JP2021076537A - 船舶の着桟支援プログラム、船舶の着桟支援システム、及び船舶の着桟支援システムを装備した船舶 - Google Patents

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詠子 齊藤
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Abstract

【課題】船舶を桟橋に安全かつ速やかに接岸させることができる船舶の着桟支援プログラム、船舶の着桟支援システム、及び船舶の着桟支援システムを装備した船舶を提供すること。【解決手段】船舶1の着桟位置を取得する着桟位置取得ステップS1と、船舶1の少なくとも位置と船速を含む船舶状態を取得する船舶状態取得ステップS2と、着桟位置Zに至る水域の制約条件を取得する制約条件取得ステップS3と、水域の外乱条件を取得する外乱条件取得ステップS4と、船舶状態と制約条件を考慮して着桟位置Zまでの複数の通過点A1、A2を設定する通過点設定ステップS5と、船舶状態と制約条件と外乱条件を考慮して船舶1の操船運動シミュレーションを行い、計画航路を策定する計画航路策定ステップS7と、操船運動シミュレーションの結果に基づいて、計画航路を航走するに当たっての操船情報を提供する操船情報提供ステップS8とを実行する。【選択図】図1

Description

本発明は、船舶の着桟操船を支援する船舶の着桟支援プログラム、船舶の着桟支援システム、及び船舶の着桟支援システムを装備した船舶に関する。
操船者に高度な技術が要求される操船の一つとして、着桟操船があげられる。着桟操船では、操船者は港内に到着した船舶を桟橋に安全かつ速やかに接岸させる必要がある。一般的に操船者は、プロペラ、舵、及びスラスタという3つのアクチュエータを用いて進路、速力、及び船首方位を制御し、船舶を所定の位置に停止させる。
ここで、特許文献1には、特定の港への船舶の入港時に種々の風向、風力および波高に対応して行われた過去の入港用操船の記録を含む航海記録データベースと気象海象予報受信手段とを用いて類似記録検索手段により現在の状況に類似した操船記録を求め、第1設定手段により入港のための直近の通過点などが設定されるとともに、第2設定手段で減速の度合が設定され、ついで予定航路演算手段で求められた着桟のための予定航路がモニタに表示される入港用操船支援システムが開示されている。なお、特許文献1の通過点は、旋回を開始すべく設定される変針点(ウェイポイント)に相当するものである。
また、特許文献2には、船体が航行するフィールド上に複数のウェイポイントを設定し、各ウェイポイントを線分で結ぶことにより定義されたルートに沿って、所定の速度及び方位角でターゲットポイントを移動させ、一方で、船体の状態量の目標値を現時刻から設定された時間(設定時間)後の終端時間のみで設定する終端状態量拘束条件と、船体の推力指令値を含む評価関数と、船体について取得した現時刻での状態量とに基づき、最適化演算を実行して最適な推力指令値を算出し、時間の遅れでターゲットポイントを追従するように船体を移動させる移動体の制御方法が開示されている。
また、特許文献3には、電子航行デバイスへの複数の入力を受け取る段階と、複数の入力に基づいて所望の航路を生成する段階と、各ウェイポイントおよびその関連付けられた船首方位に対応する位置・方向情報を制御モジュールに送信する段階とを備え、位置・方向情報に基づいて、制御モジュールは、連続する現在のウェイポイントおよび船首方位から連続する次のウェイポイントおよび船首方位へと船舶を操縦するべく必要とされる複数の操舵・スラストコマンドを生成し、操舵・スラストコマンドに応じて、推進システムは、その後、所望の航路に沿って、連続する各ウェイポイントおよびその関連付けられた船首方位へと船舶を推進する船舶操縦方法が開示されている。
また、特許文献4には、航行する予定の海域の地図情報と気象情報とを少なくとも含む情報を取得可能なクラウド上のサーバが、ディスプレイに表示される進行方向撮像画像に目的地を途中の経由目標点ごとにAR表示させ、船外機の操船データを経時的に受信し、エンジンの燃料消費率が減少する操船データを学習して送信し、それに従って船外機の操作をアシストする小型船舶の操船アシストシステムが開示されている。
また、特許文献5には、操船デバイスの駆動を制御する制御システムと、目標値としてウェイポイントを設定するウェイポイント設定手段と、船位および船首方向を把握するためのセンサと、船体運動に影響する外乱を検出する風向風速計、より正確に船体運動や周囲の状況をモニタするための高精度GPS、動揺計、ライダー、カメラ等のセンサセットとを備え、検知された外乱から外乱の変化を予測し、予測された外乱の変化を考慮して操船デバイスの制御を行う自動操船システムが開示されている。
特開2007−230455号公報 特開2004−355105号公報 特開2017−154734号公報 特開2018−165143号公報 特開2019−162977号公報
特に小型船舶の場合、操船者が単独で操船を行っていることに加え、航海距離が短く頻繁に着桟を繰り返すため、操船者の負担が大きい。
また、特に小型船舶は、風をはじめとする外力の影響を受けやすい。このため操船者は外力を考慮しながら自身の経験をもとに着桟操船を行うが、経験が浅い操船者は安全かつ効率的な着桟操船を行うことが困難な場合がある。また、港内には、浅瀬、岩礁等の障害物、浮標、灯浮標等の標識、また動的に位置が変化する他船等が存在し、船舶を桟橋に安全かつ速やかに接岸させるには、変針点(ウェイポイント)の設定だけでは不十分であり、制約を受けるこれらの障害物、標識、又は他船等を避けて通る通過点を設定する必要がある。
発明者らは、実際の小型船舶の着桟操船を調査した。図9は小型船の着桟操船の分析結果を示す図である。図9における矢印は風向を示している。平均風速は2.4m/sであった。
操船者は、ブリッジから周囲の状況を監視しつつ、操舵輪、クラッチ、エンジンテレグラフ、及びバウスラスタを操作することで操船を行う。航跡、アクチュエータ、及び風に関するデータの分析から、着桟操船時に操船者は以下の5つの操船を行っていることが分かった。
位置P:船舶2は、目標である着桟位置のやや後方に進路を取りながら進入する。このときの船速は4.1m/s(8.0ノット)であった。
位置Q:エンジン回転数をアイドリング状態にして減速する。このときの船速は2.8m/s(5.4ノット)であった。
位置R:クラッチレバーをニュートラルにする。このときの船速は2.1m/s(4.1ノット)であった。
