JP2023182005A - 光熱変換フィルム - Google Patents

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和通 加藤
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Abstract

【課題】可視光透過性に優れながらも、光熱変換機能を有する光熱変換フィルムを提供する。【解決手段】本発明の光熱変換フィルムは、基材と、該基材の少なくとも片側に配置された光熱変換層とを備え、波長1032nmの光の透過率が75%以下であり、かつ、波長600nmの光の透過率が50%以上である。1つの実施形態においては、上記光熱変換層が、近赤外線吸収剤を含む。1つの実施形態においては、上記近赤外線吸収剤が、タングステン元素を含む物質である。1つの実施形態においては、上記近赤外線吸収剤が、セシウム元素を含む物質である。【選択図】図1

Description

本発明は、光熱変換フィルムに関する。
近年、半導体デバイスの特性向上の為、半導体パッケージングなどの領域を中心に半導体チップや封止後の樹脂基板を硬質な支持基板に固定して、高温プロセスを実施するトレンドが加速している。例えば、黒色樹脂で封止された半導体パッケージ上に回路を形成する為のRDL形成プロセスなどにおいて、ガラスなどの光透過性基板に被加工体を平坦に仮固定し、被加工体上にRDL形成した後で硬質基板を分離する方法が検討されている。このような用途では、光熱変換材料としてカーボンブラック粉体を含有する液状接着剤が広く使用されている。光熱変換材料を用いる技術においては、光透過性基板上に当該光熱変換材料を塗工して光熱変換層を形成して、加工時には被加工体を強固に固定し、剥離時には所定波長のレーザー光照射により、光熱変換層がその光を吸収し熱に変換して熱分解することで、被加工体と光透過性基板とを簡単に分離することができる。しかしながら、光熱変換材料としての上記液状接着剤はカーボンブラック粉体やフィラーを添加したものが多く、経時で分散液の沈降現象が生じる為、製造時の材料管理が難しいという課題がある。このような課題を解決する方法として、カーボンブラックを含有する材料をフィルム化した汎用の黒印刷基材などを用いて両面テープ化する技術が検討されているが、黒印刷層の耐熱性・耐薬液性特性が悪く、半導体用途には適用できないという問題がある。また、カーボンブラックを含有する材料では、IRレーザー(例えば、波長:1032nm)の吸収を大きくすると可視光域(例えば、波長:600nm)の吸収も大きくなる為、当該テープ越しの視認性が損なわれ、黒色樹脂中に内蔵された異種半導体チップの位置確認やロットトレースができないという問題もある。
特許第4565804号 特許第4405246号
本発明は上記課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、可視光透過性に優れながらも、光熱変換機能を有する光熱変換フィルムを提供することにある。
本発明の光熱変換フィルムは、基材と、該基材の少なくとも片側に配置された光熱変換層とを備え、波長1032nmの光の透過率が75%以下であり、かつ、波長600nmの光の透過率が50%以上である。
1つの実施形態においては、上記光熱変換層が、近赤外線吸収剤を含む。
1つの実施形態においては、上記近赤外線吸収剤が、タングステン元素を含む物質である。
1つの実施形態においては、上記近赤外線吸収剤が、セシウム元素を含む物質である。
1つの実施形態においては、上記光熱変換層が、硬化型樹脂組成物の硬化物から構成される。
1つの実施形態においては、上記光熱変換層が、重合開始剤を含む。
1つの実施形態においては、上記硬化型樹脂組成物が、ペンタエリスリトール系多官能(メタ)アクリレートを含む。
1つの実施形態においては、上記硬化型樹脂組成物が、活性エネルギー線硬化型樹脂組成物であり、
該活性エネルギー線硬化型樹脂組成物が、アクリル系ポリマーを含み、該アクリル系ポリマーが、ホモポリマーとしたときのガラス転移温度が40℃以上となるアクリル系モノマー由来の構成単位を含む。
1つの実施形態においては、上記基材の200℃における引張弾性率が、5MPa~2GPaである。
1つの実施形態においては、上記基材が、ポリイミド系樹脂、ポリエステル系樹脂またはポリエーテルエーテルケトン系樹脂から構成される。
本発明の別の局面によれば光熱変換層形成用組成物が提供される。この光熱変換層形成用組成物は、タングステン元素を含む物質および/またはセシウム元素を含む物質を含む。
本発明のさらに別の局面によれば、粘着シートが提供される。この粘着シートは、基材と、該基材の少なくとも片側に配置された光熱変換層とを含む積層構造Aと、該積層構造Aの少なくとも片側に配置された粘着剤層とを備える。
1つの実施形態においては、上記粘着シートは、電子部品の仮固定用である。
本発明のさらに別の局面によれば、上記光熱変換フィルムの製造方法が提供される。この製造方法は、上記光熱変換層形成用組成物を準備する工程(A)と、上記基材に該光熱変換層形成用組成物を塗工する工程(B)と、該光熱変換層形成用組成物の塗工層を硬化させる工程(C)とを含む。
本発明によれば、可視光透過性に優れながらも、光熱変換機能を有する光熱変換フィルムを提供することができる。
本発明の1つの実施形態による光熱変換フィルムの概略断面図である。 本発明の1つの実施形態おける光熱変換フィルムを備える粘着シートの使用方法を説明する図である。 本発明の1つの実施形態による粘着シートの概略断面図である。
A.光熱変換フィルムの概要
図1は、本発明の1つの実施形態による光熱変換フィルムの概略断面図である。光熱変換フィルム100は、基材10と、基材10の少なくとも片側に配置された光熱変換層20とを備える。上記光熱変換層は、所定の波長の光を吸収し、当該光を熱に変換する層である。光熱変換層の発熱により、光熱変換層自体が分解するか、あるいは、光熱変換フィルムが適用されたシート(例えば、粘着シート)において光熱変換層に隣接する層が熱分解することとなる。その結果、光熱変換フィルムが適用されたシート(例えば、粘着シート)は、剥離性を示す。1つの実施形態においては、IRレーザー光を照射することにより、上記光熱変換層の発熱を生じさせる。なお、本明細書において「熱分解」とは、250℃以上の加熱により、5%以上の重量減が生じ得ることを意味する。本発明の効果が得られる限り、光熱変換フィルムは、さらにその他の層をさらに備えていてもよい。
上記光熱変換フィルムは、波長1032nmの光の透過率が75%以下である。また、上記光熱変換フィルムは、波長600nmの光の透過率が50%以上である。波長1032nmの光の透過率は、好ましくは65%以下であり、より好ましくは50%以下であり、さらに好ましくは40%以下であり、特に好ましくは30%以下であり、最も好ましくは20%以下である。波長1032nmの光の透過率の下限は、例えば、1%(好ましくは0.5%)である。波長600nmの光の透過率は、好ましくは60%以上であり、より好ましくは70%以上であり、さらに好ましくは80%以上である。波長600nmの光の透過率の上限は、例えば、90%(好ましくは95%)である。上記光熱変換フィルムは、IRレーザー光を吸収して、発熱し得るのみならず、当該光熱変換フィルム越しの視認性にも優れる点で有利である。このような光熱変換フィルムは、例えば、電子部品仮固定用粘着シートの基材フィルムとして好適に用いられ得る。
1つの実施形態において、電子部品仮固定用粘着シート等、上記光熱変換フィルムが適用された粘着シートは、粘着剤層を介して、支持体に貼着され、基材側に電子部品(例えば、半導体ウエハ等の半導体部品)を配置して用いられる。より詳細には、上記粘着シートは、図2および下記に示すように挙動し得る。図2に示す粘着シート110は、光熱変換フィルム100と光熱変換フィルム100の光熱変換層20側に配置された粘着剤層30とを備える。粘着シート110は、光熱変換フィルム100の基材10側に配置された別の粘着剤層40をさらに備えていてもよい。
