JP2023152679A - 金属製屋根部材及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】施工、点検、補修作業における作業者の転倒、転落の危険性を低減し、安全性が向上する金属製屋根部材及びその製造方法を提供する。【解決手段】本発明に係る金属製屋根部材1は、山と谷が連続する波形状を有し、前記山の稜線と前記谷の谷線の方向が設置状態で屋根の傾斜方向に平行になるように設置されるものであって、設置状態で傾斜方向上側が高く下側が低くなる段差部3を有し、上側の段差部3と下側の段差部3の間の面部5が、下向きに凸となる反り形状であることを特徴とするものである。【選択図】 図1

Description

本発明は、金属製屋根部材に関し、特に、瓦屋根に類似する外観とするための段差部が設けられた金属製屋根部材及びその製造方法に関する。
建物の屋根にはメッキ鋼板に波形状の加工を施した波板めっき鋼板が安価で軽量な素材として広く用いられている。
従来、波板めっき鋼板は約30mmピッチの波を有し、その用途は主に倉庫や工場、店舗などの建物で外観の意匠デザインを重要視しないものがほとんどであった。しかし最近ではメッキや塗装樹脂の改善により耐候性が格段に向上し、それに伴って100mm以上のピッチの波を有する波板めっき鋼板の用途が拡大しつつある。
また、単純な波形状だけでなく、波形状に交差する段差部を付与したことで瓦屋根のような外観を呈する金属製屋根部材21(図11参照)も開発されている。図11に示したものは、山と谷が連続する断面波形状の波板に段差部を設けたものであって、山の稜線と谷の谷線方向が屋根傾斜方向に平行になるように設置されるものである。
図11のように金属板を加工して瓦屋根のような外観にしたものは、「金属製長尺成形瓦」とも呼ばれ、上記耐候性の向上と相俟って、高級感のある意匠デザインが求められる一般住宅用途の屋根部材としても広く用いられている。
上記のような段差部を有する金属製屋根部材(金属製長尺成形瓦)の例が、例えば、特許文献1、特許文献2に開示されている。
特許文献1の第1図には、「金属板1の幅方向に山部2を一定間隔に5本平行に形成し、・・・(中略)・・・これらを金属板1の長手方向で多数段に例えば6段に金属板の断面形状に沿った平面形状の屈曲4により段差を付した」([従来の技術]参照)「金属製波形長尺瓦」が示されている。
また、特許文献2の図7には、「屋根の斜面方向に単位形状(山)が5個連なった」([0052]参照)「金属成形瓦」が示されている。
特開平2-104853号公報 特開平11-62116号公報
上述したように、金属製の波板に段差部を付与した金属製屋根部材は、瓦屋根のような外観の意匠デザインであることから一般住宅の屋根にも適用され、広く用途が拡大した。
しかし、図11に例示したような従来の金属製屋根部材21は、施工、点検、補修等において、作業者が金属製屋根部材21の上を歩行して作業する際の足掛かりとなる部分がないため、足元が不安定となって作業性が悪いという問題があった。特に、一般住宅のデザインは倉庫や工場、店舗用途の建物に比べて多様であるため、金属製屋根部材21が急勾配に設置される場合もあり、その場合、作業者が屋根の傾斜方向に足を滑らせやすく、転倒や転落の危険性が高くなる。
また、図11の従来の金属製屋根部材21は、瓦屋根に似た外観ではあるが、実際の瓦屋根に比較すると単調な形状であり、金属製でありながらもさらなる意匠性に優れた金属製屋根部材が望まれていた。
本発明は、かかる課題を解決するためになされたものであり、施工、点検、補修作業における作業者の転倒、転落の危険性を低減し、安全性が向上する金属製屋根部材及びその製造方法を提供することを目的とする。
(1)本発明に係る金属製屋根部材は、山と谷が連続する波形状を有し、前記山の稜線と前記谷の谷線の方向が設置状態で屋根の傾斜方向に平行になるように設置されるものであって、設置状態で傾斜方向上側が高く下側が低くなる段差部を有し、上側の段差部と下側の段差部の間の面部が、下向きに凸となる反り形状であることを特徴とするものである。
(2)また、上記(1)に記載の金属製屋根部材において、4寸~6寸勾配で設置したときに、前記面部の下側の部分における水平方向に対する傾斜角度が20度以下であることを特徴とするものである。
(3)また、上記(2)に記載の金属製屋根部材において、前記段差部の高さHが10~25(mm)、前記山の稜線方向における前記面部の端部間距離Dが200~500(mm)、前記反り形状の反りの深さAが5~25(mm)であることを特徴とするものである。
(4)また、本発明に係る金属製屋根部材の製造方法は、上記(1)又は(2)に記載の金属製屋根部材を製造する方法であって、金属板に波形状を形成して波板を成形する波板成形工程と、該波板成形工程によって成形された波板に、前記反り形状と前記段差部を形成する加工工程とを備え、該加工工程は、前記段差部の上段側の面部となる部位に配置されて、上段側上金型及び上段側下金型からなる上段側金型と、前記段差部の下段側の面部となる部位に配置されて、下向きに凸となる反り形状成形面部を有する下段側上金型及び下段側下金型からなる下段側金型とを用いて、前記波板における段差部の上段側の面部となる部位を、前記上段側金型によって波板の波形状に沿ってクランプした状態で、前記波板における段差部の下段側の面部となる部位を前記下段側金型によって挟圧して前記反り形状を形成し、さらに、前記上段側金型に対して前記下段側金型を鉛直下方向に相対移動させることで、前記段差部を形成することを特徴とするものである。
(5)また、本発明に係る金属製屋根部材の製造方法は、上記(1)乃至(3)のいずれかに記載の金属製屋根部材を製造する方法であって、金属板に波形状を形成して波板を成形する波板成形工程と、該波板成形工程によって成形された波板の前記面部となる部位に、目標とする反り形状よりも反り深さが浅い浅反り形状を形成し、該浅反り形状が形成された面部に連続する前記段差部を形成し、前記浅反り形状の形成と前記段差部の形成を繰り返して中間成形品を成形する第1成形工程と、該第1成形工程で成形した前記中間成形品の浅反り形状を、目標とする反り深さの反り形状に成形する第2成形工程とを備え、前記第1成形工程は、前記波板の前記面部となる部位を波板の波形状に沿ってクランプする第1金型と、該第1金型に隣接配置されて前記波板の前記面部となる部位を挟圧して前記浅反り形状を形成する第2金型とを用いて、前記第1金型で前記波板における前記段差部の上段側の面部となる部位をクランプした状態で、前記第2金型で前記段差部の下段側の面部となる部位に前記浅反り形状を形成し、さらに、前記第1金型に対して前記第2金型を鉛直下方向に相対移動させることで、前記段差部を形成し、前記第2成形工程は、前記中間成形品の前記浅反り形状が形成された面部を該浅反り形状に沿ってクランプする第3金型と、該第3金型に隣接配置されて前記中間成形品の前記浅反り形状が形成された面部を挟圧して目標とする反り形状に成形する第4金型とを用いて、前記第3金型で前記中間成形品における前記段差部の上段側の面部をクランプした状態で、前記第4金型で前記段差部の下段側の面部を目標とする反り形状にすることを特徴とするものである。
(6)また、本発明に係る金属製屋根部材の製造方法は、上記(1)乃至(3)のいずれかに記載の金属製屋根部材を製造する方法であって、金属板に波形状を形成して波板を成形する波板成形工程と、該波板成形工程によって成形された波板に、前記反り形状と前記段差部を形成する加工工程とを備え、該加工工程は、前記波板の前記面部となる部位を波板の波形状に沿ってクランプする第5金型と、該第5金型に隣接配置されて前記波板の前記面部となる部位を挟圧して目標とする反り形状よりも反り深さが浅い浅反り形状を形成する第6金型と、該第6金型と置換可能で前記浅反り形状が形成された面部を挟圧して目標とする反り深さの反り形状にする第7金型を用いて、前記第5金型で前記波板における上段側の面部となる部位をクランプした状態で、前記第6金型で下段側の面部となる部位に前記浅反り形状を形成し、さらに、前記第5金型に対して前記第6金型を鉛直下方向に相対移動させることで前記段差部を形成し、前記第6金型を前記第7金型に置き換え、前記第7金型で前記浅反り形状が形成された下段側の面部を目標とする反り形状に形成し、前記段差部の形成及び目標とする反り形状の形成を順次行うことを特徴とするものである。
