JP2023169759A - ひよこ豆ミルク発酵乳の製造方法 - Google Patents

ひよこ豆ミルク発酵乳の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 本発明は、不定形の粒状物(以下、ダマという場合がある)がなく、均質で滑らかなひよこ豆ミルク発酵物を得ることができる新たな製造方法を提供することを目的とする。【解決手段】 ひよこ豆ミルクを調製する第1工程と、上記ひよこ豆ミルクと、乳酸菌と、を混合し、混合液を得る第2工程と、上記混合液を発酵させる第3工程と、を順次行うひよこ豆ミルク発酵物の製造方法であって、第3工程が終了する前に、イソアミラーゼ、アミラーゼ、プルラナーゼ、トリコデルマ属由来セルラーゼおよびペニバチルス属由来プロテアーゼからなる群から選択される1つ以上の酵素を添加する工程(酵素添加工程)を行うことを特徴とするひよこ豆ミルク発酵物の製造方法。【選択図】図1

Description

本発明は、ひよこ豆ミルク発酵乳の製造方法に関する。
健康志向の高まり、環境への配慮、食糧不足への懸念からプラントベース食品が普及している。プラントベースは、植物性たんぱく質が豊富に含まれる大豆の他、エンドウ豆、オーツ等多様化しており、最近ではひよこ豆が注目されている。ひよこ豆は、植物性たんぱく質を多く含む他、大豆に比べカロリーや脂質が少なくヘルシーであり、ビタミンB6、葉酸、食物繊維を多く含み、栄養価の高い素材で注目されつつある。
ひよこ豆の加工技術は開発段階である。例えば、特許文献1には、タンパク質脱アミド酵素を用いてひよこ豆ミルクを処理することによって、ひよこ豆ミルクの風味を改善する技術が開示されている。特許文献2には3つの酵素(プロテアーゼ、α-アミラーゼ、グルコシラーゼ)を同時に添加することでひよこ豆に含まれるタンパク質および澱粉を適度に酵素分解し、発酵で使用する炭素源および窒素源を提供し、ひよこ豆発酵乳の食感やレオロジー特性を改善することが記載されている。さらに増粘剤として山芋を使用することで、よりレオロジー特性を改善する技術が開示されている。
国際公開第2022/059754A1号 中国特許110200079号公報
ひよこ豆ミルク発酵乳の製造技術は開発段階であり、ひよこ豆ミルク発酵乳のテクスチャを改善する技術は他には見られていない。増粘剤等を使用せずに、より簡便に、均質で滑らかな食感であるひよこ豆ミルク発酵乳を製造するための新規の方法が求められていた。
そこで、本発明は、不定形の粒状物(以下、ダマという場合がある)がなく、均質で滑らかなひよこ豆ミルク発酵物を得ることができる新たな製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、ひよこ豆ミルクにイソアミラーゼ、アミラーゼ、プルラナーゼ、トリコデルマ属由来セルラーゼおよびペニバチルス属由来プロテアーゼからなる群から選択される1つ以上の酵素を添加して、乳酸菌発酵することにより、ダマがなく、均質で滑らかな食感であるひよこ豆ミルク発酵物を得ることができることを見出し、本発明を完成した。
(1)ひよこ豆ミルクを調製する第1工程と
ひよこ豆ミルク、乳酸菌と、を混合し、混合液を得る第2工程と、
上記混合液を発酵させる第3工程と、
を順次行うひよこ豆ミルク発酵物の製造方法であって、
第3工程が終了する前に、イソアミラーゼ、アミラーゼ、プルラナーゼ、トリコデルマ属由来セルラーゼおよびペニバチルス属由来プロテアーゼからなる群から選択される1つ以上の酵素を添加する工程(酵素添加工程)を行うことを特徴とするひよこ豆ミルク発酵物の製造方法。
(2)前記第1工程後から前記第2工程を開始するまで、前記ひよこ豆ミルクの保温温度が25~90℃である、(1)に記載のひよこ豆ミルク発酵物の製造方法。
(3)前記第1工程がひよこ豆に含まれるデンプンを糊化しない条件でひよこ豆ミルク側に抽出する工程である、(1)記載のひよこ豆ミルク発酵物の製造方法。
(4)前記第1工程が前記ひよこ豆ミルクに含まれる前記ひよこ豆由来のデンプンを、糊化しない条件で低分子化する工程である、(3)に記載のひよこ豆ミルク発酵物の製造方法。
(5)前記酵素添加工程を前記第2工程と同時に行うことを特徴とする(1)から(4)のいずれかに記載のひよこ豆ミルク発酵物の製造方法。
(6)前記イソアミラーゼの添加量が、前記ひよこ豆ミルクの全質量を基準として、0.1~10,000U/gである、(1)記載のひよこ豆ミルク発酵物の製造方法。
(7)前記プルラナーゼの添加量が、前記ひよこ豆ミルクの全質量を基準として、0.1~10,000U/gである、(1)に記載のひよこ豆ミルク発酵物の製造方法。
(8)前記アミラーゼの添加量が、前記ひよこ豆ミルクの全質量を基準として、0.001~20U/gである、(1)に記載のひよこ豆ミルク発酵物の製造方法。
(9)前記トリコデルマ属由来セルラーゼの添加量が、前記ひよこ豆ミルクの全質量を基準として、1~100U/gである、(1)に記載のひよこ豆ミルク発酵物の製造方法。
(10)前記ペニバチルス属由来プロテアーゼの添加量が、前記ひよこ豆ミルクの全質量を基準として、0.1~10U/gである、(1)に記載のひよこ豆ミルク発酵物の製造方法。
本発明によれば、ひよこ豆ミルクに各酵素を作用させたひよこ豆ミルク発酵物において、ダマがなく均質で滑らかな食感であるひよこ豆ミルク発酵乳を得ることができる製造方法を提供することができる。当該製造方法によれば、乳酸菌の発酵促進作用が認められ、発酵時間を短くすることができる。さらにビフィズス菌の増殖を促進することができる。
特に、ひよこ豆ミルクにイソアミラーゼを作用させたひよこ豆ミルク発酵物においては、牛乳ヨーグルト様のテクスチャであるひよこ豆ミルク発酵乳を得ることができる製造方法を提供することができる。
