JP2023164073A - 分相ガラス - Google Patents

分相ガラス Download PDF

Info

Publication number
JP2023164073A
JP2023164073A JP2022075385A JP2022075385A JP2023164073A JP 2023164073 A JP2023164073 A JP 2023164073A JP 2022075385 A JP2022075385 A JP 2022075385A JP 2022075385 A JP2022075385 A JP 2022075385A JP 2023164073 A JP2023164073 A JP 2023164073A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
phase
glass
light
less
scattering
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2022075385A
Other languages
English (en)
Inventor
直哉 和田
Naoya Wada
洋平 河合
Yohei Kawai
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
AGC Inc
Original Assignee
Asahi Glass Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Asahi Glass Co Ltd filed Critical Asahi Glass Co Ltd
Priority to JP2022075385A priority Critical patent/JP2023164073A/ja
Publication of JP2023164073A publication Critical patent/JP2023164073A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Glass Compositions (AREA)
  • Electroluminescent Light Sources (AREA)

Abstract

【課題】透明度が高く、かつ光の波長ごとに散乱特性が異なる分相ガラスの提供を目的とする。【解決手段】マトリックス相及び光散乱相を含む分相ガラスであって、平均組成が特定の範囲であり、前記光散乱相は粒型構造及び網目型構造の少なくとも1つの構造を有し、前記分相ガラスを研磨加工して厚さ1mmの平板とし、JIS K 7136:2000に準拠して、C光源で測定したヘーズ及び全光線透過率が特定の範囲であり、前記分相ガラスを研磨加工して厚さ1mmの平板とし、分光光度計によって測定した、波長445nm、555nm及び600nmにおける全光線透過率をそれぞれT445、T555及びT600とするとき、T445、T555、T600-T555及びT555-T445が特定の範囲である、分相ガラス。【選択図】なし

