JP2023501717A - 新規の多重特異性抗体フォーマット - Google Patents

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Abstract

本発明は、複数の標的に結合することができる新規の多重特異性抗原結合タンパク質に関する。多重特異性抗原結合タンパク質を含む医薬組成物、及びこれらを生成する方法も開示される。

Description

本発明は、多重特異性抗体、多重特異性抗体をコードするポリヌクレオチド、及び多重特異性抗体を作製する方法に関する。
本出願は、コンピューター可読形式(CRF)、並びに37 C.F.R.セクション1.821(c)及び1.821(e)によって要求される紙の複写の双方として適しており、且つその全体が参照により本明細書に組み込まれるASCII「txt」準拠の配列表を含有する。2020年11月18日に作成された「txt」ファイルの名称は、A-2536-WO-PCT_SEQ_LIST_20201118_ST25であり、36.1kbのサイズである。
二重特異性抗体及び三重特異性抗体のような多重特異性抗体(同時に複数の標的を標的とする分子)の臨床潜在性は、複合疾患を標的とするのに大いに有望である。しかしながら、所望の活性を発揮する分子の生成は、大きな課題を示す。ここで、発明者らは、2つの抗原結合ドメインを、長さ及び配列が異なるリンカーを介して繋ぐことによって、2つの抗原結合ドメインの結合を細かく調整して、抗原結合を最適化することを可能にする新しいフォーマットを解説する(図1)。
100を超える二重特異性フォーマットが報告されてきたが、多くの場合、意図される二重特異性バイオロジーを供給できていない。そのような残念な成果は、多くの場合、細胞の表面上のエピトープと各治療標的との空間的位置に関する知識の不足と関連がある。その知識を持って、オンターゲット活性の特定の要件を満たす一方で、オフターゲット活性を最小にするように、当該二重特異性フォーマットを調整することができ、これは、有効且つ安全な治療薬を供給するのに重大な意味を持つ。
一態様において、本発明は:
a)第1のヒンジ領域、第1のCH2領域、及び第1のCH3領域を含む抗体Fc領域を含む第1のポリペプチドと;
b)抗体重鎖構築体を含む第2のポリペプチドであって、抗体重鎖構築体は、
i)scFvであって
1)第1のVH及び第1のVLであって、結合して第1の抗原結合ドメインを形成している、第1のVH及び第1のVLと、
2)第1のVH及び第1のVLを連結している第1のリンカーペプチドと
を含むscFvと、
ii)第2のVH、第2のCH1領域、第2のヒンジ領域、第2のCH2領域、及び第2のCH3領域を含む抗体重鎖と
を含み、
scFvは、そのC末端にて、抗体重鎖の第2のVH領域のN末端に結合されている、第2のポリペプチドと;
c)第2のVL及びCLを含む抗体軽鎖を含む第3のポリペプチド
を含み、
抗体重鎖の第2のVH及び抗体軽鎖の第2のVLは結合して、第2の抗原結合ドメインを形成している、多重特異性抗体構築体に関する。
別の態様において、本発明は:
a)第1のヒンジ領域、第1のCH2領域、及び第1のCH3領域を含む抗体Fc領域を含む第1のポリペプチドと;
b)抗体軽鎖構築体を含む第2のポリペプチドであって、抗体軽鎖構築体は、
i)scFvであって
1)第1のVH及び第1のVLであって、結合して第1の抗原結合ドメインを形成している、第1のVH及び第1のVLと、
2)第1のVH及び第1のVLを連結している第1のリンカーペプチドと
を含むscFvと、
ii)第2のVL及びCLを含む抗体軽鎖と
を含み、
scFvは、そのC末端にて、抗体軽鎖の第2のVL領域のN末端に結合されている、第2のポリペプチドと;
c)第2のVH、第2のCH1領域、第2のヒンジ領域、第2のCH2領域、及び第2のCH3領域を含む抗体重鎖を含む第3のポリペプチド
を含み、
抗体重鎖の第2のVH及び抗体軽鎖の第2のVLは結合して、第2の抗原結合ドメインを形成している、多重特異性抗体構築体に関する。
一実施形態において、第1のリンカーは:(GlySer)(配列番号1)、(GlySer)(配列番号2)、(GlySer)(配列番号3)、(GlySer)(配列番号4)、(GlySer)(配列番号5)、(GlySer)(配列番号6)、(GlySer)(配列番号7)、(GlySer)(配列番号8)、(GlySer)(配列番号9)、(GlySer)(配列番号10)、GSADDAKKDAAKKDAAKKDDAKKDDAGS(配列番号11)、GSADDAKKDAAKKDAAKKDDAKKDDAKKDAGS(配列番号12)、(GlyGln)(配列番号13)、(GlyGln)(配列番号14)、(GlyGln)(配列番号15)、(GlyGln)(配列番号16)、(GlyGln)(配列番号17)、(GlyGln)(配列番号18)、(GlyGln)(配列番号19)、(GlyGln)(配列番号20)、(GlyGln)(配列番号21)、及び(GlyGln)(配列番号22)からなる群から選択される配列を含む。
一実施形態において、scFvは、第2のリンカーを介して抗体重鎖に結合されている。一実施形態において、第2のリンカーは:(GlySer)(配列番号1)、(GlySer)(配列番号2)、(GlySer)(配列番号3)、(GlySer)(配列番号4)、(GlySer)(配列番号5)、(GlySer)(配列番号6)、(GlySer)(配列番号7)、(GlySer)(配列番号8)、(GlySer)(配列番号9)、及び(GlySer)(配列番号10)からなる群から選択される配列を含む。
一実施形態において、scFvは、そのC末端にて、第1のリンカーのN末端に結合されている第1のVHを含み、第1のリンカーは、そのC末端にて、第1のVLのN末端に結合されている。別の実施形態において、scFvは、そのC末端にて、第1のリンカーのN末端に結合されている第1のVLを含み、第1のリンカーは、そのC末端にて、第1のVHのN末端に結合されている。
一実施形態において、第1の抗原結合ドメイン及び第2の抗原結合ドメインは、異なるポリペプチド上のエピトープに結合する。別の実施形態において、第1の抗原結合ドメイン及び第2の抗原結合ドメインは、同じポリペプチド上の異なるエピトープに結合する。一実施形態において、多重特異性抗体構築体は、二重パラトピック抗体構築体である。
一実施形態において、Fc領域は、ヒンジ領域、CH2領域、及びCH3領域からなる。
一実施形態において、Fc領域のN末端は、そのN末端を介して、第3のリンカーを介して重鎖のC末端に連結されている。
一実施形態において、第3のリンカーは:(GlySer)(配列番号1)、(GlySer)(配列番号2)、(GlySer)(配列番号3)、(GlySer)(配列番号4)、(GlySer)(配列番号5)、(GlySer)(配列番号6)、(GlySer)(配列番号7)、(GlySer)(配列番号8)、(GlySer)(配列番号9)、(GlySer)(配列番号10)、(GlyGln)(配列番号13)、(GlyGln)(配列番号14)、(GlyGln)(配列番号15)、(GlyGln)(配列番号16)、(GlyGln)(配列番号17)、(GlyGln)(配列番号18)、(GlyGln)(配列番号19)、(GlyGln)(配列番号20)、(GlyGln)(配列番号21)、及び(GlyGln)(配列番号22)からなる群から選択される配列を含む。
一実施形態において、第1のポリペプチドは、抗体Fc領域からなる。
一実施形態において、多重特異性抗体構築体は、二重特異性抗体構築体である。
一実施形態において、一方のCH3ドメインは、F405L、F405A、F405D、F405E、F405H、F405I、F405K、F405M、F405N、F405Q、F405S、F405T、F405V、F405W、又はF405Yの変異を含み、他方のCH3ドメインは、K409R変異を含み、アミノ酸残基のナンバリングは、Kabatに記載されているEUインデックスに従う。
別の実施形態において、一方のCH3ドメインは、T366W変異を含み、他方のCH3ドメインは、T366S、L368A、Y407Vの変異を含み、アミノ酸残基のナンバリングは、Kabatに記載されているEUインデックスに従う。
さらに別の実施形態において、一方のCH3ドメインは、K/R409D及びK392Dの変異を含み、他方のCH3ドメインは、D399K変異を含み、アミノ酸残基のナンバリングは、Kabatに記載されているEUインデックスに従う。一実施形態において、D399K変異を含むCH3ドメインはまた、E356K変異を含み、アミノ酸残基のナンバリングは、Kabatに記載されているEUインデックスに従う。
図1は、同じ標的タンパク質内の2つの異なるドメインに結合した2つのFabの結晶構造を示す。これは、多重特異性の新規のフォーマットを設計するための合理的設計を提供する。 図2は、3つのポリペプチド鎖によって構成される多重特異性分子の概略図を示す。scFvモジュールは、そのC-末端VHを介して、Fab VHのN-末端に、フレキシブルリンカー及び/又はリジッドリンカーによって連結され得る。 図3は、鎖Aにおいて実行された新規の設計を示す多重特異性分子についての一次構造を示す。 図4は、3つのポリペプチド鎖によって構成される多重特異性分子の概略図を示す。scFvモジュールは、そのC-末端VHを介して、Fab VLのN-末端に、フレキシブルリンカー及び/又はリジッドリンカーによって連結され得る。 図5は、3つのポリペプチド鎖によって構成される多重特異性分子の概略図を示す。scFvモジュールは、そのC-末端VHを介して、Fab VLのN-末端に、フレキシブルリンカー及び/又はリジッドリンカーによって連結され得る。 図6は、多重特異性構築体の発現及び精製を示す。 図7は、多重特異性構築体についての結合アッセイを示す。 図8は、多重特異性分子についての細胞結合アッセイを示す。
本明細書中で使用される用語「抗原結合タンパク質」は、1つ以上の標的抗原に特異的に結合するタンパク質を指す。抗原結合タンパク質には、抗体及びその機能的断片を含めることができる。「機能的抗体断片」とは、完全長の重鎖及び/又は軽鎖に存在するアミノ酸の少なくとも一部を欠くが、それでもなお抗原に特異的に結合することができる抗体の一部である。機能的抗体断片として、Fab断片、Fab’断片、F(ab’)断片、Fv断片、Fd断片、及び相補性決定領域(CDR)断片が挙げられるが、これらに限定されず、ヒト、マウス、ラット、ウサギ、又はラクダ科の動物等のあらゆる哺乳動物供給源に由来するものとすることができる。機能的抗体断片は、標的抗原の結合について、インタクトな抗体と比肩し得、断片は、インタクトな抗体の修飾(例えば、酵素的又は化学的切断)によって生成されてもよいし、組換えDNA技術又はペプチド合成を使用して新規に合成されてもよい。
「重」鎖及び「軽」鎖は、IgGを含む2つのポリペプチドを指す。重鎖は、N末端からC末端まで、以下のドメインに分解することができる:VH、CH1、ヒンジ、CH2、及びCH3。軽鎖は、N末端からC末端まで、以下のドメインに分解することができる:VL及びCL。CH1ドメイン及びCLドメインは、VHドメイン及びVLドメインが、抗原に結合する機能的高次構造を形成するように相互作用することになる。
また、抗原結合タンパク質には、単一のポリペプチド鎖又は複数のポリペプチド鎖に組み込まれた1つ以上の機能的抗体断片を含むタンパク質を含めることもできる。「多重特異性抗体構築体」は、2以上の異なる抗原に結合する1つ以上の機能的抗体部分を含む1つ以上のポリペプチドである。多重特異性抗体構築体には、抗体重鎖に連結されたか、又は抗体軽鎖に連結されたscFvを含むポリペプチドを含めることができる。
特定の態様において、本発明の抗原結合タンパク質は、2つ以上の異なる抗原に特異的に結合することができることを意味する「多重特異性」である。別の態様において、本発明の抗原結合タンパク質は、2つの異なる抗原に特異的に結合することができることを意味する「二重特異性」である。
本明細書中で使用される抗原結合タンパク質は、類似の結合アッセイ条件下での他の無関係なタンパク質に対する親和性と比較して、標的抗原に対して有意に高い結合親和性を有し、その結果、その抗原を区別することができる場合に、標的抗原に「特異的に結合する」。抗原に特異的に結合する抗原結合タンパク質は、平衡解離定数(K)が≦1×10-6Mであり得る。抗原結合タンパク質は、Kが≦1×10-8Mである場合、「高い親和性」で抗原に特異的に結合している。一実施形態において、本発明の抗原結合タンパク質は、≦5×10-7MのKで標的抗原に結合する。別の実施形態において、本発明の抗原結合タンパク質は、≦1×10-7MのKで標的抗原に結合する
親和性は、種々の技術を使用して判定され、その一例として、アフィニティELISAアッセイがある。種々の実施形態において、親和性は、表面プラズモン共鳴アッセイ(例えば、BIAcore(登録商標)ベースのアッセイ)によって判定される。この方法論を使用して、結合速度定数(k単位:M-1-1)及び解離速度定数(k単位:s-1)を測定することができる。次いで、平衡解離定数(K単位:M)を、運動速度定数の比(k/k)から算出することができる。一部の実施形態において、親和性は、Rathanaswami et al.Analytical Biochemistry,Vol.373:52-60,2008に記載されるような結合平衡除外法(KinExA)等の速度論的方法によって判定される。KinExAアッセイを使用して、平衡解離定数(K単位:M)及び結合速度定数(k単位:M-1-1)を測定することができる。解離速度定数(k単位:s-1)は、これらの値(K×k)から算出することができる。他の実施形態において、親和性は、平衡/解法によって判定される。特定の実施形態において、親和性は、FACS結合アッセイによって判定される。本発明の特定の実施形態において、抗原結合タンパク質は、哺乳動物細胞(例えば、CHO、HEK 293、Jurkat)によって発現された標的抗原に、Rathanaswami et al.Analytical Biochemistry,Vol.373:52-60,2008に記載される方法によって行われる結合平衡除外法によって決定される、20nM(2.0×10-8M)以下のKで、10nM(1.0×10-8M)以下のKで、1nM(1.0×10-9M)以下のKで、500pM(5.0×10-10M)以下のKで、200pM(2.0×10-10M)以下のKで、150pM(1.50×10-10M)以下のKで、125pM(1.25×10-10M)以下のKで、105pM(1.05×10-10M)以下のKで、50pM(5.0×10-11M)以下のKで、又は20pM(2.0×10-11M)以下のKで、特異的に結合する。一部の実施形態において、本明細書中に記載される多重特異性抗体構築体は、k(解離速度定数)によって測定される、標的抗原に対する結合親和力が、約10-2、10-3、10-4、10-5、10-6、10-7、10-8、10-9、10-10-1以下(値が低いほど結合親和力が高いことを示す)であること、且つ/又はK(平衡解離定数)によって測定される、標的抗原に対する結合親和性が、約10-9、10-10、10-11、10-12、10-13、10-14、10-15、10-16M以下(値が低いほど結合親和性が高いことを示す)であること等の所望される特性を示す。
