JP2023500798A - ポリマーブラシの形成におけるポリマーゲル - Google Patents
ポリマーブラシの形成におけるポリマーゲル Download PDFInfo
- Publication number
- JP2023500798A JP2023500798A JP2022522830A JP2022522830A JP2023500798A JP 2023500798 A JP2023500798 A JP 2023500798A JP 2022522830 A JP2022522830 A JP 2022522830A JP 2022522830 A JP2022522830 A JP 2022522830A JP 2023500798 A JP2023500798 A JP 2023500798A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- polymer
- polymer gel
- gel
- polymerization medium
- swollen
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Images
Classifications
-
- C—CHEMISTRY; METALLURGY
- C08—ORGANIC MACROMOLECULAR COMPOUNDS; THEIR PREPARATION OR CHEMICAL WORKING-UP; COMPOSITIONS BASED THEREON
- C08F—MACROMOLECULAR COMPOUNDS OBTAINED BY REACTIONS ONLY INVOLVING CARBON-TO-CARBON UNSATURATED BONDS
- C08F275/00—Macromolecular compounds obtained by polymerising monomers on to polymers of monomers containing phosphorus, selenium, tellurium or a metal as defined in group C08F30/00
-
- C—CHEMISTRY; METALLURGY
- C08—ORGANIC MACROMOLECULAR COMPOUNDS; THEIR PREPARATION OR CHEMICAL WORKING-UP; COMPOSITIONS BASED THEREON
- C08F—MACROMOLECULAR COMPOUNDS OBTAINED BY REACTIONS ONLY INVOLVING CARBON-TO-CARBON UNSATURATED BONDS
- C08F220/00—Copolymers of compounds having one or more unsaturated aliphatic radicals, each having only one carbon-to-carbon double bond, and only one being terminated by only one carboxyl radical or a salt, anhydride ester, amide, imide or nitrile thereof
- C08F220/02—Monocarboxylic acids having less than ten carbon atoms; Derivatives thereof
- C08F220/10—Esters
- C08F220/12—Esters of monohydric alcohols or phenols
- C08F220/14—Methyl esters, e.g. methyl (meth)acrylate
-
- C—CHEMISTRY; METALLURGY
- C08—ORGANIC MACROMOLECULAR COMPOUNDS; THEIR PREPARATION OR CHEMICAL WORKING-UP; COMPOSITIONS BASED THEREON
- C08F—MACROMOLECULAR COMPOUNDS OBTAINED BY REACTIONS ONLY INVOLVING CARBON-TO-CARBON UNSATURATED BONDS
- C08F220/00—Copolymers of compounds having one or more unsaturated aliphatic radicals, each having only one carbon-to-carbon double bond, and only one being terminated by only one carboxyl radical or a salt, anhydride ester, amide, imide or nitrile thereof
- C08F220/02—Monocarboxylic acids having less than ten carbon atoms; Derivatives thereof
- C08F220/10—Esters
- C08F220/20—Esters of polyhydric alcohols or phenols, e.g. 2-hydroxyethyl (meth)acrylate or glycerol mono-(meth)acrylate
-
- C—CHEMISTRY; METALLURGY
- C08—ORGANIC MACROMOLECULAR COMPOUNDS; THEIR PREPARATION OR CHEMICAL WORKING-UP; COMPOSITIONS BASED THEREON
- C08F—MACROMOLECULAR COMPOUNDS OBTAINED BY REACTIONS ONLY INVOLVING CARBON-TO-CARBON UNSATURATED BONDS
- C08F220/00—Copolymers of compounds having one or more unsaturated aliphatic radicals, each having only one carbon-to-carbon double bond, and only one being terminated by only one carboxyl radical or a salt, anhydride ester, amide, imide or nitrile thereof
- C08F220/02—Monocarboxylic acids having less than ten carbon atoms; Derivatives thereof
- C08F220/10—Esters
- C08F220/26—Esters containing oxygen in addition to the carboxy oxygen
- C08F220/32—Esters containing oxygen in addition to the carboxy oxygen containing epoxy radicals
- C08F220/325—Esters containing oxygen in addition to the carboxy oxygen containing epoxy radicals containing glycidyl radical, e.g. glycidyl (meth)acrylate
-
- C—CHEMISTRY; METALLURGY
- C08—ORGANIC MACROMOLECULAR COMPOUNDS; THEIR PREPARATION OR CHEMICAL WORKING-UP; COMPOSITIONS BASED THEREON
- C08F—MACROMOLECULAR COMPOUNDS OBTAINED BY REACTIONS ONLY INVOLVING CARBON-TO-CARBON UNSATURATED BONDS
- C08F220/00—Copolymers of compounds having one or more unsaturated aliphatic radicals, each having only one carbon-to-carbon double bond, and only one being terminated by only one carboxyl radical or a salt, anhydride ester, amide, imide or nitrile thereof
- C08F220/02—Monocarboxylic acids having less than ten carbon atoms; Derivatives thereof
- C08F220/52—Amides or imides
- C08F220/54—Amides, e.g. N,N-dimethylacrylamide or N-isopropylacrylamide
- C08F220/56—Acrylamide; Methacrylamide
-
- C—CHEMISTRY; METALLURGY
- C08—ORGANIC MACROMOLECULAR COMPOUNDS; THEIR PREPARATION OR CHEMICAL WORKING-UP; COMPOSITIONS BASED THEREON
- C08F—MACROMOLECULAR COMPOUNDS OBTAINED BY REACTIONS ONLY INVOLVING CARBON-TO-CARBON UNSATURATED BONDS
- C08F251/00—Macromolecular compounds obtained by polymerising monomers on to polysaccharides or derivatives thereof
-
- C—CHEMISTRY; METALLURGY
- C08—ORGANIC MACROMOLECULAR COMPOUNDS; THEIR PREPARATION OR CHEMICAL WORKING-UP; COMPOSITIONS BASED THEREON
- C08F—MACROMOLECULAR COMPOUNDS OBTAINED BY REACTIONS ONLY INVOLVING CARBON-TO-CARBON UNSATURATED BONDS
- C08F271/00—Macromolecular compounds obtained by polymerising monomers on to polymers of nitrogen-containing monomers as defined in group C08F26/00
-
- C—CHEMISTRY; METALLURGY
- C08—ORGANIC MACROMOLECULAR COMPOUNDS; THEIR PREPARATION OR CHEMICAL WORKING-UP; COMPOSITIONS BASED THEREON
- C08F—MACROMOLECULAR COMPOUNDS OBTAINED BY REACTIONS ONLY INVOLVING CARBON-TO-CARBON UNSATURATED BONDS
- C08F292/00—Macromolecular compounds obtained by polymerising monomers on to inorganic materials
-
- C—CHEMISTRY; METALLURGY
- C08—ORGANIC MACROMOLECULAR COMPOUNDS; THEIR PREPARATION OR CHEMICAL WORKING-UP; COMPOSITIONS BASED THEREON
- C08F—MACROMOLECULAR COMPOUNDS OBTAINED BY REACTIONS ONLY INVOLVING CARBON-TO-CARBON UNSATURATED BONDS
- C08F2438/00—Living radical polymerisation
- C08F2438/01—Atom Transfer Radical Polymerization [ATRP] or reverse ATRP
Landscapes
- Chemical & Material Sciences (AREA)
- Health & Medical Sciences (AREA)
- Chemical Kinetics & Catalysis (AREA)
- Medicinal Chemistry (AREA)
- Polymers & Plastics (AREA)
- Organic Chemistry (AREA)
- Engineering & Computer Science (AREA)
- Inorganic Chemistry (AREA)
- Materials Engineering (AREA)
- Treatments Of Macromolecular Shaped Articles (AREA)
- Addition Polymer Or Copolymer, Post-Treatments, Or Chemical Modifications (AREA)
- Graft Or Block Polymers (AREA)
- Polymerisation Methods In General (AREA)
Abstract
本発明は、ポリマーブラシの調製におけるポリマーゲルの使用に関する。特に、本発明は、重合媒体中で膨潤したポリマーゲルに関する。本発明は、さらに、表面へのポリマーブラシの形成におけるポリマーゲルの使用に関する。本発明は、表面にポリマーブラシを形成するための改良された方法を提供し、ポリマーブラシで被覆された表面の容易な大規模生産を可能にする。特に、本発明は、あらゆる形状の表面への重合媒体の適用を可能にする。【選択図】なし
Description
