JP2023147786A - 半導体結晶体の加工方法および半導体結晶体の加工装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】破損なく、短時間に、小さな電流で加工することが出来る半導体結晶体の加工方法を提供する。【解決手段】半導体結晶体4を準備し、半導体結晶体4を1対の加圧治具(上パンチ1、下パンチ2)で挟み込み、1対の加圧治具を加圧機構にセットする準備工程と、加熱装置7により、半導体結晶体4を加熱し、予め定めた圧力で加圧されても破壊しない設定温度に、半導体結晶体4の温度を上昇させる昇温工程と、前記設定温度に到達した半導体結晶体4を挟み込んだ1対の加圧治具を、加圧機構5の最小加圧力で加圧し、他方の加圧機構6とをつなぐ電流経路を形成する予備加圧工程と、パルス電流発生装置12から前記電流経路に電流を印加し、半導体結晶体4を自己発熱させるとともに、加圧機構5によって、前記予備加圧より大きな圧力を加え、半導体結晶体4を、定めた形状に塑性変形させる塑性変形工程と、を有する半導体結晶体の加工方法。【選択図】図1
Description
本発明は、半導体結晶体の加工方法に関し、さらに詳しくは、加工品質が高く、加工再現性が高く、不良品の発生率が低く、加工装置の損傷が抑制された半導体結晶体の加工方法に関する。
また、本発明は、上記本発明の半導体結晶体の加工方法を実施するのに適した加工装置に関する。
半導体結晶体が、赤外線透過光学デバイスなどの素材として着目されている。たとえば、Si半導体結晶体やGe半導体結晶体は、屈折率が3~4と大きく、赤外線域で高い透過率があるため、レンズや窓材に広く使用されている。
しかしながら、半導体結晶体は、一般に硬く脆い性質をもつため、取り扱いを誤るとクラックなどの欠陥が発生しやすく、加工が容易ではない。
半導体結晶体の加工方法については、種々の研究がなされている。
図8(A)に、特許文献1の加工方法において使用される加工装置(加圧治具)1100を示す。加工装置1100は、上部ボード101と下部ボード102とを備えている。上部ボード101、下部ボード102は、いずれも、カーボン製である。
特許文献1の加工方法においては、まず、上部ボード101と下部ボード102との間にSi半導体結晶体103を挟み、全体を炉の中に配置する。次に、上部ボード101と下部ボード102とSi半導体結晶体とを、炉によって、1374℃以上、かつ、Siの融点である1414℃未満に加熱する。次に、上部ボード101と下部ボード102との間に圧力を加えることによって、Si半導体結晶体を塑性変形させて加工する。
特許文献1の半導体結晶体の加工方法は、従来難しかった半導体結晶体の塑性
変形による加工を可能にした画期的な発明であり、エックス線装置のレンズなどの加
工に利用されている。
変形による加工を可能にした画期的な発明であり、エックス線装置のレンズなどの加
工に利用されている。
しかしながら、特許文献1の半導体結晶体の加工方法は、加工温度が高いため、成形時の型の材質に制約があり、カーボン材料の中でも、たとえばグラファイトなどの精密加工が難しい材質を使用せざるを得なかった。そのため、加圧治具の半導体結晶体との当接面を複雑な形状にしたり、高精度に仕上げたりすることができず、半導体結晶体を単純な形状にしか加工できないという問題があった。
また、特許文献1の高温下での半導体結晶体の加工方法では、半導体結晶体に結晶欠陥が発生するため、赤外線波長域で著しい透過率の低下が生じる欠点があり、これを改善するためには、加工温度に準ずる高温の長時間アニールが必要で生産性を低下させる問題があった。
この問題を解決した半導体結晶体の加工方法として、特許文献1の方法よりも低い温度での加工を可能にした、「通電加熱法(electrical heating)」による半導体結晶体の加工方法が、特許文献2(特許第5382382号公報)に開示されている。
また、「通電加熱法」を更に改良した「直接通電加熱法(direct electrical heating)」による半導体結晶体の加工方法が、特許文献3(特許第6429093号公報)に開示されている。
また、「通電加熱法」を更に改良した「直接通電加熱法(direct electrical heating)」による半導体結晶体の加工方法が、特許文献3(特許第6429093号公報)に開示されている。
図8(B)に、特許文献2の半導体結晶体の加工方法に使用する、半導体結晶体の加工装置1200を示す。半導体結晶体の加工装置1200は、筒状で導電性の材質によって作製された導電性ダイ111と、導電性ダイ111の内部に収容された上パンチ112、下パンチ113とを備えている。上パンチ112、下パンチ113も、導電性ダイ111と同様に、導電性の材質によって作製されている。
特許文献2の加工方法においては、まず、上パンチ112と下パンチ113との間に、Siなどの半導体結晶体114を挟み込む。
次に、上パンチ112と下パンチ113との間にパルス電流を印加する。上パンチ112と下パンチ113との間にパルス電流を印加すると、パルス電流を印加し始めた初期には、パルス電流は上パンチ112、導電性ダイ111、下パンチ113を繋ぐ電流経路を流れ、上パンチ112、半導体結晶体114、下パンチ113を繋ぐ電流経路には流れない。これは、半導体結晶体114が、常温では抵抗値が高く、高温では抵抗値が低いという、負の抵抗温度特性を備えているからである。すなわち、パルス電流を印加し始めた初期には、半導体結晶体114は、常温で抵抗値が高いため、パルス電流は半導体結晶体114を流れない。そのため、パルス電流は、上パンチ112、導電性ダイ111、下パンチ113を繋ぐ電流経路を流れるのである。
そして、パルス電流が、上パンチ112、導電性ダイ111、下パンチ113を繋ぐ電流経路を流れることによって、上パンチ112、導電性ダイ111、下パンチ113が発熱し、半導体結晶体114の温度が上昇し、半導体結晶体114の抵抗値が降下する。そのため、半導体結晶体114の温度が一定以上に上昇すると、パルス電流は、上パンチ112、導電性ダイ111、下パンチ113を繋ぐ電流経路に加えて、上パンチ112、半導体結晶体114、下パンチ113を繋ぐ電流経路にも流れ始める。
