JP2023180570A - シリンジ - Google Patents

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正知 羽生
Masatomo Hanyu
寛華 西山
Hiroka Nishiyama
康賢 上原
Koken Uehara
恵 上原
Megumi UEHARA
純次 浮田
Junji Ukita
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Abstract

【課題】シリンジをコネクタに接続した状態のままで、消化管内の気体を外界に放出することを可能にする。【解決手段】シリンジ1は、先端にコネクタ900に接続可能な筒先20を備え、基端に開口18を備え、筒先20と開口18とが内腔11を介して連通されているバレル10と、バレル10の開口18から内腔11に挿入されたプランジャ30とを備える。プランジャ30に、バレル10の内腔11とシリンジ1の外界とを連通させる貫通路33が設けられている。【選択図】図4

Description

本発明は、患者の消化管に連通したチューブの基端に設けられたコネクタに接続することができるシリンジに関する。特に、患者の消化管内の気体を外界に放出するのに好ましく使用することができるシリンジに関する。
食事を口から摂れなくなった患者に栄養剤、流動食(一般に「経腸栄養剤」と呼ばれる)、又は薬剤等を含む液状物を投与する方法として経腸栄養が知られている。経腸栄養では、柔軟なチューブで構成された経腸栄養カテーテルを体外から消化管(例えば胃)内に挿入した状態で患者に留置する。経腸栄養カテーテル(以下、単に「カテーテル」という)としては、患者の腹に形成された孔(瘻孔)を通って胃に挿入される瘻孔カテーテルや、患者の鼻から挿入される経鼻カテーテル等が知られている。
患者の胃内が高圧である状態で液状物をカテーテルを介して患者に投与しようとすると、胃の内容物や投与した液状物が食道やカテーテルを逆流する恐れがある。これを避けるため、経腸栄養では、液状物を投与する前に、カテーテルを介して胃内の気体を外界へ放出する「胃内減圧」という処置が行われる。
胃内減圧は、単にカテーテルの基端を大気中に開放するだけでも可能である(例えば特許文献1参照)。この方法は、胃内と外界との圧力差を利用するため、胃内の気体の放出に時間がかかる場合がある。
胃内の気体を短時間に外界に放出する方法としてシリンジを用いる方法(以下「シリンジ法」という)がある。シリンジ法では、患者の胃に挿入されたカテーテルまたはこれに接続されたチューブの基端に設けられたコネクタにシリンジを接続する。そして、シリンジのプランジャを引いて、胃内の気体をシリンジに吸引する。これにより、胃内を減圧することができる。
特開2018-531670号公報 特開2015-051092号公報 WO2016/035788 WO2006/028137 特開2019-126533号公報
シリンジ法でシリンジの容量以上の気体を胃から吸引する場合、胃内の気体をシリンジに吸引し、シリンジをコネクタから分離し、シリンジ内の気体を大気中に放出し、シリンジをコネクタに再度接続する、という一連の操作を繰り返す必要がある。この操作は、煩雑であり、介護者の負担が大きい。
本発明の目的は、シリンジをコネクタに接続した状態のままで、消化管内の気体を外界に放出することを可能にすることにある。
本発明のシリンジは、患者の消化管に連通したチューブの基端に設けられたコネクタに接続することができる。前記シリンジは、先端に前記コネクタに接続可能な筒先を備え、基端に開口を備え、前記筒先と前記開口とが内腔を介して連通されているバレルと、前記バレルの前記開口から前記内腔に前記バレルの長手方向に移動可能に挿入されたプランジャとを備える。前記バレルの前記内腔を規定する内周面と前記プランジャとの間に気密なシールが形成されている。前記プランジャに、前記バレルの前記内腔と前記シリンジの外界とを連通させる貫通路が設けられている。
本発明によれば、筒先をコネクタに接続した状態のままで、プランジャの挿抜操作を繰り返すだけで、消化管内の気体を外界に放出することができる。シリンジの容量以上の気体が消化管内に存在していたとしても、コネクタに対する筒先の接続及び分離を繰り返す必要がない。従って、本発明のシリンジを用いることにより、消化管内の減圧を、簡単な操作で、短時間で行うことができる。本発明のシリンジは減圧操作を行う介護者の負担軽減に有利である。
図1は、本発明の実施形態1にかかるシリンジの分解斜視図である。 図2は、本発明の実施形態1にかかるシリンジの断面図である。 図3は、本発明の実施形態1にかかるシリンジと経鼻カテーテルとを示した斜視図である。 図4は、本発明の実施形態1にかかるシリンジの使用方法の一工程を説明する断面図である。 図5は、本発明の実施形態1にかかるシリンジの使用方法の次の一工程を説明する断面図である。 図6は、本発明の実施形態2にかかるシリンジの分解斜視図である。 図7は、第2プランジャが閉位置にある、本発明の実施形態2にかかるシリンジの断面図である。 図8は、第2プランジャが開位置にある、本発明の実施形態2にかかるシリンジの断面図である。 図9は、本発明の実施形態2にかかるシリンジの使用方法の一工程を説明する断面図である。 図10は、本発明の実施形態2にかかるシリンジの使用方法の次の一工程を説明する断面図である。 図11は、本発明の実施形態2にかかるシリンジの使用方法の次の一工程を説明する断面図である。 図12は、本発明の実施形態2にかかるシリンジの使用方法の次の一工程を説明する断面図である。 図13は、本発明の実施形態3にかかるシリンジの分解斜視図である。 図14は、第2プランジャが閉位置にある、本発明の実施形態3にかかるシリンジの断面図である。 図15は、第2プランジャが開位置にある、本発明の実施形態3にかかるシリンジの断面図である。 図16は、本発明の実施形態3にかかるシリンジの使用方法の一工程を説明する断面図である。 図17は、本発明の実施形態3にかかるシリンジの使用方法の次の一工程を説明する断面図である。 図18は、本発明の実施形態3にかかるシリンジの使用方法の次の一工程を説明する断面図である。 図19は、本発明の実施形態3にかかるシリンジの使用方法の次の一工程を説明する断面図である。 図20は、本発明の実施形態4にかかるシリンジの分解斜視図である。 図21は、本発明の実施形態4にかかるシリンジの断面図である。 図22は、本発明の実施形態4にかかるシリンジの使用方法の一工程を説明する断面図である。 図23は、本発明の実施形態4にかかるシリンジの使用方法の次の一工程を説明する断面図である。 図24は、本発明の実施形態4にかかるシリンジの使用方法の次の一工程を説明する断面図である。 図25は、本発明の実施形態4にかかるシリンジの使用方法の次の一工程を説明する断面図である。
(1)本発明のシリンジは、患者の消化管に連通したチューブの基端に設けられたコネクタに接続することができる。前記シリンジは、先端に前記コネクタに接続可能な筒先を備え、基端に開口を備え、前記筒先と前記開口とが内腔を介して連通されているバレルと、前記バレルの前記開口から前記内腔に前記バレルの長手方向に移動可能に挿入されたプランジャとを備える。前記バレルの前記内腔を規定する内周面と前記プランジャとの間に気密なシールが形成されている。前記プランジャに、前記バレルの前記内腔と前記シリンジの外界とを連通させる貫通路が設けられている。
(2)上記(1)項のシリンジにおいて、前記プランジャが、プランジャ本体と、前記プランジャ本体に設けられた、前記プランジャ本体とは別部品であるガスケットとを備えていてもよい。前記シールは、前記バレルの前記内周面と前記ガスケットとの間に形成されてもよい。かかる態様は、バレルとプランジャとの間に形成されるシールの気密性の向上や、バレルに対するプランジャの挿抜操作性(または摺動性)の向上に有利である。
(3)上記(1)項または上記(2)項のシリンジが、前記貫通路を開閉する開閉部材を更に備えてもよい。かかる態様によれば、貫通路を開閉部材で閉じることにより、貫通路の閉状態を実現できる。開閉部材を用いることにより、閉状態にある貫通路のシール性を向上させることができ且つ当該閉状態を安定的に維持することができる。これは、患者の消化管内の気体を効率よく放出するのに有利である。
(4)上記(3)項のシリンジにおいて、前記プランジャは第1プランジャであってもよい。前記開閉部材は、前記貫通路の基端側の開口から前記貫通路に前記第1プランジャの長手方向に移動可能に挿入された第2プランジャであってもよい。かかる態様によれば、簡単な構成で、貫通路の開閉を確実に行うことができる。
(5)上記(3)項のシリンジにおいて、前記開閉部材は、前記プランジャの前記貫通路の基端側の開口に着脱可能なキャップであってもよい。かかる態様によれば、簡単な構成で、貫通路の開閉を確実に行うことができる。
(6)上記(1)項または上記(2)項のシリンジにおいて、前記プランジャは第1プランジャであってもよい。前記シリンジは、前記貫通路の基端側の開口から前記貫通路に前記第1プランジャの長手方向に移動可能に挿入された第2プランジャを更に備えてもよい。前記第2プランジャは、前記貫通路を閉じる閉位置と、前記貫通路を開く開位置とに、前記第1プランジャに対して移動可能であってもよい。かかる態様によれば、第1プランジャに対する第2プランジャの位置を変えるという簡単な操作を行うだけで、第1プランジャの貫通路の開閉を行うことができる。
(7)上記(6)項のシリンジにおいて、前記第2プランジャが前記閉位置にあるとき、前記貫通路を規定する内周面の先端部と前記第2プランジャとの間に気密な第2シールが形成されてもよい。かかる態様によれば、消化管の減圧操作中に消化管の内容物がバレルの内腔に流入したとしても、第2プランジャを閉位置に移動させれば、貫通路に内容物が流入するのを防止できる。これは、内径が小さいために洗浄が困難である貫通路が内容物で汚れるのを防止するのに有利である。
(8)上記(6)項または上記(7)項のシリンジにおいて、前記第2プランジャを前記第1プランジャに対して先端側へ移動させることにより、前記第2プランジャは前記開位置から前記閉位置に変位してもよい。前記シリンジは、前記第1プランジャの先端が前記バレルの長手方向に当接可能な突き当て面を有していてもよい。かかる態様によれば、第1プランジャがバレルの突き当て面に当接した状態で第2プランジャを第1プランジャ(またはバレル)に押し込むだけで、貫通路を開状態から閉状態へ簡単に切り替えることができる。
(9)上記(8)項のシリンジにおいて、前記第2プランジャを前記第1プランジャに対して基端側へ移動させることにより、前記第2プランジャは前記閉位置から前記開位置に変位してもよい。かかる態様は、第1プランジャ及び第2プランジャの構成を簡単化するのに有利である。
