JP2023163124A - 基板、分析方法、装置および製造方法 - Google Patents

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宏 齋藤
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Abstract

Figure 2023163124000001
【課題】 ラマン光の強度を向上させることを目的とする。
【解決手段】 金属を含む複数の凸部を備えた基板であって、前記複数の凸部のうちの第1凸部の上に、金、銀、白金、銅、パラジウムのうち少なくとも1つを有する金属を含む第1金属部が設けられ、前記複数の凸部のうちの前記第1凸部と異なる第2凸部の上に、金、銀、白金、銅、パラジウムのうち少なくとも1つを有する金属を含む第2金属部が設けられ、前記第1凸部と前記第1金属部との間、および前記第2凸部と前記第2金属部との間に、誘電体部を備え、前記誘電体部のうち前記複数の凸部とは反対側の面は、前記凸部に沿う形状であり、前記第1金属部と前記第2金属部との間には、間隙が設けられており、前記第1金属部と前記第2金属部との距離は50nm以下であることを特徴とする基板。
【選択図】 図1

Description

本発明は、基板に関する。
金属に光が当たると、金属の表面ではプラズマ共鳴が発生し、この共鳴により電場増強効果を奏する(局在プラズモン共鳴現象)。電場増強効果を利用したセンサデバイスやラマン分光用デバイス等の電場増強デバイスの開発が進んでいる。ラマン分光法で得られるラマン散乱光を増強するために、局在プラズモン共鳴によって増強された光電場を利用したラマン分光法が知られている。
たとえば特許文献1では、微細凹凸構造を構成するベーマイト層と、微細凹凸構造の表面に形成された金属膜からなる形態が開示されている。
特開2012-63293号公報
特許文献1の形態では、検体によっては光をうまく散乱できず、ラマン光が微弱となる虞があった。そこで本発明は、ラマン光の強度を向上させることを目的とする。
上記課題を解決するための第1の手段は、金属を含む複数の凸部を備えた基板であって、前記複数の凸部のうちの第1凸部の上に、金、銀、白金、銅、パラジウムのうち少なくとも1つを有する金属を含む第1金属部が設けられ、前記複数の凸部のうちの前記第1凸部と異なる第2凸部の上に、金、銀、白金、銅、パラジウムのうち少なくとも1つを有する金属を含む第2金属部が設けられ、前記第1凸部と前記第1金属部との間、および前記第2凸部と前記第2金属部との間に、誘電体部を備え、前記誘電体部のうち前記複数の凸部とは反対側の面は、前記凸部に沿う形状であり、前記第1金属部と前記第2金属部との間には、間隙が設けられており、前記第1金属部と前記第2金属部との距離は50nm以下であることを特徴とする。
上記課題を解決するための第2の手段は、表面に第1凹凸構造を有する誘電体部を形成する工程と、前記第1凹凸構造の上に、前記第1凹凸構造が転写された、第2凹凸構造を有する金属を含む構造体を形成する工程と、前記誘電体部が前記第2凹凸構造の凸部を被覆するように前記誘電体部の一部を除去する工程、および前記誘電体部のうち前記構造体と反対側の面から前記第2凹凸構造の凹部までの距離が、前記凸部と前記凸部に隣接する前記構造体の凹部との高低差より小さくなるように、前記誘電体部の一部を除去する工程と、前記誘電体部のうち前記構造体とは反対側であって、前記凸部のうちの第1凸部の上に金、銀、白金、銅、パラジウムのうち少なくとも1つを有する金属を含む第1金属部と、前記凸部のうちの前記第1凸部とは異なる第2凸部の上に金、銀、白金、銅、パラジウムのうち少なくとも1つを有する金属を含む第2金属部とを形成する工程と、を有し、前記第1金属部と、前記第2金属部との間には、間隙が設けられており、前記第1金属部と前記第2金属部との距離は50nm以下であることを特徴とする。
ラマン光の強度を向上させる上で有利な技術を提供する。
本実施形態に係る基板の模式図。 本実施形態に係る基板の製造方法を示す模式図。 本実施形態に係る基板を搭載した装置の一例を示す模式図。 第2実施形態に係る基板の模式図。 基板の表面SEM画像。 ラマン分光スペクトル結果を示すグラフ。 金膜厚に対するラマン信号強度比を示すグラフ。
以下、図面を参照して、本発明を実施するための形態を説明する。ただし、以下に説明する形態は、発明の1つの実施形態であって、これに限定されるものではない。そして、共通する構成を複数の図面を相互に参照して説明し、共通の符号を付した構成については適宜説明を省略する。同じ名称で別々の事項については、それぞれ、第一の事項、第二の事項というように、「第〇」を付けて区別することができる。
<第1実施形態>
図1を用いて、本実施形態に係る基板10について説明する。基板10は、構造体1、構造体1の表面に設けられた誘電体部3、誘電体部3と界面をなす金属部2を備える。構造体1は凹凸構造を有しており、金属部2、誘電体部3はそれぞれ凹凸構造の凸部41、凸部42を含む複数の凸部4の上に設けられている。誘電体部3は、構造体1と金属部2との間に設けられており、構造体1と金属部2のどちらとも界面をなす構造であることが好ましい。
金属部21と、金属部21に隣り合う金属部22との間には、間隙9が設けられており、金属部21と金属部22との距離Dは、0より大きく50nm以下である。金属部21と金属部22との距離Dは、0より大きく10nm以下であればより好ましい。距離Dは金属部21と金属部22の最短距離である。距離Dは金属部21と、金属部22との距離であればより好ましいが、同じ凸部41に複数の金属部21が設けられ、複数の金属部21同士の距離でもよい。また、凸部41に隣り合う凸部42ではなく、別の凸部4に設けられた金属部2との距離でも良い。間隙9を設けることで、光電場をより増強することが可能となり、基板10でラマン光の強度を向上することができる。金属部21と金属部22は、間に設けられた間隙9以外の部分において、接続していてもよいが、不連続であることが好ましい。
