JP2023175107A - 耐熱性ポリエチレンテレフタレートトレイおよびその製造方法 - Google Patents

耐熱性ポリエチレンテレフタレートトレイおよびその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】ポリエチレンテレフタレートの回収物からなる再生材を用い、かつ人体に対する安全性が担保された、付加価値の高い耐熱性PETトレイを提供する。【解決手段】再生材を含有する樹脂組成物からなる耐熱性ポリエチレンテレフタレートトレイであって、前記再生材が除染したポリエチレンテレフタレートの回収物からなる、耐熱性ポリエチレンテレフタレートトレイとする。【選択図】なし

Description

本発明は、ポリエチレンテレフタレートの回収物からなる再生材を用いた、耐熱性ポリエチレンテレフタレートトレイおよびその製造方法に関するものである。
近年、SDGsに代表される「循環型社会の実現」という考え方が主流となり、食品容器等についてもリサイクル化が進められている。例えば、飲料用に用いられるプラスチックボトルはポリエチレンテレフタレート(PET)を主成分とするものが主流であり、一旦市場に出回ったものの回収が比較的容易であることから、回収したプラスチックボトル(プラスチックボトルのポストコンシューマ材料)から、再度プラスチックボトルを製造するという取り組みが行われている(例えば、特許文献1参照)。
一方、国内におけるプラスチックトレイの消費は年間約80万tあるが、回収作業が煩雑であるとともに、再利用に供するコストが高くつくため、ごくわずかな例外を除いて回収および再利用されていない現状にある。
すなわち、プラスチックボトルのほとんどがPETを材料とするのに対し、プラスチックトレイの材料はPETをはじめ、ポリスチレン(PS)、ポリプロピレン(PP)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリラクティックアシッド(PLA)、これらの複合等多様である。このため、これらを効率的に材料別に選別することが困難であり、プラスチックトレイのリサイクルが進まない一因になっている。
しかし、今後、拡大生産者責任制度(EPR)の考え方が主流になると予測され、また、市場のマインドもエコノミーよりもエコロジーを優先する考え方が浸透してきていることから、プラスチックボトルだけでなく、プラスチックトレイに関してもポストコンシューマ材料からプラスチックトレイを製造することが強く望まれる。
さらには2022年4月1日からプラスチック資源循環法が施行されたことにより、プラスチックトレイについても素材をモノマテリアル化する事によりトレイの循環を進めようという気運が高まってきている。
一方で、プラスチックトレイは、どのような経緯を経ていたものか不明であるため、たとえ元の用途が食品用のプラスチックトレイであっても、その回収材を用いたプラスチックトレイについては、人体に対する安全性が保障されるものではないという問題がある。
この問題に対し、現状では、ポストコンシューマ材料を用いたプラスチックトレイの表面に、新品のプラスチックフィルム(バージンフィルム)を貼ることで直接食品にポストコンシューマ材料からなるプラスチックトレイが接しないようにして安全性を担保することが行われている。
しかし、前記の方法では、消費者には安心感を与えることはできるが、今や国際的な基準となっているFDAのガイドラインに定める安全基準に明確に適合させることが困難である。また、前記の方法では、バージンフィルムを貼る工程が新たに増えて製造ラインが煩雑になり、かつ、そのフィルムの材料分のコストが増加するという新たな問題が生じる。
国際公開第2017/183048号
本発明は、このような事情に鑑みなされたもので、PETの回収物からなる再生材を用い、かつ人体に対する安全性が担保された、付加価値の高い耐熱性PETトレイおよびその製造方法の提供を、その目的とする。