位置S:大きな舵角で左転し、船体の角度と位置をみながら着桟地点に近づく。
位置T:係船ロープが取られた後、クラッチレバーとスラスタを操作して船体の位置と角度を桟橋3に合わせる。
これら一連の操船をふまえ、着桟位置から100m程度離れた位置Rで、適切な船速と進路になることが重要であると分かった。
図10は小型船の着桟操船の分析結果のうち横風を受けて着桟操船に失敗したときの航跡を示す図である。図10における矢印は風向きを示している。平均風速は6.3m/sであった。
図10に示す例では、船舶2は、桟橋3へ進入するときの船速が遅すぎたため、風の影響を受けて計画していた航路を維持できなかった。
これは、位置Uでの船速は5.2ノット、位置Vでの船速は2.1ノットであったが、位置V付近(枠線で囲った部分)での船速が遅すぎたことで、追い風の影響を大きく受けて流されてしまい、計画していた航路を維持できずにうまく着桟できなかったと考えられる。
これらの失敗例を検討した結果、外乱(外力)を考慮して的確な目標条件を設定することが、着桟操船にとって有効と考えられる。
しかし、特許文献1の入港用操船支援システムは、過去の入港用操船記録を利用して入港用操船を支援するものであり、過去に例のない状況に直面した場合や、状況が変化した場合には、スムーズな着桟操船が困難となる可能性がある。また、特許文献1でいう通過点は、実質的に変針点(ウェイポイント)であるため、きめ細かな入港時の操船ができない。
また、特許文献2の移動体の制御方法は、計画航路を設定し、設定した計画航路に沿って着桟位置まで船舶を誘導するものではない。
また、特許文献3〜5は、いずれも、通過点を設定し、設定した通過点を通る計画航路を策定して着桟操船を支援するものではない。
そこで本発明は、船舶を桟橋に安全かつ速やかに接岸させることができる船舶の着桟支援プログラム、船舶の着桟支援システム、及び船舶の着桟支援システムを装備した船舶を提供することを目的とする。
請求項1記載に対応した船舶の着桟支援プログラムにおいては、船舶の着桟を支援するプログラムであって、コンピュータに、船舶の着桟位置を取得する着桟位置取得ステップと、船舶の少なくとも位置と船速を含む船舶状態を取得する船舶状態取得ステップと、着桟位置に至る水域の制約条件を取得する制約条件取得ステップと、水域の外乱条件を取得する外乱条件取得ステップと、船舶状態と制約条件を考慮して着桟位置までの複数の通過点を設定する通過点設定ステップと、船舶状態と外乱条件を考慮して複数の通過点を通過して航走するに当たっての船舶の操船運動シミュレーションを行い、計画航路を策定する計画航路策定ステップと、操船運動シミュレーションの結果に基づいて、船舶の着桟位置に至る計画航路を航走するに当たっての操船情報を提供する操船情報提供ステップとを実行させることを特徴とする。
請求項1に記載の本発明によれば、着桟位置までの複数の通過点を設定し、通過点を通過して航走するに当たっての操船運動シミュレーションの結果に基づいて操船情報を提供するため、船舶の着桟を支援し、安全かつ効率的な着桟操船を実現することができる。なお、通過点は、幅を持たせ通過する船舶の通過ゲートとして扱うこと、また進路と船速を同時に付与することも可能である。
請求項2記載の本発明は、通過点を通るコースラインが角度をもって交わる場合に、その交点をウェイポイントとして定めるウェイポイント設定ステップをさらに実行し、計画航路策定ステップでウェイポイントを曲がる操船運動シミュレーションを行い操船情報としての変針計画を導出することを特徴とする。
請求項2に記載の本発明によれば、ウェイポイントを通過点を通るコースラインの交点から定め変針計画を提供できるため、的確にウェイポイントを曲がる際の操船情報を提供することができる。
請求項3記載の本発明は、変針計画には、船舶の減速と変針を含むことを特徴とする。
請求項3に記載の本発明によれば、より的確にウェイポイントを曲がる際の船速と変針に関する操船情報を提供することができる。
請求項4記載の本発明は、計画航路策定ステップで、通過点を通過して航走する船舶の船速の船速シミュレーションを行い、操船情報としての減速計画を導出することを特徴とする。
請求項4に記載の本発明によれば、通過点を通過して航走する際の減速計画を提供できるため、的確に減速する際の操船情報を提供することができる。
請求項5記載の本発明は、減速計画には、船舶の推進手段の回転数の減速計画を含むことを特徴とする。
請求項5に記載の本発明によれば、的確に減速する際の推進手段の回転数を操船情報として提供することができる。
請求項6記載の本発明は、船舶の航走に従って変化する船舶状態、制約条件、及び外乱条件を取得し航走状態を推定する航走状態推定ステップをさらに実行し、計画航路との偏差を求めることを特徴とする。
請求項6に記載の本発明によれば、計画航路と航走に伴う実際の航路との差を把握することができる。
請求項7記載の本発明は、計画航路との偏差が所定の範囲以上の場合に、通過点の設定と、操船運動シミュレーションを繰り返し、計画航路と操船情報とを更新することを特徴とする。
請求項7に記載の本発明によれば、計画航路からのずれを考慮した操船情報を提供できるため、桟橋等の着桟位置まで船舶を精度よく誘導することができる。
請求項8記載の本発明は、制約条件として、船舶の位置と着桟位置との距離に応じた複数の操船フェーズを有し、操船フェーズに応じて操船運動シミュレーションを行うことを特徴とする。
請求項8に記載の本発明によれば、操船フェーズごとに異なる的確な操船情報を提供することができる。
請求項9記載の本発明は、操船情報提供ステップで提供する操船情報は、操舵、船速操作、及びスラスタ操作の少なくともいずれか一つに関する情報であることを特徴とする。
請求項9に記載の本発明によれば、操船の場面に応じて操船手段ごとの的確な操船情報を提供することができる。
請求項10記載の本発明は、操船情報に基づいて、船舶の舵手段、推進手段、及びスラスタ手段の少なくともいずれか一つを制御する操船ステップをさらに実行することを特徴とする。
請求項10に記載の本発明によれば、舵手段、推進手段、又はスラスタ手段の操作を自動で制御することができる。
請求項11記載の本発明は、操船情報に基づいて、操舵、船速操作、及びスラスタ操作の少なくともいずれか一つに関する情報を音声で提供する音声提供ステップをさらに実行することを特徴とする。
請求項11に記載の本発明によれば、操船者等は目視による監視を継続したまま、操船情報を取得することができるため、特に手動で着桟操船を行う場合の安全性及び効率が向上する。
