JP2023156711A - マグネシウム合金及びその製造方法 - Google Patents

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晋一 井上
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Abstract

【課題】発火温度を向上させたマグネシウム合金を提供する。【解決手段】本発明は、Ca及びREの少なくとも一方を式1~式3を満たすように含有し、Sr及びBaの少なくとも一方を式4~式6を満たすように含有し、Znを式7を満たすように含有し、Alを式8を満たすように含有し、Mnを式9を満たすように含有し、Zrを式10を満たすように含有し、Siを式11を満たすように含有し、残部がMg及び不可避的不純物からなるマグネシウム合金である。 (式1) 5原子%>Ca+RE>0.63原子% (式2) 5原子%>Ca≧0原子% (式3) 5原子%>RE≧0原子% (式4) 5原子%>Sr+Ba>0.23原子% (式5) 原子%>Sr≧0原子% (式6) 原子%>Ba≧0原子% (式7) 5原子%≧Zn≧0原子% (式8) 11原子%≧Al≧0原子% (式9) 1原子%≧Mn≧0原子% (式10) 1原子%≧Zr≧0原子% (式11)2原子%≧Si≧0原子%【選択図】なし

Description

特許法第30条第2項適用申請有り 令和3年10月12日に一般社団法人軽金属学会のウェブサイトhttps://www.jilm.or.jp/page-convention01141にて掲載。 令和3年11月13日に一般社団法人軽金属学会 第141回秋期大会 オンライン開催にて発表。
本発明は、マグネシウム合金及びその製造方法に関する。
マグネシウム合金は、高い比強度を有するために輸送機器軽量化のキーテクノロジーとして期待されている。しかしながら、マグネシウム合金は高温で簡単に発火してしまうことが知られている。安全に鋳造・溶解作業を行うことや、航空機などの輸送機器に使用する上での安全性向上のために難燃性を有したマグネシウム合金の開発が以前より進められて来た。これに関連する技術が特許文献1に開示されている。
しかしながら、航空機部材として適用するためには、アメリカ連邦航空局 (FAA) が策定したMg燃焼試験を通過する必要がある。このMg燃焼試験は最大1238Kのオイルバーナーで4分間加熱することによって行われる。LPSO型Mg-Zn-Y合金はこのMg燃焼試験を通過しているが発火温度が1100K程度しかなく、安全性を向上させるためには、発火温度を1238Kまで向上させることが望ましい。
また、マグネシウム合金の発火点を向上させる添加元素の組み合わせは明らかになっていなかった。
WO2014/171550号公報
本発明の一態様は、発火温度を向上させたマグネシウム合金またはその製造方法を提供することを課題とする。
以下に本発明の種々の態様について説明する。
[1]Ca及びRE(希土類元素)の少なくとも一方を下記の式1~式3を満たすように含有し、Sr及びBaの少なくとも一方を下記の式4~式6を満たすように含有し、Znを下記式7を満たすように含有し、Alを下記式8を満たすように含有し、Mnを下記式9を満たすように含有し、Zrを下記式10を満たすように含有し、Siを下記式11を満たすように含有し、残部がMg及び不可避的不純物からなることを特徴とするマグネシウム合金。
(式1)5原子%>Ca+RE>0.63原子%
(式2)5原子%>Ca≧0原子%
(式3)5原子%>RE≧0原子%
(式4)5原子%>Sr+Ba>0.23原子%
(式5)5原子%>Sr≧0原子%
(式6)5原子%>Ba≧0原子%
(式7)5原子%≧Zn≧0原子%
(式8)11原子%≧Al≧0原子%
(式9)1原子%≧Mn≧0原子%
(式10)1原子%≧Zr≧0原子%
(式11)2原子%≧Si≧0原子%
[2]上記[1]において、
前記マグネシウム合金は前記Znを含有し、前記REはY又はGdであることを特徴とするマグネシウム合金。
[3]上記[1]又は[2]において、
前記マグネシウム合金は、前記Al及び前記Mnを含有することを特徴とするマグネシウム合金。
[4]上記[3]において、
前記マグネシウム合金は、前記Caを含有することを特徴とするマグネシウム合金。
