JP2023160429A - 位置推定システムおよび位置推定方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】少ないデータ量であっても、携帯デバイスから発せられる信号をもとに携帯デバイスの位置をより精度良く推定可能な位置推定システムおよび位置推定方法を提供する。【解決手段】位置推定システムおよび位置判定方法に従えば、携帯デバイス103の位置を推定するために、複数のアンカ30のそれぞれにおける受信強度およびToF関連値を用いる。取得した受信強度およびToF関連値を入力することによって補正後のToF関連値を出力する補正関数を用いて、ToF関連値を補正する。補正関数は、複数の携帯デバイス103の位置と、複数の携帯デバイス103の位置における受信強度およびToF関連値と含む教師データを用いて決定された関数である。そして補正関数は、教師データよりもデータ量が小さくなるように生成されている。これによって教師データの全てを保存して、教師データを用いて補正するよりも、データ量を小さくすることができる。【選択図】図3
Description
本開示は、車両に搭載されて使用されるシステムであって、ユーザによって携帯される携帯デバイスから送信される無線信号の受信状況に基づいて、車両に対する携帯デバイスの相対位置を推定する位置推定システムおよび位置推定方法に関する。
従来、車載装置と電子キーとの間の無線通信に基づいて車両の施開錠やエンジン始動といった車両に対する所定処理を許可或いは実行する電子キーシステムが知られている。このような電子キーシステムでは、車両に対する電子キーの位置に応じて処理を許可或いは実行する。そのため、電子キーの位置を推定する必要がある。
車両に対する電子キーの位置を判定する方法として、電子キーが受信した車両信号の受信信号強度を用いる方法がある。具体的には、一の車載アンテナから送信された車両信号を電子キーが受信した際の受信信号強度と、他の車載アンテナから送信された車両信号を電子キーが受信した際の受信信号強度と、の組み合わせに基づいて電子キーの位置を判定する。受信信号強度と送信元との距離が遠くなると弱くなるので、距離と相関があるからである。
電子キーの位置推定精度を向上する方法の一例が、特許文献1に開示されている。特許文献1に記載の電子キーシステムでは、電子キーの受信感度の個体差を考慮して、電子キーの受信感度と受信信号強度との関連性を用いて、受信信号強度を補正した電子キーの位置を推定している。
また他の電子キーの位置を判定する方法としては、無線信号の飛行時間(ToF:Time of Flight)を利用した測距方式がある。
電子キーの位置を推定する方法として、ToFを利用した測距方式では、車両に搭載されるアンテナと電子キーとの間に車体や人体などの障害物がある場合、電波の回折や、障害物等の影で直接波を検出できずに反射波のみを検出することにより測定距離が延長し、位置推定の誤差が大きくなるという問題がある。
また電子キーの位置を推定する場合、事前に取得した実測データを用いて、実測データと計測データと比較することで、位置推定の精度が向上する。実測データの測定点が多いほど、位置推定の精度は向上するが、必要なデータ量が多くなるという問題がある。
そこで、開示される目的は前述の問題点を鑑みてなされたものであり、少ないデータ量であっても、携帯デバイスから発せられる信号をもとに携帯デバイスの位置をより精度良く推定可能な位置推定システムおよび位置推定方法を提供することを目的とする。
本開示は前述の目的を達成するために以下の技術的手段を採用する。
ここに開示された位置推定システムは、ユーザによって携帯される携帯デバイス(103)と無線通信することで車両(101)に対する携帯デバイスの位置を推定する位置推定システムであって、携帯デバイスと無線通信可能に構成され、車両のそれぞれ異なる位置に設置されている複数の通信機(30)と、複数の通信機の動作を制御する通信制御部(20)と、携帯デバイスの存在する位置を推定する位置推定部(20)と、を含み、通信制御部は、複数の通信機のそれぞれにおける携帯デバイスからの信号の受信強度を取得することと、複数の通信機のそれぞれから携帯デバイスまでの電波の飛行時間を直接的に又は間接的に示す、受信強度とは別のパラメータである飛行時間関連値を取得することと、を実行し、位置推定部は、取得した受信強度および飛行時間関連値を入力することによって補正後の飛行時間関連値を出力する補正関数を用いて、飛行時間関連値を補正し、補正後の飛行時間関連値を用いて、携帯デバイスの位置を推定し、補正関数は、複数の携帯デバイスの位置と、複数の携帯デバイスの位置における受信強度および飛行時間関連値と含む教師データを用いて決定された関数であって、教師データよりもデータ量が小さい位置推定システムである。
さらに、ここに開示された位置推定方法は、ユーザによって携帯される携帯デバイスの位置を推定するために、少なくとも1つのプロセッサによって実行される位置推定方法であって、携帯デバイスと無線通信可能に構成されており、車両のそれぞれ異なる位置に配置されている複数の通信機から、携帯デバイスからの信号の受信強度を取得することと、複数の通信機のそれぞれから携帯デバイスまでの電波の飛行時間を直接的に又は間接的に示す、受信強度とは別のパラメータである飛行時間関連値を取得することと、取得した受信強度および飛行時間関連値を入力することによって補正後の飛行時間関連値を出力する補正関数を用いて、飛行時間関連値を補正することと、補正後の飛行時間関連値を用いて、携帯デバイスの位置を推定することと、を含み、補正関数は、複数の携帯デバイスの位置と、複数の携帯デバイスの位置における受信強度および飛行時間関連値と含む教師データを用いて決定された関数であって、教師データよりもデータ量が小さい位置推定方法である。