この結果、半導体結晶体114が自己発熱を開始する。そして、半導体結晶体114の温度が更に上昇し、半導体結晶体114の抵抗値が更に降下すると、パルス電流は、次第に、主に上パンチ112、半導体結晶体114、下パンチ113を繋ぐ電流経路を流れるようになる。そして、パルス電流が主にこの電流経路を流れることにより、半導体結晶体114の自己発熱、温度上昇、抵抗値降下が加速する。そして、半導体結晶体114は、短い時間で、塑性変形による加工が可能な温度(目標温度)に到達する。なお、半導体結晶体114の温度は、たとえば、導電性ダイ111に埋設された温度検知素子115によって測定される。
そして、半導体結晶体114が目標温度に到達すると、次に、上パンチ112と下パンチ113の間に、所定の大きさの圧力を、所定の時間、加えることによって、半導体結晶体114を塑性変形させて、半導体結晶体114を所望の形状に加工する。なお、このとき、圧力を、段階的に大きくしたり、直線状に大きくしたりする場合がある。また、半導体結晶体114を加工している途中においても、温度検知素子115によって半導体結晶体114の温度を測定し、半導体結晶体114の温度を目標温度に維持するようにする。
すなわち、半導体結晶体114を加工している間に、温度検知素子115で測定した半導体結晶体114の温度が目標温度を下回ると、自動制御されたパルス電流発生装置が、上パンチ112と下パンチ113との間に印加する電圧を高くし、上パンチ112と下パンチ113との間に印加する電流を大きくする。逆に、温度検知素子115で測定した半導体結晶体114の温度が目標温度を上回ると、自動制御されたパルス電流発生装置が、上パンチ112と下パンチ113との間に印加する電圧を低くし、上パンチ112と下パンチ113との間に印加する電流を小さくする。あるいは、上パンチ112と下パンチ113との間への電圧の印加を停止し、上パンチ112と下パンチ113との間に電流を流さないようにする場合もある。したがって、半導体結晶体114を加工している間中、上パンチ112、半導体結晶体114、下パンチ113を繋ぐ電流経路に印加される電流の電流値は変動し、一定ではない。
特許文献2の半導体結晶体の加工方法では、半導体結晶体114を自己発熱させるため、加工時の半導体結晶体114の温度(目標温度)を、特許文献1の半導体結晶体の加工方法に比べて低くすることができる。特許文献2では、たとえば、半導体結晶体114がSiである場合には、加工時の半導体結晶体114の温度(目標温度)を、810℃以上、1020℃以下に設定するとしている。そのため、特許文献2の半導体結晶体の加工方法では、上パンチ112や下パンチ113の材質の選択の自由度が高く、精密加工に適した材質を使用することができる。したがって、半導体結晶体114を、複雑な形状に加工したり、高精度に加工したりすることができる。
このように、特許文献2の半導体結晶体の加工方法には、特許文献1の半導体結晶体の加工方法よりも低い温度で半導体結晶体を加工できるという大きな利点がある。しかしながら、特許文献2の半導体結晶体の加工方法には、上パンチ112と導電性ダイ111との間や、導電性ダイ111と下パンチ113との間に、突発的に、スパークが発生するという問題があった。
すなわち、上パンチ112と導電性ダイ111との間や、導電性ダイ111と下パンチ113との間には数μmのギャップがあるため、電流の大きさが変動し、大きな電流が流れたときなどに、突発的に、上パンチ112と導電性ダイ111との間や、導電性ダイ111と下パンチ113との間に、スパークが発生する場合があった。そして、スパークが発生することにより、加工中の半導体結晶体が破損するだけではなく、高価な導電性ダイ111や、上パンチ112や、下パンチ113が破損してしまう場合があった。
この特許文献2の半導体結晶体の加工方法の問題を解決したのが、特許文献3(特許第6429093号公報)に開示された、「直接通電加熱法(direct electrical heating)」による半導体結晶体の加工方法である。
この特許文献2の半導体結晶体の加工方法の問題を解決したのが、特許文献3(特許第6429093号公報)に開示された、「直接通電加熱法(direct electrical heating)」による半導体結晶体の加工方法である。
特許文献3の加工方法においても、まず、上パンチ122と下パンチ123との間に、Siなどの半導体結晶体124を挟み込む。しかしながら、この時点では半導体結晶体124は抵抗値が高いため、電流が流れない。そこで、特許文献3の加工方法では、予熱装置121によって、半導体結晶体124を外部から加熱(外部予熱)し、半導体結晶体124の温度を上昇させて、半導体結晶体124の抵抗値を降下させる。
そして、半導体結晶体124の抵抗値が充分に低くなったところで、上パンチ122と下パンチ123との間に電圧を印加し、上パンチ122、半導体結晶体124、下パンチ123を繋ぐ電流経路にパルス電流(ただし電流はパルス電流には限らない)を印加し、半導体結晶体124を自己発熱させる。なお、半導体結晶体124の抵抗値が充分に低くなり、上パンチ122、半導体結晶体124、下パンチ123を繋ぐ電流経路にパルス電流を印加し始めたところで、外部からの加熱は不要になるので、予熱装置121を停止させる。そして、半導体結晶体124は、自己発熱によって温度が上昇し、塑性変形による加工が可能な目標温度に到達する。
特許文献3の加工方法においても、半導体結晶体124の温度が目標温度に到達した後に、上パンチ122と下パンチ123との間に、所定の大きさの圧力を、所定の時間、加えることによって、半導体結晶体124を塑性変形させて、半導体結晶体124を所望の形状に加工する。