(1)粘着剤層30側が支持体200側となるようにして、粘着シート110を支持体200上に配置し、さらに粘着シート110の支持体200とは反対側に被加工体である電子部品300を配置する(図2(a))。上記電子部品300は、例えば、別の粘着剤層40を介して、上記粘着シート110に貼着され得る。
(2)支持体200に配置された粘着シート110に、支持体200側からレーザー光を照射することにより、光熱変換層20が発熱し、当該光熱変換層20が熱分解しガスが発生する(図2(b))。
(3)その結果、光熱変換層20の表面形状が変化し、光熱変換層20は、基材10に対する剥離性を示す。これにより、基材10(電子部品300付基材10)を支持体200から剥離することが可能となる(図2(c))。その結果、電子部品300の支持体200からの離間を行うことができる。
(4)次いで、支持体200上の粘着剤層30/光熱変換層20からなる積層構造をピール剥離することにより、残渣が抑制され清浄な支持体200を回収することができる(図2(d))。
上記レーザー光としては、例えば、波長900nm~1200nmのIRレーザー光が用いられ得る。また、基材が吸収し得る波長のレーザー光を用い、基材の発熱による光熱変換層の分解により剥離性を発現させるようにして、光熱変換フィルムを用いてもよい。
上記特性を有する光熱変換フィルムは、例えば、樹脂から形成された光熱変換層中に適切な近赤外線吸収剤を含有させることにより得ることができる。このような光熱変換フィルムは、耐熱性および耐薬液性が優れるように構成することが可能であり、また、製造コスト・製造管理の面からも有利である。
上記光熱変換フィルムの波長355nmの光の透過率は、好ましくは0%~70%であり、より好ましくは0%~60%である。1つの実施形態においては、光熱変換フィルムの波長355nmの光の透過率は、50%以下である。基材について355nmの光の透過率を調整し、光熱変換フィルムの波長355nmの光の透過率をこのような範囲とすることにより、UVレーザー光による基材発熱が可能となり、UVレーザー光による剥離性をも発現し得る光熱変換フィルムを得ることができる。
上記光熱変換フィルムの厚みは、好ましくは10μm~200μmであり、より好ましくは20μm~150μmである。
B.光熱変換層
1つの実施形態においては、光熱変換層の波長1032nmの光の透過率は、75%以下であり、好ましくは50%以下であり、より好ましくは40%以下であり、さらに好ましくは35%以下であり、最も好ましくは20%以下である。このような範囲であれば、IRレーザー光を好ましく吸収して発熱しやすい光熱変換層を形成することができる。光熱変換層の波長1032nmの光の透過率の下限は、例えば、5%(好ましくは1%)である。
1つの実施形態においては、光熱変換層の波長600nmの光の透過率は、50%以上であり、より好ましくは60%以上であり、さらに好ましくは70%以上であり、最も好ましくは80%以上である。このような範囲であれば、視認性向上に寄与し得る光熱変換層を形成することができる。光熱変換層の波長600nmの光の透過率の上限は、例えば、90%(好ましくは95%)である。
1つの実施形態においては、光熱変換層の波長355nmの光の透過率は、好ましくは40%以上であり、より好ましくは50%~95%である。このような範囲であれば、UV吸収可能な基材を適切に選択した上でUVレーザー光でも剥離性を発現し得る光熱変換フィルムを得ることができる。
上記光熱変換層の厚みは、好ましくは1μm~100μmであり、より好ましくは2μm~50μmであり、さらに好ましくは3μm~30μmであり、特に好ましくは5μm~20μmである。
上記光熱変換層の5%重量減少温度は、好ましくは300℃以上であり、より好ましくは310℃~400℃であり、さらに好ましくは320℃~380℃であり、特に好ましくは330℃~370℃である。このような範囲であれば、耐熱性に優れる光熱変換フィルムを得ることができる。また、一般的にRDL形成プロセスは250℃以下の温度で実施されるため、5%重量減少温度が上記範囲にあれば、RDL形成プロセス中の光熱変換フィルムからのアウトガスが少なくなり、電子部品への影響を軽減して安定的なプロセスを実現できるようになる。5%重量減少温度とは、評価対象となるサンプルを昇温させた際の当該サンプルの重量が、昇温前のサンプルの乾燥重量に対して、5重量%減少した時点での温度を意味する。5%重量減少温度は、示差熱分析装置を用いて、昇温温度10℃/分、窒素雰囲気下、流量25ml/分の測定条件で測定される。サンプルの乾燥重量とは、サンプル中の水分を排除した重量を意味する。
上記光熱変換層のナノインデンテーション法による弾性率は、100MPa以上であり、より好ましくは200MPa~5GPaであり、さらに好ましくは300MPa~3GPaである。このような範囲であれば、レーザー光照射時、ガス発生による光熱変換層の形状変化が好ましく生じ、優れた剥離性が発現し得る。ナノインデンテーション法による弾性率とは、圧子を試料に押し込んだときの、圧子への負荷荷重と押し込み深さとを負荷時、除荷時にわたり連続的に測定し、得られた負荷荷重-押し込み深さ曲線から求められる弾性率をいう。ナノインデンテーション法による弾性率は、ダイヤモンド製のBerkovich型(三角錐型)探針を測定対象面に垂直に押し当てることで得られる変位-荷重ヒステリシス曲線を、測定装置付帯のソフトウェア(triboscan)で数値処理することで得られる。本明細書において、ナノインデンテーション法による弾性率とは、ナノインデンター(Hysitron Inc社製Triboindenter TI-950)を用いて、所定温度(25℃)における単一押し込み法により、押し込み速度約500nm/sec、引き抜き速度約500nm/sec、押し込み深さ約100nmの測定条件で、測定された弾性率である。なお、光熱変換層の弾性率は、当該層に含まれる材料の種類、材料を構成するベースポリマーの構造、当該層に添加される添加剤の種類・量等により、調整することができる。
1つの実施形態においては、上記光熱変換層は、近赤外線吸収剤を含む。1つの実施形態においては、上記光熱変換層は、樹脂中に近赤外線吸収剤が含有された状態の層であり得る。光熱変換層は、樹脂フィルムであってもよい。樹脂フィルムは、例えば、樹脂中に近赤外線吸収剤が含有された状態のフィルム(例えば、単層フィルム)であってもよく、所定の近赤外線吸収剤を含む層(例えば、印刷層)と樹脂層とからなるフィルムであってもよい。
上記近赤外線吸収剤としては、近赤外線吸収性を付与し得、本発明の効果が得られ得る限り、任意の適切な近赤外線吸収剤が任意の適切な配合量で用いられる。当該近赤外線吸収剤としては、例えば、セシウム酸化タングステン、六ホウ化ランタン、スズドープ酸化インジウム、アンチモンドープ酸化スズ、シアニン化合物、フタロシアニン化合物、ジチオール金属錯体、ナフトキノン化合物、ジインモニウム化合物、アゾ化合物等が用いられる。なかでも好ましくは、セシウム酸化タングステンまたは六ホウ化ランタンであり、より好ましくはセシウム酸化タングステンである。このような近赤外線吸収剤を用いれば、近赤外線を吸収して発熱可能でありながら、可視光透過性にも優れる光熱変換層を形成することができる。
好ましくは、近赤外線吸収剤として、タングステン元素を含む物質が用いられる。タングステン元素を含む物質としては、例えば、セシウム酸化タングステンが好ましく挙げられる。
好ましくは、近赤外線吸収剤として、セシウム元素を含む物質が用いられる。セシウム元素を含む物質としては、例えば、セシウム酸化タングステンが好ましく挙げられる。
光熱変換層が樹脂と近赤外線吸収剤とを含む場合、近赤外線吸収剤の含有割合は、樹脂100重量部に対して、好ましくは1重量部~50重量部であり、より好ましくは3重量部~40重量部であり、さらに好ましくは5重量部~30重量部である。このような範囲であれば、IRレーザー光を好ましく吸収し得る光熱変換層を形成することができる。
光熱変換層を構成する樹脂としては、任意の適切な樹脂を用いることができる。光熱変換層を構成する樹脂としては、例えば、アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリウレタン系樹脂等が挙げられる。なかでも好ましくは、アクリル系樹脂である。
