JP2023172124A - セラミックス構造体及びその製造方法 - Google Patents

セラミックス構造体及びその製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2023172124A
JP2023172124A JP2022083716A JP2022083716A JP2023172124A JP 2023172124 A JP2023172124 A JP 2023172124A JP 2022083716 A JP2022083716 A JP 2022083716A JP 2022083716 A JP2022083716 A JP 2022083716A JP 2023172124 A JP2023172124 A JP 2023172124A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
resin
porosity
ceramic structure
liquid
copolymer
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2022083716A
Other languages
English (en)
Inventor
匡彦 森永
Masahiko Morinaga
紀一 鴨田
Kiichi KAMODA
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Ricoh Co Ltd
Original Assignee
Ricoh Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Ricoh Co Ltd filed Critical Ricoh Co Ltd
Priority to JP2022083716A priority Critical patent/JP2023172124A/ja
Publication of JP2023172124A publication Critical patent/JP2023172124A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Filtering Materials (AREA)
  • Filtering Of Dispersed Particles In Gases (AREA)
  • Porous Artificial Stone Or Porous Ceramic Products (AREA)
  • Producing Shaped Articles From Materials (AREA)

Abstract

【課題】優れた強度を有するセラミックス構造体の提供。【解決手段】外周部と該外周部の内側において略格子状に配置された隔壁を有し、同一隔壁中に気孔率の分布を有するセラミックス構造体である。前記気孔率の分布として、前記気孔率の最大値が60%で最小値が5%の範囲であり、前記気孔率の最大値と最小値の差が10%以上である態様、前記気孔率の最大値が30%~60%の範囲であり、前記気孔率の最小値が5%~30%である態様などが好ましい。【選択図】なし

Description

本発明は、セラミックス構造体及びセラミックス構造体の製造方法に関する。
実用に耐えうる十分な強度を有し、低い圧力損失と高い捕集率を兼ね備えることができる多孔質ハニカムフィルタを得ることを目的として、例えば、流体を透過させる多孔質の第1隔壁と第1隔壁よりも流体を透過しにくい第2隔壁を有し、第1隔壁の方が、第2隔壁よりも気孔率が大きい構造を有する多孔質ハニカムフィルタが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
しかしながら、上記特許文献1に記載のセラミックス構造体は、気孔率が高く、強度の弱い部分が壊れ易いという問題がある。
本発明は、優れた強度を有するセラミックス構造体を提供することを目的とする。
上記課題を解決するための手段としての本発明のセラミックス構造体は、外周部と該外周部の内側において略格子状に配置された隔壁を有し、同一隔壁中に気孔率の分布を有する。
本発明によると、優れた強度を有するセラミックス構造体を提供することを目的とする。
図1は、本発明のセラミックス構造体であるフィルタの一例を示す概略斜視図である。 図2は、セラミックス構造体の隔壁断面の一例を示す図である。 図3は、セラミックス構造体の隔壁断面の他の一例を示す図である。 図4は、セラミックス構造体の製造方法における処理の流れの一例を示すフローチャートである。 図5は、セラミックス構造体の製造装置における粉末層形成手段の一例を示す概略図である。 図6は、セラミックス構造体の製造装置における液体付与手段の一例を示す概略図である。
(セラミックス構造体)
本発明のセラミックス構造体は、外周部と該外周部の内側において略格子状に配置された隔壁を有し、同一隔壁中に気孔率の分布を有する。
