JP2023169530A - ロッドレンズアレイ、イメージセンサ、プリンタおよび検査装置 - Google Patents

ロッドレンズアレイ、イメージセンサ、プリンタおよび検査装置 Download PDF

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Abstract

【課題】十分に長い作動距離を有し、高い光学性能のロッドレンズアレイを提供する。【解決手段】ロッドレンズアレイ10は、中心から外周部に向かって屈折率が減少する屈折率分布を有する複数のロッドレンズ12を、中心軸が互いに略平行になるように配列したものである。ロッドレンズ12の屈折率分布n(r)をn(r)2=n02・{1-(g・r)2}として、ロッドレンズ12の開口角θcをθc=sin-1(n0・g・r0)としたとき、θc=3.5°~15°であり、共役長TCがTC=45mm~175mmであり、MTFの最小値MTFminが30%以上である。【選択図】図1

Description

本発明は、主にイメージセンサ、プリンタ、検査装置等に使用されるロッドレンズアレイに関する。
ロッドレンズは、中心から周辺部に向かって屈折率が減少する、軸対称の屈折率分布を有する円柱状のレンズである。ロッドレンズアレイは、複数のロッドレンズを、各中心軸が相互に略平行となるように、一列または二列以上に配列して、二枚の板状基材の間に挟持して一体化させたものである。
従来、このようなロッドレンズアレイは、例えば、プリンタにおいて、LEDアレイ等の発光素子アレイから出射される光を感光ドラム上に結像させるための光学素子、または、スキャナ等において、原稿面からの反射光をCCDアレイ等の受光素子アレイ上に結像させる光学素子として使用されている。これらに加えて近年では、フィルムや回路基板、ディスプレイ、錠剤など固形物などの物品の外観検査を行うための検査装置にロッドレンズアレイを搭載したイメージセンサが用いられるようになっている。
外観検査を行う検査装置において、ロッドレンズアレイを用いたイメージセンサを利用する場合には、検査対象物(ワーク)からの飛散物によってロッドレンズアレイ表面が汚染されないように、検査対象物の表面上の凸部などの高さに対応できるように、さらに、検査装置直下でも静電式ブロアの使用や、搬送装置の機構部品などの設置など他の機能を配置するのに十分な距離(作業距離)を確保できるように、長い作動距離(ワーキングディスタンス:WD)性能を備えるロッドレンズアレイが望まれている。
ところが、このような長い作動距離(長WD)性能を備えるロッドレンズアレイでは、MTF(Modulation Transfer Function:光学系伝達関数)で表される光学性能の低下が生じる場合がある。これを以下に簡単に説明する。
単体のロッドレンズを主走査方向に、光軸を平行にして、一列または二列以上に配列させて一体化することによりロッドレンズアレイが作製されるが、配列ピッチのばらつきや、ロッドレンズの光軸の傾きなどにより、配列精度が悪化する状況がある。プリンタやスキャナなどの光学機器に用いられる従来のイメージセンサや密着型イメージセンサ(CIS:Contact Image Sensor)などではWDがそれほど大きくないために、配列精度を一定の範囲内に保っておくことで、光学機器の性能の許容範囲内に維持することができていた。
しかしながら、WDが大きくなると、光線がレンズを出射してから受光素子に到達するまでの距離は当然に長くなるので、同様の配列精度であっても、像面に配置された受光素子面内における実際のレンズによる焦点が、設計上の焦点とは位置的に大きなずれが生じる。このような焦点のずれが、複数のロッドレンズの状況において生じた場合、個々のロッドレンズの結像の重なりによって解像を実現するロッドレンズアレイにおいて、解像度の低下または部分的な高低が生じ、総じてロッドレンズアレイの光学性能の低下が生じる。特にロッドレンズの傾きβと、レンズの焦点のずれΔsとは、作動距離WDを考慮して、Δs=(WD)・tan(β)で表されるので、ロッドレンズの傾きは、作動距離が大きくなると、より顕著に焦点のずれの量Δsに影響する。
特許文献1では、ロッドレンズの配列の乱れという問題を解決するために、ロッドレンズの外径のバラツキを低減するという課題に取り組んだ末に、ロッドレンズ周面の中心線平均粗さを0.5μm~2.0μmにする発明が記載されている。
特開2002-318302号公報
しかしながら、特許文献1に記載された発明では、光学性能を高く保ちつつ(例えばMTFの最小値MTFminが6lp/mmの条件において30%以上であり)、長WDに対応するロッドレンズアレイの作製は困難である。
本発明はこうした状況に鑑みてなされたものであり、その目的は、十分に長い作動距離を有し、高い光学性能のロッドレンズアレイを提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明のある態様のロッドレンズアレイは、中心から外周部に向かって屈折率が減少する屈折率分布を有する複数のロッドレンズを、中心軸が互いに略平行になるように配列したロッドレンズアレイであって、ロッドレンズの屈折率分布n(r)をn(r)=n ・{1-(g・r)}として、ロッドレンズの開口角θcをθc=sin-1(n・g・r)としたとき、θc=3.5°~15°であり、正立等倍系で用いたときの共役長TCがTC=45mm~175mmであり、MTFの最小値MTFminが30%以上である。ただし、rはロッドレンズの中心から半径方向の距離、rはロッドレンズの有効半径、nはロッドレンズの中心屈折率、n(r)はrにおけるロッドレンズの屈折率、gは屈折率分布定数、共役長TCはTC=Z+2・WDであり、Zはロッドレンズの長さ、WDは作動距離を表す。
なお、以上の構成要素の任意の組合せ、本発明の表現方法、装置などの間で変更等したものもまた、本発明の態様として有効である。
本発明によれば、十分に長い作動距離を有し、高い光学性能のロッドレンズアレイを提供できる。
本発明の実施形態に係るロッドレンズアレイの概略斜視図である。 ロッドレンズアレイによる物体面と投影された像面との関係を示す概略斜視図である。 算術平均粗さが比較的小さい場合のロッドレンズの側面の概略図である。 算術平均粗さが比較的大きい場合のロッドレンズの側面の概略図である。 テーパー状となったガラスロッドの概略図である。 図6(a)はロッドレンズの断面図であり、図6(b)はロッドレンズの斜視図である。 直接紡糸法に用いられる二重紡糸装置を説明するための概略図である。 図8(a)は、作製されたガラスロッドの斜視図であり、図8(b)は、その断面図である。 ガラスロッドにおける半径と屈折率との関係を示す図である。 イオン交換の様子を説明するための概念図である。 屈折率分布が付与された後のガラスロッドにおける半径と屈折率の関係を示す図である。 ロッドレンズアレイを用いたイメージセンサを示す図である。 ロッドレンズアレイを用いた光プリンタを示す図である。 ロッドレンズアレイを用いた検査装置を示す図である。 MTF測定装置の概略図である。 フレア率の測定装置の概略図である。 ナイフエッジチャートの平面図である。 実施例1および比較例3のナイフエッジによる光強度分布を示す図である。 ナイフエッジによる光強度分布を示す図である。
以下、本発明の実施形態について説明する。各図面に示される同一または同等の構成要素、部材、処理には、同一の符号を付するものとし、適宜重複した説明は省略する。また、実施の形態は、発明を限定するものではなく例示であって、実施の形態に記述されるすべての特徴やその組み合わせは、必ずしも発明の本質的なものであるとは限らない。
図1は、本発明の実施形態に係るロッドレンズアレイ10の概略斜視図である。図2は、ロッドレンズアレイ10による物点(または物体面)OSと投影された像点(像面)ISとの関係を示す概略斜視図である。
図1に示すように、ロッドレンズアレイ10は、中心から外周部に向かって屈折率が減少する軸対称の屈折率分布を有する円柱状のレンズ(ロッドレンズ)12を、各中心軸が互いに略平行となるように、一列または二列以上に複数配列したものである。ロッドレンズアレイ10は、図1に示すように、二枚の板状基材14,16の間に挟持されて、両端に配置されるスペーサ(板)18,20とともに一体化されている。ロッドレンズ12は、ガラス製ロッドレンズであってもよいし、プラスチック製ロッドレンズであってもよい。
ロッドレンズ12が有する屈折率分布は、中心軸に垂直な方向に、中心軸から距離rにおける屈折率n(r)が、少なくとも0.3R~0.6R(Rはロッドレンズ12の半径)の範囲において、下記の式(1)で近似的に表される屈折率分布である。
n(r)=n ・{1-(g・r)} (1)
ここで、gは屈折率分布定数であり、nは中心(r=0)の屈折率である。式(1)は、本来的に下記の式(2)で表される屈折率分布の式のうち、rの4乗項以上の項を無視して、r=0を含むr=0近傍において近似したものである。
n(r)=n ・{1-(g・r)+h・(g・r)+h・(g・r)+h・(g・r)+・・・} (2)
ここで、h、h、h・・・は、高次の定数を表す。また屈折率分布を表す式は、さらに近似して下記の式(3)で表される場合がある。
n(r)=n・{1-(g/2)・r} (3)
また屈折率分布定数が定数Aを含む公知文献も多くみられる。これは、屈折率分布型ロッドレンズにおいて、メリディオナル面における光線が収差なく一点に集光することを条件にして、屈折率分布定数を√Aとして求められる屈折率分布の式(4)に由来するものである。
n(r)=n ・sech(√A・r) (4)
式(4)についても、同様に、r=0を含むr=0近傍における近似式を求めると下記の式(5)のように求めることができるので、結果的にg=√Aとして差し支えない。
n(r)=n ・{1-(√A・r)} (5)