このような位置推定システムおよび位置判定方法に従えば、携帯デバイスの位置を推定するために、複数の通信機のそれぞれにおける受信強度および飛行時間関連値を用いる。受信強度と飛行時間関連値とは、互いに異なるパラメータであり、誤差などが生じる要因が異なることがある。したがって、受信強度のみを用いた場合の携帯デバイスの推定位置と、飛行時間関連値のみを用いた場合の携帯デバイスの推定位置とは、一致しない場合もある。そこで、取得した受信強度および飛行時間関連値を入力することによって補正後の飛行時間関連値を出力する補正関数を用いて、飛行時間関連値を補正する。
補正関数は、複数の携帯デバイスの位置と、複数の携帯デバイスの位置における受信強度および飛行時間関連値と含む教師データを用いて決定された関数である。そして補正関数は、教師データよりもデータ量が小さくなるように生成されている。これによって教師データの全てを保存して、教師データを用いて補正するよりも、データ量を小さくすることができる。また2つのパラメータを用いた補正関数によって飛行時間関連値を補正するので、一方のパラメータのみを用いて補正する構成よりも、補正精度を向上することができる。これによって補正後の飛行時間関連値を用いて、携帯デバイスの位置をより精度良く推定することができる。
なお、前述の各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示す一例である。
(第1実施形態)
本開示の第1実施形態に関して、図1~図5を用いて説明する。本実施形態の電子キーシステム100は、車両101に適用される。図1に示すように電子キーシステム100は、車載システム102と携帯デバイス103と、を含む。車載システム102は、車両101に搭載されているシステムである。携帯デバイス103は、車両101のユーザによって携帯されるデバイスである。携帯デバイス103は、複数存在しうる。電子キーシステム100が位置推定システムに相当し、携帯デバイス103と無線通信することで車両101に対する携帯デバイス103の位置を推定する。
本開示の第1実施形態に関して、図1~図5を用いて説明する。本実施形態の電子キーシステム100は、車両101に適用される。図1に示すように電子キーシステム100は、車載システム102と携帯デバイス103と、を含む。車載システム102は、車両101に搭載されているシステムである。携帯デバイス103は、車両101のユーザによって携帯されるデバイスである。携帯デバイス103は、複数存在しうる。電子キーシステム100が位置推定システムに相当し、携帯デバイス103と無線通信することで車両101に対する携帯デバイス103の位置を推定する。
まず、電子キーシステム100の前提となる構成に関して説明する。車載システム102および携帯デバイス103は、互いに近距離通信可能に構成されている。ここでの近距離通信とは、実質的な通信可能距離がたとえば5mから100m程度となる所定の近距離無線通信規格に準拠した通信を指す。本実施形態では、近距離通信の規格としては、たとえばBLE(Bluetooth Low Energy、Bluetoothは登録商標)およびUWB-IR(Ultra Wide Band - Impulse Radio)を用いている。
車載システム102および携帯デバイス103は、それぞれBLE規格に準拠した無線通信を実施可能に構成されている。したがって通信接続および暗号通信などにかかる通信方法の細部は、BLE規格で規定されるシーケンスによって実施される。
以下では車載システム102が携帯デバイス103との通信におけるマスターとして振る舞い、携帯デバイス103がスレーブとして振る舞うように設定されている場合について説明する。BLE通信におけるスレーブは、間欠的にアドバタイズ信号を送信するとともに、マスターからの要求に基づいてデータの送受信を実行するデバイスである。マスターは、スレーブとの通信接続状態や通信タイミングを制御するデバイスである。
アドバタイズ信号は、自分自身の存在を他のデバイスに通知するための信号である。アドバタイズ信号など、BLEで送受信される信号には、送信元情報が含まれている。送信元情報は、たとえば携帯デバイス103に割り当てられた固有の識別情報である。デバイス識別情報としてはたとえばデバイスアドレスや、UUID(Universally Unique Identifier)などを採用可能である。
携帯デバイス103は、車両101を使用するための鍵情報を保持しており、鍵情報を用いて車両101の電子キーとして機能するデバイスである。ここでの鍵情報とは、後述する認証処理で使用されるデータである。鍵情報は、車両101にアクセスしようとしている人物が正規のユーザであること、つまり、車両101にアクセスしようとしている人物の正当性を証明するためのデータである。鍵情報は、認証鍵や、暗号鍵、鍵コードと呼ぶことができる。鍵情報は、携帯デバイス103毎に異なりうる。車載システム102には、携帯デバイス103毎の鍵情報がデバイス識別情報と対応付けられて保存登録されている。
車載システム102は、携帯デバイス103と、無線通信による自動的な認証処理を行う。そして、認証が成功していることを条件として、車両101に対するユーザの位置に応じた車両制御を実施するシステムを実現する。ここでの車両制御とは、ドアの施錠および開錠、電源オンオフ、エンジン始動などである。
