JP2023504208A - アルカリホスファターゼポリペプチド及びその使用方法 - Google Patents
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Abstract
低ホスファターゼ症(HPP)などの骨石灰化障害及びその症状を処置するための、可溶性アルカリホスファターゼ、その変異体、フラグメント、融合タンパク質を含むポリペプチド及びその使用方法が記載される。ポリペプチドは、天然に存在するアルカリホスファターゼ(ALP)に由来する可溶性アルカリホスファターゼ(sALP)又はそのフラグメントを含む。一態様において、天然に存在するアルカリホスファターゼに対して少なくとも1つの変異を有する組換えアルカリホスファターゼを含むポリペプチドが記載される。変異は、その少なくとも1つの変異のない天然に存在するアルカリホスファターゼに対して少なくとも1つの活性又は薬物動態(PK)特性を改善し得る。
Description
低ホスファターゼ症(HPP)は、稀な遺伝性の骨格疾患であり、疾患の最も重症な形態では出生10万人に1人の割合で発症する。この障害は、典型的には、組織非特異的アルカリホスファターゼ(TNSALP)をコードする遺伝子の機能喪失型変異に起因する。HPPは、早期の歯の喪失から子宮内での骨の石灰化のほぼ完全な欠如まで、顕著な範囲の症状及び重症度を示す。HPPの症状は、患者によって著しく異なり、患者の年齢によっても著しく異なる。HPPの患者の多くは、骨格の変化、低身長、慢性痛、痛みを伴う下肢、筋力低下、歩行障害及び早期の非外傷性の歯の喪失を示す。
TNSALPの可溶性フラグメントを含む組換え産生酵素補充療法(ERT)であるアスフォターゼアルファ(STRENSIQ(登録商標)、Alexion Pharmaceuticals,Inc.)は、HPP患者が利用できる最初のERTである。アスフォターゼアルファは、骨の石灰化及び密度並びに呼吸及び運動機能、認知発達及び筋力強化によって証明されるように、最も重症のHPPに対して変革効果を示している(Whyte et al.,New Engl.J.Med.366:904-913,2012)。アスフォターゼアルファの安全性及び治療上の利点は、実証されているが、特に小児患者の間では、複数の注射レジメンへのコンプライアンスが課題となり得る。週に3~6回の皮下投与による最も一般的な副作用は、注射部位反応(すなわち掻痒、痛み及び紅斑)である。したがって、例えば、投与量及び頻度を減らし、コンプライアンスを高めることにより、生活の質を改善するための改善が望ましいであろう。したがって、HPP及び関連する骨石灰化障害を処置するための新しい組成物及び方法は、有益であろう。
一態様において、天然に存在するアルカリホスファターゼに対して少なくとも1つの変異を有する組換えアルカリホスファターゼを含むポリペプチドが記載される。変異は、その少なくとも1つの変異のない天然に存在するアルカリホスファターゼに対して少なくとも1つの活性又は薬物動態(PK)特性を改善し得る。
天然に存在するアルカリホスファターゼは、組織非特異的アルカリホスファターゼ(TNSALP)、胎盤アルカリホスファターゼ(PALP)、生殖系列アルカリホスファターゼ(GALP)又は腸アルカリホスファターゼ(IALP)であり得る。TNSALPは、哺乳動物TNSALP(例えば、ヒト、ゴリラ、マウス、ウサギ、チンパンジー、カニクイザル、アカゲザル、オランウータン、ヒヒ、ラット、ウシ、ヤギ又はラマTNSALP)であり得る。ポリペプチドは、配列番号1のアミノ酸1~491に対して少なくとも85%(例えば、90%、95%、97%、99%又は100%)の配列同一性を有し得る。
少なくとも1つの変異は、配列番号1に対するE108X、M384X、L385X、N213X及びN286Xからなる群から選択され得、及びXは、任意のアミノ酸である。少なくとも1つの変異は、配列番号1に対するE108S、E108T、E108Q、E108M、E108K、E108L、M384R、L385T、N213Q及びN286Qからなる群から選択され得る。組換えアルカリホスファターゼは、配列番号1に対するE108S、E108T、E108Q、E108M、E108K、E108L、M384R、L385T、N213Q及びN286Qからなる群から選択される少なくとも2つ、3つ、4つ又は5つの変異を有し得る。例えば、組換えアルカリホスファターゼは、配列番号1に対するE108M、N213Q及びN286Q変異を有し得る。組換えアルカリホスファターゼは、配列番号1に対するE108A変異を有しなくてもよい。
少なくとも1つの活性又は薬物動態(PK)特性を改善する、本明細書に記載のALPにおける少なくとも1つの変異は、酵素の特定の領域内に存在し得る。変異は、アルカリホスファターゼのエクトドメインに存在し得る。例えば、変異は、クラウンドメイン、触媒ドメイン又は二量体化ドメインに存在し得る。変異は、含まれる場合、GPIアンカードメインに存在し得る。ポリペプチドは、ヒトTNSALPのアミノ酸1~491若しくは1~486又はアラインメント及び/又は配列相同性に基づく類似のALP位置内に存在する変異を含み得る。例えば、ポリペプチドは、配列番号1に対して、位置1~491、1~486、25~475、25~240、50~400、50~350及び/又は100~300内に変異を有し得る。ポリペプチドは、配列番号1に対して、位置100~125、100~110、200~225、210~220、275~300、280~290、425~450及び/又は425~435内に変異を有し得る。例えば、ポリペプチドは、配列番号1に対して、位置108、213、286及び/又は429間に変異を有し得る。特定の実施形態において、変異は、ALPの配列内にあり、変異は、ALPのN末端ドメイン又はC末端ドメインに存在する非天然アミノ酸のストレッチではない。
天然に存在するアルカリホスファターゼは、IALP(例えば、ゴリラ、チンパンジー、カニクイザル、アカゲザル、ラット、ウシ、ヤギ、ラマ又はヒトIALPなどの哺乳動物IALP)であり得る。ポリペプチドは、配列番号4のアミノ酸1~486に対して少なくとも85%(例えば、90%、95%、97%、99%又は100%)の配列同一性を有し得る。組換えアルカリホスファターゼは、配列番号4に対するW245X変異を有し得、ここで、Xは、異なる種に由来する任意の天然に存在する保存されたアミノ酸である。組換えアルカリホスファターゼは、配列番号4に対するW245R変異を有し得る。組換えアルカリホスファターゼは、配列番号4に対するC481X変異を有し得、ここで、Xは、任意の非チオール含有アミノ酸である。組換えアルカリホスファターゼは、配列番号4に対するC481G変異を有し得る。
組換えアルカリホスファターゼは、コンセンサスN結合型グリコシル化部位に変異を有し得る。コンセンサスN結合型グリコシル化部位は、配列アスパラギン-X-Zを有するモチーフを含み、ここで、Xは、Pを除く任意のアミノ酸であり、及びZは、S又はTを除く任意のアミノ酸である。アスパラギン部位は、グルタミン残基に変異され得る。
組換えアルカリホスファターゼは、配列番号4に対するS429Q、S429H、S429E及びS429Dからなる群から選択される変異を有し得る。組換えアルカリホスファターゼは、配列番号4に対するS428R、S428Q及びS428Dからなる群から選択される変異を有し得る。
組換えアルカリホスファターゼは、配列番号7~223、247及び262~264のいずれか1つの配列の少なくとも50(例えば、少なくとも100、150、200、250、300、350、400、450又はそれを超える)アミノ酸に対して少なくとも80%、85%、90%、95%、99%又は100%の配列同一性を有し得る。
変異によって改善された少なくとも1つの活性は、増加した触媒活性、増加した温度安定性、増加した亜鉛結合、亜鉛枯渇バッファーにおける活性の維持、pH5.0~7.5における活性の維持、減少した二量体化、減少した凝集及び増加した製造可能性からなる群から選択され得る。増加した触媒活性は、ピリドキサール5-リン酸及び/又はピロリン酸の増加した加水分解を含み得る。増加した触媒活性は、天然に存在するアルカリホスファターゼの活性よりも約2倍~約30倍良好であり得る。変異によって改善された少なくとも1つのPK特性は、増加した基質特異性、天然基質に対する増加した活性、人工基質に対する増加した活性、天然基質のための減少したKm及び用量あたりの増加した曲線下面積(AUC)からなる群から選択され得る。例示的な人工基質は、リン酸4-メチルウンベリフェリル(4-MUP)、リン酸ウンベリフェロン及びリン酸パラニトロフェニル(pNPP)であり、及び例示的な天然基質は、ピリドキサール-5’-リン酸、PLP及びPEAである。
いくつかの実施形態において、ポリペプチドは、領域Yをさらに含み得、ここで、Yは、少なくとも1つのアミノ酸のアミノ酸配列である。Yは、フラグメント結晶化可能領域(Fc)であり得る。Fc領域は、IgG1、IgG2、IgG3若しくはIgG4又はそれらのキメラを含み得る。例えば、Fc領域は、IgG2/4キメラを含み得る。Fc領域は、配列番号253の配列を含み得るか、又はそれに対して少なくとも85%(例えば、90%、95%、97%、99%又は100%)の配列同一性を有し得る。
ポリペプチドは、骨標的化部分をさらに含み得る。ALP、骨標的化部分及びY領域を含むポリペプチドは、構造Z-ALP-Y-Xnを有し得、ここで、Yは、少なくとも1つのアミノ酸のアミノ酸配列であり;Zは、不存在であるか、又は少なくとも1つのアミノ酸のアミノ酸配列であり;Xnは、ポリアスパラギン酸(Dn)、ポリグルタミン酸(En)、ポリ(アスパラギン酸-アラニン-アスパラギン酸)(DAD)n、ポリ(アスパラギン酸-アスパラギン酸-セリン)(DDS)n、ポリ(アスパラギン酸-セリン-セリン(DSS)n、ポリ(グルタミン酸-グルタミン酸-セリン)(EES)n及びVHHからなる群から選択される骨標的化部分であり、且つn=1~50であり;ALPは、組換えアルカリホスファターゼである。
ポリペプチドは、構造Y-ALP-Z-Xn又はその任意のトポロジー的配列(例えば、Xn-Y-ALP-Z及びY-Xn-ALP-Z)を有し得る。
ポリペプチドは、配列番号7~223、247及び262~264のいずれか1つ(例えば、配列番号72、123、155又は177のいずれか1つ)に対して少なくとも85%(例えば、少なくとも90%、95%、97%、99%又は100%)の配列同一性を有するアミノ酸配列を含み得るか又はそれからなり得る。例えば、ポリペプチドは、配列番号72、123、155又は177のいずれか1つの配列を含み得るか又はそれからなり得る。ポリペプチドは、任意のsALP触媒ドメイン、Fc IgGアイソタイプ又は表1に列挙された骨標的化部分及びそれらのトポロジー的配列を含み得る。ポリペプチドは、配列番号123に対して少なくとも85%(例えば、少なくとも90%、95%、97%、99%又は100%)の配列同一性を有するアミノ酸配列を含み得るか又はそれからなり得る。ポリペプチドは、配列番号123を含み得るか又はそれからなり得る。
ポリペプチドは、配列番号177に対して少なくとも85%(例えば、少なくとも90%、95%、97%、99%又は100%)の配列同一性を有するアミノ酸配列を含み得るか又はそれからなり得る。ポリペプチドは、配列番号177を含み得るか又はそれからなり得る。
ポリペプチドは、配列番号260又は261に対して少なくとも85%(例えば、90%、95%、97%、99%又は100%)の配列同一性を有するアミノ酸配列を含み得るか又はそれからなり得る。ポリペプチドは、配列番号260の配列を含み得るか又はそれからなり得る。ポリペプチドは、配列番号261の配列を含み得るか又はそれからなり得る。
ポリペプチドは、分泌シグナルペプチドを含み得る。ポリペプチドは、配列番号263又は264に対して少なくとも85%(例えば、90%、95%、97%、99%又は100%)の配列同一性を有するアミノ酸配列を含み得るか又はそれからなり得る。ポリペプチドは、配列番号263の配列を含み得るか又はそれからなり得る。ポリペプチドは、配列番号264の配列を含み得るか又はそれからなり得る。
いくつかの実施形態において、ポリペプチドは、二量体である。代わりに、ポリペプチドは、単量体であり得る。
アルカリホスファターゼ及びフラグメント結晶化可能(Fc)領域を含むポリペプチドであって、Fc領域は、IgG2/4キメラである、ポリペプチドも記載される。Fc領域は、配列番号253の配列を含み得るか、又はそれに対して少なくとも85%(例えば、90%、95%、97%、99%又は100%)の配列同一性を有し得る。組換えアルカリホスファターゼは、TNSALP、IALP、胎盤アルカリホスファターゼ(PALP)及び生殖系列アルカリホスファターゼ(GALP)からなる群から選択され得る。組換えアルカリホスファターゼは、哺乳動物アルカリホスファターゼ(例えば、ヒト、ゴリラ、マウス、ウサギ、チンパンジー、カニクイザル、アカゲザル、オランウータン、ヒヒ、ラット、ウシ、ヤギ又はラマアルカリホスファターゼ)であり得る。組換えアルカリホスファターゼは、配列番号1~6のいずれか1つの配列又はそのフラグメントを含み得る。例えば、組換えアルカリホスファターゼは、配列番号1のアミノ酸1~491又は配列番号4のアミノ酸1~486を含み得る。
上記の態様のいずれかのいくつかの実施形態において、ポリペプチドは、Dn、En、(DAD)n、(DDS)n、(DSS)n、(EES)n及びVHHからなる群から選択される骨標的化部分Xnをさらに含み、ここで、n=1~50(例えば、1~30)である。いくつかの特定の実施形態において、骨標的化部分は、n=7~10の場合にDn;n=10~15の場合にEn;n=2~4の場合に(DAD)n;n=2~4の場合に(DDS)n;n=3の場合に(DSS)n;又はn=3~4の場合に(EES)nであり得る。例えば、骨標的化部分は、(DAD)3又は(DDS)3を含み得る。
VHH骨標的化部分は、1つ以上の置換を含み得る。例えば、VHHの少なくとも1つ(例えば、2つ又は3つ)の相補性決定領域(CDR)は、少なくとも1つ(例えば、2~30個、例えば5又は7つ)のグルタミン酸又はアスパラギン酸残基で置換され得る。
いくつかの実施形態において、本明細書に記載されるポリペプチドは、翻訳後修飾されている(例えば、グリコシル化又はシアル化されている)。
上記の態様のいずれかのポリペプチドをコードするポリヌクレオチド、ポリヌクレオチドを含むベクター及びポリヌクレオチド又はベクターを含む細胞(例えば、CHO細胞又はHEK293細胞などの哺乳動物細胞)も記載される。ポリヌクレオチドは、配列番号7~223、247及び262~264のいずれか1つ(例えば、配列番号72、123、155又は177のいずれか1つ)に対して少なくとも85%(例えば、90%、95%、97%、99%又は100%)の配列同一性を有するアミノ酸配列をコードし得る。ポリヌクレオチドは、配列番号265~268のいずれか1つに対して少なくとも85%(例えば、90%、95%、97%、99%又は100%)の配列同一性を有し得る。ポリヌクレオチドは、配列番号265~268のいずれか1つを含み得るか又はそれからなり得る。ポリヌクレオチドは、配列番号265を含み得るか又はそれからなり得る。ポリヌクレオチドは、配列番号266を含み得るか又はそれからなり得る。ポリヌクレオチドは、配列番号267を含み得るか又はそれからなり得る。ポリヌクレオチドは、配列番号268を含み得るか又はそれからなり得る。
いくつかの実施形態において、ポリペプチドは、配列番号269の配列でないか又はそれを含まない。
いくつかの実施形態において、アルカリホスファターゼは、配列番号269のアスフォターゼアルファのアルカリホスファターゼ(例えば、アミノ酸1~485)を含まない。
いくつかの実施形態において、ポリペプチドは、配列番号269のアミノ酸配列を有するポリペプチドではなく、配列番号269のアスフォターゼアルファのアルカリホスファターゼ(例えば、アミノ酸1~485)を含まない。
上記の態様のいずれかのポリペプチドを産生する方法であって、ポリヌクレオチドが細胞内での発現のために配置されるように、ポリヌクレオチド又はポリヌクレオチドをコードするベクターで形質転換された細胞(例えば、CHO細胞又はHEK293細胞などの哺乳動物細胞)を提供すること;ポリヌクレオチドの発現に適した条件下で形質転換細胞を培養することであって、ポリペプチドの発現をもたらす、培養すること;及びポリペプチドを単離することによる方法も記載される。
上記の態様のいずれかのポリペプチド及び薬学的に許容される担体を含有する医薬組成物も記載される。薬学的に許容される担体は、塩化ナトリウム及び/又はリン酸ナトリウムを含み得る。組成物は、約7.4のpHで約150mMの塩化ナトリウム及び/又は約25mMのリン酸ナトリウムを含み得る。
組成物は、約0.1mg/mL~約10mg/mLの投与量で製剤化され得る。組成物は、約0.1mL~約50mL(例えば、約0.1~約10mL)の容量で製剤化され得る。
別の態様において、低ホスファターゼ症(HPP)、骨折、骨粗鬆症、硬化性骨症、軟骨石灰化症、筋緊張低下症、デュシェンヌ筋ジストロフィー、気管気管支軟化症、発作、神経線維腫症(例えば、NF-1)、頭蓋骨癒合症又はそれらの1つ以上の症状からなる群から選択される疾患の処置を、それを必要としている対象(例えば、ヒト対象)において行う方法であって、対象に、上記の態様のいずれかのポリペプチド又は医薬組成物を対象に投与することによる方法が記載される。ポリペプチドは、疾患を処置するか又はその1つ以上の症状を緩和するのに十分な量において且つ期間にわたって投与され得る。処置は、対象の骨形成を増強し得る。ポリペプチドは、筋力低下を処置するために使用され得る。
ポリペプチドは、約0.01mg/kg~約60mg/kg(例えば、約0.1mg/kg~約50mg/kg、例えば約0.1mg/kg~約20mg/kg、例えば約0.1mg/kg~約10mg/kg)の投与量で投与され得る。ポリペプチドは、1日、1週間、1ヶ月又は1年あたり1回(例えば、1週間あたり1回)投与され得る。ポリペプチドは、約0.01mg/kg/週~約20mg/kg/週(例えば、約0.1mg/kg/週~約10mg/kg/週)の投与量で投与され得る。ポリペプチドは、少なくとも1日、1週間、1ヶ月、1年又はそれを超えて投与され得る。
ポリペプチドは、皮下、静脈内、筋肉内、舌下、髄腔内又は皮内に投与され得る。特に、ポリペプチド又はポリペプチド含有組成物は、皮下投与によって投与され得る。
対象は、新生児、子供、青年又は成人などのヒト対象であり得る。
組換えポリペプチドの投与前に、対象は、約350メートル以下の6分間の平均歩行距離を有するとして特徴付けられ得る。組換えポリペプチドの投与は、対象による6分間の平均歩行距離の少なくとも100メートル以上の増加を促進し得る。対象は、組換えポリペプチドの投与後(例えば、1ヶ月~1年の処置期間後)、6分間で約500メートル以上の平均歩行距離を示し得る。
対象は、組換えポリペプチドの投与後、補助移動装置(例えば、歩行器、車椅子、装具、松葉杖及び矯正器具)への減少した依存度を示し得る。
組換えポリペプチドの投与前に、対象は、約4.5μM以上の血漿PPi濃度を有するとして特徴付けられ得る。組換えポリペプチドの投与は、対象からの血漿サンプル中のPPi濃度の少なくとも約1μMの中央値減少を促進し得る。対象は、組換えポリペプチドの投与後、約2μM~約5μMの血漿PPi濃度を示し得る。
いくつかの実施形態において、対象は、0~14日齢であり、且つ組換えポリペプチドの投与前に、約90U/L以下の血漿ALP濃度を有するとして特徴付けられるか;対象は、15日齢~1歳未満であり、且つ組換えポリペプチドの投与前に、約134U/L以下の血漿ALP濃度を有するとして特徴付けられるか;対象は、約1歳~10歳未満であり、且つ組換えポリペプチドの投与前に、約156U/L以下の血漿ALP濃度を有するとして特徴付けられるか;対象は、約10歳~約13歳であり、且つ組換えポリペプチドの投与前に、約141U/L以下の血漿ALP濃度を有するとして特徴付けられるか;対象は、雌性であり、且つ約13歳~約15歳であり、且つ組換えポリペプチドの投与前に、約62U/L以下の血漿ALP濃度を有するとして特徴付けられるか;対象は、雄性であり、且つ約13歳~約15歳であり、且つ組換えポリペプチドの投与前に、約127U/L以下の血漿ALP濃度を有するとして特徴付けられるか;対象は、雌性であり、且つ約15歳~約17歳であり、且つ組換えポリペプチドの投与前に、約54U/L以下の血漿ALP濃度を有するとして特徴付けられるか;対象は、雄性であり、且つ約15歳~約17歳であり、且つ組換えポリペプチドの投与前に、約89U/L以下の血漿ALP濃度を有するとして特徴付けられるか;対象は、約17歳以上であり、且つ組換えポリペプチドの投与前に、約48U/L以下の血漿ALP濃度を有するとして特徴付けられるか;又は対象は、約17歳以上であり、且つ組換えポリペプチドの投与前に、約59U/L以下の血漿ALP濃度を有するとして特徴付けられる。
組換えポリペプチドの投与は、対象からの血漿サンプル中のALP濃度の少なくとも約100U/L以上の中央値増加を促進し得る。
いくつかの実施形態において、対象は、0~14日齢であり、且つ組換えポリペプチドの投与後、約273U/L以上の血漿ALP濃度を有するとして特徴付けられるか;対象は、15日齢~1歳未満であり、且つ組換えポリペプチドの投与後、約518U/L以上の血漿ALP濃度を有するとして特徴付けられるか;対象は、約1歳~約10歳未満であり、且つ組換えポリペプチドの投与後、約369U/L以上の血漿ALP濃度を有するとして特徴付けられるか;対象は、約10歳~約13歳であり、且つ組換えポリペプチドの投与後、約460U/L以上の血漿ALP濃度を有するとして特徴付けられるか;対象は、雌性であり、且つ約13歳~約15歳であり、且つ組換えポリペプチドの投与後、約280U/L以上の血漿ALP濃度を有するとして特徴付けられるか;対象は、雄性であり、且つ約13歳~約15歳であり、且つ組換えポリペプチドの投与後、約517U/L以上の血漿ALP濃度を有するとして特徴付けられるか;対象は、雌性であり、且つ約15歳~約17歳であり、且つ組換えポリペプチドの投与後、約128U/L以上の血漿ALP濃度を有するとして特徴付けられるか;対象は、雄性であり、且つ約15歳~約17歳であり、且つ組換えポリペプチドの投与後、約365U/L以上の血漿ALP濃度を有するとして特徴付けられるか;対象は、雌性であり、且つ約17歳以上であり、且つ組換えポリペプチドの投与後、約95U/L以上の血漿ALP濃度を有するとして特徴付けられるか;又は対象は、雄性であり、且つ約17歳以上であり、且つ組換えポリペプチドの投与後、約164U/L以上の血漿ALP濃度を有するとして特徴付けられる。
組換えポリペプチドの投与前に、対象は、約10以下の平均Bruininks-Oseretsky運動技能試験(Test of Motor Proficiency)第2版(BOT-2)強度スコアを有するとして特徴付けられ得る。組換えポリペプチドの投与前に、対象は、約5以下の平均BOT-2走行速度及び敏捷性スコアを有するとして特徴付けられ得る。組換えポリペプチドの投与は、対象の約10以上の平均BOT-2強度スコアをもたらし得る。組換えポリペプチドの投与は、対象の約5以上の平均BOT-2走行速度及び敏捷性スコアをもたらし得る。
組換えポリペプチドの投与前に、対象は、約0.8以上の平均小児健康評価質問票(Childhood Health Assessment Questionnaire)(CHAQ)指数スコアを有するとして特徴付けられ得る。組換えポリペプチドの投与は、対象の約0.5以下の平均CHAQ指数スコアをもたらし得る。
組換えポリペプチドの投与前に、対象は、約40以下の平均小児転帰データ収集ツール(Pediatric Outcomes Data Collection Instrument)(PODCI)スコアを有するとして特徴付けられ得る。組換えポリペプチドの投与は、対象の約40以上の平均PODCIスコアをもたらし得る。
組換えポリペプチドの投与前に、対象は、約5未満の平均筋力グレードを有するとして特徴付けられ得る。組換えポリペプチドの投与は、対象の筋力グレードの約1以上の平均増加をもたらす。
組換えポリペプチドの投与前に、対象は、予測されるHHD値の約80%未満の平均ハンドヘルドダイナモメトリー(HHD)値を有するとして特徴付けられ得る。組換えポリペプチドの投与は、対象の、予測されるHHD値の約80%以上の平均HHD値をもたらし得る。HHD値は、対象の握力、膝屈曲、膝伸展、股関節屈曲、股関節伸展又は股関節外転を表し得る。
別の態様において、本発明は、sALP又はsALP融合ポリペプチド(例えば、本明細書に記載されるように、配列番号7~223、247及び262~264のいずれか1つの配列又はそれと少なくとも85%の配列同一性を有するその変異体及び/又は天然に存在するALPに対して少なくとも1つのアミノ酸変異を有するポリペプチド)を含む、本明細書に記載のポリペプチドの活性(例えば、結合活性)を決定するための方法を特徴とする。この方法は、例えば、骨(例えば、哺乳動物(例えば、マウス又はヒト)からの骨などの大腿骨)に由来する骨ホモジネートを提供することを含み得る。骨ホモジネートは、骨組織を採取し、その組織を例えばコラゲナーゼで処理して、結合組織を除去することによって得ることができる。骨は、例えば、骨髄及び/又は他の汚染物質を除去することによって精製され得る。骨が乾燥すると、例えば骨組織がホモジナイズされるまで、例えば骨を粉砕、破砕及び/又はスライスすることにより、骨をホモジナイズすることができる。次に、骨ホモジネートは、その後のアッセイで使用するために、液体、例えばPBSに再懸濁され得る。本明細書に記載のポリペプチドは、ホモジネートと共に、例えば少なくとも1分間、5分間、10分間、15分間、20分間、25分間、30分間、45分間、1時間、2時間、3時間、4時間、5時間、6時間又はそれを超えてインキュベートされ得る。次に、サンプルをボルテックス及び/又は遠心分離して、上清中又は骨ホモジネートに結合したタンパク質の画分が取得され得る。続いて、結合タンパク質と非結合タンパク質との比率を測定及び定量化して、ホモジネートに対するポリペプチドによる結合親和性を決定することができる。
定義
名詞の前の「1つの」又は「複数」という用語は、1つ以上の特定の名詞を表す。例えば、「哺乳動物細胞」という句は、「1つ以上の哺乳動物細胞」を表す。
名詞の前の「1つの」又は「複数」という用語は、1つ以上の特定の名詞を表す。例えば、「哺乳動物細胞」という句は、「1つ以上の哺乳動物細胞」を表す。
「約」という用語は、実験誤差による変動を説明することを意味し、いくつかの実施形態において、「約」は、記載された値の±10%を表す。本明細書で報告される全ての測定値は、明示的に使用されているかどうかにかかわらず、特に明記されていない限り、「約」という用語によって修飾されるものと理解される。
「骨標的化部分」という用語は、骨標的化部分が単独で骨基質に対して少なくとも約1×10-5M又はそれより良好な(例えば、約10-6M、約10-7M、約10-8M、約10-9M又はそれより良好な)インビボ結合親和性を有するように、骨基質に対して十分な親和性を有する少なくとも3アミノ酸残基の長さのアミノ酸配列を意味する。
本明細書で互換的に使用される「簡潔な痛みの目録 - 短い形式」及び「BPI-SF」という用語は、患者、特にHPPを有する患者(例えば、約13歳以上の患者)の痛みを測定する方法を指す。BPI-SFは、参照によりその全体が本明細書に組み込まれるCleeland&Ryan(Ann Acad Med Singapore,23(2),129-138;1994)で説明されている自己報告の痛みの測定値である。BPI-SFは、痛みの重症度及び日常機能に対する痛みの影響を評価するために設計された質問票である。BPI-SFは、質問票実施の24時間前の痛みの重症度(4項目)及び痛みによる支障(7項目)を評価するために数値評価スケールを利用する11項目で構成されている。BPI-SF質問票は、痛みの強さ及び痛みが患者(例えば、約13歳以上のHPP患者)の日常の機能を妨げる程度に関する情報を0(痛みなし)~10(重度の痛み又は痛みによって引き起こされる重大な障害)の数値評価スケールで提供する。スコアが低いほど、生活の質がより良好であり、痛みが軽減されていることを示す。例えば、HPPの青年及び成人のBPI-SFスコアは、11の痛みの評価を複合したものである。
本明細書で使用される「Bruininks-Oseretsky運動技能試験第2版」及び「BOT-2」という用語は、HPPを有する患者(例えば、約5歳~約12歳のHPPを有する子供、約13歳~約17歳のHPPを有する青年又は約18歳以上のHPPを有する成人)の粗大運動能力及び微細運動能力の標準化された試験の第2版を指す。参照によりその全体が本明細書に組み込まれるBruininks,R.H.(2005).Bruininks-Oseretsky Test of Motor Proficiency,(BOT-2).Minneapolis,MN:Pearson Assessmentを参照されたい。BOT-2は、様々な患者の粗大運動能力及び微細運動能力を評価するために個別に投与される。例えば、BOT-2は、HPPを有する患者(例えば、約5歳~約12歳のHPPを有する子供、約13歳~約17歳のHPPを有する青年又は約18歳以上のHPPを有する成人)の身体障害及び移動制限を評価するために使用できる。BOT-2は、次の例示的な領域で複合BOT-2スコアを提供する:強度、走行速度及び敏捷性、微細運動精度、微細運動統合、手先の器用さ、両側協調、バランス及び上肢協調。例えば、BOT-2強度の合計スコアは、患者に腹筋運動、V字腹筋、立幅跳び、壁掛け、空気椅子及び腕立て伏せを行わせることで決定できる。走行速度及び敏捷性の合計スコアは、患者に平均台をまたぐか、又はシャトルラン、両足横跳び若しくは片足横跳びを実行させることで決定できる。BOT-2合計強度及びBOT-2走行速度及び敏捷性の合計スコアは、0~25の範囲であり、約10~25のスコアは、健常な対象を表すと見なされる。
本明細書で使用される「触媒能力のある」という用語は、骨石灰化阻害剤無機ピロリン酸(PPi)を加水分解して無機リン酸(Pi)を提供し、それによりPPiの細胞外濃度を低下させるsALPを指す。したがって、触媒能力のあるsALPは、PPiの濃度を調節することにより、骨の骨格石灰化を改善する。
本明細書で使用される「小児健康評価質問票」及び「CHAQ」という用語は、HPPを有する子供、青年及び一部の成人など、1~19歳の患者の健康状態(例えば、日常生活動作(ADL)を実行する能力及び痛みの発生率)を評価するために使用される質問票を指す。CHAQ指数の説明については、参照によりその全体が本明細書に組み込まれるBruce&Fries(J.Rheumatol.30(1):167-178,2003)を参照されたい。CHAQは、8歳を超える子供に対して面接又は自己申告によって管理され得る。CHAQには、更衣/整容、起床、食事、歩行、衛生、リーチ、グリップ及び動作の8つのサブスケールが含まれる。各カテゴリ内のスコアの範囲は、0~3であり、ここで、スコア0は、困難を伴わないことを示し;スコア1は、一部困難を伴うことを示し;スコア2は、大いに困難を伴うことを示し;スコア3は、患者が活動を実行できないことを示す。CHAQ指数は、痛みの存在及び重症度を判断するためにも使用され得る。
本明細書で使用される「EuroQol 5元質問票」及び「EQ-5D」という用語は、本明細書で使用される場合、約5歳~約12歳のHPPを有する子供、約13歳~約17歳のHPPを有する青年又は約18歳以上のHPPを有する成人などの患者の健康状態(例えば、移動性、セルフケア、学校、仕事若しくは家事の通常の活動を実行する能力、ADL(例えば、更衣、排泄、料理)を実行する能力、痛み又は不快感の経験及び不安又はうつ状態)を評価するために使用される質問票を指す。EQ-5D指数の説明については、参照によりその全体が本明細書に組み込まれるReenan&Oppe(EQ-5D-3L User Guide Version 5.1,2015)を参照されたい。EQ-5Dは、自己管理、臨床医による管理又は面接で行われ得る。EQ-5D質問票には、HPP患者の健康状態を特徴付ける次の5つの観点が含まれる:移動性、セルフケア、ADLを実行する能力、痛み又は不快感の発生率及び不安又はうつ状態。本明細書に記載されるように、EQ-5Dは、HPP患者を、生理的状態に問題がないことを示すレベルI、生理的状態に一部問題があることを示すレベルII、生理的状態に極端な問題があることを示すレベルIII又は生理学的状態に最も極端な問題を示すレベルIVの健康状態を有するとして分類するために、6MWTなどの少なくとも1つの身体的評価と組み合わせて使用され得る。EQ-5Dは、IVからIII、IVからII、IVからI、IIIからII、IIIからI又はIIからIの健康状態など、ある健康状態から別の健康状態へのHPP患者の移行を評価するための分析の一部としても使用できる。小児健康実用指標(Child Health Utility Index)-9D(CHU-9D)は、HPP患者の健康状態を評価するためにも使用できる。CHU-9D及びEQ-5D指数の説明については、参照によりその全体が本明細書に組み込まれるStevens(Appl Health Econ Health Policy.9(3):157-69,2011)及び国際公開第2018/191254号パンフレットを参照されたい。
「有効性」という用語は、用量反応アッセイにおける化合物のEmax値を意味する。
「Fc」という用語は、免疫グロブリン重鎖のCH2及びCH3ドメインを含む、免疫グロブリンのフラグメント結晶化可能領域、例えばIgG1、IgG2、IgG3又はIgG4を意味する。Fcは、Fab領域及びFc領域を結合するヒンジ領域の任意の部分も含み得る。Fcは、ヒトを含む任意の哺乳動物に由来することができ、(例えば、グリコシル化又はシアル化によって)翻訳後修飾され得る。非限定的な例において、Fcは、配列番号259のアミノ酸配列を有するヒトIgG1のフラグメント結晶化可能領域であり得るか、又はFcは、配列番号253のヒトIgG2/4のフラグメント結晶化可能領域であり得る。
「フラグメント」とは、好ましくは、参照ポリヌクレオチド又はポリペプチドの全長の少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%又はそれを超える部分を含む、ポリペプチド又はポリヌクレオチドの部分を意味する。フラグメントは、例えば、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200、210、220、230、240、250、260、270、280、290、300、310、320、330、340、350、360、370、380、390、400、500、600、700、800、900、1,000、1100、1200、1300、1400、1500、1600、1700、1800、1900、2000、2100の又はそれを超えるヌクレオチド、最大でポリヌクレオチドの全長又は10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200、210、220、230、240、250、260、270、280、290、300、400、500、600、700の又はそれを超えるアミノ酸残基、最大でポリペプチドの全長を含み得る。
本明細書で互換的に使用される「ハンドヘルドダイナモメトリー」及び「HHD」という用語は、対象、特に約13歳以上のHPPを有する対象のグリップ及び筋力を測定する方法を指す。ダイナモメーターを使用して、HPPを有する対象の握力、膝屈曲、膝伸展、股関節屈曲、股関節伸展及び股関節外転を評価することができる。例えば、約13歳以上のHPPを有する対象の膝の屈曲及び伸展及び股関節の屈曲、伸展、外転は、例えば、MICROFET2TMダイナモメーターを使用して測定でき、対象の握力は、例えば、JAMAR(登録商標)グリップダイナモメーターを使用して測定できる。特に、管理者は、ダイナモメーターを静止させて持ち、対象は、ダイナモメーターに対して最大の力を加える。ピーク力データは、ポンド単位で収集され、ニュートン(N)に変換される。次に、トルク値は、Nメートル単位の肢長を使用して計算される。次に、トルク値を、例えばほぼ同じ年齢、同じ性別及び/又は同じ身長の正常な対象の値と比較し、対象のHHDスコアを生成するためのパーセンテージ値として表すことができる。
本明細書で使用される「健康状態」という用語は、約5歳~約12歳のHPPを有する子供、約13歳~約17歳のHPPを有する青年又は約18歳以上のHPPを有する成人など、HPPを有する患者の特徴付けられた生理学的状態を指す。HPP患者の健康状態は、6MWT、BOT-2、BSID-III及び歩行分析の1つ以上の測定基準から選択される少なくとも1つの身体的評価及びEQ-5D、CHAQ、PODCI、CHU-9D、SF-36、SF-12及びPedsQLの1つ以上の指標から選択される少なくとも1つの生活の質の評価によって特徴付けることができる。特に、HPP患者の健康状態は、例えば、EQ-5Dと組み合わせた6MWTによって特徴付けられる。上記の測定基準から選択される少なくとも1つの身体的評価及び少なくとも1つの生活の質の評価の結果を得た後、HPP患者は、生理的状態に問題がないことを示すレベルI、生理的状態に一部問題があることを示すレベルII、生理的状態に極端な問題があることを示すレベルIII又は生理学的状態に最も極端な問題を示すレベルIVの健康状態を有すると識別され得る。測定基準は、例えば、本明細書に記載のsALPによる処置後、HPP患者のある健康状態から別の健康状態への移行(sALPの投与後のIVからIII、IVからII、IVからI、IIIからII、IIIからI又はIIからIの健康状態の移行など)を評価するために使用できる。
本明細書で使用される「低ホスファターゼ症」及び「HPP」という用語は、例えば、組織非特異的アルカリホスファターゼ(TNSALP)をコードするALPL(アルカリホスファターゼ、肝臓/骨/腎臓)遺伝子の1つ以上の機能喪失型変異によって引き起こされる稀な遺伝性の骨格障害を指す。HPPは、さらに、乳児HPP、小児HPP、周産期HPP(例えば、良性周産期HPP又は致死周産期HPP)、歯状HPP、青年期HPP又は成人HPPとして特徴付けられ得る。例えば、「小児HPPは、約5歳~約12歳のHPPを有する患者を表し、「青年HPP」は、約13歳~約17歳のHPPを有する患者を表し、「成人HPP」は、約18歳以上のHPPを有する患者を表す。本明細書で使用される「成人HPP」という用語は、以下の症状の1つ以上の存在を特徴とする状態又は表現型を指す:無機ピロリン酸(PPi)の血中及び/又は尿中レベルの上昇、低石灰化、高カルシウム尿症、1以上の骨格変形、筋緊張低下症、筋力低下、リウマチ性合併症、動揺性歩行、歩行困難、骨痛、痛み、骨折、ピロリン酸カルシウム二水和物結晶沈着、偽性痛風、関節炎、ピロリン酸関節症、軟骨石灰化、石灰沈着性関節周囲炎及び偽性骨折。本明細書で使用される「青年HPP」という用語は、以下の症状の1つ以上の存在を特徴とする状態又は表現型を指す:PPi、PEA又はPLPの血中又は尿中レベルの上昇;骨軟化症、1つ以上の骨格変形、筋緊張低下症、筋力低下、リウマチ性合併症、関節炎、偽性痛風、動揺性歩行、歩行困難、骨痛、痛み、歯の早期喪失、低石灰化、肺形成不全、呼吸機能不全、発作、高カルシウム尿症、低身長及び成長遅延。本明細書で使用される「小児HPP」という用語は、以下の症状の1つ以上の存在を特徴とする状態又は表現型を指す:PPi、PEA又はPLPの血中又は尿中レベルの上昇;くる病、くる病性肋骨、1つ以上の骨格変形、筋緊張低下症、筋力低下、リウマチ性合併症、関節炎、偽性痛風、動揺性歩行、歩行困難、骨痛、痛み、歯の早期喪失、低石灰化、運動発達の遅延、発作、高カルシウム尿症、低身長、骨折、偽性骨折及び成長遅延。
本明細書で互換的に使用される「下肢機能スケール」及び「LEFS」という用語は、患者、特にHPPを有する患者(例えば、約13歳以上の患者)の下肢の機能障害を測定する方法を指す。LEFSは、参照によりその全体が本明細書に組み込まれるBinkley et al.(Phys Ther.79:371-83,1999)で説明されている自己報告の測定値である。合計LEFSスコアは、0~80の範囲であり、スコアが高いほど、下肢の機能が優れていることを示す。約9ポイントのLEFSスコアの変化は、臨床的に意味のある変化と見なされる。資格のある理学療法士は、面接形式でHPP患者(例えば、約13歳以上のHPP患者)にLEFSを投与できる。LEFSスコアが高いほど、移行動作(例えば、風呂から出る、ベッドで転がる)、移動(例えば、不均一な地面を歩く、走る)、階段を上ること、しゃがむことを含む下肢の機能が改善されていることを示す。LEFSを使用して、HPP患者の下肢の一方又は両方の機能障害を評価でき、これには、患者を経時的に監視し、アスフォターゼアルファ処置の有効性を評価する機能が含まれる。
「核酸」、「核酸分子」及び「ポリヌクレオチド」という用語は、2つ以上の共有結合した、天然に存在するか又は修飾されたヌクレオチドの配列を有する高分子、例えばRNA又はDNAを意味する。核酸分子は、例えば、一本鎖又は二本鎖であり得、修飾若しくは非修飾ヌクレオチド又はそれらの混合物若しくは組み合わせを含み得る。様々な塩、混合塩及び核酸分子の遊離酸形態も含まれる。
本明細書で使用される「小児転帰データ収集ツール」及び「PODCI」という用語は、19歳未満の患者、特にHPPを有する患者などの慢性的な健康障害を有する患者の全体的な健康状態、痛みの発生率及びADLを実行する能力を評価するために使用される質問票を指す。PODCI指数の説明については、参照によりその全体が本明細書に組み込まれるPlint et al.(J.Pediatr.Orthop.23(6):788-790,2003)を参照されたい。質問票は、患者又は患者の状態を知っている患者の親/保護者によって記入され得る。PODCIから生成された8つのスケールには、次のものが含まれる。1)日常のパーソナルケア及び学生活動を行う際に遭遇する困難を測定するための上肢及び身体機能スケール;2)日常活動で日常的な運動及び運動活動を行う際に経験した困難を測定するための移動及び基本的可動性スケール;3)より活発な活動又はスポーツに参加する際に遭遇する困難又は制限を測定するためのスポーツ/身体機能スケール;4)過去1週間に経験した痛みのレベルを測定するための痛み/快適スケール;5)処置の長期的な期待を測定するための処置期待スケール;6)個人的な外見並びに友人及び同年代の他人との類似性に対する全体的な満足度を測定するための幸福度スケール;7)これが生涯にわたる状態である場合、現在の制限に対する患者の受容を測定するための症状による満足度スケール;8)上記の最初の4つのスケールから計算される一般的な複合スケールである全体機能スケール。標準化されたスコアは、PODCIの一連の質問から生成され、0~100のスケールに変換される。ここで、0は、重大な障害を表し、100は、障害が少ないことを表す。
「組換えタンパク質」という用語は、当技術分野で公知である。組換えタンパク質は、糖タンパク質であり得る。例えば、CHO細胞で作製された組換えタンパク質又は組換えタンパク質変異体は、糖部分がタンパク質に共有結合している状態でグリコシル化されており、糖タンパク質である。簡潔には、「組換えタンパク質」という用語は、細胞培養システムを使用して製造することができるタンパク質を指し得る。細胞培養系の細胞は、例えば、ヒト細胞、CHO細胞、昆虫細胞、酵母細胞又は細菌細胞を含む哺乳動物細胞に由来し得る。一般に、細胞培養物中の細胞は、目的の組換えタンパク質をコードする導入されたポリヌクレオチドを含む(このポリヌクレオチドは、プラスミドベクターなどのベクター上に保有され得る)。組換えタンパク質をコードするポリヌクレオチドは、タンパク質をコードするポリヌクレオチドに作動可能に連結された異種プロモーターも含むことができる。
