JP2023181784A - 点火装置 - Google Patents

点火装置 Download PDF

Info

Publication number
JP2023181784A
JP2023181784A JP2022095124A JP2022095124A JP2023181784A JP 2023181784 A JP2023181784 A JP 2023181784A JP 2022095124 A JP2022095124 A JP 2022095124A JP 2022095124 A JP2022095124 A JP 2022095124A JP 2023181784 A JP2023181784 A JP 2023181784A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
diode
secondary coil
ignition device
spark plug
reverse recovery
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2022095124A
Other languages
English (en)
Inventor
功 楠原
Isao Kusuhara
光宏 泉
Mitsuhiro Izumi
裕幸 木村
Hiroyuki Kimura
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Diamond and Zebra Electric Mfg Co Ltd
Original Assignee
Diamond and Zebra Electric Mfg Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Diamond and Zebra Electric Mfg Co Ltd filed Critical Diamond and Zebra Electric Mfg Co Ltd
Priority to JP2022095124A priority Critical patent/JP2023181784A/ja
Publication of JP2023181784A publication Critical patent/JP2023181784A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Ignition Installations For Internal Combustion Engines (AREA)

Abstract

【課題】点火プラグにおいて放電が発生した後の残留エネルギーを、早期に収束させることができる点火装置を提供する。【解決手段】この点火装置1は、二次コイル12のインダクタンスLと、二次コイル12から点火プラグ40までの間に存在する浮遊容量Cとで構成されるLC回路の共振周期をT、ダイオード30の逆回復時間をttとして、T/4≦ttの関係を満たす。このため、点火プラグ40において放電が発生した後の残留エネルギーを、LC回路による共振現象と、ダイオード30の逆回復特性とを利用して低減できる。これにより、残留エネルギーを早期に収束させ、残留エネルギーによる異常放電を抑制できる。【選択図】図1