本発明は、ポリマーブラシの形成におけるポリマーゲルの使用に関する。特に、本発明は、重合媒体(polymerisation medium)中で膨潤したポリマーゲルであって、ポリマーブラシの形成の際に適用される膨潤したポリマーゲルに関する。本発明は、さらに、表面へのポリマーブラシの形成におけるポリマーゲルの使用に関する。特に、本発明で使用されるポリマーゲルは、重合媒体中で膨潤可能であり、さらに、表面へのポリマーブラシの形成後に除去可能であるようなものである。本発明は、表面にポリマーブラシを形成するための改良された方法を提供し、ポリマーブラシで被覆された表面の容易な大規模生産と、特定のポリマーブラシの形成を可能にする。特に、本発明は、あらゆる形状の表面への重合媒体の適用を可能にする。
ポリマーブラシの形成はよく知られている。ポリマーブラシは、金属、プラスチック又はセラミック材料などの基材に一端がつながれたポリマー構造体である。特定の調製技術及び特定のモノマーを使用することで、例えば化学組成、厚さ、グラフト化密度及び構造などの特定の特性を有するポリマーブラシを設計及び合成することが可能である。
特に、ポリマーブラシは、相容れない材料、すなわち接着又は従来のインターロッキング方法では容易に組み合わせることができない材料を結合するために使用される。ポリマーブラシが有する1つの大きな特徴は、材料を、実質的に目に見えない様式で接合できることである。
ポリマーブラシを表面上に形成する方法はいくつか知られている。ポリマーブラシを形成する場合、まず、ポリマーブラシが形成されるべき表面上に重合開始剤が形成される。次に、表面を、適切なモノマー、触媒、配位子、及び、必要に応じて溶媒に接触させるか、又は、適切なモノマー、触媒、配位子、酸素捕捉剤、及び、必要に応じて溶媒に接触させ、それによって、特定の反応条件を用いてポリマーブラシを形成することができる。重合開始剤及びモノマーは、得られるポリマーブラシの目的及び特性に合うように選択される。ポリマーブラシは、例えば別の出発モノマーを用いて、ポリマーブラシの形成を繰り返すことによって、複数層のポリマーブラシとして形成することもできる。これは、ポリマーブラシの末端に開始部位を残す重合の制御された性質により行うことができる。
それでも、ポリマーブラシの調製及び試薬の取扱いは、依然として専門的な作業である。さらに、大型のポリマーブラシ被覆表面の製造には、例えば、ポリマーブラシが形成される表面上に反応物の均一な分布を得ること、反応物が表面に窪みを形成したり、反応物が存在しない領域を形成することを回避することなど、様々な課題がある。もう一つの課題は、明らかにポリマーブラシの分布が不均一な製品をもたらす形成プロセス中の溶媒の蒸発に対処することである。同様に、ポリマーブラシ製品の品質を悪くする、ポリマーブラシが全く存在しない領域も問題となることがある。表面上のポリマーブラシの完全な形成を確保するために、表面を反応物中に完全に浸すことができるが、この手法は、大きな表面又は基材では可能でない場合がある。
したがって、ポリマーブラシを形成するための反応物の均一な分配を改善及び確保することが求められている。
ポリマーゲルはよく知られた物質である。ポリマーゲルは、紙おむつから、コンタクトレンズ及びインプラント並びに組織工学に(tissue engineering)に至るまで、多くの用途で使用されている。ポリマーゲルは、最大で自重の500倍もの多量の水(ヒドロゲル)又は有機溶媒(オルガノゲル)を吸収することが可能な3次元ポリマーネットワークである。ポリマーゲルは、ポリマーを架橋ポリマーマトリックスに架橋することによって得られる。これらの架橋性部位は、可逆的な架橋と不可逆的な架橋に分けることができる。可逆的に架橋されたポリマーゲルは、イオン引力、水素結合又は金属配位などの種々の相互作用又は結合から得ることができる。可逆的ポリマーゲルをある刺激にさらすと、架橋の切断が起こる。非可逆的に架橋されたポリマーゲルは、共有結合のネットワークを有し、永久的なゲルネットワークを生じる。
ポリマーゲルは、多くの有用な特徴、特に、機械的変形に対する粘弾性応答を有する。特に、ポリマーゲルは、例えば、人工筋肉、精製もしくは分離システム、再生医療、バイオセンサー、形状記憶材料、輸送システム、及び分子認識システムなど、様々な用途が提案されている。このように、ポリマーゲルは他の化合物を吸収すること、又は他の化合物に応答することができる。
近年、ヒドロゲル(水中で膨潤したポリマーゲル)は、水に対するヒドロゲルの親和性と、それによる、例えば拡散、膨潤、化学又は環境による制御された薬物徐放の可能性、ドラッグデリバリーへの応用が提案されている。しかし、有望であるにもかかわらず、市場に出た製品は非常に少なく、これはおそらく、ヒドロゲルを分解せずに薬物をヒドロゲルから放出することが難しく、それによって、分解したヒドロゲルの人の健康に対する潜在的な有害性による毒性をもたらすリスクを生じるためであろう。ヒドロゲルの体内への蓄積を避けるために、酵素分解可能な薬物送達ヒドロゲルを合成する一つの手法がある。
ヒドロゲルが、ポリマーブラシ-ゲルの形態でポリマーブラシと結合された(S. Demirci, Polymers 2018, 10, 956参照)。架橋剤が、ブラシ形成モノマー(brush-forming monomers)と反応又は結合してブラシ-ゲル(又は架橋ポリマーブラシネットワーク)を形成し、そこから他の化合物を放出することができる(メチレンブルーが例示される)。S. Demirciでは、シロデキストリンが、ポリマー、例えばポリ(2-N-モルホリノエチルメタクリレート)に架橋剤として組み込まれ、シリコンウェハー上に架橋シクロデキストリンメタクリレート(CDMA)ポリマーを生じた。このCDMAポリマーは、ブラシ-ゲルからメチレンブルーを可逆的に捕捉/放出するために、その後使用された。
このように、ヒドロゲルは多くの用途で広く使用されており、ポリマーゲルも同様に用途を見出すことができるが、それらは、ポリマーブラシを生じるための媒体として幾つかの欠点を有する。例えば、ポリマーゲルに依存して、ポリマーブラシ反応物(polymer brush reactants)がポリマーゲルに吸収され、それによって、その反応物の界面への移動が妨げられ、ポリマーブラシの不十分な形成をもたらすことがある。さらに、ポリマーゲル上の架橋性部位がポリマーブラシ反応物と反応し、ポリマーブラシ形成に悪影響を及ぼし得る。さらにまた、いくつかの架橋性部位はラジカル捕捉剤として作用し、それによってポリマーブラシ形成に影響を与える可能性がある。さらに、ある架橋性部位は、金属配位体(metal coordinator)として作用し得る。このことは、重合に利用される金属触媒が吸収され、それによって重合プロセスを歪める可能性があることを意味する。
上記にもかかわらず、ヒドロゲルはポリマーブラシと共に使用されてきた。欧州特許出願公開第3 385 340号明細書(A1)から、多糖類のヒドロゲル層及びポリマーブラシ層のコーティングが知られている。このコーティングは、a)基材上にヒドロゲル層を提供し、b)ヒドロゲル層上にラジカル移動可能な原子を有する開始剤を付着させ、c)開始剤によりモノマーを反応させて、ヒドロゲル層に付着したポリマーブラシを形成することによって調製される。その結果、ヒドロゲルはポリマーブラシの一体化部分となり、ヒドロゲルはポリマーブラシにより機能付与される。
本発明の発明者らは、驚くべきことに、特定のポリマーゲルが、重合反応物の均一な分布を促進し、さらにはポリマーブラシの形成を促進することができることを見出した。
本発明は、ポリマーブラシの形成に関する。特に、本発明は、ポリマーブラシの形成におけるポリマーゲルの使用に関する。本発明で使用されるポリマーゲルは、重合媒体中で膨潤可能であり、表面上のポリマーブラシの形成後に除去可能である。したがって、ポリマーゲルは、ポリマーブラシの形成(又は成長)に必要な反応物を含む重合媒体のための「容器」として機能する。ポリマーゲルは、ポリマーブラシの形成に必要な反応物の容易な適用など、多くの利点を提供する。ポリマーゲルは、重合媒体中で膨潤した場合、密な構造を有し、重合媒体とポリマーブラシが形成されるべき表面との間の良好な接触を可能にすることができる。さらに、ポリマーブラシ形成後に、ポリマーゲルや過剰な重合媒体を表面から容易に除去することができる。したがって、ポリマーゲルは、表面上に固定された任意の官能基や重合媒体の成分と反応せず、ポリマーゲルを除去した後に純粋なポリマーブラシを残すことができる。
したがって、第1の態様において、本発明は、表面にポリマーブラシを形成する方法であって、重合開始剤が上に固定された表面を重合媒体に接触させる方法に関し、この方法では、ポリマーブラシの形成中に、膨潤可能かつ除去可能なポリマーゲルが使用される。重合媒体をポリマーゲルと組み合わせて使用することの1つの主な利点は、ポリマーゲルが重合媒体中で膨潤し、ポリマーゲルがそれによって重合媒体のための半固体の又は濃密なキャリア(semi-solid or dense carrier)を提供し、それによって重合媒体のポリマーブラシ形成成分のためのキャリアを提供することである。これにより、膨潤した重合媒体が重合反応中に表面に付着するため、あらゆる形状及び配向の表面へのポリマーブラシの形成が可能である。もう一つの利点は、ポリマーゲルが周囲雰囲気からポリマーゲル-表面相間(polymer gel-surface interphase)への酸素の移行を遅くし、ポリマーブラシを生じる重合反応のより高度な制御を与えることである。
したがって、本発明は、特に、ポリマーゲルが重合媒体中で膨潤可能であり、ポリマーゲルが表面上のポリマーブラシの形成後に除去可能である方法に関する。
従来、ポリマーブラシは浸漬コーティングプロセスで形成されるため、より大きな又はより複雑な構造体へのポリマーブラシの形成は制限されていた。本発明では、表面/構造体を重合媒体中に完全に浸漬する必要なしに重合反応を容易に進行させることができる。固定された開始剤が表面/構造体のすべての部位に存在する場合、従来の浸漬コーティングでは、望ましくないポリマーブラシの形成が生じる可能性があるが、本発明のさらなる利点は、ポリマーブラシの形成を特定の部位のみに向けることができることである。
第2の態様において、本発明は、ポリマーブラシの形成における膨潤可能かつ除去可能なポリマーゲルの使用に関する。この態様でも、ポリマーゲルは、重合媒体中で膨潤可能であり、ポリマーブラシの形成後に除去可能である。ポリマーゲルの使用は、重合開始剤が上に固定された表面上での重合媒体の均一な分布を提供する。ポリマーゲルの使用は、ポリマーゲルが重合媒体中で膨潤し、それによって、膨潤した重合媒体(膨潤したゲル)が表面により良好に付着するため、膨潤した重合媒体(膨潤したゲル)を複雑な形状及び様々な配向を有する表面に容易に適用できるという有利な効果を有する。
また、驚くべきことに、重合媒体中でのポリマーゲルの膨潤は、重合反応(すなわち、表面上でのポリマーブラシの形成)を妨げないことが分かった。
本開示に与える詳細な説明から、本発明はより完全に理解されるであろう。添付の図面は、例示のためだけに与えられており、したがって、本発明を限定するものではない。
本発明及びその態様について、以下により詳細に説明する。
本発明は、表面上にポリマーブラシを形成する方法であって、重合開始剤が上に固定された表面を重合媒体に接触させる方法に関し、この方法では、ポリマーブラシの形成中に、ポリマーゲルが重合媒体中で膨潤される。ポリマーブラシの形成後、ポリマーゲルは表面から除去可能である。
本明細書において、「ポリマーゲル(「a polymer gel」及び「the polymer gel」)」という表現は、1種以上のポリマーゲルを含むことが意図されている。1種より多くのポリマーゲルは、好適には、2種、3種、4種又は5種のポリマーゲルであることができる。
本発明において適用されるポリマーゲルは、好適には、水中、水とアルコールとの混合物中、水と非プロトン性溶媒との混合物中、又は重合媒体以外の非プロトン性溶媒中で膨潤可能なものである。
本発明の好ましい一実施形態において、ポリマーゲルは、ポリマーゲルの架橋が可逆的であるようなものである。したがって、重合媒体中でのポリマーゲルの膨潤(膨潤ゲル)は、外部刺激によって元に戻すことができる。
本発明において使用されるポリマーゲルは、重合媒体に使用される有機溶媒/水溶媒系を吸収することができるようなものである。本発明において使用されるポリマーゲルは、好適には、可逆性ポリマーゲル、すなわちゲル化形態と液状形態との間で変化することができるポリマーゲルである。特に、本発明の方法において使用されるポリマーゲルは、ヒドロゲルであることができる。好適なポリマーゲルは、シングルネットワーク(1つのタイプのポリマー及び架橋)又はダブルネットワーク(2つのタイプのポリマー及び架橋)を有するものであって、可逆的に架橋されたポリマーゲルである。好適なポリマーゲルの例としては、ポリアリルアミン(PAH)、ポリ(リン酸2-ヒドロキシエチルメタクリレートエステル)、ポリビニルイミダゾール、ポリアクリル酸、PEG、コラーゲン、ゼラチン、アガロース、及び多糖類、例えばキトサン、シクロデキストリン(例えば、β-CDポリマーとPEG-コレステロールポリマーの組み合わせなど)、アルジネート、アルギン酸ナトリウム及びキサンタンガムなど、並びにシステインベースのポリマーゲルを挙げることができるが、これらに限定されない。キサンタンガムは、本発明の目的のためのポリマーゲルとして使用するのに、非常に適した多糖類であることが予想される。架橋ポリマーゲルを形成するための架橋剤は、系に、ポリマーゲルの一部として組み込まれてもよいし、あるいは、添加剤として加えられてもよい。
一実施形態では、ポリマーゲルは、金属をキレート化する部位を有し、それによって金属配位が可能である。金属をキレート化する部位を含む分子、例えば、タンニン酸(TA)などの組み込みは、金属イオン、例えば、Cu(II)、Fe(III)及びAl(III)の配位によるポリマーの架橋を提供することができる。
別の実施形態では、ポリマーゲルの架橋は疎水性相互作用に依存する。架橋は、例えば、ゲスト-ホスト相互作用(例えば、小さな疎水性分子とシクロデキストリン)によって達成される。
別の実施形態では、ポリマーゲルの架橋は硫黄架橋に依存する。架橋は、その場合、1種のポリマー(例えば、ポリシステイン)の内部に生成されるジスルフィド結合によって生じる。
別の実施形態では、ポリマーゲルは、水素結合アクセプター及び/又はドナーを有し、それによって架橋が水素結合によって促進される。これの例としては、ゼラチン及びアガロースが挙げられ、これらは、好都合なことに熱応答性ポリマーゲルである。
