン最適化された核酸が含まれる。それらはさらに、核局在化配列を含んでよい。
そのため、用語「ポリペプチドをコードするポリヌクレオチド」又は用語「ポリペプチドをコードする核酸」は、本発明のDNAリコンビナーゼ酵素のコード配列のみを含むポリヌクレオチド又は核酸、例えば、配列番号30~33、66、93、94、99及び100から選択される、好ましくは配列番号32及び33の、又は配列番号93及び94のポリペプチド、並びに追加のコード配列及び/又は非コード配列を含むものを包含すると理解されるべきである。ポリヌクレオチド及び核酸という用語は、互換的に使用される。
本発明はまた、ポリペプチドのコード配列が、宿主細胞からのポリペプチドの発現及び分泌を助けるポリヌクレオチド配列に同じリーディングフレーム内で融合され得るポリヌクレオチドを含む;例えば、細胞からのポリペプチドの輸送を制御するための分泌配列として機能するリーダー配列を、そのように融合させてもよい。そのようなリーダー配列を有するポリペプチドは、プレタンパク質又はプレプロタンパク質と呼ばれ、リーダー配列が宿主細胞によって切断され、タンパク質の成熟型を形成し得る。これらのポリヌクレオチドは、N末端にさらなるアミノ酸残基を加えた成熟タンパク質であるプロタンパク質をコードするように5'伸長領域を有し得る。そのようなプロ配列を有する発現産物は、成熟タンパク質の不活性型であるプロタンパク質と呼ばれ;しかし、プロ配列が切断されると、活性成熟タンパク質が残る。追加の配列はまた、タンパク質に結合し、成熟タンパク質の一部となり得る。そのため、例えば、本発明のポリヌクレオチドは、ポリペプチド、又はプロ配列を有するタンパク質、又はプロ配列とプレ配列の両方を有するタンパク質(リーダー配列など)をコードし得る。
本発明のポリヌクレオチドはまた、本発明のポリペプチドの精製を可能にするマーカー配列にインフレームで融合されたコード配列を有してよい。マーカー配列は、ポリヒスチジンタグ、ストレプトアビジンタグ、Xpressタグ、FLAGタグ、セルロース又はキチン結合タグ、グルタチオン-Sトランスフェラーゼタグ(GST)、ヘマグルチニン(HA)タグ、c-mycタグ若しくはV5タグなどの親和性タグ又はエピトープタグであり得る。
HAタグは、インフルエンザ・ヘマグルチニンタンパク質から得られたエピトープ(Wilsonらの文献, 1984)に対応し、c-mycタグは、ヒトMycタンパク質(Evansらの文献, 1985)からのエピトープであり得る。
本発明の核酸が、特に医薬として使用するためのmRNAである場合、mRNA治療薬の送達は、mRNAの翻訳及び安定性の最大化、その免疫刺激活性の防止及びインビボ送達技術の開発における著しい進歩によって促進されている。5'キャップと3'ポリ(A)テールは、成熟真核生物mRNAの効率的な翻訳と半減期の延長に対して主に貢献している。ARCA(抗リバースキャップ類似体)などのキャップ類似体及び120~150 bpのポリ(A)テールをインビトロ転写(IVT) mRNAに組み込むと、コードされるタンパク質の発現及びmRNAの安定性が著しく改善された。1,2-ジチオ二リン酸修飾キャップなどの新しい種類のキャップ類似体は、RNA脱キャッピング複合体に対する耐性を有し、RNA翻訳の効率をさらに向上させることができる。mRNAタンパク質コード配列内の希少コドンを頻繁に生じる同義コドンで置き換える、いわゆるコドン最適化すると、より良好な効率のタンパク質合成を促進し、希少コドンによるmRNA不安定化を制限するため、転写産物の加速された分解を防止する。同様に、RNA結合タンパク質(RBP)及びmiRNAのリクルートに関与する配列を含む3'及び5'非翻訳領域(UTR)を操作すると、タンパク質産物のレベルを高めることができる。興味深いことに、UTRは、調節エレメント(例えば、K-turnモチーフ及びmiRNA結合部位)をコードするように意図的に改変することができ、細胞特異的にRNA発現を制御する手段を提供する。N1-メチル-プソイドウリジンなどのいくつかのRNA塩基修飾は、mRNA免疫刺激活性をマスキングするのに役立つだけでなく、翻訳開始を増強することによってmRNA翻訳を増加させることも示されている。タンパク質の翻訳に対する観察された効果に加えて、塩基修飾とコドン最適化はmRNAの二次構造に影響を与え、それが今度は翻訳に影響を与える。本発明の核酸分子のそれぞれの修飾もまた、本発明によって企図される。
本発明はさらに、配列間で少なくとも70%、好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%の同一性又は類似性があり、そのため、類似の生物学的活性を有するタンパク質をコードする本明細書上記の配列にハイブリダイズするポリヌクレオチドを提供すると考えられる。さらに、当技術分野で知られているように、アミノ酸配列が配列中の個々の残基について同一の又は保存されたアミノ酸置換を含む場合、2つのポリペプチド間に「類似性」が存在する。同一性及び類似性は、配列解析ソフトウェア(例えば、PBIL(Pole Bioinformatique Lyonnais)のClustalW http://npsa-pbil.ibcp.fr)を用いて測定され得る。本発明は特に、本明細書上記のポリヌクレオチドにストリンジェントな条件下でハイブリダイズするようなポリヌクレオチドを提供する。
適切なストリンジェント条件は、例えば、プレハイブリダイゼーション及びハイブリダイゼーション溶液中の塩又はホルムアミドの濃度、又はハイブリダイゼーション温度によって定義することができ、当技術分野において周知である。特に、ストリンジェンシーは、塩の濃度を低下させることによって、ホルムアミドの濃度を増加させることによって、及び/又はハイブリダイゼーション温度を上昇させることによって増加させることができる。
例えば、高ストリンジェンシー条件下でのハイブリダイゼーションは、約37℃~42℃で、約50%のホルムアミドを採用し得るが、低減されたストリンジェンシー条件下でのハイブリダイゼーションは、約30℃~35℃で、約35%から25%のホルムアミドを採用し得る。高ストリンジェンシー条件下でのハイブリダイゼーションのための1つの特定の条件セットは、42℃で、50%のホルムアミド、5x SSPE、0.3%のSDS、及び200μg/mlの剪断及び変性済みサケ精子DNAを採用する。低減されたストリンジェンシー下でのハイブリダイゼーションの場合に、35℃の低減された温度で、35%のホルムアミドで上記と類似の条件を使用してよい。特定のレベルのストリンジェンシーに対応する温度範囲は、関心のある核酸のプリン対ピリミジン比を計算し、それに応じて温度を調整することによってさらに狭めることができる。上記の範囲及び条件のバリエーションは、当技術分野において周知である。好ましくは、ハイブリダイゼーションは、配列間に少なくとも95%、より好ましくは少なくとも97%の同一性がある場合にのみ生じるべきである。好ましい実施態様では本明細書上記のポリヌクレオチドにハイブリダイズするポリヌクレオチドは、配列番号30~33、66、93、94、99及び100、好ましくは配列番号32及び33の、又は配列番号93及び94の成熟タンパク質と実質的に同一の生物学的機能又は活性を示すポリペプチドをコードする。
前述のように、適切なポリヌクレオチドプローブは、少なくとも14塩基、好ましくは30塩基、より好ましくは少なくとも50塩基を有してよく、本明細書上記のようにそれと同一性を有する本発明のポリヌクレオチドにハイブリダイズする。例えば、そのようなポリヌクレオチドは、例えば、そのようなポリヌクレオチドの回収のため、又は診断プローブとして、又はPCRプライマーとして、それぞれ配列番号34~37、67、95、96、101及び102のポリヌクレオチドなどの、配列番号30~33、66、93、94、99及び100のポリペプチドをコードするポリヌクレオチドにハイブリダイズするためのプローブとして採用してよい。そのため、本発明は、配列番号30~33、66、93、94、99及び100のポリペプチド、並びに好ましくは少なくとも30塩基、より好ましくは少なくとも50塩基を有するそれらの断片をコードする配列番号34~37、67、95、96、101及び102のポリヌクレオチドと少なくとも70%の同一性、好ましくは少なくとも90%の同一性、より好ましくは少なくとも95%の同一性を有するポリヌクレオチドを含む。
本明細書で互換的に使用される用語「相同性」又は「同一性」は、2つのポリヌクレオチド配列間又は2つのポリペプチド配列間の配列類似性を指し、同一性はより厳密な比較である。「パーセント同一性又は相同性」及び「同一性又は相同性」という語句は、2以上のポリヌクレオチド配列又は2以上のポリペプチド配列の比較において見出される配列類似性の割合を指す。「配列類似性」は、2以上のポリヌクレオチド配列間の(任意の適切な方法によって決定される)塩基対配列におけるパーセント類似性を指す。2以上の配列は、0~100%のどこか、又はその間の任意の整数値の類似度であり得る。同一性又は類似性は、比較の目的で整列させることができる各配列内の位置を比較することによって決定することができる。比較される配列内の位置が同じヌクレオチド塩基又はアミノ酸によって占有される場合、分子はその位置で同一である。ポリヌクレオチド配列間の類似性又は同一性の程度は、ポリヌクレオチド配列によって共有される位置における同一の又は一致するヌクレオチドの数の関数である。
ポリペプチド配列の同一性の程度は、ポリペプチド配列によって共有される位置における同一アミノ酸の数の関数である。ポリペプチド配列の相同性又は類似性の程度は、ポリペプチド配列によって共有される位置におけるアミノ酸の数の関数である。本明細書で使用される用語「実質的に同一」は、少なくとも70%、75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又はそれ以上の同一性又は相同性を指す。
配列同一性の程度は、クエリ配列として1つの配列を選択し、blastpアルゴリズム(NCBI)を用いてGenBankから取得した相同配列と、インターネットベースツールのClustalWを用いて整列させることによって決定される。
