JP2023182421A - 揮発性溶質除去装置の運転方法 - Google Patents

揮発性溶質除去装置の運転方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2023182421A
JP2023182421A JP2022096021A JP2022096021A JP2023182421A JP 2023182421 A JP2023182421 A JP 2023182421A JP 2022096021 A JP2022096021 A JP 2022096021A JP 2022096021 A JP2022096021 A JP 2022096021A JP 2023182421 A JP2023182421 A JP 2023182421A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
water
membrane
absorption liquid
treated
volatile
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2022096021A
Other languages
English (en)
Inventor
友規 須賀
Yuki Suga
昌 木口
Akira Kiguchi
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Asahi Kasei Corp
Original Assignee
Asahi Kasei Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Asahi Kasei Corp filed Critical Asahi Kasei Corp
Priority to JP2022096021A priority Critical patent/JP2023182421A/ja
Priority to AU2023203655A priority patent/AU2023203655A1/en
Priority to US18/209,048 priority patent/US20230398471A1/en
Publication of JP2023182421A publication Critical patent/JP2023182421A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Separation Using Semi-Permeable Membranes (AREA)

Abstract

【課題】被処理水中の水の移動に伴う諸問題を解決し得る、揮発性溶質除去装置の運転方法を提供すること。【解決手段】揮発性溶質と不揮発性溶質の両方を含有する被処理水から膜コンタクターを用いて揮発性溶質を除去するための、揮発性溶質除去装置の運転方法であって、前記膜コンタクターの片側に被処理水を流通させ、反対側に前記揮発性溶質の吸収液を流通させて、前記被処理水と前記吸収液とを膜を介して接触させ、前記吸収液中に前記揮発性溶質を移動させて、前記揮発性溶質の濃度が減少した脱揮発性溶質被処理水と、前記揮発性溶質又はその塩を含む揮発性溶質含有吸収液とに変換することにより、前記被処理水から前記揮発性溶質を除去する、吸収工程を含み、被処理水の水蒸気圧と吸収液の水蒸気圧との差が、-20kPa以上5kPa以下である、運転方法。【選択図】図2

Description

本発明は、揮発性溶質除去装置の運転方法に関する。
詳しくは、膜コンタクターを用いる揮発性溶質除去装置による揮発溶質除去において、被処理水に含有される揮発性溶質とともに水が吸収液に移動することによる、吸収液の希釈、及びそれに伴う運転後の廃液増加を抑制でき、膜コンタクター装置内部での被処理水の濃度を保ち、効率的な揮発性溶質除去を行うことができる、運転方法に関する。
膜コンタクターによる揮発性溶質除去法(以下、膜コンタクター法)は、揮発性溶質を含む被処理水を膜に接触させ、膜の両面における揮発性溶質の蒸気圧差を駆動力として、被処理水中の揮発性溶質を、選択的に膜透過させて除去する方法である。揮発性溶質の膜の両面における蒸気圧差を得る方法としては、例えば、被処理水のみを加温して温度差を付ける方法、透過側を減圧状態にする方法等が挙げられる。また、揮発性溶質が反応性の溶質又は酸性若しくは塩基性の溶質である場合、透過側に揮発性溶質と反応する吸収液を配置することにより、蒸気圧を下げる方法が知られている。
膜コンタクター法は、ストリッピング法、減圧脱泡法等に比べると、膜を用いることにより気-液界面の面積が増大するため、処理速度の向上、装置のコンパクト化等が可能であることが利点である。
一般的に、膜コンタクター法では、揮発性溶質除去の効率向上を目的として、被処理水の温度を上げる等の手法により、膜両面の揮発性溶質の蒸気圧差を大きくするような運転が行われる。この場合、揮発性溶質とともに被処理水中の水が水蒸気となって透過側へ移動する(特許文献1~3)。
しかしながら、被処理水中の水蒸気が透過側へ移動すると、蒸気潜熱が奪われて、被処理水の温度が下がる。そのため、揮発性溶質の蒸気圧が小さくなり、揮発性溶質の除去効率が下がってしまう。また、吸収液を使用している際は、水が吸収液側に移動する。そのため、吸収液が希釈されて吸収効率が下がるだけでなく、使用後の吸収液量が増えて、廃液量が増大する。
特開平06-039367号公報 特開平06-182325号公報 特開平06-182326号公報
特許文献1~3は、膜の透過側を減圧することにより、膜両面の揮発性溶質の蒸気圧差を得る方法に関し、被処理水中の水蒸気が膜を透過することによる被処理水温度の低下を抑制するため、被処理水を一定温度以上に加温することを教示している。
本発明は、被処理水中の水の移動に伴う諸問題を解決し得る、揮発性溶質除去装置の運転方法を提供することを目的とする。
本発明は以下のとおりである。
《態様1》揮発性溶質と不揮発性溶質の両方を含有する被処理水から膜コンタクターを用いて揮発性溶質を除去するための、揮発性溶質除去装置の運転方法であって、
前記膜コンタクターの片側に被処理水を流通させ、反対側に前記揮発性溶質の吸収液を流通させて、前記被処理水と前記吸収液とを膜を介して接触させ、前記吸収液中に前記揮発性溶質を移動させて、
前記揮発性溶質の濃度が減少した脱揮発性溶質被処理水と、
前記揮発性溶質又はその塩を含む揮発性溶質含有吸収液と
に変換することにより、前記被処理水から前記揮発性溶質を除去する、吸収工程を含み、
前記被処理水の流通方向と前記吸収液の流通方向とが並流であるときには、下記数式(1)により、
前記被処理水の流通方向と前記吸収液の流通方向とが向流であるときには、下記数式(2)により、
それぞれ求められる水蒸気圧差が、-20kPa以上5kPa以下である、運転方法。
水蒸気圧差=膜コンタクターの被処理水入口における被処理水の水蒸気圧-膜コンタクターの吸収液入口における吸収液の水蒸気圧 (1)
水蒸気圧差=膜コンタクターの被処理水入口における被処理水の水蒸気圧-膜コンタクターの吸収液出口における吸収液の水蒸気圧 (2)
《態様2》前記水蒸気圧差が-10kPa以上1kPa以下である、態様1に記載の運転方法。
《態様3》前記膜コンタクターの吸収液入口における前記吸収液の温度が、前記膜コンタクターの被処理水入口における前記被処理水の温度以上である、態様1に記載の運転方法。
《態様4》前記膜コンタクターの吸収液出口における前記吸収液の温度が、前記膜コンタクターの被処理水出口における前記被処理水の温度以上である、態様1に記載の運転方法。
《態様5》前記被処理水の流通方向と前記吸収液の流通方向とが並流である、態様1に記載の運転方法。
《態様6》下記数式(3)により求められる対数平均水蒸気圧差が-5kPa以上1kPa以下である、態様5に記載の運転方法。
対数平均水蒸気圧差=[(PA1-PB1)-(PA2-PB2)]/ln[(PA1-PB1)/(PA2-PB2)] (3)
A1:膜コンタクターの被処理水入口における被処理水の水蒸気圧
A2:膜コンタクターの被処理水出口における被処理水の水蒸気圧
B1:膜コンタクターの吸収液入口における吸収液の水蒸気圧
B2:膜コンタクターの吸収液出口における吸収液の水蒸気圧
《態様7》前記膜コンタクター内での前記吸収液の線速が、前記膜コンタクター内での前記被処理水の線速よりも遅い、態様1に記載の運転方法。
《態様8》前記被処理水が前記膜コンタクターにワンパスで供給される、態様1に記載の運転方法。
《態様9》前記吸収液が前記膜コンタクターに循環供給される、態様8に記載の運転方法。
《態様10》前記膜コンタクターに用いる膜が疎水性多孔質膜であり、前記疎水性多孔質膜の最大孔径が0.05μm以上0.5μm以下である、態様1に記載の運転方法。
《態様11》前記膜コンタクターに用いる膜が疎水性多孔質中空糸膜である、態様1に記載の運転方法。
《態様12》前記中空糸膜の内径が0.35mm以上2.0mm以下である、態様11に記載の運転方法。
《態様13》前記揮発性溶質が揮発性の塩基性化合物であり、
前記吸収液が酸を含み、
前記揮発性溶質含有吸収液が、前記塩基性化合物と、前記酸との塩を含む、
態様1に記載の運転方法。
《態様14》前記揮発性の塩基性化合物がアンモニアであり、
前記揮発性溶質含有吸収液が、アンモニアと、前記酸との塩を含む、
態様13に記載の運転方法。
《態様15》前記揮発性溶質が揮発性の酸性化合物であり、
前記吸収液が塩基を含み、
前記揮発性溶質含有吸収液が、前記酸性化合物と、前記塩基との塩を含む、
態様1に記載の運転方法。
《態様16》前記吸収工程の前に、被処理水にアルカリを添加し、被処理水のpHを10以上にする工程を含む、態様13に記載の運転方法。
《態様17》前記吸収工程の後に、
