JP2023146922A - 耐火断熱組成物、耐火断熱組成物スラリー、耐火断熱板及び耐火断熱構造体 - Google Patents

耐火断熱組成物、耐火断熱組成物スラリー、耐火断熱板及び耐火断熱構造体 Download PDF

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Kazuto Tawara
浩徳 長崎
Hironori Nagasaki
航平 水田
Kohei Mizuta
拓哉 宮村
Takuya Miyamura
春樹 大橋
Haruki Ohashi
誠 桐ケ谷
Makoto Kirigaya
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Abstract

【課題】優れた耐火性、優れた断熱性及び低い比重を有する耐火断熱板を得ることができる耐火断熱組成物、その耐火断熱組成物を含むスラリー、そのスラリーを硬化させてなる耐火断熱板及びその耐火断熱板を含む耐火断熱構造体を提供する。【解決手段】本発明の耐火断熱組成物はCaOの含有量が34質量%以上であるカルシウムアルミネート、セッコウ及び木質繊維を含み、セッコウの含有量が、カルシウムアルミネート100質量部に対して70~250質量部であり、木質繊維の含有量が、カルシウムアルミネート及びセッコウの合計100質量部に対して5~60質量部である。本発明の耐火断熱組成物スラリーは本発明の耐火断熱組成物及び水を混合してなるものである。本発明の耐火断熱板は本発明の耐火断熱組成物スラリーを硬化させてなるものである。本発明の耐火断熱構造体は本発明の耐火断熱板を含む。【選択図】なし

Description

本発明は、建築物の耐火断熱構造体を構築するための耐火断熱組成物、耐火断熱組成物スラリー、耐火断熱板及び耐火断熱構造体に関する。
木質系セメント板は、ポルトランドセメントに、木毛、木片等の木質材料、水、及び硬化剤を加え、加圧成形して作られる、有機材料と無機材料の複合建築用材料である。木質系セメント板は、木質材料とポルトランドセメントを複合することによって、燃えやすいという木材の建築用材料としての欠点が改良され、かつ、セメント板よりも軽量であるという特徴を有する。そのような木質系セメント板として、例えば、特許文献1に記載された木質系セメント板が従来技術として知られている。セメント成分及び木質成分に加えて、ベントナイトを配合することにより、耐火性に優れるとともに比重が1.0と低い木質系セメント板を得ることができる。
特開2003-137630号公報
木質系セメント板等の耐火断熱板は、軽量であればあるほど、耐火断熱板の取り付け作業の効率が高くなる。そのため、優れた耐火性を有するとともに、さらに比重が低い耐火断熱板が望まれている。また、暖房設備のエネルギー消費量を低減するために、耐火断熱板の断熱性能が高いことが好ましい。そこで、本発明は、優れた耐火性、優れた断熱性及び低い比重を有する耐火断熱板を得ることができる耐火断熱組成物、その耐火断熱組成物を含むスラリー、そのスラリーを硬化させてなる耐火断熱板及びその耐火断熱板を含む耐火断熱構造体を提供することを目的とする。
本発明者らは、種々検討を重ねた結果、耐火断熱板を得るための耐火断熱組成物のバインダー成分としてカルシウムアルミネート及びセッコウを用いることにより、優れた耐火性、優れた断熱性及び低い比重を有する耐火断熱板が得られるとの知見を得て、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明は下記のとおりである。
[1]CaOの含有量が34質量%以上であるカルシウムアルミネート、セッコウ及び木質繊維を含み、前記セッコウの含有量が、前記カルシウムアルミネート100質量部に対して70~250質量部であり、前記木質繊維の含有量が、前記カルシウムアルミネート及び前記セッコウの合計100質量部に対して5~60質量部である耐火断熱組成物。
[2]前記木質繊維の平均長さが0.1~8mmであり、前記木質繊維の平均幅が0.01~2mmであり、前記木質繊維の平均厚さが0.01~1mmである上記[1]に記載の耐火断熱組成物。
[3]起泡剤をさらに含む上記[1]又は[2]に記載の耐火断熱組成物。
[4]空孔を有する無機粉末をさらに含む上記[1]~[3]のいずれか1つに記載の耐火断熱組成物。
[5]樹脂の中空微粒子をさらに含む上記[1]~[4]のいずれか1つに記載の耐火断熱組成物。
[6]凝結遅延剤をさらに含む上記[1]~[5]のいずれか1つに記載の耐火断熱組成物。
[7]上記[1]~[6]のいずれか1つに記載の耐火断熱組成物及び水を混合してなる耐火断熱組成物スラリー。
[8]上記[7]に記載の耐火断熱組成物スラリーを硬化させてなる耐火断熱板。
[9]上記[8]記載の耐火断熱板を含む耐火断熱構造体。
本発明によれば、優れた耐火性、優れた断熱性及び低い比重を有する耐火断熱板を得ることができる耐火断熱組成物、その耐火断熱組成物を含むスラリー、そのスラリーを硬化させてなる耐火断熱板及びその耐火断熱板を含む耐火断熱構造体を提供することができる。
以下、本発明を詳細に説明する。なお、本明細書における部や%は、特に規定しない限り質量基準で示す。本明細書における数値範囲は、別段の定めがない限りはその上限値及び下限値を含むものとする。
