JP2023177805A - 操船システム及び操船方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】船舶を着岸させる際に、操縦機器の誤操作が発生しても船舶の岸壁への衝突を阻止する技術を提案する。【解決手段】操船システム20は、推進機3A,3Bと係船機10A,10Bとを含む船体に搭載された複数の推進デバイス9と、船体から着岸しようとする岸壁までの距離である接岸距離を検出する距離計27と、推進デバイスへの推進指令を出力する操縦機器80と、接岸距離及び推進指令を取得し、接岸距離が小さくなるのに伴って推進指令制限値が小さくなる所与の関係に基づいて接岸距離と対応する推進指令制限値を求め、操縦機器から出力される推進指令が推進指令制限値以上である場合は、推進指令を推進指令制限値とし、制限された推進指令に対応する推力を複数の推進デバイスに配分し、複数の推進デバイスの各々から配分された推力が出力されるように複数の推進デバイスを制御する制御装置と、を備える。【選択図】図3

Description

本開示は、船舶の特に接岸時の操船方法及びそれを実現する操船システムに関する。
船舶が入港してからバースで着岸し係船されるまでの一連の工程には、操船者にとって精神的負荷の大きい操船、船内作業員にとって労働負荷の大きい作業が含まれている。このような理由から、負荷の軽減と安全性の向上のために上記一連の工程の自動化や省人化の要望がある。しかし、港湾内の気象海象の変動に対する臨機応変な対応や、船内作業員と港湾内作業員の絶妙な連携が必要とされることから、未だ操船者や船内及び港湾内作業員の経験に頼って作業の大部分が行われているのが現状である。
特許文献1は、着岸から係船までの操船を自動化する自動着岸係船機を開示する。この特許文献1の船舶は、船体の前後推力を出力する前後推力機関と、船体の両舷方向のいずれにも横推力を出力可能な船首側サイドスラスタ及び船尾側ポッド推進機と、係船索の巻取り及び繰り出しが可能な船首側係船機及び船尾側係船機と、岸壁までの距離を計測する距離計と、距離計の計測値に基づいて船首側サイドスラスタ、船尾側ポッド推進機、船首側係船機及び船尾側係船機を制御するコントローラとを備える。コントローラは、船舶の着岸・係船動作を着岸モード、係船モードの順に行う。コントローラは、着岸モードでは前後推力機関、船首側係船機及び船尾側係船機を停止させて、船首側サイドスラスタ及び船尾側ポッド推進機で船体を岸壁から1mの係船開始位置まで横移動させる。コントローラは、係船モードでは前後推力機関、船首側サイドスラスタ及び船尾側ポッド推進機を停止させて、船首側係船機及び船尾側係船機で係船索を引っ張ることにより船体を岸壁に係止させる。
特開2005-255058号公報
船舶を着岸(又は、着桟)させる際に、操船者が操縦機器を誤操作することが想定され得る。誤操作によっても船体は移動する。船舶が岸壁へ十分に近づいた状態で、例えば、船舶に岸壁へ向かう推力を発生させるような誤操作が行われると、船舶が岸壁へ衝突するおそれがある。船舶の岸壁からの距離が小さくなるにつれて、誤操作により船舶が岸壁に衝突する可能性は高まる。
本開示は以上の事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、船舶を着岸させる際に、操縦機器の誤操作が発生しても船舶の岸壁への衝突を阻止する技術を提案することにある。
上記課題を解決するために、本開示の一態様に係る操船システムは、
船体を接岸方向へ推し進める推力を出力する推進機と、係船索の巻取りによって前記船体を前記接岸方向へ推し進める推力を出力する係船機とを含む、前記船体に搭載された複数の推進デバイスと、
前記船体から着岸しようとする岸壁までの距離である接岸距離を検出する距離計と、
推進指令を出力する操縦機器と、
前記接岸距離及び前記推進指令を取得し、前記接岸距離が小さくなるのに伴って推進指令制限値が小さくなる所与の関係に基づいて前記接岸距離と対応する前記推進指令制限値を求め、前記操縦機器から出力される前記推進指令が前記推進指令制限値以上である場合は、前記推進指令を前記推進指令制限値とし、制限された前記推進指令に対応する推力を前記複数の推進デバイスに配分し、前記複数の推進デバイスの各々から配分された推力が出力されるように前記複数の推進デバイスを制御する制御装置と、を備えるものである。
本開示の一態様に係る操船方法は、
船体を接岸方向へ推し進める推力を出力する推進機と、係船索の巻取りによって前記船体を前記接岸方向へ推し進める推力を出力する係船機とを含む複数の推進デバイスを前記船体に搭載した船舶の操船方法であって、
前記船体から着岸しようとする岸壁までの距離である接岸距離を取得し、
前記船体に対する推進指令を取得し、
前記接岸距離が小さくなるのに伴って推進指令制限値が小さくなる所与の関係に基づいて前記接岸距離と対応する前記推進指令制限値を求め、前記推進指令制限値以下に制限された前記推進指令を求め、
制限された前記推進指令に対応する推力を前記複数の推進デバイスに配分し、
前記複数の推進デバイスの各々から配分された推力が出力されるように前記複数の推進デバイスを制御するものである。
本開示によれば、船舶を着岸させる際に、操縦機器の誤操作が発生しても船舶の岸壁への衝突を阻止する技術を提案できる。
図1は、本開示の一実施形態に係る操船システムが適用される船舶の概略構成を示す図である。 図2は、係船機の概略構成を示す図である。 図3は、操船システムの構成を示す図である。 図4は、操船コントローラの機能部を説明する図である。 図5は、推進制御部の処理を説明する図である。 図6は、着岸係船時の操船方法を説明する図である。 図7は、接岸距離dと推進指令制限値Ulimとの関係の一例を表す図表である。 図8は、接岸距離dと推進指令制限値Ulimとの関係の一例を表す図表である。 図9は、接岸速度Vappを説明する図である。 図10は、接岸速度Vappと接近速度閾値Vsafeの差ΔVと補正係数Kvとの関係の一例を表す図表である。 図11は、接岸外乱力Fappを説明する図である。
