JP2023177342A - フィルムの製造方法 - Google Patents

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伝一朗 水口
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洋行 涌井
Hiroyuki Wakui
幸太 北村
Kota Kitamura
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Abstract

【課題】フィルムの製造において、フィルム幅方向の透明性や色のムラが少なく安定しているフィルムの製造方法を提供すること。【解決手段】フィルムの製造方法であって、熱処理前フィルムの幅方向の両端部を固定する工程1、前記熱処理前フィルムの第一の面及び第二の面の少なくとも一方の面に熱風を送風する工程2、前記熱処理前フィルムの幅方向における中央部が常にばたついている状態で、前記熱処理前フィルムを搬送する工程3、を有するフィルムの製造方法。【選択図】なし

Description

本発明は、フィルムの製造方法に関する発明である。
従来、フィルムの製造工程においては、フィルムを搬送・乾燥・熱処理などする際に、フィルムの幅方向の両端部を多数のピンやクリップで把持することにより、フィルムに対して幅方向に張力を加えた状態で搬送するテンター式搬送装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
テンター式搬送装置には幾つかの搬送方式がある。それらの搬送方式のうち、フィルムの両端部に、流れ方向に沿って多数のピンを突き刺すことによってフィルムを把持するピンテンター式搬送装置は、互いに平行に配置された一対の移動チェーンに支持されたピンシート上に配設された多数のピンを有する。このような搬送装置でフィルムに熱処理をする場合、幅方向に均一に熱処理を行わないと、特にフィルムの中央部と端部で色の濃さに差が出てしまう。
従来、この課題を解決するために、熱処理前のフィルムの幅方向残存溶媒濃度分布を制御する方法が提案されている(特許文献2)。
特公昭39-29211号公報 特開2010-6854号公報
しかしながら、特許文献2の方法では、熱処理前のフィルムの幅方向残存溶媒濃度分布を制御するため、吹き付けエアの倒れを防止するためスリットの分割をするか、乾燥ゾーンそのものを増設するといった専用設備が必須になる。
本発明は、上述した課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、フィルム幅方向の透明性や色のムラが少なく安定しているフィルムの製造方法を提供することである。
本発明者は上記の課題を解決すべく鋭意検討した結果、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明は以下の好的な態様を提供するものである。
[1] フィルムの製造方法であって、
熱処理前フィルムの幅方向の両端部を固定する工程1
前記熱処理前フィルムの第一の面及び第二の面の少なくとも一方の面から熱風を送風する工程2
前記熱処理前フィルムの幅方向における中央部が常にばたついている状態で、前記熱処理前フィルムを搬送する工程3
を有するフィルムの製造方法。
[2] 前記工程3は、前記熱処理前フィルムの両端部の固定位置を結んだ直線を基準線としたときに、前記熱処理前フィルムの幅方向中央部が、前記基準線を30秒間に10~150回通過する[1]に記載のフィルムの製造方法。
[3] 前記フィルムがポリイミドフィルムである[1]又は[2]に記載のフィルムの製造方法。
[4] 前記ポリイミドフィルムが透明ポリイミドフィルムである[3]に記載のフィルムの製造方法。
[5] 前記ポリイミドフィルムのモノマーが酸二無水物成分及びジアミン成分を含み、前記酸二無水物成分に3,3’,4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物を含有し、前記ジアミンに4,4’-ジアミノ-2,2’-ビス(トリフルオロメチル)ビフェニルを含有する[3]に記載のフィルムの製造方法。
[6] フィルムの製造装置であって、
熱処理前フィルムの幅方向の両端部を固定する固定機構1
前記熱処理前フィルムの第一の面及び第二の面の少なくとも一方の面から熱風を送風する送風機構2
前記熱処理前フィルムの幅方向における中央部が常にばたついている状態で、前記熱処理前フィルムを搬送する搬送機構3
を有するフィルムの製造装置。
本発明によれば、フィルムの製造において、フィルム幅方向の透明性や色のムラが少なく安定しているフィルムの製造方法を提供することができる。
本発明のフィルムの製造方法では、フィルムの幅方向の両端部を固定し、前記フィルムの第一の面及び第二の面の少なくとも一方の面から熱風を送風する。すなわち、フィルムを製造する際に、前記フィルムに適切な風速となる熱風を当てることによって、前記フィルムの幅方向における中央部が常にばたついている状態で、前記フィルムを搬送することができる。
ここで前記フィルムに適切な風速となる熱風を当てずにフィルムを搬送した場合、両端部を固定されたフィルムは自重によって幅方向の中央部が最下部となる放物線状に撓んだ状態のまま搬送されることになってしまうが、通常、熱風やヒーターなどの熱源は前記フィルムの第一の面側及び第二の面側の少なくとも一方の面側から当てられるため、幅方向中央部が両端固定部よりも熱風やあるいはヒーター等の熱源に近い或いは遠い位置に固定して搬送されるため、幅方向中央部と幅方向両端部で加熱状態が異なることとなり、結果フィルム物性が幅方向の場所で異なる特性となってしまい、使用時に支障をきたすことがある。
本発明によれば、前記フィルムの幅方向における中央部が常にばたついている状態で前記フィルムを搬送することになるので、幅方向の特定の位置が熱源に対して近い或いは遠い位置をとり続けることがなくなり、結果幅方向全域において均等に近い加熱を実現することができるため、搬送後のフィルム物性も幅方向全域において均等に近くすることができる。
本発明の搬送中のフィルムの状態A(フィルム中央部が下側にある状態)を模式的に示す説明図 本発明の搬送中のフィルムの状態B(フィルム中央部が水平の状態)を模式的に示す説明図 本発明の搬送中のフィルムの状態C(フィルム中央部が上側にある状態)を模式的に示す説明図
以下、必要に応じて図示例を参照しつつ本発明の実施形態について説明する。なお、本発明の範囲はここで説明する実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を損なわない範囲で種々の変更をすることができる。
フィルムを製造する場合に、熱処理前フィルムを、加熱炉内に通過させることで有機溶剤を揮発させたり、化学反応を起こしたり、各種物性の向上をはかることがある。ここで、有機溶剤を揮発させる目的のフィルムは乾燥前のフィルムであり、化学反応を起こす目的のフィルムは前駆体フィルム(グリーンフィルム)であるが、本明細書では、これらを併せて熱処理前フィルムという。
このように熱処理前フィルムを製造する場合、熱処理前フィルムの幅方向の両端部を固定する必要がある(工程1)。固定方法は特に限定されない。搬送中に加熱処理するときは、一般的にテンター式搬送装置を用いることがある。テンター式搬送装置を用いる場合には、前記フィルムの両端部を、ピンテンター式搬送装置の複数のピンに突き刺すことにより把持することが好ましい。また、テンター式搬送装置として、クリップテンター式搬送装置を用いる場合には、前記フィルムの両端部を、クリップテンター式搬送装置の複数のクリップで挟むことにより把持することが好ましい。熱処理前フィルムの固定は前記両端部のみで固定することが好ましい。前記両端部のみで固定することで、熱処理前フィルムの幅方向の中央部を常にばたつかせやすくなる。
