JP2023178902A - 画像形成装置 - Google Patents

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Kazunori Hashimoto
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Abstract

【課題】現像装置の寿命をより精度良く求めること。【解決手段】現像ローラの走行距離を計測する走行距離計測部90と、1つのジョブごとに連続して画像形成を行う連続印刷の枚数を計数する枚数計数部92と、枚数計数部92により計数された枚数に応じて補正係数kを設定し、設定した補正係数kを用いて走行距離計測部90により計測された走行距離を補正して補正距離を求める走行距離算出部91と、現像ローラの使用が開始されてからの補正距離が積算された積算補正距離を記憶したメモリー77と、メモリー77に記憶された積算補正距離を読み出し、積算補正距離に走行距離算出部91により補正した補正距離を加算して積算補正距離を更新し、更新した積算補正距離が閾値に到達した場合に現像ユニットに関する情報を報知する制御部80と、を備える。【選択図】図2

Description

本発明は、画像形成装置に関し、例えば、電子写真方式又は静電記録方式を用いた複写機、プリンタ、ファクシミリなどに用いられる画像形成装置に関する。
電子写真画像形成方式(電子写真プロセス)を用いて記録材に画像を形成する、複写機、プリンタ、ファクシミリ等の画像形成装置では、画像形成工程において、像担持体である電子写真感光体に静電潜像を形成し、静電潜像に現像剤を付与して現像する。画像形成工程の現像工程を担う現像装置は、独立したユニットとして単独で又はプロセスカートリッジの一部として、画像形成装置の本体に対して着脱可能に構成される場合がある。現像装置は、現像容器等と呼ばれ現像剤であるトナーを収容する枠体と、枠体の開口部に回転可能に配置され、回転することによりトナーを枠体内部から外部へ担持搬送する現像剤担持体である現像ローラとを備える。現像装置はさらに、現像ローラにトナーを供給する供給部材である供給ローラと、現像ローラに担持されて開口部を通過するトナーの量を規制すべく現像ローラ表面に接触する規制部材である現像ブレードとを備える。
現像ローラに担持されたトナーは、現像ブレード及び供給ローラと絶えず摺擦される。この摺擦によって、トナーに添加された外添剤等の遊離や埋め込み等が発生し、画像形成の回数が増えるにつれてトナーが劣化していく。また、現像ローラ表面にトナーから遊離した外添剤や微粉が付着、堆積し、現像ローラによるトナーの担持力や帯電性が低下することにより、画像不良が発生するおそれもある。このような課題に対して、例えば特許文献1では、現像装置内のトナーの残量に応じた劣化量を算出し、現像装置の寿命を判断するものが開示されている。また、例えば特許文献2では、画像形成装置が使用される環境によって現像ローラの使用量の重みづけを変えて、消耗部品の交換時期を使用環境ごとに変えたものが開示されている。
特許第4743273号公報 特開2007-17754号公報
しかしながら、従来の画像形成装置においても、次のような課題は依然として存在する。現像剤像の形成を繰り返し継続していく間、現像ローラは現像ブレード及び供給ローラと絶えず摺擦している。このため、この摺擦によって、現像剤及び現像剤に添加されている外添剤等が、静電的な力により現像ブレード上の現像ローラとの非接触部に付着することがある。これにより、付着物に起因して記録材上に形成された画像に現像スジと呼ばれる現象が発生するおそれがある。本発明の目的は、現像スジの発生状況を加味して、より最適に現像装置の寿命を報知することである。
本発明は、このような状況のもとでなされたもので、現像装置の寿命をより精度良く求めることを目的とする。
上述した課題を解決するために、本発明は、以下の構成を備える。
(1)静電潜像が形成される感光体と、現像剤が収容された容器と、前記感光体上に形成された前記静電潜像に前記現像剤を供給し現像剤像を形成する現像回転体と、前記現像回転体に前記容器から前記現像剤を供給する供給部材と、前記供給部材から前記現像回転体に供給された前記現像剤を規制する規制部材と、を有し、着脱可能な現像装置と、前記現像回転体の走行距離を計測する計測手段と、1つのジョブごとに連続して画像形成を行う連続印刷の枚数を計数する枚数計数手段と、前記枚数計数手段により計数された前記枚数に応じて補正係数を設定し、設定した前記補正係数を用いて前記計測手段により計測された前記走行距離を補正して補正距離を求める補正手段と、前記現像回転体の使用が開始されてからの前記補正距離が積算された積算補正距離を記憶した記憶手段と、前記記憶手段に記憶された前記積算補正距離を読み出し、前記積算補正距離に前記補正手段により補正した前記補正距離を加算して前記積算補正距離を更新し、更新した前記積算補正距離が閾値に到達した場合に前記現像装置に関する情報を報知する報知部と、を備えることを特徴とする画像形成装置。
(2)静電潜像が形成される感光体と、現像剤が収容された容器と、前記感光体上に形成された前記静電潜像に前記現像剤を供給し現像剤像を形成する現像回転体と、前記現像回転体に前記容器から前記現像剤を供給する供給部材と、前記供給部材から前記現像回転体に供給された前記現像剤を規制する規制部材と、を有し、着脱可能な現像装置と、前記容器に前記現像剤を補給する補給装置と、前記現像回転体の走行距離を計測する計測手段と、前記補給装置から前記容器に補給された前記現像剤の量である補給量を計測する補給量計測手段と、前記計測手段により計測された前記走行距離に応じて補正係数を設定し、設定した前記補正係数を用いて前記補給量計測手段により計測された前記補給量を補正して補正補給量を求める補正手段と、前記現像装置の使用が開始されてからの前記補正補給量が積算された積算補正補給量を記憶した記憶手段と、前記記憶手段に記憶された前記積算補正補給量を読み出し、前記積算補正補給量に前記補正手段により補正した前記補正補給量を加算して前記積算補正補給量を更新し、更新した前記積算補正補給量が閾値に到達した場合に前記現像装置に関する情報を報知する報知部と、を備えることを特徴とする画像形成装置。
(3)静電潜像が形成される感光体と、現像剤が収容された容器と、前記感光体上に形成された前記静電潜像に前記現像剤を供給し現像剤像を形成する現像回転体と、前記現像回転体に前記容器から前記現像剤を供給する供給部材と、前記供給部材から前記現像回転体に供給された前記現像剤を規制する規制部材と、を有し、着脱可能な現像装置と、前記現像回転体の走行距離を計測する計測手段と、前記容器から前記現像回転体に供給された前記現像剤の量である消費量を計測する消費量計測手段と、前記計測手段により計測された前記走行距離に応じて補正係数を設定し、設定した前記補正係数を用いて前記消費量計測手段により計測された前記消費量を補正して補正消費量を求める補正手段と、前記現像装置の使用が開始されてからの前記補正消費量が積算された積算補正消費量を記憶した記憶手段と、前記記憶手段に記憶された前記積算補正消費量を読み出し、前記積算補正消費量に前記補正手段により補正した前記補正消費量を加算して前記積算補正消費量を更新し、更新した前記積算補正消費量が閾値に到達した場合に前記現像装置に関する情報を報知する報知部と、を備えることを特徴とする画像形成装置。
本発明によれば、現像装置の寿命をより精度良く求めることができる。
実施例1~3の画像形成装置の構成を説明する図 実施例1の制御部の構成を説明する図 実施例1~3のプロセスカートリッジを説明する図 実施例1~3のプロセスカートリッジ、現像ユニットを説明する斜視図 実施例1~3のトナー粒子の凸部の模式図 実施例1のプロセスカートリッジの寿命報知のフローチャート 実施例1の印刷枚数と走行距離Ltとの関係を示す図 実施例2の制御部の構成を説明する図 実施例2のプロセスカートリッジの寿命報知のフローチャート 実施例3の制御部の構成を説明する図 実施例3のプロセスカートリッジの寿命報知のフローチャート
以下、本発明に係る画像形成装置について、図面を参照しながら詳しく説明する。
<画像形成装置の全体構成>
電子写真方式の画像形成装置100の全体構成について、図1を用いて説明する。画像形成装置100は、着脱可能な4個のプロセスカートリッジ70Y、70M、70C、70Kを備え、プロセスカートリッジ70Y、70M、70C、70Kは装着部材(不図示)によって画像形成装置100に装着されている。ここで、Y、M、C、Kはイエロー色、マゼンタ色、シアン色、ブラック色を表す添え字であり、以降、特定の色に対応する部材について説明する場合を除き、添え字を省略する。また、プロセスカートリッジ70が有する部材について、a、b、c、dもイエロー色、マゼンタ色、シアン色、ブラック色を表す添え字であり、以降、これらについても特定の色に対応する部材について説明する場合を除き、添え字を省略する。プロセスカートリッジ70を画像形成装置100に装着するときの方向(以下、装着方向という)の上流側を前側面側、装着方向の下流側を奥側面側と定義する。
プロセスカートリッジ70には、感光体である感光ドラム1、感光ドラム1の周囲に帯電ローラ2、現像ローラ25、クリーニング部材6等のプロセス手段が一体的に配置されている。帯電ローラ2は、感光ドラム1の表面を一様に帯電させる。現像ローラ25は、感光ドラム1上(感光体上)に形成した静電潜像をトナーによって現像して可視像化する。クリーニング部材6は、感光ドラム1上に形成した現像剤像であるトナー像を記録媒体である用紙Sに転写した後に、感光ドラム1上に残留した現像剤であるトナーを除去する。また、プロセスカートリッジ70の下方には、画像情報に基づいて感光ドラム1上に選択的な露光を行い、感光ドラム1上に静電潜像を形成するためのスキャナユニット3が設けられている。
画像形成装置100の下部には用紙Sを収容したカセット17が装着されている。そして、用紙Sが2次転写ローラ69、定着部74を通過して画像形成装置100の上方へ搬送されるように搬送手段が設けられている。搬送手段は、具体的には、給送ローラ54、搬送ローラ対76、レジストレーション(以下、レジストという)ローラ対55等である。給送ローラ54は、カセット17内の用紙Sを1枚ずつ分離給送する。搬送ローラ対76は、給送された用紙Sを搬送する。レジストローラ対55は、感光ドラム1に形成される静電潜像と用紙Sとの同期を取る。また、プロセスカートリッジ70の上方には各感光ドラム1上に形成されたトナー像を転写させるための中間転写ユニット5が設けられている。中間転写ユニット5には、駆動ローラ、従動ローラ、各色の感光ドラム1に対向する位置に1次転写ローラ58、2次転写ローラ69に対向する位置に対向ローラ59を有し、中間転写体である転写ベルト50が掛け渡されている。転写ベルト50はすべての感光ドラム1に対向し、かつ接するように循環移動する。1次転写ローラ58に電圧を印加することにより、感光ドラム1から転写ベルト50上にトナー像が順次重畳して転写される(以下、1次転写という)。転写ベルト50内に配置された対向ローラ59と2次転写ローラ69への電圧の印加により、転写ベルト50上のフルカラーのトナー像が用紙Sに転写される(以下、2次転写という)。
画像形成に際しては、各感光ドラム1を回転させ、帯電ローラ2によって一様に帯電させた感光ドラム1上にスキャナユニット3から選択的な露光が行われる。これによって、感光ドラム1上に静電潜像が形成される。静電潜像は現像ローラ25によって付与されたトナーにより現像される。これによって、各感光ドラム1に各色のトナー像が形成される。画像形成と同期して、レジストローラ対55が、対向ローラ59と2次転写ローラ69とが転写ベルト50を介在して当接している2次転写位置に用紙Sを搬送する。2次転写ローラ69へ転写電圧を印加することで、転写ベルト50上のフルカラーのトナー像が用紙Sに2次転写される。これによって、用紙Sにカラー画像が形成される。カラー画像が形成された用紙Sは、定着部74によって加熱、加圧されて未定着のトナー像が定着される。その後、用紙Sは、排出ローラ72によって排出部75に排出される。なお、定着部74は、画像形成装置100の上部に配置されている。
表示操作部99は、画像形成装置100の各種の情報を表示しユーザーに報知する表示部と、画像形成装置100に各種の設定を行うための操作部と、を有している。表示部は、例えば液晶モニタ等である。操作部は、例えば各種の入力キー等である。表示操作部99は、タッチパネル、オペレーションパネル等であってもよい。
現像剤収容部であるトナーカートリッジ9は、各プロセスカートリッジ70に収容されるトナーの色と対応した順序で、プロセスカートリッジ70の下方にそれぞれ水平方向に並んで配置されている。すなわち、第1のトナーカートリッジ9Yはイエロー(Y)のトナーを収容しており、第2のトナーカートリッジ9Mはマゼンタ(M)のトナーを収容している。第3のトナーカートリッジ9Cはシアン(C)のトナーを収容しており、第4のトナーカートリッジ9Kはブラック(K)のトナーを収容している。各トナーカートリッジ9は、同色のトナーを収容したプロセスカートリッジ70にトナーを補給する。トナーカートリッジ9は、画像形成装置100に設けられた装着ガイド(不図示)、位置決め部材(不図示)等の装着手段を介して、画像形成装置100に着脱可能になっている。トナーカートリッジ9の下方には、トナー搬送装置18がトナーカートリッジ9に対応して配置される。トナー搬送装置18はトナーカートリッジ9から受け取ったトナーを上方に搬送し、現像ユニット4にトナーを供給する。トナーカートリッジ9及びトナー搬送装置18は、補給装置として機能する。