製造例1~4および比較例1のひよこ豆ミルク発酵物を撹拌した後、スプーンですくいとったときの外観写真である。 製造例5、6および比較例2のひよこ豆ミルク発酵物を撹拌した後、スプーンですくいとったときの外観写真である。 製造例1~4および比較例1のひよこ豆ミルク発酵物の破断強度解析結果である。 製造例5、6および比較例2のひよこ豆ミルク発酵物の破断強度解析結果である。 製造例1~4および比較例1のひよこ豆ミルク発酵物のテクスチャ解析結果である。 製造例5、6および比較例2のひよこ豆ミルク発酵物のテクスチャ解析結果である。 製造例1~6および比較例1、2のひよこ豆ミルク発酵物の発酵経過をグラフで示した図である。 製造例1~6および比較例1、2のひよこ豆ミルク発酵物の発酵経過を数値で示した図である。 製造例1、4および比較例1のひよこ豆ミルク発酵物発酵経過時のビフィズス菌数を示した図である。 製造例1、4および比較例1のひよこ豆ミルク発酵物発酵経過時のビフィズス菌数を示した図である。
<実施形態1>
本実施形態1(以下、本発明という場合がある)に係るひよこ豆ミルク発酵物の製造方法は、
ひよこ豆ミルクを調製する第1工程と、
ひよこ豆ミルクと、乳酸菌と、を混合し、混合液を得る第2工程と、
上記混合液を発酵させる第3工程と、
を順次行うひよこ豆ミルク発酵物の製造方法であって、
第1工程は、ひよこ豆ミルク中のデンプンを糊化する加熱工程を含み、前記加熱工程後から第2工程を開始するまでの間、温度低下によって糊化したデンプンがゲル化しないよう、一定の温度で保温することを特徴とする。さらに、上記第3工程が終了する前に、イソアミラーゼ、アミラーゼ、プルラナーゼ、トリコデルマ属由来セルラーゼおよびペニバチルス属由来プロテアーゼからなる群から選択される1つ以上の酵素を添加する工程(酵素添加工程)を行うことを特徴とする。上記酵素1種類の酵素を作用させることが好ましい。2種類以上を組み合わせて作用させるのでもよい。ひよこ豆ミルクに各酵素を作用させた後、当該酵素を失活させる工程を設けなくてもよい。イソアミラーゼ、アミラーゼ、プルラナーゼは、pH5~6で作用しやすく、酸性で活性が低下する。ペニバチルス属由来プロテアーゼは中性域で作用しやすく、酸性で失活する性質がある。乳酸菌によるひよこ豆ミルクの発酵が進むにつれpHが低下することに伴い、各酵素活性も減少する。第3工程の進行に伴い各酵素活性の低下が進み、ひよこ豆ミルク発酵物のpHによっては各酵素が失活する場合または機能しない状態で存在する場合もある。上記酵素を失活させる工程を設けなくてもクリーンラベルのひよこ豆ミルク発酵物を製造することができる場合もある。
(ひよこ豆)
ひよこ豆とは、マメ科ヒヨコマメ属(学名Cicer arietinum)の種子であり、ガルバンゾー、エジプト豆、チャナ豆などの名でも知られる。品種は、カーブリー種およびデーシー種が挙げられる、本発明では何れの種も用いることができる。
(ひよこ豆ミルク)
ひよこ豆ミルクとは、市販品であるひよこミルク、ひよこ豆ミルク粉末、ひよこ豆粉を水等に溶解したもの、ひよこ豆からの抽出物(固体でも液体であっても良い)を水等に溶解したもの、ひよこ豆タンパク(固体でも液体であっても良い)を水等に溶解したものならびに必要に応じて添加物を加えたものを使用しても良い。本発明におけるひよこ豆ミルクは、ひよこ豆を水に浸漬後物理破砕することで、たんぱく質やその他の成分を溶出させ、繊維質を除去して得られた乳状の液体をいう。
ひよこ豆はレクチン等を含むため、摂食にあたり加熱が必要であり、ひよこ豆ミルク調製工程中に加熱処理を行う。本発明では繊維質を除去して得られた乳状の液体を加熱するのが好ましい。
(ひよこ豆ミルクの加熱温度)
ひよこ豆ミルクの加熱処理は、デンプンが糊化する温度以上である必要があり、70℃以上であることが好ましく、80℃以上であることがより好ましく、90℃以上であることが更に好ましく、100℃以上(沸騰温度)であることが特に好ましい。本発明では、ゲル化剤や増粘剤等を使用せずに、デンプンの糊化を利用してひよこ豆ミルク発酵物をゲル化させることが特徴であり、糊化させる加熱工程は重要である。
(ひよこ豆ミルクの保温温度)
ひよこ豆ミルクは、前記加熱工程によりデンプンが糊化し、温度の低下に伴いゲル化または固化し、発酵が困難となる。そのため、ひよこ豆ミルクの加熱殺菌後は、粗熱を取った後、乳酸菌添加する第2工程までの間、ゲル化を防ぐために保温する。ひよこ豆ミルクの保温温度は、25~90℃であることが好ましく、30~80℃であることがより好ましく、35~70℃であることが更に好ましく、35~60℃であることが特に好ましい。本発明では、ゲル化剤や増粘剤等を使用せずに、デンプンの糊化を利用してひよこ豆ミルク発酵物をゲル化させることが特徴であり、ひよこ豆ミルクの保温工程は重要である。
加熱殺菌後におけるひよこ豆ミルクのゲル化を防ぐ方法としては、加熱殺菌前にひよこ豆ミルクに含まれるデンプンを低分子化する方法がある。デンプンを低分子化する方法は特に制限されないが、例えば、アミラーゼを使用する方法がある。
(でんぷん量)
ひよこ豆ミルクに含まれるデンプン量は、0.1~30質量%であることが好ましく、0.5~25質量%であることがより好ましく、1~20質量%であることがさらに好ましい。ひよこ豆以外の植物性物質を選択する場合は、デンプン量を指標にすることができる。ひよこ豆に含まれるデンプン量が少ないと、ひよこ豆ミルクは凝固しにくくなり、ひよこ豆ミルク発酵物が液体状になりやすくなる。ひよこ豆に含まれるデンプン量が多くなるにつれ、ひよこ豆ミルクが凝固しやすくなり、ひよこ豆ミルク発酵物のゲル強度が向上しダマが生じやすくなる。
(酵素添加のタイミング)
