JP2023149110A - 摩擦攪拌接合方法、摩擦攪拌接合用接合ツール及び摩擦攪拌接合継手 - Google Patents

摩擦攪拌接合方法、摩擦攪拌接合用接合ツール及び摩擦攪拌接合継手 Download PDF

Info

Publication number
JP2023149110A
JP2023149110A JP2022057502A JP2022057502A JP2023149110A JP 2023149110 A JP2023149110 A JP 2023149110A JP 2022057502 A JP2022057502 A JP 2022057502A JP 2022057502 A JP2022057502 A JP 2022057502A JP 2023149110 A JP2023149110 A JP 2023149110A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
friction stir
stir welding
welding
joining
welding method
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2022057502A
Other languages
English (en)
Inventor
励一 鈴木
Reiichi Suzuki
陽一朗 下田
Yoichiro Shimoda
真三樹 奥田
Masaki Okuda
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kobe Steel Ltd
Original Assignee
Kobe Steel Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Kobe Steel Ltd filed Critical Kobe Steel Ltd
Priority to JP2022057502A priority Critical patent/JP2023149110A/ja
Publication of JP2023149110A publication Critical patent/JP2023149110A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Abstract

【課題】金属材料からなる第1部材と、第1部材と材質の異なる第2部材との間で、接合強度の高い摩擦攪拌接合部が得られる摩擦攪拌接合方法を提供する。【解決手段】摩擦攪拌接合方法は、金属材料からなる下部アルミニウム板(第1部材)11と第1部材と同種の材質からなる上部アルミニウム板(接合補助部材)13との間に、第1部材と材質が異なる鋼板(第2部材)12の貫通孔16が覆われるように、第2部材を配置する重ね合わせ工程と、接合ツール18を用いて第1部材及び接合補助部材のうち少なくとも一方を貫通孔16内に押し込み、第1部材と接合補助部材との間で摩擦攪拌接合部15を形成する摩擦攪拌接合工程と、を備える。接合ツール18は、ショルダー部18aの先端面18eと接合ピン18bの側面18dとの間、及び接合ピン18bの側面18dと接合ピン18bの先端面18cとの間がR加工されている。【選択図】図3A