本明細書中で使用される用語、「結合ドメイン」と互換的に使用される「抗原結合ドメイン」は、抗原と相互作用し、且つ抗原に対する特異性及び親和性を抗原結合タンパク質に付与するアミノ酸残基を含有する抗原結合タンパク質の領域を指す。本明細書中で使用される用語「標的抗原」は、例えば、二重特異性分子の第1の標的抗原及び/又は第2の標的抗原を指し、そしてまた、四重特異性分子の第1の標的抗原、第2の標的抗原、第3の標的抗原、及び/又は第4の標的抗原を指す。
本発明の多重特異性抗体構築体の特定の実施形態において、結合ドメインは、抗体又はその機能的断片に由来してもよい。例えば、本発明の多重特異性抗体構築体の結合ドメインは、標的抗原に特異的に結合する抗体の軽鎖可変領域及び重鎖可変領域に由来する1つ以上の相補性決定領域(CDR)を含んでもよい。本明細書中で使用される用語「CDR」は、抗体可変配列内の相補性決定領域(「最小認識単位」又は「超可変領域」とも称される)を指す。3つの重鎖可変領域CDR(CDRH1、CDRH2、及びCDRH3)及び3つの軽鎖可変領域CDR(CDRL1、CDRL2、及びCDRL3)が存在する。本明細書中で使用される用語「CDR領域」は、単一の可変領域内に存在する3つのCDRの群(即ち3つの軽鎖CDR又は3つの重鎖CDR)を指す。2つの鎖の各々におけるCDRは典型的に、フレームワーク領域によってアラインされて、標的タンパク質の特異的エピトープ又はドメインと特異的に結合する構造を形成する。N末端からC末端まで、天然に存在する軽鎖可変領域及び重鎖可変領域は双方とも、典型的に、これらのエレメントの以下の順序:FR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3、及びFR4と一致する。
Kabat et al.,Sequences of Proteins of Immunological Interest,5th Ed.Public Health Service,National Institutes of Health,Bethesda,MD(1991)におけるようなEUインデックス、及びAHoナンバリングスキーム(Honegger A.and Plueckthun A.J Mol Biol.2001 Jun 8;309(3):657-70)の双方を、本発明において使用することができる。所与の抗体のアミノ酸位置、並びに相補性決定領域(CDR)及びフレームワーク領域(FR)は、いずれの系を使用しても識別され得る。例えば、39、44、183、356、357、370、392、399、及び409のEU重鎖位置はそれぞれ、AHo重鎖位置46、51、230、484、485、501、528、535、及び551に等しい。同様に、EU軽鎖位置38、100、及び176はそれぞれ、AHO軽鎖位置46、141、及び230に等しい。
抗体をパパインで消化すると、「Fab」断片と呼ばれる2つの同一の抗原結合性断片(各々が単一の抗原結合部位を有する)及び残部の「Fc」断片(免疫グロブリン定常領域を含有する)が生成される。Fab断片は、可変ドメイン、並びに軽鎖の定常ドメイン及び重鎖の第1の定常ドメイン(CH1)の全てを含有する。ゆえに、「Fab断片」は、1つの免疫グロブリン軽鎖(軽鎖可変領域(VL)及び定常領域(CL))、並びに1つの免疫グロブリン重鎖のCH1領域及び可変領域(VH)で構成される。Fab分子の重鎖は、別の重鎖分子とジスルフィド結合を形成することができない。Fc断片は炭水化物を示し、抗体のあるクラスを別のクラスと区別する多くの抗体エフェクタ機能(結合補体及び細胞受容体等)を担う。「Fd断片」は、免疫グロブリン重鎖由来のVHドメイン及びCH1ドメインを含む。Fd断片は、Fab断片の重鎖構成要素を表す。
「Fab’断片」は、CH1ドメインのC末端にて、抗体ヒンジ領域由来の1つ以上のシステイン残基を有するFab断片である。
「F(ab’)断片」は、重鎖間のジスルフィド架橋によってヒンジ領域にて連結されている、2つのFab’断片を含む二価の断片である。
「Fv」断片は、抗体由来の完全抗原認識結合部位を含有する最小の断片である。この断片は、緊密な非共有結合状態にある、1つの免疫グロブリン重鎖可変領域(VH)及び1つの免疫グロブリン軽鎖可変領域(VL)の二量体からなる。この構成において、各可変領域の3つのCDRが相互作用して、VH-VL二量体の表面上に抗原結合部位を定義する。単一の軽鎖又は重鎖の可変領域(又は抗原に特異的な3つのCDRのみを含むFv断片の半分)は、抗原を認識してこれに結合する能力を有するが、VH及びVLの双方を含む結合部位全体よりも親和性が低い。
本明細書中で、「可変ドメイン」と互換的に使用される「可変領域」(軽鎖の可変領域(VL)、重鎖の可変領域(VH))は、抗体の、抗原への結合に直接関与する、免疫グロブリン軽鎖及び免疫グロブリン重鎖のそれぞれにおける領域を指す。先で考察されるように、可変軽鎖領域及び可変重鎖領域は、同じ一般構造を有し、各領域は、4つのフレームワーク(FR)領域を含み、それらの配列は、広範に保存されており、3つのCDRによって連結されている。フレームワーク領域は、ベータ-シート構造を採用し、CDRは、ベータ-シート構造を連結するループを形成し得る。各鎖内のCDRは、フレームワーク領域によって三次元構造で保持されて、他方の鎖由来のCDRと一緒になって抗原結合部位を形成する。
「免疫グロブリンドメイン」は、免疫グロブリンのアミノ酸配列と類似したアミノ酸配列を含み、且つ少なくとも2つのシステイン残基を含むおおよそ100個のアミノ酸残基を含むペプチドを表す。免疫グロブリンドメインの例として、免疫グロブリン重鎖のVH、CH1、CH2、及びCH3、並びに免疫グロブリン軽鎖のVL及びCLが挙げられる。また、免疫グロブリンドメインは、免疫グロブリン以外のタンパク質中で見出される。免疫グロブリン以外のタンパク質中の免疫グロブリンドメインの例として、免疫グロブリンスーパーファミリーに属するタンパク質中に含まれる免疫グロブリンドメイン、例えば、主要組織適合性複合体(MHC)、CD1、B7、及びT細胞受容体(TCR)が挙げられる。いずれの免疫グロブリンドメインも、本発明の多価抗体用の免疫グロブリンドメインとして使用することができる。
ヒト抗体において、CH1は、EUインデックスの118~215位にてアミノ酸配列を有する領域を意味する。「ヒンジ領域」と呼ばれる高度にフレキシブルなアミノ酸領域が、CH1とCH2との間に存在する。CH2は、EUインデックスの231~340位にてアミノ酸配列を有する領域を表し、CH3は、EUインデックスの341~446位にてアミノ酸配列を有する領域を表す。
「CL」は、軽鎖の定常領域を表す。ヒト抗体のκ鎖の場合、CLは、EUインデックスの108~214位にてアミノ酸配列を有する領域を表す。λ鎖において、CLは、108~215位にてアミノ酸配列を有する領域を表す。
標的抗原に特異的に結合する結合ドメインは、a)当該抗原に対する既知の抗体に、又はb)抗原タンパク質若しくはその断片を使用する新規な免疫化法によって、ファージディスプレイによって、若しくは他のルーチンの方法によって得られる新規な抗体若しくは抗体断片に由来するものとすることができる。多重特異性抗体構築体の結合ドメインが由来する抗体は、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、組換え抗体、ヒト抗体、又はヒト化抗体とすることができる。特定の実施形態において、結合ドメインが由来する抗体は、モノクローナル抗体である。これらの、又は他の実施形態において、抗体は、ヒト抗体又はヒト化抗体であり、IgG1型、IgG2型、IgG3型、又はIgG4型のものとすることができる。
本明細書中で使用される用語「モノクローナル抗体」(又は「mAb」)は、実質的に均質な抗体の集団から得られる抗体を指す。即ち、集団を構成する個々の抗体は、微量で存在し得る、可能性のある天然に存在する変異以外は、同一である。モノクローナル抗体は、特異性が高く、様々なエピトープに向けられる様々な抗体を典型的に含むポリクローナル抗体製剤とは対照的に、個別の抗原部位又はエピトープに向けられる。モノクローナル抗体は、当該技術において知られているあらゆる技術を使用して、例えば、免疫化スケジュールの完了後にトランスジェニック動物から収穫した脾臓細胞を不死化することによって、生成されてもよい。脾臓細胞は、当該技術において知られているあらゆる技術を使用して、例えば、脾臓細胞を骨髄腫細胞と融合させてハイブリドーマを生成することによって、不死化することができる。ハイブリドーマを生成する融合手順に使用される骨髄腫細胞は、非抗体産生性であり、融合効率が高く、且つ所望の融合細胞(ハイブリドーマ)のみの増殖を支持する特定の選択培地中での増殖を不能にする酵素欠損がある。マウス融合における使用に適切な細胞株の例として、Sp-20、P3-X63/Ag8、P3-X63-Ag8.653、NS1/1.Ag4 1、Sp210-Ag14、FO、NSO/U、MPC-11、MPC11-X45-GTG1.7、及びS194/5XXO Bulが挙げられ;ラット融合に使用される細胞株の例として、R210.RCY3、Y3-Ag1.2.3、IR983F、及び4B210が挙げられる。細胞融合に有用な他の細胞株として、U-266、GM1500-GRG2、LICR-LON-HMy2、及びUC729-6がある。
一部の例では、動物(例えば、ヒト免疫グロブリン配列を有するトランスジェニック動物)を標的抗原免疫原で免疫化して;免疫化した動物から脾臓細胞を収穫して;収穫した脾臓細胞を骨髄腫細胞株に融合させることよって、ハイブリドーマ細胞を生成して;ハイブリドーマ細胞からハイブリドーマ細胞株を確立して;標的抗原に結合する抗体を産生するハイブリドーマ細胞株を識別することによって、ハイブリドーマ細胞株が生成される。
ハイブリドーマ細胞株によって分泌されるモノクローナル抗体は、当該技術において知られているあらゆる技術、例えば、プロテインA-Sepharose、ヒドロキシアパタイトクロマトグラフィ、ゲル電気泳動、透析、又はアフィニティクロマトグラフィを使用して精製することができる。ハイブリドーマ又はmAbをさらにスクリーニングして、標的抗原を発現している細胞に結合する能力、標的抗原の、そのそれぞれの受容体若しくはリガンドへの結合をブロック若しくは妨害する能力、又は標的抗原のいずれをも機能的にブロックする能力等の特定の性質を有するmAbを識別することができる。
一部の実施形態において、本発明の多重特異性抗体構築体の結合ドメインは、標的抗原に対するヒト化抗体に由来してもよい。「ヒト化抗体」は、領域(例えばフレームワーク領域)が、ヒト免疫グロブリン由来の対応する領域を含むように修飾されている抗体を指す。一般に、ヒト化抗体は、最初に非ヒト動物において作られたモノクローナル抗体から生成することができる。典型的には抗体の非抗原認識部分に由来する、このモノクローナル抗体内のある特定のアミノ酸残基が、対応するアイソタイプのヒト抗体内の対応する残基と相同となるように修飾されている。ヒト化は、例えば、齧歯類可変領域の少なくとも一部を、ヒト抗体の対応する領域に置換することによる種々の方法を使用して実行することができる(例えば、米国特許第5,585,089号明細書及び米国特許第5,693,762号明細書、Jones et al.,Nature,Vol.321:522-525,1986;Riechmann et al.,Nature,Vol.332:323-27,1988;Verhoeyen et al.,Science,Vol.239:1534-1536,1988参照)。別の種において生成された抗体の軽鎖可変領域及び重鎖可変領域のCDRは、コンセンサスヒトFRにグラフト化することができる。コンセンサスヒトFRを作出するために、幾つかのヒト重鎖アミノ酸配列又はヒト軽鎖アミノ酸配列由来のFRをアラインして、コンセンサスアミノ酸配列を同定してもよい。
本発明の多重特異性抗体構築体の結合ドメインが由来し得る標的抗原に対して生成される新規な抗体を、完全ヒト抗体とすることができる。「完全ヒト抗体」は、ヒト生殖系列の免疫グロブリン配列に由来する可変領域及び定常領域を含む抗体である。完全ヒト抗体の生成を実施するために提供される具体的な一手段として、マウス体液性免疫系の「ヒト化」がある。内因性のIg遺伝子が不活化されたマウス中への、ヒト免疫グロブリン(Ig)遺伝子座の導入は、所望のあらゆる抗原で免疫化することができる動物であるマウスにおいて完全ヒトモノクローナル抗体(mAb)を生成する一手段である。完全ヒト抗体を使用すると、マウスのmAb又はマウス由来のmAbを治療剤としてヒトに投与することによって生じることがあり得る免疫原性及びアレルギー性の応答を最小化することができる。
完全ヒト抗体は、内因性の免疫グロブリンの産生の不在下で、ヒト抗体のレパートリーを産生することができるトランスジェニック動物(通常はマウス)を免疫化することによって生成することができる。この目的のための抗原は、典型的に、6つ以上の連続アミノ酸を有し、そして場合によっては、ハプテン等の担体にコンジュゲートされている。例えば、Jakobovits et al.,1993,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 90:2551-2555、Jakobovits et al.,1993,Nature 362:255-258及びBruggermann et al.,1993,Year in Immunol.7:33参照。そのような方法の一例では、トランスジェニック動物は、マウスの免疫グロブリン重鎖及び免疫グロブリン軽鎖をコードする内因性のマウス免疫グロブリン遺伝子座を無能化し、且つヒト重鎖タンパク質及び軽鎖タンパク質をコードする遺伝子座を含有するヒトゲノムDNAの大型断片をマウスゲノム中に挿入することによって生成される。次いで、ヒト免疫グロブリン遺伝子座の完全補体よりも少ない補体を有する部分的に修飾された動物を交雑して、所望の免疫系修飾を全て有する動物が得られる。免疫原が投与されると、当該トランスジェニック動物は、その免疫原に免疫特異性があるが、可変領域を含めて、マウスのアミノ酸配列ではなく、ヒトのアミノ酸配列を有する抗体を産生する。そのような方法の更なる詳細については、例えば、国際公開第96/33735号パンフレット及び国際公開第94/02602号パンフレット参照。ヒト抗体を作製するためのトランスジェニックマウスに関連する更なる方法は、米国特許第5,545,807号明細書、米国特許第6,713,610号明細書、米国特許第6,673,986号明細書、米国特許第6,162,963号明細書、米国特許第5,939,598号明細書、米国特許第5,545,807号明細書、米国特許第6,300,129号明細書、米国特許第6,255,458号明細書、米国特許第5,877,397号明細書、米国特許第5,874,299号明細書、及び米国特許第5,545,806号明細書、PCT公報の国際公開第91/10741号パンフレット、国際公開第90/04036号パンフレット、国際公開第94/02602号パンフレット、国際公開第96/30498号パンフレット、国際公開第98/24893号パンフレット、並びに欧州特許第546073B1号明細書及び欧州特許出願公開第546073A1号明細書に記載されている。
