JP2023170246A - 設計支援方法及び設計支援装置 - Google Patents

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Hiromasa Kemmochi
剛央 小平
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定良 岡本
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Abstract

【課題】有限要素法を用いた構造解析を利用して、効果的な構造対策を検討しやすくする。【解決手段】断面多角形状の閉断面構造を有するインナー部とインナー部と協働して断面多角形状の閉断面構造を形成するアウター部とを有するフレーム部材のモデルに対して、特定負荷点に荷重をかけた際の、モデル上における剛性指標の分布を、有限要素法による構造解析を行うことで算出する剛性指標算出ステップと、算出された剛性指標を複数のレンジに分割する分割ステップと、モデルの横断面を取得したときに、インナー部とアウター部とで剛性指標が異なるレンジになっている部分を、モデルとなったフレーム部材の補強すべき補強部位として特定する補強部位特定ステップと、を含む。【選択図】図8

Description

特許法第30条第2項適用申請有り 刊行物 令和3年9月14日に第31回設計工学・システム部門講演会予稿集にて公開。 発表 令和3年9月16日に第31回設計工学・システム部門講演会にて発表。
ここに開示された技術は、設計支援方法及び設計支援装置に関する技術分野に属する。
従来より、種々の荷重に対する車体等の構造の最適化を図るために、CAE解析による荷重伝達経路の解析が行われている。
例えば、特許文献1には、解析対象構造物(モデル)に対して、有限要素法を用いた構造解析により、線形弾性変形が支配的な部分の変形を計算して、剛性指標を求めることにより荷重伝達経路を求める方法が開示されている。特許文献1では、剛性指標を複数のレンジに分割し、解析対象構造物における剛性指標が所定のレンジにある領域を、解析対象構造物に重ねて順次表示することで、荷重伝達経路を求めている。
特開2020-013354号公報
本願発明者らが鋭意研究したところ、断面多角形状をなすフレーム部材に対して特許文献1に記載のような構造解析を行うことで、フレーム部材における補強すべき部分である補強部位を予測できることが分かった。具体的には、剛性指標が所定のレンジにある領域の広がり方に基づいて、補強部位を予想できることが分かった。
ここに開示された技術は斯かる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、有限要素法を用いた構造解析を利用して、効果的な構造対策を検討しやすくすることにある。
前記課題を解決するために、ここに開示された技術では、演算部を有するコンピュータを用いたフレーム部材の設計支援方法を対象として、前記演算部が、断面多角形状の閉断面構造を有するインナー部と該インナー部と協働して断面多角形状の閉断面構造を形成するアウター部とを有する前記フレーム部材のモデルに対して、特定負荷点に荷重をかけた際の、該モデル上における剛性指標の分布を、有限要素法による構造解析を行うことで算出する剛性指標算出ステップと、前記演算部が、前記剛性指標算出ステップで算出された前記剛性指標を複数のレンジに分割する分割ステップと、前記モデルの横断面を取得したときに、前記インナー部と前記アウター部とで前記剛性指標が異なるレンジになっている部分を、前記モデルとなった前記フレーム部材の補強すべき補強部位として特定する補強部位特定ステップと、を含む、という構成とした。
すなわち、剛性指標が異なる部分は、入力荷重に対する剛性が異なっていることを意味し、延いては入力荷重に対する荷重の伝えやすさが異なることを意味する。このため、フレーム部材のモデルの横断面において、インナー部とアウター部とで剛性指標が異なるレンジになっている部分は、フレーム部材の延びる方向の同じ位置において、インナー部とアウター部とで荷重の伝えやすさが異なる部分である。例えば、モデルの横断面において、インナー部の剛性指標の方がアウター部の剛性指標よりも高いレンジに含まれている場合、インナー部の方がアウター部よりも荷重を伝達しやすくなっていることを意味する。
このように、インナー部とアウター部とで荷重の伝えやすさが異なっていると、実際のフレーム部材に荷重が入力されたときには、荷重がインナー部とアウター部とに適切に分散されず、前述の例で言えば、主にインナー部に伝達されるようになる。つまり、インナー部とアウター部とで剛性指標が異なるレンジになっている部分は、荷重をフレーム部材全体で受け難い、強度が低い部分であると言える。
したがって、モデルの横断面において、インナー部とアウター部とで剛性指標が異なるレンジになっている部分を補強部位として特定することで、フレーム部材の強度を向上させる構造対策が検討しやすくなる。
前記設計支援方法の一実施形態では、前記補強部位特定ステップは、前記インナー部の稜線部分と前記アウター部の稜線部分とにおいて、前記剛性指標が異なるレンジになっている部分を前記補強部位として特定するステップである。
すなわち、稜線部分は剛性指標が大きくなりやすく、荷重伝達経路になりやすい。このため、インナー部とアウター部との稜線部分同士の剛性指標を比較すれば、荷重伝達経路における荷重の伝えやすさを比較することになる。したがって、比較対象を稜線部分にすることで、補強部位をより容易に特定することができる。
前記一実施形態において、前記補強部位特定ステップは、前記インナー部の稜線部分における所定のレンジの前記剛性指標が占める部分と荷重入力点との距離と、前記アウター部の稜線部分における前記所定のレンジの前記剛性指標が占める部分と前記荷重入力点との距離とが所定量以上異なる部分を前記補強部位として特定するステップである、という構成でもよい。