Description

本発明は、摩擦攪拌接合方法、摩擦攪拌接合用接合ツール及び摩擦攪拌接合継手に関する。
自動車や電車等の輸送機の軽量化は、燃費改善及びそれに伴うCO削減効果や、操舵性の向上などが期待される永遠のニーズである。その達成手段の一つとして、鋼の一部を例えばアルミ合金やCFRP(Carbon Fiber Reinforced Plastics)等の軽量素材に置換する材料置換が挙げられるが、部材間の境界ではいわゆる異材接合が必要となる。なお、異材接合法としては、(1)溶接系、(2)機械的締結、(3)接着といった分野に大別される。溶接の場合、例えば鉄とアルミニウムが溶けて混ざると、脆い性質の金属間化合物を生成して高い強度が得られにくいことから、機械的締結と接着が多く用いられている。
しかし、接着は、強度的に異方性が大きく、また経時的劣化の特性があることから、高い強度を求める部位に適用するには信頼性が不足している。このため、接着は単独では用いられず、併用策として用いられるのが一般的である。機械的締結は、信頼性が高く、実際のところ異材接合法としての実績が多い。具体的には、ボルト・ナット、SPR(セルフ・ピアッシング・リベット)、FDS(フロー・ドリル・スクリュー)、ブラインドリベットといった鋼製消耗部材(リベット)を用いるものが多い。
しかし、(a)消耗材のコストが高いこと、(b)貫通穴を空けなければならないものもあること、(c)施工能率が悪いものがあること、(d)被接合材の片方が中空部材の場合には適用できない場合があること、(e)線状には接合できず点状接合に留まること、といった各種の短所があることから、全てのニーズを満足することはできていない。したがって、現在もなお、(I)形状的や材料的な適用制限が少ない、(II)安価、(III)高能率、(IV)線状接合が可能、かつ、(V)高強度・高信頼性が得られる異材接合法の登場が待ち望まれている。
上記(I)~(V)を比較的多く満足する候補として、摩擦攪拌接合法(Friction Stir Welding:FSW)が知られている。本接合法は、鋼など高強度な材料で作られた攪拌ピンを回転させながら、アルミニウムなどの軟質材の接合部に押し込むことで、被接合母材同士の一部を塑性流動させ、界面を消失させて接合する手段である。本接合法は、軟質な母材に向いているため、産業的にはアルミニウム材同士の接合に多く用いられてきたが、最近では攪拌ピンの高強度化開発が進み、鋼材同士の接合にも用いることができるようになっている。また最近では、同種の金属同士のみならず、例えば、アルミニウムと鉄のような異種金属間の摩擦攪拌接合法、又は、金属と樹脂のような金属と非金属間の摩擦攪拌接合法も注目されている。
FSWには、回転する攪拌ピンを平面状に移動させて、線状の接合部を形成する方法と、回転する攪拌ピンの移動を上下方向のみとして、点状の接合部を形成する方法(一般的に、FSJ(Friction Spot Joining)、FSSW(Friction Stir Spot Welding)と狭義に呼称される。)に大別される。前者は、門型の大型設備を用いることが代表的であり、後者は多関節ロボット搭載設備を用いることが代表的であって、それぞれ大きく異なる形態の実用化設備になっている。
これらのFSW装置を用いて最適条件を選定すればアルミニウムと鋼の異材接合が可能であることが報告されている。例えば、特許文献1には、貫通孔を有する鋼材を、アルミニウムからなる第1ワークと第2ワークで挟持して積層し、該貫通孔に摩擦攪拌接合用工具の攪拌ピンを通過させて塑性流動した第2ワークの肉を、貫通孔の内壁に接合させるとともに第1ワークの肉と一体的に摩擦攪拌接合するようにした摩擦攪拌接合方法が記載されている。
また、特許文献2には、被接合金属部材と被接合樹脂部材とを接合用金属部材を用いて接合する異材接合方法が提案されている。上記特許文献2に記載の異材接合方法は、貫通孔を有する被接合樹脂部材、被接合金属部材および接合用金属部材を準備し、貫通孔が被接合金属部材で覆われるとともに、接合用金属部材で覆われるように、被接合金属部材、被接合樹脂部材および前記接合用金属部材を重ね合わせた後、回転する接合ツールで接合用金属部材を貫通孔内に押し込み、被接合金属部材に摩擦攪拌接合させる方法である。
特許第4473713号公報 特開2019-171460号公報
しかしながら、特許文献1及び2に記載の接合方法を使用した場合に、接合用金属部材に対する応力集中度が高いことが原因で割れが発生することがあり、十分に高い接合強度を得ることができない。
本発明は、前述した課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、金属材料からなる第1部材と、第1部材と材質の異なる第2部材との間で、接合強度の高い摩擦攪拌接合部が得られる摩擦攪拌接合方法、該方法において使用される摩擦攪拌接合用接合ツール及び該方法により得られる摩擦攪拌接合継手を提供することにある。
したがって、本発明の上記目的は、摩擦攪拌接合方法に係る下記[1]の構成により達成される。
[1] 金属材料からなる第1部材と、前記第1部材と材質が異なり、かつ、少なくとも1つの貫通孔を有する第2部材とを、前記第1部材と同種の材質からなる接合補助部材を用いて接合する摩擦攪拌接合方法であって、
前記第1部材と前記接合補助部材によって前記第2部材の前記貫通孔が覆われるように、前記第1部材、前記第2部材、前記接合補助部材の順に重ね合わせる重ね合わせ工程と、
回転する接合ツールを用いて前記第1部材及び前記接合補助部材のうち少なくとも一方を前記貫通孔内に押し込み、前記第1部材と前記接合補助部材との間で摩擦攪拌接合部を形成する摩擦攪拌接合工程と、を備え、
前記接合ツールは、回転するショルダー部と、前記ショルダー部の先端面に前記ショルダー部と同軸上に形成され、前記ショルダー部とともに回転する接合ピンと、を有し、
前記ショルダー部の先端面と前記接合ピンの側面との間がR加工されているとともに、
前記接合ピンの側面と前記接合ピンの先端面との間がR加工されている、摩擦攪拌接合方法。
また、本発明の上記目的は、摩擦攪拌接合用接合ツールに係る下記[2]の構成により達成される。
[2] [1]に記載の摩擦攪拌接合方法に使用される摩擦攪拌接合用接合ツールであって、
回転するショルダー部と、前記ショルダー部の先端面に前記ショルダー部と同軸上に形成され、前記ショルダー部とともに回転する接合ピンと、を有し、
前記ショルダー部の先端面と前記接合ピンの側面との間がR加工されているとともに、
前記接合ピンの側面と前記接合ピンの先端面との間がR加工されている、摩擦攪拌接合用接合ツール。
また、本発明の上記目的は、摩擦攪拌接合継手に係る下記[3]の構成により達成される。
[3] [1]に記載の摩擦攪拌接合方法によって製造される摩擦攪拌接合継手であって、
前記第2部材は、前記第1部材及び前記接合補助部材により挟持され、かつ、前記第2部材の前記貫通孔内に前記第1部材及び前記接合補助部材のうち少なくとも一方が押し込まれることで、前記第1部材と前記接合補助部材との間で形成された摩擦攪拌接合部を有する、摩擦攪拌接合継手。
本発明の摩擦攪拌接合方法によれば、同種の金属材料からなる第1部材と接合補助部材とで、第1部材と材質の異なる第2部材を挟み込み、第1部材と接合補助部材との間で摩擦攪拌接合部を形成することで、接合強度の高い接合部が得られる。また、該摩擦攪拌接合方法により、接合強度の高い接合部を有する摩擦攪拌接合継手を製造することができる。
図1は、本発明の第1実施形態に係る摩擦攪拌接合継手の斜視図である。 図2は、図1に示す摩擦攪拌接合継手の摩擦攪拌接合方法を示す説明図である。 図3Aは、図1の摩擦攪拌接合継手の接合工程を示す断面図である。 図3Bは、図3Aに示す接合ツールの一部を拡大して示す模式図である。 図3Cは、従来の接合ツールを使用して摩擦撹拌接合を実施した様子を示す断面図である。 図4は、図1の摩擦攪拌接合継手を形成可能な摩擦攪拌接合装置の概略構成図である。 図5Aは、本発明の第2実施形態に係る摩擦攪拌接合方法を示す斜視図である。 図5Bは、図5AのVB-VB断面図である。 図6は、図5Aの摩擦攪拌接合方法の接合工程を示す断面図である。 図7は、本発明の第3実施形態に係る摩擦攪拌接合継手の斜視図である。 図8は、図7に示す摩擦攪拌接合継手の摩擦攪拌接合方法を示す斜視図である。 図9は、図7に示す摩擦攪拌接合継手の接合工程を示す断面図である。 図10は、本発明の第4実施形態に係る摩擦攪拌接合方法を示す斜視図である。 図11は、図10に示す摩擦攪拌接合継手の接合工程を示す断面図である。 図12は、本発明の第5実施形態に係る摩擦攪拌接合方法を示す斜視図である。 図13は、接合点数と接合強度の関係を説明する説明図である。 図14は、本発明の第6実施形態に係る摩擦攪拌接合継手の斜視図である。 図15Aは、図14に示す摩擦攪拌接合方法を示す斜視図である。 図15Bは、図15AのXVB-XVB断面図である。 図16は、本発明の第7実施形態に係る摩擦攪拌接合方法を示す斜視図である。 図17は、図16に示す摩擦攪拌接合方法の接合工程を示す断面図である。 図18Aは、本発明の第8実施形態に係る摩擦攪拌接合方法を示す斜視図である。 図18Bは、第8実施形態の変形例に係る摩擦攪拌接合方法を示す斜視図である。 図19は、本発明の第9実施形態に係る摩擦攪拌接合継手の斜視図である。 図20は、図19の摩擦攪拌接合継手の接合方法を示す斜視図である。 図21は、図19の摩擦攪拌接合継手の接合工程を示す断面図である。 図22は、本発明の第10実施形態に係る摩擦攪拌接合方法を示す斜視図である。 図23は、図22の摩擦攪拌接合方法の接合工程を示す断面図である。 図24は、本発明の第11実施形態に係る摩擦攪拌接合方法を示す斜視図である。 図25は、図24の摩擦攪拌接合方法の接合工程を示す断面図である。 図26は、本発明の第12実施形態に係る摩擦攪拌接合方法を示す斜視図である。 図27は、図26の摩擦攪拌接合方法の接合工程を示す断面図である。 図28は、本発明の第13実施形態に係る摩擦攪拌接合方法を示す斜視図である。 図29は、図28の摩擦攪拌接合方法の接合工程を示す断面図である。 図30は、接合点数と接合強度の関係を説明する説明図である。 図31は、本発明の第14実施形態に係る摩擦攪拌接合継手の斜視図である。 図32は、図31に示す摩擦攪拌接合継手の摩擦攪拌接合方法を示す斜視図である。 図33は、本発明の第15実施形態に係る摩擦攪拌接合継手の斜視図である。 図34は、図33に示す摩擦攪拌接合継手の摩擦攪拌接合方法を示す斜視図である。 図35は、図34の摩擦攪拌接合方法の接合工程を示す断面図である。 図36は、本発明の第16実施形態に係る摩擦攪拌接合継手の斜視図である。 図37は、図36に示す摩擦攪拌接合継手の接合方法を示す斜視図である。 図38は、図37の摩擦攪拌接合方法の接合工程を示す断面図である。 図39Aは、第16実施形態の変形例に係る押出成形品の斜視図である。 図39Bは、第16実施形態の他の変形例に係る押出成形品の斜視図である。 図40Aは、本発明の第17実施形態に係る摩擦攪拌接合継手の接合工程を示す断面図である。 図40Bは、図40Aにおける鋼板の一部を拡大して示す断面図である。 図40Cは、図40Bの他の例を示す断面図である。 図41Aは、十字引張試験の試験方法を示す斜視図である。 図41Bは、十字引張試験の試験方法を示す断面図である。
以下、本発明に係る摩擦攪拌接合方法の各実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
本実施形態に係る摩擦攪拌接合方法は、同種の金属材料からなる第1部材と接合補助部材とで、第1部材と材質の異なる第2部材を挟み込み、第1部材と接合補助部材との間で摩擦攪拌接合部を形成して摩擦攪拌接合継手を形成する接合方法である。