本明細書中で「HuMab」マウスと称される上記のトランスジェニックマウスは、内因性のミュー及びカッパ鎖遺伝子座を不活化する標的変異と共に、再配列されていないヒト重鎖(ミュー及びガンマ)及びカッパ軽鎖免疫グロブリン配列をコードするヒト免疫グロブリン遺伝子ミニ遺伝子座を含有する(Lonberg et al.,1994,Nature 368:856-859)。従って、マウスは、マウスIgM又はカッパの発現の引下げを示し、且つ免疫化に応答して、導入されたヒト重鎖及び軽鎖導入遺伝子は、クラススイッチ及び体細胞変異を受けて、高親和性ヒトIgGカッパモノクローナル抗体を生成する(Lonberg et al.,前掲;Lonberg and Huszar,1995,Intern.Rev.Immunol.13:65-93;Harding and Lonberg,1995,Ann.N.Y Acad.Sci.764:536-546)。HuMabマウスの調製は、Taylor et al.,1992,Nucleic Acids Research 20:6287-6295;Chen et al.,1993,International Immunology 5:647-656;Tuaillon et al.,1994,J.Immunol.152:2912-2920;Lonberg et al.,1994,Nature 368:856-859;Lonberg,1994,Handbook of Exp.Pharmacology 113:49-101;Taylor et al.,1994,International Immunology 6:579-591;Lonberg and Huszar,1995,Intern.Rev.Immunol.13:65-93;Harding and Lonberg,1995,Ann.N.Y Acad.Sci.764:536-546;Fishwild et al.,1996,Nature Biotechnology 14:845-851に詳細に記載されており、これらの文献は、全ての目的のためにそれらの全体が参照により本明細書に組み込まれる。さらに、米国特許第5,545,806号明細書、米国特許第5,569,825号明細書、米国特許第5,625,126号明細書、米国特許第5,633,425号明細書、米国特許第5,789,650号明細書、米国特許第5,877,397号明細書、米国特許第5,661,016号明細書、米国特許第5,814,318号明細書、米国特許第5,874,299号明細書、及び米国特許第5,770,429号明細書、並びに米国特許第5,545,807号明細書、国際公開第93/1227号パンフレット、国際公開第92/22646号パンフレット、及び国際公開第92/03918号パンフレット参照(これらの全ての開示は、全ての目的のためにそれらの全体が参照により本明細書に組み込まれる)。こうした遺伝子導入マウスにおけるヒト抗体の生成に利用される技術は、国際公開第98/24893号パンフレット及びMendez et al.,1997,Nature Genetics 15:146-156においても開示されており、これらは参照によって本明細書に組み込まれる。
また、ヒト由来抗体は、ファージディスプレイ技術を使用して生成することもできる。ファージディスプレイは、例えば、Dower et al.,国際公開第91/17271号パンフレット、McCafferty et al.,国際公開第92/01047号パンフレット、及びCaton and Koprowski,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,87:6450-6454(1990)に記載されており、これらは各々、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。ファージ技術によって生成される抗体は、通常、細菌において、抗原結合断片、例えばFv又はFab断片として生成されるので、エフェクタ機能を欠いている。エフェクタ機能を、2つの戦略のうち1つによって導入することができる。断片を操作して、必要に応じて、哺乳動物細胞内で発現する完全な抗体にすることも、エフェクタ機能をトリガーすることができる第2の結合部位を有する多重特異性抗体断片にすることもできる。典型的には、抗体のFd断片(VH-CH1)及び軽鎖(VL-CL)が、PCRによって別々にクローニングされて、コンビナトリアルファージディスプレイライブラリ内でランダムに組み換えられてから、特定の抗原への結合について選択され得る。抗体断片は、ファージ表面上に発現されて、Fv又はFabの、抗原結合による選択(従って、抗体断片をコードするDNAを含有するファージ)は、パニングと称される手順である抗原結合及び再増幅を数ラウンド行うことによって達成される。抗原に特異的な抗体断片が富化されて、最終的に単離される。また、ファージディスプレイ技術を、「ガイデッドセレクション(guided selection)」と呼ばれる、齧歯類モノクローナル抗体のヒト化のためのアプローチに使用することができる(Jespers,L.S.,et al.,Bio/Technology 12,899-903(1994)参照)。これについては、マウスモノクローナル抗体のFd断片を、ヒト軽鎖ライブラリと組み合わせて提示することができ、そして生じたハイブリッドFabライブラリを次に、抗原により選択することができる。これにより、マウスFd断片は、選択をガイドするテンプレートを提供する。続いて、選択されたヒト軽鎖は、ヒトFd断片ライブラリと組み合わされる。生じたライブラリの選択により、完全なヒトFabが得られる。
本明細書中で使用される用語「同一性」は、配列をアラインして比較することによって判定される、2つ以上のポリペプチド分子又は2つ以上の核酸分子の配列間の関係を指す。本明細書中で使用される「同一性パーセント」は、比較する分子中のアミノ酸又はヌクレオチド間の同一残基のパーセントを意味し、比較することになる分子の最小のサイズに基づいて算出される。当該算出のために、アラインメントにおけるギャップ(存在する場合)に、特定の数学的モデル又はコンピュータプログラム(即ち「アルゴリズム」)によって対処しなければならない。アラインした核酸又はポリペプチドの同一性を算出するのに使用され得る方法として、Computational Molecular Biology(Lesk,A.M.,ed.),1988,New York:Oxford University Press;Biocomputing Informatics and Genome Projects,(Smith,D.W.,ed.),1993,New York:Academic Press;Computer Analysis of Sequence Data,Part I,(Griffin,A.M.,and Griffin,H.G.,eds.),1994,New Jersey:Humana Press;von Heinje,G.,1987,Sequence Analysis in Molecular Biology,New York:Academic Press;Sequence Analysis Primer,(Gribskov,M.and Devereux,J.,eds.),1991,New York:M.Stockton Press;及びCarillo et al.,1988,SIAM J.Applied Math.48:1073に記載されるものが挙げられる。例えば、配列同一性を、2つのポリペプチドのアミノ酸の位置の類似性を比較するのに一般に使用されている標準的な方法によって判定することができる。BLAST又はFASTA等のコンピュータプログラムを使用して、2つのポリペプチド又は2つのポリヌクレオチド配列を、それらのそれぞれの残基が最適にマッチするようにアラインする(一方若しくは双方の配列の全長に沿って、又は一方若しくは双方の配列の所定の部分に沿って)。プログラムは、デフォルトのオープニングペナルティ及びデフォルトのギャップペナルティを与える。PAM 250(標準スコアリングマトリックス;Dayhoff et al.,in Atlas of Protein Sequence and Structure,vol.5,supp.3(1978)を参照)等のスコアリングマトリックスを、コンピュータプログラムと共に使用することができる。次いで、例えば、同一性パーセントを次のように算出することができる:完全マッチの総数に100を掛けてから、マッチしたスパン内のより長い配列の長さと、2つの配列をアラインするために、より長い配列中に導入されたギャップの数との合計で割る。同一性パーセントの算出では、比較されることになる配列は、配列間のマッチを最大化するようにアラインされる。
GCGプログラムパッケージは、同一性パーセントを判定するのに使用することができるコンピュータプログラムであり、当該パッケージはGAPを含む(Devereux et al.,1984,Nucl.Acid Res.12:387;Genetics Computer Group,University of Wisconsin,Madison,WI)。コンピュータアルゴリズムGAPは、配列同一性パーセントを判定しようとする2つのポリペプチド又は2つのポリヌクレオチドをアラインするのに使用される。配列は、そのそれぞれのアミノ酸又はヌクレオチドの最適なマッチングが得られるようにアラインされる(アルゴリズムによって決定される「マッチドスパン(matched span)」)。ギャップオープニングペナルティ(3×平均対角(average diagonal)として算出され、「平均対角」は、使用されることになる比較マトリックスの対角の平均であり;「対角」は、特定の比較マトリックスによってそれぞれの完全アミノ酸マッチに割り当てられるスコア又は数である)及びギャップエクステンションペナルティ(通常、ギャップオープニングペナルティの1/10倍である)、並びにPAM 250又はBLOSUM 62等の比較マトリックスが、アルゴリズムと共に使用される。特定の実施形態において、標準比較マトリックス(PAM 250比較マトリックスについては、Dayhoff et al.,1978,Atlas of Protein Sequence and Structure 5:345-352参照;BLOSUM 62比較マトリックスについては、Henikoff et al.,1992,Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.89:10915-10919参照)もまた、アルゴリズムによって使用される。
GAPプログラムを使用してポリペプチド又はヌクレオチド配列の同一性パーセントを判定するのに推奨されるパラメータとして、以下が挙げられる:
アルゴリズム:Needleman et al.,1970,J.Mol.Biol.48:443-453;
比較マトリックス:Henikoff et al.,1992、前掲のBLOSUM 62;
ギャップペナルティ:12(但し、エンドギャップに対するペナルティなし)
ギャップ長ペナルティ:4
類似性の閾値:0
2つのアミノ酸配列をアラインするための特定のアラインメントスキームが、2つの配列の短い領域のみのマッチングをもたらし得、このアラインされた小さい領域は、2つの全長配列間に有意な関係がないにも拘わらず、非常に高い配列同一性を有し得る。従って、選択したアラインメント方法(GAPプログラム)を、必要に応じて調節して、標的ポリペプチドの少なくとも50個の連続するアミノ酸にわたるアラインメントをもたらすことができる。
本明細書中で使用される用語「抗体」は、2つの軽鎖ポリペプチド(それぞれ約25kDa)及び2つの重鎖ポリペプチド(それぞれ約50~70kDa)を含む四量体免疫グロブリンタンパク質を指す。用語「軽鎖」又は「免疫グロブリン軽鎖」は、アミノ末端からカルボキシル末端までに、単一の免疫グロブリン軽鎖可変領域(VL)及び単一の免疫グロブリン軽鎖定常ドメイン(CL)を含むポリペプチドを指す。免疫グロブリン軽鎖定常ドメイン(CL)は、カッパ(κ)又はラムダ(λ)とすることができる。用語「重鎖」又は「免疫グロブリン重鎖」は、アミノ末端からカルボキシル末端までに、単一の免疫グロブリン重鎖可変領域(VH)、免疫グロブリン重鎖定常ドメイン1(CH1)、免疫グロブリンヒンジ領域、免疫グロブリン重鎖定常ドメイン2(CH2)、免疫グロブリン重鎖定常ドメイン3(CH3)、及び場合によっては免疫グロブリン重鎖定常ドメイン4(CH4)を含むポリペプチドを指す。重鎖は、ミュー(μ)、デルタ(Δ)、ガンマ(γ)、アルファ(α)、及びイプシロン(ε)として分類され、抗体のアイソタイプをそれぞれIgM、IgD、IgG、IgA、及びIgEと定義する。IgGクラス抗体及びIgAクラス抗体はさらに、サブクラス、即ち、IgG1、IgG2、IgG3、及びIgG4、並びにIgA1及びIgA2にそれぞれ分けられる。IgG抗体、IgA抗体、及びIgD抗体の重鎖は、3つのドメイン(CH1、CH2、及びCH3)を有し、IgM抗体及びIgE抗体の重鎖は、4つのドメイン(CH1、CH2、CH3、及びCH4)を有する。免疫グロブリン重鎖定常ドメインは、サブタイプが挙げられるあらゆる免疫グロブリンアイソタイプに由来するものとすることができる。抗体鎖は、CLドメインとCH1ドメインとの間(即ち、軽鎖と重鎖との間)の、そして抗体重鎖のヒンジ領域間のポリペプチド間ジスルフィド結合を介して連結されている。
多重特異性抗体構築体は、あらゆる免疫グロブリン定常領域を含むことができる。本明細書中で使用される用語「定常領域」は、可変領域以外の抗体の全てのドメインを指す。定常領域は、抗原の結合に直接には関与しないが、種々のエフェクタ機能を発揮する。上記のように、抗体は、その重鎖の定常領域のアミノ酸配列に応じて、特定のアイソタイプ(IgA、IgD、IgE、IgG、及びIgM)及びサブタイプ(IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1、IgA2)に分けられる。軽鎖定常領域は、例えば、カッパ型又はラムダ型の軽鎖定常領域、例えば、5つの抗体アイソタイプ全てにおいて見出されるヒトのカッパ型又はラムダ型の軽鎖定常領域とすることができる。ヒト免疫グロブリン軽鎖定常領域配列の例を、以下の表に示す。
Figure 2023501717000002
多重特異性抗体構築体の重鎖定常領域は、例えば、アルファ型、デルタ型、イプシロン型、ガンマ型、又はミュー型の重鎖定常領域、例えば、ヒトのアルファ型、デルタ型、イプシロン型、ガンマ型、又はミュー型の重鎖定常領域とすることができる。一部の実施形態において、多重特異性抗体構築体は、IgG1、IgG2、IgG3、又はIgG4免疫グロブリン由来の重鎖定常領域を含む。一実施形態において、多重特異性抗体構築体は、ヒトIgG1免疫グロブリン由来の重鎖定常領域を含む。別の実施形態において、多重特異性抗体構築体は、ヒトIgG2免疫グロブリン由来の重鎖定常領域を含む。ヒトIgG1及びIgG2重鎖定常領域配列の例を、以下の表5に示す。
Figure 2023501717000003