上記光熱変換層は、好ましくは、硬化型(例えば、活性エネルギー線硬化型または熱硬化型)樹脂組成物の硬化物から構成され、より好ましくは、活性エネルギー線硬化型樹脂組成物の硬化物から構成され、さらに好ましくはアクリル系の活性エネルギー線硬化型樹脂組成物の硬化物から構成される。硬化型樹脂組成物の硬化物により形成された光熱変換層は、耐熱性に優れる点で有利である。1つの実施形態においては、硬化型樹脂組成物の硬化物として構成される光熱変換層は、重合開始剤を含む。当該重合開始剤は、例えば、光重合開始剤または熱重合開始剤である。上記近赤外線吸収剤は、硬化型樹脂組成物に含まれ得る。1つの実施形態においては、硬化型樹脂組成物は、ペンタエリスリトール系多官能(メタ)アクリレートを含む。ペンタエリスリトール系多官能(メタ)アクリレートを用いれば、耐熱性に優れる光熱変換層を形成することができる。
1つの実施形態においては、上記活性エネルギー線硬化型樹脂組成物として、母剤となるベースポリマー(あるいは、当該ベースポリマーを構成するモノマーまたはオリゴマー)と、活性エネルギー線反応性化合物(モノマーまたはオリゴマー)とを含む活性エネルギー線硬化型樹脂組成物(A1)が用いられる。別の実施形態においては、ベースポリマーとして活性エネルギー線反応性ポリマーを含む活性エネルギー線硬化型樹脂組成物(A2)が用いられる。1つの実施形態においては、上記ベースポリマーは、光重合開始剤によって開裂し得る官能基を有する。該官能基としては、例えば、炭素―炭素二重結合を有する官能基が挙げられる。活性エネルギー線としては、例えば、ガンマ線、紫外線、可視光線、赤外線(熱線)、ラジオ波、アルファ線、ベータ線、電子線、プラズマ流、電離線、粒子線等が挙げられる。好ましくは、紫外線である。
上記樹脂組成物(A1)において用いられるベースポリマーとしては、例えば、天然ゴム、ポリイソブチレンゴム、スチレン・ブタジエンゴム、スチレン・イソプレン・スチレンブロック共重合体ゴム、再生ゴム、ブチルゴム、ポリイソブチレンゴム、ニトリルゴム(NBR)等のゴム系ポリマー;シリコーン系ポリマー;アクリル系ポリマー等が挙げられる。これらのポリマーは、単独で、または2種以上組み合わせて用いてもよい。なかでも好ましくは、アクリル系ポリマーである。
アクリル系ポリマーとしては、(メタ)アクリル酸アルキルエステル、(メタ)アクリル酸シクロアルキルエステル、(メタ)アクリル酸アリールエステルなどの(メタ)アクリル酸エステルの単重合体または共重合体;該(メタ)アクリル酸エステルと他の共重合性モノマーとの共重合体等が挙げられる。(メタ)アクリル酸アルキルエステルの具体例としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸s-ブチル、(メタ)アクリル酸t-ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸ヘプチル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸イソノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸イソデシル、(メタ)アクリル酸ウンデシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸トリデシル、(メタ)アクリル酸テトラデシル、(メタ)アクリル酸ペンタデシル、(メタ)アクリル酸ヘキサデシル、(メタ)アクリル酸ヘプタデシル、(メタ)アクリル酸オクタデシル、(メタ)アクリル酸ノナデシル、(メタ)アクリル酸エイコシル等の(メタ)アクリル酸C1-20アルキルエステルが挙げられる。なかでも、炭素数が4~18の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルが好ましく用いられ得る。
上記他の共重合性モノマーとしては、例えば、カルボキシ基含有モノマー、酸無水物モノマー、ヒドロキシ基含有モノマー、グリシジル基含有モノマー、スルホン酸基含有モノマー、リン酸基含有モノマー、アクリルアミド、およびアクリロニトリルなどの官能基含有モノマー等が挙げられる。カルボキシ基含有モノマーとしては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、カルボキシエチル(メタ)アクリレート、カルボキシペンチル(メタ)アクリレート、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、およびクロトン酸が挙げられる。酸無水物モノマーとしては、例えば、無水マレイン酸および無水イタコン酸が挙げられる。ヒドロキシ基含有モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸4-ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸6-ヒドロキシヘキシル、(メタ)アクリル酸8-ヒドロキシオクチル、(メタ)アクリル酸10-ヒドロキシデシル、(メタ)アクリル酸12-ヒドロキシラウリル、および(4-ヒドロキシメチルシクロヘキシル)メチル(メタ)アクリレートが挙げられる。グリシジル基含有モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸グリシジルおよび(メタ)アクリル酸メチルグリシジルが挙げられる。スルホン酸基含有モノマーとしては、例えば、スチレンスルホン酸、アリルスルホン酸、2-(メタ)アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸、(メタ)アクリルアミドプロパンスルホン酸、スルホプロピル(メタ)アクリレート、および(メタ)アクリロイルオキシナフタレンスルホン酸が挙げられる。リン酸基含有モノマーとしては、例えば、2-ヒドロキシエチルアクリロイルホスフェートが挙げられる。アクリルアミドとしては、例えばN-アクリロイルモルホリンが挙げられる。これらは、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。上記共重合性モノマー由来の構成単位の含有割合は、ベースポリマー(アクリル系ポリマー)100重量部に対して、好ましくは60重量部以下であり、より好ましくは40重量部以下である。
1つの実施形態においては、アクリル系ポリマーを構成するモノマーとして、ホモポリマーとしたときのガラス転移温度が40℃以上となるアクリル系モノマーが用いられる。すなわち、上記アクリル系ポリマーは、ホモポリマーとしたときのガラス転移温度が40℃以上となるアクリル系モノマー由来の構成単位を含む。このようなアクリル系モノマーとしては、メタクリル酸メチル、メタクリル酸グリシジル、メタクリル酸イソブチル、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、イソプロピルアクリルアミド、アクリロイルモルホリン、イソボルニルアクリレート等が挙げられる。なかでも好ましくは、メタクリル酸メチルである。このようなモノマー由来の構成単位を含むアクリル系ポリマーを用いれば、レーザー光照射による分解物起因のベタツキを防止することができる。ホモポリマーとしたときのガラス転移温度が40℃以上となるアクリル系モノマー由来の構成単位の含有割合は、ベースポリマー(アクリル系ポリマー)100重量部に対して、好ましくは30重量部~80重量部であり、より好ましくは40重量部~75重量部である。このような範囲であれば、上記効果が顕著となる。