図1(a)では、金属部2は土筆状の金属部2が存在しているが、図1(b)のように誘電体部3に沿う形の金属部2でもよく、金属部2の形状は限定されない。また図1(b)に示すように、誘電体部3は凹部43の上に設けられていても良く、誘電体部3は凸部41、凸部42の上の誘電体部3と接続していてもよい。凸部41、凸部42の金属は不連続であってもよい。金属部2は、凹部43を被覆しないことが好ましく、凹部43の上の空間には誘電体部3が露出していることが好ましい。
凹凸構造は、構造体1の一方の表面にのみ設けられていることが好ましく、凸部41と凹部43との距離、すなわち凹凸構造の高低差は、100nm以上1000nm以下が好ましく、100nm以上500nm以下がより好ましい。上記高低差は、凹凸構造の高低差の平均であれば好ましい。高低差は、凸部41から凹部43までの直線距離でもよいし、凸部41から凹部43までの鉛直方向の距離でもよい。高低差は、基板10の断面を走査型電子顕微鏡などで観察することにより求めることができる。凸部41と凸部42は凹部43を介して繋がっていることが好ましいが、離れていても良い。構造体1のうち、凸部4は金属であるが、凹部43は金属でなくてもよく、セラミックスや樹脂等の非金属でもよい。
構造体1の材料は、導電性が高い材料であることが好ましく、金、銀、銅、アルミニウム、マグネシウム、タングステン、コバルト、亜鉛、ニッケル、クロムなどが挙げられ、ニッケル、亜鉛、クロムが好ましく、ニッケルが特に好ましい。
金属部2の材料は金、銀、白金、銅、パラジウムから選ばれるいずれか1つを含む金属が挙げられ、特に金あるいは銀が好ましい。金属部2の厚さは、励起光の照射を受けて局在プラズモンを生じうる凹凸構造を維持することができる程度の厚みであれば特に制限はないが、5nm以上50nm以下であることが好ましい。
誘電体部3の材料は、金属酸化物であることが好ましい。金属酸化物の材料は特に限定されないが、アルミナを主成分とすることが好ましく、アルミナを主成分とする板状結晶を含むことがより好ましい。アルミナを主成分とする板状結晶は、アルミニウムの酸化物または水酸化物またはそれらの水和物を主成分とする板状結晶により形成され、特に好ましい結晶としては、ベーマイトである。ここで、アルミナを主成分とする板状結晶は、アルミナのみからなる板状結晶であってもよく、アルミナの板状結晶に微量のジルコニウム、シリコン、チタニウム、亜鉛などを含む板状結晶であってもよい。アルミナを主成分とする板状結晶の板状組織である場合、アルミナを主成分とする板状結晶が構造体1の面方向に対して垂直方向に配置され、その空間的占有率が連続的に変化していることが好ましい。また、金属酸化物は、アルミナのアモルファスゲルを含むこともある。誘電体部3は、図1(b)のように構造体1の凹凸構造または凸部4に沿う形で形成されていることが好ましい。誘電体部3の厚さは、30nm以上200nm以下であることが好ましい。
本実施形態に係る基板10は、比表面積Sr1.0以上3.0以下であることが好ましい。比表面積Srは、次の式で求められる。
Sr=S/S 式(1)
式(1)中、Sは測定面が理想的にフラットであるとした時の表面積、Sは実際の測定面の表面積である。比表面積は、走査型プローブ顕微鏡などを用いて凹凸構造を有する表面を観察することにより求めることができる。
構造体1の金属元素、および誘電体部3中の金属酸化物は、走査型電子顕微鏡(SEM)や透過型電子顕微鏡(TEM)による表面や断面観察時のエネルギー分散型X線分析(EDX)の測定で検出することができる。またX線電子分光(XPS)の測定でも検出することができる。構造体1の面方向に対して垂直方向において、誘電体部3から構造体1に向かって相対的に金属酸化物の割合が低くなり、構造体1を構成する金属元素の割合が高くなり、最終的に金属元素のみが検出される。
基板10は、構造体1のうち凹凸構造が設けられた側とは反対側の面に基材5を有している。基材5は、構造体1に接着層6を介して設けられているが、接着層6は省略することが可能である。基材5の形状としては、使用目的に応じた形状にされ得るものであれば良く、平板形状、フィルム形状、シート形状などが挙げられるが、これらに限定されない。基材5の材料としては、金属、ガラス、セラミックス、木材、紙、樹脂などが挙げられるが、これらに限定されない。樹脂としては、例えば、ポリエステル、トリアセチルセルロース、酢酸セルロース、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、ABS樹脂、が挙げられる。またポリフェニレンオキサイド、ポリウレタン、ポリエチレン、ポリ塩化ビニルなどの熱可塑性樹脂のフィルムや成形品;不飽和ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、架橋型ポリウレタン、架橋型のアクリル樹脂、架橋型の飽和ポリエステル樹脂などの熱硬化性樹脂でも良い。接着層6は、基材5と構造体1を接着できればいかなる層であってもよいが、例えば、接着性の樹脂(例えば、エポキシ樹脂など)の硬化物からなる層、両面テープなどが挙げられる。
次に図2を用いて、基板10の製造方法について説明する。本実施形態に係る製造方法は、構造体1を形成する工程と、誘電体部3を形成する工程と、金属部2を形成する工程とを含む。