前記熱処理前フィルムの幅方向の両端部を固定した後、前記熱処理前フィルムの第一の面及び第二の面の少なくとも一方の面から熱風を送風する(工程2)。特に、上記テンター式搬送装置内で熱処理前フィルムを加熱する場合、加熱源として熱風発生機構が用いられることが多い。熱処理前フィルムの第一の面(熱処理前フィルムの上側の面)及び/または熱処理前フィルムの第二の面(熱処理前フィルムの下側の面)から熱風を吹きつけて、これにより加熱をする。加熱処理することにより、熱処理前フィルムの有機溶剤を揮発させたり、化学反応を起こしたり、各種物性の向上をはかることができる。ここで、熱処理前フィルムに熱風を送風することを熱処理ともいう。
次いで、前記熱風を送風することにより、熱処理前フィルムの幅方向における中央部が常にばたついている状態で、前記熱処理前フィルムを搬送する(工程3)。
図1は本発明の搬送中における熱処理前フィルムの様子を模式的に示した説明図である。熱処理前フィルムは紙面の奥側から手前側に搬送されている。本発明では図1を状態Aと表現しているが、熱処理前フィルム1の両端部をピンテンター11が備えるピン11aに突き刺すことで把持し、この状態で熱処理前フィルムが加熱処理されることとなる。この時、熱処理前フィルム1の幅に対してピン幅をやや狭く設定すると、熱処理前フィルムの幅方向の中央部1a位置が自重によってわずかに撓んだ状態になる。なおここでいう「ピン幅」とは、幅方向のピン間の距離であり、図1の2つの11aの間隔である。またここでいう「熱処理前フィルム1の幅」とは、図1の2つの11aの間のフィルムの幅方向の長さである。撓みが発生しているかどうかを見極める基準は、熱処理前フィルムを把持している両端部を直線で結んだ基準線12になる。図1の状態で熱処理前フィルムを、下部(熱処理前フィルムの第二の面側)に設置した熱源から加熱すると、幅方向中央部である1a位置が熱源に近い位置を通ることになり、中央部と両端部では加熱温度が異なった結果、生成するフィルムの物性が異なることが起こる。
図2は、図1と同様に熱処理前フィルム1の両端部をピン11aで突き刺すことで把持しているが、この時、熱処理前フィルム1の幅に対してピン幅を同等に設定すると、熱処理前フィルムの幅方向の中央部1a位置が自重によって撓むことがなく、中央部1aの位置が基準線12上にある状態となる。この状態であれば、幅方向中央部と両端部では加熱温度が実質的に同一となり、加熱条件による物性差は通常おこらないが、一方で、この状態を維持するためには常に自重による影響を打ち消すことができる程度の搬送張力を与える必要がある。熱処理前フィルムまたは熱処理後フィルム(以下、両者を合わせて熱処理前後フィルムともいう。)の強度が十分に高いものであればピン幅設定を熱処理前フィルム1の幅とほぼ同値にすることによって自重による撓みは解消できるが、強度が十分ではない熱処理前後フィルムの場合、ピン幅設定を熱処理前フィルム1の幅と同等まで広くとって加熱処理をすると、加熱時の熱処理前フィルムの収縮によってピン把持部から熱処理後フィルム(以下、単にフィルムともいう。)が裂けることがある。よって強度が十分に強い熱処理前後フィルムではない場合、ピン幅設定を熱処理前フィルム1の幅と同等まで広げることが難しく、弛みを解消することが難しい。
図3は、図1と同様に熱処理前フィルム1の両端部をピン11aで突き刺すことで把持しているが、この時、図1と同様に熱処理前フィルム1の幅に対してピン幅をやや狭く設定すると、熱処理前フィルムの幅方向の中央部1a位置が自重によってわずかに撓んだ状態になる。この状態で熱処理前フィルムの第二の面側から熱風が当たることで図3のとおり幅方向中央部である1a位置が第一の面側に凸となる形状になる。
本発明によれば、機械強度に劣る熱処理前後フィルムであっても、熱処理前フィルムの第一の面及び第二の面の少なくとも一方の面から熱風を送風することで、前記熱処理前フィルムの幅方向における中央部が常にばたついている状態で、フィルムを搬送することができるため、中央部と両端部での加熱ムラが起こらないフィルム製造が可能となる。つまり、フィルムの幅方向の両端部を固定した状態で、前記フィルムの第一の面及び第二の面の少なくとも一方の面から熱風を送風することにより、前記フィルムの幅方向における中央部が常にばたついている状態を作り出すことができる。このような状態でフィルムを加熱処理することによって、特定の位置が過剰に加熱されることがなく、幅方向にわたり均一な物性を持つフィルムを得ることが可能となる。前記熱風は、前記フィルムの第一の面及び第二の面の両方から送風することが好ましい。
上記の常にばたついている状態とは、熱処理前フィルムの幅方向における最上部および最下部の位置が、熱処理前フィルムの第一の面側のみで常に上下に動きつつ、一定の場所に留まらない状態(第1の状態)でもよいし、熱処理前フィルムの第二の面側のみで常に上下に動きつつ、一定の場所に留まらない状態(第2の状態)でもよいし、熱処理前フィルムの第一の面側および第二の面側の両方に跨いで常に上下に動きつつ、一定の場所に留まらない状態(第3の状態)でもよい。
具体的には、前記第1の状態とは、状態C(図3)と状態B(図2)を繰り返す動きであり、前記第2の状態とは、状態A(図1)と状態B(図2)を繰り返す動きであり、前記第3の状態とは、状態A(図1)と状態C(図3)を繰り返す動きである。すなわち、第3の状態は、熱処理前フィルムが基準線12を通過する。好ましくは第3の状態である。
常にばたついている状態が第3の状態の場合、熱処理前フィルムの幅方向中央部が、基準線12を30秒間に10~150回通過することが好ましい。フィルム全体の均一性が良好となることから、より好ましくは30回以上であり、さらに好ましくは50回以上である。また、より好ましくは130回以下であり、さらに好ましく100回以下である。この範囲で制御することによって均一な物性を持つフィルムを得ることができる。
熱風の温度は、80℃以上500℃以下であることが好ましい。熱処理前フィルムに含まれる溶媒を除去しやすく、また、熱処理前フィルムがポリイミドの前駆体(ポリアミド酸)である場合は、イミド化(熱イミド化)しやすくなることから、より好ましくは100℃以上であり、さらに好ましくは150℃以上であり、特に好ましくは200℃以上である。また、フィルムの熱によるダメージを抑えられることから、より好ましくは450℃以下であり、さらに好ましくは400℃以下であり、特に好ましくは380℃以下である。
熱風の風速は、0.1m/秒以上30m/秒以下であることが好ましい。熱処理前フィルムに含まれる溶媒を除去しやすくなることから、より好ましくは0.2m/秒以上であり、さらに好ましくは0.5m/秒以上である。また、フィルムのダメージを抑えられることから、より好ましくは25m/秒以下であり、さらに好ましくは20m/秒以下である。
熱処理(熱風処理)は複数の乾燥炉内で行ってもよいし、一つの乾燥炉内で行ってもよい。複数の乾燥炉内で熱処理する場合、乾燥炉は2個以上10個以下であることが好ましく、より好ましくは3個以上8個以下であり、さらに好ましくは4個以上6個以下である。複数の乾燥炉内で熱処理することで、熱処理前フィルムを段階的に乾燥させたり、熱イミド化させることができ、それによりフィルムの品質が向上する。
熱処理した乾燥後のフィルムに含まれる残留溶媒は、500ppm以下であることが好ましく、より好ましくは200ppm以下であり、さらに好ましくは100ppm以下である。残留溶媒量は少ないほどよいが、工業的には1ppm以上であってもよく、10ppm以上であっても差し支えない。
本発明においては、図1または図3の際に基準線12からの1a位置の距離を計測することで熱処理前後フィルムの撓み量を測定できる。この時の撓み量は1mm以上20mm以下であることが好ましい。より好ましくは2mm以上15mm以下であり、さらに好ましくは3mm以上10mm以下である。撓み量が1mm以上であることで、熱処理前後フィルム強度が十分ではないフィルムであっても加熱時の破断を防ぐことができる。また、20mm以下であることで、炉内で発生する熱風で熱処理前後フィルムがおおきくばたつくのを抑え、熱処理前後フィルムがピンから外れるなどの問題を防ぐことができる。