各酵素添加工程は、第2工程の前または第2工程と略同時から選択される1つ以上のタイミングで行うことが好ましい。2以上のタイミングで行うことも可能である。各酵素添加後に、ひよこ豆ミルクに含まれるデンプンやたんぱく質が分解される。
本発明においては、第2工程と略同時に各酵素添加工程を行うことが好ましい。略同時とは、使用する乳酸菌の生育速度によって変化する相対的なものであって、使用する乳酸菌が誘導期に該当することを意味する。使用する乳酸菌が複数存在する場合、その少なくとも一つが誘導期に該当すればよい。使用する乳酸菌が誘導期に該当する時期に各酵素添加工程を行うことで、乳酸菌によるひよこ豆ミルクの発酵速度が向上する。各酵素添加工程を第2工程と略同時に行うことで、既存の発酵乳製造工程を変更せずに製造できるため、より簡便なひよこ豆発酵乳製造工程を提供することができる。
(イソアミラーゼ)
イソアミラーゼは、グリコーゲン、デンプン(アミロペクチン)、デキストリンの側鎖のα―1,6グルコシド結合を加水分解する反応を触媒する酵素である。イソアミラーゼは、pH5.0~8.0で安定であり、至適pHは5.5~6.0である。温度は、54℃以下で安定であり、至適温度は45℃~50℃である。
(イソアミラーゼの由来)
イソアミラーゼの種類や由来は特に限定されない。微生物としては、例えばFlavobacterium属、Pseudomonas属、Bacillus属が挙げられる。具体的には、Flavobacterium odoratum、Pseudomonas amyloderamosa、Bacillus amyloliquefaciensが挙げられる。イソアミラーゼとしては、市販品を用いることもでき、好ましい市販品の例として、合同酒精株式会社製のイソアミラーゼGODO-FIAが挙げられる。
(イソアミラーゼの製法)
本発明に使用されるイソアミラーゼは、従来の一般的な方法で微生物から回収され、精製されたものであることができる。従って、当該イソアミラーゼの生産は、遺伝子組換えまたは非遺伝子組換えによって実施することができる。例えばFlavobacterium odoratumを培地等で培養し、培養物からろ過または遠心した培養上清として得ることができる。Flavobacterium odoratumの有効成分(タンパクおよび遺伝子)を同定し、その遺伝子を他の微生物に組み替えて生産しても良い。また、得られた培養上清液をカラムクロマトグラフィーや硫安分画などによって適宜精製して用いることもできる。得られた酵素液の形状は液状の他、スプレードライや凍結乾燥により粉末状にしても良い。その際には日常的に用いられる安定剤や賦形剤を添加しても良い。
(イソアミラーゼの添加量)
イソアミラーゼの添加量は、ひよこ豆ミルクの全質量を基準として、0.1~10,000U/gの範囲で添加することが好ましく、0.5~8,000U/gの範囲で添加することがより好ましく、1~5,000U/gの範囲で添加することが更に好ましく、1.5~2,000U/gの範囲で添加することが特に好ましい。本範囲内であれば、ひよこ豆ミルク発酵物のダマが減少し、表面および全体が柔らかく、食感が滑らかになり、さらに発酵促進効果やビフィズス菌の増殖効果が得られるからである。イソアミラーゼの添加量が少ないとひよこ豆ミルク発酵物のダマが残りやすく、イソアミラーゼの添加量が多くなるほどダマがなくなり滑らかになる。
(イソアミラーゼ活性の定義と方法)
上記のイソアミラーゼの添加量(酵素量)は、以下の方法により定義される酵素量1.0Uに基づいて酵素重量当たりの酵素活性として算出することができる。50mM酢酸緩衝液(pH6.0、20mMCaCl含有)100μLに0.5%ワキシーコーンスターチ水溶液350μLを添加し、45℃で5分加温後、酵素希釈液100μLを添加し、45℃で15分間させる。0.1mol/Lヨウ化カリウム-0.01mol/Lヨウ素-0.08N塩酸混合溶液500μLを加えて反応を停止し、室温で15分間放置した後、水を10mL加え、610nmの吸光度を測定する。この条件下で1分間に吸光度0.01を増加させる酵素量を1U(Unit)と定義する。
(プルラナーゼ)
プルラナーゼは、pH5.0~9.0で安定であり、至適pH5.5~6.0である。温度は、70℃以下で安定であり、至適温度は40~60℃である。
(プルラナーゼの由来)
プルラナーゼの種類や由来は特に限定されない。微生物としては、例えば、Klebsiella属、Streptococcus属、Lactobacillus属、Bacillus属、Paenibacillus属、Streptomyces属、Pseudomonas属、Nocardia属、Micrococcus属が挙げられる。具体的には、例えばBacillus subtilis、Bacillus cereus、Paenibacillus polymyxa、Klebsiella pneumoniaeが挙げられる。プルラナーゼとしては、市販品を用いることもでき、好ましい市販品の例として、Novozyme社製および天野エンザイム株式会社製のプルラナーゼが挙げられる。
(プルラナーゼの製法)
本発明に使用されるプルラナーゼは、従来の一般的な方法で微生物から回収され、精製されたものであることができる。従って、当該プルラナーゼの生産は、遺伝子組換えまたは非遺伝子組換えによって実施することができる。例えばKlebsiella pneumoniaeを培地等で培養し、培養物からろ過または遠心した培養上清として得ることができる。Klebsiella pneumoniaeの有効成分(タンパクおよび遺伝子)を同定し、その遺伝子を他の微生物に組み替えて生産しても良い。また、得られた培養上清液をカラムクロマトグラフィーや硫安分画などによって適宜精製して用いることもできる。得られた酵素液の形状は液状の他、スプレードライや凍結乾燥により粉末状にしても良い。その際には日常的に用いられる安定剤や賦形剤を添加しても良い。