たとえば車載システム102は、携帯デバイス103が車両101に対して予め設定されている施開錠エリア内に存在することを確認できている場合、ドアボタンに対するユーザ操作に基づいて、ドアの施錠や開錠といった制御を実行する。施開錠エリアは、車室外であって、運転席用のドア付近や、助手席用のドア付近、トランクドア付近に設定される。
また、車載システム102は、携帯デバイス103との無線通信によって携帯デバイス103が車室内に存在することを確認できている場合には、スタートボタンに対するユーザ操作に基づいて、エンジンの始動制御を実行する。
車載システム102による携帯デバイス103の認証は、たとえばチャレンジ-レスポンス方式によって実施されうる。認証処理は、鍵情報を元に携帯デバイス103で生成されたレスポンスコードと、車両101が保持又は動的に生成した検証コードとを照合する処理である。
次に、携帯デバイス103に関して説明する。携帯デバイスは、通信機能を備えた、携帯可能かつ汎用的な情報処理端末である。車両101の電子キーとして機能させるためのアプリケーションであるデジタルキーアプリがインストールされている。携帯デバイス103としては、たとえば、スマートフォンや、タブレット端末、ウェアラブルデバイス等などを採用することができる。ウェアラブルデバイスは、ユーザの身体に装着されて使用されるデバイスであって、リストバンド型、腕時計型、指輪型、メガネ型、イヤホン型など、多様な形状のものを採用可能である。
携帯デバイス103は、図1に示すように、端末制御部10、携帯用BLEモジュール11および携帯用UWBモジュール12を備えている。本実施形態では、便宜上、携帯デバイス103のうちの、車載システム102との無線通信に関連する構成以外については説明を省略している。
携帯用BLEモジュール11は、前述のBLE規格に準拠した近距離無線通信を行うことが可能な通信モジュールである。携帯用BLEモジュール11は、例えばIC、アンテナおよび通信回路等から構成される。携帯用BLEモジュール11は、車載システム102との間で通信接続を確立して近距離無線通信を行う。
携帯用BLEモジュール11は、車載システム102から定期的に送信されるアドバタイジング信号を、定期的にスキャンして受信する。アドバタイジング信号を受信した携帯用BLEモジュール11は、接続要求を車載システム102に送信する。この接続要求が受諾された場合に、携帯用BLEモジュール11と車載システム102との通信接続が確立する。
携帯用UWBモジュール12は、UWB-IR方式の近距離無線通信を行うことが可能な通信モジュールである。以下では、UWB-IR方式の近距離無線通信をUWB通信と呼ぶ。UWB通信は、超広帯域無線通信と言い換えることもできる。携帯用UWBモジュール12は、携帯用BLEモジュール11と同様に、たとえばIC、アンテナおよび通信回路等から構成される。
携帯用UWBモジュール12は、インパルス状の電波(以下、インパルス信号)を送受信することでUWB通信を行う。UWB通信で用いられるインパルス信号とは、パルス幅が極短時間の信号である。例えば、パルス幅が2nsの信号である。また、UWB通信で用いられるインパルス信号とは、500MHz以上の帯域幅(つまり、超広帯域幅)を有する信号である。なお、UWB通信に利用できる周波数帯(以下、UWB帯)としては、3.1GHz~10.6GHz、3.4GHz~4.8GHz、7.25GHz~10.6GHz、および22GHz~29GHz等がある。携帯用UWBモジュール12は、車載システム102から送信されるインパルス信号を受信した場合に、この信号に対応する応答信号を返信する。
端末制御部10は、中央演算処理装置(Central Processing Unit:略称CPU)によって実現され、携帯用BLEモジュール11および携帯用UWBモジュール12を制御する。端末制御部10は、携帯デバイス103の各部の機能を実現するための処理を実行する。端末制御部10は、メモリに記憶されているプログラムを実行することで、車載システム102との通信が可能となる。
次に、車載システム102に関して説明する。車載システム102は、図1に示すように、スマートECU20および複数のアンカ30を含んで構成される。ECUは、Electronic Control Unitの略であり、電子制御装置を意味する。アンカ30は、通信機に相当する。
スマートECU20は、複数のアンカ30のそれぞれと、車両内ネットワーク104で接続されている。また、スマートECU20は、他の車載の制御装置、たとえば電源ECUおよびボディECUなどと、車両内ネットワーク104を介して相互通信可能に接続されている。車両内ネットワーク104は、車両内に構築されている通信ネットワークである。車両内ネットワーク104の規格としては、たとえばController Area Network(CAN:登録商標)が用いられる。
スマートECU20は、アンカ30等との協働により、携帯デバイス103の位置を推定する。また、スマートECU20は携帯デバイス103の位置の推定結果に応じた車両制御を他のECUとの協働によって実現する。スマートECU20は、コンピュータを用いて実現されている。すなわち、スマートECU20は、プロセッサ21、RAM、ストレージ、I/O、およびこれらの構成を接続するバスラインなどを備えている。図1では、これらのうちプロセッサ21のみ図示している。