次に、図面を参照して本開示の実施の形態を説明する。図1は本発明の一実施形態に係る操船システム20が適用される船舶Sの概略構成を示す図である。
〔船舶Sの概略構成〕
図1に示すように、船舶Sを基準とし、当該船舶Sの船首と船尾を繋ぐ水平方向を「前後方向」とし、前後方向と直交する水平方向(左右方向)を「横方向」とする。船舶Sは、船体5と、船体5に対し前後方向の推力を出力する少なくとも1つの前後推進機2と、船体5に対し横方向の推力を出力する少なくとも1つの横推進機3とを備える。
本実施形態において、前後推進機2は主推進機である可変ピッチプロペラ及び舵の組み合わせを含む。可変ピッチプロペラ及び舵は、船体5の船尾側に設けられている。但し、前後推進機2は上記に限定されず、旋回式スラスタであったり、複数の可変ピッチプロペラ及び舵の組み合わせであったりしてもよい。
横推進機3は、好ましくは、少なくとも1つの船首側横推進機3Bと少なくとも1つの船尾側横推進機3Aとを含む。本実施形態において、船首側横推進機3Bは船首側に設けられたサイドスラスタ(バウスラスタ)である。また、本実施形態において、船尾側に設けられた可変ピッチプロペラ及び舵の組み合わせは、舵の向きによって前後方向の推力と横方向の推力との双方を出力可能であることから、船尾側横推進機3Aとしての機能も併せ備える。但し、船舶Sが備える横推進機3は上記に限定されず、船体5の船首側及び船尾側のそれぞれにサイドスラスタが配置されたり、船体5の船首側及び船尾側のうち少なくとも一方に旋回式スラスタが配置されたりしていてもよい。
更に、船舶Sは、甲板の船首側に設置された少なくとも1つの船首側係船機10Bと、甲板の船尾側に設置された少なくとも1つの船尾側係船機10Aとを備える。本開示では、係船機10、前後推進機2、及び、横推進機3を総じて「推進デバイス9」と称する。本来の係船機10は船舶Sを係船するためのデバイスであるが、本開示の操船システム20では係船機10が船舶Sに推力を与える機能を有するため、係船機10も推進デバイス9の一種と捉える。
本実施形態において船首側係船機10Bにはヘッドライン係船機と、フォワードスプリングライン係船機とが含まれる。船首側係船機10Bには、フォワードブレスト係船機が更に含まれていてもよい。また、本実施形態において船尾側係船機10Aには、スターンライン係船機とアフトスプリング係船機とが含まれる。船尾側係船機10Aには、アフトブレスト係船機が更に含まれていてもよい。船舶Sが所持すべき係船機10(船首側係船機10Bと船尾側係船機10Aとを区別しないときは、符号10を用いる)は、艤装数などにより決められている。
船首側係船機10B及び船尾側係船機10Aの各係船機10は実質的に同一の構造を有する。図2に示すように、各係船機10は、係船索Rと、係船索Rの巻取りと繰り出しとが可能なウインチWとを備える。ウインチWは、電動油圧式である。ウインチWは、係船索Rが巻かれた巻取りドラム11と、巻取りドラム11を回転駆動するモータ12と、モータ12から巻取りドラム11への動力伝達の接続と遮断とを切り替える油圧式のクラッチ13と、モータ12から巻取りドラム11への動力伝達経路上に設けられた減速機14と、常時制動力を与える油圧解除式のブレーキ15とを備える。但し、ウインチWの構造は上記に限定されず、ウインチWは電動式であってもよい。
係船機10には、回転位置センサ51、張力計52、索長計53、及び、これらの検出値に基づいてウインチWの動作を制御するウインチコントローラ50が設けられている。回転位置センサ51は、モータ12又は巻取りドラム11の回転位置及び回転数を検出する。索長計53は、巻取りドラム11から繰り出された係船索Rの長さを計測する。ウインチコントローラ50は、回転位置センサ51の検出信号及び/又は索長計53の測定値に基づいて、モータ12又は巻取りドラム11の回転を計測し、係船索Rの巻取り長さや繰り出し長さを推定する。張力計52は、係船索Rに作用する張力(負荷)を直接的又は間接的に検出するものであってよい。張力計52は、例えば、ブレーキ15に設けられたロードセルであって、当該ロードセルで検出された荷重に基づいて係船索Rの張力が推定されてよい。張力計52は、例えば、モータ12の出力トルクを検出するトルクセンサであって、当該トルクセンサで検出されたトルクに基づいて係船索Rの張力が推定されてよい。ウインチコントローラ50は、張力計52の検出値に基づいて、係船索Rに作用する張力が所定の上限値を超えない所定の値に維持されるように巻取りドラム11の回転を制御することができる。
係船索Rを巻取りドラム11へ巻き取る際には、クラッチ13によってモータ12から巻取りドラム11への動力伝達経路が接続され、巻取りドラム11が巻取り方向に回転駆動される。なお、推力が離岸方向に働いている状態では、ウインチWの巻き込み力は係船索Rの弛みを抑える程度に小さな値とする。係船索Rを巻取りドラム11から繰り出す際には、クラッチ13が切断されてモータ12から巻取りドラム11への動力伝達経路が切断され、巻取りドラム11は空転可能な状態となり繰り出し方向へ回転することができる。或いは、係船索Rを繰り出す際には、クラッチ13によってモータ12から巻取りドラム11への動力伝達経路が接続され、巻取りドラム11が繰り出し方向へ回転駆動されてもよい。
図1に戻って、係船索Rの先端は、岸壁30に設けられた係船柱35に係止される。巻取りドラム11から引き出された係船索Rは、チョック(ムアリングホール)、フェアリーダー、デッキエンドローラ、スタンドローラなどの適宜の案内器36によって、保護と案内がなされる。