すなわち、所定のレンジの剛性指標が占める部分と荷重入力点との距離が長いということは、入力荷重に対して高い剛性を有することを意味する。言い換えると、当該距離が長い部分は、荷重を伝達しやすい部分であると言える。このため、インナー部とアウター部とで当該距離が比較的大きい部分は、特に荷重が分散されにくい部分であると言える。したがって、前記の構成により、フレーム部材における強度が特に低い部分を適切に特定することができる。
所定のレンジの剛性指標が占める部分と荷重入力点との距離に基づいて補強部位を特定する設計支援方法において、前記フレーム部材は、複数ありかつ車体を構成するように互いに接続されており、前記モデルは、前記複数のフレーム部材が互いに接続されて構成された車体を模しており、前記荷重入力点は、前記各フレーム部材の各モデルにおける前記特定負荷点に近い側の端部にそれぞれ設定されている、という構成でもよい。
この構成によると、所定のレンジの剛性指標が占める部分と荷重入力点との距離を容易に算出できるようになり、補強部位をより容易に特定することができる。
前記設計支援方法において、前記補強部位における、前記インナー部の稜線部分と前記アウター部の稜線部分とを連結する補強部を設定する補強ステップを更に含み、前記補強ステップは、前記補強部位を含むように前記フレーム部材の延びる方向に延びる前記補強部を設定するステップである、という構成でもよい。
この構成によると、補強部を設けることによる剛性指標の変化を検討することができ、フレーム部材の強度を向上させる構造対策が検討しやすくなる。特に、補強部を、インナー部の稜線部分とアウター部の稜線部分とを連結する構成とすることで、荷重伝達経路を補強部で繋いだような状況を想定することができ、特に効果が期待できる構造対策を検討することができる。
前記補強ステップを含む設計支援方法において、前記フレーム部材は、複数ありかつ車体を構成するように互いに接続されており、前記モデルは、前記複数のフレーム部材が互いに接続されて構成された車体を模しており、前記補強ステップは、前記補強部位を含むように、互いに接続された前記各フレーム部材の接続部に対応する部分に前記補強部を設定するステップである、という構成でもよい。
すなわち、フレーム部材同士の接続部は、荷重伝達が悪化しやすい部分であり、補強が必要となりやすい部分である。前記の構成によると、接続部に補強部を設けたときの剛性指標の変化を検討することができ、フレーム部材の強度を向上させる構造対策が検討しやすくなる。また、補強部を接続部に限定することで、補強部を設けることによる重量増加を抑制した状態での剛性指標の変化を検討することができる。
ここに開示された技術の他の態様は、フレーム部材の設計支援装置を対象として、演算部を有し、前記演算部は、断面多角形状の閉断面構造を有するインナー部と該インナー部と協働して断面多角形状の閉断面構造を形成するアウター部とを有する前記フレーム部材のモデルに対して、特定負荷点に荷重をかけた際の、該モデル上における剛性指標の分布を、有限要素法による構造解析を行うことで算出し、算出された前記剛性指標を複数のレンジに分割し、前記モデルの横断面における、前記インナー部の稜線部分と前記アウター部の稜線部分とで前記剛性指標が異なるレンジになっている部分を、前記モデルとなった前記フレーム部材の前記補強部位として特定する、という構成とした。
この構成でも、フレーム部材の強度が低い部分を適切に特定することができ、フレーム部材の強度を向上させる構造対策が検討しやすくなる。
以上説明したように、ここに開示された技術によると、モデルの横断面において、インナー部とアウター部とで剛性指標が異なるレンジになっている部分を補強部位として特定することで、フレーム部材の強度が低い部分を適切に特定することができ、フレーム部材の強度を向上させる構造対策が検討しやすくなる。
図1は、設計支援装置のハードウェア構成を示す図である。 図2は、設計支援装置のソフトウェア構成を示す図である。 図3は、有限要素法による構造解析によるモデル上の剛性指標の算出方法を説明するための図である。 図4は、剛性指標を算出する手順を示すフローチャートである。 図5は、解析対象物としてのモデルの一例を示す模式図である。 図6は、図5に示すモデルに対して、所定のレンジの剛性指標を重ねて表示した状態を示す模式図である。 図7は、図5に示すモデルにおいて、所定のレンジの剛性指標が占める部分と荷重入力点との距離が、稜線部分同士で異なる部分を示す側面図である。 図8は、補強部位特定ステップの詳細を示すフローチャートである。 図9Aは、複数のフレーム部材で構成された車体をモデルとしたときの、モデルの一部の断面図であって、フロントピラー部分の構造を示す。 図9Bは、複数のフレーム部材で構成された車体をモデルとしたときの、モデルの一部の断面図であって、サイドシル部分の構造を示す。 図10Aは、モデルのフロントピラー部分における所定のレンジの剛性指標が占める部分を示した図であり、インナー部を示す。 図10Bは、モデルのフロントピラー部分における所定のレンジの剛性指標が占める部分を示した図であり、アウター部を示す。 図10Cは、モデルのフロントピラー部分における所定のレンジの剛性指標が占める部分を示した断面図である。 図11Aは、モデルのサイドシル部分における所定のレンジの剛性指標が占める部分を示した図であり、インナー部を示す。 図11Bは、モデルのサイドシル部分における所定のレンジの剛性指標が占める部分を示した図であり、アウター部を示す。 図11Cは、モデルのサイドシル部分における所定のレンジの剛性指標が占める部分を示した断面図である。 図12は、モデルのフロントピラー部分に補強部を配置した状態を示す断面図である。 図13は、モデルの車両側部における補強部の配置の一例を示す側面図である。 図14Aは、補強部を配置した状態でのモデルのフロントピラー部分における所定のレンジの剛性指標が占める部分を示した図であり、インナー部を示す。 図14Bは、補強部を配置した状態でのモデルのフロントピラー部分における所定のレンジの剛性指標が占める部分を示した図であり、アウター部を示す。 図15は、ねじり固有値を、補強部を配置する前と後とで比較したグラフである。 図16は、車体剛性を、補強部を配置する前と後とで比較したグラフである。