前記揮発性溶質含有吸収液に対して電気透析を行い、前記揮発性溶質含有吸収液から前記揮発性溶質を除去して、吸収液が再生されるとともに、揮発性溶質濃化液を得る、電気透析工程を更に含む、
態様13~16のいずれか一項に記載の運転方法。
《態様18》前記電気透析が、バイポーラ膜及びアニオン交換膜を用いる2室法によって行われる、態様17に記載の運転方法。
《態様19》前記揮発性溶質がアンモニアであり、
前記電気透析により得られる揮発性溶質濃化液が、アンモニアを含み、
前記揮発性溶質濃化液を蒸留して、高濃度アンモニア水及び蒸留残渣液を得る、後蒸留工程を更に含む、
態様18に記載の運転方法。
《態様20》前記吸収工程の前に、
アンモニア含有水溶液を蒸留して、高濃度アンモニア水と及び蒸留残渣液を得る、前蒸留工程を更に含み、
前記蒸留残渣液を被処理水として前記吸収工程を行う、
態様19に記載の運転方法。
《態様21》前記揮発性溶質濃化液を、前記アンモニア含有水溶液と混合した後に前記前蒸留工程を行う、態様20に記載の運転方法。
《態様22》膜コンタクター及び電気透析装置を含み、態様17に記載の運転を行う機能を有する、揮発性溶質除去装置。
《態様23》膜コンタクター、電気透析装置、及び蒸留装置がこの順に連結されており、態様19に記載の運転を行う機能を有する、揮発性溶質除去装置。
《態様24》第1の蒸留装置、膜コンタクター、電気透析装置、及び第2の蒸留装置がこの順に連結されており、態様20に記載の運転を行う機能を有する、揮発性溶質除去装置。
本発明の揮発性溶質除去装置の運転方法によると、膜コンタクター法による揮発性溶質除去装置において、揮発性溶質除去の際の水の移動を抑制することができる。これにより、被処理水の温度低下に伴う揮発性溶質の蒸気圧低下、吸収液の希釈による吸収効率の低下、廃液量の増大等が抑制される。
したがって、本発明によると、継続的に効率のよい揮発性溶質除去が可能な運転方法が提供される。
図1は、本発明の方法に適用される膜コンタクター用膜モジュールの構造の一例を説明するための模式断面図である。 図2は、本発明の方法が好ましく適用される揮発性溶質除去装置の構成の一例を説明するための概略図である。 図3は、本発明の方法が好ましく適用される揮発性溶質除去装置の構成の別の一例を説明するための概略図である。 図4は、本発明の方法が好ましく適用される揮発性溶質除去装置の構成の更に別の一例を説明するための概略図である。 図5は、本発明の方法が好ましく適用される揮発性溶質除去装置の構成の更に別の一例を説明するための概略図である。 図6は、本発明の方法が好ましく適用される揮発性溶質除去装置の構成の更に別の一例を説明するための概略図である。
本発明は、
不揮発性溶質及び揮発性溶質の両方を含有する被処理水から膜コンタクターを用いて揮発性溶質を除去するための、揮発性溶質除去装置の運転方法であって
前記膜コンタクターの片側に被処理水を流通させ、反対側に揮発性溶質の吸収液を流通させて、前記非処理水と前記吸収液とを膜を介して接触させ、前記吸収液中に前記揮発性溶質を移動させて、
前記揮発性溶質の濃度が減少した脱揮発性溶質被処理水と、
前記揮発性溶質又はその塩を含む揮発性溶質含有吸収液と
に変換することにより、前記被処理水から前記揮発性溶質を除去する吸収工程を含み、
前記被処理水の流通方向と前記吸収液の流通方向とが並流であるときには、下記数式(1)により、
前記被処理水の流通方向と前記吸収液の流通方向とが向流であるときには、下記数式(2)により、
それぞれ求められる水蒸気圧差が、-20kPa以上5kPa以下である、運転方法に関する。
水蒸気圧差=膜コンタクターの被処理水入口における被処理水の水蒸気圧-膜コンタクターの吸収液入口における吸収液の水蒸気圧 (1)
水蒸気圧差=膜コンタクターの被処理水入口における被処理水の水蒸気圧-膜コンタクターの吸収液出口における吸収液の水蒸気圧 (2)
《揮発性溶質除去装置》
本発明における揮発性溶質除去装置は、膜コンタクターを含む。
この揮発性溶質除去装置は、膜コンタクターの他に、蒸留ユニット及び電気透析ユニットから選択される1つ以上を更に含んでいてよい。蒸留ユニットは、膜コンタクターの上流側に設置される前蒸留ユニット、及び膜コンタクターの下流側に設置される後蒸留ユニットから選択される1つ又は2つであってよい。
揮発性溶質除去装置は、更に、被処理水を収納するための被処理水タンク、吸収液を収納するための吸収液タンク、電気透析に用いる電極液、再回収液等を収納するためのタンク、各ユニット及び各タンクを流体的に連結するための配管、配管の流路を開閉するためのバルブ、送液のためのポンプ、熱交換器等を含んでいてよく、運転状態をモニターするための、温度計、圧力計、pHセンサ、その他の分析機等を含んでいてよい。
本発明における揮発性溶質除去装置の構成の典型例を示すと、例えば、以下のとおりである:
膜コンタクターと、被処理水タンクと、吸収液タンクと、これらを繋ぐ配管と、送液のためのポンプとを含み、被処理水が、被処理水タンクから膜コンタクターを通過して被処理水タンクに戻ることができ、吸収液が、吸収液タンクから膜コンタクターを通過して、揮発性溶質含有吸収液となった後、吸収液タンクに戻ることができる構成を有する態様;
膜コンタクターと、電気透析ユニットと、被処理水タンクと、吸収液タンクと、これらを繋ぐ配管と、送液のためのポンプとを含み、被処理水が、被処理水タンクから膜コンタクターを通過することができ、吸収液が、吸収液タンクから膜コンタクターを通過して、揮発性溶質含有吸収液となった後、更に、透析ユニットを通過して、揮発性溶質が除去された吸収液が再生されて、吸収液タンクに戻ることができる構成を有する態様;
膜コンタクターと、電気透析ユニットと、蒸留ユニットと、被処理水タンクと、吸収液タンクと、これらを繋ぐ配管と、送液のためのポンプとを含み、被処理水が、被処理水タンクから膜コンタクターを通過することができ、吸収液が、吸収液タンクから膜コンタクターを通過して、揮発性溶質含有吸収液となった後、更に透析ユニットを通過して、揮発性溶質が除去された吸収液が再生されて、吸収液タンクに戻ることができ、透析ユニットから得られる揮発性溶質濃縮水が蒸留ユニットに送られる構成を有する態様;
上記のいずれかの態様において、膜コンタクターの上流側に蒸留ユニットを更に含み、当該蒸留ユニットから得られる蒸留残渣留分を膜コンタクターに送ることができる構成を有する態様;等。
〈膜コンタクター〉
本発明における膜コンタクターは、例えば、膜コンタクター用膜を適当なハウジング内に収納して成る。
この場合、ハウジング内は、膜コンタクター用膜によって2室に分割されており、これら2室の間は、膜コンタクター用膜の細孔を介して微小成分が流通し得る他は、流体的に遮断されている。
ハウジングは、被処理水入口、被処理水出口、吸収液入口、及び吸収液出口を有している。これらの入口及び出口により、膜コンタクターは、被処理水が被処理水入口から膜コンタクターに導入され、膜コンタクター内の1室を通過して被処理水出口から排出され、吸収液が吸収液入口から膜コンタクターに導入され、膜コンタクター内の別の1室を通過して吸収液出口から排出されるように構成されている。
上記の構造により、膜コンタクター内で、膜コンタクター用膜を介して被処理水と吸収液とが接触することができる。
そして、膜コンタクター用膜を介して被処理水と吸収液とが接触すると、被処理水中の揮発性溶質が膜コンタクター用膜を通過して吸収液中に移動し、これにより、吸収液が揮発性溶質含有吸収液になるとともに、被処理水から揮発性溶質が除去される。
膜コンタクター内において、被処理水と吸収液とは、流通方向が同じ並流であってもよいし、流通方向が逆方向の向流であってもよい。
《揮発性溶質除去装置の運転方法》
本発明の揮発性溶質除去装置の運転方法では、
被処理水と吸収液とが並流であるときには、下記数式(1)により、
被処理水と吸収液とが向流であるときには、下記数式(2)により、
それぞれ求められる水蒸気圧差が、-20kPa以上5kPa以下である。
水蒸気圧差=膜コンタクターの被処理水入口における被処理水の水蒸気圧-膜コンタクターの吸収液入口における吸収液の水蒸気圧 (1)
水蒸気圧差=膜コンタクターの被処理水入口における被処理水の水蒸気圧-膜コンタクターの吸収液出口における吸収液の水蒸気圧 (2)
本発明の揮発性溶質除去装置の運転方法では、上記の水蒸気圧差が過度に低くなると、吸収液に含まれる水が被処理水に移動し、吸収液が過度に濃縮されて、継続的な運転が困難になる。したがって、被処理水の温度が吸収液の温度に比べて、過度に低くないことを要する。この要件を満たすために、上記の水蒸気圧差は、-20kPa以上であり、-15kPa以上、-10kPa以上、-5kPa以上、-3kPa以上、-2kPa以上、又は-1kPa以上であってよい。
一方で、被処理水の温度が吸収液の温度に比べて過度に高くなると、被処理水中の水が吸収液に移動して、吸収液が希釈され、揮発性溶質の除去効果が損なわれる。これを回避するため、上記の水上気圧差は、5kPa以下であり、4kPa以下、3kPa以下、2kPa以下、1kPa以下、0kPa以下であってよい。
この水蒸気圧差は、例えば、-10kPa以上1kPa以下であってもよい。
また、被処理水中の水の吸収液への移動を抑制するために、膜コンタクターの吸収液入口における吸収液の温度は、膜コンタクターの被処理水入口における被処理水の温度以上であることが好ましい。
同様の理由により、膜コンタクターの吸収液出口における吸収液の温度は、膜コンタクターの被処理水出口における被処理水の温度以上であることが好ましい
本発明の揮発性溶質除去装置の運転方法では、下記数式(3)により求められる対数平均水蒸気圧差が-5kPa以上1kPa以下であることが好ましい。
対数平均水蒸気圧差=[(PA1-PB1)-(PA2-PB2)]/ln[(PA1-PB1)/(PA2-PB2)] (3)
A1:膜コンタクターの被処理水入口における被処理水の水蒸気圧