(10)上記(6)項または上記(7)項のシリンジにおいて、前記第2プランジャを前記第1プランジャに対して先端側へ移動させることにより、前記第2プランジャは前記閉位置から前記開位置に変位してもよい。かかる態様によれば、貫通路の閉状態から開状態への切り替えは、第2プランジャを第1プランジャ内に押し込むだけで簡単に行うことができる。
(11)上記(10)項のシリンジにおいて、前記第2プランジャを前記第1プランジャに対して基端側へ移動させることにより、前記第2プランジャは前記開位置から前記閉位置に変位してもよい。前記第2プランジャが前記開位置にあるとき、前記第2プランジャの先端は前記第1プランジャから突出してもよい。かかる態様によれば、第2プランジャの先端がバレルの突き当て面に当接した状態で第1プランジャをバレルに押し込むだけで、貫通路を開状態から閉状態へ簡単に切り替えることができる。
(12)上記(10)項または上記(11)項のシリンジにおいて、前記第2プランジャは、シール領域を備えていてもよい。前記第2プランジャが前記閉位置にあるとき、前記貫通路を規定する内周面と前記シール領域との間に気密な第2シールが形成されてもよい。前記第2プランジャが前記開位置にあるとき、前記シール領域が前記貫通路から脱出してもよい。かかる態様によれば、第2プランジャのシール領域の構成を簡単化することができる。
(13)上記(12)項のシリンジにおいて、前記第2プランジャは、前記シール領域に対して基端側に隣接する非シール領域を更に備えてもよい。前記第2プランジャが前記開位置にあるとき、前記シール領域及び前記非シール領域の一部が前記貫通路から脱出し、前記非シール領域の残部が前記貫通路内に残ってもよい。かかる態様によれば、第2プランジャが開位置にあるとき、貫通路に対するシール領域の偏心が少なくなる。このため、その後、シール領域を貫通路内に収納することが容易である。これは、貫通路の開状態から閉状態への切り替えを容易にするのに有利である。
(14)上記(6)項~上記(13)項のいずれか一項のシリンジにおいて、前記第2プランジャが、第2プランジャ本体と、前記第2プランジャ本体に設けられた、前記第2プランジャ本体とは別部品である第2ガスケットとを備えていてもよい。前記第2プランジャが前記閉位置にあるとき、前記第1プランジャの前記貫通路を規定する内周面と前記第2ガスケットとの間に気密な第2シールが形成されてもよい。かかる態様は、第1プランジャと第2プランジャとの間に形成されるシール(第2シール)の気密性の向上や、第1プランジャに対する第2プランジャの挿抜操作性(または摺動性)の向上に有利である。
(15)上記(1)項または上記(2)項のシリンジが、前記貫通路を開閉する開閉部材を備えていなくてもよい。かかる態様によれば、シリンジを構成する部品数を少なくすることができる。これは、シリンジの構成の簡単化とシリンジの低コスト化に有利である。
(16)上記(15)項のシリンジにおいて、前記プランジャの基端またはその近傍に、半径方向外向きに突出したフランジが設けられていてもよい。かかる態様は、第1に、バレルに対するプランジャの挿抜操作を容易にし、第2に、プランジャの貫通路の基端側の開口を指で確実且つ安定的に塞ぐことを容易にする。
(17)上記(1)項~上記(16)項のいずれか一項のシリンジにおいて、前記コネクタは、オス部材と、前記オス部材を取り囲む外筒と、前記外筒の内周面に設けられた雌ネジとを備えていてもよい。前記筒先は、メス部材と、前記メス部材の外周面に設けられた螺状突起とを備えてもよい。前記コネクタに前記筒先を接続したとき、前記オス部材は前記メス部材に挿入され、前記螺状突起は前記雌ネジに螺合してもよい。かかる態様によれば、本発明のシリンジを、経腸栄養に使用されるコネクタに適合させることができる。
(18)上記(17)項のシリンジにおいて、前記筒先は、前記メス部材と同軸に、前記メス部材内に配置された内管を更に備えていてもよい。前記コネクタに前記筒先を接続したとき、前記内管は前記オス部材に挿入され、前記内管と前記オス部材との間に気密なシールが形成されてもよい。かかる態様は、本発明のシリンジの筒先とコネクタとの間のシール性を向上させるのに有利である。
(19)上記(17)項または上記(18)項のシリンジにおいて、前記コネクタに前記筒先を接続したとき、前記オス部材の外周面と前記メス部材の内周面との間に気密なシールが形成されてもよい。かかる態様は、本発明のシリンジの筒先とコネクタとの間のシール性を向上させるのに有利である。
以下に、本発明を好適な実施形態を示しながら詳細に説明する。但し、本発明は以下の実施形態に限定されないことはいうまでもない。以下の説明において参照する図面は、説明の便宜上、本発明の実施形態を構成する主要部材を簡略化して示したものである。従って、本発明は以下の図面に示されていない任意の部材を備え得る。また、本発明の範囲内において、以下の図面に示された部材を変更または省略し得る。各実施形態の説明において引用する図面において、先行する実施形態で引用した図面に示された部材に対応する部材には、当該先行する実施形態の図面で付された符号と同じ符号が付してある。そのような部材については、重複する説明が省略されており、先行する実施形態の説明を適宜参酌すべきである。
本発明において、部材(例えばシリンジ、バレル、プランジャ、コネクタ等)の「軸」は、当該部材の中心軸を意味する。「軸」は、部材に含まれる円の中心を通り、且つ/又は、部材に含まれる円筒もしくは円錐(テーパ)の中心軸と一致する。以下に示す図面では、図面を簡単化するために「軸」を図示していない。軸に直交する直線に沿った方向を「半径方向」という。半径方向において、軸に近い側を「内」側、軸に遠い側を「外」側という。軸の周りを回転する方向を「周方向」という。本発明では、「軸方向」と「長手方向」とは、特に断りのない限り同義である。
(実施形態1)
図1は、本発明の実施形態1にかかるシリンジ1の分解斜視図である。シリンジ1は、バレル10とプランジャ30とを備える。バレル10は、その先端(または遠位端)に筒先20を備え、その基端(または近位端)に開口18を備える。バレル10の基端(または近位端)には、半径方向外向きに突出した指掛けフランジ19が設けられている。
図2は、シリンジ1の断面図である。バレル10は、全体として中空の略円筒形状を有し、筒先20と開口18とが内腔11を介して連通されている。内腔11を規定する内周面は、バレル10の軸(図示せず)方向において一定の内径を有する円筒面である。筒先20は、メス部材(外管)21及び内管(接続筒)27とからなる二重管構造を有する。メス部材21及び内管27は、いずれも略円筒形状を有する。相対的に小径である内管27が、相対的に大径であるメス部材21内に、メス部材21と同軸に且つメス部材21から半径方向に離間して配置されている。メス部材21の外周面は円筒面であり、当該外周面に螺状突起(雄ネジ)23が設けられている。メス部材21の内周面は、メス部材21の先端に向かって内径が大きくなるテーパ面(いわゆるメステーパ面)22を備える。内管27の、メス部材21に対向する外周面は、内管27の先端に向かって外径が小さくなるテーパ面(いわゆるオステーパ面)28を備える。筒先20は、メス部材21を備えたメスコネクタである。内腔11と筒先20(特に内管27)との内径の違いに起因して、内腔11と筒先20(特に内管27)との間に突き当て面15が形成されている。突き当て面15は、筒先20に向かって内径が小さくなる、大きなテーパ角度を有するテーパ面である。なお、本発明では、内管27を省略することができる。
プランジャ30は、まっすぐに延びた細長い略棒形状を有するプランジャ本体31と、プランジャ本体31の先端に設けられたガスケット32とを備える。ガスケット32がプランジャ本体31から脱落しないように、プランジャ本体31及びガスケット32に、互いに係合し合う係合構造が設けられている。プランジャ本体31とガスケット32との間には、気体が通過できないように気密なシールが形成されている。プランジャ30は、バレル10の開口18から内腔11に、バレル10の長手方向(軸方向)に移動(即ち、挿抜)可能に挿入されている。ガスケット32とバレル10(特にその内腔11)の内周面との間には、気体が通過できないように気密なシールが形成されている。プランジャ30がバレル10内で軸方向に移動されるとき、ガスケット32は、バレル10(特にその内腔11)の内周面上を、気密なシールを形成しながら移動(即ち、摺動)する。バレル10の突き当て面15は、プランジャ30の先端が突き当て面15に軸方向に衝突することにより、バレル10に対するプランジャ30の挿入深さを規定する。プランジャ30の先端が突き当て面15に衝突したとき、プランジャ30の基端は、バレル10の基端から突出する。
貫通路33が、プランジャ30(プランジャ本体31)を、プランジャ30の長手方向(軸方向)に沿って貫通している。貫通路33は、プランジャ30の基端側の開口38にて外界に開放されている。貫通路33は、バレル10の内腔11(特に突き当て面15とプランジャ30との間の空間)とシリンジ1の外界とを連通させる。プランジャ30の基端近傍に、半径方向外向きに突出したフランジ39(図1参照)が設けられている。
バレル10及びプランジャ本体31の材料は、制限はないが、外力によって実質的に変形しない機械的強度(剛性)を有する硬い材料(硬質材料)であることが好ましい。バレル10の材料としては、ポリプロピレン、ポリカーボネート、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合体、ポリアセタール、ポリスチレン、ポリアミド、ポリエチレン、硬質ポリ塩化ビニル、環状ポリオレフィン等の樹脂材料を用いることができ、中でもポリプロピレン、ポリカーボネート、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合体、ポリエチレン、環状ポリオレフィンが好ましい。バレル10の材料は、プランジャ30を透視することができるように、透光性(好ましくは透明性)を有することが好ましい。また、プランジャ本体31の材料としては、ポリプロピレン、ポリカーボネート、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合体、ポリアセタール、ポリスチレン、ポリアミド、ポリエチレン、硬質ポリ塩化ビニル等の樹脂材料を用いることができ、中でもポリプロピレン、ポリカーボネート、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合体、ポリエチレンが好ましい。バレル10及びプランジャ本体31のそれぞれは、上記の樹脂材料を用いて、射出成形法等により全体を一部品として一体的に製造することができる。