請求項12記載の本発明は、着桟位置まで計画航路を航走するに当たって、音声を操船情報の更新の都度、提供することを特徴とする。
請求項12に記載の本発明によれば、特に手動で着桟操船を行う場合において、操船情報を更新の都度、音声で提供できるため、着桟操船をより安全かつ効率的なものとすることができる。
請求項13記載の本発明は、操船情報に基づいて、操舵、船速操作、及びスラスタ操作の少なくともいずれか一つに関する情報を画像で提供する画像提供ステップをさらに備えたことを特徴とする。
請求項13に記載の本発明によれば、操船者等は目視により操船情報を取得することができる。
請求項14記載の本発明は、着桟位置、船舶状態、制約条件、及び外乱条件の少なくともいずれか一つは予め設定されたものを取得することを特徴とする。
請求項14に記載の本発明によれば、操船者や管理者等が予め設定したこれらの条件等を取得できるため、自動取得が困難な場合に取得が容易にできる。
請求項15記載の本発明は、着桟位置、船舶状態、制約条件、及び外乱条件の少なくともいずれか一つは自動で取得することを特徴とする。
請求項15に記載の本発明によれば、操船者や管理者等による設定の手間を軽減し自動化することが可能となる。
請求項16記載に対応した船舶の着桟支援システムにおいては、船舶の着桟位置を取得する着桟位置取得手段と、船舶の少なくとも位置と船速を含む船舶状態を取得する船舶状態取得手段と、着桟位置に至る水域の制約条件を取得する制約条件取得手段と、水域の外乱条件を取得する外乱条件取得手段と、船舶状態と制約条件を考慮して着桟位置までの複数の通過点を設定する通過点設定手段と、船舶状態と外乱条件を考慮して複数の通過点を通過して航走するに当たっての船舶の操船運動シミュレーションを行い、計画航路を策定する計画航路策定手段と、操船運動シミュレーションの結果に基づいて、船舶の着桟位置に至る計画航路を航走するに当たっての操船情報を提供する操船情報提供手段とを備えたことを特徴とする。
請求項16に記載の本発明によれば、着桟位置までの複数の通過点を設定し、通過点を通過して航走するに当たっての操船運動シミュレーションの結果に基づいて操船情報を提供するため、船舶の着桟を支援し、安全かつ効率的な着桟操船を実現することができる。
請求項17記載の本発明は、船舶の着桟支援プログラムを実行することにより、操船情報を提供することを特徴とする。
請求項17に記載の本発明によれば、着桟支援プログラムを備えたコンピュータでの利用が可能な着桟支援システムを提供することができる。
請求項18記載に対応した船舶の着桟支援システムを装備した船舶においては、船舶の着桟支援システムを備えたことを特徴とする。
請求項18に記載の本発明によれば、安全かつ効率的な着桟操船を行える船舶を提供することができる。
本発明の船舶の着桟支援プログラムによれば、着桟位置までの複数の通過点を設定し、通過点を通過して航走するに当たっての操船運動シミュレーションの結果に基づいて操船情報を提供するため、船舶の着桟を支援し、安全かつ効率的な着桟操船を実現することができる。
また、通過点を通るコースラインが角度をもって交わる場合に、その交点をウェイポイントとして定めるウェイポイント設定ステップをさらに実行し、計画航路策定ステップでウェイポイントを曲がる操船運動シミュレーションを行い操船情報としての変針計画を導出する場合には、ウェイポイントを通過点を通るコースラインの交点から定め変針計画を提供できるため、的確にウェイポイントを曲がる際の操船情報を提供することができる。
また、変針計画には、船舶の減速と変針を含む場合には、より的確にウェイポイントを曲がる際の船速と変針に関する操船情報を提供することができる。
また、計画航路策定ステップで、通過点を通過して航走する船舶の船速の船速シミュレーションを行い、操船情報としての減速計画を導出する場合には、通過点を通過して航走する際の減速計画を提供できるため、的確に減速する際の操船情報を提供することができる。
また、減速計画には、船舶の推進手段の回転数の減速計画を含む場合には、的確に減速する際の推進手段の回転数を操船情報として提供することができる。
また、船舶の航走に従って変化する船舶状態、制約条件、及び外乱条件を取得し航走状態を推定する航走状態推定ステップをさらに実行し、計画航路との偏差を求める場合には、計画航路と航走に伴う実際の航路との差を把握することができる。
また、計画航路との偏差が所定の範囲以上の場合に、通過点の設定と、操船運動シミュレーションを繰り返し、計画航路と操船情報とを更新する場合には、計画航路からのずれを考慮した操船情報を提供できるため、桟橋等の着桟位置まで船舶を精度よく誘導することができる。
また、制約条件として、船舶の位置と着桟位置との距離に応じた複数の操船フェーズを有し、操船フェーズに応じて操船運動シミュレーションを行う場合には、操船フェーズごとに異なる的確な操船情報を提供することができる。
また、操船情報提供ステップで提供する操船情報は、操舵、船速操作、及びスラスタ操作の少なくともいずれか一つに関する情報である場合には、操船の場面に応じて操船手段ごとの的確な操船情報を提供することができる。
また、操船情報に基づいて、船舶の舵手段、推進手段、及びスラスタ手段の少なくともいずれか一つを制御する操船ステップをさらに実行する場合には、舵手段、推進手段、又はスラスタ手段の操作を自動で制御することができる。
また、操船情報に基づいて、操舵、船速操作、及びスラスタ操作の少なくともいずれか一つに関する情報を音声で提供する音声提供ステップをさらに実行する場合には、操船者等は目視による監視を継続したまま、操船情報を取得することができるため、特に手動で着桟操船を行う場合の安全性及び効率が向上する。
また、着桟位置まで計画航路を航走するに当たって、音声を操船情報の更新の都度、提供する場合には、特に手動で着桟操船を行う場合において、操船情報を更新の都度、音声で提供できるため、着桟操船をより安全かつ効率的なものとすることができる。
また、操船情報に基づいて、操舵、船速操作、及びスラスタ操作の少なくともいずれか一つに関する情報を画像で提供する画像提供ステップをさらに備えた場合には、操船者等は目視により操船情報を取得することができる。
また、着桟位置、船舶状態、制約条件、及び外乱条件の少なくともいずれか一つは予め設定されたものを取得する場合には、操船者や管理者等が予め設定したこれらの条件等を取得できるため、自動取得が困難な場合に取得が容易にできる。
また、着桟位置、船舶状態、制約条件、及び外乱条件の少なくともいずれか一つは自動で取得する場合には、操船者や管理者等による設定の手間を軽減し自動化することが可能となる。