本発明においては、セラミックス構造体は、同一隔壁中に、吸着能力を高めるために高い気孔率を有する部分と、強度を高めるために相対的に低い気孔率を有する部分とが混在しており、これにより、優れた強度を実現できる。
気孔率の分布としては最大値が60%で最小値が5%の範囲であり、気孔率の最大値と最小値の差が10%以上であることが、優れた強度を実現できる点から好ましい。
気孔率の最大値と最小値の差は10%以上が好ましく、20%以上がより好ましく、30%以上が更に好ましい。
気孔率の最大値は30%~60%の範囲であり、最小値は5%~30%であることが好ましい。
同一隔壁中の気孔率の分布として、気孔率の高い部分が隔壁内部に多く分布し、気孔率の低い部分が隔壁外部に多く分布していることが、優れた強度を実現できる点から好ましい。
気孔率は、例えば、隔壁の断面を走査型電子顕微鏡(SEM)によって観察を行い、空孔と粒子を二値化し、画像処理することにより、気孔率(%)を算出することができる。
同一隔壁中に気孔率の分布を有することは、例えば、SEM観察により確認することができる。
本発明のセラミックス構造体は、その材質、形状、大きさ、構造などについて特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
セラミックス構造体の材質としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、セラミックスなどが挙げられる。セラミックスとしては、例えば、コージェライト、SiC、チタン酸アルミニウム、セリア-ジルコニア固溶体、アルミナ、ムライトなどが挙げられる。
セラミックス構造体の形状及び大きさとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
セラミックス構造体の構造としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
セラミックス構造体は、優れた強度を有しているので、各種分野に用いることができるが、気体、液体、粉体又はこれらの任意の組み合わせの混合物といった流体を通過させて不純物を取り除くためのフィルタとして好適に用いられる。
流体は、典型的には、エンジンから排気される排ガスである。セラミックスフィルタは、必ずしもこの限りではないが、ガソリンエンジン及びディーゼルエンジンといったエンジンから排気される排ガスを浄化するために好適に用いられる。
ここで、図1は、本発明のセラミックス構造体であるフィルタの一例を示す概略斜視図である。この図1のフィルタは、フィルタ本体1と、フィルタの外周部2と、隔壁3とを備えている。フィルタの形状は、図1のような円筒状ではなくてもよく、正方形又は楕円形等であってもよい。また、隔壁3については、図1に示すように格子状に配置する必要は無く、放射状や曲線形状の隔壁であってもよい。
図2及び図3は、セラミックス構造体の隔壁断面の一例を示す図であり、x-y平面、y-z平面、x-z平面のいずれの断面構造でもよい。隔壁中に気孔率が異なる分布を有しており、密な部分(気孔率が小さい部分)4と疎な部分(気孔率が大きい部分)が混在しており、粗密の配置には特に制限はない。また、複数の気孔率分布を有していてもよい。
(セラミックス構造体の製造方法)
本発明のセラミックス構造体の製造方法は、本発明のセラミックス構造体を製造する方法であって、粉末層形成工程と、液体付与工程と、維持工程とを含み、更に必要に応じてその他の工程を含む。
本発明においては、「セラミックス構造体の製造方法は」は、脱脂工程前のグリーン体を製作するまでの工程を含む。「グリーン体」とは、本発明において、粉末層形成工程及び液体付与工程を繰り返すことで形成される、セラミックスと結着樹脂と溶剤から構成される物体のことを示している。「セラミックス構造体」とは、本発明において、主として全工程が終了した部材のことを示しているため、脱脂及び焼結が完了している状態を示している。
<粉末層形成工程>
粉末層形成工程は、セラミックス材料を含有する一次粒子と結着樹脂を含む二次粒子で粉末層を形成する工程であり、粉末層形成手段により実施される。
セラミックス材料としては、例えば、ガラス、金属酸化物、金属炭化物、金属窒化物などが挙げられる。
ガラスとしては、例えば、シリカガラス(石英ガラス)、ソーダ石灰シリカガラスなどが挙げられる。
金属酸化物としては、例えば、ジルコニア、アルミナ、ムライト(アルミノケイ酸塩鉱物)などが挙げられる。
金属炭化物としては、例えば、炭化ケイ素、タングステンカーバイドなどが挙げられる。
金属窒化物としては、例えば、窒化ケイ素、窒化アルミニウムなどが挙げられる。
セラミックスは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、高強度を保持する観点から、ジルコニア、アルミナ、ムライト(アルミノケイ酸塩鉱物)、タングステンカーバイド、炭化ケイ素、窒化ケイ素、窒化アルミニウムが好ましい。