Description

本発明は分相ガラスに関する。
特許文献1には、有機EL素子に適用できる、分相構造を有するガラス記載されている。
特開2015-71524号公報
ところで、意匠性の観点から、透明度が高く、かつ光の波長ごとに散乱特性が異なる分相ガラスが求められることがある。このような分相ガラスを実現するためには、組成設計および光散乱相のサイズなど分相度合いの制御が重要となる。しかし、特許文献1に記載のガラスは、分相の成長速度が速い傾向にあることや、第1の相と第2の相の屈折率差が大きくなりやすいことから、透明度が高く、かつ光の波長ごとに散乱特性が異なる分相ガラス、を得ることが難しい。
したがって、本発明は、透明度が高く、かつ光の波長ごとに散乱特性が異なる分相ガラスの提供を目的とする。
本発明の分相ガラスは、マトリックス相及び光散乱相を含む分相ガラスであって、平均組成として、酸化物基準のモル百分率表示で、SiOを60~75%、Alを1~10%含有し、LiO、NaO及びKOの含有量の合計が0.1~10%、MgO、CaO、SrO及びBaOの含有量の合計が17~35%であり、前記光散乱相は粒型構造及び網目型構造の少なくとも1つの構造を有し、前記分相ガラスを研磨加工して厚さ1mmの平板とし、JIS K 7136:2000に準拠して、C光源で測定したヘーズが0.05%以上20%以下であり、前記分相ガラスを研磨加工して厚さ1mmの平板とし、JIS K 7136:2000に準拠して、C光源で測定した全光線透過率が65%以上92%以下あり、前記分相ガラスを研磨加工して厚さ1mmの平板とし、分光光度計によって測定した、波長445nm、555nm及び600nmにおける全光線透過率をそれぞれT445、T555及びT600とするとき、T445が30%以上、T555が60%以上、T600-T555が0.02%以上、かつT555-T445が0.4%以上を満たす。
本発明に係る分相ガラスによれば、平均組成と光学特性が特定範囲であることにより、透明度が高く、かつ光発生装置から光照射した際の波長ごとの散乱特性が異なる効果を有する。
その結果、光源付き照明体、照明用のフィルター、レンガ、タイル、パーテション、又は宝飾品などとして使用した際に、光照射時に色のグラデーションを生じさせるなど、意匠性付与に優れた分相ガラスを実現できる。この分相ガラスは、照明器具、車載用ガラス、住宅用ガラス、インテリア又はエクステリアなど、様々な用途に適用できる。
図1Aは、本発明の実施形態に係る分相ガラスの模式断面図であり、バイノーダル分相を示す。 図1Bは本発明の実施形態に係る分相ガラスの模式断面図であり、スピノーダル分相を示す。 図2は、本発明の実施形態に係る分相ガラスの端面側に光発生装置を有する、光源付き照明体の例である。 図3は、本発明の実施形態に係る分相ガラスの主面側に光発生装置を有する、照明用フィルターの例である。 図4Aは、本発明の実施形態に係る分相ガラスによって光発生装置をカバーする、照明用カバーの側面図の例である。 図4Bは、本発明の実施形態に係る分相ガラスによって光発生装置をカバーする、照明用カバーの断面図の例である。 図5は、本発明の実施形態に係る分相ガラスを積んだ、装飾用レンガの例である。 図6は、本発明の実施形態に係る分相ガラスを並べた、装飾用タイルの例である。
以下、本発明を詳細に説明するが、本発明は以下の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、任意に変形して実施できる。
分相ガラス1は、マトリックス相及び光散乱相を含み、該光散乱相は粒型構造及び網目型構造の少なくとも1つの構造を有する。分相ガラス1の実施形態としては、図1Aに示す、バイノーダル分相によって形成される粒型構造を有する分相ガラス1aと、図1Bに示す、スピノーダル分相によって形成される網目型構造を有する分相ガラス1bが挙げられる。バイノーダル分相とは、核生成-成長機構による分相であり、連続的なマトリックス相の中におよそ球状の粒型の分相構造が1以上形成された構造である。また、スピノーダル分相とは、分相した各相がある程度規則性を持ち、3次元で相互かつ連続的に絡み合った構造である。これらの分相構造は、以下に述べるように光散乱機能を発現する。
図1Aに示す粒型構造を有する分相ガラス1aは、ガラスの内部に1以上の分散された光散乱相13aと、その周辺に連続的な相であるマトリックス相12aを有する。光散乱相13aは、マトリックス相12aよりも、体積分率が小さい。図1Bに示す網目型構造を有する分相ガラス1bは、マトリックス相12bと、マトリックス相12bよりも体積分率が小さい光散乱相13bを有する。分相ガラス1は、光散乱相13a又は13bと、その周りのマトリックス相12aまた12bとの屈折率が異なるため、入射した光を散乱する。
光がその波長に比べて十分に小さな粒子(例えば波長の1/10)に当たると、その散乱光は波長の影響を受け、レイリー散乱という現象が発生する。レイリー散乱の散乱係数は波長の4乗に反比例するため、短波長(青い)光ほど散乱されやすくなる。本実施形態に係る分相ガラス1は、このレイリー散乱を利用して、光発生装置から光照射した際の波長ごとの散乱特性が異なる効果を有し、その結果、散乱光あるいは透過光に色のグラデーションを生じさせるなど優れた意匠性を示す。
ガラスが分相しているか否かは、SEM(scanning electron microscope、走査型電子顕微鏡)により判断できる。ガラスが分相している場合、ガラスをSEMで観察すると、反射電子像においてコントラストの異なる2つ以上の相に分かれていることが観察できる。あるいは、ガラスを1重量%のフッ酸溶液に1分間浸漬して、マトリックス相を優先的にエッチングした後に2次電子像を観察することにより、より明確に分相構造を観察できる。
粒型の光散乱相13aを有する分相ガラス1aにおいて、光散乱相13aの平均粒子径は120nm以下が好ましく、90m以下がより好ましく、60nm以下がさらに好ましい。光散乱相13aの平均粒子径が120nm以下であれば、光照射時に波長ごとの散乱特性を変化させることができる。また、分相ガラス1aの白濁が生じ難くなるため、透明度を高くしヘーズを低くできる。一方、平均粒子径は10nm以上が好ましく、15nm以上がより好ましく、20nm以上がさらに好ましい。散乱相13aの平均粒子径が10nm以上であれば、光照射時に十分な光散乱性を得ることができる。
粒型の光散乱相13aを有する分相ガラス1aにおいて、光散乱相13aは、光照射時に波長ごとの散乱特性を変化させ、かつ分相ガラス1aのヘーズを低くする点から、粒子径分布の半値幅は80nm以下が好ましく、50nm以下がより好ましく、30nm以下がさらに好ましい。一方、光照射時に十分な光散乱性を得る点から、半値幅は10nm以上が好ましく、12nm以上がより好ましく、15nm以上がさらに好ましい。
粒型の光散乱相13aを有する分相ガラス1aにおいて、光散乱相13aの面積比は、光照射時に散乱性を十分に付与する点から、1%以上が好ましく、5%以上がより好ましく、10%以上がさらに好ましい。また、分相ガラス1aのヘーズを低く保つ点から光散乱相13aの面積比は49%以下が好ましく、30%以下がより好ましく、20%以下がさらに好ましい。
なお、本明細書において光散乱相13aの平均粒子径、粒子径分布の半値幅、及び面積比は、分相ガラス1aをFIB(Focused Ion Beam、集束イオンビーム)装置にて断面加工した後、SEMによって1kVの加速電圧で得られた断面の反射電子像を観察し、少なくとも3μm以上の範囲で粒子径及び面積比を計測することによって算出できる。観察断面における個々の光散乱相13aの形状が円形でない場合においては、円で近似して算出する。また、計測の際には、画像処理ソフトを用い、観察像のコントラストを2値化してもよい。
なお、観察断面における光散乱相13aの面積比は、分相ガラス1a全体における光散乱相13aの体積比とおよそ一致すると考えられる。
網目型の光散乱相13bを有する分相ガラス1bにおいて、光散乱相13bの枝部における平均幅は120nm以下が好ましく、90m以下がより好ましく、60nm以下がさらに好ましい。光散乱相13bの枝部における平均幅が120nm以下であれば、光照射時に波長ごとの散乱特性を変化させることができる。また、分相ガラス1bの白濁が生じにくくなるため、透明度を高くしヘーズを低くできる。一方、光散乱相13bの枝部における平均幅は、10nm以上が好ましく、15nm以上がより好ましく、20nm以上がさらに好ましい。光散乱相13bの枝部における平均幅が10nm以上であれば、光照射時に十分な光散乱性を得ることができる。
網目型の光散乱相13bを有する分相ガラス1bにおいて、光照射時に波長ごとの散乱特性を変化させ、かつ分相ガラス1aのヘーズを低くする点から、光散乱相13bの枝部の幅の分布の半値幅は80nm以下が好ましく、50nm以下がより好ましく、30nm以下がさらに好ましい。一方、光照射時に十分な光散乱性を得る点から、半値幅は10nm以上が好ましく、12nm以上がより好ましく、15nm以上がさらに好ましい。