以下、例示的な実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
〈装置構成〉
図1は、本実施形態に係る設計支援装置(厳密には、その設計支援装置を実現するコンピュータシステム1)のハードウェア構成を模式的に示す。このコンピュータシステム1(以下、コンピュータ1という)は、システム全体の制御を司るCPU3を有する。コンピュータ1は、ブートプログラム等を記憶しているROM5と、メインメモリとして機能するRAM7と、2次記憶装置としてのハードディスク9(以下、HDD9という)とを備えている。コンピュータ1は、表示装置としてのディスプレイ11と、ディスプレイ11に表示する画像データを蓄積するメモリとして機能するVRAM13とを備えている。また、コンピュータ1は、入力装置としてのキーボード15及びマウス17とを備えている。尚、このコンピュータ1は、インターフェース21を介して外部機器と通信を行うことが可能に構成されている。
HDD9には、図2に示すように、そのプログラムメモリに、オペレーティングシステム(OS)19、構造解析プログラム29、補強部位特定プログラム39、剛性評価プログラム49、アプリケーションプログラム59等が格納されている。一方、HDD9には、そのデータメモリにモデルデータ69等が格納されている。このモデルデータ69には、自動車の車体を模型化して示す情報や、車体の各部分の弾性率に関する情報等が含まれている。モデルデータ69に格納される情報は、ユーザが任意に変更及び追加することが可能である。また、HDD9のデータメモリには、構造解析プラグラム29の実行によって作成される有限要素法解析の各種計算結果、補強部位特定プログラム39の実行によって作成される各種計算結果、及び、アプリケーションプログラム59の実行によって作成される各種計算結果も記憶される。尚、構造解析プログラム29としては、例えば、MSC Software株式会社製の「NASTRAN」を用いることができる。
上記構成において、構造解析プログラム29、補強部位特定プログラム39、剛性評価プログラム49、及び、アプリケーションプログラム59は、キーボード15やマウス17からの入力される特定指令に応じて起動される。その際、構造解析プラグラム29、補強部位特定プログラム39、剛性評価プログラム49、及び、アプリケーションプログラム59が、HDD9からRAM7にロードされ、CPU3によって実行されることによって、このコンピュータ1が設計支援装置として機能することになる。本実施形態では、CPU3が、本開示でいう演算部に相当する。
〈剛性指標の算出〉
次に、本実施形態では、剛性指標としてUを用いる。剛性指標Uとは、弾性構造体に荷重が入力されたときに、該荷重の入力点(以下、特定負荷点という)と、弾性構造体内の任意の点との結合の強さを示す指標である。
剛性指標Uは、弾性構造体に荷重が入力ときに、弾性構造体内の任意の点を固定しないときの仕事量Uと、該任意の点を固定したときの仕事量U’との比によって定義される。詳しくは、図3に示すような、弾性構造体のモデルMを定義して、特定負荷点をAとし、固定点をBとし、モデルM内の任意点をCとする。モデルMが弾性体であるため、これらの各点A~Cは、それぞれ線形バネで連結されていると仮定することができる。先ず、任意点Cが固定されていない状態で、特定負荷点Aに荷重を入力して特定負荷点Aを所定量だけ変位させるとする。このときに、特定負荷点Aを該所定量だけ変位させるのに必要な仕事量がUである。一方で、任意点Cが固定された状態で、特定負荷点Aに荷重を入力して特定負荷点Aを上記所定量だけ変位させるとする。このときに、特定負荷点Aを該所定量だけ変位させるのに必要な仕事量がU’である。そして、剛性指標Uは、以下の式で表される。
=1-(U/U’)
ここで、任意点Cが固定されている場合には、特定負荷点Aは変位しにくくなる。このため、仕事量Uと比較して仕事量U’は大きくなる。よって、U/U’は必ず1以下の値になる。また、任意点Cが特定負荷点Aに位置しているときには、任意点Cを固定すると特定負荷点Aは変位不可能になる。このときには、U’を無限大とみなすことができるため、剛性指標Uは1となる。一方で、任意点Cが固定点Bに位置しているときに、任意点Cを固定したとしても、任意点Cが固定されていないときと同じ状態になる。よって、このときには、剛性指標Uは0となる。これらのことから、剛性指標Uは0~1の値を有する。
モデルM全体の剛性指標Uの分布を算出するときには、図3に示すように、モデルMに対して特定負荷点A、固定点B及び任意点Cを設定する。次に、仕事量Uを算出する。次いで仕事量U’を算出する。続いて、上記式により剛性指標Uを算出する。その後、任意点Cの位置を変えて、別の仕事量U’を算出して、上記式により剛性指標Uを算出する。これを、求めたい任意点Cの全点での剛性指標Uが算出されるまで繰り返す。以上により、モデルM全体の剛性指標Uの分布を求めることができる。
この剛性指標Uが大きい部分は、特定負荷点Aとの結合が強い部分であり、荷重が伝達しやすい部分である。よって、例えば、モデルMに剛性指標Uを等高線で示したときには、その尾根線に相当する部分が荷重伝達経路に相当することになる。