また、本発明の船舶の着桟支援システムによれば、着桟位置までの複数の通過点を設定し、通過点を通過して航走するに当たっての操船運動シミュレーションの結果に基づいて操船情報を提供するため、船舶の着桟を支援し、安全かつ効率的な着桟操船を実現することができる。
また、船舶の着桟支援プログラムを実行することにより、操船情報を提供する場合には、着桟支援プログラムを備えたコンピュータでの利用が可能な着桟支援システムを提供することができる。
また、本発明の船舶の着桟支援システムを装備した船舶によれば、安全かつ効率的な着桟操船を行える船舶を提供することができる。
本発明の実施形態による船舶の着桟支援プログラムの処理手順を示すフローチャート 同船舶の着桟支援システムのブロック図 同操船フェーズの説明図 同変針計画作成の模式図 同減速計画作成の模式図 同操船情報の提供例を示す図 同計画航路修正の模式図 一般的に使用されている正確な操船運動モデルを示す図 小型船の着桟操船の分析結果を示す図 小型船の着桟操船の分析結果のうち横風を受けて着桟操船に失敗したときの航跡を示す図
以下、本発明の実施形態による船舶の着桟支援プログラム、船舶の着桟支援システム、及び船舶の着桟支援システムを装備した船舶について説明する。
図1は本実施形態による船舶の着桟支援プログラムの処理手順を示すフローチャート、図2は本実施形態による船舶の着桟支援システムのブロック図、図3は本実施形態による操船フェーズの説明図、図4は本実施形態による変針計画作成の模式図、図5は本実施形態による減速計画作成の模式図、図6は本実施形態による操船情報の提供例を示す図、図7は本実施形態による計画航路修正の模式図である。また、図8は一般的に使用されている正確な操船運動モデルを示す図である。
着桟支援の対象となる船舶1は、着桟支援システム10と、舵手段100と、推進手段101と、スラスタ手段102と、操舵輪103と、エンジンテレグラフ104と、クラッチレバー105と、スラスタ操作盤106と、スピーカ107と、表示画面108を備える。なお、スラスタには各種のサイドスラスタ、アジマススラスタ等を含む。
着桟支援システム10は、着桟位置取得手段11と、船舶状態取得手段12と、制約条件取得手段13と、外乱条件取得手段14と、通過点設定手段15と、ウェイポイント設定手段16と、計画航路策定手段17と、操船情報提供手段18と、自動操船手段19と、航走状態推定手段20と、記憶手段21と、計画航路偏差判断手段22と、フェーズ判断手段23を有し、着桟支援プログラムを実行する。
制約条件取得手段13は、フェーズ取得部13Aを有し、他の制約条件とともに操船フェーズを取得する。
計画航路策定手段17は、操船運動シミュレーション部17Aと、通過点判断部17Bを有する。
推進手段101は、プロペラ101Aと、クラッチ101Bと、エンジン101Cを有する。
着桟支援システム10は、着桟支援の対象となる船舶1について、目標である着桟位置Zまでの計画航路を、操船運動シミュレーションを用いて、要素操船の組合せから策定する。
まず、着桟位置取得手段11は、設定された船舶1の着桟位置Zを取得する(S1:着桟位置取得ステップ)。着桟位置の設定は、別に設けた着桟位置設定手段(図示せず)で人為的に設定してもよいし、次に入港する港の港泊図等から自動的に割り出して機械的に設定してもよい。
次に、船舶状態取得手段12は、船舶1の船舶状態を取得する(S2:船舶状態取得ステップ)。船舶状態には、少なくとも位置及び船速が含まれる。また船舶状態には、進路も含むことが好まく、さらに船舶要目等も含むことがより好ましい。船舶状態取得手段12は、例えば、GNSS(全地球航法衛星システム)、対地船速計、対水船速計、船舶要目データ読込部等である。
次に、制約条件取得手段13は、着桟位置Zに至る水域の制約条件を取得する(S3:制約条件取得ステップ)。制約条件は、浅瀬等の障害物、標識、着桟位置Zの周辺に停泊する他船の位置、並びに自船の周囲を航行する他船の位置、進路、及び速力等である。制約条件取得手段13は、例えば、港泊図データ読込部、AIS(自動船舶識別装置)、レーダ、カメラ等である。
次に、外乱条件取得手段14は、水域の外乱条件を取得する(S4:外乱条件取得ステップ)。外乱条件は、風向、風速、波浪、及び水流等である。外乱条件取得手段14は、例えば、風向・風速計、波浪計、水流計、気象・海象情報受信部等である。
なお、着桟位置取得ステップS1、船舶状態取得ステップS2、制約条件取得ステップS3、及び外乱条件取得ステップS4の実行順序は、互いに変更してもよく、各ステップを同時に実行してもよい。
また、船舶1を航行させる前に、着桟位置Z、船舶状態、制約条件、及び外乱条件を予め設定(オフライン設定)して記憶手段21に記憶しておき、着桟位置取得ステップS1、船舶状態取得ステップS2、制約条件取得ステップS3、又は外乱条件取得ステップS4においては、記憶手段21に記憶されている設定済みの着桟位置Z、船舶状態、制約条件、又は外乱条件を取得してもよい。これにより、操船者や管理者等が予め設定したこれらの条件等を取得できるため、自動取得が困難な場合でもこれらの条件等の取得が容易となる。なお、予め設定するとは、船舶状態、制約条件、及び外乱条件の変化の都度、操船者や管理者等が入力する行為も含むものとする。
また、着桟位置Z、船舶状態、制約条件、及び外乱条件の少なくともいずれか一つは自動で取得することで、操船者や管理者等による設定の手間を軽減し自動化することが可能となる。
また、本実施形態では、制約条件として、船舶1の位置と着桟位置Zとの距離に応じた複数の操船フェーズを有する。
図3に示すように、着桟操船は、桟橋3の近くまで船舶1を誘導するアプローチングフェーズ(Approaching phase)と、桟橋3に平行になるように停止させるアロングサイドフェーズ(Alongside phase)の2段階に分けられる。アプローチングフェーズでは、減速と変針による操船が行われる。また、アロングサイドフェーズでは、横移動を伴う操船が行われる。
制約条件取得ステップS3においてフェーズ取得部13Aは、例えば、予め設定された操船フェーズを取得する。
推定した船舶1の位置と着桟位置Zとの距離が所定値となるアプローチングフェーズからアロングサイドフェーズに移行する点をフェーズ移行通過点として設定し、この通過点以降はアロングサイドフェーズに切り替える。
次に、通過点設定手段15は、船舶状態と制約条件を考慮して着桟位置Zまでの複数の通過点を設定する(S5:通過点設定ステップ)。