図2(a)、図2(b)を用いて、誘電体部3を形成する工程を説明する。ここでは誘電体部3はアルミナを有する金属酸化物を含む。アルミニウム化合物、および必要に応じてその他の化合物、安定化剤、水溶性有機高分子化合物を、有機溶媒に溶解または懸濁させゾル-ゲルコーティング液を調整する。このゾル-ゲルコーティング液をベース基材8上に塗布、乾燥し、アルミニウムを含むアルミニウム膜7としてのアルミナゲル膜を形成する。または、真空蒸着やスパッタ法などのドライ製膜によりアルミニウム膜7としての金属アルミニウムを含むアルミナゲル膜をベース基材8上に形成する。
次いで、アルミニウム膜7を温水に浸漬処理することにより、アルミナの凹凸構造を形成する。アルミニウム膜7を温水に浸漬することにより、アルミニウム膜7の表層が解膠作用等を受け、一部の成分は溶出する。しかし、各種水酸化物の温水への溶解度の違いにより、アルミナを主成分とする板状結晶がアルミニウム膜7の表層に析出、成長することで誘電体部3の凹凸構造が形成される。また、アルミニウム膜7に代えて金属アルミニウムを含む膜を用いた場合、アルミニウムが温水と反応しアルミナへと酸化された後に、アルミニウム膜7を用いた場合と同様に誘電体部3の凹凸構造が形成される。そのため、ベース基材8の材料がアルミニウムまたはアルミナを主に含む場合、ベース基材8上へのアルミニウム膜7の製膜を省略することもできる。なお、温水の温度は40℃以上100℃未満とすることが好ましい。浸漬処理時間としては約5分間から24時間程度とすることが好ましい。アルミナ成分以外のその他の化合物を加えたアルミニウム膜7の浸漬処理では、各成分の温水に対する溶解度の差を用いてアルミナの板状結晶の結晶化を行っている。そのため、アルミナ単成分を含むアルミニウム膜7の浸漬処理とは異なり、無機成分の組成を変化させることにより板状結晶のサイズを広範な範囲にわたって制御することができる。また、アルミニウム膜7の膜厚を調整することにより、アルミナの凹凸形状の高さを調整することもできる。誘電体部3の凹凸構造の高さの平均は、好ましくは100nm以上1000nm以下であり、より好ましくは100nm以上500nm以下である。誘電体部3の厚さは、30nm以上200nm以下であることが好ましい。その結果、板状結晶の形成する凹凸を広範な範囲にわたって制御することが可能となる。
ベース基材8の材質は特に制限はなく、ガラス、プラスチック、金属など種々の材質を用いることができる。安定化剤を含まないゾル-ゲルコーティング液を用いてアルミニウム膜7を形成する際には、塗布を行う雰囲気を乾燥空気もしくは乾燥窒素等の不活性気体雰囲気とすることが好ましい。乾燥雰囲気の相対湿度は30%以下にすることが好ましい。アルミニウム膜7を形成する溶液塗布法としては、例えばディッピング法、スピンコート法、スプレー法、印刷法、フローコート法、およびこれらの併用等、既知の塗布手段を適宜採用することができる。膜厚は、ディッピング法における引き上げ速度やスピンコート法における基板回転速度などを変化させることと、ゾル-ゲルコーティング液の濃度を変えることにより制御することができる。乾燥は、室温で30分程度乾燥させればよい。また、必要に応じてさらに高い温度で乾燥あるいは熱処理させることも可能であり、熱処理温度が高いほど、後述の浸漬処理で、より安定した誘電体部3の凹凸構造を形成させることができる。アルミニウム膜7の好適な膜厚としては、100nm以上600nm以下、好ましくは100nm以上300nm以下、より好ましくは100nm以上200nm以下である。
次に図2(c)を用いて、構造体1を形成する工程を説明する。図2(b)で説明した誘電体部3の凹凸構造に、金属を含む構造体1を形成する。構造体1の形成方法としては、金属めっき処理が好ましく、さらには無電解めっき処理が好ましい。無電解めっき処理では、塩化パラジウムの様なパラジウム化合物、塩化金の様な金化合物、塩化銀の様な銀化合物、塩化スズの様なスズ化合物などを溶解した水溶液を、誘電体部3の凹凸構造に塗布することにより、活性化を行う。活性化は、誘電体部3の凹凸構造をベース基材8ごとパラジウム化合物が溶解した水溶液に浸漬することで行ってもよい。その後、無電解めっき液を用いて構造体1を誘電体部3の凹凸構造に堆積する。無電解めっき液中の金属イオンは、本実施形態の基板10の構造体1に対応しており、ニッケルイオン、クロムイオン、亜鉛イオンを含む無電解めっき液が好ましく、ニッケルイオンを含むニッケルめっき液が特に好ましい。ニッケルめっき液は、ニッケル成分以外にリン成分やホウ素成分を含んでいても構わない。無電解めっき処理におけるめっき液の温度は30℃以上98℃以下が好ましく、さらに好ましくは50℃以上90℃以下である。無電解めっき処理を行う時間は形成する構造体1の厚みに応じて調整を行うことができ、通常30秒から1時間である。このようにして、凹凸構造の隙間を埋めるように構造体1が形成され、誘電体部3の凹凸構造が転写された凹凸構造を有する構造体1が形成される。凹凸構造を有する構造体1の厚さが、200nm以上15000nm以下であるように無電解めっき処理を行うことが好ましい。また、凹凸構造の高低差の平均は、誘電体部3の凹凸構造の高低差の平均に対応し、100nm以上1000nm以下となる。
