JP2023170860A - 車両の制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】理論空燃比に対する気筒の空燃比の乖離を抑制した上で、発進クラッチの焼き付きを防止する。【解決手段】制御装置100は、発進クラッチ220がスリップ状態であり、且つ内燃機関10における潤滑油に含まれる燃料の量である希釈燃料量が判定値以上の場合には、発進クラッチ220がスリップ状態であり且つ希釈燃料量が判定値未満の場合に比べて、内燃機関10の吸入空気量が増加するようにスロットルバルブを制御するとともに発電量が増加するようにモータジェネレータ200を制御する。【選択図】図1

Description

この発明は、車両の制御装置に関する。
特許文献1には、ハイブリッド車両が開示されている。ハイブリッド車両は、内燃機関、モータジェネレータ、発進クラッチ、及び変速機構を有する。モータジェネレータは、トルクの伝達経路上において、内燃機関と変速機構との間に位置している。モータジェネレータは、内燃機関からのトルクを変速機構に伝達可能である。また、モータジェネレータは、発電機として機能することで内燃機関からのトルクを受けて発電したり、電動機として機能することで変速機構にトルクを付与したりできる。発進クラッチは、トルクの伝達経路上において、モータジェネレータと変速機構との間に位置している。発進クラッチは、いわゆるウェットスタートクラッチである。発進クラッチは、車両の走行状態に応じて、モータジェネレータから変速機構へのトルクの伝達を断接する。発進クラッチは、ブレーキペダルの踏み込み量が少ない場合、モータジェネレータの回転軸と変速機構の入力軸との相対回転を許容しつつトルクを伝達するスリップ状態になる。
特開2020-165461号公報
内燃機関では、気筒に供給された燃料の一部が燃焼することなく気筒とピストンとの隙間からクランク室に混入することがある。この燃料は、クランク室の底に貯留されている潤滑油に混入し得る。内燃機関の温度が相応に高くなると、潤滑油に混入した燃料は気化する。気化した燃料は、クランク室から吸気通路にブローバイガスを戻すためのブローバイガス通路を介して吸気通路に流入する。この場合、気筒に供給される燃料の量が、ブローバイガスに含まれる燃料の分だけ多くなる。したがって、気筒の空燃比が理論空燃比よりもリッチになり得る。
発進クラッチを有する特許文献1のようなハイブリッド車両において、当該車両の停車中、内燃機関が運転を継続しており、且つ発進クラッチがスリップ状態になっているものとする。さらに、この状況下で、ブローバイガスに含まれる燃料により気筒の空燃比が理論空燃比よりもリッチになっているものとする。この場合、気筒の空燃比を理論空燃比に維持すべく、吸入空気量を増やすことが考えられる。しかし、吸入空気量を増やすと、内燃機関のトルクが増加する。それとともに、モータジェネレータの回転軸の回転速度が高くなる。このとき、モータジェネレータの回転軸と変速機構の入力軸との相対回転の度合いが大きくなると、スリップ状態にある発進クラッチに焼き付きが生じるおそれがある。
なお、ハイブリッド車両の停車中でなくても、当該車両の発進時等、発進クラッチがスリップ状態であるときに内燃機関が運転中であると、上記と同様の課題が生じる。
上記課題を解決するための車両の制御装置は、燃料及び吸入空気の混合気が燃焼する空間である気筒、前記気筒に連通するクランク室、前記クランク室から吸気通路へとブローバイガスを流通させるブローバイガス通路、及び前記吸入空気の量を調整するスロットルバルブを備えた内燃機関と、入力軸を備えた自動変速機と、トルクの伝達経路上において前記内燃機関及び前記自動変速機の間に位置するとともに回転軸を備え、前記内燃機関から入力されるトルクによって発電可能なモータジェネレータと、トルクの伝達経路上において前記モータジェネレータ及び前記自動変速機の間に位置し、前記モータジェネレータの前記回転軸と前記自動変速機の前記入力軸とが、相対回転せずにトルクを伝達する直結状態、相対回転するとともにトルクを伝達するスリップ状態、及びトルクを伝達しない切断状態のいずれかの状態に切り替わる発進クラッチと、を有する車両を制御対象とし、前記内燃機関の運転状態に基づいて、前記内燃機関の潤滑油に含まれる燃料の量である希釈燃料量を算出する第1処理と、前記車両の走行速度が予め定められた規定車速以下の場合に、前記発進クラッチを前記スリップ状態に制御する第2処理と、前記発進クラッチが前記スリップ状態であり且つ前記希釈燃料量が予め定められた判定値以上の場合には、前記発進クラッチが前記スリップ状態であり且つ前記希釈燃料量が前記判定値未満の場合に比べて、前記吸入空気の量が増加するように前記スロットルバルブを制御するとともに発電量が増加するように前記モータジェネレータを制御する第3処理と、を実行する。
希釈燃料量が多い場合、ブローバイガス通路を介して吸気通路に戻される燃料の量が多くなり得る。そして、気筒の空燃比が理論空燃比よりもリッチになり得る。上記の制御装置は、こうした状況下にあって発進クラッチがスリップ状態の場合、吸入空気量を増加させる。このことで、気筒の空燃比を理論空燃比に近づけることができる。一方、上記の制御装置は、吸入空気量を増加させることに伴う内燃機関のトルクの増加分の一部又は全部を、モータジェネレータの発電量を多くすることで相殺する。したがって、吸入空気量を増加させても、モータジェネレータの回転軸の回転速度が過度に高くなることはない。したがって、モータジェネレータの回転軸及び自動変速機の入力軸の回転速度の差を許容範囲に収めた状態を維持できる。そのため、発進クラッチの焼き付きを防止できる。
図1は、車両の概略構成図である。 図2は、内燃機関の概略構成図である。 図3は、第3処理の処理手順を表したフローチャートである。 図4は、第3処理に伴う各パラメータの推移の例を表したタイムチャートである。 図5は、第3処理のステップS70の変更例を表したフローチャートである。
以下、車両の制御装置の一実施形態を、図面を参照して説明する。
<車両の全体構成>
図1に示すように、車両500は、内燃機関10、駆動クラッチ210、モータジェネレータ200、及び発進クラッチ220を有する。また、車両500は、自動変速機240、油圧回路270、ディファレンシャル250、複数の駆動輪260、インバータ204、及びバッテリ206を有する。
内燃機関10は、車両500の駆動源である。内燃機関10の詳細は後述する。内燃機関10は、クランクシャフト14を有する。
モータジェネレータ200は、車両500の駆動源である。モータジェネレータ200は、電動機及び発電機の双方の機能を有する。モータジェネレータ200は、回転軸200A、ロータ200B、及びステータ200Cを有する。回転軸200Aは、ロータ200Bと一体回転する。ロータ200Bは、ステータ200Cに対して回転可能である。モータジェネレータ200は、インバータ204を介してバッテリ206と電気的に接続している。バッテリ206は、モータジェネレータ200との間で電力を授受する。インバータ204は、直流交流の変換を行う。
駆動クラッチ210は、内燃機関10とモータジェネレータ200との間に位置している。駆動クラッチ210は、クランクシャフト14とモータジェネレータ200の回転軸200Aとを断接する。駆動クラッチ210は、油圧回路270からの油圧を受けると、クランクシャフト14とモータジェネレータ200の回転軸200Aとを直結する。図示は省略するが、油圧回路270は、複数の油路、作動油を流通させる油路を切り替えるバルブ、及び油路に作動油を供給するポンプ等を含んでいる。
自動変速機240は、油圧回路270からの油圧に応じて変速比が多段階に切り替わる有段式の変速機である。自動変速機240は、入力軸240Aと出力軸240Bとを有する。自動変速機240は、入力軸240Aに入力される回転を、選択中の変速比で変速して出力軸240Bから出力する。出力軸240Bは、ディファレンシャル250を介して左右の駆動輪260に接続している。ディファレンシャル250は、左右の駆動輪260に回転速度の差が生じることを許容する。