本明細書で使用される場合、「6分間歩行試験」及び「6MWT」は、HPPを有する患者(例えば、約5歳~約12歳のHPPを有する子供、約13歳~約17歳のHPPを有する青年又は約18歳以上のHPPを有する成人)の歩行能力を評価するための標準化された試験である身体的評価を指す。特に、歩行能力は、患者が各足を順番に上げ下ろしする能力を指す。American Thoracic Society statement:guidelines for the six-minute walk test(参照によりその全体が本明細書に組み込まれるAmer.J.of Respiratory and Critical Care Medicine,166(1):111-7,2002)を参照されたい。6MWTは、患者が6分間で平坦な硬い面を歩行する距離(例えば、メートル単位など)から決定される。次に、6MWT距離は、ベースライン時の患者の6MWT距離、未処置の対象(例えば、ほぼ同じ年齢、身長及び/又は性別の未処置の対象)の6MWT距離又は健常な対象(例えば、ほぼ同じ年齢、身長及び/又は性別の健常な対象)の6MWT距離と比較でき、6MWT値を決定するためのパーセンテージとして表される。
「処置すること」、「処置する」及び「処置」とは、HPP(例えば、小児、青年又は成人HPP)などの病状若しくはその1つ以上の症状を治癒、改善、安定化、可能性を低減若しくは予防することを目的とした患者の医療管理及び/又は例えば医薬組成物(例えば、本明細書に記載のsALP)を投与することによる、HPPなどの病状を示すか若しくはそれを有する可能性のある患者の管理を意味する。この用語には、能動的処置、すなわち特に疾患、病的状態、障害又は事象の改善に向けられた又は治癒に関連した処置が含まれ、また原因的処置、すなわち関連する疾患、病的状態、障害又は事象の原因の除去に向けられた処置も含まれる。さらに、この用語には、緩和的処置、すなわち疾患、病的状態、障害又は事象の治癒よりも、少なくとも1つの症状の緩和又は改善のために設計された処置;対症的処置、すなわち関連する疾患、病状、障害又は事象の全身症状に向けられた処置;予防的処置、すなわち例えば依然として病気ではないが、特定の疾患、病的状態、障害又は事象の影響を受けやすいか又はそうでなければそのリスクがある患者において、関連する疾患、病的状態、障害又は事象の発症を最小限に抑えるか、部分的又は完全に阻害することを目的とした処置;及び支持的処置、すなわち関連する疾患、病的状態、障害又は事象の改善に向けられた別の特定の療法を補うために採用される処置も含まれる。
「ペプチド」、「ポリペプチド」及び「タンパク質」という用語は、互換的に使用され、翻訳後修飾(例えば、グリコシル化、シアル化又はリン酸化)にかかわらず、本明細書に記載されるように、天然に存在する又は天然に存在しないポリペプチド又はペプチドの全部又は一部を構成する、2つ以上の天然又は非天然アミノ酸残基の任意の鎖を指す。
「ALP」、「sALP」、「可溶性アルカリホスファターゼ」、「アルカリホスファターゼ」及び「アルカリホスファターゼの細胞外ドメイン」という用語は、互換的に使用され(文脈で別段の指示がない限り)、可溶性の、膜に結合していないアルカリホスファターゼ又はドメイン、生物学的に活性なフラグメント又はそれらの生物学的に活性な変異体を意味する。ALPは、例えば、C末端GPIシグナル配列を欠くアルカリホスファターゼ及びアルカリホスファターゼ活性、例えばPPi又は他の天然又は人工基質を加水分解する能力を保持する、そのさらなる変異体及び類似体を含む。これには、特に明記されていない限り、TNSALP、PALP、GALP及びIALPドメイン並びにそれらの生物学的に活性なフラグメント又は生物学的に活性な変異体が含まれる。成熟したsALPは、GPI膜アンカー及びシグナルペプチドを欠いており、これは、プロセシング中に切断される。
「ALPポリペプチド」という用語は、本明細書で定義されるように、ALP配列を含む任意の配列を意味する。例示的なALPポリペプチドには、A及びBのそれぞれが存在しないか、又は少なくとも1つのアミノ酸のアミノ酸配列である、構造A-ALP-Bを有するもの(例えば、本明細書に記載の任意のALP融合ポリペプチド)が含まれる。
「単離された」又は「精製された」という用語は、他の自然に付随する成分から分離されていることを意味する。典型的には、化合物(例えば、タンパク質、ポリペプチド、ポリヌクレオチド又は小分子)、因子、細胞又は他の成分は、少なくとも、例えばタンパク質、抗体、天然に存在する有機分子及びそれが天然に関連する他の成分を重量で50%、60%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、さらには99%含まない場合、単離されたと見なされる。いくつかの例において、成分は、重量で少なくとも75%、90%、さらには99%純粋である。単離された成分は、化学合成、天然源からの因子の分離又は成分を天然に産生しない組換え宿主細胞における成分の産生によって得ることができる。タンパク質及び小分子は、Ausubel et al.(Current Protocols in Molecular Biology,John Wiley&Sons,New York,2000)によって記載されるものなどの標準的な技術を使用して当業者によって精製され得る。成分は、好ましくは、少なくとも例えば出発物質の2、5又は10倍純粋であり、これは、例えば、ポリアクリルアミドゲル電気泳動、カラムクロマトグラフィー、光学密度、HPLC分析又はウエスタン分析を使用して測定される(Ausubel et al.,2000)。精製の例示的な方法は、カラムクロマトグラフィー、ろ過、免疫沈降及び磁気ビーズ免疫親和性精製である。
「薬学的に許容される担体」又は「薬学的に許容される賦形剤」という用語は、共に投与される化合物の治療特性を保持しながら、処置される患者に生理学的に許容される、担体又は賦形剤を意味する。1つの例示的な薬学的に許容される担体物質は、生理食塩水である。他の生理学的に許容される担体及びそれらの製剤は、当業者に知られており、例えばRemington(The Science and Practice of Pharmacy,22nd Ed.,Allen,Ed.2012)に記載されている。
「医薬組成物」という用語は、薬学的に許容される賦形剤で製剤化された本明細書に記載のポリペプチド又はポリヌクレオチドを含む組成物を意味し、患者における疾患又は事象の処置又は予防のための処置レジメンの一部として政府規制当局の承認を得て製造又は販売されるものを含む。医薬組成物は、例えば、皮下投与、静脈内投与(例えば、粒子状塞栓を含まない、静脈内使用に適した溶媒系における滅菌溶液として)、経口投与(例えば、錠剤、カプセル、カプレット、ゲルキャップ又はシロップ)又は本明細書に記載される他の任意の製剤、例えば単位剤形のために製剤化することができる。
「対象」又は「患者」という用語は、ヒト又は非ヒト哺乳動物(ウシ、ウマ、イヌ、ヒツジ又はネコなど)を含むが、これらに限定されない哺乳動物を意味する。
「哺乳動物細胞」という用語は、当技術分野で知られており、例えばヒト、ハムスター、マウス、ミドリザル、ラット、ブタ、ウシ、ハムスター又はウサギを含む任意の哺乳動物からの又はそれに由来する任意の細胞を指すことができる。哺乳動物細胞は、不死化細胞、分化細胞又は未分化細胞であり得る。
「治療有効量」という用語は、本明細書に記載の疾患又は状態の任意の症状、特にHPPを実質的に処置、予防、遅延、抑制又は阻止するのに十分である、本明細書に記載のポリペプチド又はポリヌクレオチドの量を意味する。本明細書に記載の組成物の治療有効量は、処置される障害の重症度及び対象の状態、体重及び一般的な状態に依存し得、そのような要因を考慮して当業者によって決定され得る。本明細書に記載の治療有効量の組成物は、単回投与又は一定期間にわたって投与される複数回投与で対象に投与することができる。
本明細書で使用される場合、ポリペプチド又は核酸配列が参照配列に対して「少なくともX%の配列同一性」を有すると言及される場合、それは、ポリペプチド又は核酸中のアミノ酸残基又はヌクレオチドの少なくともXパーセントが、配列が最適にアラインされている場合、参照配列のものと同一であることを意味する。配列の最適なアラインメントは、当技術分野の範囲内である様々な方法、例えばSmith Watermanアラインメントアルゴリズム(Smith et al.,J.Mol.Biol.147:195-7,1981)及びBLAST(Basic Local Alignment Search Tool;Altschul et al.,J.Mol.Biol.215:403-10,1990)で決定することができる。これら及び他のアラインメントアルゴリズムは、GeneMatcher Plus(商標)(Schwarz and Dayhof,Atlas of Protein Sequence and Structure,Dayhoff,M.O.,Ed.,pp 353-358,1979)に組み込まれた「Best Fit」(Smith and Waterman,Advances in Applied Mathematics,482-489,1981)、BLAST、BLAST-2、BLAST-P、BLAST-N、BLAST-X、WU-BLAST-2、ALIGN、ALIGN-2、CLUSTAL又はMegalign(DNASTAR)などの公に利用可能なコンピュータソフトウェアを使用してアクセスできる。さらに、当業者は、比較される配列の長さにわたって最適なアラインメントを達成するために必要な任意のアルゴリズムを含む、アラインメントを測定するための適切なパラメータを決定することができる。
「好ましい」及び「好ましくは」という言葉は、特定の状況下で特定の利益をもたらし得る、開示される化合物、組成物及び方法の実施形態を指す。しかし、同じ又は他の状況下では、他の実施形態も好ましい場合がある。さらに、1つ以上の好ましい実施形態の列挙は、他の実施形態が有用でないことを意味するものではなく、他の実施形態を本開示の範囲から除外することを意図するものではない。
個別のステップを含む本明細書に開示される任意の方法について、ステップは、任意の実行可能な順序で実施することができ、また必要に応じて2つ以上のステップの任意の組み合わせを同時に実施することができる。
上記の要約は、開示される各実施形態又は開示される化合物、組成物及び方法の全ての実施を説明することを意図するものではない。以下の説明は、より具体的に例示的な実施形態を例示する。本出願を通して、いくつかの箇所で例のリストを通してガイダンスが提供され得、その例は、様々な組み合わせで使用できる。いずれの場合にも、列挙されたリストは、代表群としてのみ機能し、排他的なリストとして解釈されるべきではない。
全ての見出しは、読者の便宜のためのものであり、特に明記されていない限り、見出しに続く文書の意味を限定するために使用されるものではない。
出願ファイルは、少なくとも1つのカラーで作成された図面を含む。この特許又は特許出願のコピーは、カラー図面と共に、請求及び必要な料金の支払いに応じて特許庁から提供される。
低ホスファターゼ症(HPP)などの骨石灰化障害及びその症状を処置するための、可溶性アルカリホスファターゼ、そのフラグメント、融合タンパク質を含むポリペプチド及びその使用方法が記載される。ポリペプチドは、天然に存在するアルカリホスファターゼ(ALP)に由来する可溶性アルカリホスファターゼ(sALP)又はそのフラグメントを含む。アルカリホスファターゼには、異なる組織で差次的に発現する様々なアイソザイムが含まれる。4つの主要なALPアイソザイムには、組織非特異的アルカリホスファターゼ(TNSALP)、胎盤アルカリホスファターゼ(PALP)、生殖系列アルカリホスファターゼ(GALP)及び腸アルカリホスファターゼ(IALP)が含まれる。したがって、これらのALPアイソザイムに由来するタンパク質が記載される。
HPPは、稀な遺伝性の骨格疾患であり、疾患の最も重症な形態では出生10万人に1人の割合で発症する。この障害は、典型的には、TNSALPをコードする遺伝子の機能喪失型変異に起因する。HPPは、早期の歯の喪失から子宮内での骨の石灰化のほぼ完全な欠如まで、顕著な範囲の症状及び重症度を示す。HPPの症状は対象によって著しく異なり、対象の年齢によっても著しく異なる。HPPを有する対象の多くは、骨格の変化、低身長、慢性痛、痛みを伴う下肢、歩行障害及び早期の非外傷性の歯の喪失を示す。内因性TNSALPの機能喪失型変異により、HPPを有する対象は、天然のALP活性を回復し、正常な骨基質石灰化を提供するために、本明細書に記載されるポリペプチドの機能的ALP活性を必要とする。
部位特異的変異誘発を実施することにより、アルカリホスファターゼポリペプチド及びその融合タンパク質のタンパク質活性、タンパク質安定性及び薬物動態特性を体系的に調べた。本明細書に記載のアルカリホスファターゼポリペプチド及びその融合タンパク質の変異には、アルカリホスファターゼ酵素の活性部位内及びその周辺、N結合型グリコシル化の1つ以上のコンセンサス部位、含まれる場合には骨標的化部分及び/又は含まれる場合にはフラグメント結晶化可能(Fc)領域におけるアミノ酸残基の変化が含まれる。これらの変化の1つ以上を含むアルカリホスファターゼポリペプチド及びその融合タンパク質並びに変化がタンパク質活性、タンパク質安定性及び薬物動態特性の1つ以上を改善することを示すデータが本明細書に開示される。アルカリホスファターゼポリペプチド及びその融合タンパク質は、本明細書でより詳細に記載されている。
可溶性アルカリホスファターゼ
天然に存在するALP及びそのフラグメント並びにその少なくとも1つの変異のない天然に存在するALPと比較して、少なくとも1つの活性又は薬物動態(PK)特性を改善する1つ以上の変異を有するALPを含む、ALPを含むポリペプチドが記載される。
天然に存在するALP及びそのフラグメント並びにその少なくとも1つの変異のない天然に存在するALPと比較して、少なくとも1つの活性又は薬物動態(PK)特性を改善する1つ以上の変異を有するALPを含む、ALPを含むポリペプチドが記載される。
ALPは、TNSALP、PALP、GALP若しくはIALPの可溶性フラグメント又はそれらのキメラであり得る。ALPは、任意の適切な生物に由来し得、例えば、哺乳動物ALPであり得る。哺乳動物ALPには、例えば、ヒト、ゴリラ、マウス、ウサギ、チンパンジー、カニクイザル、アカゲザル、オランウータン、ヒヒ、ラット、ウシ、ヤギ及びラマALPが含まれる。いくつかの特定の実施形態において、ALPは、ヒトTNSALP又はヒトIALPなどのヒトALPである。ALPは、配列番号1~6のいずれか1つに対して少なくとも70%(例えば、75%、80%、85%、90%、95%、97%、99%又は100%)の配列同一性(例えば、配列番号1の残基1~491又は配列番号4の残基1~486に対して少なくとも85%の配列同一性)を有し得る。ALPは、配列番号1~6のいずれか1つの少なくとも50(例えば、少なくとも100、150、200、250、300、350、400、450又はそれを超える)アミノ酸の領域に対して少なくとも70%(例えば、75%、80%、85%、90%、95%、97%、99%又は100%)の配列同一性を有し得る。
TNSALPは、C末端の糖脂質部分によってアンカーされた膜結合タンパク質である(Swiss-Prot,P05186)。糖脂質アンカー(GPI)は、疎水性のC末端を除去した後、翻訳後に追加される。これは、一時的な膜アンカーとしても、GPIの追加のシグナルとしても機能する。GPIアンカーは細胞膜に位置し、TNSALPの残りの部分は細胞外に位置する。特に、TNSALP(例えば、ヒトTNSALP(hTNSALP))は、疎水性C末端配列の最初のアミノ酸(アラニン)を終止コドンで置き換えるように操作し、それにより、TNSALPの天然のアンカー型の全てのアミノ酸残基を含むが、GPI膜アンカーを欠く、操作された可溶性TNSALPを産生することができる。当業者は、GPI膜アンカーの位置がALPによって異なり、例えば、ポリペプチドのC末端に最後の10、12、14、16、18、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、32、34、36、38、40、45、50又はそれを超えるアミノ酸残基を含み得ることを理解するであろう。したがって、天然ALPのC末端は、ALP活性に影響を与えることなく、特定のアミノ酸によって切断することができる。
C末端のGPIアンカーに加え、TNSALPはN末端のシグナルペプチド配列も有する。N末端シグナルペプチドは、合成時にタンパク質上に存在するが、小胞体への移行後にTNSALPから切断される。例示的なN末端シグナルペプチドは、MISPFLVLAIGTCLTNS(配列番号251)である。
本明細書に記載のsALPは、その分泌型(すなわちN末端シグナルを欠く)及び非分泌型(すなわちN末端シグナルを有する)の両方を含む。当業者は、N末端シグナルペプチドの位置がアルカリホスファターゼによって異なり、例えば、ポリペプチドのN末端に最初の5、8、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、27、30又はそれを超えるアミノ酸残基を含み得ることを理解するであろう。当業者は、例えば、Bendtsen et al.(J.Mol.Biol.340(4):783-795,2004)に記載され、www.cbs.dtu.dk/services/SignalP/で入手可能なものなどの適切なコンピュータアルゴリズムにより、シグナル配列切断部位の位置を予測することができる。
ALPは、1つ以上の変異、例えば、天然に存在しない変異である変異を含み得る。1つ以上の変異は、好ましくは、アルカリホスファターゼ及び/又は骨標的化コンジュゲートの治療的特徴を増強する。例えば、1つ以上の変異は、骨標的化コンジュゲートのクリアランス速度、活性、有効性及び/又は溶解性を改善することができる。変異は、アミノ酸置換又は1つ以上のアミノ酸の挿入又は欠失であり得る。1つ以上の変異は、その少なくとも1つの変異のない天然に存在するALPと比較して、少なくとも1つの薬物動態(PK)特性の活性を改善し得る。ALP(例えば、ヒトTNSALP)は、配列番号1に対するE108X、M384X、L385X、N213X及びN286Xからなる群から選択される少なくとも1つの変異を有し得、ここで、Xは任意のアミノ酸である。1つ以上の変異は、配列番号1に対する例えばE108S、E108T、E108Q、E108M、E108K、E108L、M384R、L385T、N213Q及びN286Qを含み得る。ALPは、異なるアミノ酸位置に2つ以上(例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、10又はそれを超える)の変異を含み得る。例えば、ALPは、配列番号1に対するE108M、N213Q及びN286Q変異を含み得る。ALP(例えば、ヒトIALP)は、配列番号4に対してW245X変異を有し得、ここで、Xは任意のアミノ酸である。ALPは、配列番号4に対するW245R変異を有し得る。ALPは、配列番号4に対するC481X変異を有し得、ここで、Xは、任意の非チオール含有アミノ酸である(例えば、C481G)。
本明細書に記載のポリペプチドは、ALPの特定の領域内に存在する天然に存在するALPと比較した変異を含むALPを含み得る。変異はALPのエクトドメインに存在し得る。例えば、変異は、ALPのクラウンドメイン、触媒ドメイン又は二量体化ドメインに存在し得る。変異が含まれる場合、GPIアンカードメインに存在し得る。ポリペプチドは、ヒトTNSALPのアミノ酸1~491若しくは1~486又はアラインメント及び/又は配列相同性に基づく類似のALP位置内に存在する変異を含み得る。例えば、ポリペプチドは、配列番号1に対して、位置1~491、1~486、25~475、25~240、50~400、50~350及び/又は100~300内に変異を有し得る。ポリペプチドは、配列番号1に対して、位置100~125、100~110、200~225、210~220、275~300、280~290、425~450及び/又は425~435内に変異を有し得る。例えば、ポリペプチドは、配列番号1に対して、位置108、213、286及び/又は429間に変異を有し得る。特定の実施形態において、変異は、ALPの配列内にあり、変異は、ALPのN末端ドメイン又はC末端ドメインに存在する非天然アミノ酸のストレッチではない。
ALPは、コンセンサスN結合型グリコシル化部位に変異を有し得る。コンセンサスN-結合型グリコシル化部位は、アスパラギン-X-Zモチーフを含み、ここで、Xは、Pを除く任意のアミノ酸であり、Zは、S又はTを除く任意のアミノ酸である。アスパラギンは、グルタミンに変異し得る。
ALPは、配列番号4に対するS429X変異を有し得、ここで、Xは任意のアミノ酸である。例えば、ALPは、配列番号4に対するS429Q、S429H、S429E又はS429D変異を有し得る。
ALPは、配列番号7~223、247及び262~264のいずれか1つの少なくとも50(例えば、100、150、200、250、350、400又はそれを超える)アミノ酸の領域に対して少なくとも70%(例えば、75%、80%、85%、90%、95%、97%、99%又は100%)の配列同一性を有し得、且つ/又は1つ以上の上記変異を含み得る。
変異型ALPは、天然に存在するALPに対してPK特性の少なくとも1つの活性を改善し得る。例えば、変異は、増加した触媒活性、増加した温度安定性、増加した亜鉛結合、亜鉛枯渇バッファーにおける活性の維持、pH5.0~7.5における活性の維持、減少した二量体化、減少した凝集及び/又はALPの増加した製造可能性の1つ以上を提供し得る。増加した触媒活性には、ピリドキサール5-リン酸及び/又はピロリン酸の増加した加水分解が含まれ得る。増加した触媒活性は、天然に存在するALPの活性よりも少なくとも2倍(例えば、3倍、4倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍、10倍、20倍、30倍、40倍、50倍、例えば、約2倍~約30倍)良好であり得る。改善されたPK特性には、増加した基質特異性、天然基質に対する増加した活性、人工基質に対する増加した活性、天然基質のための減少したKm及び用量あたりの増加した曲線下面積(AUC)の1つ以上が含まれ得る。人工ALP基質には、例えば、リン酸ウンベリフェリル(例えば、リン酸4-メチルウンベリフェリル(4-MUP))、リン酸ウンベリフェロン及びリン酸パラニトロフェニル(pNPP)が含まれる。天然基質には、例えば、ピリドキサール-5’-リン酸、PLP及びPEAが含まれる。
本明細書に記載のALPは、二量体の形態であり得る。代わりに、ALPは、単量体の形態であり得る。
骨標的化部分
本明細書に記載のポリペプチドは、骨標的化部分をさらに含み得る。骨標的化部分は、骨に対して十分な親和性を有するアミノ酸の任意の配列である(例えば、骨のヒドロキシアパタイトミネラル相)。骨のミネラル相には正に帯電した領域が含まれる。したがって、グルタミン酸又はアスパラギン酸などの負に帯電したアミノ酸は、ポリペプチドを骨に標的指向化し得る。骨標的化部分は、sALPが骨組織に局在化し、sALPの活性が低下するまで結合したままとなることを可能にする。これにより、sALPは天然TNSALPの位置でヒドロキシアパタイト骨形成を触媒することができる。
本明細書に記載のポリペプチドは、骨標的化部分をさらに含み得る。骨標的化部分は、骨に対して十分な親和性を有するアミノ酸の任意の配列である(例えば、骨のヒドロキシアパタイトミネラル相)。骨のミネラル相には正に帯電した領域が含まれる。したがって、グルタミン酸又はアスパラギン酸などの負に帯電したアミノ酸は、ポリペプチドを骨に標的指向化し得る。骨標的化部分は、sALPが骨組織に局在化し、sALPの活性が低下するまで結合したままとなることを可能にする。これにより、sALPは天然TNSALPの位置でヒドロキシアパタイト骨形成を触媒することができる。
骨標的化部分は、ALPのN末端又はC末端に配置され得る。骨標的化部分は、ポリアスパラギン酸(Dn)、ポリグルタミン酸(En)、ポリ(アスパラギン酸-アラニン-アスパラギン酸)(DAD)n、ポリ(アスパラギン酸-アスパラギン酸-セリン)(DDS)n、ポリ(アスパラギン酸-セリン-セリン(DSS)n、ポリ(グルタミン酸-グルタミン酸-セリン)(EES)nを含み得る。nは、1~50の任意の整数(例えば、1~30、3~30、3~20、5~16、10~16、例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、24、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49及び50)であり得る。いくつかの実施形態において、骨標的化部分は、n=7~10の場合Dn;n=10~15の場合En;n=2~4の場合(DAD)n;n=2~4の場合(DDS)n;n=3の場合(DSS)n;又はn=3~4の場合(EES)nの構造を含み得る。
標的化配列には、Dnが含まれ得、ここで、nは、例えば3~9、17~30、10~16又は3~30である。標的化配列には、Enが含まれ得、ここで、nは、例えば3~9、17~30、10~16又は3~30である。骨標的化部分は、アスパラギン酸残基及びグルタミン酸残基の両方を含む配列を含み得る。
任意選択により、Thr、Gly、Gln、Asn、Lys、Ser及び/又はAlaの1つ以上などの他のアミノ酸を、Dn又はEn骨標的配列内に含めることができる。非限定的な例として、標的化部分は、(DDS)nを含むことができ、ここで、nは、2、3、4、5、6、7、8、9又は10である。
骨標的化部分は、骨ミネラルに結合することが知られている唾液タンパク質であるスタテリンからの骨標的化配列の全部又は一部を含み得る。スタテリン骨標的化配列の例は、DDSEEKFLRRIGRFG(配列番号252)である。骨標的化配列は、スタテリンからの骨標的化配列にコンジュゲートされたDn又はEn配列を含み得る。
任意選択により、本明細書に記載の骨標的化コンジュゲートの実施形態のいずれかについて、標的化配列は、システイン残基がN末端、C末端又はその両方に隣接し得る。システイン残基は、ポリペプチドを別の化学部分にコンジュゲートさせるために使用することができる。
骨標的化部分は、骨標的化配列を含むVHH抗体又はそのフラグメントを含み得る。骨標的化配列は、VHH抗体フラグメント内及び/又はその末端に配置されて、骨標的化VHHコンストラクトを生成し得る。VHH抗体フラグメントには、ラクダ科動物(例えば、ラマ)に見られるように、重鎖ホモ二量体IgGの可変ドメイン(VHH)の全て又は一部が含まれる。ホモ二量体抗体は、軽鎖(VL及びCL)及び従来の抗体に特徴的な第1の重鎖定常領域(CH1)を欠いている。従来の抗体の可変ドメインと同様に、これらの重鎖ホモ二量体(VHH)の可変ドメインは、CDR H1、CDR H2及びCDR H3と呼ばれることもある3つの相補性決定領域(CDR)を有する。ラマ抗体からのCDR H3は、同等のマウスCDR3よりも最大3倍長くてもよい。VHH配列には、3つのCDR領域に隣接する複数のフレームワーク(F)領域が含まれ得る。VHH配列には、天然に存在する配列並びにMA10、MG6及びMG7などのファージディスプレイを使用して同定された配列が含まれる(Emelie D.Rodrigues,Single Domain Antibodies in Tissue Engineering,University of Twente,Netherlands,2014)。骨標的化VHHコンストラクトは、Dn又はEn(n=1~50)などの少なくとも1つの骨標的化配列を含むように調製され得る。骨標的化配列は、VHHのCDR配列内及び/又はVHH配列の一端又は両端に配置することができる(図20、概略図)。VHHの1つ、2つ若しくは3つ全てのCDR又はその一部は、骨標的化配列で置換され得る。CDRを含まないVHHフラグメントの部分、例えば、フレームワーク(F)領域は、骨標的化部分においてスペーサー領域として機能し得る。任意選択により、骨標的化配列は、CDR配列の2つ又は3つ全ての中に配置され得る。図20に概略的に示されるように、FはVHHフレームワーク領域を表し、灰色の領域はCDR H1、H2、H3及び骨標的化配列の配置又は間隔設定に使用され得るエンドセグメントを含む。
Fc領域
本明細書に記載のポリペプチドは、Fc領域をさらに含み得る。例えば、sALPは、例えばポリペプチドのN末端又はC末端に、免疫グロブリンのFc領域を含む融合ポリペプチドであり得る。免疫グロブリン分子は、当技術分野で周知の構造を有する。これには、鎖間ジスルフィド結合によって結合された2つの軽鎖(それぞれ約23kD)及び2つの重鎖(それぞれ約50~70kD)が含まれる。免疫グロブリンは、タンパク質分解により(例えば、パパイン切断により)容易に切断されて、Fab(軽鎖並びに重鎖のVH及びCH1ドメインを含む)及びFc(隣接する配列と共に重鎖のCH2及びCH3ドメインを含む)になる。本明細書に記載の有用なFcフラグメントには、任意の哺乳動物(例えば、ヒト)からの、IgG、IgM、IgA、IgD又はIgEを含む任意の免疫グロブリン分子のFcフラグメント及びそれらの様々なサブクラス(例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1、IgA2)が含まれる。例えば、FcフラグメントはヒトIgG1であり得る。
本明細書に記載のポリペプチドは、Fc領域をさらに含み得る。例えば、sALPは、例えばポリペプチドのN末端又はC末端に、免疫グロブリンのFc領域を含む融合ポリペプチドであり得る。免疫グロブリン分子は、当技術分野で周知の構造を有する。これには、鎖間ジスルフィド結合によって結合された2つの軽鎖(それぞれ約23kD)及び2つの重鎖(それぞれ約50~70kD)が含まれる。免疫グロブリンは、タンパク質分解により(例えば、パパイン切断により)容易に切断されて、Fab(軽鎖並びに重鎖のVH及びCH1ドメインを含む)及びFc(隣接する配列と共に重鎖のCH2及びCH3ドメインを含む)になる。本明細書に記載の有用なFcフラグメントには、任意の哺乳動物(例えば、ヒト)からの、IgG、IgM、IgA、IgD又はIgEを含む任意の免疫グロブリン分子のFcフラグメント及びそれらの様々なサブクラス(例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1、IgA2)が含まれる。例えば、FcフラグメントはヒトIgG1であり得る。
Fc領域は、IgGのFcフラグメントの全部又は一部を含み得る。IgGは、IgG1、IgG2、IgG3若しくはIgG4又はIgG2/4などの2つ以上のIgGのキメラであり得る。IgG2/4キメラは、例えば、参照により本明細書に組み込まれる国際公開第2007/106585号パンフレットに記載されている。Fcフラグメントは、対象への投与後のポリペプチドの半減期及び循環時間を増加させ得る。例えば、ポリペプチドの半減期は、約10~約100時間(例えば、約20、30、40、50、60、70、80又は90時間)であり得る。半減期は、投与形態によって異なり得る。Fcフラグメントは、例えば、重鎖のCH2及びCH3ドメイン並びにヒンジ領域の任意の部分を含み得る。Fc領域は、当業者に知られている任意の適切な1つ以上のアミノ酸残基で任意選択によりグリコシル化することができる。特に、融合ポリペプチドのFcフラグメントは、配列番号253若しくは配列番号259のアミノ酸配列を有するか、又は配列番号253又は配列番号259に対して少なくとも50%(例えば、55%、60%、65%、70%、75%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%)の配列同一性を有する。操作された、例えば、天然に存在しないFc領域も使用することができる(例えば、参照により本明細書に組み込まれる国際公開第2005/007809号パンフレットを参照されたい)。本明細書に記載されるFcフラグメントは、本明細書に記載のFcフラグメントのいずれかに対して、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、25、30、35、40、50個又はそれを超える数の付加、欠失又は置換を有し得る。
リンカー及びスペーサー
本明細書に記載のポリペプチドは、1つ以上のアミノ酸の1つ以上のリンカー又はスペーサーを含み得る。ポリペプチドは、ポリペプチドのN末端又はC末端に位置する1つ以上の末端残基も含み得る。リンカー又はスペーサーは、1つ以上の配列(例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、150、200、250、300、350、400、450、500又はそれを超える)アミノ酸を含み得る。本明細書に記載のポリペプチドからリンカー又はスペーサーを省略し得る。
本明細書に記載のポリペプチドは、1つ以上のアミノ酸の1つ以上のリンカー又はスペーサーを含み得る。ポリペプチドは、ポリペプチドのN末端又はC末端に位置する1つ以上の末端残基も含み得る。リンカー又はスペーサーは、1つ以上の配列(例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、150、200、250、300、350、400、450、500又はそれを超える)アミノ酸を含み得る。本明細書に記載のポリペプチドからリンカー又はスペーサーを省略し得る。
リンカーは、隣接するドメイン間の柔軟性を促進するため又はドメイン間の立体障害を排除するために任意の適切なアミノ酸を含むことができる。さらに、リンカー又はスペーサーを使用して、タンパク質の折り畳み、熱安定性及び/又はポリペプチドの組換え発現を増強することができる。
1つ以上のさらなるアミノ酸は、N末端において、C末端において且つ/又は本明細書に記載のポリペプチドの成分のいずれか若しくは全ての間に介在する配列として配置することができる。例えば、Fc領域と骨標的化部分との間にさらなるアミノ酸が含まれ得る。例示的な介在配列は、Fc領域と骨標的化部分配列との間に配置することができるGGGGS(配列番号254)などの1つ以上のグリシン又はセリンを含む。いくつかの実施形態において、さらなる可動性を提供するために、より長い介在配列が使用され得る。
いくつかの実施形態において、リンカーは、(GGGGA)2GGGGS(配列番号255)、(GGGGQ)2GGGGS(配列番号256)、(GGGPS)2GGGGS(配列番号257)又はGGGGS(PGGGS)2(配列番号258)の配列を含む。いくつかの実施形態において、リンカーは、(GGGGA)2GGGGS(配列番号255)、(GGGGQ)2GGGGS(配列番号256)、(GGGPS)2GGGGS(配列番号257)又はGGGGS(PGGGS)2(配列番号258)の配列を含まない。
ポリペプチドのトポロジー
本明細書に記載のポリペプチドは、sALP、骨標的化部分、Fc領域、スペーサー及びリンカーの1つ以上を含み得る。本明細書に記載のポリペプチドの成分は、適切な機能を提供する、N末端からC末端に配置された任意の適切なトポロジーを含み得る。骨標的化部分を含むポリペプチドは、骨標的化コンジュゲート又は骨標的化Fcコンジュゲートと呼ばれ得る。
本明細書に記載のポリペプチドは、sALP、骨標的化部分、Fc領域、スペーサー及びリンカーの1つ以上を含み得る。本明細書に記載のポリペプチドの成分は、適切な機能を提供する、N末端からC末端に配置された任意の適切なトポロジーを含み得る。骨標的化部分を含むポリペプチドは、骨標的化コンジュゲート又は骨標的化Fcコンジュゲートと呼ばれ得る。
例えば、sALP及びFc領域を含むポリペプチドは、構造N-sALP-Fc-C又はN-Fc-sALP-Cを有し得る。任意選択により、ポリペプチドは、これらのドメインの1つ以上の間に1つ以上(例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、10又はそれを超える)のアミノ酸のリンカー又はスペーサーをさらに含み得る。
ポリペプチドは、sALP及び骨標的化部分(BTM)を含み得、構造N-sALP-BTM-C又はN-BTM-sALP-Cを有し得る。任意選択により、ポリペプチドは、これらのドメインの1つ以上の間に1つ以上(例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、10又はそれを超える)のアミノ酸のリンカー又はスペーサーをさらに含み得る。
ポリペプチドは、sALP、Fc領域及びBTMを含み得る。3つの成分全てを含むポリペプチドは、構造N-sALP-Fc-BTM-C、N-Fc-BTM-sALP-C、N-BTM-sALP-Fc-C、N-sALP-BTM-Fc-C、N-Fc-sALP-BTM-C又はN-BTM-Fc-sALP-Cを有し得る。任意選択により、ポリペプチドは、これらのドメインの1つ以上の間に1つ以上(例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、10又はそれを超える)のアミノ酸のリンカー又はスペーサーをさらに含み得る。
ポリペプチドは、配列番号7~223、247及び262~264のいずれか1つに対して少なくとも85%(例えば、90%、95%、97%、99%又は100%)の配列同一性を有するアミノ酸配列を含み得るか又はそれからなり得る。例えば、ポリペプチドは、配列番号72、123、155又は177のいずれか1つの配列を含み得るか又はそれからなり得る。ポリペプチドは、配列番号123に対して少なくとも85%(例えば、90%、95%、97%、99%又は100%)の配列同一性を有するアミノ酸配列を含み得るか又はそれからなり得、ここで、任意選択により、ポリペプチドは、以下の修飾:E108M、N213Q及びN286Qの1つ以上を含む。ポリペプチドは、配列番号123を含み得るか又はそれからなり得る。ポリペプチドは、配列番号177に対して少なくとも85%(例えば、少なくとも90%、95%、97%、99%又は100%)の配列同一性を有するアミノ酸配列を含み得るか又はそれからなり得る。ポリペプチドは、配列番号177を含み得るか又はそれからなり得る。ポリペプチドは、配列番号260又は261に対して少なくとも85%(例えば、90%、95%、97%、99%又は100%)の配列同一性を有するアミノ酸配列を含み得るか又はそれからなり得る。ポリペプチドは、配列番号260の配列を含み得るか又はそれからなり得る。ポリペプチドは、配列番号261の配列を含み得るか又はそれからなり得る。ポリペプチドは、分泌シグナルペプチドを含み得る。ポリペプチドは、配列番号263又は264に対して少なくとも85%(例えば、90%、95%、97%、99%又は100%)の配列同一性を有するアミノ酸配列を含み得るか又はそれからなり得る。ポリペプチドは、配列番号263の配列を含み得るか又はそれからなり得る。ポリペプチドは、配列番号264の配列を含み得るか又はそれからなり得る。ポリペプチドは、任意のsALP触媒ドメイン、Fc IgGアイソタイプ(例えば、IgG2/4のFc)又は表1に列挙された骨標的化部分及びそれらのトポロジー的配列を含み得る。ポリペプチドは、表1に列挙された任意の単一ドメインを含み得る。
骨組織への調節可能な結合
本明細書に記載の骨標的化コンジュゲートは、骨組織への様々な結合を示すことができる。例えば、骨を標的としたコンジュゲートは、骨(結合)及び/又は解離挙動に関連して差異を示し得る。polyD及びpolyE標的化配列を含む骨標的化Fcコンジュゲートは、例えば、骨組織に対して高い結合親和性を示す一方、スタテリン由来又はVHH配列を標的化配列として使用する特定の骨標的化Fcコンジュゲートは、骨組織に対して中程度の結合親和性を示し得る(例えば、図1及び14を参照されたい)。
本明細書に記載の骨標的化コンジュゲートは、骨組織への様々な結合を示すことができる。例えば、骨を標的としたコンジュゲートは、骨(結合)及び/又は解離挙動に関連して差異を示し得る。polyD及びpolyE標的化配列を含む骨標的化Fcコンジュゲートは、例えば、骨組織に対して高い結合親和性を示す一方、スタテリン由来又はVHH配列を標的化配列として使用する特定の骨標的化Fcコンジュゲートは、骨組織に対して中程度の結合親和性を示し得る(例えば、図1及び14を参照されたい)。
骨標的コンジュゲートは、それらの結合親和性が類似している場合でも、解離挙動の違いを示し得る。例えば、骨組織に結合したALP-Fc-D10(配列番号31)などの骨標的Fcコンジュゲートは、溶液中で非結合コンジュゲートと容易に交換できない可能性がある一方、polyD又はpolyE配列を1つ以上のそのCDR(例えば、配列番号249及び250)内に含む単一ドメインの骨標的VHHコンストラクトは、非結合コンジュゲートの存在下で骨組織に結合及び解離するためのより多くの移動性を示し得る(例えば、図10A~10Bを参照されたい)。
本明細書に記載の骨標的化コンジュゲートは、結合親和性、解離速度、滞留時間及び移動性を変化させるように標的化配列及び他の成分を選択することにより、特定の治療ニーズを満たすように調整することができる。例えば、標的への能動的平衡結合は、最も強い結合分子がそうであろうように、ポリペプチドが骨上の活性部位を遮断しないことを確実にし得る。特に、骨に強く結合しすぎるコンストラクトは、よりゆっくりと解離する。ALPの触媒活性は亜鉛イオン及びマグネシウムイオンに依存しているため、これらのイオンが失われると、ALPは経時的に不活性化され得る。不活性なALPコンストラクトが骨に結合したままである場合、それらは活性なALPの動員を妨げる。逆に、骨からの活性ALPの急速な解離は、ALPがその酵素活性を最大化するのを妨げることによって有効性を低下させる。したがって、結合のバランスが望まれる。選択は、標的化配列について説明した選択肢(例えば、ポリD、ポリE、ファージディスプレイ由来の配列、完全若しくは部分的なスタテリン配列、完全若しくは部分的なVHH配列又はそれらの組み合わせ)及び異なるトポロジー的選択肢(例えば、コンジュゲートのN末端又はC末端の骨標的化部分)から行うことができる。これにより、有効性を高め、不活性酵素の長期結合を減少させる骨結合滞留時間を確立するための好ましい結合速度が保証される。骨結合滞留時間は、約1秒~約1ヶ月(例えば、2秒、3秒、4秒、5秒、6秒、7秒、8秒、9秒、10秒、20秒、30秒、40秒、50秒、1分、2分、2分、4分、5分、6分、7分、8分、9分、10分、20分、30分、40分、50分、1時間、2時間、3時間、4時間、5時間、6時間、7時間、8時間、9時間、10時間、11時間、12時間、1日、2日、3日、4日、5日、6日、1週間、2週間、3週間、1ヶ月)の範囲を示し得る。
sALPコンストラクトを試験するための方法
本明細書に記載のポリペプチド(例えば、本明細書に記載されるように、配列番号7~223、247及び262~264のいずれか1つの配列又はそれと少なくとも85%の配列同一性を有するその変異体及び/又は天然に存在するALPに対して少なくとも1つのアミノ酸変異を有するポリペプチド)は、触媒活性、骨標的化能力及びPKプロファイルを試験するために、以下により詳細に記載される1つ以上のアッセイを使用して試験され得る。
本明細書に記載のポリペプチド(例えば、本明細書に記載されるように、配列番号7~223、247及び262~264のいずれか1つの配列又はそれと少なくとも85%の配列同一性を有するその変異体及び/又は天然に存在するALPに対して少なくとも1つのアミノ酸変異を有するポリペプチド)は、触媒活性、骨標的化能力及びPKプロファイルを試験するために、以下により詳細に記載される1つ以上のアッセイを使用して試験され得る。
ヒドロキシアパタイト結合アッセイ
合成HAは、本明細書に記載のポリペプチドによるHA結合を精査するために使用され得る。別の遠心分離管では、骨標的化ポリペプチドを例えばリン酸緩衝生理食塩水(PBS)pH7.4(1管あたり1mLの懸濁液)中のウシ血清アルブミン(BSA)で希釈し得る。各ポリペプチド含有チューブに、1mgの合成HAを添加し得、HAが沈降するのを防ぐために、チューブを軌道混合しながら室温で2時間インキュベートし得る。インキュベーション後、サンプルを16,000rcfで5分間遠心分離して、固体HA結合画分が非結合タンパク質懸濁液から分離され得る。続いて、HA結合画分をPBSで、例えば3回洗浄し、最終的なHA画分を100μLのPBSに懸濁できる。懸濁したHA結合画分及び100μLの非結合タンパク質懸濁液を96ウェル黒色プレートに移し(1ウェルあたり1画分)、蛍光プレートリーダー(Spectramax i3x)を使用して488nm/585nmでの蛍光励起/発光により相対タンパク質濃度を測定できる。