アクリル系ポリマーは、多官能性モノマー由来の構成単位を含み得る。多官能性モノマーを用いれば、耐熱性および耐薬液性に優れる光熱変換層を形成することができる。多官能性モノマーとして、例えば、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート(すなわち、ポリグリシジル(メタ)アクリレート)、ポリエステル(メタ)アクリレート、およびウレタン(メタ)アクリレートが挙げられる。これらは、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。多官能性モノマー由来の構成単位を含む場合、上記多官能性モノマー由来の構成単位の含有割合は、ベースポリマー(アクリル系ポリマー)100重量部に対して、好ましくは30重量部以上であり、より好ましくは40重量部以上である。上記多官能性モノマー由来の構成単位の含有割合の上限は、ベースポリマー(アクリル系ポリマー)100重量部に対して、好ましくは400重量部以下であり、より好ましくは300重量部以下である。
上記アクリル系ポリマーの重量平均分子量は、好ましくは1万~150万であり、より好ましくは2万~100万である。重量平均分子量は、GPC(溶媒:THF)により測定され得る。
上記樹脂組成物(A1)に用いられ得る上記活性エネルギー線反応性化合物としては、例えば、アクリロイル基、メタクリロイル基、ビニル基、アリル基、アセチレン基等の重合性炭素-炭素多重結合を有する官能基を有する光反応性のモノマーまたはオリゴマーが挙げられる。該光反応性のモノマーの具体例としては、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールモノヒドロキシペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、1,4-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸と多価アルコールとのエステル化物;多官能ウレタン(メタ)アクリレート;エポキシ(メタ)アクリレート;オリゴエステル(メタ)アクリレート等が挙げられる。また、メタクリロイソシアネート、2-メタクリロイルオキシエチルイソシアネート(2-イソシアナトエチルメタクリレート)、m-イソプロペニル-α,α-ジメチルベンジルイソシアネート等のモノマーを用いてもよい。光反応性のオリゴマーの具体例としては、上記モノマーの2~5量体等が挙げられる。光反応性のオリゴマーの分子量は、好ましくは100~3000である。
1つの実施形態においては、活性エネルギー線硬化型樹脂組成物(A1)は、上記活性エネルギー線反応性化合物として、ペンタエリスリトール系多官能(メタ)アクリレートを含む。ペンタエリスリトール系多官能(メタ)アクリレートは、ペンタエリスリトール又はその重合物の水酸基の一部又はすべてを(メタ)アクリレートでエステル化することにより得ることができる。活性エネルギー線反応性化合物として、ペンタエリスリトール系多官能(メタ)アクリレートを用いれば、耐熱性に優れる光熱変換層を形成することができる。
また、上記活性エネルギー線反応性化合物として、エポキシ化ブタジエン、グリシジルメタクリレート、アクリルアミド、ビニルシロキサン等のモノマー;または該モノマーから構成されるオリゴマーを用いてもよい。
上記樹脂組成物(A1)において、活性エネルギー線反応性化合物の含有割合は、ベースポリマー100重量部に対して、好ましくは0.1重量部~500重量部であり、より好ましくは5重量部~300重量部であり、さらに好ましくは40重量部~150重量部である。
上記樹脂組成物(A2)に含まれる活性エネルギー線反応性ポリマー(ベースポリマー)としては、例えば、アクリロイル基、メタクリロイル基、ビニル基、アリル基、アセチレン基等の炭素-炭素多重結合を有する官能基を有するポリマーが挙げられる。活性エネルギー線反応性ポリマーの具体例としては、多官能(メタ)アクリレートから構成されるポリマー(例えば、多官能性モノマー由来の構成単位を含むポリマー);光カチオン重合型ポリマー;ポリビニルシンナマート等のシンナモイル基含有ポリマー;ジアゾ化されたアミノノボラック樹脂;ポリアクリルアミド;等が挙げられる。
1つの実施形態においては、上記アクリル系ポリマーの側鎖、主鎖および/または主鎖末端に、活性エネルギー線重合性の炭素-炭素多重結合が導入されて構成された活性エネルギー線反応性ポリマーが用いられる。炭素-炭素多重結合を多く含む活性エネルギー線反応性ポリマーを用いれば、耐薬液性に優れる光熱変換層を形成することができる。アクリル系ポリマーへの放射線重合性の炭素-炭素二重結合の導入手法としては、例えば、所定の官能基(第1の官能基)を有するモノマーを含む原料モノマーを共重合させてアクリル系ポリマーを得た後、第1の官能基との間で反応を生じて結合しうる所定の官能基(第2の官能基)と放射線重合性炭素-炭素二重結合とを有する化合物を、炭素-炭素二重結合の放射線重合性を維持したままアクリル系ポリマーに対して縮合反応または付加反応させる方法が、挙げられる。
第1の官能基と第2の官能基の組み合わせとしては、例えば、カルボキシ基とエポキシ基、エポキシ基とカルボキシ基、カルボキシ基とアジリジル基、アジリジル基とカルボキシ基、ヒドロキシ基とイソシアネート基、イソシアネート基とヒドロキシ基が挙げられる。これらの組み合わせのうち、反応追跡の容易さの観点からは、ヒドロキシ基とイソシアネート基の組み合わせや、イソシアネート基とヒドロキシ基の組み合わせが、好ましい。また、反応性の高いイソシアネート基を有するポリマーを作製するのは技術的難易度が高いところ、アクリル系ポリマーの作製または入手のしやすさの観点からは、アクリル系ポリマー側の上記第1の官能基がヒドロキシ基であり且つ上記第2の官能基がイソシアネート基である場合が、より好ましい。この場合、放射線重合性炭素-炭素二重結合と第2の官能基たるイソシアネート基とを併有するイソシアネート化合物としては、例えば、メタクリロイルイソシアネート、2-メタクリロイルオキシエチルイソシアネート、およびm-イソプロペニル-α,α-ジメチルベンジルイソシアネートが挙げられる。また、第1の官能基を有するアクリル系ポリマーとしては、上記のヒドロキシ基含有モノマー由来の構成単位を含むものが好ましく、2-ヒドロキシエチルビニルエーテルや、4-ヒドロキシブチルビニルエーテル、ジエチレングルコールモノビニルエーテルなどのエーテル系化合物由来の構成単位を含むものも好ましい。
上記樹脂組成物(A2)は、上記活性エネルギー線反応性化合物(モノマーまたはオリゴマー)をさらに含んでいてもよい。
1つの実施形態においては、上記活性エネルギー線硬化型樹脂組成物は、重合開始剤を含む。重合開始剤としては、例えば、光重合開始剤、熱重合開始剤が用いられ得、好ましくは、光重合開始剤である。
光重合開始剤としては、任意の適切な開始剤を用いることができる。光重合開始剤としては、例えば、4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル(2-ヒドロキシ-2-プロピル)ケトン、α-ヒドロキシ-α,α’-ジメチルアセトフェノン、2-メチル-2-ヒドロキシプロピオフェノン、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン等のα-ケトール系化合物;メトキシアセトフェノン、2,2-ジメトキシ-2-フェニルアセトフェノン、2,2-ジエトキシアセトフェノン、2-メチル-1-[4-(メチルチオ)-フェニル]-2-モルホリノプロパン-1等のアセトフェノン系化合物;ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、アニソインメチルエーテル等のベンゾインエーテル系化合物;ベンジルジメチルケタール等のケタール系化合物;2-ナフタレンスルホニルクロリド等の芳香族スルホニルクロリド系化合物;1-フェノン-1,1―プロパンジオン-2-(o-エトキシカルボニル)オキシム等の光活性オキシム系化合物;ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、3,3’-ジメチル-4-メトキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン系化合物;チオキサンソン、2-クロロチオキサンソン、2-メチルチオキサンソン、2,4-ジメチルチオキサンソン、イソプロピルチオキサンソン、2,4-ジクロロチオキサンソン、2,4-ジエチルチオキサンソン、2,4-ジイソプロピルチオキサンソン等のチオキサンソン系化合物;カンファーキノン;ハロゲン化ケトン;アシルホスフィノキシド;アシルホスフォナート等が挙げられる。光重合開始剤の使用量は、任意の適切な量に設定され得る。