A2:膜コンタクターの被処理水出口における被処理水の水蒸気圧
B1:膜コンタクターの吸収液入口における吸収液の水蒸気圧
B2:膜コンタクターの吸収液出口における吸収液の水蒸気圧
本発明の揮発性溶質除去装置の運転方法では、膜コンタクターの被処理水入口から被処理水出口にいたるまでの膜モジュール全体における水蒸気圧差が過度に低くなりすぎないように、上記数式(3)により求められる対数平均水蒸気圧差は、-5kPa以上であることが好ましい。この趣旨を全うするためには、この対数平均水上気圧差は、-3kPa以上、-2kPa以上、-1kPa以上、又は0kPa以上であってよい。
一方で、膜コンタクターの被処理水入口から被処理水出口にいたるまでの膜モジュール全体における水蒸気圧差が過度に高くなりすぎないように、上記数式(3)により求められる対数平均水蒸気圧差が1kPa以下であることが好ましい。この趣旨を全うするためには、対数平均水上気圧差は、0kPa以下、-1kPa以下、又は-2kPa以下であってよい。
本発明の揮発性溶質除去装置の運転方法では、一般的に、被処理水の単位容積当たりの揮発性溶質量に比べ、吸収液の単位容積当たりの揮発性溶質吸収可能量の方が多くなる。その場合、液循環に用いるポンプの消費電力の削減のために、膜コンタクター内における吸収液の線速は、膜コンタクター内における被処理水の線速よりも遅い方が好ましい。
本発明の揮発性溶質除去装置の運転方法において、被処理水は、膜コンタクターにワンパスで供給されてもよいし、循環供給されてもよい。
ここで、被処理水が膜コンタクターにワンパスで供給されるとは、例えば、被処理水タンクに収納された被処理水が、膜コンタクターに供給されて一旦膜コンタクターを通過した後には、本発明の揮発性溶質除去装置の運転方法から除外され、膜コンタクターへの供給に再使用されないことを意味する。また、被処理水が膜コンタクターに循環供給されるとは、例えば、被処理水タンクに収納された被処理水が、膜コンタクターに供給されて一旦膜コンタクターを通過したうえで被処理水タンクに戻され、被処理水タンク内の被処理水と混合された後、膜コンタクターへの供給に再使用されることを意味する。
吸収液は、膜コンタクターにワンパスで供給されてもよいし、循環供給されてもよい。
吸収液が膜コンタクターにワンパスで供給されること、及び循環供給されることについては、上記の被処理水の場合と同様に理解してよい。
以下、本発明の運転方法が適用される揮発性溶質除去装置の各要素について、順に説明する。
《揮発性溶質除去装置》
本発明における揮発性溶質除去装置で行われる揮発性溶質除去では、膜コンタクターを使用する。被処理水を前記膜コンタクター中の膜コンタクター用膜の片側に流通させ、前記膜コンタクター用膜の反対側に吸収液を流通させる。これにより、膜コンタクター用膜の両側で揮発性溶質の蒸気圧差を生じさせて、被処理水中の揮発性溶質の除去を行う。
〈膜コンタクター用膜〉
本発明で用いられる膜コンタクター用膜は、疎水性が高く、かつ多孔質の材料から構成される膜であってよい。また、多孔質でありながら、液体状の水が膜壁の内部に侵入せず、膜壁内は揮発性溶質及び水の蒸気のうちの片方又は双方のみが通過できるものであることが好ましい。
すなわち、膜コンタクター用膜は、疎水性多孔質膜であることが好ましい。
膜の形状としては、平膜及び中空糸膜どちらでもよい。
中空糸膜の方が、モジュール化したときに、モジュールの容積当たりの膜面積が大きくなり、かつ被処理水及び吸収液をモジュール内部の膜全体に均一に流通することが容易であることから好ましい。
したがって、膜コンタクター用膜は、疎水性多孔質中空糸膜であることが、より好ましい。
膜コンタクター用膜表面の水接触角は、膜のウェッティングを回避する観点から、90°以上であることが好ましく、90°超であることがより好ましく、100°以上であることが更に好ましく、特に、110°以上又は120°以上であってもよい。水接触角には、本発明の奏する効果との関係では上限はないが、現実的には150°以下であってよい。
本明細書における水接触角は、JIS R 3257準拠の液滴法により測定される値である。具体的には、2μLの純水を測定対象物表面に滴下し、測定対象物と液滴とが形成する角度を、投影画像から解析することで数値化する。
本発明で用いられる膜コンタクター用膜では、少なくとも片側表面のうちの実質的にすべての領域において、上記範囲の水接触角を示すことが好ましい。
膜コンタクター用膜の疎水性は、膜の膜壁への水の液体侵入圧を測定することによっても見積もることができる。被処理水に対する液体侵入圧は、0.1MPa以上2.0MPa以下であることが好ましく、0.2MPa以上1.5MPa以下であることがより好ましい。
膜コンタクター用膜の膜壁は多孔質であり、膜の一方の表面から他方の表面まで厚み方向に連通している細孔(連通孔)を有している。細孔は、膜材料(例えばポリマー)のネットワークの空隙であってよく、枝分かれしていても直通孔でもよい。細孔は、蒸気を通すが液体を通さないものであってよい。
膜コンタクター用膜の細孔の平均孔径は、0.02μm以上0.5μm以下であることが好ましい。平均孔径が0.02μm以上であると、水蒸気の透過抵抗が大きくなり過ぎず、被処理水から発生した水蒸気の透過が速くなる。膜コンタクター用膜の細孔の平均孔径は、0.03μm以上、0.05μm以上、又は0.1μm以上であってよい。平均孔径が0.5μm以下であると、膜のウェッティングの抑制効果が良好である。膜コンタクター用膜の細孔の平均孔径は、0.4μm以下又は0.3μm以下であってよい。
膜コンタクター用膜の細孔の平均孔径は、例えば、0.05μm以上0.5μm以下であってよい。
膜コンタクター用膜の細孔の平均孔径は、ASTM:F316-86に準拠して、ハーフドライ法で測定される値である。
蒸気透過性とウェッティング抑制との両立の観点から、膜コンタクター用膜の細孔の孔径分布は狭い方が好ましい。具体的には、平均孔径に対する最大孔径の比である孔径分布が、好ましくは1.2~2.5の範囲内、より好ましくは1.2~2.0の範囲内である。上記最大孔径は、バブルポイント法を用いて測定される値である。
膜コンタクター用膜の空隙率は、高い蒸気透過性と、長期耐久性とを両立させる観点から、60%以上90%以下の範囲であることが好ましい。高い蒸気透過性を得るために、上記多孔質中空糸膜の空隙率は、60%以上であることが好ましく、より好ましくは70%以上である。膜自体の強度が良好に維持され、長期使用の際に破断等の問題を発生させ難くする観点から、上記多孔質膜の空隙率は、90%以下であることが好ましく、より好ましくは85%以下であり、更に好ましくは80%以下である。
上記の空隙率は、膜コンタクター用膜を構成する材料の真比重と、見かけ比重とから算出される値である。
上記膜コンタクター用膜の表面開口率は、効率的な揮発性溶質除去を行う観点から、膜コンタクター用膜の両側の表面について、それぞれ、好ましくは15%以上、より好ましくは18%以上、更に好ましくは20%以上であり、膜自体の強度が良好に維持され、長期使用の際に破断等の問題を発生させ難くする観点から、好ましくは60%以下、より好ましくは55%以下、更に好ましくは50%以下である。
上記の表面開口率は、膜表面の走査型電子顕微鏡(SEM)による観察画像において、画像解析ソフトで孔部を検出することにより求められる値である。
本発明における膜コンタクター用膜を構成する材料としては、例えば、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン、エチレン・四フッ化エチレン共重合体、ポリクロロトリフルオロエチレン等が挙げられ、これらから選ばれる1種または2種以上の樹脂を含む材料が挙げられる。これらのうち、疎水性、機械的耐久性、及び熱的耐久性に優れる膜を、高い成膜性で製造できるとの観点からは、ポリフッ化ビニリデン、エチレン・四フッ化エチレン共重合体、又はポリクロロトリフルオロエチレンが好ましい。
膜コンタクター用膜の疎水性を向上させるため、膜コンタクター用膜の少なくとも一部に、疎水性ポリマーを付着させたうえで、本発明に適用してもよい。
疎水性ポリマーとして、具体的には、例えば、以下のものが挙げられる:
(ア)シロキサン結合を有するポリマー:ジメチルシリコーンゲル、メチルフェニルシリコーンゲル、有機官能基(アミノ基、フルオロアルキル基等)を有する反応性変性シリコーンゲル、シランカップリング剤と反応して架橋構造を形成するシリコーン系ポリマー等
(イ)フッ素原子含有ポリマー:側鎖にフッ素原子含有基を持つポリマー(フッ素原子含有基は、(パー)フルオロアルキル基、(パー)フルオロポリエーテル基、アルキルシリル基、フルオロシリル基等)
本発明における膜コンタクター用膜の厚さは、蒸気透過性と膜の機械的強度との両立の観点から、10μm以上1,000μm以下であることが好ましく、20μm以上500μm以下であることがより好ましい。膜厚が1,000μm以下であれば、高い蒸気透過性を得ることができ、他方、膜厚が10μm以上であれば、膜が変形することなく使用することができる。
膜コンタクター用膜が中空糸膜の場合、中空糸膜の外径は、300μm以上5,000μm以下であることが好ましく、より好ましくは350μm以上4,000μm以下である。中空糸膜の内径は、200μm以上4,000μm以下であることが好ましく、より好ましくは250μm以上3,000μm以下であり、更に好ましくは350μm以上2,000μm以上である。
膜コンタクター用膜が中空糸膜の場合、中空糸膜の長さ(有効長)は、揮発性溶質除去の効率を高める観点から、500mm以上であることが好ましく、1,000mm以上であることがより好ましい。一方、中空糸膜内側に液体を流通させた際の過度の圧力損失の増大を抑制する観点から、中空糸膜の長さは、中空糸膜の内径の4,000倍以下が好ましく、3,500倍以下がより好ましい。