本実施形態に係る摩擦攪拌接合方法により接合される第1部材及び接合補助部材としては、摩擦攪拌接合が適用できる同種材同士の金属であれば、全て適用可能である。例えば、アルミニウム、アルミニウム合金、マグネシウム、マグネシウム合金、チタン、チタン合金、銅、銅合金、鉄、鋼等が挙げられる。ここでいう「同種」とは、完全な同一材料のみならず、主成分が共通する金属材料同士も含まれる。一方、第1部材と材質の異なる第2部材は、あらゆる金属に留まらず、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、エチレン-アクリル酸コポリマー(EAA)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、これらの樹脂に繊維を混ぜ込んだコンポジット、例えば炭素繊維強化プラスチック(CFRP)、ガラス繊維強化プラスチック(GFRP)などの樹脂材の他、木材、ゴム、セラミックなどの非金属材料も適用可能である。
なお、第1部材、第2部材及び接合補助部材の少なくとも1つの部材が金属の場合、その表面に各種めっき、塗装処理などが施されていてもよい。これは、摩擦攪拌接合工程でめっきや塗膜などが物理的に除去排出されて新生面での接合がなされるためである。また、金属同士の場合、少なくとも一方に電気的絶縁性の表面処理がなされていると、異種金属接合での課題である電食を防ぐ効果が得られる。また、摩擦攪拌接合工程に先立って、第1部材、第2部材及び接合補助部材間に接着剤を塗布することもできる。なお、摩擦攪拌接合は、接着剤の固化前であっても、固化後であってもよい。
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態の摩擦攪拌接合方法について、図1~図4を参照して説明する。
図1に示すように、本実施形態に係る摩擦攪拌接合継手10は、第1部材である下部アルミニウム板11と、第2部材である鋼板12と、接合補助部材である上部アルミニウム板13とを備える。摩擦攪拌接合継手10は、鋼板12を上部アルミニウム板13と下部アルミニウム板11の間に挟持した状態で、上部アルミニウム板13と下部アルミニウム板11を、点状に摩擦攪拌接合した複数の(図1に示す実施形態では6箇所)摩擦攪拌接合部15により接合されている。
ここで摩擦攪拌接合とは、接合ツールを回転させながら金属材料に押圧し、摩擦熱で金属材料を軟化させて塑性流動させ、金属材料同士を接合する方法である。図2、図3A及び図3Bを参照して、更に本実施形態による摩擦攪拌接合方法について説明する。
まず、下部アルミニウム板11と、鋼板12と、上部アルミニウム板13とを準備する。鋼板12には、接合予定位置に複数の貫通孔16があらかじめプレスなどの機械加工によって形成されている。次いで、鋼板12の貫通孔16を覆うように、下部アルミニウム板11と上部アルミニウム板13とで鋼板12を挟持し、裏当て金17上に重ね合わせて載置する。
そして、接合ツール18を上部アルミニウム板13に当接させ(図3Aの左図)、接合ツール18を回転させて上部アルミニウム板13との摩擦熱により上部アルミニウム板13を軟化させて鋼板12の貫通孔16内に押し込む。さらに摩擦熱により上部アルミニウム板13及び下部アルミニウム板11の一部を塑性流動させて一体化して摩擦攪拌接合部15を形成し、上部アルミニウム板13と下部アルミニウム板11とを、点状に摩擦攪拌接合する(図3Aの中央図)。そして、接合ツール18を取り外して摩擦攪拌接合継手10を完成させる(図3Aの右図)。
ここで、本実施形態において使用される摩擦攪拌接合用の接合ツール18について、図3Bを参照して説明する。図3Bは、図3Aに示す接合ツールの一部(領域A1)を拡大して示す模式図である。接合ツール18は、回転するショルダー部18aと該ショルダー部18aの先端面に固定され、該ショルダー部18aと同軸上に形成されて、ショルダー部18aとともに回転する接合ピン18bとを有する。なお、以下の説明においては、ショルダー部18aと接合ピン18bとを区別する必要がない場合には、単に接合ツール18という。本実施形態においては、ショルダー部18aの先端面18eと接合ピン18bの側面18dとの間の隅部r1が湾曲するように隅R加工されている。また、接合ピン18bの先端面18cと接合ピン18bの側面18dとの間の角部r2も湾曲するように角R加工されている。
仮に、隅R加工及び角R加工が施されていない接合ツールを使用した場合について説明する。本実施形態では、母材2枚による一般的な摩擦攪拌接合と異なり、上部アルミニウム板13を軟化させて鋼板12の貫通孔16内に押し込み、下部アルミニウム板11まで到達させるため、上部アルミニウム板13の局部変形率が大きくなる。したがって、図3Cに示すように、ショルダー部48aと接合ピン48bとの間、及び接合ピン48bの先端周縁部がR加工されていない接合ツール48を使用した場合に、上部の部材が局部延性に乏しい素材であると、接合ピン48bの押し込みに伴って、変形率に耐えられずに割れ49が発生する。その結果、十分な接合強度が得られなくなる。これに対し、本実施形態においては、図3Bに示すように、隅部r1及び角部r2にR加工が施されているため、摩擦攪拌接合による接合工程時の割れを防止することができる。
隅部r1の曲率半径Rは特に限定されないが、上部アルミニウム板の板厚の20%以上とすると、接合補助部材である上部アルミニウム板13に割れが発生することを抑制することができ、接合強度をより一層高めることができる。また、隅部r1の曲率半径Rを上部アルミニウム板の板厚の200%以下とすると、健全な摩擦攪拌接合部15を形成することができる。したがって、隅部r1の曲率半径Rは、上部アルミニウム板の板厚の20%以上かつ200%以下とすることが好ましく、上部アルミニウム板の板厚の50%以上100%以下とすることがより好ましい。
角部r2のサイズRについても特に限定されないが、鋼板に設けられた穴径の10%以上かつ50%以下とすると、健全な摩擦攪拌接合部15を形成することができる。したがって、角部r2のサイズRは、鋼板に設けられた穴径の10%以上かつ50%以下とすることが好ましく、鋼板に設けられた穴径の25%以上40%以下とすることがより好ましい。
なお、図3Bに示す接合ツール18においては、接合ピン18bの先端面18cは最先端に向けてなだらかに突出した湾曲形状となっているが、接合ピン18bの先端面18cは平面であってもよい。
なお、本実施形態では、上記した接合作業を順次繰り返し行って、鋼板12を挟持する下部アルミニウム板11及び上部アルミニウム板13を6箇所で接合している。なお、摩擦攪拌接合する箇所は、1箇所だけでもよいが、強い力が作用すると、下部アルミニウム板11、鋼板12及び上部アルミニウム板13が相対的にずれる可能性があるため、複数箇所で接合することが好ましい。
これにより、鋼板12は、貫通孔16内に形成される摩擦攪拌接合部15により鋼板12の平面に沿う方向に拘束されると共に、下部アルミニウム板11及び上部アルミニウム板13で挟持されて板厚方向にも拘束された状態となる。
なお、下部アルミニウム板11及び上部アルミニウム板13としては、強度確保の観点から7000系のアルミニウム合金を用いることが好ましい。また、鋼板12の貫通孔16の穴径は、接合ピン18bの直径に上部アルミニウム板の板厚の2倍を加えた値より大きく、かつ、ショルダー部18aの直径より小さいことが好ましい。これにより、接合ピン18bが軟化した上部アルミニウム板13を確実に貫通孔16内に押し込むことができる。また、接合ピン18bにより上部アルミニウム板13を押し込んだときに、その反作用により上部アルミニウム板13が浮き上がりやすい。しかし、ショルダー部18aの直径を貫通孔16の穴径よりも大きくすることにより、上部アルミニウム板13の浮き上がりを防止することができる。
また、下部アルミニウム板11及び上部アルミニウム板13は、同材質のアルミニウムであるため、接合界面に金属間化合物が形成されることはなく、また塑性流動により界面を確実に消失させることができ、摩擦攪拌接合部15の接合強度が向上する。また、リベットやボルトなどの接合部材を用いた機械的な締結方法と比較すると、接合部材の質量を低減することができ、軽量化できる。
摩擦攪拌接合部15を点状に形成する場合、上記した接合ツール18と裏当て金17との組合せに替えて、図4に示すような摩擦攪拌接合装置40を用いることもできる。この摩擦攪拌接合装置40は、平面視で略C型の形状を呈するフレーム42と、フレーム42の一端に設けられた押圧用モータ43と、不図示の回転用モータと、該回転用モータの回転軸の先端に設けられた接合ピン41と、フレーム42の押圧用モータ43に対向する端部に設けられた支持台44と、を備える。
そして、接合ピン41を回転用モータにより回転させながら押圧用モータ43により下降させ、支持台44上に載置された上部アルミニウム板13に当接し、摩擦熱により上部アルミニウム板13を軟化させて下部アルミニウム板11に摩擦攪拌接合する。これにより、上部アルミニウム板13と下部アルミニウム板11が摩擦攪拌接合部15で点状に接合する。なお、支持台44は、摩擦攪拌接合する際に、押圧用モータ43の押圧力で変形しないように強固な剛性を有している。
(第2実施形態)
本発明の第2実施形態の摩擦攪拌接合方法について、図5A、図5B及び図6を参照して説明する。なお、第1実施形態と同一部分には同一符号又は相当符号を付して説明を簡略化又は省略するものとし、以降の各実施形態においても同様である。
本実施形態の上部アルミニウム板13は、鋼板12の貫通孔16に対応して、該貫通孔16に嵌合可能な凸部13aが形成されている。そして、下部アルミニウム板11、鋼板12及び上部アルミニウム板13をこの順で裏当て金17上に載置する。その際、上部アルミニウム板13の凸部13aを鋼板12の貫通孔16に嵌合させて積層する。このように、あらかじめ上部アルミニウム板13に凸部13aをプレス加工などにより形成しておくことで、接合時に上部アルミニウム板13の変形量を少なくすることができ、上部アルミニウム板13が破損しがたくなると共に、接合位置を外部から目視で確認することができ、作業性が向上する。
そして、図6に示すように、回転する接合ツール18を凸部13aに当接し、上部アルミニウム板13との摩擦熱により軟化した凸部13aを貫通孔16内に押し込んで摩擦攪拌接合部15を形成し、上部アルミニウム板13と下部アルミニウム板11を点状に摩擦攪拌接合する。
なお、凸部13aの高さHは、鋼板12の厚さtより僅かに低く形成されるのがよい。これにより、凸部13aを鋼板12の貫通孔16に嵌合させたとき、凸部13aの先端部と下部アルミニウム板11の上面との間には、僅かな隙間が形成される。したがって、回転する接合ツール18を凸部13aに当接させて押し込むと、上部アルミニウム板13と鋼板12が確実に密着した状態となるため、上部アルミニウム板13、鋼板12及び下部アルミニウム板11が隙間なく密着した状態で接合される。
上述した内容以外のその他の部分については、第1実施形態の摩擦攪拌接合継手10と同様であるため、説明を省略する。
(第3実施形態)
本発明の第3実施形態の摩擦攪拌接合継手について、図7~図9を参照して説明する。
本実施形態の第1部材は、閉断面を有するアルミニウム製の中空材、例えば、断面形状が日の字型に形成された押出成形品20からなる点で、第1実施形態や第2実施形態のものと異なる。押出成形品20は、鋼板12が重ね合わされる天面20aを一部に有する外表面と、該外表面とは反対側の面である内表面とを有し、該内表面に囲まれた空隙部20bが形成されている。
また、鋼板12及び上部アルミニウム板13には、第2実施形態と同様に、それぞれ貫通孔16及び凸部13aが設けられている。なお、押出成形品20の空隙部20bは、例えば、C字型などの開断面の空隙部であってもよい。
