JP2023149541A - 土質改良材、土質改良材の作製方法および土質改良方法 - Google Patents

土質改良材、土質改良材の作製方法および土質改良方法 Download PDF

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Abstract

【課題】高い土質改良効果を有する土質改良材を提供することができる。【解決手段】本発明の土質改良材は、少なくとも燃焼した植物性バイオマス燃料の燃焼灰を含むバイオマス燃焼灰と、吸水性素材と、エトリンガイトを生成するための固化性能調整材を含有する。本発明の土質改良材は、流動床式ボイラまたはストーカ式ボイラにより植物性バイオマス燃料を燃焼させ、燃焼により得られるバイオマス燃焼灰を取得し、バイオマス燃焼灰と吸水性素材と固化性能調整材を混合することにより土質改良材を作製することができる。【選択図】図3

Description

この発明は、土砂に混合または散布して使用する土質改良材、土質改良材の作製方法および土質改良方法に関する。
従来、建築現場の地盤の改良、農作物を育成する畑の改良、あるいは赤土の流出の防止等、様々な目的で土質の改良が求められるケースがある。例えば、土木工事または建設工事の際に、建築物または構造物を支持する支持地盤や河川堤防の土砂において、土質を改良し強固にすることがある。工事現場等において、地盤として利用したい土砂が非常に軟弱である場合、工事中に雨が降る等して土砂が水を含むなどした場合、ひどいときには汚泥とも言えるような土砂である場合等に、土質を改良することがある。このような場合には、土砂に混合または散布することで土質を改良することができる土質改良固化材が提案されている(特許文献1参照)。
しかしながら、特許文献1で提案されているような従来の土質改良材は、土質改良までに時間がかかり、土砂内部に水分が残留するため再泥化しやすいという問題がある。すなわち、土質改良効果の観点で改善の余地がある。
特開2012-072301号公報
この発明は、上述の問題に鑑みて、高い土質改良効果を有する土質改良材、土質改良材の作製方法および土質改良方法を提供することを目的とする。
この発明は、少なくとも燃焼した植物性バイオマスの燃焼灰を含むバイオマス燃焼灰と、吸水性素材と、固化性能調整材を含有した土質改良材、土質改良材の作製方法および土質改良方法であることを特徴とする。
この発明により、高い土質改良効果を有する土質改良材を提供することができる。
循環流動層ボイラの構成を示す概略構成図。 ストーカ式ボイラの構成を示す概略構成図。 植物性バイオマス燃料由来のバイオマス燃焼灰から土質改良材を作製するフロー図。 本発明の実施例1および比較例1の実験データを示す説明図。 本発明の実施例2および比較例2の実験データを示す説明図。 本発明の実施例3および比較例3の実験データを示す説明図。 本発明の実施例4および比較例4の実験データを示す説明図。 本発明の土質改良材で赤土を含む水を改質した場合の撮影画像を示す図。
従来、火力発電においては、エネルギー効率の点から石炭、石油、天然ガス等の化石燃料が多く使用されてきた。しかし、化石燃料は燃焼した際に発生する二酸化炭素量が多く、地球温暖化が進行する可能性があるとして、環境負荷が低い別の燃料が検討されてきた。その中でも、植物等を燃料(植物性バイオマス燃料)として使用するバイオマス発電は、植物の成長過程で吸収する二酸化炭素が、燃料使用時に燃焼させた際に発生する二酸化炭素よりも多い(カーボンニュートラル)という考えの元、環境負荷が低い火力発電として普及が進んでいる。
しかし、バイオマス発電は燃料に植物等を使用することから、一定量の燃焼灰が発生する。発生する燃焼灰は産業廃棄物として扱われ、一般に埋め立て処理がされているが、広大な埋め立て地の確保が必要という問題があり、バイオマス発電の副産物としての燃焼灰の有効利用が検討されてきた。
このようなバイオマス発電で発生する燃焼灰の有効利用について、出願人は鋭意研究した。そして、植物を原料とする燃料(以下、「植物性バイオマス燃料」という。)を用いた火力発電にて排出されるバイオマス燃焼灰(植物性バイオマス燃焼灰)を用いた土質改良材を発明した。
以下、この発明の一実施形態を図面と共に説明する。本発明の土質改良材は、原料として、少なくとも燃焼した植物性バイオマス燃料の燃焼灰を含むバイオマス燃焼灰と、吸水性素材と、固化性能調整材を含有する。
バイオマス燃焼灰は、植物性バイオマス燃料を燃焼して灰化させたものであって、主に植物性バイオマス燃料を燃料とする火力発電(バイオマス発電)の副産物として生成される。植物性バイオマス燃料の原料としては、イネ科の植物を用いることができる。たとえば、植物性バイオマス燃料の原料としては、イネ科の植物である、バガス(サトウキビ搾汁後の残渣)、ソルガム、イネの籾殻、麦藁等を用いることができる。これらのイネ科の植物は、栽培適用範囲が広いことからその収穫量も多く、燃料として安定的に入手することができるから、植物性バイオマス燃料として好適である。
また、植物性バイオマス燃料の原料としては、イネ科の植物由来の物質の他に、パームヤシ、木質チップ、および木質ペレット(ウッドペレット)等を用いることもできる。パームヤシ殻は、パームヤシと呼ばれるヤシの種子殻であって、パーム油を生産する過程で発生する残渣である。パームヤシ殻にはカルシウム成分と抽出されずに残った微量のパーム油とが含まれることから燃焼効率が高く、植物性バイオマス燃料として好適である。木質チップとは、丸太、樹皮、枝葉や製材時に発生する端材などの木材を顆粒状に破砕して人工的に製造したものであり、木質ペレットとは、木質チップまたは木質チップの製造過程で生じる木材由来の物質を圧縮成型したものである。木質チップおよび木質ペレットのいずれも、製造および入手が容易であり、燃料として安定的に入手することができるから、植物性バイオマス燃料として好適である。