ロッドレンズ12の半径Rは、ロッドレンズアレイ10の小型化の要請から、0.05mm~1mmであり、好ましくは0.1mm~0.9mmである。ロッドレンズ12の半径Rは、0.1mm未満であると、レンズが糸状となって、機械的強度が著しく小さくなり、その加工の難易度の面で問題がある。一方でロッドレンズ12の半径Rが1mmを超えると、レンズの機械的強度は高くなり、加工しやすくなるが、その内部に屈折率分布を形成させることが困難となったり、収差が大きくなる、解像度が悪化しやすくなるなどの影響が生じやすい。
さらに、ロッドレンズ12の中心軸における屈折率nは、1.4~1.65であり、好ましくは1.45~1.63である。ロッドレンズ12の中心軸における屈折率nは、1.4未満であると、透明なロッドレンズ12を構成する材料の選択が困難であり、1.65を超えるといわゆるレンズのパワーを大きくすることができるものの、特定の波長の光に対する着色性が大きくなり、光線の透過率の観点で問題が生じることがある。
ロッドレンズ12の開口角θcを、θc=sin-1(n・g・r)としたとき、θc=3.5°~15°である。rはロッドレンズ12の有効半径であり、ロッドレンズ12の半径Rに対してr=0.6R~0.99Rである。ロッドレンズ12の有効半径は、ロッドレンズ12に入射する光に対して、レンズ作用を及ぼす部分に対応する半径である。θcが3.5°未満であるとロッドレンズのいわゆる「明るさ」が小さくなり、形成される像が暗くなる。θcが15°を超えるときは、像の明るさは確保できるもの、レンズの収差のコントロールをするのが困難となるほか、焦点深度が著しく小さくなり、ロッドレンズアレイ10と被写体との距離または、ロッドレンズアレイ10と受光素子との距離の調整が困難となり、実用上問題がある。ロッドレンズ12の開口角θcは、好ましくは4°~12.5°であってもよい。また、ロッドレンズ12の開口角θcは、図2で示すように、ロッドレンズ12の入射面または出射面の中心(正確には入射瞳または出射瞳の中心)から、視野に張る円錐の半頂角である。
前述のように、複数のロッドレンズ12を、その中心軸が互いに平行になるように配列して一体化することによってロッドレンズアレイ10が作製される。本実施形態に係るロッドレンズアレイ10は、正立等倍系で用いられる。正立等倍系とは、被写体や対象物が、ロッドレンズアレイによって、正立等倍像に変換されることを意味する。
ロッドレンズアレイ10の光学性能を表す指標として、MTF(Modulation Transfer Function:光学系伝達関数)を用いる。MTFは、所定の空間周波数を有するロンキー・チャートなどの一次元または二次元パターンを用い、ロッドレンズアレイ10に光源からの光を前記パターンを通して入射させて、結像位置に配置したアレイ状のPD(Photo Diode)のようなラインセンサやCCDのような二次元センサによって、形成されたパターンの像を読取り、その光強度分布の最大値Imaxと最小値Iminを測定したうえで、式:MTF=(Imax-Imin)/(Imax+Imin)により求める。
本実施形態に係るロッドレンズアレイ10の正立等倍系におけるMTFは、空間周波数が6ラインペア/mm(lp/mmまたは/mmとも表す)のパターンを用いたとき、ロッドレンズアレイ10の有効長Weの範囲内で、その最小値MTFminが30%以上である。ロッドレンズアレイ10の正立等倍系のMTFの最小値MTFminが30%未満であると、イメージセンサに用いたときに、像がぼやける、判別しにくい、はっきりしない、解像度が低いなど問題が生じることがある。MTFの最小値MTFminは好ましくは40%以上である。また、本実施形態に係るロッドレンズアレイ10は、その有効長Weの範囲内において、MTFの平均値MTFaveとMTFの最小値MTFminとの差MTFave―MTFminが30%以下である。MTFの平均値MTFaveとMTFの最小値MTFminとの差MTFave―MTFminが大きいと、ロッドレンズアレイ10の有効長Weにおいて、局所的なMTFの低下がみられ、主走査方向(主にロッドレンズ12が多く配列している方向(x方向))において解像度の局所的な低下が生じ、一様な画像を得たり、印刷をしたりすることができなくなる虞が生じる。
また、図2に示すように、パターン(物体面OS)とロッドレンズアレイ10の入射面との間隔L1と、ロッドレンズアレイ10の出射面と受光素子の受光面(像面IS)との間隔L2と定義したとき、L1とL2とを常にL1=L2となるようにパターンと受光素子を対称に動かして、MTFの値がもっとも高い(最良)値となるようにしたときのロッドレンズアレイ10の出射面と受光素子の受光面との間隔L2をWDとして、このときの正立等倍系のロッドレンズ12のMTFの値を採用する。
また、本明細書において、MTFの測定など、実際にロンキー・チャートなどの所定のパターンをロッドレンズアレイ10を通じて投影して、その像の評価をする場合、像面にCCDの受光面を配置する。CCDは、いわばPDのアレイであり、光強度に対応する相対的な信号データの二次元分布のデータが取得できる。本明細書では、CCDやPDから出力された、光強度に対応した相対的な信号データ(分布)を、便宜上、光強度(分布)とした。
さらに、前記最良のMTFが得られるL2=WDは、WD=15mm~80mmである。WDが大きいことによって、目的である作動距離の長いロッドレンズ12を搭載したイメージセンサを作製することが可能である。WDが15mmより小さいと、本発明の目的に対して効果が奏したとはいえず、80mmより長いとロッドレンズ12の配列性を、一層に向上させる必要があり、その必要とされるメソッドのレベルはさらに困難になる。WDは好ましくは、WD=25mm~70mmであってもよい。このとき、ロッドレンズアレイ10の作製の難易度やコストと、長WDの目的達成とのバランスが工業的観点で良好となる。
さらに、ロッドレンズ12を正立等倍系で用いたときの共役長(TC:Total Conjugate Length)は、TC=2×WD+Zで表され、TC=45mm~175mmである。共役長TCは、一般的にはTC=L1+Z+L2で求められるところ、物体面(OS)、ロッドレンズアレイ12および像面(IS)は正立等倍系であり、L1=L2=WDであることが考慮された表式であることに留意する。Zはロッドレンズアレイ10のロッドレンズ12の中心軸方向の長さである。以降、単にロッドレンズアレイ10の長さと称する。TCはWDとほぼ連動して変わるものであり、TCが175mmを超えると、イメージセンサ自体が大きくなり、装置の小型化と相反する事情がある。TCは好ましくはTC=50mm~160mmである。
ロッドレンズ12、ロッドレンズアレイ10においては、さらに、視野半径X、重なり度mを指標として評価してもよい。視野半径Xは、正立等倍系において、物体面または像面におけるロッドレンズ12の視野の半径である。また、視野半径は、図2に示すように、ロッドレンズ12の光入射面または光出射面の中心から、物体面OSまたは像面ISに対して開口角θcで張る、円錐の底面の半径、いわゆるイメージサークルの半径といってもよい。視野半径Xは、X=―r・sec(π・Z/P)で求められる。視野半径は、1.5mm~10mmであってよい。視野半径を作動距離WDに対して過剰に大きくすると、光量斑は小さくなるが、一定の範囲を超えるとあまり小さくならなくなる。さらに視野半径が過剰に大きい場合、解像度の低下も著しく大きくなる。視野半径Xは、好ましくは2mm~8mmである。
また重なり度mは、視野半径とロッドレンズの有効径との比を表すもので、特にロッドレンズアレイ10の光量斑の見積もりや設計を行うときの重要な指標である。重なり度mは、m=X/(2・r)で求められる。重なり度mは2.0~9.0である。重なり度mが過剰に大きいと光量斑は低減するが解像度が悪くなる。重なり度mが過剰に小さいと光量斑が大きくなる。重なり度mは、好ましくは2.2~8.0である。
図2は、ロッドレンズ12、ロッドレンズアレイ10と、これまでに説明したディメンジョンについての関係を示している。図2では、ロッドレンズ12の中心軸と平行な方向をz方向、z方向に垂直でロッドレンズ12の配列する方向をx方向、z方向とx方向に垂直な方向をy方向としている。図1や図2に示すロッドレンズアレイ10は、y方向に二個のロッドレンズ12が配列されている。このような配列は、便宜上、「二列配列」と称する場合がある、ロッドレンズアレイ10は二列配列に限定されず、一列配列(y方向に一個のロッドレンズ)や三列以上の配列(y方向に三個以上のロッドレンズ)であってもよい。各記号で表される長さや角度は上記説明に準じるものである。このほか、Wtは、ロッドレンズアレイ10のx方向の長さ(全長)であり、tはロッドレンズアレイ10のy方向の長さ(厚み)であり、Weは、ロッドレンズアレイ10のロッドレンズ12が配列されている範囲のx方向の長さを表す。正立等倍系のロッドレンズアレイ10の場合、L1=L2である。このとき、物体面OSのロッドレンズアレイ10による正立等倍像が像面ISに形成される。
一個のロッドレンズ12の光入射面の中心から物体面に向かって開口角θcで張るコーンの底面で区画される範囲が、一個のロッドレンズ12が取り込むことのできる物体面OSの範囲であり、そのロッドレンズ12の光出射面の中心から像面に向かって開口角θcで張るコーンの底面で区画される範囲が、イメージサークルとなる。ロッドレンズアレイ10においては、このようなイメージサークルの複数の重ね合わせにより、像面ISに物体面OSの線像や面像が結像される。
さらに、ロッドレンズアレイ10の光学性能を表す他の指標として、フレア率Fを用いる。Fは、特定の波長(例えば570nm)におけるOD値(光学濃度)が2.9~3.1である光遮光部と、透光部を備えるナイフエッジパターンを用い、ロッドレンズアレイに光源からの光を、前記パターンを通して入射させて、結像面に配置したラインセンサ上に結像して、その光強度の強弱に基づいて形成されたパターンの像から、遮光部に対応した像の一部分に検出される光強度、またはその所定範囲内の積分値(放射束)を測定することにより求める。フレア率Fの測定については、特開2001-124663号に記載の方法を参考にしてもよい。