当技術分野において周知であるように、遺伝暗号は、特定のアミノ酸が2以上のヌクレオチドトリプレット(コドン)によってコードされるという点で冗長であり、本発明は、本明細書の配列に具体的に例示されるものとは異なるコドンを用いて同じアミノ酸をコードするポリヌクレオチド配列を含む。そのようなポリヌクレオチド配列は、本明細書では「等価」ポリヌクレオチド配列と呼ばれる。本発明はさらに、配列番号30~33、66、93、94、99及び100のポリペプチドのタンパク質、類似体並びに誘導体の一部又は全部などの、断片をコードする本明細書上記のポリヌクレオチドのバリアントを含む。ポリヌクレオチドのバリアント形態は、天然に存在するポリヌクレオチドの対立遺伝子バリアント又は天然に存在しないポリヌクレオチドのバリアントであり得る。例えば、核酸のバリアントは、単に遺伝暗号の縮重に起因するアミノ酸のコドン配列の違いであり得るか、又は欠失バリアント、置換バリアント及び付加若しくは挿入のバリアントが存在し得る。当技術分野で知られているように、対立遺伝子バリアントは、ポリヌクレオチド配列の代替形態であり、コードされるポリペプチドの生物学的機能を実質的に変更しない1以上のヌクレオチドの置換、欠失又は付加を有し得る。
より好ましい実施態様では、本発明のポリヌクレオチドは、本発明の完全融合タンパク質をコードし、より好ましくはDNAリコンビナーゼのヘテロ二量体をコードし、前記ヘテロ二量体は、リコンビナーゼ標的部位の上流標的配列及び下流標的配列の認識のための配列番号30、32、93又は99に記載の配列と少なくとも70%、好ましくは80%、より好ましくは90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有する第1のリコンビナーゼ酵素、及び配列番号31、33、94又は100に記載の配列と少なくとも70%、好ましくは80%、より好ましくは90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有する第2のリコンビナーゼ酵素を含み、前記ポリヌクレオチドは、本明細書に記載のリンカーをさらにコードする。
一実施態様では、本発明のポリヌクレオチドは、配列番号34の核酸及び配列番号35の核酸、並びにリンカーオリゴペプチドをコードする核酸を含む。
さらなる実施態様では、本発明のポリヌクレオチドは、配列番号36の核酸及び配列番号37の核酸、並びにリンカーオリゴペプチドをコードする核酸を含む。
さらなる実施態様では、本発明のポリヌクレオチドは、配列番号95の核酸及び配列番号96の核酸、並びにリンカーオリゴペプチドをコードする核酸を含む。
さらなる実施態様では、本発明のポリヌクレオチドは、配列番号101の核酸及び配列番号102の核酸、並びにリンカーオリゴペプチドをコードする核酸を含む。
リンカーオリゴペプチドをコードする核酸は、好ましくは配列番号38~54から選択される核酸である(実施例2の表3参照)。
より好ましくは、リンカーオリゴペプチドをコードする核酸は、好ましくは配列番号55~63から選択される核酸である(実施例2の表4参照)。
最も好ましくは、本発明の融合タンパク質をコードする核酸は
i. 配列番号34、35及び61の配列を有する核酸;配列番号64の核酸など;又は
ii. 配列番号36、37及び61の配列を有する核酸;配列番号65の核酸など;又は
iii. 配列番号93、94及び61の配列を有する核酸;配列番号98の核酸など;又は
iv. 配列番号99、100及び61の配列を有する核酸;配列番号104の核酸など;又は
v. 配列番号95及び96の配列を有する核酸;又は
vi. 配列番号101及び102の配列を有する核酸;
vii. 配列番号34及び35の配列を有する;又は
viii. 配列番号36及び37の配列を有する核酸;又は
ix. 配列番号67の核酸
を含む核酸である。
最も好ましくは、本発明の融合タンパク質をコードする核酸は、配列番号64を含むか又はそれからなる核酸である。
さらに最も好ましくは、本発明の融合タンパク質をコードする核酸は、配列番号65を含むか又はそれからなる核酸である。
さらに最も好ましくは、本発明の融合タンパク質をコードする核酸は、配列番号98を含むか又はそれからなる核酸である。
さらに最も好ましくは、本発明の融合タンパク質をコードする核酸は、配列番号104を含むか又はそれからなる核酸である。
本発明はまた、そのようなポリヌクレオチドを含むベクター、そのようなベクターで遺伝子操作された宿主細胞、並びに前述のものを用いた組換え技術による配列番号30~33、66、93、94、99及び100、好ましくは配列番号32及び33の、又は配列番号93及び94のポリペプチドの生成を含む。宿主細胞は、例えばクローニングベクター又は発現ベクターであり得るそのようなベクターで遺伝子操作(形質導入又は形質転換又はトランスコンジュゲート又はトランスフェクト)される。ベクターは、例えば、プラスミド、コンジュゲートプラスミド、ウイルス粒子、ファージなどの形態であってよい。ベクター又は遺伝子は、特異的部位又は非特異的部位で染色体に組み込まれてよい。相同組換え又はトランスポザーゼ媒介組込みなどの組換えDNAのゲノム組込みの方法は、当技術分野において周知である。操作された宿主細胞は、プロモーターを活性化するか、形質転換体を選択するか、又は本発明の遺伝子を増幅するために適宜改変された従来の栄養培地で培養することができる。温度、pHなどの培養条件は、当業者に周知である発現用に選択される宿主細胞と共に一般に用いられるものである。宿主細胞は、本明細書に記載の核酸若しくは組換えポリヌクレオチド分子又は発現ベクターを含む哺乳動物細胞、昆虫細胞、植物細胞又は細菌宿主細胞であり得る。
発現ベクター中のポリヌクレオチド配列は、mRNA合成を指示するために、適切な発現制御配列(複数可)(プロモーター)に作用可能に結合される。そのようなプロモーターの代表例として、LTR又はSV40プロモーター、大腸菌lac、ara、rha又はtrp、ファージラムダPLプロモーター及び原核細胞若しくは真核細胞又はそれらのウイルスにおける遺伝子の発現を制御することが知られている他のプロモーターを挙げることができる。
当業者は、例えば、哺乳動物細胞又は細菌細胞などの特定の細胞におけるベクターの生成のために、所望の特性に基づいてベクターを選択することができる。
種々の誘導性プロモーター又はエンハンサーのいずれかを、本発明の抗体又は調節され得る核酸の発現のためのベクターに含めることができる。そのような誘導システムには、例えばテトラサイクリン誘導システム;重金属によって誘導されるメタロチオネインプロモーター;エクジソン又はムリステロンなどの関連ステロイドに応答する昆虫ステロイドホルモン;グルココルチコイド及びエストロゲンなどのステロイドによって誘導されるマウス乳房腫瘍ウイルス(MMTV);及び温度変化によって誘導可能なヒートショックプロモーター;ラットニューロン特異的エノラーゼ遺伝子プロモーター;ヒトβ-アクチン遺伝子プロモーター;ヒト血小板由来成長因子B(PDGF-B)鎖遺伝子プロモーター;ラットナトリウムチャネル遺伝子プロモーター;ヒト銅-亜鉛スーパーオキシドジスムターゼ遺伝子プロモーター;及び哺乳動物POUドメイン調節遺伝子ファミリーのメンバーのためのプロモーターが含まれる。
プロモーター又はエンハンサーを含む調節エレメントは、構成的であるか又は調節の性質に応じて調節することができる。調節配列又は調節エレメントは、ポリヌクレオチド配列と調節配列との間の物理的及び機能的関係がポリヌクレオチド配列の転写を可能にするように、本発明のポリヌクレオチド配列の1つに作用可能に結合される。真核細胞での発現に有用なベクターには、例えば、CAGプロモーター、SV40初期プロモーター、サイトメガロイルス(CMV)プロモーター、マウス乳房腫瘍ウイルス(MMTV)ステロイド誘導性プロモーター、Pgtf、モロニーマウス白血病ウイルス(MMLV)プロモーター、thy-1プロモーターなどを含む調節エレメントが含まれ得る。
所望により、ベクターは、選択マーカーを含むことができる。本明細書で使用される「選択マーカー」は、選択マーカーが導入された細胞に選択可能な表現型を提供する遺伝子エレメントを指す。選択マーカーは、一般に、その遺伝子産物が細胞増殖を阻害するか、又は細胞を殺す薬剤に対する耐性を提供する遺伝子である。例えば、Ausubelらの文献, 1999及び米国特許第5,981,830号に記載の、例えばNeo、Hyg、hisD、Gpt及びBle遺伝子を含む様々な選択マーカーを本発明のDNAコンストラクトにおいて使用することができる。選択マーカーの存在を選択するのに有用な薬物には、例えば、NeoについてはG418、Hygについてはハイグロマイシン、hisDについてはヒスチジノール、Gptについてはキサンチン、及びBleについてはブレオマイシンが含まれる。本発明のDNAコンストラクトは、陽性選択マーカー、陰性選択マーカー、又はその両方を組み込むことができる。
組換えタンパク質を発現させるために種々の哺乳動物細胞培養系も採用することができる。哺乳動物発現系の例には、サル腎臓線維芽細胞のCOS-7株が含まれる。適合性ベクターを発現し得る他の細胞株には、例えば、C127、3T3、CHO、HeLa及びBHK細胞株が含まれる。哺乳動物発現ベクターには、一般に、複製起点、適切なプロモーター及びエンハンサー、並びに任意の必要なリボソーム結合部位、ポリアデニル化部位、スプライスドナー及びアクセプター部位、転写終結配列、及び5'隣接非転写配列も含まれる。SV40スプライスに由来するDNA配列、及びポリアデニル化部位は、必要な非転写遺伝子エレメントを提供するために使用され得る。
ポリペプチドは、硫酸アンモニウム又はエタノール沈殿、酸抽出、陰イオン又は陽イオン交換クロマトグラフィー、リン酸化セルロースクロマトグラフィー、疎水性相互作用クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィー、ヒドロキシルアパタイトクロマトグラフィー及びレクチンクロマトグラフィーを含む方法によって組換え細胞培養物から回収及び精製することができる。ポリペプチドが細胞の表面で発現している場合には、回収を容易にすることができるが、そのようなことは前提条件ではない。また、より長いポリペプチド形態の発現後に切断される切断生成物の回収が望ましい場合がある。この技術分野において知られているようなタンパク質リフォールディング工程は、必要に応じて、成熟タンパク質の立体配置を完成させるために使用することができる。高速液体クロマトグラフィー(HPLC)は、最終精製工程に採用することができる。