(プルラナーゼの添加量)
プルラナーゼの添加量は、ひよこ豆ミルクの全質量を基準として、0.1~10,000U/gの範囲で添加することが好ましく、0.5~8,000U/gの範囲で添加することがより好ましく、1~5,000U/gの範囲で添加することが更に好ましく、1.5~2,000U/gの範囲で添加することが特に好ましい。本範囲内であれば、ひよこ豆ミルク発酵物のダマが減少し、表面および全体が柔らかく、食感が滑らかになり、さらに発酵促進効果やビフィズス菌の増殖効果が得られるからである。プルラナーゼの添加量が少ないとひよこ豆ミルク発酵物のダマが残りやすく、プルラナーゼの添加量が多くなるほどダマがなくなり滑らかになる。
(プルラナーゼ活性の定義と方法)
上記プルラナーゼの添加量(酵素量)は、以下の方法により定義される酵素量1.0Uに基づいて酵素重量当たりの酵素活性として算出することができる。50mM酢酸緩衝液(pH6.0、20mMCaCl含有)100μLに0.5%ワキシーコーンスターチ水溶液350μLを添加し、45℃で5分加温後、酵素希釈液100μLを添加し、45℃で15分間させる。0.1mol/Lヨウ化カリウム-0.01mol/Lヨウ素-0.08N塩酸混合溶液500μLを加えて反応を停止し、室温で15分間放置した後、水を10mL加え、610nmの吸光度を測定する。この条件下で1分間に吸光度0.01を増加させる酵素量を1U(Unit)と定義する。
(アミラーゼ)
アミラーゼは、pH5.0~10.0で安定であり、至適pH5.0~7.0である。温度は、80℃以下で安定であり、至適温度は、60℃~80℃である。
(アミラーゼの由来)
アミラーゼの種類や由来は特に限定されない。アミラーゼとしては、市販品を用いることもでき、好ましい市販品の例として、天野エンザイム株式会社製のBacillus amyloliquefaciens由来アミラーゼが挙げられる。
(アミラーゼの製法)
本発明に使用されるアミラーゼは、従来の一般的な方法で微生物から回収され、精製されたものであることができる。従って、当該アミラーゼの生産は、遺伝子組換えまたは非遺伝子組換えによって実施することができる。例えばBacillus amyloliquefaciensを培地等で培養し、培養物からろ過または遠心した培養上清として得ることができる。Bacillus amyloliquefaciensの有効成分(タンパクおよび遺伝子)を同定し、その遺伝子を他の微生物に組み替えて生産しても良い。また、得られた培養上清液をカラムクロマトグラフィーや硫安分画などによって適宜精製して用いることもできる。得られた酵素液の形状は液状の他、スプレードライや凍結乾燥により粉末状にしても良い。その際には日常的に用いられる安定剤や賦形剤を添加しても良い。
(アミラーゼの添加量)
アミラーゼの添加量は、ひよこ豆ミルクの全質量を基準として、0.001~20U/gの範囲で添加することが好ましく、0.005~15の範囲で添加することがより好ましく、0.01~10の範囲で添加することが更に好ましい。本範囲内であれば、ひよこ豆ミルク発酵物のダマが減少し、食感が滑らかになり、さらさらとした液体状になるからである。アミラーゼの添加量が少ないとひよこ豆ミルク発酵物のダマが残りやすく、アミラーゼの添加量が多くなるほどダマがなくなり、滑らかなゲル状やさらさらとした液体状になる。
(アミラーゼ活性の定義と方法)
上記のアミラーゼの添加量(酵素量)は、以下の方法により定義される酵素量1.0Uに基づいて酵素重量当たりの酵素活性として算出することができる。1%バレイショデンプン水溶液(pH7.0)10mLを37℃で10分間加温した後、酵素希釈液1mLを添加し、37℃で10分間反応後、この液1mLを別に用意した0.1M塩酸10mLに加える。次にこの液0.5mLに0.0002Mヨウ素液10mLを加え、660nmの吸光度を測定する。この条件下で1分間にデンプンのヨウ素による青色を10%減少させる酵素量を1U(Unit)と定義する
(セルラーゼとプロテアーゼ)
セルラーゼは、例えばトリコデルマ属由来セルラーゼを用いることができ、好ましい市販品の例として、合同酒精株式会社製GODO セルラーゼFが挙げられる。プロテアーゼ は、例えばバチルス属およびペニバチルス属由来プロテアーゼを用いることができる。ペニバチルス属は旧来バチルス属に分類されていたが、近年再分類され、新たな属として提案された属である。好ましい市販品の例として、合同酒精株式会社製ADMILが挙げられる。
(セルラーゼとプロテアーゼの添加量)
セルラーゼの添加量は、ひよこ豆ミルクの全質量を基準として、1~100U/gの範囲で添加することが好ましく、5~50U/gの範囲で添加することがより好ましい。プロテアーゼの添加量は、ひよこ豆ミルクの全質量を基準として、0.1~10U/gの範囲で添加することが好ましく、0.5~5.0の範囲で添加することがより好ましい。
(セルラーゼ活性の定義と方法)
上記のセルラーゼの添加量(酵素量)は、以下の方法により定義される酵素量1.0Uに基づいて酵素重量当たりの酵素活性として算出することができる。酵素液をカルボキシメチルセルロースナトリウム(CMC)5mgに作用させ、0.05Mクエン酸緩衝液(pH4.8)中で50℃、30分間の条件で生成する還元糖の量をジニトロサリチル酸法により測定した場合に、1分間に1μモルのグルコースに相当する還元糖を生成する酵素量を1U(Unit)と定義する。
(プロテアーゼ活性の定義と方法)
