JP2023150444A - 増設補強フレーム架構の着装構造体およびその構築法 - Google Patents

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Abstract

【課題】廊下のフェンス腰壁等の撤去を必要としない補強工事ができ、工事中の居住の継続も可能にし、完成後は頭上の障害とならない嵩張らない直交梁を実現して往来の安心を与え、かつ、直交梁並びに耐震補強用構面の小型化、ひいては工事量の低減が図られる増設補強フレーム架構の着装構造体およびその構築法を提供する。【解決手段】 既設構面33の既設柱33Cと既設梁33Bの交差部から、共用廊下BBをなす床スラブ55の下面傾斜面5uにフランジ部6fを沿わせて既存建物1AAの桁方向に直交して延びる上下非対称の変形溶接H形鋼56Hである鉄骨製直交梁56が配置されている。既設柱33C、既設梁33B、鉄骨製補強柱44C、鉄骨製補強梁44B、変形溶接H形鋼56H、隣接する他の変形溶接H形鋼56H、床スラブ55の下面傾斜面5uとで囲繞された空間8を、せん断補強筋9Rを備える増設スラブとしている。【選択図】図1

Description

本発明は増設補強フレーム架構の着装構造に係り、詳しくは、RC造またはSRC造の集合住宅の共用廊下側の既設構面に、ブレースを取り付けることができる耐震補強用構面を一体化させる増設補強フレーム架構の着装構造体およびその構築法に関するものである。
RC造(鉄筋コンクリート構造)またはSRC造(鉄筋鉄骨コンクリート構造)の集合住宅はスパン方向すなわち短辺方向に耐震壁が形成され、桁方向には玄関や窓等の開口を確保する必要上ラーメン構造が採られる。このような既存建物に耐震補強を施すにあたっては、その桁方向に延びる共用廊下側の既設構面に、耐震補強用構面を一体化させる構造の提案が、例えば特許文献1に記載されている。
図10に示すように、耐震補強用構面44は、共用廊下BBの下面に一体化される補強スラブ55R(図10の下半部を参照)とその階の戸境部における略同一レベルに設けられる直交梁66(図10の上半部を参照)とを介し既設構面33とは離隔して設けられるため、共用廊下BBの外側に設置されることとなる。そのため、耐震補強用構面44は玄関や窓等の開口部を設ける制約を受けなくなるから、図11に示すように、ブレース材64やガセットプレート65が目隠し的に作用して、共用廊下BBの空間が薄暗くなることや歩行中の見晴らしの低下をきたすことはあっても、耐震補強用構面44にブレースを取り付ける際の自由度(例えばブレース形態の選定の自由)は向上する利点がある。
既設構面33(図10を参照)がRC造またはSRC造であれば、耐震補強用構面44もRC造またはSRC造とされ(例えば、特許文献2を参照)、必然的に直交梁66(図10の上半部を参照)もRC造またはSRC造が採用される。
直交梁66をRC造またはSRC造にすると、基端66bや突端66eは既設構面33または耐震補強用構面44との一体化に際して、直交梁66に埋設される補強筋67(図10の上半部を参照)に高い定着性が要求される。もちろん、共用廊下BBの下に形成される補強スラブ55R(図10の下半部を参照)に埋設されるせん断補強筋67Sにも高い定着性が要求される。ちなみに、図10中の上の69は床スラブ55と直交梁66との一体化を図るあと施工アンカーであり、図10中の下の69は床スラブ55と補強スラブ55Rとの一体化を図るあと施工アンカーである(図10は比較の都合上直交梁66における垂直面と、補強スラブ55Rにおける垂直面とを、同一の垂直面に収めて描かれている)。
定着効果を高めるため直交梁66の補強(主)筋67の両端を、直交梁66のみ拡大した図12に表わしたごとく、既設構面33または耐震補強用構面44に大きく食い込ませたり曲げておく必要がある。これは、既設構面33との接合部位のボリュームアップの改修を強いる。また耐震補強用構面44との接合部位にあっても大ボリューム化を伴うことになるために、共用廊下BBの手摺フェンス68(図10も参照)もしくはフェンス腰壁の一時的な撤去は避けられない。これにより、通行は禁じられるか、往来が許されるにしても足元の不安感を招くことは否めない。結局、居住者には工事中の退居が余儀なくされる人が少なからず出る。