本発明のさらなる実施態様に従って、例えば、対象における本発明の融合タンパク質の発現を全身的又は局所的に増加させるのに使用するための遺伝子治療ベクターが提供される。遺伝子治療ベクターは、ゲノム編集によって治療することができる疾患、特に血友病Aの予防、緩和、改善、軽減、阻害、及び/又は治療に使用される。遺伝子治療ベクターは、典型的には、本発明の融合タンパク質をコードするポリヌクレオチドを含む発現カセットを含む。一実施態様では、ベクターはウイルスベクターである。好ましい実施態様では、ウイルスベクターは、アデノウイルス、レトロウイルス、レンチウイルス、ヘルペスウイルス及びアデノ随伴ウイルス(AAV)からなる群から選択されるウイルスに由来する。より好ましい実施態様では、ベクターは、アデノ随伴ウイルス(AAV)血清型1~11、又は任意のサブグループ又はそれらの任意の操作された形態の1以上に由来する。別の実施態様では、ウイルスベクターは、アニオン性リポソームに封入される。
別の実施態様では、ベクターは、非ウイルスベクターである。好ましい実施態様では、非ウイルスベクターは、裸のDNA、カチオン性リポソーム複合体、カチオン性ポリマー複合体、カチオン性リポソーム-ポリマー複合体、及びエキソソームからなる群から選択される。
ベクターがウイルスベクターである場合、発現カセットは、適切には(転写されるmRNAの観点から)5'から3'方向に作用可能に結合される第1の逆末端反復、エンハンサー、プロモーター、本発明の融合タンパク質をコードするポリヌクレオチド、3'非翻訳領域、ポリアデニル化(polyA)シグナル、及び第2の逆末端反復を含む。プロモーターは、例えば、サイトメガロイルス(CMV)プロモーター及びニワトリベータアクチン(CAG)プロモーターからなる群から選択される。ポリヌクレオチドは、好ましくはDNA又はcDNA又はRNA又はmRNAを含む。好ましい実施態様では、本発明の融合タンパク質をコードするポリヌクレオチドは、配列番号30、配列番号31、配列番号32、配列番号33、配列番号66、配列番号93、配列番号94、配列番号99及び配列番号100のポリペプチドの1以上を含む。最も好ましい実施態様では、本発明の融合タンパク質をコードするポリヌクレオチドは、配列番号64、配列番号65、配列番号67、配列番号98及び配列番号104のうちの1以上と少なくとも約75%、80%、85%又は90%の配列同一性、例えば、少なくとも約91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%の配列同一性を有する。
本発明はさらに、医薬として使用するための本発明の融合タンパク質又は本発明の核酸分子、組換えポリヌクレオチド若しくは発現ベクターに関する。より好ましい実施態様では、本発明はさらに、ゲノム編集によって治療することができる疾患、特に血友病Aの予防又は治療に使用するための本発明の融合タンパク質又は本発明の核酸分子、組換えポリヌクレオチド若しくは発現ベクターに関する。
さらなる実施態様では、本発明は、ゲノム編集によって治療することができる疾患、特に血友病Aの予防又は治療のための医薬の調製のための本発明の融合タンパク質又は本発明の核酸分子、組換えポリヌクレオチド若しくは発現ベクターの使用に関する。
さらなる実施態様では、本発明は、ゲノム編集によって治療することができる疾患、特に血友病Aの予防又は治療方法であって、治療有効量の本発明の融合タンパク質又は本発明の核酸分子、組換えポリヌクレオチド若しくは発現ベクターを、それを必要とする患者に投与することを含む方法に関する。
本発明の融合タンパク質又は本発明の核酸分子、組換えポリヌクレオチド若しくは発現ベクターは、重篤型の血友病Aの治療に特に適している。
本発明の融合タンパク質又は本発明の核酸分子、組換えポリヌクレオチド若しくは発現ベクターは、場合により、1以上の治療上許容し得る希釈剤又は担体をさらに含有し得る医薬組成物にさらに含めることができる。
例えば、血友病Aなどのゲノム編集によって治療することができる障害を予防又は治療するのに使用するための医薬組成物で、本発明による1以上の融合タンパク質をコードするポリヌクレオチドの核酸配列を含むか、又は治療上活性のある量の本発明の融合タンパク質をコードする核酸を含むか、又は治療上活性のある量の本発明の組換え融合タンパク質を含む(共に「治療活性剤」と命名される)治療有効量のベクターを含む医薬組成物が提供される。
本発明の治療上活性のある薬剤及び組成物の単回投与量又は総1日投与量は、健全な医学的判断の範囲内で主治医によって決定されることが理解されよう。任意の特定の患者についての特異的治療有効用量レベルは、治療される障害及び障害の重症度;採用される特異的化合物の活性;採用される特異的組成物、患者の年齢、体重、一般的な健康状態、性別及び食事;採用される特異的化合物の投与期間、投与経路、及び排出速度;治療期間;採用される特異的核酸又はポリペプチドと組み合わせて、若しくは一緒に使用される薬物;並びに医学分野で周知の要因などを含む種々の要因に依存する。例えば、所望の治療効果を達成するのに必要なレベルよりも低いレベルで化合物の投与を開始し、所望の効果が達成されるまで投与量を徐々に増加させることは、十分に当業者の範囲内である。しかし、生成物の1日投与量は、成人1日当たり広範囲にわたって変化し得る。投与されるべき本発明によるベクターなどの治療上活性のある薬剤の治療有効量、並びに本明細書に記載の多数のウイルス若しくは非ウイルス粒子及び/又は医薬組成物で病理学的状態を治療するための投与量は、患者の年齢及び状態、障害(disturbance)又は障害(disorder)の重症度、投与方法及び投与頻度並びに使用される特定のペプチドを含む多数の要因に依存する。
本発明による治療活性剤を含有する医薬組成物は、選択された投与様式に適する任意の形態であってよい。
一実施態様では、本発明の医薬組成物は、非経口的に投与される。
本明細書で使用される語句「非経口投与」及び「非経口的に投与される」は、経腸及び局所投与以外の、通常は注射による投与様式を意味し、表皮内、静脈内、筋肉内、動脈内、髄腔内、嚢内、眼窩内、心臓内、皮内、腹腔内、腱内、経気管、皮下、表皮下、関節内、嚢下、くも膜下内、脊髄内、頭蓋内、胸腔内、硬膜外及び胸骨内の注射並びに注入を含む。
本発明の治療活性剤は、単独の活性剤として、又は他の活性剤と組み合わせて、単位投与形態で、従来の医薬支持体との混合物として、動物及びヒトに投与することができる。
さらなる実施態様では、該医薬組成物は、注射され得る製剤用の医薬として許容し得るビヒクルを含有する。これらは、特に等張性の滅菌生理食塩水(リン酸一ナトリウム若しくはリン酸二ナトリウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム若しくは塩化マグネシウムなど、又はそのような塩の混合物)、又は乾燥、特に凍結乾燥組成物であり得、これは、添加時に、滅菌水又は生理食塩水の場合に応じて、注射可能な溶液の構成を可能にする。
注射可能な使用に適する医薬形態には、滅菌水溶液又は分散液;ゴマ油、落花生油又は水性プロピレングリコールを含む製剤;及び滅菌注射可能な溶液又は分散液の即時調製用の滅菌粉末が含まれる。全ての場合において、該形態は、無菌でなければならず、液体でなければならない。それは、製造及び貯蔵の条件下で安定でなければならず、細菌及び真菌などの微生物の混入作用に対して保存されなければならない。
遊離塩基又は薬理学的に許容し得る塩として治療上活性のある薬剤を含む溶液は、ヒドロキシプロピルセルロースなどの界面活性剤と適切に混合された水で調製することができる。分散液はまた、グリセロール、液体ポリエチレングリコール、及びそれらの混合物及び油類で調製することもできる。貯蔵及び使用の通常の条件下では、これらの調製物は、微生物の増殖を防止するための防腐剤を含有する。
治療上活性のある薬剤は、中性又は塩の形態の組成物に製剤化することができる。医薬として許容し得る塩は、酸付加塩(タンパク質の遊離アミノ基で形成される)を含み、例えば、塩酸若しくはリン酸などの無機酸、又は酢酸、シュウ酸、酒石酸、マンデル酸などの有機酸と形成される。遊離カルボキシル基と形成される塩はまた、ナトリウム、カリウム、アンモニウム、カルシウム、又は水酸化第二鉄などの無機塩基、及びイソプロピルアミン、トリメチルアミン、ヒスチジン、プロカインなどの有機塩基に由来し得る。
担体はまた、例えば、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、及び液体ポリエチレングリコールなど)、それらの適切な混合物、及び植物油を含む溶媒又は分散媒として存在し得る。適切な流動性は、例えば、レシチンなどのコーティングの使用によって、分散液の場合に必要な粒径の維持によって、及び界面活性剤の使用によって維持することができる。微生物作用の防止は、種々の抗菌剤及び抗真菌剤、例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノール、ソルビン酸、チメロサールなどによってもたらされ得る。多くの場合、等張化剤、例えば、糖類又は塩化ナトリウムを含むことが好ましい。注射用組成物の長期吸収は、吸収を遅延させる薬剤、例えば、モノステアリン酸アルミニウム及びゼラチンの組成物中での使用によってもたらされ得る。
滅菌注射用溶液は、必要に応じて、上記に列挙した他の成分のいくつかと共に適切な溶媒中に必要量の活性ポリペプチドを組込み、続いて濾過滅菌することによって調製される。一般に、分散液は、上記に列挙したものから塩基性分散媒及び必要な他の成分を含有する滅菌ビヒクルに種々の滅菌活性成分を組込むことによって調製される。滅菌注射用溶液の調製のための滅菌粉末の場合には、好ましい調製方法は、予め滅菌濾過した溶液から活性成分プラス任意の追加の所望の成分の粉末をもたらす真空乾燥及び凍結乾燥技術である。