上記のプロテアーゼの添加量(酵素量)は、以下の方法により定義される酵素量1.0Uに基づいて酵素重量当たりの酵素活性として算出することができる。0.6%カゼイン水溶液(pH7.5、2mM酢酸カルシウム含有50mMトリス塩酸緩衝液)に酵素希釈液1mLを添加し、30℃で10分間反応後、トリクロロ酢酸試薬(pH4.0、1.8%無水酢酸ナトリウム、1.8%トリクロロ酢酸、1.98%酢酸)5mLを加えて反応を停止し、更に30℃で30分静置し、濾過後、275nmの吸光度を測定する。この条件下で1分間に1μgのチロシンに相当するアミノ酸を遊離する酵素量(酵素活性)を1U(Unit)と定義する。
(乳酸菌スターター)
本発明のひよこ豆ミルク発酵物は、その製造方法において乳酸菌スターターを用いる。本発明において、使用する乳酸菌としては、特に限定はされないが、例えば、Lactobacillus.delbrueckii subsp. bulgaricus, Streptococcus hermophilus,Lactobacillus casei,Lactobacillus paracaseiなど従来使用されている乳酸菌が使用できる。これら乳酸菌スターターの入手方法としては、一般に流通している市販品を購入することができるし、独自に分離した菌株を使用することもできる。尚、同一種の乳酸菌を複数組み合わせて使用しても、或いは、異なる種の乳酸菌を複数組み合わせて使用してもよい。また、スターターと同時にビフィズス菌などのプロバイオティクス菌を同時に添加して使用してもよい。ビフィズス菌は増殖しにくい性質があるため、ひよこ豆ミルク発酵物中でビフィズス菌が増殖することは有利な効果である
(乳酸菌スターターの添加量)
乳酸菌スターターの添加量としては、特に限定はされない。一般的な量を添加することができる。例えば、クリスチャン・ハンセン社凍結乾燥スターターを使用する場合、ひよこ豆ミルクを基準として、0.1~0.5mg/gであるが、乳酸菌の生育が可能な添加量であれば、添加量は特に限定されない。
(任意成分)
本発明のひよこ豆ミルク発酵物には、必要に応じ、各種成分を添加することができる。具体例としては、ひよこ豆ミルク発酵物の安定化に寄与する金属塩類、各種糖類、アスコルビン酸、グリセリン等、使い勝手をよくするための賦形剤である澱粉、デキストリン、緩衝作用を有する無機塩類、乳由来成分である乳糖、乳清、乳タンパク類、ゲル化剤である寒天、ゼラチン、ペクチン等、ひよこ豆ミルクの濃度調整に使用する水、植物からの抽出物(液状、固体、粉末)を挙げることができる。
(他酵素)
本発明のひよこ豆ミルク発酵物の製造方法においては、液状、粉末状等の各種酵素製品を添加することもできる。この酵素製品は特に限定されないが、例えば、ラクターゼ、グルコースイソメラーゼ、グルコースオキシダーゼ、トランスグルタミナーゼ、リパーゼ、イヌリナーゼから選択される1種または複数種であり、市販の製品を用いることができる。
上記の酵素製品は、ひよこ豆ミルクに各酵素を添加するときと略同時に添加すればよい。
(ひよこ豆ミルク発酵物の性質)
<食感の評価>
本発明で得られるひよこ豆ミルク発酵物の有する食感(なめらかさ、粘性)、硬度の評価(破断強度解析)については、株式会社山電社製、クリープメータ(RE2-33005C)を使用した物性値に基づいて行うことができる。
(なめらかさ)
食感における「なめらかさ」については、クリープメータによる波形の直線性に基づき、評価をすることができる。より波形に乱れがない(直線に近い)ことにより、食感として、よりなめらかであるといえる。
(粘性)
粘性(糸引き性:テクスチャ解析)については目視および後述するプランジャ上昇時の接線の傾きで評価できる。接線の傾きがより小さくなれば、ひよこ豆ミルク発酵物がより粘性を有し、より濃厚感を有し、ひよこ豆ミルク発酵物に口中でよりまとまる感覚を付与できると考えられる。
(硬度)
本発明で得られるひよこ豆ミルク発酵物の硬度は、後述する破断強度解析により、評価することができる。具体的な物性値として、カードをくずさずクリープメータによりプランジャを押し下げた場合に、カードが崩れる時点の荷重(N)を「破断点」(クリープメータにより自動計算される値)として、その硬度を評価することが可能である。
(ひよこ豆ミルク発酵物の製造方法)
本発明のひよこ豆ミルク発酵物の製造方法は、ひよこ豆ミルクを調製する第1工程と、ひよこ豆ミルクと、乳酸菌と、を混合し、混合液を得る第2工程と、混合液を発酵させる第3工程と、を順次行い、第3工程が終了する前に、前記原料乳および/または前記混合液にイソアミラーゼ、アミラーゼ、プルラナーゼ、トリコデルマ属由来セルラーゼおよびペニバチルス属由来プロテアーゼからなる群から選択される酵素を添加する工程(酵素添加工程)を含むものであればよく、具体的な製造方法は特に限定されない。例えば、その製造方法は、(1)ひよこ豆を水に浸漬後に物理破砕し、ろ過して固形分を取り除いた後、加熱し保温する、(2)ひよこ豆ミルクに乳酸菌スターターとイソアミラーゼ、プルラナーゼ、またはアミラーゼを所定の濃度で同時に添加し撹拌する、(3)得られた混合液をガラス容器に分注し、43℃で4~5時間発酵させる、(4)得られたひよこ豆ミルク発酵物は1日以上4~5℃で冷蔵保存する、等の工程を含むものである。
(ひよこ豆ミルク発酵物の用途)
ひよこ豆ミルク発酵物を破砕し、液状化したひよこ豆ミルク発酵飲料としてもよい。
<実施形態2>
本実施形態2は、ひよこ豆ミルクの製造技術は開発段階であり、ひよこ豆ミルクを加熱すると糊化する問題があり、さらさらとした性状のひよこ豆ミルクを得ることができない問題があった。本実施形態2は、これを改善する方法を提供することを目的とする。