1つの実施形態においては、上記活性エネルギー線硬化型樹脂組成物は、光増感剤を含み得る。
好ましくは、上記活性エネルギー線硬化型樹脂組成物は、架橋剤を含む。架橋剤としては、例えば、イソシアネート系架橋剤、エポキシ系架橋剤、オキサゾリン系架橋剤、アジリジン系架橋剤、メラミン系架橋剤、過酸化物系架橋剤、尿素系架橋剤、金属アルコキシド系架橋剤、金属キレート系架橋剤、金属塩系架橋剤、カルボジイミド系架橋剤、アミン系架橋剤等が挙げられる。
上記架橋剤の含有割合は、樹脂組成物のベースポリマー100重量部に対して、好ましくは0.01重量部~20重量部である。
1つの実施形態においては、エポキシ系架橋剤が好ましく用いられる。エポキシ系架橋剤を用いれば、紫外線照射後5%重量減少温度が高い熱分解層を形成することができる。上記エポキシ系架橋剤としては、例えば、N,N,N’,N’-テトラグリシジル-m-キシレンジアミン、ジグリシジルアニリン、1,3-ビス(N,N-グリシジルアミノメチル)シクロヘキサン(三菱ガス化学社製、商品名「テトラッドC」)、1,6-ヘキサンジオールジグリシジルエーテル(共栄社化学社製、商品名「エポライト1600」)、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル(共栄社化学社製、商品名「エポライト1500NP」)、エチレングリコールジグリシジルエーテル(共栄社化学社製、商品名「エポライト40E」)、プロピレングリコールジグリシジルエーテル(共栄社化学社製、商品名「エポライト70P」)、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル(日本油脂社製、商品名「エピオールE-400」)、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル(日本油脂社製、商品名「エピオールP-200」)、ソルビトールポリグリシジルエーテル(ナガセケムテックス社製、商品名「デナコール EX-611」)、グリセロールポリグリシジルエーテル(ナガセケムテックス社製、商品名「デナコール EX-314」)、ペンタエリスリトールポリグリシジルエーテル、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル(ナガセケムテックス社製、商品名「デナコール EX-512」)、ソルビタンポリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル、アジピン酸ジグリシジルエステル、o-フタル酸ジグリシジルエステル、トリグリシジル-トリス(2-ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、レゾルシンジグリシジルエーテル、ビスフェノール-S-ジグリシジルエーテル、分子内にエポキシ基を2つ以上有するエポキシ系樹脂等が挙げられる。エポキシ系架橋剤の含有量は、所望とする特性に応じて、任意の適切な量に設定され得、ベースポリマー100重量部に対して、代表的には0.01重量部~10重量部であり、より好ましくは0.05重量部~7重量部である。
1つの実施形態においては、イソシアネート系架橋剤が好ましく用いられる。上記イソシアネート系架橋剤の具体例としては、ブチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート等の低級脂肪族ポリイソシアネート類;シクロペンチレンジイソシアネート、シクロへキシレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート等の脂環族イソシアネート類;2,4-トリレンジイソシアネート、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート等の芳香族イソシアネート類;トリメチロールプロパン/トリレンジイソシアネート3量体付加物(日本ポリウレタン工業社製、商品名「コロネートL」)、トリメチロールプロパン/へキサメチレンジイソシアネート3量体付加物(日本ポリウレタン工業社製、商品名「コロネートHL」)、ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート体(日本ポリウレタン工業社製、商品名「コロネートHX」)等のイソシアネート付加物;等が挙げられる。好ましくは、イソシアネート基を3個以上有する架橋剤が用いられる。イソシアネート系架橋剤の含有量は、所望とする特性に応じて任意の適切な量に設定され得、ベースポリマー100重量部に対して、代表的には0.1重量部~20重量部であり、より好ましくは0.5重量部~10重量部である。
活性エネルギー線硬化型樹脂組成物は、必要に応じて、任意の適切な添加剤をさらに含み得る。添加剤としては、例えば、活性エネルギー線重合促進剤、ラジカル捕捉剤、粘着付与剤、可塑剤(例えば、トリメリット酸エステル系可塑剤、ピロメリット酸エステル系可塑剤等)、顔料、染料、充填剤、老化防止剤、導電材、帯電防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、剥離調整剤、軟化剤、界面活性剤、難燃剤、酸化防止剤等が挙げられる。
C.基材
上記基材は、任意の適切な樹脂から構成され得る。該樹脂としては、例えば、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリブテン系樹脂、ポリメチルペンテン系樹脂等のポリオレフィン系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリエーテルケトン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリ塩化ビニリデン系樹脂、フッ素系樹脂、シリコーン系樹脂、セルロース系樹脂、アイオノマー樹脂等が挙げられる。
1つの実施形態においては、上記基材は、ポリイミド系樹脂、ポリエステル系樹脂またはポリエーテルエーテルケトン系樹脂から構成される。なかでも好ましくはポリイミド系樹脂である。これらの樹脂はUV吸収性を有し、当該樹脂を用いれば、光熱変換フィルムが適用された粘着シートにおけるレーザー種選択の幅が広がる。
上記基材の厚みは、好ましくは2μm~300μmであり、より好ましくは2μm~100μmであり、さらに好ましくは2μm~50μmである。
1つの実施形態においては、基材の波長1032nmの光の透過率は、60%~95%であり、好ましくは70%~90%である。
1つの実施形態においては、基材の波長600nmの光の透過率は、50%以上であり、より好ましくは60%以上であり、さらに好ましくは70%以上であり、最も好ましくは80%以上である。基材の波長600nmの光の透過率の上限は、例えば、95%(好ましくは99%)である。
1つの実施形態においては、基材の波長355nmの光の透過率は、好ましくは50%以下であり、より好ましくは0%~20%である。このような範囲であれば、UVレーザー光でも剥離性を発現し得る光熱変換フィルムを得ることができる。
上記基材の200℃における引張弾性率は、好ましくは5MPa~2GPaであり、より好ましくは10MPa~1.8GPaであり、さらに好ましくは500MPa~1.8GPaであり、特に好ましくは1GPa~1.5GPaである。このような範囲であれば、レーザー光照射により光熱変換層が熱分解して発生したガスが、基材により好ましくバリアされ、光熱変換層表面の形状変化に起因する剥離性が好ましく発現する。引張弾性率は、動的粘弾性測定装置を用いて測定され得る。具体的な測定方法は、後述する。
