JP2023177714A - 発光素子および発光素子の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】活性層の品質を向上させること。【解決手段】第2活性層316は、歪緩和層316AとSQWまたはMQWの量子井戸構造層316Bを順に積層させた構造である。歪緩和層316Aは、障壁層と井戸層を順に積層させたSQW構造であり、発光しないように井戸層の厚さを薄く調整した量子井戸構造である。障壁層はAlGaN、井戸層はInGaNである。歪緩和層316Aの井戸層のバンド端エネルギーに相当する波長は、量子井戸構造層316Bの発光波長よりも短ければよく、たとえば400~460nmである。【選択図】図15
Description
本発明は、III族窒化物半導体からなる発光素子に関するものであり、特に異なる発光色の活性層が中間層を介して積層された構造を有する発光素子に関するものである。また、その製造方法に関するものである。
近年、ディスプレイの高精細化が求められており、1ピクセルを1~100μmオーダーの微細なLEDとするマイクロLEDディスプレイが注目されている。フルカラーとする方式は各種知られているが、たとえば青、緑、赤の各色を発光する3つの活性層を同一基板上に順に積層する方式が知られている。この場合、各活性層を個別に駆動するために、活性層の間に中間層を形成する必要がある。
緑色や赤色の発光の場合、In組成比の高いInGaNが必要となる。しかし、格子不整合によって歪が発生し、高品質なInGaNを形成することができなかった。
そこで本発明の目的は、活性層の品質を向上させることである。
本発明は、III族窒化物半導体からなる発光素子において、n型のIII族窒化物半導体からなるn層と、前記n層上に設けられ、所定の発光波長の第1活性層と、前記第1活性層上に設けられた中間層と、前記中間層上に設けられ、前記第1活性層よりも発光波長が長い第2活性層と、前記第2活性層側から前記中間層に達する溝と、前記第2活性層上に設けられ、p型のIII族窒化物半導体からなる第1のp層と、前記溝底面に露出する前記中間層上に設けられ、p型のIII族窒化物半導体からなる第2のp層と、前記第1のp層上に設けられた第1のp電極と、前記第2のp層上に設けられた第2のp電極と、を有し、前記第2活性層は、量子井戸構造であって、発光しないように井戸層の厚さが調整されている歪緩和層と、量子井戸構造であって発光する発光層と、を順に積層させた構造であり、前記歪緩和層の前記井戸層のバンド端エネルギーに相当する波長が前記発光層の発光波長よりも短くなるように設定されている、ことを特徴とする発光素子である。
また本発明は、III族窒化物半導体からなる発光素子の製造方法において、n型のIII族窒化物半導体からなるn層を形成する工程と、前記n層上に所定の発光波長の第1活性層を形成する工程と、前記第1活性層上に、III族窒化物半導体からなる中間層を成長温度830~1000℃で形成する工程と、前記中間層上に、前記第1活性層よりも発光波長が長い第2活性層を形成する工程と、前記第2活性層側から前記中間層に達する溝を形成する工程と、前記第2活性層上と前記溝底面に露出する前記中間層上に、p型のIII族窒化物半導体からなる第1のp層と第2のp層をそれぞれ形成する工程と、前記第1のp層上と前記第2のp層上に、第1のp電極と第2のp電極をそれぞれ形成する工程と、を有し、前記第2活性層は、量子井戸構造であって、発光しないように井戸層の厚さが調整されている歪緩和層と、量子井戸構造であって発光する発光層と、を順に積層させて形成し、前記歪緩和層の前記井戸層のバンド端エネルギーに相当する波長が前記発光層の発光波長よりも短くなるように設定する、することを特徴とする発光素子の製造方法である。
本発明において、前記歪緩和層の前記井戸層のバンド端エネルギーに相当する波長が前記第1活性層の発光波長と等しくなるように設定されていてもよい。
本発明において、前記歪緩和層の前記井戸層のバンド端エネルギーに相当する発光が前記発光層の発光波長よりも40~100nm短くなるように設定されていてもよい。
本発明において、前記歪緩和層は、SQW構造であってもよい。
本発明において、前記第2活性層の厚さに対する前記第1活性層の厚さの比が30%以下であってもよい。
本発明によれば、活性層の品質を向上させることができる。
以下、本発明の実施形態について、図を参照に説明する。
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態の発光素子の構成を示した図である。第1実施形態の発光素子は青、緑、赤のそれぞれを発光可能である。また、第1実施形態の発光素子は、基板の裏面側から光を取り出すフリップチップ型であり、図示しない実装基板にフェイスダウンで実装されている。なお、第1実施形態は1ピクセルが1チップの構造であるが、モノリシック型であってもよい。つまり、第1実施形態の素子構造が同一基板上にマトリクス状に配列されたマイクロLEDディスプレイ素子としてもよい。
図1は、第1実施形態の発光素子の構成を示した図である。第1実施形態の発光素子は青、緑、赤のそれぞれを発光可能である。また、第1実施形態の発光素子は、基板の裏面側から光を取り出すフリップチップ型であり、図示しない実装基板にフェイスダウンで実装されている。なお、第1実施形態は1ピクセルが1チップの構造であるが、モノリシック型であってもよい。つまり、第1実施形態の素子構造が同一基板上にマトリクス状に配列されたマイクロLEDディスプレイ素子としてもよい。