発進クラッチ220は、湿式の多板クラッチである。発進クラッチ220は、モータジェネレータ200と自動変速機240との間に位置している。発進クラッチ220は、モータジェネレータ200の回転軸200Aと一体回転する複数の第1プレートと、自動変速機240の入力軸240Aと一体回転する複数の第2プレートとを有する。第1プレートと第2プレートとは、油圧回路270からの油圧によって互いに近づいたり離れたりする。それとともに、発進クラッチ220は、直結状態、スリップ状態、及び切断状態のいずれかの状態になる。油圧回路270からの油圧が大きい場合、第1プレートと第2プレートとは接触するとともに互いに強く押し付け合う。この場合、発進クラッチ220は直結状態になる。直結状態は、モータジェネレータ200の回転軸200Aと自動変速機240の入力軸240Aとが相対回転せずにトルクを伝達する状態である。油圧回路270からの油圧が小さい場合、第1プレートと第2プレートとは互いに離れた位置にある。この場合、発進クラッチ220は切断状態になる。切断状態は、モータジェネレータ200の回転軸200Aと自動変速機240の入力軸240Aとがトルクを伝達しない状態である。油圧回路270からの油圧が直結状態の場合よりも小さく且つ切断状態の場合よりも大きい中程度の場合、第1プレートと第2プレートとは互いに滑りを生じる程度に接触する。この場合、発進クラッチ220はスリップ状態になる。スリップ状態は、モータジェネレータ200の回転軸200Aと自動変速機240の入力軸240Aとが相対回転するとともにトルクを伝達する状態である。
以上に説明した一連の動力伝達系において、内燃機関10のトルクは、駆動クラッチ210、モータジェネレータ200、発進クラッチ220、及び自動変速機240を経て駆動輪260へと至る。すなわち、駆動クラッチ210、モータジェネレータ200、発進クラッチ220、及び自動変速機240は、内燃機関10から駆動輪260へと至るトルクの伝達経路上に位置している。
車両500は、自動変速機240のシフトレンジQを切り替えるためのシフト装置290を有する。シフト装置290で「Dレンジ」が選択されている場合、自動変速機240は前進走行用の変速段を形成する。シフト装置290で「Rレンジ」が選択されている場合、自動変速機240は後進走行用の変速段を形成する。シフト装置290で「Nレンジ」又は「Pレンジ」が選択されている場合、自動変速機240は入力軸240Aと出力軸240Bとの動力伝達を遮断する。
車両500は、車速センサ56、アクセルセンサ57、ブレーキセンサ58、シフトセンサ59、及びパワースイッチ60を有する。車速センサ56は、車両500の走行速度を車速SPとして検出する。アクセルセンサ57は、車両500におけるアクセルペダルの踏み込み量をアクセル操作量ACCとして検出する。ブレーキセンサ58は、車両500におけるブレーキペダルの踏み込み量をブレーキ操作量BKとして検出する。シフトセンサ59は、シフト装置290で選択されているシフトレンジQを検出する。パワースイッチ60は、車両500のシステム起動用スイッチである。上記の各センサは、自身が検出した情報に応じた信号を後述の制御装置100に繰り返し出力する。また、パワースイッチ60は、ドライバの操作に応じた信号Uを後述の制御装置100に出力する。
<内燃機関の概略構成>
図2に示すように、内燃機関10は、シリンダブロック25、クランクケース26、及びオイルパン27を有する。また、内燃機関10は、複数の気筒11、複数のピストン12、複数のコネクティングロッド13、上記クランクシャフト14、及びクランク室28を有する。気筒11の数は4つである。なお、図2では、複数の気筒11のうち一つのみを示している。ピストン12及びコネクティングロッド13についても同様である。ピストン12及びコネクティングロッド13は、気筒11毎に設けられている。
気筒11は、シリンダブロック25に区画された空間である。気筒11は、燃料及び吸入空気の混合気が燃焼する空間である。クランク室28は、クランクケース26とオイルパン27で区画された空間である。クランク室28は、気筒11から視て下に位置している。クランク室28は、各気筒11と連通している。クランク室28の底、つまりオイルパン27の底には、内燃機関10の各種部位を潤滑する潤滑油が溜まっている。ピストン12は、気筒11に位置している。ピストン12は往復動する。ピストン12は、コネクティングロッド13を介してクランクシャフト14に連結している。クランクシャフト14は、クランク室28に位置している。クランクシャフト14は、ピストン12の往復動に応じて回転する。
図示は省略するが、内燃機関10は、ウォータージャケットを有する。ウォータージャケットは、冷却水が流通する通路である。ウォータージャケットは、複数の気筒11の周囲に位置している。
内燃機関10は、複数の点火プラグ19を有する。なお、図2では、複数の点火プラグ19のうちの一つのみを示している。点火プラグ19は、気筒11毎に設けられている。点火プラグ19の先端は、気筒11に位置している。点火プラグ19は、吸入空気と燃料との混合気に点火を行う。
内燃機関10は、複数の燃料噴射弁17を有する。なお、図2では、複数の燃料噴射弁17のうちの一つのみを示している。燃料噴射弁17は、気筒11毎に設けられている。燃料噴射弁17の先端は、気筒11に位置している。燃料噴射弁17は、後述の吸気通路15を介さずに気筒11に直接燃料を噴射する。
内燃機関10は、吸気通路15、スロットルバルブ16、排気通路21、及び三元触媒22を有する。吸気通路15は、各気筒11に吸気を導入するための通路である。吸気通路15は、各気筒11に接続している。スロットルバルブ16は、吸気通路15の途中に位置している。スロットルバルブ16は、開度調整可能である。スロットルバルブ16の開度に応じて吸入空気の量(以下、吸入空気量と記す。)GAが変わる。排気通路21は、各気筒11から排気を排出するための通路である。排気通路21は、各気筒11に接続している。三元触媒22は、排気通路21の途中に位置している。三元触媒22は、排気を浄化する。
内燃機関10は、ブローバイガス還流機構を有する。ブローバイガス還流機構は、シリンダブロック25における気筒11を区画している壁面と、ピストン12との間を介してクランク室28内に漏れ出したガスであるブローバイガスを吸気通路15に還流させるための機構である。ブローバイガス還流機構は、第1ブローバイガス通路31、第2ブローバイガス通路32、及びPCVバルブ33を有する。第1ブローバイガス通路31は、クランク室28と、吸気通路15における、スロットルバルブ16から視て上流側の部分とを連通している。第2ブローバイガス通路32は、クランク室28と、吸気通路15における、スロットルバルブ16から視て下流側の部分とを連通している。PCVバルブ33は、第2ブローバイガス通路32の途中に位置している。PCVバルブ33は、吸気通路15におけるスロットルバルブ16から視て下流側のガスの圧力(以下、下流圧力と記す。)Pが予め定められた規定圧力PMよりも低くなると閉弁状態から開弁状態に切り替わる。PCVバルブ33が開弁状態になると、第2ブローバイガス通路32では、クランク室28から吸気通路15へとブローバイガスが流通する。このとき、第1ブローバイガス通路31では、吸気通路15からクランク室28へと吸入空気が流通する。
内燃機関10は、クランクセンサ80、エアフロメータ81、圧力センサ82、空燃比センサ83、水温センサ84、及び油温センサ85を有する。クランクセンサ80は、クランクシャフト14の回転位置CRを検出する。エアフロメータ81は、吸入空気量GAを検出する。圧力センサ82は、吸気通路15における上記の下流圧力Pを検出する。空燃比センサ83は、排気通路21における、三元触媒22から視て上流側における排気の空燃比AFを検出する。水温センサ84は、ウォータージャケットの出口における冷却水の温度(以下、冷却水温と記す。)Wを検出する。油温センサ85は、オイルパン27に溜まっている潤滑油の温度Lを検出する。これらの各センサは、自身が検出した情報に応じた信号を後述の制御装置100に繰り返し出力する。