上記基材の5%重量減少温度は、好ましくは300℃以上であり、より好ましくは350℃~650℃であり、さらに好ましくは380℃~600℃であり、特に好ましくは400℃~590℃である。このような範囲であれば、耐熱性に優れる光熱変換フィルムを得ることができる。また、一般的にRDL形成プロセスは250℃以下の温度で実施されるため、5%重量減少温度が上記範囲であれば、RDL形成プロセス中の基材からのアウトガスが少なくなり、電子部品への影響を軽減して安定的なプロセスを実現できるようになる。また、基材の5%重量減少温度が上記範囲であれば、レーザー照射時のダメージを受けにくくなり、電子部品からテープ(粘着剤層/基材)をピール剥離する際に、破断することなく当該テープを除去することができる。
D.光熱変換フィルムの製造方法
上記光熱変換フィルムは、任意の適切な方法により製造することができる。上記光熱変換フィルムの製造方法は、例えば、光熱変換層形成用組成物を準備する工程(A)と、上記基材に光熱変換層形成用組成物を塗工する工程(B)と、光熱変換層形成用組成物の塗工層を硬化させる工程(C)とを含む。
光熱変換層形成用組成物は、近赤外線吸収剤を含む。1つの実施形態においては、光熱変換層形成用組成物は、上記近赤外線吸収剤を含む上記硬化型樹脂組成物(好ましくは、上記活性エネルギー線硬化型樹脂組成物)であり得る。1つの実施形態においては、当該近赤外線吸収剤としては、タングステン元素を含む物質および/またはセシウム元素を含む物質が用いられる。すなわち、1つの実施形態においては、光熱変換層形成用組成物は、タングステン元素を含む物質および/またはセシウム元素を含む物質を含む。
光熱変換層形成用組成物の塗工方法としては、任意の適切な方法が採用され得る。光熱変換層形成用組成物の塗工方法としては、例えば、バーコーター塗工、エアナイフ塗工、グラビア塗工、グラビアリバース塗工、リバースロール塗工、リップ塗工、ダイ塗工、ディップ塗工、オフセット印刷、フレキソ印刷、スクリーン印刷等が上げられる。
光熱変換層形成用組成物が活性エネルギー線反応性化合物を含む場合、工程(C)において、光熱変換層形成用組成物の塗工層には、紫外線等の活性エネルギー線が照射される。当該照射条件は、光熱変換層形成用組成物の組成に応じて、任意の適切な条件とされ得る。
光熱変換層形成用組成物が熱硬化性である場合、工程(C)において、加熱処理が行われる。加熱条件は、光熱変換層形成用組成物の組成に応じて、任意の適切な条件とされ得る。
E.粘着シート、電子部品仮固定用粘着シート
1つの実施形態においては、粘着シートが提供される。図3は、本発明の1つの実施形態による粘着シートの概略断面図である。粘着シート110は、基材10と、基材10の少なくとも片側に配置された光熱変換層20とを含む積層構造Aと、積層構造Aの少なくとも片側(図示例では、光熱変換層20側)に配置された粘着剤層30とを備える。基材としては、上記E項で説明した基材が用いられ得る。また、光熱変換層としては、上記B項で説明した光熱変換層が形成され得る。上記のとおり、1つの実施形態において、光熱変換層は、タングステン元素を含む物質および/またはセシウム元素を含む物質を含み得る。また、積層構造Aの基材10側に、別の粘着剤層40が配置されていてもよい。別の粘着剤層40は任意の適切な組成および構成であり得る粘着剤層30と別の粘着剤層40とは同じ組成・構成であってもよく、異なる構成であってもよい。1つの実施形態においては、上記粘着シートとして、電子部品仮固定用粘着シートが提供される。
1つの実施形態においては、上記粘着シートは、光熱変換フィルムを含む。光熱変換フィルムは、上記積層構造Aであり得る。当該粘着シートは、上記光熱変換フィルムと、光熱変換フィルムの少なくとも一方の側に配置された粘着剤層とを備える。
上記粘着剤層は、任意の適切な粘着剤を含む。例えば、感圧粘着剤または硬化型粘着剤を含む。1つの実施形態においては、粘着剤層に含まれる粘着剤として、耐熱粘着剤が用いられる。耐熱粘着剤から構成された粘着剤層を備えることにより、レーザー光を照射した際に光透過性支持基板への焦げ付き(糊残り)を抑制することができる。本明細書において、耐熱粘着剤とは、260℃の環境下で、所定の粘着力を有する粘着剤を意味する。耐熱粘着剤は、260℃の環境下で、糊残りなく使用し得ることが好ましい。好ましくは、耐熱粘着剤は、ベースポリマーとして、アクリル系樹脂、シリコーン系樹脂等を含む。
粘着剤層をPETに貼着した際の上記粘着シートの23℃における粘着力は、好ましくは0.2N/20mm~10N/20mmであり、より好ましくは3N/20mm~8N/20mmである。このような範囲であれば、支持体上での位置ずれ等なく、仮固定用途に好適な粘着シートを得ることができる。粘着力は、JIS Z 0237:2000に準じて測定される。具体的には、2kgのローラーを1往復により熱分解層をガラス板(算術平均表面粗さRa:10±8nm)に貼着した後、剥離角度180°、剥離速度(引張速度)300mm/minの条件で、粘着シートを引きはがして測定される。
粘着剤層をSUS430に貼着した際の上記粘着シートの23℃における粘着力は、好ましくは0.20N/20mm~10N/20mmであり、より好ましくは3N/20mm~7N/20mmである。このような範囲であれば、支持体上での位置ずれ等なく、仮固定用途に好適な粘着シートを得ることができる。
F.電子部品仮固定用粘着シートの使用
電子部品仮固定用粘着シートは、A項で図2を用いて説明したように使用され得る。
被加工体である電子部品としては、例えば、半導体ウエハ、半導体パッケージ、半導体チップ、回路基板用絶縁材料、ダイアタッチフィルム、半導体封止樹脂、半導体保護膜、半導体保護膜形成用樹脂組成物、金属材料、セラミック材料等が挙げられる。上記電子部品は、複数配置されていてもよく、1個配置されていてもよい。
上記電子部品は、例えば、基材の光熱変換層とは反対側に配置された別の粘着剤層を介して、上記粘着シートに貼着され得る。
上記粘着シート上に電子部品を配置した後(すなわち、図2(a)の状態)、当該電子部品に所定の処理が施され得る。当該処理としては、例えば、グラインド加工、ダイシング加工、ダイボンディング、ワイヤーボンディング、エッチング、薬液洗浄、蒸着、モールディング、再配線層形成、貫通孔形成、またはデバイス表面の保護が挙げられる。
上記レーザー光としては、粘着シートの構成に応じて、任意の適切な波長のレーザー光が用いられる。レーザー光照射の条件もまた、粘着シートの構成に応じて、任意の適切な条件とされ得る。1つの実施形態においては、上記レーザー光として、IRレーザー光が使用される。IRレーザー光の波長は、好ましくは800nm以上であり、より好ましくは800nm~10600nmであり、さらに好ましくは900nm~1200nmである。IRレーザー光の出力は、例えば、0.01W~10Wである。別の実施形態においては、上記レーザー光として、UVレーザー光が使用される。UVレーザー光の波長は、好ましくは380nm以下であり、より好ましくは150nm~380nmであり、さらに好ましくは240nm~360nmである。UVレーザー光の出力は、例えば、0.1W~2.0Wである。なお、UVレーザー光は、基材がUVレーザー光を吸収し得る場合に選択可能であり、UVレーザー光を照射した際には、基材発熱により光熱変換層の熱分解が生じて剥離性が発現する。
以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、本発明はこれら実施例によって限定されるものではない。実施例における評価方法は以下のとおりである。また、実施例において、特に明記しない限り、「部」および「%」は重量基準である。
[評価]
(1)基材の200℃における引張弾性率
動的粘弾性測定装置(TA Instrument社製、商品名「RSA-3」)を用い、下記の条件にて、200℃における引張弾性率を測定した。
測定周波数:1Hz
歪み:0.05%
チャック間距離:20mm
サンプル幅:10mm
0℃から250℃まで5℃/minの昇温速度

(2)基材、光熱変換層および光熱変換フィルムの5%重量減少温度
示差熱分析装置(TA Instruments社製、商品名「Discovery TGA」)を用い、昇温温度:10℃/min、N雰囲気下、流量:25ml/minとし、所定サンプルの重量が昇温前のサンプルの乾燥重量に対して5%減少する温度を測定した。サンプルの乾燥重量とは、サンプル中の水分を排除した重量を意味する。