第1実施形態の発光素子は、図1に示すように、基板10と、n層11と、ESD層12と、下地層13と、第1活性層14と、第1中間層15と、第2活性層16と、第2中間層17と、第3活性層18と、保護層19と、再成長層20A~20Cと、電子ブロック層21A~21Cと、p層22A~22Cと、n電極23と、p電極24A~24Cと、を有している。
基板10は、III族窒化物半導体を成長させる成長基板である。たとえば、サファイア、Si、GaNなどである。
n層11は、低温バッファ層や高温バッファ層(図示しない)を介して基板10上に設けられたn型の半導体である。ただし、バッファ層は必要に応じて設ければよく、基板がGaNである場合などにはバッファ層を設けなくともよい。n層11は、たとえばn-GaN、n-AlGaNなどである。Si濃度は、たとえば1×1018~100×1018cm-3である。
ESD層12は、n層11上に設けられた半導体層であり、静電耐圧向上のために設ける層である。ESD層12は必要に応じて設ければよく、省略してよい。ESD層12は、たとえば、ノンドープまたは低濃度にSiがドープされたGaN、InGaN、またはAlGaNである。
下地層13は、ESD層12上に設けられた超格子構造の半導体層であり、下地層13上に形成される半導体層の格子歪みを緩和するための層である。下地層13も必要に応じて設ければよく、省略してもよい。下地層13は、組成比の異なるIII族窒化物半導体薄膜(たとえばGaN、InGaN、AlGaNのうち2つ)を交互に積層させたものであり、ペア数はたとえば3~30である。ノンドープでもよいし、Siを1×1017~100×1017cm-3程度ドープしてもよい。また、歪を緩和できるのでれば超格子構造である必要はない。第1活性層14とのヘテロ界面で格子定数差が小さくなるような材料であればよく、たとえば、InGaN層、AlInN層、AlGaIn層であってもよい。
第1活性層14は、下地層13上に設けられたSQWまたはMQW構造の発光層である。発光波長は青色であり、430~480nmである。第1活性層14はAlGaNからなる障壁層とInGaNからなる井戸層を交互に1~7ペア積層させた構造である。より好ましくは1~5ペア、さらに好ましくは1~3ペアである。
第1中間層15は、第1活性層14上に設けられた半導体層であり、第1活性層14と第2活性層16の間に位置している。第1中間層15は、第1活性層14からの発光と第2活性層16からの発光とを個別に制御可能とするために設ける層である。また、後述の第2溝31を形成する際に第1活性層14をエッチングダメージから保護する役割も有する。
第1中間層15の材料は、Inを含むIII族窒化物半導体であり、たとえばInGaNとするのがよい。Inによるサーファクタント効果によって第1中間層15表面の荒れを抑制し、表面平坦性を向上させることができる。また、格子歪みを緩和させることができる。第1中間層15のIn組成比(III族窒化物半導体のIII族金属全体に占めるInのモル比)は、第1活性層14および第2活性層16から発光した光を吸収しないバンドギャップとなるように設定されていればよい。好ましいIn組成比は、10%以下、より好ましくは5%以下、さらに好ましくは2%以下である。In組成比が10%よりも大きいと、第1中間層15の表面が荒れる原因となる。Inは0%よりも大きければ任意であり、ドープレベル(混晶を形成しないレベル)でもよい。たとえばIn濃度が1×1014cm-3以上1×1022cm-3以下のGaNである。
また、第1中間層15には不純物がドープされていてもよい。好ましくはn型不純物である。たとえば、Si濃度が1×1017~1000×1017cm-3、好ましくは10×1017~100×1017cm-3、さらに好ましくは20×1017~80×1017cm-3であってもよい。
第1中間層15の厚さは、20~150nmとすることが好ましい。150nmよりも厚いと、第1中間層15の表面が荒れる原因となり得る。また、20nmよりも薄いと、後述の第2溝31を形成する際に第2溝31の深さを第1中間層15内とする制御が難しくなる可能性がある。より好ましくは30~100nm、さらに好ましくは50~80nmである。
第2活性層16は、第1中間層15上に設けられたSQWまたはMQW構造の発光層である。発光波長は緑色であり、510~570nmである。第2活性層16はGaNからなる障壁層とInGaNからなる井戸層を交互に1~7ペア積層させた構造である。より好ましくは1~5ペア、さらに好ましくは1~3ペアである。また、第1活性層14のペア数と等しいか少ないことが好ましく、少ないことがより好ましい。
第2中間層17は、第2活性層16上に設けられた半導体層であり、第2活性層16と第3活性層18の間に位置している。第2中間層17は、第1中間層15と同様の理由により設けられたものであり、第2活性層16からの発光と第3活性層18からの発光とを個別に制御可能とするために設ける層である。また、後述の第3溝32を形成する際に第2活性層16をエッチングダメージから保護する役割も有する。
第2中間層17の材料は、第1中間層15と同様である。第1中間層15と第2中間層17を同一材料としてもよい。また、第2中間層17にも第1中間層15と同様に不純物がドープされていてもよい。また、第2中間層17の厚さも第1中間層15と同様であり、第1中間層15と第2中間層17の厚さを同一としてもよい。ただし、第1中間層15よりも薄くし、In組成比も第1中間層15より大きくすることが好ましい。緑色発光の第2活性層16は、青色発光の第1活性層14よりも熱ダメージを受けやすく、界面での歪みの影響が大きくなるためである。