本発明で使用されるポリマーゲルは、可逆的に架橋されていることが好ましい。可逆性は、例えば、pH、温度、露光、超音波処理、溶媒極性又は酸化電位などの外部刺激に対する応答性によって得られる。pH応答性ポリマーゲルの一例は、PAH/TA/Fe(III)ポリマーゲル(ヒドロゲル)である。低いpH(7未満)では、ポリマーゲルは液体の形態にあり、高いpH(7又はそれより高い)では、ポリマーゲルは濃密(dense)又は半固体である。他の例は、ポリ(リン酸2-ヒドロキシエチルメタクリレートエステル)のヒドロゲルであり、これは、高pHでゲル化するが、水中(又は低pH)での超音波処理により液化する。特に、膨潤したポリマーゲルは、pHもしくは温度の調整によって、露光によって、又は溶媒混合物の極性の変更によって、除去可能であることができる。いくつかの方法において、超音波処理は、適切な溶媒中で、必要に応じて一連のすすぎ工程として行われる。
疎水性相互作用によって架橋が促進される一例はシクロデキストリンであり、これは、1種のポリマーの部位鎖(site chain)に組み込まれる。次に、別のポリマーが、疎水性部位を有するように設計される。これらの2種のポリマーを親水性環境で混合することによって、ゲル化が起こる。エネルギー的な考慮により、疎水性部分がシクロデキストリンの疎水性内部に引き寄せられ、その結果、架橋を促進する。別の極性の溶媒に変更することによって、この結合を元に戻すことができる。
重合媒体におけるポリマーゲルの膨潤後、得られた媒体(ゲル)を、ポリマーブラシが形成される表面に移す。
一般的に、ポリマーブラシの形成は室温で行われるが、他の温度を適用してもよいことが理解されるべきである。温度は、特に、ポリマーブラシを形成するために使用される方法に関係していてもよい。さらに、ポリマーブラシ形成後に、ポリマーゲルを液化し、それによってポリマーゲルを容易に除去するための刺激として、高温を使用してもよい。
一般的に、ポリマーブラシはSIP(表面開始重合(Surface-Initiated Polymerisation))により合成される。ポリマーブラシを形成するのに好適な方法の例としては、ARGET ATRP(Activators ReGenerated by Electron Transfer Atom Transfer Radical Polymerisation)法、従来のATRP法、SARA ATRP(Supplemental Activation Reducing Agent Atom Transfer Radical Polymerisation)法、及びSET LRP(単一電子移動リビングラジカル重合(Single-Electron Transfer Living Radical Polymerisation))法などが挙げられる。これらの方法は、当該技術分野において周知である。いくつかの方法は、国際公開第2019/196999号(A1)に記載されている。
ATRP法は、通常、触媒として遷移金属錯体を使用し、重合開始剤(R-X)としてハロゲン化アルキルを使用して、原子移動プロセスによりラジカルを生成させる方法である。それと同時に、遷移金属がより高い酸化状態に酸化される。その結果、モノマーから成長ポリマー鎖がもたらされる。ATRP法は、次の反応物を必要とする:モノマー、(溶媒)、開始剤(ポリマーブラシを成長させる表面上に固定される)、触媒、及び配位子。ARGET ATRP法では、Cu(I)の再生のために、還元剤、例えば、ヒドラジン、フェノール類、糖類、及びアスコルビン酸などを使用して電子移動により活性剤を再生させる。SARA ATRP法では、補助的な活性剤及び還元剤としてCu(0)が使用され、Cu(0)はハロゲン化アルキルを直接活性化し、Cu(0)は、さらに、Cu(II)をCu(I)に還元し、それによって、Cu(I)活性剤を再生させる。SIP法では、固定された重合開始剤が、モノマーの存在下で、触媒によって活性化され、表面にポリマーブラシが形成される。SET-LRPは、ATRP、ARGET ATRP、SARA ATRPと同様に、ハロゲン化アルキルを開始剤として利用する。モノマー、(溶媒)、及び配位子の存在下で、重合は、触媒としてCu(0)を絶えず供給するCu(0)のバルク部分に由来する触媒によって触媒される。
上述した方法はすべて、表面にポリマーブラシを調製するのに適している。表面にポリマーブラシを形成するためのこれら及び本開示で具体的に言及されていない他の方法も、本発明の目的に等しく適している。
例えば温度、反応時間、洗浄などの反応条件は、当業者に一般的に知られている。同様に、当業者は、ポリマーブラシ形成方法に応じて、ポリマーブラシを形成するために必要な重合媒体、すなわちモノマー、触媒/配位子、溶媒などを選択する方法を分かるであろう。
一般的に、本方法で使用される重合媒体は、溶媒もしくは溶媒の組み合わせ、モノマー、配位子、触媒、及び/又は活性剤を含む。場合によっては、ポリマーゲル及び重合媒体の膨潤前に、ポリマーゲルに活性剤を加えることが有利であることがある。それによって、重合媒体の反応物は、ポリマーゲルと重合媒体が組み合わされたときにのみ活性化される。場合によっては、重合媒体の均一なゲル化を確実にするために、アンチケーキング剤、例えば、炭酸水素ナトリウム又は二酸化ケイ素などを使用することができる。場合によっては、ポリマーゲルによる重合媒体の分配を容易にするために、界面活性剤、例えば、アニオン性、両性イオン性又は非イオン性界面活性剤などを使用することができる。
本発明において、好適な溶媒としては、アルコール、例えば、メタノール、エタノール及びイソプロパノールなどが挙げられる。また、非プロトン性溶媒、例えば、ジメチルスルホキシド(DMSO)、アセトン、ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、プロピレンカーボネート、メチレンカーボネート、エチレンカーボネート、エチルラクテートアルコール、及びイオン性液体(液体に溶解した塩)なども本発明の方法において使用することができる。アルコール及び/又は非プロトン性溶媒は、好適には、適切な比で水と混合され、例えば、水とアルコールは、好適には、5体積%:95体積%、10体積%:90体積%、15体積%:85体積%、20体積%:80体積%、25体積%:75体積%、30体積%:70体積%、35体積%:65体積%、40体積%:60体積%、45体積%:55体積%、50体積%:50体積%、55体積%:45体積%、60体積%:40体積%、65体積%:35体積%、70体積%:30体積%、75体積%:25体積%、80体積%:20体積%、85体積%:15体積%、90体積%:10体積%又は5体積%:95体積%の比のアルコール/非プロトン性溶媒:水の比で混合される。好ましい実施形態では、この比は、アルコール/非プロトン性溶媒:水が50体積%:50体積%である。
好適なモノマーの例としては、アクリレート、メタクリレート、ハロゲン置換アルケン、アクリルアミド類、メタクリルアミド類及びスチレン類、並びにそれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。具体的なアクリレートモノマーとしては、メチルアクリレート、エチルアクリレート、及びラウリルアクリレートが挙げられるが、これらに限定されない。具体的なメタクリレートモノマーとしては、メチルメタクリレート(MMA)、2-ヒドロキシ-エチル-メタクリレート(HEMA)、メタクリル酸グリシジル(GMA)、エチルメタクリレート、ブチルメタクリレート、及びラウリルメタクリレートが挙げられるが、これらに限定されない。具体的なハロゲン置換アルケンモノマーとしては、塩化ビニル、二フッ化ビニリデン、テトラフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレン、及びヘキサフルオロプロピレンが挙げられるが、これらに限定されない。具体的なアクリルアミド系モノマーとしては、アクリルアミド、N-イソプロピルアクリルアミド、N-tert-ブチルアクリルアミド、及びN-ヒドロキシエチルアクリルアミドが挙げられるが、これらに限定されない。具体的なメタクリルアミド系モノマーとしては、N-イソプロピルメタクリルアミド、メタクリルアミド、N-tert-ブチル-メタクリレート、N-ヒドロキシ-エチルメタクリレートが挙げられるが、これらに限定されない。具体的なスチレン系モノマーとしては、スチレン、4-メチルスチレン、2,3,4,5,6-ペンタフルオロスチレン、p-ジビニルベンゼン、及び4-クロロスチレンが挙げられるが、これらに限定されない。
好適な配位子の例としては、窒素含有配位子、例えば、N,N,N’,N’’,N’’’-ペンタメチルジエチレントリアミン(PMDETA)、トリス[2-(ジメチルアミノ)エチル]アミン(Me6TREN)、トリス(2-アミノエチル)アミン(TREN)、トリス(2-ピリジルメチル)アミン(TPMA)及び2,2’-ビピリジル(BiPy)が挙げられるが、これらに限定されない。
好適な触媒の例としては、銅(Cu)、鉄(Fe)及びニッケル(Ni)から誘導された金属触媒が挙げられるが、これらに限定されない。特に、Cuが好適である。
好適な活性剤の例としては、アスコルビン酸ナトリウム(NaAsc)、アスコルビン酸(Asc)、ヒドラジン、ヒドラジン水和物、次亜リン酸ナトリウム、鉄粉と塩化ナトリウムの混合物、炭酸水素塩、クエン酸、及び焦性没食子酸、並びにこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。特に、NaAsc、Asc、及びヒドラジンは、本発明の目的に適している。
本発明の方法において、ポリマーブラシは、表面、典型的には固体材料の表面に形成される。かかる表面は、好適には、金属(例えば、アルミニウム、鋼、チタン、ニッケル、金、銀、白金、クロム、銅、鉄、及び様々な金属の合金)、ガラス、炭素、炭素繊維、グラフェンもしくはグラファイト、セラミックス、複合材料、又はプラスチック、ゴム、あるいは、かかる材料の外側のコーティングを含む他の材料から作られたものであることができる。表面は、導電性であってもよいし、非導電性であってもよい。表面は、そこに固定された重合開始剤を有する。重合開始剤を固定化する方法は当該技術分野でよく知られている。重合開始剤は、表面が作られる材料に依存するが、形成されるポリマーブラシの特性にも依存して、表面への固定化を可能にするように、所定の表面化学を有するものとすることができる。
成分(モノマー、配位子、触媒、活性剤)の各々の濃度は、典型的には、0.1nMから35Mまでの範囲内である。具体例としては、1nM、5nM、10nM、50nM、1M、5M、10M、20M、30Mが挙げられるが、これらに限定されない。各成分の濃度は、同じであっても、異なっていてもよいことが理解されるべきである。特定の実施形態において、モノマーの濃度は0.01M~5Mであることができる。特定の実施形態において、活性剤の濃度は0.010~0.045Mであることができる。特定の実施形態において、配位子の濃度は0.05mM~0.1Mである。特定の実施形態において、溶媒の濃度は0.1~35Mである。特定の実施形態において、触媒の濃度は1.0ppb~500.0ppmである。
本発明の好ましい一実施形態において、ポリマーゲルは可逆性架橋ポリマーゲルである。かかる可逆性ポリマーゲルは、好適には、ポリマー側鎖に組み込まれるか、あるいは、ポリマーゲル溶液に添加剤(例えばタンニン酸)として加えられる、特定の架橋剤を有するポリマーから主に構成されたものであることができる。これらの架橋剤は、好適には金属配位性であることができ、例えばピロガロール(タンニン酸)構造を使用して実現することが可能である。金属配位部位への金属の望ましくない配位は、重合反応、ひいてはポリマーブラシの形成を歪めるおそれがあるため、金属配位の選択は重要である。好適なポリマーゲルは、重合媒体中で膨潤するようなものである。
本発明の別の実施形態において、ポリマーゲルはチキソトロピー性である。キサンタンガムは、チキソトロピー性ポリマーゲルの好適な例である。
本発明の方法において、ポリマーゲルが重合媒体中で膨潤される。膨潤後、最終的な重合媒体は、典型的には、0.1~20質量%のポリマーを含む。次に、膨潤したゲルが、重合開始剤が固定された表面に適用される。膨潤したゲルは、好適には、表面に、刷毛塗り/ペイント、敷設、又はかけることができる。次に、重合及びポリマーブラシの形成を進行させる。
表面及び膨潤ゲル(組み合わされたポリマーゲル及び重合媒体)は、典型的には、例えば0.1秒間~5時間などの適切な時間、互いに接触した状態に保たれる。好適な時間としては、1秒間、2秒間、30秒間、1分間、5分間、30分間、1時間、2時間、3時間、4時間、及び5時間が挙げられるが、これらに限定されない。ポリマーブラシの形成は、周囲温度(室温)で行うことができ、冷却又は加熱を用いて行われてもよい。好適な反応温度は、-20℃から120℃まで、例えば、室温(約20℃)から120℃までなどである。具体的な温度としては、-20℃、0℃、室温(約20℃)、30℃、50℃、60℃、70℃、80℃、90℃、100℃、110℃及び120℃が挙げられるが、これらに限定されない。
ポリマーブラシの形成後、膨潤したゲルが表面から回収される。これは、好適には、必要に応じて酸性環境で、表面を超音波処理することによって行うことができる。pH応答性ポリマーゲルの一例はPAH/TA/Fe(III)であり、これは、pH7以下では液相であり、pH7超ではゲル状態にある。ポリマーゲルを、酸性溶液、例えばHCl溶液などに浸すと、金属配位が変化し、それによってゲルの粘性が変化して液体になる。ゲルが液体状態であれば、例えば超音波処理によって、ポリマーブラシからゲルを容易に除去することができる。
ポリマーブラシの形成のためにポリマーゲルを使用することで、多くの利点が達成されることが示された。ポリマーゲルは重合媒体の容器として機能するため、ポリマーブラシの形成にとって安定した環境を提供し、そのため、重合媒体はポリマーゲル内で自由に拡散し、表面でポリマーブラシの形成を促進することができる。ポリマーゲルは、さらに、粘性環境を提供し、それによって、ポリマーブラシの形成中に平面的に配向していない(水平に配置されていない)表面へのポリマーブラシの形成を可能にするか、あるいは、特定のポリマーブラシの形成が望まれる表面へのポリマーブラシの形成を可能にする。さらに、ポリマーブラシの形成中にポリマーゲルを使用することで、ポリマーブラシの形成中の酸素の供給が最低限に抑えられ、制御された重合が確保される。これらの利点は、さらに、ポリマーブラシ被覆表面の大規模生産を可能にする。