前述した無電解めっき処理を行った後に、構造体1の厚みを増すために、構造体1の凹凸構造が設けられた面とは逆の面に電気めっき処理を行っても構わない。電気めっき処理には公知の電気めっき液を用いることができ、例えば金属イオンとして、ニッケルイオン、鉄イオン、銅イオンなどを含む電気めっき液を用いることができる。構造体1の金属と同じ金属を用いて電気めっき処理を行った場合、電気めっき処理により構造体1の厚みを増すことができる。なお、構造体1の金属と異なる金属を用いて電気めっき処理を行った場合、電気めっき処理により設けた金属は基材となる。電気めっき液中には、金属イオンの原料となる無機塩の他、必要に応じて、導電性塩、対イオンを調整するための塩、めっき膜の均質性を高めるためのカルボン酸系添加剤、光沢剤などを添加しても良い。また、電気めっき工程において、電気めっき液の液温、電流密度、めっき時間を調整することにより、構造体1の厚さを所望の厚さとすることができる。必要に応じて、電気めっき工程の前に、酸などを含む水溶液で構造体1の凹凸構造が設けられた面とは逆の面を活性化処理しても構わない。さらに、電気めっき処理程により形成する膜の品質を高めるために、電気めっき処理中に電気めっき液を攪拌することに加え、電気めっき液中の異物を取り除く工程を備えても良い。
次に図2(d)を用いて、基材5を構造体1に接着する工程を説明する。基材5の材料が金属である場合、構造体1の凹凸構造が設けられた面とは逆の表面に基材5となる金属をさらに積層してもよい。金属の積層方法としては、上記の電気めっき処理により積層してもよく、スパッタリングなどの物理蒸着により積層してもよい。また、基材5の材料が樹脂である場合、構造体1の凹凸構造とは逆の表面に基材5となる樹脂を堆積後、硬化することで基材5を設けてもよい。基材5は、接着層6により構造体1と接着されてもよい。接着層6に用いる接着材は樹脂であれば好ましいが、特に限定されず、基材5と構造体1が接着される材料であればよい。
次に図2(e)、図2(f)、図2(g)を用いて、ベース基材8およびアルミニウム膜7および誘電体部3の一部のエッチング工程を説明する。図2(e)は、図2(d)を上下反転した図である。まず図2(f)に示すようにベース基材8の除去を行なう。アルミニウム膜7がアルミナゲル膜である場合、アルミニウム膜7は基板10の誘電体部3の一部として機能し得る。アルミニウム膜7を部分的にエッチングで除去しても良い。エッチング方法としては、酸やアルカリ溶液を用いてアルミニウムを含む膜を溶解させるウェットエッチングが好ましい。酸としては、例えば、塩酸、硝酸、硫酸などが挙げられる。アルカリとしては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどが挙げられる。作業効率の観点から、アルカリ溶液を用いるエッチング方法がより好ましい。エッチング濃度は、数%から数十%の範囲で、エッチング時間は数時間から数日の範囲で行うことが好ましい。エッチング後のアルミナ等の金属酸化物の残存は、SEMやTEMによる表面や断面観察時のEDX、またはXPSの測定などで検出することができる。本工程において誘電体部3は、転写された構造体1の凹凸構造の凹部までの距離H1が、凸部と凸部に隣接する構造体1の凹部との高低差H2より小さくなるように除去される。距離H1は0でもよく、凹部の誘電体部3を全てエッチングしても構わない。このとき構造体1の凹凸構造の凸部は誘電体部3に被覆されている。誘電体部3のうち構造体1と反対側の面が、構造体1に転写された凹凸構造に沿う形状になるよう、誘電体部3を除去する。基材5の接着工程を行う前に、本工程のエッチング工程を行った後に基材5を接着してもよい。
次に図2(h)を用いて、金属部2を形成する工程を説明する。エッチング後に得られた部材に、真空蒸着やスパッタ法などのドライ製膜により、金、銀、白金、銅、パラジウムから選ばれるいずれか1つを含む金属部2を形成する。
こうして得られた本実施形態に係る基板10の製造方法は、同一試料において面内均一性は高いものが得られるため、測定の再現性が良好なデータを得ることができ、信頼性の高い効果的な測定が可能となる。また、非常に簡単な製造方法であるため、従来のデバイスに比べ生産コストを抑えることができる。
また本実施形態の基板10は、表面増強ラマン散乱分光法以外に、蛍光検出法における蛍光増強デバイスとしても用いることができる。ラマン散乱光、蛍光のみならず、励起光の照射を受けた検体から生じるレーリー散乱光、ミー散乱光、あるいは第2高調波などの検出においても、本実施形態の基板10を用いることができる。本実施形態の基板10は、局在プラズモン共鳴に伴う増強された光電場により、ラマン光を増強することができる。
本実施形態の基板10を部材または物品の表面に設ける際に、種々の接着剤を用いることができる。そのため、本実施形態の基板10は、使用目的に応じて部材および物品の表面に設けることができ、部材および物品の表面は平滑であるものに限られず、二次元または三次元の曲面を有するものであっても良い。
次に図3を用いて、本実施形態に係る基板10を搭載可能な装置100の一例として、ラマン分光装置を説明する。
装置100は、基板10と、光L1を基板10へ照射する光照射部140と、検体Sで散乱したラマン散乱光L2を検出するための光検出部150とを備えている。
光照射部140は、光L1を射出するレーザー141と、このレーザー141から射出された光L1を基板10側へ反射するミラー142と、ハーフミラー144と、レンズ146を有している。ミラー142で反射した光L1は、ハーフミラー144を透過し、レンズ146によって光L1を基板10の検体Sが載置された領域に集光される。ハーフミラー144は、光L1の照射により検体Sで散乱したラマン散乱光L2を含む基板10側からの光を、光検出部150側へ反射する。
光検出部150は、ノッチフィルタ151と、ピンホール152が設けられたピンホール板153と、レンズ154と、レンズ156と、分光器158と、検出器159を備えている。ノッチフィルタ151は、ハーフミラー144により反射されてきた光のうち光L1と同じ波長の光を吸収し、それ以外の光を透過する。ピンホール152が設けられたピンホール板153は、ノッチフィルタ151を透過した光のうち、ノイズ光の除去を行なう。レンズ154は、レンズ146およびノッチフィルタ151を透過したラマン散乱光L2を、ピンホール152へ集光し、レンズ156はピンホール152を通ったラマン散乱光L2を平行光化する。分光器158は、レンズ156で平行光化されたラマン散乱光L2を分光し、検出器159で分光された光を検出する。