第3活性層18は、第2中間層17上に設けられたSQWまたはMQW構造の発光層である。発光波長は赤色であり、590~700nmである。第3活性層18はInGaNからなる障壁層とInGaNからなる井戸層を交互に1~7ペア積層させた構造である。より好ましくは1~5ペア、さらに好ましくは1~3ペアである。また、第2活性層16のペア数と等しいか少ないことが好ましく、少ないことがより好ましい。
保護層19は、第3活性層18上に設けられた半導体層である。保護層19は、活性層を保護するとともに、電子ブロック層としても機能する層である。保護層19は、第3活性層18の井戸層よりもバンドギャップの広い材料であればよく、AlGaN、GaN、InGaNなどである。保護層19の厚さは、2.5~50nmが好ましく、より好ましくは5~25nmである。保護層19に不純物をドープしてもよく、Mgをドープしてもよい。その場合、Mg濃度は1×1018~1000×1018cm-3とするのがよい。
保護層19の一部領域はエッチングされて溝が設けられ、保護層19から第2中間層17に達する第3溝32、第1中間層15に達する第2溝31、n層11に達する第1溝30が設けられている。
再成長層20A~20Cは、保護層19上、第3溝32底面に露出する第2中間層17上、第2溝31底面に露出する第1中間層15上にそれぞれ設けられている。再成長層20A~20Cの構成は保護層19と同様である。
電子ブロック層21A~21Cは、再成長層20A~20C上にそれぞれ設けられた半導体層であり、電子が第3活性層18を超えてしまわないようにブロックする層である。電子ブロック層はGaNやAlGaNの単層でもよいし、AlGaN、GaN、InGaNのうち2以上を積層させた構造や、組成比のみ替えて積層させた構造であってもよい。また、超格子構造としてもよい。電子ブロック層21A~21Cの厚さは、5~50nmが好ましく、より好ましくは5~25nmである。電子ブロック層21A~21CのMg濃度は1×1019~100×1019cm-3とするのがよい。
p層22A~22Cは、電子ブロック層21A~21C上にそれぞれ設けられた半導体層であり、電子ブロック層21側から順に第1層、第2層で構成されている。第1層は、p-GaN、p-InGaNが好ましい。第1層の厚さは10~500nmが好ましく、より好ましくは10~200nm、さらに好ましくは10~100nmである。第1層のMg濃度は1×1019~100×1019cm-3とするのがよい。第2層は、p-GaN、p-InGaNが好ましい。第2層の厚さは2~50nmが好ましく、より好ましくは4~20nm、さらに好ましくは6~10nmである。第2層のMg濃度は1×1020~100×1020cm-3とするのがよい。
なお、第1実施形態では、再成長層20A~20C、電子ブロック層21A~21C、p層22A~22Cはそれぞれ分離して設けられているが、一続きにしてもよい(図2参照)。この場合、第3溝32の側面や第2溝31の側面にも再成長層、電子ブロック層、p層が形成されることとなるが、素子の動作にはほとんど影響しない。その理由は次の通りである。p電極24A、p電極24B、p電極24Cがそれぞれ空間的に十分に分離されていれば、p電極24A、p電極24B、p電極24Cの間をつなぐp層の抵抗が非常に高いために電流はほとんど流れない。加えて、ホールは移動度が低いため、電極と接触している領域から正孔は横方向に広がらず、電極直下のpnジャンクションを縦方向へ支配的に流れる。そのため再成長層20A~20C、電子ブロック層21A~21C、p層22A~22Cが一続きであっても素子の動作に影響がないのである。すなわち、p電極24Aに電流を流した場合、p電極24Aの直下に電流が流れ、その結果p電極24A直下の活性層が発光し、p電極24B、24C直下の活性層に電流が流れて発光することはほとんどないのである。
また、図3のように、第3溝32の側面や第2溝31の側面に絶縁膜27を設けてもよい。この絶縁膜27は、再成長層20A~20C、電子ブロック層21A~21C、p層22A~22Cを選択成長させる際のマスクを残したものである。
n電極23は、第1溝30の底面に露出するn層11上に設けられた電極である。基板10が導電性材料である場合には、第1溝30を設けずに基板10裏面にn電極23を設けてもよい。n電極23の材料は、たとえばTi/Alである。
p電極24A~24Cは、p層22A~22C上にそれぞれ設けられた電極である。p電極24A~24Cの材料は、たとえばAg、Ni/Au、Co/Au、ITO、などである。
第1実施形態の発光素子の動作について説明する。第1実施形態の発光素子では、p電極24Aとn電極23の間に電圧を印加することで第3活性層18から赤色の光を発光させることができ、p電極24Bとn電極23の間に電圧を印加することで第2活性層16から緑色の光を発光させることができ、p電極24Cとn電極23の間に電圧を印加することで第1活性層14から青色の光を発光させることができる。また、青色、緑色、赤色のうち2以上を同時に発光させることもできる。このように、第1実施形態の発光素子では、電圧を印加する電極の選択によって青、緑、赤の発光を制御することができ、ディスプレイの1ピクセルとして利用することができる。
図19に第1実施形態の発光素子の等価回路を示す。図19に示すように、第1実施形態の発光素子は、青色、緑色、赤色のLEDが1素子内に形成された構造であり、1素子でフルカラーの発光を実現することができる。そのため、青色、緑色、赤色のLEDを個別に準備してそれらを同一基板に配列させて1ピクセルのフルカラーの発光素子を作製するよりも、1素子のサイズを非常に小さくすることが可能である。さらに、第1実施形態の構造であれば、青色、緑色、赤色のLEDを個別に準備して配列する工程を省くことができ、製造コストも大幅に低減でき、非常に低コストのフルカラー発光素子、およびそれを応用した発光ディスプレイを実現することができる。