したがって、本発明は、さらに、重合開始剤がその上に固定された表面上に重合媒体を均一に分配するための、ポリマーブラシの形成におけるポリマーゲルの使用に関する。ポリマーゲル及びポリマーブラシの形成におけるその使用方法は上述したとおりである。
本発明による使用は、ポリマーゲルを重合媒体中で膨潤させることを含む。
ポリマーブラシは、金属及びガラスへのゴム、複合材料及びプラスチックの結合形成、並びにシーリング用途のためのこれらの間の結合、センサー用途のためのガラスへの機能性熱可塑性材料の結合形成、ガラス、金属、プラスチックなどの上に機能性表面、例えば抗菌表面、低摩擦表面又は超疎水性セルフクリーニング表面を生じさせるための、ポリマー、例えば熱可塑性材料のマトリックスへの、炭素繊維、グラフェン、粒子などのポリマーブラシ被覆複合材料充填物の効率的な結合形成などの多くの用途に有用である。
本発明を、以下の非限定的な実施例によってさらに説明する。
実施例1
重合媒体用の触媒/Me6TREN溶液の調製
触媒/Me6TREN溶液(酸素捕捉剤活性剤及びモノマーを含まない重合媒体)を、以下の方法で調製した。
250mlのDI水(脱イオン水)と2.40mlのN-トリス[2-(ジメチルアミノ)エチル]アミン(Me6TREN - 配位子として作用)を銅線巻きテフロン磁石を備えた丸底フラスコ内で混合した。この溶液を8日間撹拌することによって、Cu(0)を溶液中に遊離させた。Cu(0)は休眠/不活性触媒として機能し、活性剤を加えることで活性化することができる。UV-vis分光法を使用してCu(0)触媒濃度を決定した。Cu触媒/Me6TREN原液を水で希釈して、73mg/l、93.8mg/l、333mg/l又は427mg/lの触媒濃度を得た。
重合媒体用の触媒/Me6TREN溶液の調製
触媒/Me6TREN溶液(酸素捕捉剤活性剤及びモノマーを含まない重合媒体)を、以下の方法で調製した。
250mlのDI水(脱イオン水)と2.40mlのN-トリス[2-(ジメチルアミノ)エチル]アミン(Me6TREN - 配位子として作用)を銅線巻きテフロン磁石を備えた丸底フラスコ内で混合した。この溶液を8日間撹拌することによって、Cu(0)を溶液中に遊離させた。Cu(0)は休眠/不活性触媒として機能し、活性剤を加えることで活性化することができる。UV-vis分光法を使用してCu(0)触媒濃度を決定した。Cu触媒/Me6TREN原液を水で希釈して、73mg/l、93.8mg/l、333mg/l又は427mg/lの触媒濃度を得た。
実施例2
重合媒体用の触媒/PMDETA溶液の調製
触媒/PMDETA原液(重合活性剤を含まない重合媒体)を、以下のように調製した:
2000mlのDI水(脱イオン水)及び44mlのN,N,N’,N’’,N’’-ペンタメチルジエチレントリアミン(PMDETA - 配位子として作用)を、エルレンマイヤーフラスコ内で混合した。蠕動ポンプ及びシリコンチューブを使用して、この溶液をCu管(長さ10m、内径2.8mm、外径4mm)に10ml/minの流量で流した。それによって、Cu(0)が溶液中に遊離した。Cu(0)は休眠/不活性触媒として機能し、活性剤の添加によって活性化することができる。UV-vis分光法を使用してCu(0)触媒濃度を決定した。その後、Cu触媒/PMDETA原液をDI水で希釈して、約30mg/lの触媒濃度を得た。
重合媒体用の触媒/PMDETA溶液の調製
触媒/PMDETA原液(重合活性剤を含まない重合媒体)を、以下のように調製した:
2000mlのDI水(脱イオン水)及び44mlのN,N,N’,N’’,N’’-ペンタメチルジエチレントリアミン(PMDETA - 配位子として作用)を、エルレンマイヤーフラスコ内で混合した。蠕動ポンプ及びシリコンチューブを使用して、この溶液をCu管(長さ10m、内径2.8mm、外径4mm)に10ml/minの流量で流した。それによって、Cu(0)が溶液中に遊離した。Cu(0)は休眠/不活性触媒として機能し、活性剤の添加によって活性化することができる。UV-vis分光法を使用してCu(0)触媒濃度を決定した。その後、Cu触媒/PMDETA原液をDI水で希釈して、約30mg/lの触媒濃度を得た。
実施例3
pH応答性ポリマーゲル:ポリ(リン酸2-ヒドロキシエチルメタクリレートエステル)の調製
2.27gのリン酸2-ヒドロキシエチルメタクリレートエステル(モノマー)を、実施例2からの触媒/PDETA原液8ml及びエチルα-ブロモイソブチラート(開始剤)10μLと組み合わせた。この溶液をアルゴンで5分間パージした。32.7mgのアスコルビン酸ナトリウム(NaAsc、活性剤)を加え、溶液をさらに5分間パージした。一晩反応させた。吸引濾過によりポリマーを単離し、水で簡単に洗浄した後、エタノールで洗浄した。このクリーニング工程は、例えば、過剰のNaAscを除去する。それによって、非膨潤ポリマーゲルであるポリ(リン酸2-ヒドロキシエチルメタクリレートエステル)が得られた。
pH応答性ポリマーゲル:ポリ(リン酸2-ヒドロキシエチルメタクリレートエステル)の調製
2.27gのリン酸2-ヒドロキシエチルメタクリレートエステル(モノマー)を、実施例2からの触媒/PDETA原液8ml及びエチルα-ブロモイソブチラート(開始剤)10μLと組み合わせた。この溶液をアルゴンで5分間パージした。32.7mgのアスコルビン酸ナトリウム(NaAsc、活性剤)を加え、溶液をさらに5分間パージした。一晩反応させた。吸引濾過によりポリマーを単離し、水で簡単に洗浄した後、エタノールで洗浄した。このクリーニング工程は、例えば、過剰のNaAscを除去する。それによって、非膨潤ポリマーゲルであるポリ(リン酸2-ヒドロキシエチルメタクリレートエステル)が得られた。
実施例4
ポリマーゲル、ポリ(リン酸2-ヒドロキシエチルメタクリレートエステル)を使用するポリマーブラシの形成
ポリアクリルアミドブラシを生成させるための重合媒体中でポリ(リン酸2-ヒドロキシエチルメタクリレートエステル)ゲル(実施例3で調製)を膨潤させ、得られたゲルを、重合開始剤がその上に固定された表面(下記参照)に適用して、ポリアクリルアミドブラシを形成した。
ポリマーゲル、ポリ(リン酸2-ヒドロキシエチルメタクリレートエステル)を使用するポリマーブラシの形成
ポリアクリルアミドブラシを生成させるための重合媒体中でポリ(リン酸2-ヒドロキシエチルメタクリレートエステル)ゲル(実施例3で調製)を膨潤させ、得られたゲルを、重合開始剤がその上に固定された表面(下記参照)に適用して、ポリアクリルアミドブラシを形成した。
まず、4mlのDI水、50μlのMe6TREN/触媒原液(実施例1で調製)及び0.29gのアクリルアミドを混合することによって、重合媒体(活性剤としての酸素捕捉剤を含まない)を調製した。次に、5分間の超音波処理により実施例3のポリ(リン酸2-ヒドロキシエチルメタクリレートエステル)195.5mgを1mlの重合媒体中に溶解させることによって、ポリマーゲルを重合媒体中で膨潤させた。この段階では、重合媒体と組み合わされたポリマーゲル溶液は、酸性であり、そのため、その液体形態にあった。ポリマーゲルをゲル化させるために、NaOH溶液を加えることにより溶液のpHをpH7超に上昇させた。注目すべきは、NaOH溶液と組み合わされた酸素捕捉剤活性剤NaAsc(アスコルビン酸ナトリウム)を加えることによって、それと同時に重合媒体が活性化され、ポリマーブラシの形成を可能にしたことである。それ故、10.2mgのNaAscを1mlの1M NaOHに加え、この溶液を重合媒体中のポリマーゲルの溶液に加えた。
ポリマーゲル(重合媒体と混合されたもの)は3分間以内にゲル化し始めた。豆粒大のゲル片を、25×25mmのアルミニウムプレートであって、重合開始剤(アルミニウム上に堆積された3-(トリメトキシシリル)プロピル2-ブロモ-2-メチルプロパノエート)がその上に固定されたアルミニウムプレート上に載せた。膨潤した重合媒体(重合媒体とポリマーゲルの組み合わせ)をプレート上に塗りつけた。これは図2に示されている。図2から分かるように、膨潤したゲル(膨潤した重合媒体)のプレートへの付着性は良好であり、図示されているように垂直に傾けられた場合でも、ゲルはその場にとどまっていた。
重合媒体中で膨潤したポリマーゲルを室温で1時間放置し、表面にポリマーブラシを生じさせた。その後、水中でプレートを10分間超音波処理することによって、ポリマーゲル/重合媒体を除去した。超音波処理によって、膨潤したポリマーゲルは「溶解」した、すなわち、液体になった(膨潤したゲルは可逆的であった)。その後、物理吸着した物質を除去するためのアセトン中での10分間の超音波処理によって、プレートをクリーンにした。
ポリマーゲル/重合媒体が表面に接触していた領域だけに均質なポリマーブラシコーティングの形成が認められた(視覚的に確認、図3に示す)。この2つの異なる領域間の差異は、水接触角測定によっても確認した。
実施例5
大型ステンレス鋼基材への、ポリマーゲル、ポリ(リン酸2-ヒドロキシエチルメタクリレートエステル)を使用するポリマーブラシの形成
本実施例は、ポリアクリルアミドブラシを生成させるために重合媒体中でポリ(リン酸2-ヒドロキシ-エチルメタクリレートエステル)ゲル(実施例3で調製したポリマーゲル)を膨潤させ、得られたゲルを、重合開始剤がその上に固定された表面に適用することによってポリアクリルアミドブラシを形成した点で、先の実施例4と同様である(下記参照)。しかしながら、本実施例では、この方法のスケーラビリティを実証するために、大型ステンレス鋼プレートに適用した。
大型ステンレス鋼基材への、ポリマーゲル、ポリ(リン酸2-ヒドロキシエチルメタクリレートエステル)を使用するポリマーブラシの形成
本実施例は、ポリアクリルアミドブラシを生成させるために重合媒体中でポリ(リン酸2-ヒドロキシ-エチルメタクリレートエステル)ゲル(実施例3で調製したポリマーゲル)を膨潤させ、得られたゲルを、重合開始剤がその上に固定された表面に適用することによってポリアクリルアミドブラシを形成した点で、先の実施例4と同様である(下記参照)。しかしながら、本実施例では、この方法のスケーラビリティを実証するために、大型ステンレス鋼プレートに適用した。
まず、4mlのDI水、50μlのMe6TREN/触媒原液(実施例1で調製)、及び0.31gのアクリルアミドを混合することによって、重合媒体(活性剤として酸素捕捉剤を含まない)を調製した。次に、5分間の超音波処理により実施例3のポリ(リン酸2-ヒドロキシエチルメタクリレートエステル)603mgを2mlの重合媒体中に溶解させることによって、ポリマーゲルを重合媒体中で膨潤させた。この段階では、重合媒体と組み合わされたポリマーゲル溶液は、酸性であり、そのため、その液体形態にあった。ポリマーゲルをゲル化させるために、NaOH溶液を加えることにより溶液のpHをpH7超に上昇させた。注目すべきは、NaOH溶液と組み合わされた酸素捕捉剤活性剤NaAscを加えることによって、それと同時に重合媒体が活性化され、ポリマーブラシの形成を可能にしたことである。それ故、11.9mgのNaAscを2mlの1M NaOHに加え、この溶液を重合媒体中のポリマーゲルの溶液に加えた。
ポリマーゲル(重合媒体と混合されたもの)は3分間以内にゲル化し始めた。このゲルを、100×100mmのステンレス鋼プレートであって、重合開始剤(ステンレス鋼上に堆積された3-(トリメトキシシリル)プロピル2-ブロモ-2-メチルプロパノエート)がその上に固定されたステンレス鋼プレート上に載せた。重合媒体中で膨潤したポリマーゲルを、プレートの複数の部分に塗りつけた。これは図4に示されている。
膨潤した重合媒体/ポリマーゲルを室温で1時間放置し、反応させた。その後、水中でプレートを10分間超音波処理することによって、ポリマーゲル/重合媒体を除去した。超音波処理によって、膨潤したポリマーゲルは「溶解」した、すなわち、液体になった(膨潤したゲルは可逆的であった)。その後、物理吸着した物質を除去するためのアセトン中での10分間の超音波処理によって、プレートをクリーンにした。
膨潤した重合媒体が表面に接触していた領域だけに均質なポリマーブラシコーティングの形成が認められた。このことは、図5に示すように、表面に水をかけ、コーティングされた領域だけ表面が濡れていたことを観察することによって確認した。また、2つの異なる領域間の差異は、水接触角測定によっても確認した。
実施例6
ポリマーゲル、PAH/TA/Fe(III)を使用するポリマーブラシの形成
ポリ(メタクリル酸グリシジル)ブラシを生成させるために重合媒体中でPAH/TA/Fe(III)ポリマーゲルを膨潤させることによって、ポリ(メタクリル酸グリシジル)ブラシを形成した。PAHは購入した(実施例3及び4で使用したポリ(リン酸2-ヒドロキシエチルメタクリレートエステル)は合成したものであるのに対して)。
ポリマーゲル、PAH/TA/Fe(III)を使用するポリマーブラシの形成
ポリ(メタクリル酸グリシジル)ブラシを生成させるために重合媒体中でPAH/TA/Fe(III)ポリマーゲルを膨潤させることによって、ポリ(メタクリル酸グリシジル)ブラシを形成した。PAHは購入した(実施例3及び4で使用したポリ(リン酸2-ヒドロキシエチルメタクリレートエステル)は合成したものであるのに対して)。
まず、172μlのDI水、172μlのEtOH、100μlのPMDETA/触媒原液(実施例2で調製)及び52μlのメタクリル酸グリシジルを混合することによって、重合媒体を調製した。次に、水中40%PAH 0.5ml、タンニン酸15.9mg及びDI水中0.00865MのFeCl3 0.17mlを混合することによって、PAH/TA/Fe(III)ポリマーゲルを調製した。そして、重合媒体とポリマーゲルを組み合わせて、暗青色溶液を得た。この段階で、重合媒体と組み合わされたポリマーゲルは、酸性であり、そのため、その液体形態にあった。
ポリマーゲルと組み合わされた重合媒体(すなわち、膨潤した重合媒体/ポリマーゲル)をゲル化させるために、NaOH溶液を加えることにより溶液のpHをpH7超に上昇させた。NaOH溶液と組み合わされた酸素捕捉剤活性剤NaAscを加えることによって、それと同時に重合媒体が活性化され、ポリマーブラシの形成が可能となった。それ故、5.5mgのNaAscを0.33mlの1M NaOHに加え、この溶液を、ポリマーゲルと重合媒体とを組み合わせたものに加えた。これにより、ポリマーゲルが重合媒体中で膨潤して、重合媒体を含むポリマーゲルが形成される結果、暗赤色の濃密な溶液(dense solution)が得られた。