特開2012-1922 特開2015-196942
以上のごとくの不利不便をきたすものの、直交梁の導入は耐震補強には欠かせない。直交梁は共用廊下BBの主として戸境部に設けられるが、共用廊下BBをなす床スラブ55との一体化を図る工事もつきまとう。直交梁は作用する曲げに耐えるべく、断面二次モーメントおよび断面係数を大きくしておくことになり、特に紙面垂直方向に十分大きな断面積が必要とされる。
ところで、RC造またはSRC造の増設補強フレーム架構を着装する場合、床スラブ55を補強して水平力を分担すべく戸境部間に設けられる補強スラブ55R(図10の下半のスラブを参照)と、戸境部に設けられる直交梁66(図10の上部を参照)とを較べると、敢えて重ねて描かれた後者は嵩高いものになり、その上下方向の寸法の違いは一目瞭然である(図10中の上の31は直交梁66の下縁を示すが、図10中の下部の二点鎖線31は、直交梁66の仮想下縁を示す。一方、図10中の上部の二点鎖線32は補強スラブ55Rの仮想下縁を表す)。竣工後の廊下の往来は、戸境部中間に設けられた補強スラブ55Rは気にならないにしても、戸境部毎に設けられる直交梁66に頭上の注意を払う必要があり、共用廊下BBの利用が煩わしくなる。これは住居性の著しい低下をきたす。
本発明は上記の事情に鑑みなされたもので、その目的は、廊下のフェンス腰壁等の撤去を必要としない補強工事ができ、工事中の居住の継続も可能にし、完成後は頭上の障害とならない嵩張らない直交梁を実現して往来の安心を与え、かつ、直交梁並びに耐震補強用構面の小型化、ひいては工事量の低減が図られる増設補強フレーム架構の着装構造体およびその構築法を提供することである。
本発明の特徴とするところは、図1を参照して、RC造またはSRC造の集合住宅の短辺方向が耐震壁、桁方向がラーメン構造であり、既存建物1AAの桁方向に延びる共用廊下BB側の既設構面33に、ブレースを取り付けることができる耐震補強用構面44を一体化させる増設補強フレーム架構の着装構造において、
既設構面33の既設柱33Cと既設梁33Bの交差部から、共用廊下BBをなす床スラブ55の下面傾斜面5uにフランジ部56fを沿わせて既存建物1AAの桁方向に直交して延びる上下非対称の変形溶接H形鋼56Hである鉄骨製直交梁56が配置され、
図2に示すように、該変形溶接H形鋼56Hのウエブ部56wには、床スラブ55の下面空間に向けて水平に突出する頭付きスタッド7が溶接されており、
変形溶接H形鋼56Hの基端56bは、既設構面33の既設柱33Cに一体化される一方、突端56eは、耐震補強用構面44の補強柱44Cに一体化され、
該耐震補強用構面44は鉄骨製構造であり、
既設柱33C、既設梁33B、鉄骨製補強柱44C、鉄骨製補強梁44B、変形溶接H形鋼56H、隣接する他の変形溶接H形鋼56H、床スラブ55の下面傾斜面55uとで囲繞された空間8を、そこに施されたせん断補強筋9R(図3を参照)を備える増設スラブとしていることである。
図2に示すように、変形溶接H形鋼56Hの基端56bは、接着系アンカーボルト11により既設柱33Cに一体化される一方、突端56eは、補強柱44Cに取り付けられた垂直姿勢のブラケット12にスプライスプレート13を介した高力ボルト6の締結による摩擦接合形態により、補強柱44Cに一体化されている。
図9のごとく、集合住宅に既設柱33Cと既設梁33Bの外面にPC板18が貼着されている場合、戸境部の前記直交梁56と略同一レベルにある増設スラブ84が、PC板18を貫き既設梁33Bに埋入して固定された脚部19fを有する厚肉鋼管シヤキー19の頭部19hを含んだ間接接合部20を介して既設構面33に一体化されている。