フレア率Fは5%以下であることが望ましい。フレア率Fが5%を超える場合、コントラストの低い像となり実用上問題となる。フレア率Fは、好ましくは3%以下であってよい。
ロッドレンズ12の周面における表面粗さは、算術平均粗さRaで表して、Ra=0.05μm~0.5μmであってよい。ロッドレンズ12の周面は、ロッドレンズ12を円柱形状としたときの側面と同義である。ロッドレンズ12の周面の表面粗さは、JIS B0601:1994に基づいて測定される。ロッドレンズ12の周面の表面粗さを一定の範囲とすることで、ロッドレンズアレイ10の配列ピッチのばらつきの低減、ロッドレンズ12の光軸の傾きの低減などの配列性が向上し、ロッドレンズアレイ10のロッドレンズ12の配列方向において、解像度のばらつきや低下を防止できる。
ここで、Ra値が所定の範囲内であることがよく、所定の範囲外、特にRa値が大きくなったときに、ロッドレンズアレイ10の配列に影響を及ぼすことを説明する。図3は、Ra値が比較的小さい場合のロッドレンズの側面の概略図である。図4は、Ra値が比較的大きい場合のロッドレンズの側面の概略図である。図3では、隣接するn-1番目~n+1番目の三個のロッドレンズ12a~12cが、それらの表面粗さを比較的小さく表したロッドレンズ周面とともに配列されている様の断面を示した。図4では、隣接するn-1番目~n+2番目の四個のロッドレンズ12’a~12’dが、それらの表面粗さを比較的大きく表したロッドレンズ周面とともに配列されている様の断面を示した。
Raは表面粗さの算術平均値であるが、Raが大きい場合は、周面の凹凸を考えたときに、図4に表すように、例えば凸部のピークの高さや凹部の谷(バレー)の深さ(凹凸の度合い)も必然的に大きくなる。Raが比較的小さい図3では、凹凸の度合いが比較的小さいため、配列性が大きく悪化することはない。Raが比較的大きい図4では、凹凸の度合いが比較的大きいため、隣接するロッドレンズ12の間において、凸部と凸部、凸部と凹部などの接触によって、配列性が大きく乱れることが理解できる。
例えば、図3では、Raが小さいために、n-1番目のロッドレンズ12aの中心軸とn番目のロッドレンズ12bの中心軸との距離d1と、n番目のロッドレンズ12bの中心軸とn+1番目のロッドレンズ12cの中心軸との距離d2と、が略等しく配列されうることが理解できる。図4では、Raが大きいために、n-1番目のロッドレンズ12'aの中心軸とn番目のロッドレンズ12'bの中心軸との距離d'1と、n番目のロッドレンズ12'bの中心軸とn+1番目のロッドレンズ12'cの中心軸との距離d'2との差が顕著に生じる(配列ピッチエラー)ことが理解できる。また、n+2番目のロッドレンズ12'dの中心軸は、他のロッドレンズ12'a~12'cの中心軸に比してβの角度(配列角度エラー)を有することが理解できる。これは、配列に供されるロッドレンズ12の表面粗さが大きいために、凹凸のかみ合わせ次第で、それらの配列ピッチエラーや配列角度エラーが生じる。ここで配列性とは、ロッドレンズ12に傾きや配列ピッチのバラツキなどの性質をまとめていう。先述したようにロッドレンズ12の配列性は、ロッドレンズ12による像点のシフト、引いてはMTFなどの光学性能の悪化に強く関連する。Raは、好ましくはRa=0.1μm~0.45μmである。
従来は、像の形成に寄与しない光線や、ロッドレンズ12の設計上の光路から外れた光線などを、ロッドレンズアレイ10内で散乱または減衰させるために、ロッドレンズ12の外周面を特定の溶液を用いて化学的に粗面化処理して、例えば1μmを超えるRaとする、いわゆるフレアカット機能を付与させた。ガラス製ロッドレンズの場合、具体的な方法は、特開昭58-38901号、特開平7-120604号などに例示されている。1μmを超えるようなRaを得るためには溶剤によるエッチングレートを高めるよう調製するか、浸漬時間を長くするなどして化学的作用を強め、ロッドレンズ12の周面への削り込み量を大きくする必要が生じる。
しかしながら、従来技術においては、Raで表される表面粗さを大きくするためにロッドレンズ12への化学的作用を大きくすると、ロッドレンズ12の周面を化学的により大きく削りこむこととなる。ロッドレンズ12へのフレアカット機能の付与を行う工程は、所定のレンズ長さに切断する前の、数十cmから1mを超える長さのガラスロッドの状態で施工されるので、ガラスロッドはその長手方向に対して、均等には削り込まれない可能性がある。
例えば、フレアカット機能付与のための溶剤を入れた縦長の円筒形の水槽に、ロッドレンズ12の前駆体であるガラスロッドを浸漬させると、はじめはどのガラスロッド外周面も均一に溶剤からの化学的作用を受けるが、時間の経過とともにガラスロッドに作用した溶剤が、部分的に溶解されたガラス周面の成分を伴って、重力の作用で水槽の上方から下方へと流下する場合がある。このガラスロッドのガラス成分を多く含む溶剤は初期状態に比べてガラスロッド周面への作用や溶解度が減少しており、ガラスロッド上方の溶剤はガラス周面への作用や溶解度は維持されたままなので、下方は作用や溶解度が比較的低くなる傾向が生じる。その結果、下方においては、ガラスロッドの周面が溶剤の作用によって削られる、いわゆるガラスエッチングの進行も遅くなり、結果的に図5に示すように、ガラスロッド22の直径が上方から下方にかけて漸進的に大きくなるテーパー状となる。図5において、紙面に向かって下方向が、ガラスロッド22の下方向に相当する。
さらに、ロッドレンズアレイ10は、数百から数千本のガラスロッド22をその隙間をできるだけ小さくなるように配列して一体化させる作製工程を含むから、テーパー状のガラスロッド22を用いると、直径の大きい側は、隣接するロッド周面同士が接触する一方で、直径の細い側はロッド周面間に間隙を生じる可能性がある。当然テーパー形状の程度、ガラスロッド22の上方から下方にかけての直径差が大きいほど、ロッド間に間隙を生じる蓋然性は高くなる。ロッドレンズアレイ10は、配列されたガラスロッド22を、所定の長さ(レンズ長Z)となるように切断して細分化して作製されるから、ガラスロッド22間の隙間が大きい部位から取得したロッドレンズアレイ10は、ロッドレンズ12の配列のピッチ(配列されたロッドレンズの中心軸間の距離)が、設計値より大きくなったり、小さくなったりする蓋然性が高くなる。さらに、ロッドレンズ12間の隙間が大きいことに起因して、本来中心軸が互いに平行になるように配列されるべきロッドレンズ12の一部が、中心軸が互いに傾いて(複数のロッドレンズの中心軸が、0°ではない角度をなし)配列される蓋然性が高くなる。配列ピッチの設計値からの逸脱や、ロッドレンズ12の中心軸の傾き配列などは、配列の乱れと称する場合もある。ロッドレンズアレイ10において、配列の乱れが生じると、受光面における各ロッドレンズ12の結像位置(焦点位置)は理想や設計のあるべき位置とのズレを生じる。ロッドレンズアレイ10においては、このような焦点位置のズレが生じると、隣接する各レンズの作用による像の重なりに不整合が生じ、解像度が全体的にまたは部分的に低下するほか、ロッドレンズアレイ10の有効長にわたって解像度がばらつく場合がある。
また、長WDの場合は、先述のようにレンズ出射面から出射した光が、受光素子の受光面に到達するまでの距離が大きい。従って、比較的短いWD仕様のロッドレンズアレイ10では問題とならなかった配列の乱れも、WDが大きくなるにつれ、受光面での焦点位置のシフトが大きくなるので、配列の乱れが光学性能に与える影響が大きく現れる。そのため本実施形態に係るロッドレンズアレイ10においては、それを構成するロッドレンズ12の周面の表面粗さが、Raで表して、Ra=0.05μm~0.5μmであり、好ましくは0.1μm~0.45μmである。Raの値がこれらの範囲の下限より小さいと、像形成に寄与しない光線の減衰や散乱効果が著しく小さくなり、フレアが生じる蓋然性が高くなる。Raの値がこれらの範囲の上限より大きいと、所定のWDで使用されるロッドレンズアレイ10において、ロッドレンズ12の配列の乱れが大きくなり、受光面における光学性能が低下する蓋然性が高くなる。
図6(a)はロッドレンズ12の断面図であり、図6(b)はロッドレンズ12の斜視図である。ロッドレンズ12は、ロッドレンズ12の半径をRとしたとき、0.7R~Rの範囲内において、少なくとも光の一部を吸収する吸収層24を有する。吸収層24は、中心軸に向かってロッドレンズ周面から半径方向の厚みCtが、Ct=10μm~100μmである。
吸収層24は、ガラス製ロッドレンズの場合は、380nm~780nmの波長の光の一部の光を吸収し、少なくともFe、Co、Ni、Mn、Cr、Cuのいずれか一種の元素を含んでいてもよい。また、吸収層24は、樹脂製ロッドレンズの場合は、380nm~780nmの波長の光の一部の光を吸収し、少なくとも染料などの着色性色素を含んでいてもよい。
本実施形態に係るロッドレンズアレイ10は、構成に供されるロッドレンズ12が、中心から外周部に向かって減少する屈折率分布を有する場合、中心から離れるにしたがって、分布が理想的な分布から乖離する不整な部分が形成されやすい。このような屈折率分布の不整な部分の存在は、その作用によって、像形成に貢献しない、もしくはフレア光となりうる光が生じ、光学性能(像のコントラスト)が低下する原因となる。吸収層24を周面も含む外周部近傍に形成させることによって、上記のような光線を吸収し、ロッドレンズ12から出射させないようにすることが可能となり、像のコントラストの向上を図ることができる。また、本実施形態に係るロッドレンズアレイ10において、後述するコア/クラッド構造を含む場合、クラッド部が光吸収層24であってもよい。
(ガラス製ロッドレンズの作製)
以下、ガラス製ロッドレンズの作製方法について説明する。ガラス製ロッドレンズは、その断面内で中心から周辺に向けて変化する屈折率分布を持ったロッド状のレンズである。それゆえ屈折率分布型ロッドレンズと称する場合もある。ロッドレンズは両端面が平坦でも結像作用を持ち、微小径のレンズも容易に作製できるなど多くの利点を持つ。