<制御装置の概略構成>
図1に示すように、車両500は、制御装置100を有する。制御装置100は、コンピュータプログラム(ソフトウェア)に従って各種処理を実行する1つ以上のプロセッサとして構成し得る。なお、制御装置100は、各種処理のうち少なくとも一部の処理を実行する、特定用途向け集積回路(ASIC)等の1つ以上の専用のハードウェア回路、またはそれらの組み合わせを含む回路(circuitry)として構成してもよい。プロセッサは、CPU110及び、RAM130並びにROM120等のメモリを含む。メモリは、処理をCPU110に実行させるように構成されたプログラムコードまたは指令を格納している。メモリすなわちコンピュータ可読媒体は、汎用または専用のコンピュータでアクセスできるあらゆる利用可能な媒体を含む。制御装置100は、電気的に書き換え可能な不揮発性メモリ140を有する。制御装置100は、ROM120が記憶しているプログラムをCPU110が実行することにより、以下に説明する各種の処理を行う。
制御装置100は、車両500の各種センサからの信号を繰り返し受信する。また、制御装置100は、パワースイッチ60からの信号Uも受信する。制御装置100は、パワースイッチ60がオン操作されることに応じた信号Uを受信すると、バッテリ206とモータジェネレータ200とを電気的に接続する。そのことで、制御装置100は、車両500を走行可能な状態にする。以下では、パワースイッチ60がオン操作されてから次にオフ操作されるまでの期間のことを、「1トリップ」と呼称する。
制御装置100は、車両500の各種部位を制御対象とする。制御装置100は、1トリップ中、各種センサの検出信号に基づいて、車両500の状態及びドライバの指示を把握する。そして制御装置100は、把握した情報に基づいて、車両500の各種部位を制御する。制御装置100は、状況に応じて内燃機関10の運転を停止してモータジェネレータ200のみを駆動したり、内燃機関10とモータジェネレータ200との双方を駆動したりする。制御装置100は、後者の場合には、駆動クラッチ210によってクランクシャフト14とモータジェネレータ200の回転軸200Aとを直結する。制御装置100は、停車中では、基本的には内燃機関10を間欠停止させる一方で、予め定められた複数の禁止条件のいずれかが成立する場合には内燃機関10の運転を継続する。禁止条件は、例えば、内燃機関10の暖機が完了していない、すなわち冷却水温Wが予め定められた暖機完了温度以下であること、内燃機関10の各種診断の実行中であること、内燃機関10の各種学習処理の実行中であること等である。制御装置100は、複数の禁止条件を予め記憶している。なお、停車中に制御装置100が内燃機関10の運転を継続する場合、制御装置100は、内燃機関10をアイドル運転状態に制御する。アイドル運転状態とは、内燃機関10が自立して運転可能な最小限度のクランクシャフト14の回転速度で内燃機関10を運転させることである。制御装置100は、内燃機関10のアイドル運転中も、上記のとおり、駆動クラッチ210によってクランクシャフト14とモータジェネレータ200の回転軸200Aとを直結する。なお、制御装置100は、自動変速機240の変速段を適宜最適なものに切り替える。
<発進クラッチの制御>
制御装置100は、シフト装置290でDレンジ又はRレンジが選択されていることを前提に、車速SP、ブレーキ操作量BK等に応じて発進クラッチ220の制御状態を以下のように切り替える。制御装置100は、車両500が走行中である場合、発進クラッチ220を直結状態に制御する。制御装置100は、停車中であって且つブレーキ操作量BKが予め定められた規定操作量BKM以下の場合、つまりブレーキ操作量BKが比較的小さい場合、発進クラッチ220をスリップ状態に制御する。なお、制御装置100は、停車直前又は車両500の発進時といった、車速SPが極めて低い規定車速SPM以下の場合も、発進クラッチ220をスリップ状態に制御する。制御装置100は、停車中であって且つブレーキ操作量BKよりも大きい場合、発進クラッチ220を切断状態に制御する。
ここで、発進クラッチ220がスリップ状態である場合、発進クラッチ220から視て内燃機関10側のトルクを自動変速機240ひいては駆動輪260へと伝達できる。上記の規定操作量BKMは、ブレーキペダルの解放後の速やかな車両500の発進のために、駆動輪260に相応のトルクを作用させておく必要があるブレーキ操作量BKの最大値として予め定められている。上記のトルクは、アクセル操作量ACCが「0」の状態で駆動輪260に入力される所謂クリープトルクである。上記の規定車速SPMは、停車状態と走行状態との切り替えに伴う内燃機関10及びモータジェネレータ200のトルク変動が駆動輪260へ伝わるのを抑制すべき車速SPの範囲の最大値として予め定められている。上記の規定車速SPMは、例えば時速5kmである。
制御装置100は、発進クラッチ220を上記3つの状態のいずれかに制御するにあたり、実質的には、油圧回路270を制御する。例えば、制御装置100は、発進クラッチ220をスリップ状態に制御する場合、発進クラッチ220に供給される油圧が直結状態の場合よりも小さく且つ切断状態の場合よりも大きくなるように、油圧回路270におけるバルブ及びポンプを制御する。その際、制御装置100は、例えば油圧の指令値を出力したり、バルブに対する切り替え信号を出力したり、ポンプに対する駆動信号を出力したりする。停車中、停車直前、及び発進時に上記のような油圧回路270に対する制御を通じて制御装置100が発進クラッチ220をスリップ状態に制御する処理は第2処理である。
<希釈燃料量の算出処理>
内燃機関10においては、燃料噴射弁17から噴射された燃料の一部がシリンダブロック25における気筒11を区画している壁面(以下、気筒11の壁面と記す)に付着することがある。そして、この燃料がピストン12の往復運に伴ってピストン12と上記壁面の隙間からクランク室28に混入することがある。この燃料は、オイルパン27の底に溜まっている潤滑油に混入する。このような、燃料が潤滑油に混入する状況が継続すると、潤滑油の燃料希釈が進む。それとともに、潤滑油に含まれる燃料の量である希釈燃料量Dは増加していく。一方、潤滑油の温度Lが上昇すると、潤滑油に混入している燃料は気化する。それとともに、希釈燃料量Dは減少していく。気化した燃料は、第2ブローバイガス通路32を介して吸気通路15に流入する。
制御装置100は、上記希釈燃料量Dの推定値を算出するための処理である第1処理を実行可能である。第1処理は、加算値処理、減算値処理、及び更新処理の3つの処理で構成されている。加算値処理は、潤滑油に新たに混入した燃料の量の推定値である加算希釈量Dadを算出するための処理である。減算値処理は、潤滑油から気化した燃料の量の推定値である減算希釈量Dsubを算出するための処理である。更新処理は、加算値処理と減算値処理とに応じて希釈燃料量Dを更新するための処理である。なお、後述のとおり、制御装置100は、更新処理との関連で、希釈燃料量Dを不揮発性メモリ140に記憶している。
<加算値処理>
制御装置100は、1トリップにつき1度、この加算値処理を行う。制御装置100は、1トリップ中において以下の条件(A1)又は(A2)のいずれかが成立すると、加算値処理を実行する。なお、以下では、1トリップにおける内燃機関10の最初の始動のことを、「初回始動」と呼称する。
(A1)内燃機関10の初回始動からの吸入空気量GAの積算値(以下、始動後吸気量と記す。)SGAが判定吸気量に増加したこと。
(A2)1トリップ中において(A1)が成立する前にパワースイッチ60がオフ操作されたこと。