ここで、第1実施形態では、第1中間層15、第2中間層17がInを含むため、Inのサーファクタント効果によって第1中間層15、第2中間層17の表面平坦性を向上させることができ、第2活性層16や第3活性層18の表面平坦性も向上させることができる。また、下地層13と第1活性層14との格子定数差によって生じる格子歪みも緩和させることができる。その結果、第1実施形態の発光素子によれば発光効率を向上させることができる。
次に、第1実施形態の発光素子の製造工程について、図を参照に説明する。
まず、基板10を用意し、水素や窒素、必要に応じてアンモニアを加えて、基板の熱処理を行う。
次に、基板10上にバッファ層を形成し、バッファ層上にn層11、ESD層12、下地層13、第1活性層14、第1中間層15、第2活性層16、第2中間層17、第3活性層18、保護層19を順に形成する(図4参照)。各層の好ましい成長温度は次の通りである。
第1活性層14の成長温度は、700~950℃が好ましい。結晶品質を向上でき、発光効率を高めることができる。第1活性層14は井戸層と障壁層で構成されるが、井戸層と障壁層は同じ温度で形成してもよいし、上記温度範囲内で異なる温度としてもよい。異なる温度とする場合は、井戸層の成長温度を障壁層の成長温度よりも低いことが好ましい。
第1中間層15の成長温度は、700~1000℃が好ましい。第1活性層14への熱ダメージを抑制するためである。また、700℃よりも低いと貫通転位に起因したピットや点欠陥が生じやすくなってしまう。より好ましくは800~950℃、さらに好ましくは850~950℃である。
第2活性層16の成長温度は、650~950℃が好ましい。結晶品質を向上でき、発光効率を高めることができる。第2活性層16は井戸層と障壁層で構成されるが、井戸層と障壁層は同じ温度で形成してもよいし、上記温度範囲内で異なる温度としてもよい。異なる温度とする場合は、井戸層の成長温度を障壁層の成長温度よりも低くすることが好ましい。また、第2活性層16の成長温度は、第1活性層14の成長温度よりも低いことが好ましい。
第2中間層17の成長温度は、第1中間層15の成長温度と同様の範囲が好ましい。ただし、第2中間層17の成長温度は、第1中間層15の成長温度よりも低くすることが好ましい。緑色発光の第2活性層16は、緑色発光の第2活性層16は、青色発光の第1活性層14よりも熱ダメージを受けやすく、界面での歪みの影響が大きくなるためである。
第3活性層18の成長温度は、500~950℃が好ましい。結晶品質を向上でき、発光効率を高めることができる。第3活性層18は井戸層と障壁層で構成されるが、井戸層と障壁層は同じ温度で形成してもよいし、上記温度範囲内で異なる温度としてもよい。異なる温度とする場合は、井戸層の成長温度を障壁層の成長温度よりも低くすることが好ましい。また、第3活性層18の成長温度は、第2活性層16の成長温度よりも低いことが好ましい。
保護層19の成長温度は、500~950℃が好ましい。第1活性層14、第2活性層16、第3活性層18への熱ダメージを抑制するためである。保護層19の結晶性向上のためには成長温度が高い方が好ましく、より好ましくは600~900℃、さらに好ましくは700~900℃である。
次に、保護層19表面の一部領域を第2中間層17に達するまでドライエッチングして第3溝32を形成し、第1中間層15に達するまでドライエッチングして第2溝31を形成する(図5参照)。第3溝32、第2溝31は、第2中間層17、第1中間層15の中間の厚さまでエッチングすることが好ましい。
次に、保護層19上、第3溝32によって露出した第2中間層17上、および第2溝31によって露出した第1中間層15上に、再成長層20A~20Cを形成する。成長温度は保護層19と同様である。ここで、再成長層20A~20Cは図2のように一続きとなるように形成してもよい。また、図3のように第3溝32や第2溝31の側面に絶縁膜27を形成し、これをマスクとして再成長層20A~20Cを選択成長させることで、再成長層20A~20Cがそれぞれ分離して形成されるようにしてもよい。
次に、再成長層20A~20C上に電子ブロック層21A~21Cを形成する。電子ブロック層21A~21Cの成長温度は、750~1000℃が好ましい。第1活性層14、第2活性層16、第3活性層18への熱ダメージを抑制するためである。より好ましくは750~950℃、さらに好ましくは800~900℃である。
次に、電子ブロック層21A~21C上にp層22A~22Cを形成する(図6参照)。p層22A~22Cの成長温度は、650~1000℃が好ましい。より好ましくは700~950℃、さらに好ましくは750~900℃である。
次に、p層22C表面の一部領域をn層11に達するまでドライエッチングして第1溝30を形成する(図7参照)。そして、第1溝30の底面に露出するn層11上にn電極23を形成し、p層22A~22C上にp電極24A~24Cを形成する。以上によって第1実施形態の発光素子が製造される。
(第2実施形態)
第2実施形態の発光素子は、図10に示すように、第1実施形態の発光素子において、第1中間層15、第2中間層17を、第1中間層215、第2中間層217に置き換えたものである。
第2実施形態の発光素子は、図10に示すように、第1実施形態の発光素子において、第1中間層15、第2中間層17を、第1中間層215、第2中間層217に置き換えたものである。