(制御部)
画像形成装置100は、制御部80を有している。図2は制御部80等を示す図である。制御部80は、CPU81を搭載している。制御部80は、プロセスカートリッジ70が画像形成装置100本体に装着されると、プロセスカートリッジ70に設けられたメモリー77に接続される。制御部80には、現像ローラ25の走行距離を計測(カウント)するための走行距離計測部90と、現像ローラ25の補正後の走行距離を算出するための走行距離算出部91が設けられている。また、制御部80には、連続印刷の枚数を計数する枚数計数部92が設けられている。なお、図2では、制御部80とは別に走行距離計測部90、走行距離算出部91、枚数計数部92が設けられているが、制御部80が走行距離計測部90、走行距離算出部91、枚数計数部92の機能を発揮してもよく、後述する図8、図10においても同様とする。走行距離計測部90は、現像ローラ25の走行距離(現像ローラ25の使用に応じた距離)を計測する計測手段として機能する。枚数計数部92は、1つのジョブごとに連続して画像形成を行う連続印刷の枚数を計数する枚数計数手段として機能する。走行距離算出部91は、枚数計数部92により計数された枚数に応じて後述する第1補正係数を設定し、設定した第1補正係数を用いて走行距離計測部90により計測された走行距離を補正する補正手段として機能する。制御部80は、走行距離算出部91により補正した補正後の走行距離である補正距離が閾値に到達した場合に現像ユニット4に関する情報を報知する報知部として機能する。制御部80は、例えば、表示操作部99を用いて現像ユニット4に関する情報を表示してもよい。現像ユニット4に関する情報は、具体的には、現像ユニット4の交換を促すメッセージや記号や絵もしくは現像ユニット4が寿命到達したこともしくは現像ユニット4の寿命に近いことを示すメッセージや記号や絵である。また例えば、制御部80は、画像形成装置100が光を点滅させる発光部を備えている場合、発光部を点滅させる等して現像ユニット4に関する情報を報知するようにしてもよい。さらに、制御部80は、画像形成装置100が音を発するスピーカーを備えている場合、スピーカーから音を鳴らして現像ユニット4に関する情報を報知してもよい。なお、制御部80が、計測手段、枚数計数手段、補正手段として機能してもよい。
走行距離算出部91は、走行距離計測部90により計測された走行距離に基づいて、後述する補正を行い、補正された通算の走行距離(以下、通算の補正距離ともいう)を算出する。制御部80は、現像ローラ25の寿命を判断する寿命判断部として機能し、走行距離算出部91により算出された後述する通算の補正距離から、現像ユニット4が寿命に達したか否かの判断を行う。制御部80は、現像ユニット4、言い換えればプロセスカートリッジ70が寿命に達したと判断した場合、プロセスカートリッジ70の交換を促すために、カートリッジ70が寿命に到達した旨の情報を表示操作部99に表示させてユーザーに報知する。
<プロセスカートリッジ>
プロセスカートリッジ70について、図3及び図4(a)を用いて説明する。図3はトナーを収容したプロセスカートリッジ70の主断面を示す図である。図4(a)は、プロセスカートリッジ70の外観斜視図であり、主な符号のみ付している。プロセスカートリッジ70Yは、イエロー色のトナーを収容している。プロセスカートリッジ70Mは、マゼンタ色のトナーを収容している。プロセスカートリッジ70Cは、シアン色のトナーを収容している。プロセスカートリッジ70Kは、ブラック色のトナーを収容している。なお、プロセスカートリッジ70Y、プロセスカートリッジ70M、プロセスカートリッジ70C、プロセスカートリッジ70Kは同一構成である。
プロセスカートリッジ70は、クリーニングユニット26と、現像装置である現像ユニット4と、を有する。クリーニングユニット26は、感光ドラム1、帯電ローラ2及びクリーニング部材6を備えている。そして、現像ユニット4は、現像回転体である現像ローラ25を備えている。
感光ドラム1の周上には、前述したとおり、帯電ローラ2、クリーニング部材6が配置されている。クリーニング部材6は、例えばゴムブレードで形成された弾性部材7と支持部材8から構成されている。弾性部材7の先端部は、感光ドラム1の回転方向に対してカウンター方向に当接させて配設されている。クリーニング部材6によって感光ドラム1表面から除去されたトナーは、除去トナー室27eに落下し収容される。除去トナー室27eに収容されたトナーが漏れることを防止するスクイシート21が、感光ドラム1に当接している。クリーニングユニット26に駆動源であるモータ(不図示)の駆動力が伝達されることにより、感光ドラム1が画像形成動作に応じて回転駆動する。帯電ローラ2は、軸受28を介し、クリーニングユニット26に回転可能に取り付けられており、加圧部材(不図示)により感光ドラム1に向かって加圧され、感光ドラム1に従動回転する。
プロセスカートリッジ70は、図4(a)に示すように、不揮発性の記憶手段であるメモリー77を備えている。メモリー77には、現像ローラ25の使用情報及び寿命情報、並びに、トナーの使用情報及び寿命情報が格納されている。制御部80は、メモリー77にアクセスすることにより、現像ローラ25の使用情報及び寿命情報、並びに、トナーの使用情報及び寿命情報を読み出すことができる。制御部80は、画像形成装置100の電源のON/OFFが行われた場合、又はプロセスカートリッジ70が交換された場合等の適切なタイミングで、現像ユニット4の使用状況及び交換時期(寿命)の算出を、正確かつ迅速に行うことができる。
<現像ユニットとトナー搬送>
図3及び図4(b)を用いて現像ユニット4について説明する、図4(b)は、現像ユニット4の外観斜視図であり、主な符号のみ付している。図3及び図4(b)に示すように、現像ユニット4は、感光ドラム1と接触して矢印D方向に回転する現像ローラ25と、現像ローラ25を支持する枠体31とから構成される。現像ローラ25は、枠体31の両側にそれぞれ取り付けられた前軸受25e、奥軸受25fを介して、回転自在に枠体31に支持されている。現像ローラ25の周上には、現像ローラ25に接触して矢印C方向に回転する供給部材である供給ローラ34と、現像ローラ25上に形成されるトナーの層(以下、トナー層という)を規制するための規制部材である現像ブレード35がそれぞれ配置されている。供給ローラ34から現像ローラ25に供給されたトナーは、現像ブレード35を通過するときに現像ローラ25上のトナーのコート量を規制するとともにトナーを帯電させる。これによって、感光ドラム1上に作られた静電潜像を現像するために最適なトナーのコート量でトナー層が形成される。
現像ローラ25と感光ドラム1とは、対向部(接触部)において互いの表面が同じ方向(実施例1では、接触部において下から上に向かう方向)に移動するようにそれぞれ回転する。実施例1では、現像部において、現像ローラ25に印加された所定の直流電圧に対して、摩擦によりマイナスに帯電したトナーとの間で電位差が生じ、静電潜像が形成された部分(以下、明部電位部ともいう)にのみトナーが転移して静電潜像が顕像化される。なお、現像部とは、現像ローラ25が感光ドラム1に接触する部分をいう。
現像ユニット4には、現像ローラ25に当接した枠体31からトナーが漏れることを防止するための当接シートである防止シート20が配置されている。さらに枠体31のトナー収容室31eは、トナー200(図1参照)が収容された容器である。トナー収容室31eには、収容されたトナーを撹拌するとともに供給ローラ34へトナーを搬送するための撹拌部材36が設けられている。撹拌部材36は、外部からの駆動力によって回転可能な撹拌軸36eと、撹拌軸36eに取り付けられ、撹拌軸36eと共に回転する撹拌シート36fから構成されている。
<トナー>
実施例1で使用したトナーについて説明する。実施例1のトナーは、トナー粒子の表面に例えば有機ケイ素重合体を含む凸部を有する。この凸部は、トナー粒子の表面に面接触している。面接触することにより、凸部の移動・脱離・埋没に対する抑制効果が顕著に期待できる。面接触の程度を表すために、トナーの走査透過電子顕微鏡(STEM)による断面観察を行った。以下、走査透過電子顕微鏡により得られた像をSTEM像という。図5にトナー粒子の凸部の模式図を示す。
図5(a)に示す30がSTEM像であり、トナー粒子の断面構成の約1/4程度が分かる像である。Tpはトナー母粒子、Tpsはトナー母粒子Tpの表面、Teが凸部である。すなわち、STEM像30は、トナー母粒子Tpの断面中心を原点とする座標系の4つの象限のうちの1つの象限における断面構成を示す像であり、残り3つの象限の断面構成は対称的に同様の構成を有していると推定する。
トナーの断面画像を観察し、トナー母粒子Tpの表面Tpsの周に沿った線を描く。その周に沿った線を基準として水平画像へ変換を行う。変換後の水平画像において、凸部Teとトナー母粒子Tpとが連続した界面を形成している部分の周に沿った線の長さを、図5(b)に示すように凸幅wとする。また、凸幅wの法線方向において凸部Teの最大長を、図5(b)に示すように凸径dφとする。さらに、凸径dφを形成する線分の凸部Teの頂点から周に沿った線までの長さを、図5(b)に示すように凸高さhとする。
断面観察を行った結果、図5(b)~図5(d)に示す3種類の構成の凸部Teが典型的なものとして観察された。後述する実施例1の製造方法によって製造されるトナーにおいて形成される凸部Teの構成としては、図5(b)に示す凸部Teが大半を占め、この凸部Teが、後述する平面部Tepと曲面部Tecとを有する凸部Teである。
図5(b)及び図5(d)のトナーは、凸径dφと凸高さhは同じである(dφ=h)。図5(c)のトナーは、凸径dφは凸高さhより大きくなる(dφ>h)。また、図5(d)は、中空粒子を潰す・割るなどして得られた、半球粒子の中心部が凹んだ、ボウル形状の粒子に類する粒子の固着状態を模式的に表したものである。図5(d)において、凸幅wはトナー母粒子Tpの表面Tpsと接している有機ケイ素化合物の長さの合計とする。すなわち、図5(d)のトナーの凸幅wは図5(d)に示す幅W1と幅W2との合計となる(w=W1+W2)。
このような条件に基づき、有機ケイ素化合物の凸部Teにおいて、凸幅wに対する凸径dφの比dφ/wが、0.33以上0.80以下の凸形状であれば、凸部Teが移動・脱離・埋没しにくいことを見出した。ここで、凸部Teについて、凸高さhが40nm以上300nm以下であるとする。このような範囲に含まれる凸部Teにおいて、比dφ/wが0.33以上0.80以下の凸部Teの個数割合P(dφ/w)が70個数%以上であれば、長寿命化に耐えうる優れた転写性を発現することを見出した。
40nm以上の凸部Teによって、トナー母粒子Tpの表面Tpsと転写部材との間にスペーサー効果が生じることで、転写性が良化しているものと考えられる。一方、300nm以下の凸部Teによって、耐久評価を通じて、移動・脱離・埋没への抑制効果が著しく発現していると考えられる。
40nm以上300nm以下の凸高さhの凸部Teの割合として、個数割合P(dφ/w)が70個数%以上であれば、耐久を通じて転写性を維持しつつ、さらに高い部材に対する汚染抑制の効果が発現することが判った。個数割合P(dφ/w)は、75個数%以上であることが好ましく、80個数%以上であることがより好ましい。一方、上限は特に制限されないが、好ましくは99個数%以下であり、より好ましくは98個数%以下である。
また、STEMによるトナーの断面観察において、水平画像の幅(トナー母粒子Tpの表面Tpsの周に沿った線の長さ)を周囲長Fとする。水平画像に存在する有機ケイ素重合体の凸部Teのうち、凸高さhが40nm以上300nm以下となる凸部Teの凸幅wの合計をΣwとしたとき、Σw/Fが0.30以上0.90以下であることが好ましい。Σw/Fが0.30以上であれば転写性と部材に対する汚染の抑制効果がより良好になり、Σw/Fが0.90以下であると転写性がより優れる。Σw/Fは、0.45以上0.80以下であればより好ましい。
さらに、トナーの有機ケイ素重合体の固着率が80質量%以上であることが好ましい。固着率が80質量%以上であれば、転写性及び部材に対する汚染の抑制効果が長期間の使用を通じてより持続させやすい。固着率は、より好ましくは90質量%以上であり、さらに好ましくは95質量%以上である。一方、上限は特に制限されないが、好ましくは99質量%以下であり、より好ましくは98質量%以下である。固着率を制御する方法の一例として、有機ケイ素化合物を添加し重合する際の、有機ケイ素重合体の添加速度、反応温度、反応時間、反応時のpH及びpH調整のタイミングなどが挙げられる。
転写性をより良好にする観点から、凸高さhが40nm以上300nm以下である凸部Teにおいて、凸高さhの累積分布をとり、凸高さhの小さい方から積算して80個数%にあたる凸高さhをh80としたとき、h80は65nm以上であることが好ましい。より好ましくはh80が75nm以上である。上限は特に制限されないが、好ましくはh80が120nm以下であり、より好ましくは100nm以下である。
STEMよるトナーの観察において、有機ケイ素重合体の凸部Teの最大径を凸径Rφとしたときに、凸径Rφの個数平均径が20nm以上80nm以下であることが好ましい。より好ましくは、凸径Rφの個数平均径は35nm以上60nm以下である。このような範囲であると、部材の汚染が発生しにくくなる。