船舶には、標準のアプローチパターンがある。通過点は、この標準のアプローチパターンを想定し、また、浅瀬などを考慮した避険線を基に設定する。また、通過点ごとに、進路及び速力を設定する。また、通過点は幅を持たせて通過ゲート的に扱うことも可能である。なお、船舶1を航行させる前、又は入港前等に、通過点を予め設定(オフライン設定)して記憶手段21に記憶しておき、通過点設定ステップS5においては、記憶手段21に記憶されている設定済みの通過点を用いてもよい。
次に、ウェイポイント設定手段16は、隣接する二つの通過点を抽出し、通過点を通るコースラインが角度をもって交わる場合に、その交点をウェイポイントWPとして定める(S6:ウェイポイント設定ステップ)。
図4には、通過点設定ステップS5で設定された複数の通過点のうちの一部として、第一の通過点A1、及び第一の通過点A1に隣接する第二の通過点A2を示している。第二の通過点A2は、第一の通過点A1よりも着桟位置Zに近い。着桟支援システム10は、第一の通過点A1を通過した後に第二の通過点A2を通過する計画を立てる。
ウェイポイント設定手段16は、通過点を基にコースラインを生成する。第一の通過点A1を通る第一のコースラインは、第一の通過点A1に設定されている進路から定まる。同様に、第二の通過点A2を通る第二のコースラインは、第二の通過点A2に設定されている進路から定まる。
そしてウェイポイント設定手段16は、第一のコースラインと第二のコースラインの交点としてウェイポイントWPを生成する。ウェイポイントWPは、船舶1を転舵する変針点である。
また、予め設定された通過点A1、A2に、現在状態、特にコースラインと船速を追加設定し、これにより2つのコースラインの交点をウェイポイントWPとし、計画策定をしてもよい。
次に、複数の通過点を通過して航走するに当たっての船舶1の操船運動シミュレーションを行い、計画航路を策定する(S7:計画航路策定ステップ)。
計画航路策定ステップS7は、操船運動シミュレーションを行う操船運動シミュレーション実行ステップS7−1と、操船運動シミュレーションから求めた計画航路が通過点と一致するか否かを判断する通過点一致判断ステップS7−2を有する。
操船運動シミュレーション実行ステップS7−1において、操船運動シミュレーション部17Aは、船舶状態と外乱条件を考慮した操船運動シミュレーションを行う。操船に用いるアクチュエータの操作量を変化させたシミュレーションを行い通過点に設定された条件を満足するアクチュエータの操作量を決定する。操船運動シミュレーションは、操船フェーズに応じて行うことで、操船フェーズごとに異なる的確な操船情報を提供することができる。
操船運動シミュレーションに当たっては、船舶1の船速、進路、及び船舶要目としての船体質量(船体質量)等の船舶状態と、風向、風速、及び波浪等の外乱条件が必要であり、また、船舶状態から二次的に導出される付加質量、速度成分、回頭角速度、慣性モーメント、付加慣性モーメント等も必要になる。また、計画航路を策定するために操船運動シミュレーションの結果と、船舶1の位置等の船舶状態と複数の通過点の情報が必要となる。なお、制約条件としての操船フェーズを考慮した場合は、操船フェーズごとに異なる内容の操船運動シミュレーションを行い、計画航路を策定することができる。
計画航路策定手段17は、操船運動シミュレーションを用いて、要素操船の組合せから、各操船フェーズにおける目標までの計画航路を策定する。計画航路の策定は、外乱を考慮した適切な目標条件を設定し、操船運動シミュレーションに基づいた要素操船の組合せで行う。
本実施形態では、2種類の要素操船を定義する。一つ目は、ある舵角で目標の進路に変針することであり、二つ目は、エンジン回転数の変化による減速を行うことである。減速の要素は直線によって表され、変針の要素は孤によって表される。操船運動シミュレーションを用いて、これら要素操船の組合せから計画航路を策定する。
ここで、操船運動シミュレーションで使用するモデルについて説明する。
図8に示す操船運動モデルにおいて、一般的に、前後方向、横方向、及び旋回運動の運動は、船体、プロペラ、舵、風圧、及びスラスタによる流体力を用いて、それぞれ下式(1)で表される。
Figure 2021076537
mは船体質量、mはX方向の付加質量、mはY方向の付加質量、uはX方向の速度成分、vはY方向の速度成分、rは回頭角速度、xは重心、IZZは船体重心周辺の慣性モーメント、JZZは付加慣性モーメント、X・Y・Nは操船運動による流体力とモーメント、X・Y・Nはプロペラによる流体力とモーメント、X・Y・Nは舵による流体力とモーメント、X・Y・Nは風圧抵抗、X・Y・Nはスラスタによる流体力とモーメントである。
一方、本実施形態で使用する操船運動方程式を下式(2)に示す。
Figure 2021076537
はプロペラ推力、Rは船体抵抗、Tは舵力によるモーメント、Rは回転抵抗である。
この操船運動方程式では、前後方向の運動と旋回運動を独立的に取り扱う。船速は、プロペラ推力と船体抵抗のみを考慮してモデル化している。また、舵は、舵力によるモーメントと回転抵抗のみを考慮してモデル化している。
このように簡単な操船運動モデルを使用することで、操船運動シミュレーションを高速化することができる。
通常の航海計画は、ウェイポイントWPとレグ(leg)に基づいて作成される。一方、本実施形態による計画航路の策定は、進路と速力を持った通過点に基づいている。
計画航路は、変針の舵角と、変針前後における減速の度合を定めることにより策定する。操船運動シミュレーションは、変針と減速を決定するために用いられる。操船運動シミュレーションを行うことにより、操船情報としての変針計画と減速計画を導出する。
まず、変針の操船運動シミュレーションを行い、舵角を求める。求めた舵角から弧(正円でなくてよい)を生成する。図4では、舵角が左に15度(Port 15)、10度(Port 10)、5度(Port 5)のそれぞれの場合に生成される弧を点線で示している。
次に、生成した弧と二つのコースラインそれぞれとの接点を求める。図4では舵角が左に15度の場合の孤を用いてコースラインとの接点を求めている。弧と第一のコースラインとの接点が変針開始位置Bとなり、弧と第二のコースラインとの接点が変針終了位置Cとなる。
これにより、舵角、変針開始位置B、及び変針終了位置Cという変針計画の要素が決定される。
次に、減速の操船運動シミュレーションを行い、減速の度合を求める。本実施形態では、減速計画に船舶1の推進手段101の一つであるエンジン101Cの回転数の減速計画を含んでおり、エンジン回転数のパーセンテージを指令値(操船情報)として提供する。