ガスケット32の材料は、制限はないが、例えば、シリコーンゴム、ポリブタジエンゴム、イソプレンゴム、ブチルゴム、エラストマー等を用いることができる。ガスケット32は、これらの材料を用いて、全体を一部品として一体的に製造することができる。
シリンジ1は、経腸栄養において、消化管内の気体を体外に放出するために使用することができる。シリンジ1の使用方法を説明する。
図3は、シリンジ1と、シリンジ1が接続されるコネクタ900とを示した斜視図である。
コネクタ900は、柔軟且つ透明な中空のチューブ930の基端に設けられている。図示を省略するが、チューブ930は、患者の消化管に連通している。例えば、コネクタ900及びチューブ930は経鼻カテーテルを構成していてもよい。この場合、チューブ930は、患者の鼻腔から挿入され、その先端(図示せず)が胃に達した状態で、患者に留置されている。あるいは、コネクタ900及びチューブ930は経腸栄養投与セットまたは経腸栄養用延長チューブを構成していてもよい。この場合、チューブ930の先端(図示せず)は、患者に挿入され且つ留置された経鼻カテーテルに接続されている。以下の説明では、チューブ930及びコネクタ900は経鼻カテーテルを構成するものとする。以下に、コネクタ900にシリンジ1を接続して、シリンジ1を用いて胃内減圧を行う方法を説明する。
コネクタ900は、細長い棒形状(または中空円筒形状)のオス部材901を備えたオスコネクタである。略円筒形状の外筒905がオス部材901を取り囲んでいる。外筒905は、オス部材901と同軸に配置され、オス部材901から半径方向に離間している。オス部材901の外周面は、オス部材901の先端に向かって外径が小さくなるテーパ面(いわゆるオステーパ面)902を備える。流路907が、オス部材901内に設けられている。流路907は、オス部材901の長手方向に沿ってコネクタ900を貫通している。流路907は、チューブ930と連通している(後述する図4参照)。外筒905のオス部材901に対向する内周面には雌ネジ906が設けられている。コネクタ900は、オス部材901の先端に着脱可能なキャップ910を更に備える。経腸栄養を行わないとき、キャップ910はオス部材901の先端に装着される。キャップ910は、流路907を封止し、更に、オス部材901と外筒905との間の隙間904を塞ぐ。
経腸栄養を行う場合、図3に示すように、オス部材901からキャップ910が取り外される。
次いで、図4に示すように、コネクタ900にシリンジ1の筒先20を接続する。コネクタ900のオス部材901が筒先20のメス部材21と内管27との間の隙間に挿入されている。メス部材21は、オス部材901と外筒905との間の隙間904(図3参照)に挿入されている。メス部材21に設けられた螺状突起23(図2、図3参照)は、外筒905に設けられた雌ネジ906(図3参照)に螺合している。メス部材21のメステーパ面22(図2、図3参照)とオス部材901のオステーパ面902(図3参照)とは、共通する径及びテーパ角度を有するので、互いにテーパ嵌合し、両者間に気密なシールが形成される。内管27は、オス部材901内の流路907に嵌入されている。内管27のオステーパ面28(図2参照)が、流路907を規定するオス部材901の内周面に嵌合し、両者間に気密なシールが形成される。内管27は流路907に連通される。
図4から明らかなように、患者の胃(図示せず)は、チューブ930、コネクタ900の流路907、バレル10の内腔11、プランジャ30の貫通路33を順に介して、外界に連通される。プランジャ30は、その先端がバレル10の突き当て面15に当接するほどに、バレル10に深く挿入されている。
次いで、プランジャ30の基端側の開口38を指(図示せず)で塞ぐ。そして、開口38を塞いだまま、プランジャ30を矢印A11の向きにバレル10から引き抜く。プランジャ30の矢印A11の向きの移動にともなってバレル10の内腔11が陰圧になり、チューブ930を介して胃内の気体が内腔11内に吸引される。
図5は、プランジャ30をバレル10から最大に引き出した状態を示した断面図である。内腔11は、胃から吸引された気体で満たされている。次いで、プランジャ30の基端側の開口38から指を離す。そして、開口38を開放したまま、プランジャ30を矢印A12の向きにバレル10に挿入する。プランジャ30の矢印A12の向きの移動にともなってバレル10の内腔11の内容積が減少することにより内腔11が陽圧になり、内腔11内の気体が、貫通路33を介してシリンジ1外に放出される。プランジャ30の先端がバレル10の突き当て面15に当接するまで、プランジャ30をバレル10に挿入する。シリンジ1は、図4と同じ状態に戻る。
以下、上記と同様に、(a)貫通路33の開口38を指で塞いだままでプランジャ30をバレル10から引き抜く操作(矢印A11)と、(b)貫通路33の開口38を開放したままでプランジャ30をバレル10に挿入する操作(矢印A12)とを、交互に繰り返す。一般には、胃の内容物がチューブ930に吸引されたことを確認した時点で、シリンジ1を用いた胃内減圧操作を終了する。その後、シリンジ1の筒先20をコネクタ900から分離する。代わって、コネクタ900に経腸栄養投与セットの下流端に設けられたコネクタ(メスコネクタ)を接続する。そして、経腸栄養投与セット及びチューブ930を介して、液状物(例えば液状の経腸栄養剤)を患者に投与する。
以上のように、本実施形態1によれば、筒先20をコネクタ900に接続した状態のままで、プランジャ30の挿抜操作を繰り返すだけで、胃内の気体を外界に放出することができる。シリンジ1の容量以上の気体が胃内に存在していたとしても、従来のシリンジ法とは異なり、コネクタ900に対する筒先20の接続及び分離を繰り返す必要がない。従って、本実施形態1のシリンジ1を用いることにより、胃内減圧を、簡単な操作で、短時間で行うことができる。プランジャ30に貫通路33が設けられていない一般的なシリンジに比べて、シリンジ1は介護者の負担軽減に有利である。
本実施形態1のシリンジ1は、プランジャ30に貫通路33が設けられていればよい。従来の一般的なシリンジのプランジャを、貫通路33が設けられたプランジャ30に交換するだけで、本実施形態1のシリンジ1を構成することができる。シリンジ1は、構造が簡単であり、安価に製造できる。
プランジャ30に設けられたフランジ39は、以下の効果を有する。第1に、フランジ39に指を掛けることにより、プランジャ30の挿抜操作が容易である。第2に、フランジ39に指(例えば人差し指と中指)を掛けながら開口38を他の指(例えば親指)で塞ぐことにより、開口38を確実且つ安定的に塞ぐことが容易である。なお、本実施形態1ではフランジ39は、プランジャ30の基端から先端側にわずかに離れた位置に設けられているが、例えば、後述する実施形態3の指掛けフランジ339(図13参照)と同様に、フランジ39はプランジャ30の基端に設けられていてもよい。プランジャ30の先端がバレル10の突き当て面15に当接するほどにまでプランジャ30をバレル10に挿入したとき、フランジ39はバレル10の基端よりも近位側(筒先20とは反対側)に位置することが好ましい。なお、本発明では、プランジャ30がフランジ39を備えていなくてもよい。
本実施形態1では、プランジャ30が、プランジャ本体31と、プランジャ本体31に設けられた、プランジャ本体31とは別部品であるガスケット32とを備える。ガスケット32の外周面とバレル10の内周面との間に気密なシールが形成される。かかる構成によれば、プランジャ本体31及びガスケット32のそれぞれに、最適な材料を選択することができる。これは、バレル10とプランジャ30との間に形成されるシールの気密性の向上や、バレル10に対するプランジャ30の挿抜操作性(または摺動性)の向上に有利である。但し、本発明は、これに限定されず、例えばプランジャ30の全体が、同一材料(例えば、上記したプランジャ本体31の材料)を用いて、一部品として一体的に構成されていてもよい。これにより、プランジャ30を構成する部品数を少なくすることができる。これは、プランジャ30の組立性の向上とコストの低減に有利である。
(実施形態2)
図6は、本発明の実施形態2にかかるシリンジ2の分解斜視図である。シリンジ2は、バレル10、第1プランジャ230、及び、第2プランジャ260を備える。本実施形態2のバレル10は、実施形態1のバレル10と同じである。第1プランジャ230は、実施形態1のプランジャ30に対応する。
図7は、シリンジ2の断面図である。第1プランジャ230は、プランジャ30と同様に、まっすぐに延びた細長い略棒形状を有する第1プランジャ本体231と、第1プランジャ本体231の先端に設けられた第1ガスケット232とを備える。第1ガスケット232が第1プランジャ本体231から脱落しないように、第1プランジャ本体231及び第1ガスケット232に、互いに係合し合う係合構造が設けられている。第1プランジャ本体231と第1ガスケット232との間には、気体が通過できないように気密なシールが形成されている。第1プランジャ230は、バレル10の開口18から内腔11に、バレル10の長手方向(軸方向)に移動(即ち、挿抜)可能に挿入されている。第1ガスケット232とバレル10(特にその内腔11)の内周面との間には、気体が通過できないように気密なシール(第1シール)が形成されている。第1プランジャ230がバレル10内で軸方向に移動されるとき、第1ガスケット232は、バレル10(特にその内腔11)の内周面上を、気密な第1シールを形成しながら移動(即ち、摺動)する。バレル10の突き当て面15は、第1プランジャ230の先端が突き当て面15に軸方向に衝突することにより、バレル10に対する第1プランジャ230の挿入深さを規定する。第1プランジャ230の先端が突き当て面15に衝突したとき、第1プランジャ230の基端は、バレル10の基端から突出する。
貫通路233が、第1プランジャ230(第1プランジャ本体231)を、第1プランジャ230の長手方向に沿って貫通している。貫通路233は、第1プランジャ230の基端において、開口238(図6参照)にて外界に開放されている。貫通路233は、バレル10の内腔11(特に突き当て面15と第1プランジャ230との間の空間)とシリンジ2の外界とを連通させる。
貫通路233を規定する内周面の断面形状(第1プランジャ230の長手方向に垂直な面に沿った断面形状)は、第1プランジャ230の長手方向位置にかかわらず、円形である。但し、実施形態1の貫通路33と異なり、貫通路233の内径は、第1プランジャ230の長手方向において一定ではない。具体的には、貫通路233は、基径部234と小径部235とを備える。基径部234は、貫通路233の全長のうちの大部分を占め、その内径は、第1プランジャ230の長手方向において一定である。小径部235は、基径部234より小さな内径を有する。小径部235は、基径部234よりも第1プランジャ230の先端側に配置されている。制限されないが、本実施形態2では、小径部235の内径は、第1プランジャ230の長手方向において一定である。小径部235は、貫通路233の先端側の開口から比較的短い長さ範囲にわたって延びている。