二次粒子に含有される結着樹脂は、例えば、一次粒子間の結着、液体滴下時に溶解した後に、再度周囲のセラミックス粒子を結着することなどに寄与する。
結着樹脂の種類としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、アクリル樹脂、マレイン酸樹脂、シリコーン樹脂、ブチラール樹脂、ポリエステル樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、エチレン-酢酸ビニル共重合体、エチレン-(メタ)アクリル酸共重合体、α-オレフィン-無水マレイン酸共重合体、α-オレフィン-無水マレイン酸共重合体のエステル化物、ポリスチレン、ポリ(メタ)アクリル酸エステル、α-オレフィン-無水マレイン酸-ビニル基含有モノマー共重合体、スチレン-無水マレイン酸共重合体、スチレン-(メタ)アクリル酸エステル共重合体、ポリアミド樹脂、エポキシ樹脂、キシレン樹脂、ケトン樹脂、石油樹脂、ロジン又はその誘導体、クマロンインデン樹脂、テルペン樹脂、ポリウレタン樹脂、スチレン-ブタジエンゴム、ニトリルゴム、アクリルゴム、エチレン-プロピレンゴム、ニトロセルロースなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
粉末層を形成する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、特許第3607300号公報に記載の選択的レーザー焼結方法に用いられる、公知のカウンター回転機構(カウンターローラ)などを用いる方法、粉末をブラシ、ローラ、ブレード等の部材を用いて薄層に拡げる方法、粉末の表面を、押圧部材により押圧して薄層に拡げる方法、公知の粉末積層造形装置を用いる方法などが挙げられる。
カウンター回転機構(カウンターローラ)、ブラシ乃至ブレード、押圧部材などを用いて、支持体上に二次粒子による粉末層を形成する場合、例えば、外枠(「型」、「中空シリンダー」、「筒状構造体」などと称することがある)内に、外枠の内壁に摺動しながら昇降可能に配置された支持体上に、二次粒子をカウンター回転機構、ブラシ、ブラシ乃至ブレード、押圧部材などを用いて載置して、粉末層を形成する。このとき、支持体として、外枠内を昇降可能なものを用いる場合には、支持体を外枠の上端開口部よりも少しだけ(粉末による層の厚み分だけ)下方の位置に配し、支持体上に粉末を載置させることが好ましい。
また、粉末層を形成するには、公知の粉末積層造形装置を用いて自動的にかつ簡便に行うこともできる。粉末積層造形装置は、一般に、二次粒子を積層するためのリコーターと、二次粒子を支持体上に供給するための可動式供給槽と、二次粒子からなる層を形成して、積層するための可動式成形槽とを備える。この粉末積層造形装置においては、供給槽を上昇させるか、成形槽を下降させるか、又はその両方によって、供給槽の表面を成形槽の表面よりもわずかに上昇させることができる。そのため、この粉末積層造形装置は、供給槽側からリコーターを用いて、二次粒子を層状にして粉末層を形成することができ、リコーターを繰り返し移動させることにより、粉末層を積層させることができる。
粉末層の平均厚みとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、一層当たりの平均厚みは、10μm以上200μm以下が好ましく、30μm以上100μm以下がより好ましい。
<液体付与工程>
液体付与工程は、結着樹脂を溶解させる液体を粉末層に付与する工程であり、液体付与手段により実施される。
-液体-
液体としては、二次粒子の結着樹脂を溶解することができる液体であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
液体は、溶媒を含有し、無機粒子を含有することが好ましく、更に必要に応じてその他の成分を含有する。
溶媒としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、水、炭素数2以上7以下のアルコール、炭素数3以上8以下のケトン、環状エーテル、ポリエーテル、エステル化合物などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
炭素数2以上7以下のアルコールとしては、例えば、エチルアルコール、イソプロパノール、n-ブタノールなどが挙げられる。
炭素数3以上8以下のケトンとしては、例えば、アセトン、エチルメチルケトン、ジアセトンアルコールなどが挙げられる。
環状エーテルとしては、例えば、テトラヒドロフランなどが挙げられる。
ポリエーテルとしては、例えば、ジメトキシエタノール、ジメトキシジエチレングリコールなどが挙げられる。
エステル化合物としては、例えば、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチルなどが挙げられる。