プロセッサ21はRAM(Random Access Memory)と結合された演算処理のためのハードウェアである。プロセッサ21は、たとえばCPUである。プロセッサ21は、RAMへのアクセスにより、各機能部の機能を実現するための種々の処理を実行する。RAMは揮発性の記憶媒体である。ストレージは、フラッシュメモリ等の不揮発性の記憶媒体を含む構成である。ストレージには、プロセッサ21によって実行される各種プログラムが格納されている。プロセッサ21がプログラムを実行することは、当該プログラムに対応する方法、たとえば位置推定方法が実行されることに相当する。I/Oは、他装置と通信するための回路モジュールである。I/Oは、アナログ回路素子やICなどを用いて実現されている。
ストレージには、携帯デバイス103毎のデバイス識別情報が登録されている。また、ストレージには、各アンカ30の車両101における搭載位置を示す設定データが格納されている。ストレージが、設定データが格納されている記憶装置に相当する。
スマートECU20は、車載用BLEモジュール22および車載用UWBモジュール23を含んでいる。車載用BLEモジュール22は、前述のBLE規格に準拠した近距離無線通信を行うことが可能な通信モジュールである。車載用BLEモジュール22は、前述の携帯用BLEモジュール11と同様の構成である。車載用BLEモジュール22は、携帯デバイス103との間で通信接続を確立して近距離無線通信を行う。
車載用UWBモジュール23は、前述のUWB通信が可能な通信モジュールである。車載用UWBモジュール23は、前述の携帯用UWBモジュール12と同様の構成である。車載用UWBモジュール23は、インパルス信号を送受信することでUWB通信を行う。車載用UWBモジュール23は、携帯デバイス103から送信されるインパルス信号を受信した場合に、この信号に対応する応答信号を返信する。
複数のアンカ30は、携帯デバイス103と無線通信可能に構成され、車両101のそれぞれ異なる位置に設置されている。アンカ30は、アンカ用UWBモジュール31およびアンカ用制御部32を含む通信モジュールである。アンカ30は、スマートECU20の指示に従って、UWB通信を行う。アンカ30がアンテナに相当する。アンカ30は、車両101の車室内外の複数箇所に設けられる。アンカ30は、車室内に配置されるアンカ30と、車室外に配置されるアンカ30とを含む2つ以上が車両101に設けられる。各アンカ30には、固有の識別子が設定されている。
ここで、本実施形態のアンカ30の配置例について、図2を用いて説明を行う。図2に示すように、アンカ30は車室外に4個、車室内に3個の合計7個が配置されている。図1では、理解を容易にするため、3つのアンカ30だけ示している。また複数のアンカ30の構成は、互いに等しい。
車室外の4個のアンカ30は、具体的には、車両101の前端部の左右コーナー付近、および後端部の左右コーナーにそれぞれ配置されている。また車室内の3個のアンカ30は、具体的には、車室内前方中央のインパネ内に1個、後席の両側にそれぞれ1個配置されている。
アンカ用制御部32は、インパルス信号の送受信を用いて、飛行時間関連値を取得する。飛行時間関連値は、ToF関連値とも言う。ToF関連値は、アンカ30から携帯デバイス103までの電波の飛行時間を直接的に又は間接的に示すパラメータである。アンカ30から携帯デバイス103までの距離は、信号の飛行時間(ToF:Time of Flight)に対応する。
ToFは、2周波位相差や、ラウンドトリップ時間(RTT:Round-Trip Time)に基づいて定まる。2周波位相差や、RTTがToF関連値に相当する。ToF関連値は距離関連値と呼ぶこともできる。これらToF関連値は、受信強度とは異なるパラメータである。ここでの2周波位相差は、互いに異なる2つの周波数で観測された送受信位相差の差である。2周波位相差は、周波数の変化による位相角の変位量に対応する。送受信位相差は、送信したCW信号と受信したCW信号の位相差に相当する。送受信位相差は単純に位相角とも呼ばれる。
本実施形態では、ラウンドトリップ時間をToF関連値として用いる。具体的には、アンカ用制御部32は、インパルス信号を送信してから、このインパルス信号に対する応答信号としてのインパルス信号を受信するまでの経過時間であるラウンドトリップ時間を計測する。アンカ用制御部32は、計測したラウンドトリップ時間を、自己の識別情報とともにスマートECU20に出力する。なお、ここで説明したラウンドトリップ時間の取得方法はあくまで一例である。アンカ30と携帯デバイス103との間の測距に用いるラウンドトリップ時間を取得できれば、他の方法を用いてもよい。
さらにアンカ用制御部32は、アンカ用UWBモジュール31が受信した信号の強度を計測する。アンカ用制御部32は、アンカ用UWBモジュール31で受信した信号の強度を逐次検出する構成である。受信強度を示す信号又はその測定値そのものは、RSSI(Received Signal Strength Indicator/Indication)とも呼ばれる。アンカ用制御部32は、計測した受信強度を、自己の識別情報とともにスマートECU20に出力する。
次に、スマートECU20の制御に関して説明する。スマートECU20は、車載用BLEモジュール22からアドバタイジング信号を送信させる。例えば、車両101が駐車中であって、且つ、車両101の全ドアが施錠されてから一定時間経過後に、定期的にアドバタイジング信号を送信させる。