なお、植物性バイオマス燃料としては、単一の物質(植物)からなるものであっても良いし、複数種類の物質(植物)を混合したものであっても良い。たとえば、パームヤシ殻と木質ペレットを混合したものを植物性バイオマス燃料として使用することができる。
吸水性素材は、主に改良対象(改質対象)となる土砂(以下、「改良対象土」という。)の水分を吸収して、固化作用を促進させるとともに、再泥化することを防止するために土質改良材に添加されるものである。
吸水性素材は、ペーパースラッジ灰(PS灰)、シリカゲル、吸水性ポリマー、またはセルロース系吸水体等の材料で構成される。ペーパースラッジ灰は、製紙工程(紙の製造工程)で発生する紙製廃棄物を燃焼して多孔質な灰としたものである。優れた吸水性(単体での吸水性および土質改良材に含有された状態での吸水性)を得られることから、吸水性素材としてペーパースラッジ灰を使用することが好ましい。
固化性能調整材は、主に土質改良材の固化作用を促進させるために土質改良材に添加されるものである。固化性能調整材は、石膏や硫黄粉末等の材料で構成される。固化性能調整材に用いる石膏としては、二水石膏、半水石膏、無水石膏を使用することができる。なお、固化性能調整材は、セメント等に含有された状態でバイオマス燃焼灰に含有(添加)されていてもよい。また、固化性能調整材は、硫化水素、二酸化硫黄、三酸化硫黄、硫酸等の材料で構成されてもよい。
また、吸水性素材としてペーパースラッジ灰が使用されている場合には、固化性能調整材を添加することによって、固化性能調整材に含まれる硫酸イオン(SO42-)とペーパースラッジ灰に含まれるアルミネート相(アルミン酸三カルシウム)と、水分とが反応してエトリンガイトを生成することができる。したがって、本発明の土質改良材は、ポーラス(空隙)を有する多孔質とすることができ、水分を含む改良対象土に対する固化作用を促進させることができる。
さらに、吸水性素材に対する固化性能調整材の重量比率は1~55重量%であることが好ましい。また、吸水性素材としてペーパースラッジ灰が使用されている場合には、ペーパースラッジ灰に対する固化性能調整材の重量比率の下限は1.5重量%以上とすることができ、3重量%以上とすることが好ましく、6重量%以上とすることがより好ましい。ペーパースラッジ灰に対する固化性能調整材の重量比率の上限は50重量%以下とすることができ、45重量%以下とすることが好ましく、40重量%以下とすることがより好ましい。さらにまた、吸水性素材としてペーパースラッジ灰が使用されており、固化性能調整材として石膏が使用されている場合にはペーパースラッジ灰に対する石膏の重量比率の下限は6重量%以上とすることができ、10重量%以上とすることが好ましく、15重量%以上とすることがより好ましい。ペーパースラッジ灰に対する石膏の重量比率の上限は50重量%以下とすることができ、45重量%以下とすることが好ましく、40重量%以下とすることがより好ましい。また、吸水性素材としてペーパースラッジ灰が使用されており、固化性能調整材として無水石膏が使用されている場合にはペーパースラッジ灰に対する無水石膏の重量比率の下限は6重量%以上とすることができ、10重量%以上とすることが好ましく、15重量%以上とすることがより好ましい。ペーパースラッジ灰に対する無水石膏の重量比率の上限は34重量%以下とすることができ、30重量%以下とすることが好ましく、25重量%以下とすることがより好ましい。また、吸水性素材としてペーパースラッジ灰が使用されており、固化性能調整材として半水石膏が使用されている場合にはペーパースラッジ灰に対する半水石膏の重量比率の下限は7重量%以上とすることができ、10重量%以上とすることが好ましく、15重量%以上とすることがより好ましい。ペーパースラッジ灰に対する半水石膏の重量比率の上限は38重量%以下とすることができ、30重量%以下とすることが好ましく、25重量%以下とすることがより好ましい。さらに、吸水性素材としてペーパースラッジ灰が使用されており、固化性能調整材として二水石膏が使用されている場合にはペーパースラッジ灰に対する二水石膏の重量比率の下限は10重量%以上とすることができ、15重量%以上とすることが好ましく、20重量%以上とすることがより好ましい。ペーパースラッジ灰に対する二水石膏の重量比率の上限は50重量%以下とすることができ、45重量%以下とすることが好ましく、40重量%以下とすることがより好ましい。さらに、吸水性素材としてペーパースラッジ灰が使用されており、固化性能調整材として硫黄粉末が使用されている場合にはペーパースラッジ灰に対する硫黄粉末の重量比率の下限は1.5重量%以上とすることができ、2重量%以上とすることが好ましく、3重量%以上とすることがより好ましい。ペーパースラッジ灰に対する硫黄粉末の重量比率の上限は8重量%以下とすることができ、7重量%以下とすることが好ましく、5重量%以下とすることがより好ましい。このように、固化性能調整材の材料の種類に応じて固化性能調整材の添加量が適宜調整されることによって、エトリンガイトを効率的に生成することができ、改良対象土に対する固化作用を促進させることができる。
植物性バイオマス燃料を使用した火力発電に用いるボイラ(燃焼炉)は、バイオマス発電に用いることができるボイラであれば形式を限定せず様々な種類のボイラを採用できる。たとえば、植物性バイオマス燃料を燃焼させるためのボイラ(以下、「バイオマス燃焼ボイラ」という。)としては、流動床式ボイラやストーカ式ボイラなどを使用することができる。