第1中間層215は、第1活性層14側から順にノンドープ層215A、n型層215Bを積層させた構造である。ノンドープ層215A、n型層215Bは同一材料からなり、GaNまたはInGaNである。第1実施形態の第1中間層15と同様の材料が好ましい。ノンドープ層215Aはノンドープであり、n型層215BはSiドープである。n型層215BのSi濃度は、1×1017~1000×1017cm-3とすることが好ましい。第1中間層215の厚さは、第1中間層15と同様とすることが好ましい。すなわち、20~150nmとすることが好ましい。また、ノンドープ層215Aの厚さは、10nm以上とすることが好ましい。エッチング深さの制御性および第1活性層14へのエッチングダメージを回避するためである。また、n型層215Bの厚さは、10nm以上とすることが好ましい。各活性層の発光特性を独立に制御するためである。n型層215BはSiを変調ドープしてもよく、n型層215Bの一部領域にノンドープの領域があってもよい。
第2中間層217は、第2活性層16側から順にノンドープ層217A、n型層217Bを積層させた構造である。ノンドープ層217A、n型層217Bは、ノンドープ層215A、n型層215Bと同様の構造である。ただし、第1中間層215よりも薄くし、In組成比も第1中間層215より大きくすることが好ましい。第2中間層17の場合と同様の理由である。つまり、緑色発光の第2活性層16は、青色発光の第1活性層14よりも熱ダメージを受けやすく、界面での歪みの影響が大きくなるためである。
第3溝32は、第2中間層217のノンドープ層217Aに達する深さとなっている。このように、p電極24B下において第2中間層17のn型層217Bを除去することで第2活性層16上にn型層が位置しないようにし、第2活性層16が発光するようにしている。また、第2溝31は、第1中間層215のノンドープ層215Aに達する深さとなっている。これも同様の理由であり、p電極24C下において第1中間層15のn型層215Bを除去することで第1活性層14上にn型層が位置しないようにし、第1活性層14が発光するようにしている。
ここで、pn接合間距離について説明する。pn接合間距離は、ゼロバイアス時に空乏化している膜厚に相当する。LEDにおいては高濃度のアクセプタ不純物を持つp層と、高濃度のドナー不純物を持つn層とに挟まれたノンドープもしくは低ドープの活性層の総膜厚に相当する。
第1中間層215、第2中間層217をノンドープとする場合、pn接合間距離(空乏層の厚さ)は、p電極24A下の領域においてはアクセプタ不純物を高ドープされた電子ブロック層21Aからドナー不純物を高ドープされたn層11までの距離、すなわち、第1活性層14、第2活性層16、第3活性層18と、第1中間層15、第2中間層17を含む膜厚に相当する。また、p電極24B下においてはアクセプタ不純物を高ドープされた電子ブロック層21Bからn層11までの距離、すなわち、第1活性層14、第2活性層16と、第1中間層15と、第2中間層17の一部を含む膜厚に相当する。また、p電極24C下においてはアクセプタ不純物を高ドープされた電子ブロック層21Cからn層11までの距離、すなわち、第1活性層14と、第1中間層15の一部を含む膜厚に相当する。
そのため、これら3つの場合でそれぞれpn接合間距離が異なり、駆動電圧や電流注入効率、逆方向電流が異なってしまう。また、p電極24Aに電圧を印加して第3活性層18を発光させたい場合に、電子と正孔のキャリアがすべての活性層に供給されてしまい、第2活性層16や第1活性層14からも発光してしまう可能性がある。同様に、p電極24Bに電圧を印加して第2活性層16を発光させたい場合に第1活性層14からも発光してしまう可能性がある。
第2実施形態では、このような問題を中間層の構造で解決している。つまり、第2実施形態では、第1中間層15をノンドープ層215A、ドナー不純物が高濃度にドープされたn型層215Bの2層とし、第2中間層17をノンドープ層217A、ドナー不純物が高濃度にドープされたn型層217Bの2層とし、n型層215B、217BにSiをドープしてn型としている。
そのため、pn接合間距離は、p電極24A下の領域においては電子ブロック層21Aから第2中間層17のn型層217Bまでの距離、p電極24B下の領域においては電子ブロック層21Bから第1中間層15のn型層215Bまでの距離、p電極24C下の領域においては電子ブロック層21Cからn層11までの距離となる。すなわち、すべての電極下におけるpn接合間距離は、複数の活性層を含まず、1つの活性層と中間層のうちノンドープ層とを含む総膜厚に相当することとなる。ここで、第1中間層215のノンドープ層215A、第2中間層17のノンドープ層217Aの厚さを適切に制御することで、これら3つの場合でpn接合間距離を等しくすることができる。その結果、これら3つの場合で駆動電圧や電流注入効率、逆方向電流のばらつきを抑えることができ、均一な制御が可能となる。さらに、これら3つの場合でpn接合間には第1活性層14、第2活性層16、第3活性層18がそれぞれ1つしか含まれず、中間層のn型層が正孔にとって障壁層となるため、正孔が中間層のn型層を超えて下部の活性層へ注入され難くなる。その結果、pn接合間に位置する発光させたい活性層以外が発光してしまうことを抑制できる。
(第3実施形態)
第3実施形態の発光素子は、図15に示すように、第1実施形態の発光素子において、第2活性層16、第3活性層18を、第2活性層316、第3活性層318に置き換えたものである。
第3実施形態の発光素子は、図15に示すように、第1実施形態の発光素子において、第2活性層16、第3活性層18を、第2活性層316、第3活性層318に置き換えたものである。
第2活性層316は、歪緩和層316AとSQWまたはMQWの量子井戸構造層(発光層)316Bを順に積層させた構造である。量子井戸構造層316Bについては第1実施形態の第2活性層16と同様の構造である。