Description

本発明は、内燃機関の点火装置に関する。
従来、自動車の内燃機関に使用される点火装置が知られている。点火装置は、内燃機関の気筒内に配置された点火プラグを有する。内燃機関の駆動時には、気筒内においてピストンが燃料ガスを圧縮するとともに、点火装置が点火プラグに火花放電を発生させる。これにより、気筒内の燃料が燃焼する。
従来の点火装置については、例えば、特許文献1に記載されている。
特開2017-002818号公報
点火装置は、電磁結合された一次コイルおよび二次コイルを備える。点火装置は、一次コイルに通電を行った後、一次コイルへの通電を遮断することにより、二次コイルに高電圧(二次電圧)を誘起する。これにより、二次コイルに接続された点火プラグに、放電を発生させることができる。
しかしながら、この種の点火装置では、点火プラグの周辺に浮遊容量が存在するため、放電時に、当該浮遊容量に電荷が蓄積されることにより、残留エネルギーが残る。この残留エネルギーによって、二次電圧の収束に時間がかかるという問題がある。
また、上記の残留エネルギーは、点火プラグにおいて意図しない放電が生じる原因となり得る。特に、近年では、温室効果ガスの排出を減らすために、内燃機関において、水素を含む燃料が使用される場合がある。その場合、水素は、ガソリンと比べて着火しやすいため、残留エネルギーによる意図しない放電により、燃料に着火する可能性がある。
本発明は、このような事情に鑑みなされたものであり、点火プラグにおいて放電が発生した後の残留エネルギーを早期に収束させることができる点火装置を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本願の第1発明は、内燃機関の点火装置であって、バッテリと電源線を介して接続された一次コイルと、前記バッテリから前記一次コイルへの通電のON/OFFを切り替えるスイッチング素子と、前記一次コイルと電磁結合された二次コイルと、前記二次コイルに対して直列に接続されたダイオードと、前記二次コイルの他端と接続された点火プラグと、を備え、前記ダイオードは、前記点火プラグから前記二次コイルへ向かう方向が順方向となる向きで接続され、前記二次コイルのインダクタンスLと、前記二次コイルから前記点火プラグまでの間に存在する浮遊容量Cとで構成されるLC回路の共振周期をT、前記ダイオードの逆回復時間をtt、として、T/4≦ttの関係を満たす。
本願の第2発明は、第1発明の点火装置であって、T/4≦tt≦T/2の関係を満たす。
本願の第3発明は、第1発明または第2発明の点火装置であって、前記二次コイルは、前記インダクタンスが可変である。
本願の第4発明は、第1発明から第2発明までのいずれか1発明の点火装置であって、前記内燃機関は水素を含む燃料を使用する。
本願の第1発明~第4発明によれば、点火プラグにおいて放電が発生した後の残留エネルギーを、LC回路による共振現象と、ダイオードの逆回復特性とを利用して、低減できる。これにより、残留エネルギーを早期に収束させ、残留エネルギーによる異常放電を抑制できる。
特に、本願の第2発明によれば、点火プラグにおいて放電が発生した後、LC回路の共振現象により、ダイオードに逆方向に電流が流れ、再びダイオードに順方向に電流が流れる前に、逆回復時間が終了する。これにより、電流の共振が継続することを抑制できる。
特に、本願の第3発明によれば、二次コイルのインダクタンスを調整することにより、上記の関係式を容易に満たすことができる。
特に、本願の第4発明によれば、水素を含む燃料を使用するため、温室効果ガスの排出量を低減できる。ただし、水素は着火しやすいという問題があるが、本発明によれば、残留エネルギーによる水素の着火を抑制できる。
点火装置の回路図である。 点火装置の動作の流れを示したフローチャートである。 スイッチング素子のON/OFFの状態、二次電流、および二次電圧の経時変化を示したグラフである。 図1の点火装置の等価回路において、二次電圧の経時変化を調べた結果を示すグラフである。 図1の点火装置の等価回路において、二次電圧の経時変化を調べた結果を示すグラフである。 図1の点火装置の等価回路において、二次電圧の経時変化を調べた結果を示すグラフである。 図1の点火装置の等価回路において、二次電圧の経時変化を調べた結果を示すグラフである。 逆回復時間と、逆回復時間が終了した時点の残留電圧との関係を調べた結果を示すグラフである。 第1変形例に係る点火装置の回路図である。 第2変形例に係る点火装置の回路図である。 第3変形例に係る点火装置の回路図である。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
<1.点火装置の構成>
図1は、本発明の一実施形態に係る点火装置1の回路図である。この点火装置1は、自動車に搭載され、内燃機関の気筒に供給される燃料に点火を行う装置である。本実施形態では、内燃機関において、水素を含む燃料を使用するものとする。図1に示すように、点火装置1は、点火コイル10、スイッチング素子20、ダイオード30、点火プラグ40、および制御部50を備えている。
点火コイル10は、点火プラグ40へ高電圧を誘起するためのユニットである。図1に示すように、点火コイル10は、一次コイル11、二次コイル12、および鉄芯13を有する。一次コイル11と二次コイル12とは、鉄芯13を介して電磁結合されている。二次コイル12の巻き数は、一次コイル11の巻き数よりも多い。
一次コイル11の一端は、電源線61を介して、バッテリ70と電気的に接続されている。バッテリ70は、直流電力を供給可能な電源装置である。一次コイル11の他端は、接地線62を介して、グラウンドに接地されている。接地線62には、後述するスイッチング素子20が介挿されている。
二次コイル12の一端は、電源線61の経路上に位置する結線部63と、第1接続線64を介して、電気的に接続されている。第1接続線64には、後述するダイオード30が介挿されている。二次コイル12の他端は、第2接続線65を介して、点火プラグ40の後述する中心電極41と、電気的に接続されている。
スイッチング素子20は、バッテリ70から一次コイル11への通電のON/OFFを切り替えるスイッチである。スイッチング素子20には、例えば、例えばIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)が使用される。スイッチング素子20のコレクタは、一次コイル11の上述した他端と、電気的に接続される。スイッチング素子20のエミッタは、グラウンドと電気的に接続される。