上記の(A1)は、次の理由により設定されている。潤滑油への燃料の混入量は、内燃機関10が始動されると徐々に多くなっていく。一方で、混合気が燃焼することにより生じた熱エネルギによって気筒11の温度が上昇してある規定温度以上になると、潤滑油に対する燃料の混入はそれ以上生じなくなる。これは、気筒11の温度が高くなると、気筒11に供給された燃料は気筒11の壁面に付着する前に気化するためである。上記始動後吸気量SGAは、内燃機関10の初回始動時以降に気筒11で混合気が燃焼することにより生じた熱エネルギの総量に相関するパラメータである。そこで、制御装置100は、始動後吸気量SGAが判定吸気量に増加すると、その時点で、本加算値処理で加算希釈量Dadを算出する。判定吸気量は、気筒11の温度が規定温度になったとみなせる値として、例えば実験又はシミュレーションで予め定められている。制御装置100は、判定吸気量を予め記憶している。なお、上記の(A2)は、1トリップが短い場合を考慮して設定されている。
制御装置100は、加算値処理では、次の(式1)を用いて加算希釈量Dadを算出する。
(式1)加算希釈量Dad=加算基本値DadK×第1補正係数K1
上記(式1)において、加算基本値DadKは、加算希釈量Dadのベース値である。制御装置100は、この加算基本値DadKを、上記の始動後吸気量SGAに基づいて算出する。始動後吸気量SGAは、内燃機関10の初回始動後に気筒11に供給された燃料の量の積算値に相関する。したがって、始動後吸気量SGAが多いほど、気筒11の壁面に付着する燃料の量も多くなる。それに付随して、潤滑油に混入する燃料の量も多くなる。この点を考慮し、制御装置100、始動後吸気量SGAが多いほど、加算基本値DadKを大きな値として算出する。
また、制御装置100は、加算基本値DadKを算出するにあたり、内燃機関10が初回始動された時点からの当該内燃機関10の運転時間の積算値である始動後運転時間についても考慮する。ここで、始動後運転時間の増加に伴って気筒11の温度が高くなっていくと、気筒11の壁面に一旦は付着してもその後速やかに気化する燃料の量が増えていく。そのため、最終的に潤滑油に混入する燃料の量は少なくなる。この点を考慮し、制御装置100は、始動後運転時間が長いほど、加算基本値DadKを小さな値として算出する。
制御装置100は、第1補正係数K1については、始動時水温Wsに基づいて算出する。始動時水温Wsは、内燃機関10の初回始動時における冷却水温Wである。ここで、始動時水温Wsが低いほど、内燃機関10の初回始動時における気筒11の壁面の温度は低い。この場合、気筒11の壁面に付着した燃料は気化し難い。そのため、潤滑油に混入する燃料の量が多くなる。この点を考慮し、制御装置100は、始動時水温Wsが低いときほど第1補正係数K1を大きな値として算出する。
<減算値処理>
制御装置100は、1トリップ中に所定周期で減算値処理を繰り返し行う。制御装置100は、減算値処理では、当該減算値処理を前回実行してから次に実行するまでの間に潤滑油から気化する燃料の量の推定値として減算希釈量Dsubを算出する。制御装置100は、減算値処理では、以下に示す(式2)を用いて減算希釈量Dsubを算出する。
(式2)減算希釈量Dsub=減算基本値DsubK×第2補正係数K2
上記(式2)において、減算基本値DsubKは、減算希釈量Dsubのベース値である。制御装置100は、この減算基本値DsubKを、不揮発性メモリ140が記憶している現状の希釈燃料量Dである前回値Doldに基づいて算出する。ここで、潤滑油中の燃料の量が多いほど、減算値処理の実行間隔の間に潤滑油から気化する燃料の量は多くなる。この点を考慮し、制御装置100は、前回値Doldが多いほど減算基本値DsubKを大きい値として算出する。
制御装置100は、第2補正係数K2については、潤滑油の温度Lに基づいて算出する。ここで、潤滑油の温度Lが高くなるほど、潤滑油から気化していく燃料の量は多くなる。そして、潤滑油に含まれる燃料の量は減少していく。この点を考慮し、制御装置100は、現状の潤滑油の温度Lが高いときほど第2補正係数K2を大きな値として算出する。
<更新処理>
制御装置100は、加算値処理又は減算値処理を実行し終えると、その都度更新処理を行う。制御装置100は、加算値処理の実行完了を契機として更新処理を行う場合、不揮発性メモリ140が記憶している希釈燃料量Dの前回値Doldに、加算値処理で算出した加算希釈量Dadを加算する。そして、制御装置100は、得られた値によってそれまで記憶していた値を上書きする。制御装置100は、減算値処理の実行完了を契機として更新処理を行う場合、前回値Doldから、減算値処理で算出した減算希釈量Dsubを減算する。そして、得られた値によってそれまでの値を上書きする。
以上の加算値処理、減算値処理、及び更新処理を通じて、制御装置100は、1トリップ中に希釈燃料量Dを逐次更新する。上記のとおり、制御装置100は、希釈燃料量Dの算出にあたり、始動後吸気量SGA、始動後運転時間、始動時水温Ws、及び潤滑油の温度Lといった、内燃機関10の運転状態を示すパラメータを利用している。すなわち、制御装置100は、内燃機関10の運転状態に基づいて希釈燃料量Dを算出する。
<停車中の処理について>
制御装置100は、停車中に内燃機関10のアイドル運転状態を継続する場合専用の処理として、2つの処理を実行可能である。これら2つのうちの一方を通常処理と呼称し、他方を第3処理と呼称する。制御装置100は、設定条件が成立しているか否かに応じて、通常処理及び第3処理のいずれかを選択する。なお、通常処理は、内燃機関10及びモータジェネレータ200の双方を制御するための処理である。第3処理も、内燃機関10及びモータジェネレータ200の双方を制御するための処理である。
設定条件は、次の3つの項目(B1)~(B3)の全てが成立していることである。
(B1)希釈燃料量Dが判定値DM以上であること。
(B2)潤滑油の温度Lが規定油温LM以上であること。
(B3)吸気通路15における上記下流圧力Pが規定圧力PMよりも低いこと。
規定圧力PMについては、PCVバルブ33との関連で既に説明したとおりである。規定油温LMは、潤滑油に混入した燃料が気化を開始するとみなせる温度として予め定められている。規定油温LMは、例えば80℃である。さて、上記のとおり、潤滑油から燃料が気化した場合、当該気化した燃料は、ブローバイガスと共に第2ブローバイガス通路32を介して吸気通路15へと戻る。この燃料は、やがて気筒11へと至る。この場合、気筒11には、燃料噴射弁17から供給される燃料に加え、ブローバイガスとともに吸気通路15に戻ってきた上記燃料が存在する。このことから、気筒11の混合気の空燃比(以下、単に気筒11の空燃比と記す。)AFは理論空燃比AFsに対してリッチ寄りになり得る。上記の判定値DMは、潤滑油の温度Lに応じて当該潤滑油から燃料が気化したときに、気筒11の空燃比AFへの影響が無視できないほどに大きく、対処が必要である希釈燃料量Dの最小値として、例えば実験又はシミュレーションで予め定められている。制御装置100は、これら判定値DM、規定油温LM、及び規定圧力PMを予め記憶している。
制御装置100は、1トリップ中、車速SPの最新の値を常時監視する。そして、制御装置100は、車速SPが「0」よりも大きい状態から「0」に切り替わり、且つそのときに内燃機関10の間欠停止の禁止条件が成立している場合、内燃機関10及びモータジェネレータ200に係る制御の処理を通常処理又は第3処理に移行する。その際、制御装置100は、自身が記憶している最新の希釈燃料量D、油温センサ85から受信した最新の潤滑油の温度L、及び圧力センサ82から受信した最新の下流圧力Pに基づいて、設定条件の成立可否を判断する。制御装置100は、設定条件が成立していない場合には通常処理を開始し、設定条件が成立している場合には第3処理を開始する。制御装置100は、一旦通常処理を開始すると、車速SPが「0」である間は当該通常処理を継続する。そして、制御装置100は、車速SP「0」よりも大きくなると、通常処理を終了する。例えばブレーキペダルが解放されると、クリープトルクが駆動輪260に作用することで車速SPは「0」よりも大きくなる。制御装置100は、通常処理と同様、第3処理についても、車速SPが「0」よりも大きくなるまで当該第3処理を継続する。制御装置100は、通常処理又は第3処理の終了後には、内燃機関10及びモータジェネレータ200に係る制御の処理を他の処理へと移行する。なお、制御装置100が通常処理又は第3処理を実行する状況は停車中であることから、これらの処理の実行中は発進クラッチ220がスリップ状態又は切断状態になっている。