網目型の光散乱相13bを有する分相ガラス1bにおいて、光散乱相13bの面積比は、光照射時に散乱性を付与する点から、1%以上が好ましく、5%以上がより好ましく、10%以上がさらに好ましい。また、分相ガラス1bのヘーズを低く保つ点から光散乱相13bの面積比は49%以下が好ましく、30%以下がより好ましく、20%以下がさらに好ましい。
なお、本明細書において光散乱相13bの枝部における平均幅、枝部の幅の分布の半値幅、及び面積比は、分相ガラス1bをFIBにて断面加工した後、SEMによって1kVの加速電圧で得られた断面の反射電子像を観察し、少なくとも3μm以上の範囲で光散乱相13bの直径及び面積比を計測することによって算出できる。なお、観察断面における個々の光散乱相13bの形状が円形でない場合においては、円で近似して算出する。また、計測の際には、画像処理ソフトを用い、観察像のコントラストを2値化してもよい。
なお、観察断面における光散乱相13bの面積比は、分相ガラス1b全体における光散乱相13bの体積比とおよそ一致すると考えられる。
分相ガラス1を構成するマトリックス相12a又は12b、及び光散乱相13a又は13bの特性により、光照射時に波長ごとの散乱特性を変化させることができる。具体的には、例えば、分相ガラス1におけるバイノーダル分相又はスピノーダル分相の種類、平均組成、粒子径や枝部における幅、半値幅、面積比等を適宜調整する。
分相ガラス1としては、粒型の分相ガラス1aが特に好ましい。粒型の分相ガラス1aを分相ガラス1として用いることにより、分相ガラス1のヘーズを下げやすく、波長ごとの散乱特性を容易に変化させることができる。
分相ガラス1は、耐アルカリ性の点から、0.5mol/L炭酸ナトリウム水溶液と1mol/L水酸化ナトリウム水溶液の等量混合溶液に90℃で3時間浸漬した際の、単位表面積当たりの重量減少が1mg/cm未満が好ましく、0.7mg/cm未満がより好ましく、0.5mg/cm未満がさらに好ましい。耐アルカリ試験は溶液温度を90℃とする以外は、ISO695:1991に準拠し実施される。耐アルカリ性を有することにより、台所や浴室での使用が可能となり建材としての用途が広がる。また、精密な研磨が可能となり、宝飾品としての美しさが増す。
分相ガラス1は、光散乱相13a又は13bは、マトリックス相12a又は12bと比べてフッ酸のエッチング耐性が高いことが好ましい。
分相ガラス1を厚さ1mmの平板とした場合、JIS K 7136:2000に準拠して、C光源で測定したヘーズは0.05%以上が好ましく、0.1%以上がより好ましく、0.3%以上がさらに好ましい。ヘーズが0.05%以上であることにより、分相ガラス1に照射した光が散乱し意匠性に優れる。一方、分相ガラス1を厚さ1mmの平板とした場合、JIS K 7136:2000に準拠して、C光源で測定したヘーズは20%以下が好ましく、5.0%以下がより好ましく、1.0%以下がさらに好ましい。ヘーズが20%以下であることにより、分相ガラス1は高い透明度が得られる。
なお、分相ガラス1から作製される厚さ1mmの平板は、番手が1000のダイヤモンド砥石で両面が平行となるように研削した後に、酸化セリウムの遊離砥粒を用いて表面粗さRaが5nm以下になるように研磨を行うことで得られる。また、平板のサイズは25mm角以上とし、50mm角が好ましい。なお、分相ガラス1の厚みが1mm未満で、1mmの平板が採取できない場合には、1mm未満の平板複数枚を屈折率がマッチングした接触液、つまり平板と屈折率がほぼ等しい接触液を介して重ねることにより、合計1mmとなるようにして測定しても良い。その場合、平板のガラス同士を押すことで、接触液の厚みをできるだけ薄くする必要がある。
分相ガラス1を厚さ1mmの平板とした場合、JIS K 7136:2000に準拠し、C光源で測定した全光線透過率は、65%以上が好ましく、80%以上がより好ましく、85%以上がさらに好ましい。全光線透過率が65%以上であれば、分相ガラス1の透明度を高め得る。また、分相ガラス1への光照射時に光を長距離に伝搬できる。一方、分相ガラス1を厚さ1mmの平板とした場合、JIS K 7136:2000に準拠し、C光源で測定した全光線透過率は、92%以下が好ましく、90%以下がより好ましく、88%以下がさらに好ましい。全光線透過率が92%以下であれば、分相ガラス1への光照射時に十分な光散乱性が得られる。C光源で測定した全光線透過率が65%以上である透明度が高い分相ガラスが得るためには、分相の成長速度を抑制することが重要である。分相の成長速度が速いと、光散乱相13aの平均粒子径または光散乱相13bの枝部における平均幅が大きくなるか、マトリックス相12a又は12bの屈折率と、光散乱相13a又は13bの屈折率との差(屈折率差)が大きくなることにより、分相ガラス1が白濁し、透明度が低くなりやすい。また、適切な分相度合いを再現性良く製造し得ない場合がある。
分相ガラス1を厚さ1mmの平板とした場合、分光光度計によって測定した、波長445nm、555nm及び600nmにおける全光線透過率をそれぞれT445、T555及びT600とする。このとき、T445が30%以上かつT555が60%以上を満たすことが好ましい。T445は70%以上がより好ましく、80%以上がさらに好ましい。T555は75%以上がより好ましく、85%以上がさらに好ましい。T445が30%以上かつT555が60%以上であれば、分相ガラス1の透明度を高め得る。なお、分光光度計によって全光線透過率を測定する際は、ダブルビーム方式の分光光度計を用い、参照光が入射する開口および、試料光が入射するもう一つの開口を備える積分球において、試料光が入射する開口を覆うように分相ガラス1の平板を密着させて設置し、測定する。
分相ガラス1を厚さ1mmの平板とした場合、JIS K 7375:2008に準拠して測定した、波長600nmにおける全光線透過率と波長555nmにおける全光線透過率の差T600-T555は、0.02%以上が好ましく、0.05%以上がより好ましく、0.3%以上がさらに好ましい。T600-T555が0.02%以上であれば、可視光の長波長側において、波長ごとの散乱特性を十分に変化させることができ、分相ガラス1の散乱光あるいは透過光に色のグラデーションを生じさせることができる。分相ガラス1を厚さ1mmの平板とし、JIS K 7375:2008に準拠して測定した、波長555nmにおける全光線透過率と波445nmにおける全光線透過率の差T555-T445は、0.4%以上が好ましく、1%以上がより好ましく、3%以上がさらに好ましい。T555-T445が0.4%以上であれば、可視光の短波長側において、波長ごとの散乱特性を十分に変化させることができ、分相ガラス1の散乱光あるいは透過光に色のグラデーションを生じさせることができる。
なお、波長445、555、600nmはそれぞれ、青、緑、赤の各色において人間がもっとも知覚しやすい波長である。
マトリックス相12a又は12bの屈折率と、光散乱相13a又は13bの屈折率との差(屈折率差)は、光を十分に散乱させる点から0.01以上が好ましく、0.02以上がより好ましく、0.05以上がさらに好ましい。また、屈折率の差の上限は特に限定されないが、分相ガラス1の光透過性の観点から0.5以下が好ましく、0.3以下がより好ましく0.2以下がさらに好ましい。また、光散乱相13a又は13bの屈折率は、マトリックス相12a又は12bと比べて屈折率が低いことが好ましい。
なお、屈折率の差は、光散乱相(13a又は13b)又はマトリックス相(12a又は12b)のいずれか一方を選択的にフッ酸でエッチングし完全に除去することにより、残った相の組成を分析し、残った相の組成、分相ガラス1の平均組成、および光散乱相(13a又は13b)の面積比から、除去された相の組成を算出した上で、APPENの式から両相の屈折率を推算することによって求める。
分相ガラス1において、光散乱相13a又は13bはマトリックス相12a又は12bと比べてSiO成分が多いことが好ましい。
<組成>
分相ガラス1は平均組成としては、酸化物基準のモル百分率表示で、SiOを60~75%、Alを1~10%含有し、LiO、NaO及びKOの含有量の合計(以下、LiO+NaO+KO)が0.1~10%、MgO、CaO、SrO及びBaOの含有量の合計(以下、MgO+CaO+SrO+BaO)が17~35%であることが好ましい。
ここで、数値範囲を示す「~」は、その前後に記載された数値を下限値及び上限値として含む意味で使用される。また、分相ガラス1の平均組成とは、光散乱相13a又は13bと、マトリックス相12a又は12bを含む分相ガラス1a又は1bを、体積全体にわたって平均化した組成である。以下、百分率表示は、特に断らない限り、酸化物基準のモル百分率表示含有量を示す。
分相ガラス1の平均組成は、SiOを60~75%、Alを1~8%、CaOを17~35%、SrOを0~10%、BaOを0~10%、ZnOを0~4%、Bを0~3%含有し、LiO+NaO+KOが1.5~4.5%、MgO+CaO+SrO+BaOが17~35%であることがより好ましい。
SiOは、ガラスの骨格を構成する主要成分である。分相ガラス1におけるSiOの含有量は60~75%である。SiOの含有量は、62%以上が好ましく、64%以上がより好ましく、66%以上がさらに好ましい。SiOの含有量が60%以上であるとガラスとしての安定性や耐アルカリ性の点で優位である。一方、SiOの含有量は、73%以下が好ましく、72%以下がより好ましく、71%以下がさらに好ましい。SiOの含有量が75%以下であるとガラスの溶融温度と溶融粘性を下げることができ、成形性の点でも優位である。