〔操船システム20の構成〕
図3は、操船システム20の構成を示す図である。図3に示すように、船舶Sの操船システム20は、操船コントローラ6と、操船コントローラ6と電気的に有線又は無線で接続された計器群7、ユーザーインターフェース8、及び推進コントローラ群9Cとを備える。
操船コントローラ6は、プロセッサ、ROM及びRAMなどのメモリ、及び、I/O部を備える(いずれも図示略)。操船コントローラ6には、I/O部を介して計器群7、ユーザーインターフェース8、及び推進コントローラ群9Cが接続されている。操船コントローラ6には、I/O部を介してストレージ(図示略)が接続されていてもよい。
操船コントローラ6には、船陸間通信装置31が接続されている。操船コントローラ6は、船陸間通信装置31を使って、陸上基地に設けられた状態監視装置33へ操船情報を伝達する。この操船情報には、港湾内の航行状況や機器稼働データなどが含まれる。
計器群7は、距離計27、カメラ28、及び各種の航海計器を含む。
距離計27は、船首から岸壁30までの船首側距離を測定する船首側距離計と、船尾から岸壁30までの距離を測定する船尾側距離計とを含む。距離計27は、例えば、レーザー式距離計などの公知の非接触距離計であってよい。操船コントローラ6は、距離計27から取得した情報に基づいて、船体5から接岸しようとする岸壁30までの接岸方向D2の距離(以下、「接岸距離d」と称する)を求めることができる。ここで、接岸方向D2は、岸壁30へ近づく方向である。また、接岸距離dは、船体5から岸壁30までの最短の距離と規定されてよい。
カメラ28は、船首側甲板に設けられて船首から岸壁30を連続的又は断続的に撮像する船首側カメラと、船尾側甲板に設けられ船尾から岸壁30を連続的又は断続的に撮像する船尾側カメラとを含む。船首側カメラの撮像野には、岸壁30に加えて、船首側係船機10B及び/又は船首側係船機10Bから繰り出された係船索Rが含まれることが望ましい。また、船尾側カメラの撮像野には、船尾側係船機10A及び/又は船尾側係船機10Aから繰り出された係船索Rが含まれることが望ましい。このように広い視野を確保するために、カメラ28としてアラウンドビューカメラシステムが採用されてもよい。
各種の航海計器として、船首方位角を検出するコンパス21、速度計22(対水速度計)、風向風速計25(風向計及び風速計)、船位測定装置26、潮流計29、音響測深器、レーダー、クロノメーター、喫水計などが例示される。船位測定装置26は、衛星を用いたGPSや基準局からの電波や光を用いた電波式及び/又は光波式の位置測定装置である。操船コントローラ6は、各種の航海計器から取得した情報に基づいて、船体5の位置、針路、船首方位角、船速などを含む航行状況情報を求め得る。
操船コントローラ6は船陸間通信装置31を使って、陸上基地に設けられた港湾情報提供装置32から港湾情報を適時に取得する。港湾情報には、港湾内の気象・海象情報、港湾環境情報などが含まれる。気象・海象情報には、港湾内の風速、風向、潮流、潮位、天気、及び気候などが含まれる。港湾環境情報には、港湾内の輻輳具合やバース状況などが含まれる。操船コントローラ6は、船陸間通信装置31を介して港湾情報提供装置32から送られてきた情報も、計器群7からの情報とともに演算に利用する。
ユーザーインターフェース8には、操縦機器80と、表示装置83とが設けられている。ユーザーインターフェース8には、個別のプロペラや舵などの推進デバイス9用の設定器や指示計、方位表示や船速表示などの計器群7からの信号を表示する表示部、各種機能切替スイッチ、及び、表示灯などが更に設けられていてもよい。
本実施形態では、操縦機器80としてジョイスティック81と回頭ダイヤル82とが設けられている。ジョイスティック81は、操船者がジョイスティック81を動かすことによって入力した、船体5の平行移動のための推力の方向と大きさの指令を受け付けて、それを操船コントローラ6へ出力する。回頭ダイヤル82は、操船者が回頭ダイヤル82を動かすことによって入力した、回頭移動のための回頭モーメントの方向と大きさの指令を受け付けて、それを操船コントローラ6へ入力する。但し、操縦機器80は上記に限定されず、公知の操縦機器が採用されてよい。
表示装置83としてタッチパネル式ディスプレイ、ヘッドマウント式ディスプレイなどの各種表示装置のうち少なくとも1種類の公知の表示装置が採用される。表示装置83には、操船コントローラ6から出力された操船支援情報、カメラ28で撮像された画像、機器の操作状況、航行状況情報、船体5の環境情報(海象・気象情報)などが含まれ得る。操船支援情報には、海図上の自船位置、推奨航路、避険線、残存距離、海域施設、及び目標位置や、船体5の移動速度ベクトルや、船首及び船尾の任意位置の速度と岸壁30との残距離などのうち少なくとも1つが含まれる。
推進コントローラ群9Cは、推進デバイス9の動作を制御する。推進コントローラ群9Cは、具体的には、係船機10のウインチWを制御するウインチコントローラ50、前後推進機2を制御する前後推進コントローラ91、及び、横推進機3を制御する横推進コントローラ92を含む。ウインチコントローラ50、前後推進コントローラ91、及び横推進コントローラ92は、船舶Sに搭載されているウインチW、前後推進機2、及び横推進機3の基数に応じて設けられている。但し、図3ではウインチコントローラ50、前後推進コントローラ91、及び横推進コントローラ92のうちそれぞれ1つが図示されて残りは省略されている。操船コントローラ6は、これらの推進コントローラ群9Cの各々に対して指令を出力し、推進コントローラ群9Cは指令に基づいて対応する推進デバイス9を動作させる。