本発明のフィルムは、特に限定されないが、巻き芯上に巻き取られた長尺のフィルムロールであることが好ましく、典型的には幅が300mm以上、長さが10m以上の長尺フィルムとして巻き取られる方式により製造されるものである。また、適当な長さで切断された枚葉のフィルムであっても良い。また、熱処理前フィルムの幅方向の両端部を固定する方法は特に限定されず、ピンテンター式搬送装置のピンに突き刺して把持してもよいし、クリップテンター式搬送装置のクリップで挟むことにより把持してもよい。
前記両端部の幅(各端部の幅)は、従来公知のテンター式搬送装置にて把持することが可能な幅であれば、特に限定されない。具体的には、下限としては、好ましくは5mm以上であり、より好ましくは10mm以上である。または、両端部の幅の合計が熱処理前後フィルム全幅の0.1%以上であることが好ましく、より好ましくは0.5%以上であり、さらに好ましくは1%以上である。
また、前記両端部の幅(各端部の幅)の上限としては、好ましくは100mm以下であり、より好ましくは50mm以下である。または、両端部の幅の合計がフィルム全幅の50%以下であることが好ましく、より好ましくは30%以下であり、さらに好ましくは10%以下である。
熱処理前後フィルムの幅方向における中央部は、熱処理前後フィルム全幅を100%としたとき、一方の端から30~70%となる位置であることが好ましく、より好ましくは40~60%となる位置であり、さらに好ましくは45~55%となる位置である。
熱処理前フィルムの搬送速度は、熱処理条件(熱風の温度や風速等)により適宜設定できる。好ましくは0.1m/分以上であり、より好ましくは0.2m/分以上である。前記範囲であると生産性が良好となる。また、好ましくは10m/分以下であり、より好ましくは7m/分以下である。前記範囲であると炉長が短くても熱処理が十分であり、また搬送中のフィルムに傷や破れなどの不具合が生じることを防ぐことができる。
<フィルム>
本発明のフィルム(熱処理後フィルム)としては、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、フッ素化ポリイミドといったポリイミド系樹脂(例えば、芳香族ポリイミド樹脂、脂環族ポリイミド樹脂);ポリエチレン、ポリプロピレンといったポリオレフィン系樹脂;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレン-2,6-ナフタレートといった共重合ポリエステル(例えば、全芳香族ポリエステル、半芳香族ポリエステル);ポリメチルメタクリレートに代表される共重合(メタ)アクリレート;ポリカーボネート;ポリアミド;ポリスルフォン;ポリエーテルスルフォン;ポリエーテルケトン;酢酸セルロース;硝酸セルロース;芳香族ポリアミド;ポリ塩化ビニル;ポリフェノール;ポリアリレート;ポリフェニレンスルフィド;ポリフェニレンオキシド;ポリスチレン等のフィルムを例示できる。
前記フィルムは、250℃以上の熱処理を伴うプロセスに好適に用いられることが前提であるため、例示されたフィルムの中から実際に適用できる物は限られる。前記フィルムのなかでも好ましくは、所謂スーパーエンジニアリングプラスチックを用いたフィルムであり、より具体的には、ポリイミド系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリアミドイミド系樹脂、アゾール系樹脂が挙げられる。特に好ましい具体例として、芳香族ポリイミドフィルム、芳香族アミドフィルム、芳香族アミドイミドフィルム、芳香族ベンゾオキサゾールフィルム、芳香族ベンゾチアゾールフィルム、芳香族ベンゾイミダゾールフィルム等が挙げられる。
本発明の熱処理前フィルムは、前記フィルムに有機溶媒を含有するフィルム(乾燥前フィルム)、化学反応前のフィルム(前駆体フィルム)、または、有機溶媒を含有する前駆体フィルム(乾燥前前駆体フィルム)等が挙げられる。
熱処理前フィルムの有機溶媒含有量としては、熱処理前フィルム両端を把持して搬送できることから、好ましくは60質量%以下であり、より好ましくは50質量%以下であり、さらに好ましくは40質量%以下である。また、製造効率やコストの観点から、好ましくは1質量%以上であり、より好ましくは5質量%以上であり、さらに好ましくは10質量%以上である。
以下に前記フィルムの一例であるポリイミド系樹脂フィルム(ポリイミドフィルムと称する場合もある)についての詳細を説明する。一般にポリイミド系樹脂フィルムは、溶媒中でジアミン類とテトラカルボン酸類とを反応させて得られるポリアミド酸(ポリイミド前駆体)溶液を、ポリイミドフィルム作製用支持体に塗布、乾燥してグリーンフィルム(以下では「ポリアミド酸フィルム」ともいう)とし、さらにポリイミドフィルム作製用支持体上で、あるいは該支持体から剥がした状態でグリーンフィルムを高温熱処理して脱水閉環反応を行わせることによって得られる。このポリアミド酸フィルムが、ポリイミドの前駆体フィルムである。
ポリアミド酸(ポリイミド前駆体であり、以下ポリアミック酸ともいう。)溶液の塗布は、例えば、スピンコート、ドクターブレード、アプリケーター、コンマコーター、スクリーン印刷法、スリットコート、リバースコート、ディップコート、カーテンコート、スリットダイコート等従来公知の溶液の塗布手段を適宜用いることができる。
ポリアミック酸を構成するジアミン類としては、特に制限はなく、ポリイミド合成に通常用いられる芳香族ジアミン類、脂肪族ジアミン類、脂環式ジアミン類等を用いることができる。耐熱性の観点からは、芳香族ジアミン類が好ましい。ジアミン類は、単独で用いてもよいし二種以上を併用してもよい。
ジアミン類としては特に限定はなく、例えばオキシジアニリン(ビス(4-アミノフェニル)エーテル)、パラフェニレンジアミン(1,4-フェニレンジアミン)等が挙げられる。
ポリアミック酸を構成するテトラカルボン酸類としては、ポリイミド合成に通常用いられる芳香族テトラカルボン酸類(その酸無水物を含む)、脂肪族テトラカルボン酸類(その酸無水物を含む)、脂環族テトラカルボン酸類(その酸無水物を含む)を用いることができる。これらが酸無水物である場合、分子内に無水物構造は1個であってもよいし2個であってもよいが、好ましくは2個の無水物構造を有するもの(二無水物)がよい。テトラカルボン酸類は単独で用いてもよいし、二種以上を併用してもよい。
テトラカルボン酸としては、特に限定はなく、例えばピロリメット酸二無水物、3,3’,4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物等が挙げられる。
前記ポリイミドフィルムは、透明ポリイミドフィルムであっても良い。本発明のフィルムの製造方法は、フィルムの幅方向全域において均等に乾燥やイミド化させることができるため、透明性が良好となる。
前記フィルムの一例である無色透明ポリイミドについて説明する。以下煩雑さを避けるために、単に透明ポリイミドとも記す。透明ポリイミドの透明性としては、全光線透過率が75%以上のものであることが好ましい。より好ましくは80%以上であり、さらに好ましくは83%以上であり、より一層好ましくは84%以上であり、特に好ましくは85%以上である。前記透明ポリイミドの全光線透過率の上限は特に制限されないが、フレキシブル電子デバイスとして用いるためには98%以下であることが好ましく、より好ましくは97%以下である。本発明における無色透明ポリイミドとは、全光線透過率75%以上のポリイミドが好ましい。