[5]上記[1]又は[2]において、
前記マグネシウム合金は、前記Al及び前記Caを含有することを特徴とするマグネシウム合金。
[6]上記[1]から[5]のいずれか一項において、
前記マグネシウム合金は、前記Mnを0.043原子%以下含有することを特徴とするマグネシウム合金。
[7]上記[1]から[5]のいずれか一項において、
前記マグネシウム合金は、前記Caを1.84原子%以下含有する場合は前記Srを下記式12を満たすように含有し、前記Caを1.84原子%超含有する場合は前記Srを下記の式13、式14又は式15のいずれかを満たすように含有することを特徴とするマグネシウム合金。
(式12)0.71原子%>Sr>0.28原子%
(式13)Sr≧0.1原子%
(式14)0.28≧Sr≧0.1原子%
(式15)Sr≧0.42原子%
[8]上記[1]から[7]のいずれか一項に記載のマグネシウム合金は、1238K以上の発火温度を有し、不燃性を有することを特徴とするマグネシウム合金。
[9]Ca及びRE(希土類元素)の少なくとも一方を下記の式1~式3を満たすように含有し、Sr及びBaの少なくとも一方を下記の式4~式6を満たすように含有し、Znを下記式7を満たすように含有し、Alを下記式8を満たすように含有し、Mnを下記式9を満たすように含有し、Zrを下記式10を満たすように含有し、Siを下記式11を満たすように含有し、残部がMg及び不可避的不純物からなるマグネシウム合金を溶解する工程(a)を有することを特徴とするマグネシウム合金の製造方法。
(式1)5原子%>Ca+RE>0.63原子%
(式2)5原子%>Ca≧0原子%
(式3)5原子%>RE≧0原子%
(式4)5原子%>Sr+Ba>0.23原子%
(式5)5原子%>Sr≧0原子%
(式6)5原子%>Ba≧0原子%
(式7)5原子%≧Zn≧0原子%
(式8)11原子%≧Al≧0原子%
(式9)1原子%≧Mn≧0原子%
(式10)1原子%≧Zr≧0原子%
(式11)2原子%≧Si≧0原子%
[10]上記[9]において、
前記工程(a)の後に、溶解した合金を1000K/秒未満の凝固速度により鋳造することで鋳造材を形成する工程(b)を有することを特徴とするマグネシウム合金の製造方法。
[11]上記[9]において、
前記工程(a)の後に、溶解した合金を1000K/秒以上1,000,000K/秒以下の凝固速度により急冷することで急冷材を形成する工程(b')を有することを特徴とするマグネシウム合金の製造方法。
[12]上記[10]において、
前記工程(b)の後の鋳造材の酸化皮膜は、膜厚が5μm未満であり、酸素遮断能を有することを特徴とするマグネシウム合金の製造方法。
[13]上記[10]又は[12]において、
前記工程(b)の後に、前記鋳造材に塑性加工を行う工程(c)を有することを特徴とするマグネシウム合金の製造方法。
[14]上記[10]又は[12]において、
前記工程(b)の後に、前記鋳造材を切削することでチップ材を形成する工程(d)と、
前記チップ材を固化成形することで固化成形材を形成する工程(e)と、
を有することを特徴とするマグネシウム合金の製造方法。
[15]上記[11]において、
前記工程(b')の後に、前記急冷材を固化成形することで固化成形材を形成する工程(f)を有することを特徴とするマグネシウム合金の製造方法。
[16]上記[9]から[15]のいずれか一項において、
前記工程(a)のマグネシウム合金は前記Znを含有し、前記REはY又はGdであることを特徴とするマグネシウム合金の製造方法。
[17]上記[9]から[16]のいずれか一項において、
前記マグネシウム合金は、前記Al及び前記Mnを含有することを特徴とするマグネシウム合金の製造方法。
[18]上記[17]において、
前記マグネシウム合金は、前記Caを含有することを特徴とするマグネシウム合金の製造方法。
[19]上記[9]から[16]のいずれか一項において、
前記マグネシウム合金は、前記Al及び前記Caを含有することを特徴とするマグネシウム合金の製造方法。
[20]上記[9]から[19]のいずれか一項に記載のマグネシウム合金は、1238K以上の発火温度を有し、不燃性を有することを特徴とするマグネシウム合金の製造方法。
本発明の種々の態様によれば、発火温度を向上させたマグネシウム合金またはその製造方法を提供することができる。