そして、貫通孔16に凸部13aを嵌合させた鋼板12及び上部アルミニウム板13を押出成形品20の天面20a上に重ね合わせて積層し、接合ツール18を回転させながら凸部13aに当接させることで、凸部13aを摩擦熱により軟化させて貫通孔16内に押し込み、上部アルミニウム板13と押出成形品20の天面20a間に摩擦攪拌接合部15を形成して、点状に摩擦攪拌接合する。
なお、押出成形品20の天面20aは、接合ツール18の押し込み力によって変形しない程度の剛性を備える必要がある。天面20aの厚さが薄い場合には、摩擦熱が不足して接合が不十分になるおそれがある。また、図7に示すように、第1部材が押出成形品20であって、天面20aの下方が外部に開放されていない形状(すなわち閉空間)の場合には、図4に示す摩擦攪拌接合装置40は使用しがたく、接合ツール18と裏当て金17との組合せにより摩擦攪拌接合される。
上述した内容以外のその他の部分については、第1~第2実施形態の摩擦攪拌接合継手10と同様であるため、説明を省略する。
(第4実施形態)
本発明の第4実施形態の摩擦攪拌接合方法について、図10及び図11を参照して説明する。
本実施形態における上部アルミニウム板13、鋼板12及びアルミニウムの押出成形品20の形態は、第3実施形態と同様であるが、摩擦攪拌接合時に、押出成形品20の空隙部20bに裏当て金17が挿入されて摩擦攪拌接合される点で、第3実施形態と異なる。
裏当て金17の厚さは、空隙部20bの高さと略同一であり、空隙部20bにほぼ隙間がなく、特に上下方向において隙間がない状態で挿入されることが好ましい。これにより、接合ツール18による押し込み力を裏当て金17で支持することができ、天面20aの変形が防止されて、摩擦攪拌接合に必要な摩擦熱が確保できる。そして、摩擦攪拌接合した後、裏当て金17を空隙部20bから抜去する。
上述した内容以外のその他の部分については、第1~第3実施形態の摩擦攪拌接合継手10と同様であるため、説明を省略する。
(第5実施形態)
本発明の第5実施形態の摩擦攪拌接合方法について、図12を参照して説明する。
本実施形態の摩擦攪拌接合方法では、押出成形品20の空隙部20bに挿入される裏当て金17の厚さが、空隙部20bの上下寸法より小さくなっている。そして、空隙部20bに挿入された裏当て金17の下方には、チューブ21が配置される。チューブ21は、ゴムや布などの非金属製の膨張可能なチューブであり、接合時には、チューブ21内に水、空気、油などの圧力流体を供給して膨らませて裏当て金17を押し上げ、裏当て金17を押出成形品20の天面20aの内面に隙間なく当接させて天面20aの剛性を高める。
これにより、接合ツール18の押圧力による天面20aの変形を防止して、上部アルミニウム板13と接合ツール18との摩擦力を確保する。なお、裏当て金17の厚さは、接合ツール18の押圧力により変形しない程度の剛性を有していればよく、薄い方が取り扱いが容易になり好ましい。
本実施形態の摩擦攪拌接合方法によれば、裏当て金17は、膨張するチューブ21により押し上げられて天面20aの内面に当接するため、裏当て金17と天面20aとの密着性が向上する。また、チューブ21を用いない場合と比較しても、裏当て金17を薄く軽量化できるため、裏当て金17の空隙部20bへの設置が容易になる。
上部アルミニウム板13と押出成形品20との接合後には、チューブ21から圧力流体を排出することで裏当て金17を空隙部20bから容易に引き抜くことができ、作業性が向上する。さらに、チューブ21が変形することで、空隙部20bの形状が複雑な形状であっても容易に対応することができる。
上述した内容以外のその他の部分については、第1~第4実施形態の摩擦攪拌接合継手10と同様であるため、説明を省略する。
ところで、図13(a)~図13(d)に示すように、下部アルミニウム板11と上部アルミニウム板13を点状に摩擦攪拌接合する場合、接合箇所は1箇所であってもよいが(図13(a)参照)、鋼板12、上部アルミニウム板13及び下部アルミニウム板11が、接合箇所を中心として相対回転する可能性がある。そこで、上部アルミニウム板13、鋼板12及び下部アルミニウム板11の接合強度を向上させるためには、X方向又はY方向の少なくとも一方に複数の接合箇所を設けることが好ましい(図13(b)及び図13(c)参照)。また、X方向及びY方向のそれぞれに複数の接合箇所を設けることがさらに好ましい(図13(d)参照)。
なお、複数の摩擦攪拌接合部15を形成する場合、1つずつ順に摩擦攪拌接合してもよいが、複数の摩擦攪拌接合部15を同時に形成することもできる。これにより、接合時間が短縮されるばかりでなく、上部アルミニウム板13、下部アルミニウム板11の変形やしわの発生を防止することができる。
(第6実施形態)
本発明の第6実施形態の摩擦攪拌接合方法について、図14、図15A及び図15Bを参照して説明する。
本実施形態に係る摩擦攪拌接合継手10の鋼板12及び上部アルミニウム板13には、第3実施形態(図8参照)の鋼板12及び上部アルミニウム板13に設けられた貫通孔16及び凸部13aに替えて、線状の溝状貫通孔22及び図中、下方に突出する突堤部23が設けられている。
すなわち、鋼板12には、接合予定位置に複数の溝状貫通孔22が、あらかじめプレスなどの機械加工によって貫通して設けられ、上部アルミニウム板13には、該溝状貫通孔22に嵌合可能な複数の突堤部23が設けられている。図15Aに示す鋼板12の溝状貫通孔22は、互いに対向して矩形状に配置された4つのL字形孔22aと、該矩形の中央に配置された直線状孔22bを備える。また、上部アルミニウム板13の突堤部23は、鋼板12のL字形孔22a及び直線状孔22bとそれぞれ相似形に形成された4つのL型突堤部23aと直線突堤部23bからなり、それぞれ鋼板12のL字形孔22a及び直線状孔22bに嵌合可能である。
そして、断面形状が日の字型のアルミニウム押出成形品20の天面20a上に、溝状貫通孔22に突堤部23を嵌合させた鋼板12及び上部アルミニウム板13を順に重ね合わせ、天面20aの下方に形成された空隙部20bに裏当て金17及びチューブ21を配置し、接合ツール18を回転させながら突堤部23に沿わせて線状に移動させて、上部アルミニウム板13を溝状貫通孔22内に押し込み、上部アルミニウム板13の突堤部23と押出成形品20の天面20aとを、摩擦熱により軟化させて摩擦攪拌接合する。
突堤部23の形状に沿わせた接合ツール18の線状移動は、直線座標型ロボットや多関節ロボットに接合ツール18を積載することで実現できる。これにより、鋼板12は、上部アルミニウム板13と押出成形品20の天面20aとで挟持されて、上下方向及び左右方向の相対移動が規制される。
なお、鋼板12の溝状貫通孔22は、プレスの打ち抜き加工やレーザカッティングなどにより形成可能であり、上部アルミニウム板13の突堤部23は、プレス加工により形成可能である。また、上部アルミニウム板13は、必ずしも突堤部23を備える必要はなく、突堤部23を有しない平板であってもよい。また、第1部材は、押出成形品20に替えて下部アルミニウム板11とすることもできる。
上述した内容以外のその他の部分については、第1~第5実施形態の摩擦攪拌接合継手10と同様であるため、説明を省略する。
(第7実施形態)
本発明の第7実施形態の摩擦攪拌接合方法について、図16及び図17を参照して説明する。
本実施形態の鋼板12は、貫通孔として略矩形のくり抜き孔25を有する。くり抜き孔25は、後述する摩擦攪拌接合部15と、該摩擦攪拌接合部15間に形成される非接合部である空間27とを、その内部に形成可能な面積を有する。上部アルミニウム板13は、くり抜き孔25に嵌合可能な、ループ状に閉じられた矩形の枠状突堤部28を有する。すなわち、くり抜き孔25は、枠状突堤部28よって区画された面積より大きな面積を有する。
上部アルミニウム板13を鋼板12上に重ね合わせて押出成形品20の天面20aに積層したとき、枠状突堤部28の下面と天面20aの上面とは、僅かな隙間を介して対向している。また、枠状突堤部28で囲まれた内側の矩形領域は、天面20aから離間して空間27を形成する。
接合ツール18は、回転しながら枠状突堤部28の形状に沿って、その始点SP及び終点EPを繋いで線状に一周し、摩擦熱により上部アルミニウム板13を軟化させて押し込み、さらに上部アルミニウム板13の枠状突堤部28と押出成形品20の天面20aとを摩擦熱により軟化させて摩擦攪拌接合して、図17の上図に示すように、略矩形枠状の摩擦攪拌接合部15を形成する。
さらに、図17の下図に示すように、回転する接合ツール18は、枠状突堤部28の内側の矩形領域内を押圧しながら線状に移動して上部アルミニウム板13を天面20aに摩擦攪拌接合し、線状の摩擦攪拌接合部15を形成するようにしてもよい。これにより、枠状突堤部28の内側の矩形領域内には、摩擦攪拌接合部15と、該摩擦攪拌接合部15で囲まれた非接合部である空間27が形成される。
摩擦攪拌接合部15で囲まれた空間27は、気密又は水密に形成し、不図示の流体の入口及び出口に接続すれば、該空間27を、流体を流すための流路として利用することができる。例えば、空間27に冷却媒体を循環させることで上部アルミニウム板13に熱伝達機能を付加することができ、例えば自動車に搭載されたバッテリーなどの冷却に用いることができる。なお、枠状突堤部28の内側における接合ツール18の移動軌跡、すなわち、線状の摩擦攪拌接合部15の形状は任意の形状に形成可能であり、複数の直線状の摩擦攪拌接合部15、1本の渦巻状の摩擦攪拌接合部15、又はジグザグ状の摩擦攪拌接合部15などを形成することができる。したがって、流路としての空間27の形状も任意である。
上述した内容以外のその他の部分については、第1~第6実施形態の摩擦攪拌接合継手10と同様であるため、説明を省略する。
(第8実施形態)
本発明の第8実施形態の摩擦攪拌接合方法について、図18Aを参照して説明する。
本実施形態に係る摩擦攪拌接合継手10は、上部アルミニウム板13とアルミニウム押出成形品20の天面20aが、それぞれの一側面において接続部29で接続されて断面形状がコの字型に一体的に形成されている。すなわち、上部アルミニウム板13と天面20a間には、鋼板12を挿入可能な空間Sが形成されている。このような形状は、例えばアルミニウムを押出成形することで容易に成形可能である。そして、貫通孔16が形成された鋼板12を、上部アルミニウム板13と天面20a間の空間Sに挿入し、回転する接合ツール18を上部アルミニウム板13に押圧して、摩擦熱により上部アルミニウム板13及び天面20aを軟化させて摩擦攪拌接合する。なお、本実施形態に係る摩擦攪拌接合方法は、図18Bに示すように、アルミニウム押出成形品20が下部アルミニウム板11で置換されたものにも同様に適用できる。
上述した内容以外のその他の部分については、第1~第7実施形態の摩擦攪拌接合継手10と同様であるため、説明を省略する。
(第9実施形態)
本発明の第9実施形態の摩擦攪拌接合方法について、図19~図21を参照して説明する。
本実施形態の摩擦攪拌接合継手10は、第1部材、第2部材及び接合補助部材の材質が、第1実施形態の材質と逆になっている。具体的には、第1部材が鋼製の上部鋼板31であり、第2部材がアルミニウム製のアルミニウム板32であり、接合補助部材が第1部材と同種材質からなる鋼製の下部鋼板33となっている。すなわち、本実施形態の摩擦攪拌接合継手10は、アルミニウム板32が上部鋼板31及び下部鋼板33で挟持され、上部鋼板31と下部鋼板33が摩擦攪拌接合されて形成される。
なお、上記した第1部材、第2部材及び接合補助部材の材質は、以下に説明する第10実施形態~第16実施形態(変形例を含む)においても同様である。
アルミニウム板32は、複数の貫通孔16を有する。そして、下部鋼板33、アルミニウム板32及び上部鋼板31の順で、裏当て金17上に重ね合わせて載置し、回転する接合ツール18を上部鋼板31に当接して上部鋼板31との摩擦熱により上部鋼板31を軟化させて貫通孔16内に押し込み、上部鋼板31と下部鋼板33とを摩擦攪拌接合部15で点状に接合する。
