JP2023150279A - インダクタ - Google Patents

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泰孝 水越
Yasutaka Mizukoshi
秀幸 磯部
Hideyuki Isobe
英志 岡田
Eiji Okada
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Abstract

Figure 2023150279000001
【課題】導線の被膜への磁性粉の突き刺さりを抑制し、電気特性の劣化を抑制することができるインダクタを提供する。
【解決手段】導線21は、コイル導体の巻軸MJに直交する方向に沿う端面21A、及び、巻軸MJの方向に沿う側面21Bを含み、導線21の長さ方向に直交する断面において、端面21Aと側面21Bを取り囲むように形成された被膜25を有し、端面21Aの中央部の被膜25Aの厚みが、側面21Bの被膜25Bの厚みよりも厚い。
【選択図】図5

Description

本発明は、インダクタに関する。
特許文献1は、平角状の導線を巻回して形成されたコイル導体と、コイル導体を内蔵した素体と、素体の表面に形成され、コイル導体に接続された外部電極とを有するインダクタを開示する。
従来の技術では、インダクタの成型時における導線の被膜への磁性粉の突き刺さりによる問題を抑制するために、被膜全体の厚みを厚くする。
特開2010-245473号公報
しかしながら、導線の被膜全体の厚みを厚くするとコイル導体の巻回数が減って、電気特性が劣化する課題がある。
そこで、本発明は、導線の被膜への磁性粉の突き刺さりによる問題を抑制し、かつ、電気特性の劣化を抑制するインダクタの提供を目的とする。
本発明の一態様は、平角状の導線を巻回して形成されたコイル導体と、前記コイル導体を内蔵した素体と、前記素体の表面に形成され、前記コイル導体に接続された外部電極とを有するインダクタにおいて、前記導線は、前記コイル導体の巻軸に直交する方向に沿う端面、及び、前記巻軸の方向に沿う側面を含み、前記導線の長さ方向に直交する断面において、前記端面と前記側面を取り囲むように形成された被膜を有し、前記端面の中央部の被膜の厚みが、前記側面の被膜の厚みよりも厚い、インダクタである。
本発明のインダクタによれば、導線の被膜への磁性粉の突き刺さりによる問題を抑制すると共に、電気特性の劣化を抑制することができる。
本発明の実施形態に係るインダクタを上面の側から視た斜視図である。 インダクタを実装面の側から視た斜視図である。 インダクタの内部構成を示す透視斜視図である。 インダクタの製造工程の概要図である。 コイル導体に用いられる導線の断面図である。 Aは、コイル導体の縦断面図、B及びCは、それぞれ模式的に示す導線の断面図である。 導線の端面を拡大して示す図である。 導線の弓形具合を示す図である。 導線の弓形具合を示す図である。 導線の弓形具合を示す図である。
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
図1は本実施形態に係るインダクタを上面12の側から視た斜視図であり、図2はインダクタを底面10の側から視た斜視図である。
本実施形態のインダクタは、表面実装型の電子部品として構成されており、略六面体形状の一態様である略直方体形状の素体2と、当該素体2の表面に設けられた一対の外部電極4とを備えている。
以下、素体2において、実装時に図示しない実装基板に向けられる第1の主面を底面10と定義し、底面10に対向する第2の主面を上面12と言い、底面10に直交する一対の第3の主面を端面14と言い、これら底面10、及び一対の端面14に直交する一対の第4の主面を側面16と言う。
図1に示すように、底面10から上面12までの距離を素体2の厚みTと定義し、一対の側面16の間の距離を素体2の幅Wと定義し、一対の端面14の間の距離を素体2の長さLと定義する。また、厚みTの方向を厚み方向DTと定義し、幅Wの方向を幅方向DWと定義し、長さ距離の方向を長さ方向DLと定義する。
