JP2023174824A - キナクリドン顔料及びその製造方法 - Google Patents

キナクリドン顔料及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 本発明が解決しようとする課題は、顔料全体におけるリンの含有量を減らすのみならず、顔料表面からのリンの溶出を抑制することができ、特にインクジェット用として有用なキナクリドン顔料を提供することにある。【解決手段】 下記測定法におけるリン溶出量が100ppm以下、且つリン含有量400ppm以下であるキナクリドン顔料を提供する。測定法:下記分散条件での分散前後のキナクリドン顔料を蛍光X線分析装置にて測定し、その前後の差をリン溶出量とした分散条件:キナクリドン顔料1重量部に対して、IPA0.1重量部、水15.9重量部を加えて20℃で混合し、ペイントコンディショナーにて振動数750rpmで1時間分散させる【選択図】 なし

Description

本発明は、キナクリドン顔料に関する。
キナクリドン顔料は、塗料、トナー、印刷インキ、インクジェット記録用インクをはじめとする様々な用途で使用されている。例えば、インクジェット記録用マゼンタインクにおいては、C.I.ピグメントバイオレット19やC.I.ピグメントレッド122などのキナクリドン顔料が多く使用されている。
インクジェット記録方式としては、インクを装填した細い金属パイプの一部に熱エネルギー印可することにより、インクに発泡を起こし、その圧力によりインクを噴出する、サーマル方式が知られている。このサーマル方式に特有の現象として、インクジェット記録用インクに熱エネルギーを印加するためのヒータ表面への堆積物、所謂「コゲ」の付着がある。この「コゲ」は、「コゲーション」とも呼ばれ、熱効率を低下させ、インクの吐出効率を低下させる場合がある。特許文献1には、インク中の無機リン化合物がインクノズルの中でヒータにより加熱され、インク中もしくはノズルやタンク等のインク接液材料より溶出されるカルシウムと化合物をつくり、ヒータ上に付着することが記載されている。
このリンとカルシウムの化合物は非常に硬く、難溶性であり、再分解や剥離されることはないとされている。更に特許文献1では、推定として、そのリンとカルシウムの焦げがヒータ上に付着することで微細な凹凸が生じ、そこにカーボン焦げが入り込むことで吐出量の急激な減少が生じるとされている。そのため特許文献1に記載のインクでは、コゲーション抑制のため、使用する顔料中のリンの濃度を500ppm以下とし、顔料全体におけるリンの量を低減している。
特開2001-158864公報
上記のように、インクジェットインクの用途としてリンの含有量が少ないキナクリドン顔料が切望されている。本発明者らは、特許文献1のように顔料中のリンを全体的に減らす技術のみでは、インクにおけるリンの含有量を減らしても顔料、特に顔料表面から溶出するリンの量が多い場合は、コゲーションが発生し得ることを発見した。よって、本発明が解決しようとする課題は、顔料全体におけるリンの含有量を減らすのみならず、顔料表面からのリンの溶出を抑制することができ、特にインクジェット用として有用なキナクリドン顔料を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、特定の表面構造であるキナクリドン顔料は、顔料全体におけるリンの含有量が少ないだけではなく、顔料表面からリンが溶出しにくいことを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち本発明は、
『項1.下記測定法におけるリン溶出量が100ppm以下、且つリン含有量400ppm以下であるキナクリドン顔料。
測定法:下記分散条件での分散前後のキナクリドン顔料を蛍光X線分析装置にて測定し、その前後の差をリン溶出量とした