トナーは、次の化学式(1)で表される構造を有する有機ケイ素重合体を含む。
Figure 2023178902000002
ここで、化学式(1)中、Rは炭素数1以上6以下のアルキル基又はフェニル基を示す。
化学式(1)の構造を有する有機ケイ素重合体において、Si原子の4個の原子価のうち1個はRと、残り3個はO原子と結合している。O原子は、原子価2個がいずれもSiと結合している状態、つまり、シロキサン結合(Si-O-Si)を構成する。有機ケイ素重合体であるSi原子とO原子を考えると、Si原子2個でO原子3個を有することになるため、-SiO3/2と表現される。この有機ケイ素重合体の-SiO3/2構造は、多数のシロキサン結合で構成されるシリカ(SiO)と類似の性質を有することが考えられる。
化学式(1)で表される部分構造において、Rは炭素数1以上6以下のアルキル基であることが好ましく、炭素数が1以上3以下のアルキル基であることがより好ましい。炭素数が1以上3以下のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基が好ましく例示できる。さらに好ましくは、Rはメチル基である。
有機ケイ素重合体は、次の化学式(Z)で表される構造を有する有機ケイ素化合物の縮重合物であることが好ましい。
Figure 2023178902000003
ここで、化学式(Z)中、Rは、炭素数1以上6以下の炭化水素基(好ましくはアルキル基)を表し、R、R及びRは、それぞれ独立して、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、アセトキシ基、又は、アルコキシ基を表す。
は炭素数1以上3以下の脂肪族炭化水素基であることが好ましく、メチル基であることがより好ましい。R、R及びRは、それぞれ独立して、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、アセトキシ基、又は、アルコキシ基である(以下、反応基ともいう)。これらの反応基が加水分解、付加重合及び縮重合させて架橋構造を形成する。加水分解性が室温で穏やかであり、トナー母粒子Tpの表面への析出性の観点から、炭素数1~3のアルコキシ基であることが好ましく、メトキシ基やエトキシ基であることがより好ましい。
また、R、R及びRの加水分解、付加重合及び縮合重合は、反応温度、反応時間、反応溶媒及びpHによって制御することができる。実施例1で用いられる有機ケイ素重合体を得るには、化学式(Z)中のRを除く一分子中に3つの反応基(R、R及びR)を有する有機ケイ素化合物(以下、三官能性シランともいう)を1種又は複数種を組み合わせて用いるとよい。
化学式(Z)で表される化合物としては以下のものが挙げられる。
メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルジエトキシメトキシシラン、メチルエトキシジメトキシシラン、メチルトリクロロシラン、メチルメトキシジクロロシラン、メチルエトキシジクロロシラン、メチルジメトキシクロロシラン、メチルメトキシエトキシクロロシラン、メチルジエトキシクロロシラン、メチルトリアセトキシシラン、メチルジアセトキシメトキシシラン、メチルジアセトキシエトキシシラン、メチルアセトキシジメトキシシラン、メチルアセトキシメトキシエトキシシラン、メチルアセトキシジエトキシシラン、メチルトリヒドロキシシラン、メチルメトキシジヒドロキシシラン、メチルエトキシジヒドロキシシラン、メチルジメトキシヒドロキシシラン、メチルエトキシメトキシヒドロキシシラン、メチルジエトキシヒドロキシシランのような三官能性のメチルシラン。
エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、エチルトリクロロシラン、エチルトリアセトキシシラン、エチルトリヒドロキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、プロピルトリクロロシラン、プロピルトリアセトキシシラン、プロピルトリヒドロキシシラン、ブチルトリメトキシシラン、ブチルトリエトキシシラン、ブチルトリクロロシラン、ブチルトリアセトキシシラン、ブチルトリヒドロキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、ヘキシルトリエトキシシラン、ヘキシルトリクロロシラン、ヘキシルトリアセトキシシラン、ヘキシルトリヒドロキシシランのような三官能性のシラン。
フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、フェニルトリクロロシラン、フェニルトリアセトキシシラン、フェニルトリヒドロキシシランのような三官能性のフェニルシラン。
また、本発明の効果を損なわない程度に、化学式(Z)で表される構造を有する有機ケイ素化合物とともに、以下を併用して得られた有機ケイ素重合体を用いてもよい。一分子中に4つの反応基を有する有機ケイ素化合物(四官能性シラン)、一分子中に2つの反応基を有する有機ケイ素化合物(二官能性シラン)又は1つの反応基を有する有機ケイ素化合物(一官能性シラン)。例えば以下のようなものが挙げられる。
ジメチルジエトキシシラン、テトラエトキシシラン、ヘキサメチルジシラザン、3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリエメトキシシラン、3-(2-アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、3-(2-アミノエチル)アミノプロピルトリエトキシシラン、ビニルトリイソシアネートシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルジエトキシメトキシシラン、ビニルエトキシジメトキシシラン、ビニルエトキシジヒドロキシシラン、ビニルジメトキシヒドロキシシラン、ビニルエトキシメトキシヒドロキシシラン、ビニルジエトキシヒドロキシシラン、のような三官能性のビニルシラン。
さらに、トナー粒子中の有機ケイ素重合体の含有量は1.0質量%以上10.0質量%以下であることが好ましい。
上述した特定の凸形状をトナー粒子表面に形成する好ましい手法として、水系媒体にトナー母粒子Tpを分散し、トナー母粒子分散液を得たところへ、有機ケイ素化合物を添加し凸形状を形成させトナー粒子分散液を得る方法が挙げられる。
トナー母粒子分散液は固形分濃度を25質量%以上50質量%以下に調整することが好ましい。そして、トナー母粒子分散液の温度は35℃以上に調整しておくことが好ましい。また、トナー母粒子分散液のpHは有機ケイ素化合物の縮合が進みにくいpHに調整することが好ましい。有機ケイ素重合体の縮合が進みにくいpHは物質によって異なるため、最も反応が進みにくいpHを中心として、±0.5以内が好ましい。
一方、有機ケイ素化合物は加水分解処理を行ったものを用いることが好ましい。例えば、有機ケイ素化合物の前処理として別容器で加水分解しておく。加水分解の仕込み濃度は有機ケイ素化合物の量を100質量部とした場合、イオン交換水やRO水などイオン分を除去した水40質量部以上500質量部以下が好ましく、100質量部以上400質量部以下がより好ましい。加水分解の条件としては、好ましくはpHが2~7、温度が15~80℃、時間が30~600分である。
得られた加水分解液とトナー母粒子分散液とを混合して、縮合に適したpH(好ましくは6~12、又は1~3、より好ましくは8~12)に調整する。加水分解液の量はトナー母粒子100質量部に対して有機ケイ素化合物5.0質量部以上30.0質量部以下に調整することで、凸形状を形成しやすくする。凸形状の形成と縮合の温度と時間は、35℃~99℃で、60分~72時間保持して行うことが好ましい。
また、トナー粒子の表面の凸形状を制御するにあたって、pHを2段階に分けて調整することが好ましい。pHを調整する前の保持時間及び、二段階目にpH調整する前の保持時間を適宜調整し有機ケイ素化合物を縮合することで、トナー粒子表面の凸形状を制御できる。例えばpH4.0~6.0で0.5時間~1.5時間保持した後に、pH8.0~11.0で3.0時間~5.0時間保持することが好ましい。また、有機化合物の縮合温度を35℃~80℃の範囲で調整することによっても凸形状が制御できる。
例えば、凸部Teの凸幅wは、有機ケイ素化合物の添加量、反応温度及び一段階目の反応pHや反応時間などにより制御できる。例えば、一段回目の反応時間が長くなると凸幅wが大きくなる傾向がある。また、凸部Teの凸径dφ及び凸高さhは、有機ケイ素重合体の添加量、反応温度及び二段階目のpHなどにより制御できる。例えば、二段階目の反応pHが高いと凸径dφ及び凸高さhが大きくなる傾向がある。
(トナーの製造方法)
以下、トナーの具体的な製造方法について説明するが、これらに限定されるわけではない。トナー母粒子Tpを水系媒体中で製造し、トナー母粒子Tpの表面Tpsに有機ケイ素重合体を含む凸部Teを形成することが好ましい。トナー母粒子Tpの製造方法として、懸濁重合法・溶解懸濁法・乳化凝集法が好ましく、中でも懸濁重合法がより好ましい。懸濁重合法では有機ケイ素重合体がトナー母粒子Tpの表面に均一に析出し易く、有機ケイ素重合体の接着性に優れ、環境安定性、帯電量反転成分抑制効果、及びそれらの耐久持続性が良好になる。以下、懸濁重合法についてさらに説明する。
懸濁重合法は、結着樹脂を生成しうる重合性単量体、及び必要に応じて着色剤などの添加剤を含有する重合性単量体組成物を水系媒体中で造粒し、該重合性単量体組成物に含まれる重合性単量体を重合することにより、トナー母粒子Tpを得る方法である。重合性単量体組成物には、必要に応じて離型剤、その他の樹脂を添加してもよい。また、重合工程終了後は、公知の方法で、生成した粒子を洗浄、濾過により回収することができる。なお、上述した重合工程の後半に昇温してもよい。さらに未反応の重合性単量体又は副生成物を除去するために、重合工程後半又は重合工程終了後に一部分散媒体を反応系から留去することも可能である。このようにして得られたトナー母粒子Tpを用い、上述した方法により有機ケイ素重合体の凸部Teを形成させることが好ましい。
トナーには離型剤を用いてもよい。離型剤としては、以下のものが挙げられる。
パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、ペトロラタムのような石油系ワックス及びその誘導体、モンタンワックス及びその誘導体、フィッシャートロプシュ法による炭化水素ワックス及びその誘導体、ポリエチレン、ポリプロピレンのようなポリオレフィンワックス及びその誘導体、カルナバワックス、キャンデリラワックスのような天然ワックス及びその誘導体、高級脂肪族アルコール、ステアリン酸、パルミチン酸のような脂肪酸、あるいはその酸アミド、エステル、又はケトン、硬化ヒマシ油及びその誘導体、植物系ワックス、動物性ワックス、シリコ-ン樹脂。
なお、誘導体には酸化物や、ビニル系モノマーとのブロック共重合物、グラフト変性物を含む。離型剤は単独で用いてもよいし複数を混合し使用してもよい。離型剤の含有量は、結着樹脂又は結着樹脂を生成する重合性単量体100質量部に対して2.0質量部以上30.0質量部以下であることが好ましい。
その他の樹脂として、例えば、以下の樹脂を用いることができる。
ポリスチレン、ポリビニルトルエンのようなスチレン及びその置換体の単重合体;スチレン-プロピレン共重合体、スチレン-ビニルトルエン共重合体、スチレン-ビニルナフタリン共重合体、スチレン-アクリル酸メチル共重合体、スチレン-アクリル酸エチル共重合体、スチレン-アクリル酸ブチル共重合体、スチレン-アクリル酸オクチル共重合体、スチレン-アクリル酸ジメチルアミノエチル共重合体、スチレン-メタクリル酸メチル共重合体、スチレン-メタクリル酸エチル共重合体、スチレン-メタクリル酸ブチル共重合体、スチレン-メタクリ酸ジメチルアミノエチル共重合体、スチレン-ビニルメチルエーテル共重合体、スチレン-ビニルエチルエーテル共重合体、スチレン-ビニルメチルケトン共重合体、スチレン-ブタジエン共重合体、スチレン-イソプレン共重合体、スチレン-マレイン酸共重合体、スチレン-マレイン酸エステル共重合体のようなスチレン系共重合体;ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、ポリ酢酸ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリビニルブチラール、シリコーン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、エポキシ樹脂、ポリアクリル樹脂、ロジン、変性ロジン、テルペン樹脂、フェノール樹脂、脂肪族または脂環族炭化水素樹脂、芳香族系石油樹脂。これらは単独で用いてもよいし、複数を混合し用いてもよい。
重合性単量体として、以下に示すビニル系重合性単量体が好適に例示できる。