光L1の照射により、基板10の凹凸構造においては局在プラズモン共鳴が誘起され、金属部2表面に増強された光電場が生じる。この増強光電場により増強された、検体Sから発せられたラマン散乱光L2は、レンズ146を透過して、ハーフミラー144で分光器158側に反射される。なお、このとき、基板10で反射された光L1もハーフミラー144により反射されて分光器158側に反射されるが、光L1はノッチフィルタ151でカットされる。一方、光L1と波長が異なる光はノッチフィルタ151を透過し、レンズ154で集光され、ピンホール152を通り、レンズ156により平行光化され、分光器158へ入射し、検出器159で検出される。なお、ラマン分光装置においては、レーリー散乱光(あるいはミー散乱光)などは、その波長が光L1と同じであるため、ノッチフィルタ151でカットされ、分光器158へ入射することはない。ラマン散乱光L2は、検出器159に入射してラマンスペクトル測定および分析がなされる。
レーザー141から検体Sに照射する光の波長は、測定環境に応じて任意の値を採ることが可能であり、紫外から可視、近赤外まで用いることができる。しかし波長によっては、検出器159の量子効率の低下や検体Sの蛍光発光が発生するため、検体Sに照射する光の波長は400nm以上850nm以下であれば好ましい。
ここでは装置100の一例としてラマン分光装置を説明したが、ラマン分光装置に限定されるものではなく、顕微ラマン分光装置や蛍光検出器等にも用いることが可能である。
<第2実施形態>
次に図4を用いて、本実施形態に係る基板10を説明する。
本実施形態に係る基板10は、構造体1が階層構造を有している点で第1実施形態とは異なる。階層構造とは、構造サイズが異なる少なくとも2種類の構造で構成されており、例えばミクロンオーダーの構造サイズを有する第1構造と、サブミクロンオーダーの構造サイズを有する第2の構造を併せ持つ構造を意味する。ミクロンオーダーの構造サイズを有する第1構造の高低差は、たとえば1μm以上10μm以下である。
構造体1は、接着層6の上に設けられた基部11と、基部11の上に設けられた凹凸構造12を有し、凹凸構造12は第1凹凸構造121と、第1凹凸構造121より小さいスケールの第2凹凸構造122からなる。第2凹凸構造122は第1凹凸構造121の上に設けられ、第1凹凸構造121および第2の凹凸構造122は、複数の凸部および複数の凸部間に設けられた凹部を有する。
さらに第2凹凸構造122の上には、第1実施形態と同様に金属部2、および構造体1と金属部2との間に誘電体部3が設けられる。第2凹凸構造122の凸部上に設けられた金属部2間に間隙が設けることで、光電場をより増強することが可能となり、基板10においてラマン光の強度を向上することができる。
第1凹凸構造121と第2凹凸構造122はそれぞれ同一の材料で形成されていることが好ましく、基部11も同一の材料からなることが好ましい。第2凹凸構造122の凸部と凹部との距離、すなわち凹凸構造の高低差は、100nm以上1000nm以下が好ましく、100nm以上500nm以下がより好ましい。
本実施形態のように階層構造上に凹凸構造を形成する場合、用いる基材5は基材の表面においてマイクロオーダーの凹凸構造を有するものであれば良く、例えば研磨材もしくは酸やアルカリといったエッチング液で粗したスリガラスや電子ビームなどで加工した基材などが挙げられるが、これらに限定されない。
図4では、図1(a)に挙げたような土筆状の階層構造を記載したが、図1(b)に示すような、金属部2が凹部に沿う形態でも良い。
<実施例>
以下、実施例を説明する。ただし、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
アルミニウム-sec-ブトキシド(以下、「Al(O-sec-Bu)3」とも称する。)およびアセト酢酸エチル(以下、「EtOAcAc」とも称する。)を2-プロパノール(以下、「IPA」とも称する。)中に溶解させ、約3時間室温で攪拌することにより、アルミナゾル溶液を調製した。アルミナゾル溶液中の各成分のモル比は、Al(O-sec-Bu)3:EtOAcAc:IPA=1:1:20であった。アルミナゾル溶液中に、0.01M希塩酸水溶液を、塩酸の添加料がAl(O-sec-Bu)3に対しモル比で2倍となるように添加し、約6時間還流し、ゾル-ゲルコーティング液を調製した。ゾル-ゲルコーティング液をスピンコート法によりベース基材である鏡面研磨した石英ガラス基板上に塗布し、塗布膜を形成した。その後、塗布膜を100℃で1時間熱処理し、透明なアルミナゲル膜を得た。次に、アルミナゲル膜を80℃の温水中に30分間浸漬したのち、100℃で10分間乾燥させ、凹凸構造を有する誘電体部3としてのアルミナ層を形成した。
凹凸構造を備えるアルミナ層上に塩化パラジウム水溶液をスピンコート法で塗布した後、100℃で乾燥した。その後、80℃に設定したニッケル-リンめっき液(リン含有量約1~2wt%)の中に40分間浸漬処理し、凹凸構造および構造体1としてのニッケル層を形成した。
石英ガラス基板からアルミナ層を備える金属部を剥離した後に、エッチング工程として3Mの水酸化ナトリウム水溶液を用いて室温で50時間エッチング処理した。SEM観察およびXPSの測定で、金属層であるニッケル層上にニッケルの凹凸構造が形成され、凹凸構造の上に誘電体部3としてのアルミナが残存していた。凹凸構造の高低差の平均は272nm、平均面粗さRa’は3.8nm、比表面積は1.1であった。