(構造解析)
図4に、本実施形態に係る設計支援装置を用いてフレーム部材の補強部位を特定する手順を示す。コンピュータシステム1のCPU3は、構造解析プログラム29及び補強部位特定プログラム39に従って、解析対象物としてのフレーム部材のモデル上における剛性指標Uの分布を、有限要素法による構造解析を行うことで算出する剛性指標算出ステップ(S1~S7)と、剛性指標算出ステップで算出された剛性指標Uをn個(nは2以上の整数)のレンジに分割する分割ステップ(S8)と、分割ステップで分割された剛性指標Uの各レンジに基づいてモデルとなっているフレーム部材の補強部位を特定する補強部位特定ステップ(S9)と、補強部位特定ステップで特定された補強部位に補強部を設定する補強ステップ(S10)を順に実行する。また、コンピュータシステム1のCPU3は、補強ステップの後に、補強部を含むフレーム部材のモデルの剛性指標Uを再度算出するステップを実行してもよい。
まず、図4のフローチャート、図5及び図6のモデルを参照しながら、剛性指標算出ステップと分割ステップとを実行する際のコンピュータシステム1の動作について詳細に説明する。尚、本実施形態は、基本的には、モデルとして、断面多角形状の閉断面構造を有するインナー部と該インナー部と協働して断面多角形状の閉断面構造形成するアウター部とを有するフレーム部材のモデルを対象とするが、以下では、剛性指標算出ステップ及び分割ステップを簡単に説明するために、図5及び図6に示すような矩形状の閉断面のみを有するモデルを解析対象とした場合を説明する。
先ず、ステップS1において、CPU3は、データメモリに格納されたモデルデータ69等をHDD9から読み込んで計算の初期設定を行う。このステップS1では、解析対象物としてのモデルの形状や、剛性指標Uを計算するための計算格子を設定したり、そのような情報が予め記録された設定ファイルを読み込んだりもする。
次のステップS2では、CPU3は、剛性指標Uを算出するための荷重条件を設定する。このステップS2では、CPU3は、上記モデルに対して、特定負荷点A、固定点B及び複数の任意点Cを設定する。また、CPU3は、特定負荷点Aを変位させる量を設定する。
次いでステップS3において、CPU3は、全ての任意点Cを固定していない条件のもと、有限要素法による構造解析を実行して、第1仕事量Uを算出する。具体的には、全ての任意点Cを固定していない状態で、特定負荷点Aに荷重をかけて、該特定負荷点Aを設定量(上記ステップS2で設定された量)だけ変位させる際の第1仕事量Uを算出する。
続くステップS4において、CPU3は、複数の任意点Cのうち剛性指標Uを算出する任意点Cを指定する。
次のステップS5では、CPU3は、上記ステップS4で指定した任意点Cを固定した条件のもと、有限要素法による構造解析を実行して、第2仕事量U’を算出する。具体的には、上記任意点Cを固定した状態で、特定負荷点Aに荷重をかけて、該特定負荷点Aを設定量(上記ステップS2で設定された量)だけ変位させる際の第2仕事量U’を算出する。
次いでステップS6において、CPU3は、上記ステップS3で算出した第1仕事量U及び上記ステップS5で算出した第2仕事量U’から、指定した任意点Cにおける剛性指標Uを算出する。このステップS6において、CPU3は上記式に基づいて剛性指標Uを算出する。
続くステップS7において、CPU3は、全ての任意点Cについて剛性指標Uの計算が完了したか否かを判定する。全ての任意点Cについて剛性指標Uの計算が完了したYESのときには、ステップS8に進む一方、一部の任意点Cについてしか剛性指標Uの計算が完了していないNOのときには、ステップS4に戻り、残りの任意点Cについて剛性指標Uの計算を行う。
上記ステップS8において、CPU3は、剛性指標Uをn個(nは2以上の整数)のレンジに分割する。上述したように、剛性指標Uは0~1の値を有する。このステップS8では、この0~1の値を各レンジの幅が同じになるように均等に分割する。例えば、剛性指標Uを40個のレンジに分割する場合には、各レンジの幅は0.025となる。ここでの分割数は、上記モデルの大きさ等に対応して、ユーザが任意に設定可能であるが、後述する補強部位の特定を行う観点からは、20個~50個程度のレンジに分割することが好ましい。
図5は、モデルデータ69に格納されたモデル69aの一例である。ここでは、モデル69aとして、車両のサイドフレームのように、断面ハット状の部材と平板状の部材とを組み合わせて閉断面構造を形成したフレーム部材を例示している。より詳しくは、図5で示すモデル69aは、2つの独立した断面ハット状の部材の端部同士が重ね合わされて溶接されるとともに、1つの平板状の部材が2つの断面ハット状の部材に跨がって配置されて、各断面ハット状の部材のそれぞれに溶接されたモデルとなっている。
図6は、図5に示すモデルに対して前記ステップS1~S8を実行して算出された剛性指標Uの各レンジうちの1つのレンジの剛性指標Uが占める領域USをモデル69aに重ねて示したものである。この解析では、モデル69aの長手方向の一端(紙面手前側の端部)に特定負荷点Aを設定し、長手方向の他端(紙面奥側の端部)に固定点Bを設定し、モデル69a上に任意点Cを設定して、剛性指標Uを算出している。
図6に示すように、領域USにおいて、モデル69aの稜線部分が他の部分と比べて固定点側に延びていて、山部となっていることが分かる。剛性指標Uは特定負荷点に近い程高いため、領域USが固定点側に延びているということは、山部の部分は、長手方向における同じ位置と比較して剛性指標Uが高くなっていることを意味する。剛性指標Uが高いということは、特定負荷点との結びつきが強いことを意味しており、特定負荷点に荷重を入力した際に荷重が伝達されやすい部分であることを意味する。つまり、フレーム部材の長手方向における同じ位置で剛性指標Uを比較したときに、他の領域よりも剛性指標Uが高い部分は、特定負荷点から固定点までの荷重伝達パスを形成することになる。このモデル69aでいえば、図6に示すように、モデル69aの稜線部分が長手方向の同じ位置における他の部分よりも剛性指標Uが高いため、稜線部分が荷重伝達パスを形成することになる。