本発明者は、PETの回収物に有害物質が混入したとしても、人体に対する安全性が担保される濃度にまで除染した再生材を含有する樹脂組成物を用いて耐熱性PETトレイを製造することにより、上記課題が解決できることを見出し、本発明を完成させた。
しかるに、本発明は、以下の[1]~[13]を、その要旨とする。
[1] 再生材を含有する樹脂組成物からなる耐熱性PETトレイであって、前記再生材が除染したPETの回収物からなる、耐熱性PETトレイ。
[2] 真比重が1.35以上である、[1]に記載の耐熱性PETトレイ。
[3] 前記樹脂組成物が、結晶核剤を含有する、[1]または[2]に記載の耐熱性PETトレイ。
[4] 前記結晶核剤が、有機金属塩、金属水和物および金属水酸化物からなる群より選択される少なくとも1種である、[3]に記載の耐熱性PETトレイ。
[5] 前記樹脂組成物が、架橋剤を含有する、[1]~[4]のいずれかに記載の耐熱性PETトレイ。
[6] [1]~[5]のいずれかに記載の耐熱性PETトレイの製造方法であって、
PETの回収物を粉砕する粉砕工程と、前記粉砕工程により得られた粉砕物または粉砕物から得られるペレットを除染処理する除染工程と、前記除染工程を経由して得られた再生材を含有する樹脂組成物から、耐熱性PETトレイを製造する製造工程と、を備える、耐熱性PETトレイの製造方法。
[7] 前記再生材が、代理汚染試験行った際の代理汚染物質の合計残留量が220ppb以下および/または代理汚染物質の合計溶出量が10ppb以下である[6]に記載の耐熱性PETトレイの製造方法。
[8] 前記代理汚染物質が、以下のグループ(I)~(IV)の、各グループから選択される少なくとも一種の物質を用いる、[7]に記載の耐熱性PETトレイの製造方法。
(I)クロロホルム、クロロベンゼン、トリクロロエタン、ジエチルケトン。
(II)トルエン。
(III)ベンゾフェノン、サリチル酸メチル。
(IV)テトラコサン、ステアリン酸メチル、フェニルシクロヘキサン、1-フェニルデカン。
[9] 前記除染処理が、真空加熱処理、赤外線加熱処理、窒素気流加熱処理からなる群から選択される少なくとも一つである[6]~[8]のいずれかに記載の耐熱性PETトレイの製造方法。
[10] 前記樹脂組成物が、結晶核剤を含む[6]~[9]のいずれかに記載の耐熱性PETトレイの製造方法。
[11] 前記樹脂組成物が、架橋剤を含む[6]~[10]のいずれかに記載の耐熱性PETトレイの製造方法。
[12] 前記樹脂組成物が、PET以外の熱可塑性樹脂を含む[6]~[11]のいずれかに記載の耐熱性PETトレイの製造方法。
[13] 前記粉砕物を、洗浄処理する洗浄工程を備える、[6]~[12]のいずれかに記載の耐熱性PETトレイの製造方法。
本発明の耐熱性PETトレイは、PETの回収物からなる再生材を含有する樹脂組成物からなり、耐熱性を示すとともに、有害物質(人体に悪影響を及ぼす特定の化学物質)が混入したとしても除染によりその量が極少量に抑えられている。そのため、PETの回収物を有効に活用することができ、さらに、調理済み食品の電子レンジによる再加熱用容器等のような、耐熱性と人体に対する安全性が担保された、付加価値の高い耐熱性PETトレイとして、優れた性能を発揮することができる。
また、本発明の耐熱性PETトレイは、耐油性、成型加工性、耐薬品性にも優れており、さらに、再溶融等により同等程度の性能を示すトレイを再生産させることも可能であり、リサイクル性にも優れている。
しかも、本発明の耐熱性PETトレイは、トレイ面をバージンフィルムで被覆して食品と直に接しないようにする必要がなくなり、製造コストを低減することもできる。
つぎに、本発明を実施するための形態について、詳細に説明する。ただし、本発明は、以下の実施の形態に限定されるものではない。
なお、本発明において、「X~Y」(X,Yは任意の数字)と表現する場合、特にことわらない限り「X以上Y以下」の意とともに、「好ましくはXより大きい」または「好ましくはYより小さい」の意も包含する。