さらに、金マグネトロンスパッタ装置(サンユー電子社製 Quick Coater SC-701HMCII)を用いて、得られた部材表面に金を成膜した。金の膜厚は5nm,10nm,15nmの3水準とした。このようにして、基板10が得られた。走査型電子顕微鏡(商品名:ULTRA55、Carl Zeiss製)を用いて行った。観察条件は、加速電圧1kV、無蒸着とした。図4に、金の膜厚15nmにおける基板10の表面SEM像を示す。図4に示す表面SEM像から、凹凸構造に金が成膜されていることがわかる。
(ラマン分光スペクトル測定)
上記の基板10の表面に、検体として100μMの色素ローダミン6G(R6G)水溶液を滴下してラマン分光スペクトル測定を行った。測定条件は以下の通りである。測定装置は、東京インスツルメンツ社製三次元顕微レーザーラマン分光装置 Nanofinder30を用い、励起光源はHe-Neレーザー(波長633nm)、レーザー強度は120μW(ND 2.0)、対物レンズ20倍(NA 0.45)、ピンホール径100μm、回折格子300gr/mm(測定範囲 約0~3000cm-1)、露光時間10s、積算回数1回とした。図5に、ラマン分光スペクトル結果を示す。いずれの金膜厚においても、R6Gのラマン信号が検出され、実施例で示した基板10にSERS効果があることが確認された。また、図6に、金膜厚に対するラマン信号強度を示す。1647cm-1付近のラマンピーク(芳香環内のC-C結合の伸縮モード)をR6Gのラマン信号強度とし、1700~1750cm-1の平均強度をバックグランド強度として、SERSの増強効果を評価した。いずれの金膜厚においても、バックグラウンドに対する信号強度比が高い(S/Nが良い)ことがわかった。表1に、実施例1で製造した基板10のラマン評価結果を示す。SERS信号強度が検出されたものは〇、検出されなかったものを×と表記した。また、バックグラウンドに対するR6Gのラマン信号強度比が高い(S/Nが良い)ものは〇、低い(S/Nが悪い)ものを×と表記した。
(実施例2)
実施例2では、誘電体部3としてのアルミナのエッチング条件および構造体1としての金の膜厚を変えて基板10を製造した。エッチング時間を変えたこと以外、実施例1と同様に行い基板10を製造した。エッチング時間は、8時間、24時間、122時間、194時間、226時間、338時間とした。エッチング時間を変えた各々のサンプルに対し、金の膜厚は5nm,10nm,15nmの3水準とし、計18サンプルを評価した。表1に、実施例2で製造した基板10のラマン評価結果を示す。全ての基板10において、ラマン分光スペクトル測定を行ったところ、R6Gのラマン信号が検出され、基板10にSERS効果があることが確認された。また、バックグラウンドに対する信号強度比が高い(S/Nが良い)ことがわかった。また、エッチングを行っていないものについては、金膜厚が5nmのものでSERS効果が確認された。
(実施例3)
ベース基材8を表面がスリ状態にある石英ガラス基板に変えて作製したこと以外、実施例1と同様に行い基板10を製造した。ベース基材8にはスリ状態にある石英ガラス基板として、#1200、#600、#400、#240、#120を用いた。
ベース基材8を変えた各々のサンプルに対し、金の膜厚は5nm、10nm、15nmの3水準とし、計15サンプルを評価した。表2に、実施例3で製造した基板10のラマン評価結果を示す。全ての基板10において、ラマン分光スペクトル測定を行ったところ、R6Gのラマン信号が検出され、基板10にSERS効果があることが確認された。また、バックグラウンドに対する信号強度比が高い(S/Nが良い)ことがわかった。
(比較例1)
めっき工程を行っていない、凹凸構造を備えるアルミナ層のみのサンプルに実施例1と同様に、金の膜厚は5nm,10nm,15nmの3水準のものを成膜し、ラマン分光スペクトル測定を行った。図6に、金膜厚に対するラマン信号強度比を示す。ラマン信号は検出されたが、実施例に示す光電場増強デバイスに比べバックグランドに対するラマン信号強度比が低い(S/Nが悪い)ことがわかった。また、エッチングを行っていないものについては、金膜厚が10nm,15nmのもので、表1に示す通り、ラマン信号が検出されず、SERS効果が確認できなかった。
Figure 2023163124000002
Figure 2023163124000003
以下に本発明の開示内容を示す。
(構成1)金属を含む複数の凸部を備えた基板であって、前記複数の凸部のうちの第1凸部の上に、金、銀、白金、銅、パラジウムのうち少なくとも1つを有する金属を含む第1金属部が設けられ、前記複数の凸部のうちの前記第1凸部と異なる第2凸部の上に、金、銀、白金、銅、パラジウムのうち少なくとも1つを有する金属を含む第2金属部が設けられ、前記第1凸部と前記第1金属部との間、および前記第2凸部と前記第2金属部との間に、誘電体部を備え、前記誘電体部のうち前記複数の凸部とは反対側の面は、前記凸部に沿う形状であり、前記第1金属部と前記第2金属部との間には、間隙が設けられており、前記第1金属部と前記第2金属部と距離は50nm以下であることを特徴とする基板。
(構成2)前記第1金属部と前記第2金属部との距離は、10nm以下であることを特徴とする構成1に記載の基板。
(構成3)前記誘電体部は、前記第1金属部および前記第2金属部と界面をなすことを特徴とする構成1または2に記載の基板。
(構成4)前記誘電体部は、アルミナを含むことを特徴とする構成1乃至3のいずれか1項に記載の基板。