この膨潤したポリマーゲル/重合媒体を、25×25mmのアルミニウムプレートであって、重合開始剤(アルミニウム上に堆積された3-(トリメトキシシリル)プロピル2-ブロモ-2-メチルプロパノエート)がその上に固定されたアルミニウムプレート上に載せた。これは図6に示されている。
1時間の重合後、膨潤したポリマーゲル付きのプレートを0.01M HClに浸し、10分間超音波処理した。酸性のpHは、膨潤したポリマーゲルを「溶解」させるための刺激であった。すなわち、媒体は液体になった(膨潤は可逆的である)。その後、物理吸着した物質を除去するために、最初に水中で、その後にアセトン中で、プレートを10分間超音波処理した。
ポリマーゲルを含む重合媒体が表面に接触していた領域だけに均質なポリマーブラシコーティングの形成が認められた(光学顕微鏡で確認、図7に示す)。この2つの異なる領域間の差異は、水接触角測定によっても確認した。
図7では、重合媒体とポリマーゲルが表面に接触していたポリマーブラシ被覆領域と、開始剤のみが固定されたブランクのアルミニウム基材との間に、明確な境界が認められる。
実施例7
ポリマーゲル、PAH/TA/Fe(III)をより濃密な形態で使用するポリマーブラシの形成
本実施例は、ポリ(メタクリル酸グリシジル)ポリマーブラシを生成させるために重合媒体中でPAH/TA/Fe(III)ポリマーゲルを膨潤させることによりポリ(メタクリル酸グリシジル)ポリマーブラシを形成した点で、先の実施例6と同様である。本実施例では、より少量の重合媒体を加えることによって、より濃密(dense)な膨潤ゲル(ポリマーゲル及び重合媒体)が得られた。
ポリマーゲル、PAH/TA/Fe(III)をより濃密な形態で使用するポリマーブラシの形成
本実施例は、ポリ(メタクリル酸グリシジル)ポリマーブラシを生成させるために重合媒体中でPAH/TA/Fe(III)ポリマーゲルを膨潤させることによりポリ(メタクリル酸グリシジル)ポリマーブラシを形成した点で、先の実施例6と同様である。本実施例では、より少量の重合媒体を加えることによって、より濃密(dense)な膨潤ゲル(ポリマーゲル及び重合媒体)が得られた。
まず、104μlのDI水、104μlのEtOH、60μlのPMDETA/触媒原液(実施例2で調製)、及び31μlのメタクリル酸グリシジルを混合することによって、重合媒体(まだ重合活性剤としての酸素捕捉剤を含まない)を調製した。次に、水中40%PAH 0.5ml、タンニン酸14.8mg及びDI水中0.00865MのFeCl3 0.17mlを混合することによって、PAH/TA/Fe(III)ポリマーゲルを調製した。そして、重合媒体とポリマーゲルを組み合わせ、ポリマーゲルが重合媒体により膨潤した暗青色溶液を得た。この段階では、重合媒体と組み合わされたポリマーゲルは、酸性であり、そのため、その液体形態にあった。
この混合物をゲル化させるために、NaOH溶液を加えることによって、溶液のpHをpH7超に上昇させた。注目すべきは、NaOH溶液と組み合わされた酸素捕捉剤活性剤NaAscを加えることによって、同時に重合媒体が活性化され、ポリマーブラシの形成を可能にしたことである。それ故、4.3mgのNaAscを0.33mlの1M NaOHに加え、この溶液をポリマーゲルと重合媒体の混合物に加えた。これにより、ポリマーゲルに含まれる重合媒体の暗赤色の濃密な溶液が得られた。
この膨潤したゲル(ポリマーゲルと重合媒体の組み合わせ)を、25×25mmのアルミニウムプレートであって、重合開始剤(アルミニウム上に堆積された3-(トリメトキシシリル)プロピル2-ブロモ-2-メチルプロパノエート)がその上に固定されたアルミニウムプレート上に載せた。この媒体は非常に濃密であったため、媒体を固定したまま試料を垂直に置くことができた。これは図8に示されている。
1時間の重合後、膨潤したポリマーゲル/重合媒体付きのプレートを0.01M HClに浸し、10分間超音波処理した。酸性のpHは、ゲル化媒体を「溶解」させるための刺激であった。すなわち、ゲル化媒体は液体になった。その後、物理吸着した物質を除去するために、最初に水中で、その後にアセトン中で、プレートを10分間超音波処理した。
膨潤した濃密な重合ゲルが表面と接触していた領域だけに均質なポリマーブラシコーティングの形成が認められた(光学顕微鏡により確認した)。また、この2つの異なる領域間の差異は、水接触角測定によっても確認した。
さらに、重合媒体とポリマーゲルの非常に濃密な膨潤ゲルを使用した場合でも、媒体の成分は、表面に固定された重合開始剤と確かに反応することができたと結論付けられた。このように、ポリマーブラシの形成にとって重要な成分は、ポリマーブラシの形成に自由にアクセス可能であった。
実施例8
ポリマーゲル、PAH/TA/Fe(III)をよりいっそう濃密な形態で使用するポリマーブラシの形成
本実施例は、ポリ(メタクリル酸グリシジル)ポリマーブラシを生成させるための重合媒体中でPAH/TA/Fe(III)ポリマーゲルを膨潤させることによってポリ(メタクリル酸グリシジル)ブラシを形成した点で、実施例6及び7と同様である。しかし、本実施例では、さらに少量の重合媒体を加えることによって、よりいっそう濃密な膨潤ゲル(ポリマーゲル及び重合媒体)を得た。
ポリマーゲル、PAH/TA/Fe(III)をよりいっそう濃密な形態で使用するポリマーブラシの形成
本実施例は、ポリ(メタクリル酸グリシジル)ポリマーブラシを生成させるための重合媒体中でPAH/TA/Fe(III)ポリマーゲルを膨潤させることによってポリ(メタクリル酸グリシジル)ブラシを形成した点で、実施例6及び7と同様である。しかし、本実施例では、さらに少量の重合媒体を加えることによって、よりいっそう濃密な膨潤ゲル(ポリマーゲル及び重合媒体)を得た。
まず、35μlのDI水、35μlのEtOH、20μlのPMDETA/触媒原液(実施例2で調製)及び10μlのメタクリル酸グリシジルを混合することによって、重合媒体を調製した(しかし、まだ重合活性剤を含まない)。次に、水中40%PAH 0.5ml、タンニン酸14.1mg及びDI水中0.00865MのFeCl3 0.17mlを混合することによって、PAH/TA/Fe(III)ポリマーゲルを調製した。そして、重合媒体とポリマーゲルを組み合わせて、暗青色溶液を得た。この段階では、重合媒体と組み合わされたポリマーゲルは、酸性であり、そのため、その液体形態にあった。
ポリマーゲル及び重合媒体をゲル化させるために、NaOH溶液を加えることによって溶液のpHをpH7超に上昇させた。注目すべきは、NaOH溶液と組み合わされた酸素捕捉剤活性剤NaAscを加えることによって、同時に重合媒体が活性化され、ポリマーブラシの形成を可能にしたことである。それ故、4.6mgのNaAscを0.33mlの1M NaOHに加え、この溶液をポリマーゲルと重合媒体の組み合わせに加えた。これにより、膨潤したポリマーゲルの半固体形態が形成されたため、暗赤色の濃密な溶液が得られた。
膨潤した重合媒体/ポリマーゲルを、25×25mmのアルミニウムプレートであって、重合開始剤(アルミニウム上に堆積された3-(トリメトキシシリル)プロピル2-ブロモ-2-メチルプロパノエート)がその上に固定されたアルミニウムプレート上に載せた。この媒体は非常に濃密で、媒体を固定したまま試料を垂直に置くことができた。これは図9に示されている。
1時間の重合後、プレートを0.01M HClに浸し、10分間超音波処理を行った。酸性のpHは、膨潤した重合媒体/ポリマーゲルを「溶解」させるための刺激であった、すなわち、膨潤した重合媒体/ポリマーゲルは液体になった。その後、生理吸着物を除去するために、まず水中で10分間超音波処理を行い、その後アセトン中で10分間超音波処理を行った。
均質なポリマーブラシコーティングの形成は、ゲル化ポリマーゲル(重合媒体及びポリマーゲル)が表面と接触していた領域だけに見られた(光学顕微鏡で確認)。また、水接触角測定によっても、この2つの異なる領域間の差異を確認した。
さらに、より濃密な膨潤したゲルであっても、媒体の成分は確かに表面に固定された重合開始剤と反応することができると結論付けられた。このように、ポリマーブラシ形成に重要な成分は、ポリマーブラシ形成のために自由にアクセス可能であった。
実施例9
アルギン酸ナトリウムポリマーゲルの調製
アルギン酸ナトリウムのさまざまなポリマーゲルを、それぞれ4g、5g、6g及び8gのアルギン酸ナトリウムを100mlのDI水中で混合して、それぞれ4w%v%、5w%/v%、6w%/v%及び8w%/v%のアルギン酸ナトリウムポリマーゲルを形成することによって調製した。得られたポリマーゲルは、全ての場合で、粘性のある液体であった。
アルギン酸ナトリウムポリマーゲルの調製
アルギン酸ナトリウムのさまざまなポリマーゲルを、それぞれ4g、5g、6g及び8gのアルギン酸ナトリウムを100mlのDI水中で混合して、それぞれ4w%v%、5w%/v%、6w%/v%及び8w%/v%のアルギン酸ナトリウムポリマーゲルを形成することによって調製した。得られたポリマーゲルは、全ての場合で、粘性のある液体であった。
実施例10
14%エタノール溶媒系でアルギン酸ナトリウムポリマーゲルを使用するポリマーブラシの形成
まず、実施例9に従って調製された17mlのアルギン酸ナトリウム溶液(4w%/v%)に150.1mgのアスコルビン酸ナトリウム(NaAsc、活性剤)を溶解させることによって、ポリマーゲルを調製した。この混合物は淡褐色の濃密な液体になった。この活性剤入りポリマーゲルを容器内で保管した。
14%エタノール溶媒系でアルギン酸ナトリウムポリマーゲルを使用するポリマーブラシの形成
まず、実施例9に従って調製された17mlのアルギン酸ナトリウム溶液(4w%/v%)に150.1mgのアスコルビン酸ナトリウム(NaAsc、活性剤)を溶解させることによって、ポリマーゲルを調製した。この混合物は淡褐色の濃密な液体になった。この活性剤入りポリマーゲルを容器内で保管した。
別の容器内で、1.6mlのメタクリル酸メチル(MMA)を、7.1mlのCu触媒/Me6TREN溶液([Cu]=93.8mg/l)及び4.3mlのエタノールと混合して、重合媒体を形成した。
この重合媒体をアルギン酸ナトリウムポリマーゲルに撹拌下で注いだ。混合すると、溶液は淡青色になり、約5分後に混合物は白色になった。このようにして、ポリマーゲルは、重合媒体中で膨潤した。
重合媒体中で膨潤した得られたポリマーゲルを、10×10mmのステンレス鋼プレート(304鋼合金)であって、重合開始剤(ステンレス鋼上に堆積された4-(クロロメチル)フェニルトリメトキシシラン)がその上に固定されたステンレス鋼プレートに移した。重合媒体中で膨潤したポリマーゲルは非常に濃密であり、プレートを均一に良好に覆っていた。このプレートを10分間放置し、プレート上にポリマーブラシを形成させた。その後、このプレートを、DI水入りのビーカーに入れた。溶媒の極性の変化が、膨潤したポリマーゲル/重合媒体を「溶解」させ、それをプレートから除去するための刺激であった。プレートを、さらに、水中での5分間の超音波処理によりすすいだ後、アセトン中での5分間の超音波処理によりさらにすすいだ。
形成されたポリマーブラシは、偏光解析法によって57±7nmの厚さを有すると決定された。形成されたポリマーブラシの高分子構造を、さらに赤外線反射吸収分光法(IRRAS)により確認した。
図10に、重合媒体中で膨潤したポリマーゲル(左)と、プレートに移された膨潤したポリマーゲル(右)を示す。図11に、ポリマーブラシの形成後のIRRASスペクトルを示す。重要なことは、2974、1739、1273、1244、1195及び1153cm-1のピークは、PMMAポリマーブラシに予想されるものと整合して、それぞれsp3混成炭素-水素結合、カルボニル及び炭素-酸素結合の存在を裏付けていることである。
実施例11
63%エタノール溶媒系でアルギン酸ナトリウムポリマーゲルを使用するポリマーブラシの形成
アスコルビン酸ナトリウム(活性剤)150mgと実施例9に従って調製したアルギン酸ナトリウム溶液(4w%/v%)17mlを使用して、実施例10に記載したように手順を実施した。混合物は淡褐色の濃密な液体になった。この活性剤入りポリマーゲルを容器内で保管した。
63%エタノール溶媒系でアルギン酸ナトリウムポリマーゲルを使用するポリマーブラシの形成
アスコルビン酸ナトリウム(活性剤)150mgと実施例9に従って調製したアルギン酸ナトリウム溶液(4w%/v%)17mlを使用して、実施例10に記載したように手順を実施した。混合物は淡褐色の濃密な液体になった。この活性剤入りポリマーゲルを容器内で保管した。
1.6mlのメタクリル酸メチル(MMA)を2mlのCu触媒/Me6TREN溶液([Cu]=333mg/l)及び9.4mlのエタノールと混合して、重合媒体を形成した。
この重合媒体をアルギン酸ナトリウムポリマーゲルに撹拌下で注いだ。混合すると、溶液は淡青色になり、約5分後に混合物は淡黄色になった。このようにして、ポリマーゲルは、重合媒体中で膨潤した。
重合媒体中で膨潤した得られたポリマーゲルを、10×10mmのステンレス鋼プレート(304鋼合金)であって、重合開始剤(ステンレス鋼上に堆積された4-(クロロメチル)フェニルトリメトキシシラン)がその上に固定されたステンレス鋼プレートに移した。重合媒体中で膨潤したポリマーゲルは非常に濃密であり、プレートを均一に良好に覆っていた。このプレートを10分間放置し、プレート上にポリマーブラシを形成させた。その後、このプレートを、DI水入りのビーカーに入れた。溶媒の極性の変化が、膨潤したポリマーゲルを「溶解」させ、プレートから除去するための刺激であった。プレートを、さらに、水中での5分間の超音波処理によりすすいだ後、アセトン中での5分間の超音波処理によりさらにすすいだ。
形成されたポリマーブラシは、偏光解析法によって78±7nmの厚さを有すると決定された。形成されたポリマーブラシの高分子構造を、さらに赤外線反射吸収分光法(IRRAS)により確認した。
図12に、重合媒体中で膨潤したポリマーゲル(左)と、プレートに移された膨潤したポリマーゲル(右)を示す。図13に、ポリマーブラシ形成後のIRRASスペクトルを示す。重要なことは、2974、1741、1271、1243、1197及び1154cm-1のピークは、PMMAポリマーブラシに予想されるものと整合して、それぞれsp3混成炭素-水素結合、カルボニル及び炭素-酸素結合の存在を裏付けていることである。