上述した内容以外のその他の部分については、第1実施形態の摩擦攪拌接合継手10と同様であるため、説明を省略する。
(第10実施形態)
本発明の第10実施形態の摩擦攪拌接合方法について、図22及び図23を参照して説明する。
本実施形態の上部鋼板31は、アルミニウム板32の貫通孔16に対応して、該貫通孔16に嵌合可能な凸部31aがプレス加工などにより形成されている。上部鋼板31に凸部31aを形成しておくことで、摩擦攪拌接合時に上部鋼板31の変形量が少なくなり破損しがたくなる。また、接合位置を外部から目視で確認することができ作業性が向上する。
上述した内容以外のその他の部分については、本発明の第2実施形態の摩擦攪拌接合継手10と同様であるため、説明を省略する。
(第11実施形態)
本発明の第11実施形態の摩擦攪拌接合方法について、図24及び図25を参照して説明する。
本実施形態の第2部材は、断面形状が日の字型に形成されたアルミニウム製の押出成形品20であり、天面20aに複数の貫通孔20cが形成されている。天面20aは、第10実施形態におけるアルミニウム板32と同様に機能する。すなわち、下部鋼板33が押出成形品20の空隙部20b内に挿入されて押出成形品20の天面20aを上部鋼板31と下部鋼板33により挟持する。さらに下部鋼板33の下方に裏当て金17を挿入し、回転する接合ツール18を上部鋼板31に押圧して、裏当て金17で支持された上部鋼板31と下部鋼板33を摩擦攪拌接合する。本実施形態の摩擦攪拌接合継手10によれば、下部鋼板33が押出成形品20の空隙部20b内に挿入されて見にくくできるため、外観性能が向上する。
上述した内容以外のその他の部分については、本発明の第4実施形態の摩擦攪拌接合継手10と同様であるため、説明を省略する。
(第12実施形態)
本発明の第12実施形態の摩擦攪拌接合方法について、図26及び図27を参照して説明する。
まず、押出成形品20の天面20aの貫通孔20cに、上部鋼板31の凸部31aを嵌合させて重ね合わせる。次いで、押出成形品20の空隙部20b内に下部鋼板33及びチューブ21(図26参照)をこの順で挿入する。そして、チューブ21内に圧力流体を供給して膨らませて下部鋼板33を下面から支持する。これにより、裏当て金17を用いることなく上部鋼板31と下部鋼板33を摩擦攪拌接合できる。そして、接合終了後には、チューブ21から圧力流体を排出して縮めることで、押出成形品20の空隙部20bからチューブ21を容易に取り出すことができる。
上述した内容以外のその他の部分については、本発明の第5実施形態の摩擦攪拌接合継手10と同様であるため、説明を省略する。
(第13実施形態)
本発明の第13実施形態の摩擦攪拌接合方法について、図28及び図29を参照して説明する。
本実施形態においては、押出成形品20の空隙部20b内に下部鋼板33、裏当て金17及びチューブ21がこの順で挿入される。摩擦攪拌接合時には、チューブ21内に圧力流体を供給して裏当て金17を押出成形品20の天面20aの内面に当接するまで上昇させて天面20aを支持する。そして、接合終了後には、チューブ21から圧力流体を排出して裏当て金17を下降させることで、押出成形品20の空隙部20bから裏当て金17及びチューブ21を容易に取り出すことができる。
なお、図30(a)~図30(d)に示すように、上部鋼板31、アルミニウム板32(天面20a)及び下部鋼板33の接合強度は、接合箇所が多いほど向上するため、接合箇所が多いことが好ましい。接合箇所の数は、摩擦攪拌接合継手10に求められる接合強度や接合部位に応じて決定するのがよい。
上述した内容以外のその他の部分については、本発明の第5実施形態の摩擦攪拌接合継手10と同様であるため、説明を省略する。
(第14実施形態)
次に、本発明の第14実施形態の摩擦攪拌接合方法について、図31及び図32を参照して説明する。
本実施形態の摩擦攪拌接合方法による摩擦攪拌接合継手10は、アルミニウム製の押出成形品20の天面20aを上部鋼板31と下部鋼板33で挟持し、上部鋼板31と下部鋼板33が摩擦攪拌接合されている。上部鋼板31及び天面20aには、第6実施形態(図15A参照)の上部アルミニウム板13及び鋼板12と同様に、それぞれ突堤部23及び溝状貫通孔22が設けられている。また、摩擦攪拌接合方法は、押出成形品20の空隙部20b内に挿入された下部鋼板33の下方にチューブ21のみが挿入され、裏当て金17が用いられていない。
上述した内容以外のその他の部分については、本発明の第6実施形態の摩擦攪拌接合継手10と同様であるため、説明を省略する。
(第15実施形態)
本発明の第15実施形態の摩擦攪拌接合方法について、図33~図35を参照して説明する。
本実施形態の押出成形品20は、天面20aに略矩形のくり抜き孔25を備える。上部鋼板31には、くり抜き孔25に嵌合可能な矩形の枠状突堤部28aと、該枠状突堤部28aの対向する両辺から他方の辺に向かって延びる一対の直線状突堤部28bが形成されている。
押出成形品20のくり抜き孔25に上部鋼板31の枠状突堤部28aを嵌合させ、さらに天面20aの下方の空隙部20b内に下部鋼板33及びチューブ21を配置し、チューブ21を膨らませて上部鋼板31と下部鋼板33で天面20aを挟持する。そして、接合ツール18を枠状突堤部28aに沿って、その始点SP及び終点EPを繋いで線状に一周し、さらに直線状突堤部28bに沿って線状に移動させて上部鋼板31と下部鋼板33を線状に摩擦攪拌接合する。これにより、枠状突堤部28a及び直線状突堤部28bに沿って形成された線状の摩擦攪拌接合部15の間には、非接合部である空間27が形成される。該空間27は、流体を流すための流路として利用できることは、第7実施形態(図17参照)の摩擦攪拌接合継手10と同様である。
上述した内容以外のその他の部分については、本発明の第7実施形態の摩擦攪拌接合継手10と同様であるため、説明を省略する。
(第16実施形態)
本発明の第16実施形態の摩擦攪拌接合方法について、図36~図38を参照して説明する。
本実施形態の押出成形品20は、空隙部20b内に、下部鋼板33を保持可能な保持部26が天面20aと一体に成形されている。保持部26は、断面矩形の扁平中空部26aを備える。扁平中空部26aの高さは、下部鋼板33の厚さより僅かに大きく、下部鋼板33を隙間のない状態で挿入可能である。
そして、扁平中空部26a内に下部鋼板33を挿入することで、天面20aが下部鋼板33により支持されるため、天面20aを支持するための裏当て金17やチューブ21などの機構を設けることなく、上部鋼板31と下部鋼板33を接合ツール18で摩擦攪拌接合することができる。
上述した内容以外のその他の部分については、本発明の第11実施形態の摩擦攪拌接合継手10と同様であるため、説明を省略する。
図39Aは、保持部26を備える変形例の押出成形品20の斜視図であり、天面20aの板厚を厚く形成し、該天面20aの厚み内に保持部26としての扁平中空部26aが形成されている。
また、図39Bは、保持部26を備える他の変形例の押出成形品20斜視図であり、天面20aの左右両端部に厚板部20dを設け、該厚板部20dの下面から対向する厚板部20dに向かって延びる一対の突部20eが一体成形されている。対抗する一対のL字型突起部が、下部鋼板33を保持する保持部26を形成している。
なお、図39A及び図39Bに示す押出成形品20は、天面20aに貫通孔20c(図37参照)を形成する前の形状であり、必要に応じて、摩擦攪拌接合に先立って、機械加工などにより貫通孔20cを設けることができる。
(第17実施形態)
本発明の第17実施形態の摩擦攪拌接合方法について、図40A~図40C、図41A及び図41Bを参照して説明する。第17実施形態は、第1実施形態の変形例である。
本実施形態においては、鋼板12に形成された貫通孔16に、さらに加工を施す。具体的には、鋼板12の上面12a、すなわち上部アルミニウム板13に対向する面と、貫通孔16の内壁面16aとの間の角部に対して面取り加工を施し、面取り部16bを形成する。面取り部16bの形状としては、図40Bに示すように、貫通孔16の内壁面16a及び鋼板12の上面12aに対して略45°の角度で角を除去するC面取りによる形状が挙げられる。また、図40Cに示すように、所定の半径の円弧で角を丸めるR加工による形状でもよい。また、面取り部16bを形成する方法としては、ドリルやエンドミルによって貫通孔16を形成した後に、上記角部に対してリーマ加工をする方法が挙げられる。また、貫通孔16を形成した後に、テーパ型エンドミルを使用することにより、面取り部16bを形成することもできる。
上述した内容以外のその他の部分については、本発明の第1実施形態の摩擦攪拌接合継手10と同様であるため、説明を省略する。
上記のように、貫通孔16の内壁面16aの上部に面取り部16bが形成されていると、図40Aの右図に示すように、上部アルミニウム板13の、面取り部16b上の領域において、十分な厚さTを確保することができる。継手の強度は、例えば、図41A及び図41Bに示すような十字引張試験により評価することができる。具体的には、一方の辺が他方の辺よりも長いサイズで形成された下部アルミニウム板11と、同様のサイズで面取り部を有する貫通孔を形成した鋼板12とを平面視で十字となるように重ねて配置し、さらに上部アルミニウム板13を重ねて摩擦攪拌接合を実施する。その後、上部アルミニウム板13および下部アルミニウム板11の長手方向両端部を矢印の方向に引張り、破断するまでの引張荷重の測定や破壊する位置の観察を行うことにより、継手強度や応力集中を確認することができる。本実施形態のように、面取り部16bを有する貫通孔16を形成した鋼板12を使用すると、上部アルミニウム板13の、面取り部16b上の領域に応力が集中することを防止することができ、上部アルミニウム板13が容易に破壊せず、その結果、優れた継手強度を得ることができる。
面取り部16bがR加工により形成されたものである場合に、面取り部16bの曲率半径Rは特に限定されないが、鋼板の板厚の30%以上とすると、接合後の上部アルミニウム板13の厚さTを十分な厚さで確保することができ、継手強度をより一層向上させることができる。一方、Rを大きくしたとしても接合性への悪影響は特に生じないが、板厚の100%を超えるとその効果が飽和し、鋼板の削り量が増えることになる。したがって、面取り部16bの曲率半径Rは、鋼板の板厚の30%以上100%以下とすることが好ましく、鋼板の板厚の50%以上100%以下とすることがより好ましい。
また、面取り部16bがC面取り加工により形成されたものである場合に、貫通孔16の内壁面16aにおける面取り部16bの深さDは特に限定されないが、鋼板の板厚の30%以上とすると、接合後の上部アルミニウム板13の厚さTを十分な厚さで確保することができ、継手強度をより一層向上させることができる。また、面取り部16bの深さDが物理的上限である鋼板の板厚の100%に達しても悪影響は生じない。したがって、面取り部16bの深さDは、鋼板の板厚の30%以上100%以下とすることが好ましく、鋼板の板厚の50%以上100%以下とすることがより好ましい。
なお、貫通孔16の内壁面16aと、鋼板12の上面12aとの間の角部に対して面取り加工を施し、面取り部16bを形成する方法については、上記第1実施形態への適用にとどまらず、第1実施形態~第16実施形態の全ての形態に適用することができる。ただし、面取り部16bを形成する位置については、上部アルミニウム板13および下部アルミニウム板11のうち、接合ツールにより押し込まれる部材に応じて適宜選択する。すなわち、例えば第17実施形態に示すように、接合ツール18により接合補助部材である上部アルミニウム板13を貫通孔16に押し込む場合は、鋼板12の上部アルミニウム板13に対向する面と貫通孔16の内壁面16aとの間に面取り加工を施す。一方、例えば第9実施形態に示すように、接合ツール18により第1部材である上部鋼板31を貫通孔16に押し込む場合は、アルミニウム板32の上部鋼板31に対向する面と貫通孔16の内壁面16aとの間に面取り加工を施す。