合成HAは、本明細書に記載のポリペプチドによるHA結合を精査するために使用され得る。別の遠心分離管では、骨標的化ポリペプチドを例えばリン酸緩衝生理食塩水(PBS)pH7.4(1管あたり1mLの懸濁液)中のウシ血清アルブミン(BSA)で希釈し得る。各ポリペプチド含有チューブに、1mgの合成HAを添加し得、HAが沈降するのを防ぐために、チューブを軌道混合しながら室温で2時間インキュベートし得る。インキュベーション後、サンプルを16,000rcfで5分間遠心分離して、固体HA結合画分が非結合タンパク質懸濁液から分離され得る。続いて、HA結合画分をPBSで、例えば3回洗浄し、最終的なHA画分を100μLのPBSに懸濁できる。懸濁したHA結合画分及び100μLの非結合タンパク質懸濁液を96ウェル黒色プレートに移し(1ウェルあたり1画分)、蛍光プレートリーダー(Spectramax i3x)を使用して488nm/585nmでの蛍光励起/発光により相対タンパク質濃度を測定できる。
骨ホモジネートアッセイ
雄性C57BL/6マウスの大腿骨は、使用前に-80℃で保管され得る。大腿骨は、1xEDTAフリーのセリン及びシステインプロテアーゼ阻害剤カクテル(COMPLETE(商標),Roche)を含むBS中の1mL 0.2%(w/w)コラゲナーゼタイプ2(Worthington)を含む、2mL遠心分離管(1管あたり2つの大腿骨)に移すことができる。大腿骨を短時間ボルテックスし、振とう(800rpm)しながら37℃で1時間インキュベートできる。残存している結合組織を取り除くことができ、大腿骨を氷上のペトリ皿に置くことができる。骨髄は、針及びシリンジを使用してPBSで洗い流すことができる。乾燥した骨を計量し(典型的には1つの大腿骨あたり30~50mg)、1xプロテアーゼ阻害剤を含む0.75mL PBSと共に、予め冷却した硬組織を粉砕する個別の使い捨てビートビーター(PRECELLYS(登録商標)、Bertin Instruments)に入れる。大腿骨は、ハイスループットビーズミルホモジナイザー(Bullet Blender、4℃、最高速度、30秒間を4サイクル)を使用してホモジナイズできる。ホモジネートを1.5mLの遠心分離管に移し、12,000xgで15分間、4℃で遠心分離して、遊離したタンパク質/細胞破片から骨ホモジネートを分離できる。スライス及び他の粉砕メカニズムを含む、骨ホモジネートを単離する他の方法が使用され得る。次に、骨ホモジネートは、結合アッセイで使用するために、PBS中の0.1%BSAに再懸濁され得る。
雄性C57BL/6マウスの大腿骨は、使用前に-80℃で保管され得る。大腿骨は、1xEDTAフリーのセリン及びシステインプロテアーゼ阻害剤カクテル(COMPLETE(商標),Roche)を含むBS中の1mL 0.2%(w/w)コラゲナーゼタイプ2(Worthington)を含む、2mL遠心分離管(1管あたり2つの大腿骨)に移すことができる。大腿骨を短時間ボルテックスし、振とう(800rpm)しながら37℃で1時間インキュベートできる。残存している結合組織を取り除くことができ、大腿骨を氷上のペトリ皿に置くことができる。骨髄は、針及びシリンジを使用してPBSで洗い流すことができる。乾燥した骨を計量し(典型的には1つの大腿骨あたり30~50mg)、1xプロテアーゼ阻害剤を含む0.75mL PBSと共に、予め冷却した硬組織を粉砕する個別の使い捨てビートビーター(PRECELLYS(登録商標)、Bertin Instruments)に入れる。大腿骨は、ハイスループットビーズミルホモジナイザー(Bullet Blender、4℃、最高速度、30秒間を4サイクル)を使用してホモジナイズできる。ホモジネートを1.5mLの遠心分離管に移し、12,000xgで15分間、4℃で遠心分離して、遊離したタンパク質/細胞破片から骨ホモジネートを分離できる。スライス及び他の粉砕メカニズムを含む、骨ホモジネートを単離する他の方法が使用され得る。次に、骨ホモジネートは、結合アッセイで使用するために、PBS中の0.1%BSAに再懸濁され得る。
骨標的化ポリペプチドは、0.1%BSAを含むPBSで50nMに希釈し、個々の1.5mL遠心分離管(1管あたり1mL)で3mgの骨ホモジネートとインキュベートできる。サンプルを室温で2時間混合した後、骨ホモジネートに結合した画分と結合していない画分を遠心分離によって分離できる。骨ホモジネート画分をPBSで3回洗浄することができ、最終ホモジネートペレットは100μLのPBSに懸濁され得る。懸濁骨ホモジネート及び100μLの非結合タンパク質懸濁液は、蛍光プレートリーダーを使用して相対蛍光Fc融合濃度について定量化できる。
インビトロでの骨ホモジネートに対する相対的タンパク質親和性の決定
骨結合タンパク質の相対的親和性をランク付けするために、複数回投与アッセイを開発することができる。骨ホモジネートに効率的に結合するタンパク質について、相対的解離速度は、この動的タンパク質対骨交換アッセイによって決定された。1.5mLのエッペンドルフチューブ内で飽和濃度(1μM)の非標識骨結合タンパク質を5mgの骨ホモジネートとインキュベートすることにより、タンパク質を個別に評価できる(例えば、チューブごとに1つのタンパク質タイプ)。非標識タンパク質との24時間のインキュベーション後、骨ホモジネートを遠心分離(16,000rcf、5分間)して、過剰な非結合タンパク質を除去することができる。所与の骨結合タンパク質で飽和した骨ホモジネートは、ALEXA FLUOR(登録商標)蛍光プローブで標識された同じ骨結合タンパク質の0.5μM溶液に再懸濁し、1、2、4、8及び24時間インキュベートした後、骨ホモジネートを遠心分離し、PBSで3回洗浄し、96ウェル黒色プレートに移すことができる。最初の遠心分離からの上清も収集して、懸濁液中に残った(非結合)蛍光タンパク質の量を定量化することができる。蛍光プレートリーダーを使用して、各時点での結合及び非結合の蛍光標識タンパク質の量を定量化し得、これにより非標識タンパク質の解離速度の速度論的表現が可能になる。
骨結合タンパク質の相対的親和性をランク付けするために、複数回投与アッセイを開発することができる。骨ホモジネートに効率的に結合するタンパク質について、相対的解離速度は、この動的タンパク質対骨交換アッセイによって決定された。1.5mLのエッペンドルフチューブ内で飽和濃度(1μM)の非標識骨結合タンパク質を5mgの骨ホモジネートとインキュベートすることにより、タンパク質を個別に評価できる(例えば、チューブごとに1つのタンパク質タイプ)。非標識タンパク質との24時間のインキュベーション後、骨ホモジネートを遠心分離(16,000rcf、5分間)して、過剰な非結合タンパク質を除去することができる。所与の骨結合タンパク質で飽和した骨ホモジネートは、ALEXA FLUOR(登録商標)蛍光プローブで標識された同じ骨結合タンパク質の0.5μM溶液に再懸濁し、1、2、4、8及び24時間インキュベートした後、骨ホモジネートを遠心分離し、PBSで3回洗浄し、96ウェル黒色プレートに移すことができる。最初の遠心分離からの上清も収集して、懸濁液中に残った(非結合)蛍光タンパク質の量を定量化することができる。蛍光プレートリーダーを使用して、各時点での結合及び非結合の蛍光標識タンパク質の量を定量化し得、これにより非標識タンパク質の解離速度の速度論的表現が可能になる。
ALP活性の代謝アッセイ(MUP)
タンパク質サンプル(上清、部分精製又はカラム精製サンプル)は、人工基質としてリン酸4-メチルウンベリフェリル(4-MUP)を使用して溶液中のALP活性についてアッセイされ得る。4-MUPのホスホエステル結合の加水分解により、蛍光化合物4-メチルウンベリフェロンが放出され、これは、蛍光光度計で簡単に検出できる。産物の定量は、0、1.25uM、2.5uM、5uM、10uM及び20uMの標準濃度で、同じプレートで測定された4-メチルウンベリフェロン(4-MU)標準曲線を使用して実行され得る。4-MUの10mMストック溶液をエタノールで調製し、アッセイバッファー[50mM HEPES pH7.4、150mM NaCl、1mM MgCl2、1mg/mLウシ血清アルブミン]で希釈できる。精製した融合タンパク質サンプルは、アッセイバッファー中0.1mg/mL溶液として調製し、アッセイバッファーでのアッセイに適した最終濃度(例えば、1nM)に段階希釈することができる。4-MUPストック溶液はアッセイバッファーで調製した。アッセイを開始する前に、タンパク質サンプルに最終濃度10uMで4-MUPを添加することにより、全ての溶液を37℃にし得る。4-MUの産生は、360nmの励起波長及び465nmの発光波長で測定され得る。データは、37℃に保持されたプレートリーダーで40秒ごとに合計20分間収集され得る。反応速度は、活性の単位で線形回帰によって計算され、ここで、1U=1マイクロモルの加水分解された4-MUP/分である。比活性は、アッセイされたタンパク質の単位/mgで計算することができる。
タンパク質サンプル(上清、部分精製又はカラム精製サンプル)は、人工基質としてリン酸4-メチルウンベリフェリル(4-MUP)を使用して溶液中のALP活性についてアッセイされ得る。4-MUPのホスホエステル結合の加水分解により、蛍光化合物4-メチルウンベリフェロンが放出され、これは、蛍光光度計で簡単に検出できる。産物の定量は、0、1.25uM、2.5uM、5uM、10uM及び20uMの標準濃度で、同じプレートで測定された4-メチルウンベリフェロン(4-MU)標準曲線を使用して実行され得る。4-MUの10mMストック溶液をエタノールで調製し、アッセイバッファー[50mM HEPES pH7.4、150mM NaCl、1mM MgCl2、1mg/mLウシ血清アルブミン]で希釈できる。精製した融合タンパク質サンプルは、アッセイバッファー中0.1mg/mL溶液として調製し、アッセイバッファーでのアッセイに適した最終濃度(例えば、1nM)に段階希釈することができる。4-MUPストック溶液はアッセイバッファーで調製した。アッセイを開始する前に、タンパク質サンプルに最終濃度10uMで4-MUPを添加することにより、全ての溶液を37℃にし得る。4-MUの産生は、360nmの励起波長及び465nmの発光波長で測定され得る。データは、37℃に保持されたプレートリーダーで40秒ごとに合計20分間収集され得る。反応速度は、活性の単位で線形回帰によって計算され、ここで、1U=1マイクロモルの加水分解された4-MUP/分である。比活性は、アッセイされたタンパク質の単位/mgで計算することができる。
プレート骨アッセイ
骨ホモジネート画分は、ALP活性についてアッセイすることができる。骨ホモジネート画分を100μLのPBSに懸濁し、96ウェル黒色プレートに移すことができる。100μLの非結合タンパク質懸濁液も96ウェルプレートの別々のウェルに移すことができる。各ウェルに、100μLのALP検出溶液(10μM 4-MUP、1%BSA)を加え、動的蛍光読み取り(360/465)を直ちに開始し、20分間実行し、30秒ごとに蛍光強度発光を収集することができる。時間に対する蛍光強度の傾きは、各サンプル画分のALP濃度を表し得る。
骨ホモジネート画分は、ALP活性についてアッセイすることができる。骨ホモジネート画分を100μLのPBSに懸濁し、96ウェル黒色プレートに移すことができる。100μLの非結合タンパク質懸濁液も96ウェルプレートの別々のウェルに移すことができる。各ウェルに、100μLのALP検出溶液(10μM 4-MUP、1%BSA)を加え、動的蛍光読み取り(360/465)を直ちに開始し、20分間実行し、30秒ごとに蛍光強度発光を収集することができる。時間に対する蛍光強度の傾きは、各サンプル画分のALP濃度を表し得る。
直線性を維持するために、試験したコンストラクトの結合画分及び非結合画分のMUP活性を最初の5分間の初期活性勾配によって測定し得る。MUP活性の比率は、各融合タンパク質について、比率=(結合活性)/(非結合活性)として決定され得る。
血清アッセイにおけるタンパク質活性
血清サンプルをアッセイバッファー(50mM HEPES、150mM NaCl、1mM MgCl2、pH7.4及び1mg/mL BSA)で100倍~6,000倍に希釈して、pKを測定することができる。希釈されたサンプルは定量化でき、標準曲線は既知の活性及び濃度のアスフォターゼアルファに基づいて作成できる。時間に対する蛍光強度の傾きは、単位/mL血清の関数としての各サンプル画分におけるALP活性に対応する4-MU産生の速度を表し得る。
血清サンプルをアッセイバッファー(50mM HEPES、150mM NaCl、1mM MgCl2、pH7.4及び1mg/mL BSA)で100倍~6,000倍に希釈して、pKを測定することができる。希釈されたサンプルは定量化でき、標準曲線は既知の活性及び濃度のアスフォターゼアルファに基づいて作成できる。時間に対する蛍光強度の傾きは、単位/mL血清の関数としての各サンプル画分におけるALP活性に対応する4-MU産生の速度を表し得る。
マウスにおけるインビボ蛍光イメージング
半定量的生体内分布研究は、ALEXA FLUOR(登録商標)750標識骨標的化タンパク質及びタンパク質フラグメント(例えば、VHH)を使用してヌードマウスで実施できる。骨標的ALP-Fc融合タンパク質及び骨標的VHHは、Invitrogen SAIVIキット(活性化スクシンイミジルエステルを介した共有結合)を使用してALEXA FLUOR(登録商標)750で蛍光標識し、ゲル排除樹脂で精製して非コンジュゲートフルオロフォアを除去できる。精製されたタンパク質(PBSに懸濁)は、約3mg/kgの用量で尾静脈を介してヌードマウスに注射することができる。
半定量的生体内分布研究は、ALEXA FLUOR(登録商標)750標識骨標的化タンパク質及びタンパク質フラグメント(例えば、VHH)を使用してヌードマウスで実施できる。骨標的ALP-Fc融合タンパク質及び骨標的VHHは、Invitrogen SAIVIキット(活性化スクシンイミジルエステルを介した共有結合)を使用してALEXA FLUOR(登録商標)750で蛍光標識し、ゲル排除樹脂で精製して非コンジュゲートフルオロフォアを除去できる。精製されたタンパク質(PBSに懸濁)は、約3mg/kgの用量で尾静脈を介してヌードマウスに注射することができる。
雌性J:NU非近交系マウス(Jackson Laboratories,Bar Harbor,ME)は、容量を正規化した100μLの尾静脈注射により3mg/kgの被験物質を投与され得る。インビボ画像取得のために、対象は、イメージングプラットフォーム(IVISスペクトルイメージングシステムSpectrum Imaging System,PerkinElmer Inc.,Waltham,MA)で2~3%のイソフルラン麻酔下に維持することができる。視野(FOV)C、F/Stop2、ミディアムビニング及び800nm発行/750nm励起フィルターを備えた自動露出設定が、2D落射照明及び3D透過照明の両方の取得に使用された。エクスビボ組織標本の2D落射照明蛍光イメージングは、各組織タイプの全ての標本を単一の画像で同時に取得できることを除き、同一条件下で取得できる。全ての動物実験は、動物福祉法(Animal Welfare Act)の規定及び実験動物の管理及び使用に関するガイド(Guide for the Care and Use of Laboratory Animals)の原則に従って実施される。
蛍光画像解析は、製造元提供の2D/3Dソフトウェア(Living Image 4.5.1,Perkin Elmer)を使用して実行できる。対象の各セットに適用される均一な領域の関心領域(ROI)は、対象の位置の違いを考慮して手動で配置された。縦断的なインビボ画像カラースケール範囲は、全ての対象及び時点で正規化できる。エクスビボ標本のカラースケールは、各組織セットの蛍光シグナルを最もよく表すように個別に決定され得る。
ピロリン酸加水分解アッセイ
本明細書に記載のポリペプチドは、天然基質であるピロリン酸に対する活性についてアッセイされ得る。ピロリン酸加水分解は、リン酸の結合時に明緑色に変化するPiBlueアッセイ試薬(BioAssay Systems)を使用して、産物であるリン酸アニオンを検出することによって測定することができる。各ウェルのリン酸塩レベルの定量化は、アッセイプレートで読み取られ得るアッセイバッファーで作製されたリン酸塩溶液の標準曲線を使用して実施できる。ピロリン酸ナトリウム十水和物(Sigma Chemicals)のストック溶液は、純水中で10mMの濃度で調製できる。精製した融合タンパク質サンプルは、アッセイバッファー[50mM HEPES pH7.4、150mM NaCl、1mM MgCl2、1mg/mLウシ血清アルブミン]中0.1mg/mL溶液として調製され、アッセイバッファーでのアッセイに適した最終濃度に段階希釈した。アッセイ用のピロリン酸サンプルは、アッセイバッファーでストック溶液を希釈して調製され得る。反応を開始する前に、全ての溶液を37℃にした。透明な96ウェルプレートにタンパク質溶液を加え、プレートを37℃に保持されたJitterbugプレートシェーカーに入れた。反応の開始は、タンパク質溶液にピロリン酸溶液を添加することによって実施され得る。典型的には、ピロリン酸加水分解反応は、同じプレート内で、0uM、1.56uM、3.12uM、6.25uM、12.5uM、25uM、50uM、100uM、200uM及び400uMのピロリン酸濃度で、同時に実施され得る。各ピロリン酸濃度で8つの反応ウェルを設定し、ピロリン酸をプレートに加えてから0、1、2、3、4、5、6及び7分が経過した後、PiBlue試薬(最終反応容量と同じ容量で添加)を加えることにより、反応を停止できる。PiBlue試薬を加えると、検出試薬のpHが低下し、酵素が不活性化されるため、それ以上の反応が停止する。620nmでの吸光度を読み取る前に、プレート内で30分間発色させることができる。各ピロリン酸濃度での反応速度は、個々の時点から進行曲線を構成することによって計算され得る。Michaelis-Menten酵素反応速度論的適合を使用し、各濃度での反応速度を使用して、GraphPad PrismのKm及びVmax値が計算され得る。kcat値は次のように計算された。Vmax/(分析されたモルタンパク質)=kcat。
本明細書に記載のポリペプチドは、天然基質であるピロリン酸に対する活性についてアッセイされ得る。ピロリン酸加水分解は、リン酸の結合時に明緑色に変化するPiBlueアッセイ試薬(BioAssay Systems)を使用して、産物であるリン酸アニオンを検出することによって測定することができる。各ウェルのリン酸塩レベルの定量化は、アッセイプレートで読み取られ得るアッセイバッファーで作製されたリン酸塩溶液の標準曲線を使用して実施できる。ピロリン酸ナトリウム十水和物(Sigma Chemicals)のストック溶液は、純水中で10mMの濃度で調製できる。精製した融合タンパク質サンプルは、アッセイバッファー[50mM HEPES pH7.4、150mM NaCl、1mM MgCl2、1mg/mLウシ血清アルブミン]中0.1mg/mL溶液として調製され、アッセイバッファーでのアッセイに適した最終濃度に段階希釈した。アッセイ用のピロリン酸サンプルは、アッセイバッファーでストック溶液を希釈して調製され得る。反応を開始する前に、全ての溶液を37℃にした。透明な96ウェルプレートにタンパク質溶液を加え、プレートを37℃に保持されたJitterbugプレートシェーカーに入れた。反応の開始は、タンパク質溶液にピロリン酸溶液を添加することによって実施され得る。典型的には、ピロリン酸加水分解反応は、同じプレート内で、0uM、1.56uM、3.12uM、6.25uM、12.5uM、25uM、50uM、100uM、200uM及び400uMのピロリン酸濃度で、同時に実施され得る。各ピロリン酸濃度で8つの反応ウェルを設定し、ピロリン酸をプレートに加えてから0、1、2、3、4、5、6及び7分が経過した後、PiBlue試薬(最終反応容量と同じ容量で添加)を加えることにより、反応を停止できる。PiBlue試薬を加えると、検出試薬のpHが低下し、酵素が不活性化されるため、それ以上の反応が停止する。620nmでの吸光度を読み取る前に、プレート内で30分間発色させることができる。各ピロリン酸濃度での反応速度は、個々の時点から進行曲線を構成することによって計算され得る。Michaelis-Menten酵素反応速度論的適合を使用し、各濃度での反応速度を使用して、GraphPad PrismのKm及びVmax値が計算され得る。kcat値は次のように計算された。Vmax/(分析されたモルタンパク質)=kcat。
ピリドキシル-5’-リン酸加水分解アッセイ。
アルカリホスファターゼの第2の天然基質はピリドキシル-5’リン酸(PLP)である。ポリペプチドは、PLP加水分解の産物であるピリドキシルがM.lotiテトラメトリックピリドキシルデヒドロゲナーゼ(tPLDH、配列番号246)によって蛍光ピリドキソラクトンに変換される結合アッセイ形式で、PLPに対する活性についてアッセイすることができる。6xHisタグ付きtPLDHの遺伝子は、標準的な方法で合成され、T7プロモーターの制御下で細菌発現プラスミドにクローニングすることができる。6xHisタグ付きtPLDHは、標準プロトコルを使用してBL21(DE3)細胞で発現され、標準アフィニティークロマトグラフィー法で精製された。遠心分離濃縮、すなわちAmicon Ultra15スピン濃縮器を使用してタンパク質を1900uMの濃度に濃縮し、アッセイで使用するまで-80℃で凍結することができる。精製した融合タンパク質サンプルは、アッセイバッファー[50mM HEPES pH7.4、150mM NaCl、1mM MgCl2、1mg/mLウシ血清アルブミン]中の0.1mg/mL溶液として調製できる。段階希釈された最終サンプルは、ピリドキソラクトン標準(アッセイバッファーで作製)と共に、黒色96ウェルプレートに配置することができる。タンパク質サンプルに、NAD+、tPLDH及びPLP溶液(アッセイバッファーで作製)を加えて、最終濃度を3mM NAD+、4uM tPLDH及び3uM PLPとし、混合することができる。反応を開始する前に、全ての溶液を37℃にし、反応プレートを37℃でインキュベートでき、蛍光は355nmでの励起によって検出され、発光は445nmで測定される。生成されたピリドキソラクトン産物の量は、プレートのピリドキソラクトンウェルから測定された蛍光から生成された標準曲線を使用して計算できる。反応速度は、産生したピリドキシルμモル/分単位の進行曲線の線形回帰によって計算できる。比活性は、反応速度をアッセイ反応で使用されるタンパク質濃度で割ることによって計算できる。
アルカリホスファターゼの第2の天然基質はピリドキシル-5’リン酸(PLP)である。ポリペプチドは、PLP加水分解の産物であるピリドキシルがM.lotiテトラメトリックピリドキシルデヒドロゲナーゼ(tPLDH、配列番号246)によって蛍光ピリドキソラクトンに変換される結合アッセイ形式で、PLPに対する活性についてアッセイすることができる。6xHisタグ付きtPLDHの遺伝子は、標準的な方法で合成され、T7プロモーターの制御下で細菌発現プラスミドにクローニングすることができる。6xHisタグ付きtPLDHは、標準プロトコルを使用してBL21(DE3)細胞で発現され、標準アフィニティークロマトグラフィー法で精製された。遠心分離濃縮、すなわちAmicon Ultra15スピン濃縮器を使用してタンパク質を1900uMの濃度に濃縮し、アッセイで使用するまで-80℃で凍結することができる。精製した融合タンパク質サンプルは、アッセイバッファー[50mM HEPES pH7.4、150mM NaCl、1mM MgCl2、1mg/mLウシ血清アルブミン]中の0.1mg/mL溶液として調製できる。段階希釈された最終サンプルは、ピリドキソラクトン標準(アッセイバッファーで作製)と共に、黒色96ウェルプレートに配置することができる。タンパク質サンプルに、NAD+、tPLDH及びPLP溶液(アッセイバッファーで作製)を加えて、最終濃度を3mM NAD+、4uM tPLDH及び3uM PLPとし、混合することができる。反応を開始する前に、全ての溶液を37℃にし、反応プレートを37℃でインキュベートでき、蛍光は355nmでの励起によって検出され、発光は445nmで測定される。生成されたピリドキソラクトン産物の量は、プレートのピリドキソラクトンウェルから測定された蛍光から生成された標準曲線を使用して計算できる。反応速度は、産生したピリドキシルμモル/分単位の進行曲線の線形回帰によって計算できる。比活性は、反応速度をアッセイ反応で使用されるタンパク質濃度で割ることによって計算できる。
マウスモデルにおける薬物動態分析
11~12週齢の雄性C57BL/6マウス(Jackson Labs)に、4~7mg/kgの単回注射で、尾静脈又は皮下に、滅菌PBS(カルシウム又はマグネシウムなし)中の1mg/mLのサンプルタンパク質を投与し、14~21日間フォローすることができる。2回の中間採血及び1回の終末採血(心臓穿刺、CO2麻酔)を、各マウスで、コホート内でずらして実行することができる(4つの群のそれぞれに4匹のマウス、分子ごと、投与タイプごと)。血液サンプル(100μL、遠心分離後に50μLの血漿を生成)は、0.25、1、6、24、48、72、96、120、192、264、336及び480時間でLi/ヘパリン処理チューブに収集できる。血液サンプルは、血漿へと処理されるまで4℃で保存できる。血漿サンプルは液体窒素で急速凍結し、-80℃で保存し、さらに定量することができる。
11~12週齢の雄性C57BL/6マウス(Jackson Labs)に、4~7mg/kgの単回注射で、尾静脈又は皮下に、滅菌PBS(カルシウム又はマグネシウムなし)中の1mg/mLのサンプルタンパク質を投与し、14~21日間フォローすることができる。2回の中間採血及び1回の終末採血(心臓穿刺、CO2麻酔)を、各マウスで、コホート内でずらして実行することができる(4つの群のそれぞれに4匹のマウス、分子ごと、投与タイプごと)。血液サンプル(100μL、遠心分離後に50μLの血漿を生成)は、0.25、1、6、24、48、72、96、120、192、264、336及び480時間でLi/ヘパリン処理チューブに収集できる。血液サンプルは、血漿へと処理されるまで4℃で保存できる。血漿サンプルは液体窒素で急速凍結し、-80℃で保存し、さらに定量することができる。
インビボマウスHPPモデル
有効性は、インビボマウスHPPモデルで測定できる。この予防的研究では、処置は出生時に開始し、35日間継続することができる。ポリペプチド又はビヒクル(PBS)をAkp2GW-/-マウスの肩甲骨領域に皮下投与することができる。処置終了時に評価できる有効性エンドポイントは、生存率、骨石灰化障害及び成長(体重)であった。動物の一般的な幸福の指標として、体重も毎日評価することができる。年齢及び同腹子を一致させたPBS処理WTマウスを参照対照として使用することができる。動物は、24日目までポリペプチドの毎日の皮下注射を受け得る。25日目に、ポリペプチドの1日皮下用量を最初の投与量の半ログ(half-log)だけ減少させ、35日目の最後の処置用量まで維持し得る。
有効性は、インビボマウスHPPモデルで測定できる。この予防的研究では、処置は出生時に開始し、35日間継続することができる。ポリペプチド又はビヒクル(PBS)をAkp2GW-/-マウスの肩甲骨領域に皮下投与することができる。処置終了時に評価できる有効性エンドポイントは、生存率、骨石灰化障害及び成長(体重)であった。動物の一般的な幸福の指標として、体重も毎日評価することができる。年齢及び同腹子を一致させたPBS処理WTマウスを参照対照として使用することができる。動物は、24日目までポリペプチドの毎日の皮下注射を受け得る。25日目に、ポリペプチドの1日皮下用量を最初の投与量の半ログ(half-log)だけ減少させ、35日目の最後の処置用量まで維持し得る。
医薬組成物、製剤及び投与
sALP又はsALP融合ポリペプチドを含む本明細書に記載のポリペプチド(例えば、本明細書に記載されるように、配列番号7~223、247及び262~264のいずれか1つの配列又はそれと少なくとも85%の配列同一性を有するその変異体及び/又は天然に存在するALPに対して少なくとも1つのアミノ酸変異を有するポリペプチド)は、当技術分野で知られている様々な方法によって医薬組成物として製剤化することができる。当業者によって理解されるように、投与の経路及び/又は様式を使用して、製剤を規定することができる。投与経路は、環境及び治療目標など、様々な要因によって異なり得る。特に、本明細書に記載のポリペプチド及び融合ポリペプチドは、当技術分野で知られている任意の経路、例えば、皮下(例えば、皮下注射による)、静脈内、経口、鼻腔内、筋肉内、舌下、髄腔内又は皮内による投与のための製剤であり得る。例として、医薬組成物は、液体、溶液、懸濁液、ピル、カプセル、錠剤、ゲルキャップ、粉末、ゲル、軟膏、クリーム、噴霧剤、ミスト、噴霧蒸気、エアロゾル又はフィトソームの形態であり得る。
sALP又はsALP融合ポリペプチドを含む本明細書に記載のポリペプチド(例えば、本明細書に記載されるように、配列番号7~223、247及び262~264のいずれか1つの配列又はそれと少なくとも85%の配列同一性を有するその変異体及び/又は天然に存在するALPに対して少なくとも1つのアミノ酸変異を有するポリペプチド)は、当技術分野で知られている様々な方法によって医薬組成物として製剤化することができる。当業者によって理解されるように、投与の経路及び/又は様式を使用して、製剤を規定することができる。投与経路は、環境及び治療目標など、様々な要因によって異なり得る。特に、本明細書に記載のポリペプチド及び融合ポリペプチドは、当技術分野で知られている任意の経路、例えば、皮下(例えば、皮下注射による)、静脈内、経口、鼻腔内、筋肉内、舌下、髄腔内又は皮内による投与のための製剤であり得る。例として、医薬組成物は、液体、溶液、懸濁液、ピル、カプセル、錠剤、ゲルキャップ、粉末、ゲル、軟膏、クリーム、噴霧剤、ミスト、噴霧蒸気、エアロゾル又はフィトソームの形態であり得る。
製剤
sALP及びsALP融合ポリペプチドを含む組成物(例えば、本明細書に記載されるように、配列番号7~223、247及び262~264のいずれか1つの配列又はそれと少なくとも85%の配列同一性を有するその変異体及び/又は天然に存在するALPに対して少なくとも1つのアミノ酸変異を有するポリペプチド)は、標準的な方法に従って製剤化することができる。医薬製剤は十分に確立された技術であり、例えば、Remington:The Science and Practice of Pharmacy,22nd Ed.,Allen,Ed.2012;Ansel et al.(1999)“Pharmaceutical Dosage Forms and Drug Delivery Systems,”7th Edition,Lippincott Williams&Wilkins Publishers(ISBN:0683305727);及びKibbe(2000)“Handbook of Pharmaceutical Excipients American Pharmaceutical Association,”3rd Edition(ISBN:091733096X)でさらに説明される。例えば、sALP組成物(例えば、本明細書に記載されるように、配列番号7~223、247及び262~264のいずれか1つの配列又はそれと少なくとも85%の配列同一性を有するその変異体及び/又は天然に存在するALPに対して少なくとも1つのアミノ酸変異を有するポリペプチド)は、例えば、適切な濃度で、2~8℃(例えば、4℃)での保存に適した緩衝液として製剤化することができる。組成物は、0℃未満の温度(例えば、-20℃又は-80℃)での貯蔵のために製剤化することもできる。組成物は、2~8度で最大2年間(例えば、1ヶ月、2ヶ月、3ヶ月、4ヶ月、5ヶ月、6ヶ月、7ヶ月、8ヶ月、9ヶ月、10ヶ月、11ヶ月、1年、1年半又は2年)の保存のためにさらに製剤化することができる。したがって、本明細書に記載の組成物は、2~8℃(例えば、4℃)で少なくとも1年間の貯蔵において安定であり得る。組成物は、適切な容量、例えば、約0.1mL~約10mLの容量で製剤化することができる。
sALP及びsALP融合ポリペプチドを含む組成物(例えば、本明細書に記載されるように、配列番号7~223、247及び262~264のいずれか1つの配列又はそれと少なくとも85%の配列同一性を有するその変異体及び/又は天然に存在するALPに対して少なくとも1つのアミノ酸変異を有するポリペプチド)は、標準的な方法に従って製剤化することができる。医薬製剤は十分に確立された技術であり、例えば、Remington:The Science and Practice of Pharmacy,22nd Ed.,Allen,Ed.2012;Ansel et al.(1999)“Pharmaceutical Dosage Forms and Drug Delivery Systems,”7th Edition,Lippincott Williams&Wilkins Publishers(ISBN:0683305727);及びKibbe(2000)“Handbook of Pharmaceutical Excipients American Pharmaceutical Association,”3rd Edition(ISBN:091733096X)でさらに説明される。例えば、sALP組成物(例えば、本明細書に記載されるように、配列番号7~223、247及び262~264のいずれか1つの配列又はそれと少なくとも85%の配列同一性を有するその変異体及び/又は天然に存在するALPに対して少なくとも1つのアミノ酸変異を有するポリペプチド)は、例えば、適切な濃度で、2~8℃(例えば、4℃)での保存に適した緩衝液として製剤化することができる。組成物は、0℃未満の温度(例えば、-20℃又は-80℃)での貯蔵のために製剤化することもできる。組成物は、2~8度で最大2年間(例えば、1ヶ月、2ヶ月、3ヶ月、4ヶ月、5ヶ月、6ヶ月、7ヶ月、8ヶ月、9ヶ月、10ヶ月、11ヶ月、1年、1年半又は2年)の保存のためにさらに製剤化することができる。したがって、本明細書に記載の組成物は、2~8℃(例えば、4℃)で少なくとも1年間の貯蔵において安定であり得る。組成物は、適切な容量、例えば、約0.1mL~約10mLの容量で製剤化することができる。
sALP及びsALP融合ポリペプチドを含む組成物(例えば、本明細書に記載されるように、配列番号7~223、247及び262~264のいずれか1つの配列又はそれと少なくとも85%の配列同一性を有するその変異体及び/又は天然に存在するALPに対して少なくとも1つのアミノ酸変異を有するポリペプチド)は、様々な形態であり得る。これらの形態には、例えば、液体溶液(例えば、注射可能及び注入可能な溶液)、分散液又は懸濁液、錠剤、ピル、粉末、リポソーム及び坐剤などの液体、半固体及び固体の剤形が含まれる。好ましい形態は、部分的に、意図された投与様式及び治療用途に依存する。
例えば、全身的又は局所的送達を目的とした組成物は、注射可能又は注入可能な溶液の形態であり得る。したがって、組成物(例えば、本明細書に記載されるように、配列番号7~223、247及び262~264のいずれか1つの配列又はそれと少なくとも85%の配列同一性を有するその変異体及び/又は天然に存在するALPに対して少なくとも1つのアミノ酸変異を有するポリペプチド)は、非経口様式(例えば、皮下、静脈内、腹腔内又は筋肉内注射)による投与用に製剤化することができる。「非経口投与」、「非経口的に投与される」及び本明細書で使用される他の文法的に同等の句は、通常は注射による経腸及び局所投与以外の投与様式を指し、皮下、皮内、静脈内、鼻腔内、眼内、肺、筋肉内、動脈内、髄腔内、被膜内、眼窩内、心臓内、皮膚内、肺内、腹腔内、経気管、皮下、関節内、被膜下、くも膜下、脊髄内、硬膜外、脳内、頭蓋内、頸動脈内及び胸骨内注射及び注入が含まれるが、これらに限定されない。特定の投与経路には、静脈内及び皮下投与が含まれる。
sALP及びsALP融合ポリペプチドを含む組成物(例えば、本明細書に記載されるように、配列番号7~223、247及び262~264のいずれか1つの配列又はそれと少なくとも85%の配列同一性を有するその変異体及び/又は天然に存在するALPに対して少なくとも1つのアミノ酸変異を有するポリペプチド)は、溶液、マイクロエマルジョン、分散剤、リポソーム又は高濃度での安定した保存に適した他の秩序構造として製剤化することができる。滅菌注射液は、本明細書に記載の組成物を、必要な量で、必要に応じて上記に列挙した成分の1つ又は組み合わせと共に適切な溶媒に組み込んだ後、フィルター滅菌することによって調製することができる。一般に、分散剤は、本明細書に記載の組成物を、基本的な分散媒及び上記に列挙したものから必要な他の成分を含む、滅菌ビヒクルに組み込むことによって調製される。無菌注射液を調製するための無菌粉末の場合、調製方法には、本明細書に記載の組成物に加えて、以前に滅菌ろ過された溶液から任意のさらなる所望の成分(以下を参照されたい)の粉末が得られる、真空乾燥及び凍結乾燥が含まれる。溶液の適切な流動性は、例えば、レシチンなどのコーティングの使用により、分散剤の場合には必要な粒子サイズの維持により、且つ界面活性剤の使用により維持することができる。注射可能な組成物の持続的吸収は、吸収を遅延させる試薬、例えば、モノステアリン酸塩及びゼラチンを組成物に含めることによってもたらすことができる。
本明細書に記載の組成物は、免疫リポソーム組成物に製剤化することもできる。そのような製剤は、例えば、Epstein et al.(1985)Proc Natl Acad Sci USA 82:3688;Hwang et al.(1980)Proc Natl Acad Sci USA 77:4030;及び米国特許第4,485,045号明細書及び米国特許第4,544,545号明細書に記載されている方法などの当技術分野で知られている方法によって調製することができる。循環時間が増強されたリポソームは、例えば、米国特許第5,013,556号明細書に開示されている。
sALP及びsALP融合ポリペプチドを含む組成物(例えば、本明細書に記載されるように、配列番号7~223、247及び262~264のいずれか1つの配列又はそれと少なくとも85%の配列同一性を有するその変異体及び/又は天然に存在するALPに対して少なくとも1つのアミノ酸変異を有するポリペプチド)は、インプラント及びマイクロカプセル化送達システムを含む制御放出製剤などの急速放出から組成物(例えば、sALPポリペプチド又はsALP融合ポリペプチド)を保護する担体を用いて製剤化することもできる。エチレン酢酸ビニル、ポリ無水物、ポリグリコール酸、コラーゲン、ポリオルトエステル及びポリ乳酸などの生分解性、生体適合性ポリマーを使用することができる。そのような製剤を調製するための多くの方法が当技術分野で公知である。例えば、J.R.Robinson(1978)“Sustained and Controlled Release Drug Delivery Systems,” Marcel Dekker,Inc.,New Yorkを参照されたい。
sALP又はsALP融合ポリペプチドを含む組成物(例えば、本明細書に記載されるように、配列番号7~223、247及び262~264のいずれか1つの配列又はそれと少なくとも85%の配列同一性を有するその変異体及び/又は天然に存在するALPに対して少なくとも1つのアミノ酸変異を有するポリペプチド)は、透明で無色~わずかに黄色の水溶液、pH7.4の注射用溶液として製剤化することができる。sALP又はsALPポリペプチド(例えば、本明細書に記載されるように、配列番号7~223、247及び262~264のいずれか1つの配列又はそれと少なくとも85%の配列同一性を有するその変異体及び/又は天然に存在するALPに対して少なくとも1つのアミノ酸変異を有するポリペプチド)は、12mg/0.3mL、18mg/0.45mL、28mg/0.7mL、40mg/1ml又は80mg/0.8mLの濃度で製剤化され得る。sALP又はsALPポリペプチド(例えば、12mg/0.3mL、18mg/0.45mL、28mg/0.7mL、40mg/1ml又は80mg/0.8mLの濃度で製剤化されたもの)は、塩化ナトリウム及び/又はリン酸ナトリウムなどの担体(例えば、約150mMのNaCl及び/又は約25mMのリン酸ナトリウム、特に約7.4のpH)を用いて製剤化され得る。特に、組成物は、注射用の40mg/ml溶液として製剤化することができ、ここで、溶液の各mlは、40mgのsALP又はsALPポリペプチドを含む(例えば、各バイアルは0.3mlの溶液及び12mgのsALP(40mg/ml)を含むか、各バイアルは0.45mlの溶液及び18mgのsALP(40mg/ml)を含むか、各バイアルは0.7mlの溶液及び28mgのsALP(40mg/ml)を含むか、又は各バイアルは1.0mlの溶液及び40mgのsALP又はsALPポリペプチド(40mg/ml)を含む)。sALP又はsALPポリペプチド(例えば、本明細書に記載されるように、配列番号7~223、247及び262~264のいずれか1つの配列又はそれと少なくとも85%の配列同一性を有するその変異体及び/又は天然に存在するALPに対して少なくとも1つのアミノ酸変異を有するポリペプチド)は、100mg/mlの濃度で注射用溶液として製剤化することができ、ここで、各1mlの溶液は、100mgのsALP又はsALPポリペプチドを含む(例えば、各バイアルは0.8mlの溶液及び80mgのアスフォターゼアルファ(100mg/ml)を含む)。sALPは、約0.1mg~約500mgが約0.01mL~約10mLの容量で存在するように製剤化され得る。
組成物を第2の活性剤と組み合わせて使用する場合、組成物を第2の薬剤と共に製剤化するか、又は組成物を第2の薬剤配合物とは別に製剤化することができる。例えば、それぞれの医薬組成物は、例えば、投与の直前に混合することができ、一緒に投与することができるか、又は別々に、例えば同時に若しくは異なる時間に投与することができる。
sALP及びsALP融合ポリペプチドを含む組成物(例えば、本明細書に記載されるように、配列番号7~223、247及び262~264のいずれか1つの配列又はそれと少なくとも85%の配列同一性を有するその変異体及び/又は天然に存在するALPに対して少なくとも1つのアミノ酸変異を有するポリペプチド)は、静脈内ガンマグロブリン療法(IVIG)、プラスマフェレーシス、血漿置換又は血漿交換と共に、対象への投与又は胎児に投与される場合、そのような胎児を妊娠している女性への投与のために製剤化できる。
担体/ビヒクル
sALP又はsALP融合ポリペプチドを含む調製物(例えば、本明細書に記載されるように、配列番号7~223、247及び262~264のいずれか1つの配列又はそれと少なくとも85%の配列同一性を有するその変異体及び/又は天然に存在するALPに対して少なくとも1つのアミノ酸変異を有するポリペプチド)は、薬学的に許容される無菌の水性又は非水性溶媒、懸濁液又は乳濁液と組み合わせて、HPPなどの骨石灰化障害を有するか又はそれを発症しやすい対象に提供することができる。非水性溶媒の例は、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、植物油、魚油及び注射可能な有機エステルである。水性担体には、水、水-アルコール溶液、生理食塩水を含むエマルジョン又は懸濁液及び塩化ナトリウム溶液、リンゲルデキストロース溶液、デキストロース+塩化ナトリウム溶液、ラクトースを含むリンゲル溶液又は固定油を含む、緩衝医療非経口ビヒクルが含まれる。例えば、薬学的に許容される担体は、塩化ナトリウム及び/又はリン酸ナトリウムを含むことができ、その組成物は、例えば、約150mMの塩化ナトリウム及び/又は約25mMのリン酸ナトリウム、pH7.4を含む。