液体における溶媒の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、35質量%以上99質量%以下が好ましく、35質量%以上75質量%以下がより好ましい。
液体における水の含有量は、少ない方が好ましい。液体における水の含有量は、45質量%未満が好ましく、5質量%未満が好ましい。
-無機粒子-
液体は、ノズルに詰まることのない中心粒径の無機粒子を含有することが好ましい。液体が無機粒子を含有することによって、液体が、粉末層の所定の領域に付与された際に、無機粒子が、所定の領域における粉末の隙間に配置される。その結果、得られる立体造形物の密度が向上する。
無機粒子の材質は、セラミックス材料の材質と同じ材質であることが好ましく、ジルコニア、アルミナ、ムライト(アルミノケイ酸塩鉱物)、タングステンカーバイド、炭化ケイ素、窒化ケイ素、窒化アルミニウムがより好ましい。
無機粒子の含有量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、液体の全量に対して、10質量%以上が好ましく、20質量%以上がより好ましく、30質量%以上が更に好ましい。無機粒子の含有量の上限値は、75質量%以下が好ましく、65質量%以下がより好ましい。
-その他の成分-
その他の成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、分散剤、界面活性剤などが挙げられる。
液体付与工程では、二次粒子に含まれる結着樹脂を溶解させ二次粒子を一次粒子にすることにより、二次粒子間に形成される空隙を一次粒子が充填する。その結果、液体を付与した領域が結着樹脂により固定化されると共に、二次粒子の形状が崩れることにより液体を付与した領域が均質化され、液体を付与した領域が空隙や未固化領域を少なくすることができる。また、液体を付与した領域の端部は、二次粒子由来の平面方向の凹凸を低減することができ、精度の高い造形が可能になる。
液体付与工程としては、二次粒子が含有する結着樹脂を溶解させる液体を、所定の領域に付与する工程であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
液体を所定の領域に付与する方法としては、例えば、ディスペンサ方式、スプレー方式、インクジェット方式などが挙げられる。
これらの中でも、ディスペンサ方式は、液滴の定量性に優れるが、塗布面積が狭くなる。スプレー方式は、簡便に微細な吐出物を形成でき、塗布面積が広く、塗布性に優れるが、液滴の定量性が悪く、スプレー流による二次粒子の飛散が発生する。
このため、インクジェット方式が特に好ましい。インクジェット方式は、スプレー方式に比べ、液滴の定量性が良く、ディスペンサ方式に比べ、塗布面積が広くできる利点があり、複雑な立体形状を精度良くかつ効率よく形成し得る点で好ましい。
インクジェット法による場合、付与手段は、インクジェット法により液体を所定の領域付与可能なノズルを有する。なお、ノズルとしては、公知のインクジェットプリンターにおけるノズル(吐出ヘッド)を好適に使用することができ、また、インクジェットプリンターを付与手段として好適に使用することができる。なお、インクジェットプリンターとしては、例えば、株式会社リコー製のSG7100などが好適に挙げられる。インクジェットプリンターは、ヘッド部から一度に滴下できる液体の量が多く、塗布面積が広いため、塗布の高速化を図ることができる点で好ましい。
<維持工程>
維持工程は、結着樹脂を溶解させる液体中の固形分の分散状態を維持する工程である。維持工程を有することにより、セラミックス構造体の気孔率を調整することができる。
液体中の固形分としては、例えば、無機粒子、分散剤などが挙げられる。
液体中の固形分の分散状態を維持する方法としては、例えば、液体をインクジェットヘッドの液室内で微振動させて混合する方法、液体を付与する前に古い液体を吐出して新しい液体とするフラッシングなどが挙げられる。
維持工程は、特に制限はなく、粉末層形成工程を行う前に行ってもよく、また液体付与工程前に行ってもよく、所定時間経過毎に行うようにしてもよい。
<その他の工程>
その他の工程としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、熱処理工程などが挙げられる。熱処理工程には、乾燥、脱脂、焼結などが挙げられる。
材料に合わせて熱処理を実施することが可能であるが、造形したグリーン体は、一般に形状に特徴を有するため、その崩壊を防ぐために加圧手段は用いないことが多い。特に、焼結においては、焼結密度向上のために加圧焼結(ホットプレス)を行うことが多いが、本発明においては、それは用いずに、基本的に常圧焼結を前提としている。
本発明においては、セラミックス構造体である立体造形物を製造する方法において、立体造形物の原材料を一時的に結着させた後に立体造形物を得ている。この場合、例えば、結着に樹脂を用いた場合でも、結着に用いる樹脂は少量でよいため、焼結後の体積収縮が少ない。その結果、大きな構造部材を造形する際にも、焼結時の割れを防ぐことができるため、例えば構造部材として実用可能な寸法のモデルを造形できる。