図5、6にあるように、増設補強フレーム44に取り付けることができるブレースは、補強柱44Cと補強梁44Bとで囲繞された空間34(図5を参照)に嵌装される半幅二枚合わせ平鋼板の交差ブレース機構25(図6を参照)である。
上記した発明の増設補強フレーム架構着装構面構造体の構築法の発明にあっては、囲繞空間8の底に当たる面に底板型枠26(図2を参照)を配置し、床スラブ55を上下に貫通する注入孔27から囲繞空間8に高流動無収縮高強度モルタル28または高流動無収縮高強度コンクリートを、床スラブ55を貫通する空気抜き孔29から流出するまで注入することにより、増設スラブ84を形成させることができるようにしたことである。
本発明によれば、耐震補強用構面を鉄骨製構造としたゆえ、接合の利便から直交梁も鉄骨製としておくことができる。直交梁は上下非対称の変形溶接H形鋼であるから、共用廊下をなす床スラブの下面傾斜面にフランジ部を沿わせやすく、鉄骨製であるゆえに、上下非対称化による形状選定の自由度が高まり、RC造またはSRC造の直交梁のほどに断面二次モーメントおよび断面係数を大きくしておく必要がない。それゆえ、廊下の往来時に頭をぶつけないようにとの注意を払うことも可及的に少なくなり、また、目障りとならないコンパクトな直交梁が実現される。
直交梁のRC造またはSRC造化の回避は低ボリューム化を促し、住人の歩行不安の払拭や一時退去を強いるフェンス撤去の必要はなくなり、工事中の居住の継続も可能となる。
直交梁の基端と既設構面とが接着系アンカーボルトにより一体化されるから、高い定着性を念頭に置いた補強筋を採用する場合よりは、工事の簡素化が図られる。一方、直交梁の突端は、補強柱に取り付けられた垂直姿勢のブラケットにスプライスプレートを介した高力ボルトの締結により、補強柱と一体化されるから、安定度の高い摩擦接合形態とすることができる。
既設柱と既設梁の外面にPC板(プレキャストコンクリートパネル)が貼着されている集合住宅の場合でも、当該PC板を貫き既設梁に埋入して固定された脚部を有する厚肉鋼管シヤキーの頭部を含む間接接合部を形成しておくことができる。この間接接合部を介した一体化を図るなら、増設スラブは既設構面に高い安定度のある支持構造を持つことができる。
増設補強フレームに取り付けることができるブレースを、補強柱と補強梁とで囲繞された空間に嵌装される半幅二枚合わせ平鋼板の交差ブレース機構としておくと、視野を妨げる倍幅なブレースと力学的に同等なブレースでありながら、共用廊下からの見晴らしを格段に向上させる。
上記した増設補強フレーム架構着装構面構造体にあっても、囲繞空間の底に当たる面に型枠底板を配置し、床スラブを上下に貫通する注入孔から囲繞空間に高流動無収縮高強度モルタルまたは高流動無収縮高強度コンクリートを、床スラブを貫通する空気抜き孔から流出するまで注入することにより、増設スラブを形成することができる。増設スラブの養生固化後型枠底板を外すだけでよく、周囲の鉄骨部材が型枠代わりをして、型枠外しの手間が著しく省かれる。
本発明に係る増設補強フレーム架構の着装構造体の一実施態様の全体図。 上下非対称の変形溶接H形鋼製の直交梁の拡大図。 直交梁と増設スラブの俯瞰図。 床スラブおよび増設スラブに作用する水平力に起因した直交梁の応力説明図。 半幅二枚合わせ平鋼板の交差ブレース機構の側面図。 半幅二枚合わせ平鋼板の交差ブレース機構の正面図。 半幅二枚合わせ平鋼板の交差ブレース機構を増設補強フレーム架構適用して見晴らしを向上させた概念図。 耐震補強用構面にPC板を着装させたことにより、厚肉鋼管シヤキーが導入された補強スラブの俯瞰図。 厚肉鋼管シヤキーが適用された増設スラブの拡大構造図。 直交梁をRC造またはSRC造とした場合の廊下往来図。 耐震補強用構面に全幅一枚平鋼板の交差ブレース機構を適用した場合の見晴らしの悪さ示す概念図。 RC造またはSRC造とした場合の直交梁の内部構造拡大図。