また、「Xおよび/またはY(X,Yは任意の構成)」とは、XおよびYの少なくとも一方を意味するものであって、Xのみ、Yのみ、XおよびY、の3通りを意味するものである。
そして、本発明において、「X以上」(Xは任意の数字)または「Y以下」(Yは任意の数字)と表現した場合、「Xより大きいことが好ましい」または「Y未満であることが好ましい」旨の意図も包含する。
本発明の実施形態の一例に係る耐熱性PETトレイ(以下「本トレイ」という場合がある)は、再生材を含有する樹脂組成物からなる耐熱性PETトレイであって、前記再生材が除染したPETの回収物からなる。
以下、本トレイを得るための製造方法について詳述する。
<本トレイの製造方法>
本トレイは、PETの回収物を粉砕する粉砕工程と、前記粉砕工程により得られた粉砕物または粉砕物から得られるペレットを除染する除染工程と、前記除染工程を経由して得られた再生材を含有する樹脂組成物から、耐熱性PETトレイを製造する製造工程と、を備える方法により製造される。
以下、各工程について説明する。
[粉砕工程]
前記PETの回収物としては、特に制限はなく、例えば、ポストコンシューマ材や、ポストインダストリアル材が挙げられる。
前記ポストコンシューマ材とは、一旦市場に出され、使用後に消費者から回収されるものを意味するものであり、例えば、スーパーマーケット等の量販店や自治体、学校等で回収されたPETボトル、食品用トレイがあげられる。また、これらが圧縮梱包(ベイル化)されたもの等も含まれる。
また、前記ポストインダストリアル材とは、剥離フィルム等として使用されたPETフィルム等のように、市場に出る前の製品製造工程で発生した材料を意味し、通常、一般市場に出回ることなく、製品製造の際に使用された後、廃棄されるものである。
PETの種類としても、特に制限はなく、非晶性PET(A-PET)、結晶性PET(C-PET)のいずれでもよい。
前記PETの回収物を粉砕する方法としては、特に制限されるものではなく、例えば、スリッターやシュレッター等の裁断機や、粉砕機等を用いて粉砕すればよい。また、複数の裁断機や粉砕機を用いて段階的に粉砕してもよい。さらには、水洗浄、アルカリ洗浄、アルカリ摩擦洗浄等により洗浄しながら粉砕してもよい。
PETの回収物を粉砕して得られる粉砕物は、後述する除染が容易となる点でフレーク状が好ましい。また、前記フレークは、一辺の長さが、通常1~100mm、好ましくは5~20mmであることが、作業性の点から好ましい。
また、本トレイの製造方法においては、前記粉砕物を、水洗浄、アルカリ洗浄、アルカリ摩擦洗浄等により洗浄する洗浄工程を備えることも好ましい。
前記粉砕物は、このまま、次の除染工程を行ってもよいが、付加価値をより高めるために、無色透明品とそれ以外(以下、「着色品」と称する)の2つに分離することが好ましい。
PETは、通常無色透明であるが、用途により、顔料を練り込んで着色したもの、印刷を施したもの、ラベルを張ったもの、紙シールやプラシールを張ったもの、結晶化により透明性を失ったもの等が存在する。これらを色ごとに分離することが、リサイクルの点からは好ましいが、正確に色ごとに分離することは困難である。そこで、色選別における手間と得られる再生材の質とのバランスに優れる点から、粉砕物を無色透明品と着色品の2分別することが好ましい。
前記分別は、例えば、粉砕物をベルトコンベアの上に載せて搬送する間に、その上方に設置したCCDカメラにより対象物を撮影し、その撮影データから設定された基準に基づいて対象物を無色透明品と着色品とに選別する。例えば、無色透明品と着色品とで風の吹き出し量および方向を異なるようにし、飛ばされる向きおよび距離を変えることにより、無色透明品と着色品とに分離することができる。分離した無色透明品の粉砕物、着色品の粉砕物は、それぞれ除染工程、製造工程を経て耐熱性PETトレイとなる。
また、前記粉砕品は、次の除染工程までに公知の方法によりペレットにしてもよい。形状がフレークである場合は、後述する除染効率の点で好ましく、形状がペレットである場合は、成型時の製品安定性の点で好ましい。
[除染工程]