可変領域が、先の軽鎖定常領域及び重鎖定常領域に結合されて、それぞれ完全な抗体軽鎖及び抗体重鎖が形成されてもよい。さらに、このようにして生成された重鎖ポリペプチド及び軽鎖ポリペプチドの各々が組み合わされて、多重特異性抗体構築体が形成されてもよい。本明細書中で提供される重鎖可変領域及び軽鎖可変領域は、先で列挙された例示的な配列と異なる配列を有する他の定常ドメインにも結合され得ることが理解されるべきである。
本発明の特定の実施形態において、2つの異なるFcドメインが使用されて、本発明のヘテロ二量体分子が形成されている。多重特異性抗体構築体へのFc鎖及び重鎖のアセンブリを促進するために、多重特異性抗体構築体のFc含有ポリペプチドの各々由来のFcドメイン及び重鎖のFcドメインを操作して、ミス塩基対形成分子の形成を減少させることができる。例えば、ホモダイマーFc形成に対してヘテロダイマーFc形成を促進する一アプローチが、いわゆる「ノブ・イントゥ・ホール」法であり、これは、接触インターフェイスにて2つの異なる抗体重鎖Fc領域のCH3ドメイン中に変異を導入することを含む。具体的には、一方の抗体重鎖Fc領域内の1つ以上のかさ高い(bulky)アミノ酸が、短い側鎖を有するアミノ酸(例えば、アラニン又はトレオニン)で置換されて「ホール」が生じる一方、大きな側鎖を有する1つ以上のアミノ酸(例えば、チロシン又はトリプトファン)が、他方の重鎖中に導入されて「ノブ」が生じる。修飾重鎖Fc領域が共発現される場合、ホモダイマー(ホール-ホール又はノブ-ノブ)と比較してより大きなパーセンテージのヘテロダイマー(ノブ-ホール)が形成される。「ノブ・イントゥ・ホール」方法論は、国際公開第96/027011号パンフレット;Ridgway et al.,Protein Eng.,Vol.9:617-621,1996;及びMerchant et al.,Nat,Biotechnol.,Vol.16:677-681,1998に詳述されており、これらは全て、それらの全体が参照によって本明細書に組み込まれる。
ホモダイマー形成を除外する、ヘテロダイマー形成を促進する別のアプローチは、静電ステアリング機構を利用することを伴う(Gunasekaran et al.,J.Biol.Chem.,Vol.285:19637-19646,2010参照、この文献は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。このアプローチは、2つの異なるFc領域が、静電引力を引き起こす反対荷電を介して関連するように、各Fc領域内のCH3ドメイン内の荷電残基を導入又は利用することを含む。同一のFc領域のホモ二量体化は不都合である。なぜなら、同一のFc領域は、同じ荷電を有することで反発するからである。静電ステアリング技術、並びにヘテロダイマー及び正確な軽鎖/重鎖対形成を促進するのに適切な荷電対変異が、国際公開第2009089004号パンフレット及び国際公開第2014081955号パンフレットに記載されており、これらは双方とも、それらの全体が参照によって本明細書に組み込まれる。
特定の実施形態において、370、392、及び409(EUナンバリング系)から選択される一方のCH3ドメインの1つ以上の位置のアミノ酸(例えばリシン)が、負荷電アミノ酸(例えば、アスパラギン酸及びグルタミン酸)で置換されており、他方のCH3ドメインの356、357、及び399(EUナンバリング系)から選択される1つ以上の位置のアミノ酸(例えば、アスパラギン酸又はグルタミン酸)が、正荷電アミノ酸(例えば、リシン、ヒスチジン、及びアルギニン)で置換されている。
特定の実施形態において、多重特異性抗体構築体は、392位及び409位に負荷電アミノ酸(例えば、K392D及びK409Dの置換)を含む第1のCH3含有ポリペプチド(重鎖又はFcドメイン)、及び356位及び399位に正荷電アミノ酸(例えば、E356K及びD399Kの置換)を含む第2のCH3含有ポリペプチドを含む。他の特定の実施形態において、多重特異性抗体構築体は、392位、409位、及び370位に負荷電アミノ酸(例えば、K392D、K409D、及びK370Dの置換)を含む第1のCH3含有ポリペプチド、並びに356位、399位及び357位に正荷電アミノ酸(例えば、E356K、D399K、及びE357Kの置換)を含む第2のCH3含有ポリペプチドを含む。
一実施形態において、ミス塩基対形成の問題は、Fcドメインを重鎖にリンカーを介して連結することによって回避される。そのような例において、重鎖及びFcドメインは、単鎖Fc(scFc)を形成することができる。
定常ドメインのいずれも、多重特異性抗体構築体の正確なアセンブリを促進するために、上述の荷電対変異の1つ以上を含有するように修飾することができる。
また、本発明の多重特異性抗体構築体は、重鎖及び/又は軽鎖を含む抗体を包含し、重鎖及び軽鎖のいずれか1つに関して、例えば、抗体が発現される宿主細胞のタイプから生じる翻訳後修飾に起因して、1、2、3、4、又は5つのアミノ酸残基が、N末端若しくはC末端、又は双方から欠けている。例えば、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞は、抗体重鎖からC末端リシンを高頻度で切断する。
本明細書中で使用される用語「Fc領域」は、インタクトな抗体のパパイン消化によって生成され得る免疫グロブリン重鎖のC末端領域を指す。免疫グロブリンのFc領域は、一般に、2つの定常ドメイン、即ちCH2ドメイン及びCH3ドメインを含み、そして場合によってはヒンジドメインを含む。特定の実施形態において、Fc領域は、IgG1、IgG2、IgG3、又はIgG4免疫グロブリン由来のFc領域である。一部の実施形態において、Fc領域は、ヒトIgG1又はヒトIgG2免疫グロブリン由来のCH2ドメイン及びCH3ドメインを含む。Fc領域は、C1q結合、補体依存性細胞傷害(CDC)、Fc受容体結合、抗体依存性細胞媒介性細胞傷害(ADCC)、及びファゴサイトーシス等のエフェクタ機能を保持し得る。他の実施形態において、Fc領域は、本明細書中にさらに詳細に記載されるように、エフェクタ機能を引き下げるか、又は排除するように修飾される場合がある。
本発明の多重特異性抗体構築体の特定の実施形態において、Fc領域のアミノ末端に配置された結合ドメイン(即ちアミノ末端結合ドメイン)は、Fc領域のアミノ末端に、本明細書中に記載されるペプチドリンカーを介して、又は免疫グロブリンヒンジ領域を介して融合したFabフラグメントである。「免疫グロブリンヒンジ領域」は、免疫グロブリン重鎖のCH1ドメインとCH2ドメインとを連結するアミノ酸配列を指す。ヒトIgG1のヒンジ領域は、通常、約Glu216又は約Cys226から、約Pro230までのアミノ酸配列と定義される。他のIgGアイソタイプのヒンジ領域は、同じ位置において重鎖間ジスルフィド結合を形成するように最初と最後のシステイン残基を配置することによって、IgG1配列とアラインすることができ、当業者であれば決定可能である。一部の実施形態において、アミノ末端結合ドメインは、ヒトIgG1ヒンジ領域を介してFc領域のアミノ末端に結合される。他の実施形態において、アミノ末端結合ドメインは、ヒトIgG2ヒンジ領域を介してFc領域のアミノ末端に結合される。一実施形態において、アミノ末端結合ドメイン(例えばFabフラグメント)は、Fc領域に、FabのCH1領域のカルボキシル末端を介して融合している。
本明細書中で使用される用語「修飾された重鎖」は、免疫グロブリン重鎖、特にヒトIgG1又はヒトIgG2重鎖、及び機能的抗体断片(例えばscFv)を含む融合タンパク質を指し、その断片又は部分は、重鎖のN末端又はC末端に、場合によってはペプチドリンカーを介して、融合している。
本明細書中で使用される用語「修飾された軽鎖」は、免疫グロブリン軽鎖及び機能的抗体断片(例えばscFv)を含む融合タンパク質を指し、その断片又は部分は、軽鎖のN末端又はC末端に、場合によってはペプチドリンカーを介して、融合している。
本明細書中に記載される多重特異性抗体構築体の重鎖定常領域又はFc領域は、抗原結合タンパク質のグリコシル化及び/又はエフェクタ機能に影響する1つ以上のアミノ酸置換を含んでもよい。免疫グロブリンのFc領域の機能の1つが、免疫グロブリンがその標的に結合している場合に免疫系に伝達することである。これは、一般に「エフェクタ機能」と称される。伝達は、抗体依存性細胞傷害(ADCC)、抗体依存性細胞貪食(ADCP)、及び/又は補体依存性細胞傷害(CDC)に至る。ADCC及びADCPは、免疫系の細胞の表面上のFc受容体へのFc領域の結合を介して媒介される。CDCは、補体系のタンパク質、例えばC1qとのFcの結合を介して媒介される。一部の実施形態において、本発明の多重特異性抗体構築体は、ADCC活性、CDC活性、ADCP活性が挙げられるエフェクタ機能、及び/又は抗原結合タンパク質のクリアランス若しくは半減期を増強するような1つ以上のアミノ酸置換を定常領域内に含む。エフェクタ機能を増強することができる例示的なアミノ酸置換(EUナンバリング)として、以下に限定されないが、E233L、L234I、L234Y、L235S、G236A、S239D、F243L、F243V、P247I、D280H、K290S、K290E、K290N、K290Y、R292P、E294L、Y296W、S298A、S298D、S298V、S298G、S298T、T299A、Y300L、V305I、Q311M、K326A、K326E、K326W、A330S、A330L、A330M、A330F、I332E、D333A、E333S、E333A、K334A、K334V、A339D、A339Q、P396L、又は上記のあらゆる組合せが挙げられる。
他の実施形態において、本発明の多重特異性抗体構築体は、エフェクタ機能を引き下げるような1つ以上のアミノ酸置換を定常領域内に含む。エフェクタ機能を引き下げることができる例示的なアミノ酸置換(EUナンバリング)として、以下に限定されないが、C220S、C226S、C229S、E233P、L234A、L234V、V234A、L234F、L235A、L235E、G237A、P238S、S267E、H268Q、N297A、N297G、V309L、E318A、L328F、A330S、A331S、P331S、又は上記のあらゆる組合せが挙げられる。
グリコシル化が、抗体、特にIgG1抗体のエフェクタ機能に寄与し得る。ゆえに、一部の実施形態において、本発明の多重特異性抗体構築体は、結合タンパク質のグリコシル化のレベル又はタイプに影響を及ぼす1つ以上のアミノ酸置換を含んでいてもよい。ポリペプチドのグリコシル化は、典型的に、N結合型又はO結合型のいずれかである。N結合は、アスパラギン残基の側鎖への炭水化物部分の結合を指す。トリペプチド配列のアスパラギン-X-セリン及びアスパラギン-X-トレオニン(Xは、プロリン以外のあらゆるアミノ酸である)は、アスパラギン側鎖への炭水化物部分の酵素的結合のための認識配列である。ゆえに、ポリペプチド中にこれらのトリペプチド配列のいずれかが存在すると、潜在的なグリコシル化部位が作り出される。O結合型グリコシル化は、糖であるN-アセチルガラクトサミン、ガラクトース、又はキシロースのうち1つの、ヒドロキシアミノ酸、最も一般的にはセリン又はトレオニンへの結合を指すが、5-ヒドロキシプロリン又は5-ヒドロキシリシンを使用することもできる。
特定の実施形態において、本明細書中に記載される多重特異性抗体構築体のグリコシル化は、1つ以上のグリコシル化部位を、例えば結合タンパク質のFc領域に付加することによって、増大される。抗原結合タンパク質へのグリコシル化部位の付加は、上記のトリペプチド配列のうち1つ以上を含有するようにアミノ酸配列を改変することによって、簡便に達成することができる(N結合型グリコシル化部位の場合)。また、改変は、開始配列への1つ以上のセリン残基若しくはトレオニン残基の付加、又はこれらによる置換によってなされてもよい(O結合型グリコシル化部位の場合)。容易にするために、抗原結合タンパク質アミノ酸配列は、DNAレベルでの変化によって、特に、所望のアミノ酸に翻訳されることになるコドンが生成されるように、予め選択された塩基にて、標的ポリペプチドをコードするDNAを変異させることによって、改変されてもよい。
本発明はまた、炭水化物構造が改変されて、結果としてエフェクタ活性が改変されている二重特異性抗原結合タンパク質分子、例えば、フコシル化がないか又は減少して、ADCC活性の向上を示す抗原結合タンパク質の生成も包含する。フコシル化を減少させるか、又は排除する種々の方法が、当該技術において知られている。例えば、ADCCエフェクタ活性は、抗体分子の、FcγRIII受容体への結合によって媒介され、これは、CH2ドメインのN297残基でのN結合型グリコシル化の炭水化物構造に依存することが示されている。非フコシル化抗体は、高い親和性でこの受容体に結合して、FcγRIII媒介性エフェクタ機能を、天然のフコシル化抗体よりも効率的にトリガーする。例えば、アルファ-1,6-フコシルトランスフェラーゼ酵素がノックアウトされているCHO細胞における非フコシル化抗体の組換え生成により、ADCC活性が100倍増大した抗体が生じる(Yamane-Ohnuki et al.,Biotechnol Bioeng.87(5):614-22,2004参照)。同様の効果は、フコシル化経路におけるアルファ-1,6-フコシルトランスフェラーゼ酵素又は他の酵素の活性を低下させることによって、例えば、siRNA若しくはアンチセンスRNA処理、酵素をノックアウトするような細胞株の操作、又は選択的グリコシル化阻害剤を用いる培養によって、達成することができる(Rothman et al.,Mol Immunol.26(12):1113-23,1989参照)。一部の宿主細胞株、例えばLec13又はラットハイブリドーマYB2/0細胞株は、フコシル化レベルがより低い抗体を天然に産生する(Shields et al.,J Biol Chem.277(30):26733-40,2002及びShinkawa et al.,J Biol Chem.278(5):3466-73,2003参照)。また、例えば、GnTIII酵素を過剰発現する細胞において抗体を組換え生成することによる、二分された糖鎖レベルの増大により、ADCC活性が増大することが判明している(Umana et al.,Nat Biotechnol.17(2):176-80,1999参照)。
他の実施形態において、本明細書中に記載される多重特異性抗体構築体のグリコシル化は、例えば結合タンパク質のFc領域から、1つ以上のグリコシル化部位を除去することによって、低減又は排除される。N結合型グリコシル化部位を排除又は改変するアミノ酸置換により、抗原結合タンパク質のN結合型グリコシル化を減少させるか、又は排除することができる。特定の実施形態において、本明細書中に記載される多重特異性抗体構築体は、N297Q、N297A、又はN297G等のN297位(EUナンバリング)での変異を含む。特定の一実施形態において、本発明の多重特異性抗体構築体は、N297G変異を有する、ヒトIgG1抗体由来のFc領域を含む。N297変異を含む分子の安定性を向上させるために、分子のFc領域はさらに操作されてもよい。例えば、一部の実施形態において、Fc領域内の1つ以上のアミノ酸は、二量体状態でのジスルフィド結合形成を促進するように、システインで置換されている。ゆえに、IgG1 Fc領域のV259、A287、R292、V302、L306、V323、又はI332(EUナンバリング)に対応する残基が、システインで置換されていてもよい。一実施形態において、残基の特定の対が、互いにジスルフィド結合を優先的に形成するようにシステインで置換されることで、ジスルフィド結合スクランブリングを制限又は防止している。特定の実施形態において、対として、A287C及びL306C、V259C及びL306C、R292C及びV302C、並びにV323C及びI332Cが挙げられるが、これらに限定されない。特定の実施形態において、本明細書中に記載される多重特異性抗体構築体は、R292C及びV302Cの変異を有する、ヒトIgG1抗体由来のFc領域を含む。そのような実施形態において、Fc領域はまた、N297G変異を含んでもよい。特定の実施形態において、本明細書中に記載される多重特異性抗体構築体は、L234A及びL235Aの変異を有する、ヒトIgG1抗体由来のFc領域を含む。特定の実施形態において、本明細書中に記載される多重特異性抗体構築体は、N297G、R292C、V302C、L234A、及びL235Aの変異を有する、ヒトIgG1抗体由来のFc領域を含む。