簡単に説明すると、流動床式ボイラは、流動媒体として砂を使用する流動層(床)を備えたボイラである。ストーカ式ボイラは、植物性バイオマス燃料を階段状に設けられた複数のストーカ上で焼却処理するものである。
流動床式ボイラは、流動媒体として砂を強制的に循環させる機構(循環機構)を備えている循環流動層(床)ボイラであることがより好ましい。図1は、循環流動層ボイラ10の構成を示す概略構成図である。以下、図1を参照して循環流動層ボイラ10の構成を説明する。
図1に示すように、循環流動層ボイラ10は、炉本体10aと、燃料供給口11と、ベッド材12と、火炉13と、火炉13内に空気を流入する空気流入路14と、火炉13の上部空間側面に連通した火炉出口15と、火炉13内での燃焼により発生した燃焼ガス中に含まれる灰(バイオマス燃焼灰)とそのバイオマス燃焼灰と共に流動してきた一部のベッド材12とを捕集および分離するサイクロン16と、燃焼ガスを微粉末(微細なバイオマス燃焼灰)とともに炉本体10aの外部に排気する排気路17と、サイクロン16の底部および火炉13の下部側面に連通した灰戻し管18とを備える。
燃料供給口(燃料投入部)11は、炉本体10aの内部(火炉13)に連通し、炉本体10aの外部から植物性バイオマス燃料を火炉13に供給するために設けられる。すなわち、燃料供給口11は、炉本体10aの外部と火炉13とを連通している。
ベッド材12は、たとえばケイ砂で構成される粒状の部材である。ベッド材12は、火炉13の内部に位置しており、火炉13の内部において燃料供給口11から供給される植物性バイオマス燃料(燃料)と混合された状態となっている。ベッド材12には、ケイ砂に加えて排煙脱硫のための石灰石を使用してもよい。
また、図示は省略するが、循環流動層ボイラ10には、火炉13を加熱するための加熱装置が適宜の位置に設けられている。火炉13は、加熱装置によって、植物性バイオマス燃料およびベッド材12の燃焼を行うための温度(燃焼温度)に加熱される。燃焼温度は、十分な熱量の確保と、植物性バイオマス燃料の種類および燃焼灰の発生量等の観点から適宜設定される。循環流動層ボイラ10における燃焼温度の下限は、600℃以上とすることができ、700℃以上とすることが好ましい。燃焼温度の上限は、1100℃以下とすることができ、900℃以下とすることが好ましい。
空気流入路14は、火炉13の下部に設けられている。空気流入路14を通して火炉13の内部に空気が供給される。空気流入路14から火炉13に供給された空気によって植物性バイオマス燃料およびベッド材12は、火炉13の下部から吹き込まれる空気によって火炉13内で上下に燃焼されながら流動する。植物性バイオマス燃料およびベッド材12が火炉13内を流動することによって、火炉13内の温度が均一化され、燃焼効率を高めることができる。
火炉出口15は、火炉13の上部空間側面に連通するように設けられている。植物性バイオマス燃料およびベッド材12は、火炉13内で燃焼されることによって、燃料時よりも粒度が小さく、かつ重量が軽いバイオマス燃焼灰となる。重量が所定の重量よりも軽くなったバイオマス燃焼灰は、燃焼によって発生した燃焼ガスとともに火炉出口15の高さまで吹き上がり、火炉出口15を通って連通するサイクロン16に移動する。火炉出口15が火炉13に連通する位置(高さ)としては、燃焼前(重量が軽くなる前の)の植物性バイオマス燃料およびベッド材12が火炉13内を流動する範囲の上端部(最高地点)よりも上方に位置することが好ましい。このようにすれば、軽いバイオマス燃焼灰は火炉出口15の高さに到達して火炉出口15に流入し、火炉出口15を通ってサイクロン16に移動するが、バイオマス燃焼灰に比べて重い燃焼前の植物性バイオマス燃料およびベッド材12は火炉出口15の高さに到達しないから火炉出口15に流入しない。すなわち、燃焼してバイオマス燃焼灰となったものを効率的にサイクロン16に移動させ(運搬し)、かつ燃焼前の植物性バイオマス燃料およびベッド材12の火炉出口15からの流出を抑制できる。
サイクロン16は、火炉13から火炉出口15を通して運搬されたバイオマス燃焼灰について、比較的粗粒な(比較的重い)バイオマス燃焼灰を沈降させる(下方に移動させる)ことによって、粗粒な(重い)バイオマス燃焼灰と微細な(軽い)バイオマス燃焼灰とを分離する。粗粒なバイオマス燃焼灰はサイクロン16の底部に連通した灰戻し管18を通して、再び火炉13の底部に戻され、再度燃焼されることによって、微細なバイオマス燃焼灰となってサイクロン16に戻される。一方、微細なバイオマス燃焼灰は、燃焼ガスとともに排気路17に導入される。
排気路17に導入された燃焼ガスとバイオマス燃焼灰とは、燃焼ガスの熱から蒸気を発生させその蒸気をタービン発電機(図示省略)に供給するための対流伝熱部を経て適宜の分離機構によって分離される。この分離機構としては、バグフィルターまたは電気集塵機を使用することができる。燃焼ガスは、脱硫処理が施され、硫黄酸化物が除去された後に排煙として大気中に放出される。脱硫処理の方法としては石灰石・石膏法等を用いることができる。ベッド材12に石灰石を含有していた場合は、燃焼段階で脱硫処理と同等の効果が得られる(硫黄酸化物が除去されている)ため、燃焼ガスの脱硫処理を省略することができる。燃焼ガスと分離されたバイオマス燃焼灰は適宜の方法で回収することができる。
このような循環流動層ボイラ10を備え、植物性バイオマス燃料を燃料とする火力発電設備(火力発電所)から、上記の方法によりバイオマス燃焼灰を取得することができる。