(構成5)前記第2凸部は、前記複数の凸部のうちの前記第1凸部に隣接する凸部であることを特徴とする構成1乃至4のいずれか1項に記載の基板。
(構成6)前記第1金属部と前記第2金属部とは、不連続であることを特徴とする構成1乃至5のいずれか1項に記載の基板。
(構成7)前記複数の凸部の各々は、ニッケル、クロム、亜鉛のうち少なくとも1つを有する金属を含むことを特徴とする構成1乃至6のいずれか1項に記載の基板。
(構成8)前記複数の凸部と、前記複数の凸部の間の凹部と、を含む凹凸構造を有し、前記凹凸構造の高低差は、100nm以上1000nm以下であることを特徴とする構成1乃至7のいずれか1項に記載の基板。
(構成9)前記凹部には、前記誘電体部が設けられることを特徴とする構成8に記載の基板。
(構成10)前記凹部の上の空間には、前記誘電体部が露出していることを特徴とする構成8または9に記載の基板。
(構成11)前記誘電体部は、前記第1凸部と界面をなすことを特徴とする構成1乃至10のいずれか1項に記載の基板。
(構成12)前記第1金属部または第2金属部の厚みは、5nm以上50nm以下であることを特徴とする構成1乃至11のいずれか1項に記載の基板。
(構成13)前記誘電体部の厚みは、30nm以上200nm以下であることを特徴とする構成1乃至12のいずれか1項に記載の基板。
(構成14)金属を含む複数の凸部を備えた基板であって、前記複数の凸部のうちの第1凸部の上に、金、銀、白金、銅、パラジウムのうち少なくとも1つを有する金属を含む第1金属部が設けられ、前記複数の凸部のうちの前記第1凸部と異なる第2凸部の上に、金、銀、白金、銅、パラジウムのうち少なくとも1つを有する金属を含む第2金属部が設けられ、前記第1凸部と前記第1金属部との間、および前記第2凸部と前記第2金属部との間に、誘電体部を備え、前記誘電体部の厚みは、40nm以上200nm以下であり、前記第1金属部と前記第2金属部との間には、間隙が設けられており、前記第1金属部と前記第2金属部との距離は50nm以下であることを特徴とする基板。
(構成15)前記誘電体部のうち前記複数の凸部とは反対側の面は、前記凸部に沿う形状であることを特徴とする構成14に記載の基板。
(構成16)構成1乃至15のいずれか1項に記載の基板であって、ラマン光を増強する基板。
(分析方法1)構成1乃至15のいずれか1項に記載の基板に検体を載せ、前記検体に光を照射することを特徴とする分析方法。
(分析方法2)前記光の波長は、400nm以上850nm以下であることを特徴とする分析方法1に記載の分析方法。
(装置1)光を照射する光源と、構成1または14に記載の基板を備えた装置であって、前記光源が、前記基板に載置された検体に光を照射するように構成されていることを特徴とする装置。
(装置2)前記検体で散乱したラマン光を分光する分光器を備えることを特徴とする装置1に記載の装置。
(製造方法1)表面に第1凹凸構造を有する誘電体部を形成する工程と、
前記第1凹凸構造の上に、前記第1凹凸構造が転写された、第2凹凸構造を有する金属を含む構造体を形成する工程と、前記誘電体部が前記第2凹凸構造の凸部を被覆するように前記誘電体部の一部を除去する工程、および前記誘電体部のうち前記構造体と反対側の面から前記第2凹凸構造の凹部までの距離が、前記凸部と前記凸部に隣接する前記構造体の凹部との高低差より小さくなるように、前記誘電体部の一部を除去する工程と、前記誘電体部のうち前記構造体とは反対側であって、前記凸部のうちの第1凸部の上に金、銀、白金、銅、パラジウムのうち少なくとも1つを有する金属を含む第1金属部と、前記凸部のうちの前記第1凸部とは異なる第2凸部の上に金、銀、白金、銅、パラジウムのうち少なくとも1つを有する金属を含む第2金属部とを形成する工程と、を有し、前記第1金属部と、前記第2金属部との間には、間隙が設けられており、前記第1金属部と前記第2金属部との距離は50nm以下であることを特徴とする基板の製造方法。
(製造方法2)前記誘電体部のうち前記構造体と反対側の面が、前記構造体に転写された凹凸構造に沿う形状になるよう、前記誘電体部を除去することを特徴とする製造方法1に記載の基板の製造方法。
(製造方法3)前記第1金属部と前記第2金属部との距離は、10nm以下の間隙が設けられていることを特徴とする製造方法1または2に記載の製造方法。
(製造方法4)前記第1金属部および前記第2金属部は、前記誘電体部と界面をなすことを特徴とする製造方法1乃至3のいずれか1項に記載の製造方法。
以上、説明した実施形態は、技術思想を逸脱しない範囲において適宜変更が可能である。たとえば複数の実施形態を組み合わせることができる。また、少なくとも1つの実施形態の一部の事項の削除あるいは置換を行うことができる。
また、少なくとも1つの実施形態に新たな事項の追加を行うことができる。なお、本明細書の開示内容は、本明細書に明示的に記載したことのみならず、本明細書および本明細書に添付した図面から把握可能な全ての事項を含む。
また本明細書の開示内容は、本明細書に記載した個別の概念の補集合を含んでいる。すなわち、本明細書に例えば「AはBよりも大きい」旨の記載があれば、たとえ「AはBよりも大きくない」旨の記載を省略していたとしても、本明細書は「AはBよりも大きくない」旨を開示していると云える。なぜなら、「AはBよりも大きい」旨を記載している場合には、「AはBよりも大きくない」場合を考慮していることが前提だからである。
3 誘電体部
4 凸部
9 間隙
10 基板
11 第1凸部
12 第2凸部
21 第1金属部
22 第2金属部
D 距離

Claims (24)

  1. 金属を含む複数の凸部を備えた基板であって、
    前記複数の凸部のうちの第1凸部の上に、金、銀、白金、銅、パラジウムのうち少なくとも1つを有する金属を含む第1金属部が設けられ、