また、例えば、サルベージ受容体(salvage receptor)結合エピトープの組込み若しくは付加による(例えば、適切な領域の変異による、又はエピトープをペプチドタグに組み込み、続いてこれを、例えばDNA若しくはペプチド合成によって、いずれかの末端又は中央にて抗原結合タンパク質に融合させることによる;例えば、国際公開第96/32478号パンフレット参照)、又は多糖ポリマーが挙げられるPEG若しくは他の水溶性ポリマー等の分子の付加による、血清半減期を延長するような本発明の多重特異性抗体構築体の修飾が所望される場合もある。サルベージ受容体結合エピトープは、好ましくは、Fc領域の1つ又は2つのループ由来のいずれか1つ以上のアミノ酸残基が、抗原結合タンパク質中の類似の位置に移される領域を構成する。一実施形態において、Fc領域の1つ又は2つのループ由来の3つ以上の残基が移される。一実施形態において、エピトープは、Fc領域(例えば、IgG Fc領域)のCH2ドメインからとられて、抗原結合タンパク質のCH1、CH3、若しくはVH領域、又は複数のそのような領域に移される。これ以外にも、エピトープは、Fc領域のCH2ドメインからとられて、抗原結合タンパク質のCL領域若しくはVL領域、又は双方に移される。Fc変異体及びその、サルベージ受容体との相互作用の説明については、国際公開第97/34631号パンフレット及び国際公開第96/32478号パンフレット参照。
本発明は、本明細書中に記載される多重特異性抗体構築体及びその構成要素をコードする、1つ以上の単離核酸を含む。本発明の核酸分子として、一本鎖及び二本鎖の双方の形態のDNA及びRNA、並びに対応する相補的配列が挙げられる。DNAの例として、cDNA、ゲノムDNA、化学的に合成されたDNA、PCRによって増幅されたDNA、及びそれらの組合せが挙げられる。本発明の核酸分子として、完全長遺伝子又はcDNA分子、並びにそれらの断片の組合せが挙げられる。一実施形態において、本発明の核酸は、ヒト供給源に由来するが、本発明には、非ヒト種に由来するものも含まれる。
免疫グロブリン又はその領域(例えば、可変領域、Fc領域等)又は注目するポリペプチド由来の関連するアミノ酸配列は、直接的タンパク質配列決定によって決定することができ、適切なコードヌクレオチド配列を、普遍コドン表に従って設計することができる。これ以外にも、本発明の多重特異性抗体構築体の結合ドメインが由来し得るモノクローナル抗体をコードするゲノムDNA又はcDNAを、従来の手順を使用して(例えば、モノクローナル抗体の重鎖及び軽鎖をコードする遺伝子に特異的に結合することができるオリゴヌクレオチドプローブを使用することによって)、そのような抗体を産生する細胞から単離して配列決定することができる。
本明細書中で「単離ポリヌクレオチド」と互換的に使用される「単離核酸」は、天然に存在する供給源から単離された核酸の場合、核酸が単離された生物のゲノム中に存在する隣接遺伝子配列から分離された核酸である。例えば、PCR産物、cDNA分子、又はオリゴヌクレオチド等、鋳型から酵素的に、又は化学的に合成される核酸の場合、そのようなプロセスに由来する核酸は、単離核酸であると理解される。単離核酸分子は、別個の断片の形態の核酸分子、又はより大きな核酸構築体の構成要素としての核酸分子を指す。一実施形態において、核酸は、夾雑する内因性物質を実質的に含まない。核酸分子は、実質的に純粋な形態で、且つ標準的な生化学的方法(例えば、Sambrook et al.,Molecular Cloning:A Laboratory Manual,2nd ed.,Cold Spring Harbor Laboratory,Cold Spring Harbor,NY(1989)に概説されているもの)によって、その構成要素ヌクレオチド配列の識別、操作、及び回収を可能にする量又は濃度で、少なくとも1回単離されたDNA又はRNAに由来した。そのような配列は、典型的には真核生物遺伝子内に存在する内部非翻訳配列又はイントロンによって中断されていないオープンリーディングフレームの形態で提供且つ/又は構築される。非翻訳DNAの配列は、オープンリーディングフレームから5’側又は3’側に存在することができ、この場所で当該配列は、コード領域の操作又は発現を妨害しない。特に明記しない限り、本明細書中で考察されるあらゆる単鎖ポリヌクレオチド配列の左側末端が5’末端であり、二本鎖ポリヌクレオチド配列の左側方向が5’方向と称される。新生RNA転写産物の5’から3’への産生の方向は、転写方向と称され、RNA転写産物の5’末端の5’側にあるRNA転写産物と同じ配列を有するDNA鎖上の配列領域は、「上流配列」と称され、RNA転写産物の3’末端の3’側にあるRNA転写産物と同じ配列を有するDNA鎖上の配列領域は、「下流配列」と称される。
本発明はまた、中程度にストリンジェントな条件下、高度にストリンジェントな条件下で、本明細書中に記載されるポリペプチドをコードする核酸にハイブリダイズする核酸も含む。ハイブリダイゼーション条件の選択に影響する基本パラメータ、及び適切な条件を考案するためのガイダンスは、Sambrook,Fritsch,and Maniatis(1989,Molecular Cloning:A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,N.Y.,chapters 9 and 11;及びCurrent Protocols in Molecular Biology,1995,Ausubel et al.,eds.,John Wiley&Sons,Inc.,sections 2.10 and 6.3-6.4)によって示されており、例えば、DNAの長さ及び/又は塩基組成に基づいて当業者が容易に決定することができる。中程度にストリンジェントな条件を達成する一方法が、5×SSC、0.5%SDS、1.0mM EDTA(pH8.0)を含有する予洗溶液、約50%ホルムアミド、6×SSCのハイブリダイゼーションバッファ、約55℃のハイブリダイゼーション温度(又は他の類似のハイブリダイゼーション溶液、例えば、約42℃のハイブリダイゼーション温度による、約50%ホルムアミドを含有するもの)、及び0.5×SSC、0.1%SDS中の約60℃の洗浄条件の使用を含む。一般に、高度にストリンジェントな条件は、およそ68℃、0.2×SSC、0.1%SDSで洗浄すること以外は、上記のようなハイブリダイゼーション条件として定義される。SSPE(l×SSPEは、0.15M NaCl、10mM NaHPO、及び1.25mM EDTA、pH7.4である)を、ハイブリダイゼーションバッファ及び洗浄バッファ中のSSC(l×SSCは、0.15M NaCl及び15mMクエン酸ナトリウムである)に置換することができ、ハイブリダイゼーションが完了した後に、15分間の洗浄が実行される。勿論、所望の程度のストリンジェンシーを達成する必要に応じて、当業者に知られており、且つ以下にさらに説明されるように、ハイブリダイゼーション反応及び二重鎖安定性を決定する基本原理を適用することによって、洗浄温度及び洗浄塩濃度を調節することができる(例えば、Sambrook et al.,1989参照)。核酸を未知の配列の標的核酸へとハイブリダイズする場合、ハイブリッド長は、ハイブリダイズする当該核酸の長さであると仮定する。既知の配列の核酸がハイブリダイズされる場合、ハイブリッド長は、当該核酸の配列をアラインして、最適な配列相補性の領域を識別することによって決定することができる。50塩基対長未満であると予想されるハイブリッドのハイブリダイゼーション温度は、ハイブリッドの融解温度(Tm)よりも5~10℃低くなければならず、ここで、Tmは、以下の式に従って求められる。18塩基対長未満のハイブリッドの場合、Tm(℃)=2(A塩基+T塩基の数)+4(G塩基+C塩基の数)である。18塩基対長を超えるハイブリッドの場合、Tm(℃)=81.5+16.6(log10[Na+])+0.41(%G+C)-(600/N)であり、式中、Nはハイブリッドにおける塩基の数であり、[Na+]はハイブリダイゼーションバッファ中のナトリウムイオンの濃度である(1×SSCの[Na+]=0.165M)。一実施形態において、そのようなハイブリダイズする核酸は各々が、少なくとも15ヌクレオチド(又は少なくとも18ヌクレオチド、少なくとも20ヌクレオチド、少なくとも25ヌクレオチド、少なくとも30ヌクレオチド、少なくとも40ヌクレオチド、若しくは少なくとも50ヌクレオチド)の長さ、又はこれがハイブリダイズする本発明の核酸の長さの少なくとも25%(又は少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、若しくは少なくとも80%)である長さを有し、且つこれがハイブリダイズする本発明の核酸と、少なくとも60%の配列同一性(又は少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、若しくは少なくとも99.5%)を有する。ここで、配列同一性は、先でより詳細に記載されるように、重複及び同一性が最大となる一方で、配列ギャップが最小になるようにアラインしたときの、ハイブリダイズする核酸の配列を比較することによって判定される。
本明細書中に記載される抗原結合タンパク質の変異体は、ポリペプチドをコードするDNAにおけるヌクレオチドの部位特異的な変異誘発によって、カセット若しくはPCR変異誘発、又は当該技術において周知の他の技術を使用して、変異体をコードするDNAを生成し、その後、本明細書に概説するように、細胞培養物中で組換えDNAを発現させることによって調製することができる。しかしながら、最大約100~150個の残基を有する変異体CDRを含む抗原結合タンパク質を、確立された技術を使用してインビトロ合成によって調製してもよい。変異体は、典型的に、天然に存在する類似体と同じ定性的生物学的活性、例えば抗原への結合を示す。そのような変異体は、例えば、抗原結合タンパク質のアミノ酸配列内に、残基の欠失及び/又は挿入及び/又は置換を含む。欠失、挿入、及び置換のあらゆる組合せを行って、最終構築体に至るのであるが、最終構築体は所望の特性を保持することを条件とする。また、アミノ酸の変化は、グリコシル化部位の数又は位置を変化させる等、抗原結合タンパク質の翻訳後プロセスを改変する場合もある。特定の実施形態において、抗原結合タンパク質変異体は、エピトープ結合に直接関与するアミノ酸残基を修飾する目的で調製される。他の実施形態において、本明細書中で考察される目的のため、エピトープ結合に直接関与しない残基、又はエピトープ結合に何ら関与しない残基の修飾が所望される。あらゆるCDR領域及び/又はフレームワーク領域内に、変異誘発が企図される。抗原結合タンパク質のアミノ酸配列における有用な修飾を設計するために、当業者は共分散分析技術を使用することができる。例えば、Choulier,et al.,Proteins 41:475-484,2000;Demarest et al.,J.Mol.Biol.335:41-48,2004;Hugo et al.,Protein Engineering 16(5):381-86,2003;Aurora et al.、米国特許出願公開第2008/0318207A1号明細書;Glaser et al.、米国特許出願公開第2009/0048122A1号明細書;Urech et al.、国際公開第2008/110348A1号パンフレット;Borras et al.、国際公開第2009/000099A2号パンフレット参照。共分散分析によって決定されるそのような修飾は、抗原結合タンパク質の効力、薬物動態学的特性、薬力学的特性、及び/又は製造可能性の特性を向上させることができる。
本発明の核酸配列。当業者に理解されるように、遺伝コードの縮重に起因して、極めて多数の核酸が作製され得、それらは全て、本発明のCDR(並びに本明細書中に記載される抗原結合タンパク質の重鎖及び軽鎖、又は他の構成要素)をコードする。ゆえに、特定のアミノ酸配列を同定したら、当業者であれば、コードされたタンパク質のアミノ酸配列を変化させない方法で1つ以上のコドンの配列を単に修飾することによって、あらゆる数の異なる核酸を作製し得るであろう。
本発明はまた、本発明の多重特異性抗体構築体の1つ以上の構成要素(例えば、可変領域、軽鎖、重鎖、修飾された重鎖、及びFd断片)をコードする1つ以上の核酸を含むベクターを含む。用語「ベクター」は、タンパク質コード情報を宿主細胞に移すために使用されるあらゆる分子又は実体(例えば、核酸、プラスミド、バクテリオファージ、又はウイルス)を指す。ベクターの例として、以下に限定されないが、プラスミド、ウイルスベクター、非エピソーム哺乳動物ベクター、及び発現ベクター、例えば組換え発現ベクターが挙げられる。本明細書中で使用される用語「発現ベクター」又は「発現構築体」は、所望のコード配列、及び作動可能に連結された当該コード配列の、特定の宿主細胞における発現に必要な適切な核酸制御配列を含有する組換えDNA分子を指す。発現ベクターは、転写、翻訳に影響を及ぼすか、又はそれらを制御する配列、及びイントロンが存在するならば、これに作動可能に連結されたコード領域のRNAスプライシングに影響を及ぼす配列を含み得るが、これらに限定されない。原核生物での発現に必要な核酸配列として、プロモータ、場合によってはオペレーター配列、リボソーム結合部位、及びことによると他の配列が挙げられる。真核細胞は、プロモータ、エンハンサ、並びに終結シグナル及びポリアデニル化シグナルを利用することが知られている。分泌シグナルペプチド配列が、場合によっては、注目するコード配列に作動可能に連結された発現ベクターによってコードされることも可能であり、これにより、必要に応じて、注目するポリペプチドが細胞からより容易に単離されるように、組換え宿主細胞によって発現ポリペプチドを分泌させることができる。例えば、一部の実施形態において、シグナルペプチド配列は、本発明のポリペプチド配列のいずれかのアミノ末端に付加され得/融合し得る。特定の実施形態において、MDMRVPAQLLGLLLLWLRGARC(配列番号32)のアミノ酸配列を有するシグナルペプチドが、本発明のポリペプチド配列のいずれかのアミノ末端に融合している。他の実施形態において、MAWALLLLTLLTQGTGSWA(配列番号33)のアミノ酸配列を有するシグナルペプチドが、本発明のポリペプチド配列のいずれかのアミノ末端に融合している。さらに他の実施形態において、MTCSPLLLTLLIHCTGSWA(配列番号34)のアミノ酸配列を有するシグナルペプチドが、本発明のポリペプチド配列のいずれかのアミノ末端に融合している。本明細書中に記載されるポリペプチド配列のアミノ末端に融合し得る他の適切なシグナルペプチド配列として、MEAPAQLLFLLLLWLPDTTG(配列番号35)、MEWTWRVLFLVAAATGAHS(配列番号36)、METPAQLLFLLLLWLPDTTG(配列番号37)、MKHLWFFLLLVAAPRWVLS(配列番号38)、及びMEWSWVFLFFLSVTTGVHS(配列番号39)が挙げられる。他のシグナルペプチドが当業者に知られており、例えば、特定の宿主細胞における発現を促進又は最適化するために、本発明のポリペプチド鎖のいずれかに融合していてもよい。