ダイオード30は、二次コイル12の一端と結線部63とを接続する第1接続線64に、設けられている。ダイオード30は、二次コイル12から結線部63へ向かう方向(すなわち、点火プラグ40から二次コイル12へ向かう方向)が順方向となる向きで、二次コイル12に対して直列に接続される。
点火プラグ40は、内燃機関の気筒内に配置される。点火プラグ40は、中心電極41と接地電極42とを有する。中心電極41は、二次コイル12の上述した他端と、第2接続線65を介して、電気的に接続されている。接地電極42は、グラウンドに接地されている。
制御部50は、点火コイル10による点火プラグ40の放電動作を制御するためのユニットである。制御部50は、CPUやメモリを有するマイクロコントローラまたはコンピュータにより構成される。制御部50は、例えば、自動車に搭載されたECU(Engine Control Unit)である。ただし、制御部50は、ECUの下位に接続された制御基板であってもよい。制御部50は、スイッチング素子20に対して制御信号を出力することにより、スイッチング素子20のON/OFFを制御する。
<2.点火装置の動作>
続いて、上述した点火装置1の動作について説明する。図2は、点火装置1の動作の流れを示したフローチャートである。点火装置1は、内燃機関の動作に合わせて、図2のステップS1~S3の動作を繰り返し実行する。図3は、スイッチング素子20のON/OFFの状態、二次電流、および二次電圧の経時変化を示したグラフである。二次電流は、二次コイル12に流れる電流である。二次電圧は、二次コイル12の上述した他端側(点火プラグ40側)の電圧である。
まず、点火装置1は、時刻t1において、一次コイル11への通電を開始する。具体的には、制御部50が、スイッチング素子20を、OFF(開放状態)からON(閉鎖状態)に切り替える。そうすると、バッテリ70から、電源線61、一次コイル11、および接地線62を介して、グラウンドへ一次電流が流れる。これにより、点火コイル10に、一次エネルギーが蓄積される(ステップS1)。
その後、制御部50は、時刻t2において、スイッチング素子20を、ON(閉鎖状態)からOFF(開放状態)に切り替える。これにより、一次コイル11への通電が遮断される。そうすると、鉄芯13を介して二次コイル12に、誘導起電力が誘起され、二次コイル12に、上記の一次エネルギーに応じた高電圧が発生する。誘導起電力の正負は、二次コイル12の巻き方向に依存するが、本実施形態では、二次コイル12に、一端側(ダイオード30側)が正、他端側(点火プラグ40側)が負となる高電圧が発生するものとする。
二次コイル12に高電圧が発生すると、点火プラグ40の中心電極41と接地電極42との間にも、高電圧が発生する。具体的には、中心電極41の電圧値が、接地電極42の電圧値(接地電圧)に対して、マイナス数千V~マイナス数万Vとなる。そして、当該高電圧によって、点火プラグ40の中心電極41と接地電極42との間に絶縁破壊が生じ、両電極間に火花放電が生じる(ステップS2)。この火花によって、内燃機関の気筒内に供給された燃料に点火が行われる。
図3のグラフでは、時刻t2~t3の間、点火プラグ40において放電が発生している。このとき、中心電極41と接地電極42との間の絶縁破壊により、グラウンドから、接地電極42、中心電極41、第2接続線65、および二次コイル12を介して、第1接続線64へ二次電流が流れる。この二次電流は、ダイオード30を順方向に流れる。
時刻t3において放電が終了した後、点火プラグ40の付近に残る残留エネルギーEが、徐々に収束する(ステップS3)。残留エネルギーEの詳細については,後述する。
<3.ON時電圧について>
上記のステップS1において、一次コイル11への通電を開始したとき、一次コイル11と二次コイル12は電磁結合されているため、図3に示すように、二次コイル12に僅かに電圧(以下、「ON時電圧」と称する)が発生する。本実施形態では、二次コイル12に、一端側(ダイオード30側)が負、他端側(点火プラグ40側)が正となるON時電圧が発生する。
このON時電圧が大きいと、点火プラグ40において、意図しない放電が発生するおそれがある。特に、内燃機関が水素を含む燃料を使用する場合、ガソリンを使用する場合よりも、燃料が着火しやすい。このため、ON時電圧は、極力抑えることが望ましい。
そこで、本実施形態の点火装置1は、二次コイル12と結線部63との間の第1接続線64に、ダイオード30が介挿されている。ダイオード30は、二次コイル12から結線部63へ向かう方向が順方向となる向きで、接続されている。このため、一次コイル11への通電時に、バッテリ70から二次コイル12へ電流が流れることが抑制される。これにより、ON時電圧を抑制できる。したがって、ON時電圧により、点火プラグ40に意図しない放電が発生することを抑制できる。
<4.残留エネルギーについて>
図1中に概念的に示したように、二次コイル12から点火プラグ40までの間には、15~20pF程度の静電容量(以下「浮遊容量C」と称する)が存在する。浮遊容量Cは、例えば、中心電極41と接地電極42との間の静電容量、二次コイル12の巻線間容量、第2接続線65に寄生する静電容量などを含む。
上述したステップS2において、点火プラグ40に放電が生じると、上記の浮遊容量Cに電荷が蓄積される。また、上述の通り、ON時電圧を抑制するためのダイオード30が、第1接続線64に設けられている。このため、時刻t3において放電が終了した後も、点火プラグ40の付近に、上記の電荷による残留エネルギーEが残る。具体的には、図3のように、二次コイル12の他端側(点火プラグ40側)に、負の電圧(以下、「残留電圧」と称する)が残る。この残留電圧は、意図しない放電の要因となり得る。
特に、内燃機関が水素を含む燃料を使用する場合、ガソリンを使用する場合よりも、燃料が着火しやすい。このため、残留電圧は、早期に解消することが望ましい。
そこで、本実施形態の点火装置1は、二次コイル12のインダクタンスLと浮遊容量Cとで構成されるLC回路による共振現象と、ダイオード30の逆回復特性とを利用して、残留エネルギーEを早期に収束させる。以下では、当該機能について説明する。