特許文献3の加工方法においても、半導体結晶体124を加工している途中に、温度検知素子125で半導体結晶体124の温度を測定し、自動制御されたパルス電流発生装置が、半導体結晶体124の温度が目標温度を下回ると、上パンチ122と下パンチ123との間に印加する電圧を高くし、上パンチ122と下パンチ123との間に印加する電流を大きくし、逆に、半導体結晶体124の温度が目標温度を上回ると、上パンチ122と下パンチ123との間に印加する電圧を低くし、上パンチ122と下パンチ123との間に印加する電流を小さくする。したがって、半導体結晶体124を加工している間中、上パンチ122、半導体結晶体124、下パンチ123を繋ぐ電流経路に印加させる電流の電流値は変動し、一定ではない。
特許文献3の半導体結晶体の加工方法は、導電性ダイを備えないため、上パンチ122と導電性ダイとの間や、導電性ダイと下パンチ123との間にスパークが発生することがなく、特許文献2の半導体結晶体の加工方法が有していた問題が解決されている。特許文献3の半導体結晶体の加工方法も、特許文献2の半導体結晶体の加工方法と同様に、特許文献1の半導体結晶体の加工方法よりも低い温度で半導体結晶体を加工できるという大きな利点があり、半導体結晶体124を、複雑な形状に加工したり、高精度に加工したりすることができる。
特許文献2の「通電加熱法」による半導体結晶体の加工方法や、特許文献3の「直接通電加熱法」による半導体結晶体の加工方法は、半導体結晶体の自己発熱により半導体結晶体の温度を上昇させたうえで、半導体結晶体の加工をおこなうため、炉で半導体結晶体を加熱する特許文献1の半導体結晶体の加工方法よりも、大幅に低い温度で半導体結晶体を加工することができる。
しかしながら、特許文献2、3の加工方法では、半導体結晶体に電流を印加するため、室温で、上パンチと半導体結晶体及び半導体結晶体と下パンチの接触抵抗を小さく安定化させるために、上パンチと下パンチの間に圧力を加える、初期加圧が必要である。
ここで、半導体結晶体に加わる単位面積当たりの力は、上パンチと半導体結晶体と下パンチの接触面積によって決まる。例えば、半導体結晶体が円板で、上パンチと下パンチの先端形状が円板と同じ直径で平面である場合は、単位面積当たりの力は加圧力をパンチ表面積で除した均等荷重となる。また、半導体結晶体が円板で、上パンチと下パンチの先端形状が曲率を持つ場合は点荷重(集中荷重)となる。
このため、上パンチと下パンチとの間に、Siなどの半導体結晶体を挟み込み、接触抵抗を小さく安定化させるための加圧をおこなう際に、パンチの曲率半径によって決まる点荷重(集中荷重)が、半導体結晶体の圧縮強度及び抗折強度より大きいと半導体結晶体は破壊してしまう。
初期加圧をクリアすると、つぎに、加圧装置で初期加圧力を維持しながら電流印加を開始する。電流印加により半導体結晶体は自己発熱して昇温し、昇温によって半導体結晶体は膨張する。膨張によって発生する力は、前記点荷重(集中荷重)に加算され、半導体結晶体の圧縮強度及び抗折強度より大きくなると、昇温中に半導体結晶体は破壊してしまう。
すなわち、特許文献2、3の加工方法では、半導体結晶体に、接触抵抗を小さく安定化させるための初期加圧力と、昇温中に自己発熱による半導体結晶体の膨張によって生じる力が加わる。このため加工できる半導体結晶体には、それらの力に耐える強度が必要である。
例えば、最小加圧力0.2KNのサーボプレスで、外周支持した外径15mmの円板(半導体結晶体)に、前記曲率半径17mmのパンチで加圧した場合、円板の厚みが3mm未満では破壊が生じる。すなわち、このような点荷重がかかる場合、厚みが3mm未満の薄肉材料を加工することが出来ない課題があった。
また、電流印加による半導体結晶体の昇温を急峻に設定すると半導体結晶体が急激に膨張し、衝撃荷重に似た挙動になり破壊してしまう。このため、緩やかな昇温カーブを設定する必要があり、加工時間を短縮することが出来ない課題があった。
さらに、特許文献2の「通電加熱法」や、特許文献3の「直接通電加熱法」による半導体結晶体の加工方法は、半導体結晶体に電流を印加することで半導体結晶体のすべり面に作用して低温成形と結晶欠陥の無い加圧成形を実現する優れた発明である。
しかしながら、特許文献2、3の加工方法では、半導体結晶体の昇温のためには、上パンチと下パンチなど加圧治具の構成部材を同時に昇温する、外周方向と上下加圧軸方向への放熱を補って昇温する、2つの条件を満足する半導体結晶体の自己発熱量が必要である。例えば直径14mm、厚み3mmの単結晶シリコンを900℃で成形する場合は、特許文献2の加工方法では900A、特許文献3の加工方法では400Aを超える大電流の印加が必要になる。
このため、上パンチと半導体結晶体及び半導体結晶体と下パンチの接触抵抗が安定していない場合や半導体結晶体に微小なクラックが発生した場合には、半導体結晶体を貫通する電流や沿面を流れる電流が流れ、半導体結晶体を破壊したり、パンチと半導体結晶体の間で放電が発生し、高価なパンチを破壊したり、パンチと半導体結晶体が融着する致命的な問題があった。
本発明は、上述した従来の課題を解決するためになされたものであり、その手段として、本発明の半導体結晶体の加工方法は、半導体結晶体を準備し、半導体結晶体を、導電性材料を主体とする1対の加圧治具の中に配置する配置工程と、加熱装置により、1対の加圧治具および半導体結晶体を加熱し、半導体結晶体の温度を上昇させる昇温工程と、所定の温度に昇温した加圧治具および半導体結晶体を、加圧装置で加圧して、一方の加圧治具と、半導体結晶体と、他方の加圧治具とを繋ぎ、電気的に導通させる予備加圧工程と、一方の加圧治具と、半導体結晶体と、他方の加圧治具とを繋ぐ電流経路に電流を印加し、半導体結晶体を自己発熱させるとともに、1対の加圧治具の間に圧力を加え、半導体結晶体を塑性変形させる塑性変形工程と、を備えたものとする。
本発明の半導体の加工方法において、予備加圧工程で半導体結晶体の破壊を防止し、さらに、塑性変形工程で加工時間を短縮する、前記昇温工程における半導体結晶体温度は、半導体結晶体がGeである場合は、半導体結晶体の温度が、650℃~900℃の範囲が好ましく、半導体結晶体がSiである場合は、半導体結晶体の温度が、750℃~1100℃の範囲が好ましい。この条件下では、半導体結晶体の強度アップにより、予備加圧工程で薄肉材料の取り扱いが可能になり、塑性変形工程で加工時間の短縮が可能になる。この温度範囲は、温度の下限を下回ると、予備加圧工程で半導体結晶体の破壊が発生し、温度の上限を超えると半導体結晶体の蒸発が始まり、真空チャンバー内の真空度を低下させるため、これらの問題を解消するために設定された。