スチレン;α-メチルスチレン、β-メチルスチレン、o-メチルスチレン、m-メチルスチレン、p-メチルスチレン、2,4-ジメチルスチレン、p-n-ブチルスチレン、p-tert-ブチルスチレン、p-n-ヘキシルスチレン、p-n-オクチル、p-n-ノニルスチレン、p-n-デシルスチレン、p-n-ドデシルスチレン、p-メトキシスチレン、p-フェニルスチレンのようなスチレン誘導体;メチルアクリレート、エチルアクリレート、n-プロピルアクリレート、iso-プロピルアクリレート、n-ブチルアクリレート、iso-ブチルアクリレート、tert-ブチルアクリレート、n-アミルアクリレート、n-ヘキシルアクリレート、2-エチルヘキシルアクリレート、n-オクチルアクリレート、n-ノニルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、ベンジルアクリレート、ジメチルフォスフェートエチルアクリレート、ジエチルフォスフェートエチルアクリレート、ジブチルフォスフェートエチルアクリレート、2-ベンゾイルオキシエチルアクリレートのようなアクリル系重合性単量体;メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、n-プロピルメタクリレート、iso-プロピルメタクリレート、n-ブチルメタクリレート、iso-ブチルメタクリレート、tert-ブチルメタクリレート、n-アミルメタクリレート、n-ヘキシルメタクリレート、2-エチルヘキシルメタクリレート、n-オクチルメタクリレート、n-ノニルメタクリレート、ジエチルフォスフェートエチルメタクリレート、ジブチルフォスフェートエチルメタクリレートのようなメタクリル系重合性単量体;メチレン脂肪族モノカルボン酸エステル類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、安息香酸ビニル、酪酸ビニル、安息香酸ビニル、蟻酸ビニルのようなビニルエステル;ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルイソブチルエーテルのようなビニルエーテル;ビニルメチルケトン、ビニルヘキシルケトン、ビニルイソプロピルケトン。
これらのビニル重合体の中でも、スチレン、スチレン誘導体、アクリル系重合性単量体及びメタクリル系重合性単量体が好ましい。また、重合性単量体の重合に際して、重合開始剤を添加してもよい。重合開始剤としては、以下のものが挙げられる。
2,2’-アゾビス-(2,4-ジバレロニトリル)、2,2’-アゾビスイソブチロニトリル、1,1’-アゾビス(シクロヘキサン-1-カルボニトリル)、2,2’-アゾビス-4-メトキシ-2,4-ジメチルバレロニトリル、アゾビスイソブチロニトリルのようなアゾ系、又はジアゾ系重合開始剤;ベンゾイルペルオキシド、メチルエチルケトンペルオキシド、ジイソプロピルオキシカーボネート、クメンヒドロペルオキシド、2,4-ジクロロベンゾイルペルオキシド、ラウロイルペルオキシドのような過酸化物系重合開始剤。
これらの重合開始剤は、重合性単量体100質量部に対して0.5質量部~30.0質量部の添加が好ましく、単独で用いても複数を併用してもよい。
また、トナー母粒子Tpを構成する結着樹脂の分子量をコントロールするために、重合性単量体の重合に際して、連鎖移動剤を添加してもよい。好ましい添加量としては、重合性単量体100質量部に対し0.001質量部~15.000質量部である。
一方、トナー母粒子Tpを構成する結着樹脂の分子量をコントロールするために、重合性単量体の重合に際して、架橋剤を添加してもよい。例えば、以下のものが挙げられる。
ジビニルベンゼン、ビス(4-アクリロキシポリエトキシフェニル)プロパン、エチレングリコールジアクリレート、1,3-ブチレングリコールジアクリレート、1,4-ブタンジオールジアクリレート、1,5-ペンタンジオールジアクリレート、1,6-ヘキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコール#200、#400、#600の各ジアクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、ポリエステル型ジアクリレート(MANDA 日本化薬)、及び以上のアクリレートをメタクリレートに変えたもの。
多官能の架橋性単量体としては以下のものが挙げられる。
ペンタエリスリトールトリアクリレート、トリメチロールエタントリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、オリゴエステルアクリレート及びそのメタクリレート、2,2-ビス(4-メタクリロキシ・ポリエトキシフェニル)プロパン、ジアクリルフタレート、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、トリアリルトリメリテート、ジアリールクロレンデート。
好ましい添加量としては、重合性単量体100質量部に対して、0.001質量部~15.000質量部である。
上述した懸濁重合の際に用いられる媒体が水系媒体の場合には、重合性単量体組成物の粒子の分散安定剤として以下のものを使用することができる。
リン酸三カルシウム、リン酸マグネシウム、リン酸亜鉛、リン酸アルミニウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、メタ珪酸カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、ベントナイト、シリカ、アルミナ。
また、有機系の分散剤としては、以下のものが挙げられる。
ポリビニルアルコール、ゼラチン、メチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロースのナトリウム塩、デンプン。
また、市販のノニオン、アニオン、カチオン型の界面活性剤の利用も可能である。このような界面活性剤としては、以下のものが挙げられる。
ドデシル硫酸ナトリウム、テトラデシル硫酸ナトリウム、ペンタデシル硫酸ナトリウム、オクチル硫酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウム、ラウリル酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム。
トナーには着色剤を用いてもよく、特に限定されず公知のものを使用することができる。なお、着色剤の含有量は、結着樹脂又は結着樹脂を生成しうる重合性単量体100質量部に対して3.0質量部~15.0質量部であることが好ましい。
トナー製造時に荷電制御剤を用いることができ、公知のものが使用できる。これらの荷電制御剤の添加量としては、結着樹脂又は重合性単量体100質量部に対して、0.01質量部~10.00質量部であることが好ましい。
トナー粒子はそのままトナーとして用いてもよいし、必要に応じて、トナー粒子に各種有機又は無機微粉体を外添してもよい。該有機又は無機微粉体は、トナー粒子に添加した時の耐久性から、トナー粒子の重量平均粒径の1/10以下の粒径であることが好ましい。
有機微粉体又は無機微粉体としては、例えば、以下のようなものが用いられる。
(1)流動性付与剤:シリカ、アルミナ、酸化チタン、カーボンブラック及びフッ化カーボン。
(2)研磨剤:金属酸化物(例えばチタン酸ストロンチウム、酸化セリウム、アルミナ、酸化マグネシウム、酸化クロム)、窒化物(例えば窒化ケイ素)、炭化物(例えば炭化ケイ素)、金属塩(例えば硫酸カルシウム、硫酸バリウム、炭酸カルシウム)。
(3)滑剤:フッ素系樹脂粉末(例えばフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン)、脂肪酸金属塩(例えばステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム)。
(4)荷電制御性粒子:金属酸化物(例えば酸化錫、酸化チタン、酸化亜鉛、シリカ、アルミナ)、カーボンブラック。
トナーの流動性の改良及びトナーの帯電均一化のために有機微粉体又は無機微粉体の表面処理を行ってもよい。有機微粉体又は無機微粉体の疎水化処理の処理剤としては、未変性のシリコーンワニス、各種変性シリコーンワニス、未変性のシリコーンオイル、各種変性シリコーンオイル、シラン化合物、シランカップリング剤、その他有機ケイ素化合物、有機チタン化合物が挙げられる。これらの処理剤は単独で用いてもよいし複数を併用してもよい。
<走査透過型電子顕微鏡(STEM)のトナーの断面の観察方法>
以下、実施例1に関係する各種測定方法を述べる。STEMで観察されるトナーの断面は以下のようにして作製する。以下、トナーの断面の作製手順を説明する。まず、カバーガラス(松波硝子社、角カバーグラス;正方形No.1)上にトナーを一層となるように散布する。オスミウム・プラズマコーター(filgen社、OPC80T)を用いて、保護膜としてトナーにOs膜(5nm)及びナフタレン膜(20nm)を施す。次に、PTFE製のチューブ(Φ1.5mm×Φ3mm×3mm)に光硬化性樹脂D800(日本電子社)を充填する。そして、チューブの上に上述したカバーガラスをトナーが光硬化性樹脂D800に接するような向きで静かに置く。この状態で光を照射して樹脂を硬化させた後、カバーガラスとチューブを取り除くことで、最表面にトナーが包埋された円柱型の樹脂を形成する。超音波ウルトラミクロトーム(Leica社、UC7)により、切削速度0.6mm/sで、円柱型の樹脂の最表面からトナーの半径(例えば、重量平均粒径(D4)が8.0μmの場合は4.0μm)の長さだけ切削して、トナー中心部の断面を出す。次に、膜厚100nmとなるように切削し、トナーの断面の薄片サンプルを作製する。このような手法で切削することで、トナー中心部の断面を得ることができる。
STEMのプローブサイズは1nm、画像サイズ1024×1024pixelにてSTEMによる画像を取得する。また、明視野像のDetector Controlパネルのコントラストを1425、ブライトネスを3750、Image Controlパネルのコントラストを0.0、ブライトネスを0.5、ガンマを1.00に調整して、画像を取得する。画像倍率は100,000倍とし、図6で説明したようにトナー1粒子中の断面の周のうち4分の1から2分の1程度収まるように画像取得を行う。得られた画像(図5(a)のSTEM像30に対応)について、画像処理ソフト(イメージJ(https://imagej.nih.gov/ij/より入手可能))を用いて画像解析を行い、有機ケイ素重合体を含む凸部Teを計測する。画像解析はSTEM画像30枚について行う。
まず、ライン描画ツール(StraghtタブのSegmented lineを選択)にてトナー母粒子Tpの周に沿った線を描く。有機ケイ素重合体の凸部Teがトナー母粒子Tpに埋没しているような部分は、その埋没はないものとして滑らかに線をつなぐ。その線を基準に水平画像へ変換を行う。具体的には、EditタブのSelection選択し、propertiesにてline widthを500pixelに変更後、EditタブのSelectionを選択しStraghtener行う。水平画像について、有機ケイ素重合体を含む凸部Teについて一箇所ずつ、前述した方法により凸幅w、凸径dφ及び凸高さhを計測する。STEM画像30枚について測定した結果から、個数割合P(dφ/w)を算出する。また、凸高さhの累積分布をとり、上述したh80を算出する。
また、画像解析に用いた水平画像に存在する凸高さhが40nm以上300nm以下となる凸部Teの凸幅wの合計値をΣwとし、画像解析に用いた水平画像の幅を周囲長Fとする。水平画像の幅が、STEM画像中のトナー母粒子Tpの表面Tpsの長さに相当する。一枚の画像からΣw/Fを算出し、STEM画像30枚の相加平均値を採用する。詳細な凸部Teの計測に関しては、上述した説明や図5のとおりである。
計測はImage Jにて、画像上のスケールをStraightタブのStraight Lineで重ね、AnalyzeタブのSet Scaleにて、画像上のスケールの長さを設定したのち行う。凸部Teの凸幅w又は凸高さhに相当する線分をStraightタブのStraight Lineで描き、AnalyzeタブのMeasureにて計測することができる。
<走査型電子顕微鏡(STEM)の凸部の平均粒径の算出方法>
STEM観察の方法は、以下のとおり。日立超高分解能電界放出形走査電子顕微鏡S-4800((株)日立ハイテクノロジーズ)にて撮影される画像を用いて行う。S-4800の画像撮影条件は以下のとおりである。
(1)試料作製
試料台(アルミニウム試料台15mm×6mm)に導電性ペースト(TED PELLA,Inc、 Product No. 16053, PELCO Colloidal Graphite,Isopropanol base)を薄く塗る。そして、その上にトナーを吹き付ける。さらにエアブローして、余分な微粒子を試料台から除去した後、15mAで15秒間白金蒸着する。試料台を試料ホルダにセットし、試料高さゲージにより試料台高さを30mmに調節する。
(2)S-4800観察条件設定
S-4800の筺体に取り付けられているアンチコンタミネーショントラップに液体窒素を溢れるまで注入し、30分間置く。S-4800の「PC-SEM」を起動し、フラッシング(電子源であるFEチップの清浄化)を行う。画面上のコントロールパネルの加速電圧表示部分をクリックし、[フラッシング]ボタンを押し、フラッシング実行ダイアログを開く。フラッシング強度が2であることを確認し、実行する。フラッシングによるエミッション電流が20~40μAであることを確認する。試料ホルダをS-4800筺体の試料室に挿入する。コントロールパネル上の[原点]を押し試料ホルダを観察位置に移動させる。