《水蒸気フラックス》
本発明の方法によって揮発性溶質除去を行うとき、被処理水から吸収液に水蒸気が移動すると、被処理水から水蒸気の潜熱分の熱エネルギーが奪われる。そのため、被処理水の温度が低下し、揮発性溶質の蒸気圧が低下する。また、吸収液に水が移動すると、吸収液の濃度が低下し吸収効率が低下する。
したがって、被処理水から吸収液への水蒸気の移動を抑える方が、揮発性溶質除去を効率的に行う観点から望ましい。
また、吸収液の水蒸気圧が被処理水の水蒸気圧よりも高い場合、水蒸気が吸収液から被処理水に移動する。その場合、吸収液が濃縮され、運転の継続が困難になる可能性がある。
したがって、被処理水から吸収液への水蒸気の移動、及び吸収液から被処理水への水蒸気の移動は、それぞれ、一定の範囲内に抑えることが好ましい。具体的には、被処理水から吸収液への水蒸気フラックスを正の値とした場合、水蒸気フラックスを、-10kg/m・h以上10kg/m・h以下とすることが好ましく、より好ましくは-5kg/m・h以上5kg/m・h以下であり、更に好ましくは-1.5kg/m・h以上1.5kg/m・h以下である。
水蒸気フラックスJは、下記数式(4)で示される。
Figure 2023182421000002
{数式(4)中、Wpは被処理水から蒸発して中空糸膜を移動した水の質量(kg)であり、Aは中空糸膜の有効面積(m)であり、Tは運転時間(h)である。}
〈膜コンタクター用膜モジュール〉
本発明では、平膜又は中空糸膜を、適当なハウジング内に充填した膜コンタクター用膜モジュールの形態で使用してもよい。
膜コンタクター用膜が平膜の場合、平膜をプリーツ状又はスパイラル状にすることにより、効率的にハウジングに収納できる。
膜コンタクター用膜が中空糸膜の場合、例えば、円柱型又は多角柱型のハウジングに、中空糸膜の長手方向がハウジングの軸方向と一致するように、中空糸膜束を収納し、該中空糸膜束の両端が、適当な接着樹脂にてハウジング内に固定された構造であってよい。この場合、接着樹脂による中空糸糸束の固定を液密に行い、中空糸膜の内外の流路が混合しないように構成することが好ましい。
ハウジングは、耐薬品性、耐圧性、耐熱性、耐衝撃性、耐候性等の観点から選定される。ハウジングを構成する材料の材質は、例えば、ポリプロピレン、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリフッ化ビニリデン、ABS樹脂、繊維強化プラスチック、塩化ビニル樹脂等の合成樹脂、及びステンレス、真鍮、チタン等の金属から選択されることが好ましい。
接着樹脂は、機械的強度が強く、100℃における耐熱性を有することが望まれる。接着樹脂としては、例えば、熱硬化性のエポキシ樹脂、熱硬化性のウレタン樹脂等が挙げられる。耐熱性の観点ではエポキシ樹脂が好ましい。ハンドリング性の観点ではウレタン樹脂が好ましい。
図1に、膜コンタクター用膜が中空糸膜の場合の、膜コンタクター用膜モジュールの構造の一例を説明するための模式断面図を示す。
図1の膜コンタクター用膜モジュール(100)は、円柱形状のハウジング(10)内に複数の中空糸膜(20)から成る中空糸膜束が収納され、中空糸膜(20)の両端は、接着樹脂層(30)によってハウジング(10)に固定されている。ここで、中空糸膜(20)の両端は、閉塞されずに開口している。
膜コンタクター用膜モジュール(100)の内部は、中空糸膜によって、中空糸膜の中空部側の空間と、中空糸膜の外部空間側の空間とに分割されている。これら2つの空間は、揮発性溶質及び水の蒸気のうちの片方又は双方が中空糸膜の膜壁を通過して行き来することができる他は、流体的に遮断されている。
ハウジング(10)は、円筒形形状の両端に、それぞれ、被処理水入口(11)及び被処理水出口(12)を有し、被処理水は、被処理水入口(11)から膜コンタクター用膜モジュール(100)の内部に入り、中空糸膜(20)の中空部を通過して、被処理水出口(12)から膜コンタクター用膜モジュール(100)の外部に排出されるように構成されている。
また、ハウジング(10)は、円筒形形状の側面に、吸収液入口(13)及び吸収液出口(14)を有し、吸収液は、吸収液入口(13)から膜コンタクター用膜モジュール(100)の内部に入り、中空糸膜(20)の外部を通過して、吸収液出口(14)から膜コンタクター用膜モジュール(100)の外部に排出されるように構成されている。
この膜コンタクター用膜モジュール(100)を用いて、例えば、以下のようにして揮発性溶質除去を行うことができる。
例えば、被処理水を、被処理水入口(11)から膜コンタクター用膜モジュール(100)の内部に入り、中空糸膜(20)の中空部を通過して、被処理水出口(12)から排出されるように流通させるとともに、吸収液を吸収液入口(13)から膜コンタクター用膜モジュール(100)内部に入り、中空糸膜(20)の外部を通過して、吸収液出口(14)から排出されるように流通させる。すると、蒸気圧の高い被処理水から発生した揮発性溶質の蒸気は、中空糸膜(20)の膜壁を通過し、蒸気圧の低い吸収液に移動して、吸収液出口(14)から、吸収液とともに取り出されて、被処理水からの揮発性溶質除去が行われる。
なお、図1の膜コンタクター用膜モジュール(100)では、被処理水と吸収液とが、中空糸膜の内外で並流となるように構成されている。しかしながら、被処理水と吸収液とが、中空糸膜の内外で向流となるように構成してもよい。
本発明では、膜コンタクター用膜モジュールを用いて、例えば上記のようにして、被処理水から揮発性溶質が除去される。
〈揮発性溶質除去装置の構成〉
本発明における揮発性溶質除去装置の構成について、以下、図を参照しつつ、説明する。
図2に、本発明の方法が好ましく適用される揮発性溶質除去装置の構造の例を説明するための概略図を示す。
図2の揮発性溶質除去装置(1000)には、図1に示した膜コンタクター用膜モジュール(100)、及び吸収液タンク(200)が備えられている。
揮発性溶質除去装置(1000)では、被処理水タンク(500)中に貯蔵された被処理水が、被処理水供給ポンプ(P1)によって、膜コンタクター用膜モジュール(100)に送られる。被処理水は、膜コンタクター用膜モジュール(100)中の中空糸膜の中空部を通過した後、被処理水タンク(500)に戻されて、循環する。被処理水は、膜コンタクター用膜モジュール(100)に導入される前に、熱交換器(HE)(例えばヒーター)によって加熱され、蒸気圧を高められることにより、揮発性溶質除去が容易化される。膜コンタクター用膜モジュール(100)の前後の配管には、温度計(図示せず)が備えられていてもよい。
図2の揮発性溶質除去装置(1000)には、更に、吸収液タンク(200)が備えられている。吸収液タンク(200)中に貯蔵された吸収液は、吸収液供給ポンプ(P2)によって、膜コンタクター用膜モジュール(100)に送られる。吸収液は、膜コンタクター用膜モジュール(100)中の中空糸膜の外側を通過した後、吸収液タンク(200)に戻されて、循環する。吸収液は、膜コンタクター用膜モジュール(100)に導入される前に、熱交換器(HE)によって加熱又は冷却されてよい。これにより、揮発性溶質の蒸気圧が調節されて、揮発性溶質除去が容易化される。
膜コンタクター用膜モジュール(100)の前後の配管には、温度計(図示せず)が備えられていてもよい。
揮発性溶質除去装置(1000)では、上記の構成によって、被処理水と吸収液とが、膜コンタクター用膜モジュール(100)中の膜コンタクター用膜を介して接することとなる。これにより、被処理水中の揮発性溶質が膜コンタクター用膜を通過して吸収液中に移動して、被処理水からの揮発性溶質の除去が行われる。
図3の揮発性溶質除去装置(1001)は、不揮発性溶質及び揮発性溶質を含有する被処理水から揮発性溶質を除去するための装置の別の一例である。
図3の揮発性溶質除去装置(1001)は、例えば、
揮発性溶質が揮発性の塩基性化合物であり、
吸収液が酸を含み、
揮発性溶質含有吸収液が、塩基性化合物と酸との塩を含む場合;又は
揮発性溶質が揮発性の酸性化合物であり、
吸収液が塩基を含み、
揮発性溶質含有吸収液が、酸性化合物と塩基との塩を含む場合;
に好適に適用される。
以下、前者の場合を例として、揮発性溶質除去装置(1001)の構成及び機能を説明する。
揮発性溶質除去装置(1001)には、図1に示した膜コンタクター用膜モジュール(100)、吸収液タンク(200)、及び電気透析ユニット(300)が備えられている。
揮発性溶質除去装置(1001)では、揮発性溶質として塩基性化合物を含む被処理水が膜コンタクター用膜モジュール(100)に送られ、膜コンタクター用膜モジュール(100)中の中空糸膜の内側を通過した後、塩基性化合物を含まない排液(ww)となって系外に排出される。
一方、酸を含む吸収液は、膜コンタクター用膜モジュール(100)に送られ、膜コンタクター用膜モジュール(100)中の中空糸膜の外側を通過した後、塩基性化合物と酸との塩を含む揮発性溶質含有吸収液(ARS)となった後、電気透析ユニット(300)に送られる。
電気透析ユニット(300)では、揮発性溶質含有吸収液(ARS)に含まれる塩基性化合物と酸との塩が、塩基性化合物及び酸に分離される。これにより、吸収液が再生され、再生吸収液(AS)として吸収液タンク(200)に戻るとともに、揮発性溶質(塩基性化合物)が濃縮された揮発性溶質濃化液(CW)が系外に排出される。
このような構成により、吸収液中の酸濃度を維持しながら、被処理水から揮発性溶質を効率的に除去することが可能となる。また、使用済み吸収液を廃棄する必要がなくなり、廃液量を低減することができる。更に、吸収液中の酸濃度を低く設定することにより、酸による蒸気圧降下の影響を小さくすることも可能である。