歪緩和層316Aは、障壁層と井戸層を順に積層させたSQW構造であり、発光しないように井戸層の厚さを薄く調整した量子井戸構造である。たとえば井戸層の厚さを1nm以下とすることで発光しないようにすることができる。障壁層はAlGaN、井戸層はInGaNである。歪緩和層316Aの井戸層のバンド端エネルギーに相当する波長は、量子井戸構造層316Bの発光波長よりも短ければよく、たとえば第2活性層16の発光波長が500~560nmであれば400~460nmである。好ましくは量子井戸構造層316Bの発光波長よりも40~100nm短くする。この場合、歪緩和層316Aの成長温度は、700~800℃である。
歪緩和層316Aの井戸層のバンド端エネルギーに相当する波長は、第1活性層14の発光波長と等しくしてもよい。この場合、第1活性層14と同様の成長温度で成長させてもよい。
歪緩和層316Aの井戸層におけるバンド端エネルギーの制御は、井戸層の厚さで制御することができる。すなわち、歪緩和層316Aの井戸層の厚さを十分に薄くすることで井戸内のサブバンドのエネルギーが上昇しバンド端エネルギーが大きくなる。これにより、量子井戸構造層316Bの発光波長よりも短くしてもよい。成長温度は任意であるが、量子井戸構造層316Bと同様の成長温度で成長させてもよい。さらに、歪緩和層316Aの井戸層の膜厚を薄くすると、サブバンドがさらに上昇し、障壁層とのエネルギー差が小さくなる。すなわち、障壁層のバンド端エネルギーに近くなる。その結果、歪緩和層316Aの井戸層におけるキャリアの閉じ込めがされ難くなり、発光しにくくなることから、量子井戸構造層316Bの障壁層の一部として機能するとともに、歪緩和の効果も同時に得られる。このように、量子井戸構造層316Bの井戸層よりもキャリア閉じ込めの悪い井戸層を持つ歪緩和層316Aを形成することで、発光しない歪緩和層316Aを形成することができる。
要するに、歪緩和層316A全体の実効的な格子定数が、第1中間層15の格子定数と量子井戸構造層316Bの格子定数の間となるように歪緩和層316Aの材料や層構成が設定され、かつ、歪緩和層316Aが発光しないように井戸層の厚さが設定されていればよい。
歪緩和層316Aは障壁層と井戸層を2ペア以上積層させたMQW構造としてもよいが、第2活性層316が厚くなるのでSQW構造とすることが好ましい。
以上のように歪緩和層316Aを設けることで、その上に積層される量子井戸構造層316Bの歪を緩和させることができ、量子井戸構造層316Bの井戸層の結晶品質を向上させることができる。
第2活性層316の厚さに対する第1活性層14の厚さの比が30%以下となるように設定することが好ましい。より効率的に量子井戸構造層316Bの歪を緩和させることができるとともに、pn接合間距離が各p電極24A~24C下で一定となり、各p電極24A~24C下でのデバイス特性を均一にできる。
第3活性層318は、第1歪緩和層318Aと、第2歪緩和層318Bと、SQWまたはMQWの量子井戸構造層318Cを順に積層させた構造である。量子井戸構造層318Cについては第1実施形態の第3活性層18と同様の構造である。
第1歪緩和層318Aは、第2活性層316の歪緩和層316Aと同様の構造である。第1歪緩和層318Aの井戸層のバンド端エネルギーに相当する波長は、量子井戸構造層316Bの発光波長よりも短ければよく、たとえば400~460nmである。
第2歪緩和層318Bは、第2歪緩和層318Bの井戸層のバンド端エネルギーに相当する波長が量子井戸構造層318Cの発光波長よりも短く、第1歪緩和層318Aの井戸層のバンド端エネルギーに相当する波長よりも長い。たとえば、510~570nmである。それ以外は第1歪緩和層318Aと同様である。
第1歪緩和層318Aの井戸層のバンド端エネルギーに相当する波長と第2歪緩和層318Bの井戸層のバンド端エネルギーに相当する波長の差、および第2歪緩和層318Bの井戸層のバンド端エネルギーに相当する波長と量子井戸構造層318Cの発光波長の差は、40~100nmとすることが好ましい。
第3活性層318の厚さに対する第1活性層14の厚さの比や、第3活性層318の厚さに対する第2活性層316の厚さの比は、30%以下となるように設定することが好ましい。より効率的に量子井戸構造層318Cの歪を緩和させることができるとともに、pn接合間距離が各p電極24A~24C下で一定となり、各p電極24A~24C下でのデバイス特性を均一にできる。
このように第1歪緩和層318A、第2歪緩和層318Bを設けることで、段階的に歪を緩和させることができ、その上に積層される量子井戸構造層318Cの歪を効果的に緩和させることができる。その結果、量子井戸構造層318Cの井戸層の品質を向上させることができる。
なお、第3活性層318では第1歪緩和層318A、第2歪緩和層318Bによって2段階に歪を緩和させているが、歪緩和層を3つ以上設けて3段階以上に歪を緩和させてもよい。また、第2活性層316においても、歪緩和層316Aを複数にして段階的に歪を緩和させてもよい。
また、第1活性層14においても、同様にして歪緩和層を設けてよい。この場合、歪緩和層の成長温度は、たとえば、800~900℃である。
(他の変形例)
本実施形態の発光素子は、第1活性層14、第2活性層16、第3活性層18の3つの活性層を有するものであったが、発光波長が互いに異なる2以上の活性層を有する構造であれば本発明は適用できる。また、発光色も青、緑、赤に限らず、異なる発光波長であれば任意である。
本実施形態の発光素子は、第1活性層14、第2活性層16、第3活性層18の3つの活性層を有するものであったが、発光波長が互いに異なる2以上の活性層を有する構造であれば本発明は適用できる。また、発光色も青、緑、赤に限らず、異なる発光波長であれば任意である。