本発明の実施形態に係る耐火断熱組成物(以下、単に「組成物」ということもある。)は、CaOの含有量が34質量%以上であるカルシウムアルミネート、セッコウ及び木質繊維を含み、セッコウの含有量が、カルシウムアルミネート100質量部に対して70~250質量部であり、木質繊維の含有量が、カルシウムアルミネート及びセッコウの合計100質量部に対して5~60質量部である。これにより、優れた耐火性、優れた断熱性及び低い比重を有する耐火断熱板を得ることができる耐火断熱組成物を提供することができる
(カルシウムアルミネート)
本明細書においてカルシウムアルミネートとは、カルシア原料とアルミナ原料等を混合して、キルンで焼成し、あるいは、電気炉で溶融し冷却して得られるCaOとAlとを主成分とする水和活性を有する物質の総称である。本発明の実施形態に係る耐火断熱組成物に用いるカルシウムアルミネートは、特に限定されるものではないが、硬化後の初期強度発現性の点で、溶融後に急冷した非晶質カルシウムアルミネートが好ましい。本発明の実施形態に係る耐火断熱組成物に用いるカルシウムアルミネートのCaO含有量は反応活性の点で34%以上であり、40%以上が好ましい。CaO含有量が34%未満では十分な耐火性及び断熱性を示さない場合がある。
本発明の実施形態に係る耐火断熱組成物に用いるカルシウムアルミネートのCaO含有量は60%以下が好ましく、50%以下がより好ましい。また、カルシウムアルミネートのAl含有量は40%以上が好ましく、45%以上がより好ましい。カルシウムアルミネートのAl含有量は80%以下が好ましく、65%以下がより好ましい。
さらに、カルシウムアルミネートとして、カルシウムアルミネートのCaOやAlの一部が、アルカリ金属酸化物、アルカリ土類金属酸化物、酸化ケイ素、酸化チタン、酸化鉄、アルカリ金属ハロゲン化物、アルカリ土類金属ハロゲン化物、アルカリ金属硫酸塩、及びアルカリ土類金属硫酸塩等と置換した化合物も使用できるし、あるいは、CaOとAlとを主成分とするものに、これらが少量固溶した化合物も使用できる。
本発明の実施形態に係る耐火断熱組成物に用いるカルシウムアルミネートのガラス化率は、8%以上が好ましく、50%以上が好ましく、90%以上が最も好ましい。カルシウムアルミネートのガラス化率は、以下の手法で算出できる。加熱前のサンプルについて、粉末X線回折法により結晶鉱物のメインピーク面積Sを予め測定し、その後1000℃で2時間加熱後、1~10℃/分の冷却速度で徐冷し、粉末X線回折法による加熱後の結晶鉱物のメインピーク面積Sを求め、更に、これらのS及びSの値を用い、次の式を用いてガラス化率χを算出する。
ガラス化率χ(%)=100×(1-S/S
本発明の実施形態に係る耐火断熱組成物に用いるカルシウムアルミネートのブレーン比表面積は、初期強度発現性の点で、3,000cm/g以上が好ましく、5,000cm/g以上がより好ましい。カルシウムアルミネートのブレーン比表面積が3,000cm/g以上であると初期強度発現性が向上する。ここで、ブレーン比表面積とは、JIS R5201:2015(セメントの物理試験方法)に準拠して測定した値である。
(セッコウ)
本発明の実施形態に係る耐火断熱組成物に用いるセッコウとしては、無水セッコウ、半水セッコウ、二水セッコウのいずれも使用でき、特に限定されるものではない。無水セッコウとは硫酸カルシウム無水物でCaSOなる分子式で示される化合物の総称であり、半水セッコウとは、CaSO・1/2HOなる分子式で示される化合物の総称であり、二水セッコウとは、CaSO・2HOなる分子式で示される化合物の総称である。
本発明の実施形態に係る耐火断熱組成物に用いるセッコウの粒度は、不燃性や初期強度発現性と適正な作業時間が得られる点で、平均粒子径1~30μmが好ましく、5~25μmがより好ましい。ここで、平均粒子径とは、レーザー回折散乱法により測定される体積頻度粒度分布において、累積値が50%となる粒子径を意味し、超音波装置を用いて分散させた状態で測定した値である。
セッコウの含有量は、カルシウムアルミネート100質量部に対して、70~250質量部であり、100~200質量部が好ましい。セッコウが70質量部未満又は250質量部を越えると、十分な耐火性を付与できない。
(木質繊維)
本発明の実施形態に係る耐火断熱組成物に用いる木質繊維は、カルシウムアルミネート及びセッコウの硬化を阻害しないものであれば、特に限定されない。本発明の実施形態に係る耐火断熱組成物に用いる木質繊維の樹種には、例えば、イチイ、カヤ、モミ、トドマツ、カラマツ、アカマツ、ヒメコマツ、ラジアタマツ、スプルース、ツガ、スギ、コウヤマキ、ヒノキ、サワラ、ネズコ、ヒバ等の針葉樹、ドロノキ、オニグルミ、ハンノキ、マカンバ、クリ、シイノキ、ブナ、ミズナラ、アカガシ、ハルニレ、ケヤキ、カツラ、ホオノキ、クス、ヤマザクラ、キハダ、イエヤカエデ、トチノキ、シナノキ、ハリギリ、ヤチダモ、キリ、アカラワン、バクチカン、アルモン、カランバヤン、カプール、ファルカタ、アカシア等の広葉樹などが挙げられる。これらの樹種は、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。これらの樹種の中で、カルシウムアルミネートとの親和性の観点から、アカマツ、ヒノキ、モミ、ツガ、ヒバ、エゾマツ、ラジアタマツ、アカマツ、スプルース、ブナ、アカラワン、バクチカン、アルモン、カランバヤン、ファルカタ、アカシア及びカプールからなる群の1種以上が好ましく、アカマツ、ヒノキ、モミ、ツガ、ブナ、アカシア及びアカラワンからなる群の1種以上がより好ましい。
