JP2023148407A - ジャンパケーブルおよびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】外部シースの加硫時の加熱によって、内部シースが他部材に融着することを抑制でき、可撓性を有するジャンパケーブルおよびそのジャンパケーブルの製造方法を提供する。【解決手段】内部シース10a~10cを有する複数本のケーブル10A~10Cを備えるジャンパケーブルであって、上記内部シース10a~10cが、エチレン-酢酸ビニル共重合体を20質量%以下含有する樹脂組成物から構成される、ジャンパケーブル100およびそのジャンパケーブルの製造方法。【選択図】図1

Description

本発明は、ジャンパケーブルおよびその製造方法に関する。
鉄道車両等において、その電力や制御信号などを送信するために用いられる車両渡り配線としてジャンパケーブルが知られている。このジャンパケーブルとしては、可撓性が良好であることが好ましく、ジャンパケーブル内に配置される通信ケーブル等の各ユニットを柔らかい材料で形成することが望まれる。このとき、各ユニットの柔らかさは、そのユニットに使用される被覆材料の種類によっておおよそ決まる。
そのため、ここで使用する各ユニットの被覆材料としては、可撓性と内部シースに求められる材料特性を両立させるために、ベースポリマとして、エチレンプロピレンゴム(EPゴム)やエチレン-酢酸ビニル共重合体(EVA)などの材料を使用することが望まれる。そして、耐屈曲性および柔軟性を改善しようとして、例えば、EPゴムを被覆材料として用いたジャンパケーブルが知られている(特許文献1参照)。
特開2008-218061号公報
一方、EVAをベースポリマとする被覆材料自体は、ジャンパケーブルの内部シースとしてその特性は良好と考えられるものの、実際にEVAをベースポリマとする被覆材料を用いると、ジャンパケーブルの製造時における外部シースを加硫処理するときの熱によって、各ユニット同士またはユニットと他の部材との間で融着するおそれがあるため、ジャンパケーブルの内部シースとして使用することができない。
そのため、EVA以外の材料としてポリエチレン(PE)をベースポリマとする被覆材料を使用することが多いが、この場合、ジャンパケーブルに求められる可撓性が十分ではなくなる場合がある。
本発明の目的は、ジャンパケーブルにおいて、外部シースの加硫時の加熱によって、内部シースが他部材に融着することを抑制でき、可撓性を有するジャンパケーブルおよびそのジャンパケーブルの製造方法を提供することにある。
一実施の形態におけるジャンパケーブルは、内部シースを有する複数本のケーブルの外周に外部シースを備えたジャンパケーブルであって、前記内部シースが、エチレン-酢酸ビニル共重合体を20質量%以下含有する樹脂組成物から構成される。
一実施の形態におけるジャンパケーブルの製造方法は、(a)複数本のケーブルを用意する工程と、(b)前記複数本のケーブルの少なくとも1本のシースを、エチレン-酢酸ビニル共重合体を20質量%以下含有する樹脂組成物から構成する工程と、(c)前記(b)工程の後、前記複数本のケーブルを撚り合わせる工程と、(d)前記撚り合わせた複数本のケーブルの外周に、外部シースを形成する工程と、を有する。
一実施の形態のジャンパケーブルおよびその製造方法によれば、外部シースの加硫時の加熱によって、内部シースが他部材に融着することを抑制でき、可撓性を有するジャンパケーブルおよびそのジャンパケーブルの製造方法を提供することができる。
一実施の形態であるジャンパケーブルの概略断面図である。 ジャンパケーブルの製造工程を示す概略図である。 図2の製造過程における、ケーブルの断面構成を示した図である。 他の実施の形態であるジャンパケーブルの概略断面図である。 ジャンパケーブルが鉄道車両に取り付けられている状態を示す概略図である。 可撓性試験を説明するための図である。
以下、本発明のジャンパケーブルについて、実施の形態を参照しながら説明する。
なお、実施の形態を説明するための全図において、同一の部材には原則として同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。なお、図面をわかりやすくするために断面図であってもハッチングを省略する場合がある。また、同様に、平面図であってもハッチングを付す場合がある。