Alはガラスの耐候性を向上させるとともに、分相の成長速度を抑制し、分相度合いを制御しやすくする成分である。分相ガラス1におけるAlの含有量は、1~10%である。2%以上が好ましく、3%以上がより好ましく、4%以上がさらに好ましい。Alの含有量が1%以上であると、ガラスを屋外に面して使用しても十分な耐候性が得られる。また、分相度合いを制御しやすい。一方、Alの含有量は、9%以下が好ましく、好ましくは8%以下がより好ましく、6%以下がさらに好ましい。Alの含有量が10%以下であると、ガラスの溶融粘性を低く保つことができ、かつ成型時に失透が発生することがなく、熔解、成形の点で優位である。また、ガラスを分相させることができる。
NaO、KO及びLiOは、ガラスの溶解性、成形性、向上させるとともに、分相の成長速度を抑制し、分相度合いを制御しやすくする成分である。分相ガラス1におけるLiO+NaO+KOは、0.1~10%である。LiO+NaO+KOは0.5%以上が好ましく、1.5%以上がより好ましく、2.0%以上がさらに好ましい。LiO+NaO+KOが0.1%以上であれば、ガラスの溶解性、成形性が向上するとともに、分相の成長速度を抑制でき、透明度が高い分相ガラスが得やすい。LiO+NaO+KOは、7%以下が好ましく、4.5%以下がより好ましく、3.5%以下がさらに好ましい。LiO+NaO+KOが10%以下であれば、ガラスの耐候性を向上できるとともに、ガラスを分相させることができる。
ガラスの耐候性を向上させるために、NaO/(LiO+NaO+KO)は0.2~0.8が好ましく、0.3~0.7がより好ましく0.4~0.6がさらに好ましい。
ガラスの耐候性を向上させるために、(LiO+NaO+KO)/Alは、0.3~1.0が好ましく、0.4~0.9がより好ましく、0.5~0.8がさらに好ましい。
MgO、CaO、SrO、及びBaOは、いずれも分相形成に影響を与える成分である。分相ガラス1におけるMgO+CaO+SrO+BaOは、17~35%である。MgO+CaO+SrO+BaOは、19%以上が好ましく、21%以上がより好ましく、23%以上がさらに好ましい。MgO+CaO+SrO+BaOが17%以上であれば、ガラスを分相させることができる。MgO+CaO+SrO+BaOは、33%以下が好ましく、31%以下がより好ましく、29%以下がさらに好ましい。MgO+CaO+SrO+BaOが35%以下であれば、ガラスを結晶化しにくくできるとともに、耐候性を向上できる。
CaOは、ガラスの溶解性を向上し、分相形成を促進させる成分である。分相ガラス1におけるCaOの含有量は、10%以上が好ましく、17%以上がより好ましく、20%以上がさらに好ましい。CaOの含有量は、10%以上であれば、ガラスの溶解性、成形性を向上させるとともに、ガラスを分相させることができる。一方、CaOの含有量は、35%以下が好ましく、30%以下がより好ましく、25%以下がさらに好ましい。CaOの含有量が35%以下であれば、ガラスの耐候性と耐アルカリ性を向上できる。
MgOは、ガラスの耐候性を向上させる成分である。MgOの含有量は、0%以上であってもよく、1%以上であってもよく、2%以上であってもよい。MgOが1%以上であれば、ガラスの耐候性を向上できる。一方で、10%以下であってもよく、8%以下であってもよく。6%以下であってもよい。MgOが10%以下であれば、ガラスの溶融粘性を低くできる。
SrOは、分相の成長速度を抑制し、分相度合いを制御しやすくする成分である。分相ガラス1におけるSrOの含有量は、0%以上であってもよく、1%以上であってもよく、2%以上であってもよい。SrOが1%以上であれば、分相の成長速度を抑制し、分相度合いを制御しやすくする効果が期待できる。一方で、SrOの含有量は、10%以下であってもよく、9%以下であってもよく。8%以下であってもよい。SrOが10%以下であれば、分相ガラス1のヘーズを低くできる。
BaOは、分相の成長速度を抑制し、分相度合いを制御しやすくする成分である。分相ガラス1におけるBaOの含有量は、0%以上であってもよく、1%以上であってもよく、2%以上であってもよい。BaOが1%以上であれば、分相の成長速度を抑制でき、透明度が高い分相ガラスが得やすい。一方で、BaOの含有量は、10%以下であってもよく、9%以下であってもよく。8%以下であってもよい。BaOが10%以下であれば、分相ガラス1のヘーズを低くできる。
分相ガラス1におけるZnOの含有量は、0%以上であってもよく、1%以上であってもよく、1.5%以上であってもよい。一方で、ZnOの含有量は、4%以下が好ましく、3%以下がより好ましく。2.5%以下がさらに好ましい。ZnOが4%以下であれば、ガラスの耐アルカリ性を向上できる。
は、ガラスの分相を促進させる成分であるが、耐アルカリ性を低化させる。分相ガラス1におけるBの含有量は、3%以下であることが好ましく、2%以下がより好ましく、1%以下がさらに好ましい。Bが3%以下であれば、分相の成長速度を抑制でき、透明度が高い分相ガラスが得やすい。また、耐アルカリ性の低化を抑制できる。
TiOは、ガラスの分相を促進させる成分である。TiOの含有量は、0%以上であってもよく、1%以上であってもよく、2%以上であってもよい。一方で、TiOの含有量は、10%以下であってもよく、9%以下であってもよく。8%以下であってもよい。TiOが10%以下であれば、分相ガラス1のヘーズを低くできる。
ZrOは、ガラスの分相を促進させる成分である。ZrOの含有量は、0%以上であってもよく、1%以上であってもよく、2%以上であってもよい。一方で、7%以下であってもよく、5%以下であってもよく。3%以下であってもよい。ZrOが7%以下であれば、分相ガラス1のヘーズを低くできる。
は、ガラスの分相を促進させる成分である。Pの含有量は、0%以上であってもよく、1%以上であってもよく、2%以上であってもよい。一方で、7%以下であってもよく、5%以下であってもよく、3%以下であってもよい。Pが7%以下であれば、分相ガラス1のヘーズを低くできる。
以上述べた成分以外に、硫酸塩、塩素、アンチモンなどの清澄剤、Fe、CuO、NiO、Cr、CoO、MnO、CeO、Nb、SnOなどの微量成分を、合計で好ましくは5%以下、より好ましくは3%以下、さらに好ましくは1%以下含有してもよい。
<製造方法>
分相ガラス1の製造方法は特に限定されないが、例えば種々の原料を適量調合し、約1500~1800℃に加熱し溶融した後、脱泡、撹拌などにより均質化し、さらに周知の、フロート法、ダウンドロー法、プレス法又はロールアウト法などによって板状等に、又はキャストによってブロック状に成形し、徐冷後、任意の形状に加工した後、600~1000℃で熱処理し分相させる。また、特に分相時間を短縮してコストを下げたい場合には、種々の原料を適量調合し、約1500~1800℃に加熱し溶融した後、脱泡、撹拌などにより均質化した後、フロート法、ダウンドロー法、プレス法又はロールアウト法などによって板状等に、又はキャストによってブロック状に成形し、室温まで冷却せずに、続けて、600~1000℃で熱処理し分相させてもよい。分相処理の後、研磨や切削や穴あけなどの加工を行ってもよい。
ガラスの原料は、酸化物、炭酸塩、水酸化物、硫酸塩、硝酸塩、塩化物、フッ化物、等であってよく、化成物、鉱物、試薬、砂(例えば、川砂、海砂等)、産業廃棄物、等のいずれであってもよい。
ガラスを分相させる方法としては、ガラスを成形後に熱処理する方法が好ましい。ガラスを分相するために成形後に熱処理する条件としては、典型的には、熱処理温度はガラス転移点より50℃以上高いことが好ましく、100℃以上高いことがより好ましい。また、ガラスを変形しにくくする点から、熱処理温度はガラス転移点Tgより400℃高い温度以下であることが好ましく、ガラス転移点Tgより300℃高い温度以下であることがより好ましい。ガラスを熱処理する時間は、粒径を制御するためには0.5時間以上が好ましく、1時間以上がより好ましい。量産性の観点からは36時間以下が好ましく、24時間以下がより好ましく、6時間以下がさらに好ましい。
分相のための熱処理温度が高いほど分相が進みやすく、熱処理時間が長いほど分相が進みやすい。熱処理温度と熱処理時間は、分相度合い、粒型構造の平均粒子径又は網目型構造の枝部における平均幅、ヘーズ、全光線透過率並びにT445、T555及びT600の関係性が適切になるように設定される。
分相ガラス1は、グリーンガラスであってもよく、クリアガラスであってもよい。さらには、分相ガラス1は、ガラス表面に圧縮応力層を有し、ガラス内部に引張応力層を有する強化ガラスであってもよい。強化ガラスとしては、化学強化ガラス、風冷強化ガラス(物理強化ガラス)のいずれをも用いることができる。
<光源付き照明体>
図2に示すように、分相ガラス1の端面10に光発生装置21をつけた光源付き照明体100とすることで、分相ガラス1を照明体とし得る。光発生装置21は、分相ガラス1の端面10に光を照射できるものであれば特に限定されず、従来公知のものを用いることができる。