加速電圧表示部をクリックしてHV設定ダイアログを開き、加速電圧を[2.0kV]、エミッション電流を[10μA]に設定する。オペレーションパネルの[基本]のタブ内にて、信号選択を[SE]に設置し、SE検出器を[下(L)]を選択し、反射電子像を観察するモードにする。同じくオペレーションパネルの[基本]のタブ内にて、電子光学系条件ブロックのプローブ電流を[Normal]に、焦点モードを[UHR]に、WDを[8.0mm]に設定する。コントロールパネルの加速電圧表示部の[ON]ボタンを押し、加速電圧を印加する。
(3)焦点調整
コントロールパネルの倍率表示部内をドラッグして、倍率を5000(5k)倍に設定する。操作パネルのフォーカスつまみ[COARSE]を回転させ、ある程度焦点が合ったところでアパーチャアライメントの調整を行う。コントロールパネルの[Align]をクリックし、アライメントダイアログを表示し、[ビーム]を選択する。操作パネルのSTIGMA/ALIGNMENTつまみ(X,Y)を回転し、表示されるビームを同心円の中心に移動させる。
次に[アパーチャ]を選択し、STIGMA/ALIGNMENTつまみ(X,Y)を1つずつ回し、像の動きを止める又は最小の動きになるように合わせる。アパーチャダイアログを閉じ、オートフォーカスで、ピントを合わせる。この操作を更に2度繰り返し、ピントを合わせる。観察粒子の最大径の中点を測定画面の中央に合わせた状態でコントロールパネルの倍率表示部内をドラッグして、倍率を10000(10k)倍に設定する。操作パネルのフォーカスつまみ[COARSE]を回転させ、ある程度焦点が合ったところでアパーチャアライメントの調整を行う。コントロールパネルの[Align]をクリックし、アライメントダイアログを表示し、[ビーム]を選択する。操作パネルのSTIGMA/ALIGNMENTつまみ(X,Y)を回転し、表示されるビームを同心円の中心に移動させる。
次に[アパーチャ]を選択し、STIGMA/ALIGNMENTつまみ(X,Y)を1つずつ回し、像の動きを止める又は最小の動きになるように合わせる。アパーチャダイアログを閉じ、オートフォーカスで、ピントを合わせる。その後、倍率を50000(50k)倍に設定し、上記と同様にフォーカスつまみ、STIGMA/ALIGNMENTつまみを使用して焦点調整を行い、再度オートフォーカスでピントを合わせる。この操作を再度繰り返し、ピントを合わせる。
(4)画像保存
ABCモードで明るさ合わせを行い、サイズ640×480ピクセルで写真撮影して保存する。
得られたSTEM画像から、トナー粒子表面に存在する、20nm以上の凸部Teにおける500箇所の個数平均径(D1)の計算を画像処理ソフト(イメージJ)により行った。測定方法は以下のとおりである。
・有機ケイ素重合体の凸部Teの個数平均径の測定
粒子解析により、画像中の凸部Teとトナー母粒子Tpを二値化により、色分けする。次に、計測コマンドの中から、選択された形状の最大長さを選択し、凸部Teにおける1箇所の凸径Rφ(最大径)を計測する。この操作を複数行い、500箇所の相加平均値を求めることで、凸部Teの凸径Rφの個数平均径を算出する。
<有機ケイ素重合体の固着率の測定方法>
イオン交換水100mLにスクロース(キシダ化学製)160gを加え、湯せんをしながら溶解させ、ショ糖濃厚液を調製する。遠心分離用チューブ(容量50ml)にショ糖濃厚液を31g(グラム)と、コンタミノンNを6mL入れ分散液を作製する。ここで、コンタミノンNとは、非イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、有機ビルダーからなるpH7の精密測定器洗浄用中性洗剤の10質量%水溶液、和光純薬工業社製のものである。この分散液にトナー1.0gを添加し、スパチュラなどでトナーのかたまりをほぐす。
遠心分離用チューブをシェイカーにて350spm(strokes per min)、20分間振とうする。振とう後、溶液をスイングローター用ガラスチューブ(容量50mL)に入れ替えて、遠心分離機(H-9R 株式会社コクサン製)にて3500rpm、30分間の条件で分離する。トナーと水溶液が十分に分離されていることを目視で確認し、最上層に分離したトナーをスパチュラ等で採取する。採取したトナーを含む水溶液を減圧濾過器で濾過した後、乾燥機で1時間以上乾燥する。乾燥品をスパチュラで解砕し、蛍光X線でケイ素の量を測定する。水洗後のトナーと初期のトナーの測定対象の元素量比から固着率(%)を計算する。
各元素の蛍光X線の測定は、JIS K 0119-1969に準ずるが、具体的には以下のとおりである。測定装置としては、波長分散型蛍光X線分析装置「Axios」(PANalytical社製)を用いる。また、測定条件設定及び測定データ解析をするための付属の専用ソフト「SuperQ ver.4.0F」(PANalytical社製)を用いる。なお、X線管球のアノードとしてはRhを用い、測定雰囲気は真空、測定径(コリメーターマスク径)は10mm、測定時間10秒とする。また、軽元素を測定する場合にはプロポーショナルカウンタ(PC)、重元素を測定する場合にはシンチレーションカウンタ(SC)で検出する。
測定サンプルとしては、専用のプレス用アルミリング直径10mmの中に水洗後のトナーと初期のトナーを約1g入れて平らにならし、錠剤成型圧縮機「BRE-32」(前川試験機製作所社製)を用いる。これを、20MPaで60秒間加圧し、厚さ約2mmに成型したペレットを用いる。このような条件で測定を行い、得られたX線のピーク位置をもとに元素を同定し、単位時間あたりのX線光子の数である計数率(単位:cps)からその濃度を算出する。
トナー中の定量方法としては、例えばケイ素量はトナー粒子100質量部に対して、例えば、シリカ(SiO2)微粉末を0.5質量部となるように添加し、コーヒーミルを用いて充分に混合する。同様にして、シリカ微粉末を2.0質量部、5.0質量部となるようにトナー粒子とそれぞれ混合し、これらを検量線用の試料とする。
それぞれの試料について、錠剤成型圧縮機を用いて上述したようにして検量線用の試料のペレットを作製し、PETを分光結晶に用いた際に回折角(2θ)=109.08°に観測されるSi-Kα線の計数率(単位:cps)を測定する。この際、X線発生装置の加速電圧、電流値はそれぞれ、24kV、100mAとする。得られたX線の計数率を縦軸に、各検量線用試料中のSiO2添加量を横軸として、1次関数の検量線を得る。
次に、分析対象のトナーを、錠剤成型圧縮機を用いて上述のようにしてペレットとし、そのSi-Kα線の計数率を測定する。そして、上述した検量線からトナー中の有機ケイ素重合体の含有量を求める。このような方法により算出した初期のトナーの元素量に対して、水洗後のトナーの元素量の比率を求め固着率(%)とする。
[トナーの製造例]
以下に、トナーの製造例を挙げて実施例1のトナーを具体的に説明するが、本発明はこの製造例に制限されるものではない。製造例中の各材料の「部」は特に断りがない場合、全て質量基準である。
(水系媒体1の調製工程)
撹拌機、温度計、還留管を具備した反応容器中にイオン交換水650.0部に、リン酸ナトリウム(ラサ工業社製・12水和物)14.0部を投入し、窒素パージしながら65℃で1.0時間保温した。
T.K.ホモミクサー(特殊機化工業株式会社製)を用いて、15000rpmにて攪拌しながら、イオン交換水10.0部に9.2部の塩化カルシウム(2水和物)を溶解した塩化カルシウム水溶液を一括投入し、分散安定剤を含む水系媒体を調製した。さらに、水系媒体に10質量%塩酸を投入し、pHを5.0に調整し、水系媒体1を得た。
(重合性単量体組成物の調製工程)
・スチレン :60.0部
・C.I.ピグメントブルー15:3 :6.5部
このような材料をアトライタ(三井三池化工機株式会社製)に投入し、さらに直径1.7mmのジルコニア粒子を用いて、220rpmで5.0時間分散させて、顔料分散液を調製した。顔料分散液に次の材料を加えた。
・スチレン:20.0部
・n-ブチルアクリレート:20.0部
・架橋剤(ジビニルベンゼン):0.3部
・飽和ポリエステル樹脂:5.0部
(プロピレンオキサイド変性ビスフェノールA(2モル付加物)とテレフタル酸との重縮合物(モル比10:12)、ガラス転移温度Tg=68℃、重量平均分子量Mw=10000、分子量分布Mw/Mn=5.12)
・フィッシャートロプシュワックス(融点78℃):7.0部
これを65℃に保温し、T.K.ホモミクサー(特殊機化工業株式会社製)を用いて、500rpmにて均一に溶解、分散し、重合性単量体組成物を調製した。
(造粒工程)
水系媒体1の温度を70℃、T.K.ホモミクサーの回転数を15000rpmに保ちながら、水系媒体1中に重合性単量体組成物を投入し、重合開始剤であるt-ブチルパーオキシピバレート10.0部を添加した。そのまま該撹拌装置にて15000rpmを維持しつつ10分間造粒した。
(重合・蒸留工程)
造粒工程の後、攪拌機をプロペラ撹拌羽根に換え150rpmで攪拌しながら70℃を保持して5.0時間重合を行い、85℃に昇温して2.0時間加熱することで重合反応を行った。その後、反応容器の還留管を冷却管に付け替え、スラリーを100℃まで加熱することで、蒸留を6時間行い未反応の重合性単量体を留去し、トナー母粒子分散液を得た。
(有機ケイ素化合物の重合)
撹拌機、温度計を備えた反応容器に、イオン交換水60.0部を秤量し、10質量%の塩酸を用いてpHを4.0に調整した。これを撹拌しながら加熱し、温度を40℃にした。その後、有機ケイ素化合物であるメチルトリエトキシシラン40.0部を添加して2時間以上撹拌して加水分解を行った。加水分解の終点は目視にて油水が分離せず1層になったことで確認を行い、冷却して有機ケイ素化合物の加水分解液を得た。
得られたトナー母粒子分散液の温度を55℃に冷却したのち、有機ケイ素化合物の加水分解液を25.0部添加して有機ケイ素化合物の重合を開始した。そのまま15分保持した後に、3.0%炭酸水素ナトリウム水溶液で、pHを5.5に調整した。55℃で撹拌を継続したまま、60分間保持したのち、3.0%炭酸水素ナトリウム水溶液を用いてpHを9.5に調整し、更に240分保持してトナー粒子分散液を得た。
(洗浄、乾燥工程)
重合工程終了後、トナー粒子分散液を冷却し、トナー粒子分散液に塩酸を加えpH=1.5以下に調整して1時間撹拌放置してから加圧ろ過器で固液分離し、トナーケーキを得た。これをイオン交換水でリスラリーして再び分散液とした後に、前述のろ過器で固液分離してトナーケーキを得た。得られたトナーケーキを40℃の恒温槽にて72時間かけて乾燥・分級を行い、トナー粒子を得た。
以上のようにして作成したトナーを実施例1の現像ユニット4に入れると、トナーはマイナス(負極性)に帯電した。
<トナー補給動作>
次に実施例1のトナー補給動作を説明する。図4(b)に示すように現像ユニット4には、着脱方向の下流側の一端にトナーを受け入れるための受入口40が設けられている。受入口40に連通してトナーが搬送されるための搬送路41が設けられている。搬送路41の内部には、搬送スクリュー(不図示)が配置されている。搬送路41は現像ローラ25や供給ローラ34の回転軸線方向(実施例1では着脱方向でもある)と平行に延びている。さらに、現像ユニット4の長手方向(回転軸方向、着脱方向)の中央付近には、トナー収容室31eへトナーを供給するための連通口(不図示)が設けられ、搬送路41とトナー収容室31eとを連通している。
実施例1においては、トナー収容室31eへトナーを排出するための排出手段は、例えば、容積可変型のポンプ方式を採用している(不図示)。ポンプ方式では、所定のタイミングで駆動源(不図示)からクラッチによって駆動を連結させることでポンプを動作させる。これにより、トナーをトナー収容室31eに排出する方式をとっている。トナーカートリッジ9から排出されたトナーは、本体に備え付けられたトナー搬送装置18によって受入口40に到達する。受入口40から受け入れられたトナーは、トナー収容室31eの連通口を介してトナー収容室31e内部に搬送、補給される。補給されたトナーは現像ユニット4内で撹拌部材36によって攪拌される。
<現像ローラの走行距離Ltの算出方法>
画像形成の繰り返しにより、現像ブレード35の先端部に帯電した外添剤やトナーの微粉等が、主に静電的な付着力によって少しずつ付着する。そして、印刷枚数が増えていくと付着物は成長していき、ある程度以上の大きさに成長すると出力される画像に影響を及ぼす。特に、連続印刷では、トナーの付着率が大きくなりやすい(チャージアップしやすい、ともいう)。このため連続印刷では、付着物が成長する速度(以下、成長速度という)が間欠印刷に比べて早くなり、プロセスカートリッジ70の製品寿命に到達する前に、付着物に起因して現像スジ等と呼ばれる縦スジ画像となって視認され、画像に影響を及ぼすことがある。そこで、実施例1では、現像ローラ25の走行距離を連続印刷の枚数に応じて補正することで、適切なタイミングで現像ユニット4やプロセスカートリッジ70の寿命を報知するようにしている。
ここで、現像ローラ25の走行距離Ltの算出方法について説明する。実施例1では、現像ユニット4の使用に伴って進行する情報として使用履歴値を用い、プロセスカートリッジ70に設けられたメモリー77に使用履歴値を記憶する方式をとる。制御部80は、メモリー77に記憶された使用履歴値が閾値に到達した時点でプロセスカートリッジ70の寿命と判断し、これを報知することができる。実施例1では、使用履歴値として、例えば、走行距離計測部90により現像ローラ25の走行距離を計測する方式とする。実施例1では、現像ローラ25の走行距離を用いたが、それに限らず、例えば現像ローラ25の回転数や、現像電圧の印加時間を使用履歴値として用いてもよい。すなわち、使用履歴値として、現像ローラ25の使用の状況を表す情報が用いられればよい。実施例1では、後述する現像ローラ25の走行距離を補正するための第1補正係数である補正係数kを用いて、走行距離計測部90により計測した現像ローラ25の走行距離の補正を行う。