図4に示すように、操船コントローラ6は、操船支援情報生成部65、表示制御部66、航路計画部67、指令生成部68、及び、推進制御部69の各機能部を有する。操船支援情報生成部65は、計器群7や港湾情報提供装置32から取得した情報に基づいて、操船支援情報を生成する。表示制御部66は、生成された操船支援情報を表示装置83へ表示させる。航路計画部67は、計器群7や港湾情報提供装置32から取得した情報などに基づいて、出発地から目的地までの所定の評価指標を最適化する最適航路を探索し、その最適航路を計画航路として生成する。指令生成部68は、自動操船時に操船者に代わって指令を生成する。推進制御部69は、請求の範囲の制御装置に相当する。推進制御部69は、推進コントローラ群9Cを介して推進デバイス9を制御する。
図5は、推進制御部69の処理を説明する図である。図5に示すように、操船コントローラ6の推進制御部69は、取得器61と、制限器64と、修正器60と、推力配分演算器62と、出力器63とを有する。
取得器61は、計器群7で検出又は測定された情報、ユーザーインターフェース8の操縦機器80が受け付けた指令などを取得する。計器群7で検出又は測定された情報には、接岸距離dや接岸速度Vappが含まれる。取得器61は、取得した情報や指令に対してA/D変換、スケーリング処理などを行う。取得器61は、ジョイスティック81が受け付けた推進指令(即ち、ジョイスティック81の傾倒角度と傾倒方向)に基づいて、「指令ベクトル」を生成する。指令ベクトルの方向はジョイスティック81の傾倒方向と対応し、指令ベクトルの大きさはジョイスティック81の傾倒角度と対応する。ここで、推進指令が推力指令である場合には、指令ベクトルは、船体5に作用させる推力指令を向きと大きさで表したものと規定される。また、推進指令が速度指令である場合には、指令ベクトルは、船体5の速度指令を向きと大きさで表したものと規定される。
制限器64は、接岸距離dに基づいて指令ベクトルに必要に応じて制限を掛ける。制限器64の機能については、後ほど詳述する。なお、制限器64は、操縦機器80で受け付けた指令に基づく指令ベクトルだけではなく、指令生成部68で生成された指令ベクトルについても制限を掛けてもよい。
修正器60は、潮流計29で検出された潮流、風向風速計25で検出された風向及び風速、並びに/又は、港湾情報提供装置32から取得した港湾内の潮流及び風向風速を含む外乱情報を取得し、外乱情報に基づいて船舶Sに作用する外乱力を推定し、指令ベクトルに外乱力に抗する力を加えることにより指令ベクトルを修正する。
推力配分演算器62は、修正された指令ベクトルと推力ベクトルとが対応するように複数の推進デバイス9(係船機10、前後推進機2、及び、横推進機3)の各々に推力を配分する演算を行う。ここで、係船機10は係船索Rの巻取りによって船体5を接岸方向D2へ推し進める推力を出力する推進デバイス9と見做される。「推力ベクトル」は複数の推進デバイス9(係船機10、前後推進機2、及び、横推進機3)から出力される推力の合成力を向きと大きさで表したものと規定される。推力配分演算器62による推力配分演算方法については、後ほど詳述する。
出力器63は、推力配分演算器62が求めた各推進デバイス9(前後推進機2,横推進機3,係船機10)に配分された推力を、スケーリングやD/A変換や異常処理などを行ったうえで、対応する推進コントローラ群9C(ウインチコントローラ50、前後推進コントローラ91、及び横推進コントローラ92)へ動作指令として出力する。これにより、ジョイスティック81の傾倒角度と対応した大きさで傾倒方向へ向かう推力が船体5に与えられる。
〔操船方法〕
ここで上記構成の操船システム20を用いた船舶Sの着岸・係船時の操船方法について、図6を用いて説明する。
<アプローチ操船>
操船コントローラ6は、船舶Sが港湾に進入するとアプローチ操船を開始する。アプローチ操船において、操船コントローラ6は、計器群7や港湾情報提供装置32から取得した情報を用いてアプローチ操船支援情報を生成し、それを表示装置83の画面に表示させる。ここで、操船コントローラ6は、所定の着岸開始位置P2を目標位置とし、計器群7や港湾情報提供装置32から取得した情報を用いて港湾口P1から着岸開始位置P2までの最適航路を計画航路として求める。表示装置83の画面上には、アプローチ操船支援情報として複数のウエイポイントから成る計画航路と目標位置及び自船位置とがオーバーレイされた港湾の海図や、船首方位角及び船速などの航行情報がグラフィック表示される。着岸開始位置P2は、バースの岸壁30から所定距離(例えば30~50m程度)だけ離れた位置であり、着岸開始位置P2に到達した船舶Sの船体5は前後方向が岸壁30の延伸方向(以下、「岸壁方向D1」称する)と略平行とであり、前後方向の速度は概ねゼロである。
操船者は表示装置83に表示されたアプローチ操船支援情報に基づいてジョイスティック81及び回頭ダイヤル82を操作する。操船コントローラ6は、ジョイスティック81の傾倒角度及び傾倒方向に基づいて指令ベクトルを求める。但し、船舶Sは自動でアプローチ操船されてもよい。この場合、操船コントローラ6は、計器群7や港湾情報提供装置32から取得した情報、及び、計画航路に基づいて、自ら指令ベクトルを生成してもよい。
操船コントローラ6は、指令ベクトルに外乱力に抗する力を加えて修正された指令ベクトルを求め、前後推進機2から出力される推力の合成によって修正された指令ベクトルと対応する推力ベクトルが得られるように、前後推進機2に推力を配分する。アプローチ操船では、横推進機3及び係船機10に配分される推力はゼロである。操船コントローラ6は、配分された推力が出力されるような推力目標値を生成してそれを前後推進コントローラ91へ出力し、前後推進コントローラ91は推力目標値と対応する推力が出力されるように前後推進機2を制御する。その結果、船舶Sは指令ベクトルと対応する推力を得て計画航路に沿って航行する。
<着岸操船>