分相ガラス1は所定の厚さを有し、厚み方向(板厚方向)の端面10と長さ方向の主面11を有している。分相ガラス1の、光発生装置21から光を通す方向(図2において矢印dで表される方向)の長さは20mm以上が好ましく、50mm以上がより好ましく、100mm以上がさらに好ましく、200mm以上が特に好ましい。前記長さが20mm以上であれば、光の色分布がグラデーションを呈しやすい。前記長さの上限は特に制限されないが、典型的には2000mm以下が好ましい。
分相ガラス1の厚さは、強度を強くする点から、1mm以上が好ましく、2mm以上がより好ましく、2.5mm以上がさらに好ましい。分相ガラス1の厚さは、軽量性の観点から、200mm以下が好ましく、150mm以下がより好ましく、100mm以下がさらに好ましい。
光発生装置21(光源)としては、例えば、1個又は複数個の発光素子と、これらを搭載する基板とを備える装置が挙げられる。発光素子としては、例えば、発光ダイオード素子と、これを囲い、光を所定方向に導く反射面を備えたケースとから構成されるものが挙げられる。
基板としては、例えば、ポリイミド等の樹脂をベースとするフレキシブル基板やガラスエポキシ基板等のリジッド基板(剛性基板)が挙げられる。また、例えば、光源と光ファイバーとを含む装置も挙げられ、この場合には、光ファイバーの一端に光源が配置される。
このような光発生装置21により、分相ガラス1の端面10に光が照射されることが好ましい。また、光発生装置21と分相ガラス1の端面との間に隙間が存在していてもよいが、光を効率的に入射させるとともに光発生装置21と分相ガラス1の端面を保護する観点から、光発生装置21と分相ガラス1の端面とが接着剤等により固定されていてもよい。この際に用いる接着剤は、光発生装置21から分相ガラス1への光の入射を容易にすることから、その屈折率が分相ガラス1の屈折率より低いことが好ましい。このような接着剤として、例えば、シリコーン系接着剤、エポキシ系接着剤又はアクリル系接着剤が好ましい。
<照明用フィルター>
図3に示すように、光発生装置22から光を照射した際に、分相ガラス2をフィルターとすることで、照明用フィルター200として利用できる。照明用フィルター200は、例えば、光発生装置22から分相ガラス2の主面に向かって光が照射され、その周囲がケース32で覆われている。このとき、光発生装置22と分相ガラス2は必ずしも接している必要はない。ケース32は光散乱性あるいは光反射性を有していても良い。光発生装置22は、分相ガラス2の主面に光を照射できるものであれば特に限定されず、発光ダイオード、電球など、従来公知のものを用いることができる。
分相ガラス2は、例えば略円形状の平板や、略矩形の平板であってよい。分相ガラス2の主面の面積は、光発生装置22の面積よりも大きいことが好ましい。
分相ガラス2の主面と垂直方向における厚さは、透過率や演色性を向上する点から、100mm以下が好ましく、10mm以下がより好ましく、2mm以下がさらに好ましく、1mm未満であってもよい。分相ガラス2の厚さは、強度を強くする点から、0.1mm以上が好ましく、0.3mm以上がより好ましく、0.5mm以上がさらに好ましい。
このような分相ガラス2は、照明器具や、車載用ガラスなどに使用できる。
<照明用カバー>
図4A及びBに示すように、ケース33に設置された光発生装置23を分相ガラス3がカバーすることで、照明用カバー300として利用できる。図4Aは照明用カバーの側面図であり、図4Bは照明用カバーの断面図である。光発生装置23は、光を照射できるものであれば特に限定されず、発光ダイオード、電球など、従来公知のものを用いることができる。
分相ガラス3は、光発生装置23をカバーできる構造であればよく、例えば筒状であってよく、意匠性を付与してもよい。分相ガラス3を筒状にするには、ガラスを軟化温度以上で熱処理することにより曲げ変形を加えてもよく、ブロー成型によって形状を与えてもよい。
分相ガラス3の厚さは、軽量性の点から、100mm以下が好ましく、30mm以下がより好ましく、15mm以下がさらに好ましい。分相ガラス3の厚さは、強度を強くする点から、0.5mm以上が好ましく、1mm以上がより好ましく、2mm以上がさらに好ましい。
<装飾用レンガ>
図5に示すように、略直方体ブロック状の分相ガラス4を積層させることで、装飾用レンガ400として利用できる。分相ガラス4は、他の分相ガラス4と接していない面について、意匠性を有するように表面加工を施してもよい。レンガ同士は接着剤を介して固定されていてもよい。
装飾用レンガ400には光発生装置を設置しなくてもよいが、周囲の照明や太陽光の影響を受けて、装飾用レンガ400が波長ごとの散乱特性が異なることによる特有の色付きを示し、意匠性を付与できる。
このような装飾用レンガは、住宅用ガラス、インテリア又はエクステリアなどに使用でき、床材や壁材などとして用いよい。また、テーブル等の家具として用いてもよい。
<装飾用タイル>
図6に示すように、壁35に対して略平板状の分相ガラス5を敷き詰めることで、装飾用タイル500として利用できる。分相ガラス5は、いずれかの主面について、意匠性を有するように表面加工を施してもよい。壁35は白色であることが好ましい。
装飾用タイル500には光発生装置を設置しなくてもよいが、周囲の照明や太陽光の影響を受けて、装飾用タイル500が波長ごとの散乱特性が異なることによる特有の色付きを示し、意匠性を付与できる。
このような装飾用タイルは、住宅用ガラス、インテリア又はエクステリアなどに使用できる。
<装飾用ガラス>
分相ガラスは、宝飾、アクセサリー、服飾、シャンデリアなどといった、装飾用ガラスとして利用できる。分相ガラスを用いた装飾用ガラスは、波長ごとの散乱特性が異なることによる特有の色付きを示し、意匠性を付与できる。分相ガラスを用いた装飾用ガラスは、フルーツカットやダイヤモンドカットなど、意匠性を有する形状に加工してもよく、精密な研磨により表面を鏡面加工してもよい。
<分相ガラスの加工>
分相ガラスの形状は、棒状、平板状、矩形ブロック、又は筒状などの形状に限定されず、球、半球、円錐、四角錐、三角柱など各種形状をとることができる。また、フルーツカットやダイヤモンドカットなど、様々な形状への加工を施すことができる。さらに、フロスト加工により乳白色とするなど、表面加工を施すことができる。
以下に実施例を挙げ、本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されない。
表1及び表2において、例1~5は実施例、例6~8は比較例である。表1に記載のガラス組成になるように、ガラス原料を調合した後、調合バッチを白金るつぼに入れ、電気炉にて表2に記載の溶融温度と溶融時間の条件で溶融した。次に、得られた溶融ガラスをカーボン板の上に流し出し、板状に成形した。
続けて、表2に記載の分相処理温度と分相処理時間の条件で熱処理した後、室温まで12時間かけて徐冷した。得られたガラスについて、必要に応じて加工を行い、種々の特性を評価し、表2に示した。また、得られたガラスを粉砕した後、LiOについては湿式分析(原子吸光光度法)、Bについては湿式分析(ICP発光分光分析法)、それ以外の成分については蛍光X線分析により、組成分析を行い、表1の調合組成とずれがないことを確認した。
Figure 2023164073000001
Figure 2023164073000002
ガラス転移点Tgは、ガラスを5mmφ、20mm長の円柱に加工した上で、熱膨張計(旧Bruker AXS社製 TD5000SA)により測定し、熱膨張曲線の屈曲点により求めた。
分相構造及び光散乱相の構造は、ガラスを1重量%のフッ酸溶液に1分間浸漬して、マトリックス相を優先的にエッチングした後にSEM(日立ハイテクノロジーズ社製 S-4800)により下記条件で観察し、判定した。
加速電圧:2.0kV、プローブ電流:Medium、エミッション電流:10μA、検出器条件:SE(U)、WD:10mm、導電コート:Pt約3nm
粒型構造における平均粒子径又は網目型構造における枝部平均幅、及び光散乱相の面積比は、ガラスに約5nmのPtをコートした後、FIB(FEI社製 Helios1200)にて保護膜としてCをコートした後に断面加工し、得られた断面をSEM(日立ハイテクノロジーズ社製 SU8230)により下記条件で、5μmの範囲にわたって観察した上で、画像解析ソフト(WinRoof Ver.6.3)によって解析し、像のコントラストを2値化した上で光散乱相の断面形状を円形で近似して算出した。
加速電圧:1.0kV、プローブ電流:Normal、エミッション電流:10μA 、検出器条件:SE(U,LA100)、WD:2mm、導電コートなし
ヘーズ及び全光線透過率は、ガラスを1mm厚、50mm角に研磨した上で、へーズメーター(スガ試験機社製 HZ-V3)により、JIS K 7136:2000に準拠して、C光源で測定した。
波長445nm、555nm及び600nmにおける全光線透過率T445、T555及びT600は、ガラスを1mm厚、50mm角に研磨した上で、ダブルビーム方式の分光光度計(日立ハイテクノロジーズ社製 UH4150)により測定した。このとき、参照光が入射する開口と、試料光が入射するもう一つの開口を備える積分球において、試料光が入射する開口を覆うように分相ガラスの平板を密着させて設置し、測定した。