(7)また、本発明に係る金属製屋根部材の製造方法は、上記(1)乃至(3)のいずれかに記載の金属製屋根部材を製造する方法であって、金属板に波形状を形成して波板を成形する波板成形工程と、該波板成形工程によって成形された波板に、前記反り形状と前記段差部を形成する加工工程とを備え、該加工工程は、前記波板の前記面部となる部位を波板の波形状に沿ってクランプする第8金型と、該第8金型に隣接配置されて前記波板の前記面部となる部位を挟圧して目標とする反り形状よりも反り深さが浅い浅反り形状を形成する第9金型を用いて、1段目の面部となる部位に前記浅反り形状を形成すると共に該浅反り形状の上段側に連続する段差部を形成する初期加工工程と、前記第8金型、前記第9金型、及び該第9金型に隣接配置されて前記浅反り形状が形成された面部を挟圧して目標とする反り深さの反り形状にする第10金型を用いて、前記浅反り形状を目標の反り形状にすると共に、該目標の反り形状の上段側の面部となる部位に前記浅反り形状を形成し、かつ、該浅反り形状の上段側に連続する段差部を形成する本加工工程を備え、前記初期加工工程は、前記第8金型で前記波板における2段目の面部となる部位をクランプした状態で、前記第9金型で1段目の面部となる部位に前記浅反り形状を形成し、さらに、前記第8金型に対して前記第9金型を鉛直下方向に相対移動させることで前記段差部を形成し、前記本加工工程は、前記第8金型で前記浅反り形状が形成された面部の2段上の面部となる部位をクランプした状態で、前記第9金型で前記浅反り形状が形成された面部の1段上の面部となる部位に浅反り形状を形成し、さらに、前記第8金型に対して前記第9金型を鉛直下方向に相対移動させることで段差部を形成し、さらに、前記第10金型で前記第9金型が挟圧している面部の下段側の面部の浅反り形状を目標とする反り形状に形成し、該本加工工程を繰り返して、段差部の形成及び目標とする反り形状の形成を順次行うことを特徴とするものである。
(8)また、本発明に係る金属製屋根部材の製造方法は、上記(1)乃至(3)のいずれかに記載の金属製屋根部材を製造する方法であって、金属板に波形状を形成して波板を成形する波板成形工程と、該波板成形工程によって成形された波板に、前記反り形状と前記段差部を形成する加工工程とを備え、該加工工程は、前記波板の前記面部となる部位を波板の波形状に沿ってクランプする第11金型と、該第11金型に隣接配置され、前記波板の前記面部となる部位を挟圧して目標とする反り形状よりも反り深さが浅い浅反り形状を成形する浅反り形状成形面部、及び、前記浅反り形状が形成された部位を挟圧して目標とする反り深さの反り形状にする目標反り形状成形面部を有する第12金型を用いて、1段目の面部となる部位に前記浅反り形状を形成すると共に該浅反り形状の上段側に連続する段差部を形成する初期加工工程と、前記浅反り形状を目標の反り形状にすると共に該目標の反り形状の上段側の面部となる部位に前記浅反り形状を形成し、かつ、該浅反り形状の上段側に連続する段差部を形成する本加工工程を備え、前記初期加工工程は、前記第11金型で前記波板における2段目の面部となる部位をクランプした状態で、前記第12金型の浅反り形状成形面部で1段目の面部となる部位に前記浅反り形状を形成し、さらに、前記第11金型に対して前記第12金型を鉛直下方向に相対移動させることで、前記段差部を形成し、前記本加工工程は、前記第11金型で前記波板における前記浅反り形状が形成された面部の2段上の面部となる部位をクランプした状態で、前記第12金型の目標反り形状成形面部で前記浅反り形状が形成された面部を目標とする反り形状に形成すると共に、前記第12金型の浅反り形状成形面部で目標とする反り形状の上段側の面部となる部位に浅反り形状を形成し、さらに、前記第11金型に対して前記第12金型を鉛直下方向に相対移動させることで段差部を形成し、該本加工工程を繰り返して、段差部の形成及び目標とする反り形状の形成を順次行うことを特徴とするものである。
本発明の金属製屋根部材においては、上側の段差部と下側の段差部の間の面部が、下向きに凸となる反り形状になっていることで、当該部分が、施工、点検、補修作業の際の作業者の足掛かりとなり、転倒、転落の危険性を低減し、安全性が向上する。
また、従来の単調な形状と比べて新たなデザイン性を有するので、意匠性と実用性を兼ね備えたものとなっている。
本発明の実施の形態1にかかる金属製屋根部材を説明する説明図である。 図2(a)は図1のA-A断面図、図2(b)は図1のB-B断面図である。 屋根の傾斜角度及び勾配の例を模式的に示す図である。 従来の金属製屋根部材の製造過程を示す図である。 従来の金属製屋根部材の製造過程において割れが生じやすい部位を説明する説明図であり、図11の一部を上面視した図である。 図5のa部、b部における材料流れを説明する説明図であり、図6(a)は上凸張り出し形状の部分(a部)の部分拡大図、図6(b)は下凸張り出し形状の部分(b部)の部分拡大図である。 図1の金属製屋根部材の製造方法の一例を説明する説明図である。 図8(a)は従来の金属製屋根部材の製造過程における段差部の断面形状、図8(b)は実施の形態の金属製屋根部材の製造過程における段差部の断面形状を示す図である。 実施例1にかかる従来例を説明する説明図である。 実施例1にかかる発明例を説明する説明図である。 従来の金属製屋根部材の例を示す斜視図である。 本発明の実施の形態1にかかる製造方法において金属製屋根部材のしわ発生が顕著化する場合の説明図である。 本発明の実施の形態2にかかる金属製屋根部材の製造方法を説明する説明図である。 実施の形態2の他の態様にかかる金属製屋根部材の製造方法を説明する説明図である(その1)。 実施の形態2の他の態様にかかる金属製屋根部材の製造方法を説明する説明図である(その2)。 本発明の実施の形態3にかかる金属製屋根部材の製造方法の初期加工工程を説明する説明図である。 本発明の実施の形態3にかかる金属製屋根部材の製造方法の本加工工程を説明する説明図である。 本発明の実施の形態4にかかる金属製屋根部材の製造方法の初期加工工程を説明する説明図である。 本発明の実施の形態4にかかる金属製屋根部材の製造方法の本加工工程を説明する説明図である。 実施例3にかかる浅反り形状及び目標とする反り形状の反り深さを示す図である。 実施例3にかかる比較例及び発明例のしわ発生状態を示す図である。
[実施の形態1]
本発明の実施の形態1に係る金属製屋根部材1を図1、図2に示す。図1は、金属製屋根部材1の斜視図、図2(a)は図1のA-A断面図、図2(b)は図1のB-B断面図である。
金属製屋根部材1は、図1及び図2(b)に示すように、山と谷が連続する波形状を有し、山の稜線と谷の谷線の方向が設置状態で屋根の傾斜方向に平行になるように設置されるものであって、設置状態で傾斜方向上側が高く下側が低くなる段差部3を有するものである。そして、本実施の形態に係る金属製屋根部材1は、上側の段差部3と下側の段差部3の間の面部5の形状に特徴がある。以下、具体的に説明する。
本実施の形態の金属製屋根部材1は、図2(a)に示すように、設置状態で上側となる段差部3(紙面左側の段差部3)と設置状態で下側となる段差部3(紙面右側の段差部3)の間の面部5が、下向きに凸となる反り形状(上反り形状)になっている。なお、設置状態で最も上側(棟側)となる面部5や、最も下側(軒側)となる面部5も同様の反り形状になっている。
上記のように、面部5が下向きに凸となる反り形状となっていることで、設置状態において、面部5の下側の部分が屋根面からせり出し、施工、点検、補修作業の際の足掛りとして機能する。当該部分の傾斜角度は、屋根の傾斜角度に比べて大幅に小さくなっているので、作業者は屋根の傾斜方向に足を滑らせにくくなり、転倒、転落の危険性が低減し、安全性が向上する。
また、金属製屋根部材1の面部5における反り形状を適切に設定することで、上記効果はより有効になる。
発明者らは鋭意検討を重ね、設置状態の金属製屋根部材1において傾斜角度が20度以下の部分があれば、作業者が歩いたり作業する際に足を滑らせにくくなり、安全性が格段に向上することを知見した。
したがって、金属製屋根部材1を屋根に設置した状態で面部5の下側(軒側)の部分の傾斜角度が20度以下となるように面部5の反り形状を設定するのが好ましい。
そこで、まずは一般的な屋根の傾斜角度について説明する。