次に、ストーカ式ボイラについて説明する。図2は、ストーカ式ボイラ20の構成を示す概略構成図である。以下、図2を参照してストーカ式ボイラ20の概略構成を説明する。
図2に示すように、ストーカ式ボイラ20は、炉本体20aと、炉本体20aの内部に連通する燃料投入ホッパ21と、燃料供給部22と、ストーカ部23と、ストーカ下ホッパ24と、灰通路25と、燃焼室26と、廃熱ボイラ27と、空気供給部28と、燃焼灰回収部29と、燃焼灰搬送部30等を備えている。
燃料投入ホッパ(燃料投入部)21は、炉本体20aの内部に連通し、炉本体20aの外部から植物性バイオマス燃料を燃料供給部22に供給するために設けられる。すなわち、燃料投入ホッパ21は、炉本体20aの外部と炉本体20aの内部とを連通している。
燃料供給部22は、燃料投入ホッパ21の排出口の下部に設けられ、燃料投入ホッパ21から排出された植物性バイオマス燃料をストーカ部23に供給する。また、燃料供給部22は、往復運動を行うプッシャー、プッシャーを作動させる駆動源および駆動源を制御する制御部などを有している。燃料供給部22では、プッシャーのストローク、作動速度、作動間隔が適宜調整されており、ストーカ部23に供給される植物性バイオマス燃料の量(供給量)が制御されている。
ストーカ部23は、燃料供給部22側を基端部とし、燃料供給部22から離れる方向に向かって下り勾配となるように傾斜して設けられている。このストーカ部23は、複数の火格子を有しており、複数の火格子は、基端部(燃料供給部22側端部)から先端部(燃料供給部22の反対側端部)に向かうにつれて徐々に低くなるように階段状に並べられている。また、複数の火格子は、ストーカ部23の基端部側と先端部側の間で往復運動を行う可動火格子と、固定された(移動しない)固定火格子とを有している。可動火格子と固定火格子とは、ストーカ部23の基端部側から先端部側に向かって交互に配置されている。
ストーカ部23に供給された植物性バイオマス燃料は、階段状に並べられた複数の火格子の上を基端部(上流側)から先端部(下流側)に向かって加熱されながら移動する。
ストーカ下ホッパ24は、ストーカ部23の下方を覆うように設けられる。ストーカ下ホッパ24には、ストーカ部23の反対側(本実施例ではストーカ下ホッパ24の下側)に設けられたブロワ(押込送風機)等の空気供給部28から送り込まれる空気が流入する。ストーカ下ホッパ24に流入した空気は、ストーカ部23(火格子)を下方から上方に通過する。
また、ストーカ部23は、上流側から順に、植物性バイオマス燃料の水分を蒸発させて植物性バイオマス燃料を乾燥させるための乾燥ストーカ23a、乾燥した植物性バイオマス燃料を燃焼(主燃焼)させる燃焼ストーカ23b、燃焼後の植物性バイオマス燃料の燃え残りを完全燃焼させるための後燃焼ストーカ23cを有する。また、ストーカ下ホッパ24は、乾燥ストーカ23aの下方を覆う乾燥ストーカ用ホッパ24a、燃焼ストーカ23bの下方を覆う燃焼ストーカ用ホッパ24b、後燃焼ストーカ23cの下方を覆う後燃焼ストーカ用ホッパ24cを有する。
ストーカ部23上で加熱された植物性バイオマス燃料は、ストーカ下ホッパ24から供給される空気によって上方に吹き上げられ、燃焼室26において燃焼する。ストーカ式ボイラ20における燃焼温度の下限は、600℃以上とすることができ、700℃以上とすることが好ましい。燃焼温度の上限は、1100℃以下とすることができ、900℃以下とすることが好ましい。燃焼室26において植物性バイオマス燃料が燃焼することによって発生する燃焼ガスは、燃焼室26の上方に連通する廃熱ボイラ27に流入する。
廃熱ボイラ27は、燃焼ガスから熱回収して水を加熱蒸発させ、発生した蒸気を更に過熱して過熱蒸気とし、この過熱蒸気をタービン発電機(図示省略)に供給する。また、廃熱ボイラ27は、燃焼室26を通過した燃焼ガスから放射熱を受けて蒸気を発生させるための放射伝熱面を有する放射伝熱室27aを有する。放射伝熱室27aの内壁は、水管壁により形成されている。この水管壁は、並列状に配置した複数本の水管と、隣接する水管同士を気密状に連結する帯板状の連結部材とを有している。すなわち、放射伝熱室27aの内壁を形成する水管壁の内側面がボイラ放射伝熱面となっており、放射伝熱面を介して燃焼ガスによって水管内部の水が加熱されて過熱蒸気となる。
以上のように、植物性バイオマス燃料は、ストーカ部23で燃焼され、燃料時よりも粒度が小さく、かつ重量が軽いバイオマス燃焼灰となる。また、ストーカ部23の先端部の先には、燃焼灰回収部29に連通し、下方に延びる灰通路25が設けられており、ストーカ部23から排出されるバイオマス燃焼灰は可動火格子の往復運動によって灰通路25に導かれ、灰通路25を通って燃焼灰回収部29に移動(落下)する。すなわち、ストーカ部23で燃焼したバイオマス燃焼灰は燃焼灰回収部29に運搬される。また、一部のバイオマス燃焼灰はストーカ下ホッパ24に落下することもある。灰通路25およびストーカ下ホッパ24の下方には、コンベヤや押出機構等を有し、バイオマス燃焼灰を燃焼灰回収部29に搬送する燃焼灰搬送部30が設けられている。このため、ストーカ下ホッパ24および灰通路25に落下したバイオマス燃焼灰は燃焼灰搬送部30によって燃焼灰回収部29に運搬される。
燃焼灰回収部29に運搬されたバイオマス燃焼灰は適宜の方法で回収することができる。このようなストーカ式ボイラ20を備え、植物性バイオマス燃料を燃料とする火力発電設備(火力発電所)から、上記の方法によりバイオマス燃焼灰を取得することができる。