本実施形態の発光素子は、PWM回路によりPWM駆動して発光を制御することが好ましい。パルス幅とパルス周期によって光強度を容易に制御でき、駆動電流の違いによる波長シフトも抑制できる。
(実験結果)
次に、本実施形態に関する実験結果について説明する。
次に、本実施形態に関する実験結果について説明する。
(実験1)
第1実施形態の発光素子から第2中間層17と第3活性層18を省き、さらに再成長層20B、電子ブロック層21B、p層22B、p電極24Bを省き、第1中間層15に替えて第2実施形態の第1中間層215とし、第2活性層16に替えて第3実施形態の第2活性層316とした発光素子を作製した(図18参照、以下実験例1の発光素子とする)。第1中間層215はIn組成比が5%のInGaNとした。第2活性層316の歪緩和層316Aにおける井戸層のバンド端エネルギーに相当する波長は、第1活性層14の発光波長と同様にし、SQW構造とした。
第1実施形態の発光素子から第2中間層17と第3活性層18を省き、さらに再成長層20B、電子ブロック層21B、p層22B、p電極24Bを省き、第1中間層15に替えて第2実施形態の第1中間層215とし、第2活性層16に替えて第3実施形態の第2活性層316とした発光素子を作製した(図18参照、以下実験例1の発光素子とする)。第1中間層215はIn組成比が5%のInGaNとした。第2活性層316の歪緩和層316Aにおける井戸層のバンド端エネルギーに相当する波長は、第1活性層14の発光波長と同様にし、SQW構造とした。
図8は、実験例1の発光素子の第2活性層16の表面を撮影したAFM像である。図8中、上段は10μm角の範囲、下段は2μm角の範囲を示している。比較のため、第1中間層215をGaNとし、それ以外は実験例2と同様とした場合(実験例2)も示す。図8のように、実験例1では、実験例2に比べてピットの密度が低くかった。また、表面平坦性RMSは、10μm角の範囲では、実験例2が0.88nm、比較例が2.6nm、2μm角の範囲では、実験例1が0.78nm、実験例2が3.1nmであり、いずれの場合も実験例1の方が比較例に比べて小さかった。この結果、第1中間層215中のInがサーファクタントとして作用し、第1中間層215の表面平坦性が改善したことで、その上の第2活性層16の表面平坦性、結晶品質も向上したことがわかる。
図9は、実験例1と実験例2の発光素子について、駆動電流と外部量子効率の関係を示したグラフである。外部量子効率は、p電極24Bに電圧を印加して第2活性層316を発光させた場合である。図9のように、実験例1は実験例2に比べて外部量子効率が高かった。このことから、第2活性層16の結晶品質が向上したことで外部量子効率が向上したことがわかる。
(実験2)
第1活性層14の発光波長を430nm、第2活性層16の発光波長を520nm、第3活性層18の発光波長を630nmとした第1実施形態の発光素子(以下、実験例3の発光素子)について、p電極24Aに電流を注入し、その発光スペクトルを測定した。n型層215B、n型層217BのSi濃度は、1×1018cm-3、2×1018cm-3、3×1018cm-3の3パターンとした。また、比較のためn型層215B、n型層217Bをノンドープに替えた場合も発光スペクトルを測定した。
第1活性層14の発光波長を430nm、第2活性層16の発光波長を520nm、第3活性層18の発光波長を630nmとした第1実施形態の発光素子(以下、実験例3の発光素子)について、p電極24Aに電流を注入し、その発光スペクトルを測定した。n型層215B、n型層217BのSi濃度は、1×1018cm-3、2×1018cm-3、3×1018cm-3の3パターンとした。また、比較のためn型層215B、n型層217Bをノンドープに替えた場合も発光スペクトルを測定した。
図11~14は、発光スペクトルを示したグラフであり、図11はSi濃度が3×1018cm-3、図12は2×1018cm-3、図13は1×1018cm-3、図14はノンドープである。図14のように、ノンドープの場合、第3活性層18の赤色発光だけでなく、第1活性層14の青色発光も生じており、赤色発光は弱く、青色発光が強いことがわかった。一方、図11~13のように、Siドープの場合、赤色発光も青色発光と同程度かそれ以上に強くなり、Si濃度が高いほど青色発光の強度が低下した。第2活性層16の青色発光の強度が低下する代わりに緑色発光も若干現れているが、図11のようにSi濃度が十分に高くなれば緑色発光の強度も低下した。この結果、第1中間層15、第2中間層17にSiドープのn型層215B、n型層217Bを導入することで、発光させたい活性層である第3活性層18以外の活性層(第1活性層14、第2活性層16)からの発光を抑制できることがわかった。
(実験3)
図16は、実験例2と実験例4の発光素子の量子井戸構造層316Cの表面を撮影したAFM像である。実験例4は、実験例2において第2活性層316に歪緩和層316Aを設けなかった場合である。図16中、上段は10μm角の範囲、下段は2μm角の範囲を示している。図16のように、表面平坦性RMSは、10μm角の範囲では、実験例2が2.6nm、実験例4が3.8nm、2μm角の範囲では、実験例2が3.1nm、実験例4が3.3nmであり、いずれの場合も実験例2の方が実験例4に比べて小さかった。すなわち、表面平坦性が改善していた。この結果、第2活性層316に歪緩和層316Aを導入したことで、その上の量子井戸構造層316Bの歪が緩和し、表面平坦性や結晶品質が向上したことがわかる。