第2プランジャ260は、まっすぐに延びた細長い略棒形状を有する第2プランジャ本体261と、第2プランジャ本体261の先端に設けられた第2ガスケット262とを備える。第2ガスケット262が第2プランジャ本体261から脱落しないように、第2プランジャ本体261及び第2ガスケット262に、互いに係合し合う係合構造が設けられている。第2プランジャ本体261と第2ガスケット262との間には、気体が通過できないように気密なシールが形成されている。第2プランジャ260の基端には、半径方向外向きに突出したフランジ269が設けられている。
第2プランジャ260は、第1プランジャ230の開口238から貫通路233に、第1プランジャ230の長手方向(軸方向)に移動(即ち、挿抜)可能に挿入されている。図7では、フランジ269が第1プランジャ230の基端に軸方向に衝突するまで、第2プランジャ260が第1プランジャ230内に最も深く押し込まれている。フランジ269は、第2プランジャ260の挿抜操作を容易にすることに加えて、第1プランジャ230に対する第2プランジャ260の挿入深さを規定する。フランジ269が第1プランジャ230の基端に衝突するとき、第2ガスケット262は小径部235内に位置する。第2ガスケット262と小径部235の内周面との間には、気体が通過できないように気密なシール(第2シール)が形成される。貫通路233は、第2プランジャ260(特に第2ガスケット262)により閉塞される。このように貫通路233が閉じられている状態を「閉状態」という。
図8は、図7において第2プランジャ260を第1プランジャ230からわずかに引き抜いた状態を示した断面図である。第2ガスケット262は基径部234内に移動している。基径部234の内径は、第2ガスケット262の外径より大きい。このため、第2ガスケット262と基径部234の内周面とは、半径方向に離間する。第2ガスケット262に対して貫通路233の先端側の部分と貫通路233の基端側の部分とは、第2ガスケット262と基径部234の内周面との間の隙間を介して連通されている。このように貫通路233が、その全長にわたって連通している状態(即ち、貫通路233が開かれている状態)を「開状態」という。
本実施形態2では、第1プランジャ230に対する第2プランジャ260の軸方向の位置を変えることにより、貫通路233の閉状態と開状態とを切り替えることができる。第2プランジャ260は、第1プランジャ230の貫通路233を開閉する「開閉部材」として機能する。第2プランジャ260が貫通路233を閉じるときの第2プランジャ260の第1プランジャ230に対する位置を「閉位置」という(図7及び後述する図9、図10参照)。第2プランジャ260が貫通路233を開くときの第2プランジャ260の第1プランジャ230に対する位置を「開位置」という(図8及び後述する図11、図12参照)。第2プランジャ260が開位置にあるとき、内腔11は貫通路233を介してシリンジ2の外界に連通される。一方、第2プランジャ260が閉位置にあるとき、内腔11は貫通路233を介してシリンジ2の外界に連通されない。
第1及び第2プランジャ本体231,261の材料は、制限はないが、実施形態1のプランジャ本体31と同じ樹脂材料を使用しうる。第1及び第2プランジャ本体231,261のそれぞれは、当該樹脂材料を用いて、射出成形法等により全体を一部品として一体的に製造することができる。
第1及び第2ガスケット232,262の材料は、制限はないが、実施形態1のガスケット32と同じ材料を使用しうる。第1及び第2ガスケット232,262のそれぞれは、当該材料を用いて、全体を一部品として一体的に製造することができる。
シリンジ2は、経腸栄養において、消化管内の気体を体外に放出するために使用することができる。以下に、実施形態1と同様に、経鼻カテーテルを構成するチューブ930の基端に設けられたコネクタ900(図3参照)にシリンジ2を接続して、シリンジ2を用いて胃内減圧を行う方法を説明する。
経腸栄養を行う場合、オス部材901からキャップ910が取り外される。次いで、図9に示すように、コネクタ900にシリンジ2を接続する。実施形態1と同様に、コネクタ900に筒先20が接続される。筒先20の内管27(図8参照)はコネクタ900の流路907に連通される。
第1プランジャ230は、その先端がバレル10の突き当て面15に当接するほどに、バレル10に深く挿入されている。第2プランジャ260は、フランジ269が第1プランジャ230の基端に当接するほどに、第1プランジャ230に深く挿入されている。第2プランジャ260は、第1プランジャ230に対して閉位置にある。即ち、第2ガスケット262は、第1プランジャ230の小径部235(図7、図8参照)に位置している。貫通路233は、第2プランジャ260によって閉じられた閉状態にある。
バレル10、第1プランジャ230、第2プランジャ260の図9のような配置は、例えば以下の2つの方法により実現されることが好ましい。第1の方法では、コネクタ900に筒先20を接続する前に、バレル10、第1プランジャ230、及び、第2プランジャ260を図9に示す位置に配置しておく。第2の方法では、第2プランジャ260が第1プランジャ230に対して開位置にある状態でコネクタ900に筒先20を接続し、次いで、第1プランジャ230の先端をバレル10の突き当て面15に当接させ、次いで、第2プランジャ260のフランジ269を第1プランジャ230の基端に当接させる。上記のいずれの方法も、バレル10の内腔11内の気体が患者の胃に送り込まれるのを防止するのに有利である。
次いで、第2プランジャ260を閉位置に維持したまま、第1及び第2プランジャ230,260を一体的に矢印A21の向きにバレル10から引き抜く。第1及び第2プランジャ230,260の矢印A21の向きの移動にともなってバレル10の内腔11が陰圧になり、チューブ930を介して胃内の気体が内腔11内に吸引される。
図10は、第1及び第2プランジャ230,260をバレル10から最大に引き出した状態を示した断面図である。第2プランジャ260は、依然として閉位置にある。内腔11は、胃から吸引された気体で満たされている。次いで、バレル10に対する第1プランジャ230の位置を保持したまま、第2プランジャ260を、矢印A22の向きに第1プランジャ230からわずかに引き抜く。
図11に示すように、第2プランジャ260が第1プランジャ230から引き抜かれることにより、第2ガスケット262が、貫通路233の基径部234に移動される。第2プランジャ260は、開位置に移動される。貫通路233は、開状態になる。次いで、第1プランジャ230に対する第2プランジャ260の位置を保持したまま(即ち、第2プランジャ260を開位置に保持したまま)、第1及び第2プランジャ230,260を一体的に矢印A23の向きにバレル10に挿入する。第1及び第2プランジャ230,260の矢印A23の向きの移動にともなってバレル10の内腔11が陽圧になり、内腔11内の気体が、貫通路233を介してシリンジ2外に放出される。
図12に示すように、第1プランジャ230の先端がバレル10の突き当て面15に当接するまで、第1及び第2プランジャ230,260をバレル10に挿入する。第2プランジャ260は、依然として開位置にある。次いで、第2プランジャ260を、矢印A24の向きにバレル10(または第1プランジャ230)に挿入する。第1プランジャ230の先端がバレル10の突き当て面15に当接しているので、例えばバレル10の指掛けフランジ19(図6参照)に指を掛けたままで第2プランジャ260のフランジ269をバレル10に向かって押し込むだけで、バレル10に対する第1プランジャ230の位置は不変のまま、第2プランジャ260が第1プランジャ230に挿入される。シリンジ2は、図9の状態に戻る。第2プランジャ260は、第1プランジャ230の貫通路233を閉じる閉位置に移動する。
以下、上記と同様に、(a)第2プランジャ260を閉位置に保持したままで第1及び第2プランジャ230,260をバレル10から引き抜く操作(矢印A21)と、(b)第2プランジャ260が閉位置から開位置へ移動するように第2プランジャ260を第1プランジャ230から引き抜く操作(矢印A22)と、(c)第2プランジャ260を開位置に保持したままで第1及び第2プランジャ230,260をバレル10に挿入する操作(矢印A23)と、(d)第2プランジャ260が開位置から閉位置へ移動するように第2プランジャ260を第1プランジャ230に挿入する操作(矢印A24)とをこの順に行う繰り返し単位を、繰り返す。一般には、胃の内容物がチューブ930に吸引されたことを確認した時点で、シリンジ2を用いた胃内減圧操作を終了する。その後、シリンジ2の筒先20をコネクタ900から分離する。代わって、コネクタ900に経腸栄養投与セットの下流端に設けられたコネクタ(メスコネクタ)を接続する。そして、経腸栄養投与セット及びチューブ930を介して、液状物(例えば液状の経腸栄養剤)を患者に投与する。
以上のように、本実施形態2によれば、筒先20をコネクタ900に接続した状態のままで、第1及び第2プランジャ230,260の挿抜操作を繰り返すだけで、胃内の気体を外界に放出することができる。シリンジ2の容量以上の気体が胃内に存在していたとしても、従来のシリンジ法とは異なり、コネクタ900に対する筒先20の接続及び分離を繰り返す必要がない。従って、本実施形態2のシリンジ2を用いることにより、胃内減圧を、簡単な操作で、短時間で行うことができる。第1プランジャ230に貫通路233が設けられていない一般的なシリンジに比べて、シリンジ2は介護者の負担軽減に有利である。
シリンジ2は、第1プランジャ230の貫通路233を開閉する開閉部材として、第2プランジャ260を備える。第1プランジャ230に対する第2プランジャ260の軸方向位置を変えることにより、第1プランジャ230の貫通路233の開閉を行うことができる。貫通路33を指で閉じる実施形態1に比べて、本実施形態2では、貫通路233を第2プランジャ260で閉じるので、閉状態にある貫通路233のシール性を向上させることができ且つ当該閉状態を安定的に維持することができる。これは、患者の消化管内の気体を効率よく放出するのに有利である。
シリンジ2は、第2プランジャ260を第1プランジャ230に対して先端側へ移動させることにより、第2プランジャ260が開位置から閉位置に変位するように(即ち、貫通路233が開状態から閉状態へ切り替わるように)構成されている。このため、貫通路233の開状態から閉状態への切り替えは、第1プランジャ230がバレル10の突き当て面15に当接した状態で、第2プランジャ260をバレル10内に矢印A24の向きに押し込むだけで簡単に行うことができる(図12参照)。