図2で説明したように、制御部80は、走行距離計測部90により現像ローラ25の走行距離Lを計測し、走行距離算出部91により、補正係数kを用いて計測した走行距離Lを補正する。現像ローラ25の走行距離Lは、現像ローラ25が画像形成等によって駆動(回転)された時間(以下、駆動時間という)と、現像ローラ25の周速との乗算によって算出される。この意味で、走行距離計測部90は、現像ローラ25の駆動時間を計測しているともいえる。なお、走行距離計測部90は、現像ローラ25の回転数を計測し、計測した回転数に基づいて走行距離Lを求めてもよい。走行距離算出部91は、測定した走行距離Lに補正係数kを掛けて、補正後の現像ローラ25の走行距離Lu(補正距離)を算出する。具体的には、補正後の走行距離Luは、次の式(2)の計算式から求められる。
Lu=k×L (2)
制御部80は、メモリー77に格納されているプロセスカートリッジ70の使用開始からの積算の補正後の走行距離Ltをメモリー77から読み出す。制御部80は、メモリー77から読み出した積算の走行距離Lt(積算補正距離)に式(2)により求めた補正後の走行距離Luを積算することで積算の走行距離Ltを更新する。これにより、制御部80は、更新した積算の補正後の現像ローラ25の走行距離Ltを算出する。具体的には、更新した積算の補正後の現像ローラ25の走行距離Ltは、次の式(3)で求められる。
Lt=Lt+Lu (3)
制御部80は、式(3)により更新した走行距離Ltを、メモリー77に書き込む。
制御部80は、更新した走行距離Ltと閾値Ljとを比較し、更新した走行距離Ltが閾値Lj以上になったときには、現像ユニット4が寿命を迎えており、プロセスカートリッジ70の交換時期であると判断する。ここで、閾値Ljは、補正後の現像ローラ25の走行距離Ltがこの値以上になると、例えば現像スジの発生等により所定の画像品質を維持できないと考えられる値に設定される。閾値Ljは、例えば実験等により求められ、制御部80が有するROM(不図示)やメモリー77等に予め記憶されているものとする。以下の説明においては、メモリー77に閾値Ljが記憶されているとする。また、制御部80は、プロセスカートリッジ70の交換を促す情報を表示操作部99に表示させて、プロセスカートリッジ70の交換時期であることをユーザーに報知する。
<補正係数kの設定>
実施例1では、連続印刷の枚数Pnに応じて、補正係数kを変えている。具体的には、補正係数kを、連続印刷の枚数Pnに応じて表1のように設定している。ここで言う連続印刷の枚数Pnとは、現像ローラ25の回転が開始されてから回転が停止されるまでに印刷された枚数の合計である。なお、連続印刷の枚数Pnは、制御部80の枚数計数部92によって計測される。
Figure 2023178902000004
表1は、1列目に連続印刷の枚数(連続印刷枚数)Pnを示し、2列目に式(2)で用いられる補正係数kを示している。なお、画像形成には種々のサイズの用紙Sが用いられるため、ここでは、A4サイズ(A4長さ)の用紙Sを基準とし、A4以外のサイズの用紙SについてはA4サイズに換算した値とした(A4長さベース換算値とした)。例えば、枚数Pnが1枚~3枚の場合、補正係数kは1.0と設定される。また例えば、枚数Pnが8枚から10枚の場合、補正係数kは1.23と設定される。さらに、枚数Pnが60枚以上では、補正係数kは1.34と設定される。このように、実施例1では、補正係数kは連続印刷の枚数Pnに応じて設定され、枚数Pnが多いほど大きい値に設定される。このように、走行距離算出部91は、枚数Pnが多いほど補正係数k(第1補正係数)を大きく設定する。表1は、例えば制御部80が有するROM(不図示)等に例えばテーブルとして記憶されている。なお、補正係数kが枚数Pnの関数としてROM等に記憶され、制御部80が枚数Pnの関数から補正係数kを求めてもよい。実施例1では、制御部80は、補正係数kと枚数Pnとが関連付けられた表1のテーブルを用いて補正係数kを求めるものとし、以降、表1を補正テーブルともいう。
なお、補正係数kはこの値に限られない。表1では枚数Pnが60枚以上では一定の補正係数k(=1.34)に設定したがこれに限定されない。枚数Pnが60枚以上となる場合についても、より詳細に補正係数kを設定するようにしてもよい。さらに、表1では、4つのプロセスカートリッジ70について同じ補正係数kを用いているがこれに限定されない。例えば、プロセスカートリッジ70ごと、すなわち、色(イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック)等に応じて補正係数kを異ならせてもよい。
<現像装置の寿命報知シーケンス>
図6は、実施例1のプロセスカートリッジ70の寿命を報知する流れを示したフローチャートである。制御部80が、プロセスカートリッジ70に設けられたメモリー77にアクセスし読み出した情報に基づいて、ステップ(以下、Sとする)101以降の各処理を行うことにより、プロセスカートリッジ70の寿命を検知し、その検知結果をユーザーに報知する。
S101で制御部80は、プリント信号を受信する。なお、プリント信号は、有線又は無線の通信手段によって画像形成装置100に接続されたパーソナルコンピューター等の外部機器から送信される。また、プリント信号は、上述した表示操作部99から入力された情報(例えば、印刷開始ボタンの押下に対応する情報)に応じて送信されてもよい。S102で制御部80は、現像ローラ25の駆動を開始し、用紙Sへの画像形成動作を開始する。S103で制御部80は、枚数計数部92により連続印刷の枚数Pnの計数を行うとともに、走行距離計測部90によって現像ローラ25の走行距離Lの計測を行う。
S104で制御部80は、現像ローラ25の駆動を終了させる。S105で制御部80は、表1の補正テーブルを参照して、連続印刷の枚数Pnに対応した補正係数kを取得し設定する。S106で制御部80は、S103で計測した走行距離Lと、S105で取得した補正係数kとを用いて、走行距離算出部91により、上述した式(2)から補正後の走行距離Luを算出する。S107で制御部80は、メモリー77から積算の走行距離Ltを読み込む。S108で制御部80は、S106で算出した補正後の走行距離Luと、S107で読み出した積算の走行距離Ltを用い、上述した式(3)から積算した走行距離Ltを更新する。S109で制御部80は、更新した走行距離Ltをメモリー77に書き込む。
S110で制御部80は、更新した走行距離Ltが閾値Lj以上か否かを判断する。S110で制御部80は、走行距離Ltが閾値Lj以上であると判断した場合、処理をS111に進め、走行距離Ltが閾値Lj未満であると判断した場合、処理をS112に進める。S111で制御部80は、表示操作部99に、プロセスカートリッジ70が寿命に到達したことを報知し、処理を終了する。S112で制御部80は、プリント動作を終了するとともに、次の画像形成に備えた公知の処理を行い、処理を終了する。
図6のフローチャートを実行することにより、実施例1では、現像スジが発生する前に現像ユニット4、言い換えればプロセスカートリッジ70の寿命をユーザーに報知することができる。S111で行った報知の方法は、プロセスカートリッジ70が寿命に到達したことを警告するものでもよいし、画像形成動作を停止させる処理であってもよい。また、次の現像ユニット4又はプロセスカートリッジ70を発注又は発注することを促すメッセージを表示操作部99に表示させてもよい。
また、図6の処理については、この順序で行うことに限定されない。例えば、S102で現像ローラ25の駆動を開始する前に、外部機器から連続印刷の枚数Pnに関する情報を得られる場合には、S102の処理の前にS105の処理を行い、補正係数kを求めてもよい。また、実施例1では、プロセスカートリッジ70にメモリー77を備えていたが、この限りではなく、画像形成装置100本体内にメモリー77が備えられていてもよい。すなわち、現像ローラ25の積算の走行距離Ltに関する情報や閾値Ljに関する情報が、プロセスカートリッジ70が有するメモリー77ではなく、画像形成装置100が有する記憶手段に記憶されていてもよい。
<実施例1の評価実験>
実施例1の評価実験について説明する。150000枚の用紙Sに対して、実験用の画像データを用いて画像形成を行った。実験用の画像データとして、印字率2%の横線パターンを用いた。ここで、印字率とは、例えば用紙Sの面積に対する印刷される画像の積算面積の比率である。また、閾値Ljは発明者らの鋭意検討により、Lj=55000m(メートル)に設定した。
図7は、実施例1での印刷枚数と積算の走行距離Ltとの関係を示した図である。図7は、横軸に印刷枚数(枚)、縦軸に積算の現像ローラ25の走行距離Lt(メートル)を示す。点Aは走行距離Ltが閾値Ljである55000mに到達したタイミングを示し、図6で説明したとおり、点Aに到達したタイミングで現像ユニット4の寿命の報知が行われた。また、点Aを超えてさらに印刷動作を継続したところ、点B、すなわち、走行距離Ltが約60000m(印刷枚数が約170000枚)となったタイミングで現像スジが発生した。以上のように、計測した走行距離Lの補正を行ったことで現像スジが発生する前に、現像ユニット4の寿命を報知することができる。
上述したように、実施例1では、全色で同じ補正係数kの値を用いたが、この限りではなく、各色の現像ブレード35への付着物の付着状況によって、補正係数kを個別に設定することも可能である。また、実施例1では、プロセスカートリッジ70が複数存在するカラーの画像形成装置に関して説明したが、この限りではない。例えば、画像形成装置内にプロセスカートリッジが1つであるモノクロプリンターでも同様の制御を行うことが可能である。また、実施例1では、トナーカートリッジ9から現像ユニット4にトナーを補給する補給カートリッジ方式の画像形成装置100を説明したが、これに限定されない。トナーの補給機構を有さないカートリッジを備える画像形成装置100でも、実施例1と同様の図6の制御を行うことによって、現像ユニット4の寿命末期において現像スジが発生する前に現像ユニット4の寿命を報知することができる。
以上、実施例1によれば、現像装置の寿命をより精度良く求めることができる。
実施例2では、実施例1で説明したパラメータ(連続印刷の枚数Pn)に加えて、使用環境毎に異なる環境に応じた補正係数を用いることを特徴とする。実施例2では、実施例1と重複する部分は説明を割愛し、実施例2特有の部分に関して説明する。積算の印刷枚数が増加してくると、現像ブレード35の先端部に付着した付着物がトナーの循環等によって剥がされる現象が発生する。付着物の剥がれによって、現像ローラ25上のトナーのコートムラが発生し、用紙S上に縦スジ画像となって視認されることがある。特に、高温・高湿の環境では、付着物に対する静電的な付着力が弱まるため、付着物がより剥がされやすくなる。このため、現像スジの発生タイミングがより早まる。実施例2ではこれらをふまえ、高温・高湿の環境では、現像ユニット4の寿命を通常の環境よりも早く報知するようにする。
<制御部>
実施例2では、図8に示すように、画像形成装置100内にCPU81に接続され、画像形成装置100本体内の温度・湿度情報を取得するための環境センサー83が設けられている。環境センサー83は、画像形成装置100が設置されている環境の温度や湿度をより精度よく検知するために、発熱する部材、例えば定着部74や電源装置(不図示)等から離れた位置に設置されることが好ましい。環境センサー83は、環境に関する情報を検知する検知手段として機能する。環境センサー83は、具体的には温度及び湿度を検知する。実施例2の走行距離算出部91は、環境センサー83の検知結果に応じて後述する第2補正係数である補正係数jを設定し、補正係数k及び補正係数jを用いて走行距離計測部90により計測された走行距離Lを補正する。
<補正係数jの設定>
走行距離算出部91は、表2に示した補正テーブルを参照して、環境センサー83から得られた温度・湿度情報に基づき、補正係数jを取得する。
Figure 2023178902000005
表2は、1列目に温度(℃)を示し、2列目に湿度(%)を示す。温度は、例えば20℃未満、20℃以上30℃未満、30℃以上の区分に分ける。また、湿度は、例えば0%~30%、30%~70%、70%~100%の区分に分ける。なお、温度、湿度の分け方はこれに限定されない。
例えば、走行距離算出部91は、環境センサー83の検知結果により、温度が25℃、湿度が60%であった場合、補正係数jを1.0に設定する。また例えば、走行距離算出部91は、環境センサー83の検知結果により、温度が35℃、湿度が73%であった場合、補正係数jを1.2に設定する。補正係数jは、湿度が高い区分においては、温度が高くなるほど大きな値に設定される。補正係数jは、温度が高い区分においては、湿度が高くなるほど大きな値に設定される。制御部80は、表2の補正係数jと表1の補正係数kとを用いて計測した走行距離Lの補正を行う。このように、実施例2の走行距離算出部91は、温度及び湿度が高いほど補正係数j(第2補正係数)を大きく設定する。
<現像ローラの走行距離Ltの算出方法>