前記PETの回収物は、様々な経緯を経て回収されるため、人体に有害な物質が付着している可能性がある。例えば、PETボトルの場合は、中身が見える、蓋ができる、割れないというPET樹脂の特性のため、飲料以外にも、殺虫剤、農薬、肥料等を入れる場合がある。また、殺虫剤、農薬等の薬剤は、PETに浸透することから、単純に回収物を洗浄したとしても、樹脂内部に残留している有害物質を除去することはできない。そのため、PETの回収物をリサイクルする場合には、国際的な安全基準に適合するまで、除染処理を行うことが必要となる。
前記除染処理の方法としては、例えば、真空加熱処理、赤外線加熱処理、窒素気流加熱処理からなる群から選択される少なくとも一つであることが、効率的に除染を行える点で好ましい。
前記真空加熱処理の条件としては、例えば、圧力0.1~200mbar、温度130~210℃、好ましくは150~180℃以上、時間30分間以上である。
前記赤外線加熱処理の条件としては、例えば、波長が0.78~3μmの赤外線(近赤外線)を用い、温度130℃以上、好ましくは160℃以上、時間0.3~3時間、好ましくは0.4~0.8時間である。
前記窒素気流加熱処理の条件としては、例えば、50mb~大気圧に調整した窒素気流下、窒素気流温度130℃以上、好ましくは160℃以上である。
これらの除染処理の方法のなかでも、真空加熱処理が好ましい。すなわち、粉砕物の原料であるPETの回収物は、少なくとも一度は成型されているため、熱履歴が掛かり、バージンのPETに比べて重合度が低下しており、それに伴い強度も低下している。
通常PETの重合度を上げるために固相重合が行われているが、この固相重合の条件は、前記真空加熱処理の条件と、ほぼ同じである。したがって、真空加熱処理を行うことで、重合度が低下したPETの重合度をバージンのPETと同じ重合度とすることができる。
前記除染工程を経由して得られる再生材の重合度は、通常100~180、好ましくは130~160である。再生材の重合度が上記範囲内であると、バージンのPETと同等の強度とすることができる傾向がある。
また、前記重合度は固有粘度を指標とすることもでき、前記再生材の固有粘度は、通常0.60~0.80、好ましくは0.65~0.80である。再生材の固有粘度が上記範囲内であると、バージンのPETと同等の強度とすることができる傾向がある。上記固有粘度は、JIS K 7390-1に従い測定することができる。
また、前記再生材は、代理汚染試験行った際の代理汚染物質の合計残留量が220ppb以下および/または代理汚染物質の合計溶出量が10ppb以下であることが好ましい。
前記代理汚染試験は、有害物質がPETの回収物に混入している場合であっても、除染工程により、有害物質が人体に影響のない濃度にまで除去できているかを確認するための試験である。すなわち、前記再生材は、除染前の粉砕物に有害物質が混入している場合であっても、除染工程により、有害物質を人体に対する安全性が担保される濃度にまで除染されているものである。
なお、前記代理汚染物質の合計残留量および代理汚染物質の合計溶出量は、米国のFDAが作成した「再生プラスチックを食品に直接接触する場合の指針(ガイドライン)」に準じた方法により得られる。
また、前記代理汚染物質は、以下のグループ(I)~(IV)の、各グループから選択される少なくとも一種の物質を用いることが、より確実な指標を得ることができ、安全性の判断が容易となることから好ましい。
(I)クロロホルム、クロロベンゼン、トリクロロエタン、ジエチルケトン。
(II)トルエン。
(III)ベンゾフェノン、サリチル酸メチル。
(IV)テトラコサン、ステアリン酸メチル、フェニルシクロヘキサン、1-フェニルデカン。
[製造工程]
前記除染工程を経由して得られた再生材は、フレークのまま製造工程に用いてもよいし、公知の方法によりペレットとし製造工程に用いてもよい。
再生材がフレークである場合は、ペレットにする工程を回避することができ、製造コストを安くすることができる。また、再生材がペレットである場合は、ペレットを製造する工程で異物を除去でき、形状も一定であることから、安定して製造を行うことができる。