スマートECU20は、車載用BLEモジュール22から、携帯デバイス103との無線通信に関する情報を取得する。スマートECU20は、アドバタイジング信号を受信した携帯デバイス103の携帯用BLEモジュール11と車載用BLEモジュール22とがコネクションを確立した場合に、車載用BLEモジュール22が受信する情報を取得する。
またスマートECU20は、通信制御部としても機能し、複数のアンカ30の動作を制御する。スマートECU20は、車載用UWBモジュール23からインパルス信号を送信させる。同様に、スマートECU20は、各アンカ30のアンカ用UWBモジュール31からインパルス信号を送信させる。
スマートECU20は、複数のアンカ30から順番にインパルス信号を送信させる。スマートECU20は、たとえば予め定められた時間間隔を空けて順番に各アンカ30からインパルス信号を送信させる。
スマートECU20は、携帯デバイス103の携帯用BLEモジュール11とのコネクションが確立されること、若しくは確立したことをトリガに、インパルス信号の送信を開始させる。これによって、車両101の周辺に携帯デバイス103が存在しないにもかかわらずインパルス信号を送信させる無駄を抑制することが可能になる。
スマートECU20は、携帯デバイス103のUWBモジュールとアンカ30とでUWB通信が行われた場合にアンカ30で受信する、UWB通信に関する情報を取得する。スマートECU20は、複数のアンカ30のそれぞれから出力されるラウンドトリップ時間をToF関連値として取得する。したがってスマートECU20は、複数のアンカ30のそれぞれからToF関連値を取得する。またスマートECU20は、複数のアンカ30のそれぞれから受信強度を取得する。したがってスマートECU20は、複数のアンカ30のそれぞれにおける携帯デバイス103からの信号の受信強度を取得する。
次に、携帯デバイス103の位置推定方法に関して説明する。図3に示す処理は、スマートECU20によって、短時間に繰り返し実行される。スマートECU20は、位置推定部としても機能し、携帯デバイス103の存在する位置を推定する。
ステップS1では、各アンカ30からToF関連値と受信強度を取得し、ステップS2に移る。ステップS2では、補正関数を用いてToF関連値を補正し、ステップS3に移る。補正関数は、ステップS1にて取得した受信強度およびToF関連値を入力することによって補正後のToF関連値を出力する。
ステップS3では、携帯デバイス103が車室内にあるか車室外にあるかを判定し、ステップS4に移る。車室内にあるか否かを判定するには、補正後のToF関連値を用いて判定してもよく、受信強度だけを用いて判定してもよく、補正前のToF関連値と受信強度を用いて判定してもよい。
ステップS4では、ステップS3で判定された車室内または車室外において詳細なエリア判定を行い、ステップS5に移る。詳細なエリア判定とは、車室内または車室外をさらに細かく分割した分割エリアのうち、どのエリアにいるかを判定する処理である。ここでいうエリアは、面積があるエリアであってもよく、複数の離散的な点のうち、いずれか1つの点を指定する処理であってもよい。
ステップS5では、補正後のToF関連値を用いて、携帯デバイス103の位置を推定し、本フローを終了する。ステップS5では、ステップS4にて判定されたエリア内の特定の1点を仮位置として、より精度に優れる位置を求める演算処理を行う。エリア内の特定の1点は、任意の点であってもよく、エリアの重心であってもよく、エリアのいずれかの頂点であってもよい。ステップS5では、たとえば非線形最小二乗法により測位を行うが、非線形最小二乗法は初期位置から繰り返し演算を行い誤差の最小点を探す手法のため、初期位置が重要な要因となり、初期位置を間違えると局所解に収束するため誤判定に繋がる。
そこでステップS4では、詳細なエリア判定を行っている。ステップS4およびステップS5の位置推定について、図4を用いて説明する。図4では、理解を容易にするため、7個のアンカ30のうち右側に位置する3個のアンカ30の測距円C1~C3を用いて説明する。また実際の携帯デバイス103の位置を三角形で示す。
図4の測距円C1~C3は、ステップS2で補正後のToF関連値を用いて特定された距離を半径h1~h3として、各アンカ30を中心とした円である。理想的には、携帯デバイス103の位置で測距円C1~C3が1点に交わるはずである。しかし、図4に示すように、3つの測距円C1~C3が1点で交わる箇所がない場合がある。これは、さまざま測定誤差が要因である。
ステップS5にて、非線形最小二乗法によって、携帯デバイス103の位置を推定するためには、初期位置を設定する必要がある。そこでステップS4では、3つの測距円C1~C3が1点でまじわる箇所はないが、携帯デバイス103が位置する可能性が高い仮位置を設定し、初期位置を設定する。仮位置は、ステップS4にて設定された詳細エリア内の一点である。
図4に示す例では、3つの測距円C1~C3の交点は、6箇所に存在する。この内で、最も実際の携帯デバイス103の位置、すなわち図4の三角形の位置に近い交点を初期位置に設定することが好ましい。そこで、後述するように教師データを用いて学習した統計モデルによって、初期位置を設定する。図4に示す例では、菱形で示すように、2つの測距円C1,C3が交わる点を初期位置としている。そしてステップS5では、この初期位置をスタートとして、各測距円C1~C3からの距離の合計が最小となる位置を数学的に探索する。図4に示す初期位置では、2つの測距円C1,C3までの距離は0であるが、測距円C2までの距離を、矢印L2で示す。したがって