[第1の実施の形態]
<ジャンパケーブル>
図1は、本発明の一実施の形態であるジャンパケーブルの構成を示した断面図である。この図1において、ジャンパケーブル100は、内部シースを有する複数本のケーブル10と、その外周に設けられている押えテープ層11と、最外層に設けられている外部シース12と、から構成されている。以下、ジャンパケーブル100を構成する各要素について、詳細に説明する。
複数本のケーブル10は、それぞれジャンパケーブルに用いられるケーブルである。このケーブルとしては、例えば、通信ケーブル、制御ケーブルなどが挙げられる。図1では、複数本のケーブル10として、それぞれ構成が異なる、通信ケーブル10Aと、通信ケーブル10Bと、制御ケーブル10Cと、3種類のケーブルを示している。
ここで用いるケーブルとしては、ジャンパケーブルに用いられる公知のケーブルを特に制限することなく使用できる。また、図1では、3種類のケーブルを配置した例を示しているが、ケーブルが複数本配置されていれば、そのケーブルの種類は問わない。したがって、複数本のケーブルとしては、例えば、1種類のケーブルを複数本配置してもよいし、2種類以上のケーブルをそれぞれ1本以上配置した複合タイプとしてもよい。
ここで用いるケーブル10としては、ジャンパケーブルとして用いることが可能な公知のケーブルが挙げられ、例えば、WTBケーブル、LANケーブル等が例示できる。
この複数本のケーブル10のそれぞれは、その内部に設けられた絶縁電線が必要に応じて介在物と撚り合わされ、その外周にシールド層、内部シースおよび融着防止のためのテープが形成された公知の構成となっている。なお、本実施の形態においては、この内部シースを構成する被覆材料として、エチレン-酢酸ビニル共重合体を20質量%以下含有する樹脂組成物から構成される点に特徴を有する。
図1においては、ケーブル10におけるシース(内部シース)が上記被覆材料から形成される場合を例示している。すなわち、この内部シースとして、通信ケーブル10Aではシース10a、通信ケーブル10Bではシース10b、制御ケーブル10Cではシース10c、をそれぞれ示している。
また、複数本のケーブル10は、その内部シースを構成する被覆材料の全てが、上記被覆材料で形成されていることが好ましいが、それ以外の被覆材料で形成されたケーブルを含んでいてもよい。このとき、被覆材料としては、エチレン-酢酸ビニル共重合体を使用するケーブルにおいては、全て上記被覆材料とすることが好ましい。
これら複数本のケーブル10は、さらに、介在13とでケーブル群を構成する。介在13は、複数本のケーブル10で構成される束の断面形状が円形に近づくように、ケーブル10の隙間に配置されるとともに、ケーブル10の外側の隙間にも配置される。このとき、複数本のケーブル10は撚り合わされてケーブル群が形成される。介在13としては、公知の材料が使用でき、例えば、プラスチックやジュート等で形成された繊維状や糸状のものが用いられる。
また、上記のように形成された複数本のケーブル10を含むケーブル群は、その外周に押えテープ層11を設け、さらにその外周に保護層となる外部シース12を設けたジャンパケーブル100とする構成が例示できる。
このとき、押えテープ層11は、公知の押えテープを特に制限されずに使用でき、例えば、樹脂テープが巻かれることで形成することができる。ここで、押えテープの一例として、布テープを使用する場合には、1/2ラップとすることが好ましい。これにより、最外層を形成する樹脂組成物が布テープに染み込み、剥がれ性の低下を抑制できる。なお、樹脂テープとしては、例えば、PET(ポリエチレンテレフタレート)テープ等が使用できる。
また、外部シース12は、押えテープ層11の外周を被覆して設けられ、こちらも公知の外部シースを特に制限されずに使用でき、例えば、ポリオレフィン系エラストマー等のゴム材料により形成することができる。
〔樹脂組成物〕
次に、上記した内部シースを構成する樹脂組成物について、その構成成分を詳細に説明する。
(ベースポリマ)
本実施の形態において、ここで用いる樹脂組成物には、エチレン-酢酸ビニル共重合体(EVA)が必須成分として用いられる。なお、エチレン-酢酸ビニル共重合体は、樹脂組成物中に20質量%以下となるように配合されるもので、15質量%以下とすることが好ましい。エチレン-酢酸ビニル共重合体の配合量が20質量%を超えると、ジャンパケーブルの製造過程における内部シースに起因する融着が生じやすくなり、目的とする作用を発揮させることができなくなるおそれがある。