時刻t2~t3の放電時には、上述の通り、グラウンドから、接地電極42、中心電極41、第2接続線65、および二次コイル12を介して、第1接続線64へ二次電流が流れる。この二次電流は、ダイオード30を順方向に流れる。
二次電流の電流値は、時刻t2~t3にかけて次第に小さくなる。ただし、点火コイル10の二次側には、二次コイル12のインダクタンスLと浮遊容量CとによりLC回路が構成されているため、電流の共振現象が生じる。したがって、二次電流の値は0で停止せず、逆方向(ダイオード30から二次コイル12へ向かう方向)の電流が生じる。
一方、ダイオード30は、逆回復特性を有する。逆回復特性とは、ダイオード30に流れる電流が、順方向から逆方向に切り替わるときに、電流が直ちに遮断されず、ダイオード30固有の逆回復時間ttの間だけ、逆方向の電流が流れる特性のことである。この逆回復特性により、上記の逆方向の電流が、逆回復時間ttの間だけ流れる。
すなわち、点火プラグ40における放電が終了した後、LC回路の共振により生じる逆方向の電流が、ダイオード30の逆回復時間ttの間だけ流れる。そして、この逆方向の電流により、上記の残留エネルギーEが低減される。
ダイオード30の逆回復時間ttが終了すると、逆方向の電流は、ダイオード30により遮断される。したがって、LC回路による電流の共振は継続されず、二次電流は0に収束する。
図4~図7は、図1の点火装置1の等価回路において、ダイオード30の逆回復時間ttを変化させて、解析ソフトにより、二次電圧の経時変化を調べた結果を示すグラフである。図4では、ダイオード30の逆回復時間をtt=0μsとした。図5では、ダイオード30の逆回復時間をtt=10.4μsとした。図6では、ダイオード30の逆回復時間をtt=12.5μsとした。図7では、ダイオード30の逆回復時間をtt=66.6μsとした。
図4の結果では、残留電圧(絶対値)が、時刻t3から急減することなく、緩やかに減少している。これは、図4の条件では、逆回復時間ttが0であるため、上述した逆方向の電流による残留エネルギーEの低減効果が得られないためである。
図5の結果では、残留電圧(絶対値)が、時刻t3において急減し、その後、残りの残留電圧(絶対値)が、徐々に減少している。これは、時刻t3において放電が終了したときに、LC回路の共振により生じる逆方向の電流が、ダイオード30の逆回復時間ttの間だけ流れ、それにより、残留エネルギーEが減少したためである。
図6の結果では、残留電圧(絶対値)が、時刻t3において、図5よりもさらに急減し、その後、残りの残留電圧(絶対値)が、徐々に減少している。これは、時刻t3において放電が終了したときに、LC回路の共振により生じる逆方向の電流が、図5よりも長い逆回復時間ttの間だけ流れ、それにより、残留エネルギーEが減少したためである。
図7の結果では、時刻t3から、二次電圧の共振が生じている。これは、図7の条件では、ダイオード30の逆回復時間ttが長過ぎることにより、逆回復時間ttの間に、LC回路の共振による2周期目の順方向の電流が生じるためである。この場合、ダイオード30が逆方向の電流を遮断するよりも前に、ダイオード30に次周期の順方向の電流が流れるため、ダイオード30が電流を遮断できなくなってしまう。このため、LC回路による電流の共振が、長期に継続するおそれがある。
図8は、図4~図7と同様の解析において、逆回復時間ttと、逆回復時間ttが終了した時点の残留電圧(絶対値)との関係を調べた結果を示すグラフである。図8の横軸は、逆回復時間ttを示している。図8の縦軸は、逆回復時間ttが終了した時点の残留電圧(絶対値)を示している。
図8の結果では、ダイオード30の逆回復時間ttが8.3~16.7μsのときに、逆回復時間ttの終了時における残留電圧が、急激に減少している。そして、ダイオード30の逆回復時間ttが16.7μs以上のときには、逆回復時間ttの終了時における残留電圧が、非常に低い値に抑えられている。したがって、図8の結果によると、残留エネルギーEを早期に収束させるためには、ダイオード30の逆回復時間ttを、16.7μs以上とすることが、望ましいと言える。
ここで、図8の解析では、16.7μsが、LC回路による共振の1/4周期に相当する。すなわち、LC回路による共振の周期をTとすると、図8の解析では、16.7μsがT/4に相当する。したがって、残留エネルギーEを早期に収束させるための条件は、次の式(1)で表すことができる。
T/4≦tt (1)
なお、図8の結果では、ダイオード30の逆回復時間ttが33.3μsよりも大きくなると、逆回復時間ttの終了時における残留電圧は、ほぼ0となるが、この場合は、上述した図7のように、LC回路による電流の共振が発生する。このような状況を避けるためには、共振により次周期の順方向の電流が発生するよりも前に、逆回復時間ttが終了することが必要である。その条件は、次の式(2)で表すことができる。図8の解析では、33.3μsが、T/2に相当する。
tt≦T/2 (2)
したがって、残留エネルギーEを早期に収束させ、かつ、共振を抑えるためには、点火装置1が、次の式(3)の関係を満たすことが望ましい。
T/4≦tt≦T/2 (3)
ここで、LC回路による共振の周波数fおよび周期Tは、次の式(4),(5)で表すことができる。
f=1/2π√(LC) (4)
T=1/f=2π√(LC) (5)
この式(5)を、上記の式(1)~(3)に代入すると、次の式(6)~(8)が得られ得。
π√(LC)/2≦tt (6)
tt≦π√(LC) (7)
π√(LC)/2≦tt≦π√(LC) (8)
すなわち、式(1)の条件を満たすためには、二次コイル12のインダクタンスL、浮遊容量C、およびダイオード30の逆回復時間ttが、式(6)の関係を満たせばよい。式(2)の条件を満たすためには、二次コイル12のインダクタンスL、浮遊容量C、およびダイオード30の逆回復時間ttが、式(7)の関係を満たせばよい。式(3)の条件を満たすためには、二次コイル12のインダクタンスL、浮遊容量C、およびダイオード30の逆回復時間ttが、式(8)の関係を満たせばよい。
上記の関係を満たすための調整方法としては、次の[a]~[c]の3つの方法が考えられる。
[a]ダイオード30の逆回復時間ttを調整する。
[b]二次コイル12のインダクタンスLを調整する。