粉末層形成工程と液体付与工程を繰り返すことで形成されるグリーン体は、粉体中に埋没した状態で立体造形が終了する。
その時点でのグリーン体は、溶媒を多く含有しているため、強度が低くハンドリング性が悪いため、乾燥が必要となる。
乾燥は、粉末層形成工程と液体付与工程の後、赤外線ヒータなどを用いてレイヤーごとに施すこともできる。
乾燥方法としては、特に制限はなく、公知のいかなる方法も用いることができるが、溶剤の種類に応じて割れや変形の起こらない方法を選択する必要があり、例えば、溶媒としてエタノールを用いた場合であれば50℃で24時間乾燥を施すことが好ましい。
脱脂方法としては、特に制限はなく、周知のいかなる方法も用いることができ、例えば、カオリンを一次粒子として用いた場合には、窒素置換環境下、500℃で3時間の熱処理を施すことで好適に脱脂できるが、これに限定されるものではない。
焼結方法としては、特に制限はなく、周知の方法をも用いることができるが、本発明の効果を最大化する点から、常圧下での焼結を行うことが好ましい。雰囲気及び熱処理温度、熱処理時間は、材料によって調整される必要があり、例えば、アルミナを一次粒子として用いた場合には、アルゴン雰囲気下、1,550℃で3時間の熱処理が好適である。熱処理温度を高めることで、密度を高めることが可能であるが、代わりに粗大粒子が形成することにより強度が低下する、変形が生じるなどのデメリットもあるので、条件の最適化が必要である。
焼結方法としては、例えば、黒鉛型の場合には、例えば、パルス通電加熱等による通電焼結方式を好適に使用できるが、これに限定されるものではない。
ここで、図4は、セラミックス構造体の製造方法における処理の流れの一例を示すフローチャートである。このセラミックス構造体の製造方法は一例であって、これ以外の方法であっても構わない。以下、図5及び図6を参照して、図4のセラミックス構造体の製造方法における処理の流れについて説明する。
ステップS1では、使用者が、セラミックス構造体の製造装置に対して、繰返回数を入力すると、処理をS2に移行する。
ステップS2では、使用者が、セラミックス構造体の製造装置に対して、k=0を入力すると、処理をS3に移行する。
ステップS3では、液体中の固形分の分散状態を維持するための維持工程を行うと、処理をS4に移行する。維持工程は、例えば、ノズル近傍の液体に振動を与える工程又はフラッシングを行う工程である。
ステップS4では、セラミックス構造体の製造装置が、粉末層形成工程を行うと、処理をS5に移行する。粉末層形成工程においては、セラミックス材料を含有する一次粒子と結着樹脂を含む二次粒子で粉末層を形成する。粉末層形成工程は、例えば、粉末層形成手段を用いて行うことができる。
粉末層形成手段としては、例えば、図5に示すように、粒子51を貯留する供給側粉末貯留槽52と、粉末層を形成するための造形側粉末貯留槽54と、均し機構55とを有する。供給側粉末貯留槽52は、昇降可能なステージ50を有する。造形側粉末貯留槽54は、昇降可能なステージ53を有する。均し機構55としてのローラが、供給側粉末貯留槽52から造形側粉末貯留槽54に移動することで、供給側粉末貯留槽52内の粒子51が、造形側粉末貯留槽54に移動し、ステージ53上に粒子51からなる粉末層が形成される。
ステップS5では、セラミックス構造体の製造装置が、液体付与工程を行うと、処理をS6に移行する。
液体付与工程では、液体を粉末層形成工程で形成した粉末層に付与する。液体付与工程は、液体付与手段を用いて行う。液体付与手段としては、例えば、図6に示すように、インクジェットヘッド57である。インクジェットヘッド57を用いて、粉末層56の所定の領域に液体58を付与する。
ステップS6では、セラミックス構造体の製造装置が、加熱工程を行うと、処理をS7に移行する。
加熱工程では、液体付与工程後の粉末層に対して加熱処理を行う。加熱工程は、例えば、加熱手段を用いて行う。加熱手段としては、例えば、赤外線ヒータを用いて造形粉を加熱する。
ステップS7では、k+1=kとすると、処理をS8に移行する。
ステップS8では、kが繰返回数よりも小さいと処理をS3に移行し、kが繰返回数以上となると、処理をS9に移行する。
維持工程、粉末層形成工程、液体付与工程、及び加熱工程を、所望の積層数になるまで繰り返す。そうすることで、ステージ53上に、積層構造が得られる。これを乾燥することによって、グリーン体が得られる。
ステップS9では、セラミックス構造体の製造装置が、熱処理工程を行うと、本処理を完了する。熱処理工程では、乾燥したグリーン体を加熱する。熱処理工程は、例えば、熱処理手段を用いて行う。熱処理手段としては、例えば、加熱装置などが挙げられる。熱処理工程では、例えば、樹脂の分解除去と、グリーン体の焼結とを一括して行うことができる。以上により、セラミックスの原材料が焼結したセラミックス構造体が得られる。