    前記複数の凸部のうちの前記第1凸部と異なる第2凸部の上に、金、銀、白金、銅、パラジウムのうち少なくとも1つを有する金属を含む第2金属部が設けられ、
    前記第1凸部と前記第1金属部との間、および前記第2凸部と前記第2金属部との間に、誘電体部を備え、
    前記誘電体部のうち前記複数の凸部とは反対側の面は、前記凸部に沿う形状であり、
    前記第1金属部と前記第2金属部との間には、間隙が設けられており、前記第1金属部と前記第2金属部との距離は50nm以下であることを特徴とする基板。
  2. 前記第1金属部と前記第2金属部との距離は、10nm以下であることを特徴とする請求項1に記載の基板。
  3. 前記誘電体部は、前記第1金属部および前記第2金属部と界面をなすことを特徴とする請求項1または2に記載の基板。
  4. 前記誘電体部は、アルミナを含むことを特徴とする請求項1または2に記載の基板。
  5. 前記第2凸部は、前記複数の凸部のうちの前記第1凸部に隣接する凸部であることを特徴とする請求項1または2に記載の基板。
  6. 前記第1金属部と前記第2金属部とは、不連続であることを特徴とする請求項1または2に記載の基板。
  7. 前記複数の凸部の各々は、ニッケル、クロム、亜鉛のうち少なくとも1つを有する金属を含むことを特徴とする請求項1または2に記載の基板。
  8. 前記複数の凸部と、前記複数の凸部の間の凹部と、を含む凹凸構造を有し、前記凹凸構造の高低差は、100nm以上1000nm以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の基板。
  9. 前記凹部には、前記誘電体部が設けられることを特徴とする請求項8に記載の基板。
  10. 前記凹部の上の空間には、前記誘電体部が露出していることを特徴とする請求項8に記載の基板。
  11. 前記誘電体部は、前記第1凸部と界面をなすことを特徴とする請求項1または2に記載の基板。
  12. 前記第1金属部または第2金属部の厚みは、5nm以上50nm以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の基板。
  13. 前記誘電体部の厚みは、30nm以上200nm以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の基板。
  14. 金属を含む複数の凸部を備えた基板であって、
    前記複数の凸部のうちの第1凸部の上に、金、銀、白金、銅、パラジウムのうち少なくとも1つを有する金属を含む第1金属部が設けられ、
    前記複数の凸部のうちの前記第1凸部と異なる第2凸部の上に、金、銀、白金、銅、パラジウムのうち少なくとも1つを有する金属を含む第2金属部が設けられ、
    前記第1凸部と前記第1金属部との間、および前記第2凸部と前記第2金属部との間に、誘電体部を備え、
    前記誘電体部の厚みは、40nm以上200nm以下であり、
    前記第1金属部と前記第2金属部との間には、間隙が設けられており、前記第1金属部と前記第2金属部との距離は50nm以下であることを特徴とする基板。
  15. 前記誘電体部のうち前記複数の凸部とは反対側の面は、前記凸部に沿う形状であることを特徴とする請求項14に記載の基板。
  16. 請求項1または14に記載の基板であって、ラマン光を増強する基板。
  17. 請求項1または14に記載の基板に検体を載せ、前記検体に光を照射することを特徴とする分析方法。
  18. 前記光の波長は、400nm以上850nm以下であることを特徴とする請求項17に記載の分析方法。
  19. 光を照射する光源と、請求項1または14に記載の基板を備えた装置であって、
    前記光源が、前記基板に載置された検体に光を照射するように構成されていることを特徴とする装置。
  20. 前記検体で散乱したラマン光を分光する分光器を備えることを特徴とする請求項19に記載の装置。
  21. 表面に第1凹凸構造を有する誘電体部を形成する工程と、
    前記第1凹凸構造の上に、前記第1凹凸構造が転写された、第2凹凸構造を有する金属を含む構造体を形成する工程と、
    前記誘電体部が前記第2凹凸構造の凸部を被覆するように前記誘電体部の一部を除去する工程、および前記誘電体部のうち前記構造体と反対側の面から前記第2凹凸構造の凹部までの距離が、前記凸部と前記凸部に隣接する前記構造体の凹部との高低差より小さくなるように、前記誘電体部の一部を除去する工程と、
    前記誘電体部のうち前記構造体とは反対側であって、前記凸部のうちの第1凸部の上に金、銀、白金、銅、パラジウムのうち少なくとも1つを有する金属を含む第1金属部と、前記凸部のうちの前記第1凸部とは異なる第2凸部の上に金、銀、白金、銅、パラジウムのうち少なくとも1つを有する金属を含む第2金属部とを形成する工程と、を有し、
    前記第1金属部と、前記第2金属部との間には、間隙が設けられており、前記第1金属部と前記第2金属部との距離は50nm以下であることを特徴とする基板の製造方法。
  22. 前記誘電体部のうち前記構造体と反対側の面が、前記構造体に転写された凹凸構造に沿う形状になるよう、前記誘電体部を除去することを特徴とする請求項21に記載の基板の製造方法。
  23. 前記第1金属部と前記第2金属部との距離は、10nm以下の間隙が設けられていることを特徴とする請求項21または22に記載の製造方法。
  24. 前記第1金属部および前記第2金属部は、前記誘電体部と界面をなすことを特徴とする請求項21または22に記載の製造方法。
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