無色透明性の高いポリイミドを得るための芳香族テトラカルボン酸類としては、4,4’-(2,2-ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸、4,4’-オキシジフタル酸、ビス(1,3-ジオキソ-1,3-ジヒドロ-2-ベンゾフラン-5-カルボン酸)1,4-フェニレン、ビス(1,3-ジオキソ-1,3-ジヒドロ-2-ベンゾフラン-5-イル)ベンゼン-1,4-ジカルボキシレート、4,4’-[4,4’-(3-オキソ-1,3-ジヒドロ-2-ベンゾフラン-1,1-ジイル)ビス(ベンゼン-1,4-ジイルオキシ)]ジベンゼン-1,2-ジカルボン酸、3,3’,4,4’-ベンゾフェノンテトラカルボン酸、4,4’-[(3-オキソ-1,3-ジヒドロ-2-ベンゾフラン-1,1-ジイル)ビス(トルエン-2,5-ジイルオキシ)]ジベンゼン-1,2-ジカルボン酸、4,4’-[(3-オキソ-1,3-ジヒドロ-2-ベンゾフラン-1,1-ジイル)ビス(1,4-キシレン-2,5-ジイルオキシ)]ジベンゼン-1,2-ジカルボン酸、4,4’-[4,4’-(3-オキソ-1,3-ジヒドロ-2-ベンゾフラン-1,1-ジイル)ビス(4-イソプロピル-トルエン-2,5-ジイルオキシ)]ジベンゼン-1,2-ジカルボン酸、4,4’-[4,4’-(3-オキソ-1,3-ジヒドロ-2-ベンゾフラン-1,1-ジイル)ビス(ナフタレン-1,4-ジイルオキシ)]ジベンゼン-1,2-ジカルボン酸、4,4’-[4,4’-(3H-2,1-ベンズオキサチオール-1,1-ジオキシド-3,3-ジイル)ビス(ベンゼン-1,4-ジイルオキシ)]ジベンゼン-1,2-ジカルボン酸、4,4’-ベンゾフェノンテトラカルボン酸、4,4’-[(3H-2,1-ベンズオキサチオール-1,1-ジオキシド-3,3-ジイル)ビス(トルエン-2,5-ジイルオキシ)]ジベンゼン-1,2-ジカルボン酸、4,4’-[(3H-2,1-ベンズオキサチオール-1,1-ジオキシド-3,3-ジイル)ビス(1,4-キシレン-2,5-ジイルオキシ)]ジベンゼン-1,2-ジカルボン酸、4,4’-[4,4’-(3H-2,1-ベンズオキサチオール-1,1-ジオキシド-3,3-ジイル)ビス(4-イソプロピル-トルエン-2,5-ジイルオキシ)]ジベンゼン-1,2-ジカルボン酸、4,4’-[4,4’-(3H-2,1-ベンズオキサチオール-1,1-ジオキシド-3,3-ジイル)ビス(ナフタレン-1,4-ジイルオキシ)]ジベンゼン-1,2-ジカルボン酸、3,3’,4,4’-ベンゾフェノンテトラカルボン酸、3,3’,4,4’-ベンゾフェノンテトラカルボン酸、3,3’,4,4’-ジフェニルスルホンテトラカルボン酸、3,3’,4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸、2,3,3’,4’-ビフェニルテトラカルボン酸、ピロメリット酸、4,4’-[スピロ(キサンテン-9,9’-フルオレン)-2,6-ジイルビス(オキシカルボニル)]ジフタル酸、4,4’-[スピロ(キサンテン-9,9’-フルオレン)-3,6-ジイルビス(オキシカルボニル)]ジフタル酸、などのテトラカルボン酸及びこれらの酸無水物が挙げられる。これらの中でも、2個の酸無水物構造を有する二無水物が好適であり、特に、4,4’-(2,2-ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸二無水物、4,4’-オキシジフタル酸二無水物が好ましい。なお、芳香族テトラカルボン酸類は単独で用いてもよいし、二種以上を併用してもよい。芳香族テトラカルボン酸類の共重合量は、耐熱性を重視する場合には、例えば、全テトラカルボン酸類の50質量%以上が好ましく、より好ましくは60質量%以上であり、さらに好ましくは70質量%以上であり、なおさらに好ましくは80質量%以上であり、特に好ましくは90質量%以上であり、100質量%であっても差し支えない。
脂環式テトラカルボン酸類としては、1,2,3,4-シクロブタンテトラカルボン酸、1,2,3,4-シクロペンタンテトラカルボン酸、1,2,3,4-シクロヘキサンテトラカルボン酸、1,2,4,5-シクロヘキサンテトラカルボン酸、3,3’,4,4’-ビシクロヘキシルテトラカルボン酸、ビシクロ[2,2、1]ヘプタン-2,3,5,6-テトラカルボン酸、ビシクロ[2,2,2]オクタン-2,3,5,6-テトラカルボン酸、ビシクロ[2,2,2]オクト-7-エン-2,3,5,6-テトラカルボン酸、テトラヒドロアントラセン-2,3,6,7-テトラカルボン酸、テトラデカヒドロ-1,4:5,8:9,10-トリメタノアントラセン-2,3,6,7-テトラカルボン酸、デカヒドロナフタレン-2,3,6,7-テトラカルボン酸、デカヒドロ-1,4:5,8-ジメタノナフタレン-2,3,6,7-テトラカルボン酸、デカヒドロ-1,4-エタノ-5,8-メタノナフタレン-2,3,6,7-テトラカルボン酸、ノルボルナン-2-スピロ-α-シクロペンタノン-α’-スピロ-2’’-ノルボルナン-5,5’’,6,6’’-テトラカルボン酸(別名「ノルボルナン-2-スピロ-2’-シクロペンタノン-5’-スピロ-2’’-ノルボルナン-5,5’’,6,6’’-テトラカルボン酸」)、メチルノルボルナン-2-スピロ-α-シクロペンタノン-α’-スピロ-2’’-(メチルノルボルナン)-5,5’’,6,6’’-テトラカルボン酸、ノルボルナン-2-スピロ-α-シクロヘキサノン-α’-スピロ-2’’-ノルボルナン-5,5’’,6,6’’-テトラカルボン酸(別名「ノルボルナン-2-スピロ-2’-シクロヘキサノン-6’-スピロ-2’’-ノルボルナン-5,5’’,6,6’’-テトラカルボン酸」)、メチルノルボルナン-2-スピロ-α-シクロヘキサノン-α’-スピロ-2’’-(メチルノルボルナン)-5,5’’,6,6’’-テトラカルボン酸、ノルボルナン-2-スピロ-α-シクロプロパノン-α’-スピロ-2’’-ノルボルナン-5,5’’,6,6’’-テトラカルボン酸、ノルボルナン-2-スピロ-α-シクロブタノン-α’-スピロ-2’’-ノルボルナン-5,5’’,6,6’’-テトラカルボン酸、ノルボルナン-2-スピロ-α-シクロヘプタノン-α’-スピロ-2’’-ノルボルナン-5,5’’,6,6’’-テトラカルボン酸、ノルボルナン-2-スピロ-α-シクロオクタノン-α’-スピロ-2’’-ノルボルナン-5,5’’,6,6’’-テトラカルボン酸、ノルボルナン-2-スピロ-α-シクロノナノン-α’-スピロ-2’’-ノルボルナン-5,5’’,6,6’’-テトラカルボン酸、ノルボルナン-2-スピロ-α-シクロデカノン-α’-スピロ-2’’-ノルボルナン-5,5’’,6,6’’-テトラカルボン酸、ノルボルナン-2-スピロ-α-シクロウンデカノン-α’-スピロ-2’’-ノルボルナン-5,5’’,6,6’’-テトラカルボン酸、ノルボルナン-2-スピロ-α-シクロドデカノン-α’-スピロ-2’’-ノルボルナン-5,5’’,6,6’’-テトラカルボン酸、ノルボルナン-2-スピロ-α-シクロトリデカノン-α’-スピロ-2’’-ノルボルナン-5,5’’,6,6’’-テトラカルボン酸、ノルボルナン-2-スピロ-α-シクロテトラデカノン-α’-スピロ-2’’-ノルボルナン-5,5’’,6,6’’-テトラカルボン酸、ノルボルナン-2-スピロ-α-シクロペンタデカノン-α’-スピロ-2’’-ノルボルナン-5,5’’,6,6’’-テトラカルボン酸、ノルボルナン-2-スピロ-α-(メチルシクロペンタノン)-α’-スピロ-2’’-ノルボルナン-5,5’’,6,6’’-テトラカルボン酸、ノルボルナン-2-スピロ-α-(メチルシクロヘキサノン)-α’-スピロ-2’’-ノルボルナン-5,5’’,6,6’’-テトラカルボン酸、などのテトラカルボン酸及びこれらの酸無水物が挙げられる。これらの中でも、2個の酸無水物構造を有する二無水物が好適であり、特に、1,2,3,4-シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4-シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物、1,2,4,5-シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物が好ましく、1,2,3,4-シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,4,5-シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物がより好ましく、1,2,3,4-シクロブタンテトラカルボン酸二無水物がさらに好ましい。なお、これらは単独で用いてもよいし、二種以上を併用してもよい。脂環式テトラカルボン酸類の共重合量は、透明性を重視する場合には、例えば、全テトラカルボン酸類の50質量%以上が好ましく、より好ましくは60質量%以上であり、さらに好ましくは70質量%以上であり、なおさらに好ましくは80質量%以上であり、特に好ましくは90質量%以上であり、100質量%であっても差し支えない。