減速の操船運動シミュレーションでは、初めにエンジンスピードを変える計画を立てる。ここでは、図5に示すように、現在位置でのエンジンスピードを変えると仮定し、減速の操船運動シミュレーションを用いて、現在位置から目標位置まで減速したときに目標位置で目標速力となるエンジンスピードを決定する。これにより、エンジンスピードの操作量が決定する。図5では、船舶1は、エンジンスピードを現在位置で25%にするとき、目標位置における目標速力を満足できることが分かる。これにより、減速の度合という減速計画の要素が決定される。なお、第一の通過点A1を過ぎて変針開始位置Bまでの所定距離では船速一定としている。これにより操船運動シミュレーションが複雑になることを防止できる。
策定しようとする計画航路は、例えば風や波の影響により、設定した通過点の条件(位置、方位、船速等)に狂いを生じる可能性がある。そこで、通過点一致判断ステップS7−2において通過点判断部17Bは、操船運動シミュレーション実行ステップS7−1における操船運動シミュレーションにより導出された計画航路について、通過点設定ステップS5で設定した通過点と一致しているか否かを判断する。
通過点一致判断ステップS7−2において通過点と一致しないと判断された場合は、操船運動シミュレーション実行ステップS7−1に戻り、操船運動シミュレーションを再び行い計画航路を修正する。
一方、通過点一致判断ステップS7−2において通過点と一致すると判断された場合は、その航路を計画航路として定め、計画航路策定ステップS7を終了する。
これにより、計画航路を精度よく策定することができる。
操船情報提供手段18は、操船運動シミュレーションの結果に基づいて、船舶1の着桟位置Zに至る計画航路を航走するに当たっての操船情報を提供する(S8:操船情報提供ステップ)。
操船情報の提供にあたって操船情報提供手段18は、計画航路を入力し、船舶1の実際の位置、進路、及び速力を入力し、計画航路と実際の位置、進路、及び速力とを比較して、次に行う要素操船を操船情報として提供する。
導出した変針計画に基づいて操船情報を提供することで、的確にウェイポイントを曲がる際の操船情報を提供することができる。また、変針計画には、船舶1の減速と変針を含むことで、より的確にウェイポイントを曲がる際の船速と変針に関する操船情報を提供することができる。
また、導出した減速計画に基づいて操船情報を提供することで、通過点を通過して航走する際の減速計画を提供できるため、的確に減速する際の操船情報を提供することができる。
操船情報は、操舵、船速操作、及びスラスタ操作の少なくともいずれか一つに関する情報である。これにより、操船の場面に応じて操船手段ごとの的確な操船情報を提供することができる。
操船情報は、スピーカ107から音声で提供する(S8−1:音声提供ステップ)。特に小型船においては1名で操船する場合も多いが、音声で操船情報を提供することで、操船者は、目視による監視を継続したまま、提供された操船情報に従った操船を行うことができる。これにより、操船者の負担が軽減し、より安全かつ効率的な着桟操作が可能となる。
また、操船情報は、音声に代えて、又は音声に加えて、表示画面108において画像で提供する(S8−2:画像提供ステップ)ことができる。これにより、操船者等は、目視により操船情報を取得することができる。
図6では、アプローチングフェーズにおける目標位置Xまでの音声による操船情報提供の例を示している。図6では、位置Wにいる船舶1が、第一の通過点A1から第二の通過点A2を通り、目標位置Xに至る航路が計画航路として策定されている。
音声による操船情報は、操船情報の更新の都度、変針に関連する適時のタイミングで提供される。これにより、特に手動で着桟操船を行う場合において、操船情報を更新の都度、音声で提供できるため、着桟操船をより安全かつ効率的なものとすることができる。
変針開始時は、操作タイミングと指定の舵角を操船者等に提供する。変針終了時は、当て舵をとって目標の進路に船舶1を向けるため、操作タイミングと指定の進路を操船者等に提供する。
図6では、位置B1及び位置B2が変針開始位置Bであり、位置C1及び位置C2が変針終了位置Cである。例えば、以下のような音声ガイダンスが提供される。
(1)第一の通過点A1:「Keep speed」
(2)第一の変針開始位置B1:「Starboard 15」
(3)第一の変針終了位置C1:「Steady to Course 270. Engine Speed 30%」
(4)第二の通過点A2:「Keep speed」
(5)第二の変針開始位置B2:「Port 15」
(6)第二の変針終了位置C2:「Steady to Course 225. Engine Speed 20%」
風などの外力を受けると着桟操船が難しくなるため、着桟位置Zから100m程度離れたアプローチングフェーズにおける目標位置Xで、適切な船速と進路になるように操船情報を提供することで、着桟操船を効果的に支援することができる。これにより、経験が浅い操船者であっても、安全かつ効率的な着桟操船が可能となる。
なお、アプローチングフェーズにおける目標位置Xに到達した後は、アロングサイドフェーズに移行し、同様に着桟位置Zまで操船情報の提供が音声により行われる。このように、着桟支援システム10及び着桟支援プログラムは、アプローチングフェーズとアロングサイドフェーズにおける着桟操船を音声ガイダンスによって支援する。
本実施形態では、自動操船手段19が、操船情報に基づいて、船舶1の舵手段100、推進手段101、及びスラスタ手段102の少なくともいずれか一つを制御する(S9:操船ステップ)。これにより、舵手段100、推進手段101、又はスラスタ手段102の操作を自動で制御することができる。
なお、船舶1は、自動操船手段19を用いた自動操船と、自動操船手段19を用いない手動操船を切り替えて操船可能である。手動操船を行う場合、操船者は、操舵輪103により舵手段100を操作し、エンジンテレグラフ104及びクラッチレバー105により推進手段101を操作し、スラスタ操作盤106によりスラスタ手段102を操作する。
自動操船と手動操船のレベルは任意に組み合わせることができる。例えば、着桟位置取得、船舶状態取得、制約条件取得、外乱状態取得は、自動で取得することも人が手動で設定、入力したものを取得することも可能であり、自動か手動かは任意に組み合わせて実施ができる。また、操舵、船速操作、スラスタ操作も操船情報の提供を受けて自動で制御することも人が手動で操作することも可能であり、自動か手動かは任意に組み合わせて実施ができる。取得系と操作系の自動、手動の組み合わせも任意にできる。