図16は、実験例2と実験例4の発光素子の量子井戸構造層316Cの表面を撮影したAFM像である。実験例4は、実験例2において第2活性層316に歪緩和層316Aを設けなかった場合である。図16中、上段は10μm角の範囲、下段は2μm角の範囲を示している。図16のように、表面平坦性RMSは、10μm角の範囲では、実験例2が2.6nm、実験例4が3.8nm、2μm角の範囲では、実験例2が3.1nm、実験例4が3.3nmであり、いずれの場合も実験例2の方が実験例4に比べて小さかった。すなわち、表面平坦性が改善していた。この結果、第2活性層316に歪緩和層316Aを導入したことで、その上の量子井戸構造層316Bの歪が緩和し、表面平坦性や結晶品質が向上したことがわかる。
図17は、実施形態3と比較例の発光素子について、駆動電流と外部量子効率の関係を示したグラフである。外部量子効率は、p電極24Aに電圧を印加して第2活性層316を発光させた場合である。図17のように、実験例2は実験例4に比べて外部量子効率が高かった。このことから、第2活性層316の歪が緩和し、表面平坦性や結晶品質が向上したことで外部量子効率が向上したことがわかる。
本発明の発光素子は、フルカラーディスプレイなどに適用することができる。
10:基板
11:n層
12:ESD層
13:下地層
14:第1活性層
15、215:第1中間層
16、316:第2活性層
17、217:第2中間層
18、318:第3活性層
19:保護層
20A~20C:再成長層
21A~21C:電子ブロック層
22A~22C:p層
23:n電極
24A~24C:p電極
215A、217A:ノンドープ層
215B、217B:n型層
316A:歪緩和層
316B、318C:量子井戸構造層
318A:第1歪緩和層
318B:第2歪緩和層
11:n層
12:ESD層
13:下地層
14:第1活性層
15、215:第1中間層
16、316:第2活性層
17、217:第2中間層
18、318:第3活性層
19:保護層
20A~20C:再成長層
21A~21C:電子ブロック層
22A~22C:p層
23:n電極
24A~24C:p電極
215A、217A:ノンドープ層
215B、217B:n型層
316A:歪緩和層
316B、318C:量子井戸構造層
318A:第1歪緩和層
318B:第2歪緩和層
Claims (10)
- III族窒化物半導体からなる発光素子において、
n型のIII族窒化物半導体からなるn層と、
前記n層上に設けられ、所定の発光波長の第1活性層と、
前記第1活性層上に設けられた中間層と、
前記中間層上に設けられ、前記第1活性層よりも発光波長が長い第2活性層と、
前記第2活性層側から前記中間層に達する溝と、
前記第2活性層上に設けられ、p型のIII族窒化物半導体からなる第1のp層と、
前記溝底面に露出する前記中間層上に設けられ、p型のIII族窒化物半導体からなる第2のp層と、
前記第1のp層上に設けられた第1のp電極と、
前記第2のp層上に設けられた第2のp電極と、
を有し、
前記第2活性層は、量子井戸構造であって、発光しないように井戸層の厚さが調整されている歪緩和層と、量子井戸構造であって発光する発光層と、を順に積層させた構造であり、
前記歪緩和層の前記井戸層のバンド端エネルギーに相当する波長が前記発光層の発光波長よりも短くなるように設定されている、
ことを特徴とする発光素子。 - 前記歪緩和層の前記井戸層のバンド端エネルギーに相当する波長が前記第1活性層の発光波長と等しくなるように設定されている、ことを特徴とする請求項1に記載の発光素子。
- 前記歪緩和層の前記井戸層のバンド端エネルギーに相当する波長が前記発光層の発光波長よりも40~100nm短くなるように設定されている、ことを特徴とする請求項1に記載の発光素子。
- 前記歪緩和層は、SQW構造である、ことを特徴とする請求項1に記載の発光素子。
- 前記第2活性層の厚さに対する前記第1活性層の厚さの比が30%以下である、ことを特徴とする請求項1に記載の発光素子。
- III族窒化物半導体からなる発光素子の製造方法において、
n型のIII族窒化物半導体からなるn層を形成する工程と、
前記n層上に所定の発光波長の第1活性層を形成する工程と、
前記第1活性層上に、III族窒化物半導体からなる中間層を成長温度700~1000℃で形成する工程と、
前記中間層上に、前記第1活性層よりも発光波長が長い第2活性層を形成する工程と、
前記第2活性層側から前記中間層に達する溝を形成する工程と、
前記第2活性層上と前記溝底面に露出する前記中間層上に、p型のIII族窒化物半導体からなる第1のp層と第2のp層をそれぞれ形成する工程と、
前記第1のp層上と前記第2のp層上に、第1のp電極と第2のp電極をそれぞれ形成する工程と、
を有し、
前記第2活性層は、量子井戸構造であって、発光しないように井戸層の厚さが調整されている歪緩和層と、量子井戸構造であって発光する発光層と、を順に積層させて形成し、
前記歪緩和層の前記井戸層のバンド端エネルギーに相当する波長が前記発光層の発光波長よりも短くなるように設定する、
することを特徴とする発光素子の製造方法。 - 前記歪緩和層の前記井戸層のバンド端エネルギーに相当する波長が前記第1活性層の発光波長と等しくなるように設定する、ことを特徴とする請求項5に記載の発光素子の製造方法。
- 前記歪緩和層の前記井戸層のバンド端エネルギーに相当する波長が前記発光層の発光波長よりも40~100nm短くなるように設定する、ことを特徴とする請求項5に記載の発光素子の製造方法。
- 前記歪緩和層は、SQW構造である、ことを特徴とする請求項5に記載の発光素子の製造方法。
- 前記第2活性層の厚さに対する前記第1活性層の厚さの比が30%以下である、ことを特徴とする請求項5に記載の発光素子の製造方法。
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