以下に、本発明に係る増設補強フレーム架構の着装構造体およびその構築法を、実施の形態を表した図面に基づいて詳細に説明する。この発明は、RC造またはSRC造の集合住宅の短辺方向が耐震壁、桁方向がラーメン構造であって、図1に示すように、既存建物の桁方向に延びる共用廊下の側の既設構面に、図示しないブレースを取り付けることができる耐震補強用構面を一体化させる増設補強フレーム架構の着装構造である。
増設補強フレーム架構を共用廊下の外側に配置させて、玄関や窓等の開口に影響されずに耐震補強用のブレースの取り付けを可能にし、そのために必要な直交梁の可及的小嵩化を実現して工事中も廊下の往来の安全を図り、廊下手摺の一時撤去・回復作業を排除して、工事中の居住継続を可能にしようとするものである。その耐震補強用構面44はX形、V形、K形といった各種形態のブレース、とりわけ、見晴らしを損なわなない後で詳しく触れる細幅X形というべき画期的なブレースをも取り付けることができるものである。
その細幅X形ブレースとは本発明者が特願2021―69387号で提案した二枚合わせ平鋼板の交差ブレース機構25(図5および図6を参照)であり、それが採用されている例でもって後に説明する。
図1に示すように、既設構面33の既設柱33Cと既設梁33Bの交差部から、図2に示した共用廊下BBをなす床スラブ55の下面傾斜面55uに上側のフランジ部56fを沿わせて既存建物1AAに直交して延びる上下非対称の変形溶接H形鋼56Hである鉄骨製直交梁56が設けられる。既設構面33の既設柱33Cと既設梁33Bの交差部とは、共用廊下BBの側の戸境部をなす既設柱33Cにおける既設梁33Bの高さレベルからという意味であり、直交梁とは、既存建物1AAの桁方向に直交して水平に延びていることを意味している。
この溶接H形鋼56Hとは、圧延ラインに配置された何段もの圧延ロールにビレットを通過させて徐々にH形断面に変形させたロール成形H形鋼ではなく、製缶工場で、平鋼を所望する形状に切断・変形させた後、断面H形に溶接して得た鉄骨である。それゆえ、ロール成形鋼などのJIS規格に制約されず形や寸法が自由に選定された鉄骨材である。よって、上下非対称すなわち断面形状・寸法が定形的とは限らず、フランジ部が平坦ではなく、傾斜させたり、折れ曲がった形にしておくこともできる。もちろん、ウエブ部は平坦でないフランジ部にマッチした形状にしておくことも容易である。
この変形溶接H形鋼56Hのウエブ部56wには、床スラブ55の下面空間に向けて水平に突出する頭付きスタッド7(図3も参照)が溶接されており、後記する増設スラブ84との接合の確実を期している。なお、床スラブ55が両横(図3では上部および下部)にない建物最端部などに位置する変形溶接H形鋼(図示せず)では、ウエブ部の一方側のみに頭付きスタッドが溶接される。
図2に戻って、変形溶接H形鋼56Hの基端56bは、既設構面33の既設柱33Cに一体化される一方、突端56eは、耐震補強用構面44の補強柱44Cに一体化される。ちなみに、既設構面33の既設柱33Cは上下に延び、既設梁33Bは既設柱33Cの間にあって、各階における床を支える力を既設柱33Cに伝達する。耐震補強用構面44の補強柱44Cも図示しないフフランジ継手を介して階を跨いで上下に延び、補強梁44Bは補強柱44Cの間にあって、フランジ継手30(図3を参照)を介するなどして連結され、各階における荷重を支える力を補強柱44Cに伝達する。すなわち、耐震補強用構面44に作用する垂直方向の荷重のすべてが補強柱44Cを介して、その直下に新たに設けられた基礎(図示せず)もしくは既設柱33C直下の基礎に図示しない部材を介して間接的に伝達されるようにしている。
ちなみに、変形溶接H形鋼56Hの基端56bは、接着系アンカーボルト11(図2を参照)により既設柱33Cに一体化される一方、突端56eは、補強柱44Cに取り付けられた垂直姿勢のブラケット12にスプライスプレート13を介した高力ボルト6による高力ボルト締結の摩擦接合形態により、補強柱44Cに一体化されている。なお、12Aはバックアップスティフナーである。