このようなロッドレンズは、イオン交換法によって、ガラス体の中心から周辺に向けて屈折率分布を形成することによって作製される。このイオン交換法では、網目修飾酸化物として使用し得る第一の陽イオンを含むガラス体と、網目修飾酸化物を構成し得る第二の陽イオンを含む溶融塩とを高温で接触させ、ガラス中の第一の陽イオンを溶融塩中の第二の陽イオンで置換する。このような屈折率分布型ロッドレンズのロッド形状の作製方法として、以下の3種類が一般的に行われている。
(1)削り出し法
ガラスブロックから削り出しによって所定形状のロッドを作製する。この方法は、一度に作製できるロッドの数が少なく、また、ロッド径が0.5mm以下のロッドは作製しにくい。
(2)ロッド紡糸法
ブロック状の原料ガラスを加工して、直径20mm~50mm、長さ200mm~800mm程度の母材ロッドを作製し、これを管状炉内に吊り下げて加熱しながら延伸してガラスロッドを得る。削り出し法に比べると飛躍的に生産性が向上し、径の細いものでも対応可能な方法である。ただし、失透は比較的発生しにくいが、紡糸速度が1m/分程度と遅く、またロッド単位で紡糸工程を施す必要があるため、量産には適さない。また、後述するコア/クラッド二重構造のロッド作製は困難である。
(3)直接紡糸法(連続紡糸法)
図7は、直接紡糸法(連続紡糸法)に用いられる二重紡糸装置30を説明するための概略図である。図7に示す二重紡糸装置30は、コア部用ガラス原料32用の坩堝36と、クラッド部用ガラス原料34用の坩堝38と、攪拌スターラー33と、ノズル26と、引き出しローラー35と、を備える。
直接紡糸法では、図7に示すように、溶解、脱泡、清澄処理を行った溶解原料ガラス32,34を坩堝36,38内でヒータにより保温し、円筒状のノズル26中を流下させながら徐々に冷却し、ノズル26の下端から流出させ、熱延伸によって直径0.1~4mm程度のガラスロッド(ファイバ)22を連続成形する。紡糸速度はロッド紡糸法の数十倍とすることが可能であり、また原料ガラス32,34を連続投入して連続的に生産可能であるため、生産性がきわめて高い方法である。
この二重紡糸装置30では、ノズル26の形状を二重にすることで、レンズ母材が被覆された二重構造のロッド22を容易に作製することが可能である。二重紡糸装置30は、ガラスの熔融可能な温度に加熱できるように、加熱炉(図示せず)内に配置されてもよい。
二重構造の被覆ガラスの組成に失透の発生しにくい組成を使用すれば、直接紡糸法で失透が発生しやすい温度域において、レンズ母材ガラスとノズル部との接触を回避することができるため、レンズ母材ガラスにおける失透を抑制でき、全体として紡糸性能が向上する。
ロッドを二重構造にすると、例えば、被覆ガラスに着色成分を導入することで、ロッドレンズに迷光除去の効果を有する吸収層(着色成分を含むことで着色層ともいう)を付加することができる。また、イオン交換時にレンズ母材部分に生じる応力によって発生しやすいクラックを抑えたりするなど、一重構造に比べてより優れた特徴を付与できる場合が多い。
被覆付きガラスまたは被覆付きロッドレンズにおいては、被覆の部分をクラッド、被覆の部分以外の部分をコアとして、コア/クラッド構造と称することがある。光学分野において例えば光ファイバは、屈折率の比較的高いコアを、屈折率の比較的低いクラッドで覆った断面が同心円状の構造であり、光がコアの部分に閉じ込められて伝送されるものである。ロッドレンズにおいては、この事情を援用して、像の形成に貢献する光が透過する中心部により近い部分をコア、それを覆う被覆の部分をクラッドと観念することに由来する。
コア/クラッドタイプの二重構造を有するガラスロッドを量産する場合には、直接紡糸法が一般的に有利である。このような二重構造のガラスロッドの作製方法は、図7に示す二重紡糸装置30において、内側の坩堝36にコア部を構成するガラス原料32を投入して適切な熔融状態として、外側の坩堝38にクラッド部を構成するガラス原料34を投入して適切な熔融状態とした後に、コア/クラッド構造を維持するように、下側のノズル26からそれぞれの部位のガラスをダウンドローさせる。ガラスロッド22の径の調整は、熔融状態のガラスの粘性や、ガラスロッド22を下側から引っ張る引張ローラーの回転速度やトルクなどを調整して行ってもよい。二重構造のガラスロッドの作製方法は、例えば、特開昭63-301901号、特開2004-151682号、特開2004-151682号、特開2006-56768号に開示された公知技術を用いることができる。
図8(a)は、作製されたガラスロッド22の斜視図であり、図8(b)は、その断面図である。図9は、ガラスロッド22における半径と屈折率との関係を示す図である。図8(a)および図8(b)に示すように、ガラスロッド22は、コア部22aと、クラッド部22bとを備える。作製されたコア/クラッド構造のガラスロッド22の外形の直径(線径)は、最終的に得られるロッドレンズの半径を考慮して、0.05mm~1.5mmである。
上記の方法で準備、作製されるコア/クラッド構造のガラスロッドの組成の範囲は、以下の表1に例示できる。また、これらに限定されないが、特開2004-151682号、特開2006-56768号、特開2006-106324号、特開2020-121922号に記載されたコア/クラッド構造のガラス組成物から適宜選択できる。ガラスロッドの組成は本発明の目的や作用を奏する限りにおいて、表1や上記刊行物に記載されたガラス組成物に限定されないことに留意する。
Figure 2023169530000002
準備されたコア/クラッド構造のガラスロッド22において、クラッド部22b(被覆形態であり半径方向に一定の厚みを有することからクラッド層ともいう)は、少なくとも380nm~780nmの範囲の波長の光の一部を吸収する吸収部(または、半径方向に一定の厚みを有するので吸収層ともいう)を含んでいてもよい。クラッド部22bは、Fe、Co、Ni、Mn、Cr、Cu、Ag、Ti、Ru、V、Moのいずれか一種の元素を含んでいてもよい。または、クラッド部22bは、Fe、Co、Ni、Mn、Cr、Cuのいずれか一種の元素を含んでいてもよい。これらの元素は酸化物として含まれていてもよい。これらの元素を含むことにより光の吸収性能を大きくすることが期待できる。
また、コア/クラッド構造のガラスロッド22において、いわゆる迷光(先述の、像の形成に貢献しない光線や、フレア光の一因となりうる光線を含む)を抑制し、光の閉じ込め効果を期待する観点から、クラッド部22bの屈折率はコア部22aの屈折率より小さく、かつ、1.50~1.65であってもよく、またコア部22aの屈折率は1.52~1.66であってもよい(いずれも測定波長が570nmのときの値を表す)。
このように準備された、コア/クラッド構造のガラスロッド22を、コア部22aに含まれるガラス(コアガラス)のガラス転移点付近の温度に維持された硝酸ナトリウムの熔融塩中に浸漬して、イオン交換法によってガラスロッド22内に屈折率分布を形成させて、屈折率分布型ロッドレンズ12を作製する。ガラスロッド22内にイオン交換により屈折率分布を設ける方法は、例えば、特開2004-151682号、特開2006-56768号、特開2006-106324号などの刊行物を参考にできる。
図10は、イオン交換の様子を説明するための概念図である。例えば、ステンレス製の容器40に、硝酸ナトリウムの熔融塩42が入っている。この熔融塩42中に、先ほど作製したガラスロッド22を浸漬して、ガラス中にある第一陽イオン(X)であるLiイオンを、熔融塩中にある第二陽イオン(Y)であるNaイオンやKイオンと交換して、屈折率分布を付与する。このようにして屈折率分布型ロッドレンズが得られる。図11は、屈折率分布が付与された後のガラスロッドにおける半径と屈折率の関係を示す図である。
また、ガラス中に含ませたCsイオンやTlイオンなどの第一陽イオン(X)を、熔融塩中のNaイオンやKイオンなどの第二陽イオン(Y)と交換してもよい。各陽イオンの分布によってもたらされる光学特性はその陽イオン固有のものがあり、求める屈折率分布型レンズの用途や機能に応じて製造者が選択してもよい。
コア/クラッド構造のガラスロッド22のイオン交換による作用の一部をさらに説明する。クラッド部22bに先述のFe、Co、Ni、Mn、Cr、Cu、Ag、Ti、Ru、V、Moなどの元素を含む場合、これらの元素または元素を含む酸化物は、ガラス内で大きく移動または拡散することがなく、クラッド部22bに留まっていてもよい。光の吸収成分として含有させたこれらの元素の作用によって、クラッド部22bが吸収層を含む企図が維持される。
屈折率分布が付与されたガラスロッド22は、必要に応じてガラスロッド22の周面に凹凸を形成させるような作用を加えてもよい。具体的な方法の一つは、イオン交換されたロッドレンズ12を、フッ酸とフッ化アンモニウムと水との混合溶液(以下、フレアカット液という)中に数分間浸漬させて、その化学的な作用により、ロッドレンズ12の側面に細かい凹凸を設けてもよい。ただし、先述のように本発明の目的を達成するうえで、化学的作用により、ガラスロッド22の周面の表面粗さが、算術平均粗さRaで表して、例えばRa=0.05μm~0.5μmの範囲外になされることはないことに留意する。用いるガラスロッド22のガラス組成やイオン交換の条件などにより、屈折率分布付与後のガラスロッド22の側面が、非常にスムースで、例えば、Ra<0.5μmであった場合は、このような化学的に凹凸を付与する工程を加えてもよい。また凹凸を付与する方法は、上記のようなフッ化物を含む溶液に浸漬させる方法のほか、サンドブラストやサンドペーパーで側面をこすり、凹凸を設けてもよい。ガラスロッド22またはロッドレンズ12の側面に凹凸面を付与する工程は、ロッドレンズ12を透過した光のうちフレア光となり得る、像の形成や像点への集光に寄与しない光線を、ロッドレンズアレイ10内で散乱や乱反射などにより、減衰せしめる機能を付与するものであるので、フレアカット(工程)という場合もある(フレアカットに関する技術情報は、特開昭50―44844号、特開2002―318302号を参照)。