sALP又はsALP融合ポリペプチドを含む調製物(例えば、本明細書に記載されるように、配列番号7~223、247及び262~264のいずれか1つの配列又はそれと少なくとも85%の配列同一性を有するその変異体及び/又は天然に存在するALPに対して少なくとも1つのアミノ酸変異を有するポリペプチド)は、薬学的に許容される無菌の水性又は非水性溶媒、懸濁液又は乳濁液と組み合わせて、HPPなどの骨石灰化障害を有するか又はそれを発症しやすい対象に提供することができる。非水性溶媒の例は、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、植物油、魚油及び注射可能な有機エステルである。水性担体には、水、水-アルコール溶液、生理食塩水を含むエマルジョン又は懸濁液及び塩化ナトリウム溶液、リンゲルデキストロース溶液、デキストロース+塩化ナトリウム溶液、ラクトースを含むリンゲル溶液又は固定油を含む、緩衝医療非経口ビヒクルが含まれる。例えば、薬学的に許容される担体は、塩化ナトリウム及び/又はリン酸ナトリウムを含むことができ、その組成物は、例えば、約150mMの塩化ナトリウム及び/又は約25mMのリン酸ナトリウム、pH7.4を含む。
静脈内ビヒクルは、流体及び栄養補給剤、リンガーのデキストロースに基づくものなどの電解質補充剤などを含み得る。薬学的に許容される塩をその中に含めることができ、例えば、塩酸塩、臭化水素酸塩、リン酸塩、硫酸塩などの鉱酸塩;及び酢酸塩、プロピオン酸塩、マロン酸塩、安息香酸塩などの有機酸の塩である。さらに、湿潤剤又は乳化剤、pH緩衝物質などのような補助物質が、そのようなビヒクル中に存在することができる。薬学的に許容される担体の徹底した議論は、Remington:The Science and Practice of Pharmacy,22nd Ed.,Allen,Ed.2012で見ることができる。
投与量
本明細書に記載のsALPポリペプチド(例えば、本明細書に記載されるように、配列番号7~223、247及び262~264のいずれか1つの配列又はそれと少なくとも85%の配列同一性を有するその変異体及び/又は天然に存在するALPに対して少なくとも1つのアミノ酸変異を有するポリペプチド)は、HPPなどの骨石灰化障害を有するか又はそれを発症しやすい対象に、例えば、0.01mg/kg~500mg/kg(例えば、0.05mg/kg~500mg/kg、0.1mg/kg~60mg/kg、0.1mg/kg~50mg/kg、0.1mg/kg~20mg/kg、5mg/kg~500mg/kg、0.1mg/kg~100mg/kg、10mg/kg~100mg/kg、0.1mg/kg~50mg/kg、0.5mg/kg~25mg/kg、1.0mg/kg~10mg/kg、1.5mg/kg~5mg/kg又は2.0mg/kg~3.0mg/kg)又は1μg/kg~1,000μg/kg(例えば、5μg/kg~1,000μg/kg、1μg/kg~750μg/kg、5μg/kg~750μg/kg、10μg/kg~750μg/kg、1μg/kg~500μg/kg、5μg/kg~500μg/kg、10μg/kg~500μg/kg、1μg/kg~100μg/kg、5μg/kg~100μg/kg、10μg/kg~100μg/kg、1μg/kg~50μg/kg、5μg/kg~50μg/kg又は10μg/kg~50μg/kg)の範囲の個別用量で投与することができる。
本明細書に記載のsALPポリペプチド(例えば、本明細書に記載されるように、配列番号7~223、247及び262~264のいずれか1つの配列又はそれと少なくとも85%の配列同一性を有するその変異体及び/又は天然に存在するALPに対して少なくとも1つのアミノ酸変異を有するポリペプチド)は、HPPなどの骨石灰化障害を有するか又はそれを発症しやすい対象に、例えば、0.01mg/kg~500mg/kg(例えば、0.05mg/kg~500mg/kg、0.1mg/kg~60mg/kg、0.1mg/kg~50mg/kg、0.1mg/kg~20mg/kg、5mg/kg~500mg/kg、0.1mg/kg~100mg/kg、10mg/kg~100mg/kg、0.1mg/kg~50mg/kg、0.5mg/kg~25mg/kg、1.0mg/kg~10mg/kg、1.5mg/kg~5mg/kg又は2.0mg/kg~3.0mg/kg)又は1μg/kg~1,000μg/kg(例えば、5μg/kg~1,000μg/kg、1μg/kg~750μg/kg、5μg/kg~750μg/kg、10μg/kg~750μg/kg、1μg/kg~500μg/kg、5μg/kg~500μg/kg、10μg/kg~500μg/kg、1μg/kg~100μg/kg、5μg/kg~100μg/kg、10μg/kg~100μg/kg、1μg/kg~50μg/kg、5μg/kg~50μg/kg又は10μg/kg~50μg/kg)の範囲の個別用量で投与することができる。
sALPの例示的な用量には、例えば、0.01、0.05、0.1、0.5、1、2、2.5、5、10、20、25、50、100、125、150、200、250又は500mg/kg;又は1、2、2.5、5、10、20、25、50、100、125、150、200、250、500、750、900又は1,000μg/kgが含まれる。本明細書に記載されている全ての投与量又は範囲について、「約」という用語を使用して、記載されている値又は範囲の終点の±10%だけこれらの投与量を変更することができる。特に、本開示による組成物(例えば、本明細書に記載されるように、配列番号7~223、247及び262~264のいずれか1つの配列又はそれと少なくとも85%の配列同一性を有するその変異体及び/又は天然に存在するALPに対して少なくとも1つのアミノ酸変異を有するポリペプチド)は、約0.001mg/kg/日~約500mg/kg/日、約0.01mg/kg/日~約100mg/kg/日又は約0.01mg/kg/日~約20mg/kg/日の範囲の用量で対象に投与することができる。例えば、sALP組成物(例えば、本明細書に記載されるように、配列番号7~223、247及び262~264のいずれか1つの配列又はそれと少なくとも85%の配列同一性を有するその変異体及び/又は天然に存在するALPに対して少なくとも1つのアミノ酸変異を有するポリペプチド)は、例えば、約0.5mg/kg/週~約140mg/kg/週、例えば、約0.8mg/kg/週~約50mg/kg/週又は約1mg/kg/週~約10mg/kg/週(例えば、約6又は約9mg/kg/週)の範囲の毎週の投与量で対象に投与することができる。特に、sALPは、週に1回以上(例えば、週に1、2、3、4、5、6、7回又はそれを超える)、隔週に1回以上、1ヶ月に1回以上(例:14日、15日、16日、17日、18日、19日、20日、21日、22日、23日、24日、25日、26日、27日、28日、29日又は30日ごとに1回)投与することができる。
特に、sALP(例えば、本明細書に記載されるように、配列番号7~223、247及び262~264のいずれか1つの配列又はそれと少なくとも85%の配列同一性を有するその変異体及び/又は天然に存在するALPに対して少なくとも1つのアミノ酸変異を有するポリペプチド)は、2mg/kgを週3回(総用量6mg/kg/週)、1mg/kgを週6回(総用量6mg/kg/週)、3mg/kgを週3回(総用量9mg/kg/週)、0.5mg/kgを週3回(総用量1.5mg/kg/週)又は9.3mg/kgを週3回(総用量28mg/kg/週)の投与量で投与することができる。投与量は、疾患の程度及びHPPなどの骨石灰化障害を有するか又はそれを発症しやすい対象とは異なるパラメータなどの従来の要因に従って、臨床医によって適合され得る。代わりに、0.1mg/kg~9mg/kgを週に1回投与することができる。
sALP及びsALP融合ポリペプチド(例えば、本明細書に記載されるように、配列番号7~223、247及び262~264のいずれか1つの配列又はそれと少なくとも85%の配列同一性を有するその変異体及び/又は天然に存在するALPに対して少なくとも1つのアミノ酸変異を有するポリペプチド)を含む組成物の投与量は、単一又は複数の投与レジメンのいずれかで提供することができる。用量は、例えば、毎時、隔時間、毎日、隔日、週に2回、週に3回、週に4回、週に5回、週に6回、毎週、隔週、毎月、隔月又は毎年投与することができる。代わりに、用量は、例えば、1日、1週間又は1ヶ月に2回、3回、4回、5回、6回、7回、8回、9回、10回、11回又は12回投与することができる。特に、投与レジメンは週に一回である。投薬レジメンの期間は、例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29若しくは30日、週若しくは月又はHPPなどの骨石灰化障害を有するか若しくはそれを発症しやすい対象の残存寿命であり得る。投与量、頻度及び投与期間は、疾患の程度及びHPPなどの骨石灰化障害を有するか又はそれを発症しやすい対象とは異なるパラメータなどの従来の要因に従って、臨床医によって適合されるであろう。
例えば、sALP又はsALP融合ポリペプチド(例えば、本明細書に記載されるように、配列番号7~223、247及び262~264のいずれか1つの配列又はそれと少なくとも85%の配列同一性を有するその変異体及び/又は天然に存在するALPに対して少なくとも1つのアミノ酸変異を有するポリペプチド)の投与量は、週に1回以上(例えば、2、3、4、5、6又は7回)、皮下又は静脈内投与される、約0.1mg/kg体重~約10mg/kg体重であり得る。
核酸及びポリペプチドの産生
sALP及びsALP融合ポリペプチドをコードするポリヌクレオチド(例えば、本明細書に記載されるように、配列番号7~223、247及び262~264のいずれか1つの配列又はそれと少なくとも85%の配列同一性を有するその変異体及び/又は天然に存在するALPに対して少なくとも1つのアミノ酸変異を有するポリペプチド)は、当技術分野で知られている任意の方法で産生することができる。ポリヌクレオチドは、配列番号7~223、247及び262~264のいずれか1つ(例えば、配列番号72、123、155又は177のいずれか1つ)に対して少なくとも85%(例えば、90%、95%、97%、99%又は100%)の配列同一性を有するアミノ酸配列をコードし得る。ポリヌクレオチドは、配列番号265~268のいずれか1つに対して少なくとも85%(例えば、90%、95%、97%、99%又は100%)の配列同一性を有し得る。ポリヌクレオチドは、配列番号265~268のいずれか1つを含み得るか又はそれからなり得る。ポリヌクレオチドは、配列番号265を含み得るか又はそれからなり得る。ポリヌクレオチドは、配列番号266を含み得るか又はそれからなり得る。ポリヌクレオチドは、配列番号267を含み得るか又はそれからなり得る。ポリヌクレオチドは、配列番号268を含み得るか又はそれからなり得る。
sALP及びsALP融合ポリペプチドをコードするポリヌクレオチド(例えば、本明細書に記載されるように、配列番号7~223、247及び262~264のいずれか1つの配列又はそれと少なくとも85%の配列同一性を有するその変異体及び/又は天然に存在するALPに対して少なくとも1つのアミノ酸変異を有するポリペプチド)は、当技術分野で知られている任意の方法で産生することができる。ポリヌクレオチドは、配列番号7~223、247及び262~264のいずれか1つ(例えば、配列番号72、123、155又は177のいずれか1つ)に対して少なくとも85%(例えば、90%、95%、97%、99%又は100%)の配列同一性を有するアミノ酸配列をコードし得る。ポリヌクレオチドは、配列番号265~268のいずれか1つに対して少なくとも85%(例えば、90%、95%、97%、99%又は100%)の配列同一性を有し得る。ポリヌクレオチドは、配列番号265~268のいずれか1つを含み得るか又はそれからなり得る。ポリヌクレオチドは、配列番号265を含み得るか又はそれからなり得る。ポリヌクレオチドは、配列番号266を含み得るか又はそれからなり得る。ポリヌクレオチドは、配列番号267を含み得るか又はそれからなり得る。ポリヌクレオチドは、配列番号268を含み得るか又はそれからなり得る。
典型的には、所望の融合ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドは、分子クローニング法を使用して生成され、一般に、プラスミド又はウイルスなどのベクター内に配置される。ベクターは、ポリヌクレオチドを融合ポリペプチドの発現に適した宿主細胞に形質転換するために使用される。代表的な方法は、例えば、Maniatis et al.(Cold Springs Harbor Laboratory,1989)に開示されている。多くの細胞型を適切な宿主細胞として使用することができるが、適切な翻訳後修飾(例えば、グリコシル化又はシアル化)を付与することができるため、哺乳動物細胞が好ましい。本開示の宿主細胞は、例えば、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、L細胞、C127細胞、3T3細胞、BHK細胞、COS-7細胞又は当技術分野で知られている他の任意の適切な宿主細胞を含み得る。例えば、宿主細胞は、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞(例えば、CHO-DG44細胞)又はHEK293細胞である。
sALP及びsALP融合ポリペプチド(例えば、本明細書に記載されるように、配列番号7~223、247及び262~264のいずれか1つの配列又はそれと少なくとも85%の配列同一性を有するその変異体及び/又は天然に存在するALPに対して少なくとも1つのアミノ酸変異を有するポリペプチド)は、宿主細胞におけるsALPポリペプチドの発現をもたらすのに適した任意の条件下で産生することができる。そのような条件には、緩衝剤、重炭酸塩及び/又はHEPES、塩化物、リン酸、塩化物、リン酸塩、カルシウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、鉄などのイオン、単糖、アミノ酸、潜在的に脂質、ヌクレオチド、ビタミン及びインスリン様成長因子などの炭素源;2~4mMのL-グルタミン及び5%のウシ胎児血清を添加したアルファMEM、DMEM、Ham’s-F12、IMDMなどの通常の市販培地;2~4mMのL-グルタミンを添加した、HYCLONE(商標)SFM4CHO、Sigma CHO DHFR-、Cambrex POWER(商標)CHO CDなどの動物性タンパク質を含まない通常の市販培地の適切な選択が含まれる。これらの培地は、選択圧を維持し、安定したタンパク質産物の発現を可能にするために、チミジン、ヒポキサンチン及びL-グリシンなしで調製されることが望ましい。
バルクタンパク質を製造するための大スケールの方法は、例えば、国際公開第2017/031114号パンフレット及び国際公開第2017/214130号パンフレットに記載されており、これらの開示は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
処置方法
HPPなどの骨石灰化障害を有する対象の少なくとも1つの症状を処置又は改善するための方法が本明細書で提供される。骨折、骨粗鬆症、硬化性骨症、軟骨石灰化症、筋緊張低下症、デュシェンヌ筋ジストロフィー、気管気管支軟化症、発作、神経線維腫症1(NF-1)及び頭蓋骨癒合症などの他の疾患又は障害も、本明細書に記載の組成物及び方法によって処理することができる。対象は、筋力低下を有し得る。対象は、ピロリン酸カルシウム沈着(CPPD)又は家族性低リン血症などの筋力低下疾患を有し得る。そのような処置は、アルカリホスファターゼ又はアルカリホスファターゼ活性を有するポリペプチドを投与して、そのような対象における上昇したPPi濃度を低下させることを含み得る。例えば、可溶性アルカリホスファターゼ(sALP、例えば、本明細書に記載されるように、配列番号7~223、247及び262~264のいずれか1つの配列又はそれと少なくとも85%の配列同一性を有するその変異体及び/又は天然に存在するALPに対して少なくとも1つのアミノ酸変異を有するポリペプチド)は、新生児、子供、青年又は成人に投与され得る。
HPPなどの骨石灰化障害を有する対象の少なくとも1つの症状を処置又は改善するための方法が本明細書で提供される。骨折、骨粗鬆症、硬化性骨症、軟骨石灰化症、筋緊張低下症、デュシェンヌ筋ジストロフィー、気管気管支軟化症、発作、神経線維腫症1(NF-1)及び頭蓋骨癒合症などの他の疾患又は障害も、本明細書に記載の組成物及び方法によって処理することができる。対象は、筋力低下を有し得る。対象は、ピロリン酸カルシウム沈着(CPPD)又は家族性低リン血症などの筋力低下疾患を有し得る。そのような処置は、アルカリホスファターゼ又はアルカリホスファターゼ活性を有するポリペプチドを投与して、そのような対象における上昇したPPi濃度を低下させることを含み得る。例えば、可溶性アルカリホスファターゼ(sALP、例えば、本明細書に記載されるように、配列番号7~223、247及び262~264のいずれか1つの配列又はそれと少なくとも85%の配列同一性を有するその変異体及び/又は天然に存在するALPに対して少なくとも1つのアミノ酸変異を有するポリペプチド)は、新生児、子供、青年又は成人に投与され得る。
対象は、アルカリホスファターゼ又はアルカリホスファターゼ活性を有するポリペプチド(例えば、sALP、例えば、本明細書に記載されるように、配列番号7~223、247及び262~264のいずれか1つの配列又はそれと少なくとも85%の配列同一性を有するその変異体及び/又は天然に存在するALPに対して少なくとも1つのアミノ酸変異を有するポリペプチド)の投与前に、骨石灰化障害(例えば、HPP)と診断され得る。さらに、HPPなどの骨石灰化障害を有するか又はそれを発症しやすい対象は、以前にsALP(例えば、本明細書に記載されるように、配列番号7~223、247及び262~264のいずれか1つの配列又はそれと少なくとも85%の配列同一性を有するその変異体及び/又は天然に存在するALPに対して少なくとも1つのアミノ酸変異を有するポリペプチド)で処置されたことがないナイーブな対象であり得る。
方法は、アルカリホスファターゼ又はアルカリホスファターゼ活性を有するポリペプチド(例えば、sALP、例えば、本明細書に記載されるように、配列番号7~223、247及び262~264のいずれか1つの配列又はそれと少なくとも85%の配列同一性を有するその変異体及び/又は天然に存在するALPに対して少なくとも1つのアミノ酸変異を有するポリペプチド)を、ある期間にわたって単回又は複数回の投与で、HPPなどの骨石灰化障害を有するか又はそれを発症しやすい対象に投与することを含む。特に、配列番号7~223、247及び262~264のいずれか1つの配列を有するポリペプチドなどのsALPを、無機ピロリン酸(PPi)濃度が上昇しているか、又はHPP症状(例えば、筋力低下)に対して少なくとも1つの所定のバイオマーカー/スコア(10未満の平均BOT-2強度スコア、5未満の平均BOT-2走行速度及び敏捷性スコア、約0.8を超える平均CHAQ指数スコア及び/又は約40未満の平均PODCIスコア並びに予測された6MWT値の約80%未満の平均6MWT、5未満の筋力グレード及び/又は例えば予測されたHHD値の約80%未満の平均HHD値(例えば、平均HHD筋力又は握力値)など)を有すると以前に判断された対象に投与することができる。例えば、sALPは、乳児又は小児(例えば、約12歳未満の対象)の場合、約5.71μM超;青年(例えば、約13歳~約18歳の対象)の場合、約4.78μM超;又は成人(例えば、約18歳を超える対象)の場合、約5.82μM超のサンプル(例えば、血漿サンプル)中のPPiの濃度を有すると以前に決定された対象に投与することができる。他の実施形態において、本明細書に記載のHPPなどの骨石灰化障害は、少なくとも1つのアルカリホスファターゼ基質(例えば、PPi、PLP、PEAなど)の濃度の上昇によって引き起こされる。代わりに、アルカリホスファターゼ又はアルカリホスファターゼ活性を有するポリペプチド(例えば、sALP、例えば、本明細書に記載されるように、配列番号7~223、247及び262~264のいずれか1つの配列又はそれと少なくとも85%の配列同一性を有するその変異体及び/又は天然に存在するALPに対して少なくとも1つのアミノ酸変異を有するポリペプチド)は、筋力低下スコア(例えば、BOT-2強度スコア、BOT-2走行速度及び敏捷性スコア、CHAQ指数スコア、BSID-IIIスケールスコア、PDMS-2標準スコア、筋力スコア、6MWT値及び/又はHHD値を使用)を決定する前に、HPPなどの骨石灰化障害を有するか又はそれを発症しやすい対象に投与することができる。本明細書に記載の方法によるALPによる処置は、例えば、ADLの活性の増加、痛みの減少及び/又は運動発達の改善を促進する。
さらに、本明細書に記載のHPPなどの骨石灰化障害を有するか又はそれを発症しやすい対象の、それぞれの記載されているスコア(例えば、BOT-2強度スコア、BOT-2走行速度及び敏捷性スコア、CHAQ指数スコア、BSID-IIIスケールスコア、PDMS-2標準スコア、6MWT、12-POMA-G、修正されたパフォーマンス指向の移動性評価(Phillips et al.2015 Bone Abstracts 4:P136に示されているようなmPOMA-G)又はHHD値)は、sALP(例えば、本明細書に記載されるように、配列番号7~223、247及び262~264のいずれか1つの配列又はそれと少なくとも85%の配列同一性を有するその変異体及び/又は天然に存在するALPに対して少なくとも1つのアミノ酸変異を有するポリペプチド)を使用した処置効果を評価するために、単独又は任意の組み合わせで使用でき、ここで、特定のテストスコアと比較した改善は、sALPがHPPなどの骨石灰化障害の処置に有効であることを示す。
例えば、アルカリホスファターゼ又はアルカリホスファターゼ活性を有するポリペプチド(例えば、sALP、例えば、本明細書に記載されるように、配列番号7~223、247及び262~264のいずれか1つの配列又はそれと少なくとも85%の配列同一性を有するその変異体及び/又は天然に存在するALPに対して少なくとも1つのアミノ酸変異を有するポリペプチド)のHPPなどの骨石灰化障害を有するか又はそれを発症しやすい対象への投与がBOT-2強度スコアの約10又は約10超への平均増加を生じる(対象の以前の平均BOT-2強度スコアが約10未満であった)場合、アルカリホスファターゼ又はアルカリホスファターゼ活性を有するポリペプチドの処置は、例えば、HPPなどの骨石灰化障害に関連する身体的障害を処置するのに有効である。代わりに、sALPの投与がBOT-2強度スコアの約10又は約10超への平均増加を生じない場合、アルカリホスファターゼ又はアルカリホスファターゼ活性を有するポリペプチドの投与量及び/又は頻度を変更して、対象に対するアルカリホスファターゼ又はアルカリホスファターゼ活性を有するポリペプチドの有効量を決定することができる。例えば、sALP(例えば、本明細書に記載されるように、配列番号7~223、247及び262~264のいずれか1つの配列又はそれと少なくとも85%の配列同一性を有するその変異体及び/又は天然に存在するALPに対して少なくとも1つのアミノ酸変異を有するポリペプチド)の投与量は、例えば、約0.5~3mg/kg/週から約3~6mg/kg/週又は約3~6mg/kg/週から約6~9mg/kg/週に増加させることができる。
代わりに、アルカリホスファターゼ又はアルカリホスファターゼ活性を有するポリペプチド(例えば、sALP、例えば、本明細書に記載されるように、配列番号7~223、247及び262~264のいずれか1つの配列又はそれと少なくとも85%の配列同一性を有するその変異体及び/又は天然に存在するALPに対して少なくとも1つのアミノ酸変異を有するポリペプチド)のHPPなどの骨石灰化障害を有するか又はそれを発症しやすい対象への投与が、1つ以上の対象の筋力グレードの分類の改善(例えば、以前のより低い筋力グレードからの1、2、3、4又は5の筋力グレードへの改善)を生じる(対象の以前の平均筋力グレードが約5未満であった)場合、アルカリホスファターゼ又はアルカリホスファターゼ活性を有するポリペプチドの処置は、例えば、HPPなどの骨石灰化障害に関連する身体的障害を処置するのに有効である。代わりに、sALPの投与が、以前のより低い筋力グレードからの、1つ以上の対象の筋力グレードの分類の改善を生じない場合、アルカリホスファターゼ又はアルカリホスファターゼ活性を有するポリペプチドの投与量及び/又は頻度を変更(例えば、増加)して、対象に対するアルカリホスファターゼ又はアルカリホスファターゼ活性を有するポリペプチドの有効量を決定することができる。例えば、sALP(例えば、本明細書に記載されるように、配列番号7~223、247及び262~264のいずれか1つの配列又はそれと少なくとも85%の配列同一性を有するその変異体及び/又は天然に存在するALPに対して少なくとも1つのアミノ酸変異を有するポリペプチド)の投与量は、例えば、約0.5~3mg/kg/週から約3~6mg/kg/週又は約3~6mg/kg/週から約6~9mg/kg/週に増加させることができる。
診断及び/又は処置のためのバイオマーカー/エンドポイント
骨石灰化(例えば、本明細書に記載されるような周産期HPP、乳児HPP、小児HPP及び歯限局型低ホスファターゼ血症、HPP様疾患、CPPD及び家族性低リン血症を含むHPPなど)は、アルカリホスファターゼ又はアルカリホスファターゼ活性を有するポリペプチド(例えば、sALP、例えば、本明細書に記載されるように、配列番号7~223、247及び262~264のいずれか1つの配列又はそれと少なくとも85%の配列同一性を有するその変異体及び/又は天然に存在するALPに対して少なくとも1つのアミノ酸変異を有するポリペプチド)で処置することができる。本明細書に記載の方法は、HPPなどの骨石灰化障害を有するか又はそれを発症しやすい対象の診断、HPPなどの骨石灰化障害を有するか又はそれを発症しやすい対象の識別又はHPPなどの骨石灰化障害の処置の有効性の試験にも有用である。例えば、対象が特定の特徴的なバイオマーカー又は測定基準スコアを有するとして特徴付けられる場合、対象は、HPPなどの骨石灰化障害を有するか又はそれを発症しやすいと診断され得る。対象は、アルカリホスファターゼ又はアルカリホスファターゼ活性を有するポリペプチド(例えば、sALP、例えば、本明細書に記載されるように、配列番号7~223、247及び262~264のいずれか1つの配列又はそれと少なくとも85%の配列同一性を有するその変異体及び/又は天然に存在するALPに対して少なくとも1つのアミノ酸変異を有するポリペプチド)で処置され得、処置の有効性又は効果は、特徴的なバイオマーカー又は測定基準スコアを使用して分析され得る。そのようなバイオマーカーには、例えば、血清、骨又は筋肉組織又は対象の尿中の無機ピロリン酸(PPi)濃度の上昇及び/又はアルカリホスファターゼ(ALP)の低下が含まれ得る。筋力低下処置の有効性を決定するための本明細書に記載の方法において有用な例示的な測定基準は、(1)Bruininks-Oseretsky Test of Motor Proficiency第2版(BOT-2)、(2)小児健康評価質問票(Childhood Health Assessment Questionnaire)(CHAQ)、(3)小児転帰データ収集ツール(Pediatric Outcomes Data Collection Instrument)(PODCI)、(4)乳幼児発達のBayleyスケール(Bayley Scales of Infant and Toddler Development)、第3版(BSID-III)、(5)Peabody Developmental Motor Scales、第2版(PDMS-2)、(6)6分間歩行テスト(6MWT)、(7)筋力グレード、及び(8)ハンドヘルドダイナモメトリー(HHD)を含み得、これらは、以下でさらに詳細に説明される。
骨石灰化(例えば、本明細書に記載されるような周産期HPP、乳児HPP、小児HPP及び歯限局型低ホスファターゼ血症、HPP様疾患、CPPD及び家族性低リン血症を含むHPPなど)は、アルカリホスファターゼ又はアルカリホスファターゼ活性を有するポリペプチド(例えば、sALP、例えば、本明細書に記載されるように、配列番号7~223、247及び262~264のいずれか1つの配列又はそれと少なくとも85%の配列同一性を有するその変異体及び/又は天然に存在するALPに対して少なくとも1つのアミノ酸変異を有するポリペプチド)で処置することができる。本明細書に記載の方法は、HPPなどの骨石灰化障害を有するか又はそれを発症しやすい対象の診断、HPPなどの骨石灰化障害を有するか又はそれを発症しやすい対象の識別又はHPPなどの骨石灰化障害の処置の有効性の試験にも有用である。例えば、対象が特定の特徴的なバイオマーカー又は測定基準スコアを有するとして特徴付けられる場合、対象は、HPPなどの骨石灰化障害を有するか又はそれを発症しやすいと診断され得る。対象は、アルカリホスファターゼ又はアルカリホスファターゼ活性を有するポリペプチド(例えば、sALP、例えば、本明細書に記載されるように、配列番号7~223、247及び262~264のいずれか1つの配列又はそれと少なくとも85%の配列同一性を有するその変異体及び/又は天然に存在するALPに対して少なくとも1つのアミノ酸変異を有するポリペプチド)で処置され得、処置の有効性又は効果は、特徴的なバイオマーカー又は測定基準スコアを使用して分析され得る。そのようなバイオマーカーには、例えば、血清、骨又は筋肉組織又は対象の尿中の無機ピロリン酸(PPi)濃度の上昇及び/又はアルカリホスファターゼ(ALP)の低下が含まれ得る。筋力低下処置の有効性を決定するための本明細書に記載の方法において有用な例示的な測定基準は、(1)Bruininks-Oseretsky Test of Motor Proficiency第2版(BOT-2)、(2)小児健康評価質問票(Childhood Health Assessment Questionnaire)(CHAQ)、(3)小児転帰データ収集ツール(Pediatric Outcomes Data Collection Instrument)(PODCI)、(4)乳幼児発達のBayleyスケール(Bayley Scales of Infant and Toddler Development)、第3版(BSID-III)、(5)Peabody Developmental Motor Scales、第2版(PDMS-2)、(6)6分間歩行テスト(6MWT)、(7)筋力グレード、及び(8)ハンドヘルドダイナモメトリー(HHD)を含み得、これらは、以下でさらに詳細に説明される。
骨の治癒及び石灰化
HPPなどの骨石灰化障害を有するか又はそれを発症しやすい対象は、骨石灰化のレベルに基づき、アルカリホスファターゼ又はアルカリホスファターゼ活性を有するポリペプチド(例えば、sALP、例えば、本明細書に記載されるように、配列番号7~223、247及び262~264のいずれか1つの配列又はそれと少なくとも85%の配列同一性を有するその変異体及び/又は天然に存在するALPに対して少なくとも1つのアミノ酸変異を有するポリペプチド)による処置のために特定することができる。例えば、骨石灰化は、患者をHPPなどの骨石灰化障害を有すると診断するため又は本明細書に記載のポリペプチドの有効性を試験するための測定基準として使用され得る。骨石灰化障害(例えば、HPP)を有する対象において、sALPの投与は、処置の成功後の対象における骨治癒の増加をもたらす。
HPPなどの骨石灰化障害を有するか又はそれを発症しやすい対象は、骨石灰化のレベルに基づき、アルカリホスファターゼ又はアルカリホスファターゼ活性を有するポリペプチド(例えば、sALP、例えば、本明細書に記載されるように、配列番号7~223、247及び262~264のいずれか1つの配列又はそれと少なくとも85%の配列同一性を有するその変異体及び/又は天然に存在するALPに対して少なくとも1つのアミノ酸変異を有するポリペプチド)による処置のために特定することができる。例えば、骨石灰化は、患者をHPPなどの骨石灰化障害を有すると診断するため又は本明細書に記載のポリペプチドの有効性を試験するための測定基準として使用され得る。骨石灰化障害(例えば、HPP)を有する対象において、sALPの投与は、処置の成功後の対象における骨治癒の増加をもたらす。
骨の治癒が減少すると、骨が失われ、石灰化が減少して、2つ以上の骨が分離する。骨の治癒及び石灰化の低下は、参照骨と比較され得る。骨の治癒及び石灰化の減少を特定する方法は常用であり、X線撮影及びコンピューター断層撮影(CT)などの非侵襲的技術が含まれる。典型的には、対象の関連領域の画像は、sALP処置の前及び1つ以上の後の時点で撮影することができ、画像を比較して処置効果を評価することができる。骨の治癒及び/又は石灰化の低下は、不透明度の低下として識別できる。画像は、sALP処置中いつでも撮影でき、sALP ERT処置の開始後、例えば、1、2、3、4、5、6日、週、月、年のタイミング又は有効性の低下が疑われる場合に撮影できる。対象の骨治癒及び/又は石灰化の減少は、sALP処置期間の開始後、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11又は12週間又は月で検出可能になり得る。対象の骨治癒及び/又は石灰化の減少は、場合によりsALP ERT処置期間の開始後、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11又は12週間、月又は年にわたって持続し得る。骨の治癒及び石灰化の増加は、sALPの有効性が回復し、治療後に骨石灰化障害(HPPなど)が効果的に処置されていることを確認するために使用され得る。
骨密度(BMD)
HPPなどの骨石灰化障害を有するか又はそれを発症しやすい対象は、BMDレベルに基づき、アルカリホスファターゼ又はアルカリホスファターゼ活性を有するポリペプチド(例えば、sALP、例えば、本明細書に記載されるように、配列番号7~223、247及び262~264のいずれか1つの配列又はそれと少なくとも85%の配列同一性を有するその変異体及び/又は天然に存在するALPに対して少なくとも1つのアミノ酸変異を有するポリペプチド)による処置のために特定することができる。BMDの低下(例えば、正常な対象と比較して)は、HPPなどの骨石灰化障害を有すると患者を診断するための測定基準として使用され得る。
HPPなどの骨石灰化障害を有するか又はそれを発症しやすい対象は、BMDレベルに基づき、アルカリホスファターゼ又はアルカリホスファターゼ活性を有するポリペプチド(例えば、sALP、例えば、本明細書に記載されるように、配列番号7~223、247及び262~264のいずれか1つの配列又はそれと少なくとも85%の配列同一性を有するその変異体及び/又は天然に存在するALPに対して少なくとも1つのアミノ酸変異を有するポリペプチド)による処置のために特定することができる。BMDの低下(例えば、正常な対象と比較して)は、HPPなどの骨石灰化障害を有すると患者を診断するための測定基準として使用され得る。
BMDの減少を使用して、ERT中のsALP(例えば、配列番号7~223、247及び262~264のいずれか1つのポリペプチド)の有効性をモニターすることができる。BMDを測定する方法は当技術分野で知られており、例えば、骨生検、二重エネルギーX線吸収測定法(DXA又はDEXA)、末梢定量的CT(pQCT)、高解像度pQCT(HR-pQCT)及び定量的超音波(QUS)を含む。測定は、CTハウンスフィールド測定を含む任意の常用の方法で行うことができ、結果を標準データベース又は対照対象と比較することができる。BMDは、Zスコア又はTスコアとして報告される場合がある。処置前のBMD値は、sALP ERT処置中いつでも測定でき、sALP ERT処置の開始後、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11又は12日、週、月又は年のタイミングで撮影できる。処置後の基準点のBMD値は、例えば、0.01%、0.05%、0.1%、0.5%又は1%減少し得る。sALP処置の開始後の基準点のBMD値の減少も変化しないか又は変化が検出されない可能性がある。BMDの増加は、sALPの有効性が回復し、治療後に骨石灰化障害(HPPなど)が効果的に処置されていることを確認するために使用され得る。
血漿無機ピロリン酸(PPi)及びアルカリホスファターゼ(ALP)濃度
HPPなどの骨石灰化障害を有するか又はそれを発症しやすい対象は、対象からの血漿又は尿サンプルなどのサンプル中の無機ピロリン酸(PPi)及び/又はアルカリホスファターゼ(ALP)濃度を測定することにより、アルカリホスファターゼ又はアルカリホスファターゼ活性を有するポリペプチド(例えば、sALP、例えば、本明細書に記載されるように、配列番号7~223、247及び262~264のいずれか1つの配列又はそれと少なくとも85%の配列同一性を有するその変異体及び/又は天然に存在するALPに対して少なくとも1つのアミノ酸変異を有するポリペプチド)による処置のために特定することができる。参照によりその全体が本明細書に組み込まれるWhyte et al.,1995(J.Clin.Invest.95(4):1440-1445)に詳細に説明されるように、当業者に知られている任意の方法を使用して、血漿サンプル又は代替的に尿サンプル中のPPi及び/又はALP濃度を定量化することができる。血漿又は尿サンプル中のPPi濃度を定量化する方法も、それぞれ参照によりその全体が本明細書に組み込まれるCheung et al.,1977(Anal.Biochem.83:61-63),Cook et al.,1978(Anal.Biochem.91:557-565),及びJohnson et al,1968(Anal.Biochem.26:137-145)に記載される。
HPPなどの骨石灰化障害を有するか又はそれを発症しやすい対象は、対象からの血漿又は尿サンプルなどのサンプル中の無機ピロリン酸(PPi)及び/又はアルカリホスファターゼ(ALP)濃度を測定することにより、アルカリホスファターゼ又はアルカリホスファターゼ活性を有するポリペプチド(例えば、sALP、例えば、本明細書に記載されるように、配列番号7~223、247及び262~264のいずれか1つの配列又はそれと少なくとも85%の配列同一性を有するその変異体及び/又は天然に存在するALPに対して少なくとも1つのアミノ酸変異を有するポリペプチド)による処置のために特定することができる。参照によりその全体が本明細書に組み込まれるWhyte et al.,1995(J.Clin.Invest.95(4):1440-1445)に詳細に説明されるように、当業者に知られている任意の方法を使用して、血漿サンプル又は代替的に尿サンプル中のPPi及び/又はALP濃度を定量化することができる。血漿又は尿サンプル中のPPi濃度を定量化する方法も、それぞれ参照によりその全体が本明細書に組み込まれるCheung et al.,1977(Anal.Biochem.83:61-63),Cook et al.,1978(Anal.Biochem.91:557-565),及びJohnson et al,1968(Anal.Biochem.26:137-145)に記載される。
特に、アルカリホスファターゼ又はアルカリホスファターゼ活性を有するポリペプチド(例えば、sALP、例えば、本明細書に記載されるように、配列番号7~223、247及び262~264のいずれか1つの配列又はそれと少なくとも85%の配列同一性を有するその変異体及び/又は天然に存在するALPに対して少なくとも1つのアミノ酸変異を有するポリペプチド)は、血漿PPi濃度が最大約6μM(例えば、約4.5μM、約5μM若しくは約5.5μM又は約4.5μM~約6μMの範囲内の血漿PPi濃度)であると以前に決定された、HPPなどの骨石灰化障害を有するか又はそれを発症しやすい対象に投与することができる。例えば、アルカリホスファターゼ又はアルカリホスファターゼ活性を有するポリペプチドは、例えば、約5.71μM以上の血漿PPi濃度を有する乳児又は小児(例えば、約12歳未満の対象);約4.78μM以上の血漿PPi濃度を有する青年(例えば、約13歳~約18歳の対象);又は約5.82μM以上の血漿PPi濃度を有する成人(例えば、約18歳を超える対象)に投与される。さらに、アルカリホスファターゼ又はアルカリホスファターゼ活性を有するポリペプチドは、血漿ALP濃度が、例えば、0~14日齢の対象で約90U/L以下;15日齢~1歳未満の対象で約134U/L以下;約1歳~10歳未満の対象で約156U/L以下;約10歳~約13歳未満の対象で約141U/L以下;約13歳~約15歳未満の雌性対象で約62U/L以下;約13歳~約15歳未満の雄性対象で約127U/L以下;約15歳~約17歳未満の雌性対象で約54U/L以下;約15歳~約17歳未満の雄性対象で約89U/L以下;約17歳以上の雌性対象で約48U/L以下;又は約17歳以上の雄性対象で約59U/L以下であると以前に決定された、HPPなどの骨石灰化障害を有するか又はそれを発症しやすい対象(例えば、ヒト)に投与することができる。
HPPなどの骨石灰化障害を有するか又はそれを発症しやすい対象(例えば、ヒト)の血漿PPi濃度及び/又は血漿ALP濃度を正常な対象の血漿PPi濃度及び/又は血漿ALPと比較して、アルカリホスファターゼ又はアルカリホスファターゼ活性を有するポリペプチド(例えば、sALP、例えば、本明細書に記載されるように、配列番号7~223、247及び262~264のいずれか1つの配列又はそれと少なくとも85%の配列同一性を有するその変異体及び/又は天然に存在するALPに対して少なくとも1つのアミノ酸変異を有するポリペプチド)を投与された対象の処置効果を決定することができる。特に、アルカリホスファターゼ又はアルカリホスファターゼ活性を有するポリペプチドは、少なくとも1年(例えば、少なくとも2年、少なくとも3年、少なくとも4年、少なくとも5年、少なくとも6年、少なくとも7年、少なくとも8年、少なくとも9年、少なくとも10年又は対象の生涯にわたってなどの10年超)の処置期間にわたって投与することができる。代わりに、この方法は、アルカリホスファターゼ又はアルカリホスファターゼ活性を有するポリペプチドを投与する前に血漿PPi濃度及び/又は血漿ALP濃度を決定して、アルカリホスファターゼ又はアルカリホスファターゼ活性を有するポリペプチドによる処置の対象における効果を評価することを含み得る。
方法は、HPPなどの骨石灰化障害を有するか又はそれを発症しやすい対象(例えば、ヒト対象)からのサンプル(例えば、血漿サンプル)中のPPiの減少及び/又はALP濃度の増加をもたらす。例えば、アルカリホスファターゼ又はアルカリホスファターゼ活性を有するポリペプチド(例えば、sALP、例えば、本明細書に記載されるように、配列番号7~223、247及び262~264のいずれか1つの配列又はそれと少なくとも85%の配列同一性を有するその変異体及び/又は天然に存在するALPに対して少なくとも1つのアミノ酸変異を有するポリペプチド)による処置は、約1μM、約1.5μM、約2μM、約2.5μM又は約3μM又は25%以上(例えば、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%又は60%超)の、対象からのサンプル(例えば、血漿サンプル)中のPPi濃度の減少をもたらす。したがって、対象は、アルカリホスファターゼ又はアルカリホスファターゼ活性を有するポリペプチドの投与後、例えば、約2μM~約5μM、約3μM~約5μM、約2μM~約4μM又は約2μM~約3μMの血漿PPi濃度を示す。
同様に、アルカリホスファターゼ又はアルカリホスファターゼ活性を有するポリペプチドによる処置は、方法は、HPPなどの骨石灰化障害を有するか又はそれを発症しやすい対象(例えば、ヒト)からのサンプル(例えば、血漿サンプル)中のALP濃度の、アルカリホスファターゼ又はアルカリホスファターゼ活性を有するポリペプチドの投与前の対象と比較して、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%又は60%超の増加をもたらす。例えば、アルカリホスファターゼ又はアルカリホスファターゼ活性を有するポリペプチドの投与は、対象からのサンプル(例えば、血漿サンプル)中のALP濃度を、例えば0~14日齢の対象で約273U/L以上;15日齢~1歳未満の対象で約518U/L以上;約1歳~10歳未満で約369U/L以上;約10歳~約13歳未満の対象で約460U/L以上;約13歳~約15歳未満の雌性対象で約280U/L以上;約13歳~約15歳未満の雄性対象で約517U/L以上;約15歳~約17歳未満の雌性対象で約128U/L以上;約15歳~約17歳未満の雄性対象で約365U/L以上;約17歳以上の雌性対象で約95U/L以上;又は約17歳以上の雄性対象で約164U/L以上に増加させる。