インダクタの大きさは、例えば、長さL寸法が3.5mm、幅W寸法が2.5mm、厚みT寸法が1.9mmである。
図3は、インダクタの内部構成を示す透視斜視図である。
素体2は、コイル導体20と、当該コイル導体20が埋設された略六面体形状のコア30と、を備え、かかるコイル導体20をコア30に封入した導体封入型磁性部品として構成されている。
コア30は、磁性粉と樹脂を混合した混合粉を、コイル導体20を内包した状態で加圧及び加熱することで略六面体形状に圧縮成型された成型体である。
また、本実施形態の磁性粉は、平均粒径が比較的大きな大粒子の第1磁性粒子と、平均粒径が比較的小さな小粒子の第2磁性粒子との2種類の粒度の粒子を含んでいる。これにより、圧縮成型時において、大粒子の第1磁性粒子の間に、小粒子である第2磁性粒子が樹脂とともに入り込むことでコア30の磁性粒子の充填率を大きくし、また透磁率も高めることができる。本実施形態において、第1磁性粒子および第2磁性粒子の金属粒子の平均粒径はそれぞれ24.4μmおよび4.0μmである。なお、第1磁性粒子の平均粒径は19μm以上30μm以下が好ましく、第2磁性粒子の平均粒径は3μm以上5μm以下が好ましい。
大粒子と小粒子の配合比は、75:25の重量比である。大粒子と小粒子の配合比は、70:30~85:15の重量比であり、好ましくは70:30~80:20の重量比である。大粒子と小粒子の平均粒径の比は5.0以上である。大粒子の最小粒径/小粒子の最大粒径は、例えば21.4/4.25である。
磁性粉は、第1磁性粒子と第2磁性粒子とは異なる粒子を含んでもよい。
本実施形態において、第1磁性粒子及び第2磁性粒子はいずれも、金属粒子と、その表面を覆う数nm以上数十nm以下の膜厚の絶縁膜とを有した粒子であり、金属粒子にはFe-Si系アモルファス合金が用いられ、絶縁膜にはリン酸亜鉛ガラスが用いられている。金属粒子が絶縁膜で覆われることで、絶縁抵抗と耐電圧とが高められる。
なお、第1磁性粒子及び第2磁性粒子において、金属粒子には、Fe-Si-Cr合金粉、CrレスのFe-Si合金粉、Fe-Ni-Al合金粉、Fe-Cr-Al合金粉、Fe-Si-Al合金粉、Fe-Ni合金粉、Fe-Ni-Mo合金粉を用いてもよい。第2磁性粒子ではカルボニル鉄粉等の純鉄を用いてもよい。
また、第1磁性粒子及び第2磁性粒子において、絶縁膜には、他のリン酸塩(リン酸マグネシウム、リン酸カルシウム、リン酸マンガン、リン酸カドミウムなど)、又は、樹脂材料(シリコーン系樹脂、エポキシ系樹脂、フェノール系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリフェニレンサルファイド系樹脂など)を用いてもよい。
本実施形態の軟磁性粉と樹脂を混合した混合粉において、樹脂の材料には、ビスフェノールA型エポキシ樹脂を主剤としたエポキシ樹脂が用いられている。なお、エポキシ樹脂は、フェノールノボラック型エポキシ樹脂であってもよい。樹脂重量の割合は、軟磁性粉と樹脂の総重量を基準として、2.9~3.1wt%である。
また、樹脂の材料は、エポキシ樹脂以外であってもよく、また、1種類ではなく2種類以上であってもよい。例えば、樹脂の材料には、エポキシ樹脂の他にも、フェノール樹脂、ポリエステル樹脂、ポリイミド樹脂、ポリオレフィン樹脂などの熱硬化性樹脂を用いることができる。
コイル導体20は、図3に示すように、導線が巻回された巻回部22と、当該巻回部22から引き出された一対の引出部24とを備える。巻回部22は、導線の両端が巻回部22の外周に引き出され、かつ内周で互いに繋がるように導線を渦巻き状に巻回して形成される。素体2の内部において、コイル導体20は、巻回部22の巻軸が、素体2の厚み方向DTに沿う姿勢でコア30に埋設されている。また引出部24は、巻回部22から一対の端面14のそれぞれまで引き出され、外部電極4に電気的に接続されている。