典型的には、本発明の二重特異性抗原タンパク質を生成するのに宿主細胞中で使用される発現ベクターは、プラスミド維持のための配列、並びに二重特異性抗原結合タンパク質の構成要素をコードする外因性ヌクレオチド配列のクローニング及び発現のための配列を含有することになる。集合的に「フランキング配列」と称されるそのような配列は、特定の実施形態において、典型的には、以下のヌクレオチド配列:プロモータ、1つ以上のエンハンサ配列、複製起点、転写終結配列、ドナー及びアクセプタスプライス部位を含有する完全イントロン配列、ポリペプチド分泌のためのリーダー配列をコードする配列、リボソーム結合部位、ポリアデニル化配列、発現されることになるポリペプチドをコードする核酸を挿入するためのポリリンカー領域、並びに選択マーカーエレメントのうち1つ以上を含むことになる。これらの配列の各々を、以下で考察する。
場合によっては、ベクターは、「タグ」コード配列、即ち、ポリペプチドコード配列の5’末端又は3’末端に位置するオリゴヌクレオチド分子を含有してもよく、当該オリゴヌクレオチドタグ配列は、ポリHis(ヘキサHis等)、FLAG、HA(ヘマグルチニンインフルエンザウイルス)、myc、又は市販の抗体が存在する別の「タグ」分子をコードする。当該タグは、典型的に、ポリペプチドが発現すると、ポリペプチドに融合して、宿主細胞からのポリペプチドのアフィニティ精製又は検出のための手段として機能し得る。アフィニティ精製は、例えば、タグに対する抗体をアフィニティマトリックスとして使用するカラムクロマトグラフィによって達成することができる。場合によっては、その後、特定の切断用ペプチダーゼを使用する等の種々の手段によって、精製されたポリペプチドからタグを除去することができる。
フランキング配列は、同種性(即ち、宿主細胞と同じ種及び/又は株に由来する)、異種性(即ち、宿主細胞の種又は株以外の種に由来する)、ハイブリッド(即ち、複数の供給源に由来するフランキング配列の組合せ)、合成、又は天然のものとすることができる。従って、フランキング配列の供給源は、あらゆる原核生物若しくは真核生物、あらゆる脊椎生物若しくは無脊椎生物、又はあらゆる植物であってよいが、フランキング配列は、宿主細胞機構において機能的であり、且つ当該機構によって活性化され得ることを条件とする。
本発明のベクターにおいて有用なフランキング配列は、当該技術において周知の幾つかの方法のいずれかによって得ることができる。典型的には、本明細書において有用なフランキング配列は、マッピング及び/又は制限エンドヌクレアーゼ消化によって以前に同定されていることになるため、適切な制限エンドヌクレアーゼを使用して、適切な組織供給源から単離することができる。場合により、フランキング配列の全ヌクレオチド配列が知られている場合がある。ここで、フランキング配列は、核酸合成又はクローニングの常法を使用して合成することができる。
フランキング配列の全てが既知であるか、又はその一部のみが既知であるかを問わず、ポリメラーゼ連鎖反応法(PCR)を使用して、且つ/又は同じ若しくは別の種に由来するオリゴヌクレオチド及び/若しくはフランキング配列断片等の適切なプローブを使用してゲノムライブラリをスクリーニングすることによって、フランキング配列を得ることができる。フランキング配列が不明である場合、フランキング配列を含有するDNAの断片を、例えば、コード配列を、又は別の遺伝子さえをも含有し得るより大きなDNA片から単離することができる。単離は、制限エンドヌクレアーゼ消化によって適切なDNA断片を生成し、続いてアガロースゲル精製、Qiagen(登録商標)カラムクロマトグラフィ(Chatsworth,CA)、又は当業者に知られている他の方法を使用して単離することによって達成することができる。この目的を達成するのに適切な酵素の選択は、当業者であれば容易に明らかとなろう。
複製起点は典型的に、市販の原核生物発現ベクターの一部であり、当該起点は、宿主細胞内でのベクターの増幅を補助する。選択したベクターが複製起点部位を含有していなければ、知られている配列に基づいて当該部位を化学的に合成して、ベクター中にライゲートしてもよい。例えば、プラスミドpBR322(New England Biolabs,Beverly,MA)に由来する複製起点は、ほとんどのグラム陰性菌に適しており、種々のウイルス起点(例えば、SV40、ポリオーマ、アデノウイルス、水疱性口内炎ウイルス(VSV)、又はパピローマウイルス、例えばHPV若しくはBPV)が、哺乳動物細胞におけるベクターのクローニングに有用である。一般に、複製起点構成要素は、哺乳動物発現ベクターには必要でない(例えば、SV40起点は、ウイルス初期プロモータも含有するという理由でのみ、使用されることが多い)。
転写終結配列は典型的に、ポリペプチドコード領域の末端に対して3’側に位置しており、転写を終結させるように機能する。通常、原核細胞における転写終結配列は、G-Cリッチ断片とそれに続くポリT配列である。当該配列は、ライブラリから容易にクローニングされるか、又はベクターの一部として商業的に購入される場合すらあるが、既知の核酸合成方法を使用して容易に合成することもできる。
選択マーカー遺伝子は、選択培養培地中で増殖させた宿主細胞の生存及び増殖に必要なタンパク質をコードする。典型的な選択マーカー遺伝子は、(a)原核生物宿主細胞に、抗生物質若しくは他の毒素、例えば、アンピシリン、テトラサイクリン、若しくはカナマイシンに対する耐性を付与し;(b)細胞の栄養要求性欠損を補完し;又は(c)複合培地若しくは規定培地からは利用不能の重要な栄養素を供給するタンパク質をコードする。特異的選択マーカーとして、カナマイシン耐性遺伝子、アンピシリン耐性遺伝子、及びテトラサイクリン耐性遺伝子がある。有利には、ネオマイシン耐性遺伝子もまた、原核生物宿主細胞及び真核生物宿主細胞の双方における選択に使用することができる。
他の選択遺伝子を使用して、発現されることになる遺伝子を増幅してもよい。増幅は、増殖又は細胞生存にとって重要なタンパク質の産生に必要とされる遺伝子が、継続する世代の組換え細胞の染色体内でタンデムに繰り返されるプロセスである。哺乳動物細胞に適切な選択マーカーの例として、ジヒドロ葉酸還元酵素(DHFR)遺伝子及びプロモータレスチミジンキナーゼ遺伝子が挙げられる。哺乳動物細胞形質転換体を、当該形質転換体のみが唯一、ベクター中に存在する選択遺伝子によって生存するように適合されている選択圧下に置く。形質転換された細胞を、培地中の選択剤の濃度が連続的に増大する条件下で培養することによって選択圧が課されることによって、選択可能な遺伝子と、本明細書中に記載される多重特異性抗体構築体の1つ以上の構成要素等の別の遺伝子をコードするDNAとの双方の増幅が導かれる。その結果、増幅されたDNAから多量のポリペプチドが合成される。
リボソーム結合部位は、通常、mRNAの翻訳開始に必要であり、シャイン・ダルガーノ配列(原核生物)又はコザック配列(真核生物)によって特徴付けられる。このエレメントは、典型的に、プロモータの3’側、及び発現されることになるポリペプチドのコード配列の5’側に位置する。特定の実施形態において、1つ以上のコード領域が、内部リボソーム結合部位(IRES)に作動可能に連結されていてよく、これにより単一のRNA転写産物から2つのオープンリーディングフレームの翻訳が可能となる。
真核生物宿主細胞発現系においてグリコシル化が所望される等の場合には、グリコシル化又は収率を向上させるために、種々のプレ配列又はプロ配列を操作してもよい。例えば、特定のシグナルペプチドのペプチダーゼ切断部位を改変してもよいし、プロ配列を付加してもよく、これらもグリコシル化に影響し得る。最終タンパク質産物は、-1位(成熟タンパク質の最初のアミノ酸に対して)に、発現に付随する1つ以上の追加のアミノ酸を有する場合があり、これは、完全には除去されていなくてもよい。例えば、最終タンパク質産物は、アミノ末端に結合した、ペプチダーゼ切断部位において見出される1つ又は2つのアミノ酸残基を有し得る。これ以外にも、幾つかの酵素切断部位を使用すると、酵素が成熟ポリペプチド内のそのような領域にて切断するならば、所望のポリペプチドの僅かに切断された形態が生じ得る。
本発明の発現ベクター及びクローニングベクターは、典型的に、宿主生物によって認識され、且つポリペプチドをコードする分子に作動可能に連結されたプロモータを含有する。本明細書中で使用される用語「作動可能に連結された」は、所与の遺伝子の転写及び/又は所望のタンパク質分子の合成を指示することができる核酸分子が生成されるように、2つ以上の核酸配列が連結されていることを指す。例えば、タンパク質コード配列に「作動可能に連結された」ベクター中の制御配列は、タンパク質コード配列の発現が制御配列の転写活性と適合する条件下で達成されるように、タンパク質コード配列にライゲートされている。より詳細には、プロモータ及び/又はエンハンサ配列(シス作用性転写制御エレメントのあらゆる組合せを含む)は、適切な宿主細胞又は他の発現系においてコード配列の転写を刺激又は調節するならば、コード配列に作動可能に連結されている。
プロモータは、構造遺伝子の開始コドンの上流(即ち5’側)に位置し(一般に、約100~1000bp以内)、構造遺伝子の転写を制御する非転写配列である。従来、プロモータは、2つのクラス:誘導性プロモータ及び構成的プロモータの1つにグループ化される。誘導性プロモータは、栄養素の有無、又は温度の変化等の培養条件の何らかの変化に応じて、その制御下で、DNAからの転写レベルの増大を開始する。一方、構成的プロモータは、それが作動可能に連結されている遺伝子を均一に、即ち遺伝子発現に対する制御をほとんど又は全く行わずに、転写する。種々の潜在的宿主細胞によって認識される多数のプロモータが周知である。供給源DNAから制限酵素消化によってプロモータを除去して、所望のプロモータ配列をベクター中に挿入することによって、適切なプロモータが、本発明の多重特異性抗体構築体の、例えば、重鎖、軽鎖、修飾された重鎖、又は他の構成要素をコードするDNAに作動可能に連結される。
酵母宿主に使用するのに適切なプロモータもまた、当該技術において周知である。有利には、酵母エンハンサが、酵母プロモータと共に使用される。哺乳動物宿主細胞と共に使用するのに適切なプロモータが周知であり、以下に限定されないが、ポリオーマウイルス、鶏痘ウイルス、アデノウイルス(アデノウイルス2型等)、ウシ乳頭腫ウイルス、トリ肉腫ウイルス、サイトメガロウイルス、レトロウイルス、B型肝炎ウイルス、及びシミアンウイルス40(SV40)等のウイルスのゲノムから得られるものが挙げられる。他の適切な哺乳動物プロモータとして、異種哺乳動物プロモータ、例えば、熱ショックプロモータ及びアクチンプロモータが挙げられる。
注目され得る更なるプロモータとして、以下に限定されないが:SV40初期プロモータ(Benoist and Chambon,1981,Nature 290:304-310);CMVプロモータ(Thornsen et al.,1984、Proc.Natl.Acad.U.S.A.81:659-663);ラウス肉腫ウイルスの3’側の長い末端反復内に含有されるプロモータ(Yamamoto et al.,1980、Cell22:787-797);ヘルペスチミジンキナーゼプロモータ(Wagner et al.,1981,Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.78:1444-1445);メタロチオニン遺伝子由来のプロモータ及び調節配列(Prinster et al.,1982,Nature 296:39-42);並びにベータ-ラクタマーゼプロモータ等の原核生物プロモータ(Villa-Kamaroff et al.,1978,Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.75:3727-3731);又はtacプロモータ(DeBoer et al.,1983,Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.80:21-25)が挙げられる。また、注目されるのは、組織特異性を示し、且つトランスジェニック動物において利用されてきた以下の動物転写制御領域である:膵腺房細胞において活性であるエラスターゼI遺伝子制御領域(Swift et al.,1984,Cell 38:639-646;Ornitz et al.,1986,Cold Spring Harbor Symp.Quant.Biol.50:399-409;MacDonald,1987,Hepatology 7:425-515);膵ベータ細胞において活性であるインスリン遺伝子制御領域(Hanahan,1985,Nature 315:115-122);リンパ細胞において活性である免疫グロブリン遺伝子制御領域(Grosschedl et al.,1984,Cell 38:647-658;Adames et al.,1985,Nature 318:533-538;Alexander et al.,1987,Mol.Cell.Biol.7:1436-1444);精巣、乳房、リンパ球、及び肥満細胞において活性であるマウス乳房腫瘍ウイルス制御領域(Leder et al.,1986,Cell 45:485-495);肝臓において活性であるアルブミン遺伝子制御領域(Pinkert et al.,1987,Genes and Devel.1:268-276);肝臓において活性であるアルファ-フェト-タンパク質遺伝子制御領域(Krumlauf et al.,1985,Mol.Cell.Biol.5:1639-1648;Hammer et al.,1987,Science 253:53-58);肝臓において活性であるアルファ1-アンチトリプシン遺伝子制御領域(Kelsey et al.,1987,Genes and Devel.1:161-171);骨髄細胞において活性であるベータ-グロビン遺伝子制御領域(Mogram et al.,1985,Nature 315:338-340;Kollias et al.,1986,Cell 46:89-94);脳内のオリゴデンドロサイト細胞において活性であるミエリン塩基性タンパク質遺伝子制御領域(Readheadet al.,1987,Cell 48:703-712);骨格筋において活性であるミオシン軽鎖-2遺伝子制御領域(Sani,1985,Nature 314:283-286);並びに視床下部において活性である性腺刺激放出ホルモン遺伝子制御領域(Mason et al.,1986,Science 234:1372-1378)。