分散条件:キナクリドン顔料1重量部に対して、IPA0.1重量部、水15.9重量部を加えて20℃で混合し、ペイントコンディショナーにて振動数750rpmで1時間分散させる
項2.キナクリドン顔料が、C.I.ピグメントバイオレット19とC.I.ピグメントレッド122とを含む項1に記載のキナクリドン顔料。』に関する。
本発明のキナクリドン顔料によれば、顔料全体におけるリンの含有量が少なく、顔料表面からリンが溶出しにくいため、サーマル方式に用いられるインクジェットインクにおいて、インクノズルの「コゲ」の付着、即ち「コゲーション」を抑制することができる。即ち、本発明のキナクリドン顔料によれば、インク化の際にリンとカルシウムによるリン化合物を生成しにくく、「コゲーション」の発生が少ない良好なインクジェットインクを製造することが可能となる。
以下、本発明を詳細に説明する。
<キナクリドン顔料>
本発明のキナクリドン顔料は、下記測定法におけるリン溶出量が100ppm以下、且つリン含有量400ppm以下である。
測定法:下記分散条件での分散前後のキナクリドン顔料を蛍光X線分析装置にて測定し、その前後の差をリン溶出量とした。
分散条件:キナクリドン顔料1重量部に対して、IPA(=イソプロピルアルコール)0.1重量部、水15.9重量部を加えて20℃で混合し、ペイントコンディショナーにて振動数750rpmで1時間分散させる。
上記分散条件は、インクジェットインクにおける一般的な顔料分散条件を模しており、当該条件における分散前後の差で示すリン溶出量が少ないことは、「コゲーション」の発生が少ない良好なインクジェットインクであることを意味している。上記測定法に用いる蛍光X線分析装置は、波長分散型、エネルギー分散型のいずれであってもよく、例えば、本願実施例にて使用の装置を用いることができる。また、上記リン含有量は、例えば、蛍光X線分析装置を用いて顔料中のリン分を定量することにより求めることができる。なお、上記ペイントコンディショナーは、例えばJIS5101-1-2に記載のペイントコンディショナ形振とう機を示す。
本発明のキナクリドン顔料は、上記測定法でのリン溶出量が100ppm以下、好ましくは80ppm以下、より好ましくは60ppm以下である。また、本発明のキナクリドン顔料におけるリン含有量は、400ppm以下、好ましくは350ppm以下、より好ましくは50ppm以下、最も好ましくは40ppm以下である。
本発明におけるキナクリドン顔料としては、例えば、C.I.ピグメントバイオレット19、C.I.ピグメントレッド122、C.I.ピグメントレッド209、C.I.ピグメントレッド202、C.I.ピグメントオレンジ48、C.I.ピグメントオレンジ49が挙げられる。本発明におけるキナクリドン顔料としては、上記2種以上の顔料を含む顔料であってもよい。このような顔料としては、色相などよりインクジェット用マゼンタインクに有用であるC.I.ピグメントバイオレット19とC.I.ピグメントレッド122とを含む固溶体顔料などが挙げられる。
また、本発明のキナクリドン顔料は、さらにキナクリドン顔料誘導体を含有させることができる。キナクリドン顔料誘導体を併用することにより、より高い貯蔵安定性を得ることができる。なお、キナクリドン顔料中、キナクリドン顔料誘導体の存在は、例えば赤外線吸収スペクトル(IR)やマススペクトル(MS)などにより確認することができる。
本発明において用いるキナクリドン顔料誘導体は、公知慣用のものをいずれも用いることができる。C.I.ピグメントバイオレット19、C.I.ピグメントレッド202、C.I.ピグメントレッド209およびC.I.ピグメントレッド122の骨格に、スルホン酸残基およびその金属塩、ジアルキルアミノアルキルアミノスルファモイル残基、フタルイミドメチル残基、ジアルキルアミノアルキル残基などの1種または複数置換されたキナクリドン顔料誘導体、例えば、キナクリドンスルホン酸、ジメチルアミノプロピルアミノスルファモイルキナクリドン、ピラゾリル-メチルキナクリドン、ジメチルアミノプロピルキナクリドンモノスルホンアミド、ジメチルアミノプロピルキナクリドンジスルホンアミドおよび2-フタルイミドメチルおよびジメチルアミノメチルキナクリドンなどが挙げられる。なかでも、より優れた貯蔵安定性を与える観点から、スルホン酸およびその金属塩、ジメチルアミノプロピルアミノスルファモイル誘導体が好ましい。