走行距離Lは、実施例1と同様に、現像ローラ25の駆動時間と、現像ローラ25の周速とを掛けることで算出される。走行距離算出部91は、測定した走行距離Lに、補正係数jと補正係数kとを掛けて、補正後の走行距離Luを算出する。具体的には、次の式(4)の計算式で求められる。
Lu=j×k×L (4)
次に、制御部80は、メモリー77に格納されているプロセスカートリッジ70の使用開始からの積算の走行距離Ltに走行距離Luを加算する。これにより、走行距離Ltを更新する。具体的には、更新した走行距離Ltは、次の式(5)の計算式で求められる。
Lt=Lt+Lu (5)
そして、制御部80は、式(5)により更新した走行距離Ltを、メモリー77に書き込む。制御部80は、更新した走行距離Ltと実施例1で説明した閾値Ljとを比較し、走行距離Ltが閾値Lj以上であるときには、現像ユニット4が寿命を迎え、プロセスカートリッジ70が交換時期であることをユーザーに報知する。
<現像ユニット4の寿命報知シーケンス>
図9は、実施例2のプロセスカートリッジ70の寿命を報知する流れを示したフローチャートである。制御部80が、プロセスカートリッジ70に設けられたメモリー77の情報に基づいて、図9のフローチャートに示す各処理を行うことにより、プロセスカートリッジ70の寿命を検知し、その検知結果をユーザーに報知することができる。なお、図9のS201、S203~S205、S208~S213は、図6のS101、S102~S104、S107~S112の処理と同様であるため、説明を省略する。
S202で制御部80は、環境センサー83の検知結果から温度・湿度情報を取得する。S206で制御部80は、S204で計数した枚数Pnと表1の補正テーブルとから補正係数kを設定し、S202で取得した温度・湿度情報と表2の補正テーブルとから補正係数jを設定する。S207で制御部80は、S206で設定した補正係数k、補正係数j、S204で計測した走行距離Lを用いて、式(4)から補正後の走行距離Luを計算する。
図9のフローチャートを実行することにより、実施例2では、ユーザーの連続印刷の枚数と画像形成装置100の使用環境とに応じた、より細かな寿命検知を行い、その結果をユーザーに対して報知することができる。なお、実施例2では、環境センサー83が温度及び湿度を検知したがこれに限定されない。補正係数jが温度に応じて設定されるものであってもよいし、湿度に応じて設定されるものであってもよい。また、温度や湿度以外の環境状況を示す情報が用いられてもよい。
以上、実施例2によれば、現像装置の寿命をより精度良く求めることができる。
実施例3では、トナーの補給量に対して設定された補正係数を用いることを特徴とする。実施例3では、実施例1と重複する部分は説明を割愛し、実施例3特有の部分に関して詳細に説明する。図1で説明したように、トナーカートリッジ9及びトナー搬送装置18は、容器であるトナー収容室31eにトナーを補給する補給装置として機能する。補給装置からのトナーの補給動作は、上述したように駆動源である駆動モータからクラッチによって駆動を連結させることでポンプを動作させ、トナーを排出して行われる。制御部80は、クラッチによって駆動を連結させたのちに駆動源により駆動した時間に基づいて補給されたトナー量(以下、トナー補給量という)を算出する。制御部80は、ここで得られたトナー補給量を補正し、プロセスカートリッジ70に設けられたメモリー77に書き込む。
<補正後のトナー補給量Rtの算出方法>
実施例3の補正後のトナー補給量Rtの算出方法について、詳細に説明する。実施例3は、実施例1、2と同様に、現像ユニット4の使用に伴って進行する使用履歴値をプロセスカートリッジのメモリー77に記憶する方式をとっている。制御部80は、使用履歴値が閾値に到達した時点でプロセスカートリッジ70の寿命と判断し、ユーザーにその旨を報知することができる。実施例3では、使用履歴値としてトナーの補給動作におけるクラッチの連結により駆動源が駆動した時間(以下、駆動時間という)tを計測し、駆動時間tに係数k1を掛けることでトナー補給量R0を算出する。ここで、係数k1は、単位時間当たりのトナー補給量である。具体的には、トナー補給量R0は次の式(6)で求められる。なお、係数k1は予め実験等で求められており、メモリー77や画像形成装置100が備えるROM等に記憶されているものとする。
R0=t×k1 (6)
実施例3では、トナー補給量R0を求めるために、トナーの補給動作における駆動源の駆動時間tを採用したが、これに限定されない。例えば、トナーの補給動作における駆動モータの回転数でもよい。この場合、予め実験等で駆動モータ1回転あたりのトナー補給量を求めて置き、回転数に1回転あたりのトナー補給量を乗じればよい。また、トナーの補給動作における駆動源の駆動に限らず、画像情報からトナーの使用量を取得し、トナーの使用量をトナー補給量とみなす手法であってもよい。また例えば、トナー収容室31eの内部に光を通過させ、その光の受光状態に基づいてトナー収容室31e内のトナー量を測定する手法を用い、補給動作前後のトナー量の変化(差分)に基づきトナー補給量を算出する手法であってもよい。更には、トナー収容室31e内のトナー量を静電容量の変化から測定する手法を用い、補給動作前後のトナー量の変化(差分)に基づきトナー補給量を算出する手法を用いてもよい。
<制御部>
図10は実施例3の制御部80を示す図である。制御部80には、駆動時間tを計測する補給時間計測部94、トナー補給量R0を算出する補給量算出部95、補正係数ktを取得する補正係数取得部96、取得した補正係数ktを用いてトナー補給量R0の補正を行う補正後補給量算出部97が設けられている。実施例3では、補正係数である補正係数ktを用いて、次の式(7)によりトナー補給量R0の補正が行われる。
Ru=kt×R0 (7)
制御部80は、メモリー77に格納されているプロセスカートリッジ70の使用開始からの積算の補正後のトナー補給量Rtに、補正後のトナー補給量Ru(補正補給量)を加算する。これにより、制御部80は、補正後のトナー補給量Rt(積算補正補給量)を更新する。具体的には、補正後のトナー補給量Rtは、次の式(8)で求められる。
Rt=Rt+Ru (8)
制御部80は、式(8)により算出された積算の補正後のトナー補給量Rtを新たなトナー補給量Rtとして、メモリー77に書き込む。制御部80は、更新したトナー補給量Rtが閾値Rjを超えたときには、現像ユニット4が寿命を迎えており、表示操作部99を介してプロセスカートリッジ70の交換時期であることをユーザーに報知する。なお、閾値Rjについては、実施例1、2の閾値Ljと同様に設定等されているものとする。
次に、走行残%算出部93は、走行距離計測部90により計測された走行距離Lに基づいて現像ローラ25の寿命に関する情報(後述する走行残%Lr)を算出する算出手段として機能する。補給時間計測部94及び補給量算出部95は、補給装置(トナーカートリッジ9及びトナー搬送装置18)からトナー収容室31eに補給されたトナーの量である補給量を計測する補給量計測手段として機能する。補正係数取得部96及び補正後補給量算出部97は、走行距離計測部90により計測された走行距離Lに応じて補正係数ktを設定し、補正係数ktを用いて補給時間計測部94及び補給量算出部95により計測された補給量を補正する補正手段として機能する。補正係数取得部96は、より具体的には、走行残%算出部93により算出された現像ローラ25の後述する走行残%に応じて補正係数である補正係数ktを設定する。制御部80は、補正後補給量算出部97により補正した補正後の補給量である補正補給量が閾値に到達した場合に現像ユニット4に関する情報を報知する報知部として機能する。
<補正係数ktの設定>
新品のトナー内に多くみられる母体から遊離した外添剤が現像ローラ25と現像ブレード35との間を通過することで、現像ブレード35の先端部に帯電した遊離外添剤を起点に外添剤やトナー微粒子等が主に静電的な付着力によって少しずつ付着する。そして、高印字のプリントが繰り返し実行されることで、次々と遊離した外添剤がトナー収容室31e内に供給され、現像ローラ25と現像ブレード35との間を通過し続けることで、現像ブレード35に堆積していく。この堆積物が現像ブレード35の長手方向に不均一に付着する場合、現像ローラ25上のトナーのコーティングに影響を及ぼし、用紙S上に形成された画像に現像スジと呼ばれる縦スジ画像として視認されることがある。
実施例3でいう高印字プリントとは、現像ローラ25の走行距離が少ない区間でトナーの消費量が多い状態のことをいう。これに対応するため、現像ローラ25の走行距離のうち走行可能な最大の距離を100%とする。すなわち、100%とは、現像ユニット4の初期寿命に対応しており、後述する走行残%が100%ということができる。この100%の走行距離を一定区間毎に分け、この区間に応じて補正係数ktを設定する。これにより、現像ローラ25の走行距離が短い区間での補正を大きくし、高印字プリント時には現像ローラ25の寿命が早く進むことに対応させる。
また、現像ローラ25の寿命までの残りの走行距離(以下、走行残%とする)Lrは、走行距離計測部90によって計測された走行距離Lと閾値Ljとを用いて、走行残%算出部93により算出することができる。具体的には、走行残%Lrは、次の式(9)で求められる。
Lr[%]=100-(L/Lj)×100 (9)
走行残%算出部93が走行残%Lrを算出し、補正係数取得部96が後述する表3の補正テーブル(設定表)を参照して補正係数ktを設定する。具体的には、補正係数ktは、以下の表3のように設定される。
Figure 2023178902000006
表3は、1列目に走行残%Lrを示し、2列目に各走行残%Lrに対する補正係数ktを示す。ここで、走行残%Lrは、上述したように現像ユニット4の初期(寿命初期)に100%であり、現像ユニット4の寿命(寿命アウト時)、言い換えればプロセスカートリッジ70の交換時期に0%となるようにしている。実施例3では、走行残%Lrを、100%~80%、80%~60%、60%~40%、40%~20%、20%~0%の区間に分けている。例えば、上述した式(9)を用いて走行残%Lrが55%と求められた場合、表3から補正係数ktは0.7と設定される。補正係数ktは、走行残%Lrが100%から60%の間では、走行残%Lrが減少するに従い小さくなり、60%から20%では一定の値(0.7)となる。また、補正係数ktは、走行残%Lrが20%以下では60%から20%の値(0.7)よりも大きくなるように設定されている(1.0)。なお、100%の走行残%Lrの分け方は表3に限定されない。
走行残%の多い区間(100~60%の区間)での補正係数ktを1よりも大きい値に設定することで、高印字プリントを続けた場合には補正後のトナー補給量を増加させ、現像ユニット4の寿命が早く進むことになる。このようにすることで、高印字プリント時に現像スジが発生するタイミングよりも前にプロセスカートリッジ70の寿命報知を行うことが可能になる。実施例3では、印字率を変えて印刷動作を実施したが、いずれの場合にも、現像スジが発生する前に、現像ユニット4やプロセスカートリッジ70の寿命を報知することができた。また、補正係数ktはこの値に限るものではない。例えば、補正係数ktは、色(イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック)等で異なるように設定されてもよい。また、区間においても、この値に限るものではない。以上のように、補正後補給量算出部97は、走行残%Lrに応じて補正係数を設定し、補正係数を用いて補給時間計測部94及び補給量算出部95により計測された補給量を補正する。
<現像装置の寿命報知シーケンス>
図11は、実施例3のプロセスカートリッジ70の寿命を報知する流れを示したフローチャートである。制御部80が、プロセスカートリッジ70に設けられたメモリー77の情報に基づいて、図11のフローチャートに示す各処理を行うことにより、プロセスカートリッジ70の寿命を検知し、その検知結果をユーザーに報知する。なお、図11のS301、S302、S305、S312、S313は、図6のS101、S102、S104、S111、S112と同様の処理であり、説明を省略する。
S303で制御部80は、走行距離計測部90によって現像ローラ25の走行距離Lを計測し、走行残%算出部93より現像ローラ25の走行残%Lrの算出を行う(式(9))。S304で制御部80は、補給時間計測部94により、画像形成中に実施したトナーの補給動作における駆動時間tを計測し、トナー補給量R0を算出する(式(6))。S306で制御部80は、補正係数取得部96により、表3の補正テーブルを参照して、S303で算出した走行残%Lrに対応した補正係数ktを設定する。S307で制御部80は、補正後補給量算出部97により、S306で設定した補正係数ktを用いて、補正後のトナー補給量Ruを計算する。補正後のトナー補給量Ruは、上述した式(7)により求められる。
S308で制御部80は、メモリー77から積算した補正後のトナー補給量Rtを読み込む。S309で制御部80は、S308で読み込んだトナー補給量RtにS307で補正したトナー補給量Ruを加算して(式(8))、トナー補給量Rtを更新する。S310で制御部80は、更新したトナー補給量Rtをメモリー77に書き込む。S311で制御部80は、更新したトナー補給量Rtが閾値Rj以上であるか否かを判断する。S311で制御部80は、更新したトナー補給量Rtが閾値Rj以上であると判断した場合、処理をS312に進め、更新したトナー補給量Rtが閾値Rj未満であると判断した場合、処理をS313に進める。図11のフローチャートを実行することにより、実施例3では、現像スジが発生する前に現像ユニット4の寿命をユーザーに報知することができる。報知の方法は、実施例1、2と同様である。