さらに、塑性変形工程で印加電流の小電流化を実現する、前記昇温工程における半導体結晶体温度は、半導体結晶体がGeである場合は、半導体結晶体の温度が、750℃~900℃の範囲が好ましく、半導体結晶体がSiである場合は、半導体結晶体の温度が、950℃~1100℃の範囲が好ましい。この条件下では、印加電流が小電流であっても、変形量や透過特性などの成形品質が維持される。この温度範囲は、温度の下限を下回ると、成形品質が維持できず、温度の上限を超えると半導体結晶体の蒸発が始まり、真空チャンバー内の真空度を低下させるため、これらの問題を解消するために設定された。
本発明の半導体の加工方法において、前記昇温工程において、上側加圧機構は、加圧治具(上パンチ)の直上1mmまで降下、停止し、加熱装置で加熱され昇温する。この条件下では、加圧機構や加圧治具および半導体結晶体が膨張しても、半導体結晶体に圧力は加わらず、破壊を防止する。
本発明の半導体の加工方法において、予備加圧工程において、加圧装置の最小加圧力で30秒から300秒加圧保持することが好ましい。この条件下で、予備加圧後に発生する加圧軸方向への放熱により、一時的に低下する半導体結晶体の温度の平衡状態が回復できる。
本発明の半導体の加工方法において、塑性変形工程では、前記半導体結晶体に電流印加と加圧を同時におこない、電流の制御は電流(定値)制御で制御、サーボプレスの加圧力制御は、±0.05KN以下で制御できることが好ましい。この条件下で、電流の再現性が確保され、加工時に生じる半導体結晶体の微小な膨張収縮挙動に迅速に対応して、異常放電などのトラブルが解消できる。
本発明の半導体結晶体の加工方法によれば、昇温工程で加熱装置による加熱をおこない、半導体結晶体の温度を塑性変形温度近くまで昇温し、半導体結晶体の強度をアップしてから、予備加圧工程に進むため、先行技術では取り扱うことが出来なかった薄肉材料や球体の加工が可能になる。
また、本発明の半導体結晶体の加工方法によれば、昇温工程で加熱装置による加熱をおこない、半導体結晶体の温度を塑性変形温度近くまで昇温し、半導体結晶体の強度をアップしてから、塑性変形工程に進むため、塑性変形工程において、急昇温、急昇圧(加圧)が可能になり、加工時間の大幅な短縮が可能になる。
また、本発明の半導体結晶体の加工方法によれば、昇温工程で加熱装置による加熱をおこない、半導体結晶体の温度を塑性変形温度近くまで昇温することで、印加電流により自己発熱で昇温する機能は代替される。このため、塑性変形工程における印加電流は、半導体結晶体の変形挙動に資する電流のみとなり小電流化が可能になる。
また、本発明の半導体結晶体の加工方法によれば、昇温工程で加熱装置による加熱をおこない、半導体結晶体の温度を塑性変形温度近くまで昇温することで、塑性変形工程において、負の温度特性を持つ半導体結晶体の電気抵抗値は、安定域に達し、電流印加に伴う自己発熱による温度変化は小さくなる。このため半導体結晶体の温度制御は不要になり、電流の定値制御と異常検知の設置だけで運転可能になる。このため温度調節計、サイリスタなど高価な温度システムは不要になる。
以下、図面とともに、本発明を実施するための形態について説明する。なお、各実施形態は、本発明の実施の形態を例示的に示したものであり、本発明が実施形態の内容に限定されることはない。また、異なる実施形態に記載された内容を組合せて実施することも可能であり、その場合の実施内容も本発明に含まれる。また、図面は、実施形態の理解を助けるためのものであり、必ずしも厳密に描画されていない場合がある。たとえば、描画された構成要素ないし構成要素間の寸法の比率が、明細書に記載されたそれらの寸法の比率と一致していない場合がある。また、明細書に記載されている構成要素が、図面において省略されている場合や、個数を省略して描画されている場合などがある。
図1に、実施形態において使用する半導体結晶体の加工装置100を示す。ただし、図1は加工装置100の断面図である。
加工装置100は、上パンチ1、下パンチ2、ダイ3からなる、1対の加圧治具を備えている。上パンチ1、下パンチ2は、たとえば、導電性材料であるバインダレス超硬により作製されている。ただし、上パンチ1、下パンチ2の材質は任意であり、バインダレス超硬には限定されず、他の材質を使用してもよい。ダイ3は、たとえば、絶縁材料からなる窒化ケイ素により作製されている。ただし、ダイ3の材質は任意であり、窒化ケイ素に限定されず、たとえば、絶縁性炭化ケイ素などを使用してもよい。
上パンチ1と下パンチ2の少なくとも一方は、所望する半導体結晶体の加工形状に対応した当接面を有している。そして、当該当接面は、加工後の半導体結晶体(レンズ等)の設計形状と同一寸法にサブミクロンオーダーで高精度に加工されており、表面も数10ナノメートルの面粗さで研磨加工されている。
本実施形態の加工装置100は、加圧機構5、6を備えている。半導体結晶体4を上パンチ1と下パンチ2の間に挟み込んだ、上パンチ1、下パンチ2、ダイ3からなる1対の加圧治具が、固定式の加圧機構6の中心軸上に置かれ、同軸上に可動式の加圧機構5が取り付けられている。本実施形態においては、加圧機構5は、下死点位置制御機能が付加されたサーボプレス装置9で駆動され、前記配置工程及び昇温工程では、任意の位置で待機、予備加圧工程では、任意の加圧力で加圧治具を予備加圧して保持、塑性変形工程では、加圧力、または、押し込み量の、いずれかを指定して加圧降下させることができる。一連の動作により、半導体結晶体4(被加工物)を所望の圧力で加圧し、塑性変形させることができる。
本実施形態の加工装置100は、チャンバー10を備えている。チャンバー10には
上パンチ1、下パンチ2、ダイ3、半導体結晶体4、加圧機構5、加圧機構6を加熱する、加熱装置7が設けられている。