また、シリンジ2は、第2プランジャ260を第1プランジャ230に対して基端側へ移動させることにより、第2プランジャ260が閉位置から開位置に変位するように(即ち、貫通路233が閉状態から開状態へ切り替わるように)構成されている。これは、第1プランジャ230及び第2プランジャ260の構成を簡単化するのに有利である。
第2ガスケット262が貫通路233の基径部234にあるとき貫通路233は開かれ(図8、図11、図12参照)、第2ガスケット262が貫通路233の小径部235にあるとき貫通路233は閉じられる(図7、図9、図10参照)。貫通路233が、開状態及び閉状態のいずれの状態にあるときも、第2ガスケット262は常に貫通路233内にある。これは、開状態と閉状態との切り替え、特に開状態から閉状態への切り替え、を容易にするのに有利である。
第2プランジャ260が閉位置にあるとき(図7、図9、図10参照)、貫通路233の内周面の先端部(即ち、小径部235)と、第2プランジャ260の外周面(即ち、第2ガスケット262)との間に、気密な第2シールが形成される。このため、胃内減圧の操作中に胃の内容物がバレル10の内腔11に流入したとしても、第2プランジャ260を閉位置に移動させれば、貫通路233に内容物が流入するのを防止できる。これは、内径が小さいために洗浄が困難である貫通路233が内容物で汚れるのを防止するのに有利である。
第2プランジャ260が閉位置にあるとき(図7、図9、図10参照)、気密な第2シールは、第2プランジャ260の先端部に形成される。即ち、第2シールは、第1プランジャ230の先端部と第2プランジャ260の先端部との間に形成される。必然的に第2プランジャ260の第1プランジャ230に対する挿入深さは深くなる。これは、第2プランジャ260が第1プランジャ230から意図せずに抜け落ちる可能性を低減するのに有利である。
一般には、第2プランジャ260の軸方向の長さは、第1プランジャ230の軸方向の長さの1/3以上、更には1/2、特に2/3以上であることが好ましい。第2プランジャ260が長いほど、第2プランジャ260の第1プランジャ230に対する挿入深さが増大する。これは、第2プランジャ260が第1プランジャ230から意図せずに抜け落ちる可能性を低減するのに有利である。
第2プランジャ260の第1プランジャ230からの意図しない抜け落ちを防止するために、第1プランジャ230の貫通路233の基端側の開口238近傍に、貫通路233(基径部234)の内径が局所的に小さくなるように、半径方向内向きに突出した突起が設けられていてもよい。
本実施形態2では、第2シールは、第1プランジャ230の先端部に形成されたが、本発明はこれに限定されない。例えば、小径部235を、第1プランジャ230の先端から離れた位置に形成してもよい。この場合、第2プランジャ260を短くしてもよい。
本実施形態2では、プランジャ230,260が、プランジャ本体231,261と、プランジャ本体231,261に設けられた、プランジャ本体231,261とは別部品であるガスケット232,262とを備える。第1ガスケット232の外周面とバレル10の内周面との間に気密な第1シールが形成される。第2ガスケット262の外周面と貫通路233(特にその小径部235)の内周面との間に気密な第2シールが形成される。かかる構成によれば、プランジャ本体231,261及びガスケット232,262のそれぞれに、最適な材料を選択することができる。これは、第1及び第2シールの気密性の向上や、バレル10に対する第1プランジャ230の挿抜操作性(または摺動性)の向上、第1プランジャ230に対する第2プランジャ260の挿抜操作性(または摺動性)の向上に有利である。但し、本発明は、これに限定されず、例えばプランジャ230,260のそれぞれの全体が、同一材料(例えば、上記したプランジャ本体231,261の材料)を用いて、一部品として一体的に構成されていてもよい。これにより、プランジャ230,260を構成する部品数を少なくすることができ、これは、プランジャ230,260の組立性の向上とコストの低減に有利である。
(実施形態3)
図13は、本発明の実施形態3にかかるシリンジ3の分解斜視図である。シリンジ3は、バレル10、第1プランジャ330、及び、第2プランジャ360を備える。本実施形態3のバレル10は、実施形態1のバレル10と同じである。第1プランジャ330及び第2プランジャ360は、実施形態2の第1プランジャ230及び第2プランジャ260にそれぞれ対応する。実施形態1,2との相違点を中心にして、実施形態3のシリンジ3を説明する。
図14は、シリンジ3の断面図である。第1プランジャ330は、第1プランジャ230と同様に、まっすぐに延びた細長い略棒形状を有する第1プランジャ本体331と、第1プランジャ本体331の先端に設けられた第1ガスケット232とを備える。第1ガスケット232が第1プランジャ本体331から脱落しないように、第1プランジャ本体331及び第1ガスケット232に、互いに係合し合う係合構造が設けられている。第1プランジャ本体331と第1ガスケット232との間には、気体が通過できないように気密なシールが形成されている。
実施形態2と同様に、貫通路333が、第1プランジャ330(第1プランジャ本体331)を、第1プランジャ330の長手方向に沿って貫通している。貫通路333は、バレル10の内腔11(特に突き当て面15と第1プランジャ330との間の空間)とシリンジ3の外界とを連通させる。但し、実施形態2の貫通路233と異なり、貫通路333は大径部336を更に備える。大径部336は、基径部234より大きな内径を有する。大径部336は、基径部234よりも基端側に配置されている。大径部336の内径は、第1プランジャ330の長手方向において一定である。大径部336は、貫通路333の基端側の開口338から比較的短い長さ範囲にわたって延びている。基径部234と大径部336との内径の違いに起因して、大径部336の最深部(基径部234と大径部336との境界)に、底面337が形成されている。底面337は、制限されないが、第1プランジャ330の軸に対して垂直な環状の平坦面である。第1プランジャ330の基端には、半径方向外向きに突出した指掛けフランジ339が設けられている。第1プランジャ330は、上記を除いて実施形態2の第1プランジャ230と同じである。
第2プランジャ360は、まっすぐに延びた細長い略棒形状を有する第2プランジャ本体361と、第2プランジャ本体361の先端に設けられた第2ガスケット362とを備える。第2ガスケット362が第2プランジャ本体361から脱落しないように、第2プランジャ本体361及び第2ガスケット362に、互いに係合し合う係合構造が設けられている。第2プランジャ本体361と第2ガスケット362との間には、気体が通過できないように気密なシールが形成されている。第2プランジャ360の基端には、半径方向外向きに突出したフランジ369が設けられている。
図13に示されているように、第2ガスケット362は、円筒面形状の外周面を備える。但し、第2ガスケット362の外周面に、第2ガスケット362の基端から先端に向かって延びた所定長さの溝365が形成されている。本実施形態3では、4本の溝365が、第2ガスケット362の周方向に等間隔で配置されている。但し、本発明では溝365の数は、4つに限定されず、これより多くてもまたは少なくてもよい。一般には、複数の溝365が周方向に等間隔で配置されていることが好ましい。第2ガスケット362の外周面は、先端側のシール領域363と、基端側の非シール領域364とで構成される。非シール領域364は、溝365が形成された領域である。シール領域363の外周面と、非シール領域364の溝365を除いた外周面とは、連続する同一外径の円筒面を構成する。
第2プランジャ360は、上記を除いて実施形態2の第2プランジャ260と同じである。
図14に示されているように、第2プランジャ360は、第1プランジャ330の開口338から貫通路333に、第1プランジャ330の長手方向(軸方向)に移動(即ち、挿抜)可能に挿入されている。図14では、フランジ369が第1プランジャ330の大径部336に嵌入されている。より詳細には、フランジ369の基端面(フランジ369の第2ガスケット362とは反対側の面)が、第1プランジャ330の指掛けフランジ339の基端面(指掛けフランジ339の第1ガスケット232とは反対側の面)と略同一面を構成している。大径部336の内径は、フランジ369の外径よりわずかに大きい。従って、大径部336の内周面は、フランジ369から半径方向に離間している。
フランジ369と指掛けフランジ339とがこのように略同一面を構成するとき、第2プランジャ360は、第1プランジャ330から先端側(筒先20側)にわずかに突出する。但し、第2ガスケット362のシール領域363(図13参照)の少なくとも一部は、小径部235内に位置している。第2ガスケット362のシール領域363と小径部235の内周面との間には、気体が通過できないように気密なシール(第2シール)が形成される。貫通路333は、第2プランジャ360(特に第2ガスケット362のシール領域363)により閉塞される。このように貫通路333が閉じられている状態を「閉状態」という。
図15は、図14においてバレル10及び第2プランジャ360に対して第1プランジャ330を基端側へわずかに移動させた状態(換言すれば、第2プランジャ360を第1プランジャ330内に更にわずかに挿入した状態)を示した断面図である。第2プランジャ360のフランジ369が第1プランジャ330の底面337に軸方向に衝突するまで、第2プランジャ360が第1プランジャ330内に最も深く押し込まれている。フランジ369及び底面337は、第1プランジャ330に対する第2プランジャ360の挿入深さを規定する。
フランジ369が底面337に衝突するとき、第2ガスケット362のうちシール領域363及び非シール領域364の一部(図13参照)は第1プランジャ330(特にその基径部234)から先端側(筒先20側)に突出する。但し、第2ガスケット362のうち非シール領域364の残部は、基径部234内に位置している。バレル10の内腔11(特に突き当て面15と第1プランジャ330との間の空間)は、溝365を介して貫通路333に連通されている。このように貫通路333が、その全長にわたって連通している状態(即ち、貫通路333が開かれている状態)を「開状態」という。