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明は、これらの実施例に何ら限定されるものではない。
(実施例1~5及び比較例1~5)
図4に示すセラミックス構造体の製造方法における処理の流れの一例を示すフローチャートに従って、図1に示すようなセラミックス構造体(フィルタ)を製造した。
粉末としては、下記の表1に示す材料を用い、以下のようにして調製したものを用いた。
<一次粒子及び二次粒子の調製>
表1に示すセラミックス材料(高純度アルミナ)と、結着樹脂(アクリル樹脂又はPVB)を共に溶媒(エタノール)中で混合して十分に分散させ、スラリーを調製した。
次に、得られたスラリーを、噴霧造粒機及び乾燥焼結炉等を用いて液滴状に造粒し、乾燥させた。そして、必要に応じて分級することで、二次粒子とした。
<結着樹脂を溶解させる液体>
酢酸エチル100質量部に、無機粒子(アルミナ、Al)45質量部、及び分散剤としてサンノプコ社製のSNディスパーサント5468を5質量部添加し、24時間撹拌したものを用いた。
<造形>
造形は、バインダージェット造形装置(Shopシステム、Desktopmetal社製)を用い、一部溶剤対応を施した簡易試作機を用いた。積層間隔は100μmとした。図1に示す外周部と該外周部の内側において略格子状に配置された隔壁を有する円筒状のフィルタを造形した。
実施例1~5及び比較例1~5では、それぞれ表1及び表2に示す気孔率及び気孔率の分布となるような描画データを作成し、その描画データに合わせて造形を行った。例えば、密度の高い部分は結着樹脂を溶解させる液体の吐出間隔を短くし、密度の小さい部分は結着樹脂を溶解させる液体の吐出間隔を長くした。また、実施例1~5では、表1に示す維持工程を行った。なお、液体の付与量は、600dpiとした。
<脱脂及び焼結>
脱脂及び焼結は電気炉を用い、5℃/分間で1,100℃~1,500℃の各所定温度まで昇温し、それぞれ2時間保持し、炉冷する条件で行った。以上により、実施例1~5及び比較例1~5のフィルタを作製した。
次に、得られた各フィルタについて、以下のようにして、諸特性を評価した。結果を表1及び表2に示した。
<気孔率の評価>
得られた各フィルタの隔壁の断面を走査型電子顕微鏡(SEM、VE-8800、株式会社キーエンス製)によって観察を行い、空孔と粒子を二値化し、空孔部の面積と粒子部の面積を画像編集ソフトImageJで算出し、(空孔部の面積)/(空孔部の面積+粒子部の面積)の計算をすることで、気孔率(%)を求めた。
気孔率の測定結果から、隔壁中に気孔率が異なる分布を有しているか否か、密な部分(気孔率が小さい部分)と疎な部分(気孔率が大きい部分)の気孔率の結果、及びその差を求めた。
<強度評価>
得られた各フィルタの隔壁を切り出し、日本工業規格JIS R1601に準じた方法により4点曲げ強度を測定し、下記の基準で強度評価を行った。
[評価基準]
〇:4点曲げ強度が1.5MPa以上
×:4点曲げ強度が1.5MPa未満
<圧損評価>
得られた各フィルタを、バキューム装置(CV―TN96、日立製作所社製)を用いて、5m/min.で吸引を行い、各フィルタを通して吸引した際の流量減少率を、流量計(気体用質量流量計、TSI社製)を用いて測定し、流量減少率(%)=(フィルタを通した際の流量/5)×100)の計算式で測定し、下記の基準で圧損評価を行った。
[評価基準]
〇:流量減少率が10%未満
×:流量減少率が10%以上
<総合評価>
下記基準に基づき、総合評価を行った。
[評価基準]
〇:強度評価と圧損評価が両方〇の場合
×:強度評価と圧損評価の少なくともいずれかが×の場合
Figure 2023172124000001
-維持工程-
*微振動:結着樹脂を溶解させる液体をインクジェットヘッドの液室内で混合する
*フラッシング:古い結着樹脂を溶解させる液体を吐出し、新しい結着樹脂を溶解させる液体を供給する
-組成-
*セラミックス材料:住友化学株式会社製 AAシリーズ、高純度アルミナ、中心粒径(D50)=500nm
*アクリル樹脂:大成ファインケミカル株式会社製、アクリルポリオール樹脂
*PVB:ポリビニルブチラール樹脂、積水化学工業株式会社製、エスレックB
Figure 2023172124000002
本発明の態様としては、例えば、以下のとおりである。
<1> 外周部と該外周部の内側において略格子状に配置された隔壁を有し、同一隔壁中に気孔率の分布を有することを特徴とするセラミックス構造体である。
<2> 前記気孔率の分布として、前記気孔率の最大値が60%で最小値が5%の範囲であり、前記気孔率の最大値と最小値の差が10%以上である、前記<1>に記載のセラミックス構造体である。
<3> 前記気孔率の最大値が30%~60%の範囲であり、前記気孔率の最小値が5%~30%である、前記<1>から<2>のいずれかに記載のセラミックス構造体である。