上パンチ1、下パンチ2、ダイ3、半導体結晶体4、加圧機構5、加圧機構6を加熱する、加熱装置7が設けられている。
加熱装置7は、半導体結晶体4を上パンチ1と下パンチ2の間に挟み込んだ、上パンチ1、下パンチ2、ダイ3からなる1対の加圧治具を3方向(左右、後)から加熱し、半導体結晶体4を、最高で1200℃程度まで加熱することができる。加熱装置7は、遮熱板8a(左右、後)、下遮熱板8b、上遮熱板8c、正面遮熱板(図示無し)が備えられ、放熱や熱の対流を抑制している。なお、正面遮熱板に設けた2mmの穴から半導体結晶体4の温度を放射温度計叉は熱電対で計測することが出来る。
本実施形態においては、チャンバー10は金属製である。加圧機構5、加圧機構6
は、それぞれ、絶縁性のシール部材11によって、チャンバー10と電気的に絶縁されている。チャンバー10の内部は、たとえば、大気、真空、窒素などの不活性ガスなど、所望の雰囲気に保つことができる。なお、チャンバー10は金属製には限らず、透明石英管など、他の材質を使用したものであってもよい。
は、それぞれ、絶縁性のシール部材11によって、チャンバー10と電気的に絶縁されている。チャンバー10の内部は、たとえば、大気、真空、窒素などの不活性ガスなど、所望の雰囲気に保つことができる。なお、チャンバー10は金属製には限らず、透明石英管など、他の材質を使用したものであってもよい。
加工装置100は、加圧機構5、上パンチ1、半導体結晶体4、下パンチ2、加圧機構6を繋ぐ電流経路を備えている。
加工装置100は、パルス電流発生装置12を備えている。パルス電流発生装置12は、加圧機構5、上パンチ1、半導体結晶体4、下パンチ2、加圧機構6を繋ぐ電流経路にパルス電流を印加し、半導体結晶体4を自己発熱させるためのものである。
本実施形態においては、パルス電流発生装置12に、電流制御方式を採用している。すなわち、パルス電流発生装置12は、半導体結晶体4に、所望の大きさの定値電流(一定の電流値の電流)を流すことができる。なお、通常、通電加熱法や直接通電加熱法では、パルス電流発生装置に電圧制御方式を採用している。電圧制御方式では、半導体結晶体4を塑性変形させる工程において、半導体結晶体4の温度を所定の目標温度に維持するために、半導体結晶体4の温度に応じて、上パンチと下パンチとの間に印加する電圧の大きさを変化させる。そのため、電圧制御方式では、半導体結晶体4に印加される電流の電流値は一定ではなく、絶えず変化するため、加工安定性に欠ける欠点がある。
なお、本実施形態においては、加圧機構5、上パンチ1、半導体結晶体4、下パンチ2、加圧機構6を繋ぐ電流経路にパルス電流を印加するものとし、パルス電流発生装置12を備えているが、電流経路に印加される電流はパルス電流には限定されず、直流電流であってもよい。この場合には、パルス電流発生装置12の代わりに、異なる電流発生装置が用意される。
(実施形態にかかる半導体結晶体の加工方法)
次に、加工装置100を使用した、実施形態にかかる半導体結晶体の加工方法について説明する。
(実施形態にかかる半導体結晶体の加工方法)
次に、加工装置100を使用した、実施形態にかかる半導体結晶体の加工方法について説明する。
予備加圧工程において、半導体結晶体が、予め定めた圧力で加圧されても破壊しない、昇温工程における半導体結晶体の温度を求める実験をおこなった。
以下、図3(A)加工工程図、図3(B)加工プロファイルに沿って説明する。
(配置工程)
半導体結晶体(単結晶シリコン、直径18mm厚み2mm円板)を表1に示す仕様の加圧治具に挟み込み、固定式の加圧機構6の中心軸上に置き、可動式の加圧機構5を降下し、加圧治具に接触しない位置で停止した。
半導体結晶体(単結晶シリコン、直径18mm厚み2mm円板)を表1に示す仕様の加圧治具に挟み込み、固定式の加圧機構6の中心軸上に置き、可動式の加圧機構5を降下し、加圧治具に接触しない位置で停止した。
(昇温工程)
次に、チャンバー内を真空引きし、半導体結晶体(単結晶シリコン、直径18mm厚み2mm円板)の温度が650℃に到達するように加熱装置7の出力を調整した。
次に、チャンバー内を真空引きし、半導体結晶体(単結晶シリコン、直径18mm厚み2mm円板)の温度が650℃に到達するように加熱装置7の出力を調整した。
(予備加圧工程)
半導体結晶体(単結晶シリコン、直径18mm厚み2mm円板)の温度が650℃に到達した後、加熱装置7の出力を維持したまま、加圧機構5を降下し、サーボプレスの最小加圧力0.2KNで、5分間、加圧治具を加圧保持した。
半導体結晶体(単結晶シリコン、直径18mm厚み2mm円板)の温度が650℃に到達した後、加熱装置7の出力を維持したまま、加圧機構5を降下し、サーボプレスの最小加圧力0.2KNで、5分間、加圧治具を加圧保持した。
(調査方法)
予備加圧工程で、加圧保持終了後、加圧力を0.1KNずつ増加し、半導体結晶体(単結晶シリコン、直径18mm厚み2mm円板)のたわみ量と破壊点を調査し、破壊した時点で当該温度の調査を終了した。このような手順を繰り返して半導体結晶体(単結晶シリコン、直径18mm厚み2mm円板)の温度が1000℃に到達するまで、50℃ずつ昇温して調査した。
予備加圧工程で、加圧保持終了後、加圧力を0.1KNずつ増加し、半導体結晶体(単結晶シリコン、直径18mm厚み2mm円板)のたわみ量と破壊点を調査し、破壊した時点で当該温度の調査を終了した。このような手順を繰り返して半導体結晶体(単結晶シリコン、直径18mm厚み2mm円板)の温度が1000℃に到達するまで、50℃ずつ昇温して調査した。
調査の結果を、下表に示す。表は、横軸に半導体結晶体の温度(℃)、縦軸に加圧力(MPa)をとり、表中に加圧時の半導体結晶体(円板)のたわみ量、×印で半導体結晶体(円板)の破壊を示す。なお、表中の圧力(МPa)は、半導体結晶体に付いた圧痕(Φ2mm)から加圧面積を求め、算出した。