次に、ステップS2において用いられる補正関数に関して説明する。補正関数は、複数の携帯デバイス103の位置と、複数の携帯デバイス103の位置における受信強度およびToF関連値と含む教師データを用いて決定された関数であって、教師データよりもデータ量が小さい。教師データは、たとえば車室内外の16530点における測定箇所で、ToF値および受信強度の実測データである。
本実施形態では、高精度な補正を行うため大量データを扱える機械学習を用いる。各アンカ30と携帯デバイス103のToF関連値および受信強度を予め車両101周辺にてデータ取得し学習させる。車両101の周辺位置を網羅するような学習を行うと、大量のデータを扱うが、ロジックは車両101に搭載のECUのような容量が少ないスマートECU20で実行することが求められるため効率的に学習し、スマートECU20のROM容量削減可能なニューラルネットワークを手法に使用する。
ニューラルネットワークは、パターンマッチングよりも使用するデータ量を抑制することができる。教師データとして、たとえば車室内外の16530点における測定箇所で、各ToF関連値および受信強度を取得した場合を想定する。この場合、1つの測定箇所で、7個のアンカ30によるToF関連値および受信強度が得られる。したがって2つパラメータで7個のアンテナで、測定箇所が16530点であるので、231420個のデータ量が必要になる。これによって教師データのデータ量は、約1850KBとなる。
各アンカ30で取得した計測値を補正するために、パターンマッチングを行う場合には、データ量が多い方が好ましいので、教師データをそのまま用いて、内挿および外挿によって補正をする。そうすると、スマートECU20は、教師データを格納する必要がある。
これに対して、図5に示すように、マルチレイヤーパーセプトロンのニューラルネットワークを用いる場合を考える。ニューラルネットワークは、たとえば入力層、2つの隠れ層、出力層を有する場合、入力層および出力層は、7個のアンカ30に対応して、7個のノードが必要となる。そして2つの隠れ層のそれぞれ50個のノードを設定する。この場合、各層の閾値、ゲインと重み付けは、表1に示すような数になる。ゲインと重み付けの数は、各層から次の層に至る経路の数とも言える。
次に、図3のステップS3における他の判定方法に関して説明する。ステップS3にて車室内にあるか否かを判定する場合には、統計モデルを用いて判断してもよい。統計モデルは、ステップS1にて取得した受信強度およびToF関連値を入力することによって、車室内および車室外のどちらに携帯デバイス103が存在するかを出力する。このような統計モデルは、前述と同様の教師データを用いて、車室内であるか否かを判断するように予め学習させる。学習は、例えば機械学習を用いればよい。機械学習としては、例えば深層学習を用いてもよい。
次、図3のステップS4の別の判定方法に関して説明する。ステップS4の詳細エリア判定は、補正後のToF関連値を用いずに、他の統計モデルを用いて判定してもよい。そして統計モデルは、車室内の場合と、車室外の場合とで別の統計モデルを用いてもよい。
車室内用の統計モデルは、ステップS1で取得した受信強度およびToF関連値を入力することによって、車室内の予め設定される複数のエリアのうちどのエリアに携帯デバイス103が存在するかを出力する統計モデルを用いて、携帯デバイス103が存在するエリアを特定する。また車室外用の統計モデルは、取得した受信強度およびToF関連値を入力することによって、車室外の予め設定される複数のエリアのうちどのエリアに携帯デバイス103が存在するかを出力する統計モデルを用いて、携帯デバイス103が存在するエリアを特定する。
このような統計モデルは、前述と教師データのうち、車室内の教師データを用いて、車室内用の統計モデルを学習させ、車室外の教師データを用いて、車室外の統計モデルを学習させる。車室内と車室外とで、受信強度とToF関連値の傾向が異なるので、より精度良くエリアを特定することができる。
以上説明したように本実施形態の位置推定システムおよび位置判定方法に従えば、携帯デバイス103の位置を推定するために、複数のアンカ30のそれぞれにおける受信強度およびToF関連値を用いる。受信強度とToF関連値とは、互いに異なるパラメータであり、誤差などが生じる要因が異なることがある。したがって、受信強度のみを用いた場合の携帯デバイス103の推定位置と、ToF関連値のみを用いた場合の携帯デバイス103の推定位置とは、一致しない場合もある。そこで、取得した受信強度およびToF関連値を入力することによって補正後のToF関連値を出力する補正関数を用いて、ToF関連値を補正する。
補正関数は、複数の携帯デバイス103の位置と、複数の携帯デバイス103の位置における受信強度およびToF関連値と含む教師データを用いて決定された関数である。そして補正関数は、教師データよりもデータ量が小さくなるように生成されている。これによって教師データの全てを保存して、教師データを用いて補正するよりも、データ量を小さくすることができる。また2つのパラメータを用いた補正関数によって補正するので、一方のパラメータのみを用いて補正する構成よりも、補正精度を向上することができる。これによって補正後の飛行時間関連値を用いて、携帯デバイス103の位置をより精度良く推定することができる。
また本実施形態では、図3のステップS5にて説明したように、補正後のToF関連値を用いて設定した携帯デバイス103の仮位置を非線形最小二乗法の初期値に設定し、初期値から探索して、補正後の飛行時間関連値からの距離が最小となる位置を携帯デバイス103の位置と推定する。補正後のToF関連値を用いることで、初期値を精度よく設定できるので、位置推定精度を向上することができる。