また、エチレン-酢酸ビニル共重合体の配合量が少なすぎると、エチレン-酢酸ビニル共重合体を含有させることによって期待される可撓性等の特性が十分ではなくなるおそれがあるため、5質量%以上配合することが好ましく、7質量%以上がより好ましい。
ここで用いられるエチレン-酢酸ビニル共重合体は、特に限定されずに、公知の材料を用いることができる。なお、エチレン-酢酸ビニル共重合体として、酢酸ビニル含有量(VA含有量)が、25~50質量%の共重合体が好ましく、28~46質量%の共重合体がより好ましい。
このエチレン-酢酸ビニル共重合体としては、1種を単独で用いることもできるし、2種以上を併用することもできる。
また、ベースポリマとして、上記したエチレン-酢酸ビニル共重合体以外の樹脂を併用することもできる。ここで、用いることができる樹脂としては、本発明の課題としている可撓性および融着の抑制を阻害しない材料であればよく、例えば、エチレンプロピレンゴム(EPゴム)等が挙げられる。
エチレン-酢酸ビニル共重合体以外の樹脂を併用する場合、その配合量は、樹脂組成物中に5~20質量%が好ましく、5~10質量%がより好ましい。
(添加剤)
本実施の形態に用いられる樹脂組成物としては、上記ベースポリマの他に、本発明の目的を阻害しない範囲で、さらに、その他の成分を含有させることができる。その他の成分としては、例えば、難燃剤、架橋剤、架橋助剤、酸化防止剤、滑剤、安定剤、着色剤、紫外線吸収剤、光安定剤、軟化剤、補強剤、界面活性剤、無機充填剤、可塑剤、金属キレート剤、発泡剤、相溶化剤、加工助剤等の、この種の樹脂組成物に含有させることができるものであれば特に限定されるものではない。
難燃剤としては、例えば、金属水酸化物が挙げられる。金属水酸化物は、難燃剤として公知の金属水酸化物であれば特に制限されずに使用でき、例えば、水酸化マグネシウム、、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウムなどが挙げられる。
この金属水酸化物には、分散性などを考慮して、シランカップリング剤、チタネート系カップリング剤、ステアリン酸などの脂肪酸などによって表面処理を施すことができ、単独または2種以上併用することができる。高い耐熱性を付与する場合、シランカップリング剤による表面処理を行うことが好ましい。
架橋剤としては、例えば、有機過酸化物が挙げられる。この有機過酸化物は、本実施の形態における必須成分であるEVAを加硫(架橋)する作用を有するものであり、より具体的には、パーブチルP、パーブチルC、パークミルD、パーヘキサ25B等が挙げられる。
架橋助剤としては、上記有機過酸化物を配合した際に、架橋密度、引張強度などを向上させたり、圧縮永久変形を低減したり、加硫時間を短縮したりする作用を奏する化合物であり、例えば、トリメチロールプロパントリアクリレートやトリメチロールプロパントリメタクリレート等が挙げられる。
酸化防止剤としては、例えば、フェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、アミン系酸化防止剤、イオウ系酸化防止剤等が挙げられる。ここで用いる酸化防止剤は、1種を単独で使用してもよく、また2種以上を併用してもよい。
滑剤としては、この種の樹脂組成物に安定剤として用いられるものであればよく、例えば、シリコーン添加剤、金属石鹸等が挙げられる。滑剤は、静止摩擦係数を低下させる成分であり、絶縁層同士の接触による滑りを円滑にする成分であり、絶縁層の破断伸びを改善する作用等も有する場合がある。具体的には、オルガノポリシロキサン等のシリコーン添加剤やステアリン酸亜鉛等の金属石鹸が挙げられる。これら成分は、1種類を単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
安定剤としては、この種の樹脂組成物に安定剤として用いられるものであればよく、例えば、酸化亜鉛等が挙げられる。酸化亜鉛としては、堺化学工業社製の「酸化亜鉛(1種、2種、3種)」、ハクスイテック社製の「亜鉛華(1種、2種、3種)」、「活性亜鉛華」等が挙げられる。