住宅の屋根は水平に近い緩勾配から急勾配なものまで様々あるが、一般的な日本の住宅の屋根の多くは4寸~6寸勾配(水平方向:垂直方向=10:xの傾斜をx寸勾配と呼ぶ)であり、水平方向からの傾斜角度に換算すると概ね22~31度である。
図3に5寸勾配(傾斜角度26.6度)の屋根の一例を模式的に示す。
屋根の勾配が6寸を超えて急勾配になると、安全性、作業性を確保するため作業床を別途設置したり、安全帯を使用することが多くなり、勾配が8寸以上になると法令上も作業床や安全帯の使用が義務付けられる。
一方、屋根の勾配が4寸より小さく、傾斜が緩やかであれば、足を滑らせる危険性も小さい。
したがって、4~6寸勾配(傾斜角度22~31度)の屋根に金属製屋根部材1を設置した場合に、反り形状を有する面部5の下側(軒側)の段差部側の部分の水平方向に対する傾斜角度が20度以下となるように面部5の形状が設定されているとより実用的で好ましい。
そこで本実施の形態では、一般的な住宅の屋根に設置した場合により効果的であるように、金属製屋根部材1の形状を下記のように規定する。
段差部の高さH=10~25(mm)
山の稜線方向における面部の端部間距離D=200~500(mm)
反りの深さA=5~25(mm)
上記、段差部の高さH、山の稜線方向における面部の端部間距離D及び反りの深さAについては、後述の実施例1(図10参照)にて詳しく説明する。また、上記に規定するH、D及びAの範囲を好適とする点については、後述の実施例2にて詳しく説明する。
なお、上記に規定した形状は、4~6寸勾配の屋根に設置したときに特に効果を奏するものであるが、勾配が4~6寸の範囲を超えて傾斜が大きい、或いは傾斜が小さい屋根に用いてもよく、その場合にも、屋根上の作業者が足を滑らせにくくなる効果が失われるものではない。
次に、本実施の形態の金属製屋根部材1の製造方法について説明する。本説明に先立ち、まずは、従来の金属製屋根部材21(図11参照)を製造する場合の製造方法とその課題について説明する。
図11に示した従来の金属製屋根部材21を製造する場合、まず予備成形(ロールフォーミング等)によって波板を成形し、波板にさらに加工を施すことで、波形状に交差する段差部3を形成するのが一般的である。波板に段差部3を形成する際の成形過程を図4に示す。
図4は、図11のC-C断面に相当する部位の成形過程を示す図である。
図4の上段側金型7は、設置状態で段差部3より上側(棟側)に配置される面部5(以下、上段側の面部5という)に相当する部位をクランプする金型であり、上段側上金型9と、上段側下金型11によって構成されている。下段側金型23は、設置状態で段差部3より下側(軒側)に配置される面部5(以下、下段側の面部5という)に相当する部位をクランプする金型であり、下段側上金型25と、下段側下金型27によって構成されている。
まず、波板13における上段側の面部5に相当する部位の上下に上段側上金型9と上段側下金型11、下段側の面部5に相当する部位の上下に下段側上金型25と下段側下金型27を、それぞれ配置する(図4(a)参照)。
そして、上段側の面部5に相当する部位を上段側金型7(上段側上金型9、上段側下金型11)でクランプし(図4(b))、さらに下段側の面部5となる部位を下段側金型23(下段側上金型25、下段側下金型27)でクランプした状態で、上段側金型7に対し下段側金型23を鉛直下方向に相対移動させる(図4(c)、(d))。
これにより、波板13の波形状に交差する段差部3を形成できる(図4(e)参照)。
上述したように予備成形された波板13に対して波形状に交差するような段差部3を形成する場合、素材や寸法サイズ、加工条件によっては割れを生じることがある。この点について、図5、図6を用いて説明する。
図5は、図11に示した金属製屋根部材21の一部を拡大し、山の稜線方向に対して直交する上方からみた図である。図5の金属製屋根部材21は、紙面上側が屋根の棟側、紙面下側が屋根の軒側となるように設置されるものとする。
図5に示すように、段差部3は、山の稜線(一点鎖線)及び谷の谷線(破線)に直交して山と谷の連続する方向(山と谷のピッチの方向)に直線状に連なるように形成されている。波板にこのような段差部3を形成する際、山の最上部分(稜線上)における上段側の面部5と段差部3をつなぐ屈曲部分(a部)と、谷の最下部分(谷線上)における下段側の面部5と段差部3をつなぐ屈曲部分(b部)で特に板厚減少が大きく、割れが生じやすいという課題があった。この理由を図6に基づいて説明する。
図6(a)は、図5のa部近傍の部分拡大図であり、上凸張り出し形状となる部分である。また、図6(b)は図5のb部近傍の部分拡大図であり、下凸張り出し形状となる部分である。図中の白抜き矢印は、a部、b部における材料流れを示している。
図4(c)、図4(d)に示したように段差加工を行うと、上段側の面部5と下段側の面部5からそれぞれ材料が引っ張られて段差部3が形成されるが、この際、上凸張り出し形状の頂点であるa部では図6(a)に示すような局所的な材料流出が生じるので、板厚が大きく減少する。これは下凸張り出し形状の頂点であるb部においても同様である(図6(b)参照)。
このように、a部、b部は割れが生じやすい危険部位であるので、波板に段差部3を形成する際には、a部、b部の板厚減少を考慮して実施するのが望ましい。
次に、本実施の形態の金属製屋根部材1の製造方法について説明する。
本実施の形態にかかる金属製屋根部材1の製造方法は、波板成形工程と、加工工程とを備えたものである。各工程について、以下に具体的に説明する。
<波板成形工程>
波板成形工程は、平板の金属板に山と谷が並行に連続する波形状を形成して波板を成形する工程である。
本工程は、断面形状が所定の波形状(図2(b)参照)となる波板を成形できればよく、成形方法を限定するものではないが、例えば、平板の金属板を表面がバレル方向に波状である一対のロールの間を通過させながら徐々に目的の断面形状にするロールフォーミング等によって行う。
ロールフォーミングでは、複数段のロールを組み合わせて構成された一連のロールセットに、金属板を順に通過させることで断面形状が波形に加工され、加工前の金属板の板厚がほぼ維持された波板を成形することができる。
<加工工程>
加工工程は、段差部3の上段側の面部5となる部位に配置されて、上段側上金型9及び上段側下金型11からなる上段側金型7と、段差部3の下段側の面部5となる部位に配置されて、下段側上金型17及び下段側下金型19からなる下段側金型15とを用いて、波板成形工程によって成形された波板13に下向きに凸となる反り形状と段差部3を形成する工程である。
本実施の形態の加工工程における図1のA-A断面に相当する部位の成形過程を図7に示し、以下詳細に説明する。
上段側金型7は、図4の上段側金型7と同様のものであるので同一の符号を付している。上段側金型7の上段側上金型9と上段側下金型11は、波板成形工程によって成形された波板13の波形状に沿う形状を有するクランプ面部9a、11aが設けられている。
一方、下段側金型15は、図4の下段側金型23とは異なり、下向きに凸となる反り形状を形成(反り加工)するための成形面部が設けられている。具体的には、下段側金型15の下段側上金型17と下段側下金型19は、協働して下向きに凸となる反り形状を形成する反り形状成形面部17a、19aが設けられている。
まず、図7(a)に示すように、波板13における上段側の面部5に相当する部位の上下に上段側上金型9と上段側下金型11(上段側金型7)、下段側の面部5に相当する部位の上下に下段側上金型17と下段側下金型19(下段側金型15)を、それぞれ配置する。
次に、図7(b)に示すように、波板13における上段側の面部5に相当する部位を、上段側金型7(上段側上金型9、上段側下金型11)によって波板13の波形状に沿って挟持(クランプ)する。
図7(c)に示すように、上段側の面部5に相当する部位を上段側金型7によってクランプした状態で、下段側の面部5に相当する部位を下段側上金型17と下段側下金型19によって挟圧し、反り形状成形面部17a、19aにより反り加工し、下向きに凸となる反り形状を形成する。
そして、図7(d)に示すように、上段側の面部5に相当する部位と下段側の面部5に相当する部位とを、それぞれ上段側金型7と下段側金型15により挟持した状態で、上段側金型7に対して下段側金型15を鉛直下方向に相対移動させ、段差部3を形成する(段差加工)。