循環流動層ボイラ10およびストーカ式ボイラ20であれば、植物性バイオマス燃料の種類に応じて適切な燃焼温度を設定し、燃え残りの発生を抑制し、表面積が大きい細かい粒(粒径については後述する)のバイオマス燃焼灰を得ることができる。すなわち、循環流動層ボイラ10およびストーカ式ボイラ20であれば、土質改良材の原料として好適なバイオマス燃焼灰を取得することができる。
図3は、植物性バイオマス燃料由来のバイオマス燃焼灰から土質改良材を作製する土質改良材の作製処理のフロー図である。図3に示すように、土質改良材の作製処理では、最初にバイオマス燃焼ボイラ(上述したような循環流動層ボイラ10またはストーカ式ボイラ20)に火力発電の燃料としての植物性バイオマス燃料が投入され、植物性バイオマス燃料が燃焼される(ステップS1)。
次に、バイオマス燃焼ボイラから排出されたバイオマス燃焼灰が適宜の方法で回収される(ステップS2)。このとき、土質改良材に含有させる(土質改良材の原料としての)バイオマス燃焼灰の粒径は、分級機を使用して調整することが好ましい。バイオマス燃焼灰の粒径は、体積平均粒径(MV)、個数平均粒径(MN)、面積平均粒径(MA)または累積平均径(メジアン径、D50)によって定義される。
土質改良材の原料としてのバイオマス燃焼灰の体積平均粒径(MV)の上限は、250μm以下であり、100μm以下が好ましく、40μm以下とすることがより好ましい。また、バイオマス燃焼灰の個数平均粒径(MN)の上限は、20μm以下とすることが好ましく、15μm以下がより好ましく、15μm以下がより好ましい。さらに、バイオマス燃焼灰の面積平均粒径(MA)の上限は、40μm以下が好ましく、30μm以下がより好ましく、20μm以下とすることがさらに好ましい。さらにまた、バイオマス燃焼灰の累積平均径(メジアン径、D50)の上限は、40μm以下が好ましく、30μm以下がより好ましく、20μm以下とすることがさらに好ましい。また、バイオマス燃焼灰の、体積平均粒径(MV)、個数平均粒径(MN)、面積平均粒径(MA)、または累積平均径(メジアン径、D50)におけるの下限は、1μm以上とすることができる。
このように、土質改良材の原料として所定の粒径以下のバイオマス燃焼灰を用いることで土質改良材およびこれに含有されたバイオマス燃焼灰の比表面積が増大し、土質改良材の反応性が向上し、土質改良材を混合または散布した改良対象土の硬化速度を向上させることができる。
また、土質改良材の原料としてのバイオマス燃焼灰は、酸化カルシウム成分を15~50重量%含んでいる。バイオマス燃焼灰に含まれる酸化カルシウムは、火力発電の燃料とした植物性バイオマス燃料に元来含まれているカルシウム成分由来の酸化物質である。なお、土質改良材を使用する対象の土砂状態や、燃焼後のバイオマス燃焼灰に含まれているカルシウム成分の量に応じて、上記範囲内に収まるよう適宜酸化カルシウムまたは酸化カルシウムを含有する物質を添加しても良い。酸化カルシウムを含有する物質としては、たとえば脱硫処理の際に使用する石灰石が挙げられる。この場合、脱硫処理に使用された石灰石から放出される酸化カルシウムを適宜収集してバイオマス燃焼灰に添加することができる。バイオマス燃焼ボイラの形式によっては、バイオマス燃焼灰が排出される過程で脱硫処理時に生じた酸化カルシウムが混合されるため、この石灰石由来の酸化カルシウムが混合されたバイオマス燃焼灰をそのまま利用してもよい。
また、土質改良材の原料としてのバイオマス燃焼灰は、二酸化ケイ素成分を30~60重量%含んでいる。たとえば、バイオマス燃焼灰に含まれる二酸化ケイ素は、循環流動層ボイラ10を使用した場合の火力発電のベッド材としたケイ砂由来の成分である。そして、バイオマス燃焼灰に含まれる酸化カルシウム成分および二酸化ケイ素成分は、その合計割合がバイオマス燃焼灰全体の90重量%以下とすることができる。
次に、ステップS2で回収したバイオマス燃焼灰に、スラグ微粉末(スラグ微小粉末)を添加し、バイオマス燃焼灰とスラグ微粉末とが略均一に分散するように混合する(ステップS3)。ステップS3で添加するスラグ微粉末としては、高炉スラグ微粉末、電気炉還元スラグ微粉末、ごみ溶融スラグ微粉末などを使用することができる。スラグ微粉末は、ブレーン比表面積が2000cm/g以上であることが好ましく、ブレーン比表面積が4000cm/g以上であることがより好ましい。また、スラグ微粉末の添加量の上限は、全添加物添加後のバイオマス燃焼灰における重量割合を30重量%以下となるよう添加することが好ましく、20重量%以下となるよう添加することがより好ましく、15重量%以下となるよう添加することが好適である。スラグ微粉末の添加量の下限は、5重量%以上となるよう添加することが好ましく、10重量%以上となるよう添加することがより好ましい。
続いて、ステップS3までに作製したバイオマス燃焼灰に酸化カルシウム(CaO)が所定量以上含有されているかどうかを判断する(ステップS4)。たとえば、ステップS4では、酸化カルシウムのバイオマス燃焼灰における重量割合を5重量%以上となっているかどうかを判断する。また、ステップS4では、酸化カルシウムのバイオマス燃焼灰における重量割合を15重量%以上となっているかどうかを判断するようにしても良いし、酸化カルシウムのバイオマス燃焼灰における重量割合を25重量%以上となっているかどうかを判断するようにしても良い。