以上、図面を参照しながら各種の実施形態について説明したが、本発明は、前述した実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形、改良、等が可能である。例えば、上記した実施形態では、第2部材がアルミニウム板又は鋼板の例について説明したが、第2部材は、アルミニウム板や鋼板に限定されず、樹脂、木材などの任意の材料を用いることができる。
以上のとおり、本明細書には次の事項が開示されている。
(1) 金属材料からなる第1部材と、前記第1部材と材質が異なり、かつ、少なくとも1つの貫通孔を有する第2部材とを、前記第1部材と同種の材質からなる接合補助部材を用いて接合する摩擦攪拌接合方法であって、
前記第1部材と前記接合補助部材によって前記第2部材の前記貫通孔が覆われるように、前記第1部材、前記第2部材、前記接合補助部材の順に重ね合わせる重ね合わせ工程と、
回転する接合ツールを用いて前記第1部材及び前記接合補助部材のうち少なくとも一方を前記貫通孔内に押し込み、前記第1部材と前記接合補助部材との間で摩擦攪拌接合部を形成する摩擦攪拌接合工程と、を備え、
前記接合ツールは、回転するショルダー部と、前記ショルダー部の先端面に前記ショルダー部と同軸上に形成され、前記ショルダー部とともに回転する接合ピンと、を有し、
前記ショルダー部の先端面と前記接合ピンの側面との間がR加工されているとともに、
前記接合ピンの側面と前記接合ピンの先端面との間がR加工されている、摩擦攪拌接合方法。
この構成によれば、同種の金属材料からなる第1部材と接合補助部材とで、材質の異なる第2部材を挟み込み、第1部材と接合補助部材との間に摩擦攪拌接合部を形成することで、高い接合強度を有する摩擦攪拌接合部で異材を接合できる。
(2) 前記第1部材及び前記接合補助部材のうち少なくとも一方は、パンチ加工により形成され、前記第2部材の前記貫通孔に対応して該貫通孔に挿入可能な凸部を備える、(1)に記載の摩擦攪拌接合方法。
この構成によれば、摩擦攪拌接合時における接合補助部材の変形量が少なくなり破損しがたくなる。また、接合位置を外部から目視で確認することができ作業性が向上する。
(3) 前記第1部材は、閉断面又は開断面の中空材からなる、(1)又は(2)に記載の摩擦攪拌接合方法。
この構成によれば、第1部材として押出成形品などの中空材を使用できる。
(4) 前記中空材は、前記第2部材が重ね合わされる外表面と、前記外表面とは反対側の面である内表面とを有し、
前記内表面のうち前記摩擦攪拌接合部が形成される領域に対応する領域に、前記内表面に囲まれた空隙部に挿入され、かつ、前記中空材の変形を抑制するための裏当て金を設ける、(3)に記載の摩擦攪拌接合方法。
この構成によれば、空隙部に挿入された裏当て金により中空材の変形を抑制して良好な摩擦攪拌接合部を形成できる。
(5) 少なくとも前記摩擦攪拌接合工程において、前記内表面のうち前記摩擦攪拌接合部が形成される領域に対応する領域に前記裏当て金が接しており、
前記摩擦攪拌接合工程の後に、前記裏当て金を抜去する抜去工程を有する、(4)に記載の摩擦攪拌接合方法。
この構成によれば、摩擦攪拌接合時に中空材の変形を抑制しつつ、摩擦攪拌接合工程の後に空隙部に挿入された裏当て金を抜去できる。
(6) 前記裏当て金は、前記裏当て金とともに前記内表面に囲まれた空隙部に挿入され、かつ、流体を内部に収容する膨張可能な非金属チューブにより押圧される、(5)に記載の摩擦攪拌接合方法。
この構成によれば、非金属チューブの膨張により裏当て金を中空材に押圧して中空材の変形を抑制できる。また、裏当て金を薄く軽量化でき、取り扱いが容易になる。
(7) 少なくとも前記摩擦攪拌接合工程において、前記非金属チューブを膨張させることで前記裏当て金を押圧し、
前記摩擦攪拌接合工程の後に、前記非金属チューブの膨張を解除して前記裏当て金を抜去する、(6)に記載の摩擦攪拌接合方法。
この構成によれば、裏当て金の空隙部への挿入及び抜去が容易になる。
(8) 前記接合補助部材は、前記第1部材と前記接合補助部材の間に前記第2部材を介在させることが可能な空間を有するように前記第1部材と一体的に形成されており、
前記重ね合わせ工程は、前記第1部材と前記接合補助部材の間に前記第2部材を介在させることにより行われる、(3)~(7)のいずれか1つに記載の摩擦攪拌接合方法。
この構成によれば、第1部材、第2部材及び接合補助部材の重ね合わせ工程が、第1部材と接合補助部材の間に第2部材を挿入することで行われ、重ね合わせ作業が容易になる。
(9) 前記第1部材及び前記接合補助部材の材料として7000系アルミニウム合金を用いる、(3)~(8)のいずれか1つに記載の摩擦攪拌接合方法。
この構成によれば、第1部材及び接合補助部材の強度が向上する。
(10) 前記第2部材は、閉断面又は開断面の中空材からなり、
前記中空材は、前記第1部材が重ね合わされる外表面と、前記外表面とは反対側の面である内表面とを有し、
前記内表面のうち前記摩擦攪拌接合部が形成される領域に対応する領域に、前記内表面に囲まれた空隙部に挿入され、かつ、前記中空材の変形を抑制するための裏当て金を設ける、(1)又は(2)に記載の摩擦攪拌接合方法。
この構成によれば、第2部材として中空材を用いることができると共に、裏当て金により中空材の変形を抑制できる。
(11) 少なくとも前記摩擦攪拌接合工程において、前記内表面のうち前記摩擦攪拌接合部が形成される領域に対応する領域に前記裏当て金が接しており、
前記摩擦攪拌接合工程の後に、前記裏当て金を抜去する抜去工程を有する、(10)に記載の摩擦攪拌接合方法。
この構成によれば、摩擦攪拌接合時に裏当て金により中空材の変形を抑制でき、摩擦攪拌接合工程の後に抜去できる。
(12) 前記裏当て金は、前記裏当て金とともに前記内表面に囲まれた空隙部に挿入され、かつ、流体を内部に収容する膨張可能な非金属チューブにより押圧される、(11)に記載の摩擦攪拌接合方法。
この構成によれば、空隙部に挿入された非金属チューブにより裏当て金を第2部材の下面に押圧できる。
(13) 少なくとも前記摩擦攪拌接合工程において、前記非金属チューブを膨張させることで前記裏当て金を押圧し、
前記摩擦攪拌接合工程の後に、前記非金属チューブの膨張を解除して前記裏当て金を抜去する、(12)に記載の摩擦攪拌接合方法。
この構成によれば、非金属チューブの膨張、及び膨張解除により、容易に裏当て金を押圧し、また摩擦攪拌接合工程の後に裏当て金を抜去できる。
(14) 前記第2部材は、閉断面又は開断面の中空材からなり、
前記中空材は、前記第1部材が重ね合わされる外表面と、前記外表面とは反対側の面である内表面とを有し、
前記内表面のうち前記摩擦攪拌接合部が形成される領域に対応する領域に、前記内表面に囲まれた空隙部に挿入され、かつ、前記中空材の変形を抑制するための、流体を内部に収容する膨張可能な非金属チューブを設ける、(1)又は(2)に記載の摩擦攪拌接合方法。
この構成によれば、空隙部に挿入された非金属チューブを膨張させて、中空材の変形を抑制できる。
(15) 前記第2部材は、閉断面又は開断面の中空材からなり、
前記中空材は、前記第1部材が重ね合わされる外表面と、前記外表面とは反対側の面である内表面とを有し、
前記内表面に囲まれた空隙部内に、前記接合補助部材を保持可能な保持部を有する、(1)又は(2)に記載の摩擦攪拌接合方法。
この構成によれば、第2部材の空隙部内に形成された保持部に接合補助部材を挿入することで、第2部材で接合補助部材を保持できる。
(16) 前記摩擦攪拌接合工程において、複数の前記摩擦攪拌接合部を形成する、(1)~(15)のいずれか1つに記載の摩擦攪拌接合方法。
この構成によれば、第1部材と接合補助部材との間に形成された複数の摩擦攪拌接合部により接合強度が向上する。
(17) 前記複数の前記摩擦攪拌接合部を同時に形成する、(16)に記載の摩擦攪拌接合方法。
この構成によれば、接合時間が短縮されると共に、第1部材及び接合補助部材の変形やしわの発生を防止できる。
(18) 前記第2部材の前記貫通孔は、線状に形成された溝状貫通孔であり、
前記接合ツールは、回転しながら前記溝状貫通孔に沿って線状に移動して、前記第1部材及び前記接合補助部材のうち少なくとも一方を前記貫通孔内に押し込み、前記第1部材と前記接合補助部材との間で前記摩擦攪拌接合部を形成する、(1)~(17)のいずれか1つに記載の摩擦攪拌接合方法。
この構成によれば、任意の形状の線状接合部で、第1部材と接合補助部材を摩擦攪拌接合できる。
(19) 前記第2部材の前記貫通孔は、前記摩擦攪拌接合部と、前記摩擦攪拌接合部以外の非接合部とを、その内部に形成する大きさを有し、
前記接合ツールは、回転しながら前記貫通孔内を一周してその始点及び終点を繋ぐように線状に移動して、前記第1部材及び前記接合補助部材のうち少なくとも一方を前記貫通孔内の一部分に押し込み、前記第1部材と前記接合補助部材との間で前記摩擦攪拌接合部を形成することにより、前記摩擦攪拌接合部で囲まれた前記非接合部によって気密又は水密となる空間を形成する、(1)~(18)のいずれか1つに記載の摩擦攪拌接合方法。
この構成によれば、非接合部によって形成された気密又は水密の空間内に、例えば冷却媒体を循環させることで摩擦攪拌接合継手に熱伝達機能を付加することができる。
(20) 前記第2部材は、前記第1部材及び前記接合補助部材のうち前記接合ツールにより押し込まれる部材に対向する面と、前記貫通孔の内側面との間に、面取り加工が施されている、(1)~(19)のいずれか1つに記載の摩擦攪拌接合方法。
この構成によれば、より一層高い接合強度を有する摩擦攪拌接合継手を製造することができる。
(21) (1)~(20)のいずれか1つに記載の摩擦攪拌接合方法に使用される摩擦攪拌接合用接合ツールであって、
回転するショルダー部と、前記ショルダー部の先端面に前記ショルダー部と同軸上に形成され、前記ショルダー部とともに回転する接合ピンと、を有し、
前記ショルダー部の先端面と前記接合ピンの側面との間がR加工されているとともに、
前記接合ピンの側面と前記接合ピンの先端面との間がR加工されている、摩擦攪拌接合用接合ツール。
この構成によれば、より一層高い接合強度を有する摩擦攪拌接合継手を製造することができる。
(22) (1)~(20)のいずれか1つに記載の摩擦攪拌接合方法によって製造される摩擦攪拌接合継手であって、
前記第2部材は、前記第1部材及び前記接合補助部材により挟持され、かつ、前記第2部材の前記貫通孔内に前記第1部材及び前記接合補助部材のうち少なくとも一方が押し込まれることで、前記第1部材と前記接合補助部材との間で形成された摩擦攪拌接合部を有する、摩擦攪拌接合継手。
この構成によれば、同種の金属材料からなる第1部材と接合補助部材により、材質の異なる第2部材が挟持されてなり、高い接合強度を有する摩擦攪拌接合継手を製造できる。
10 摩擦攪拌接合継手
11 下部アルミニウム板(第1部材)
12 鋼板(第2部材)
13 上部アルミニウム板(接合補助部材)
13a 凸部
15 摩擦攪拌接合部
16 貫通孔
16b 面取り部
17 裏当て金
18 接合ツール
20 押出成形品(中空材)
20a 天面
20b 空隙部
20c 貫通孔
21 チューブ(非金属チューブ)
22 溝状貫通孔
23 突堤部
25 くり抜き孔
26 保持部
27 空間(非接合部)
28 枠状突堤部
31 上部鋼板(第1部材)
31a 凸部
32 アルミニウム板(第2部材)
33 下部鋼板(接合補助部材)
EP 終点
r1 隅部
r2 角部
SP 始点
S 空間