上記のように下段側の面部5の反り形状と段差部3を形成したら、上段側金型7及び下段側金型15を解放し(図7(e)参照)、波板13における上段側金型7でクランプしていた上段側の面部5に相当する部位(図7(b)~図7(d)参照)を下段側金型15の位置まで下段側(紙面右側)に移動させて、図7(a)と同様の状態とする。以降、図7(a)~図7(e)を繰り返すことで、図1に示した金属製屋根部材1が製造できる。
図1に示した金属製屋根部材1を製造する他の方法としては、最初に波板13に対して段差加工のみを行い、図11の金属製屋根部材21のような中間成形品を成形してから、中間成形品に対して反り加工を行い、最終成形品である金属製屋根部材に成形する方法も考えられるが、その場合、反り加工の際に上段側と下段側の材料が引っ張られて歪みが生じ、段差部3同士の間隔(段差間隔)が変化して寸法精度が低下するという問題がある。また、反り加工により段差間隔が変化しないように両側の段差部3の位置を固定した状態で反り加工を行うと、段差部3と面部5とをつなぐ屈曲部分において板厚減少や破断が生じやすくなる。
この点、図7に示した本実施の形態の製造方法によれば、段差加工と反り加工を交互に繰り返すことで、上記のような問題が生じない。具体的には、図7(b)~図7(c)に示す反り加工の際、下段側の材料は、先に加工された段差部3が下段側下金型19に引っ掛かり固定されるが、段差加工を付与されていない上段側の材料が上段側金型7を通り抜けて下段側金型15に引き込まれるため、段差部3と面部5とをつなぐ屈曲部分における板厚減少や破断を抑制できる。また、先に加工された段差部3が下段側下金型19に引っ掛かり固定された状態で段差加工が行われるので、上述したような反り加工に伴う段差間隔の変化は生じない。
なお、前述したように、波板13に段差部3を加工する際には、山の最上部分(稜線上)における上段側の面部5と段差部3をつなぐ屈曲部分(図5のa部)、及び谷の最下部分(谷線上)における下段側の面部5と段差部3をつなぐ屈曲部分(図5のb部)は板厚減少が大きく、割れが生じやすい部位である。この点、本実施の形態によれば、金属製屋根部材1の製造時においてa部、b部の板厚減少も緩和できる。この理由について、以下、図8を用いて説明する。
図8(a)は、従来例である金属製屋根部材21の製造過程における段差部3の成形下死点の断面形状(図4(d)の破線円で囲んだ部分)を示した図であり、図8(b)は、本実施の形態の金属製屋根部材1の製造過程における段差部3の成形下死点の断面形状(図7(d)の破線円で囲んだ部分)を示した図である。なお、図8(a)、図8(b)は、図11のC-C断面及び図1のA-A断面、即ち、山の稜線に沿った断面形状を示すものであるが、谷の谷線に沿った断面においても、製造過程における段差部3の断面形状は図8(a)、図8(b)と同様である。
図8(a)と図8(b)に示した例は段差部3の高さH及び水平方向に対する傾斜角は同じであるが、下段側の面部5と段差部3をつなぐ屈曲部分(図8(a)、図8(b)の破線丸)において、図8(a)に示す従来例の肩部半径Rよりも、図8(b)に示す本実施の形態の肩部半径R´の方が大きくなっている。これにより、段差加工の際、従来例よりも、下段側の面部5から段差部3へ材料が流れやすくなる(図8(a)、図8(b)の白抜き矢印)。
したがって、段差加工時に上段側の面部5と下段側の面部5のそれぞれから材料が段差部3へ引き込まれる際、材料が流れやすい下段側から多く材料が引き込まれて(図8(b)の白抜き矢印)、上段側の材料の引き込み量が相対的に少なくなる(図8(b)の黒矢印)。
その結果、図5のa部からの材料流出量が減少するので、a部の板厚減少が緩和される。
また、下段側の面部5と段差部3をつなぐ屈曲部分(図8(b)の破線丸)において下流側の面部5から段差部3へ向かう材料流れが生じやすくなったことで(図8(b)の白抜き矢印)、下段側の面部5の材料が図5のb部に流入しやすくなり供給されるので、b部の板厚減少も緩和される。
上記のように、面部5に下向きに凸となる反り形状を付与し、反り加工と段差加工を交互に行うことで、段差加工におけるa部、b部の割れも抑制できる。
以上、本実施の形態によれば、上側の段差部3と下側の段差部3の間の面部5が、下向きに凸となる反り形状になっていることで、屋根への設置状態において面部5の下側(軒側)の部分が屋根面からせり出し、当該部分の傾斜角度が屋根の傾斜角度より大幅に小さくなる。したがって、当該部分が施工、点検、補修作業の際の作業者の足掛かりとなるので、作業者が屋根傾斜方向に足を滑らせにくくなって、転倒、転落の危険性が低減し、作業の安全性が向上する。
また、従来の単調な形状と比べて新たなデザイン性を有し、意匠性にも優れている。
具体的には、面部5が下向きに凸となる反り形状になっていることで、面部5と段差部3との成す角が90度よりも小さい鋭角となり、段差部3を明瞭に認識しやすくなる。段差部3が視認しやすくなることで、瓦屋根風の外観が強調され、より高級感のある意匠デザインとなる。
なお、図1に示した金属製屋根部材1は本発明の一例であり、山と谷の数や、段差部3の数はこれに限られるものではなく任意に増減してもよい。また、サイズも任意に設定が可能であり、複数枚を連結して組み合わせることで大面積の屋根材として用いることもできる。
[実施の形態2]
実施の形態1で説明した金属製屋根部材1の製造方法では、金属製屋根部材1の面部5における反り形状の反りの深さA(図10参照)が20mm~25mmと大きい場合、反り形状を形成する際に(図7(c))、しわの発生が顕著化する場合がある。この点について、図12を用いて説明する。
図12(a)は、図7(c)の被加工材(加工途中の波板13)を取り出して示したものである。図12(b)は、図12(a)に示した被加工材のD-D断面図、すなわち、波板13の波形状の断面図である。図12(c)は、図12(a)、図12(b)のそれぞれ破線四角枠内の領域について、波板13の山の稜線方向に対して直交する上方から見た図である。
図12(a)に示すように、上段側の段差部3に相当する部位(図中の3’)と下段側の段差部3に挟まれた下段側の面部5に相当する部位(破線四角枠内の領域)に、下向きに凸となる反り形状を形成する際、反り形状の両端から中央の底部へ向かう山の稜線方向の材料流れ(図中の矢印)が生じる。また、図12(b)に示すように、山の稜線(一点鎖線)及び谷の稜線(破線)からそれぞれ波形状の傾斜面に向かう材料流れ(図中の矢印)が生じる。そのため、図12(c)に示すように、段差部3近傍および上段側の段差部3に相当する部位3’の近傍において波形状の傾斜面(破線楕円枠参照)に材料流れが集中し、しわが発生しやすい。この傾向は、反り形状の反り深さが大きくなるほど顕著化する。
また、実施の形態1で説明した金属製屋根部材1の製造方法では、ブランクの外周に切除廃棄する端部がなく、かつ製品の全体にわたって繰り返し形状であることも、しわの発生を助長している。
したがって、図7の製造方法で金属製屋根部材1を製造する場合には、図7(c)で反り形状を形成する際、上段側金型7によるクランプ力(板押さえ荷重)を高めるとよい。上段側金型7の板押さえ荷重を高め、図12(a)に示した上段側からの材料流れを小さくすることで、しわの程度を多少緩和できる。しかし、しわの発生を完全に解消することは困難である。
そこで、本実施の形態2では、上記しわの発生を解消可能な金属製屋根部材1の製造方法について説明する。
本実施の形態に係る金属製屋根部材1の製造方法は、図7(c)で説明した反り加工を複数回に分けて行うものであり、1回当りに反り加工する反り深さを、しわの発生しない範囲の反り深さとするものである。そして、しわの発生を抑制し、目標とする反り深さの反り形状を成形するものである。
本実施の形態にかかる金属製屋根部材1の製造方法は、波板成形工程と、第1成形工程と、第2成形工程とを備えたものである。波板成形工程は実施の形態1と同様であるので説明を省略し、第1成形工程と第2成形工程について、以下に説明する。
<第1成形工程>
第1成形工程は、波板成形工程によって成形された波板の面部となる部位に、目標とする反り形状よりも反り深さが浅い反り形状(以下、「浅反り形状」という)を形成し、浅反り形状が形成された面部に連続する段差部を形成し、該浅反り形状の形成と段差部の形成を繰り返して中間成形品を成形する工程である。