操船ステップS9の後は、必要に応じて計画航路を更新する。船舶1は計画航路通りに航行するとは限らないため、着桟操船支援を行うにあたっては、計画航路の修正と、操船情報提供のタイミングに留意する必要がある。
計画航路の修正は、変針や減速の要素と要素の繋ぎ目で行う。例えば図7に示すように、計画航路修正ゾーンMを設定する。この計画航路修正ゾーンMは、船舶1が変針開始位置Bに到達する所定時間前(例えば1分前)となる位置をゾーンの始まりとしている。このような計画航路修正ゾーンMを設定することで、計画航路の修正を実際の変針開始までに余裕をもって行うことができる。
航走状態推定手段20は、計画航路修正ゾーンMに入ったときに、船舶1の航走に従って変化する船舶状態、制約条件、及び外乱条件を取得し、現在の位置等の航走状態を推定する(S10:航走状態推定ステップ)。これにより、計画航路と航走に伴う実際の航路との差を把握することが可能となる。
そして、計画航路偏差判断手段22は、航走状態と計画航路との偏差を求め、求めた偏差が所定の範囲以上か否かを判定する(S11:偏差判定ステップ)。この偏差の所定の範囲は、例えば浅瀬等の障害物、標識、他船の位置等(制約条件)と自船の大きさや船速(船舶状態)とを組み合わせて、ずれても危険とならない余裕を持った範囲として数値的に定めることが可能である。
偏差判定ステップS11において偏差が所定の範囲以上でないと判定された場合は、策定済みの計画航路に基づいた操船情報の提供が行われる。これにより、船舶1は策定済みの計画航路に従って目的位置まで航走を続ける。
一方、偏差判定ステップS11において偏差が所定の範囲以上であると判定された場合は、計画航路修正ゾーンMに入ったときの船舶1の位置、進路、及び速力から、所定時間後(例えば1分後)の船舶1の位置、進路、及び速力を外挿により推定する。そして、推定した所定時間後の船舶1の位置、進路、及び速力を基点として計画航路を再策定するために、ウェイポイント設定ステップS6に戻り、操船運動シミュレーションを行う。操船情報提供手段18は、再策定された計画航路に基づく操船情報を生成し、変針操作が遅れないタイミングで操船情報を提供する。これにより、船舶1は新たに策定された計画航路に従って目的位置まで航走を続ける。
これらの計画修正の一連の動作は変針や減速の要素の途中において、偏差が所定の範囲をこえる場合に行ってもよい。
図7の例では、当初の計画航路を長破線、実際の航跡を実線、修正後の計画航路を短破線で示している。船舶1が計画航路よりも右にずれて航走しているため、着桟支援システム10は、計画航路修正ゾーンMに船舶1が入ったときに計画航路を修正し、当初設定したウェイポイントWPを削除し、より目標位置Xに近いところに新たなウェイポイントWPを設定し直している。
このように、何らかの原因により船舶1が計画航路を外れて航走している場合や、式(2)で示したような簡単な操縦運動モデルを用いた操船運動シミュレーションにより策定した計画航路を使用する場合でも、計画航路修正ゾーンMに入ったときに、計画航路からのずれを考慮して計画航路を修正して更新することにより、桟橋3等の着桟位置まで船舶1を精度よく誘導することができる。
なお、計画航路の修正には、航走状態の代わりに実際の航跡を用いることもできる。この場合は、計画航路と実際の航跡との偏差を求め、偏差判定ステップS11において、求めた偏差が所定の範囲以上か否かを判定する。
また、偏差判定ステップS11において、偏差が所定の範囲以上であると判定された場合、ウェイポイント設定ステップS6ではなく、通過点設定ステップS5に戻り新たに複数の通過点の設定したうえで、操船運動シミュレーションを繰り返し、計画航路と操船情報とを更新することもできる。
偏差判定ステップS11の後、フェーズ判断手段23は、操船フェーズが変化するか否かを判断する(S14:フェーズ変化判断ステップ)。
フェーズ変化判断ステップS14において操船フェーズが変化しないと判断された場合、すなわち次の要素で操船フェーズが変化しない場合は航行を続行する。
一方、フェーズ変化判断ステップS14において操船フェーズが変化すると判断された場合は、通過点設定ステップS5に戻り、取得済みの次の操船フェーズに対応した通過点を取り込み、変化した操船フェーズに対応した操船運動シミュレーションを用いる。次の操船フェーズにおいても、定められた偏差が所定の範囲以上の場合はこの操船運動シミュレーションを用いて航路を修正する。
なお、図1に示すように、偏差判定ステップS11とフェーズ変化判断ステップS14の間に、分岐として、変針計画の要素や減速計画の要素等の要素操船を組み合わせるに当っての繋ぎ目を判定する「計画要素の繋ぎ目判定ステップS12」を挿入してもよい。この計画要素の繋ぎ目判定ステップS12では、「計画要素の繋ぎ目か?」の判定結果が「YES」であれば、さらに分岐「着桟点Zへの到達判定ステップS13」を挿入し、着桟点Zへの到達判定ステップS13における「着桟点Zに到達したか?」の判定結果が「YES」なら終了、「NO」ならばフェーズ変化判断ステップS14に移行し、計画要素の繋ぎ目判定ステップS12における判定結果が「NO」であれば航走状態推定ステップS10に戻して航走を続けるフローとしてもよい。
また、例えば、制約条件としての他船の進路や船速等に変化があり、避航するために通過点設定を修正する必要が生ずる場合もある。このような場合には、制約条件取得ステップS3で情報を得た段階で、通過点設定ステップS5で通過点設定をやり直し、ウェイポイント設定ステップS6以下の各ステップを実行することもできる。
なお、上記実施形態では、着桟支援プログラムを着船支援システムで実行する例を説明したが、着桟支援プログラムは、コンピュータに各ステップを実行させて用いることもできる。
また、コンピュータを用いる場合、コンピュータを遠隔地に設置し制御を行うことも可能であり、着桟位置設定手段等も遠隔地に設置することもできる。
本発明は、着桟位置までの複数の通過点を設定し、通過点を通過して航走するに当たっての操船運動シミュレーションの結果に基づいて操船情報を提供するため、船舶の着桟を支援し、安全かつ効率的な着桟操船を実現することができる。特に、自動操船としての自律船の自動着桟から手動操船としての小型船舶の手動着桟まで、幅広く利用が可能である。また、船舶の大きさは問わずに利用が可能である。
1 船舶
10 着桟支援システム
11 着桟位置取得手段
12 船舶状態取得手段
13 制約条件取得手段
14 外乱条件取得手段
15 通過点設定手段
17 計画航路策定手段
18 操船情報提供手段