なお、図3には、電気透析ユニット(300)として、電極液(EL)及び揮発性溶質含有吸収液(ARS)を供給して、揮発性溶質濃化液(CW)及び再生吸収液(AS)が排出される形式のものを示したが、電気透析ユニット(300)の形式はこれに限られない。
以上、揮発性溶質が揮発性の塩基性化合物であり、吸収液が酸を含む場合を例として、揮発性溶質除去装置(1001)の機能を説明したが、当業者は、揮発性溶質が揮発性の酸性化合物であり、吸収液が塩基を含む場合についても、上記の説明を参考にして、揮発性溶質除去装置(1001)の機能を正しく理解することができよう。
図4の揮発性溶質除去装置(1002)は、不揮発性溶質及び揮発性溶質を含有する被処理水から揮発性溶質を除去するための装置の更に別の一例である。
図4の揮発性溶質除去装置(1002)は、図3の揮発性溶質除去装置(1001)と同様に、例えば、
揮発性溶質が揮発性の塩基性化合物であり、
吸収液が酸を含み、
揮発性溶質含有吸収液が、塩基性化合物と酸との塩を含む場合;又は
揮発性溶質が揮発性の酸性化合物であり、
吸収液が塩基を含み、
揮発性溶質含有吸収液が、酸性化合物と塩基との塩を含む場合;
に好適に適用される。
以下、揮発性溶質がアンモニアであり、吸収液が酸を含む場合を例として、揮発性溶質除去装置(1002)の構成及び機能を説明する。
揮発性溶質除去装置(1002)には、図1に示した膜コンタクター用膜モジュール(100)、吸収液タンク(200)、電気透析ユニット(300)、及び蒸留ユニット(400)が備えられている。
揮発性溶質除去装置(1002)では、揮発性溶質としてアンモニアを含む被処理水が膜コンタクター用膜モジュール(100)に送られ、膜コンタクター用膜モジュール(100)中の中空糸膜の内側を通過して、アンモニアが除去された後、排液(WW)として系外に排出される。
一方、酸を含む吸収液は、膜コンタクター用膜モジュール(100)に送られ、膜コンタクター用膜モジュール(100)中の中空糸膜の外側を通過した後、アンモニアと酸との塩(アンモニウム塩)を含む揮発性溶質含有吸収液となった後、電気透析ユニット(300)に送られる。
電気透析ユニット(300)では、吸収液に含まれるアンモニウム塩が、アンモニア及び酸に分離される。これにより、吸収液が再生されて吸収液タンク(200)に戻る。これとともに、アンモニアが濃縮された揮発性溶質濃化液(CW)が、蒸留ユニット(400)に送られる。
蒸留ユニット(400)では、アンモニアが濃縮された揮発性溶質濃化液(CW)の蒸留が行われ、高濃度アンモニア水として回収アンモニア(回収NH)を得る。
図5の揮発性溶質除去装置(1003)は、不揮発性溶質及び揮発性溶質を含有する被処理水から揮発性溶質を除去するための装置の更に別の一例である。
図5の揮発性溶質除去装置(1003)は、揮発性溶質がアンモニアであり、吸収液が酸を含む場合に特に好適な構成であり、吸収工程に先立って、被処理水のアンモニア濃度を低下させておく構成を有する。
揮発性溶質除去装置(1003)は、図4に示した揮発性溶質除去装置(1002)において、膜コンタクター用膜モジュール(100)の上流側に、蒸留ユニット(401)を更に有する。
原水であるアンモニアを含む水溶液(NH含有水溶液)は、先ず蒸留ユニット(401)に導入され、蒸留によってアンモニアが除去された蒸留残渣液が、本発明の被処理水として膜コンタクター用膜モジュール(100)に送られる。その後の構成及び機能は、図4に示した揮発性溶質除去装置(1002)と同様である。
この揮発性溶質除去装置(1003)によると、アンモニアを含む水溶液からアンモニアが効率よく除去できるとともに、2つの蒸留ユニット(400、401)により、高濃度アンモニア水として高純度のアンモニアが回収できる。
図6の揮発性溶質除去装置(1004)は、不揮発性溶質及び揮発性溶質を含有する被処理水から揮発性溶質を除去するための装置の更に別の一例である。
図6の揮発性溶質除去装置(1004)は、揮発性溶質がアンモニアであり、吸収液が酸を含む場合に特に好適な構成であり、図5に示した揮発性溶質除去装置(1003)において、電気透析ユニット(CW)から得られた揮発性溶質濃化液を、蒸留装置(4000)に送る代わりに、原水であるアンモニアを含む水溶液(NH含有水溶液)と混合して、蒸留ユニット(401)に導入する構成を有する。
この構成によると、アンモニアを含む水溶液からアンモニアが極めて効率よく除去できるとともに、一元化された蒸留ユニット(401)により、高濃度アンモニア水として高純度のアンモニアが効率的に回収できる。
図2~図6の揮発性溶質除去装置(1000、1001、1002、1003、1004)は、必要に応じて、流量調整器、圧力調整器、保温構造等を更に備えていてよい。
《被処理水》
本発明の方法は、被処理水から揮発性溶質を除去する方法である。
被処理水は、揮発性溶質及び不揮発性溶質、並びに溶媒を含む液体状の混合物である。被処理水は、典型的には溶液であるが、液体状である限り、乳化物、懸濁液等であってもよい。
〈不揮発性溶質〉
被処理水に含まれる不揮発性溶質とは、揮発性溶質除去装置の稼働温度において、実質的に蒸気圧を有さず、かつ、分解しない物質をいう。
不揮発性溶質の典型例は、医薬品原料、化学品等、及び無機塩である。
医薬品原料、化学品等としては、例えば、アミノ酸、ペプチド、タンパク質、糖、ワクチン、核酸、抗生物質、抗体薬物複合体(ADC)、界面活性剤、ビタミン類等が挙げられる。
アミノ酸は、カルボキシル基及びアミノ基、並びにこれらを連結している部分から成る、アミノ酸骨格を1個有する化合物である。本明細書におけるアミノ酸は、必須アミノ酸、非必須アミノ酸、及び非天然アミノ酸を包含する概念である。
必須アミノ酸としては、例えば、トリプトファン、リジン、メチオニン、フェニルアラニン、トレオニン、バリン、ロイシン、イソロイシン等が挙げられる。非必須アミノ酸としては、例えば、アルギニン、グリシン、アラニン、セリン、チロシン、システイン、アスパラギン、グルタミン、プロリン、アスパラギン酸、グルタミン酸等が挙げられる。
非天然アミノ酸とは、分子内にアミノ酸骨格を有し、かつ天然に存在しない人工のあらゆる化合物を指す。しかしながら、医薬品原料としての非天然アミノ酸としては、アミノ酸骨格に所望の標識化合物を結合させて得られるものが挙げられる。標識化合物としては、例えば、色素、蛍光物質、発光物質、酵素基質、補酵素、抗原性物質、タンパク質結合性物質等が挙げられる。
医薬品原料として好ましい非天然アミノ酸の例として、例えば、標識アミノ酸、機能化アミノ酸等が挙げられる。標識アミノ酸は、アミノ酸骨格と標識化合物とが結合した非天然アミノ酸であい、その具体例としては、例えば、側鎖に芳香環を含むアミノ酸骨格に、標識化合物が結合したアミノ酸等が挙げられる。機能化アミノ酸の例としては、例えば、光応答性アミノ酸、光スイッチアミノ酸、蛍光プローブアミノ酸、蛍光標識アミノ酸等が挙げられる。
ペプチドは、2残基以上70残基未満のアミノ酸残基が結合した化合物を指し、鎖状であっても、環状であってもよい。ペプチドとしては、例えば、L-アラニル-L-グルタミン、β-アラニル-L-ヒスチジンシクロスポリン、グルタチオン等が挙げられる。
タンパク質は、一般的には、アミノ酸残基が結合した化合物のうちのペプチドよりも長鎖のものを指す。本明細書におけるタンパク質としては、例えば、タンパク製剤として適用されるものが好ましい。
タンパク製剤としては、例えば、インターフェロンα、インターフェロンβ、インターロイキン1~12、成長ホルモン、エリスロポエチン、インスリン、顆粒状コロニー刺激因子(G-CSF)、組織プラスミノーゲン活性化因子(TPA)、ナトリウム利尿ペプチド、血液凝固第VIII因子、ソマトメジン、グルカゴン、成長ホルモン放出因子、血清アルブミン、カルシトニン等が挙げられる。
糖としては、例えば、単糖類、二糖類、糖鎖(二糖類を除く)、糖鎖誘導体等が挙げられる。
単糖類としては、例えば、グルコース、フルクトース、ガラクトース、マンノース、リボース、デオキシリボース等が挙げられる。二糖類としては、例えば、マルトース、スクロース、ラクトース等が挙げられる。
本明細書における糖鎖とは、二糖類を除く概念であり、例えば、グルコース、ガラクトース、マンノース、フコース、キシロース、グルクロン酸、イズロン酸等が挙げられる。糖鎖誘導体としては、例えば、N-アセチルグルコサミン、N-アセチルガラクトサミン、N-アセチルノイラミン酸等の、糖類誘導体等が挙げられる。
ワクチンとしては、例えば、A型肝炎ワクチン、B型肝炎ワクチン、C型肝炎ワクチン、新型コロナワクチン等が;
核酸としては、例えば、オリゴヌクレオチド、RNA、アプタマー、デコイ等が;
抗生物質としては、例えば、ストレプトマイシン、バンコマイシン等が;
それぞれ挙げられる。
ビタミン類としては、例えば、ビタミンA類、ビタミンB類、ビタミンC類等が挙げられ、これらの誘導体、塩等も含む概念である。ビタミンB類には、例えば、ビタミンB6、ビタミンB12等が包含される。
界面活性剤としては、例えば、多糖類、リン脂質、ペプチド、ラウリル硫酸ナトリウム等の陰イオン性界面活性剤、塩化ベンザルコニウム等の陽イオン界面活性剤;両性界面活性剤;ポリエチレングリコール等の非イオン界面活性剤が挙げられる。
無機塩としては、例えば、塩化ナトリウム、塩化マグネシウム等が挙げられる。
不揮発性溶質の数平均分子量は、75,000以下であってよく、好ましくは50,000以下、より好ましくは10,000以下であり、6,000以下であることが特に好ましい。不揮発性溶質の分子量が過度に大きいと、被処理水の粘度が過度に高くなり、被処理水の流路における圧力損失の増大、中空糸膜表面における過濃縮による溶質の析出が起こり易くなる場合がある。
〈揮発性溶質〉
被処理水に含まれる揮発性溶質とは、揮発性溶質除去装置の稼働温度において、有意の蒸気圧を示し、かつ、分解しない物質をいう。
揮発性溶質としては、例えば、揮発性の酸、揮発性の塩基、揮発性の極性化合物(酸及び塩基を除く)等が挙げられる。