操船コントローラ6は、船舶Sが着岸開始位置P2に到達すると着岸操船を開始する。着岸操船において、操船コントローラ6は、計器群7や港湾情報提供装置32から取得した情報を用いて着岸操船支援情報を生成し、それを表示装置83の画面に表示させる。着岸操船では、船舶Sを着岸開始位置P2から所定の係船開始位置P3へ移動させる。係船開始位置P3は、バースの岸壁30から数~数十m程度だけ離れた位置であり、係船開始位置P3に到達した船舶Sの船体5は前後方向が岸壁方向D1と略平行とであり、船首方向及び横方向の速度は概ねゼロである。表示装置83の画面上には、着岸操船支援情報として目標位置や自船位置がオーバーレイされた港湾の海図や、船首方位角及び船速などの航行情報、接岸距離d、カメラ28で撮像された画像などが表示される。
操船者は表示装置83に表示された着岸操船支援情報に基づいてジョイスティック81及び回頭ダイヤル82を操作する。操船コントローラ6は、ジョイスティック81の傾倒角度及び傾倒方向に基づいて指令ベクトルを求める。但し、船舶Sは自動で着岸操船されてもよい。この場合、操船コントローラ6は、計器群7や港湾情報提供装置32から取得した情報に基づいて、自ら指令ベクトルを生成してもよい。
操船コントローラ6は、指令ベクトルに外乱力に抗する力を加えて修正された指令ベクトルを求め、前後推進機2及び横推進機3から出力される推力の合成によって修正された指令ベクトルと対応する推力ベクトルが得られるように、前後推進機2及び横推進機3に推力を配分する。着岸操船では、係船機10に配分される推力はゼロである。操船コントローラ6は、前後推進コントローラ91及び横推進コントローラ92の各々に対して配分された推力が出力されるような推力目標値を生成してそれを出力し、前後推進コントローラ91は与えられた推力目標値と対応する推力が出力されるように前後推進機2を制御し、横推進コントローラ92は与えられた推力目標値と対応する推力が出力されるように横推進機3を制御する。その結果、船舶Sは指令ベクトルと対応する推力を得て係船開始位置P3まで主に横移動する。
<係船操船>
船舶Sが係船開始位置P3に到達すると、船尾側係船機10A及び船首側係船機10Bから係船索Rが繰り出され、係船索Rの先端部が岸壁30に設けられた係船柱35に係止される。この間、操船コントローラ6は、自動方位保持機能で、船舶Sを係船開始位置P3に位置保持させる。操船コントローラ6の自動方位保持機能は、設定船首方位角とコンパス21からの船首方位角との偏差に対してPID演算などを行い、それを回頭ダイヤル82の代わりに回頭モーメント指令として推力配分演算に与えることで、船首の方位が保持されるように前後推進機2及び横推進機3を稼働させる。
全ての係船索Rの先端部が岸壁30に設けられた係船柱35に係止されてから、操船コントローラ6は係船操船を開始する。操船コントローラ6は、計器群7や港湾情報提供装置32から取得した情報を用いて係船操船支援情報を生成し、それを表示装置83の画面に表示させる。表示装置83の画面上には、着岸操船支援情報として目標位置や自船位置がオーバーレイされた港湾の海図や、船首方位角及び船速などの航行情報、接岸距離d、カメラ28で撮像された画像などが表示される。
操船者は表示装置83に表示された係船操船支援情報を視認して操縦機器80のジョイスティック81及び回頭ダイヤル82を操作する。ジョイスティック81及び回頭ダイヤル82は、操船者の操作を受け付けて操船コントローラ6へ入力する。但し、係船操船は自動で行われてもよい。係船操船が自動で行われる場合は、操船コントローラ6が計器群7や港湾情報提供装置32から取得した情報に基づいて指令ベクトルを生成し、操船者は操船コントローラ6が生成した指令ベクトルを操縦機器80を用いて修正できる。
操船コントローラ6の取得器61は、ジョイスティック81などの操縦機器80が受け付けた推進指令を取得して、指令ベクトルを生成する。なお、係船操船においては原則として船舶Sには横方向の推力が働き、船舶Sは接岸方向D2へ移動する。よって、推進指令Ucが推力指令である場合には、係船操船時の指令ベクトルは推進指令と対応する大きさの推力の接岸方向D2を向いたベクトルである。また、推進指令Ucが速度指令である場合には、係船操船時の指令ベクトルは推進指令Ucと対応する大きさの速度の接岸方向D2を向いたベクトルである。
係船操船では、操船コントローラ6の制限器64によって推進指令Ucに制限が掛けられる。例えば、制限器64は、接岸距離dが予め与えられた制限距離未満の場合に、推進指令Ucに制限を掛けるように構成されていてよい。制限距離は、岸壁30から係船開始位置P3までの距離であってもよいし、それよりも短い距離であってもよい。
制限器64には、接岸距離dと推進指令制限値Ulimとの関係を表す情報が予め与えられており、制限器64はこの情報に基づいて推進指令制限値Ulimを求める。
図7は、推進指令Ucが推力指令である場合の、接岸距離dと推進指令制限値Ulimとの関係の一例を表す図表である。図7に例示される推進指令制限値Ulimは、接岸距離dが0から第1閾値dth1までは第1の値Upで一定であり、接岸距離dが第1閾値dth1から第2閾値dth2までは接岸距離dの増加に伴って増加し、接岸距離dが第2閾値dth2以上では指令最大値Umaxで一定である。第1の値Upは、0よりも大きく、岸壁30へ船体5を押し付ける推力に相当する。
図8は、推進指令Ucが船舶Sの横方向(即ち、接岸方向D2)の速度指令である場合の、接岸距離dと推進指令制限値Ulimとの関係の一例を表す図表である。図8に例示される推進指令制限値Ulimは、接岸距離dが0のときに第1の値Upであり、接岸距離dが0より大きく閾値dthまでは接岸距離dの増加に伴って増加し、接岸距離dが閾値dth以上では指令最大値Umaxで一定である。第1の値Up、0よりも大きく、岸壁30へ船体5を押し付ける速度に相当する。或いは、第1の値Upは0であってもよい。