HPPなどの骨石灰化障害を有するか又はそれを発症しやすい対象(例えば、ヒト)の血漿PPiの減少及び/又はALP濃度の増加は、アルカリホスファターゼ又はアルカリホスファターゼ活性を有するポリペプチド(例えば、sALP、例えば、本明細書に記載されるように、配列番号7~223、247及び262~264のいずれか1つの配列又はそれと少なくとも85%の配列同一性を有するその変異体及び/又は天然に存在するALPに対して少なくとも1つのアミノ酸変異を有するポリペプチド)の投与を通して持続し得る。例えば、血漿PPi濃度は約25%減少し、sALPによる処置中に減少した血漿PPi濃度の±10%にとどまり、且つ/又は血漿ALP濃度は約50%増加し、アルカリホスファターゼ又はアルカリホスファターゼ活性を有するポリペプチドによる処置中に増加した血漿ALP濃度の±10%にとどまる。
代わりに、アルカリホスファターゼ又はアルカリホスファターゼ活性を有するポリペプチド(例えば、sALP、例えば、本明細書に記載されるように、配列番号7~223、247及び262~264のいずれか1つの配列又はそれと少なくとも85%の配列同一性を有するその変異体及び/又は天然に存在するALPに対して少なくとも1つのアミノ酸変異を有するポリペプチド)の投与がHPPなどの骨石灰化障害を有するか又はそれを発症しやすい対象(例えば、ヒト)からの血漿サンプル中のPPi濃度の、約25%以上の平均減少をもたらさない場合、対象に対するsALPの有効量を決定するために、sALP投与の投与量及び/又は頻度を変更することができる。同様に、アルカリホスファターゼ又はアルカリホスファターゼ活性を有するポリペプチドの投与が、対象からの血漿サンプル中のALP濃度の約50%以上増加もたらさない場合、アルカリホスファターゼ又はアルカリホスファターゼ活性を有するポリペプチドの投与量及び/又は頻度を変更して、対象に対するアルカリホスファターゼ又はアルカリホスファターゼ活性を有するポリペプチドの有効量を決定することができる。例えば、アルカリホスファターゼ又はアルカリホスファターゼ活性を有するポリペプチドの投与量は、例えば、約0.5mg/kg/週又は約3.5mg/kg/週から約3~6mg/kg/週又は約6~9mg/kg/週に増加させることができる。
Bruininks-Oseretsky Test of Motor Proficiency第2版(BOT-2)
例示的なBruininks-Oseretsky Test of Motor Proficiency第2版(BOT-2)は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれるBruininks,R.H.(2005).Bruininks-Oseretsky Test of Motor Proficiency,(BOT-2),Minneapolis,MN:Pearson Assessmentに記載されている。特に、BOT-2は、対象のBOT-2スコアを生成するために、骨石灰化障害(例えば、HPP)を有するか又はそれを発症しやすい対象における身体障害及び運動制限を評価するために使用することができる。
例示的なBruininks-Oseretsky Test of Motor Proficiency第2版(BOT-2)は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれるBruininks,R.H.(2005).Bruininks-Oseretsky Test of Motor Proficiency,(BOT-2),Minneapolis,MN:Pearson Assessmentに記載されている。特に、BOT-2は、対象のBOT-2スコアを生成するために、骨石灰化障害(例えば、HPP)を有するか又はそれを発症しやすい対象における身体障害及び運動制限を評価するために使用することができる。
BOT-2には、対象の身体的障害を評価するための一連のテストが含まれ、これは、例えば、テストを含むキットを使用して実施できる。BOT-2は、次の領域で複合BOT-2スコアを提供する:強度、走行速度及び敏捷性、微細運動精度、微細運動統合、手先の器用さ、両側協調、バランス及び上肢協調。例えば、HPPなどの骨石灰化障害を有するか又はそれを発症しやすい対象は、腹筋運動、V字腹筋、立幅跳び、空気椅子及び/又は腕立て伏せを実行して、BOT-2強度スコアを決定できる。HPPなどの骨石灰化障害を有するか又はそれを発症しやすい対象は、平均台またぎ、シャトルラン、両足横跳び及び/又は片足横跳びをしてBOT-2走行速度及び敏捷性スコアを決定することができる。HPPなどの骨石灰化障害を有するか又はそれを発症しやすい対象は、円を切り取り及び/又は点をつないで、BOT-2の微細運動精度スコアを決定できる。HPPなどの骨石灰化障害を有するか又はそれを発症しやすい対象は、星を複写及び/又は四角を複写して、BOT-2の微細運動統合スコアを決定できる。HPPなどの骨石灰化障害を有するか又はそれを発症しやすい対象は、コイン移動、カード分類及び/又はブロック糸通しをして、手先の器用さスコアを決定できる。HPPなどの骨石灰化障害を有するか又はそれを発症しやすい対象は、足及び指のタッピング及び/又は挙手跳躍運動を実行して、BOT-2両側協調スコアを決定できる。HPPなどの骨石灰化障害を有するか又はそれを発症しやすい対象は、平均台で前に進んで且つ/又は片足で立って、BOT-2バランススコアを決定できる。HPPなどの骨石灰化障害を有するか又はそれを発症しやすい対象は、標的にボールを投げ、且つ/又は投げられたボールをキャッチして、BOT-2上肢協調スコアを決定できる。
HPPなどの骨石灰化障害を有するか又はそれを発症しやすい対象は、1つ以上の記載されている領域(強度、走行速度及び敏捷性、微細運動精度、微細運動統合、手先の器用さ、両側協調、バランス及び上肢協調)でテストを実行して、対象の身体障害を示すBOT-2スコアを生成し得る。各BOT-2領域(強度、走行速度及び敏捷性、微細運動精度、微細運動統合、手先の器用さ、両側協調、バランス及び上肢協調)内で、そのような対象は、対象のBOT-2スコアを決定するために、1つ以上のテストを実行し得、例えば、対象は、腹筋運動、V字腹筋、立幅跳び、壁掛け、空気椅子及び腕立て伏せの1つ以上を実行して、BOT-2強度スコアを決定し得る。したがって、1つのテスト(例えば、腹筋運動、V字腹筋、立幅跳び、壁掛け、空気椅子及び腕立て伏せの群から選択される1つのテスト)のみを実行して、HPP(例えば、HPP様疾患)などの骨石灰化障害を有するか又はそれを発症しやすい対象のBOT-2スコア(例えば、BOT-2強度スコア)を決定できる。
HPPなどの骨石灰化障害を有するか又はそれを発症しやすい対象の各BOT-2スコア(強度、走行速度及び敏捷性、微細運動精度、微細運動統合、手先の器用さ、両側協調、バランス及び上肢協調)は、HPPなどの骨石灰化障害を有しない対象のBOT-2スコアと比較して、例えば、BOT-2スコアのベースライン比較を決定することができる。HPPなどの骨石灰化障害を有するか又はそれを発症しやすい対象の各BOT-2スコア(例えば、強度、走行速度及び敏捷性、微細運動精度、微細運動統合、手先の器用さ、両側協調、バランス及び上肢協調)は、HPPなどの骨石灰化障害を有するか又はそれを発症しやすい他の対象のBOT-2スコアと比較して、例えば、対象の相対的なBOT-2スコアを提供することができる。
BOT-2スコア(例えば、強度、走行速度及び敏捷性、微細運動精度、微細運動統合、手先の器用さ、両側協調、バランス及び上肢協調スコア)は約0~約25以下の範囲であり、ここで、約10~20のスコアが健常な対象(例えば、HPPなどの骨石灰化障害を有しない対象)を表すと見なされる。約10未満の平均BOT-2スコア(例えば、強度、走行速度及び敏捷性、微細運動精度、微細運動統合、手先の器用さ、両側協調、バランス及び上肢協調スコア)を有する対象は、アルカリホスファターゼ又はアルカリホスファターゼ活性を有するポリペプチド、例えば、sALP、例えば、本明細書に記載されるように、配列番号7~223、247及び262~264のいずれか1つの配列又はそれと少なくとも85%の配列同一性を有するその変異体及び/又は天然に存在するALPに対して少なくとも1つのアミノ酸変異を有するポリペプチド、で処置することができる。
例えば、BOT-2強度スコアが10未満(例えば、約0、約1、約2、約3、約4、約5、約6、約7、約8、約9又は約10)である、HPPなどの骨石灰化障害を有するか又はそれを発症しやすい対象は、対象の寿命までのある期間にわたって、sALP(例えば、本明細書に記載されるように、配列番号7~223、247及び262~264のいずれか1つの配列又はそれと少なくとも85%の配列同一性を有するその変異体及び/又は天然に存在するALPに対して少なくとも1つのアミノ酸変異を有するポリペプチド)によって処置することができる。同様に、BOT-2走行速度及び敏捷性スコアが10未満(例えば、約0、約1、約2、約3、約4、約5、約6、約7、約8、約9又は約10)である、HPPなどの骨石灰化障害を有するか又はそれを発症しやすい対象は、対象の寿命までのある期間にわたって、sALP(例えば、本明細書に記載されるように、配列番号7~223、247及び262~264のいずれか1つの配列又はそれと少なくとも85%の配列同一性を有するその変異体及び/又は天然に存在するALPに対して少なくとも1つのアミノ酸変異を有するポリペプチド)によって処置することができる。
方法は、HPPなどの骨石灰化障害を有するか又はそれを発症しやすい対象のBOT-2スコア(例えば、強度、走行速度及び敏捷性、微細運動精度、微細運動統合、手先の器用さ、両側協調、バランス及び/又は上肢協調スコア)の改善をもたらすことができる。例えば、アルカリホスファターゼ又はsALP(例えば、本明細書に記載されるように、配列番号7~223、247及び262~264のいずれか1つの配列又はそれと少なくとも85%の配列同一性を有するその変異体及び/又は天然に存在するALPに対して少なくとも1つのアミノ酸変異を有するポリペプチド)などのアルカリホスファターゼ活性を有するポリペプチドによる、一定期間のsALPによる処置などの処置は、BOT-2強度スコアの約10~約20(例えば、約10、約11、約12、約13、約14、約15、約16、約17、約18、約19又は約20)への平均増加をもたらすことができる。さらに、sALP(例えば、本明細書に記載されるように、配列番号7~223、247及び262~264のいずれか1つの配列又はそれと少なくとも85%の配列同一性を有するその変異体及び/又は天然に存在するALPに対して少なくとも1つのアミノ酸変異を有するポリペプチド)による処置は、BOT-2走行速度及び敏捷性スコアの約5~約20(例えば、約5、約6、約7、約8、約9、約10、約11、約12、約13、約14、約15、約16、約17、約18、約19又は約20)への平均増加をもたらすことができる。
BOT-2スコア(例えば、強度、走行速度及び敏捷性、微細運動精度、微細運動統合、手先の器用さ、両側協調、バランス及び/又は上肢協調スコア)の増加は、sALPなど、アルカリホスファターゼ又はアルカリホスファターゼ活性を有するポリペプチド(例えば、本明細書に記載されるように、配列番号7~223、247及び262~264のいずれか1つの配列又はそれと少なくとも85%の配列同一性を有するその変異体及び/又は天然に存在するALPに対して少なくとも1つのアミノ酸変異を有するポリペプチド)の、例えば一定期間の投与を通して持続し得る。同様に、アルカリホスファターゼ又はアルカリホスファターゼ活性を有するポリペプチドの投与後の、筋肉の身体的障害の減少は、アルカリホスファターゼ又はアルカリホスファターゼ活性を有するポリペプチドの投与を通して持続し得る。
HPPなどの骨石灰化障害を有するか又はそれを発症しやすい対象のBOT-2スコア(強度、走行速度及び敏捷性、微細運動精度、微細運動統合、手先の器用さ、両側協調、バランス及び上肢協調スコア)は、sALPなど、アルカリホスファターゼ又はアルカリホスファターゼ活性を有するポリペプチド(例えば、本明細書に記載されるように、配列番号7~223、247及び262~264のいずれか1つの配列又はそれと少なくとも85%の配列同一性を有するその変異体及び/又は天然に存在するALPに対して少なくとも1つのアミノ酸変異を有するポリペプチド)を使用して処置効果を評価するために、単独で又は他の測定基準と組み合わせて使用することができ、ここで、特定のテストスコアと比較した改善は、アルカリホスファターゼ又はアルカリホスファターゼ活性を有するポリペプチドが、HPPなどの骨石灰化障害に関連する筋肉障害の処置に効果的であることを示す。例えば、本明細書に記載のsALPのHPPなどの骨石灰化障害を有するか又はそれを発症しやすい対象への投与がBOT-2走行速度及び敏捷性スコアの約5又は約5超への平均増加を生じる(対象の以前の平均BOT-2走行速度及び敏捷性スコアが約5未満であった)場合、sALPは、例えば、HPPなどの骨石灰化障害に関連する身体障害の処置に効果的であると考えられる。
さらに、各BOT-2領域(強度、走行速度及び敏捷性、微細運動精度、微細運動統合、手先の器用さ、両側協調、バランス及び上肢協調)内で、HPPなどの骨石灰化障害を有するか又はそれを発症しやすい対象は、対象のBOT-2スコアを決定するために、1つ以上のテストを実行し得る。
代わりに、sALPなど、アルカリホスファターゼ又は本明細書に記載のアルカリホスファターゼ活性を有するポリペプチドの投与が、BOT-2走行速度及び敏捷性スコアの約5超への平均増加を生じない場合、投与量及び/又は投与頻度を変更して、HPPなどの骨石灰化障害を有するか又はそれを発症しやすい対象に対するアルカリホスファターゼ又はアルカリホスファターゼ活性を有するポリペプチドの有効量を決定することができる。例えば、sALP(例えば、本明細書に記載されるように、配列番号7~223、247及び262~264のいずれか1つの配列又はそれと少なくとも85%の配列同一性を有するその変異体及び/又は天然に存在するALPに対して少なくとも1つのアミノ酸変異を有するポリペプチド)の投与量は、例えば、約0.5~3mg/kg/週から約3~6mg/kg/週又は約3~6mg/kg/週から約6~9mg/kg/週に増加させることができる。
小児健康評価質問票(Childhood Health Assessment Questionnaire)(CHAQ)
小児健康評価質問票(Childhood Health Assessment Questionnaire)(CHAQ)は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれるBruce&Fries(J.Rheumatol.30(1):167-178,2003)及びKlepper(Arthritis&Rheumatism,49:S5-S14,2003)に記載されているように、HPPなどの骨石灰化障害を有する子供の健康状態を評価するために実施して、子供のCHAQ指数スコアを生成することができる。CHAQには、更衣/整容、起床、食事、歩行、衛生、リーチ、グリップ及び動作の8つのカテゴリの質問が含まれ、親又は保護者は、HPPなどの骨石灰化障害を有する子供がそれぞれの活動を行うのにどの程度困難であるかを記録する。各カテゴリ内のスコアの範囲は0~3であり、ここで、スコア0は困難を伴わないことを示し;スコア1は、一部困難を伴うことを示し;スコア2は、大いに困難を伴うことを示し;スコア3は、子供が活動を実行できないことを示す。
小児健康評価質問票(Childhood Health Assessment Questionnaire)(CHAQ)は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれるBruce&Fries(J.Rheumatol.30(1):167-178,2003)及びKlepper(Arthritis&Rheumatism,49:S5-S14,2003)に記載されているように、HPPなどの骨石灰化障害を有する子供の健康状態を評価するために実施して、子供のCHAQ指数スコアを生成することができる。CHAQには、更衣/整容、起床、食事、歩行、衛生、リーチ、グリップ及び動作の8つのカテゴリの質問が含まれ、親又は保護者は、HPPなどの骨石灰化障害を有する子供がそれぞれの活動を行うのにどの程度困難であるかを記録する。各カテゴリ内のスコアの範囲は0~3であり、ここで、スコア0は困難を伴わないことを示し;スコア1は、一部困難を伴うことを示し;スコア2は、大いに困難を伴うことを示し;スコア3は、子供が活動を実行できないことを示す。
約0.8を超える(例えば、約0.8、約1、約1.2、約1.4、約1.6、約1.8、約2.0、約2.2、約2.4、約2.6、約2.8又は約3.0)平均CHAQ指数スコア(例えば、日常生活動作(ADL)及び/又は痛みの障害を示す)を有する、HPPなどの骨石灰化障害を有するか又はそれを発症しやすい子供は、アルカリホスファターゼ又はsALPなどのアルカリホスファターゼ活性を有するポリペプチド(例えば、本明細書に記載されるように、配列番号7~223、247及び262~264のいずれか1つの配列又はそれと少なくとも85%の配列同一性を有するその変異体及び/又は天然に存在するALPに対して少なくとも1つのアミノ酸変異を有するポリペプチド)を投与することによって処置できる。例えば、平均CHAQ指数スコアが約0.8を超える子供は、アルカリホスファターゼ又はsALPなどのアルカリホスファターゼ活性を有するポリペプチド(例えば、本明細書に記載されるように、配列番号7~223、247及び262~264のいずれか1つの配列又はそれと少なくとも85%の配列同一性を有するその変異体及び/又は天然に存在するALPに対して少なくとも1つのアミノ酸変異を有するポリペプチド)を投与することにより、対象の寿命までのある期間にわたって処置できる。さらに、本明細書に開示されるHPPなどの骨石灰化障害を有するか又はそれを発症しやすい子供は、平均CHAQ指数スコアに到達するため、8つのカテゴリ(更衣/整容、起床、食事、歩行、衛生、リーチ、グリップ及び動作)の1つ以上で、1つ以上の質問をされ得、平均CHAQ指数スコアが約0.8を超える場合、sALPなど、アルカリホスファターゼ又はアルカリホスファターゼ活性を有するポリペプチドを投与することで、子供を処置することができる。
本明細書に開示されるHPPなどの骨石灰化障害を有するか又はそれを発症しやすい子供のCHAQ指数スコアは、HPPなどのそのような骨石灰化障害を有しない子供のCHAQ指数スコアと比較して、例えば、CHAQ指数スコアの標準偏差を決定することができる。さらに、本明細書に開示されるHPPなどの骨石灰化障害を有するか又はそれを発症しやすい子供のCHAQ指数スコアは、本明細書に開示されるHPPなどの骨石灰化障害を有するか又はそれを発症しやすい他の子供のCHAQ指数スコアと比較して、例えば、CHAQ指数スコアの標準偏差を決定することができる。
方法は、本明細書に開示されるHPPなどの骨石灰化障害を有するか又はそれを発症しやすい子供のCHAQ指数スコア(例えば、ADLの障害及び/又は痛みを示す)の改善をもたらすことができる。例えば、sALP(例えば、本明細書に記載されるように、配列番号7~223、247及び262~264のいずれか1つの配列又はそれと少なくとも85%の配列同一性を有するその変異体及び/又は天然に存在するALPに対して少なくとも1つのアミノ酸変異を有するポリペプチド)による、子供の寿命までの一定期間のsALPによる処置などの処置は、HPP様疾患を有する子供において、CHAQ指数スコアの約0~約0.5以下(例えば、約0、約0.1、約0.2、約0.4又は約0.5)への平均減少をもたらすことができる。
HPPなどの骨石灰化障害を有するか又はそれを発症しやすい子供のCHAQ指数スコアの減少は、sALPなど、アルカリホスファターゼ又はアルカリホスファターゼ活性を有するポリペプチド(例えば、本明細書に記載されるように、配列番号7~223、247及び262~264のいずれか1つの配列又はそれと少なくとも85%の配列同一性を有するその変異体及び/又は天然に存在するALPに対して少なくとも1つのアミノ酸変異を有するポリペプチド)の投与を通して、例えば、子供の寿命までのある期間にわたって、持続し得る。同様に、子供のADLの増加及び/又は痛みの減少は、sALP(例えば、本明細書に記載されるように、配列番号7~223、247及び262~264のいずれか1つの配列又はそれと少なくとも85%の配列同一性を有するその変異体及び/又は天然に存在するALPに対して少なくとも1つのアミノ酸変異を有するポリペプチド)の投与を通して、子供の寿命までのある期間にわたって、持続し得る。
HPPなどの骨石灰化障害を有するか又はそれを発症しやすい子供のCHAQ指数スコアは、アルカリホスファターゼ又はsALPなどのアルカリホスファターゼ活性を有するポリペプチド(例えば、本明細書に記載されるように、配列番号7~223、247及び262~264のいずれか1つの配列又はそれと少なくとも85%の配列同一性を有するその変異体及び/又は天然に存在するALPに対して少なくとも1つのアミノ酸変異を有するポリペプチド)を使用した処置効率を評価するために使用され、ここで、特定のテストスコアと比較した改善は、アルカリホスファターゼ又はアルカリホスファターゼ活性を有するポリペプチドが、例えば、HPPなどの骨石灰化障害に関連する日常生活動作(ADL)の障害及び痛みの処置に効果的であることを示す。特に、HPPなどの骨石灰化障害を有するか又はそれを発症しやすい子供は、平均CHAQ指数スコアに到達し、sALP投与の処置効果を評価するため、8つのカテゴリ(更衣/整容、起床、食事、歩行、衛生、リーチ、グリップ及び動作)の1つ以上で、1つ以上の質問をされ得る。例えば、本明細書に記載のsALPのHPPなどの骨石灰化障害を有するか又はそれを発症しやすい子供への投与がCHAQインデックススコアの約0.5以下への平均減少を生じる(子供の以前の平均CHAQ指数スコアは約0.8超であった)場合、sALPは、HPPなどの骨石灰化障害に関連する、日常生活動作(ADL)における障害及び痛みの処置に効果的である。代わりに、sALPの投与がCHAQ指数スコアの約0.5以下への平均減少を生じない場合、sALP投与の投与量及び/又は投与頻度を変更して、HPPなどの骨石灰化障害を有するか又はそれを発症しやすい子供に対するsALPの有効量を決定することができる。例えば、sALP(例えば、本明細書に記載されるように、配列番号7~223、247及び262~264のいずれか1つの配列又はそれと少なくとも85%の配列同一性を有するその変異体及び/又は天然に存在するALPに対して少なくとも1つのアミノ酸変異を有するポリペプチド)の投与量は、例えば、約0.5~3mg/kg/週から約3~6mg/kg/週又は約3~6mg/kg/週から約6~9mg/kg/週に増加させることができる。
小児転帰データ収集ツール(Pediatric Outcomes Data Collection Instrument)(PODCI)
HPPなどの骨石灰化障害を有するか又はそれを発症しやすい特定の対象は、小児転帰データ収集ツール(Pediatric Outcomes Data Collection Instrument)(PODCI)を使用して、アルカリホスファターゼ又はsALP(例えば、本明細書に記載されるように、配列番号7~223、247及び262~264のいずれか1つの配列又はそれと少なくとも85%の配列同一性を有するその変異体及び/又は天然に存在するALPに対して少なくとも1つのアミノ酸変異を有するポリペプチド)などのアルカリホスファターゼ活性を有するポリペプチドによる処置のために特定することができる。Plint et al.(J.Pediatr.Orthop.23(6):788-790,2003)に記載されているように、対象のPODCIスコアを生成するために、PODCIを実施して、子供の健康状態を評価することができる。PODCIには、HPPなどの骨石灰化障害を有するか又はそれを発症しやすい対象又は対象の親/保護者が記入できる8つのカテゴリの質問が含まれる。HPPなどの骨石灰化障害を有するか又はそれを発症しやすい対象のPODCIを決定するために使用できるカテゴリは、以下を含む:1)日常のパーソナルケア及び学生活動を行う際に遭遇する困難を測定するための上肢及び身体機能スケール;2)日常活動で日常的な運動及び運動活動を行う際に経験した困難を測定するための移動及び基本的可動性スケール;3)より活発な活動又はスポーツに参加する際に遭遇する困難又は制限を測定するためのスポーツ/身体機能スケール;4)過去1週間に経験した痛みのレベルを測定するための痛み/快適スケール;5)処置の長期的な期待を測定するための処置期待スケール;6)個人的な外見並びに友人及び同年代の他人との類似性に対する全体的な満足度を測定するための幸福度スケール;7)これが生涯にわたる状態である場合、現在の制限に対する対象の受容を測定するための症状による満足度スケール;8)上記の最初の4つのスケールから計算される一般的な複合スケールである全体機能スケール。各カテゴリにおいて、HPPなどの骨石灰化障害を有するか又はそれを発症しやすい対象について標準化されたスコアが決定され、0から100のスケールに変換され、ここで、0は重大な障害を表し、100は障害が少ないことを表す。
HPPなどの骨石灰化障害を有するか又はそれを発症しやすい特定の対象は、小児転帰データ収集ツール(Pediatric Outcomes Data Collection Instrument)(PODCI)を使用して、アルカリホスファターゼ又はsALP(例えば、本明細書に記載されるように、配列番号7~223、247及び262~264のいずれか1つの配列又はそれと少なくとも85%の配列同一性を有するその変異体及び/又は天然に存在するALPに対して少なくとも1つのアミノ酸変異を有するポリペプチド)などのアルカリホスファターゼ活性を有するポリペプチドによる処置のために特定することができる。Plint et al.(J.Pediatr.Orthop.23(6):788-790,2003)に記載されているように、対象のPODCIスコアを生成するために、PODCIを実施して、子供の健康状態を評価することができる。PODCIには、HPPなどの骨石灰化障害を有するか又はそれを発症しやすい対象又は対象の親/保護者が記入できる8つのカテゴリの質問が含まれる。HPPなどの骨石灰化障害を有するか又はそれを発症しやすい対象のPODCIを決定するために使用できるカテゴリは、以下を含む:1)日常のパーソナルケア及び学生活動を行う際に遭遇する困難を測定するための上肢及び身体機能スケール;2)日常活動で日常的な運動及び運動活動を行う際に経験した困難を測定するための移動及び基本的可動性スケール;3)より活発な活動又はスポーツに参加する際に遭遇する困難又は制限を測定するためのスポーツ/身体機能スケール;4)過去1週間に経験した痛みのレベルを測定するための痛み/快適スケール;5)処置の長期的な期待を測定するための処置期待スケール;6)個人的な外見並びに友人及び同年代の他人との類似性に対する全体的な満足度を測定するための幸福度スケール;7)これが生涯にわたる状態である場合、現在の制限に対する対象の受容を測定するための症状による満足度スケール;8)上記の最初の4つのスケールから計算される一般的な複合スケールである全体機能スケール。各カテゴリにおいて、HPPなどの骨石灰化障害を有するか又はそれを発症しやすい対象について標準化されたスコアが決定され、0から100のスケールに変換され、ここで、0は重大な障害を表し、100は障害が少ないことを表す。
約40未満(例えば、約5、約10、約15、約20、約25、約30、約35又は約39)の平均PODCIスコア(例えば、ADLの障害及び/又は痛みを示す)を有する、HPPなどの骨石灰化障害を有するか又はそれを発症しやすい対象は、アルカリホスファターゼ又はsALPなどのアルカリホスファターゼ活性を有するポリペプチド(例えば、本明細書に記載されるように、配列番号7~223、247及び262~264のいずれか1つの配列又はそれと少なくとも85%の配列同一性を有するその変異体及び/又は天然に存在するALPに対して少なくとも1つのアミノ酸変異を有するポリペプチド)を投与することによって処置できる。例えば、平均PODCIスコアが40未満の対象は、対象の寿命までのある期間にわたって、sALPを投与することによって処置することができる。さらに、HPPなどの骨石灰化障害を有するか又はそれを発症しやすい対象は、平均PODCIスコアに到達するため、上記の8つのスケール(例えば、移動及び基本的可動性、スポーツ/身体機能並びに痛み/快適スケール)の1つ以上で、1つ以上の質問をされ得、平均PODCIスコアが40未満の場合、sALPを投与することによって対象を処置することができる。
本明細書に記載の方法は、HPPなどの骨石灰化障害を有するか又はそれを発症しやすい対象のPODCIスコア(例えば、ADLの障害及び/又は痛みを示す)の増加をもたらすことができる。例えば、アルカリホスファターゼ又はsALP(例えば、本明細書に記載されるように、配列番号7~223、247及び262~264のいずれか1つの配列又はそれと少なくとも85%の配列同一性を有するその変異体及び/又は天然に存在するALPに対して少なくとも1つのアミノ酸変異を有するポリペプチド)などのアルカリホスファターゼ活性を有するポリペプチドによる、対象の寿命までの一定期間のsALPによる処置などの処置は、PODCIスコアの約40~約50(例えば、約40、約41、約42、約43、約44、約45、約46、約47、約48、約49又は約50)への平均増加をもたらすことができる。
PODCIスコアの増加は、sALPなど、アルカリホスファターゼ又はアルカリホスファターゼ活性を有するポリペプチド(例えば、本明細書に記載されるように、配列番号7~223、247及び262~264のいずれか1つの配列又はそれと少なくとも85%の配列同一性を有するその変異体及び/又は天然に存在するALPに対して少なくとも1つのアミノ酸変異を有するポリペプチド)の投与を通して、例えば、HPPなどの骨石灰化障害を有するか又はそれを発症しやすい対象の寿命までのある期間にわたって、持続し得る。同様に、ADLの増加及び/又は痛みの減少は、sALP(例えば、本明細書に記載されるように、配列番号7~223、247及び262~264のいずれか1つの配列又はそれと少なくとも85%の配列同一性を有するその変異体及び/又は天然に存在するALPに対して少なくとも1つのアミノ酸変異を有するポリペプチド)の投与を通して、対象の寿命までのある期間にわたって、持続し得る。
HPPなどの骨石灰化障害を有するか又はそれを発症しやすい対象のPODCIスコアは、アルカリホスファターゼ又はsALPなどのアルカリホスファターゼ活性を有するポリペプチド(例えば、本明細書に記載されるように、配列番号7~223、247及び262~264のいずれか1つの配列又はそれと少なくとも85%の配列同一性を有するその変異体及び/又は天然に存在するALPに対して少なくとも1つのアミノ酸変異を有するポリペプチド)を使用した処置効率を評価するために使用され、ここで、特定のテストスコアと比較した改善は、アルカリホスファターゼ又はアルカリホスファターゼ活性を有するポリペプチドが、例えば、HPPなどの骨石灰化障害に関連する日常生活動作(ADL)の障害及び痛みの処置に効果的であることを示す。特に、HPPなどの骨石灰化障害を有するか又はそれを発症しやすい対象は、平均PODCIスコアに到達し、sALP投与の処置効果を評価するため、8つのスケール(上肢及び身体機能スケール、移動及び基本的可動性スケール、スポーツ/身体機能スケール、痛み/快適スケール、処置期待スケール、幸福度スケール、症状による満足度スケール及び全体機能スケール)の1つ以上で、1つ以上の質問をされ得る。
例えば、本明細書に記載のsALPのHPPなどの骨石灰化障害を有するか又はそれを発症しやすい対象への投与がPODCIスコアの約40又は約40超への平均増加を生じる(対象の以前の平均PODCIスコアは約40未満であった)場合、sALPは、HPPなどの骨石灰化障害に関連する、日常生活動作(ADL)における障害及び痛みの処置に効果的である。代わりに、本明細書に記載のsALPの投与がPODCIスコアの約40又は約40超以上への平均増加を生じない場合、sALP投与の投与量及び投与頻度を変更して、HPPなどの骨石灰化障害を有するか又はそれを発症しやすい対象に対するsALPの有効量を決定することができる。例えば、sALP(例えば、本明細書に記載されるように、配列番号7~223、247及び262~264のいずれか1つの配列又はそれと少なくとも85%の配列同一性を有するその変異体及び/又は天然に存在するALPに対して少なくとも1つのアミノ酸変異を有するポリペプチド)の投与量は、例えば、約0.5~3mg/kg/週から約3~6mg/kg/週又は約3~6mg/kg/週から約6~9mg/kg/週に増加させることができる。
乳幼児発達のBayleyスケール(Bayley Scales of Infant and Toddler Development)、第3版(BSID-III)
別のエンドポイントである、乳幼児発達のBayleyスケール(Bayley Scales of Infant and Toddler Development)、第3版(BSID-III)は、Bayley.(2006).Bayley scales of infant and toddler development:administration manual.San Antonio,TX:Harcourt Assessmentに記載されているように、出生からHPPなどの骨石灰化障害を有するか又はそれを発症しやすい対象の健康状態を評価するために実施して、対象のBSID-IIIスコアを生成することができる。BSID-IIIには、生のBSID-IIIスコアを決定するために対象に投与できる一連の発達的遊戯課題が含まれる。例えば、HPPなどの骨石灰化障害を有するか又はそれを発症しやすい対象(例えば、HPPを有する約3歳以下の乳児)のBSID-IIIスコアを決定するためのカテゴリは、把握、知覚-運動統合、運動計画及び速度、視覚追跡、リーチ、物体把握、物体操作、機能的手技、触覚情報への応答、手足及び胴体の動き、静的ポジショニング、動的運動、バランス及び運動計画を含み得る。次に、BSID-IIIの測定値は、スケーリングされたBSID-IIIスコアに変換され、これを使用して、健常で年齢が調整された対象と比較した対象のパフォーマンスを判断できる。HPPなどの骨石灰化障害を有するか又はそれを発症しやすい対象(例えば、HPPを有する対象)のBSID-IIIスケールスコアは、0~14の範囲であり得、ここで、約7~約13のスコアは、健常な対象の正常範囲と見なされる。
別のエンドポイントである、乳幼児発達のBayleyスケール(Bayley Scales of Infant and Toddler Development)、第3版(BSID-III)は、Bayley.(2006).Bayley scales of infant and toddler development:administration manual.San Antonio,TX:Harcourt Assessmentに記載されているように、出生からHPPなどの骨石灰化障害を有するか又はそれを発症しやすい対象の健康状態を評価するために実施して、対象のBSID-IIIスコアを生成することができる。BSID-IIIには、生のBSID-IIIスコアを決定するために対象に投与できる一連の発達的遊戯課題が含まれる。例えば、HPPなどの骨石灰化障害を有するか又はそれを発症しやすい対象(例えば、HPPを有する約3歳以下の乳児)のBSID-IIIスコアを決定するためのカテゴリは、把握、知覚-運動統合、運動計画及び速度、視覚追跡、リーチ、物体把握、物体操作、機能的手技、触覚情報への応答、手足及び胴体の動き、静的ポジショニング、動的運動、バランス及び運動計画を含み得る。次に、BSID-IIIの測定値は、スケーリングされたBSID-IIIスコアに変換され、これを使用して、健常で年齢が調整された対象と比較した対象のパフォーマンスを判断できる。HPPなどの骨石灰化障害を有するか又はそれを発症しやすい対象(例えば、HPPを有する対象)のBSID-IIIスケールスコアは、0~14の範囲であり得、ここで、約7~約13のスコアは、健常な対象の正常範囲と見なされる。
HPPなどの骨石灰化障害を有するか又はそれを発症しやすい対象は、乳児(例えば、約3歳又は3歳未満)として、記載されているカテゴリ(把握、知覚-運動統合、運動計画及び速度、視覚追跡、リーチ、物体把握、物体操作、機能的手技、触覚情報への応答、手足及び胴体の動き、静的ポジショニング、動的運動、バランス及び運動計画)の1つ以上でテストを実行して、運動発達の遅延を示すBSID-IIIスコアを生成し得る。記載されているカテゴリ(把握、知覚-運動統合、運動計画及び速度、視覚追跡、リーチ、物体把握、物体操作、機能的手技、触覚情報への応答、手足及び胴体の動き、静的ポジショニング、動的運動、バランス及び運動計画)の1つ以上で、幼児として約2未満の平均BSID-IIIスコアを有する、HPPなどの骨石灰化障害を有するか又はそれを発症しやすい対象は、sALP(例えば、本明細書に記載されるように、配列番号7~223、247及び262~264のいずれか1つの配列又はそれと少なくとも85%の配列同一性を有するその変異体及び/又は天然に存在するALPに対して少なくとも1つのアミノ酸変異を有するポリペプチド)の投与によって処置することができる。特に、乳児として約2未満の平均BSID-IIIスコアを有する、HPPなどの骨石灰化障害を有するか又はそれを発症しやすい対象は、対象の寿命までのある期間にわたって、sALPを投与することによって処置することができる。
この方法は、HPPなどの骨石灰化障害を有するか又はそれを発症しやすい対象の平均BSID-IIIスコア(例えば、運動発達の遅延を示す)の改善をもたらすことができる。例えば、sALP(例えば、本明細書に記載されるように、配列番号7~223、247及び262~264のいずれか1つの配列又はそれと少なくとも85%の配列同一性を有するその変異体及び/又は天然に存在するALPに対して少なくとも1つのアミノ酸変異を有するポリペプチド)による、対象の寿命までの一定期間のsALPによる処置などの処置は、BSID-IIIスコアの約5超(例えば、約5、約6、約7、約8、約9、約10、約11、約12又は約13)への平均増加をもたらすことができる。
BSID-IIIスコアの増加は、sALPなど、アルカリホスファターゼ又はアルカリホスファターゼ活性を有するポリペプチド(例えば、本明細書に記載されるように、配列番号7~223、247及び262~264のいずれか1つの配列又はそれと少なくとも85%の配列同一性を有するその変異体及び/又は天然に存在するALPに対して少なくとも1つのアミノ酸変異を有するポリペプチド)の投与を通して、HPPなどの骨石灰化障害を有するか又はそれを発症しやすい対象の寿命までのある期間にわたって、持続し得る。同様に、運動発達の増加は、sALPなど、アルカリホスファターゼ又はアルカリホスファターゼ活性を有するポリペプチド(例えば、本明細書に記載されるように、配列番号7~223、247及び262~264のいずれか1つの配列又はそれと少なくとも85%の配列同一性を有するその変異体及び/又は天然に存在するALPに対して少なくとも1つのアミノ酸変異を有するポリペプチド)の投与を通して、例えば、対象の寿命までのある期間にわたって、持続し得る。
HPPなどの骨石灰化障害を有するか又はそれを発症しやすい対象のBSID-IIIスコアは、アルカリホスファターゼ又はsALPなどのアルカリホスファターゼ活性を有するポリペプチド(例えば、本明細書に記載されるように、配列番号7~223、247及び262~264のいずれか1つの配列又はそれと少なくとも85%の配列同一性を有するその変異体及び/又は天然に存在するALPに対して少なくとも1つのアミノ酸変異を有するポリペプチド)を使用した処置効率を評価するために使用され、ここで、特定のテストスコアと比較した改善は、アルカリホスファターゼ又はアルカリホスファターゼ活性を有するポリペプチドが、例えば、HPPなどの骨石灰化障害に関連する運動発達の遅延の処置に効果的であることを示す。特に、HPPなどの骨石灰化障害を有するか又はそれを発症しやすい対象は、平均BSID-IIIスコアに到達し、sALP投与の処置効果を評価するため、乳児(例えば、HPPを有する約3歳以下)として、記載されているカテゴリ(把握、知覚-運動統合、運動計画及び速度、視覚追跡、リーチ、物体把握、物体操作、機能的手技、触覚情報への応答、手足及び胴体の動き、静的ポジショニング、動的運動、バランス及び運動計画)の1つ以上でテストを実行し得る。
例えば、sALPのHPPなどの骨石灰化障害を有するか又はそれを発症しやすい子供への投与がBSID-IIIスケールスコアの約5超への平均増加(子供の以前の平均BSID-IIIスケールスコアは乳児(例えば、約3歳又は3歳未満)として約2未満であった)を生じる場合、sALPは、HPP様疾患に関連する、例えば運動発達の遅延の処置に効果的である。代わりに、sALPの投与がBSID-IIIスケールスコアの約5超への平均増加を生じない場合、sALP投与の投与量及び/又は投与頻度を変更して、HPPなどの骨石灰化障害を有するか又はそれを発症しやすい子供に対するsALPの有効量を決定することができる。例えば、sALP(例えば、本明細書に記載されるように、配列番号7~223、247及び262~264のいずれか1つの配列又はそれと少なくとも85%の配列同一性を有するその変異体及び/又は天然に存在するALPに対して少なくとも1つのアミノ酸変異を有するポリペプチド)の投与量は、例えば、約0.5~3mg/kg/週から約3~6mg/kg/週又は約3~6mg/kg/週から約6~9mg/kg/週に増加させることができる。
Peabody Developmental Motor Scales、第2版(PDMS-2)
別のエンドポイントである、Peabody Developmental Motor Scales、第2版(PDMS-2)は、van Hartingsveldt et al.(Occup.Ther.Int.12(1):1-13,2005)に記載されているように、出生からHPPなどの骨石灰化障害を有するか又はそれを発症しやすい対象の健康状態を評価するために実施して、対象のPDMS-2スコアを生成することができる。PDMS-2には、HPPを有する対象など、対象の運動能力を測定するための6つのカテゴリのサブテストが含まれる。
別のエンドポイントである、Peabody Developmental Motor Scales、第2版(PDMS-2)は、van Hartingsveldt et al.(Occup.Ther.Int.12(1):1-13,2005)に記載されているように、出生からHPPなどの骨石灰化障害を有するか又はそれを発症しやすい対象の健康状態を評価するために実施して、対象のPDMS-2スコアを生成することができる。PDMS-2には、HPPを有する対象など、対象の運動能力を測定するための6つのカテゴリのサブテストが含まれる。