Claims (22)

  1. 金属材料からなる第1部材と、前記第1部材と材質が異なり、かつ、少なくとも1つの貫通孔を有する第2部材とを、前記第1部材と同種の材質からなる接合補助部材を用いて接合する摩擦攪拌接合方法であって、
    前記第1部材と前記接合補助部材によって前記第2部材の前記貫通孔が覆われるように、前記第1部材、前記第2部材、前記接合補助部材の順に重ね合わせる重ね合わせ工程と、
    回転する接合ツールを用いて前記第1部材及び前記接合補助部材のうち少なくとも一方を前記貫通孔内に押し込み、前記第1部材と前記接合補助部材との間で摩擦攪拌接合部を形成する摩擦攪拌接合工程と、を備え、
    前記接合ツールは、回転するショルダー部と、前記ショルダー部の先端面に前記ショルダー部と同軸上に形成され、前記ショルダー部とともに回転する接合ピンと、を有し、
    前記ショルダー部の先端面と前記接合ピンの側面との間がR加工されているとともに、
    前記接合ピンの側面と前記接合ピンの先端面との間がR加工されている、摩擦攪拌接合方法。
  2. 前記第1部材及び前記接合補助部材のうち少なくとも一方は、パンチ加工により形成され、前記第2部材の前記貫通孔に対応して該貫通孔に挿入可能な凸部を備える、請求項1に記載の摩擦攪拌接合方法。
  3. 前記第1部材は、閉断面又は開断面の中空材からなる、請求項1又は2に記載の摩擦攪拌接合方法。
  4. 前記中空材は、前記第2部材が重ね合わされる外表面と、前記外表面とは反対側の面である内表面とを有し、
    前記内表面のうち前記摩擦攪拌接合部が形成される領域に対応する領域に、前記内表面に囲まれた空隙部に挿入され、かつ、前記中空材の変形を抑制するための裏当て金を設ける、請求項3に記載の摩擦攪拌接合方法。
  5. 少なくとも前記摩擦攪拌接合工程において、前記内表面のうち前記摩擦攪拌接合部が形成される領域に対応する領域に前記裏当て金が接しており、
    前記摩擦攪拌接合工程の後に、前記裏当て金を抜去する抜去工程を有する、請求項4に記載の摩擦攪拌接合方法。
  6. 前記裏当て金は、前記裏当て金とともに前記内表面に囲まれた空隙部に挿入され、かつ、流体を内部に収容する膨張可能な非金属チューブにより押圧される、請求項5に記載の摩擦攪拌接合方法。
  7. 少なくとも前記摩擦攪拌接合工程において、前記非金属チューブを膨張させることで前記裏当て金を押圧し、
    前記摩擦攪拌接合工程の後に、前記非金属チューブの膨張を解除して前記裏当て金を抜去する、請求項6に記載の摩擦攪拌接合方法。
  8. 前記接合補助部材は、前記第1部材と前記接合補助部材の間に前記第2部材を介在させることが可能な空間を有するように前記第1部材と一体的に形成されており、
    前記重ね合わせ工程は、前記第1部材と前記接合補助部材の間に前記第2部材を介在させることにより行われる、請求項3~7のいずれか1項に記載の摩擦攪拌接合方法。
  9. 前記第1部材及び前記接合補助部材の材料として7000系アルミニウム合金を用いる、請求項3~8のいずれか1項に記載の摩擦攪拌接合方法。
  10. 前記第2部材は、閉断面又は開断面の中空材からなり、
    前記中空材は、前記第1部材が重ね合わされる外表面と、前記外表面とは反対側の面である内表面とを有し、
    前記内表面のうち前記摩擦攪拌接合部が形成される領域に対応する領域に、前記内表面に囲まれた空隙部に挿入され、かつ、前記中空材の変形を抑制するための裏当て金を設ける、請求項1又は2に記載の摩擦攪拌接合方法。
  11. 少なくとも前記摩擦攪拌接合工程において、前記内表面のうち前記摩擦攪拌接合部が形成される領域に対応する領域に前記裏当て金が接しており、
    前記摩擦攪拌接合工程の後に、前記裏当て金を抜去する抜去工程を有する、請求項10に記載の摩擦攪拌接合方法。
  12. 前記裏当て金は、前記裏当て金とともに前記内表面に囲まれた空隙部に挿入され、かつ、流体を内部に収容する膨張可能な非金属チューブにより押圧される、請求項11に記載の摩擦攪拌接合方法。
  13. 少なくとも前記摩擦攪拌接合工程において、前記非金属チューブを膨張させることで前記裏当て金を押圧し、
    前記摩擦攪拌接合工程の後に、前記非金属チューブの膨張を解除して前記裏当て金を抜去する、請求項12に記載の摩擦攪拌接合方法。
  14. 前記第2部材は、閉断面又は開断面の中空材からなり、
    前記中空材は、前記第1部材が重ね合わされる外表面と、前記外表面とは反対側の面である内表面とを有し、
    前記内表面のうち前記摩擦攪拌接合部が形成される領域に対応する領域に、前記内表面に囲まれた空隙部に挿入され、かつ、前記中空材の変形を抑制するための、流体を内部に収容する膨張可能な非金属チューブを設ける、請求項1又は2に記載の摩擦攪拌接合方法。
  15. 前記第2部材は、閉断面又は開断面の中空材からなり、
    前記中空材は、前記第1部材が重ね合わされる外表面と、前記外表面とは反対側の面である内表面とを有し、
    前記内表面に囲まれた空隙部内に、前記接合補助部材を保持可能な保持部を有する、請求項1又は2に記載の摩擦攪拌接合方法。
  16. 前記摩擦攪拌接合工程において、複数の前記摩擦攪拌接合部を形成する、請求項1~15のいずれか1項に記載の摩擦攪拌接合方法。
  17. 前記複数の前記摩擦攪拌接合部を同時に形成する、請求項16に記載の摩擦攪拌接合方法。
  18. 前記第2部材の前記貫通孔は、線状に形成された溝状貫通孔であり、
    前記接合ツールは、回転しながら前記溝状貫通孔に沿って線状に移動して、前記第1部材及び前記接合補助部材のうち少なくとも一方を前記貫通孔内に押し込み、前記第1部材と前記接合補助部材との間で前記摩擦攪拌接合部を形成する、請求項1~17のいずれか1項に記載の摩擦攪拌接合方法。
  19. 前記第2部材の前記貫通孔は、前記摩擦攪拌接合部と、前記摩擦攪拌接合部以外の非接合部とを、その内部に形成する大きさを有し、
    前記接合ツールは、回転しながら前記貫通孔内を一周してその始点及び終点を繋ぐように線状に移動して、前記第1部材及び前記接合補助部材のうち少なくとも一方を前記貫通孔内の一部分に押し込み、前記第1部材と前記接合補助部材との間で前記摩擦攪拌接合部を形成することにより、前記摩擦攪拌接合部で囲まれた前記非接合部によって気密又は水密となる空間を形成する、請求項1~18のいずれか1項に記載の摩擦攪拌接合方法。
  20. 前記第2部材は、前記第1部材及び前記接合補助部材のうち前記接合ツールにより押し込まれる部材に対向する面と、前記貫通孔の内側面との間に、面取り加工が施されている、
    請求項1~19のいずれか1項に記載の摩擦攪拌接合方法。
  21. 請求項1~20のいずれか1項に記載の摩擦攪拌接合方法に使用される摩擦攪拌接合用接合ツールであって、
    回転するショルダー部と、前記ショルダー部の先端面に前記ショルダー部と同軸上に形成され、前記ショルダー部とともに回転する接合ピンと、を有し、
    前記ショルダー部の先端面と前記接合ピンの側面との間がR加工されているとともに、
    前記接合ピンの側面と前記接合ピンの先端面との間がR加工されている、摩擦攪拌接合用接合ツール。
  22. 請求項1~20のいずれか1項に記載の摩擦攪拌接合方法によって製造される摩擦攪拌接合継手であって、
    前記第2部材は、前記第1部材及び前記接合補助部材により挟持され、かつ、前記第2部材の前記貫通孔内に前記第1部材及び前記接合補助部材のうち少なくとも一方が押し込まれることで、前記第1部材と前記接合補助部材との間で形成された摩擦攪拌接合部を有する、摩擦攪拌接合継手。
JP2022057502A 2022-03-30 2022-03-30 摩擦攪拌接合方法、摩擦攪拌接合用接合ツール及び摩擦攪拌接合継手 Pending JP2023149110A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2022057502A JP2023149110A (ja) 2022-03-30 2022-03-30 摩擦攪拌接合方法、摩擦攪拌接合用接合ツール及び摩擦攪拌接合継手