実施例1によるMg97-xZnSr(x=0,0.125,0.25,0.5,1.0,1.5 at.%)の発火温度を示す図である。 (a)は、比較例サンプルのMg97Zn合金の酸化皮膜断面のSEM像およびSEM-EDS分析の結果を示す図、(b)は、実施例サンプル1のMg96.75ZnSr0.25合金の酸化皮膜断面のSEM像およびSEM-EDS分析の結果を示す図、(c)は、Mg95.5ZnSr1.5合金の酸化皮膜断面のSEM像およびSEM-EDS分析の結果を示す図である。 比較例のサンプル1によるMg100-xSr合金及び比較例のサンプル2によるMg100-xBa合金の発火温度を示す図である。
以下では、本発明の実施の形態について図面を用いて詳細に説明する。ただし、本発明は以下の説明に限定されず、本発明の趣旨及びその範囲から逸脱することなくその形態及び詳細を様々に変更し得ることは、当業者であれば容易に理解される。従って、本発明は以下に示す実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。
(第1の実施形態)
<マグネシウム合金の組成>
本発明の一態様に係るマグネシウム合金は、Ca及びRE(希土類元素)の少なくとも一方を下記の式1~式3を満たすように含有し、Sr及びBaの少なくとも一方を下記の式4~式6を満たすように含有し、Znを下記式7を満たすように含有し、Alを下記式8を満たすように含有し、Mnを下記式9を満たすように含有し、Zrを下記式10を満たすように含有し、Siを下記式11を満たすように含有し、残部がMg及び不可避的不純物からなる合金である。
(式1)5原子%>Ca+RE>0.63原子%(好ましくは、5原子%>Ca+RE>0.65原子%)
(式2)5原子%>Ca≧0原子%
(式3)5原子%>RE≧0原子%
(式4)5原子%>Sr+Ba>0.23原子%(好ましくは、5原子%>Sr+Ba>0.25原子%)
(式5)5原子%>Sr≧0原子%
(式6)5原子%>Ba≧0原子%
(式7)5原子%≧Zn≧0原子%
(式8)11原子%≧Al≧0原子%
(式9)1原子%≧Mn≧0原子%
(式10)1原子%≧Zr≧0原子%
(式11)2原子%≧Si≧0原子%
なお、希土類元素は、Sc、Y、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Luである。
上記の式1から式3よりCa及びREの少なくとも一方は必須の元素であり、上記の式4から式5よりSr及びBaの少なくとも一方は必須の元素であり、上記の式7から式11よりZn、Al、Mn、Zr及びSiは必須の元素ではなく選択元素である。
上記のようにCa及びREの少なくとも一方を必須の元素とするとともに、Sr及びBaの少なくとも一方を必須の元素とする理由は以下のとおりである。
Sr及びBaはノンリアクティブな元素でMg合金に単独添加しても発火温度を向上させるのに寄与しないが、リアクティブで発火温度の向上に効果のあるCa及びREと複合添加することで発火温度を向上させることが可能となる。
上記のマグネシウム合金の組成範囲は、鋳造材、鋳造熱処理材、鋳造塑性加工材(例えば押出材及び熱処理後押出材)、急冷材及び3D積層造形材等のいずれかで発火温度の向上を図ることができる範囲である。なお、鋳造材、鋳造熱処理材、鋳造塑性加工材、急冷材及び3D積層造形材それぞれの詳細については第2の実施形態で説明する。
なお、本明細書において「鋳造材」は、凝固速度1,000 K/s未満で鋳造した鋳造材であり、金型鋳造、砂型鋳造、半連続鋳造などの鋳造法、ダイカスト、射出成形、双ロール鋳造によって作製された鋳造材を含む。
また、本明細書において「鋳造塑性加工材」は、凝固速度1,000 K/s未満で鋳造した鋳造材を押出・圧延・引抜・線引・鍛造・巨大ひずみ加工・チッピング材の固化成形により作製した合金材である。
また、本明細書において「急冷材」は、凝固速度が1,000~1,000,000 K/sで作製した粉末やリボンやワイヤーならびにそれらの固化成形材であり、固化成形は、押出・圧延・鍛造・ホットプレスなどで行う。
また、本明細書において「3D積層造形材」は、マグネシウム合金の粉末、リボン、ワイヤー、棒状の鋳造塑性加工材や急冷材を電子ビームやレーザービームを用いて3D積層造形した材料である。