着色剤としては、この種の樹脂組成物に着色剤として用いられるものであればよく、例えば、カーボンブラック等が挙げられる。
<ジャンパケーブルの製造方法>
次に、ジャンパケーブル100の製造方法について説明する。
まず、ジャンパケーブル100を構成する、ケーブル10(10A、10B、10C)を準備する。なお、ここで用意するケーブル10は、従来公知のケーブル構成のシースとして、上記説明した樹脂組成物を用いて、公知の押出成形により被覆層を形成して内部シース10a~10cとする。
そして、このケーブル10を、介在13とともに撚ることで、ケーブル群(ケーブルの束)を形成する。このとき、ケーブル群はその断面形状が円形に近づくようにすることが好ましい。この外径を円形に近づけることにより、例えば、鉄道車両用のジャンパケーブルのように可動部材に取り付けて用いられる場合、荷重を均一に分散させることができ好ましい。
形成したケーブル群の外周に、樹脂テープを巻き付けて、押えテープ層11を形成する。さらに、押えテープ層11の外周に外部シース12を形成する樹脂材料を押出成形することで、外部シース12を形成する。
この外部シース12は、例えば、次のようにして形成することができる。図2に示す押出機400のホッパー401から、外部シース12を形成するための難燃性樹脂組成物の材料、例えば、帯状のゴム材料、を供給する。
そして、押出機400の上流側から供給される押えテープ層11を設けたケーブル群(ケーブル10、押えテープ層11および介在13から構成されたもの、図3(a)参照)の外周を、難燃性樹脂組成物で被覆して、難燃性樹脂層12aとする(図3(b)参照)。
次いで、押出機400から送り出された、難燃性樹脂層12aが形成されたケーブル群を、押出機400の下流側に配置された鉛被覆層形成装置410に供給、移動させながら連続的に難燃性樹脂層12aの外周に鉛被覆層50を形成し(図3(c)参照)、巻取ドラム420に巻き取る。鉛被覆層50を設けることで、後述する架橋工程において、蒸気が難燃性樹脂層12aに接することがないため、難燃性樹脂層12aの表面が蒸気の圧力により変形することを抑制することができる。なお、難燃性樹脂層12aの外周に形成する被覆層(被覆材)の材料は鉛に限られるものではない。
次いで、巻取ドラム420に巻き取った状態の難燃性樹脂層12aが形成されたケーブル群(図3(c)参照)に架橋処理を施す。具体的には、難燃性樹脂層12aが形成されたケーブル群が巻き取られた巻取ドラム420を、架橋設備(釜架橋設備)430内に配置して、難燃性樹脂層12aの架橋処理(加熱処理)を行い、外部シース12とする。この架橋処理は、例えば90℃の蒸気雰囲気中に72時間(h)静置することで行うことができる。
この加熱条件(架橋温度、架橋時間)としては、架橋温度は80℃以上110℃以下が好ましい。110℃以下であるとシースとケーブル群との間の隙間を抑制でき、80℃以上であると架橋速度が極端に遅くなることがないためである。さらに、架橋温度として、85℃以上105℃以下とすることがより好ましい。また、架橋時間としては、5時間以上270時間以下とすることが好ましく、24時間以上72時間以下とすることがより好ましい。
次いで、架橋後の外部シース12を冷却する。例えば、巻取ドラム420に巻き取った状態の難燃性樹脂層12aが形成されたケーブル群を架橋設備(釜架橋設備)430から取り出し、常温(例えば25℃)で静置することにより冷却し、鉛被覆層50を剥離することで、ジャンパケーブル100を製造できる。
本実施の形態においては、外部シース12の形成の際に加熱処理された場合においても、そのケーブル10の内部シース10a~10bが、他のケーブル10や介在13等の他の部材等に融着することがなく、その柔軟性を保持するものとでき、得られるジャンパケーブル100の可撓性を損なうことを抑制できる。
[第2の実施の形態]
次に、図4を参照しながら、第2の実施の形態であるジャンパケーブルについて説明する。図4は、第2の実施の形態であるジャンパケーブルの構成を示した断面図である。この図4において、ジャンパケーブル200は、内部シースを有する複数本のケーブル10と、その外周に設けられている押えテープ層11と、最外層に設けられている外部シース12と、から構成され、さらに、ケーブル10と押えテープ層11の間に、複数の絶縁電線20を有している。