また、前記再生材は、そのまま樹脂組成物として耐熱性PETトレイの製造に用いてもよいが、バージンPETを加えてもよい。
バージンPETを用いる場合、再生材とバージンPETとの質量含有比(再生材/バージンPET)は、通常1/99~99/1であり、好ましくは5/95~80/20であり、より好ましくは25/75~50/50である。
前記樹脂組成物は、PETを主成分とするものであり、さらに結晶核剤、架橋剤、PET以外の他の熱可塑性樹脂等を含むことが好ましい。
前記結晶核剤としては、例えば、脂肪族ポリマー、有機金属塩、無機化合物、天然鉱物粒子、金属水和物、金属水酸化物等が挙げられる。これらは単独でもしくは2種以上を併せて用いてもよい。なかでも、PETの結晶化速度に優れる点で、有機金属塩、金属水和物および金属水酸化物からなる群より選択される少なくとも1種が好ましく、金属水和物が特に好ましい。樹脂組成物が結晶核剤を含有することにより、成型時の結晶化を促進することができる傾向がある。
前記脂肪族ポリマーとしては、例えば、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリペンテン、ポリメチルペンテン等が挙げられる。
前記有機金属塩としては、例えば、安息香酸ナトリウム、安息香酸カリウム、安息香酸カルシウム、p-ブチル安息香酸ナトリウム、p-ブチル安息香酸カリウム、p-ブチル安息香酸カルシウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、ステアリン酸カルシウム、モンタン酸ナトリウム、モンタン酸カリウム、モンタン酸カルシウム、パルミチン酸ナトリウム、パルミチン酸カリウム、パルミチン酸カルシウム、エチレン-メタクリル酸の共重合体のナトリウム塩、エチレン-メタクリル酸の共重合体のカリウム塩、エチレン-メタクリル酸の共重合体のカルシウム塩、テレフタル酸ナトリウム、テレフタル酸リチウム等の有機カルボン酸のアルカリ金属またはアルカリ土類金属塩が挙げられる。
前記無機化合物としては、例えば、グラファイト、カーボンブラック、酸化マグネシウム、珪酸カルシウム、珪酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム等が挙げられる。
前記鉱物粒子としては、例えば、タルク、カオリン等が挙げられる。
前記金属水和物としては、例えば、Mg4Al2(OH)12CO3・3H2O等が挙げられる。
前記金属水酸化物としては、例えば、Mg3Si4(OH)2等が挙げられる
前記結晶核剤を用いる場合、その含有量は樹脂組成物に対して、通常0.02質量%以上であり、好ましくは0.1~1.5質量%、より好ましくは0.2~1.0質量%である。
前記架橋剤としては、例えば、2つ以上の官能基を有する無水芳香族、2つ以上の官能基を有する無水脂肪族、2つ以上の官能基を有するポリオレフィン、2つ以上の官能基を有する芳香族等が挙げられる。これらは単独でもしくは2種以上を併せて用いてもよい。樹脂組成物が架橋剤を含有することにより、本トレイの物理強度を高くできる傾向がある。
前記2つ以上の官能基を有する無水芳香族としては、例えば、無水フタル酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸等が挙げられる。
前記2つ以上の官能基を有する無水脂肪族としては、例えば、無水マレイン酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、3-メチル-ヘキサヒドロ無水フタル酸、4-メチル-ヘキサヒドロ無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、無水ナジック酸、無水メチルナジック酸等が挙げられる。
前記2つ以上の官能基を有するポリオレフィンとしては、例えば、アクリロニトリル、エチレンプロピレンゴム、スチレン共重合体等が挙げられる。