本発明において、キナクリドン顔料誘導体を併用する場合には、キナクリドン固溶体顔料100質量部に対して、キナクリドン顔料誘導体1~10質量部となるように用いることが好ましい。
また、上記した誘導体以外の顔料誘導体もさらに併用しても構わない。その構造としては、C.I.ピグメントバイオレット19、C.I.ピグメントレッド202、C.I.ピグメントレッド209およびC.I.ピグメントレッド122の骨格だけでなく、C.I.ピグメントバイオレット23、C.I.ピグメントブルー15(銅フタロシアニン)、C.I.ピグメントレッド177、C.I.ピグメントレッド254、255などの縮合多環系顔料の骨格を使用することができる。
<キナクリドン顔料の製造方法>
ここで、本発明のキナクリドン顔料を得る方法の一例を示す。以下の製造方法は、C.I.ピグメントバイオレット19とC.I.ピグメントレッド122とを固溶体顔料として得る方法である。
本発明に用いられる粗製キナクリドン顔料は、例えば、粗製キナクリドン固溶体顔料の原料となる2,5-ジアニリノテレフタル酸(C.I.ピグメントバイオレット19の原料)と、2,5-ジ-トルイジノテレフタル酸(C.I.ピグメントレッド122の原料)とを、ポリリン酸中で脱水環化し、水中に投入した後、析出物を濾過、水洗する方法で得られる。ここで、2,5-ジアニリノテレフタル酸と、2,5-ジ-トルイジノテレフタル酸との質量比は、例えば80/20から20/80であり、結晶子をより均一に生成できることから、70/30から60/40であることが好ましい。通常、顔料の合成や水洗などに用いる水(工業用水)における導電率は、300~500μS/cm程度である。しかし、本発明における製造方法では、脱水環化およびその後の水洗に用いる水として、含イオン量が少ない水(例えば導電率が10μS/cm以下、好ましくは5μS/cm以下、より好ましくは3μS/cm以下、特に好ましくは2μS/cm以下の水))を用いることが好ましい。このような水としては純水、イオン交換水、RO処理水、超純水などが挙げられる。このような含イオン量が少ない水を用いることで、顔料中、特に顔料表面のリン成分をより効率的に洗い流すことができる。
本発明のキナクリドン顔料は、上記で得られる粗製キナクリドン固溶体顔料を、大過剰の液媒体中で加熱することにより製造することができる。ここで、液媒体は、粗製キナクリドン固溶体顔料を溶解しないものを選択して用いる。また、結晶制御を安定的に行う観点から、水可溶性有機溶媒を主成分として含むことが好ましい。
このような水可溶性有機溶媒としては、例えば、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、N-メチルピロリドン、エタノール、イソプロピルアルコール、プロパノール、イソブタノール、エチレングリコールなどが挙げられるが、製造時の加熱温度や価格並びに安全性を考慮すると、ジメチルホルムアミド、イソプロピルアルコールやイソブタノールを用いることが好ましい。水可溶性有機溶媒の使用量は特に限定されないが、0.1~20重量倍相当量の範囲、これ以上多く用いてもよいが、溶剤回収コストが増加する観点から前述の範囲で適宜設定されることが好ましい。
加熱温度は60℃~150℃の範囲で行うことができ、70℃~140℃の範囲で行うことが好ましい。加熱時間は特に限定されないが、より均一な粒子径の顔料が得られる観点から、2~10時間とすることができる。得られたキナクリドン顔料を適宜、粉砕・微細化処理をしてもよい。