また、本実施形態によるマグネシウム合金には、Znを5原子%以下含有し(上記式7参照)、REがY又はGdである合金を含むとよい。具体的には、Mg-Zn-(Ca,Y,Gd)-(Sr,Ba)合金である。
上記のZnを5原子%以下含有させる理由は、長周期積層構造相の析出や固溶強化によって機械的性質を向上のためである。
また、本実施形態によるマグネシウム合金には、Al及びMnを含有する合金を含むとよい(上記式8及び式9参照)。具体的には、Mg-Al-(Ca,Y,Gd)-Mn-(Sr,Ba)合金、Mg-Zn-(Ca,Y,Gd)-Al-Mn-(Sr,Ba)合金である。
上記のAlを11原子%以下含有させる理由は、C36型化合物の析出による機械的性質とAl添加による耐食性の向上のためである。なお、C36型化合物は(Mg,Al)Caである。
上記のMnを1原子%以下含有させる理由は、耐食性向上のためである。
また、本実施形態によるマグネシウム合金には、必須元素としてCaを含有する合金を含むとよい(上記式2参照)。具体的には、Mg-Al-Ca-(Y,Gd)-Mn-(Sr,Ba)合金、Mg-Zn-Ca-(Y,Gd)-Al-Mn-(Sr,Ba)合金である。
また、本実施形態によるマグネシウム合金には、必須元素としてAl及びCaを含有する合金を含むとよい(上記式2及び式8参照)。具体的には、Mg-Al-Ca-(Y,Gd)-Mn-(Sr,Ba)合金、Mg-Zn-Ca-(Y,Gd)-Al-Mn-(Sr,Ba)合金である。
また、本実施形態によるマグネシウム合金には、Mnを0.043原子%以下含有する合金を含むことが好ましい。具体的には、Mg-(Ca,RE)-Mn-(Sr,Ba)合金、Mg-Zn-(Ca,Y,Gd)-Mn-(Sr,Ba)合金、その他の上記のMnを含有する合金である。
上記のMnを0.043原子%以下含有させる理由は、延性低下を防止するためである。
また、本実施形態によるマグネシウム合金には、上述したマグネシウム合金に、Caを1.84原子%以下含有する場合はSrを下記式12を満たすように含有することが好ましく、Caを1.84原子%超含有する場合はSrを下記の式13、式14又は式15のいずれかを満たすように含有することが好ましい。
(式12)0.71原子%>Sr>0.28原子%
(式13)Sr≧0.1原子%(好ましくは、Sr≧0.2原子%)
(式14)0.28≧Sr≧0.1原子%(好ましくは、0.28≧Sr≧0.2原子%)
(式15)Sr≧0.42原子%
上記のCaを1.84原子%以下含有する場合はSrを上記式12を満たすように含有させる理由は、Ca添加量が少量であるため、発火温度向上のために多めのSr添加が必要なためである。
また、上記のCaを1.84原子%超含有する場合はSrを下記の式13、式14又は式15のいずれかを満たすように含有させる理由は、多量のCaを添加するため、少量のSr添加で十分な発火温度向上が得られるためである。
本実施形態によれば、リアクティブで発火温度の向上に効果のあるCa及びREに、ノンリアクティブで単独添加では発火温度を向上させないSr及びBaを複合添加することで発火温度を向上させることができる。そして、1238K以上の発火温度を有し、不燃性を有するマグネシウム合金を実現することが可能となる。
(第2の実施形態)
<鋳造法>
第1の実施形態による組成範囲のマグネシウム合金を、空気中(大気中)又は防燃ガス雰囲気中で所定の温度で溶解し、その後、1000K/秒未満の凝固速度により鋳造する。
上記の鋳造後のマグネシウム合金のインゴットを所定の形状に切り出す。これにより、鋳造材を作製する。この鋳造材の酸化皮膜は、膜厚が5μm未満(好ましくは4μm以下、より好ましくは3μm以下)であり、緻密で酸素遮断能を有する。
次に、上記の鋳造材に200℃以上510℃以下(好ましくは300℃以上450℃以下)の温度で0時間以上200時間以下(好ましくは0.5時間以上24時間以下)の熱処理を行うことで、鋳造熱処理材を形成する。
次に、上記の鋳造熱処理材に塑性加工を行う。この塑性加工には、押出加工、圧延加工、鍛造加工、引抜加工、線引加工及び巨大ひずみ加工が含まれる。巨大ひずみ加工には、ECAE(equal-channel-angular-extrusion)加工が含まれる。押出加工条件は、例えば、押出し温度が250℃以上500℃以下、押出しによる断面減少率が5%以上である。