外部電極4は、端面14の全面から、当該端面14に隣接する底面10、上面12、及び一対の側面16のそれぞれの一部に亘って設けられた、いわゆる5面電極であり、はんだなどの適宜の実装手段によって回路基板の配線に電気的に接続される。
かかる構成のインダクタは、磁性粉に軟磁性粉を用いることにより、直流重畳特性を改善できるので、大電流が流れる電気回路の電子部品、DC-DCコンバータ回路や電源回路のチョークコイルとして用いられ、また、パソコン、DVDプレーヤー、デジカメ、TV、携帯電話、スマートフォン、カーエレクトロニクス、医療用・産業用機械などの電子機器の電子部品に用いられる。ただし、インダクタの用途はこれに限られず、例えば、同調回路、フィルタ回路や整流平滑回路などにも用いることもできる。
なお、インダクタにおいて、外部電極4の範囲を除く素体2の表面全体に、素体保護層を形成してもよい。素体保護層の材料には、例えばエポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、フェノール樹脂等の熱硬化性樹脂、又は、ポリエチレン樹脂、ポリアミド樹脂等の熱可塑性樹脂を用いることができる。なお、これらの樹脂は酸化ケイ素、酸化チタン等を含むフィラーを更に含んでいても良い。
図4は、インダクタの製造工程の概要図である。
同図に示すように、インダクタの製造工程は、コイル導体形成工程、予備成型体形成工程、熱成型・硬化工程、バレル研磨工程、及び、外部電極形成工程を含んでいる。
コイル導体形成工程は、導線からコイル導体20を成型する工程である。当該工程において、コイル導体20は、「アルファ巻」と称される巻き方で導線を巻回することにより、上述した巻回部22、及び一対の引出部24を有した形状に成型される。アルファ巻とは、導体として機能する導線の巻始めと巻終わりの引出部24が外周に位置するように渦巻き状に2段に巻回された状態を言う。コイル導体20のターン数は、特に限定されるものではない。
予備成型体形成工程は、タブレットと称される予備成型体を成型する工程である。
予備成型体は、素体2の材料である上記混合粉を加圧することで、取り扱いが容易な固形状に成型したものであり、本実施形態では、コイル導体20が入り込む溝を有した適宜形状(例えばE型など)の第1タブレットと、この第1タブレットの溝を覆う適宜形状(例えばI型や板状など)の第2タブレットとの2種類のタブレットが形成される。
熱成型・硬化工程は、第1タブレット、コイル導体、及び第2タブレットを成型金型にセットし、熱を加えながら、第1タブレットと第2タブレットの重なり方向に加圧し、これらを硬化させることとで、第1タブレット、コイル導体、及び第2タブレットを一体化する。これにより、コイル導体20をコア30に内包した素体2が成型される。
バレル研磨工程は、この成型体をバレル研磨する工程であり、当該工程により、素体2の角部へのR付けが行われる。
外部電極形成工程は、外部電極4をコア30に形成する工程であり、表面処理工程と、導電性樹脂層形成工程と、めっき層形成工程と、を含んでいる。
表面処理工程は、コア30の表面の電極予定箇所にレーザ光を照射することで電極予定箇所の表面を改質する工程である。ここで、電極予定箇所とは、コア30の表面のうち外部電極4を形成すべき範囲をいい、引出部24が露出されている部分を含む。具体的には、レーザ光を照射することにより、電極予定箇所の範囲において、コア30の表面の樹脂を除去すると共に、コア30から露出している磁性粒子の表面の絶縁膜を除去する。これにより、コア30の表面のうち電極予定箇所の部分は、コア30の他の表面部分に比べて、コア30の表面の単位面積あたりの磁性粒子の金属の露出面積が大きくなる。なお、レーザ照射後に、電極予定箇所の表面を清浄するための洗浄処理(例えばエッチング処理)を行っても良い。
導電性樹脂層形成工程では、電極予定箇所に、導電粉と樹脂とを含むペースト状の導電性樹脂を塗布し乾燥硬化させることで、導電性樹脂層を形成する。具体的には、導電性樹脂ペーストの中に、コア30を、端面14の側からディップして引き上げることにより、端面14を含む所望の塗布範囲に導電性樹脂を塗布する。
