JP2023163784A - マイクロ流路デバイス - Google Patents

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毅 山本
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Abstract

【課題】薄くて、かつ安定した測定が可能なマイクロ流路デバイスを提供する。
【解決手段】多孔質基材を用いたマイクロ流路デバイスであって、
前記マイクロ流路デバイスは、多孔質を用いた流路領域を有し、
前記流路領域の一部に、多孔質基材内の孔にイオン選択性を有する成分が存在する領域Aを有し、前記領域Aにおいては、前記多孔質基材の一方の面X側の孔にイオン選択性を有する成分が存在し、他方の面Y側は、空孔が存在する流路となっており、
前記領域Aの前記面X側の表面には、少なくとも一部がイオン選択性を有する成分と重なるように作用電極が設けられており、
前記流路領域の前記領域A以外の領域Bに参照電極が設けられており、
前記領域Aと前記領域Bとが、同一の前記多孔質基材上に形成されている。
【選択図】図2

Description

本発明は、多孔質基材の流路を用いて電極を形成したマイクロ流路デバイスに関するものである。
近年、マイクロサイズの微細流路を利用して、生化学における分析を1つのチップ内で効率的(微量、迅速、簡便)に行うことができるマイクロ流路デバイスの開発が、幅広い分野で注目されている。幅広い分野には、生化学の研究はもとより医療、創薬、ヘルスケア、環境、食品などが含まれる。その中でも紙をベースとしたペーパーマイクロ分析チップは、従来のデバイスと比べて軽量、低コスト、電源不要、高い廃棄性、といった多くの利点がある。そのため、医療設備の整っていない途上国や僻地ならびに災害現場での医療活動や、感染症の広がりを水際で食い止めなければならない空港等での検査デバイスとして期待されている。また、安価でかつ取り扱いが容易なことから、自身の健康状態を管理・モニタリングできるヘルスケアデバイスとしても注目を集めている。
ペーパーマイクロ分析チップの一例として、特許文献1では、電極を表面に印刷した紙基材を2枚用いて、その間にイオン選択膜を挟み、各紙基材に所定の溶液を分注することで、内部液を有するイオン選択電極および参照電極と同等の構成を形成している。この構成によって、イオン電極法を行うことができ、検体のイオン濃度を測定することができる。
また、非特許文献1では、一つの紙基材上にイオン選択電極と参照電極を形成する方法が記載されており、イオン電極法を用いて検体のイオン濃度を測定することができる。
米国特許出願公開第2016/033438号明細書
Nipapan Ruecha, Orawon Chailapakul, Koji Suzuki and Daniel Chitterio『Fully Inkjet-Printed Paper-Based Potentiometric Ion-Sensing Devices』Analytical chemistry August 29, 2017 Published, 89, pp.10608-10616
しかしながら特許文献1に記載の方法では、作用電極とイオン選択膜との間に多孔質基材の層があり、内部液の代わりとなる液を充填させる際に電極界面に気泡を形成することで測定値が不安定となる可能性がある。さらに2枚の紙基材でイオン選択膜を挟んだ構成であるため、分析チップの厚みとしては、電極やイオン選択膜以外に多孔質基材2枚分の厚みが必要となる。
また、非特許文献1に記載の方法では、イオン選択膜が形成された紙基材の領域には十分な量の検体が浸透できないことにより、検体とイオン選択膜との接触面積が十分取れず不安定となり、測定精度に影響を与える可能性があった。
本開示の一態様の目的は、作用電極とイオン選択膜とを接触させた構成による測定安定化、1枚の多孔質基材上に全電極を形成することによる小型化、電極面積を拡大せずにイオン選択膜と検体との接触面積を十分確保することによる測定安定化を図ることである。