製剤化に際し、溶液は、投薬製剤と適合性のある様式で、かつ治療上有効である量で投与することができる。該製剤は、上記の注射用溶液の種類など種々の剤形で容易に投与されるが、薬物放出カプセルなども採用できる。複数回用量でも投与することができる。適切な場合、本明細書に記載の治療活性剤は、送達のための任意の適切なビヒクルで製剤化され得る。例えば、それらは、医薬として許容し得る懸濁液、溶液又はエマルジョンに入れられ得る。適切な培地には、生理食塩水及びリポソーム調製物が含まれる。より具体的には、医薬として許容し得る担体は、非水性溶液、懸濁液、及びエマルジョンの滅菌水性担体を含む。非水性溶媒の例は、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、オリーブ油などの植物油、及びオレイン酸エチルなどの注射用有機エステルである。水性担体には、生理食塩水及び緩衝媒体を含む水、アルコール性/水性溶液、エマルジョン又は懸濁液が含まれるが、これらに限定されない。静脈内ビヒクルには、体液及び栄養素補充剤、電解質補充剤(リンゲルデキストロースに基づくものなどの)などが含まれる。
例えば、抗菌剤、抗酸化剤、キレート剤、及び不活性ガスなどの防腐剤及び他の添加剤も存在してよい。
コロイド分散系も、標的遺伝子送達のために使用され得る。コロイド分散系には、巨大分子複合体、ナノカプセル、ミクロスフェア、ビーズ、及び水中油型エマルジョン、ミセル、混合ミセル、及びリポソームを含む脂質ベース系が含まれる。
適切な治療レジメンは、医師が決定することができ、対象の年齢、性別、体重、及び疾患の病期に依存する。一例として、ウイルス発現ベクターを用いた本発明の融合タンパク質をコードする核酸配列の送達のために、融合タンパク質発現ベクターの各単位投与量は、例えば、1mlあたり1011~1016の範囲のウイルスゲノム濃度で医薬として許容し得る流体にウイルス発現ベクターを含む2.5μl~100μlの組成物を含み得る。
組換えポリペプチドの形態で本発明の融合体を投与するための有効投与量及び投与計画は、治療すべき疾患又は状態に依存し、当業者によって決定され得る。本発明の融合タンパク質の治療有効量についての例示的で非限定的な範囲は、約0.1~10 mg/kg/体重、0.1~5 mg/kg/体重など、例えば、0.1~2 mg/kg/体重、0.1~1 mg/kg/体重など、例えば、約0.15、約0.2、約0.5、約1、約1.5又は約2 mg/kg/体重である。
当技術分野の通常の技術を有する医師又は獣医師は、必要な医薬組成物の有効量を容易に決定及び処方することができる。例えば、医師又は獣医師は、所望の治療効果を達成するのに必要とされるレベルよりも低いレベルで医薬組成物に採用される本発明の治療活性剤の用量から開始し、所望の効果が達成されるまで投与量を徐々に増加させることができた。一般に、本発明の組成物の適切な1日用量は、治療効果が生じるのに有効な最低用量である送達系の量である。そのような有効用量は、一般に、上記の要因に依存する。投与は、例えば、静脈内、筋肉内、腹腔内、又は皮下であってよく、例えば、標的部位の近位に投与される。所望により、医薬組成物の有効1日用量は、任意に、単位剤形で、1日を通して適切な間隔で別々に投与される2回、3回、4回、5回、6回又はそれ以上のサブ用量として投与され得る。本発明の送達系を単独で投与することも可能であるが、上記の医薬組成物としての送達系で投与することが好ましい。
上記及び本明細書に記載の治療活性剤を含むキットがさらに提供される。一実施態様では、該キットは、対象への投与の準備ができている1以上の単位剤形で、例えば、プリロードシリンジ又はアンプル中に調製された治療活性剤を提供する。別の実施態様では、該治療活性剤は、凍結乾燥形態で提供される。
さらなる実施態様では、本発明は、宿主細胞培養物中でのゲノムレベルでの組換えを決定するための方法であって、本発明による効率的かつ特異的なゲノム編集のための融合タンパク質を含み、
i. 第1のリコンビナーゼ酵素をコードする核酸分子を提供する工程、ここで、前記第1のリコンビナーゼ酵素は、リコンビナーゼ標的部位の第1の半部位を特異的に認識するように指向性進化又は合理的な設計によって進化されており;
ii. 第2のリコンビナーゼ酵素をコードする核酸分子を提供する工程、ここで、前記第2のリコンビナーゼ酵素は、リコンビナーゼ標的部位の第2の半部位を特異的に認識するように指向性進化又は合理的設計によって進化されており;
iii. リンカーペプチドをコードする核酸分子を提供する工程、ここで、前記核酸は、4~60個のアミノ酸を含むリンカーオリゴペプチドをコードし;
iv. 第1のリコンビナーゼ酵素をコードする核酸分子、第2のリコンビナーゼ酵素をコードする核酸分子及びリンカーペプチドをコードする核酸分子を、第1のレポータータンパク質を発現させるための第1のレポーター遺伝子をさらに含む発現ベクターにクローニングすることによって発現ベクターを作製する工程;
v. 宿主細胞を工程iv)の発現ベクターでトランスフェクトし、第2のレポータータンパク質を発現させるための第2のレポーター遺伝子を含むレポータープラスミドで該宿主細胞をトランスフェクトする工程;
vi. 第1のリコンビナーゼ酵素、第2のリコンビナーゼ酵素及びリンカーペプチドを含む融合タンパク質であって、前記第1のレポーター遺伝子に融合される前記融合タンパク質を発現させる工程と、第2のレポータータンパク質を発現させる工程;
vii. 第1のレポータータンパク質及び第2のレポータータンパク質の二重発現を示し、組換えの成功を示す細胞を特定する工程
を含む方法を提供する。
工程ivによる適切な第1レポーター遺伝子は、EGFPをコードする遺伝子である。その結果、適切な第1のレポータータンパク質はEGFPである。
工程v.による適切な第2のレポーター遺伝子は、mCherryをコードする遺伝子である。その結果、適切な第2のレポータータンパク質はmCherryである。
このシステムは、発現プラスミドとレポータープラスミドの両方でトランスフェクトした細胞のトランスフェクション効率をGFP蛍光に基づいて測定できる利点を有する。GFPとmCherry二重陽性細胞は、ヒト細胞におけるレポーターの組換えを反映する。ヒト細胞におけるレポータープラスミドの組換え効率を計算するために、二重陽性細胞をトランスフェクション効率に正規化することができる。
本明細書に記載の融合タンパク質を、血友病Aを引き起こしているF8遺伝子におけるエクソン1の大きな遺伝子反転を修正するために開発した。ゲノムレベルに対するヘテロ二量体の反転効力を調べるために、実施例9に記載のインビトロリコンビナーゼアッセイを開発した。リコンビナーゼ発現細胞におけるゲノムレベルに対する反転効力は、非融合ヘテロ二量体については20.3%、融合ヘテロ二量体については42.7%であることがわかった。そのため、本発明のリンカーによるリコンビナーゼヘテロ二量体の融合は、2倍高い反転率をもたらす。
したがって、本発明は、さらなる実施態様では、本発明による効率的かつ特異的なゲノム編集のための融合タンパク質又はDNAリコンビナーゼを含む細胞におけるゲノムレベルでのDNA配列の反転の方法であって、
i. 第1のリコンビナーゼ酵素をコードする核酸分子を提供する工程、ここで、前記第1のリコンビナーゼ酵素は、リコンビナーゼ標的部位の第1の半部位を特異的に認識するように指向性進化又は合理的な設計によって進化されており;
ii. 第2のリコンビナーゼ酵素をコードする核酸分子を提供する工程、ここで、前記第2のリコンビナーゼ酵素は、リコンビナーゼ標的部位の第2の半部位を特異的に認識するように指向性進化又は合理的設計によって進化されており;
iii. リンカーペプチドをコードする核酸分子を提供する工程、ここで、前記核酸は、6~30個のアミノ酸を含むリンカーオリゴペプチドをコードし;
iv. 第1のリコンビナーゼ酵素をコードする核酸分子、第2のリコンビナーゼ酵素をコードする核酸分子及びリンカーペプチドをコードする核酸分子を発現ベクターにクローニングすることによって発現ベクターを作製する工程;
v. 反転させるDNA配列を含む細胞に、工程iv)の発現ベクター、本明細書に記載の融合タンパク質をコードするRNA分子又は本明細書に記載の融合タンパク質を送達する工程;
vi. 前記細胞においてヒト染色体上でDNA配列を反転させる工程
を含む方法を提供する。
好ましくは、工程v.の融合タンパク質は、本明細書に記載の本発明の融合タンパク質であり、より好ましくはリコンビナーゼの上流標的部位及び下流標的部位の第1の半部位並びに第2の半部位、最も好ましくはloxF8リコンビナーゼの配列番号17の上流標的部位及び配列番号18の下流標的部位又はその逆相補配列を認識する。
さらなる実施態様では、細胞内でのゲノムレベルのDNA配列の反転のための前記方法は、
v. a)第1のリコンビナーゼ酵素、第2のリコンビナーゼ酵素及びリンカーペプチドを含む融合タンパク質を発現させる工程をさらに含み、
前記方法の工程v.で、工程iv.の発現ベクター又は本明細書に記載の融合タンパク質をコードするRNA分子が、例えば、トランスフェクションによって前記細胞内に送達される。
一実施態様では、ゲノムレベルでのDNA配列の反転の方法は、遺伝子操作された宿主細胞において行われる。
好ましい実施態様では、ゲノムレベルでのDNA配列の反転の方法は、患者、より好ましくは血友病Aに罹患している患者に由来するヒト細胞においてインビトロで行われる。
さらに好ましい実施態様では、ゲノムレベルでのDNA配列の反転の方法は、患者、特に血友病Aに罹患している患者においてインビボで行われる。
(本発明の実施例)
以下の実施例は、本発明の様々な実施態様を説明することのみを目的として提供され、いかなる方法でも本発明を限定することを意図するものではない。
実施例1:基質結合指向性進化
リコンビナーゼを、前述の基質結合タンパク質進化(SLiDE)を用いて進化させた(Buchholz及びStewartらの文献, 2001; Sakaraらの文献, 2007; Karpinskiらの文献, 2016; Lansingらの文献, 2019)。loxF8及び対称部位上での活性リコンビナーゼ並びに不活性リコンビナーゼの選択をそれぞれ変えることによって、カウンターセレクション戦略を確立した。
実施例2:F8リコンビナーゼ単量体とF8非融合リコンビナーゼヘテロ二量体の組換え活性の比較
配列番号32及び33の単量体からなるヘテロ二量体リコンビナーゼが、loxF8配列を認識する単一F8単量体リコンビナーゼを凌駕するかを比較するために、それぞれ非対称loxLTR及びloxBRT配列におけるTre及びBrec1の指向性進化と同等である非対称loxF8部位上で単一リコンビナーゼを用いるSLiDEを行った(Sarkarらの文献, 2007; Hauberらの文献, 2013)。168ラウンドの指向性進化の後に、pEVOベクター中の個々のリコンビナーゼを、異なるアラビノース濃度を用いて大腸菌内で試験した。同定された最良のクローン(H7、配列番号66)は、D7ヘテロ二量体リコンビナーゼ(配列番号32及び33)と比較して効率は低下したが、loxF8配列を組換えた(図6)。