フッ化水素酸は、ガラスを溶解する作用を備える。イオン交換により屈折率分布が付与されたガラスロッド22は、その径がロッド間でばらつく場合がある。また、イオン交換は、長さが数十cm~1mを超えるロッド(外観はもはや糸状体)の状態で、ガラス転移点近傍の熔融塩に浸漬させることにより行われるので、例えば図5の概略図で示すように、ガラスロッド22の上方と下方との径が異なる場合がある(一般に、上方から下方に向かって逆テーパー状になる)。このようにガラスロッド22の径(線径ともいう)がばらついてしまうと、ロッドレンズアレイ10として構成させたときに、先述の配列の乱れが生じるおそれがある。したがって、ガラスロッド22の線径を整える(平均値を所定の範囲内に調整すること、または/およびばらつきを低減すること、を含む)目的で、比較的線径の大きいロッドの側面を化学的にエッチングする工程を加えてもよい。
(プラスチック製ロッドレンズの作製)
以下、プラスチック製ロッドレンズの作製方法について説明する。ここで、説明するプラスチックロッドレンズは、ガラス製ロッドレンズと同様に、所定の半径Rの円柱形状を有し、中心から周辺部に向かって屈折率が漸次減少する屈折率分布を有する。プラスチック製ロッドレンズは、両端面が平坦でも結像作用を持ち、微小径のレンズも容易に作製できるなど多くの利点を持つ。一方で、耐熱性などはガラスより若干劣るものの、それも近年に改善されつつあり、その適用の範囲も拡大されている。プラスチックロッドレンズに関する特徴についても、適宜ガラス製ロッドレンズで説明される事項を援用することができる。
プラスチックロッドレンズの製造方法としては、相互拡散法が例示できる。最初に、プラスチックの前駆体となる未硬化の樹脂組成物を、中心から外周部に向かって硬化後の屈折率が低くなるように、同心円状に積層し、糸状体を作製する。糸状体を、各層の屈折率分布が連続的になるように、隣接する層間で物質の相互拡散を行いながら、また、相互拡散を行った後で、硬化してロッドレンズ原糸を作製する。硬化方法としては熱硬化または紫外線などのエネルギー照射による硬化方法を用いてもよい。上記樹脂組成物としては、硬化後の屈折率が1.37~1.44のフッ素化アルキル(メタ)アクリレート類や、同1.43~1.62の(メタ)アクリレート類の単量体(モノマー)、屈折率が1.49のポリメチルメタクリレートや、同1.47~1.60のポリメチルメタクリレートなどの多量体(ポリマー)を含んでいてよい。さらに、硬化方法を選択する場合は、それに応じた熱触媒や光硬化触媒を樹脂組成物に予め含ませていてもよい。紫外線などのエネルギー照射による硬化は、硬化までの時間が短いこと、などから有利であり、光硬化触媒としては、ベンゾフェノンやその化合物、ベンゾイソアルキルエーテル、4'―イソプロピルー2-ヒドロキシー2-メチルプロピオフェノン、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、トリエチルアミンなどを例示することができる。また場合によって糸状体での反応を制御する目的でハイドロキノンやハイドロキノンモノエチルエーテル、フェノチアジンなどを含む重合禁止剤を必要に応じて適宜含んでいてもよい。
また、プラスチックロッドレンズは、中心軸から0.6×R以上の外周部に、プラスチックロッドレンズ内を透過する光の一部を吸収する光吸収剤を含有する光吸収層を設けてもよい。プラスチックロッドレンズのロッドレンズ原糸の作製において、中心軸から離れるに従って、屈折率分布が求める分布から外れた不整な部分を有する傾向がある。このような不整な部分を透過する光は、像の形成に寄与しないか、フレア光となって像のコントラストを低下させる一因となる。プラスチックロッドレンズの外周部に、例えば50μm~100μmの光吸収層を設けることにより、フレア光やクロストーク光を抑制することができる。
用いる光吸収剤としては、イメージスキャナなどの求める(主として波長に関する)仕様により、対応する吸収帯を有する光吸収剤を選択することが可能である。例えば、日本化薬社製KayasorbシリーズのCY-10、CY-17,CY-5,CY-4,CY-2,CY-20,CY-30,IRG-002など、山本化学社製のYKR-4010,YKR-3030,YKR-3070,YKR-2900,SIR-159,PA-1005,SIR-128,YKR-2080など、三菱化学社製のクリスタルバイオレット、エチルバイオレット、ビクトリアブルーなど、三井化学ファイン社製のPS Yellow GG、PS Red G、PS Brilliant Red Hey、PET Yellow 1000などを例示することができ、これらから一種類または複数種類を選択してもよい。
光吸収層は、糸状体の作製の際に、任意の層もしくは最外層の樹脂組成物に添加して混練することで、ロッドレンズ原糸内に設けることができる。光吸収層は、二層以上あってもよい。異なる光吸収帯を有する複数の光吸収剤を異なる層に含ませることができ、その場合、光吸収剤が相互に影響しあって、当初の光吸収特性が変化する不都合を抑制することが可能である。
ロッドレンズ原糸は、加熱延伸処理を行った後にボビンなどに巻き取ってよい。また、ボビンにロッドレンズ原糸を巻き取ってから、必要に応じて加熱延伸処理をしてもよい。延伸処理によって、ロッドレンズの求める径を調整することが可能である。また、ロッドレンズ原糸を、例えば、クロロホルム溶液に所定時間浸漬することによって、樹脂内にクロロホルムを湿潤させる。さらに、ロッドレンズ原糸を、その弾性体などから作製した、所定の径を有する貫通孔に通すことにより、外周部を剥ぎ取り、求める径を有するロッドレンズ原糸を作製してもよい。
(ロッドレンズアレイの作製)
次に、ロッドレンズアレイ10の作製方法について説明する。屈折率分布が付与されたガラスロッド22やロッドレンズ原糸の側面、または屈折率分布が付与された後フレアカットされたガラスロッド22の側面に対して、黒色の組成物でコーティングしてもよい。屈折率分布が形成されたガラスロッド22からロッドレンズアレイ10を作製したとき、フレア光となりうる光線をロッドレンズアレイ10の内部で吸収することを目的とする。通常のレンズ(例えば、凹状面、凸状面、平面、回折格子面などから構成され、光をそれらの面で屈折や回折させて、発散または集束させるための光学素子)において、周縁部やコバ面の墨塗などによる同等の作用を期待するものであってもよい。コーティングに供される材料としては、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、シリコーン樹脂などの硬化性樹脂が望ましく、これらのうち一種または二種以上の混合物を用いてもよい。さらに、フレア光(正確にはロッドレンズアレイ10を出射したときに、像点に集光しないフレア光となりうる光)や迷光の少なくとも一部を吸収するような着色があってもよく、黒色であってもよい。さらに硬化後に艶のない外観が望ましい。コーティングに供される材料としては、さらに上記の樹脂に、カーボンブラックや、チタンブラック(チタン系黒色顔料)、マグネタイト型四酸化三鉄、銅とクロムとを含む酸化物、バリファストブラック(アゾークロム化合物)などの黒色粒子を含んでいてもよい。また、バリファストブラック(オリエント化学社製)を含むクロロホルム溶液中に、ロッドレンズ原糸を浸漬して塗布し、クロロホルムを蒸発、乾燥させて黒色に染色したガラスロッド22やロッドレンズ原糸を作製してもよい。
このように作製されたロッドレンズ12(ガラス製ロッドレンズ及びプラスチック製ロッドレンズ)をアレイ状に配列してロッドレンズアレイ10とする場合、その配列方法については特に限定されず、例えば0(ゼロ)次元から2次元の配列が考えられる。0(ゼロ)次元の配列とは、例えば、一つのレンズを単独で配置して(ロッドレンズ12単体として)、光学素子として用いることが考えられる。
図1に示すロッドレンズアレイ10は、ロッドレンズ12を2次元のアレイ状に配列して形成したものである。ロッドレンズアレイ10は、複数の屈折率分布型ロッドレンズ12を備える。各ロッドレンズ12は、ロッドレンズ12の光軸が互いに略平行になるように整列されて、一対の板状基材14,16および黒色樹脂11とともに一体化されている。黒色樹脂は、硬化性樹脂であり、黒色、好ましくは艶なしの黒色を呈するように、カーボンブラックや、チタンブラック(チタン系黒色顔料)、マグネタイト型四酸化三鉄、銅とクロムとを含む酸化物、バリファストブラック(アゾークロム化合物)などの有機系または無機系の黒色粒子や黒色フィラーを含んでいてよい。黒色粒子や黒色フィラーの含有量は、黒色樹脂に対して1%~30%であってもよい。黒色粒子やフィラーの過剰に多い含有は、樹脂の粘性を著しく高め作業性が悪くなり、過剰に少ない含有は、黒色の度合いが小さくなり光を吸収したりする機能が減退する。
ロッドレンズアレイ10においては、図1に示すように、ロッドレンズ12の中心軸に平行な方向をz方向としたとき、x方向にロッドレンズ12が整然と配列されている。ロッドレンズアレイ10の座標においては、ロッドレンズ12の中心軸と平行な方向をz方向とし、z方向に垂直であって、ロッドレンズ12の配列方向をx方向もしくは主走査方向とし、z方向とx方向に垂直な方向をy方向(副走査方向)とする。図1におけるロッドレンズアレイ10では、y方向にもロッドレンズ12が二個配列されている(二列配列)。ロッドレンズアレイ10は、図1のようにy方向にロッドレンズ12が二列配列されたものであってもよいし、一列(y方向に一個)や三列以上(y方向に三個以上)の配列形態であってもよい。
このようなロッドレンズアレイ10は、一方の板状基材14の一面に、複数のロッドレンズ12をほぼ平行に整列させ、もう一方の板状基材16によってロッドレンズ12を挟持した後、一対の板状基材14,16の間に黒色樹脂11を充填し、全体を一体化させる。板状基材14,16のロッドレンズ12が配列される面には、多数の溝が形成されていてもよく、このときはロッドレンズ12の配列ピッチの正確度の向上を図ることができる。また、ロッドレンズアレイを溝付き定盤に配列させておき、一方の板状基材14をそれに被せて仮固定してのち、覆すことにより、溝付き定盤の配列ピッチと精度を保持したまま、板状基材14上に、より配列精度の高いロッドレンズアレイを配列することが可能である。