本発明の実施形態に係る耐火断熱組成物における木質繊維の含有量は、カルシウムアルミネート及びセッコウの合計100質量部に対して5~60質量部である。木質繊維の含有量が5質量部未満であると、耐火断熱板の比重が高くなりすぎる場合がある。また、耐火断熱板の断熱性が悪くなる場合がある。木質繊維の含有量が60質量部よりも大きいと、耐火断熱板の耐火性が悪くなる場合がある。このような観点から、木質繊維の含有量は、カルシウムアルミネート及びセッコウの合計100質量部に対して、好ましくは7~50質量部であり、より好ましくは10~40質量部である。
木質繊維の平均長さは好ましくは0.1~8mmであり、木質繊維の平均幅は好ましくは0.01~2mmであり、木質繊維の平均厚さは好ましくは0.01~1mmである。木質繊維の寸法が上述の範囲内であると、耐火断熱板の耐火性及び強度をさらに改善することができる。このような観点から、木質繊維の平均幅は、より好ましくは0.02~1mmであり、さらに好ましくは0.03~0.5mmであり、木質繊維の平均長さは、より好ましくは0.2~5mmであり、さらに好ましくは0.3~2mmであり、木質繊維の平均厚さは、より好ましくは0.02~0.8mmであり、さらに好ましくは0.03~0.5mmである。
なお、木毛セメント板に使用される木毛の平均長さは通常200~500mmであり、平均幅は通常3.5~5mmであり、平均厚さは通常0.3~0.5mmである。したがって、本発明の実施形態に係る耐火断熱組成物に用いる木質繊維は、木毛セメント板に用いる木毛に比べて、極めて短く、幅も非常に狭いものである。
木質繊維の寸法は、例えば、光学顕微鏡を使用して100本の木質繊維の長さ、幅及び厚さを測定し、その平均値をそれぞれ、木質繊維の平均長さ、平均幅及び平均厚さとした。
本発明の実施形態に係る耐火断熱組成物における木質繊維の製造方法は、特に限定されない。例えば、木材をすりつぶして木質繊維を作製してもよく、木材のチップを解繊して木質繊維を作製してもよく、毛びきの付いた特殊な平かんな盤を使用して木材から木質繊維を作製してもよい。
(起泡剤)
本発明の実施形態に係る耐火断熱組成物は、起泡剤をさらに含んでもよい。これにより、耐火断熱板の比重をさらに低減することができ、耐火断熱板の断熱性もさらに改善することができる。本発明の実施形態に係る耐火断熱組成物における起泡剤とは、攪拌等の物理的作用により原料スラリー中に空気を巻き込みやすくし、かつ、発生した気泡を安定化する効果をもつ混和剤である。起泡剤には、例えば、加水分解タンパク質、樹脂セッケン、α-オレフィンスルホン酸塩、アルキルエーテル硫酸エステル塩等が挙げられる。加水分解タンパク質は、例えば、牛のひずめや角を構成するケラチンタンパク質をアルカリ加水分解したものである。樹脂セッケンは、例えば、松脂の蒸留残留物であるロジンのケン化物(ロジンセッケン)であり、主成分はアビエチン酸塩である。無水マレイン酸をさらに付加したマレイン化アビエチン酸塩(マレイン化ロジンセッケン)を使用してもよい。α-オレフィンスルホン酸塩は、例えば、石油ワックスの熱分解もしくはエチレンの重合より得られたα-オレフィンをスルフォン化した後、中和することによって製造されたものである。生成物は、例えば、アルケニルスルホン酸塩とヒドロキシアルキルスルホン酸塩の混合物である。アルキルエーテル硫酸エステル塩は、下記一般式(1)で表されるものが好ましい。これらの起泡剤の中で、アルキルエーテル硫酸エステル塩、α-オレフィンスルホン酸塩からなる群の1種以上が好ましい。
R-O(CHCHSOM (1)
式(1)中、Rは、炭素数8~20の脂肪炭化水素、Aは水素又はメチル基、Mはアルカリ金属、アンモニウム、アルキルアミン又はアルカノールアミン、nは1~5の整数である。
起泡剤の含有量は、耐火断熱板の比重及び強度の観点から、カルシウムアルミネートとセッコウの合計100質量部に対して、好ましくは0.001~5質量部であり、より好ましくは0.005~2質量部であり、さらに好ましくは0.01~1質量部である。
(発泡剤)
本発明の実施形態に係る耐火断熱組成物は、発泡剤をさらに含んでもよい。これにより、耐火断熱板の比重をさらに低減することができ、耐火断熱板の断熱性もさらに改善することができる。本発明の実施形態に係る耐火断熱組成物における発泡剤とは、化学反応を利用して原料スラリー中でガスを発生させる混和剤である。起泡剤には、例えば、カルシウム、バリウム、リチウム、アルミニウム、亜鉛等の金属粉末、過酸化水素、塩酸と炭酸水素ナトリウムとの混合物等が挙げられる。これらの発泡剤の中で、反応制御の容易さ、安全性及び経済性の観点から、アルミニウム粉末が好ましい。
本発明の実施形態に係る耐火断熱組成物における発泡剤の含有量は、耐火断熱板の比重及び強度の観点から、カルシウムアルミネートとセッコウの合計100質量部に対して、好ましくは0.0001~2質量部であり、より好ましくは0.0005~1質量部である。
(凝結遅延剤)
本発明の実施形態に係る耐火断熱組成物は凝結遅延剤を含んでもよい。凝結遅延剤とは、耐火断熱組成物スラリーの可使時間を調整する物質である。当該凝結遅延剤としては、無機凝結遅延剤や有機系凝結遅延剤等が挙げられる。無機凝結遅延剤としては、例えば、リン酸塩、ケイフッ化物、水酸化銅、ホウ酸又はその塩、酸化亜鉛、塩化亜鉛、炭酸化亜鉛等が挙げられる。有機系凝結遅延剤としては、例えば、オキシカルボン酸類(クエン酸、グルコン酸、リンゴ酸、酒石酸、グルコヘプトン酸、オキシマロン酸、乳酸等)又はその塩(ナトリウム塩、カリウム塩等)、砂糖に代表される糖類等が挙げられる。これらの1種以上が使用できる。さらに、炭酸塩、重炭酸塩、硝酸塩、水酸化物、ケイ酸塩等といった無機凝結遅延剤と、上記オキシカルボン酸類又はその塩とを、組み合わせた混合物も使用できる。これらの中では、オキシカルボン酸類又はその塩単独か、無機凝結遅延剤とオキシカルボン酸類又はその塩との混合物が好ましい。本明細書においては、凝結遅延剤は上述したカルシウムアルミネート、セッコウを除くものとする。