<通常処理>
制御装置100は、通常処理では、先ず、内燃機関10の各種部位についての制御の目標値を設定する。また、制御装置100は、モータジェネレータ200のトルクの目標値である目標モータトルクMTgを設定する。制御装置100は、これら各目標値の設定を速やかに行う。制御装置100は、各目標値を設定すると、それらの各目標値に基づいて、内燃機関10及びモータジェネレータ200を制御する。制御装置100は、通常処理を終了するまで、各目標値に基づく内燃機関10及びモータジェネレータ200の制御を継続する。
制御装置100は、通常処理では、内燃機関10についての各目標値を次のように設定する。制御装置100は、点火プラグ19の目標点火時期Fgを通常点火時期Fnとする。制御装置100は、スロットルバルブ16の目標開度Hgを通常開度Hnとする。制御装置100は、内燃機関10の1サイクルにおける1つの燃料噴射弁17からの目標噴射量Jgを通常噴射量Jnとする。内燃機関10の1サイクルは、1つの気筒11で吸気行程、圧縮行程、膨張行程、及び排気行程を1度ずつ迎える一連の期間である。通常点火時期Fn、通常開度Hn、及び通常噴射量Jnは、気筒11の空燃比AFを理論空燃比AFsにでき、且つクランクシャフト14の回転速度を予め定められた目標アイドル回転速度にできるように、互いに値が調整してある。制御装置100は、これら通常点火時期Fn、通常開度Hn、及び通常噴射量Jnを予め記憶している。ここで、1つの燃料噴射弁17に許容される1回当たりの燃料噴射量の最小値を最小噴射量Jmと呼称する。通常噴射量Jnは、最小噴射量Jmよりもやや多くなっている。また、ある吸入空気量GAに対して最大のトルクがでる点火時期であるMBT点火時期を呼称する。通常点火時期Fnは、例えばMBT点火時期となっている。なお、以下の説明では、スロットルバルブ16の開度が通常開度Hnであるときの吸入空気量GAを通常空気量GAnと呼称する。また、内燃機関10についての各種の目標値を上記のように設定したときの内燃機関10のトルクを通常トルクETnと呼称する。制御装置100は、後述の第3処理で必要な情報として、通常空気量GAn及び通常トルクETnを予め記憶している。
本実施形態の制御装置100は、通常処理では、目標モータトルクMTgを「0」に設定する。なお、制御装置100は、力行トルクを正の値、回生トルクを負の値として取り扱う。
<第3処理>
制御装置100は、第3処理では、通常処理と同様、各種の目標値を設定するとともにそれらの目標値に基づいて内燃機関10及びモータジェネレータ200を制御する。制御装置100は、第3処理では、通常処理に比べて、吸入空気量GAが増加するようにスロットルバルブ16を制御するとともに発電量が増加するようにモータジェネレータ200を制御する。以下、第3処理の詳細を説明する。なお、制御装置100は、第3処理の実行にあたり、各目標値を設定する処理である以下のステップS10~ステップS60の処理を速やかに行う。その後、制御装置100は、車速SPに係る上記終了条件が成立するまでステップS70の処理を継続する。
制御装置100は、第3処理を開始すると、先ずステップS10の処理を実行する。図3に示すように、ステップS10において、制御装置100は目標噴射量Jgを設定する。制御装置100は、目標噴射量Jgとして、上記の最小噴射量Jmを設定する。制御装置100は、最小噴射量Jmを予め記憶している。制御装置100は、目標噴射量Jgを設定すると、処理をステップS20に進める。
ステップS20において、制御装置100は、戻り燃料量Rを算出する。戻り燃料量Rは、ある単位時間において、第2ブローバイガス通路32を通じてブローバイガスとともに吸気通路15に戻る燃料の量の推定値である。単位時間は、例えば、内燃機関10の1サイクルに要する時間の長さである。制御装置100は、戻り燃料量Rを算出するための情報として、第1マップを予め記憶している。第1マップは、吸気通路15における上記下流圧力Pと、戻り燃料量Rとの関係を表したものである。ここで、下流圧力Pが低いほど、第2ブローバイガス通路32を通じて吸気通路15に戻されるブローバイガスの量は多くなる。それとともに、戻り燃料量Rも多くなる。こうした関係を反映して、第1マップでは、上記下流圧力Pが低いほど、戻り燃料量Rは多くなっている。なお、この第1マップは、設定条件が成立している状況下を前提に、例えば実験又はシミュレーションを基に作成したものである。制御装置100は、この第1マップに基づいて、圧力センサ82から受信した最新の下流圧力Pに対応する戻り燃料量Rを、現状の戻り燃料量Rとして算出する。この後、制御装置100は、ステップS30に処理を進める。
ステップS30において、制御装置100は、スロットルバルブ16の目標開度Hgを設定する。その前提として、制御装置100は、吸入空気量GAの目標値である目標空気量GAgを算出する。具体的には、制御装置100は、燃料噴射弁17が最小噴射量Jmを噴射し、且つ戻り燃料量Rが各気筒11に等分配される仮定したときに、各気筒11の空燃比AFを理論空燃比AFsにするのに必要な吸入空気量GAである必要空気量GAyを算出する。制御装置100は、この必要空気量GAyを目標空気量GAgとする。制御装置100は、目標空気量GAgを算出すると、当該目標空気量GAgを実現する上で必要なスロットルバルブ16の開度を目標開度Hgに設定する。制御装置100は、目標空気量GAgが多いほど、目標開度Hgを大きな値とする。この後、制御装置100は、処理をステップS40に進める。ここで、上記の必要空気量GAyと上記の通常空気量GAnとの大小関係を説明する。通常空気量GAnは、燃料噴射弁17の燃料噴射量が最小噴射量Jmであるときに気筒11の空燃比AFを理論空燃比AFsにするのに必要な吸入空気量GAと概ね同じである。そのため、この通常空気量GAnに比べ、上記の必要空気量GAyは、戻り燃料量Rを加味している分だけ多くなっている。
ステップS40において、制御装置100は、増分トルクΔETを算出する。ここで、現状の吸入空気量GAが上記必要空気量GAyであり、且つ通常点火時期Fnに点火を行い、且つ各気筒11に最小噴射量Jmと戻り燃料量Rの等分量とが供給されている状態で内燃機関10を運転したと仮定する。このときに内燃機関10が生じるトルクの推定値を特定トルクETyと呼称する。上記の増分トルクΔETは、上記の通常トルクETnに対する特定トルクETyの増加分である。制御装置100は、増分トルクΔETを算出するための情報として、第2マップを予め記憶している。第2マップは、内燃機関10のトルクと、吸入空気量GAとの関係を表したものである。この第2マップは、気筒11の空燃比AFが理論空燃比AFsであり、且つ点火プラグ19の点火時期が通常点火時期Fnであることを前提に、例えば実験又はシミュレーションを基に作成したものである。第2マップでは、基本的には、吸入空気量GAが多いほど、内燃機関10のトルクが大きくなっている。制御装置100は、この第2マップに基づいて、必要空気量GAyに対応する内燃機関10のトルクを特定トルクETyとして算出する。この後、制御装置100は、特定トルクETyから通常トルクETnを減算した値を増分トルクΔETとして算出する。この後、制御装置100は、処理をステップS50に進める。
ステップS50において、目標モータトルクMTgを設定する。その前提として、制御装置100は、目標モータトルクMTgの暫定値(以下、暫定トルクと記す。)MTg1を算出する。具体的には、制御装置100は、暫定トルクMTg1として、上記の増分トルクΔETを相殺するのに必要な回生トルクを設定する。すなわち、制御装置100は、増分トルクΔETに「-1」を乗算した値を暫定トルクMTg1とする。この後、制御装置100は、この暫定トルクMTg1と、モータジェネレータ200の限界トルクMTg2とを比較する。限界トルクMTg2は、モータジェネレータ200のスペックから定まる、モータジェネレータ200の最大発電量に対応する回生トルクである。すなわち、最大発電量及び限界トルクMTg2は、製品毎に予め決まっている限界値である。制御装置100は、最大発電量及び限界トルクMTg2を予め記憶している。なお、限界トルクMTg2は回生トルクであることから負の値である。制御装置100は、暫定トルクMTg1と限界トルクMTg2とのうち大きい方を目標モータトルクMTgとする。すなわち、目標モータトルクMTgは、限界トルクMTg2以上の値になる。制御装置100は、目標モータトルクMTgを算出すると、処理をステップS60に進める。