耐アルカリ試験による重量減少は、ガラスを1mm厚、25mm角に研磨した上で、溶液温度を90℃とする以外はISO695:1991に準拠して測定した。具体的には、0.5mol/L炭酸ナトリウム水溶液と1mol/L水酸化ナトリウム水溶液の等量混合溶液に90℃で3時間浸漬した際の、単位表面積当たりの重量減少を測定した。
なお、ガラスの研磨では、番手が1000のダイヤモンド砥石で両面が平行となるように研削した後に、酸化セリウムの遊離砥粒を用いて表面粗さRaが5nm以下になるように研磨を行った。
例1~5は、ガラスの平均組成として、酸化物基準のモル百分率表示で、SiOを60~75%、Alを1~10%含有し、LiO+NaO+KOが0.1~10%、MgO+CaO+SrO+BaOが17~35%であった。SEMで観察した結果、例1~5の光散乱相は粒型構造又は網目型構造の構造を有し、粒型構造の平均粒子径が10nm以上120nm以下、又は、網目型構造の枝部における平均幅が10nm以上120nm以下であった。
例6は、ガラスの平均組成として、酸化物基準のモル百分率表示で、SiOを60~75%、Alを1~10%含有し、LiO+NaO+KOが0.1~10%、MgO+CaO+SrO+BaOが17~35%であるという条件を満たしていなかった。SEMで観察した結果、例6のガラスは分相し、光散乱相は網目型構造を有しており、網目型構造の枝部平均幅が10nm以上120nm以下であった。
例7~8は、ガラスの平均組成として、酸化物基準のモル百分率表示で、SiOを60~75%、Alを1~10%含有し、LiO+NaO+KOが0.1~10%、MgO+CaO+SrO+BaOが17~35%であった。SEMで観察した結果、例7の光散乱相は網目型構造の構造を有し、枝部における平均幅が10nm未満であった。また、例8の光散乱相は粒型構造を有し、平均粒子径が120nmより大きかった。
例1~8の各ガラスを用いて、光源付き照明体100の試験体を作製し、評価した。幅30mm×板厚方向の厚さ50mm×長さ300mmの分相ガラスの端面に、色温度5000Kの白色発光ダイオード素子を備える光発生装置を設置し、光源付き照明体100とした。
例1~5を用いた光源付き照明体では、ヘーズが0.05%以上20%以下であり、全光線透過率が65%以上92%以下であることから、分相ガラスの透明度を高くしつつ、光照射時に十分な光散乱性が得られることが確認された。また、例1~5を用いた光源付き照明体では、波長445nm、555nm及び600nmにおける全光線透過率は、T445が30%以上、T555が60%以上、T600-T555が0.02%以上、かつT555-T445が0.4%以上を満たしている。これにより、分相ガラスの透明度を高く保ちつつ、波長ごとに散乱特性を変化させることができ、散乱光あるいは透過光に色のグラデーションを生じさせることができることが確認された。
例1、3のガラスを用いた場合には、ガラスからの散乱光に、青色から黄色にわたるグラデーションが目視で観察された。例1のガラスは、粒型構造の光散乱相の平均粒子径が35nm未満であり、光散乱相の面積比が13%未満であった。例2のガラスは、網目型構造の光散乱相の枝部平均幅が35nm未満であり、光散乱相の面積比が13%未満であった。以上より、光散乱相が小さい例1、3のガラスでは、可視光短波長側のグラデーションが観察されたと考えられる。
例2、4のガラスを用いた場合には、ガラスからの散乱光に、青色から黄色を経て橙色にわたるグラデーションが目視で観察された。例2のガラスは、網目型構造の光散乱相の枝部平均幅が35nm以上75nm未満であり、光散乱相の面積比が13%以上25%未満であった。例4のガラスは、粒型構造の光散乱相の平均粒子径が35nm以上75nm未満であり、光散乱相の面積比が13%以上25%未満であった。以上より、光散乱相が例1、3よりも大きい例2、4のガラスでは、例1、3よりも長波長側までのグラデーションが観察されたと考えられる。
例5のガラスを用いた場合には、ガラスからの散乱光に、青色から黄色、橙色を経て赤色にわたるグラデーションが目視で観察された。例5のガラスは、粒型構造の光散乱相の平均粒子径が75nm以上であり、光散乱相の面積比が25%以上であった。以上より、光散乱相が例2、4よりも大きい例5のガラスでは、例2、4よりもさらに長波長側までのグラデーションが観察されたと考えられる。
例1~5のガラスは、透明度が高く、かつ分相度合いを調整して製造しやすく、光発生装置から光照射した際の波長ごとの散乱特性が異なる効果を有する。そのため、意匠性に優れた光源付き照明体などとして用いることができる。
例6のガラスを用いた場合には、ヘーズが20%より大きく、全光線透過率が65%未満であることから、分相ガラスの透明度が不十分であることが確認された。また、波長555nmにおける全光線透過率T555が60%未満であることからも、分相ガラスの透明度が不十分であることが確認された。
例6のガラスは、酸化物基準のモル百分率表示で、SiOを60~75%、Alを1~10%、LiO+NaO+KOを0.1~10%。MgO+CaO+SrO+BaOを17~35%含有するという条件を満たしていなかった。その結果、分相の成長速度を抑制できず、マトリックス相と光散乱相の屈折率差が大きくなり、透明度が高い分相ガラスが得られなかったと考えられる。
例7のガラスを用いた場合には、ヘーズが0.05%未満であることから、分相ガラスの光散乱性が不十分であることが確認された。また、波長445nm、555nm、600nmにおける全光線透過率は、T600-T555が0.02%未満であり、T555-T445が0.4%未満であったことから、波長ごとの散乱特性を十分に変化させることができず、ガラスに散乱光あるいは透過光に色のグラデーションを生じさせることができなかったことが確認された。
例7のガラスは、光散乱相の枝部における平均幅が10nm未満であった。その結果、ガラスの光散乱性が不十分であり、波長ごとの散乱特性を十分に変化させることができなかったと考えられる。
例8のガラスを用いた場合には、ヘーズが20%より大きく、全光線透過率が65%未満であることから、分相ガラスの透明度が不十分であることが確認された。また、波長555nmにおける全光線透過率T555が60%未満であることからも、分相ガラスの透明度が不十分であることが確認された。
例8のガラスは、光散乱相の平均粒子径が120nmより大きかった。その結果、光散乱相が大きく、透明度が高い分相ガラスが得られなかったと考えられる。
また、例4~6の各ガラスを用いて、耐アルカリ試験を実施した。その結果、例4~5のガラスは、単位表面積当たりの重量減少が1mg/cm未満であったが、例6のガラスは、単位表面積当たりの重量減少が1mg/cmよりも大きかった。
例4~5のガラスは、耐アルカリ性を有することにより、台所や浴室での使用が可能となり建材としての用途が広がる。また、精密な研磨が可能となり、宝飾品としての美しさが増す。
以上説明したように、本明細書には次の事項が開示されている。
1.マトリックス相及び光散乱相を含む分相ガラスであって、
平均組成として、酸化物基準のモル百分率表示で、
SiOを60~75%、
Alを1~10%含有し、
LiO、NaO及びKOの含有量の合計が0.1~10%、
MgO、CaO、SrO及びBaOの含有量の合計が17~35%であり、
前記光散乱相は粒型構造及び網目型構造の少なくとも1つの構造を有し、
前記分相ガラスを研磨加工して厚さ1mmの平板とし、JIS K 7136:2000に準拠して、C光源で測定したヘーズが0.05%以上20%以下であり、
前記分相ガラスを研磨加工して厚さ1mmの平板とし、JIS K 7136:2000に準拠して、C光源で測定した全光線透過率が65%以上92%以下あり、
前記分相ガラスを研磨加工して厚さ1mmの平板とし、分光光度計によって測定した、波長445nm、555nm及び600nmにおける全光線透過率をそれぞれT445、T555及びT600とするとき、T445が30%以上、T555が60%以上、T600-T555が0.02%以上、かつT555-T445が0.4%以上を満たす、分相ガラス。
2.前記粒型構造の平均粒子径が10nm以上120nm以下、又は、前記網目型構造の枝部における平均幅が10nm以上120nm以下である、前記1に記載の分相ガラス。
3.0.5mol/L炭酸ナトリウム水溶液と1mol/L水酸化ナトリウム水溶液の等量混合溶液に90℃で3時間浸漬した際に、単位表面積当たりの重量減少が1mg/cm未満である、前記1又は2に記載の分相ガラス。
4.平均組成として、酸化物基準のモル百分率表示で、
SiOを60~75%、
Alを1~8%、
CaOを17~35%、
SrOを0~10%、
BaOを0~10%、
ZnOを0~4%、
を0~3%含有し、
LiO、NaO及びKOの含有量の合計が1.5~4.5%、
MgO、CaO、SrO及びBaOの含有量の合計が17~35%である、
前記1~3の何れか1に記載の分相ガラス。
5.前記1~4の何れか1に記載の分相ガラスと、
前記分相ガラスに光を照射するための光発生装置と、を含む、光源付き照明体。