本発明において、キナクリドン顔料誘導体を併用する場合には、その添加方法は特に限定されるものではないが、液媒体へ粗製キナクリドン顔料を加える際に、キナクリドン顔料誘導体をさらに加えてから加熱工程を行うことで、所望のキナクリドン顔料を得ることができ、また、液媒体から水可溶性有機溶媒を蒸留などにより除去した後の水系分散液に添加することもできる。ここで、キナクリドン顔料誘導体の使用量は、前述のとおりである。
さらに得られたキナクリドン顔料について、顔料中の不純物を除去するため、塩酸、硫酸、硝酸などを用いた酸洗浄および水洗浄をしてもよい。酸洗浄および水洗浄に用いる水としては、顔料中、特に顔料表面のリン成分をより効率的に洗い流すため、イオン交換水などの含イオン量が少ない水を用いることが好ましい。
以下、実施例及び比較例を用いて本発明を更に詳細に説明する。以下の実施例及び比較例において特に断りの無い限り、「%」は「質量%」を表すものとする。
[リンの測定方法]
顔料に含まれるリンの測定には、PANalytical製 エネルギー分散型蛍光X線分析装置Epsilon 5(以下、「XRF」)を使用した。
[リン抽出方法]
IPAとイオン交換水を混合した水溶液(温度20℃)中に、予めXRF測定を行なった顔料を添加する。ペイントコンディショナー(振動数750rpm)で10分間分散した後、イオン交換水を追加して、更にペイントコンディショナーで50分間追加分散を行ない、スラリーを得る。
[リン溶出量の評価方法]
実施例ならびに比較例で記述した試験前後の顔料について、リン含有量の差を求めた。
試験前後のリン含有量の差をリン溶出量と定義して、以下の基準で評価を行なった。
○:0ppm≦(リン溶出量)≦100ppm
×:100ppm<(リン溶出量)
[濾液を蒸発乾固させた際の目視評価]
実施例ならびに比較例で記述した試験を行なって得た濾液6gをアルミシャーレに量りとり、赤外線水分計(株式会社ケツト科学研究所製)を使用して160℃の条件で蒸発乾固させた。蒸発乾固させた後の残渣の状態を目視で評価した。このとき、評価は以下の基準で行なった。
○:残渣が確認できない又は白色残渣が少量確認できる
×:残渣が大量に確認でき、一部黄色に変色している
[実施例1]
1Lセパラブルフラスコに85%リン酸330gを量り取り、無水リン酸469gを加え攪拌し、84%ポリリン酸を調製した。ポリリン酸の温度が低下し約100℃となってから、C.I.ピグメントバイオレット19の原料である2,5-ジアニリノテレフタル酸165g、次いで、C.I.ピグメントレッド 122の原料である2,5-ジ-トルイジノテレフタル酸110gを徐々に加え、原料の添加終了後、125℃で3時間の縮合反応を行なった。反応終了後、10Lステンレスカップに30℃のイオン交換水(導電率10μS/cm以下)を5L量り取り、この水を攪拌しながら,反応液を水中に投入し、C.I.ピグメントバイオレット19とC.I.ピグメントレッド122の固溶体スラリーを得た。この固溶体スラリーをろ過した後、イオン交換水(導電率10μS/cm以下)で水洗して、固溶体粗顔料ウェットケーキ465g(固形分31%)を得た。固溶体粗顔料ウェットケーキ129g、イソブタノール129gおよびイオン交換水174gを内容積1Lの密閉容器に仕込み、80℃で3時間、さらに135℃で3時間、攪拌下で加熱処理した後、イソブタノールを蒸留により系内から回収し、固溶体顔料スラリーを得た。
この固溶体顔料スラリーをろ過・イオン交換水(導電率10μS/cm以下)による水洗後、98℃で18時間乾燥し、さらに粉砕して、C.I.ピグメントバイオレット19とC.I.ピグメントレッド122の固溶体顔料36gを得た。