(補強部位の特定)
ここで、図7に示すように、モデル69aにおいて、同じ稜線部分であったとしても、山部の特定負荷点からの距離が異なることがある。これは、このモデル69aでは、接続部69bの位置において荷重の伝達のしやすさが異なるために生じる。すなわち、接続部69bにおいて、下側の稜線部は1つの平板状の部材が配置されている一方で、上側の稜線部分は部分的に溶接されているだけであるため、上側の稜線部分は下側の稜線部分と比較して、接続部69bに荷重伝達が阻害されやすい。このため、上側の稜線部分の山部αと荷重入力点(ここでは、特定負荷点)との距離L1の方が、下側の稜線部分の山部βと荷重入力点との距離L2の方よりも短くなる。以下、所定のレンジの剛性指標Uが占める領域と荷重入力点との距離をレンジ距離ということがある。
このように、荷重伝達のしやすさに差が生じると、実際に荷重が入力されたときには、最も荷重が伝達しやすい部分が主な荷重伝達経路となる。山部間の距離D(図7参照)が小さければ、荷重伝達のしやすさにあまり差がなく、複数の荷重伝達経路が形成され得るが、距離Dが大きいときには、最も荷重伝達がしやすい部分のみが荷重伝達経路となって、その他の部分は荷重伝達経路として機能しなくなってしまう。したがって、フレーム部材のモデルに対して前述のように剛性指標Uを算出して、該モデルの長手方向において剛性指標Uが異なる部分を探ることで、モデルとなったフレーム部材において荷重伝達経路を適切に形成するために補強すべき部位を探ることができる。
本実施形態では、フレーム部材のなかでも、断面多角形状の閉断面構造を有するインナー部と、該インナー部と協働して断面多角形状の閉断面構造形成するアウター部とを有するフレーム部材に対して前述のような構造解析を行って、算出した剛性指標Uに基づいて、補強部位を特定するようにした。
具体的には、図4のステップS9の補強部位特定ステップにおいて、前述のようなフレーム部材のモデルの長手方向において、インナー部とアウター部とで剛性指標Uが異なる部位を探ることで、モデルとなったフレーム部材の補強部位を特定するようにした。
補強部位特定ステップでは、図8に示すように、まず、ステップS91において、CPU3は、前記ステップS8の分割ステップで分割した剛性指標Uのうち低い方から1番目のレンジの領域USを表示する。
次に、ステップS92において、CPU3は、インナー部の稜線部分の領域US内の複数箇所でモデルの横断面を取得する。前述したように、ここで想定しているモデルのインナー部は断面多角形状の閉断面構造を有する。このため、領域USのうち稜線部分に表示されるのは、基本的には領域USの山部の部分になる。つまり、このステップS92では、インナー部に表示される領域USのうち山部の位置で横断面を複数取得することになる。尚、図9A等で示すが山部にはある程度幅がある。山部のどの位置で横断面を取得するかは任意に設定してよいが、少なくとも、最も特定負荷点に近い位置、もっと固定点に近い位置、及びその中間位置の3箇所は取得することが好ましい。
次いで、ステップS93において、CPU3は、前記ステップS92で取得した全ての横断面において、アウター部に領域USが含まれていないか否か、すなわち、フレーム部材のモデルの長手方向において、インナー部とアウター部とで領域USの位置がずれていないか否かを判定する。CPU3は、全ての横断面においてアウター部に領域USが含まれていないYESのときにはステップS94に進む。一方で、CPU3は、少なくとも1つの横断面においてアウター部に領域USが含まれているNOのときにはステップS97に進む。
前記ステップS94では、CPU3は、表示した領域において、インナー部の稜線部分のレンジ距離と、アウター部の稜線部分のレンジ距離との差が所定値以上であるか否かを判定する。インナー部もアウター部も稜線部分は基本的には領域USの山部の位置になるため、このステップS94の判定は、インナー部の山部と特定負荷点との距離と、アウター部の山部と特定負荷点との距離との差が所定値以上であるか否かという判定に読み替えることができる。CPU3は、前記レンジ距離の差が所定値以上であるYESのときには、ステップS95に進む。一方で、CPU3は、前記レンジ距離の差が所定未満であるNOのときには、ステップS97に進む。このとき、レンジが占める領域にはある程度幅がある。このステップS94では、特定負荷点と領域USの幅方向の中点との間の距離をレンジ距離とする。尚、フレーム部材の長さ等に応じて任意に設定してよいが、概ねレンジの幅程度の長さに設定することができる。
前記ステップS95では、CPU3は、モデルとなったフレーム部材の補強部位を特定する。具体的には、フレーム部材のモデルの長手方向における、インナー部の稜線部分に表示された領域USの範囲と同じ範囲を、該フレーム部材の補強部位とする。
次のステップS96では、CPU3は、分割した全てのレンジについて評価が終了したか否かを判定する。分割した全てのレンジについて評価が完了しているYESのときには、CPU3は、補強部位特定ステップを終了する。一方で、少なくとも一部のレンジについて評価が完了していないNOのときには、ステップS97に進む。
前記ステップS97では、評価が完了したレンジの次のレンジ、すなわち、1つ大きいレンジの領域USを表示する。ステップS97の後はステップS92に戻る。