結果から、常温では小さな圧力(31MPa)で破壊する半導体結晶体(単結晶シリコン、直径18mm厚み2mm円板)の強度は、700℃を超える辺りから強度アップし、750℃以降では、破壊時の圧力が70~80MPaで推移することが分かった。この結果は、半導体結晶体の温度を上げることで、強度が室温下に比べ2倍以上にアップする画期的な発見で、半導体結晶体の取り扱いを飛躍的に容易にするものである。強度アップの理由は、半導体結晶体の温度が上昇すると、加圧時に、水平方向に微小な結晶滑りを起こし、垂直(加圧軸)方向の応力を緩和するためと推定される。
なお、半導体結晶体である単結晶シリコン(Si)、単結晶ゲルマニウム(Ge)ともに同様の挙動を示すことが確認され、前記昇温工程の半導体結晶体の温度を、Siでは750℃~1000℃の範囲、Geでは650℃~900℃の範囲で設定した。温度の上限は、材料の蒸発に起因する真空度の低下が始まる直前の温度とした。
次に、塑性加工工程において、より小さい電流で加圧成形できる、半導体結晶体の温度を求める調査をおこなった。
本実施形態においては、加圧治具(上パンチ1、下パンチ2、ダイ3)は、前記表1に示す仕様のものを使用した。
以下、図4(A)に示す加工工程図、図4(B)に示す加工プロファイルに沿って説明する。
(配置工程)
半導体結晶体(単結晶ゲルマニウム、直径15mm厚み2mm円板)を表1に示す仕様の加圧治具に挟み込み、固定式の加圧機構6の中心軸上に置き、可動式の加圧機構5を降下し、加圧治具に接触しない位置で停止した。
半導体結晶体(単結晶ゲルマニウム、直径15mm厚み2mm円板)を表1に示す仕様の加圧治具に挟み込み、固定式の加圧機構6の中心軸上に置き、可動式の加圧機構5を降下し、加圧治具に接触しない位置で停止した。
(昇温工程)
次に、チャンバー内を真空引きし、半導体結晶体(単結晶ゲルマニウム、直径15mm厚み2mm円板)の温度が700℃に到達するように加熱装置7の出力を調整した。
次に、チャンバー内を真空引きし、半導体結晶体(単結晶ゲルマニウム、直径15mm厚み2mm円板)の温度が700℃に到達するように加熱装置7の出力を調整した。
(予備加圧工程)
半導体結晶体(単結晶ゲルマニウム、直径15mm厚み2mm円板)の温度が700℃に到達した後、加熱装置7の出力を維持したまま、加圧機構5を降下し、サーボプレスの最小加圧力0.2KNで、5分間、加圧治具を加圧保持した。
半導体結晶体(単結晶ゲルマニウム、直径15mm厚み2mm円板)の温度が700℃に到達した後、加熱装置7の出力を維持したまま、加圧機構5を降下し、サーボプレスの最小加圧力0.2KNで、5分間、加圧治具を加圧保持した。
(塑性加工工程)
予備加圧5分間が終了した後、電流印加と加圧を同時に開始し、15分間で電流500A、加圧力3KNに到達後、電流印加と加圧を停止、放冷して加工を終了した。
予備加圧5分間が終了した後、電流印加と加圧を同時に開始し、15分間で電流500A、加圧力3KNに到達後、電流印加と加圧を停止、放冷して加工を終了した。
なお、本実験において、半導体結晶体(単結晶ゲルマニウム、直径15mm厚み2mm円板)の温度を700℃に昇温し、塑性変形工程で電流を0Aから500Aまで印加しても、半導体結晶体温度は700℃から720℃に上昇する程度であった。これは、負の抵抗温度特性を持つ半導体結晶体の抵抗が1ミリΩ以下まで低下し、電流を増やしても自己発熱量の増加が小さく、系全体(上下加圧機構、上下パンチ、ダイ、半導体結晶体)の温度に対する影響が小さいためである。
図4(B)の加工プロファイル(印加電流500A、加圧力3KN、加工時間15分)で、半導体結晶体の破損などのトラブルなく良好な加工品質が得られた。
次に、昇温工程、予備加圧工程を同一条件のまま、塑性変形工程について、電流と加圧力を変えた5水準の調査をおこなった。結果を下表に示す。
いずれの条件でも、半導体結晶体の破損などのトラブルなく、変形量不足の100Aの条件でも加圧力を上げることで変形量不足は解消され、全ての条件において加工品質(形状、赤外線透過特性)は良好であった。
いずれの条件でも、半導体結晶体の破損などのトラブルなく、変形量不足の100Aの条件でも加圧力を上げることで変形量不足は解消され、全ての条件において加工品質(形状、赤外線透過特性)は良好であった。
これらの結果は、通電加熱法の印加電流が、半導体結晶体の温度を自己発熱によって上昇させる機能、と、結晶構造に作用して変形(転位)を加速する機能があることを示している。すなわち、本発明の半導体結晶体の加工方法によれば、昇温工程で加熱装置による加熱をおこない、半導体結晶体の温度を塑性変形温度近くまで昇温することで、印加電流により自己発熱で昇温する機能は代替される。このため、塑性変形工程における印加電流は、半導体結晶体の変形挙動に資する電流のみとなり小電流化が可能になる。
なお、単結晶シリコン(Si)、単結晶ゲルマニウム(Ge)ともに同様の挙動を示すことが確認され、印加電流の大きさに影響を受けなくなる前記昇温工程の半導体結晶体の温度は、Siでは950℃~1100℃の範囲、Geでは750℃~900℃の範囲が好ましい。尚、加熱温度の上限は、材料の蒸発に起因する真空度の低下が始まる直前の温度とした。
以上、本発明にかかる半導体結晶体の加工工程、および、昇温工程での半導体結晶体の温度上昇によりもたらされる、半導体結晶体の強度アップ、印加電流の小電流化、の特長を説明した。両者とも新しい知見であり、これらの知見を活用することで、安定した半導体結晶体の加工方法が提供できる。
次に、本発明に基づく実施例を簡単に説明する。
(実施例1)
(実施例1)
実施例1は、先行技術で取り扱うことが出来る単結晶材料の厚みの制約(3mm以上)に比べ、その1/6の薄肉(0.5mm)材料の加工例である。
実施例1において、加圧治具(上パンチ1、下パンチ2、ダイ3)は、前記表1に示す仕様のものを使用した。
図5(A)に上パンチ、下パンチ、ダイ、半導体結晶体の組立図、を示す。図5(B)に示す加工プロファイルに沿って、以下に説明する。
(配置工程)
半導体結晶体(単結晶ゲルマニウム、直径15mm厚み0.5mm円板)を加圧治具に挟み込み、固定式の加圧機構6の中心軸上に置き、可動式の加圧機構5を降下し、加圧治具に接触しない位置で停止した。