具体的には、上記評価サンプル約0.01gを上記分析装置にセットし、20℃から110℃まで上記昇温速度で一旦昇温し、110℃から20℃まで10℃/minの降温速度で降温することで含有する水分の影響を取り除き、乾燥重量を得た。再度20℃から500℃まで上記昇温速度で昇温しながら評価サンプルの重量減少を測定した。得られたデータから、重量減少が5%となる温度を抽出した。

(3)光熱変換フィルム、ポリイミドフィルム(比較例1)、PETフィルム(比較例2)の光透過率
分光光度計(商品名「UV-VIS紫外可視分光光度計 SolidSpec3700」、島津製作所社製)にセットして、入射光が各サンプルに垂直に入射するようにして、300nm~2500nmの波長領域の光透過率を測定した。得られた透過スペクトルの355nm、600nmおよび1032nmの波長における透過率を抽出した。

(4)レーザーデボンド性評価
実施例及び比較例で得られた光熱変換フィルムおよびフィルムの両側(基材側、光熱変換層側)にそれぞれ、粘着剤層を形成して粘着シートを得た。粘着シートの基材側粘着剤層を、半導体ウエハなどの被加工体を模した幅50mm、長さ70mm、厚さ0.12mmtの薄ガラス(松浪硝子製カバーグラス、長方形No.1、商品名「C050701」)にハンドローラーで貼り付けし、薄ガラスのサイズに合わせて粘着シートをカットし、その後、光熱変換層側粘着剤層(厚み:30μm、1032nm光透過率:93.91%)を、支持体(光透過性支持基板を模した幅52mm、長さ76mm、厚さ1.0mmtの厚ガラス(松浪硝子製大型スライドグラス 標準大型白縁磨No.2、商品名「S9112」))にハンドローラーで積層した。その後、積層体をオートクレーブに入れて加温脱泡(40℃、5kgf、10分間)し、積層体中に噛み込む気泡を除去し、積層体サンプルを作製した。
作製した積層体サンプルに対し、支持体側からレーザー光を照射し、レーザーデボンド性評価を実施した。具体的には、波長1032nm、ビーム径約200μmφのレーザーを用いて、縦横約60μmピッチの間隔になるように8.4W出力、周波数25kHzでパルススキャンした。レーザー光を積層体サンプルに照射した後、デボンド性を下記の基準により評価した。
レーザーデボンド性の評価は、薄ガラスと厚ガラスのデボンド作業において、カッター刃で積層体サンプルの外周部の1箇所を浮かせると簡易にデボンドできる水準をデボンド作業性合格(〇)、カッター刃で外周部を全て浮かせてようやくデボンドできる水準を△、カッター刃を外周部に差し込んでもデボンドできない、薄ガラス(被加工体)が割れてしまう水準を不合格(×)、とした。
なお、基材側粘着剤層および光熱変換層側粘着剤層を形成する粘着剤は、以下のとおり調製した。すなわち、酢酸エチル中に、2-エチルヘキシルアクリレート95重量部と、アクリル酸5重量部と、重合開始剤として過酸化ベンゾイル0.15重量部とを加えた後、70℃に加熱してアクリル系ポリマー(ポリマーA)の酢酸エチル溶液を得た。さらに、当該酢酸エチル溶液にエポキシ系架橋剤(三菱ガス化学社製、商品名「テトラッドC」)0.4重量部を添加し、光熱変換層側粘着剤層用の粘着剤を得た。また、上記酢酸エチル溶液にエポキシ系架橋剤(三菱ガス化学社製、商品名「テトラッドC」)2重量部を添加し、基材側粘着剤層用の粘着剤を得た。

(5)耐薬液性
光熱変換層上に、N-メチル―2-ピロリドン(岸田化学社製)を0.1mL滴下し、その後、25℃で15分間放置した後に、当該N-メチル―2-ピロリドン(岸田化学社製)を拭き取り、光熱変換層の剥がれの有無により、耐薬液性を評価した。表中、剥がれがなかった場合を合格(〇)、剥がれがあった場合を不合格(×)とした。

(6)視認性
光熱変換フィルム越しおよびフィルム越しの視認性を評価した。具体的には、蛍光灯下で当該フィルム越しにチップが視認できるか否かにより視認性を評価し、視認できた場合を合格(〇)、視認できなかった場合を不合格(×)とした。
[製造例1]光熱変換層形成用組成物A
メタクリル酸メチルと、アクリロイル変性させたグリセリンメタクリレートを50:50(mol比)で共重合した重量平均分子量(Mw)が約2.2万のアクリル系ポリマー50重量部と、ペンタエリスリトール系多官能アクリレート50重量部と、メチルイソブチルケトンと、光重合開始剤(BASF社製、商品名「Omnirad127D」)0.5重量部、近赤外線吸収剤(セシウム酸化タングステン分散液、商品名「YMF-02A」、住友金属鉱山社製)15重量部と、酢酸エチルとを混合して光熱変換層形成用組成物Aを調製した。
[製造例2]光熱変換層形成用組成物B
赤外線吸収剤(セシウム酸化タングステン分散液、商品名「YMF-02A」、住友金属鉱山社製)の配合量を7.5重量部としたこと以外は、製造例1と同様にして、光熱変換層形成用組成物Bを調製した。
[製造例3]光熱変換層形成用組成物C
赤外線吸収剤(セシウム酸化タングステン分散液、商品名「YMF-02A」、住友金属鉱山社製)の配合量を23重量部としたこと以外は、製造例1と同様にして、光熱変換層形成用組成物Cを調製した。
[製造例4]光熱変換層形成用組成物D
メタクリル酸メチルと、アクリロイル変性させたグリセリンメタクリレートを50:50(mol比)で共重合した重量平均分子量(Mw)が約2.2万のアクリル系ポリマー50重量部と;ペンタエリスリトール系多官能アクリレート50重量部と;メチルイソブチルケトンと;メタクリル酸メチルと、アクリロイル変性させたグリセリンメタクリレートを71:29(mol比)で共重合した重量平均分子量(Mw)が約2.9万のアクリル系ポリマー10重量部と;酢酸ブチルと;光重合開始剤(BASF社製、商品名「Omnirad127D」)0.5重量部と;近赤外線吸収剤(セシウム酸化タングステン分散液、商品名「YMF-02A」、住友金属鉱山社製)15重量部と;酢酸エチルとを混合して光熱変換層形成用組成物Dを調製した。
[製造例5]光熱変換層形成用組成物E
「メタクリル酸メチルと、アクリロイル変性させたグリセリンメタクリレートを71:29(mol比)で共重合した重量平均分子量(Mw)が約2.9万のアクリル系ポリマー」の配合量を40重量部としたこと以外は、製造例4と同様にして、光熱変換層形成用組成物Eを調製した。
[製造例6]光熱変換層形成用組成物F
メタクリル酸メチルと、アクリロイル変性させたグリセリンメタクリレートを71:29(mol比)で共重合した重量平均分子量(Mw)が約2.9万のアクリル系ポリマー100重量部と;酢酸ブチルと;光重合開始剤(BASF社製、商品名「Omnirad127D」)0.5重量部と;近赤外線吸収剤(セシウム酸化タングステン分散液、商品名「YMF-02A」、住友金属鉱山社製)15重量部と;酢酸エチルとを混合して光熱変換層形成用組成物Fを調製した。
[製造例7]光熱変換層形成用組成物G
赤外線吸収剤(セシウム酸化タングステン分散液、商品名「YMF-02A」、住友金属鉱山社製)の配合量を4重量部としたこと以外は、製造例1と同様にして、光熱変換層形成用組成物Gを調製した。
[実施例1]
製造例1で得た光熱変換層形成用組成物Aを、ポリイミドフィルム(東レ・デュポン社製、商品名「カプトン100H」厚み:25μm)の片側に、溶剤揮発(乾燥)後の厚みが2μmとなるように塗布し、その後、乾燥して、該ポリイミドフィルム上に光熱変換層を形成し、シリコーン離型剤処理面付きポリエチレンテレフタレートフィルム(東レ社製、商品名「セラピール」厚み:38μm)をロール間でラミネートして貼り合わせ、シリコーン離型剤処理面付きポリエチレンテレフタレートフィルム側から積算光量1380mJ/cmの条件でUV照射した。その後、シリコーン離型剤処理面付きポリエチレンテレフタレートフィルムを剥離し、光熱変換フィルム(光熱変換層/基材(ポリイミドフィルム))を得た。
[実施例2~実施例4]
光熱変換層の厚みを表1に記載のとおりとしたこと以外は、実施例1と同様にして、光熱変換フィルムを製造した。得られた光熱変換フィルムを上記評価に供した。結果を表1に示す。
[実施例5]