特に、PDMS-2の測定値は、次のサブテストから決定できる。1)ある場所から別の場所に移動する対象の能力を測定するための自発運動サブテスト(測定には、這う、歩く、走る、跳ねる、前に跳ぶなどが含まれる);2)環境事象に自動的に反応する対象の能力を測定するための反射神経サブテスト;3)重心内で身体の制御を維持し、平衡を維持する対象の能力を測定するための静止サブテスト;4)ボールをキャッチする、投げる、蹴るなど、物体を操作する対象の能力を測定するための物体操作サブテスト;5)片手で物体を保持する能力及び両手の指を制御して使用することを含む動作など、対象の手を使用する能力を測定するための把持サブテスト;6)対象が視知覚の能力を使用して、物体に手を伸ばして握ること、ブロックで構築すること及びデザインをコピーすることなどの複雑な目と手の協調タスクを実行する能力を測定するための視覚-運動統合サブテスト。PDMS-2測定値は、HPPなどの骨石灰化障害を有するか又はそれを発症しやすい対象のこれらのカテゴリの1つ以上について決定でき、次に、0~13の範囲のPDMS-2運動標準スコアなどのPDMS-2スコアに変換され、ここで、健常な対象(例えば、HPPなどの骨石灰化障害を有しない対象)の範囲は、約7~約13である。
平均PDMSスコア(例えば、運動発達の遅延を示す)を有する、HPPなどの骨石灰化障害を有するか又はそれを発症しやすい対象は、sALP(例えば、本明細書に記載されるように、配列番号7~223、247及び262~264のいずれか1つの配列又はそれと少なくとも85%の配列同一性を有するその変異体及び/又は天然に存在するALPに対して少なくとも1つのアミノ酸変異を有するポリペプチド)の投与によって処置することができる。
本明細書に記載の方法は、HPPなどの骨石灰化障害を有するか又はそれを発症しやすい対象のPDMS-2Iスコア(例えば、運動発達の遅延を示す)の改善をもたらすことができる。例えば、アルカリホスファターゼ又はsALP(例えば、本明細書に記載されるように、配列番号7~223、247及び262~264のいずれか1つの配列又はそれと少なくとも85%の配列同一性を有するその変異体及び/又は天然に存在するALPに対して少なくとも1つのアミノ酸変異を有するポリペプチド)などのアルカリホスファターゼ活性を有するポリペプチドによる処置は、PDMS-2スコアの約7~約13(例えば、約7、約8、約9、約10、約11、約12又は約13)への平均増加をもたらすことができる。
PDMS-2スコアの増加は、sALPなど、アルカリホスファターゼ又はアルカリホスファターゼ活性を有するポリペプチド(例えば、本明細書に記載されるように、配列番号7~223、247及び262~264のいずれか1つの配列又はそれと少なくとも85%の配列同一性を有するその変異体及び/又は天然に存在するALPに対して少なくとも1つのアミノ酸変異を有するポリペプチド)の投与を通して、長期間、例えば、HPPなどの骨石灰化障害を有するか又はそれを発症しやすい対象の寿命までのある期間にわたって、持続し得る。同様に、運動発達の増加は、sALP(例えば、本明細書に記載されるように、配列番号7~223、247及び262~264のいずれか1つの配列又はそれと少なくとも85%の配列同一性を有するその変異体及び/又は天然に存在するALPに対して少なくとも1つのアミノ酸変異を有するポリペプチド)の投与を通して、HPPなどの骨石灰化障害を有するか又はそれを発症しやすい対象の寿命までのある期間にわたって、持続し得る。
HPPなどの骨石灰化障害を有するか又はそれを発症しやすい対象のPDMS-2スコアは、アルカリホスファターゼ又はsALPなどのアルカリホスファターゼ活性を有するポリペプチド(例えば、本明細書に記載されるように、配列番号7~223、247及び262~264のいずれか1つの配列又はそれと少なくとも85%の配列同一性を有するその変異体及び/又は天然に存在するALPに対して少なくとも1つのアミノ酸変異を有するポリペプチド)を使用した処置効率を評価するために使用され、ここで、特定のテストスコアと比較した改善は、アルカリホスファターゼ又はアルカリホスファターゼ活性を有するポリペプチドが、例えば、HPPなどの骨石灰化障害に関連する運動発達の遅延の処置に効果的であることを示す。例えば、HPPなどの骨石灰化障害を有するか又はそれを発症しやすい子供は、平均PDMS-2スコアに到達し、sALP投与の処置効果を評価するため、約5歳又は5歳未満で、記載されているカテゴリ(運動、反射神経、静止、物体操作、把持、視覚運動)の1つ以上でテストを実行し得る。
例えば、sALPのHPPなどの骨石灰化障害を有するか又はそれを発症しやすい子供への投与がPDMS-2標準スコアの約7への平均増加を生じる(子供の以前の平均PDMS-2標準スコアは約5であった)場合、sALPは、HPP様疾患に関連する、例えば運動発達の遅延の処置に効果的である。代わりに、sALPの投与がPDMS-2標準スコアの約7への平均増加を生じない場合、子供に対するsALPの有効量を決定するために、sALP投与の投与量及び/又は頻度を変更することができる。例えば、sALP(例えば、本明細書に記載されるように、配列番号7~223、247及び262~264のいずれか1つの配列又はそれと少なくとも85%の配列同一性を有するその変異体及び/又は天然に存在するALPに対して少なくとも1つのアミノ酸変異を有するポリペプチド)の投与量は、例えば、約0.5~3mg/kg/週から約3~6mg/kg/週又は約3~6mg/kg/週から約6~9mg/kg/週に増加させることができる。
6分間歩行テスト(6MWT)
HPPなどの骨石灰化障害を有する対象は、6MWTを使用して、アルカリホスファターゼ又はアルカリホスファターゼ活性を有するポリペプチド(例えば、sALP、例えば、本明細書に記載されるように、配列番号7~223、247及び262~264のいずれか1つの配列又はそれと少なくとも85%の配列同一性を有するその変異体及び/又は天然に存在するALPに対して少なくとも1つのアミノ酸変異を有するポリペプチド)による処置のために特定することができる。特に、6MWTを使用して、HPPなどの骨石灰化障害を有する成人の歩行能力を評価し、成人の6MWT値を生成できる。6MWTは、硬い面の平らで真っ直ぐな囲われた廊下(長さ約30メートルなど)を使用して、屋内又は屋外で実行することができる。ストップウォッチ又は他のタイマーを使用して時間を追跡することができ、機械的カウンター又は他の装置を使用して、HPPなどの骨石灰化障害を有する対象が歩く距離(例えば、メートル単位)を決定することができる。例えば、廊下の長さを3メートルごとにマークして、HPPなどの骨石灰化障害を有する対象が歩いたメートル数を決定できる。転回点は30メートルで、スタートラインもマークされている。次に、HPPなどの骨石灰化障害を有する対象が6分間に歩いた距離を、例えば、ほぼ同じ年齢、同じ性別及び/又は同じ身長の正常対象によって予測された歩行メートル数と比較し、対象の6MWT値を生成するためのパーセンテージ値として表すことができる。HPPなどの骨石灰化障害を有する対象の6MWT値は、対象のベースラインでの6MWT値と比較することができる。さらに、HPPなどの骨石灰化障害を有する対象の6MWT値は、正常な対象の6MWT値と比較することができる。
HPPなどの骨石灰化障害を有する対象は、6MWTを使用して、アルカリホスファターゼ又はアルカリホスファターゼ活性を有するポリペプチド(例えば、sALP、例えば、本明細書に記載されるように、配列番号7~223、247及び262~264のいずれか1つの配列又はそれと少なくとも85%の配列同一性を有するその変異体及び/又は天然に存在するALPに対して少なくとも1つのアミノ酸変異を有するポリペプチド)による処置のために特定することができる。特に、6MWTを使用して、HPPなどの骨石灰化障害を有する成人の歩行能力を評価し、成人の6MWT値を生成できる。6MWTは、硬い面の平らで真っ直ぐな囲われた廊下(長さ約30メートルなど)を使用して、屋内又は屋外で実行することができる。ストップウォッチ又は他のタイマーを使用して時間を追跡することができ、機械的カウンター又は他の装置を使用して、HPPなどの骨石灰化障害を有する対象が歩く距離(例えば、メートル単位)を決定することができる。例えば、廊下の長さを3メートルごとにマークして、HPPなどの骨石灰化障害を有する対象が歩いたメートル数を決定できる。転回点は30メートルで、スタートラインもマークされている。次に、HPPなどの骨石灰化障害を有する対象が6分間に歩いた距離を、例えば、ほぼ同じ年齢、同じ性別及び/又は同じ身長の正常対象によって予測された歩行メートル数と比較し、対象の6MWT値を生成するためのパーセンテージ値として表すことができる。HPPなどの骨石灰化障害を有する対象の6MWT値は、対象のベースラインでの6MWT値と比較することができる。さらに、HPPなどの骨石灰化障害を有する対象の6MWT値は、正常な対象の6MWT値と比較することができる。
予測された6MWT値の約80%未満の平均6MWT(例えば、ほぼ同じ年齢、同じ性別及び/又は同じ身長の正常対象に対して)を有する、HPPなどの骨石灰化障害を有する対象は、例えば、少なくとも2週間(例えば、少なくとも3週間、少なくとも4週間、少なくとも5週間、少なくとも6週間、少なくとも7週間、少なくとも8週間、少なくとも9週間、少なくとも10週間、少なくとも3ヶ月、少なくとも4ヶ月、少なくとも5ヶ月、少なくとも6ヶ月、少なくとも7ヶ月、少なくとも8ヶ月、少なくとも9ヶ月、少なくとも1年、少なくとも2年、少なくとも3年、少なくとも4年、少なくとも5年、少なくとも6年、少なくとも7年、少なくとも8年、少なくとも9年若しくは少なくとも10年又は対象の生涯、特に少なくとも6週間)の処置期間にわたり、アルカリホスファターゼ又はアルカリホスファターゼ活性を有するポリペプチドを投与することなどにより、アルカリホスファターゼ又はアルカリホスファターゼ活性を有するポリペプチド(例えば、sALP、例えば本明細書に記載されるように、配列番号7~223、247及び262~264のいずれか1つの配列又はそれと少なくとも85%の配列同一性を有するその変異体及び/又は天然に存在するALPに対して少なくとも1つのアミノ酸変異を有するポリペプチド)で処置することができる。例えば、予測された6MWT値の約80%未満(例えば、予測された6MWT値の約50%、約55%、約60%、約65%、約70%又は約75%)の平均6MWTを有する、HPPなどの骨石灰化障害を有する対象は、少なくとも2週間の処置期間(例えば、少なくとも3週間、少なくとも4週間、少なくとも5週間、少なくとも6週間、少なくとも7週間、少なくとも8週間、少なくとも9週間、少なくとも10週間、少なくとも3ヶ月、少なくとも4ヶ月、少なくとも5ヶ月、少なくとも6ヶ月、少なくとも7ヶ月、少なくとも8ヶ月、少なくとも9ヶ月、少なくとも1年、少なくとも2年、少なくとも3年、少なくとも4年、少なくとも5年、少なくとも6年、少なくとも7年、少なくとも8年、少なくとも9年若しくは少なくとも10年又は対象の生涯、特に少なくとも6週間)にわたって、アルカリホスファターゼ又はアルカリホスファターゼ活性を有するポリペプチドによって処置することができる。
この方法は、HPPなどの骨石灰化障害を有する対象の6MWT値の改善をもたらすことができる。例えば、少なくとも2週間(例えば、少なくとも3週間、少なくとも4週間、少なくとも5週間、少なくとも6週間、少なくとも7週間、少なくとも8週間、少なくとも9週間、少なくとも10週間、少なくとも3ヶ月、少なくとも4ヶ月、少なくとも5ヶ月、少なくとも6ヶ月、少なくとも7ヶ月、少なくとも8ヶ月、少なくとも9ヶ月、少なくとも1年、少なくとも2年、少なくとも3年、少なくとも4年、少なくとも5年、少なくとも6年、少なくとも7年、少なくとも8年、少なくとも9年若しくは少なくとも10年又は対象の生涯、特に少なくとも6週間)の処置期間にわたり、アルカリホスファターゼ又はアルカリホスファターゼ活性を有するポリペプチドによる処置などによる、アルカリホスファターゼ又はアルカリホスファターゼ活性を有するポリペプチド(例えば、sALP、例えば、本明細書に記載されるように、配列番号7~223、247及び262~264のいずれか1つの配列又はそれと少なくとも85%の配列同一性を有するその変異体及び/又は天然に存在するALPに対して少なくとも1つのアミノ酸変異を有するポリペプチド)での処置は、対象の予測された6MWT値の約80%以上(例えば、予測6MWT値の約82%、約84%、約86%、約88%、約90%、約92%、約94%、約96%、約98%又はそれを超える)への6MWT値の平均増加をもたらすことができる。
HPPなどの骨石灰化障害を有する対象の6MWT値の増加は、例えば、少なくとも2週間(例えば、少なくとも3週間、少なくとも4週間、少なくとも5週間、少なくとも6週間、少なくとも7週間、少なくとも8週間、少なくとも9週間、少なくとも10週間、少なくとも3ヶ月、少なくとも4ヶ月、少なくとも5ヶ月、少なくとも6ヶ月、少なくとも7ヶ月、少なくとも8ヶ月、少なくとも9ヶ月、少なくとも1年、少なくとも2年、少なくとも3年、少なくとも4年、少なくとも5年、少なくとも6年、少なくとも7年、少なくとも8年、少なくとも9年若しくは少なくとも10年又は対象の生涯、特に少なくとも6週間)の処置期間にわたり、アルカリホスファターゼ又はアルカリホスファターゼ活性を有するポリペプチド(例えば、sALP、例えば、本明細書に記載されるように、配列番号7~223、247及び262~264のいずれか1つの配列又はそれと少なくとも85%の配列同一性を有するその変異体及び/又は天然に存在するALPに対して少なくとも1つのアミノ酸変異を有するポリペプチド)の投与を通して持続し得る。例えば、6MWT値は、HPPなどの骨石灰化障害を有する対象の予測された6MWT値の約80%超に増加し、アルカリホスファターゼ又はアルカリホスファターゼ活性を有するポリペプチドによる処置中に増加した6MWT値の±10%にとどまる。
同様に、HPPなどの骨石灰化障害を有する対象の歩行能力の改善は、アルカリホスファターゼ又はアルカリホスファターゼ活性を有するポリペプチドの投与を通して、例えば、少なくとも2週間(例えば、少なくとも3週間、少なくとも4週間、少なくとも5週間、少なくとも6週間、少なくとも7週間、少なくとも8週間、少なくとも9週間、少なくとも10週間、少なくとも3ヶ月、少なくとも4ヶ月、少なくとも5ヶ月、少なくとも6ヶ月、少なくとも7ヶ月、少なくとも8ヶ月、少なくとも9ヶ月、少なくとも1年、少なくとも2年、少なくとも3年、少なくとも4年、少なくとも5年、少なくとも6年、少なくとも7年、少なくとも8年、少なくとも9年若しくは少なくとも10年又は対象の生涯、特に少なくとも6週間)の処置期間、持続し得る。例えば、HPPなどの骨石灰化障害を有する対象は、sALPによる処置中に、歩行器、車椅子、装具、松葉杖又は矯正器具などの補助移動装置への減少した依存度を示す。
代わりに、アルカリホスファターゼ又はアルカリホスファターゼ活性を有するポリペプチド(例えば、sALP、例えば、本明細書に記載されるように、配列番号7~223、247及び262~264のいずれか1つの配列又はそれと少なくとも85%の配列同一性を有するその変異体及び/又は天然に存在するALPに対して少なくとも1つのアミノ酸変異を有するポリペプチド)の投与が(例えば、ほぼ同じ年齢、同じ性別及び/又は身長の正常な対象の)予測された6MWT値の80%超の6MWT値の平均増加を生じない場合、アルカリホスファターゼ又はアルカリホスファターゼ活性を有するポリペプチドの投与量及び/又は頻度を変更して、HPPなどの骨石灰化障害を有する対象に対するアルカリホスファターゼ又はアルカリホスファターゼ活性を有するポリペプチドの有効量を決定することができる。例えば、アルカリホスファターゼ又はアルカリホスファターゼ活性を有するポリペプチドの投与量は、例えば、約0.1~3mg/kg/週又は約3~6mg/kg/週から約3~6mg/kg/週又は約6~9mg/kg/週に増加させることができる。
ハンドヘルドダイナモメトリー(HHD)
HPPなどの骨石灰化障害を有するか又はそれを発症しやすい対象のグリップ及び筋力は、ハンドヘルドダイナモメトリー(HHD)を使用して評価できる。例えば、HPPなどの骨石灰化障害を有するか又はそれを発症しやすい対象の膝の屈曲及び伸展及び股関節の屈曲、伸展、外転は、例えば、MICROFET2TMダイナモメーターを使用して測定でき、対象の握力は、例えば、Jamar(登録商標)グリップダイナモメーターを使用して測定できる。特に、管理者はダイナモメーターを静止させて持ち、対象はダイナモメーターに対して最大の力を加える。ピーク力データはポンド単位で収集され、ニュートン(N)に変換される。次に、トルク値は、Nメートル単位の肢長を使用して計算される。次に、トルク値を、例えば、ほぼ同じ年齢、同じ性別及び/又は同じ身長の正常な対象のトルク値と比較し、対象のHHD値を生成するためのパーセンテージ値として表すことができる。
HPPなどの骨石灰化障害を有するか又はそれを発症しやすい対象のグリップ及び筋力は、ハンドヘルドダイナモメトリー(HHD)を使用して評価できる。例えば、HPPなどの骨石灰化障害を有するか又はそれを発症しやすい対象の膝の屈曲及び伸展及び股関節の屈曲、伸展、外転は、例えば、MICROFET2TMダイナモメーターを使用して測定でき、対象の握力は、例えば、Jamar(登録商標)グリップダイナモメーターを使用して測定できる。特に、管理者はダイナモメーターを静止させて持ち、対象はダイナモメーターに対して最大の力を加える。ピーク力データはポンド単位で収集され、ニュートン(N)に変換される。次に、トルク値は、Nメートル単位の肢長を使用して計算される。次に、トルク値を、例えば、ほぼ同じ年齢、同じ性別及び/又は同じ身長の正常な対象のトルク値と比較し、対象のHHD値を生成するためのパーセンテージ値として表すことができる。
予測されたHHD値の約80%未満の平均HHD値(例えば、ほぼ同じ年齢、同じ性別及び/又は同じ身長の正常対象に対して)を有する、HPPなどの骨石灰化障害を有する対象は、例えば、少なくとも2週間(例えば、少なくとも3週間、少なくとも4週間、少なくとも5週間、少なくとも6週間、少なくとも7週間、少なくとも8週間、少なくとも9週間、少なくとも10週間、少なくとも3ヶ月、少なくとも4ヶ月、少なくとも5ヶ月、少なくとも6ヶ月、少なくとも7ヶ月、少なくとも8ヶ月、少なくとも9ヶ月、少なくとも1年、少なくとも2年、少なくとも3年、少なくとも4年、少なくとも5年、少なくとも6年、少なくとも7年、少なくとも8年、少なくとも9年若しくは少なくとも10年又は対象の生涯、特に少なくとも6週間)の処置期間にわたり、アルカリホスファターゼ又はアルカリホスファターゼ活性を有するポリペプチドを投与することなどにより、アルカリホスファターゼ又はアルカリホスファターゼ活性を有するポリペプチド(例えば、sALP、例えば本明細書に記載されるように、配列番号7~223、247及び262~264のいずれか1つの配列又はそれと少なくとも85%の配列同一性を有するその変異体及び/又は天然に存在するALPに対して少なくとも1つのアミノ酸変異を有するポリペプチド)で処置することができる。例えば、予測されたHHD値の約80%未満(例えば、予測されたHHD値の約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%又は約75%)の平均HHDを有する、HPPなどの骨石灰化障害を有する対象は、少なくとも2週間の処置期間(例えば、少なくとも3週間、少なくとも4週間、少なくとも5週間、少なくとも6週間、少なくとも7週間、少なくとも8週間、少なくとも9週間、少なくとも10週間、少なくとも3ヶ月、少なくとも4ヶ月、少なくとも5ヶ月、少なくとも6ヶ月、少なくとも7ヶ月、少なくとも8ヶ月、少なくとも9ヶ月、少なくとも1年、少なくとも2年、少なくとも3年、少なくとも4年、少なくとも5年、少なくとも6年、少なくとも7年、少なくとも8年、少なくとも9年若しくは少なくとも10年又は対象の生涯、特に少なくとも6週間)にわたって、アルカリホスファターゼ又はアルカリホスファターゼ活性を有するポリペプチドによって処置することができる。
この方法は、HPPなどの骨石灰化障害を有する対象のHHD値の改善をもたらすことができる。例えば、少なくとも2週間(例えば、少なくとも3週間、少なくとも4週間、少なくとも5週間、少なくとも6週間、少なくとも7週間、少なくとも8週間、少なくとも9週間、少なくとも10週間、少なくとも3ヶ月、少なくとも4ヶ月、少なくとも5ヶ月、少なくとも6ヶ月、少なくとも7ヶ月、少なくとも8ヶ月、少なくとも9ヶ月、少なくとも1年、少なくとも2年、少なくとも3年、少なくとも4年、少なくとも5年、少なくとも6年、少なくとも7年、少なくとも8年、少なくとも9年若しくは少なくとも10年又は対象の生涯、特に少なくとも6週間)の処置期間にわたり、アルカリホスファターゼ又はアルカリホスファターゼ活性を有するポリペプチドによる処置などによる、アルカリホスファターゼ又はアルカリホスファターゼ活性を有するポリペプチド(例えば、sALP、例えば、本明細書に記載されるように、配列番号7~223、247及び262~264のいずれか1つの配列又はそれと少なくとも85%の配列同一性を有するその変異体及び/又は天然に存在するALPに対して少なくとも1つのアミノ酸変異を有するポリペプチド)での処置は、対象の予測されたHHD値の約80%以上(例えば、予測HHD値の約83%、約85%、約87%、約90%、約93%、約95%、約97%若しくは約100%又は100%)へのHHD値の平均増加をもたらすことができる。
HPPなどの骨石灰化障害を有する対象のHHD値の増加は、例えば、少なくとも2週間(例えば、少なくとも3週間、少なくとも4週間、少なくとも5週間、少なくとも6週間、少なくとも7週間、少なくとも8週間、少なくとも9週間、少なくとも10週間、少なくとも3ヶ月、少なくとも4ヶ月、少なくとも5ヶ月、少なくとも6ヶ月、少なくとも7ヶ月、少なくとも8ヶ月、少なくとも9ヶ月、少なくとも1年、少なくとも2年、少なくとも3年、少なくとも4年、少なくとも5年、少なくとも6年、少なくとも7年、少なくとも8年、少なくとも9年若しくは少なくとも10年又は対象の生涯、特に少なくとも6週間)の処置期間にわたり、アルカリホスファターゼ又はアルカリホスファターゼ活性を有するポリペプチド(例えば、sALP、例えば、本明細書に記載されるように、配列番号7~223、247及び262~264のいずれか1つの配列又はそれと少なくとも85%の配列同一性を有するその変異体及び/又は天然に存在するALPに対して少なくとも1つのアミノ酸変異を有するポリペプチド)の投与を通して持続し得る。例えば、HHD値は、HPPなどの骨石灰化障害を有する対象の予測されたHHD値の約80%超に増加し、アルカリホスファターゼ又はアルカリホスファターゼ活性を有するポリペプチドによる処置中に増加したHHD値の±10%にとどまる。
代わりに、アルカリホスファターゼ又はアルカリホスファターゼ活性を有するポリペプチド(例えば、sALP、例えば、本明細書に記載されるように、配列番号7~223、247及び262~264のいずれか1つの配列又はそれと少なくとも85%の配列同一性を有するその変異体及び/又は天然に存在するALPに対して少なくとも1つのアミノ酸変異を有するポリペプチド)の投与が(例えば、ほぼ同じ年齢、同じ性別及び/又は身長の、HPPなどの骨石灰化障害を有する対象の)予測されたHHD値の80%超のHHD値の平均増加を生じない場合、アルカリホスファターゼ又はアルカリホスファターゼ活性を有するポリペプチドの投与量及び/又は頻度を変更して、HPPなどの骨石灰化障害を有する対象に対するアルカリホスファターゼ又はアルカリホスファターゼ活性を有するポリペプチドの有効量を決定することができる。例えば、アルカリホスファターゼ又はアルカリホスファターゼ活性を有するポリペプチドの投与量は、例えば、約0.1~3mg/kg/週又は約3~6mg/kg/週から約3~6mg/kg/週又は約6~9mg/kg/週に増加させることができる。
本開示は、以下の実施例によって説明される。特定の例、材料、量及び手順は、本明細書に記載される開示の範囲及び精神に従って広く解釈されるべきであることを理解されたい。
実施例1
タンパク質の設計及び発現
アルカリホスファターゼ融合タンパク質。
アルカリホスファターゼ融合タンパク質のタンパク質活性、タンパク質安定性及び薬物動態特性を体系的に調べるために、いくつかのコンストラクトを設計及び試験した(表1を参照されたい)。いくつかのコンストラクトは、標準的なDNA合成技術によって生成され、それらの配列は、最終的に構築されたプラスミドのDNA配列決定によって検証された。さらなるコンストラクトは、既存のプラスミドに対して標準的な部位特異的変異誘発技術を実施することによって生成された。試験したアルカリホスファターゼ融合タンパク質の変異は、酵素の活性部位内及びその周辺に位置する残基、N-結合型グリコシル化のコンセンサス部位、骨標的化部分及びタンパク質に結合したフラグメント結晶化可能(Fc)領域のアイソタイプで変化する。これらのコンストラクトは、以下に詳述するように、Expi293F及びExpiCHO細胞を一過性にトランスフェクトすることによって発現された。
タンパク質の設計及び発現
アルカリホスファターゼ融合タンパク質。
アルカリホスファターゼ融合タンパク質のタンパク質活性、タンパク質安定性及び薬物動態特性を体系的に調べるために、いくつかのコンストラクトを設計及び試験した(表1を参照されたい)。いくつかのコンストラクトは、標準的なDNA合成技術によって生成され、それらの配列は、最終的に構築されたプラスミドのDNA配列決定によって検証された。さらなるコンストラクトは、既存のプラスミドに対して標準的な部位特異的変異誘発技術を実施することによって生成された。試験したアルカリホスファターゼ融合タンパク質の変異は、酵素の活性部位内及びその周辺に位置する残基、N-結合型グリコシル化のコンセンサス部位、骨標的化部分及びタンパク質に結合したフラグメント結晶化可能(Fc)領域のアイソタイプで変化する。これらのコンストラクトは、以下に詳述するように、Expi293F及びExpiCHO細胞を一過性にトランスフェクトすることによって発現された。
骨標的化蛍光-Fc融合。
ポリペプチド及びVHH配列のHA及び骨結合能力を体系的に比較するために、(N末端骨標的化-ヒトIgG1結晶領域(Fc)-Katushka2s蛍光タンパク質-C末端Hisタグ)を含むタンパク質融合体を設計した(配列番号224~245)。標的化に使用される蛍光融合タンパク質のリストを表2に示す。蛍光融合タンパク質は、以下に詳述するようにExpi293F細胞を使用して一過性にトランスフェクトされた。
ポリペプチド及びVHH配列のHA及び骨結合能力を体系的に比較するために、(N末端骨標的化-ヒトIgG1結晶領域(Fc)-Katushka2s蛍光タンパク質-C末端Hisタグ)を含むタンパク質融合体を設計した(配列番号224~245)。標的化に使用される蛍光融合タンパク質のリストを表2に示す。蛍光融合タンパク質は、以下に詳述するようにExpi293F細胞を使用して一過性にトランスフェクトされた。
生物学的に不活性なERT代理分子(ALP-Fc)。
臨床的に利用可能なERTの骨標的化機能をモデル化するために、ALP-Fc-(Asp)10融合をALP-Fc融合と比較した。これらの研究に使用されたALPは、合成基質であるリン酸4-メチルウンベリフェリル(4-MUP)に対する酵素活性のために特別に設計された。図21は、ALP-Fc-(ASP)10の構造モデルを示す。ALP-Fc(配列番号222)及びALP-Fc-(Asp)10(配列番号31)タンパク質は、以下に詳述するようにExpiCHO細胞を使用して一過性にトランスフェクトされた。
臨床的に利用可能なERTの骨標的化機能をモデル化するために、ALP-Fc-(Asp)10融合をALP-Fc融合と比較した。これらの研究に使用されたALPは、合成基質であるリン酸4-メチルウンベリフェリル(4-MUP)に対する酵素活性のために特別に設計された。図21は、ALP-Fc-(ASP)10の構造モデルを示す。ALP-Fc(配列番号222)及びALP-Fc-(Asp)10(配列番号31)タンパク質は、以下に詳述するようにExpiCHO細胞を使用して一過性にトランスフェクトされた。
重鎖のみの単一ドメイン可変重鎖(VHH)抗体フラグメント。
骨を標的としたVHHタンパク質は、非標的VHH分子の相補性決定領域(CDR)をポリアスパラギン酸配列に置き換えることによって設計された。表3は、骨結合について評価されたVHHタンパク質のリストを示す。VHHタンパク質は、以下に詳述するようにExpi293F細胞を使用して一過性にトランスフェクトされた。
骨を標的としたVHHタンパク質は、非標的VHH分子の相補性決定領域(CDR)をポリアスパラギン酸配列に置き換えることによって設計された。表3は、骨結合について評価されたVHHタンパク質のリストを示す。VHHタンパク質は、以下に詳述するようにExpi293F細胞を使用して一過性にトランスフェクトされた。
細胞培養物の一過性トランスフェクション
全てのExpi293トランスフェクションには1.0μgプラスミドDNA/mLトランスフェクション培養物の比率を使用し、全てのExpiCHOトランスフェクションには0.8μgプラスミドDNA/mlトランスフェクション培養物の比率を使用した。培養物は、25.4mmのスローで、シェーカー上で120RPMに維持された。
全てのExpi293トランスフェクションには1.0μgプラスミドDNA/mLトランスフェクション培養物の比率を使用し、全てのExpiCHOトランスフェクションには0.8μgプラスミドDNA/mlトランスフェクション培養物の比率を使用した。培養物は、25.4mmのスローで、シェーカー上で120RPMに維持された。
Expi293F細胞は、Expi293発現培地(Thermo Fisher)中、加湿した8%CO2インキュベーター内で、37℃で培養した。トランスフェクションの前日、細胞を2.5×106細胞/mLに分割した。24時間後、ストックはおよそ4×106細胞/mLであり、2.5×106細胞/mLに希釈された。Expi293トランスフェクションは、製造元のプロトコルに従って実行された。Expi293発現システムキット(Thermo Fisher)は、トランスフェクションエンハンサー及びExpiFectamine 293トランスフェクション試薬を含み、全てのExpi293トランスフェクションに使用された。要約すると、ExpiFectamine 293トランスフェクション試薬及びプラスミドDNAをOptiMEM培地(Thermo Fisher)で別々に希釈した。ExpiFectamine293とDNAの混合物を合わせ、さらに10~20分間インキュベートした。次に、ExpiFectamine293-DNA-OptiMEM混合物を細胞に加えた。エンハンサー1及びエンハンサー2は、トランスフェクションの16~18時間後にトランスフェクトされた培養物に加えた。
ExpiCHO-S細胞は、ExpiCHO発現培地(Thermo Fisher)中、加湿した8%CO2インキュベーター内で、37℃で培養した。トランスフェクションの前日、細胞を3~4×106細胞/mLに分割した。24時間後、ストックは7~10×106細胞/mLであり、新鮮な培地を加えて6×106細胞/mLに希釈された。ExpiCHOトランスフェクションは、ExpiCHO発現システムキット(Thermo Fisher)を使用して、製造元の標準プロトコルに従って実施された。要約すると、ExpiFectamine CHOトランスフェクション試薬及びプラスミドDNAをOptiPRO SFM(Thermo Fisher)で別々に希釈した。ExpiFectamine CHOとDNAの混合物を直ちに合わせ、1~5分間インキュベートした。次に、ExpiFectamineCHO-DNA-OptiPRO混合物を細胞に加えた。エンハンサー及び30%v/vフィードは、トランスフェクションの18~22時間後に加えた。
細胞培養物の回収
Expi293遺伝子導入物は4日目に回収され、ExpiCHO遺伝子導入物は5日目に回収された。細胞培養物を1900xgで15分間遠心分離し、上清を0.2μmの使い捨て膜フィルター(ポリエーテルスルホン(PES)フィルター、Fisher Scientific)で滅菌ろ過した。
Expi293遺伝子導入物は4日目に回収され、ExpiCHO遺伝子導入物は5日目に回収された。細胞培養物を1900xgで15分間遠心分離し、上清を0.2μmの使い捨て膜フィルター(ポリエーテルスルホン(PES)フィルター、Fisher Scientific)で滅菌ろ過した。
大規模タンパク質発現
ALP201及びALP213は、安定細胞培養(CHO KS)で発現し、5.0×105細胞/mLでの初期播種から5Lバイオリアクター(APPLIKON)で増殖させ、温度(36.5℃、5日目に33℃に移行)、撹拌(80W/m2)及びO2(必要に応じて、0~0.6VVM)は、標準的な手順に従って11日間制御する。
ALP201及びALP213は、安定細胞培養(CHO KS)で発現し、5.0×105細胞/mLでの初期播種から5Lバイオリアクター(APPLIKON)で増殖させ、温度(36.5℃、5日目に33℃に移行)、撹拌(80W/m2)及びO2(必要に応じて、0~0.6VVM)は、標準的な手順に従って11日間制御する。
タンパク質精製。
Ni-NTAレジンによるVHH及び蛍光Fc融合タンパク質の精製。C末端His6タグを有する蛍光Fc融合タンパク質は、Ni-NTA Superflowレジン(Qiagen)を使用してバッチで精製された。細胞上清を、透析フラスコ(Slide-A-Lyzer(商標),ThermoFisher)を使用して、4℃で48時間、Ni-NTA結合/洗浄バッファー(2.5M塩化ナトリウム、0.1Mリン酸ナトリウム、0.1Mイミダゾール、水酸化ナトリウムでpH7.4に緩衝)に対して透析した。Ni-NTA Superflowレジンを洗浄し、Ni-NTA結合/洗浄バッファーに再懸濁した後、透析した上清(レジン1mLあたり約8mgのタンパク質)と4℃で振とうしながら90分間インキュベートした。重力精製カラムを0.1N水酸化ナトリウムで1時間消毒した後、タンパク質のローディング/溶出の前にNi-NTA結合/洗浄バッファーでリンスした。Niレジンを含有する透析上清をカラムに注ぎ、未結合のタンパク質懸濁液をレジンに流した。レジン結合タンパク質を40カラム容量(約200mL)のNi-NTA結合/洗浄バッファーで洗浄した。蛍光Fc-融合タンパク質は、5mLの溶出バッファー(20mMリン酸ナトリウムpH7.0、500mMイミダゾールpH7.5、500mM塩化ナトリウム)を添加し、円錐管に溶出する前に樹脂と5分間バッファーインキュベートすることにより、3つの画分に溶出した。溶出したタンパク質を、30kD MWCO遠心フィルター(Amicon(登録商標))を使用してPBS pH7.4にバッファー交換し、最終濃縮タンパク質をろ過した。タンパク質濃度は、280nm及び558nmでのUV/VIS吸光度(最大Katushka 2s吸光度)を使用して定量化し、その後、光から保護して4℃で保存した。
Ni-NTAレジンによるVHH及び蛍光Fc融合タンパク質の精製。C末端His6タグを有する蛍光Fc融合タンパク質は、Ni-NTA Superflowレジン(Qiagen)を使用してバッチで精製された。細胞上清を、透析フラスコ(Slide-A-Lyzer(商標),ThermoFisher)を使用して、4℃で48時間、Ni-NTA結合/洗浄バッファー(2.5M塩化ナトリウム、0.1Mリン酸ナトリウム、0.1Mイミダゾール、水酸化ナトリウムでpH7.4に緩衝)に対して透析した。Ni-NTA Superflowレジンを洗浄し、Ni-NTA結合/洗浄バッファーに再懸濁した後、透析した上清(レジン1mLあたり約8mgのタンパク質)と4℃で振とうしながら90分間インキュベートした。重力精製カラムを0.1N水酸化ナトリウムで1時間消毒した後、タンパク質のローディング/溶出の前にNi-NTA結合/洗浄バッファーでリンスした。Niレジンを含有する透析上清をカラムに注ぎ、未結合のタンパク質懸濁液をレジンに流した。レジン結合タンパク質を40カラム容量(約200mL)のNi-NTA結合/洗浄バッファーで洗浄した。蛍光Fc-融合タンパク質は、5mLの溶出バッファー(20mMリン酸ナトリウムpH7.0、500mMイミダゾールpH7.5、500mM塩化ナトリウム)を添加し、円錐管に溶出する前に樹脂と5分間バッファーインキュベートすることにより、3つの画分に溶出した。溶出したタンパク質を、30kD MWCO遠心フィルター(Amicon(登録商標))を使用してPBS pH7.4にバッファー交換し、最終濃縮タンパク質をろ過した。タンパク質濃度は、280nm及び558nmでのUV/VIS吸光度(最大Katushka 2s吸光度)を使用して定量化し、その後、光から保護して4℃で保存した。
プロテインAレジンとのALP-Fc融合物の精製。
ALP-Fc融合物は、プロテインAレジン(MABSELECT(商標)SURE(商標),GE Life Sciences)を使用してバッチで精製した。樹脂を完全に洗浄し、タンパク質ローディングバッファー(50mMリン酸ナトリウム、pH7.5、100mM塩化ナトリウム)に懸濁した後、発現した標的タンパク質(樹脂1mLあたり約10mgのタンパク質)を含む細胞上清と一晩インキュベート(4℃)した。重力カラムを水酸化ナトリウムで消毒し、ローディングバッファーですすぎ、プロテインAレジン/上清をロードした。レジン結合タンパク質は、50mM Tris-HCl pH11で溶出する前に、40カラム容量(約200mL)のローディングバッファーで洗浄した。タンパク質は3mLの画分に溶出され、ローディングバッファーで1:1に希釈することで直ちに中和された。特定のサンプルは、強力陰イオン交換クロマトグラフィー(CAPTO(商標)Q IMPRES、5mLカラム;カラム洗浄バッファー20mMリン酸ナトリウムバッファー、pH7.4、バッファーA;12カラム容量もわたり、バッファーAとバッファーB(20mMリン酸ナトリウム、1M NaCl、pH7.4)間の勾配溶出、25%バッファーBで開始、100%バッファーBへ)によってさらに精製した。ALP-Fc融合物を含む画分をプールし、PBS pH7.4で透析するか、30kD MWCO遠心フィルターを使用してバッファーをPBS pH7.4に交換した。タンパク質濃度は280nmでの吸光度を介して決定され、純度はSDS-PAGEゲルによって評価された。タンパク質をろ過し、4℃で保存した。
ALP-Fc融合物は、プロテインAレジン(MABSELECT(商標)SURE(商標),GE Life Sciences)を使用してバッチで精製した。樹脂を完全に洗浄し、タンパク質ローディングバッファー(50mMリン酸ナトリウム、pH7.5、100mM塩化ナトリウム)に懸濁した後、発現した標的タンパク質(樹脂1mLあたり約10mgのタンパク質)を含む細胞上清と一晩インキュベート(4℃)した。重力カラムを水酸化ナトリウムで消毒し、ローディングバッファーですすぎ、プロテインAレジン/上清をロードした。レジン結合タンパク質は、50mM Tris-HCl pH11で溶出する前に、40カラム容量(約200mL)のローディングバッファーで洗浄した。タンパク質は3mLの画分に溶出され、ローディングバッファーで1:1に希釈することで直ちに中和された。特定のサンプルは、強力陰イオン交換クロマトグラフィー(CAPTO(商標)Q IMPRES、5mLカラム;カラム洗浄バッファー20mMリン酸ナトリウムバッファー、pH7.4、バッファーA;12カラム容量もわたり、バッファーAとバッファーB(20mMリン酸ナトリウム、1M NaCl、pH7.4)間の勾配溶出、25%バッファーBで開始、100%バッファーBへ)によってさらに精製した。ALP-Fc融合物を含む画分をプールし、PBS pH7.4で透析するか、30kD MWCO遠心フィルターを使用してバッファーをPBS pH7.4に交換した。タンパク質濃度は280nmでの吸光度を介して決定され、純度はSDS-PAGEゲルによって評価された。タンパク質をろ過し、4℃で保存した。
大規模タンパク質精製
安定細胞株バイオリアクター発現からのタンパク質は、強力陰イオン交換クロマトグラフィーがPOROS(商標)50HQカラムを使用し、13~15カラム容量にわたり、0%から70~75%勾配のバッファーBで同じバッファーを使用して実施されたことを除いて、以前のサンプルと同様に精製された。サンプルをUF/DFで濃縮するか、又はPBSで透析し、滅菌ろ過し、4℃で保存した(サンプル濃度は典型的にはおよそ4~8mg/mLであった)。
安定細胞株バイオリアクター発現からのタンパク質は、強力陰イオン交換クロマトグラフィーがPOROS(商標)50HQカラムを使用し、13~15カラム容量にわたり、0%から70~75%勾配のバッファーBで同じバッファーを使用して実施されたことを除いて、以前のサンプルと同様に精製された。サンプルをUF/DFで濃縮するか、又はPBSで透析し、滅菌ろ過し、4℃で保存した(サンプル濃度は典型的にはおよそ4~8mg/mLであった)。
実施例2
リン酸4-メチルウンベリフェリル加水分解タンパク質活性アッセイ
アルカリホスファターゼ活性は、人工基質であるリン酸4-メチルウンベリフェリル(4-MUP)を使用して定期的に測定された。4-MUPでのホスホエステル結合の切断により、蛍光産物である4-メチルウンベリフェロン(4-MU)が生成され、これは、360nm/465nmの励起/発光で検出できる。
リン酸4-メチルウンベリフェリル加水分解タンパク質活性アッセイ
アルカリホスファターゼ活性は、人工基質であるリン酸4-メチルウンベリフェリル(4-MUP)を使用して定期的に測定された。4-MUPでのホスホエステル結合の切断により、蛍光産物である4-メチルウンベリフェロン(4-MU)が生成され、これは、360nm/465nmの励起/発光で検出できる。
タンパク質サンプル(上清、部分精製又はカラム精製サンプル)を、人工基質としてリン酸4-メチルウンベリフェリル(4-MUP)を使用して溶液中のALP活性についてアッセイした。4-MUPのホスホエステル結合の加水分解により、蛍光化合物4-メチルウンベリフェロンが放出され、これは、蛍光光度計で簡単に検出できる。産物の定量は、0、1.25uM、2.5uM、5uM、10uM及び20uMの標準濃度で、同じプレートで測定された4-メチルウンベリフェロン(4-MU)標準曲線を使用して実行された。4-MUの10mMストック溶液をエタノールで調製し、アッセイバッファー[50mM HEPES pH7.4、150mM NaCl、1mM MgCl2、1mg/mLウシ血清アルブミン]で希釈した。精製した融合タンパク質サンプルは、アッセイバッファー中0.1mg/mL溶液として調製し、アッセイバッファーでのアッセイに適した最終濃度(通常、およそ1nM)に段階希釈した。4-MUPストック溶液はアッセイバッファーで調製した。アッセイを開始する前に、タンパク質サンプルに最終濃度10uMで4-MUPを添加することにより、全ての溶液を37℃にした。4-MUの産生は、360nmの励起波長及び465nmの発光波長で測定された。データは、37℃に保持されたプレートリーダーで40秒ごとに合計20分間収集された。反応速度は、活性の単位で線形回帰によって計算され、ここで、1U=1マイクロモルの加水分解された4-MUP/分である。比活性は、アッセイされたタンパク質の単位/mgで計算された。4-MUP加水分解アッセイの進行曲線を図19に示す。表4の比活性は次のとおりである。<2U/mg(-)、2~9.9U/mg(+)、10~30U/mg(++)及び>30U/mg(+++)。
プレート骨アッセイ
骨ホモジネート画分をALP活性についてアッセイした。骨ホモジネート画分を100μLのPBSに懸濁し、96ウェル黒色プレートに移した。100μLの非結合タンパク質懸濁液も96ウェルプレートの別々のウェルに移した。各ウェルに、100μLのALP検出溶液(10μM 4-MUP、1%BSA)を加え、動的蛍光読み取り(360/465)を直ちに開始し、20分間実行し、30秒ごとに蛍光強度発光を収集した。時間に対する蛍光強度の傾きは、各サンプル画分のALP濃度を表していた。
骨ホモジネート画分をALP活性についてアッセイした。骨ホモジネート画分を100μLのPBSに懸濁し、96ウェル黒色プレートに移した。100μLの非結合タンパク質懸濁液も96ウェルプレートの別々のウェルに移した。各ウェルに、100μLのALP検出溶液(10μM 4-MUP、1%BSA)を加え、動的蛍光読み取り(360/465)を直ちに開始し、20分間実行し、30秒ごとに蛍光強度発光を収集した。時間に対する蛍光強度の傾きは、各サンプル画分のALP濃度を表していた。