ステップS60において、制御装置100は、目標点火時期Fgを設定する。制御装置100は、ステップS50で目標モータトルクMTgとして暫定トルクMTg1を設定した場合、目標点火時期Fgとして通常点火時期Fnを設定する。一方、制御装置100は、ステップS50で目標モータトルクMTgとして限界トルクMTg2を設定した場合、次のように目標点火時期Fgを設定する。先ず、制御装置100は、暫定トルクMTg1の絶対値から限界トルクMTg2の絶対値を減算した値を差分トルクΔMTとして算出する。制御装置100は、この差分トルクΔMTの分だけ内燃機関10のトルクを減らすのに必要な点火時期の遅角量を算出する。そして、制御装置100は、通常点火時期Fnからこの遅角量の分だけ遅角した時期を目標点火時期Fgに設定する。上記の遅角量を算出するための情報として、制御装置100は、第3マップを予め記憶している。第3マップは、点火時期の遅角量と、それに応じた内燃機関10のトルクの低下量との関係を表したものである。なお、点火時期の遅角量と、内燃機関10のトルクの低下量との関係は、気筒11の空燃比AFが大小しても概ね同じとみなすことができる。第3マップは、例えば実験又はシミュレーションを基に作成したものである。第3マップでは、基本的には、遅角量が大きい程、内燃機関10のトルクの低下量が大きくなっている。制御装置100は、この第3マップにおいて、上記の差分トルクΔMTに対応する遅角量を算出する。そして、制御装置100は、この遅角量を利用して上記のように目標点火時期Fgを設定する。制御装置100は、目標点火時期Fgを設定すると、処理をステップS70に進める。
ステップS70において、制御装置100は、ここまでの処理で算出した各目標値に基づいて内燃機関10及びモータジェネレータ200を制御する。具体的には、制御装置100は、ステップS30で設定した目標開度Hgと実際のスロットルバルブ16の開度が一致するようにスロットルバルブ16を制御する。また、制御装置100は、各気筒11で順に混合気を燃焼させるべく各気筒11で燃料噴射及び点火を行う。その際、制御装置100は、ステップS10で設定した目標噴射量Jgの燃料を噴射するように各燃料噴射弁17を制御する。また、制御装置100は、ステップS60で設定した目標点火時期Fgに点火を行うように各点火プラグ19を制御する。制御装置100は、このようにして内燃機関10を制御しつつ、ステップS50で設定した目標モータトルクMTgと実際のモータジェネレータ200のトルクが一致するようにモータジェネレータ200を制御する。上記のとおり、制御装置100は、車速SPが「0」である間はステップS70の処理を継続する。そして、制御装置100は、車速SPが「0」よりも大きくなると、ステップS70の処理を終了する。この後、制御装置100は、第3処理の一連の処理を終了する。
<実施形態の作用>
1トリップの途中の時刻T1から時刻T2にかけて車両500が停車したものとする。このとき、例えば内燃機関10が暖機途中であり、内燃機関10のアイドル運転状態を継続する状況にあるとする。また、このとき、設定条件が成立していて、戻り燃料量Rが相応に多い状況にあるとする。この場合、制御装置100は、時刻T1から時刻T2までの間、第3処理によって内燃機関10及びモータジェネレータ200を制御する。このときの各パラメータの推移の例を説明する。なお、この例では、目標モータトルクMTgとして暫定トルクMTg1を設定し、目標点火時期Fgとして通常点火時期Fnを設定したものとする。また、ブレーキ操作量BKが比較的小さく、発進クラッチ220がスリップ状態にあるとする。
設定条件が成立している上記状況では、戻り燃料量Rが多いことに付随して、気筒11に供給される燃料の量が多くなる。こうした燃料の増加を見込んで、第3処理では、図4の(a)に示すように、吸入空気量GAを、通常空気量GAnよりも多い必要空気量GAyにする。これに伴い、図4の(b)に示すように、気筒11の空燃比AFは略理論空燃比AFsに維持される。このことで、三元触媒22の排気浄化能は高い状態に保たれる。
さて、吸入空気量GAを必要空気量GAyにしたこととの兼ね合いで、内燃機関10のトルクは、図4の(c)に示すように、通常トルクETnよりも大きい特定トルクETyとなる。このトルクの増大分を相殺すべく、第3処理では、図4の(e)に示すように、モータジェネレータ200に回生トルクを与えて発電させる。なお、図4の(e)では、暫定トルクMTg1に対応する発電量をVとして表している。モータジェネレータ200に回生トルクを与えると、モータジェネレータ200の回転軸200Aは、クランクシャフト14の回転に引きずられつつ連れまわりで回転する。このとき、モータジェネレータ200は、内燃機関10からトルクが入力される格好になる。そしてそのトルクによってモータジェネレータ200は発電する。一方、クランクシャフト14に作用する力の観点でいういと、クランクシャフト14には自身の回転方向とは逆方向の力が作用する。そのため、クランクシャフト14は回転を妨げられる格好になる。したがって、クランクシャフト14の回転速度の上昇は抑えられる。その上、モータジェネレータ200に与えている回生トルクは、必要空気量GAyに伴う内燃機関10のトルクの増加分を全て相殺する値になっている。そのため、図4の(d)に示すように、クランクシャフト14ひいては当該クランクシャフト14に接続しているモータジェネレータ200の回転軸200Aの回転速度は、通常処理で目標としているアイドル回転速度NEgと略同じになる。
上記のとおり、発進クラッチ220はスリップ状態である。そのため、発進クラッチ220を介して接続しているモータジェネレータ200の回転軸200Aと自動変速機240の入力軸240Aとは相対回転する状態にある。上記のとおり、第3処理の実行中、モータジェネレータ200の回転軸200Aの回転速度は通常処理の場合と同じである。そのため、モータジェネレータ200の回転軸200Aと自動変速機240の入力軸240Aとの回転速度の差は、通常処理のときと略同じになる。
<実施形態の効果>
(1)上記作用に記載したとおり、本実施形態では、モータジェネレータ200の回転軸200Aと自動変速機240の入力軸240Aとの回転速度の差を許容範囲に収めた状態を維持できる。そのため、気筒11の空燃比AFを理論空燃比AFsに維持し、且つ発進クラッチ220の焼き付きを防止できる。
(2)ステップS50で説明したように、本実施形態では、モータジェネレータ200の限界トルクMTg2の絶対値が、増分トルクΔETを相殺する回生トルクの絶対値よりも小さい場合、目標モータトルクMTgとして限界トルクMTg2を選択する。この場合、この設定に合わせて、内燃機関10おける点火プラグ19の目標点火時期Fgを遅角する(ステップS60)。そのことで、内燃機関10のトルクを下げて、当該内燃機関10のトルクの増加分をモータジェネレータ200の限界トルクMTg2に見合った値にする。このようにして、点火プラグ19の目標点火時期Fgを調整することで、吸入空気量GAを必要空気量GAyに維持したまま、内燃機関10のトルクの増加分をモータジェネレータ200の発電で相殺できる。こうした構成を採用することで、モータジェネレータ200による発電量の制約がある場合でも、気筒11の空燃比AFを理論空燃比AFsに維持し、且つ発進クラッチ220の焼き付きを防止できる。
<変更例>
なお、上記実施形態は、以下のように変更して実施することができる。実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