本発明の一態様によれば、多孔質基材を用いたマイクロ流路デバイスであって、
前記マイクロ流路デバイスは、多孔質を用いた流路領域を有し、
前記流路領域の一部に、多孔質基材内の孔にイオン選択性を有する成分が存在する領域Aを有し、前記領域Aにおいては、前記多孔質基材の一方の面X側の孔にイオン選択性を有する成分が存在し、他方の面Y側は、空孔が存在する流路となっており、
前記領域Aの前記面X側の表面には、作用電極が設けられており、
前記流路領域の前記領域A以外の領域Bに参照電極が設けられており、
前記領域Aと前記領域Bとが、同一の前記多孔質基材上に形成されているマイクロ流路デバイスが提供される。
本開示の一態様によれば、小型かつ測定安定性の高いマイクロ流路デバイスを提供することができる。
実施例1における流路壁11形成後のマイクロ流路デバイスM1の上面図である。 実施例1における各種電極形成後のマイクロ流路デバイスM1の概略図である。 実施例1のマイクロ流路デバイスM1における検体の浸透の概略説明図である。 実施例2における流路壁12形成後のマイクロ流路デバイスM2の概略図である。 実施例2における各種電極形成後のマイクロ流路デバイスM2の概略図である。 作用電極の周囲をイオン選択膜で覆う従来の構成例の概略図である。
以下、本発明の例示的な実施形態について図面を参照して説明する。なお、以下の実施形態は例示であり、本発明を実施形態の内容に限定するものではない。また、以下の各図においては、実施形態の説明に必要ではない構成要素については図から省略する。
本発明に係るマイクロ流路デバイスは、多孔質基材を用いたマイクロ流路デバイスであって、流路壁で囲まれた流路領域を有する。
多孔質基材としては、適度な空隙率と親水性を示す濾紙、普通紙、上質紙、水彩紙、ケント紙、合成紙などの紙が挙げられるが、紙に限定されるものではなく、合成樹脂多孔質フィルムや布地、繊維製品などでも良い。
流路領域は、作用電極配置部(領域A)、参照電極配置部(領域B)を有する。作用電極配置部(領域A)と参照電極配置部(領域B)とをつなぐ領域を有していてもよく、さらに分注部を有していてもよい。
流路壁の材料としては、疎水性の樹脂が挙げられるが、疎水性の樹脂に限定されるものではない。
流路壁を形成する方法としては、疎水性の樹脂をトナーとして電子写真方式によって印刷し、加熱することで樹脂を溶融・浸透させる方法が挙げられ、樹脂としては熱可塑性樹脂が挙げられる。
熱可塑性樹脂としては、特に限定されることはなく、例えば以下の公知の樹脂を用いることができる。ポリエステル樹脂、ビニル系樹脂、アクリル系樹脂、スチレンアクリル系樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリオレフィン、エチレン-酢酸ビニル共重合樹脂、エチレン-アクリル酸共重合樹脂など。上記樹脂の中でも、ポリエステル樹脂またはスチレンアクリル系樹脂が好ましく、スチレンアクリル系樹脂がより好ましい。
なお、流路壁を形成する方法は、樹脂を加熱して溶融・浸透させる方法に限されるものではなく、ワックスプリンターでワックスを浸透させる方法や、スクリーン印刷で樹脂を浸透させる方法でも良い。
<作用電極配置部>
マイクロ流路デバイスは、流路領域の一部に、多孔質基材内の孔にイオン選択性を有する成分が存在する作用電極配置部(領域A)を有する。作用電極配置部(領域A)には、多孔質基材の一方の面X側の孔にイオン選択性を有する成分が存在し、イオン選択膜が形成されている。多孔質基材の他方の面Y側は、空孔が存在する流路となっている。
作用電極配置部(領域A)に形成されたイオン選択膜の前記面X側の表面には、作用電極が設けられている。
作用電極は、領域A内の多孔質基材の面X側に対向する面において全域がイオン選択膜と接触していることが好ましい。このような構成とすることによって、流路に浸透した液体が、イオン選択膜を通過することなく作用電極と直接接触することを抑制でき、イオン選択膜によって選択されたイオンのみが作用電極に接触でき、他のイオンが作用電極に接触することを抑制できる。