中間成形品は、反り形状の反り深さが目標より浅い点を除いて目標形状と同様の形状を有するものであり、その成形過程は、図7に示した実施の形態1における加工工程の成形過程と同様である。以下、図7の上段側金型7を第1金型、下段側金型15を第2金型と言い換えて第1成形工程を簡単に説明する。
第1成形工程では、波板13の上段側の面部5となる部位を波板13の波形状に沿ってクランプする第1金型と、第1金型に隣接配置されて波板13の下段側の面部5となる部位を挟圧して浅反り形状を形成する第2金型を用いる。なお、「隣接配置」とは、被加工材(波板13)の板送り方向、即ち図7における紙面右側に隣接するように配置することを意味している。
第1金型は、実施の形態1の上段側金型7と同様の形状である。
第2金型は、実施の形態1の下段側金型15の反り形状成形面部17a、19aに相当する部位が浅反り形状に対応した形状となっている。
第1成形工程では、第1金型で波板13における段差部3の上段側の面部5となる部位をクランプした状態で、第2金型で段差部3の下段側の面部5となる部位に浅反り形状を形成する(図7(a)~図7(c))。さらに、第1金型、第2金型で波板13を挟持した状態で、第1金型に対して第2金型を鉛直下方向に相対移動させることで、段差部3を形成する(図7(d))。
上記のように浅反り形状と段差部3を形成したら、第1金型及び第2金型を解放し(図7(e))、波板13における第1金型でクランプしていた部位を第2金型の位置まで下段側(紙面右側)に1段分移動させる。以降、浅反り形状の形成と段差部3の形成を目標段数分繰り返すことで、目標形状と同じ数の段差部3及び反り深さが目標よりも浅い浅反り形状が形成された面部5を有する中間成形品が成形できる。
<第2成形工程>
第2成形工程は、第1成形工程で成形した中間成形品の浅反り形状を、目標とする反り深さの反り形状に成形する工程である。
中間成形品の浅反り形状を目標とする反り深さに成形する過程を図13に示す。なお、図13では、面部の反り深さの違いを明確にするため、浅反り形状である面部に符号43、目標とする反り深さの反り形状(以下、「目標反り形状」という)である面部に符号53を付している。
図13に示すように、第2成形工程では、中間成形品35における浅反り形状43が形成された面部を浅反り形状43に沿ってクランプする第3金型37と、第3金型37に隣接配置されて中間成形品35の浅反り形状43が形成された面部を挟圧して目標反り形状53に成形する第4金型45とを用いる。
第3金型37は対となる第3上金型39と第3下金型41によって構成され、第3上金型39と第3下金型41には、中間成形品35の下向きに凸となる浅反り形状43に沿って挟持(クランプ)する浅反り形状クランプ面部39a、41aが設けられている。
なお、第3金型37の形状は、第1成形工程で用いた第2金型(波板13に浅反り形状43を形成する金型)と同じである。
第4金型45は実施の形態1の下段側金型15に相当する金型であり、対となる第4上金型47と第4下金型49によって構成されている。第4上金型47と第4下金型49には、目標反り形状53に対応した形状の目標反り形状成形面部47a、49aが設けられている。
まず、図13(a)に示すように、中間成形品35における段差部3の上段側の面部の上下に第3上金型39と第3下金型41(第3金型37)を、下段側の面部の上下に第4上金型47と第4下金型49(第4金型45)を、それぞれ配置する。
次に、図13(b)に示すように、第3金型37で中間成形品35における段差部3の上段側の面部を、浅反り形状43に沿って挟持(クランプ)する。
そして、図13(c)に示すように、第4金型45で下段側の面部を挟圧し、浅反り形状43を目標反り形状53に成形する。
下段側の面部を目標反り形状53に成形したら、第3金型37及び第4金型45を解放し(図13(d)参照)、中間成形品35を下段側(紙面右側)に1段分移動させる。以降、図13(a)~図13(d)を目標段数分繰り返し、中間成形品35の浅反り形状43を全て目標反り形状53に成形する。
これにより、しわの発生を抑制しつつ、図1に示した金属製屋根部材1を製造できる。
[実施の形態2の他の態様]
上述した実施の形態2の製造方法は、中間成形品35を経由して金属製屋根部材1を成形するものであった。すなわち、波板13に目標段数分の浅反り形状43と段差部3が形成された中間成形品35に成形する第1成形工程と、中間成形品35に形成された目標段数分の浅反り形状43を目標反り形状53に順次成形して、中間成形品35を金属製屋根部材1に成形する第2成形工程とを要するものであった。
本実施の形態2の他の態様として、浅反り形状43を成形する金型と、目標反り形状53を成形する金型とを置換可能に構成すれば、中間成形品35を経ずに金属製屋根部材1を成形できる。すなわち、1段分の浅反り形状43と段差部3を形成し、これに引き続いて、浅反り形状43を成形する金型と、目標反り形状53を成形する金型とを置き換えて、1段分の浅反り形状43を目標反り形状53に成形する工程を、目標段差分だけ順次繰り返してもよい。本実施の形態2の他の態様として、金型を置換可能に構成し、中間成形品35を経由せずに金属製屋根部材1を成形する例を以下に説明する。
本実施の形態2の他の態様にかかる金属製屋根部材1の製造方法は、波板成形工程と、波板成形工程によって成形された波板に、反り形状と段差部を形成する加工工程を備えている。波成形工程は実施の形態1と同様であるので説明を省略し、加工工程について説明する。
加工工程(図13-1、図13-2)では、第5金型7、第6金型37および第7金型45とを用いる。
第5金型7は、波板13における段差部3の上段側の面部5となる部位を波板13の波形状に沿ってクランプする金型であり、前述した第1金型に相当する。なお、第5金型7は実施の形態1の上段側金型7と同様の形状であるので、これと同じ符号を付して表示した。
第6金型37は、第5金型7に隣接配置され、波板13の下段側の面部となる部位を挟圧して浅反り形状43を形成する金型であり、前述した第2金型に相当する。なお、第6金型37は実施の形態2の第3金型37と同様の形状であるので、これと同じ符号を付して表示した。
さらに、第7金型45は、第6金型37と置換可能で、浅反り形状43が形成された面部を挟圧して目標反り形状53に成形する金型であり、前述した第4金型に相当する。なお、第7金型45は、実施の形態2の第4金型37と同様の形状であるので、これと同じ符号を付して表示した。
加工工程では、まず、図13-1(a)に示すように、波板13における上段側の面部5に相当する部位に第5金型7、下段側の面部5に相当する部位に第6金型37を、それぞれ配置する。
次に、図13-1(b)に示すように、波板13における上段側の面部5に相当する部位を、第5金型7により、波板13の波形状に沿って狭持(クランプ)する。
図13-1(c)に示すように、第5金型7で波板13における段差部3の上段側の面部5となる部位をクランプした状態で、第6金型37で波板13の下段側の面部5となる部位に浅反り形状43を形成する。
そして、図13-1(d)に示すように、第5金型7に対して第6金型37を鉛直下方向に相対移動させることで段差部3を形成する。
その後、第6金型37のみを解放して(図13-1(e))、第6金型37を第7金型45に置き換える(図13-2(f))。
そして、図13-2(g)に示すように、第7金型45で浅反り形状43が形成された下段側の面部5を挟圧し、目標反り形状53に形成する。
目標反り形状53を形成したら、図13-2(h)に示すように、第5金型7及び第7金型45を解放する。その後、波板13を下段側(紙面右側)に1段分移動させると共に、第7金型45を第6金型37に置き換える(図示なし)。以降、上述した工程を繰り返し、段差部3の形成及び目標反り形状53の形成を順次行うことにより、1つの成形ラインで波板13を金属製屋根部材1に成形できる。
[実施の形態3]
本実施の形態では、実施の形態2と同様にしわの発生(図12参照)を抑制して金属製屋根部材1を製造する方法を説明する。
実施の形態2で説明した製造方法は、波板13を金属製屋根部材1に成形するに際し、第1成形工程及び第2成形工程(成形ラインの2回通し)を必要とするか、金型の置換を必要とするものであった。これに対し、本実施の形態では、金型の置換を必要とすることなく、また、実施の形態2の中間成形品35の成形工程(第1成形工程)を経ずに、成形ライン1回通しで波板13を金属製屋根部材1に成形する方法について説明する。