上記で得られた固溶体顔料が含有するリンの量を、XRFで測定すると、39ppmであった。110mlのポリ瓶にIPA1.0g、イオン交換水49.0gを量りとる。そこに上記で得られた固溶体顔料10.0gを量りとり、ペイントコンディショナーで10分間分散させる。その後イオン交換水110.0gを量りとり、ペイントコンディショナーで50分間分散させる。こうして得た顔料スラリーをろ過し、ろ過後のウェットケーキを98℃で18時間乾燥し、さらに粉砕して得た顔料が含有するリンの量をXRFで測定すると、39ppmであった。
[実施例2]
2Lセパラブルフラスコに85%リン酸511gを量り取り、無水リン酸727gを加え攪拌し、84%ポリリン酸を調製した。ポリリン酸の温度が低下し約100℃となってから、C.I.ピグメントバイオレット19の原料である2,5-ジアニリノテレフタル酸256g、次いで、C.I.ピグメントレッド122の原料である2,5-ジ-トルイジノテレフタル酸170gを徐々に加え、原料の添加終了後、125℃で3時間の縮合反応を行なった。反応終了後、10Lステンレスカップに30℃の導電率300~500μS/cmの水を7L量り取り、この水を攪拌しながら,反応液を水中に投入し、C.I.ピグメントバイオレット19とC.I.ピグメントレッド122の固溶体スラリーを得た。この固溶体スラリーをろ過と導電率300~500μS/cmの水で水洗して、固溶体粗顔料ウェットケーキとした。同様の操作をもう一度行ない、固溶体粗顔料ウェットケーキ2300g(固形分30%)を得た。固溶体粗顔料ウェットケーキ2007g、イソブタノール1940gおよび導電率300~500μS/cmの水2533gを内容積10Lの密閉容器に仕込み、80℃で3時間、さらに135℃で3時間、攪拌下で加熱処理した後、イソブタノールを蒸留により系内から回収し、ろ過と導電率300~500μS/cmの水で水洗を行ない、固溶体顔料スラリーを得た。このスラリーを固形分が200gになるよう量りとり、イオン交換水(導電率10μS/cm以下)を加えて固形分6%のスラリー3200gに調製した。このスラリーに35%塩酸3gを量りとり、60℃で1時間撹拌した後、ろ過・イオン交換水(導電率10μS/cm以下)による洗浄を行なった。98℃で18時間乾燥し、さらに粉砕して、C.I.ピグメントバイオレット19とC.I.ピグメントレッド122の固溶体顔料180gを得た。
上記で得られた固溶体顔料が含有するリンの量をXRFで測定すると、41ppmであった。110mlのポリ瓶にIPA1.0g、イオン交換水49.0gを量りとる。そこに上記で得られた固溶体顔料10.0gを量りとり、ペイントコンディショナーで10分間分散させる。その後イオン交換水110.0gを量りとり、ペイントコンディショナーで50分間分散させる。こうして得た顔料スラリーをろ過し、ろ過後のウェットケーキを98℃で18時間乾燥し、さらに粉砕して得た顔料が含有するリンの量をXRFで測定すると、22ppmであった。
[実施例3]
1Lセパラブルフラスコに85%リン酸330gを量り取り、無水リン酸469gを加え攪拌し、84%ポリリン酸を調製した。ポリリン酸の温度が低下し約100℃となってから、C.I.ピグメントバイオレット19の原料である2,5-ジアニリノテレフタル酸165g、次いで、C.I.ピグメントレッド122の原料である2,5-ジ-トルイジノテレフタル酸110gを徐々に加え、原料の添加終了後、125℃で3時間の縮合反応を行なった。反応終了後、10Lステンレスカップに30℃のイオン交換水(導電率10μS/cm以下)を5L量り取り、この水を攪拌しながら,反応液を水中に投入し、C.I.ピグメントバイオレット 19とC.I.ピグメントレッド122の固溶体スラリーを得た。この固溶体スラリーをろ過した後、イオン交換水(導電率10μS/cm以下)で水洗して、固溶体粗顔料ウェットケーキ465g(固形分31%)を得た。固溶体粗顔料ウェットケーキ134g、イソブタノール129gおよび導電率300~500μS/cmの水168gを内容積1Lの密閉容器に仕込み、80℃で3時間、さらに135℃で3時間、攪拌下で加熱処理した後、イソブタノールを蒸留により系内から回収し、固溶体顔料スラリーを得た。この固溶体顔料スラリーをろ過と導電率300~500μS/cmの水で水洗後、98℃で18時間乾燥し、さらに粉砕して、C.I.ピグメントバイオレット19とC.I.ピグメントレッド122の固溶体顔料36gを得た。