直線性を維持するために、17のコンストラクトの結合画分及び非結合画分のMUP活性を、最初の5分間の初期活性勾配によって測定した。MUP活性の比率は、各融合タンパク質について、比率=(結合活性)/(非結合活性)として決定された。結果は表5及び図14に示される。様々なコンストラクトを用いて骨ホモジネートに対して実施されたMUP加水分解アッセイからの例示的な進行曲線が図11に示され、結合活性は表5に作表されている。表5のMUP活性は、次のように定量化された。<0.2(-);0.2~0.49(+);0.5~5.0(++);>5.0(+++)。
実施例3
天然基質に対するアルカリホスファターゼコンストラクトの活性
本明細書に記載のタンパク質融合分子の改善された特性は、天然及び人工基質の加水分解を測定する異なる酵素アッセイで検証された。活性アッセイで使用される人工基質には、4-MUP及びリン酸パラニトロフェニル(pNPP)が含まれていた。活性アッセイで使用される天然基質には、ピロリン酸(PPi)及びピリドキシル-5’-リン酸(PLP)が含まれていた。野生型ALPに対する活性の変化は、陰性(酵素活性の低下)から最大9.5倍の酵素活性の増加(850%の活性増加)までの範囲であった。
天然基質に対するアルカリホスファターゼコンストラクトの活性
本明細書に記載のタンパク質融合分子の改善された特性は、天然及び人工基質の加水分解を測定する異なる酵素アッセイで検証された。活性アッセイで使用される人工基質には、4-MUP及びリン酸パラニトロフェニル(pNPP)が含まれていた。活性アッセイで使用される天然基質には、ピロリン酸(PPi)及びピリドキシル-5’-リン酸(PLP)が含まれていた。野生型ALPに対する活性の変化は、陰性(酵素活性の低下)から最大9.5倍の酵素活性の増加(850%の活性増加)までの範囲であった。
ピロリン酸加水分解アッセイ。
特定の精製アルカリホスファターゼ融合タンパク質を、天然基質であるピロリン酸に対する活性についてアッセイした。ピロリン酸加水分解は、リン酸の結合時に明緑色に変化するPiBlueアッセイ試薬(BioAssay Systems)を使用して、産物であるリン酸アニオンを検出することによって測定された。各ウェルのリン酸塩レベルの定量化は、アッセイプレートで読み取られたアッセイバッファーで作製されたリン酸塩溶液の標準曲線を使用して実施された。ピロリン酸ナトリウム十水和物(Sigma Chemicals)のストック溶液は、純水中で10mMの濃度で調製した。精製した融合タンパク質サンプルは、アッセイバッファー[50mM HEPES pH7.4、150mM NaCl、1mM MgCl2、1mg/mLウシ血清アルブミン]中0.1mg/mL溶液として調製され、アッセイバッファーでのアッセイに適した最終濃度に段階希釈した。アッセイ用のピロリン酸サンプルは、アッセイバッファーでストック溶液を希釈して調製した。反応を開始する前に、全ての溶液を37℃にした。透明な96ウェルプレートにタンパク質溶液を加え、プレートを37℃に保持されたJitterbugプレートシェーカーに入れた。反応の開始は、タンパク質溶液にピロリン酸溶液を添加することによって実施された。
特定の精製アルカリホスファターゼ融合タンパク質を、天然基質であるピロリン酸に対する活性についてアッセイした。ピロリン酸加水分解は、リン酸の結合時に明緑色に変化するPiBlueアッセイ試薬(BioAssay Systems)を使用して、産物であるリン酸アニオンを検出することによって測定された。各ウェルのリン酸塩レベルの定量化は、アッセイプレートで読み取られたアッセイバッファーで作製されたリン酸塩溶液の標準曲線を使用して実施された。ピロリン酸ナトリウム十水和物(Sigma Chemicals)のストック溶液は、純水中で10mMの濃度で調製した。精製した融合タンパク質サンプルは、アッセイバッファー[50mM HEPES pH7.4、150mM NaCl、1mM MgCl2、1mg/mLウシ血清アルブミン]中0.1mg/mL溶液として調製され、アッセイバッファーでのアッセイに適した最終濃度に段階希釈した。アッセイ用のピロリン酸サンプルは、アッセイバッファーでストック溶液を希釈して調製した。反応を開始する前に、全ての溶液を37℃にした。透明な96ウェルプレートにタンパク質溶液を加え、プレートを37℃に保持されたJitterbugプレートシェーカーに入れた。反応の開始は、タンパク質溶液にピロリン酸溶液を添加することによって実施された。
典型的には、ピロリン酸加水分解反応は、同じプレート内で、0uM、1.56uM、3.12uM、6.25uM、12.5uM、25uM、50uM、100uM、200uM及び400uMのピロリン酸濃度で、同時に実施された。各ピロリン酸濃度で8つの反応ウェルを設定し、ピロリン酸をプレートに加えてから0、1、2、3、4、5、6及び7分が経過した後、PiBlue試薬(最終反応容量と同じ容量で添加)を加えることにより、反応を停止した。検出試薬のpHが低いと酵素が不活性化されるため、PiBlue試薬を加えるとそれ以上の反応が停止する。620nmでの吸光度を読み取る前に、プレート内で30分間発色させる。各ピロリン酸濃度での反応速度は、個々の時点から進行曲線を構成することによって計算される。Michaelis-Menten酵素反応速度論的適合を使用し、各濃度での反応速度を使用して、GraphPad PrismのKm及びVmax値を計算した。kcat値は、Vmax値から次のように計算された。Vmax/(分析されたモルタンパク質)=kcat。
触媒効率は次のように定義される。触媒効率=kcat/Km。
触媒効率は次のように定義される。触媒効率=kcat/Km。
選択した化合物のピロリン酸加水分解活性の詳細を示すミカエリス・メンテンプロットを図22に示す。10ng/mLのALP201、10ng/mLのALP250及び25ng/mLのアスフォターゼアルファ(配列番号269)が全て示されている。標準偏差が示される(バー)、N=3。
ピリドキシル-5’-リン酸加水分解アッセイ。
アルカリホスファターゼの第2の天然基質はピリドキシル-5’リン酸(PLP)である。特定の精製アルカリホスファターゼ融合タンパク質を、PLP加水分解の産物であるピリドキシルがM.lotiテトラメトリックピリドキシルデヒドロゲナーゼ(tPLDH、配列番号246)によって蛍光ピリドキソラクトンに変換される結合アッセイ形式で、PLPに対する活性についてアッセイした。6xHisタグ付きtPLDHの遺伝子は、標準的な方法で合成され、T7プロモーターの制御下で細菌発現プラスミドにクローニングされた。6xHisタグ付きtPLDHは、標準プロトコルを使用してBL21(DE3)細胞で発現され、標準アフィニティークロマトグラフィー法で精製された。Amicon Ultra15スピン濃縮器を使用してタンパク質を1900uMの濃度に濃縮し、アッセイで使用するまで-80℃で凍結した。精製した融合タンパク質サンプルは、アッセイバッファー[50mM HEPES pH7.4、150mM NaCl、1mM MgCl2、1mg/mLウシ血清アルブミン]中の0.1mg/mL溶液として調製した。段階希釈された最終サンプルは、ピリドキソラクトン標準(アッセイバッファーで作製)と共に、黒色96ウェルプレートに配置される。タンパク質サンプルに、NAD+、tPLDH及びPLP溶液(アッセイバッファーで作製)を加えて、最終濃度を3mM NAD+、4uM tPLDH及び3uM PLPとし、混合する。反応を開始する前に、全ての溶液を37℃にし、反応プレートを37℃でインキュベートし、蛍光は355nmでの励起によって検出され、発光は445nmで測定される。生成されたピリドキソラクトン産物の量は、プレートのピリドキソラクトンウェルから測定された蛍光から生成された標準曲線を使用して計算される。反応速度は、産生したピリドキシルuモル/分単位の進行曲線の線形回帰によって計算される。比活性は、反応速度をアッセイ反応で使用されるタンパク質濃度で割ることによって計算される。ALP201、10ng/mLについて、このアッセイによって生成されたデータの例示的な進行曲線が図23に示されている。10ng/mLのALP201、10ng/mLのALP250及び12.5ng/mLのアスフォターゼアルファのピリドキサール-5’-リン酸加水分解活性の詳細を示すミカエリス・メンテンプロットを図24に示す。
アルカリホスファターゼの第2の天然基質はピリドキシル-5’リン酸(PLP)である。特定の精製アルカリホスファターゼ融合タンパク質を、PLP加水分解の産物であるピリドキシルがM.lotiテトラメトリックピリドキシルデヒドロゲナーゼ(tPLDH、配列番号246)によって蛍光ピリドキソラクトンに変換される結合アッセイ形式で、PLPに対する活性についてアッセイした。6xHisタグ付きtPLDHの遺伝子は、標準的な方法で合成され、T7プロモーターの制御下で細菌発現プラスミドにクローニングされた。6xHisタグ付きtPLDHは、標準プロトコルを使用してBL21(DE3)細胞で発現され、標準アフィニティークロマトグラフィー法で精製された。Amicon Ultra15スピン濃縮器を使用してタンパク質を1900uMの濃度に濃縮し、アッセイで使用するまで-80℃で凍結した。精製した融合タンパク質サンプルは、アッセイバッファー[50mM HEPES pH7.4、150mM NaCl、1mM MgCl2、1mg/mLウシ血清アルブミン]中の0.1mg/mL溶液として調製した。段階希釈された最終サンプルは、ピリドキソラクトン標準(アッセイバッファーで作製)と共に、黒色96ウェルプレートに配置される。タンパク質サンプルに、NAD+、tPLDH及びPLP溶液(アッセイバッファーで作製)を加えて、最終濃度を3mM NAD+、4uM tPLDH及び3uM PLPとし、混合する。反応を開始する前に、全ての溶液を37℃にし、反応プレートを37℃でインキュベートし、蛍光は355nmでの励起によって検出され、発光は445nmで測定される。生成されたピリドキソラクトン産物の量は、プレートのピリドキソラクトンウェルから測定された蛍光から生成された標準曲線を使用して計算される。反応速度は、産生したピリドキシルuモル/分単位の進行曲線の線形回帰によって計算される。比活性は、反応速度をアッセイ反応で使用されるタンパク質濃度で割ることによって計算される。ALP201、10ng/mLについて、このアッセイによって生成されたデータの例示的な進行曲線が図23に示されている。10ng/mLのALP201、10ng/mLのALP250及び12.5ng/mLのアスフォターゼアルファのピリドキサール-5’-リン酸加水分解活性の詳細を示すミカエリス・メンテンプロットを図24に示す。
実施例4
ヒドロキシアパタイト結合アッセイ
ヒドロキシアパタイト(HA)への蛍光Fc融合物結合の特性評価。
Synthetic HA(CAPTAL(登録商標))は、Plasma-Biotal Ltd.(Derbyshire,UK)から購入した。別の1.5mL遠心分離管では、骨標的化蛍光Fc融合物は、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)pH7.4(1管あたり1mLの懸濁液)中の0.1%(w/w)ウシ血清アルブミン(BSA)で50nMに希釈される。各蛍光Fc融合物含有チューブに、1mgの合成HAを添加し、HAが沈降するのを防ぐために、チューブを軌道混合しながら室温で2時間インキュベートした。インキュベーション後、サンプルを16,000rcfで5分間遠心分離して、固体HA結合画分を非結合タンパク質懸濁液から分離した。続いて、HA結合画分をPBSで3回洗浄し、最終的なHA画分を100μLのPBSに懸濁した。懸濁したHA結合画分及び100μLの非結合タンパク質懸濁液を96ウェル黒色プレートに移し(1ウェルあたり1画分)、蛍光プレートリーダー(Spectramax i3x)を使用して488nm/585nmでの蛍光励起/発光により相対タンパク質濃度を測定した。
ヒドロキシアパタイト結合アッセイ
ヒドロキシアパタイト(HA)への蛍光Fc融合物結合の特性評価。
Synthetic HA(CAPTAL(登録商標))は、Plasma-Biotal Ltd.(Derbyshire,UK)から購入した。別の1.5mL遠心分離管では、骨標的化蛍光Fc融合物は、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)pH7.4(1管あたり1mLの懸濁液)中の0.1%(w/w)ウシ血清アルブミン(BSA)で50nMに希釈される。各蛍光Fc融合物含有チューブに、1mgの合成HAを添加し、HAが沈降するのを防ぐために、チューブを軌道混合しながら室温で2時間インキュベートした。インキュベーション後、サンプルを16,000rcfで5分間遠心分離して、固体HA結合画分を非結合タンパク質懸濁液から分離した。続いて、HA結合画分をPBSで3回洗浄し、最終的なHA画分を100μLのPBSに懸濁した。懸濁したHA結合画分及び100μLの非結合タンパク質懸濁液を96ウェル黒色プレートに移し(1ウェルあたり1画分)、蛍光プレートリーダー(Spectramax i3x)を使用して488nm/585nmでの蛍光励起/発光により相対タンパク質濃度を測定した。
20個の蛍光Fc融合タンパク質がHEK細胞で一過性に発現され、Ni-NTAレジンを使用して精製された(配列の詳細については、表1を参照されたい)。蛍光Fc融合タンパク質は、インビトロで骨標的化部分を体系的に評価するための、N末端HA結合配列のみが異なっていた。別のチューブにおいて、蛍光Fc融合タンパク質をBSAの存在下でHAと懸濁状態でインキュベートし、非特異的結合を防いだ。図1Aは、非標的蛍光Fc融合(FLU002)と比較した、各蛍光Fc融合サンプルのHA結合画分の蛍光強度を示す。さらに、非結合タンパク質画分は、HAとのインキュベーション直後(HAペレットの最初の洗浄の前)に収集された。これらの蛍光強度は、FLU002に関してもプロットされ、図1Bに示される。FLU001、003、004、016、027及び031について、これらのタンパク質はいずれも非結合タンパク質画分でバックグラウンドを超えて検出されなかったため、100%のタンパク質がHAに結合した。逆に、FLU002は、FLU001と比較して4分の1のHAへの結合を示し、有意な非結合蛍光シグナル(FLU001又はバックグラウンドの100倍)を示した。FLU005-009、011-014及び020は、FLU002と同様のHA結合特性を示した。興味深いことに、2つのタンパク質(FLU010及びFLU015)は、HA結合画分及び非結合画分で有意な蛍光(陰性対照を超える)を示した。
ヒドロキシアパタイト(HA)は、インビトロ骨標的化アッセイの結合基質として骨に対して互換的に使用されているが、特にインビボでの制御された結晶核形成におけるコラーゲン及び他の細胞外マトリックスタンパク質の役割に関して、セラミックHAと天然骨との間に有意差が認められている(Zhai,Y.,et al.,J.Crystal Growth,202-206,2006)。CAPTAL(登録商標)ブランドのHAは、Ca:PO4比(1.67)、鉄含有量(100ppm)、マグネシウム含有量(800~1100ppm)及び結晶格子に基づいて骨ミネラル類似体として製造されたため、この研究で特に使用された。依然として、CAPTAL(登録商標)HAと骨ホモジネートとの間で総タンパク質結合に有意差が観察された。最も重要なことに、BSAブロッキング剤の存在下でも、HAとインキュベートした全ての蛍光Fc融合タンパク質で非特異的結合が観察された。骨ホモジネートとインキュベートした場合、非標的蛍光Fc融合対照タンパク質(FLU002)は、バックグラウンド(骨ホモジネートのみ)を超える蛍光シグナルを示さなかった。したがって、骨ホモジネートは、より典型的なイオン交換樹脂のように挙動するHAと比較して、よりストリンジェントな結合基質であった。ただし、適切な対照タンパク質に正規化すると(図1A~1Dのように)、HA結合データは効率的な骨結合タンパク質の識別に有用であったが、蛍光Fc融合タンパク質検出のダイナミックレンジはHA結合アッセイで大幅に減少した(およそ5倍)。ALP-Fcタンパク質は、HAへのさらに大きい非特異的結合を示した。これは、ALP触媒ドメインの負電荷によるものである可能性が高い。場合により、これにより、一部のALP-Fc-Xタンパク質がHA結合特性を有すると誤って識別されることもあったが、これは骨ホモジネートとインキュベートした場合には観察されなかった。このため、骨ホモジネートは骨結合タンパク質をスクリーニングするための優れた基質と見なされ、その後の全てのインビトロアッセイに使用された。
実施例5
骨ホモジネートアッセイ
以前の文献のアッセイは、骨スライス又は他の三次元的に物理的に制限された基質に依存していた。タンパク質の有効性を識別及び定量化し、結合パーセンテージを定量化するには、より正確で、より速く、より効率的なアッセイが必要であった。
骨ホモジネートアッセイ
以前の文献のアッセイは、骨スライス又は他の三次元的に物理的に制限された基質に依存していた。タンパク質の有効性を識別及び定量化し、結合パーセンテージを定量化するには、より正確で、より速く、より効率的なアッセイが必要であった。
骨ホモジネートの調製。
雄性C57BL/6マウスの大腿骨は、使用前に-80℃で保管した。大腿骨は、1xEDTAフリーのセリン及びシステインプロテアーゼ阻害剤カクテル(COMPLETE(商標),Roche)を含むBS中の1mL 0.2%(w/w)コラゲナーゼタイプ2(Worthington)を含む、2mL遠心分離管(1管あたり2つの大腿骨)に移した。大腿骨を短時間ボルテックスし、振とう(800rpm)しながら37℃で1時間インキュベートした。残存している結合組織を取り除き、大腿骨を氷上のペトリ皿に置いた。針及びシリンジを使用して骨髄をPBSで洗い流した。乾燥した骨を計量し(典型的には1つの大腿骨あたり30~50mg)、1xプロテアーゼ阻害剤を含む0.75mL PBSと共に、予め冷却した硬組織を粉砕する個別の使い捨てビートビーター(PRECELLYS(登録商標)、Bertin Instruments)に入れた。次に、ハイスループットビーズミルホモジナイザー(Bullet Blender、4℃、最高速度、30秒間を4サイクル)を使用して大腿骨をホモジナイズした。ホモジネートを1.5mLの遠心分離管に移し、12,000xgで15分間、4℃で遠心分離して、遊離したタンパク質/細胞破片から骨ホモジネートを分離した。骨ホモジネートを、結合アッセイで使用するために、PBS中の0.1%BSAに再懸濁した。
雄性C57BL/6マウスの大腿骨は、使用前に-80℃で保管した。大腿骨は、1xEDTAフリーのセリン及びシステインプロテアーゼ阻害剤カクテル(COMPLETE(商標),Roche)を含むBS中の1mL 0.2%(w/w)コラゲナーゼタイプ2(Worthington)を含む、2mL遠心分離管(1管あたり2つの大腿骨)に移した。大腿骨を短時間ボルテックスし、振とう(800rpm)しながら37℃で1時間インキュベートした。残存している結合組織を取り除き、大腿骨を氷上のペトリ皿に置いた。針及びシリンジを使用して骨髄をPBSで洗い流した。乾燥した骨を計量し(典型的には1つの大腿骨あたり30~50mg)、1xプロテアーゼ阻害剤を含む0.75mL PBSと共に、予め冷却した硬組織を粉砕する個別の使い捨てビートビーター(PRECELLYS(登録商標)、Bertin Instruments)に入れた。次に、ハイスループットビーズミルホモジナイザー(Bullet Blender、4℃、最高速度、30秒間を4サイクル)を使用して大腿骨をホモジナイズした。ホモジネートを1.5mLの遠心分離管に移し、12,000xgで15分間、4℃で遠心分離して、遊離したタンパク質/細胞破片から骨ホモジネートを分離した。骨ホモジネートを、結合アッセイで使用するために、PBS中の0.1%BSAに再懸濁した。
インビトロでの骨ホモジネートへの蛍光Fc融合物の結合。
蛍光Fc融合タンパク質は、0.1%BSAを含むPBSで50nMに希釈し、個々の1.5mL遠心分離管(1管あたり1mL)で3mgの骨ホモジネートとインキュベートした。サンプルを室温で2時間混合した後、骨ホモジネートに結合した画分と結合していない画分を遠心分離によって分離した。骨ホモジネート画分をPBSで3回洗浄し、最終ホモジネートペレットを100μLのPBSに懸濁した。懸濁骨ホモジネート及び100μLの非結合タンパク質懸濁液を、蛍光プレートリーダーを使用して相対蛍光Fc融合濃度について定量化した。
蛍光Fc融合タンパク質は、0.1%BSAを含むPBSで50nMに希釈し、個々の1.5mL遠心分離管(1管あたり1mL)で3mgの骨ホモジネートとインキュベートした。サンプルを室温で2時間混合した後、骨ホモジネートに結合した画分と結合していない画分を遠心分離によって分離した。骨ホモジネート画分をPBSで3回洗浄し、最終ホモジネートペレットを100μLのPBSに懸濁した。懸濁骨ホモジネート及び100μLの非結合タンパク質懸濁液を、蛍光プレートリーダーを使用して相対蛍光Fc融合濃度について定量化した。
全ての蛍光Fc融合タンパク質について、骨ホモジネートへの結合はHAへの結合と同様の傾向を示したが、図1Cに示すように、効率的な骨結合タンパク質(例えば、FLU001)と非結合剤(例えば、FLU002)との間に大きい数値差があった。骨結合画分では、HAへの結合で観察された4倍の増加と比較して、陰性対照(FLU002)よりもFLU001で8倍の蛍光の増加が観察された。骨ホモジネートへのFLU010の結合は、陰性対照(FLU002)を有意に上回っていなかったが、FLU015は依然として骨ホモジネートへの効率的な結合を示し、非結合画分に有意な存在を示した。これらの結果が統計的な異常ではないことを確認するために、n=4で実験を繰り返し、FLU010及び015で同じ結果が観察された。
重要なことに、HA(実施例2)及び骨ホモジネートに結合したタンパク質の総量を定量化する生の蛍光データは、骨ホモジネートと比較して、同等の質量のHAへの非標的タンパク質の有意に大きい結合を示し(場合によりHAへの結合が75倍も増加)、これは、効率的な骨標的化部分の不存在下であっても、HAへのタンパク質の非特異的結合が一部存在することを示している。HAへの非特異的結合は、タンパク質インキュベーションからブロッキング剤を除去するとさらに悪化した。これは、特異的HA結合部分を有しないものを含む様々なタンパク質に結合するHAの能力を示す。HAは非標的融合から中程度のHA結合融合を区別するのにあまり有用ではなかったが、HAは非常に効率的な骨結合タンパク質を決定するための適切な基質であった。骨ホモジネートはよりストリンジェントな結合基質であり、非標的タンパク質の非特異的結合を示さなかったため(図1を参照されたい)、その後の全ての骨結合スクリーニングアッセイは、結合基質としてマウス骨ホモジネートを使用して実施した(図2A~2B)。
結合画分及び非結合画分の蛍光強度を非標的蛍光Fc融合タンパク質に正規化して、異なる標的化部分を比較した(図3A~3B)。インビトロ結合実験は、重複±標準偏差で実施された。
骨ホモジネートに結合するコンストラクトの特性評価
インビトロモデルを使用して、インビボ投与の前にERT様分子の骨結合を特徴付けた。ヒドロキシアパタイト蛍光ベースの結合アッセイを利用するために、ALP031(ALP-Fc-D10)及びALP086(ALP-Fc)タンパク質を、市販の抗体標識キット(Invitrogen/ThermoFisher)で蛍光標識した。Alexa Fluor色素は、タンパク質の第一級アミンと反応するスクシンイミジルエステル又はテトラフルオロフェニルエステルで前に活性化されていた。したがって、蛍光標識は部位特異的でなく、標識の程度は抗体1モルあたりフルオロフォア3~5モルであった。標識及び精製して遊離色素を除去した後、0.1%BSAで30nMタンパク質溶液を作成し、FFCコンストラクトについて上記のように記載されているように骨ホモジネート結合アッセイを実施した。骨ホモジネートに対して異なる親和性を有するコンストラクトの例示的なデータが図1C、図1D、図1D、図2及び図3に示される。
インビトロモデルを使用して、インビボ投与の前にERT様分子の骨結合を特徴付けた。ヒドロキシアパタイト蛍光ベースの結合アッセイを利用するために、ALP031(ALP-Fc-D10)及びALP086(ALP-Fc)タンパク質を、市販の抗体標識キット(Invitrogen/ThermoFisher)で蛍光標識した。Alexa Fluor色素は、タンパク質の第一級アミンと反応するスクシンイミジルエステル又はテトラフルオロフェニルエステルで前に活性化されていた。したがって、蛍光標識は部位特異的でなく、標識の程度は抗体1モルあたりフルオロフォア3~5モルであった。標識及び精製して遊離色素を除去した後、0.1%BSAで30nMタンパク質溶液を作成し、FFCコンストラクトについて上記のように記載されているように骨ホモジネート結合アッセイを実施した。骨ホモジネートに対して異なる親和性を有するコンストラクトの例示的なデータが図1C、図1D、図1D、図2及び図3に示される。
プレート骨ALP活性アッセイ
骨ホモジネート画分は、4-MUPを使用してALP活性についてアッセイした。骨ホモジネート画分を100μLのPBSに懸濁し、96ウェル黒色プレートに移した。100μLの非結合タンパク質懸濁液も96ウェルプレートの別々のウェルに移した。各ウェルに、100μLのALP検出溶液(10μM 4-MUP、1%BSA)を加え、動的蛍光読み取り(360/465)を直ちに開始し、20分間実行し、30秒ごとに蛍光強度発光を収集した。時間に対する蛍光強度の傾きは、各サンプル画分のALP濃度を表していた。
骨ホモジネート画分は、4-MUPを使用してALP活性についてアッセイした。骨ホモジネート画分を100μLのPBSに懸濁し、96ウェル黒色プレートに移した。100μLの非結合タンパク質懸濁液も96ウェルプレートの別々のウェルに移した。各ウェルに、100μLのALP検出溶液(10μM 4-MUP、1%BSA)を加え、動的蛍光読み取り(360/465)を直ちに開始し、20分間実行し、30秒ごとに蛍光強度発光を収集した。時間に対する蛍光強度の傾きは、各サンプル画分のALP濃度を表していた。
直線性を維持するために、複数のコンストラクトの結合画分及び非結合画分のMUP活性を、最初の5分間の初期活性勾配によって測定した。MUP活性の比率は、各融合タンパク質について、比率=(結合活性)/(非結合活性)として決定された。結果は図14に示される。この比率は、ポリ酸性骨標的化タグの長さが長くなるにつれて指数関数的な応答を示し、個々の残基がポリ酸性ペプチドに付加されると、骨ホモジネートの結合が大幅に強化される。
インビトロでの骨ホモジネートに対する相対的タンパク質親和性の決定
骨結合タンパク質の相対的親和性をランク付けするために、複数回投与アッセイが開発された。骨ホモジネートに効率的に結合するタンパク質について、相対的解離速度は、この動的タンパク質対骨交換アッセイによって決定された。
骨結合タンパク質の相対的親和性をランク付けするために、複数回投与アッセイが開発された。骨ホモジネートに効率的に結合するタンパク質について、相対的解離速度は、この動的タンパク質対骨交換アッセイによって決定された。
1.5mLのエッペンドルフチューブ内で飽和濃度(1μM)の非標識骨結合タンパク質を5mgの骨ホモジネートとインキュベートすることにより、タンパク質を個別に評価した(例えば、チューブごとに1つのタンパク質タイプ)。非標識タンパク質との24時間のインキュベーション後、骨ホモジネートを遠心分離(16,000rcf、5分間)して、過剰な非結合タンパク質を除去した。所与の骨結合タンパク質で飽和した骨ホモジネートは、ALEXA FLUOR(登録商標)蛍光プローブで標識された同じ骨結合タンパク質の0.5μM溶液に再懸濁し、1、2、4、8及び24時間インキュベートした後、骨ホモジネートを遠心分離し、PBSで3回洗浄し、96ウェル黒色プレートに移した。最初の遠心分離からの上清も収集して、懸濁液中に残った(非結合)蛍光タンパク質の量を定量化した。蛍光プレートリーダーを使用して、各時点での結合及び非結合の蛍光標識タンパク質の量を定量化し、これにより、非標識タンパク質の解離速度の速度論的表現が可能になった。
骨ホモジネートを最初に所定のタンパク質で24時間飽和させ、完全に洗浄して過剰な非標識タンパク質を除去し、最後に蛍光標識を含む同じタンパク質とインキュベートして、骨ホモジネートの表面を可溶性(蛍光標識)タンパク質で飽和させたタンパク質の交換を追跡した。蛍光シグナルは、飽和濃度の非標識タンパク質で24時間前処理されていないサンプルに対して正規化され、これは、蛍光標識タンパク質の最大の潜在的結合を表している。VHH001(円)は、結合タンパク質濃度と非結合タンパク質濃度の即時平衡を示し、急速な交換速度又は低親和性の骨ホモジネート結合剤を示している。VHH002(四角)は、溶液中の蛍光標識タンパク質による結合タンパク質のより緩やかな置換を示した。ALP031(三角)は、蛍光標識タンパク質による結合タンパク質の最小の置換を示し、これは、結合すると骨に対して高い親和性を示すことを示している。
予め飽和された骨上の蛍光タンパク質蓄積の速度論的曲線により、骨上の非標識タンパク質が標識タンパク質に置換されていることが示された(図10A~10B)。
骨ホモジネートへのALP-Fc-(Asp)10及びALP-Fc結合の特性評価。
インビトロモデルを使用して、インビボ投与の前にERT様分子の骨結合を特徴付けた。ヒドロキシアパタイト蛍光ベースの結合アッセイを利用するために、ALP-Fc-(Asp)10及びALP-Fc融合タンパク質を、市販の抗体標識キット(Invitrogen/ThermoFisher)で蛍光標識した。ALEXA FLUOR(登録商標)色素は、タンパク質の第一級アミンと反応するスクシンイミジルエステル又はテトラフルオロフェニルエステルで前に活性化されていた。したがって、蛍光標識は部位特異的でなく、標識の程度は抗体1モルあたりフルオロフォア3~5モルであった。標識及び精製して遊離色素を除去した後、0.1%BSAで30nMタンパク質溶液を作成し、記載されているように骨ホモジネート結合アッセイを実施した。
インビトロモデルを使用して、インビボ投与の前にERT様分子の骨結合を特徴付けた。ヒドロキシアパタイト蛍光ベースの結合アッセイを利用するために、ALP-Fc-(Asp)10及びALP-Fc融合タンパク質を、市販の抗体標識キット(Invitrogen/ThermoFisher)で蛍光標識した。ALEXA FLUOR(登録商標)色素は、タンパク質の第一級アミンと反応するスクシンイミジルエステル又はテトラフルオロフェニルエステルで前に活性化されていた。したがって、蛍光標識は部位特異的でなく、標識の程度は抗体1モルあたりフルオロフォア3~5モルであった。標識及び精製して遊離色素を除去した後、0.1%BSAで30nMタンパク質溶液を作成し、記載されているように骨ホモジネート結合アッセイを実施した。
結合/非結合の画分は、骨タグの長さの関数としての近似ガウス分布に従って変化した。
結果
骨ホモジネート結合のインビトロ特性は、インビボでの骨標的化を示した(実施例5を参照されたい)が、会合(結合)のみの研究では、2つの非常に効率的な骨標的化部分間の区別はできなかった。例えば、ALP-Fc-D10(配列番号31)及びVHH002(配列番号250)の両方が、インビトロで骨ホモジネートに定量的に結合し、インビボで骨に効率的に結合し保持されることを示した。これらのタンパク質は、これらの実験ではほとんど区別できないが、解離挙動に基づいて、骨に対してまったく異なる親和性を有する。図10A~10Bに示されるように、骨に結合したVHH002は、溶液中の過剰な可溶性蛍光標識VHH002と交換し得る。対照的に、ALP-Fc-D10は、過剰な可溶性蛍光標識ALP-Fc-D10の存在下であっても、一度結合すると骨ホモジネートからの解離をほとんど示さない。したがって、ALP-Fc-D10は、ほぼ同等の会合(結合)率を有するにもかかわらず、VHH002と比較して骨に対してはるかに高い親和性を示した。VHH002及びALP-Fc-D10は効率的に骨に局在化し、7日を超えて骨コンパートメントに残存したが、おそらくそれらの局在化のメカニズムはかなり異なっていた。VHH002は骨から解離する能力を示したが、ALP-Fc-D10は結合後の解離が有意に遅いことを示した。ALP-Fc-D10分子は、最初の結合部位の近くに残存する可能性がある一方、VHH002は骨組織全体に結合及び解離するためのより多くの可動性を有する。
骨ホモジネート結合のインビトロ特性は、インビボでの骨標的化を示した(実施例5を参照されたい)が、会合(結合)のみの研究では、2つの非常に効率的な骨標的化部分間の区別はできなかった。例えば、ALP-Fc-D10(配列番号31)及びVHH002(配列番号250)の両方が、インビトロで骨ホモジネートに定量的に結合し、インビボで骨に効率的に結合し保持されることを示した。これらのタンパク質は、これらの実験ではほとんど区別できないが、解離挙動に基づいて、骨に対してまったく異なる親和性を有する。図10A~10Bに示されるように、骨に結合したVHH002は、溶液中の過剰な可溶性蛍光標識VHH002と交換し得る。対照的に、ALP-Fc-D10は、過剰な可溶性蛍光標識ALP-Fc-D10の存在下であっても、一度結合すると骨ホモジネートからの解離をほとんど示さない。したがって、ALP-Fc-D10は、ほぼ同等の会合(結合)率を有するにもかかわらず、VHH002と比較して骨に対してはるかに高い親和性を示した。VHH002及びALP-Fc-D10は効率的に骨に局在化し、7日を超えて骨コンパートメントに残存したが、おそらくそれらの局在化のメカニズムはかなり異なっていた。VHH002は骨から解離する能力を示したが、ALP-Fc-D10は結合後の解離が有意に遅いことを示した。ALP-Fc-D10分子は、最初の結合部位の近くに残存する可能性がある一方、VHH002は骨組織全体に結合及び解離するためのより多くの可動性を有する。
骨局在化のメカニズム及び治療効果に対する新規標的化ドメインの影響を適切に理解することは、最適に効果的な酵素補充療法を開発するために非常に重要である。さらに、骨に対する治療剤の滞留時間と及び動性を調整することで、HPPなどの疾患の処置に使用するためにsALPコンストラクトを最適化することができる。
実施例6
マウスモデルにおける薬物動態分析
11~12週齢の雄性C57BL/6マウス(Jackson Labs)に、4~7mg/kgの単回注射で、尾静脈又は皮下に、滅菌PBS(カルシウム又はマグネシウムなし)中の1mg/mLのサンプルタンパク質を投与し、14~21日間フォローした。2回の中間採血及び1回の終末採血(心臓穿刺、CO2麻酔)を、各マウスで、コホート内でずらして実行した(4つの群のそれぞれに4匹のマウス、分子ごと、投与タイプごと)。血液サンプル(100μL、遠心分離後に50μLの血漿を生成)を、0.25、1、6、24、48、72、96、120、192、264、336及び480時間でLi/ヘパリン処理チューブに収集した。血液サンプルは、血漿に加工されるまで4℃で保存された。その後、血漿サンプルは、液体窒素で瞬間凍結され、-80℃で保存された。
マウスモデルにおける薬物動態分析
11~12週齢の雄性C57BL/6マウス(Jackson Labs)に、4~7mg/kgの単回注射で、尾静脈又は皮下に、滅菌PBS(カルシウム又はマグネシウムなし)中の1mg/mLのサンプルタンパク質を投与し、14~21日間フォローした。2回の中間採血及び1回の終末採血(心臓穿刺、CO2麻酔)を、各マウスで、コホート内でずらして実行した(4つの群のそれぞれに4匹のマウス、分子ごと、投与タイプごと)。血液サンプル(100μL、遠心分離後に50μLの血漿を生成)を、0.25、1、6、24、48、72、96、120、192、264、336及び480時間でLi/ヘパリン処理チューブに収集した。血液サンプルは、血漿に加工されるまで4℃で保存された。その後、血漿サンプルは、液体窒素で瞬間凍結され、-80℃で保存された。
マウス血漿サンプル中の酵素活性の定量化:
実施例2で酵素比活性を決定するために使用された4-MUPアッセイは、未知のアルカリホスファターゼ濃度で収集されたサンプル中の活性を測定するためにわずかに修正された。血清サンプルをアッセイバッファー(50mM HEPES、150mM NaCl、1mM MgCl2、pH7.4及び1mg/mL BSA)で100倍~6,000倍に希釈して、活性アルカリホスファターゼ濃度を測定した。標準曲線が、既知の活性及び濃度の参照標準アルカリホスファターゼサンプルの観察された活性に基づいて作成されたことを除いて、希釈サンプルは、実施例2に記載されているように定量化した。時間に対する蛍光強度の傾きは、関数として(本明細書では単位/mL血清として)の各サンプル画分におけるALP活性に対応する4-MU産生の速度を表された。静脈内投与及び皮下投与後の選択された化合物の例示的なマウスPK曲線は、図15A(IV)及び図15B(皮下)並びに表8に見出すことができる。
実施例2で酵素比活性を決定するために使用された4-MUPアッセイは、未知のアルカリホスファターゼ濃度で収集されたサンプル中の活性を測定するためにわずかに修正された。血清サンプルをアッセイバッファー(50mM HEPES、150mM NaCl、1mM MgCl2、pH7.4及び1mg/mL BSA)で100倍~6,000倍に希釈して、活性アルカリホスファターゼ濃度を測定した。標準曲線が、既知の活性及び濃度の参照標準アルカリホスファターゼサンプルの観察された活性に基づいて作成されたことを除いて、希釈サンプルは、実施例2に記載されているように定量化した。時間に対する蛍光強度の傾きは、関数として(本明細書では単位/mL血清として)の各サンプル画分におけるALP活性に対応する4-MU産生の速度を表された。静脈内投与及び皮下投与後の選択された化合物の例示的なマウスPK曲線は、図15A(IV)及び図15B(皮下)並びに表8に見出すことができる。
実施例7
HPPのマウス有効性モデルにおけるアルカリホスファターゼコンストラクトの試験
アルカリホスファターゼコンストラクトの前臨床有効性研究は、HPPのAkp2GW(-/-)マウスモデルを使用して実施された。Akp2GW(-/-)マウスは、依然にアスフォターゼアルファの前臨床評価で使用されたAkp2(-/-)マウス(Narisawa et al.1997)で使用されたものと同じHPP誘導TNSALP変異を共有する。これらの研究では、被験物質(ALP201又はビヒクル(PBS))を肩甲骨領域に皮下投与し、出生後1日目から35日目まで投与した。報告された結果には、全生存期間、体重増加率、36日目(又は研究終了[EOS]前の場合には死亡時)の後足骨の骨石灰化及びEOSトラフ血漿酵素活性レベル(毎日[QD]及び毎週[Q1W]の群では36日目、2日ごと[Q2D]用量群では37日目に取得)が含まれていた。いくつかの研究において、EOS大腿骨及び脛骨の長さ並びにマウス大腿骨アルカリホスファターゼ活性が測定された。
HPPのマウス有効性モデルにおけるアルカリホスファターゼコンストラクトの試験
アルカリホスファターゼコンストラクトの前臨床有効性研究は、HPPのAkp2GW(-/-)マウスモデルを使用して実施された。Akp2GW(-/-)マウスは、依然にアスフォターゼアルファの前臨床評価で使用されたAkp2(-/-)マウス(Narisawa et al.1997)で使用されたものと同じHPP誘導TNSALP変異を共有する。これらの研究では、被験物質(ALP201又はビヒクル(PBS))を肩甲骨領域に皮下投与し、出生後1日目から35日目まで投与した。報告された結果には、全生存期間、体重増加率、36日目(又は研究終了[EOS]前の場合には死亡時)の後足骨の骨石灰化及びEOSトラフ血漿酵素活性レベル(毎日[QD]及び毎週[Q1W]の群では36日目、2日ごと[Q2D]用量群では37日目に取得)が含まれていた。いくつかの研究において、EOS大腿骨及び脛骨の長さ並びにマウス大腿骨アルカリホスファターゼ活性が測定された。
動物の一般的な幸福の指標として、体重も毎日評価された。年齢及び同腹子を一致させたPBS処理WTマウスを参照対照として使用した。群7の動物は、24日目まで群3~5の同じALP201の皮下注射を毎日受けた。25日目に、ALP201の1日皮下用量を最初の投与量の半ログ(half-log)だけ減少させ、35日目の最後の処置用量まで維持された。ALP201は、陰性(PBS)対照と比較して、生存率及び骨の石灰化において統計的に有意な改善を示した。
生存曲線を図16に示し、平均体重を図17にグラフ化する。11日目の後足の石灰化指数による骨石灰化表現型の補正を図18に示す。これらの研究の用量群の表を表9に示す。
骨石灰化結果
36/37日目の骨石灰化の結果は、処置されたAkp2GW(-/-)マウスの後足のX線分析によって決定された。後足の骨石灰化のX線による視覚化を、影響なし、軽度の欠損、中程度の欠損、重度の欠損の4つの分類カテゴリを例示する36日目のベンチマークX線画像と比較した。これらの分類の詳細な説明は、表10に見出される。盲検の個体は、各マウスの画像にスコアを割り当て、完了すると、スコアは個々の用量群内で蓄積された。
36/37日目の骨石灰化の結果は、処置されたAkp2GW(-/-)マウスの後足のX線分析によって決定された。後足の骨石灰化のX線による視覚化を、影響なし、軽度の欠損、中程度の欠損、重度の欠損の4つの分類カテゴリを例示する36日目のベンチマークX線画像と比較した。これらの分類の詳細な説明は、表10に見出される。盲検の個体は、各マウスの画像にスコアを割り当て、完了すると、スコアは個々の用量群内で蓄積された。
有効性研究における骨石灰化指数の分布を表11に示し、図25にグラフで示す。
生存結果
PBSで処理された全てのAkp2GW(-/-)マウスは、研究の26日目以前に死亡し、生存期間の中央値は20日であった。Akp2GW(-/-)マウスのALP201及びALP259処置は、PBSビヒクル対照と比較して全ての用量群で36日生存率を有意に改善した(図16)。全てのALP201投与群は、少なくとも69%のEOS生存率に達し、0.15mg/kg/日の用量を超える全てのQD及びQ2D間隔投与群は、88%以上の全生存率を記録した。ALP201 4.8mg/kg Q1W群とアスフォターゼアルファ9.8mg/kg QD群の生存曲線は、非常に類似した結果を有する(表12及び図16)。
PBSで処理された全てのAkp2GW(-/-)マウスは、研究の26日目以前に死亡し、生存期間の中央値は20日であった。Akp2GW(-/-)マウスのALP201及びALP259処置は、PBSビヒクル対照と比較して全ての用量群で36日生存率を有意に改善した(図16)。全てのALP201投与群は、少なくとも69%のEOS生存率に達し、0.15mg/kg/日の用量を超える全てのQD及びQ2D間隔投与群は、88%以上の全生存率を記録した。ALP201 4.8mg/kg Q1W群とアスフォターゼアルファ9.8mg/kg QD群の生存曲線は、非常に類似した結果を有する(表12及び図16)。
研究終了時の血漿アルカリホスファターゼ活性測定及び結果
マウス血漿サンプルは、研究終了時(毎日(QD)及び毎週(Q1W)の投与群では36日目、2日ごと(Q2D)の投与群では37日目)に収集及び調製された。血漿サンプル中のアルカリホスファターゼ活性は、実施例6に概説された方法を使用してアッセイされた。血漿サンプル中の測定された反応速度は、U/mLの単位で血漿アルカリホスファターゼ活性値について値を取得する既知の酵素活性の標準曲線を使用して計算された。独立したサンプリングポイントごとにデータをコンパイルするために、サンプルが2回重複して実行された。U/mLの値は、次の関係によってmg/Lの単位に変換された。
mg/L単位の濃度=(U/mL単位の測定活性値/U/mg単位の被験物質の比活性度)*1000。
マウス血漿サンプルは、研究終了時(毎日(QD)及び毎週(Q1W)の投与群では36日目、2日ごと(Q2D)の投与群では37日目)に収集及び調製された。血漿サンプル中のアルカリホスファターゼ活性は、実施例6に概説された方法を使用してアッセイされた。血漿サンプル中の測定された反応速度は、U/mLの単位で血漿アルカリホスファターゼ活性値について値を取得する既知の酵素活性の標準曲線を使用して計算された。独立したサンプリングポイントごとにデータをコンパイルするために、サンプルが2回重複して実行された。U/mLの値は、次の関係によってmg/Lの単位に変換された。