哺乳動物細胞における単量体(H7)及びヘテロ二量体(D7)F8リコンビナーゼの組換え活性を調べるために、HeLa細胞を組換えレポーター及びリコンビナーゼ発現プラスミドで共トランスフェクトした。大腸菌アッセイと同様に、H7リコンビナーゼは、ヘテロ二量体D7リコンビナーゼよりも効率が悪かった(図7; 28%の組換え効率対46%の組換え効率)。
ヒト細胞においてF8反転を誘導する単量体F8リコンビナーゼ(H7)及びヘテロ二量体F8リコンビナーゼ(D7)の能力を比較するために、リコンビナーゼ発現プラスミドをHEK293細胞にトランスフェクトした。トランスフェクションの48時間後にゲノムDNAを単離した。ゲノム反転を検出するためにPCR反応を行った。再び、単量体H7リコンビナーゼは、ヘテロ二量体D7リコンビナーゼと同様には機能しなかった(図8)。
H7単量体とD7ヘテロ二量体の特異性を比較するために、loxF8配列(配列番号17)と最高の類似性を示す9つのヒト配列(配列番号21~23及び87~92)上で該リコンビナーゼを試験した(表2)。これら9つのオフターゲット部位及びloxF8オンターゲット部位を、それぞれのリコンビナーゼを保有するpEVOベクターにクローニングし、プラスミドを大腸菌中の10μg/ml L-アラビノースの存在下で24時間増殖させた。これらの培養物から抽出したDNAは、H7単量体が、それぞれ配列番号21、22、87及び91の配列を有するオフターゲット部位HS1、HS2、HS4及びHS8に加えてloxF8部位を組換えたことを明らかにした。対照的に、D7ヘテロ二量体ははるかにより特異的であり、HS2をわずかに組換えたに過ぎず、loxF8オンターゲット部位で堅牢な活性を示した(図9)。同じ実験設定を用いて、さらなる高活性ヘテロ二量体(A4)を同定した。これらの累積結果に基づいて、ヘテロ二量体D7リコンビナーゼ及びヘテロ二量体A4リコンビナーゼをさらなる実験のために選択した。
実施例3:対称標的部位上での融合ヘテロ二量体の組換え活性
F8リコンビナーゼヘテロ二量体を融合させるための異なるリンカーを設計し、試験した。配列(Gly-Gly-Ser)n及び反復数(n)2、4、6及び8を有する柔軟なリンカーを設計した。その後の5'及び3'オリゴヌクレオチドを、XhoI及びBsrGI-HF制限酵素によって生成される「付着末端」の配列を加えて合成し、配列のアニーリングにより、クローニングに直接使用される二本鎖DNA断片が得られた。
まず、非融合ヘテロ二量体を対称部位上で試験した。予想されるように、試験消化物は、対称部位上での強い組換え活性を明らかにし(図10、図12B)、これは、各々の対称部位上でのリコンビナーゼ単量体の活性によって説明することができる。しかし、重要なことに、単一リコンビナーゼは、それ自体では最終loxF8部位上で何の活性も示さない(図12A)。一方、融合S2-(G2S)8-S1ヘテロ二量体は、高誘導レベル(200μg/mlのL-アラビノース)でさえ対称部位上で活性を示さなかった(図12C)。
融合ヘテロ二量体の組換え活性を非融合ヘテロ二量体のものと比較するために、それらの両方を異なる誘導レベルで試験した。その後、バンド強度に基づく組換え効力の計算を行った。試験消化物は、融合ヘテロ二量体が非融合ヘテロ二量体と同等の活性を有することを明らかにした。
(G2S)2-8リンカーを用いた融合の結果から示されたように、リンカーの長さが組換え活性に影響を与える。さらに長いリンカーが対称部位で活性を示すことなく組換えの効率を高めることができるかを研究するために、ヘテロ二量体を10、12、及び14(Gly-Gly-Ser)リピートのリンカーと融合させた。結果は、リンカー長を長くしても組換え効率に有意な影響を及ぼさないことを示したが、より長いリンカーと融合したヘテロ二量体は対称部位上で活性を示した。したがって、30個以上のアミノ酸のリンカーと融合させたリコンビナーゼは特異性が喪失する。
実施例4:リンカーの設計とリンカーライブラリーの作製
Ala、Arg、Asn、Asp、Glu、Gly、Lys、Ser、Thrアミノ酸をコードする縮重コドンRVMを用いて、3つのリンカーライブラリーを設計した。24個のアミノ酸のリンカー長を用いた。(G2S)8リンカーの配列全体(24個のアミノ酸)、中間部分(12個のアミノ酸)又は縁(各側から6個のアミノ酸)をRVMコドンに変更した。リンカーの柔軟性への変化が融合タンパク質の活性に影響を与え得ることは知られていないので、ライブラリーを設計する際に異なる選択肢を考慮した。既知の柔軟性特性を有する(G2S)配列を、活性への影響を調べるために、リコンビナーゼから遠く(リンカーの中央に)又はリコンビナーゼの近く(リンカーの縁上)のいずれかで保持した。第1のライブラリーを、リンカー配列の中央部分(12個のアミノ酸)を、4つの(G2S)リピートを含む最初に用いたフレキシブルリンカーと同じように保ち、リンカー配列の左右部分(両側から6個のアミノ酸)を(RVM)6に変更するように設計した。第2のライブラリーを逆に設計した:12個のアミノ酸の中央部分を(RVM)12に変更し、6個のアミノ酸の左右部分を2つの(G2S)リピートとして保持した。加えて、リンカーに(G2S)リピートが必要かはわからなかったため、第3のライブラリーでは、リンカーの24個のアミノ酸配列全体を(RVM)24に変更した(図13)。3つのオリゴヌクレオチドを設計し、3つのPCR反応の鋳型として使用した。リンカー配列に、プライマーアニーリングのための2つのアダプター、並びにクローニングのためにリンカーを直接使用することを可能にするXhoI及びBsrGI-HF制限部位を隣接させた。リンカーライブラリーを(G2S)8の代わりに融合タンパク質にクローニングし、リンカーライブラリー1、リンカーライブラリー2、リンカーライブラリー3の3つのライブラリーを得た(図13)。融合タンパク質にはリンカーライブラリーが含まれていたが、リコンビナーゼの配列は変更しなかった。
XhoI及びBsrGI-HF制限部位、並びに各末端からのアダプターを含む縮重塩基修飾を有するオリゴヌクレオチドを、Biomers.net GmbHによって合成した。オリゴヌクレオチド配列を表3に示す。オリゴヌクレオチドをハイフィデリティPCRの鋳型として使用し、続いて、PCR産物をXhoI及びBsrGI-HF制限酵素で消化し、S2及びS1特異的リコンビナーゼの間のpEVO_2rec_linkにクローニングした。新たに調製したコンピテント大腸菌XL-1ブルーを、リンカーのライブラリーと融合させたヘテロ二量体を含有するプラスミドで形質転換した。SOC培地中で1時間インキュベートした後、エレクトロポレーション混合物の2μl(1:500)をクロラムフェニコール含有寒天プレートに播種し、残りを25 μg/mlのクロラムフェニコール及び所望の濃度のL-アラビノースを有する100 mlのLB培地に添加した。固体培養物と液体培養物の両方を37℃で12~16時間インキュベートし、後者は200 rpmで一定の振とう下でインキュベートした。プレート上のコロニー数によって評価したライブラリーサイズは、少なくとも25000個のリンカーバリアントであった。
表3 - リンカー作製に用いたオリゴヌクレオチドの配列
Figure 2023504826000010
Figure 2023504826000011
実施例5:リンカーの選択
リンカーライブラリーとの融合タンパク質を、loxF8標的部位上でのそれらの活性を試験するために、pEVO_2rec_loxF8プラスミドにサブクローニングした。消化物は、3つのリンカーライブラリー全てと融合したヘテロ二量体が、200 μg/mlのL-アラビノースの高誘導レベルで、loxF8部位上で活性を有することを明らかにした(図14A)。
loxF8部位上で組換え活性を有するリンカーと融合したヘテロ二量体を選択するために、まず、NdeI及びAvrII制限酵素による消化を行った。これらの酵素の制限部位は、pEVO_2rec_LoxF8プラスミド上の2つのloxF8部位の間に位置し、したがって、組換えられなかったプラスミドのみが直鎖状になった。その後、融合タンパク質の上流でアニーリングするフォワードプライマー(プライマー4)、及び第2のloxF8部位の下流でアニーリングするリバースプライマー(プライマー19)を用いてハイフィデリティPCRを行った。その結果、組換えられていないプラスミドは消化され、増幅が妨げられるので、プラスミドを組換えた融合タンパク質のみがPCRにより増幅された(図14B)。
続いて、Sym1部位上での活性を試験するために、得られたPCR産物をSacI-HF及びSbfI-HF制限酵素で消化し、pEVO_2rec_Sym1プラスミドにサブクローニングした。試験消化物は、ライブラリーの1つであるS2-link lib3-S1のみが、200 μg/mlのL-アラビノースの高誘導レベルで、Sym1部位上で活性を有することを明らかにした(図15A)。リンカーライブラリー1及び2と融合したヘテロ二量体の活性は、試験消化物によって検出されなかった。Sym1部位を組換えない融合ヘテロ二量体を選択するために、融合タンパク質の上流でアニーリングするフォワードプライマー(プライマー20)、及び2つのSym1部位の間でアニーリングするリバースプライマー(プライマー21)を用いてハイフィデリティPCRを行った(図15B)。したがって、プラスミドを組換えなかった融合タンパク質のみがPCRにより増幅された。Sym2部位上での活性を試験するために、得られたPCR産物をSacI-HF及びSbfI-HF制限酵素で消化し、pEVO_2rec_Sym2プラスミドにサブクローニングした。200 μg/mlのL-アラビノースの高誘導レベルで、Sym2部位上では試験消化物によって強い活性は検出されず、Sym1部位と同じ方法で選択を行った(図15)。