既設梁33Bは既設柱33CにRC造またはSRC造による一体化であるが、補強梁44Bは補強柱44Cに溶接されている。これから分かるように、耐震補強用構面44は事前に建築現場の傍らなどで、予めサブアッセンブリしておき、クレーンにより吊り上げるなどして立てかけられる。
以上の鉄骨組み立てが済めば、床スラブの下に直交梁56と一体化した増設スラブ(水平ダイヤフラム)84(図3を参照)を形成して、床スラブの水平力に対する増強を図りつつ、直交梁56の高剛性化も達成される。そして、既設柱33C、既設梁33B、補強柱44C、補強梁44B、変形溶接H形鋼56H、隣接する他の変形溶接H形鋼56Hにより囲繞される空間8の底に当たる面に底板型枠26(図2を参照)を配置し支保工等で支える。空間8にはせん断補強筋9Rやスパイラルフープ85(図3を参照)が配置され、増設スラブ84の空間形成が整えば、床スラブ55を上下に貫通する注入孔27(図2を参照)から囲繞空間8に高流動無収縮高強度モルタル(例えば40N/mm以上)28または高流動無収縮高強度コンクリート(特開2003-89563を参照)を、床スラブ55を貫通する空気抜き孔29から流出する時点まで注入して増設スラブ84が形成される。なお、既設柱33C、既設梁33B、補強柱44C、補強梁44B、変形溶接H形鋼56H、隣接する他の変形溶接H形鋼56Hが高流動無収縮コンクリート打設の際の型枠をなしており、底板26以外の型枠の設置撤去の手間が必要でないことが理解される。
このような構成としておけば、耐震補強用構面44は鉄骨製構造としたゆえ、接合の利便から直交梁56も上記したごとく鉄骨製としておくことができる。直交梁は上下非対称の変形溶接H形鋼56Hとしておくから、共用廊下BBをなす床スラブ55の下面傾斜面55uに上側のフランジ部56fを沿わせやすく、鉄骨製であるゆえに、上下非対称化による形状選定の自由度が高く、RC造またはSRC造の直交梁のほどに断面二次モーメントおよび断面係数を大きくしておく必要がない。それゆえ、廊下の往来時に頭をぶつけないようにとの注意を払うことも可及的に少なくなり、また、前方の目障りとならないコンパクトな直交梁が実現される。
直交梁を鉄骨製とするから、直交梁の基端56bや突端56eの既設構面33もしくは鉄骨製耐震補強用構面44との一体化は容易となり、耐震補強用構面44の軽量化・工事の短縮化が促推される。
変形溶接H形鋼56Hのウエブ部56wには、床スラブ55の下面空間に向けて水平に突出する頭付きスタッド7が溶接されており、変形溶接H形鋼56Hの増設スラブ84との接合も剛強なものとなり、変形溶接H形鋼56Hのコンパクト化が図られる。
直交梁56のRC造またはSRC造化の回避は低ボリューム化を促し、住人の歩行不安の払拭や一時退去を強いるフェンス撤去の必要はなくなり、工事中の居住の継続も可能となる。直交梁の基端56bと既設構面33とが接着系アンカーボルト11により一体化されるから、高い定着性を念頭に置いた補強筋を採用する場合よりは、工事の簡素化が図られる。一方、直交梁の突端56eは、補強柱44Cに取り付けられた垂直姿勢のブラケット12にスプライスプレート13を介した高力ボルト締結により、補強柱44Cと一体化されるから、安定度の高い摩擦接合形態とすることができる。
上記した増設補強フレーム架構着装構面構造体にあっても、囲繞空間8の底に当たる面に型枠底板26を配置し、床スラブ55を上下に貫通する注入孔27から囲繞空間8に高流動無収縮高強度モルタル28を、注入することにより、増設スラブ84を形成することができる。増設スラブ84の養生固化後は型枠底板26を外すだけでよく、周囲の鉄骨部材が型枠代わりをして、型枠外しの手間がおおいに省かれる。
ちなみに、図4に示すように、床スラブ55に地震等で水平力11Aが作用すると、モーメント11Mが生じる。このモーメント11Mに対抗すべくモーメントを生じさせる力11aが直交梁56に生じる。右隣のスラブでも反対方向へ同様の力11bを直交梁56に生じさせているから、相殺しあって結局直交梁には大きい力は作用しない。この挙動はRC造等の直交梁にでも当てはまるが、左右にスラブがある場合に限っての話である。スラブが片側にしかない場合は直交梁には長手方向に大きい力が作用するのは致し方ない。直交梁にはその力11aに耐える必要があるが、RC造等の直交梁ではその対策が必要である。一方、変形溶接H形鋼56Hに対応力を持たせることは、いたって容易である。極言すれば、左右にスラブがあるH形鋼直交梁と同一仕様としても十分耐えられ、投入資材の共通化も発揮される。