このような導電性樹脂層は、導電粉を含有するため、後述するめっき層形成工程において電極予定箇所に一様な電位分布を形成し得るので、導電性樹脂層の上に形成されるめっき層の均質性を向上することができる。
本実施形態では、導電性樹脂として、粒径が数10nmの銀(Ag)の微細粉末(いわゆるナノ銀)とアクリル樹脂との混合物を用いている。当該混合物における銀の重量比は、例えば88%である。このような銀の微細粉末を用いることにより、上述しためっき層の均質性向上に加えて、導電性樹脂層における銀の充填率を上げて外部電極4と引出部24との間の直流抵抗値を低減することができる。
めっき層形成工程では、導電性樹脂層の表面上に、めっき層を形成する。めっき層は、導電性樹脂層の表面に直接に形成される第1めっき層と、第1めっき層の上に形成される第2めっき層とで構成される。本実施形態では、第1めっき層は、厚み4.0μm以上15μm以下のニッケル(Ni)めっき層であり、第2めっき層は、厚み4μm以上8μm以下のスズ(Sn)めっき層である。めっき層は、電解めっき(例えば、バレルめっき)により形成され得る。なお、ニッケル(Ni)めっき層に代えて、銅(Cu)のめっき層を用いてもよい。めっき層は、本実施形態では2層で構成されるものとしたが、これに限らず、任意の層数で構成されるものとすることができる。
上記の外部電極形成工程により、導電性樹脂層と、めっき層と、で構成される外部電極4が形成される。
なお、外部電極4は、めっき層のみで形成し、或いは、スパッタリングや、銅板などを用いて形成してもよい。外部電極4は、5面電極に限らず、端面14及び底面10の両面にのみ形成した、いわゆるL字電極でもよく、また底面10にのみ形成した、いわゆる底面電極でもよい。
図5は、コイル導体20に用いられる導線21の断面図である。
この導線21は断面の形状が平角状である。平角状の線材を用いることにより、導線21を隙間なく巻回すことが可能になる。導線21は一対の端面21Aと、一対の側面21Bとを有する。一対の端面21Aは、コイル導体20の巻軸MJに直交する面であり、一対の側面21Bは、巻軸MJと平行な面である。
導線21は、銅クラッドアルミニウム導線や、アルミニウム導線である。導線21は、一対の側面21B、及び、一対の端面21Aを含み、導線21の長さ方向に直交する断面において、端面21Aと側面21Bとを取り囲むように、その表面が、被膜25により覆われている。また、導線21は、コイル導体20の引き出し部24と外部電極4を接続するために、コイル導体20の引き出し部24の外部電極4と接続される領域の被膜25が除去されている。
また、端面21Aの被膜25は、端面21Aの中央部P1の厚みT1が厚く、端面21Aの両端部P3の厚みT3が薄い、きのこ状になっている。被膜25は、絶縁層と、絶縁層の外側の融着層とに分かれ、融着層はコイル導体20を形成する際、融解してコイル導体20の巻回部22で隣り合う導線21同士を固定しており、コイル導体20の巻回部22における厚みはもとの厚みの半分程度になっている。
絶縁層としては、例えばポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ポリアミドイミド樹脂が挙げられ、好ましくはポリアミドイミド樹脂である。融着層としては、ポリアミド樹脂が挙げられる。
端面21Aの中央部P1の被膜25Aの厚みT1は、側面21Bの被膜25Bの厚みT2よりも厚く、厚さの比率は150%とされている。また、端面21Aの両端縁部P3の被膜25Aの厚みT3は、側面21Bの被膜25Bの厚みT2よりも厚く、厚さの比率は130%とされている。
図6Aは、コイル導体20の縦断面図、図6B及び図6Cは、それぞれ模式的に示す導線21の断面図である。
コイル導体20は、上下2段に亘って導線21を渦巻き状に巻回した巻回部22と、巻回部22から引き出された一対の引出部24とを備えている。同図で、導線21は弓形に変形する。