<4> 前記同一隔壁中の気孔率の分布として、前記気孔率の高い部分が隔壁内部に多く分布し、前記気孔率の低い部分が隔壁外部に多く分布している、前記<1>から<3>のいずれかに記載のセラミックス構造体である。
<5> フィルタである、前記<1>から<4>のいずれかに記載のセラミックス構造体である。
<6> 前記<1>から<5>のいずれかに記載のセラミックス構造体を製造する方法であって、
セラミックス材料を含有する一次粒子と結着樹脂を含む二次粒子で粉末層を形成する粉末層形成工程と、
前記結着樹脂を溶解させる液体を前記粉末層に付与する液体付与工程と、
前記液体中の固形分の分散状態を維持する維持工程と、
を含むことを特徴とするセラミックス構造体の製造方法である。
<7> 前記結着樹脂が、アクリル樹脂、マレイン酸樹脂、シリコーン樹脂、ブチラール樹脂、ポリエステル樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、エチレン-酢酸ビニル共重合体、エチレン-(メタ)アクリル酸共重合体、α-オレフィン-無水マレイン酸共重合体、α-オレフィン-無水マレイン酸共重合体のエステル化物、ポリスチレン、ポリ(メタ)アクリル酸エステル、α-オレフィン-無水マレイン酸-ビニル基含有モノマー共重合体、スチレン-無水マレイン酸共重合体、スチレン-(メタ)アクリル酸エステル共重合体、ポリアミド樹脂、エポキシ樹脂、キシレン樹脂、ケトン樹脂、石油樹脂、ロジン又はその誘導体、クマロンインデン樹脂、テルペン樹脂、ポリウレタン樹脂、スチレン-ブタジエンゴム、ニトリルゴム、アクリルゴム、エチレン-プロピレンゴム、及びニトロセルロースから選択される少なくとも1種である、前記<6>に記載のセラミックス構造体の製造方法である。
前記<1>から<5>のいずれかに記載のセラミックス構造体、及び前記<6>から<7>のいずれかに記載のセラミックス構造体の製造方法によると、従来における諸問題を解決し、本発明の目的を達成することができる。
1 フィルタ本体
2 外周部
3 隔壁
4 密な部分
5 粗な部分
10 フィルタ
51 二次粒子
52 供給側粉末貯留槽
53 ステージ
54 造形側粉末貯留槽
55 均し機構(ローラ)
56 粉末層
57 インクジェットヘッド
58 結着樹脂を溶解させる液体
特許第6729356号公報

Claims (7)

  1. 外周部と該外周部の内側において略格子状に配置された隔壁を有し、同一隔壁中に気孔率の分布を有することを特徴とするセラミックス構造体。
  2. 前記気孔率の分布として、前記気孔率の最大値が60%で最小値が5%の範囲であり、前記気孔率の最大値と最小値の差が10%以上である、請求項1に記載のセラミックス構造体。
  3. 前記気孔率の最大値が30%~60%の範囲であり、前記気孔率の最小値が5%~30%である、請求項1から2のいずれかに記載のセラミックス構造体。
  4. 前記同一隔壁中の気孔率の分布として、前記気孔率の高い部分が隔壁内部に多く分布し、前記気孔率の低い部分が隔壁外部に多く分布している、請求項1から2のいずれかに記載のセラミックス構造体。
  5. フィルタである、請求項1から2のいずれかに記載のセラミックス構造体。
  6. 請求項1から2のいずれかに記載のセラミックス構造体を製造する方法であって、
    セラミックス材料を含有する一次粒子と結着樹脂を含む二次粒子で粉末層を形成する粉末層形成工程と、
    前記結着樹脂を溶解させる液体を前記粉末層に付与する液体付与工程と、
    前記液体中の固形分の分散状態を維持する維持工程と、
    を含むことを特徴とするセラミックス構造体の製造方法。
  7. 前記結着樹脂が、アクリル樹脂、マレイン酸樹脂、シリコーン樹脂、ブチラール樹脂、ポリエステル樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、エチレン-酢酸ビニル共重合体、エチレン-(メタ)アクリル酸共重合体、α-オレフィン-無水マレイン酸共重合体、α-オレフィン-無水マレイン酸共重合体のエステル化物、ポリスチレン、ポリ(メタ)アクリル酸エステル、α-オレフィン-無水マレイン酸-ビニル基含有モノマー共重合体、スチレン-無水マレイン酸共重合体、スチレン-(メタ)アクリル酸エステル共重合体、ポリアミド樹脂、エポキシ樹脂、キシレン樹脂、ケトン樹脂、石油樹脂、ロジン又はその誘導体、クマロンインデン樹脂、テルペン樹脂、ポリウレタン樹脂、スチレン-ブタジエンゴム、ニトリルゴム、アクリルゴム、エチレン-プロピレンゴム、及びニトロセルロースから選択される少なくとも1種である、請求項6に記載のセラミックス構造体の製造方法。