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2022057502A JP2023149110A (ja) 2022-03-30 2022-03-30 摩擦攪拌接合方法、摩擦攪拌接合用接合ツール及び摩擦攪拌接合継手

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2023149110A true JP2023149110A (ja) 2023-10-13

Family

ID=88287987

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2022057502A Pending JP2023149110A (ja) 2022-03-30 2022-03-30 摩擦攪拌接合方法、摩擦攪拌接合用接合ツール及び摩擦攪拌接合継手

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2023149110A (ja)

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US8757468B1 (en) Counter-rotating spindle for friction stir welding
EP1745882B1 (en) Friction stir welding method of joining at least two adjoining work-pieces with application of an adhesive between the at least two workpieces
JP5183917B2 (ja) 堆積摩擦攪拌溶接方法およびアセンブリ
US7270257B2 (en) Out-of-position friction stir welding of high melting temperature alloys
WO2005092558A1 (ja) 摩擦圧接による金属板の接合方法及び装置
JP5261984B2 (ja) 抵抗スポット溶接方法
US20200108468A1 (en) Hybrid ultrasonic and resistance spot welding system
JP5196133B2 (ja) 異種金属板材の接合方法
JP3333497B2 (ja) 摩擦溶接方法及び摩擦溶接装置
JP2013078806A (ja) 抵抗スポット溶接方法
JP2023149110A (ja) 摩擦攪拌接合方法、摩擦攪拌接合用接合ツール及び摩擦攪拌接合継手
JP4450728B2 (ja) 摩擦撹拌接合方法
JP3268207B2 (ja) 摩擦溶接方法
JPH1158036A (ja) 摩擦溶接方法および溶接継手構造
Hori et al. Application of friction stir welding to the car body
JP4331038B2 (ja) 摩擦攪拌点接合装置
JP3341831B2 (ja) 摩擦接合方法とその構造体及び摩擦接合装置
Edwards et al. Recent advances in welding of aluminum alloys using a Self Reacting Pin Tool (SRPT) approach with application examples
Das et al. Microstructural and joint analysis of ultrasonic welded aluminum to Cupro-Nickel sheets for lithium-ion battery packs
JP2023107059A (ja) 摩擦攪拌接合方法及び摩擦攪拌接合装置
JP2021186817A (ja) 構造部材の接合方法
Devine Ultrasonic Welding of Aluminum-An Emerging Automotive Production Process
JPS6349385A (ja) 超音波溶接方法