導線21が弓形に変形する理由を説明する。
図6Bに模式的に示すように、端面21Aの被膜25Aが、側面21Bの被膜25Bよりも外方に極端に張り出す場合、導線21を巻線機(不図示)の巻軸に巻き付けていくと、図6Cに模式的に示すように、導線21間の領域に隙間δが生じる。
導線21の巻数が増えていくに従って、導線21が巻き締る。導線21の上下端は被膜25Aによって保持されているが、導線21間に隙間δがあるため、導線21の側面21Bの中央部に応力が加わる。これにより、図6Aに示すように、導線21の側面21Bの中央部が凹み、導線21が弓形に変形する。
図7は、導線21の端面21Aを拡大して示す図である。
本実施形態の磁性粉は、平均粒径が比較的大きな第1磁性粒子50と、平均粒径が比較的小さな第2磁性粒子51とを含んでいる。導線21の端面21Aの被膜25Aには、磁性粒子の突き刺さり部TSが見て取れる。
磁性粉の突き刺さりが発生すると、導線21の絶縁性が低下するため、被膜25の絶縁層の耐圧向上が必要になる。
表1は、実験結果を示す。
Figure 2023150279000002
試料番号1~試料番号4の試料は、古河マグネットワイヤ社製の導線21を巻回してコイル導体20を形成し、コイル導体20を素体2内に埋設して形成した試料である。
素体2は、金属磁性粉の大きな第1磁性粒子50の平均粒径が24.4μm、小さな第2磁性粒子51の平均粒径が4.0μmである。
金属磁性粉と樹脂との関係は、(樹脂の重量)/(金属磁性粉と樹脂の合計重量)=3wt%である。
素体の成型圧力は50Mpa(約500kgf/cm2)である。
導線21は、例えば、古河マグネットワイヤ社製 AILOCKT-FAR BKであり、図5を参照し、平角線の高さHが、0.550mm、幅Wが、0.041mm、被膜25の材質が、ポリアミドイミド樹脂である。
試料番号1~試料番号4は、古河マグネットワイヤ社製の被膜25の厚みの異なる導線を準備することにより被膜25の厚みを変えている。
なお、被膜25の厚みは、素体2の底面10と直交する方向であって、素体2上面から見てコイル導体20の巻回部22の巻軸MJを通り、且つ、素体2の長さ方向DLの長手方向に沿って、素体2を切断して、2段に巻回された巻回部22の素体2の底面10に近接する段の最外周の一方の導線21の断面を観察し、その断面において導線21に付着している被膜25の厚みを測定している。
被膜25Aの厚みは、素体2の底面10に近接する導線21の端面21Aの中央部P1の厚みT1と、中央部P1を中心とした端面21Aの長さの80%の範囲内で、中央部P1を中心にして所定の間隔で離間した2か所の厚みと、を測定した平均値である。また、被膜25Bの厚みは、導線21の素体2の側面に近接する側面21Bの中央部P2の厚みと、中央部P1を中心とした側面21Bの長さの80%の範囲内で、中央部P2を中心にして所定の間隔で離間した4か所の厚みと、を測定した平均値である。端面21Aの両端側部被膜厚みCは、導線21の端面21Aと素体2の側面に近接する側面21Bとが交差する点P3の厚みと、P3を中心として端面21Aの長さの20%の範囲内と側面21Bの長さの20%の範囲内で、P3を中心にして所定の間隔で離間した2か所の厚みと、を測定した平均値である。
被膜の厚みが一定の場合、被膜への磁性粉の突き刺さり(図7参照。)が多くなると、耐圧(V)が下がる傾向があることが判明している。表1に示すように、磁性粉の突き刺さり具合の評価の代わりに、耐圧(V)の変化を測定している。
実験結果から、A/Bが、100%よりも大きく、150%以下、かつ、C/Bが73%以上130%以下とした場合、A、B、Cの厚みが等しい導線を用いた従来のインダクタの耐圧160(V)と比較しても、耐圧(V)の低下が見られないため、インダクタンス値を低下させることなく、磁性粉の突き刺さりによる問題を低減することができる。