JP2022083716A 2022-05-23 2022-05-23 セラミックス構造体及びその製造方法 Pending JP2023172124A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2022083716A JP2023172124A (ja) 2022-05-23 2022-05-23 セラミックス構造体及びその製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2022083716A JP2023172124A (ja) 2022-05-23 2022-05-23 セラミックス構造体及びその製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2023172124A true JP2023172124A (ja) 2023-12-06

Family

ID=89029459

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2022083716A Pending JP2023172124A (ja) 2022-05-23 2022-05-23 セラミックス構造体及びその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2023172124A (ja)

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6625683B2 (ja) 多セル型セラミック品及びその製造方法
EP2388072A1 (en) Method for coating a plugged honeycomb structure
EP2412419B1 (en) Honeycomb filter and method for producing honeycomb filter
EP2363191B1 (en) Method for manufacturing honeycomb filter
US20070144561A1 (en) Degreasing jig, method for degreasing ceramic molded body, and method for manufacturing honeycomb structured body
EP2008712A2 (en) Catalyst supporting honeycomb and method of manufacturing the same
WO2007129399A1 (ja) ハニカム構造体の製造方法、ハニカム成形体受取機及びハニカム成形体取出機
WO2005094967A1 (ja) ハニカム構造体及びその製造方法
WO2011040145A1 (ja) ハニカム構造体及びその製造方法
WO2007111175A1 (ja) 目封止ハニカム構造体の製造方法
JP5597084B2 (ja) ハニカム構造体の製造方法
EP2108448A2 (en) Honeycomb catalyst body
JP2023172124A (ja) セラミックス構造体及びその製造方法
US20080277819A1 (en) Method for producing composite material
EP2083001B1 (en) Method of manufacturing a honeycomb structured body
JP2013053594A (ja) ハニカム触媒体
CN110617122A (zh) 蜂窝过滤器
EP1803695A1 (en) Degreasing jig, method for degreasing ceramic molded body, and method for manufacturing honeycomb structured body
JP2008303133A (ja) 炭化ケイ素焼成用原料の製造方法、及び、ハニカム構造体の製造方法
JP2007232352A (ja) 脱脂用治具、セラミック成形体の脱脂方法、及び、ハニカム構造体の製造方法
WO2024118416A1 (en) Ceramic honeycomb bodies having multimodal pore size distribution from walls with porous surface structure formed in situ during extrusion
KR20230091174A (ko) 탄화규소질 세라믹 허니컴 구조체 및 그 제조 방법
JP2009280409A (ja) 多孔質炭化ケイ素焼結体の製造方法
JP2001072478A (ja) 流体透過部材およびその製造方法
JP2009234822A (ja) 無機物質粉末成形体及びその製造方法、無機物質粉末焼結体及びその製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
RD03 Notification of appointment of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7423

Effective date: 20220610