[c]浮遊容量Cを調整する。
上記の[a]の方法を採る場合、式(6)、(7)、または(8)の関係を満たすような逆回復時間ttのダイオード30を選定すればよい。上記の[b]の方法を採る場合、式(6)、(7)、または(8)の関係を満たすようなインダクタンスLの二次コイル12を選定すればよい。また、二次コイル12のインダクタンスLが可変であれば、インダクタンスLを変化させることにより、式(6)、(7)、または(8)の関係を容易に満たすことができる。また、上記の[c]の方法を採る場合、式(6)、(7)、または(8)の関係を満たすように、浮遊容量Cに含まれる点火プラグ40の静電容量を調整すればよい。
また、上記の[a]~[c]のうちの2つまたは3つの調整により、式(6)、(7)、または(8)の関係を満たすようにしてもよい。例えば、式(6)、(7)、または(8)の関係に近くなるように、ダイオード30を選定した後、二次コイル12のインダクタンスLを微調整して、式(6)、(7)、または(8)の関係を実現してもよい。
以上のように、本実施形態の点火装置1は、LC回路の共振周期Tと、ダイオード30の逆回復時間ttとが、上記の式(1)の関係を満たす。このため、点火プラグ40において放電が発生した後の残留エネルギーEを、LC回路による共振現象と、ダイオード30の逆回復特性とを利用して、低減できる。これにより、残留エネルギーEを早期に収束させ、残留エネルギーEによる異常放電を抑制できる。
また、本実施形態の点火装置1は、LC回路の共振周期Tと、ダイオード30の逆回復時間ttとが、上記の式(3)の関係を満たす。このため、点火プラグ40において放電が発生した後、LC回路の共振現象により、ダイオード30に逆方向に電流が流れ、再びダイオード30に順方向に電流が流れる前に、逆回復時間ttが終了する。これにより、LC回路による電流の共振が継続することを抑制できる。
<5.変形例>
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は、上記の実施形態に限定されるものではない。
<5-1.第1変形例>
図9は、第1変形例に係る点火装置1の回路図である。この第1変形例では、ダイオード30が、第1接続線64ではなく、第2接続線65に設けられている。ダイオード30は、点火プラグ40から二次コイル12へ向かう方向が順方向となる向きで、二次コイル12に対して直列に接続されている。
図9の構成でも、一次コイル11への通電時に、ダイオード30によりON時電圧を抑制できる。したがって、ON時電圧により、点火プラグ40に意図しない放電が発生することを抑制できる。
また、図9の構成でも、LC回路の共振周期Tと、ダイオード30の逆回復時間ttとが、上記の式(1)の関係を満たすようにすれば、上記の実施形態と同様に、点火プラグ40において放電が発生した後の残留エネルギーEを、LC回路による共振現象と、ダイオード30の逆回復特性とを利用して、低減できる。これにより、残留エネルギーEを早期に収束させ、残留エネルギーEによる異常放電を抑制できる。
<5-2.第2変形例>
図10は、第2変形例に係る点火装置1の回路図である。この第2変形例では、第1接続線64が、電源線61の経路上に位置する結線部63ではなく、グラウンドに接続されている。そして、当該第1接続線64に、ダイオード30が設けられている。ダイオード30は、二次コイル12からグラウンドへ向かう方向(すなわち、点火プラグ40から二次コイル12へ向かう方向)が順方向となる向きで、二次コイル12に対して直列に接続されている。
図10の構成でも、一次コイル11への通電時に、ダイオード30によりON時電圧を抑制できる。したがって、ON時電圧により、点火プラグ40に意図しない放電が発生することを抑制できる。
また、図10の構成でも、LC回路の共振周期Tと、ダイオード30の逆回復時間ttとが、上記の式(1)の関係を満たすようにすれば、上記の実施形態と同様に、点火プラグ40において放電が発生した後の残留エネルギーEを、LC回路による共振現象と、ダイオード30の逆回復特性とを利用して、低減できる。これにより、残留エネルギーEを早期に収束させ、残留エネルギーEによる異常放電を抑制できる。
<5-3.第3変形例>
図11は、第3変形例に係る点火装置1の回路図である。この第3変形例では、第1接続線64が、電源線61の経路上に位置する結線部63ではなく、グラウンドに接続されている。また、この第3変形例では、ダイオード30が、第1接続線64ではなく、第2接続線65に設けられている。ダイオード30は、点火プラグ40から二次コイル12へ向かう方向が順方向となる向きで、二次コイル12に対して直列に接続されている。
図11の構成でも、一次コイル11への通電時に、ダイオード30によりON時電圧を抑制できる。したがって、ON時電圧により、点火プラグ40に意図しない放電が発生することを抑制できる。
また、図11の構成でも、LC回路の共振周期Tと、ダイオード30の逆回復時間ttとが、上記の式(1)の関係を満たすようにすれば、上記の実施形態と同様に、点火プラグ40において放電が発生した後の残留エネルギーEを、LC回路による共振現象と、ダイオード30の逆回復特性とを利用して、低減できる。これにより、残留エネルギーEを早期に収束させ、残留エネルギーEによる異常放電を抑制できる。
<5-4.他の変形例>
上記の実施形態では、自動車に搭載される点火装置1について説明した。しかしながら、本発明の「点火装置」は、自動車以外の輸送機器に搭載されるものであってもよい。また、本発明の「点火装置」は、輸送機器以外の産業機械や発電機などに搭載されるものであってもよい。
また、点火装置の細部の構成については、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、適宜に変更を加えてもよい。また、上記の実施形態や変形例に登場した各要素を、矛盾が生じない範囲で、適宜に組み合わせてもよい。
1 点火装置
10 点火コイル
11 一次コイル
12 二次コイル
13 鉄芯
20 スイッチング素子
30 ダイオード
40 点火プラグ
41 中心電極
42 接地電極
50 制御部
61 電源線
62 接地線
63 結線部
64 第1接続線
65 第2接続線
70 バッテリ
C 浮遊容量
E 残留エネルギー
L インダクタンス
tt 逆回復時間