本組成物における凝結遅延剤の使用量は、カルシウムアルミネートとセッコウの合計100質量部に対して、0.01~5.0質量部が好ましく、0.02~3.0質量部がより好ましく、0.05~2.0質量部がさらに好ましい。凝結遅延剤の量が0.01質量部以上であると必要な可使時間に調整することが容易になり、5.0質量部以下であると硬化時間が長くなりすぎず、硬化不良を起こしにくい。
(空孔を有する無機粉末)
本発明の実施形態に係る耐火断熱組成物は、空孔を有する無機粉末(以下、単に「無機粉末」ということもある。)を含んでもよい。これにより、耐火断熱板の比重をさらに低減することができ、耐火断熱板の断熱性もさらに改善することができる。無機粉末は、空孔を有する無機材料の粉末であれば特に限定されるものではなく、いかなるものでも使用できる。
空孔を有する無機粉末の代表的なものとしては、シラスバルーンに代表される火山性堆積物を高温で加熱して作られる発泡体から得られる無機粉末や、火力発電所から発生するフライアッシュバルーンや、黒曜石、真珠岩、若しくは頁岩を焼成して得られた無機粉末や、ガラスビン等の廃棄物を粉砕した後に焼成し、粒度調整した廃ガラス発泡体粉末(リサイクルガラスバルーン)等が挙げられ、これらの1種以上を使用できる。フライアッシュバルーンを使用する場合は、強熱減量が5%以下のものを使用することが、未燃カーボンが少ない点で、好ましい。本明細書においては、無機粉末は、上述したカルシウムアルミネート、セッコウ、繊維状無機粘土鉱物を除くものとする。
これらの中では、発泡樹脂成形体の連続気泡に充填した際に断熱性を損ないにくい点で、シラスバルーン、フライアッシュバルーン、及び廃ガラス発泡体粉末からなる群の1種以上が好ましい。
無機粉末の粒度は、平均粒子径1~150μmが好ましく、15~100μmがより好ましい。ここで、平均粒子径とは、測定レーザー回折式粒度分布計を用い、超音波装置を用いて分散させた状態で測定した値である。
本発明の実施形態に係る耐火断熱組成物における無機粉末の含有量は、カルシウムアルミネートとセッコウの合計100質量部に対して、1~150質量部が好ましく、2~100質量部がより好ましく、5~80質量部がさらに好ましい。無機粉末の量が1質量部以上であると断熱性が向上し、150質量部以下であると耐火性が向上する。
(樹脂の中空微粒子)
本発明の実施形態に係る耐火断熱組成物は、樹脂の中空微粒子をさらに含んでもよい。これにより、耐火断熱板の比重をさらに低減することができ、耐火断熱板の断熱性もさらに改善することができる。中空微粒子は、空孔を有する樹脂の粉末であれば特に限定されるものではなく、いかなるものでも使用できる。
中空微粒子を構成する樹脂には、例えば、ポリアクリロニトリル、ポリアクリル酸エステル、ポリメタクリル酸エステル、ポリフェノール、ポリメチルメタクリレート、ポリメタクリロニトリル、ポリスチレン、ポリ塩化ビニリデン、ポリ酢酸ビニル、ポリフェノール等が挙げられる。これらの樹脂は、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。これらの中で、ポリアクリロニトリル及びポリ塩化ビニリデンからなる群の1種以上をベースとした重合体が好ましい。
樹脂の中空微粒子の平均粒子径は1~150μmが好ましく、15~100μmがより好ましい。ここで、平均粒子径とは、レーザー回折散乱法により測定される体積頻度粒度分布において、累積値が50%となる粒子径を意味し、超音波装置を用いて分散させた状態で測定した値である。
本発明の実施形態に係る耐火断熱組成物における樹脂の中空微粒子の含有量は、カルシウムアルミネートとセッコウの合計100質量部に対して、1~150質量部が好ましく、2~100質量部がより好ましく、5~80質量部がさらに好ましい。樹脂の中空微粒子の含有量が1質量部以上であると断熱性が向上し、150質量部以下であると耐火性が向上する。
本発明の実施形態に係る耐火断熱組成物中のカルシウムアルミネートの含有量は、耐火性の観点から、30~50%であることが好ましく、40~50%であることがより好ましい。
[耐火断熱組成物スラリー]
本発明の実施形態に係る耐火断熱組成物スラリーは、本発明の実施形態に係る耐火断熱組成物と水を混合してなる。すなわち、本発明の実施形態に係る耐火断熱組成物に、水(水道水等)を使用することによって耐火断熱組成物スラリーを調製できる。当該スラリーを調製するときの水の量は、特に限定するものではないが、カルシウムアルミネートとセッコウの合計100質量部に対して40~300質量部が好ましく、80~250質量部がより好ましい。
[耐火断熱板]
本発明の実施形態に係る耐火断熱板は、本発明の実施形態に係る耐火断熱組成物スラリーを硬化させてなるものである。本発明の実施形態に係る耐火断熱組成物スラリーは、水和反応により水和生成物が生じ、固化(硬化)する。水和生成物としては、カルシウムアルミネートとセッコウの反応で生成するエトリンガイトが挙げられる。エトリンガイトは分子内に多量の水を結晶水として有するので、加熱により脱水し、消火作用を示し、耐火断熱板の耐火性が向上する。本発明の実施形態はCaO含有量が34%以上のカルシウムアルミネートを使用することにより、エトリンガイトを積極的に生成し、耐火性を向上する。また、エトリンガイトは、セメント比べて比重が低いので、耐火断熱板の比重を低減することができる。