トリカルボン酸類としては、トリメリット酸、1,2,5-ナフタレントリカルボン酸、ジフェニルエーテル-3,3’,4’-トリカルボン酸、ジフェニルスルホン-3,3’,4’-トリカルボン酸などの芳香族トリカルボン酸、或いはヘキサヒドロトリメリット酸などの上記芳香族トリカルボン酸の水素添加物、エチレングリコールビストリメリテート、プロピレングリコールビストリメリテート、1,4-ブタンジオールビストリメリテート、ポリエチレングリコールビストリメリテートなどのアルキレングリコールビストリメリテート、及びこれらの一無水物、エステル化物が挙げられる。これらの中でも、1個の酸無水物構造を有する一無水物が好適であり、特に、トリメリット酸無水物、ヘキサヒドロトリメリット酸無水物が好ましい。尚、これらは単独で使用してもよいし複数を組み合わせて使用してもよい。
ジカルボン酸類としては、テレフタル酸、イソフタル酸、オルソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、4,4’-オキシジベンゼンカルボン酸などの芳香族ジカルボン酸、或いは1,6-シクロヘキサンジカルボン酸などの上記芳香族ジカルボン酸の水素添加物、シュウ酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ヘプタン二酸、オクタン二酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカ二酸、ドデカン二酸、2-メチルコハク酸、及びこれらの酸塩化物或いはエステル化物などが挙げられる。これらの中で芳香族ジカルボン酸及びその水素添加物が好適であり、特に、テレフタル酸、1,6-シクロヘキサンジカルボン酸、4,4’-オキシジベンゼンカルボン酸が好ましい。尚、ジカルボン酸類は単独で使用してもよいし複数を組み合わせて使用してもよい。
無色透明性の高いポリイミドを得るためのジアミン類或いはイソシアネート類としては、特に制限はなく、ポリイミド合成、ポリアミドイミド合成、ポリアミド合成に通常用いられる芳香族ジアミン類、脂肪族ジアミン類、脂環式ジアミン類、芳香族ジイソシアネート類、脂肪族ジイソシアネート類、脂環式ジイソシアネート類等を用いることができる。耐熱性の観点からは、芳香族ジアミン類が好ましく、透明性の観点からは脂環式ジアミン類が好ましい。また、ベンゾオキサゾール構造を有する芳香族ジアミン類を用いると、高い耐熱性とともに、高弾性率、低熱収縮性、低線膨張係数を発現させることが可能になる。ジアミン類及びイソシアネート類は、単独で用いてもよいし二種以上を併用してもよい。
芳香族ジアミン類としては、例えば、2,2’-ジメチル-4,4’-ジアミノビフェニル、1,4-ビス[2-(4-アミノフェニル)-2-プロピル]ベンゼン、1,4-ビス(4-アミノ-2-トリフルオロメチルフェノキシ)ベンゼン、4,4’-ジアミノ-2,2’-ビス(トリフルオロメチル)ビフェニル、4,4’-ビス(4-アミノフェノキシ)ビフェニル、4,4’-ビス(3-アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス[4-(3-アミノフェノキシ)フェニル]ケトン、ビス[4-(3-アミノフェノキシ)フェニル]スルフィド、ビス[4-(3-アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、2,2-ビス[4-(3-アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2-ビス[4-(3-アミノフェノキシ)フェニル]-1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン、m-フェニレンジアミン、o-フェニレンジアミン、p-フェニレンジアミン、m-アミノベンジルアミン、p-アミノベンジルアミン、4-アミノ-N-(4-アミノフェニル)ベンズアミド、3,3’-ジアミノジフェニルエーテル、3,4’-ジアミノジフェニルエーテル、4,4’-ジアミノジフェニルエーテル、2,2’-トリフルオロメチル-4,4’-ジアミノジフェニルエーテル、3,3’-ジアミノジフェニルスルフィド、3,4’-ジアミノジフェニルスルフィド、4,4’-ジアミノジフェニルスルフィド、3,3’-ジアミノジフェニルスルホキシド、3,4’-ジアミノジフェニルスルホキシド、4,4’-ジアミノジフェニルスルホキシド、3,3’-ジアミノジフェニルスルホン、3,4’-ジアミノジフェニルスルホン、4,4’-ジアミノジフェニルスルホン、3,3’-ジアミノベンゾフェノン、3,4’-ジアミノベンゾフェノン、4,4’-ジアミノベンゾフェノン、3,3’-ジアミノジフェニルメタン、3,4’-ジアミノジフェニルメタン、4,4’-ジアミノジフェニルメタン、ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]メタン、1,1-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]エタン、1,2-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]エタン、1,1-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、1,2-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、1,3-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、1,1-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]ブタン、1,3-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]ブタン、1,4-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]ブタン、2,2-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]ブタン、2,3-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]ブタン、2-[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]-2-[4-(4-アミノフェノキシ)-3-メチルフェニル]プロパン、2,2-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)-3-メチルフェニル]プロパン、2-[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]-2-[4-(4-アミノフェノキシ)-3,5-ジメチルフェニル]プロパン、2,2-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)-3,5-ジメチルフェニル]プロパン、2,2-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]-1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン、1,4-ビス(3-アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3-ビス(3-アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、4,4’-ビス(4-アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]ケトン、ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]スルフィド、ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]スルホキシド、ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4-(3-アミノフェノキシ)フェニル]エーテル、ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]エーテル、1,3-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)ベンゾイル]ベンゼン、1,3-ビス[4-(3-アミノフェノキシ)ベンゾイル]ベンゼン、1,4-ビス[4-(3-アミノフェノキシ)ベンゾイル]ベンゼン、4,4’-ビス[(3-アミノフェノキシ)ベンゾイル]ベンゼン、1,1-ビス[4-(3-アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、1,3-ビス[4-(3-アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、3,4’-ジアミノジフェニルスルフィド、2,2-ビス[3-(3-アミノフェノキシ)フェニル]-1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン、ビス[4-(3-アミノフェノキシ)フェニル]メタン、1,1-ビス[4-(3-アミノフェノキシ)フェニル]エタン、1,2-ビス[4-(3-アミノフェノキシ)フェニル]エタン、ビス[4-(3-アミノフェノキシ)フェニル]スルホキシド、4,4’-ビス[3-(4-アミノフェノキシ)ベンゾイル]ジフェニルエーテル、4,4’-ビス[3-(3-アミノフェノキシ)ベンゾイル]ジフェニルエーテル、4,4’-ビス[4-(4-アミノ-α,α-ジメチルベンジル)フェノキシ]ベンゾフェノン、4,4’-ビス[4-(4-アミノ-α,α-ジメチルベンジル)フェノキシ]ジフェニルスルホン、ビス[4-{4-(4-アミノフェノキシ)フェノキシ}フェニル]スルホン、1,4-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェノキシ-α,α-ジメチルベンジル]ベンゼン、1,3-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェノキシ-α,α-ジメチルベンジル]ベンゼン、1,3-ビス[4-(4-アミノ-6-トリフルオロメチルフェノキシ)-α,α-ジメチルベンジル]ベンゼン、1,3-ビス[4-(4-アミノ-6-フルオロフェノキシ)-α,α-ジメチルベンジル]ベンゼン、1,3-ビス[4-(4-アミノ-6-メチルフェノキシ)-α,α-ジメチルベンジル]ベンゼン、1,3-ビス[4-(4-アミノ-6-シアノフェノキシ)-α,α-ジメチルベンジル]ベンゼン、3,3’-ジアミノ-4,4’-ジフェノキシベンゾフェノン、4,4’-ジアミノ-5,5’-ジフェノキシベンゾフェノン、3,4’-ジアミノ-4,5’-ジフェノキシベンゾフェノン、3,3’-ジアミノ-4-フェノキシベンゾフェノン、4,4’-ジアミノ-5-フェノキシベンゾフェノン、3,4’-ジアミノ-4-フェノキシベンゾフェノン、3,4’-ジアミノ-5’-フェノキシベンゾフェノン、3,3’-ジアミノ-4,4’-ジビフェノキシベンゾフェノン、4,4’-ジアミノ-5,5’-ジビフェノキシベンゾフェノン、3,4’-ジアミノ-4,5’-ジビフェノキシベンゾフェノン、3,3’-ジアミノ-4-ビフェノキシベンゾフェノン、4,4’-ジアミノ-5-ビフェノキシベンゾフェノン、3,4’-ジアミノ-4-ビフェノキシベンゾフェノン、3,4’-ジアミノ-5’-ビフェノキシベンゾフェノン、1,3-ビス(3-アミノ-4-フェノキシベンゾイル)ベンゼン、1,4-ビス(3-アミノ-4-フェノキシベンゾイル)ベンゼン、1,3-ビス(4-アミノ-5-フェノキシベンゾイル)ベンゼン、1,4-ビス(4-アミノ-5-フェノキシベンゾイル)ベンゼン、1,3-ビス(3-アミノ-4-ビフェノキシベンゾイル)ベンゼン、1,4-ビス(3-アミノ-4-ビフェノキシベンゾイル)ベンゼン、1,3-ビス(4-アミノ-5-ビフェノキシベンゾイル)ベンゼン、1,4-ビス(4-アミノ-5-ビフェノキシベンゾイル)ベンゼン、2,6-ビス[4-(4-アミノ-α,α-ジメチルベンジル)フェノキシ]ベンゾニトリル、4,4’-[9H-フルオレン-9,9-ジイル]ビスアニリン(別名「9,9-ビス(4-アミノフェニル)フルオレン」)、スピロ(キサンテン-9,9’-フルオレン)-2,6-ジイルビス(オキシカルボニル)]ビスアニリン、4,4’-[スピロ(キサンテン-9,9’-フルオレン)-2,6-ジイルビス(オキシカルボニル)]ビスアニリン、4,4’-[スピロ(キサンテン-9,9’-フルオレン)-3,6-ジイルビス(オキシカルボニル)]ビスアニリン等が挙げられる。また、上記芳香族ジアミンの芳香環上の水素原子の一部もしくは全てが、ハロゲン原子、炭素数1~3のアルキル基もしくはアルコキシル基、またはシアノ基で置換されても良く、さらに前記炭素数1~3のアルキル基もしくはアルコキシル基の水素原子の一部もしくは全部がハロゲン原子で置換されても良い。また、前記ベンゾオキサゾール構造を有する芳香族ジアミン類としては、特に限定はなく、例えば、5-アミノ-2-(p-アミノフェニル)ベンゾオキサゾール、6-アミノ-2-(p-アミノフェニル)ベンゾオキサゾール、5-アミノ-2-(m-アミノフェニル)ベンゾオキサゾール、6-アミノ-2-(m-アミノフェニル)ベンゾオキサゾール、2,2’-p-フェニレンビス(5-アミノベンゾオキサゾール)、2,2’-p-フェニレンビス(6-アミノベンゾオキサゾール)、1-(5-アミノベンゾオキサゾロ)-4-(6-アミノベンゾオキサゾロ)ベンゼン、2,6-(4,4’-ジアミノジフェニル)ベンゾ[1,2-d:5,4-d’]ビスオキサゾール、2,6-(4,4’-ジアミノジフェニル)ベンゾ[1,2-d:4,5-d’]ビスオキサゾール、2,6-(3,4’-ジアミノジフェニル)ベンゾ[1,2-d:5,4-d’]ビスオキサゾール、2,6-(3,4’-ジアミノジフェニル)ベンゾ[1,2-d:4,5-d’]ビスオキサゾール、2,6-(3,3’-ジアミノジフェニル)ベンゾ[1,2-d:5,4-d’]ビスオキサゾール、2,6-(3,3’-ジアミノジフェニル)ベンゾ[1,2-d:4,5-d’]ビスオキサゾール等が挙げられる。これらの中で、特に、4,4’-ジアミノ-2,2’-ビス(トリフルオロメチル)ビフェニル、4-アミノ-N-(4-アミノフェニル)ベンズアミド、4,4’-ジアミノジフェニルスルホン、3,3’-ジアミノベンゾフェノンが好ましい。尚、芳香族ジアミン類は単独で使用してもよいし複数を組み合わせて使用してもよい。
脂環式ジアミン類としては、例えば、1,4-ジアミノシクロヘキサン、1,4-ジアミノ-2-メチルシクロヘキサン、1,4-ジアミノ-2-エチルシクロヘキサン、1,4-ジアミノ-2-n-プロピルシクロヘキサン、1,4-ジアミノ-2-イソプロピルシクロヘキサン、1,4-ジアミノ-2-n-ブチルシクロヘキサン、1,4-ジアミノ-2-イソブチルシクロヘキサン、1,4-ジアミノ-2-sec-ブチルシクロヘキサン、1,4-ジアミノ-2-tert-ブチルシクロヘキサン、4,4’-メチレンビス(2,6-ジメチルシクロヘキシルアミン)等が挙げられる。これらの中で、特に、1,4-ジアミノシクロヘキサン、1,4-ジアミノ-2-メチルシクロヘキサンが好ましく、1,4-ジアミノシクロヘキサンがより好ましい。尚、脂環式ジアミン類は単独で使用してもよいし複数を組み合わせて使用してもよい。