実施例12
アルギン酸ナトリウムポリマーゲルと重合媒体に非プロトン性溶媒を使用するポリマーブラシの形成
150.3mgのアスコルビン酸ナトリウム(活性剤)を17mlのアルギン酸ナトリウムポリマーゲル(5w%/v%)に溶解して、実施例10におけるように手順を実施した。混合物を撹拌して、淡褐色の濃密な液体を得た。
アルギン酸ナトリウムポリマーゲルと重合媒体に非プロトン性溶媒を使用するポリマーブラシの形成
150.3mgのアスコルビン酸ナトリウム(活性剤)を17mlのアルギン酸ナトリウムポリマーゲル(5w%/v%)に溶解して、実施例10におけるように手順を実施した。混合物を撹拌して、淡褐色の濃密な液体を得た。
重合媒体は、1.5mlのCu触媒/Me6TREN溶液([Cu]=427mg/l)、0.5mlのDI水及び9.4mlのDMSO溶媒と混合された1.6mlのメタクリル酸メチル(MMA)の混合物であった。
この重合媒体をポリマーゲル/活性剤液に注ぎ、撹拌した。混合すると、組み合わさった溶液は淡青色になり、約5分後に、組み合わさった溶液は濃密で透明になった。
重合媒体中で膨潤した重合ゲルを、10×10mmのステンレス鋼プレート(304鋼合金)であって、重合開始剤(ステンレス鋼上に堆積された4-(クロロメチル)フェニルトリメトキシシラン)がその上に固定されたステンレス鋼プレートに移し、ポリマーブラシの変換のために10分間放置した。実施例10に記載したように、プレートをすすいだ。
形成されたポリマーブラシは、偏光解析法によって64±32nmの厚さを有すると決定された。形成されたポリマーブラシの高分子構造を、赤外線反射吸収分光法(IRRAS)によりさらに確認した。
図14に、重合媒体中で膨潤したポリマーゲル(左)と、プレートに移された膨潤したポリマーゲル(右)を示す。図15に、ポリマーブラシの形成後のIRRASスペクトルを示す。重要なことは、2967、1741、1273、1243、1197及び1154cm-1のピークは、PMMAポリマーブラシに予想されるものと整合して、それぞれsp3混成炭素-水素結合、カルボニル及び炭素-酸素結合の存在を裏付けていることである。
実施例13
エタノール溶媒で5w%/v%アルギン酸ナトリウムポリマーゲルを使用するポリマーブラシの形成
17mlのアルギン酸ナトリウムポリマーゲル(5w%/v%)に溶解された150mgのアスコルビン酸ナトリウム(活性剤)を使用して、実施例10と同様に手順を実施した。混合物を撹拌して、淡褐色の濃密な液体を得た。
エタノール溶媒で5w%/v%アルギン酸ナトリウムポリマーゲルを使用するポリマーブラシの形成
17mlのアルギン酸ナトリウムポリマーゲル(5w%/v%)に溶解された150mgのアスコルビン酸ナトリウム(活性剤)を使用して、実施例10と同様に手順を実施した。混合物を撹拌して、淡褐色の濃密な液体を得た。
重合媒体は、1.5mlのCu触媒/Me6TREN溶液([Cu]=427mg/l)、0.5mlのDI水及び9.4mlエタノール溶媒と混合された1.6mlのメタクリル酸メチル(MMA)の混合物であった。
この重合媒体をポリマーゲル/活性剤液に注ぎ、撹拌した。混合すると、組み合わさった溶液は淡青色になり、約5分後に、組み合わさった溶液は明白色の濃密なゲルになった。重合媒体中で膨潤した重合ゲルを、10×10mmのステンレス鋼プレート(304鋼合金)であって、重合開始剤(ステンレス鋼上に堆積された4-(クロロメチル)フェニルトリメトキシシラン)がその上に固定されたステンレス鋼プレートに移し、ポリマーブラシの変換のために10分間放置した。実施例10に記載したように、プレートをすすいだ。
形成されたポリマーブラシは、偏光解析法によって64±6nmの厚さを有すると決定された。形成されたポリマーブラシの高分子構造を、さらに赤外線反射吸収分光法(IRRAS)により確認した。
図16に、重合媒体中で膨潤したポリマーゲル(左)と、プレートに移された膨潤したポリマーゲル(右)を示す。図17に、ポリマーブラシ形成後のIRRASスペクトルを示す。重要なことは、2974、1739、1273、1243、1197及び1154cm-1のピークは、PMMAポリマーブラシに予想されるものと整合して、それぞれsp3混成炭素-水素結合、カルボニル及び炭素-酸素結合の存在を裏付けていることである。
実施例14
エタノール溶媒で6w%/v%アルギン酸ナトリウムポリマーゲルを使用するポリマーブラシの形成
17mlのアルギン酸ナトリウムポリマーゲル(6w%/v%)に溶解された150mgのアスコルビン酸ナトリウム(活性剤)を使用して、実施例10と同様に手順を実施した。混合物を撹拌して、淡褐色の濃密な液体を得た。
エタノール溶媒で6w%/v%アルギン酸ナトリウムポリマーゲルを使用するポリマーブラシの形成
17mlのアルギン酸ナトリウムポリマーゲル(6w%/v%)に溶解された150mgのアスコルビン酸ナトリウム(活性剤)を使用して、実施例10と同様に手順を実施した。混合物を撹拌して、淡褐色の濃密な液体を得た。
重合媒体は、1.5mlのCu触媒/Me6TREN溶液([Cu]=427mg/l)、0.5mlのDI水及び9.4mlエタノール溶媒と混合された1.6mlのメタクリル酸メチル(MMA)の混合物であった。
この重合媒体をポリマーゲル/活性剤液に注ぎ、撹拌した。混合すると、組み合わさった溶液は淡青色になり、約5分後に、組み合わさった溶液は明白色の濃密なゲルになった。重合媒体中で膨潤した重合ゲルを、10×10mmのステンレス鋼プレート(304鋼合金)であって、重合開始剤(ステンレス鋼上に堆積された4-(クロロメチル)フェニルトリメトキシシラン)がその上に固定されたステンレス鋼プレートに移し、ポリマーブラシの形成のために10分間放置した。実施例10に記載したように、プレートをすすいだ。
形成されたポリマーブラシは、偏光解析法によって56±10nmの厚さを有すると決定された。形成されたポリマーブラシの高分子構造を、さらに赤外線反射吸収分光法(IRRAS)により確認した。
図18に、重合媒体中で膨潤したポリマーゲル(左)と、プレートに移された膨潤したポリマーゲル(右)を示す。図19に、ポリマーブラシの形成後のIRRASスペクトルを示す。重要なことは、2974、1739、1273、1243、1197及び1154cm-1のピークが、PMMAブラシに予想されるものと整合して、それぞれsp3混成炭素-水素結合、カルボニル及び炭素-酸素結合の存在を裏付けていることである。
実施例15
エタノール溶媒で8w%/v%アルギン酸ナトリウムポリマーゲルを使用するポリマーブラシの形成
17mlのアルギン酸ナトリウムポリマーゲル(8w%/v%)に溶解された150mgのアスコルビン酸ナトリウム(活性剤)を使用して、実施例10と同様に手順を実施した。混合物を撹拌して、淡褐色の濃密な液体を得た。
エタノール溶媒で8w%/v%アルギン酸ナトリウムポリマーゲルを使用するポリマーブラシの形成
17mlのアルギン酸ナトリウムポリマーゲル(8w%/v%)に溶解された150mgのアスコルビン酸ナトリウム(活性剤)を使用して、実施例10と同様に手順を実施した。混合物を撹拌して、淡褐色の濃密な液体を得た。
重合媒体は、1.5mlのCu触媒/Me6TREN溶液([Cu]=427mg/l)、0.5mlのDI水及び9.4mlエタノール溶媒と混合された1.6mlのメタクリル酸メチル(MMA)の混合物であった。
この重合媒体をポリマーゲル/活性剤液に注ぎ、撹拌した。混合すると、組み合わさった溶液は淡青色になり、約5分後に、組み合わさった溶液は白色の濃密なゲルになった。
重合媒体中で膨潤した重合ゲルを、10×10mmのステンレス鋼プレート(304鋼合金)であって、重合開始剤(ステンレス鋼上に堆積された4-(クロロメチル)フェニルトリメトキシシラン)がその上に固定されたステンレス鋼プレートに移し、ポリマーブラシの形成のために10分間放置した。このプレートを、実施例10に記載したようにすすいだ。
形成されたポリマーブラシは、偏光解析法によって37±10nmの厚さを有すると決定された。形成されたポリマーブラシの高分子構造を、さらに赤外線反射吸収分光法(IRRAS)により確認した。
図20に、重合媒体中で膨潤したポリマーゲル(左)と、プレートに移された膨潤したポリマーゲル(右)を示す。
実施例16
アルギン酸ナトリウムポリマーゲルを使用するポリ(スチレン)ポリマーブラシの形成
17mlのアルギン酸ナトリウムポリマーゲル(5w%/v%)に溶解された150.2mgのアスコルビン酸ナトリウム(活性剤)を使用して、実施例10と同様に手順を実施した。混合物を撹拌すると、淡褐色の濃密な液体が得られた。
アルギン酸ナトリウムポリマーゲルを使用するポリ(スチレン)ポリマーブラシの形成
17mlのアルギン酸ナトリウムポリマーゲル(5w%/v%)に溶解された150.2mgのアスコルビン酸ナトリウム(活性剤)を使用して、実施例10と同様に手順を実施した。混合物を撹拌すると、淡褐色の濃密な液体が得られた。
重合媒体は、1.5mlのCu触媒/Me6TREN溶液([Cu]=427mg/l)、0.5mlのDI水及び9.4mlエタノール溶媒と混合された1.6mlのスチレン(モノマー)の混合物であった。この重合媒体をポリマーゲル/活性剤液に注ぎ、撹拌した。混合すると、組み合わさった溶液は淡青色になり、約5分後に、組み合わさった溶液は白色の濃密なゲルになった。
重合媒体中で膨潤した重合ゲルを、10×10mmのステンレス鋼プレート(304鋼合金)であって、重合開始剤(ステンレス鋼上に堆積された4-(クロロメチル)フェニルトリメトキシシラン)がその上に固定されたステンレス鋼プレートに移し、ポリマーブラシの形成のために10分間放置した。このプレートを、実施例10に記載したようにすすいだ。
形成されたポリマーブラシは、偏光解析法によって10±2nmの厚さを有すると決定された。重合後の水接触角測定では、84°の水接触角が求められ、この水接触角から、ポリマーブラシを有するプレートの表面はPSと一貫して疎水性であることを確認した。
図21に、重合媒体中で膨潤したポリマーゲル(左)と、プレートに移された膨潤したポリマーゲル(右)を示す。図22に、プレートと水滴の水接触角を示す。
実施例17
アルギン酸ナトリウムポリマーゲルを使用するPHEMAポリマーブラシの形成
17mlのアルギン酸ナトリウムポリマーゲル(5w%/v%)に溶解された150.2mgのアスコルビン酸ナトリウム(活性剤)を使用して、実施例10と同様に手順を実施した。混合物を撹拌すると、淡褐色の濃密な液体が得られた。
アルギン酸ナトリウムポリマーゲルを使用するPHEMAポリマーブラシの形成
17mlのアルギン酸ナトリウムポリマーゲル(5w%/v%)に溶解された150.2mgのアスコルビン酸ナトリウム(活性剤)を使用して、実施例10と同様に手順を実施した。混合物を撹拌すると、淡褐色の濃密な液体が得られた。
重合媒体は、1.5mlのCu触媒/Me6TREN溶液([Cu]=427mg/l)、0.5mlのDI水及び9.4mlエタノール溶媒と混合された1.6mlの2-(ヒドロキシエチル)-メタクリレート(HEMA)(モノマー)の混合物とであった。この重合媒体をポリマーゲル/活性剤液に注ぎ、撹拌した。混合すると、組み合わさった溶液は淡青色になり、約5分後に、組み合わさった溶液は白色の濃密なゲルになった。
重合媒体中で膨潤した重合ゲルを、10×10mmのステンレス鋼プレート(304鋼合金)であって、重合開始剤(ステンレス鋼上に堆積された4-(クロロメチル)フェニルトリメトキシシラン)がその上に固定されたステンレス鋼プレートに移し、ポリマーブラシの形成のために10分間放置した。このプレートを、実施例10に記載したようにすすいだ。
形成されたポリマーブラシは、偏光解析法によって5±7nmの厚さを有すると決定された。重合後の水接触角測定では、29°の水接触角が求められ、この水接触角から、ポリマーブラシを有するプレートの表面はPHEMAと一貫して疎水性であることを確認した。
図23に、重合媒体中で膨潤したポリマーゲル(左)と、プレートに移された膨潤したポリマーゲル(右)を示す。図24に、プレートと水滴の水接触角を示す。
実施例18
アルギン酸ナトリウムポリマーゲルを使用するPGMAポリマーブラシの形成
アスコルビン酸ナトリウム(活性剤)18mgを2mlのアルギン酸ナトリウムポリマーゲル(4w%/v%)に溶解させた。この混合物を撹拌した。
アルギン酸ナトリウムポリマーゲルを使用するPGMAポリマーブラシの形成
アスコルビン酸ナトリウム(活性剤)18mgを2mlのアルギン酸ナトリウムポリマーゲル(4w%/v%)に溶解させた。この混合物を撹拌した。
重合媒体は、135μlのCu-触媒/Me6TREN溶液([Cu]=427mg/l)と624μlのエタノール溶媒と混合された104μlのメタクリル酸グリシジル(GMA)(モノマー)の混合物であった。組み合わさったポリマーゲル/アスコルビン酸ナトリウム溶液1136μlを重合溶液に移し、撹拌した。混合すると、組み合わさった溶液は淡青色になり、約5分後に、組み合わさった溶液は白色の濃密なゲルになった。
重合液中で膨潤した重合ゲルを、25×25mmのステンレス鋼プレート(304鋼合金)であって、重合開始剤(ステンレス鋼上に堆積された4-(クロロメチル)フェニルトリメトキシシラン)がその上に固定されたステンレス鋼プレートに移し、ポリマーブラシの形成のために30分間放置した。このプレートを、実施例10に記載したようにすすいだ。
形成されたポリマーブラシは、偏光解析法によって99±17nmの厚さを有すると決定された。形成されたポリマーブラシの高分子構造を、さらに赤外線反射吸収分光法(IRRAS)により確認した。
図25に、重合媒体中で膨潤したポリマーゲル(左)と、プレートに移された膨潤したポリマーゲル(右)を示す。図26は、ポリマーブラシの形成後のIRRASスペクトルを示す。重要なことは、2974、1737、1269、1243、1173及び1152cm-1のピークは、それぞれsp3混成炭素-水素結合、カルボニル及び炭素-酸素結合の存在を裏付けていることである。最後に、908cm-1にグリシジルのエポキシ基が観測された。これらのピークはすべて、PGMAポリマーブラシに予想されるものと一貫している。
実施例19
キサンタンガムポリマーゲルの調製