制限器64は、推進指令Ucと求めた推進指令制限値Ulimとを比較し、推進指令Ucが推進指令制限値Ulim以下であれば、推進指令Ucに制限を掛けない(或いは、ゼロの制限を掛ける)。一方、制限器64は、推進指令Ucが推進指令制限値Ulimよりも大きければ、推進指令Ucに制限を掛け、推進指令Ucを推進指令制限値Ulimで置き換える。つまり、推進指令Ucは、入力された指令の値に関わらず、推進指令制限値Ulim以下に制限される。
上記のように制限器64で推進指令Ucに制限処理が成されることによって、例えば、操船者の誤操作により操縦機器80の操作量が過剰であった場合でも、船舶Sが岸壁30と衝突しないように推進指令Ucが制限を受ける。
上記のように制限器64で処理された指令ベクトル(即ち、推進指令Uc)は、修正器60によって、外乱力に抗する力を加えて修正される。
推力配分演算器62は、修正された指令ベクトルを取得し、複数の推進デバイス9から出力される推力の合成によって修正された指令ベクトルと対応する推力ベクトルが得られるように、複数の推進デバイス9に推力を配分する。より詳細には、推力配分演算器62は、ウインチコントローラ50、前後推進コントローラ91及び横推進コントローラ92の各々に対して配分された推力が出力されるような推力目標値を生成する。出力器63は、生成された推力目標値を推進コントローラ群9Cの各々へ出力する。
ウインチコントローラ50は与えられた推力目標値と対応する推力が出力されるように、係船機10の巻込み力又は巻込み速度を制御する。具体的には、ウインチコントローラ50は、係船索Rを巻き取ったり繰り出したりして張力及び索長を調整することにより推力目標値が得られるように、ウインチWの巻込み力又は巻込み速度を制御する。前後推進コントローラ91は与えられた推力目標値と対応する推力が出力されるように前後推進機2を制御する。横推進コントローラ92は与えられた推力目標値と対応する推力が出力されるように横推進機3を制御する。その結果、船舶Sは修正された指令ベクトルと対応する推力を得て接岸するまで主に横移動する。
係船操船における推力配分では、係船機10への推力の配分が優先される。各係船機10には係船索Rの張力の許容範囲が設定されている。係船操船が開始されて、係船機10の巻上げ動作により係船索Rのたわみが解消されたのちは、張力計52で測定される係船索Rの張力が許容範囲内に維持されるように、係船機10へ推力が配分される。ここで、張力の許容範囲は、0より大きく且つ係船機10A,10Bの最大巻込力より小さい所定の閾値以下である。係船機10A,10Bの最大巻込力は、係船機10A,10Bの各々に固有の既知の値である。係船機10A,10Bの各々について、係船索Rの張力に関する閾値(許容範囲)が個別に設定されてよい。或いは、全ての係船機10A,10Bについて、同一の係船索Rの張力に関する閾値(許容範囲)が設定されてもよい。
係船操船における推力配分では、先ず、各係船索Rの張力が許容範囲内に維持されるように各係船機10に推力が配分される。そして、全ての係船機10が出力する推力の合成ベクトル(係船機推力ベクトル)を求め、指令ベクトルから係船機推力ベクトルを差し引いた不足分が前後推進機2及び横推進機3から出力される推力で補われる。不足分が生じない場合には、前後推進機2及び横推進機3から出力される推力はゼロであってもよい。このように推力が配分されることによって、操船コントローラ6は、係船操船の少なくとも一部分において、船首側係船機10B及び船尾側係船機10Aに係船索Rの巻取り動作を行わせると同時に、前後推進機2及び横推進機3のうち少なくとも一方に係船索Rの張力を軽減させるような推力を出力させるように、これらの推進デバイス9を制御する。
なお、係船操船において船舶Sに搭載された全ての係船機10で推力を発生させる必要はない。例えば、1機の船尾側係船機10Aと1機の船首側係船機10Bのみに推力を発生させ、余の係船機10は係船索Rに弛みを生じさせず且つ発生する推力を阻害しないように係船索Rの張力が一定に保持されるように制御されてよい。
〔変形例1〕
上記の推進デバイス9の制限器64は、接岸距離dに基づいて推進指令制限値Ulimを求めるが、接岸距離dに基づいて求めた推進指令制限値が船舶Sの接岸速度Vappで補正されてもよい。
図9は接岸速度Vappを説明する図である。図9に示すように、接岸速度Vapp、は、船舶Sの速度Vの接岸方向D2の成分である。接岸速度Vappは、速度計22で検出される船舶Sの速度Vと、コンパス21で検出される船舶Sの船首方位角と、予め記憶された船体モデル及び岸壁情報とを用いて求め得る。
推進制御部69の制限器64は、推進指令制限値Ulimを船体5の接岸方向D2の速度Vappが大きくなるのに伴って小さくなるように補正する。
例えば、推進指令制限値Ulimが補正係数Kvで補正される場合、補正後の推進指令制限値Ulimは、推進指令制限値Ulim×補正係数Kvで表される。補正係数Kvは1以下の値であり、接岸速度Vappと所定の接近速度閾値Vsafeの差ΔVに反比例する。接近速度閾値Vsafe以下で移動する船体5が岸壁30に接触する程度では船体5には損傷は生じず、接近速度閾値Vsafeを超えて移動する船体5が岸壁30に衝突すると船体5に損傷が生じる可能性がある。図10は、接岸速度Vappと接近速度閾値Vsafeの差ΔVと補正係数Kvとの関係の一例を表す図表である。図10に例示されるように、接岸速度Vappと接近速度閾値Vsafeの差ΔVが大きくなれば、補正係数Kvの値が小さくなる。よって、接岸速度Vappで補正された推進指令制限値Ulimは、接岸速度Vappと接近速度閾値Vsafeの差ΔVが大きくなるに従って小さくなる。制限器64は、このように補正された推進指令制限値Ulimを用いて、推進指令Ucに制限を掛けることができる。