なお、本実施形態では、鋳造熱処理材に塑性加工を行っているが、上記の鋳造材に塑性加工を行ってもよい。
<鋳造チップ固化>
上記の鋳造法と同様の方法で、鋳造材を作製する。次に、この鋳造材を機械で切削することにより例えば1~ 2mmの大きさにチップ化したチップ材を形成する。次に、このチップ材を加圧成形により室温で固化成形することで固化成形材を形成する。
なお、固化成形材に塑性加工を行ってもよい。
また、チップ材を形成する前に、鋳造材に上記の鋳造法と同様の熱処理を行ってもよい。また、固化成形材を形成する前に、チップ材に上記の鋳造法と同様の熱処理を行ってもよい。
<射出成形法>
第1の実施形態による組成範囲のマグネシウム合金を、空気中(大気中)又は防燃ガス雰囲気中で所定の温度で加熱溶融させ、その溶融したマグネシウム合金の溶湯を金型内に射出注入し、冷却・固化させる事によって射出成形材を作製する。冷却時の速度は、1000K/秒以下であるとよい。
次に、上記の射出成形材に上記の鋳造法と同様の熱処理を行うことで、射出成形熱処理材を形成する。
<ダイカスト法>
第1の実施形態による組成範囲のマグネシウム合金を、空気中(大気中)又は防燃ガス雰囲気中で所定の温度で加熱溶融させ、その溶融したマグネシウム合金の溶湯を金型に圧入することでダイカスト材を作製する。この際の冷却速度は、1000K/秒未満であるとよい。なお、ダイカスト法は、高い寸法精度の鋳物を短時間に大量生産する鋳造方式である。
次に、上記のダイカスト材に上記の鋳造法と同様の熱処理を行うことで、ダイカスト熱処理材を形成する。
<急冷法>
第1の実施形態による組成範囲のマグネシウム合金を、空気中(大気中)又は防燃ガス雰囲気中で所定の温度で溶解し、そのマグネシウム合金の溶湯を1,000~1,000,000 K/sの凝固速度で急冷凝固させて急冷材(粉末やリボンやワイヤー)を作製する。急冷材は、例えばRS-P/M法で作製された粉末(またはRS-P/M法で作製された薄片、薄帯または細線、溶湯抽出法で作製された細線)であってもよい。
次に、上記の急冷材に上記の鋳造法と同様の熱処理を行うことで、急冷熱処理材を形成する。
次に、上記の急冷熱処理材を押出・圧延・鍛造・ホットプレスなどで固化成形することにより固化成形材を形成する。
なお、本実施形態では、急冷熱処理材を固化成形しているが、熱処理前の急冷材を固化成形することで固化成形材を形成してもよい。
また、固化成形材に塑性加工を行ってもよい。
図1は、実施例1によるMg97-xZnSr(x=0,0.125,0.25,0.5,1.0,1.5 at.%)の発火温度を示す図である。
図2(a)は、比較例サンプルのMg97Zn合金の酸化皮膜断面のSEM像およびSEM-EDS分析の結果を示す図であり、図2(b)は、実施例サンプル1のMg96.75ZnSr0.25合金の酸化皮膜断面のSEM像およびSEM-EDS分析の結果を示す図であり、図2(c)は、Mg95.5ZnSr1.5合金の酸化皮膜断面のSEM像およびSEM-EDS分析の結果を示す図である。
<実験方法>
本実施例で用いたMg97-xZnSr合金(x=0,0.125,0.25,0.5,1.0,1.5 at.%)のインゴット、比較例のサンプル1で用いたMg100-xSr合金のインゴット及び比較例のサンプル2で用いたMg100-xBa合金のインゴットは、Arガス雰囲気中で重力鋳造によって作製した。作製したインゴットを、直径3.8mm、厚さ0.4mmに加工し、発火試験試料を作製した。加えて、酸化皮膜の観察のために、発火試験試料を、マッフル炉を用いて大気中で973K×10minの熱処理を行い、酸化皮膜を形成させた後に空冷した。発火温度は、発火試験を行い、昇温速度50K/minの条件で測定した。組織観察はSEM、SEM-EDSを用いて行った。
<実験結果および考察>
図1にそれぞれの試料の発火温度を示す。Srの添加量の増加に伴い発火温度は上昇し、0.25at.%以上のSrを添加した合金は、1238K以上の発火温度を示し、不燃性を示した。また、0.125at.%のSrを添加した合金の発火温度は、試料ごとに大きなバラツキがあったため、このSr添加量がMg97Zn合金の発火温度を向上させる閾値であると考えられる。