アルギン酸ナトリウムのさまざまなポリマーゲルを、100mlのDI水でそれぞれ2g、3g、4g、4.5g及び6gのキサンタンガムを混合して、それぞれ2w%v%、3w%/v%、4w%/v%、4.5w%/v%及び6w%/v%のキサンタンガムポリマーゲルを形成することにより調製した。得られたポリマーゲルは、全ての場合で、粘性のある液体であった。
キサンタンガムポリマーゲルの調製
アルギン酸ナトリウムのさまざまなポリマーゲルを、100mlのDI水でそれぞれ2g、3g、4g、4.5g及び6gのキサンタンガムを混合して、それぞれ2w%v%、3w%/v%、4w%/v%、4.5w%/v%及び6w%/v%のキサンタンガムポリマーゲルを形成することにより調製した。得られたポリマーゲルは、全ての場合で、粘性のある液体であった。
実施例20
キサンタンガムを2w%/v%で使用するPMMAポリマーブラシの形成
150mgのアスコルビン酸ナトリウムを17mlのキサンタンガムポリマーゲル(2w%/v%)中に溶解させ、撹拌して、淡褐色の濃密な液体を得た。
キサンタンガムを2w%/v%で使用するPMMAポリマーブラシの形成
150mgのアスコルビン酸ナトリウムを17mlのキサンタンガムポリマーゲル(2w%/v%)中に溶解させ、撹拌して、淡褐色の濃密な液体を得た。
別の容器内で、1.6mlのメタクリル酸メチル(MMAモノマー)を、1.5mlのCu触媒/Me6TREN-原液([Cu]=427mg/l)、0.5mLの水、及び9.4mlエタノール(重合媒体)と混合し、撹拌下にキサンタンガム溶液に注いだ。混合すると、溶液(重合媒体中で膨潤したポリマーゲル)は透明なゲルになった。
形成されたポリマーゲルを、10×10mmのステンレス鋼プレート(304鋼合金)であって、重合開始剤(ステンレス鋼上に堆積された4-(クロロメチル)フェニルトリメトキシシラン)がその上に固定されたステンレス鋼プレートに移し、重合を10分間行った。その後、このプレートをDI水入りのビーカーに入れた。溶媒の極性の変化が、膨潤したポリマーゲルを「溶解」させ、それをプレートから除去するための刺激であった。プレートを、さらに、水中での5分間の超音波処理によりすすいだ後、アセトン中での5分間の超音波処理によりさらにすすいだ。
形成されたポリマーブラシは、偏光解析法によって64±6nmの厚さを有すると決定された。
実施例21
キサンタンガム(3w%/v%)を使用するPMMAポリマーブラシの形成
150mgのアスコルビン酸ナトリウムを17mlのキサンタンガム溶液(3w%/v%)中に溶解させ、撹拌して、淡褐色の濃密な液体を得た。
キサンタンガム(3w%/v%)を使用するPMMAポリマーブラシの形成
150mgのアスコルビン酸ナトリウムを17mlのキサンタンガム溶液(3w%/v%)中に溶解させ、撹拌して、淡褐色の濃密な液体を得た。
別の容器内で、1.6mlのメタクリル酸メチル(MMAモノマー)を、1.5mlのCu触媒/Me6TREN-原液([Cu]=427mg/l)、0.5mlの水、及び9.4mlのエタノール(重合媒体)と混合し、撹拌下にキサンタンガムポリマーゲルに注いだ。混合すると、溶液(重合媒体に膨潤したポリマーゲル)は透明なゲルとなった。
形成されたゲルを、10×10mmのステンレス鋼プレート(304鋼合金)であって、重合開始剤(ステンレス鋼上に堆積された4-(クロロメチル)フェニルトリメトキシシラン)がその上に固定されたステンレス鋼プレートに移し、重合を10分間行った。その後、このプレートをDI水入りのビーカーに入れた。溶媒の極性の変化が、膨潤したポリマーゲルを「溶解」させ、それをプレートから除去するための刺激であった。プレートを、さらに、水中での5分間の超音波処理によりすすいだ後、アセトン中での5分間の超音波処理によりさらにすすいだ。
形成されたポリマーブラシは、偏光解析法によって54±10nmの厚さを有すると決定された。PMMAポリマーブラシの化学組成をXPSによって確認した(図27)。重要なことは、535及び287eVのピークは、それぞれ酸素及び炭素の存在を裏付けていることである。酸素の原子百分率24.3%及び炭素の原子百分率75.7%は、PMMAポリマーの理論値と整合する。図28に、PMMAポリマーブラシの化学構造を実証する炭素ピークの高分解能スペクトルを示す。
実施例22
キサンタンガムポリマーゲル(4w%/v%)を使用するPMMAポリマーブラシの形成
150mgのアスコルビン酸ナトリウムを17mlのキサンタンガムポリマーゲル(4w%/v%)中に溶解させ、撹拌して、淡褐色の濃密な液体を得た。
キサンタンガムポリマーゲル(4w%/v%)を使用するPMMAポリマーブラシの形成
150mgのアスコルビン酸ナトリウムを17mlのキサンタンガムポリマーゲル(4w%/v%)中に溶解させ、撹拌して、淡褐色の濃密な液体を得た。
別の容器内で、1.6mlのメタクリル酸メチル(MMAモノマー)を、1.5mlのCu触媒/Me6TREN-原液([Cu]=427mg/l)、0.5mlの水、及び9.4mlのエタノール(重合媒体)と混合し、撹拌下にキサンタン溶液に注いだ。混合すると、溶液(重合媒体中で膨潤したポリマーゲル)は透明なゲルになった。
形成されたゲルを、10×10mmのステンレス鋼プレート(304鋼合金)であって、重合開始剤(ステンレス鋼上に堆積された4-(クロロメチル)フェニルトリメトキシシラン)がその上に固定されたステンレス鋼プレートに移し、重合を10分間行った。その後、このプレートをDI水入りのビーカーに入れた。溶媒の極性の変化が、膨潤したポリマーゲルを「溶解」させ、それをプレートから除去するための刺激であった。プレートを、さらに、水中での5分間の超音波処理によりすすいだ後、アセトン中での5分間の超音波処理によりさらにすすいだ。
形成されたポリマーブラシは、偏光解析法により、63±21nmの厚さを有すると決定された。
実施例23
キサンタンガムポリマーゲル(4.5w%/v%)を使用するPMMAポリマーブラシの形成
150mgのアスコルビン酸ナトリウムを17mlのキサンタンガムポリマーゲル(4.5w%/v%)中に溶解させ、撹拌して、淡褐色の濃密な液体を得た。
キサンタンガムポリマーゲル(4.5w%/v%)を使用するPMMAポリマーブラシの形成
150mgのアスコルビン酸ナトリウムを17mlのキサンタンガムポリマーゲル(4.5w%/v%)中に溶解させ、撹拌して、淡褐色の濃密な液体を得た。
別の容器内で、1.6mlのメタクリル酸メチル(MMAモノマー)を、1.5mlのCu触媒/Me6TREN-原液([Cu]=427mg/l)、0.5mlの水、及び9.4mlのエタノール(重合媒体)と混合し、撹拌下にキサンタンガムポリマーゲルに注いだ。混合すると、溶液は透明なゲルになった。
形成されたゲルを、10×10mmのステンレス鋼プレート(304鋼合金)であって、重合開始剤(ステンレス鋼上に堆積された4-(クロロメチル)フェニルトリメトキシシラン)がその上に固定されたステンレス鋼プレートに移し、重合を10分間行った。その後、このプレートをDI水入りのビーカーに入れた。溶媒の極性の変化が、膨潤したポリマーゲルを「溶解」させ、それをプレートから除去するための刺激であった。プレートを、さらに、水中での5分間の超音波処理によりすすいだ後、アセトン中での5分間の超音波処理によりさらにすすいだ。
形成されたPMMAポリマーブラシは、偏光解析法によって7±2nmの厚さを有すると決定された。
実施例24
キサンタンガムポリマーゲル(6w%/v%)を使用するPMMAポリマーブラシの形成
150mgのアスコルビン酸ナトリウムを17mlのキサンタンガムポリマーゲル(6w%/v%)中に溶解させ、撹拌して、淡褐色の濃密な液体を得た。
キサンタンガムポリマーゲル(6w%/v%)を使用するPMMAポリマーブラシの形成
150mgのアスコルビン酸ナトリウムを17mlのキサンタンガムポリマーゲル(6w%/v%)中に溶解させ、撹拌して、淡褐色の濃密な液体を得た。
別の容器内で、1.6mlのメタクリル酸メチル(MMAモノマー)を、1.5mlのCu触媒/Me6TREN-原液([Cu]=427mg/l)、0.5mlの水、及び9.4mlのエタノール(重合媒体)と混合し、撹拌下にキサンタンガムポリマーゲルに注いだ。混合すると、溶液(重合媒体中で膨潤したポリマーゲル)は透明なゲルとなった。
形成されたゲルを、10×10mmのステンレス鋼プレート(304鋼合金)であって、重合開始剤(ステンレス鋼上に堆積された4-(クロロメチル)フェニルトリメトキシシラン)がその上に固定されたステンレス鋼プレートに移し、重合を10分間重合行った。その後、このプレートをDI水入りのビーカーに入れた。溶媒の極性の変化が、膨潤したポリマーゲルを「溶解」させ、それをプレートから除去するための刺激であった。プレートを、さらに、水中での5分間の超音波処理によりすすいだ後、アセトン中での5分間の超音波処理によりさらにすすいだ。
形成されたPMMAポリマーブラシは、偏光解析法によって50±34nmの厚さを有すると決定された。
実施例25
キサンタンガムポリマーゲル(4w%/v%)を使用するポリ(スチレン)ポリマーブラシの形成
150mgのアスコルビン酸ナトリウムを17mlのキサンタンガムポリマーゲル(4w%/v%)中に溶解させ、撹拌して、淡褐色の濃密な液体を得た。
キサンタンガムポリマーゲル(4w%/v%)を使用するポリ(スチレン)ポリマーブラシの形成
150mgのアスコルビン酸ナトリウムを17mlのキサンタンガムポリマーゲル(4w%/v%)中に溶解させ、撹拌して、淡褐色の濃密な液体を得た。
別の容器内で、1.6mlのスチレン(モノマー)を、1.5mlのCu触媒/Me6TREN-原液([Cu]=427mg/l)、0.5mlの水、及び9.4mlのエタノール(重合媒体)と混合し、撹拌下にキサンタンガムポリマーゲルに注いだ。混合すると、溶液は透明なゲルとなった。
形成されたゲルを、10×10mmのステンレス鋼プレート(304鋼合金)であって、重合開始剤(ステンレス鋼上に堆積された4-(クロロメチル)フェニルトリメトキシシラン)がその上に固定されたステンレス鋼プレートに移し、重合を10分間行った。その後、このプレートをDI水入りのビーカーに入れた。溶媒の極性の変化が、膨潤したポリマーゲルを「溶解」させ、それをプレートから除去するための刺激であった。プレートを、さらに、水中での5分間の超音波処理によりすすいだ後、アセトン中での5分間の超音波処理によりさらにすすいだ。
図29にXPSサーベイ分析を示す。試料基材からのピークは観察されなかったため、10nmを超えるポリマーブラシ厚が達成されたと結論付けられた(10nmはXPSの検出限界である)。ポリ(スチレン)ポリマーブラシの化学組成をXPSにより確認した(図31)。重要なことは、535及び287eVのピークは、それぞれ酸素及び炭素の存在を裏付けていることである。炭素についての93.5%の原子百分率は、PS(純粋な炭素系ポリマー)と整合し、酸素の含有量はほんのわずか(6.5%)である。図30に、ポリ(スチレン)ポリマーブラシの化学構造を実証する炭素ピークの高分解能スペクトルを示す。
実施例26
キサンタンガムポリマーゲル(4w%/v%)を使用する2-ヒドロキシエチルメタクリレートポリマーブラシの形成
150mgのアスコルビン酸ナトリウムを17mlのキサンタンガムポリマーゲル(4w%/v%)中に溶解させ、撹拌して、淡褐色の濃密な液体を得た。
キサンタンガムポリマーゲル(4w%/v%)を使用する2-ヒドロキシエチルメタクリレートポリマーブラシの形成
150mgのアスコルビン酸ナトリウムを17mlのキサンタンガムポリマーゲル(4w%/v%)中に溶解させ、撹拌して、淡褐色の濃密な液体を得た。
別の容器内で、1.6mlの2-ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMAモノマー)を、1.5mlのCu触媒/Me6TREN-原液([Cu]=427mg/l)、0.5mlの水、及び9.4mlのエタノール(重合媒体)と混合し、撹拌下でキサンタンガムポリマーゲルに注いだ。混合すると、溶液(重合媒体中で膨潤したポリマーゲル)は透明なゲルになった。
形成されたゲルを、10×10mmのステンレス鋼プレート(304鋼合金)であって、重合開始剤(ステンレス鋼上に堆積された4-(クロロメチル)フェニルトリメトキシシラン)がその上に固定されたステンレス鋼プレートに移し、重合を10分間行った。その後、このプレートをDI水入りのビーカーに入れた。溶媒の極性の変化が、膨潤したポリマーゲルを「溶解」させ、それをプレートから除去するための刺激であった。プレートを、さらに、水中での5分間の超音波処理によりすすいだ後、アセトン中での5分間の超音波処理によりさらにすすいだ。
図31にXPSサーベイ分析を示す。試料基材からのピークは観察されなかったため、10nmを超えるポリマーブラシ厚が達成されたと結論付けられた(10nmはXPSの検出限界である)。PHEMAポリマーブラシの化学組成をXPSにより確認した(図31)。重要なことは、535及び287eVのピークは、それぞれ酸素及び炭素の存在を裏付けていることである。酸素についての69.0%の原子百分率及び炭素についての31.0%の原子百分率は、理論値と整合する。図32に、PHEMAポリマーブラシの化学構造を実証する炭素ピークの高分解能スペクトルを示す。
Claims (11)
- 表面上にポリマーブラシを形成する方法であって、
重合開始剤が上に固定された表面を重合媒体に接触させ、
前記方法において、膨潤可能かつ除去可能なポリマーゲルが前記ポリマーブラシの形成中に使用されることを特徴とする、方法。 - 前記ポリマーゲルが、前記重合媒体中で膨潤可能であること、及び、前記ポリマーゲルが、前記表面上での前記ポリマーブラシの形成後に除去可能であること、を特徴とする、請求項1に記載の方法。
- 前記ポリマーゲルが、水中、水とアルコールの混合物中、又は、水と非プロトン性溶媒の混合物中で膨潤可能であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の方法。
- 前記ポリマーゲルの架橋が可逆的であることを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
- 前記ポリマーゲルが、ポリアリルアミン(PAH)/タンニン酸(TA)/Fe(III)、キトサン/TA/Fe(III)、コラーゲン/TA/Fe(III)、ポリビニルイミダゾール、ポリ(リン酸2-ヒドロキシエチルメタクリレートエステル)、又は、例えばアルギン酸ナトリウム、キサンタンガム及びシクロデキストリンなどの糖類であることを特徴とする、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