100 舵手段
101 推進手段
102 スラスタ手段
S1 着桟位置取得ステップ
S2 船舶状態取得ステップ
S3 制約条件取得ステップ
S4 外乱条件取得ステップ
S5 通過点設定ステップ
S6 ウェイポイント設定ステップ
S7 計画航路策定ステップ
S8 操船情報提供ステップ
S8−1 音声提供ステップ
S8−2 画像提供ステップ
S9 操船ステップ
S10 航走状態推定ステップ
A1、A2 通過点
WP ウェイポイント

Claims (18)

  1. 船舶の着桟を支援するプログラムであって、
    コンピュータに、
    前記船舶の着桟位置を取得する着桟位置取得ステップと、
    前記船舶の少なくとも位置と船速を含む船舶状態を取得する船舶状態取得ステップと、
    前記着桟位置に至る水域の制約条件を取得する制約条件取得ステップと、
    前記水域の外乱条件を取得する外乱条件取得ステップと、
    前記船舶状態と前記制約条件を考慮して前記着桟位置までの複数の通過点を設定する通過点設定ステップと、
    前記船舶状態と前記外乱条件を考慮して複数の前記通過点を通過して航走するに当たっての前記船舶の操船運動シミュレーションを行い、計画航路を策定する計画航路策定ステップと、
    前記操船運動シミュレーションの結果に基づいて、前記船舶の前記着桟位置に至る前記計画航路を航走するに当たっての操船情報を提供する操船情報提供ステップと
    を実行させることを特徴とする船舶の着桟支援プログラム。
  2. 前記通過点を通るコースラインが角度をもって交わる場合に、その交点をウェイポイントとして定めるウェイポイント設定ステップをさらに実行し、前記計画航路策定ステップで前記ウェイポイントを曲がる前記操船運動シミュレーションを行い前記操船情報としての変針計画を導出することを特徴とする請求項1に記載の船舶の着桟支援プログラム。
  3. 前記変針計画には、前記船舶の減速と変針を含むことを特徴とする請求項2に記載の船舶の着桟支援プログラム。
  4. 前記計画航路策定ステップで、前記通過点を通過して航走する前記船舶の前記船速の船速シミュレーションを行い、前記操船情報としての減速計画を導出することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の船舶の着桟支援プログラム。
  5. 前記減速計画には、前記船舶の推進手段の回転数の減速計画を含むことを特徴とする請求項4に記載の船舶の着桟支援プログラム。
  6. 前記船舶の前記航走に従って変化する前記船舶状態、前記制約条件、及び前記外乱条件を取得し航走状態を推定する航走状態推定ステップをさらに実行し、前記計画航路との偏差を求めることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の船舶の着桟支援プログラム。
  7. 前記計画航路との前記偏差が所定の範囲以上の場合に、前記通過点の設定と、前記操船運動シミュレーションを繰り返し、前記計画航路と前記操船情報とを更新することを特徴とする請求項6に記載の船舶の着桟支援プログラム。
  8. 前記制約条件として、前記船舶の前記位置と前記着桟位置との距離に応じた複数の操船フェーズを有し、前記操船フェーズに応じて前記操船運動シミュレーションを行うことを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の船舶の着桟支援プログラム。
  9. 前記操船情報提供ステップで提供する前記操船情報は、操舵、船速操作、及びスラスタ操作の少なくともいずれか一つに関する情報であることを特徴とする請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の船舶の着桟支援プログラム。
  10. 前記操船情報に基づいて、前記船舶の舵手段、推進手段、及びスラスタ手段の少なくともいずれか一つを制御する操船ステップをさらに実行することを特徴とする請求項9に記載の船舶の着桟支援プログラム。
  11. 前記操船情報に基づいて、前記操舵、前記船速操作、及び前記スラスタ操作の少なくともいずれか一つに関する情報を音声で提供する音声提供ステップをさらに実行することを特徴とする請求項9又は請求項10に記載の船舶の着桟支援プログラム。
  12. 前記着桟位置まで前記計画航路を航走するに当たって、前記音声を前記操船情報の更新の都度、提供することを特徴とする請求項11に記載の船舶の着桟支援プログラム。
  13. 前記操船情報に基づいて、前記操舵、前記船速操作、及び前記スラスタ操作の少なくともいずれか一つに関する情報を画像で提供する画像提供ステップをさらに備えたことを特徴とする請求項9から請求項12のいずれか1項に記載の船舶の着桟支援プログラム。
  14. 前記着桟位置、前記船舶状態、前記制約条件、及び前記外乱条件の少なくともいずれか一つは予め設定されたものを取得することを特徴とする請求項1から請求項13のいずれか1項に記載の船舶の着桟支援プログラム。
  15. 前記着桟位置、前記船舶状態、前記制約条件、及び前記外乱条件の少なくともいずれか一つは自動で取得することを特徴とする請求項1から請求項14のいずれか1項に記載の船舶の着桟支援プログラム。
  16. 船舶の着桟位置を取得する着桟位置取得手段と、
    前記船舶の少なくとも位置と船速を含む船舶状態を取得する船舶状態取得手段と、
    前記着桟位置に至る水域の制約条件を取得する制約条件取得手段と、
    前記水域の外乱条件を取得する外乱条件取得手段と、
    前記船舶状態と前記制約条件を考慮して前記着桟位置までの複数の通過点を設定する通過点設定手段と、
    前記船舶状態と前記外乱条件を考慮して複数の前記通過点を通過して航走するに当たっての前記船舶の操船運動シミュレーションを行い、計画航路を策定する計画航路策定手段と、
    前記操船運動シミュレーションの結果に基づいて、前記船舶の前記着桟位置に至る前記計画航路を航走するに当たっての操船情報を提供する操船情報提供手段とを備えたことを特徴とする船舶の着桟支援システム。
  17. 請求項1から請求項15のいずれか1項に記載の船舶の着桟支援プログラムを実行することにより、前記操船情報を提供することを特徴とする請求項16に記載の船舶の着桟支援システム。
  18. 請求項16又は請求項17に記載の船舶の着桟支援システムを備えたことを特徴とする船舶の着桟支援システムを装備した船舶。
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