〔変形例2〕
上記の推進デバイス9の制限器64は、接岸距離dに基づいて推進指令制限値Ulimを求めるが、接岸距離dに基づいて求めた推進指令制限値Ulimが船舶Sに作用する接岸方向D2の外乱力(以下、「接岸外乱力Fapp」と称する)で補正されてもよい。
図11は接岸外乱力Fappを説明する図である。図11に示すように、接岸外乱力Fappは、船舶Sに作用する外乱力Fの接岸方向D2の成分である。外乱力Fには、水が船体5に与える流体力、及び、風が船体5に与える風圧力のうち少なくとも一方を含んでいてよい。流体力は、例えば、潮流計29で計測された潮流と予め記憶された船体モデルに基づいて算出し得る。或いは、流体力は、気象・海象情報に含まれる港湾内の潮流及び潮位と予め記憶された船体モデルに基づいて算出し得る。風圧力は、例えば、風向風速計25で計測された風向及び風速と船体モデルに基づいて算出し得る。或いは、風圧力は、気象・海象情報に含まれる港湾内の風速、風向と予め記憶された船体モデルに基づいて算出し得る。接岸外乱力Fappは、流体力及び風圧力と、コンパス21で検出される船舶Sの船首方位角と、予め記憶された船体モデル及び岸壁情報とを用いて求め得る。
推進制御部69の制限器64は、船体5のおかれた環境の風向、風速、及び潮流を含む外乱情報を取得し、外乱情報に基づいて船体5に作用する接岸方向D2の外乱力(接岸外乱力Fapp)を推定し、推進指令制限値を接岸外乱力Fappに応じて補正する。
例えば、推進指令制限値Ulimが補正値Kfで補正される場合、補正後の推進指令制限値Ulimは、[推進指令制限値Ulim-外乱補正値Kf]で表される。外乱補正値Kfは接岸外乱力Fappに比例する。正の数の外乱補正値Kfは船舶Sの接岸方向D2の移動を推進する外乱力を表し、負の数の外乱補正値Kfは船舶Sの接岸方向D2の移動を妨げる(即ち、離岸方向D3の移動を促進する)外乱力を表す。接岸外乱力Fappと外乱補正値Kfとの関係は予め規定されており、制限器64は接岸外乱力Fappに基づいて外乱補正値Kfを求め、更には、外乱補正値Kfで補正された推進指令制限値Ulimを求めることができる。このように、接岸外乱力Fappで補正された推進指令制限値Ulimは、接岸外乱力Fappが船舶Sの離岸方向D3の移動を促進する場合(即ち、外乱補正値Kfが負の値の場合)、接岸外乱力Fappの絶対値が大きくなるのに伴って大きくなる。一方、接岸外乱力Fappで補正された推進指令制限値Ulimは、接岸外乱力Fappが船舶Sの接岸方向D2の移動を促進する場合(即ち、外乱補正値Kfが正の値の場合)、接岸外乱力Fappの絶対値が大きくなるのに伴って小さくなる。
〔総括〕
本開示の第1の項目に係る操船システム20は、
船体5を接岸方向D2へ推し進める推力を出力する推進機2,3と、係船索Rの巻取りによって船体5を接岸方向D2へ推し進める推力を出力する係船機10とを含む、船体5に搭載された複数の推進デバイス9と、
船体5から着岸しようとする岸壁30までの距離である接岸距離dを検出する距離計27と、
推進指令Ucを出力する操縦機器80と、
接岸距離d及び推進指令Ucを取得し、接岸距離dが小さくなるのに伴って推進指令制限値Ulimが小さくなる所与の関係に基づいて接岸距離dと対応する推進指令制限値Ulimを求め、操縦機器80から出力される推進指令Ucが推進指令制限値Ulim以上である場合は、推進指令Ucを推進指令制限値Ulimとし、制限された推進指令Ucに対応する推力を複数の推進デバイス9に配分し、複数の推進デバイス9の各々から配分された推力が出力されるように複数の推進デバイス9を制御する制御装置69と、を備えることを特徴としている。
上記操船システム20では、操縦機器80が出力し制御装置69が取得した推進指令Ucの値に関わらず、推進指令Ucの値は推進指令制限値Ulim以下に制限される。推進指令制限値Ulimは船体5が岸壁30へ近づくほど小さな値となるので、船体5が岸壁30に近接した状態では操縦機器80の誤操作が生じても推進指令Ucが十分に小さな値に制限されることから、船体5の岸壁30への衝突が阻止される。
本開示の第2の項目に係る操船システム20は、第1の項目に係る操船システム20において、船体5の速度Vを検出する速度計22を、更に備え、制御装置69は、推進指令制限値Ulimを船体5の接岸方向D2の速度Vappが大きくなるのに伴って小さくなるように補正するものである。
上記操船システム20では、推進指令制限値Ulimに船体5の接岸速度Vappが加味されるので、より確実に船体5の岸壁30への衝突が阻止されるように推進指令Ucを制限できる。
本開示の第3の項目に係る操船システム20は、第1又は2の項目に係る操船システム20において、制御装置69は、船体5のおかれた環境の外乱情報を取得し、外乱情報に基づいて船体5に作用する接岸方向D2の外乱力Fappを推定し、推進指令制限値Ulimを外乱力Fappに応じて補正するものである。外乱情報は、例えば、風向、風速、及び潮流を含んでいてよい。
上記操船システム20では、推進指令制限値Ulimに船体5に作用する接岸外乱力Fappが加味されるので、より確実に船体5の岸壁30への衝突が阻止されるように推進指令Ucを制限できる。
本開示の第4の項目に係る操船システム20は、第1乃至3のいずれかの項目に係る操船システム20において、係船索Rの張力を測定する張力計52を更に備え、制御装置69は、張力計52で測定される係船索Rの張力が0より大きく且つ係船機10の最大巻込力より小さい所定の閾値以下の範囲に維持されるように、推進指令に対応する推力を複数の推進デバイス9へ配分するものである。
上記操船システム20では、船体5を接岸させるために係船機10に係船索Rの巻取り動作をさせている間、係船索Rの張力の範囲が維持されることから、係船索Rに過負荷が掛かることが防止される。