本実施の形態にかかる金属製屋根部材1の製造方法は、波板成形工程と、波板成形工程によって成形された波板に、反り形状と段差部を形成する加工工程を備えている。波板成形工程は実施の形態1と同様であるので説明を省略し、加工工程について説明する。
本実施の形態の加工工程は、初期加工工程と本加工工程を有しており、初期加工工程を実施後に本加工工程を繰り返すことで、段差部の形成及び目標反り形状の形成を順次行うものである。
<初期加工工程>
初期加工工程は、1段目の面部(図1に示す金属製屋根部材1において、設置状態で屋根傾斜方向の最も下側に配置される面部5)となる部位に浅反り形状43を形成すると共に浅反り形状43の上段側に連続する段差部3を形成する工程である。この初期加工工程は、加工工程の初期に1回だけ行うものである。
初期加工工程では、図14に示すように、波板13における段差部3の上段側の面部5となる部位を波板13の波形状に沿ってクランプする第8金型55と、第8金型55に隣接配置されて波板13における下段側の面部5となる部位を挟圧して浅反り形状43を形成する第9金型61とを用いる。
なお、第9金型61に隣接配置された第10金型67は後述の本加工工程で使用する。
第8金型55は、実施の形態2の第1金型に相当する金型であり、対となる第8上金型57と第8下金型59によって構成されている。第8上金型57と第8下金型59には、波板13の波形状に沿う形状を有するクランプ面部57a、59aが設けられている。
第9金型61は、実施の形態2の第2金型及び第3金型37に相当する金型であり、対となる第9上金型63と第9下金型65によって構成されている。第9上金型63と第9下金型65には、浅反り形状43を成形する浅反り形状成形面部63a、65aが設けられている。
初期加工工程では、まず、波板13の1段目の面部となる部位を第9金型61、波板13の2段目の面部となる部位を第8金型55の位置に配置する(図14(a))。
そして、第8金型55で2段目の面部となる部位をクランプし(図14(b))、第9金型61で1段目の面部となる部位に浅反り形状43を形成する(図14(c))。さらに、第8金型55、第9金型61で波板13を挟持した状態で、第8金型55に対して第9金型61を鉛直下方向に相対移動させ、段差部3を形成する(図14(d))。
その後、第8金型55及び第9金型61を解放し(図14(e))、波板13を下段側(紙面右側)に1段分移動させる。
<本加工工程>
本加工工程は、浅反り形状43を目標反り形状53に成形すると共に、目標反り形状53の上段側の面部となる部位に浅反り形状43を形成し、かつ、浅反り形状43の上段側に連続する段差部3を形成する工程である。
本加工工程では、図15に示すように、第8金型55と、第9金型61と、第9金型61に隣接配置された第10金型67を用いる。
第10金型67は実施の形態2の第4金型45に相当する金型であり、対となる第10上金型69と第10下金型71によって構成されている。第10上金型69と第10下金型71には、浅反り形状43が形成された面部を挟圧して目標反り形状53に成形する目標反り形状成形面部69a、71aが設けられている。
図15(a)は、初期加工工程を終えた図14(e)の波板13を下段側に1段分移動させた状態である。
本加工工程では、まず、第8金型55で浅反り形状43が形成された面部の2段上の面部となる部位をクランプし(図15(b))、第9金型61で浅反り形状43が形成された面部の1段上の面部となる部位に浅反り形状43を形成する(図15(c))。さらに、第8金型55に対して第9金型61を鉛直下方向に相対移動させることで段差部3を形成する(図15(d))。そして、第10金型67で第9金型61が挟圧している面部の下段側の面部の浅反り形状43を目標反り形状53に成形する(図15(e))。
その後、第8金型55、第9金型61及び第10金型67を解放し(図15(f))、波板13を下段側に移動させて、図15(a)~図15(e)を繰り返す。本加工工程を繰り返して目標段数分の段差部3の形成及び目標反り形状53の形成を順次行うことにより、上述した本実施の形態2における中間成形品35を成形する第1成形工程を経ずに、成形ライン1回通しで波板13を金属製屋根部材1に成形できると共にしわの発生を抑制できる。
[実施の形態4]
上述した実施の形態3は、3つの金型を用いて波板13を金属製屋根部材1に成形するものであった。これに対して、本実施の形態では、実施の形態3の第9金型61と第10金型67を一体的に構成した金型(第12金型)を用い、該金型と第8金型55に相当する金型(第11金型)の2つの金型で波板13を金属製屋根部材1に成形する例を説明する。
本実施の形態では、図16に示すように、第11金型73と、第12金型79の2つの金型を用いる。
第11金型73は実施の形態3の第8金型55に相当する金型であり、対となる第11上金型75と第11下金型77によって構成されている。第11上金型75と第11下金型77には、波板13の波形状に沿う形状を有するクランプ面部75a、77aが設けられている。
第12金型79は、実施の形態3の第9金型61及び第10金型67に相当する金型であり、この2つの金型を段差部3の高さ相当分ずらして一体化させた形状となっている。第12金型79は、対となる第12上金型81と第12下金型83によって構成されており、第12上金型81には、浅反り形状43を成形する浅反り形状成形面部81aと、目標反り形状53を成形する目標反り形状成形面部81bが設けられている。第12上金型81は2つの金型(本発明の実施形態3の第9上金型63と第10上金型69)を段差部3の高さ相当分だけプレス成形方向にずらして一体化させた形状であるので、目標反り形状成形面部81bは、浅反り形状成形面部81aよりも段差部3の高さ相当分だけプレス成形方向に突出している。これに対応するように、第12下金型83にも、浅反り形状成形面部83a、目標反り形状成形面部83bが設けられている。
本実施の形態にかかる金属製屋根部材1の製造方法は、波板成形工程、加工工程を備えており、加工工程は、初期加工工程と本加工工程を有している。実施の形態3と同様に、初期加工工程を実施後に本加工工程を繰り返すことで、段差部の形成及び目標反り形状の形成を順次行う。波板成形工程は他の実施の形態と同様であるので説明を省略する。
<初期加工工程>
初期加工工程は、図16に示すように、1段目の面部となる部位に浅反り形状43を形成すると共に浅反り形状43の上段側に連続する段差部3を形成する工程である。
初期加工工程では、まず、波板13の1段目の面部となる部位を第12金型79における浅反り形状成形面部81a、83aの間の位置、波板13の2段目の面部となる部位を第11金型73の位置に配置する(図16(a))。
そして、第11金型73で波板13の2段目の面部となる部位をクランプし(図16(b))、第12金型79の浅反り形状成形面部81a、83aで1段目の面部となる部位に浅反り形状43を形成する(図16(c))。さらに、第11金型73、第12金型79で波板13を挟持した状態で、第11金型73に対して第12金型79を鉛直下方向に相対移動させ、段差部3を形成する(図16(d))。
その後、第11金型73及び第12金型79を解放し(図16(e))、波板13を下段側(紙面右側)に1段分移動させる。
<本加工工程>
本加工工程は、浅反り形状43を目標反り形状53に成形すると共に、目標反り形状53の上段側の面部となる部位に浅反り形状43を形成し、かつ、浅反り形状43の上段側に連続する段差部3を形成する工程である。
図17(a)は、初期加工工程を終えた図16(e)の波板13を下段側に1段分移動させた状態である。
本加工工程では、まず、第11金型73で浅反り形状43が形成された面部の2段上の面部となる部位をクランプする(図17(b))。そして、第12金型79の目標反り形状成形面部81b、83bで浅反り形状43が形成された面部を目標反り形状53に成形すると共に、浅反り形状成形面部81a、83aで目標反り形状53の上段側の面部となる部位に浅反り形状43を成形する(図17(c))。
さらに、第11金型73に対して第12金型79を鉛直下方向に相対移動させることで段差部3を形成する(図17(d))。
その後、第11金型73、第12金型79を解放し(図17(e))、波板13を下段側に1段分移動させて、図17(a)~図17(d)を繰り返す。本加工工程を繰り返し、目標段数分の段差部3の形成及び目標反り形状53の形成を順次行うことにより、しわの発生を抑制しつつ、1つの成形ラインで波板13を金属製屋根部材1に成形できる。