作用電極配置部(領域A)は、面Xの表面において、多孔質を用いた流路となる部分(図5(c)中の13)と、多孔質が埋まることで流路として機能しない部分(図5(c)中の12)とを有し、
流路となる部分(図5(c)中の13)と、流路として機能しない部分(図5(c)中の12)と、に跨ってイオン選択性を有する部分(図5(c)中のイオン選択膜22)が存在することが好ましい。イオン選択膜22によって選択されたイオンのみが作用電極31に接触し、他のイオンが作用電極31に接触しないようにするためである。
<参照電極配置部>
流路領域の領域A以外の領域B、すなわち作用電極配置部以外の参照電極配置部には、参照電極が設けられている。
[実施例1]
<基材/流路>
図1を用いて、マイクロ流路デバイスM1の基材について説明する。図1は各種電極を形成する前のマイクロ流路デバイスM1の上面図を簡略的に示したものである。
本実施例においては、多孔質基材S1として紙を用いた。材質はセルロースであり、厚み100μm、空隙率50%である。セルロース繊維間の微細な空隙によって毛細管現象が働き、良好な親水性も持ち合わせており、液体がスムーズに浸透する流路として機能する。この多孔質基材S1の一部の領域に疎水性の樹脂を浸透させ、高さH1=10mm、幅L1=22mmとなる流路壁11を形成した。流路壁11は、特開2021-37612号公報に記載の方法により、疎水性の樹脂をトナーとして電子写真方式によって印刷し、加熱することで樹脂を溶融・浸透させることにより形成した。
また、流路壁11の内側の領域には、流路壁となる疎水性樹脂を浸透させていない領域もあり、この領域は多孔質基材S1の多孔質を用いた流路となる。前記流路は、作用電極配置部S1b、参照電極配置部S1c、および分注部S1d、ならびに分注部S1dから作用電極配置部S1bへ繋がる幅2mmの流路および分注部S1dから参照電極配置部S1cへ繋がる幅2mmの流路からなる。作用電極配置部S1bには作用電極を配置し、参照電極配置部S1cには参照電極を配置する。分注部S1dは、作用電極配置部S1bと参照電極配置部S1cとの間に位置する。作用電極配置部S1bおよび参照電極配置部S1cは6mm四方の正方形、分注部S1dは直径3mmの円である。なお、実施例1における流路のサイズ、形状等は上記のとおりであるが、流路のサイズ、形状等はこれに限定するものではない。
以下、図2を用いてマイクロ流路デバイスM1の各種構成の形成について説明する。
図2(a)は各種電極などを形成した後のマイクロ流路デバイスM1の上面図であり、破線部D1の断面を図2(b)に示す。
<イオン選択膜>
イオン選択膜21としては、Naイオンに選択的に反応し、Naイオン濃度を測定するための膜として、下記の表1に記載の材料を混合して完全に溶解するまで撹拌し、作用電極配置部S1bへ塗布した。なお、材料種や比率はこれに限らず、イオンの選択性を有する構成であれば良く、測定するイオン種に応じたイオノフォアや、構成に適した材料・比率を適宜選択することが可能である。
Figure 2023163784000002
イオン選択膜21は、株式会社マイクロジェット社製試薬スポッティング装置Biospotを用いて、作用電極配置部S1bに均一に塗布した。吐出パイプ径はΦ200μm、液滴サイズは4nL/滴、吐出周波数は4Hzであり、300μmピッチで5回重ね塗りを行うことで膜厚を調整した。また、イオン選択膜21を塗布する際に多孔質基材S1を固定するステージは加熱ステージとなっており、温度90℃に設定している。溶液の溶質濃度を10質量%とすることで溶液粘度は比較的低く、安定した吐出が容易に行える。一方、ステージを加熱することで多孔質基材S1へ塗布された溶液は溶媒がスムーズに揮発することで、多孔質基材S1の厚み方向に浸透して流路を埋める前に硬化する。これにより、図2(b)記載のX側の面にイオン選択膜21を塗布しても、X側に対して裏側となるY側の面には流路が残るため、分注部S1dに分注された検体は作用電極配置部S1b全域に浸透することができる。なお、ステージの加熱は必須ではなく、液滴サイズを小さくする他、印刷ドット間ピッチの拡張、印刷速度低減、等によってもY側の面の流路を残すことが可能である。