半導体結晶体(単結晶ゲルマニウム、直径15mm厚み0.5mm円板)を加圧治具に挟み込み、固定式の加圧機構6の中心軸上に置き、可動式の加圧機構5を降下し、加圧治具に接触しない位置で停止した。
(昇温工程)
次に、チャンバー内を真空引きし、半導体結晶体(単結晶ゲルマニウム、直径15mm厚み0.5mm円板)の温度が700℃に到達するように加熱ヒーターの出力を調整した。
次に、チャンバー内を真空引きし、半導体結晶体(単結晶ゲルマニウム、直径15mm厚み0.5mm円板)の温度が700℃に到達するように加熱ヒーターの出力を調整した。
(予備加圧工程)
半導体結晶体(単結晶ゲルマニウム、直径15mm厚み0.5mm円板)の温度が700℃に到達した後、加熱装置7の出力を維持したまま、加圧機構5を降下し、サーボプレスの最小加圧力0.2KNで、5分間、加圧治具を加圧保持した。
半導体結晶体(単結晶ゲルマニウム、直径15mm厚み0.5mm円板)の温度が700℃に到達した後、加熱装置7の出力を維持したまま、加圧機構5を降下し、サーボプレスの最小加圧力0.2KNで、5分間、加圧治具を加圧保持した。
(塑性加工工程)
予備加圧5分間が終了した後、電流印加と加圧を同時に開始し、電流は、印加開始直後20Aで10分間保持し、加圧力は、3KNに10分間で昇圧した。設定圧力に到達後、電流印加と加圧印加、加熱装置による加熱を停止、放冷して加工を終了した。なお、加工中に半導体結晶体(単結晶ゲルマニウム、直径15mm厚み0.5mm円板)の破壊やスパークなどの問題発生はなく、安定した加工が出来た。
予備加圧5分間が終了した後、電流印加と加圧を同時に開始し、電流は、印加開始直後20Aで10分間保持し、加圧力は、3KNに10分間で昇圧した。設定圧力に到達後、電流印加と加圧印加、加熱装置による加熱を停止、放冷して加工を終了した。なお、加工中に半導体結晶体(単結晶ゲルマニウム、直径15mm厚み0.5mm円板)の破壊やスパークなどの問題発生はなく、安定した加工が出来た。
自然冷却後に、半導体結晶体(単結晶ゲルマニウム、直径15mm厚み0.5mm円板)の加工状態を観察したところ、マイクロクラックなどの異常発生もなく、加工状態は極めて良好であった。
(実施例2)
(実施例2)
実施例2は、先行技術では、電流印加前の加圧の段階、または、電流印加開始直後に、単結晶材料が破壊してしまうために、取り扱うことが出来なかった真球の単結晶材料の加工例である。
実施例2において、加圧治具(上パンチ1、下パンチ2、ダイ3)は、前記表1に示す
仕様のものを使用した。
仕様のものを使用した。
図6(A)に上パンチ、下パンチ、ダイ、半導体結晶体の組立図、を示す。図6(B)に
示す加工プロファイルに沿って、以下に説明する。
示す加工プロファイルに沿って、以下に説明する。
(配置工程)
半導体結晶体(単結晶ゲルマニウム、直径5mm真球)を前記表1に示す仕様の加圧治具に挟み込み、固定式の加圧機構6の中心軸上に置き、可動式の加圧機構5を降下し、加圧治具に接触しない位置で停止した。
半導体結晶体(単結晶ゲルマニウム、直径5mm真球)を前記表1に示す仕様の加圧治具に挟み込み、固定式の加圧機構6の中心軸上に置き、可動式の加圧機構5を降下し、加圧治具に接触しない位置で停止した。
(昇温工程)
次に、チャンバー内を真空引きし、半導体結晶体(単結晶ゲルマニウム、直径5mm真球)の温度が700℃に到達するように加熱ヒーターの出力を調整した。
次に、チャンバー内を真空引きし、半導体結晶体(単結晶ゲルマニウム、直径5mm真球)の温度が700℃に到達するように加熱ヒーターの出力を調整した。
(予備加圧工程)
半導体結晶体(単結晶ゲルマニウム、直径5mm真球)の温度が700℃に到達した後、加熱装置7の出力を維持したまま、加圧機構5を降下し、サーボプレスの最小加圧力0.2KNで、5分間、加圧治具を加圧保持した。
半導体結晶体(単結晶ゲルマニウム、直径5mm真球)の温度が700℃に到達した後、加熱装置7の出力を維持したまま、加圧機構5を降下し、サーボプレスの最小加圧力0.2KNで、5分間、加圧治具を加圧保持した。
(塑性加工工程)
予備加圧5分間が終了した後、電流印加と加圧を同時に開始し、電流は、印加開始20Aで10分間保持し、加圧力は最初の5分間で1KNに昇圧し、後半の5分間で5KNに昇圧した。設定圧力に到達後、電流印加と加圧印加、加熱装置による加熱を停止、放冷して加工を終了した。なお、加工中に半導体結晶体(単結晶ゲルマニウム、直径5mm真球)の破壊やスパークなどの問題発生はなく、安定した加工が出来た。
予備加圧5分間が終了した後、電流印加と加圧を同時に開始し、電流は、印加開始20Aで10分間保持し、加圧力は最初の5分間で1KNに昇圧し、後半の5分間で5KNに昇圧した。設定圧力に到達後、電流印加と加圧印加、加熱装置による加熱を停止、放冷して加工を終了した。なお、加工中に半導体結晶体(単結晶ゲルマニウム、直径5mm真球)の破壊やスパークなどの問題発生はなく、安定した加工が出来た。
自然冷却後に、半導体結晶体(単結晶ゲルマニウム、直径5mm真球)の加工状態を観察したところ、マイクロクラックなどの異常発生もなく、加工状態は極めて良好であった。
(実施例3)
(実施例3)
実施例3は、先行技術では、半導体結晶体の破壊防止のために、細かい電流印加や加圧印加が必要であった半導体結晶体の加工例と、本発明による加工例と、を比較するために実施したものである。
実施例3において、加圧治具(上パンチ1、下パンチ2、ダイ3)は、前記表1に示す
仕様のものを使用した。半導体結晶体は、単結晶ゲルマニウム、直径15mm厚み2mm円板を使用した。
仕様のものを使用した。半導体結晶体は、単結晶ゲルマニウム、直径15mm厚み2mm円板を使用した。
図7(A)に先行技術による加工プロファイル、図7(B)に本願の加工プロファイルを示し、以下に説明する。なお、(配置工程)は、共通であるので説明を省略する。