揮発性の酸としては、例えば、塩化水素酸、炭酸、酢酸等が挙げられる。
揮発性の塩基としては、例えば、アンモニア等が挙げられる。
揮発性の極性化合物(酸及び塩基を除く)としては、例えば、アルコール類、アセトニトリル等が挙げられる。アルコール類としては、例えば、メタノール、エタノール、n-プロパノール、i-プロパノール等が挙げられる。
〈溶媒〉
被処理水の溶媒は、水を含んでいてよい。水は、好ましくは疎水性の中空糸膜の表面に対する表面エネルギーが大きく、したがって、膜表面における液体と、揮発性溶質の蒸気との分離が効率的に行われるため、被処理水の溶媒に含まれることが好ましい。
被処理水の溶媒は、水、又は水及び水溶性有機溶媒から成る混合溶媒であってよく、典型的には水である。
〈被処理水の態様〉
本発明が適用される被処理水としては、例えば、医薬品原体、化学品等を含む溶液;化学プロセス;脱硝装置の排水;食品;海水;ガス田、油田等から排出される随伴水等を挙げることができる。
本発明の方法を適用して、被処理水から揮発性溶質の除去を行うと、元の被処理水中の不揮発性溶質組成がほぼそのまま維持された処理水を、安定的に得ることができる。したがって、本発明の方法は、廃水処理等に適用できる他、医薬品、化学品製造の中間段階における、原料の精製工程等に有用である。
また、本発明の方法を適用して造水を行うと、被処理水に含まれる揮発性溶質が、実質的にすべて除去された精製水が安定的に得られる。したがって、本発明の方法は、乾燥地域における飲用水、生活用水等の製造等にも有用である。
本発明において、被処理水から揮発性溶質を除去するときの被処理水の温度は、例えば、0℃以上100℃以下であってよい。
膜コンタクターの中空糸膜の外側空間に吸収液を流通させて、揮発性溶質除去が行われる場合、被処理水の温度をさほど高くする必要はない。この場合の被処理水の温度は、例えば、0℃以上、10℃以上、20℃以上、又は30℃以上であってよく、例えば、60℃以下、50℃以下、又は40℃以下であってよい。
被処理水にアルカリを添加し、被処理水のpHを10以上に調整したうえで、本発明の方法に供してもよい。
《吸収液》
本発明における吸収液は、揮発性溶質除去装置において、膜コンタクター用膜の片側に、膜コンタクター用膜を介して被処理水と接するように流通されることにより、被処理水から揮発して膜コンタクター用膜を通過し、膜コンタクター用膜の反対側に移動してきた揮発性溶質を取り込む性質を有する液である。
このような吸収液は、例えば、揮発性溶質の良溶媒、揮発性溶質と反応し得る物質を含む溶液等であってよい。
具体的には、例えば、揮発性溶質が揮発性の塩基性化合物(例えばアンモニア)を含むときには、前記吸収液は酸の水溶液であってよい。この場合、揮発性溶質含有吸収液には、前記塩基性化合物と前記酸との塩が含まれることになる。
特に、揮発性の塩基性化合物がアンモニアであり、吸収液が酸を含み、揮発性溶質含有吸収液が、アンモニアと前記酸との塩を含んでいてよい。
また、揮発性溶質が揮発性の酸性化合物(例えば、塩化水素酸、炭酸、酢酸等)を含むときには、前記吸収液は塩基の水溶液であってよい。
更に、揮発性溶質が、揮発性の極性化合物(例えば、アルコール類、アセトニトリル等)を含むときには、吸収液は水であってよい。
吸収液が中空糸膜の外側を流通するときの線速は、任意である。この吸収液の線速は、例えば、0.1m/s以上5.0m/s以下とすることができる。
吸収液は、被処理水の流通方向と同じ方向に流れる並行流であっても、被処理水の流通方向と逆の方向に流れる向流であってもよい。
揮発性溶質除去が行われるときの吸収液の温度は、任意である。吸収液の温度は、例えば、0℃以上100℃以下であってよく、15℃以上70℃以下が好ましく、20℃以上60℃以下がより好ましい。
《電気透析ユニット》
電気透析ユニットとしては、例えば、バイポーラ電気透析ユニットが挙げられる。
バイポーラ電気透析ユニットは、例えば、揮発性の塩基性化合物と酸の水溶液との塩が含まれる揮発性溶質含有吸収液を扱う場合は、バイポーラ膜とアニオン交換膜とが、互い違いに室枠を介して配列し、両端に締め付け枠を配置して締め付けることにより形成されるバイポーラ膜及びアニオン交換膜により区画された塩室及び酸回収室、これらの両端に形成される陰電極及び陽電極、並びに両電極間に電圧を印加する電源設備から構成してもよい。塩室には処理液が充填され、酸回収室には酸回収液が充填され、陰極室および陽極室には電極液が充填される。また各々の室に液の入口と出口を設けてポンプで液循環できるような構成も好ましい。この場合、陰極室液と陽極室液は繋がっていてもよい。このようなバイポーラ電気透析装置として、具体的には、アシライザー02B、10B、25B、50B、EX3B(いずれも(株)アストム製、商標)等が挙げられる。なお、揮発性の酸性化合物と塩基の水溶液との塩が含まれる揮発性溶質含有吸収液を扱う場合は、バイポーラ膜及びカチオン交換膜を備える電気透析ユニットを用いることができる。
バイポーラ膜とは、アニオン交換層及びカチオン交換層を張り合わせた構造を持つイオン交換膜であり、水の理論分解電圧以上の電圧を印加することにより、水を電解して酸及びアルカリを生成させることができる。
バイポーラ膜を構成するカチオン交換膜のカチオン交換基は、特に限定されず、例えば、スルホン酸基、カルボン酸基等の、公知のカチオン交換基であってよい。特に本発明におけるバイポーラ膜の用途上の観点からは、酸性下にあっても交換基が解離しているスルホン酸基が好ましい。また、バイポーラ膜を構成するアニオン交換膜のアニオン交換基も、特に限定されず、例えば、アンモニウム塩基、ピリジニウム塩基、1級アミノ基、2級アミノ基、3級アミノ基等の公知のアニオン交換基であってよい。特に塩基性下においても交換基が解離しているアンモニウム塩基が好適である。
このようなバイポーラ膜は、各種の公知の方法で製造される。バイポーラ膜の製造方法として、例えば、
カチオン交換膜とアニオン交換膜とをポリエチレンイミン-エピクロルヒドリンの混合物で貼り合わせて硬化接着する方法、
カチオン交換膜とアニオン交換膜とをイオン交換性接着剤で接着する方法、
カチオン交換膜とアニオン交換膜とを、微粉のイオン交換樹脂、アニオン又はカチオン交換樹脂と熱可塑性物質とのペースト状混合物の塗布層を挟んで圧着する方法、
カチオン交換膜の表面にビニルピリジンとエポキシ化合物とからなる糊状物質を塗布し、これに放射線を照射する方法、
アニオン交換膜の表面にスルホン酸型高分子電解質とアリルアミン類を付着させた後、電離性放射線を照射して架橋させる方法、
イオン交換膜の表面に反対電荷を有するイオン交換樹脂の分散系と母体重合体との混合物を沈着させる方法、
ポリエチレンフィルムに、スチレン及びジビニルベンゼンを含浸して重合させたシート状物を、ステンレス製の枠に挟みつけ、一方の側をスルホン化させた後、シートを取り外し、残りの部分をクロロメチル化処理し、次いでアミノ化処理する方法、
特定の金属イオンを、アニオン交換膜及びカチオン交換膜の表面に塗布し、両イオン交換膜を重ね合わせてプレスする方法
等を挙げることができる。
バイポーラ膜の基材としては、接合するカチオン交換膜、アニオン交換膜の種類等に応じて適宜に設定されてよい。基材としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、スチレン-ジビニルベンゼン共重合体等から構成される、フィルム、ネット、編物、織布、不織布等が挙げられる。
市販されているバイポーラ膜としては、例えば、ネオセプタBP-1E((株)アストム製、商標)等が挙げられる。
アニオン交換膜としては、どのような膜を用いてもよいが、例えば、スチレンとジビニルベンゼンの共重合体ベース膜に4級アンモニウム基を導入して得られた膜、スチレン-ブタジェエン系の共重合体ベース膜に4級アンモニウム基を導入した膜、ポリオレフィンフィルムにスチレンをグラフト重合しこれに4級アンモニウム基を導入した膜、テトラエチレンと4級アンモニウム基を側鎖に持つパーフルオロビニルエーテル類との共重合物からなる膜等を挙げることができる。
市販されているアニオン交換膜としては、例えば、ネオセプタACM、ネオセプタAM-1、ネオセプタACS、ネオセプタACLE-5P、ネオセプタAHA、ネオセプタAMH、ネオセプタACS(以上、(株)アストム製、商標)、セレミオンAMV、セレミオンAMT、セレミオンDSV、セレミオンAAV、セレミオンASV、セレミオンAHT、セレミオンAPS(旭硝子社製、商標)、FAB,FAA(フマテック社製、商標)、アシプレックスA-501、A-231、A-101(旭化成社製、商標)等が挙げられる。
《蒸留ユニット》
蒸留ユニットは、公知の蒸留装置から適宜選択して使用してよい。
蒸留ユニットの型式は、例えば、自然循環型(外部加熱方式又はカランドリア型)、強制循環型、薄膜流下型、薄膜上昇型、ジャケット・コイル型等であってよい。
蒸留は、常圧で行っても減圧下で行ってもよい。
以下、実施例の形式により、本発明の構成及び効果を具体的に説明する。しかし、本発明は、以下の実施例により何ら限定されるものではない。
以下の実施例において、膜コンタクター用膜の各種物性は、以下の方法により測定した。
(1)平膜の膜厚、並びに中空糸膜の外径、内径、及び膜厚
平膜の膜厚は厚み計により求めた。
中空糸膜の外径、内径、及び膜厚は、顕微鏡観察により求めた。具体的には、以下の方法によった。
中空糸膜を長手方向に垂直な方向にカミソリで薄く切断し、断面の顕微鏡像を撮影した。得られた顕微鏡像の計測により、中空糸膜の外径及び内径を求めた。中空糸膜の膜厚は、得られた外径及び内径から、計算により求めた。
(2)膜の最大孔径
膜の最大孔径は、浸漬液としてエタノールを用いて、バブルポイント法により測定した。
中空糸膜の最大孔径は、以下の方法によって測定した。