また、本実施例においては微小な液滴を吐出するインクジェット方式によってイオン選択膜21の塗布を行ったが、方法はこれに限るものではなく、例えばディスペンサーやスクリーン印刷で行っても良い。ディスペンサーやスクリーン印刷は、インクジェット方式に比べて溶液の粘度が高くても塗布することができるため、溶質濃度を上げる等により高粘度化することで、イオン選択膜21を形成する材料を多孔質基材S1の厚さ方向に浸透しにくくすることもできる。
<作用電極>
作用電極31の材料としてはAgを用いた。Agを疎水性溶媒に分散したペーストは、同じく疎水性を有するイオン選択膜21上に塗布する際に弾かれることが無く良好に電極が形成できる。但し材料はこれに限るものではなく、イオン選択膜21上に安定して形成でき、作用電極として機能する材料であれば良い。
作用電極31の塗布工程としては、多孔質基材S1にイオン選択膜21を塗布した後、ニューロング株式会社製のスクリーン印刷機DP-320を用いて印刷した。印刷条件は#200、乾燥は温度80℃で10分間行った。印刷形状は、イオン選択膜21(6mm四方の正方形)の中に収まる4mm四方の正方形と、4mm四方の正方形の一辺から流路壁11の外側まで伸びた幅1mm・長さ5mmの長方形とが接続された形となっている。そして、作用電極31は、流路壁11の外側の領域にて、電極電位の測定を行う測定機と接続できる。
イオン選択膜21の上に作用電極31を直接印刷することで、固体接触型のイオン選択電極を形成しており、電極界面に気泡が付着することがなく、安定して測定が行える。
<参照電極>
参照電極32の材料としては、Ag/AgClを用いた。Ag/AgClを用いることで、水溶液中で下記の式(1)による平衡反応が起こるため、参照電極32周囲のCl濃度が安定した状態において安定した電位を得ることができる。
Figure 2023163784000003
参照電極32は、ニューロング株式会社製のスクリーン印刷機DP-320を用いて参照電極配置部S1cへ塗布した。印刷条件は#200、乾燥は温度80℃で10分間行った。参照電極32の形状は、6mm四方の正方形と、6mm四方の正方形の一辺から流路壁11の外側まで伸びた幅1mm・長さ3mmの長方形とが接続された形となっており、流路壁11の外側の領域にて、電極電位の測定を行う測定機と接続できる。
<電解質層>
電解質層41の役割は、検体が参照電極配置部S1cに浸透してきた際に検体の水分で溶解し、Cl-を飽和濃度とすることで参照電極32の電位を安定させることである。そのための材料としてKClを用いた。KClは水に容易に溶解し、KイオンとClイオンの拡散速度がほぼ等しく液間電位が生じにくいことから選定した。当然ながら電解質層41の材料はこれに限るものではなく、参照電極32の電位を安定させることができれば良く、例えばNaCl等を用いても良い。
電解質層41の塗布は、株式会社マイクロジェット社製試薬スポッティング装置Biospotを用いて行った。溶液は、KClを16wt%となる様に純水に溶解して作成した。液滴サイズは6nL/滴、吐出周波数は10Hz、縦横共に300μmピッチで参照電極配置部S1cの全域に印刷し、3回重ね塗りを行うことでKCl量を調整した。KCl量は、参照電極配置部S1cに浸透する検体量に対し、飽和KClとなる量にすることで参照電極32の電位を安定させることができる。そのため、飽和KClが作成できるだけのKCl量があれば、塗布量はこれに限るものではない。
<検体の浸透>
図3を用いて、マイクロ流路デバイスM1における検体の浸透について説明する。
図3(a)は各種電極を構成したマイクロ流路デバイスM1の上面図であり、破線部D2の断面を図3(b)に示す。
マイクロ流路デバイスM1を用いる際は、検体を分注部S1dへ分注する。すると分注された検体は毛細管現象によって流路に従い、矢印A1および矢印A2の方向へそれぞれ浸透する。このとき、図3(b)に示す様に、イオン選択膜21が多孔質基材S1の厚み方向を埋めていないことで、検体は作用電極配置部S1bへ浸透することができる。また、参照電極32は紙の厚み方向を埋めており、参照電極32まで浸透した検体は参照電極32の表面に塗布した電解質層41を溶かしながら参照電極配置部S1cへ浸透を続け、Clが飽和濃度化した状態で参照電極32の周りに保持される。