mg/L単位の濃度=(U/mL単位の測定活性値/U/mg単位の被験物質の比活性度)*1000。
研究終了時の血漿活性レベルの分布を図28に示し、平均値を表13に示す。
研究終了時の骨組織アルカリホスファターゼ活性測定
研究の36/37日目にマウス大腿骨サンプルを回収し、余分な組織を取り除き、急速凍結し、-80℃で保存した。分析の前に、大腿骨サンプルをドライアイスに移し、滅菌した冷たいペトリ皿に置き、洗浄して、残留結合組織を全て除去した。骨鋏を使用して、大腿骨の端を切り取り、シャフトを湿った氷上で0.5mLの収集チューブ(20ゲージの注射針で底に1つの穴を開けて準備)に移した。収集チューブを1.5mLの遠心分離管にロードし、ベンチトップマイクロ遠心分離機で、4000rpmで30秒間スピンし、マウスの大腿骨から骨髄を効果的に排出した。調製したマウス大腿骨シャフトを秤量し、96ウェル黒色不透明アッセイプレート内の90マイクロリットルの希釈バッファー(50mM HEPES pH7.4、150mM NaCl、1mM MgCl2、1mg/mL BSA)に移した。マウスの大腿骨シャフトが長すぎてアッセイウェルに収まらない場合、大腿骨シャフトを半分に切断し、両方の半分を同じウェルに配置した。
研究の36/37日目にマウス大腿骨サンプルを回収し、余分な組織を取り除き、急速凍結し、-80℃で保存した。分析の前に、大腿骨サンプルをドライアイスに移し、滅菌した冷たいペトリ皿に置き、洗浄して、残留結合組織を全て除去した。骨鋏を使用して、大腿骨の端を切り取り、シャフトを湿った氷上で0.5mLの収集チューブ(20ゲージの注射針で底に1つの穴を開けて準備)に移した。収集チューブを1.5mLの遠心分離管にロードし、ベンチトップマイクロ遠心分離機で、4000rpmで30秒間スピンし、マウスの大腿骨から骨髄を効果的に排出した。調製したマウス大腿骨シャフトを秤量し、96ウェル黒色不透明アッセイプレート内の90マイクロリットルの希釈バッファー(50mM HEPES pH7.4、150mM NaCl、1mM MgCl2、1mg/mL BSA)に移した。マウスの大腿骨シャフトが長すぎてアッセイウェルに収まらない場合、大腿骨シャフトを半分に切断し、両方の半分を同じウェルに配置した。
各アッセイプレートにおいて、対照は、アッセイ前に90℃で60分間保持し、これらの骨サンプルのアルカリホスファターゼ活性を効果的に熱殺菌した、未処理の野生型及びAKP2GW(+/-)ヘテロ接合マウスの大腿骨シャフトを含み、これは、アッセイの陰性対照として機能した。
既知の比活性を有するアルカリホスファターゼ活性参照標準の希釈系列を使用して各プレートにおいて標準曲線を作成し、0、1.25、2.5、5、10、20、35及び50ng/mLの最終アッセイ濃度でアッセイプレートに移した。
アッセイの前に、プレートを密封し、Jitterbug加熱プレートシェーカー(振とうなし)で15分間、37℃に加熱した。37℃に温まると、160mLの基質溶液(50mM HEPES pH7.4、150mM NaCl、1mM MgCl2、1mg/mL BSA、15.625~156.25mM 4-MUP)であった。ウェル内の4-MUPの最終濃度は、250uLの容量で10-100uMであった。4-メチルウンベリフェロン産生の進行曲線は、Molecular Devices i3xプレートリーダー(励起λ=365nm及び発光λ=445nmに設定)又はMolecular Devices Paradigmプレートリーダー(励起λ=360nmフィルター及び発光λ=445nmフィルターに設定)のいずれかを使用して37℃で測定した。
全てのサンプルの活性勾配は、市販のスプレッドシートプログラム(Microsoft Excel)で線形回帰を使用して計算された。実験の過程で活性勾配が目に見えて非線形になった場合、サンプルの進行曲線の最初の線形部分を使用して、初期反応速度を取得するための線形回帰を実行した。個々の進行曲線の傾きは、相対蛍光単位(RFU)/分で計算された。このアッセイの進行曲線の例を、図28及び29にプロットされた個々の対象からの値の分布と共に、図30に示す。
処置されたAkpGW(-/-)の大腿骨は、アルカリホスファターゼ活性の明らかな増加を示し(表14)、ALP201及びALP259が骨組織に酵素活性を送達する能力を示している。
脛骨及び大腿骨の長さ結果
研究終了時に、ImageJソフトウェアを使用して脛骨及び大腿骨の長さを測定して、Faxitron X-Rayによってキャプチャされた骨画像の両端に1つずつ、骨の最も長い部分の長さが分析点を接続する直線でキャプチャされるように分析点を取得した(ImageJ長さ)。
研究終了時に、ImageJソフトウェアを使用して脛骨及び大腿骨の長さを測定して、Faxitron X-Rayによってキャプチャされた骨画像の両端に1つずつ、骨の最も長い部分の長さが分析点を接続する直線でキャプチャされるように分析点を取得した(ImageJ長さ)。
9.8mg/kgでのアスフォターゼアルファの毎日の投与と比較して、ALP201を毎日及びQ2Dで投与したAKP2GW(-/-)マウスは、大腿骨及び脛骨の長さの両方で統計的に有意な改善が見られた。すなわち、大腿骨の長さはそれぞれp=0.0212及びp=0.0032、脛骨の長さはそれぞれp=0.0030及びp=0.0088、一元配置分散分析、処置の36/37日後:アスフォターゼアルファに対するダネットの多重比較検定(図26、脛骨及び図27、大腿骨)。
体重結果
有効性試験では、全てのマウスの体重をモニターした。全ての処置群で、ALP201及びALP259で処置したAkp2GW(-/-)マウスの体重は、PBSで処置した野生型同腹仔の体重よりも一貫してわずかに低かったが、研究中の任意の時点、任意の群で、統計的に有意な差は全くなかった(図17)。
有効性試験では、全てのマウスの体重をモニターした。全ての処置群で、ALP201及びALP259で処置したAkp2GW(-/-)マウスの体重は、PBSで処置した野生型同腹仔の体重よりも一貫してわずかに低かったが、研究中の任意の時点、任意の群で、統計的に有意な差は全くなかった(図17)。
ALP259は、ピロリン酸加水分解に対して2倍長い酵素活性を示し、C57BL/6マウスへのIV投与後のインビボ半減期はアスフォターゼアルファより4~5倍長いことを示した。ALP259は、HPPのAKP2GW(-/-)マウスモデルにおけるアスフォターゼアルファよりも血漿中の研究終了時の蓄積が約50倍多く、研究終了時のAKP2GW(-/-)骨活性蓄積は、ALP201の140%を示した。ALP259は、正常な骨表現型を有する未処置のマウスの20%未満と比較して、AKP2GW(-/-)マウスモデルで骨石灰化について明確な有効性を示し、マウスの100%が正常な骨石灰化を有するq2d用量間隔で、4.8mg/kgで処置された。
実施例8
骨標的化のインビボ特性評価:マウスにおけるインビボ蛍光イメージング
半定量的生体内分布研究は、ALEXA FLUOR(登録商標)750標識骨標的化タンパク質及びタンパク質フラグメント(VHH)を使用してヌードマウスで実施された。骨標的ALP-Fc融合タンパク質及び骨標的VHHは、Invitrogen SAIVIキット(活性化スクシンイミジルエステルを介した共有結合)を使用してALEXA FLUOR(登録商標)750で蛍光標識し、ゲル排除樹脂で精製して非コンジュゲートフルオロフォアを除去した。精製されたタンパク質(PBSに懸濁)は、約3mg/kgの用量で尾静脈を介してヌードマウスに注射された。
骨標的化のインビボ特性評価:マウスにおけるインビボ蛍光イメージング
半定量的生体内分布研究は、ALEXA FLUOR(登録商標)750標識骨標的化タンパク質及びタンパク質フラグメント(VHH)を使用してヌードマウスで実施された。骨標的ALP-Fc融合タンパク質及び骨標的VHHは、Invitrogen SAIVIキット(活性化スクシンイミジルエステルを介した共有結合)を使用してALEXA FLUOR(登録商標)750で蛍光標識し、ゲル排除樹脂で精製して非コンジュゲートフルオロフォアを除去した。精製されたタンパク質(PBSに懸濁)は、約3mg/kgの用量で尾静脈を介してヌードマウスに注射された。
雌性J:NU非近交系マウス(Jackson Laboratories,Bar Harbor,ME)は、容量を正規化した100μLの尾静脈注射により3mg/kgの被験物質を投与された。インビボ画像取得のために、対象は、イメージングプラットフォーム(IVIS(登録商標)スペクトルイメージングシステムSpectrum Imaging System,PerkinElmer Inc.,Waltham,MA)で2~3%のイソフルラン麻酔下に維持された。視野(FOV)C、F/Stop2、ミディアムビニング及び800nm発行/750nm励起フィルターを備えた自動露出設定が2D落射照明及び3D透過照明の両方の取得に使用された。エクスビボ組織標本の2D落射照明蛍光イメージングは、各組織タイプの全ての標本を単一の画像で同時に取得できることを除き、同一条件下で取得した。全ての動物実験は、動物福祉法(Animal Welfare Act)の規定及び実験動物の管理及び使用に関するガイド(Guide for the Care and Use of Laboratory Animals)の原則に従って実施された。
蛍光画像解析は、製造元提供の2D/3Dソフトウェア(Living Image 4.5.1,Perkin Elmer)を使用して実行された。対象の各セットに適用される均一な領域の関心領域(ROI)は、対象の位置の違いを考慮して手動で配置された。縦断的なインビボ画像カラースケール範囲は、全ての対象及び時点で正規化した。エクスビボ標本のカラースケールは、各組織セットの蛍光シグナルを最もよく表すように個別に決定した。図4、8、12及び13の全ての画像は、次のパラメータを適用して表される。不透明度=80、カラーテーブル=「ブルーホット」、平滑化=なし、対数目盛。Read Bias Subtraction Adaptive FL Background Subtraction及びFlat Field、Cosmic及びLens Distortion Correctも適用される。ALEXA FLUOR(登録商標)750シグナルは、放射効率(p/秒/cm2/sr)/(μW/cm2)として表される。
エクスビボの骨標本は、マイクロコンピューター断層撮影X線システム(Quantum FX μCT,PerkinElmer,Inc.,Waltham,MA)で個別に画像化された。次のパラメータが全ての取得に使用された。電圧=90kV、電流=180μA、FOV=40mm、17秒の取得時間。総骨量(Tt.BV、mm3)の定量化は、骨成長ワークフローを使用して、製造元提供のソフトウェア(AccuCT 1.0 Advanced Analysis Software,PerkinElmer,Inc.,Waltham,MA)を使用して計算した。ALEXA FLUOR(登録商標)750シグナルの骨体積への正規化は、((p/秒/cm2/sr)/(μW/cm2))/mm3として表される。統計分析は、市販の統計ソフトウェア(GraphPad Prism 7,La Jolla,CA)を使用して実施した。
ALP-Fc-D10(配列番号31)は骨標的化タンパク質の可能なシグナルを最大化し、ALP-Fc(配列番号222)は骨ホモジネートへの結合を示さなかったため、これらのタンパク質をインビボでの骨標的化実験の陽性及び陰性対照タンパク質として利用した。ALEXA FLUOR(登録商標)750標識ALF-Fc又はALP-Fc-D10の静脈内注射を青年期のヌードマウスに投与し、18日間の研究を通してタンパク質の生体内分布をインビボで追跡した。2次元IVIS生動物蛍光イメージングは、1、4、7、11、15及び18日目に全てのマウスで実行された。18日間の研究の終了時に、マウスを屠殺し、肝臓、腎臓、脾臓、大腿骨、頭蓋骨及び脊椎に対してエクスビボ特異的蛍光イメージングを実施した。図4及び5A~5Bは、全身イメージングゲート内で検出された蛍光タンパク質の総放射効率を示す。定量的には、蛍光標識された骨標的化ALP-Fc-D10で処置されたマウスの平均総放射効率は、投与後最初の4日間を通して非標的ALP-Fcで処置されたマウスと同様であった。しかし、7日目以降、ALP-Fc-D10は、骨への標的タンパク質の蓄積及び非標的タンパク質のクリアランスにより、ALP-Fcよりも有意に高い放射効率を示した。図5Bは、脊髄関心領域内の同じ処置されたマウスの総放射効率の比較を示す。脊髄関心領域では、4日以内に標的及び非標的ALP-Fc融合間で統計的差異が観察され、その差異は18日間の研究期間を通して維持された。図4は、各画像化時点での各処置群からの代表的な画像を示し、カラースケールは放射効率を示す。
新しく開発された骨ホモジネートスクリーニングアッセイは、インビボで検証された。開発されたスクリーニングアッセイにより、ALP-Fc-D10及びALP-Fcは、それぞれ、骨結合特性の2つの極値、骨ホモジネートへのタンパク質の定量的結合を示し、骨ホモジネートへの特異的結合を示さなかった。インビボ生体内分布研究は、単回静脈内注入後2週間を超えて骨組織内でALP031の保持が延長されることを示した(図12、カラースケールで示された放射効率)。対照的に、ALP086(非標的ALP-Fc)は、注射後4~7日にわたってインビボで検出できなかった(図13、カラースケールで示された放射効率)。さらに、ALP031の静脈内投与により、マウスの脊椎、頭蓋骨及び大腿骨の石灰化組織全体に薬物を均等に分布させた(図6A~6B)。これらの結果は、骨ホモジネートスクリーニングアッセイにより骨標的タンパク質が非標的タンパク質から区別されたことを確認した。
VHHコンストラクトのさらなるインビボ研究により、非常に効率的な骨結合剤とより低い親和性を有する骨結合タンパク質中間体とが区別された(図7、8、9A~9C及び10A~10B)。この目的のために、非標的VHHタンパク質が腎排泄を介して体循環から急速に排除され、バックグラウンドシグナルを制限し、骨局在の早期分化を可能にしたため、インビボでVHHタンパク質を研究することが有利であった。図8は、非標的対照と比較して注射後24時間でVHH001及びVHH002で処置されたマウスの全身蛍光シグナルの増加及びVHH001と比較してVHH002の増強されたシグナルを示した。時間の経過と共に、VHH001で処置したマウスからのシグナルは非標的対照のベースラインレベルに近づき、VHH002で処置したマウスからのシグナルは7日間の研究を通して有意に増加したままであった。この骨標的化挙動は、開発されたインビトロスクリーニングアッセイで観察され、非標的VHH対照タンパク質をVHH001の中間結合及びVHH002の非常に効率的な結合から区別し、スクリーニングとインビボ骨標的化との間の検証可能な相関を示した。
実施例9
成人男性の対象は、約5.82μMの無機ピロリン酸(PPi)濃度の上昇、10未満の平均BOT-2強度スコアを示す。対象は24歳で、痛みを伴う下肢及び歩行障害を経験している。対象は、HPPと診断され、処置のために選択され得る。対象は、X線検査及び骨塩密度検査を受けることができ、これは、いずれも脚の骨石灰化の減少を示し得る。
成人男性の対象は、約5.82μMの無機ピロリン酸(PPi)濃度の上昇、10未満の平均BOT-2強度スコアを示す。対象は24歳で、痛みを伴う下肢及び歩行障害を経験している。対象は、HPPと診断され、処置のために選択され得る。対象は、X線検査及び骨塩密度検査を受けることができ、これは、いずれも脚の骨石灰化の減少を示し得る。
配列番号72のポリペプチドを含む製剤は、0.1mg/mLで製剤化することができる。製剤は、0.1mg/kg/週の投与量で8週間、週に1回対象に皮下注射することができる。対象は、8週間の処置レジメンの後に処置効果について評価することができる。対象は、骨の痛みの軽減及び歩行の正常化を認め得る。対象は、フォローアップX線検査及び骨塩密度検査を受けることができ、これは、処置前と比較して、骨石灰化の正常化を示し得る。対象のPPi濃度は5μM未満に減少させることができ、BOT-2強度スコアは12に改善することができ、ポリペプチドによる処置効果を示している。
実施例10
青年期の女性対象は、約4.78μMの無機ピロリン酸(PPi)濃度の上昇及び予測された6MWT値の約70%未満の平均6MWTを示す。対象は14歳であり、歯の喪失及び慢性痛を経験している。対象は、HPPと診断され、処置のために選択され得る。対象は、X線検査及び骨塩密度検査を受けることができ、これは、いずれも対象の歯及び大腿骨の骨石灰化を示し得る。
青年期の女性対象は、約4.78μMの無機ピロリン酸(PPi)濃度の上昇及び予測された6MWT値の約70%未満の平均6MWTを示す。対象は14歳であり、歯の喪失及び慢性痛を経験している。対象は、HPPと診断され、処置のために選択され得る。対象は、X線検査及び骨塩密度検査を受けることができ、これは、いずれも対象の歯及び大腿骨の骨石灰化を示し得る。
配列番号123のポリペプチドを含む製剤は、0.5mg/mLで製剤化することができる。製剤は、0.5mg/kg/週の投与量で4週間、週に1回対象に皮下注射することができる。対象は、4週間の処置レジメンの後に処置効果について評価することができる。対象は、慢性痛の軽減を認め得る。対象は、フォローアップX線検査及び骨塩密度検査を受けることができ、これは、処置前と比較して、対象の大腿骨における骨石灰化の正常化を示し得る。対象のPPi濃度は4μM未満に低下する可能性があり、対象の6MWTスコアは予測値の約85%に向上し、ポリペプチドによる処置効果を示している。
実施例11
青年期の女性対象は、約4.85μMの無機ピロリン酸(PPi)濃度の上昇及び予測された6MWT値の約65%未満の平均6MWTを示す。対象は15歳であり、歯の喪失及び慢性痛を経験している。対象は、HPPと診断され、処置のために選択され得る。対象は、X線検査及び骨塩密度検査を受けることができ、これは、いずれも対象の歯及び大腿骨の骨石灰化を示し得る。
青年期の女性対象は、約4.85μMの無機ピロリン酸(PPi)濃度の上昇及び予測された6MWT値の約65%未満の平均6MWTを示す。対象は15歳であり、歯の喪失及び慢性痛を経験している。対象は、HPPと診断され、処置のために選択され得る。対象は、X線検査及び骨塩密度検査を受けることができ、これは、いずれも対象の歯及び大腿骨の骨石灰化を示し得る。
配列番号177のポリペプチドを含む製剤は、0.7mg/mLで製剤化することができる。製剤は、0.7mg/kg/週の投与量で6週間、週に1回対象に皮下注射することができる。対象は、6週間の処置レジメンの後に処置効果について評価することができる。対象は、慢性痛の軽減を認め得る。対象は、フォローアップX線検査及び骨塩密度検査を受けることができ、これは、処置前と比較して、対象の大腿骨における骨石灰化の正常化を示し得る。対象のPPi濃度は4μM未満に低下する可能性があり、対象の6MWTスコアは予測値の約88%に向上し、ポリペプチドによる処置効果を示している。
他の実施形態
前述の詳細な説明及び例は、理解の明確性のためにのみ提供されている。そこから不必要な限定が理解されるべきではない。当業者にとって明らかな変形形態は、特許請求の範囲によって定義される本発明に含まれるため、本発明は、示され、説明された正確な詳細に限定されない。
前述の詳細な説明及び例は、理解の明確性のためにのみ提供されている。そこから不必要な限定が理解されるべきではない。当業者にとって明らかな変形形態は、特許請求の範囲によって定義される本発明に含まれるため、本発明は、示され、説明された正確な詳細に限定されない。
特に明記しない限り、本明細書及び特許請求の範囲で使用される成分の量、分子量などを表す全ての数字は、全ての場合に「約」という用語によって修飾されるものとして理解されたい。したがって、反対の別段の指示がない限り、本明細書及び特許請求の範囲に記載されている数値パラメータは、本発明によって得られることが求められる所望の特性に応じて変化し得る近似値である。少なくとも且つ均等論を特許請求の範囲に限定する試みとしてではなく、各数値パラメータは、少なくとも報告された有効桁数に照らして、通常の丸め手法を適用することによって解釈されるべきである。
本発明の広い範囲を示す数値範囲及びパラメータは、近似値であるにもかかわらず、特定の例に示される数値は、可能な限り正確に報告される。しかし、全ての数値には、それぞれの試験測定で見出された標準偏差から必然的に生じる範囲が本質的に含まれる。
本明細書に引用されている全ての特許、仮特許出願を含む特許出願、特許刊行物及び非特許刊行物を含む刊行物並びに電子的に入手可能な資料(例えば、GenBank及びRefSeqでのヌクレオチド配列の提出物、並びに例えばSwissProt、PIR、PRF、PDBでのアミノ酸配列の提出物、並びにGenBank及びRefSeqの注釈付きコーディング領域からの翻訳物を含む)は、参照により組み込まれる。前述の詳細な説明及び例は、理解の明確性のためにのみ提供されている。そこから不必要な限定が理解されるべきではない。当業者にとって明らかな変形形態は、特許請求の範囲によって定義される実施形態に含まれるため、本開示は、示され、説明された正確な詳細に限定されない。
Claims (107)
- 天然に存在するアルカリホスファターゼに対して少なくとも1つの変異を有する組換えアルカリホスファターゼを含むポリペプチドであって、前記変異は、前記少なくとも1つの変異のない前記天然に存在するアルカリホスファターゼに対して少なくとも1つの活性又は薬物動態特性を改善する、ポリペプチド。
- 前記天然に存在するアルカリホスファターゼは、組織非特異的アルカリホスファターゼ(TNSALP)、胎盤アルカリホスファターゼ(PALP)、生殖系列アルカリホスファターゼ(GALP)又は腸アルカリホスファターゼ(IALP)である、請求項1に記載のポリペプチド。
- 前記TNSALPは、哺乳動物TNSALPである、請求項2に記載のポリペプチド。
- 前記哺乳動物TNSALPは、ヒト、ゴリラ、マウス、ウサギ、チンパンジー、カニクイザル、アカゲザル、オランウータン、ヒヒ、ラット、ウシ、ヤギ又はラマTNSALPである、請求項3に記載のポリペプチド。
- 前記哺乳動物TNSALPは、ヒトTNSALPである、請求項4に記載のポリペプチド。
- 配列番号1のアミノ酸1~491に対して少なくとも85%の配列同一性を有する、請求項5に記載のポリペプチド。
- 前記少なくとも1つの変異は、配列番号1に対するE108X、M384X、L385X、N213X及びN286Xからなる群から選択され、ここで、Xは、任意のアミノ酸である、請求項1~6のいずれか一項に記載のポリペプチド。
- 前記少なくとも1つの変異は、配列番号1に対するE108S、E108T、E108Q、E108M、E108K、E108L、M384R、L385T、N213Q及びN286Qからなる群から選択される、請求項7に記載のポリペプチド。
- 前記組換えアルカリホスファターゼは、配列番号1に対するE108T、E108M及びE108Lからなる群から選択される少なくとも1つの変異を有する、請求項8に記載のポリペプチド。
- 前記変異は、配列番号1に対するE108Mである、請求項9に記載のポリペプチド。
- 前記組換えアルカリホスファターゼは、配列番号1に対するE108S、E108T、E108Q、E108M、E108K、E108L、M384R、L385T、N213Q及びN286Qからなる群から選択される少なくとも2つ、3つ、4つ又は5つの変異を有する、請求項7~10のいずれか一項に記載のポリペプチド。
- 前記組換えアルカリホスファターゼは、配列番号1に対するE108M、N213Q及びN286Q変異を有する、請求項11に記載のポリペプチド。
- 前記組換えアルカリホスファターゼは、配列番号1に対するE108A変異を有しない、請求項1~12のいずれか一項に記載のポリペプチド。
- 前記天然に存在するアルカリホスファターゼは、IALPである、請求項2に記載のポリペプチド。
- 前記IALPは、哺乳動物IALPである、請求項14に記載のポリペプチド。
- 前記哺乳動物IALPは、ゴリラ、チンパンジー、カニクイザル、アカゲザル、ラット、ウシ、ヤギ、ラマ又はヒトIALPである、請求項15に記載のポリペプチド。
- 前記哺乳動物IALPは、ヒトIALPである、請求項16に記載のポリペプチド。
- 配列番号4のアミノ酸1~486に対して少なくとも85%の配列同一性を有する、請求項17に記載のポリペプチド。
- 前記組換えアルカリホスファターゼは、配列番号4に対するW245X変異を有し、ここで、Xは、異なる種に由来する任意の天然に存在する保存されたアミノ酸である、請求項14~18のいずれか一項に記載のポリペプチド。
- 前記組換えアルカリホスファターゼは、配列番号4に対するW245R変異を有する、請求項19に記載のポリペプチド。
- 前記組換えアルカリホスファターゼは、配列番号4に対するC481X変異を有し、ここで、Xは、任意の非チオール含有アミノ酸である、請求項14~20のいずれか一項に記載のポリペプチド。
- 前記組換えアルカリホスファターゼは、配列番号4に対するC481G変異を有する、請求項21に記載のポリペプチド。
- 前記組換えアルカリホスファターゼは、配列アスパラギン-X-Zを含むコンセンサスN結合型グリコシル化部位に変異を有し、ここで、Xは、Pを除く任意のアミノ酸であり、及びZは、S又はTを除く任意のアミノ酸である、請求項14~22のいずれか一項に記載のポリペプチド。
- 前記アスパラギン部位は、グルタミン残基に変異されている、請求項23に記載のポリペプチド。
- 前記組換えアルカリホスファターゼは、配列番号4に対するS429Q、S429H、S429E及びS429Dからなる群から選択される変異を有する、請求項14~24のいずれか一項に記載のポリペプチド。
- 前記組換えアルカリホスファターゼは、配列番号4に対するS429H変異を有する、請求項25に記載のポリペプチド。
- 前記組換えアルカリホスファターゼは、配列番号4に対するS428R、S428Q及びS428Dからなる群から選択される変異を有する、請求項14~26のいずれか一項に記載のポリペプチド。
- 前記組換えアルカリホスファターゼは、配列番号4に対するS428Q又はS428D変異を有する、請求項27に記載のポリペプチド。
- 前記組換えアルカリホスファターゼは、配列番号7~223、247及び262~264のいずれか1つの配列の少なくとも50アミノ酸に対して少なくとも80%、85%、90%、95%、99%又は100%の配列同一性を有する、請求項1~28のいずれか一項に記載のポリペプチド。
- 前記少なくとも1つの活性は、増加した触媒活性、増加した温度安定性、増加した亜鉛結合、亜鉛枯渇バッファーにおける活性の維持、pH5.0~7.5における活性の維持、減少した二量体化、減少した凝集及び増加した製造可能性からなる群から選択される、請求項1~29のいずれか一項に記載のポリペプチド。
- 前記増加した触媒活性は、ピリドキサール5-リン酸及び/又はピロリン酸の増加した加水分解を含む、請求項30に記載のポリペプチド。
- 前記増加した触媒活性は、前記天然に存在するアルカリホスファターゼの活性よりも約4倍~約30倍良好である、請求項30又は31に記載のポリペプチド。
- 前記少なくとも1つの薬物動態特性は、増加した基質特異性、天然基質に対する増加した活性、人工基質に対する増加した活性、天然基質のための減少したKm及び用量あたりの増加した曲線下面積(AUC)からなる群から選択される、請求項1~32のいずれか一項に記載のポリペプチド。
- 前記人工基質は、リン酸ウンベリフェリル、リン酸パラニトロフェニル(pNPP)及びMUPからなる群から選択され;及び/又は前記天然基質は、ピリドキサール-5’-リン酸、PLP及びPEAからなる群から選択される、請求項33に記載のポリペプチド。
- 領域Yをさらに含み、ここで、Yは、少なくとも1つのアミノ酸のアミノ酸配列である、請求項1~34のいずれか一項に記載のポリペプチド。
- 構造
Z-ALP-Y-Xn
(式中、
Yは、少なくとも1つのアミノ酸のアミノ酸配列であり;
Zは、不存在であるか、又は少なくとも1つのアミノ酸のアミノ酸配列であり;
Xnは、ポリアスパラギン酸(Dn)、ポリグルタミン酸(En)、ポリ(アスパラギン酸-アラニン-アスパラギン酸)(DAD)n、ポリ(アスパラギン酸-アスパラギン酸-セリン)(DDS)n、ポリ(アスパラギン酸-セリン-セリン(DSS)n、ポリ(グルタミン酸-グルタミン酸-セリン)(EES)n及びVHHからなる群から選択される骨標的化部分であり、且つn=1~50であり;及び
ALPは、前記組換えアルカリホスファターゼである)
を含む、請求項1~35のいずれか一項に記載のポリペプチド。 - Yは、フラグメント結晶化可能領域(Fc)である、請求項35又は36に記載のポリペプチド。
- 前記Fc領域は、IgG1、IgG2、IgG3若しくはIgG4又はそれらのキメラを含む、請求項37に記載のポリペプチド。
- 前記Fc領域は、IgG2/4キメラを含む、請求項38に記載のポリペプチド。
- 前記Fc領域は、配列番号253の配列を含むか、又はそれに対して少なくとも85%の配列同一性を有する、請求項39に記載のポリペプチド。
- 配列番号7~223、247及び262~264のいずれか1つに対して少なくとも85%、90%、95%、97%又は99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むか又はそれからなる、請求項40に記載のポリペプチド。
- 配列番号7~223、247及び262~264のいずれか1つの配列を有するアミノ酸配列を含むか又はそれからなる、請求項41に記載のポリペプチド。
- 配列番号72、123、155又は177のいずれか1つに対して少なくとも85%、90%、95%、97%又は99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むか又はそれからなる、請求項41に記載のポリペプチド。
- 配列番号72、123、155又は177のいずれか1つの配列を含むか又はそれからなる、請求項43に記載のポリペプチド。
- 配列番号123に対して少なくとも85%、90%、95%、97%又は99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むか又はそれからなる、請求項43に記載のポリペプチド。
- 配列番号123のアミノ酸配列を含むか又はそれからなる、請求項45に記載のポリペプチド。
- 配列番号123のアミノ酸配列からなる、請求項46に記載のポリペプチド。
- 二量体である、請求項1~47のいずれか一項に記載のポリペプチド。
- アルカリホスファターゼ及びフラグメント結晶化(Fc)領域を含むポリペプチドであって、前記Fc領域は、IgG2/4キメラである、ポリペプチド。
- 前記Fc領域は、配列番号253の配列を含むか、又はそれに対して少なくとも85%の配列同一性を有する、請求項49に記載のポリペプチド。
- 前記組換えアルカリホスファターゼは、TNSALP、IALP、胎盤アルカリホスファターゼ(PALP)及び生殖系列アルカリホスファターゼ(GALP)からなる群から選択される、請求項49又は50に記載のポリペプチド。
- 前記組換えアルカリホスファターゼは、哺乳動物アルカリホスファターゼである、請求項51に記載のポリペプチド。
- 前記哺乳動物アルカリホスファターゼは、ヒト、ゴリラ、マウス、ウサギ、チンパンジー、カニクイザル、アカゲザル、オランウータン、ヒヒ、ラット、ウシ、ヤギ又はラマアルカリホスファターゼである、請求項52に記載のポリペプチド。
- 前記組換えアルカリホスファターゼは、配列番号1~6のいずれか1つの配列又はそのフラグメントを含む、請求項53に記載のポリペプチド。
- 前記組換えアルカリホスファターゼは、配列番号1のアミノ酸1~491又は配列番号4のアミノ酸1~486を含む、請求項54に記載のポリペプチド。
- Dn、En、(DAD)n、(DDS)n、(DSS)n、(EES)n及びVHHからなる群から選択される骨標的化部分Xnをさらに含み、ここで、n=1~50である、請求項1~38又は49~55のいずれか一項に記載のポリペプチド。
- n=1~30である、請求項56に記載のポリペプチド。
- 前記骨標的化部分は、
(a)Dnであり、且つn=7~10であるか;
(b)Enであり、且つn=10~15であるか;
(c)(DAD)nであり、且つn=2~4であるか;
(d)(DDS)nであり、且つn=2~4であるか;
(e)(DSS)nであり、且つn=3であるか;又は
(f)(EES)nであり、且つn=3~4である、請求項57に記載のポリペプチド。 - 前記骨標的化部分は、(DAD)3又は(DDS)3を含む、請求項58に記載のポリペプチド。
- 前記VHHの少なくとも1つの相補性決定領域(CDR)は、少なくとも1つのグルタミン酸又はアスパラギン酸残基で置換されている、請求項56~59のいずれか一項に記載のポリペプチド。
- 前記少なくとも1つのCDRは、2~30個のグルタミン酸又はアスパラギン酸残基で置換されている、請求項60に記載のポリペプチド。
- 2つ又は3つのCDRは、2~30個のグルタミン酸又はアスパラギン酸残基で置換されている、請求項60又は61に記載のポリペプチド。
- 前記少なくとも1つのCDRは、5つ又は7つのグルタミン酸又はアスパラギン酸残基で置換されている、請求項61又は62に記載のポリペプチド。
- 請求項1~63のいずれか一項に記載のポリペプチドをコードするポリヌクレオチド。
- 請求項64に記載のポリヌクレオチドを含むベクター。
- 請求項64に記載のポリヌクレオチド又は請求項65に記載のベクターを含む細胞。
- 請求項1~63のいずれか一項に記載のポリペプチドを産生する方法であって、
(a)請求項64に記載のポリヌクレオチド又は請求項65に記載のベクターで形質転換された細胞を提供することであって、前記ポリヌクレオチドは、前記細胞内での発現のために配置される、提供すること;
(b)前記ポリヌクレオチドの発現に適した条件下で前記形質転換細胞を培養することであって、前記ポリペプチドの発現をもたらす、培養すること;及び
(c)ポリペプチドを単離すること
を含む方法。 - 請求項1~63のいずれか一項に記載のポリペプチド及び薬学的に許容される担体を含む医薬組成物。
- 前記薬学的に許容される担体は、塩化ナトリウム及び/又はリン酸ナトリウムを含む、請求項68に記載の医薬組成物。
- 約7.4のpHで約150mMの塩化ナトリウム及び/又は約25mMのリン酸ナトリウムを含む、請求項69に記載の医薬組成物。
- 約0.1mg/mL~約10mg/mLの投与量で製剤化される、請求項68~70のいずれか一項に記載の医薬組成物。
- 約0.1mL~約50mLの容量で製剤化される、請求項68~71のいずれか一項に記載の医薬組成物。
- 低ホスファターゼ症(HPP)、骨折、骨粗鬆症、硬化性骨症、軟骨石灰化症、筋緊張低下症、デュシェンヌ筋ジストロフィー、気管気管支軟化症、発作、神経線維腫症及び頭蓋骨癒合症から選択される疾患の処置を、それを必要としている対象において行う方法であって、前記対象に、請求項1~63のいずれか一項に記載のポリペプチド又は請求項68~73のいずれか一項に記載の医薬組成物を前記対象に投与することを含む方法。
- 前記ポリペプチドは、前記疾患を処置するのに十分な量において且つ期間にわたって投与される、請求項73に記載の方法。
- 前記処置は、前記対象の骨形成を増強する、請求項73又は74に記載の方法。
- 前記ポリペプチドは、約0.01mg/kg~約20mg/kgの投与量で投与される、請求項73~75のいずれか一項に記載の方法。
- 前記ポリペプチドは、約0.1mg/kg~約10mg/kgの投与量で投与される、請求項76に記載の方法。
- 前記ポリペプチドは、1日、1週間、1ヶ月又は1年あたり1回投与される、請求項73~77のいずれか一項に記載の方法。
- 前記ポリペプチドは、少なくとも1日、1週間、1ヶ月、1年又はそれを超えて投与される、請求項73~78のいずれか一項に記載の方法。
- 前記組成物は、皮下、静脈内、筋肉内、舌下、髄腔内又は皮内に投与される、請求項73~79のいずれか一項に記載の方法。
- 前記組成物は、皮下又は静脈内に投与される、請求項80に記載の方法。
- 前記対象は、ヒトである、請求項73~81のいずれか一項に記載の方法。
- 前記ヒトは、新生児、小児、青年又は成人である、請求項82に記載の方法。
- 前記組換えポリペプチドの投与前に、前記対象は、約350メートル以下の6分間の平均歩行距離を有するとして特徴付けられる、請求項73~83のいずれか一項に記載の方法。
- 前記組換えポリペプチドの投与は、前記対象による6分間の平均歩行距離の少なくとも100メートル以上の増加を促進する、請求項73~84のいずれか一項に記載の方法。
- 前記対象は、前記組換えポリペプチドの投与後、6分間で約500メートル以上の平均歩行距離を示す、請求項73~85のいずれか一項に記載の方法。
- 前記対象は、前記組換えポリペプチドの投与後、補助移動装置への減少した依存度を示す、請求項73~86のいずれか一項に記載の方法。
- 前記補助移動装置は、歩行器、車椅子、装具、松葉杖及び矯正器具からなる群から選択される少なくとも1つの装置である、請求項87に記載の方法。
- 前記組換えポリペプチドの投与前に、前記対象は、約4.5μM以上の血漿PPi濃度を有するとして特徴付けられる、請求項73~88のいずれか一項に記載の方法。
- 前記組換えポリペプチドの投与は、前記対象からの血漿サンプル中のPPi濃度の少なくとも約1μMの中央値減少を促進する、請求項73~89のいずれか一項に記載の方法。
- 前記対象は、前記組換えポリペプチドの投与後、約2μM~約5μMの血漿PPi濃度を示す、請求項73~90のいずれか一項に記載の方法。
- i)前記対象は、0~14日齢であり、且つ前記組換えポリペプチドの投与前に、約90U/L以下の血漿ALP濃度を有するとして特徴付けられるか;
ii)前記対象は、15日齢~1歳未満であり、且つ前記組換えポリペプチドの投与前に、約134U/L以下の血漿ALP濃度を有するとして特徴付けられるか;
iii)前記対象は、約1歳~10歳未満であり、且つ前記組換えポリペプチドの投与前に、約156U/L以下の血漿ALP濃度を有するとして特徴付けられるか;
iv)前記対象は、約10歳~約13歳であり、且つ前記組換えポリペプチドの投与前に、約141U/L以下の血漿ALP濃度を有するとして特徴付けられるか;
v)前記対象は、雌性であり、且つ約13歳~約15歳であり、且つ前記組換えポリペプチドの投与前に、約62U/L以下の血漿ALP濃度を有するとして特徴付けられるか;
vi)前記対象は、雄性であり、且つ約13歳~約15歳であり、且つ前記組換えポリペプチドの投与前に、約127U/L以下の血漿ALP濃度を有するとして特徴付けられるか;
vii)前記対象は、雌性であり、且つ約15歳~約17歳であり、且つ前記組換えポリペプチドの投与前に、約54U/L以下の血漿ALP濃度を有するとして特徴付けられるか;
viii)前記対象は、雄性であり、且つ約15歳~約17歳であり、且つ前記組換えポリペプチドの投与前に、約89U/L以下の血漿ALP濃度を有するとして特徴付けられるか;
ix)前記対象は、約17歳以上であり、且つ前記組換えポリペプチドの投与前に、約48U/L以下の血漿ALP濃度を有するとして特徴付けられるか;又は
x)前記対象は、約17歳以上であり、且つ前記組換えポリペプチドの投与前に、約59U/L以下の血漿ALP濃度を有するとして特徴付けられる、請求項73~91のいずれか一項に記載の方法。 - 前記組換えポリペプチドの投与は、前記対象からの血漿サンプル中のALP濃度の少なくとも約100U/L以上の中央値増加を促進する、請求項73~92のいずれか一項に記載の方法。
- i)前記対象は、0~14日齢であり、且つ前記組換えポリペプチドの投与後、約273U/L以上の血漿ALP濃度を有するとして特徴付けられるか;
ii)前記対象は、15日齢~1歳未満であり、且つ前記組換えポリペプチドの投与後、約518U/L以上の血漿ALP濃度を有するとして特徴付けられるか;
iii)前記対象は、約1歳~約10歳未満であり、且つ前記組換えポリペプチドの投与後、約369U/L以上の血漿ALP濃度を有するとして特徴付けられるか;
iv)前記対象は、約10歳~約13歳であり、且つ前記組換えポリペプチドの投与後、約460U/L以上の血漿ALP濃度を有するとして特徴付けられるか;
v)前記対象は、雌性であり、且つ約13歳~約15歳であり、且つ前記組換えポリペプチドの投与後、約280U/L以上の血漿ALP濃度を有するとして特徴付けられるか;
vi)前記対象は、雄性であり、且つ約13歳~約15歳であり、且つ前記組換えポリペプチドの投与後、約517U/L以上の血漿ALP濃度を有するとして特徴付けられるか;
vii)前記対象は、雌性であり、且つ約15歳~約17歳であり、且つ前記組換えポリペプチドの投与後、約128U/L以上の血漿ALP濃度を有するとして特徴付けられるか;
viii)前記対象は、雄性であり、且つ約15歳~約17歳であり、且つ前記組換えポリペプチドの投与後、約365U/L以上の血漿ALP濃度を有するとして特徴付けられるか;
ix)前記対象は、雌性であり、且つ約17歳以上であり、且つ前記組換えポリペプチドの投与後、約95U/L以上の血漿ALP濃度を有するとして特徴付けられるか;又は
x)前記対象は、雄性であり、且つ約17歳以上であり、且つ前記組換えポリペプチドの投与後、約164U/L以上の血漿ALP濃度を有するとして特徴付けられる、請求項73~93のいずれか一項に記載の方法。 - 前記組換えポリペプチドの投与前に、前記対象は、約10以下の平均Bruininks-Oseretsky運動技能試験第2版(BOT-2)強度スコアを有するとして特徴付けられる、請求項73~94のいずれか一項に記載の方法。
- 前記組換えポリペプチドの投与前に、前記対象は、約5以下の平均BOT-2走行速度及び敏捷性スコアを有するとして特徴付けられる、請求項95に記載の方法。
- 前記組換えポリペプチドの投与は、前記対象の約10以上の平均BOT-2強度スコアをもたらす、請求項73~96のいずれか一項に記載の方法。
- 前記組換えポリペプチドの投与は、前記対象の約5以上の平均BOT-2走行速度及び敏捷性スコアをもたらす、請求項73~97のいずれか一項に記載の方法。
- 前記組換えポリペプチドの投与前に、前記対象は、約0.8以上の平均小児健康評価質問票(CHAQ)指数スコアを有するとして特徴付けられる、請求項73~98のいずれか一項に記載の方法。
- 前記組換えポリペプチドの投与は、前記対象の約0.5以下の平均CHAQ指数スコアをもたらす、請求項73~99のいずれか一項に記載の方法。
- 前記組換えポリペプチドの投与前に、前記対象は、約40以下の平均小児転帰データ収集ツール(PODCI)スコアを有するとして特徴付けられる、請求項73~100のいずれか一項に記載の方法。
- 前記組換えポリペプチドの投与は、前記対象の約40以上の平均PODCIスコアをもたらす、請求項3~101のいずれか一項に記載の方法。
- 前記組換えポリペプチドの投与前に、前記対象は、約5未満の平均筋力グレードを有するとして特徴付けられる、請求項73~102のいずれか一項に記載の方法。
- 前記組換えポリペプチドの投与は、前記対象の筋力グレードの約1以上の平均増加をもたらす、請求項73~103のいずれか一項に記載の方法。
- 前記組換えポリペプチドの投与前に、前記対象は、予測されるHHD値の約80%未満の平均ハンドヘルドダイナモメトリー(HHD)値を有するとして特徴付けられる、請求項73~104のいずれか一項に記載の方法。
- 前記組換えポリペプチドの投与は、前記対象の、予測されるHHD値の約80%以上の平均HHD値をもたらす、請求項73~105のいずれか一項に記載の方法。
- 前記HHD値は、前記対象の握力、膝屈曲、膝伸展、股関節屈曲、股関節伸展又は股関節外転を表す、請求項105又は106に記載の方法。
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