この図4に示したジャンパケーブル200は、複数の絶縁電線20が設けられている点が異なる以外は、図1に示したジャンパケーブル100と同一の構成を有する。すなわち、複数本のケーブル10と介在13とでケーブル群(第1の実施の形態で説明したケーブル群と同一構成のケーブル群)が形成され、ジャンパケーブル200の外周側には、押えテープ層11が、さらにその外周(最外層)には外部シース12が設けられている点は、第1の実施の形態と同一である。
そのため、以下、第1の実施の形態とは異なる構成を中心に説明し、同一の構成については説明を省略する。
本実施の形態における、絶縁電線20は、導体20aと、導体20aの外周に配置された絶縁層20bとを有して構成される。この絶縁電線20は、その複数本を必要に応じて介在とともに撚り合わせて、複数本のケーブル10と介在13とで構成されるケーブル群の外周に層撚りして配置された絶縁電線である。
この絶縁電線20は、主に、電力用の絶縁電線として用いられ、ケーブル群の外周に、ケーブル群と同心円状となるように設けられている。このとき、層撚りされた絶縁電線20の外径を円形に近づけるように形成することが好ましく、このようにすることで、例えば、鉄道車両用のジャンパケーブルのように可動部材に取り付けて用いられる場合、荷重を均一に分散させることができ好ましい。
この絶縁電線20としては、公知の材料を用いて公知の構造として形成できる。なお、この絶電電線20に用いられる絶縁層20bの材料として、第1の実施の形態で説明した樹脂組成物を用いることが好ましい。すなわち、絶縁層20bを、エチレン-酢酸ビニル共重合体を20質量%以下含有する樹脂組成物から構成することが好ましい。
このようにすることで、絶縁電線20同士や、絶縁電線20がケーブル10やその他の部材と融着することがなく、その柔軟性を保持するものとでき、得られるジャンパケーブル100の可撓性を損なうことを抑制できる。
また、図4では、層撚りされた絶縁電線20は、ケーブル群の外周において、内層側と外層側の2層を設けた例を示しているが、この層数は特に限定されるものではなく、1層でもよいし、3層以上としてもよい。
また、図4では図示していないが、このとき、ケーブル10で形成しているケーブル群の外周に押えテープ層を設けてもよい(ケーブル10と層撚りされた絶縁電線20の間)。ここで押えテープ層を設けることで、ケーブル群が変形等することを抑制し、かつ、層撚りされた絶縁電線20の撚りが解けることも抑制できる。
(変形例)
なお、上記した第1の実施の形態および第2の実施の形態で説明したジャンパケーブル200において、さらに、絶縁電線20に起因する融着を防止するために、テープを設けてもよい。より具体的には、ケーブル10と絶縁電線20の間および絶縁電線20同士の間、の少なくともいずれかに、テープを設けることが好ましい。
このように融着防止のテープを設けることで、外部シース12の形成にあたって加熱処理された際にも、ジャンパケーブルの内部において、融着することを確実に防止することができ、その柔軟性を確保し、ジャンパケーブルの可撓性を損なうことを抑制できる。
なお、このテープとしては、例えば、ポリエステル製のクロステープや布テープ等の表面に、ゴムのりによりゴム層を形成したゴム引きテープ等が挙げられる。
さらに、図5を参照しながら、第1の実施の形態で説明したジャンパケーブル100を鉄道車両に取り付けた状態について説明する。
図5は、ジャンパケーブル100が、鉄道車両の車両渡り配線として、鉄道車両500a、500b間に取り付けられている状態を示す概略図である。車両500a、500bの走行に伴い、車両500a、500b同士の相対位置が変動する。
ジャンパケーブル100は、一端部で、車両500aのコネクタ部501aに取り付けられ、他端部で、車両500aに隣接する車両500bのコネクタ部501bに取り付けられる。ジャンパケーブル100の各ケーブル10が、一端部でコネクタ部501aに接続され、他端部でコネクタ501bに接続されることで、各ケーブル10を介した車両500a、500b間での電気信号の伝送が可能となる。