中空糸膜を8cmの長さに切断して、片端を閉塞し、他端には圧力計を介して窒素ガス供給ラインを接続した。この状態で窒素ガスを供給して、中空糸膜内部を窒素に置換した後、ライン内を窒素で極僅かに加圧した状態で、中空糸膜をエタノール中に浸漬した。この窒素加圧は、エタノールをライン内に逆流させないための措置である。
次いで、中空糸膜をエタノール中に浸漬した状態で、窒素ガスの圧力をゆっくりと増加させ、中空糸膜から窒素ガスの泡が安定して出始めた圧力P(kg/cm)を記録した。このPを、下記数式(5):
d=C1γ/P (5)
{数式(5)中、dは中空糸の最大孔径であり、C1は定数であり、γは浸漬液の表面張力であり、そしてPは圧力である。}に代入して、中空糸膜の最大孔径dを算出した。このとき、エタノールを浸漬液としたときのC1γの値は、0.632(kg/cm)とした。
平膜の最大孔径は、50mmφに切り抜いた膜をハウジングにセットし、このハウジング内に窒素ガスを供給した他は、中空糸膜と同様の手法で測定した。
(4)膜コンタクター用膜の空隙率
膜コンタクター用膜の空隙率(膜全体の平均空隙率)は、膜の質量と、膜を構成する材料の密度(真密度)とから、算出した。
例えば、膜コンタクター用膜が中空糸膜の場合、中空糸を一定の長さに切り、その質量を測定して、下記数式(6):
Figure 2023182421000003
{上記数式(6)中、dは中空糸膜の原料ポリマーの真密度であり、πは円周率である。}により、中空糸の空隙率を求めた。
(5)[中空糸膜の水接触角]
膜コンタクター用膜の水接触角を、JIS R 3257準拠の液滴法によって測定した。
温度23℃、相対湿度50%の環境下で、膜試料の片側表面(中空糸膜の場合は外側表面)に、純水2μLの液滴を滴下し、液滴と膜表面とが形成する角度を画像解析により算出して接触角を求めた。測定は5回行い、その数平均値を水接触角として採用した。
《実施例1》
(1)中空糸膜モジュールの作製
PVDF製の中空糸膜を用いて、図1に示した構造の中空糸膜モジュールを作製した。
長さ15cmに切出した中空糸膜70本を束ねて糸束とし、ハウジング内に収納した。接着樹脂として熱硬化性のエポキシ樹脂を使用し、遠心接着により接着樹脂層を形成して、上記の膜束をハウジング内に接着固定した。
以上の操作により、中空糸膜の有孔長(接着樹脂層中に埋没していない部分の長さ)8cm、中空糸膜内表面の合計面積120cmの中空糸膜モジュールを作製した。
内径:0.68mm
外径:1.25mm
膜厚:0.28mm
平均孔径:0.21μm
最大孔径:0.29μm
空隙率:72%
水接触角:103°(中空糸膜外側表面)
(2)中空糸膜への疎水化ポリマーの付着(膜蒸留用膜モジュールの作製)
シリンジを用いて、フロロテクノロジー社製のフッ素樹脂系撥水剤「FS1610」(ポリマー濃度1.0質量%)を、中空糸膜モジュールの被処理水入口から中空糸の中空部内に注入した。この注入操作は、中空糸膜の内側表面の全体が上記の撥水剤で濡れて、撥水剤が中空糸膜の外側に染み出るまで継続して行った。次いで、余分の撥水剤を中空糸膜モジュールから除去した後、中空糸膜の中空部に25℃の乾燥空気を流して終夜乾燥することにより、中空糸膜の全体が疎水化された膜コンタクター用膜モジュール(膜コンタクター用膜モジュール(100))を作製した。
(3)揮発性溶質除去運転の実施
上記で得られた膜コンタクター用膜モジュール(100)を、図2に示す揮発性溶質除去装置(1000)に組み込んで、揮発性溶質除去を実施した。
揮発性溶質を含む被処理水及び吸収液として、以下の構成の溶液を用いた。
被処理水:
溶媒:水
不揮発性溶質:塩化ナトリウム 1,000ppm
揮発性溶質:アンモニア 300ppm
液量:1,000g
吸収液:
組成:10質量パーセント濃度硫酸水溶液
液量:1,000g
上記の被処理水を被処理水タンク(500)に充填したのち、10mol/L濃度の水酸化ナトリウム水溶液を滴下してpH10以上になるように調整した。
被処理水は、被処理水ポンプ(P1)を用いて300ml/分の流量で、膜コンタクター用膜モジュール(100)中の中空糸膜の内側を通るように循環させた。このとき、被処理水の温度は、膜コンタクター用膜モジュール(100)の被処理水入口において50℃に維持されるように、温度調節器を用いて調整した。
一方、吸収液は、吸収液供給ポンプ(P2)を用いて300mL/minの流量で膜コンタクター用膜モジュール(100)中の中空糸膜の外側を通るように循環させた。このとき、吸収液の温度は、膜コンタクター用膜モジュール(100)の吸収液入口において42℃に維持されるように、温度調節器を用いて調整した。
被処理水及び吸収液は、図2に示すとおり、並流となるように、膜コンタクター用膜モジュール(100)内に流入させた。
被処理水入口における被処理水の温度、吸収液入り口における吸収液の温度、水蒸気圧差、及び対数平均水蒸気圧差を、表1に示す。
上記の条件下で、揮発性溶質除去運転を8時間行った。
運転後、被処理水中の揮発性溶質濃度は20ppmであり、吸収液の量は1,242gであり、吸収液量の増加を抑えながら揮発性溶質が十分に除去されていた。
《実施例2~8、並びに比較例2及び3》
被処理水及び吸収液の組成、並びに揮発性溶質除去の運転条件を、それぞれ、表1に記載のとおりとした他は、実施例1と同様にして、揮発性溶質除去運転を行った。
実施例4では、吸収液入口と吸収液出口とを逆転させて、被処理水及び吸収液が向流となるように流通させた。
実施例5では、膜コンタクターとしてPTFE製の平膜を用い、平膜テストセル(日東電工(株)製、品名「C10-T」)にセットして得た、膜面積60cmの平膜モジュールを膜コンタクター用膜モジュールとして用いた。
比較例2では、被処理水中の水が吸収液中に移動して吸収液中の酸濃度が下がり、アンモニア除去効率が低下した。比較例3では、吸収液中の水が被処理水中に移動して吸収液容量が減少し、途中で運転の継続が困難となったため、運転を停止した。
《実施例9》
実施例1と同様の組成の被処理水を10L準備した。
この被処理水を、被処理水供給ポンプ(P1)により、30mL/分の流量で膜コンタクター用膜モジュール(100)中の中空糸膜内側にワンパスで流通させた。
吸収液は、膜コンタクター用膜モジュール(100)の吸収液入口における温度を55℃とし、流量を30mL/分として中空糸膜の外側に循環させた以外は、実施例1と同様にして、揮発性溶質除去運転を行った。
結果を表1に示す。
《実施例10》
被処理水に水酸化ナトリウム水溶液を添加しなかったこと以外は、実施例8と同様にいて、揮発性溶質除去運転を行った。
結果を表1に示す。
《実施例11》
実施例1と同様の膜コンタクター用膜モジュール(100)を、図3に示す揮発性溶質除去装置(1001)に組み込んで、吸収液中に吸収されたアンモニアを回収するための電気透析を行いながら揮発性溶質除去を実施した以外は、実施例8と同様の方法で揮発性溶質除去装置の運転を行った。
電気透析としては、バイポーラ膜及びアニオン交換膜からなる二室電気透析装置((株)アストム製、品名「アシライザーEX3B」)を用い、電気透析条件は、以下のとおりとした。
電極液:水酸化ナトリウム4質量%水溶液500mL
酸回収液:純水500mL
バイポーラ膜(BP):(株)アストム製、品名「ネオセプタBP-1E」
アニオン交換膜(A):(株)アストム製、品名「ネオセプタAHA」
膜構成;(陰極室)BP-A-BP-A-BP-A-BP-A-BP-A-BP-A-BP-A-BP-A-BP-A-BP-A-BP(陽極室)
有効膜面積:550cm
電圧:14V
温度:25℃
結果を表1に示す。
《比較例1》
膜コンタクター用膜モジュール(100)中の中空糸膜の外側に吸収液を流通させず、代わりに中空糸膜外側をゲージ圧-97kPaに減圧した以外は、実施例1と同様の方法で揮発性溶質除去運転を実施した。
結果を表1に示す。
比較例1では、被処理水中の水の大部分が減圧側に移動し、運転開始2.5時間で運転継続ができなくなったため、この時点で運転を停止した。
Figure 2023182421000004
Figure 2023182421000005
表1中、「吸収液」の「種類」欄における「HSO aq.」は硫酸水溶液を示し、「NAOH aq.」は水酸化ナトリウム水溶液を示す。
10 ハウジング
11 被処理水入口
12 被処理水出口
13 吸収液入口
14 吸収液出口
20 中空糸膜
30 接着樹脂層
100 膜コンタクター用膜モジュール
200 吸収液タンク
300 電気透析ユニット
400、401 蒸留ユニット
500 被処理水タンク
1000、1001、1002、1003、1004 揮発性溶質除去装置
HE 熱交換器
P1 被処理水供給ポンプ
P2 吸収液供給ポンプ
AS 再生吸収液
ARS 揮発性溶質含有吸収液
CW 揮発性溶質濃化液
EL 電極液
WW 排液

Claims (24)

  1. 揮発性溶質と不揮発性溶質の両方を含有する被処理水から膜コンタクターを用いて揮発性溶質を除去するための、揮発性溶質除去装置の運転方法であって、
    前記膜コンタクターの片側に被処理水を流通させ、反対側に前記揮発性溶質の吸収液を流通させて、前記被処理水と前記吸収液とを膜を介して接触させ、前記吸収液中に前記揮発性溶質を移動させて、
    前記揮発性溶質の濃度が減少した脱揮発性溶質被処理水と、
    前記揮発性溶質又はその塩を含む揮発性溶質含有吸収液と
    に変換することにより、前記被処理水から前記揮発性溶質を除去する、吸収工程を含み、
    前記被処理水の流通方向と前記吸収液の流通方向とが並流であるときには、下記数式(1)により、
    前記被処理水の流通方向と前記吸収液の流通方向とが向流であるときには、下記数式(2)により、
    それぞれ求められる水蒸気圧差が、-20kPa以上5kPa以下である、運転方法。