- 前記ポリマーゲルが金属をキレート化する部位を有することを特徴とする、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
- 前記ポリマーゲルが、前記重合媒体中で膨潤した前記表面に適用されることを特徴とする、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
- 膨潤した前記ポリマーゲルが、pH又は温度の調節によって、露光によって、又は超音波処理によって、除去可能であることを特徴とする、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
- 重合開始剤が上に固定された表面上に重合媒体を均一に分配するためのポリマーブラシの形成における膨潤可能かつ除去可能なポリマーゲルの使用。
- 前記ポリマーゲルが、前記重合媒体中で膨潤可能であること、及び、前記ポリマーゲルが、前記表面上での前記ポリマーブラシの形成後に除去可能であること、を特徴とする、請求項9に記載の使用。
- 前記ポリマーゲルが、ポリアリルアミン(PAH)/タンニン酸(TA)/Fe(III)、キトサン/TA/Fe(III)、コラーゲン/TA/Fe(III)、ポリビニルイミダゾール、ポリ(リン酸2-ヒドロキシエチルメタクリレートエステル)、又は、例えばアルギン酸ナトリウム、キサンタンガム及びシクロデキストリンなどの糖類であることを特徴とする、請求項8又は9に記載の使用。
Applications Claiming Priority (3)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
DKPA201901215 | 2019-10-15 | ||
DKPA201901215 | 2019-10-15 | ||
PCT/IB2020/059488 WO2021074751A1 (en) | 2019-10-15 | 2020-10-09 | Polymer gels in the formation of polymer brushes |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2023500798A true JP2023500798A (ja) | 2023-01-11 |
Family
ID=73030165
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2022522830A Pending JP2023500798A (ja) | 2019-10-15 | 2020-10-09 | ポリマーブラシの形成におけるポリマーゲル |
Country Status (7)
Country | Link |
---|---|
US (1) | US20220242988A1 (ja) |
EP (1) | EP4045550B1 (ja) |
JP (1) | JP2023500798A (ja) |
KR (1) | KR20220084290A (ja) |
CN (1) | CN114616260A (ja) |
CA (1) | CA3157025A1 (ja) |
WO (1) | WO2021074751A1 (ja) |
Family Cites Families (11)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2005502321A (ja) * | 2001-04-20 | 2005-01-27 | イーメンブレン インコーポレーティッド | 化合物を分離、精製、濃縮、固定化、および合成するための高容量法、ならびにそれに基づく用途 |
JP2005517802A (ja) * | 2002-02-15 | 2005-06-16 | ゼットエムエス エルエルシー | 生物医学用途のための重合方法および材料 |
US8192485B2 (en) * | 2002-11-13 | 2012-06-05 | The United States of America, as represented by the Department of Veterens Affairs | Reversible hydrogel systems and methods therefor |
KR101158945B1 (ko) * | 2004-05-24 | 2012-07-06 | 셀레진 테크날러지스, 엘엘씨 | 양성이며 이식된 장벽 물질 |
CN100345602C (zh) * | 2005-10-14 | 2007-10-31 | 浙江大学 | 改善生物医用材料生物相容性的聚合物刷的制备方法 |
US20200056063A1 (en) * | 2017-04-07 | 2020-02-20 | Noviosense B.V. | Coating for implantable medical device |
EP3385340A1 (en) | 2017-04-07 | 2018-10-10 | NovioSense B.V. | Coating for implantable medical device |
CN109082155A (zh) * | 2017-08-24 | 2018-12-25 | 中山大学 | 一种单宁酸作为微接触印刷墨水在细胞图案化中的应用 |
US10882962B2 (en) * | 2017-09-29 | 2021-01-05 | Kyoto University | SRT material, composite and method for producing the same |
WO2019131872A1 (ja) * | 2017-12-28 | 2019-07-04 | 国立研究開発法人産業技術総合研究所 | ポリマーブラシ形成用基体及び該基体の製造方法並びに該方法に用いる前駆液 |
CA3092419A1 (en) | 2018-04-11 | 2019-10-17 | Radisurf Aps | Compositions for forming polymer brushes |
-
2020
- 2020-10-09 JP JP2022522830A patent/JP2023500798A/ja active Pending
- 2020-10-09 CA CA3157025A patent/CA3157025A1/en active Pending
- 2020-10-09 EP EP20797859.4A patent/EP4045550B1/en active Active
- 2020-10-09 WO PCT/IB2020/059488 patent/WO2021074751A1/en unknown
- 2020-10-09 CN CN202080072355.5A patent/CN114616260A/zh active Pending
- 2020-10-09 KR KR1020227012423A patent/KR20220084290A/ko unknown
-
2022
- 2022-04-14 US US17/721,217 patent/US20220242988A1/en active Pending
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
WO2021074751A1 (en) | 2021-04-22 |
CN114616260A (zh) | 2022-06-10 |
EP4045550A1 (en) | 2022-08-24 |
EP4045550B1 (en) | 2024-04-17 |
EP4045550C0 (en) | 2024-04-17 |
CA3157025A1 (en) | 2021-04-22 |
US20220242988A1 (en) | 2022-08-04 |
KR20220084290A (ko) | 2022-06-21 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
Khabibullin et al. | Surface-initiated atom transfer radical polymerization | |
Zoppe et al. | Surface-initiated controlled radical polymerization: state-of-the-art, opportunities, and challenges in surface and interface engineering with polymer brushes | |
Zhu et al. | Polydopamine-melanin initiators for surface-initiated ATRP | |
Yan et al. | Surface-initiated photoinduced ATRP: Mechanism, oxygen tolerance, and temporal control during the synthesis of polymer brushes | |
Cho et al. | Bioinspired catecholic copolymers for antifouling surface coatings | |
EP1778770B1 (fr) | Matériau de surface modifiée, son procédé de préparation et ses utilisations | |
Król et al. | Recent advances in ATRP methods in relation to the synthesis of copolymer coating materials | |
Li et al. | Preparation of pH-sensitive membranes via dopamine-initiated atom transfer radical polymerization | |
Bhayo et al. | Polymer brushes: Synthesis, characterization, properties and applications | |
Seidi et al. | Radical polymerization as a versatile tool for surface grafting of thin hydrogel films | |
Ma et al. | Photo-induced living/controlled surface radical grafting polymerization and its application in fabricating 3-D micro-architectures on the surface of flat/particulate organic substrates | |
Divandari et al. | Controlling enzymatic polymerization from surfaces with switchable bioaffinity | |
Benetti et al. | Modulation of surface-initiated ATRP by confinement: Mechanism and applications | |
Kim et al. | Open-to-air RAFT polymerization on a surface under ambient conditions | |
US20240059822A1 (en) | Compositions for forming Polymer Brushes | |
Xiong et al. | Phototriggered growth and detachment of polymer brushes with wavelength selectivity | |
Ivanova-Mitseva et al. | Conjugated polymers with pendant iniferter units: versatile materials for grafting | |
Marcisz et al. | Electrosensitive polymer gels: Controlling size and shape by means of red–ox processes–outlook and prospects | |
Wu et al. | Surface-initiated zerovalent metal-mediated controlled radical polymerization (SI-Mt0CRP) for brush engineering | |
JP2023500798A (ja) | ポリマーブラシの形成におけるポリマーゲル | |
KR20110045965A (ko) | 원-포트 공정을 이용한 고체 기판 표면의 개질방법 | |
Guo et al. | Electrochemically Mediated Surface-Initiated Atom Transfer Radical Polymerization by ppm of CuII/Tris (2-pyridylmethyl) amine | |
Broderick et al. | Covalent layer-by-layer assembly using reactive polymers | |
FR2889206A1 (fr) | Materiau conducteur ou semi-conducteur modifie par greffage electrochimique de films polymeres | |
Rong | PET-RAFT Polymerization: Under Flow Chemistry and Surface Initiated Polymerization |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20230921 |