図9A~図11Cは、複数のフレーム部材が互いに接続されて構成された車体をモデルとして、本実施形態に係る構造解析と補強部位の特定とを行った結果を示す。このシミュレーションでは、車両前部のサスタワーの部分を特定負荷点とし、車両後部に固定点を設定している。図9Aは、モデルの一部である車体のフロントピラー81の部分を示している。このフロントピラー81は、断面多角形状の閉断面構造を形成するピラーインナー部82と、ピラーインナー部82を車両外側から覆うように配置されかつピラーインナー部82と協働して断面多角形状の閉断面構造を形成するピラーアウター部83とを有する。図9Bは、モデルの一部である車体のサイドシル84の部分を示している。サイドシル84は、断面多角形状の閉断面構造を形成するサイドシルインナー部85と、サイドシルインナー部85を車両外側から覆うように配置されかつサイドシルインナー部85と協働して断面多角形状の閉断面構造を形成するサイドシルアウター部86とを有する。尚、モデルが車体を模しているときには、各フレーム部材の各モデルにおける特定負荷点に近い側の端部(ここでは車両前側の端部)を荷重入力点とみなして、モデルとなった車体を構成する各フレーム部材の補強部位を特定する。
図10A、図10B、及び図10Cは、分割した剛性指標Uのうち1つのレンジが占める領域をモデルのフロンピラー81に重ねて示したものである。図10Aはピラーインナー部82を示し、図10Bはピラーアウター部83を示し、図10Cはピラーインナー部82の稜線部分における領域USの位置で切断した横断面図である。各図において、黒色で塗りつぶしている部分が領域USに相当する。
図10A及び図10Bに示すように、ピラーインナー部82の稜線部分とピラーアウター部83の稜線部分とで領域USの位置が大きくことなることが分かる。具体的には、ピラーインナー部82の方が、ピラーアウター部83と比較して領域USが車両後側の位置、すなわち固定点に近い位置に位置していることがわかる。実際に図10Cに示す横断面図では、ピラーインナー部82のみに領域USが含まれており、ピラーアウター部83には領域USが含まれていないことが分かる。これは、ピラーインナー部82の稜線部分の方が、ピラーアウター部83の稜線部分と比較して荷重を伝達しやすいことを表している。特に、図10Aと図10Bとを比較すると、ピラーインナー部82の稜線部分における領域USの位置と、ピラーアウター部83の稜線部分における領域USの位置とは、明らかに領域USの幅分以上の距離が開いていることが分かる。すなわち、荷重入力点をフロントピラー81の前側端部としたときに、ピラーインナー部82の稜線部分のレンジ距離と、ピラーアウター部83の稜線部分のレンジ距離との差が所定値以上であるといえる。このため、ピラーアウター部83は荷重伝達経路として機能せず、ピラーインナー部82のみが荷重伝達経路として機能するようになる。したがって、CPU3は、フロントピラー81の長手方向における、ピラーインナー部82の稜線部分に表示された領域USの範囲と同じ範囲を、モデルとなった車体のフロントピラーの補強部位として特定する。
図11A、図11B、及び図11Cは、分割した剛性指標Uのうち1つのレンジが占める領域をモデルのサイドシル84に重ねて示したものである。図11Aはサイドシルインナー部85を示し、図11Bはサイドシルアウター部86を示し、図11Cはサイドシルインナー部85の稜線部分における領域USの位置で切断した横断面図である。各図において、黒色で塗りつぶしている部分が領域USに相当する。
図11A及び図11Bに示すように、フロントピラー81と同様に、サイドシルインナー部85の方が、サイドシルアウター部86と比較して領域USが車両後側の位置、すなわち固定点に近い位置に位置していることがわかる。また、図11Cに示す横断面図では、サイドシルインナー部85のみに領域USが含まれており、サイドシルアウター部86には領域USが含まれていないことが分かる。これは、サイドシルインナー部85の稜線部分の方が、サイドシルアウター部86の稜線部分と比較して荷重を伝達しやすいことを表している。特に、図11Aと図11Bとを比較すると、サイドシルインナー部85の稜線部分における領域USの位置と、サイドシルアウター部86の稜線部分における領域USの位置とは、明らかに領域USの幅分以上の距離が開いていることが分かる。すなわち、荷重入力点をサイドシル84の前側端部としたときに、サイドシルインナー部85の稜線部分のレンジ距離と、サイドシルアウター部86の稜線部分のレンジ距離との差が所定値以上であるといえる。このため、サイドシルアウター部86は荷重伝達経路として機能せず、サイドシルインナー部85のみが荷重伝達経路として機能するようになる。したがって、CPU3は、サイドシル84の長手方向における、サイドシルインナー部85の稜線部分に表示された領域USの範囲と同じ範囲を、モデルとなった車体のサイドシルの補強部位として特定する。
(補強ステップ)
次に、補強部位特定ステップで特定された補強部位に補強部を設定する補強ステップ(図3のステップS10)について図12及び図13を参照しながら説明する。
補強ステップでは補強部位特定ステップにおいて特定された補強部位を含むように、補強部を設定する。図12は、モデルのフロントピラー81の部分に補強部Rを配置した状態を示す。補強部Rは、車体の重量を出来る限り増加させないような部材、例えば発泡樹脂材が用いられるため、ここでは発泡樹脂材を想定している。補強部Rは、ピラーインナー部82の稜線部分とピラーアウター部83の稜線部分とを接続するように配置される。また、補強ステップにおいて、図13に示すように、補強部Rは、補強部位を含むように、互いに接続された各フレーム部材の接続部に対応する部分を含むように設定される。フロントピラー81の部分を例にすると、補強部Rは、フロントピラー81とヒンジピラー1301との接続部分、フロントピラー81とルーフサイドレール1302との接続部分、及びフロントピラー81とセンターピラー1303との接続部分を含むように設定される。また、図13に示すように、補強ステップにおいて、補強部Rの形状は、フレーム部材の延びる方向に延びる形状に設定される。尚、図13では、補強部Rは、フロントピラー81の全体に亘って延びているが、フロントピラー81の中間部分が補強部位に含まれないときには、当該中間部分には補強部Rは設定されない。また、補強部Rの部材は、必ずしも発泡樹脂材である必要はなく、フレーム部材を構成する金属よりも密度が低い物質であれば他の樹脂材や金属製の部材を想定してもよい。