ジイソシアネート類としては、例えば、ジフェニルメタン-2,4’-ジイソシアネート、3,2’-または3,3’-または4,2’-または4,3’-または5,2’-または5,3’-または6,2’-または6,3’-ジメチルジフェニルメタン-2,4’-ジイソシアネート、3,2’-または3,3’-または4,2’-または4,3’-または5,2’-または5,3’-または6,2’-または6,3’-ジエチルジフェニルメタン-2,4’-ジイソシアネート、3,2’-または3,3’-または4,2’-または4,3’-または5,2’-または5,3’-または6,2’-または6,3’-ジメトキシジフェニルメタン-2,4’-ジイソシアネート、ジフェニルメタン-4,4’-ジイソシアネート、ジフェニルメタン-3,3’-ジイソシアネート、ジフェニルメタン-3,4’-ジイソシアネート、ジフェニルエーテル-4,4’ -ジイソシアネート、ベンゾフェノン-4,4’-ジイソシアネート、ジフェニルスルホン-4,4’-ジイソシアネート、トリレン-2,4-ジイソシアネート、トリレン-2,6-ジイソシアネート、m-キシリレンジイソシアネート、p-キシリレンジイソシアネート、ナフタレン-2,6-ジイソシアネート、4,4’-(2,2ビス(4-フェノキシフェニル)プロパン)ジイソシアネート、3,3’-または2,2’-ジメチルビフェニル-4,4’-ジイソシアネート、3,3’-または2,2’-ジエチルビフェニル-4,4’-ジイソシアネート、3,3’-ジメトキシビフェニル-4,4’-ジイソシアネート、3,3’-ジエトキシビフェニル-4,4’-ジイソシアネートなどの芳香族ジイソシアネート類、及びこれらのいずれかを水素添加したジイソシアネート(例えば、イソホロンジイソシアネート、1,4-シクロヘキサンジイソシアネート、1,3-シクロヘキサンジイソシアネート、4,4’-ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート)などが挙げられる。これらの中では、低吸湿性、寸法安定性、価格及び重合性の点からジフェニルメタン-4,4’-ジイソシアネート、トリレン-2,4-ジイソシアネート、トリレン-2,6-ジイソシアネート、3,3’-ジメチルビフェニル-4,4’-ジイソシアネートやナフタレン-2,6-ジイソシアネート、4,4’-ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、1,4-シクロヘキサンジイソシアネートが好ましい。尚、ジイソシアネート類は単独で使用してもよいし複数を組み合わせて使用してもよい。
前記溶媒としては、ポリイミド或いはポリイミドの前駆体を溶解可能であればよく、非プロトン性極性溶媒などを好適に用いることができる。例えば、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N,N-ジエチルアセトアミド、N,N-ジメチルメトキシアセトアミドなどのN,N-ジ低級アルキルカルボキシルアミド類、N-メチル-2-ピロリドン、N-エチル-2-ピロリドン、ジメチルスルホキシド、ジメチルスルホン、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン、γ-ブチロラクトン、ジグライム、m-クレゾール、ヘキサメチルホスホルアミド、N-アセチル-2-ピロリドン、ヘキサメチルホスホルアミド、エチルセロソルブアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、スルホラン、p-クロロフェノールなどが挙げられる。なお、溶媒は2種以上の混合物であってもよい。
フィルムの厚さは3μm以上が好ましく、より好ましくは7μm以上であり、さらに好ましくは14μm以上であり、より一層好ましくは20μm以上である。前記フィルムの厚さの上限は特に制限されないが、フレキシブル電子デバイスとして用いるためには250μm以下であることが好ましく、より好ましくは100μm以下であり、さらに好ましくは50μm以下である。
フィルムの幅方向の中央部と端部の全光線透過率は75%以上であり、好ましくは80%以上であり、より好ましくは83%以上であり、さらに好ましくは84%以上であり、より一層好ましくは85%以上である。前記フィルム幅方向の中央部と端部の全光線透過率の上限は特に制限されないが、フレキシブル電子デバイスとして用いるためには98%以下であることが好ましく、より好ましくは97%以下である。
フィルムの幅方向の中央部と端部の黄色度指数(以下、「イエローインデックス」または「YI」ともいう。)は20.0以下が好ましく、より好ましくは15.0以下であり、より一層好ましくは10.0以下であり、さらに好ましくは8.0以下であり、ことさらに好ましくは5.0以下であり、なおさらに好ましくは3.0以下である。前記透明ポリイミドの黄色度指数の下限は特に制限されないが、フレキシブル電子デバイスとして用いるためには0.1以上であることが好ましく、より好ましくは0.2以上であり、さらに好ましくは0.3以上である。
フィルムの幅方向の中央部と端部のヘーズ率は3.0%以下が好ましく、より好ましくは2.0%以下であり、より一層好ましくは1.0%以下であり、さらに好ましくは0.8%以下であり、ことさらに好ましくは0.6%以下であり、なおさらに好ましくは0.3%以下である。下限は特に限定されないが、工業的には、0.01%以上であれば問題なく、0.05%以上であっても差し支えない。
フィルムは、その製造時において幅が300mm以上、長さが10m以上の長尺フィルムとして巻き取られた形態で得られるものが好ましく、巻取りコアに巻き取られたロール状フィルムの形態のものがより好ましい。前記フィルムがロール状に巻かれていると、ロール状に巻かれたフィルムという形態での輸送が容易となる。
前記フィルムにおいては、ハンドリング性および生産性を確保する為、フィルム中に粒子径が10~1000nm程度の滑剤(粒子)を、0.03~3質量%程度、添加・含有させて、フィルム表面に微細な凹凸を付与して滑り性を確保することが好ましい。滑剤の粒子径は好ましくは20~500nmであり、より好ましくは30~300nmであり、さらに好ましくは50~200nmである。滑剤の粒子径を10nm以上とすることで添加量に対して十分な滑り性を発現することができる。また、滑剤の粒子径を1000nm以下とすることで機械強度の低下や、フィルムの白濁などの問題を低減させることができる。
本発明のフィルムの製造装置は、熱処理前フィルムの幅方向の両端部を固定する固定機構1、前記熱処理前フィルムの第一の面及び第二の面の少なくとも一方の面から熱風を送風する送風機構2、前記熱処理前フィルムの幅方向における中央部が常にばたついている状態で、前記熱処理前フィルムを搬送する搬送機構3、を有する製造装置である。前記前記製造装置におけるフィルム、機構1~3は、フィルムの製造方法で説明したフィルム、工程1~3と同義である。
以下、本発明に関し実施例を用いて詳細に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。
<合成例1(ポリアミド酸溶液Aの調製)>