ところで、増設補強フレーム44に取り付けることができるブレースは、図5に示す補強柱44Cと補強梁44Bとで囲繞された紙面に垂直な空間34に嵌装される半幅二枚合わせ平鋼板の交差ブレース機構25(特願2021―69387参照)であり、例としては補強柱44Cの弱軸にとりつけたタイプあり、以下略述する。
図6を参照して、長さが同一かつ厚みが同一の4枚の平鋼1a, 1b, 1c, 1dが互いに接近した垂直面内に配置される。平鋼1と同厚漸増広幅の端板2とが、その平鋼の幅に等しい小幅端部をもって,平鋼1の両端部に、突き合せ溶接3により一体化される。第一平鋼1aが第二平鋼1bとX字状に接触することなく交差され、第一平鋼1aと同一姿勢配置の第三平鋼1cが第二平鋼1bと同一姿勢配置の第四平鋼1dとX字状に接触することなく交差される。二つのガセットプレート4A, 4Bは平鋼以下の厚みを有し、構面の対角線方向のコーナーに溶接され、第一平鋼1aと第三平鋼1cとは第一ガセットプレート4Aと第二ガセットプレート4Bを挟むとともに両端板2a, 2c、2a, 2cの間で高力ボルト6により剛強に固定して一体化され、これでもって、二重平鋼鋼製の第一ブレース体5Aとなし、他のガセットプレート4C,4Dも平鋼以下の厚みを有し、構面の他の対角線方向のコーナーに溶接され、第二平鋼1bと第四平鋼1dとは第三ガセットプレート4Cと第四ガセットプレート4Dを挟むとともに両端板2b, 2d、2b, 2dの間で高力ボルト6により剛強に固定して一体化され、これでもって、二重平鋼鋼製の第二ブレース体5Bとなす。そして、第一ブレース材5Aと第二ブレース材5Bとは、両ブレース材の交差部にガセットプレートが設けられることなく、二枚合わせ平鋼板からなる交差ブレース体10を形成しているのである。
増設補強フレーム44に取り付けることができるブレースを、補強柱44Cと補強梁44Bとで囲繞された空間34に嵌装される半幅二枚合わせ平鋼板の交差ブレース機構25としておけば、視野を妨げる倍幅なブレース(図11を参照)と力学的に同等なブレースでありながら、共用廊下からの見晴らしを格段に向上させ、圧迫感もなくなる(図7を参照)。
ところで、集合住宅には、図8に示すごとく、既設柱33Cと既設梁33Bの外面にPC板(プレキャストコンクリートパネル)18が貼着されている場合、戸境部の前記直交梁56と略同一レベルにある図9に示す増設スラブ84が、荷重伝達がないよう配慮したオーバーサイズ孔13aでもってPC板18を貫き既設梁33Bに埋入して固定された脚部19fを有する厚肉鋼管シヤキー19の頭部19hを含んだ間接接合部20を介して既存躯体 すなわち既設構面33に一体化される。なお、86は頭付きスタッドであり、36は補強鉄骨35・既存躯体33間に充填されたモルタルである。
このようなことより、補強鉄骨35に対して直角に伸びる姿勢でRC造・SRC造の躯体に設置することが容易となり、厚肉鋼管キーは通常のアンカーとしての棒鋼よりはるかに大きな曲げ剛性、せん断剛性に加えて大きなコンクリート支圧面積を確保できるようになる。躯体から間接接合部に作用する大きなせん断力を確実に補強鉄骨に伝達することができる。それゆえ、補強のための投入資材点数の大幅な削減と、そのための工事量や工事時間の節減は目覚しいものがある。もちろん、工事の迅速化も図られる。