図14A及び図14Bは、補強部Rを配置した状態の車体をモデルとして再度構造解析を行った結果である。図14Aはピラーインナー部82を示し、図14Bはピラーアウター部83を示す。ここで示す領域USは、図10A及び図10Bで示した剛性指標Uのレンジと同じレンジが占める領域である。
図14A及び図14Bに示すように、補強部Rを配置したときには、ピラーインナー部82とピラーアウター部83とで、領域USが長手方向の略同じ位置に広がっていることが分かる。これは、補強部Rを配置したことにより、補強部Rが無いときと比較して、ピラーインナー部82とピラーアウター部83とがより一体的になって、ピラーインナー部82とピラーアウター部83との両方が荷重伝達経路として機能し得るようになったことを意味する。したがって、この解析結果から、剛性指標Uに基づいて特定された補強部位に補強部を適切に配置することで、フロントピラーの剛性が向上して、ピラーインナー部とピラーアウター部とで荷重を適切に分散して伝達させることができるようになることが分かる。
図15及び図16は、モデルとなった車体について、ねじり固有値及び車体剛性を補強部Rの有無で比較した結果である。図15及び図16では、補強部Rが無い状態を100として、補強部Rを設けた場合のねじり固有値及び車体剛性を表している。ねじり固有値はねじり剛性の高さを表す指標であり、ねじり固有値が高いほどねじり剛性が高い。
図15及び図16に示すように、補強部Rを設けることで、ねじり固有値及び車体剛性のいずれも向上することが分かる。すなわち、補強部Rを適切に配置することにより、外部からの荷重に対する車体の剛性を向上させることができる。したがって、本実施形態に係る設計支援方法により、フレーム部材の補強すべき部位を特定することで、効果的な補強部の配置など、該フレーム部材の剛性を向上させる効果的な構造対策を検討することができる。
(まとめ)
したがって、本実施形態では、CPU3が、断面多角形状の閉断面構造を有するインナー部と該インナー部と協働して断面多角形状の閉断面構造を形成するアウター部とを有するフレーム部材のモデルに対して、特定負荷点に荷重をかけた際の、該モデル上における剛性指標Uの分布を、有限要素法による構造解析を行うことで算出する剛性指標算出ステップ(ステップS1~S7)と、CPU3が、剛性指標算出ステップで算出された剛性指標Uを複数のレンジに分割する分割ステップ(ステップS8)と、モデルの横断面を取得したときに、インナー部とアウター部とで剛性指標Uが異なるレンジになっている部分を、モデルとなったフレーム部材の補強すべき補強部位として特定する補強部位特定ステップ(ステップS9)と、を含む。
特に、本実施形態では、補強部位特定ステップは、インナー部の稜線部分とアウター部の稜線部分とにおいて、剛性指標Uが異なるレンジになっている部分を補強部位として特定するステップである。
これにより、インナー部とアウター部とで荷重の伝えやすさが異なる部分を明らかにすることができ、モデルとなったフレーム材において補強が必要な補強部位を明らかにすることができる。この結果、フレーム部材の強度を向上させる構造対策が検討しやすくなる。
また、本実施形態では、補強部位特定ステップは、インナー部の稜線部分における所定のレンジの剛性指標Uが占める部分と荷重入力点との距離と、アウター部の稜線部分における所定のレンジの剛性指標Uが占める部分と荷重入力点との距離とが所定量以上異なる部分を補強部位として特定するステップである。これにより、モデルとなったフレーム部材において、特に荷重が分散されにくい部分を適切に特定することができる。この結果、フレーム部材の強度を向上させる構造対策がより検討しやすくなる。
また、本実施形態では、解析対象とするモデルは、複数のフレーム部材が互いに接続されて構成された車体を模しており、荷重入力点は、各フレーム部材の各モデルにおける特定負荷点に近い側の端部にそれぞれ設定されている。これにより、所定のレンジの剛性指標Uが占める部分と荷重入力点との距離を容易に算出できるようになり、補強部位をより容易に特定することができる。
また、本実施形態では、補強部位における、インナー部の稜線部分とアウター部の稜線部分とを連結する補強部を設定する補強ステップ(ステップS10)を更に含み、補強ステップは、補強部位を含むようにフレーム部材の延びる方向に延びる補強部を設定するステップである。これにより、補強部を設けることによる剛性指標の変化を検討することができ、フレーム部材の強度を向上させる構造対策が検討しやすくなる。特に、補強部を、インナー部の稜線部分とアウター部の稜線部分とを連結する構成とすることで、荷重伝達経路を補強部で繋いだような状況を想定することができ、特に効果が期待できる構造対策を検討することができる。
特に、解析対象とするモデルが、複数のフレーム部材が互いに接続されて構成された車体を模しているときには、補強ステップは、補強部位を含むように、互いに接続された各フレーム部材の接続部に対応する部分に補強部を設定するステップである。これにより、荷重伝達が特に悪化しやすい部分であるフレーム部材同士の接続部に補強部を設けたときの剛性指標の変化を検討することができ、フレーム部材の強度を向上させる構造対策が検討しやすくなる。また、補強部を接続部に限定することで、補強部を設けることによる重量増加を抑制した状態での剛性指標の変化を検討することができる。