また、本実施の形態は、実施の形態3における第9金型61による成形(浅反り形状43の成形)と第10金型67による成形(目標反り形状53の成形)を1つの金型で行うので、金型の駆動機構を単純化できると共に生産効率も向上する。
なお、上述した実施の形態2~4の製造方法では、面部の反り加工を2回に分けて行う場合を例示したが、反り加工1回当たりの反り深さを浅くして3回以上の工程に分けても良い。工程数を増やすことで、しわの発生を抑制しつつ、さらに深い反り深さの反り形状を形成することができる。
本発明の金属製屋根部材による作用効果について、具体的な実施例に基づいて説明する。
まず、比較例として、図11に示した従来の金属製屋根部材21のC-C断面における断面形状の一例を図9(a)に示す。図9(a)は、段差部の高さH=20mm、山の稜線方向における面部の端部間距離D=200mmとした例である。図9(a)の例において、2つの段差部3の上端同士をつなぐ線と水平線とが成す角α(段差による傾斜角度α、と称す)は5.7度である。
図9(a)の従来例を6寸勾配(屋根の傾斜角度γ=31.0度)の屋根に設置した状態を図9(b)に示す。
図9(b)に示すように、図9(a)の従来例を6寸勾配の屋根に設置すると、面部5の延長線と水平線とが成す角度、即ち、面部5の傾斜角度θは25.3度となる。段差部3によって、面部5の傾斜角度θは、屋根の傾斜角度γよりも段差による傾斜角度αの分だけ小さくなるものの(θ=γ-α)、従来例の面部5は断面直線状であるため、屋根上で作業する際の足掛かりとなる部位がなく、作業者は屋根の傾斜方向に足を滑らせやすい(以降では、面部5の傾斜角度θのことを、足場傾斜角度θともいう)。
次に、本発明例として、面部5が下向きに凸となる反り形状となっている金属製屋根部材1(図1参照)の断面形状を図10(a)に示す。図10(a)は、段差部の高さH及び、山の稜線方向における面部の端部間距離Dは図9(a)の従来例と同じとし、反り形状の反りの深さA=15mmとした例である。図10(a)の例において、段差による傾斜角度αは5.7度、面部5の延長線と水平線とが成す角β(面部の反りによる傾斜角度β、と称す)は17.1度である。
図10(a)の本発明例を6寸勾配(屋根の傾斜角γ=31.0度)の屋根に設置した状態を図10(b)に示す。
図10(b)に示すように、図10(a)の本発明例を6寸勾配の屋根に設置すると、面部5の下側(軒側)の延長線と水平線とが成す角度、即ち、面部5の下側(軒側)の部分における足場傾斜角度θは8.2度である。このように、本発明例の面部5は断面円弧状に下向きに凸となる反り形状となっていることで、面部5の下側(軒側)の部分の足場傾斜角度θが面部の反りによる傾斜角度βの分だけ、従来例よりも小さくなる(θ=γ-(α+β))。このような緩傾斜となる面部5の下側(軒側)の箇所が屋根上で作業する際の足掛かりとなるので、作業者が足を滑らせにくくなり、作業性、安全性が向上する。
本発明の適合例として段差部の高さH、山の稜線方向における面部の端部間距離D、反り形状の反りの深さAを種々変更した金属製屋根部材1を、一般住宅に多く用いられる勾配4寸、5寸、6寸の屋根に設置した場合について、最も傾斜が緩くなる部分(面部5の下側(軒側)の部分)の足場傾斜角度θを表1に示す。
実施の形態で説明したように、発明者らは、設置状態で傾斜角度が20度以下の部分があれば、当該部分を足場として屋根の上を歩いたり作業する際に足を滑らせにくくなることを知見している。
そして、表1に示すように、山の稜線方向における面部の端部間距離Dを200~500mm、段差部の高さHを10~25mm、反り形状の反りの深さAを5~25mmの間で種々変更した場合においては、いずれの条件でも、面部の下側(軒側)の部分における足場傾斜角度θは20度以下になっており、安全性を向上できることがわかった。
実施の形態2~4で説明した金属製屋根部材1の製造方法の効果、具体的には、面部5の反り加工を複数回に分けて行うことによるしわの抑制効果について、数値解析を用いて確認したので以下に説明する。
本実施例では、面部5に形成する反り形状の目標反り深さAを20mmとして、該目標反り深さAよりも浅い、反り深さ10mm又は15mmの浅反り形状を成形してから、該浅反り形状を目標とする反り形状に成形した。なお、段差部の高さHは13mm、山の稜線方向における面部の端部間距離Dは200mmとした。
上記の反り深さ10mmの浅反り形状、反り深さ15mmの浅反り形状及び反り深さ20mmの目標反り形状の断面図を図18(a)~図18(c)に示す。
面部の反り加工を2回に分けて行う例として、波板に反り深さ10mmの浅反り形状を成形し、該浅反り形状の上段側に段差部を形成してから、浅反り形状を反り深さ20mmの目標反り形状に成形した(発明例1)。
また、面部の反り加工を3回に分けて行う例として、波板に反り深さ10mmの浅反り形状を形成し、該浅反り形状の上段側に段差部を形成してから、さらに反り深さ10mmの浅反り形状を反り深さ15mmの浅反り形状に成形した。その後、反り深さ15mmの浅反り形状を反り深さ20mmの目標反り形状に成形した(発明例2)。
また、比較例として、1回の反り加工で波板に反り深さ20mmの目標反り形状を成形し、該目標反り形状の上段側に段差部を形成した。
上述した比較例、発明例1及び発明例2の方法で反り深さ20mmの反り形状を成形した場合の面部に生じるしわの状態を図19(a)~図19(c)に示す。
比較例の方法で波板に反り深さ20mmの反り形状を成形した場合、図19(a)に示すように、反り形状が形成された面部(破線円で囲んだ面部)には、波板の波形状の傾斜面に顕著なしわが発生した。
これに対し、発明例1、2の方法で波板に反り深さ20mmの反り形状を成形した場合、図19(b)、図19(c)に示すようにしわの発生が抑制された。
以上のことから、金属製屋根部材1の面部における反り形状の反り深さが20mm~25mmと大きい場合でも、反り加工を複数回に分けて徐々に反り深さを深くすることで、しわの発生を抑制できることを実証できた。
1 金属製屋根部材
3 段差部
5 面部
7 上段側金型、第1金型、第5金型
9 上段側上金型
9a クランプ面部
11 上段側下金型
11a クランプ面部
13 波板
15 下段側金型、第2金型
17 下段側上金型
17a 反り形状成形面部
19 下段側下金型
19a 反り形状成形面部
21 金属製屋根部材(従来例)
23 下段側金型(従来例)
25 下段側上金型(従来例)
27 下段側下金型(従来例)
35 中間成形品
37 第3金型、第6金型
39 第3上金型
39a 浅反り形状クランプ面部
41 第3下金型
41a 浅反り形状クランプ面部
43 浅反り形状
45 第4金型、第7金型
47 第4上金型
47a 目標反り形状成形面部
49 第4下金型
49a 目標反り形状成形面部
53 目標反り形状
55 第8金型
57 第8上金型
57a クランプ面部
59 第8下金型
59a クランプ面部
61 第9金型
63 第9上金型
63a 浅反り形状成形面部
65 第9下金型
65a 浅反り形状成形面部
67 第10金型
69 第10上金型
69a 目標反り形状成形面部
71 第10下金型
71a 目標反り形状成形面部
73 第11金型
75 第11上金型
75a クランプ面部
77 第11下金型
77a クランプ面部
79 第12金型
81 第12上金型
81a 浅反り形状成形面部
81b 目標反り形状成形面部
83 第12下金型
83a 浅反り形状成形面部
83b 目標反り形状成形面部

Claims (8)

  1. 山と谷が連続する波形状を有し、前記山の稜線と前記谷の谷線の方向が設置状態で屋根の傾斜方向に平行になるように設置される金属製屋根部材であって、
    設置状態で傾斜方向上側が高く下側が低くなる段差部を有し、
    上側の段差部と下側の段差部の間の面部が、下向きに凸となる反り形状であることを特徴とする金属製屋根部材。
  2. 4寸~6寸勾配で設置したときに、前記面部の下側の部分における水平方向に対する傾斜角度が20度以下であることを特徴とする請求項1記載の金属製屋根部材。