ロッドレンズ12としては、イオン交換や相互拡散による屈折率付与、場合によってはフレアカットや黒色コーティングを経た、長さが数十cmから1m超、具体的には最大で1.8mの長尺のガラスロッドやロッドレンズ原糸を、さらに数cmから数十cmに予め切断した、短尺のガラスロッドやロッドレンズ原糸が用いられる。
板状基材14,16は、所定の剛性を有し、複数のロッドレンズアレイを挟持して固定化できるものであれば、その材質や、寸法、厚みは問わない。用いられる板状基材14,16としては、これらに限られないが、エポキシ樹脂やフェノール樹脂、ポリアミド樹脂、ABS樹脂、ポリプロピレン樹脂、アクリルニトリル樹脂、PBT樹脂、アクリル樹脂などを用いることができ、これらの樹脂にガラス繊維や炭素繊維を複合して、その機械的強度の向上を図った、FRP(Fiber Reinforced Plastics:繊維強化プラスチック)を好ましく用いることができる。
黒色樹脂11としては、カーボンブラック、チタンブラック、アゾークロム化合物など前掲した黒色粒子を含んだエポキシ樹脂やシリコーン樹脂などの硬化性樹脂を採用してもよい。
屈折率分布型ロッドレンズ12またはロッドレンズアレイ10は、その長さを変えることによって、有効焦点距離や、正立等倍の結像系で用いたときの作動距離(WD)などを変化させることができるので、短尺のガラスロッドやロッドレンズ原糸を用いて構成されたロッドレンズアレイの前駆体を、所定の作動距離や光学性能を発揮できる長さに切断して、その端面の切断面を研磨することにより、ロッドレンズアレイ10を作製できる。
本実施形態に係るロッドレンズアレイ10は、高い解像度などの光学性能を有し、ロッドレンズアレイ10を備えた光学機器としては、ロッドレンズアレイ10を搭載した画像読取装置を備えるスキャナ、複写機、ファクシミリなどの光学機器や、ロッドレンズアレイ10を搭載した画像形成装置を備える光プリンタ、また、ロッドレンズ12の作動距離の長い特性を生かして、外観検査装置などが例示できる。本実施形態に係る光学機器の種類、構成は、ロッドレンズアレイ10を搭載する限り限定されない。
図12は、ロッドレンズアレイ10を用いた光学機器の例としてイメージセンサ50を示す。図12に示すイメージセンサ50は、例えば紙面に垂直な方向に長尺であってもよい。図12に示すイメージセンサ50は、筐体51内に、ライン状照明装置52、ガラス板(コンタクトガラス)からなる原稿台53、ロッドレンズアレイ10およびライン状受光装置54を含む。ロッドレンズアレイ10は、原稿台53に原稿55を配置した際に、ライン状照明装置52から原稿55に照明光が照射され、原稿55の表面で反射した光が、受光装置54に入射する光路上に配置されている。ロッドレンズアレイ10は、原稿55の表面で反射した光を受光装置54で結像させる、正立等倍系の結像光学系を構成する。図12に示すイメージセンサ50は、原稿台53上の原稿55の読み取りを行うので、コンタクトイメージセンサ(CIS:Contact Image Sensor(密着型イメージセンサ))の一例である。このようなイメージセンサ50は、例えば複写機やファクシミリ装置に搭載されてもよく、サプライチェーンの構成上、イメージセンサ50だけで市場に流通する場合がある。
図13は、ロッドレンズアレイ10を用いた光学機器の例として光プリンタ(LED式)60を示す。図13に示す光プリンタ60は、書込ヘッド61により感光ドラム62に光を露光させて画像(潜像)を形成し、形成した画像を用紙上に定着させる装置である。書込ヘッド61は、ロッドレンズアレイ10と発光素子アレイ63を含み、ロッドレンズアレイ10はLEDアレイから構成される発光素子アレイ63から発せられた光を、感光ドラム62上に露光させる正立等倍系の結像光学系を構成する。
図13に示す光プリンタ60は、一般的な光プリンタと同様の構成を有しており、一般的な光プリンタと同様の機構により、用紙上に画像が形成される。具体的には、円筒状の感光ドラム62の表面には、アモルファスSiなどの光導電性を有する材料(感光体)からなる感光層が形成されている。最初に、回転している感光ドラム62の表面を、帯電装置58で一様に帯電させる。次に、書込ヘッド61により、形成する画像に対応するドットイメージの光を感光ドラム62の感光層に照射し、感光層における光が照射された領域の帯電を中和して、感光層に潜像を形成する。次に、現像装置64により感光層にトナーを付着させると、トナーは感光層の帯電状態に従って、感光層における潜像が形成された部分に付着する。次に、付着させたトナーを、転写装置65により、カセット66から送られてきた用紙に転写した後に、用紙に定着装置67により熱を加えると、トナーが用紙に定着して画像が形成される。その後、用紙はストッカ59に収容される。一方、転写の終了した感光ドラム62は、消去照明68により、帯電が全領域にわたって中和され、清掃装置69により感光層上に残ったトナーが除去される。
図14は、ロッドレンズアレイ10を用いた光学機器の例として検査装置70を示す。検査装置70は、イメージセンサ71と、光源であるライン状照明装置72と、制御装置(コンピュータまたはコンピュータを含む機器)73と、記憶装置74と、出力装置79と、搬送装置75と、搬送装置ドライバ76とを含む。
イメージセンサ71の内部にはロッドレンズアレイ10および受光素子77が配置されている。搬送装置75は、例えばベルトコンベヤーである。搬送装置75は、プリント基板、テキスタイル、及び紙等の検査対象物(ワーク)78を搬送する。搬送装置ドライバ76は、搬送装置75を制御するためのデジタルコンピュータを含んでいてよく、搬送装置75の搬送速度やトルクを調整するための制御信号を搬送装置75に向かって出力してもよい。
イメージセンサ71及びライン状照明装置72は、例えば、搬送装置75の上方に配置されており、検査対象物78は、搬送装置75によってイメージセンサ71の真下を通過する。イメージセンサ71及びライン状照明装置72は、検査対象物78の明瞭な画像データが得られるように配置されている。
制御装置73は、所定のプログラムやアプリケーションのもと、検査対象物78の画像データを形成するためのデジタルコンピュータを含んでいてもよい。検査対象物78がイメージセンサ71の真下を通過するときに、制御装置73は、イメージセンサ71から1次元の画像情報を連続的に取得する。加えて、制御装置73は、搬送装置ドライバ76から検査対象物78の搬送位置情報を取得する。制御装置73は、イメージセンサ71から取得した1次元の画像情報と、搬送装置ドライバ76から取得した搬送位置情報とに基づいて計算処理を行い、2次元の画像情報を形成する。形成された2次元の画像情報は、制御装置73や記憶装置74に予め記憶された、異物、ワレ、ピンホール等の欠陥を特徴づける情報と比較される。これにより、制御装置73は、検査対象物78における欠陥の有無、欠陥の数、及び欠陥の位置を特定する。制御装置73は、この比較結果に基づいて、検査対象物78の良否を判断してもよい。出力装置79は、例えばディスプレイであり、制御装置73によって形成された2次元の画像情報を表示してもよい。
本実施形態に係る検査装置70は、解像度の高い、鮮明な画像を取得できるうえに、作動距離(WD)が長いため、検査対象物78からの飛散物の影響を受けにくく、一定の高さを有する検査対象物78の連続検査に対応可能であり、イメージセンサ71の光入射部の清掃などの作業もやりやすく、引いてはメンテナンス性が優れる点も有利である。
(実施例)
以下に、本発明に係るロッドレンズアレイ10の実施例を例示する。本発明は下記実施例の具体的な構成や作用に限定されない。以下の表2は、6つの実施例(実施例1~6)および6つの比較例(比較例1~6)を示す。
Figure 2023169530000003
ここでは、図7に示す二重紡糸装置30を用いてガラスロッド22を作製した。ガラスロッド22のコア部22aとクラッド部22bを構成するために必要なガラス原料32,34を用意し、コア部22aおよびクラッド部22bに対応したそれぞれの坩堝36,38にガラス原料を投入して加熱して攪拌、熔解し、適度な熔融状態と粘性が確認できた時点で、下部のノズル26から、中央部のコア部22aにクラッド部22bが被覆された状態で、ガラスロッド22を引き出した(ダウンドロー)。ガラスロッド22の径は、装置内の各坩堝36,38内で熔融しているガラス熔解物の粘度や温度、熔解状態、さらには引き出しローラー35の回転速度を適宜調整することにより変更でき、PIDなどの高度な制御をすることにより、許容範囲内の径であって、かつ、ばらつきの小さいガラスロッド22を作製できた。本発明の実施例に用いるガラスロッド22を作製するにあたり、No.1~No.12のガラスロッド22を作製した。ガラス原料は、表1に示したいずれかの実施形態の原料と含有量の範囲内で、求める仕様のガラスロッド22を得るために、適宜調整した。
得られたNo.1~No.12のガラスロッド22について、約1.2mの長さに切断し、図10に示すように、約500℃に保持された硝酸ナトリウムの熔融塩42中に浸漬し、ガラス中に含まれるLiイオンと、熔融塩中のNaイオンとを、イオン交換して、屈折率分布を付与して、No.1'~No.12'の屈折率分布付きガラスロッド22を得た。
さらに、得られた屈折率分布付きガラスロッド22を、フッ化アンモニウムやフッ化水素酸の濃度や温度を調整しながら、算術平均粗さで表されるロッド周面の表面粗さを調整してフレアカットを行った。また、フレアカットに前後して、必要な場合はフッ化水素酸でガラスロッド22の周面をエッチングして、ロッドの径を調整した。
次に、これらの作業が終了した屈折率分布付きガラスロッド22の側面を黒色コーティングした後に、整列工程の作業性に適切な、数十cmの長さの屈折率分布付きガラスロッド22に切断した。