耐火断熱組成物スラリーを型枠に充填した後の耐火断熱板の養生方法は、特に限定するものではないが、充填後、常温下で気中養生したり、板表面をプラスチックフィルムで覆い常温で気中養生したりする方法等が挙げられる。養生時間を短縮するために耐火断熱板を30~90℃の温度で養生してもよい。
耐火断熱組成物スラリーを型枠に充填する前、又は耐火断熱組成物スラリーを型枠に充填した後に、耐火断熱組成物スラリーの中に気泡を形成してもよい。これにより、耐火断熱板の比重をさらに低減することができ、耐火断熱板の断熱性もさらに改善することができる。例えば、耐火断熱組成物スラリーに起泡剤を添加して、耐火断熱組成物スラリーの混合過程で耐火断熱組成物スラリーの中に気泡を形成してもよい。また、耐火断熱組成物スラリーに発泡剤を添加して、耐火断熱組成物スラリーを型枠に充填した後、耐火断熱組成物スラリーの中に気泡を形成してもよい。さらに、耐火断熱組成物スラリーを型枠に充填する前に、発泡機で別に作った泡を耐火断熱組成物スラリーに混合してもよい。
ある実施形態では、さらに不織布で板全体を被覆したり、格子状の繊維シート等の補強材を板の片面あるいは両面に配置したり、不織布と繊維シートを併用したりすることもできる。
本発明の実施形態に係る耐火断熱板の寸法は、特に限定するものではないが、縦500~3000mm、横500~2000mm、厚さ10~100mmが好ましい。厚さは20~100mmがより好ましい。耐火断熱板が小さいと耐火断熱板が軽くなり、設置時の作業性がよくなる。また、本発明の実施形態に係る耐火断熱板の寸法は、JIS A5404:2019で規定された寸法であってもよい。
ある実施形態では、本耐火断熱組成物スラリーの調製にあたってさらに、性能に影響を与えない範囲で各種添加剤を1種以上使用できる。そうした添加剤としては、例えば、炭化促進剤、難燃性付与剤、延焼防止剤、無機物、防錆剤、防凍剤、収縮低減剤、粘土鉱物、アニオン交換体等が挙げられる。
本発明の実施形態に係る耐火断熱板の密度は、耐火性及び断熱性を損なわない点で、100~1000kg/mが好ましく、200~500kg/mがより好ましい。100kg/m以上であると、十分な耐火性を確保でき、1000kg/m以下であると十分な断熱性が得られる。
[耐火断熱構造体]
本発明の実施形態に係る耐火断熱構造体は、耐火断熱板を含む。すなわち、上述した耐火断熱板を用いて、建築物の耐火構造体を構築できる。そうした耐火構造体としては、例えば、外壁側からの層構成で示せば、サイディングボード、透湿防水シート、耐火断熱板、構造用合板、耐火断熱板の順の層からなり、構造用合板と耐火断熱板の間は間柱で100mm程度の空間(グラスウール等の断熱材が収まる空間)を設けた構造体が挙げられる。サイディングボードと透湿防水シートの間に胴縁を設けてもよい。
本発明の実施形態により、耐火断熱板を含む耐火断熱構造体が得られる。
耐火構造体を構築する際、必要とする耐火仕様によっては、本耐火断熱板を複数枚重ねて貼り付けてもよく、本耐火断熱板を強化セッコウボードと併用して使用してもよい。
以下、本発明を実施例及び比較例を用いてより具体的に説明する。本発明は、以下の実施例によって何ら限定されるものではない。
[可使時間]
調製した耐火断熱組成物スラリーをポリビーカーに入れ、これを断熱容器に入れ、測温抵抗体を差し込んだ。記録計により混練を終了した直後の温度に対して、モルタルの硬化に伴う発熱によって2℃温度が上昇した時間を、可使時間とした。
[耐火断熱板の比重]
40℃オーブン内で恒量になるまで乾燥し、恒量状態になった耐火断熱板の縦の長さ、横の長さ、厚さ及び質量を測定して、耐火断熱板の比重を算出した。
[耐火断熱板の耐火性能試験]
以下のように耐火断熱板の耐火性能試験を実施し、耐火断熱板の耐火性を調べた。
作製した試験体を試験体の表面温度が約1000℃程度となるように調整したガスバーナーの炎を当て、試験体裏面の温度変化を測定し、裏面温度が200℃に到達するまでの時間を測定し、耐火性を評価した。
[耐火断熱板の断熱性能試験]
縦20cm×横20cm×厚み4cmの試験体を用いて、JIS A1412-2に準拠して熱流計法で熱伝導率を測定し、断熱性を評価した。熱伝導率が低いほど断熱性に優れる。
以下のようにして実施例及び比較例の耐火断熱板を作製した。
[実施例1]
カルシウムアルミネート100質量部に対してセッコウ100質量部加えて混合物を調製し、前記混合物100質量部に対して木質繊維Aを30質量部、水150質量部を加え、5分間攪拌してスラリーを調製した。調製したスラリーは型枠に流し込こんで硬化させて耐火断熱板を作製した。なお、耐火断熱板の作製に使用した材料は以下の通りであった。
(使用材料)
カルシウムアルミネート:CaO:43質量%及びAl:57質量%となるように調整したCaO及びAlの混合物を、電気炉で溶融・急冷し、粉砕して得られた非晶質カルシウムアルミネート。ガラス化率98%以上、及びブレーン比表面積6050cm/g
セッコウ:ノリタケカンパニー社製II型無水セッコウ、商品名「D-101A」、純度95%、平均粒子径20μm