1AA:既存建物、BB:共用廊下、1:平鋼、1a:第一平鋼、1b:第二平鋼、1c:第三平鋼、1d:第四平鋼、2, 2a, 2a, 2b, 2b, 2C,2C, 2d, 2d:端板、3:突き合せ溶接、4:ガセットプレート、4A:第一ガセットプレート、4B:第二ガセットプレート、4C:第三ガセットプレート、4D:第四ガセットプレート、5:ブレース体、5A:第一ブレース体、5B:第二ブレース体、6:高力ボルト、7:頭付きスタッド、8:囲繞された空間、9R:せん断補強筋、10;交差ブレース体、11;接着系アンカーボルト、12:ブラケット、13:スプライスプレート、13a:孔、
18:PC板(プレキャストコンクリートパネル)、19:厚肉鋼管シヤキー、19f:脚部、19h:頭部、25:半幅二枚合わせ平鋼板の交差ブレース機構、18:PC板、19:厚肉鋼管、19:厚肉鋼管シヤキー、19f:脚部、19h:頭部、20:間接接合部、21:ブラケット、22:スプライスプレート、23:高力ボルト、25:半幅二枚合わせ平鋼板の交差ブレース機構、26:底板型枠、27:注入孔、28:高流動無収縮高強度モルタル等、29:空気抜き孔、33:既設構面、33C:既設柱、33B:既設梁、34:囲繞空間、35:補強鉄骨、36:モルタル、44:耐震補強用構面、44B:補強梁、44C:補強柱、55:床スラブ、55R:補強スラブ、55u:下面傾斜面、56:鉄骨製直交梁、56H:上下非対称の変形溶接H形鋼、56f:フランジ部、56w:ウエブ部、56b:基端、56e:突端、84:増設スラブ(水平ダイヤフラム)、85:スパイラルフープ、86:頭付きスタッド、

Claims (5)

  1. RC造またはSRC造の集合住宅の短辺方向が耐震壁、桁方向がラーメン構造であり、既存建物の桁方向に延びる共用廊下側の既設構面に、ブレースを取り付けることができる耐震補強用構面を一体化させる増設補強フレーム架構の着装構造において、
    既設構面の既設柱と既設梁の交差部から、前記共用廊下をなす床スラブの下面傾斜面にフランジ部を沿わせて前記既存建物に直交して延びる上下非対称の変形溶接形鋼である鉄骨製直交梁が配置され、
    該変形溶接形鋼のウエブ部には、床スラブの下面空間に向けて水平に突出する頭付きスタッドが溶接されており、
    該変形溶接形鋼の基端は、既設構面の既設柱に一体化される一方、突端は、耐震補強用構面の補強柱に一体化され、
    該耐震補強用構面は鉄骨製構造であり、
    前記既設柱、既設梁、補強柱、補強梁、変形溶接形鋼、隣接する他の変形溶接形鋼、床スラブの下面傾斜面とで囲繞された空間を、そこに施されたせん断補強筋を備える増設スラブとしていることを特徴とする増設補強フレーム架構着装構造体。
  2. 前記変形溶接形鋼の基端は、接着系アンカーボルトにより既設柱に一体化される一方、突端は、補強柱に取り付けられた垂直姿勢のブラケットにスプライスプレートを介した高力ボルトの締結による摩擦接合形態により、前記補強柱に一体化されていることを特徴とする請求項1に記載された増設補強フレーム架構着装構面構造体
  3. 集合住宅に既設柱と既設梁の外面にP板が貼着されている場合、戸境部の前記直交梁と略同一レベルにある増設スラブが、P板を貫き既設梁に埋入して固定された脚部を有する厚肉鋼管シヤキーの頭部を含んだ間接接合部を介して既設構面に一体化されていることを特徴とする請求項1に記載された増設補強フレーム架構着装構面構造体。
  4. 前記増設補強フレームに取り付けることができるブレースは、補強柱と補強梁とで囲繞された空間に嵌装される半幅二枚合わせ平鋼板の交差ブレース機構であることを特徴とする請求項1に記載された増設補強フレーム架構着装構面構造体。
  5. 請求項1ないし4のいずれか一項に記載された増設補強フレーム架構着装構面構造体にあって、前記囲繞空間の底に当たる面に底板型枠を配置し、床スラブを上下に貫通する注入孔から囲繞空間に高流動無収縮高強度モルタルまたは高流動無収縮高強度コンクリートを、前記床スラブを貫通する空気抜き孔から流出するまで注入することにより、増設スラブを形成することを特徴とする増設補強フレーム架構を着装する構面構造体の構築法。

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