図7(A)に示す先行技術による加工プロファイルでは、昇温工程において、半導体結晶体の破壊を防止するため、毎分20Aのレートで電流を増加させ、100А毎に1分間保持時間を設け、保持時間の間に1KN昇圧する階段状のプロファイルを採用し、25分かけて半導体結晶体温度を700℃に昇温している。次に、塑性変形工程に移行し、15分間で5KNまで加圧するが、周囲への放熱と加圧軸方向への放熱により、半導体結晶体の温度は低下する。温度低下が続くと半導体結晶体の破壊が発生するため、印加電流を増やして対応しようとするが安定した状態を得ることが出来ない。この点が先行技術の問題点であり、加工品質変動の主要因になっている。
図7(B)に示す本発明によるの加工プロファイルに沿って、以下に説明する。
(昇温工程)
チャンバー内を真空引きし、半導体結晶体の温度が700℃に到達するように加熱ヒーターの出力を調整し、5分間で昇温した。
チャンバー内を真空引きし、半導体結晶体の温度が700℃に到達するように加熱ヒーターの出力を調整し、5分間で昇温した。
(予備加圧工程)
半導体結晶体の温度が700℃に到達した後、加熱装置7の出力を維持したまま、加圧機構5を降下し、サーボプレスの最小加圧力0.2KNで、5分間、加圧治具を加圧保持した。
半導体結晶体の温度が700℃に到達した後、加熱装置7の出力を維持したまま、加圧機構5を降下し、サーボプレスの最小加圧力0.2KNで、5分間、加圧治具を加圧保持した。
(塑性加工工程)
予備加圧5分間が終了した後、電流印加と加圧を同時に開始し、電流200A、5KNまで10分間で印加した。この間、半導体結晶体の温度変化は小さく、安定した状態を維持しており、加工中に半導体結晶体の破壊やスパークなどの問題発生はなく、安定した加工が出来た。
予備加圧5分間が終了した後、電流印加と加圧を同時に開始し、電流200A、5KNまで10分間で印加した。この間、半導体結晶体の温度変化は小さく、安定した状態を維持しており、加工中に半導体結晶体の破壊やスパークなどの問題発生はなく、安定した加工が出来た。
以上、実施形態にかかる半導体結晶体の加工方法、および、それらの加工方法に使用する加工装置100について説明した。しかしながら、本発明が上述した内容に限定されることはなく、発明の趣旨に沿って、種々の変更をなすことができる。
たとえば、実施例1、実施例2、実施例3では、Ge半導体結晶体を被加工物として加工したが、被加工物はGe半導体結晶体には限定されず、たとえばSi半導体結晶体などであっても、同様に、高い加工品質、高い加工再現性で加工することができる。
研削研磨法などの既存の技術では加工できなかった単結晶ゲルマニウム(Ge)や単結晶シリコン(Si)のミラーなど薄物のプレス加工が可能になる。叉、ウェハーレベルの材料が取り扱えることで、ナノオーダーの表面微細加工の用途が拡大する。
1・・・上パンチ
2・・・下パンチ
3・・・ダイ
4・・・半導体結晶体
5・・・上側の加圧機構(可動)
6・・・下側の加圧機構(固定)
7・・・加熱装置
8a、8b、8c・・・遮熱板
9・・・下死点位置制御機能付きサーボプレス
10・・・チャンバー
11・・・シール部材(絶縁性)
12・・・パルス電流発生装置
2・・・下パンチ
3・・・ダイ
4・・・半導体結晶体
5・・・上側の加圧機構(可動)
6・・・下側の加圧機構(固定)
7・・・加熱装置
8a、8b、8c・・・遮熱板
9・・・下死点位置制御機能付きサーボプレス
10・・・チャンバー
11・・・シール部材(絶縁性)
12・・・パルス電流発生装置
Claims (4)
- 半導体結晶体を準備し、前記半導体結晶体を、導電性材料を主体とする1対の加圧治具で挟み込み、下側の加圧機構の中心位置に配置する配置工程と、
加熱装置により、前記1対の加圧治具および前記半導体結晶体を加熱し、前記半導体結晶体があらかじめ定められた加圧力で加圧されても破壊しない、且つ、小さな電流で塑性変形する設定温度に、前記半導体の温度を上昇させる昇温工程と、
前記設定温度の温度になった前記半導体結晶体を挟み込んだ前記1対の加圧治具に、上側の加圧機構を接触させ予備加圧して、前記上側の加圧機構と前記半導体結晶体を挟み込んだ前記1対の加圧治具と前記下側の加圧機構を電気的に導通させる予備加圧工程と、
パルス電流装置からの前記上側の加圧機構と前記半導体結晶体を挟み込んだ前記1対の加圧治具と前記下側の加圧機構に電流を流して前記半導体結晶体を自己発熱させ、同時に、前記上側の加圧機構によって前記半導体結晶体に前記予備加圧より大きな圧力を加え、前記半導体結晶体を予め定めた形状に塑性変形させる塑性変形工程と、
を備えた半導体結晶体の加工方法。 - 請求項1に記載の半導体結晶体の加工方法において、前記昇温工程で、前記半導体結晶体があらかじめ定められた加圧力で加圧されても破壊しない前記半導体結晶体の設定温度が、
単結晶ゲルマニウムの場合、650℃~900℃の範囲、
単結晶シリコンの場合、750℃~1100℃の範囲、
にある半導体結晶体の加工方法。 - 請求項2に記載の半導体結晶体の加工方法において、前記昇温工程で、前記塑性変形工程で小さな電流で塑性変形する前記半導体結晶体の設定温度が、
単結晶ゲルマニウムの場合、750℃~900℃の範囲
単結晶シリコンの場合、950℃~1100℃の範囲
にある半導体結晶体の加工方法。 - 請求項1に記載の半導体結晶体の加工方法において、前記塑性変形工程で、前記上側の加圧機構と前記半導体結晶体を挟み込んだ前記1対の加圧治具と前記下側の加圧機構に流される電流が、電流制御された定値電流である、請求項1に記載された半導体結晶体の加工方法。
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JP2022055498A JP2023147786A (ja) | 2022-03-30 | 2022-03-30 | 半導体結晶体の加工方法および半導体結晶体の加工装置 |
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- 2022-03-30 JP JP2022055498A patent/JP2023147786A/ja active Pending
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