実施形態2と同様に、本実施形態3でも、第1プランジャ330に対する第2プランジャ360の軸方向の位置を変えることにより、貫通路333の閉状態と開状態とを切り替えることができる。第2プランジャ360は、第1プランジャ330の貫通路333を開閉する「開閉部材」として機能する。第2プランジャ360が貫通路333を閉じるときの第2プランジャ360の第1プランジャ330に対する位置を「閉位置」という(図14及び後述する図16、図17参照)。第2プランジャ360が貫通路333を開くときの第2プランジャ360の第1プランジャ330に対する位置を「開位置」という(図15及び後述する図18、図19参照)。第2プランジャ360が開位置にあるとき、内腔11は貫通路333を介してシリンジ3の外界に連通される。一方、第2プランジャ360が閉位置にあるとき、内腔11は貫通路333を介してシリンジ2の外界に連通されない。なお、第2プランジャ360のフランジ369が第1プランジャ330の底面337に当接したときに(第2プランジャ360が開位置にあるときに)フランジ369が貫通路333を塞がないように、フランジ369及び底面337の互いに対向する面のうちの少なくとも一方に、凸又は凹(例えば半径方向に沿って延びるリブ状の突起又は溝)が設けられていてもよい(図示せず)。
第1及び第2プランジャ本体331,361の材料は、制限はないが、実施形態1のプランジャ本体31と同じ樹脂材料を使用しうる。第1及び第2プランジャ本体331,361のそれぞれは、当該樹脂材料を用いて、射出成形法等により全体を一部品として一体的に製造することができる。
第1及び第2ガスケット332,362の材料は、制限はないが、実施形態1のガスケット32と同じ材料を使用しうる。第1及び第2ガスケット332,362のそれぞれは、当該材料を用いて、全体を一部品として一体的に製造することができる。
シリンジ3は、経腸栄養において、消化管内の気体を体外に放出するために使用することができる。以下に、実施形態1,2と同様に、経鼻カテーテルを構成するチューブ930の基端に設けられたコネクタ900(図3参照)にシリンジ3を接続して、シリンジ3を用いて胃内減圧を行う方法を説明する。
経腸栄養を行う場合、オス部材901からキャップ910が取り外される。次いで、図16に示すように、コネクタ900にシリンジ3を接続する。実施形態1と同様に、コネクタ900に筒先20が接続される。筒先20の内管27(図15参照)はコネクタ900の流路907に連通される。
第1及び第2プランジャ330,360は、図14と同様に、それぞれの先端がバレル10の突き当て面15に当接するほどに、バレル10に深く挿入されている。第2プランジャ360は、第1プランジャ330に対して閉位置にある。即ち、第2ガスケット362のシール領域363(図13参照)の一部が第1プランジャ330の小径部235(図14参照)に位置している。貫通路333は、第2プランジャ360によって閉じられた閉状態にある。第2プランジャ360のフランジ369は、第1プランジャ330の指掛けフランジ339と略同一面を構成している。
バレル10、第1プランジャ330、第2プランジャ360の図16のような配置は、例えば以下の2つの方法により実現されることが好ましい。第1の方法では、コネクタ900に筒先20を接続する前に、バレル10、第1プランジャ330、及び、第2プランジャ360を図16に示す位置に配置しておく。第2の方法では、第2プランジャ360が第1プランジャ330に対して開位置にある状態でコネクタ900に筒先20を接続し、次いで、第1プランジャ330をバレル10に押し込む。第2プランジャ360は第1プランジャ330と一体的に移動する。第1プランジャ330がバレル10に進入する過程で、最初に、第2プランジャ360の先端が突き当て面15に衝突し、次いで、第1プランジャ330の先端が突き合わせ面15に衝突する。第2プランジャ360は閉位置に移動する。上記のいずれの方法も、バレル10の内腔11内の気体が患者の胃に送り込まれるのを防止するのに有利である。
次いで、第2プランジャ360を閉位置に維持したまま、第1及び第2プランジャ330,360を一体的に矢印A31の向きにバレル10から引き抜く。第1及び第2プランジャ330,360の矢印A31の向きの移動にともなってバレル10の内腔11が陰圧になり、チューブ930を介して胃内の気体が内腔11内に吸引される。
図17は、第1及び第2プランジャ330,360をバレル10から最大に引き出した状態を示した断面図である。第2プランジャ360は、依然として閉位置にある。内腔11は、胃から吸引された気体で満たされている。次いで、バレル10に対する第1プランジャ330の位置を保持したまま、第2プランジャ360のフランジ369が第1プランジャ330の底面337に衝突するまで、矢印A32の向きに第1プランジャ330を第2プランジャ360内に挿入する。
図18に示すように、第2プランジャ360が第1プランジャ330内に挿入されることにより、第2ガスケット362のシール領域363(図13参照)及び非シール領域364(図13参照)の一部が、小径部235(図15参照)から内腔11内に突出する。第2プランジャ360は、開位置に移動される。貫通路333は、開状態になる。次いで、第1プランジャ330に対する第2プランジャ360の位置を保持したまま(即ち、第2プランジャ360を開位置に保持したまま)、第1及び第2プランジャ330,360を一体的に矢印A33の向きにバレル10に挿入する。第1及び第2プランジャ330,360の矢印A33の向きの移動にともなってバレル10の内腔11が陽圧になり、内腔11内の気体が、貫通路333を介してシリンジ3外に放出される。
図19に示すように、第2プランジャ360の先端がバレル10の突き当て面15に当接するまで、第1及び第2プランジャ330,360をバレル10に挿入する。第2プランジャ360は、依然として開位置にある。次いで、第1プランジャ330のみを、矢印A34の向きにバレル10に更に挿入する。第2プランジャ360の先端がバレル10の突き当て面15に当接しているので、例えばバレル10の指掛けフランジ19(図13参照)に指を掛けたままで第1プランジャ330の指掛けフランジ339をバレル10に向かって押し込むだけで、バレル10に対する第2プランジャ360の位置は不変のまま、第1プランジャ330がバレル10に挿入される。シリンジ3は、図16の状態に戻る。第2プランジャ360は、第1プランジャ330の貫通路333を閉じる閉位置に移動する。
以下、上記と同様に、(a)第2プランジャ360を閉位置に保持したままで第1及び第2プランジャ330,360をバレル10から引き抜く操作(矢印A31)と、(b)第2プランジャ360が閉位置から開位置へ移動するように第2プランジャ360を第1プランジャ330に挿入する操作(矢印A32)と、(c)第2プランジャ360を開位置に保持したままで第1及び第2プランジャ330,360をバレル10に挿入する操作(矢印A33)と、(d)第2プランジャ360が開位置から閉位置へ移動するように第1プランジャ330をバレル10に挿入する操作(矢印A34)とをこの順に行う繰り返し単位を、繰り返す。一般には、胃の内容物がチューブ930に吸引されたことを確認した時点で、シリンジ3を用いた胃内減圧操作を終了する。その後、シリンジ3の筒先20をコネクタ900から分離する。代わって、コネクタ900に経腸栄養投与セットの下流端に設けられたコネクタ(メスコネクタ)を接続する。そして、経腸栄養投与セット及びチューブ930を介して、液状物(例えば液状の経腸栄養剤)を患者に投与する。
以上のように、本実施形態3によれば、筒先20をコネクタ900に接続した状態のままで、第1及び第2プランジャ330,360の挿抜操作を繰り返すだけで、胃内の気体を外界に放出することができる。シリンジ3の容量以上の気体が胃内に存在していたとしても、従来のシリンジ法とは異なり、コネクタ900に対する筒先20の接続及び分離を繰り返す必要がない。従って、本実施形態3のシリンジ3を用いることにより、胃内減圧を、簡単な操作で、短時間で行うことができる。第1プランジャ330に貫通路333が設けられていない一般的なシリンジに比べて、シリンジ3は介護者の負担軽減に有利である。
シリンジ3は、第1プランジャ330の貫通路333を開閉する開閉部材として、第2プランジャ360を備える。第1プランジャ330に対する第2プランジャ360の軸方向位置を変えることにより、第1プランジャ330の貫通路333の開閉を行うことができる。貫通路33を指で閉じる実施形態1に比べて、本実施形態3では、貫通路333を第2プランジャ360で閉じるので、閉状態にある貫通路333のシール性を向上させることができ且つ当該閉状態を安定的に維持することができる。これは、患者の消化管内の気体を効率よく放出するのに有利である。
シリンジ3は、第2プランジャ360を第1プランジャ330に対して先端側へ移動させることにより、第2プランジャ360が閉位置から開位置に変位するように(即ち、貫通路333が閉状態から開状態へ切り替わるように)構成されている。このため、貫通路333の閉状態から開状態への切り替えは、第2プランジャ360を第1プランジャ330内に矢印A32の向きに押し込むだけで簡単に行うことができる(図17参照)。この第2プランジャ660の押し込み操作は、例えば、第1プランジャ330の指掛けフランジ339に人差し指と中指を掛けながら、第2プランジャ360のフランジ369を親指で先端側(バレル10側)に押し込めばよい。第2プランジャ360の閉位置から開位置への変位は、片手で簡単に行うことができる。
また、シリンジ3は、第2プランジャ360を第1プランジャ330に対して基端側へ移動させることにより、第2プランジャ260が開位置から閉位置に変位するように(即ち、貫通路333が開状態から閉状態へ切り替わるように)構成されている。第2プランジャ360が開位置にあるとき、第2プランジャ360の先端は第1プランジャ330の先端から突出する。このため、貫通路333の開状態から閉状態への切り替えは、第2プランジャ360の先端をバレル10の突き当て面15に当接させた状態で、第1プランジャ330をバレル10内に矢印A34の向きに押し込むだけで簡単に行うことができる(図19参照)。
第2プランジャ360は、シール領域363と、シール領域363に対して基端側に隣接する非シール領域364とを備える。第2プランジャ360が閉位置にあるとき、貫通路333(特に小径部235)を規定する内周面とシール領域363の外周面との間に気密な第2シールが形成される(図14、図16、図17参照)。第2プランジャ360が開位置にあるとき、シール領域363及び非シール領域364の一部が貫通路333(小径部235)から脱出するものの、非シール領域364の残部は貫通路333(小径部235)内に残る。即ち、第2プランジャ360が開位置にあるとき、非シール領域364の全てが貫通路333から先端側に脱出(または突出)しないので、貫通路333(特に小径部235)に対するシール領域363の偏心は少ない。このため、その後、シール領域363を貫通路333(特に小径部235)内に収納することが容易である。これは、貫通路333の開状態から閉状態への切り替えを容易にするのに有利である。