前記2つ以上の官能基を有する芳香族としては、例えば、サリチル酸等が挙げられる。
前記架橋剤を用いる場合、その含有量は樹脂組成物に対して、通常0.1~20質量%、好ましくは0.3~10質量%、より好ましくは0.5~1質量%である。
前記PET以外の他の熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリオレフィン(ただし、前記架橋剤として挙げたものを除く)等が挙げられる。樹脂組成物が他の熱可塑性樹脂を含有することにより、本トレイの耐衝撃強度を高くできる傾向がある。
前記ポリオレフィンとしては、例えば、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、庁低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、超高分子量ポリエチレン等のポリエチレン等が挙げられる。これらは単独でもしくは2種以上を併せて用いてもよい。なかでも、直鎖状低密度ポリエチレンが好ましい。
前記PET以外の他の熱可塑性樹脂を用いる場合、その含有量は樹脂組成物に対して、通常0.1~20質量%、好ましくは0.5~10質量%、より好ましくは1~5質量%である。
また、前記樹脂組成物には、本発明の効果を阻害しない範囲で、例えば、安定剤、着色剤、酸価防止剤、紫外線吸収剤、可塑剤、滑剤、静電気防止剤、増量剤等の添加剤が含まれていてもよい。これらは単独でもしくは2種以上を併せて用いてもよい。
なかでも、前記着色品の粉砕物を再生材として用いる場合、着色品の粉砕物には様々な色が混じっているため、着色剤を用い単色となるように着色することが、美観の点から好ましい。
前記結晶核剤、架橋剤、PET以外の他の熱可塑性樹脂、添加剤は、例えば、再生材をペレットにする際に配合してもよいし、下記のフィルム状に形成する際に配合してもよい。
これらの材料を含有する樹脂組成物を押出機に投入して溶融押出し、Tダイ成形等の公知の方法によりシート状に成形することで耐熱性PET用シートを製造することができる。
その後、前記耐熱性PET用シートを耐熱性PET用シートのガラス転移温度から結晶化温度の範囲内(例えば80~130℃)に加熱した後、公知の方法、例えば、真空、真空圧空、熱板成型法によりトレイ状に成型し、その後、結晶化温度から融点の範囲内の温度(例えば130~220℃、好ましくは200℃以上)に保持して熱固定(結晶化)させることにより、本トレイが得られる。なお、PETの重合度や固有粘度は高い方が、結晶化温度が高くなり、成型性に優れる点から好ましい。
また、上記の方法以外にも、樹脂組成物を溶融させ、直接金型に流し込むことにより、本トレイを成型し、その後熱固定させてもよい。
<本トレイ>
このようにして得られる、本トレイは、耐熱性を示し、PETのガラス転移点(約70℃)以上でも変形しないものである。本トレイの熱変形温度は、通常180℃以上であり、好ましくは190℃以上である。上限は、通常250℃である。なお、上記熱変形温度は、示差走査熱量測定(DSC法)により測定される温度である。
また、本トレイの真比重は、1.35以上であることが好ましく、1.38以上であることがより好ましい。なお、上限は、1.44である。本トレイの真比重が1.35以上であると、PETが十分に結晶化しており、十分な耐熱性を得ることができる傾向がある。
本トレイは、PETの回収物を除染した再生材を材料とするものであり、前述のとおり、再生材は代理汚染試験行った際の代理汚染物質の合計残留量が220ppb以下および/または代理汚染物質の合計溶出量が10ppb以下であることが好ましい。
このように、本トレイは、PETの回収物からなる再生材を材料とするにも関わらず、人体に悪影響を与える物質が極力排除されており、安全性に優れている。そのため、本トレイを食品用トレイとして用いる場合であっても、従来のように、表面をバージンフィルムで被覆して食品と直に接しないようにする必要がなくなり、製造コストを低減することができる。