Claims (4)

  1. 内燃機関の点火装置であって、
    バッテリと電源線を介して接続された一次コイルと、
    前記バッテリから前記一次コイルへの通電のON/OFFを切り替えるスイッチング素子と、
    前記一次コイルと電磁結合された二次コイルと、
    前記二次コイルに対して直列に接続されたダイオードと、
    前記二次コイルの他端と接続された点火プラグと、
    を備え、
    前記ダイオードは、前記点火プラグから前記二次コイルへ向かう方向が順方向となる向きで接続され、
    前記二次コイルのインダクタンスLと、前記二次コイルから前記点火プラグまでの間に存在する浮遊容量Cとで構成されるLC回路の共振周期をT、
    前記ダイオードの逆回復時間をtt、
    として、
    T/4≦tt
    の関係を満たす、点火装置。
  2. 請求項1に記載の点火装置であって、
    T/4≦tt≦T/2
    の関係を満たす、点火装置。
  3. 請求項1または請求項2に記載の点火装置であって、
    前記二次コイルは、前記インダクタンスが可変である、点火装置。
  4. 請求項1または請求項2に記載の点火装置であって、
    前記内燃機関は水素を含む燃料を使用する、点火装置。
JP2022095124A 2022-06-13 2022-06-13 点火装置 Pending JP2023181784A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2022095124A JP2023181784A (ja) 2022-06-13 2022-06-13 点火装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2022095124A JP2023181784A (ja) 2022-06-13 2022-06-13 点火装置