木質繊維A:樹種アカシア、平均長さ0.75mm、平均幅0.045mm、平均厚さ0.049mm
水:上水道水
[実施例2]
カルシウムアルミネート100質量部に対してセッコウ70質量部加えて混合物を調製し、前記混合物100質量部に対して木質繊維Aを30質量部、水150質量部を加え、5分間攪拌してスラリーを調製した。調製したスラリーは型枠に流し込こんで、24時間型枠内に静置し、硬化後脱型し、耐火断熱板を作製した。
[実施例3]
カルシウムアルミネート100質量部に対してセッコウ250質量部加えて混合物を調製し、前記混合物100質量部に対して木質繊維Aを30質量部、水150質量部を加え、5分間攪拌してスラリーを調製した。調製したスラリーは型枠に流し込こんで、24時間型枠内に静置し、硬化後脱型し、耐火断熱板を作製した。
[実施例4]
カルシウムアルミネート100質量部に対してセッコウ100質量部加えて混合物を調製し、前記混合物100質量部に対して木質繊維Aを5質量部、水150質量部を加え、5分間攪拌してスラリーを調製した。調製したスラリーは型枠に流し込こんで24時間型枠内に静置し、硬化後脱型し、耐火断熱板を作製した。
[実施例5]
カルシウムアルミネート100質量部に対してセッコウ100質量部加えて混合物を調製し、前記混合物100質量部に対して木質繊維Aを60質量部、水150質量部を加え、5分間攪拌してスラリーを調製した。調製したスラリーは型枠に流し込こんで硬化させて、24時間型枠内に静置し、硬化後脱型し、耐火断熱板を作製した。
[実施例6]
カルシウムアルミネート100質量部に対してセッコウ100質量部加えて混合物を調製し、前記混合物100質量部に対して木質繊維Bを30質量部、水150質量部を加え、5分間攪拌してスラリーを調製した。調製したスラリーは型枠に流し込こんで、24時間型枠内に静置し、硬化後脱型し、耐火断熱板を作製した。
(使用材料)
木質繊維B:樹種アカシア、平均長さ0.12mm、平均幅0.025mm、平均厚さ0.020mm
[実施例7]
カルシウムアルミネート100質量部に対してセッコウ100質量部加えて混合物を調製し、前記混合物100質量部に対して木質繊維Cを30質量部、水150質量部を加え、5分間攪拌してスラリーを調製した。調製したスラリーは型枠に流し込こんで、24時間型枠内に静置し、硬化後脱型し、耐火断熱板を作製した。
(使用材料)
木質繊維C:樹種アカシア、平均長さ8mm、平均幅1.1mm、平均厚さ0.4mm
[実施例8]
カルシウムアルミネート100質量部に対してセッコウ100質量部加えて混合物を調製し、混合物100質量部に対して木質繊維Dを30質量部、水150質量部を加え、5分間攪拌してスラリーを調製した。調製したスラリーは型枠に流し込こんで、24時間型枠内に静置し、硬化後脱型し、耐火断熱板を作製した。
(使用材料)
木質繊維D:樹種アカシア、平均長さ0.68mm、平均幅0.013mm、平均厚さ0.016mm
[実施例9]
〔耐火断熱板の作製方法〕
カルシウムアルミネート100質量部に対してセッコウ100質量部加えて混合物を調製し、前記混合物100質量部に対して木質繊維Eを30質量部、水150質量部を加え、5分間攪拌してスラリーを調製した。調製したスラリーは型枠に流し込こんで、24時間型枠内に静置し、硬化後脱型し、耐火断熱板を作製した。
(使用材料)
木質繊維E:樹種アカシア、平均長さ4mm、平均幅1.8mm、平均厚さ1.6mm
[実施例10]
カルシウムアルミネート100質量部に対してセッコウ100質量部加えて混合物を調製し、前記混合物100質量部に対して木質繊維Fを30質量部、水150質量部を加え、5分間攪拌してスラリーを調製した。調製したスラリーは型枠に流し込こんで、24時間型枠内に静置し、硬化後脱型し、耐火断熱板を作製した。
(使用材料)
木質繊維F:樹種アカシア、平均長さ0.43mm、平均幅0.005mm、平均厚さ0.007mm
[実施例11]
カルシウムアルミネート100質量部に対してセッコウ100質量部加えて混合物を調製し、前記混合物100質量部に対して木質繊維Gを30質量部、水150質量部を加え、5分間攪拌してスラリーを調製した。調製したスラリーは型枠に流し込こんで、24時間型枠内に静置し、硬化後脱型し、耐火断熱板を作製した。
(使用材料)
木質繊維G:樹種アカシア、平均長さ6.6mm、平均幅2.9mm、平均厚さ2.6mm
[実施例12]
カルシウムアルミネート100質量部に対してセッコウ100質量部加えて混合物を調製し、前記混合物100質量部に対して木質繊維Aを30質量部、起泡剤A0.5質量部、水150質量部を加え、5分間攪拌してスラリーを調製した。調製したスラリーは型枠に流し込こんで硬化させて耐火断熱板を作製した。
(使用材料)
起泡剤A:アルキルエーテル硫酸エステル塩
[実施例13]
カルシウムアルミネート100質量部に対してセッコウ100質量部加えて混合物を調製し、前記混合物100質量部に対して木質繊維Aを30質量部、起泡剤B0.5質量部、水150質量部を加え、5分間攪拌してスラリーを調製した。調製したスラリーは型枠に流し込こんで硬化させて耐火断熱板を作製した。
(使用材料)
起泡剤B:α-オレフィンスルホン酸塩
[実施例14]
カルシウムアルミネート100質量部に対してセッコウ100質量部加えて混合物を調製し、前記混合物100質量部に対して木質繊維Aを30質量部、起泡剤C0.5質量部、水150質量部を加え、5分間攪拌してスラリーを調製した。調製したスラリーは型枠に流し込こんで硬化させて耐火断熱板を作製した。
(使用材料)
起泡剤C:加水分解たんぱく質
[実施例15]
カルシウムアルミネート100質量部に対してセッコウ100質量部加えて混合物を調製し、前記混合物100質量部に対して木質繊維Aを30質量部、起泡剤A0.005質量部、水150質量部を加え、5分間攪拌してスラリーを調製した。調製したスラリーは型枠に流し込こんで硬化させて耐火断熱板を作製した。
[実施例16]
カルシウムアルミネート100質量部に対してセッコウ100質量部加えて混合物を調製し、前記混合物100質量部に対して木質繊維Aを30質量部、起泡剤A2質量部、水150質量部を加え、5分間攪拌してスラリーを調製した。調製したスラリーは型枠に流し込こんで硬化させて耐火断熱板を作製した。
[実施例17]
カルシウムアルミネート100質量部に対してセッコウ100質量部加えて混合物を調製し、前記混合物100質量部に対して木質繊維Aを30質量部、空孔を有する無機粉末A40質量部、水150質量部を加え、5分間攪拌してスラリーを調製した。調製したスラリーは型枠に流し込こんで硬化させて耐火断熱板を作製した。
(使用材料)
空孔を有する無機粉末A:フライアッシュバルーン、平均粒子径:90μm
[実施例18]
カルシウムアルミネート100質量部に対してセッコウ100質量部加えて混合物を調製し、前記混合物100質量部に対して木質繊維Aを30質量部、空孔を有する無機粉末B40質量部、水150質量部を加え、5分間攪拌してスラリーを調製した。調製したスラリーは型枠に流し込こんで硬化させて耐火断熱板を作製した。
(使用材料)
空孔を有する無機粉末B:シラスバルーン、平均粒子径:84μm
[実施例19]
カルシウムアルミネート100質量部に対してセッコウ100質量部加えて混合物を調製し、前記混合物100質量部に対して木質繊維Aを30質量部、空孔を有する無機粉末C40質量部、水150質量部を加え、5分間攪拌してスラリーを調製した。調製したスラリーは型枠に流し込こんで硬化させて耐火断熱板を作製した。
(使用材料)
空孔を有する無機粉末C:廃ガラス発泡体粉末、平均粒子径:98μm
[実施例20]
カルシウムアルミネート100質量部に対してセッコウ100質量部加えて混合物を調製し、前記混合物100質量部に対して木質繊維Aを30質量部、樹脂の中空微粒子A40質量部、水150質量部を加え、5分間攪拌してスラリーを調製した。調製したスラリーは型枠に流し込こんで硬化させて耐火断熱板を作製した。
(使用材料)
樹脂の中空微粒子A:ポリ塩化ビニリデン樹脂、平均粒子径:80μm
[実施例21]
カルシウムアルミネート100質量部に対してセッコウ100質量部加えて混合物を調製し、前記混合物100質量部に対して木質繊維Aを30質量部、空孔を有する無機粉末D40質量部、水150質量部を加え、5分間攪拌してスラリーを調製した。調製したスラリーは型枠に流し込こんで硬化させて耐火断熱板を作製した。
(使用材料)
空孔を有する無機粉末D:フライアッシュバルーン、平均粒子径:3μm
[実施例22]
カルシウムアルミネート100質量部に対してセッコウ100質量部加えて混合物を調製し、前記混合物100質量部に対して木質繊維Aを30質量部、空孔を有する無機粉末E40質量部、水150質量部を加え、5分間攪拌してスラリーを調製した。調製したスラリーは型枠に流し込こんで硬化させて耐火断熱板を作製した。
(使用材料)
空孔を有する無機粉末E:フライアッシュバルーン、平均粒子径:150μm
[実施例23]
カルシウムアルミネート100質量部に対してセッコウ100質量部加えて混合物を調製し、前記混合物100質量部に対して木質繊維Aを30質量部、空孔を有する無機粉末A2質量部、水150質量部を加え、5分間攪拌してスラリーを調製した。調製したスラリーは型枠に流し込こんで硬化させて耐火断熱板を作製した。
[実施例24]
カルシウムアルミネート100質量部に対してセッコウ100質量部加えて混合物を調製し、前記混合物100質量部に対して木質繊維Aを30質量部、空孔を有する無機粉末A100質量部、水150質量部を加え、5分間攪拌してスラリーを調製した。調製したスラリーは型枠に流し込こんで硬化させて耐火断熱板を作製した。
[実施例25]
カルシウムアルミネート100質量部に対してセッコウ100質量部加えて混合物を調製し、前記混合物100質量部に対して木質繊維Aを30質量部、凝結遅延剤A1.0質量部、水150質量部を加え、5分間攪拌してスラリーを調製した。調製したスラリーは型枠に流し込こんで硬化させて耐火断熱板を作製した。
(使用材料)
起泡剤A:酒石酸
[実施例26]
カルシウムアルミネート100質量部に対してセッコウ100質量部加えて混合物を調製し、前記混合物100質量部に対して木質繊維Aを30質量部、凝結遅延剤B1.0質量部、水150質量部を加え、5分間攪拌してスラリーを調製した。調製したスラリーは型枠に流し込こんで硬化させて耐火断熱板を作製した。
(使用材料)
起泡剤B:グルコン酸ナトリウム
[実施例27]
カルシウムアルミネート100質量部に対してセッコウ100質量部加えて混合物を調製し、前記混合物100質量部に対して木質繊維Aを30質量部、凝結遅延剤C1.0質量部、水150質量部を加え、5分間攪拌してスラリーを調製した。調製したスラリーは型枠に流し込こんで硬化させて耐火断熱板を作製した。
(使用材料)
起泡剤C:クエン酸ナトリウム
[実施例28]