これにより、前述した通り参照電極32は検体に依らずにKClの飽和状態における電位を安定して示す一方、作用電極31は検体のNaイオン濃度に応じてイオン選択膜21がネルンスト応答した電位を示す。よって、マイクロ流路デバイスM1の参照電極32と作用電極31との電位差を測定し、下記式(2)を用いることで、検体のNaイオン濃度をイオン電極法により検知することができる。
E-E0=2.303×(RT/nF)×log(f×c)・・・式(2)
E:作用電極の電極電位、E0:参照電極の電極電位
R:気体定数(8.314J K-1 mol-1)、T:絶対温度で表した測定温度
n:測定対象イオンの価数、F:ファラデー定数(9.649×10-4C mol-1
f:活量係数、c:イオンのモル濃度
以上説明した様に、多孔質基材S1の厚み方向を完全に埋めない様にイオン選択膜21を塗布した後、その上に作用電極31を塗布することで、イオン選択膜21の面積や周長を大きくせずにイオン選択膜21と検体との接触面積を大きく取れ、測定が安定する。比較として、図6に、作用電極31の形成後にその周囲をイオン選択膜21で覆う従来の構成例を示す。図6の構成においてはイオン選択膜21は多孔質基材S1の厚み方向を全て埋めているため、S1dに分注した検体は矢印A3に示した部分までしか浸透せず、検体とイオン選択膜21はS1eの界面でしか接触しないため接触面積は小さい。故に、本実施例の構成とすることで、従来の構成と比べてイオン選択膜21と検体との接触面積を大きくすることができる。
また、イオン選択膜21と作用電極31との接触は、間に内部液を用いない固体接触型であるため、ベース電極の表面に気泡が付着することが無く安定して測定が行える。さらに、1枚の多孔質基材上にイオン選択膜21および作用電極31を構成しているため、第1の多孔質基材上にイオン選択膜を形成し、そのイオン選択膜の上に配置する第2の多孔質基材上に作用電極を形成する場合に比べて、薄型化することが可能である。
[実施例2]
本実施例におけるマイクロ流路デバイスM2については、実施例1のマイクロ流路デバイスM1と異なる点のみ述べ、同一部材には同一符号を付し、同様の部分は説明を省略する。
<流路>
図4を用いて、マイクロ流路デバイスM2の流路について説明する。
図4(a)は各種電極を形成する前のマイクロ流路デバイスM2の上面図を簡略的に示したものであり、破線部D3の断面を図4(b)に示す。
マイクロ流路デバイスM2は、マイクロ流路デバイスM1と同様の流路壁11に加えて、作用電極配置部S1bにも流路壁12を形成している。流路壁12は、500μm角の市松模様であり、実施例1同様に電子写真により疎水性樹脂を印刷しており、画像パターンを変更することで容易に印刷できる。また、疎水性樹脂の印刷濃度を流路壁11に比べて少なくすることで、多孔質基材S1の厚み方向を埋めない様に調整できる。なお、「500μm角の市松模様」とは、図4(a)に示すように、流路壁が形成された一辺が500μmの四角形の箇所と、流路壁が形成されていない一辺が500μmの四角形の箇所とを交互に配した状態を意味する。
本実施例では、流路壁12の印刷濃度は、流路壁11の印刷濃度の20%とした。これにより、作用電極配置部S1bのX側の面は一部が樹脂で覆われ、その裏側のY側の面には検体が浸透する流路が残る。そして、X側の面の流路壁12が形成された箇所は、多孔質基材S1の孔を疎水性樹脂が埋めるため、毛細管現象が働かず液が浸透しない。一方でX側の面でも疎水性樹脂が無い箇所(流路壁12が形成されていない箇所)は多孔質基材S1の孔が残っているため、液が浸透する流路として機能する。作用電極配置部S1bの面積に対する、流路壁12の面積(各流路壁12の面積の合計)の比率(以下、面積比率ともいう)を変えることで、X側の面から多孔質基材S1内に浸透してくる液の量を制御することができる。本実施例においては、図4(a)に示すように、市松模様であり流路壁の面積比率は50%であるが、各流路壁12のサイズ及び形状、並びに面積比率ともにこれに限るものではなく、各種構成に合わせて適宜選択可能である。また、各流路壁のサイズ、形状は、流路壁の位置(例えば、分注部S1dからの距離)に応じて異なっていてもよい。