エンハンサ配列がベクター中に挿入されて、多重特異性抗体構築体の構成要素(例えば、軽鎖、重鎖、修飾された重鎖、Fd断片)をコードするDNAの転写が、高等真核生物によって増大し得る。エンハンサは、プロモータに作用して転写を増大させる、通常約10~300bp長のDNAのシス作用性エレメントである。エンハンサは、方向及び位置に比較的依存せず、転写単位に対して5’側及び3’側の双方の位置にて見出されている。哺乳動物遺伝子から入手可能な幾つかのエンハンサ配列が知られている(例えば、グロビン、エラスターゼ、アルブミン、アルファ-フェト-タンパク質、及びインスリン)。しかしながら、典型的には、ウイルス由来のエンハンサが使用される。当該技術において知られているSV40エンハンサ、サイトメガロウイルス初期プロモータエンハンサ、ポリオーマエンハンサ、及びアデノウイルスエンハンサは、真核生物プロモータの活性化のための例示的な増強エレメントである。エンハンサは、ベクターにおいて、コード配列の5’側又は3’側のいずれに位置してもよいが、典型的には、プロモータから5’側の部位に位置決めされる。適切な天然又は異種性のシグナル配列(リーダー配列又はシグナルペプチド)をコードする配列を、発現ベクター中に組み込んで、抗体の細胞外分泌を促進することができる。シグナルペプチド又はリーダーの選択は、抗体が産生されることになる宿主細胞の型に依存し、異種性のシグナル配列が、天然のシグナル配列に取って代わることができる。シグナルペプチドの例が、先に記載されている。哺乳動物宿主細胞において機能する他のシグナルペプチドとして、米国特許第4,965,195号明細書に記載されるインターロイキン-7(IL-7)のシグナル配列;Cosman et al.,1984,Nature 312:768に記載されるインターロイキン-2受容体のシグナル配列;欧州特許第0367 566号明細書に記載されるインターロイキン-4受容体シグナルペプチド;米国特許第4,968,607号明細書に記載されるI型インターロイキン-1受容体シグナルペプチド;欧州特許第0 460 846号明細書に記載されるII型インターロイキン-1受容体シグナルペプチドが挙げられる。
提供される発現ベクターは、市販のベクター等の出発ベクターから構築されてもよい。そのようなベクターは、所望のフランキング配列の全てを含有していてもしていなくてもよい。本明細書中に記載されるフランキング配列の1つ以上がベクター内に最初から存在していない場合、それらを個々に得てベクター中にライゲートしてもよい。フランキング配列の各々を得るために使用される方法が、当業者に周知である。発現ベクターを宿主細胞中に導入することによって、本明細書中に記載される核酸によってコードされる、融合タンパク質が挙げられるタンパク質を生成することができる。
特定の実施形態において、本発明の多重特異性抗体構築体の異なる構成要素をコードする核酸を、同じ発現ベクター中に挿入してもよい。例えば、第1の抗標的抗原軽鎖をコードする核酸は、第1の抗標的抗原重鎖をコードする核酸と同じベクター中にクローニングすることができる。そのような実施形態において、軽鎖及び重鎖が、同じmRNA転写産物から発現されるように、単一のプロモータの制御下で、内部リボソーム侵入部位(IRES)によって2つの核酸が分離されていてもよい。これ以外にも、2つの核酸は、軽鎖及び重鎖が、2つの別個のmRNA転写産物から発現されるように、2つの別個のプロモータの制御下にあってもよい。一部の実施形態において、第1の抗標的抗原軽鎖及び重鎖をコードする核酸が、1つの発現ベクター中にクローニングされて、第2の抗標的抗原軽鎖及び重鎖をコードする核酸が、第2の発現ベクター中にクローニングされている。
ベクターが構築されて、本明細書中に記載される多重特異性抗体構築体の構成要素をコードする1つ以上の核酸分子が、ベクターの適当な部位中に挿入された後に、完成したベクターは、増幅及び/又はポリペプチド発現に適切な宿主細胞中に挿入されてもよい。ゆえに、本発明は、二重特異性抗原結合タンパク質の構成要素をコードする1つ以上の発現ベクターを含む単離宿主細胞を包含する。本明細書中で使用される用語「宿主細胞」は、核酸で形質転換されているか、又は形質転換されることが可能であり、これによって注目の遺伝子を発現する細胞を指す。当該用語には、注目する遺伝子が存在する限り、元の親細胞と形態又は遺伝的構造が同一であるか否かに拘わらず、親細胞の後代が含まれる。少なくとも1つの発現制御配列(例えば、プロモータ又はエンハンサ)に作動可能に連結された一実施形態において、本発明の単離核酸を含む宿主細胞は、「組換え宿主細胞」である。
抗原結合タンパク質の発現ベクターの、選択された宿主細胞中への形質転換は、形質移入、感染、リン酸カルシウム共沈、エレクトロポレーション、マイクロインジェクション、リポフェクション、DEAE-デキストラン媒介形質移入、又は他の既知の技術が挙げられる周知の方法によって達成することができる。選択される方法は、ある程度、使用されることになる宿主細胞の型に応じることになる。こうした方法及び他の適切な方法は、当業者に周知であり、例えば、前掲のSambrook et al.,2001に示されている。
宿主細胞は、適切な条件下で培養されると、抗原結合タンパク質を合成し、抗原結合タンパク質はその後、(これを宿主細胞が培地中に分泌するならば)培養培地から、又は(分泌されなければ)産生宿主細胞から直接的に収集することができる。適切な宿主細胞の選択は、所望の発現レベル、活性に所望されるか、又は必要であるポリペプチド修飾(グリコシル化又はリン酸化等)、及び生物学的に活性な分子へのフォールディングの容易さ等の種々の要因に依存することになる。
例示的な宿主細胞として、原核生物細胞、酵母細胞、又は高等真核生物細胞が挙げられる。原核生物の宿主細胞として、グラム陰性生物又はグラム陽性生物等の真正細菌、例えば、腸内細菌科(Enterobacteriaceae)、例えば、エシェリキア(Escherichia)属、例えば大腸菌(E.coli)、エンテロバクター(Enterobacter)属、エルウィニア(Erwinia)属、クレブシエラ(Klebsiella)属、プロテウス(Proteus)属、サルモネラ(Salmonella)属、例えばネズミチフス菌(Salmonella typhimurium)、セラチア(Serratia)属、例えばセラチア・マルセッセンス(Serratia marcescens)、及びシゲラ(Shigella)属、並びにバチルス(Bacillus)属、例えば、枯草菌(B.subtilis)及びB.リケニフォルミス(B.licheniformis)、シュードモナス(Pseudomonas)属、並びにストレプトミセス(Streptomyces)属が挙げられる。真核生物の微生物、例えば糸状菌又は酵母が、組換えポリペプチドに適切なクローニング宿主又は発現宿主である。サッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)、又は一般的なパン酵母が、下等真核生物宿主微生物の中で最も一般的に使用されている。しかしながら、ピキア(Pichia)属、例えばP.パストリス(P.pastoris)、シゾサッカロミセス・ポンベ(Schizosaccharomyces pombe)、クルイベロミセス(Kluyveromyces)属、ヤロウイア(Yarrowia)属、カンジダ(Candida)属、トリコデルマ・レーシア(Trichoderma reesia)、アカパンカビ(Neurospora crassa)、シュワニオミセス(Schwanniomyces)属、例えばシュワニオミセス・オクシデンタリス(Schwanniomyces occidentalis)、並びに糸状菌、例えば、ニューロスポラ(Neurospora)属、ペニシリウム(Penicillium)属、トリポクラジウム(Tolypocladium)属、並びにアスペルギルス(Aspergillus)属宿主、例えば、A.ニデュランス(A.nidulans)及びA.ニガー(A.niger)等の幾つかの他の属、種、及び株が、本明細書中で一般に利用可能であり、且つ有用である。
グリコシル化された抗原結合タンパク質の発現のための宿主細胞は、多細胞生物由来とすることができる。無脊椎動物細胞の例として、植物細胞及び昆虫細胞が挙げられる。幾つかのバキュロウイルスの株及び変異体、並びにツマジロクサヨトウ(Spodoptera frugiperda)(イモムシ)、ネッタイシマカ(Aedes aegypti)(蚊)、ヒトスジシマカ(Aedes albopictus)(蚊)、キイロショウジョウバエ(Drosophila melanogaster)(ミバエ)、及びカイコ(Bombyx mori)等の宿主由来の、対応する昆虫の許容宿主細胞が同定されている。そのような細胞の形質移入のための種々のウイルス株、例えば、オートグラファ・カリフォルニカ(Autographa californica)NPVのL-1変異体、及びカイコ(Bombyx mori)NPVのBm-5株が公に入手可能である。
脊椎動物宿主細胞もまた適切な宿主であり、そのような細胞からの抗原結合タンパク質の組換え生成は常法となっている。発現のための宿主として利用可能な哺乳動物細胞株は、当該技術において周知であり、以下に限定されないが、American Type Culture Collection(ATCC)から入手可能な不死化細胞株、例えば、以下に限定されないが、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、例えば、CHOK1細胞(ATCC CCL61)、DXB-11、DG-44、及びチャイニーズハムスター卵巣細胞/-DHFR(CHO、Urlaub et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 77:4216,1980);SV40によって形質転換されたサル腎臓CV1株(COS-7、ATCC CRL 1651);ヒト胚腎臓株(293細胞又は懸濁培養での増殖用にサブクローニングされた293細胞、(Graham et al.,J.Gen Virol.36:59,1977));ベビーハムスター腎臓細胞(BHK、ATCC CCL 10);マウスセルトリ細胞(TM4、Mather,Biol.Reprod.23:243-251,1980);サル腎臓細胞(CV1 ATCC CCL 70);アフリカミドリザル腎臓細胞(VERO-76、ATCC CRL-1587);ヒト頸癌細胞(HELA、ATCC CCL 2);イヌ腎臓細胞(MDCK、ATCC CCL 34);バッファローラット肝臓細胞(BRL 3A、ATCC CRL 1442);ヒト肺細胞(W138、ATCC CCL 75);ヒト肝癌細胞(Hep G2、HB 8065);マウス乳房腫瘍(MMT 060562、ATCC CCL51);TRI細胞(Mather et al.,Annals N.Y Acad.Sci.383:44-68,1982);MRC 5細胞又はFS4細胞;哺乳動物骨髄腫細胞、及び幾つかの他の細胞株が挙げられる。特定の実施形態において、本発明の多重特異性抗体構築体をどの細胞株が高レベルで発現して恒常的に産生するかを判定することによって、細胞株を選択してよい。別の実施形態において、それ自体の抗体は作製しないが、異種性抗体を作製且つ分泌する能力を有するB細胞系統由来の細胞株を選択することができる。一部の実施形態において、CHO細胞が、本発明の多重特異性抗体構築体を発現するための宿主細胞である。
多重特異性抗体構築体の生成のための宿主細胞は、上記の核酸又はベクターで形質転換又は形質移入されて、プロモータの誘導、形質転換体の選択、又は所望の配列をコードする遺伝子の増幅に適するように改変された従来の栄養培地中で培養される。加えて、選択マーカーによって分離された転写単位の複数のコピーを有する新規なベクター及び形質移入された細胞株が、抗原結合タンパク質の発現に特に有用である。ゆえに、本発明はまた、本明細書中に記載される二重特異性抗原結合タンパク質を調製する方法であって、本明細書中に記載される1つ以上の発現ベクターを含む宿主細胞を、当該1つ以上の発現ベクターによってコードされる二重特異性抗原結合タンパク質の発現を可能にする条件下の培養培地中で培養することと、培養培地から二重特異性抗原結合タンパク質を回収することとを含む方法も提供する。
本発明の抗原結合タンパク質を生成するのに使用される宿主細胞は、種々の培地中で培養することができる。Ham’s F10(Sigma)、最小必須培地(MEM、Sigma)、RPMI-1640(Sigma)、及びダルベッコ改変イーグル培地(DMEM、Sigma)等の市販の培地が、宿主細胞を培養するのに適している。また、Ham et al.,Meth.Enz.58:44,1979;Barnes et al.,Anal.Biochem.102:255,1980;米国特許第4,767,704号明細書;米国特許第4,657,866号明細書;米国特許第4,927,762号明細書;米国特許第4,560,655号明細書;若しくは米国特許第5,122,469号明細書;国際公開第90103430号パンフレット;国際公開第87/00195号パンフレット;又は米国再発行特許第30,985号明細書に記載されているいずれの培地も、宿主細胞の培養培地として使用することができる。これらの培地はいずれも、必要に応じて、ホルモン及び/又は他の増殖因子(インスリン、トランスフェリン、又は上皮増殖因子等)、塩(塩化ナトリウム、カルシウム、マグネシウム、及びリン酸塩等)、バッファ(HEPES等)、ヌクレオチド(アデノシン及びチミジン等)、抗生物質(ゲンタマイシン(商標)薬物等)、微量元素(通常、マイクロモル範囲の最終濃度にて存在する無機化合物として定義される)、並びにグルコース又は等価のエネルギー源を補充することができる。他に必要なあらゆる栄養補助物質もまた、当業者に知られている適切な濃度にて含めてもよい。温度及びpH等の培養条件は、発現のために選択された宿主細胞で以前に使用されたものであり、当業者には明らかであろう。
宿主細胞を培養すると、二重特異性抗原結合タンパク質が、細胞内、細胞膜周辺腔内で産生され得、又は培地中に直接分泌され得る。抗原結合タンパク質が細胞内で産生されれば、第1のステップとして、粒状の破片である宿主細胞又は溶解した断片を、例えば、遠心分離又は限外濾過によって除去する。二重特異性抗原結合タンパク質は、例えば、ヒドロキシアパタイトクロマトグラフィ、陽イオン又は陰イオン交換クロマトグラフィ、或いは親和性リガンドとして注目する抗原又はプロテインA若しくはプロテインGを使用するアフィニティクロマトグラフィを使用して精製することができる。プロテインAは、ヒトγ1、γ2、又はγ4重鎖に基づくポリペプチドを含むタンパク質を精製するのに使用することができる(Lindmark et al.,J.Immunol.Meth.62:1-13,1983)。プロテインGは、全てのマウスアイソタイプ及びヒトγ3に推奨されている(Guss et al.,EMBO J.5:15671575,1986)。親和性リガンドが結合するマトリックスは、ほとんどの場合、アガロースであるが、他のマトリックスも利用可能である。制御細孔ガラス(controlled pore glass)又はポリ(スチレンジビニル)ベンゼン等の機械的に安定なマトリックスは、アガロースを使用して達成され得るよりも流速を速くし、且つ処理時間を短くすることが可能である。タンパク質がCH3ドメインを含む場合、Bakerbond ABX(商標)樹脂(J.T.Baker,Phillipsburg,N.J.)が精製に有用である。回収されるべき特定の二重特異性抗原結合タンパク質に応じて、エタノール沈殿、逆相HPLC、クロマトフォーカシング、SDS-PAGE、及び硫酸アンモニウム沈殿等のタンパク質精製のための他の技術もまた可能である。