光熱変換層形成用組成物Aに代えて、光熱変換層形成用組成物Bを用い、光熱変換層の厚みを5μmとしたこと以外は、実施例1と同様にして、光熱変換フィルムを製造した。得られた光熱変換フィルムを上記評価に供した。結果を表1に示す。
[実施例6]
光熱変換層形成用組成物Aに代えて、光熱変換層形成用組成物Cを用い、光熱変換層の厚みを20μmとしたこと以外は、実施例1と同様にして、光熱変換フィルムを製造した。得られた光熱変換フィルムを上記評価に供した。結果を表1に示す。
[実施例7]
ポリイミドフィルム(東レ・デュポン社製、商品名「カプトン100H」厚み:25μm)に代えて、ポリエチレンテレフタレートフィルム(東レ社製、商品名「ルミラーS27」、厚み:38μm)を用い、光熱変換層の厚みを5μmとしたこと以外は、実施例1と同様にして、光熱変換フィルムを製造した。得られた光熱変換フィルムを上記評価に供した。結果を表1に示す。
[実施例8]
光熱変換層形成用組成物Aに代えて、光熱変換層形成用組成物Dを用いたこと以外は、実施例7と同様にして、光熱変換フィルムを製造した。得られた光熱変換フィルムを上記評価に供した。結果を表1に示す。
[実施例9]
光熱変換層形成用組成物Aに代えて、光熱変換層形成用組成物Eを用いたこと以外は、実施例7と同様にして、光熱変換フィルムを製造した。得られた光熱変換フィルムを上記評価に供した。結果を表1に示す。
[実施例10]
光熱変換層形成用組成物Aに代えて、光熱変換層形成用組成物Fを用いたこと以外は、実施例7と同様にして、光熱変換フィルムを製造した。得られた光熱変換フィルムを上記評価に供した。結果を表1に示す。
[実施例11]
光熱変換層形成用組成物Aに代えて、光熱変換層形成用組成物Gを用いたこと以外は、実施例7と同様にして、光熱変換フィルムを製造した。得られた光熱変換フィルムを上記評価に供した。結果を表1に示す。
[実施例12]
ポリイミドフィルム(東レ・デュポン社製、商品名「カプトン100H」厚み:25μm)に代えて、ポリエチレンナフタレートフィルム(帝人フィルムソリューション社製、商品名「テオネックス(登録商標)フィルムQ51C-50」、厚み:50μm)を用い、光熱変換層の厚みを5μmとしたこと以外は、実施例1と同様にして、光熱変換フィルムを製造した。得られた光熱変換フィルムを上記評価に供した。結果を表1に示す。
[実施例13]
ポリイミドフィルム(東レ・デュポン社製、商品名「カプトン100H」厚み:25μm)に代えて、ポリエーテルエーテルケトンフィルム(クラボウ社製、商品名「EXPEEK」、厚み:12μm)を用い、光熱変換層の厚みを5μmとしたこと以外は、実施例1と同様にして、光熱変換フィルムを製造した。得られた光熱変換フィルムを上記評価に供した。結果を表1に示す。
[比較例1]
ポリイミドフィルム(東レ・デュポン社製、商品名「カプトン100H」厚み:25μm)を上記評価に供した。結果を表1に示す。
[比較例2]
ポリエチレンテレフタレートフィルム(東レ社製、商品名「ルミラーS27」、厚み:38μm)を上記評価に供した。結果を表1に示す。
[比較例3]
近赤外線吸収剤(セシウム酸化タングステン分散液、商品名「YMF-02A」、住友金属鉱山社製)を添加しなかったこと以外は、製造例1と同様にして、樹脂組成物を調製した。
光熱変換層形成用組成物Aに代えて、この樹脂組成物を用い、厚み5μmの樹脂層を形成したこと以外は、実施例1と同様にしてフィルムを得た。得られたフィルムを上記評価に供した。結果を表1に示す。
[比較例4]
カーボンブラックによる黒色印刷インクNB300(大日精化社製)100重量部と、イソシアネート系硬化剤(大日精化社製、商品名「ラミックBバードナー」)5重量部とを混合して光熱変換層形成用組成物Iを調製した。なお、NB300にはバインダー樹脂としてポリウレタン系酢酸ビニル-塩化ビニルコポリマーが含まれており、IRによってウレタンと考えられる強度ピークを確認した。
光熱変換層形成用組成物Iを、ポリエチレンテレフタレートフィルム(東レ社製、商品名「ルミラーS105」、厚み:25μm)の片側に、溶剤揮発(乾燥)後の厚みが0.2μmとなるようにグラビアコーターで塗布し、その後、乾燥して、光熱変換フィルム(光熱変換層/基材(ポリエチレンテレフタレートフィルム))を得た。得られた光熱変換フィルムを上記評価に供した。結果を表1に示す。
[比較例5]
カーボンブラックによる黒色印刷インクCVL-PR(DIC社製)100重量部と、イソシアネート系硬化剤(DIC社製、商品名「CVLハードナーNo.10」)4重量部とを混合して光熱変換層形成用組成物IIを調製した。なお、CVL-PRにはバインダー樹脂としてポリウレタン系酢酸ビニル-塩化ビニルコポリマーが含まれており、IRによってウレタンと考えられる強度ピークを確認した。
光熱変換層形成用組成物IIを、ポリエチレンテレフタレートフィルム(東レ社製、商品名「ルミラーS105」、厚み:25μm)の片側に、溶剤揮発(乾燥)後の厚みが3μmとなるようにグラビアコーターで塗布し、その後、乾燥して、光熱変換フィルム(光熱変換層/基材(ポリエチレンテレフタレートフィルム))を得た。
Figure 2023182005000002
表1から明らかなように、本願発明によれば、可視光透過性に優れながらも、光熱変換機能を有する光熱変換フィルムを提供することができる。また、実施例7~実施例10の比較からは、多官能アクリレートを導入することにより硬化後の架橋密度が高くなり、耐薬液性を向上させ得ることがわかる。
10 基材
20 光熱変換層
30 粘着剤層
40 別の粘着剤層
100 光熱変換フィルム
110 粘着シート(電子部品仮固定用粘着シート)

Claims (14)

  1. 基材と、該基材の少なくとも片側に配置された光熱変換層とを備え、
    波長1032nmの光の透過率が75%以下であり、かつ、
    波長600nmの光の透過率が50%以上である、
    光熱変換フィルム。
  2. 前記光熱変換層が、近赤外線吸収剤を含む、請求項1に記載の光熱変換フィルム。
  3. 前記近赤外線吸収剤が、タングステン元素を含む物質である、請求項2に記載の光熱変換フィルム。
  4. 前記近赤外線吸収剤が、セシウム元素を含む物質である、請求項2に記載の光熱変換フィルム。
  5. 前記光熱変換層が、硬化型樹脂組成物の硬化物から構成される、請求項1に記載の光熱変換フィルム。
  6. 前記光熱変換層が、重合開始剤を含む、請求項5に記載の光熱変換フィルム。
  7. 前記硬化型樹脂組成物が、ペンタエリスリトール系多官能(メタ)アクリレートを含む、請求項5に記載の光熱変換フィルム。
  8. 前記硬化型樹脂組成物が、活性エネルギー線硬化型樹脂組成物であり、
    該活性エネルギー線硬化型樹脂組成物が、アクリル系ポリマーを含み、
    該アクリル系ポリマーが、ホモポリマーとしたときのガラス転移温度が40℃以上となるアクリル系モノマー由来の構成単位を含む、
    請求項5に記載の光熱変換フィルム。
  9. 前記基材の200℃における引張弾性率が、5MPa~2GPaである、請求項1に記載の光熱変換フィルム。
  10. 前記基材が、ポリイミド系樹脂、ポリエステル系樹脂またはポリエーテルエーテルケトン系樹脂から構成される、請求項1に記載の光熱変換フィルム。
  11. タングステン元素を含む物質および/またはセシウム元素を含む物質を含む、
    光熱変換層形成用組成物。
  12. 基材と、該基材の少なくとも片側に配置された光熱変換層とを含む積層構造Aと、
    該積層構造Aの少なくとも片側に配置された粘着剤層とを備える、
    粘着シート。
  13. 電子部品の仮固定用である、請求項12に記載の粘着シート。
  14. 前記光熱変換層形成用組成物を準備する工程(A)と、
    前記基材に該光熱変換層形成用組成物を塗工する工程(B)と、
    該光熱変換層形成用組成物の塗工層を硬化させる工程(C)とを含む、
    請求項1から10のいずれかに記載の光熱変換フィルムの製造方法。
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