本実施形態2に係るひよこ豆ミルクの製造方法(以下、本発明2という場合がある)は、ひよこ豆に含まれるデンプンを糊化しない条件で抽出し、アミラーゼ処理することを一特徴とする。すなわち、本発明2は、ひよこ豆またはひよこ豆破砕物に溶媒を加える第1の工程と、ひよこ豆に含まれるデンプンを抽出し、当該デンプンを含むひよこ豆分散液を得る第2の工程と、当該ひよこ豆分散液にアミラーゼを添加する第3の工程と、当該ひよこ豆分散液に含まれるデンプンをアミラーゼで分解する第4の工程と、を有し、上記第1の工程から第4の工程における処理温度がひよこ豆またはひよこ豆分散液に含まれるデンプンが糊化しない温度であることを特徴とする。第4の工程終了後は、デンプンが分解されており糊化しないため、加熱殺菌しても良い。
本発明2によれば、ひよこ豆に含まれるデンプンが糊化しない条件で当該デンプンをアミラーゼで分解するため、さらさらとした性状のひよこ豆ミルクを得ることができる。ここで、ひよこ豆またはひよこ豆分散液に含まれるデンプンを糊化する条件で当該デンプンにアミラーゼを加えると、デンプンの糊化と分解が同時に起こることによって、ひよこ豆ミルクの品質が不安定になる恐れがあり、好ましくない。
(糊化しない条件)
糊化しない条件とは、例えば温度である。温度範囲は、当該デンプンが糊化しない温度であれば制限されない。当該デンプンが糊化する温度は65~70℃であるところ、前記温度範囲を1~60℃の範囲内にあることが好ましく、5~55℃の範囲内にあることが好ましく、10~50℃の範囲内にあることがより好ましく、15~45℃の範囲内にあることが特に好ましい。
(デンプンの低分子化)
デンプンを低分子化する方法は特に制限されないが、アミラーゼを使用する方法がある。アミラーゼを作用させる温度は前記糊化しない条件の温度範囲が好ましい。
市販されているアミラーゼは、糖製造に使用されることが多く、高温での使用を想定し耐熱性(例えば70℃以上)を有するものが多い。至適温度が高温側にあるアミラーゼを反応速度に劣る低温側(上記温度範囲)で使用することで、本発明2に係る効果が得られることは意外であった。
(アミラーゼの添加量)
アミラーゼの添加量は、ひよこ豆分散液の全質量を基準として、0.001~20U/gの範囲で添加することが好ましく、0.005~15の範囲で添加することがより好ましく、0.01~10の範囲で添加することが更に好ましく、0.05~4の範囲で添加することが特に好ましい。本範囲内であれば、さらさらとした性状のひよこ豆ミルクを安定的に得ることができる。
(溶媒)
ひよこ豆またはひよこ豆破砕物に加える溶媒は、食品として使用することができるものであれば特に制限されない。例えば、水溶性の溶媒、水であり、水に塩等の添加物を加えたもの、緩衝作用を有する水溶性の溶媒を使用しても良い。
(pH)
第4の工程におけるpHは3.0~10.0の範囲内であることが好ましく、4.0~9.0の範囲内であることがより好ましく、5.0~8.0の範囲内にあることがさらに好ましい。これらの範囲であれば、ひよこ豆分散液に含まれるデンプンをアミラーゼにより分解することができる。
(添加物)
本発明2のひよこ豆ミルクに必要に応じて塩や糖を含む調味液を添加してもよいし、所望の栄養材料を添加しても良い。これらも本発明2のひよこ豆ミルクに含まれる。
本発明2のひよこ豆ミルクを容器詰めした容器詰めひよこ豆ミルクとしてもよい。
<実施形態3>
本実施形態3に係るひよこ豆ミルク発酵物の製造方法(以下、本発明3という場合がある)は、実施形態2に係るひよこ豆ミルクを使用し、当該ひよこ豆ミルクを乳酸菌により発酵させたことを一特徴とする。
本発明3で使用するひよこ豆ミルクには、ひよこ豆由来のデンプンが分解されているため、そのままの状態で発酵させてもゲル化することはない。ひよこ豆ミルク発酵物をゲル化したい場合は、当該ひよこ豆ミルクにペクチン等のゲル化剤や増粘剤を含有させて発酵すればよい。
本発明3に、実施形態1の材料および方法を全て使用することができる。
以下、実施例および比較例によって、本発明(本発明2および本発明3を含む)を説明するが、本発明(本発明2および本発明3を含む)は実施例、比較例に限定されるものではない。
≪ひよこ豆ミルク発酵物の製造≫
<製造例1>
(材料)
ひよこ豆:アメリカ産、波里 ひよこ豆 900g ガルバンゾー 業務用
イソアミラーゼ:商品名 GODO-FIA (合同酒精株式会社製、Flavobacterium odoratum由来)
乳酸菌スターター:乳酸菌粉末FD-DVS YF-L812 Yo-Flex(クリスチャン・ハンセン社製:Lactobacillus.delbrueckii subsp.およびStreptococcus.thermophilusの混合である)。
ビフィズス菌:Bifidobacterium animalis ssp. lactis BB12株(クリスチャンハンセン社製)
(製造方法)
ひよこ豆に6倍量の水を加え、10℃で一晩浸漬した。浸漬液を廃棄し、新たに3倍量の水をひよこ豆に加え、ブレンダー(デロンギ・ジャパン株式会社製 商品名:ブラウン マルチクイック7)を用いて1分30秒間破砕し、ひよこ豆破砕液を得た。ひよこ豆破砕液を布製の袋で濾した後、鍋に移し、目盛9に設定したIHクッキングヒーター(Panasonic株式会社製 商品名:KZ―D60KM)で7分間加熱し、ひよこ豆ミルクを得た。ひよこ豆ミルクを滅菌済みガラス容器に入れ、43℃程度に冷ました後、乳酸菌スターターYF-L812と、ビフィズス菌BB12と、Fイソアミラーゼを同時に添加した。ひよこ豆ミルクを基準としたとき、スターター添加濃度は0.1mg/g、BB12添加濃度は0.05mg/g、イソアミラーゼ添加濃度は5.5(U/g)、または55(U/g)、または1373(U/g)とした(いずれも終濃度)。続いて、ガラス容器(東洋ガラス社製、容量90mL)に分注し、43℃で4~5時間、pHが4.6付近に達するまで発酵した。発酵調製物は1日以上冷蔵保存(4~5℃)し、製造例1のひよこ豆ミルク発酵物を得た。