つぎに、実施例について比較例と併せて説明する。なお、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
<実施例1>
バージンの耐熱性PETトレイを、10mmメッシュを保有した粉砕機で粉砕し、約20kgのフレーク状の粉砕品を得た。前記粉砕品に対し、下記の代理汚染物質による汚染を行って、疑似的にPETトレイのポストコンシューマ材(疑似ポストコンシューマ材)を作製した。
前記代理汚染物質として、クロロベンゼン、トルエン、ベンゾフェノン、フェニルシクロヘキサンを準備した。上記クロロベンゼンは揮発性の極性物質であり、上記トルエンは揮発性の非極性物質であり、上記ベンゾフェノンは不揮発性の極性物質であり、上記フェニルシクロヘキサンは不揮発性の非極性物質である。すなわち、上記代理汚染物質は、各物理化学的性質を代表する化学物質が選択されている。
ついで、ステンレス鋼(SUS)製容器内にポリエチレン製の袋を入れ、その中に前記粉砕物を投入し、そこへ予め混合しておいた上記代理汚染物質4種を、粉砕物の質量に対して、それぞれ下記の量となるように滴下した。そして、ポリエチレン製の袋とSUS製容器を密閉し、40℃の温度下で2週間静置して粉砕物に上記代理汚染物質を下記の濃度となるよう含浸させ、疑似ポストコンシューマ材を得た。なお、静置期間中は、1日3回撹拌を行った。
クロロベンゼン 1500ppm
トルエン 1000ppm
ベンゾフェノン 150ppm
フェニルシクロヘキサン 500ppm
このようにして得られた疑似ポストコンシューマ材を用いて、耐熱性PETトレイを製造した。
〔除染工程〕
上記で得られた疑似ポストコンシューマ材を、容量400mm×400mm×250mmの小型の真空加熱機(小野田機器社製)を用いて、下記の条件で除染を行い、再生材を得た。なお、除染処理はバッチ式となる。
[除染条件]
真空度 1~2torr(1.33~2.66mbar)
真空方式 オイル式
加熱温度 200℃
滞留時間 60分間
〔代理汚染物質の残留量測定〕
代理汚染物質の残留量は、以下の測定条件でガスクロマトグラフィー分析を行い、得られたピーク面積から検量線を作成して算出した。その結果、代理汚染物質の合計含有量(残留量)は、220ppb以下であった。
[測定条件]
・装置 ヘッドスペースサンプラ HP7694
ガスクロマトグラフィー/質量分析計(GC/MS) HP6890
・ヘッドスペースサンプラ操作条件
加熱温度 オーブン125℃
サンプルループ 130℃
トランスファーライン 135℃
加熱時間 45分間
注入時間 0.5分間
ヘッドスペース導入量 1mL
・GC/MS測定条件
カラム DB-VRX(30mx内径0.25mm、膜厚1.4μm J&W Scientific社製)
カラム温度 40℃(4分間)→昇温20℃/分で240℃
注入温度 250℃
インレット温度 280℃
キャリア―ガス He、130kPa(0.5分)→50kPa
イオン化電圧 70eV イオン加速電圧
・測定法
試料(粉砕物)1.0gを10mLバイアル瓶に入れて密封後、ヘッドスペースサンプラ/GC/MSで測定をした。
また、代理汚染物質の溶出量についても、前述の指針〔再生プラスチックを食品に直接接触する場合の指針(ガイドライン)〕に準じて測定を行った。その結果、代理汚染物質の溶出量は、10ppb以下であった。
得られた再生材100質量部に対し、結晶核剤としてMg4Al2(OH)12CO3・3H2Oを純分換算で0.25質量部を混合し樹脂組成物とした、これを押出機(viscotec社製、押出機口径90mm、モーター定格400KW、ヒーター200KW)に投入し、耐熱性PETトレイ用シートを製造した。なお、再生材の固有粘度は、0.73であった。
次に上記耐熱性PETトレイ用シートを用い、下記の条件で耐熱性PETトレイを製造した。得られた耐熱性PETトレイのDSC法による熱変形温度は198℃であり、真比重は1.38であった。
[成型条件]
機器製造会社 Kiefel
型式 KMD78.1
シート幅 600mm