  3. 前記段差部の高さHが10~25(mm)、前記山の稜線方向における前記面部の端部間距離Dが200~500(mm)、前記反り形状の反りの深さAが5~25(mm)であることを特徴とする請求項2記載の金属製屋根部材。
  4. 請求項1又は2に記載の金属製屋根部材を製造する金属製屋根部材の製造方法であって、
    金属板に波形状を形成して波板を成形する波板成形工程と、
    該波板成形工程によって成形された波板に、前記反り形状と前記段差部を形成する加工工程とを備え、
    該加工工程は、前記段差部の上段側の面部となる部位に配置されて、上段側上金型及び上段側下金型からなる上段側金型と、前記段差部の下段側の面部となる部位に配置されて、下向きに凸となる反り形状成形面部を有する下段側上金型及び下段側下金型からなる下段側金型とを用いて、
    前記波板における段差部の上段側の面部となる部位を、前記上段側金型によって波板の波形状に沿ってクランプした状態で、前記波板における段差部の下段側の面部となる部位を前記下段側金型によって挟圧して前記反り形状を形成し、さらに、前記上段側金型に対して前記下段側金型を鉛直下方向に相対移動させることで、前記段差部を形成することを特徴とする金属製屋根部材の製造方法。
  5. 請求項1乃至3のいずれか一項に記載の金属製屋根部材を製造する金属製屋根部材の製造方法であって、
    金属板に波形状を形成して波板を成形する波板成形工程と、
    該波板成形工程によって成形された波板の前記面部となる部位に、目標とする反り形状よりも反り深さが浅い浅反り形状を形成し、該浅反り形状が形成された面部に連続する前記段差部を形成し、前記浅反り形状の形成と前記段差部の形成を繰り返して中間成形品を成形する第1成形工程と、
    該第1成形工程で成形した前記中間成形品の浅反り形状を、目標とする反り深さの反り形状に成形する第2成形工程とを備え、
    前記第1成形工程は、
    前記波板の前記面部となる部位を波板の波形状に沿ってクランプする第1金型と、該第1金型に隣接配置されて前記波板の前記面部となる部位を挟圧して前記浅反り形状を形成する第2金型とを用いて、
    前記第1金型で前記波板における前記段差部の上段側の面部となる部位をクランプした状態で、前記第2金型で前記段差部の下段側の面部となる部位に前記浅反り形状を形成し、さらに、前記第1金型に対して前記第2金型を鉛直下方向に相対移動させることで、前記段差部を形成し、
    前記第2成形工程は、
    前記中間成形品の前記浅反り形状が形成された面部を該浅反り形状に沿ってクランプする第3金型と、該第3金型に隣接配置されて前記中間成形品の前記浅反り形状が形成された面部を挟圧して目標とする反り形状に成形する第4金型とを用いて、
    前記第3金型で前記中間成形品における前記段差部の上段側の面部をクランプした状態で、前記第4金型で前記段差部の下段側の面部を目標とする反り形状にすることを特徴とする金属製屋根部材の製造方法。
  6. 請求項1乃至3のいずれか一項に記載の金属製屋根部材を製造する金属製屋根部材の製造方法であって、
    金属板に波形状を形成して波板を成形する波板成形工程と、
    該波板成形工程によって成形された波板に、前記反り形状と前記段差部を形成する加工工程とを備え、
    該加工工程は、
    前記波板の前記面部となる部位を波板の波形状に沿ってクランプする第5金型と、該第5金型に隣接配置されて前記波板の前記面部となる部位を挟圧して目標とする反り形状よりも反り深さが浅い浅反り形状を形成する第6金型と、該第6金型と置換可能で前記浅反り形状が形成された面部を挟圧して目標とする反り深さの反り形状にする第7金型を用いて、
    前記第5金型で前記波板における上段側の面部となる部位をクランプした状態で、前記第6金型で下段側の面部となる部位に前記浅反り形状を形成し、さらに、前記第5金型に対して前記第6金型を鉛直下方向に相対移動させることで前記段差部を形成し、前記第6金型を前記第7金型に置き換え、前記第7金型で前記浅反り形状が形成された下段側の面部を目標とする反り形状に形成し、
    前記段差部の形成及び目標とする反り形状の形成を順次行うことを特徴とする金属製屋根部材の製造方法。
  7. 請求項1乃至3のいずれか一項に記載の金属製屋根部材を製造する金属製屋根部材の製造方法であって、
    金属板に波形状を形成して波板を成形する波板成形工程と、
    該波板成形工程によって成形された波板に、前記反り形状と前記段差部を形成する加工工程とを備え、
    該加工工程は、
    前記波板の前記面部となる部位を波板の波形状に沿ってクランプする第8金型と、該第8金型に隣接配置されて前記波板の前記面部となる部位を挟圧して目標とする反り形状よりも反り深さが浅い浅反り形状を形成する第9金型を用いて、1段目の面部となる部位に前記浅反り形状を形成すると共に該浅反り形状の上段側に連続する段差部を形成する初期加工工程と、
    前記第8金型、前記第9金型、及び該第9金型に隣接配置されて前記浅反り形状が形成された面部を挟圧して目標とする反り深さの反り形状にする第10金型を用いて、前記浅反り形状を目標の反り形状にすると共に、該目標の反り形状の上段側の面部となる部位に前記浅反り形状を形成し、かつ、該浅反り形状の上段側に連続する段差部を形成する本加工工程を備え、
    前記初期加工工程は、前記第8金型で前記波板における2段目の面部となる部位をクランプした状態で、前記第9金型で1段目の面部となる部位に前記浅反り形状を形成し、さらに、前記第8金型に対して前記第9金型を鉛直下方向に相対移動させることで前記段差部を形成し、前記本加工工程は、
    前記第8金型で前記浅反り形状が形成された面部の2段上の面部となる部位をクランプした状態で、前記第9金型で前記浅反り形状が形成された面部の1段上の面部となる部位に浅反り形状を形成し、さらに、前記第8金型に対して前記第9金型を鉛直下方向に相対移動させることで段差部を形成し、さらに、前記第10金型で前記第9金型が挟圧している面部の下段側の面部の浅反り形状を目標とする反り形状に形成し、
    該本加工工程を繰り返して、段差部の形成及び目標とする反り形状の形成を順次行うことを特徴とする金属製屋根部材の製造方法。
  8. 請求項1乃至3のいずれか一項に記載の金属製屋根部材を製造する金属製屋根部材の製造方法であって、
    金属板に波形状を形成して波板を成形する波板成形工程と、
    該波板成形工程によって成形された波板に、前記反り形状と前記段差部を形成する加工工程とを備え、
    該加工工程は、
    前記波板の前記面部となる部位を波板の波形状に沿ってクランプする第11金型と、該第11金型に隣接配置され、前記波板の前記面部となる部位を挟圧して目標とする反り形状よりも反り深さが浅い浅反り形状を成形する浅反り形状成形面部、及び、前記浅反り形状が形成された部位を挟圧して目標とする反り深さの反り形状にする目標反り形状成形面部を有する第12金型を用いて、1段目の面部となる部位に前記浅反り形状を形成すると共に該浅反り形状の上段側に連続する段差部を形成する初期加工工程と、
    前記浅反り形状を目標の反り形状にすると共に該目標の反り形状の上段側の面部となる部位に前記浅反り形状を形成し、かつ、該浅反り形状の上段側に連続する段差部を形成する本加工工程を備え、
    前記初期加工工程は、
    前記第11金型で前記波板における2段目の面部となる部位をクランプした状態で、前記第12金型の浅反り形状成形面部で1段目の面部となる部位に前記浅反り形状を形成し、さらに、前記第11金型に対して前記第12金型を鉛直下方向に相対移動させることで、前記段差部を形成し、
    前記本加工工程は、
    前記第11金型で前記波板における前記浅反り形状が形成された面部の2段上の面部となる部位をクランプした状態で、前記第12金型の目標反り形状成形面部で前記浅反り形状が形成された面部を目標とする反り形状に形成すると共に、前記第12金型の浅反り形状成形面部で目標とする反り形状の上段側の面部となる部位に浅反り形状を形成し、さらに、前記第11金型に対して前記第12金型を鉛直下方向に相対移動させることで段差部を形成し、
    該本加工工程を繰り返して、段差部の形成及び目標とする反り形状の形成を順次行うことを特徴とする金属製屋根部材の製造方法。
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