バイオマス燃焼灰に酸化カルシウムが所定量以上含有されている場合(ステップS4:YES)、材料の種類を問わず適宜の吸水性素材(たとえば、ペーパースラッジ灰(PS灰)、シリカゲル、吸水性ポリマー、またはセルロース系吸水体等)を添加して、ステップS7に進む(ステップS5)。一方、バイオマス燃焼灰に酸化カルシウムが所定量以上含有されていない場合(バイオマス燃焼灰に酸化カルシウムが所定量未満しか含有されていない場合)吸水性素材としてペーパースラッジ灰を添加して、ステップS7に進む(ステップS6)。なお、ステップS6において、酸化カルシウムを添加してバイオマス燃焼灰に含まれる酸化カルシウムと合わせて所定量以上となるように調整し、材料の種類を問わず適宜の吸水性素材を添加するようにしてもよい。
ステップS5およびステップS6では、吸水性素材としてのペーパースラッジ灰またはペーパースラッジ灰以外の吸水性素材をバイオマス燃焼灰中に略均一に分散するように混合する。
続いて、ステップS7でバイオマス燃焼灰に固化性能調整材を添加して、土質改良材の作製処理を終了する。固化性能調整材の添加量は、固化性能調整材の材料の種類に応じて適宜調整される。
なお、ステップS3とステップS7は、土質改良材の作製処理においてその順序を変更できる。また、ステップS3およびステップS7と、ステップS5またはステップS6とを同時に実施しても良い。すなわち、スラグ微粉末、吸水性素材および固化性能調整材は、どのような順序でバイオマス燃焼灰に添加および混合してもよいし、同時に添加および混合してもよい。スラグ微粉末、吸水性素材および固化性能調整材を同時に添加および混合することによって、作業手順を簡略化することができる。
このようにして、バイオマス燃焼ボイラから排出されたバイオマス燃焼灰に少なくとも吸水性素材および固化性能調整材を添加したバイオマス燃焼灰混合粉が得られ、これを土質改良材とすることができる。
このように作製した土質改良材は、地盤として利用したいが水分を含んで軟弱な土砂や、建築中に雨が降る等して水を含んだ土砂等の改良対象土に混合または散布して使用することができる。たとえば改良対象土に対して土質改良材を3重量%以上となるよう混合することができ、改良対象土に対して土質改良材を5重量%以上となるよう混合することが好ましい。土質改良材の改良対象土への混合量は、改良対象土に含まれる水分量によって適宜調整されればよい。たとえば、改良対象土の含水比が40%以上であった場合は、改良対象土に対して土質改良材を3重量%以上となるように混合することができ、改良対象土に対して土質改良材を5重量%以上となるように混合することが好ましい。なお、土質改良材を使用する現場への運搬の際は、降雨にさらされないようにするなど、改良対象土への混合前に水分に接触しないように注意することが好ましい。
以上の構成により、環境にやさしく高い土質改良効果を有する土質改良材を提供することができる。すなわち、得られた土質改良材は、適宜の土砂や土等に混合させて使用しても固形を維持することができ、雨等の水分によって再泥化することもなく、高い土質改良効果を発揮できる。
本発明の土質改良材は、植物性バイオマス燃料が燃焼することにより生じるバイオマス燃焼灰を原料としている。植物性バイオマス燃料は火力発電の中でも環境負荷が小さいバイオマス発電の燃料となるものであり、本発明の土質改良材の原料として、バイオマス発電の発電工程で発生する副産物であるバイオマス燃焼灰を使用できる。この構成により、廃棄物削減を実現でき、環境にやさしい土質改良材を提供できる。
また、本発明の土質改良材の原料であるバイオマス燃焼灰には、所定量の酸化カルシウムが含まれている。この構成により、本発明の土質改良材を改良対象土に対して使用した際に高い固化作用および造粒作用を発揮できる。すなわち、酸化カルシウムが改良対象土中に含まれる水分を容易に吸収して反応して水酸化カルシウム(消石灰)となり、さらに水酸化カルシウムが炭酸化して硬化反応を起こすため、この反応を利用して固化および造粒作用を発揮できる。これは、炭酸化硬化反応によるものと考えられる。
さらに、本発明の土質改良材の原料であるバイオマス燃焼灰には、酸化カルシウムがバイオマス燃焼灰中に5~50重量%含有されている。この構成により、ほどよい固化および造粒作用を発揮できる。具体的には、降雨等で再泥化することがなく、一方で人の手で握ると簡単にほぐれてサクサクとする感触を実現できる。特に、循環流動層ボイラ10から排出されたバイオマス燃焼灰を使用する場合、高温(600℃以上とすることができ、800℃以上とすることが好ましい)で燃焼させたバイオマス燃焼灰であり、かつ、同じく高温(600℃以上とすることができ、700℃以上とすることが好ましい)で燃焼させたケイ砂(流動媒体)由来の二酸化ケイ素が含有されているため、単に植物性バイオマス燃料を燃やした灰と二酸化ケイ素を混合したようなものと異なり格別な土質改良機能を発揮することができる。また、本発明の土質改良材の原料であるバイオマス燃焼灰は、酸性土を中性化することができる。
さらにまた、土質改良材の原料とするバイオマス燃焼灰は、二酸化ケイ素が30~60重量%含まれており、二酸化ケイ素と酸化カルシウムの合計重量はバイオマス燃焼灰全体における90重量%以下となっている。この構成により、混合後の改良対象土(改良土)に対してほどよい固化および造粒作用を発揮できる。これは、二酸化ケイ素と水酸化カルシウムによるポゾラン反応によるものと考えられる。
また、土質改良材の原料とするバイオマス燃焼灰は、粒径が分級機によって調整されているから、混合後の改良対象土(改良土)の固化速度および造粒速度を向上させ、材齢24~48時間における強度発現性を高めることができる。特に、バイオマス燃焼灰の個数平均粒径(MN)を1~10μmとした場合、固化速度および造粒速度をより向上させることができる。