上記で得られた固溶体顔料が含有するリンの量をXRFで測定すると、344ppmであった。110mlのポリ瓶にIPA1.0g、イオン交換水49.0gを量りとる。そこに上記で得られた固溶体顔料10.0gを量りとり、ペイントコンディショナーで10分間分散させる。その後イオン交換水110.0gを量りとり、ペイントコンディショナーで50分間分散させる。こうして得た顔料スラリーをろ過し、ろ過後のウェットケーキを98℃で18時間乾燥し、さらに粉砕して得た顔料が含有するリンの量をXRFで測定すると、304ppmであった。
[比較例1]
Hostaperm Pink E(クラリアント社製)が含有するリンの量をXRFで測定すると、533ppmであった。110mlのポリ瓶にIPA1.0g、イオン交換水49.0gを量りとる。そこにHostaperm Pink Eを10.0g量りとり、ペイントコンディショナーで10分間分散させる。その後イオン交換水110.0gを量りとり、ペイントコンディショナーで50分間分散させる。こうして得た顔料スラリーをろ過し、ろ過後のウェットケーキを98℃で18時間乾燥し、さらに粉砕して得た顔料が含有するリンの量をXRFで測定すると、355ppmであった。
[比較例2]
特開2006-96927(第4項段落番号0019‐第7項段落番号0043)に記載の方法で顔料を作製した。この時、キナクリドン中間物の仕込み割合は、2,5-ジアニリノテレフタル酸:2,5-ジ-トルイジノテレフタル酸=20:80とし、加熱処理に使用する有機溶剤としてイソブタノールと、溶剤として導電率300~500μS/cmの水を使用した。この顔料が含有するリンの量をXRFで測定すると、334ppmであった。110mlのポリ瓶にIPA1.0g、イオン交換水49.0gを量りとる。そこにこの顔料10.0gを量りとり、ペイントコンディショナーで10分間分散させる。
その後イオン交換水110.0gを量りとり、ペイントコンディショナーで50分間分散させる。こうして得た顔料スラリーをろ過し、ろ過後のウェットケーキを98℃で18時間乾燥し、さらに粉砕して得た顔料が含有するリンの量をXRFで測定すると、166ppmであった。
Figure 2023174824000001
実施例1~3は、リン溶出量が0ppm以上100ppm以下と非常に少ない。これは、顔料を製造する工程で、顔料粒子の中にリンが取り込まれにくい条件で結晶成長させることにより、顔料表面近傍のリンが少なくなったため(実施例1、3)、および予め顔料表面近傍のリンを効率的に溶出させた(実施例2)ためと推測される。濾液を蒸発乾固させた際の状態を目視評価することで、インクが加熱された際、インク中に堆積物が出来るかどうかを簡易的に評価した。実施例1、2の残渣は白色であったが、比較例1、2の残渣は一部がわずかに黄色に変色しておりコゲが出来たと考える。

Claims (2)

  1. 下記測定法におけるリン溶出量が100ppm以下、且つリン含有量400ppm以下であるキナクリドン顔料。
    測定法:下記分散条件での分散前後のキナクリドン顔料を蛍光X線分析装置にて測定し、その前後の差をリン溶出量とした
    分散条件:キナクリドン顔料1重量部に対して、IPA0.1重量部、水15.9重量部を加えて20℃で混合し、ペイントコンディショナーにて振動数750rpmで1時間分散させる
  2. キナクリドン顔料が、C.I.ピグメントバイオレット19とC.I.ピグメントレッド122とを含む請求項1に記載のキナクリドン顔料。
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