<実施例3の評価実験>
実施例3の評価のために、様々な印字率の画像パターンを用いて画像形成を行った。ここで使用した画像パターンは、以下の画像パターン4である。
画像パターン1:印字率30% ※高印字プリント
画像パターン2:印字率10% ※高印字プリント
画像パターン3:印字率5% ※低印字プリント
画像パターン4:印字率1.5% ※低印字プリント
Figure 2023178902000007
表4は実施例3の評価結果を示す表である。表4は、1列目に上述した4つの画像パターンを示し、2列目にトナー補給量[kg]を示し、3列目に補正後の積算のトナー補給量Rt[kg]を示し、4列目に現像スジの発生有無(発生あり、発生なし)を示す。
低印字プリントとなる画像パターン1、2(1.5%、5%)では、トナー補給量を5kgまでとしても、現像スジの発生はなかった。これに対し、印字率の高い画像パターン3、4(10%、30%)では5kgよりも少ない3.3kgや3.5kgといったトナー補給量でも現像スジの発生はなかった。また、これらの値に対し、表3の補正係数ktを用いて補正後の積算のトナー補給量Rtを算出すると、画像パターン1の3.3kgも画像パターン2の3.5kgも補正後のトナー補給量Rtが5kgとなる。さらに、表4にあるように、それぞれの印字率で補正後の積算のトナー補給量Rtが5kgを超えると現像スジが発生した。
以上のことから、例えば現像スジの発生の有無を切り分ける閾値Rjを5kgと設定した場合、補正前と補正後とでは次のようなことが言える。補正前のトナー補給量を用いた場合、高印字プリントの画像パターン1、2では、現像スジが発生したトナー補給量4kgでも閾値5kg未満であるため、現像ユニット4は寿命ではないと判断されてしまう。一方、補正後のトナー補給量Rtを用いた場合、トナー補給量は4kgからそれぞれ6kg又は5.7kgに補正され、閾値5kgを超えるため、寿命と判断される。以上のように、補正係数ktを用い、高印字プリント時には見かけ上の寿命を早く進めることで、現像スジが発生する前に、現像ユニット4の寿命を報知することができる。
実施例3では、全色で同じ補正係数ktの値を用いたが、この限りではなく、各色の現外添剤量や遊離外添剤量に応じて、補正係数ktを個別に設定することも可能である。また、実施例3では環境に関わらず、同じ補正係数ktの値を用いたが、この限りではなく、各環境や絶対水分量に応じて補正係数ktを個別に設定することや実施例2のような環境毎の補正係数を使用することも可能である。
<変形例:環境に応じた補正係数ktの設定>
具体的には、表5のような値を使用することが可能である。
Figure 2023178902000008
表5の1列目は表3の1列目と同様であり説明を省略する。表5の2列目は、環境に応じた補正係数ktを示している。例えば、実施例2の環境センサー83により検知した温度・湿度について、高温・高湿度をH/H、低温・低湿度をL/Lとし、常温・中湿度をN/Nとしている。なお、N/Nの補正係数ktの設定値は、表3で示した設定値と同様としている。表5では、L/L環境では補正係数ktを走行残%Lrによらず1.0とし、H/H環境では補正係数ktを走行残%Lrによらず1.5とした。なお、環境に応じた補正係数ktの設定値は表5に限定されない。
このように、補正後補給量算出部97は、現像ローラ25の寿命に関する情報(走行残%)及び環境センサー83の検知結果に応じて補正係数である補正係数ktを設定してもよい。そして、補正後補給量算出部97は、補正係数を用いて補給時間計測部94及び補給量算出部95により計測された補給量を補正する。補正係数取得部96は、温度及び湿度が高いほど補正係数ktを大きく設定する。
また、実施例3では、プロセスカートリッジが複数存在するカラーの画像形成装置に関して説明したが、この限りではなく、画像形成装置内にプロセスカートリッジが1つであるモノクロプリンターでも同様の制御を行うことが可能である。また、実施例3では、トナーカートリッジ9からトナーを補給する補給カートリッジの場合を説明したが、トナー補給機構を有さないカートリッジに対しても適用可能である。
<変形例:トナー補給機構を有さない画像形成装置>
トナー補給機構を有さない場合には、トナー補給量と補正係数ktを用いるかわりに、トナー消費量とトナー消費量に対する補正係数(補正係数)を用いて、実施例3と同様に補正後のトナー消費量(補正消費量)を求める制御を行うことができる。制御部80は、メモリー77から積算した補正後のトナー消費量(積算補正消費量)を読み出し、読み出した積算補正消費量に補正後の補正消費量を加算して積算補正消費量を更新する。制御部80は、更新した積算補正消費量に基づいて現像ユニット4の寿命を判断する。これにより、トナー補給機構を有さない場合でも、現像ユニット4の寿命末期において現像スジが発生する前に現像ユニット4の寿命を報知することができる。
すなわち、画像形成装置100が補給装置(トナーカートリッジ9及びトナー搬送装置18)を有しない構成についても実施例3が適用可能である。この場合、消費量計測手段が、トナー収容室31eから現像ローラ25に供給されたトナーの量である消費量を計測する。トナーの消費量は、トナー収容室31eに設けられた光センサーや静電容量を検知する手段等、公知の手段によって計測されてよい。また、画像データのドット数からトナーの消費量を推測する公知の手段が用いられてもよい。さらに、現像ローラ25の回転時間を計測して、上述した補給量を求めた方法と同様にトナーの消費量を求めてもよい。また、図10の補正後補給量算出部97の「補給量」を「消費量」に読み替えて、補正係数取得部96及び補正後消費量算出部(不図示)が補正手段として機能する。なお、補正係数取得部96は補正係数を取得する。補正係数は、表3、表5のように設定されてよい。
以上、実施例3によれば、現像装置の寿命をより精度良く求めることができる。
1 感光ドラム
4 現像ユニット
25 現像ローラ
31e トナー収容室
34 供給ローラ
35 現像ブレード
77 メモリー
80 制御部
90 走行距離計測部
91 走行距離算出部
92 枚数計数部

Claims (15)

  1. 静電潜像が形成される感光体と、
    現像剤が収容された容器と、前記感光体上に形成された前記静電潜像に前記現像剤を供給し現像剤像を形成する現像回転体と、前記現像回転体に前記容器から前記現像剤を供給する供給部材と、前記供給部材から前記現像回転体に供給された前記現像剤を規制する規制部材と、を有し、着脱可能な現像装置と、
    前記現像回転体の走行距離を計測する計測手段と、
    1つのジョブごとに連続して画像形成を行う連続印刷の枚数を計数する枚数計数手段と、
    前記枚数計数手段により計数された前記枚数に応じて補正係数を設定し、設定した前記補正係数を用いて前記計測手段により計測された前記走行距離を補正して補正距離を求める補正手段と、
    前記現像回転体の使用が開始されてからの前記補正距離が積算された積算補正距離を記憶した記憶手段と、
    前記記憶手段に記憶された前記積算補正距離を読み出し、前記積算補正距離に前記補正手段により補正した前記補正距離を加算して前記積算補正距離を更新し、更新した前記積算補正距離が閾値に到達した場合に前記現像装置に関する情報を報知する報知部と、
    を備えることを特徴とする画像形成装置。
  2. 前記補正手段は、前記枚数が多いほど前記補正係数を大きく設定することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
  3. 環境に関する情報を検知する検知手段を備え、
    前記補正係数を第1補正係数とした場合において、前記補正手段は、前記検知手段の検知結果に応じて第2補正係数を設定し、前記第1補正係数及び前記第2補正係数を用いて前記計測手段により計測された前記走行距離を補正することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
  4. 前記検知手段は、温度及び湿度を検知し、
    前記補正手段は、前記温度及び前記湿度が高いほど前記第2補正係数を大きく設定することを特徴とする請求項3に記載の画像形成装置。
  5. 静電潜像が形成される感光体と、
    現像剤が収容された容器と、前記感光体上に形成された前記静電潜像に前記現像剤を供給し現像剤像を形成する現像回転体と、前記現像回転体に前記容器から前記現像剤を供給する供給部材と、前記供給部材から前記現像回転体に供給された前記現像剤を規制する規制部材と、を有し、着脱可能な現像装置と、
    前記容器に前記現像剤を補給する補給装置と、
    前記現像回転体の走行距離を計測する計測手段と、
    前記補給装置から前記容器に補給された前記現像剤の量である補給量を計測する補給量計測手段と、
    前記計測手段により計測された前記走行距離に応じて補正係数を設定し、設定した前記補正係数を用いて前記補給量計測手段により計測された前記補給量を補正して補正補給量を求める補正手段と、
    前記現像装置の使用が開始されてからの前記補正補給量が積算された積算補正補給量を記憶した記憶手段と、
    前記記憶手段に記憶された前記積算補正補給量を読み出し、前記積算補正補給量に前記補正手段により補正した前記補正補給量を加算して前記積算補正補給量を更新し、更新した前記積算補正補給量が閾値に到達した場合に前記現像装置に関する情報を報知する報知部と、
    を備えることを特徴とする画像形成装置。
  6. 前記計測手段により計測された前記走行距離に基づいて前記現像回転体の寿命に関する情報を算出する算出手段を備え、
    前記補正手段は、前記算出手段により算出された前記現像回転体の寿命に関する情報に応じて前記補正係数を設定することを特徴とする請求項5に記載の画像形成装置。
  7. 環境に関する情報を検知する検知手段を備え、
    前記補正手段は、前記現像回転体の寿命に関する情報及び前記検知手段の検知結果に応じて前記補正係数を設定することを特徴とする請求項6に記載の画像形成装置。
  8. 前記検知手段は、温度及び湿度を検知し、
    前記補正手段は、前記温度及び前記湿度が高いほど前記補正係数を大きく設定することを特徴とする請求項7に記載の画像形成装置。
  9. 静電潜像が形成される感光体と、
    現像剤が収容された容器と、前記感光体上に形成された前記静電潜像に前記現像剤を供給し現像剤像を形成する現像回転体と、前記現像回転体に前記容器から前記現像剤を供給する供給部材と、前記供給部材から前記現像回転体に供給された前記現像剤を規制する規制部材と、を有し、着脱可能な現像装置と、
    前記現像回転体の走行距離を計測する計測手段と、
    前記容器から前記現像回転体に供給された前記現像剤の量である消費量を計測する消費量計測手段と、
    前記計測手段により計測された前記走行距離に応じて補正係数を設定し、設定した前記補正係数を用いて前記消費量計測手段により計測された前記消費量を補正して補正消費量を求める補正手段と、
    前記現像装置の使用が開始されてからの前記補正消費量が積算された積算補正消費量を記憶した記憶手段と、
    前記記憶手段に記憶された前記積算補正消費量を読み出し、前記積算補正消費量に前記補正手段により補正した前記補正消費量を加算して前記積算補正消費量を更新し、更新した前記積算補正消費量が閾値に到達した場合に前記現像装置に関する情報を報知する報知部と、
    を備えることを特徴とする画像形成装置。
  10. 前記計測手段により計測された前記走行距離に基づいて前記現像回転体の寿命に関する情報を算出する算出手段を備え、
    前記補正手段は、前記算出手段により算出された前記現像回転体の寿命に関する情報に応じて前記補正係数を設定することを特徴とする請求項9に記載の画像形成装置。
  11. 環境に関する情報を検知する検知手段を備え、
    前記補正手段は、前記現像回転体の寿命に関する情報及び前記検知手段の検知結果に応じて前記補正係数を設定することを特徴とする請求項10に記載の画像形成装置。
  12. 前記検知手段は、温度及び湿度を検知し、
    前記補正手段は、前記温度及び前記湿度が高いほど前記補正係数を大きく設定することを特徴とする請求項11に記載の画像形成装置。
  13. 前記現像剤は、トナー母粒子と、前記トナー母粒子の表面に有機ケイ素重合体を含有するトナー粒子と、を有し、
    前記有機ケイ素重合体は、次の式(1)で表される構造を有し、
    前記有機ケイ素重合体は、前記トナー母粒子の表面に凸部を形成することを特徴とする請求項1から請求項12のうちのいずれか1項に記載の画像形成装置。
    Figure 2023178902000009
    式(1)中、Rは炭素数1以上6以下のアルキル基又はフェニル基を示す。
  14. 前記現像装置に関する情報は、前記現像装置の交換を促す情報であることを特徴とする請求項1、5、9のいずれか1項に記載の画像形成装置。
  15. 前記現像装置に関する情報は、前記現像装置が寿命に到達したこともしくは前記現像装置の寿命が近いことを示す情報であることを特徴とする請求項1、5、9のいずれか1項に記載の画像形成装置。
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