<製造例2>
イソアミラーゼの代わりにプルラナーゼ(Sigma-Aldrich製、商品名:プルラナーゼ Microbial、以下Bプルラナーゼという)を使用し、添加濃度を5.5(U/g)とした以外は、製造例1と同様にして、製造例2のひよこ豆ミルク発酵物を得た。
<製造例3>
イソアミラーゼの代わりにプルラナーゼ(天野エンザイム株式会社製、商品名:プルラナーゼ 「アマノ」3、以下Kプルラナーゼという)を使用し、添加濃度を5.5(U/g)とした以外は、製造例1と同様にして、製造例3のひよこ豆ミルク発酵物を得た。
<製造例4>
イソアミラーゼの代わりにアミラーゼ(天野エンザイム株式会社製、商品名:クライスターゼL1)を使用し、添加濃度を0.018(U/g)、0.18(U/g)または4.5(U/g)とした以外は、製造例1と同様にして、製造例4のひよこ豆ミルク発酵物を得た。
<製造例5>
(材料)
ひよこ豆:アメリカ産、波里 ひよこ豆 900g ガルバンゾー 業務用
プロテアーゼ:合同酒精株式会社製、商品名:ADMIL
乳酸菌スターター:乳酸菌粉末FD-DVS YF-L812 Yo-Flex(クリスチャン・ハンセン社製:Lactobacillus.delbrueckii subsp.およびStreptococcus.thermophilusの混合である)。
ビフィズス菌:Bifidobacterium animalis ssp. lactis BB12株(クリスチャンハンセン社製)
ペクチン:LMタイプペクチン25%、グラニュー糖74%、乳酸カルシウム1%の混合製剤、共立食品社製
アミラーゼ:天野エンザイム株式会社製、商品名 クライスターゼL1
(製造方法)
ひよこ豆に6倍量の水を加え、10℃で一晩浸漬した。浸漬液を廃棄し、新たに3倍量の水をひよこ豆に加え、ブレンダー(デロンギ・ジャパン株式会社製 商品名:ブラウン マルチクイック7)を用いて4分間破砕し、ひよこ豆破砕液を得た。ひよこ豆破砕液にアミラーゼを添加し、常温で1時間反応させた。ひよこ豆破砕液を基準とした時、アミラーゼ添加濃度は0.9(U/g)とした。ひよこ豆破砕物を金ざるで濾し、蒸留水を用いて金ざる上の固形分を洗いこんだ。別途、ペクチン含量として2%(w/w)になるようにペクチン溶液を調製し、これをひよこ豆破砕物濾液の0.75倍量加えた。この混合物を鍋に移し、目盛4に設定したIHクッキングヒーター(Panasonic株式会社製 商品名:KZ―D60KM)で7分間30秒間加熱し、ひよこ豆ミルクを得た。ひよこ豆ミルクを滅菌済みガラス容器に入れ、冷ました後、乳酸菌スターターYF-L812と、ビフィズス菌BB12と、プロテアーゼを同時に添加した。ひよこ豆ミルクを基準としたとき、スターター添加濃度は0.1mg/g、BB12添加濃度は0.05mg/g、プロテアーゼ添加濃度は1.0(U/g)とした(いずれも終濃度)。続いて、ガラス容器(東洋ガラス社製、容量90mL)に分注し、43℃で4~5時間、pHが4.6付近に達するまで発酵した。発酵調製物は1日以上冷蔵保存(4~5℃)し、製造例5のひよこ豆ミルク発酵物を得た。
<製造例6>
プロテアーゼの代わりにセルラーゼ(合同酒精株式会社製、商品名:GODO セルラーゼF)を使用し、添加濃度を22(U/g)とした以外は、製造例と同様にして、製造例6のひよこ豆ミルク発酵物を得た。
<製造例7>
ペクチンを使用せず、乳酸菌添加工程以降を実施しなかった以外は、製造例5と同様にして、製造例7のひよこ豆ミルクを得た。
<比較例1~2>
イソアミラーゼまたはプロテアーゼを使用しなかった以外は、製造例1、5と同様にして、比較例1~2のひよこ豆ミルク発酵物を得た。
≪評価≫
<試験例1(ひよこ豆ミルクの外観)>
製造例1および製造例7で調製した常温状態のひよこ豆ミルクの外観を目視で確認した。製造例1のひよこ豆ミルクは、ダマを多く含むゲル状態、または固化状態であるのに対し、製造例7のひよこ豆ミルクは、ダマがなく、さらさらとした液体状であった。
<試験例2(ひよこ豆ミルク発酵物の外観)>
製造例1~6および比較例1~2のひよこ豆ミルク発酵物の外観を目視で確認した。比較例1~2のひよこ豆ミルク発酵物にはダマを多数確認した。これに対し、製造例1~4のひよこ豆ミルク発酵物は滑らかな状態で存在し、ダマはほとんど確認することはできなかった。製造例1~6および比較例1~2のひよこ豆ミルク発酵物を均一になるよう撹拌した後、スプーンですくいとったときの外観写真を図1(製造例1~4および比較例1)および図2(製造例5~6および比較例2)に示した。ただし、製造例4でアミラーゼを0.18U/g以上加えた場合には、ゲル化は起こらなかった。
<試験例3(食感についての物性評価)>
(破断強度解析)
製造例1~6および比較例1~2のひよこ豆ミルク発酵物について、物性の測定を行った。物性の測定は、山電社製のクリープメータ(RE2-33005C)を使用して行った。破断強度解析は、カードを崩さずに行った。製造例1~4および比較例1の結果を図3に、製造例5~6および比較例2の結果を図4に示した。破断強度解析においては、プランジャの圧入速度を1mm/s、サンプル厚さを30mm、プランジャ形状を径16mmの円柱型(治具 No.3)、測定歪率を50%、ロードセルの規格を2Nに設定した。
図3に示されるように、イソアミラーゼ、Bプルラナーゼ、Kプルラナーゼ、アミラーゼを添加するとひよこ豆ミルク発酵物の破断に係る荷重(応力)が小さくなっていることから、当該ひよこ豆ミルク発酵物の表面および全体が柔らかくなっていることが分かる。酵素無添加の比較例1のひよこ豆ミルク発酵物は、製造例1~4に比べると硬く、荷重の高低差も大きいことが分かる。一方、イソアミラーゼ、Bプルラナーゼ、Kプルラナーゼ、アミラーゼを添加すると荷重の変動が小さく、食感がなめらかになると解される。