また、コイル導体形成工程において、コイル導体20の導線21は弓形(図6A参照。)に変形する。
図8~図10は、素体2の切断面の一部を示している。この切断面は、コイル導体20の巻軸MJを通り、素体2の上面の長さ方向に延びる仮想線により、素体2を厚み方向に切断した切断面である。
表2は、実験結果を示す。
Figure 2023150279000003
表2の試料番号5~試料番号7は、それぞれ図8~図10に該当するもので、弓形具合は、素体2の切断面を目視で確認し、変形が小さいものを良としている。また、導線21の側面21Bの上下端が巻回部22の外周方向に移動し、導線21の側面21Bの中央部P2が巻回部22の内周方向に凹んだものを可としている。
試料番号5は、C/Bが73%以上130%以下のものであり、図8に示すように、導線21の変形が小さく良となっている。試料番号6は、C/Bが150%のものであり、図9に示すように、図8のものよりも変形し、導線21の側面21Bの上下端が巻回部22の外周方向に移動し、導線21の側面21Bの中央部P2が巻回部22の内周方向に凹んでいる。試料番号7は、C/Bが600%以上のものであり、図10に示すように、図9のものよりも変形し、巻回部22の上段、下段ともに、導線21の側面21Bの上下端が巻回部22の外周方向に移動し、導線21の側面21Bの中央部P2が、巻回部22の内周方向に凹んでいる。
実験では、素体2の成型圧力は50Mpa(約500kgf/cm2)である。素体2の成型圧力を、条件1~条件7に変化させた。
条件1=546.4(kgf/cm2)、条件2=521.3(kgf/cm2)、条件3=496.3(kgf/cm2)、条件4=397.7(kgf/cm2)、条件5=299.2(kgf/cm2)、条件6=198.9(kgf/cm2)、条件7=148.7(kgf/cm2)である。
成型圧力を条件1~条件7に変化させても、試料番号1~試料番号4の耐圧(V)に変化がないことが判明した。
被膜25において、A/Bが100%よりも大きく、150%以下、かつ、C/Bが73%以上130%以下とした場合、耐圧(V)の低下が少なく、インダクタンス値を低下させることなく、磁性粉の突き刺さりによる問題を低減できることが判明した。
本実施の形態では、端面21Aの中央部の被膜25Aの厚みが、側面21Bの被膜25Bの厚みよりも厚い場合、耐圧(V)の低下が見られないため、インダクタンス値を低下させることなく、図4に示す熱成型・硬化工程における、導線21への磁性粉の突き刺さりによる問題を低減できる。かかる構成のインダクタは、磁性粉に軟磁性粉を用いることにより、直流重畳特性を改善しているが、この軟磁性粉の導線21への突き刺さりによる問題を低減できる。
また、端面21Aの中央部の被膜25Aの厚みが、側面21Bの被膜25Bの厚みの100%よりも大きく、150%以下、かつ、端面21Bの両端部の被膜の厚みが、側面の被膜の厚みの70%以上130%以下の場合、導線21を巻線機(不図示)の巻軸に巻き付けて巻回す際に、図6B及び図6Cで示す場合と異なり、導線21間の隙間δの大きさが、それ程大きくならず、導線21の弓形具合が改善されると共に、図4に示すコイル導体形成工程において、隙間のない巻回しを容易に行うことができるため、コイル導体20の巻回数が減ることがなく、電気特性の劣化を防ぐことができる。
本実施の形態では、上下の端面21Aの被膜25Aの厚みT1は、側面21Bの被膜25Bの厚みT2の100%よりも大きく、150%以下であることが望ましい。
本実施の形態では、上下の端面21Aの被膜25Aの厚みT1を厚くしたが、いずれか一方の端面21Aの被膜25Aの厚みT1を厚くしてもよい。
本実施の形態では、端面21Aの中央部の被膜25Aの厚みは、側面21Bの中央部の被膜25Bの厚みよりも厚くしてもよい。
また、端面21Aの中央部の被膜25Aの厚みは、側面21Bの中央部の被膜25Bの厚みの100%よりも大きく、150%以下、としてもよい。
また、端面21Aの両端縁部の被膜25Aの厚みは、側面21Bの中央部の被膜25Bの厚みの70%以上130%以下、としてもよい。