・発進クラッチ220が切断状態である場合、発進クラッチ220に焼き付きが生じることはない。こうした観点でいうと、発進クラッチ220が切断状態であるときには第3処理の実行をキャンセルしてもよい。第3処理をキャンセルした場合、通常処理を行えばよい。
・第3処理の実行期間は、上記実施形態の例に限定されない。停車中の期間のうちの一部の期間でのみ第3処理を行ってもよい。停車中に加えて又は代えて、停車前や発進時といった、車速SPが「0」よりも大きく且つ規定車速SPM以下のときに第3処理を行ってもよい。発進クラッチ220がスリップ状態であるときに第3処理を行えば、当該発進クラッチ220の焼き付きを防止できる。
・ステップS50で設定する暫定トルクMTg1の大きさは、上記実施形態の例に限定されない。暫定トルクMTg1として、増分トルクΔETのうちの一部のみを相殺するのに必要な回生トルクを設定してもよい。例えば、増分トルクΔETの半分の値に「-1」を乗算した値を暫定トルクMTg1としてもよい。こうした暫定トルクMTg1を目標モータトルクとしてモータジェネレータ200に発電させた場合でも、少なからずクランクシャフト14の回転を妨げることができる。したがって、クランクシャフト14ひいてはモータジェネレータ200の回転軸200Aの回転速度が過度に高くなることを防止できる。暫定トルクMTg1は、通常処理よりも発電量が多くなるように目標モータトルクMTgを設定できればよい。
・第3処理における目標モータトルクMTgの設定の仕方は、上記実施形態のように暫定トルクMTg1及び限界トルクMTg2に基づくものに限定されない。例えば第3処理において、目標モータトルクMTgを予め定められた固定値としてもよい。第3処理の実行途中で目標モータトルクMTgを変更してもよい。通常処理よりも発電量が多くなるように第3処理の目標モータトルクMTgが設定してあればよい。
・第3処理で設定する目標空気量GAgは、上記実施形態の例に限定されない。例えば、目標空気量GAgは必要空気量GAyより少なくてもよい。この場合でも、通常空気量GAnより多くなるように目標空気量GAgが設定してあれば、気筒11の空燃比AFを理論空燃比AFsに近づけることができる。目標空気量GAgを予め定められた固定値にしてもよい。第3処理で設定する目標空気量GAgは通常空気量GAnより多くなっていればよい。
・第3処理の実行途中で目標空気量GAgを変更してもよい。例えば、第3処理を開始したものの、スロットルバルブ16の開度や燃料噴射弁17の燃料噴射量の誤差等に起因して、気筒11の空燃比AFが理論空燃比AFsから多少ずれていることもあり得る。この場合、空燃比センサ83の検出値に基づいて、気筒11の空燃比AFが理論空燃比AFsになるように目標空気量GAgを調整してもよい。そして、その目標空気量GAgの調整に伴う内燃機関10のトルクの変化分を相殺できるように、目標モータトルクMTgを調整してもよい。そうした態様を採用した場合の一例を以下に説明する。
制御装置100は、第3処理のステップS70では、上記実施形態の態様に代えて以下のような処理を行う。すなわち、制御装置100は、ステップS70に処理が進むと、ステップS10~ステップS60で算出した各目標値に基づいて内燃機関10及びモータジェネレータ200を一旦制御する。制御装置100は、例えば内燃機関10の数サイクルといった所定の制御期間であって、各目標値に対する空燃比AFの応答がある程度安定するのに要する期間に亘って内燃機関10及びモータジェネレータ200を制御する。その制御期間の経過後、制御装置100は、以下のステップS210~ステップS240を通じた各目標値の算出と、算出した各目標値に基づく内燃機関10及びモータジェネレータ200の制御(ステップS250)とを繰り返す。なお、以下の説明において、前回値とは、制御装置100が前回に算出した各目標値のことである。
図5に示すように、制御装置100は、先ずステップS210において、空燃比センサ83から受信した最新の空燃比AFに基づいて、理論空燃比AFsに対する気筒11の空燃比AFのずれΔAFを把握する。そして、制御装置100は、このずれΔAFを解消するのに必要な吸入空気量GAの変化分を吸気調整値ΔGAとして算出する。吸気調整値ΔGAは、正負の値をとる。すなわち、制御装置100は、空燃比センサ83から受信した最新の空燃比AFが理論空燃比AFsよりもリッチであれば吸気調整値ΔGAを正の値として算出する。一方、制御装置100は、最新の空燃比AFが理論空燃比AFsよりもリーンであれば吸気調整値ΔGAを負の値として算出する。この後、制御装置100は、吸気調整値ΔGAに基づいて、スロットルバルブ16の目標開度Hgを設定する。具体的には、制御装置100は、目標空気量の前回値に吸気調整値ΔGAを加算した値を新たな目標空気量GAgとする。例えば吸気調整値ΔGAが正の値である場合、新たな目標空気量GAgは前回値よりも多くなる。制御装置100は、目標空気量GAgを算出すると、この目標空気量GAgを実現するのに必要なスロットルバルブ16の開度を新たな目標開度Hgとする。
この後、制御装置100は、ステップS220において、吸入空気量GAを吸気調整値ΔGA分だけ変化させることに応じた内燃機関10のトルクの増減量の推定値(以下、変化トルクと記す。)ΔETxを算出する。変化トルクΔETxは、吸入空気量GA以外の他のパラメータを変化させることなく、吸入空気量GAのみを変化させると仮定したときの内燃機関10のトルクの増減量である。なお、吸入空気量GAを吸気調整値ΔGA分だけ変化させるとは、例えば、吸気調整値ΔGAが正の値であれば、吸入空気量GAを増やすことを意味する。制御装置100は、吸気調整値ΔGAが正の値であれば、変化トルクΔETxを正の値として算出する。変化トルクΔETxが正であることは、内燃機関10のトルクが増えることを意味する。制御装置100は、吸気調整値ΔGAが負の値であれば、変化トルクΔETxを負の値として算出する。変化トルクΔETxが負であることは、内燃機関10のトルクが減ることを意味する。制御装置100は、基本的には、吸気調整値ΔGAの絶対値が大きいほど、変化トルクΔETxの絶対値を大きな値として算出する。制御装置100は、変化トルクΔETxを算出するための情報として、例えば、吸入空気量GAの変化量と内燃機関10のトルクの変化量との関係を表したマップを予め記憶している。
この後、ステップS230において、制御装置100は、目標モータトルクMTgを設定する。先ず、制御装置100は、変化トルクΔETxを完全に相殺するのに必要なモータジェネレータ200のトルクである調整モータトルクMTxを算出する。すなわち、制御装置100は、変化トルクΔETxに「-1」を乗算した値を調整モータトルクMTxとする。調整モータトルクMTxは、変化トルクΔETxに応じて正負の値をとる。この後、制御装置100は、目標モータトルクの前回値に調整モータトルクMTxを加算した値を現状暫定トルクMTx1とする。ここで、目標モータトルクの前回値は負の値である。そして、この目標モータトルクの前回値の絶対値に比べて、調整値としての上記調整モータトルクMTxの絶対値は極僅かである。そのため、目標モータトルクの前回値に調整モータトルクMTxを加算した値である上記現状暫定トルクMTx1は負の値になる。制御装置100は、現状暫定トルクMTx1を算出すると、現状暫定トルクMTx1と限界トルクMTg2とを比較する。そして、制御装置100は、これらのうち大きい方を最新の目標モータトルクMTgとする。すなわち、上記実施形態と同様、目標モータトルクMTgは、限界トルクMTg2以上の値になる。なお、限界トルクMTg2については上記実施形態で説明したとおりである。