さらに、本発明の土質改良材(バイオマス燃焼灰)は、固化性能調整材として石膏または硫黄粉末を含有していることにより、六価クロム等の重金属が改良土中に溶出することを防止することができる。たとえば、バイオマス燃焼灰の一種であるパームヤシ殻を燃焼することにより生じるパームヤシ殻燃焼灰は、主に六価クロムといった重金属を0.005~0.3mg/L程度含有している。そのため、土質改良材として使用した際に重金属成分が改良土中に溶出する恐れがある。これに対して、本発明の土質改良材は、固化性能調整材として石膏または硫黄粉末を含有していることにより、土質改良材に含まれる六価クロム等の重金属が改良土中に溶出することを防止することができる。
さらにまた、土質改良材(バイオマス燃焼灰)にスラグ微粉末を添加および混合することによって、六価クロム等の重金属が改良土中に溶出することを防止することができる。詳述すると、パームヤシ殻燃焼灰のアルカリ刺激によりスラグ微粉末の潜在水硬性が活発化し、硬化を促進することで重金属成分を固定化することができ、これによって重金属の溶出を防止できる。なお、スラグ微粉末の添加においては、添加後の重量割合が30重量%以下となるよう添加量を調整している。この構成により、混合後の改良対象土(改良土)の固化速度の低下を抑制することができる。
また、本発明の土質改良材は、ペーパースラッジ灰などの適宜の吸水性素材を含有しているため、混合後の改良対象土(改良土)の固化速度および造粒速度を向上させることができる。
さらに、吸水性素材の添加量は、添加後の重量割合がバイオマス燃焼灰全体における10~80重量%の範囲となるよう調整することができる。ここで、バイオマス燃焼灰全体に対する吸水性素材の添加量(重量割合)の上限は、80重量%以下とすることができ、60重量%以下とすることがより好ましく、50重量%以下とすることがより好ましい。また、バイオマス燃焼灰全体に対する吸水性素材の添加量(重量割合)の下限は、10重量%以上とすることができ、40重量%以上とすることが好ましく、50重量%以上とすることがより好ましい。この構成により、混合後の改良対象土(改良土)は適切な固化性能を発揮することができる。
また、本発明の土質改良材の作製過程では、バイオマス燃焼灰に対して、各添加物(吸水性素材、固化性能調整材およびスラグ微粉末など)が略均一に分散するように混合しているから、土質改良材を改良対象土に混合した際に、性能(固化速度および造粒速度)のバラつきを抑えることができる。
<実験データ>
以下、本発明の実施例および比較例の実験データについて説明する。実施例1~4および実施例1~4のそれぞれに対応する比較例1~4において土質改良材を作製し、作製した土質改良材を種々の改良対象土に添加し、所定時間経過後の貫入強度(N/m)を測定した。
各実施例および各比較例で使用した土質改良材の構成は、以下の点で共通する。植物性バイオマス燃料としてパームヤシ殻(PKS)を使用し、パームヤシ殻を循環流動層ボイラにおいて燃焼させて得られた灰(PKS灰)をバイオマス燃焼灰として使用した。また、循環流動層ボイラのベッド材としてはケイ砂を使用し、火炉内温度を700~900℃に調整した状態でパームヤシ殻を燃焼させた。バイオマス燃焼灰としてのPKS灰に吸水性素材としてのペーパースラッジ灰(PS灰)を添加および混合した。吸水性素材の添加量は、バイオマス燃焼灰中の重量割合が10~40重量%の範囲内となるよう調整している。
以上のように、PKS灰をバイオマス燃焼灰としたこと、吸水性素材を添加および混合したこと、バイオマス燃焼灰中の吸水性素材の重量割合が10~40重量%の範囲内であることについては、各実施例および各比較例で使用した土質改良材で共通である。
一方、実施例1~4では、上記の共通する構成に加え、固化性能調整材として二水石膏を添加および混合しているのに対し、比較例1~4では固化性能調整材を添加していない(含有していない)。なお、実施例1~4のバイオマス燃焼灰中の二水石膏の重量割合は、吸水性素材に対する固化性能調整材の重量割合が15~40重量%の範囲内となるよう調整している。
以下、各実施例および各比較例の実験データについて説明する。図4Aは本発明の実施例1および比較例1の実験データを示す説明図である。図4Bは本発明の実施例2および比較例2の実験データを示す説明図である。図4Cは本発明の実施例3および比較例3の実験データを示す説明図である。図4Dは本発明の実施例4および比較例4の実験データを示す説明図である。
<実施例1および比較例1>
図4Aに示すように、実施例1および比較例1では、含水比40%の青粘土が改良対象土であり、含水比40%の青粘土に対して重量比5%の量の土質改良材を添加して改質土とし、土質改良材を添加(改質)して1日後の改質土の貫入強度を測定した。なお、実施例1は実施例1Aと実施例2Aの2種類の土質改良材を作製した。実施例1Aと実施例2Aの吸水性素材の添加量は略同じであるが、実施例2Aの二水石膏の添加量は実施例1Aの二水石膏の添加量の約2倍である。
その結果、実施例1Aの改質土の貫入強度は473N/mであり、実施例1Bの改質土の貫入強度は478N/mであり、比較例1の改質土の貫入強度は232N/mであった。
<実施例2および比較例2>
図4Bに示すように、実施例2および比較例2では、含水比81.5%の港湾浚渫土が改良対象土であり、含水比81.5%の港湾浚渫土に対して重量比12.6%の量の土質改良材を添加して改質土とし、土質改良材を添加(改質)して1日後の改質土の貫入強度を測定した。その結果、実施例2の改質土の貫入強度は377N/mであり、比較例2の改質土の貫入強度は255N/mであった。
<実施例3および比較例3>