本実施形態3では、非シール領域364には、軸方向に延びた溝365が形成されていたが(図13参照)、非シール領域364の構成はこれに限定されない。非シール領域364は、非シール領域364と貫通路333の内周面との間に気密な第2シールが形成されず、貫通路333が開かれるように構成されていればよい。例えば、非シール領域364が、シール領域363に向かって外径が大きくなる円錐面(テーパ面)で構成されていてもよい。
本発明では、第2プランジャ360が開位置にあるとき、シール領域363に加えて非シール領域364の全てが(即ち、第2ガスケット362の全体が)貫通路333から先端側に脱出(または突出)してもよい。
本発明では、第2プランジャ360が、非シール領域364(溝365)を備えていなくてもよい。この場合、第2プランジャ360が開位置にあるとき、第2ガスケット362のシール領域363(または第2ガスケット362の全体)が貫通路333(小径部235)から先端側に脱出する。
実施形態2と同様に、本実施形態3においても、第2プランジャ360が閉位置にあるとき、貫通路333の内周面の先端部(即ち、小径部235)と、第2プランジャ360の外周面(即ち、第2ガスケット362)との間に、気密な第2シールが形成される。このため、胃内減圧の操作中に胃の内容物がバレル10の内腔11に流入したとしても、第2プランジャ360を閉位置に移動させれば、貫通路333に内容物が流入するのを防止できる。これは、内径が小さいために洗浄が困難である貫通路333が内容物で汚れるのを防止するのに有利である。
第2プランジャ360が閉位置にあるとき、気密な第2シールは、第2プランジャ360の先端部に形成される。即ち、第2シールは、第1プランジャ330の先端部と第2プランジャ360の先端部との間に形成される。必然的に第2プランジャ360の第1プランジャ330に対する挿入深さは深くなる。これは、第2プランジャ360が第1プランジャ330から意図せずに抜け落ちる可能性を低減するのに有利である。
一般には、第2プランジャ360の軸方向の長さは、第1プランジャ330の軸方向の長さの1/3以上、更には1/2、特に2/3以上であることが好ましい。第2プランジャ360が長いほど、第2プランジャ360の第1プランジャ330に対する挿入深さが増大する。これは、第2プランジャ360が第1プランジャ330から意図せずに抜け落ちる可能性を低減するのに有利である。
第2プランジャ360の第1プランジャ330からの意図しない抜け落ちを防止するために、第1プランジャ330の貫通路333の基端側の開口338近傍(例えば基径部234と大径部336との境界)に、貫通路333(基径部234)の内径が局所的に小さくなるように、半径方向内向きに突出した突起が設けられていてもよい。
本実施形態3では、第2シールは、第1プランジャ330の先端部に形成されたが、本発明はこれに限定されない。例えば、小径部235を、第1プランジャ330の先端から離れた位置に形成し、貫通路333のうち当該小径部235と第1プランジャ330の先端との間の部分の内径は、小径部235より大きくしてもよい。この場合、第2プランジャ360を短くしてもよい。
本実施形態3では、プランジャ330,360が、プランジャ本体331,361と、プランジャ本体331,361に設けられた、プランジャ本体331,361とは別部品であるガスケット232,362とを備える。第1ガスケット232の外周面とバレル10の内周面との間に気密な第1シールが形成される。第2ガスケット362の外周面と貫通路333(特にその小径部235)の内周面との間に気密な第2シールが形成される。かかる構成によれば、プランジャ本体331,361及びガスケット232,362のそれぞれに、最適な材料を選択することができる。これは、第1及び第2シールの気密性の向上や、バレル10に対する第1プランジャ330の挿抜操作性(または摺動性)の向上、第1プランジャ330に対する第2プランジャ360の挿抜操作性(または摺動性)の向上に有利である。但し、本発明は、これに限定されず、例えばプランジャ330,360のそれぞれの全体が、同一材料(例えば、上記したプランジャ本体331,361の材料)を用いて、一部品として一体的に構成されていてもよい。これにより、プランジャ330,360を構成する部品数を少なくすることができ、これは、プランジャ330,360の組立性の向上とコストの低減に有利である。
本実施形態3において、第1プランジャ330が大径部336を備えていなくてもよい。例えば、実施形態2と同様に、第1プランジャ330の貫通路333の内径は、小径部235と開口338との間において一定であってもよい。この場合、実施形態2と同様に、第2プランジャ360のフランジ369は、第2プランジャ360が閉位置にあるとき第1プランジャ330の基端から軸方向に離間し、第2プランジャ260が開位置にあるとき第1プランジャ330の基端に軸方向に当接してもよい。
本実施形態3において、貫通路333が基径部234を備えていなくてもよい。この場合、小径部235は底面337まで延びていてもよい。上述した、第1プランジャ330が大径部336を備えない構成では、小径部235が、第1プランジャ330の基端まで延びていてもよい。
(実施形態4)
図20は、本発明の実施形態4にかかるシリンジ4の分解斜視図である。シリンジ4は、バレル10、プランジャ30、及びキャップ480とを備える。本実施形態4のバレル10及びプランジャ30は、本実施形態1のバレル10及びプランジャ30と同じである。シリンジ4は、貫通路33を開閉するための開閉部材としてキャップ480を備える点で実施形態1のシリンジ1と異なる。実施形態1との相違点を中心にして、実施形態4のシリンジ4を説明する。
図21は、シリンジ4の断面図である。キャップ480が、プランジャ30の基端に装着されている。キャップ480は、基部481と、基部481から突出した嵌入突起483及び嵌合筒485を備える。基部481は、本実施形態4では、略円形の薄板であるが、本発明はこれに限定されず、例えば略球形等の任意の形状を有していてもよい。嵌入突起483は、略円柱形状の突起である。嵌合筒485は、略円筒形状の突起である。嵌合筒485は、嵌入突起483と同軸に、嵌入突起483を取り囲むように、嵌入突起483から半径方向に離間している。嵌入突起483はプランジャ30の貫通路33に嵌入している。プランジャ30は、嵌合筒485に嵌入している。キャップ480は、プランジャ30の基端に着脱可能である。キャップ480は、図21のようにプランジャ30に装着されたとき、貫通路33を気密にシールすることができる。キャップ480がプランジャ30に装着されたときの貫通路33のシール性を向上させるために、嵌入突起483の外周面及び/又は嵌合筒485の内周面に、テーパ形状が設けられていてもよい。
キャップ480の材料は、制限はないが、実施形態1のプランジャ本体31またはガスケット32と同じ材料を使用しうる。キャップ480は、当該材料を用いて、全体を一部品として一体的に製造することができる。
シリンジ4は、経腸栄養において、消化管内の気体を体外に放出するために使用することができる。以下に、実施形態1と同様に、経鼻カテーテルを構成するチューブ930の基端に設けられたコネクタ900(図3参照)にシリンジ4を接続して、シリンジ4を用いて胃内減圧を行う方法を説明する。
経腸栄養を行う場合、オス部材901からキャップ910が取り外される。次いで、図22に示すように、コネクタ900にシリンジ4を接続する。実施形態1と同様に、コネクタ900に筒先20が接続される。筒先20の内管27(図21参照)はコネクタ900の流路907に連通される。プランジャ30は、その先端がバレル10の突き当て面15に当接するほどに、バレル10に深く挿入されている。プランジャ30の基端にキャップ480が装着されている。
図22の状態は、例えば以下の2つの方法により実現されることが好ましい。第1の方法では、コネクタ900に筒先20を接続する前に、キャップ480を装着したプランジャ30を、その先端がバレル10の突き当て面15に当接するほどに、バレル10に深く挿入しておく。第2の方法では、キャップ480をプランジャ30に装着する前に、コネクタ900に筒先20を接続し、プランジャ30の先端をバレル10の突き当て面15に当接させ、次いで、キャップ480をプランジャ30に装着する。上記のいずれの方法も、バレル10の内腔11内の気体が患者の胃に送り込まれるのを防止するのに有利である。
次いで、キャップ480をプランジャ30に装着したまま、プランジャ30を矢印A41の向きにバレル10から引き抜く。プランジャ30の矢印A41の向きの移動にともなってバレル10の内腔11が陰圧になり、チューブ930を介して胃内の気体が内腔11内に吸引される。
図23は、プランジャ30をバレル10から最大に引き出した状態を示した断面図である。内腔11は、胃から吸引された気体で満たされている。
次いで、図24に示すように、キャップ480をプランジャ30から取り外す。そして、プランジャ30の基端側の開口38を開放したまま、プランジャ30を矢印A42の向きにバレル10に挿入する。プランジャ30の矢印A42の向きの移動にともなってバレル10の内腔11が陽圧になり、内腔11内の気体が、貫通路33を介してシリンジ4外に放出される。
図25は、プランジャ30の先端がバレル10の突き当て面15に当接するまで、プランジャ30をバレル10に挿入した状態を示した断面図である。バレル10に対するプランジャ30の位置を保ったまま、キャップ480をプランジャ30に装着する。シリンジ4は、図22と同じ状態に戻る。
以下、上記と同様に、(a)キャップ480をプランジャ30に装着したまま(即ち、貫通路33を閉じたまま)でプランジャ30をバレル10から引き抜く操作(矢印A41)と、(b)キャップ480をプランジャ30から取り外す操作と、(c)キャップ480をプランジャ30から取り外したまま(即ち、貫通路33を開いたまま)でプランジャ30をバレル10に挿入する操作(矢印A42)と、(d)キャップ480をプランジャ30に装着する操作とをこの順に行う繰り返し単位を、繰り返す。一般には、胃の内容物がチューブ930に吸引されたことを確認した時点で、シリンジ4を用いた胃内減圧操作を終了する。その後、シリンジ4の筒先20をコネクタ900から分離する。代わって、コネクタ900に経腸栄養投与セットの下流端に設けられたコネクタ(メスコネクタ)を接続する。そして、経腸栄養投与セット及びチューブ930を介して、液状物(例えば液状の経腸栄養剤)を患者に投与する。
以上のように、本実施形態4によれば、筒先20をコネクタ900に接続した状態のままで、プランジャ30の挿抜操作とキャップ480の着脱操作とを繰り返すだけで、胃内の気体を外界に放出することができる。シリンジ4の容量以上の気体が胃内に存在していたとしても、従来のシリンジ法とは異なり、コネクタ900に対する筒先20の接続及び分離を繰り返す必要がない。従って、本実施形態4のシリンジ4を用いることにより、胃内減圧を、簡単な操作で、短時間で行うことができる。プランジャ30に貫通路33が設けられていない一般的なシリンジに比べて、シリンジ4は介護者の負担軽減に有利である。