最良の性質を有するリンカーを選択するために同じ工程を繰り返し、以下の選択ラウンドを、10 μg/mlのL-アラビノースでのloxF8、200 μg/mlのL-アラビノースでのSym1、200 μg/mlのL-アラビノースでのSym2、1 μg/mlのL-アラビノースでのloxF8、200 μg/mlのL-アラビノースでのSym1、200 μg/mlのL-アラビノースでのSym2、1 μg/mlのL-アラビノースでのloxF8上で行った。loxF8部位での選択中に低誘導レベルを用いて、最終標的部位上で高い活性を有する融合タンパク質を選択した。しかし、対称部位での選択中、L-アラビノース濃度を200 μg/mlで高く保ち、対称部位で活性のない融合タンパク質を選択した。10回の選択ラウンド後、リンカーライブラリーを有する全3つの融合タンパク質は、1 μg/mlのL-アラビノースの低誘導レベルで、loxF8部位上で活性を示した。しかし、200 μg/mlのL-アラビノースの高誘導レベルでのSym1及びSym2部位上でのライブラリーの活性も増加した(図16)。全3つのリンカーライブラリーと融合したヘテロ二量体はSym2部位上で活性を有し、リンカーライブラリー1及び3と融合したヘテロ二量体はSym1部位上で活性を有していた。対称部位上での活性の増加は、ライブラリー中の活性ヘテロ二量体の蓄積に起因する可能性が高い。
該ライブラリーはloxF8部位上で非常に低い誘導レベルで活性を示したので、この時点で、単一クローンを分析した。該ライブラリーは対称部位上である程度の活性を有していたが、それらのライブラリーからの単一結合リコンビナーゼは、Sym1又はSym2ではなく、loxF8のみを組換える可能性があることが期待された。
1 μg/mlのL-アラビノースで、loxF8部位上でライブラリーを試験した後、NdeI及びAvrII制限酵素による消化を行い、消化されなかったプラスミドを再び形質転換した。これは、低誘導レベルで活性のある融合タンパク質についてライブラリーを富化することを可能にした。次いで、リンカーライブラリーとの融合タンパク質を再びpEVO_2rec_LoxF8プラスミドにサブクローニングし、プレート上で増殖させた。各ライブラリーの32コロニーを取り、10 μg/mlのL-アラビノースで誘導し、3プライマーPCRアッセイを用いて組換えについて試験した。90クローンが組換え活性を示し、そのうち、各ライブラリーの4つのコロニーを、loxF8オンターゲット(10 μg/mlのL-アラビノース)並びにSym1及びSym2オフターゲット(200 μg/mlのL-アラビノース)上での活性についてさらに分析した。クローン(L1~L12)の全てがloxF8部位上で組換え活性を示したが、効率はクローン間で様々であった(図17A)。ライブラリー1の2つのクローン及びライブラリー3の3つのクローンは、Sym1部位上で高誘導レベルで活性を有していた(図17B)。ライブラリー2の2つのクローン及びライブラリー3の全4つのクローンは、Sym2部位上で、高誘導レベルで測定可能な活性を有していた(図17C)。ライブラリー2からのクローンのいずれも対称部位上で活性を示さなかったことは注目に値する。したがって、ライブラリー2の設計は、対称標的部位上での活性を防止するのにより有益であったと推測できる。選択したクローンを配列決定し、配列決定の結果からライブラリー戦略が機能したことが実証された(表4)。
表4:リンカーライブラリーからの単一クローンの配列
Figure 2023504826000012
loxF8部位における組換え効率、及び対称部位上での活性の不在に基づいて、クローンL8 (S2-リンカーL8-S1)をさらなる分析のために選択した。
実施例6:L8リンカーと融合させたリコンビナーゼの組換え活性
L8リンカーを用いたリコンビナーゼ融合を、(G2S)8リンカーのリンカー及び非融合ヘテロ二量体と共に並行して、異なる誘導レベルで、loxF8部位上で試験した。試験消化物は、L8リンカー融合がより効率的にプラスミドを組換えることを明らかにした(図18)。同様に、L8リンカー融合ヘテロ二量体も、非融合ヘテロ二量体と比較してより高い組換え効率を実証した(図19)。したがって、D7単量体とL8リンカー配列との融合は、組換え活性を増加させる。
実施例7:融合ヘテロ二量体のオフターゲット活性
さらなる目標は、リコンビナーゼヘテロ二量体の融合が組換えの特異性を増加させ、その結果、潜在的なオフターゲット効果を最小限に抑えるかを調べることであった。loxF8配列との遠隔類似性に基づいて、F8リコンビナーゼヘテロ二量体についての潜在的な非対称及び対称オフターゲット部位に似ているloxF8配列と高い類似性を示すヒト配列を、大腸菌切除アッセイで試験した(表2、配列番号19~29)。
潜在的なオフターゲット部位上での活性を、さらに弱い組換え活性を同定するために高誘導レベルで試験した。loxF8上のオンターゲット組換えの可能性のある異なる効率を説明するために、L-アラビノースの濃度を、融合L8ヘテロ二量体に対して5倍高いように選択した。したがって、50 μg/ml(非融合の場合)及び250 μg/ml(L8の場合)のL-アラビノース濃度を、5つの非対称及び4つの対称オフターゲット上でのヘテロ二量体活性を試験するために使用した。
D7ヘテロ二量体について、試験消化物は、高誘導レベルで非融合ヘテロ二量体が、試験した5つの非対称オフターゲット(2LR部位、配列番号22部位)のうちの1つにおいて顕著な組換え活性を示したことを明らかにした。対照的に、D7リコンビナーゼの融合L8ヘテロ二量体は、いずれの非対称オフターゲット部位上でも明らかな組換え活性を示さなかった(図20A)。
対称オフターゲット部位上で、非融合D7ヘテロ二量体は、試験部位の1つ(2L部位、配列番号27部位)において顕著な活性を示した。逆に、融合D7ヘテロ二量体は、これ又は他の試験部位のいずれに対しても活性を示さなかった(図20A)。この結果は、ヘテロ二量体の融合がデザイナーSSRの組換え特異性を顕著に増加させることを示す。
A4ヘテロ二量体について、非融合ヘテロ二量体を用いた試験消化物は、試験した5つの非対称オフターゲットに対して顕著な組換え活性を示さなかった。A4リコンビナーゼの融合L8ヘテロ二量体についても同様である(図20B)。
対称オフターゲット部位上で、非融合A4ヘテロ二量体は、試験した部位のいずれにおいても活性を示さなかった。融合A4ヘテロ二量体はまた、これ又は他の試験部位のいずれにおいても活性を示さなかった(図20B)。
実施例8:ヒト細胞における組換え活性
融合L8-リコンビナーゼヘテロ二量体は、細菌において良好な活性を示した。したがって、次の工程は、ヒト細胞における組換え効率を調べ、非融合ヘテロ二量体と活性を比較することであった。EGFPと転写的に融合させた融合リコンビナーゼ又は単一リコンビナーゼを含有する発現プラスミドでHEK293T細胞のトランスフェクションを行った(図21)。EGFPのみを発現する空のプラスミドでトランスフェクトした細胞及び非トランスフェクト細胞を、それぞれトランスフェクションの陽性対照及び陰性対照として用いた。
リコンビナーゼ発現プラスミドと共に、2つのloxF8標的部位の間に上流終止コドンが位置するmCherryをコードするレポータープラスミドでも細胞をトランスフェクトした。組換え時にレポータープラスミドは、停止カセットを切り出し、それによってmCherryの発現を可能にし、これはフローサイトメトリー分析によって測定することができる(図22)。
D7リコンビナーゼヘテロ二量体(配列番号32及び33のリコンビナーゼ単量体を含む;図23)でのトランスフェクション後48時間の時点で行ったフローサイトメトリー分析により、発現プラスミドとレポータープラスミドの両方でトランスフェクトした細胞のトランスフェクション効率が、それぞれ非融合ヘテロ二量体で28%、融合ヘテロ二量体で21%であったことが明らかになった。GFPとmCherry二重陽性細胞は、ヒト細胞におけるレポーターの組換えを反映する。ヒト細胞におけるレポータープラスミドの組換え効率を計算するために、二重陽性細胞をトランスフェクション効率に正規化した(図23)。
したがって、細胞の76.4%(非融合)又は92.8%(融合)において、レポーターが組換わり、融合L8リコンビナーゼがこのアッセイにおいてより高い組換え効率を有することが示された。
実施例9:ヒト細胞におけるゲノムレベルでの反転効率
本明細書に記載のリコンビナーゼを、血友病Aを引き起こしているF8遺伝子におけるエクソン1の大きな遺伝子反転を修正するために開発した。ゲノムレベルでのヘテロ二量体の反転効率を研究するために、記載の発現コンストラクト(図21)を利用してHEK293T細胞内でリコンビナーゼを48時間発現させ、その後gDNAを抽出した。HEK293T細胞は、F8遺伝子の反転したエクソン1を保有していない。しかし、リコンビナーゼは、loxF8部位の間のゲノムDNA断片の向きとは無関係に反転反応を行うことができる。したがって、反転していないエクソン1に対する反転したエクソン1の比は、反転効率の代わりとして用いることができる。ゲノムDNA上の反転頻度を計算するために、エクソン1反転に特異的なTaqManプローブを用いるqPCRベースアッセイを開発した。定義した量のエクソン1反転を有するgDNA試料を用いて、標準曲線を計算した。リコンビナーゼトランスフェクト細胞の反転効率は、この標準曲線を用いて後で推定することができる。非融合ヘテロ二量体でトランスフェクトした試料から単離されたgDNAは、反転が細胞の約6,0%において誘導されたことを示した。融合ヘテロ二量体でトランスフェクトした試料では、反転頻度は約9.0%であった(図24)。しかし、トランスフェクション効率は100%ではないため、GFP発現はリコンビナーゼ発現に転写的に結合されているため、GFP+細胞の反転率を修正する必要がある。フローサイトメトリーデータから、それぞれ29.5%(非融合)及び21,3%(融合)のトランスフェクション効率が明らかになった。したがって、リコンビナーゼ発現細胞におけるゲノムレベルでの反転効率は、非融合ヘテロ二量体については20.3%、融合L8ヘテロ二量体については42.7%であった。そのため、L8リコンビナーゼヘテロ二量体の融合は、2倍高い反転率をもたらし、リコンビナーゼヘテロ二量体の融合が組換え活性を増加させることが実証された。
実施例10:組込まれたゲノムloxF8レポーターコンストラクトにおけるリコンビナーゼ活性