Claims (5)

  1. マトリックス相及び光散乱相を含む分相ガラスであって、
    平均組成として、酸化物基準のモル百分率表示で、
    SiOを60~75%、
    Alを1~10%含有し、
    LiO、NaO及びKOの含有量の合計が0.1~10%、
    MgO、CaO、SrO及びBaOの含有量の合計が17~35%であり、
    前記光散乱相は粒型構造及び網目型構造の少なくとも1つの構造を有し、
    前記分相ガラスを研磨加工して厚さ1mmの平板とし、JIS K 7136:2000に準拠して、C光源で測定したヘーズが0.05%以上20%以下であり、
    前記分相ガラスを研磨加工して厚さ1mmの平板とし、JIS K 7136:2000に準拠して、C光源で測定した全光線透過率が65%以上92%以下あり、
    前記分相ガラスを研磨加工して厚さ1mmの平板とし、分光光度計によって測定した、波長445nm、555nm及び600nmにおける全光線透過率をそれぞれT445、T555及びT600とするとき、T445が30%以上、T555が60%以上、T600-T555が0.02%以上、かつT555-T445が0.4%以上を満たす、分相ガラス。
  2. 前記粒型構造の平均粒子径が10nm以上120nm以下、又は、前記網目型構造の枝部における平均幅が10nm以上120nm以下である、請求項1に記載の分相ガラス。
  3. 0.5mol/L炭酸ナトリウム水溶液と1mol/L水酸化ナトリウム水溶液の等量混合溶液に90℃で3時間浸漬した際に、単位表面積当たりの重量減少が1mg/cm未満である、請求項1又は2に記載の分相ガラス。
  4. 平均組成として、酸化物基準のモル百分率表示で、
    SiOを60~75%、
    Alを1~8%、
    CaOを17~35%、
    SrOを0~10%、
    BaOを0~10%、
    ZnOを0~4%、
    を0~3%含有し、
    LiO、NaO及びKOの含有量の合計が1.5~4.5%、
    MgO、CaO、SrO及びBaOの含有量の合計が17~35%である、
    請求項1又は2に記載の分相ガラス。
  5. 請求項1又は2に記載の分相ガラスと、
    前記分相ガラスに光を照射するための光発生装置と、を含む、光源付き照明体。
JP2022075385A 2022-04-28 2022-04-28 分相ガラス Pending JP2023164073A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2022075385A JP2023164073A (ja) 2022-04-28 2022-04-28 分相ガラス