以下、図5を用いてイオン選択膜22の形成について説明する。
図5(a)は各種電極などを形成した後のマイクロ流路デバイスM2の上面図であり、破線部D4の断面を図5(b)に示し、図5(b)中の一部拡大図を図5(c)に示す。
<イオン選択膜>
イオン選択膜22は、イオン選択膜21と同様の材料であり、イオン選択膜を形成する材料が塗布される基材のみが異なる。前記流路壁12の上へ、実施例1と同様の方法でイオン選択膜22を塗布した。このとき、流路壁12の樹脂が無い部分からのみ多孔質基材S1へイオン選択膜22が浸透するため、実施例1と比較して、多孔質基材S1は浸透するイオン選択膜の量は低減し、より紙の厚み方向の流路を残した状態でイオン選択膜22を形成することができる。これにより、分注部S1dに検体を分注した後、作用電極配置部S1bに検体が浸透する速度が速くなるため、より迅速な測定を行うことができる。
その他、作用電極31、参照電極32、電解質層41を実施例1と同様に形成することで、図5に示すマイクロ流路デバイスM2となる。そして、検体を分注部S1dに分注した後に参照電極32と作用電極31の電位差を測定することで検体のNaイオン濃度を測定することができる。
以上説明した様に、イオン選択膜を形成する領域内の流路の一部に予め流路壁を形成しておくことで、当該領域内に塗布された後のイオン選択膜の多孔質基材の厚み方向への浸透を制御でき、流路をより広く残すことで、迅速な測定を行うことができる。
但し、流路壁12の面積比率は、大きくし過ぎるとイオン選択膜22と検体との接触面積が小さくなってしまうので、作用電極配置部S1bの大きさや多孔質基材の厚み、その他、求める測定精度や速度等によって適切に選択するべきある。流路壁12の面積比率は、本実施例の条件に限るものではない。
M1…マイクロ流路デバイス
S1…多孔質基材
S1b…作用電極配置部(領域A)
S1c…参照電極配置部(領域B)
S1d…分注部
11…流路壁
12…流路壁
21、22…イオン選択膜
31…作用電極
32…参照電極
41…電解質層

Claims (5)

  1. 多孔質基材を用いたマイクロ流路デバイスであって、
    前記マイクロ流路デバイスは、多孔質を用いた流路領域を有し、
    前記流路領域の一部に、多孔質基材内の孔にイオン選択性を有する成分が存在する領域Aを有し、前記領域Aにおいては、前記多孔質基材の一方の面X側の孔にイオン選択性を有する成分が存在し、他方の面Y側は、空孔が存在する流路となっており、
    前記領域Aの前記面X側の表面には、少なくとも一部がイオン選択性を有する成分と重なるように作用電極が設けられており、
    前記流路領域の前記領域A以外の領域Bに参照電極が設けられており、
    前記領域Aと前記領域Bとが、同一の前記多孔質基材上に形成されている、ことを特徴とするマイクロ流路デバイス。
  2. 前記作用電極は、前記領域A内の前記多孔質基材の面X側に対向する面において全域が前記イオン選択膜と接触している、請求項1に記載のマイクロ流路デバイス。
  3. 前記領域Aは、前記面Xの表面において、多孔質を用いた流路となる部分と、多孔質が埋まることで流路として機能しない部分とを有し、
    前記流路となる部分と、前記流路として機能しない部分と、に跨ってイオン選択性を有する成分が存在する請求項1または2に記載のマイクロ流路デバイス。
  4. 前記の多孔質が埋まることで流路として機能しない部分が、多孔質が疎水性樹脂によって埋まることで流路として機能しない部分である請求項3に記載のマイクロ流路デバイス。
  5. 前記領域Aと前記領域Bとが流路で繋がっている、ことを特徴とする請求項1または2に記載のマイクロ流路デバイス。
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