本開示によれば、次の効果を奏する。
平角状の導線を巻回して形成されたコイル導体と、前記コイル導体を内蔵した素体と、前記素体の表面に形成され、前記コイル導体に接続された外部電極とを有するインダクタにおいて、前記導線は、前記コイル導体の巻軸に直交する方向に沿う端面、及び、前記巻軸の方向に沿う側面を含み、導体の長さ方向に直交する断面において、前記端面と前記側面を取り囲む様に形成された被膜を有し、前記端面の中央部の被膜の厚みが、前記側面の被膜の厚みよりも厚い。
本開示によれば、端面の被膜の厚みが、側面の被膜の厚みよりも厚いため、磁性粉の突き刺さりによる問題を低減でき、耐圧を向上させることができる。
また、側面の被膜の厚みを薄くすることができるので、コイル導体の巻回数が減ることがなくなり、電気特性の劣化を抑制できる。
前記端面の中央部の被膜の厚みが、前記側面の被膜の厚みの100%よりも大きく、150%以下、かつ、前記端面の両端縁部の被膜の厚みが、前記側面の被膜の厚みの70%以上130%以下である。
本開示によれば、前記端面の中央部の被膜の厚みが、前記側面の被膜の厚みの100%よりも大きく、150%以下、かつ、前記端面の両端縁部の被膜の厚みが、前記側面の被膜の厚みの70%以上130%以下であるため、導線の弓なり具合を調整することができる。
前記導線の端面の被膜は、端面の中央部の厚みが厚く、端面の両端部の厚みが薄くなっている。
本開示によれば、前記導線の端面の被膜は、端面の中央部の厚みが厚く、端面の両端部の厚みが薄くなっているため、端面の中央部の厚みと端面の両端部の厚みの割合を調整することにより、磁性粉の突き刺さりによる問題を低減しつつ、導線の弓なり具合を調整することができる。
上述した各実施形態は本発明の一態様を例示したものであって、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において任意に変形及び応用が可能である。例えば、端面の被膜の厚みと側面の厚みが同じ従来の導線の端面に絶縁被膜を形成することにより得ることもできる。また、端面の被膜の厚みと側面の厚みが同じ従来の導線を用いてコイル導体を形成し、巻回部の上面と下面にそれぞれ絶縁被膜を形成することにより得ることもできる。
上述した実施形態における水平、及び垂直等の方向や各種の数値、形状、材料は、特段の断りがない限り、それら方向や数値、形状、材料と同じ作用効果を奏する範囲(いわゆる均等の範囲)を含む。
1 インダクタ
2 素体
4 外部電極
20 コイル導体
21 導線
21A 端面
21B 側面
22 巻回部
24 引出部
25、25A、25B 被膜
30 コア
50 第1磁性粒子
51 第2磁性粒子
MJ 巻軸
P1 端面の中央部
P2 側面の中央部
P3 端面の両端部

Claims (4)

  1. 平角状の導線を巻回して形成されたコイル導体と、前記コイル導体を内蔵した素体と、前記素体の表面に形成され、前記コイル導体に接続された外部電極とを有するインダクタにおいて、
    前記導線は、前記コイル導体の巻軸に直交する方向に沿う端面、及び、前記巻軸の方向に沿う側面を含み、前記導線の長さ方向に直交する断面において、前記端面と前記側面を取り囲むように形成された被膜を有し、
    前記端面の中央部の被膜の厚みが、前記側面の被膜の厚みよりも厚い、
    インダクタ。
  2. 前記端面の中央部の被膜の厚みが、前記側面の被膜の厚みの100%よりも大きく、150%以下、かつ、前記端面の両端縁部の被膜の厚みが、前記側面の被膜の厚みの70%以上130%以下である、請求項1に記載のインダクタ。
  3. 前記導線の端面の被膜は、端面の中央部の厚みが厚く、端面の両端部の厚みが薄くなっている請求項1に記載のインダクタ。
  4. 前記導線が弓形に変形している請求項1に記載のインダクタ。
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