本開示の第5の項目に係る操船方法は、船体5を接岸方向D2へ推し進める推力を出力する推進機2,3と、係船索Rの巻取りによって船体5を接岸方向D2へ推し進める推力を出力する係船機10とを含む複数の推進デバイス9を船体5に搭載した船舶Sの操船方法であって、
船体5から着岸しようとする岸壁30までの距離である接岸距離dを取得し、
船体5に対する推進指令Ucを取得し、
接岸距離dが小さくなるのに伴って推進指令制限値Ulimが小さくなる所与の関係に基づいて接岸距離dと対応する推進指令制限値Ulimを求め、推進指令制限値Ulim以下に制限された推進指令Ucを求め、
制限された推進指令Ucに対応する推力を複数の推進デバイス9に配分し、
複数の推進デバイス9の各々から配分された推力が出力されるように複数の推進デバイス9を制御することを特徴としている。
上記操船方法では、最初に取得した推進指令Ucの値に関わらず、推進指令Ucの値は推進指令制限値Ulim以下に制限される。推進指令制限値Ulimは船体5が岸壁30へ近づくほど小さな値となるので、船体5が岸壁30に近接した状態では操縦機器80の誤操作が生じても推進指令Ucが十分に小さな値に制限されることから、船体5の岸壁30への衝突が阻止される。
本明細書で開示する操船コントローラ6の機能は、開示された機能を実行するように構成又はプログラムされた汎用プロセッサ、専用プロセッサ、集積回路、ASIC(Application Specific Integrated Circuits)、従来の回路、及び/又は、それらの組み合わせを含む回路、又は、処理回路を使用して実行できる。プロセッサは、トランジスタやその他の回路を含むため、処理回路又は回路と見做される。本開示において、回路、ユニット、又は手段は、列挙された機能を実行するハードウェアである。ハードウェアは、本明細書に開示されているハードウェアであってもよいし、或いは、列挙された機能を実行するようにプログラム又は構成されているその他の既知のハードウェアであってもよい。ハードウェアが回路の一種と考えられるプロセッサである場合、回路、手段、又はユニットは、ハードウェアとソフトウェアの組み合わせであり、ソフトウェアはハードウェア及び/又はプロセッサの構成に使用される。
以上の本開示の議論は、例示及び説明の目的で提示されたものであり、本開示を本明細書に開示される形態に限定することを意図するものではない。例えば、前述の詳細な説明では、本開示の様々な特徴は、本開示を合理化する目的で1つの実施形態に纏められているが、複数の特徴のうち幾つかが組み合わされてもよい。また、本開示に含まれる複数の特徴は、上記で論じたもの以外の代替の実施形態、構成、又は態様に組み合わされてもよい。
2 :推進機
3 :推進機
5 :船体
9 :推進デバイス
10:係船機
20:操船システム
22:速度計
27:距離計
30:岸壁
52:張力計
69:推進制御部(制御装置)
80:操縦機器
D2:接岸方向

Claims (5)

  1. 船体を接岸方向へ推し進める推力を出力する推進機と、係船索の巻取りによって前記船体を前記接岸方向へ推し進める推力を出力する係船機とを含む、前記船体に搭載された複数の推進デバイスと、
    前記船体から着岸しようとする岸壁までの距離である接岸距離を検出する距離計と、
    推進指令を出力する操縦機器と、
    前記接岸距離及び前記推進指令を取得し、前記接岸距離が小さくなるのに伴って推進指令制限値が小さくなる所与の関係に基づいて前記接岸距離と対応する前記推進指令制限値を求め、前記操縦機器から出力される前記推進指令が前記推進指令制限値以上である場合は、前記推進指令を前記推進指令制限値とし、制限された前記推進指令に対応する推力を前記複数の推進デバイスに配分し、前記複数の推進デバイスの各々から配分された推力が出力されるように前記複数の推進デバイスを制御する制御装置と、を備える、
    操船システム。
  2. 前記船体の速度を検出する速度計を、更に備え、
    前記制御装置は、前記推進指令制限値を前記船体の前記接岸方向の速度が大きくなるのに伴って小さくなるように補正する、
    請求項1に記載の操船システム。
  3. 前記制御装置は、前記船体のおかれた環境の外乱情報を取得し、前記外乱情報に基づいて前記船体に作用する前記接岸方向の外乱力を推定し、前記推進指令制限値を前記外乱力に応じて補正する、
    請求項1又は2に記載の操船システム。
  4. 前記係船索の張力を測定する張力計を更に備え、
    前記制御装置は、前記張力計で測定される前記係船索の張力が0より大きく且つ前記係船機の最大巻込力より小さい所定の閾値以下の範囲に維持されるように、前記推進指令に対応する推力を前記複数の推進デバイスに配分する、
    請求項1又は2に記載の操船システム。
  5. 船体を接岸方向へ推し進める推力を出力する推進機と、係船索の巻取りによって前記船体を前記接岸方向へ推し進める推力を出力する係船機とを含む複数の推進デバイスを前記船体に搭載した船舶の操船方法であって、
    前記船体から着岸しようとする岸壁までの距離である接岸距離を取得し、
    前記船体に対する推進指令を取得し、
    前記接岸距離が小さくなるのに伴って推進指令制限値が小さくなる所与の関係に基づいて前記接岸距離と対応する前記推進指令制限値を求め、前記推進指令制限値以下に制限された前記推進指令を求め、
    制限された前記推進指令に対応する推力を前記複数の推進デバイスに配分し、
    前記複数の推進デバイスの各々から配分された推力が出力されるように前記複数の推進デバイスを制御する、
    操船方法。
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