(その他の実施形態)
ここに開示された技術は、前述の実施形態に限られるものではなく、請求の範囲の主旨を逸脱しない範囲で代用が可能である。
例えば、前述の実施形態では、インナー部の稜線部分とアウター部の稜線部分とにおいて、剛性指標Uが異なるレンジになっている部分に注目した。これに限らず、1つのレンジの剛性指標Uが占める領域USにおいて、前述した山部となっている部分を含むように横断面を取得するのであれば、必ずしも稜線部分に注目する必要はない。
また、前述の実施形態では、複数のフレーム部材で構成された車体を模したモデルに対して解析を行っていた。しかし、モデルとなるフレーム部材がインナー部とアウター部とで構成されてさえいれば、モデルは必ずしも車体を模している必要はなく、例えば複数のフレーム部材で構成された建物を模したモデルを解析の対象としてもよい。
また、前述の実施形態では、補強ステップ(ステップS10)が含まれていたが、補強ステップは必ずしも含まれている必要はなく、補強部位特定ステップ(ステップS9)により補強部位を特定するまでに留めてもよい。
前述の実施形態は単なる例示に過ぎず、本開示の範囲を限定的に解釈してはならない。本開示の範囲は請求の範囲によって定義され、請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、全て本開示の範囲内のものである。
ここに開示された技術は、フレーム部材の強度を向上させる構造対策を検討するための設計支援方法として有用である。
1 コンピュータシステム(コンピュータ)
3 CPU(演算部)
69 モデルデータ
S1~S7 剛性指標算出ステップ
S8 分割ステップ
S9 補強部位特定ステップ
S10 補強ステップ
US 領域(1つのレンジの剛性指標が占める領域)

Claims (7)

  1. 演算部を有するコンピュータを用いたフレーム部材の設計支援方法であって、
    前記演算部が、断面多角形状の閉断面構造を有するインナー部と該インナー部と協働して断面多角形状の閉断面構造を形成するアウター部とを有する前記フレーム部材のモデルに対して、特定負荷点に荷重をかけた際の、該モデル上における剛性指標の分布を、有限要素法による構造解析を行うことで算出する剛性指標算出ステップと、
    前記演算部が、前記剛性指標算出ステップで算出された前記剛性指標を複数のレンジに分割する分割ステップと、
    前記モデルの横断面を取得したときに、前記インナー部と前記アウター部とで前記剛性指標が異なるレンジになっている部分を、前記モデルとなった前記フレーム部材の補強すべき補強部位として特定する補強部位特定ステップと、を含むことを特徴とする設計支援方法。
  2. 請求項1に記載の設計支援方法において、
    前記補強部位特定ステップは、前記インナー部の稜線部分と前記アウター部の稜線部分とにおいて、前記剛性指標が異なるレンジになっている部分を前記補強部位として特定するステップであることを特徴とする設計支援方法。
  3. 請求項2に記載の設計支援方法において、
    前記補強部位特定ステップは、前記インナー部の稜線部分における所定のレンジの前記剛性指標が占める部分と荷重入力点との距離と、前記アウター部の稜線部分における前記所定のレンジの前記剛性指標が占める部分と前記荷重入力点との距離とが所定量以上異なる部分を前記補強部位として特定するステップであることを特徴とする設計支援方法。
  4. 請求項3に記載の設計支援方法において、
    前記フレーム部材は、複数ありかつ車体を構成するように互いに接続されており、
    前記モデルは、前記複数のフレーム部材が互いに接続されて構成された車体を模しており、
    前記荷重入力点は、前記各フレーム部材の各モデルにおける前記特定負荷点に近い側の端部にそれぞれ設定されていることを特徴とする設計支援方法。
  5. 請求項1~4のいずれか1つに記載の設計支援方法において、
    前記補強部位における、前記インナー部の稜線部分と前記アウター部の稜線部分とを連結する補強部を設定する補強ステップを更に含み、
    前記補強ステップは、前記補強部位を含むように前記フレーム部材の延びる方向に延びる前記補強部を設定するステップであることを特徴とする設計支援方法。
  6. 請求項5に記載の設計支援方法において、
    前記フレーム部材は、複数ありかつ車体を構成するように互いに接続されており、
    前記モデルは、前記複数のフレーム部材が互いに接続されて構成された車体を模しており、
    前記補強ステップは、前記補強部位を含むように、互いに接続された前記各フレーム部材の接続部に対応する部分に前記補強部を設定するステップであることを特徴とする設計支援方法。
  7. フレーム部材の設計支援装置であって、
    演算部を有し、
    前記演算部は、
    断面多角形状の閉断面構造を有するインナー部と該インナー部と協働して断面多角形状の閉断面構造を形成するアウター部とを有する前記フレーム部材のモデルに対して、特定負荷点に荷重をかけた際の、該モデル上における剛性指標の分布を、有限要素法による構造解析を行うことで算出し、
    算出された前記剛性指標を複数のレンジに分割し、
    前記モデルの横断面における、前記インナー部の稜線部分と前記アウター部の稜線部分とで前記剛性指標が異なるレンジになっている部分を、前記モデルとなった前記フレーム部材の前記補強部位として特定することを特徴とする設計支援装置。
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