    水蒸気圧差=膜コンタクターの被処理水入口における被処理水の水蒸気圧-膜コンタクターの吸収液入口における吸収液の水蒸気圧 (1)
    水蒸気圧差=膜コンタクターの被処理水入口における被処理水の水蒸気圧-膜コンタクターの吸収液出口における吸収液の水蒸気圧 (2)
  2. 前記水蒸気圧差が-10kPa以上1kPa以下である、請求項1に記載の運転方法。
  3. 前記膜コンタクターの吸収液入口における前記吸収液の温度が、前記膜コンタクターの被処理水入口における前記被処理水の温度以上である、請求項1に記載の運転方法。
  4. 前記膜コンタクターの吸収液出口における前記吸収液の温度が、前記膜コンタクターの被処理水出口における前記被処理水の温度以上である、請求項1に記載の運転方法。
  5. 前記被処理水の流通方向と前記吸収液の流通方向とが並流である、請求項1に記載の運転方法。
  6. 下記数式(3)により求められる対数平均水蒸気圧差が-5kPa以上1kPa以下である、請求項5に記載の運転方法。
    対数平均水蒸気圧差=[(PA1-PB1)-(PA2-PB2)]/ln[(PA1-PB1)/(PA2-PB2)] (3)
    A1:膜コンタクターの被処理水入口における被処理水の水蒸気圧
    A2:膜コンタクターの被処理水出口における被処理水の水蒸気圧
    B1:膜コンタクターの吸収液入口における吸収液の水蒸気圧
    B2:膜コンタクターの吸収液出口における吸収液の水蒸気圧
  7. 前記膜コンタクター内での前記吸収液の線速が、前記膜コンタクター内での前記被処理水の線速よりも遅い、請求項1に記載の運転方法。
  8. 前記被処理水が前記膜コンタクターにワンパスで供給される、請求項1に記載の運転方法。
  9. 前記吸収液が前記膜コンタクターに循環供給される、請求項8に記載の運転方法。
  10. 前記膜コンタクターに用いる膜が疎水性多孔質膜であり、前記疎水性多孔質膜の最大孔径が0.05μm以上0.5μm以下である、請求項1に記載の運転方法。
  11. 前記膜コンタクターに用いる膜が疎水性多孔質中空糸膜である、請求項1に記載の運転方法。
  12. 前記中空糸膜の内径が0.35mm以上2.0mm以下である、請求項11に記載の運転方法。
  13. 前記揮発性溶質が揮発性の塩基性化合物であり、
    前記吸収液が酸を含み、
    前記揮発性溶質含有吸収液が、前記塩基性化合物と、前記酸との塩を含む、
    請求項1に記載の運転方法。
  14. 前記揮発性の塩基性化合物がアンモニアであり、
    前記揮発性溶質含有吸収液が、アンモニアと、前記酸との塩を含む、
    請求項13に記載の運転方法。
  15. 前記揮発性溶質が揮発性の酸性化合物であり、
    前記吸収液が塩基を含み、
    前記揮発性溶質含有吸収液が、前記酸性化合物と、前記塩基との塩を含む、
    請求項1に記載の運転方法。
  16. 前記吸収工程の前に、被処理水にアルカリを添加し、被処理水のpHを10以上にする工程を含む、請求項13に記載の運転方法。
  17. 前記吸収工程の後に、
    前記揮発性溶質含有吸収液に対して電気透析を行い、前記揮発性溶質含有吸収液から前記揮発性溶質を除去して、吸収液が再生されるとともに、揮発性溶質濃化液を得る、電気透析工程を更に含む、
    請求項13~16のいずれか一項に記載の運転方法。
  18. 前記電気透析が、バイポーラ膜及びアニオン交換膜を用いる2室法によって行われる、請求項17に記載の運転方法。
  19. 前記揮発性溶質がアンモニアであり、
    前記電気透析により得られる揮発性溶質濃化液が、アンモニアを含み、
    前記揮発性溶質濃化液を蒸留して、高濃度アンモニア水及び蒸留残渣液を得る、後蒸留工程を更に含む、
    請求項18に記載の運転方法。
  20. 前記吸収工程の前に、
    アンモニア含有水溶液を蒸留して、高濃度アンモニア水と及び蒸留残渣液を得る、前蒸留工程を更に含み、
    前記蒸留残渣液を被処理水として前記吸収工程を行う、
    請求項19に記載の運転方法。
  21. 前記揮発性溶質濃化液を、前記アンモニア含有水溶液と混合した後に前記前蒸留工程を行う、請求項20に記載の運転方法。
  22. 膜コンタクター及び電気透析装置を含み、請求項17に記載の運転を行う機能を有する、揮発性溶質除去装置。
  23. 膜コンタクター、電気透析装置、及び蒸留装置がこの順に連結されており、請求項19に記載の運転を行う機能を有する、揮発性溶質除去装置。
  24. 第1の蒸留装置、膜コンタクター、電気透析装置、及び第2の蒸留装置がこの順に連結されており、請求項20に記載の運転を行う機能を有する、揮発性溶質除去装置。
JP2022096021A 2022-06-14 2022-06-14 揮発性溶質除去装置の運転方法 Pending JP2023182421A (ja)

Priority Applications (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2022096021A JP2023182421A (ja) 2022-06-14 2022-06-14 揮発性溶質除去装置の運転方法
AU2023203655A AU2023203655A1 (en) 2022-06-14 2023-06-12 Method and system for ammonia recovery
US18/209,048 US20230398471A1 (en) 2022-06-14 2023-06-13 Method and System for Ammonia Recovery

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2022096021A JP2023182421A (ja) 2022-06-14 2022-06-14 揮発性溶質除去装置の運転方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2023182421A true JP2023182421A (ja) 2023-12-26

Family

ID=89310083

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2022096021A Pending JP2023182421A (ja) 2022-06-14 2022-06-14 揮発性溶質除去装置の運転方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2023182421A (ja)

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US5961796A (en) Bipolar membranes with fluid distribution passages
ES2220928T3 (es) Mejoras en electrodialisis incluyendo electrodialisis de celda llena (electrodesionizacion).
JP5346038B2 (ja) 脱イオン化のための装置及びシステム
US8529766B2 (en) Water purifier and water purification method
CA2096828A1 (en) Apparatus and method for electrodialytic treatment of salts to produce acid and/or base of improved purity
CN114302766A (zh) 原料液浓缩方法和原料液浓缩系统
JPH10512804A (ja) 二極性膜を用いての酸特に強有機酸の再生
Davis Donnan dialysis
JP2023182421A (ja) 揮発性溶質除去装置の運転方法
US20230398471A1 (en) Method and System for Ammonia Recovery
Eti et al. Ion exchange membranes for reverse electrodialysis (RED) applications-recent developments
AU2020361963B2 (en) Raw-material liquid concentration system and concentration apparatus
US20220025091A1 (en) Resin for desalination and process of regeneration
WO2021064652A1 (en) Durable membranes, their preparation and use
JP2023182372A (ja) アンモニア回収方法及びシステム
EP0553136A1 (en) Guard membranes for use in electrodialysis cells
JPS59203602A (ja) 複合膜
JP2023092086A (ja) 膜蒸留装置の運転方法
JP2023182366A (ja) 揮発性溶質除去装置の運転方法
JP3334962B2 (ja) 亜硫酸ガスの回収方法
TWI487671B (zh) 廢水處理系統與廢水處理方法
Meares Ion-exchange membranes
Scott Overview of the application of synthetic membrane processes
JP2023016561A (ja) 原料液濃縮システムおよび濃縮装置
Choi et al. Nanofiltration of electrolytes with charged composite membranes