カルシウムアルミネート100質量部に対してセッコウ100質量部加えて混合物を調製し、前記混合物100質量部に対して木質繊維Aを30質量部、凝結遅延剤A0.02質量部、水150質量部を加え、5分間攪拌してスラリーを調製した。調製したスラリーは型枠に流し込こんで硬化させて耐火断熱板を作製した。
[実施例29]
カルシウムアルミネート100質量部に対してセッコウ100質量部加えて混合物を調製し、前記混合物100質量部に対して木質繊維Aを30質量部、凝結遅延剤A3.0質量部、水150質量部を加え、5分間攪拌してスラリーを調製した。調製したスラリーは型枠に流し込こんで硬化させて耐火断熱板を作製した。
[比較例1]
〔耐火断熱板の作製方法〕
カルシウムアルミネートA100質量部に対してセッコウ60質量部加えて混合物を調製し、前記混合物100質量部に対して木質繊維Aを30質量部、水150質量部を加え、5分間攪拌してスラリーを調製した。調製したスラリーは型枠に流し込こんで、24時間型枠内に静置し、硬化後脱型し、耐火断熱板を作製した。
[比較例2]
〔耐火断熱板の作製方法〕
カルシウムアルミネートA100質量部に対してセッコウ300質量部加えて混合物を調製し、前記混合物100質量部に対して木質繊維Aを30質量部、水150質量部を加え、5分間攪拌してスラリーを調製した。調製したスラリーは型枠に流し込こんで、24時間型枠内に静置し、硬化後脱型し、耐火断熱板を作製した。
[比較例3]
カルシウムアルミネートA100質量部に対してセッコウ100質量部加えて混合物を調製し、前記混合物100質量部に対して木質繊維Aを3質量部、水150質量部を加え、5分間攪拌してスラリーを調製した。調製したスラリーは型枠に流し込こんで、24時間型枠内に静置し、硬化後脱型し、耐火断熱板を作製した。
[比較例4]
カルシウムアルミネートA100質量部に対してセッコウ100質量部加えて混合物を調製し、前記混合物100質量部に対して木質繊維Aを70質量部、水150質量部を加え、5分間攪拌してスラリーを調製した。調製したスラリーは型枠に流し込こんで、24時間型枠内に静置し、硬化後脱型し、耐火断熱板を作製した。
[比較例5]
ポルトランドセメント100質量部に対して木質繊維Aを30質量部、水150質量部を加え、5分間攪拌してスラリーを調製した。調製したスラリーは型枠に流し込こんで、24時間型枠内に静置し、硬化後脱型し、耐火断熱板を作製した。
実施例1~29及び比較例1~5の耐火断熱板の評価結果を表1~表5に示す。
表1~表5より、CaOの含有量が34質量%以上であるカルシウムアルミネート、セッコウ及び木質繊維を含み、セッコウの含有量が、カルシウムアルミネート100質量部に対して70~250質量部であり、木質繊維の含有量が、前記カルシウムアルミネート及び前記セッコウの合計100質量部に対して5~60質量部である耐火断熱組成物を用いて作製した、実施例1~29の耐火断熱板は、比重が低く、耐火性及び断熱性が優れていることがわかった。さらに、起泡剤、空孔を有する無機粉末及び樹脂の中空微粒子を併用することで耐火性を維持しながら比重と断熱性を改善できることがわかった。さらに、凝結遅延剤を併用することで耐火断熱板の各種性能に影響を及ぼさずに可使時間を延長することがわかった。一方、比較例1及び2の耐火断熱板はセッコウの含有量が70~250質量部の範囲から外れていたため、耐火性及び断熱性が悪かった。比較例3の耐火断熱板は、木質繊維の含有量が5質量部より低かったため、比重が高く、耐火性及び断熱性が悪かった。比較例4の耐火断熱板は、木質繊維の含有量が60質量部より高かったため、比重は低く、断熱性はよかったものの、耐火性が悪かった。比較例5の耐火断熱板はカルシウムアルミネートを使用しなかったため、耐火性及び断熱性が悪かった。
本発明の実施形態に係る耐火断熱組成物及びそのスラリーを用いることで、耐火性と断熱性を持った耐火断熱板を得ることができる。又、その板を用いて壁や柱等の構造体を構築した場合、火炎を受けても形状を維持できるので、火災時の延焼を阻止する効果を有する。よって、本発明の実施形態は、防火安全性の高い建築物、車両、航空機、船舶、冷凍設備、及び冷蔵設備の建造に寄与できる。

Claims (9)

  1. CaOの含有量が34質量%以上であるカルシウムアルミネート、セッコウ及び木質繊維を含み、
    前記セッコウの含有量が、前記カルシウムアルミネート100質量部に対して70~250質量部であり、
    前記木質繊維の含有量が、前記カルシウムアルミネート及び前記セッコウの合計100質量部に対して5~60質量部である耐火断熱組成物。
  2. 前記木質繊維の平均長さが0.1~8mmであり、前記木質繊維の平均幅が0.01~2mmであり、前記木質繊維の平均厚さが0.01~1mmである請求項1に記載の耐火断熱組成物。
  3. 起泡剤をさらに含む請求項1又は2に記載の耐火断熱組成物。
  4. 空孔を有する無機粉末をさらに含む請求項1~3のいずれか1項に記載の耐火断熱組成物。
  5. 樹脂の中空微粒子をさらに含む請求項1~4のいずれか1項に記載の耐火断熱組成物。
  6. 凝結遅延剤をさらに含む請求項1~5のいずれか1項に記載の耐火断熱組成物。
  7. 請求項1~6のいずれか1項に記載の耐火断熱組成物及び水を混合してなる耐火断熱組成物スラリー。
  8. 請求項7に記載の耐火断熱組成物スラリーを硬化させてなる耐火断熱板。
  9. 請求項8に記載の耐火断熱板を含む耐火断熱構造体。
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