一方で、0.5at.%以上のSrを添加した合金は1300K以上の発火温度を示すとともに、Sr添加量の増加に伴う発火温度の上昇が緩やかになることがわかった。
図2(a)に示すように、比較例サンプルのMg97Zn合金では厚い酸化皮膜を形成しており、酸化皮膜にクラックが生じていた。図2に示すそれぞれの試料の酸化皮膜の厚さは、比較例サンプルのMg97Zn合金が約5μm、実施例サンプル1のMg96.75ZnSr0.25合金が約1.3μm、Mg95.5ZnSr1.5合金は約0.5μmで、Sr添加量の増加に伴い、酸化皮膜が薄くなった。
SEM-EDSの結果から、全ての合金の酸化皮膜にはYが濃化しており、酸化皮膜は主にYの酸化物から成ると考えられる。
Srは酸化皮膜に濃化していた。またSrの添加量の増加に伴い、Yの内部酸化物も減少していた。これは図2(a)の比較例サンプルのMg97Zn合金では不均一で厚い酸素遮断能の低い酸化皮膜を形成していたものが、Srの添加によって、均一で薄い酸素遮断能の高い緻密な酸化皮膜を形成するようになったためであると考えられる。
以上のようにSrを添加すると、緻密で酸素遮断能の高いY酸化皮膜を形成するようになるために、内部酸化が抑制されて、高温であっても皮膜の健全性が保たれるため、発火温度が向上したと考えられる。
別言すれば、リアクティブで発火温度の向上に効果のあるYに、ノンリアクティブで単独添加では発火温度を向上させないSrを複合添加することで発火温度を向上させることができ、その結果、1238K以上の発火温度を実現し、不燃性を達成することができた。
比較例
図3は、比較例のサンプル1によるMg100-xSr合金及び比較例のサンプル2によるMg100-xBa合金の発火温度を示す図である。
図3に示すように、MgにSrを2原子%添加しても、純Mgに対して100℃程度しか発火温度は上がらない。これは、上述したようにSrがノンリアクティブな元素で単独添加では発火温度を向上させないことを示している。これに対し、実施例1で説明したようにリアクティブで発火温度の向上に効果のあるYにSrを複合添加することで大幅に発火温度を向上させることができる。
また、図3に示すように、MgにBaを添加しても発火温度はほとんど変わらない。これもBaがノンリアクティブな元素で単独添加では発火温度を向上させないことを示している。これに対し、リアクティブで発火温度の向上に効果のある前述した元素にBaを複合添加することでも発火温度を向上させることができることが期待される。

Claims (20)

  1. Ca及びRE(希土類元素)の少なくとも一方を下記の式1~式3を満たすように含有し、Sr及びBaの少なくとも一方を下記の式4~式6を満たすように含有し、Znを下記式7を満たすように含有し、Alを下記式8を満たすように含有し、Mnを下記式9を満たすように含有し、Zrを下記式10を満たすように含有し、Siを下記式11を満たすように含有し、残部がMg及び不可避的不純物からなることを特徴とするマグネシウム合金。
    (式1)5原子%>Ca+RE>0.63原子%
    (式2)5原子%>Ca≧0原子%
    (式3)5原子%>RE≧0原子%
    (式4)5原子%>Sr+Ba>0.23原子%
    (式5)5原子%>Sr≧0原子%
    (式6)5原子%>Ba≧0原子%
    (式7)5原子%≧Zn≧0原子%
    (式8)11原子%≧Al≧0原子%
    (式9)1原子%≧Mn≧0原子%
    (式10)1原子%≧Zr≧0原子%
    (式11)2原子%≧Si≧0原子%
  2. 請求項1において、
    前記マグネシウム合金は前記Znを含有し、前記REはY又はGdであることを特徴とするマグネシウム合金。
  3. 請求項1又は2において、
    前記マグネシウム合金は、前記Al及び前記Mnを含有することを特徴とするマグネシウム合金。
  4. 請求項3において、
    前記マグネシウム合金は、前記Caを含有することを特徴とするマグネシウム合金。
  5. 請求項1又は2において、
    前記マグネシウム合金は、前記Al及び前記Caを含有することを特徴とするマグネシウム合金。
  6. 請求項1又は2において、
    前記マグネシウム合金は、前記Mnを0.043原子%以下含有することを特徴とするマグネシウム合金。