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2022075385A JP2023164073A (ja) 2022-04-28 2022-04-28 分相ガラス

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2023164073A true JP2023164073A (ja) 2023-11-10

Family

ID=88651624

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2022075385A Pending JP2023164073A (ja) 2022-04-28 2022-04-28 分相ガラス

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2023164073A (ja)

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP7083932B2 (ja) ペタライト及びリチウムシリケート構造を有する高強度ガラスセラミック
US20230250015A1 (en) Glass for chemical strengthening, chemically strengthened glass, and electronic device case
US11731901B2 (en) Chemically strengthened glass and production method therefor
US11274058B2 (en) Crystallized glass and chemically strengthened glass
US11390558B2 (en) Colored glass-ceramics having petalite and lithium silicate structures
JP6490692B2 (ja) 二ケイ酸リチウム及びβ‐スポジュメン構造を有する高強度ガラスセラミック
JP6798629B2 (ja) 化学強化用ガラス
US20180088268A1 (en) Light diffusion plate
TW201726575A (zh) 化學強化玻璃及化學強化用玻璃
KR20200087863A (ko) 블랙 리튬 실리케이트 유리 세라믹
US20190112524A1 (en) Wavelength conversion member, and light emitting device using same
JP6315399B2 (ja) ガラス部材
KR20150031268A (ko) 결정성 유리 기판, 결정화 유리 기판, 확산판, 및 그것을 구비한 조명 장치
CN116332516A (zh) 类磨砂微晶玻璃及其制备方法、玻璃制品
JP7136101B2 (ja) 強化ガラス
JP2016210665A (ja) ガラス板
JP4911427B2 (ja) 模様入り結晶化ガラス物品及びその製造方法
WO2018025884A1 (ja) 光拡散板、バックライトおよび光拡散板の製造方法
JP2023164073A (ja) 分相ガラス
WO2016182054A1 (ja) ガラス板
WO2019045024A1 (ja) ガラス板
WO2007013565A1 (ja) 模様入り結晶化ガラス物品及びその製造方法
WO2008048974A1 (en) Process for making rare earth containing glass
US20230391666A1 (en) Chemically strengthened glass production method and chemically strengthened glass
JP7459884B2 (ja) 光源付き照明体