このように本実施形態では、携帯デバイス103の位置を推定するパラメータとして、各アンカ30のToF関連値だけでなく、電波強度の情報も使用する。そして、複数のアンカ30で事前に測定した実測データを用いて、ToF関連値の補正を行う。補正のために機械学習を使用するが、車両101に搭載されるマイコンに実装可能な容量とするため効率的に学習可能なニューラルネットワークを手法に使用する。ニューラルネットワークの適用によりスマートECU20に搭載可能な容量に削減することができる。
また、車室内でのキーとじ込み防止や、エンジン始動エリアを確保するため、まずは車室内か車室外かを判定した後、詳細エリアの判定や位置推定を行う。ニューラルネットワークを用いることで、車室内外の判定も高精度に行うことができる。またニューラルネットワークを組み合わせて最適な初期位置を選択することで、非線形最小二乗法による測位精度を向上することができる。
(その他の実施形態)
以上、本開示の好ましい実施形態について説明したが、本開示は前述した実施形態に何ら制限されることなく、本開示の主旨を逸脱しない範囲において種々変形して実施することが可能である。
以上、本開示の好ましい実施形態について説明したが、本開示は前述した実施形態に何ら制限されることなく、本開示の主旨を逸脱しない範囲において種々変形して実施することが可能である。
前述の実施形態の構造は、あくまで例示であって、本開示の範囲はこれらの記載の範囲に限定されるものではない。本開示の範囲は、特許請求の範囲の記載によって示され、さらに特許請求の範囲の記載と均等の意味及び範囲内での全ての変更を含むものである。
前述の第1実施形態では、図3のステップS3にて車室内外を判定後、ステップS4にて詳細エリア判定をしているが、このように2段階で詳細エリアを決定する構成に限るものではない。たとえば、取得した受信強度およびToF関連値を入力することによって、車両101の内外に予め設定される複数のエリアのうちどのエリアに携帯デバイス103が存在するかを出力する統計モデルを用いて、携帯デバイス103が存在するエリアを特定してもよい。統計モデルは、他の統計モデルと同様に、教師データが学習することによって得ることができる。これによって図3のステップS3とステップS4の処理を1つにまとめることがでる。
前述の第1実施形態では、図3のステップS4にて、詳細エリア判定によって判定されたエリア内の1点を初期値に設定しているが、このような構成に限るものではない。たとえば補正後のToF関連値から測距円を生成し、複数の測距円の交点から等距離にある点を仮位置に設定してもよく、複数の測距円の交点が集まっている領域の中心を仮位置に設定してもよい。
前述の第1実施形態では、ToF関連値として、ラウンドトリップ時間を用いているがこのような構成に限るものではない。ToF関連値として、たとえば周波数の組み合わせ毎の2周波位相差を採用してもよい。BLE通信においては、通信に供される周波数は2以上存在するため、周波数の組み合わせが異なる2以上の2周波位相差が得られる。この2周波位相差をもとにデバイス距離を推定する。
ToF関連値として多周波位相差を用いる構成において、測距用の通信とは2以上の周波数ごとの送受信位相差を特定するための通信と解することができる。複数の周波数でCW信号を送受信することが測距用の通信に該当しうる。
前述の第1実施形態では、受信強度とToF関連値を用いて、携帯デバイス103の位置を推定しているが、その他の位置推定方法を組み合わせても良い。たとえばスマートECU20は、携帯デバイス103からの信号の受信状況を示す情報として、信号の到来方向を取得しても良い。信号の到来方向の推定は、たとえばMUSIC法やESPRIT法などの多様な手法にて実施可能である。受信強度や、位相、到来方向などは受信信号の特徴と呼ぶことができる。
前述の第1実施形態において、スマートECU20によって実現されていた機能は、前述のものとは異なるハードウェアおよびソフトウェア、またはこれらの組み合わせによって実現してもよい。スマートECU20は、たとえば他の制御装置と通信し、他の制御装置が処理の一部または全部を実行してもよい。スマートECU20が電子回路によって実現される場合、それは多数の論理回路を含むデジタル回路、またはアナログ回路によって実現することができる。
スマートECU20は、或る機能をハードウェアとして実現する態様には、1つ又は複数のICなどを用いて実現する態様が含まれる。プロセッサ(演算コア)としては、CPUや、MPU、GPU、DFP(Data Flow Processor)などを採用可能である。また、プロセッサが備える機能の一部又は全部は、複数種類の演算処理装置を組み合わせて実現されていてもよい。プロセッサが備える機能の一部又は全部は、システムオンチップ(SoC:System-on-Chip)や、FPGA、ASICなどを用いて実現されていても良い。FPGAはField-Programmable Gate Arrayの略である。ASICはApplication Specific Integrated Circuitの略である。
制御装置によって実行される種々のコンピュータプログラムは、コンピュータにより実行されるインストラクションとして、コンピュータ読み取り可能な非遷移有形記録媒体(non- transitory tangible storage medium)に記憶されていてもよい。プログラムの保存媒体としては、HDD(Hard-disk Drive)やSSD(Solid State Drive)、フラッシュメモリ等を採用可能である。