シート厚み 0.4mm
成型サイズ L70mm×W60mm×H35mm
Vacuum 空冷式
加熱 セラミックヒーター
Station 3
成型サイクル 3.6秒
<実施例2>
実施例1において、再生材100質量部に対し、結晶核剤としてMg4Al2(OH)12CO3・3H2Oを純分換算で0.25質量部、架橋剤としてエチレンアルキルアクリレート2質量部を混合し樹脂組成物とした以外は、同様にして耐熱性PETトレイを製造した。得られた耐熱性PETトレイのDSC法による熱変形温度は195℃であり、真比重は1.38であった。また、JIS Z 0200に従い自由落下試験を行った結果、耐熱性PETトレイは、レベルIを満たすものであり、高い強度を有していた。
このように、本PETトレイは、PETの回収物からなる再生材から得られるにも関わらず、安全性が十分に担保され、品質がよいものである。
本発明は、PETの回収物からなる再生材から、安全性の高い耐熱性PETトレイを製造することができるため、食品包装用途等に幅広く利用することができる。

Claims (13)

  1. 再生材を含有する樹脂組成物からなる耐熱性ポリエチレンテレフタレートトレイであって、前記再生材が除染したポリエチレンテレフタレートの回収物からなる、耐熱性ポリエチレンテレフタレートトレイ。
  2. 真比重が1.35以上である、請求項1記載の耐熱性ポリエチレンテレフタレートトレイ。
  3. 前記樹脂組成物が、結晶核剤を含有する、請求項1または2記載の耐熱性ポリエチレンテレフタレートトレイ。
  4. 前記結晶核剤が、有機金属塩、金属水和物および金属水酸化物からなる群より選択される少なくとも1種である、請求項3記載の耐熱性ポリエチレンテレフタレートトレイ。
  5. 前記樹脂組成物が、架橋剤を含有する、請求項1または2記載の耐熱性ポリエチレンテレフタレートトレイ。
  6. 請求項1記載の耐熱性ポリエチレンテレフタレートトレイの製造方法であって、
    ポリエチレンテレフタレートの回収物を粉砕する粉砕工程と、前記粉砕工程により得られた粉砕物または粉砕物から得られるペレットを除染処理する除染工程と、前記除染工程を経由して得られた再生材を含有する樹脂組成物から、耐熱性ポリエチレンテレフタレートトレイを製造する製造工程と、を備える、耐熱性ポリエチレンテレフタレートトレイの製造方法。
  7. 前記再生材が、代理汚染試験行った際の代理汚染物質の合計残留量が220ppb以下および/または代理汚染物質の合計溶出量が10ppb以下である請求項6記載の耐熱性ポリエチレンテレフタレートトレイの製造方法。
  8. 前記代理汚染物質が、以下のグループ(I)~(IV)の、各グループから選択される少なくとも一種の物質を用いる、請求項7記載の耐熱性ポリエチレンテレフタレートトレイの製造方法。
    (I)クロロホルム、クロロベンゼン、トリクロロエタン、ジエチルケトン。
    (II)トルエン。
    (III)ベンゾフェノン、サリチル酸メチル。
    (IV)テトラコサン、ステアリン酸メチル、フェニルシクロヘキサン、1-フェニルデカン。
  9. 前記除染処理が、真空加熱処理、赤外線加熱処理、窒素気流加熱処理からなる群から選択される少なくとも一つである請求項6または7記載の耐熱性ポリエチレンテレフタレートトレイの製造方法。
  10. 前記樹脂組成物が、結晶核剤を含む請求項6または7記載の耐熱性ポリエチレンテレフタレートトレイの製造方法。
  11. 前記樹脂組成物が、架橋剤を含む請求項6または7記載の耐熱性ポリエチレンテレフタレートトレイの製造方法。
  12. 前記樹脂組成物が、ポリエチレンテレフタレート以外の熱可塑性樹脂を含む請求項6または7記載の耐熱性ポリエチレンテレフタレートトレイの製造方法。
  13. 前記粉砕物を、洗浄処理する洗浄工程を備える、請求項6または7記載の耐熱性ポリエチレンテレフタレートトレイの製造方法。
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