エポキシ樹脂のFRPからなる、厚みが1.4mmの平行平板状の板状基材14,16を二枚用意した。上記の工程で得られた屈折率分布付きガラスロッド22(言い換えるとロッドレンズ12)を、ガラスロッド22の中心軸が互いに平行になるように一方の板状基材14の表面上に整列させた。整列時は、ガラスロッド22の中心軸は特別に認識できないので、ガラスロッド22の側面同士が密着するように配列させた。整列の態様は、図1に示すように板状基材14の表面に沿ってA4サイズの横幅より大きい寸法に達するまで、二列で配列させた。
もう一方の板状基材16によって整列したガラスロッド22の上から、そして一対の板状スペーサ18,20によって両端部から、ガラスロッド22を挟持したのちに、黒色の熱硬化性エポキシ樹脂11を充填して硬化させて、これらの部材を固定化した。最後に板状のロッドレンズアレイ前駆体を、所定の寸法(Z)にて、切断し、その面を研磨した。切断は通常のセラミックス切断用のスライサーを用い、研磨はプラネタリーギア式の両面研磨機と、研磨剤として酸化セリウムの微粒子を含むコロイド溶液を用いた。このようにして、表2に示すNo.1''~No.12''のロッドレンズアレイ10を作製した。
表2は、No.1''~No.12''のロッドレンズアレイの仕様や性能を示す。波長依存性のあるパラメータについては、いずれも波長λ=570nmにおける値である。No.1''~No.6''は本発明の範囲に含まれる実施例であり、No.7''~No.12''は比較例である。
以下、表2に示す各パラメータの測定について説明する。
(中心屈折率n
屈折率分布を形成する前のガラスロッド22の屈折率Ncは、JIS B7021-2(2018)に準拠して、波長λ=570nmにおいて、Vブロック法で測定した。一方で、イオン交換において、屈折率の支配的元素のひとつである第一陽イオン(X)であるLiイオンは、ロッドの中心部で密度的な変化がない。したがって、ロッド中心部における屈折率n(0)は、イオン交換前のガラスロッドの屈折率Ncと等しいと考えて、n=Ncとした(波長λ=570nm)。
(屈折率分布定数:g)
上記の屈折率分布が形成されたガラスロッド22を、母線の垂直な面で適当な長さに切断し、切断後の両端面を平行に鏡面研磨して、屈折率分布定数測定用ロッドレンズを作製した。屈折率分布定数測定用ロッドレンズの一方の端面に格子状のパターンを密着させて配置し、パターンの後側から、波長λ=570nmの光を照射したうえで、もう一方の端面から格子状パターンの正立像を、金属顕微鏡を通じて観察し、周期長Pを求めた。屈折率分布が形成されたレンズ内を光線が進むとき、三角関数のように一定の蛇行周期を有するようになる。周期長は一周期に対応する長さのことをいう。そして、屈折率分布型レンズに関する慣用な式である、g=2π/Pの関係を用いて、波長λ=570nmにおける屈折率分布定数g[mm-1]を求めた。
(クラッド厚:Ct)
ロッドレンズ12の、クラッド厚は、ミツトヨ社製のCNC画像測定機クイックビジョン(型式:QVT1-X404L1L-C)を用いて測定した。対物レンズと撮像レンズの倍率は、それぞれ2.5倍および6倍であり、観察画像はパーソナルコンピュータのディスプレイに表示させた。ロッドレンズ12を、ロッドレンズ12の端面が測定機の対物レンズに対向するように静置し、透過および落射によりロッドレンズ12を照明し、視野内に、コア部22aとクラッド部22bの境界とその近傍、および、ロッドレンズ12の側面の断面線(輪郭線)を観察できるように測定機とロッドレンズ12との位置を調整した。クラッド部22bは吸収性が高く、コア部22aは透過性が高いので、コア部22aとクラッド部22bの境界は容易に特定できるため、コア部22aとクラッド部22bとの境界と、ロッドレンズ12の輪郭線との距離を測定することにより、クラッド厚Ctを求めた。
(レンズ有効径:r
ロッドレンズ12の有効径は、ロッドレンズ12のレンズとしての作用する部分に対応した断面上の半径を表すものとして、コア部22aの半径とした。ロッドレンズ12の有効径は、ロッドレンズ12の半径から、クラッド厚Ctを差し引いたものであるとし、
=D/2-Ct
より求めた(Dはロッドレンズ12の外径を表す)。
(開口角:θc)
ロッドレンズ12の開口角θcは、ロッドレンズ12の中心屈折率n、ロッドレンズ12の屈折率分布定数gおよびロッドレンズ12の有効半径rとから、
sin-1θc=n・g・r
より求めた。
(視野半径:X
ロッドレンズ12の視野半径Xは、ロッドレンズ12が像面に形成する像の半径を表し、ロッドレンズ12の有効半径r、ロッドレンズ12の周期長P、デジタルノギスで測定したロッドレンズ12の長さZとから、
=―r・sec(π・Z/P)より求めた。
(重なり度:m)
ロッドレンズ12の重なり度mは、ロッドレンズ12の有効半径rの二倍(有効直径)に対する、視野半径Xの比を表し、mが大きいほど、ロッドレンズアレイ10としたときに隣接するロッドレンズ12によって形成される像の重なりの部分が比較的大きくなる。また、重なり度mが大きいほど、共役長(TC)が長くなり、光量ムラが小さくなる一方で、解像度や明るさは低下する傾向にある。ロッドレンズ12の重なり度mは、ロッドレンズ12の視野半径Xと、ロッドレンズ12の有効半径rとから、
m=X/(2・r)より求めた。
(MTF)
ロッドレンズアレイ10の解像度を計るMTFの測定について説明する。図15は、MTF測定装置の概略図である。6lp/mm(ラインペア/mm、また空間周波数の単位は6[/mm]と表すこともある)の空間周波数を有する、透過型のロンキー・ルーリングからなる平行平板状テストターゲット81と、テストターゲット81と対向してCCDからなるイメージセンサ82とを、テストターゲット81とイメージセンサ82の受光面とが平行になるように配置した。
ロンキー・ルーリングとは、一種類の空間周波数の光遮光部と光透過部のパターンが一方向(図15においてx'方向とする)にのみに沿って構成されたテストターゲットの一種であり、矩形波格子とも称される。これらは、スライドガラスのような平行平板状ガラスや石英の面にパターンが設けられており、光透過部の部分はガラスの素通しの部分に相当し、光遮光部の部分はガラスの面上にクロムの金属膜が形成されたものであり、光遮光部の光学濃度は、OD=3である。テストターゲット81を照明するために、テストターゲット81の背後(イメージセンサ82のある側と反対側)から、照明光を照射した。照明光は、ハロゲンランプからなる白色光源83から順に、波長バンドパスフィルタ(中心波長=570nm、半値全幅=15nm)84と、オパール拡散板85と、を配置することにより、適用波長の単一性化と、強度分布の均一化を図った。
次に、ロッドレンズアレイ10によって、テストターゲット81の像がイメージセンサ82の受光面に形成されるように、ロッドレンズアレイ10をテストターゲット81とイメージセンサ82の間に配置した。このとき、ロッドレンズ12の両端面(光の入出射面)とテストターゲット81、イメージセンサ82の受光面とは略平行とした。さらに、ロッドレンズアレイ10のロッドレンズ12の配列方向(配列されている方向のうち長い方)のx方向と、テストターゲット81の前記x'方向とは略平行とした。さらに、テストターゲット81のイメージセンサ82側の面とロッドレンズアレイ10の入射面との距離L1と、ロッドレンズアレイ10の出射面とイメージセンサ82の受光面との距離L2と、が等しくなるように配置した。
次に、ロッドレンズアレイ10の、所定の部分(中央部分)におけるMTFが最良(最大値)となるように、常にL1=L2を維持しつつ、L1とL2の両方を対称的に変化させて調整した。テストターゲット(6ラインペア/mmのパターン)81のロッドレンズアレイ10による像の光強度分布において、所定の範囲内での最大値をImaxとし、同最小値をIminとしたとき、MTFは、MTF=(Imax―Imin)/(Imax+Imin)×100[%]で求められる。所定の範囲は、テストターゲット81のパターンの空間周波数をM[/mm]としたとき、1/M[mm]とした。このとき使用したテストターゲット81の空間周波数は6lp/mm(6/mm)であったので、前記範囲は0.1667mmとした。
最良のMTFが得られる位置における、L2は特に作動距離(WD:ワーキングディスタンス)とし、ロッドレンズアレイ10の最良の解像度が得られる仕様上の特性値である。当然にL1=L2=WDであるので、ロッドレンズアレイ10の共役長TCは、最良のMTFが得られるときの、テストターゲット(物点)81とイメージセンサ82の受光面(像点)との距離として、TC=Z+2×WDで求められる。
ロッドレンズ12の解像度を表すMTFは、一定の有効長の配列にわたって測定すべきであるので、図15に示すように、L1=L2を一定にしたまま、ロッドレンズアレイ10をx方向に動かしながら、ロッドレンズアレイ10の配列方向の有効長にわたってMTFを測定し、ロッドレンズ有効長にわたるMTF分布を取得した。このように得られたMTF分布から、平均値MTFaveと最小値MTFmin、さらにMTFave-MTFminを求めた。
(フレア率:F
ロッドレンズアレイ10のフレア率Fの測定について説明する。図16は、フレア率Fの測定装置の概略図である。図16に示す測定装置は、ロンキー・チャートからなるテストターゲット81を、ナイフエッジチャートからなるテストターゲット91に変更した以外は、図15示したMTF測定装置80と同様である。
図17は、ナイフエッジチャートの平面図である。ナイフエッジチャートとは、図17に示すように、光の透過部91aと、光の遮光部91bと、それらの境界線Bを少なくとも一つ備えるパターンであり、平行平板状ガラスの一つの主面を光透過部91aと光遮光部91bの二区画に分割したものでもよい。ここで用いたナイフエッジチャートからなるテストターゲット91は、平面視上、少なくとも一辺hの矩形状の平行平板状ガラスの一つの主面に、前記の辺hに垂直であり、前記辺hを二等分するように、片側に金属クロムによる蒸着膜を光遮光部91bとして設け、もう片側は素通しのガラスを光透過部91aとしたものである。また、ナイフエッジチャートのテストターゲット91は、辺hの方向にのみ白黒の一回のみの切換えのパターンを有するものである。光透過部91aと光遮光部91bとの境界線Bは、辺hに直角である。境界線Bに垂直な方向をx''方向とした。光遮光部91bの部分は、ガラスの面上にクロムの金属膜が形成されたものであり、光遮光部91bの部分の光学濃度は、OD=3であった。光透過部91aの部分は、いわゆる素通しのガラスの状態であった。