また、図5ではジャンパケーブル100を例示して説明したが、ジャンパケーブル200も同様に使用できる。このようにジャンパケーブル200を用いた場合には、電気信号の伝送に加え、電力用の絶縁電線20により、電力供給を行うこともできる。したがって、ジャンパケーブル200を用いた場合には、ケーブル10と電力用の絶縁電線20を1本のジャンパケーブル100で配線できるようになり、配線作業の手間を省くことができるとともに、省スペース化を図ることができる。
次に、本実施の形態のジャンパケーブルについて、実施例および比較例を参照しながらより詳細に説明する。
(実施例1)
まず、原料を用意し、以下の表1に示す配合とする樹脂組成物を調製した。なお、この実施例、参考例および比較例で使用した原料は、以下の通りである。
[原料]
(EVA)
・EVA1:エバフレックスV987(三井・デュポンポリエステル株式会社製、商品名;VA量 12質量%)
・EVA2:エバフレックスEV45X(三井・デュポンポリエステル株式会社製、商品名;VA量 46質量%)
・EVA3:エバフレックスEV260(三井・デュポンポリエステル株式会社製、商品名;VA量 28質量%)
(LLDPE)
・低密度ポリエチレン:エボリューSP1510(株式会社プライムポリマー製、商品名)
(酸変性ポリオレフィン)
・酸変性ポリオレフィン1:タフマーMA8510(三井化学株式会社製、商品名)
・酸変性ポリオレフィン2:タフマーMH7020(三井化学株式会社製、商品名)
(EPゴム)
・エチレンプロピレンゴム:EP-51(JSR株式会社製、商品名)
(難燃剤)
・水酸化マグネシウム1:マグシースS4(神島化学工業株式会社製、商品名;シラン処理)
・水酸化マグネシウム2:キスマ5L(協和化学工業株式会社製、商品名;シラン処理)
・水酸化マグネシウム3:MAGNIFIN H10A(アルベマール株式会社製、商品名;シラン処理)
・水酸化マグネシウム4:MAGNIFIN H10C(アルベマール株式会社製、商品名;脂肪酸処理)
(架橋助剤)
・TMPTA:トリメチロールプロパントリアクリレート(新中村化学工業株式会社製)
・TMPTM:トリメチロールプロパントリメタクリレート(新中村化学工業株式会社製)
(架橋剤)
・過酸化物:パーブチルP(日油株式会社製、商品名)
(酸化防止剤)
・複合型酸化防止剤:AO-18(株式会社アデカ製、商品名)
・フェノール系酸化防止剤:イルガノックス1010(BASF社製、商品名)
(滑剤)
・ステアリン酸亜鉛:EZ-101(日東化成工業株式会社製、商品名)
(安定剤)
・酸化亜鉛:亜鉛華3種(堺化学工業株式会社製、商品名)
(着色剤)
・カーボンブラック:FTカーボン(旭カーボン株式会社製、商品名)
(シリコーンゴム)
・シリコーンゴム:HT-KE76S(信越化学工業株式会社製、商品名)
[ジャンパケーブルの製造]
構成するケーブルとしてLANケーブル、データバスケーブル、制御用ケーブルをそれぞれ用意した。また、すずめっき軟銅線からなる導体を絶縁層で被覆した直径約3mmの絶縁電線20を用意した。
用意したケーブルの外周に、上記樹脂組成物をそれぞれ用いて、厚さ0.3mm~1mm程度の内部シース10a~10cを形成した。これにより、3種類のケーブルに対して、実施例1~2、比較例1の各樹脂組成物を用いて形成された内部シースを有するケーブル10A~10Cが得られた。
図4に示したように、実施例1の樹脂組成物で形成された内部シースを有するケーブル10A~10Cを、介在13とともに撚りケーブル群を作成し、さらに、そのケーブル群の外周に複数本の絶縁電線20により形成された層撚りされた絶縁電線を2層設けた。
さらに、その外周に押えテープ層11を巻き付けて、さらに、その外周には、外部シース12を押出成形により形成した。このとき、押出成形は、被覆材料としてポリオレフィンエラストマーを用い、図2に示したように押出機400により、その被覆材料で難燃性樹脂層12aを形成した後、鉛被覆層50で覆い、巻取ドラム420に巻き取り、巻取ドラム420を、架橋設備(釜架橋設備)430内に配置して、難燃性樹脂層12aの架橋処理を行った。架橋処理は、90℃で72時間加熱することにより難燃性樹脂層12aを加硫させ外部シース12を形成した。最後に、架橋設備(釜架橋設備)430から取り出して常温(25℃)で載置して冷却し、鉛被覆層50を剥離して、ジャンパケーブル1を製造した。
(実施例2)
内部シース10a~10cとして表1の実施例2に記載の樹脂組成物を用いた以外は、実施例1と同様の操作により、ジャンパケーブル2を製造した。