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2023181784A true JP2023181784A (ja) 2023-12-25

Family

ID=89309100

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2022095124A Pending JP2023181784A (ja) 2022-06-13 2022-06-13 点火装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2023181784A (ja)

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US10527020B2 (en) Ignition apparatus for internal combustion engines
EP1316723A2 (en) Ignition device for internal combustion engine
KR102412744B1 (ko) 내연 기관용 점화 시스템
US20140261346A1 (en) Ignition apparatus
JP5754448B2 (ja) 点火装置
US20100206277A1 (en) Plasma ignition device
KR20150070385A (ko) 내연기관용 플라즈마 점화 장치
US20080257324A1 (en) Inductive ignition system for internal combustion engine
JP5253144B2 (ja) 内燃機関用点火装置
JP6773004B2 (ja) 内燃機関用点火装置
US9022010B2 (en) Ignition system
US6796299B2 (en) Ignition system for internal combustion engine and ignition method of fuel charged in a fuel chamber
JP2023181784A (ja) 点火装置
JP6398601B2 (ja) 内燃機関用点火装置
US6684866B2 (en) Ignition system for an internal combustion engine
JPWO2018229883A1 (ja) 内燃機関用点火装置
JP3940622B2 (ja) 内燃機関用点火装置
EP1887217A2 (en) Ignition system for an internal combustion engine
JP2023182305A (ja) 点火装置
US20230327407A1 (en) Ignition device
JP6515643B2 (ja) 内燃機関用点火制御装置
US11898528B2 (en) Ignition device
US7240670B2 (en) Extended duration high-energy ignition circuit
CN112483296B (zh) 点火装置
US20230417210A1 (en) Ignition device for use in internal combustion engine