フレア率の測定は、先のMTF測定において特定されたL1およびL2の配置を固定し、ロンキー・チャートのテストターゲット81のあった場所に、代わってナイフエッジチャートのテストターゲット91を配置し、正立等倍系におけるフレア率の測定を行った。このとき、ナイフエッジチャートのx''方向と、ロッドレンズアレイ10のx方向とを平行にして、ナイフエッジチャートの遮光部91bと境界線Bの像が、イメージセンサ82の受光面に結像するように配置した。境界線Bは、ロッドレンズアレイ10のx方向の有効長さの略中央に対向するように、互いの位置を調整した。ナイフエッジチャートの境界線Bに垂直な方向における、光遮光部91bと光透過部91aの長さ(辺hの長さ)は16mmであったので、この範囲のチャートに対応した画像を得た。ロッドレンズアレイ10によるナイフエッジチャートの像の光強度分布をI(x)とした。xはx方向の距離を表す。
次に、ナイフエッジチャートのテストターゲット91と略同一寸法の平行平板状であり、一方の主面がすべて光遮光部となっているターゲットを用意した。ターゲットの光学濃度は、ナイフエッジチャートからなるテストターゲット91の光遮光部91bと同じOD=3であった。L1およびL2を固定したまま、ナイフエッジチャートからなるテストターゲット91のあった場所に、光遮光部からなるテストターゲットを配置し、同様に光強度分布I(x)を測定した。光強度分布の最小値をI minとした。
次に、ナイフエッジチャートのテストターゲット91と略同一寸法の平行平板状であり、主面がすべて光透過部となっているターゲットを用意した。これは、遮光部が形成されていない平行平板状ガラスであった。L1およびL2を固定したまま、ナイフエッジチャートのテストターゲット91があった場所に、光透過部からなるテストターゲットを配置し、同様に光強度分布I(x)を測定した。光強度分布の最大値をI maxとした。
以下に、光遮光部と光透過部の光強度を考慮した、ナイフエッジの像の光強度分布I(x)の算出式を示す。
(x)={I(x)―I min}/(I max―I min)×100
求められた光強度分布(I(x))を図18に示す。図18は、実施例1および比較例3の光強度分布を示し、x=0を境界に、紙面の左側がナイフエッジチャートの光透過部91a、紙面の右側がナイフエッジチャートの光遮光部91bに対応すると考えてよい。
ナイフエッジによる光強度分布を表す図18によれば、光遮光部91bに対応した像の範囲(紙面上、境界部から右側の領域)の光強度は、本来的にゼロかゼロ近傍になるはずであるところ、光透過部91aを透過した光が、フレア光となって、光遮光部91bに対応する領域に回り込んでしまっていると考えられる。フレア率は、ナイフエッジによる像の光強度分布から、境界点をx[mm]としたとき、x[mm]~xN+1[mm]の範囲(すなわち、x=0[mm]としたので範囲0≦x≦1)におけるI(x)の平均値をフレア率Fとした。境界点xは、光強度分布IR(x)において、光透過部91aに対応する領域から光遮光部91bに対応する領域に遷移する急峻部の線分を、図19のように、x軸(IR(x)=0)まで延長したときのx軸上の到達点とした。
(ロッドレンズ周面の表面粗さ)
ロッドレンズ12の周面の表面粗さは、JIS B0601:1994に則って、屈折率分布の形成後に(実施例によっては、その後にフレアカットを実施した後に)、ロッドレンズ12の周面の算術平均粗さRaを求めて表した。ロッドレンズ12をV溝に固定し、ロッドレンズ12の端面に垂直な方向に沿って、長さla=5mmの範囲の周面を線走査してRaを求めた。同様に全周面の4カ所を線走査してそれぞれRaを求め、それらの平均をロッドレンズ12の表面粗さの値とした。表面粗さの測定は、小坂研究所社製サーフコーダー(型式 SE1700α)を用い、半径が2μmの触針、カットオフ波長λc=0.800mmとし、線走査速度(掃引速度)=0.5mm/秒の条件とした。
表2に示す実施例および比較例に係るロッドレンズアレイの特性値等の比較検討を行った。実施例1と比較例1とは開口角と屈折率分布定数がともに近い値同士であり、また、TCが同値になるようレンズ長Zをそれぞれ調整して作製された。
実施例1と比較例1とを比べると、実施例1のMTFminの値が30%以上、かつMTFave-MTFminの値が30%を下回るのに対し、比較例1ではMTFminの値が30%を下回り、かつMTFave-MTFminの値が30を大きく超えており、MTFの局所的な変動が大きいことが分かる。ここで両者の表面粗さRa値に着目すると、実施例1においてはRaが0.27であるのに対し、比較例1においてはRa値が2.1であり、配列性が悪化して像の重ね合わせに影響が生じ、MTFave-MTFminの値が大きくなったと示唆された。
また、開口角と屈折率分布定数が実施例1とは異なる、実施例5と比較例6、あるいは実施例3と比較例4との比較においても同様で、Ra値の小さい実施例5は比較例6のMTFminの値が小さく、また、MTFave-MTFminの値が大きい傾向を示し、MTFの局所的な変動は開口角や屈折率分布によらずRa値の大きさに応じて変わることを示している。従って、MTFの局所変動を抑制するためにはRa値は1.0μm以下、望ましくは0.5μm以下に抑制する必要があると示唆された。
続いて、実施例1から6と比較例5とを比較検討する。これらはいずれもRa値が小さく、クラッド構造を有するロッドレンズアレイである。これらのMTFの局所変動は実施例1から5ではMTFminの値が30%以上を有しているのに対して、比較例5においては、MTFminの値が30%を下回る。TC値の大小関係を比較すると、実施例4はTC150mm以内であり、比較例5ではTCが200mmである。先に述べた通り、レンズ個々の軸ズレによる局所的な像のズレ量はTCの増加とともに大きくなる傾向があるからである。従って、TCは少なくとも200mmより小さくしておく必要があり、望ましくは170mm以内にする必要があり、さらに望ましくは150mm以内にしておく方がよい。
実施例1と比較例3とを比較検討する。実施例1と比較例3とはRa値は近しいが、実施例1は着色クラッド層を有しており、比較例3ではクラッド層を持たない、という特徴がある。実施例1は先に示した通り、MTFの局所変動が小さいロッドレンズアレイである。一方の比較例3はRa値が小さいことに起因して、MTFave-MTFminの値が30%以下であるものの、MTFaveの値が低く、またMTFminの値も30%を下回っている。ロッドレンズアレイにおいて、MTFminの値が小さいことは局所的に解像しない領域があることを意味し、この領域をまたぐような対象物の読み取りでスジムラや階調の変化等の問題を生じることとなる。従って、このようなトラブルを避けるためにも6LP/mmのチャートにおけるMTFminは30%以上であることが求められる。
以上、本発明を実施の形態をもとに説明した。この実施の形態は例示であり、それらの各構成要素や各処理プロセスの組合せにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
10 ロッドレンズアレイ、 11 黒色樹脂、 12 ロッドレンズ、 14,16 板状基材、 18 板状スペーサ、 22 ガラスロッド、 24 吸収層、 26 ノズル、 30 二重紡糸装置、 32 コア部用ガラス原料、 34 クラッド部用ガラス原料、 36,38 坩堝、 50 イメージセンサ、 60 光プリンタ、 70 70 検査装置、 80 MTF測定装置。

Claims (8)

  1. 中心から外周部に向かって屈折率が減少する屈折率分布を有する複数のロッドレンズを、中心軸が互いに略平行になるように配列したロッドレンズアレイであって、
    前記ロッドレンズの屈折率分布n(r)をn(r)=n ・{1-(g・r)}として、前記ロッドレンズの開口角θcをθc=sin-1(n・g・r)としたとき、 θc=3.5°~15°であり、
    共役長TCがTC=45mm~175mmであり、
    MTFの最小値MTFminが30%以上である、
    (ただし、rは前記ロッドレンズの中心から半径方向の距離、rは前記ロッドレンズの有効半径、nは前記ロッドレンズの中心屈折率、n(r)はrにおけるロッドレンズの屈折率、gは屈折率分布定数、共役長TCはTC=Z+2・WDであり、Zは前記ロッドレンズの長さ、WDは作動距離を表す)ことを特徴とするロッドレンズアレイ。
  2. MTFの平均値MTFaveとMTFの最小値MTFminとの差MTFave―MTFminが、30%以下であることを特徴とする請求項1に記載のロッドレンズアレイ。
  3. フレア率が5%以下であることを特徴とする請求項1に記載のロッドレンズアレイ。
  4. 前記ロッドレンズの周面の算術平均粗さは、0.05μm~0.5μmであることを特徴とする請求項1に記載のロッドレンズアレイ。
  5. 前記ロッドレンズの半径をRとした場合、前記ロッドレンズの中心軸から0.7R~Rの部分において、波長380nm~780nmの範囲に含まれる波長の光の一部を吸収する吸収層を備えることを特徴とする請求項1に記載のロッドレンズアレイ。
  6. 請求項1から5のいずれかに記載のロッドレンズアレイを備えることを特徴とするイメージセンサ。
  7. 請求項1から5のいずれかに記載のロッドレンズアレイを備えることを特徴とするプリンタ。
  8. 請求項1から5のいずれかに記載のロッドレンズアレイを備えることを特徴とする検査装置。
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