窒素導入管、還流管、攪拌棒を備えた反応容器内を窒素置換した後、33.36質量部の4,4’-ジアミノ-2,2’-ビス(トリフルオロメチル)ビフェニル(TFMB)、270.37質量部のN,N-ジメチルアセトアミド(DMAC)とコロイダルシリカをジメチルアセトアミドに分散してなる分散体(日産化学工業製「スノーテックス(登録商標)DMAC-ST」)とをシリカがポリアミド酸溶液中のポリマー固形分総量にて0.15質量%になるように加えて混合し分散させ、次いで、9.81質量部の1,2,3,4-シクロブタンテトラカルボン酸二無水物(CBDA)、11.34質量部の3,3’,4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)、4.85質量部の4,4’-オキシジフタル酸二無水物(ODPA)を固体のまま分割添加した後、室温で24時間攪拌した。その後、165.7質量部のDMAcを加え希釈し、固形分18質量%、還元粘度2.7dl/gのポリアミド酸溶液A(PAA-A)(TFMB//CBDA/BPDA/ODPAのモル比=1.00//0.48/0.37/0.15)を得た。
<合成例2(ポリアミド酸溶液Bの調製)>
窒素導入管、撹拌翼を備えた反応器に窒素を通過させながらピロメリット酸二無水物(PMDA)3.16質量部、3,3’,4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)2.84質量部、4,4’-ジアミノ-2,2’-ビス(トリフルオロメチル)ビフェニル(TFMB)7.73質量部を入れ、N,N-ジメチルアセトアミド(DMAc、77.8質量部)、コロイダルシリカ(滑剤)をジメチルアセトアミドに分散してなる分散体(日産化学工業製「スノーテックス(登録商標)DMAC-ST-ZL」)とを、コロイダルシリカ(滑剤)がポリアミド酸溶液中のポリマー固形分総量に対して0.15質量%になるように加えた後、25℃下24時間撹拌することでポリアミド酸溶液B(PAA-B)(TFMB//PMDA/BPDAのモル比=1.00//0.60/0.40)を得た。
実施例1
得られたポリアミド酸溶液Aを、コンマコーターを用いてポリエチレンテレフタレート製フィルムA4100(東洋紡株式会社製)の無滑材面上に最終膜厚が25μmとなるよう塗布した。これを90℃にて15分間乾燥した。乾燥後に自己支持性を得たポリアミド酸フィルムを支持体としてきたA4100フィルムから剥離し、ピンを配置したピンシートを有するピンテンターに通し、熱処理前フィルム端部をピンに差し込むことにより固定し、熱処理前フィルムが破断しないように、ピンシート間隔を調整して搬送し、230℃で3分、280℃で3分、330℃で3分、350℃で3分の条件で加熱し、イミド化反応を進行させた。この時、それぞれの温度ゾーンにおいて熱処理前フィルムの通過位置に対して上下175mm離れた場所に熱風吹出口を設置し、この吹出口から風速3.8m/秒となる熱風(温度は前記加熱温度と同じ)を熱処理前フィルムの上下の面(第一の面および第二の面)に供給した。このように熱処理前フィルムを、基準線を跨ぐように上下に常にばたつきながら搬送させた。熱処理前フィルムが基準線を通過した回数は30秒間で10回であった。その後、2分間で室温にまで冷却し、フィルムの両端の平面性が悪い部分をスリッターにて切り落とし、ロール状に巻き上げ、幅500mmのポリイミドフィルムを100m得た。
実施例2~6
使用した樹脂、製造条件を表1のとおりとし、実施例1と同様に操作し、それぞれポリイミドフィルムを得た。
比較例1
使用した樹脂、製造条件を表1のとおりとし、実施例1と同様に操作し、それぞれポリイミドフィルムを得た。ただし、比較例1はフィルムの幅方向における中央部をばたつかせることなく、フィルムを搬送した。
<フィルムの炉内通過位置>
フィルムがテンター式搬送装置内を通過する位置を、デジタルビデオカメラ(パナソニック製HC-VZX992M-W)を用いて、基準線12と中央部1aとの撓み量を測定した。
<フィルムの膜厚>
フィルムの膜厚を、フィルム厚さ測定器HKT-1216(マール社製)を用いて測定した。フィルムの端部から内側に5cmのところから2cm間隔で全幅測定し、その平均をフィルムの膜厚とした。
<フィルムの全光線透過率>
HAZEMETER(NDH5000、日本電色社製)を用いてフィルムの全光線透過率(TT)を測定した。光源としてはD65ランプを使用した。フィルムの左端及び右端から内側に50mmのところから50mm□のフィルムをカットしてこれを左端及び右端サンプルとし、また、フィルムの中央部からも同様に50mm□のフィルムをカットしてこれを中央サンプルとしてそれぞれの全光線透過率を測定した。尚、左端サンプル、右端サンプル、中央サンプル全てにおいて、測定サンプルの採取はフィルムロールの長さ方向の異なる位置3カ所から行い、各々のサンプルに対して1回の測定を行った上で、左端サンプルと右端サンプルの計6点の測定値の平均値を「端部」の値として採用し、中央サンプルの計3点の測定値の平均値を「中央部」の値として採用した。
<フィルムのヘーズ率>
HAZEMETER(NDH5000、日本電色社製)を用いてフィルムのヘーズ率を測定した。光源としてはD65ランプを使用した。なお、測定サンプルの採取と測定及び測定値の取扱いについては前記全光線透過率測定サンプルと同様とした。
<フィルムのYI>
カラーメーター(ZE6000、日本電色社製)およびC2光源を使用して、ASTM D1925に準じてフィルムの三刺激値XYZ値を測定し、下記式により黄色度指数(YI)を算出した。なお、測定サンプルの採取と測定及び測定値の取扱いについては前記全光線透過率測定サンプルと同様とした。
YI=100×(1.28X-1.06Z)/Y
上記の実施例および比較例で得られたフィルムについて、全光線透過率、ヘーズ率、YIについて評価した結果を下記表1に示す。なお、これらの項目についてはフィルム中央部と端部に分けて記載している。
表1から、熱処理前フィルムの搬送時に熱風を送風し、常にばたつかせることで中央部と端部の物性に差がなく、幅方向全域にわたって均一な物性を持つフィルムを得ることができた。特に、基準線の通過回数が30秒間に10~150回である実施例1~5のフィルムの品質は良好であった。一方、ばたつかせなかった比較例1は中央部と端部の物性に明確な差が確認され、幅方向全域にわたって均一な物性となるフィルムを得ることができなかった。
本発明は、フィルムの製造において、フィルムの幅方向全域で物性が均一となるフィルムを提供することができ、例えばフレキシブル電子デバイスに好ましく適用できる。
1 フィルム
1a フィルムの幅方向の中央部
11 ピンテンター
11a ピン
12 基準線

Claims (6)

  1. フィルムの製造方法であって、
    熱処理前フィルムの幅方向の両端部を固定する工程1
    前記熱処理前フィルムの第一の面及び第二の面の少なくとも一方の面から熱風を送風する工程2
    前記熱処理前フィルムの幅方向における中央部が常にばたついている状態で、前記熱処理前フィルムを搬送する工程3
    を有するフィルムの製造方法。
  2. 前記工程3は、前記熱処理前フィルムの両端部の固定位置を結んだ直線を基準線としたときに、前記熱処理前フィルムの幅方向中央部が、前記基準線を30秒間に10~150回通過する請求項1に記載のフィルムの製造方法。
  3. 前記フィルムがポリイミドフィルムである請求項1又は2に記載のフィルムの製造方法。
  4. 前記ポリイミドフィルムが透明ポリイミドフィルムである請求項3に記載のフィルムの製造方法。
  5. 前記ポリイミドフィルムのモノマーが酸二無水物成分及びジアミン成分を含み、前記酸二無水物成分に3,3’,4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物を含有し、前記ジアミンに4,4’-ジアミノ-2,2’-ビス(トリフルオロメチル)ビフェニルを含有する請求項3に記載のフィルムの製造方法。
  6. フィルムの製造装置であって、
    熱処理前フィルムの幅方向の両端部を固定する固定機構1
    前記熱処理前フィルムの第一の面及び第二の面の少なくとも一方の面に熱風を送風する送風機構2
    前記熱処理前フィルムの幅方向における中央部が常にばたついている状態で、前記熱処理前フィルムを搬送する搬送機構3
    を有するフィルムの製造装置。
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