  7. 請求項1又は2において、
    前記マグネシウム合金は、前記Caを1.84原子%以下含有する場合は前記Srを下記式12を満たすように含有し、前記Caを1.84原子%超含有する場合は前記Srを下記の式13、式14又は式15のいずれかを満たすように含有することを特徴とするマグネシウム合金。
    (式12)0.71原子%>Sr>0.28原子%
    (式13)Sr≧0.1原子%
    (式14)0.28≧Sr≧0.1原子%
    (式15)Sr≧0.42原子%
  8. 請求項1又は2に記載のマグネシウム合金は、1238K以上の発火温度を有し、不燃性を有することを特徴とするマグネシウム合金。
  9. Ca及びRE(希土類元素)の少なくとも一方を下記の式1~式3を満たすように含有し、Sr及びBaの少なくとも一方を下記の式4~式6を満たすように含有し、Znを下記式7を満たすように含有し、Alを下記式8を満たすように含有し、Mnを下記式9を満たすように含有し、Zrを下記式10を満たすように含有し、Siを下記式11を満たすように含有し、残部がMg及び不可避的不純物からなるマグネシウム合金を溶解する工程(a)を有することを特徴とするマグネシウム合金の製造方法。
    (式1)5原子%>Ca+RE>0.63原子%
    (式2)5原子%>Ca≧0原子%
    (式3)5原子%>RE≧0原子%
    (式4)5原子%>Sr+Ba>0.23原子%
    (式5)5原子%>Sr≧0原子%
    (式6)5原子%>Ba≧0原子%
    (式7)5原子%≧Zn≧0原子%
    (式8)11原子%≧Al≧0原子%
    (式9)1原子%≧Mn≧0原子%
    (式10)1原子%≧Zr≧0原子%
    (式11)2原子%≧Si≧0原子%
  10. 請求項9において、
    前記工程(a)の後に、溶解した合金を1000K/秒未満の凝固速度により鋳造することで鋳造材を形成する工程(b)を有することを特徴とするマグネシウム合金の製造方法。
  11. 請求項9において、
    前記工程(a)の後に、溶解した合金を1000K/秒以上1,000,000K/秒以下の凝固速度により急冷することで急冷材を形成する工程(b')を有することを特徴とするマグネシウム合金の製造方法。
  12. 請求項10において、
    前記工程(b)の後の鋳造材の酸化皮膜は、膜厚が5μm未満であり、酸素遮断能を有することを特徴とするマグネシウム合金の製造方法。
  13. 請求項10又は12において、
    前記工程(b)の後に、前記鋳造材に塑性加工を行う工程(c)を有することを特徴とするマグネシウム合金の製造方法。
  14. 請求項10又は12において、
    前記工程(b)の後に、前記鋳造材を切削することでチップ材を形成する工程(d)と、
    前記チップ材を固化成形することで固化成形材を形成する工程(e)と、
    を有することを特徴とするマグネシウム合金の製造方法。
  15. 請求項11において、
    前記工程(b')の後に、前記急冷材を固化成形することで固化成形材を形成する工程(f)を有することを特徴とするマグネシウム合金の製造方法。
  16. 請求項9から12及び15のいずれか一項において、
    前記工程(a)のマグネシウム合金は前記Znを含有し、前記REはY又はGdであることを特徴とするマグネシウム合金の製造方法。
  17. 請求項9から12及び15のいずれか一項において、
    前記マグネシウム合金は、前記Al及び前記Mnを含有することを特徴とするマグネシウム合金の製造方法。
  18. 請求項17において、
    前記マグネシウム合金は、前記Caを含有することを特徴とするマグネシウム合金の製造方法。
  19. 請求項9から12及び15のいずれか一項において、
    前記マグネシウム合金は、前記Al及び前記Caを含有することを特徴とするマグネシウム合金の製造方法。
  20. 請求項9から12及び15のいずれか一項に記載のマグネシウム合金は、1238K以上の発火温度を有し、不燃性を有することを特徴とするマグネシウム合金の製造方法。
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