シス作用機序及びトランス作用機構の双方で広く使用され得る二重特異性の新規のフォーマットの合理的設計を、同じ標的受容体分子内の2つの異なるドメインに結合する2つのFabとの三元複合体の結晶構造の決定により行った。これにより、それらの2つの分子を連結して、単一細胞内での組換え発現時に単一分子にするリンカーを概念化するための鋳型を提供した(図1)。これらの2つの弾頭(warhead)を連結するこのリンカーの使用は、特定の治療的プロジェクトの特定の必要に合わせて調整することができる特定の結合モードを実施するのに重要である。
scFvモジュールをFabに結合するために、複数の反復を有する3つのフレキシブルG4リンカー、及び長さが異なる2つの半固定(semi-rigid)ヘリカルリンカー(図2)を操作した。分子の半減期を延長するために、Fab CH1ドメイン(図2及び図3)のC末端にFC領域を挿入して、3つのポリペプチド鎖を有する分子を生じさせた。
これ以外にも、同様に、scFvを、Fab内の軽鎖のN末端に連結させることもできる。これにより、必要とされる結合モードの特定の必要を満たす分子設計が可能となり、そしてまた、分子を含むポリペプチド鎖の長さのバランスをとることができる(図3)。
分子を、HEK 293 6E細胞内で発現させて、ProAについて精製した。総収量は約75mg/Lであった(図6)。
続いて、分子を、双方の弾頭からの同じ受容体への結合を厳密に実施する結合アッセイについて試験した。FG11は、設計目標を満たし、2つの異なる受容体分子内のエピトープを認識しなかった/に結合しなかった(図7)。
これらの二重特異性分子が、細胞の表面上の標的に結合しながらも機能的であることを確認するために、ヒト標的タンパク質を発現する細胞ベースのアッセイを実行した。この場合、全ての二重特異性分子が結合を示した(図8)。
本明細書において考察し、且つ引用してきた全ての刊行物、特許、及び特許出願は、それらの全体が参照により本明細書により組み込まれる。開示した本発明は、記載される特定の方法論、プロトコル、及び材料に限定されず、これらは変化し得ることが理解される。また、本明細書中で使用される用語は、特定の実施形態を説明するためのものに過ぎず、添付の特許請求の範囲を限定することは意図されないことも理解される。
当業者であれば、本明細書中に記載される本発明の特定の実施形態に対する多くの等価物を、単なる日常的な実験を使用して認識するか、又は確認可能であろう。そのような等価物は、続く特許請求の範囲によって包含されることが意図される。

Claims (31)

  1. a)第1のヒンジ領域、第1のCH2領域、及び第1のCH3領域を含む抗体Fc領域を含む第1のポリペプチドと;
    b)抗体重鎖構築体を含む第2のポリペプチドであって、前記抗体重鎖構築体は、
    i)scFvであって
    1)第1のVH及び第1のVLであって、結合して第1の抗原結合ドメインを形成している、第1のVH及び第1のVLと、
    2)前記第1のVH及び前記第1のVLを連結している第1のリンカーペプチド;
    を含むscFvと、
    ii)抗体重鎖であって、第2のVH、第2のCH1領域、第2のヒンジ領域、第2のCH2領域、及び第2のCH3領域を含む抗体重鎖と;
    を含み、
    前記scFvは、そのC末端にて、前記抗体重鎖の前記第2のVH領域のN末端に結合されている、第2のポリペプチドと;
    c)第2のVL及びCLを含む抗体軽鎖を含む第3のポリペプチドと
    を含み、
    前記抗体重鎖の前記第2のVH及び前記抗体軽鎖の前記第2のVLは結合して、第2の抗原結合ドメインを形成している、多重特異性抗体構築体。
  2. 前記scFvは、第2のリンカーを介して前記抗体重鎖に結合されている、請求項1に記載の多重特異性抗体構築体。
  3. 前記第2のリンカーは、(GlySer)(配列番号1)、(GlySer)(配列番号2)、(GlySer)(配列番号3)、(GlySer)(配列番号4)、(GlySer)(配列番号5)、(GlySer)(配列番号6)、(GlySer)(配列番号7)、(GlySer)(配列番号8)、(GlySer)(配列番号9)、及び(GlySer)(配列番号10)からなる群から選択される配列を含む、請求項2に記載の多重特異性抗体構築体。
  4. 前記第1のリンカーは、(GlySer)(配列番号1)、(GlySer)(配列番号2)、(GlySer)(配列番号3)、(GlySer)(配列番号4)、(GlySer)(配列番号5)、(GlySer)(配列番号6)、(GlySer)(配列番号7)、(GlySer)(配列番号8)、(GlySer)(配列番号9)、(GlySer)(配列番号10)、GSADDAKKDAAKKDAAKKDDAKKDDAGS(配列番号11)、GSADDAKKDAAKKDAAKKDDAKKDDAKKDAGS(配列番号12)、(GlyGln)(配列番号13)、(GlyGln)(配列番号14)、(GlyGln)(配列番号15)、(GlyGln)(配列番号16)、(GlyGln)(配列番号17)、(GlyGln)(配列番号18)、(GlyGln)(配列番号19)、(GlyGln)(配列番号20)、(GlyGln)(配列番号21)、及び(GlyGln)(配列番号22)からなる群から選択される配列を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の多重特異性抗体構築体。
  5. 前記scFvは、そのC末端にて、前記第1のリンカーのN末端に結合されている前記第1のVHを含み、前記第1のリンカーは、そのC末端にて、前記第1のVLのN末端に結合されている、請求項1~4のいずれか一項に記載の多重特異性抗体構築体。
  6. 前記scFvは、そのC末端にて、前記第1のリンカーのN末端に結合されている前記第1のVLを含み、前記第1のリンカーは、そのC末端にて、前記第1のVHのN末端に結合されている、請求項1~4のいずれか一項に記載の多重特異性抗体構築体。
  7. 前記第1の抗原結合ドメイン及び前記第2の抗原結合ドメインは、異なるポリペプチド上のエピトープに結合する、請求項1~6のいずれか一項に記載の多重特異性抗体構築体。
  8. 前記第1の抗原結合ドメイン及び前記第2の抗原結合ドメインは、同じポリペプチド上の異なるエピトープに結合する、請求項1~7のいずれか一項に記載の多重特異性抗体構築体。
  9. 二重パラトピック抗体構築体である、請求項8に記載の多重特異性抗体構築体。
  10. 前記Fc領域は、ヒンジ領域、CH2領域、及びCH3領域からなる、請求項1~9のいずれか一項に記載の多重特異性抗体構築体。
  11. 前記Fc領域のN末端は、そのN末端を介して、第3のリンカーを介して前記重鎖のC末端に連結されている、請求項1~10のいずれか一項に記載の多重特異性抗体構築体。
  12. 前記第3のリンカーは、(GlySer)(配列番号1)、(GlySer)(配列番号2)、(GlySer)(配列番号3)、(GlySer)(配列番号4)、(GlySer)(配列番号5)、(GlySer)(配列番号6)、(GlySer)(配列番号7)、(GlySer)(配列番号8)、(GlySer)(配列番号9)、(GlySer)(配列番号10)、(GlyGln)(配列番号13)、(GlyGln)(配列番号14)、(GlyGln)(配列番号15)、(GlyGln)(配列番号16)、(GlyGln)(配列番号17)、(GlyGln)(配列番号18)、(GlyGln)(配列番号19)、(GlyGln)(配列番号20)、(GlyGln)(配列番号21)、及び(GlyGln)(配列番号22)からなる群から選択される配列を含む、請求項11に記載の多重特異性抗体構築体。
  13. 前記第1のポリペプチドは、前記抗体Fc領域からなる、請求項1~10のいずれか一項に記載の多重特異性抗体構築体。
  14. a)第1のヒンジ領域、第1のCH2領域、及び第1のCH3領域を含む抗体Fc領域を含む第1のポリペプチドと;
    b)抗体軽鎖構築体を含む第2のポリペプチドであって、前記抗体軽鎖構築体は、
    i)scFvであって
    1)第1のVH及び第1のVLであって、結合して第1の抗原結合ドメインを形成している、第1のVH及び第1のVLと、
    2)前記第1のVH及び前記第1のVLを連結している第1のリンカーペプチドと;
    を含むscFvと、
    ii)第2のVL及びCLを含む抗体軽鎖と;
    を含み、
    前記scFvは、そのC末端にて、前記抗体軽鎖の前記第2のVL領域のN末端に結合されている、第2のポリペプチドと;
    c)第2のVH、第2のCH1領域、第2のヒンジ領域、第2のCH2領域、及び第2のCH3領域を含む抗体重鎖を含む第3のポリペプチドと
    を含み、
    前記抗体重鎖の前記第2のVH及び前記抗体軽鎖の前記第2のVLは結合して、第2の抗原結合ドメインを形成している、多重特異性抗体構築体。
  15. 前記scFvは、第2のリンカーを介して前記抗体軽鎖に結合されている、請求項14に記載の多重特異性抗体構築体。
  16. 前記第2のリンカーは、(GlySer)(配列番号1)、(GlySer)(配列番号2)、(GlySer)(配列番号3)、(GlySer)(配列番号4)、(GlySer)(配列番号5)、(GlySer)(配列番号6)、(GlySer)(配列番号7)、(GlySer)(配列番号8)、(GlySer)(配列番号9)、(GlySer)(配列番号10)、GSADDAKKDAAKKDAAKKDDAKKDDAGS(配列番号11)、GSADDAKKDAAKKDAAKKDDAKKDDAKKDAGS(配列番号12)、(GlyGln)(配列番号13)、(GlyGln)(配列番号14)、(GlyGln)(配列番号15)、(GlyGln)(配列番号16)、(GlyGln)(配列番号17)、(GlyGln)(配列番号18)、(GlyGln)(配列番号19)、(GlyGln)(配列番号20)、(GlyGln)(配列番号21)、及び(GlyGln)(配列番号22)からなる群から選択される配列を含む、請求項15に記載の多重特異性抗体構築体。
  17. 前記第1のリンカーは、(GlySer)(配列番号1)、(GlySer)(配列番号2)、(GlySer)(配列番号3)、(GlySer)(配列番号4)、(GlySer)(配列番号5)、(GlySer)(配列番号6)、(GlySer)(配列番号7)、(GlySer)(配列番号8)、(GlySer)(配列番号9)、及び(GlySer)(配列番号10)からなる群から選択される配列を含む、請求項14~16のいずれか一項に記載の多重特異性抗体構築体。
  18. 前記scFvは、そのC末端にて、前記第1のリンカーのN末端に結合されている前記第1のVHを含み、前記第1のリンカーは、そのC末端にて、前記第1のVLのN末端に結合されている、請求項14~17のいずれか一項に記載の多重特異性抗体構築体。
  19. 前記scFvは、そのC末端にて、前記第1のリンカーのN末端に結合されている前記第1のVLを含み、前記第1のリンカーは、そのC末端にて、前記第1のVHのN末端に結合されている、請求項14~17のいずれか一項に記載の多重特異性抗体構築体。
  20. 前記第1の抗原結合ドメイン及び前記第2の抗原結合ドメインは、異なるポリペプチド上のエピトープに結合する、請求項14~19のいずれか一項に記載の多重特異性抗体構築体。
  21. 前記第1の抗原結合ドメイン及び前記第2の抗原結合ドメインは、同じポリペプチド上の異なるエピトープに結合する、請求項14~19のいずれか一項に記載の多重特異性抗体構築体。
  22. 二重パラトピック抗体構築体である、請求項21に記載の多重特異性抗体構築体。
  23. 前記Fc領域は、ヒンジ領域、CH2領域、及びCH3領域からなる、請求項14~22のいずれか一項に記載の多重特異性抗体構築体。
  24. 前記Fc領域のN末端は、そのN末端を介して、第3のリンカーを介して前記重鎖のC末端に連結されている、請求項14~23のいずれか一項に記載の多重特異性抗体構築体。
  25. 前記第3のリンカーは、(GlySer)(配列番号1)、(GlySer)(配列番号2)、(GlySer)(配列番号3)、(GlySer)(配列番号4)、(GlySer)(配列番号5)、(GlySer)(配列番号6)、(GlySer)(配列番号7)、(GlySer)(配列番号8)、(GlySer)(配列番号9)、(GlySer)(配列番号10)、(GlyGln)(配列番号13)、(GlyGln)(配列番号14)、(GlyGln)(配列番号15)、(GlyGln)(配列番号16)、(GlyGln)(配列番号17)、(GlyGln)(配列番号18)、(GlyGln)(配列番号19)、(GlyGln)(配列番号20)、(GlyGln)(配列番号21)、及び(GlyGln)(配列番号22)からなる群から選択される配列を含む、請求項24に記載の多重特異性抗体構築体。
  26. 前記第1のポリペプチドは、前記抗体Fc領域からなる、請求項14~23のいずれか一項に記載の多重特異性抗体構築体。
  27. 前記多重特異性抗体構築体は、二重特異性抗体構築体である、請求項1~26のいずれか一項に記載の多重特異性抗体構築体。
  28. 一方のCH3ドメインが、F405L、F405A、F405D、F405E、F405H、F405I、F405K、F405M、F405N、F405Q、F405S、F405T、F405V、F405W、又はF405Yの変異を含み、他方のCH3ドメインが、K409R変異を含み、アミノ酸残基のナンバリングは、Kabatに記載されているEUインデックスに従う、請求項1~27のいずれか一項に記載の多重特異性抗体構築体。
  29. 一方のCH3ドメインが、T366W変異を含み、他方のCH3ドメインが、T366S、L368A、Y407Vの変異を含み、アミノ酸残基のナンバリングは、Kabatに記載されているEUインデックスに従う、請求項1~28のいずれか一項に記載の多重特異性抗体構築体。
  30. 一方のCH3ドメインが、K/R409D及びK392Dの変異を含み、他方のCH3ドメインが、D399K変異を含み、アミノ酸残基のナンバリングは、Kabatに記載されているEUインデックスに従う、請求項1~28のいずれか一項に記載の多重特異性抗体構築体。
  31. D399K変異を含むCH3ドメインは、E356K変異をも含み、アミノ酸残基のナンバリングは、Kabatに記載されているEUインデックスに従う、請求項30に記載の多重特異性抗体構築体。
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