ヒトゲノムに見られる配列を組換えるためにリコンビナーゼを開発したので、ゲノムloxF8レポーター細胞株を開発した(図25A)。組込まれたレポーターのloxF8標的部位の組換え時に、細胞は赤色蛍光タンパク質mCherryを発現し始める。リコンビナーゼを合成mRNAとしてレポーター細胞株にトランスフェクトした(図25B)。合成mRNAをコードする青色蛍光タンパク質(tagBFP)を共トランスフェクトし、トランスフェクション効率を推定した。tagBFP mRNAと共にD7リコンビナーゼ(非融合及び融合 - 配列番号32及び33のリコンビナーゼ単量体を含む)並びにA4リコンビナーゼ(非融合及び融合 - 配列番号93及び94のリコンビナーゼ単量体を含む)でのトランスフェクションの48時間後に行ったフローサイトメトリー分析により、トランスフェクション効率がD7非融合については44.5%、D7融合については48.9%、A4非融合については55.5%及びA4融合については55.7%であることが明らかになった。BFPとmCherry二重陽性細胞は、ヒトレポーター細胞株におけるゲノムレポーターの組換えを反映する。ゲノムレポーターの組換え効率を計算するために、二重陽性(BFP+及びmCherry+)細胞をトランスフェクション効率に正規化した(図25C)。したがって、ゲノムレポーターのD7非融合については71.5%、D7融合については50.7%、A4非融合については24.3%及びA4融合については21.4%が組換わった。
実施例11:PCRによる天然loxF8遺伝子座のloxF8ゲノム反転の検出
リコンビナーゼヘテロ二量体のD7非融合、D7融合、A4非融合、A4融合及びD11非融合(配列番号32、33、93、94、99及び100のリコンビナーゼ単量体を含む)をコードする合成mRNAでHEK293T細胞をトランスフェクトした。トランスフェクションの48時間後にゲノムDNAを抽出し、天然loxF8遺伝子座の140 kb反転について分析した(図26A)。loxF8遺伝子座の向きは、PCR用のプライマーの異なる組み合わせを使用することによって検出することができる(図26A)。プライマーP2及びP3を用いて、loxF8遺伝子座の正常な向きを検出し、プライマーP1及びP3を用いて、loxF8遺伝子座の逆向きを検出した(図26B)。リコンビナーゼヘテロ二量体をコードする合成mRNAでトランスフェクトした細胞のみが、反転特異的バンド(PCR P1+P3)を示す。WT対照又は水対照試料にはバンドが見えない。この実験で用いたゲノムDNAの完全性を確認するために、正常な向きのPCR(P2+P3)を同様に行った。全ての試料は、全てのPCR反応の鋳型として使用されるゲノムDNAが無傷であることを示す予想サイズでPCRバンドを示す。予想通り、反転対照試料はこの反応においてバンドを示さない。これらの結果は、配列番号32及び33(非融合D7リコンビナーゼ)、配列番号93及び94(非融合A4リコンビナーゼ)並びに配列番号99及び100(非融合D11リコンビナーゼ)のリコンビナーゼヘテロ二量体と配列番号72(融合D7リコンビナーゼ)及び配列番号97(融合A4リコンビナーゼ)の融合タンパク質が140 kbの天然loxF8遺伝子座を反転させることができることを示す。
参考文献
Figure 2023504826000013
Figure 2023504826000014
Figure 2023504826000015
Figure 2023504826000016

Claims (21)

  1. 細胞内でのゲノム編集のための、好ましくは組換えのための、より好ましくはゲノムレベルのDNA配列の反転のためのDNAリコンビナーゼの融合タンパク質を作製する方法であって、
    i. ゲノム中の関心のある配列の部位特異的DNA組換えを誘導することができるDNA組換え酵素の潜在的な標的部位である核酸配列を同定する工程、ここで、前記潜在的な標的部位は2つの非対称リコンビナーゼ標的部位を含む;
    ii. 第1のリコンビナーゼ酵素をコードする核酸分子を提供する工程、ここで、前記第1のリコンビナーゼ酵素は、リコンビナーゼ標的部位の第1の半部位を特異的に認識するように指向性進化又は合理的な設計によって進化している;
    iii. 第2のリコンビナーゼ酵素をコードする核酸分子を提供する工程、ここで、前記第2のリコンビナーゼ酵素は、リコンビナーゼ標的部位の第2の半部位を特異的に認識するように指向性進化又は合理的設計によって進化している;
    iv. リンカーペプチドをコードする核酸分子を提供する工程、ここで、前記核酸が、6~30個のアミノ酸を含むリンカーオリゴペプチドをコードする;
    v. 第1のリコンビナーゼ酵素をコードする核酸分子、第2のリコンビナーゼ酵素をコードする核酸分子及びリンカーペプチドをコードする核酸分子を発現ベクターにクローニングすることにより発現ベクターを作製する工程;
    vi. 組換える、好ましくは、反転させるDNA配列を含む細胞を、工程v)の発現ベクターでトランスフェクトする工程;
    vii. 第1のリコンビナーゼ酵素、第2のリコンビナーゼ酵素及びリンカーペプチドを含む前記融合タンパク質を発現させる工程;
    viii. 工程vii.で発現させた前記融合タンパク質が、前記細胞内のヒト染色体上のDNA配列を反転させることができるかを分析する工程;及び
    ix. 工程viiiに従って、前記細胞内のヒト染色体上のDNA配列を反転させることができる融合タンパク質を選択する工程
    を含む、前記方法。
  2. x. 前記所望の融合タンパク質の潜在的なオフターゲット部位を同定する工程;
    xi. 工程x.で同定されたオフターゲット部位における該所望の融合タンパク質のリコンビナーゼ活性を分析する工程;及び
    xii. 少なくとも1つのオフターゲット部位上でリコンビナーゼ活性を示さない融合タンパク質を選択する工程
    をさらに含む、請求項1記載の方法。
  3. 工程vii.で発現させた前記融合タンパク質において、前記第1のリコンビナーゼ酵素のC末端が、前記リンカーペプチドを介して前記第2のリコンビナーゼ酵素のN末端に結合されるか、又は該第2のリコンビナーゼ酵素のC末端が、該リンカーペプチドを介して該第1のリコンビナーゼ酵素のN末端に結合される、請求項1又は2記載の方法。
  4. 請求項1記載の方法の工程i.が、
    a) 少なくとも5で最大12 bpの長さを有する潜在的なスペーサー配列である2つの配列について、関心のある配列を含むゲノム又はその一部をスクリーニングするサブ工程、ここで、潜在的スペーサー配列の一方が関心のある配列の上流にあり、他方の潜在的スペーサー配列が関心のある配列の下流にあり、前記2つの配列が、2メガベースの最大距離及び150 bpの最小距離を有する、
    b) 潜在的な半部位とその間の前記スペーサー配列の両方が潜在的な標的部位を形成するが、各潜在的スペーサー配列について、潜在的第1の半部位を形成する一方の側の近傍ヌクレオチド、好ましくは10~20ヌクレオチド、より好ましくは12~15ヌクレオチド、最も好ましくは13ヌクレオチド、並びに潜在的第2の半部位を形成する他方の側の近傍ヌクレオチド、好ましくは10~20ヌクレオチド、より好ましくは12~15ヌクレオチド、最も好ましくは13ヌクレオチドを決定することにより潜在的な標的部位を同定するサブ工程、
    c)工程b)で同定された潜在的標的部位をさらにスクリーニングして、配列特異的組換え、好ましくは反転を確実にするための、宿主ゲノム中(どこか)に生じない潜在的標的配列を選択するサブ工程、
    を含む、請求項1~3のいずれか一項記載の方法。
  5. 工程ii.及びiii.に記載の第1のリコンビナーゼ酵素及び前記第2のリコンビナーゼ酵素が、基質結合指向性進化(SLiDE)によって進化され、前記基質結合指向性進化が、a)で選択される前記第1の標的部位上で活性のある少なくとも1つの第1のデザイナーDNA組換え酵素が得られ、前記第2の標的部位上で活性のある少なくとも1つの第2のデザイナーDNA組換え酵素が得られるまで、
    a)改変すべきヌクレオチド配列の上流のヌクレオチド配列を第1の標的部位として選択し、改変すべきヌクレオチド配列の下流のヌクレオチド配列を第2の標的部位として選択する工程、該標的部位の配列は同一でないことが好ましいが、各標的部位が、5~12ヌクレオチドのスペーサー配列によって区切られた各10~20ヌクレオチドを有する第1の半部位及び第2の半部位を含み、
    b) 基質としてa)で選択される該第1の標的部位及び該第2の標的部位を含むベクターを用いてDNA組換え酵素の少なくとも1つのライブラリーに分子指向性進化を適用する工程
    を含む、請求項1~4のいずれか一項記載の方法。
  6. 請求項1~5のいずれか一項記載の方法により得られたゲノム編集のための融合タンパク質であって、前記融合タンパク質がリコンビナーゼの複合体からなり、前記複合体が少なくとも第1のリコンビナーゼ酵素、第2のリコンビナーゼ酵素及び少なくとも1つのリンカーからなり、前記第1のリコンビナーゼ酵素及び前記第2のリコンビナーゼ酵素が、リコンビナーゼの上流標的部位及び/又は下流標的部位の第1の半部位並びに第2の半部位を特異的に認識し;該第1のリコンビナーゼ酵素及び該第2のリコンビナーゼ酵素が、リンカーを介して相互に結合されており、前記リンカーが、4~50個のアミノ酸を含むオリゴペプチドを含むか又はそれからなり、前記融合タンパク質が、核酸配列
    Figure 2023504826000017
    又はその逆相補配列
    を有するloxF8標的部位の上流のリコンビナーゼ標的配列を特異的に認識し、核酸配列
    Figure 2023504826000018
    又はその逆相補配列を有するloxF8標的部位の下流のリコンビナーゼ標的配列を認識し、
    前記loxF8リコンビナーゼ標的部位の配列番号17の上流リコンビナーゼ標的配列と配列番号18の下流リコンビナーゼ標的配列との間の遺伝子配列の反転を触媒し;かつ
    該loxF8リコンビナーゼ標的部位の配列番号17の上流リコンビナーゼ標的配列と配列番号18の下流リコンビナーゼ標的配列との間の遺伝子配列の反転を触媒する能力が、
    a)第1のリコンビナーゼ酵素、第2のリコンビナーゼ酵素及びリンカーペプチドを含む融合タンパク質を発現させる工程;及び