この後、ステップS240において、制御装置100は、目標点火時期Fgを設定する。制御装置100は、ステップS230で最新の目標モータトルクMTgとして現状暫定トルクMTx1を設定した場合、最新の目標点火時期Fgとして、目標点火時期の前回値を設定する。一方、制御装置100は、ステップS230で最新の目標モータトルクMTgとして限界トルクMTg2を設定した場合、最新の目標点火時期Fgを次のように設定する。すなわち、制御装置100は、現状暫定トルクMTx1の絶対値から限界トルクMTg2の絶対値を減算した値を現状差分トルクΔMTrとして算出する。そして、制御装置100は、この現状差分トルクΔMTrの分だけ内燃機関10のトルクを減らすのに必要な点火時期の遅角量を算出する。制御装置100は、例えば上記の第3マップに基づいて遅角量を算出する。制御装置100は、遅角量を算出すると、目標点火時期の前回値からこの遅角量の分だけ遅角した時期を新たな目標点火時期Fgに設定する。この後、制御装置100は、目標噴射量Jgとして当該目標噴射量の前回値を設定する。すなわち、目標噴射量Jgは最小噴射量Jmである。制御装置100は、以上のステップS210~ステップS240の処理を速やかに行う。
この後、制御装置100は、ステップS250で、所定の制御期間に亘って各目標値に基づいて内燃機関10及びモータジェネレータ200を制御する。この後、制御装置100は、ステップS210の処理に戻る。
以上のようにして、制御装置100は、理論空燃比AFsに対する気筒11の実際の空燃比AFのずれ分を解消できるように内燃機関10及びモータジェネレータ200をフィードバック制御してもよい。こうした構成の場合、第3処理の実行中、気筒11の空燃比AFを確実に理論空燃比AFsに維持しつつ上記(1)(2)の効果を得ることができる。
・第3処理の実行中、目標噴射量Jgを変更してもよい。例えば、第3処理の開始時点で目標噴射量Jgを最小噴射量Jmよりも多くしておく。そして、第3処理の実行中、気筒11の空燃比AFに応じて目標噴射量Jgを最小噴射量Jmに向けて少なくしていってもよい。
・停車中における内燃機関10の間欠停止を禁止する禁止条件は、上記実施形態に挙げたものに限定されない。禁止条件として、バッテリ206の充電率が予め定められた要求充電率以下であるという条件を採用してもよい。この禁止条件は、バッテリ206の充電を目的として内燃機関10の運転継続を示すものである。そのため、この禁止条件が成立したことをもって内燃機関10の運転を継続する場合、目標モータトルクMTgを設定する上で、次の基本回生トルクを加味する必要がある。基本回生トルクは、クランク室28からの戻り燃料への対処のための発電とは関係なく、上記の禁止条件が成立したときに元々バッテリ206から要求される発電量を実現するための回生トルクである。通常処理及び第3処理でこの基本回生トルクを加味する上では、次のような態様を採用すればよい。すなわち、上記の禁止条件が成立したときに通常処理を行う場合、当該通常処理では目標モータトルクMTgとして上記の基本回生トルクを設定する。一方、上記の禁止条件が成立したときに第3処理を行う場合、当該第3処理では、上記の基本回生トルクと、戻り燃料への対処のための内燃機関10のトルクの増加分を相殺するのに必要な回生トルクとを合わせたものを最終的な目標モータトルクMTgとする。なお、限界トルクMTg2との兼ねい合いで、限界トルクMTg2を目標モータトルクMTgとすることもあり得る。
上記の基本回生トルクを加味する必要がある場合、第3処理は次の条件が成立する内容になっていればよい。すなわち、基本回生トルクの大きさが同じであることを条件に、通常処理に比べて第3処理の発電量が多くなっていればよい。なお、バッテリ206の充電率を把握する上では、バッテリ206の電流、電圧、及び温度を検出するセンサをバッテリ206周辺に設ければよい。そして、そうしたセンサの検出値に基づいて充電率を算出すればよい。バッテリ206の充電率は、バッテリ206の満充電容量に対するバッテリ206の残容量の割合である。
・上記変更例に記載したとおり、目標モータトルクMTgは「0」でないこともあり得る。そして、通常処理における発電量が「0」より多いこともあり得る。
・設定条件は上記実施形態の例に限定されない。設定条件から、項目(B2)を廃止してもよい。潤滑油の温度Lが相応に低くても、潤滑油に混入した燃料が気化することはあり得る。こうした燃料がブローバイガスと共に吸気通路15に戻ると、気筒11の空燃比AFに影響を及ぼす。そうした戻り燃料に対する対処として第3処理を行ってもよい。設定条件は、項目(B1)を含んでいればよい。
・項目(B1)に係る判定値DMは、上記実施形態の例に限定されない。例えば、項目(B2)の有無に応じて、項目(B1)に係る判定値DMを変更してもよい。判定値DMは、理論空燃比AFsに対する気筒11の実際の空燃比AFの乖離を抑制する観点において、クランク室28からの戻り燃料への対処を開始すべき値として定めてあればよい。
・希釈燃料量Dの算出の仕方は、上記実施形態の例に限定されない。例えば、加算希釈量Dadを算出するにあたり、ベースとなる値に補正値を加算したり減算したりしてもよい。この場合でも、加算希釈量Dadを適切に算出できるように、ベース値と補正値とを適切に設定しておけばよい。減算希釈量Dsubについても同様である。内燃機関10の運転状態に基づいて希釈燃料量Dを適切に算出できるのであれば、その算出手法は問わない。
・潤滑油の温度Lを、内燃機関10の運転状態に基づいて算出してもよい。例えば、冷却水温W及び吸入空気量GAの積算値といったパラメータに基づいて潤滑油の温度Lを算出してもよい。潤滑油の温度Lを適切に算出できるのであれば、その算出手法は問わない。
・内燃機関10の全体構成は、上記実施形態の例に限定されない。例えば、気筒11の数を変更してもよい。また、燃料噴射弁17を吸気通路15に設置してもよい。そして、吸気通路15を介して気筒11に燃料を供給するようにしてもよい。内燃機関10は、気筒11、クランク室28、スロットルバルブ16、及びクランク室28から吸気通路15へとブローバイガスを流通させるブローバイガス通路を有していればよい。
・車両500の全体構成は、上記実施形態の例に限定されない。例えば、自動変速機として、無段式の自動変速機を採用してもよい。車両は、内燃機関から駆動輪へと至るトルクの伝達経路上に、モータジェネレータ、発進クラッチ、及び自動変速機をこの順番で有していればよい。そして、発進クラッチは、上記実施形態で説明した3つ状態に切り替えることができればよい。発進クラッチは、例えば湿式ではなく乾式でもよい。
10…内燃機関
11…気筒
16…スロットルバルブ
28…クランク室
32…第2ブローバイガス通路
100…制御装置
200…モータジェネレータ
220…発進クラッチ
240…自動変速機
500…車両

Claims (1)

  1. 燃料及び吸入空気の混合気が燃焼する空間である気筒、前記気筒に連通するクランク室、前記クランク室から吸気通路へとブローバイガスを流通させるブローバイガス通路、及び前記吸入空気の量を調整するスロットルバルブを備えた内燃機関と、
    入力軸を備えた自動変速機と、
    トルクの伝達経路上において前記内燃機関及び前記自動変速機の間に位置するとともに回転軸を備え、前記内燃機関から入力されるトルクによって発電可能なモータジェネレータと、
    トルクの伝達経路上において前記モータジェネレータ及び前記自動変速機の間に位置し、前記モータジェネレータの前記回転軸と前記自動変速機の前記入力軸とが、相対回転せずにトルクを伝達する直結状態、相対回転するとともにトルクを伝達するスリップ状態、及びトルクを伝達しない切断状態のいずれかの状態に切り替わる発進クラッチと、
    を有する車両を制御対象とし、
    前記内燃機関の運転状態に基づいて、前記内燃機関の潤滑油に含まれる燃料の量である希釈燃料量を算出する第1処理と、
    前記車両の走行速度が予め定められた規定車速以下の場合に、前記発進クラッチを前記スリップ状態に制御する第2処理と、
    前記発進クラッチが前記スリップ状態であり且つ前記希釈燃料量が予め定められた判定値以上の場合には、前記発進クラッチが前記スリップ状態であり且つ前記希釈燃料量が前記判定値未満の場合に比べて、前記吸入空気の量が増加するように前記スロットルバルブを制御するとともに発電量が増加するように前記モータジェネレータを制御する第3処理と、
    を実行する
    車両の制御装置。
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