図4に示されるように、プロテアーゼまたはセルラーゼを添加するとひよこ豆ミルク発酵物の破断に係る荷重(応力)が小さくなっていることから、当該ひよこ豆ミルク発酵物の表面および全体が柔らかくなっていることが分かる。酵素無添加の比較例2のひよこ豆ミルク発酵物は、製造例5~6に比べると硬く、カード内部の硬さにムラがある(細かい点線の凸凹波形)ことが分かる。一方、プロテアーゼ(粗い点線の波形)またはセルラーゼ(実線の波形)を添加するとカード内部の硬さのムラが減少し、食感がなめらかになると解される。
(テクスチャ解析)
テクスチャ解析は、スプーンでひよこ豆ミルク発酵物を撹拌した後、専用カップに入れて測定した。撹拌は、テクスチャ解析においては、プランジャの圧入速度を5mm/s、サンプル厚さを15mm、プランジャ形状を径16mmの円柱型(治具 No.3)、測定歪率を66.66%、ロードセルの規格を2Nに設定した。この設定により、テクスチャ解析では、プランジャをカード内に10mm挿入し、続いてプランジャを上昇させ、プランジャへの荷重変化が測定された。製造例1~4および比較例1の結果を図5に、製造例5~6および比較例2の結果を図6に示した。プランジャの挿入により増加した荷重は、プランジャの上昇に伴いマイナス値を示し、イソアミラーゼ、Bプルラナーゼ、アミラーゼを添加した場合、酵素無添加と比較して付着性(荷重ゼロ以下の面積)が減少した。但し、Kプルラナーゼを使用した場合は、付着性が増加傾向にあった。
<試験例4(発酵促進作用の評価)>
製造例1~6および比較例1~2のひよこ豆ミルク発酵物を製造するまでの間、1時間ごとにpHを測定した。測定結果を図7、図8(製造例1~4および比較例1、製造例5~6および比較例2)に示した。
酵素を使用した製造例1~6のひよこ豆ミルク発酵物において、pHが下がりやすくなる傾向を確認した。特に、製造例1でイソアミラーゼを55U/g、1473U/g使用した場合、製造例3、製造例5、製造例6では発酵時間(pHが4.6に達するまでの時間)が15分間~30分間短縮した。
<試験例5(ビフィズス菌増殖効果の評価)>
製造例1と製造例4で、イソアミラーゼまたはアミラーゼを5.5U/gまたは55U/g添加した場合、および比較例1において、ひよこ豆ミルク発酵物を製造するまでの間、発酵開始時、発酵2時間目、発酵終了時のひよこ豆発酵物中のビフィズス菌数を測定した。TOSプロピオン酸寒天培地(ヤクルト薬品工業株式会社製)を用いて、嫌気条件下で混釈培養を37℃で48~72時間行い、ビフィズス菌のコロニーを数えることによって測定した。
製造例1と製造例4で、イソアミラーゼまたはアミラーゼを5.5U/g添加した場合および比較例1の結果を図8に、製造例1と製造例4でイソアミラーゼまたはアミラーゼを55U/g添加した場合および比較例1の結果を図9に示した。製造例1では、イソアミラーゼを5.5U/g添加することでビフィズス菌数が67%増加し、イソアミラーゼを55U/g添加することでビフィズス菌数が69%増加した。製造例1では、アミラーゼを5.5U/g添加することでビフィズス菌数が32%増加し、アミラーゼを55U/g添加することでビフィズス菌数が49%増加した。

Claims (10)

  1. ひよこ豆ミルクを調製する第1工程と
    ひよこ豆ミルク、乳酸菌と、を混合し、混合液を得る第2工程と、
    上記混合液を発酵させる第3工程と、
    を順次行うひよこ豆ミルク発酵物の製造方法であって、
    第3工程が終了する前に、イソアミラーゼ、アミラーゼ、プルラナーゼ、トリコデルマ属由来セルラーゼおよびペニバチルス属由来プロテアーゼからなる群から選択される1つ以上の酵素を添加する工程(酵素添加工程)を行うことを特徴とするひよこ豆ミルク発酵物の製造方法。
  2. 前記第1工程後から前記第2工程を開始するまで、前記ひよこ豆ミルクの保温温度が25~90℃である、請求項1に記載のひよこ豆ミルク発酵物の製造方法。
  3. 前記第1工程がひよこ豆に含まれるデンプンを糊化しない条件でひよこ豆ミルク側に抽出する工程である、請求項1記載のひよこ豆ミルク発酵物の製造方法。
  4. 前記第1工程が前記ひよこ豆ミルクに含まれる前記ひよこ豆由来のデンプンを、糊化しない条件で低分子化する工程である、請求項3に記載のひよこ豆ミルク発酵物の製造方法。
  5. 前記酵素添加工程を前記第2工程と同時に行うことを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載のひよこ豆ミルク発酵物の製造方法。
  6. 前記イソアミラーゼの添加量が、前記ひよこ豆ミルクの全質量を基準として、0.1~10,000U/gである、請求項1記載のひよこ豆ミルク発酵物の製造方法。
  7. 前記プルラナーゼの添加量が、前記ひよこ豆ミルクの全質量を基準として、0.1~10,000U/gである、請求項1に記載のひよこ豆ミルク発酵物の製造方法。
  8. 前記アミラーゼの添加量が、前記ひよこ豆ミルクの全質量を基準として、0.001~20U/gである、請求項1に記載のひよこ豆ミルク発酵物の製造方法。
  9. 前記トリコデルマ属由来セルラーゼの添加量が、前記ひよこ豆ミルクの全質量を基準として、1~100U/gである、請求項1に記載のひよこ豆ミルク発酵物の製造方法。
  10. 前記ペニバチルス属由来プロテアーゼの添加量が、前記ひよこ豆ミルクの全質量を基準として、0.1~10U/gである、請求項1に記載のひよこ豆ミルク発酵物の製造方法。
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