    b)工程a)で発現させた融合タンパク質が、前記細胞内のヒト染色体上のDNA配列を反転させることができるかを分析する工程
    を含む方法により試験される、前記融合タンパク質。
  7. 前記リンカーが、
    式1、式2及び式3:
    X1- X2- X3- X4- X5-X6- (G2S)4 - X7- X8- X9- X10- X11-X12 (式1);
    (G2S)2 - X1- X2- X3- X4- X5-X6- X7- X8- X9- X10- X11-X12 - (G2S)2 (式2);及び
    X1- X2- X3- X4- X5-X6- X7- X8- X9- X10- X11-X12-X13- X14- X15- X16- X17-X18- X19- X20- X21- X22- X23-X24 (式3)
    (式中、
    Gはグリシンであり;
    Sはセリンであり;かつ
    X1~X24の各々は、独立して、アラニン、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、グルタミン、グリシン、リジン、セリン及びスレオニンからなる群から選択され;
    式1、式2又は式3の前記オリゴペプチドが、グリシン及びセリン残基のみからなっていない)
    から選択されるアミノ酸配列を有するオリゴペプチドを含むか若しくはそれからなるか、又は
    Figure 2023504826000019
    からなる群から選択されるオリゴペプチドを含むか若しくはそれからなる、
    請求項6記載の融合タンパク質。
  8. 前記融合タンパク質において、リコンビナーゼ標的部位の第2の半部位を特異的に認識する前記第2のリコンビナーゼ酵素のC末端が、リコンビナーゼ標的部位の第1の半部位を特異的に認識する前記第1のリコンビナーゼ酵素のN末端に前記リンカーを用いて融合されるように、該第1のリコンビナーゼ酵素、該第2のリコンビナーゼ酵素及び該リンカーが相互に結合されているか;又は
    前記融合タンパク質において、リコンビナーゼ標的部位の第1の半部位を特異的に認識する該第1のリコンビナーゼ酵素のC末端が、リコンビナーゼ標的部位の第2の半部位を特異的に認識する該第2のリコンビナーゼ酵素のN末端に該リンカーを用いて融合されるように、該第1のリコンビナーゼ酵素、該第2のリコンビナーゼ酵素及び該リンカーが相互に結合されている、
    請求項6又は7記載の融合タンパク質。
  9. 前記ヘテロ二量体の各リコンビナーゼ酵素が、チロシン部位特異的リコンビナーゼのリコンビナーゼ標的部位の第1の半部位と第2の半部位を独立して認識するように指向性進化により進化したチロシン部位特異的リコンビナーゼである、請求項6~8のいずれか一項記載の融合タンパク質。
  10. 前記リコンビナーゼ標的部位が、Cre-、Dre-、VCre-、SCre-、Vika-、lambda-Int-、Flp-、R-、Kw-、Kd-、B2-、B3-、Nigri-及びPanto-リコンビナーゼからなる群から選択されるチロシン部位特異的リコンビナーゼの標的部位である、請求項9記載の融合タンパク質。
  11. 前記第1のリコンビナーゼ酵素が、配列番号30、配列番号32、配列番号93又は配列番号99に記載の配列と少なくとも70%、好ましくは80%、より好ましくは90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するタンパク質であり、かつ/又は前記第2のリコンビナーゼ酵素が、配列番号31、配列番号33、配列番号94又は配列番号100に記載の配列と少なくとも70%、好ましくは80%、より好ましくは90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するタンパク質であるか;又は
    前記融合タンパク質が、配列番号71、配列番号72、配列番号97又は配列番号103に記載の配列と少なくとも70%、好ましくは80%、より好ましくは90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有し、配列番号71、配列番号72、配列番号97及び配列番号103の各々が、配列番号14のアミノ酸配列を有するリンカーを含む、請求項6~10のいずれか一項記載の融合タンパク質。
  12. 第1のリコンビナーゼ酵素と第2のリコンビナーゼ酵素からなる融合タンパク質であって、前記第1のリコンビナーゼ酵素と前記第2のリコンビナーゼ酵素が、リコンビナーゼの上流標的部位及び/又は下流標的部位の第1の半部位並びに第2の半部位を特異的に認識し、該第1のリコンビナーゼ酵素が、配列番号30、配列番号32、配列番号93又は配列番号99に記載の配列と少なくとも70%、好ましくは80%、より好ましくは90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するポリペチドであり、かつ/又は該第2のリコンビナーゼ酵素が、配列番号31、配列番号33、配列番号94又は配列番号100に記載の配列と少なくとも70%、好ましくは80%、より好ましくは90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するポリペチドであり、DNAリコンビナーゼヘテロ二量体が、核酸配列
    Figure 2023504826000020
    又はその逆相補配列
    を有するloxF8標的部位の上流のリコンビナーゼ標的配列を特異的に認識し、核酸配列
    Figure 2023504826000021
    又はその逆相補配列を有するloxF8標的部位の下流のリコンビナーゼ標的配列を認識し、
    前記loxF8リコンビナーゼ標的部位の配列番号17の上流リコンビナーゼ標的配列と配列番号18の下流リコンビナーゼ標的配列との間の遺伝子配列の反転を触媒し;
    該loxF8リコンビナーゼ標的部位の配列番号17の上流リコンビナーゼ標的配列と配列番号18の下流リコンビナーゼ標的配列との間の遺伝子配列の反転を触媒する能力が、
    a)第1のリコンビナーゼ酵素、第2のリコンビナーゼ酵素及びリンカーペプチドを含む前記融合タンパク質を発現させる工程;
    b)工程a)で発現させた該融合タンパク質が、前記細胞内のヒト染色体上のDNA配列を反転させることができるかを分析する工程
    を含む方法により試験される、前記融合タンパク質。
  13. 請求項6~12のいずれか一項記載の融合タンパク質をコードする核酸分子。
  14. i. 配列番号34、35及び61の配列を有する核酸;配列番号64の核酸など;又は
    ii. 配列番号36、37及び61の配列を有する核酸;配列番号65の核酸など;又は
    iii. 配列番号95、96及び61の配列を有する核酸;配列番号98の核酸など;又は
    iv. 配列番号101、102及び61の配列を有する核酸;配列番号104の核酸など;又は
    v. 配列番号95及び96の配列を有する核酸;又は
    vi. 配列番号101及び102の配列を有する核酸;
    vii. 配列番号34及び35の配列を有する核酸;又は
    viii. 配列番号36及び37の配列を有する核酸
    を含むか、又はそれからなる請求項13記載の核酸分子。
  15. 請求項13又は14による核酸分子、及びその発現を促進するために前記核酸と作用可能に結合された発現制御エレメントを含むポリヌクレオチド分子。
  16. 請求項13若しくは14記載の核酸分子又は請求項15記載の組換えポリヌクレオチド分子又は請求項13若しくは14記載の核酸分子を含む発現ベクターを含む哺乳動物細胞、昆虫細胞、植物細胞又は細菌宿主細胞。
  17. 任意に、1以上の治療上許容し得る希釈剤又は担体と組み合わせて、請求項6~12のいずれか一項記載の融合タンパク質、又は請求項13~15のいずれか一項記載の核酸分子若しくは組換えポリヌクレオチドを含む医薬組成物。
  18. 血友病A、特に重症血友病Aの治療に使用するための、請求項1~12のいずれか一項記載の融合タンパク質、又は請求項13~15のいずれか一項記載の核酸分子若しくは組換えポリヌクレオチド、又は請求項17記載の医薬組成物。
  19. インビトロで細胞内のゲノムレベルでのDNA配列の反転の方法であって、本発明によるゲノム編集のための融合タンパク質を含み、
    i. 第1のリコンビナーゼ酵素をコードする核酸分子を提供する工程、ここで、前記第1のリコンビナーゼ酵素が、リコンビナーゼ標的部位の第1の半部位を特異的に認識するように指向性進化又は合理的な設計によって進化されており;
    ii. 第2のリコンビナーゼ酵素をコードする核酸分子を提供する工程、ここで、前記第2のリコンビナーゼ酵素が、リコンビナーゼ標的部位の第2の半部位を特異的に認識するように指向性進化又は合理的設計によって進化されており;
    iii. リンカーペプチドをコードする核酸分子を提供する工程、ここで、前記核酸が、6~30個のアミノ酸を含むリンカーオリゴペプチドをコードし;
    iv. 第1のリコンビナーゼ酵素をコードする核酸分子、第2のリコンビナーゼ酵素をコードする核酸分子及びリンカーペプチドをコードする核酸分子を発現ベクターにクローニングすることによって発現ベクターを作製する工程;
    v. 反転させるDNA配列を含む細胞に、工程iv)の発現ベクター、請求項6~12のいずれか一項記載の融合タンパク質をコードするRNA分子又は請求項6~12のいずれか一項記載の融合タンパク質を送達する工程;
    vi. 前記細胞におけるヒト染色体上のDNA配列の反転工程
    を含む、前記方法。
  20. 前記方法が、
    v. a)第1のリコンビナーゼ酵素、第2のリコンビナーゼ酵素及びリンカーペプチドを含む融合タンパク質を発現させる工程をさらに含み、請求項19記載の方法の工程v.において、工程iv)の発現ベクター又は請求項6~12のいずれか一項記載の融合タンパク質をコードするRNA分子が、例えば、トランスフェクションによって前記細胞に送達される、請求項19記載の方法。
  21. 配列番号17の5'標的配列及び配列番号18の3'標的配列又はそれらの逆相補配列を含むloxF8リコンビナーゼ標的部位。
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