(比較例1)
内部シース10a~10cとして表1の比較例1に記載の樹脂組成物を用いた以外は、実施例1と同様の操作により、ジャンパケーブルC1を製造した。
[特性試験]
得られたジャンパケーブルに対して、以下の特性試験を実施し、その結果を表2に示した。
(可撓性)
図6を用い、本実施形態に係る可撓性試験について説明する。図6(a)および(b)は、撓み試験を示す概略側面図である。図6(a)に示しているように、この撓み試験では、室温(23℃)の条件下で、まずケーブル100の一端側を固定台600に固定し、ケーブル100の他端を固定台600(の支点)から水平に400mm突出させる。次に、図6(b)に示したように、その突出後30秒経過したときの自重による撓み量(d)を計測する。撓み量(d)は、固定台600上のケーブル100の中心軸の位置から、撓んだケーブル100の他端の中心軸の位置までの鉛直方向の距離として求められる。
本試験例において、ケーブル100の撓み量が、130mm以上となる場合を合格(〇)、130mm未満を不合格(×)とし、表1にその結果を併せて示した。
Figure 2023148407000002
以上の結果から、実施例1~2では、エチレン-酢酸ビニル共重合体の配合量を20質量%以下とすることで、ケーブル10や絶縁電線20において、外部シース作成のための加熱による加硫操作時においても融着が生じることを抑制し、ジャンパケーブルとして可撓性を保持できることがわかった。
一方、比較例1では、外部シース作成のための加熱による加硫操作時においても融着が生じ、可撓性が不十分となっていることがわかった。
以上、本発明者によってなされた発明をその実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることは言うまでもない。
10 ケーブル
11 押えテープ層
12 外部シース
13 介在
20 絶縁電線
20a 導体
20b 絶縁層
100,200 ジャンパケーブル

Claims (9)

  1. 内部シースを有する複数本のケーブルの外周に外部シースを備えたジャンパケーブルであって、
    前記内部シースが、エチレン-酢酸ビニル共重合体を20質量%以下含有する樹脂組成物から構成される、ジャンパケーブル。
  2. 請求項1に記載のジャンパケーブルにおいて、
    前記ケーブルは2種類以上のケーブルを含む複合タイプである、ジャンパケーブル。
  3. 請求項1に記載のジャンパケーブルにおいて、
    前記複数本のケーブルの外周に、層撚りされた絶縁電線を有する、ジャンパケーブル。
  4. 請求項3に記載のジャンパケーブルにおいて、
    前記絶縁電線の最外層が、エチレン-酢酸ビニル共重合体を20質量%以下含有する樹脂組成物から構成される、ジャンパケーブル。
  5. 請求項1~4のいずれか1項に記載のジャンパケーブルにおいて、
    前記樹脂組成物は、前記エチレン-酢酸ビニル共重合体を15質量%以下含有する、ジャンパケーブル。
  6. 請求項1~4のいずれか1項に記載のジャンパケーブルにおいて、
    前記ケーブル同士の間、前記ケーブルと前記絶縁電線の間および前記絶縁電線同士の間、の少なくともいずれかに、ゴム引きテープを有する、ジャンパケーブル。
  7. (a)複数本のケーブルを用意する工程と、
    (b)前記複数本のケーブルの少なくとも1本のシースを、エチレン-酢酸ビニル共重合体を20質量%以下含有する樹脂組成物から構成する工程と、
    (c)前記(b)工程の後、前記複数本のケーブルを撚り合わせる工程と、
    (d)前記撚り合わせた複数本のケーブルの外周に、外部シースを形成する工程と、
    を有する、ジャンパケーブルの製造方法。
  8. 請求項7に記載のジャンパケーブルの製造方法において、
    前記(c)工程の後、前記(d)工程の前に、(e)前記撚り合わせた複数本のケーブルの外周に層撚りされた絶縁電線を配置する工程、を有するジャンパケーブルの製造方法。
  9. 請求項7または8に記載のジャンパケーブルの製造方法において、
    前記(d)工程において、加熱による加硫を行うことで外部シースを形成する、ジャンパケーブルの製造方法。
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