シリンジ4は、プランジャ30の貫通路33を開閉する開閉部材として、キャップ480を備える。キャップ480をプランジャ30に着脱することにより、プランジャ30の貫通路33の開閉を行うことができる。貫通路33を指で閉じる実施形態1に比べて、本実施形態4では、貫通路33をキャップ480で閉じるので、閉状態にある貫通路33のシール性を向上させることができ且つ当該閉状態を安定的に維持することができる。これは、患者の消化管内の気体を効率よく放出するのに有利である。
キャップ480は、貫通路33を開閉することができれば、その構成は、本実施形態4に限定されない。例えば、キャップ480が、嵌入突起483及び嵌合筒485のうちのいずれか一方を備えていなくてもよい。キャップ480がプランジャ30から意図せずに脱落するのを防止するために、キャップ480及びプランジャ30に、互いに係合し合う係合構造(例えば、凸部と凹部、凸部と凸部、雄ネジと雌ネジ)等が設けられていてもよい。キャップ480をプランジャ30から分離したときにキャップ480を紛失するのを防止するために、キャップ480とバレル10またはプランジャ30とが柔軟なバンドで連結されていてもよい。
キャップ480に代えて、貫通路33を開閉することができる開閉機構をプランジャ30に設けてもよい。開閉機構の構成に制限はない。例えば、軸方向に直行する方向に往復移動することにより貫通路33を開閉するシャッターをプランジャ30に設けることができる。あるいは、プランジャ30の基端に、クランプが装着された柔軟なチューブを接続し、当該チューブの流路をクランプで開閉してもよい。
本実施形態4は、上記を除いて実施形態1と同じである。実施形態1の説明が、本実施形態4にも適用しうる。
上記の実施形態1~4は例示に過ぎない。本発明は、実施形態1~4に限定されず、適宜変更することができる。
実施形態1~4では、本発明のシリンジをISO80369-03に準拠したコネクタ900(例えば、特許文献2参照)に接続した。コネクタ900は雌ネジ906を備える。従来のシリンジ法に用いられる一般的なシリンジは、雌ネジ906に螺合する雄ネジを備える。この場合、コネクタ900の雌ネジ906にシリンジの雄ネジを螺合し、また、その螺合を解除する操作は煩雑である。本発明のシリンジも、雌ネジ906に螺合する螺状突起(雄ネジ)23を備える。ところが、本発明では、雌ネジ906に螺状突起(雄ネジ)23を螺合した状態のままで、シリンジの容量以上の気体を患者の消化管から吸引し外界へ放出することができる。従って、本発明のシリンジをコネクタ900に適用することは、消化管内の気体の吸引操作を簡単化し、介護者の負担軽減に有利である。また、本発明のシリンジが雌ネジ906に螺合する螺状突起(雄ネジ)23を備えることは、気体の吸引操作においてシリンジがコネクタ900から意図せずに分離するのを防止するのに有利である。
但し、本発明のシリンジは、コネクタ900以外のコネクタに接続することができる。本発明のシリンジが接続されるコネクタは、オスコネクタ及びメスコネクタのいずれであってもよい。例えば、本発明のシリンジは、医薬発第888号に準拠したメスコネクタ(例えば特許文献3の図3A及び図3Bのメスコネクタ5、特許文献4参照)や、ボタン型瘻孔カテーテルのメスコネクタ(例えば特許文献5参照)などに適用してもよい。コネクタに応じて、当該コネクタに接続される本発明のシリンジの筒先の構成は適宜変更されうる。シリンジの筒先はコネクタに気密に接続されるように構成されることが好ましい。
実施形態1~4では、本発明のシリンジを、経鼻カテーテル、または経鼻カテーテルに接続された経腸栄養投与セットもしくは経腸栄養用延長チューブに接続した。但し、本発明のシリンジは、経鼻カテーテル以外の経腸栄養カテーテルまたはこれに接続された延長チューブに接続することができる。例えば、本発明のシリンジを瘻孔カテーテルまたはこれに接続された延長チューブに接続してもよい。瘻孔カテーテルは、ボタン型及びチューブ型のいずれであってもよく、また、バンパー型及びバルーン型のいずれであってもよい。本発明は、患者の消化管に連通した任意のチューブの基端に設けられたコネクタに接続することができる。消化管は、胃に限定されず、例えば十二指腸であってもよい。
本発明は、経腸栄養を行う際に、患者の消化管内の気体を外界に放出するために好ましく利用することができる。
1,2,3,4 シリンジ
10 バレル
11 内腔
15 突き当て面
18 バレルの開口
20 筒先
21 メス部材(外管)
23 螺状突起(雄ネジ)
27 内管(接続筒)
30 プランジャ
31 プランジャ本体
32 ガスケット
33 貫通路
38 貫通路の基端側の開口
39 プランジャのフランジ
230,330 第1プランジャ
231,331 第1プランジャ本体
232 第1ガスケット
233,333 貫通路
234 貫通路の基径部
235 貫通路の小径部
336 貫通路の大径部
238,338 貫通路の基端側の開口
260,360 第2プランジャ(開閉部材)
261,361 第2プランジャ本体
262,362 第2ガスケット
363 シール領域
364 非シール領域
365 溝
480 キャップ(開閉部材)
900 コネクタ
901 オス部材
905 外筒
906 雌ネジ
930 チューブ

Claims (19)

  1. 患者の消化管に連通したチューブの基端に設けられたコネクタに接続することができるシリンジであって、
    前記シリンジは、
    先端に前記コネクタに接続可能な筒先を備え、基端に開口を備え、前記筒先と前記開口とが内腔を介して連通されているバレルと、
    前記バレルの前記開口から前記内腔に前記バレルの長手方向に移動可能に挿入されたプランジャとを備え、
    前記バレルの前記内腔を規定する内周面と前記プランジャとの間に気密なシールが形成されており、
    前記プランジャに、前記バレルの前記内腔と前記シリンジの外界とを連通させる貫通路が設けられていることを特徴とするシリンジ。
  2. 前記プランジャが、プランジャ本体と、前記プランジャ本体に設けられた、前記プランジャ本体とは別部品であるガスケットとを備え、
    前記シールは、前記バレルの前記内周面と前記ガスケットとの間に形成される請求項1に記載のシリンジ。
  3. 前記貫通路を開閉する開閉部材を更に備える請求項1又は2に記載のシリンジ。
  4. 前記プランジャは第1プランジャであり、
    前記開閉部材は、前記貫通路の基端側の開口から前記貫通路に前記第1プランジャの長手方向に移動可能に挿入された第2プランジャである請求項3に記載のシリンジ。
  5. 前記開閉部材は、前記プランジャの前記貫通路の基端側の開口に着脱可能なキャップである請求項3に記載のシリンジ。
  6. 前記プランジャは第1プランジャであり、
    前記シリンジは、前記貫通路の基端側の開口から前記貫通路に前記第1プランジャの長手方向に移動可能に挿入された第2プランジャを更に備え、
    前記第2プランジャは、前記貫通路を閉じる閉位置と、前記貫通路を開く開位置とに、前記第1プランジャに対して移動可能である請求項1又は2に記載のシリンジ。
  7. 前記第2プランジャが前記閉位置にあるとき、前記貫通路を規定する内周面の先端部と前記第2プランジャとの間に気密な第2シールが形成される請求項6に記載のシリンジ。
  8. 前記第2プランジャを前記第1プランジャに対して先端側へ移動させることにより、前記第2プランジャは前記開位置から前記閉位置に変位し、
    前記シリンジは、前記第1プランジャの先端が前記バレルの長手方向に当接可能な突き当て面を有する請求項6に記載のシリンジ。
  9. 前記第2プランジャを前記第1プランジャに対して基端側へ移動させることにより、前記第2プランジャは前記閉位置から前記開位置に変位する請求項8に記載のシリンジ。
  10. 前記第2プランジャを前記第1プランジャに対して先端側へ移動させることにより、前記第2プランジャは前記閉位置から前記開位置に変位する請求項6に記載のシリンジ。
  11. 前記第2プランジャを前記第1プランジャに対して基端側へ移動させることにより、前記第2プランジャは前記開位置から前記閉位置に変位し、
    前記第2プランジャが前記開位置にあるとき、前記第2プランジャの先端は前記第1プランジャから突出する請求項10に記載のシリンジ。
  12. 前記第2プランジャは、シール領域を備え、
    前記第2プランジャが前記閉位置にあるとき、前記貫通路を規定する内周面と前記シール領域との間に気密な第2シールが形成され、
    前記第2プランジャが前記開位置にあるとき、前記シール領域が前記貫通路から脱出する請求項10に記載のシリンジ。
  13. 前記第2プランジャは、前記シール領域に対して基端側に隣接する非シール領域を更に備え、
    前記第2プランジャが前記開位置にあるとき、前記シール領域及び前記非シール領域の一部が前記貫通路から脱出し、前記非シール領域の残部が前記貫通路内に残る請求項12に記載のシリンジ。
  14. 前記第2プランジャが、第2プランジャ本体と、前記第2プランジャ本体に設けられた、前記第2プランジャ本体とは別部品である第2ガスケットとを備え、
    前記第2プランジャが前記閉位置にあるとき、前記第1プランジャの前記貫通路を規定する内周面と前記第2ガスケットとの間に気密な第2シールが形成される請求項6に記載のシリンジ。
  15. 前記貫通路を開閉する開閉部材を備えない請求項1又は2に記載のシリンジ。
  16. 前記プランジャの基端またはその近傍に、半径方向外向きに突出したフランジが設けられている請求項15に記載のシリンジ。
  17. 前記コネクタは、オス部材と、前記オス部材を取り囲む外筒と、前記外筒の内周面に設けられた雌ネジとを備え、
    前記筒先は、メス部材と、前記メス部材の外周面に設けられた螺状突起とを備え、
    前記コネクタに前記筒先を接続したとき、前記オス部材は前記メス部材に挿入され、前記螺状突起は前記雌ネジに螺合する請求項1に記載のシリンジ。
  18. 前記筒先は、前記メス部材と同軸に、前記メス部材内に配置された内管を更に備え、
    前記コネクタに前記筒先を接続したとき、前記内管は前記オス部材に挿入され、前記内管と前記オス部材との間に気密なシールが形成される請求項17に記載のシリンジ。
  19. 前記コネクタに前記筒先を接続したとき、前記オス部材の外周面と前記メス部材の内周面との間に気密なシールが形成される請求項17又は18に記載のシリンジ。
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