図4Cに示すように、実施例3および比較例3では、含水比81.5%の港湾浚渫土が改良対象土であり、含水比81.5%の港湾浚渫土に対して重量比18.9%の量の土質改良材を添加して改質土とし、土質改良材を添加(改質)して1日後の改質土の貫入強度を測定した。その結果、実施例3の改質土の貫入強度は524N/mであり、比較例3の改質土の貫入強度は331N/mであった。
<実施例4および比較例4>
図4Dに示すように、実施例4および比較例4では、含水比192%の河川浚渫土が改良対象土であり、含水比192%の河川浚渫土に対して重量比30%の量の土質改良材を添加して改質土とし、土質改良材を添加(改質)して1.5日後の改質土の貫入強度を測定した。その結果、実施例4の改質土の貫入強度は403N/mであり、比較例4の改質土の貫入強度は232N/mであった。
以上のように、固化性能調整材(この例では二水石膏)を含有する実施例1~4の方が、固化性能調整材を含有していない比較例1~4よりも非常に高い固化作用を発揮できることがわかった。このことから、土質改良材が固化性能調整材を含有することによって、固化性能調整材を含有しないものに対して顕著な固化作用を発揮できるものである。すなわち、固化性能調整材を含有する本発明の土質改良材は高い土質改良効果を有するものである。
また、実施例1~4のいずれにおいても、土質改良材に含まれる重金属の土中への溶出量は0.05mg/L以下であった。これにより、六価クロム化合物が環境省の土壌環境基準(第2種有害物質)に定められている0.05mg/L以下となり、さらに、実施例1~4のいずれにおいても、土質改良後の改良土を降雨に晒してみたが再泥化は確認できなかった。
さらに、本発明の土質改良材は、吸水性素材としてペーパースラッジ灰が使用されエトリンガイトが生成されている場合には、土砂を含む水(泥水)に含まれる土砂を凝集する作用(凝集作用)を発揮することができる。図5は本発明の土質改良材を赤土を含む水に適用した実験例の撮影画像を示す図である。図5のうち、紙面に向かって左側の容器には、土質改良材を入れていない状態(改質前の状態)で、水と赤土が入っている。紙面に向かって右側の容器には土質改良材を入れた状態(改質後の状態)で水と赤土が入っている。図5からわかるように、改質前の状態では、赤土が水に溶出し、水が濁っているのに対し、改質後の状態では、赤土が凝集して球状となり(団粒化し)、水がほぼ透明になっている。このように、土質改良材は、土砂を含む水の水質を改良(水質改良)する水質改良材として応用(使用)することもでき、赤土の流出防止に利用することもできる。特に、シルト、粘土を多く含む土を水に溶出させにくくすることができる。また、さらに、本発明の土質改良材の凝集作用をして、空気や水を含みやすい土を作製し、根が張りやすく、かつ、追肥がしやすい農業用または園芸用の土を作製することができる。
さらにまた、本発明の土質改良材は弱アルカリ性であり、酸性土壌の水素イオン指数(pH)を中性に近づけることができる。
なお、この発明は、上述の実施形態の構成のみに限定されるものではなく、多くの実施の形態を得ることができる。たとえば、パームヤシ殻燃焼灰に重金属が含まれていない場合には、スラグ微粉末の添加および混合を省略してもよい。この場合でも同様の作用効果を奏することができる。
この発明は、土砂に混合または散布して使用する土質改良材の産業に利用することができる。
10…循環流動層ボイラ
11…燃料供給口
12…ベッド材
13…火炉
14…空気流入路
15…火炉出口
16…サイクロン
17…排気路
18…灰戻し管
20…ストーカ式ボイラ
21…燃料投入ホッパ
22…燃料供給部
23…ストーカ部
24…ストーカ下ホッパ
25…灰通路
26…燃焼室
27…廃熱ボイラ
28…空気供給部
29…燃焼灰回収部
30…燃焼灰搬送部
この発明は、少なくとも燃焼した植物性バイオマスの燃焼灰を含むバイオマス燃焼灰と、ペーパースラッジ灰を含有する吸水性素材と、石膏または硫黄粉末を含有し、前記バイオマス燃焼灰は、面積平均粒径(MA)またはメジアン径D50が30μm以下である土質改良材、土質改良材の作製方法および土質改良方法であることを特徴とする。

Claims (6)

  1. 燃焼した植物性バイオマス燃料の燃焼灰を含むバイオマス燃焼灰と、
    吸水性素材と、
    固化性能調整材を含有する
    土質改良材。
  2. 前記吸水性素材はペーパースラッジ灰を含有し、
    前記ペーパースラッジ灰に対する前記固化性能調整材の重量比率は1.5~50重量%である
    請求項1記載の土質改良材。
  3. 前記固化性能調整材は石膏であり、
    前記ペーパースラッジ灰に対する前記石膏の重量比率は6~50重量%である
    請求項2記載の土質改良材。
  4. 前記固化性能調整材は硫黄粉末であり、
    前記ペーパースラッジ灰に対する前記硫黄粉末の重量比率は1.5~8重量%である
    請求項2記載の土質改良材。
  5. 請求項1から4のいずれか1つに記載の土質改良材の製造方法であって、
    流動床式ボイラまたはストーカ式ボイラにより少なくとも600℃よりも高温で植物性バイオマス燃料を燃焼させ、
    前記燃焼により得られる前記バイオマス燃焼灰を取得し、
    前記バイオマス燃焼灰と前記吸水性素材と前記固化性能調整材を混合することにより土質改良材を作製する
    土質改良材の作製方法。
  6. 請求項1から4のいずれか1つに記載の土質改良材を、土砂に混合または散布する土質改良方法。
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