前述の第1実施形態では、位置推定装置は車両101で用いられているが、車両101に搭載された状態に限定されるものではなく、少なくとも一部が車両101に搭載されていなくてもよい。
10…端末制御部 11…携帯用BLEモジュール
12…携帯用UWBモジュール 20…スマートECU(通信制御部,位置推定部)
21…プロセッサ 22…車載用BLEモジュール
23…車載用UWBモジュール 30…アンカ(通信機)
31…アンカ用UWBモジュール 32…アンカ用制御部
100…電子キーシステム 101…車両 102…車載システム
103…携帯デバイス
12…携帯用UWBモジュール 20…スマートECU(通信制御部,位置推定部)
21…プロセッサ 22…車載用BLEモジュール
23…車載用UWBモジュール 30…アンカ(通信機)
31…アンカ用UWBモジュール 32…アンカ用制御部
100…電子キーシステム 101…車両 102…車載システム
103…携帯デバイス
Claims (5)
- ユーザによって携帯される携帯デバイス(103)と無線通信することで車両(101)に対する前記携帯デバイスの位置を推定する位置推定システムであって、
前記携帯デバイスと無線通信可能に構成され、前記車両のそれぞれ異なる位置に設置されている複数の通信機(30)と、
複数の前記通信機の動作を制御する通信制御部(20)と、
前記携帯デバイスの存在する位置を推定する位置推定部(20)と、を含み、
前記通信制御部は、
複数の前記通信機のそれぞれにおける前記携帯デバイスからの信号の受信強度を取得することと、
複数の前記通信機のそれぞれから前記携帯デバイスまでの電波の飛行時間を直接的に又は間接的に示す、前記受信強度とは別のパラメータである飛行時間関連値を取得することと、を実行し、
前記位置推定部は、
取得した前記受信強度および前記飛行時間関連値を入力することによって補正後の前記飛行時間関連値を出力する補正関数を用いて、前記飛行時間関連値を補正し、
補正後の前記飛行時間関連値を用いて、前記携帯デバイスの位置を推定し、
前記補正関数は、複数の前記携帯デバイスの位置と、複数の前記携帯デバイスの位置における前記受信強度および前記飛行時間関連値と含む教師データを用いて決定された関数であって、教師データよりもデータ量が小さい位置推定システム。 - 前記位置推定部は、
補正後の前記飛行時間関連値を用いて設定した前記携帯デバイスの仮位置を非線形最小二乗法の初期値に設定し、
前記初期値から探索して、補正後の前記飛行時間関連値から定める距離が最小となる位置を前記携帯デバイスの位置と推定する請求項1に記載の位置推定システム。 - 前記位置推定部は、
取得した前記受信強度および前記飛行時間関連値を入力することによって、前記車両の内外に予め設定される複数のエリアのうちどのエリアに前記携帯デバイスが存在するかを出力する統計モデルを用いて、前記携帯デバイスが存在するエリアを特定し、
特定したエリア内の一点を非線形最小二乗法の初期値に設定し、
前記初期値から探索して、補正後の前記飛行時間関連値から定まる距離が最小となる位置を前記携帯デバイスの位置と推定する請求項1に記載の位置推定システム。 - 前記位置推定部は、
取得した前記受信強度および前記飛行時間関連値の少なくとも何れか一方を用いて前記携帯デバイスが車室内にあるか否かを判定し、
前記車室内にある場合には、取得した前記受信強度および前記飛行時間関連値を入力することによって、車室内の予め設定される複数のエリアのうちどのエリアに前記携帯デバイスが存在するかを出力する統計モデルを用いて、前記携帯デバイスが存在するエリアを特定し、
前記車室外にある場合には、取得した前記受信強度および前記飛行時間関連値を入力することによって、車室外の予め設定される複数のエリアのうちどのエリアに前記携帯デバイスが存在するかを出力する統計モデルを用いて、前記携帯デバイスが存在するエリアを特定し、
特定したエリア内の一点を非線形最小二乗法の初期値に設定し、
前記初期値から探索して、補正後の前記飛行時間関連値から定まる距離が最小となる位置を前記携帯デバイスの位置と推定する請求項1に記載の位置推定システム。 - ユーザによって携帯される携帯デバイスの位置を推定するために、少なくとも1つのプロセッサによって実行される位置推定方法であって、
前記携帯デバイスと無線通信可能に構成されており、車両のそれぞれ異なる位置に配置されている複数の通信機から、前記携帯デバイスからの信号の受信強度を取得することと、
複数の前記通信機のそれぞれから前記携帯デバイスまでの電波の飛行時間を直接的に又は間接的に示す、前記受信強度とは別のパラメータである飛行時間関連値を取得することと、
取得した前記受信強度および前記飛行時間関連値を入力することによって補正後の前記飛行時間関連値を出力する補正関数を用いて、前記飛行時間関連値を補正することと、
補正後の前記飛行時間関連値を用いて、前記携帯デバイスの位置を推定することと、を含み、
前記補正関数は、複数の前記携帯デバイスの位置と、複数の前記携帯デバイスの位置における前記受信強度および前記飛行時間関連値と含む教師データを用いて決定された関数であって、教師データよりもデータ量が小さい位置推定方法。
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